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カキツバタの振り上げた拳がタロの側頭部を叩き、翡翠色の髪留めが粉々になった。
タロ「しまった、強化装置が……!? 何故、動けるの……」
カキツバタ「俺の本体は、もーっと高いとこにあるのさ……まあ、多少痛いことに、変わりはないがねぃ……」
カキツバタが自らの頭部にある、歯磨き粉型の髪の塊を指さす。
タロ(そんな……万事、休すか……!)
不意打ちで一気に仕留める……そんな、唯一と言っていい策がいとも簡単に弾かれてしまった。諦観の念がタロを包んで離さない。
──そのときだった。
「フン! まだまだ未熟だな、娘よ」
タロ「……パパ? パパなの!?」
「あれだよ、おれ達も居るんだよ」
「まったくハラハラしましたぞ! ……しかしそれも、ワシ達が来るまででしたな!」
カキツバタの後方──ずっと前から居たのかと錯覚した──に、三人の肥えた男達の陰。それを認めたタロの口元は、綻んでいた。
ヤーコン「諦めろ。カキツバタ」
三の肉だるまが助走もなく地面を靴先で撫でるように飛び立ち、カキツバタへと向かっていく。
次回「喪いし友」、乞うご期待!