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SS

【悪役SS】たどり着いた、その場所は

 ▼ 1 りゃブレイク◆vGr61AkWYY 17/05/29 23:13:00 ID:E5vaU0m6 [1/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


その少年は走っていた。


その少年は背中を追っていた。


単なる経過点ごときにここまで追い詰められるとは思っておらず、
真逆の信念を持った奴にここまで打ちのめされるとを情けなく、
弱いポケモンにひたすら当たっていた。


周りに知られないよう、実は自身を一番責めていた。

 ▼ 2 ラッキー@あかいウロコ 17/05/29 23:14:35 ID:CmmDGxAk NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
誰だろう?
支援
 ▼ 3 りゃブレイク◆vGr61AkWYY 17/05/29 23:15:24 ID:E5vaU0m6 [2/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


ライバル「……くっ!」

あの頃から唇を噛んでいた。

少しすると焦りを感じていた。

その焦りがどこから来ているのかは、無意識に思考から排除していた。


その少年には足りないものに、どうして少し早く気がつけないのか、今でさえも後悔は続いていた。

強さを求め、弱さを切り捨て、四面楚歌になってでも突き進むことを決めていたあの日だった。


奪ったモンスターボールを持って逃げていたあの日に、その少年はあの道で、あいつと出会った。

出会って『しまった』、が正しかった。

 ▼ 4 りゃブレイク◆vGr61AkWYY 17/05/29 23:17:33 ID:E5vaU0m6 [3/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


いくらでも、その少年のバトルに付き合ってくれるのは彼くらいだった。


どいつもこいつも、ポケモンが可哀想だ、と、負けてから戯言ばかりを並べていた。

まるで、その少年とは戦うのを避けているようでもあった。


心苦しさはまるでなかった。


強さのみを求める自分は、その言葉になんら違和感も感じなかった。



あいつは……だからあいつは、その少年の心を真っ正面から向き合ってくれた。


口ではまるでその少年を否定しなかった。

バトルで全てを語ってくれた。

 ▼ 5 りゃブレイク◆vGr61AkWYY 17/05/29 23:20:10 ID:E5vaU0m6 [4/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


何度も、

何度も、

負けて、負けて


その少年は知り始めていた。

『強い』とは何か、


自分に見えていない何かを、あいつは見ているのだろうと、気付かされ始めていた。


それでも、お得意の不器用でその少年は心を開こうとはしなかった。


心を開いてはならない圧力があった。

どこかで認め始めていたのに気付いて、慌てて取り消していた。


敗者となった親父の言葉の意味と、あいつの持っていたものがまるで同じだった。


その少年は、否定を続けた。

 ▼ 6 りゃブレイク◆vGr61AkWYY 17/05/29 23:24:10 ID:E5vaU0m6 [5/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
そして……チャンピオンロードの最後の小道で見つけたあいつに、その少年は最後まで勝てなかった。




全力を出し切ったはずだった。

それでも自分の戦術は通用しなかった。


自分の能力のせいであることは明らかだった。

だから、根本から折られてしまった。


それが、とても虚しいはずなのに、快く、清々しい気分でもあった。


いつしか、とあるドラゴン使いに言われた言葉、


『君はポケモンへの愛と信頼が足りない』


やっと、理解できた気がした。

 ▼ 7 りゃブレイク◆vGr61AkWYY 17/05/29 23:28:01 ID:E5vaU0m6 [6/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告














そうして、その少年は今、この道を走っている。


セキエイ高原の長い道、その最初の地。


新たに大切なものを手に入れたその少年は、その大切なものを見せつけるために、あいつのところに向かっていた。

 ▼ 8 りゃブレイク◆vGr61AkWYY 17/05/29 23:30:59 ID:E5vaU0m6 [7/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


ライバル「待てよ」


急いで走ったから、肩ぐらいは掴めた。


ライバル「今からポケモンリーグに挑戦しようってのか?」

???「そうだけど?」

ライバル「そうか、だが……それは諦めてもらおう」


ボールを投げ上げ、掴み取る。

焦りはすでに、戦いたい意欲に変わっていた。

 ▼ 9 りゃブレイク◆vGr61AkWYY 17/05/29 23:34:53 ID:E5vaU0m6 [8/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


ライバル「なぜなら、見違えるほど強くなった俺のポケモンが……」


口角が上がったのは自分でも気づかない。


ライバル「お前らを倒すからだ……!」

???「……望むところだよ」


互いに意志が一致して、その少年にとっては最初の『ポケモンバトル』が始まった。


 ▼ 11 りゃブレイク◆vGr61AkWYY 17/05/31 20:38:47 ID:35TvvVVw [1/19] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
〜〜


握りしめたボールに全てを。
目はいつも以上に鋭く、何度も見たあいつの顔を睨んだ。

ライバル「いけっ!ニューラ!」

ニューラ「ニュラッ!」

???「頼んだよ、ブラッキー!」

ブラッキー「ブラッ!」

 正対。睨み合い。読みを効かせる。

ライバル「ニューラ!『メタルクロー』!」

指示から刹那。風を切る斬撃を、音速を超えて。
鋼をまとってブラッキーに腕が振り下ろされた。

???「かわして『電光石火』!」

ブラッキーは接触直前に左に回避行動。脚力を生かしてのそのまま突進。
上手く攻撃の隙を突いた、命中。
 ▼ 12 りゃブレイク◆vGr61AkWYY 17/05/31 20:46:16 ID:35TvvVVw [2/19] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ライバル「怯むな!『凍える風』!」

ニューラ「ニュ……ニュラッ!」

受け身、立ち直りを一瞬でこなす。
口に手を添え、凍てつくような風を吹きかけた。

ダメージよりも、素早さの低下が気になる。

ライバル「畳み掛けろ!『シャドークロー』!」

速攻。速度優先で選択は『メタルクロー』ではなく『シャドークロー』。瞬間的な接近から、影からの斬撃が決まる。


???「……今だ!『しっぺ返し』!」

ライバル「なっ……避けろ!ニューラ!」

景気を逃さず、急接近したニューラに、高火力のしっぺ返しが決まる。

ニューラ「ニュラァッ!」

効果はいまひとつ、だが、レベル差故か、至近距離故か、電光石火が思いの外重かったのか
戦闘不能。

ニューラ「ニュ……ラァ……」バタッ

ライバル「……」

ライバル「おつかれ、ニューラ」
 ▼ 13 りゃブレイク◆vGr61AkWYY 17/05/31 21:13:59 ID:35TvvVVw [3/19] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ボールにしまうと、次のポケモンを出した。

ライバル「いけっ!クロバット!」

クロバット「バットッ!」

迷ってる暇はない。

ライバル「『エアカッター』!」

クロバット「バッ……バットッ!」

動きの鈍った的にはとても当てやすい。さっきの『凍える風』がよく効いた。

???「『電光石火』!逃げ切れ!」

ブラッキー「ブ……ブラッ!」

『エアカッター』を受けて苦しい状況、『電光石火』で回避を望む。

ライバル「逃すな!『噛み付く』!」

クロバット「バットッ!」

逃れようとするブラッキーに接近、決まりの手を出す。効果は薄くとも、蓄積が大きかった。
ブラッキー、戦闘不能
 ▼ 14 りゃブレイク◆vGr61AkWYY 17/05/31 21:22:49 ID:35TvvVVw [4/19] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
???「お疲れ様、ブラッキー」

五対五、イーブンに戻った。

???「任せた、ヤドキング!」

ヤドキング「やぁ〜ん……」

二体目、ヤドキング。タイプは水・エスパー、毒タイプのクロバットが戦いやすい相手ではないのは見えている

ライバル「交代だ、クロバット」

ボールに戻した安定して倒すならばレアコイル。だが、少し取っておきたい。ここは、

ライバル「いけっ!ゲンガー!」

耐性はなくとも、火力で押し切る
 ▼ 15 りゃブレイク◆vGr61AkWYY 17/05/31 21:35:49 ID:35TvvVVw [5/19] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ゲンガー「ゲンゲーン!」

ライバル「ゲンガー、『シャドーボール』!」

ゲンガー「ゲーン……ガッ!」

紫色の球体を生成、直線的にヤドキングに打ち込む。

???「『光の壁』!」

ヤドキング「やぁ〜ん……」

その球体を、光でできた分厚い壁が弾き返す。特殊攻撃は通りが悪い。

ライバル「続けて『悪の波動』!」

ゲンガー「ンガッ!」

攻撃の手は緩めない。攻めに徹していく。黒色の波紋は、ヤドキングの前で壁に反射したように映り込む。


この攻勢、攻め返してくるのかと思われるが、

???「『トリックルーム』!」

ヤドキング「……やぁ〜ん……!」

意表を突く、慎重なる一手
 ▼ 16 りゃブレイク◆vGr61AkWYY 17/05/31 21:42:03 ID:35TvvVVw [6/19] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ライバル「……!」

空間の書き換え、速さの逆転が起こる。

ゲンガー「ゲン……ンガッ……!?」

普段から早く動けるポケモンは、体の重さに驚く。

???「『サイコキネシス』!」

ヤドキング「やぁ〜ん……」

急に俊敏になったヤドキングには、反応すらつかない。強い念動力に、耐え切るのは困難。

ゲンガー「ゲン……ガァッ……!」バタッ

ゲンガー、戦闘不能

ライバル「……」

ライバル「お疲れ、ゆっくり休んでくれ」

 ▼ 17 りゃブレイク◆vGr61AkWYY 17/05/31 21:51:51 ID:35TvvVVw [7/19] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ライバル「まだまだ……!いけっ!レアコイル!」

レアコイル「ジジーッ、ビビッ!」

出し渋ってはいたが、そうとも言っていられなくなった。目の前のポケモンを、戦闘不能にしなければならない。

???「戻れ、ヤドキング!」

もちろん、そこまで読めているらしく、ヤドキングを下げる

???「よろしく、ハピナス!」

ハピナス「ハピナッ!ハーピナースッ」

三体目はハピナス。確実な受けを取りに来た。

ライバル「レアコイル、『放電』!」

レアコイル「ビビーッ!」

攻めかかる。しかし……

???「『火炎放射』!」

ハピナス「ハピッ、ハピナッ!」

『トリックルーム』はまだ続いている。
 ▼ 18 りゃブレイク◆vGr61AkWYY 17/05/31 22:00:22 ID:35TvvVVw [8/19] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ライバル「……!避けろ!」

レアコイル「ジジッ!」

咄嗟の判断より、直撃は免れたものの、効果は絶大。HPを大きく削られる。

ライバル「くっ……『ミラーショット』で撹乱だ!」

レアコイル「ジーッ!ビビビビッ!」

レアコイルのボディの反射光が集中し、光線を形成。ハピナスに連続的に放たれ、技の命中精度を落とす

???「『瓦割り』!」

ハピナス「ハピッ!」

接近、よく育てられており、撹乱程度では技はブレない。

レアコイル「ビービビッ……ジジジッ……ジジッ……」バタッ

レアコイル、戦闘不能

二対五、厳しくなってきた。

 ▼ 19 りゃブレイク◆vGr61AkWYY 17/05/31 22:12:21 ID:35TvvVVw [9/19] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ライバル「……」

ライバル「よくやった、レアコイル」

ボール戻し、一息呼吸を整える。

ライバル「もう一度……いけっ!クロバット!」

クロバット「バットッ!」

先ほど戻したクロバットを再び。ブラッキーからのダメージの蓄積が残っている。

しかし、ここで『トリックルーム』が切れた。素早さは当然クロバットが勝る。

ライバル「『毒々』!」

クロバット「バットッ!」

状態異常が決まる。そして、

ライバル「『怪しい光』!」

追い込んでいく。

ハピナス「ハピ〜ナ〜……」フラフラ

あとはじわじわと詰め寄るのみ
 ▼ 20 りゃブレイク◆vGr61AkWYY 17/05/31 22:20:06 ID:35TvvVVw [10/19] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ライバル「『エアカッター』!」

クロバット「クロバッ!」

ダメージを削る。毒が進む、混乱による自傷も乗る。

ハピナス「ハピ……ナッ……!」

蓄積ダメージも含めて、さすがに限界が出た。

ハピナス、戦闘不能。

???「よく頑張ったね、お疲れ様。ハピナス」

ボールに戻し、次のポケモンを出す。

???「任せたよ、バクフーン!」

バクフーン「バァン!」

4体目、バクフーン。背中の炎が燃え盛りが、やる気の度合いを象徴している。
 ▼ 21 りゃブレイク◆vGr61AkWYY 17/05/31 22:20:43 ID:35TvvVVw [11/19] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


ライバル「『噛み付く』!」

速攻を仕掛ける。だが……

???「『噴火』!」

レベル差か、一歩早い。

高火力の『噴火』をモロに受けてしまっては、立っているのも厳しい。

クロバット「バッ……バット……」バタッ

クロバット、戦闘不能

一対四。ついに王手がかかった。

 ▼ 22 りゃブレイク◆vGr61AkWYY 17/05/31 22:22:37 ID:35TvvVVw [12/19] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


〜〜



ライバル「くっ……オーダイル!」

投げたボールに力がこもる。最後の1匹だった。圧倒的。

最強のポケモントレーナーは、その少年じゃなかった。

最後まで本質ばかり見抜けなかった代償がここにあった。

結局、届くことはなかなかったのかもしれない。


 ▼ 23 りゃブレイク◆vGr61AkWYY 17/05/31 22:23:43 ID:35TvvVVw [13/19] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
オーダイル「グァッ!グァァッ!」

ライバル「オーダイル……いけるか……?」

俯き加減に呟いた質問には、答えは求めてはいなかった。



「……グァッ!グァンッ!」

返ってきたのだから、びっくりするしかあるまい。


一筋に進む方向が見えた。


淡く、細く、小さな光。進むには、充分だ。



なぜなら……その少年は……
 ▼ 24 りゃブレイク◆vGr61AkWYY 17/05/31 22:24:13 ID:35TvvVVw [14/19] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告









「どうした!まだ1匹残ってるぜ!」






最強のトレーナーに『なる』男だったからだ。


 ▼ 25 りゃブレイク◆vGr61AkWYY 17/05/31 22:25:24 ID:35TvvVVw [15/19] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


〜〜


その少年は負けてしまった。
手加減はなかったし、ポケモンに妥協もなかった。

今までがそうだったし、今のもそうだったはずだ。
むしろ、最も良いコンディションで、最も勝機のあったバトルだった。

ライバル「俺の負けは……認める……」

それに反し、どうも今まで以上に聞き分けは良かった。


ここにいるポケモンは、まだ最強じゃなかったと知った。



だから、もっと……。




もっと……。



 ▼ 26 りゃブレイク◆vGr61AkWYY 17/05/31 22:25:51 ID:35TvvVVw [16/19] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告






ライバル「……まあいい。邪魔して悪かったな」


踵を返して後ろを向いた。

歩いて階段を降りた。



そうだとも。


その少年は……俺は、こいつらと一緒にチャンピオンになるんだ。



〜〜

 ▼ 27 りゃブレイク◆vGr61AkWYY 17/05/31 22:27:09 ID:35TvvVVw [17/19] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告








〜〜




セキエイ高原の丘の上、黒い服に黒いズボン、黒いブーツを履いた赤い髪の少年が、その丘の一番高い席に座っていた。

一番強いポケモンを従えたそのトレーナーの横顔は、とても幸せそうにしている。




「こんなところまで来るとは、見所あるじゃねーか」

「だが残念だったな、チャンピオンの席に俺が座っていたのが運の尽きだ」
 ▼ 28 りゃブレイク◆vGr61AkWYY 17/05/31 22:28:49 ID:35TvvVVw [18/19] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告




「……そうだお前、これ、知ってるか?」

「アローラ地方、ってところにある、Zリング、ってやつでな」

「技が何だのと、そこの博士から色々うるさく言われたが……」

「要はつまり、ポケモンを信頼してれば強くなれるってことらしい」

「俺は、最強のポケモントレーナーになる男だ。俺ぐらいになれば、こんなもの簡単に使いこなせる」









「そんじゃあ…………ゼンリョクでいくぜ?」






 ▼ 29 りゃブレイク◆vGr61AkWYY 17/05/31 22:31:18 ID:35TvvVVw [19/19] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
突貫工事のため、上手くできてないところ多々あります。
とはいえ、間に合ったことがもはや奇跡。

バトルでライバル君の手持ちの技構成を見ながら発狂しかけたり、ジョウトっぽく作った主人公のパーティが耐久よりになったりして発狂しかけたです

楽しんでいただけたらなによりです。

お疲れ様でした、またどこかで
 ▼ 30 羽真◆Ju6JKuHffQ 17/05/31 22:57:23 ID:wxLLaFp2 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
乙でした!
 ▼ 31 リープ@コダックじょうろ 17/05/31 23:01:37 ID:A/D5dj2I NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
乙!
 ▼ 32 ロエッタ@ミュウZ 17/06/01 06:25:42 ID:0PtfWKNs NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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