【SS】 真っ赤な綿毛のクリスマス

少し暖かいこの場所にも

クリスマスが近づいて来ました。


冬になっても全然降らない雪ですが、

クリスマスが近づくと降りだします。


ふわふわで綿毛のような溶けない雪。

暖かくても晴れていても降る雪です。


そんな雪を

幼いポケモンたちは毎年楽しみにしています。

12月23日


今年最初の雪が降りました。

天気は晴れです。


ジグザグマ「わーいわーい！」

エネコ「ふわふわー！」


早速、ポケモン達が遊び始めました。

まずは感触を確かめます。

ふわふわで、体温で溶けることもありません。

雪は少しずつ積もっていきます。


マッスグマ「今年も無事に降りましたね。」

エネコロロ「ええ。いつもの雪で安心するわ。」


親ポケモンも、この雪を見ると嬉しい様子。

毎年この時期に降る雪に、やっと冬を感じます。

子供たちは、雪を丸め始めました。

どうやら、雪合戦をするようです。


ジグザグマ「えいっ！」

エネコ「わっ！ でも痛くない！」


ふわふわな雪は当たっても痛くありません。

親からしたら安心です。

この変わった雪を、存分に楽しみます。

12月24日


次の日も、きちんと雪が降りました。

昨日降った雪はまだ溶けていません。

ますます積もっていきます。


それでも、この雪はふわふわです。

埋まって動けなくなることはありません。


ジグザグマ「ふわふわで気持ちいい！」

エネコ「あったかーい！」


積もった雪に体をうずめます。

ふかふかのベッドの様に、体を包んで暖めます。


マッスグマ「寝たら駄目よ？」


そんなお母さんも気持ち良さそう。


明日はクリスマスです。

皆もわくわくしています。

12月23日 とある高台



マニューラ達は空に向かって氷のつぶてを発射します。

すると、白い綿毛の塊が地面に落ちました。

それから綿毛を丁寧に剥ぎ取ります。


半分は風に飛ばし、

もう半分はデリバードに渡しました。


たくさんのマニューラ達が、

こうして「雪」を降らせています。

一方デリバード達は、

受け取った綿毛を、また半分に分けます。

片方は赤く染める用です。

残りは体に付けていきます。

よく見るとこのデリバード達、

体の毛が薄いのです。

この地は比較的温暖なので、

ふさふさな体毛は必要ありません。


それでも、クリスマスの日にプレゼントを配るため、

サンタらしくふわふわな毛で登場したいみたいです。

だからこうして、体に綿毛をつけていきます。

白い綿毛を付け終わると、残りを赤く染める作業です。


すでに綿毛が剥ぎ取られた場所に向かい、

残骸から赤い染料を取り出します。

そして綿毛を赤く染め、

それを体に付けていきます。


デリバードはどんどんふさふさになって行き、

サンタデリバードの完成です。

この作業を二日に渡って行います。

皆さん大忙しです。

12月25日


いよいよ、クリスマスがやって来ました。


マッスグマ「今年も楽しみね。」

エネコロロ「ええ。」


親たちまで、心が浮かれています。

皆それぞれ友達と集まり、

プレゼント交換やパーティーを楽しみます。

そして、今日もまた「雪」を待つのです。

夕方

たくさんのポケモン達が、広場に集まってきました。

皆そわそわして、その時を待ちます。

しばらくして、


「メリークリスマス！」


どこからか声がしました。

それを合図に、

空から、真っ赤な雪が降ってきます。


夕焼け空と合わさって、

とても綺麗な眺めです。


ジグザグマ「すごーい！」

エネコ「雪が赤い！ きれーい！」


マッスグマ「毎年見てるけれど、やっぱり素敵ね。」

エネコロロ「やっぱりクリスマスはこうでないとね。」

そして、上空からデリバード達がやって来ます。

ふさふさサンタのデリバードです。

オドシシにまたがり、

上からそっとプレゼントを落としていきます。

それらはまっすぐ子供たちの所へ向かい、

確実に届けられるのです。


ジグザグマ「わあい！ サンタさんありがとう！」

エネコ「早く開けたい！」

エネコロロ「おうちに帰ってからね。」



マッスグマ「毎年思うことだけれど、デリバードはどこから来てるのかしら？」


普段高台に行かないポケモンにとって、

デリバード達は未知の世界のポケモンでした。

クリスマスの日だけに姿を見せることもあり、

謎のポケモンという印象でした。

プレゼントを配り終えたデリバード達は、

高台に戻ってきました。

辺りはすっかり暗くなっています。

今度は彼らが楽しむ番です。


体に付けた綿毛を剥がし、綿毛の塊の残害に被せます。

ただの青い物体となっていた残害に、白が戻りました。

赤く染まったものもありますが、それも「彼ら」の一部です。

心なしか、嬉しそう。


そして、デリバードはそれに火を付けました。

キャンプファイアーの始まりです。

デリバードやマニューラ、オドシシが火を囲みます。

今年もお疲れ様、とはしゃぎます。


やがて全て燃え尽きると、

皆で眠りにつきます。

今年のクリスマスも、もうおしまいです。





とある場所の



「当たり前」のクリスマスのお話。




真っ赤な綿毛のクリスマス


〜完〜

乙です

乙

乙です

毛をよこせよ氷4倍