【小説っぽい】気づけぬ涙【SS】

注意、小説っぽい。短い。
1個目
http://pokemonbbs.com/sp/poke/read.cgi?no=315707#end
2個目
http://pokemonbbs.com/sp/poke/read.cgi?no=316805#rescount40
本編は次レスから

　引き締まった体に燃え盛る炎を想像させる鮮やかな赤。メスポケモンの視線を一手に集めるポケモン、バシャーモ。その視線の中には私のものも入っている。
　彼には、番となっているポケモンがいる。厚い唇に、彼とは違う紫がかった燻んだ赤。チャーレムだ。

　あたしは今日も嘆息する。…なぜ彼女なの？だって。あたしのほうが可愛いし、強い。あたしの方が彼には似合ってるのに。何故彼はあたしを見てくれないのか。
　醜いと知りつつも湧く心の闇。自分で自分が嫌になる。

「やぁ」…！彼が話しかけてきた。

　あたしは暗い表情を隠し、精一杯の可愛らしい顔を作る。

「ん？何？バシャーモさん」わざとらしくならない程度に声を高くする。あたし、可愛いでしょ？

「チャーレムがさ、一緒にご飯食べないか？だって」彼の顔色に変化は無い。

「バシャーモさんは」と聞くと、もう食べた、といなされた。

　チャーレムと2匹だけか、気が進まないな。でも2匹と仲良くしておくのは、最終的には得となるだろう。そう言い聞かせる。

「確かに伝えたよ。」そう言い残し、彼は去る。

　チャーレムと木の実を食べ終えた頃、何気無く尋ねる。

「ねぇ、バシャーモさんとチャーレムっていつ知り合ったの？」

「急にどうしたのよ。…そうねぇ、単純に出身が同じなだけかしら。昔から一緒に居たから、いつかどうかなんて分からないわ。」

「何よそれ」あたしはそう茶化す。

「あ、あと、あたしがバシャーモさんと話すのって、チャーレム気にならないの？」

「え？何で？別にどうだっていいけど。」

　本気で気にしてないようだ。自分達の間に邪魔が入れないと、心から思っている言葉でもある。他のメスが眼中に無いような態度、腹が立つ。
　でも、あたしは付け入る隙が無くても彼以外選べない。恋に妥協は不可能だ。

>>5
邪魔

「まぁいいや、ごちそーさま。本当、あなたは幸せそうね、羨ましいわ。」

　幸せそうね、その一言で彼女は、まるで椿の花を連想させる様な可憐な笑顔を浮かべる。彼女は、本当にそうなのだろう。
　あたしは、不覚にもその笑顔に一瞬見惚れて席を立つ。そろそろ、彼があの場所に行く頃だろう。

　木陰にある涼しい野原。少し先には湖が見える。彼はこの時間になると、いつもここに来る。あたしは偶然を装い、1週間に1・2回彼と、ここで会う。

「あっ、こんにちわ〜」彼も気づき、挨拶を返してくる。

「どうせなら、隣いいですか？」彼の答えを待たず隣に寝転び、チャーレムにしたものと同じ質問を投げかける。

「ねぇねぇ、バシャーモさんとチャーレムっていつ知り合ったんですか？」違うのは上目遣いなのと声音だけだ。

「ん？出身が同じなだけだよ」答えまで同じだ。

「ふーん、ねぇ何でチャーレムを選んだんです？」あなたなら他にもっと可愛いメスがいたでしねょう？言外にそう問いかける。

「…君は意外に失礼だね」

　声も顔色も変わらない淡々とした非難はむしろ心に刺さり、失言を反省する。

「あっ、すいません」

「別にいいよ。そうだな、チャーレムは俺の内面を見てくれたからかな。他の子は外見にしか興味を持ってなかった。だから俺はチャーレムを選んだんだ。」

　付け入る隙が無い。…でも、それはチャーレムがいるからだ。彼女がいなくなれば、隙ができれば、きっとバシャーモはあたしを見てくれる。彼女がいなくなれば。
　行き過ぎた嫉妬は、憎悪に変わる。

「君は、そういう大切な人はいないの？」興味なさそうに、彼は聞く。

「あたしは…いますよ。ただその方には他に好きなメスがいるので」

「ふーん、そう。まぁチャーレムと仲良くしてあげてね。チャーレムは君以外にはあまり親しい友達がいないから。」彼はそう言い残し立ち去る。

　…駄目だ、やっぱり彼はあたしを見てない。あぁチャーレムがいなくなればいいのにな。
　…！そうだ、いなくなればいいんだ。そう、例えばチャーレムに自殺させるとか。
　思い浮かんでからは、どうしてこんなことが思い浮かばなかったんだ、と疑問に感じる。その為の計画を立てなきゃな、そんなことを考えていると、楽しくなってくる。
　心を明るい闇が包んでいく。

　思い浮かんだ時は、名案だと思っていたが、計画を立てようとすると、難しいと思い始めた。
　何故なら、彼女はバシャーモと同じ場所に住んでいる。チャーレムにだけ嫌がらせをするのは難しい。ストーキングなどは、この場合相手に気づかれなければ意味が薄いが、気付かれたらあたしの見た目で正体がバレるだろう。
　行き詰まり始めて、何故『自殺』なんて面倒くさい不確かな方法を選んだのか、と思う様になった。…普通に殺せばいいじゃないか。
　ふと、あの時のチャーレムの笑顔が脳裡に浮かぶ。…チャーレム、美しい華は早く散るものなの。あなたはもう枯れるべきだわ。無意識に不敵な笑みを浮かべていた。

　ポケモンの生命力は高い。行き当たり的な方法では確実性を欠くだろう。でも、だからと言って綿密な計画を立てる必要もない。ただ確実に彼女を枯らすことが出来れば良い。
　あたしはその手段として絞殺を選んだ。自殺に見せかけつつ、確実で、尚且つ手軽だ。

　準備が整い、バシャーモが野原に行っている時間帯、あたしは作戦を決行する事にした。
　辺りを充分に警戒しながらチャーレムの居るだろうバシャーモの住処の洞窟へ足を運ぶ。いた、チャーレムの背後から近づき、首にツタをかける。
　それは、呆気ないほど簡単に成功した。

　くぐもった小さな声が一瞬し、しばらく暴れるものの、普段戦闘をしてない彼女の抵抗は、充分に想像出来る程度のものであった。20秒もすると、血が止まったからか失神し、動かなくなった。私はツタを木に掛け、それをぶら下げる。後は自重で首が折れ、もう動くことは無いだろう。…早くここから去ろう。

　罪悪感は無かった。むしろ達成感と満足感がとめどめなく溢れてくる。あぁこれでバシャーモも振り向いてくれるだろう。気がはやいあたしは、早くも彼との生活を思い描き、胸を踊らせていた。

批判してるわけじゃないけど何で改行しないの？
読み肉杉

　次の日、バシャーモがあたしの住処を訪ねてきた。

「…………チャーレムが……殺された。」

―『殺された』自殺では無いと気づいているのか、それとも信じたく無いだけなのか。

「え？何言ってるんですかぁ、バシャーモさん。チャーレムが殺されたなんて、冗談でも怒られちゃいますよ。」茶化す様に、努めて明るく言う。

「殺されたんだ！だってチャーレムが自殺するはずが無い。なぁ、些細な事でいい、君は何か知らないか？」

「…本当…なんですか？……すいません、あたし、何も知りません。あの、チャーレムに会わせてくれませんか？」

「もう、埋めたよ。…とても酷い姿だったから。」

　聞いたことがある。確か、首吊りは体の中のモノが全て出てくると。だとすると、本当に酷い姿だっただろう。

>>20
。毎に改行した方がいい？むしろ読みにくいかと思ってたんだけど。

「そう、ですか。あの！あたしも手伝います。情報探し。」

「…ありがとう、助かる。」

　あたしが思い描いていたのは、チャーレムを前に嘆くバシャーモも慰めることで、バシャーモに振り向いてもらうことだったが。
…まぁ結果オーライだ。

　何匹かに話を聞いて、その後は適当に時間を潰した。

>>22
謙虚にしないと総叩きに合うぞ
内容はいいのにもったいない
改行に関しては>>20と同意見

　辺りが暗くなってから、あたしはバシャーモの棲む洞窟に向かった。
いつも綺麗に片付いている洞窟の前には、穴を掘ったからであろうか、石が散乱していた。

「あの、バシャーモさん、チャーレムについての手がかりはありませんでした。……彼女、メスの間では、それなりに嫌われていました。あっ、一応チャーレムさんが首を吊ったことは伏せてますけど。」

「あぁ、ありがとう。知ってたよ、チャーレムがメスからよく思われてなかったこと。でも、俺等が幸せなら、そんなことをどーでもよかった。」

無気力に彼は言う、そして少し言葉があやふやだ。

改行って一行空けた方がいい？

一作目から読んでたけどやっぱり面白いね支援
SS中はコメントに反応したりとかの無駄なレスはしなくていいと思うよ

>>27
開けた方が読みやすいよ！

>>7
荒らしには反応しない方がいいよ
貴方のイメージダウンに繋がるし、相手の思惑どうりになるし

「でも、そうなると、誰がやったか見つけるのは難しいですね。」

「もう、いい。そんなこと。どうせチャーレムは戻ってこないし、何か聞こうにも、チャーレムに取って代わろうというのを隠そうともせず、メスが近寄ってくる。もう、うんざりだ。」

「バシャーモさん！」私はうずくまる彼を抱きしめる。

「そんなのじゃあ、チャーレムさんが報われないじゃないですか。…彼女の為にも、探しましょう？」

どの口が言っているんだ、と自分でも思う。

「はなして。」あたしは放さない。

「放せよっ！」バシャーモがあたしを振りほどく。

「…やめてくれ。俺はチャーレム以外にそんなことされたくない。今は尚更。」

「どう…して…？」

　チャーレムがいなくなったのに、何で彼はチャーレムをまだ見ているの。

何であたしを見てくれないの。何であたしじゃダメなの。

「どうして！まだあのメスなんですか！もういないんですよ！」どうしてあたしを見てくれないの！あなたはあたしだけを見てればいいのに！」

「君は…何を言っているんだ。」

―あっ、一応チャーレムさんが『首を吊った』ことは伏せてますけど。

「まさか…君が…。」バシャーモが顔を上げる。

「あたしのモノにならないならっ……！」
あたしは近くの石を手に取り、バシャーモの頭を殴った。1発ではダメだ。
何度も、何度も殴りつける。彼が動かなくなるまで。

　彼が動かなくなって、あたしは洞窟の前にあった、チャーレムを吊るしていたツタを手に取り、あの野原の湖にバシャーモを運ぶ。

　私と彼を結びつけ、近くにあった岩を持つ。

「はぁはぁ、…バシャーモさん、2匹でいきましょう。今度こそ2匹で暮らしましょう。」

「……あ、チャーレム、殺さなければ良かったな。また向こうで邪魔になるかもしれない。…まぁまた殺せばいいか。」

　飛び込む。

　はぁ、あたし、いまとっても幸せ、やっとバシャーモと一緒にいられる。今度こそ幸せになれる。あぁ楽しみ……
　
次第に薄れる意識の中、あたしは思う。

　でも、最後に１つだけ、心残りがあるな。…結局、あたしの名前呼んでくれなかった。

…今度は沢山呼んでもらいたいな、『ミミロップ』って。


　目から溢れるそれは、湖に混ざり感じとることは出来なかった。

fin

終わりです。
すいません荒らしには慣れてなかったので、お見苦しい姿を見せてしまいました。
短いので、ぜひ読み返していただけると嬉しいです。

乙

乙、今回も面白かった