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美味しいと嬉しい【ss】

 ▼ 1 メイクのつもり 20/02/10 23:31:18 ID:xrsEwJ12 NGネーム登録 NGID登録 報告



= 2月10日 =




カラコロ…… カラコロカラ……





放課の鐘がなり、教師は黒板前から去って行く。


「ふああ…… 授業終わった……」


僕は欠伸を噛み殺し、帰り準備を始める。


 ▼ 14 ローゼル@ポケモンのふえ 20/02/11 15:26:13 ID:.nG2KhXg [1/8] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告



= = = = =




「――えっとね、それでね、あのね」

「うんうん。パチリスはよく見てるんだね」



それほど探すほどでもなく、女子と喋っているリオルを見つけた。

こうやって誰とでも気兼ねなく話せるのもリオルの凄いところだよな。






「ぉーぃ、リオ――「っひゃあ!!」


おっと、ある程度話が途切れるのを見計らったつもりだったのだけれど、パチリスに驚かれてしまった。

タイミングまずったかな。



「ゴ、ゴンベ、いつからそこに!?」

「いや、今さっきだけど……」

「はなし、聞いてないよね!?」


こんなに慌てるなんて、何を話してたんだろう?

なんのことか判らず首を傾げていると、それが功を奏したらしく、パチリスは安心したように溜息を吐く。


 ▼ 15 ーフィ@ぼうじんゴーグル 20/02/11 15:27:00 ID:.nG2KhXg [2/8] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告



「……はー、びっくりした、もー」

「ゴンベ、タイミング悪いね」



リオルもパチリスの悲鳴に驚いたらしく、困ったように笑いかけてくる。



「で、僕になんか用があったんじゃないのかい?」


そして流すように尋ねてきた。


「ああ、ブイゼルたちが今日は何するんだーって」

「なるほど。彼奴らもたまには自分で用意してくればいいのに」

「君が用意してくるのが面白いからいけない。じゃあ、教室戻ろう、廊下は寒い」

「あ、じゃあ、バイバイ、ゴンベ、リオル。また明日」

「うん。また明日」



パチリスは残らないようで、そのまま校門へ向かうようだ。



僕らは彼女に手を振って別れる。そして男子たちの待つ教室に入った。


 ▼ 16 ツボット@たんちき 20/02/11 15:28:48 ID:.nG2KhXg [3/8] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告




= = = = =



「ロン!! リーチタンヤオサンアンコートイトイホードラ3」

「おいリオル、また俺かよ!!」

「おお、ブイゼルが飛んだ」




リオルが麻雀牌のセットを出して来たので、大いに盛り上がった。

勿論賭けなどはなしだ。集まっている人数が多いので、負けたら交代だけど。



「リオル、お前イカサマしてんじゃないか? 俺と当たってるときは絶対勝つじゃねえか」


「そんなまさか。覚えられないよ、イカサマなんて。手順とか色々面倒臭そうだしね」


「その言い方だとやり方は知ってそうだな……」


「いやいや、知ってたらむしろできるように究める」




それはまた、リオルらしい完璧主義というか


「それ、どや顔で言うこと……?」


イカサマ師にでもなるつもりか。




「今の問題はできるかどうかでしょ。できないからいいんだよ」


……まあ、それもそうかもしれないけれども



 ▼ 17 ジョッチ@だいちのプレート 20/02/11 15:32:08 ID:.nG2KhXg [4/8] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告



「結局普通に負けてるってことかよ! お前、弱点とかねーのかよ!?」

「そりゃ、超能力と飛行技と、あと妖しい感じのはちょっと」

「バトルの話じゃねーっての!」

「えー……じゃあ、ドガース級ネギ盛りカレーとか?」

「ドガース級は俺も無理!! って食いもんの話でもなくて!」



あくまで真面目に答えるリオルにブイゼルはとうとうキレた。



いや、きょとんとしないでよ、リオル。判ってないのかよ。



 ▼ 18 ラッキー@はかいのいでんし 20/02/11 15:32:46 ID:.nG2KhXg [5/8] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告





「だから、何なら俺が勝てんのかって訊いてんだよ!」






ぶっちゃけた。それ相手に訊くのか。空しくない?



 ▼ 19 ィ@うみなりのスズ 20/02/11 15:33:30 ID:.nG2KhXg [6/8] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告




それを聞いたリオルは優しく笑う。


「いやいや、どれも気を抜けない勝負になってるよ。お蔭で怠けずに済む」




おお、模範解答が出た。


しかもブイゼルのお蔭でより超えられなくなっているということまで言ってる。



これは実質止めでは?
 ▼ 20 ズレイド@われたポット 20/02/11 15:34:11 ID:.nG2KhXg [7/8] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告





「それでも…… それでも男には! やらなきゃいけないことがあるんだ!!」





 ▼ 21 ニノコ@フェアリーメモリ 20/02/11 15:34:57 ID:.nG2KhXg [8/8] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告



俯いてしまったブイゼルは再び毅然とリオルを睨みつけ、叫んだ。



「流石ブイゼル!!」

「よっ!! 男前!!」

「明日は勝てるさ!!」




「うるせー!!」




口々に囃し立てるが拒否されてしまう。

そりゃそうか。おふざけ半分だもの。


まあ、そんなこんなでわやわやしている内に時間も過ぎ、帰る頃合いになっていく。

雪も大分止んできて、いい感じだね。


 ▼ 22 ボミー@イナズマカセット 20/02/12 21:42:39 ID:xDwsCFOM [1/3] NGネーム登録 NGID登録 報告


= 2月12日 =



カラコロ…… カラコロカラ……


「うし、放課後だ! 遊ぼうぜ!」


今日もまた、授業が終わるなりブイゼルが立ち上がり、早速とばかりに男子を集めにかかる。

アイツちゃんと先生の話聴いてるんだろうか、と心配になるものだ。


……僕が気にすることじゃないか。



ブイゼル、あれで学校の成績はいいんだよね。努力は凄いしてるはず。

二番手ではあるが僕らなんかよりよっぽど高スペックなのだ。



その高スペックに負け無しなのがリオルと言う訳で。


よくまあめげずに挑む気になれるよね。


必死に努力して、追いつけなくて、高く高く立ちはだかっていて。

それでも挑むなんて、僕には無理だ。




とっくに、諦めてる。



 ▼ 23 ムスター@オッカのみ 20/02/12 22:58:32 ID:xDwsCFOM [2/3] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告



= = = = =



その日も、活躍して、注目されて、黄色い声を浴びて、勝利を収めたのはリオルだった。


実質リオルとブイゼルの一騎打ちのようなもので、見ている側としては面白いものだった。


ギリギリまで競り合って、でも勝負が決まる瞬間は割とあっけなくて。


ギャラリーは大盛り上がりだったな。


決着後にはノーサイドで固く手を握り合い、健闘を称え合っていたのも気持ちよかったし。


みんなで笑い合って、暖かな拍手を送って。


 ▼ 24 ィ@サファイア 20/02/12 23:01:11 ID:xDwsCFOM [3/3] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告











反吐が、出る。










 ▼ 25 ニゴーリ@ボブのかんづめ 20/02/14 00:55:40 ID:MxLoxnds [1/28] NGネーム登録 NGID登録 報告



= = = = =

「よっ、ゴンベ。探したぞ。どしたん?」

もみくちゃにされているリオルたちを置いて一人になれる場所にいたら、ブイゼルがやってきた。

「別に探さなくてよかったのに。どうせもう帰る時間なんだし」

もう夕方というより夜と言える時間。最終下校時間もそろそろなのに。

「まあ、そう言うな。俺らの仲じゃん」

相変わらずおちゃらけたように笑うやつだ。

……なんで、笑えるのだろう。



 ▼ 26 ワパレス@タラプのみ 20/02/14 01:17:40 ID:MxLoxnds [2/28] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告



「ねえ、ブイゼル」


いっそ、訊いてみようと思い立ち、僕は声を出す。


「ん? なんだ?」


「君、リオル嫌いでしょ」


「ぶっ!?」


吹き出された。……汚いなぁ


「と、突然なんの話だよ!?」

「嫌いなのに仲いいっぽく振る舞っているのはなんなのかなってさ」

「急にぶっ混むな、お前!? だからなんの話だって――」



「永遠の二番手」



「って言われ続けるのってどんな気分なのかな?」



僕が発した疑問に、ブイゼルは黙り混んだ。


 ▼ 27 ングマ@なぞのすいしょう 20/02/14 02:01:54 ID:MxLoxnds [3/28] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告



いつだって、称えられるのは一番なのだ。

才能やら運やら、一番望むものに恵まれ続ける奴がいれば、面白くないと思う。



「……あいつ、すげえよな。何やっても敵わねえ」

「否定しないんだ」

「うっ……」


いや、解ってたけどさ。

じゃなきゃ話題にしない。


 ▼ 28 ルフーン@たんけんこころえ 20/02/14 02:20:51 ID:MxLoxnds [4/28] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告



「……嫌いにすらなれねえのが辛いんだろうが」

「そんなもんなのか。まあ、悪い奴じゃないけどね」


それでも、僕だったら嫌ってるのにな。

あんなに恵まれている坊やに、一番を持ってかれるのは面白くない。






「それと君、パチリス好きでしょ」


「んなぁっ!!?」


分かりやすく赤くなったな。




 ▼ 29 ッカニン@ピカチュウZ 20/02/14 02:55:53 ID:MxLoxnds [5/28] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告



「んな、な、な、な、なぜそれを!?」

いやいや、今さら隠してもしょうがないでしょ。


「恥ずかしがることないよ。あの子、男子みんなの憧れだしね。」


クラスで惚れてない男子の方が少ないマドンナ的存在。


それがパチリスという美少女だ。


「……鎌かけたってのかよ」

そうであれば反応したのが悔しいというようにブイゼルは言うが、勿論そんなことはない。

自分が分かりやすい行動をしていることに気づいてない様子のブイゼルに、さらに言葉を続けてみる。



「あの子、リオルが好きじゃん」



判っていても聞きたくないとばかりにブイゼルは顔をしかめた。



 ▼ 30 ルマイン@かみなりのいし 20/02/14 03:26:13 ID:MxLoxnds [6/28] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告



「やっぱそうだよな…… パチリスはリオ坊のこと好きだよな…… うん、わかってた……」


確信はしてなかったのか。いや、確定であることを受け入れたくないだけか。


「で、君がリオルに白星つけたいのは彼女を振り向かせたいからだろう? いや、勝った勢いで告白しようとして、できなかったというべきか」



「うぐ……」



僕の言葉が心を抉っているのか、ブイゼルが唸る。




「……お前、ほんとよく見てんのな」


降参したように呟くのが、的を射ていたことを教えてくれる。



 ▼ 31 ルッグ@キョダイパウダー 20/02/14 04:18:43 ID:MxLoxnds [7/28] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告



「敵を知れば百戦危うからずというでしょ」

うちのクラスの者は大体把握している。

半分趣味みたいなものだ。


「敵って……」

「ブイゼルは応援しているよ」

「お、おお。ありがとう」

「だから、他の男子が敵。場合に依っちゃ女子も」

僕の中で今はそういうことになっている。



「だから、君が勝てる方法を教えようと思う」



「…………は?」


僕の言葉に、ブイゼルは一層目を円くした。




 ▼ 32 ルスワン@かたいいし 20/02/14 04:40:51 ID:MxLoxnds [8/28] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告



「ズ、ズルはだめだぞ、ズルは! 俺はこれでも一応真剣勝負にこだわって」

「解ってるさ」

勝ちに手が届きかけてもルール違反だけはしなかった様は見てきたから知ってる。

ズルに飛び付いてもいいくらいには負け通しなのに。

そういう奴だから応援したくなるんだけど。



「そんなことしない。そもそも僕は手を出さない。口だけだ」

「なに? リオルに勝てる策戦があるのか!? ズルなしで!?」

よっぽど驚いたのか、興奮したようすで口泡を飛ばす。


ズルしないと勝てないと思い詰めるくらい追い込まれていたのか……

あわれ、ブイゼル……


「ま、まあ…… ちょうど明日、バトルの授業があるし、そのときに勝っちゃおうか」

「そんなすぐにか!!?」

「そりゃもう。かくかくシキジカで……」

驚き通しのブイゼルに、僕から策戦を説明してその日は解散した。




 ▼ 33 ルペコ@ずぶといミント 20/02/14 14:32:33 ID:MxLoxnds [9/28] NGネーム登録 NGID登録 報告



= 2月13日 =

そして授業の時間がやってきた。

二人一組に別れて模擬戦をし、身技体を育てる、言うなれば体育のような、ポケモンバトルの授業。


「リオル!! 勝負だ!! 今日こそは勝つ!!」


ブイゼルはやはり、いつものようにリオルと組みをつくる。

いつもより気合いが入っているのはご愛嬌。

鉢巻まで巻いちゃって、空回りしているように見えるのが回りの失笑を誘う。


「うん、楽しくなりそうだ。よろしく」


軽く請け合うリオルはやっぱり爽やかで、その対比が面白いのか、生徒たちの注目を集める。

熱い視線を向ける女子たちは、リオルの活躍に期待している。

冷めた視線の男子は、負け通しのブイゼルを嘲っている。

あるいは、慰めの言葉でも用意しているのか。



誰も彼も、人を比べる。上位と判断した方にすり寄り媚びる。そして恵まれた者がより恵まれるのだ。

見える部分だけしか判断材料にしないくせに。

そのくせ、変えようのないものまで測られる。

種族、容姿、家柄、過去、その他もろもろ。



そんな不公平な世の中、反吐が出るじゃないか。



覆せるということを証明してほしいじゃないか。



 ▼ 34 トルするのがポケモン理論 20/02/14 15:29:22 ID:MxLoxnds [10/28] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告



「先手必勝! アクアジェット!!」


「そうそう先手は譲らないよ! バレットパンチ!」


お互いの技がぶつかり合う。

いつも通りの接戦。この二人の力量は見事に同等である。

そしていつも通りだからこそ


「俺、リオ坊に食券賭けるけど、お前らはどうする?」

「やめとく。賭けになんねーよ。誰もブイゼルにゃ賭けねーもん」

「ちげえねえ。リオ坊のカウンターがどこに決まるかの方が盛り上るわな」

「じゃ、俺、腹にいっちまーい!」


そんな声も聞こえてくる。


リオルの勝ちを揺るがず信じている。

それが、相手をどれだけ嘲っているかも知らずに。



 ▼ 35 開ぐちゃぐちゃやね 20/02/14 16:19:05 ID:MxLoxnds [11/28] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告



「……はあ、やっぱ強いな、お前」

「お互い様。こんなに楽しいバトルは君以外とはできない」


こちらの様子にも気づかず、当事者の二人はバトルを続けていた。

一進一退の攻防に二人とも笑いすら零れる程。

もうお互い有効打を一発でも受けたら倒れてしまいそうにふらふらになって。



……楽しそうだね。ちょっと羨ましいよ。



「だがな、いつものように負けるわけにはいかないんだよ! 今日は、秘策を引っ提げてきたんだ!!」



そして遂に、僕が授けたリオル対策を打ち出す。







 ▼ 36 カリオ@ものしりメガネ 20/02/14 16:21:08 ID:MxLoxnds [12/28] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告






「  ソニックブーム!!!   」






 ▼ 37 ラキオン@おうじゃのしるし 20/02/14 16:39:33 ID:MxLoxnds [13/28] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告



ブイゼルは新しく覚えてきた技を使う。

「それが秘策? 確かに素早い技だけど、単調で避けやすい!!」


しかしリオルもさるもので、避けたり打ち払ったりでブイゼルの技を無力化してしまう。


「やっぱ牽制技じゃ無理か!! だがこれで終わりだ! アクアジェット!!」

秘策を打ち破られ無我夢中に真正面から突っ込むブイゼルを見て、観衆たちは一層結果を確信する。

リオルもまた、早く動くブイゼルを目でしっかり追いかけ





「カウンター」



無慈悲に、いつもの決め手を出そうと構えた。



 ▼ 38 メルゴン@どくけし 20/02/14 16:42:35 ID:MxLoxnds [14/28] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告






しかしブイゼルはリオルの横をただ通り過ぎ、


「読みを外すなんて、らしくねえじゃねえか?」


構えが解けたところに水を纏った己の尻尾を叩きつけた。



 ▼ 39 巻ェ 20/02/14 17:03:16 ID:MxLoxnds [15/28] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告



一瞬、静まり返った。

余りにも予想外だったのだろうこの結果に、みんな、言葉が出ないらしい。


「勝った……?」


当の本人も実感がないらしく、倒れた相手を呆然と見るばかり。




「うおおお!! 勝ったああああ!!!」


やがてふつふつと実感が湧いてきたようで、大きな雄叫びを上げた。


観衆たちも釣られたように湧き始めた。

ブイゼルを称える声も上がり始める。



 ▼ 40 ラナクシ@プラズマカード 20/02/14 17:20:31 ID:MxLoxnds [16/28] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告




― ― ― ― ―



「ズルも何も、そもそもイカサマ野郎はあっちなんだよね」



「は?」



昨日ブイゼルに伝えたのはみんなが気付いていない事実だった。



「いや、だって、イカサマのやり方なんか知らないって言ってたぞ? あれは嘘か?」


「いんや。嘘じゃないよ。リオルはイカサマのやり方なんて本当に知らないんだろうさ」


まさしくそれがズルい所以なんだけどさ。


「? ? ?」


ありゃ、理解が追いつかないって顔してるや。


んー、どこから説明すれば分かり易いだろうか……



 ▼ 41 ッソン@かけたポット 20/02/14 17:31:43 ID:MxLoxnds [17/28] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告




「あいつが、リオルだからさ」


「うん……? まあ、リオルだが……」


「波導、読めちゃうんだよね。多分、生まれつき」


「あっ……!!?」


人の意思や物の動き、そういったものが自然に解ってしまう体質。

それはスポーツやテーブルゲームなどの対人においては何よりのアドバンテージだ。

種族そのものがとんだインチキだよ。

意識してやってるわけじゃないだろうし、まだ扱いが未熟で、戦っている時だけの発動らしいっていうんだから恨めないんだけど。



 ▼ 42 ガサーナイト@こだいのせきぞう 20/02/14 17:43:01 ID:MxLoxnds [18/28] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告




「カウンター当てんのが妙に巧いと思ったら、そういうことかよ……」


そうだね。攻撃の意思とどこに来るかがわかってるんだから、当てるのは楽だろうさ。


「ってか、それなら余計勝てそうにないんだが…… ましてやバトルだろ?」


「逆。波導を使えることで勝てるんなら、使えなくすればいい」


「んなもん、どうやって……」


「波導って、空気中を漂う波だそうじゃないか。だったら、振動を乱してやればいい」


ブイゼルには、おあえつらえ向きの技がある。





「それでも敵わないって言うなら、あとは気合いだね」


「き、気合い…… っすか」




― ― ― ― ―



 ▼ 43 ブソル@ウタンのみ 20/02/14 17:54:10 ID:MxLoxnds [19/28] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告




結局、気合いが何だというのはノリのようなものだったけれど。

こうして結果が出たのだからよしとしよう。


そもそも、波導ありで対等なのだ。

それがなくなったリオルの無敗伝説が終わるのは、ある意味必然。

まあ、ポテンシャルは高いのだからブイゼル意外とやっても負けなさそうなのがズルいんだけど。


 ▼ 44 ーパ@すごいキズぐすり 20/02/14 18:01:07 ID:MxLoxnds [20/28] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告



何はともあれ、勝ったのだ。


勝った以上、ブイゼルが次にやることは決まっている。


僕は無言のエールを送りながら、ブイゼルを見つめた。





「あの!! パ、パチリス!!!」




「なにー? ブイゼルー?」




「あの、俺は、そのあの、えっと…… 俺、俺!!」



 ▼ 45 マゲロゲ@イリマのノーマルZ 20/02/14 18:01:45 ID:MxLoxnds [21/28] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告






「俺に!! チョコレート!! ください!!」





 ▼ 46 ュペッタ@ネコブのみ 20/02/14 18:09:21 ID:MxLoxnds [22/28] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告




一瞬ずっこけそうにはなったけれど、時期を考えれば別に間違った告白じゃないのか。


実際、観衆は盛り上がったし、パチリスもその意味を噛みしめてくれたらしい。


少しの間息を呑んで、少し俯いて、答えを返す。










「ごめんなさい。私、今年渡す人は決めているの」


 ▼ 47 タシラガ@リボンアメざいく 20/02/14 18:20:17 ID:MxLoxnds [23/28] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告



「……そっか」



ブイゼルは一言口にし俯くと、



「じゃ、ニャルマー、チョコくれよ」

「はあ!?」

「ミミロルちゃんは?」

「え!? あ、あの……?」

「チェリンボでもいいよ」

「だめ!! ゆきくんにあげるんだから!!」


他の女子にチョコを要求し始めた……

おいおい、それは……



 ▼ 48 コリータ@イバンのみ 20/02/14 18:26:21 ID:MxLoxnds [24/28] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告




「はあ〜…… 今年も俺はチョコ0かあ〜……」


これ見よがしに盛大な溜息を吐いたブイゼルは、


「もらえる奴はちゃんと受け取れよ! 俺の分まで!! 羨ましい!!!」


最後にそれだけさけぶと、わざとらしい泣き真似をしながら走り去っていく。


残された者たちは、ブイゼルの奇行をみて、何だったのかと首を傾げていた。









……そういう選択、しちゃうんだ。


 ▼ 49 カチュウ@しらたま 20/02/14 18:33:54 ID:MxLoxnds [25/28] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告



= 2月14日 =


そしてやってきたバレンタインデー当日。


クラスで一番人気の男女が結ばれた。


リオルはその日告白と共に貰ったただ一つのチョコレートを大事に大事に食べ、美味しいチョコをくれた彼女と付き合うことに決めたのだそうだ。






不思議なことに、リオルが貰ったチョコは一つだけ。

一番人気の男子になら、殺到することが予想されていたというのにも関わらず。


 ▼ 50 クシー@ピンクのリボン 20/02/14 18:44:05 ID:MxLoxnds [26/28] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告




「とか言ってるけど、お前だろ、ゴンベ。リオル宛てのチョコを泥棒して送り主に返したのって」


ちょっと、モノローグに入って来ないでよ。


まあ、正解だけど。


「ブイゼルがあの二人を応援するようなこと言うからだよ。僕は君を応援していたのにさ」


ブイゼルが諦めてしまうんだったら、僕も意地を張ってられないから。



「何でそんなに俺のこと助けてくれんだよ? って、もうわかってるけどな」


だって


「お前も、パチリスが好きだったんだろ? で、リオルが嫌いだった。それだけだ」


僕に手が届かないことなんて、判り切っているんだから。






 ▼ 51 キタンザン@いしょうトランク 20/02/14 18:49:04 ID:MxLoxnds [27/28] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告




人は人を比べる。反吐が出るような事実だ。


二番手とされる存在は悔しかろう。


でも僕は、二番手だって羨ましかった、



届かない上を見て、比べられすらしてもらえない底辺は、どうしたらいいのだろうね。


 ▼ 52 イノーズ@マトマのみ 20/02/14 19:03:21 ID:MxLoxnds [28/28] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告




「喩え理由が何だったって、嬉しかったぜ。俺の味方してくれたこと。俺をあいつに届かせてくれたこと」


「だからそんな卑屈になんな。お前がすごい奴だってことは俺が知ってる」


「友達になろうぜ。肩並べられる、ガチのダチってやつによ」


「ほら、友チョコだ。べつにいーだろ、男同士でも。そういう日だし」



自己満足に巻き込んだだけの僕に対して、ブイゼルは温かく笑い、適当に勝ってきたというチョコをくれた。






苦くてまずい失恋の後に貰ったのは、美味しくてうれしい友情の形だった。

僕はきっと、この日の味のことを忘れないだろう。






おわり
 ▼ 54 カルゲ@マーシャドーZ 20/02/20 16:42:16 ID:YmOkCUx2 NGネーム登録 NGID登録 m 報告
おっつおつ!
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