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【バレンタインSS】ルリ「……やっぱり、愛情を込めないチョコレートなんて作れそうにないね……あはは……」

 ▼ 1 ちっど◆.jJQDDIcAM 23/01/14 19:10:44 ID:cMCIxe1o NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
チラーミィ「ミィ?」

ルリ「あ、ううん、大丈夫、みんなの分は大好きって気持ちをたくさん込めるから。愛情を込めないのはキョウヘイくんの分の話だよ。」

ルリ「これ、試しに作ってみたんだけど……どうしても受け取る相手のことを考えなきゃって思っちゃって。」

チラーミィ「チラミィ?ミィ!チャーミィ!」バンバン


きれい好きのチラーミィにしては珍しく、埃が出そうなほどしっぽで地面を叩いている。……つまり、猛抗議。


ルリ「もう、チラーミィったら……もちろんこれはキョウヘイくんのじゃなくてあなたのだよ、はい。」

チラーミィ「チラミィ♪」パクパク

ルリ(わたしが作るった料理を一番にあげないとすごく怒ること以外はお利口さんなんだけどね……まあ、そこもかわいいんだけど。)

ルリ「ふふっ、どうかな、味見隊長さん。」

チラーミィ「チラーミィ!」


くるっと回っての元気な返事。機嫌は治ったようだ。


ルリ「おいしかった?……よかった、味見ありがとうね。やっぱり愛情たっぷりの方がおいしいに決まってるよね。」

ルリ「キョウヘイくんにも食べてもらいたかったけど……彼女さんがいるのにそんなことしちゃったら……」


言いかけて脳裏に浮かぶのは少し困ったような……嬉しそうな顔をしながら自分に彼女ができたと報告してきた想い人のことだった。


ルリ「……だから……ぐすっ……」

チラーミィ「ミィ?」

ルリ「ごめんね。ちょっと思い出しちゃっただけなの。まだ受け入れられなくって。」

ルリ「パートナーに心配させちゃうなんて、わたしもトレーナーとしてまだまだだね……あはは」
 ▼ 12 ちっど◆.jJQDDIcAM 23/01/17 01:29:11 ID:uVOg4hVg [1/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


ルリ「今日も持ってきちゃいました……あはは」

キョウヘイ「お、ありがたいねえ。へえ、今日はいちごなんだ。いただきまーす。」

キョウヘイ「うん、おいしい……!ちゃんと甘酸っぱいいちごのチョコっておいしいよね!この酸味が残るのが大事っていうか。」

ルリ「それ、ちょっとわかるかも。」

キョウヘイ「だよね!」

ルリ「うん!……今日は彼女さんと会ったの?」

キョウヘイ「いや、今日は別に。電話は後ですることになってるけど。」

ルリ「そ、そうなんだ。」

キョウヘイ「いやそれにしてもいちごチョコおいしかったよ!ありがとうね!」

ルリ「あはは……どういたしまして。」
 ▼ 13 ちっど◆.jJQDDIcAM 23/01/17 01:35:53 ID:uVOg4hVg [2/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ルリ「ふふ……今日はいい収穫があったよチラーミィ。なんとキョウヘイくんはいちごのチョコが好きだったみたいなんです!お手柄だね、チラーミィ!」

チラーミィ「ミィ?」

ルリ「……まあ、毎日電話したりする人がわたしだけじゃないっていうのは……その、ちょっと……ううん、仕方ないよね。今のキョウヘイくんならそれが普通だよ。」

ルリ「それじゃあ明日はどれにしようかな。ナッツもいいけど抹茶も……食べ比べてみないと……」

ルリ母「ちょっとルリ。あなた最近お菓子食べ過ぎじゃない?」

ルリ「えっあっ……そ、そう、かも?気をつけるね、あはは……」

ルリ母「本番近いんだから気をつけなさいね。」

ルリ「うん、わかってるよ。」

ルリ「……というわけでわたしは食べられないから味見隊長さんにおまかせしようかな。好きなチョコレートを選んで。」

チラーミィ「ミィ!」パシッ

ルリ「う〜〜〜ん……ミルクチョコレート2回目はちょっと違うかな……ごめんね、他のにするよ。」
 ▼ 14 ワーク@ふるいポエム 23/01/17 03:14:03 ID:ngJcZ.W6 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
つら
 ▼ 15 ちっど◆.jJQDDIcAM 23/01/17 19:33:55 ID:uVOg4hVg [3/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


ルリ「今日は抹茶味を持ってきてみたんだけど……どうかな?」

キョウヘイ「お、ありがとう。いただきまーす。」

キョウヘイ「うん、おいしいね。」

ルリ「そうだね……あ、わたしのも……半分だけど食べてくれないかな。」

キョウヘイ「え?でも俺は自分の分食べたし……」

ルリ「ちょ、ちょっとね。このチョコレート以外にも色々食べて研究してたんだけど……お母さんに怒られちゃって。あはは……」

ルリ「これぐらいじゃ変わらないかもしれないけど、気分の問題、かな?」

キョウヘイ「なるほど。大変なんだね、色々。」

ルリ「あはは……そうだね、大変かも。今の時期って色んなお店が限定メニューとか出したりするから全部食べようとするのも大変だし……そういうのは人気もあるから並ぶのも大変だしね。」

ルリ「限定メニューじゃないけど相変わらずヒウンアイスは買えないんだよね……わたしが買う頃にはいつも売り切れで……」

ルリ「……あっごめんね、わたしったら1人で長々と……///」

キョウヘイ「ううん、俺もルリちゃんの話聞くの楽しいし。それに、ルリちゃんが笑ってる方がなんか安心するっていうか……ここ最近あんまり見てなかった気がして。」

ルリ「そ、そうかな……あはは」

ルリ「……わたしもキョウヘイくんと一緒にいると落ち着くっていうか……ありのままでいられる気がするんだ。な、なんてね……あはは……///」

キョウヘイ「ふふ、もしかしたら俺もそうなのかも。」

ルリ「っ!///」



ルリ(か、勘違いしちゃダメ……今のはなんとなく話を合わせてくれただけで、決してわたしがそういう相手ってわけじゃないから……)



ルリ(……本当に、そうだったらいいのに……)
 ▼ 16 ビビール@すいせんじょう 23/01/17 22:26:15 ID:cZeMW3L6 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 17 ちっど◆.jJQDDIcAM 23/01/17 22:53:18 ID:uVOg4hVg [4/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ルリ(わたしと一緒にいるとありのままでいられる、かぁ……前だったら素直に喜べたのに……)

ルリ(そういえば今日は彼女さんの話してなかったし……いやいや、それはないよね。)

ルリ(でもでも!話を聞くのが楽しいっていうのは本心からの言葉として受け取ってもいいよね!だからどうってわけじゃないけど……)

ルリ(明日はナッツの入ったチョコレートでも持っていこうかな。)


ティロリロリンティロリロリン♪ティロリロリンティロリロリン♪


ルリ(こんな時間に……もしかしてキョウヘイくんかな?1日に2回も掛けてくれるのってちょっと久しぶり……♪)

ルリ「もしも〜し?」

ルリ母『ちょっとルリ、もう夕飯の時間なんだけどまだランニング終わらないの?チラーミィだけ戻ってきたわよ。』

ルリ「えっうそっ!?あっ本当にいない!」

ルリ「あ、あれ……?というかここどこだっけ……?」

ルリ母『大丈夫?道がわからないならお父さんに迎えに行ってもらうけど。』

ルリ「あ、ううん、向こうに知ってる建物見えたから大丈夫。ごめん、すぐ戻るから先に食べ始めてて!」


プツリ

ルリ(……考え事してたら随分遠くまで来ちゃったんだね。まあ、まだ少し考えたかったからこれはこれでいい……かな?)
 ▼ 18 ちっど◆.jJQDDIcAM 23/01/17 23:24:01 ID:uVOg4hVg [5/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


キョウヘイ「……大丈夫?なんだか疲れてない?」

ルリ「あ、あはは……今日はその、仕事が大変だったから。今日もチョコレート持ってきたよ、はい。」

キョウヘイ「ありがとう。じゃあいただきます。」

キョウヘイ「……おいしっ」

ルリ「うん……こういうのってちょっと元気が出るよね……」

キョウヘイ「疲れてるっていうかもう眠そうだけど……」

ルリ「そうだね、疲れすぎて……キョウヘイくんじゃなかったら寝てるかも。」

キョウヘイ「寝てても大丈夫だよ?」

ルリ「そんなことしちゃったらせっかくの時間が勿体ないよ。……彼女さんとは最近どう?」

キョウヘイ「……正直ちょっとうまくいってない気がする。最初の方ってそんなものなのかな?」

ルリ「ど、どうなんだろうね?わたしもわからないから……あはは……」

キョウヘイ「そうなの?てっきりそういう経験はあるものかと……」

ルリ「そう?どうして?」

キョウヘイ「……その、俺と……異性と話してても全然緊張しないし、ちょっと大人っぽいし……か、かわいいから?」

ルリ「そっそういうのは彼女さんに言ってあげないと……/// う、嬉しいんだよ?嬉しいんだけど……///」

ルリ「とにかく、ありがとう……じゃなくて恋人がいるのにそんなことを他の女の子に言ってたら大変なことになっちゃうから……」

キョウヘイ「そ、そっか。ごめん。」
 ▼ 19 ちっど◆.jJQDDIcAM 23/01/18 02:53:37 ID:djJsHjxM NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ルリ(キョウヘイくんったら……彼女がいる人が女の子をあんな風に褒めたりしたらフィクションじゃ浮気が始まるお決まりのパターンになっちゃうんだからね?)

ルリ(でも……今までそういうの理解できなかったけど……正直、好きな人からの言葉ってルールとか関係なく嬉しいっていうか……)

ルリ(でも、わたしはポケドルだから……誰かを悲しませるより笑顔にするような人でなくちゃ。今はキョウヘイくんと彼女さんの幸せを願わないと。うまくいってないって言ってたし……)

ルリ「あれ、チョコレートは?」

チラーミィ「……ミッ!?」モグモグ

ルリ「……もしかして全部食べちゃったの!?」

チラーミィ「……。」スンッ

ルリ「もう!あれだけ食べ過ぎはダメって……わたしとキョウヘイくんの分もないし……あっそうだ」

ルリ「ビターなのがどこかに残ってたはずなんだよね。でもキョウヘイくん食べれるかなぁ……?」

チラーミィ「ミィ?」

ルリ「あなたはビターなのあまり好きじゃないでしょ。それとも挑戦……ううん、今日はダメ。というか流石に食べ過ぎだからしばらくお菓子は禁止だよ!」

チラーミィ「ミ゛ッ!?チ゛ラ゛ミ゛ーッ!!!」バンバンバン


“お菓子” “禁止” という言葉で理解したのか凄まじい抗議が始まった。

しかし今回は単にチラーミィが約束を破っただけである。性格上のことだった前回と違い、ルリの方もそう甘くはない。


ルリ「へぇ……そんなにお菓子が欲しいの?これなら毎日食べてもいいけど……」


差し出したのはミント味のガム。チラーミィが恐らく1番苦手とする味だ。


ルリ「運動のご褒美もこれに変えちゃおうかな……?なんて」

チラーミィ「ミ、ミィ……」

ルリ「反省した?もう……お菓子はほどほどに、だよ?」


ルリ(はぁ……わたしが見てないだけでこんなことになっちゃうなんて……ちゃんとしつけはできてると思ってたんだけど……)
 ▼ 20 ちっど◆.jJQDDIcAM 23/01/19 01:33:43 ID:Woak4tVo [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


ルリ「はぁ……ポケモンのしつけってどうやったらいいのかなぁ……」

キョウヘイ「しつけ?」

ルリ「うん。最近パートナーがお菓子を食べ過ぎちゃって。キョウヘイくんってポケモンを育てたりすることに詳しいし、アドバイスとか貰えたらありがたいんだけど……」

キョウヘイ「そうだなあ……ずる賢いところがある子はどうしても言う事聞かないときがあるんだよね。そういうときは何か別のことで発散させてあげたらうまくいったり……」

ルリ「なるほど……」

キョウヘイ「あとはトレーナーの心の変化に敏感な子もいるらしくってさ。聞いた話なんだけど悩み事をするようになってから言う事を聞いてくれなくなった人もいるとか。」

ルリ「悩み事……」

キョウヘイ「まあその分、普段は素直に指示に従ってくれるらしいけどさ。まあ、俺がなんとなく教えられるのはこれぐらいかな?」

ルリ「……そっか。ありがとう、結構心当たりがあったよ……あはは」

ルリ「それで今日のチョコレートなんだけど……」

キョウヘイ「……これってちょっと苦いやつ……だよね?」

ルリ「え、えっと……うん、そうなんだよね。大丈夫?」

ルリ(見たことないぐらい渋い表情してる……)

キョウヘイ「ま、まあ……せっかくだからいただこうかな、はは……」


キョウヘイ「いただきます……」

ルリ「だ、大丈夫……?」

キョウヘイ「……。」

ルリ「ごめん、苦手な味……だよね」

キョウヘイ「い、いや……」

ルリ「わたしも迷ったんだけどチラーミィが甘いのは全部食べちゃったの。明日も持ってくるならこれになるんだけど……」

キョウヘイ「た、たまにはなくてもいいんじゃないかな?」

ルリ「……そうかもね。あの、本当にごめんね。」

キョウヘイ「別に……というかルリちゃんは食べれるんだね。」

ルリ「うふふ、わたしはそこそこ好きなんだ、これ。」

キョウヘイ「へ、へぇ……」
 ▼ 21 ちっど◆.jJQDDIcAM 23/01/19 03:00:55 ID:Woak4tVo [2/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ルリ(キョウヘイくんの好みはこれで大体わかったかな。1番好きなのはいちごで逆にビターは絶対NG。でもビターで作ることになってもそれはそれで大変だったからよかったのかな?)

ルリ(あとはこの研究成果を元にチョコレートを作ればいいんだよね。……義理チョコみたいなものだけど。)

ルリ「チラーミィ、そろそろ寝るからボールに戻ろうね。」

チラーミィ「……。」スンッ

ルリ「もう……モンスターボールはここに置いておくから気が済んだら入ってね。なるべく早く寝るんだよ。おやすみ。」


チラーミィは機嫌がよくないとずっと毛づくろいをして他のことをしないときがある。

昔ケンカをしたときなどはよく見た光景だった。


ルリ(お菓子が食べられないのが不満なんだね、きっと。それとも……)

『トレーナーが悩み事をするようになってから言う事を聞いてくれなくなった人もいるとか。』

ルリ(確かにここ最近はそうだけど……でもそんなこと言ってもどうにもならないし、そもそも普段から悩み事だらけみたいなものだし、今更……)


そんな言い訳をしつつも、いざ好きな人のことを考えると胸のあたりがきゅうっとなってしまう。


ルリ(……わたしのバカ。もう諦めるって決めたんだから。……それなのになんで、涙なんか流してるの……)
 ▼ 22 ちっど◆.jJQDDIcAM 23/01/21 01:39:18 ID:8acwpRfw NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「それじゃあ一旦休憩ね。」

ルリ「はい!」


2日後に迫った本番を前に、ルリは今日もレッスンに励んでいたのだが……


ルリ「……大丈夫?チラーミィ……」

チラーミィ「……。」スンッ

ルリ(調子が悪いのかやる気がないのか……今日はチラーミィのミスが妙に多いんだよね。)

ルリ(パートナーのコンディションを整えてあげるのもトレーナーの役目なんだけど……正直どっちとも取れる上にするべき対応も違うし……)

ルリ(今回はチラーミィ以外の子と出る……とか?でも普段だったらあの子ってこういうのはりきってやってるはずで……)


ルリ「ねぇ、チラーミィ……」

チラーミィ「ミィ?」モグモグ

ルリ「……え、あなた、そのお菓子どこに隠してたの……?」

チラーミィ「……。」スンッ

ポンッ!!


プリン「ぷりぃ!」

ルリ「わっ……急に出てきてどうしたのプリン?」

プリン「ぷり!ぷりぷりぃ!」

ルリ(……そういえばプリンも結構こういうの張り切る子だったね。励ましに来たのかお説教しに来たのか……どっちにしても)

ルリ「えーっと……お願いしちゃっていいかな?」

プリン「ぷり!」


プリン「ぷり、ぷりぷり?」

チラーミィ「……チラーミ」

プリン「……ぷり!?ぷり!ぷりぷりり!💢」

チラーミィ「チラチラチラチラ!ミィ!💢」

プリン「ぷりりぃ!💢」

チラーミィ「ち゛ら゛ぁ゛!💢」

ルリ「ちょ、ちょっと!ケンカはやめて!」
 ▼ 23 バチャ@しんかのきせき 23/01/21 07:01:29 ID:UNawDn0. NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 24 ちっど◆.jJQDDIcAM 23/01/22 14:06:04 ID:qH5kMfY2 [1/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ルリ(結局今日は最後までチラーミィの動きはよくならなかったなぁ……プリンが怒ったってことは多分やる気の方の問題だとは思うんだけど。チラーミィの性格を考えたら原因はわたし……だよね)

ルリ(……ううん、原因がどうこうじゃなくてわたし……本気で叱るっていうのが怖いのかも。そもそも本当に叱るべきなのかもそれでいい方向に行くのかもわからない……)

ルリ(答えの出ないことを1人で考えても仕方ないよね。こういうときこそキョウヘイくんに相談しよう。話せば少しはすっきりするかも。)

ルリ「……遅いなぁ」



キョウヘイ「あ、ルリちゃん……ごめん、遅くなった。」

ルリ「あっキョウヘイくん!……どうしたの、元気がないみたいだけど……」

キョウヘイ「……そう?まあそうなるか、はは……。とりあえず乗ろうよ。」

ルリ「う、うん。」

ルリ(まあそうなるって……何かあったのかな)
 ▼ 25 ちっど◆.jJQDDIcAM 23/01/22 17:56:10 ID:qH5kMfY2 [2/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
いつものように観覧車に乗り込む。

ようやく笑顔の戻ってきたこの空間だったが、今日はまた少し空気が重い。


キョウヘイ・ルリ「「あの……」」

キョウヘイ「ごっごめん!お先にどうぞ……」

ルリ「ううん!わたしはキョウヘイくんの話が聞きたいなーって思って……あはは」

キョウヘイ「そ、そうなの?」

ルリ「うん。」

キョウヘイ「それじゃあ……あんまり面白い話じゃないんだけどさせてもらおうかな。」









キョウヘイ「……実はさ、別れたんだ。」




キョウヘイは少し悲しそうな……それでいて、あの日のように少し困ったような顔でそう告げた。
 ▼ 26 ちっど◆.jJQDDIcAM 23/01/22 18:26:18 ID:qH5kMfY2 [3/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ルリ「……え?わ、別れたって……その、彼女さん?」

キョウヘイ「そうだね。」

ルリ「そうだねって……どうしたの!?何があったの!?」

キョウヘイ「……元々相手の子は結構長い間アプローチしてくれててさ。それでそろそろお試しで付き合ってみようと思ったのが始まりだったんだ。」

キョウヘイ「でも……でもダメだったんだ。それに応えられるぐらい愛せなかったし……相手の子にもそれが伝わったのかな、ショックだったみたいで。」

キョウヘイ「だからとりあえず、関係は終わりにしたんだ。なんでかな、後悔はあんまりなかったんだよね。心に何も来なかったわけじゃないけど……」


ルリ「そ、そうだったんだ。えっと、大変だったね……じゃなくて……」

ルリ「……ごめんなさい、何か気の利いた言葉をかけられたらいいんだけど……」

キョウヘイ「大丈夫大丈夫。気づかいだけで十分ありがたいよ。……こうやって話している方が少しは元気になれる気がするし。」
 ▼ 27 ちっど◆.jJQDDIcAM 23/01/22 22:53:49 ID:qH5kMfY2 [4/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ルリ(キョウヘイくんは気遣いだけでありがたいなんて言ってたけど……それはちょっと違うよ。わたしはただ……嬉しいって思っちゃっただけなの。キョウヘイくんは傷ついているはずなのになかなかそんな言葉が出てこなくて……)

ルリ(でも、とにかくこれでまた心配なしにキョウヘイくんと一緒にいられるんだよね。よかったぁ……)

チラーミィ「……。」ジーッ

ルリ「チラーミィ?どうしたの?」

チラーミィ「……。」スンッ

ルリ「もう、何しに来たの……あはは」

ルリ(これでわたしの悩み事もなくなったし……今はあんな風だけど明日からはきっとチラーミィも本気でやってくれるはず!そうだ、明日はチョコレートも作らないと。)

ルリ(……別れたところにいきなりっていうのもあれだし、ひとまず義理チョコを渡すつもりだけど。今はそれでいいよね……)
 ▼ 28 ちっど◆.jJQDDIcAM 23/01/22 23:01:07 ID:qH5kMfY2 [5/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


自分とキョウヘイとの時間が脅かされるものがなくなり、一安心といったところのルリ。

心配事のなくなった軽い心でレッスンに臨んでいたが……


「……ひとまず休憩にしましょうか。」

ルリ「はぁい……」

ルリ(あれ……なんだか今日のダンス、全然納得のいく出来じゃないみたい……?)

ルリ(どうして?もうわたしにとって雑念になるものなんてないのに……チラーミィも相変わらずどころかもっとひどいし……)
 ▼ 29 ちっど◆.jJQDDIcAM 23/01/22 23:22:32 ID:qH5kMfY2 [6/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ルリ(余計なものが入ってなくてダメなら……何かが足りないってことかな。)


通路の方に出て1人になり、先程撮影した自分のダンスを見返す。

行き詰まったときはこうすればヒントが見つかる。昔からの習慣だった。


ルリ(うーん……自分じゃ動きが微妙、ぐらいの感想しか出てこないなぁ……あはは)

テンマ「お、ルッコちゃん。こんにちは。」

ルリ「テっテンマくん!?こ、こんにちは……ここで会うなんて珍しいね。」


テンマ。彼はルリと同じく売り出し中のポケドルであり、ルッコの……ルリのライバルである。


テンマ「地図を見ないで通ってたら少し遠回りになってしまったんだよね。休憩中?」

ルリ「うん。今、自分のダンスに足りてないものを探そうとしているんだけど……1人じゃ見つかりそうにないからテンマくんも見てくれないかな?」

テンマ「なるほど。研究も兼ねて少し見させてもらおうかな。」
 ▼ 30 ちっど◆.jJQDDIcAM 23/01/22 23:30:56 ID:qH5kMfY2 [7/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ルリ「どうかな?」

テンマ「そうだね……なんというかこう、最近ルッコちゃんがパワーアップした部分の魅力が少し欠けてると思うかな。」

ルリ「パ、パワーアップ?そんなことしてたかな?」

テンマ「ボクはしてたと思うよ。かっこかわいいっていうのに加えて甘酸っぱさが増えた気がしていたけど……」

ルリ「甘酸っぱさ……そうなんだね、ありがとう。」

テンマ「……流石だね、ボクももっと頑張らないと。アハハ!」

ルリ「うん。お互い頑張ろうね!……あはは」





ルリ(甘酸っぱさ……甘酸っぱさかぁ。最近増えた魅力って言ってたけど……いつ何がきっかけでそうなったんだろう。)

ルリ(『ハートスイーツください』も……甘酸っぱい曲だよね、チョコレートがテーマの1つだからなんか不思議な気もするけど……)
 ▼ 31 ちっど◆.jJQDDIcAM 23/01/22 23:45:18 ID:qH5kMfY2 [8/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ルリ「……出てきて、チラーミィ。」


ポン!

チラーミィ「ミィ……?」

ルリ「あなたがこのところやる気を出していないのって……わたしに甘酸っぱさが足りてないのが原因だったの?」

チラーミィ「……?」

ルリ(……そうだよね、いくら賢いとはいっても『甘酸っぱさ』っていうのは流石に伝わらないよね。)

ルリ「甘酸っぱさっていうのは……」


ティロリロリンティロリロリン♪ティロリロリンティロリロリン♪


ルリ「!?……キョウヘイくんからだ……ちょっと待ってねチラーミィ。」

ルリ「はい!もしもし!」

キョウヘイ『あ、ルリちゃん?今日も会えないかなって思ったんだけど……』

ルリ「えっと……ごめんなさい、今日と明日は忙しくて……会えそうにない、かな。」

キョウヘイ『……そっか。ごめんね、ありがとう。』

ルリ「あっでもね、渡したいものがあるから明日……いつもより遅い時間だけど会えるかな?」

キョウヘイ『いいの?もちろん大丈夫だよ!それじゃあまた……』


ルリ「ま、待ってキョウヘイくん!」

キョウヘイ『は、はいはい。』


ルリがチラーミィの方に視線をやると、目線も耳もこちらに向けているようだった。


ルリ(やっぱり……あなた、いつもこれを見聞きして……つまりあなたにわかる甘酸っぱさっていうのは)

ルリ「キョ、キョウヘイくん。キョウヘイくんは彼女がいたら嬉しい?」

キョウヘイ『え!?う、うーんどうなんだろう……好きな人とそういう関係になれたらとは思うけど』

ルリ「……そっか。あ、あのね……もしも彼女が欲しくなったら……わたし、彼女候補に立候補しておくから……///」

キョウヘイ『……えぇぇぇぇ!?///』

ルリ「なんてね!あはは……そ、それじゃあもう仕事が始まるからまたね!///」

キョウヘイ『えっちょ』

プツリ


ルリ「……言っちゃった……///」
 ▼ 32 ちっど◆.jJQDDIcAM 23/01/23 00:07:55 ID:XkJwOlZw [1/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
『わたし、彼女候補に立候補しておくから……』


ルリ(あぁぁぁぁもう本当にわたしは何を……///)プシュー


自分の言葉で沸騰しそうな頭を必死に冷やし、レッスン再開。


ルリ(うぅ……心の方はどうにかなった気がするけどまだほっぺたが熱い……)

ルリ(甘酸っぱさ……それはきっとキョウヘイくんへの恋心から来るものだからそれを一度溢れさせてみれば何かわかるかと思ったけど……やっぱりあれはやり過ぎたよね……?)


「集中しなさいルッコ!」

ルリ「あ、すみません……」

「全く……チラーミィがようやくやる気をだしたんだから、トレーナーもしっかりするところだろう。」

ルリ「チラーミィが……!?あの、少し録画見てもいいですか?」


録画していた映像を確認すると、確かに……絶好調というほどではないが、今までのやる気のなさそうな動きとは真逆と言っていいようなチラーミィの姿があるのだった。


ルリ(……自分のことで精一杯で全然わからなかった……)


ルリ「チラーミィ……また、一緒に頑張ってくれる?」

チラーミィ「ミィ!」

ルリ「うふふ、ありがとう。」

ルリ(そうだった……わたし、この苦しいぐらいの想いと……アイドルの楽しさ、両方を歌とダンスに込めていたんだった……)




ルリ「……もう大丈夫だね。わたしも、あなたも。」
 ▼ 33 ちっど◆.jJQDDIcAM 23/01/23 02:51:51 ID:XkJwOlZw [2/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ルリ(あとは焼き上がるのを待つだけ。これでクッキーは終わり……かな)


レッスンを終えてくたくたになってもルリにはまだやることがあった。

それはもちろん、バレンタイン用のお菓子の準備である。


ルリ(それじゃあチョコレートの方を作っていこうかな。)


用意しておいた板チョコを湯せんし、温度に気をつけながら溶かしていく。

先に作るのはミルクチョコレート。ルリや家族にとってはお馴染みと言えるものだ。


チラーミィ「チャーミ♪チャーミ♪」

ルリ「こらこら、これは明日改めてあげるんだからできても直ぐに食べちゃだめだよ?もちろんクッキーもね。」


溶かしたチョコレートを型に入れ、トッピングで飾り付け。


ルリ(作るときは食べる人への思いを込めないとね。家族の場合は……やっぱり大好き、かな。)


その工程が終わったところで今度はいちご味のチョコレートを取り出し、これも溶かしていく。


ルリ(……こっちのチョコレートにも恥ずかしくなっちゃうぐらい……愛情を込めてみようかな、なんてね。あはは……)

ルリ(家族と同じぐらい……ううん、ちょっと違うね。だけど……大好き。キョウヘイくん……わたしはあなたが好き。)


溶かし終わったところで型に注いでいく。先程家族用に作ったものとは違う、少し大きなハートの型。


ルリ(ハート型のチョコレート……それに、クッキーもいくつかハート型のにしたんだよね。キョウヘイくんの分なんだけど……)

ルリ(よ、よく考えたら露骨すぎるかな……?義理チョコとして渡すとはいえこんなにハートまみれじゃ……)


『わたし、彼女候補に立候補しておくから……』


ルリ(そっそもそもあんなこと言ったあとで義理チョコっていうのは無理があるよね!?あぁぁぁぁどうしよう……///)


ルリ(……そうだね、ここまでしちゃったからにはもういっそ……それでも、いいのかな)
 ▼ 34 ちっど◆.jJQDDIcAM 23/01/23 21:40:32 ID:XkJwOlZw [3/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


本番まで、あと数分。

ルリは緊張とも高揚とも取れる自分の心の動きを鎮めつつ、その時を待っていた。


ルリ(……大丈夫、今のわたしに怖いことなんてない。それに)

チラーミィ「……!」


ルリの視線に応えるようにくるりと回って決めポーズ。気合十分といった感じだ。


ルリ「うん、頑張ろうね。今日はバレンタインだもん、色んな人に勇気をあげられるようなステージにしないとね。」



司会「それでは本日のスペシャルゲスト!ポケドルのルッコちゃんの登場です!」

ルリ「……いくよチラーミィ。」


ルリ「は〜いこんばんは!ルッコです!」

司会「今日はバレンタインということで、ルッコちゃんバレンタインといえばあの曲!『ハートスイーツください』を歌ってもらいます!」

ルリ「あはは……生放送なので少し緊張しますけど、チラーミィと一緒にみんなのために頑張ります!」

チラーミィ「ミィ!」

司会「お、なかなかの意気込みですね!それでは歌ってもらいましょう!『ハートスイーツください』」



ルリ(……ふふ、やっぱりこの瞬間って好きだな。)

ルリ(嬉しいこともそうじゃないことも……楽しいって気持ちに変えてみんなに伝えられちゃうから!)


ルリ「みんな いくよー!」
 ▼ 35 ちっど◆.jJQDDIcAM 23/01/23 21:45:19 ID:XkJwOlZw [4/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
>>34
誤字
ルッコちゃんバレンタイン
→ルッコちゃんとバレンタイン
 ▼ 36 ちっど◆.jJQDDIcAM 23/01/23 22:00:25 ID:XkJwOlZw [5/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ルリ(……久しぶりにちょっぴり夢中になって歌っちゃった。頑張ろうって思ったらつい……あはは)


帰りの車の中、そんなことを考えながらルリは外の景色を眺めていた。

ルリ(甘酸っぱさを取り戻したわたしのステージ……どうだったのかな。チラーミィも気合入ってたしきっといい感じだと思うけど……後で確認しないとね。)

ルリ(チラーミィのこと、たくさん褒めてあげたいな……でも、今日はもう疲れて寝ちゃったみたいだし、また明日かな。)

ルリ「あっお父さん、この辺で降ろしてくれないかな。」

ルリ父「うん?どうしたんだルリ。」

ルリ「えーっと……ちょっと友達と待ち合わせをしててね。終わったらすぐに帰るから。」

ルリ父「……わかった。もうかなり暗いからなるべく早くな。」

ルリ「うん、ありがとう。」


ルリが降りたのはライモンシティの近く、いつもの待ち合わせ場所ヘ向かう道。


ルリ(許してもらえるか心配だったけど……よかった。これでキョウヘイくんに会えるね。)

ルリ(それで、このチョコレートを……)


念のためカバンから出して確認する。

取り出したのは可愛らしくラッピングされたハート型のクッキーとチョコレート入りの袋。

ルリが昨晩心を込めて作ったお菓子だ。


ルリ(キョウヘイくん、喜んでくれるかな……)
 ▼ 37 ちっど◆.jJQDDIcAM 23/01/23 22:27:46 ID:XkJwOlZw [6/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ルリ(そうだ、キョウヘイくんになんて言って渡すか考えないと。最初の予定ならいつもありがとう、とかでよかったんだけど……)

ルリ(シンプルにいくなら……わたしの想いを受け取ってください、とか……?シンプルすぎて逆にすごく恥ずかしいけど……///)

ルリ(……やっぱりありがとうって言って渡すだけでいいんじゃないかな?本番はもう終わったんだし、別に今日はそんなことをしなくても……)

ルリ(で、でも早く自分の想いを伝えないとまたこの前みたいにキョウヘイくんが他の人と……そもそも伝えたところでわたしと付き合ってくれるなんて決まってないけど……うぅ……)

ルリ(それに、せっかくチョコレートに込めた想いに嘘をつくなんてこと、したくない……)


ルリ(ってもうこんな時間!?そうだった、わたしまだ道の途中で……!早く観覧車に向かわないと!)





〜観覧車前〜

ルリ「はぁ、はぁ……」

ルリ(よかった……まだ来てないみたいだね。自分から会いたいって言ったのに遅れたりしたくないし。)

ルリ(……大事なことの前ってどうしてこんなに時間の流れが遅いのかな。やっぱり先に来ててもらったほうが嬉しかったかな……なんて、あはは……)

ルリ(とりあえず今のうちに告白の言葉を……)


キョウヘイ「やあ、こんばんはルリちゃん。」

ルリ「ひょわぁっ!?/// こっこここんばんはキョウヘイくん!」

キョウヘイ「大丈夫?」

ルリ「だ、大丈夫だよ……ちょっと考え事してて、びっくりしただけだから……あはは」

ルリ「その、乗ってからお話したい……かな。い、いい?」

キョウヘイ「もちろん。眺めもいいし邪魔も入らないもんね!」

ルリ(もうここまで来たら覚悟を決めよう。頑張れわたし……!)
 ▼ 38 ノホラグサ@かんしゃメール 23/01/23 22:37:09 ID:Vz0kzLjg NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 39 ちっど◆.jJQDDIcAM 23/01/24 22:40:32 ID:9PwQkWFQ [1/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ルリ「今日は渡したいものと……伝えたいことがあって。」

キョウヘイ「うん。」

ルリ「まだ少しまとまってないから……時間がかかる、かも。」

キョウヘイ「わかった。大丈夫だよ。」

ルリ「ごめんね、ありがとう。じゃあ……」


ルリ「えっと……」



ルリ「……その……」




ルリ「…………。」






ルリ「……………………///」


考え込んでいるうちに段々とルリの頭が下がっていき、顔の方は赤くなっていく。

冬の空気で冷えた手を当て、どうにか熱を冷ましながら思考は続く。


キョウヘイ「……あの、大丈夫だからね」

ルリ「う、うん……ごめん、ごめんね……」



ルリ(うぅ……考えれば考えるほど言葉がまとまらなくなってくるよ。寒いのに頭がオーバーヒートしちゃいそう……)



ルリ(……やっぱり無理だよ、こんなの……)
 ▼ 40 ちっど◆.jJQDDIcAM 23/01/24 22:53:32 ID:9PwQkWFQ [2/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ポンッ


チラーミィ「ミィ!」

ルリ「えっチラーミィ!?ど、どうしたの!?」

キョウヘイ「おお……なんだか久しぶりな気がする、この子。」

チラーミィ「……。」クンクン

チラーミィ「……ミィ?」ツンツン

ルリ「バッグがどうかしたの?」

チラーミィ「ミィ!ミィ!」ガサゴソ

ルリ「あっこら勝手に開けちゃダメだよ!」

チラーミィ「ミィ!」


チラーミィがやや強引に取り出したのは小さめの紙袋。

もちろん、それは……


ルリ「チラーミィ、それはあなたのじゃなくてキョウヘイくんのだよ。」

キョウヘイ「え、今日も何か持ってきてくれたの?……流石にお礼しないとなのに全然できてないや、ごめん。」

ルリ「ううん、これは……」

チラーミィ「チャーミィ!」バンバン

ルリ「だからこれはあなたのじゃなくてキョウヘイくんの!あなたの分は後であげるから少し待ってて。」

チラーミィ「……。」

キョウヘイ「はは、なんだかすごく欲しいみたいだしあげちゃいなよ。」

ルリ「でもこれはキョウヘイくんの……」

キョウヘイ「大丈夫大丈夫、俺は……」

ルリ「そうじゃないの!」

キョウヘイ「?」


ルリ「……このお菓子はキョウヘイくんのために作ったものだから」





ルリ「キョウヘイくんに食べてほしい、かな。」
 ▼ 41 ちっど◆.jJQDDIcAM 23/01/24 23:10:26 ID:9PwQkWFQ [3/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
キョウヘイ「俺のために作っ……え?手作り!?」

ルリ「うん。今日が何の日かは知ってる?」

キョウヘイ「……バレンタインデー、だよね」

ルリ「そうだね。だから、うん、そういうことでっていうか……」

ルリ「……いつもありがとう。キョウヘイくんに相談に乗ってもらうところから始まって……わたしの話をしたり、キョウヘイくんの話を聞いたりするの、すごく楽しいんだよ。」

キョウヘイ「あ、ありがとう……あの、今少し食べてみてもいいかな?」

ルリ「うん。我ながら結構自信作だから……お口に合うといいけど、あはは」


キョウヘイ「それじゃあ……これ、いちごの」

キョウヘイ「……いただきます。」


キョウヘイ「すごくおいしい!」

ルリ「うふふ、よかった。いちごのチョコレートが好きみたいだったから作ってみたんだけど……」

キョウヘイ「すごいなあ、こんなにおいしいのを手作りできるなんて。」

ルリ「あはは、そんなに難しくはないけど……食べてもらう人への愛情を込めるのがコツ、かな?」

キョウヘイ「愛情かぁ……」


チラーミィ「……。」ジーッ

キョウヘイ「……えっと、ハートスイーツ、小さいのならあるけどあげてもいいかな?」

ルリ「……そうだね、ごめん……じゃなくてありがとう。チラーミィもちゃんとお礼してね。」

チラーミィ「ミィ!」ムシャムシャ

ルリ「もう……食いしん坊なんだから。」

キョウヘイ「ははは、でも誰かが喜んでくれるっていうのは嬉しいよ。」

キョウヘイ「……大切に食べるね、これ。」

ルリ「う、うん……///」
 ▼ 42 ちっど◆.jJQDDIcAM 23/01/24 23:31:57 ID:9PwQkWFQ [4/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ルリ「……それとね、伝えたいことなんだけど」

ルリ「この前の……彼女候補がなんとかみたいに言ってたの、覚えてる……?」

キョウヘイ「……うん」


ルリ「あれ……本気、だから」


ルリ「今は別れてからすぐだし、すごく急なことでごめんね。」


ルリ「だけどね、わたしはキョウヘイくんのこと好きだから……いつかお返事をくれると嬉しい、かな。」


ルリ「あはは……///」


キョウヘイ「……。」

ルリ「……今日のお話はこれで全部だよ。来てくれてありがとう。」


キョウヘイ「……あのさ」

キョウヘイ「えっと、やっぱりその、まだちょっと心の整理がついてないというか」

ルリ「だ、だよね……」


ルリ(うん、なんとなくこうなるってわかってたよ。)

ルリ(それにキョウヘイくんは彼女が欲しいんじゃなくて好きな人と……)


キョウヘイ「……前の彼女と別れてからあまり時間経ってないっていうのにさ、それなのに……」










キョウヘイ「その、ルリちゃんともっと一緒にいたいなんて思っていいのか……わ、わからないんだ……///」

ルリ「……!」


キョウヘイ「……だから返事は少し後にさせてほしいんだけど、いいかな?」

ルリ「もっもちろんだよ!わたしはいつでも待ってるから……なんてね、えへへっ///」


キョウヘイ「ふふ、なんだかすごく……いい笑顔だね。」

ルリ「……当たり前だよ。今より嬉しいことなんてなかなかあるものじゃないから……あはは」
 ▼ 43 ちっど◆.jJQDDIcAM 23/01/24 23:44:25 ID:9PwQkWFQ [5/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ルリ「ふんふふんふふ〜ん♪るんるるんるる〜ん♪」


ピンポーン


ルリ「たーだいまー!」

ルリ母「お帰りなさい。ずいぶん遅かったけど。」

ルリ「……ごめんなさい」


それもそのはず、ルリは先程のテンションのまま空を飛ぶを使うのも忘れ、鼻歌を歌いながらスキップで帰ってきたのである。

ポケモンの力を借りない場合、少なくとも30分はかかる道のりを夕飯時に、年頃の女子1人で。


ルリ母「……わたしは今日に限っては理解があるつもりだけど、お父さんはそうもいかないかもしれないからね。」

ルリ「はい……」

ルリ母「それで、お友達にお菓子は渡せたの?」

ルリ「え、知ってたの?」

ルリ母「うふふ、聞かなくたってルリならそうするってわかるわよ。もうすぐご飯だから早く手を洗っておいでね。」

ルリ「はーい♪」

ルリ母「あら、いい返事……そんなにいいことがあったの?」

ルリ「えへへ……うん。とっても!」
 ▼ 44 ちっど◆.jJQDDIcAM 23/01/25 00:04:45 ID:XfboshII [1/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ルリ「はぁ……案の定叱られちゃった。」


あの後、やはりと言うべきかルリの父親による説教が炸裂した。

ルリの方もときどき言い返して喧嘩になったりするのだが、今回ばかりは素直に聞き入れたのだった。

もっとも、父親の方はルリを心配するが故であるし大抵はルリの不注意が元なのだが……


ルリ(……まあ、こんなことよりずっといいことがあったから全然大丈夫だけどね。)

ルリ「それじゃあ……出てきて、チラーミィ。」


ポンッ

チラーミィ「ミィ!」

ルリ「あのねチラーミィ、今回のあなたは怠けたり不貞腐れたり色々あったけど……」

ルリ「でも、あなたのおかげでわたしは一歩踏み出せたと思うの。ありがとうね。」

チラーミィ「ミィ?チャーミィ!」


感謝されている理由はわからないようだが、されたことに対しては喜んでいるようである。


ルリ「あなたにはさっきみんなと一緒にチョコレートをあげたけど……」

ルリ「これは作ったチョコレートの余りなの。特別賞としてあなたにあげるね。……今回のチョコレートは最初の1個をあげられなかったし。はい、どうぞ。」

チラーミィ「チラーミーィ!」モグモグムシャムシャ

ルリ「……相変わらず食べるの速いね。そんなに美味しかった?」

チラーミィ「ミィ!」

ルリ「うふふ、よかった。また作るからね。」





ルリ「ねぇチラーミィ、やっぱりチョコレートには愛情を込めるべきなんだね。」

チラーミィ「?」

ルリ「だってそのおかげでキョウヘイくんともうまくいったし、みんなも……あなたも美味しいって……それを見てるだけで嬉しいから。」

ルリ「……なんてね、あはは」
 ▼ 45 ちっど◆.jJQDDIcAM 23/01/25 00:16:06 ID:XfboshII [2/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「それじゃあ一旦休憩時間!」

ルリ「はい!」


バレンタインが終わった後の日、ルリ達は今日もレッスンに励んでいた。


ルリ(一時はどうなることかと思ったけど……またやる気を出してくれて本当によかった。あ、でももしかすると……ああやってあえてわたしを困らせることで恋の後押しをしてくれていたとか?)

ルリ(あの子は賢いし……確かに結果としていい方向に進んでるし、そうなのかも……そこも含めて改めてありがとうって言ったほうがいいのかな。)


チラーミィ「ミィ!ミィ!」

「うん?どうした?」

ルリ「ちょっとチラーミィ……先生がどうかしたの?」

「……もしかしてまたチョコレートか?あれはもうないぞ。」

ルリ「……またって?」

「ああ、あれはバレンタイン前日の……昼休みの終わり頃だったも思うんだが……」
 ▼ 46 ちっど◆.jJQDDIcAM 23/01/25 00:16:40 ID:XfboshII [3/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


チラーミィ「……。」クンクン

「む、どうしたんだチラーミィ。ルッコならまだ外じゃないのか?一体何をして……」

チラーミィ「ミィ!」

「そっそれは私のとっておきのおやつのチョコレート……!頼む、返してくれないか。」

チラーミィ「ミィ……」ウルウル

「し、仕方ないな……半分だけだぞ、ほれ」

チラーミィ「ミィ♪……ミィ!チャーミィ!」

「どうだ、うまいだろう。」

チラーミィ「ミィ!ミーィ!」

「ほうほう、そんなに嬉しいか。」


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
 ▼ 47 ちっど◆.jJQDDIcAM 23/01/25 01:00:06 ID:XfboshII [4/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「とまあ、そんなわけでつい……思えばあの後チラーミィの動きが良くなってたな。」

ルリ「……そうなんですか。」


ルリ(……それってつまり、チラーミィはただ本当にチョコレートが欲しかっただけってこと?)

ルリ(やる気がなかったのもわたしに甘酸っぱさが足りないとかじゃなくて単にお菓子を食べてないから不貞腐れてただけってこと!?)







ルリ「……あははっ」



ルリ(そうだよね、おやつを急にやめたりしたらそうなるよね……それに)


チラーミィ「ミィ?」

ルリ「あ、えっと……気づいてあげられなくてごめんね、チラーミィ。」

ルリ「今度はちゃんとおやつをあげるから。もちろん愛情を込めてね。あなたはわたしの大事なパートナーだもの。」

チラーミィ「ミィ♪」





ルリ(それに、おやつをあげるときにわたし……一緒に愛情も込めてた。だって、チラーミィのこと大好きだから。それも無くなってたってことだよね……)

ルリ(……そっか。大好きな誰かのことを想うとき、愛情を込めないなんてことはできないんだ。なんだ、あんなに悩むことじゃなかったんだ……あはは)



ルリ「うん……それじゃあチラーミィ、休憩の後また頑張ろうね!」

チラーミィ「ミィ!」




バレンタインデー。大切な誰かに愛を伝える日。

そんな日の一騒動を乗り越えたルリは、晴れ晴れとした顔でまたレッスンに臨むのであった。




【バレンタインSS】ルリ「……やっぱり、愛情を込めないチョコレートなんて作れそうにないね……あはは……」

 ▼ 48 ァイヤー@クヌギダマのから 23/01/25 02:49:52 ID:3iMYfToA NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
キョウヘイの元カノって誰だろう
 ▼ 49 イスポス@ひでん:あまスパイス 23/01/25 03:20:12 ID:5kV2l4H. NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
乙です
 ▼ 50 ドグラー@カリキリのはっぱ 23/02/09 20:23:13 ID:fmQEIshA NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
キョウルリ最高
良作でしたお疲れ様です
 ▼ 51 イレーツ@きらきらミツ 23/02/19 01:45:45 ID:9awUtTYA NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
このスレ最高
このページは検索エンジン向けの機能制限版の旧ページです。
下URLから閲覧下さい。
https://pokemonbbs.com/post/read.cgi?no=1865587
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