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SS

【SS】後輩(女)「先輩、ポケモンの新作買いました?」

 ▼ 1 uFYnhQ7aPs 20/01/05 03:15:51 ID:oYjQuLrU [1/46] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
俺「いや、買ってない」

後輩「あれー? 嘘はいけないですね? せんぱいが先週の金曜日学校を休んだことは知ってるんですよ?」

俺「……熱が出て」

後輩「ダウト、せんぱいは風邪を引きません」

俺「どういうことだコラ」
 ▼ 2 uFYnhQ7aPs 20/01/05 03:16:39 ID:oYjQuLrU [2/46] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
後輩「わたしもバイト代叩いて買っちゃったんですよねー。先輩のせいですよ?」

俺「なんで俺のせいなんだよ……。つーか買ってないって」

後輩「毎日毎日友達のいない先輩のポケモン話に付き合ってあげてた、それはそれは健気で可愛らしい大和撫子的美少女はどこの誰でしたっけ?」

俺「……すまん」

後輩「まーそんなわけで、私も最新作買っちゃいました。責任とってくださいね?」

俺「なんのだよ」
 ▼ 3 uFYnhQ7aPs 20/01/05 03:17:16 ID:oYjQuLrU [3/46] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
後輩「わたしは最初サルノリにしました! なんかちょっとバカそうな感じが先輩そっくりで!」

俺「一々俺を貶さないと喋れないのかお前は」

後輩「つい先輩の名前をつけちゃいました!てへ!」

俺「複雑な心境だよ」

後輩「進化したらどんな風になるんですかねー!楽しみです!」ウキウキ

俺「ん?」
 ▼ 4 uFYnhQ7aPs 20/01/05 03:18:58 ID:oYjQuLrU [4/46] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
俺「お前、サルノリを最終進化させてないのか?」

後輩「はい? だってまだ昨日買ったばかりだもん。まだせんぱいは進化してないです」

俺「その言い方だと俺が何の進歩しない無能みたいに聞こえるが……まあ、いいや」

後輩「え? なんですかその歯切れの悪い感じ……」

俺「いや、知らなくていい。だが、これだけは覚えておいてくれ」

後輩「な、なんですか?」

俺「お前はこれから『俺と同じ名前のゴリラ』を育てることになる。 お前は俺をゴリラにするんだ」

後輩「!? うそ……ですよね……?」

俺「……残念だが」

後輩「い、いやあああああああああああああああああああ!!!!!!!!!」
 ▼ 5 uFYnhQ7aPs 20/01/05 03:20:11 ID:oYjQuLrU [5/46] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
俺「落ち着け後輩!」

後輩「そんな……わたしのかわいい先輩がゴリラに……?そんなのって……」うるうる

俺「やめろ、俺がゴリラになるみたいに言うな」

後輩「どうして……どうしてもっと早く教えてくれなかったんですか!?」

俺「無茶苦茶言うな。選んだのはお前だ。全てはお前の責任だ」

後輩「そんな……わたしのせいで先輩がゴリラに……?」

俺「いい加減俺の名前を出すのをやめろ」
 ▼ 6 uFYnhQ7aPs 20/01/05 03:20:59 ID:oYjQuLrU [6/46] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
俺「そんなに嫌なら進化させなければいいだろ?」

後輩「確かに元ネタ再現でしたらお猿のまま進化させない方が忠実ですが……」

俺「だからどういう意味だコラ」

後輩「わたしのエゴで進化させないなんて、可哀想ですよね……」

俺「……そうだな」
 ▼ 7 uFYnhQ7aPs 20/01/05 03:21:35 ID:oYjQuLrU [7/46] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
後輩「わたし、決めました! 先輩がどんな姿になっても、最後まで先輩と一緒にいます!!」

俺「や、やめろバカ! 声がデカい!」

後輩「たとえ先輩がゴリラになったとしても!!!!」

俺「頼むからやめてくれ!!」

「なに? 痴話喧嘩?」
「美女と野獣?」
「チッ、失せろ。リア充どもが」

俺「……帰るぞ」

後輩「……はい」
 ▼ 8 uFYnhQ7aPs 20/01/05 03:22:20 ID:oYjQuLrU [8/46] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
電車の中。

後輩「てか、せんぱい。やっぱり新作買ってたんじゃないですか」

俺「……ああ。そうだよ」

後輩「なんで変な意地張るんですか、まったく」

俺「だって、どうせ大して興味ないだろ?すぐ飽きてやめるのに、無理して俺の趣味に合わせなくていい」

後輩「……せんぱいと一緒に遊びたくて買ったのに」

俺「うぐっ」

後輩「だからひとりも友達いないんですよバカ」

俺「うぐぐっ」
 ▼ 9 uFYnhQ7aPs 20/01/05 03:22:41 ID:oYjQuLrU [9/46] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
俺「……俺が悪かった。許してくれ」

後輩「嫌です。先輩とはもう口を聞きません」ぷいっ

俺「後輩が満足するまで、付き合うからさ」

後輩「嫌々なら結構です」

俺「うぐっ!」
 ▼ 10 uFYnhQ7aPs 20/01/05 03:23:29 ID:oYjQuLrU [10/46] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
後輩「……ふふっ♪ 仕方ないなぁ、この人は」

後輩「いいですよ、許します。その代わり、わたしが飽きるまでゲームに付き合ってくださいね?」

俺「! ああ。任せろ」

後輩「じゃあせんぱい。 まずはふたりでゲームをクリアしましょう!」

俺「あ、すまん。実は発売日初日にクリアしたんだ」

後輩「は?」

俺「ついでに言うと、土日で図鑑も埋めた」

後輩「 は ぁ ? 」
 ▼ 11 uFYnhQ7aPs 20/01/05 03:24:21 ID:oYjQuLrU [11/46] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
数日後。

後輩「先輩!レイドバトル手伝ってください!」

俺「なんだよ唐突だな」

後輩「だって!ひとりじゃ全然勝てないんですよ!」

俺「なに使ってる?」

後輩「せんぱいです」

俺「……あー、ゴリランダーね」
 ▼ 12 uFYnhQ7aPs 20/01/05 03:24:55 ID:oYjQuLrU [12/46] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
俺「殿堂入りは……なんとかできたのか。 じゃあムゲンダイナ持ってるだろ?」

後輩「えー、かわいくないじゃないですか」

俺「ゴリランダーもかわいくはないだろ」

後輩「せんぱいは愛着があるので」

俺「……そろそろニックネーム変えてくれん?」

後輩「嫌です」
 ▼ 13 uFYnhQ7aPs 20/01/05 03:26:07 ID:oYjQuLrU [13/46] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
俺「ムゲンダイナはな、ダイマックスしている相手に対して威力300のダメージを出せる技を使えるんだ。ストーリーを進めれば勝手に手持ちに入るので入手難易度も低い。だから、レイド初心者はまずムゲンダイナを育てろ」

後輩「いやです、せんぱいがいいです」

俺「……他にも、ウオノラゴンは特性がんじょうあごと水技エラがみを組み合わせることで威力382といった高火力を出すことができる。水半減の相手以外ならかなり有用で」

後輩「いやです、せんぱいがいい」

俺「……またニャイキングの夢特性は味方の鋼技を1.5倍する効果を持つので、夢ニャイキング4体で攻め込むことで相乗効果で高い火力が」

後輩「いやです」

俺「……ザシアン」

後輩「いやです」
 ▼ 14 uFYnhQ7aPs 20/01/05 03:26:35 ID:oYjQuLrU [14/46] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
俺「……わかった、手伝うよ。何と戦うんだ?」

後輩「このヘビみたいな奴です」

俺「これは、キョダイサダイジャか。確かに初心者がソロで狩るのは厳しいな。ウオノラゴンが最適だな」ピッ

後輩「え、なんですかこのポケモン。キモいです」

俺「やめろ。初見でそう思うのは仕方ないが、口に出すな。こいつはこれでも一生懸命生きてんだよ。何も知らない奴が『キモい』の一言で片付けるな」

後輩「え、ええ……? ごめんなさい……」

俺「わかればいいんだ」

後輩(このポケモンに先輩のどんな想いが込められているの……?)
 ▼ 15 uFYnhQ7aPs 20/01/05 03:27:39 ID:oYjQuLrU [15/46] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
俺「ところで、レイドで使うポケモンはなるべくレベル100で使った方がいいぞ。NPCが使うポケモンは自分が出したポケモンのレベル×0.7倍になるからな。つまり最大でレベル70までだ」

後輩「そうだったんですね。でもそんな簡単にLv100になんてできないですよ」

俺「レイドを倒せば『経験値アメ』がもらえる。それを集めれば、簡単にレベル100にできるぞ」

後輩「へー。 じゃあそれが集まるまで手伝ってくださいね? せんぱい♪」

俺「……へいへい」
 ▼ 16 uFYnhQ7aPs 20/01/05 03:29:10 ID:oYjQuLrU [16/46] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
俺「そうこう言ってるうちに倒せたな」

後輩「よくやりました。褒めて遣わします」

俺「上から目線を無理に敬語に変換しようとしてるせいで、水戸黄門みたいな口調になってるぞ」

後輩「あ!でも逃げられちゃいました……」

俺「期間限定ピックアップのキョダマは捕獲率低いからな。ゲスト側はもっと低い。ソロでなら、期間限定以外のキョダマは確定でゲットできるぞ」

後輩「え、他のキョダイマックスもレイドで手に入るんですか?」

俺「確率は相当低いが出るらしいぞ。攻略サイトに載ってた」

後輩「先輩!わたしマホイップのキョダイマックスが欲しいです!!」

俺「現状、色違いを出すのと同じ、またはそれ以上に時間がかかる。ピックアップされるまで大人しく待て」

後輩「えー……」
 ▼ 17 uFYnhQ7aPs 20/01/05 03:29:52 ID:oYjQuLrU [17/46] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
一週間後。

俺「お、後輩。ちょっと来てくれ」

後輩「あ、ゴリランダー。お疲れ様です」

俺「ついに現実の俺とゴリランダーが入れ替わってるじゃねえか」

後輩「学校で話しかけないでくださいって言いましたよね?」

俺「初耳なんだが……」

俺「それより、ほら。マホイップのキョダイマックス見つけたぞ」

後輩「……はい!? 本当ですか!!?」

俺「ああ」
 ▼ 18 マガル@モーモーミルク 20/01/05 03:30:54 ID:Hd7gVqLo NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
チッ、失せろリア充どもが
 ▼ 19 uFYnhQ7aPs 20/01/05 03:31:34 ID:oYjQuLrU [18/46] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
後輩「でも、現状マホイップのキョダイマックスを見つけるのは難しいってこないだ……」

俺「ああ、その時はな。最近、レイド厳選を効率化する裏技が見つかって、試しにキョダイマホイップを出してみたんだ。それでも数時間はかかったけど」

後輩「わーい!せんぱいありがとう!!だいすき!!!!」

俺「お、おう」

後輩「ちなみにどういう裏技なんですか?」

俺「説明が長くなるから『剣盾 アンコールワット』で検索してくれ。もちろん本体やソフトの改造は必要ない」

後輩「はーい」
 ▼ 20 uFYnhQ7aPs 20/01/05 03:32:35 ID:oYjQuLrU [19/46] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
俺「あ、そうだ。念の為に『おまかせレポート』は切っておけ。捕まえられなくてもリセットすれば再挑戦できるから」

後輩「はい!わかりました!」

俺(……やけに素直だな。いつもこんなんなら可愛げがあるのに)

後輩「……なにか失礼なこと考えてません?ゴリラ?」

俺「いや、なんでもないです。ゴリラじゃないです」
 ▼ 21 ンドラー@きちょうなホネ 20/01/05 03:33:01 ID:OktkPC/k [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
こういう登場人物の名前が後輩とか友になってるスレが好きなのに最近減ってるから書いてくれる人がいて嬉しい
支援
 ▼ 22 uFYnhQ7aPs 20/01/05 03:33:54 ID:oYjQuLrU [20/46] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
後輩「やったー!一回で捕獲できました!」

俺「よかったな。しかもラブボ使ってたのか」

後輩「はい!このボールかわいいですよね!」

俺「ほう、オシャボの魅力に既に気がついているとは。お主には光るものがある」

後輩「しゃべり方キモいですね」

俺「急に辛辣に戻るな」
 ▼ 23 uFYnhQ7aPs 20/01/05 03:35:52 ID:oYjQuLrU [21/46] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
後輩「でもこれ一個しか手に入らないんですよね。せんぱい、欲しいです……!」

俺「あざとい上目遣いやめろ。嫌だよ、俺も交換に使ったりするんだ」

後輩「ぶー」

俺「俺にたからなくても、今なら合言葉でもう一個ずつもらえるぞ?」

後輩「え、そうなんですか!?」

俺「『0KUGAFUKA1B0RU』と『K0UN1NMASC0T』と『1YAHAYA』でレアボ全9種がそれぞれ一個ずつもらえるぞ。期限は1月15日までだな」

後輩「ちょ、なんで今まで黙ってたんですか!!」

俺「別に隠してたわけじゃねえよ……」
 ▼ 24 uFYnhQ7aPs 20/01/05 03:39:22 ID:oYjQuLrU [22/46] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
後輩「このマホイップの名前どうしよっかなー♪」

俺「『みとこうもん』でどうだ?」

後輩「は? 殴りますよ?」

俺「やめろ、俺だけじゃなく黄門様にまで失礼だ」

後輩「そうだ!『みつぎもの❤︎』にしましょう!」

俺「……それでいいのか」

後輩「え?なんか文句あります?」

俺「ないけどさ……」
 ▼ 25 uFYnhQ7aPs 20/01/05 03:39:53 ID:oYjQuLrU [23/46] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
後輩「ねえ、せんぱい。せんぱいが苦労して見つけて来てくれたこのマホイップ、大事にしますね♪」

俺「……ああ、そうしてくれ」

後輩「今度はわたしが先輩のために頑張りますね!!」

俺「? おう」
 ▼ 26 ガカメックス@たんけんこころえ 20/01/05 03:41:22 ID:J7rgqvIo NGネーム登録 NGID登録 報告
なんだこのあいことばステマスレ
 ▼ 27 uFYnhQ7aPs 20/01/05 05:25:31 ID:oYjQuLrU [24/46] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
一週間後。

後輩「せんぱいっ、せんぱい!やりました!ついに見つけました!はやく来てください!!」

俺(げっ!あいつ……!教室まで呼びに来やがった……!)
 
「おい、一年の後輩ちゃんじゃん」
「うわホントだ。やっぱかわいいなぁ」
「誰を呼びに来たんだ?」

俺(まずいぞ……! クラスカースト最底辺の俺と知り合いだとバレたら……)

後輩「あっ、せんぱい!いるじゃないですか!はやく!」

俺「Oh……」

「は?まさかあいつ?」
「あのポケモンオタクと知り合いなのか?」
「後輩ちゃんってそういう趣味なんだ……」
 ▼ 28 uFYnhQ7aPs 20/01/05 05:26:26 ID:oYjQuLrU [25/46] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
俺(……こうなったら、仕方ない)

俺「や、やあ、後輩さん。後輩さんの落とし物を拾って届けた件についてはもう大丈夫だよ?」

後輩「は? なにを」

「なんだ、そういうことか」
「だよなー。後輩ちゃんがあんな奴と仲良いわけないもんなー」
「あんなポケモンオタクにもちゃんと接してあげる後輩ちゃんはやっぱ天使w」

俺「さあ、ここで話すとみんなに迷惑だから場所を変えよう」

後輩「……はい」
 ▼ 29 uFYnhQ7aPs 20/01/05 05:27:00 ID:oYjQuLrU [26/46] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
俺「で、どうしたんだ?教室まで来るなんて」

後輩「……せんぱいは、わたしと知り合いだと思われるのは嫌なんですか?」

俺「……ああ、嫌だよ。注目を浴びたくないんだ」

後輩「わたしは別に気にしないのに……」ボソッ

俺「……ゴホンッ」
 ▼ 30 uFYnhQ7aPs 20/01/05 05:27:47 ID:oYjQuLrU [27/46] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
俺「それより、随分と慌てていたけどなんだったんだ?」

後輩「! そうです!せんぱい!今すぐわたしと交換してください!」

俺「は?」

後輩「渡したいものがあるんです!」

俺「渡したいもの?」

後輩「はい!」

俺「まあいいや。ちょうど孵化余りのヘビボダルマッカがあったからそれ送るね」
 ▼ 31 uFYnhQ7aPs 20/01/05 05:28:59 ID:oYjQuLrU [28/46] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
交換後。

俺「これは、カジッチュ?」

後輩「はい!」

俺(ニックネーム『プレゼント❤︎』か……これは理想でも対戦で使えないな)

俺「え、これ『ぼうだん』? 夢特性じゃん。しかもフレボ入り!? これどうしたんだ?」

後輩「ふふん♪ レイドで戦いまくって見つけて捕まえました♪」

俺「まじか」

後輩「先輩がツイッターで『色タルップルかわいいな。国際孵化するか』と呟いていたのを見つけたので」

俺「おい、ちょっと待て。なぜ俺の個人情報ゼロのポケモン垢を特定できた?」

後輩「内緒です♪」
 ▼ 32 uFYnhQ7aPs 20/01/05 05:30:01 ID:oYjQuLrU [29/46] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
後輩「あと先輩はソードだったので、シールド限定のあまーいりんごも持たせてますよ」

俺「!? お前は神か……!これはまじで助かる!」

俺(ぶっちゃけ、フレボ夢カジッチュとあまーいりんごはここ最近ずっと交換募集していた。それをまさか、後輩が知っていたとは……)

後輩「えーと……、へ?ありがとうございます?」

俺「? なんでお前が礼を言うんだ?」

後輩「だって……」

後輩(こんなに嬉しそうな先輩の顔はじめてみたから……!)

後輩「えへへ♪」
 ▼ 33 uFYnhQ7aPs 20/01/05 05:31:14 ID:oYjQuLrU [30/46] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
俺「家に帰ったらさっそく厳選するわ。まじでありがとう、後輩」

後輩「へ!? あ、はい。その感じはずるいです……」

俺「?」

俺「あ、そろそろ昼休み終わるから戻るぞ」

後輩「……はーい」

俺「じゃあ、またな」

後輩「あ!せんぱい!」

俺「ん?」
 ▼ 34 uFYnhQ7aPs 20/01/05 05:32:17 ID:oYjQuLrU [31/46] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
後輩「ナックルシティの西にいる男性に、カジッチュを見せると発生するイベントのこと、ご存知ですか……?」

俺「? いや、知らないな。そんなものがあるのか」

後輩「い、いえ!ご存知ないなら大丈夫です! じゃあまた!」タタタッ

俺「お、おう」
 ▼ 35 uFYnhQ7aPs 20/01/05 05:33:21 ID:oYjQuLrU [32/46] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
自宅。

俺「そういえば、後輩がカジッチュのイベントがどうとか言ってたな」

俺「国際孵化する前に、見てみるか」

ーナックルシティ西ー

男性「ねぇ、きみ…… あのウワサ知ってる?」

俺「あのウワサ?いや、知らないな」

男性「え! 知らないの!?」
 ▼ 36 uFYnhQ7aPs 20/01/05 05:38:26 ID:oYjQuLrU [33/46] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
男性「【好きな子に告白するときカジッチュをプレゼントすると結ばれる】ってウワサだよ!?」

俺「……は?」


俺(具体的な内容は伏せるが、これはカジッチュのウワサに関する恋愛系イベントだった。ソードではこのあと、すっぱいりんごが貰えた)

俺「後輩はどういう意図でこれを……」

俺「いや、俺がフレボ夢カジッチュを欲しがってたのは偶然だしな。勘違いされないように聞いてきたんだろ」

きっと、そうに違いない。
ポケモンにしか興味がない俺のことを受け入れてくれる人なんて、存在するはずがないのだから。
 ▼ 37 リープ@たいようのふえ 20/01/05 05:45:20 ID:OktkPC/k [2/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
頑張れ、後輩ちゃん…!
 ▼ 38 uFYnhQ7aPs 20/01/05 06:54:15 ID:oYjQuLrU [34/46] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
それは、きっと運命だったのだろう。
すべては、中学の頃からカバンにつけていたゲンガーのぬいぐるみストラップを無くしてしまったのがきっかけだ。

「高校生にもなってぬいぐるみなんかつけてるの恥ずかしくない?」
「もしかしてアレ?不思議ちゃん?」
「いるいる、そういうメンヘラ女。ぬいぐるみ好きなわたしカワイイって感じ?」

高校に入ってからできた友達に、こんなようなことを何回も言われた。 わたしはそうやってイジられるのが嫌になって、登下校中以外はカバンの中に入れておくことにした。
しかし、ある日の下校時間。いつものようにカバンからゲンガーのぬいぐるみを取り出して付けようとした時、それがなくなっていたことに気が付いた。
 ▼ 39 uFYnhQ7aPs 20/01/05 06:55:28 ID:oYjQuLrU [35/46] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
どうして? 私は校舎中を探し回った。
でも、どこにもゲンガーのぬいぐるみはなかった。
人に尋ねることもできなかった。馬鹿にされるのが怖かったからだ。

あのぬいぐるみは、中学一年生の時、今は亡き父に買ってもらった大切なものなのに。本当は大好きなポケモンのぬいぐるみなのに。

わたしはその場で泣きじゃくるしかなかった。
そして、そんな時だった。

「ふざけんじゃねえぞ!!!!」

突如男の人の怒鳴り声が聞こえ、ビクッ!と身体が震えた。

なに?
わたしは声のした方へ向かった。
 ▼ 40 uFYnhQ7aPs 20/01/05 06:57:42 ID:oYjQuLrU [36/46] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
そこは本校舎の真裏で、普段は誰も立ち寄らない場所だった。そこには、先程の声の主と思われる上級生の男子生徒と、なぜかわたしのクラスメイトである女子生徒、高校に入ってからできた友達の一人がいた。

なにしてるの?
そう声をかける前に、女子生徒が声を張り上げた。

「なんなのよ!! アンタには関係ないじゃない!『こんなもの』早く卒業させる方があの子のためなの!!!」

こんなもの?
その子の手元に目をやり、ハッと息を飲んだ。
その子の手に、わたしのゲンガーのぬいぐるみが握られていたのだ。
なんで、どうして?

その時、私はこの場所に何があるのかを思い出した。
『焼却炉』だ。
 ▼ 41 uFYnhQ7aPs 20/01/05 06:58:41 ID:oYjQuLrU [37/46] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
この子は私のゲンガーのぬいぐるみを焼こうとしているのだ。
状況を理解した途端、顔が青ざめていくのを感じた。

絶望で涙が止まらなかった。
恐怖で声が出なかった。
身体が動かない、止めないといけないはずなのに。

やめて、、お願いします、なんでもしますから、それだけはやめてください。
やめて、やめてよ……!


「やめろおおお!!!!!」


女子生徒が焼却炉にぬいぐるみを放る寸前で、上級生が女子生徒に突進し、押し倒した。
そして、ぬいぐるみが地面に落ちる。
助かった……?
 ▼ 42 uFYnhQ7aPs 20/01/05 07:01:22 ID:oYjQuLrU [38/46] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「ッ!!? なんなのよアンタ!! 邪魔すんじゃないわよ!!!」

女子生徒は激昂して甲高い声で叫ぶ。

「私はあの子の友達なの!!!あんなガキみたい趣味捨てれば、もっと綺麗になれる!! 同性からも好かれるようになる!! だからあの子のためにもこうするしかないの!!! 部外者は関わってこないで!!!!」

何を言っているのか、最初は理解できなかった。
私のため……? この年になってぬいぐるみを持ち歩いてる私が原因……?
……まあ、たしかにそうだ。 同世代の友達でポケモンのぬいぐるみをカバンにつけているのはわたしくらいだ。
ああ、なんだ。おかしいのはわたしだったんだ。

じゃあ仕方な……


「もう一回だけ言う。『ふざけんじゃねえぞ』」


!!
 ▼ 43 uFYnhQ7aPs 20/01/05 07:02:24 ID:oYjQuLrU [39/46] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「ああ、たしかに俺は部外者だよ。だけどな、言わせてくれ……

人の好きなもん否定して邪魔する権利なんかなあ!! どこのどいつにもねえんだよ!!!」

ハッ、目が覚めるような感覚がした。
その言葉は、今間違いなく私を救った。
そんな感覚がしたのだ。

それ以降のことはあまりよく覚えていない。
これが先輩を初めて知った時のことだ。

 ▼ 44 ンダース@トポのみ 20/01/05 08:04:29 ID:w9H2U8Ds NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
これは作り込まれたSSだ。
支援
 ▼ 45 uFYnhQ7aPs 20/01/05 08:41:20 ID:oYjQuLrU [40/46] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
後輩「先輩、国際孵化ってどうやってやるんですか?」

俺「ん? なんだよ急に。後輩は別に色違いとか興味ないだろ?」

後輩「それがですね、最近はマホイップを全種類揃えることに奮闘していまして、あと色違いだけでコンプなんです」

俺「なん……だと?」

後輩「てへ♪」

俺(だから最近アメざいくをカツアゲしに来たり、アンコールワットのやり方を聞きに来たりしてたのか……)

後輩「ちなみにイチゴはドリボ、ハートはラブボ、ベリーはヘビボ、四葉はフレボ、お花はスピボで統一してます。いずれも夢特性です」ドヤァ

俺「普通に凄いなお前」
 ▼ 46 uFYnhQ7aPs 20/01/05 08:42:30 ID:oYjQuLrU [41/46] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
俺「そうだな。まず図鑑を埋めて『ひかるおまもり』をもらってこい。話はそれからだ」

後輩「えー、嫌です。ダルいです」  

俺「俺の経験上、あるかないかで相当変わるぞ?俺も特殊進化とか手伝ってやるから。 な?」

後輩「……先輩のボックスをそのままわたしのボックスと交換すればいいんじゃないですか?」

俺「……だめだ」

後輩「えー!? なんでですか!!」

俺「図鑑埋めはポケモンの醍醐味の一つなんだよ!! ズルしたら、その楽しさを失ってしまうの!」

後輩「プレイスタイルは人それぞれです!」

俺「ならば俺の主張にも反論出来まい!」

後輩「ぐぬぬぬ……!」
 ▼ 47 uFYnhQ7aPs 20/01/05 08:44:13 ID:oYjQuLrU [42/46] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
後輩「……わかりました。では、きちんと『対価』を払います。でしたら、交換ということで認めてくれますよね?」

俺「……まあ、それなら」

後輩「じゃあ、こうしましょう」

後輩「図鑑埋め一匹につき、私が『先輩のお願いをなんでも聞く』というのはどうでしょうか?」

俺「は?」
 ▼ 48 uFYnhQ7aPs 20/01/05 08:44:50 ID:oYjQuLrU [43/46] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
俺「それはどういう意味だ?」

後輩「そのままの意味です」

俺「……なんでも?」

後輩「はい、なんでも言うことを聞きます」

俺「ちなみに図鑑埋めはあと何体だ?」

後輩「約50体ですね。つまり50回分、命令を聞きます」

俺「正気か?」

後輩「正気です」

俺「……」
 ▼ 49 uFYnhQ7aPs 20/01/05 08:46:59 ID:oYjQuLrU [44/46] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
俺(いや、待て俺。落ち着け俺。はやまるな)

俺(俺は今、試されているのだ。ここで今、下手に下衆な要求をすれば軽蔑されるに決まっている)

後輩「せんぱい? どうしたの?」

俺「い、いや。なんでも」

後輩「でも、顔が赤いよ?そんなに困りますか?」

俺(れいせいになれ、俺。お前はとくこうが上がってすばやさが下がる。お前はとくこうが上がってすばやさが下がる。とくこうが上がって)

後輩「……いいよ、先輩なら」ボソッ

俺「!」

後輩「なんでも、言うこと聞くから……ね?」
 ▼ 50 uFYnhQ7aPs 20/01/05 08:48:53 ID:oYjQuLrU [45/46] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
俺「……わかったよ。命令する」

後輩「……うん」

俺「後輩……」

後輩「せん、ぱい……」





俺「お前は残りの50体を自力で図鑑埋めて来い。そしたら同じ50体を交換してやる」

後輩「……はい?」
 ▼ 51 uFYnhQ7aPs 20/01/05 08:49:34 ID:oYjQuLrU [46/46] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
後輩「ちょ、ちょっと待ってください!それじゃ意味が」

俺「あれれー?なんでも言うこと聞くって言ったよなー?w」

後輩「こ、このっ!」

俺「じゃあ、そういうわけで。話はそれからだ。じゃあな!」

後輩「あ! 待って!」



後輩「……ばか」
 ▼ 52 ルビート@そうこのカギ 20/01/05 12:02:55 ID:cEC29Utw NGネーム登録 NGID登録 報告
支援せざるを得ない
 ▼ 53 ルタン@プラスパワー 20/01/05 12:40:50 ID:0WwQgQOk NGネーム登録 NGID登録 報告
意気地無しっ!
 ▼ 54 オリッポ@ゆきだま 20/01/05 17:30:44 ID:SEDMbfMw NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 55 ワンナ@しあわせタマゴ 20/01/06 00:14:34 ID:g/Uw3XPI NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 56 ライゴン@キーストーン 20/01/06 09:57:19 ID:sMHgiN7Q NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 57 ギギシリ@くちたたて 20/01/06 14:20:44 ID:iYDk0Rsk [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
しえん
 ▼ 58 ガチャーレム@のこされたボール 20/01/06 19:23:28 ID:xIrwDOxQ NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
こんなの支援するしかないじゃないかw
 ▼ 59 uFYnhQ7aPs 20/01/06 21:11:11 ID:iePcLXoE [1/23] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
数日後。

後輩「せんぱーい! ついに図鑑埋めおわりましたよ!」

俺「ほう、なかなか早いな。ついにお主もこの境地まで登ってきたというのか……」

後輩「そのしゃべり方まじでキモいのでやめた方がいいですよ?」

俺「ガチめの指摘やめてくれん?」

後輩「オタクのそういうしゃべり方は、周りに気を遣わせるということを自覚した方がいいです」

俺「すみません、勘弁してください……」
 ▼ 60 uFYnhQ7aPs 20/01/06 21:12:08 ID:iePcLXoE [2/23] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
俺「本当にひとりでやったのか?」

後輩「いえ、弟にやらせ……手伝ってもらいました♪」

俺「おい」

後輩「心配いりません。通信進化とかを手伝ってもらったくらいです」

俺「本当かよ……弟くんも高校受験があるのに大変だな」

後輩「……あれ? わたし先輩に弟の話したことありましたっけ?」

俺「いや、ないよ。ツイッターで知り合った」

後輩「……は?」
 ▼ 61 uFYnhQ7aPs 20/01/06 21:12:41 ID:iePcLXoE [3/23] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
俺「昨日とか二人で一時間くらい対戦で盛り上がってたな」

後輩「……はぁ!? ちょっと!勝手に人の親族と知り合いにならないでくださいよ!」

俺「仕方ないだろ、向こうからDM来たんだから。 ってかお前は逆に知らなかったのか?二週間くらい前から一緒にポケモンしてるぞ?」

後輩「はああ!!?」
 ▼ 62 uFYnhQ7aPs 20/01/06 21:14:07 ID:iePcLXoE [4/23] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
後輩(たしかに弟に先輩の話はしてたけど、どうやって……? あ、そっか!私が先輩のポケモンアカウントをフォローしてたから……!)

俺「お前、家で俺の話ばかりしてるそうだな?」

後輩「はぅ!?」

俺「ったく……身内にまで俺の恥ずかしい話することないだろ」

後輩「え? あ、はい。ごめんなさい?」

俺「あ、じゃあこれも知らないと思うが、今週末の土曜に弟くんと一緒にポケセンに行くから」

後輩「……はああ!!?」
 ▼ 63 uFYnhQ7aPs 20/01/06 21:14:56 ID:iePcLXoE [5/23] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
後輩「ず、ずるい!ずるいですよ!!」

俺「な、なんでだよ。お前はいつも弟くんに会ってるだろ」

後輩「そうじゃなくて……!」

後輩(わたしだって、まだ学校以外の場所で先輩と遊んだことなんてないのに……!)

後輩「……わたしも行きます」

俺「……は?」

後輩「弟を見知らぬ人に預けるなんて看過できません!! わたしもついて行きます!!」

俺「いや、見知らぬ人じゃねえし、ブラコンかよ」

後輩「とにかく!!わたしもついていきます!!!!」
 ▼ 64 uFYnhQ7aPs 20/01/06 21:15:38 ID:iePcLXoE [6/23] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
当日。

俺「おー、弟くん。ごめん待たせたな」

弟「いや、まだ集合時間前っスよ?全然大丈夫スって」

後輩「……わたしもいるんですけど」

俺「分かってる。よっ、後輩」

後輩「……わたしの格好について何も感想ないんですか?」

俺「感想? ああ、Ptの女主人公みたいな格好だな。脚寒くないのか?」

後輩「そういうことじゃないです!!!」

俺「お、おう?」

弟「うるせえよねーちゃん。アニキが困ってんだろ」

後輩「あにッ!?」
 ▼ 65 uFYnhQ7aPs 20/01/06 21:16:49 ID:iePcLXoE [7/23] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
俺「やめろよな、その呼び方」

弟「いや、俺さんは自分にとって兄のような存在っス。アニキがいなかったら、自分は一生スパボ級を彷徨っていた……」

俺「はは、大袈裟だよ。俺は少し構築についてアドバイスしただけさ。弟くんの実力だよ」

弟「アニキ……!」

後輩「え、なにこの置き去り感……。二週間で仲良くなりすぎじゃないですか?」

俺「はは、でも最初にDM来たときは驚いたよ。『自分とバトルしてください。アンタがねーちゃんに相応しいか確かめてやる』ってさw」

後輩「はいぃ!?」

弟「その話はやめてくださいよw でも、アニキには何回挑んでも勝てなくて、これは認めるしかねえなって」

後輩「ちょ、ちょっと!わたしとせんぱいはそんなんじゃ……」

俺「お、そろそろ行こうぜ。今が一番人が少ない時間だからな」

後輩「スルーしないでください!」
 ▼ 66 uFYnhQ7aPs 20/01/06 21:17:48 ID:iePcLXoE [8/23] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
後輩「先輩みてください!せんぱいのぬいぐるみです!」

俺「は? ああ、サルノリね。等身大だとまあまあでかいのな」

後輩「かわいいですよね!?」

俺「お、おう。かわいいよ」

後輩「♪」

弟「ねーちゃん、そんなデカいのやめとけよ。ただでさえ、ねーちゃんの部屋はぬいぐるみだらけなんだから……」

後輩「は?」ギロッ

弟「ひぃっ!」

俺「なんか今、姉弟の闇が垣間見えたような……」
 ▼ 67 uFYnhQ7aPs 20/01/06 21:19:04 ID:iePcLXoE [9/23] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
俺(このサイズだと……うひゃ、5000以上するな。 さすがに俺の財布じゃ厳しいぞ……)

後輩「わたしこれ買います」

弟「は!?」

俺「まじ?」

後輩「まじです。今日からせんぱいはうちの子です」

俺「勘違いされるからまじでその呼び方やめろ」

弟「いいなぁ。高校生はバイトできて」

後輩「ふふん、これが姉の財力よ?ひれ伏しなさい」

弟「うわ、うざっ」

俺「まて、後輩。どうせ買うなら別の個体にしろ。そいつは左右の手足の長さが若干違っていて自立しづらい。こっちの個体にしろ」

後輩「先輩はぬいぐるみでも厳選してるんですね……わかりました。その子にします」
 ▼ 68 イプ:ヌル@いかりまんじゅう 20/01/06 21:20:32 ID:WgTgfP5E [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
このスレのおかげで年下のよさに気づいた
 ▼ 69 uFYnhQ7aPs 20/01/06 21:21:17 ID:iePcLXoE [10/23] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
弟「アニキは何も買わないんスか?」

俺「俺はぬいぐるみよりも実用品ばっか見ちゃうな。この三犬のタンブラーとか格好よくないか?」

弟「渋いくていいっスね。屏風絵?みたいな。あ、こっちにそれのカードスリーブがあるみたいっス」

俺「え、やばいこれめっちゃいいな。ポケカはやらないけど、これも買っとくか」

弟「自分は少しだけかじったことがあるんで、今度一緒にやります?」

俺「いいのか? じゃあ次回頼むよ」

弟「はいっス」

後輩(……また置いてけぼりにされてる)
 ▼ 70 uFYnhQ7aPs 20/01/06 21:23:25 ID:iePcLXoE [11/23] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
買い物終了後。

俺「だいぶ遅い時間になっちまったな」

弟「ポケセンにいると時間が経つの早いっスよね」

俺「わかる」

後輩(せっかく先輩と遊びに来たのに、もっとしゃべりたかったなぁ……)

弟「あ、いけね。自分これから予備校あるんでした」

俺「ん?そうだったのか。間に合う?」

弟「はい。申し訳ないっスけど、自分はここで。ねーちゃんのことお願いしてもいいっスか?」

後輩「!?」

俺「ああ、別に今日は暇だからな」

後輩「え、え……?」

弟「じゃあ、そういうことで。今日は楽しかったっス」

俺「おう、またな」
 ▼ 71 uFYnhQ7aPs 20/01/06 21:24:45 ID:iePcLXoE [12/23] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
弟「あ、ねーちゃん」

後輩「?」

弟「今日母ちゃん遅くなるらしいから、晩ご飯食べてこいってさ」ニヤ

後輩「!?」

弟「じゃあ、また今度遊びましょう」タタタ

俺「おう、勉強頑張れよー」

後輩「……」
 ▼ 72 uFYnhQ7aPs 20/01/06 21:26:15 ID:iePcLXoE [13/23] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
俺「じゃあ、一緒に飯でもいく?」

後輩「あ、えっと……その……はい」

俺「どうした?今日のお前なんか変だぞ?」

後輩「! なんでもないです!」

俺「?」

後輩「はやく行きますよ!先輩の奢りですからね!!」

俺「ちょ!? まじで金ないの知ってるよね!?」

そのあと、いつものようなくだらないやり取りをしながら、二人で外食をし、後輩を家まで送り届けたのであった。
 ▼ 73 テノ@ヘビーボール 20/01/06 21:46:56 ID:df4YzFjU NGネーム登録 NGID登録 報告
しえんぬ
 ▼ 74 パー@フェアリーメモリ 20/01/06 21:56:11 ID:iYDk0Rsk [2/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
SIENN
 ▼ 75 ラエッテ@やすらぎのすず 20/01/06 22:20:41 ID:WgTgfP5E [2/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 76 uFYnhQ7aPs 20/01/06 23:21:45 ID:iePcLXoE [14/23] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
それは、きっと運命だったんだろう。
すべては、登校中の電車の中で、ゲンガーのぬいぐるみをカバンにつけた同じ高校の女子生徒を見つけたのがきっかけだ。

「こんな可愛い子でも、ポケモンのぬいぐるみをカバンにつけたりするのか」
初めて見たときはそんな感想を抱いた。

俺とその子は、降りる駅が近いためか、度々登下校の際に同じ電車に乗ることが多かった。
だが、それだけだ。ジロジロ見たり、声をかけたり、そんなストーカーじみた真似をするつもりはない。

こんな可愛い子に彼氏がいないわけがない。
変にちょっかいをだして、クラスの人気者みたいな奴から反感を買うのは厄介だ。
それに、ポケモン好きだからといって、ポケモンのグッズを身につけている人に好き勝手に話しかけていいわけではない。

ただ、電車のタイミングが重なった日は、「今日はラッキーだ」くらいに思っていた。
 ▼ 77 uFYnhQ7aPs 20/01/06 23:24:17 ID:iePcLXoE [15/23] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ところが、ある日の下校時間。
見知らぬ女子生徒が、あの子のゲンガーのぬいぐるみを持って、慌てて校舎裏に駆けて行くのを見た。

なんだ?何事だ?嫌な予感が背筋に走る。
次の瞬間には、俺はその女子生徒の後を追い掛けていた。

校舎裏。
そこで彼女は、今まさに焼却炉にぬいぐるみを放り込もうとする寸前のところだった。

「何をしてるんだ?」

俺は彼女に問いかけた。
その行動を一時的でもいいのでやめさせるため、適当に話しかけたのだ。
人に話しかけられる事を想定していなかったのか、女子生徒は慌ててこちらに振り返る。

「な、なに? 上級生……? ……いえ。別に、要らなくなった人形を捨てようとしているだけですよ」

女子生徒は冷静を装いながらもそう言った。
いや、目が泳いでいる、はったりだ。
ならば、こちらもはったりを仕掛けるしかない。

「いや、なに。俺の知り合いがそれと同じ人形を探しててな? 君の持ってるそれじゃないかと思うんだけど」

一瞬だが、女子生徒はぎょっとした顔をした。
だが、すぐに澄ました顔に戻り、なおも虚言を続ける。

「いえ、これはわたしの人形ですよ?ゲームセンターでとった景品なので、たしかに他の人も同じものを持っているかもしれないですね」
 ▼ 78 uFYnhQ7aPs 20/01/06 23:25:53 ID:iePcLXoE [16/23] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
なんとも上手い返しだ。俺以外の人間だったら、まんまと騙されていたことだろう。 しかし、相手が俺だったのが運の尽きだな。 お前は今、墓穴を掘った。

「ん? 変だな。そのぬいぐるみは三年前にポケモンセンター限定で販売されていたものだぞ? それが何故、今頃になってゲーセンの景品になってるんだ?」

「!?」

そう。
俺はあの子のゲンガーが、いつ、どこで販売されたものなのか、事前に調べていたのだ。こういう言い方をすると、女の子の持ち物を調査しているのは、やはりストーカーっぽいと思うかもしれない。
しかし、俺が気になったのはあくまでぬいぐるみの方である。誤解しないでくれ。

「ラベルを見てみろよ。発売された年が書かれているはずだ。君のだと言うのなら、一度ラベルを見せてくれ」

「……」

女子生徒は苦虫を噛み潰したような顔でこちらを睨み、何かを考えているようだった。
 ▼ 79 uFYnhQ7aPs 20/01/06 23:27:37 ID:iePcLXoE [17/23] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
女子生徒は逡巡したあと、大きなため息を吐いた。

「……で、なに? たしかにこの人形は私のものじゃないけど、それがなんだって言うの?」

……ここまで開き直られると、反応に困るな。

「いや、なんで他人のぬいぐるみを燃やそうとしてるんだ? そいつに燃やしてくれと頼まれたのか?」

「そんなわけないでしょ。私だって好きでこんなことしてるんじゃないわよ」

は?こいつは何を言ってるんだ?

「……じゃあどうしてこんなことを?」
 ▼ 80 uFYnhQ7aPs 20/01/06 23:28:40 ID:iePcLXoE [18/23] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「うちのクラスにね、めちゃくちゃ可愛い友達がいるの。休み時間に他のクラスの男子が見物に来たり、サッカー部の部長に入学して一ヶ月で告白されたり、それそれは本当に可愛い子なの」

「つまり、僻み……か? 腹いせでこんなことを?」

「は?そんな陰湿なことしないわよ。私はあの子の友達なのよ?」

この女が何を言いたいのか、よく分からない。
それがどうして、人形を燃やすことに繋がるのか。
 ▼ 81 uFYnhQ7aPs 20/01/06 23:30:12 ID:iePcLXoE [19/23] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「本当に可愛いんだけど、ただね。少しその子って子供っぽいの。言動とか、服の趣味とか、持ち物とか。ただでさえモテすぎて他の女子から嫌われてるのに、余計にそういうところが嫌われてるの。

特にこの『お人形』。何度注意してあげても、学校に持ってきて、下校時間になったらカバンに付けて。この歳でお人形を大事にしてるなんて正直痛々しいわ。

だからね。友達の物を勝手に燃やすなんて心苦しいけど、私がやるしかないの。あの子のためにも、心を鬼にして、早めにお子様な趣味から『卒業』させてあげるの。そうすれば、もっとクラスの女子からも好かれるようになるわ」
 ▼ 82 uFYnhQ7aPs 20/01/06 23:31:23 ID:iePcLXoE [20/23] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「わかります?私だって辛くないわけじゃないんですよ?」


「……ねぇぞ」

「え?」




「ふざけんじゃねえぞ!!! てめえ!!!」


「ひぃっ!!」
 ▼ 83 uFYnhQ7aPs 20/01/06 23:32:22 ID:iePcLXoE [21/23] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
俺はこの時、自分の中学の頃のことを思い出していた。

***

俺の母親は私立中学の教師をしており、幼少の頃より教育に厳しい人だった。
私立の小学校を受験させられ、地元で名門の中学校に進学させられ、毎日家で長時間勉強の日々だった。

そんな中で、ひょんなことをきっかけに、俺は『ポケットモンスター』という娯楽に出会ったのだ。
未知の動物達との触れ合いや計算された心理的読み合いを楽しめるバトル。これらに中学生の俺は魅了された。

しかし、勉強を疎かにするわけにはいかない。
母親の望む高校に合格し、それが叶ったら、思いっきりポケモンを楽しもうと心に決め、しばらく封印していた。
 ▼ 84 uFYnhQ7aPs 20/01/06 23:33:35 ID:iePcLXoE [22/23] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
そして、その私立の高校の合格発表の日。
なんとか俺は合格することができた。
やった、これで好きなだけポケモンができる。
俺は急いで家に帰った。1秒でも早くポケモンがしたい。柄にもなく息を切らしながら家へと急いだ。

しかし、結果として、その日はポケモンをすることはできなかった。
【母にゲーム機ごと捨てられてしまったのだ】

「あんなもの生きていく上で必要ないでしょう? 合格したからといって安心してはいけません。今から勉強しておけば、他の子達より有利に立てる。さあ、大学受験はもう始まっているのよ?」

母にそう言われた瞬間、自分の中で何かが切れる音がした。
俺の唯一の生きる喜びを奪われた悲しみ、絶望、嘆き。それらは言葉で表せるようなものではなかった。
 ▼ 85 uFYnhQ7aPs 20/01/06 23:34:33 ID:iePcLXoE [23/23] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
翌日、俺は母のハイブランドの財布をフリマアプリで売却し、その金でゲーム機本体とポケモンのソフトを買った。

ばれた時、母は俺に激怒したが、俺はこう言い返した。

「10万円以上する財布なんて生きる上で必要ないよね?」

俺はそう言って、母の顔に、バラバラに破った例の私立の合格通知書と振込書を叩きつけた。

そういった経緯で、俺は今の公立の高校に通っている。 

***
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