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SS

【スワップSS】ヒワマキシティの大学に進学したんだが

 ▼ 1 ワパレス使い◆o7Fd2tXpMY 20/04/13 14:31:59 ID:chekyNCg [1/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
20XX年4月Y日

チゴユリ「はぁ…なんでよりによってこんな田舎の大学なんだよ…」

俺、チゴユリ。出身はクチバシティ。
第一志望のタマムシシティの大学の受験に落ち、第四志望のホウエン地方のヒワマキ大学経済学部へと進学した。
さらに苦難はそれだけでは終わらなかった。
ここはヒワマキシティの中でも格安物件のツリーハウス。
水道電気ガスが通っていない。
クチバ育ちで都会の暮らしに慣れてしまっている俺。
彼にとってこの四年間は過酷なものとなるだろう…

ヤドン「…やぁん?」

チゴユリ「わかったわかった、すぐにご飯の支度するから!」

俺は外で焚火しながら料理をすることにした。

ヤドン(…じーっ)

ヤドンは慣れない手つきで料理する俺の手を見つめる。

チゴユリ「…お前、俺が料理できないって思ってるだろ」

ヤドン「…ぶみっ」

チゴユリ「あーそーだよ!こんなに一人暮らしってキツいもんだと思ってなかったよ!」

ヤドン「…やぁん?」

チゴユリ「…まあお前に言ってもしょうがねえからな、ここにくるって決めたからにはしっかりと大学生活謳歌してやらあ!」

このSSはスワップSSの参加作品です
https://pokemonbbs.com/sp/poke/read.cgi?no=1189712
続きは他の方が執筆することとなります
 ▼ 2 クレー@パワーアンクル 20/04/13 14:41:21 ID:qVlkw7HU NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
???「遊びに来たでー」

コイツはぷあカス
同じヒワマキ大学自然科学部の一年だ。
某大手のポケモン掲示板で開かれた大会を荒らしまくってエンジョイ&さらに出禁喰らって頭がおかしくなったのか今春から女性ホルモンの投与を開始したらしい

チゴユリ「お、おう・・・(めんどくさいのが来たなぁ」
 ▼ 3 ワパレス使い◆o7Fd2tXpMY 20/04/13 14:44:47 ID:chekyNCg [2/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
>>2
企画読んでください
 ▼ 4 ワパレス使い◆o7Fd2tXpMY 20/04/13 18:07:23 ID:chekyNCg [3/3] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
このSSを担当することになった方
>>2に続けて書くかどうかは任せます
飛ばしてもらっても構いません
 ▼ 5 価ミスったら下◆Y5Zk8zw5YA 20/04/13 20:50:23 ID:e14cnork [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
企画のルールに沿って>>1の続きを書きます

―――――


――翌日――


チゴユリ「さーて今日は入学式だ! 遅刻しないように早めに出るか!」

ヤドン「やぁーん」グイグイ

チゴユリ「ん? どうした? ヤドン」

ヤドン「やぁん」

ヤドンは窓の方を指……いやしっぽさしていた。

チゴユリ「窓……? あ、なんか封筒が突っ込まれてる」


そういえばこの家、ポストは無かったっけ……
郵便はこうやって届くのか。乱雑だなあ。
俺は封筒を手に取り、書いてある文字を読み上げた。


チゴユリ「ヒワマキ大学入学式中止のお知らせ……? はあ!?!?」

ヤドン「やあん?」

チゴユリ「な、なんでこんなギリギリで知らせが来るんだよ!? おかしいだろ!」


俺は封筒を乱暴に破り開け、中身を取り出す。
俺が入学する入学式は大学生活で1度きりのビッグイベント。
それが延期でもなく中止だと?
とにかく、中止の理由が気になる……

中の文書にはしっかり中止理由が書かれていた。


―――――
入学式中止の理由>>6
 ▼ 6 ザード@パワーウエイト 20/04/13 20:54:20 ID:RvBk3cEw NGネーム登録 NGID登録 報告
コロナ感染予防
 ▼ 7 価ミスったら下◆Y5Zk8zw5YA 20/04/13 23:21:19 ID:e14cnork [2/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
チゴユリ「感染予防……?」


入学式中止の理由、それは最近世間を騒がせている新型ウイルスの感染予防だった。
たしか、コロナなんて俗称がついてたっけか……
感染を予防するために3密を避けろとかどうとか言われていたな。

ツリーハウスが立ち並び、通常の建築物はポケモンセンターとフレンドリィショップのみのヒワマキシティ。
そんなヒワマキシティの大学はどこにあるのか……
俺は最初はでっかいツリーハウスを想像してたんだが、実際は違った。
(その想像を現地人に語ったら「大学が建てられるくらいの巨木があってたまるか」と笑われて少し腹が立った)

ヒワマキ大学は地下施設だった。街の景観に配慮して、ほとんど地上に露出の無いものになったらしい。
何度か行ったことがあるが通気性は正直良くなかったし、人の数に対してスペースもあまりなかった気がする。

換気の悪い密閉空間。
多く人が集まる密集場所。
そして当然入学式は人と人との距離が近い、密接場面――

見事に3密達成。これじゃ止めになるわけだ。

待てよ? これって入学式だけじゃなくて普段の講義も同じじゃないか?
文書にはまだ続きがある。そこに今後の方針も書いてあるだろうか……


チゴユリ「あった。今年度の授業について……」

―――――
ヒワマキ大学の今年度の授業方針>>8
 ▼ 8 クーダ@ギャラドスナイト 20/04/13 23:22:29 ID:P7nwpr2g NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
女装子の育成
 ▼ 9 ローン@まがったスプーン 20/04/17 20:45:09 ID:3HXAYz76 NGネーム登録 NGID登録 報告
あげ!!!!!!、、!!!!れ!!、!!
 ▼ 10 価ミスったら下◆Y5Zk8zw5YA 20/04/18 03:57:36 ID:hz9MFgc2 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
チゴユリ「今年は全学部女装子の育成を目指しま…… はぁ!?!?」


目を疑った。
しかし5,6回読み返しても内容は変わらない。
今年は全学部の男子学生が女装子を目指し、女子学生はそのサポートをする――――

ご丁寧に「このような女装子を目指しましょう」といくつかの写真がついていた。
女性にしか見えないもの、それを通り越して幼い少女と見まがうもの、普通に男にしか見えないもの、見るに堪えないもの……

写真の女装子のクオリティの話はもういいか。
いかれてやがる。《コロナ》に混ざって変な病気でも蔓延しているのか、この大学は。


チゴユリ「いったい誰がこんないかれたこと考えたんだ……」


あきれながら文書を読み進める。
登校したらとりあえずそいつを問い詰めてやろうか。
俺は大学生活を謳歌してやるって決めたんだ。こんなおかしな方針に付き合わされてたまるか!


チゴユリ「おっと、あったあった。方針を決めたのは校長か……」

―――――
女装子育成についての校長のコメント>>11
 ▼ 11 ンシグラードン@せいれいプレート 20/04/18 06:41:39 ID:3x3g/6qI NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
女装男子最高!
 ▼ 12 価ミスったら下◆Y5Zk8zw5YA 20/04/21 02:47:35 ID:FVqoHbcE [1/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
チゴユリ「《女装男子最高!》……? ただの校長の趣味じゃねーか!」


建前すらないのか……
誰も止める奴はいなかったのか?


『チゴユリ……』


な、なんだ?
今誰かに呼ばれたような……


『チゴユリ、ぼくだ。ヤドンだ』

チゴユリ「ヤ、ヤドン!?」


驚いてヤドンの方を見ると、向こうはすでに俺の顔を見つめていた。
そしてその目は青白く光っている。


『テレパシーだよ。今使えるようになったみたいだ』

チゴユリ「ホ、ホントにヤドンなのか……?」

『やぁん』

チゴユリ「ヤドンだな、うん。テレパシーか…… そういえばヤドンはエスパータイプだったな」

『チゴユリ、よくわからないけどなにかとんでもないことが起きたみたいだね』

チゴユリ「まあな…… というか分かるのか……」

>>13
 ▼ 13 ットレイ@ひかりのこな 20/04/21 02:58:29 ID:og5kM9nc NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ああ、分かるさ。どうやら東の方でデデンネが大脱糞をしてしまったそうだよ。場所は...トクサネと言ったかな。そのせいでポケモンジムの入り口は糞で頑丈に密閉されたらしい。水圧でお風呂の栓が抜けないように、ジムの扉は内側からはものともしない。まさに生き埋めだね。そんな中、ちょうどジムを訪れていたチャンピオンのダイゴさんが発した一言”女装子とヤリテー!!!”が何の因果か校長の耳に届き、その願いを叶えるために学校方針を改めたらしいよ。大変だね。
 ▼ 14 価ミスったら下◆Y5Zk8zw5YA 20/04/21 03:09:08 ID:FVqoHbcE [2/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
『ああ、分かるさ。どうやら東の方でデデンネが大脱糞をしてしまったそうだよ。場所は…… トクサネと言ったかな』

『そのせいでポケモンジムの入り口は糞で頑丈に密閉されたらしい。水圧でお風呂の栓が抜けないように、ジムの扉は内側からはものともしない。まさに生き埋めだね』

『そんな中、ちょうどジムを訪れていたチャンピオンのダイゴさんが発した一言《女装子とヤリテー!!!》が何の因果か校長の耳に届き、その願いを叶えるために学校方針を改めたらしいよ。大変だね』

チゴユリ「……待ってくれ、情報量が多い」

『待つよ。ぼくは気が早くないから』


…………


チゴユリ「色々信じがたいんだけど……」

『ぼくのサイコパワーで探知した情報を疑うの?』

チゴユリ「疑うだろこんなの!」

『スマホなりなんなりで調べてごらんよ。大事件だからニュースになってるはずだよ』

チゴユリ「ああ。絶対何かの間違いだから確認してやるよ…… えーと《トクサネジム デデンネ》…… あ、引っかかったぞ!?」

『ほら』

チゴユリ「まだ内容は見てないだろ!」


俺はニュースサイトを開き、内容を確認した。
 ▼ 15 価ミスったら下◆Y5Zk8zw5YA 20/04/21 03:43:21 ID:FVqoHbcE [3/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
【若手落語家、大手柄!?】


トクサネシティの双子のジムリーダー、フウさんとランさんは強いサイコパワーの持ち主だ。
そのサイコパワーにはトクサネ宇宙センターの職員も関心を寄せており、おもちゃを買ってあげる代わりに実験や研究への協力を依頼している。

しかし最近そうもいかなくなってしまったようだ。

「おもちゃで機嫌をとっているのですが、2人が欲しがるようなものはもうすべて買い与えてしまいまして…… 買ってないのはもっと小さい子向けの物だけになってしまったんですよ」(センター職員)


買い与えるおもちゃが尽きてしまい、実験協力依頼ができなくなってしまった宇宙センター。
そこでとある職員が変わった提案をしたようだ。


「おもちゃの代わりに落語を見せようという案があがりましてね。発案者本人が見たいだけだろと思いましたが物は試しと若手の落語家さんを呼ぶことになったんです」(センター職員)


こうしてトクサネジムで独演会が行われることになったという。
入場無料ということもあり、当日は殆どのトクサネシティ住民がジム内に集まった。


「わたくし落語が大好きで…… 生で聴けるのがとても楽しみでしたの」(30代主婦)

「いい機会だと思って僕も行ってみることにしたんだ。トクサネジムなら家から歩いて行ける距離だしね」(ツワブキ・ダイゴ)


しかし当日、事件が起こる。
謎の力によってジムの扉が固く閉ざされ、電気や通信設備が止まってしまったのである。


「あたしのデデンネがトイレに行きたがってたからジムのを借りようと思ったんだけど扉が開かなくて…… その時はお休みだからと思ったんだけど違ったのね。結局漏らしちゃって後片付けをする羽目になっちゃったわ」(10代旅人)


前述のとおりトクサネシティ住民はその殆どがジム内にいたため、不幸にも外部から異変に気付いた人間はいなかったという。
当然ジム内はパニックとなり、フウさん、ランさん、そして独演会に訪れていたダイゴさんが鎮静化にあたっていた。

そこへ登場したのが独演会の主役、若手落語家の野理亭 序素琴(やりてい じょそこと)さん。
異変に気付いた彼は扉に耳を当て状況を理解、強烈なショルダータックルをお見舞いした。
効果は抜群でトクサネジムは見事に解放されたのだった。

大手柄を立てた序素琴さんだったが、ジムの電源は戻らなかったため残念ながら独演会は延期。
現在は復旧しているものの、ホウエン地方に《コロナ》が上陸していることが確認されたため、開催の見通しはいまだに立っていないという。
 ▼ 16 価ミスったら下◆Y5Zk8zw5YA 20/04/21 03:57:11 ID:FVqoHbcE [4/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
チゴユリ「……なあ」

『ね?』

チゴユリ「《ね?》じゃねえだろ《ね?》じゃ! いろいろ違い過ぎるわ!」

チゴユリ「《女装子とヤリテー!!!》じゃなくて《やりてい じょそこと》じゃねえか! そりゃ名前叫んでもおかしくないわ! 閉じ込められてるところに助けに来てくれたらさあ! あとデデンネの脱糞ほぼ関係ねえわ!」

『詳細はともかく、その叫びが校長までとどいたんだよ。強い感情エネルギーとサイコパワーが密になった空間で叫んだりするとたまにそうなる』

チゴユリ「原因それなの!?」

『《やりてー じょそこと》に聞こえたんだろうね。ツワブキ・ダイゴともなればファンも多いだろうし校長もその1人なんじゃないかな。願いを叶えたくもなるよね』

チゴユリ「ダイゴさんとんだ風評被害じゃねえか! ダイゴさんのためとか書いてないからギリギリ助かってる状態だよこれ!」

チゴユリ「俺が最初思ったのでもヤドンの言う通りでも滅茶苦茶嫌だな!? 性癖か勘違いって碌な候補がねえ!」

『そもそも方針がおかしくない?』

チゴユリ「おかしい!!!!」

チゴユリ「はあ…… どうしたらいいんだよこれ……」

>>17
 ▼ 17 メパト@ポイントマックス 20/04/21 04:17:17 ID:ra2oAyr6 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
校長に直談判しにいくべきだよ
 ▼ 18 ブラン@デボンスコープ 20/04/21 04:23:22 ID:MK7A1Iso NGネーム登録 NGID登録 報告
面白いな
支援します!
 ▼ 19 価ミスったら下◆Y5Zk8zw5YA 20/04/23 13:23:38 ID:MSFEwGos NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
『校長に直談判しにいくべきだよ』

チゴユリ「そうだよな…… 善は急げだ、早速行ってこよう」

『ちょっと待った』

チゴユリ「なんだよ」

『マスクは? 念のためにしていった方がいいんじゃないかな』

チゴユリ「あー…… でも俺持ってないぞ? どこもかしこも売り切れだし」


俺の故郷もヒワマキシティも、まだ例のコロナの感染者は出ていない。
しかし感染への恐怖からか、既に店からマスクが消えたままの状態になっている。


『仕方がない。マスクの代わりに>>20
 ▼ 20 ラエッテ@うっかりやミント 20/04/23 13:40:15 ID:ZUOw0sXo NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アイマスク
 ▼ 21 価ミスったら下◆Y5Zk8zw5YA 20/04/27 18:10:08 ID:7pTYSZHI [1/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
『マスクの代わりにアイマスクをつけて行ったら? 確か持ってたでしょ』

チゴユリ「アイマスクか……」


それならさっきまで付けてたのがあるな……
形はマスクに似てるけど、小さすぎないか……?
とりあえず、付けてみるか。


…………


チゴユリ「鼻出てるんだけど……」

『仕方ないね』


本来アイマスクは目を覆うためのもの。
鼻と口をふさがせるのは荷が重すぎる


『こうなったら口呼吸していくしかないよ』

チゴユリ「…………」ムーフー

チゴユリ「ダメだ、滅茶苦茶息苦しい……」

『ありゃ』


目は呼吸しない。
通気性を気にして作られているはずもなかった。


チゴユリ「鼻呼吸で行くしかないな。鼻毛に守ってもらおう」

『えぇ……』
 ▼ 22 価ミスったら下◆Y5Zk8zw5YA 20/04/27 18:16:48 ID:7pTYSZHI [2/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
チゴユリ「よし、出発するぞ。戻れヤドン」


俺はヤドンをモンスターボールに戻した。
校長め。覚悟しろよ……
絶対俺が大学生活を謳歌できるようにしてもらうからな!


―――――
チゴユリの外見的特徴安価
>>23
>>24
>>25
 ▼ 23 るナ◆3HuqJ/xx.U 20/04/27 19:08:46 ID:HtzARCuo NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
色白美肌
 ▼ 24 クシー@ハイパーボール 20/04/27 19:25:06 ID:ZziYJDK. NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
右目に古傷
 ▼ 25 ッスグマ@ハートのウロコ 20/04/27 22:15:05 ID:BKBoX7K2 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
女顔
 ▼ 26 価ミスったら下◆Y5Zk8zw5YA 20/04/27 23:09:45 ID:7pTYSZHI [3/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
家を飛び出し、慌てるあまり梯子からずり落ち、道中で3回ほど転び……
ようやく俺は大学の入り口までたどり着いた。


チゴユリ「閉まってるな…… 中の電気もついてないみたいだし誰もいないのか……?」


コロナの感染予防のために入学式が止めになったんなら、誰も来てないのはおかしくないか……


おばさん「あらあなた今年の新入生? 入学式は中止になったって聞いたけど?」


大学の近くを歩いていたおばさんが声をかけて来た。


チゴユリ「校長先生に用があって来たんですけど…… やっぱりいないんですかね?」

おばさん「校長先生なら>>27で見かけたわよ」
 ▼ 27 ララッパ@タウリン 20/04/27 23:12:12 ID:guSoDhfw NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ここではない何処か
 ▼ 28 価ミスったら下◆Y5Zk8zw5YA 20/04/27 23:15:24 ID:7pTYSZHI [4/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
おばさん「校長先生ならここではない何処かで見かけたわよ」

チゴユリ「ここではない何処かぁ?」

おばさん「ホホホ、おばさん忘れっぽいからね」

チゴユリ「はぁ……」


そんなヤドンじゃないんだから……


『今そんなヤドンじゃないんだからって思ったでしょ』

チゴユリ「頼むから今ボールの中からテレパシー使ってこないでくれるかな」ヒソヒソ

おばさん「今何か言ったかしら?」

チゴユリ「いえ別になにも…… えーと、どんな感じの場所だったかだけでも思い出せませんか?」

おばさん「そうねえ…… あ、>>29があったわ!」

 ▼ 29 スモウム@エレキシード 20/04/27 23:17:29 ID:X7FsI1yE [1/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
校長だったもの
 ▼ 30 価ミスったら下◆Y5Zk8zw5YA 20/04/27 23:22:57 ID:7pTYSZHI [5/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
おばさん「そうねえ…… あ、校長だったものがあったわ!」

チゴユリ「は?」

『ど、どういうことなの……?』

おじいさん「それについてはワシが説明しよう!」ヒョコッ

チゴユリ「うわぁっ!?」


おばさんの後ろから、突然ヨボヨボの爺さんが顔を出した。
ビックリした俺は尻もちをつく。
道中でのこともあってもうスーツは目の前の爺さん並みにシワッシワだ。


おばさん「あらお父さん。いらしてたんですか」

おじいさん「娘よ。ワシより先にボケるとは悲しいな!」

おばさん「私は昔っから物忘れ激しかったでしょう?」


どうやら爺さんはこのおばさんの父親らしい……
説明しようと言ってたしこっちの方が詳しい話を聞けそうだ。


チゴユリ「……で、おじいさん。校長だったものがあったってどういうことなんです?」

おじいさん「それは>>31じゃ!」
 ▼ 31 タッコ@するどいキバ 20/04/27 23:24:16 ID:X7FsI1yE [2/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
残り1時間切って絶望した校長が身投げした
 ▼ 32 価ミスったら下◆Y5Zk8zw5YA 20/04/27 23:37:55 ID:7pTYSZHI [6/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
おじいさん「それは残り1時間切って絶望した校長が身投げしたということじゃ!」

チゴユリ「は? 身投げ? それに残り1時間ってどういうことだ?」

『なにか嫌な予感がするよ……』

チゴユリ「く、詳しい説明をお願いします!」

おじいさん「うむ、分かった!」


おじいさん「この世界はSS…… 何の略だったかのう…… ソウルシルバー?」

おばさん「シルバーはお父さんでしょう?」

おじいさん「そうじゃな! はっはっは!」

チゴユリ「話を脱線させないでくださいよ!」

おじいさん「わかったわかった! この世界はエスエスと言ってな…… 世界の外側の何者かが干渉することによって成り立っておる」

チゴユリ「シンオウ神話とはまた違うんですか?」

おじいさん「違う違う! あれもまた世界の内側の存在じゃ! いくつもの世界が重なり合って影響を与え合っておるんじゃが…… 基本的に外部干渉がない限り運命は変わらん」

おじいさん「そしてこの世界はワシの見立てによると…… 複数の者が共同で動かしておるが…… 今主軸となっている者が活動できる時間は残り僅かじゃ。」

おじいさん「あの時点の外側基準で残り1時間。たったそれだけの時間では自分が望む運命へは導かれることはないと悟り校長は自殺したんじゃ」

チゴユリ「なんか小難しい話だな……」

おじいさん「要約するとこの世界は執筆中の小説で締め切りまで1時間では女装大学展開は無理って絶望して自殺」

チゴユリ「メタい!」

おじいさん「ちなみに今のワシの発言で残り25分もないかのう」

チゴユリ「どうすんだ!」
 ▼ 33 ブリム@HPかいふくポン 20/04/27 23:40:43 ID:iopolVR. NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
今日いっぱいで終わりなのか
 ▼ 34 価ミスったら下◆Y5Zk8zw5YA 20/04/27 23:40:54 ID:7pTYSZHI [7/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
『いい考えがあるよ』

チゴユリ「な、なんだよヤドン。こんな時に……」

>>34さ。(なお43分までに安価が来なかった場合非安価展開とする)』

チゴユリ「なんだよその発言のカッコは!」

おじいさん「無駄に喋るな時間が無くなる。このままだと大学生活謳歌コースも無理じゃぞ」

チゴユリ「悪いの俺なの!?」
 ▼ 35 価ミスったら下◆Y5Zk8zw5YA 20/04/27 23:41:52 ID:7pTYSZHI [8/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
『ごめん>>36で』

チゴユリ「時間がーーーーー!!!!」
 ▼ 36 価ミスったら下◆Y5Zk8zw5YA 20/04/27 23:53:47 ID:7pTYSZHI [9/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
『ぼくがサイコパワーでこの世界に穴を開ける。そして君が外側に行って、君自身の運命を切り開くんだ』

チゴユリ「そ、そんなことが本当にできるのか!?」

『この世界、何でもありっぽいし行けるんじゃない? 時間がない。ぼくをボールから出すんだ!』


俺はヤドンの入ったモンスターボールを放り投げる。
中から出て来たヤドンは既にサイコパワーに満ち、目はギラギラと輝いていた。


おじいさん「ま、まるで伝説のポケモンじゃ……!」

ヤドン「どやあぁぁぁぁぁぁぁッ!!!!」


ゴゴゴゴゴゴッ


ヤドンは真っ白に輝き……
そして、空が割れた。


おばさん「お、お父さん!」

おじいさん「吸い込まれるぞ! ワシに掴まれ! 若造お前も!」

チゴユリ「いや、俺はあそこに行く!」

おじいさん「は? な、なにを――――」


俺は空にあいた穴へ飛び込み――

目の前が真っ暗になった。
 ▼ 37 ゴユリ◆Y5Zk8zw5YA 20/04/27 23:59:53 ID:7pTYSZHI [10/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
俺、チゴユリ。出身はクチバシティのヒワマキ大学経済学部の1年生。
あれから3か月。例のコロナも収束し、女装化計画もなかったことになり……
平和な大学生活も満喫している。
そうそう、大学に通ううちに、新しく友達もできたんだぜ。


チョウタロウ「おーいチゴユリ! 講義に遅刻するぞー!」

ディジー「おいてっちゃうわよー!」


同級生で、ヒワマキシティの住民。筋肉質でたくましいチョウタロウと、男勝りなディジーだ。
どうなることかと思った一人暮らしも、ここでの生活に慣れている二人のおかげで何とかなっている。


チョウタロウ「おいどうしたんだチゴユリ! マジで遅刻するぞ!」

ディジー「遅刻したらそのかわいー顔に似合う女の子の服着せちゃうからね!?」

チゴユリ「女装は勘弁してくれ! 今行くよ! 戻れヤドン!」

ヤドン「やぁん」



―END―                                ?
 ▼ 38 まけです◆Y5Zk8zw5YA 20/04/28 00:24:46 ID:wbUkO8Io [1/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
【おまけ】チゴユリのその後


チョウタロウの提案で、俺達は久々に3人でキンセツシティのフードコートに来ていた。


ディジー「ねえチゴユリくん。今日のニュース見た?」


ディジーがミックスオレの缶を開けながらたずねてきた。


チゴユリ「えっ? いや…… 見てないけど」

ディジー「ダメじゃない。校長先生も言ってたでしょう? 《ニュースをしっかりチェックしてないと私みたいに恥ずかしい思いをしますよ》って……」

チョウタロウ「その《恥ずかしい思い》ってのが何なのかちっとも教えてくれないけどな!」


俺が数か月前に運命を《書いた》ことにより、女装子育成計画はなかったことになった。
本当になかったことになったんだ。チョウタロウの家にも、ディジーの家にも、俺の家にも、あの怪文書は届いていない。
怪文書だったはずの紙には、ごくごく普通の授業方針が書かれているだけだった。
そして、校長が自殺する原因も無くなり、彼は今も生きている。

どうやら俺は未来を切り開くだけでなく、過去までも変えてしまったようだ。
彼自身が言っていたことから察するに学生へ封筒を送る前にニュースを見て真実を知ったんだろう。
恥ずかしい思いをしたってことは立案自体はしてしまった後だったんだろうが……
 ▼ 39 まけです◆Y5Zk8zw5YA 20/04/28 00:41:18 ID:wbUkO8Io [2/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
あの時俺は《外側》に行って、望む運命を3行で書いた。

《俺、チゴユリ。出身はクチバシティのヒワマキ大学経済学部の1年生。
 あれから3か月。例のコロナも収束し、女装化計画もなかったことになり……
 平和な大学生活も満喫している。》

すると目に見えない誰かがその続きを書き始めたんだ。

《そうそう、大学に通ううちに、新しく友達もできたんだぜ。》

ここで俺は急いで目を閉じた。
これ以上先を知るのはもったいないと思ったからだ――


チョウタロウ「おいチゴユリ、なにぼーっとしてんだ? いらないならそのキンセツチャンポン俺が食っちまうぞ?」

チゴユリ「いるから食わないでくれよ…… あ、伸びてる」

ディジー「何やってるのよ……」


俺は急いでチャンポンをすすりながら、再びあの時のことを思い返し始める。

目を閉じて…… 気づいたら世界の内側。封筒を手に持ったところまで戻っていた。
そして中身を確認、ヒワマキ大学入学式中止のお知らせだ。さっきも言ったように女装子育成については書いてなかった。

 「やった、運命を変えることができたんだ!」

その時の俺は大喜びでヤドンを抱きしめた。でも……

 「やぁん?」

ヤドンはそのことをまるで覚えていない。
過去から変えたなら当然だけど…… テレパシーすら今の世界では使えなくなっていた。
 ▼ 40 まけです◆Y5Zk8zw5YA 20/04/28 00:55:30 ID:wbUkO8Io [3/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
チゴユリ「出てこいヤドン」


俺はモンスターボールからヤドンを出し、膝の上に乗せた。


チゴユリ「ほらチャンポンだぞ。お前も好きだろ?」

ヤドン「どやっ!」モグモグ


ヤドンは一心不乱にチャンポンをむさぼる。
多少スープが飛び散るが、これくらいは拭いて帰ればいいだけの話だ。


チョウタロウ「お前…… せっかくのチャンポンを伸ばした挙句ヤドンに食わせるのかよ」

チゴユリ「別にいいだろ? なあヤドン」

ヤドン「んあ」モグモグ

ディジー「チゴユリくんはヤドンに甘いからね……」

ヤドン「やーん」モグモグ

チョウタロウ「……チャンポンが好物というかお前が普段作る料理が下手なだけなんじゃね?」

チゴユリ「うるせえ! 最近は焦がさなくなってるだろ!」
 ▼ 41 まけです◆Y5Zk8zw5YA 20/04/28 20:53:52 ID:wbUkO8Io [4/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
チゴユリ「どうだヤドン、なんかレベル上がった気とかするか?」

ヤドン「んやー?」モグモグ

ディジー「あのねチゴユリくん…… 食べ物なら何でも経験値が入るってわけでもないのよ」

チゴユリ「小数点以下の値で入ってたりしないか?」

ディジー「しないわよ……」


今のヤドンは、俺の言葉を理解してるような様子はないし、俺の方もヤドンの言うことはあまりわからない。
でももしレベルが上がりサイコパワーが強くなれば……
またこの世界でもテレパシーを使えるようになるかもしれない。そんな淡い希望を抱いている。
ヤドンは俺の恩人――いや、恩ポケモン。

積もる話をしたい。
お礼をしっかり伝えたい。
今の生活をどう思ってるのかをききたい。
それと、あの時は混乱していたこともあって乱暴にしか話せていなかったから今度は普通に話したい。

そんな願望が洪水を起こしていた……というのは少し大げさか。
でも一度ポケモンと話すという体験をしてしまうと《また》を期待してしまうんだ、どうしても。


チョウタロウ「チゴユリ、もしかしてお前…… ヤドンが進化すれば《また》テレパシーが使えるようになるとか思ってんのか?」

チゴユリ「ギクッ」

ディジー「ギクッって口で言う人初めて見たわ……」

チョウタロウ「ヤドンがテレパシーだなんてあんまり信じられないんだよなあ。お前は《前は使えた!》って言い張ってるけど」

ディジー「ヤドンってポケモンの中でも知能は低い方でしょう? 《まぬけポケモン》だし」

チゴユリ「…………」

ヤドン「んま」モグモグ
 ▼ 42 まけです◆Y5Zk8zw5YA 20/04/29 17:53:46 ID:2Uy6MuE6 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ディジー「だいたい前っていつなのよ? ヒワマキに来る前?」

チゴユリ「いや……」


改変前の世界なんて言っても信じてくれないよな、流石に。
改変の影響か、あの時の爺さんも校長も、《外側》についての知識はきれいさっぱり消えてしまっていた。
前のことやこの世界に外側があるのを知っているのは俺だけ。なんとも淋しい感じがするな。

そもそもの話、どうして爺さんや校長は《外側》のことを知ってたんだろう……
もしかしてあれは外側の誰かからのSOSだったのか? いや、考え過ぎか。


チョウタロウ「でさ、チゴユリ」

チゴユリ「なんだよ」

チョウタロウ「テレパシーのことなんだけどよ、それならレベルは上げない方がいい」

チゴユリ「なんで?」

チョウタロウ「こいつがあるからさ」

ディジー「あ、それって……!」


チョウタロウはニヤリと笑いながら、ショルダーバッグの中から古びた冠のようなものを取り出した。
俺にはわからなかったが、ディジーはそれが何なのか知っているようだ。


チョウタロウ「おうじゃのしるしー! って、チゴユリもしかして知らないのか?」

チゴユリ「名前は聞いたことあるけど見たのは初めてだな。で、それがあるからなんなんだ?」

チョウタロウ「お前ホントに何も知らないんだな…… これがあればヤドンはヤドキングに進化できるんだよ!」

チゴユリ「ヤドキング……」


ヤドンはレベルを上げることでヤドランに進化する。
しかしそれとは別の進化系も存在する――それがヤドキングだ。
カントーではヤドランの方がなじみ深い。俺もヤドキングのことなんてすっかり忘れていたし、おうじゃのしるしで進化するということも今知ったくらいだ。
 ▼ 43 まけです◆Y5Zk8zw5YA 20/04/30 00:23:11 ID:FnbgdzPs NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ディジー「あそっか! ヤドンやヤドランならともかくヤドキングならテレパシーも使えるかも!」

チゴユリ「ヤドキングなら……?」

ディジー「ヤドキングはとっても頭がいいポケモンなのよ! ヤレユータンに匹敵するくらい!」

チゴユリ「まずそのヤレユータンを知らないんだけど」

チョウタロウ「なんだっけ? アローラとかにいるんだっけ?」

ディジー「ヤレユータンの話はいいわよ……」

チゴユリ「お前が言い出したんだろ」

ディジー「とにかく、ヤドキングはとても頭がいいポケモンなの。人間の天才と呼ばれるような人たちに負けないくらいね。もちろん強いサイコパワーも持ってるわ」

チョウタロウ「だから、そっちに進化したほうがテレパシーが使えるようになる可能性が高いんじゃないかってことだ」

ディジー「ヤドランに進化しちゃったらもうヤドキングになれないからねー。どう? チゴユリくん」


ヤドキングになればテレパシーが使えるようになるかもしれないだって?
それなら躊躇う理由はない。


チゴユリ「ヤドンをヤドキングに進化させたい! チョウタロウ! それ、譲ってくれよ!」

チョウタロウ「まあ待てチゴユリ。これをヤドンに使えば進化するってわけじゃないんだ」

チゴユリ「違うのか?」

チョウタロウ「出てこいゴーリキー!」


チョウタロウは唐突にモンスターボールを後ろに投げた。
席の後ろにはパートナーであるゴーリキーが現れる。トレーナーに似て筋肉質なポケモンだ。
いや、ゴーリキーは元々筋肉もりもりだからチョウタロウの方がゴーリキーに似てるのか?


ゴーリキー「ぎゃおっ!」

チョウタロウ「ヤドンがヤドキングになるには、おうじゃのしるしを持った状態で通信交換をする必要がある」

チョウタロウ「俺のゴーリキーとヤドンを交換して、進化したらもう一度交換! これをやるんだ」

ディジー「……それでチョウタロウくんのゴーリキーもついでに進化させようってワケ?」

チョウタロウ「おう!」

ゴーリキー「ぎゃおう!」
 ▼ 44 まけです◆Y5Zk8zw5YA 20/05/13 03:28:49 ID:ObPwQ1XA [1/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
チョウタロウ「ということでこいつをヤドンに持たせてそのままボールに戻してくれ。後はPSSを使って交換するだけだ!」

ゴーリキー「ぎゃおっ!」


俺はチョウタロウからおうじゃのしるしを受け取る。
意外と重たくて、受け取ったとき一瞬手が沈んだ。
これヤドンに持たせて大丈夫だろうか……
と思ったが、ヤドンといえどポケモンだし大丈夫か。それにヤドキングはみんなヤドン時代にこれを持って進化してきたわけだしな。


ディジー「ところでチョウタロウくん、どうしてゴーリキーを出したの? カイリキーになるのには道具は特に必要ないでしょ?」

チョウタロウ「ん? ああ、ゴーリキーの姿もこれで見納めだからな。ちょっと見ておこうと思ってな」

ゴーリキー「ぎゃぎゃ!」

チョウタロウ「この肩甲骨のあたりに腕が増えるのか…… ポケモンってすげえよな」

ゴーリキー「ぎゃぎゃぎゃおぅ!?」


チョウタロウはゴーリキーの背中を撫でている。
当のゴーリキーはくすぐったそうにしているが……


チゴユリ「そうか、ヤドンの姿もこれで見納めなんだな……」

ヤドン「んまま」モグモグ

チゴユリ「……お前、これからヤドキングになるんだぞ? わかってるか?」


ヤドンはまだチャンポンに夢中だった。
 ▼ 45 まけです◆Y5Zk8zw5YA 20/05/13 03:41:22 ID:ObPwQ1XA [2/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
チゴユリ「おいヤドン……」

ヤドン「んや?」


ヤドンは俺の呼びかけに反応しこちらを向いた。
いつも通りのかわいいマヌケ面だ。


チゴユリ「今から通信交換でお前をヤドキングにするぞ」

ヤドン「やん」

チゴユリ「一度チョウタロウのところへ送るけど、そのまままた俺のところに戻すから安心しろよ?」

ヤドン「やぁん」


チョウタロウ「チゴユリとヤドン…… まるで会話してるみたいだな」

ディジー「ポケモンはああやって相槌を打つことがあるからね。言葉は完全に理解してなくても、《あなたの声に耳を傾けてます》って意思表示をするために」

チョウタロウ「俺のゴーリキーは相槌って言うより復唱してるような感じなんだよなあ」

ゴーリキー「ぎゃぎゃあ」

ディジー「きっと一緒に声を出すのが楽しいんでしょうね」


チゴユリ「ということでヤドン、進化のためにこれをお前に預けるぞ」


俺はヤドンにおうじゃのしるしを被せようとした、が……


ヤドン「ぶみみっ!」

チゴユリ「うわっ! なんだよ!」


いきなりヤドンが激しく暴れ出し、おうじゃのしるしを俺の手から弾き飛ばす。
弾き飛ばされたおうじゃのしるしは床に転がった。
 ▼ 46 まけです◆Y5Zk8zw5YA 20/05/13 03:50:42 ID:ObPwQ1XA [3/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
チゴユリ「いきなりなんだよ!? 落ち着けってヤドン!」

ヤドン「ぶみみっ!」


俺は必死にヤドンを押さえつけようとしたが、ダメだ!
本気で暴れるヤドンってこんなに力強いのか……!?


ヤドン「ぶみっ!!!」


ヤドンはそのままテーブルへ乗り上げ……


 ガチャンッ!!!

「うわっ!」


チャンポンのどんぶりを弾き飛ばした。


チゴユリ「うわあ! すみません!」


弾き飛ばされたどんぶりは俺達の席の横を歩いていたオッサンをスープまみれにしてしまったのだった。
 ▼ 47 まけです◆Y5Zk8zw5YA 20/05/13 04:06:45 ID:ObPwQ1XA [4/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
おじさん「ああ……この香りはキンセツチャンポンかな……」

ディジー「ああちょっと何してるのよ! ハンカチハンカチ…… チゴユリくんとチョウタロウくんもなにか拭くもの!」ゴソゴソ

チゴユリ「えーとハンドタオル……」ガサゴソ

チョウタロウ「汗をたっぷり拭いたタオルしかねえぞ俺!?」バッ

ディジー「それはダメでしょ!?」

おじさん「ああこの際拭けるなら何でも構いませんよ…… どんぶりが割れなくてよかったですね……」


俺達はそれぞれ手に持った布でオッサンにかかったスープをふき取った。
服にしみ込んだのはどうしようもできなかったが……


おじさん「ありがとう、もう大丈夫ですよ」

チゴユリ「どうもすみませんでした……」

おじさん「ポケモンと暮らしていればこのようなトラブルも珍しくはないでしょう」

チゴユリ「ヤドンの奴、なんで急に暴れて……」

ディジー「ヤドン…… あっ! チゴユリくん!」

チゴユリ「何?」

ディジー「あなたヤドンボールに戻した?」

チゴユリ「いや、戻してな…… ってヤドンの奴どこ行った!?」


俺達がオッサンのスープを吹いている間にヤドンはその場から消えてしまっていた。
嘘だろ? ヤドンだぞ? あの時間で視界から消えるなんてあり得るか?


チョウタロウ「よし、手分けして捜しに行こうぜ!」

ゴーリキー「ぎゃ!」

おじさん「いや、手分けして捜す必要はないと思いますよ」

チョウタロウ「?」

おじさん「そこ、スープの足跡が続いています。この形はヤドンで間違いないでしょう」

チゴユリ「そうか、あいつもチャンポンスープまみれだから……」
 ▼ 48 まけです◆Y5Zk8zw5YA 20/05/13 04:10:14 ID:ObPwQ1XA [5/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ヤドンはこの足跡の先にいる。
どこに行ったか分かるなら俺一人で十分だな。


チゴユリ「俺はこの足跡辿ってヤドン連れて帰るからお前らは待ってて大丈夫だ。すぐ戻るからな!」タタタッ

ディジー「あ、ちょっとチゴユリくん!? ……行っちゃった」

…………

おじさん「私もこれで失礼しますね」

チョウタロウ「あ、はい。俺のダチがすみませんでした」

ゴーリキー「ぎゃた」

おじさん「いえいえ……」スタスタ



ディジー「待ってればいいのかしら?」

チョウタロウ「それしかねーでしょ?」

ディジー「はあ…… そういえば」

チョウタロウ「そういえば?」

ディジー「さっきのおじさん…… どこかで見覚えが……」

チョウタロウ「お前の親戚か?」

ディジー「違うわよ…… あ、今日のニュースで出てた人じゃない?」

チョウタロウ「今日のニュース……? ああ、確かに似てるな。確かシンオウの……」
 ▼ 49 まけです◆Y5Zk8zw5YA 20/05/13 04:19:10 ID:ObPwQ1XA [6/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
…………


チゴユリ「お前こんなところにいたか……」ゼエゼエ

ヤドン「…………」


ヤドンはサイクルショップの前にいた。


チゴユリ「おいヤドン、戻るぞ」

ヤドン「…………」

チゴユリ「ヤドン?」

ヤドン「……ぐう」zzz

チゴユリ「寝てんのかよお前……」ガクッ


ヤドン的には全力疾走してきただろうから、疲れて寝ててもおかしくないけどさあ……


チゴユリ「ほら帰るからボールに戻すぞ……」

ヤドン「…………」zzz


俺がヤドンをボールに戻そうとしたその時、後ろから声がした。


おじさん「やあ、さっきぶりですね」


振り返るとそこにいたのはさっきのオッサン。
チャンポンの匂いが漂っていて申し訳なくなるな……


チゴユリ「さっきはすみません。何か用ですか?」

おじさん「この足跡が気になったので私も辿ってみたのですよ」

チゴユリ「足跡?」
 ▼ 50 まけです◆Y5Zk8zw5YA 20/05/18 23:15:12 ID:YoBsYMbI [1/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
おじさん「私はこういうものでして、ポケモンの足跡を研究しています」


オッサンは俺に向けて名刺を差し出す。
受け取って読んでみるとどうやらシンオウ地方の研究者さんのようで、名前はフトマキというらしい。
悪いけど聞いたことのない名前だ。


チゴユリ「はあ、足跡を……」

フトマキ「ポケモンの思いはその歩行に大きな影響を与えます。つまり、足跡を見てみれば何を考えているかなんてすぐ分かるのです!」

チゴユリ「な、何を考えているかが足跡で……?」

フトマキ「ほう…… 信じられませんか?」

チゴユリ「ええまあはい……」


そんな話聞いたことが無いぞ……
正直かなり胡散臭い。


フトマキ「ならばヤドンの足跡から読み取れたことを教えましょうか…… かなり長ーい足跡だったので色々なことが分かりましたよ! なかなか興味深い分析結果になりましたな」

チゴユリ「興味深い……?」

フトマキ「ええ、このヤドンは…… かつて貴方のためにとてつもなく強い力を使ったことがある…… そう読み取れました」

チゴユリ「!」


え? もしかしてこの研究者の研究《マジ》なのか……?
いや、単なる偶然……だよな。流石に足跡でそんなことがわかるわけない。
 ▼ 51 まけです◆Y5Zk8zw5YA 20/05/18 23:36:14 ID:YoBsYMbI [2/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
フトマキ「足跡はそう語っています。この《型》はトレーナーのために力を使い果たしたポケモンのものです。ブラックホールを作り出した直後のサーナイトなどで見られますな」

フトマキ「そこまでの力を使うとポケモンは力尽き命を落とします。で、あるからしてこの型の足跡は通常数歩分しか観察できないのです」


そうか、世界そのものに俺が通れるくらいの大穴をあけるだなんて……
そりゃ力を使い果たして死んでもおかしくないよな。
あの時は話が無茶苦茶過ぎて気づけなかった。ありがとな、ヤドン。
ん? ということは足跡から考えてることが分かるってのは本当なのか?
でもって本当ならヤドンは改変前のことを覚えていることになる。


フトマキ「しかし、このヤドン君は見たところ健康体そのものでそんな様子はありませんな…… そのようなリアリティのある夢でも見たのでしょうか」


あの出来事は現実から消え去ったのだから、夢みたいなものなのかもしれない。
ちなみにヤドンは先週ポケモンセンターでの検診を受けたばかりだ。結果は異常なしだった。


フトマキ「君に心当たりはありませんかな?」

チゴユリ「えっ…… あー…… あるようなー…… ないようなー…… ハハハ……」

フトマキ「私に話したくないようなことなら別に構いませんよ」

チゴユリ「あ、ひとつだけ。こいつ、テレパシーで俺と話したことがあるんで……いや、ある気がするんですよ。あくまで気がする、ですけど」


流石に世界改変のことを話すのはな……
信じてくれないと思うし、信じたとしても研究対象が足跡とはいえ相手は研究者。
そんなとんでもない力を使えるだなんて、変に注目を集めない方がいいだろう。


フトマキ「ヤドンがテレパシーですか…… 命に関わるほどとは思えませんがそれなりに大変でしょうな。もしそれが気のせいでないのなら、貴方のために力を振り絞った、だから使えたのでしょう」


もしフトマキさんの言っていることが当たっていれば、ヤドンがテレパシーを使えたのは《俺のために必死だったから》ということになる。
たしかあいつがテレパシーを使い始めたのは俺が女装子計画に焦っていたときだったな……


フトマキ「……ふーむ力を使い果たしたのはそれとはまた別件なのか……」ブツブツ

フトマキ「とにかく、ヤドンは君のためなら命を懸けてもいい…… そのくらい懐いているようですな! いい感じです!」

チゴユリ「命を懸けても……」
 ▼ 52 まけです◆Y5Zk8zw5YA 20/05/18 23:52:44 ID:YoBsYMbI [3/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
フトマキ「そして命を懸けてヤドンは君のために《なにか》を手に入れたと思っているようですな」

チゴユリ「なにか?」

フトマキ「残念ながらそこを足跡から読み取る技術はまだ確立していないのです」


いや、今のでも十分すごいんだけど。
足跡だぞ?


フトマキ「そしてその《なにか》が…… 他ならぬ君によって失われそうになった。ヤドンはそう感じて先ほど怒ったわけです」

チゴユリ「俺によって失われそうに?」

ヤドン「ぶみっ!」

チゴユリ「うわビックリした起きたのかよお前」


いつの間に目を覚ましたんだ……
チャンポンまみれのヤドンは珍しく俺のことをにらみつけていた。

それにしても俺によって…… 俺によってか……
……もしかして。


チゴユリ「もしかしてお前、ヤドキングになるのが嫌だったのか?」

ヤドン「やぁどー!!!!」


ヤドンは俺に向かって力強く吠える。どうやらそういうことらしい……


フトマキ「……ふーむ。進化の拒否ですか」

フトマキ「ポケモンによっては進化の際に性格や知能が大きく変わりますから…… 《今》が好きなポケモンなら進化を拒絶してもおかしくないでしょう」

チゴユリ「じゃあヤドンが手に入れたと思ってる《なにか》って……」

チゴユリ「《今》?」

ヤドン「やぁん」
 ▼ 53 まけです◆Y5Zk8zw5YA 20/05/19 00:13:30 ID:IOPcORPk [1/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
フトマキ「なるほどなるほど……《今》…… 君とヤドンの関係性でしょうか。ヤドキングは一般的な人間より賢いといいますから……」

フトマキ「もしかしたら、そこまでの天才になってしまうと《君》の見え方も違ってくるのかもしれません」


俺はディジーの言葉を思い出した。

 「とにかく、ヤドキングはとても頭がいいポケモンなの」
 「人間の天才と呼ばれるような人たちに負けないくらいね」

ヤドンもこれを聞いていたのだろうか。


フトマキ「それにしても《手に入れた》というのはどういうことでしょうな。一体どんな夢を見たんでしょうか……」ブツブツ


手に入れた《今》、それは《平和な俺とヤドンの日常》ってことか。
ヤドンは今の形を崩したくないんだろうな……


チゴユリ「悪かったよ、ヤドン。お前はこのままが良いんだな?」

ヤドン「んやぁ」

チゴユリ「ごめんな、俺はただ…… お前があれから何を考えてるのか知りたかっただけなんだ。なんにもわからなかったからさ」

ヤドン「……」


ヤドンは拗ねた目つきを維持している。


フトマキ「……最後に、足跡全体から読み取れたことを話していいですかな?」

チゴユリ「あ、はい」

ヤドン「やん?」
 ▼ 54 まけです◆Y5Zk8zw5YA 20/05/19 00:37:04 ID:IOPcORPk [2/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
フトマキさんは急に声色を変えて語り出した。


フトマキ「んー…… わたくし、他の方々から《何も考えてないだろう?》なんて思われてそうですがそんなことは無いんですよー」

フトマキ「どうやったらチゴユリさんのお役に立てるか、毎日そのことばかり考えてるんですよ。んー………………」

フトマキ「……と、ヤドンはこのように考えておりますな!」


フトマキさんは語り終えた。
どうしたら俺の役に立てるか、毎日そのことばかり考えてる……か。


チゴユリ「そっか…… お前もお前なりに俺のために色々考えてくれてたんだな」




『テレパシーがなくたって、これくらい気付いてほしいな』




どこかで声が聞こえた気がした。フトマキさんじゃない。
誰だろう、分からないことにしておこう。だって……


チゴユリ「色々考えてくれてるなら、俺も…… お前が何を思ってるのかできるだけ察せるようにしないとな。テレパシーも《大変》ってことは疲れるんだろ?」

ヤドン「……やぁん」


ヤドンはやっといつものマヌケ面で笑ってくれた。


チゴユリ「あ、そうだ。お前思ってたよりこっちの言ってること分かるみたいだから、ひとつ言わせてくれよ」

ヤドン「んや?」

チゴユリ「あの《夢》の時はありがとう。おかげで大学生活楽しめてるし、友達だってできた。あのままじゃ無茶苦茶になってた。本当にありがとうな、ヤドン。でももう命にかかわるような無茶はやめてくれよ?」

ヤドン「んやぁど」


ヤドンは笑顔のまま頷く。
《ありがとう》くらいは通じてくれてるといいな、テレパシーがなくたってさ。
 ▼ 55 まけです◆Y5Zk8zw5YA 20/05/19 00:53:32 ID:IOPcORPk [3/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
チゴユリ「よし、ヤドン」

ヤドン「やん?」

チゴユリ「チョウタロウたちのところへ戻ろう。おうじゃのしるしは返すけど、ゴーリキーの進化には付き合ってやりたいからさ。それはいいよな?」

ヤドン「やぁん」


これは多分オッケーだよな……
ニコニコしてるし。


チゴユリ「じゃあ俺は友達のところへ戻ります。フトマキさん、ありがとうございました!」

フトマキ「あ、ちょっといいですかな?」

チゴユリ「?」

フトマキ「先ほども言いましたが…… 貴方とヤドンはいい感じです! ということでこれを差し上げましょう!」


フトマキさんがそういいながら取り出し、手渡してきたのは…… 足形のセンターパーツが付いたリボンだった。
正直、妙なデザインだ。
 ▼ 56 まけです◆Y5Zk8zw5YA 20/05/19 00:57:52 ID:IOPcORPk [4/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
フトマキ「それは《あしあとリボン》です。素晴らしい足跡を持つポケモンに差し上げています」

チゴユリ「ありがとうございます。素晴らしい足跡ですか」

フトマキ「ええ、経歴を足跡とみなし進呈している方もおられるようですが…… 私は文字通り足跡の素晴らしいポケモン、トレーナーにお渡ししています」


文字通りの足跡で渡してるのこの人くらいじゃないのか……?


フトマキ「まあ足跡がないポケモンでもトレーナーといい感じなら渡していますがね! さあ、ヤドンにリボンを!」


じゃあ渡す基準足跡じゃねえじゃねーか!
と、思いつつ俺はあしあとリボンをヤドンにつけてやった。
……案外似合うな。


ヤドン「やどっ!」ドヤァ

チゴユリ「ドヤ顔だ……」

ヤドン「どやっ!」ヤドォ

チゴユリ「言い直さなくていいから」

フトマキ「ははは、ヤドンも誇らしげですな。あなた達はやはりいい感じですね!」

ヤドン「どやっ!」ドヤァ

チゴユリ「似合うのは分ったから…… ほら行くぞ。戻れ、ヤドン」


俺はドヤ顔のままのヤドンをモンスターボールに戻した。
はやくチョウタロウたちのところへ戻らないと。随分待たせちゃってるからな。


チゴユリ「じゃあ俺達はこれで…… ありがとうございました」

フトマキ「引き留めてしまって申し訳ない。こちらこそいい足跡を見せてもらいました。ありがとう」


俺はフトマキさんと別れ、チョウタロウたちの待つフードコートへと急いだ――


…………
 ▼ 57 まけです◆Y5Zk8zw5YA 20/05/19 01:57:58 ID:IOPcORPk [5/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
俺、チゴユリ。出身はクチバシティのヒワマキ大学経済学部の1年生。
フトマキさんに出会ってから1か月が経った。
どうやらあの人はその分野ではそこそこ有名な研究者だったらしく、俺達は1週間ほどポケモン心理学部の連中にもみくちゃにされることになった。だから行先は聞いてないって。というかもうシンオウに帰ってるだろ……
まあそれも、まだ平和な大学生活の範疇だと思う。この件がきっかけでまた友達も増えたしな。
今日はその友達と、いつもの2人が俺の家…… というか俺の家の下に来ている。
俺が住んでるのはヒワマキシティの中でも格安物件のツリーハウス。水道電気ガスが通っていないんだ。電子レンジも炊飯器もコンロも使えない。
つまり料理は目で見て火加減を調節するしかねえ! でもクチバ育ちで都会の暮らしに慣れてしまっている俺はそんなんじゃまともに料理はできない。焦がさなくはなったけど今度は料理は生煮え米は芯が残るといった事態が……
そんな俺を見かねた3人が様子を見に来た、というわけだ。3人には俺とヤドンの夕食のカレーライスを味見してもらうことにした。しかし……


ノビル「君はアホか? というか想像を絶するアホだったよ。どうしてそんな火加減で料理ができると思ったんだ!?」

チゴユリ「いや…… あれなら焦げないかと……」

ディジー「このニンジンとジャガイモ、まだほぼ生なんだけど…… ねーヤドン?」

ヤドン「ぶみっ!」

ディジー「ほらヤドンもまずいって言ってるわよチゴユリくん」

チョウタロウ「ご飯もご飯というか米だぜ米…… 俺達は味見だけだからいいけどお前これ完食すんの? きつくね? カイリキーに食わせるのやめといてよかったわ」

チゴユリ「……大変申し訳ございませんでした」

ディジー「はー…… これは一から作り直さないとダメね……」

チゴユリ「え、作り直し? となると今月の食費が……」

ディジー「お金足りないの?」

チョウタロウ「だー! しっかたねえな! 俺が作り直し分だけおごりゃいいんだろ! それで解決!」

チゴユリ「はい金足りないですおごってもらえるのマジでありがたいですすんません……」

チョウタロウ「ったく…… ダチとその相棒がこんな食生活とか泣けてくるぜ……」

ノビル「じゃあ僕は後で安いレトルト食品紹介するよ。これなら鍋で茹でて温めるだけだし多少茹で不足でも問題ない。ヤドンもその方が嬉しいよね?」

ヤドン「やどどーっ!」

チゴユリ「何喜んでんだお前、さては俺が一生料理できないって思ってるだろ」

ヤドン「……ぶみっ」

チゴユリ「あーそーだよ! 4か月かかってもまだ料理下手だなんて思わなかったよ!」

ディジー「ふふっ じゃああたしはたまにトロピウスのフサを差し入れてあげるわね! ヤドンの食生活のためにも」

チゴユリ「ディジーお前まで…… クソッ ヤドンのためにも、ここで暮らすってて決めたからにはしっかりと料理できるようになってやらあ!」

ヤドン「やぁーん! どどー!」


ヤドンも応援してくれるみたいだ。俺が料理上手くならないと、ヤドンにとってこの四年間は過酷なものとなるだろう……
恩のあるヤドンをそんな目に遭わせてたまるか! 絶対に上手くなってやるから待ってろよな!


(待つよ。ぼくは気が早くないし、君の頑張りをすべて無駄にしちゃうほどの天才でもないし…… 頑張ってる君が大好きだから)

―END―   
 ▼ 58 Y5Zk8zw5YA 20/05/19 01:58:52 ID:IOPcORPk [6/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
おまけパート含めこれにて完結です
読んでくれた方ありがとうございました
 ▼ 59 ソッキー@モンスターボール 20/05/19 13:59:56 ID:yBx.TgNQ NGネーム登録 NGID登録 報告
おつやでー
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