▼  |  全表示73   | << 前100 | 次  |  履歴   |   スレを履歴ページに追加  | 個人設定 |   ▼   
                  スレ一覧                  
SS

ケンゴ「言えっ!どこだ!どこにいるんだっ!」

 ▼ 1 ドキング@マンキーのけ 24/02/04 15:41:10 ID:PMV.4m/. NGネーム登録 NGID登録 報告
男の右手のひらを無理矢理机に叩きつけ、その小指に拳銃を突き付けた。

「さあ、さあなぁ!今頃は…いひひひ」

ケンゴ「貴様っ!」

容赦なく引き金を引くと、男の小指が飛ぶ

「ぎゃはははははは!どこだろうなぁ!!」

今度は薬指に銃口を押し付け、さらにそれを弾き飛ばした

そんなことを繰り返し、10本の手指を部屋中にまき散らしても男はただ痛みに快感を得ているように大声で笑い叫ぶだけ。結局、最後に頭を打ち抜くまで、居場所を吐くことはなかった…
 ▼ 34 コロモリ@ベロバーのけ 24/02/07 10:42:29 ID:TPkkjbhE [1/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
近隣地方の空港に着くとバイク屋だと名乗る恰幅の良い男が声をかけてきた。男の身分証を確認し同行すると、町外れの大きなガレージへ案内される

「ご注文の品はこれで間違いないか?」

ガレージの中で男が指示したそれにケンゴは頷く。車体はコトブキ署で運用されているのとほぼ変わりないバイクだが、ホバー機能が搭載されており、若干形状が異なっている。地方の東側をほぼ砂漠で覆われているオーレ地方での走行には不可欠な機能だ

ホバー機能の使用方法やメンテナンスについて軽いレクチャーを受け受領書にサインすると、ケンゴはバイクに搭乗しガレージを後にした

西方へ二日程走ればオーレ地方の東端の砂漠地帯へと到達する。途中小さな町がいくつかあることも確認しているので、食料やバイクのガソリンを心配する必要はないだろう。とりあえずは呑気なドライブが楽しめそうだとケンゴは思い、人も車もない広々とした田舎道を快適なスピードで走行した

快適なドライブ旅に異変が起きたのは、日が沈み始め、そろそろ宿を見つけようと最寄りの小さな町へ到着してからだった。確保した宿の部屋で荷物を整理し、外で夕食を食べようと宿を出た時、町中に大きな悲鳴が聞こえた。悲鳴のした大通りへ出ると、道路の真ん中で暴れ回るポケモンと逃げ惑う人々、暴れるポケモンを止めようとするトレーナー達や警官の姿があった。よく見れば、暴れ回っているポケモンは黒いオーラをまとい、赤い目をしたダークポケモン

ケンゴ「どうしたんですか!?」

私服に着替えていたケンゴは警察手帳を掲げながら近くで人々の避難誘導をしていた警官に問いかける

「とっ、突然空からあのポケモンが降ってきて、暴れ始めたんだ」

コトブキ署と記されている手帳を一瞥し、ケンゴが別署の警官であることを認識した警官が説明してくれる

ケンゴ「空から?」

見上げてみるが、ポケモンを投下したような飛行物体などは確認できなかった

「とりあえず、避難誘導に協力願いますか?」

警官に言われ、ケンゴも咄嗟に頷く。が、ダークポケモンを止めようとしている警察やトレーナー達のポケモンは苦戦しているように見えるどころか、段々とその戦力を削られているようにケンゴの目には見えた

ケンゴ(やるしかないんじゃないのか…?)

そう思い、人並みにそれとなく紛れ込み、路地裏へと向かう

ケンゴ「署長はああ言ってたけど…」

人間が突然ポケモンに変化すれば誰だって驚くだろう。署長はそのあたりの対処は任せろと言っていたが…それに、やはり今回もあのダークポケモンを殺害するしかこの騒ぎを止める手段はないのか?ケンゴ自体はためらいの気持ちを拭えずにいた。あの夜の日やハクタイシティでの変化も咄嗟のことだったが…。そう思いつつ体の中心に力を集中させる。まず胴体がばこっと音を立ててその筋肉を拡張させる。そして腕、足、頭部も同様に変化していく。完全にゴウカザルへと変化したケンゴは、脱兎の勢いで路地裏を飛び出した
 ▼ 35 リージオ@ギガトンボール 24/02/07 11:52:30 ID:TPkkjbhE [2/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ダークポケモンの前に躍り出た時には対抗しているポケモンは数匹しか残っておらず、その数匹もちょうどダークポケモンに吹き飛ばされ倒れ伏した

目前に現れたケンゴにダークポケモンが次の獲物を求めるような獰猛な視線を向けてくる。その赤く光る目線から、あの夜と同じく猛烈な殺意と怨念めいた何かがケンゴの中に流れ込んでくる。そして再びそれがケンゴの中の闘争心という炎をさらに燃え上がらせる

ケンゴ(落ち着け…あの時みたいには…)

初めてダークポケモンと対峙したあの夜には、その燃え上がる闘争心がケンゴの心と意識を支配し、半ばコントロールのきかない状態での戦闘となった。これからの戦いに耐える為には、今はその暴走を克服しなければならないと思う。だが、通常の12倍の速さで脈打つ心臓に未だ慣れないケンゴには、冷静さを保とうとするのはまだ難しかった

ダークポケモンがケンゴ目掛け火炎放射を放つ。すかさずそれを避けて相手の懐に潜り込むと、両の拳に炎をまとわせその腹部を連続で殴打する。相手がよろけ数歩後退するが、ダメージはあまり大きくないようだ。夕闇に目を凝らしてよく見てみれば相手はブーバーン。確かに炎技では効果は薄い、沈めるなら格闘技しかないだろうなとケンゴは気づく

そこからも相手との攻防が続く中、ケンゴは自分の意識が段々と燃え上がる闘争心に支配されていくのを感じる。このままではまずいと思いつつも、やはりその勢いに対する抵抗力は徐々に失われていく

その隙をついてか、相手の強烈なからてチョップがケンゴの頭部を直撃する。激しい衝撃にケンゴは後方へ吹き飛ばされる

ケンゴ(くそっ、こいつ……!)

その怨嗟の思いが、燃え上がる闘争心にケンゴの意識の支配権を完全に掌握させた

ケンゴは素早く立ち上がると咆哮を上げ、全身に炎の鎧をまとう。その色は、赤から徐々に青紫色、そして完全な青色へと変色した

ケンゴ「うああああああああああ!!!!!!」

再び咆哮を上げ、通常よりもはるかに高熱の炎の塊となったケンゴが相手へと突撃する。黒いブーバーンも同じようにフレアドライブで対抗しようとするが、二つの炎の色の勝負はあっという間に青色の圧勝となり、二人を包み込む

ケンゴ「うああああああああああ!!!!!!」

炎の中、ケンゴは苦しむブーバーンの首を締め上げる。ブーバーンはケンゴから離れようともせずただただ力任せに叫ぶばかりで、身体を襲う猛烈な炎の熱と息のできない苦しみによって数瞬のうちに絶命した
 ▼ 36 ロリーム@ゴージャスボール 24/02/07 11:52:59 ID:TPkkjbhE [3/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ダークポケモンの絶命を認識し、ケンゴは全身にまとった青い炎を鎮める。周囲で愕然とその光景を見ていた警官やトレーナー達は、ダークポケモンが倒れているのを見て安堵した様子を見せる

しかし、ケンゴの闘争心はそこで終わらなかった。周囲でこちらを見ていたポケモン達と視線が合う。その瞬間、再び衝動がケンゴの全身を駆け巡る

ケンゴ「うああああああああああ!!!!!!」

突如ケンゴは飛び上がると、視線を交わしたポケモン達へと襲いかかった。驚愕したトレーナー達が慌ててポケモンをモンスターボールへと戻そうとする

「ど、どうなってるんだ!?何なんだよあのゴウカザルはっ!」

ポケモンのいなくなると今度は獲物を探す様子で辺りを見回し、再びケンゴが咆哮を上げる

「皆さん!!下がってください!!」

応援に到着した警官達がトレーナー達を下がらせると、相棒たるガーディの群れが前に躍り出た。すると次の獲物を見つけたという表情で彼らに襲い掛かろうとする。その時…

ケンゴ「うっ…」

飛び上がったケンゴの首筋に小さな鈍い痛みと痺れが走った。そしてその痺れは全身へと瞬時に拡散し、地面に倒れこんだケンゴの意識を完全に閉した
 ▼ 37 ラルポニータ@ドクZ 24/02/07 14:13:03 ID:TPkkjbhE [4/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ケンゴが出発した日

ノゾミ「どうした?今日はやけに機嫌が良いみたいじゃないか。転勤の取消交渉にも行かないし」

少し上機嫌そうに事務仕事に励むヒカリにノゾミが声をかける

ヒカリ「うん?あーあれ?いいのいいの」

ノゾミ「何か良いことあった?」

ヒカリ「ふふん、ちょっとねー」

上機嫌とも言える。が、そう思おうと努めている自分を見透かされないよう、ヒカリは明るく答えた

ヒカリの気持ちは複雑だった

元々、オーレ地方への転勤が決まった時、開花してしまった感情がケンゴとひと時でも離れて生活することへの強い拒絶感を抱かせたのだ。だが、欠員補充とは言え期間限定的にも転勤の令が下るというのは、それだけ平時とは異なる経験を積み、自身のキャリアアップへと繋がる。その二つの気持ちを天秤にかけてみても、なかなかどちらか一方に傾くということはなかった。だからとりあえず、ダメ元で転勤の取り消しができないかだけは上司へ毎日のように懇願し続けてみたのだった

そしてそこに先程、ケンゴから言われたケンゴ自身に今日下された出張、しかもいつ戻れるかは進捗次第。転勤と何が違うのかとヒカリは少し困惑したが、これもヒカリと同じくケンゴ自身の新たな経験、キャリアアップには繋がるのだと思い、笑顔で見送ることも、ノゾミに上機嫌な様子を見せることもできた。しかしつまるところ、これでいずれにせよケンゴと離れて過ごすということ自体は成立してしまったのである。計っていた天秤が完全に壊れ、強い寂しさがこみ上げた。が、こうなってしまったら、自分のやれることをしっかりとこなそうという熱い気持ちも同時にこみ上げる。二つの新たな思いが、ヒカリの心の中で絡み合って解けずにいた

とりあえずその日のヒカリは、目の前の仕事をまるで憎たらしい敵を倒すアニメのヒーローのような勢いと気持ちでぶちのめして定時にさっさとコトブキ署を去った

ヒカリ「ただいま〜」

帰宅しても、出迎えてくれたのは静寂だけだった

ヒカリ「ねぇ、今日の夕飯何にしよっか〜」

静寂は何も答えてくれない

ヒカリ「そういえばさ、トラベルセットどこに仕舞ったっけ?」

夕食を食べて風呂に入り、明後日の出発に向けて何となく準備を進めていると、段々瞼が熱くなるのを感じ、ヒカリは思わずノゾミへ電話を掛けていた

ノゾミ「ヒカリあんた、一体何歳よ?学生かなんかなの?」

涙ぐみながら自分の今の気持ちを全てノゾミにぶつけた時、そんな答えが返ってきた

ヒカリ「だって…だって…こんな気持ちになるの初めてなんだもん…」

ノゾミ「そこはさ、ちーがーいーまーすーで返してよ」

そこから二人は夜通し話し続けた。色恋初心者は自分の思うままに話し、その良き友・ライバルはそれを受け止め続けた
 ▼ 38 ムカメ@ライブスーツ 24/02/07 14:39:21 ID:TPkkjbhE [5/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ケンゴの意識が戻ると、そこは今日取った宿の自分の部屋の中だった

どうやらベッドに横になっているらしい。起き上がろうとすると若干頭に痛みを感じる、どうやらブーバーンにくらったからてチョップが相当に効いたらしい。

「目が覚めたか」

突然聞こえた声にケンゴは飛び上がり、部屋中を見回す。備え付けのデスクの椅子に男が一人、座っていた

ケンゴ「あ…あなたは…?」

「俺はレオ」

上下共黒い服に身を包んだその男が無表情に答える

ケンゴ「レオ…」

ケンゴは記憶の中にその名前を最近刻んでいたことを思い出した。飛行機の中で確認したオーレ地方での一つ目のダークポケモン事件、それを解決した男の名前だ。目の前の男の姿も、データ資料にあった当時メディアが撮影したものとあまり相違なかった

レオ「お前は?」

ケンゴ「え?」

レオ「人に聞いておいて自分は答えないとは、無礼な奴だ」

無表情な顔の眉間にしわが寄る

ケンゴ「あ…あぁごめんなさい。僕はケンゴ」

レオ「そうか」

レオはまるで興味なさげに答える

ケンゴ「あの…僕は、どうやってここに…?」

レオ「俺が連れてきた」

ケンゴ「そうですか、ありがとうございます」

これまたどうでも良さそうな雰囲気のレオに一応頭を下げる

だがあの時、自分はゴウカザルだったはずだ…

レオ「まさか…これほど獣化に対して順応できていない者が来るとはな」

ケンゴ「え!?…じゃあ、あなたが…」

レオ「博士は人選を失敗したようだ」

ナナカマドが共同で研究を進めていた人物というのはレオだったのだと、ケンゴは理解した
 ▼ 39 ラルバリヤード@ストレンジボール 24/02/07 20:37:24 ID:nXC69.aI NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 40 ワイトキュレム@ベリーアメざいく 24/02/08 08:48:30 ID:lBIMc.s. [1/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
闘争心に支配され自分をコントロールできていないことを指摘されて、ケンゴはうつむく

ケンゴ「すみません…まだうまく扱えないんです…」

レオ「まあ、そこはこれから訓練していけば良い。磨けば光るという言葉もあるしな」

慰めているのか蔑んでいるのかケンゴは図りかねる

ケンゴ「ところで、僕はあれからどうやってここに?」

レオ「…これだ」

レオは上着のポケットからモンスターボールを取り出した

レオ「麻酔銃でお前を昏倒させ、すぐにこれに避難させた」

ケンゴ「人間をモンスターボールに…?」

レオ「あの時のお前は人間ではない。ゴウカザルというポケモンだった」

ケンゴの頭に、昨夜自分の意志とは無関係に他のポケモンを襲おうとした記憶が蘇る。あの時レオは自身の宿泊していた宿の窓から麻酔銃でケンゴを狙撃し、昏倒したケンゴを瞬時にモンスターボールへ格納した。周囲の警官やトレーナー達はその一瞬の出来事に、何が起こったのか理解できずただどよめくだけだった

ケンゴ「…じゃあ僕は今、あなたのポケモンだということですか?」

ケンゴは背中に冷たい汗が流れるのを感じる

レオ「それも違う。これは、いわばシェルターのようなものだ」

ケンゴ「シェルター?」

レオ「これは獣化処置を施された者専用に改造されたモンスターボール。使用目的はあくまで、獣化した者をただのポケモンのように欺く、あるいは仮に暴走した場合などに強制的にその動きをシャットアウトするというものだ。昨夜のお前のようにな」

掌の上でシェルターだというそれを転がしながら、レオは説明する

ケンゴ「だから避難先、シェルターだと…」

レオ「ついでだ、他のことも説明しておこう。言ったようにこれは避難装置であってモンスターボールではない。これを他者が使用したとしても、格納された獣化者がその者の従順なポケモンとなるわけではない」

その言葉にケンゴはほっと息をつく

レオ「そして、他者が使用せずとも、獣化状態時であれば自身でこれの中に入ることが可能だ。逆に、外に出ることも。人間体に戻ればエラーを起こし、強制的に外に排出もされる」

ケンゴ「随分と便利な作りですね」

レオ「我々はあまり表立って行動できるわけではない。これは必要な技術だ」
 ▼ 41 ケンカニ@バンギラスナイト 24/02/08 09:30:19 ID:lBIMc.s. [2/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ケンゴ「あなたと博士とはどういう関係なのですか?」

レオ「俺のことはどうでもいい。それよりもお前のこれからの行動予定は?」

自分のことを詮索されるのに明確な嫌悪感を示してレオは尋ね返してくる

ケンゴ「……まずは、ポケモン総合研究所を訪ねてみようかと。スナッチ技術の進展状況の確認と、それに…」

レオ「それに?」

ケンゴ「スナッチができないのであれば、ダークポケモンにされてしまったポケモンを他に救う手立てがないのか、それを探りたいんです…」

瀕死状態にして動けなくできればリライブできるのか?それとも、今までのようにそのまま殺すしかないのか?既に二匹のポケモンを殺した自分の手を見つめ、苦い思いになる

レオ「なるほど」

レオは立ち上がると窓際に立ち、カーテンを思いきり左右にかき分けて窓を開ける。どうやら既に昼間らしく、間接照明しかなかった部屋に眩しい日差しが差し込む

レオ「リライブに繋げる為の手段は俺も少し調べていた。ダークポケモンにされたポケモンのことを想うのなら、研究所へ向かうのはまあ妥当なところか」

ケンゴ「あなたも同行してくれますか?」

レオ「博士からお前のサポートを依頼されている。日が沈む前には出発するぞ、準備しておけ」

ケンゴ「え…?あ…はい」

サポートを依頼されたと言いながらも、イニシアチブはあくまでレオにあると言うのかとケンゴは少しむっとなるが、自分より立場が上であるナナカマドと共同で動いているレオに対してすぐには文句を言えず、なんとなくの返答しかできなかった

レオ「あーあとそれから」

用件は済んだとばかりに部屋を出ていこうとするレオが、気だるげに振り返る

レオ「その妙な言葉づかいはやめろ、普通で良い。呼び方もレオで構わない」

ケンゴ「え?でも…」

レオ「俺達はこれから協力関係で動く、いわばバディと言ったところだ。心しておけ」

ケンゴ「わかりまし……。わかったよ、レオ」

相変わらずの無表情で、レオは部屋を後にした。ドアが閉まると、ケンゴの腹がぐーっと大きな音を鳴らした

ケンゴ「そういえば、昨日の夕食も食べてなかったっけ…」

とりあえず何か食べに行こうと、ケンゴは重い身体をベッドから這い出たせた
 ▼ 42 ルット@ラッキーパンチ 24/02/08 09:53:45 ID:lBIMc.s. [3/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
その日の夕方、二人は町を出発しようとしていた

ケンゴ「随分大きなバイクだな」

レオの所有するバイクにケンゴは驚いた。サイズはケンゴのものの二倍以上はあり、運転席の他に複数人が相乗りできそうなスペースがある

レオ「昔仲間と旅をしていた時に使っていた。今はもうロートルだ」

ケンゴ「レオも旅をしてたんだ。どこの地方へ?」

レオ「無駄話などしてないで、とっとと行くぞ」

やはり自分のことはあまり詮索されたくないのだなとケンゴは再認識し、それ以上は何も聞かずに出発した

そこからは途中休憩を挟みつつ、二人は数日かけてオーレ地方東端の砂漠地帯へと到達した

ケンゴがバイクの車輪をホバーモードに切り替えていると、レオが携帯端末上にオーレ地方の全体地図をホログラム投影した

レオ「ポケモン総合研究所は現在地点とは真逆、地方の西端に位置している。このまま砂漠を西に走り続けていれば到着はするだろうが…」

ケンゴもホログラム上の地図に目を移す

ケンゴ「その進路だと町なんかは全然通れないね…」

レオ「補給の為にも、時間はかかるが町や補給施設の多い南側へ一度迂回するぞ」

地図上に研究所までのおおよそのルートが描かれる

ケンゴ「だいぶ迂回するね…どれぐらいかかりそう?」

レオ「最短でも一週間。寝食を忘れて走り続けたとしても」

ケンゴ「じゃあ、実質二週間ぐらいと考えるべきかな」

レオ「途中トラブルなどが起きなければな」

ケンゴ「ダークポケモン、また現れるかな?」

レオ「可能性はある。どういう組織が動いているかはまだ分からないが、同じ奴が既に自分のとこのを二匹も始末したんだ。目をつけられているとみて間違いはないだろう」

ケンゴ「そうだね…」

レオ「まあ安心しろ。お前が獣化を制御できるようになる為に、この期間で俺が訓練してやる」
 ▼ 43 オルブ@かるいし 24/02/08 10:18:59 ID:lBIMc.s. [4/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
砂漠地帯を南西へ走行し始めて数日後、“町はずれのスタンド”と呼ばれる古びたスタンドに辿り着いた

レオ「今日はここに世話になるぞ」

ケンゴ「ただのスタンドだけど、泊めてくれるの?」

レオ「主人と顔馴染みでな」

バイクを降り建物の中に入ると、中はバーのような内装だった

「よぉレオォ。久しぶりじゃねぇか!」

カウンターに立つ大男がレオを見とめた途端に大きな声で歓迎した

レオ「とりあえずあれを」

「はいよ」

レオは構わずカウンターの隅の椅子に腰かける。大男は暗黙の了解よろしく戸棚から酒瓶を取り出し、グラスに注ぐ

「そっちの兄ちゃんは?」

ぼーっとそれを眺めて突っ立っているケンゴに目をやり大男が言う

レオ「俺の連れだよ。同じので良い」

ケンゴには振り返りもせず言い、レオは大男から受け取ったグラスをぐっとあおった

「ま、とりあえず座んなよ」

大男に促されるまま、ケンゴはレオの隣の席に座る。レオと同じものを受け取り少し口に含むと、壮絶な苦みと辛みが口中に広まって思わず咳き込んだ

「がははははは!兄ちゃんにはまだ少し早かったかぁ!」

レオ「お前、飲めないのか?」

レオがちらとこちらを見る

ケンゴ「そうじゃないけど…この地方のお酒は、僕には合わないかも…」

がははと再び笑った大男がケンゴのグラスを下げ、代わりにオレンジジュースのグラスを置いた

「ここにはしばらくいれるのか?」

レオ「一つ用件があってな。それが片付くまでだ」

「そうかい。そんじゃあその間はここでじゃんじゃん飲み食いしてくれよなぁ!」

レオ「とりあえずは今日泊めてくれ」

「おう、自由に使いな!」

何となく置いてきぼりにされた感じのケンゴは、オレンジジュースを少し飲んだ。ご丁寧にグラスに刺さっていたストローで
 ▼ 44 ラックキュレム@まんたんのくすり 24/02/08 11:17:49 ID:lBIMc.s. [5/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
レオ「一息つける場所に着いたんだ。訓練を始めるぞ」

レオと大男との昔話が落ち着いたところで、レオがケンゴに向き直り言った

ケンゴ「分かった」

二人は一旦スタンドの外に出る

レオ「そもそもどういう処置によってダークポケモンが生まれるか、知っているか」

遠くを見るような目で砂漠を見つめ、レオが尋ねる。ケンゴが首を横に振るのを横目で確認すると、小さく肩を落とした。警察の資料データで事件のことを確認した時、ダークポケモンの凶暴性については言及されていても、シャドーが行っていた処置方法については一切触れられていなかった

レオ「博士とはあまり話せていないようだな」

ケンゴ「出発まであんまり時間がなかったんだ」

そうかと言うような素振りを見せてから、レオは話し始めた

レオ「ポケモンは古来、ただ闘争を繰り返すだけの生き物だった。闘争によって自らの欲求を満たし、殺した相手を喰らうことで己のエネルギー、強さとしていた。その姿も今俺達がよく目にするものとは異なり、戦うことに特化したフォルムだったんだ」

闘争を繰り返すだけの生き物…ケンゴはナナカマドから聞いたヒトという生き物の話を思い出していた

レオ「時代が移り変わりヒトの文明が栄え、ポケモンと出会い触れ合いが増えていくと、ただ闘争を繰り返すだけのその生き物の生態は変わり始めた。ヒトの持つ優しさや慈しみの心に触れた彼らの心から、徐々にその増大な闘争心が薄れていった。姿形もそれに合わせて変化していったんだ」

ケンゴ「でもヒトだって、闘争によって発達してきたし、その闘争にポケモンを利用してきた」

レオ「そう。だから必ずしも全てのポケモンが変化していったわけじゃない。しかし、闘争の中で生き続けるだけのポケモン達は徐々にその母数を減らしていった。ヒトがポケモンを守ろうと、あるいは共に歩いていこうと発達していった為だ。その中でただ闘争を繰り返すだけのポケモンは恐怖とされ、自然淘汰されていったんだ。ただし、ヒトの闘争に利用するポケモン達を除いてな」

ケンゴ「ヒトの発達がポケモンの発達に大きく影響したと…」

レオは遠くを見たまま小さく頷く

レオ「そうやって時代はまた移り変わった。ヒトの持つ優しさや慈しみが平和な世界を生み出していったが、それはあくまで世界の一部であって、別の一部では必ずそれとは逆の、闘争にあけくれるヒトやポケモン達がいる。俗に言うポケモンバトルというのは、平和な世界において、ヒトとポケモンの未だに消えない潜在的闘争心を満たす為の小さな戦争行為と言えるだろうな」

そんなことを言われて、ケンゴは今まで自分が経験してきたことを思い出す。たくさんの仲間、ライバル、修行、バトル…それらは全て所詮は本能による戦争でしかなかったのか?いや、違うはずだ。確かにポケモンバトルは闘いだが、それを通じて他の色んなことを経験、学習してきたのだ

レオ「そういえばお前もトレーナーだったな。悪い、俺はポケモンバトル自体をただの闘争だと否定しているわけではない」

表情をかげらせたケンゴに気づき、レオは気遣うようにそう言う

ケンゴ「あぁ、わかってるよ」
 ▼ 45 ーガポン@ネクロプラスソル 24/02/08 11:39:54 ID:lBIMc.s. [6/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
レオ「話を戻そう。かつてシャドーがダークポケモン作製において注目したのは、ポケモンが古代持っていたその大きな闘争心だった。化石ポケモンを知っているな」

ケンゴ「カブトプスとか、アーケオスとか…」

レオ「そうだ、それらのポケモン達も本来生きていた時代では強い闘争心を持って生きていた。だが、シャドーはそれよりもさらに古代のポケモンに注目し、その化石の発見に成功したんだ」

ケンゴ「さらに古代!?」

レオ「それを発見したのがここオーレ地方だった。だからシャドーはここを拠点とした」

ケンゴ「その化石は今どこに?」

レオ「さあ。少なくとも俺がシャドーを潰した時には見つけられなかった。とにかく、シャドーはその化石からはるか古代のポケモンのDNAサンプルを抽出し研究した。結果として、その塩基配列の中に古代ポケモンの闘争本能を呼び覚ます、あるいは植えつける因子を発見した。試しに通常のポケモンにそれを注入してみれば、見事にただただ凶悪なだけのポケモンが誕生した。それがダークポケモンだ。黒いオーラと赤い目は、塩基配列の強制的な変異による副作用だ」

ケンゴ「そうだったのか…でも、レオはどうしてそこまで知ってるんだ?」

レオ「初めにシャドーを潰したのは俺だぞ?潰す時に奪えるもんは全部奪った、それは情報も同じだ」
 ▼ 46 テボース@キラーメのけっしょう 24/02/08 13:47:07 ID:lBIMc.s. [7/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
レオ「さて、前置きが長くなったな。では本題だ」

レオはケンゴから少し離れたところに立つと、上着のポケットからスリット状のゴーグルを取り出す。それをかけると、その中央に単眼のような大きく丸く赤い光がついた。ダークポケモンの眼光に酷似しているとケンゴは思った

レオ「これはダークポケモンの眼を模して作ったものだ」

単眼がスリット状を左右に移動してみせる

レオ「お前がダークポケモンとの戦闘において意識を持っていかれるのは、相手から伝わる様々な思念によるものだろう?」

二度の戦闘時、ダークポケモンと視線を交わした瞬間にケンゴの中に流れ込んできた様々な思念を思い出し、ケンゴは頷く

レオ「ダークポケモンの眼自体に何か特別な能力があるわけではない。問題は視線にある」

ケンゴ「視線?」

レオ「冷たい視線、熱い視線なんて言葉があるように、ヒトが他人とコミュニケーションを取る時、無意識のうちに相手の視線からその感情や思考を読む、あるいは察しているものだろう?。視線というのはつまり、相手を捉えるだけではなく、己の思念をも同時に相手に発信しているものだ。そしてこれがダークポケモンの場合…」

ケンゴ「猛烈な殺意や、怨念…」

レオ「そうだ。強制的に植え付けられた闘争心による殺意、そしてダークポケモンに変えられたことに対する強い怨念などが大きな波となって視線に乗り、お前に流れ込んできているんだ」

ケンゴ「じゃあ、その視線を避けて戦い続けるしかないのか?」

レオ「いや違う。流れ込んでくる波を受け流すんだ。これからやるのはその訓練だ。さあ、獣化しろ」

言われるまま身体の中心に向かって力を集中させ、ゴウカザルへと獣化する

ケンゴ「でも、どうやるんだよ」

レオ「俺を見ろ」

レオに視線を向けると、赤い単眼と視線が合う。その瞬間、二度の戦闘時と同じく猛烈な殺意と怨念の濁流がケンゴの中に流れ込んでくる

ケンゴ「うっ…うぐっ…」

レオ「動くな、俺が良い言うまで、動くな」

思念の濁流が闘争心を暴走させ、今にもレオに襲い掛かりそうになるのを必死で抑えてみる

レオ「抑えるんじゃない、受け流すんだ。心を空っぽにしろ」

ケンゴ「そんなことしたら…うぅっ…」

レオ「自分の心臓の脈動だけに集中してみろ。そうすれば、お前に迫る思念はそのままお前を通り過ぎる」

言われるまま必死で濁流を止めようという思考を停止させ、ただ何も考えず心臓の脈動に集中する。通常の12倍で脈打つその音に

レオ「よし良いぞ、その調子だ」

五分程その膠着状態を続けた後、レオは単眼の明かりを消した。同時にケンゴへ流れ込んできていた濁流も止み、力と精神を消耗しきったケンゴの獣化は解け、その場に倒れこむ

レオ「このゴーグルの赤い眼は、ダークポケモンの視線に乗る思念を疑似的に再現した超音波を送る機能がある。勿論直近に出現した強化されたダークポケモンのデータもインプット済みだ。…このまま訓練を続ければ、いずれは意識を持っていかれることなく戦えるようになる」

ケンゴ「そ…そうかよ…」

荒い息を立てて倒れているケンゴに、レオは実験成功に歓喜する科学者のような口調で言った
 ▼ 47 ンジュモク@DSプレイヤー 24/02/08 14:14:18 ID:lBIMc.s. [8/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
それからポケモン総合研究所への旅を続ける間も、ケンゴは思念を受け流す訓練を続けた

レオ「明日からはこれに耐えながら実際に戦闘するところまで進めるぞ」

“パイラタウン”という大きな町に差し掛かったその日の訓練の後、確保した宿の部屋でレオはそう言った

ケンゴ「戦闘って言ったって、どうやって?」

レオ「ここにはコロシアムがある。毎日のようにバトルトーナメントが開かれているんだ」

ケンゴ「でもどうやって出場するんだよ?トレーナーがポケモンですなんて言えないじゃないか」

レオ「俺がトレーナーで、お前がポケモン。そしていつものゴーグルは、客席にセットしておく。何も心配するな」

ケンゴ「…ところでさ」

レオ「なんだ?」

ケンゴ「どうして町に寄る度、僕だけを町に入れさせて買い出しやら宿の手配やらをさせるんだよ。宿に入ったらレオは窓から入ってくるし」

レオ「俺はまだ、この地方ではあくまで“お尋ね者”だからな。堂々と町を歩けるわけじゃない」

確かに警察の資料データでは、レオは事件解決後に自らダークポケモンを使用して市民に危害を加えたと記されていたが、先日立ち寄った“町はずれのスタンド”で、それがシャドー残党によるフェイクニュースだということを大男から聞かされた

ケンゴ「でもそれは誤解なんだろう?」

レオ「時間が解決するという言葉はあるが、一度広まった悪評を浄化させるのには、まだ足りていない」

ケンゴ「じゃあトーナメントにはどうやって出場するんだよ?」

レオ「だから心配するなと言っている。今日はもう寝るぞ」

ケンゴ「なんだかなぁ」

翌日出場したバトルトーナメント、レオは頭に紅白のアフロと星形の眼鏡をかけて出場した。レオの登場に会場は謎のどよめきを上げていたが、ケンゴにはよく分からなかった。客席にはレオの言うようにゴーグルも設置してあった。そして今までの訓練の甲斐もあり、ケンゴは思念の濁流を受け流しつつ“ポケモンバトル”し、優勝した
 ▼ 48 コガラ@ゆうかんミント 24/02/09 09:54:24 ID:fqAQ3EMs [1/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ヒカリはただただ仕事に奮闘していた

転勤先はオーレ地方西端の港街アイオポート。街中にはおしゃれなデザインの建物が並び、街から望む海はとても美しい。加えて二度目のダークポケモン事件後、シャドー総帥デスゴルドが潜伏していた場所だと報じられたこともあり、数年たった今ではちょっとした観光都市となっていた

しかし、数週間前に異変が起きた。近海に浮かぶ火山島“ニケルダーク島”が突如噴火し、それによる大量の火山灰が風に乗って街を埋め尽くしたのだ。火山灰により麻痺した都市機能回復の為、方々の地方より警察が派遣され復興活動にあたっている。ヒカリはシンオウ地方からの選抜組だった

そして転勤の理由はもう一つあった。今回噴火したニケルダーク島は歴史的にも噴火記録のない「死火山」なのだ。数年前シャドーの本拠地であったそこが何故噴火に至ったのかを調査する必要があるのだ

アイオポートに到着してから数週間程、ヒカリはまず街の火山灰除去作業に充てられた。力仕事が多いこともあって、通常なら相棒ポケモンとしてガーディが同行するが、今回はウインディを連れている。相棒と協力しながら、割り当てられた地区で火山灰除去作業をこなしていくものの、その物量の大きさに、ヒカリは疲労の色を見せ始めていた

ヒカリ「ウインディしんそく!」

そして自然災害で被災した地域というのは、えてしてその治安が崩れてしまう。大量の市民の避難所への避難で静まり返った街で横行する空き巣、ボランティアを騙りながらその対価として強引な略奪を行う者など…それらを取り締まることも警察として行わなければならない。ヒカリは今日も空き巣を働いていた数人の男達を発見し、対処していた。複数体のポケモンを繰り出してきた男達にウインディが神速でアタックする

ヒカリ「火炎放射!」

アタックが終わらぬ側から次の指示を飛ばし、ウインディが即座に炎を集団へ浴びせる。しんそくで怯んでいた集団はその速さについていけず、あっという間に蹂躙された

「ち、ちくしょぉ〜、にっ逃げるぞ!」

倒れた自分達のポケモンさえ放置して逃げようとする男達に、ウインディが勢いよくのしかかり取り押さえた

ヒカリ「ふぅ〜。まとめてお陀仏」

観念したようにへたり込んだ男達に、ヒカリは素早く手錠をかけた

ヒカリ「やっぱり私にはこういう方が向いてるのかも」

男達を仮設の拘置所にぶち込んだ後、港の桟橋に腰かけ昼食をとるヒカリは、同じく昼食のポケモンフーズを食べる相棒のウインディの頬を撫でながらそう呟く。ヒカリはコトブキ署では庶務課所属で、平時は事務作業に明け暮れている。火山灰除去の為に身体を動かし、時には悪党共とのポケモンバトルという流れにヒカリは昔旅したことを思い出し、どこか心地良いものを感じていた。その証拠に、復興支援に集結している警察の中での逮捕者数は、ヒカリがダントツでトップだった

昼食を終えて一息ついていると、ズボンのポケットに入れいている携帯端末がアラートを発した

『B28地区にて複数のポケモンが暴徒化、避難所付近の為、近郊の者は至急向かわれたし』

治安を乱すのは必ずしも人間だけとは限らず、ポケモンにおいても同様だった。ヒカリは早速次が来たなと意気込みながら現在位置との距離を確認し、無線に返答した

ヒカリ「こちらB16地区、シンオウ班のヒカリです。すぐに急行します!」

さっとウインディの背中に飛び乗ると、現場へ向けて出発させた
 ▼ 49 ラルジグザグマ@シシコのたてがみ 24/02/09 10:29:40 ID:fqAQ3EMs [2/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
現場に到着した時、ヒカリは戦慄した

商店街であるその場所で破壊行為を行っていたのは、ダークポケモンだった

ノゾミと飲みに行った夜に襲ってきたあの黒い影がダークポケモンだったと、ヒカリは後日警察内で発信された通達で知った。そこから過去のダークポケモン事件について警察の資料データを確認し、その凶暴性についても理解していた。それが何故今ここに…?ヒカリはあの夜の恐怖を思い出し、数瞬硬直した

ヒカリ「ウインディ!かみなりのキバ!」

だが任務は果たさねばならない。相手は黒いシャワーズとヒヤッキーの二匹。どちらも水タイプでウインディにとって分は悪いがやるしかないと指示を飛ばす。破壊活動に夢中だった二匹は突如襲来したウインディに対応できず、かみなりのキバの直撃をうけて吹き飛ぶ。しかしすぐに態勢を立て直すと、二匹同時にハイドロポンプを放ってきた

ヒカリ「回避っ!」

ウインディは素早く回避する。が、相手のハイドロポンプは通常のものよりはるかに強力で、横腹をかすめただけにも関わらずウインディは吹き飛ばされた

ヒカリ「ウインディ!」

負傷箇所はわずかでも大ダメージを受けているようで、立ち上がるのがやっとのようだった。その時…

「ヒカリィィ!!」

どこからかバイクの音と自分を呼ぶ声が聞こえ、ヒカリは咄嗟にそちらへ目を向ける

ヒカリ「ケ、ケンゴ!?」

二匹が走ってくるバイクにハイドロポンプを放つが、バイクはいとも簡単にそれを回避する。バイクはそのままダークポケモンに突撃し、その車体で二匹を弾き飛ばした

ケンゴ「大丈夫か、ヒカリ!?」

バイクを止め、ケンゴがヒカリに駆け寄る

ヒカリ「どうしてケンゴがここに!?」

ケンゴ「話はあとでっ!」

ヒカリが負傷していないことを確認すると、ケンゴはヒカリをウインディの背中に無理矢理乗せる

ヒカリ「ちょっ、ちょっと!」

ケンゴ「普通のポケモンじゃダークポケモンには勝てない。ヒカリは退くんだ!」

ヒカリ「勝てないって…じゃあケンゴは?」

ケンゴ「ウインディ、みんなのところまで走るんだ、いけるね?」

ウインディが状況を察して頷くと、踵を返して走り出す

ヒカリ「ケンゴ!!?」

ウインディが角を曲がり、お互いを視認できなくなる。それを確認すると、ケンゴは態勢を立て直した二匹に向き直り、獣化した
 ▼ 50 カマル@でんせつのメモ? 24/02/09 10:53:25 ID:fqAQ3EMs [3/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ウインディが走り始めてから一分もしないうちに、ヒカリは堪えきれずウインディが走るのをやめさせた

ヒカリ「ごめん、ここで待ってて!」

突然現れたケンゴ、通常のポケモンじゃ倒せないと言われたこと、そして自分だけがその場に残りヒカリを逃がしたこと、ヒカリは突然湧いた困惑から逃れられず、とにかくケンゴの身だけを心配して今来た道を走って戻り始めた。本当は逃げてはいけなかったし、応援を呼ぶことが警官として適切な判断だが、ヒカリは完全に冷静さを失っていた

同じ頃、獣化したケンゴはタイプ相性など関係ないと言うように水タイプの二匹を圧倒して戦っていた。思念の濁流を受け流し、自分の意識のまま身体を動かし技を繰り出す。完全に獣化をものにしていた

ケンゴ「どおぉぉりゃぁぁぁ!!」

拳が心臓部を直撃し、二匹目のダークポケモンを殺害した。自在に戦うことはできても、ダークポケモンを生きたまま戦闘不能にすること自体はまだケンゴにはできずにいた。また、殺した…瀕死状態にできなかった…殺すしかなかった…。さっきまで命だった二つの亡骸を見つめ、そんな自責の念に駆られながら、ケンゴは獣化を解いた

「ケンゴ…?」

その時、背後で声がした

ケンゴ「ヒカリ…!?」

ケンゴを想って戻ってきたヒカリと、ヒカリを守る為に戦ったケンゴは、互いに呆然と見つめ合った
 ▼ 51 ブト@ピーピーリカバー 24/02/09 11:16:03 ID:fqAQ3EMs [4/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ヒカリは完全に混乱し、その場に立ちすくむことしかできなかった、ケンゴの元に戻った時、あの夜見たのと同じゴウカザルがダークポケモンを殴り飛ばしていた。ダークポケモンは地面に叩きつけられ、絶命した。そして、戦闘を終えたゴウカザルは少しずつ姿形を変化させ…

ヒカリ「どういう……ことなの…?」

そんな言葉しか口からは発することができなかった

ケンゴ「これは…」

目的地が同じオーレ地方であることから、万が一にも自分の獣化を知られてしまうのではないかと思っていたケンゴは、実際に訪れたその場面に、どう答えれば良いのか分からず、ただうつむくしかなかった

ヒカリ「どういう……ことなの…?」

同じ言葉しか発することが出来ないヒカリを見て、ケンゴは勇気を振り絞ってヒカリに近づこうとした

ヒカリ「近寄らないでっ!」

その一歩を踏み出す前にヒカリが叫んだ。その瞳は驚愕と恐怖で潤んでいる。そういう反応が返ってくることをケンゴは分かっていた。ヒトがポケモンに、ポケモンがヒトに変化するなどという化け物じみた光景を見れば、そういう反応になるだろうと

ケンゴ「ごめん……」

口外は厳禁だとされてはいるが、ヒカリは自分の“想う家族”だ。後から向かうと言っていたレオはまだ到着していない。見られてしまった以上、話しておこうとケンゴは決心した

ヒカリ「ケンゴ…化け物になっちゃったの…?」

ヒカリがかすれた声で尋ねる

ケンゴ「一つ一つ、話をさせて欲しい…近寄って欲しくないならこのままでも良い。とりあえず、聞いて欲しい…」

ヒカリはこくんと、小さく頷いた
 ▼ 52 ッツー@メタモンのべたべた 24/02/09 11:47:30 ID:fqAQ3EMs [5/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ヒカリ「ケンゴは…元に戻れるのよね…?」

ケンゴが今置かれている状況の全てを話し終えると、ヒカリが小さく尋ねた。二人は付近にあったベンチに腰掛けている、その両端に。

ケンゴ「うん…この任務を終わらせられれば、博士がゴウカザルの塩基配列を抽出する処置をしてくれる」

ヒカリ「そう…」

そこから、長い沈黙が続いた。ヒカリを少しでも安心させてあげられる言葉をケンゴは探すが、まるでダメだった

ヒカリ「……じゃあ、私も頑張らないと」

ケンゴ「え?」

ヒカリはベンチから勢い良く立ち上がるとそう言った

ヒカリ「ケンゴがそんな大変な思いして戦ってるのに、私があんな態度取っちゃダメだよね。仕事も、もっと頑張らないとっ!」

笑顔でケンゴに振り返るヒカリ、その勢いが空元気であることがケンゴにはすぐに理解できた

ケンゴ「ヒカリ…」

ヒカリ「私なら大丈夫大丈夫!なんたってここじゃ検挙数ナンバーワンの凄腕警官なのよ?………だから、ケンゴも…気をつけてね…」

次第にヒカリの潤んでいくのが見える。ケンゴは、小さく頷いた

ヒカリ「私、もう行かなきゃ。さっきの騒ぎの報告しないといけないし」

ケンゴ「うん…頑張って、ヒカリ」

ヒカリ「うん!」

顔を制服で拭うと、ヒカリは自分が今来た道へ再び歩き去っていく。ケンゴはそれをただ見送ることしかできなかった。ヒカリが角を曲がり見えなくなった時、

「口外は厳禁だと言われなかったか?」

ベンチの後ろでした声に振り返ると、眉間にしわを寄せ険しい表情のレオが立っていた

ケンゴ「ごめん。でも、“家族”なんだ」

家族という言葉に反応したのかレオの表情が少し崩れる

レオ「そんなことは関係ない。よって、罰を与える」

特殊任務における規律違反は重罪だ。だがレオは少し考えるような表情になってから続ける

レオ「これから三日間の食事は全て、ポケモンフーズとする」

ケンゴ「は?」

レオ「獣化してから食べなければ、美味しくないだろうな」
 ▼ 53 ツハニー@カントーのせきばん 24/02/09 13:26:06 ID:fqAQ3EMs [6/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
その夜、復興支援にあたる地方警察用寄宿舎の自室で、ヒカリは転勤以来初めてノゾミに電話した

ヒカリ「肩の具合はどう?」

ノゾミ「もうなんともないよ。ってか、負傷したのだってもう何週間も前でしょう?」

ヒカリ「そだったね…」

ノゾミ「そっちはどう?うまくやれてるの?」

ヒカリ「こっちじゃ検挙数ナンバーワンの凄腕なのよ私。まさに、世にはびこる悪をばったばったとなぎ倒し!みたいな?」

ノゾミ「なんかそれ、仕事の方向性がちょっとズレてない?」

ヒカリ「大丈夫大丈夫!」

ノゾミ「てっきりある意味でのホームシック起こしてんじゃないかって心配してたけど。ま、とりあえず元気で良かったよ」

ヒカリ「何よある意味でのって〜」

その意味をなんとなく察したヒカリは少しむっとなる

ノゾミ「出発する前はあれだけピーピー泣いてたのにさ」

ヒカリ「今はお互い頑張る時なのよ、だから大丈夫大丈夫!」

今日ケンゴと会ったこと、起こったことはノゾミには話せない。でも、お互いに頑張らなければならない時であることに間違いはないから…お互い一生懸命頑張っていれば、いつか報われる、元に戻れたケンゴとのいつもの他愛のない日常を取り戻せるはず…その気持ちはケンゴと繋がっているはずだと思えるから…そう思うとヒカリは心に温かいものを感じてそう言った
 ▼ 54 リーラ@ちいさなはなたば 24/02/09 14:14:17 ID:fqAQ3EMs [7/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アイオポートを発ってから数日後の夜。明日にはポケモン総合研究所へ到着できるという森の中で、ケンゴたちは野宿していた

当初の予定では二週間程で到着できる予定であったが、ケンゴが獣化をものにする為の訓練や、幾度となく現れたダークポケモンの対処などでいつの間にか倍近くの期間が過ぎてしまっていた

レオ「この間、お前はあの女を家族と言ったな」

小枝で焚き火をなんとなくいじっているケンゴに、寝袋に入って横になっているレオがそう問いかけた

ケンゴ「え?…うん」

レオ「兄妹…にしては似ていないな。妻か?」

妻という言葉に驚き、ケンゴの手が思わず焚き火の中に入りそうになった

ケンゴ「ち、違うよ!」

レオ「じゃあなんだ?」

血縁関係なわけでもなければ、恋愛関係でもない、ただ同じ部屋で暮らしているだけ。そして漠然と家族と思える存在…今更他人から何なんだと聞かれて、ケンゴはその関係の不明瞭さに言葉を詰まらせる

レオ「……まあ、どうでもいいがな」

黙り込むケンゴにしびれを切らしたのか、レオは顔を背けてそう言った

ケンゴ「どうしたんだよ突然」

もう一月近くレオと一緒にいるが、互いのプライベートについて話し合ったことはない。それはレオに出会った頃、雑談としてケンゴがレオのプライベートについて問いかける度に、「お前には関係ない」と著しい拒絶の姿勢を見せた為、ケンゴもあえてそれ以上は問うことも、自分の話をすることもなかったのだ。逆に、レオがケンゴのプライベートについて尋ねてきたのはこれが初めてだった

レオ「どうもしない」

ケンゴ「なんだよそれ。僕が君のことを聞いても、何も答えてくれないくせに」

少し意趣返しするような口調でケンゴが言う

レオ「俺は、自分にできないことを他人には求めない。そしてその逆もそうだ」

ケンゴ「どういう意味だよ」

レオ「俺は自分のことなど他人に話したくない…いや、話せない。だから他人に対してもそれを求めたりはしない」

ケンゴ「話せない?」

レオ「ああ」

ケンゴ「そんなに恥ずかしがり屋には見えないけど…」

レオ「そういう意味じゃない」

小首をかしげるケンゴに、レオは少し考える表情になった後、寝袋から這い出で焚き火の前に座る

レオ「まあお前になら、良いだろう。ただし…」

レオは決心した様子で立ち上がると、力み始める。すると、レオの姿形が少しずつ変化していく

ケンゴ「え…」

ケンゴの目の前で、レオは獣化した
 ▼ 55 クバリス@カリキリのはっぱ 24/02/10 07:27:49 ID:SU.YV4is [1/17] NGネーム登録 NGID登録 報告
ピンク色の皮膚に青い瞳、四つ足になったその姿は…

ケンゴ「エーフィ…」

レオ「驚いたか?」

ケンゴが頷く

レオ「何の実証実験も無く、博士がお前に処置を施すと思うか?俺は被験体第1号として処置を受けた」

確かにレオとナナカマドは共同で研究を進めていたと聞いてはいたが

ケンゴ「どうしてレオ自身が…」

レオ「俺は自分のことなど話したくはない。思い出したくもない。だから代わりにお前には、見せてやる」

レオが言うと、その青い瞳がうっすらと光を帯びる。ケンゴの頭の中に何かが流れ込んでくる。しかしそれはダークポケモンから発せられる負の濁流とは違う何か。ケンゴの意識はその何かに吸い込まれていった
 ▼ 56 ルデアケンタロス@GBプレイヤー 24/02/10 08:07:54 ID:SU.YV4is [2/17] NGネーム登録 NGID登録 報告
ケンゴの周りの風景が砂漠に変わる。夢の中のようなぼんやりとした感覚で、実際に砂漠にいるわけではないというのはわかる。どうやら自分はレオのバイクを運転しているらしい、着ている服もレオのものだ

ケンゴ「これは…レオの記憶?」

そのバイクには他に、エーフィ・ブラッキー。そして見たことのない女性が乗っている。何やら皆で雑談をしているようで、誰もが笑顔だった

そこから場面は変わり、戦闘が始まる。レオが次々とダークポケモンを捕獲していく。恐らくそのボールがスナッチボールなのだろうとケンゴは理解した

その後も次々と場面は移り変わる

シャドー達を次々と倒し、その最大幹部の乗ったヘリが火の鳥のようなポケモンに撃墜される

森の中の祠の前で、多くのダークポケモン達が清浄化されていく

レオと瓜二つの姿をした男と戦い、その男が使うダークポケモンをスナッチすると、レオは変装を解いた相手を殴り殺す

二匹と一人の仲間を連れオーレ地方を離れていくレオ

世界中を旅し、その先で戦争や紛争、様々な闘争を目にする

時にはレオ達もその争いに巻き込まれるが、なんとかいくつものピンチを乗り越える

そして次に映ったのは、とある紛争地帯で共に旅をする女性がダークポケモンに締め上げられる光景。エーフィやブラッキーは既に絶命し、レオも地面に倒れ伏して動けずにいる。レオにはただもがき苦しむ女性を見て叫ぶことしかできなかった。鈍い音と共にその首が折れ、女性はごみのように地面に捨てられる…ダークポケモンは次の獲物を探すようにどこかへと消えていく…

豊かな自然の広がる村の片隅の墓地に、レオは立っていた。目の前の墓石には三つの名前が記されている

少しの間暗い闇に包まれると、今度は手術台の上で仰向けになっていた。傍らに立つナナカマドと何かを話している

そこで、記憶の放流は収まり、ケンゴは現実に戻された。ケンゴの頬をいくつもの涙が流れいていた

レオ「思い出さなくとも、俺の中に眠る記憶を見せることはできる」

ケンゴ「レオ…君は…」

レオ「これでお前の知りたいことは全て見せた。俺の獣化のことを隠していたのは、お前のポケモンとしての経験を多く積ませる為だ」

レオが獣化を解くと、寝袋に戻る。ケンゴは涙を抑えきれずにいる

レオ「さてじゃあもう一度聞くとするか。あの女はお前のなんだ?」

ケンゴ「大切な…家族だよ…」

ケンゴは嗚咽混じりにそれだけ答える。レオはふんと鼻を鳴らすと寝袋の中でこちらに背を向け、ぽつりと呟く

レオ「こんなくだらん戦いは、さっさと終わらせるぞ」

レオには見えないけれど、ケンゴはただ頷いた
 ▼ 57 プ・レヒレ@ナマケロのけ 24/02/10 08:52:24 ID:SU.YV4is [3/17] NGネーム登録 NGID登録 報告
翌日ようやく到着したポケモン総合研究所、所員達は二人を快く迎え入れてくれた

「ナナカマド博士より連絡は頂いております」

レオ「前置きはいい。それより状況の確認をさせてくれ」

不愛想に言うレオに案内役の所員が少したじろぐ

ケンゴ「すみません。こいつあまり人付き合いが上手じゃなくて」

ケンゴが弁解すると、レオが思い切りケンゴの足を踏む。それに気づかず「はあ」という反応をする所員にケンゴは痛みを必死に隠しつつ愛想笑いを返した

「正直なところ、研究はあまり進展していません」

案内された研究室で所員がそう言った

「ナナカマド博士から、シンオウ地方に出現した今回の新たなダークポケモンのDNAサンプルの一部を送って頂き、研究してみてはいるのですが、どうやらスナッチをブロックする因子が紛れ込んでいるようで…」

ケンゴ「スナッチをブロックする因子?」

研究所に来るまでの間、ケンゴはナナカマドからスナッチに関するデータを送ってもらい確認はしていた。スナッチはダークポケモンをダークポケモンたらしめる因子を認識し、半ば強引にモンスターボールに封じ込めるという仕組みらしい。スナッチボールというのはそれ自体が一種のボールなのではなく、スナッチマシンという小型端末を使用し通常のモンスターボールにその機能を付与することでできるものなのだそうだ

「その因子をシャットアウトできるような機能を研究中なのですが、現段階での成果はほとんど…」

ケンゴ「そうですか…。では、リライブについては?」

「それについても同じく、その因子の影響で困難だと考えられます」

従来のダークポケモン因子には弱点があった。それは、外部からの優しさや慈しみにさらされ続けることで徐々にその構造が破綻していくというものだともケンゴはデータで確認していた

ケンゴ「じゃあ…今のダークポケモンを救う手段は…」

「はい…残念ですが…ありません…。戦闘不能にしてどこかに収容するにも、核兵器を完全に防げる頑丈なシェルターでもない限りは、完全に絶命させるしか」

何となく予想はしていたし、ケンゴも今までそうしてきた。しかしそれでも何か手はないのかと思いここまで来たのに…。ケンゴも所員も苦い顔になり歯噛みする

レオ「二度目のシャドー事件の時の貢献者は今どこにいる?」

レオがふと研究室の隅の机を見ながら言った。そこにはスナッチマシンが置かれていた。随分と汚れており、どうやら事件当時に使用されたもののようだ

「旅に出ています。そういう歳で、おまけに立派なポケモントレーナーですから」

どの地方でもある一定の歳になれば子供達はポケモントレーナーとして旅に出る。この地方でもそれは同じなのだとケンゴは理解した

レオ「シャドーの本隊をぶっ潰したのが俺より年下の子供だったとはな。なかなかやる」

スナッチマシンを見ながら、レオが少し嬉しそうに頬を緩めた
 ▼ 58 ャランゴ@ふといホネ 24/02/10 09:22:47 ID:SU.YV4is [4/17] NGネーム登録 NGID登録 報告
ケンゴ「じゃあ、今戦えるのはやはり僕達だけか…」

「あの、こちらも一つよろしいでしょうか」

所員があらたまった様子で尋ねてくる

ケンゴ「何ですか?」

「いえ、おそらく大したことではないと思うのですが、ここ数日ナナカマド博士と連絡が取れずにいるのです」

ケンゴ「連絡が?」

レオ「確かに。俺も博士へは数日に一度定期連絡を行っているが、数時間前に通信を入れた時には反応がなかったな」

「体調を崩されて休まれているだけということでしたら良いのですが…」

レオ「いや。博士の場合、体調不良でも俺との定期連絡には応じるはずだ、便所の時を除いてな。それに着信を残していれば折り返しがくる」

その時、研究室のドアが勢いよく開き、別の所員が飛び込んでくる

「大変ですみなさん、早くこちらへ!!」

ただ事ではないという雰囲気に、ケンゴ達はその所員に従って研究室を出た。休憩スペースらしい部屋に案内されるとそこに設置してあったテレビ画面に衝撃的なニュースが流れていた

『繰り返しお伝えいたします。昨日シンオウ地方コトブキシティ郊外の研究施設で、ポケモン進化研究の権威であるナナカマド博士が何者かによって殺害されているのが発見されました。現場は酷く荒らされており、身体中に爪痕のような深い傷がみられることから、ポケモンによる犯行であると警察は発表しています』

ケンゴ「博士が…死んだ…?」

ケンゴは慌てて自分の携帯端末を取り出しコトブキ署のネットワークにアクセスする。すぐにナナカマドの事件情報に辿り着くと、今テレビ画面の中でキャスターが話していることと同じことが記されていた

「そ、そんな…」

一緒に研究室から来た所員はそのニュースに愕然とし、その場にへたりこむ。その時、ケンゴとレオそれぞれの携帯端末に着信音が鳴った。二人は顔を見合わせ、着信したメールを開く

『コロサレタカラ、コロシタ。ジョウホウモ。イタダイタ』

差出人不明のそのメールには書かれていたのはそれだけだった
 ▼ 59 ランテス@ぼうけんノート 24/02/10 10:03:16 ID:SU.YV4is [5/17] NGネーム登録 NGID登録 報告
レオ「これで敵の尻尾はつかめそうだな」

メールを見た二人のうち、最初に口を開いたのはレオだった

ケンゴ「どうしてそんなに冷静でいられるんだ!!」

ケンゴは思わずレオにつかみかかる

ケンゴ「博士が…殺されたんたぞ!!?」

レオ「ダークポケモンによってというのは、間違いないだろうな」

冷静に言うレオを見て、ケンゴは激昂を抑えきれずにレオの顔を思い切り殴った。だが、殴られた痛みなど、博士が死んだことへの悲しみなどまるで無いというように、レオは無表情のままだ

ケンゴ「一緒に研究していたんじゃないのか!!?お前には人間の心が無いのか!!!?」

レオ「今博士の死を想ってどうなる?」

レオがぽつりと呟く

ケンゴ「え…?」

レオ「それで博士が戻ってくるか?ダークポケモンによる被害がなくなるのか?俺達が今やるべきなのは泣くことじゃない。博士の意志をしっかりと継ぎ、終わらせることだ、このクソみたいな連鎖を」

レオはケンゴを突き飛ばすと、自分の携帯端末を操作し始める

ケンゴ自身も自分の知る人間の死を経験したのはこれが初めてではない。親族や友達が何人か亡くなっている。その度に大きな悲しみがケンゴを襲ったが、時が過ぎれば段々と平気になれた。だがそれらの死はどれも病気だったりどうしようもない事故だったりが原因だった。何者かによる明確な殺害という事実を突きつけられるのは、これが初めての経験だった

レオ「俺達が戦わければ、被害はこれからもっと拡大する。悲しみも同じように拡がっていく」

ケンゴはレオに見せられたレオの記憶を思い出す。あの死の光景を…。だからレオは戦う道を選んだのだと、ケンゴは理解した

レオ「差出人は不明だが、このメールが発信された位置を特定すること自体は造作もない。そこに向かえば大きな情報が得られるだろう。だが、特定には少し時間がかかる。特定でき次第出発するぞ、泣きたいのなら、その間だけにしろ」

ケンゴはうつむいたままただただ涙を流すばかりで、何も答えられない

レオ「PCを借りれるか?」

「え…あっはい!」

ケンゴを振り返りもせず、所員についてレオは部屋を後にする

発信源がオーレ地方北部にある“バトル山”であることが特定できたのは、その翌朝のことだった

レオ「もういいのか?」

バイクに乗りながらレオが尋ねる

ケンゴ「レオが言ったことは何も間違ってなんかいない。一晩寝ずに考えて、よくわかったよ…」

ケンゴは一晩中悲しみに明け暮れ。考えた。自分が今どうしなければならないのかを

ケンゴ「昨日は殴ったりなんかしてごめん」

レオはふんと鼻を鳴らしただけで何も答えない。そんな態度の意味をもう理解しているケンゴは小さく微笑み返す。二人はバイクを発進させて“バトル山”へと出発した
 ▼ 60 ノンド@まるいおまもり 24/02/10 10:43:16 ID:SU.YV4is [6/17] NGネーム登録 NGID登録 報告
“バトル山”へは一週間程で到着した。そこは“ニケルダーク島”と同じく歴史的に噴火記録のない死火山で、多くのトレーナーが己を鍛える為、100人のトレーナーと戦いながら頂上を目指すバトル施設が建設されている。しかし一月前の“ニケルダーク島”の噴火によってこちらも噴火が誘発されるかもしれないという地質学専門家の意見から、今は閉鎖状態にあった

レオ「発信源は、この頂上だ」

バイクを降りながらレオが言う

ケンゴ「レオのバイクでも流石に火山は登れない?」

レオ「まあな。だからバトル山施設内を通って登るぞ」

ケンゴもバイクから降り、二人で施設内へ入ろうとした時、上空から何かが接近する音が聞こえてきた。見上げると、警察のヘリコプターが数機、こちらへ向かって着陸してきていた

ヒカリ「ケンゴ!?」

着陸したその中の一機から、ヒカリが姿を現す

ケンゴ「ヒカリ!?」

真っ先にケンゴに駆け寄るヒカリに、ケンゴは驚愕した

ケンゴ「どうしてここに!?」

ヒカリ「私達も、ダークポケモンを追ってきたの」

ケンゴ「でも、普通のポケモンじゃ…」

ヒカリ「大丈夫大丈夫。だって、ケンゴが守ってくれるでしょう?」

ケンゴ「え?」

ヒカリ「頼りにしてるね?」

各ヘリコプターから数人ずつ警官達が降りてくるのが見える。彼らはヒカリの後ろへ走ってくると、さっと整列した

ヒカリ「あ、でも私今はこの隊の隊長ってことだから、そこんとこのメンツは潰さないようにしてよね?」

他の警官には見えないようにしてヒカリはちらっと舌を出して見せた

ヒカリの話では、数日前“ニケルダーク島”噴火の原因を調査する為に島へと上陸した警察は、シャドーの本拠地跡の調査中にダークポケモンと遭遇したという。相棒ポケモン達の力を総動員して対処し、あと一歩で倒せるかもしれないという時、そのダークポケモンは飛翔し島から逃げ去ったという。そしてその向かった先がここ“バトル山”であると、警察は特定したのだった

ケンゴ「つまり。警察側もここに何かがあると読んでヒカリ達を」

ヒカリ「そういうこと。ただ一匹のダークポケモンを抑えるのにさえ相当戦力の消耗が発生するし、他にもダークポケモンが出現する可能性が高いから、あくまで施設内の仮調査ってことで落ち着いたの」

ヒカリからの説明を受けながら、ケンゴは彼女の後ろで整列し姿勢よく直立したままの他の警官達が気になった

ケンゴ「…ところで、何でヒカリが隊長に?」

ヒカリ「この前も言ったけど、私ここじゃ検挙数ナンバーワンの凄腕なのよ?ポケモンリーグで言うとチャンピオンみたいなもんなんだから!」

ヒカリは腰に手をあて、えへんと踏ん反り返った
 ▼ 61 ンプク@かいふくポケット 24/02/10 11:27:42 ID:SU.YV4is [7/17] NGネーム登録 NGID登録 報告
ケンゴとレオを先頭にし、全員がバトル山施設内に入った。初めにエントランスがあり、ポケモンの回復マシンやパソコンが置かれている。少し前までは通常営業していたのもあり内装はまだきれいだった

レオ「通常ならこのドアの先から、トレーナー達の挑戦場となる」

最奥の受付のさらに奥のドアの前でレオが言った。ケンゴは試しに聞いてみる

ケンゴ「レオは100人抜き挑戦したことあるのか?」

レオ「二度程な。どちらも余裕だった」

ケンゴ「二度?」

レオ「ああ。今はどうか知らんが、当時バトル山の100人目のトレーナーは二人いた。バトラスとムゲンダイという男達だ。100人目にどちらが相手になるのかは挑戦するトレーナーの強さによって決まっていたらしい。強さを求めてポケモンバトルに明け暮れていたその頃の俺は、その両方をぶちのめしたかったんだ」

ケンゴ「合計200人か…なんか気が遠くなる話だ」

レオ「無駄話などしていないで、とっとと行くぞ」

エントランス内にも何か手掛かりがないかの調査と、上で何かあった時にすぐに本部へ応援を呼ぶ役割として警官隊のうちの数人はそこに残るようにとヒカリは指示した

ケンゴ達とヒカリ、複数人の隊員達がドアを開いて先に進み、施設内を道なりに登っていく。通路は階段と大きな踊り場がひたすら繰り返し続いており、最初の踊り場にはかすれた赤い字で1と大きく描かれていた。描かれている数字は登るにつれて一つずつ大きくなっていく。そしてその数字が10までくると、休憩所らしい建物があった

レオ「10人倒す毎に、ここの休憩所でポケモンの回復などができる」

そう言ってドアを開けようとしたレオは、その手を止めヒカリに振り返った

レオ「女、隊員達にポケモンを出すよう指示しろ。この中に、敵がいるぞ」

ヒカリ「ヒカリでいいわよ。ケンゴの仲間なんでしょう?」

女という言われ方にむっとしながらも、隊員達にポケモンを出すよう指示する。ヒカリもウインディをボールから出した

ケンゴ「俺達はどうする?」

隊員達に聞こえないように、小声でレオに問いかける

レオ「獣化のことか?あいつらが戦闘に集中している隙を狙ってそれとなくやれ」

ケンゴ「それとなくって…」

ヒカリには全て話してはいるが、他の隊員達は知らない。余計な動揺を与えるわけにはいかないのだが…

レオ「準備できたようだな。じゃあ、いくぞ」

レオが休憩所のドアを開け放つと、その中で一体のダークポケモンが待っていた
 ▼ 62 ョジオーン@スペシャルアップ 24/02/10 11:56:58 ID:SU.YV4is [8/17] NGネーム登録 NGID登録 報告
初めの戦闘が終わった時、隊員達もそのポケモン達も全て気絶させられ。残ったのはケンゴとレオ、ヒカリだけになった

レオ「使えないな」

力なく地面に倒れている隊員達を見てレオが呟いた

ヒカリ「仕方ないじゃない!元は街の復興支援に来ただけの人達なんだから」

自分の部下を馬鹿にされたヒカリが肩を上げて怒る

ケンゴ「まぁヒカリ落ち着いて。こいつ、あまり人付き合いが上手じゃないんだよ」

獣化を解きながらケンゴがヒカリをなだめる。結局、またケンゴがダークポケモンを殺した。レオは獣化せずおとりとなってダークポケモンの注意を引き付けるだけだった

ヒカリ「昔旅してた時もいたわね。こういうやつ」

ケンゴ「確かに」

レオ「人のことをどうこう言う暇があるならさっさと行くぞ」

ケンゴとヒカリは昔シンオウ地方を旅していた時に出会った男を思い出し、懐かしみながらレオの後に続く

そこからも休憩所に限らず、時には踊り場や階段の途中でダークポケモンは襲来した。少ない戦力ではあるが、三人はうまく役割を分担してこれに対処した。レオがおとりとなって走り回ることでダークポケモンの注意を逸らし、その隙にヒカリのウインディが少しずつダメージを与えて足止めし、獣化したケンゴがトドメを刺す。そのコンビネーションは踊り場に描かれている数字と共にどんどん上がっていった。消耗していく体力は、ダークポケモンが現れなかった休憩所で回復させる

そして約半日かけて、100と地面に大きく描かれた頂上広場に辿り着いた

ヒカリ「何も…ないみたいね…」

警察で身体を鍛えているといっても、何百段もの階段を登ってきたヒカリとケンゴの息は上がっていた。がレオは対照的に未だ涼しい顔をしている

レオ「いや、間違いなくいる」

ケンゴ「うん…僕も感じるよ…」

地面にぺたりとへたり込むヒカリに対して二人は言い知れぬ殺気を周囲に感じていた

レオ「出てきたらどうだ」

レオが言うと、何もない広場の中心に突然、ぽーっと人影が現れた

「久しぶりじゃのうレオ」

明瞭になった人影は、髭を蓄えた老人だった

レオ「貴様だったか、ムゲンダイ」

ケンゴ「ムゲンダイ!?じゃあこの人が…」

レオ「そう。親玉だ」
 ▼ 63 イクン@レンブのみ 24/02/10 15:15:54 ID:SU.YV4is [9/17] NGネーム登録 NGID登録 報告
レオ「貴様が何故ダークポケモンを?」

ムゲンダイ「人もポケモンも、戦いをやめることはできぬ。どれだけ時代が移り変わろうとな。今でこそポケモンバトルなどという文化が広がっておるが、それでも本来の闘争本能を拭い去ることなどできぬのじゃ」

ケンゴはナナカマドやレオから聞かされたヒトとポケモンの歴史を思い出す

ムゲンダイ「じゃがわしにとって戦うことなどはどうでもよい。かつてここで100人目の役割を担っていたのもただの小銭稼ぎのようなものじゃ」

レオ「雑魚だったからな、貴様は」

ムゲンダイ「言ってくれるのぉ。まあ良い。わしは戦うことよりも、それを眺めることが好きでのぅ」

ケンゴ「眺める?」

ムゲンダイ「戦う為に必要なもの、それは兵器じゃ。そしてその兵器に焼かれた者は憎しみを抱き、より強力な兵器で相手を焼く。それはさらに大きな憎しみを生む。そうやってこの世界では一生、闘争と憎しみの連鎖の輪が途切れることはない。ただひたすらに、殺されたから殺し、殺したから殺される」

コロサレタカラ、コロシタ…ケンゴ達に送られてきたメールにもそう記されていた

ムゲンダイ「わしはその連鎖の輪を眺めているのが好きなのじゃ。だから、それが途切れてしまうのは寂しくてのぉ。そんな時現れたのがシャドーじゃった」

レオ「あの時からお前らは繋がっていたのか?」

ムゲンダイ「それは違う。わしとて悪党に自分の土地で好き勝手暴れ回わられるのは好かんからのぅ。お前が始末してくれるのを見ておった」

レオ「自己中のゴミクズが」

ムゲンダイ「戦いの連鎖を望むわしにシャドーは良いものを教えてくれた。それがおぬしらのいうところのダークポケモンじゃよ」

レオもケンゴも全てを察したような表情になる

ムゲンダイ「じゃがあやつらの作るダークポケモンは兵器としては不完全じゃった。じゃからわしがそれを完全なものにしたのじゃ」

レオ「それが今回のやつか」

ムゲンダイ「研究には苦労したのぉ。スナッチもされぬようにせねばならなかったしの。その試作品が完成した時、いの一番にそれを見せてやりたかったのは誰じゃと思う?」

ムゲンダイはレオをじっと見つめる

レオ「じゃあ、あれもお前が……お前が!!」

こんなにも激昂するレオの表情を、ケンゴは今まで見たことがなかった

ムゲンダイ「試作品じゃったし殺されても構わんかったのじゃがなぁ。その方がより完璧なものを生み出す為のデータが取れる。じゃが、殺されたのは別のもののようじゃったな…」

首が折れる鈍い音、ケンゴが見たレオの記憶の中の音…

レオ「貴様ぁぁぁぁぁぁ!!」

レオが獣化して全身からエネルギーを発すると、そのエネルギーは6つのトゲとなってムゲンダイに襲い掛かかる。しかしムゲンダイの周囲に見えない壁が現れ、それを弾いた

ムゲンダイ「まあ落ち着けレオ、年寄りの話は最後まで聞くものじゃ」

レオはそれから何度もサイコショックを繰り返し放つが、やはり見えない壁に弾き飛ばされる

ムゲンダイ「ダークポケモンを世界へ売り込み、戦いの連鎖の輪を途切れさせぬこと、それが今のわしの生きる目的じゃ」
 ▼ 64 レズン@ジメンZ 24/02/10 15:33:40 ID:SU.YV4is [10/17] NGネーム登録 NGID登録 報告
ケンゴ「だから、博士も殺したのか…?」

激昂するレオの横で、ケンゴも拳を握りしめる

ムゲンダイ「ナナカマドのことか?あやつは昔からわしの邪魔ばかりしおったなぁ。それも本当に遠い昔から」

ムゲンダイが懐かしむような表情で空を見上げる

ムゲンダイ「別に殺そうと思って殺したわけではない。ただ、わしの今の生きる目的にとって邪魔じゃっただけじゃ」

ケンゴ「なんだと…」

ムゲンダイ「ただでさえ生い先短いジジイのちっぽけな願いさえあやつは邪魔しようとしおったからのぅ。その証拠に今おぬしらがここにおる」

ケンゴも獣化し、固く握りしめられた拳に炎をまとわせる

ムゲンダイ「まあそのおかげでまた新しいおもちゃが手に入ったのじゃがな」

ムゲンダイが微笑んだのとケンゴがムゲンダイに殴りかかったのは同時だった。しかし繰り出された炎の拳も、やはり見えない壁に当たっただけでムゲンダイには届かない

ムゲンダイ「そろそろおぬしらもまともにわしの話を聞く気もなくなってきたことじゃし、そろそろおいとまするかのぅ」

そう言うとムゲンダイが空中に浮遊し始める

レオ「逃がすものかぁぁぁぁぁぁ!!!!」

レオが再度サイコショックを放つ。それがまた見えない壁に弾かれたのに併せて、ムゲンダイの姿が消える

『わしを止めたければ、北東にくるがよい。わしは逃げも隠れもせんぞい』

どこかからムゲンダイの声がそう響いた後、その場に静寂が訪れた
 ▼ 65 ーロット@うみなりのスズ 24/02/10 16:04:31 ID:SU.YV4is [11/17] NGネーム登録 NGID登録 報告
二人共が冷静さを取り戻して獣化を解き、バトル山を下りて地上で情報を整理し始めるのにまた半日の時間を要した。冷静さを取り戻すまでのレオは、頂上の広場をひたすらに破壊し続けた

レオ「奴の狙いはダークポケモンの量産と、兵器としての世界への拡散」

ケンゴ「それによって今起こっている世界中の争いをさらに拡大させようとしている」

ヒカリが淹れてくれたコーヒーを飲みながら、二人はそれぞれのバイクにもたれかかっていた

レオ「ジジイは新しいおもちゃが手に入ったとも言っていたな」

ケンゴ「博士の研究施設を襲ったとなると、獣化のことが?」

レオ「となれば、今度はポケモンだけでなく、人間自体も誘拐し利用し始める可能性があるわけだ。兵器として」

二人は示し合わせてもいないのに、飲んでいたコーヒーの紙コップを同時に握り潰す

ケンゴ「そんなことは絶対にさせちゃいけない。これ以上、悲劇を起こさせるわけにはいかない」

レオ「ああ。……行くか」

二人はそれぞれのバイクのエンジンに火を入れる

ヒカリ「ケンゴ!」

出発しようとする二人に、彼らを遠巻きに見ていたヒカリが駆け寄ってくる

ケンゴ「ヒカリは一度アイオポートに戻るんだ。そしてこのことを本部に伝えて」

ヒカリはうんと頷くが、まだそこから動こうとはしない

レオ「先に行ってるぞ。早く追いつけよ」

何かを察してか、レオはそう言うと先にバイクを発進させて行ってしまった。それを見送ったヒカリがケンゴに向き直る

ヒカリ「帰ってきてよね…必ず…」

ケンゴ「当り前じゃないか。すぐに済ませて帰ってくるよ。……元に戻れる保証はなくなっちゃったけど」

ナナカマドはもういない。自分は元に戻れるんだろうかとケンゴは今更ながらに疑問に思う

ヒカリ「戻れるわよ…レオって人、博士と一緒に研究してたんでしょう?きっとなんとかなるわ」

ヒカリの頬を涙がつーつーと伝いだす

ヒカリ「だから…」

ヒカリは目を閉じ、ケンゴの唇に自分のそれを重ねる。ケンゴもそれに応え、そっとヒカリを抱きしめる。数秒の後、二人は身体を離した

ケンゴ「いってくるよ」

ヒカリ「うん。いってらっしゃい」

ケンゴはレオに追いつく為に、バイクを急加速で発進させた
 ▼ 66 ガジュカイン@ナマケロのけ 24/02/10 16:48:57 ID:SU.YV4is [12/17] NGネーム登録 NGID登録 報告
レオはムゲンダイの居所をオーレ地方の最北東端だと推測してケンゴに言った。隣接する地方も砂漠に覆われており、いわば砂漠のド真ん中だと言える場所。バイクを全速で走らせても、“バトル山”からだと一週間近くかかる距離にあった

レオ「補給は望めない。片道切符になるかもしれないが。本当に良いのか?」

走り始めて数日後の野宿の時に、レオが尋ねた

ケンゴ「今更どうしてそんなこと。早く潰しに行こう、そして往復切符にすればいいさ」

寝袋の中で、レオはケンゴに背を向ける

レオ「…あの女のことは、いいのか?」

レオはぽつりと呟いた。レオの悲劇的な記憶を思い出し、ケンゴは察する

ケンゴ「それこそ僕らがさっさとこれを終わらせてしまえばいい。それにヒカリはあそこじゃ検挙数ナンバーワンの凄腕警官なんだぜ?ちょっとの危険ぐらいどうにでもできるさ」

レオ「そうか…」

その時、ケンゴの携帯端末に着信が入る。ケンゴが電話に出ると、相手はポケモン総合研究所の所員だった

『大変ですケンゴさん!アイオポートにある地方警察用の仮設寄宿舎が、何者かによって奪取されました!!』

ケンゴ「奪取って。どういう…」

『言葉の意味そのままです。ニュースで報じている限りだと、得体の知れない飛行物体が飛来し、寄宿舎をレーザーのようなもので吊り上げ、奪取したと。おそらく、二度目のダークポケモン事件当時に大量のポケモンを乗せた船をシャドーが奪取する際使用したものと同じ技術のようです』

ケンゴ「そんな…」

あそこにはヒカリがいるはずだ…

レオ「あの死にぞこない、もう動き出したか」

スピーカー音声にしていたので、それを聞いていたレオが寝袋から出てきた

ケンゴ「わかりました。ありがとうございます」

それだけ言って雑に電話を切ると、不安が頭を支配し始める

レオ「獣化に耐えうる人間のサンプルを多く得るには、持って来いの人材だろうからな」

ケンゴ「急がないとっ!」

興奮してバイクを発進させようとするケンゴの肩をレオがつかむ

ケンゴ「離してくれっ!早く行かないと、ヒカリが!!」

レオの手を振り払おうとするが、レオは動じない

レオ「落ち着け、今慌ててどうする。そもそも個人のDNAの解析と適性者の判定には時間がかかる。ましてや博士のとこから持ち出したデータだけの浅知恵でやれるほど簡単なものじゃない。安心しろ、俺達が到着するまでに連れ去られた人間達の身に危険が及ぶ可能性はかなり低い」

ケンゴ「それでもヒカリがっ」

レオ「お前が今から休みなくあの死にぞこないのところに向かったとして、着いた時に戦える体力が残ってないんじゃ意味がないだろう。苦しいだろうが、ここは堪えてとっとと寝ろ」

そこまで言われてケンゴはようやく冷静になれた。確かに自分が戦えなければ意味がない、ヒカリを救えない

ケンゴ「…ごめん。悪かったよ」

レオはケンゴがバイクから離れたのを確認すると、そそくさと自分の寝袋に戻った。ケンゴも湧き上がる怒りを抑えつつ寝袋に入る。ヒカリへの思いが、ケンゴの心に少しずつ黒い火を灯していった
 ▼ 67 トリンダー@ハッサムナイト 24/02/10 17:11:31 ID:SU.YV4is [13/17] NGネーム登録 NGID登録 報告
ムゲンダイが潜伏していると思われる巨大な要塞を砂漠の中に見つけたのは、やはり“バトル山”を出発してから一週間後のことだった

ケンゴ「やっと辿り着いた」

レオ「最後の場所だ」

バイクのスピードを上げる二人に、またどこかから声が響く

『早かったのぅ二人共、歓迎するぞい。なに、数日前に捕獲したサンプルのことなら気にするな。まだ何もしておらんよ』

ムゲンダイの声、もはや人間さえサンプル呼ばわりするその声に、二人は険しい表情になる

『ちゃんと玄関から入るのじゃぞ。手洗いとうがいも忘れずになぁ』

そこでムゲンダイの声は消えた

レオ「ぶっ殺してやる」

そう言いながら、到着した要塞に向けてバイクを突撃させ、巨大な正門を破壊する。ケンゴもそれに続いた

広いエントランスに入るとやはりダークポケモン達が待ち受けていた。レオが先に獣化し、目を青白く光らせる。すると数十体はいようというダークポケモン達が一斉に苦しみ始め、そして一斉に絶命した。強烈な念力により、直接全員の心臓を圧縮・破裂させたのだ

レオ「ここからは二手に分かれるぞ。俺はムゲンダイを探す。お前は捕まっている人間達を探し出して逃がせ」

ケンゴ「わかった」

レオ「それと」

獣化し駈け出そうとするケンゴにレオが付け足す

レオ「念の為にこれを持っていけ」

レオが何かをケンゴに放ってくる。受け取るとそれは、以前レオがケンゴを回収するのに使った“シェルター”だった

レオ「逃げ場がなくなりそうになった時にこれに避難しろ。ダークポケモンなんて馬鹿ばかりだから、突然お前がいなくなったと思ってどこかへ行くだろう。間違っても中で獣化を解くなよ」

ケンゴ「でも、レオは?」

レオ「俺を誰だと思ってる。悪の組織一つ潰した男だ、心配するな」

ケンゴが頷くと、二人はそれぞれの道に走り出した
 ▼ 68 ルンゲル@きせきのみ 24/02/10 17:37:11 ID:SU.YV4is [14/17] NGネーム登録 NGID登録 報告
いくつかのブロックを走りすぎる度、何体かのダークポケモンと鉢合わせたが、難なく全員を絶命させる。今のケンゴには、ダークポケモンを殺すことに対する罪悪感を覚えることができずにいた。ただただヒカリを救い出し、この戦いを終わらせることだけを考えた

そして一つの小部屋に辿り着く。指令室らしいそのドアを開けると、中に人影があった

ケンゴ「あなたは…」

そこにいたのは、コトブキ署の署長だった。ナナカマドの昔馴染みのはずの男だった。ケンゴは思わず獣化を解く

「やあ、久しぶりじゃないか」

デスクに踏ん反り返って座る署長がケンゴに気づくとそう言い、立ち上がる

ケンゴ「どうしてあなたがここにいるんですか!」

「どうして?それはね、私はナナカマドが昔から嫌いだったからだよ。いつも偉そうで、その実あいつはどんどんエリートになっていったからな」

ケンゴ「博士が嫌いだった?」

「そう。それに…」

署長は引き出しを開くと拳銃を取り出し、ケンゴに向ける

「君も、もう用済みだ。元々君にオーレ地方への出発を命じたのは、あいつを守れる人間を離れさせる為だったのだからね」

署長が発砲すると同時にケンゴは再び獣化してそれを受け止める。銃弾など、獣化していればききはしない

ケンゴ「じゃあ、博士を殺させたのは…」

「利害の一致というやつだ。私はこれからここでダークポケモン生産工程の管理主任となる」

言われた瞬間、ケンゴは燃え上がる怒りのままに署長に飛び掛かり張り倒す。そして拳銃を奪い取り、署長に向ける

ケンゴ「捕まっている人達はどこにいるんですか!?」

署長は不敵な笑みを浮かべるだけで、何も答えない

ケンゴ(殺してやる…)

獣化していれば人間一人殺すなんて簡単なことだが、ヒカリ達の居場所は喋らせなければならない

ケンゴ「言えっ!どこだ!どこにいるんだっ!」

署長の右手のひらを無理矢理机に叩きつけ、その小指に拳銃を突き付けた

「さあ、さあなぁ!今頃は…いひひひ」

ケンゴ「貴様っ!」

容赦なく引き金を引くと、男の小指が飛ぶ

「ぎゃはははははは!どこだろうなぁ!!」

今度は薬指に銃口を押し付け、さらにそれを弾き飛ばした

そんなことを繰り返し、10本の手指を部屋中にまき散らしても署長はただ痛みに快感を得ているように大声で笑い叫ぶだけ。結局、最後に頭を打ち抜くまで、居場所を吐くことはなかった
 ▼ 69 ラルダルマッカ@エネコのシッポ 24/02/10 21:02:00 ID:SU.YV4is [15/17] NGネーム登録 NGID登録 報告
さっきまで署長だったものを部屋の隅へ蹴り飛ばし、ケンゴはデスク上の端末を素早く操作した。要塞内の見取り図を画面に呼び出すと、内容を頭に叩き込む

この部屋から少し行ったところに大きな格納庫がある、詳細を確認するとそこには仮設寄宿舎を奪取したと思われる飛行物体が格納されていることがわかる。その機数も相当なものだった。次に本来の目的であるヒカリ達が収容されているスペースを検索する。比較的大きな部屋を中心にそこに設置されてある監視カメラ映像を呼び出す。その中の一つに、すし詰めになって収容されている制服姿の人影を見つけると、もう用済みだというようにケンゴは端末を叩き潰し、部屋を飛び出した

ケンゴの心の中に小さく灯っていた黒い火が、炎へと進化していくのを自覚した

目的の部屋の前まで辿り着くとドアのロックを破壊する。獣化を解いてから、部屋のドアを開ける

ケンゴ「皆さん助けに来ました!ここから脱出します、僕についてきて下さい!!」

突然現れた男に中にいた警官達は驚き戸惑ったが、同じ制服を着ていることと発せられたその言葉を認識すると、ケンゴに従って次々と部屋を走り出ていく。ケンゴは背中越しにヒカリが自分を呼ぶ声が聞こえた気がしたが、今は皆の誘導に専念する。道中においてもダークポケモンは出現した。しかしケンゴは構わず獣化しそれらを全て燃やし尽くした。他の警官達にバレてしまったが、そんなことはもうどうでもよかった

格納庫まで全員を誘導し、飛行物体へ乗せていく。ヘリコプターの運転のできるものを各機のパイロットにあてがい、全ての警官の搭乗を確認すると、獣化して外へと続くハッチを破壊した。一面の砂漠が眼前に拡がる

ケンゴ「フルスピードでここから退避してください!!」

獣化したまま叫ぶケンゴに、飛行物体が次々起動し発進していく。その中で再びヒカリの声が聞こえたが、ケンゴはまたそれに応じなかった。ケンゴはこの時にはもう既に、壊れていたのかもしれない

全ての飛行物体が空の彼方に消えたのを確認すると、レオの応援へ行く為に移動を開始しようとする。その時、飛行物体が去ったのとは反対方向の要塞の外壁が爆発した。その爆風の中からエーフィに獣化したレオが飛び出し、地面に倒れこむ

ムゲンダイ「なんじゃ、つまらんのぅ」

その後を追って、浮遊したムゲンダイが姿を現した、多数のダークポケモンと共に

レオ「くっ…くそが…」

呻くレオの前に、ケンゴが躍り出る。ケンゴの視認できる範囲で、ダークポケモンの数は数百匹を超えいた

レオ「わるいな…もうわざもだせない…あいつのみえないかべが…」

レオはダークポケモンを無視してムゲンダイのみに技を集中させて戦っていたが、やはり見えない壁がその技全てを弾いた。その隙にダークポケモンの攻撃を受け続け、レオは既にほぼ瀕死状態にあった

ムゲンダイ「忌々しいナナカマドの使いが二人、揃ったわい。せっかくうちまで来てくれたことじゃし、ゆっくり遊んでやろうかのぅ」

そう言うとムゲンダイの身体が見る見る膨れ上がり、同時にその姿形も変化していく

レオ「おまえが……じゅうかを…」

ムゲンダイ「おぬしらとは違うわい」

巨大な何かに変化したムゲンダイの身体は黒いオーラに覆われ、赤い目を光らせていた
 ▼ 70 スイクレベース@スモークきりみ 24/02/10 21:26:28 ID:SU.YV4is [16/17] NGネーム登録 NGID登録 報告
レオ「じぶんでだーくぽけもんになるなど……おろかなやつ…」

ムゲンダイはナナカマドの研究施設から奪取したデータを元に、適合するポケモンの延期配列、同時にダークポケモン因子を自分の身体に埋め込んだのだった

ムゲンダイ「さあ、遊びの時間じゃぁ」

巨大な腕が二人を襲おうと振り上げられた

その瞬間ケンゴは、いくつもの言葉を思い出していた

『殺されたから殺し、殺したから殺され』

『ヒトはその闘争本能を抑えることはできない』

『ポケモンバトルなどというのは、所詮小さな戦争行為でしかない』

『ヒトもポケモンも、結局はその闘争本能を拭い去ることはできない』

『争いと憎しみの輪は途切れることはない』

じゃあ、争いのない世界はいつ訪れる?

ただ殺しあって命を消費していくのなら、何故命はまた新しく生まれなければならない?

何故、戦わなければ生き残れない?

ヒトもポケモンも平和を作れる同じ生き物のはずなのに、どうして、何故……

ケンゴの心の中の黒い炎が燃え上がり、己の闘争心と混じりあい、さらに大きなどす黒い炎の渦となってケンゴの心を包む。心臓の鼓動も、動いているのかいないのかすらわぁらない程の速さでその回数を刻んでいるのを感じる。ケンゴは咆哮を上げ、全身に炎の鎧をまとう。それはどんどんと周囲に膨張していく

レオ「や…やめろけんご…おまえ…」

レオが初めて自分の名前を呼んでくれたなと、ケンゴは認識した。認識しただけだった…

ケンゴの炎はさらに膨張し続ける。その色は段々と赤紫、そして青色に変わっていく

ムゲンダイ「ブラスとバーン?いや、違う。これは…」

二人に向かって振り下ろそうとしていた手を止め、見る見る膨らんでいく炎を防ぐ為に見えない壁を作るムゲンダイだったが、その壁も炎に飲み込まれる

ムゲンダイ「ぬお、なぜじゃ…なぜじゃあああ……」

その場にいたダークポケモンをも全て炎の中に消える

青く輝く炎が、その勢いをとどめることなく全てを飲み込んでいった

……………

…………

………

 ▼ 71 ガチャーレム@トーフ 24/02/10 21:49:34 ID:SU.YV4is [17/17] NGネーム登録 NGID登録 報告
ヒカリは気密服に全身を包み、その場所に立っていた。放射能汚染が確認されたその場所には、数日前まで自分が閉じ込められていた要塞が見えるが、今はその半分も原型をとどめていない。周囲にはいくつもの黒い塊が散らばっている。鑑識が話すには被爆したダークポケモン達だという

ヒカリはただ、直径3キロにもわたるその巨大なクレーターの中を彷徨い続けた。黒い雨が降る中、自分が想う人の面影を探して…

……………

レオが目覚めた時、自分が見覚えのある場所に倒れていることに気づいた

暖かい日差しが照らすその場所はとある辺境の村の端。倒れている自分の目の前には、接続部がひしゃげて真っ二つになった“シェルター”の破片が転がっている

レオ「あのバカ…」

ケンゴはあの時、瀕死状態だったレオを“シェルター”の中に避難させていた

全身の痛みを堪えつつ起き上がると、のどかな自然の風景が目に入る。その中に、小さな墓が一つ見えた。そこには二匹のポケモンと、一人の女性の名前が刻まれている

レオ「そっちにいくのは、まだ少し先になりそうだ」

レオはそれを見て、小さく呟いた

……………

一月後、ヒカリが家に辿り着いた時、玄関の前に何かを見つけた。それが何であるかは近づかずともすぐに分かった

玄関にもたれてへたり込んでいるその姿に、ヒカリは涙をぐっとこらえ、その隣に同じように座る

ケンゴ「遅いよ…」

ヒカリ「忙しかったから…」

ケンゴ「大変…だったんだな…」

ヒカリ「なんたって…凄腕だから…引っ張りだこだったのよ?」

そっとケンゴの手を握ると、ケンゴが優しく握り返してくれる

ヒカリ「おかえり…ケンゴ」

ケンゴ「うん、ただいま…ヒカリ…」

心臓が最後の鼓動を鳴らし、その役目を終えた





おわり
 ▼ 72 ーギラス@けんこうおまもり 24/02/11 21:38:11 ID:Ky5.RsTg NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
なんかのパロディ?
 ▼ 73 クレオン@キーのみ 24/02/12 10:51:17 ID:0bsUDGYs NGネーム登録 NGID登録 報告
アニポケダイパ編見てなかったり、ポケモンコロシアム・XD未プレイなにわかはついて行きづらい内容だったな

でも面白かった
このページは検索エンジン向けの機能制限版の旧ページです。
下URLから閲覧下さい。
https://pokemonbbs.com/post/read.cgi?no=2111910
  ▲  |  全表示73   | << 前100 | 次  |  履歴   |   スレを履歴ページに追加  | 個人設定 |  ▲      
                  スレ一覧                  
荒らしや削除されたレスには反応しないでください。
書込エラーが毎回起きる方はこちらからID発行申請をお願いします。(リンク先は初回訪問云々ありますがこの部分は無視して下さい)

. 書き込み前に、利用規約を確認して下さい。
レス番のリンクをクリックで返信が出来ます。
その他にも色々な機能があるので詳しくは、掲示板の機能を確認して下さい。
荒らしや煽りはスルーして下さい。荒らしに反応している人も荒らし同様対処します。




面白いスレはネタ投稿お願いします!

(消えた画像の復旧依頼は、お問い合わせからお願いします。)
スレ名とURLをコピー(クリックした時点でコピーされます。)
新着レス▼