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SS

【長編SS】 超 絶 炊 飯 器

 ▼ 1 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/09 01:08:15 ID:X9EcE1Do [1/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
メレメレ島・アーカラ島・ウラウラ島・ポニ島


4つの島からなる自然豊かな場所・アローラ地方は人とポケモンが仲良く暮らしている。


近頃、そんなアローラ地方に何やら妙な余所者が迷い込んできたと住民達の間で噂になっているようだ。


余所者の正体は未知の空間・ウルトラスペースからやってきた生命体「ウルトラビースト」。


アローラに突如として姿を現したウルトラビーストはその圧倒的な力と不思議な能力でアローラの生態系を蹂躙する。


しかし、彼らにとってはアローラもまた未知の空間。この世界で見るもの全てを、彼らもきっと恐れているのだろう。


そこで、エーテル財団代表ルザミーネは自らの趣味嗜好とウルトラビーストを救わんとする想いを込めて、対ウルトラビースト特殊部隊を結成した。その名も……



                   「ウルトラガーディアンズよ!合言葉は、せーの……」




              「「「「「「 ウ ル ト ラ ジ ャ ー ! ! ! 」」」」」」
 ▼ 2 ロリンガ@ぼうごパット 18/07/09 01:09:11 ID:dCIsNzbo NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 3 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/09 01:09:31 ID:X9EcE1Do [2/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
第1話(全13話) 「炊飯器屋のトンデモ娘」
 ▼ 4 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/09 01:12:47 ID:X9EcE1Do [3/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
テンテテンテテンテテンテテン テテテテン♪


今日も今日とて、ポケモンスクール。いつものようにトレーナーとポケモン達が仲睦まじく過ごしている姿は、アローラの縮図そのものである。

そんなスクールの中でも特に個性的なメンバーが揃った教室から、今回もまた新しい物語が始まるのだ。



-------ランチタイム-------


サトシ「うっ……! うっっま あ あ あ あ あ あ あ あ あ 

カキ「うるせぇ」ボコッ

サトシ「い゛っ」

カキ「食事中だぞ。無意味に騒いでエネルギーを浪費するんじゃない」

マーマネ「いや、でも騒ぐ気持ちもわかるよ。マオが持ってきたおにぎりは今まで食べたおにぎりの中でも一番に入るレベルだもの」

マオ「えへへ……///」

スイレン「マオちゃんにはいつも美味しいオカズを分けてもらってるけど、何か今日のは別格。何も入ってないおにぎりなのに……謎」

リーリエ「明らかに普通のおにぎりではありませんよね……普通じゃない……うーん……」

リーリエ「わかりました!論理的結論として、何か良い品質のお米を使っているのではないでしょうか?」

マオ「だと思うじゃん?でもこれは何ということのない普通のお米を使ってるんだ」

スイレン「ま、まさか……腋で握ってるとか……」

マオ「あはは、よくあるけど今回はしてないよそういうの」

マーマネ「本当に握ってたら毛の一本や二本混じってるはずだよ」

マオ「おいそこのオメガマユゲ、食後に屋上」

カキ「スクールにはねぇよ屋上」

マオ「じゃあ地下室」

サトシ「はいはい!わかった!足で握ってるんだ!」

スイレン「マオちゃんのことだから太腿とか……」

リーリエ「体の部位から離れてください」

マオ「何か答えが出そうにないんで言っちゃいましょうかね。答え」


マオ「正解は……   家で使っているジャーを買い替えた   でしたー!」


サトシ「(´・ω・) ジャー?」

リーリエ「炊飯器のことですよ。……成程、いつもと違うのはお米ではなくジャーだったのですね!マオのお父様はいいお買い物をされましたね!」

マオ「いや、買ったのはあたしの意思だよ」
 ▼ 5 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/09 01:17:46 ID:X9EcE1Do [4/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
スイレン「えっ?」

マオ「この間さ、ハウオリの市場に夕飯の買い物に行ったのよ。買い物を済ませた後、市場の近くにあったお店で店員さんに勧められて買ったんだよ。ねぇアママイコ」

アママイコ「あっまい!」

カキ「夕飯のオカズを買うついでに炊飯器を買ったのか……」

マーマネ「でもさ、ハウオリの商店街に電気屋さんなんてあったっけ?」

マオ「電気屋さんじゃないよ。ジャーを買ったの」

マーマネ「え?そんじゃどこで買ったの?」

マオ「『メレメレジャーショップ』っていう新しいお店だよ。お店の中は色んな種類の炊飯器があってちょっと楽しかったな」

スイレン「何それ!?炊飯器の専門店ってこと!?」

サトシ「すげぇ!例えばどんなのがあったんだ!?」

カキ「料理にスーパー疎いお前が炊飯器に興味を持った!? ……いや、それよりもマオ!その炊飯器をどういう経緯で買ったのか教えてくれ」

マオ「おっ、まいどありーっす」

カキ「いやオレは買わないぞ!? その炊飯器の店とやらがどれだけみょうちきりんな店なんだと聞いてるんだ!」

マーマネ「確かに話だけ聞いてるともの凄く胡散臭い感じがするよね。 炊飯器に用があるワケでもなかったマオに炊飯器を勧めるなんて。よほどお店の稼ぎがよくないから押し売りされたんじゃないの?」

トゲデマル「までゅ……」


マオ「じゃあわかった。わかりましたよ。そこまで疑うなら放課後にそのお店に行こうじゃんよ。そこに行ったらあたしが真っ当な買い物をしたって証明できるから。実際そこで買った炊飯器のおかげでこんなに美味いおにぎりができてるワケだし」

サトシ「マオ!おにぎりもう一個!」

ピカチュウ「ピカピカ!ピカピカ!」

マオ「ほいほい我が家の最新ジャーで作ったおにぎり二つね。はい、あーん♪」

サトシ/ピカチュウ「「(´▽`*) アーン」」

サトシ/ピカチュウ「「“(´〜`)” モグモグ」」

サトシ/ピカチュウ「「(*´▽`*) マンゾク!」」

マオ「きゃっ、うれぴ☆」

スイレン「マオちゃん!私にもプリーズ (´▽`*)」

カキ「アホしかおらんのか」


ククイ「ランチタイムに随分盛り上がってるな。おっ、マオ!随分な量のおにぎりだな」

マオ「新しいジャーでご飯炊くのが楽しくて作りすぎちゃいました☆」

サトシ「あっ、ねぇねぇ博士!放課後にみんなで炊飯器見にいくんだ!博士も行こうよ!もし気に入ったのがあったら博士んちもほしいよね?ね?」

ピカチュウ「ペカチュー!」

ククイ「炊飯器、ねぇ……」
 ▼ 6 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/09 01:19:59 ID:X9EcE1Do [5/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
-------放課後-------


ククイ「……というワケなんだ。オレは今日中に終わらせたい仕事もあるから断ったがな」

バーネット『炊飯器ねぇ……ウチは間に合ってるから別にいらないかな。ウチにあるヤツはこの先10年は使えそうな代物だし』

ククイ「だよな……しかし炊飯器とは、サトシはまた以外な所に食いつく子だな。マオの持ってきたおにぎりが余程美味かったのかな」

バーネット『フフ、ホント好奇心旺盛な子だこと』

ククイ「旺盛にも程があるぞ。考えてもみろ。10歳の子供が休み時間の話題で炊飯器スゲー炊飯器おもしれーとか言ってんだぞ。一教師としてちっとは考えらぁ」

バーネット『見るもの全てがすごい。見るもの全てが面白い。……それって、子供の好奇心の理想系だと思わない?』

ククイ「どうだか。それにこの先の事を考えると良くも悪くも妙な予感がするんだよ」

バーネット『……というと?』

ククイ「サトシの好奇心センサーが働きはじめたら、何かしらおかしな事が身の回りで起こるのがアイツが来てからの日常になってる気がするんだ。日常のようで、そうでないような、そうでもないような、ね」

バーネット『そんなことが起こるかもしれないのにどうして放っておいたのよ』

ククイ「…………」

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サトシ「じゃあ行ってくるね博士!博士が来れないのは寂しいけど面白い炊飯器があったら博士に教えたげる!」

ピカチュウ「ピカピカー」

サトシ「どんな面白いのがあるかなー……せっかくならオレん家にもカッコイイのがほしいよな?ピカチュウ!」

ピカチュウ「ペカ!」

サトシ「あぁもう行きたくてしょうがないよ!早く連れてってくれよマオ!」

マオ「ほいほい」

サトシ「じゃ博士!行ってきまーーす!!」

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ククイ「……あんなウッキウキで出て行かれておいそれと止められるか」

バーネット『プハッ 親バカwwwサトシ大好きかよwww』

ククイ「バカなこと言うな。お前も好きだよ」

バーネット『えっ?///』

ククイ「切るぞ。定時まで仕事頑張ってな」ガチャ



ビッケ「また旦那様ですか?」

バーネット「彼っぽく言うならまさに『ふいうち』ね……心臓割れるかと思った」ドキドキ
 ▼ 7 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/09 01:24:52 ID:X9EcE1Do [6/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
つい先週のこと。近頃アローラに現れた迷えるウルトラビーストの如く、見慣れない風貌の四十路らしい男と10歳少しくらいの少女がハウオリの商店街に姿を現し、店を開いた。

「メレメレジャーショップ」と名乗るその店は、ありとあらゆる個性豊かな炊飯器を店先に連ね、商店街の中で異彩を放っている。

お米はもちろん、パンにケーキ、更には煮込み料理まで、近年様々な場面で活躍する炊飯器に可能性を感じた二人は今こそ我らの時代が来たとばかりに炊飯器片手にアローラへ繰り出したのだ。

マオはそんなお店の記念すべき10人目のお客様。10人目のサービスということで定価20000円の最新型の炊飯器を9割引で勧められ、購入したのだった。


マオ「はいはーい!皆さんお待たせ!ここが炊飯器のお店だよ」

サトシ「おぉぉ!もう既に面白そうな雰囲気の店だ!見たことない炊飯器がたくさん並んでる!」

マーマネ「適当言うな。見たことある炊飯器と見たことない炊飯器の違いを口頭で説明してもらいたいね」

スイレン「20000円の9割引、つまり2000円で炊飯器が買えたなんて……マオちゃん、運が良い」

リーリエ「炊飯器の相場はよく知りませんが、2000円はきっとお安いのでしょうね」

マオ「安いなんてもんじゃないよ。クソ安だよクソ安」

カキ「たった10人目で記念サービス、か。この店、相当経営で焦ってるな」

マオ「もう!いくら牧場の息子でも牛乳やらお肉みたいに炊飯器をそんなにホイホイ買うものじゃないことくらい知ってるでしょ!」

カキ「だからって10人目で9割引って……」

マオ「あぁもう!とにかく入るよ!そんで少しでも気に入ったらここのお店にちゃんと貢献すること」

カキ「だから買わんて」

♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪

マオ「アローラー!先日はどーもです!お友達連れてきましたー!今日は一日で5個売れますよーー!おーーーい!」

カキ「…………」

スイレン「いないみたい」

マーマネ「お店は開いてるからこの中のどこかにはいると思うんだけど」


サトシ「ほへー……」シミジミ

リーリエ「何かお気に召すものはありますか?サトシ」

サトシ「いやさ、炊飯器って高いんだなーって。カッコ良くて使ってみたいものはいっぱいあるけど、とても簡単に買える値段じゃあないよ」

リーリエ「ですねー……あっ、コレなんてどうですか?携帯用で定価4000円ですよ」

サトシ「アハハ、水筒みたいだな!」

ピカチュウ「ピカカピー……」

サトシ「んー……この中のどれでも美味しいご飯が炊けそうだと思ったらまたお腹減ってきたな。早くお店の人来てくんないかな……」
 ▼ 8 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/09 01:38:19 ID:X9EcE1Do [7/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
???「おやおや、ウチの炊飯器たちをそんな風に言ってくれるとはお目が高いねお客さん」

サトシ「うおっ!?誰あんた」

リーリエ「ひょっとしてこのお店の方ですか?」

???「まぁそういうことになるけど……どうかな?何でも買ってくれればきっと炊飯器たちも喜ぶと思うよ。あぁ、今お金が無くても後で持ってきてくれたらいいから……」


サトシ達の背後からいきなり現れたこの男性こそ、「メレメレジャーショップ」の店長・ムラシさんである。

稲作農家の子として生まれた彼はその家系に合わぬ機械っ子であり、田植え稲刈りに勤しむ両親をよそに自作の炊飯器を量産しては自分の創作意欲を満たす少年時代を過ごしていたという。


マオ「あっ、店長!アローラーー!」

ムラシ「ん? ……あれ!マオちゃんじゃないか!この前はどうも。何だ?今日はお友達も連れてきて」

マオ「あんがとーござーますっ!」ペコッ

ムラシ「な、何だいきなり?」

マオ「あの、昨日初めてここのお店の炊飯器でご飯炊いたんですけど、すっっっごく感動しました!お米のハリもツヤもいい意味でエライ事になってて味も食感もプァーフェクトな仕上がりでもう最高でした!!」

ムラシ「ほ、ホントかい?そりゃよかった」

マオ「学校に持って行ったおにぎりも大好評!ので!今日はそんな炊飯器で炊いたお米の虜になったお友達を引き連れてぜひこのお店の商品を勧めたいと思い参上致しましたっ!」

サトシ「うぇーーーいwww」

ピカチュウ「ピカピカ!」

リーリエ「ど、どうも……」

ムラシ「はは、気に入ってもらえたのは嬉しいけどそんな勢いで感謝されても僕らはただ炊飯器を売ってるだけに過ぎないよ。……君らを虜にしたのは僕じゃない。炊飯器さ」

ムラシ「帰ったらちゃんと炊飯器にも感謝の言葉を伝えておくといい。美味しいご飯を炊いてくれてありがとう。また明日もお願いね、ってね」

マオ「えへへ……///」

スイレン「あのマオちゃんが言葉で落ちかけてる……あのおじさん、やり手」バチバチ

マーマネ「少々胡散臭い感は否めないけど……悪い人ではなさそうだね。ねぇカキ?」

カキ「……ハァ。 面白くない。もう帰っていいか?」

マオ「待った待ったお客さん!まだお買い物が済んでいませんよ!」ガシッ

カキ「だれがお客さんだ。買わないと言ってるだろう。炊飯器はもう間に合ってるんでいらないと言ってるんだ」

マオ「別に何個もあっても困りもしないでしょうに!ホラホラ、携帯用でもいいから買っていきなって!」

カキ「どうしてそこまで買わせたいんだよ。いらんっての!」

マオ「むぅ〜、かくなる上は……店長!この男の子にオススメの炊飯器を選んであげてください!」

カキ「……は?」
 ▼ 9 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/09 01:42:19 ID:X9EcE1Do [8/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ムラシ「よしきた。……君、名前は?」

カキ「カキです」

スイレン「答えるんだ」

ムラシ「カキ君ね。……ではカキ君。オススメの炊飯器を言ってあげたいが、それにはカキ君がどのような炊飯器を欲しているのか……いや、どのような炊飯器がカキ君を求めているのか僕が知らなければならない」

マオ「うんうん」

カキ「意味がわからん」

ムラシ「今、店中の多くの炊飯器が君の視界に入っているだろう?だがそれは向こうも同じ……炊飯器達が君の顔を見ている。 君の顔を見た時、果たしてどの炊飯器が君とうまくやっていける可能性を感じているのか僕が見定めてあげよう」

サトシ「何だ?何が始まるんだ?」

ピカチュウ「ペカペカー……」


ムラシ「§ ¶ Δ £ ÷ φ 仝 ; ・ ・ ・ 」


胡散臭さ、ここに極まれり。不思議な呪文を呟きながらムラシ店長が店棚に並ぶ炊飯器を次々に手に取っては置き、店中をうろつく。

人が物を選ぶのか、物が人を選ぶのか、それは誰にもわからない。だからこそ、人の心と物の心をつなぐ存在が必要と考えた彼は自分がその架け橋になろうと考えた。心をつなぐ……そんな誰にでも務まるわけではないこの役割を彼は担っている……つもりになっているのだ。


リーリエ「どうやら儀式のようですね。アーカラ島でライチさんがやっていた事と似ています」

マオ「ムラシ店長はね、炊飯器の心が読めるんだよ。他の何でもない、炊飯器の心」

マーマネ「なんじゃそのピンポイントすぎる能力!?」

スイレン「限られすぎたロマン……でもそれがいい」

サトシ「オカルトの力ってすげー!」

カキ「やっぱアホしかおらんのか」


ムラシ「はい。わかったよ。カキ君にオススメの炊飯器」

マオ「おー!!よかったねカキ!これでご飯いっぱい炊けるよ!」

アママイコ「はくまぁーい!はくまぁーい!」

カキ「……もう後には退けんか」

ムラシ「さぁ受け取ってくれたまえ」


サトシ「どうしよう……本気で博士に相談してみようかな」ワクワク

リーリエ「今度のお母様のプレゼントはココにしましょうか……迷うところです」

マオ「思い立ったが吉日!さぁさぁ皆に合った炊飯器をどうぞ!」

マーマネ「何かもうこの店の人みたいになってないかね」

カキ「やられた……本当に。まぁ、折角勧められたんだ。コレ(↓)は大事に使わせてもらおう」
 ▼ 10 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/09 01:44:59 ID:X9EcE1Do [9/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
マオ「あっそうだ。店長!今日はヌカちゃんはいないんですか?」

スイレン「ヌカちゃん?」

マオ「店長の娘さんでね。あたしがこのお店に来た時は店長と一緒にいたんだけど……」

ムラシ「あぁ、ヌカなら今はお店にいないよ。トロピウスと一緒に近くの海岸でバトルの特訓をしてる」

サトシ「えっ?バトル!?」

マーマネ「あっ、サトシのバトルセンサーが反応した」

サトシ「ち、近くの海岸ってここからどのくらい行ったところですか?」

ムラシ「徒歩20分くらいかな。……ひょっとして迎えに行ってくれるのか?悪いよそんなの!お礼をしようにもオススメの炊飯器を教えることくらいしか……」

サトシ「いいんです!トロピウスと一緒にいるんですよね?すぐに見つけて連れてきます!ヒャッホゥ!!」


ムラシ「……行っちゃった」

マオ「しょうがないなもう。……店長、この分だとサトシの『すぐ』は一時間以上はかかりそうですよ。サトシはバトルが強い人には誰だって絡むんで……」

ムラシ「いいさ。あの子もバトルが好きなんだろ?僕達はアローラに来てからまだ間もない。ヌカだって、友達は多く作ったほうがいいに決まってるさ」

マーマネ「バトルが好きなもの同士かぁ。そのままいい感じになっちゃったりしてね」

スイレン「何故こっちを見る」ドゴッ

マーマネ「まひなぺっ」

リーリエ「どうしましょう、私達はサトシを待つべきでしょうか……」

カキ「オレは帰るぞ。用も済んだことだし、これ以上ここにいると息が詰まりそうだ」

マオ「何さ、炊飯器の心も知らないで」

カキ「オレはこの炊飯器の機能性は信用するが、この炊飯器が自分でオレを選んだなんてこれっぽっちも思っちゃいないさ。オレはそういうのは信じない」

マオ「うわぁ〜!日頃からヴェラ火山がどうとか言ってる人がそれを言っちゃいますか。アローラの炎が聞いて呆れますな」

カキ「何だと!」

マーマネ「こらこら!人ん家だよ!」

スイレン「マオちゃんも今のは言い過ぎ。はい、お互いにごめんなさい」

カキ/マオ「「…………」」

ムラシ「ま、まぁ、ここはお店にしては人が来ることはそうないからね。気が済むまでゆっくりしていきなよ」


ムラシ「話は変わるが……あのサトシ君って子、強いのか?」

リーリエ「えぇ!とても。彼はアローラの大試練を3つも突破しているのです」

ムラシ「成程……大試練というのは、シンオウやホウエンでいうポケモンジムみたいなものだろ?まぁ3つくらいなら、まだヌカには勝てないかもしれないな」

リーリエ「そ、そんなにお強いのですか?そのヌカさんという方」

ムラシ「あぁ。何せあの子のトロピウスは、『普通』じゃないからね……」
 ▼ 11 ネズミ@ユキノオナイト 18/07/09 11:13:21 ID:U52Mf5XA NGネーム登録 NGID登録 報告
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 ▼ 12 スゴドラ@ピッピにんぎょう 18/07/09 13:11:04 ID:q4Mcz3gI NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 13 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/09 22:18:02 ID:X9EcE1Do [10/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サトシ「あーおいうーみがよんでるっ♪しーろいなーみもうたってる♪まっかなまっかなたいーよぉおいっかけって♪はしーっておいでよ♪」

ピカチュウ「ピーーカチューーーー!!」

サトシ「いやー楽しみ!ヌカちゃんって子がどんなバトルをするか楽しみだと思わないか?ピカチュウ」

ピカチュウ「ピカピカ!」

サトシ「だけど今回はお前じゃありませーん!残念だったなフハハ」

ピカチュウ「えっ」

サトシ「店長さんが言ってたろ?ヌカちゃんはトロピウスを持ってる。トロピウスは草タイプだっていう事前情報があるんだからちゃんと対策をとらないと」

ピカチュウ「(´・ω・`)」

サトシ「そんな顔するなって!また休みの日にでも一緒に散歩に行こうぜ!二人っきりで!」

ピカチュウ「(//♡▽♡//)」


                  ズ ド ォ ォ ォ ォ ォ ォ …… ! !


サトシ「な、何だ!?  ……ビーチの方からだ。間違いない!行こうぜピカチュウ!」

ピカチュウ「ピカ……?」

♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪

潮風をかき分け、鳴り響く轟音。砂をかき分け、吹き飛ぶ勝負相手。

圧倒的な強さの前にざわつく人々を他所に、少女はポケモンを撫でまわす。


女「えっザコ……こんな弱い人と付き合ってた自分が恥ずかしいわ。じゃあね、今日のデートは楽しかったです。でも思い出にはしたくないからせめて今日の割り勘した分チャラにしてくれる?」

男「えっ、それってどういう……」

女「今日アタシが出した分アンタがアタシに払えって言ってんの!それでもうアタシ達の縁はおしまい!」

男「こ、このアマ〜ッ! おいそこのガキ!お前のせいだかんな!ちくしょう!」


ヌカ「……ありゃりゃ、カップル一組引き裂いちゃったよ。ただバトルしただけなのに」

トロピウス「クルルルル……」

ヌカ「あ、よーしよし♪やったねトロピウス、今日だけで5連勝だよ!エライエライ」ナデナデ

ヌカ「さてと……今日はこの辺にする?そろそろ帰ってご飯炊かなくちゃだからね。今日はマトマとブーピッグの混ぜ込みご飯にしようね」


サトシ「あっ、あの子だ。間違いない……    お − − − − い ! !」


ヌカ「はにゃ?誰かな?」
 ▼ 14 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/09 22:20:23 ID:X9EcE1Do [11/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
トロピウス「クララララ……」

サトシ「トロピウスが一緒ってことは君だろ?ヌカちゃんって」

ヌカ「そうだけど……あたしに何か用かな?」

サトシ「君さ、ここでバトルの特訓してるんだろ?近くにトレーナーもいるし……ひょっとして実戦で鍛えるのが好きなの?」

ヌカ「ふぇっ!?どうしてあたしがここで特訓してること知ってるの?」

サトシ「炊飯器屋さんの店長さんが君のパパでさ、自分にバトルが強い子がいるって君の居場所を教えてくれたんだ」

ヌカ「あ、そう父ちゃんが……ていうかウチの店に来てくれたんだね。ありがとう」

ヌカ「どこの家もさ、炊飯器ってそんな頻繁に買う機会ないじゃん?そんで父ちゃんのお店の稼ぎだけじゃ生活も安定しないから、こうしてあたしがバトルしてせめて自分のお小遣いだけでも稼いでるんだ」

サトシ「へぇ〜お金のためにやってるのか。ねぇ、よかったら今度はオレとバトルしない?お金は用意できないけど……ヌカちゃんもバトルが好きでこんなことしてるんだろ?」

ヌカ「まぁ……好き、かな。あたしもトロピウスもそれで強くなったものね」

トロピウス「ギルルルルル……」

ヌカ「いいよ!バトルしてあげる!お金を貰えないからって手は抜かないからね、本気でいくよ。……あ、そういえば君さ、名前は?」

サトシ「あぁ、オレはマサラタウンのサトシ!こっちは相棒のピカチュウ」

ピカチュウ「ピカピカー」


ヌカ「……えっ」


ヌカ「ウソ……?君が……?」

サトシ「あっ、聞こえなかった?じゃあもう一回言うよ。オレはマサラタ

ヌカ「あぁあぁいいいい!結構です!何となくそんな気はしてたから!」

サトシ「( ・ω・) ?」


その名を聞いた瞬間、ヌカの心は大きく揺れた。驚きのあまり大きく見開いた目でサトシを見つめる。


サトシ「ど……どしたん?」


……間違いない。この人だ。この人がいたから今のあたし達がいる。そう心で呟いたヌカはサトシの眼の前で一息つくと、大きな瞳をトロピウスに向けた。


ヌカ「へへ……やるよトロピウス!準備はいい?」

トロピウス「カルルルルル……!」

サトシ「何か盛り上がってるみたいだけどこっちは準備できてるぞ!……そっちが草タイプのトロピウスなら炎タイプのニャヒートが相手だ!」

ニャヒート「ニャオォオォオ!!」

ヌカ「うん! ……んじゃ、バトルスタート!」
 ▼ 15 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/09 22:23:39 ID:X9EcE1Do [12/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サトシ「ニャヒート、『ニトロチャージ』!」

ニャヒート「ヴァァァァッ!!」


緊張がこみ上げるヌカに構わず、サトシはいつも通りの先手必勝プレイを仕掛ける。

進化を経てパワーが増したニャヒートの牙が燃え上がる。先程サトシ自身が聞いたものに負けず劣らずの轟音を立てながら、砂浜を駆け抜ける炎の弾丸はトロピウスの首元に狙いを定めた。


ヌカ「来るよトロピウス!首を反らして回避!」

トロピウス「ガルルルッ!」

サトシ「あぁ……惜しかった、先手必勝ならずか。でも!」


ズ ゴ ォ ォ ォ ッ ! !


トロピウス「ガフォッ……!?」

ヌカ「トロピウス!!」

サトシ「『ニトロチャージ』はスピードを上げる技。一度避けられてもすぐ切り返せるぜ!」

ヌカ「やるね……マサラタウンのサトシ、タダモノじゃないよ!でもここからはあたしのターン!あたしのトロピウスはただのトロピウスじゃないの。あたしがあたしの育て方で一から鍛えたポケモン……」

ヌカ「トロピウス!『にほんばれ』!!」

サトシ「うおっ!?」


夕方5時の傾きかけの太陽が、まるで逆戻り。昼間の日差しのような激しい光が砂浜に突き刺さる。

太陽の恵みを受けたトロピウスはより一層奮い立ち、椰子の葉のような翼を広げてサトシとニャヒートを威嚇する。


ニャヒート「っ!」ピタッ

サトシ「気をつけろ!何か来るぞ!」

ヌカ「トロピウス!『エアスラッシュ』!!」

トロピウス「ガァァァァァ!!」

サトシ「ニャヒート、飛び上がってかわせ!避けたらトロピウスの上から『ほのおの……



                       バ シ ュ ッ … … ! !


ニャヒート「がっ……」


サトシ「い゛っ!?」

ヌカ「あたしのトロピウスの特性は『サンパワー』!真夏日の太陽の光を浴びたトロピウスに力勝負で勝つのは難しいよ!」

ニャヒート「ニ゛ャルルル゛ル……」
 ▼ 16 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/09 22:26:47 ID:X9EcE1Do [13/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サトシ「パワーがダメならスピードを上げてやる!ニャヒート、もう一回『ニトロチャージ』!」

ヌカ「ニャヒートが動く……!トロピウス、連続で『エアスラッシュ』!!」

ニャヒート「!?」


      ズドォォォォ!!             ズドォォォ!!


トロピウスの威嚇に怯む間もなく、超速の空気の刃が次々とニャヒートにブチ当たる。今にも体が切り刻まれそうな風圧に耐えるニャヒート。牙に蓄えた炎も消え、動くことすらままならない。

砂浜にはレールが敷かれたようにくっきりとした刃の跡が増え続ける。波の音もかき消さんばかりの風の雄叫びはこの勝負を確実なものにしようとした手前で収まった。


ニャヒート「う……にゃ……」プルプル

サトシ「ニャ、ニャヒート!大丈夫か!」

ピカチュウ「ペカペカー!」


トロピウス「ゼェ……ゼェ……」

ヌカ「トロピウスは平気!?……ダメそう? そうだね。『サンパワー』は技の威力を上げてくれるけど技を出す度に体力も消費するもんね……じゃ、もう決めちゃおっか」


サトシ「トロピウスも疲れてる……もう一度『ニトロチャージ』……いけるか?」

ニャヒート「に゛ゃうっ!」

サトシ「無理はするなよ……よしいけ!」


今度こそニャヒートのスタートダッシュが決まる。再び炎が体を包み、『サンパワー』の副作用に悶えるトロピウス目掛けて弾丸が襲い掛かる。

ニャヒートのスピードは衰えていなかった。体力を大幅に削られてもなお、その突進の気迫はヌカ達の警戒心を煽るのに十分なものだった。

しかし……ヌカとトロピウスは奥の手を隠し持っていた。ニャヒートが限界の距離まで迫った時、力を振り絞ったトロピウスの一撃が一直線上に突き抜けた。


ヌカ「トロピウス……『  ソ ー ラ ー ビ ー ム  』  ! ! 」



                              ゴ


                                 ォ

                                ォ

                              ォ

                                ォ

                             ォ

                               ッ

                            !  !  !
 ▼ 17 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/10 00:03:31 ID:AQMQfieE [1/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
閃光が駆け抜けた後、えぐれた砂浜からは小さな川のような潮溜まりが顔を出していた。

全身全霊をかけた一撃を放ったトロピウスは横たわり、椰子の葉のような翼もしおれてしまっている。


ヌカ「よし……」

ヌカ「! 待って、ニャヒートは!?ニャヒートはどこに行ったの!?」

サトシ「へへ……」


ボ ォ ォ ォ ! !


何かが爆発したかのような音がした。

トロピウスが燃えている。『サンパワー』で闘志を燃やしているのではなく、体から炎を上げて燃えているのだ。

ニャヒートだ。「無理をするな」というサトシの指示のもと、『ソーラービーム』を寸前で避けたニャヒートがトロピウスの首元に牙を立てていた。


サトシ「オレ知ってるぜ。『にほんばれ』はトロピウスの力を上げるだけじゃなくて炎タイプの技の威力も上げるってこと!」

ヌカ「そんな!真正面から突っ込んでたのに避けられたの!?……うぅ、やっぱこんなもんじゃなかったよね!マサラタウンのサトシ……」

ヌカ「でもこっちだって負けてらんない!トロピウスの体力は確かにもう底をついた。でも……」


ヌカ「          『こうごうせい』!!          」


サトシ「え゛ぇっ!?」


炎に包まれ、くたびれたトロピウスの体が徐々に持ち上がっていく。ヌカとトロピウスの奥の手その二はありったけの日差しを吸収する回復術だ。


ヌカ「振り落とせぇ!」

トロピウス「トロォォォォォ!!」ブォォォン!!

ニャヒート「に゛ゃっ!!」

サトシ「くそっ、トドメを刺し損ねた!」


ヌカ「さぁトロピウス!ニャヒートはもう限界だよ。今度こそ決めよう!」

トロピウス「コォォォォォ……」

ヌカ「いくらスピードが上がっても反射神経は衰えてるハズだよ。一度あれだけギリギリの距離で『ソーラービーム』を避けた時、ニャヒートはもう気力を使い果たしてる」

ニャヒート「に゛ぃぃ……」

サトシ「やばい……!」

ヌカ「『ソーラービーム』!!」


                       ボ  ッ  …  …  !  !
 ▼ 18 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/10 00:05:31 ID:AQMQfieE [2/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
トロピウス「お゛っ……」ドサ

ヌカ「えっ、どうしたのトロピウス!?」


時間切れだ。このバトルで砂浜を突き刺していた真夏日の日差しがたった今その効力を失い、光の支配権をもとの傾きかけの太陽に譲ったのだ。

これでは「サンパワー」を発動することはできない。トロピウスが溜めた光も水平線に沈む夕日のように徐々に眩しさを失っていった。


ヌカ「そんな!あとちょっとのところで!」

サトシ「た、助かった……いや、ここからだ。トロピウスの体力はまだまだ残ってる。強い攻撃を当てて次は確実に倒す!」

ニャヒート「にゃぁあぁあぁ……」


サトシ「          いくぜ!! ニャヒートォォォ!!!          」


              ニ゛  ャ  ア  ア  ア  ア  ア  ア  ア  !  !  !


ヌカ「ど、どういうこと!?『にほんばれ』は止んだ。なのにニャヒートは今までで一番の炎を……まさか!」

ヌカ(そうだ。そうに違いない……)


サトシ「『もうか』だ!いいぜニャヒート!お前ならやってくれると思ってたぜ!」

ピカチュウ「ピカピカッチュウ!!」


ニャヒート「に゛ァァァァ……」ボボボボボ

サトシ「チャンスは今しかないぞ!『ほのおのキバ』!!」

ヌカ「!!」


バ  ク  ン  ッ  …  …   !   !


トロピウス「ガッ……!?」

ヌカ「トロピウス!……まだ敗けちゃダメ。次の攻撃さえ当てれば勝てるんだから!」

トロピウス「クルルル……」


ヌカ「『にほんばれ』!!」


サトシ「なっ……!?」

ヌカ「そうだよ……そうだよマサラタウンのサトシ!今のニャヒート、いい炎を出してる!これはその炎をもっと熱くさせるための起爆剤だよ!」

サトシ「……? よくわかんないけどまだやる気なんだな?」

ヌカ「うん!勝つのはあたし!」
 ▼ 19 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/10 00:12:44 ID:AQMQfieE [3/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ヌカ「後は攻めるだけ……『サンパワー』全開だよトロピウス!真正面に『エアスラッシュ』!」

トロピウス「 カ ァ ァ ァ ァ ァ ! ! 」


サトシ「くるぞ!『リベンジ』で撃ち落とせ!!」

ニャヒート「にゃう゛ぁっ!!」


                 ボ  ォ  ォ  ォ  …  …  !  !


ヌカ「もう一度!『エアスラッシュ』!!」


サトシ「『リベンジ』!!」


                 ボ  ォ  ォ  ォ  …  …  …  !  !


ヌカ「『エアスラッシュ』!!」


サトシ「『リベンジ』!!」


                 ボ  ォ  ォ  ォ  …  …  …  …  !  !



この熱さ、この炎……サトシはまだ、このバトルの重大さに気付くことはなかった。

それもそのはず、今までの冒険の中でサトシが「あること」を成し遂げたことで、ヌカに大きな影響を与えたことなど知る由もないのだから。



サトシ/ヌカ 「 「 次 で 決 め る ! ! 」 」



サトシ「ニャヒート!『ニトロチャージ』の炎をまとえ!!」


ニャヒート「にゃあ゛っ!!」ボボボボ


サトシ「これがオレ達の…… ゼ ン リ ョ ク だ ア ア ア ア ア ア ア ア ア  !  !  !」



ヌカ「トロピウス!」

 
トロピウス「コォォォォォ……!!」


ヌカ「          『ソ  ー  ラ  ー  ビ  ー  ム  』     !  !  !   」
 ▼ 20 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/10 00:13:39 ID:AQMQfieE [4/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

                                 ウ

                                 ル

                                 ト

                                 ラ

                                 ダ

                                 ッ

                                 シ

                                 ュ

                                 ア

                                   タ

                                     ァ

                                 ァ

                              ァ

                                   ァ

                                ァ

                                  ッ

                                ク

                             !  !  ! 








サトシが「それ」を知るのは、もう少し後のお話……













ムラシ「えっ、大試練って4つしかないのかい!?それじゃあ3つ突破してるサトシ君って……」

リーリエ「ウフフ……」
 ▼ 21 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/10 00:15:46 ID:AQMQfieE [5/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
次のおはなし



第2話(全13話) 「空飛ぶ炊飯器」
 ▼ 22 ーマルド@こだいのツボ 18/07/10 02:08:10 ID:sAkAwt4U NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 23 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/10 23:15:13 ID:TMDEc.62 [1/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
少し時間を戻して、再びランチタイム。サトシ達が炊飯器の魅力に取り憑かれ始めたのと同じ頃、メレメレ島のとある海岸では「彼ら」の何てことのない日常が続いていた。


ムサシ「うーみーはーひろいーなーおおきーいなー♪」

コジロウ「うちゅうーにーくらべればーしれてーるぜー♪」

ムサシ「やぼなツッコミはーおよしーよー♪」

コジロウ「ごめんーなーさーい♪」


愛と真実の悪を貫くLovery Charmyな敵役・ロケット団は今日はお休み。

最近彼らの間でブームになっている海釣りを楽しみながら、休みの日くらいは何てことのない日常を送れますように、と、この時の彼らは心の片隅で思っていた。この時は。


ニャース「ニャにも釣れないのニャ。ロケット団の新戦力候補でも食料でも何でもいいから釣果がほしいところニャ」

ソーナンス「ソーーーナンス……」

ヒドイデ「どいでっ」

ミミッキュ「むゅ」

ムサシ「どうする?こうなったら誰か行って獲ってくる?素潜りで」

ニャース「何でこっち見るのニャ」

コジロウ「まぁ、今日くらいは妙なことせずに無難にいこうぜ。悪役でも定期的に平穏な時間をしっかり噛み締める事は大事だぞ……」


ググググ……

ムサシ「!? ちょっとニャース、アンタんとこ引いてるんじゃない?」

ニャース「んニャ!?ホントニャ!よし、妙なことはせずに無難に持ち上げるのニャ!」ググググ

ムサシ「コジロウ!アンタ網用意して網!」

コジロウ「了解!」

ニャース「ニュアラァァァァ!!渾身のぉ……無難の一本釣りニャアアアアアアアアアア!!!」


                 ズァバッ!

♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪

コジロウ「えー……なんで」

ニャース「ニャんでって言われても……」


ムサシ「          どうして海から炊飯器が出てくるんですかっ!?          」


ロケット団の今回の釣果・ボロボロに錆びた炊飯器一台。

ボロボロで使えない、何てことのない炊飯器一台が釣れたのでした☆
 ▼ 24 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/10 23:17:35 ID:TMDEc.62 [2/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ムサシ「ジャーってなんやねん!ジャーってなんやねん!」ダンダン

ソーナンス「ソーーーーーナンス!!」

コジロウ「きっと誰かが捨てたんだろうな。粗大ゴミは捨てる日も限られてるからやむを得ず海に捨てたんだろうぜ」

ニャース「まったく勝手なヤツニャ」

ヒドイデ「ひどいで!」プンプン

ムサシ「あっ……でも待った。こういうのってさ、ちょっとしたサプライズがあってもいいんじゃない?」

コジロウ「い、一応聞くがそれはどういうことだ?」

ムサシ「考えてみなさい。この炊飯器は海に落ちてたのよ?海といえば神秘の宝庫。つまりこの炊飯器だってきっとお宝かもしれないワケよ。この蓋を開けるとそこにはなんと……ババァァァァンと古代文明の遺産が!」

ニャース「ガバガバすぎて突っ込む気にもなれんニャ」

コジロウ「なんでそんなもんが炊飯器から出てくるんだよ」

ニャース「炊飯器といえば電子ジャー。電子ジャーといえばどこかの大魔王でも出てくるんじゃないかニャ……」

コジロウ「やだな。そのパターンならオレ達完全にソイツのパシリルートまっしぐらじゃないか」

ムサシ「とにかく開けるわよ!せーの……って固っ!何この蓋!見た目はボロっちぃクセにメチャクチャ固い!ねぇ誰か!トンカチとかチェーンソーとか持ってない?」

ニャース「ニャー達はそんなの海釣りに持ってくるほど世紀末じゃないニャ」

ムサシ「んじゃもう持って帰って開けるしかないわね!はい!今日の海釣りは終わり!」

コジロウ「おいおい、まだロクなもん釣れてないぞ?」

ムサシ「コレの中身がお宝だったら儲けもんでしょうが!おら、基地に急ぐわよ!」

コジロウ(無難な休日、終了)

ヒドイデ「せちがらいで……」


ムサシ「何か最近王冠が釣れるとか話題になってんじゃん?コジロウアンタ王冠好きだったでしょ。アンタはコレクションが増えるわアタシは売って小遣い稼ぎできるわでWIN-WINよ!」

ニャース「取らぬ狸の皮算用とはこのことだニャ」

コジロウ「なぁ、せめてカフェにでも寄って帰ろうぜ……」

ムサシ「何さ!まだ平穏求めてんのこのお坊ちゃまは!ロケット団たるもの常に刺激を追い求めなさい!」

ミミッキュ「キキキキ……」

ニャース「仕方ないのニャ。色々な方向に真っ直ぐなのがムサシの性格なのニャ」

コジロウ「まともな休日はいつになることやら……」


諦めなさい。今こうして物語が始まっているということはつまりそういうことです。

ポケモン、それはこの世界に生きる不思議な生き物。ポケモン達がいる限り、この世界にまともな平穏なんて何一つないのだから……
 ▼ 25 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/10 23:19:09 ID:TMDEc.62 [3/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
-------その夜 ククイ家-------


サトシ「うっ……! うっっま あ あ あ あ あ あ あ あ あ 

ククイ「うるせぇ」ボコッ

サトシ「い゛っ」

バーネット「フフ、おかわりならいくらでもあるからね。どうよ?ウチの炊飯器も大したもんでしょ」

サトシ「むぅ……そうだね。まだ無理に買う必要もないか……」

ピカチュウ「ペカペカァ」

ククイ「それにしても一番消極的だったカキが炊飯器を買うとはな。炊飯器屋さんももちろんだが、マオも中々良いセールス力を持ってやがる」

バーネット「食堂の看板娘は伊達じゃないってことね」

サトシ「マーマネはカキと同じくらいの小っさいヤツを買ってて、スイレンはお金を用意して明日出直すだって、リーリエは今度ママの誕生日プレゼントに買うってさ」

バーネット「ふぅん小型ねぇ。……ククイ君もそういうのなら買ってもいいんじゃない?」

ククイ「えっ、いいのか?」

サトシ「あぁ白米うまい」モグモグ


ニャヒート「うにゃ……」グデー

ベベノム「ピピピ?」


ククイ「ガオガエンに善戦したニャヒートを晩飯が喉を通らないほど追い詰めるとは……そのトロピウスと炊飯器屋さんの娘ってのは大したもんだな。ニャヒートの炎……オレだって少し脅威を感じた程なのにな」

バーネット「えっ?オレ?ククイ君?」

ククイ「あ゛っ!!」


ニャヒート「うにー……」

ベベノム「ピピピピ」オツカレサマ


サトシ「そうそうそれそれ!最近引っ越してきたらしいんだけどメチャクチャバトルが強くてすぐ仲良くなっちゃった!」

バーネット「また女の子を落としちゃったの?ダメな子♪」

サトシ「(;´・ω・) ??」

ピカチュウ「( ̄д ̄)」

サトシ「とにかく強かったんだ!どうしてそんなに強いのか聞いたらさ……」

-------------------------------------------------------------

ヌカ「えっ?強い理由?」

サトシ「君もトロピウスもメチャクチャ強かった!特にあの『ソーラービーム』はまともに食らえば一発で敗けてたかもしれないし……ねぇ、やっぱりこれだけバトルが強いのにはワケがあるんだろ?」
 ▼ 26 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/10 23:50:16 ID:TMDEc.62 [4/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ヌカ「そりゃもちろん!トロピウスとはいっぱい特訓したもん!それにあたしのトロピウスは普通じゃないからね」

サトシ「普通じゃない?どういうこと?」

ヌカ「ふふん。あたしのトロピウスをよーく見てごらんなさい」

サトシ「どれどれ……」


どこか可愛げのある前足、どっしりと構えた後ろ足、4枚の翼でXを形作る背中、カバーのないフルフェイスのような頭、

どこをどう見ても普通のトロピウスと変わらないじゃないか、と内心落胆しかけたサトシの眼の前に、「普通じゃないもの」が飛び込んできた。


サトシ「ヌ、ヌカ、このさ、トロピウスの首にあるフサフサって……」

ヌカ「フフフ……そう。あたしのトロピウスはね、バトルの特訓だけじゃなくて食事も普通じゃないの!」

ヌカ「知ってる?トロピウスの首に生えている果物は、野生のトロピウスが大好物の果物を食べ続けて生えてきたものと言われているの」

サトシ「でもコレってさ……」

ヌカ「そう!コレこそがあたしのトロピウスの強さの証!稲作農家の父ちゃんの実家から送られてくる採れたてのお米を食べ続けてきた結果!あたしのトロピウスの首元にはなんと!」


ヌカ「フッサフサの   『 稲 穂 』   が生えてきたのよ!」


サトシ「な、なんだってーーーーーーーー!?!?」

トロピウス「クルルルルル……」ドヤァ

サトシ「すげーー!!珍しいじゃん!こんなトロピウス世界中探してもいないよ!?」

ヌカ「でしょ!?あたしもトロピウスのそこが自慢なんだ! ……誰が何と言おうと、あたしはこのトロピウスと強くなるって決めたの。ね?トロピウス」

トロピウス「カララララ……」

-------------------------------------------------------------

サトシ「……て言ってたよ。ヌカのパパの実家のお米は栄養満点だから、それでトロピウスも立派に育ったんだってさ」

ククイ「うっそだろオイ」

ロトム「稲穂の生えたトロピウス……サトシ!今度ヌカちゃんに会う時はボクも連れてってほしいロト!何としてもデータを記録するロト!!」

サトシ「わ、わかったわかった」

ククイ「よし、じゃあ明日の放課後はオレも炊飯器屋に行こうじゃないか。今度はサトシがそこに案内してくれるか?」

サトシ「うん!面白そうなのがいっぱいあるからゆっくり見て決めようよ!」

ピカチュウ「ペカペカァ!」


ニャヒート「ゲホゲホ……」

ベベノム「!」
 ▼ 27 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/10 23:52:40 ID:TMDEc.62 [5/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
夜も更け、そろそろおやすみの時間。百合の香りが心地良いソファベットに飛び込み、今日も一日が終わろうとしている。

ON-OFFの差が激しいサトシの体は毛布をかぶった途端に静まり返って首から下が動かなくなった。


ピカチュウ「ぺかちゅぅ〜……」

サトシ「どした?まだニャヒートの事が心配?」

ピカチュウ「ピカチュ。ピカピカ……」

サトシ「違うの? ……あぁそうか!休みの日の散歩が楽しみなんだな。どこに行きたい?」

ピカチュウ「ペカペカー……」

サトシ「ハハ、まぁどこでもいいか。……今日は面白いものも見れたし、友達もできたし、どこに行ってもまた楽しいことがあったらいいな……」

ピカチュウ「ピカチュ〜♪」ハムハム

サトシ「ん……じゃあそろそろ寝よっか。ピカチュウ。おやすみ……」


ククイ「…………」ジーッ

バーネット「はい可愛い。言ったでしょ?あれが理想系。子供は色々なことに興味をもって大きくなるの」

ククイ「ハナコさんはとんでもない子供を寄越してくれたモンだぜ……」

バーネット「フフ、だね。私からもちゃんとお礼を言っておかないと」

ククイ「『謝ってもらわないと』の間違いだろ?」

バーネット「でも本心は?」

ククイ「まんざらでもなし!」

バーネット「That's right!」

ゴンベ「ごぉん!」

ウォーグル「ワシ……」


サトシ/ピカチュウ「「ZZZ……」」







同じ頃……とある森の大きな樹洞にて。一匹のポケモンは静かに佇んでいた。もう何分も何時間も、そこにただただ立ち尽くしている。まるで物語の一部始終を見届けているように。

辺りには木の実の食べ粕、使った痕跡のあるトンカチやチェーンソーが放り出されていて、何てことのなくないことが起こったことを物語っている。

彼らの姿が見当たらない……やはり彼らの持ち帰った「アレ」はお宝などではなかったのだろうか。


キテルグマ「くー……」
 ▼ 28 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/11 00:50:55 ID:.8boZw0o [1/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
-------翌日-------


夜が明け、空が赤紫色から水色に変わる間くらいの時間帯。とある一軒屋の門前にたくさんの人が集まっていた。

家の屋根には大きな穴が二つ、小さな隕石が落ちたようなくっきりとしたものが空いている。その家では何やら大変なことが起こった様子。ということはこの人達は物見高い野次馬のようだ。

集団の前列から家の中へ入ろうとしている出たがりを警官達が取り抑えている。どうやら中は警察による調査の真っ最中のようだ。


男A「ダメか!?ホントにダメかよ姉ちゃん!」

警官A「ダメです!この家は民家ですので居住者の方と警察以外は入ることを許されてません!」

男B「せめて何が起こったのかくらい教えてくれてもいいじゃんよ!DVか!?DVなのか!?」

警官A「ですから今それを調査中なのです!関係のない方はどうかお引き取りください!」


男C「もう我慢ならねぇ!スキあり!」ピョン

警官A「! ハーデリア、『ほのおのキバ』!」

ハーデリア「わんっ」ガブゥ

男C「痛ァ!! おけつ!おけつもえる!」

警官A「今入れば住居侵入罪でとっ捕まえますよ!?他人を心配している暇があったらご自分のお勤めの準備でもしてください!」

男C「おけつ……」

警官A「ジュンサーさんですか?……近隣の方々の野次馬が増えてきてます。署へ応援要請をお願いできますか?どうぞ」



ジュンサー「わかった。外も大変なことになってるのね……お疲れ様」


家の中ではジュンサーさん含む調査チームが家の主から聞き取りを行っていた。

どの部屋もゴミや壊れた家具で散乱し、生臭く事件の匂いを漂わせている。


警官B「屋根の方から大きな音がしたのは今から約2時間前……その後得体の知れない『何か』が暗闇の中で暴れるように動き回っているのを見た、と」

主「えぇ。寝ボケていたもので鮮明な姿はわかりませんでしたが……生き物なのは間違いないと思います。色んな場所を荒らし回って3分くらいでもう一度大きな音がした後、物音もしなくなりました……おそらくその時出て行ったかと」

警官B「屋根に空いた二つの穴はその生物が出入りしたものか……家から出て行くところは見ていなかったということですか?」

主「はい。あまりに呆気に取られて……」

ジュンサー「穴のサイズはどちらも直径約25センチ。この穴が生物の入って来た穴と断定するならそこそこ小型の生物のようね」

警官B「屋根に穴を開けて出て行ったということは……空を飛べるポケモンかもしれません」

主「何とかしてくれよジュンサーさん!これ以上家の周りを荒らされるのは勘弁だよ!」

ジュンサー「えぇわかってます。全力で捜査を続けますので引き続きご用心を」

デカグース「がおーぉ」
 ▼ 29 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/11 01:05:40 ID:.8boZw0o [2/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ジュンサー「……あら?」

警官B「どうされました?」

ジュンサー「ねぇ、あれ……」

主「い゛っ!? ま、まさか、ヤツが帰ってきたんですか!?」

ジュンサー「主さん、部屋の隅に転がっている『アレ』……私達に預からせてもらえないでしょうか?」

主「??」

ジュンサー「警察の勘なのですが……『アレ』からは何か、事件の香りが漂ってくるのです」

主「な、何だありゃ。あんなのウチでは買ってねぇぞ。気味悪い」

警官B「ジュンサーさん……事件なら今現在起きてますよ?これ以上悩みの種を増やすべきでないのでは……」

ジュンサー「いえ、預かりましょう。どうも『アレ』からは眼を逸らしてはいけない気がするの」





その頃、ポケモンの魂が眠る場所・ハウオリ霊園では……


オッサン「§¶Δ£÷φ仝;……… ふぅ。今日の墓参りはこんなもんかの」

オッサン「ほら、みんな。今日もお菓子をたんまり持ってきたぞ。心配せんでも、お前達の食べ物をブン取るようなヤツはみんなワシが追っ払ってやるでな」

墓「…………」


ムウマ「むぅ!むぅ!」

オッサン「あ゛っ、言ってる傍から!厄介者のお前にやるお供え物なんかあるか!さっさと成仏しちまえ!この!この!」バシバシ

ムウマ「むぅ〜……」


オッサン「まったく……人とポケモンが共存するアローラの掟を破りおってからに……ん?」


ふと、何かに気付いた拍子に空を見上げると、灯火のような小さく、且つ強い光が一つだけ浮かんでいるのが見えた。


オッサン「何だ?もう夜明けから結構経つってのにあんな明るい星がありやがる。ハハ、こりゃ運がいいや。今日は何かいいことが起こりそうだ。流れ星かな?よし、いっちょ願ぇ事でも」


オッサン「お供え物を勝手に盗ってくような厄介者をみんなこの島から出て行



   ド  カ  ー  ー  ー  ー  ー  ー  ン  !  !  !
 ▼ 30 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/11 23:57:12 ID:.8boZw0o [3/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
-------ポケモンスクール-------


マオ「ふふ……♪」ニコニコ

カキ「な、何だよ」

マオ「いいじゃんいいじゃん!似合ってるよその小型炊飯器!軽いから持ってくるのにも苦労しなかったでしょ?」

カキ「炊飯器に似合うもクソもあるか。……まぁ、実用的ではあるから今後も使うが」

マオ「店長もきっと喜ぶよ!これからもご贔屓に♪」

カキ「もうあの店に用はねぇよ……」


スイレン「お、マーマネも持ってきてる」

マーマネ「使ってみて改めて驚いたよ!炊き立てのご飯が食べられないというお弁当の弱点を克服したスーパーテクノロジー……店長は世紀の発明をしたすごい人だね!」

トゲデマル「まっでゅ!まっでゅ!」

マオ「店長が発明したワケじゃないんだけどね……」


サトシ「リーリエ!どうしたの?」

リーリエ「えへへ……自分も携帯用の炊飯器を買っておけばよかったとちょっと後悔してます。スイレンと一緒に今日行ってみましょうか……」

シロン「こぉん!」

サトシ「よし、オレも行くよ!またヌカとバトルしたいし」

リーリエ「もう呼び捨てできるほどの仲になったのですか!?」

ロトム「サトシはバトルしたトレーナーとはすぐ親しくなれるロト」


ククイ「アローラ! ……皆いるな。今日は授業の前に大事な話があるからよく聞くように」

マオ「大事な話?」

サトシ「ひょっとして今朝テレビでやってたヤツ?」

ククイ「そうだ。……皆の反応を見る限り、今朝のニュースのことは知らないようだから説明しておこう。まず初めにニュースの内容だが……」

♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪

ククイ「……ということだ。原因はまだわからないし、民家の件とハウオリ霊園の件、どちらも同一犯であるという確信もない」

マーマネ「でもその二つの事件には、得体の知れない『何か』が空から降ってきた……って共通点があるんですよね?」

ククイ「さぁな。霊園にいた男性の証言からして後者はともかく、前者はまだ何の証拠も得られてないからな……」

カキ「屋根に穴が空いてたんだろ?落ちてきたかどうかはともかく、『何か』が屋根より高いどこかからやってきたのは確実だろう」

サトシ「飛行タイプのポケモンかな……?」

リーリエ「民家に空いた穴は直径約25cm。鳥ポケモンにしたって随分小さいですね」

ククイ「この事は今現在も警察が調査中だ。 さぁさ、授業を始めるぞ」
 ▼ 31 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/12 00:01:12 ID:gGHgrAwI [1/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
早朝からメレメレ島を騒がせた2つの事件。真新しい情報もなく、3度目の事件の気配を忍ばせながらポケモンスクールはランチタイムを迎えた。


ナリヤ「アローラ各島の知り合いに連絡は取ってみたものの……このメレメレ島以外の島には原因不明の事件は起こっていない。不幸中の幸いというところかのぉ」

ククイ「事件の正体がメレメレ島と関係があるとすれば……一体何でしょうか?」

ナリヤ「わからん。ユニラン。ダブラン。ランクルス。とにかくポケモンスクールとしては子供達の安全な帰り道だけでも確保しなければならなイーブイ。ブイゼル。ゼルネ

ククイ「ですね。……何度も妙な目に遭ってるとはいえ、ウチのクラスの連中だって子供だ。例外じゃない」



カキ「さて、やっと炊けたみたいだな」パカッ

マーマネ「うはぁ☆いい匂い……これだよ!この香りの素晴らしさを皆で分かち合いたかったんだ!」

マオ「まいどどーも!」

リーリエ「ズ ビ ビ ビ ビ ビ ビ ビ ビ」

スイレン「……リーリエ、ダイナミックな鼻息ふかしてどうしたの?」

リーリエ「今朝のククイ博士のお話を聞いてからというものずっと不安で授業も手が付かなくて……何とかしなくてはと思い、せめてランチタイムだけでも炊き立てのご飯の香りを思いっきり吸収して気を紛らわせるのです!」ズビビビビビ

カキ「食いづらいな……」

リーリエ「お気になさらず召し上がってください!欲しいのは香りだけですので!」ズビビビビビ

サトシ「面白そう!オレもやろーっと!」ズビビビビビ

マオ「みっともないからやめんかアホ二人!」ゴン! ゴン!

サトシ「うべっ」

リーリエ「えへっ」

カキ「もういいから食えよ二人共。こんなこともあろうと今日は多めに入れてきた」

          ♪    ♪   ♪   ♪
サトシ/リーリエ「「ヤターーーーーー\(≧▽≦(≧▽≦☆)/ーーーーーー!!」」

マーマネ「まぁでも気持ちはわかるよ。みんな炊き立てが一番いいもの」

スイレン「もはや麻薬……」


マオ「それにしても……今朝の二つの事件、一体誰の仕業なんだろう?」

カキ「思ったんだが……正体不明・原因不明の事件なら……『不明』、というワードに心当たりはあるんじゃないのか?少なくともオレ達にはな」

マーマネ「まさか……!?」

ベベノム「ピピピピ」



ネッコアラ「ふぉ〜」
 ▼ 32 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/12 00:10:49 ID:gGHgrAwI [2/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……


サトシ「な、何だ!?」

スイレン「ネッコアラ荒ぶってる……ひょっとして、緊急出動の合図?」

カキ「……やっぱりな。どうやらこの事件を解決するには一筋縄ではいかんらしい」


ククイ「さぁ皆!エーテルパラダイスから通信が入った!地下基地に行ってくれ!」

サトシ「博士!緊急出動って……」

ククイ「そうだ。……後、今朝の事件についてルザミーネ代表から言いたいことがあるそうだ」

マオ「ということは……いよいよ分かったのかな?事件の正体が!」

リーリエ「緊急出動要請も同時にあるということは……やはり今朝の事件はウルトラビーストが関わっているとみて間違いないのでしょうか。でも、仮に分かったとしてもまたどこかで被害が出たのだと思います!事態が悪化する前に何とかしないと……」

サトシ「一体今度のウルトラビーストはどんなヤツなんだろう?早く原因を突き止めなくちゃ!」ウズウズ

マーマネ「サトシ、何でちょっと嬉しそうなんだよ」

ベベノム「ヒヒヒヒ♪」


フレー フレー 飛び込めジャリボーイ まだ見ぬ世界へ

ここはポケモンスクール。トレーナーとポケモンが共に学べる学校。誰が何と言おうと学校である。学校には教室と体育館とプールと運動場と……秘密基地がある。そんなの基本だろ?

エーテル財団のオーバーテクノロジーを以てすれば特殊部隊の一つや二つ、お手の物。

対ウルトラビースト特殊部隊・『ウルトラガーディアンズ』は今日も使命を果たすべく出動する。

迷えるウルトラビーストを救うために。まともな平穏なんてないこの世界に、平穏に限りなく近い何かを守るために。


ウィィィィィィン


サトシ「〜♪」

カキ「サトシ、浮かれるのはいいが相手はウルトラビーストだぞ。得体の知れない姿と圧倒的な力を持ってる。……それに、マッシブーン達のようにオレ達と友好的な関係を築けるとも限らないことは頭に入ってるか?」

サトシ「え?聞いてなかった」

カキ「(´゚д゚`)」

サトシ「……でもさ、仲良くなれなかった時のことなんて考えるよりも、どうしたらソイツと仲良くなれるかを考えた方がいいと思うんだ!今回の犯人もウルトラビーストだっていうのなら、オレはソイツと仲良くなりたい!」

カキ「何だ、しっかり聞いてるじゃないか……だが、お前はそういうヤツだったよな。サトシ」

ピカチュウ「ピカピカーッ!」

ガラガラ「ガラーラ!」

サトシ「へへっ、まぁね」
 ▼ 33 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/12 00:22:37 ID:gGHgrAwI [3/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
『ウルトラガーディアンズ』のメンバーが秘密基地に入ると、既に映し出されていたモニター越しにルザミーネを中心としたエーテル財団の面々と目が合った。


サトシ「あっ、リーリエのママ!」

ピカチュウ「ピカチュウ!」

リーリエ「別にこちらからの通信を待っててくれても……」

ルザミーネ『アローラ!……皆、ククイ博士から大体の話は聞いてるわね。今朝起きた2つの謎の事件について、色々とわかったことがあるから話しておくわね』

サトシ「リーリエのママ!やっぱりその事件の犯人ってウルトラビーストなんですか!?」

ルザミーネ『難しいけど……一応、そういうことになるわね。観測された謎の生物の姿は、現在発見されているどのポケモンとも姿がかけ離れているから』

カキ「…………」ゴクリ

スイレン「やっぱり今朝の事件、その生き物のせいなのかな」

マーマネ「で、でもその生物が今回の事件と関係があるとは限らないよね?ただ単にウルトラホールを通じてアローラに迷い込んできただけかもしれないし」

マオ「それでも問題でしょ!あたし達がウルトラガーディアンズである以上は!」

リーリエ「そ、それで、事件の原因がウルトラビーストの仕業だと考える根拠は何なのですか?」

ルザミーネ『今朝の事件の内容を覚えているかしら?一つ目は、何者かが民家の屋根を突き破って、家の中で大暴れした後、再び屋根に穴を開けてそのまま気配を消した』

ルザミーネ『二つ目はハウオリ霊園の上空にて謎の光が突然現れ、光は流れ星のように地面目掛けて高速で突っ込み、男性1名が重症を負った、と』


ルザミーネ『そして30分前!三度目の目撃情報がメレメレの西部を観測していた職員から送られてきたわ。そこには事件の犯人と思われる生物の鮮明な姿が映し出されていたのよ!』


サトシ「……!」

カキ「野郎、いつの間に出てきやがったんだ……!」

リーリエ「そ、それで結局その生物と事件はどういうつながりが!?」

ルザミーネ『三度目の目撃情報をもとに、生物を事件と関連づける証拠は二つよ!』


ルザミーネ『一つ目は、観測されたUBの大きさは推定約25cm。つまり、被害に遭った民家の屋根に空いた穴の大きさとほぼ一致しているということ。そして二つ目は……被害者の男性の証言通り、眩しい光を放ちながら空を飛んでいたということ!』


マーマネ「な……!?」

カキ「これで……そのウルトラビーストが二つの事件を起こした犯人だってわかったな。朝っぱらから暴れるとは、随分と迷惑なことしてくれるぜ」

マオ「でも……きっと怖いんだよ。ウルトラビーストも。周りのものが全部怖くて、だから暴れ回って……」

アママイコ「まぁぃ……」

サトシ「それで! そのウルトラビーストってどんな姿をしてるんですか!?」

ルザミーネ『そうね……正直、生物とも分からないような容姿をしているけど……きっと向こうの世界ではこれが普通。 それじゃあ、今からモニターに職員が撮影した写真を出すから、その姿をしっかり眼に焼き付けておくように!』


写真 ↓
 ▼ 34 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/12 00:31:37 ID:gGHgrAwI [4/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
カキ「!?!?」

マオ「ブハッ」

マーマネ「ブヘッ」

リーリエ「 デ デ ー ン !  マオ、マーマネ、アウト!!」

リーリエ「……じゃないです!お母様!この写真は一体どういうコトですか!?」


モニターにいきなり映し出された写真の奇妙な風景には皆、自分達の目を疑わざるを得なかった。

得体の知れない姿、圧倒的な力、今まで目にしてきたウルトラビーストのイメージを頭に浮かべながら、どんな光景が映し出されようとも驚くまいと心の準備をしていたのにも関わらず、だ。

ウルトラビーストにしろそうでないにしろ、奇妙であることに代わりはないのだが、その奇妙のベクトルはサトシ達の想像の全く違った領域へ勢いよく伸びていた。エーテル財団代表・ルザミーネがウルトラビーストの鮮明な姿を捉えたものだと言い張るその写真の光景は……


                           どう見ても、炊飯器が空を飛んでいるようにしか見えないからだ。


サトシ「だっはっはっはっは!!」

スイレン「フフ……」プルプル

リーリエ「デデーン! サトシ、スイレン、アウト!! お母様!答えてください!こんな時にどうして年末特番のような悪ふざけをするのですか!?」

ルザミーネ『フフフ……おかしいと思うけどやっぱり笑っちゃうわよね!私も最初に見た時は貴方と同じ反応をしていたわリーリエ。でも悪ふざけは言い過ぎよ?』

リーリエ「ですから!本当のことを早く教えてください!事態は一刻を争うのですよ!?お母様ったら!!」

ルザミーネ『何度も何度も確認したわよホントに。コレは合成じゃなくて本物。でもネタに使えるなと思ってとっておいたらみんな、予想通りの反応をしてくれたわねフフフ』

サトシ「だはは!最高です!」

リーリエ「」ブチッ


リーリエ「          おい オカン!!          」


ルザミーネ『あっ……コホン、失礼。だけど、炊飯器が空を飛んでいたのは本当よ。写真を隅々まで解析した結果、炊飯器も、発していた光もすべて本物であることがわかったの』

マオ「ど、どうして炊飯器なんでしょうか……っていうか、これはホントにウルトラビーストなんでしょうか……?」

ビッケ『それが何というか……今まで通りのケースであれば、この炊飯器にもウルトラホールと同一のエネルギーが観測されるハズなんだけど、そんなことはなかったのでまだ炊飯器がウルトラビーストであると断言するのは早計という意見も職員の間では出ていて……』

リーリエ「じゃあもう違うでいいじゃないですか。こんなのをポケモンだと認めたくありませんよ……私の本能がそう言ってるのです」

サトシ「リーリエ!ポケモンは『慣れ』だよ『慣れ』!」カタポン

リーリエ「慣れ以前の問題でしょうがアホですか!?」


カキ「何だよ……エネルギー反応がないのなら、ウルトラビーストじゃないってことでいいんじゃないのか?」

ビッケ『ううん、ずっと前からこのアローラに潜んでいたものとも考えられるわ。ウルトラホールから出るエネルギーを浴びずに長い間息を潜めていたものが、何らかのきっかけで活動を開始したかもしれないわね』

サトシ「とにかくオレ、早くこの眼で見たいです!その炊飯器!写真は本物なんでしょ?だったら早くソイツを探すっきゃないですよ!」

ピカチュウ「ピカピカ!」
 ▼ 35 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/12 00:41:54 ID:gGHgrAwI [5/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ロトム「稲穂の生えたトロピウスも珍しいけど、炊飯器に似たポケモンなんてボクも初めてみるロト!必ずデータを記録するロト!」

カキ「似てるというかどう見ても炊飯器そのものだろうがよ」

マーマネ「まぁ……事件の犯人はきっとその炊飯器で間違いないだろうからね。これ以上被害が出ないようにするためには嫌でも行くしかないじゃんね」

スイレン「あの炊飯器……お米炊けるかな」

マオ「こんな時に何を呑気な……っていつもならツッコミを入れたいところだけど、実はあたしも気になってたり……」エヘヘ

リーリエ「皆さんはもう……」


ルザミーネ『警察はまだ炊飯器の事を何も知らないようだわ。事件の犯人が炊飯器だとして、その存在が知れたら炊飯器の身に危険が及ぶかもしれない。まだウルトラビーストともポケモンともわからない段階ではあるけど……』

ルザミーネ『あれがウルトラビーストだというのなら、最終的な役目は貴方達にあるの!“ウルトラガーディアンズ”の目的は、ウルトラビーストを元の世界に戻すことなのだから!』

ルザミーネ『健闘を祈るわ!ウルトラガーディアンズ・出動!』


「「「「「 ウ ル ト ラ ジ ャ ー ! ! 」」」」」


ルザミーネ『あっ……ウルトラジャーで思い出した。件の炊飯器、一応ウルトラビーストと定義づけてはいるから名前を考えておいたんだった』

マオ「名前?」


ビッケ『他のウルトラビーストをも凌駕する特徴的な容姿、そして圧倒的な存在感……私達はこの生物を“ウルトラジャー”と呼ぶことにしました』


カキ「……は」

ルザミーネ『炊飯器の中の炊飯器…… 超 絶 炊 飯 器 その名も“ウルトラジャー”! みんな、どうか“ウルトラジャー”との戦いを通じて、彼を救ってやってちょうだい!』

リーリエ「おい大概にしろよババァ!!」

サトシ「まぁまぁ……『ウルトラジャー』、いい名前じゃん!」

スイレン「何だか『ウルトラガーディアンズ』の原点に立ち返ったような響き……この胸熱展開、すき」

リーリエ「あぁもう!過去最低の出動ですよ!私は先にチルタリスで飛びます!もう!」

チルタリス「チュルルル……」


マーマネ「……行っちゃった」

マオ「じゃないよ!早く追いかけるよ!」

フライゴン「ふらぉぉぉぉぉ!!」

カキ「やれやれ……世話の焼ける」

リザードン「ドォォォォォ!」

サトシ「来たぜ、ガブリアス!今回もしくよろだぜ!」

ガブリアス「お゛↓え゛↑お゛↓」
 ▼ 36 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/12 00:45:32 ID:gGHgrAwI [6/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
レッツゴー 羽ばたけ ジャリガール 独りじゃないぜ

ウルトラガーディアンズの5人はライドポケモンに乗り込み、先に飛び出したリーリエを追う。だが……


サトシ「いない……」

カキ「野郎、ドコ行きやがった……」


真っ先に基地から飛び出したサトシが辺りを見渡しても、もうそこにリーリエの姿は影も形もなかった。……探しものが一つ増えてしまった。


マーマネ「何!?リーリエいないの!?」

マオ「大方ルザミーネさんのペースに相当ムカついたんだろうなぁ……ハァ」

スイレン「親子喧嘩の後の飛ばし運転、危険ってスクールで習った」

ピピピピピピ……

カキ「おい皆聞け!通信機が鳴ってる。多分ルザミーネさんからの指示だ!」

ルザミーネ『もしもし、マズイことになったわ。リーリエが私の予想よりずっと早いスピードで基地から遠ざかってて、このままじゃUB捕獲以前の問題になってしまいそうなの!』

マーマネ「知ってます」

スイレン「スピード違反、事故のもと」

ルザミーネ『……あぁ、どうやってそれがわかるかっていうと、皆のライドウェアにはGPS発信機が仕込まれていてね、そこから発信される位置情報で皆の現在地を把握してるんだけど

サトシ「あっ、コレか!」プチッ

ルザミーネ『取るな!……いい?よく聞いて!今から貴方達に緊急追加ミッションを言い渡します!今からリーリエが飛んでいった方向を指示するから、何人かリーリエの捕獲に当たってくれる?』

マーマネ「捕獲て」

カキ「……やれやれ。じゃあ、オレが行きますよ」

マオ「あ、あたしも行く!リーリエに何かあったら大変だからね。……下手すりゃUBに出くわす可能性もあるし急がないと!」

スイレン「どっちが母親なのやら」

ルザミーネ『健闘を祈るわ!……じゃあ二人は私の指示に従ってちょうだい!』

― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ―

サトシ「カキとマオはリーリエを追っかけに行ったけど……オレ達はどうすれば?」

ビッケ『貴方達には予定通りウルトラジャー捕獲にあたってもらおうかな。今朝の2回と職員が観測した1回、合わせて3回の出現場所から次にウルトラジャーが出てくる場所を予測するから、貴方達三人は私の指示に従ってね』

サトシ「ウルトラジャー!」

マーマネ「紛らわしいな」

スイレン「任務が終わるまでに何回ウルトラジャーが聞けるか数えてみよう」

アシマリ「あぉ……」
 ▼ 37 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/12 00:50:08 ID:gGHgrAwI [7/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ゴォォォォォォ……


リーリエ「みらーいのー!!わーたーしーにーはー!!どんーないーろーがーにーーあーーうーー!!!(ヤケクソ鼻歌)」

シロン「こぉーん?」

リーリエ「いいのです!私の気が済むまでガンガン飛ばすのです!今の私は大きな翼の自由な鳥。トリーリエです!」

シロン「(;´・ω・)」

リーリエ「……そ、そんな顔しないでください。ちょっと調子に乗りすぎてしまいました。……こうやって風に乗るのが楽しくて」

ピピピピピピ……

リーリエ「おや? ……もしもし」

職員A『リーリエお嬢様ですか!?今、代表のご指示でお友達がそちらに向かわれています。お気に障られたのでしょうが一旦落ち着いて、お友達が到着されるまでその場で待機していただけませんか!?』

リーリエ「あっ……すみません……ご迷惑をおかけしました。  にしても、こんな時にお母様は直接私に掛けてくださらないのですね。当分私に避けられるのが怖いからって」プンプン

職員A『お嬢様もご存知の通り代表は繊細な方ですから……どうか許して差し上げてください』

リーリエ「それもそうですね……ご連絡ありがとうございます」ピッ


リーリエ「……ふぅ」


見渡せば、上には青、下には緑でベタ塗りされたような景色が広がっていた。ノーマルに普通にシンプルイズベストな美しさの風景は、ここ最近のリーリエのお気に入り。

青と緑の間にいる今の自分は空を飛んでいるのか、空でも地面でもない場所にいるのかわからなくなって、少し可笑しくなってシロンと一緒に笑ってみる。


リーリエ「このまま行けばメレメレ島の……ううん、アローラの外側に行くことだってできるんだ。本でしか見たことがなかったものをたくさん見ることができるんだね」

シロン「こん?」

リーリエ「いやいやいや!別に今すぐ行きたいとかそんなんじゃないよ!行きたいけど今すぐじゃなくて、でもできることならって……」


ェ ェ ェ … … … …


リーリエ「? シロン、何か言った?」

シロン「??」

リーリエ「違う、か……なら一体……」


ェ ェ ェ ェ … … … …


リーリエ「ぬぬ……動いちゃダメなのに声の主が気になって仕方がありません!論理的結論として、声のする方角は……」チラッ

リーリエ「……っ!?」



コ    メ    エ    エ    エ    エ    エ    エ    エ    エ    エ    エ    エ    !    !    !
 ▼ 38 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/12 00:51:39 ID:gGHgrAwI [8/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
次のおはなし



第3話(全13話) 「探しもの」
 ▼ 39 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/12 23:26:40 ID:gGHgrAwI [9/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
出動から約半時間。ここはメレメレ島の中心にある何てことのない森の中。

透き通った青の空の真下に生い茂る涼し気な緑の森には、今日も小さな野生ポケモン達が和気藹々と暮らしている。

そんな中、辺りに比べて人気の……いや、ポケ気の少ないスペースが一つ。太陽の光が全く差さないほどに木々が影を地面につくっている場所。

そこではチルタリス、フライゴン、リザードンと、ライドポケモンが3匹、神妙な面持ちで一か所を眺めながら羽を休めていた。


シロン「こーん……」

カキ「ダメだ。起きないな……。やっぱりスピードを出して飛び過ぎたのが原因なのか?」


リーリエが動かない。息はするし、心臓も動いているが、時間が止まったように彼女の体はピクリとも動かない。一足早く基地を飛び出たリーリエを追ってカキ達が駆けつけた頃には、リーリエはすでにこの状態だった。

隊員の無事が確認できないうちは任務を中断せざるを得ないとしたルザミーネの判断で、カキとマオは森の中でリーリエの目覚めを待っていた。


マオ「ルザミーネさんもしばらく休むって。何か疲れたみたい」

カキ「司令官としての態勢を立て直すなんて言っていたが……自分の子供がこうなってるんだ。通信機越しにも冷静じゃないのが伝わってきたぜ」

ガラガラ「ガララ……」

マオ「まぁ、リーリエはこれからもあたし達が守っていけばいいよ。この子はホントに成長したけど……まだまだ放っておけないところがいっぱいあるし」

カキ「フッ……本当にな」

♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪

しばらくすると、リーリエの表情も和らぎ、寝息を立てるようになった。つまり普通に寝始めた。こうして二人の心配は杞憂に終わったのだった。


リーリエ「ZZZ……味噌煮込みそば……」

シロン「こぉん?」

マオ「フフッ、大分落ち着いたみたい。ゆっくり休ませて、そしたら今度こそ任務再開だよ!」

カキ「落ち着いたのなら早いトコ起こしたほうがいいんじゃないのか?ウルトラジャーとやらが今どこにいるのかわからんが、こんな森の中にいるよりもさっきルザミーネさんに指示された場所に移動した方がいいだろう」

マオ「ちょっとちょっと!またリーリエが倒れたらどうすんのさ!飛ばし過ぎが原因ならこれ以上の無理な移動はよくないって!」

カキ「移動してから引き続きリーリエを休ませればいいさ。なるべく風の流れに逆らわないルートを選んで移動しよう」

マオ「ちょっとの油断が命にかかわるの!疲れてるかもしれないのに無理させちゃダメ!」

アママイコ「つめがあまーい!」

カキ「……わかったよ。ったく、誰が母親なんだか」


リーリエ「むにゃ……ん? あれ?ここにあった味噌煮込みそば(いも天付き)は?」

マオ「あっ、リーリエおはよう!」

カキ「夢の中とはいえお嬢様らしくないモン食いやがって」
 ▼ 40 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/12 23:33:12 ID:gGHgrAwI [10/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
シロン「こーーんっ!!」

リーリエ「あっ、シロン!……あの、皆さん、私はどうしてこんなところに?」

マオ「あたし達がリーリエに追いついた時はね、この森の真上でチルタリスが気を失ったあなたを乗せたまま待っててくれてたの。ルザミーネさんにこのことを話したら二人とも休んでもいいってお許しが出たもんで、ここで目が覚めるのを待ってたんだ」

リーリエ「そうなのですか……何から何までご迷惑を……」

チルタリス「チュルルル♪」

カキ「気にするな。それよりもお前、本当に何も覚えてないのか?オレ達からの通信を切った後のところから話してみろ」

リーリエ「……は、はい。私はシロンとチルタリスと一緒にマオ達が来るまでの間待機しようと、ずっと森の上空で辺りを見渡していました。そしたら……」

リーリエ「何かの声が聞こえて……あぁ、でも、聞いたこともない音でした。でもその音は確かに『声』だとわかるようなもので……動こうにも動けず、気になって仕方が無かった私は声のする方に眼を合わせました。すると……」


リーリエ「まるで星のような、真昼には似つかわしくないほどの眩しい光を発していた物体が私のところへ向かってものすごい速さで飛んできたのです」


マオ「……え!?それってまさか……」

リーリエ「光は私の頬を掠めたかと思えば、だんだん意識が遠のいて……気がついたら私はメレメレに新しく開店した和食店で味噌煮込みそばを頂いてました」

マオ「味噌煮込みそばはもういいよ。 そっか。ビックリしすぎて気絶しちゃったわけだ。……で、リーリエ、その光がどの方向から来たか覚えてる?」

リーリエ「……確か森の向こうに、小さな町があったような……」

カキ「……町?ここから一番近いのはハウオリの市場だな。……となると、メレメレの花園の辺りに行った可能性が高いな。『ソイツ』は」

マオ「ルザミーネさんの読みは当たってたのか……」

リーリエ「やはりそうなのでしょうか……くっ、すぐに捕獲を開始すればよかったものを……本当に申し訳ありません」

カキ「……気を失うのも無理はない。お前が見たその光こそ、ウルトラビースト・『ウルトラジャー』なんだからな。マオ、ルザミーネさんにはリーリエが話していたことを伝えておいてくれ。サトシ達にウルトラジャー捕獲の指示を入れてもらうんだ」

リーリエ「わ、私達は行かないのですか?」

マオ「リーリエはまだ休んでた方がいいからね。……気絶していただけとはいえ、今の状態で活動を続けるのはよくないよ。カキはこれからどうする?」


カキ「オレは……仕事だ」ギロッ

マオ「えっ?」

リーリエ「な、何ですか貴方達は!?」


いつの間にか、ライドポケモンで囲んでいたスペースは、野生ポケモンの群れによってさらに大きな輪で囲まれてしまっていた。森の日向で暮らしているポケモン達とは違い、ここらの連中は比較的獰猛な種が多いのだそう。


カキ「……まいったな。そういうわけだマオ、連絡を頼むぞ」

マオ「う、うん!」

カキ「絶対にここを離れるな。……さぁお前ら、運はどうやら本番前だというのにデカイ仕事を寄越してきたようだぜ。請け負ってくれるか?」

バクガメス「ガメェ!!」

ガラガラ「ガラララ!!」
 ▼ 41 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/12 23:39:36 ID:gGHgrAwI [11/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
マオの報告から10分後、サトシ達のグループは東の方角へメレメレの空を飛んでいた。

エーテル財団のビッケがルザミーネとは別に指定した、ウルトラジャーの出現予測地点は2番道路。

その北側、つまり、ぬしポケモン・デカグースらが生息する「茂みの洞窟」が背後に構える湿り気の多い場所にサトシ達は一足早く到着していた……が、マオの報告を受けたルザミーネの指示のもと、すぐさまメレメレの花園へ急行することになった。


-------2番道路→メレメレの花園-------


ハクリュー「リュオォォォォ……!」

メタング「…………」

ガブリアス「お゛↓え゛↑お゛↓」


ビッケ『……というわけで、リーリエお嬢様は代表の指示で休息を取られているわ。……ちょっと面倒なことに巻き込まれてはいるみたいだけど、ね』

サトシ「大丈夫ですよ!カキが簡単に敗けるわけありません!」

マーマネ「とは信じたいけどね……一対多の勝負、隙を突かれてやられなきゃいいけど」

スイレン「ううん、マオちゃんもいる。マオちゃんも絶対敗けないしリーリエにキズ一つ付けさせることなく帰ってくる。ずっといつもそばにいた私が保証する」

マーマネ「謎理論」

サトシ「そんなことないさ。オレとピカチュウみたいなもんだろ?信用するのに難しい理屈なんかいらないよ、な?ピカチュウ」

ピカチュウ「ピカピカー♪」

ロトム「隙あらばお惚気ロト……」

スイレン「……フフ、そんなところだね。サトシ」

ビッケ『うんうん。お嬢様のことは二人に任せて、サトシ君達はウルトラジャーの捕獲に当たってちょうだいね』

サトシ/スイレン「「ウルトラジャー!」」

マーマネ「……やっぱ慣れないな。この紛らわしさ」


サトシ「もうすぐ着くぞ。……へへ、ちょっとだけ緊張してきたかも」

スイレン「今更水を差すようなことを言うけどいい?水タイプだけに」

マーマネ「おぅ、水に電気は相性が良いからね。言ってごらんよ」

ロトム「謎理論」

スイレン「今、私達はメレメレの花園に向かってるけど、私達が到着する頃にはもうウルトラジャーの姿がない……ってことも考えられることは頭に入れておいた方がいいのかな」

ビッケ『そうね……ウルトラジャーからウルトラホールのエネルギーが観測できない以上、こちらで居場所を特定することは難しいの。ゴメンね。テッカグヤの時のように一つの場所に留まっているのなら見つけられないことはないんだけど……』

スイレン「俗にいう徘徊系……難易度MAX。でもそれが燃える。オラワクワクすっぞ」

マーマネ「呑気にそんなこと言ってる場合か!また誰かがケガする前にウルトラビーストを止めないと!」
 ▼ 42 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/12 23:49:20 ID:gGHgrAwI [12/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
メレメレ島の北部には、どんな荒くれ者や獰猛なポケモンの心をも落ち着かせてしまう幻想的な風景が辺り一面広がる「この世の天国」があるといわれている。それがメレメレの花園。

花園の中心部に立てば自分の四方八方全てが黄色の花で埋め尽くされ、巨大なブーケの上に立ったような心地よさに感極まること間違いなしなのだとか。

そんな美しい花園は足を踏み入れる者全てを虜にし、ポケモンの棲み処となっている他、デートスポット、さらにはテレビ番組のロケ地などとしても人気である。


アブリー「ぶぶ〜♪」

モンメン「ほわほわ〜♪」

チュリネ「……なの」


花園には可愛らしい妖精たちが付きもの。……でも、肝心の花園の中心部には、花園に似つかわしくない何かが居座っているようだ。一見、何かの機械のように見えるが……


チュリネ「なの?」


近づいてみると、古びた炊飯器のようだ。日向ぼっことばかりに暖かい日差しに照らされているその姿は、まるで息を吹き込まれたかのよう……え?炊飯器?


ウルトラジャー「ZZZ……」


そう。これこそがサトシ達の追っているウルトラビースト(?)・「ウルトラジャー」だ。どうやらリーリエとすれ違った後、メレメレの花園へ休息を取りにきたらしい。

シャワー口のような蒸気口から、まるで寝息のように湯気を噴き出している。「ウルトラジャー」の目的は一体何なのだろうか。


ウルトラジャー「ZZZ……コメ?」


ウルトラジャーが何かを聞き取った。人間の声と風の音だ。何かを察知したウルトラジャーはこそこそと、なるべく背の高い花の下に場所を変えて様子を伺うことにした。

風の音と共に花園に降り立ったのは、もちろんサトシ、スイレン、マーマネとライドポケモン達であった。


サトシ「この辺か。やっぱり綺麗な場所だなー!今度の散歩はここにしようか?」

ピカチュウ「ピカピカー♡」

ロトム「コイツらはもう……さてと、ウルトラジャーはいるかなロト?早くデータを記録したいロト!」

スイレン「やっぱりもういなくなった後なのかな……」

マーマネ「ここにいるって情報もあくまでカキ達の推測にすぎないからね。激しい光を放つのならすぐわかりそうなものだけど、強力なウルトラビーストのことだ。きっとうまく息を潜めて気配を消す能力も兼ね備えているかもしれない。徹底的に探そう!」

トゲデマル「までゅ!」

サトシ「よし! ……出てこーい!!バトルしようぜー!!」

マーマネ「 あ の な 」


スイレン「私、花園の中心を探してくる。サトシとマーマネは岩場の周りをね」

マーマネ「うぃ」

サトシ「そうか。こんな広い場所全部探さなきゃいけないんだ……」
 ▼ 43 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/13 21:46:06 ID:Bx2Y0j1k [1/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
-------10分後-------


アブリー「ぶぶ〜♪」

トゲデマル「までゅ!までゅ!」

マーマネ「こらこら、飽きてきたからって遊ばないの。岩場の影とか、探すべき場所は色々あるんだから」

マーマネ「それにしても見つからないな……ポケモンじゃなくて落とし物を探してるような気分だ。形が似ているだけとはいえ、炊飯器を探すなんて一生の内で今しかないよね。多分」

マーマネ「野生ポケモン達は何事も無かったかのように生活しているように見えるし……やっぱりこの場所にはウルトラジャーは来てないのかな?」



ピカチュウ「ペカ〜……」グデー

サトシ「おらへん、全然おらへん」

ロトム「しっかりするロト!まだ全体の22%しか探索できてないロト」

サトシ「嘘つけ!この辺りはもう大方探し尽くしたよ。やっぱりここにはいないのかな?」

モクロー「もふぅー、もふぅー」

サトシ「そっちはどうだ?見つかりそうか?」

モクロー「もふぅー……」

サトシ「だよなー……見渡す限り黄色一色!普段なら綺麗だと思えるけど探し物をするとなると鬱陶しいことこの上ないなぁ」

ロトム「そういえばスイレンはポケモンが一番よく集まる中心部を探しにいったロト。ウルトラジャーは現時点では財団によってウルトラビーストに分類されていて、そのウルトラビーストはポケモンと定義づけられてる」

ロトム「つまり、ウルトラジャーは中心部にいる可能性も捨てきれない……と言ってたロト」

サトシ「でもさ。そんなところに隠れててもすぐにバレそうじゃないか?」

ロトム「中心部の花は背が高いロト。ウルトラジャーくらいの大きさなら十分隠れることができるロト。それなら今の野生ポケモン達の様子も説明がつくロト」

サトシ「とにかくオレちょっとスイレンの方見てくるよ」

ロトム「岩場を探すのが飽きたからって」



アシマリ「あう♪あう♪」

スイレン「ふぅ……真ん中なら少しは楽できると思ったけど思いの外探しづらいね。よく考えたら花を傷付けないように注意して探さないといけないから探索のテンポも悪くなるし」

アシマリ「〜♪」チューチュー

スイレン「フフ、今の時期は『やまぶきのミツ』がよく採れる。あれだけ苦労してマオちゃんとサトシが採りに行ってたのが懐かしいね……ん?ねぇアシマリ、あの花の下にあるヤツ……」


ウルトラジャー「…………」ドキドキ
 ▼ 44 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/13 21:52:30 ID:Bx2Y0j1k [2/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
スイレン「まさか……」


確信一歩手前のスイレン。足音を立てぬようにじりじりと落ちている炊飯器との距離を詰めていく。

顔から滴り落ちる冷や汗の音すらも耳に聞こえるほどに全身全霊を集中させながら小刻みに震える手を伸ばし、ウルトラジャーを拾い上げた。


スイレン「じーーーっ」

ウルトラジャー「…………」

スイレン「……やっぱ違うかな」


ウルトラビースト捕獲がこれほどまでにあっけないハズがない……とスイレンは手にとったウルトラジャーをただの炊飯器と錯覚してしまう。

だが、これこそウルトラジャーの策略であった。捨てられたタダの炊飯器に擬態し、休息の邪魔をする敵の眼を欺きその場をやり過ごそうとしているのだ。


スイレン「空をもの凄いスピードで飛ぶハズのウルトラジャーがこんなに大人しいワケもないし……ただのゴミみたいだね」

アシマリ「おぅ」

ウルトラジャー「…………」ホッ


スイレン「まったく、こんな綺麗な花園の真ん中に堂々とゴミを捨てるヤツの気が知れない。これは持って帰ってウチで処分しよう」


ウルトラジャー「!?!?」


ウルトラジャーの策は甘かった。スイレンはポイ捨てを絶対に許さない綺麗好きだったのだ。数日前にもポケモンスクールの通学路にて、眼の前でポイ捨てをした不良を2、3人シメたばかりだった。

焼却炉送りはゴメンだ。そう言わんばかりのウルトラジャーはやむをえず、ついにその本性を現す。


アシマリ「! あおっ!あおっ!」

スイレン「どしたの? ……え゛っ!?何コレ!?」ギギギギ

スイレン「う゛っ……!? この炊飯器、何か変! ……ア、アシマリ、サトシかマーマネ呼んできて!」


途端に息苦しさを覚えたスイレン。見ると自分の胸の周りに赤茶けた色をした、細長い線が巻き付いている。焦りながらも謎の線の出処を眼で追ってみると、それはウルトラジャーの背部から伸びていた。

尻尾のように伸びたそれは、炊飯器の電線コードだった。


スイレン「やばっ……

バ バ バ バ バ バ バ … … … … ! !

スイレン「ぃぎ……ぃ!? んお゛ぉお゛ぉぉぉお゛ぉぉお゛おお゛ぉぉぉお!!」


ウルトラジャーは電線コードを通して大量の電流を一気にスイレンの体に流し込む。

見た目はボロい炊飯器といえど、圧倒的な力に偽りなし。ウルトラビースト・「ウルトラジャー」はついに戦うことを選んだのだ。
 ▼ 45 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/13 21:54:18 ID:Bx2Y0j1k [3/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
スイレン「あへ……へひ……」ヒクヒク

ウルトラジャー「…………」シュルルル


スイレンの腰元から巻き付けたコードを引き戻し、次の敵に備えて警戒態勢をとるウルトラジャー。

ウルトラジャーは既にこの花園へやってきた全ての気配を感じ取っていた。そのうちの一人と一匹は自分と対等に戦える力を持っていることも知っていた。

スイレンへの攻撃はそんな彼らへの宣戦布告だった。これからサトシ達とウルトラジャーとの、長い戦いが始まる--------------------------------


サトシ「ピカチュウ! 『 ア イ ア ン テ ー ル 』 ! !」

ピカチュウ「チュゥゥ……! ピ ッ カ ァ ! !」


ウルトラジャー「!」


           ギ ィ ィ ィ ィ ィ ィ ィ ィ ィ ィ ィ ン ! ! !


鋼のように固めたピカチュウの尻尾はウルトラジャーを捕らえると、トンカチを振り下ろしたような甲高い金属音を響かせる。

想像以上の威力だったのか、ウルトラジャーは態勢を整えていたにも関わらず吹き飛ばされ、花園の黄色い花を何本か折りながら地面に転げ落ちた。


アシマリ「あぉ!あお〜!」オロオロ

スイレン「」

ロトム「白目を剥いて痙攣してるロト……薬はたしかマーマネが持ってたハズ。呼んでくるロト!」

サトシ「サンキュー。……オレはアイツとバトルする。よくわかんないけどオレ達のことを敵だと思ってるのは確かだよな!」

アシマリ「あお……」

サトシ「ありがとうなアシマリ。後は大丈夫!いざという時はスイレンの考えてくれた作戦があるからね」

ピカチュウ「ピカピカー」

サトシ「やるぞピカチュウ。スイレンの作戦も頼りにしてるけど、なるべくオレ達だけで終わらせるように頑張ろうぜ!あくまでいざという時の作戦だからな!」

ピカチュウ「ピカッ!」

モクロー「もふぅ!もふぅ!」

サトシ「お前もやるのか?気持ちは嬉しいけど相手はウルトラビーストだ。……それでもやるか?」


ウルトラジャー「 コ メ エ エ エ エ エ エ エ エ ! ! ! 」


サトシ「……考えてる時間はないか。やるぞ!」

モクロー「もふぅ!」
 ▼ 46 ドグラー@リンドのみ 18/07/13 22:18:49 ID:zfoo8eoU NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
俺はオカマだが
 ▼ 47 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/14 00:09:40 ID:9HJkOxSQ [1/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ウルトラジャー「コメェェッ!」シュッ

サトシ「来るぞ!二人とも!」


ウルトラジャーが再びコードを伸ばす。勢いよく飛び出した攻撃にピカチュウとモクローは数々のバトルで培われた反射神経でかわすも、槍のように地面に突き刺さるコードに少したじろく。


サトシ「ウルトラジャーめ、本気になったわけだな。あのコードが相当厄介だな……。 ピカチュウ、次にアイツがコードで襲い掛かってきたら飛び乗るんだ。いいな?」

ピカチュウ「ピカチュ!」


ウルトラジャー「コメエエエエエ!!」シュバッ

サトシ「来たぞ!しがみつけ!」

ピカチュウ「ピッカァ!」


コードに捕まるピカチュウ。ウルトラジャーの抵抗も物ともせずに綱渡りのように本体の炊飯器へ駆けあがっていく。焦り始めたウルトラジャーは今度は電流で応戦するがジャンプで躱され、本体へ飛び乗られてしまった。


ウルトラジャー「コメェェ……コメェエェ!!」ブォォォォン

サトシ「食らわせ!『10まんボルト』!!」

ピカチュウ「ピーカー……ア ア ア ア ア ア ア ア ! ! !」

サトシ「いいぞ!体力を削りつくせ!」


ウルトラジャー「コ、コメェェェェ……!!」フシュー… フシュー…

サトシ「えっ、何だあの煙……ピカチュウ気をつけろ!何か来るぞ!」


ピカチュウの渾身の一撃を受けるウルトラジャー。予想以上の苦戦を強いられた彼は次の手段に出た。

ウルトラジャーが本体に力を込めると、頭の穴から湯気が噴き出した。湯気はピカチュウごと本体を包み込むと、雲のように体積を増していく。


サトシ「何だあの雲……あれじゃ中でどうなってるのか見えないじゃないか。ピカチュウー!大丈夫かー!?」



                      ボ ガ ァ ァ ァ ァ ァ ! !



サトシ「……っ!? 爆発!?」


ピカチュウ「ビ……ガ……」ドサッ


爆発した雲の下から体が軽く焦げたピカチュウが落ちてきた。

雲は水の塊。どうやら雲の中で『10まんボルト』を放ち続けていたピカチュウの電気がショートし、暴発したらしい。雲の中は爆炎で未だ燃え続けている。

雲の中で、次の攻撃に出るべく身を潜めるウルトラジャー。得体が知れないのは、やはりその姿だけではなかったらしい。
 ▼ 48 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/14 00:15:14 ID:9HJkOxSQ [2/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
マーマネ「ひぃ……あの場所に僕がいなくてよかった……正直言ってウルトラビーストとまともに太刀打ちできるのはサトシかカキぐらいのもんだよね」

マーマネ「だからこそ……僕は自分にできることを徹底しないと。トゲデマルとデンヂムシ、『クラボのみ』をいくらか採ってきてくれる?僕が持ってる『かいふくのくすり』は人には使えないからね」

トゲデマル「までゅ!」

デンヂムシ「むちぃ」

マーマネ「後は……どうしよう。スイレン……感電したってことは症状は体の麻痺と……そうだ!内臓が焼けて肺も機能しづらくなってるはずだ。こういう時は……えぇっと」

マーマネ「そうだ!人工呼吸だ!そうと決まれば僕が……ってえ゛ぇ!?人工呼吸!?」

マーマネ「はわわ……/// まさかこんな時にこのシチュエーションが来るなんて……!」


狼狽えながらもスイレンの顔を覗き込むマーマネ。……できない。できるわけがない。したら助かった時にぶっ殺される。

しかし助けなくてもきっとずっと恨まれる。スイレンは勿論、皆からも。それも嫌だ。神経質なマーマネは必死に考える。

当然マーマネはわかっていた。スイレンに限らず、自分の傍にいる仲間はみんな自分を想ってくれていること。だからこのくらい何とでもない……と信じたかった。

-----------------------------------------------------------

マーマネ「みんなごめん!引っ越しなんて嘘だったんだ!ホントはすぐ近くの家で1週間だけ……」グシャグシャ

サトシ「なんだ、よかったじゃん!」

カキ「転校はしないってことだろ?」

リーリエ「これからも一緒にいられるんですよね?」

マーマネ「……!?」

-----------------------------------------------------------

マーマネ「何を迷ってるんだ……助けなきゃ!こうなりゃもうやるっきゃねぇ!!」ガバッ

アシマリ「あぅ?」

マーマネ「あっ……そうだ。そうだよね。ハハハ、く、口はさすがにアシマリに任せるよ。僕が肺の辺りを押すからしっかりお願いね」

アシマリ「おぅ!」ビシッ

マーマネ「よっしゃ!やるぞー……」グッグッ


マーマネにはマーマネの戦いがある。一方のサトシは、眼の前の燃え上がる雲に眼を向け、ウルトラジャーが現れるのを待つ。無暗に攻撃をしてはまた爆発を起こしかねないからだ。


サトシ「……あれ?何か小っちゃくなってないか?雲」


ウルトラジャー「コメェェェェェ……」グビグビ


サトシ「!  いた!!」


雲から噴き出る炎の勢いが弱まったかと思えば、雲も徐々に縮みはじめた。ウルトラジャーの姿は雲の中心部にあった。ウルトラジャーは燃え上がる雲を湯気を発していた穴から吸い込んでいたのだ。

雲を跡形もなく吸い込んだウルトラジャー。またしても炊飯器に宿る力でサトシ達を翻弄するのだろうか。
 ▼ 49 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/14 00:26:03 ID:9HJkOxSQ [3/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ゴゴゴゴゴゴゴゴ…………


サトシ「……」ゴクリ

ウルトラジャー「コー……メー……」ゴゴゴゴ

サトシ「……やられっぱなしで終われるかよ」


サトシ「       今だモクロー!! 『つつく』!!       」

ウルトラジャー「!?」


モクロー「もぉぉぉぉっふぉぉぉぉ!!!」


ピカチュウがウルトラジャーの注意を引きつけている間、モクローはウルトラジャーの真上へ移動していた。両者の戦いを空から監視していたモクローはウルトラジャーが無防備の今こそ最大の好機と、口に備えた小さく鋭い槍を標的に向ける。

ウルトラジャーは注意をモクローに向けるも、急降下してくるモクローに反応が間に合わず、弱点であろう蒸気穴を曝してしまう。


サトシ「覚悟しろ!ウルトラジャー!!」


                         ズ ブ ッ … … ! !


メキメキメキメキ……

ウルトラジャー「コメエエエエエエエ!!!」

モクロー「もふ!もふ!」アタフタ


泣き叫ぶように奇声を上げるウルトラジャー。蒸気穴の高温に耐えられずすぐさま嘴を抜いたモクロー。抜けた先にはクモの巣のような亀裂がしっかりと刻まれていた。


ウルトラジャー「コ゛……コ゛メ゛ェェェェ……」

サトシ「よくやったぞモクロー!いい一撃だ!」

モクロー「もふぅ♪」


ウルトラジャー「 コ メ メ メ メ ェ エ ェ エ ェ ェ エ エ ! ! !」


                      バ バ バ バ バ バ バ … … ! !


ピカチュウ「 ヂ ャ ア ア ア ア ア ア ア ア ! ! ! 」


怒りで我を忘れたウルトラジャー。そこに、極めつけにとばかりに真下から雷が襲う。ピカチュウの『10まんボルト』だ。

地面から空へと昇る雷に巻き込まれ、ウルトラジャーは天高くへと突き上げられる。いくらウルトラビーストといえど、多くの戦いの経験を積んできたピカチュウを本気にさせてしまえば、苦戦を強いられざるを得なくなるのである。


サトシ「……へへっ」
 ▼ 50 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/14 00:27:40 ID:9HJkOxSQ [4/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サトシ「ハァ……ハァ……」

ピカチュウ「ピィ……カァ……」

サトシ「気を付けろ……また戻ってくるぞ」


キィィィィィ……ン


サトシ達が空を見上げると星が、いや、太陽の眩しさにかき消されないほどの眩い光が音を立てながらこちらに近づいてくる。

ウルトラジャーが光で己の身を燃やしながらサトシ達に狙いを定めて隕石のごとく突っ込んできた。満身創痍なのか、炊飯器のボディが気圧に耐え切れず所々凹んできている。


マーマネ「あっ、あの光はまさに星!今朝ハウオリ霊園を襲った犯人はやっぱりアイツだったんだ!」


サトシ「最後の抵抗ってワケか……ピカチュウ、モクロー、迎え撃つぞ!」

モクロー「もふぅぅぅ!!」


アローラのトレーナー達の切り札にして、ポケモンの秘めたる力を解放する能力・「Zワザ」。サトシの腕の「Zリング」が光る時、彼の中に眠る「Zパワー」が解き放たれ、迫りくる敵を薙ぎ払う。



                         ブ

                         ル

                         |

                         ム

                         シ
                         ャ

                         イ

                         ン



                           エ

                        ク

                         ス

                            ト

                           ラ

                          ァ
                            ァ
                         ァ
                          ァ
                           ァ

                        !  !  !  
 ▼ 51 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/14 21:44:37 ID:9HJkOxSQ [5/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ウルトラジャー「……!」

モクロー「ふぉおお゛ぉぉおおぉ!!」


「Zパワー」を受け取ったモクローの放つ緑の嵐がウルトラジャーを一度は押し返すも、優勢を保てるのはわずか数秒。すぐにモクローが押されていく。

ハウオリ霊園での一件とは比べ物にならないほどの勢いでウルトラジャーが迫ってくる。気を緩めてウルトラジャーを落としでもすれば花園の大部分は焼け野原と化すだろう。


モクロー「も゛……ふ……」プルプル


ウルトラジャーが近づいてくる。もう少し持ち堪えればウルトラジャーの体は崩壊して動きを止める……が、「Zワザ」だけでこれ以上の時間は稼げない。そう判断したサトシはモクローの後ろで構えていたピカチュウに合図を出す。


サトシ「ピカチュウ!     『 ア イ ア ン テ ー ル 』 ! !     」


ピカチュウ「 チ ャ ア ア ア ア ア ア ア ア ア ! ! ! 」


                      ズ

                        ッ

                      ! ! 


ウルトラジャー「 ご ぉ ……」

ピカチュウ「…………」ギギギギ


サトシ「吹き飛ばせーーーっ!!」


「どこに……いるの?」


ピカチュウ「?」

モクロー「もふ?」



「どこにいるの? どこにいったの?」



フシュウウウウ……!!


ピカチュウ「ピカッ……!?」

サトシ「ピカチュウ!?」


崩壊寸前のウルトラジャーの体から大量の蒸気が噴き出る。前に出た湯気よりももっと黒く濁った、まるで煙のような気体がウルトラジャー自身をピカチュウ共々包み込む。

黒く濁った……まるで、荒んだ心のように。
 ▼ 52 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/14 21:52:54 ID:9HJkOxSQ [6/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
マーマネ「な、何だろう……決着ついたのかな?」

アシマリ「あぉ……」


モクロー「もふ!」バサッ

サトシ「やめろモクロー!動くな! ……オレが行く」

サトシ「オレがいいって言うまで絶対に動くな!いいな?  さて……届かない高さじゃないな……」


サトシが地面を踏み込んだその時だった。サトシとモクローの頭上で黒い湯気が何者かに取り払われたかのように一瞬で晴れる。

……が、湯気の中身を見たサトシ達は眼を疑った。湯気が晴れた先にいたのはピカチュウと……


ウルトラジャー(?)「コメェェェ……」


人の形をした、銀色の怪物だった。怪物はピカチュウの頭を鷲掴みにしながら浮遊している。


サトシ「ピカ……チュウ?」

ロトム「ピピピピーーーーーッ!? あ、あれは何ロト!?とにかく見た目だけでもわかる!あれは危険度200%の怪物ロトーーー!!」

マーマネ「ウ、ウルトラジャーは?ウルトラジャーはどこに行ったの?……ま、まさかと思うけど……」


サトシ「進化した……のか?」


突如現れた銀の怪物。その姿は炊飯器とは……いや、この世のものとも思えぬその姿はまさに未知の生物・「ウルトラビースト」そのものだった。

生まれ変わったウルトラジャーはピカチュウの頭を掴んでいた手を振り上げ、一瞬だけサトシの方を見ると手に持っていたピカチュウを黄色の花で埋め尽くされた地面に叩きつけた。


ズ ド ォ ォ ォ ォ ン ! !


ピカチュウ「ピ……カ……」フラフラ

モクロー「も゛ふ……」


叩きつけた先には「Zパワー」を使い力を使い果たしたモクローが座りこんでいた。サトシの反応も間に合わず、ぶつかった二匹は瀕死寸前。サトシの勝機は完全に潰された。


サトシ「まだだ……まだやれる!出てこい!ルガ……

ウルトラジャー「コ メ エ エ エ エ エ エ エ エ ! ! !」


突然、爆音とともに一気に蒸気が地面から噴き出し、ピカチュウ達に駆け寄るサトシの視界を奪った。

やがて煙が晴れ、今度こそ力尽きたピカチュウ達の姿にとうとうサトシは地面に膝をついて呟いた。


サトシ「……敗けた」
 ▼ 53 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/14 23:07:24 ID:9HJkOxSQ [7/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
マーマネ「……えっ、敗けたの?サトシが?  ひぃぃぃ!!」

ウルトラジャー「…………」


「どこ? どこだ? どこ?   ………りたい。 今すぐに」


アシマリ「?」


ゴゴゴゴゴゴ……


ロトム「あっ、サトシ!ウルトラジャーが逃げるロト!」

サトシ「……はっ、そうだ!作戦!」

--------------------------------------------------------

マーマネ「ん〜……」

サトシ「どうしたんだ?」

マーマネ「やっぱり、ウルトラジャーはウルトラビーストじゃないのかな。ウルトラジャーは確かにこのアローラにいるのにウルトラオーラが感知されないっておかしいじゃん」

サトシ「じゃあアローラのポケモンなのかな?だとしたら新発見ってことだよねオレ達!」

マーマネ「あんなのがアローラにゴロゴロ居られてたまるか!とにかく現時点ではわからないことだらけだよ……むむ」

サトシ「とにかくメレメレの花園にソイツがいるといいけど……」

マーマネ「それね。せめて現在地が分かれば追いかけやすくなるけど……ウルトラジャーはウルトラオーラをもたないから探しにくいのが今回の一番厄介なところだよね」

スイレン「あっ、ウルトラジャーを追いかけやすくするいい考えをたった今思いついた。これはホントだよ」

サトシ「スイレン?」

スイレン「サトシ、エーテル財団の人達は私達の位置をどうやって把握してる?」

サトシ「えっと……GTSとかいうやつだっけ、ほらこれ」プチッ

マーマネ「そうか!それをウルトラジャーに取り付ければいいんだ!……でもその為にはウルトラジャーに一度遭遇しないと」

スイレン「あ゛っ、そうか」

マーマネ「これで振り出しに戻ったね……」

サトシ「でもさ、今から行くトコにウルトラジャーがいたらその作戦が使えるじゃんか!オレはスイレンを信じるよ」

スイレン「おぉサトシ、わかってるぅ」

--------------------------------------------------------

サトシ「う お お お お お お お お お ! !」


サトシは去りゆくウルトラジャーの背中目掛けて自分のGPS発信機を投げつけた。発信機はウルトラジャーの背中に貼り付くと、ウルトラジャーと共にどこかへと消えていった……


マーマネ「さも当たり前のように取り付けやがって超人め」
 ▼ 54 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/14 23:22:56 ID:9HJkOxSQ [8/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
トゲデマル「まっでゅ!まっでゅ!」

マーマネ「おぉクラボのみ!採ってきてくれたんだね!えらいえらい」

アシマリ「あぉ?あぉぉ?」

マーマネ「大丈夫。とりあえず体の痺れは取れるハズだからすぐ立てるようにはなるよ。ただ……今後の活動に支障をきたすかも。スイレンの事はルザミーネさん達に相談してみようか」

アシマリ「あぅ……」

マーマネ「落ち込むことはないよ。ここまでスイレンが持ち直したのもアシマリが手伝ってくれたおかげだよ。それに君が落ち込めば一緒に頑張った僕のメンツが立たないじゃないか」ハハハ

トゲデマル「までゅ!までゅ!」

アシマリ「…………」コクリ


サトシ「ハァ……ハァ…… ……ロトム、オレさ……ダメだったよ」

ロトム「追い詰めたかと思いきやまだあんな戦闘能力を隠しもっていたなんて……『ウルトラジャー』、やっぱりタダモノジャないロト……」

サトシ「アイツ、進化したよね。小っちゃい炊飯器から人型の怪物に」

ロトム「怪物の姿、ウルトラジャー自体の強さも相まってちょっとトラウマになりそうだったロト……」

ピカチュウ「ビ……ガ……」

モクロー「」

サトシ「よし……こうしちゃいられない!早くアイツを追いかけて今度こそ勝たないと!……まだポケモンはいるんだ。必ずオレが何とかしないと……」

ロトム「無理しちゃダメロト!あれだけの力をもった強敵、ルガルガンだけでは勝ち目がないロト!」

サトシ「! ……わかってるけど……ウルトラジャーの居場所がせっかくわかるようになったんだ。だから追いかけないと……」

ロトム「居場所がわかるという事は作戦を立てやすくなったともいえるロト。あまり無茶はせずに、他のメンバーときっちり話し合ってから行動するのが効率的ロト!」

サトシ「そっか……それもそうだ」

ピカチュウ「ピカピ……」

サトシ「そうだなピカチュウ、まずは皆が集まったら真っ先にお前をポケモンセンターに連れていかないとな。向こうにはバーネット博士とニャヒートも一緒にいる。ゆっくり休んで、休日の散歩に備えてような!ピカチュウ」

ピカチュウ「ピカピー……!」ポロポロ

サトシ「あぁあぁ!泣かなくたっていいじゃんか!ほら、よしよし」ナデナデ

ピカチュウ「チャァ〜♪」スリスリ

ロトム「またお惚気ロト……」

マーマネ「でも憧れるなぁ。いつもは不器用だけどポケモンと接してる時のサトシの行動は尊敬するよ」

トゲデマル「むむむ……」


姿を変え、より強力になったウルトラジャーに完膚無きまでに叩きのめされたサトシ。しかし、サトシの不屈の心はもう第2ラウンドのゴングが鳴るのを待っている。

静けさの戻ったメレメレの花園の真ん中で、サトシはウルトラジャーが去った空を見上げる。見上げたその顔は、今もまだ眼の前の敵と戦っているかのようだった。
 ▼ 55 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/14 23:41:39 ID:9HJkOxSQ [9/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
次のおはなし



第4話(全13話)「銀色の怪物」
 ▼ 56 ントル@たんけんセット 18/07/15 11:14:25 ID:4yW2tDjQ NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
スレタイで超越人力車のパロかと思った

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 ▼ 57 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/15 20:30:39 ID:YuRUcQsw [1/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サトシとウルトラジャーの戦いも一区切り。しかし未知のウルトラビースト・ウルトラジャーを捕獲せんとするウルトラガーディアンズの活動は人々の目を忍び今も続いている。

一方、昨日サトシが訪れた浜辺では、炊飯器屋の娘がトロピウスと共に相も変わらずトレーナー達を相手に暴れまくっていた。


ヌカ「『ソーラービーム』!!」

トロピウス「キ ュ ラ ァ ァ ァ ァ ァ ! !」ボォォォォ

男A「うわらば」

男B「何てこった……二人がかりでかかってもこのザマかよ。強ぇなぁ姉ちゃんは。持ってきな、一人1000円でよかったよな?」

ヌカ「まいどありーっす!あ、よかったらウチの炊飯器も買ってくださいね?」

男A「ハハハ、炊飯器なんてそう滅多に買うもんじゃないっしょ姉ちゃん!」

男B「ソイツはまた今度な。親父さんのサポート、しっかりやんなよ?」


ヌカ「……ふぅ。何か今日は調子いいね。浜辺、昨日よりも人が多いからかな?」

トロピウス「クルルルルル……」

ヌカ「おぉ!それにしても今日はやたら気合入ってるよね!……やっぱり昨日、マサラタウンのサトシとニャヒートに刺激されたからかな?」

ヌカ「こんなところで会うとは思わなかったし……バトルの最中もずっとドキドキしてた。炊き立てのご飯を頬張って、飲み込んだ時みたいに、ずっと胸が熱かったの……」

トロピウス「(´∀`) ククルルルル……」

ヌカ「あっ!?/// いやいや!だからそういうのじゃないってば!!/// あたしはマサラタウンのサトシを男の子としてじゃなくて、ちゃんとトレーナーとして尊敬してる!……だからこそ、ちゃんとお礼、言っておきたかったかなぁ……って思っただけ」

ヌカ「トロピウスもそうでしょ?マサラタウンのサトシのポケモン達にお礼を言いたいでしょうよ」

トロピウス「カルルルル……」

ヌカ「な、何さその顔」

ヌカ「……そ、そうだ!今日ね、父ちゃんの新しい炊飯器でホットケーキ焼いてきたの!コーンフレークとナナのみを混ぜてみたんだけど……ほら、ナナのみ好きだったでしょ?」

トロピウス「\(*>▽<*)/」

ヌカ「フフ、しっかり食べて、首の稲穂をもっと立派にしようね」


ピシッ


ヌカ「……? トロピウス、何か言った?」

トロピウス「??」

ヌカ「違うか……どこかで、何かが割れるような不思議な音がした気がするんだけど……」


それは人知れず、波打ち際の岩場に挟まっていた「何か」にヒビが入る音だった。

真昼の日差しに照らされ、浜辺の表舞台で宝石のように煌びやかに光る波とは対照的に、直径20cm・ラグビーボール状の「何か」は影で独りでに、不気味な銀の光を放っていた。


……ピシッ
 ▼ 58 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/15 20:52:49 ID:YuRUcQsw [2/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ピピピピピピ……

サトシ「通信だ。 ……もしもし、こちらマサラタ……

ザオボー『サトシ君!!貴方一体どういうおつもりですかっ!?』

サトシ「えっ?」

ビッケ『違うのよザオボー。サトシ君は自分のGPS発信機をウルトラジャーに取り付けただけなの。だから今このシステム管……じゃなかった、司令室のモニターに映し出されている位置情報はウルトラジャーの現在地を指してるのであってサトシ君が勝手に動いてるワケじゃないわ』

ザオボー『何だそうですか。焦りましたよぉ。リーリエお嬢ちゃんといい、隊員の安全第一を掲げるウルトラガーディアンズの方針に背く行為をされては困るのですよ。これだから私は子供が嫌いなのです』イライラ

ビッケ『でもこれでウルトラジャーをこちらで追跡できるようになったのよ?サトシ君の行動は正しいと思うけど』

サトシ「オレじゃないですよ。GTS……だっけ?それをウルトラジャーに取り付ける作戦を考えたのはスイレンなんです」

ビッケ『あらそうだったの?これから任務はまだまだ続くと思うけど、くれぐれも気を付けてね』

スイレン「……///」

マーマネ「何とか立てるまで回復したね。とりあえず一安心だ」

トゲデマル「まっでゅい!」

ザオボー『確かに貴方達はよく頑張りましたがウルトラジャー捕獲が今回の任務の最大目的であり達成条件なのです。最後まで気を引き締めてお願いしますよ。あと今後、ウルトラジャーによる被害が出た場合は我々エーテル財団だけでなく貴方達にも責任が及ぶことをお忘れなく』

ビッケ『ちょっと、あんまりプレッシャーをかけないであげて』


ルザミーネ『その通りよザオボー。これからウルトラガーディアンズには、一度メレメレの花園に全員集まってもらうわ。そこで各々作戦を決めて、それからはしばしの解散。隊員達を好きな場所で待機させるわ』

サトシ「えっ、待機?」

ザオボー『ちょいちょい!代表!!私達も彼らも皆休んでいる暇などないのですよ!?一刻も早くウルトラジャーを捕獲しないと!またいつどこで被害を出すのかわかったもんじゃない!』

ルザミーネ『リーリエもサトシ君達も、それにポケモン達も、ウルトラジャーの捜索や戦闘、相次ぐトラブルで疲れてるわ。ほら、モニターでウルトラジャーの現在地を確認してみなさい』

ビッケ『あっ、ウルトラジャーがカーラエ湾中心の小島で停止しています!』

ルザミーネ『じゃあ停止している場所の現状を確認するから小島のリアルタイム映像をモニターに映して』

ビッケ『は、はい!財団の観測員が小島に設置しているカメラに映像を切り替えます!』


ビッケ『……って、あれ!? ……ウルトラジャー……寝てますね。さっきあれだけ暴れていたというのにいつの間に……』

ルザミーネ『そう。ウルトラジャーは今、活動を停止してる。被害を出す可能性が低いこのタイミングで休まなくて、いつ休むの?』

ザオボー『活動を停止しているならば尚の事彼らをウルトラジャーのもとへ行かせないと!一気に叩くチャンスです!』

ルザミーネ『じゃあ聞くけど、今戦いを終えてボロボロの皆が全員で殴り掛かったところで、100%勝てると保証できるのかしら?隊員達の無事は100%保証できるのかしら?』

ザオボー『え゛……?』

ルザミーネ『隊員の安全第一がウルトラガーディアンズの方針……じゃなかったかしら?』ギロッ

ザオボー『う゛っ……』
 ▼ 59 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/15 20:57:21 ID:YuRUcQsw [3/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ルザミーネ『もしもの時は私がすべて責任を取るわ。それがエーテル財団の代表……いや、ウルトラガーディアンズの司令官としての役目だもの。ほんの出来心で作った特殊部隊だけども、だからこそそのくらいの覚悟は初めからしてる!』


サトシ「リーリエのママ……」

スイレン「カッコイイ……」

マーマネ(今ほんの出来心って言ったよなこのオバハン)

ザオボー『ぬぬぬ……代表がそう仰るのなら私が何か言えば言うほど都合が悪くなる気がしてなりませんね。仕方ない!』

ビッケ『……と、いうわけで皆を集めるから、貴方達はメレメレの花園で待っててくれる?』

サトシ「はい!」

ルザミーネ『あ、そういう時は“ウルトラジャー”でお願いね?』

サトシ/スイレン/マーマネ「「「ウルトラジャー!!」」」

ザオボー『ついさっきボコられた敵の名前を言うのを強要するなんて鬼ですねぇ代表……』

♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪

ウルトラジャーはカーラエ湾の小島にて、人知れず活動を停止した。次に動き出す時までしばしの休戦である。

エーテル財団からの通信から15分後、同じく通信を受けたカキ達が花園へやってきた。

心身ともに回復したリーリエと対照的に、カキは着地したライドポケモンから転げ落ちるように降りたところを見ると襲ってきた野生ポケモンとの戦いで相当疲労が溜まっているに違いない。


カキ「ガハッ」ゴロゴロ

マーマネ「ちょっとちょっと!大丈夫なの!?」

カキ「ハァ……ハァ……少し無理をしてな。ルザミーネさんから待機命令が出たんだろ?丁度よかったぜ……」

マオ「それよりもスイレンは大丈夫なの?ウルトラジャーの攻撃を受けたって……」

スイレン「軽い胸焼けだよ。大丈夫」

マーマネ「胸焼けってそういう意味で使うんじゃないでしょ」


リーリエ「あぁ……ピカチュウ!大丈夫ですか!?」

ピカチュウ「ピカ……」

リーリエ「サトシ!早く『かいふくのくすり』を持ってきてください!」

サトシ「あぁ、それが……」

ロトム「『かいふくのくすり』は瀕死状態のポケモンには効かないロト」

リーリエ「で、では早くポケモンセンターに……」

マオ「まぁまぁ、こうしてあたし達が集まったのはこれからの事を考えるためでもあるんだよ。どこでどのように待機するか、次はちゃんと考えて行動しないと」

カキ「……じゃ、まずは中間報告といこうか。お互いのチームでどのような事があったか話しておこう」
 ▼ 60 マルス@すいせいのかけら 18/07/15 21:17:23 ID:lm02ylgE NGネーム登録 NGID登録 報告
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 ▼ 61 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/15 22:26:30 ID:YuRUcQsw [4/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サトシ達は話した。ウルトラジャーの脅威を。結果はどうあれ、ポケモン達が頑張ってくれたことを。


カキ「成程……ウルトラジャーについてはよくわかった。ピカチュウを倒すとは、ウルトラビーストの名に恥じぬ戦闘力の持ち主だというのは確かだな」

マオ「その、ウルトラジャーがした変身って、やっぱり普通のポケモンみたいな『進化』なのかな?それとも『メガシンカ』みたいな一時的なものだったり?」

マーマネ「どちらにせよこれからどうしよう……僕らのチームにピカチュウより強いポケモンなんていないよね……?」

スイレン「でも敵は一匹。やり方次第できっと倒せる相手」

カキ「あぁ、その事なんだが……こちらからも報告がある。森の中でリーリエを休ませてる間、とんでもないものを見ちまったんだ」

サトシ「とんでもないもの?」

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リーリエ「わ、私達は行かないのですか?」

マオ「リーリエはまだ休んでた方がいいからね。……気絶していただけとはいえ、今の状態で活動を続けるのはよくないよ。カキはこれからどうする?」

カキ「オレは……仕事だ」ギロッ

マオ「えっ?」

リーリエ「な、何ですか貴方達は!?」


グルルルルルルル……         ガラララララララ……


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カキ「あの時オレ達は獰猛な野生ポケモン達に囲まれていた。あの森の野生ポケモンは血気盛んな連中が多いことは知ってたが、戦ってるうちに妙な違和感に気付いたんだ」

マーマネ「違和感?」

リーリエ「ポケモン達は確かに私達を敵とみなして襲ってきました。ですが彼らの動きはどこかぎこちない感じでした……まるで、何かに憑りつかれたような」

スイレン「何それ怖い」

カキ「そして奴らを大方倒した後、奥からのしのしと大元が出てきやがった。……犯人はカラマネロだったんだ」

サトシ「!?」

ロトム「カラマネロ ぎゃくてんポケモン 悪/エスパータイプ。強力な催眠術を使う。それを利用し悪事を働く者は後を絶たない」

マーマネ「おそらく催眠術でただでさえ凶暴な野生ポケモンを操ってカキ達に仕向けたんだね。狡賢いヤツ」

サトシ「大変だったなカキ……ウルトラジャー以外にも、まだそんな危ないヤツがメレメレ島にいるなんて」

カキ「それが……ここからが大事な話なんだ。野生ポケモン達を操っていたカラマネロは強かった。バクガメスとガラガラの二匹が本気を出してようやく勝てる相手だった」

カキ「だがあのカラマネロは普通じゃなかった。強さだけじゃない、その姿もだ」


カキ「全身が銀色に光ってた。銀と言っても決して綺麗なモンじゃない、不気味な雰囲気を醸し出す銀色だ」


カキ「サトシ、ウルトラジャーは銀色の怪物に変身したと言ってたな。オレは……嫌な予感がするんだ」
 ▼ 62 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/15 22:29:58 ID:YuRUcQsw [5/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サトシ「嫌な予感って……」

マオ「ひょっとしたら、ウルトラジャーと何かしら関係があるのかもしれないってことだよ。例えばさ……あのカラマネロが、ウルトラジャーの子分的な存在だったとか」

マーマネ「まさか!ウルトラジャーはポケモンを操る力も持ってるってこと?」

カキ「いや、その線は薄い。何故ならカラマネロはオレ達が倒した後、姿を消したからだ。逃げたとかそういう意味じゃない。そのままの意味で、跡形も無くな」

カキ「思えばアレは……ポケモンじゃなく、ポケモンの形をした何かだったんだろうか。ウルトラジャーと関連づけるとすれば、ウルトラジャーはポケモンを操っていたのではなく、ポケモンのような何かを『自分』で生み出したと考えるのがベストだろうな」

マーマネ「な……何それ。そんなポケモン聞いたことないよ……」

リーリエ「そのような常識が通用しないのがウルトラビーストの怖いところですね。……まだあの奇妙なカラマネロがウルトラジャーと関係していると断定するのは早計ですが」

スイレン「でももしカキの言う通りだとしたら……ウルトラジャー、メレメレの色々なところに姿を見せてる。その度にウルトラジャーがポケモンみたいな何かを生み出しているとすれば……」

マーマネ「……」ゾクッ

サトシ「まだメレメレ島のどこかに銀色のカラマネロがいるってことなのか!?」

カキ「……そういうことだ。とはいえ、銀色のカラマネロとウルトラジャーの関係性も、他に奴らの仲間がいるという可能性も、全てがオレ達の推測だ」

カキ「事実といえばウルトラジャーも銀色のカラマネロも確かに存在し、オレ達に勝負を挑んできたってことだけだ。勝手な判断で行動するとルザミーネさんに悪いし、この事は頭の片隅にでも入れておいて、オレ達はこれからの事を考えよう」

マーマネ「そ……そうだね。皆の待機場所を決めないと」


サトシ「オレはこれからポケモンセンターに行く!ピカチュウとモクローを早く休ませてあげないと……コイツらはもうウルトラジャーとは戦えないと思うけど……ホントに頑張ってくれたんだ。早く何とかしてあげたい」

ピカチュウ「ピカ……」


カキ「オレも……カラマネロとの戦いでバクガメスとガラガラが力尽きてしまった。正直、これ以上の活動を続けるのにライドポケモンだけでは心許ないが……」

マオ「カキはその事でさっきまで落ち込んでたの。今後のことについてはまずは話し合おうってことであたしが説得して無理矢理連れてきたんだけど」

カキ「おい!/// それを言うな」

マーマネ「ピカチュウ、モクロー、バクガメス、ガラガラ……参ったな、いつもは頼りになる仲間がどんどん減ってきてるよ」

スイレン「でも私達のポケモンはまだ戦える……ウルトラジャーに勝てるの、サトシとカキのポケモンだけじゃないハズ」

アシマリ「あぉ……」

マオ「だね!あたしもアママイコもまだまだ頑張れるよ!」

アママイコ「まぁーい!」

カキ「……皆、ありがとう。 だがオレもウルトラガーディアンズの一員として、最後まで任務をやり遂げたい……」

サトシ「……じゃあさ」


サトシは手元に残っていたモンスターボールの最後の一個をカキに差し出す。今現在残っている唯一の「いつもは頼りになる」仲間、ルガルガンのボールだ。
 ▼ 63 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/15 22:49:24 ID:YuRUcQsw [6/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
カキ「……いいのか?そんなことをしたらお前が……」

サトシ「知ってるよ。カキは自分のポケモンと一緒に高みを目指してること。……でも今はそんなこと言ってる場合じゃないと思うんだ。でもカキはまだ頑張りたい。それならこれ以上バクガメス達に無茶をさせるよりも、こうした方がいいと思って」

カキ「別にオレは状況を選ばずプライドを優先するほど冷静さを失っちゃいないさ。仮にアイツらが未だにやる気だったって度を越した無茶をするのを止めさせるのもトレーナーの仕事だと思ってる。オレが聞いてるのはお前が……」

サトシ「オレはまだいるよ。ポケモン。……ポケモンセンターに行くのはそのためでもあるんだ。これからの戦いはソイツらに頼ることになるからピカチュウ達には悪いけど……長い付き合いなんだ。それくらい許してくれるよな?」

ピカチュウ「( ̄д ̄)」ブーッ

マーマネ「おもっくそ納得してない顔なんだけど」

サトシ「とにかくオレはポケモンセンターに行くよ。待機場所には持って来いだろ?」

マオ「そうだね……でも、サトシは今GPSを付けてないから単独行動は危ないよ」

リーリエ「では私も一緒に行きます!しっかり休んだのでもう大丈夫です!」ガンバリーリエ

マオ「えぇ……何か危なげな組み合わせだけど大丈夫かな……」

サトシ/リーリエ「「大丈夫!」」

マオ「アンタらの大丈夫はアローラ一信用できないんだけど……」


カキ「オレは別の場所だ。もう少しウルトラジャーに近い場所で待機したい」

スイレン「だったらウチに来るといい。ポケモンセンターよりは近い」

カキ「いいのか?迷惑にならないといいが……」

スイレン「ウチはその辺全然大丈夫。ホウとスイも喜んで迎え入れてくれる」

マーマネ「今以上に疲れませんかねその環境」


マオ「さて、最後にあたしだけど……消去法でマーマネ、一緒について来てくれる?」

マーマネ「消去法て。……で、マオとどこに行けばいいの?」

マオ「決まってるでしょ。『メレメレジャーショップ』!店長とヌカちゃんの家だよ」

マーマネ「どう決まってるのかわからん」

マオ「店長は炊飯器の心がわかる人、つまり、炊飯器のような姿をしていたウルトラジャーの心も読み取れるかもしれないと思ったの」


マオ「ウルトラビーストは意思疎通が難しい生き物だけど、その心さえ読むことができれば、ウルトラジャーの目的や求めているものが分かるかもしれないでしょ!?この任務の成功のカギは、店長が握ってる!」ババーン!!


アママイコ「!!」

サトシ「おぉそうか!その手があったか!」

リーリエ「さすがですマオ!」

スイレン「マオちゃんがそういうのなら、きっとそれが正解」

カキ「アホしかおらんのか」

マーマネ「あんな胡散臭いだけのオッサンにウルトラビーストの心が読めたら苦労はせんわ」
 ▼ 64 タッコ@じしゃく 18/07/16 16:48:15 ID:MDoEW2zg NGネーム登録 NGID登録 報告
追い付いた
メシが食べたくなる支援
 ▼ 65 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/16 21:47:13 ID:n5Pg9R4Q NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サトシとリーリエはポケモンセンターへ、マオとマーマネはメレメレジャーショップへ、カキはスイレンに連れられて彼女の家へと、対ウルトラジャーの本格的な勝負へ向けて態勢を立て直すことになった。

その頃、メレメレ島の長であるしまキング・ハラの住む町、リリィタウンでは……町の隅っこで小さな子供達が数人集まっていた。彼らは物珍しそうに何かを見つめている。

銀色でラグビーボール状のソレは、やはり浜辺で不気味な光を放っていた物体と同じものだった。

子供の好奇心は漠然としていて止めどない。銀色のソレがこの物語を大きく動かすカギとは知る由もなく、ただ珍しいということだけに注目し、皆して目を輝かせている。


子供A「スゴい!ねぇ、コレどこで拾ってきたって言ってたっけ?」

子供B「遺跡の橋の近くだよ。ポケモンを探そうと思ってウロウロしてたらコレを見つけたんだ。何かはわからないけど……何かさ、神秘を感じない?」

子供C「感じる感じる!」

子供D「でもこれどっかで見たことあるような……そうだ思い出した!似たようなのを昨日動画で見たよ!」

子供A「動画? あっ、あれか!アルミホイルを叩いてピッカピカのボールにするヤツ!これもそうなのかな?」

子供B「それにしてはデカすぎない?形も変だし……アルミホイルじゃないと思うよ。それにもし仮にこれが動画に使えるようなものなら、道に落ちてたりなんかしないよね」

子供C「確かに……こんなのを捨てるなんてもったいなすぎる」


ハラ「しーまキングーはー♪ やーるキーングー♪」


子供A「あっ、ハラさんだ!アローラ!」

ハラ「アローラですな。どうしました子供達、こんな隅っこで座り込んでいないで、君達のような育ち盛りは広場で遊ぶのが一番ですぞ」

子供B「これ見てこれ!遺跡の橋の近くで拾ったの!」

子供C「アルミホイルじゃないと思うんだけど……ハラさんならこれが何かわかる?」

ハラ「むむ……初めて見ますな。それだけの大きさだと、誰かの落とし物というわけでもないようですし……とにかく様子を見てみましょうぞ」

子供D「えっ、ってことはまさか……ハラさんが持ってっちゃうの?」

ハラ「もしかしたら危険なものかもしれませんからな。しばらくは私の家で預からせていただきますぞ」

子供A「何それずるいー!」

子供B「それはボクが見つけてきたんだよ!危なくてもいいからウチに飾らせてよ!」

ハラ「なりません! ……よいですかな?私はしまキングです。しまキングたるもの、アローラの事なら何でも知っていなければならないのです」

ハラ「遺跡の近くに落ちていたということは、守り神であるカプ・コケコと何か関係がある可能性もあるし、もしかするとZリングの原石やZクリスタルのように不思議な力を秘めた代物かもしれませぬ」

ハラ「その場合は万が一ではありますが、貴方達のような子供だと危険が及ぶことも考えられます。例えばそう……守り神の怒りに触れるなど、ですな。納得いかんのでしたら、ウチにいつでも遊びに来ることを許可しましょうぞ。それならこの銀色のものは実質貴方達のものでもありましょう」

子供A「わ、わかりましたー……」

子供B「じゃ、じゃあさ、今から遊びに行ってもいい?」

ハラ「構いませんぞ」
 ▼ 66 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/17 00:22:25 ID:kyGAOnfo [1/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
-------サトシ・リーリエ組-------


ポケモンとトレーナー達の心の拠り所、ポケモンセンターへ向かった二人。

自動ドアを抜けるとショップにカフェにジョーイさんと、見慣れた景色が二人の視界に次々飛び込んでくる……が、


男性「……」ザワザワ

女性「……」ヒソヒソ


リーリエ「……///」

サトシ「何だろう……何か変だ。リーリエ、ここの人達の様子がおかしいよ。ひょっとしてウルトラジャーの事が島中に広がって、皆不安で仕方ないのかな?」

リーリエ「た、多分違うと……

サトシ「皆のためにも早く解決したいけど……次は確実に勝つためにしっかり備えようぜ」

リーリエ「げ、原因多分それじゃないと思うんです。公で話題になっているのはせいぜい今朝の事件くらいでウルトラジャーの存在はまだ知られていないかと……」

サトシ「えっ、じゃあリーリエは何だと思ってるの?」

リーリエ「サトシ、私をじっと見てください!頭の天辺から足の先まで隅々と!です!」

サトシ「えぇ〜っ?」

リーリエ「…………」

サトシ「…………」ジーッ

リーリエ「…………」ドキドキ

サトシ「……プハッ、改めて見たら変な恰好www」

リーリエ「そうだよそれですよテメェこの野郎!!日常からかけ離れたこの恰好のせいで避けられてるんです私達!!」


ジョーイ「あ、あの、サトシ君とリーリエちゃんだよね?聞かない方がいいこともあるけど、やっぱり気になるから事情を聞かせてもらえるかしら?」

サトシ「あぁ!オレ達ウルトラガーディアンズやってるんです!ウルトラビーストを元の世界に送り返す活動を……何だっけ、つまり、特殊部隊なんです!はい!」

リーリエ「サトシ、ちょっと一緒に外出てもらっていいですか?」

サトシ「うん……?」



リーリエ「一発殴らせてください」

ボコッ

サトシ「らりおっ」

リーリエ「見ましたか!?見たでしょ今のジョーイさんの何が何やらみたいな顔!お母様が出来心で作った半妄想設定なんて安易に公の場で口にするもんじゃありません!」

サトシ「妄想だなんて!ウルトラガーディアンズがリーリエのママの妄想だって言いたいのか?」

リーリエ「時!場所!場合!TPOを弁えろと言いたいのです!……ウルトラガーディアンズの秘密は、一般の人にとってはチンプンカンプンな事ばかりです。たまにはうまく誤魔化すことも大事なのですよ?」
 ▼ 67 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/17 00:29:05 ID:kyGAOnfo [2/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サトシ「誤魔化すのは得意じゃないんだけどな……」

リーリエ「努力さえ感じられれば私は文句は言いません」

ロトム「リーリエはお母さんが絡むと途端に周りに厳しくなるロト」

ピカチュウ「ピカー……」チョイチョイ

サトシ「あぁそうだ!ピカチュウ達を早く休ませてあげないと!」

リーリエ「もう……」

♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪

ジョーイ「じゃ、じゃあピカチュウ達はしっかり預からせてもらうわね」

サトシ「ピカチュウホントにゴメン……休みの日の散歩は絶対楽しいとこに連れてくから!ね?」

ピカチュウ「ピィ……」


サトシ「さてと……まずは折角ポケモンセンターに来たし、バーネット博士のところにでも行くか」

リーリエ「こちらに来ているのですか?」

サトシ「ニャヒートが昨日から風邪をひいてたみたいでさ……夕飯も殆ど食べなかったし、ここでお部屋を借りて面倒を見てもらってたんだ」

リーリエ「では、先にニャヒートの様子を見にいきましょうか」

シロン「こんっ」


バーネット博士がいた部屋は壁も床も真っ白でベッドが一つ。部屋ではニャヒートは既にくつろいでいた。ベッドよりも博士の膝の上がお気に入りの様子。

バーネット博士はウルトラホールの研究をしており、エーテル財団の活動にも協力している。つまりウルトラガーディアンズの秘密も知っているため、変な恰好の少年少女がいきなり部屋に押し掛けてきても特に驚きもせずに出迎えてくれた。


サトシ「博士、ニャヒートの調子はどう?」

バーネット「お薬のお陰で大分良くはなったけど……明後日くらいまでは安静にした方がいいって言われました。原因は無理な運動みたいね」

サトシ「はっ?ニャヒートは風邪じゃなかったの?」

バーネット「風邪よ。原因は普通なら軽く目眩がする程度の症状しかない微弱なウイルスなんだけど……悪化しちゃったわけ。どうやら昨日サトシが言ってた、炊飯器屋の女の子とのバトルの時には既に感染してたみたいね」

サトシ「えぇ……バトルしたせいで風邪ひいたってこと?」

バーネット「大変申し上げにくいですけども」

ニャヒート「ZZZ……にゃふ」

リーリエ「もう!スカル団のこと言えませんよサトシ!トレーナーたるもの体調の管理はしっかり行わないと」

バーネット「気付かないのも無理ないわ。それにサトシは体調よりもポケモンの『気持ち』を見るタイプのトレーナーだと思うわ。ねぇ?」

サトシ「えへへ、わかってるね博士」

リーリエ「もう……」

ニャヒート「ZZZ……にゅふ」
 ▼ 68 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/17 00:41:17 ID:kyGAOnfo [3/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サトシ「さてと……それじゃ、後はポケモンだな。ピカチュウ達の代わりに任務を手伝ってくれるポケモンを選ばないと」

リーリエ「でも、ルガルガンはカキに渡してしまいましたよ?ベベノムもククイ博士と一緒にスクールに残っていますし、サトシのポケモンなんて他に……」

ロトム「分かったロト!カントー地方のオーキド博士の研究所なら、サトシのポケモンが沢山いるロト!」

サトシ「うん!……誰を選んでもウルトラガーディアンズの仕事は初めての経験になるけど、やる気になってるヤツがいたら連れていく!」

リーリエ「成程……サトシのポケモンであればきっと、心置きなく私達の力になってくれますよね」


時代の数十年先を行く技術を誇るポケモンセンターの設備のうちの一つ、「ポケモン預かりシステム」は、同じ「預かりシステム」をもつコンピューターとの通信を行うことでポケモンを転送することができる。

サトシはこの手段を使ってオーキド博士の研究所に自分のポケモンを多数預けており、任意にポケモンを呼び出すことができるのだ。

「ポケモン預かりシステム」は通常、ポケモンをデータ化し、年齢や体調をそのままに半永久的に保存することができる「預かりボックス」を使ってトレーナーのポケモンを管理するのだが、オーキド博士はポケモン達を研究所に野放しにしている。

つまり、サトシのポケモン達は「預かりボックス」のポケモン達と違い、サトシと離れている場所でも青い空の下で和気藹々と日常を送っているのだ。


サトシ「博士!今話できる?」

オーキド『構わんがサトシお前、何じゃその恰好は?アローラでの生活を満喫するのはいいが少々弛んどるんじゃないのか?お前さんがここに連絡を入れておるということはポケモンセンター、つまり公の場にいるってことじゃろ?スクールを通して少しは道徳的にまともな子になったと思っ

サトシ「そんな説教を聞きにいちいち連絡なんか入れるか!開口一番お小言を言う博士も少々ボケたんじゃないの!?」

オーキド『な、何じゃその口の聞き方は!マサラタウンの南の川に突き落としてやろうか!!……と、このやりとりもなんか懐かしい気がするのぅ。旅立つ前のあの頃のお前は大した悪餓鬼じゃった』

サトシ「ハァ……言ってくれる」

リーリエ「…………」

オーキド『おや、そこにおるのはこの前研究所に来ていたサトシの友達ではないのか?』

サトシ「リーリエだよ博士!ちゃんと名前覚えてあげてよ!本格的にボケたんじゃないの?」

オーキド『じゃかあしい!!お前はちょっとどいとらんか!』

リーリエ「リ、リーリエです……オーキド博士、ご無沙汰しております」

オーキド『うむ。お前さんはポケモンに触れないながらもカントーのポケモンの生態に興味をもち、目を輝かせている熱心な姿を私は覚えておるぞ』

リーリエ「ありがとうございます!……あっ、私!全てのポケモンに触れるようになったのです!それからというものポケモンと過ごす生活が楽しくて楽しくて……!」

オーキド『何と!それはめでたいことじゃ!またいつでも研究所に来るといい。今度はポケモン達に沢山触れる機会を設けてやろうぞ!』

リーリエ「……は、はい!ありがとうございます!」

シロン「こぉんっ!」


サトシ(何かめっちゃ盛り上がってる……)
 ▼ 69 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/17 21:44:27 ID:kyGAOnfo [4/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
-------カキ・スイレン組-------


ウルトラジャーにできるだけ近い場所を拠点にしたいというカキの提案から、スイレンは彼を連れて自宅へ帰っていた。

相変わらず父親は外出中。玄関では母親と二人の妹がカキを出迎える。


ホウ「( ゚Д゚)」

スイレン「何その顔。帰って来た姉を出迎えるのに相応しい顔じゃない。お客を家に上がらせるのに相応しい顔でもない」

スイ「( Д )゚ ゚」

スイレン「とりあえず今は私達疲れてる。ホウ、スイ、リビングに通してちょうだい」

スイレン母「理解が追いついてないのよ二人とも。大好きなお姉ちゃんが変な恰好で帰ってきて、その上ペアルックのボーイフレンドを連れてくるもんだから」

スイレン「ペアル……!?///」

ホウ「うむ。ビックリしないワケがない」

スイ「なんかへんなかっこうだとおもったら、なるほどペアルック。でもしょーじきダサいよふたりとも」

カキ「そ、そうか……?あと、これはペアルックなんかじゃなくユニフォームのようなものなんだが……」

スイレン「今になって恥ずかしくなってきた……着替えたい……///」

スイレン母「とりあえず上がってちょうだいな。カキ君も。丁度おやつにしようと思ってたところだしよかったら召し上がっていきなさいな♪」

カキ「あっ……すみません」

♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪

スイレン母「今日のおやつはもずくのゼリーよ」

スイレン「こらホウその手を離して。食べづらい」

ホウ「オラやるんだよぉ。『あーん』をやるんだよオラァ」グイグイ

カキ「…………」

スイ「おいしい?ねぇねぇ、よかったらごはんもあるよ。おふろもあるよ。おねえちゃんもあるよ」

スイレン「あぁもう!二人とも、食べないんだったらお姉ちゃんが貰っちゃうよ」

ホウ「おねえちゃんだって、モタモタしてるとここのおにいさんはわたしがもらっちゃうよ」

スイ「なにを。わたしだよ」

カキ「ハハハ……まいったな」

スイレン「〜〜〜〜〜〜っ/// ええい!もう知らん!」バクバクッ

ホウ「あ゛あ゛!わたしたちふたりのぶんをいっぺんに!!」

アシマリ「あおっ!あおっ!」キャッキャッ

ルガルガン「わん!」
 ▼ 70 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/17 21:53:30 ID:kyGAOnfo [5/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
カキ「ふぅ……いいものを食べさせてもらった。ごちそうさまです」

スイレン母「フフ、よろしお上がり」

ホウ「ゴチになります!」

スイ「おねえちゃん、じばらけっていです!」

スイレン「あのさ……さぁカキ、ルザミーネさんの指令が来るまでベッドで休んでるといい。起きた後にファブリーズを使ってくれたら問題ないから」

カキ「何言ってんだ、お前の家だぞ?それにお前、今も呼吸が苦しくて仕方ないだろ。体力が回復すれば少しはマシになるかもしれない」

スイレン母「!? ちょ、ちょっと待って、スイレン!あなたひょっとして風邪ひいてたの?」

スイレン「もうカキってば余計な事!」

カキ「しまった……あ、あの、おばさん、スイレンは風邪じゃないです!ただちょっと肺が焦げてるみたいで……」

スイレン母「 肺 が ! ?  焦 げ て る ! ? ! ? 」

カキ「あ゛っ」

スイレン「もうアホ……」

♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪

スイレン母「そう、そんなことが……小さい頃から海の中でチョンチーやランターンの電撃を何遍浴びても平気だったウチの子がね……」

カキ「アハハ……彼女らしいッス」

スイレン「お母さん、私はこのくらい何ともない。私よりも、メレメレ島の人達はもっと苦しいハズ」

スイレン母「それはあなた得意のウソね。島の人達は今も皆平和に暮らしてるわ。いつもは放任主義の私達だけど、今回ばかりは親として自分の子供のワガママくらい止めさせてもらおうかしら」

スイレン「確かにまだウルトラジャーの事は誰も知らないと思う。だけど……このまま放っておくといずれ島の人達もウルトラジャーに襲われるかもしれないって考えると、じっと見てられない。私はまだウルトラガーディアンズとして頑張りたい!」

カキ「オレからもお願いします。……スイレンの事は任せてください。        ……オレが守ります」

スイレン「っ!?」

ホウ「ヒュゥ……」

スイ「おちたな」


スイレン母「……私もまだまだね。過保護なのはあまり性に合わないし……それじゃあしばらくの間、娘は貴方に任せていいかしら?カキ君」

カキ「勿論です!」

スイレン母「……でも!スイレンがこの家にいる間、責任は私にあるわ。二人とも、その指令とやらに備えて早く休んでらっしゃいな」

カキ「ウルト

スイレン「わかったお母さん。……カキ、行くよ」


ホウ「ウルト……?」

スイ「しょくぎょーびょーってヤツだね」
 ▼ 71 ンノーン@リザードナイトY 18/07/17 22:12:38 ID:qZdIDZow NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ギャグと思いきやシリアス…
支援
 ▼ 72 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/17 22:56:20 ID:kyGAOnfo [6/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
-------マオ・マーマネ組-------


サトシをも下したウルトラビースト・ウルトラジャーは炊飯器の姿をしていた……ということで、炊飯器の心が分かるというムラシ店長のもとへと向かう二人。

ポケモンセンターに自宅待機と自分達以外のグループが有意義な時間を過ごしている中、炊飯器屋で時間を潰すことにマーマネは何度も異を唱えたが、マオは聞く耳持たず。一体何がいつもまともな彼女をそうさせているのか、道中マーマネはずっと首を傾げていた。


フライゴン「フォォォォォ……」スタッ

マオ「到着……『メレメレジャーショップ』。ここに今回の件のキーマンがいるんだ。……どうして今まで気づかなかったんだろう。事が大きくなる前に、ウルトラジャーの姿がわかった時点でここに来るべきだった」

メタング「メター」プシュー

マーマネ「疲れた……眠たい……」

トゲデマル「ZZZ……」


マオ「アローラーー!店長ーーー!!マオです!またお邪魔しまーーす!今からお話できますかーー!?おーーーーーい!!」

アママイコ「あまーーーーい!!」

マーマネ「今日もやっぱりお客が入ってないなこの店は」


ムラシ「おや、また来たのかいマオちゃん。……お友達も。ひょっとして炊飯器が故障でもしたかな?ウチは修理もやってるけど……気に入らなければ差額で新しいのと交換もできるよ」

マオ「いえいえ!実は折り入って相談がありまして……」

♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪

ムラシ「えぇ……マジか」

マーマネ(そりゃリアクションの仕方もわからなくなるわな)

ムラシ「今朝ニュースでやってた事件の犯人が炊飯器……一体何の為にそんなことを」

マオ「それを知る為に貴方が必要なのです!店長!ぜひ現場までご同行願います!願えますか!?願えますよね!?」

ムラシ「うぅん……でも仮にそうすると今日は店を閉めなきゃならなくなるし、ヌカは今日鍵を持って出て行ってないんだよ。それにあまり言いたくないが僕は、本当に炊飯器の心が読めるわけじゃないからね」

マーマネ「あっ」

マオ「そうかヌカちゃんが……よろしければ連れ戻してきましょうか?」

ムラシ「そうしてもらえると嬉しいが……わざわざすまないね。炊飯器の心が読めるわけでもない僕の為に……ヌカはお米とバトルが本当に大好きな子だから……」

マーマネ「ねぇちょっと」

マオ「いえいえ!ヌカちゃんにはうまく誤魔化しておきますので……今回の件、お父さんが危険な目に遭うという可能性も十二分にあるので心配させるといけないですしね」

ムラシ「あぁ頑張るよマオちゃん。僕は炊飯器の心が読めるわけでもないが、こんな僕でも力になれるのなら喜んで協力しよう!」

マオ「あざっす!」

マーマネ「デンヂムシ、やれ」

デンヂムシ「`´」
 ▼ 73 プ・テテフ@ドラゴンZ 18/07/17 23:02:41 ID:8KjYd90Y NGネーム登録 NGID登録 報告
カキイケメン支援
 ▼ 74 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/17 23:02:45 ID:kyGAOnfo [7/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
マオ「あばぼばぶぶべびびびばば」ビリビリ

マーマネ「おら、次はあんたの番だ」

ムラシ「ま、待ってくれ!……一応言っておくが本当に……」

マーマネ「読めないんでしょ?知ってますよそんくらい」


ムラシ「本当に……炊飯器の心を読む力が必要なのか?今」


マーマネ「……まぁ、そんなものが本当にあったら苦労はないですけど」

ムラシ「ならちょっと奥の部屋に来なさい。急ぎの用でなければ、その事についてゆっくり話してあげよう」

マーマネ「いや、あの……」

マオ「行くよマーマネ。……諦めるのはまだ早い。目的が何であれウルトラジャーの心は、絶対にあたし達が読み取ってみせる」

マーマネ(もう休みたい……)

デンヂムシ「ZZZ……」

♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪

ムラシ「マオちゃんはともかく、そこのお友達。マー……まぁいいや。君はどうやら僕のいう『炊飯器の心が読める能力』をただのインチキだと考えているようだが、それは違う」

マーマネ「いいえ、インチキ以外の何物でもないです」

マオ「黙って聞く!」ペシッ

マーマネ「かばどりゅっ」


ムラシ「僕の実家はシンオウ地方で稲作農家をやってるんだけどね。僕は稲作よりも、炊飯器を作るのが好きな機械っ子だった。家中のガラクタを集めては炊飯器を作りまくって……そしたら次第に、炊飯器を作る中でとある感情が芽生えてしまってた」

マオ「炊飯器に対する愛着、ですか?」

ムラシ「そうだね。まるで子供を育てるように……炊飯器一つ一つに命を吹き込むように気持ちを込めることがいつの間にか当たり前になっていた。もはや炊飯器はただの作品じゃなくなってたのさ」

マオ「うんうん、名のある職人さんって皆そういうよねぇ〜。店長もその一人だったんだ!マーマネだってわかるでしょ?たまにパソコンを自分で作ったりしてるじゃん」

マーマネ「ま、まぁねぇ……でも正直、一つ一つに命を宿すって発想は無かったなぁ。僕の作品は作品の域を出ることはなかった」

マーマネ「僕の知ってるカロスの発明家は、本物の命を自分の作品に宿したっていう伝説を残しているけど。ホントは人工知能をロボットに搭載しただけで、伝説自体は単なる例え話だしね」

ムラシ「そう、物に宿る『命』なんてのは、人の思い込みの域を出ないモンなのさ。だけど思い込みも極めると、自然と物を大切にしようって気持ちになるじゃないかな」

ムラシ「昨日僕が見せたような儀式……確かに胡散臭いし、物が人を選ぶなんてことは普通の人が考える世界ではあり得ないんだろうけど」

ムラシ「……僕は、僕が大好きな炊飯器が色んな人の手に渡った時、その炊飯器が人々にとって特別なものであってほしい。僕が自分で作った炊飯器にしているように、炊飯器を買った人達にとって、まるで自分にとって大事な人やポケモンと同じように大切にしてほしいと思ってる。だからあのスタイルはやめられないんだ」
 ▼ 75 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/17 23:09:54 ID:kyGAOnfo [8/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
マオ「店長……」ジーン

マーマネ「何かわからんけど急に申し訳なくなってきた……」

トゲデマル「までゅ……」ウルウル

ムラシ「だからさ!決してただのインチキじゃないってことは理解してほしいんだ!……僕はお金がほしくて炊飯器を売ってるのではなく、人と炊飯器との関係を紡ぐ役を担っていると自負してる。だから炊飯器屋をやってるんだ」

マオ(だから9割引もしてくれたんだ……)

♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪

ムラシ「僕のことは分かってくれたかな?」

マオ「炊飯器の心……それは店長の想いを込めて、わかりやすい形に表現した言葉だったんですね」


ムラシ「……さて、それじゃあ本題に入るけど……僕は本当に炊飯器の心が読めるわけじゃないってことは話したね」

マーマネ「はい」


ムラシ「       じゃあ今度は……本当に炊飯器の心が読める人について教えておこうか       」


マオ「え゛ぇぇ!?!? やっぱりいるの!?」

マーマネ「感動と時間と労力を今すぐ利子つけて返せ」

トゲデマル「ZZZ……」





ヌカ「ぺやんぐ!」

トロピウス「!?」

ヌカ「あ……ゴメンゴメン、ちょっとクシャミしただけ……トロピウスどうする?もう結構お金溜まったし……続きは明日にしようか?それともまだやる?」

トロピウス「クルルルルル……」

ヌカ「ハハ、頑張りすぎ?……まぁ父ちゃんはサービス精神旺盛だから。でも安易に値引きする分こっちの苦労も増えることは頭に入れてほしいよね。今度はどんなこじつけで割引サービスをやるのやら……」

ヌカ「とはいえ、トロピウスに無理させるのもよくないよね。……よし!じゃあ今日はノメルのみを混ぜてご飯炊いてみようかな。……いや、そんな顔しないで。美味しいよ?ホントだよ?」


……ピシッ


ヌカ「! ……まただ。ヒビが入る音。浜にいる他の人達は気付いてないみたいだし……やっぱり気の所為かな。そんなハズないと思うけども」

トロピウス「カルルルルル」

ヌカ「いや、行かないよトロピウス。……嫌な予感がするもん」
 ▼ 76 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/17 23:44:40 ID:kyGAOnfo [9/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
次のおはなし



第5話(全13話)「ウルトラジャー・チルドレン」
 ▼ 77 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/19 21:58:11 ID:eOGYsVss [1/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ウルトラジャーの活動停止から1時間が経過した。ウルトラジャーは今もカーラエ湾から動かず、人々も彼らの存在には気付いていない。

さらに今朝の事件からも丸半日が経過しようとしていた。最初に被害に遭った民家の周りは現在も警察によって厳重に監視されており、部外者は近づけない状態になっている。

二つ目の事件の現場となったハウオリ霊園も事件が公になった後、事件跡見たさに多くの野次馬が現れたが警察によって追い払われ、現在も監視下にある。

それ以外の場所では……二つの事件には恐怖感を抱きつつも、島民達が皆いつも通りの生活を変わらず送っている。しかしそこに平穏はなく、どこか焦りが感じられる。まるで、世界の終わりを予言され、残された時間を思い残すことなく過ごすように。


-------ポケモンセンター-------


ジョーイ「お待たせ致しました!お預かりしたポケモンはみんな元気になりましたよ!またの御利用をお待ちしております」ペコリ

男「なぁジョーイさん……今朝みたいな奇妙な事件、同一犯の仕業だって噂もあるけどよ、一体誰だと思う?後……次はどこで起こると思う?」

ジョーイ「フフ、気にしていては負けだと思いますよ?私は。島中に緊張が走る今こそ、一秒でも多く平和な時間を噛み締めてはいかがでしょうか?」

男「そう……だな。ありがとう、少しカフェに寄ってくとするよ」


サトシ「やっぱ皆気にしてるんだな……ウルトラジャーの事を知らないらしいから、尚更怖いんだろうなぁ」

リーリエ「〜♪」

ロトム「それに比べてリーリエは呑気なホクホク顔ロト。サトシのポケモンを使えることがそんなに嬉しいロト?」

リーリエ「はっ!……わ、私だってこう見えても緊張してるんです!この子をバトルに出すのはサトシを除いて私が初めてなんですよね?……そんな子を私はうまく扱えるのか不安で……」

サトシ「大丈夫だよ!ソイツは人懐っこい方だしリーリエにもすぐに懐いてくれるって。それに……」

シロン「こんっ!」

サトシ「シロンだってついてる。緊張はしても、不安になる必要なんてないと思うぜ」

リーリエ「えへへ……そう言ってもらえると助かります」



-------スイレン家-------


カキ「ZZZ……」

スイレン「ZZZ……」

ホウ「ヤーれ、ヤーれ(手拍子)」

スイ「しーっ。ほうっといてもそのきになるよ」

スイレン母「ゴメンね二人とも。でも他に落ち着いて休めそうなベッドが無くて……」

スイ「わたしたちのベッドがボーイフレンドのおやくにたてるのなら」

ホウ「いっこうにかまわぬ」


ルガルガン「ZZZ……」ゲシゲシ

アシマリ「(=_=#)」
 ▼ 78 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/19 22:05:44 ID:eOGYsVss [2/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
               「炊飯器の心が読める人がいる」


ムラシ店長からそう教わったマオとマーマネは、片や期待を、片や不安を抱きながら浜辺へと駆け出す。

走る二人の足取りも対照的で、希望に満ちた軽さで浜辺の砂粒を蹴り上げる音と、これ以上付き合ってられるかという落胆の念を連想させる溜め息が互いの耳に聞こえてくる。


マオ「……あのさ、事件解決に向かってるってのに何さその浮かない表情は。もうちょっとテンション上げてこうよ」

マーマネ「やめておくれよ。マオがボケ側に回った時の絶望感はハンパないんだから」

マオ「ボケ……!? いい?マーマネ!今度こそ、今度こそ本当にこの一件に決着をつけられる人物が見つかるんだよ!」

マーマネ「もう何も信じたくない」

-------------------------------------------------------

マオ「えぇっ!? ……ヌカちゃんが……炊飯器の心が読める人……?」

マーマネ「ここまでで予想してた人も多いと思うよ」

ムラシ「まだヌカが小さかった頃炊飯器に突然語りかけ始めた時は、初めは僕も適当な事を言ってるだけだと思ってた……だけど、あの子が炊飯器と話している時の眼はいつも真剣で、僕が炊飯器を作っている時以上に込める心の強さを感じたんだ」

ムラシ「ある日疑問に思って訊ねてみたら……案の定、自分は炊飯器の心がわかると言いだしたんだ」

マーマネ「スイレンと気が合いそう」

ムラシ「彼女はずっと僕の作った炊飯器に囲まれて過ごしてきた……同じ僕の『子供達』という意味では、彼女の方が炊飯器に近い存在だったのかもしれないね」

マオ「まるで兄弟なんですね!ヌカちゃんと炊飯器は」

マーマネ「褒めてるんだか貶してるんだか」

ムラシ「あまり我が子を危険な目に遭わせたくはないが……ヌカは優しい子だ。その任務とやらがヌカにしかできない事だとしたら、遠慮なく力を貸すだろう。その時は僕は止めないよ」

マーマネ「えぇ……それでいいのお父さん」

マオ「わかりました!……絶対にヌカちゃんを説得して、そしてウルトラジャーの事件を解決してきます!」

-------------------------------------------------------

マオ「あっ、いたよ!あそこ!やっぱりトロピウスと一緒に特訓してたんだね!ほらほらあの首の稲穂!珍しいでしょ?」

マーマネ「今日はいい天気だからか、気持ちよさそうにくつろいでるね。……ホントこれから巻き込むのが申し訳なくて仕方がない」


マオ「おーーーーい!ヌカちゃーーーん!!来たよーーー!!」


ヌカ「あっ、マオちゃんの声だ。また市場に夕ご飯買いに来たのかな?」

トロピウス「クルルルルル……」

ヌカ「そういえばマオちゃんもマサラタウンのサトシの友達なんだっけ。よし、せっかくだ。彼の事についてゆっくり話でもし……


マオ「突然でゴメン!手伝ってほしいことがあるの!」

ヌカ「え……何ですかその恰好」ドンビキ
 ▼ 79 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/19 22:10:16 ID:eOGYsVss [3/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
マオ「実は今朝の事件に関することで……知ってる?民家の屋根に穴が空いたっていう……」

ヌカ「何ですかその恰好」ドンビキ

マオ「迷惑なのは知ってる。だけどヌカちゃんにしか頼めないことなんだ!」

ヌカ「何ですかその恰好」ドンビキ

マオ「お礼ならいくらでもするよ!……ほら、ウチ食堂やってるって話したよね?何でも好きな料理一つタダにしてあげるからさ!」

ヌカ「何ですかその恰好」ドンビキ

マオ「ちょ、ちょっと待って!ホントに!値段とか関係ないから!お父さんにお願いしたらすぐに納得してくれるハズだし」

ヌカ「嫌です近づかないでください」アトズサリ

マオ「待ってヌカちゃん!待ってーーー!!」


ただでさえ日常の風景とはかけ離れたオーラを放つウルトラガーディアンズのユニフォーム。アローラの人々でさえ身を引くその奇抜さに、遠くの地方から引っ越してきたばかりのニューカマーには耐えられるわけがなかったのだ。

ここで逃せば他の隊員や財団の面々に申し訳が立たないと、何とか必死に説得をするマオ。交渉に飽きて水遊びを始めたトゲデマルを眺めるマーマネ。怯えるヌカ。アローラは今日も平和である。


ヌカ「…………」

マオ「それでカクカクシキジカ……ということ。ねぇ、わかった?」

ヌカ「う……うん。わかったって事にしないと永遠に迫られる気がするからそれでいいや」

マオ「やった♪」

アママイコ「あっまい!」

マーマネ「お、終わった?」


ヌカ「『ウルトラビースト』ねぇ……アローラは何かと陽気で平穏なイメージがあったから、そんな物騒な生き物がやってくるなんてちょっと驚きだな」

マオ「以外と付き合ってみたらそうでもないよね?マーマネ」

マーマネ「ま、まぁねぇ。言葉や意思がわからなくたって、ウルトラビーストもやっぱりポケモンなんだなって思うよ」

マオ「だけどウルトラジャーはその限りじゃない……今でこそ休んでるけど、また動きだしたら人々に攻撃的な意思を示すのは目に見えてる。こんな時だからこそ一番の方法は戦うことじゃなくて、彼の気持ちを理解してあげようって思うんだけど……」

マーマネ「そこでマオが僕達に提案したのがヌカちゃん、君に協力してもらうことだったんだ。……迷惑なら断っても構わないけど」

マオ「ダメに決まってんでしょうが!!」ゴンッ

マーマネ「ばしゃなっと」

ヌカ「ふぅん……どうしよう……い、今してくれた話ってアローラの人達も殆ど知らない話なんだよね?」

マーマネ「そうだね。ウルトラジャーについて知ってるのは、まだウルトラガーディアンズと財団の人達だけだね。あと君のお父さん」

ヌカ「そんな大事な事をあたしに……まだ出会って間もないあたしをここまで信用してくれるなんて……フフッ」

マオ「あたしは本気だよ! ……これで最後だよ?   ……あたし達と……行く?  」


ヌカ「……うん!」
 ▼ 80 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/19 22:17:38 ID:eOGYsVss [4/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
マオ「やった!これで交渉成立だね!アローラの未来は明るいよ!」

ヌカ「う、うん!」

アママイコ「あっまい!あっまい!」

トロピウス「カラララララ……!」

マーマネ「まとまってもうた」

マオ「そんじゃ、ヌカちゃんがメンバーに加わったところであたし達もルザミーネさんの指令待ちになったワケだ。他の皆もうまくやれてるかな?」

ヌカ「ほ、他の皆ってまさか、マサラタウンのサトシも?」

マオ「そうだけど?」

ヌカ(彼もこの二人みたいな恰好してるのか……)

マーマネ「何か疲れちゃった。よいせ」ドテッ

マオ「わっ!マーマネ、そんなとこで寝たら波に攫われるよ!」

マーマネ「波の音を聞きながらゆるりとお昼寝……動かなきゃいけない時になるまでここらで休ませてもらうね」

マオ「もうしばらくしたら夕方なんだけど……」


……パキャッ


ヌカ「!!」

マオ「ん?今何か言った?」

マーマネ「何も。ヌカちゃんは? ……って、どうしたの?深刻そうな顔して」

ヌカ「まただ……しかも今度はさっきより大きい音」


ウルトラガーディアンズの活動中、バトルの特訓に励んでいたヌカ。謎の音に誰よりも敏感なのは、この浜辺で大きな音を立てているのが自分達の他には波だけだったからだ。

波の音と特訓中の音に紛れて姿を隠していた「何か」を包むベールが人知れず、徐々に剥がれていく。


……パキパキ  ……パラパラ      ペチャッ


マオ「ホントだ聞こえる!これは……卵の音!?」


その時、今まで影の溜まり場だった岸辺の岩の辺りが、太陽が落ちてきたかのような眩さで光る。眩しさと、その光の色の無機質さ。

強さと妖しさの両方を併せ持った光は生き物の形を成していくにつれ輝きを失い、光輝いていた場所には……禍々しく黒みがかった銀色の怪物が姿を現した。


マーマネ「な……!何だあれ!!?」

マオ「まさか……!」


その怪物もまた、ポケモンの姿をしていた。
 ▼ 81 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/20 22:56:26 ID:Pt.YhzDU [1/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ド ガ ガ ァ ァ ァ ァ ァ ン ! !


男「おい見ろ!野生のポケモンが暴れてるぞ!……でもアレ、海から出てくるようなポケモンか?」

女「いずれにしても様子がおかしくない?襲われる前に逃げよ!」


岩陰に挟まっていた、銀色をした「何か」は怪物の卵だった。それまで目立たなかった小さな物体が大きな生物の形になり暴れ始めたことで、浜辺はパニックに陥る。

ポケモンの形をした怪物は大口を開け、大蛇のように太く長い舌を砂浜に叩きつけて威嚇する。荒い呼吸に血走った眼をもち、その獰猛さは人やポケモンを寄せ付けない。


マーマネ「あの姿……間違いない。『ベロベルト』だ!……間違いないんだけど……何か違う?ただ珍しいってだけの個体ではなさそうだね」

マオ「……コイツだ。あたし達が見たカラマネロもこんな色だった!」

ヌカ「えっ? マオちゃん、じゃああのポケモンはどうしてあんな色をしてるの?」

マオ「わからない。わからないけど……ほらマーマネ、カキの言ってたことを思い出して!あくまで推測だけど、もしカキの言うことが本当だとしたら……」

マーマネ「うん……コイツもウルトラジャーの仲間だね」

ヌカ「えっ……あれが!?」

マオ「ヌカちゃん下がってて、アイツがウルトラビースト・『ウルトラジャー』の仲間だとしたら、ここはウルトラガーディアンズの出番だよ!ね、マーマネ」

マーマネ「でも勝てるの!?カラマネロはカキのポケモンが二匹がかりでやっと勝てる相手だったんでしょ?」

トゲデマル「までゅ……」

デンヂムシ「むし……」

マーマネ「トゲデマル達の力を信用してないワケじゃないけど……何かあったら危険だよ?姿形はポケモンでも本当はもっと危険な生物なんでしょ?アイツも!」

マオ「でもさ……やるしかないじゃん」

マーマネ「……だよね」


ベロベルト「う゛ ぇ ぇ ぇ゛ え ぇ え え゛ ぇ ぇ」デロデロデロ


アママイコ「あっまい!」

トゲデマル「までゅい!」

デンヂムシ「…………」


マオ「二匹がかりでやっとなら三匹がかりで余裕でしょ!魅せるよ!あたし達のバトル!」

マーマネ「こうなったらやれるだけのことはやってやるぞ!」


ハウオリシティ・ビーチサイドエリアにて始まったバトルは3対1。

3匹のアリが恐竜に勝てるのかなんて誰かが言っていたけれども、こちらの世界のどこかのアリは自分より遥かに大きな牛や馬を食い散らかすこともあるらしい。だから何だ。

とにかく、この戦いは始まる前から勝負が決まるような戦いではないということだ。
 ▼ 82 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/20 22:58:39 ID:Pt.YhzDU [2/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
マオ「アママイコ!『マジカルリーフ』!」

マーマネ「トゲデマル、『でんきショック』! デンヂムシ、『いとをはく』!」


草・電気・虫、三種三様の遠距離攻撃がベロベルトをロックオン。矢のように迫る三つの攻撃にも怯まずベロベルトは鈍器のような舌で応戦する。


ベロベルト「ベエエエエエエ!!!」バチン!


マオ「……っ!」チッ

マーマネ「まだだ!まだ残ってるぞ!!」


ベロベルト「……ベェ!?」


ズドォ!!    ズドォ!!


『マジカルリーフ』を防いだ直後に残りの二つがヒット。タイミングを僅かにズラした攻撃はベロベルトの反応では追いつかず、マオ達は先制攻撃に成功した。


マオ「でも……これで後には退けないよ。ベロベルトはあたし達だけを狙ってくるようになる。ヌカちゃんは気をつけて」

ヌカ「えっ、あの……」

マーマネ「下がってて!ヌカちゃんはウルトラジャーの目的を読み取るのが一番の目的なんだから!」

ヌカ「……ううん      トロピウス!『エアスラッシュ』!!」


トロピウス「 ピ ラ ァ ァ ァ ァ ァ ! ! 」


ヌカの背後で前足を振りかざしたトロピウス。生みだされた空気の刃がマオ達とアママイコら三匹の背後を抜けると、ベロベルトの腹部を切り裂くように押し上げ、弾き飛ばした。

砂浜には、やはり空気でできたレールがくっきり残った。


ベロベルト「べぇぇ゛ぇぇ……」パンパン

ヌカ「ダメージ無いみたい……」

マオ「そうか!ヌカちゃんはサトシといい勝負したんだもんね。戦力にならないワケがないよ!」

マーマネ「でも……ホントに大丈夫かな?」

ヌカ「せっかくあなた達が信用してくれてるんだもん!やるからには力の限りやる!それに……ウルトラジャーって生き物の心を読み取ること……それがマサラタウンのサトシの恩返しになるのなら、あたしは最後までやり遂げたい」

マオ「えっ?恩返し?」

マーマネ「詳しいことは後で聞こう!それよりも今度は向こうから攻撃が来るよ!」

トロピウス「カラララララ……!」ゴクリ


ベロベルト「ベヘヘヘヘヘヘ……!」
 ▼ 83 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/20 23:02:15 ID:Pt.YhzDU [3/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ズッ……!    ズッ……!


足や舌を引き摺り、マオ達と間合いを詰めるベロベルト。その鬼気迫る体格で威嚇し、隙の無さを見せつける。


マオ「どうしよう……何か良い手無いかな……」

マーマネ「態勢は崩せても今のところダメージを受けてる様子がないし、もっと大きな攻撃をぶつけた方がいいのかな?」

ヌカ「なら……トロピウス!『にほんばれ』!!」

トロピウス「カ ァ ァ ァ ァ … … !」


トロピウスの咆哮と共に真夏日の日差しが呼び寄せられる。サトシとニャヒートを苦戦させた『にほんばれ』だ。トロピウスの攻撃も回復も、この光によって強化される。

眩さに眼を覆うベロベルト。味方のポケモン達はこれから起こる良い予感に喜び跳ねまわる。


ヌカ「だけどトロピウスは『サンパワー』。体力を消費するからすぐにケリをつけないと」

マオ「……だね。この希望の光が消えないウチにとっとと倒してしまおう!」

マーマネ「いける……!トゲデマル、デンヂムシ!まだ勝負は始まったばっかりだよ!」

トゲデマル「までゅまでゅ!」

デンヂムシ「むぃ……     ……!?」


ス ゥ ゥ ゥ ゥ ゥ … …


マオ「……な、何この音」

ヌカ「あっ!? マオちゃん、あれ!」


ベロベルト「 ス ゥ ゥ ゥ ゥ ゥ ゥ ゥ … … 」


マーマネ「どうなってるんだ?光が……!」

マオ「そうか!あのベロベルト、特性が『ノーてんき』なんだ!」


『にほんばれ』の光が川のように流されていく。光の行きつく場所では、舌を垂らして大口を限界まで広げたベロベルトが、トロピウスの光をブラックホールの如く吸い寄せていた。

『ノーてんき』は、バトルの状況を大きく変える天候の力を無力化させる強力な特性。雨も霰も砂嵐も、ベロベルトにとっては餌にしかならないのだ。


ベロベルト「」ゴクリ

ヌカ「そんな……『にほんばれ』が使えないなんて……」

マオ「こうなったらもう一度総攻撃するしかない!まずはベロベルトに何としても膝をつかせないと!」

ヌカ「膝をつかせる……それなら足元を狙うのが一番だよね。やるよトロピウス!」

トロピウス「クルルルルル……!」
 ▼ 84 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/20 23:10:31 ID:Pt.YhzDU [4/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
マーマネ「うー……ん」

マオ「マーマネ!?どうしたの!隙を見せたらベロベルトに攻撃されちゃうよ!」

トゲデマル「まっでゅ!まっでゅ!」

マーマネ「わかってる。わかってるけど考えてるんだ。もっと効率良くバトルを有利にする方法……」

マオ「もう!しゃあないなぁ……時間稼ぎしてろって事だね。 アママイコ、『マジカルリーフ』!」

ヌカ「トロピウス、『エアスラッシュ』!」


ズ ダ ダ ダ ダ ダ ダ … … ! !


風の刃と葉の刃、入り交じった二つの刃はベロベルトの体を削り取らんばかりに襲い掛かる。

強靭な舌で足元をガードするベロベルトだが衝撃を吸収しにくい技でダメージを吸いきれず、柔らかい体に切り傷が増えていく。


ヌカ「どうやらこの手の技に弱いみたいだね。あのゴムみたいな舌を攻略するには力を一点集中させるといいみたい」

マオ「ヌカちゃん!あたし達勝てるよね……?」キラキラ

ヌカ「もちろん!」


ベロベルト「う゛ぇぇぇ゛えぇおお゛おぉぉ゛ぉ!!!」


ヌカ「……来る!」

マオ「割とここまでやりたい放題だったから結構怒ってるよ……身構えないと」ササッ

アママイコ「あま……!」ササッ


ベロベルト「ベルルル……」ザリザリ


マオ「な、何をしてるのかな、アレ」

ヌカ「地面に舌を擦り付けてる……あんなことをしたら砂が刺さってキズがもっと深くなると思うんだけど……はっ、マオちゃん!」

マオ「! は、はい!?」

ヌカ「次のベロベルトの攻撃は絶対に避けて!」


ベロベルト「 べ え゛ え゛ え゛ え゛ っ ! ! 」ビシュッ


砂粒をたっぷりと付着させたベロベルトの舌がアママイコを襲う。ヌカの指示通りに難なく一発目を躱したアママイコだが、舌を引っ込める間もなくベロベルトは二度目の舌パンチを突き出してくる。


ビシュッ!        バシュッ!         ビュアッ!       ゴッォ!!

アママイコ「あま〜!」

マオ「アママイコ!ひたすら避けて!……ねぇヌカちゃん!いつ反撃したらいい?」
 ▼ 85 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/20 23:16:03 ID:Pt.YhzDU [5/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ヌカ「そう!何があっても抵抗しないで!今のベロベルトの舌には絶対に触れちゃダメ!」

マオ「ねぇ、どうして?」

ヌカ「今のベロベルトの舌はただ技を防いだり重い一撃を与えたりするものじゃないってコト。砂粒をつけた今のベロベルトの舌に触れたら、アママイコの体にも砂が刺さってより大きいダメージを受けてしまうの」

マオ「あっ、それ……似たようなのをこの間見たことがある!」

--------------------------------------------------------------

-------三日前 ポケモンスクール-------

ククイ「アローラ!今日の体育は予告通り、隣のクラスと合同でポケベースのクラス対抗戦をしようと思う」

マオ「うぉぁっ!?スイレン、何そのバット!?」

スイレン「釘バットだよ。近頃物騒だから持ち歩いてる。今朝も通学路でポイ捨てした不良を2、3人シメてきた」

アシマリ「アォォ……」ガタガタ

サトシ「よく見たらちょっと赤くないそのバット……?」

スイレン「ウフフ」

--------------------------------------------------------------

マオ「あの舌は釘バットと同じだ!砂粒をたくさん付けて殺傷力を高めてるんだ!」

ヌカ「いや、何なの今の回想!?」


次々と突き出される舌を必死に避けるアママイコ。善戦しているように見えても、持久力に乏しいアママイコでは長くは持たない。


アママイコ「ハァ……ハァ……」

マオ「でもどうしよう。わかったところであたし達は逃げ回るしかないし反撃できなきゃいずれは敗けちゃうよ!」

ヌカ「大丈夫……あと10秒、耐えて」

マオ「10秒? ……アママイコ!あと10秒だって!10秒逃げ切って!」

アママイコ「……っ!」


ベロベルト「     う゛ ぇ ぇ ぇ ぇ ぇ あ゛ ! ! !     」


ド ス ゥ ゥ ゥ ゥ ン ! !


アママイコ「あまぁぁぁ!!」スッ

マオ「よしナイス!」

ヌカ「……あと6秒」
 ▼ 86 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/20 23:22:41 ID:Pt.YhzDU [6/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ド ス ゥ ゥ ゥ ゥ ン ! !


アママイコ「あまぁぁぁぁ!!」ゴロゴロ

マオ「よしよしよし!!危ないけどセーフだよアママイコ!」

ヌカ「……あと2秒」


ベロベルト「う゛ ぇ ぇ ぇ ぇ ぇ ! !」ビュッ!!


アママイコ「……ゼェ……ゼェ」ドテッ

マオ「! アママイコ!立って!また攻撃が来るよ!お願い!!」


アママイコの体力は尽きてしまった。戦闘能力が大きくかけ離れたベロベルトを相手に、攻撃を避けるだけで限界以上のスタミナを消費していたのだ。砂浜にへたり込んだアママイコ目掛けて砂と血混じりのグロテスクな肉の鞭が襲い掛かる。


アママイコ「まぃ……!」

マオ「アママイコォォォーーーッ!!」


ヌカ「          トロピウス!    『ソーラービーム』!!         」



                              ズ


                                 オ

                                オ


                                 オ

                              オ

                               ッ

                            !  !  !


マオ「……ヌカちゃん」

ヌカ「吹き飛ばせ!!」

トロピウス「ヴァアアアアアアアアアアアアア!!!」


アママイコが稼いだ時間、トロピウスは光を蓄えていた。黄緑色をした光線はベロベルトの砂付き舌よりも太く、速く、強かった。

光はベロベルトの腹に直撃すると、ベロベルトの重い体を難なく持ち上げ、浅瀬より少し奥の海に突き落とすと水平線の彼方まで突き抜けていった。



ド ボ ォ ォ ォ ォ ォ ォ ォ ォ ン  ! !
 ▼ 87 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/21 19:32:49 ID:pkQclqQ6 [1/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
トロピウス「カラララララ……!」ドヤッ

マオ「すっ…… S U G E E E E E ! !」

ヌカ「えへへ、黙っててごめんね。相手に気付かれるといけないと思ったから……」

マオ「そんなのいいよ!今のほど強い『ソーラービーム』見たことないよ!草ポケモン好きとして尊敬するね!」

ヌカ「そ、そんな……/// そんなこと……///」

マオ「うわぁいいリアクションだね。褒められ上手♪」スリスリ

ヌカ「ひゃうっ……!/// マオちゃんくすぐったいよぉ///」


マーマネ(勝負の途中でイチャつきやがって……でもさっきの攻撃は確かにスゴかった。不意打ちとはいえベロベルトの巨体を海に突き落とすなんて。 この勝負、やっぱり勝てるぞ!……僕の作戦も込みでね)


アママイコ「あま……」プルプル

マオ「アママイコよく頑張ったよ。ホントによく頑張った……あとはヌカちゃん達に任せてゆっくり休んでね」

アママイコ「まぁー……い」

マオ「おーーい!マーマネーー!もうシンキングタイムは終わりでいいーー!?」


マーマネ「あ、あぁうん!もうまとまったよ!これから説明をするからしっかり聞い……


                    ザ バ ァ ァ ッ ! !


マーマネ「!?」

マオ「ベロベルト……!」


海面に浮上してきたベロベルトの怒りは頂点に達していた。その眼からは紅い雫が垂れ、『ソーラービーム』でやっとのことでダメージ受けた弾力のある腹がベロベルトの呼吸に合わせて大小している。

ベロベルトは自分より弱い連中に弄ばれた屈辱を取り払うように自分の眼の周りを大きく舌なめずりすると、その舌先をマオ達の方へ向ける。


ベロベルト「コォォォォォ…………」


ヌカ「こ、今度は何? まさか『はかいこうせん』!?浜辺に上がらずにあの位置から撃ってくるつもり?」

マオ「そんな!?この方向に撃たれたら沢山の人達が助からないよ!」

ヌカ「それだけ勝負を急いでるんだ……でもやるしかない! 行って、トロピウス!!」

マオ「ヌカちゃん!?」


トロピウス「ガラララララララララ……!」ギュオオオオオオ


マーマネ「嘘っ!?速っ!!」

マオ「あっという間に沖まで飛んでっちゃった……」
 ▼ 88 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/21 19:38:18 ID:pkQclqQ6 [2/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ヌカの指示と共に、地を蹴って海の……いや、ベロベルトの方向へ急行するトロピウス。

体が重い故飛び立ちにくい弱点をもつトロピウスだが、ムラシ店長の実家から送られてくる米を食べ続けたヌカのトロピウスは脚の力が強くなっていた。矢のように突き進むシャープな飛行フォームの美しさはファイアローに匹敵する。


ベロベルト「……!?」


ベロベルトの一番の狙いは自分を最後に突き落としたトロピウスだった。『はかいこうせん』の射程範囲から高速で抜け出し、自分の眼前に迫るトロピウスにベロベルトは一瞬動揺する。


ヌカ「今だ!『エアスラッシュ』!!」

トロピウス「ク ル ル ォ ォ オ ォ ォ ォ ! !」


                        ザ ク ッ … … ! 


ベロベルト「べ……べぇぇ゛ぇ゛……」コォォォォ……


態勢が崩れながらも光線を放つベロベルト……だが、不意をついたトロピウスの一撃で転倒し、光線は空へと突き抜けていく。

再び海へ落ちるベロベルト。しかしまた浮かんでくるに違いないと、トロピウスはベロベルトの沈んだ場所の真下で待ち構える。


マーマネ「や、やった!」

マオ「ちょっとちょっとマーマネ、結局作戦って一体何さ?せっかくあたし達が時間稼ぎしてあげたんだからちゃんといいもの考えてあるんでしょうね?」

マーマネ「も、もちろんだよ!そりゃむとびっきりの作戦を……


                    ザ バ ァ ァ ァ ァ ! !


ヌカ「トロピウス!危ない!!」

トロピウス「!」


何かが海面を貫き、突然トロピウスの眼の前から飛び出した。現れた物体は瞬時にトロピウスの体を絡めとる。ベロベルトの舌だ。

ベロベルトの怒りはまだ収まっていなかった。むしろ溺れながらも重い体を引き摺り再び浮かび上がってきた執念深さは、ベロベルトの災難に次ぐ災難で更に高まった怒りそのものだった。


ベロベルト「う゛ぇ ぇぇ……う゛ ぇ え゛えぇ ゛ぇ…… ! !」デロデロ

トロピウス「ギギ……!」


マーマネ「なんて奴だ……あんな血だらけの舌にトロピウスを縛れるほどの力が残ってたなんて!」

マオ「さぁ出番だよマーマネ!早く作戦でトロピウスを助けてやって!」

マーマネ「えぇ今!?無理だよ!」

マオ「はぁ!?何でよ!?」

マーマネ「だってこの作戦は……その……」
 ▼ 89 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/21 19:46:51 ID:pkQclqQ6 [3/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
                   ……ガブッ!!

ベロベルト「!?」ザブッ


マオ「まずい!ベロベルトがトロピウスを海に引きずり込もうとしてる!」

ヌカ「粘ってトロピウス!もう一度『エアスラッシュ』だよ!」

マーマネ「でも何か……様子がおかしくない?」


ベロベルトは確かに舌で絡め捕ったトロピウスを海の中へ引きずり込むつもりだった。だがそうする前に、ベロベルトのいる海面で異常事態が起こっていた。

ベロベルトの周りが騒がしい。浜辺からは状況が見えないが、体が大きなベロベルトといえど、手足をバタつかせるだけではあれほどの水しぶきは起こらないのはマーマネもわかっていた。


マオ「様子がおかしいって……どういうこと?」

マーマネ「あっ、ちょっと見てほら!あれ!ベロベルトの周りにいっぱいいるのってもしかして!」

ヌカ「あれは……サメハダー!?」


サメハダーA「シャアアアアアク!!」

サメハダーB「スキィィィイン!!」

サメハダーC「…………!!」


興奮で紅く染まった眼から、トロピウスとアママイコの攻撃でついた舌の傷口から、ベロベルトの血は海に滴り落ちていた。その僅かな血の匂いを嗅ぎつけたサメハダーの群れが沖からエサを求めてやってきたのだ。


マオ「思わぬ救世主が来ちゃったね……」

マーマネ「うぷっ……でもダメだ僕こういうの」オェェェ

ヌカ「ト、トロピウス早く逃げて!あなたまで食べられちゃう!」

トロピウス「トロロロ……!」バサッ


ガツガツガツガツガツ……             バクバクバクバクバクバク……
         バリバリバリバリ……          グチャグチャグチャグチャ……


締め付ける力を失った舌を振りほどき脱出したトロピウス。海面に残されたベロベルトはサメハダーの餌食となる。

我先にと貪欲に獲物に食らいつくサメハダーの群れに水中戦で、それも体力を消耗した今敵うハズもなく、ベロベルトは海を紅く染めながらサメハダー達によって沖へと運ばれていった。


ヌカ「行っちゃった。サメハダー……ベロベルトも」

マオ「一応勝った……よね?あたし達……ねぇ!ヌカちゃん!」

マーマネ「あぁぁスッゴイ疲れた」ドテッ

マオ「あんたはほぼ何もしとらんやろうがっ」ガプッ

マーマネ「ギャアアアアア今の見た後に腕噛まないでよ!!」
 ▼ 90 ジョッチ@ホズのみ 18/07/21 19:46:56 ID:PQtgHRSI NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援!
銀色のやつらにも特性があるってことは、やっぱり元のポケモンの能力とかも引き継いでるのかな
 ▼ 91 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/21 20:06:42 ID:pkQclqQ6 [4/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
結末はどうあれ、結果は勝利。マオとマーマネはウルトラガーディアンズとして、ハウオリシティ・ビーチサイドエリアの防衛に成功したのだった。

いつの間にか辺りは人気が無くなっていたが、じきに戻ることだろう。戦いの最中身を潜めていた浅瀬のポケモン達は顔を出しはじめていた。


ピピピピピピピ……

マオ「おっ、バトルが終わった途端にルザミーネさんから通信が来たね。やっぱりあたし達の頑張りを見てくれてたんだ……感激☆」

マーマネ「まさか次の指令とかじゃないよね」

マオ「あたしはまだ体力あるよ。ウルトラジャーをこの眼で見るまで止められますかってんだ」

マーマネ「ようやるわ……」

アママイコ「あま……」

マオ「そうだ!アママイコを休ませないといけないね……」

ヌカ「マオちゃんのアママイコは今日のMVPだね」

マーマネ「マオ、ルザミーネさんからの通信に出ないと」

マオ「ほいほい」


ザオボー『はいはいこんにちはお二方。貴方がたへの通信は私、ザオボーがお繋ぎしていますよ』

マオ「アンタかよ」

ザオボー『どうせ私はハズレですよーだ。代表は只今リーリエお嬢ちゃんのチームへの通信やモニタ監視で忙しいのです』

マーマネ「いいなぁサトシとリーリエ……カキとスイレンには多分ビッケさんだろうね……ハァ」

ザオボー『何を溜め息をついているのです!お伝えする内容は一緒なのでそんな落胆することないでしょうに!』

マオ「だって話してても楽しくないし」

ザオボー『お、おのれ……コホン、まぁとにかくこの度は、謎の銀色の怪物の討伐ご苦労様でした。未知の生物にも屈することなく立ち向かう姿、立派でしたよぅ』

マーマネ「まぁね」

ザオボー『さて、一応礼儀として貴方がたへの労いはこれで済んだとして……早速こちらからの情報を提供しましょうか』

ザオボー『謎のウルトラビースト“ウルトラジャー”と、カラマネロやベロベルトの姿をして貴方がたの前に突如現れた銀色の怪物……何かしら関係があるように見えて、エーテル財団の力を以てしても未だ明確な関係はわからぬまま』

ザオボー『共通点といえば体が銀色であること!それ以外に共通点なんて見当たらない……しかし!よく考えてみなさい。貴方がたが見た銀色の怪物はいつ現れましたか?』

マーマネ「いつって、ついさっき……」

マオ「わかった!二匹ともウルトラジャーがメレメレに現れてからだ!」

ザオボー『ご名答!依然として両者の関係は分かりません、しかし!研究も謎解きも仮説が大事。ウルトラジャーを止めることさえできれば、銀色の怪物の発生も止まる可能性が決して無いわけではありません』

ザオボー『我々エーテル財団は暫定的に銀色の怪物達をウルトラジャーの生み出した特殊生命体とみなし、彼らを“ウルトラジャー・チルドレン”と名付けました』

マオ「えっ、もっかい言って?」

ザオボー『ウルトラジャー・チルドレンです。文句なら代表に言ってくださいな』

マーマネ「またリーリエがキレてるんだろうなぁ……」
 ▼ 92 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/21 20:12:02 ID:pkQclqQ6 [5/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ザオボー『時にそこの貴方!貴方ですよ。そこの見慣れない顔の貴方です』

ヌカ「わ、私ですか?」

ザオボー『先程の戦い見ておりましたよ……一般島民の分際でまぁ何ともウルトラガーディアンズの手柄を大方持っていくような真似をしてくれたではありませんか』

マオ「ちょっとソラマメガネ!ヌカちゃんはそんなつもりで協力してくれたんじゃないの!あたしがヌカちゃんの力が今回の任務に必要だと思ったから助けを求めただけ!」

ザオボー『ソラマメ……!?あのねぇ貴方がた、ウルトラガーディアンズが何の為に存在するのか知っているのですか?ウルトラビーストを元の世界に返す……そんな難しい任務をこなす勇気ある子供達をエーテル財団の監視下に置くためにあるのです!』

ザオボー『言ったでしょう?ウルトラガーディアンズのモットーは安全第一。貴方がたの勝手な判断でいちいち一般島民を巻き込んでいてはそれだけ私達の仕事が増えますし、万が一のことがあればエーテル財団の信用は落ちてしまうのですよ』

マオ「うっ……でも……」

ヌカ「ゴメンマオちゃん、やっぱり無理みたいだね……」


ルザミーネ『また子供達の興味を邪魔するつもりなのザオボー。責任はすべて私が取ると言ったハズよ』


マーマネ「うわっ!急に話に入ってきた」

ルザミーネ『ついさっきリーリエに怒られて通信を切られた所よ』

ザオボー『だ、代表!しかし、いくら責任を取るといっても一般島民ましてや子供に協力してもらうわけには……』

ルザミーネ『貴方、名前は何ていうんだっけ?お家はどこ?』

ヌカ「ぬ、ヌカって言います。最近アローラに引っ越してきたばかりで……えっと、家は炊飯器屋をやってます」

ルザミーネ『あら、ウチのリーリエが昨日お邪魔したお店の子?新しいお友達ね。これからウチの子がお世話になります♪』

ヌカ「え、えへへ……」

ルザミーネ『さて……本題に入るけども、マオちゃんが貴方の協力を得ようとしているのはなぜ?』

マオ「ヌカちゃんは炊飯器の心が読めるんです!ウルトラジャーがもし炊飯器と同じ生態をした生物だとしたら……ウルトラジャーの心だって読めるかもしれないからです」

ザオボー(炊飯器の生態ってなんやねん)


ルザミーネ『成程ね……わかったわ!ヌカちゃんをこの任務の最重要人物とし、一時的なウルトラガーディアンズの入隊を許可します!』ビシッ

ザオボー『ゑゑゑゑゑゑゑゑ!?』

マオ「やったね!これでヌカちゃんもウルトラガーディアンズだよ!」

ヌカ「あ、ありがとう……その恰好は勘弁だけど」

ルザミーネ『後はライドギアだけど……丁度飛行タイプのトロピウスを持ってることだし、トロピウスでのポケモンライドも許可するわ』

トロピウス「♪」


未知のウルトラビースト「ウルトラジャー」と銀の怪物「ウルトラジャー・チルドレン」。

マオが信じてやまないヌカの神秘の能力は、強大な力に立ち向かう為の切り札となる……


マーマネ「……といいんだけどね」
 ▼ 93 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/21 20:13:11 ID:pkQclqQ6 [6/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
次のおはなし



第6話(全13話)「アホ二人」
 ▼ 94 ンバス@ドリームボール 18/07/21 20:26:05 ID:JI1cv0vQ NGネーム登録 NGID登録 報告
ホウスイのおませさん感好き
支援
 ▼ 95 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/22 22:43:01 ID:kiLQCTF. [1/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
炊飯器の心が読める。そんなピンポイントすぎる超能力少女・ヌカをウルトラガーディアンズに引き入れることに成功したマオとマーマネ。

一方で、傷ついたポケモンの回復とピカチュウ達に変わるメンバーをオーキド研究所から呼び出すためにポケモンセンターにやってきたサトシとリーリエは、ニャヒートの風邪見舞いに来ていたバーネット博士と合流する。


ニャヒート「うにゃ〜」

バーネット「39度3分ね。中々調子はよくなってきたんじゃないかしら」

サトシ「いやダメでしょ。それだけあったら」

リーリエ「ニャヒートやペルシアンなどの猫型ポケモンは人間よりも平熱が少し高いのですよ」

サトシ「ふーん……それにしてもゴメンなニャヒートぉ。昨日も言えばすぐに止めてあげたのに」ナデナデ

ニャヒート「んにゃぅ〜」

バーネット「その気持ちがあれば良し!ニャヒートもサトシが来てくれて喜んでるみたいだし」


リーリエ「ハウオリに現れたという銀色の怪物の件……マオ達はうまくやったみたいですね」

サトシ「『ウルトラジャー・チルドレン』だろ?リーリエ!」

リーリエ「イヤです恥ずかしい。……怪物はベロベルトの姿をしてるって言ってました。次に現れるとしたら、一体どんな姿で私達の前に現れるのでしょうか……」

サトシ「どんなヤツが来ても、オレと『コイツ』で倒してやるさ。……リーリエだって信用してもいいんだぜ?オレのポケモンはみんないい奴だから、リーリエの期待にも応えてくれると思うぜ」

リーリエ「……私の期待にも、ですか」


サトシだけでなく、リーリエもサトシのポケモンが入ったモンスターボールを受け取っていた。「リーリエと相性の良いポケモンを」、そう言ってサトシが選んでくれたポケモンは、サトシと旅をしたあの時と変わらず元気な姿を見せてくれた。


サトシ「後さ、ヌカも仲間になってくれたことだし、今ならもうウルトラジャーにだって簡単に敗ける気しないよ!」

ロトム「そうだ!その子に会ってトロピウスのデータを記録しないとロト!」

リーリエ「サトシは色んな方を頼りにしているのですね。人もポケモンも……」

サトシ「そりゃそうさ。……オレ一人じゃ何もできなかったもの。今までだってずっとそうだ。色んな人に、ポケモンに助けられて今の自分ができてるから」

リーリエ「フフ、サトシにも意外と謙虚なトコロあるんですね♪」

サトシ「い、意外と?」

ロトム「サトシは持ち上げるとすぐ調子に乗るタイプロト。少なくとも表面上は謙虚とは程遠いロト〜」

バーネット「だはははははwww言えてるwww」

ニャヒート「にゅぅ〜」

サトシ「え゛ぇ!?」
 ▼ 96 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/22 22:46:34 ID:kiLQCTF. [2/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ピピピピピピピピ……


リーリエ「あっ?これってひょっとして……」

バーネット「あら、緊急指令のようね。『ウルトラジャー』に動きがあったか、どこかで『ウルトラジャー・チルドレン』が発生したかのどちらかが起こったみたい」

サトシ「どっちだ!?『ウルトラジャー』ならオレとコイツで……

リーリエ「サトシ、その事で相談があります! この緊急指令、もし『ウルトラジャー』のものでなければ、私に任せてくれませんか?」

サトシ「えっ?大丈夫かよ?」

リーリエ「論理的結論として……今の『ウルトラジャー』と太刀打ちできるのは、おそらくサトシ達だけかと。なので私達はなるべくサトシ達の負担を減らすべくサポートに回りたいのです。これはシロンとの合意です」

シロン「こんっ!」

サトシ「でも……

バーネット「二人とも、早く通信に出てあげて」

サトシ「あぁっと!も、もしもし?」

ルザミーネ『あぁ二人とも通信にヤットデタマン……じゃなくてサトシ君、リーリエ!メレメレを観測してる職員からの情報よ!ハウオリ霊園付近に“ウルトラジャー・チルドレン”が出たわ!目標に一番近いグループは貴方達だから出動指令を二人に出すわ!準備はいい!?』

サトシ「ウルトラジャー・チルドレン!?……ってことは」チラッ

リーリエ「……」コクリ

サトシ「ウ、ウルトラジャー!すぐに向かいます!」

バーネット(今のは本来の「了解」の意味のウルトラジャーね。相変わらずややこしいわ)


サトシ「バーネット博士!それじゃあ行ってきます!」

バーネット「サトシ君のかつての仲間が加わって……新生ウルトラガーディアンズの活躍、期待してるわよ。ただルザミーネからも言われてるように無茶はしないこと。いい?」

サトシ「大丈夫だよ博士!」

バーネット「特にアンタねリーリエ。リーリエの事だから、ちゃんと言った言葉相応の責任は感じてるだろうけど」

リーリエ「必ずやり遂げてみせます!私にはこの子達がいるんですもの」

シロン「こんっ!」

モンスターボール「…………」



チルタリス「チュルルルルル……」

ガブリアス「お゛↓え゛↑お゛↓」


リーリエ「ハウオリ霊園といえば……ほら、サトシ。今朝も『ウルトラジャー』に関する事件があったところではありませんか。やっぱり今現れた怪物も……」

サトシ「……行こう!」

シロン「こんっ!」
 ▼ 97 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/22 22:50:57 ID:kiLQCTF. [3/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
-------2番道路-------


事件のほとぼりも、未だ冷めやらぬ。警官達の野次馬狩りも一段落したと思えば、今度の敵は銀の怪物「ウルトラジャー・チルドレン」。

三匹目となるこの個体も例に漏れず、その強さで警官達を薙ぎ払う。


警官C「ガーディ、『かみつく』!」

警官D「ヤングース、『たいあたり』!」

???「…………」


                    ザ ン ッ ! !              ズ ド ッ ! !


警官C「ごぼっ……」

警官D「参ったな……無線機もアイツに壊されて応援も呼べないし……ハハ、こりゃ死ぬぜオレ達」

警官C「この近くは霊園だ……骨ならすぐ墓に埋めてくれるだろうし、葬儀代が浮くかもな」

警官D「バカな冗談はやめろよ……ぐっ!」



サトシ「いたぞ!あそこだ!」

リーリエ「……!」

サトシ「遅かったか……もうケガ人がいるぞ。リーリエ!やっぱりここはオレに任せてくれ!リーリエは警察の人達と一緒に病院に……

リーリエ「何を言うのです!今のサトシのライドウェアにはお母様達がサトシの安全を確認するためのGPS発信機がないからサトシ一人の単独行動は危険です!病院に行って戻って来るだけなら発信機が無くてもギリギリ安全でしょうし、バトルは私がやります!」

サトシ「危ないのはどっちだよ……」

ロトム「危険ロト!あんな凶暴なポケモンと真正面でやり合うなんてリーリエには無理ロト!」

リーリエ「危険だからやるんです!サトシの役目はウルトラジャーを止めることですから。ここで体力を使うわけにはいきませんよ」

サトシ「うーーーん……」

リーリエ「サトシ……」バッ


リーリエはモンスターボールをサトシの眼の前に突きつけた。サトシのポケモンのボールだ。


リーリエ「私が信じられないのなら『この子』を信じてください!『この子』が私と一緒に戦ってくれるんです。『この子』が頑張る度に期待を抱いていた貴方ならこんな時、私を信用しますか?しませんか!?」

サトシ「ぐっ……   わかった」

ロトム「ゑゑ!?」

サトシ「でもウルトラガーディアンズは『安全第一』、だぜ?」

リーリエ「わかリーリエです!」ビシッ
 ▼ 98 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/22 22:54:03 ID:kiLQCTF. [4/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サトシ「さぁついて来てください!ウルトラガーディアンズです!」

警官C「えぇ……何その恰好」ドンビキ

警官D「誰かが助けに来たと思ったら子供がこんなところで……な、何してやがる。アイツは危険すぎる。お前らの命だって危ないぞ……」


ノクタス「ボコボコボコ……」


ロトム「ノクタス カカシぐさポケモン 草/悪タイプ。砂漠の日差しで水分を失わないように昼間はじっと立ち尽くしている。気温の下がる夜に活動を始める」

サトシ「今度の『ウルトラジャー・チルドレン』はノクタスか。『ニードルアーム』を使う草タイプのポケモンだっけか……じゃあリーリエ!後は頼んだぞ!」

リーリエ「サトシもがんばリーリエ!ですよ!」

警官C「お、おい!あんな女の子一人残して大丈夫なのか!?」

サトシ「大丈夫です!リーリエにはオレの仲間がついてるんで!」

警官D「チッ……これじゃメレメレ警察のメンツが立たんぜ……お嬢ちゃん、せいぜい刺し殺されんように気をつけることだな」


サトシが警官達を病院へ送り出し、一人になったリーリエ。……いや、彼女は一人ではなかった。


リーリエ「ありがとう、サトシのポケモンちゃん……貴方のお陰でサトシのお仕事が少し減りそうです」

シロン「こんっ!」

リーリエ「貴方もねシロン。サトシってば、ポケモンの言う事なら素直に聞くんだから……」


ノクタス「ポコポコポコポコ……」


リーリエ「あの銀の体、相変わらず不気味……いや、冷静に考えましょう。カキと戦ったカラマネロは大勢の野生ポケモンを従えて襲ってきました。でも今の相手はたった一体。私なんかでもサトシのポケモンとシロンがいれば勝てない相手じゃないです!」

リーリエ「さぁ出てきてくださいオニゴーリ!私でよければ、どうか力を貸してください!」


オニゴーリ「      ゴ ォ ォ ォ ォ ォ ォ ォ ォ ォ … … ! !     」


--------------------------オニゴーリ。ホウエン地方・イザベ島にてサトシが出会った氷タイプのポケモン。サトシとの特訓の末完成させた『れいとうビーム』で、サトシのホウエンでのバトル修行を支えてきた。

厳つい顔つきながら人懐っこい性格でサトシの友達と知るや否や、リーリエにもすぐに懐いた。この人見知りの無さがサトシがリーリエのために彼を選んだ理由だ。


リーリエ「……」ギュッ

オニゴーリ「ごご?」

リーリエ「フフ、ひんやりしてていい抱き心地です♪ サトシは貴方を頼りにしていると言っていました。……短い間だけど一緒にがんばリーリエ、しましょうね」

オニゴーリ「ゴォォォッ!!」

リーリエ「そうですGOですよ!行ってらっしゃい! まずは素早い動きでノクタスを惑わせて!」


ノクタス「……!!」
 ▼ 99 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/24 19:57:59 ID:qoDA1b/w [1/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
オニゴーリの闘志に炎が灯る時、大きな頭からは冷気が吹き出す。外は冷たく内は熱く、未知のポケモンにも怯まないオニゴーリの特性は『せいしんりょく』。

宙に浮いていることを生かした機動力と、鉄をもすり潰す頑丈な顎から成る威圧感でノクタスを翻弄する。反撃を試みるノクタスだが、凶暴な性格故にか正確さを欠いた力任せの攻撃を繰り返す。


ノクタス「ヴォォォォォォ!!」ブォォォン! ブォォォン!

オニゴーリ「ゴォォッ」ヒョイヒョイ


リーリエ「いいよ!いいですよオニゴーリ!ノクタスを攪乱させたら次は『かげぶんしん』!」


ババババババババ……


リーリエとオニゴーリの初手攪乱作戦は『かげぶんしん』で更にノクタスに追い討ちをかける。逃げ回っていた敵がいきなり大勢現れ、一瞬たじろぐノクタス。


ノクタス「ウ゛ォォォォ……」ズドドドドド


リーリエ「むっ、『ミサイルばり』ですか。分身に紛れてうまく避けてくださいね」


機動力と『かげぶんしん』でノクタスの動きを完全に止めたかと思いきや、的が増えたとばかりに飛び道具を使うノクタス。

しかし正しい的はただ一つ。針を撃ちまくるノクタスを尻目に、下手な鉄砲数撃っても当たるまいとばかりにオニゴーリは分身を盾にしながら『ミサイルばり』の射程から離れていく。


ノクタス「……!」ズドドド

リーリエ「いけない!ノクタスに気付かれました!オニゴーリ、『れいとうビーム』!」

オニゴーリ「コォォォォオ……!!」


ノクタスは荒くれながらも、オニゴーリの本体の不自然な動きに気付く。本体目掛けて放った『ミサイルばり』は『れいとうビーム』と相討ちになった。

互いの力はほぼ互角だが、速さではオニゴーリが少し有利。しかし相手は今まで仲間達を苦しめてきた「ウルトラジャー・チルドレン」の一匹。多少の優勢ではリーリエは気を抜かない。


リーリエ「当然です。私を含むクラス6人の中で行った『調子に乗りにくそうな人ランキング』トップの実力、舐めてもらっては困ります」

リーリエ「『かげぶんしん』は全てやられてしまいましたが……この勝機、絶対に無くすわけにはいきません! オニゴーリ、『れいとうビーム』!」


飛び道具以外では到底届かないであろう高さまで浮き上がるオニゴーリ。空から地へ、稲妻のように冷気を噴き出す。

対して降り注ぐ『れいとうビーム』を避けるノクタス。もはやまともに技も当てられなくなった今、銀の体に刻まれた妖しく光る赤黒い瞳は、オニゴーリとは別の方向をじっと睨んでいた。


リーリエ「サトシのポケモンと一緒なんです。絶対に敗けるわけには……

ノクタス「……ニッ」


                       プ ス ッ


リーリエ「……は?」
 ▼ 100 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/24 20:03:04 ID:qoDA1b/w [2/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
シロン「こ、こんっ!こんっ!」

リーリエ「う゛っ……!?」ガクッ


オニゴーリ「!!」

ノクタス「ファファファファ……」


リーリエ「ま、まさか、ノクタスはこれが狙いで……?」


音もなく、串のように太い銀の針がリーリエの左肩に突き刺さる。ふと体に違和感を覚えた後、自分の肩の針を見た途端に強烈な痛みを感じたリーリエは座り込む。

血はほとんど出ていないが、無理に引っこ抜きでもすれば大量出血を起こしかねないくらいには深く刺さっている。

最初からノクタスの狙いはリーリエだった。乱暴な攻撃をする振りをして自分からオニゴーリを遠ざけるように誘導し、リーリエに密かに狙いを定めていたのだ。

相手のポケモンの弱点はトレーナー……ノクタスはそれを理解していた。


オニゴーリ「!? ご、ごぉっ!」

リーリエ「こ、来ないでください!今間合いを詰めればノクタスの攻撃が当たりやすくなってしまいます!」 

リーリエ「油断していました……ノクタスは攻撃の当たらない貴方を狙うのを諦めてこちらを攻撃してきたのです。ノクタスは見破ったのです。今の貴方の弱点は私だってこと……きっとこれは貴方への挑発です!この手には乗らないで!」

ノクタス「クククク……」


ノクタスの腕の棘に反射した陽の光がリーリエの恐怖を煽る。平たい足が一歩一歩とリーリエとシロンとの距離を詰めていく。

リーリエの前に出て、少々頼りない小さな体で彼女を庇おうとするシロン。真正面からの勝負では敗北は避けられないが……


ノクタス「コォォォォォ……!」ゴゴゴゴ

リーリエ(腕を振り上げた!あれは『ニードルアーム』!)


リーリエ「今ですオニゴーリ!上から『れいとうビーム』!!」


ノクタス「!?」


                        ビ シ ャ ア ア ア ア  ア ア … … ン ! !


ノクタス「ノ゛ッ……ノ゛ッ……」カチーン


オニゴーリ「ゴォ……」ホッ

リーリエ「フフ、随分と早い反応でしたね。そんなに私を助けたかったのですか?」
 ▼ 101 リルリ@おこづかいポン 18/07/24 20:32:39 ID:uOtwIA7s NGネーム登録 NGID登録 報告
調子に乗りにくそうな人ランキング気になるwww
支援
 ▼ 102 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/24 21:00:04 ID:qoDA1b/w [3/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
気合を込めた腕「だけ」を既のところで凍らせたオニゴーリ。ノクタスは巨大な氷柱に腕を突っ込んだような恰好でもがいている。

オニゴーリは冷静でなかった。そのためリーリエの制止がなければノクタスに体当たりで突っ込み、彼の策の前に敗北していたことだろう。


オニゴーリ「ゴォ!ゴォ!」

リーリエ「ひょっとしてサトシの期待がプレッシャーになって……? フフ、そうですね。だとしたらサトシには後で文句を言わないと。こんなに優しくて頼もしい貴方を焦らせてしまっているのですから」

オニゴーリ「(; ・`д・´)」

リーリエ「冗談ですよ♪ ……勝ちますよ。絶対」


ノクタス「 ダ ァ ア ア ァ ア ァ ァ ! ! 」


バキバキバキバキバキ……!!


リーリエ「……! なんて力!」


『ニードルアーム』の力を利用し、自分の腕が埋まったまま氷柱をへし折るノクタス。リーリエから目を離し、巨大な槍を構えたような出で立ちで残った氷柱の残骸を見る。先端を失った後の断面は平らで、何か乗れそうだ。


リーリエ(まさかあの柱の断面を使って……きっとそうだ。ノクタスはオニゴーリのいる高さまで飛ぶつもりです!)

リーリエ「オニゴーリ!ノクタスから離れて!」

オニゴーリ「!」

ノクタス「……ククッ」


ズババババババッ!!


オニゴーリ「がっ……」

ノクタス「フォッフォッフォッフォッ」


リーリエ「オニゴーリ!!」


リーリエ達はまたしてもノクタスの策に嵌められた。ノクタスが視線を氷柱の断面に移したことで対策を練ろうと指示を急いだリーリエ。次の狙いはリーリエの指示で氷柱から距離を取るであろうオニゴーリだった。

ノクタスの予想通りに動いてしまったオニゴーリは『ミサイルばり』を受け、ふらつきながらゆっくりと地面に落ちてくる。


オニゴーリ「ゴォォ……!」キュイイイイイ

リーリエ「オニゴーリ!危ない!!」


攻撃を受けて反応が鈍りながらもノクタスに狙いを定め『れいとうビーム』の態勢に入るオニゴーリ。しかしその執念深さに怯まず、ノクタスは腕に装着した氷の槍を容赦なくオニゴーリに叩きつけた。


ガ シ ャ ア ア ア ア ア ア  ア ア ア … … … … ン ! !
 ▼ 103 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/24 21:02:55 ID:qoDA1b/w [4/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
オニゴーリ「」ドサッ

ノクタス「コォォォ……」

リーリエ「嘘……」


オニゴーリを殴った衝撃で砕けた槍の中から、再び棘を生やした腕が現れた。

地面に落ちたオニゴーリを見下ろすノクタスは勝利を確信していた。残るは手負いの少女と弱そうな子狐一匹。いずれも一撃で仕留める自信があったからだ。


ノクタス「フォフォフォフォ……」ゴゴゴゴ


リーリエ「あの構えは『ニードルアーム』……ならこっちにだって考えがあります。シロン! 『あられ』!」

シロン「 コ ォ ォ ォ ン ! ! 」


窮地のリーリエを救うべく、シロンの叫びが呼び起こすは季節外れの雪霰。パラパラと地面を叩く氷の粒が微力ながらとばかりにノクタスを襲う。


ノクタス「グォッ……ゴォォォ!」

リーリエ「来ますよ!シロン!」

シロン「!!」


スカッ……


氷の封印から解かれ、力を取り戻した腕をありったけの力で振るうノクタス。渾身の『ニードルアーム』は確かにシロンを捉えていた。『ニードルアーム』を放ったのは『あられ』を呼び起こすためにシロンが吠えていた場所なのは間違いなかった。だが……


ノクタス「……!?」キョロキョロ


シロン「こんっ!」

リーリエ「よし……何とかうまくいきましたね!『ゆきがくれ』!」

プチュッ

リーリエ「あぐ!! ……いたた、ちょっと興奮しすぎて傷口を開けてしまいました……大丈夫です!針は抜けてないです」


ノクタス「ググググ……!」ピキピキ


リーリエ「何ということ……オニゴーリがやられてしまいました。彼は私達を守ってくださったのに……ですが私とシロンがまだ残っています!」


リーリエ「ノクタス、今降り注いでいるこの霰は、私達が貴方との真正面からの勝負を突きつけたことを意味しています。私達の希望だったオニゴーリを倒すほど強い貴方であれば、この戦いに乗ってくれますよね?」

ノクタス「……?」

シロン「???」

リーリエ「シロン! ……しーっ、今はね」
 ▼ 104 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/24 21:08:12 ID:qoDA1b/w [5/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
霰の粒に紛れてノクタスの渾身の一撃を回避したシロン。降り続ける氷の粒。この二つに苛立つあまり弱くても一匹でも多く潰したくなったノクタスにとって、自分より格下の相手が正面から突っ込んでくるなど願ったり叶ったりの事だった。

ノクタスはもちろん勝負を選んだ。


ノクタス「ゴォォオォッォォオオオ!!」ダッ


リーリエ「来る! シロン!受け止めて!」

シロン「…………」ガタガタガタ

リーリエ「……受け止めなくていいよ。そのままじっとしてて」ボソッ

シロン「……?」


ノクタス「カ ァ ァ ァ ァ ァ ァ ァ ! !」


リーリエのいる場所へ突進しながらも霰でダメージを受けるノクタス。だが気温の低下したこのフィールドはノクタスにとっても少々都合がよかった。ノクタスは本来、夜の砂漠のような寒い場所で行動するポケモンだからだ。

痛みと恵み、不利と有利の狭間で、ノクタスは今度こそ『ニードルアーム』をヒットさせようとする。


リーリエ「          今よ! オニゴーリ!!          」


……背後からせまる、強大な冷気に気付くことさえなく。


                        ビ

                         シ

                          ャ

                          ア
                         ア
                          ア
                         ア

                       ! ! !


ノクタス「ゴッ……オ゛ォ゛……!?」


パキパキパキパキパキ……


オニゴーリが氷柱を使ったノクタスの攻撃を受ける前からチャージしていた『れいとうビーム』が背後からノクタスの全身を凍らせる。オニゴーリの『せいしんりょく』は、自分と同じ氷の一撃で途切れるほど軟弱ではなかったのだ。


シロン「こぉん……」

リーリエ「敵を欺くには味方からって言うしね、ごめんなさいシロン。……シロンの『あられ』で冷気をフィールド中に分散させなければ、強力な冷気を纏った『れいとうビーム』だと背後からでもノクタスに気付かれてしまうかもしれなかったから……」

リーリエ「オニゴーリをサトシに呼んでもらった時から、どうにかしてオニゴーリと貴方の力を組み合わせることができたらと考えていたのです。ごめんね」

シロン「こんっ♪」
 ▼ 105 ルマユ@まんぷくおこう 18/07/24 21:08:26 ID:.oZsGFvM NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 超 絶 支 援

リーリエがケガを負いながらも冷静に戦おうとするとか最高
 ▼ 106 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/24 21:11:49 ID:qoDA1b/w [6/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
オニゴーリ「ごぉぉー」

リーリエ「フフ…… それにしても……」


持ち前の『せいしんりょく』で放たれた『れいとうビーム』の冷気はノクタスを包み込み、巨大な氷柱を築き上げていた。4mはあろう透明な三角柱の天辺を、リーリエは見上げる。

氷漬けになった銀のボディの美しさに一瞬息をつきそうになったが、我に返って自分の頬を何度か軽く叩く。


リーリエ「……まだ終わってないようですね」


ピシッ


シロン「!?」

リーリエ「シロン!……オニゴーリも!もう少しの辛抱です。私もここまでサトシの戦い方を見様見真似でやってきましたが……そろそろ頭の引き出しが限界です。もう少しだけ、あと少しだけ……頑張ってくれますか?」

オニゴーリ「ごぉ!」

リーリエ「ウフフ、無茶はもう慣れっ子……ということでしょうか。サトシのポケモンですものね。 ……さぁ最後の作戦です。急ぎましょう!ノクタスが出てきます!」




                         ピキピキピキ……


                         ピキピキピキ……



                 ガ  シ  ャ  ア  ア  ア  ア  ア  …  …  ッ  !  !



ノクタス「ゼェ……ゼェ……」


固い固い氷を力づくで破り脱出したノクタス。体力は残り僅かだが相手も同じ筈、とっとと手負いの小娘を刺し殺して動揺した冷気使いを2匹一遍に捻り潰そう

……と、辺りを見回すと、その光景に彼は青ざめた。


ノクタス「……!?!?」


リーリエ「これが私達のチームの最後の砦です!どれが本物か見破ってごらんなさい!」


辺り一面、見渡す限りのオニゴーリの『かげぶんしん』。さらに分身の一つ一つにリーリエとシロンが乗っかっている。オニゴーリはリーリエ達もろとも自分の姿を至る場所に投影したのだ。

焦るノクタス。しかし実体には実体の性質がある。オニゴーリ特有の大きな冷気を感じた場所に本体はいると冷静さを取り戻すが……


ザ ク ッ ! !


最初に攻撃が飛んできたのは、実体も『かげぶんしん』もない、ただの地面からだった。
 ▼ 107 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/24 21:15:28 ID:qoDA1b/w [7/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ノクタス「ゴォッ……!?」


リーリエ「本で読んだことがあります。オニゴーリは氷を自由に操ることのできるポケモンだと。ノクタス、貴方が食らったのは、貴方が砕いて地面に散らばった氷柱の欠片です!」


ガラスのように鋭く尖った氷の片は、次々にノクタスに突き刺さる。一刻も早く本体を叩いて宙に舞う氷片を止めなければと、ノクタスは無数のオニゴーリの分身に向かって『ミサイルばり』で反撃する。


ノクタス「ダァァァァァァァ!!」ズダダダダ


リーリエ(もう少し……あと少し体力を削れば……)


次々に消えていくリーリエ達の虚像。本物のリーリエはそれをただ眺めるのみ。その間にオニゴーリはひたすらに念じながら氷の片を散らし、ノクタスにダメージを蓄積させていく。



ノクタス「フーッ……フーッ……」

リーリエ「くっ……!」


全ての分身を消し去ってもなおノクタスは立っていた。ノクタスはついに、自分の高さよりも少し上にいるリーリエとシロン、オニゴーリの本体を見つけた。

ノクタスの拳が震えあがる。ノクタスの『リベンジ』だ。度重なる攻撃に耐え、復讐に燃えるその右拳は、今までの攻撃の何よりも速い速度で空を切り、オニゴーリの顔面で爆音を立てた。


ノクタス「……フォフォフォフォ」

オニゴーリ「ガッ……ォ゛……」

リーリエ「オニゴーリ……これで……」


オニゴーリが戦闘不能になれば、氷の刃は舞をピタリと止める。あまりの攻撃力に気を失えば、それで止まる。

ノクタスの今の一撃で、オニゴーリを仕留めることができたのなら。


オニゴーリ「……」ニヤリ

リーリエ「……シロン、ナイス『オーロラベール』、です!」

シロン「こぉんっ!」


ノクタスの最後の『リベンジ』を受けるも、シロンの『オーロラベール』でオニゴーリは瀕死を免れた。

リーリエ達の戦いは、一番大きな氷柱の欠片がノクタスの背に突き刺さる音で幕を下りた。



                         ド

                         ス

                         ッ

                      !  !  ! 
 ▼ 108 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/24 21:37:29 ID:qoDA1b/w [8/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
※訂正
>>107
幕を下りた→幕を下ろした 


\めんご☆/
 ▼ 109 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/25 20:36:28 ID:ywkgzdlI [1/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
-------30分後-------


リーリエ「……んむ」

サトシ「あっ、おはよう! ……じゃなくて、ゴメン、だよね。こういう時」

リーリエ「ここは……?」

バーネット「ポケモンセンターだよ。『ウルトラジャー・チルドレン』との戦いで倒れたあなたをエーテル財団の救護班が見つけて運んでくれたの。たった一人で倒しちゃうなんてスゴイじゃないのよ」

リーリエ「そうだったのですか……サトシもお疲れ様です。病院でのお仕事」

バーネット「それがね、サトシったらリーリエが戦ってる最中に病院から戻ってきてたんだって」

リーリエ「えっ!?じゃあ私のバトル、途中からずっと近くで見てたってコトですか?」

サトシ「うん……/// ダメだと思ったらすぐ助けに行こうとは思ってたけど……オニゴーリは期待してた通りだったし、リーリエ達も思いの外頑張ってたからオレが出るタイミングが無くて」

バーネット「タイミングなんていくらでもあったやろがい!」バシッ

サトシ「おごっ」

サトシ「……バトルが終わって倒れたリーリエのところに駆け寄ろうとした時、バッタリエーテル財団の人に出くわしちゃって……物凄い怒られた後、通信機越しにリーリエのママにも怒られちゃった」

バーネット「本当ならそこで謹慎処分になるところだけど……ルザミーネの器の大きさにサトシは助けられたわけ」

リーリエ「ハハ、災難でしたね……」

バーネット「一番災難なのはあんたやろがい」

リーリエ「……でも、ちょっと嬉しかったかな。サトシは結局、私を信用してくれていたわけですから。 ホラ!ここを出る前に博士が言ってたじゃないですか」

----------------------------------------------------

リーリエ「もう!スカル団のこと言えませんよサトシ!トレーナーたるもの体調の管理はしっかり行わないと」

バーネット「サトシは体調よりもポケモンの『気持ち』を見るタイプのトレーナーだと思うわ。ねぇ?」

サトシ「えへへ、わかってるね博士」

リーリエ「もう……」

-----------------------------------------------------

リーリエ「昨日サトシは風邪の心配よりも、バトルに対してのやる気を買ってニャヒートをバトルに出して……それが正しいのかどうかわかりませんが、それがサトシという人なのだとしたら、貴方は私にもニャヒートと同じ事をしたに過ぎない、と考えています」

サトシ「う゛ぅ……褒められてるのか責められてるのか……」

バーネット「両方ね。……でもさリーリエ、あなたはそれでよかったの?」

リーリエ「はい!だって私は戦いたかったんですもの。サトシはその気持ちを汲んでくれただけです。戦う理由はともかくとして、オニゴーリとバトルができてとても楽しかったです!」

サトシ「ハハハ、頼れるヤツだったろ? あと、シロンも頑張ってたよな」

リーリエ「えへへ……///」
 ▼ 110 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/25 20:45:38 ID:ywkgzdlI [2/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
リーリエ「サトシ、私は……オニゴーリになれたでしょうか?」

サトシ「(; ・`д・´)???」

リーリエ「貴方に頼りにされるような仲間になれたかということです。貴方の眼の届かない場所に私がいても、お互いにいつでも心置きなくがんばリーリエできるような関係になれましたか?」

サトシ「……リーリエはどう思う?」

リーリエ「え?聞き返します?えーと……

バーネット「ハイハイハイハイ不毛な話はよしましょう。答えはお互いが知ってるハズだから無理に言葉にする必要無し!それよりも……今回の件はキッチリ反省することね。二人とも」

バーネット「リーリエ、『ウルトラガーディアンズ』は隊員の安全第一!これからは無理のない範囲で自分の役目を果たすこと。サトシは……もうルザミーネから散々聞かされてるわね」

リーリエ「あ、あの……私の今後の活動は……」

バーネット「ダメに決まってんでしょうが!今日一日……いや、数日は安静にしてもらわないと。キズを残しておいたら日常生活に支障が出るわ」

リーリエ「そんな……」

バーネット「『そんな……』はこっちじゃ。エーテル財団の御令嬢に財団職員がこれ以上無茶させられますかってんだ」

バーネット「後、サトシはまだやらなきゃいけない仕事もあるし、その時までしっかり休んどくように。私からは以上ね。ちょっとニャヒートの様子を見てくるから、大声で騒いだりして迷惑をかけないように、以上!」

♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪

リーリエ「……はぁ。ボロボロになって頑張ったのに怒られちゃいました。ねぇサトシ」

サトシ「ん?」


リーリエ「アホですね。私達♪」

サトシ「ハハ、いい意味でね♪」



バーネット「ダメダコリャ」



-------同じ頃 ポケモンスクール-------


ベベノム「〜♪」

ククイ「もしもし……うん、あぁ、そうか。まだ皆頑張ってるんだな。こっちはもう職員会議も済んだというのに……大人よりも子供が働いてるとは恐れ入ったぜ」


ククイ「ハァ……」

ベベノム「ピピピピ?」

ククイ「あぁ、さっきバーネットから電話があってな。……『ウルトラジャー』の時といい『ウルトラジャー・チルドレン』の時といい、随分やってくれるぜ。さすがはオレの生徒と言ったところか」

ククイ「だが今日だけでスイレンとリーリエと、それにピカチュウ達と……この件で財団やバーネットから悪い報せを聞く度に胸が痛くなる。お前もそうだろ?」

ベベノム「ウ゛ェビビビビ……」


ククイ「もう一仕事……するか」
 ▼ 111 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/25 21:49:53 ID:ywkgzdlI [3/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
時刻は夕方5時を回ろうとしていた。サトシがヌカと出会ってからもう丸一日だ。

マサラタウンのサトシとの出会いは……いや、自分にとっては彼との『再会』になる昨日の出来事は偶然か必然か。

そんなことを考えている間に、最初で最後のウルトラガーディアンズの活動を、それも重要な役を担うことになったあたり、やっぱり必然なんじゃないかと今更ながら思い始めたヌカ。

ウルトラジャーが何者なのか、自分はうまく役目を果たす事ができるのかと悩み事が絶えない現状を、彼女はとりあえず眼の前の仲間に明るく振る舞って誤魔化していた。


ヌカ(それにしても……ルザミーネさんって人、すごく簡単にあたしの事を受け入れてくれたよな……アローラの人って、何かすごく寛容)


マーマネ「ヌカちゃん、おかわり!」

マオ「ちったぁ自重せぇ!」バシッ

マーマネ「なまはむっ」

マオ「ゴメンね……こんな時間に夕飯までいただいちゃって。昨日の残り物らしいけど、あのオメガマユゲは遠慮なく全部食べるつもりだよ?」

ヌカ「あはは……いいよいいよ!マトマとブーピッグの混ぜ込みご飯はあたしの自信作なんだ。色んな人に食べてもらって『おいしい!』って言ってくれたら寧ろ嬉しいよ!」

マーマネ「マトマの果汁の恵みを受けて綺麗なピンク色とクセになる辛みを手に入れた白米!脂身たっぷりで柔らかい、のにまるでグミような弾力のある噛みごたえのブーピッグの肉……デザートのオレンのみもくー、たまらん!」

アママイコ「からい……」

トゲデマル「までゅ?」

マオ「……まぁ、ウチも食堂やってるからね。自分の作った料理を美味しそうに食べてくれる人を見るのは嬉しいかな」

マオ「……にしても、ブーピッグの肉を混ぜご飯に使うなんてね。ブーピッグを使うならパイルのみと煮込んで酢豚にするのがベストだと信じて疑わなかったのに。それにマトマのみだって調味料以外の使い方は中々しないんだよ?」

ヌカ「へへ、どうしてもマトマを具材として使いたかったから……あの爆弾みたいに口の中で弾けるような辛味だけがマトマの取柄だと思われがちだけど、果肉の食感は水を含ませて加熱させればカボジャの煮つけみたいにトロトロになるんだよ」

ヌカ「あたしね。そうやって普段誰も思いつかないことにチャレンジするのが好きなんだ」

マオ「いやぁ盲点だよ。正直マトマはそのままでは使えないと思ってたよ」

ヌカ「フフ……『使えない』なんてこと、絶対にないんだよ。  食材も……ポケモンも」

トロピウス「クルルルル♪」

マオ「……?」

♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪

マーマネ「ごちそうさま!」

ヌカ「よろしお上がり♪ こんなに食べてくれた人は初めてだよ!」

マオ「ほんと申し訳ない」

ヌカ「ううん!あ、そうだ!ケーキもあるけど食べる?……フフ、炊飯器ってホント何でも作れるからやめられないんだよねぇ♪」

マーマネ「マオ!マオの言った通りだよ!この子さえいればウルトラジャーの一件もすぐ解決できる気がするよ!ね?」モグモグ

マオ「現金なやっちゃ」
 ▼ 112 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/25 21:56:25 ID:ywkgzdlI [4/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
マオ「さて……状況を整理しよう。ウルトラジャーは未だ活動を停止中。ウルトラジャー・チルドレンはあたし達が倒したベロベルトを含め3体を撃破……と」

ヌカ「リーリエちゃん、だっけ?あの銀色の怪物を一人で倒しちゃうなんてスゴイなぁ」

マオ「うん、リーリエはやれば出来る子だから……にしても今回はやりすぎだったけどね」

マーマネ「リーリエやシロンと一緒にノクタスを倒したオニゴーリはサトシのポケモンなんだよね。僕知ってるよ」モグモグ

ヌカ「えっ?そうなの?……成程、強いわけだよ。マサラタウンのサトシのポケモンなら……」

マーマネ「ねぇ、ちょっと話を聞いていい?」

マオ「マーマネ、多分あたしも同じ事聞こうとしてる。  ヌカちゃん、あなたにとってサトシって……一体どういう人なの?」

マーマネ「『マサラタウンのサトシ』なんて回りくどい言い回し……何か彼について思う所が無ければ使わないでしょ。そういえばさっきも恩返しがどうのって言ってたけど……ねぇ、差支えなければ話してよ」

マオ「そうそう教えてよ!あたしはサトシの事を世界で18番目くらいに知ってる自信があるけど、まだまだ知らないことも沢山あるし、ヌカちゃんにしか知らないこと教えてよ!」

マーマネ「謙虚なのかそうでないのか判断に困る順位だね」

ヌカ「そう言われても……寧ろ、マサラタウンのサトシについては、あたしは殆ど知らないよ。顔を合わせて話したのも昨日が初めてだし……」

マオ「えっ、初めて?じゃあどうしてまた……」

マーマネ「あれか。ひょっとしてファンとかそういうのじゃないの?色んな地方でトレーナーとして名をあげてるサトシなら贔屓のファンがいてもおかしくないよ」

マオ「ハハハ、サトシに限ってそんな……」


ヌカ「うん……そんなところ///」

マオ/マーマネ「「え゛ぇ!?」」

ヌカ「ううん。もっと大きな存在かな。あたしとトロピウスにとって」

トロピウス「カルルルルル」

マーマネ「おいおい……」


ヌカ「マサラタウンのサトシ……彼はあたしを救ってくれたの。ポケモントレーナーとして。……本人は勿論知らないけどね。あたしのことなんか」

マオ「救ってくれた、って……サトシは一体ヌカちゃんに何をしたの?」

ヌカ「……聞く?」

♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪

ヌカ「……というわけで、それ以来あたしの心の中には刻まれているの。マサラタウンのサトシという名が。まぁ、そんなの彼が知る由も無いし、あたしだってマサラタウンがどんなところかは知らないけどね」


マオ「ヌカちゃんっ!」ギュッ

ヌカ「っ!?/// ま、マオちゃん!?」

マオ「その話、絶対にサトシにもした方がいい!ヌカちゃんはサトシの事をよく知らないし、サトシもヌカちゃんを知らない……でもこれはチャンスだよヌカちゃん!ウルトラジャーの一件が終わってからでもサトシに会いに行こう!」

マオ「そこで『ありがとう』って言おう?ついでにサトシと友達になったらいいよ!ヌカちゃんの心の中にずっとサトシがいるっていうのなら、友達になってサトシの心の中にもあなたを刻もう?じゃないと勿体ないよ!!……大丈夫。サトシは、ヌカちゃんが思ってるほど遠いところにいる人じゃないから」


ヌカ「マオ……ちゃん……」
 ▼ 113 ガサメハダー@ギャラドスナイト 18/07/25 21:56:25 ID:63EgSRWw NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
肉…
 ▼ 114 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/25 22:00:52 ID:ywkgzdlI [5/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
次のおはなし



第7話(全13話)「できる事なら最後まで」
 ▼ 115 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/26 22:34:21 ID:vpyAd162 [1/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
カキ「ルガルガン、『アクセルロック』!!」

ルガルガン「ラアアア゛ァァァォ!!」


時刻は夕方6時。場所は1番道路。

カキとスイレンは既にエーテル財団から指令を受けて、突如出現した4体目の「ウルトラジャー・チルドレン」と戦いを始めていた。

次の相手はきゅうあいポケモン・ココロモリ。空からの急降下攻撃とエスパータイプ特有の念力で、2対1の戦いにも怯まずカキ達と拮抗した戦いを繰り広げている。


ココロモリ「ブヒヒヒヒヒ……」


スイレン「アシマリ、『バブルこうせん』!」

アシマリ「あおぉぉぉ!!」ババババ


泡の弾丸を避けながらアシマリに迫るココロモリ。不規則な軌道を描き、当たりの弱さを補うスピードでタックルをかます。


アシマリ「あぉぉぉー!」ゴロゴロ

スイレン「しまった!『ハートスタンプ』……アシマリ、大丈夫!?」

ズキッ

スイレン「う゛……!?」ガクッ

カキ「ルガルガン、『かみつく』!」

ルガルガン「グルァァァァァ!!」


ココロモリ「ヒヒヒヒ……」


カキ「避けられたか……だがアイツの戦い方は大体つかめてきた。物理攻撃はもちろんのこと、エスパータイプならではの念力も、アイツの力では余程距離を詰めないとこちらに届かんらしい。接近戦が得意なルガルガンでも勝ち目はある……!」

アシマリ「あぉぉ……?」

スイレン「ハァ……ハァ……ううん、大丈夫。ちょっと息を吸い込みすぎただけ……」

カキ「スイレン、何もバトルだけがオレ達の仕事じゃない。ヤツとの戦い方は概ね分かってきたし、無理はしなくていいんだぞ?」

スイレン「大丈夫……まだやれる」

カキ「そうかい……ホラ、次の攻撃が来るぞ」


ココロモリ「ブヒャヒャヒャヒャ!!」


ズ バ バ バ バ バ バ バ バ バ … … ! !


カキ「! 『エアカッター』が来るぞ!耐えろルガルガン!!」

スイレン「アシマリ!『バルーン』でガード!」
 ▼ 116 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/26 22:37:56 ID:vpyAd162 [2/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
今のカキは誰よりも熱く、かつ冷静にバトルに臨んでいた。一度は相討った「ウルトラジャー・チルドレン」に脅威を感じなくなっていたのだ。

姿形や強さは違えど同じ「ウルトラジャー・チルドレン」を倒したマオ達の活躍が、再び彼の心に火を灯す燃料になっていたからだ。


ルガルガン「グルルルルル……」ギロッ

ココロモリ「」ビクッ

カキ「ほう。ビビるのか……怪物も。 ルガルガン、そろそろ決めるぞ!」


サトシにいきなり任され、最初は不安だったルガルガンとのコンビネーションも思いの外良好のようだ。

カキは倒れたバクガメスとガラガラのプライドを心の奥で壊さないように抱えていて、ルガルガンも自分を他のトレーナーに託したサトシの期待を背負っている。しかし、そんな窮屈そうにしている二人が一緒にいることで無自覚に、お互いの心苦しさを少し和らげているのだ。


カキ「何を抱えようが、どんなに背負おうが二人なら怖くない!オレ達は皆のために!ルガルガン、『ストーンエッジ』!!」

ルガルガン「ガルアアアアアア!!」


ズ ド ォ ォ ォ ォ ォ ! !


ココロモリ「ゴホッ……!?」


スイレン「強い……あのコンビ、本当に初めてなの?」

アシマリ「あお!あお!」

スイレン「はっ、 ……そうだねアシマリ。私達も負けてられないよ」


ココロモリ「ヴ ィ ィ ィ ィ ィ ! !」ズォォォ


ルガルガン「!」

カキ「『ねんりき』か……体の自由を奪ったつもりだろうが、動けなくても集中力を途切れさせることはできるんだぜ。……ルガルガン!」


ルガルガン「ア゛ォォ゛ォォォォ゛……」


ココロモリ「ヒッ……」

カキ「『ねんりき』が解けた!いいぞルガルガン!」

ルガルガン「がうっ!」


ココロモリ「ヒィーーーー」バサバサ


カキ「あっ、逃げるぞ!」

スイレン「……届け、水平線の彼方まで」

カキ「スイレン!」
 ▼ 117 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/26 22:41:10 ID:vpyAd162 [3/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
                                  ス

                                  |

                                   パ

                                  |

                                ア

                                  ク

                                    ア

                                  ト

                                ル

                                  ネ

                                   ェ

                                    ェ

                                    ェ

                                   ェ

                                  ド

                              !  !  !  ! 




ココロモリ「ギャァァァァァ……」



カキ「……消えた。これで4体目の『ウルトラジャー・チルドレン』も撃破、か」

スイレン「ごほっ!ごぼっっ!!」

カキ「まったく、呼吸も満足にできんというのにZワザなんか撃ちやがって!肺を痛めるから息を切らすような事はするなと言っただろう」

スイレン「絶対決める自信があったから問題ない」キリッ

カキ「お前なぁ……まぁいい。ひとまずの仕事は済んだ。ルガルガンもアシマリもまだまだやる気があることだし、『ウルトラジャー』行動開始に備えてまた家に戻って休……



                         ド ォ ォ ォ ォ ォ … …



スイレン「!? ば、爆発!?どこから……」

カキ「! ……見ろ。爆発音はあそこからだ」


カキ「          町が……   リリィタウンが……   燃えている          」
 ▼ 118 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/26 22:49:24 ID:vpyAd162 [4/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
カキ達が戦っていた場所は1番道路の南側。

段差の激しい1番道路の下側に位置するこの場所からはリリィタウンの全貌を見るどころか家一軒すら見ることはできないが、爆音と町から立ち上る煙からリリィタウンに何かが起こった事を察することはできた。


カキ「一体何が起こったっていうんだ……?」

スイレン「わ、私見てくる!消火活動がてら」

カキ「おいおい、ウルトラガーディアンズはレスキュー隊じゃないんだぞ。それに肺を焦がしてるお前が火事の煙なんか少しでも吸ったら大変なことになる」

スイレン「それに関しては大丈夫。 アシマリ、『バルーン』!」

アシマリ「あおぉぉ!」

スイレン「完成、シズクモ式水ヘルメット。これで煙を吸うことはない」バァーン

カキ「……わかった。だがオレも行く。オレだってリリィタウンで何が起きたのか気になるからな」


                        フ ォ ォ ォ ……


カキ「……!? 何だ今のは?」

スイレン「私も感じた。何か、変な空気に触れた感じ」


「予感」というのは大半が思い込み。だけど不思議な生き物・ポケモンの住むこの世界での「予感」は結構よく当たるもの。背筋が凍れば、辺りがざわつけば、近くにポケモンがいるのだ。

二人が肌で感じた気配もただの勘違いなんかじゃない、中は心臓から外は毛先まで、体中の何もかもが眼の前からやってくる何かに怯えている……そして奮い立っている。


ルガルガン「グルルルル……」

カキ「町の方から何かが来るぞ。スイレン」

スイレン「うん。それも凄い勢いで道路を駆け下りてくる」


             オ゛ ォ゛ ォ゛ … …


カキ/スイレン「「!!」」


そよ風程度の不自然な感覚はその雄叫びで嵐になった。と同時に、カキとスイレンは複雑な気持ちになった。緊張や恐怖、様々な感情が入り乱れて心臓は躍り、鳥肌は立ち、眼は見開き、手は震えながら雄叫びの主を無意識に待ち構える。

雄叫びに草むらをかき分ける足音が加わり、呼吸音が加わり、二人の耳に入る音は次々に重なっていく。そしてついに音の主は眼の前に現れた。


ウインディ「 ヴ ォ オ オ オ オ オ オ オ ! ! ! 」


スイレン「……ウ、ウインディ!? ……銀色の」

カキ「どうやらまた『ウルトラジャー・チルドレン』のお出ましのようだな。 リリィタウンの方角から走ってきやがった。そしてコイツ自身が炎タイプ……十中八九、リリィタウンで何かしたのはコイツだ!」

スイレン「立て続けに戦わなきゃいけないなんて……」

アシマリ「あぉ……」
 ▼ 119 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/26 22:54:36 ID:vpyAd162 [5/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ウインディ「ヴルルルル……」

ルガルガン「ヴヴゥゥ……」


スイレン「ねぇ、あの気迫からしてさっきのより強そうだよ。やれそう?」

カキ「そりゃな……もっぺんやるしか無いだろうよ」

スイレン「私も今煙対策してるから炎タイプ相手でも戦える。後ろからのサポートは任せて」

カキ「へっ、頼もしいな」


ウインディ「ゴォォォ……!」


カキ「! 炎を蓄え始めた!『かえんほうしゃ』が来るぞ!」

スイレン「アシマリ、ウインディの口に『バブルこうせん』!」


「ウルトラジャー・チルドレン」とのまさかの二連戦にも怯まず立ち向かうカキ達。頭に『バルーン』を覆ってパワーアップ……したつもりのスイレンもアシマリと戦う。


ボボボボボボ……


ウインディ「フフフフ」

アシマリ「あぉ!?」

スイレン「嘘……?炎が消えない! アシマリ、頑張って!」

カキ「ルガルガン、『アクセルロック』!!」


ズ ド ド ド ド ド ド ド … … ! !


ウインディ「う゛ぉっ……!?」


アシマリと眼を合わせていたウインディの真横から、岩の弾丸が隙だらけの胴体に次々と突き刺さる。

バランスを崩したウインディは岩が飛び出た方向へ威力が不十分な『かえんほうしゃ』を咄嗟に打ち込むが、ルガルガンは持ち前の素早さで難なく避けた。


カキ「続いて『ストーンエッジ』だ!」

ルガルガン「ガルルルァァァ……!!」


ズドォォォォォォ……!!


スイレン「あ、ありがとう……」

カキ「ありがとうはこちらの方だ。今の戦法も、一対一では絶対にできんからな ……しかしさすが『ウルトラジャー・チルドレン』、獰猛だな。いきなり威力の高い技で勝負を仕掛けてくるとは」

スイレン「……カキ、町の様子を見に行くためにも早く勝負を決めよう」
 ▼ 120 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/26 22:59:40 ID:vpyAd162 [6/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
岩タイプのルガルガンと水タイプのアシマリ。数でもタイプ相性でも有利で且つ、トレーナーがポケモン達のバックにいる状況を以てしてもウインディを倒すことは難しかった。


スイレン「アシマリ、『アクアジェット』!」

ウインディ「ゴォォォ……!」

カキ「ダメだ!ウインディがまた炎を溜め始めた!」

スイレン「大丈夫。突っ切って!アシマリ!!」

アシマリ「うおおおおおお!!」


ルガルガンもアシマリも気迫は今日一番だった。スイレンの予測通り、ウインディの強さはココロモリより上だった。やはりこの世界の「予感」は結構当たるらしい。


ウインディ「ガァァァッ!!」バッ

スイレン「! 飛びかかってきた!接近戦じゃ勝てない……」

カキ「『ほのおのキバ』か……ならこっちも『かみつく』で応戦するぜ。ルガルガン!」

ルガルガン「グルルルァァ!!」バッ


誰も戦いを止めようとしないまま時間は流れ、体の傷は重なり続ける。


スイレン「やばっ、ヘルメット割れちゃったよ!アシマリー!」

アシマリ「あおぉ!」プワー

カキ「くっ……そ、そろそろオレにも頼む。煙を吸ったみたいだ……」

スイレン「お、使用料1回3100円だけど使う?」

カキ「高ぇ!後でアルフォート買ってやるから今すぐ作らせろ!!」

スイレン「アルフォート……?プレミアムの宇治抹茶ならその条件乗った!アシマリ、カキにも『バルーン』!」


少しずつではあるがウインディには確かに攻撃が効いている。大丈夫、いつかは終わる。勝てない戦いじゃない……そう思いながらもカキ達はチラチラと未だ煙の上がるリリィタウンに眼をやっていた。


カキ「もう火は……消えただろうか。気になって仕方がない」

スイレン「カキ!前!!」

カキ「うおっ!?危ねぇ……くそっ、集中だ集中」


「ほほう、そこのご両人……この状況にも関わらず随分とバトルをエンジョイしているようだな。実に健全なことだ」


カキ「……誰だ!?」

スイレン「ロイヤルマスクだ!(即答)」


「えぇ……自分で名乗らせてほしかった」
 ▼ 121 ララッパ@カードキー 18/07/26 23:51:20 ID:mv5MwQmA NGネーム登録 NGID登録 報告
ロイヤルアルフォート支援
 ▼ 122 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/28 00:34:38 ID:KMisYcyw [1/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ウォーグル「わしゃーー!」

ロイヤルマスク「よし、この辺でいいぞ。降ろしてくれ ……とうっ!」

カキ「降ろしてくれとか言って自分で降りたぞあの人」


白いマットのジャングルに 今日も嵐が吹き荒れる

ルール無用の悪党に 正義のパンチをぶちかませ


ロイヤルマスク「エーーーーーーンジョイ!! ……久しぶりだね諸君。ククイ博士から話は聞いてるよ。どうやら大変な事に巻き込まれているようだね」

カキ「ククイ博士が貴方を……?でも一体どうして?」

スイレン「きっと私達を鼓舞するために博士が呼んでくれた」

カキ「だとしたらオレは博士を恨むぞ。これは遊びやスポーツじゃないんだからな」

スイレン「何を!ロイヤルマスクのウルトラスーパーエンジョイオーラがあれば、彼がいるだけでウルトラガーディアンズの士気は何倍にも膨れ上がるってもの!エーーーーー……ゲホゲホ」

ロイヤルマスク「こらこら、ククイ情報だと君は肺をケガしてるそうじゃないか。変にテンションを上げて呼吸を荒げるような真似は良くない」

ロイヤルマスク「ククイ博士は君達の応援の為に私を呼んだのだ。応援と言ってもパフォーマンスで場を盛り上げるのではない、君達に力を貸すということだ」

ロイヤルマスク「ちなみにここに至るまでの交渉で私とククイ博士は大いに揉めた。頑張って私を呼んでくれたククイ博士にはぜひお礼として新しい白衣10着と缶コーヒー……そうだな、エメマンを一箱贈呈してほしい」

ルガルガン「…………(=_=)」


ベベノム「ピピピピピピ」

スイレン「ベベノム!ついて来ちゃったの?」

ロイヤルマスク「悪いがその子は君達と一緒に連れていってくれないか?選手じゃない者をリングに上げるとまずい」

カキ「連れていけって……まだあのウインディを倒さないと!」


ウインディ「グルルルルル……」


ロイヤルマスク「心配には及ばん! いけっ、ガオガエン!!」


ガオガエン「ごあ゛ああああ゛ああ゛!!」


ロイヤルマスク「『ウルトラジャー・チルドレン』と言ったか……ガオガエンのトレーニングには持ってこいの相手だ。さぁここから先は一対一の真剣勝負。君達は休んでいてくれ」

カキ「! ……オレ達もそのつもりでした!行くぞスイレン」

スイレン「エンジョイ万歳!」

カキ「……行くぞ」ボソッ
 ▼ 123 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/28 00:36:19 ID:KMisYcyw [2/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ウインディ「ガルルルルルル……」

ロイヤルマスク「……さて、ここからはオレ達と勝負してもらおうか。これはパフォーマンスじゃないからな、お前との勝負は素早くつけさせてもらう」


ウインディ「ガルルルァァァ!!」

ロイヤルマスク「来るぞ!受け止めろガオガエン!!」

ガオガエン「ごぉぉぉっ!!」


飛びかかりながら牙を見せつけて威嚇するウインディ。ガオガエンはウインディの突進をかわし、切り返される前にウインディの頭を引っ掴む。


ロイヤルマスク「ブン投げろ!ガオガエン!!」

ガオガエン「う゛ ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ ! !」


ド シ ャ ア ア ア ア ア ア ッ


ウインディ「グッ……」

ロイヤルマスク「さぁいくぞ。Zワザだ!!」

ウインディ「!?」

ロイヤルマスク「勝負は素早くつけさせてもらうと言ったハズだ。どうだ?ここで避けるか技で対抗する意思を見せなければすぐに決着がついてしまうぞ?」

ウインディ「!」ゾクッ

ロイヤルマスク「最も、そんな事をしたところでこのZワザからは逃れられんがな。 ……ガオガエン、勝利の炎でリングを焼き尽くせ!」


                       ハ

                       イ

                       パ

                       |

                       ダ

                       |

                       ク





          ッ                 ア

        シ                ア          ! ! !

   ラ                   ア

                   ャ                  ア
 ▼ 124 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/28 00:46:17 ID:KMisYcyw [3/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
-------リリィタウン-------


カキ達が駆けつけたころには、消防隊による消火活動が始まっていた。ウルトラガーディアンズはあくまで対ウルトラビースト特殊部隊ということで、離れた場所から状況を確認することにした。


カキ「結局ロイヤルマスクの忠告を無視して来てしまったな……おい、ヘルメットを割らないように注意しろよ。本当は……こんな場所に近づくだけでもオレ達のモットー『安全第一』に反するんだ」

スイレン「ダイジョウブ、アシマリノバルーンハガンジョウダカラ」

カキ「バルーンがブ厚すぎて声がこもってるぞ。……しかしイヤな予感はしていたが、とんでもないことをしてくれたモンだな。『ウルトラジャー・チルドレン』め……」


住民達の避難が一通り済んだ今も燃え続けている大きな家は、しまキング・ハラの家だった。近隣住民の話によれば、突然起きた大きな爆発で窓ガラスが吹き飛び、炎が外壁に燃え広がっていったという。

あまりの出来事に呆気に取られていると炎を纏った銀色の怪物が家の中から現れて、風のような速さで浜辺に続く道路まで駆け下りていったことも話していた。島キング・ハラが子供達から預かった銀色の物体も、「ウルトラジャー・チルドレン」を野に放ったのだった。>>65

火事による負傷者はしまキング・ハラと、不運にもしまキングの家へ遊びに来ていた子供達4人。皆病院での治療を受けるべく救急車で運ばれたが、子供達のうちの何人かはかなりの重症だと住民達にも見て取れたそうだ。


カキ「さぁ、状況は確認したしもう帰ろう。『ウルトラジャー・チルドレン』もロイヤルマスクが倒してくれるだろうし、オレ達の役目はしばらく無い」

スイレン「そうだね。ウルトラジャーとの戦いに備えて調整をしないといけないし」

カキ「あぁ……その事だがスイレン、お前はもう家に帰ったらそのまま戦線を離脱した方がいい。……理由は聞くなよ?お前の体が一番知ってるハズだ。いくら『バルーン』で煙を防げても肺を痛めているのには変わりないんだからな」

カキ「これ以上の活動は避けた方がいい。お前にもプライドがあるだろうが、今は体の方が大事だ」

スイレン「と、こんな場合を想定して、私は数時間前のカキのとある台詞を引用して反論します」

カキ「は?」

スイレン「レス番号>>70番をご覧ください」

------------------------------------------------

スイレン「確かにまだウルトラジャーの事は誰も知らないと思う。だけど……このまま放っておくといずれ島の人達もウルトラジャーに襲われるかもしれないって考えると、じっと見てられない。私はまだウルトラガーディアンズとして頑張りたい!」

カキ「オレからもお願いします。……スイレンの事は任せてください。        ……オレが守ります」

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スイレン「オレが守ります」

カキ「うっ……いや、あれは後のことは

スイレン「 オ レ が 守 り ま す 」

カキ「あのな、さすがに二度目ともなれば状況が違

スイレン「  オ  レ  が  守  り  ま  す  」

カキ「……ハイ、マモリマス」


アシマリ「…………」
 ▼ 125 ンメン@こだいのおうかん 18/07/28 21:38:15 ID:y1vMSalo NGネーム登録 NGID登録 報告
がんばれカキ
支援
 ▼ 126 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/29 00:22:31 ID:O5ugplOg [1/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
カーラエ湾の小島にて眠りについたウルトラジャーが目覚めることもないまま、まもなく陽が落ちる。最終決戦は夜に持ち越しだ。

その頃、『メレメレジャーショップ』ことヌカの家では、何やら艶めかしい雰囲気が漂っているようで……


ヌカ「……じゃあ、いくね」

マオ「……何か、緊張するね」ドキドキ

ヌカ「大丈夫だよマオちゃん、優しく触るだけでわかるもの。何もかも、どんな事を考えてるのか……ってね」

マオ「うん……」

ヌカ「……マオちゃん?」

マオ「あぁやっぱり初めてだからドキドキしてしょうがないよっ……/// ヌカちゃんの……見るの初めてだもの」

ヌカ「フフ、頼んできたのはマオちゃんの方だよ?でも正直嬉しいな……マオちゃんがこういう事に興味あるなんて」

マオ「だってヌカちゃんとはもっと仲良くなりたいもの。……もっと教えて?/// あなたのコト……」

ヌカ「いいよ……しっかり見てよ。マオちゃん」スッ

マオ「ハァ……ハァ…… お、お願い……ね?///」


マーマネ「いいからさっさと始めておくれよ!!僕の炊飯器の心を読むんだろ!?」

マオ/ヌカ「「はい」」


炊飯器の心が読めるというヌカは、いかなる炊飯器も自身の手で触れることにより、心を読み取ることができるという。そんな能力に興味津々のマオはマーマネの持っていた携帯用炊飯器を実験台に、ヌカの力を見せてほしいと提案したのだ。


ヌカ「 ん ぬ ぬ ぬ ぬ … … 」

マオ「おぉぉ……スゴイオーラだ。まるでマーマネの炊飯器がヌカちゃんの手に吸い込まれていきそうだよ……」

マーマネ(やっぱ胡散臭いな)

マオ「ちょっと、何さその顔。信用したんじゃなかったの?」

マーマネ「い、いやいや、もちろん頼りにしてるよ!頼りにしてるけどその……見ていて不安になる絵面だなって」

マオ「確かに不安な面もあるかもしれないけど……それがロマンだよ?もしも……もしも炊飯器の心がわかれば、料理界に前衛的な革命を巻き起こすことだってできるかもよ!?」

マーマネ「前衛的通り越して超次元だわ」

トゲデマル「までゅまでゅ」


ヌカ「 見 え た ! ! 」


トロピウス「クルルルルル……」

マオ「見えたって何が!?寿命!?」

マーマネ「炊飯器の心だろうがよ」
 ▼ 127 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/29 00:25:58 ID:O5ugplOg [2/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ヌカ「マーマネ君、父ちゃんは君にこの炊飯器を勧めた時、何と言ってたか覚えてる?」

マーマネ「んーと、『この子は君に似て食いしん坊。毎回タップリのご飯を入れて満たしてあげるように』って」

ヌカ「ありゃー、そりゃ完全に父ちゃんがマーマネ君の体型を見て咄嗟に考えただけだね」

マオ「デタラメってこと?」

ヌカ「うん。父ちゃんは炊飯器の心ってのをちょーっと勘違いしてるみたいでさ。大体ご飯を炊くだけの炊飯器がどうして食いしん坊なのさ。いずれ炊飯器から取り出されるであろうご飯を入れてやるだけじゃ満たすもクソもあれへんがな」

マーマネ「あ、その辺はリアルに忠実なんだ」

マオ「リアルに忠実とか言うな」ベシッ

マーマネ「あぶうぇろ」


ヌカ「マーマネ君の炊飯器の本音は、『月の雫と星の片』……つまり、ツヤツヤでキラキラな見栄えの良いご飯をマーマネ君に炊いてあげたいって思ってるんだ」

マオ「月と星……といえば天文!星が好きなマーマネにピッタリだね!」

マーマネ「ま、まぁねぇ」

ヌカ「父ちゃんの判断は結果オーライってとこかな。そうそう、ツヤツヤキラキラなご飯を炊くにはお米をしっかり研いで、かつ質の良い水を使ってあげること。……そうだね、できることならミネラルウォーターを使うといいんじゃないかな」

マーマネ「な、なるほど、コスパ悪そうだけどお母さんに相談してみようかな……」

トゲデマル「までゅ!までゅ!」


ヌカ「……と、まぁこんな感じだよ。正直まだ役に立てるかどうか不安だけど……」モジモジ

マオ「心配ご無用!あたし達がついてる。こう見えてもウルトラビーストとはもう何回も触れ合ってきてるから自信あるし、大体の事は任せてくれても構わないよ!」

マオ「ヌカちゃんは言わば『切り札』……その類稀なる能力を使うに適した状況をつくってあげるのがあたし達の役目だと思ってる。ヌカちゃんの役目は確かに大事な役目だけど、気に負うことはないよ。『ウルトラガーディアンズ』はヌカちゃんの味方だよ!ね、マーマネ?」

マーマネ「えぇ急すぎる振り……ま、まぁね、こんな僕でも頼りになるならどんどん頼ってよ!」

ヌカ「マオちゃん……マーマネ君……」

トロピウス「カラララララ」

ヌカ「フフ、引っ越してそうそうこんな友達に会えるなんて。アローラに来てよかったね、トロピウス」


ザワザワ……ザワザワ……    ウゥゥゥゥゥ……


ヌカ「何か外が騒がしいね。一体どうしたんだろう」

マオ「パトカーの音もするね。どこかの家に泥棒でも入ったのかな?」

マーマネ「どうしよう。僕達も行かないとマズイかな?」

マオ「いや、ルザミーネさんの指示を待とう。勝手に動けば、またソラマメガネに文句を言われかねないしね」

ヌカ「ソ、ソラマメガネ……」

マーマネ「もう陽も落ちちゃったし、暗い所でウルトラジャーと戦わざるを得なくなったね……あぁヤダヤダ」

トゲデマル「までゅ」
 ▼ 128 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/29 00:35:21 ID:O5ugplOg [3/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
-------ポケモンセンター-------


サトシはこの時間、リーリエと共にノクタスとの激闘を制したオニゴーリとシロンの様子を見にメディカルルームまで足を運んでいた。

大小様々なサイズのベッドにチンプンカンプンな構造の機材がズラリと並ぶ。ポケモンセンターの奥部にあるメディカルルームは施設全体の半分以上を占めるスペースが確保されているから、ポケモンセンター全体は、真正面から見る建物の大きさからは考えられないほど奥行きが広いのだ。


サトシ「だからアイツらを探すのも一苦労なんだよなーっと……あっ、いた!」

オニゴーリ「ゴォォオ!」

シロン「こん!こん!」

サトシ「おぉーし、大分調子も良くなったみたいだな。明日になればまた元通り元気になるだろうし、よかったよかった」


ピカチュウ「ピカピ!ピカピーーー!!」

モクロー「もふ……」

サトシ「ピカチュウ!モクローも!……もう大分良くなったみたいで何よりだ」

ピカチュウ「ピカー、ピカピ」

サトシ「……そうだな。もうバトルからそれなりに時間も経ったし、二人が活動を再開できるかどうかジョーイさんに相談してみるよ」

♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪

サトシ「ダメでした。一度『瀕死』状態になったポケモンは最低丸半日以上安静にしないとダメなんだってさ」

ピカチュウ「」ガクッ

サトシ「そう落ち込むなって!休みの日に散歩に連れてってやるから」

ピカチュウ「ピカーーー!ピィカチュウ!」

サトシ「『何でもかんでもそれを言われれば納得するとでも思ってんのか』だって?……それならお前が今納得しても後悔しないくらい、オレがいい散歩に連れていければいいだけのことさ」

ピカチュウ「ピッ……!?///」ドキッ

サトシ「早く良くなれよ〜ピカチュウ〜」ナデナデ

ピカチュウ「チャア〜♡」


ロトム(様子を見に来てみたら案の定……サトシはポケモンを口説くのがうまいロト)


サトシ「それにしても……ここに来る途中に窓から警察の人達が大勢通っていくのが見えたけど、何だったんだろ?」

ピカチュウ「ペカ?」

サトシ「あぁゴメンピカチュウ、ちょっと気になることがあるからまた後でな」

ピカチュウ「ペカペカ〜」
 ▼ 129 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/29 00:38:54 ID:O5ugplOg [4/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ジュンサー「……とまぁそういうワケだから、深夜にポケモンセンターの仕事が増えるのは覚悟してくれる?」

ジョーイ「合点!ちゃんと警官用のスペースを確保してお待ちしてますよぃ」

ジュンサー「ちょ、予約制のレストランじゃないんだからさ……あの化け物がまた出てくるってことは一般の人達も多く利用するだろうから、せいぜい過労死しないよう気をつけてよ?」

ジョーイ「そうね……一体何者なのかしら。そのポケモンのような『何か』って……」


サトシ「あっ、やっぱりいたぞ」

ロトム「サトシ、ジュンサーさんに何か用ロト?」

サトシ「ロトム! ロトムはさ、今ポケモンセンターの外が騒がしくなってるのは知ってる?」

ロトム「そういやパトカーがガンガン走ってたロト。暴走族の取り締まりでもやってるロト?」

サトシ「いや、多分……とにかく聞いてくる!」


サトシ「アローラ!ジュンサーさん!」

ジュンサー「サトシ君!……その変な恰好について突っ込むのは大人として自重しておくわね。貴方のお友達のお陰で化け物を一先ず撃破することには成功したんだから」

サトシ「変な恰好……やっぱそうなんだな…… ってそれよりも!やっぱり警察の人達がいっぱいいるのって『ウルトラジャー・チルドレン』が関係あるの!?」

ジュンサー「チルドレン……?私達は今、貴方達が倒した怪物がまた現れることに備えて厳戒態勢を整えているの」

ジュンサー「怪物はメレメレの各地で発生してるらしいし、次はいつ、どこに現れるかわからないからたくさんの場所に警官を配置して怪物と戦う準備をしているのよ……本当は貴方達の方が頼りになるけど、大人が手柄で子供に負けるワケにはいかないしね」

サトシ「い、いえいえ……!」

ジュンサー「今朝の事件といい、今日は物騒な事ばかり起こる一日だったわねぇ……明日は気持ちよく日の出を見られるように、もうひと頑張りしたいところね」

サトシ「はい!お互い頑張りましょう!」

ジュンサー「? まだ頑張るつもりなの?」

サトシ「負けられないんです。 『ウルトラジャー』の心を分かってあげるまでは」

ジュンサー「そ、そう。……じゃあ私は行くから。子供なんだから無理はしないようにね」

ジョーイ「気をつけてねジュンちゃん!」

ジュンサー「おジョー!終わったらウチの部署全員分のミスド奢ってよ?」

ジョーイ「そっちだって、ウチの全員分のサーティワンよろしくね?」

ジュンサー/ジョーイ「「合点!!」」

サトシ(仲良いなぁ……)


ピピピピピピ……

サトシ「あっ、ルザミーネさんだ。 ……もしもし ……はい。さっき警察の人が  ……えっ? ……えぇ!?」


サトシ「呼び出し!?今から!?……ククイ博士ん家に? あの、一応聞くけどリーリエは……  ……ですよね」

サトシ「……まいったな」
 ▼ 130 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/29 00:50:41 ID:O5ugplOg [5/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
スイレン「……そうか。だからさっきも外で警官達が……」

カキ「フッ……いよいよ、この一件もクライマックスってところか」




マオ「さっきのルザミーネさんからの連絡、ウルトラガーディアンズ全員に行き届いてるみたい」

ヌカ「今の話の通りなら……」

マーマネ「そうだね。いよいよ対ウルトラジャーに向けて本格的に動き出さなきゃいけないってことだ」




午後7時55分。ウルトラガーディアンズ最高司令官・ルザミーネから隊員達へとある重要事項が言い渡された。

今現在、活動が可能なメンバー全員に向けての緊急招集指令だ。

今、「ウルトラジャー・チルドレン」の対策部隊としてメレメレ島の各地に警官達が次々配置され始めている。それを知ったルザミーネは今後「ウルトラジャー・チルドレン」の討伐を警察に任せ、ウルトラガーディアンズ全員に対ウルトラジャーに向け最終調整を行わせようと計画したのだ。

3箇所の待機場所に分かれた隊員達を集める場所は……ククイ家。連絡を受け取った隊員達は集合するべく、各々の待機場所を離れてライドポケモンに乗り込み、一目散にククイ博士の待つ研究所を目指す。



ルザミーネ『サトシ君にだけは職員に護送を任せたわ!いい?もう勝手なマネはしないこと!』

サトシ「別にオレにとっては家に帰るだけだしそこまでしてもらわなくても……」

ルザミーネ『ダメ!職員が来るまで貴方は待機してて!単独行動は厳禁だからね!』


♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪

バーネット「……サトシ、行っちゃったよ」

リーリエ「そうですか……私も最後まで頑張リーリエしたかったですけど、仕方ありませんよね」ズキズキ

バーネット「トゲ、かなり深いトコまで刺さってたみたいだしねぇ……それに今日だけで貴方は2回も気を失ってる。リーリエもバトルには慣れてないこともないけど、ここ一番の勝負に臨むためにはもう少しメンタルを鍛えた方がいいかもね」

リーリエ「まだまだ修行が足りない、ということでしょうか……」

バーネット「ルザミーネの許しが出るなら、私が秘密の特訓とかしてあげてもいいけど?」

リーリエ「ホ、ホントですか!?」

プチッ

リーリエ「あ゛だあ゛あ゛っ?! ……キ、キズグチガ……」

バーネット「まぁ……当分はお預けだわな……」

ゴンベ「ごんっ」


バーネット「ねぇリーリエ、ウルトラジャーの正体については財団でも色々な人が予想してる。ウルトラジャーが本当に『ウルトラジャー・チルドレン』との関わりがあったとしたら……アイツはもう、アローラの人達にとってすっかり悪者になってるわけだけども」

バーネット「貴方はどう思ってる?ウルトラジャーの本心。……ウルトラガーディアンズとして……ウルトラビーストの心を誰よりも理解せんとする者として、貴方はどう考える?」

リーリエ「そ、それは……」
 ▼ 131 from comet◆O4/zV1DaK6 18/07/29 01:01:27 ID:O5ugplOg [6/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ウルトラビーストは何を思う?               ウルトラビーストの心はどこにある?


ウルトラジャーは何を考えている?             ウルトラジャーは、何を求めている?


わからないことだらけに立ち向かう、それがウルトラビーストと分かり合うための最良の手段。

ウルトラジャーと分かり合うためにも、わからないことだらけとの戦いを制しなければならない……かもしれない。

わからないことだらけの世界を彷徨い歩いて、答えという名の終着点を目指す。いつか、どこかにあるハズの。


ニャース「にゃにゃ〜……ここは、ここはどこなのニャ……?ニャーは何時間もどこを歩いてるのニャ……?」トボトボ

ニャース「暗いような明るいような、単純なような複雑なような、眼に見える何もかもがメチャクチャでわからないことだらけ。ただ一つだけ分かることは、ここがニャー達の住んでる世界じゃニャいということニャ」

ニャース「ムサシもコジロウもどこに行ったのニャ……?思い出そうにもあの後の記憶が全く無いのニャ……」

----------------------------------------------

ムサシ「おっしゃあ!んじゃ早速さっき釣り上げた炊飯器をこじ開けて!金銀財宝とのご対面といこうじゃないのぉ!!」チュイイイイン

コジロウ「ほ、ホントにやるのか……?」

ムサシ「何、ちゃんと手に入れた財産はロケット団の資金としても有効に使わせてもらうわよ。全てはサカキ様の為に!そうでしょ?」

コジロウ「全てはっていうなら全額ボスに渡そうや……って、そうじゃなくて!前々から思ってるけどポジティブすぎるんだよお前は!そうやって何度酷い目に遭ってきた!?オレ達!」

ヒドイデ「ひどいめ!ひどいめ!」

ムサシ「そうやって過去の事でいつまでも失敗を引き摺ってるとロクなこと無いわよ。失敗無くして成長なし!クヨクヨタイムなんて5秒で十分!それがロケット団よ!それっ!」

ガ リ ッ ! !

コジロウ「どぅおっ!?今変な音したぞ!?」

ムサシ「蓋が開きかけてるのよ!そぅらもう一踏ん張り!!」チュイイイイ

キテルグマ「くー……」

----------------------------------------------

ニャース「あの後炊飯器は開いたけど……それからの事が思い出せないのニャ。……ひょっとしてここは黄泉の国に続く道なのかニャ?やっぱりあの炊飯器にはどっかの大魔王が入っててニャー達はそれにやられちゃったのかニャ?あんな形でニャー達は死んでしまったの



                      コ メ ェ ェ ェ ェ ェ ェ ェ ! !



ニャース「……ニャ?何の声ニャ?近くから聞こえたニャ!……いや、遠くから聞こえた?……わからない。わからないことだらけなのニャ……」

ニャース「ここはどこなのニャ……」
 ▼ 132 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/29 01:05:08 ID:O5ugplOg [7/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
次のおはなし



第8話(全13話)「GOOD GOOD SMILE」
 ▼ 133 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/29 23:44:49 ID:O5ugplOg [8/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ククイ「来たな。全員 ……いや、動けるヤツは全員、だな」


「ウルトラジャー」に「ウルトラジャー・チルドレン」。安全第一のもと、立ちはだかる未知の壁を乗り越え、ここまで残った隊員はトレーナー5人とポケモン6匹。「動けるヤツ」全員がククイ博士の待つ研究所へ集結した。

サトシも先の戦いで敗れたピカチュウをポケモンセンターに預け、ウルトラジャーとの決着をつけるべく新たなポケモンと共に最後のバトルに挑む。


ククイ「ここに集まってもらった理由は他でもない。……警官達がメレメレの各地で『ウルトラジャー・チルドレン』発生に備えて警備を固めているのは知ってるな?」

カキ「はい。……つまりオレ達に残された仕事はただ一つ」

スイレン「ウルトラジャーと、戦うこと……」

ククイ「そうだ。……と言っても、各々に役割があるから作戦を入念に練っておく必要がある。効率よく話を進めるのにも、こうして皆で顔を合わせて話し合うのが一番だろう?」


マオ「……」キョロキョロ

マオ「うん。皆いい顔してるね。修羅場を潜り抜けた感があってチーム全体自信に満ちて引き締まった雰囲気が漂ってるよ!……ちょっと緊張するけど」

カキ「フッ、ならお前のためにオレが一発ギャグでもして場を和ませてやろうか?お前は堅苦しい空気に耐性がないから仕方ないさ」

マオ「へへ……言うじゃん」


それは、サトシ以外のメンバーが到着した直後の話。カキとマオはスイレンを巡って少しばかり口論になっていた。スイレンの安全を考えるマオと、スイレンの頑張る意思を汲んだカキの喧嘩はククイ博士の仲裁が無ければ止められないほどヒートアップしていた。

結局、最後はスイレン自身の意思に委ねられた。つまりスイレンは活動を続行することになったが、マオの提案で最前線での戦いは避けることも決まった。

カキはスイレンを守るという約束もあり、結果的に自分も最前線を降りることになった。メインのバトルをサトシに任せることになってしまい少し悔しがるカキだったが、スイレンとの約束、彼女の安全を考えるマオと、喧嘩を仲裁したククイ博士の立場を汲むことを優先したのだった。


アシマリ「あぉぉ」

スイレン「フフ、アシマリも私のワガママについてきてくれてありがとうね」

アシマリ「あううん」

スイレン「気にしてないの? ……でも、こういうことは最初で最後にしようか。マオちゃんにもカキにも、皆にも迷惑かけちゃったし」

スイレン「リーリエは……結局来なかったね。深い傷だっていうし、リーリエは傷を治すことを選んだんだ。でもそれも立派な戦いだよね。リーリエのキズが早く治るの、帰ったら応援しなくちゃ」


トゲデマル「までゅまでゅ」チョイチョイ

ヌカ「ん?どうしたの?」

マーマネ「ほらヌカちゃん、サトシにありがとうを言わないと」

マオ「アホか」ボコッ

マーマネ「えすぷりっ」

マオ「段取りってモンを考えなよ。まずは皆にヌカちゃんの事を知ってもらわないと。ヌカちゃんのチームメイトになるのは、サトシだけじゃないんだよ?」

スイレン「あの子がヌカちゃん……」

カキ「サトシ、お前は昨日アイツらとバトルしたんだったな。……どうだった?」

サトシ「へへ、強いよ」
 ▼ 134 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/29 23:55:05 ID:O5ugplOg [9/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ヌカ「え、えっと……」

マオ「ほいほい皆さんご注目!このお方こそ、炊飯器の心が読めるという夢のような力をもったスーパー少女・ヌカちゃんでーす!」

カキ「別に夢というほど羨ましいとは思わんけどな。そんなピンポイント能力」

マオ「オラそこ静粛に!……彼女はこの『ウルトラジャー』の一件におけるキーマン。最重要人物なの。『ウルトラジャー』が炊飯器の姿をしているのなら、炊飯器と意思疎通できるヌカちゃんのこの力を使って、『ウルトラジャー』の本心を探ることができるかもしれないの!」

サトシ「すげぇ!それができたらヌカ様様じゃん!」

スイレン「マオちゃんが言うなら間違いない。私はヌカちゃんを信じる」

ヌカ「! マサラタウンのサトシ……と、えぇっと……」

スイレン「初めまして。呼び方はスイレンでいいよ。マオちゃんの一番の友達。 一 番 の 友 達  ……大事だから二回言ったよ」

サトシ「バトルも強いし……オレは期待してるよ!ヌカのこと」

ヌカ「えへへ……///」


カキ「ちょっと待て、どうしてそう簡単に信用ができる? マオ、オレは騙されないぞ。お前の話は内容が異次元すぎて信用どころか理解すら叶わんのだ」

カキ「後、少しは頭を使え。仮にそこの女が炊飯器の心が読めたとして『ウルトラジャー』と意思疎通できるという証拠がどこにある?」

カキ「『ウルトラジャー』がウルトラビーストだということはエーテル財団が暫定的に定義づけているし、今の時点ではそれが最も有力な仮説だ。その推測の下で対ウルトラビースト特殊部隊であるオレ達が呼び出されたということを忘れているだろう」

マオ「んなこと知ってるよ。アイツはほぼウルトラビーストなんでしょ?でも姿は炊飯器に似てるから、ヌカちゃんの力が使えるかもしれないから連れてきたんじゃん」

カキ「ハァ……あのな、そんないい加減な推測で一般人を巻き込んでいいと思ってるのか?」

マオ「一般人じゃないよ!ヌカちゃんは炊飯器の心が読めるって言ってんじゃん!さっきまで何聞いてたのアンタ」

カキ「オレは立場の話をしてるんだ。体質の話じゃない!まぁ、お前やその女の親父のような胡散臭い冗談も信じがたいがな」

マオ「何さ!もっぺん喧嘩したいの!?」

カキ「お望みなら?」

マーマネ「ストップストップ!もう二人ともいい加減にしなよ!そんなことするくらいなら推測だろうが冗談だろうがお互い割り切ってスムーズに話を進めた方がマシだよ!」

スイレン「ケンカばっかりするマオちゃん、嫌い」

サトシ「カキもさ、ちょっと頑固なのもお前のいい所だと思うけど、ここは一つヌカを信じてみようぜ!」

マオ/カキ「「むぅ……」」

ククイ「まぁ何だ。信憑性の良し悪しはあれど、エーテル財団の仮説も、マオがヌカを誘った理由も、全部ただの推測にすぎない。この件は、わからないことだらけのまま話が進んでることを忘れちゃいけない」

ククイ「だったら、わからないなりに信じてみてもいいんじゃないか?……万が一ダメだったら、また考え直せばいいじゃないか。お前達はまだ子供なんだ。子供ってのは、考え直すことができる時間をいっぱい持ってる」

ククイ「冗談だとか信じられないとかいう前に、今眼の前にある一筋の光、迷わず手に取ってみてはどうだろう?」

カキ「光……」チラッ

ヌカ「え、えぇっと……」
 ▼ 135 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/30 00:06:33 ID:b13EZpOY [1/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
カキ「……フッ。いいだろう。どうやら一番頭を使っていなかったのはオレだったらしい。理解できなかったんじゃなくて、内心理解したくなかったんだろうな」

マオ「へぇ、わかってんじゃん」

サトシ「やったなヌカ!頼りにしてるぜ!」

ヌカ「!?!? たたった、頼りに!? ……マサラタウンのサトシが、あたしを……?」

サトシ「サトシでいいって。オレの『コイツ』とヌカのトロピウスがいれば、ウルトラジャーにだってきっと敗けないしさ」

トロピウス「クルルルルルルル……!」

ヌカ「そのモンスターボールは?」

サトシ「へへ、やる気マンマンだったから連れてきた!優しいヤツだから、トロピウスともいいコンビネーションを作れると思うぜ」

ヌカ「優しい子?」

サトシ「うん。優しい子」


トロピウス「カラララララ!」

ヌカ「ん?どしたの?」

トロピウス「クルルルルル」

ヌカ「ひょっとして……今言えって!?ここで?」

トロピウス「カルルル」コクリ

マーマネ「あっ! ……そうだよそうだよ。ヌカちゃんはサトシに言いたいことがあるんだよ」

マオ「もうマーマネったら……ヌカちゃん、もう話していいかな?さっきの事」

ヌカ「……うん。いいよ。自分で話す」




-------同じ頃 「メレメレジャーショップ」-------


オニドリル「ピョピョピョピョ」

ムラシ「オニドリル、済まないねぇ呼び出して。さっき警察の人が来ててね。警備を固めるからしばらく外に出ないようにって言われて……お客も来ないだろうし、ちょっと一人で退屈だから話し相手にでもなってくれないかな?いいだろう?」

オニドリル「ピャペピ」

ムラシ「銀色の怪物、か……ヌカが言ってたウルトラビーストといい、僕らはひょっとしたらとんでもない場所に引っ越してきたんじゃないのかな……?」

ムラシ「いや、そんなことないか。僕達が住んでたシンオウ地方も十分ブッ飛んだ場所だったよなぁ。『神』と呼ばれるポケモンと、湖に棲む伝説のポケモン達……神殿に佇む大いなる巨人、満月と新月の化身、火山の化け物……フフ、キリがないな」

ムラシ「ウルトラビーストに会いに行ったヌカの事は心配だが、いいお友達もできたことだし、何より信頼できる。……こんな胡散臭いオッサンよりかはよっぽどね。ハハハ……」

ムラシ「それにしても……昨日ウチに来てくれたあの子がマサラタウンのサトシ君だったとは……明日にでも、いや、事件が解決したらすぐにでもお礼に行かないとね。ヌカを助けてくれてありがとうって」

オニドリル「ピピピャヘ」

ムラシ「『あの日』から、サトシ君に救われるまでの間……あの時のヌカは、親の僕だって見ていられなかったから」
 ▼ 136 スブレロ@ウッディメール 18/07/30 02:10:02 ID:usqQ3mcA NGネーム登録 NGID登録 報告
しえーん
 ▼ 137 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/30 22:37:43 ID:b13EZpOY [2/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
それは昔のようで、つい最近のお話。

ヌカの故郷は、シンオウ地方にある何てことの無い普通の田舎町。

テレビもある、ラジオもある、車もそれなりに走ってはいるが、ポケモンセンターやポケモンジムはない。そんな微妙に小さな田舎町に、ヌカ達の住んでいた一軒屋がある。

この頃からヌカとトロピウスはいつも一緒。バトルの特訓はほどほどに、父親と、祖父母と、ポケモン達と、稲作農家を営みながらのどかな毎日を送っていた。


ムラシ「そら出来たぞ。自慢の炊飯器185号!5日間保温状態でもご飯がカピカピにならない優れモノだぞ」

ヌカ「おぉ!じゃあ明日から早速それを使って晩御飯作ってみるね!」


ヌカ祖父「なぁ婆さんや。また最近ムラシのヤツはイキイキしてきたと思わんかね?」

ヌカ祖母「お嫁さんを亡くした一昨年を最後に、一度は辞めた炊飯器作りに再び精を出し始めたからでしょう。……今やもうすっかり立ち直って、親としては一安心ですわ。ただあの子ったら、近々お嫁さんの故郷の遠い島へ引っ越してお店を立てるとか。実家の米作りはどうするおつもりでしょうかね」

ヌカ祖父「まぁムラシの選んだ道だ。ワシも止めはせん。……それに何より、ヌカも一緒なんだ。しっかり者のヌカが一緒なら心配することはあるまいて」

ヌカ祖母「ホホホ、それは言えてますわ」


ヌカ「いこっ、トロピウス!今日も広場に行って近所の子達とバトルの合同練習だよ!」

トロピウス「カルルルルル!」


ピーーーーーーーポピポッ、ピーーーーーーーポゥ


ヌカ祖父「な、何の音じゃ!?」

ヌカ祖母「お客様ですよ。いい加減インターホンの電池変えましょうよお爺さん」

ヌカ祖父「おぉそうか。ヌカ!出かけるなら先にお客様を通してくれないか?」

ヌカ「はーーい! ……ウチにお客さん? こんな時期に業者の人じゃないだろうし……一体誰だろう?」

トロピウス「カルルルルル」

♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪

ヌカ「すみませんインターホンの調子が悪くて……あの、ウチに何かご用でしょうか?」

???「すまないな。オレは色々あってポケモンと一緒に旅をしてる。道に迷ってしまったんで、少しばかり教えてほしいことがあるんだが。……ここらに、『ブギーマン』という店があるそうなんだが、知らないか?」

ヌカ「『ブギーマン』……あっ!それなら知ってます!ただちょっと大分複雑な道を通ることになりますけど……あの、よかったら案内しましょうか?」

???「済まないな」

ヌカ「『ブギーマン』といえば、ポケモンフーズの有名ブランドなんですよねぇ。通販もやってるのにわざわざお店まで来るってことは、お兄さんは相当なポケモン想いなんですね」

???「オレのポケモンを効率良く鍛えるためには、エサにも気を遣わないといけないからな」

ヌカ「さぁさ行きましょ行きましょ♪」ギュッ

???「触るな馴れ馴れしい」
 ▼ 138 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/30 22:40:47 ID:b13EZpOY [3/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ヌカ「ほら♪ ここがお店ですよ」

???「本当に済まない。お前にも用事があったろうに」

ヌカ「気にしないでください!バトルの特訓をしようと思ってただけなので……あたし、ポケモントレーナーやってるんです!家族のトロピウスと一緒に、いつかはポケモンリーグにも出ようと考えてて」

トロピウス「カルルルルル……」

???「いつか?」

ヌカ「まだまだそんな大きな大会で結果を残せるほど実力はついてないけど、少しずつ頑張って、いつか出るつもりなんです。ね?トロピウス」

トロピウス「コロロロロロロ♪」

???「……ぬるいな」

ヌカ「えっ?」

???「何でもない」

ヌカ「今言ったでしょ?ぬるいって」

???「……お前が本当にそれだけの実力をもつポケモントレーナーを目指すなら、せめて特訓くらいはお前自身の満足しているだけの段階の、さらにもう一段上のレベルでやってみろ」

ヌカ「はぁ……」

???「今まで以上に経験を積めば、お前のポケモンと真に向き合うことができる……かもしれない」

ヌカ「もっと特訓して……トロピウスと……真に向き合う……」

トロピウス「ウルルルル……」

???「案内してくれたことは感謝するよ。これでまたオレは一段上のレベルに上がることができる」

ヌカ「あ、あの……アドバイスありがとうございます! えっと、あなたもポケモントレーナーですよね?差支えないようなら、名前を教えてもらっていいですか?」

???「そんな義理はない」

ヌカ「あ、あなたが有名になった時に、友達に知り合いだって自慢できたらいいなぁー……なんて、ハハハ」

???「……チッ」


シンジ「     シンジ。 ……トバリシティのシンジだ。覚えにくいようなら忘れてもらって構わない。名前を忘れられたくらいで怒鳴るほど、オレは度量の狭いヤツじゃない     」


ヌカ「ど、怒鳴るって……ト、トバリシティですか?都会ですよねぇ〜!お、お買い物楽しんでいってくださいねー!」

シンジ「…………」



ヌカ「……なんか、雰囲気怖い人だったね」

トロピウス「クルルルルル」

ヌカ「さっ、広場に行こうか。今日こそ『エアスラッシュ』が完成するといいね。完成したらさ、あたしが炊飯器で焼いたケーキにモモンのみを一杯乗せてお祝いしたげる!」

トロピウス「カルルルルル♪」
 ▼ 139 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/30 22:45:08 ID:b13EZpOY [4/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
トロピウス「ウルルルルル……」スカッ スカッ

ヌカ「むぅ……まだ少し経験が足りないのかな。今日中に完成させるのはちょっと厳しいね」

友達A「でもさ、昨日よりも前足の振りが速くなってるよね?まだまだ完成とはいえないけど、着実に成長してる感はあるよ」

友達B「そうそう。ヌカちゃんのトロピウス、だんだんとバトルが似合う顔になってきてると思うよ?」

ヌカ「フフ、何ソレ」

トロピウス「クルルッ」キリッ

友達A「どうする?今日はもう夕方だし帰ろうか?」

友達B「そうだね。じゃあヌカちゃん、また明日!」

ヌカ「うん!また明日ー」

♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪

トロピウス「クーン」

ヌカ「まぁまぁ……よしわかった!約束とは違うけどケーキは作ってあげる!あぁ、モモンの量は予定の半分だけどね。それでいい?」

トロピウス「カルルルッ!」

ヌカ「フフ、ちょっとずつ、これからも無理しないように頑張っていこうね!トロピウス」ナデナデ

トロピウス「(*´▽`*)」


ヌカ「さて、あたし達も帰ろう!晩御飯作んなきゃだからね」


ヌカとトロピウスの特訓は極めてマイペースだった。二人の住むのどかな風景が広がるこの町のように、ゆったり、ゆっくりと経験を積み重ねていく。そうして今まで二人は暮らしてきた。

……この時までは。


シンジ「…………」


ヌカ「あれ、あそこ歩いてる人って……ほらトロピウス、あの人。昼間に道案内をした人だよね?名前は確か……トバリシティのシンジ」

ヌカ「あっヤバ、行っちゃう!追いかけよう!」


ヌカ「シンジさん!……よかった。間に合った」

シンジ「……昼間のヤツか。礼ならもうしたハズだぞ」

ヌカ「あぁいえ、そうじゃなくて……偶然通りかかった所を見たので」

シンジ「お前はいちいちただの通行人に声を掛けて回っているのか?変なヤツだ」

ヌカ「なっ……!別にそんなんじゃないです!今日せっかく知り合ったんですし……ここで会ったのも何かの縁、ちょっとお話しませんか?」

シンジ「……さっき行った店の店主といい、馴れ馴れしいのがこの町の住民性らしいな。店の帰り道も、お前を含めて8人に声を掛けられた。何なんだこの町は」
 ▼ 140 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/30 22:49:42 ID:b13EZpOY [5/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ヌカ「でしょ?この町は町全体が家族みたいなもので、とても暖かくてあたしは好きなんです。シンジさんも、よかったらまた立ち寄ってくださいね?」

シンジ「……オレは意味のない馴れ合いはしない。オレの知り合いを名乗るなら町の連中に伝えてくれるか?用が無いなら余所者に気安く話し掛けるなとオレが言ってたとな」

ヌカ「むっ……」

トロピウス「グルルルルル……」

シンジ「じゃあな」

ヌカ「よ……用ならありますよ!あたしの場合!……お、同じポケモントレーナーとして……!あな、あなたに!バトルを申し込みます!」

トロピウス「カラララァ!!」

シンジ「…………」

ヌカ「……え、えと……」

シンジ「1対1だ。それ以上の時間を割いてやる余裕はない」

ヌカ「!」


ヌカは強いポケモントレーナーが憧れだった。ポケモンバトルが好きな彼女だが、自分で戦うよりも、レベルの高いポケモンバトルを見て楽しむのが何より好きだった。ポケモンリーグの観戦チケットを毎回のように買ってはハイレベルなバトルに胸躍らせていた。

今の自分では手の届かないほどの高みで繰り広げられるバトルに圧倒され、気持ちを高ぶらせること……その快感を人一倍重んじては、いつかは自分もそこに立っていられるようなトレーナーになることが目標なのだ。……いつかは。

その場所に近いところに立っているであろうシンジとまだ別れたくない。もっと関わりたい。そう思ったヌカは興味本位で勝負の見えているバトルに臨む。


ヌカ「トロピウス!『はっぱカッ

シンジ「『かみなりパンチ』!」

エレブー「ヴァアアアァアアァ!!」


                 ズ ド ッ


トロピウス「」

ヌカ「トロピウス! ……やっぱりかー……強いんですね。って、当たり前か。ハハハ」

トロピウス「クルゥ……」

ヌカ「よしよし、帰ったらモモンケーキね。忘れてないよ♪」

シンジ「…………」

ヌカ「バトルありがとうございました!これからもっともっと経験を積んで、トロピウスと真に向き合えるようになるまで頑張ります!」

シンジ「何のことだ?」

ヌカ「えっ? やだもう、シンジさんがアドバイスしてくれたんじゃないですか!……あたしはもっと強くなって、そしてトロピウスと向き合い、思いたいんです。あなたと一緒でよかった……って」

トロピウス「クルルルルル……」

シンジ「……そうか。ならもっと強くなるといい。だがお前が近い将来その領域に踏み込んだ時、お前達は今のままでいられるという保証はないがな」

ヌカ「? ……どういうことですか?」
 ▼ 141 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/30 23:02:10 ID:b13EZpOY [6/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
シンジ「見た所、お前は随分そのトロピウスに執着しているようだが、ソイツの中にある力がどの程度あるのか分かった上で一緒に戦っているんだろうな」

ヌカ「執着って……あたしとトロピウスは家族です!あたしの家族、そして、一緒に強くなろって約束したパートナーなんです!」

シンジ「その割には大した強さじゃなかったがな……よく聞け。 まさかこのオレが一日に二度も同じヤツに説教を垂れるとはな」

シンジ「お前はいつか強いポケモントレーナーになる。その為にはたくさんのポケモンと出会い、彼らの実力を見極め、己が高みを目指す為の糧となる最高のメンバーを決めなければならない」

ヌカ「……そうでしょうね。トロピウスだけではそれは難しい。だからあたしに合ったメンバーを……


シンジ「ハッキリ言おう。そのメンバーの中にお前のトロピウスがいる可能性は限りなく低い」


ヌカ「……え」

シンジ「レベルの高いポケモンバトルとは、強いトレーナーと強いポケモンのみが立てる領域。さっきのバトルを通して、お前のトロピウスはその領域に立つにふさわしくないとオレは思う」

ヌカ「そうですか……じゃあ、あたしもトロピウスもその領域に立てるように頑張らないと、ですね」

シンジ「いい加減解れ!ソイツより強いポケモンは……いや、ソイツより強いトロピウスなんか山程いる!お前が本当に強いトレーナーを目指すなら、そんな使えないヤツなんかよりももっと時間を割いてやるべきポケモンがいるハズだ」

ヌカ「使えないって……」

シンジ「他人にどうこう言うのは気に食わんが、トレーナーとして成長するお前がこれまでも、そしてこれからも理想と真逆の虚像と向き合うことになると思うと居たたまれなくてな」

トロピウス「クルルル……?」

ヌカ「虚像……?トロピウスが……?」

シンジ「ポケモンバトルを甘く見るな。お前が憧れている世界は、今のお前のやり方では到底足を踏み入れることができるとは思えん」

ヌカ「で……でも、トロピウスとの約束が

シンジ「とにかく現実を見ろ。……お前が高みに立った時、お前と真に向き合っているであろうポケモンはきっとそのトロピウスではない。オレから言えるのはそれだけだ」


お前のトロピウスでは高みを目指せない……それだけ言うとシンジは去っていった。自分と向き合うべきポケモンと向き合う旅を続けるために。

残されたヌカはトロピウスの方を見る。今までに見たことがないほどひどく項垂れていた。シンジに言われるまでもなく、自分が一番解っていたらしい。


トロピウス「ルルルルルル……」

ヌカ「そんな顔しないでトロピウス。……あんなこと言われちゃったけど、あたしはあなたを離さないよ。ずっと一緒。だってイヤだもん。あなたのいないポケモンバトルの世界なんて。あたしの世界には、いつもトロピウスがいる。だから……」



ヌカ「          あたしもう……   や め る          」



トロピウス「……!?」

ヌカ「トロピウス……」ギュッ

トロピウス「!!」

ヌカ「あたしはあなたと離れたくないの……あたしはあなたとずっと一緒だよ。ずっと一緒……家族だもの」
 ▼ 142 イノーズ@わすれもの 18/07/31 07:06:44 ID:iUaE1OBE NGネーム登録 NGID登録 報告
超 絶 支 援
 ▼ 143 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/31 18:35:21 ID:jcZQtOVI [1/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ヌカ「トロピウス♪今日も父ちゃんの炊飯器で、おいしいご飯作ってあげるね♪」

トロピウス「…………」


次の日から、ヌカはバトルをしなくなった。自分の目指していた場所に自分よりも遥かに近い領域にいるシンジの言葉が、何よりも重いものに感じたのだ。

勿論トロピウスを特訓に誘うこともなくなってしまったが、家の中では今まで通りいつも一緒。寧ろ、二人はより距離を縮めていたが、その光景には家族の誰もが余り良い気分がしなかった。

勿論それはトロピウスも同じだった。シンジとの一件以来、ヌカが自分に向けてくれる笑顔が彼女の心からの笑顔ではなく奈落の底のように深い闇を見ているようで怖くなり、時折眼を背けては願った。昔に戻りたい、と。

ヌカと一緒にポケモンバトルの高みへ辿り着けないかもしれない不安はあった。だが自分と一緒にいたいが為に好きなことを諦めた彼女は何よりも怖かった。

そんな地獄が数十日続いたある日の事……


ムラシ「……ヌカ。ちょっといいか?」

ヌカ「うん!いいよ。 おいで、トロピウス」

トロピウス「…………」


ムラシ「ほらヌカ、今回も買ってきてやったぞ。ポケモンリーグの観戦チケット。……何故か知らんが予約が多くてな。準々決勝のしか取れなかった。これでも良ければ受け取ってくれ」

ヌカ「……行こう、トロピウス」

ムラシ「待て! ……別に父ちゃんは、お前が何に興味を持とうが構わない……ポケモントレーナーを辞めたいのならそれでもいい」

ムラシ「でもな……ここ最近のお前は見てられないんだよ。ヌカ!お前はうまく周りに振る舞っている気でいるが、みんな気付いてるんだよ。僕もお爺さんもお婆さんも……何より今も、一番近くに……いつも一緒にお前といるトロピウスも」

ムラシ「みんな気付いてるんだ!……それが家族ってモンだ。 ヌカ、お前の未来はお前で決めたらいい。父ちゃんはな、お前がどんな未来を歩もうが決して止めないさ。だが親として、一つだけは守ってほしいことがある」

ヌカ「……?」


ムラシ「何年先も、何十年先も、何百年先も……ヌカがヌカのままでいることだ」

ムラシ「いつまでもお前の思うように生きて、お前が興味を持ったことをして、お前が好きなものを愛してやれるのなら、何だっていいさ。……そうだろ?トロピウス」

トロピウス「クルルルルル……」

ムラシ「トロピウスの眼を見ろ。……正面から見るんだ。そうすればお前の顔がトロピウスの瞳に映る。……どうだ?……そこにいるお前は誰だ?……僕達の大好きな家族の形をした、お前は一体誰なんだ?」

ヌカ「誰って……それはあたし……」


トロピウス「 ガ ラ ラ ラ ラ ラ ラ ラ ラ ! ! ! 」


ヌカ「!? ……ど、どうしたの?」

ムラシ「どうやらトロピウスには見えないらしい。大好きなあの子が…… とにかくチケットを握りしめて、いつものようにリーグを観に行ってこい。僕の言葉に納得できなくても、そこにはきっといるハズなんだ。自分の好きなお前の姿が」

ヌカ「…………」
 ▼ 144 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/31 18:47:14 ID:jcZQtOVI [2/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
-------シンオウ地方 スズラン島-------


ヌカ「来ちゃったね。結局」

トロピウス「コルルルルル」

ヌカ「フフ、どうしたの?大丈夫。どこにいってもあたしはトロピウスと一緒だよ♪」

トロピウス「ウルルル……」


「いつも一緒」……ここ最近、その言葉がヌカの口癖になっていた。ヌカは強いトレーナーに憧れていたからか、シンジの言葉が冗談だと思いたくてもできないのだろうとトロピウスは考えていた。

だけどトロピウスは元気なヌカが好きだった。この場所で彼女が戻ってこなければ、もう救いはないのだろう……

♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪

ヌカ「わお!……いいねやっぱり。これぞポケモンリーグって感じ」


会場エントランスのポケモンセンターに集うのは、シンオウ地方に限らず、全国の津々浦々から最高のポケモンバトルを己の眼に焼きつけるために訪れたポケモントレーナー達。彼らは係員の案内で、次々の客席に続くゲートへ吸い込まれていく。

ゲートの奥でヌカとトロピウスを待っていたのは、憧れのポケモンリーグのフィールドだった。……が、トロピウスの予想通り、フィールドを見つめるヌカの瞳はややくすんでいた。彼女はその領域に手を伸ばすことを諦めているのだから。


トロピウス「…………」

ヌカ「どうしたのトロピウス。具合でも悪い?」


歓声に包まれ、シンオウリーグ・スズラン大会の準々決勝が幕を下ろした。ここまで勝ち残っただけあって、ポケモントレーナーもポケモンも、気迫と戦略を兼ね備えたバトルで会場を沸かす。

♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪

実況「決着-----------!!シンオウリーグ・スズラン大会、準決勝に駒を進めたトレ−ナー1人目は……!」


ワ ァ ァ ァ ァ ァ ァ ァ … … ! !


ヌカ「そうだ。……ねぇ、これ見て。エントランスで配ってた準々決勝のトーナメント表。この顔……見覚えあると思わない?」

トロピウス「……!」

ヌカ「やっぱりね……トバリシティのシンジ。あの人はやっぱり強い人だったよ」

ヌカ「え……?いやいや、恨んでなんかないよ。あの人から教わった事はきっと間違いじゃない……でも、示してもらった先の景色をあたしは見たくなかったから……あたしは、あなたとずっと一緒にいたいもの、ね?」

トロピウス(トバリシティのシンジ……!)ギリッ

ヌカ「トロピウス……怒ってるの? ダメだよ。彼を悪く思ったら」


実況「決着-------------!!第2試合もこれにて終了だ!準決勝第1試合のカードがこれで決定したぞ!」


ウ ォ ォ ォ ォ ォ ォ … … ! !
 ▼ 145 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/31 18:56:58 ID:jcZQtOVI [3/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
                        ズ


                        ド


                        ン


                     !  !  ! 


実況「な……何ということでしょう!シンオウリーグ始まって以来の大事件が起きてしまいました!タクト選手、6対6のフルバトルで行われるこの準々決勝においてもワンサイドゲームを展開し、ダークライだけで相手選手の全てのポケモンを倒してしまったーーーッ!!」


ザワ……ザワ……        スゲェマジカヨ……       ミテラレナイワ……


ヌカ「……すごいね」

トロピウス「…………」


圧倒的大差で終わった第3試合。その途中からすでに、ヌカの意識はシンジのバトルへ向いていた。勝負の相手は、マサラタウンのサトシ。

準々決勝第4試合。シンジとサトシ、両者がフィールドへ入場すると、オーロラビジョンに二人の顔が映し出される。トロピウスはシンジの顔を見るや否や低いうなり声を上げる。ヌカは表情一つ変えずに、シンジの言葉を思い出しながら、


ヌカ「トロピウス、あたしはあなたといつも一緒にいるよ」


大事な家族に笑顔でそう語りかけた。トロピウスはいよいよそっぽを向き、その言葉に無視を決め込むことにした。

モニターに映る二人は何を話しているのか、口を動かしているがヌカの耳には言葉が入ってこない。聞こえるのは歓声と、そして……


ピカチュウ「 ピッ カ ァ ァ ァ ァ ァ ! ! 」

ボスゴドラ「 ド ラ ァ ァ ァ ア ァ ! ! 」


激しいバトルで吹き抜ける突風に乗ってやってくる、雷鳴のような轟音とポケモンの叫び声。


ムクホーク「 ホ ォ ォ ォ ォ ォ ォ ォ ! ! 」

トリトドン「 ぽ ぇ ぇ ぇ 〜 〜 〜 … …  ! 」


シンジとサトシのバトルに特別な意味がある事などヌカが知る由もなく、バトルは続く。ただ、ヌカは薄っすらではあるが意識を自ずとシンジ以外の別の方向へ向け始めていた。

ヌカは、シンジが自分の憧れていた領域に限りなく近い人だと思っていた。だからこそ、彼の言葉通りになるであろう自分の未来を恐れ、強くなることをやめた。

しかし相手のポケモントレーナーは、トバリシティのシンジと互角の勝負を繰り広げている。


ヌカ「マサラタウンのサトシ……か」
 ▼ 146 ャーレム@やけどなおし 18/08/01 16:10:33 ID:AoskSRsU NGネーム登録 NGID登録 報告
トバリシティのシンジの語呂の良さ
支援
 ▼ 147 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/01 21:25:08 ID:i3sYubLg [1/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ドラピオン「 ら゛ あ゛ ぁ゛ ぁ゛ っ ! ! 」

ブイゼル「 ブ ィ ーーーーー ッ ! ! 」


ヌカ「…………」ムズムズ

ヌカ「……はっ、いけないいけない」

トロピウス「?」

ヌカ「えへへ、ちょっとイケナイ期待をしちゃってて……大したことじゃないから気にしなくていいよ」

トロピウス「カルルルルル……!」 

ヌカ「……わかった。  ねぇ、このバトル……トロピウスはどっちが勝つと思う?」


ドラピオン「 が ら あ゛ あ゛ っ ! ! 」

ドダイトス「 ど ほ っ … … ! ? 」


ヌカ「わからないよね。……でもさっきあたし、一瞬だけトバリシティのシンジに敗けてほしいって思っちゃった。……イケナイよね。せっかくあたしに大事な事を教えてくれた人なのに」

トロピウス「クルルル……?」

ヌカ「あの人は強い。あたしの憧れ。どれだけ頑張ってもあたしじゃ絶対に超えられないと思う……だから彼の言葉は誰よりも重いと思っていたし、あたしもそれを信じてこの数十日暮らしてきた」

ヌカ「けど今、彼は相手と互角の勝負をしてる。ひょっとしたら敗けるかもしれない……でも、あたしはその状況に何故か少しだけ嬉しくなって……フフ、最低だよね。あたしって。恩知らずにも程があるよ」


テッカニン「 ビ ィ ィ ィ ィ … … 」

グライオン「 ら お お お お お っ ! ! 」


トロピウス「ウルルルルル……」

ヌカ「トロピウス……あたし……あたし……」

ヌカ「本当は、自分が一番よくわかってたのかもしれないの!ここ最近自分がおかしいコトも……心の奥にいる本当のあたしが、そんなあたしを全然好きじゃないってコトも!」

ヌカ「それで、トバリシティのシンジがここで敗ければ……彼の言葉の重みが少し軽くなるような気がして……そしたらあたしももう、無理して自分に嘘をつかなくていい気がして……トロピウス、最低だよあたしは」

ヌカ「初めから、自分を信じていればよかったんだ……あたしにはあたしの、あの人にはあの人のやり方があるハズなのに……あたしはトバリシティのシンジという人に憧れてたけど、知らない間に彼を使って自分の嘘を正当化してた」

トロピウス「ウルルル……」

ヌカ「トロピウス……やっぱりあたし、まだ諦めきれない!」


ユキメノコ「 ホ ホ ホ ホ ホ ホ … … 」

ピカチュウ「 ピ ィ ィ … … カ ァ ァ ァ ァ ァ ! ! 」



ヌカ「       あなたと一緒に、強くなること        」
 ▼ 148 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/01 21:32:48 ID:i3sYubLg [2/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
実況「息詰まる戦いも、両者最後のバトルとなりました!ゴウカザルVSエレキブル!!」

実況「エレキブルはピカチュウ戦でのダメージのみですが、ゴウカザルはここまでのバトルと『どくびし』のダメージで、体力の消耗はかなり激しくなっています!最後にフィールドに立っているのは、果たしてどちらか……!?」



ヌカ「すみません、通してください!」

観客A「な、何だあの子」

トロピウス「カロロロロロ!」

観客B「うおっ!?こんな狭い客席にトロピウスが!」


自分達の席を飛び出し、ヌカ達は観客席の最前列を目指す。このバトルは、どちらが勝っても自分を変えてくれる……いや、元に戻してくれる。そう確信したヌカはもっと近くで二人のバトルを見届けようとしていたのだ。


ヌカ「ここからならよく見れるね。ここからは立ち見になるけど、全然問題ないよね」

トロピウス「ルルルルルル……」

ヌカ「トロピウス、散々迷惑かけたあなたにこんなこと言うのは心苦しいけど、あなたに謝るの……もう少し後でいい?」

トロピウス「トロロル」

ヌカ「……ありがとう。……やっぱりあたし、ポケモンバトルが大好きなんだ」

トロピウス「トルルルルル……」

ヌカ「……始まるよ」



シンジ「いくぞエレキブル!『かみなりパンチ』だ!!」


エレキブル「 ギ ィ ィ ィ イ イ ィ ィ イ ! ! 」



サトシ「ゴウカザル、『マッハパンチ』!!」


ゴウカザル「 キ ェ ェ エ エ ェ エ ェ ア ! ! 」



             ズ ッ ッ … … … … ! !


       ヴ ァ ア ア ア ア ア ァ ア ア ァ … … ! ! !



その炎と雷は、心を覆う真っ暗な闇を跳ね飛ばし、その闇に変わって心を覆っては、未来を照らして、温めて。

撃ち合う度、ぶつかり合う度に、熱さと明るさをもった強い光になって。

バトルが激化する中トロピウスはふとヌカの方を見る。そこにいたのは、口に手を当ててありったけの声で叫ぶ、トロピウスが大好きなトレーナーの姿だった。
 ▼ 149 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/01 21:45:20 ID:i3sYubLg [3/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サトシ「『かえんほうしゃ』!!」


                                     シンジ「『まもる』!!」



サトシ「チッ……」


                                     シンジ「『かみなり』!!」



サトシ「……『あなをほる』!!」


                                     シンジ「『かわらわり』!!」



サトシ「畳みかけるぞ!『マッハパンチ』!!」


                                     シンジ「今だ、捕まえろ!!」



サトシ「何……!?」


                                     シンジ「   『かみなり』!!   」


― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ―


ヌカ「……フゥ、スゴイバトルだったね」

トロピウス「クルルルルル……」

ヌカ「あたし……叫んでた。いつも以上に、バカみたいに……でもいつもみたいに楽しかった!父ちゃんの言ってた通り、あたしの好きなあたしがここにいた……」

ヌカ「でもそれに気付くまで沢山迷惑をかけた。ゴメンね父ちゃん。ゴメンねお爺さん、お婆さん。……ゴメンなさい、トバリシティのシンジ」

ヌカ「          ゴメンね……トロピウス          」

トロピウス「ルル……」

ヌカ「もう一度やり直そうトロピウス!あたし、大好きなポケモンバトルをずっとあなたとやりたい!……あたしがバトルの高みで向き合うべきポケモンが例えあなたじゃなくたって……あたしは自分で願うよ!最初から最後まで、向き合いたいポケモンはあなただよ!トロピウス!」

ヌカ「これからもずっと、あたしとあなたはずっと一緒だよ♪」

トロピウス「カルルルルル……!」


次の日から、ヌカはポケモントレーナーを再開した。彼女の心には今も、自分の好きな自分の存在を気付かせてくれたポケモントレーナーの名が刻まれている。

「マサラタウンのサトシ」と、「トバリシティのシンジ」の名が。
 ▼ 150 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/01 22:00:38 ID:i3sYubLg [4/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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サトシ「…………」

マオ「(;Д;) ウッウッ……ヌカチャン……トロピウス……」

マーマネ「何で話聞くの二回目のマオが泣いてんのさ」

ヌカ「あたしね、思ったんだ。あたしはポケモンバトルが大好き。だけどトロピウスも大好き……それでいいんだ、って」

ヌカ「そう思ったらね、あたし達にはあたし達のやり方があるように、トバリシティのシンジにも彼なりのやり方があって、それに従って自分の道を歩いてるんだってことに気が付いた……だからもうやめたの!自分が好きな自分らしくない事をするのは」

サトシ「シンジか……今何してるのかな?アイツがいなきゃ、今のオレはいないと思ってる。やっぱりポケモンバトルに正解なんてないんだよ、ね?」

カキ「……なるほどな。あくまでサトシには自分を見直すチャンスを与えてくれたことに対して感謝してるのであって、サトシがヌカの憧れのトレーナーというわけではないということか」

スイレン「カキ……何かちょっと嬉しそう」

ヌカ「じゃあ改めて……」


ヌカ「ありがとう!マサラタウンのサトシ。あたし達はあなたと……トバリシティのシンジに救われました。本当にありがとう!」

トロピウス「カルルルルル……」


サトシ「うん。どういたしまして」

ヌカ「マサラタウンのサトシに、やっと『ありがとう』を言えた……次はトバリシティのシンジだね。いつか必ず会ってお礼を言おう?トロピウス」

トロピウス「カラララララ♪」

ヌカ「マオちゃんもありがとう♪マサラタウンのサトシ、あなたの言う通りフレンドリーだったよ」

マオ「グス……えへへ、お役に立てたようで光栄でありますっ♪」

スイレン「ぬぅ……」

サトシ「じゃあさ、呼び方もサトシでいいよ!ヌカとはこれからももっともっとバトルして仲良くなりたいから、名前が呼びにくいと邪魔くさいでしょ?」

ヌカ「それも考えたんだけど……やっぱりいいの!これからもよろしく!マサラタウンのサトシ!」

サトシ「え゛え゛ぇ!?」

マーマネ「頻繁に舌噛みそう」

カキ「フフ……いいじゃないか。誰と仲良くするにしろ、印象に残るキャラ付けは大事だぜ」

ククイ「その通り。……ポケモンバトルに正解がないように、サトシの呼び方にも正解はないということだ!」

ベベノム「ピヒヒヒヒヒヒヒ」

サトシ「……しょうがないな」


                      あなたは誰ですか?今のあなたは、あなたの好きなあなたですか?

                        何をしようと、誰に憧れようと、あなたはあなたらしく。

                 あなたの好きなものと、好きな人と、好きなポケモンと一緒に、どこまでも。いつまでも。
 ▼ 151 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/01 22:01:47 ID:i3sYubLg [5/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
次のおはなし



第9話(全13話)「サトシの願い」
 ▼ 152 ンヂムシ@おおきなキノコ 18/08/02 17:57:57 ID:A3Hwo4yo NGネーム登録 NGID登録 報告
やっぱりサトシってスゴいんだなて
支援
 ▼ 153 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/04 00:04:15 ID:f2XEJK2o [1/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ニャース「確かにさっき何かの声がしたハズなのニャ。一体どこから聞こえたのかニャ……?」


未だ、「わからないことだらけ」の世界を彷徨うニャース。どれだけ歩いても、どれだけ見渡しても、彼の周りには不鮮明で混沌とした「わからないもの」ばかり。

時々聞こえてくる声だけを頼りに、ニャースは仲間を探しがてら、道なき道を進む……が、ニャースは薄々気付いていた。この「わからないことだらけ」の世界の正体に。


ニャース「もしかしたらここは……誰かの『心』の中じゃないのかニャ? 『心』は何よりも複雑なもので、単純なもの。明るくも、暗くもなる……このメチャクチャな世界を一言で言い表すのなら、誰かの『心』の中という他はないのニャ」

ニャース「困ったニャ……さすがのニャーだって『心』を読むことはできないのニャ……『心』といえば、ムサシもコジロウも勘違いしてるけども、ニャーが分かるのはポケモンの『言葉』であって『心』なんかじゃないのニャ」

ニャース「とにかく早いトコ、この『わからないことだらけ』の世界から脱出したいのニャ。どこの誰かは知らないけれども、もう一度、もう一度だけ声を聞かせてほしいのニャ。欲を言うならニャーが分かるまで声を出し続けてほしいのニャ……」


                      コ メ ェ ェ ェ ェ ェ ェ ェ ! !


ニャース「! ……き、聞こえたのニャ!お、おミャーは今、どこにいるのかニャ!?ムサシとコジロウは!? ここがおミャーの『心』の中だとしたら、おミャーはニャー達をこんなところに閉じ込めて何をするつもりなのニャ!?」


                      コ メ ェ ェ ェ ェ ェ … … … …


ニャース「ニャー達が昨日の昼間開けた炊飯器と何か関係があるのかニャ!?」


                          コ … … メ … …


ニャース「…………」

ニャース「ニャーでよければ相談に乗るニャ。おミャーの『心』は理解できなくても、ニャーにはおミャーを理解しようとする『心意気』はあるつもりなのニャ」

ニャース「まずはオミャーの名前を教えてほしいのニャ。どこから来たのニャ?お前はポケモンかニャ?それとも人間かニャ?それとも……いや、そんなことよりもおミャーの居場所を聞くのが先ニャ」

ニャース「わからニャいなら好きな食べ物でも答えるのニャ。おミャーが答えた食べ物のによっておミャーがいる方角が分かる。これ、ムサシがやってた心理テストの一題だニャ。最も、あの問題で分かるのは将来の旦那が住んでいる方角だけどニャー」

ニャース「でもきっと大丈夫、居場所を特定するという点では一緒ニャ。さぁ、答えるのニャ!」


                 … … … … … … … … … … … … … … … …


ニャース「あっ、そうか。この世界は『わからないこと』だらけの世界。そもそも方角の概念なんてあるかもわからないのニャ」ガクッ

ニャース「こうなったらもうそっちに来てもらうしか方法がないのニャ。ここがおミャーの『心』だとしたら、おミャーがこの世界の仕組みを一番わかってるハズニャ。早く来るのニャ!」

ニャース「今のおミャーの気持ちをニャーの前で聞かせるのニャ!見えない所で叫んでたって、ニャーはどうすることもできないのニャ!」
 ▼ 154 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/04 00:15:18 ID:f2XEJK2o [2/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ニャース「ニャーでよければ相談に乗るニャ。……その為に、おミャーはニャーをここに連れてきたんじゃないのかニャ?」

???「!!」


ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ … … … …


ニャース「ニャッ!?スゴイ勢いで揺れてるのニャ! ……今揺れているのはお前の『心』なのかニャ!?  もしそうなら取り乱す前に今すぐこっちへ来るのニャ!!おミャーはどこにいるのニャ!?

ニャース「相談に乗るって言ってるのニャ!一人で抱え込むのはよくないのニャ!ニャーはおミャーのみか……



                              コ


                               メ


                              エ

                             エ

                              ェ

                            ェ

                             ェ

                           !  !  ! 



― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ―



ニャース「……揺れが収まったのニャ。 ……今のは、おミャーの仕業かニャ?」

???「…………」

ニャース「……ようやく見つけたのニャ。おミャーが……この世界の主……おミャーは、ニャー達をどうしてここに連れてきたのニャ?」

???「…………」

ニャース「わかったニャ。質問を変えるニャ。今おミャーは、何をしたのニャ?きっとさっきの揺れはおミャーの『心』が起こしたものニャ。……心当たりはあるかニャ?」


???「ーーーーーーーーーーー」


ニャース「ニャニャ!?」


ニャースは全てを知った。いきなり眼の前現れた「おミャー」こそが、自分達をこの場所へ連れてきた者であるという事を。

自分の予想通り、ここは「おミャー」の心の中だという事を。


そして「おミャー」の正体は炊飯器で、そして銀色の怪物で……たった今、眠りから覚めて動きだしたという事を。
 ▼ 155 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/04 00:24:56 ID:f2XEJK2o [3/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
時は来た。カーラエ湾の中心にある小島で身を潜めていた「ウルトラジャー」が再び行動を開始した。

サトシのライドウェアから移したGPS発信機を通してウルトラジャーの行動を監視していたウルトラガーディアンズ総司令官・ルザミーネから隊員達へ、最後の指令が下される。


ルザミーネ『ウルトラジャーが動き始めたわ!予め小島の各地に配置しておいた職員が麻酔やトラップで応戦してはいるけど、長くは持たないから急いで向かってちょうだい!』

カキ「遂にか……対ウルトラビースト対策部隊として、今度こそ敗けるわけにはいかんな」

ヌカ「……? あの、さっき職員の人達が小島にいるって言ってたけど、ウルトラジャーが休んでいる間に捕獲することはできなかったのですか?」

マーマネ「ウルトラビーストの捕獲は思った以上に難しいんだよヌカちゃん。今回もUB専用のハズのウルトラボールが効かないらしいし、かと言ってそのままエーテルパラダイスに輸送しても輸送先で暴れられたらたまったもんじゃないし」

カキ「ウルトラジャーと『戦う』か『和解する』か……この一件の解決への道はそれしかない。いずれにしろオレ達の出番が必要というワケだ」

ククイ「喋っている時間はないぞ。一秒でも早く職員と合流してウルトラジャーとの戦闘に入るんだ!作戦はさっき話し合った通りだ。……今までで一番危険なミッションになるだろうが、その分多くの人達が協力してくれてる。お前達はお前達にできることに専念しろ」

サトシ「はいっ!」

ククイ「ウルトラガーディアンズの合言葉を忘れてはいないか!?合言葉は、せーの……」


                 「「「「「 ウ ル ト ラ ジ ャ ー ! ! 」」」」」




カキ「よし、ライドポケモンに乗り込むぞ!」

スイレン「胸熱展開。肺なんか気にしてる場合じゃねぇ」

マーマネ「マオ、どうしたの?早く行くよ!」


ヌカ「…………」

マオ「……緊張してる?……そりゃそうだよね。ヌカちゃんを呼んだあたしがこんなこと言うのも何だけど、ヌカちゃんの担ってる役はとてつもないプレッシャーがかかるもの。でもね、そんなことは考えなくていいよ」

ヌカ「……わかってる。マオちゃん達がついてくれてるから……怖いものなんてない……って、思いたいけど……」

マオ「じゃあこうしよう!いっそのこと、誰かの期待を背負ってるとかそういう無駄なことは全部取っ払って」

ヌカ「む、無駄って」

マオ「いやいや、正直無駄だと思う事だってあるよ!いくら他人が期待してくれてたって、それが自分の心にへばりついて自分の頑張りに支し障るくらいなら、頑張る最中くらいは取っ払って忘れちゃえばいいんだ」

ヌカ「だ、大胆だね……」

マオ「……今のうちは、ただ純粋に自分にできる事をしたい……その気持ちだけを持って頑張ることに集中できれば完璧なんじゃないかな?難しいと思うけど試してみて。『がんばリーリエ』!だよ!」

ヌカ「……うん。頑張る」ニコッ

マオ「上出来♪」

アママイコ「あっまい!」

トロピウス「コロロロロロ……」
 ▼ 156 チャモ@グラスメモリ 18/08/04 00:26:34 ID:1rHsRLlw [1/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
メガシエンネ
 ▼ 157 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/04 00:27:11 ID:f2XEJK2o [4/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サトシ「っしゃー!もっぺん会いにいくぞ!『ウルトラジャー』!!」


ガブリアス「お゛↓え゛↑お゛↓」

リザードン「ドォォォォォ!!」

ハクリュー「りゅぅぅ……!」

メタング「メター」

フライゴン「ヒョオオォォォォォ!!」

トロピウス「クルルルルルルル……!!」


午後9時30分。メレメレ島よりやじるし、6つ。放物線を描きながらカーラエ湾の方角に突き進む。



リーリエ「! 今通り過ぎていったのは……サトシ達ですね」

バーネット「……始まったね。いや、とっくに始まってたモンが、もうすぐ終わろうとしてるんだね」

リーリエ「この一件は……どのような形で幕を下ろすのでしょうか。私達の望む形で、どうか終わりますように……」

ピカチュウ「ピカピカ!ピカ」

リーリエ「ピカチュウ……何か、貴方の表情からは随分な余裕が見られますが、それはやはりサトシへの信頼からですか?」

ピカチュウ「ピカピー、ピカピー」

リーリエ「休日の、二人っきりのお散歩へ行くまでは絶対無事に帰って来てくれなきゃ困る……と?」

ピカチュウ「ピカー」

リーリエ「フフ……まるでこの前呼んだ小説のヒロインみたいなこと言いますね♪……でもありがとう。貴方のお陰で、ちょっと気持ちが軽くなったかも」

ピカチュウ「ペカチュ〜」



警官A「せ、先輩!今、何かが空をスゴイスピードで飛んでくのを見たんですけど……」

ジュンサー「流れ星じゃないの?別に珍しくもないわよ」

警官A「そうですか?流れ星にしては、随分低い所を流れていったみたいですけど……」

ジュンサー(サトシ君達だわ……歳不相応に無茶なこと引き受けちゃって。こんなこと言うのは警官失格だけども、やるからには『ウルトラジャー』の心とやら、しっかり分かってあげてちょうだいね。それでメレメレ島の……何てことの無い日常を取り戻せるのなら)



ハラ「……島が……荒れている」

医者A「しまキング、外の様子が気になるとは思いますが、今は自分のお体を」

ハラ「わかっております。十分にわかっております……私はしまキング。守り神と共にこの島を守らねばなるまい……しかしこんな老い耄れよりも、荒れたこの島の未来を変える力がある若者など、島中にいくらでもおりましょうて」

医者A「またそんなことを……お孫さんがいらっしゃるとはいえ、まだそんなお歳ではないでしょうしまキング」
 ▼ 158 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/04 19:00:10 ID:f2XEJK2o [5/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
-------メレメレ島 北東部-------


カキ「それじゃあオレ達の持ち場はここなんで、頼んだぞ皆」

サトシ「カキ達も頑張れよ!」

カキ「フッ……お前達に比べればなんてことない仕事だ。失敗のしようがないさ」

マオ「よく言うよ。スイレンにつけたキズ一つにつき、牧場のモーモーミルク10リットルをタダで送ってよ」

カキ「ほいほい」



スイレン「……行っちゃったね。マオちゃん達」

カキ「さぁ、ここからは作戦通り行動するだけだ。ククイ博士からの指示は覚えてるな?」

スイレン「うん」

---------------------------------------------------

ククイ「カキとスイレンは、メレメレ島本島から離れずにできるだけ小島がよく見える位置で待ち構えてくれ」

スイレン「メレメレ島本島のギリギリ端っこってことだね」

カキ「サトシ達がウルトラジャーと戦いを始めれば、それに驚いて本島に突っ込んでくる海のポケモン達が多くなる。居住地のある本島の町までソイツらを入らせないようにするために迎え撃つのがオレ達の役目だな」

ルガルガン「わ゛うっ!!」

スイレン「違うよカキ。迎え撃つのじゃなくて、戦いに怯えてるポケモン達の心のケアをするのが私達の仕事。海のポケモン達、何も悪くない。だから教えてあげるの。ウルトラジャーとの戦いは、あなた達を守るための戦いだ、って」

アシマリ「おぅっ♪おぅっ♪」

ククイ「その通りだ。こんなこと言うのは教師失格だが、スイレンを守ると言ったカキの男根性、見せてもらおうじゃないか」

---------------------------------------------------

カキ「まったく……お前といいマオといい、今日のオレは振り回されっぱなしだった。最後くらい、オレらしくカッコいい活躍でキメて終わりたいモンだぜ」

スイレン「フフ、頑張ってねガードマン」

カキ「誰がガードマンじゃ。お前こそ自滅しないように自己管理を徹底するんだな」

スイレン「私が怪我をすれば、カキはタダでミルクをマオちゃんにあげなくちゃならなくなるね」ニヤッ

カキ「なぜ笑う。不安になるような事を言うな。……できるだけの事はやるけどな。お前みたいなヤツは放っておけんし」

スイレン「どういう意味?」

カキ「育ちのせいか自由奔放だわ、天然で何を考えてるかわからんわ、大人しいヤツだと思えば急にアクティブになってハチャメチャな行動を起こすわ、体は小さくて狙われやすそうだわ、子供っぽくて弱そうだわ……」

カキ「くっ……とにかく、お前を見てると守ってやりたくならざるを得ないってことだ!……わかったらオレの近くから離れるなよ」

スイレン「……うん」


アシマリ「おぉ……」

ルガルガン「(※画像の顔)」
 ▼ 159 バゴ@アップグレード 18/08/04 19:02:42 ID:rhjcSXo2 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
>>158
俺このカキに惚れるわ
 ▼ 160 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/04 20:04:57 ID:f2XEJK2o [6/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
-------カーラエ湾 上空-------


                      コ メ ェ ェ ェ ェ ェ ェ ェ ! !


マーマネ「ひぃ!!今のはウルトラジャーの声だ!」

マオ「随分と甲高い声で鳴くのね……意外と見た目はかわいかったりするのかな?」

サトシ/マーマネ「「バケモンだぞ」」

マオ「……だそうだよ。ヌカちゃん、怖かったらいつでもあたし達を頼って!あたし達の安全はルザミーネさん達が保証してくれるけど、ヌカちゃんについては呼び出したあたしに責任があるからね」

ヌカ「ありがとう!あたしも頑張るから……」

マオ「フフ…… あ、そうだマーマネ。あたし達のグループの役割、忘れてないよね?」

マーマネ「あたぼうよ」

デンヂムシ「むぃ」

---------------------------------------------------

ククイ「次にマオとマーマネ!お前達のポジションは小島の外周だ。今、ウルトラジャーを足止めしてくれている職員達の救護に回ってほしい」

マオ「うぅ……戦わないとはいえカキ達と違って、小島で活動する以上あたし達はウルトラジャーとの戦いの場所に居合わせることになるんだよね……ちょっと怖いな」

アママイコ「あっまい……」

マーマネ「ウルトラジャーとの戦いなら僕の考えた作戦と一緒にサトシとヌカちゃんに託した!後は二人がうまくやってくれることを祈るだけだね」

トゲデマル「までゅ?」

デンヂムシ「むし」

マオ「だからその作戦が何なのかいい加減教えてちょうだいよ」

---------------------------------------------------

マオ「……というわけで、バトルは全面的に任せるけど大丈夫だよね?」

サトシ「大丈夫さ!ヌカとトロピウスもついてるし敗けることはないって」

ガブリアス「お゛↓え゛↓お゛↓」

トロピウス「クルルルルル……!」


                      コ メ ェ ェ ェ ェ ェ ェ ェ ! !


ズ ォ ォ ォ ォ ォ ォ ォ … … ! !


ヌカ「スゴイ音!職員さん達とウルトラジャーの戦いがより激しくなってきたみたい」

マーマネ「いや……きっとウルトラジャーの怒りが増しただけだと思う。とにかく急ごう!早くしないと職員の人達の足止めから解放されたウルトラジャーが小島から離れちゃう!アイツが本島に来たりなんかしたら島中大パニックだよ!」

トゲデマル「までゅまでゅ!」
 ▼ 161 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/04 20:31:58 ID:f2XEJK2o [7/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
-------カーラエ湾・小島  職員vsウルトラジャー-------


目覚めた銀の怪物は、昼間のサトシ戦よりもさらに凶暴さを増して足止めする職員を蹴散らしてゆく。対するは麻酔もトラップも底をつき、尚も暴れ回るウルトラジャーに為す術のない職員達。全滅も時間の問題だ。


ウルトラジャー「コメェェェェェ!!」


               ズ ド ォ ォ ォ ォ ! !


職員B「グォアアアアア!!」

職員C「くそっ……バケモンかよ……」

職員D「バケモンだろ。エーテル財団は代表を中心にアイツをウルトラビーストだと言い張ってるが、オレはそうは思えない……アイツからは他のウルトラビーストにあった何かが感じられんのだ」

職員C「ウルトラオーラか?」

職員D「それもあるが……『意思』だよ。今までにもアローラでUBが暴れ回った事例がいくつかあるが、ソイツらはみんな何かしらの意思の下行動していたに過ぎなかった。あのウルトラジャーは違う……ただただ壊したくて、滅ぼしたくて暴れているようにしか見えんのだ」

職員C「チッ……行動する目的の中身がない馬鹿野郎ってところかよ」

職員E「でも考えてみろ。ただただ壊し、滅ぼす……それがアイツの意思だと、考えることはできないか?だとしたらアイツの目的は……」

職員D「……おいおい、怖い事言うなよ」

職員C「おい!来るぞ!」


ウルトラジャー「コメエエエエエエエ!!!」



-------カーラエ湾 小島 外周-------


                   ウ ワ ァ ァ ァ ァ ァ ァ … … … …


ヌカ「! ……職員さんの悲鳴まで聞こえてきた……」

マーマネ「さて、そろそろ僕達はここで降りなきゃ。この辺が僕達の担当だったからね」


マーマネ「サトシ、僕達はいつでも助けに行けるよう準備するから!サトシは自分の役割をしっかりとね」

サトシ「OK!  よしラストスパートだ!急ぐぞガブリアス!!」

ガブリアス「お゛↓え゛↑お゛↓え゛↑お゛↓」


マオ「大丈夫ヌカちゃん。いざとなったら、やるべきコトじゃなくて、やれるコトをね」

ヌカ「…………」

マオ「ヌカちゃん……いってらっしゃい!」

ヌカ「……いってきます!」
 ▼ 162 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/04 20:38:12 ID:f2XEJK2o [8/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
-------カーラエ湾・小島 中央-------


サトシ「やっと小島の中央まで来たな。……さて、やっとオレ達の出番だ」

ヌカ「ねぇ……まさかあれが……」


ウルトラジャー「 コ メ エ エ エ エ エ エ エ エ エ エ エ エ エ ! ! ! 」


サトシ「うん……ウルトラジャーだ。アイツにオレは一回敗けたんだ」

ヌカ「まだあたし達には気付いてないみたい。 ……マサラタウンのサトシが敗けたウルトラビースト……」

サトシ「怖い?」

ヌカ「ううん…… あっ!ウルトラジャーが!」


ウルトラジャー「 コ ォ ォ ォ ォ ォ … … 」


職員C「くっ……まだ動けるヤツはいるか? ………… ……ハハ、ここまでか……」


サトシ「間に合わない!ここから飛び降りる!ガブリアス、また後でな!」

ガブリアス「!?」

サトシ「……いくぞ!」バッ…

---------------------------------------------------

ククイ「最後になるが、小島の中心でウルトラジャーと真正面から戦いを挑むのは……お前だ。サトシ」

サトシ「任せてよ博士!ウルトラジャーには今度こそ敗けない。それに……ウルトラジャーの心も知りたい。アイツだってポケモンだ……多分。でもできることならウルトラジャーと仲良くなりたいよ」

ヌカ「…………」ゴクッ

トロピウス「カルルルルル」

ククイ「自信アリアリだな。サトシらしいが。……お前が持ってきたそのモンスターボールの中にいるポケモンは、余程頼りになるヤツらしい」

サトシ「『コイツ』は強いし、あと、優しいから……ウルトラジャーと戦えて、気持ちを理解してあげられるようになるにはベストのポケモンだと思うんだ」

ククイ「成程な。……だが何度も言うが無茶はするなよ?」

サトシ「わかってるよ。でももう無茶は馴れっ子なんだ!オレも……お前も、な?」

---------------------------------------------------


サトシ「ぉ ぉ ぉ お お  お  お゛   お゛    お゛    ! ! !   」


ウルトラジャー「!?」



サトシ「          ゴウカザル!!『マッハパンチ』!!          」
 ▼ 163 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/04 20:45:51 ID:f2XEJK2o [9/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ゴウカザル「 キ ィ イ゛ ィ イ ィ ア ア゛ ア ア ア゛ ア ア゛ ! ! ! 」


                     ズ

                       ッ

                     ・
                     ・
                     ・

                    ! !


頭上から突然、響き渡る雄叫び、燃え上がる炎。それに気付いたウルトラジャーが見上げた時には既に、固く、小さく握られた拳が眼の前の数mm先まで近づいていた。

驚く間もなく直撃する、炎を纏った拳に叩きつけられたウルトラジャーは、食らったパンチ以上の速度で地面に撃ち落とされた。


サトシ「よし、ナイスだぜゴウカザル!」スタッ

ゴウカザル「キィィ!!」


飛び降りざまにサトシが開いたモンスターボールから現れたのは

---------------------------ゴウカザル。シンオウ地方の旅で出会った炎タイプのポケモン。自分の身に秘められたある力をシンジに見込まれ、トレーナーのポケモンとしての道を歩み始める。二人目のトレーナーとなるサトシとの冒険の途中でついにその力を開花させることに成功した。

表裏一体の関係にあり、目指すものは同じでも違う道を歩いていた二人のトレーナーの世界を見てきたゴウカザル。サトシは、彼ならばウルトラジャーを受け入れる心をもっており、戦いの中でウルトラジャーの本心を少しでも聞き出すことができると考えたのだ。

暴れたり、壊したり……ウルトラジャーの行動は誰から見ても「悪」そのものだが、サトシは密かに信じているのだ。これも彼なりのやり方に過ぎない。ウルトラジャーもきっと、求めているものは自分達と同じなんだ……と。


職員C「おぉ!サトシ君!やっと来てくれたか!」

職員D「強そうなゴウカザルだ……アイツならあのバケモノも倒せるんじゃないか……?」


ウルトラジャー「コメェェェェ……」


サトシ「ゴウカザル。アイツはさ、こんなに暴れてるけど……放っておけばアローラの人やポケモン達に迷惑もかけると思うけど……本心は、やっぱりオレ達と仲良くなりたいんじゃないのかなって思ってる」

ゴウカザル「キキィィ」

サトシ「わからないよ!ククイ博士の言う通り、アイツは『わからないことだらけ』なんだ……でもさ、そう思いたい。ウルトラビーストもポケモンなんだ。……オレはアイツとも仲良くなりたい!だからアイツも同じだって思いたいんだ。お前ならわかってくれるか?」

ゴウカザル「…………」コクリ

サトシ「そっか。ありがとう……お前を選んで正解だった」


ウルトラジャー「 コ メ エ エ エ エ エ エ エ エ エ エ ! ! ! 」


サトシ「……いくぞ!!」
 ▼ 164 ラスル@つきのふえ 18/08/04 21:36:03 ID:1rHsRLlw [2/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
超絶支援
カキ男らしいな サトシもヌカもがんばれ!
 ▼ 165 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/05 15:57:16 ID:/lTIsJNE [1/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サトシ「『かえんほうしゃ』!!」


ゴウカザル「 キ エ ァ ア ア ア ア ア ァ ア ア ア ァ ! ! ! 」


焼け跡だらけの大地を踏みしめ、ゴウカザルは雄叫びをあげた口から炎を噴き出す。炎はウルトラジャーを包み込むも、即座に払いのけられる。

これまで戦ってきた相手との格の違いを感じたウルトラジャーは、接近戦に持ち込むべく風をも切るスピードでゴウカザルに迫る。


ウルトラジャー「コメェエェエェエ……」ドドドドドド


サトシ「うぉ速ぇ!ゴウカザル、ここは応戦しろ!仕掛けられた勝負をゼンリョクで受けるんだ!」

ゴウカザル「キェェェェェェ!!」


                      ズ ァ ッ … … ! !


接近戦のお約束。拳と拳のぶつかり合いと、両者を中心にフィールドに広がる衝突の余波。そして互いの必死めいた表情。二体の実力が拮抗していることを意味している。


ゴウカザル「ゴォ……!!」

ウルトラジャー「コメエエエエッ!!」シュッ

ゴウカザル「!」


ウルトラジャーはすかさず二度目のパンチをゴウカザルに繰り出す。ゴウカザルは受け流し、返しの蹴りでウルトラジャーの胴を狙うも躱される。パンチと蹴り、蹴りとパンチの応酬が続く。互いに余力を残しているのか、相手の攻撃を悉く避けては絶好の機会を伺っている。

そんな時こそトレーナー・サトシの出番。サトシは埒の開かないこの状況を打破しようと考えていた。


サトシ「ゴウカザル!『あなをほる』だ!」

ゴウカザル「キアアアアッ!!」ババッ


サトシの指示を受けたゴウカザルは最後に一発だけ囮のジャブをウルトラジャーに突きつけると、避けた隙を突いてバック宙で距離を取った。拳の届かなくなったウルトラジャーは遠距離攻撃を試みるも、次の瞬間、ゴウカザルはフィールドから姿を消した。

ウルトラジャーは、ゴウカザルのいた場所には彼が一匹で入れる程の穴が空いていたことからゴウカザルが地面に潜ったことにすぐに気付いたが、地面の中の動きなど見えるはずもなく、足元から現れた腕が繰り出すアッパーがウルトラジャーに直撃した。


ゴウカザル「ガァァァァッ!!」

ウルトラジャー「コメエエエエエエ!?」


ズ シ ャ ア ア ア ア ァ ァ … …


サトシ「よっしゃ!!」


職員C「おぉ!サトシ君達が押してるぞ!」

職員D「いや待て。まだ麻酔の余韻が残ってる可能性もある……完全に効き目が消えても、戦況はこのまま変わらずにいるかどうか……」
 ▼ 166 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/05 16:03:09 ID:/lTIsJNE [2/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ゴウカザル「キェェェェェ!!」ズドォォォォ

ウルトラジャー「コメェェ……ェェ!!」


サトシ「いける……でも肝心なのはこのバトルでウルトラジャーと和解できるかどうかだけど……初めっからそれができることを信じて戦ってんだ!ゴウカザル、『マッハパンチ』!」

ゴウカザル「キエエエエエエ!!」


ウルトラジャー「コメェェェェ……」フシュー


ゴウカザル「!!」ピタッ

サトシ「あれは……」


悪魔のように尖った牙が覗くウルトラジャーの口の隙間から、白い靄のようなものが立ち始めた。

水蒸気だ。ウルトラジャーは怪物の姿でも炊飯器としての力を失っていなかったのだ。水蒸気はウルトラジャーの全身を包み込むと、ゴウカザルも飲み込もうとこちらに迫って来る。


サトシ「逃げろゴウカザル!その中で技を出したら爆発するんだ!早く!」

ゴウカザル「ゴォォ……!」バッ


ウルトラジャー「コメエエエエエエ……」


サトシ「くそっ、ダメだ……」


ウルトラジャーの噴き出した蒸気はたちまち小島の中央部を覆いつくし、霧の立ちこめる山道のようにサトシ達の視界はほぼ白に染まってしまった。

サトシとゴウカザルの姿は互いの眼に入っていたが、二人ともウルトラジャーを見失ってしまった。四方八方を警戒するサトシ達。ウルトラジャーが攻撃を仕掛ける方向を見極める。


ゴウカザル「…………」キョロキョロ

サトシ「気をつけろゴウカザル。姿が見えないなら音だ!」


                 コ メ ェ ェ ェ ェ ェ


サトシ「あ、あれ?今の声はどこから聞こえたんだ?」


霧の中から聞こえる甲高いウルトラジャーの声。その声はあまりにもよく響くのか、音の出所を隠すようにフィールド全体を山びこのように駆け巡る。


ゴウカザル「ギィ……!」

サトシ「慌てるな!ウルトラジャーは常にお前を狙ってるんだ。お前には反射神経もあるし、出てきたところを仕留めることだってできるハズだ!」

サトシ「そしてお前だ!ウルトラジャー!どこにいるかわからないけど、ゴウカザルはどこから出てこようが必ずお前の攻撃を躱してみせるぞ!狙いを定めてるなら今すぐ出て来い!」
 ▼ 167 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/05 16:05:36 ID:/lTIsJNE [3/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ウルトラジャー「コメエエエエエエ!!」バッ

サトシ「でも狙われてるのが……」

シュバッ!!

ウルトラジャー「!?」スカッ

サトシ「ゴウカザルだけじゃないことぐらいわかってるぜ!!」


霧をかき分け、サトシの背後から現れたウルトラジャー。サトシは自分が狙われていることを想定していたのか、得意のバック宙でウルトラジャーの突撃を回避する。

ウルトラジャー・チルドレンのノクタスがリーリエを狙ったように、手段を選ばない者達にとってはトレーナーこそが相手のポケモンの最大の弱点である。しかし、ポケモンも一目おく身体能力をもつサトシがトレーナーである故、ゴウカザルの弱点は少なくともトレーナーではないのだ。


サトシ「今だ!ゴウカザル、『かえんほうしゃ』!!」

ゴウカザル「ゴォ…… キ ャ ア ア ア ア ア ア ア ア ! ! ! 」


サトシを討ち取り損ねたウルトラジャーを横殴りの紅い炎が襲い掛かる。ウルトラジャーに纏わりつく炎を頼りにその姿を捉えると、ゴウカザルは再び接近戦を持ちかける。


ウルトラジャー「コ メェェェェ……!!」


サトシ「『マッハパンチ』!相手が躱した方向にもう一度『マッハパンチ』だ!」

ゴウカザル「ゴォォォ!!」



              ビュッ……!!             ガシッ!
                             ズダダダダ……
                    ヴォォォ!!
         ギュアアア!              ズンッ!!
             ゴォォォッ!!                  タタタタタタ……
                         ズシャッ!!              ゴォォォン!!
                     ギリギリギリギリ……
                 ズヴァッ!!               バシュウ……!!

                            コ メ エ エ エ エ エ エ エ エ ! ! !



ウルトラジャー「コメエエ……」ヨロヨロ


サトシ「スキ有りだ!『マッハパンチ』!!」

ゴウカザル「 ガ ァ ア ア ァ ア ア ! ! 」


職員C「すげぇな……ルザミーネ代表はとんでもない人材を見つけたらしい」

職員D「サトシ君もいいが……ほら、あそこ。ウルトラジャーはまだ気付いていないようだが、奥の茂みの中でトロピウスと一緒にこの状況を眺めてるのは一体誰なんだ?」

職員C「知らないのか?あの子はウルトラガーディアンズが協力を依頼した一般島民だよ。……にしても、あんな所にいちゃ危なくないか?」

職員C「わからない……まさかと思うが、あの子達も戦うってワケじゃないよな……?」
 ▼ 168 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/05 16:08:25 ID:/lTIsJNE [4/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ガサガサ……

ヌカ「見える?トロピウス。……あれがマサラタウンのサトシと、ゴウカザルの強さ……何かちょっと懐かしい気分だね」

トロピウス「トロロロロロ……」

ヌカ「……ねぇトロピウス。あたしさ、この戦いで重要な仕事が控えてるけど……今もちょっと緊張してる」

ヌカ「あぁいや!もう不安とかそういうのはないの!マオちゃん達にも励ましてもらったし……あたしが今気になってるのは、あのウルトラジャーの心」


ゴウカザル「 キ ャ ア ア ア ア ア ア ア ォ ! ! 」

ウルトラジャー「 コ メ エ エ エ エ エ エ エ ! ! 」


ヌカ「彼がどんな生き物なのか、何をしたくてこのメレメレ島に来たのか……今も、どんな気持ちで戦っているんだろうか、ってさ、色々考えちゃう。トロピウス、あなたにはわかる?ウルトラジャーが……ううん、『あの子』が今、何を思ってるのかを」

トロピウス「コロロロロロロロ……」

ヌカ「ん?どうしたの?あの二匹がどうかした?」

トロピウス「クルルルルル……」

ヌカ「この戦い、何か思うところがないかって?うーん……」



サトシ「ゴウカザル、『かえんほうしゃ』!! それを躱された方向に『マッハパンチ』!!」

ゴウカザル「ゴォォォォ……! キ ャ ア ア ア ア アア ア ! ! ! 」


ウルトラジャー「コメェェッ!」シュバッ


サトシ「今だ!やれぇぇっ!!」

ゴウカザル「ガァァァァァア!!!」


                 ガ シ ィ ィ ィ ィ … … ! ! 


ゴウカザル「……っ!」ギリギリ

ウルトラジャー「コメ……ェ」ギリギリ

サトシ「受け止めたか……随分と体力のあるヤツだな」



ヌカ「言われてみれば、一見二匹は互角に……ううん、ゴウカザルが少し有利な戦況だと思うけど、ウルトラジャーの方はまだ一度も技らしい技を使ってないような……あれ?」

ヌカ「一度も……技を……?」


ヌカは自分の背筋が凍りついたのを感じたと同時に、追い詰められているとは知らずに戦いを続けるサトシ達に呼びかけようとするが、二人までの距離と戦いの激しさの中ではそれも叶わない。

トロピウスは加勢しようとしているのか、前足の先を茂みの外へ出して飛び立つ準備をするが、戦いの放つ気迫に圧倒され、動くに動けない。
 ▼ 169 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/05 16:16:13 ID:/lTIsJNE [5/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ヌカ「どうしよう……下手に刺激すれば今度はあたし達が狙われる……あたしとトロピウスじゃ、真正面からやり合ってウルトラジャーに敵うわけがないし……やっぱりゴウカザルがまだ戦えるウチに合流しようか……?トロピウス、行ける?」

トロピウス「トロロロロロ……!」

ヌカ「……よし!行こ

バチチチッ!

ヌカ「ひゃんっ!? な、何!?」


デンヂムシ「むしぃ」ババーン


ヌカ「あなたは……そうだ!マーマネ君からあなたのことを預かってたんだ!マーマネ君が言うに、あなたは彼の考えた作戦の要だって!名前は確か、えっと……デン『ジ』ムシ?」

デンヂムシ「(`´)」バチバチバチ

ヌカ「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛し゛ひ゛れ゛ら゛あ゛か゛か゛か゛! ! ! 」

ヌカ「……い、一文字間違っただけで怒らないで。一文字でコレなら全外ししてたらどうするつもりだったの……」ビリビリ


トロピウス「グルルルルル……」ギロッ

デンヂムシ「(`´)」フーンダ



                      ズ ド オ オ オ オ オ オ オ オ オ … … ! !



ヌカ「!? な、何!?」



サトシ「ハァ……ハァ……よ、よし……」


ゴウカザル「……っ!」メリメリメリ

ウルトラジャー「」


鳴り響いた音の正体はゴウカザルの重い一撃だった。

ゴウカザルの拳がウルトラジャーの顔面に食い込んでいく。パンチの余波はウルトラジャーの体全体をも大きく持ち上げると、ゴウカザルが拳を下に反らすのと同時に、ウルトラジャーをカーラエ湾の海へと吹き飛ばす。


ド ボ ォ ォ ォ ォ ォ … … ン ! !


職員C「(  Д ) ゚ ゚」

職員D「な、何て力……今のがゴウカザルの本気……?」


ウルトラジャーが吹き飛んでいった方向は小島の東側の海。メレメレ島本島への方角とは真逆の場所で、小島の東端には職員達は一人もいない。

ゴウカザルの一撃は、まだまだ続くであろう戦いに誰一人、誰一匹として巻き込むことのないようにするためのサトシの作戦だった。
 ▼ 170 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/05 16:23:07 ID:/lTIsJNE [6/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サトシ達がウルトラジャーとの戦いを繰り広げている頃、ニャースも、形は違えど「わからないことだらけ」の存在に立ち向かっていた。


ニャース「おえぇ……揺れにも大分慣れてきた気がしたと思えばまたさらに激しく揺れてきたのニャ。おミャーの体はそんなに暴れて何をしているのニャ?」

???「ーーーーーーーーーーー」

ニャース「成程、強い敵と戦っているのかニャ。道理で物凄い揺れのハズニャ。……じゃそろそろ、おミャーの事について教えてほしいのニャ」

???「!?」

ニャース「ここがおミャーの心の中だという事、今ニャーの眼の前にいるおミャーは今のおミャーではないという事……あと、たった今ムサシとコジロウの行方も教えてもらったのニャ。他に聞きたいことと言えばおミャー自身の事と、この中から出る方法くらいニャ」

???「ーーーーーーーーー……」

ニャース「質問が多すぎる?何を言うかニャ!おミャーはここまでちゃんと正直に話してくれたニャ。ニャーも『わからないことだらけ』から少しずつ解放されようとしてるのニャ。もう少し、もう少し辛抱してくれるだけでいいからニャ……」

ニャース「そうすればきっとおミャーの気分が、少しでも軽くなるからニャ」

???「ーーーーーーーーー……?」

ニャース「ニャーを舐めてもらっては困るニャ。こう見えてもニャーは数々のポケモンの相談に乗っては悩みを解決してきた。ニャーはカウンセラーとしての実績があるのニャ」

ニャース「おミャーを見ていると、一見洗いざらい話しているように見えるけど、心の奥底に大きな闇を隠しているようにも見えるニャ。……さぁそれを言うのニャ!その闇をニャーにブチまけるくらいの事をしニャいと、おミャーの身が持たないのニャ」

ニャース「心配しなくても、ここにはニャーしかいないのニャ。おミャーの事、秘密にしたければニャーは秘密を守るのニャ。さぁ……言うのニャ。おミャーの正体を」

???「…………」


                     ズ  オ  ォ  ォ  ッ  !  !


ニャース「!? ……何という重い闇……でも負けないのニャ!ニャーは確かに『心』は読めない!でも読もうとすることはできるのニャ!おミャーの言葉から、感情から!どんな手を使ってでもおミャーの事を聞いてみせるのニャ!!」


???「…………………………………………」


                          コ


                            メ

                         ェ

                          ェ

                           ェ

                          ェ

                           ェ

                          ェ

                          ・
                          ・
                          ・

                        !   ! 
 ▼ 171 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/05 16:24:29 ID:/lTIsJNE [7/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
次のおはなし



第10話(全13話)「ゼンリョクの無茶」
 ▼ 172 ガドーン@リザードナイトY 18/08/06 22:45:52 ID:A92UWeTA NGネーム登録 NGID登録 報告
ウルトラジャー気になるな
支援
 ▼ 173 ッシー@ツメのカセキ 18/08/07 23:29:24 ID:I20IY.4k NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 174 ンダー@キトサン 18/08/10 19:31:30 ID:y7TUfFEY NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 超 絶 支 援 器

俺はウルトラサポーターになっちまったよ
 ▼ 175 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/11 22:08:09 ID:sUXwAzao [1/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
カーラエ湾中央の小島にて最後の戦いに挑むサトシ達。同じ頃、ハウオリシティにてもう一つの戦いが繰り広げられていた。

「ウルトラジャー・チルドレン」が現れたのだ。今朝の事件の屋根に穴の空いた民家から発見され、警官達によって交番に持ち帰られていた銀色の物体……つまり「ウルトラジャー・チルドレン」の卵が孵ってしまったのだ。

メレメレ島各地の警備のためにメレメレにいる警官達はほぼ出払っており、交番周辺の守りは甘く、残された警官達は現れた「ウルトラジャー・チルドレン」に苦戦を強いられた。

……が、苦戦する警官達の眼の前に港の方角から突然現れた少年により、今は状況が一変していた。


グラジオ「ブラッキー、『あくのはどう』! ルガルガン、『ストーンエッジ』!!」


ルガルガン「ヴァルルルルルルァ!!」ズドドド

ブラッキー「きぃ……」ボシュ

デスカーン「ガガガガ……」フラフラ


警官E「な、何という強さ……いつぞやに、謎のルガルガン使いとして噂になっていただけのことはある」

警官F「あのデスカーンのような姿をした怪物を一方的に……やっぱりあの少年はタダモノではありませんよ」


デスカーン「グググ……シャアアアアアア!!」


グラジオ「くるぞ、ルガルガン」

ルガルガン「ヴルッ」

グラジオ「蒼き月の『Z』を浴びし岩塊が今……滅びゆく世界を封印する」



                ワ   ー   ル   ズ   エ   ン   ド


                            フ
                             ォ

                            オ

                             オ

                            オ

                            ォ
                             ォ
                            ォ
                           ォ
                            ォ
                             ォ


                            ル


                          ! ! ! 
 ▼ 176 アームド@メガストーン 18/08/11 22:10:56 ID:wmBIxREA NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
グラジオきたあああ!!
 ▼ 177 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/11 22:13:43 ID:sUXwAzao [2/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
パラパラパラパラ……

グラジオ「……フゥ」


警官F「ムチャクチャや……」

警官E「……はっ、そうだ。き、君!協力してくれてありがとう。よかったら名前を教えてくれないか?後日感謝状を贈りたいから……」

グラジオ「急いでる」

警官F「え……あ、あの!今は住民全員が外出禁止になってるの!助けてくれた子にこんなこと言うのもなんだけど、今は外を歩いてると危ないから早く家に帰ったほうがいいと思うんだ!」

グラジオ「家に帰るつもりだ」

警官F「そ、そう……」

警官E「なら、私達が家まで送ってあげよう。家はどこにあるのかね」

グラジオ「……ブラッキー、『あやしいひかり』」

ブラッキー「ぶぅ」ミョミョミョミョ


警官E「☆パッパラ☆ピッピリ☆プップル☆ペッペレ☆」

警官F「☆は☆ら☆ぺ☆こ☆だぁ〜☆」

グラジオ「……行くぞ、ポケモンセンターに。リーリエが待ってる」

ルガルガン「がんっ」


グラジオ「今の化け物は……母さんが、リーリエが一人で戦ったとか言ってたのと似たようなヤツか。メレメレ島は今、妙な奴らの好き勝手に悩まされているらしい」

グラジオ「メレメレに居座ってるとかいう化け物の正体は分からんが、財団の連中の推測だと『ウルトラビースト』……正直ヤツらとはもう関わりたくないと思っていたが……母さんの頼みだ。今は辛抱しなければな」


リーリエの身に起こった事についてルザミーネから知らされ、島巡りの旅を一時中断し、メレメレ島へやって来たグラジオ。ポケモンセンターへ向かう彼の表情は、少し苛立っていた。


グラジオ「……チッ」

ルガルガン「がるがん……?」

グラジオ「オレは島巡りを邪魔されたことに怒ってるんじゃない。リーリエの脆さを恨むほど出来損ないじゃないさ。……オレが怒ってるのは別の理由だ。その理由を考えれば、むしろ島巡りの旅をやめてやりたいぐらいだ」

グラジオ「今回呼び出された事を期に、本当に旅をやめるのも一考だな。今となってはリーリエの傍にいてやった方がアイツの為にも、オレの為にもなるだろうさ」

グラジオ「そしてオレをこんな気分にさせた……あのバカの為にもな」

ブラッキー「ぶ、ぶぅ……」オロオロ

グラジオ「済まない、気持ちを切り替えていこう。……急な事だったからリーリエに何も用意してこなかったな。ポケモンセンターに着いたら、新しいぬいぐるみでも買っていくか」

ブラッキー「…………」

グラジオ「これ以上あのバカの影響を受ければリーリエは……」
 ▼ 178 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/11 22:23:27 ID:sUXwAzao [3/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
-------カーラエ湾 小島  サトシVSウルトラジャー-------


サトシ「ウルトラジャーが落ちたのはこの辺だ。いつでも迎え討てる準備をしないとな」

ゴウカザル「ウキィ」


ゴウカザルの一撃により海へ落ちたウルトラジャーを追って小島の東端へ駆けつけたサトシ達は、水面から現れて逆襲に燃えているであろうウルトラジャーを迎え撃つべく待ち構えている。


ピピピピピピ……


サトシ「! リーリエのママからの通信だ」

ルザミーネ『あっよかった……ちゃんと繋がったわね』

サトシ「どうしたんですか?まだバトルの途中なんだけど」

ルザミーネ『やられたわ……ウルトラジャーの体に貼り着いていたサトシ君のGPS発信機がたった今破損して、こちらからウルトラジャーの生体反応を捉えることができなくなったのよ』

サトシ「あー……とうとう壊れちゃったか。むしろ今までよく持ってましたね」

ルザミーネ『滅多な事では壊れない素材でできてるからね。……気を付けて。その発信機が壊れたということは、それだけウルトラジャーが危険なエネルギーを蓄えているということかもしれないのだから』

ルザミーネ『後、ウルトラジャーとの戦いの最中は私との通信をつけっぱにしといてちょうだい。発信機のない貴方が他の隊員達からも職員達からも離れた場所に来てしまった以上、こちらで貴方の安全を確認する術がそれしかないのだから』

サトシ「えぇーっ!?」

ルザミーネ『えぇーっ!?じゃない!ウルトラガーディアンズは安全第一を掲げる『チーム』なの!無理に単独行動をすればどんな危険な目に遭うのかわからないわ。いや、遭う!貴方の場合はね!今の貴方の眼の前に一番の危険があるのだから!』



             ザ  バ  ア  ア  ア  ア  ア  ア ッ  !  !  ! 



サトシ「な、何だ!?」


サトシの眼の前で、轟音と共に大きな水しぶきが上がる。……いや、水しぶきではなく、強いエネルギーで超高温化した海面から異常な濃度の湯気が上がったのだ。海に沈んだウルトラジャーの仕業だ。


サトシ「海から湯気が立ってる……」

ルザミーネ『そらみなさい!すぐに職員達のところに戻って!これ以上単独行動に拘るなら謹慎処分も止む無しだからね!?』


サトシ「……単独って、一人のことですよね。オレは今、一人で戦ってるとは思ってません……だよな?」

ゴウカザル「キィィィ!」

サトシ「ウルトラガーディアンズのモットーは『安全第一』!オレにはポケモンがついてます!オレにとって、信頼できるポケモンと一緒にいることが一番の安全ですから!」

ルザミーネ『……ハァ、わかったわよもぅ。そこまで言うなら職員達の救護をしてるマオちゃんかマーマネ君をそっちに向かわせるから、 それまで絶対……敗けるんじゃないわよ?』

サトシ「ウルトラジャー!」
 ▼ 179 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/11 22:32:27 ID:sUXwAzao [4/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ウルトラジャー「コメエエエエエエッ!!」ザバァ


サトシ「出てきたか……ここまでのバトルで随分体が熱くなってきたみたいじゃないか。んじゃ、続きといこうぜ!」

ゴウカザル「キァアアア!」


ヌカ「ゼェゼェ……やっとマサラタウンのサトシに追いついた……」コソコソ

トロピウス「クルルルルル……」

ヌカ「わかってる。今あたし達が出てきてもマサラタウンのサトシの足を引っ張るだけだからまだこのまま離れてみてよう」ヒソヒソ

ヌカ「それよりも……海面からあんな量の湯気を立たせるなんて、ウルトラジャーの身に一体何が起こってるの?」

トロピウス「カラララララ……?」

ヌカ「ウルトラジャーの体が極端に高温化してる……ウルトラジャーは炊飯器……まさか……『空焚き』!?」


空焚き(からだき、からたき)とは、鍋や釜などの容器に液体(水など)を入れずに火にかけられている状態、もしくは加熱されている状態を言う。 (Wikipedia参照)

家庭の炊飯器でも電源の切り忘れなどが原因で火災などを引き起こす可能性のある現象である。ヌカの言う通り、『空焚き』がウルトラジャーの体内でも起こっていたのだ。


ヌカ「そういえばさっきもウルトラジャーは湯気を噴き出して霧のフィールドを作ってた……あの時体中の水分を逃がしてたんだ!その後カラカラになった体の温度を戦いの中でドンドン上げて……でも一体何のために?」


ウルトラジャー「 ズ ビ ビ ビ ビ ビ ビ ビ ビ ビ … … 」


ゴウカザル「!?」

サトシ「えっ!?何やってんだアイツ!?物凄い勢いで海から出た湯気を吸い込みはじめたぞ!?」


ヌカ「超高温化した体に水蒸気を取り込んだ……待って、確か空焚きして加熱された炊飯器に水を入れたら……マサラタウンのサトシが危ない!!」



ウルトラジャー「 コ メ エ エ エ エ エ エ エ エ エ エ エ エ エ エエ  ! ! ! 」




                       ド

                           パ

                        ア
                         ァ
                     ァ
                           ァ
                        ア
                         ァ
                            ア
                         ア
                       ア
                            ァ
                        ァ
 ▼ 180 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/11 22:35:49 ID:sUXwAzao [5/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

                        ァ

                         ア
                       
                       ア

                         ア

                        ア

                          ア

                        ・
                        ・
                        ・
                        ・
                        ・
                        ・


                     !  !  ! 


その爆発は、例えるなら水の噴火か。噴き出すものは、例えるなら灼熱の雨か。

ウルトラジャーから発生した高熱を帯びた蒸気の波が小島全体を飲み込んでいく。白い熱風がサトシ達はおろか、小島にいる人やポケモン達全てを襲う。


ビ シ ャ ア ア ア ア ア ア … … ! !


メタング「……!」

トゲデマル「までゅ!までゅ!」

マーマネ「あ゛づぁあ゛づぁ!!何が起こったんだ!?空から熱湯が降ってきたぞ!? デンヂムシは……サトシ達は無事なんだろうね……!?」



ビ シ ャ ア ア ア ア ア ア … … ! !


マオ「あ゛っ゛……!!」

アママイコ「あつい!あつい!」

フライゴン「ふぉぉぉ……?」

マオ「ううん、大丈夫。サトシ達の戦いが結構激しくなってるみたい……ヌカちゃんは大丈夫かな……」

職員F「小島の周辺にはもう殆ど野生のポケモンが残っていません……今の爆発で本島へ逃げ込んでパニックになっていないといいのですが」

マオ「大丈夫!本島にはカキ達がいます」



ウルトラジャーが放った技の名は『スチームバースト』。幻のポケモンしか使うことのできないハズの水タイプの大技で、放たれたが最後、高熱の蒸気に覆われたフィールド一帯は地獄と化す。

すべてはこの一撃のために……そう言われても差し支えないほどに、その蒸気の爆発は凄まじいものだった。
 ▼ 181 ワガノン@ゴーストジュエル 18/08/11 22:53:55 ID:H1lML0D2 NGネーム登録 NGID登録 報告
やっぱりウルトラな炊飯器だな
支援
 ▼ 182 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/12 21:04:51 ID:I5rYeFM6 [1/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ウルトラジャー「ゼェ……ゼェ……」


さすがに力を消費したのか、疲れで息が上がるウルトラジャー。しかしもう戦う必要は無いだろう。恐るべき威力をもった大技を真正面から受け立っていられる者など、誰一人いないのだから。


ゴウカザル「」

サトシ「ハァ……ハァ……ゴ、ゴウ……


一番近くで技を受けたサトシとゴウカザル。期待を背負って立ち向かった二人は体力の限界を迎え、ついに倒れた。あまりにも呆気ない決着を眼の前に、残されたヌカ達は絶望……しなかった。


ヌカ「ぎっ……!! あ、あづ……っ! トロピウス……大丈夫?」

トロピウス「クルルルルル……」

ヌカ「あたしは大丈夫。でもマサラタウンのサトシみたいに真正面の位置から受けてたら終わってたね……さて」

ヌカ「さっきの技の威力は想定外だったけど……マサラタウンのサトシの作戦はまだ崩れてない。今度はあたし達の番だよ、トロピウス」


ヌカ「『にほんばれ』!」

トロピウス「カァアァアァアァ……」


ウルトラジャー「!?」


夜空からの恵み……月の明かりを塗りつぶすほどの日差しが、戦いの場に降り注ぐ。あまりの眩しさにウルトラジャーは一瞬目を瞑るも、再び眼を開いて光源を確かめる。

日差しのような光を、太陽はおろか月よりも遥かに小さい物体が振り撒いていることはウルトラジャーにも理解できた。しかし、その光がトロピウスを強くしている事まで理解するのには少々時間が必要だった。


ヌカ「サンパワー『エアスラッシュ』!!」

トロピウス「クルォォォォォォォ!!」


                   ズ ブ ッ … … ! !


ウルトラジャー「コメェェェ……ッ!?」


空気の刃による攻撃を食らい、やっとトロピウスとヌカの存在に気付いたウルトラジャー。彼らも自分にとって都合の良くない邪魔者と判断するや否や、真っ赤な眼をギラつかせながら大地を蹴り、トロピウスに飛びかかる。


ヌカ「かわして!」

トロピウス「グルゥ!」バサッ


ヌカを背に乗せたまま飛び立ち、足元を狙ったウルトラジャーの突進を躱すトロピウス。

攻撃を避けられたウルトラジャーは上を見上げると、自身も飛び立ち、空中のトロピウスを捕らえんとする。


ヌカ「相手の奥の手をこの眼で見ることはできた……だからこそ勝たなきゃ。マサラタウンのサトシの頑張りを無駄にしないようにしないと……」
 ▼ 183 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/12 21:17:23 ID:I5rYeFM6 [2/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ヌカ「来たよ!逃げて!……逃げまくって、ウルトラジャーの体力を削るの!」

トロピウス「カラララララララ……!!」

ヌカ「マサラタウンのサトシはまだ敗けてない……!『その時』まで、あたし達が踏ん張れる限りは……!」

------------------------------------------------

ヌカ「ウルトラジャーの心……読み取れることができるかな」

サトシ「心配するなってマオも言ってただろ? ……よし!どうしても心配ならオレのバトルを手伝ってくれよ!ヌカが自分で精一杯向き合ったらウルトラジャーは心を開いてくれるかもしれないよ」

ヌカ「えっ!?あたしも一緒に戦うの……?マサラタウンのサトシのサポートなんて、あたし達ができるわけ……」

サトシ「何言ってんだよ!ヌカもトロピウスも強いじゃん!……ゴウカザルの強さはよく知ってるけど、オレが思うにウルトラジャーはもっと強い。変身して怪物の姿になった途端、ピカチュウ達があっけなくやられちゃったんだ。そんな奴、とてもじゃないけどオレ達だけじゃ勝てない」

サトシ「ゴウカザルは本気を出す為に少しだけ隙を作らないといけないんだ……その隙を埋める為に手伝ってほしいんだ!トロピウスの粘り強さなら少しくらい何とかなるでしょ?」

トロピウス「クルルルルルル!」ジシンアリ

ヌカ「……どうしてそこまであたしを信用するの?マサラタウンのサトシ」

サトシ「だって、お前はバトルが好きなんだろ?昨日のバトルも……バトルしてる時のヌカ、トロピウスと一緒にすごく楽しそうだった」

ヌカ「それは……まぁ」

サトシ「だったらこの際、大好きなバトルで目立ってみようよ!遠慮なんかせずに思いっきりやってみようよ!バトル!」

サトシ「ウルトラビーストとバトルできることなんて滅多にないよ。折角バトルの特訓頑張ってるのにこのチャンスを逃したら勿体ないよ!」

ヌカ「チャンスって言われても……マサラタウンのサトシでも敵わない相手にあたしなんかが……

サトシ「こんなところでまた遠慮なんかしたら……シンジに笑われるぞ」

ヌカ「……っ!?」

------------------------------------------------

ヌカ(あの台詞を言った時のマサラタウンのサトシの表情、声……一瞬少しだけ怖くて、冷たい気がした……でもどこか内に秘めた熱いものが見て取れた気がする。彼とトバリシティのシンジとの間には、あたしの思ってる以上の事があったんだろうな)

ヌカ(いや、そんな事よりも今わかってることは……マサラタウンのサトシが、あたしを信用してくれてるって事だ!)

ヌカ(昨日のバトルの時からマサラタウンのサトシは全部お見通しだったってことなのかな……うん。そうだろうね。炊飯器の心を読むことも大事だけど……あたしはバトルが大好きだ)


ヌカ「今は全部忘れて、やるべき事と……やりたい事だけ考えよう……見ててください。マサラタウンのサトシ」


サトシ「……」


ヌカ「いくよトロピウス!あたし達のやりたかったバトル、心置きなくやるよ!」

トロピウス「グルルル!」
 ▼ 184 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/12 21:26:23 ID:I5rYeFM6 [3/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
              ヴォオオオオン!!                ヴァアアアン!!
                            ビュッ……!!

     グァァァァァ……!              スカッ……!


        ズオォオォオォオ……!! 
                       ギュィィィィイィ!!



ウルトラジャー「コメエエエエエエ!!     コメエエエエエエエ!!」


トロピウス「クルルル……ルル!」コォォォォ

ヌカ「頑張って!もう少し……もう少しだけ耐えて!」


逃げるヌカ達に攪乱されながらも狂気混じりの表情で追い回すウルトラジャー。体力が続く限り攻撃をひたすらに避けるトロピウス。捕まれば最後、サトシに任された役割を果たせることなく敗北するだろう。しかしヌカは敗けた時の事は考えなかった。

---------------------------------------------------------

マオ「じゃあこうしよう!いっそのこと、誰かの期待を背負ってるとかそういう無駄なことは全部取っ払っちゃえばいいんだ。いくら他人が期待してくれてたって、それが自分の心にへばりついて頑張りに支し障るくらいなら忘れちゃえばいいんだ」

マオ「……今のうちは、ただ純粋に自分にできる事をしたい……その気持ちだけを持って頑張ることに集中できれば完璧なんじゃないかな?難しいと思うけど試してみて。『がんばリーリエ』!だよ!」

---------------------------------------------------------

ヌカ「マオちゃんの言った通りだ……今のところうまくいってる。背負わないってことがこんなに楽だなんて思わなかった」

ヌカ「……いける!持ち堪えられる!」


ウルトラジャー「コメエエエエエエ!!」ビシュッ


トロピウス「!」

ヌカ「……今だ!トロピウス、構えて!!」


ウルトラジャーの突進がトロピウスの真横を突き抜けた。この時、トロピウスに向かってウルトラジャーがついに背中を見せた。

『にほんばれ』の光はまだ辺りを照らしている。夜の日差しの恵みを受けたトロピウスの一撃がウルトラジャーに突き刺さる。


ヌカ「サンパワー……『ソーラービーム』!!」

トロピウス「トロォォォォ…… ビ ュ ウ ウ ウ ウ ウ ウ ! ! 」


ウルトラジャー「 ! ! 」



          ズ ド ォ ォ ォ ォ ォ ォ ォ ォ ォ … … … …ン ン ! ! !
 ▼ 185 ラカラ@ビビリだま 18/08/12 22:38:35 ID:5ZuwUWKM NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 186 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/13 18:57:53 ID:Zze2ebuI [1/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
太く、長く、重い光の矢が地面に突き刺さり土煙を上げたと同時に『にほんばれ』の光も消え、月の光が小島を再び照らし始めた。

ウルトラジャーは地面にめり込み、真っ黒に焦げた芝生の中央で横たわって動こうとしない。予想以上の手ごたえにヌカは一瞬気の抜けた表情をするも、再び気を引き締め直してトロピウスと共にゆっくりと、倒れたウルトラジャーに近づいてゆく。


ヌカ「マサラタウンのサトシのポケモンを二度も倒している相手がこれくらいでやられるハズがない。用心して近づかないと……後はウルトラジャーに『触れる』だけなんだ。この手で……ウルトラジャーの気持ちを理解してみせる」


ウルトラジャー「…………」

シュッ


ヌカ「!? あれ……ウルトラジャーは?」


ド ヴ ッ … … ! !


トロピウス「グフッ……!」

ヌカ「そんな!いつの間……


ズドォォォォーーーーッ!!


ヌカの予想通り、ウルトラジャーはこのくらいでやられるハズがなかった。しかし、地面に横たわっていた状態から空中にいるトロピウスの背後へ移動し、即座に蹴りを入れられるほどの気力と体力が残っていることまでは想像できなかったのだ。

地面に伏せるトロピウス。形勢逆転とはまさにこのこと。空中へ戻ったウルトラジャーはヌカ達を見下ろすと、再び不気味な笑みを浮かべる。


ヌカ「……!」ゾクッ

トロピウス「グル……ルルルル!」ギギギ

ヌカ「む、無理しないで!もうあなたは頑張ったよ!後は触れるだけ……アイツに触れるだけでいいの!後はあたしがなんとかすれば……」ガクガク


ウルトラジャー「 コ メ エ エ エ エ エ エ エ エ ! ! ! 」


ヌカ「ひっ……!!」



                      ガ シ ィ ィ ィ ィ  … … ッ ! !



ウルトラジャー「……!?」


フライゴン「 ふ お お ぉ お ぉ お お ! ! 」

メタング「メター」


マーマネ「危な……間に合った」

マオ「ヌカちゃん!大丈夫だった!?」
 ▼ 187 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/13 20:18:05 ID:Zze2ebuI [2/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ウルトラジャー「コメエエエエエエエエ!!」ガシッ ガシッ

マオ「な、何!?」

マーマネ「しまった!ライドポケモンを掴まれた!多分スイレンも食らった電撃が来るよ!」


バ バ バ バ バ バ バ バ バ バ バ バ … … … … ! !


マーマネ/マオ「「うあーーーーーっ!!」」

マオ「……なんて!フライゴンには電撃は効かないよ!」

フライゴン「ぐぁぶ」

マーマネ「トゲデマルの『ひらいしん』があれば僕やメタングに電気が飛ぶことはないしね」

トゲデマル「まっでゅ!」

ウルトラジャー「……!」


ヌカ「……マオちゃん!」

マオ「ルザミーネさんから連絡があったの。サトシが単独行動を止めないから援護に向かってくれって……そう言えばサトシは?」


サトシ「」チーン


マーマネ「死んでる……」

マオ「(#゚Д゚) あのアホーーーーーーッ!!」


マオ「フライゴン、『にほんばれ』!」

フライゴン「フリャアアアアアアアア!!」

マーマネ「さぁ条件は整った!今こそ僕の秘策を実行する時だよ!」

ヌカ「えっ……でも」


ウルトラジャー「コメエエエエエエエ!!」


マオ「きゃっ!」

マーマネ「サトシには悪いけどハッキリ言って僕らの実力ではウルトラジャーを足止めできるのは一瞬だ!勝負の行方は君達の一撃にかかってる!さぁやるんだ!!」

トゲデマル「までゅ!までゅ!」


ヌカ「みんな……」

トロピウス「カルルルルル……!」

ヌカ「トロピウス……よし!やろう!『オペレーション・ヴィカボルト』!」
 ▼ 188 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/13 20:23:53 ID:Zze2ebuI [3/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ウルトラジャー「コメェエェエェエェエェ!!」ブォォォォォン!!

マオ「危なっ! マーマネわかってるよね?ライドポケモンは他のポケモンみたいに戦えないからウルトラジャーの攻撃を一度でも食らえば即お陀仏だよ!」

マーマネ「わかってる!でも機動力はあるから少しの間の攪乱はできるはず……」

ウルトラジャー「コメエエエエエエエ!!」

マオ/マーマネ「「ひぃぃぃぃぃ!!」」


アローラ地方では、ライドポケモンを使っての戦闘は禁止されている。それはライドポケモン乗り物としての役目を果たしている故の理由があるのだ。

通常のポケモンとは違い、乗り物であるライドポケモンが傷を負った場合は「バトルによる負傷」ではなく「交通事故による損傷」として扱われ、ライドポケモンを傷付けた加害者には法によって重い罰が下される。故にライドポケモンを使ってのポケモンバトルなど到底許される事ではないのだ。

トレーナーがライドポケモンをバトルへ参加させた場合、持ち主であれば発覚次第ポケモンライドのライセンスを剥奪。また持ち主本人でなくとも10年以下の懲役または300万円以下の罰金が科される事となる。

それがライドポケモンが戦わない理由である。ウルトラガーディアンズのライドポケモンは皆、強そうに見えても実は弱い我が身をアローラの法によって守られているのだ。

とはいえ今回は特別。連戦により戦力が激減し余裕の無くなったウルトラガーディアンズの救済措置として、総司令官ルザミーネはライドポケモンのトラブルに対する全責任を自分が負うことにより、ライドポケモンによる戦闘を許可したのだった。


ルザミーネ『あのライドポケモン達のライセンスはあの子達にあるけど、ライドを許可したのは私。これで誰も罰を受ける心配はないわ! 私?んなもん何百万でも払ってやるわよ!』

ビッケ『よっ、代表!太っ腹!』

ザオボー『財団の社会的信用が……』

ルザミーネ『これも迷えるウルトラビーストを救う為!誰にも責めさせやしないわ!』


マオ「……というわけで、いっっけええええええ!!    『だいもんじ』!!」

マーマネ「メタング!!    『サイコショック』!!」


ズドォォォォ!           ズドォォォォ!


マオ「来るよ!逃げて!」

ウルトラジャー「コ……コメエエエエエ!!」ブォォォォォン

マーマネ「うひょーー!ヒット&アウェイだね!」



ヌカ「気力よし、体力よし、『にほんばれ』よし、『バッテリー』よし……準備OK。 ……いくよ!」

トロピウス「クルルルルルルル!!」コォォォォォ……


マオ「ヌカちゃんが準備できたみたい!マーマネ、もう少しだよ!」

マーマネ「あっマオ!!前見て前!!」


ウルトラジャー「 コ メ エ エ エ エ エ エ エ エ エ ! ! ! 」ズガン!!


マオ/マーマネ「「あっ」」
 ▼ 189 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/13 20:37:33 ID:Zze2ebuI [4/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
マオ/マーマネ「「 ア ァ ァ ア ァ ア ァ ア ァ ァ ア ァ ァ ァ … … 」」 


ウルトラジャーの不意打ちを受け、真っ逆さまに落ちるライドポケモンに必死にしがみつくマオ達は落下中、ふと下に眼をやる。そして、そこにいたヌカとトロピウスの姿を見るや否や作戦の成功を確信し、眼を閉じたまま地面に墜落した。


ドシャァァン……


ヌカ「マオちゃん、皆……ありがとう。 ……さぁいくよトロピウス、デンヂムシ。これがあたし達のぉ…… ゼ ン リ ョ ク だ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ! ! ! ! !」

トロピウス「グルルルルル……」

デンヂムシ「むぃ」

-------------------------------------------------------

ヌカ「『オペレーション・ヴィカボルト』?」

マーマネ「そう。それこそ僕が封印していた超レジェンド級の秘策だよ」

マオ「勿体ぶってただけやろがい」ベシッ

マーマネ「タイミングが無かったんだよ!それにこの作戦は中々手間がかかるしさ……」

ヌカ「とにかく教えてよマーマネ君!あたしがきっとモノにしてみせるから!」

サトシ「オレも!オレも聞きたい!」


デンヂムシ「むぃ」ウネウネ

マーマネ「……まず、この作戦の要になるのはデンヂムシだ。だからウルトラジャーとの決戦にあたって、ヌカちゃんにはこのデンヂムシを任せることは初めに言っておくね」

サトシ「えぇ!?デンヂムシが!?」

マーマネ「そんなに驚くことはないだろ……コイツもやればできる子なんだよ。 簡単に言えば、『オペレーション・ヴィカボルト』はデンヂムシの能力を使ってトロピウスの技の威力を上げてしまおうという作戦なんだよ」

マオ「それってデンヂムシの特性・『バッテリー』の能力そのままだよね?どこが作戦なの?」

マーマネ「あるんだよ……『バッテリー』以上にデンヂムシの力で技の威力を上げる方法が」

サトシ/マオ/ヌカ「「「え゛え゛ぇ゛!?」」」

マーマネ「デンヂムシの進化系に『クワガノン』というポケモンがいる。電気技を使うクワガノンは戦う時、予備バッテリーとしてデンヂムシを抱えながら飛ぶんだよ。その時デンヂムシがする事と言えば、自分の電気を決まった電圧で且つ決まった供給速度でクワガノンにあげることなんだ」

マーマネ「もしもの為にと僕のデンヂムシにも条件を満たした電気の与え方を教え込んである。だからこそ『オペレーション・ヴィカボルト』が成立するんだ!」

デンヂムシ「むしゅ」ドヤァ

ヌカ「そ、それでトロピウスは何をすればいいの……?」

マーマネ「この作戦ではさっき説明の説明で出てきたクワガノンを技の威力を上げるべき対象に置き換える。つまりトロピウスにはデンヂムシにエネルギーを貰うクワガノンと同じ事をやってほしいんだ」
 ▼ 190 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/13 20:39:21 ID:Zze2ebuI [5/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ヌカ「それってつまり……技の威力を上げるためにトロピウスがデンヂムシの電気を浴び続けなきゃいけないってこと!?」

トロピウス「……」ゴクリ

マーマネ「ちょっと危険だけどね……ウルトラジャーを倒せるほどの大技を放てるとしたらそれがベストなんだ。確かトロピウスの特性は『サンパワー』だったね。『サンパワー』とデンヂムシの力を重ね掛けすれば技の威力は通常の倍以上になる」

マーマネ「僕の計算上、その条件で放った『ソーラービーム』ならウルトラジャーはともかくとして……昼間の化け物なら一撃で消し飛ばすほどの火力が出せる!やってみる価値はあると思うけど……どう?」

マオ「そんな!『サンパワー』も技の威力と引き換えに体に負担をかけるリスキーな特性なんだよ!?そんなことしたらトロピウスの体がどうなるか……」

マーマネ「無理はしない!……いや、するけどトロピウスの無事は保証するよ。僕だってその辺考えてるんだから」

マオ「そんな……そんな戦い方って……!」

トロピウス「カルルルルル!!」

ヌカ「……トロピウス?」

サトシ「やる気みたいだぜ?いいじゃん!トロピウスがいいって言ってるんだから、ヌカもその意気込みに応えてあげたらどうだ?」

マオ「サトシったら!無責任もいいトコだよ!ヌカちゃんやめよう!他にもウルトラジャーと戦える方法があるハズ……

ヌカ「……ううん。やるよ、あたし。だってそれもちゃんとした戦法だもん!大事にしてあげることだけがポケモントレーナーじゃないってあたし……ポケモンリーグの試合を見て学んだから」

サトシ「……へへ」

マオ「ヌカちゃん……いいの?」

ヌカ「トロピウスがそれを望んでるもの。あたしは……ポケモンの気持ちが汲めるトレーナーになりたい」

トロピウス「クルルルルルルル……」

マーマネ「決まりだね。……じゃあやり方を説明しよう。まずはトロピウスがデンヂムシを抱えて……

-------------------------------------------------------

ウルトラジャー「コ……コメッ!?」





                          ソ

                          |

                          ラ

                          |

                          ビ

                          |
                          |
                          |
                          |


                          ム

                        ! ! ! 
 ▼ 191 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/13 20:46:14 ID:Zze2ebuI [6/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
トロピウスが放った光は、勿体ぶり続けたマーマネの秘策の賜物は、ウルトラジャーを捕まえて天高く昇って行く。

その眩しさにはその場にいた全員が目を瞑ってしばらく上を見ることができなかった。『にほんばれ』で照らされていることも相まって、戦いの場は真昼のような明るさに包まれた。



サトシ「……ん、んん」

サトシ「……眩しいな。ひょっとして、マーマネの言ってた作戦が成功したのかな?スゴイ音もしたし……きっとそうだ」

ゴウカザル「…………」

サトシ「立てるか?ゴウカザル。……って、立てなきゃ困るんだけども。皆がオレ達の事期待してくれてるんだから。折角ここまでヌカ達が頑張って作ってくれた時間は何の為にあるんだってことだよ」

ゴウカザル「ゴ……ゥ……」

サトシ「もう十分体は休まっただろ?早くいこうぜ。またオレ達の番だ」

サトシ「……とは言っても、今回ばかりはさすがにキツイかもな。あの『スチームバースト』……予想以上の威力で受けきれなかった。そう思いたいよな」

ゴウカザル「……ウキィ」

サトシ「フフ……けどこんなだらしないオレ達……アイツが見たら何て言うかな?」

ゴウカザル「…………!」



                「こんなものだったのか。お前の力は」





                  「何度もオレを失望させるな」



ゴウカザル「!!」

サトシ「……来た!」




マオ「まずい! ウルトラジャーが!」


ウルトラジャー「 コ メ エ エ エ エ エ エ エ エ ! ! ! 」


ヌカ「ハァ……ハァ……」ペタッ

トロピウス「……っ!」ガクッ

マーマネ「やっぱりウルトラジャーだけは格が違ったか!トロピウスもやられた。ヌカちゃんの気力も限界。もう他に頼れるとしたら……」

マオ「! ヌカちゃん!マーマネ!あれ見て!」


ヌカ「……マサラタウンのサトシ」
 ▼ 192 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/13 20:47:57 ID:Zze2ebuI [7/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
                                 ヴ

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 ▼ 193 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/13 20:51:47 ID:Zze2ebuI [8/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
次のおはなし



第11話(全13話)「『わからないことだらけ』との戦い」
 ▼ 194 ガイドス@メンタルハーブ 18/08/13 21:21:15 ID:SS2Yz.OE NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
支援
 ▼ 195 ガボーマンダ@デンリュウナイト 18/08/13 23:15:21 ID:IS.A/ATI NGネーム登録 NGID登録 報告
あっちゅう間に11話や……
支援
 ▼ 196 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/16 21:59:20 ID:tSZEnfNQ [1/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
スイレン「よしよし、しばらくここにいれば安全だからね」ナデナデ

ホエルコ「ホエ……」

カキ「この岸もだいぶポケモンが集まってきたな。皆、あの小島の付近から逃げてきたんだろう」

アシマリ「あぅ〜」

スイレン「サトシ達、大丈夫かな」

カキ「大丈夫さ。……スイレン、さっきあの小島から大きな炎が上ったのが見えたか?」

スイレン「うん。他にも蒸気やら光やら、ドンドン出てた」

カキ「ハッキリ言う。あの炎の主がサトシのポケモンだったなら……ウルトラジャーとの戦い、勝ったも同然だ。ヴェラの炎に負けない力強さを持っている……サトシめ、そんなポケモンを持っていたとはな」

スイレン「サトシのポケモンと違ったら?」

カキ「さぁな」

ルガルガン「ぐるるるるる……」





マーマネ「な、何だありゃ!?ゴウカザルが……!」

マオ「ひょっとしてこの為に今まであたし達は時間稼ぎを……?」

ヌカ「……そうだ。絶対そうだ!」


ウルトラジャー「コ……コメェ……!?」


サトシ「ちょっと危なかったけど……何とか成功したぜ!   いくぞウルトラジャー!オレ達が最後の相手だ!」

ゴウカザル「ゴォォォ……!」


限界一歩手前、それが最後の切り札の発動条件。サトシの狙いはゴウカザルの特性・『もうか』だった。どんなに追い詰められようと、どんなに大きな一撃を食らおうと、ほんの一欠片の気力を振り絞ることができれば、あらゆるピンチをひっくり返せる。

サトシとゴウカザルの復活に、ヌカはまた心が熱くなった。彼女風に言えば、「炊き立てのご飯を頬張って、飲み込んだ時のように」。……と同時に、少し誇らしく思った。再びサトシがゴウカザルの力を引き出せたこの場所に今、自分がいることに。


ウルトラジャー「コメェェェェェ……」スタッ


マオ「ウルトラジャーが降りてきた!……ゴウカザルと真正面から戦うつもりなんだ」

マーマネ「とうとう諦めがついたんだろうね……逃げても無駄だ。ゴウカザルを倒さない限り、自分の自由は永遠に来ないって」

マオ「だけどそれは違うって事を伝えないと!あたし達は自由を奪うために戦いにきたんじゃない。あなたの事を知る為なんだって」

マーマネ「サトシは……ううん。サトシとゴウカザルはその事をうまく伝えられるかな」


サトシ「……いくぞ!」

ゴウカザル「!!」
 ▼ 197 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/16 22:01:42 ID:tSZEnfNQ [2/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サトシ「   『マッハパンチ』!!   」

ゴウカザル「ガァァァァァッ!!」


                     ド ゥ ッ … … ! !


ウルトラジャー「……!?」


大地を蹴り上げ、素早くウルトラジャーの正面に迫ったゴウカザルは、身に纏った炎を大きく揺らしながら、今日一番のパンチをウルトラジャーに打ちつけた。

そのパンチで地面に叩きつけられたウルトラジャーは、ゴウカザルの気力とパワーが以前よりも明らかに増大した事を感じ取ったのか一瞬怯んだものの、すぐに態勢を立て直しゴウカザルに掴みかかる。


ウルトラジャー「コメエエエエエエエエ!!」


サトシ「来るぞ!かわせ!」


スピードも上昇したゴウカザルは、持ち前の瞬発力を生かしてウルトラジャーの猛攻を右へ左へと受け流す。だがサトシ達に時間は無かった。『もうか』が発動している限り、発動時に一時的には回復したゴウカザルの体力もみるみる減っていく。

再び両者の殴り合いによる接近戦が始まった。残された時間の中で、サトシ達にできることは何か。それはウルトラジャーを倒すのではなく、理解することだった。

無機質なボディに覆われたウルトラジャーの心は……何を叫んでいるのだろうか。


サトシ「『マッハパンチ』!!」

ゴウカザル「 キ ャ ア ア ア ア ア ア ア ! ! ! 」


                     ズ ッ … … ! !


ゴウカザル「ギィィ……」ギリギリギリ

ウルトラジャー「コ……メ……ェ」ギリギリギリ


「どこに……」


ゴウカザル「……っ!?」


「どこに……いるの?」


デンヂムシ「!」

トゲデマル「までゅ!までゅ!」

マーマネ「ど、どうしたのトゲデマル?急に騒いじゃって緊張感のない」

トロピウス「ウルルルルル……」

ヌカ「ウルトラジャーが……どうかしたの?」
 ▼ 198 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/16 22:14:28 ID:tSZEnfNQ [3/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アママイコ「まぉ……」

マオ「アママイコ、あなたも……? ねぇサトシ!何だかポケモン達の様子が変なの!気を付けて、ひょっとしたらウルトラジャーが何かしたのかも!」

サトシ「何かって……何が?」


ゴウカザル「 ガ ァ ァ ァ ァ ! ! 」

ウルトラジャー「 コ メ エ エ エ エ エ エ ! ! 」



     ズドォォォォ!!            バシャアアアアア!!
                  ギギギギギギ……
              グァァァァァン!!                 ドドドド……
                                     ヴァアアアアアア!!


サトシ「まさかあいつ……」

ゴウカザル「ギィィッ……!」ズザザザザ

サトシ「ゴウカザル!……お前の戦い方を見て何となく思ったんだけど……まさか、わかったのか?ウルトラジャーの心」

ゴウカザル「ガァァァァッ!」

サトシ「違うのか?……そっか。でもまだやれるな?」

ゴウカザル「ガァァァァ!!」バッ


サトシ「ゴウカザル、もう一度『マッハパンチ』!!」


ゴウカザル「 ゴ ォ ォ ォ ォ ォ ア ! ! 」

ウルトラジャー「 コ メ ェ ェ ェ ェ ェ ェ ! ! 」 


ズガッ……!!


「どこ……どこにいるの?」

ゴウカザル(何を探してるんだ?)


           ズガァァァァ!!                ドガァァァァァ!!


「どこにいるの? ………りたいよ」



トロピウス「ウルルルルルル……」

ヌカ「トロピウス……随分恐い顔してるね。あの時みたいに。あたしが好きじゃなかったあたしを見た時と、同じ顔をしてる」>>143

ヌカ「もしかしてだけど……今のあなたの眼には、ウルトラジャーが違うものに見えているって事はない? あの子もまた……あたしと同じように、自分を偽っているように見えるの?あなたも」
 ▼ 199 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/16 22:25:25 ID:tSZEnfNQ [4/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
                     ドゴォォォォ!!


「どこにいるの? あたし……」

ゴウカザル「……?」


        ズゴォォォォ!!                ドシャアアアアアア……ン!!



「どこにいるの? ……りたいよ」



マーマネ「な、何て激しい戦い……このまま続けば島が沈みそうだよ」

マオ「ううん……もう長くは続かない。ゴウカザルの体力が限界に近づいてる。『もうか』を発動させたゴウカザルとも互角に戦うなんて……ウルトラジャー、何てヤツなの」

アママイコ「…………」

マオ「アママイコ……どうしてそんなに悲しい顔をしてるの?」

ヌカ「……やっぱりそうなんだね。トロピウス」

トロピウス「クルルルルルル……」



「どこに……どこにいるの?」



トゲデマル「までゅ……」

デンヂムシ「むぃ……」

フライゴン「ふぉぉぉぉぉ!」

メタング「メター」


自分達の眼に映っているウルトラジャーは、「彼女」自身ではない。「彼女」の心の叫びを聞いたポケモン達はそれを悟り、ただ一つの結末を望む。ウルトラジャーが、救われる結末を。

ゴウカザルもその結末を望んでいた。だから今ウルトラジャーと戦っている。この勝負に勝って、ウルトラジャーに分かってもらうためだ。今この場には、誰一人、君の敵なんかいない、と。

……それはサトシも同じだった。叫びは届かなくとも、サトシはウルトラジャーと仲良くなりたかったのだ。どれだけ激しい戦いを繰り広げようと、戦いの後には、ウルトラジャーと仲良く笑っていたいと思っていた。

そんなことも知らず、ただただ自分じゃない偽りの体に身を包み叫び続けるウルトラジャー。サトシとゴウカザルに残された時間はあと僅か。


ゴウカザル「ガッ……!」

サトシ「よし……ここらで畳みかけるぞ! もうかの『かえんほうしゃ』!!」

ウルトラジャー「!!」


ゴウカザル「ゴォ……    ヴ ォ オ ォ オ ォ オ ォ オ ォ オ ォ オ ォ オ ォ オ ! ! ! 」
 ▼ 200 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/16 22:28:16 ID:tSZEnfNQ [5/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ウルトラジャー「!」


ヴァァアアァアァアァアァ……


マーマネ「えぇぇ!?何だあの『かえんほうしゃ』は!Zワザでもあれだけのものはなかなかないよ!」

マオ「でも頬をかすめただけで殆ど当たらなかった……炎が水平線に突き抜けていっちゃったよ」


ウルトラジャー「ヴヴヴ…… コ メ エ エ エ エ エ エ エ ! ! ! 」


サトシ「……来るか!いくぞゴウカザル!オレ達が……ウルトラジャーを救ってみせる!」

ゴウカザル「 ガ ア ァ ア ァ ア ァ ア ァ ア ァ ア ァ ! ! ! 」



ウルトラジャー「コメエエエエ!!」バチバチ


マオ「あれは……!サトシ気をつけて!ウルトラジャーが掴みかかろうとしてる!あの手に触れたら電撃を受けてしまうよ!」

サトシ「よしっ……ゴウカザル!かわして『マッハパンチ』!」


     ズ ド ッ ! ! 


ウルトラジャー「!? ……コメエエエエエ!!」


ゴウカザル「ガァァァ……!!」



         ズ              ゴウカザルとウルトラジャーの戦いは時間を経て静まり返るどころか、

           ド
さらに熱く、激しく加速していく。その最中にも、ウルトラジャーはずっと叫び続けていた。
          ォ               ヴ
ゴウカザルの     ォ    耳にもその叫び     ァ     声は絶え間なく続いている
          ォ                 ァ
しかしサト      ォ      シもゴウカザル    ァ   もその手を、その足を止めることなく戦い続けた。
         ォ                 ァ
結局最後の最      ォ     後まで、ウルトラ    ァ     ジャーとの戦いは、
           ・              ァ
「わからないこと   ・   だらけ」との戦       ァ     いだった。
           ・               ・ 
だけども、迷わず進む。               ・ 後には退けない現状の中を突き進む。
                           ・ 
彼らの願いは     ズ        「わからないことだらけ」をかき分け進んだ、その先にあるのだから。
                         ズ
わからなくても       シ               わかり合いたいと願う
            ャ               ゴ
わかり合って       ァ      自分の知らない世界を知る
            ァ             オ
未来のポケモン   !  !  マスターはまた     ォ      一歩、踏みだす
                         ォ
 ▼ 201 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/17 23:56:00 ID:2VdovT4E NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サトシ「これで最後だ……ゴウカザル!拳に炎を纏え!」

ゴウカザル「ガァァァァァッ!!」


マーマネ「決めろ! サトシ!ゴウカザル!!」


サトシ「     『マッハパンチ』!!     」


                 ズ ン ッ ッ … … ! !


ウルトラジャー「コメエエエエエエ……!」ズザザザザザ


ゴウカザル「ハァ……ハァ……」

マオ「もうお互いに限界だよ……」

マーマネ「でももう追い詰めたよ!後は……ウルトラジャーがサトシ達を認めてくれたらいいんだけど」

ヌカ「……ううん。まだだ」


サトシ「あいつ……」


ウルトラジャー「コメエエエエエエ……」


ズブブブブブブブブブ……


ヌカ「また来る……『スチームバースト』……!」


ゴウカザルの捨て身の猛攻を耐え続け、流石のウルトラジャーも体力が限界を迎えようとしたいた。

ウルトラジャーの最後の手段は『スチームバースト』。勝負を決めようと、ゴウカザルが放った『かえんほうしゃ』により熱された海面から発生した湯気を吸収し始める。


ゴウカザル「……っ!」

サトシ「またあれか……参ったな」

ヌカ(湯気の量からしてさっき程の威力は無いにしても……満身創痍のゴウカザルを倒すにはきっと十分……どうするの?マサラタウンのサトシ!)

ヌカ(あたし達を救ってくれたポケモントレーナーは……どうやってこの状況を切り抜ける?)



ウルトラジャー「 コ メ エ エ エ エ エ エ エ エ エ エ ! ! ! 」



サトシ「ゴウカザル!! ーーーーーーーーーーー!!」

ゴウカザル「……!!」
 ▼ 202 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/18 00:03:31 ID:X2GUtsOQ [1/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ド パ ァ ァ ァ ァ ァ ァ ァ ァ ァ ァ … … … … ! ! !



爆音と共に生まれた熱の嵐が激しい戦いの中でも残っていた小石や草を吹き飛ばし、焼き尽くし、大地を荒らす。マオやマーマネの悲鳴が嵐の轟音にかき消される中、サトシはじっと熱風にさらされながらウルトラジャーだけを見つめていた。

嵐が過ぎ去ると、サトシ達の周りにはもう何もなかった。二度も『スチームバースト』を受けた戦いの場には、いつの間にか真っ茶色な地面しか残っていなかった。


マーマネ「……ど、どうなったの?ウルトラジャー……はまだ立ってる!?」

マオ「ちょ……ちょっと待って! ゴウカザルがいない!」

サトシ「…………」

マーマネ「まさか『スチームバースト』で吹き飛ばされて今頃海の中に……」

マオ「嘘……そんなの……」


サトシ「……大丈夫」

マオ「えっ?」

サトシ「ウルトラジャーと心を通わすためにバトルしてんだ。オレはアイツと、仲良くなりたい」

マオ「でも戦いに勝ったらウルトラジャーが自分達を認めてくれるかもしれないって……それでサトシはウルトラジャーとわかり合うつもりじゃなかったの!? それがサトシのやりたかった事じゃなかったの!?」


サトシ「そうさ。そのつもりだよ。 ……まだ敗けてない」




                                               ボッ!
                                       ボッ!
                                                ボッ!
                  ボッ!
  ボッ!                        ボッ!                   ボッ!
                                    ボッ!           
                ボッ!                             ボッ!
  ボッ!                              ボアッ!




マーマネ「こ……これは!」

マオ「火柱だ!火柱が地面のあちこちから噴き出てる!って事は……」

ヌカ「マサラタウンのサトシ……!」


サトシ「どうだウルトラジャー!ゴウカザルは『あなをほる』で地面へ潜って『スチームバースト』を避けたんだ!」

サトシ「ウルトラジャー!……オレ達はお前を傷付けたいんじゃない。お前を捕まえようとしてるんじゃない。お前の事を理解したいんだ!……ウルトラビーストのお前がこの世界の事を好きになれるかわからない。でも!」

サトシ「せめてオレ達の事だけはわかってくれ!オレはお前と仲良くなりたい!……オレにとってのバトルってそういうモンなんだ。これがオレのやり方なんだ!……わかってくれたらさ、友達になってくれるか……?」
 ▼ 203 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/18 01:09:17 ID:X2GUtsOQ [2/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ウルトラジャー「…………」


マーマネ「火柱がいっぱいでどこからゴウカザルが出てくるのかわからない!考えたねサトシ」

マオ「もう勝利はすぐそこだよ!いっけー!」


サトシ「ゴウカザル! 出 て 来 い ! ! 」


ボ コ オ ォ ォ オ ッ ! !


ゴウカザル「ガァァァァァァッ!!」


マーマネ「! ウルトラジャーのすぐ足元から!」


ウルトラジャー「コメエエエエエ……!?」


サトシ「ウルトラジャー! ……お前とは『戦い』がしたかったんじゃない。『バトル』がしたかったんだ! ……ややこしいけど全然違うよ。オレ達はお前と仲良くなりたい一心でここまで踏ん張ったんだ」

サトシ「どうかわかってくれ。……オレ達もお前をわかってやるからさ。どれだけ『わからないことだらけ』でも」


ウルトラジャー「……!」



「どこ? どこにいるの?   どこにいったの?」



サトシ「……ゴウカザル」



「どこで なにをしているの?   あやまりたい。 今すぐに」



サトシ「              『 フ レ ア ド ラ イ ブ 』              ! ! 」



ゴウカザル「 ガ ァ ア ァ ア ァ ア ァ ア ァ ア ァ ! ! ! 」




ウルトラジャー「コメェェェェェ……    ゴメェェェェェェ……   ン」






「 ご め ん 」
 ▼ 204 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/18 20:11:46 ID:X2GUtsOQ [3/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ニャース「……もう、行くのかニャ?」

???「ーーーーーーー」コクリ

ニャース「そうかニャ…… おミャーはよく話してくれたニャ。全て、思いのままに。 近いうちにおミャーの探してる人に会えるといいニャ。そしてもし会えたら、たっぷり叱ってやるといいのニャ」

???「ーーーーーーー」クスクス

ニャース「おミャーは優しいのニャ。だけどおミャーの探している人はおミャーの優しさに付け込み、自分勝手な行いをした……到底許されることではないのニャ」

???「ーーーーーーーー」

ニャース「わかってるニャ。それでもおミャーは会いたいって」

???「ーーーーーーーー」

ニャース「おミャーが話した事は他には秘密にするのニャ。……少なくとも人間には。おミャーがいくら暴れてアイツらを傷付けた所で、アイツらがおミャーを責め立てる権利は無いのニャ」

ニャース「だからもう、自分を責めることは無いのニャ。もう叫ばなくていいのニャ。……そうそう、そうして笑ってるおミャーは何よりも美しいのニャ。もっと昔にニャーがおミャーと出会っていれば……二人っきりでずっと一緒にいることもできたのにニャ」

???「ーーーーー///」

ニャース「でもニャーは今も幸せニャ。ムサシとコジロウと……たくさんのポケモン達と居られて十分幸せニャ。おミャーも向こうに行ったら、今まで我慢していた分の幸せ、たくさん見つけるといいニャ」

???「ーーーーーーー」ニコニコ


      ゴ ォ ォ ォ ォ ォ ォ ォ ォ ッ ! ! !


ニャース「!! ……もう……ここまでかニャ。今、おミャーの嫌いなおミャーが音を立てて崩れようとしてるニャ」

???「ーーーーーーーーーー」

ニャース「わかってるニャ。おミャーも頑張るのニャ。それじゃあサヨナラ……」





ニャース「          コメットちゃん          」
 ▼ 205 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/18 20:19:12 ID:X2GUtsOQ [4/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
バ ア ア ア ア ア ア ア ア ア ア ア ン ! ! !



ヌカ「わっ!?」

サトシ「な、何だ!?」

マオ「ウ……ウルトラジャーが……砕けた……!?」


ゴウカザルの決死の『フレアドライブ』を受け倒れたウルトラジャーは、鈍い破裂音と共にその銀の体の破片を地面に散らした。サトシ達を苦しめた 超 絶 炊 飯 器 ウルトラジャーはついに敗れた。


ボトッ! ボトッ! ボトッ! ボトッ!


ヌカ「こ、今度は何!?」

マーマネ「ウルトラジャーの中から人とポケモンが出てきた!……って、どこかで見覚えがあるような無いような……」

マオ「あ゛あ゛あ゛あ゛ーーーーーーーっ!!!」


ムサシ「痛ぁ゛〜〜〜っ! スッゴイ寝覚め悪いんですけどぉ。ちょっとニャースぅ、今何時?」

コジロウ「お、オレ達何やってたんだっけ?確か、昼間釣り上げた炊飯器の中身を開けようって話になったトコまでは覚えてるんだが……」

ソーナンス「ソーーーーナンス」

ニャース「…………」


マオ「何、えっ? ……じゃあウルトラジャーの正体って……」


サトシ「 オ イ 」

ムサシ「ジャ、ジャリボーイ!? ……って何よその目」

サトシ「知らばっくれんじゃねぇよ赤紫ババア」

ムサシ「はぁ!?」

サトシ「成程な。苦労して倒したウルトラジャーもまたお前達の作ったガラクタだったってパターンか。オレ達がどんな思いで向き合ったと思ってんだ!!」

コジロウ「ウ、ウルトラジャーって何!?」

サトシ「とぼけるなコサンジ!今日という今日は許さねぇぞ!覚悟しろ!」

ヌカ「マ、マサラタウンのサトシ、ご立腹のところ申し訳ないけどこの人達のこと知ってるの?」

サトシ「コイツらはロケット団!人のポケモンを奪ったりする悪いヤツらなんだ!(テンプレ)」

ヌカ「大して悪そうには見えないし今は君の方がよっぽど何かしそうなんだけど……」

マオ「何言ってんの!ウルトラジャーはコイツらが作ったロボット!つまりウルトラジャーと分かり合おうとしてた事が全部無駄な努力だったって事!ほら、ヌカちゃんももっと怒る怒る!」

マーマネ「バーーーカ!!アーーーーホ!!」

ムサシ「いや、ホントに知ら……
 ▼ 206 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/18 20:23:56 ID:X2GUtsOQ [5/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ギャー ギャー ギャー


ニャース「……まぁ、日頃の行いニャ。理不尽はニャー達の宿命なのニャ」

ゴウカザル「ウキッ!」

ニャース「ニャ!? お、おミャー……あのゴウカザルかニャ!?」

ゴウカザル「ウキャキャ」

ニャース「……そうか、おミャーにも聞こえたのかニャ。『彼女』が探している声」

ゴウカザル「ウキィ……」

ニャース「『彼女』は苦しそうだった?そんな事ないニャ。あの子は最後に笑って、行くべき場所へちゃんと行ったニャ。ニャーのお陰でニャ」ムフー

ニャース「あの子と戦ったのがおミャーでよかったニャ。……おミャーは優しいからニャ」

ゴウカザル「ウキャッ」

ニャース「ん?あの子が行った場所は一体どこなんだって?……そうニャ。おミャーになら話してもいいかニャ。 あの子は……自分を捨てた人のところに戻ったのニャ」

ゴウカザル「!?」

ニャース「あの子がそう願ったのニャ……でも心配する事はないニャ。ニャーの教えた必勝テクニックがあればまた昔のようにトレーナーと仲良くなれるのニャ」

ニャース「あの子の心には『闇』があった。でもあの子は自分の悩みをニャーに全部打ち明けたことで闇を打ち払い、強い子になったのニャ。……そう、強い子。 おミャーのように」

ゴウカザル「…………」

ニャース「おミャーは今を生きてる。過去のおミャーと違って、恐れるものは何もない……大したものニャ」

ゴウカザル「キャキャキャ」

ニャース「よすニャ。今更礼なんていいのニャ。……寧ろお礼をしたいのはこっちの方ニャ。おミャーの頑張りには励まされてばかりだったからニャ……」

ニャース「久しぶりにおミャーの元気な顔を見れてよかったのニャ。……また機会があったら語り合いたいニャ……」


ムサシ「ちょっとニャース!アンタも誤解解くの手伝ってちょうだいよ!オイコラジャリボーイ!後ろ髪を踏むな、って痛ーーっ!ちょっ緑ジャリガール!大人の顔面をグーで殴る子供がどこにいますか!」


ゴウカザル「ウキィ」

ニャース「どうやらお呼びのようニャ。……さっきの事は絶対秘密ニャ」


ニャース「ニャーッハッハッハッハ!!おミャーらのお察しの通り、おミャー達が新種のポケモンだと思っていたヤツは最新のバイオテクノロジーを使ってニャー達の作った生物兵器だったのニャ!思い知ったかニャ!ロケット団の『かがくのちから』!!」

ムサシ「(>o'ω'o<)」

コジロウ「((o'▽'o))」

サトシ「ほう……よし殺ろう。みんな」ボキボキ


ムサシ/コジロウ「「お前ーーーーーーーーーーーーーーっ!?!?!?!?」」

ニャース(これでいいのニャ……)
 ▼ 207 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/18 20:27:54 ID:X2GUtsOQ [6/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
マオ「オラァ!」ボコォ

ムサシ「ぐほぁ!!」

マーマネ「ズエリャ!」バキャ

コジロウ「ごべぇ!!」

ヌカ「ごめんなさい!」ゲシッ

ムサシ/コジロウ「「誰!?」」


キテルグマ「キィィィ――――――――――――!!!」ズドドドドド


サトシ「あっ、あれは!」

ムサシ「た、助かった……」

マオ「おっとお帰りのつもりですかいお客様……まだお代の支払いが済んでおりません……が?」ゲシゲシ

コジロウ「いだだだだだ!は、早く回収してくれ!」


ニャース「……どうやら時間のようニャ。さらばジャリん子のポケモン諸君。強く生きるのニャ」

ゴウカザル「ウキィ」

トゲデマル「までゅまでゅ!」

トロピウス「コロロロロロ……」

♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪

マーマネ「……またうまいこと逃げられたね。まったくあのキテルグマは厄介な奴だよ」

マオ「あぁもぉーーーー!!協力してくれた財団の人達に会わせる顔が無いよーーーー!!」

サトシ「もう怒られるのはイヤだ……」ゲッソリ

ヌカ「み、みんなのせいってワケじゃないでしょ?怒られる筋合いなんてないと思うけど……」

マーマネ「そうだとしてもこれだけの労力を費やして何も得るものが無かったのは精神的に来るものがあるよ……」

ヌカ「そ、それは……」

マオ「得られるものならあったじゃんマーマネ!今回の件、あたし達にしか出来ない事をやり遂げてメレメレ島を救えたワケだし、何よりヌカちゃんに出会えた事が一番の収穫だよ!」

サトシ「そうだよ!オレも久しぶりにゴウカザルとバトルできて楽しかった!」

ゴウカザル「ガァッ!」

マオ「よし!落ち込んでいても仕方がないね!皆のガンバリを讃え合いながら今日は笑顔で帰りましょー!」

サトシ/マオ/マーマネ「「「おーーーーーーーーー!!!」」」


ヌカ「立ち直り早っ。……でもやっぱりあたし、この人達が好き」

トロピウス「カラララララ……♪」
 ▼ 208 ーダル@ドラゴンメモリ 18/08/18 22:25:49 ID:wMLs9rdc NGネーム登録 NGID登録 報告
赤紫ババアは草
支援
 ▼ 209 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/19 22:51:24 ID:TSQsooNQ [1/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
-------エーテルパラダイス-------


ザオボー「ま、まさかあの時財団をやめた三人組が今回の事件の黒幕だったとは……」

ビッケ「ウルトラジャーからウルトラオーラが感知されない時点で、ウルトラビーストではないと断定するべきだったのでしょうか……はぁ」

ビッケ「ウルトラジャー・チルドレンもどうせ彼らの仕業でしょうし、警察に連絡してメレメレ各地を警備されている方々には帰っていただきましょう、代表」

ルザミーネ「そうね……でも放っておけばメレメレ島の平和は間違いなく蝕まれていた。今回のウルトラガーディアンズの活動は決して無駄ではなかったわ。……まぁ、本来の役目とは随分違ったものにはなったけども」

ザオボー「そうです!違うのですよ?ウルトラビーストと何ら関係のない事、すなわち我らがエーテル財団にとって一切のメリットがないこのクソ案件のせいで財団のもつ資金を浪費するわ、リーリエお嬢ちゃんも傷付くわで……これだけ腹立たしいことはありませんよ代表!」

スリーパー「ジャスティス!」

ルザミーネ「まぁそう怒らないでよ。過ぎた事なのだから。……でも今日は疲れたわ。ちょっと部屋に行って紅茶とビスケットでも頂いてくるわ」

職員A「あっ、すぐにご用意を!」


ザオボー「……一般島民の何とかとかいう子にも、少々怖い思いをさせましたね」

ビッケ「ヌカちゃんですよザオボー。でもあの子も怖いとは思ってなかったようですよ。彼女は他の地方から引っ越してきたそうですが……早速、このアローラの心地よさに気付いてくれたように思えます」

ザオボー「他者を引き込む力だけはホント侮れませんからねぇウルトラガーディアンズの子供達は」

ビッケ「だからこそ……代表は彼らをチームにしたのだと思いますよ。確かに彼らの第一の任務はウルトラビーストを元の世界へ返すことですが……できるなら、この世界の美しさを、違う世界の生き物たちにも知ってほしい、と代表はそのように仰っていましたから」

ザオボー「ルザミーネ代表……何と心の広いお方だ。私もその慈悲の心によって救われた身。もっと財団に貢献せねばなりませんねぇ」

ビッケ「フフ、その意気ですよ」

ザオボー「……と言いたいトコですが、今日は私も疲れました。私も紅茶を……」

ビッケ「すぐにご用意しまーす♪」




-------ポケモンセンター-------


リーリエ「もうじきサトシ達が帰ってきますね。お兄様……もう落ち着きましたか?」

グラジオ「あぁ……お前の説教のお陰でいくらかな」

リーリエ「お兄様が来てくれたと思えば、妹の私が見たことの無いような怖い顔で病室に入ってきたものですから……あの、くれぐれもサトシには強く当たらないでくださいね?彼は私の気持ちを優先してくれたのですから」

グラジオ「少し話をするくらいなら別にいいだろう」

リーリエ「それなら構いませんが……いいですか?少しでも声を荒げたら私が止めますからね」

グラジオ「……わかってる」

バーネット「おや、噂をすれば帰ってきたみたいだよ」

リーリエ「ホントだ!では玄関まで迎えに

バーネット「行かせません」ガシッ

グラジオ「…………」
 ▼ 210 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/19 23:13:43 ID:TSQsooNQ [2/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サトシ「ただいまー」

バーネット「おっ?来たね」

リーリエ「サトシ!おかえりなさい!……あれ?他の皆さんは?」

サトシ「帰ったよ。疲れたから今日はもう休んで、明日また元気な顔でリーリエに会いたいってさ」

リーリエ「そうですか……あ、どうぞ座ってください!サトシもお疲れでしょう?」

サトシ「あっ、じゃあ……」


グラジオ「来たなサトシ。お疲れのところ悪いがお前に話がある。オレと外に出ろ」

サトシ「グラジオ!帰ってきてたのか?」

グラジオ「外に出ろと言ってる。早くしろ」

リーリエ「お、お兄様!それでは約束が違います!外へ出られては私がお兄様を止められないじゃないですか!」

グラジオ「あぁ、忘れていた。だがそれ以外は言う通りにする」

サトシ「??」

バーネット「サトシ、グラジオはアンタに大事な事を言おうとしてるの。どうか聞いてあげて」

リーリエ「な……何を言われてもどうか気を落とさないでくださいね……?」



-------ポケモンセンター 入口前------


サトシ「は、話って何だよ……?」

グラジオ「今回の件……オレは大まかな情報を母さんから聞いただけで詳しいことは知らないし興味もない。ただオレは、その話の内容を聞いて尖りに尖った怒りの矛でたった一人のバカをメッタ刺しにするためだけにここに来た」

サトシ「バカって……オレだよな?ひょっとしてリーリエの事で怒ってるのか? ……その……ごめん。リーリエのママも言ってた。オレが考えて動いてればリーリエが危ない目に遭わずに済んだんだ」

グラジオ「オレに謝って何になる。リーリエはオレのモノじゃないんだぞ。 ……まぁいい。リーリエはお前がちゃんと自分に謝ってくれたと言っていたからな」

グラジオ「サトシ。オレはリーリエがどれだけ危険なマネをして痛い目を見ようが、それが今のアイツなんだと納得するようにはしてる。控えめだった昔のアイツを思えばそれも大きな成長だと感じてる……だがその成長には、少なからずお前の影響がある」

サトシ「リーリエの成長にオレが?」

グラジオ「サトシ、オレはリーリエに中々会えない自分の代わりにお前にリーリエの事を任せているワケじゃない。……だけどな、アイツは成長したとはいえまだ弱いんだ。傍にいてやらなきゃすぐに傷付いてしまう。そんな妹だ」

グラジオ「お前がリーリエの意思を尊重し一人で戦わせたこと、彼女自身は喜んでた。だがその為に起きた結末はどうだ?周りから見ればお前の無責任が原因と思われてもおかしくない」

サトシ「グラジオ……オレ、皆から同じ事を言われたよ。『お前は何をやってるんだ』『リーリエに何をさせてるんだ』って……それで改めて気付かされたんだ。皆リーリエが大好きなんだって。絶対に、オレ一人の判断なんかで危険な目に合わせちゃいけないって」

グラジオ「……シルヴァディの一件から、リーリエの世界は広がった。だがまだ、その世界の触れ方を知るのには時間がかかる。そこでリーリエの力になれるのがオレ達だ。 サトシ……お前は言ってたな。嬉しいことも大変なことも分け合う、それがアローラなんだ、って」

グラジオ「…………」

サトシ「グラジオ?」

グラジオ「……参ったな。こんな事を言う為に来たワケじゃないのに。リーリエにしてやられたな」

サトシ「どういう事?」
 ▼ 211 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/19 23:32:18 ID:TSQsooNQ [3/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
グラジオ「さっきここに来る前までの話だ。オレはリーリエを放っておいたお前が許せなかった。そしてお前に失望したと同時に島巡りも意味が無くなったように感じて、島巡りの旅をやめることを考えていることも考えてた」

サトシ「えっ……!?」

グラジオ「それをリーリエに伝えたところ、猛反対だ。実の妹に碌に顔も合わせないオレにお前を責める資格はないんだと。ある程度一緒に居てやらないと、兄貴という立場も随分な役立たずに成り下がるらしい」

サトシ「グラジオ……そこまで……」

グラジオ「そしてオレがお前に言おうと思っていた事……つまりお前への怒りは殆どリーリエによって圧しきられてしまったというワケだ。……忘れていたよ。アイツは弱い、だけどそれ以前にとても優しいんだってことを」

サトシ「あ、あの、オレは……」

グラジオ「サトシ、お前は他人の気持ちを汲めるいいヤツだ。だが今回は、今はまだ弱いリーリエの気持ちを汲んでしまった結果傷付けてしまった。 次からは相手のやる気を買うだけじゃなく、本当にソイツに任せていいのかどうかも考えるべきだ。……と、オレから言えるのはこれだけだ」

サトシ「そっか……ありがとう。また一つ賢くなれたよ」

グラジオ「礼ならリーリエにも言うんだな。さて、オレはまた他の島に行くことにするよ」

サトシ「えぇ!?もう行くのかよ!?」

グラジオ「お前に言いたい事は全て言った。これで心置きなく島巡りを続けることができる」

サトシ「……知らないぞ?またリーリエに嫌われても」

グラジオ「フッ……オレがいつアイツに嫌われた? ……また会おう。次会う時はまたバトルだ」

サトシ「……あぁ!また今度な!!」

♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪

サトシ「ただいま」

リーリエ「改めてお帰りなさい!お疲れのところ本当にすみませんでした……お兄様に強く当たられたりはしませんで……あれ?そう言えばお兄様は?一緒に出て行かれたハズでは?」

サトシ「当たられたりなんかしてないよ。グラジオからは大事な事を教えてもらっただけさ。あとグラジオなんだけど色々あってその……帰っちゃいました……」

リーリエ「はぁ!?もうお兄様なんて知りませんっ!」プイッ

サトシ「まぁまぁ……次に会ったらもっと構ってあげてって言ってあげるから」

リーリエ「言ってくれるなら何でそれをさっき言わなかったのですか!」

サトシ「ゴメン……」

バーネット「今日は謝ってばっかやねアンタ」


サトシ「それにしても今日は疲れた……」

リーリエ「フフ、色々あったけど、明日にはメレメレ島はまた平穏な日常が戻って来るのですね」

バーネット「そう簡単に平穏なんて来やしないさ。この世界に不思議なポケモン達がいる限りはね」

リーリエ「それもそうですね……退院したらまた、皆とそんな日常を過ごしたいです。ねぇサト……

サトシ「ZZZ……」

バーネット「(´゚д゚`)」

リーリエ「ウフフ……」
 ▼ 212 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/19 23:36:13 ID:TSQsooNQ [4/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
見上げれば、昇りゆく小さな光。今日も一つの命がこの世界を離れ、行くべき場所へと旅立つ。その命こそ、ウルトラジャーの正体。名を「コメットちゃん」。

ニャースの言う通り、コメットちゃんは最後に笑っていたのだろうか。今宵の空を見上げれば、いつもより一層綺麗な星空が疲れた眼と心を癒してくれる。コメットちゃんは笑顔がたくさんある場所へ旅立ったに違いない。

結局、ウルトラジャーの正体をサトシ達が知る事もないまま、この一件は幕を閉じた。真実はあの「声」を聞いたポケモン達の心の中にある、決して開くことのない秘密の箱の中に仕舞われることになるだろう。





次のおはなし



第12話(全13話)「コメットちゃん」
 ▼ 213 アル@きいろいかけら 18/08/20 00:00:46 ID:Br8cllD. NGネーム登録 NGID登録 報告
お兄様カッコイイぞ
しえんぬ
 ▼ 214 ブト@くろいてっきゅう 18/08/21 14:48:13 ID:itxIyCNM [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
いい話だけど>>200のところがめっちゃ見にくくてなんか台無しだなって思った。
あとサトシとミヅキとハウが島めぐりして今はアーカラ島の冒険している
最中の奴書いてる人かな?あっちでも見にくいって言ってる人が
いた気がするからちょっと見やすくしたほうがいいと思うよ
 ▼ 215 ヤシガメ@おうごんのみ 18/08/21 15:06:01 ID:2SFE7Hrk NGネーム登録 NGID登録 報告
>>214
自分が思うにあの方とは違うぞ
似てるところはあるけどセリフの長さとか使い方とかが全然違う
スマホだったら画面横にすると見やすいかも

あと支援
 ▼ 216 イティ@ひかるおまもり 18/08/21 15:19:37 ID:itxIyCNM [2/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
>>215確かにそうかも。>>214で書き忘れてた。
さあ鶏になろう
 ▼ 217 ギルダー@パワーレンズ 18/08/21 21:36:12 ID:j/uwRX1U NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
この方って前にムーマ(?)とサトシのss書いてた人だよね?
今回も相変わらず面白い
 ▼ 218 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/25 00:22:06 ID:iCBMNTm2 [1/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
>>214
>>200は下の画像みたいに文章の中にエフェクトを重ねればバトルの激しさ表現できてカッコよくなるんじゃね?とイキリ倒した結果です
今から思えばエフェクトといっても所詮文字だし文字を文字で塗りつぶしたらそりゃ見づらくなるだけやろっていう
 ▼ 219 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/25 00:23:06 ID:iCBMNTm2 [2/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
-------スイレン家-------


ホウ「ZZZ……クマシュンのバニラクレープ一つ……」

スイ「ZZZ……ケーシィのパインソーダとハネッコの三段ストロベリーアイス追加で……」


ピンポーン……


スイレン母「! やっと帰ってきたわね」ガチャ

リザードン「う゛ぉぉぉ」

スイレン母「うぉっ」ビクッ

カキ「カキです。スイレンをお宅まで送りに来ました」

スイレン「ZZZ……」

アシマリ「あぉ〜」

スイレン母「あらら、わざわざどうも」

カキ「安心してください。色々ありましたがこの通り、ご希望通りの無傷の状態でお渡しする事ができました」

スイレン母「そんな古本屋みたいな言い方しなくても……でもさすがね。スイレンのヒーロー候補なだけあるわ」

カキ「オ、オレは罰ゲームが嫌だっただけです。マオの……」

スイレン母「はいはい。理由はどうあれ娘が無事なら何も望みません」

カキ「ふぅ……では、オレはこれで。スイレンに宜しく言っておいてください。散々人を我が儘に付き合わせた事だし、いい加減しばらく安静にしてろって」

スイレン母「心配ないわ。スイレンが帰ってきたら私も同じ事言おうと思ってたところだし。それよりいいの?随分疲れてるだろうし一晩くらい泊まってくれたっていいのよ?」

カキ「あぁいえ。家で家族が待っているものですから」

スイレン母「そう……そういう事なら気を付けて帰ってちょうだいね」

♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪

リザードン「ぐぉぉ〜」バサバサ

カキ「よし……マーマネも送り終えた事だし、早く家に帰ってホシ成分を補給しないとな。疲れた時にこそ適切な栄養の摂取が重要だ」

リザードン(適切……?)

カキ「今日は色々な意味で疲れた……スイレンやマオだけに留まらず、初めからロケット団にも振り回されていたとはな……」

カキ「マオと言えば、今日はヌカの家に泊まってくんだったな。『一人で帰らせるのは不安だからあたしがついていく』とか言ってたが……道中大丈夫だろうか。少なくともアイツの事だからヌカにとっては退屈はしないだろうがな」

カキ「結局、ヌカが炊飯器の心が読めるかどうかを確かめることはできなかったな……今となってはどうでもいい話だが、っとこんな事をマオに面と向かって話せばまた喧嘩になるな。一体マオは彼女のどこに魅力を感じたんだか」

カキ「……いや、あるな。そんなピンポイントすぎる個性を抜きにしたって、ヌカは確かにポケモントレーナーとしてポケモンと一緒に頑張ってる。それだけで、少なくともオレのようにバトルに日々精進しているトレーナーを引きつける魅力はあるってモンか」

リザードン「…………」

カキ「な、何だよ」
 ▼ 220 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/25 00:30:04 ID:iCBMNTm2 [3/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
-------ヌカの家 メレメレジャーショップ-------


ムラシ「えー……っと、とりあえずお父さんには連絡しといたから、今日は泊まっていいよ」

マオ「あんがとござーまーすっ!」

アママイコ「あままーすっ!」

ムラシ「まぁ、マオちゃんには娘が世話になったしそのくらいのお願いは叶えてあげないとだからね。これからもどうぞよろしく」

マオ「あはは!いえいえ」

ムラシ「それなりに掃除したとはいえ汚い部屋だけど、どうか今夜はヌカと一緒の部屋で休んでいってくれ」

ムラシ「あぁ見えてヌカは寂しがり屋なんだ。寝る時はいつもトロピウスが一緒に居てくれてね。枕元に横たわったトロピウスの首の穂をしっかり掴んで眠るんだ。信頼の証ってヤツかな」

マオ「えっ、赤ちゃんみたいで可愛い……でもそれなら、やっぱりトロピウスをお宅に連れてくるべきだったでしょうか」

ムラシ「疲労で体が持ち上がらないほど弱ってたからポケモンセンターで夜通しの治療が必要だって何とか財団の人に言われたんだろ?」

マオ「うん……今回の戦いで特に疲労が溜まっているポケモンはみんなサトシに預けてポケモンセンターまでボールを持って行ってもらいました」

ムラシ「だったらそれが正解だ。夜通しの治療だからヌカがポケモンセンターに行っても一緒に寝る事はできないしね」

マオ「そう……ですね」

ムラシ「さぁ改めて今日はお疲れ様。ヌカの部屋に行って休むといい」

♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪

マオ「泊まっていいってさ」

ヌカ「ホント!?よかった……トロピウスのいない夜なんて何年ぶりだか……」

マオ「ヌカちゃん、いつも寝る時はトロピウスの穂を掴んで寝るんだってね」

ヌカ「!?/// 何でそんな……わかった!父ちゃんがまた余計な事言ったな!ちょっと説教しに……

マオ「その必要はない!!」ガバッ

ヌカ「むぐぅ!?マオちゃん!?///」ジタバタ

マオ「時刻は夜2時!よい子はもう寝る時間だよ!寂しがり屋のヌカちゃん、今日はあたしがトロピウスの代わりに添い寝をしてしんぜよう!さぁ首なり胸なり触った触った!」

ヌカ「う、うん……///」



ムラシ「おーい、そろそろ寝た……

マオ「さぁさぁ!今日のあたしはトロピウスだよ!カラララララ!!」

ヌカ「いけー!『ソーラービーム』!!」

マオ「了解! がぁーーーー!!」

ヌカ「キャッキャッ」

ムラシ「えぇ……」
 ▼ 221 ーメイル@つかまえポン 18/08/25 13:30:50 ID:zQiorydU NGネーム登録 NGID登録 報告
ヌカマオええぞ……
そういえばプレゼント交換のSSも>>1だったよな 支援
 ▼ 222 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/26 01:01:09 ID:9/pArQfA [1/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
マオ「むむ……」

ヌカ「……マオちゃん、まだ起きてる?」

マオ「うん」

ヌカ「ゴメンね。ウルトラジャーの心が読めなくて。マオちゃん、すごく期待しててくれたのに……」

マオ「何でそんなこと謝るのさ。読むも何も、あれはウルトラジャーところか炊飯器ですらなかったじゃん。あれはロケット団が作ったロボットだったの」

ヌカ「そうかな……あたしはちょっと違う気がするんだよな……ゴウカザルと戦ってるウルトラジャーを見てたトロピウスの眼を見て思ったの。トロピウスには、ウルトラジャーの中に別の何かが見えてたんじゃないかって」>>198

マオ「へぇ。勘がいいねトロピウスは。早いうちから中のロケット団に気付いてたんだ」

ヌカ「ううん、そうじゃない。うまく言えないけど……ウルトラジャーそのもののようで本当は違う、ウルトラジャーに近い何かが見えていたんじゃないかなって思うの。マオちゃんも心当たりない?」

マオ「そう言えばアママイコも、ウルトラジャーを何故か悲しそうに見つめてるような気がしたな。ねぇアママイコ、あの時あなたは何が見えてたの?」

アママイコ「ZZZ……」

マオ「寝てるし……」

ヌカ「マオちゃんいいよ忘れて。ちょっと気になったから聞いてみただけだから」

マオ「サトシ達に相談しなくていい?」

ヌカ「いいよいいよ。マサラタウンのサトシ達にはこれ以上迷惑掛けたくないし」

マオ「ヌカちゃんは迷惑なんてこれっぽちも掛けてないよ。……でもいっか。二人だけの秘密ってことで」

ヌカ「うん……それがいいな」


ヌカ「…………」

マオ「じーっ」

ヌカ「な、何?」

マオ「何はこっちだよ。どうしたの? あたしの方じっと見て……ひょっとしてトイレ?ならあたしが案内しようか?」

ヌカ「ここウチなんだけど」

マオ「あっ、そうだ。 ……じゃないでしょ。何かまだ話したいことあるんでしょ?」

ヌカ「うん。実はさ……」ヒソヒソ

マオ「……え゛え゛!?!?」

ガラッ!

ムラシ「二人とも、まだ寝てなかったのか!?育ち盛りとはいえ体力が有り余りすぎてるんじゃないのか?」

マオ「あっ、お義父さん!」

ムラシ「誰がお義父さんじゃ」

マオ「ヌカちゃん、ーーーーーーーーするってホントですか!?」

ムラシ「……あぁ、言ってなかったっけか。まぁ……親としてそれなりに反対はしたんだけどね」
 ▼ 223 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/26 20:56:21 ID:9/pArQfA [2/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ニャース「…………」

キテルグマ「くぅ?」

ニャース「……何でもないニャ。今日は星が綺麗だと思っただけニャ」

キテルグマ「くぅーうー」

ニャース「お月様もいいけど、お星様もまたいいモンだニャー。一つ一つが輝いていて一つの世界を作ってる。……まるでニャー達みたいだニャ」

キテルグマ「くぅ?」

ニャース「えっ、ご飯? ……そういえばお腹が減ったのニャ。もうちょっとしたら行くから先に頂いてていいのニャ」

キテルグマ「くー……」

ニャース「『コメットちゃん』って誰って? ひょっとして声に出ていたかニャ。……いいニャ。おミャーになら話してもいいかニャ」


ニャース「『コメットちゃん』は、炊飯器の中でニャーが出会ったとっても優しい子の名前ニャ」


― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ―


これは、ウルトラジャーの心の声を聞いた、ポケモン達だけの秘密のお話。

コメットちゃんの、悲しいお話。


コメットちゃんはアローラから遠く離れた地方で、大好きな主人の少女とその家族と仲良く暮らしていた。コメットちゃんが知る少女はサトシ達より少し年上くらいで、コメットちゃんを自分が生んだ子供のように溺愛していた。

コメットちゃんとは、少女がメスのニャースにつけた名前だ。額に光る小判が星形をしていた事から名付られた。唯一無二の形の小判は自分が世界でたった一匹の特別な存在であること、少女のパートナーは自分だけなのだということを実感させ、少女もコメットちゃん自身も誇りに思っていた。

コメットちゃんは少女にとって大切な家族であり、何よりの自慢だった。二人は近所の間でも評判の仲良しコンビだった。

ご飯もお風呂も、寝る時も一緒。片時も離れることなく仲睦まじい生活を二人が送っていたある日のこと、少女はポケモントレーナーを育成する学校へ進学するため親元を離れ生活することとなった。


少女「じゃあ……いってきます!」

コメット「にゃにゃっ!」


勿論コメットちゃんも彼女についていった。生活だけでなくポケモンバトルでも名コンビになれるようにと少女と兼ねてから約束していたのだ。同じ地方の中での移動とはいえ、二人とも新しい生活・新しい出会いに胸躍らせていた。


校長「諸君、入学おめでとう。我が校の生徒になるということは、諸君は世界に通用するトレーナーになれる未来が約束されている。ここに来たからには、我が校の生徒としての自覚をもち、将来に向けて日々精進するように」

少女「ゴクリ」


入学してからは、正に修行と言えるほどの厳しい授業に耐える日々が続いた。地方一のトレーナー学校を甘く見ていた二人は人一倍苦労するハメになったものの、お互い励まし合いながら過酷な毎日を乗り越えていった。

小判についたキズも努力の証。それもまた自慢の種と、以前にも増して少女はコメットちゃんの立派な姿を誇らしく思えるようになった。
 ▼ 224 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/26 21:06:01 ID:9/pArQfA [3/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
やがて月日は流れ、いつの間にか二人が入学してから一年以上が経過していた。トレーナー学校の生徒やそのポケモン達は経験を重ね、着実にポケモンバトルの腕を磨きながら互いの絆を高め合っていく中、少女とコメットちゃんは……


コメット「フギャッ」

少女「あぁ……コメットちゃん!」

生徒「勝負あり!時間、0分52秒」

先生「またか……いくらこのクラスがお前意外の全員が出来のいいヤツばかりとはいえ、これだけクラス内バトルの勝率が悪いと単位はやれんな」


未だにポケモンバトルの才能を開花できずにいた。成績も振るわず、皆が成長してゆく環境の中で完全に置いてきぼりを食らい、落ちこぼれの仲間入りをしてしまっていた。先生も他の生徒達も、いつしか少女を見下すようになっていた。


しかし、少女はめげることなくコメットちゃんと共に学校へ通い続けた。そんなある日のこと……


ボーイフレンド「ちょっといい?……君だろ?さっき合同授業で僕の友達と一緒だった子」

少女「えっ?」

ボーイフレンド「傍で見てたよ。さっきは僕の友人が悪い事したね……僕でよければ相談に乗るよ」

少女「……い、いいんです。私はコメットちゃんがいれば何も怖くありませんから……」

ボーイフレンド「放っておけないんだよ。君の事。 ……ねぇ、友達になろうよ。皆は君の事を避けているけど僕はそんな事しない。この町に来て君がしたかったコト……何でもさせてあげるよ」

少女「う、うん……///」

コメット「ニャッ……?」


少女にボーイフレンドができた。ある日突然彼が話し掛けてきたのは、それまで学校で冷たい視線を浴びせられ続けてきた少女にとって思いがけない出来事だった。


それからというもの、彼は少女と親しくなっていった。時には少女の相談相手になり、今まで他人に話せなかった学校での事などを少女に打ち明けられては、笑顔でアドバイスをしてあげたりもした。

時が立つに連れ、一緒に勉強をしたり食事やデートに誘い合ったりする事もでき、周りから見れば二人はすっかり恋人同士だった。学校が辛いのは相変わらずだが彼といる時だけは、少女は幸せの真っ只中にいた。


ボーイフレンド「アハハ」

少女「ウフフ」

コメット「うにゅ〜……」


しかし、そんな幸せを快く思わない者もいた。 ……コメットちゃんだ。彼女にとって、自分の大好きな少女がボーイフレンドと仲良くしているのを見るのは複雑な気分だった。

自分から少女を無意識に遠ざけているボーイフレンドに腹は立つし、ボーイフレンドがいるために自分が少女といる時間が少なくなっている事に気付かない少女にも腹が立っていた。しかし今の状況が少女にとっての幸せならと、無理のない程度に我慢を決め込むことにした。

しかし、物心ついた時から少女と一緒だったコメットちゃんにとって少女が自分よりも他人と一緒にいる時間の方が長いという現実に耐えることは難しかった。人間の男女の仲睦まじい様はコメットちゃんの中に段々とストレスを溜め込んでいった。

コメットちゃんは知っていたのだ。ボーイフレンドが気にかけているのは少女であって、自分ではないことを。

ボーイフレンドは自分の事を興味ないかもしれないけど、できることなら自分も仲良くなりたい……とは思わなかった。コメットちゃんは人見知りで、自分に顔を合わせてくれる人でないと関わり辛かったのだ。


コメット「トホホ……」
 ▼ 225 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/26 21:15:09 ID:9/pArQfA [4/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
コメット「ZZZ……」

少女「あ、来てくれたんだ!入って入って!」

コメット「ニャッ!?」パチン


ある日の事、ボーイフレンドがとうとう少女とコメットちゃんが二人きりで暮らしている部屋のあるマンションにやってきた。ついに少女はボーイフレンドを家に呼んだらしい。


ボーイフレンド「へぇ……ここが君の家か。随分綺麗だね。掃除とかこまめにやってるの?」

少女「うん!今日はあなたが来るっていうから少しだけ張り切ってみたの!」

ボーイフレンド「そうか……なら、今夜はお楽しみだね」

コメット「ケッ」

少女「あっ、コメットちゃんどこ行くの?」

ボーイフレンド「空気を読んで部屋を出て行くみたいだね。お利口なニャースじゃないか」

少女「えへへ……///」


イチャコラくっつく二人の甘い雰囲気に耐えられず、少女の家の一番奥のクローゼットに逃げたコメットちゃん。実家から離れている現状、一番落ち着く場所すらもストレスの溜まり場になってしまったコメットちゃんの我慢はいよいよ限界が近づいていた。


その夜……コメットちゃんは二人から離れ廊下で眠ることにした。しかしストレスのせいか中々寝付けない。部屋への扉越しに聞こえる二人の声にコメットちゃんは苛立ちを隠せなかった。

だがしばらくして、怒りよりも寂しさが込み上げてきた。眠れなかったのはストレスのせいではなく、自分が少女の傍でないと眠れないからだった。邪魔は入るがやはり少女の隣がいいと、コメットちゃんは一組のカップルがいる部屋の扉を開けた。


コメット「……!?」

ボーイフレンド「い、いきなりなんだ!?……あぁ、ニャースか。ノックしないで部屋へ入って来るとは礼儀のなってないヤツめ」

少女「コメットちゃん……!?廊下で寝てたんじゃなかったの!?」

コメット「ニャ……?ニャ……!?」


部屋の中で起きていた事態にコメットちゃんは一瞬眼を疑った。自分達家族しか見たことのなかった全身の肌を露わにし仰向けになった少女に、ボーイフレンドが覆いかぶさるようにして跨っていたのだ。

コメットちゃんは少女がボーイフレンドに襲われていると思い込んだのだろうか、コメットちゃんの姿を見た二人は慌てていたが、同じように慌てていたコメットちゃんの体は小刻みに震えだしていた。

ついにコメットちゃんの怒りは爆発した。裸の人間二人の眼に映ったのは、悲しみと苛立ちと、色々なものを抑えきれずに暴れる一匹のニャースの姿だった。


少女「コメットちゃん待って!これは……

ボーイフレンド「ま、待て!やめ……


コメット「 ギ ャ ア ア ア ア ア ア ア ア ア ア ! ! ! ! 」
 ▼ 226 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/26 21:31:48 ID:9/pArQfA [5/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
コメットちゃんの眼の前から、いつの間にかボーイフレンドの姿は消えていた。一通り暴れせいせいしたのか、コメットちゃんは怯える少女に微笑みかけると彼女の傍で眠りについた。眠気からかその時の少女の顔は、よく見えていなかった。

コメットちゃんの幸せは少女の傍にあるなら、きっとその逆も同じ……とコメットちゃんは信じて疑わなかった。実際、今まで生きてきてそうだったのだから。


しかし翌日、トレーナー学校で少女とコメットちゃんを待っていたのは……生徒達からの、卑劣な虐めの数々だった。

昨晩コメットちゃんが追い払ったボーイフレンドは少女と対照的に学校でも一目置かれるほどの存在で誰からも尊敬されていた。そんな彼をコメットちゃんが傷付けたことで、少女に向けられた眼差しは軽蔑から怒りに変わっていった。

それはコメットちゃんにとっても理不尽な出来事だった。自分が守ろうとしていた人が、何も悪くない人がどうして責められなけらばならないのか、何故悪人であるあの男が守られているのか、何もわからなかった。

当のボーイフレンドはというと、まるで虐めの集団を統括するかのように生徒達を次々と自分の仲間に引き入れては、彼らを使って少女を罵り続けた。


ボーイフレンド「助けてください!またあの女だ!これ以上アイツに関わったら殺される!あのニャースを使って!」

先生「劣等生の嫉妬もここまでくれば同情の余地もない……こんなことで将来を担うトレーナーの芽を摘まれてたまるか!」


実は、一番彼女の事を見下していたのは彼だったのだ。人のできる事をできないことで集団に馴染めず、事あるごとに周りの空気を乱す少女の振る舞いに嫌気が差した彼は、周囲から避けられていた少女を排除しようと企てたのだ。


生徒A「アイツ、泣いてたな。でもアイツが悪いんだ。迷惑を掛けるだけ掛けておいて、こちらが相応の事をすれば被害者面。イジメられっ子ってのは皆そう、ロクな奴がいねぇな。自分がどうして痛い目を見てるのか考えもしねぇ」

生徒B「考える頭が無ぇから自分がイジメられてるなんて泣き事しか出ねぇんだろ。理由も無しに人を痛めつけるワケあるかって話だ」

生徒C「しかしアンタもよく我慢したな。オレならアイツと一緒にいるのに耐えられなくて殺してたかもな」ハハハ

ボーイフレンド「それもいいが、あの子には教えてやりたかったんだ。自分が周りにどう思われてるかってね。君達は彼女を避けてばかりで、中々君達が本当に彼女にしてやりたい事をできずにいた。僕はそれをしやすくしてやっただけの事だ。その証拠に今の彼女はただののけ者じゃない、立派な悪人さ」


ボーイフレンドは尊敬されていた。誰も、彼の狂気を正気と信じて疑わないほどに。もうこの場所には少女の味方などいなかった。コメットちゃんは必死に彼女を守ったが、その内コメットちゃんも虐めに巻き込まれていった。

額の星形の小判も……自分が世界でたった一匹の特別な存在であること、そして少女のパートナーは自分だけなのだということを意味していた象徴も、消えないキズや汚れが増えて行き、輝きを失っていった。

それでもコメットちゃんは少女を守り続けた。コメットちゃんは彼女と共にいることで、戦い続けることができた。……勝負の見えている戦いを。


少女「うぅ……」

ボーイフレンド「じゃあね。僕は……他と違うヤツが嫌いなんだ。周りに馴染めないばかりに僕達のしたい事ができなくなるってのが、何よりも嫌いなんだ」
 ▼ 227 リムー@ゴツゴツメット 18/08/26 22:15:31 ID:GBvQVdBU NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
ニャー炊飯器?
 ▼ 228 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/27 19:53:02 ID:SXtwWur2 [1/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
こんな地獄が数日続いたが先生は少女の悩みを聞いてくれない。先生達も少女を軽蔑していたからだ。成長の無い生徒に、この学校の大人達は見向きもしない。

大人達といえば学校の外にもたくさんいる。しかしボーイフレンドとの一件以来、悪い噂が流れたのか誰も少女と関わろうとしない。

最後の望みは、少女を育ててくれた家族。生まれてからずっと、彼女の傍にいた家族にありのまま今の自分を伝え……


お掛けになった電話番号は 現在使われておりません


られなかった。引っ越したのだろうか、あるいは家族にも噂が流れたのか、連絡がつくことはなかった。

絶望する少女を見て、コメットちゃんはいよいよ決心した。少女を守るのは自分しかいないと。 少女の幸せが自分と一緒にいることだというのなら、自分がいる限り少女をいつかは幸せにしてやると決めたのだ。

とはいえ今は大きな事は何もできない。コメットちゃんはとりあえず、少女に微笑みかけてみる。……どうだろう。今鏡を見たら自分はちゃんとした笑顔をしてるだろうか。今の笑顔で彼女は安心できるだろうか、と考えながら少女の反応を待つ。

少女は重い口を開く。


少女「……もういいよ」

コメット「?」

少女「無理しなくていいよ。……ありがとう。あたしを励ましてくれてるんだね。……でも                      も う い い の」


少女は今までコメットちゃんですら見たこともない表情をしていた。怒りでもなければ悲しみでもないし、立ち直ったワケでもない、開き直ったようでもない、よくわからない顔だった。ただ一つその表情から感じられたのは、たった今彼女の中で何かが壊れてしまったということだ。

コメットちゃんは狼狽えた。 ……「もういい」ってどういう事なんだ? ……彼女はもう諦めたのか? ……何を諦めたんだ? ……諦めたとしたらこれから彼女はどうするつもりなんだ? ……一体あたしは何をしたらいいんだ?

コメットちゃんの頭は「わからないことだらけ」になってしまった。コメットちゃんが頭を抱えているうちに、少女はコメットちゃんから眼を逸らし、彼女を置いてどこかへ歩いて行く。


コメット(まさか……嫌だ!そんなの!)


「わからないことだらけ」の中に、これから起こるであろう最悪の結末を思い浮かべてしまったコメットちゃんはそれを止めるべく少女を追う。それに気付いた少女の足が速くなっていく。少女は止まる気がないようだ。

自分の幸せが少女のところにあると思っているコメットちゃんは少女のいない世界など考えたくもなかった。コメットちゃんは少女を追いながら弱々しい泣き声で必死に訴える。

この世界からいなくならないで。どれだけこの世界がイヤになっても、あたしとあなたの幸せは、お互いの中にあるんだから……と。


気が付けば、二人は浜辺に辿り着いていた。ゴミがたくさん散らばりお世辞にも綺麗とはいえない浜辺だ。空は灰色の曇り空で薄暗く、二人の気持ちをより一層沈ませる。……こんな空では、星の一つも見えやしない。


少女「…………」

コメット「……」オロオロ

少女「コメットちゃん」

コメット「!!」
 ▼ 229 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/27 20:04:46 ID:SXtwWur2 [2/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
少女が再び重い口を開いた。しかし今度は声が震えていなかった。……彼女の中で、何かの決心がついたらしい。

少女は徐に、浜辺に溜まっていたゴミの山を漁り始めた。この地域は粗大ゴミの回収が無いからか、古びた家具が沢山捨ててある。大半は形が変わるほどボロボロに破損していたが、少女は比較的綺麗な炊飯器を抱えてコメットちゃんの前に持ってきた。

地面に置かれた炊飯器と中腰で自分を見つめる少女を交互に見るコメットちゃん。「わからないことだらけ」の頭の中が再びメチャクチャに回りだそうとしたその時---------------------


少女「入って」

コメット「……ニャ?」

少女「入って」

コメット「……ウニャ」

少女「 入 っ て ! ! ! 」


少女はコメットちゃんの胴を引っ掴むと、コメットちゃんを炊飯器の中へ押し込み、蓋を閉めた。震える手で押さえつけられた炊飯器の中からはコメットちゃんの鳴き声と金属を引っ掻く音が聞こえてくる。

コメットちゃんはとうとう何もかもがわからなくなり、いきなり閉じ込められた暗い部屋の中で必死にもがく。


ゴツッ!!

コメット「」ビクッ


暗闇の部屋の外からの大きな音に怯むコメットちゃん。次に聞こえてきたのは少女の声だった。……泣いているのだろうか、その時の少女の声はまた震えていた。


少女「……ひどいよコメットちゃん。……どうして、どうしてあんなことしたの? どうして彼にあんなことをしたの? コメットちゃんは……一体何がしたかったの?」

コメット「……?」

少女「あたしが今までどれだけ苦しかったかわからないワケじゃないよね。コメットちゃんも同じように苦しかったものね。そうだよね」

少女「あの人があたしに優しくしてくれたのは嬉しかった。例え嘘だとしても、あの人との時間は苦しいことだらけの学校のことを少しでも忘れることができる時間だった。……あたしは一秒でも長く、彼と一緒にいたかった」

少女「でもコメットちゃんはそれを断ち切ったよね。もう少し続くかもしれなかったあたしの幸せを。それはあなたが自分の幸せを奪われたくなかったから。コメットちゃんはあたしと一緒にいるのが幸せだってずっと思ってたもんね」

少女「……でもさ、ちょっとワガママだなって少しでも思わなかった?いくら周りが冷たくたって、あたしを幸せにできるのは自分だけだって自惚れてなかった?……違うよ。あたしの幸せは、彼があたしの前に現れた時にはもう……あなたのところには無かったの」

コメット「……!?」

少女「どんなにあなたが辛くたって気に入らなくたって、あなたさえ我慢していれば少なくとも今よりはずっとマシになってたハズなのに……返してよ……あたしの幸せを返してよ……」ポロポロ
 ▼ 230 グトリオ@ソクノのみ 18/08/27 20:14:48 ID:X.dgbD0Y NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
恋って怖い
 ▼ 231 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/27 20:16:34 ID:SXtwWur2 [3/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
少女「あなたがそれなりに我慢してたのは知ってる。でもあたしはその前からずっと我慢してたんだよ。どのくらい前から?……決まってるよ。あたし達が落ちこぼれになって、周りから避けられはじめてからだよ。あなたの隣でずっと我慢してたの」

コメット「ニャ……ニャ……!」

少女「自分もそうだって言いたいの?……嘘言わないでよ。本当に辛い我慢だったんだよ。思い返せばよく我慢できたなって我ながら誇らしいよ。こうなった理由と向き合いながら、地獄のような日々を耐えてきたんだから。……そしてやっと手に入れたささやかな幸せを……あなたは」

コメット「ニャ……?」

少女「理由って何かって? どうして……どうしてそんな事が言えるの……?」


少女「それはあなたよ        コ メ ッ ト ち ゃ ん」


コメット「……っ!?」

少女「あたしが周りの皆から避けられ、見下されてた原因はあなたよ。コメットちゃん。……初めからわかってたの。あなたは今の今までそれがわからなかったの?とんだ出来損ないね」

少女「周りの生徒達のポケモンを見たことないの?みんなあなたと違って集団に溶け込んでた。出来のいいポケモンは自分達のトレーナーに貢献したわ。バトルだけじゃなく、生徒同士のコミュニケーションにもね。当たり前のように皆ができてる、そんな『普通の事』がどうしてあなたはできないの?」

少女「学校に行って一番学べたこと……それはあたし達の弱さじゃない。あなたの弱さよ。あなたは弱いし、情けないし、役に立たない。おまけに勘違いばかりするおバカさん。だから散々あたしに迷惑を掛けてきて、まだ自分に非がある事に気付いていない」

少女「どうせ今の状況も理不尽だって思ってるんでしょ?……違うよ。これは今まであなたがしてきたことの報いだよ。あなたのせいであたしはここまで落ちた。それ相応の報いは受けてもらわないと気が済まないよ」

コメット「……ニャ……ニャ」

少女「……成程。どうしてあなたがそこまで往生際が悪いのかわかったよ。あなたの額にある……星形の小判だね。それはあなたが特別な存在であることと、あたしの唯一のパートナーであることの印だってお母さんも言ってたね」

少女「あたしもそんなあなたが自慢だったなぁ。人もポケモンも、『他と違う』って事がとっても素晴らしいものだって考えてた。……でもそれも学校に行って、違うってわかったの」

少女「『他と違う』って言うのは……すごく恥ずかしいことなの。あなたの頭にある小判も自慢していいものなんかじゃない。あなたが『他のニャースとは違う』ってことは自慢できる事なんかじゃない。あたしにとってあなたは自慢なんかじゃなかった……ただの 『 恥 』 だったのよ」

コメット「……っ!!」

少女「コメットちゃん、『他と違う』って事は何の役にも立たないんだよ。周りのみんなと同じ事ができない者の言い訳にしかならないんだよ。……今までのあたしはどうかしてた。『他と違って役に立たない』あなたを……何よりも誇りに思ってたんだから」

少女「もっと早く気付くべきだった。あなたのところに、あたしの幸せなんか無いって。本当の幸せは……周りのみんなに溶け込むことでしか得られない。『普通』でいることがこの世界で生きる上で一番の幸せなんだって気付くのが遅すぎた」
 ▼ 232 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/27 20:28:35 ID:SXtwWur2 [4/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
コメット「! ニャ!!ニャニャニャ!!」

少女「何が違うの? ……もういい。もうあなたから幸せを返してほしいなんて言う気もないよ。 これ以上我慢するのはもうイヤだもん。だからあなたとも、この世界とも……ケジメをつけるためにここに来た」

少女「思えばあなたと関わりをもった時から……あたしも『他と違う』人になってたのかもね。 お互い、生まれ変わったら次は『普通の子』として生まれてこれるといいね」


少女「じゃあね」


コメット「ニャッ……」


コメットちゃんが少女の声を聞いたのは、それが最後だった。次にコメットちゃんの耳に届いたのは荒れ狂う波の音だった。コメットちゃんは、自分の閉じ込められた炊飯器が波に呑まれて海へ沈んだと理解した。

暗闇の中でコメットちゃんは悲しんだ。そして自分を恨んだ。他のニャースと違う自分の姿と、人並みに……いや、ポケモン並みに、普通の事ができなかった自分の不器用さを恨んだ。

しばらくすると、炊飯器の隙間から海水が津波のように押し寄せて……コメットちゃんの意識は、そこで途切れてしまった。

最期まで、コメットちゃんは少女に裏切られたとは思わなかった。悪いのは自分だから、もしできる事なら何よりも先に彼女を探し出し、謝りたいと思っていた。もし、できる事なら……


― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ―


ニャース「…………」

キテルグマ「くぅ?」

ニャース「あぁゴメンニャ。……コメットちゃんは全部正直にニャーに話してくれたニャ。少女に突き離された時はつらかった……それでも、少女の事を悪く思うことはできない、と言っていたニャ」

ニャース「ニャーなら許すことはできないのニャ……誰しも、自分にしかないものを持っていていけないハズがないのニャ」

キテルグマ「くぅぅ」ポンポン

ニャース「あぁ、ありがとうニャ…… それとニャ、コメットちゃんはその後の事を話してくれたのニャ」


ニャース「炊飯器に閉じ込められ、海に沈んだコメットちゃんは暗闇の中で溺れて亡くなってしまった……だけどその魂はどういうわけかコメットちゃんの肉体が滅びてもなお炊飯器の中に残ったらしいのニャ」

キテルグマ「??」

ニャース「信じられないと思うニャ?でもコメットちゃん自身が確かにニャーにそう言っていたのニャ」

ニャース「コメットちゃんの意思はその後も炊飯器の中に残り続けた。でも余程少女の期待に応えられなかった自分が許せなかったんだろうニャ。魂は二つに分裂し、コメットちゃん自身のものとは別に、少女に謝りたい気持ちと自分の不器用さを呪う自責の念だけが独立して新しい魂を生みだした」

ニャース「新しい魂は炊飯器に憑りつき、別の命を吹き込んだニャ。こうして化け物は生まれたそうなのニャ」
 ▼ 233 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/27 20:42:22 ID:SXtwWur2 [5/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ニャース「……つまりコメットちゃんは、コメットちゃん自身の想いが詰まった入れ物に閉じ込められたまま、長い間暗く深い海の中を彷徨い続けたのニャ。どのくらい彷徨っていたのかは覚えてないと言ってたけど、きっと気の遠くなるほど長い年月を過ごしたに違いないニャ」

ニャース「そしていつの間にか、偶然にも、このアローラの海に流れついたらしいのニャ。そして……ニャー達は何も知らず海に沈んでいたコメットちゃんを炊飯器ごと釣り上げ、持ち帰ったのニャ」>>23

ニャース「そしてムサシが無理矢理炊飯器の蓋を開けた時、ニャー達は炊飯器の中に閉じ込められてしまったのニャ。そういえばおミャーも炊飯器を開けようとしていたまさにその時を見ていたニャ」

キテルグマ「くぅ」

ニャース「何でおミャーは無事だったのニャ……まぁいいニャ。ニャーは炊飯器の中に閉じ込められた後、コメットちゃんの心の中……『わからないことだらけ』の世界をしばらく彷徨い、コメットちゃんに会うことができたのニャ」

ニャース「そこでコメットちゃんから色々な話を聞いたニャ。ニャーはしばらく、彼女の悩みを聞いてあげていたニャ。『ニャゴシエーター・ニャース』として、暗闇の中でふさぎ込んでいた彼女を放っておくことができなかったのニャ」

キテルグマ「きぃ」

ニャース「えっ?その間ムサシとコジロウは何をしていたのかって?あぁそうだ。それも話さないといけないニャ」

ニャース「コメットちゃんの自責の念を受け継いだ炊飯器が蓋を開けられた時にちょっとした暴走を起こしたらしいのニャ。そしてムサシとコジロウを取り込み、動ける体を手に入れた……そういえばジャリボーイ達は確か、それを『ウルトラジャー』とか言ってたニャ」

ニャース「暴走は己の目的を果たすために動ける体を欲した結果だった。だけど久しぶりに見た海の上の世界に慣れることができず、強化された体を以てしても活動するのには一苦労。どこかで体を休ませる必要があったのニャ」

ニャース「そこで炊飯器はムサシとコジロウの記憶を体の中にインプットしていくつかの同胞を生みだした。そいつらの姿は二人の記憶の中にいたポケモンのイメージを膨張させたものとか言ってたニャ」

ニャース「奴らは炊飯器がメレメレ島の各地に産みつけた卵から生まれて炊飯器の代わりに活動を開始した。……まるで親の仕事を手伝う子供のように」

ニャース「そこまでして炊飯器が……いや、コメットちゃんが……いや、ウルトラジャーが成し遂げたかった目的、ニャんだと思う?」

キテルグマ「くーーー……」

ニャース「それは自分を捨てた少女を見つけ出すこと。そして、彼女に謝ることだったのニャ。コメットちゃんの意思から離れて暴走した炊飯器は、その目的を果たすためだけのものだったニャ。……おミャーも外にいたなら聞こえたハズニャ。銀色の怪物の……悲痛な叫び声が」

----------------------------------------------------------------

ウルトラジャー「 コ メ エ エ エ エ エ エ エ エ ! ! ! 」


ウルトラジャー「コメェェェェェェッ!!」


ウルトラジャー「コメエエエエエエ……!」

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ニャース「『 ゴ メ ン 』 『 ゴ メ ン 』 って」
 ▼ 234 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/28 19:52:19 ID:MxSUnu76 [1/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ニャース「コメットちゃんはずっと泣いていたのニャ……一度死んでもなお、トレーナーの少女の事を片時も忘れたことはないと言っていたニャ。普通ならすぐにでも忘れたいハズの奴の事を」

キテルグマ「くぅー……」

ニャース「ニャーはそんなコメットちゃんを精一杯励ましたニャ。そしたらコメットちゃんは最後にやっと笑ってくれた。炊飯器という殻を破って、笑って旅立っていったのニャ」

ニャース「ニャーだけじゃニャい。ゴウカザルも、ジャリん子共のポケモン達もみんなコメットちゃんを救おうと頑張ってくれてたのニャ。……みんなみんな優しいヤツばかりでニャーも助かったニャ」

ニャース「きっとニャーとコメットちゃんが出会うのは運命だったニャ。コメットちゃんはもしかしたら、自分が抱えている心の闇を見てくれる相手を待っていたのかもしれないニャ」


ニャース「それにしても綺麗な星空だニャー。コメットちゃんの星は……一体どれだろうニャ……

ニャース「…………」ホロリ

キテルグマ「くぅ?」

ニャース「キテルグマ。コメットちゃんは笑って旅立っていったニャ。ニャー達から元気をもらった彼女は、ただ嘆き悲しみながらたった自分を責め続けるだけの時間から抜け出すことができたニャ」

ニャース「……でも……もしできるなら……ニャーは……彼女が生きている内に出会いたかったのニャ……彼女が生きている内に、助けたかったニャ……」ポロポロ

キテルグマ「…………」

ニャース「ニャーの励ましは確かにコメットちゃんを勇気付けたニャ。最後に見た彼女の笑顔に嘘は無かったのニャ……でも……生きている内に彼女を助けることができたら……コメットちゃんはもっと色んな世界を見れたんじゃないかニャ……?」

ニャース「せっかく仲良くなったのに……同じニャース同士……ううん、『他とは違う』ニャース同士でじゃれ合ったり語り合ったりしたかったのニャ。ニャーはもう生きてる限り……コメットちゃんには会えないニャ」グスン

キテルグマ「……」ナデナデ


「他と違う」「普通の事ができない」ために周りから避けられ命を落とし、長い間、一人ぼっちの世界で後悔を続けていたコメットちゃんに手を差し伸べ、光を与えたニャース。

ニャースはコメットちゃんに寄り添うことで彼女の心の闇を受け止め、彼女のほぼ全てを知った。……だからこそニャースは今、誰よりもつらかった。

涙が溢れ出てくる。自分ならコメットちゃんをもっと早く救ってあげられたのかニャ……仲良くなれたのかニャ……そう思うと、眼から大粒の雫が頬を伝っては地面に落ちる。


ニャース「ニャーにも昔、コメットちゃんと同じくらい仲良くなりたい子がいたのニャ……そのためには他のニャースが『普通』にできる事をできなくなる覚悟をしてまで『他と違う』ニャースになる必要があった」

ニャース「……と勝手に思ってたのニャ。『他と違う』ニャーを見たその子はニャーを気味悪がってニャーの前から二度も姿を消したのニャ……それからしばらくニャーは自分に自信を持てなかったのニャ……」

キテルグマ「くぅー?」

ニャース「キテルグマ……ニャーが悲しいのはコメットちゃんがそんなニャーを受け入れてくれたからニャ……受け入れてくれたから、ニャーのアドバイスも聞いてくれたのニャ……」

ニャース「折角仲良くなれたのにもう会えないのニャ……あの子みたいに仲良くなれそうな友達に、もう会える気がしないのニャ……」ポロポロ
 ▼ 235 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/28 19:57:00 ID:MxSUnu76 [2/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
キテルグマ「くぅ……」


オーーーーーーイ ニャースーーーー        オナカヘッタワヨーーーーー  ゴハーーーーン      ソーーーーーーーナンス


ニャース「……ニャニャ?」

ムサシ「帰って来るやいなや何を二人でノンビリ外でくつろいでんのよ!こちとら昼から何も食べてなくて腹が減ってるんだから早くいらっしゃいよ!」

コジロウ「全員で食卓を囲んでからいただくのがルールだったろ?お前らが来ないと飯が食えないんだよ!」

ソーナンス「ソーーーーーナンス!」


ニャース「……いたのニャ。『他とは違う』ニャーを受け入れてくれた人……こんな近くに」

ニャース「……キテルグマ。コメットちゃんは最後に笑ってたニャ。それはニャーがコメットちゃんの『他とは違う』ところを褒めてあげたからなのニャ。きっと」

キテルグマ「くぅぅ?」

ニャース「『じゃあどうするの』って? ……決まってるニャ。コメットちゃんが笑うのなら、ニャーも今から笑うのニャ」

ムサシ「アホな事言ってないで早く帰るわよ!準備はできてるから、また明日からの活動に向けて早急に体力つけるわよ!」

コジロウ「えぇ!?今日は散々な目に遭ったんだし明日も休みでいいだろ!?何てことのない日常を楽しもうや!」

ムサシ「だったら尚更よ!ロケット団にとっての何てことのない日常ってのは休むことじゃないの! おら!そんな事より明日のためのご飯です!」

コジロウ「そんな……」

ムサシ「ニャース!アンタも早く来なさい!」

ニャース「ムサシ、コジロウ」

ムサシ「何よ」

ニャース「今のニャーは幸せものニャ。ありがとニャ。こんなニャーと一緒になってくれて」

コジロウ「何だ急に。気味が悪いヤツだな」

ムサシ「そりゃまぁ喋るポケモンって何かと便利だしねぇ」

ニャース「ニャーはそんなおミャーらに感謝を込めて、この綺麗な星空の下で……今から歌うのニャ」

ムサシ/コジロウ「「はよこい」」
 ▼ 236 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/28 20:00:45 ID:MxSUnu76 [3/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ムサシ「それじゃあ今日も元気に……」


「「「「「「「いただきます!!!」」」」」」」



朝の鏡の中から     眠そうにこっち見てないでさ

ちょっと笑いなよ     その顔に微笑んであげるから



ムサシ「かーーーっ!生きてるってカンジ。生き物はやっぱ食べてる時が一番幸せよね」

ミミッキュ「むゅ」

コジロウ「……とは言っても、きのみだけの生活もそろそろ飽きてきたな……」

ヒドイデ「どいでっ」



今日は昨日の   そう 昨日の明日       おいらたちのこと   照らせ

昇る    昇る     昇る 太陽よ



ニャース「だったらカントー人らしくお米でも食べるニャ?つい最近、炊飯器の専門店ができたらしいからそこで炊飯器を買うのニャ」

ムサシ「ハッ!よくもまぁそんな事が言えたものね!」

コジロウ「炊飯器なんかしばらく見たくもねぇよ!お前はよく懲りないもんだ」

ニャース「コ……コメットちゃんが好きって言ってたからニャ」

ムサシ「コメットちゃんて誰やねん」



おいらは笑う     あいつも笑う

みんなが笑う     思わず笑う     嬉しさ笑う



ニャース「ここからでも綺麗な星が見えるニャ……みんな違った光り方をしてて面白いのニャ」

ムサシ「どれも同じに見えるんだけども……でもまぁ、星空って何か知らないけど落ち着くわよね」

コジロウ「理由は何てことないけど、いいカンジ……だな」

ソーナンス「ソーーーーーーナンス」



悲しみ笑う

みんなで笑う       明日も笑う
 ▼ 237 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/28 21:43:59 ID:MxSUnu76 [4/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
次のおはなし



最終話(全13話)「To Be Continued」
 ▼ 238 ノマダム@かえんだま 18/08/28 21:51:41 ID:yozoHcgE NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ついに最終話か…

コメットちゃんのトレーナー自分勝手すぎだろ
そんで周りも周りでひどすぎる
みんなが優しくできたらあんなことにはならなかったんだろうな…

それに比べマーマネはプログラミングできるから多分ああいうやつらよりも頭良くて性格いいから素晴らしい

支援
 ▼ 239 リムガン@ロックメモリ 18/08/29 13:14:05 ID:AeP.oFGo NGネーム登録 NGID登録 報告
結構進んでたな
少女ちゃんの気持ちもわかる ニャースを誇る気持ちと恥ずかしい気持ちでどうすればいいのか分からなくなる

しえんね
 ▼ 240 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/09/06 22:12:13 ID:VfqInRbk [1/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ウルトラジャーの一件から数日後


今日はアイナ食堂の定休日。お客のいないレストランの厨房で、二人の少女はせっせと作業に勤しむ。

でも、その表情はどこか明るげ。それもそのはず、今日は皆に初めて二人の共同作品を楽しんでもらう日なのだ。二人はしばしば眼を合わせては、にっと笑って再び作業に戻るのを繰り返す。

ウルトラジャーの一件ですっかり親しくなったマオとヌカが作っているのは、炊飯器を使ったオリジナルのホールケーキ。皆の反応を妄想しては、おかしくなってふっくら頬っぺたを膨らませながら、軽く噴き出してみる。


マオ「ヌカちゃん、メレンゲはできた?」

ヌカ「うん。さてさて、これからマオちゃんの作った生地にあたしの作ったメレンゲを混ぜていきます」

マオ「生地には卵黄や牛乳・砂糖は勿論、今回は特別にドライフルーツにカシューナッツ、そしてヌカちゃんの実家から頂いた米粉を混ぜ込んであります」

ヌカ「生地とメレンゲが混ざったら……炊飯器に、 ド ボ ン ! ! 」

マオ「ドボンはまずいよヌカちゃん!メレンゲを潰さないようにゆっくりと!」

ヌカ「へいへい。とにかく次に炊飯器を開ける時には、もちもちの米粉ケーキの完成だよ!」

アママイコ「あぁまい!」

トロピウス「クルルルルル」

マオ「あぁぁ、早く皆来ないかなぁ……」

ヌカ「フフ、すぐに来たって食べられるのは炊き上がってからだよ」

マオ「ねぇ、最初に誰が来るか予想しない?予想が外れた方は当たった方の言う事を一つだけ何でも聞くって罰ゲーム込みで!」

ヌカ「のった!……やっぱり、マサラタウンのサトシかな?」

マオ「あたし的にはサトシは一番最後かもだね。マーマネが一番確率高いけど……あえて本命外してスイレンと予想しようかな」

ヌカ「マーマネ君か!じゃああたしの予想は彼にしようかな」

マオ「よっしゃ!あたしはスイレン。ヌカちゃんはマーマネ、勝った方は敗けた方に(可能な範囲で)何でも命令OK!」

ピンポーーーーン

ヌカ「来た!」

マオ「いらっしゃぁぁい!!」


カキ「来たぞ。いつもはマオの超次元メニューに振り回されるところだが、今日はヌカとの共同製作メニューがどんなものなのか、期待してるぞ」

ガラガラ「ガララー」

マオ/ヌカ「「お前かい」」

カキ「な……何でだ!?」

ヌカ「はっ!ゴメン、つい……」

マオ「仕方ない。罰ゲームはカキに決定だね。一発ギャグ」

カキ「ば、罰ゲーム!?スイレンなら無傷で……え?別件?一発ギャグ?」
 ▼ 241 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/09/06 22:18:25 ID:VfqInRbk [2/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
マーマネ「アローラー! マオ!恒例の新メニュー発表会、今日も楽しみにしてきたよー……って」


カキ「(=_=)」

マオ「(~_~)」

ヌカ「(~_~;)」


マーマネ「ど、どうしたの皆。お地蔵さんみたいに固まっちゃって」

カキ「……べった」

マーマネ「えっ?」

カキ「罰ゲームの一発ギャグが滑ったんだ。嫌々ながらも多少の自信があっただけに残念だ」

マーマネ「へぇ、どんなの?」

マオ「やめろ!!」


カキ「カキ、『そらをとぶ』だ!!   はい、 カ キ フ ラ イ 」


マーマネ「……ぅゎ〜……」

ヌカ「笑いたかったけどどう反応したらいいのか困っちゃって……」

マーマネ「いや、ありのままの反応が正解だよ」


マオ「しかーし!あたし達の共同制作、炊飯器で作る!簡単米粉ケーキならこーんな微妙な反応をさせる心配はございません!生地が炊き上がるまであと20分!完成までしばしお待ちを〜!」

マーマネ「楽しみだなぁ」

カキ「ケッ」


ピンポーーーーーン

ヌカ「あっ、マオちゃん!まただれか来たよ!」

マオ「スイレンだ! アローーラーーーーー!!!」ガチャッ

スイレン「うぉビックリした。いつになくMAXハイテンションだねマオちゃん」

マオ「っしゃあ当たりぃ!さぁおいでおいで、もうじき香ばしい生地の香りが炊飯器から溢れてくるの。一緒に楽しもう?」

♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪

炊飯器『炊き上がりました。保温を始めます』テンテンテテテン♪

ヌカ「きた!炊き上がりだよ!」

マオ「はひゃふぁへ〜♡ おこげとドライフルーツの香りがたまんないのぉぉぉぉっ♡♡♡///」ビクンビクン

スイレン「マオちゃんが壊れた……このケーキ、できる」

マーマネ「早く食べたいけど、サトシ達まだかな……」
 ▼ 242 ッカグヤ@ピーピーエイダー 18/09/06 22:22:14 ID:qj5kmkpE NGネーム登録 NGID登録 報告
うまそう♡
 ▼ 243 フォクシー@にじいろのはな 18/09/06 22:24:03 ID:PbXEKF8c NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
まるでカキフライだな
 ▼ 244 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/09/06 22:24:26 ID:VfqInRbk [3/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ウォォォォォォォ……!!


ヌカ「! 何か聞こえる!」

マオ「おっ、来たねサトシ。 カキ、出入口を開けて!」

カキ「ほいほい……」ガチャ


サトシ「ごめーーーーん!!待ったーーーーー!?」ダダダダダダ

リーリエ「遅れて申し訳ないですーーーー!!」

ド ガ ッ ! !

カキ「あどぅわっ」


マーマネ「ひ、轢かれた……てかサトシ、ここまでリーリエを担いで走ってきたの?」

サトシ「え?うん」

スイレン「サトシ、リーリエ、おはよう。二人共待ち合わせの時間には間に合ったよ」

サトシ「よ、よかった……滑り込みセーフだな」

リーリエ「サトシ速いです!速すぎます!時間に余裕を持って行動しないからあんな猛スピードで走らざるを得なくなるのです!」

サトシ「結果的に間に合ったからいいだろ?そんな事言うならリーリエだって自分で歩いても時間通り着けるように準備しときゃよかったじゃん」

マオ「アホかっ!退院したての女の子に無理さすな!」ベシッ

サトシ「けばぶっ」

マオ「リーリエはさ、ウルトラジャー・チルドレンと戦った時の傷が今日やっと完治して退院する事ができたの。そもそも、どうしてリーリエは入院することになったんだっけか?え?」

サトシ「お……オレがリーリエのバトルを傍観してたから……」

マオ「わかりゃいいんだよ!その責任を取るためにリーリエを病室からここまで担いでいくって宣言したのはどこの誰だっけか?お?」グリグリ

サトシ「ぼ、僕です……」

マオ「そーそー、ちゃーんと責任感じてリーリエの為に動けるんだから、そんなアンタが女の子に向かって『自分で歩け』なんて言うもんじゃなくって?うぅん?」ジロジロ

サトシ「サ……サッセンシタ……」

リーリエ「も、もういいですよマオ……」

マーマネ「めっちゃ舐めるようなアングルで見回してる怖っ」

スイレン「たまに出る女王様な気質のマオちゃん、イイ」

ヌカ(マサラタウンのサトシの周りって……スッゴイ騒がしいんだ)


ヌカ「……あ、そうだ!皆さん!集まったところで早速ケーキのお披露目といきましょう!」

サトシ「おぉ!来た来た!」

ピカチュウ「ピカカピ!ピカピ!」
 ▼ 245 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/09/08 00:17:39 ID:qGk.H8s6 [1/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
マオ「じゃじゃーーーん!米粉ケーキの生地の完成だよぉ!」ホカホカ

スイレン「うわぉー!」

マーマネ「ふぉぉ……どことなく炊き立てのご飯みたいな匂いもする……」

ヌカ「小麦粉よりもモチモチの食感に仕上がる米粉の生地に、フリーズドライさせたチーゴやパイルをたくさん混ぜ込みまして……

サトシ「えっ、『フリーズドライ』!?ヌカは氷タイプのポケモンも持ってたのか!?」

マオ「黙っとれ」

ヌカ「ど、ドライフルーツはスーパーとかで売ってるからよかったら探してみてね……あぁ、後、今回は栗やナッツなんかも混ぜてみたから酸味が強すぎない仕上がりになってると思うよ」

カキ「ほう、具材が豊富だな。食べごたえありそうだ」

リーリエ「ふっくらと、でもどっしりと厚みのあるケーキ生地の中にある果実の数々……まるで地中の宝石のようです!」

マオ「さらにさらに、この生地の上から生クリームを塗って……」ペタペタ

ヌカ「ケーキの表面にも、余ったフルーツを使って飾りつけをすれば……」

サトシ「ゴクリ」


マオ「今度こそ完成ーーー!! さぁ長らくお待たせしました!リーリエ退院記念、一日限りのスペシャルメニュー、『米粉のケーキ --Sweet Jewels-- 』ご堪能あれ!」

リーリエ「えっ……わ、私のために……ですか?」

マオ「勿論!リーリエの退院日に合わせて完成できるようヌカちゃんと入念に打ち合わせしたんだから!……退院、おめでとうね」

スイレン「マオちゃんっ……!」

カキ「……ほう。粋な事しやがる」

リーリエ「(;Д;) ウッウッ……マオ……ヌカサン……アッワスレテタ、ハジメマシテヌカサン、ワタクシガリーリエデス……コンゴトモ……ウッ……ヨロシク……」

マーマネ「泣きながら自己紹介してる……」

マオ「(TДT) うわーん!こちらこそだよぉぉぉぉ!!おかえりリーリエェェェェ!!」

カキ「何でお前が答えるんだよ」

スイレン「(TДT) 私にも改めてお帰りって言ってよマオちゃぁぁぁぁん!! 私の肺の火傷は翌日おやつにアロエを食べたらすぐ治ったけど改めて言ってよぉぉぉぉ!!」

マオ「(TДT) いいよぉぉぉぉ!!スイレンもおかえりだよぉぉぉぉぉ!!」

マーマネ「(TДT) わかったから早く食べさせてくれよぉぉぉぉぉぉぉ!!」

ウワァァァァァァ……ン!!!


ヌカ「( ゚Д゚) ポカーン」

サトシ「ヘヘ、みんな面白いだろ?だからオレはアローラ地方が大好きなんだ。ヌカも気に入ってくれたかな?」

ヌカ「えっ……!? あ、あぁ、うん!みんな面白い人達ばかりで楽しいな……あはは」

サトシ「よかった! じゃあ早速ケーキいただこうぜ!ピカチュウ!」

ピカチュウ「ペカァ♪」
 ▼ 246 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/09/08 00:19:52 ID:qGk.H8s6 [2/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サトシ「あぁあぁあ! んめぇぇぇーーっ!!」

ピカチュウ「ペカァァァァ!!」

リーリエ「お口の中が幸せだらけです♪ 入院してる間はこんな贅沢できませんでしたから……」

マーマネ「はいはい!僕の分は完食したよ!……誰か残す人いない?ねぇ?」

カキ「米粉か……つまり通常のケーキよりカロリーが低くヘルシーなワケだ。果物もたくさん入ってるから見た目も味も楽しい限りだ。だがオレならここに塩を入れるか。決して悪ふざけじゃないぞ。当たり前だが米粉ってのは米、つまり主食だ。すなわち食卓のお供にして調味料の王道を征く塩とマッチしないはずがないわけであって

スイレン「黙って食え」


マオ「フフ……みんな喜んでくれたようで何よりだね。 ……ねぇねぇ、そろそろヌカちゃん、告白してもいいんじゃないのん?」

ヌカ「えっ、今?」

マオ「そりゃもうせっかく集まってくれたんだし今言った方が後々楽になるでしょうに。ほれ、頑張れ頑張れ」

ヌカ「別に頑張る事ではないと思うけど……」


マオ「はいみんな、注ーーー目ーーー!! ここでヌカちゃんからお知らせがあるよ!」

マーマネ「何何!?」

スイレン「新作の炊飯器が9割引とか?」

リーリエ「あ、わかりました! ……ひょっとして、ヌカさんもポケモンスクールに通うことにしたのですか?」

ヌカ「うーん……それも考えたけど……あたしは家の手伝いをしなきゃいけないし。トロピウスと一緒にまたいつものようにバトルの賞金稼ぎをしなきゃ」

トロピウス「クルルルルル」

カキ「別に掛け持ちすれば問題なかろう。ポケモンスクールは家業と両立しながら通っている生徒も多いぞ」

ヌカ「じ、実は家の仕事以外にやりたい事があって……そのためにポケモンスクールに毎日通う余裕はちょっと無いかなって思って」モジモジ

カキ「……?」


ヌカ「あ、あたし!『島巡り』始めます! それも島々を回って、自然に触れる旅を自分でしたいと思ってます!」


サトシ「おぉ!島巡りするのか!?」

ヌカ「うん。明日出発するんだ」

スイレン「明日!?唐突……」

マオ「もう旅の準備もバッチリだもんね。あたしも一緒に旅支度の手伝いをしたし、ハラさんにも明日会う約束してるし」

マーマネ「言ってくれりゃよかったのに……」

マオ「えへへ、どうしてもこのタイミングで言おって決めてたの。結構な重大発表だしサプライズになるかなと思って」

カキ「お前と言うヤツは……」

リーリエ「島巡りの旅……お兄様と同じですね」

ヌカ「シンオウに居た頃から薄々考えてたんだ。……旅がしてみたいって。旅をして、一流のポケモントレーナーにちょっとでも近づけたらいいかなって」
 ▼ 247 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/09/08 00:26:16 ID:qGk.H8s6 [3/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ヌカ「アローラに引っ越してきたのはいい機会だし、ちょっと始めてみようかなって実は考えてました!旅先でトレーナーと戦って稼いだお金を父ちゃんの店に送ることもできるから家にも迷惑かけないし」


カキ「ほう……いい事だな。オレは応援するぞ」

マオ「応援だけでいいのかなん?ヌカちゃんほどのポテンシャルならカキなんて追い抜くと思うけど」

カキ「ならもう少しポケモンを集めることだな。流石にトロピウス一匹では名のあるトレーナーには勝てんぞ」

ヌカ「うん。だからアローラのポケモン達をゲットしてあたしとトロピウスの旅をもっと賑やかにするつもりだよ」

----------------------------------------------------------

シンジ「お前はいつか強いポケモントレーナーになる。その為にはたくさんのポケモンと出会い、彼らの実力を見極め、己が高みを目指す為の糧となる最高のメンバーを決めなければならない」

ヌカ「……そうでしょうね。トロピウスだけではそれは難しい。だからあたしに合ったメンバーを……

シンジ「ハッキリ言おう。そのメンバーの中にお前のトロピウスがいる可能性は限りなく低い」

----------------------------------------------------------

ヌカ「それで……みんなで一緒に強くなるの。勿論トロピウスも一緒に」

トロピウス「カルルルルル……!」

カキ「フッ……こりゃ油断ならんな」

マオ「よしっ、目指すはポケモンリーグだね!近々ククイ博士がアローラにもリーグを造るつもりなんだって!ヌカちゃんも出てみようよ!ヌカちゃんなら優勝も狙えるよ!」

ヌカ「あたしが……ポケモンリーグ……」

マオ「シンオウ地方のポケモンリーグを何度も見て、いつかは自分も出たいと思ってたんでしょ?なら今がチャンスだよ!やってみよ?ね?」

サトシ「オレも賛成だぜ!ヌカがどんなポケモンと一緒にバトルするのか楽しみだな!」

ヌカ「マオちゃん……マサラタウンのサトシ……」

マーマネ「いいのん?ライバルが増えちゃうよ〜?」

サトシ「構わないさ。どうせオレが優勝するんだし。な?」

ピカチュウ「ピカピカーー!」

カキ「それは聞き捨てならんな。優勝候補がお前達だけだと思わんことだ。元はと言えば、この中で最初にZリングを手に入れたのはオレなんだからな」

ガラガラ「ガロッ」

スイレン「それあんま関係なくない」

リーリエ「サトシにカキ、お兄様、そしてヌカさん……アローラにどんどん強い方が集まってきて、何だか今後が楽しみになってきましたね!」

シロン「こんっ」


サトシ「次はポケモンリーグだな!ヌカ」

ヌカ「……うん。マサラタウンのサトシ!」

ピカチュウ「ペカー」アクシュ

トロピウス「クルルルルル……」
 ▼ 248 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/09/08 18:20:03 ID:qGk.H8s6 [4/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
マーマネ「あ^〜食った食った……」

スイレン「マーマネ、一人で三分の一食べた……」

カキ「そろそろ解散にするか。まだ日は明るいが」

マオ「せっかくの休みだよ?もうちょっと遊んでいきなよ。それにヌカちゃんが旅に出ちゃったら多分しばらく会えないだろうし思い出作りの為になにかやろうよ」

カキ「それもそうか……で、何をして遊ぶんだ?」

マオ「考えてない!はい皆、アイデアアイデア。ヌカちゃんが楽しめるような事考えてよ」

カキ「」ガクッ

リーリエ「い、いきなり言われましても……」

サトシ「じゃあ……」


サトシ/リーリエ/スイレン/マーマネ「「「「バアビそのーチロト前にサイーラドエリさっきルサン大アのケーでライ会ズスキキュでやショのーバッピろンレシダイグうはいピぜビングか教えがでで!しょうてよ!か?!」」」」


マオ「なんて?」

カキ「いっぺんに喋らず順番に言え」

トロピウス「グルルルル……」

ヌカ「でもどれも楽しそうだな……マサラタウンのサトシとまたバトルしたいからバトル大会もいいし、リーリエちゃん達とアローラサンライズってお店でのショッピングも楽しそう……」

サトシ「え!わかるの!?」

ヌカ「でもスイレンちゃんが言ったビーチサイドエリアのスキューバダイビングも良い経験になるかなぁ……迷う……あ、マーマネ君にはさっきのケーキのレシピ、後で教えるね♪」

カキ「バケモンかコイツ」

マオ「さすがヌカちゃん!炊飯器の心を読めるだけあって人の心を読むのは朝飯前ってことだね!」

ヌカ「耳の良さに自信があるだけだから……」

スイレン「マオちゃんはヌカちゃんが絡むといつもの1.5倍アホになるのなんとかならないの」

カキ「1.5万倍の間違いだろ」


リーリエ「……そうだ!ヌカさんが主役ですしヌカさんが決められてはどうでしょうか?残りの3つの企画の中から選んでください!」

ヌカ「うーん……実はあたし……泳ぐのあんまり得意じゃないんだよね……ダイビングは良い経験にはなると思うけど……」

カキ「だが苦手な事を無理強いさせるのはやはりよくないか」

マオ「ごめんねスイレーン、今日はヌカちゃんに楽しんでもらいたいし諦めてくれる?」

スイレン「ぐすん、ヌカちゃんが絡むとマオちゃんは私に1.5万倍冷たい」

マーマネ「残りは2つ。さぁどうする?もう午後だから、やるとしたらどちらか一つだね」

ヌカ「ん〜、どっちか迷うな。何とかして両方できないかな〜……」

サトシ(ヌカお願いだバトルしようぜお願いだからバトルしようぜ頼む頼む頼むバトルしようぜほえるはねるそらをとぶトライアタックメガトンパンチ……)
 ▼ 249 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/09/08 18:24:31 ID:qGk.H8s6 [5/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
マオ「じゃあこうしよう!女子はリーリエ考案のショッピングを、男子はサトシ考案のバトル大会をそれぞれやろう!」

サトシ「おぉ!そりゃ名案だ!」

リーリエ「それなら企画を二つ同時に行うことができますね」

マオ「さっ、そうと決まればあたし達とお店に行くよヌカちゃん!」

スイレン「GOGO!」

サトシ「っしゃ!じゃあオレ達も早速おっ始めようぜ!」

カキ/マーマネ「「って待てゴラァァァァ!!」」

マオ「チッ……引っかからなかったか」

マーマネ「ヌカちゃんは女子だろ!女子勢がヌカちゃんを連れて行ったら僕らはどうやって思い出作りをしろっていうんだよ!」

サトシ「どうした?早く始めようぜ!」

カキ「お前は目を覚ませサトシ!女子が全員ショッピングに行ったらヌカがいなくなって男子側の企画が成り立たんだろが!お前もヌカとバトルできないぞ!」

サトシ「な、何だと!?コノヤロ騙しやがったな!」

リーリエ(私も気付かなかったのは黙っておこう)

マオ「どうせ男子をショッピングに誘っても退屈させるだろうし最良の判断だと思ったんだけどなぁ」

マーマネ「女子達がショッピングでキャピキャピ盛り上がってる最中にこちとら主役不在のまま男三人バトル大会でウホウホ盛り上がってても何の充実感も無いよ!!」

マオ「だとさ。ヌカちゃん。時間もないのにワガママ言って聞かない彼らに何か言ってやってよ。いくら主役だからってどっちの相手もこなすことはできないとかさ」

スイレン「分裂とかできないの?」

ヌカ「で、できないよ……でも正直言ってどっちも楽しみたいしなぁ……」

リーリエ「そうだ!たった今私に本当の名案が浮かびました!」

サトシ「そうか!アローラサンライズでバトル大会すればいいのか!」

マオ「おぅやってみろはっ倒すぞ」

リーリエ「違いますよサトシ。皆さんいいですか?実はこういう案が……

♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪

カキ「……成程な。それなら文句は言うまい」

マオ「よし!そうと決まれば早速ショッピングに行こー!」

スイレン「おぉー!」

ヌカ「リーリエちゃんありがとう」

リーリエ「フフ、私ったら、自分でショッピングを提案しておいて今からワクワクが止まりません♪」

サトシ「よっしゃー!今日はピカチュウ達にアクセサリーでも買ってやろうかなー!」ニコニコ

ピカチュウ「ペカ!?♪」

マーマネ「サトシったら……」
 ▼ 250 クリン@ゲンガナイト 18/09/08 18:31:30 ID:.8eAe6H6 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アローラサンライズでバトル大会…
ゲーム主人公ならやりかねない
 ▼ 251 ブネーク@グラスメモリ 18/09/08 23:39:00 ID:dSmU1noQ NGネーム登録 NGID登録 報告
一般の家の中でバトル始めるヨウさんたち居るしへーきへーき
支援
 ▼ 252 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/09/10 20:29:18 ID:2zowSbcw [1/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
-------次の日-------


ムラシ「ZZZ……100人目のお客様の貴方には12割引……」

ヌカ「父ちゃん……父ちゃん!」ユサユサ

ムラシ「んん!?なんだヌカか。こんなに早く起きてどうした?折角店が繁盛している夢を見ていたというのに……まさか、おはようのキスか?」

ヌカ「するかアホ。……もうすぐ約束の時間なの!どっちかと言えばこれでも遅いくらいなんだから!」


早朝、ヌカはいつもより早い時間に寝床を離れていた。少し興奮しているのか、声を聞けば荒げた吐息が混じって、顔を見れば丸い瞳を大きくさせて、これからの自分の周りで起こる体験にワクワクしているのを隠せない様子だ。


ムラシ「その顔……サトシ君達に会ってからというもの、ヌカはよくそんな表情をするようになったね。……いいよ。行っておいで。今日はヌカにとって大事な日なんだから。しまキングを待たせてはマズい」

ヌカ「うん! あ、父ちゃん!」

ムラシ「何?」

ヌカ「あたし夕べ、島巡りを制覇してポケモンリーグでマサラタウンのサトシとバトルする夢を見たの。楽しかったなぁ……」

ムラシ「それがどうかしたのか?」

ヌカ「だから父ちゃんの店もいつかは繁盛するってこと!じゃあね!いってきます!」

トロピウス「クルルルルルル!」


ムラシ「……何だったんだ」

オニドリル「ピョピョピ」

ムラシ「あぁオニドリル、おはよう。実に悲しいニュースだ。とうとうこのお店も僕達だけになってしまった。殆どお客も来ないっていうのに」

オニドリル「ピピャラピペ」

ムラシ「心配せずともお金には困らないよ。僕もヌカも、今までみたいに頑張ればそれなりにやっていけるようにはなってる。……だがオニドリル、たった今僕は重大な問題を一つ思い出してしまった」

オニドリル「ピョピャン?」

ムラシ「晩飯が作れるヌカがいなくなったって事は……わかるな?今日から当分白飯とコンビニ惣菜だ」

オニドリル「」

ムラシ「仕方ないだろ。僕は炊飯器を作れてもヌカと違ってそれを使ったアレンジ料理は作れん。だが男に二言は無い。これからのヌカとポケモン達の冒険を影ながら見守っていこうじゃないか」



-------リリィタウン-------


しまキング・ハラとの待ち合わせ場所は、「ウルトラジャー・チルドレン」の襲撃により家屋の三分の一が消失した後のリリィタウン。

多くの負傷者を出したものの幸いにも死者はなく、「ウルトラジャー・チルドレン」の卵を持ちだした子供達も順調に回復に向かっている。

ハラも「ウルトラジャー・チルドレン」の攻撃を受け病院へ搬送されたものの、二日で退院。これで心置きなく新しい島巡りの挑戦者を迎え入れることができると張り切っていたところに、旅に出る事を決めたヌカがやってきたのだった。


ハラ「ヌカさん、でしたかな。私はしまキングのハラ。……ようこそリリィタウンへ。このように町は少しばかり荒れてしまいましたが守り神の御加護でしょうか、死者も出ず、戦いの場となる祭舞台に至っては無傷でございました」
 ▼ 253 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/09/10 20:34:06 ID:2zowSbcw [2/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ハラ「それでは新たな島巡り挑戦者の誕生を祝い、守り神に祈りを……

ヌカ「あの! ……すみません、ここに子供が6人程来ていると思うのですが……」

ハラ「はて?何の事ですかな?」

ヌカ「待ち合わせしてたんです。ここで一緒にバトル大会やろうって。島巡りに出発する前の最後の思い出に皆とバトルしようって、あたし楽しみにしてたんです。心当たりはありませんか?」

ハラ「はて、今朝は子供は貴方以外には見ておりませんぞ。どうやら貴方の言っていることが真実ならば、そのバトル大会とやらの約束は忘れられてしまったのではないのでしょうかな?」

ヌカ「そんな……」

トロピウス「クルルルルルルル……」

ヌカ「それじゃあ最後の思い出は昨日のショッピングってことか……良いものたくさん買えたし、マオちゃん達とも楽しく過ごせたけど……こんなことならもっと噛み締めておくべきだったな……」

ハラ「最後だからもっと噛み締めて……ですか。ですが、貴方がその子供達と築いた思い出は楽しかったハズ。それの何処に後悔することがありましょうか。最後の思い出だろうとそうでなかろうと、いつかは別れの日が来るのは変わらない事です」

ハラ「しかし悲しむことはありません。貴方には未来があります。いつ何時でも、貴方と思い出を作った人達に、ポケモン達に会うチャンスはある。だから後悔するのはまだ早いですぞ」

ヌカ「……」

ハラ「こんな先も短い老い耄れですら図太く笑って、しまキングとしてメレメレの民や島巡りの挑戦者達との思い出を作り続けているのです!まだまだ私は思い出作りをやめるつもりはありませんぞ!わはは!」

ヌカ「は、はぁ……」

ハラ「それに貴方には約束がある。そんな小さな後悔をする暇があれば、次に彼らに会う時までにしなければならないことがあるのではないですかな?」

ヌカ「え!?どうしてそれを……」

ハラ「さて、朝の挨拶はこのくらいにしておきましょうかな。子供達、出てきなさい!!」


ガサッ  ガササッ

ヌカ「!?」


サトシ「ヒャッハーーーーーーーーー!!!」

                      マーマネ「ウェェェェェェェェェイ!!!」

スイレン「稲穂の生えたトロピウスとーーーーーー!!!」

                      カキ「炊飯器の心が読める特殊能力とーーーーーーーー!!!」

リーリエ「褐色白髪のエロエロボデェが自慢のーーーーーーー!!!」

                         マオ「 超 絶 炊 飯 器 少女 ヌカちゃんはーーーーーーー!!!」


            「「「「「「どーーーこでーーーすかーーーーーーーーーーー!!!?」」」」」」


ヌカ「えっ……えぇ!?みんな!!」

ハラ「昨晩、彼らは私のところまで訪ねてきたのです。とびきりのアローラサプライズをしたいと。あまりにも待ちきれないからか、湿気の多い茂みにも関わらず皆夜通し隠れて待ち伏せしていましたぞ」

マオ「だからお風呂入ってなくて……」プーン

ヌカ「ヴォエ!!」
 ▼ 254 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/09/10 20:38:36 ID:2zowSbcw [3/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
マオ「あぁサッパリした。朝シャワーの気持ちよさったらないね♪」

スイレン「そういえばリーリエは全然臭くなかったね」

リーリエ「虫避けスプレーで防臭していたので蒸し暑い茂みの中に一晩隠れても差支えありませんでした!」

マーマネ「いつぞやのキャンプの時も薄々思ってたけどどうしてそのスプレー貸してくれないんすかね……貸してくれたらネマシュにも襲われなかったのに」

リーリエ「こ、このスプレーは私以外の人が触ったら爆発しますからね」

マーマネ「貸すという発想が思いつかなかったと素直に言いなさい」


ヌカ「よかった……皆来てくれてたんだね。これでバトル大会ができるよ」

カキ「あぁ。だが、ただのバトル大会じゃないぞ」

マオ「ストップ!そっから先はあたしがご説明致しましょう」

ヌカ「?」

マオ「ヌカちゃん、昨日あたし達はどういう約束をして今ここに集まってるんだっけかな?」

ヌカ「確かリーリエちゃんの提案で……今日この場所でバトル大会を開くから待ち合わせしようって……」

マオ「 こ こ で ア ロ ー ラ サ プ ラ ァ ァ ァ ァ イ ズ ! ! ! 」

ヌカ「えっ!?」ビクッ

マオ「昨日ヌカちゃんがリーリエから聞いた提案はこうだ……『ヌカさんの旅立ちの日、ヌカさんがハラさんに会いに行くタイミングで私達が合流し、バトル大会をしましょう。大試練の舞台を拝借できるかどうか私達でハラさんに掛け合ってみます』……と」

ヌカ「うん。それが名案だと思って納得したんだけど」

マオ「しかーーーーーーし!!ショッピングが終わってヌカちゃんと別れた後、あたしの中のサプライズ魂が疼き始めたのだ……『折角大試練の舞台を借りれるのならヌカちゃんの為にドカンとサプライズを用意しろ』……と」

マオ「そう思ったあたし達はヌカちゃんのいないアイナ食堂での数時間に及ぶ会議の中、考えに考え抜いた。ヌカちゃんの旅立ちを後押しするためにできる最善の策はないか……と。そして!」

カキ「前置きはいいから早く要点だけ説明してやれよ」


マオ「     只今より!  超 絶 大 試 練  を開催する!!     」


トロピウス「クルルルルル……」キョトン

ヌカ「ちょうぜつ……だいしれん?」

マオ「突然だけどヌカちゃんには島巡りに旅立つ前にあたし達からの挑戦状、 超 絶 大 試 練 を受けてもらうよ。ルールは簡単、あたし達ポケモンスクールのメンバーの中から一人とバトルし、そして勝つ!それだけ!」

マオ「折角大試練の祭舞台を使ってヌカちゃんを送り届けることができるもの!どうせなら島巡りの試練の名を借りてやったほうがバトルも盛り上がるってモンでしょ?」

リーリエ「ですです!マオのサプライズ根性には頭が下がります」

スイレン「マオちゃん、盛り上げ上手」

カキ「オレは少々気が引けるがな……まぁしまキングが許可したことだし、オレがどうこういう筋合いは無くなったな」

ハラ「ハハハ。 超 絶 大 試 練 、結構なことです。どんな形であれ迫力のあるバトルを見れば守り神も喜ぶことでしょう」

マーマネ「カプ・コケコ、またどこかで見てるのかな……?」
 ▼ 255 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/09/11 20:19:44 ID:IXIoC0yU [1/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ヌカ「それであたしは誰とバトルしたらいいの?」

サトシ「はいはい!オレだよ!」

ヌカ「マサラタウンのサトシ!」

マオ「ヌカちゃんの相手を決めるのは苦労したよ……でも後悔はないよ。サトシは昨晩、厳正な審査の中執り行われた 超 絶 大 試 練 キャプテン選考予選を突破した実力者。相手に取って不足はないハズだよ」

カキ「ジャンケンで決めただけだろうが」

サトシ「というワケでよろしく!またこの前みたいに思いっきりハジケようぜ!」

ヌカ「うん!この前はあたし達を救ってくれた恩返しとしてバトルしたけど……今度はあたし達、友達としてね!」

サトシ「ハハ、やっぱその方が気が楽でいいや!」

ピカチュウ「ピカッチュウ!」

リーリエ「大試練を3つも突破したサトシが相手……果たして勝てるでしょうか……」

マーマネ「そっか、リーリエはヌカちゃんのバトルを見るのは初めてだね。でもヌカちゃんとトロピウスならサトシが相手でも、少なくともいい勝負はしてくれると思うよ」

リーリエ「 超 絶 大 試 練 を突破して晴れやかに島巡りのスタートを切ってもらいたいところですが……うぅ、どっちを応援しましょう」

スイレン「私はどっちもだよ」

カキ「どちらが勝つにしろ、オレの中のヴェラ火山を燃え滾らせるようなバトルを繰り広げてほしいもんだ」


ハラ「それではお二人とも、祭舞台へ立つのですぞ!これより、試練臨時キャプテンサトシと挑戦者ヌカによる 超 絶 大 試 練 を始めます!」

ヌカ「…………」ドキドキ

サトシ「……へへ」

マオ「ハラさーん!この 超 絶 大 試 練 を突破したら、何が貰えるんですかーー!?」

ヌカ「え?」

ハラ「よくぞ聞いてくれました。ヌカさんがこの 超 絶 大 試 練 を突破した暁には……この! 『 ヒ コ ウ Z 』 を差し上げましょう!!」ババーン!!

ヌカ「えっ……えぇ!?!?」

ハラ「先日、散歩の途中で偶然見つけましてなぁ……私が持っていても今の私では持て余してしまうので、このヒコウZをこの 超 絶 大 試 練 突破の証と致しましょう」

サトシ「そういうワケだ!ヒコウZがほしけりゃオレに勝ってみろ!ヌカ!」

ピカチュウ「ピィ……!」バチバチ

ヌカ「ヒコウZ……確か、Zクリスタルは特定のタイプのZワザを出せるアイテムだから……」

トロピウス「クルルルルル!!」

ヌカ「やっぱ欲しいよね!……よし、絶対勝つよ!マサラタウンのサトシ!!」

マーマネ「サトシはピカチュウ、ヌカちゃんはトロピウスで勝負するみたいだね」

スイレン「Zワザ使い同士のバトル……これぞ 超 絶 大 試 練 」


マオ「それではバトル …… 始 め ! ! 」
 ▼ 256 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/09/11 20:25:01 ID:IXIoC0yU [2/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サトシ「ピカチュウ!『でんこうせっか』!!」

ヌカ「!」


ピカチュウ「 ッ チ ャ ア ア ア ア ア ア ア ! ! 」


      ズ ド ォ ォ ォ ォ ォ ! !


トロピウス「グッ……」


マーマネ「サトシの目つきが変わった……相変わらずスイッチ入るのが早いね」

カキ「ヌカの反応が少々遅れたな……だがまだ大きなダメージは受けていない。逆転のチャンスはまだまだあるぞ。最も……サトシとピカチュウ相手にそんなチャンスを掴めるかどうか、ヌカの実力が試されるがな」


ヌカ(いきなり『でんこうせっか』でぶつかってきた……接近戦に持ち込まれたらマズイタイプのポケモンかな、なら!)

ヌカ「トロピウス、『エアスラッシュ』!!」

サトシ「来るぞ!一旦距離を取れ!!」

ヌカ(よしっ、狙い通りだ!)


マーマネ「あぁ!接近戦に持ち込めたらサトシが有利になるハズだったのにな」

リーリエ「まさかとは思いますが……さっきの『でんこうせっか』でピカチュウの戦い方を予測したのでは?ヌカさん、手強いですよ……」

マオ「ちょっとちょっと!挑戦者はヌカちゃんだよ?どっち応援してんのさ!」

リーリエ「え、えっと……」

スイレン「そういうマオちゃんはどうかな?確かにこの勝負、試練達成って意味ではヌカちゃんが勝った方が後味いいけど……」


サトシ「こうなったら動きを封じろ!『エレキネット』!」

ヌカ「『エアスラッシュ』で撃ち落として!」

トロピウス「ガララララララ!!」


スイレン「サトシにもプライドがあるよね。大試練を3つも突破したサトシがヌカちゃんに敗けたら相当ヘコむと思うな。そんな時、誰が励ましてあげたらいいと思う?ヌカちゃんの勝利を喜ぶのもいいけど、その前にやるべきことがあるんじゃないかな」

マオ「……だよね。今までのバトルもずっとサトシの方を応援してた。あたしはヌカちゃんが勝って良い島巡りのスタートを切ってもらおうとばかり思ってたけど……ひょっとしてコレ、結構複雑な気持ちで見なきゃいけないバトルなのかも……」

スイレン「まぁ冗談なんだけどね。サトシがそんな事気にするとも思えないし」

マオ「えっ?それじゃあスイレンはどうしてサトシを応援してるの?」

スイレン「私はサトシを応援してるとは一言も言ってないよ?」キョトン

カキ「ハメられたな」

マオ「か〜〜〜〜〜っ!この子はもう!!」

スイレン「御馳走様です♪」
 ▼ 257 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/09/11 22:15:51 ID:IXIoC0yU [3/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ヌカ「トロピウス!『エアスラッシュ』!!」

サトシ「『アイアンテール』で撃ち返せ!!」


トロピウス「ガラララララ!!」ババババ

ピカチュウ「チャアアアアア!!」ギィィン!!   ギィン!!


ヌカ「そろそろかな……トロピウス、『にほんばれ』!!」

トロピウス「カァァァァァ……」

サトシ「来たか!受けて立つぜ!」


リーリエ「うわっ、眩しい……!これが『にほんばれ』ですか……」

シロン「こーん……」バテバテ

マーマネ「ヌカちゃんのトロピウスは『サンパワー』だからね。ここからが本番だよ」


ヌカ「これは受けきれるかなマサラタウンのサトシ!サンパワー『ソーラービーム』!!」

サトシ「やべっ! ピカチュウ、かわせ!」

ピカチュウ「ピ、ピカ!」ババッ

トロピウス「コロロロロロ…… ガ ァ ァ ァ ァ ァ ァ ァ ァ ァ ァ ! ! ! 」


         ズ ド ォ ォ ォ ォ ォ ォ ォ … … ン ! ! !


リーリエ「ひぃ!?」

マオ「スゴイ!やっぱり何度見てもスゴイよ!トロピウスの『ソーラービーム』!!」

カキ「光がリリィタウンの奥の森をかき分けるように突き抜けていったぞ……サトシから話は聞いていたが、これ程とはな……」


ピカチュウ「ピ、ピカ……」

サトシ「あ、あぶねー……ヌカ……前とバトルした時よりも強くなってるんじゃないのか?」

ヌカ「そうかな?あの時みたいに緊張してないからかも……?」

サトシ「そうか?あの時だって特に緊張してるようには見えなかったけど」

ヌカ「じゃあどうしてそう思うの?」

サトシ「ヌカはどう思うんだ?」

ヌカ「えぇ……っと」


ピカチュウ「ピカ!ピカピカ!!」

トロピウス「クルルルルルルル!」
 ▼ 258 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/09/11 22:20:13 ID:IXIoC0yU [4/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
カキ「お前ら何くっちゃべってんだ!バトルの途中だぞ!」

サトシ/ヌカ「「はっ!」」


ヌカ「うまく言えないけど、やっぱりあたし張り切ってるみたい!」

サトシ「張り切る気持ちも分かるぜ!旅立ちの記念すべき一戦目だし、Zクリスタルだってほしいもんな!」

ヌカ「うん! ……トロピウス、『エアスラッシュ』!!」

トロピウス「ガララララララ!!」

ズッ……!!          ズッ……!!

リーリエ「さっきより空気の刃が大きくなってます!これが『サンパワー』……」

サトシ「いくぞピカチュウ!隙間を抜けてトロピウスに突っ込め!!」

ヌカ「!?」

ピカチュウ「ピカピカピカピカ……!!」


          ズ ド ォ ォ ッ … … ! !                 ズ ド ォ ォ ォ ォ ! !

                            ズ シ ャ ア ア アア ! !
                     ズ ァ ァ ァ ァ ァ … … ! !


カキ「紙一重ではあるが……さすがはピカチュウ、身軽さはオレの知る限りでは一、二を争うポケモンだ。どうやらサトシはまだ接近戦を諦めてなかったようだな」

マーマネ「あっ、ピカチュウがトロピウスの正面に!」


ピカチュウ「ピカッ!」

ヌカ「……来る!」

サトシ「よし、ピカチュウ!『でんこうせっか』でトロピウスの足元を走り回るんだ!」

ヌカ「へ?」


シュバババババババ……!   ピカピカピカピカ……!


リーリエ「せっかくトロピウスのところまで辿り着いたのに……サトシは一体何を考えているのでしょうか?」

マオ「あのサトシがヌカちゃんにハンデをあげるとも思えないし……」

カキ「なるほど、『アレ』か」

スイレン「『アレ』って?」

カキ「もう随分前だったか、サトシが話してくれたんだ。アイツの狙いは接近戦じゃない、必殺の一撃だ」

ハラ(随分前……そうか、もうそんなに経つのですな。サトシ君との大試練は……)


サトシ「今だピカチュウ!そのまま 『 ア イ ア ン テ ー ル 』 ! ! 」
 ▼ 259 ンプク@こおりのいし 18/09/12 19:11:06 ID:Qt6oBWts NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 260 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/09/13 01:22:57 ID:YltU/9WE [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ズ ン ッ ! !


ピカチュウ「ピカァ……ッ!」

サトシ「!?」

ヌカ「いいよトロピウス!そのまま押さえてて!」

トロピウス「クロロロロロロロ……」ギュウウウウ


マーマネ「『アイアンテール』を踏みつけた!?」

カキ「足払いを破られたか!なんて反応だ……コレじゃあ逆にトロピウスの技を確実に当てられてしまうぞ!」


ガサガサッ

ハラ「! ……もしやどこかで。居ても立ってもいられなくなってきましたかな」


サトシ「まさか見破るなんてな……」

ヌカ「アローラに来てからずっとビーチで特訓してたんだもの!それだけじゃない、それより前から……マサラタウンのサトシに会う前からずっと!」

ヌカ「色んなトレーナーの人達とバトルしてきたんだ!ピカチュウほどの小さくてすばしっこいポケモンがどうやってトロピウスの弱点を突いてくるかなんて想定済みだよ!」

サトシ「何事も経験ってヤツか……だけどその数ならオレは負けるつもりはないぜ!ヌカ!」

ヌカ「じゃあやってみてよマサラタウンのサトシ!!」


トロピウス「クルォォォオォォオォ……!!」バサァァッ!!

ピカチュウ「ピカッ!?」


リーリエ「と……飛んだ!」

スイレン「ピカチュウを掴んだまま結構高いところまで行っちゃった……何をするつもりなのかな?」


ピカチュウ「ピィ……」ジタバタ


ヌカ「トロピウス、そのまま急降下!」

トロピウス「!!」


ギ ュ オ オ オ オ オ オ オ オ オ オ オ … … … … ! !


サトシ「! 掴んだピカチュウを叩きつける気か!くそっ、あれだけガッシリ掴まれてなかったら抜け出せるのに……」

マーマネ「あの高さからの急降下攻撃が決まったら……勝負が決まるかも」

リーリエ「そんな!?」

マオ「いっけーーー!!ヌカちゃーーーーーん!!」
 ▼ 261 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/09/13 01:36:25 ID:YltU/9WE [2/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
                    ギ
                      ュ
                     ィ
                    ィ
                     ィ
                   ィ
                    ・
                    ・
                    ・
                   ! ! 


カキ「早くしないと地面に激突するぞ!急げサトシ!」


サトシ「抜け出せないなら……このまま攻撃するまでだ!ピカチュウ!『10まんボルト』!!」

ピカチュウ「ピー……カー……」バチバチ


ヌカ「……トロピウス!」

トロピウス「グルル」


パ ッ … …


ピカチュウ「……?」


リーリエ「ト、トロピウスがピカチュウを離した……?急降下攻撃を仕掛けるつもりじゃなかったの?」


ヌカ「出たがってたから出してあげたよ。空中でだけどね、マサラタウンのサトシ」

サトシ「くそっ……ピカチュウがトロピウスに掴まれたまま攻撃するのも予測してたってことなのか?」

ヌカ「まぁね。……そう来ると思ってた。マサラタウンのサトシなら」

サトシ「くっ、ピカチュウ!態勢を立て直……

ヌカ「『エアスラッシュ』で撃ち落とせ!」


トロピウス「クルルルルルッ…… ガ ァ ア ァ ア ァ ア ァ ! !」

ピカチュウ「ピッ……!」


                         ズ ス ゥ ゥ ゥ ゥ … … … … ン ! ! !


カキ「急降下攻撃でなく、掴んだピカチュウを空中で離してからの『エアスラッシュ』か。偶然か狙ってか、サトシの作戦がこうも悉く破られるとはな」

リーリエ「サトシ……」


ヌカ「そう来ると思ってた。マサラタウンのサトシなら……型破りだけど熱くて、興奮させられて……それがあの日、ポケモンリーグで見たマサラタウンのサトシのバトルだもの。この前のバトルだってそう……」

ヌカ「マサラタウンのサトシ、どうかな?あたしのバトルで……あなたは、熱くなってる?」
 ▼ 262 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/09/14 23:42:03 ID:FlccajMU [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サトシ「あぁ、なってるよ。 それはお前も一緒だよな!?ピカチュウ!!」


ピカチュウ「ピ……カ……」プルプル


マオ「ピカチュウ……まだ立ってる!?」

カキ「うまいこと受け身を取れたようだな。とはいえ叩きつけられたダメージは大きい。もう後はないぞ」


ヌカ「『エアスラッシュ』!!」

トロピウス「ガララララララララァ!!」


マーマネ「来たぁ!もうお終いだ!!」

リーリエ「いや……まだピカチュウは立っています!アレを防ぐことさえできればまだ勝機は……」


サトシ「ピカチュウ!『エレキネット』!!」

ピカチュウ「ピカ!」


ズガガガ……ガガガガ…… ガ ガ ガ ガ … …

ピカチュウ「ギギギギ……」


カキ「防いだ!だがいつまで持つか……」


ヌカ「もう一発!!圧し切るよトロピウス!」

トロピウス「ガラァァァ!!」



サトシ「     今  だ  !  !    『エレキネット』を 飛 ば せ ー ー ー ー ー ー っ ! ! !     」

ピカチュウ「ピー……カー……ヂャ ア ア ア ア ア ア ア ア ア ! ! ! 」



カキ「カウンター!?バリア代わりに使っていた『エレキネット』を飛ばしただと!?」

スイレン「防いでた『エアスラッシュ』を包んで一緒に飛んでった……で、飛んでく先は……」


バクッ!!


トロピウス「ガラララララ……!!」ジタバタ

ヌカ「トロピウス!?」


マオ「トロピウスが『エレキネット』に……これじゃ身動きが取れない!」
 ▼ 263 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/09/14 23:44:04 ID:FlccajMU [2/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ヌカ「くっ……ここまで追い詰めたのにまだ……」

サトシ「お前がここまでオレ達を熱くさせてくれたお陰だよ! というワケで……お前がオレにしてくれたように、オレからも恩返ししなくちゃな!!」

サトシ「いくぞピカチュウ!倍にして返すつもりでいくぞ!」

ピカチュウ「ピカピカーー!!」



                          ス
                           パ
                         |
                          キ
                            ン
                           グ


                         ギ

                           ガ

                        ボ

                          ル

                            ト

                           オ
                          ォ
                        ォ
                           ォ
                         ォ
                          ォ
                        ォ
                     ! ! ! ! 



トロピウス「ガハッ……」ドサッ

ヌカ「トロピウス!!」


マーマネ「まさかあの状況から『Zワザ』なんて……」

リーリエ「サトシの勝ちだ……!おめでとうございますサトシ!!」ダッ

カキ「待て!!」

リーリエ「っ!?」ピタッ

カキ「バトルの途中でトレーナーに近づくもんじゃないぜ」


トロピウス「グルルルルル……」ズズ…


スイレン「びっくり。立ち上がった……」

マオ「って事は……ヌカちゃんはまだ敗けてない!」
 ▼ 264 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/09/15 00:03:46 ID:7NtQt6uU [1/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ピカチュウ「ピカ〜ッ」ペタッ

サトシ「マジかよ……へへ、こりゃさすがにちょっとヤバイかもな……」

ヌカ「ううん。トロピウスももう限界かも……『サンパワー』で体力も削られてるし……」

トロピウス「クルルルルル……」ガクガク

ヌカ「『こうごうせい』!!」

トロピウス「カラララララ……!!」カァァァァァ

トロピウス「……ハァ……ハァ……」

ヌカ「ダメか……ダメージの大きさに回復が追いついてない……」


ジュウウウウゥゥゥ……


マーマネ「『にほんばれ』の効果が切れたみたいだね」

カキ「互いに満身創痍というワケか……サトシも大概だがヌカのやつめ、旅立つ前にとんだ準備運動をしたモンだな」

リーリエ「サトシ!ピカチュウ!今がチャンスですよ!!」

マオ「ヌカちゃん!トロピウス!あと一発!あと一発踏ん張って!!」

スイレン「そういえばハラさんは?」


ガサガサッ……!


ハラ「サトシ君、ヌカさん、守り神がお越しになりましたぞ」


サトシ「えっ!?ホント!?」

ヌカ「守り神?」

マーマネ「あ、あれは!」


カプ・コケコ「コケェェェェェェェーーーーーーッ!!」


スイレン「カプ・コケコ!」

リーリエ「ひょっとしてずっと二人の勝負を見ていたのでしょうか?」

ハラ「左様。しかし今になってなぜ出てきたのか、何が目的なのかはわかりません。ただ一つ言えることは……カプ・コケコは二人の勝負に、力のぶつかり合いに興味が湧いたということですな」


カプ・コケコ「コケェェ」

サトシ「カプ・コケコ、またバトルを見ててくれてたんだな!今日は何の用?」

カプ・コケコ「……」スーッ

サトシ「あ、あれ?」
 ▼ 265 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/09/15 00:10:17 ID:7NtQt6uU [2/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
スイレン「珍しい。カプ・コケコがサトシを素通りするなんて」

カキ「サトシに用があるわけではなさそうだな。今度はどんな気紛れを起こしてくれるんだ……?」


カプ・コケコ「コケェー」パチパチ

ヌカ「えっ?あたし?」

トロピウス「クルルルルルルル……」

ハラ「成程。そういう事でしたか……ヌカさん、それにサトシ君。どうやらカプ・コケコは貴方がたに特上メニューの注文をなさるようですぞ」

マオ「特上メニューの注文?カプ・コケコは何を欲しがってるのかな」

サトシ「……?」


カプ・コケコ「コケェーーーー」

ヌカ「……くれるの?これをあたしに?」


マーマネ「!! それは……」

リーリエ「『Zリング』!!カプ・コケコがヌカさんにZリングを渡しましたよ!?」

マオ「特上メニューの注文ってまさか……」

カキ「……カプ・コケコはサトシを気に入っていた。そんなサトシをここまで追い詰めるヌカもまた守り神の注目リスト入りを果たしたという事か」


ヌカ「スゴい……本物だ……」

ハラ「守り神の御意向とあらば出し惜しみするワケにもいきませんな。さぁヌカさん、今こそ『ヒコウZ』を使い、貴方がたの力を示すのです!」

ヌカ「えっ、でもそれは試練突破の……

カプ・コケコ「 コ ケ ー ー ー ー ー ー ー ー ッ ! ! ! 」

ヌカ「ひぃっ!使います使いますごめんなさい!!」


サトシ「いいなー、オレが勝ったらオレが貰おうと思ってたのに……でもあの感じ懐かしいよな。オレのZリングもカプ・コケコがくれたんだっけ」

ピカチュウ「ピカー」

サトシ「結局カプ・コケコはオレ達の何を気に入ってたんだろうな……Zワザとか守り神とか、あの時に比べて色々わかった気でいるけどまだ答えはわかりそうにないな」


マオ「さぁいよいよZワザだよ!ヌカちゃんとトロピウスの絆が守り神に認められたんだ!」ワクワク

カキ「テンション高すぎだろ。サトシの時はそんなでもなかったろ」

スイレン「サトシの時といえば、カキは何も思うところはないの?Zワザの事をよく知らないヌカちゃんがカプ・コケコからZリングを貰うこと」

カキ「ないわけではないが……ヌカもサトシと同じで知らないなりに大切にしてくれればそれでいいと思ってる。気紛れとはいえカプ・コケコがZリングを二人に与えたのにも、何か常人には到底理解できん理由があるだろうしな」

マオ「そんなセリフがカキの口から出るなんてね。昔のカキじゃ考えられなかったよ」

カキ「フフ、変わっちまったんだろうな……どこまでも真っ直ぐすぎる、あのアホのせいでな」
 ▼ 266 ラベベ@じゅうでんち 18/09/15 12:50:00 ID:agMcwRqA NGネーム登録 NGID登録 報告
このカキかっこいい
ヌカちゃんも可愛い支援
 ▼ 267 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/09/15 19:45:27 ID:7NtQt6uU [3/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ヌカ「うぉぉぉ……」キラキラ

トロピウス「コロロロロロ……」

サトシ「Zワザが来るぞピカチュウ。『スパーキングギガボルト』は使っちゃったけどまだ秘策は残ってる。構えろ……!」

ピカチュウ「ピカ……!」


カプ・コケコ「コケー」グァァァァァ

ヌカ「何あの躍り」

ハラ「Zワザを放つのに必要な『Zパワー』を溜めるためには決められたポーズが必要です。あれはヒコウZのポーズ、さぁ今こそ放つのです!」

ヌカ「よ、よし……いくよトロピウス!」

トロピウス「トロロロロロ……!」


サトシ「ピカチュウ!」

ピカチュウ「ピィ……!」ギギギギ



ヌカ「炊き上がれ……! あたし達の ゼ ン リ ョ ク ! ! 」



                       フ
                            ァ
                       イ
                            ナ
                       ル
                            ダ
                       イ
                            ブ


                         ク

                          ラ

                       ア
                         ア
                        ァ
                          ァ
                       ァ
                          ァ
                         ァ
                            ァ
                        ァ

                         ッ

                            シ

                          ュ

                      ! ! ! ! 
 ▼ 268 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/09/15 19:48:33 ID:7NtQt6uU [4/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
トロピウス「 ガ ア ア ア ア ア ア ア ア ! ! ! 」


カキ「『ファイナルダイブクラッシュ』……それが飛行タイプのZワザか!」

マーマネ「Zワザを使っちゃったサトシはどうやって対抗するんだ……?」


サトシ「さぁ来たぞピカチュウ……!!  回 れ ! !  回りながら『10まんボルト』!!」

ピカチュウ「ピカァ!    ピカピカピカピカピカ……」ギュルルルルルル

サトシ「いいぞ!そのままZワザの動きを止めろ!!」



ゴ ォ ォ ォ ォ ォ ォ ォ ォ ォ … … ! ! !



マーマネ「な、なんじゃありゃ!?まるで雷の竜巻だよ!」


ヌカ「……っ、構わないでトロピウス!いっけぇぇぇぇーーーーっ!!」


トロピウス「グルルルルルルル……!!」


 ズ ガ ガ ガ ガ ガ ガ ガ ガ ガ ガ ガ … … … …


スイレン「ピカチュウ、すごいウインドミル。あれでZワザを防ぐつもりなのかな?」

リーリエ「攻撃技の『10まんボルト』を防御に。何だか見覚えのある戦術ですね……」

--------------------------------------------------------

リーリエ「シロン、『こなゆき』!!」

シロン「こんっ! こ ぉ ぉ ぉ ぉ ! !」


タケシ「イシツブテ!『ジャイロボール』!!」

ズ ダ ダ ダ ダ ダ ダ ダ … … ! !


マーマネ「!? 『ジャイロボール』って攻撃の技だよね!?」

タケシ「鍛え方次第でこんな使い方もできるのさ」

リーリエ「本にも書いてないことを……ジムリーダーさんてスゴイ!」

マーマネ「こりゃ敵わないな……」

タケシ「……こういう戦い方は、オレもどこぞのチャレンジャーから教わったんだけどね」

--------------------------------------------------------

リーリエ「……まさか」
 ▼ 269 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/09/15 20:02:46 ID:7NtQt6uU [5/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
カプ・コケコ「コケェェーー!」パチパチ

ハラ「どうやら満足していただけたようですな……さて、そろそろこの勝負も決着でしょうかな」

マーマネ「こりゃヌカちゃん、ひょっとしたらひょっとするかもね」

マオ「ヌカちゃんの記憶にはサトシのバトルがずっと焼きついてるんだもの。サトシのお陰でヌカちゃんは立ち直って、今までトロピウスと一緒に自分のペースで頑張ってきた……今日この勝負に勝ったらヌカちゃんは立てるかな。もう一つ先の領域に」

カキ「そう考えるのは早計だぜ。サトシをここまで追い詰めるヌカもかなりの実力だが……二人共ここまで熱くなってるんだ。そんな勝負でサトシがそう簡単に敗けてくれると思うか?」


サトシ「ピカチューーウ!!聞こえるかーーー!?」


ピカチュウ「ピーーーーカーーー!」


サトシ「よし聞こえてるな!『10まんボルト』の壁でZワザを防ぎきるのはもう無理だ!!だから……」


マオ「う゛っ……それもそうか」

カキ「そうさ。アイツは空気を読まない。どこまでも型破りで、どこまでも真っ直ぐに突き抜けた……」



サトシ「 飛 ぶ ぞ ! ! 『でんこうせっか』で電気の上を走るんだ!!」

ピカチュウ「ピィィィィーーーカァァァァァーーーーー!!!」



カキ「……アホだからな」



                    ズ
                     ォ
                     ォ
                   ォ
                     ォ
                      ォ
                    ォ
                      ォ
                     ォ
                    ォ
                       ォ
                     ッ
                   ! ! ! 



マーマネ「 (  Д ) ゚  ゚ 」

スイレン「ほぇー」

リーリエ「飛んだ!『10まんボルト』はZワザを防ぎきるのではなく電気の竜巻を伝って上へ避ける為だったのですね!」

カキ「さぁ、トロピウスはZワザを使い体力を消耗した上、頭上はガラ空き……ピカチュウの攻撃を耐えることができなければ決着だ」

マオ「ヌカちゃん……!」
 ▼ 270 ガラグラージ@ビビリだま 18/09/15 21:18:59 ID:8ExspDeI NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 271 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/09/17 00:03:41 ID:hs6kl4h6 [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
トロピウス「トロロロロロ……」

ヌカ「トロピウス!躱して!!」


サトシ「もう策は尽きたかな……名残惜しいけどこれが最後だぜピカチュウ!『アイアンテール』!!」

ピカチュウ「ピカッ! チュアアアアアアアアア!!」



ズ   ッ   …   …   !   !



トロピウス「お゛っ……」ズズゥゥ…ン

ピカチュウ「……っ!」


ヌカ「トロピウス!!」

サトシ「っしゃ!当たった!!」



スイレン「トロピウス、倒れちゃった……」

マーマネ「何とかサトシが勝ったんだね…… 超 絶 大 試 練 としては失敗だけど、いいバトルだったね」



サトシ「大丈夫か?ピカチュウ」

ピカチュウ「ピカ……」グググ

サトシ「……よし、そのままだ」


リーリエ「え?サトシ?」


グ グ ッ … …


トロピウス「コロロ……ロロ……ロ」グググ


リーリエ「! トロピウスが!!」

カキ「そう簡単に……勝たせてはくれないか。挑戦者め」


ヌカ「     『 エ ア ス ラ ッ シ ュ 』 ! !     」


トロピウス「ルルルルルル…… ゴ ォ ォ ォ ォ ォ ォ ォ ォ ォ ! ! ! 」



ズ ド ォ ォ ォ ォ ォ ォ … … ォ ォ … … ォ ォ … … !  !
 ▼ 272 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/09/17 00:07:30 ID:hs6kl4h6 [2/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
パラパラパラパラ……


サトシ「ピカチュウ!!」

ピカチュウ「…………?」


スイレン「……は」

カキ「外したか」



                   ズ ゥ ゥ ゥ ゥ ン ! !



トロピウス「コロロロロロ……」

トロピウス「ロロ…ロ…」

トロピウス「」


ハラ「勝負あり、ですな。トロピウス・戦闘不能、ピカチュウの勝ち!よって勝者、超 絶 大 試 練 キャプテン、マサラタウンのサトシ!!」


カプ・コケコ「コケェ……」マンゾク


♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪


マオ「えっ!?ヒコウZが無い!?」

ヌカ「うん。いつの間にかZリングの中から無くなってたみたいで……あまりにも勝負が楽しかったから気付かなかったな」

マオ「そんな……」

カキ「今に始まった事じゃないだろう。元々試練を受けなければZワザを使うことができないんだ。ヌカがZワザを使うことを許されたのはあくまで特例だ。サトシのようにな」

ヌカ「でもまた使いたいな……Zワザを撃つ時ね、何だかあたし、トロピウスになったような気がしたの。トロピウスと一緒に戦ってるような」

トロピウス「クルルルルル……」

カキ「Zワザはトレーナーとポケモンの二人で放つ技。トレーナーとの関係が強いポケモンほどZワザの威力が増すとされているそうだ」

ヌカ「だとしたら……マサラタウンのサトシとのバトル、すごく楽しかったけどそれはあなたのお陰でもあるんだね。ありがとうねトロピウス」

トロピウス「クルルルルル……」スリスリ

ヌカ「ウフフ」

マオ「でも折角ならヌカちゃんが勝つところも見たかったなぁ」

カキ「それはまた別の機会でというものだ。今はまだその時ではない、それだけだ」

マオ「そうだね……うん!確かにね」

カキ「なぜこっちを見る」
 ▼ 273 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/09/18 00:19:28 ID:u9Y2xD86 [1/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サトシ「ありがとうカプ・コケコ!またバトル見に来てくれよ!」

ピカチュウ「ピカッチュゥーー!」


カプ・コケコ「コケェェェー」バイバイ


サトシ「ふぅ……」

ハラ「サトシ君、良い勝負でした。たった一度とはいえ、 超 絶 大 試 練 キャプテンとしての重圧に屈することなく本気でバトルを行い、そして勝ちましたね」

サトシ「重圧だなんて……オレはヌカと思いっきりバトルがしたかっただけです!ヌカもトロピウスもすごく楽しそうで、オレ達も楽しかった」

ピカチュウ「ピカッチュウ!」

ハラ「そうでした。貴方はそのような事は気にしない方なのでしたな。ハハハ」

サトシ「えへへ……それがオレの長所ですから」

マーマネ「アホか。緊張感が無いって言われてるんだよ」

スイレン「大丈夫だよサトシ、長所も短所もサトシの個性。自信持って」

サトシ「(´゚д゚) えっ、褒められたんちゃうの?」


リーリエ「……サトシ、勝利おめでとうございます。サトシとピカチュウ、とってもカッコよかったですよ!」

シロン「こんっ」

サトシ「アハハ、そんな風に言われると嬉しいな」

リーリエ「サトシの指示と、それに合わせるピカチュウの動き……長年連れ添っている二人だからこそ取れる連携は眼を見張るものがありました。ただ単にトレーナーがポケモンをではなく、トレーナーとポケモンがお互いを信頼してるというか……」

サトシ「そう。オレはピカチュウならできるって信じながらバトルやってるし、ピカチュウも多分そう。こういうの、『両想い』っていうんだよな?」

リーリエ「た、多分違いますけど……」

ピカチュウ「ピカチュ〜♡」


アママイコ「アマーイ、マイマイマイ」モミモミ

トロピウス「(*´▽`*) ウヒュ……♪」

ヌカ「フフ、気持ちよさそう。疲れた後にはマッサージだよね♪トロピウス」

マオ「でもトロピウス、旅立つ前だってのに大分疲れが出たみたいだよ。旅立ちはもう一日先になっちゃうかな?」

ヌカ「大丈夫!船の中にポケモンを回復できるスペースがあるらしいから」

マオ「あったっけそんなの」

カキ「アーカラ行なら確か15時と17時の便にあったな」

マオ「まだ時間あるね……じゃ、今からでもリフレッシュしとこうよヌカちゃん!ほらマッサージマッサージ!」ムニュ

ヌカ「んっ……!///」

カキ「お前ら皆の前だぞ」
 ▼ 274 マワル@ドリームボール 18/09/18 05:24:20 ID:fZ..O.lw NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 275 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/09/18 21:02:20 ID:u9Y2xD86 [2/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
-------ハウオリシティ 乗船所-------


スイレン「時刻は14時45分。別れの時は近い」

アシマリ「あぉ〜」

マーマネ「ホントに行っちゃうんだね……せめてメレメレ島の試練から挑戦するならもう少し一緒にいれただろうに」

ヌカ「次に会う時に本気で勝負をしたいってハラさんが言ってくれたからね」

リーリエ「島巡りの中でのヌカさんの成長をカプ・コケコは楽しみにしてるだろう……と、そう仰ってましたしね」

カキ「つまり、最後に後回しということか。次にヌカがメレメレに戻ってくる時はきっとオレももっと強くなってるだろうな」

ガラガラ「ガラーラ!!」

リーリエ「それはきっとサトシも一緒だと思いますよ」

カキ「フッ、どうだか……」

ヌカ「カキ君も、次はポケモンリーグでね。よろしくね♪」

トロピウス「クルルルルル……」

カキ「フッ、その為には次はせいぜい敗けんことだな。……マサラタウンのサトシにな」

ヌカ「ウフフ、お互い様にね」

カキ「……なぁ、結構言うんだなコイツ」ヒソヒソ

マーマネ「この数日間でサトシに感化されたのかも……」


デンヂムシ「むちぃ……」

トロピウス「?」

マーマネ「またやろうって、『オペレーション・ヴィカボルト』。……そうだね。僕ももう一度カッコイイお前が見たいもの」

デンヂムシ「むぃ」キリッ

トロピウス「ケッ」

ヌカ「もうトロピウス!あたしの事なら大丈夫だから!もしまた会えた時も、デン『ジ』ムシと仲良くしてやんなよ?」

マーマネ「あっ」

デンヂムシ「(`´)」バチバチバチ

ヌカ「ニ゛ャ゛ァァ゛ァ゛ァこ゛め゛ん゛に゛ゃ゛あ゛く゛か゛か゛!!」ビリビリ

トロピウス「グルルルルル……!!」

デンヂムシ「むぃ」プイッ

マーマネ「デン『ヂ』ムシね。普通の『ジ』よりも『ジュ』寄りの『ジ』で発音するのがポイントだよ。はい練習」

ヌカ「かやでゃが、しびえて、ろえちゅが、まわりましぇん……」ビリビリ

マーマネ「ダメだこりゃ」
 ▼ 276 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/09/18 21:17:48 ID:u9Y2xD86 [3/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
マオ「ククイ博士達も来ればよかったのにね」

サトシ「こんな時に二人とも仕事だなんてね……」

スイレン「ラブラブカップル」

アシマリ「あぉ♪あぉ♪」

マオ「そ、そういうことじゃないと思うけど……」


ヌカ「マオちゃん!マサラタウンのサトシ!」

サトシ/マオ「「!」」

ヌカ「二人にはホントにお世話になりました!島巡りしたらまた仲良くしてね!」

マオ「……ヌカちゃん。ヌカちゃんがメレメレに戻ってくる頃には、多分あたしはアイナ食堂の新しい看板メニューを完成させてると思う」

ヌカ「うん。マオちゃんはそれが目標だって言ってたっけ」

マオ「あたし、そのうちの一つは絶対炊飯器を使った料理にしたいと思ってるの!ヌカちゃんとの思い出とか、あたしがヌカちゃんを想う気持ちとかを炊飯器に詰め込んでホッカホカに炊き上げる、そんな料理」

サトシ「おぉ!なんかいいな!」

カキ「変なアレンジは勘弁だぜ」

マオ「完成したらまずはヌカちゃんに食べてもらうからね。炊き立てのあたしの気持ちがヌカちゃんに伝わるところ、眼の前で見たいから」

ヌカ「マオちゃん……///」

スイレン「『炊き立て』如きが『にがあま』に勝てると思うな」ズイッ

マオ「ス、スイレン!」

スイレン「すっかりマオちゃんの親友面してるけどマオちゃんには私がいることを覚えておいてよ」

ヌカ「お、おう……」

スイレン「ヌカちゃん、次会う時は私とも勝負だよ。メレメレ島一周平泳ぎでね」

ヌカ「ワンサイドゲーム確定!!」

スイレン「フフ、冗談だよ。でも泳ぎが苦手なのは追々克服した方がいいよ。アローラじゃ何かと不便だからね」

アシマリ「あうあう」コクコク

ヌカ「確かにここでのバトルの特訓で水着のカップルを何度見かけたことか……」

スイレン「だよ。泳げないと彼氏だってできないかもね」

ヌカ「それはまだいいかな……」

トロピウス「ウルルルルルル」

スイレン「というわけでマオちゃんがほしければもっと強くなって帰ってくること。私との約束だよ」

マオ「ね?困った子でしょ?」

ヌカ「アハハ……」
 ▼ 277 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/09/19 23:29:42 ID:od.It/Ts [1/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ジリリリリリリリリリ……


ヌカ「あっ、もう出るみたい!」

マーマネ「急がなきゃ!乗り遅れたらチケットを買い直さないとだからね」

カキ「サトシ、お前はもういいのか?」

サトシ「う〜ん」

マオ「アホか!こんな時に悩むな! ……ヌカちゃんホントに急いで!間に合わなくなっちゃう!」

ヌカ「…………」


ヌカ「マサラタウンのサトシ、最後に一つだけ聞きそびれたことがあるの」

サトシ「何?」

ヌカ「『トバリシティのシンジ』は……あなたにとってどういう人なの?」

ヌカ「マサラタウンのサトシ、あなたはトバリシティのシンジのお陰で今の自分がいるって言ってたよね。彼はあなたにとってどういう人で、一体何を学んだの?」

サトシ「シンジはオレのライバルで、あと友達。ポケモンマスターになる為の道は一つじゃないって事を教えてくれたんだ」

ヌカ「ポケモンマスター……?」

サトシ「あぁ、ポケモンマスターっていうのは……

マオ「サトシ!時間時間!」

スイレン「それはまたの機会でね」

サトシ「アイツには色々キツい事言われたりしたけど……それも全部今のオレを作ってるんだって思うとアイツから教わった事は沢山あったって感じがするんだ。それがハッキリ分かったのがシンジとの最後のバトル。ヌカも見てくれたポケモンリーグでのバトルだよ」

サトシ「つまりヌカと一緒だね!オレもシンジに感謝してる。……でも今になってどうしてそんな事聞くんだ?」

ヌカ「あたし、トバリシティのシンジに感謝はしてる。二人のバトルがあたしを立ち直らせてくれたから。でも……あたしは次に彼に会った時、何と言っていいかわからなくて」

ヌカ「あの人はあたしとトロピウスが一緒だと自分の目指してる領域に立てないって言ってた!だけどあたしは今もトロピウスと一緒にいる!……そんなあたしを見て、トバリシティのシンジはどう思うのかなって」

トロピウス「クルルルルル……」

ヌカ「あたしがトロピウスとずっと一緒に頑張るのはあたしが決めた事。だけどそれはただバトルを見て興奮させられたからだけじゃなくて、実は少しだけ……トバリシティのシンジがあなたに敗けて、トバリシティのシンジがあたしに言った事の意味がほんの少しだけ弱くなったような気がしたからでもあって……」

ヌカ「それであたし……ホントに彼に感謝してるのかなって」

サトシ「してるよ!シンジがいたからヌカは悩んで、もう一回トロピウスと一緒に頑張ろうって思ったんじゃん!それはシンジに会わなきゃできない経験だよ!」

ヌカ「そう……なのかな」

サトシ「きっとそうだよ。トロピウスに聞いてみたら?」

ヌカ「……そうなの?トロピウス」

トロピウス「クルルルルルルル……」

ヌカ「……うん。そうなのかも。じゃああたし、感謝してるんだね。トバリシティのシンジに」

サトシ「だね♪」
 ▼ 278 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/09/19 23:33:45 ID:od.It/Ts [2/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
船員「あぁいたいた。アンタ、昨日この時間の船のチケット予約してた子だろ?そんな稲が生えてる珍しいトロピウスを連れて窓口まで来る子は中々いないからすぐわかるよ!」

トロピウス「コロロロ?」

船員「早く乗りたまえ!もう出ちゃうよ!」

ヌカ「あっ……すぐ行きます! マサラタウンのサトシ!これを!」ババッ

サトシ「えっ?えっ?」


ヌカ「じゃあねマオちゃん!マサラタウンのサトシ!じゃあねみんなーーーーー!!」

トロピウス「トロロロロロロロ!!」


♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪


リーリエ「……行ってしまいましたね」

マオ「(;Д;) ヌカチャン……ヌカチャン……」

スイレン「よしよし、今日は思いっきり泣くといいよ」ナデナデ

マーマネ「なんか慌ただしいお別れになっちゃったなぁー。また会えるからいいんだけども」


カキ「それでサトシ、さっきヌカから何を貰ったんだ?」

サトシ「あ、そうだ。何だろう……紙?」ペラッ

リーリエ「あっ!私、本で読んだことがあります。主に小説でありがちな展開ですが、まさにその通りだとしたらその紙は……」

マーマネ「ラブレター!?」

スイレン「Oh…」

マオ「サトシに限ってそんな……ちょっと貸して!」パシッ

サトシ「あぁ!?」



                    ☆おめでとうございます☆

                    マサラタウンのサトシ 様

当選おめでとうございます!あなたはメレメレジャーショップの特別会員に選ばれました!……というのは冗談で、くどいようですが最後のお礼としてあなたには炊飯器引換券を差し上げます。

この券をお店に持っていって父ちゃんに見せるとその場で炊飯器がもらえるよ☆ どんな炊飯器と巡り遭えるのかは行ってみてのお楽しみ!

                               よい食卓とポケモンバトルライフを   ヌカより



マオ「炊飯器の引換券だ……」

サトシ「やった!!ヌカありがとう!!」

カキ/マーマネ「「えぇ……」」
 ▼ 280 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/09/21 23:50:43 ID:SqOgXbto [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ククイ「ク゛ッモ゛ォォォオ゛ォァァ゛ァ゛ニ゛ン エウ゛リワ゛ァァ゛ァァァ゛ァン!?!?」

サトシ/リーリエ「「イ゛ェェ゛ェェェェェ゛ェア゛!!!」」

ククイ「エヴィバディセイ  『ホォォォーーーーオ』!!?」

マオ/スイレン「「ホオ゛ォォオ゛ォォォオオ゛ォォ゛!!!」」


マーマネ「治った途端これだよ。こんなんじゃまた早いウチに風邪引いちゃうよ」

カキ「まぁ、もうじき寒くなるというのにあんな恰好してたら風邪の一つも引くわな」

マーマネ「あぁ……うん」


ヌカ達と別れてから3週間と3日が経った。彼女との別れの余韻に浸る暇もなく、サトシ達ポケモンスクールのメンバーの周りでは不思議な事が沢山起きた。

にも拘わらずこうして彼らが日常生活を何てことなく送れているのは、平穏など存在しない、ちょっと不思議なくらいが普通なこの世界の一部の存在だからなのだろう。

今日もまた、何てことなく時間がすぎていく。


ククイ「……であるからして、ポケモンの進化には様々な過程がある。例えばグライガーなら月が出ている時間に牙を限界まで研ぎ澄ますとグライオンに進化し、野生では大人になったグライガーが集団でそれを行う儀式があるとかないとか……」

リーリエ「博士!グライオンについて質問があります!グライオンは尻尾に強力な毒を持っているそうなのですが、なぜ毒タイプではないのでしょうか?」

ククイ「ポケモンのタイプは2つまでというのがポケモン研究家の暗黙のルールだからな。確かに尻尾に毒をもつのもグライオンの特徴だが、砂地に多く生息する事や飛行能力に長けている事の方がよりグライオンの個性として注目されたんだろうな」

ククイ「だがグライオンは毒タイプを入れてもいいと今の説に異を唱える学者も多いから結局のところまだ議論は続いてるんだ。この辺はドラピオンやゴルーグなんかも同じだな」

リーリエ「へぇ……私達が当たり前だと思っていることも実は論理的結論が定まってないなんてこともあるんですね。勉強になります」

シロン「こぉん」

カキ「シロンの例もあるし、ひょっとしたらどこか遠い地方に毒タイプのグライオンだっているかもな」

マーマネ「その時は生で見てみたいよね。サトシ ……サトシ?」

サトシ「……お腹減った」

ピカチュウ「ピカチュー……」

カキ「」ズコッ

マーマネ「そういや僕も……」

ククイ「腹が減るのは頭を使ってる証拠だからなぁ。まぁもうすぐ昼飯だ。もう少し『こらえる』、だぜ」

♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪

ネッコアラ「ふゎ〜」

キーン……   コーン……


サトシ「 飯 だ ー ー ー ー ー ー ー っ ! ! ! 」

カキ「いいから早く分けてくれ。今日の米当番はサトシとリーリエだろ」

リーリエ「皆さん!お弁当のスペースは空けてきましたか〜?」
 ▼ 281 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/09/21 23:54:30 ID:SqOgXbto [2/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
毎週月・水・金はご飯の日。これは3週間前からのポケモンスクールでの秘密の決まり事。

ヌカ達と別れた翌日、サトシはヌカから貰った引換券を握りしめ、ムラシ店長から携帯型の小型炊飯器を貰ったのだが……

その次の日、サトシが炊飯器を持って行くと、そこには教室のコンセントを取り合うマオ達の姿が。なんとサトシが炊飯器を貰ったのと同じ日にマオ達も炊飯器を手に入れていたのだった。

炊飯器は6つ、コンセントは2つ……足りない。しかし電気が無ければご飯を炊く事ができない。せっかく持ってきたお米を食べられないかもしれないスクールメンバー達は大いに揉めた。

殴り、蹴り、『10まんボルト』が飛び交う大喧嘩の末、6人のうち2人が交代で炊飯器を持参し、皆で分け合うという結論に至った。こうして出来たのが「米当番」である。


スイレン「ありがとう大地。ありがとう太陽。命をありがとう。いただきます」

カキ「ギャルサーなんて今の子が知ってるわけないだろ」

マーマネ「う゛ま゛い゛!!やっぱりご飯は炊き立てだよね」ガツガツ

マオ「うん!今二人の炊飯器で炊いたご飯を食べ比べてるけど、リーリエの炊飯器で炊いた方は上品な味がするよね。やっぱリーリエは炊くご飯も上品なんだねぇ」

マーマネ「この前まではお米が膨らむことも知らなかったのにね」モグモグ

リーリエ「フフ……でも、サトシが炊いたご飯にも違った魅力があると思いますよ」

スイレン「サトシの炊飯器、ヌカちゃんのサトシへのメッセージがこもってる。だから暖かい味がする。ご飯の温かさとは違う、なんか」

マオ「あたしもそういうの貰っとくんだったなぁ〜……店長がオススメしてくれたのも悪くないけど」

サトシ「むぐむぐ……あれからもう3週間以上かぁ……」

-------------------------------------------------------

ムラシ「おっ、引換券を持ってきてくれたんだね。早速僕がヌカから言われていた通りの炊飯器を君にプレゼントしよう」

サトシ「おぉ!」

ムラシ「サトシ君、この炊飯器はね。ヌカが君の事を考えに考えて選んでくれた炊飯器なんだ。ヌカが言うには、その炊飯器は君のような子と巡り合う事を望んでいた。大切にしてくれ」

サトシ「はぁ……それで、この炊飯器の心は?この炊飯器は何を思ってるんですか?」

ムラシ「『火起こし花の種』……つまり、自分の炊いたご飯で周りを熱い気持ちにさせることをこの炊飯器は望んでいる」

ムラシ「ヌカはこの炊飯器を君に似てると言ってたね。やる事成す事で周りを熱い気持ちにさせる所は確かに似ているかもしれないね」

サトシ「あんまそんな自覚ないですけど……」

ムラシ「そうかい?だが少なくともヌカはサトシ君のバトルを見て心が熱くなって、今もトレーナーを続けてる。だからこの炊飯器はヌカにとってのサトシ君の印象そのものだし、ヌカから君へのプレゼントにはこの上ない逸品だと思うね」

-------------------------------------------------------

サトシ「……みたいな事言ってたなぁヌカのパパ」

マオ「サトシもヌカちゃんに会うまでに、もっと大きな火起こし花にならないとね」

サトシ「……そうだな!そうと決まればご飯食べて、なるぞ!火起こし花!」

ピカチュウ「チャアアーーー!!」

リーリエ「その意気です!サトシ!」

カキ(火起こし花って何だよ)
 ▼ 282 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/09/22 00:03:38 ID:5pp.2K8Y [1/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ネッコアラ「ふぉ〜」

キーン……  コーン……


ククイ「よし!午後の授業は隣のクラスと合同でポケモンバトルだ!エーーーーーンジョイ!!」

サトシ「っしゃーー!!待ってたぜこの時をよォ!!今日は飛ばしてくぞみんな!!」

ピカチュウ「ピカァ!」

ニャヒート「にゃう゛」

ルガルガン「がんっ!」


         ズガッ!!            ドゴォ!!         バキャァァ!!

      ドシャッ!         ギチギチギチ……           ギャアアアアアア……!


隣クラス先生「おぉ……今回のクラス対抗戦も見事なワンサイドゲーム……Zリングをもつ生徒が3人もいるククイ博士のクラスはやはり強いですね。もはや勝負というより経験値稼ぎだ」

ククイ「そうでもないさ。アンタんとこの生徒もここらの子供の中じゃ十分強い方だぜ。まぁ、後はアンタの指導力次第ってとこだな。それにウチのクラスだって強いのはZリングを持ってるヤツだけじゃないぜ」


マオ「アマージョ!『トロピカルキック』!!」

アマージョ「ホァァァァァァジョ!!」ゴスッ!!

キュワワー「うわらば」

生徒A「キュワワーァァ!! くそぉ、相手チームの中じゃ勝てそうな相手だと思ってたんだけどな」

マオ「ふふん、見た目に騙されないことだね兄ちゃん♪Zリングが無くたって油断しちゃいかんぜよ?」

アマージョ「マジョ!」


リーリエ「マオ、アママイコがアマージョに進化してからというもの積極的にバトルに打ち込むようになりましたね」

スイレン「マオちゃんの成長ぶりには驚いた……この前私達も一回敗けた」

アシマリ「あぅ……」

カキ「打ち込むようになったといえばお前もじゃないかリーリエ。何となくだが以前よりポケモンバトルを楽しんでいるように見えるぞ」

マーマネ「うんうん。シロンが生まれて、ポケモンに触れるようになって……カキやマオも変わったけど、一番変わったのはリーリエかもしれないね。これからも一緒にもっとバトルが楽しめるといいな」

カキ「あぁ。だが……」


サトシ「オラァ!! 4人抜きだァァァア!!」

生徒BCDE「「「「ギャアアアアアアア……」」」」


カキ「……あんなのにはならんでいいぞ」

リーリエ「えー」
 ▼ 283 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/09/22 00:12:33 ID:5pp.2K8Y [2/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ガサガサッ

ムサシ「おー腕白腕白」

コジロウ「さすがポケモンスクール。ギラつく太陽の下、子供達が今日も元気にはしゃぎまわってやがる」

ニャース「そしてポケモンもいっぱいいるのニャ。今日こそスクールのポケモンを強奪しまくってサカキ様に献上するのニャ」

ソーナンス「ソーーーーナンス」


マオ「アマージョ、『マジカルリーフ』!」

アマージョ「マァァァァジョ!!」

生徒F「リオル!『コメットパンチ』!」

ズドドドドドドド……

リオル「グハッ」


ムサシ「緑ジャリガールのアマージョ……進化してから一層たくましくなっちゃってねぇ。奪うならあの子は外せないわね」

ニャース「正直ニャーはもうアイツに懲りてるのニャ」

コジロウ「馬鹿言うな。多少のリスクを負ってでもアイツは捕まえるぞ」


生徒F「あぁ……まただ……」

マオ「ドントマインド!また次回も勝負しようね」


リオル「こーん……」ドゲザ

マオ「えぇ!?どうしちゃったのリオル!?」

生徒F「私のせいなんです……私が何か失敗するとリオル、こうして私に向かって頭を下げるんです。彼女は謝ってるつもりだけど……本当は悪いのは全部私なんです」

マオ「どういう事か詳しく聞かせてよ……あっリオルは頭を上げて、ホラ!何も謝ることなんてないんだよ!」

リオル「くぉ……」

生徒F「私、生まれた時から人より不器用で……50m走は毎回12秒切れないくらいに遅いし、10歳にもなったのに九九以外の掛け算ができないくらい勉強もできないし、勿論家の手伝いだってロクにできないし……」

生徒F「他にも色々できない。でも周りはできてる。皆ができる『普通』のことができないんだ。私……  スクールもさ、お母さんが通うように勧めてくれたんだけど……きっと家にいても邪魔臭いからだと思う」

マオ「そ……それは違うよ!色々できない事があるのはあたしも一緒だし……お母さんがあなたを邪魔だって思ってるのも絶対思い込みだって!」

生徒F「     私がスクールに通い始めたら……すぐに両親が私を知り合いに預けて引っ越したとしても?     」

マオ「……えっ……?」

生徒F「知り合いのおじさんも私の事を邪険にしてるみたいだし……私の味方になってくれる家族はリオルだけなんだ」


ムサシ「何か流れ変わったわね。あの辺」

ニャース「…………」
 ▼ 284 ョロゾ@フシギバナイト 18/09/22 06:43:37 ID:Ah36lRAY [1/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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 ▼ 285 ニプッチ@ノワキのみ 18/09/22 14:54:52 ID:evYQukzE NGネーム登録 NGID登録 報告
土下座リオルとか絶対かわいい
支援
 ▼ 286 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/09/22 21:34:50 ID:5pp.2K8Y [3/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
生徒F「私が何もかもできないせいでリオルには迷惑かけてばかり。リオルは優しいから、何でも自分のせいにして私に謝るんだ」

マオ「そっか……じゃああなたが元気出さないと!失敗してもあなたが笑っていられればリオルだって謝る必要もなくなるよ」

生徒F「そんなワケないじゃん。……失敗したのには変わりないんだし。これからもずっと失敗し続けて、リオルにも迷惑掛け続けるんだ」

生徒F「本当はリオルだって私のところになんて居たくないのかもしれない。……でも私がそれを許さないの。何もできないから。だから私もリオルも何か変えたいって思っても、ずっとこのまま」

リオル「…………」シュン

マオ「そんな……失敗なんて何も怖いことじゃないのに……」

アマージョ「…………」


コジロウ「捕獲準備は整ったぞ。あとは罠を仕掛けて大量ゲットを狙うのみだ」

ムサシ「おし、じゃあ仕込みに入るわよ……ってニャース?おーい」

ニャース「…………」

ムサシ/コジロウ((また始まった……))


ククイ「先生、あのリオルと一緒にいる子は確か職員会議でも度々話題になってる……」

隣クラス先生「えぇ。少し不器用なところがあって、そのせいで成績も友達付き合いもうまくいってなくて。それだけならいいのですが、問題は……」

ククイ「異常なまでのコンプレックスでしたよね。他の子達にできる事ができない自分を強く責める、それが彼女の問題…… ポケモンスクールの生徒は皆優秀だ。だからこそ余計に気にしてしまうんだろうな。彼らにとって『普通』のことができない事に」

隣クラス先生「彼女だけではありません。リオルも自責の念に駆られている節があります。あの子曰く、『私が“普通”の事ができないのを自分がうまくサポートしてあげられない所為なんだと思い込んでいる』のだそうです」

ククイ「そしてそのリオルの思い込みを作った原因が自分自身だと思い込んだ彼女も自分を責めている……と。思い込みの負の連鎖ですね」

隣クラス先生「何度か私も励ましてはいるのですが……効果がなく、度々自分に劣等感を感じてしまうとあぁして発作的に自分を責めてしまうのです。本人にも私達の言葉は届いているのでしょうが……それ以上に彼女の自責の念は大きいらしくて」

隣クラス先生「そうだ。今度クラス合同で学級会を開いてはどうでしょうか?ほら、ククイ博士のクラスの生徒はどの子も明るくて優しいとスクールでも評判だしいい意見が……

ククイ「いや、その必要は無さそうだぜ」


マオ「……よし!じゃあ今日はウチおいでよ!悩み事でも何でもあたし達に相談してみなよ!御馳走もいっぱいしたげる!丁度今考えてる看板メニュー候補もたくさんあるし……食べながらだったら軽い気持ちで色々話せると思うんだ」

生徒F「そんな!悪いよ……これ以上人に迷惑掛けたくない」

マオ「迷惑じゃないよ。あたしが相談に乗ってあげるって言ってるの」

生徒F「私、何度も先生や他の子達に相談に乗ってもらって迷惑掛けてる。……だけどまだ治らない……あなたの相談だってきっと無駄になっちゃうよ」

マオ「無駄じゃない! あたしはあなたの問題を解決しようとしてるんじゃなくて、ただ相談に乗りたいだけなの。あたしさ、正直あなたの悩んでる事に的確にアドバイスできる自信はないけど……」
 ▼ 287 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/09/22 21:45:53 ID:5pp.2K8Y [4/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
マオ「でもさ、わからないなりに自分にできる事をやってあなたの悩み事を聞けるなら一番いいかな……って、だからこれはあたしのお節介!全然迷惑なんかじゃないよ!」

アマージョ「マジョ!!」

リオル「こーん……」

マオ「あたしはマオ。アイナ食堂の看板娘だよ。相談に乗ってほしかったらいつでもおいで♪わからないなりにあたしがあなたにできる事、何でもしてあげるよ☆」

生徒F「いいの……?」

マオ「いいよ!友達になろう!」

リオル「こん……?」

アマージョ「マジョ!」キリッ

スイレン「あ、またマオちゃんが女を口説いてる」

マオ「スイレン!……まいったな。ねぇ、この青い髪の子も誘っていいかな?」

生徒F「……迷惑じゃなければ」

スイレン「さっきの話、大体聞いてた。相談ならおまかせあれ、だよ」

アシマリ「あおっ!あおっ!」

リーリエ「マオ、スイレン!でしたら私も!」

サトシ「オレも行くよ!困ってるポケモンは放っておけないよ!」

マーマネ「僕も!食べながらだとどんな悩みでも聞いてあげられそう!」

カキ「みんな行くのか……ならオレも行かなきゃならないな」

マオ「よし、じゃあ放課後みんなで集まって準備ね! あなたも後でおいでね?気軽に来てよ!遊びに行くみたいなノリでさ!」

生徒F「…………」コクリ

リオル「こんっ」


ククイ「ね、どうです?これがオレの教え子……いや、この何てことない世界の子供達の可能性です」

隣クラス先生「本当によかった……これであの子の問題が解決すればめでたしめでたし、ですね」

ククイ「勿論それが一番いいが……たとえ解決しなくたって、あの子にはいつでも悩みを話せる相手がいる事を知っていてくれればそれでいいのさ。彼女が少しでも『普通』の束縛から解放されるためにはね」

隣クラス先生「……私はただ彼女の悩みを解消してあげようと色々焦っていたのかもしれない。そして彼女自身も……治らなくてもいいなんて答え、考えようともしなかった……」

ククイ「親も先生も友達も、神様や魔法使いなんかじゃない。できない事だって色々ある。……だからこそ悩んでる人やポケモンに寄り添って考えたり相談に乗ったりして、一緒に時間を過ごすことができる立場なんだとオレは思います」


ニャース「……ムサシ、コジロウ、やっぱり今日は帰るニャ」

ムサシ「はぁ!?とうとう頭ブッ壊れたわねアンタ!あんなたくさんの獲物を眼の前にして一つの収穫も無しに帰れっていうの!?」

ニャース「収穫ならあるニャ。 あの時……ジャリボーイ達もコメットちゃんを救おうとしてたんだってわかったからニャ」

コジロウ「だからコメットちゃんて誰やねん」

ムサシ「やっぱアタシ達の知らんところでまた何かあったわねこの子」
 ▼ 288 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/09/22 21:58:40 ID:5pp.2K8Y [5/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
-------放課後-------


マオ「ねぇ〜、サトシはまだ来ないの?」

カキ「こんな時間だ。不良に絡まれたりでもしてるんじゃないか?」

スイレン「シバキ用の釘バット貸してあげればよかったかな」

ガチャン!!

サトシ「お、遅れてゴメン!!」

ピカチュウ「ペカー……」

マオ/カキ「「遅い!!」」

マーマネ「早くしないとあの子来ちゃうじゃんか!」

サトシ「あぁそれがさ、さっき見かけたからちょっとだけ二人で喋ってたんだ」

リーリエ「ホントですか!? ……今更聞くのもなんですが、来てくれそうでしたか?」

サトシ「うん!あの子もリオルも、嬉しそうな顔してマオの料理楽しみにしてた!」

リーリエ「よかった……」

サトシ「もちろんオレも楽しみ!マオ、それで看板メニューってどんなの?」

マオ「ハァ、この子は……」

マーマネ「こんなんが未来のポケモンマスターなんて先が思いやられるよ」

リーリエ「ウフフ……でも私はサトシみたいな人がいいと思います!親しみやすくて」

カキ「……まぁ、変に気取ったヤツよりかはマシか」

ピンポーーーーーン

サトシ「! 来た!」

カキ「さて……どんな悩みでも聞いてやろうじゃないか」

スイレン「マオちゃんの友達はみんなの友達。仲良くしようね」


マオ「はいはーい!お待たせーーー!!」ガチャッ





マオ「               いらっしゃい!!               」







                           -------fin-------
 ▼ 289 ンバット@ポイントカード 18/09/22 22:01:47 ID:GVawqLpM NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
乙でした
 ▼ 290 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/09/22 22:02:24 ID:5pp.2K8Y [6/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
終わりです。ここまで読んでくださりありがとうございました
ギャグSSだと思って開いてくださったみなさん、すみませんでした←
気付いてる方もいましたが他にもアニポケSMの長編SSを書いているので時間があれば見てみてください!

サトシに妹ができます。人間の女の子に化けたポケモンに対するサトシの反応は……?(525レス)
https://pokemonbbs.com/poke/read.cgi?no=641568&p=14
クリスマスもの。マトリックスの皆さんとは別のロケット団の精鋭部隊が登場します(273レス)
https://pokemonbbs.com/poke/read.cgi?no=726274&p=7

長編SSは多分これで最後なのでご縁があれば短編SSでお会いしましょう。改めてありがとうございました!
 ▼ 291 スモッグ@かわらのかけら 18/09/22 22:08:53 ID:Ah36lRAY [2/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
最後の最後にワルダック現象かよ!

何はともあれ乙
 ▼ 292 ンターン@てんかいのふえ 18/09/22 22:52:00 ID:gJ/QSCkQ [1/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
乙!
妹のもクリスマスのも見てたが例の現行長編アニポケSSがイッチのってびっくリーリエですよ
 ▼ 293 シャーナ@やすうりポン 18/09/22 22:54:21 ID:Ah36lRAY [3/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
>>292
そのSSってなんだ!?
 ▼ 294 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/09/22 22:59:31 ID:5pp.2K8Y [7/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
>>292
スミマセン誤解を招く書き方でした……「他にも」というのは>>290のリンク先のSSの事です
現行SSはコレだけで貴方が仰ってるSSは別の方が書かれています。念のためお伝えしました……
 ▼ 295 フレシア@フライングメモリ 18/09/22 23:08:21 ID:gJ/QSCkQ [2/2] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
>>294
やっぱり違うよな!
誰かへの返信で「絶対その人じゃない」とかドヤ顔自信満々で言ったのに
間違ってたらクッソ恥ずかしいわ良かった

ということで良かったですごめん改めて乙でした
 ▼ 296 ルガルド@ユキノオナイト 18/09/23 23:59:52 ID:1oA28iS6 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
完結したら読もうと思ってたので今一気読みした
……さすがですわ、ホントに
もう、何もかもが好きだ
このページは検索エンジン向けの機能制限版の旧ページです。
下URLから閲覧下さい。
https://pokemonbbs.com/post/read.cgi?no=849243
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