タケシ「大義を解さぬ愚蒙さ…悔いるが良いッ！」サトシ「え…？」

タケシ「ついにできたぞ…！完成だ…！」

研究室で白衣を着た老人は飛び上がった

名をタケシと言い、今年で60歳である

元ジムリーダーであり、元ポケモンドクターの経歴を持つ

タケシ「不老不死の薬…！やった！ついにやったぞ！」

60歳とは思えない足取りでスキップをする

興奮を抑えきれず、手足をばたつかせ、棒のような細い目はプリンのようにパッチリと見開いている

ドクロック「ケケッ！ケケケッ！」

普段、滅多に感情を表に出さない相棒も、今回ばかりはヘドバンをする

タケシ「………っふぅ…」

やっと落ち着いた

タケシ「よし、ドクロック…飲むぞ？」

ドクロック「ケケケッ」

老人は異様な色をする液体の入った容器を見つめる

覚悟を決めると、一気に飲みこんだ

タケシ「…」

ワインをよく飲む癖で、舌の上で液体を転がす

タケシ「……」

味はしない

タケシ「！？」

いきなり鼻血を吹き出し射精をする

立ちくらみが起こり、その場で尻餅をついた

激しい頭痛が起こり、身体中に痛みが走ったかと思うと手足が痺れた

ドクロック「ゲゲッ！？」

泡を吹き出し気絶した

なんだこれ

サトシ「博士！博士！しっかりしてくれ！」

一方ここは、マサラタウンのとある研究所

少年の前には、痩せ細った老人が横たわっている

するとドアが勢いよく開き、息を切らせて老人の孫が入ってきた

シゲル「サトシ！ついに見つけたぞ！」

手には埃のかぶった古い書物を持っている

シゲル「ここに書いてある！どんな病も治してしまう幻の仙薬！」

サトシ「これがあれば街のみんなは助かるのか！？」

シゲル「恐らく、新種のウイルスの感染者も助かるだろう」

サトシ「そうと決まれば即行動だぜ！」

二人は旅の支度を整えると、玄関を飛び出した

このマサラタウンは、新種のウイルスの発生源であり感染を免れたのは、この二人の少年のみである

また、感染は人間だけには留まらず、ポケモン達までもが、病に倒れた

既に新種のウイルスの予防方法は発見され、ウイルスの感染は広がらなかったが、感染者を回復させることはできなかった

サトシ「そうだ！タケシが確かポケモンドクターの修行中のはず…きっと薬には詳しいはず！」

シゲル「よし、ニビシティに向かおう」

二人は車に乗り込み、ニビジムに向かって全速力で走り出す

ジムが見えた頃には、勢いが余ってジブに衝突した

ムノー「うわ…えぇ…」

側にいたタケシの父親であるムノーが引いているが気にしない

玄関から入る時間も惜しいので、窓ガラスを割って中に侵入した

タケシの兄弟達がモンスターハンターで遊んでいるところだった

落ちていたタケシの私物と思われるエプロンの匂いを嗅ぐ

サトシ「臭い」

この少年の嗅覚があれば、臭いで大体の検討はつく

サトシ「シゲル、車を出せ。ハナダだ」