【April Foolss】4月は嘘のウソッキー

〜数年前　4月1日〜


「おや、なんだ……このポケモン？」

「子どものようだぞ、なんでここに？」

「あぁそうだな。こんな外れに……なんでボクレーが？」


ボクレー「うぅ、ヒック……ぐすん……」


──偽りの愛の果て、親に捨てられたボクレーが、涙ぐんでいたのだ。


「おい、君……もしかして、親御さんに」


ボクレー「ぼ……僕がアイツらを捨てたんだっ！　見限ったんだ！！　僕が……捨てられた訳がないもん…………」


ウソッキーたち「……」


それが、ボクレーがウソッキーたちに最初についた、ちっぽけな嘘であった。

長老ウソッキー「……我々の、仲間になりたい？」

ボクレー「……ぼ、僕は旅をしているボクレーで……。その、しばらく、厄介させてもらいたいって……思って……」

親に捨てられ、行く場所もない。
本当のことは、言えなかった。

ウソッキーたち「どうでしょう……長老」

長老ウソッキー「……坊や、儂なんかなぁ、親に捨てられては拾われ、それを1000回近く繰り返されたんだぜ？」

ボクレー「え、えぇっ……ホントッ！！？」

長老ウソッキー「……嘘じゃ」

ボクレー「！！？」

長老ウソッキー「坊や、儂らの仲間になれ。それに儂が親に捨てられたと言うのは、ホントなんじゃ。……親近感も湧いたし、儂らの元で、嘘を磨け……ガハハッ！！！」

ボクレー「ハ、ハァ……。あ、ありがとうございます……」

ウソッキーたち「ハハハ、長老も……相変わらずだ」

逆に自分が面食らい、こうしてボクレーはウソッキーの群れに加わり、生活を営むことになったのだ。

〜それから〜

ボクレー「長老！　このきのみっ、人間の町からいっぱい盗んで来たんだっ！！」

せっせと森で拾い集めたのだ。

長老ウソッキー「儂は、町丸ごと盗んで来たことがある」

ボクレー「！！？」

ーーー

ボクレー「長老！　今日はマンムーの肉を持って来たんだっ！　食べてよっ！！」

実際には、道端のポケモンの死肉である。

長老ウソッキー「……儂は、重度の肉アレルギーでな。食べれば儂の肉片が飛び散ることになるぞ」

ボクレー「！！？」

ーーーー

ボクレー「長老！　今日はなにもしなくてもいい日なんだ！！　だから、いっぱい休んでよっ！！」

長老にゆっくり休養して欲しいためだ。

長老ウソッキー「あいにく、儂は石の上に3000年あまり動じず休んでいたことがある」

ボクレー「！！？」

ーーーーー

ボクレー「なんだぁ、全部嘘だったんだぁ」

長老ウソッキー「フフ、お主の嘘より、凄いものだっただろう？」

ボクレー「……厶ゥゥ」

長老ウソッキー「しかし、お主はどうしてそんな稚拙な嘘ばかりつくのだ。すぐバレるぞ、そんなの」

ボクレー「……なんだろうか、僕は……」

長老ウソッキー「まぁ、それが儂の楽しみでもあるんだが」

ボクレー「た、楽しみ……？」

長老ウソッキー「あぁ、楽しみじゃ」

………
……
…

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君嘘懐かしンゴ

なんかタイトルワロタ

最近のウソッキー一族はな、本来の岩タイプの習性がそうさせているのか、生真面目で、石頭な連中ばかりになっておるのじゃ。

それが良いか悪いかと問われたら、まぁ、良い部類に入るんじゃろうな。……愚かな悪しき嘘つきよりかは。

しかし、儂が生きていた頃は、ひょうきんな楽しき嘘つきウソッキーが、いっぱい生きていた。
今じゃあ、儂の嘘など若い奴はあまり相手にしてくれない。

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ボクレー「……そうだったんだ」

長老ウソッキー「儂があとどのくらい生きていれるかはわからないが、少なくともお主、お主は他の若い連中とは違う。儂に対抗して、未熟ながらに嘘をついてくれる……」

ボクレー「それが、楽しみ──」

長老ウソッキー「余生の楽しみじゃな。こんな楽しみ方、他の年寄り共が知ったら、馬鹿にするか、ねたむかのどちらかだろうな。まぁ、前者かな」

ボクレー「……僕は捨てられたポケモンだ。その僕が、アンタに役割を持てているのか……？」

長老ウソッキー「そう深刻に考えるなよ。嘘は、気楽につくもんだ。ガハハハッ！！」

そう言って長老は、いつものように豪快に笑ってくれた。

ボクレー（僕の嘘が……役に立っているんだ。よし、これからも、もっと頑張って嘘をつくぞっ！！）

ボクレー「えい、えい、おーーーっ！！！」ﾋﾞｼｨｯ

長老ウソッキー「……？」

ボクレーは、決意を新たにした。


ボクレー（でも、僕は──）


しかしボクレーには、まだ、“負い目”が一つあったのだ。

好きですっ！

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タイトルはこれで良いのか

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その後もボクレーは、長老のウソッキーに対し、愉快に嘘をつき続けた。

ボクレー「で、さ……」

長老ウソッキー「ほーう、儂なんか……」

ボクレー「！！？」

長老ウソッキー「まぁ……」

ボクレー「……なんだぁ」

お決まりの、いつもの流れ。

ウソッキーたち「またやってるよ、ボクレーの奴」

ウソッキーたち「長老もどういうつもりなんだか、楽しんでいるように見えるぞ」

ウソッキーたち「ま、長老も変わり者。変わり者同士うまくやってるようだし、いいんじゃないか？」

毎度のごとく、ウソッキーたちは相手にはしない。


……こんな調子で、数年の時が流れていった。

ボクレー「それで、僕さ……」

いつものように、ボクレーは長老に、うそを聞かせていた。

長老ウソッキー「……」

ボクレー「……どうしたの、長老。ボーッとしてさ──」



長老ウソッキー「──ゴホッ！！」



ボクレー「！」


……ドサッ。


ボクレー「……長老ッ！！？」


長老が、突然吐血し、倒れ込んでしまったのだ。

──数時間後


長老ウソッキー「心配かけたな。ちょいと、最近体調を崩してなぁ……ガハハ……」

ボクレー「……また、嘘だ。あの血の量……『ちょいと』なんかじゃない。長老……どうしたのっ！？」

長老ウソッキー「……あぁ。今回ばかりは、本当のことを言わなければならないか。……儂は、少し前に、不治の病にかかってしまった。医師の宣告も受けている」

ボクレー「不治の……病！？」

長老ウソッキー「細胞が変質し、決して元には戻らずに破壊されていく病気さ。そういう訳で、もうすぐお主とはお別れだ。今まで世話になったな」

ボクレー「そんな、やだよ……」


育ての親、また、気を許せる友だち当然である長老を失うことは、ボクレーにとって、とても悲しく、辛いことであったのだ。


長老ウソッキー「……ただ」

ボクレー「……え？」

長老ウソッキー「とある場所に存在する、“秘薬”を手に入れることさえできれば、あるいは回復するのかもしれぬ。……ワラにもすがる、思いだが」

ボクレー「長老。失礼だけどそれも、気休めの嘘じゃないの……？」

長老ウソッキー「いや、確かにそこに秘宝は存在する。なにせ、儂がその宝地図を持っているのだからな」

ボクレー「……その地図も、偽物じゃあ」

長老ウソッキー「……いつの間にかお主は、嘘を疑うことに長けてしまったようじゃのお。……これは、本当じゃ」

そう言って長老は、ボクレーに宝地図を手渡した。

長老ウソッキー「あぁ、誰かが薬を取ってきてくれないかなぁ。あぁ、しんどいのぉ……」ﾁﾗｯ

ボクレー（白々しいなぁ……）


ボクレー（でも、長老が病に侵されているのは事実だろう。だってこんなに、岩タイプ云々抜きに、顔が痩けている。息だって、荒い）


長老ウソッキー（……）ﾊｧ､ﾊｧ

支援

ボクレー「これがもし嘘なら、アンタがついた嘘の中でも最大のモノになるだろうね、長老」

長老ウソッキー「ガハハ……なるなぁ」

ボクレー「……わかった、取って来るよ！」

長老ウソッキー「おぉ、ありがたい！　……されども、その思いすらも、嘘ではないよな？」

ボクレー「お互いに腹の探り合いはやめようよ。僕の思いはただ一つで、アンタに助かってほしいんだ」

長老ウソッキー「……ボクレー」

ボクレー「えぇと……うわ、結構遠いな。3日4日はかかるじゃないか。……じゃあ、行って来るっ！！」ﾀﾞﾀﾞｯ


そう言いボクレーは、目的地へと駆け出して行った。


長老ウソッキー（……儂は、その思いだけで──）

──数時間後


長老ウソッキー「「……ゲブッ、ゴホッ……！！」」


長老は、これまでにない程……激しく吐血する。



（ボク……レー…………）



………
……
…

〜数日後〜

ボクレー（……着いた、けど……）

ボクレーが辿り着いたのは、ウソッキーの集落から外れた、森林地帯。

ボクレー「どういう……こと……」


……そこは、ボクレーが捨てられ、そしてウソッキーたちと出会った場所であったのだ。


──その時。


「汝……秘薬を求めし者だな？」


ボクレー「えっ……誰？」


ジャラランガ「ジャランジャラジャラッ、我は秘薬を護りし主、ジャラランガッ！　秘薬を入手したければ、我を打ち砕くことだなっ！！」

ボクレー「！！？」

支援

ボクレー（長老の秘薬の話、本当だった！　そして主がいるだなんて……長老っ、聞いてないよ！！）

ジャラランガ「ジャランジャラジャラッ！！」ﾎﾞｶｯ

ボクレー「けふっ……」

ジャラランガは、颯爽とボクレーを殴りにかかった。

ボクレー（攻撃しなきゃ、やられるっ！！）

ボクレー「……えぃっ！」ﾎﾟｶｯ、ﾎﾟｶｯ

ジャラランガ「フッハッハハハ、弱い弱いっ！　しかし我の攻撃は……弱いわけがないのだっ！！」ﾄﾞｺﾞｫﾝｯ

ボクレー「げはぶっ！！」

ジャラランガの、“どくづき”だ。

ジャラランガ「貴様、我に負い目を感じているのだろう！？　この見た目強そうNo.1の我に、勝てるわけがないと思っているのだろうっ！！？」ﾄﾞｺﾞｫｯ、ﾊﾞｺﾞｫﾝｯ

ジャラランガは、ボクレーの体力だけではなく、精神までをも削ろうと図っているのだ。

ボクレー（……負い目……。僕の……負い目…………？）

ボクレー（確かに僕は、負い目を感じていた気がする）


ウソッキーの群れの中に、一匹種族の違う、異端児。

…存在自体が矛盾している。嘘だらけの存在。


……そんな中で、その長を慕っている自分。


ボクレー（でも、僕は……そんな僕でも、好きなポケモンを、ただ──）



《……そうだ、ボクレー》



ボクレー「！」


……その声は、長老──？

《お主は嘘をつくことのできる才能を持っている。……ならば、その嘘を、真実に転換させるのだ！！　そやつを倒し、襲われたという事実を嘘に変え、真の宝を手に入れろ！！》


ボクレー（な、なんだかよくわからないけど……）


《儂の、最期の願い……だ……》


ボクレー「！？」


ボクレー（長老、そんなの、やだよ──）



そう、ただ、僕は──

……あのポケモンを、救いたいっ！！！



ボクレー「うおぉっ……“ウッドハンマー”ッ！！！」ﾎﾞｺﾞｫﾝｯ



ジャラランガ「「！！？」」


ボクレーは、全身全霊、自身の思いを込めた一撃を、ジャラランガに放ったのだ。

ドサァ……。


ボクレー「ど……どうだぁっ！！」

ジャラランガ「い、痛い痛いっ！　参った参った、もう……降参だよっ！！」

ボクレー「……え？」

ジャラランガ「俺はあの長老に雇われた、しがない強そうなドラゴンポケモンなんだよっ！　適当なところで切り上げるつもりだったのに……なんだよその強さっ！！？」

ボクレー（長老……やっぱり秘薬は嘘……。どうしてそんな、嘘を……？）

ジャラランガ「まぁ、長老には俺に勝ったら、これを渡すように言われてるんだ。……ほい、受け取れ」

ボクレー「これは……。手紙？」

ジャラランガ「内容は知らんぜ。あー痛たた……」

そして、ジャラランガは去って行った。

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ボクレー「……」

ボクレー（ちょう……ろう……）


……その手紙の内容を読んだ時、ボクレーの瞳からは、涙がとめどなく溢れ出し、止まらなかった。

>>24
ガララアジャさん ワロタ
支援

君嘘懐かしいな・・・ ラストは中々賛否両論だろうが、あれはいい話だった
支援

〜数日後〜

ウソッキーたち「しかしどうして、長老は……。なにも言ってはくれなんだのだ」


長老はあの声を訊いた時、既に、他界していたのだ。


ボクレー「……」

ウソッキーたち「……で、新しい長老が、お前と。なんか頼りない気もするが……。長老がそう言い残したんだからなぁ、従わないと」

ボクレー「大丈夫だよ。それに僕はもう、嘘をつくこともやめたんだ。清廉潔白な長老になるよ！」

ウソッキーたち「へぇ、どうしてやめたんだ？」

ボクレー（……）


長老には悪いけど、あなたのアレ以上の嘘は、もう、つけそうにないから……。

──手紙の内容


【ボクレーへ
秘薬なんてないのだ。また、嘘ついてすまんな。だが、儂はもう長くないことは事実。これも少し嘘をついたが、半年前に余命宣告までされている。……そう、もってあと、数日の命だろう】


【この病気には完全な治療法などない。儂は覚悟を決めた。友だちなのにな、黙っていてすまない。そうすると儂には、2つの不安要素が残ったのだ】


【一つは、恥ずかしいから誰も死に目に合わせたくないということ。もう一つは、お前の負い目を解消させてやりたいということだ】


【負い目は晴れたか？　晴れたのなら、どうか、儂に代わって、あの頑固者たちを率いてほしい。ジャラランガには悪いことをするがな】


【ボクレー。お前はお前だ。一匹ぐらい異端児がいたっていいじゃないか。それにお前は、儂らと違ってモノホンの草タイプだし、そして嘘をつくこともできる。おまけに真の友情を兼ね備えている。長老にこれ以上相応しい存在もいない】


【どうだ？　儂の生涯最後、そして最大の嘘は──
ガッハハハッ！！！
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　長老より】

手紙を受け取った日は、奇しくも4月1日。
長老と出会った日だ。

僕はこれから、あなたの群れを率いて行く。



……あなたの4月1日の、最高の嘘に誓って──

4月は嘘のウソッキー　~完~


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……
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無計画にも早めにスレ立てをしたことや1レス更新宣言をしたために、自分の首を締めてしまいエイプリルフールよりも早く完結してしまいました

更に余談ですけど、ずいぶん前に「4月は君の嘘」の映画を見てきました。原作の方は知りませんが面白い映画で、そこからタイトルをもじりました

乙

乙

とりあえず乙

乙
面白かったです

乙

某スレから飛んで来た
普通におもろいやんか
乙やで

おめです