【SS】サザンドラ「白い悪魔、桜色の天使」

真っ暗な闇の中、遠くから声が聞こえる……




……ら



……なら……



うまく聞き取れないその声が、だんだんとはっきり聞こえてきた……



さよなら……


元気でね……



？「なんでだ？　なんでお別れなんだ？」



その声は、だんだんと遠くに行ってしまう……



ごめんね……



？「おい、待てよ！　俺が何をした？　お前が何をしたってんだ！？」



……




？「なんで……なんで……」

うぅ……



薄暗い洞穴の奥、そのポケモンは目を覚ました……



サザンドラ「……また……この夢か……」


サザンドラは寝ぼけ眼で洞穴の外を見た……



洞穴の向こうに見えるその空は、今日も嫌になる程真っ青……



サザンドラ「……」



洞穴の外から風が吹き込む……


その暖かい風にのって、桃色の花びらがふわりと飛んできて……サザンドラの鼻の上にのった。



サザンドラ「桜……？　もうそんな季節なのか……」



鼻息で桜の花びらを吹き飛ばすと……ひらひらと目の前を舞い、地面に落ちた。



サザンドラ「そうか……もう春か……」



サザンドラは長年開かずに閉じたままにしている左腕の口をじっと見つめると……大きくため息をつく。


サザンドラ「……」


まだ眠そうなサザンドラは不気味なその羽ではばたき、洞穴の外へ向かった……

第一話　春風に誘われて

支援

山の中腹にある洞穴から外に出ると、サザンドラは辺りを見渡した……



サザンドラ「……」



最近は夜に活動していた事が多かったため気づいていなかったが……山の麓の森の木々が幾つかピンク色に染まっている……



サザンドラ「……」



サザンドラは春にここから見る桜が大好き……



サザンドラ「腹減ったな……」



……と、言うわけでもなく……とりあえず、食糧を求めて山の麓へと降りていった……


　　　　

支援

山の麓に広がる森にて……



サザンドラ「えっと……食い物食い物っと……」



桜の木が点々と混じる森をサザンドラはゆっくりと飛ぶ……


また、春風がサザンドラの頬を撫でる……



サザンドラ「……おっ」



幸運な事に、サザンドラは遠くにオレンの木を見つけた。



サザンドラ「久しぶりに良さげな飯にありつけそうだ……」



サザンドラは遠くに見えるオレンの木目指して飛んでいった……

支援

オレンの木の前に到着したサザンドラは、木になっているオレンの実を一つちぎって口に放りこんだ……



サザンドラ「っ！　……うまい……なかなかいけるな」



サザンドラはオレンの実をちぎっては食べ……ちぎっては食べ……



サザンドラ「(みずみずしさの中に含まれる、はっきりとした甘み……そして、程よい酸味が甘さをより引き立てながらも後味を整えている……！　いくらでもいけるぞ！)」



サザンドラはちぎっては食べ……ちぎっては食べ……



　

あっという間に最後の一つ……



サザンドラ「もう、おしまいか……はぁ……」



短い間だったその幸福に別れを告げるため、サザンドラは最後のオレンの実に腕を伸ばしたが……そのオレンの実を白いリボンが横から奪っていった。


サザンドラ「っ！？」


そのリボンの向かう先を見ると……一匹の見知らぬポケモンが……



ニンフィア「わー！　美味しそうなオレンの実！　いっただっきまー……」


サザンドラ「お、おい！　待て！　それは俺が先に見つけたオレンの実だぞ！！　返せ！！」


サザンドラが睨みつけたが、ニンフィアはニコニコしている……


ニンフィア「え　そうなの？」


サザンドラ「そうだ！　返せ！」


ニンフィア「そんなにこのオレンの実が欲しいの？」


サザンドラ「欲しいっ！　……じゃなくてだな……俺のだから！　それ！」

ニンフィア「仕方ないなー……じゃあ、半分あげる！」


サザンドラ「はぁ？　半分じゃなくて全部俺のだ！」



ニンフィアはオレンの実を二つに割ると、そのうち一つを首からのびたリボンにのせて、サザンドラの前に差し出した。


ニンフィア「はい！　あーんして？」


サザンドラ「……」


ニンフィア「ほら、おくちあけてよ」


サザンドラ「……」


ニンフィア「早くっ！」


サザンドラ「うるさいな！　それくらい自分で食べ……」



ニンフィアがサザンドラの口にオレンの実をねじ込んだ。



サザンドラ「んーーっ！？」


ニンフィア「どうお？　美味しい？」


サザンドラ「げほっ！！　いきなり口に突っ込むな！！　喉詰まらせるかと思ったぞ！！」



サザンドラが怒鳴りつけるが、ニンフィアは話を聞かずに残り半分のオレンの実を食べている……


ニンフィア「あっ、美味しいね！　これ！」


サザンドラ「って、話を聞け」

支援

サザンドラは再びオレンの木に実がなっていないか探したが……やはり、もうオレンの実はなっていない……



サザンドラ「はぁ……せっかくの飯が……」



機嫌を悪くしたサザンドラは不気味な羽ではばたこうとしたが……ニンフィアがついて来る……


ニンフィア「ねぇ、どこ行くの？」


サザンドラ「……」


ニンフィア「ねぇってば！」


サザンドラ「いちいちうるさいな！　帰るだけだ！」


ニンフィア「お家帰るんだ……どこに住んでるの？」


サザンドラ「お前に教える筋合いはねぇよ！」


ニンフィア「……けち」

サザンドラ「うるさいな！　次話しかけたらぶち殺してやるからな！！」


ニンフィア「またまたー！　冗談はよしてよ♪」



そのニンフィアの態度にサザンドラはブチ切れた。



サザンドラ「……その言葉、後悔してももう遅いぞ」



サザンドラは大きく息を吸うと……



サザンドラ「りゅうのはどう！！」



サザンドラの大口から放たれた光線がニンフィアに直撃し、大爆発を起こした。


爆風が辺りの木々を揺らし、桜の花びらが舞う……


サザンドラはその爆風の中、小さく呟いた……



サザンドラ「悪く思うなよ……」



そして、飛び立とうとしたが……

支援

なかなかかっこいい技だね！　でも、私負けないよっ！

支援

サザンドラ「っ！？」



振り返ると、ニンフィアが自慢気な顔をして立っていた……


その身体には傷一つ無い……


サザンドラ「なにっ！？」



ニンフィア「じゃあ、今度は私の番ね！　とっておきの技見せてあげる！」



ニンフィアが大きく口を開けると……その口に光が集まる……


サザンドラ「お、お前……なんで……」


ニンフィア「はかいこうせんっ！！」


次の瞬間、サザンドラの「りゅうのはどう」などとは比べ物にならない太さの光線がサザンドラに直撃した！


サザンドラ「ぎゃああああああああ！！」


こうかはばつぐんだ！


サザンドラはたおれた！

地に落ちたサザンドラにニンフィアが寄ってきた。


ニンフィア「どうお？　私の技すごいでしょ？」


サザンドラ「お、お前……何物だ……よ……」



サザンドラはそのままゆっくりと目を閉じ……ぐったりとした……



ニンフィア「あれ？　ねぇ！！　大丈夫！？　ねぇってばぁ！！」

これが、俺とあいつの出会い……



これから語るのは、俺とあいつの物語だ……



よかったら……まぁ……その……



ゆっくり……聞いてってくれ……





つづく

第一話おしまい。


基本１日一話を目標に更新してきます。


今日は夜にもう一話更新する予定です。


では

>>21
楽しみにしてます！
支援！

支援モーラン

支援

支援

いっててて……



あれ？　俺は……







サザンドラ「ん？」


サザンドラが目を覚ますと……辺りは真っ暗……何にも見えない……



サザンドラ「もう夜なのか……あれ？　何があったんだっけ？」



見上げれば、真っ暗な空に星が輝いている……



サザンドラ「えっと……あっ、そうだ……あの変なポケモンに殺されかけたんだったか……」



ボロボロの身体を起こし、少し飛び上がったが……まだ身体が痛む。



サザンドラ「いてて……あいつ……次会ったら必ず……」

だんだんと目が慣れてきたが……この暗闇では何も見えない……


サザンドラ「……あれを使うか」



サザンドラは右腕の口から小さく火を吹いて辺りを照らした。



サザンドラ「かえんほうしゃ……これで明かりはどうにか……ん？」


サザンドラは足元に白い影を見つけた……


サザンドラ「な、なんだ……？」



その白い影を火で照らす……



見覚えのある白い身体……


あのリボン……



サザンドラ「お、おいおい……まさか……」



そう、その白い影の正体は、自分を痛めつけたあのポケモンだった。



サザンドラ「ぎゃああああああああ！！」

第二話　あまりにも無垢な悪魔

サザンドラの叫びでニンフィアが目を覚ました。



ニンフィア「ふわぁーっ！　よく寝たー……あっ！　起きたんだね！　死んじゃったのかと思って心配したんだよ？」


サザンドラ「あ、あわわ……やめてくれ！　もう攻撃しないから！　ごめんなさいごめんなさいごめんなさい！！」


サザンドラは両腕で頭を覆って地面に伏せている……


ニンフィア「さっきはごめんね？　私も張り切りすぎちゃったの」


サザンドラ「ひぇぇ……い、命だけは！！」


ニンフィア「私、そんな事しないよ♪」



そう言ってニンフィアは笑ったが、サザンドラにはその顔が恐ろしい物に見えた……



サザンドラ「ひぃぃーーっ！！」


ニンフィア「もーっ！　話を聞いてよっ！」


ニンフィアは頬を膨らした。

数分たって、なんとかサザンドラも落ち着いてきた……



サザンドラ「ほんとになにもしないのか？　実は俺の事を恨んでたり？」


ニンフィア「だから違うってばー♪」



サザンドラは胸をなで下ろした。


サザンドラ「えっと……さっきは色々とごめんな……もうお前には二度と危害は加えないつもりだ……じゃあな」


そのまま夜の闇の中、サザンドラは飛び上がった。


ニンフィア「あっ！　待ってよ！」


サザンドラ「なんだ？　まだ何か用か？　俺はもう眠いんだが……」


ニンフィア「これからどこに行くの？」


サザンドラ「帰って寝るだけだが？」


ニンフィア「ねぇ、お願いがあるんだけどさ……」


サザンドラ「……なんだ？」


ニンフィア「あなたのおうちに泊めてくれない？」


サザンドラ「いやだ」

そう言ってサザンドラは更に高く飛び上がった……



ニンフィア「あっ！　待ってよー！！」


サザンドラ「いやだって言ってるだろ！　お前なんかと一緒に寝れねーよ！！」




サザンドラは夜の闇に溶け込んで消えてしまった……




火で辺りを照らしていたサザンドラがいなくなり、ニンフィアは闇の中に置いてきぼりになってしまった……



ニンフィア「……」



ニンフィアはサザンドラの飛んでいった方角を見つめて黙っていたが……やがて……


ニンフィア「うう……ひっぐ……怖いよぉ……さみしいよぉ……」


ニンフィアは目にいっばいの涙を貯めて……そして……



ニンフィア「うわぁぁぁぁあん！！　うわぁぁぁぁあん！！」



ニンフィアのハイパーボイス！


サザンドラ「ぎゃああああああああ！！」


こうかはばつぐんだ！


サザンドラはたおれた！



空中でその音波をもろに食らったサザンドラは森の中に墜落した。

ニンフィア「ぐす……？」


ニンフィアが何かが落ちた音がした辺りを見てみると……サザンドラが倒れていた。



ニンフィア「わぁ！　帰ってきてくれたんだね！」


サザンドラ「おま……俺が何したって言うんだよ……」


ニンフィア「さみしかったよぉ！！」



ニンフィアがサザンドラに抱きついた！



ニンフィアのたいあたり！


サザンドラ「ぎゃああああああああ！！」


こうかはばつぐんだ！


サザンドラはたおれた！

待ってました！
支援

数分後……



サザンドラ「やめろ、いやマジで離れてくれ」


ニンフィア「？」



サザンドラはニンフィアから少し距離をとった……



サザンドラ「待て、変に俺にさわらないでくれ……ほんとに冗談抜きで死んでしまう……」


ニンフィア「なんで？」


サザンドラ「よくわからんが、俺とお前は相性が最高に悪いらしい……」


ニンフィア「そうなの？」


サザンドラ「そうだ。俺も今生きているのが不思議なくらいだ……」


ニンフィア「ふーん……」

サザンドラ「寂しいかどうかよくわからんが……わかった。一晩だけ泊めてやるから……だからもう俺を攻撃しないでくれ……頼む」


ニンフィア「やったー！」


サザンドラ「こっちだ……ついて来い」


ニンフィア「わーい！」



サザンドラはゆっくりと森の中を飛び始めた。



サザンドラ「はぁ……気が滅入る……」


ニンフィア「ん？　何か言った？」


サザンドラ「いや、何も」

ニンサザ良いね

二匹は森の中を進んでいく……



ニンフィア「ねぇ、名前なんて言うの？」


サザンドラ「……サザンドラだ」


ニンフィア「サザンドラ君かー！　よろしくね！　私はニンフィアって言うの！」


サザンドラ「……」



サザンドラは黙ってどんどん先へ行ってしまう……



ニンフィア「あっ！　待ってよ！」



ニンフィアは駆け足でサザンドラを追いかけた……

サザンドラ「……」


ニンフィア「ねぇ、サザンドラ君」


サザンドラ「……なんだよ」


ニンフィア「夜の森って怖くない？」


サザンドラ「……いや、別に」


ニンフィア「サザンドラ君ってすごいね！　私怖くてたまらないよ……」


サザンドラ「(俺はお前が怖くてたまらないっての)」


ニンフィア「だからさ……」



ニンフィアの首から伸びたリボンがサザンドラの右腕をつついた。



ニンフィア「手を繋いでもいい？」


サザンドラ「っ！？　や、やめろっ！！　今度こそ死んでしまうっ！！」

更新きてたぁー！
支援

ニンフィア「触るだけだよ？　ほら」



ニンフィアのリボンが伸びてサザンドラの右腕に巻き付こうとした……



サザンドラ「っ！　ちょっと待て、こっちは火を出してるから火傷するぞ？　やるならこっち……」



サザンドラは左腕を差し出そうとして……止まった。



サザンドラ「こっちの腕は……」


ニンフィア「左腕ならいいの？」


サザンドラ「……まぁいいか、こっちにしといてくれ」


ニンフィア「うん！」



ニンフィアは首から伸びたリボンをサザンドラの左腕にしっかり巻き付けた。

一本のリボンで繋がった二匹は暗い森を進んでいく……



サザンドラ「……」


ニンフィア「サザンドラ君の腕ってあったかいなー♪　あ、これって手？　頭？」


サザンドラ「まぁ……どっちでもあるかな」



サザンドラは先程からリボンでグルグル巻きにされた左腕をチラチラ見ている……


ニンフィア「サザンドラ君どうしたの？　こっちの手には何かあるの？」


サザンドラ「……いや、別に」


ニンフィア「そう？　ならいいけど……」

森を抜けた二匹は山を登る……



ニンフィアが急に立ち止まった。


ニンフィア「わぁ！　見て！　サザンドラ君！」


サザンドラ「ん？」



ニンフィアが見つめる先……夜の闇の中、森のはるか向こうに宝石のようにキラキラと輝く明かりが見えた。



ニンフィア「街の明かりが見える……すっごい綺麗だね！」


サザンドラ「そうか？」


ニンフィア「もー、サザンドラ君はノリが悪いなぁ……」



頬を膨らすニンフィアを見て、サザンドラは溜め息をついた……

ニンフィアかわいい
支援

二匹の間にしばらく沈黙が流れる……


その静けさの中、ニンフィアがポツリと呟いた……



ニンフィア「……私ね？　あの街から来たんだ……」


サザンドラ「え？」


ニンフィア「私、あの街で人間に飼われてたの」


サザンドラ「ふーん……」


ニンフィア「でもね、今日……この森に捨てられたんだ……」


サザンドラ「っ！」



ニンフィアは俯き……語り続ける……



ニンフィア「私は戦うためだけに育てられたんだ……」

ニンフィア可哀想
支援

生まれたその時から、私の運命はそう決まっていた……





私の飼い主だった人間は、私の生まれつきの力を知ると、私に戦うための全てを教え込もうとしたの……



まず初めに……変なウイルスに感染させられたのを覚えてる……



そのせいでボーッとする頭に鞭打って、飼い主の人間が言うままに、知らない野生のポケモン達を何匹も倒したの……



その後、虹色のポケマメを無理やり食べさせられて……今の姿に進化したんだ……





そして、生まれたその日に知らない国のポケモンと戦う事になったの……



負けちゃったけどね。



何度も負けて……何日かたって……



今日、この森に捨てられたの……



出来損ないはいらないって……

ニンフィア「捨てられて……どうしていいかわからずに森を歩いていたら……サザンドラ君に会ったんだ……」


サザンドラ「そうだったのか……」


ニンフィア「笑っちゃうでしょ？　戦うためだけに作られたのに……たった一つだけの取り柄ですら無くなっちゃった私にはもう……もう……」



サザンドラは泣き出しそうな顔のニンフィアを見ていたが……



サザンドラ「正直な話、俺にとってもお前は邪魔者だ」



ニンフィア「っ！」
　

サザンドラ「でも」



サザンドラは右腕の口から吹いていた明かり代わりの火を消すと、その腕でニンフィアの頭を撫でた……



サザンドラ「でも、俺の庭とも言えるこの森で死なれるのはもっと厄介な話だ……だから」



サザンドラはニンフィアに顔をぬっと近づけた……



サザンドラ「だから今は……生きろ」

僕拾っていいですか？
支援

ニンフィア「サザンドラ君……」



ニンフィアはリボンで涙を拭うと、そっとサザンドラに顔を寄せた……




ありがと……




ニンフィアのドレインキッス！


サザンドラ「っ！？」


こうかはばつぐんだ！


あいてのサザンドラからたいりょくをすいとった！


サザンドラはたおれた！

サザンドライケメンだな殺されたけど
支援

数分後……



サザンドラ「はぁ……はぁ……いい加減にしろ！　俺が死んでしまう！！///」


ニンフィア「もー、サザンドラ君は大袈裟だなぁ」


サザンドラ「一ミリも大袈裟じゃないっ！！」



その時、飛んでいたサザンドラが急に止まった。



ニンフィア「どうしたの？」


サザンドラ「着いたぞ、ここが俺の寝床だ」



サザンドラが火で照らすと……二匹の前に小さな洞穴が……


ニンフィアは洞穴を覗いて目を輝かせている……



ニンフィア「わぁーっ！　楽しそうなおうちだね！」


サザンドラ「全然楽しくねぇよ」



二匹は洞穴に入って行った……

洞穴の中は、サザンドラ一匹で暮らすには程よい広さだったが、二匹で寝るには少し狭く感じた……



サザンドラ「少し狭いかな……」
　


サザンドラは火を消すと、岩壁にもたれた……



ニンフィア「でも、この位狭い方が私は好きだよ！」


サザンドラ「なんでだよ……」


ニンフィア「だってサザンドラ君とひっついて寝れるから！」



ニンフィアがサザンドラの腹の上に飛び乗った。



サザンドラ「やめろ、のるな」


ニンフィア「サザンドラ君のお腹、プニプニしててあったかいね！」


サザンドラ「……もう好きにしろ」



サザンドラはゆっくりと目を閉じた……

俺の前に現れた白い悪魔……



正直、今すぐにでも追い出してやりたいところだが……だめだな、俺にはそんな事出来ない……



あいつの悲しい生い立ちを聞いてしまったからな……それに……　




あいつに逆らったら殺されそうだから……な……





つづく

第二話おしまい。


更新遅れてほんとすみません。


とりあえず明日も二話くらい更新出来たら……と、今の所考えてますのでよろしくお願いします。


ではでは

>>54
楽しみにしています！
支援
おやすみなさい

次の日の朝……




洞穴に大きな声が響く……



ニンフィア「おっはよーー！！　朝だよーー！！」



サザンドラ「うぅ……や、やっと朝……か……」



サザンドラはボロボロの身体を起こした。



ニンフィア「サザンドラ君おはよーー！」


サザンドラ「……おう」


ニンフィア「声が小さーい！　もーいっかーい！　おっはよーー！！」


サザンドラ「……うるせぇ」


ニンフィア「もーっ！　ノリが悪いなぁ！」


サザンドラ「……(あー、うるせぇ)」

ニンフィア「サザンドラ君、昨日はよく眠れた？」


サザンドラ「ああ、ある意味ぐっすりだ」


ニンフィア「そりゃよかったね！」


サザンドラ「……」

昨日の深夜……




ニンフィア「ぐおーー！！　すぴーー……」


洞穴にニンフィアのいびきが響く……



サザンドラ「や、やめろ！！　おい！！　静かに寝てくれ！！　お願いだから！！　なぁ！！　頼む！！」



サザンドラは腹の上でぐっすり眠るニンフィアを揺するが……反応がない……



ニンフィア「ぐがーー！！」


ニンフィアのいびき！


サザンドラ「ぎゃああああああああ！！」


こうかはばつぐんだ！


サザンドラはたおれた！

サザンドラ「(いい加減にしてくれ……いや、マジで)」



ニンフィア「それじゃ、私近くの川で顔洗ってくるね！」


サザンドラ「おう」


ニンフィア「いってきまーす！」



ニンフィアはスキップしながら洞穴の外に消えた……



サザンドラ「……」


サザンドラはニンフィアを見送ると、すぐさま洞穴の奥に溜め込んでいたガラクタの山を漁り始めた……



サザンドラ「えっと……前に人間の落とし物で……お、あったあった」


サザンドラが取り出したのは……ボロボロのポケモン図鑑だった。


サザンドラ「あいつの事を調べておこう……何か対処法がわかるかもしれないからな……」



サザンドラはパラパラと図鑑のページを捲った……


サザンドラ「えっと……ニ……ニ……ニンフィア、あった！」

ニンフィア


リボンの ような しょっかく から てきいを そぐ はどうを はなち えものを ゆだんさせ おそう。


えものを みつけると リボンじょうの しょっかくを ゆらし ゆだん させ スキが できると とびかかる。