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【バレンタインSS】スター団幹部一同「みんなでチョコ交換会だー!」 ボタン「名付けてバレンタインデー大作戦だし……」

 ▼ 1 から貰ったチョコレート◆Iu0FbdS7VI 23/02/14 18:13:22 ID:3xKcDuy6 [1/38] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告




#1 「ビターチョコレートな思い出と」

ピーニャ編




 ▼ 7 から貰ったチョコレート◆Iu0FbdS7VI 23/02/14 19:34:50 ID:3xKcDuy6 [2/38] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
そう……思ってた。

僕は現実を知らなさすぎた。

僕は、たくさんの生徒から嫌われ、その結果──
ある年のバレンタインデーで、大変な目に遭ったんだ。




その日、僕はげた箱に手紙が入っていることに気付いた。

ピーニャ「なんだろこの手紙……」

『ピーニャさん、いつもお疲れ様です。
 忙しいかもしれないけど
 校舎裏に来てください。
 今日は……バレンタインデーですよね。
 渡したいものがあるんです
 このことは、誰にも言わないでくださいね
 とても恥ずかしいから……』
        ○○○ より


ピーニャ「こ、こ、これって……」

○○○はある女生徒の名前だった。

バレンタインデー。しかもこの手紙の内容。
もしかして……○○○さんは、僕のことが……
 ▼ 8 から貰ったチョコレート◆Iu0FbdS7VI 23/02/14 19:49:12 ID:3xKcDuy6 [3/38] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
僕は急いで校舎裏に向かった。
全速力で走った。
○○○さんが待ってる。
チョコを僕に渡そうとしている。

僕の胸はとてもドキドキして、今にもだいばくはつしそうだった。
こんなの、実は初めてだったんだ。


ピーニャ「はぁ、はぁ……」

だけど、息を切らした僕の前に待ってたのは……。


男子生徒「ギャハハハハ! やっぱり来たよセイトカイチョーさん!」

女子生徒「まんまと騙されてんじゃん、ウケる」

ピーニャ「……○○○さんは」

男子生徒「いるわけねぇじゃん。特性じいしきかじょう、かよ!

女子生徒「それ言うなら「じしんかじょう」じゃね?」

男子生徒「どっちでもいいよ、勘違い生徒会長なのは間違いねンだからさ」
 ▼ 9 から貰ったチョコレート◆Iu0FbdS7VI 23/02/14 20:09:10 ID:3xKcDuy6 [4/38] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
男子生徒「キモい校則作って、オレらの恋愛邪魔してるからこういうことになンだよ!」

ピーニャ「う、うぅ……」ポロポロ

こんな奴らを前にして泣きたくなかった。
でも涙が溢れて止まらない。
熱いものが頬を伝ってこぼれ落ちていく。

僕がやってきたことって何だったんだ?
学校を良くしたい、その思いだけだったのに。
どうして。どうして。

男子生徒「ははは、泣いてんぜ生徒会長さん」

女子生徒「ブサイクヤローが嫉妬してんじゃねぇよ」

ピーニャ「嫉妬……?」

女子生徒「嫉妬してるからキモい校則作ってんだろ。マジでヤバいんだけどお前」

ピーニャ「……う、うああ」

男子生徒「?」

ピーニャ「うああああああああああ!!!!」

男子生徒「な、何だこいつ急に叫んで」

女子生徒「ちょ、マジきもっ」
 ▼ 10 から貰ったチョコレート◆Iu0FbdS7VI 23/02/14 20:18:03 ID:3xKcDuy6 [5/38] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
その直後のことはよく覚えてない。

でも、僕はアザだらけになって帰宅したらしい。
両親が目を丸くして驚いてたのだけは覚えてる。

後日、僕は両親と一緒に、先生に呼び出された。
どんな理由があっても、喧嘩や暴力は許されないと怒られてしまった。


両親は平謝りしていた。
何度も何度も。涙を流しながら。
うちの子が申し訳ありませんって。
大変なことをしてしまいましたって。

僕が悪いのか?
僕は、この学園を良くしたかったのに──。


先生「お前にはガッカリだよピーニャ。生徒会長は辞めてもらう。あんな校則を作って、どういうつもりなんだお前は」


僕は唖然とした。
先生まで……僕を見放すんだ。
 ▼ 11 から貰ったチョコレート◆Iu0FbdS7VI 23/02/14 20:19:52 ID:3xKcDuy6 [6/38] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告








 あれ……学校‥‥ぜんぜん楽しくないな。







 ▼ 12 から貰ったチョコレート◆Iu0FbdS7VI 23/02/14 20:26:30 ID:3xKcDuy6 [7/38] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
そして現在。

トラウマのバレンタインデーを思い出した僕は、アカデミー前の階段に座って、ただボーッとしていた。

ピーニャ「チョコ交換会か……どうしようかな」

オルティガ「はぁ、はぁ……ここにいたのか、ピーニャ」

ピーニャ「お、オルティガ……」

オルティガ「お前のせいでっ、メチャクチャ走って追いかける羽目になったんだからな! もう! 心配させんなよ!!」

ピーニャ「ご、ごめん」

オルティガ「悩みはどうなったんだ?」

ピーニャ「な、悩み?」

オルティガ「悩んでるから急に走って逃げたんだろ? で、どうなんだよ」

ピーニャ「あ……僕、チョコのことで、悩んでてさ」

オルティガ「ふーん……じゃあオレについてこい! 良いチョコ屋さんを知ってるんだ」
 ▼ 13 から貰ったチョコレート◆Iu0FbdS7VI 23/02/14 20:37:01 ID:3xKcDuy6 [8/38] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
オルティガに言われるがまま、僕は彼についていった。
たどり着いたのは、テーブルシティの有名なスイーツ専門店だ。

店に入るやいなや、オルティガはチョコを注文した。

オルティガ「これとこれとこれください」

店員「かしこまりました」

ピーニャ「け、結構高そうなの頼んだな。これ誰用だ?」

オルティガ「お前」

ピーニャ「え?」

オルティガ「2回も言わせんなよ。ピーニャには感謝してるんだ。チョコくらい渡すさ」

ピーニャ「ぼ、僕、そんな感謝されるようなことは何も」

オルティガ「ピーニャさぁ、オレに、何回もあいさつを大声で言わせたよな」

ピーニャ「あ、あぁ……」

そうだ。
あれは、マジボスがとあるトレーナーに負けて、スター団が新しい道を歩き始めた後のこと。
スター団の悪いイメージを払拭するために、あいさつ習慣を始めたんだ。
僕の突然の提案だったけど、オルティガは文句言いながらも付き合ってくれた。

オルティガ「あれ、最初はメチャクチャ恥ずかしかった。でも、挨拶のおかげで最近けっこう話しかけてくれる人が増えてきたんだ」

オルティガ「それに感謝してるの、オレは!」
 ▼ 14 から貰ったチョコレート◆Iu0FbdS7VI 23/02/14 20:48:03 ID:3xKcDuy6 [9/38] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ピーニャ「お、オルティガ……」

オルティガ「ピーニャはチョコ渡すことを悩んでるのかもしんないけど、ただ感謝伝えるだけだろ? こーゆー軽い感じでいいんだよ」

オルティガは相変わらずぶっきらぼうな口調だったけど、そこには確かな優しさがあった。
その優しさが、僕の心にじんわりと染み渡っていく。




バレンタインデーなんか大嫌いだと思った。
嫌な記憶も思い出してしまった。
でも……それで終わってるままじゃあ、何も変わらない。



前に進まないといけない。
変わらないといけない。

僕は涙声になりながら、そっと口を開く。

ピーニャ「僕も、スター団みんなのチョコをここで買うよ。オルティガのオススメを教えてくれないか?」


苦い記憶も、チョコのように噛み潰してしまおう。
そしていつの日か、あの嫌な苦味が、美味しさに変わるように。
そのために、ただひたすら、今を生きていくんだ。
 ▼ 15 から貰ったチョコレート◆Iu0FbdS7VI 23/02/14 20:52:50 ID:3xKcDuy6 [10/38] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告






#2 「不器用なショコラティエたち」

メロコ編




 ▼ 16 から貰ったチョコレート◆Iu0FbdS7VI 23/02/14 21:02:18 ID:3xKcDuy6 [11/38] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
〜家庭科室〜

メロコ「わ、わ、分からねぇ……このガナッシュって奴はどう作るんだ!」

ビワ「もうー、いきなりガナッシュはハードル高いよメロちゃん。普通に型にチョコを流し込んで固めるだけでもいいんじゃないかなぁ」

メロコ「そ、それだとオルティガに馬鹿にされそうで……」

ビワ「オルくん、クセは強い人だけどそんな意地悪じゃないよ。メロちゃんも分かってるでしょ」

メロコ「……と、とにかく! こういう時は勢いだ! 勢いで作る!」

ビワ(失敗しそうだなぁ……)


タナカ「わ、わ、分からない……」

ビワ「あれ、タナカちゃん? あなたも家庭科室でチョコ作り?」

タナカ「はっ! ビ、ビワちゃん!?」
 ▼ 17 から貰ったチョコレート◆Iu0FbdS7VI 23/02/14 21:13:47 ID:3xKcDuy6 [12/38] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ビワ「タナカちゃんは何を作ろうとしてるの?」

タナカ「……ボ」

ビワ「ぼ?」

タナカ「ボンボン・ショコラ……」

ビワ(これもまたハードルが高そうな……)

タナカ「む、難しいのは分かってるのよ。分かってるんだけど……」

ビワ「うん」

タナカ「ビワちゃんには感謝してもしきれないの。だから、できるだけ良いものを作ってあなたに贈りたくて……」

ビワ「タナカちゃん……」


メロコ「うううう! 乳化って何なんだ!? このレシピ本、マジで合ってんのか!?」

ビワ「あー……とりあえず女子みんなで集まって協力しながら作ろ?」

メロコ「‥‥ビ、ビワ姉ぇ〜」

タナカ「ビワちゃん〜」
 ▼ 18 ュウコン@ミニーブのオイル 23/02/14 21:19:51 ID:w1QsWro2 NGネーム登録 NGID登録 報告
シュウメイが1ミリも出てこなくて寂しいけどおもろいので支援
 ▼ 19 から貰ったチョコレート◆Iu0FbdS7VI 23/02/14 21:22:42 ID:3xKcDuy6 [13/38] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
オレの名前はメロコ。
スター団チーム・シェダルのボスだ。

スター団の何でも屋的な役割を担ってて、どんなこともまぁ、ちからずくで解決してきた。

だが、このチョコ作りというのは、強引には解決できるものじゃない!

なんて厄介なんだ!!

なんて面倒なんだ!!


メロコ「これ、ボウジロウの炎で焼いた方がいいんじゃねぇか」

ビワ「ダメだよメロちゃん。お料理は横着しないで丁寧にやらなきゃ」

メロコ「お、おう……」

メロコ(ビワ姉はすげぇな……いわゆる、なんだ……女子力ってやつが高いのか)

タナカ「ビワちゃん凄いですよねぇ」ヒソヒソ

メロコ「う、うおっ、なんだお前」
 ▼ 20 から貰ったチョコレート◆Iu0FbdS7VI 23/02/14 21:32:52 ID:3xKcDuy6 [14/38] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
タナカ「あ、私タナカと言います。チーム・カーフに所属してます。ビワちゃんのお友達です」

メロコ「ふーん、オレはメロコ。チーム・シェダルの……」

タナカ「あはは、流石に知ってますよ。スター団の何でも屋さん。ビワちゃんから話はよく聞いてます。とてもカッコよくて、とても優しくて、私もすごく尊敬してます」

メロコ「あー、そういう話やめてくれ……は、恥ずかしいからよ」

タナカ「ふふ、可愛いですね」

メロコ「む、むぐぐ……」


ビワ「二人ともどうしたの? ナイショのお話?」

メロコ「な、何でもねぇよ」

タナカ「チョコ作り進めましょう!」
 ▼ 21 から貰ったチョコレート◆Iu0FbdS7VI 23/02/14 21:44:24 ID:3xKcDuy6 [15/38] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
そうして、順調にチョコ作りは進行していった。
わいわいと会話しながら、楽しげな雰囲気は続いていく。

メロコ「こ、これで完成なのか!?」

ビワ「うん、後はパンとかクッキーとかにガナッシュを乗せたら完璧じゃないかな」

メロコ「よっしゃあ!」

ビワ姉さまさまだ。
彼女がいなかったら、今頃オレは調理台の前で悩みっぱなしだったろう。
本当に……本当に、ありがたい。


タナカ「私もようやっと完成したわ!」

ビワ「おめでとう、タナカちゃん! 食べるの本当に楽しみだよー!」

タナカとやらも、チョコが完成したらしい。
拳を振り上げ、ガッツポーズをしている。
その時だった。タナカの目尻から、涙が一粒、流れるのが見えた。

メロコ「?」

気になった。
確かにチョコができたのは嬉しいことだけど、涙を流すほどのことなのか。
 ▼ 22 から貰ったチョコレート◆Iu0FbdS7VI 23/02/14 21:49:28 ID:3xKcDuy6 [16/38] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
これはオレの勘だが……。
ビワ姉とタナカは、ただの友達じゃない気がする。

どうしても気になったオレは、ビワ姉がトイレに行ったタイミングで、タナカに質問してみることにした。

ビワ姉との関係性。
そして、何故さっき、少しだけ泣いていたのかを。


タナカは、下唇を噛み締めつつも、しっかりとした声で答えた。


タナカ「私ね……ビワ姉をいじめてたことがあったの」

メロコ「!?」


タナカが言うには、当時、スポーツ推薦で美人で評判だったビワ姉をいじめてた集団がいたらしい。
その集団の元リーダーが、タナカなのだという。
 ▼ 23 から貰ったチョコレート◆Iu0FbdS7VI 23/02/14 22:01:05 ID:3xKcDuy6 [17/38] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
しかし、ビワ姉は持ち前の強い精神で、いじめを耐え続けたらしい。

やがて、いじめのターゲットは切り替わり、まさかのいじめ集団のリーダーであるタナカが、次の標的になったのだという。


タナカ「私ね……いじめられるのって本当に辛いんだって、その時初めて知ったんだ。自分がどんなに愚かで許されないことをしてたのか、とてもとても反省してる」

メロコ「そうだったのか……」

タナカ「でも、私がいじめられ始めた時、ビワちゃんが私のことを助けてくれたんだ。『タナカちゃんをいじめないで!』って言ってくれたの」

メロコ「……!」

ビワ姉……本当に強い人だ。
いじめてきた相手に、手を差し伸べるだなんて。

ビワ姉がいなかったら、スター団がここまで続くことはなかった。

メロコ「凄いなぁ……ビワ姉は」


タナカ「……メロコさんも凄いですよ。ビワちゃん、何回もメロコさんのこと褒めまくってるんですよ。メロちゃんはすごくカッコいいんだって」
 ▼ 24 から貰ったチョコレート◆Iu0FbdS7VI 23/02/14 22:15:42 ID:3xKcDuy6 [18/38] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
メロコ「いや、オレはそんな」

ビワ「メロちゃんはカッコいいよ!」

メロコ「!?」

どこから会話を聞いていたのか。
突然、ビワ姉が会話に入ってきた。


ビワ「スター団のお悩みを何だって解決してくれる。どんなに難しいことでも、メロちゃんはカッコよくて優しいから、相談に乗ってくれる。メロちゃんがいなかったら、スター団は続かなかったよ!」

メロコ「……は、はは」


「ビワ姉に比べてオレは不甲斐ない」と一瞬でも考えてしまった自分が、恥ずかしくてたまらない。
そうだよな。
オレも、ビワ姉も、他のみんなも──全員欠けちゃいけないんだ。
みんながいたからこそ、スター団は続いたんだよな。



オレはとんでもなく不器用だ。
不器用で弱いから、それを隠そうとして、ガワだけでも強くなろうとしてた。
でも、オレはもっと、みんなに頼るべきだったのかもしれない。

みんなに頼るその代わりに、誰かが困ってたら、オレが助けに行く。
誰がどこにいても、いつ何時でも、力づくで助けに行く。
 ▼ 25 から貰ったチョコレート◆Iu0FbdS7VI 23/02/14 22:19:56 ID:3xKcDuy6 [19/38] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ビワ姉が、オレの顔を見て満面の笑みを浮かべた。

タナカも、それに釣られたのかニコニコ笑っている。








ああ、クソが。

オレも笑いたいけど、素直に笑えないなぁ。

オレは、笑う時すら不器用なのかよ。

何でか分からないけど、涙が出てきちまう。


早く、このチョコをみんなに渡したい。

早く、みんなにありがとうって言いたくて仕方がねぇよ。
 ▼ 26 から貰ったチョコレート◆Iu0FbdS7VI 23/02/14 22:28:42 ID:3xKcDuy6 [20/38] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告







#3「バレンタインデーもオタク道でござる!」

シュウメイ編






 ▼ 27 から貰ったチョコレート◆Iu0FbdS7VI 23/02/14 22:36:16 ID:3xKcDuy6 [21/38] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ボタン「シュウメイはチョコどうするの?」

シュウメイ「チョコレートでござるか……。無論、最高のものを用意するでござるよ」

シュウメイの同胞「シュウメイ殿……アレ、だね?」

シュウメイ「そう、アレでござる」



シュウメイ「『忍者蛙戦隊 ゲッコウガーン』コラボしたバレンタイン限定チョコレートでござる!! オタクたるものこのような限定品は見逃せない!! 見逃したくない!!」

シュウメイの同胞「当たり前だよねぇ!」

ボタン「あー、ゲッコウガーンか。脚本がケロ田ケロ蔵さんだよね」

シュウメイ「マジボス殿はご存知か!? 第7話の衝撃の展開、ゲコレッドが変幻自在の力に支配されて悪堕ちしかけるという神脚本でござる!!」

シュウメイの同胞「アレは熱かったねぇ!!」
 ▼ 28 から貰ったチョコレート◆Iu0FbdS7VI 23/02/14 22:46:26 ID:3xKcDuy6 [22/38] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
忍者蛙戦隊 ゲッコウガーンとは──

三体のゲッコウガ──ゲコレッド・ゲコブルー・ゲコイエローが、『ネオ・カントー』を舞台に活躍する戦隊モノだ。

脚本は、ケロ田ケロ蔵氏。
監修は現役忍者の「キョウ殿」でござる!

世界各地にファンが存在し、その人気度は計り知れない。
ゲッコウガーンとコラボした商品は即、売り切れてしまうと言われているほどだ。


シュウメイ「今回の限定チョコレートも、即売り切れてしまうのは目に見えている。 同胞よ、ここは全力で購入に向かうでござる!」

シュウメイの同胞「目覚まし時計は明日の朝6時にセット済みだよ。朝イチでお店に並ぶためにね」

シュウメイ「最高でござる! やはり持つべきはオタク仲間でござるな〜」


ボタン(……テンション高いオタク見るのは楽しいなぁ)
 ▼ 29 から貰ったチョコレート◆Iu0FbdS7VI 23/02/14 22:51:07 ID:3xKcDuy6 [23/38] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
そして翌日。
我はしっかりと朝5時45分に目覚め、生きとし生けるものに感謝した後、お店に向かった。
途中、ゴミが落ちていたので、ちゃんと拾って捨てておいた。

オタクたるもの、善行は積まねばならぬ。


善行を積んだオタクにこそ、奇跡と幸せは訪れるのだから。

そして店前。
そこには、我よりも先に到着した同胞が待っていた。

シュウメイの同胞「着いたね、シュウメイ殿。僕もワクワクしてきたよ」

シュウメイ「行列はまだ、そこまででもないでござるが、しかしライバルはチラホラといるでござるな」
 ▼ 30 から貰ったチョコレート◆Iu0FbdS7VI 23/02/14 22:56:26 ID:3xKcDuy6 [24/38] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
我と同胞よりも先に到着していた者は、3人いた。
どれも、オタク界隈では有名な人物。



アブラマシマシの二郎!!
毎日、最低一食はギットギトのラーメンを啜るのが日課、という重量級のオタクの鑑!!
その割には、すこぶる健康!!
朝の早起きもなんのその!!
大きな身体なのにマッハで動くことから、光速の戦車という異名が付いた漢である!!


アブラ二郎「ふふ、来たかシュウメイよ」

シュウメイ(なんて強烈なオーラッ……!!)
 ▼ 31 から貰ったチョコレート◆Iu0FbdS7VI 23/02/14 23:00:00 ID:3xKcDuy6 [25/38] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
2人目は、トレーダーの堀江!!

非常に計算高い男!
この男は1日で数百万円を稼ぎ、そのお金を全てオタク趣味に費やすのでござる!!
その財力は、我ごときでは足元にも及ばないっ!!


トレーダー堀江「シュウメイ殿、アンタ、朝飯は食べたかい? 朝飯は大事だよ」

シュウメイ「ああ、食べてきたでござるよ……!」

シュウメイ(敵の心配もするとは……なんと底知れない漢でござる!)
 ▼ 32 から貰ったチョコレート◆Iu0FbdS7VI 23/02/14 23:03:53 ID:3xKcDuy6 [26/38] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
3人目は……史上最悪の男、転売ヤーのレイモンド!

この男は転売を生業としている。
オタクでも何でもない、ただの害悪!
オタク界隈をただ荒らすだけのイナゴ!!

おそらく、ゲッコウガーンコラボ商品が売れるという情報を得て、ここに来たのだろう。
なんと、恐ろしい。なんと最低な男でござろうか!!


レイモンド「ヘーイ……シュウメイちゃん。今日もガッポガッポ稼いじゃうぜ」

シュウメイ「この……外道がぁっ!!」
 ▼ 33 から貰ったチョコレート◆Iu0FbdS7VI 23/02/14 23:09:18 ID:3xKcDuy6 [27/38] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
そして15分後。

店員「はーい、店開けまーす」

シュウメイ(来たっ……!!)

アブラ二郎(早くチョコを頬張りたい……)

トレーダー堀江(コレクター魂が疼くぜ)

レイモンド(今日も転売でガッポガッポデース……)



ぴりりと張り詰める空気!

空を飛ぶは、早朝のヤミカラスッッ!!

嗚呼、勝負は始まったッッッッ!!
 ▼ 34 から貰ったチョコレート◆Iu0FbdS7VI 23/02/14 23:16:29 ID:3xKcDuy6 [28/38] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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ボタン「それで、どうなったの?」

シュウメイ「ちゃんと1箱買えたでござる」

シュウメイの同胞「1人1箱限定だったんだよね。転売ヤーさんは対策されてたようだよ」

シュウメイ「悪は滅びるのでござる」

ボタン「はは、それは良かった」

シュウメイ「普通のチョコレートも買ってきたでござる。これはスター団のみんなに配るとして」

シュウメイの同胞「僕たちはこのゲッコウガーンチョコを3人で分け合おう」

ボタン「え、ウチも……?」

シュウメイ「モチのロンでござる。マジボス殿もゲッコウガーンが大好きなのでござろう? ケロ田ケロ蔵の名前も知っておったくらいだからな」

ボタン「は、はは、バレてたか……」

シュウメイ「そんなオタク趣味を隠さなくてもよかろうに」

ボタン「んー……うち、結構オタクスイッチ入るとキツくなるから……人前だとなかなか出せないんよ」
 ▼ 35 から貰ったチョコレート◆Iu0FbdS7VI 23/02/14 23:23:09 ID:3xKcDuy6 [29/38] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ボタン「シュウメイが羨ましいよ。うちは……そういうの隠しちゃう癖がついちゃってて」

シュウメイ「確かに……オタク道は茨の道……。風当たりが強いこともある。そもそもが、凡人には理解されないものでござる」

ボタン「うん……」

シュウメイ「だが……我々のような同胞には、隠さずとも良いのではないか?」

ボタン「……!」

シュウメイ「オタク趣味というのは、誰かと共有するから楽しいものでござる。我も……この同胞がいなかったら、オタクを続けられなかったと思うでござる」

シュウメイの同胞「それは……僕もそうだよ」

シュウメイ「オタク同士、互いに支え合って前に進もう! それがオタク道の基本でござるよ!」

ボタン「うん……そうだね。そもそも、スター団がそういう集まりだもんね」



ああ、オタク道。
その道はとても険しく、風当たりも強い。

だが、オタクは、目の前に山を見つければ登りたくなるもの。
その道程が、いかに辛かろうと、いかに厳しいものになろうとも。


だからこそ、我々オタクは集まり、結束を強めていくものなのでござる。

オタク道とは……何と美しいものでござるなぁ。
 ▼ 36 から貰ったチョコレート◆Iu0FbdS7VI 23/02/14 23:25:18 ID:3xKcDuy6 [30/38] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告







最終話「母から貰ったチョコレート」






 ▼ 37 から貰ったチョコレート◆Iu0FbdS7VI 23/02/14 23:29:31 ID:3xKcDuy6 [31/38] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
バレンタインデーかぁ。

あんまり思い出せねぇなぁ。

一回だけ、母ちゃんがチョコをくれたことがあったっけな。

もう、あのチョコの味すら、オレは思い出せねぇ。


母ちゃんとの思い出、やっぱ少ないよなぁ。

悲しいような、そうでもないような。

でも、これだけは言える。



ペパー「……寂しいなぁ、オレ」
 ▼ 38 から貰ったチョコレート◆Iu0FbdS7VI 23/02/14 23:34:19 ID:3xKcDuy6 [32/38] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ピンポーン。
ピンポン。ピンポン。ピンポーン。


ペパー「滅茶苦茶チャイム押すじゃん。誰だよ、ったく……」

オレはガチャリとドアを開ける。
そこにいたのは、エリアゼロを一緒に探検した仲間たちだった。

ネモ「やっほー! ペパー、元気かなぁ!」

ボタン「うわ、めちゃ部屋綺麗だし……なんか腹立つ」

アオイ「……」キョロキョロ

ペパー「そんなジロジロ、部屋見ないでくれよ。てか、アオイは結構オレの部屋に入ってきてるから、物珍しいものでもないだろ。……で、今日は何の用なの?」

ボタン「スター団でチョコ交換会やるんだ……。ペパーもおいでよ。チョコ買って、交換っこしよ」
 ▼ 39 から貰ったチョコレート◆Iu0FbdS7VI 23/02/14 23:38:24 ID:3xKcDuy6 [33/38] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ペパー「ちょ、チョコ交換会?」

ネモ「すっごい楽しそうでしょ! 私とかスター団に入ってるわけじゃないけど、ボタンが誘ってくれたんだぁ!」

ボタン「とにかく、お店に行こ。これからこのメンバーで、チョコを買いに行くからさ」

ペパー「お、おいおい! ちょっと急すぎねぇ!?」

ネモ「はーやーくー行ーこー!!」

ペパー「は、はは、まったく勝手なんだから……」

アオイ「……」コクコク
 ▼ 40 から貰ったチョコレート◆Iu0FbdS7VI 23/02/14 23:43:45 ID:3xKcDuy6 [34/38] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
〜近所のお菓子屋さん〜

ボタン「ん……ビワ姉とかはこういう可愛いチョコがいいかな。ピーちゃんはどうしようかなぁ」

ネモ「すごいねぇ。いっぱいチョコ買うんだねぇ」

ボタン「スター団って沢山いるし……ふふ」


ペパー「オレはどうすっかなぁ。いろんなチョコがあるもんだなぁ」

アオイ「……」コクコク


ボシュ!!(突然、モンスターボールが開く音)


コライドン「アギャ!!」

ペパー「あ? お前急に出てきて何だよ」

コライドンがあるチョコレートを指さしている。
そこにあったのは、「カビゴン印の大きな板チョコ」という特別でも何でもないチョコだった。

だけど、オレはそれを見た瞬間、短く「あ」と声をあげてしまった。

このチョコってまさか……。

ペパー「母さんがくれたチョコレート……?」
 ▼ 41 から貰ったチョコレート◆Iu0FbdS7VI 23/02/14 23:48:21 ID:3xKcDuy6 [35/38] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
あの昔々のバレンタインデーの日。
確かにあの日、コライドンはオレのそばにベッタリとくっついていた。


ペパー「お前……母ちゃんがくれたチョコを覚えてんのかよ?」

コライドン「アギャギャ!」

ペパー「はは……すげぇなぁ。ビックリだよ」

ネモ「なになにー?」

ボタン「あ、これカビゴン印の板チョコじゃん。結構高いんだよこれ」

ペパー「え、マジ? ただの板チョコに見えるけど」

ボタン「3500円もする……これカカオ豆とかすごい高級なものを使ってるんだよ」

ペパー「…………」



あの時……母ちゃんが何気なくくれたチョコレート……。
そんな高価なものだったんだ。

値段が全てってわけじゃないけど……ちょっと、泣きそうだ。オレ。
 ▼ 42 から貰ったチョコレート◆Iu0FbdS7VI 23/02/14 23:52:49 ID:3xKcDuy6 [36/38] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ボタン「よし、うちはもう全部チョコ買ったし、あとはペパーだけだよ」

ペパー「え、マジ!? アオイももう買ったのかよ!」

アオイ「……」コクリコクリ

ペパー「ま、マジかよー! ちょ、ちょっと待て、ど、どれにすべきなんだ!?」

ネモ「このカビゴン印ってやつ買えばいいんじゃない?」

ペパー「無理だよ! これ何枚も買ってたら破産するよオレ!」

アオイ・ネモ・ボタン「あはははははは!」



ボタン「ほら、早くしなよ。スター団のみんなが待ってるよ。みんな、チョコ交換会のために頑張ってチョコ揃えたらしいから」

ペパー「ひー! てかバレンタイン当日に急にこんな話持ちかけるなっつー話だろうがよー!」
 ▼ 43 ロリンガ@4ごうしつのカギ 23/02/14 23:54:40 ID:PmV2S2Oc NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アオイが喋った!?
 ▼ 44 から貰ったチョコレート◆Iu0FbdS7VI 23/02/14 23:55:50 ID:3xKcDuy6 [37/38] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
バレンタインデー。


それは、愛情とか、恋とか、そういうものだけで語られるものじゃない。


友情、信頼、絆……いろんな想いが錯綜する、素晴らしい一日なんだ。


こんな幸せな日々がもっとずっと、続きますように。
こんな素晴らしい関係が、続きますように。


いろんな願いを込めて、ウチらはチョコを贈り合う。


みんな……大好きだよ。

本当に……ありがとう。
 ▼ 45 から貰ったチョコレート◆Iu0FbdS7VI 23/02/14 23:56:39 ID:3xKcDuy6 [38/38] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告




〜完〜



 ▼ 46 ラマネロ@ながねぎ 23/02/15 00:11:02 ID:vni6ufE. NGネーム登録 NGID登録 報告
すごい良かった
乙でした
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