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【旅SS】女「コータス達とぶらり旅〜!」

 ▼ 1 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/08/09 14:20:12 ID:qgGnG1kQ [1/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
───ミアレシティ。

カロスの中心に位置する、技術と芸術のメトロポリス。


女「飛行機で来た」

女「……今まで旅してきた街で一番大都会かもしれません」

女「私がいるのはノースサイドストリートにある、ミアレ美術館です」


───フロア3階の中央。そこに展示されている壁画を、彼女は眺めていた。


音声ガイド『タイトルは王とポケモンそしてカギ。別れたはずのフラエッテがそばにいるなど、史実との相違が見られるものの、用いられた技術が歴史的に価値の高い作品。』

女(美術の学があるわけじゃないけど、なんだか、この絵を見てると落ち着かない感じがする)

女(大切なものがそばにあるのに、気付かずそれをこわしてしまいそうな、そんな感じ)

女「……美術鑑賞もそこそこにして、そろそろお買い物に行きましょうか」



 ▼ 31 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/08/09 14:48:16 ID:qgGnG1kQ [2/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
女「あなたは?」

ポエムおやじ3世「ぼくはポエムおやじ3世」

女(ポエマーザサード)

ポエムおやじ3世「ハート、曇ってないかい?キミのためにひとつ、ポエムをよんでもかまわないかな?」

女「おねがいします」

ポエムおやじ3世「」ポクポクポクポクチーン

ポエムおやじ3世「キミのひとみはれいせい」

「キミのこころはいじっぱり」


「さぁなやむのはやめよう」



「ラティアスだって、ほんとうのキミがマグマブースターみたいだって知ってるから───」






「───ポエムおやじ3世」
 ▼ 32 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/08/09 14:49:14 ID:qgGnG1kQ [3/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
女「」パチパチパチパチー

ポエムおやじ3世「ねぇどうだったかな?キミからインスピレーションを得て浮かんだポエムだよ」スッ

女(空き缶)

女「」チャリン

3世「ありがとう、助かったよ。これでまた、ポエムを読める……心しなびたときはおいで。また、キミのためによむから」

女「こんな風に、ツイスターはその名のとおりおひねり───チップを店内の芸人に払って小ネタを見るのがルールです」

女「チップを払うって、なんだか新鮮」

女性「Ya Hoo!有名人に一瞬で変身できるわたしです。どう?見てみない?」

女「おねがいしまーす」

女性「Yeah!それじゃ、レッツスタートウ!」シュバババックルルルルンッササササッポキポキッ

女「はやい……」

 ▼ 33 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/08/09 14:50:24 ID:qgGnG1kQ [4/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
カルネ「Doかな!」

カルネ「すっごく似てるでしょ!」

女「」チャリン

カルネ「Wow!ありがと!新しい服買えるよー!」

女(こっちで見られるとは思わなかったなー)


───あっちでも見れたんですけどねー。


女(あ、トリミアンだ)

女「? 首から札を下げている……」

トリミアン『貧しいトリミアンのわたしですが、きれいにカットされるのが夢……』

トリミアン『どうかわたしに、具体的な愛の手をお願いします』

女「」




 ▼ 34 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/08/09 14:51:23 ID:qgGnG1kQ [5/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告





女「イヤ、これはズルいよ……」チャリンチャリン

トリミアン「きゃう〜ん♪」

女「あなたのご主人は策士だね」ナデナデ

女「……って、あれは」


メガネの少年「〜…」カチャカチャ


ぱちん、じゃーこーじゃーこー。


女(まるっこいシルエットの金髪。まんまるのメガネ。そしてカップを片手に何かの機械をいじっている)

女(たぶん、あの女の子のお兄さん。そして……)

女「あの、すみません」

少年「はい?」

女「ひょっとして、ジムリーダーのシトロンさんですか?」
 ▼ 35 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/08/09 14:52:46 ID:qgGnG1kQ [6/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
シトロン「えぇ、そうですよ」ニコ

シトロン「僕になにかご用ですか?」

女「妹さんが探してました。ぷりぷりしながら」

シトロン「えっ、そうでしたか!ちなみに、どちらで?」

シトロン「って、あー……通りの名前とかわかりませんよね……」

女「大丈夫です。わかります」

シトロン「えっ」

女「妹さんと会ったのはエテ・アベニューです」

女「お兄さんとはぐれた、と言って、そのままローズ広場の方へ行っちゃいました」

シトロン「そうでしたか……わざわざ教えてくれてありがとうございます」

シトロン「はぐれたらベール広場に集まろうって、いつも言っているのに……」プリプリ

女(怒り方が似てる)フフフ

女「……あれ?合流に急がなくていいんですか?」

シトロン「妹───ユリーカというんですが───のことですから、はぐれても迷うようなことはないはずです」

シトロン「たぶん、ミアレシティを時計回りに移動するように僕のことを探しているとおもうので、僕はベール広場に留まることにします」
 ▼ 36 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/08/09 14:54:13 ID:qgGnG1kQ [7/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
女「なるほど。合理的」

女「ところで。それは何を作ってるんですか?」

シトロン「これですか?これは……っと」

シトロン「立ったままで、というのも何ですから、ぜひ座ってください」

女「では、お言葉に甘えて」カタッ

シトロン「これはその名もズバリ。スパトレです」

女「すぱとれ?」

シトロン「スーパートレーニング、略してスパトレ」

シトロン「手軽にポケモンを鍛えることのできる機械です」

女「ほほー」

シトロン「これのすごいところはですね!ポケモンをモンスターボール内でのデータ状態のままで読み込んで、トレーニングをさせることができる点なんです!」

女「なるほど。たしかに手軽」

シトロン「おわかりいただけましたか!?そう、これは究極的にお手軽なんです!ゲーム感覚で、ポケモンをしっかりと育て上げることができるのですから!」

女「は、はい」
 ▼ 37 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/08/09 14:55:10 ID:qgGnG1kQ [8/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
女「でも、まだ完成していないんですよね?」

シトロン「ぐふっ」

女「あわわっ、すみません!思わず」

シトロン「いえ、大丈夫」プルプル

シトロン「……僕がスパトレの着想を得たのは、友人と連れ立って旅をしていたときでした」

女「えっ」

シトロン「意外でした?」

女「す、すみません……」

シトロン「気にしないでください」

シトロン「言われなれてますから。体力ないのによく旅なんてできたな、って」

シトロン「結果としてカロスを一周するだけの旅でしたが、とてもいい経験になりました」

女「カロスを一周……」

シトロン「その時旅の連れだった友達が、エネルギッシュな人だったので多少なりとも苦労はしました」

シトロン「けど、やっぱりあの旅は僕にとって必要なものだったんだと思います」
 ▼ 38 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/08/09 14:57:27 ID:qgGnG1kQ [9/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
シトロン「君も、旅をしているんですよね?」

女「はい、まぁ……」

女「そんなに立派な動機があるわけじゃないですけど」

シトロン「旅を続けるには色んな力が必要になります。続けているだけでもすごいことですよ」

シトロン「……彼は、ポケモンマスターになると公言していました」

女「旅の連れだったお友達が、ですか?」

シトロン「はい。強い人でした」

シトロン「夢に向かって、一直線に突き進んでいく、やじるしのような人」

シトロン「今時そうはいません。僕も、いろんな刺激を受けた。たくさんのことを学んだ」

シトロン「僕の夢はね、科学の力で全てのポケモンや人々を分け隔てなく幸せにすることです」

女「!」


───なんでもないことのようにあっさりと。

恥じることなどなにもない、というように堂々と、シトロンはそう言いきった。

会ったばかりの、見ず知らずの自分に。
 ▼ 39 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/08/09 14:59:24 ID:qgGnG1kQ [10/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
シトロン「君は、追いかけている夢はありますか?」

女(眩しい)

女(心が痛くなる。視線に目が眩みそうだ)

女「私は───」



女「ポケモンたちと旅するだけで十分です」

女「それが幸せです」

シトロン「へぇ、そうなんですか」


───無邪気に首をかしげるシトロンに、ほっと息をついて。





シトロン「その割には、それで満たされているわけじゃなさそうですね」

女「ッ」


 ▼ 40 ラーチ@こだわりスカーフ 16/08/09 15:01:11 ID:gHtRBwLY [1/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アニメ時空なのかゲーム時空なのか分からなくなって来た

支援
 ▼ 41 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/08/09 15:01:17 ID:qgGnG1kQ [11/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告




シトロン「僕はてっきり、君にも追いかけている夢があるのかと」アハハ

シトロン「失礼しました」ペコ

「あーっ!!おにいちゃんいたー!!」

シトロン「あっ、ユリーカ!」

ユリーカ「もう、おにいちゃんはそうやってすぐ迷子になるんだから!」

シトロン「えぇー……」

ユリーカ「迷ったらブルー広場に集合っていつもいってるじゃない」プクゥ

シトロン「ベール広場だよ!?」

ユリーカ「あ!さっきのおねえちゃんだ」

ユリーカ「おにいちゃんみつけてくれたんだ!ありがとー!」

ユリーカ「ほら!おにいちゃん行こ!」

シトロン「うわわっ!待ってユリーカ!!まだお代払ってない───」

ユリーカ「おねえちゃん、またねー!」
 ▼ 42 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/08/09 15:04:04 ID:qgGnG1kQ [12/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
コータス「……こぉー?」

女「別に。大丈夫だよ」

女「私はぜんぜんへーき」ニコッ

女「よし!なんか甘いものたべにいこう!そうしよう!」



他人というのは侮れない。

見ず知らずの相手だからとか、自分よりも年若そうだからとか、頭のキレる奴ではなさそうだからとか、深く物事を考えてそうだとか思って油断していると。

さらりと本心を見抜かれていたりする。

それが対人関係のアクセントになったりもするのだから、コミュニケーションはわからない。

旅は何が起きるかわからない。
 ▼ 43 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/08/09 15:06:15 ID:qgGnG1kQ [13/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ミアレシティ編、おしまい。

次回、お天気ポケモンとまっくろくろすけ。のつもり



>>42
深く物事を考えてそうだ ×

深く物事を考えてなさそうだ ○

誤字ってすまない……
 ▼ 44 ジョッチ@たんけんセット 16/08/09 15:07:12 ID:gHtRBwLY [2/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ▼ 45 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/08/09 15:07:35 ID:qgGnG1kQ [14/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
この物語は、コータス含むポケモン達と旅する少女のお話。

更新はゆるめ。展開はピンキリ。

基本は30〜60レスくらいの1話完結。

前スレ
http://pokemonbbs.com/poke/read.cgi?no=144905

女「私達の旅はこれからだーっ!!」イェーイ

コータス「おーけーれっつごー」



「この街(町)行ってみれば?」に乗るかもしれない乗らないかもしれない。
 ▼ 46 ュウツー@こだいのおうかん 16/08/09 15:16:50 ID:gHtRBwLY [3/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
カゴメタウンとか行ってほしいな
 ▼ 47 スマス@むしのジュエル 16/08/09 15:33:32 ID:9l0Z7CZk NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
いつのまにか2スレ目に…!
支援
 ▼ 48 ガヤミラミ@ダートじてんしゃ 16/08/09 20:09:52 ID:X1ZPzvu6 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
待ってたよー! ムッくんかわいい!
 ▼ 49 ーデリア@いいキズぐすり 16/08/18 08:48:22 ID:rHV2RDIA NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
10日くらいで落ちるとのことなので自上げ
 ▼ 50 ェリム@ズリのみ 16/08/22 15:18:25 ID:4i4cwY8E NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 51 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/08/29 22:21:01 ID:6zsHORfg NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
せ い ぞ ん ほ う こ く
 ▼ 52 リリ@ちかのカギ 16/08/29 22:34:03 ID:mSWGaY7I NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
>>51
無事で何よりでございます。
あなたのことは応援しているよ。
 ▼ 53 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/09/01 22:08:42 ID:I8Ga4EZo [1/30] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
カメラおやじのゲンゾー「意外なところでコンニチワ!」

ゲンゾー「わし、カメラおやじのゲンゾーです」

ゲンゾー「フォトジェニックな君ィ!記念写真撮っていかなーい?」


「はい」


ゲンゾー「よしきた!それでは準備してちょーだい!」



ゲンゾー「───いいねいいね!良いのがとれましたよー!とった写真はパソコンで見られるからねー」ニッコリ



───旅をしていると、写真だとか缶の入れ物といったかさばるものはジャマになる。

だから私はそういった、ふところを圧迫するものの入手を極力さけるようにしている。

ただこのとき、めずらしく私は「1回くらいこういうことをするのもいいかな」と思ったので、ゲンゾーさんの呼び込みに応じた。

ポケモンたちみんなとより集まって撮ろうとしたのだけど、最後までじっとしたままでいてくれたのは、結局ラプラスとコータスだけだった。
 ▼ 54 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/09/01 22:09:25 ID:I8Ga4EZo [2/30] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ムクホークはバタバタしっぱなしだし、

オノノクスはシザリガーにちょっかいかけているし、

シザリガーはそれに応戦して、

ドリュウズは恥ずかしがって地中に逃げようとしている───


───のを、黒い髪の女の子が必死になって止めている。

コータスとラプラスがおとなしくしているのが、かえって浮いている。

しっちゃかめっちゃかで、見るからにせわしない写真。


この写真を、今でも私はよくながめる。


そしてそのたびに、撮っておいてよかった、と安堵するのだ。

そしてまた、もっとお行儀よく撮っておけばなぁ、と。


少しだけ後悔もするのだった。
 ▼ 55 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/09/01 22:10:32 ID:I8Ga4EZo [3/30] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
女「雨に降られて」


───レインコートで完全武装。


女「きのうからずーっとこうだ……」

女「さっきなんかヒルが足首にくっついてた……気が滅入るよもう」ハァ

女「ん?」

女「……?」ジィ…




女「おわっ!!」ビクッ

少年「?」ピク

女(大木のほらに、人がいた!!!)


───やたら白く見える目が、ぐりっとこちらを向いたので、それに驚いてしまった。


女「こ、こんにちは」
 ▼ 56 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/09/01 22:11:38 ID:I8Ga4EZo [4/30] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
少年「……こんちわ」

女「あの、私も雨宿りしていいですか?」

少年「ぁあ。せまいな、すまねぇ。みんな、こっち寄れ」

女「みんな?」

ニョロトノ「トッニョォロ」ノソノソ

チョロネコ「にぃ」トテトテ

ピチュー「ちゅう」

ピィ「」フワフワ

ユキカブリ「かぶかぶ」

ロコン「きゅうん」

モンメン「フワッフー」

ナックラー「あー」

フシギソウ「フッシソゥ」トテトテ

女「……めっちゃいる」

女「おじゃまします」
 ▼ 57 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/09/01 22:12:32 ID:I8Ga4EZo [5/30] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
少年「お前、トレーナーか?」

少年「旅、してるのか?」

女「はい」

女「次の街までのんびりいこうと思ってたのにこの雨ですもん。参っちゃった」プハー

少年「雨だが、気温は高い」

少年「レインコートは、こたえたろ」

女「あなたもそんなにたくさんポケモンたちに囲まれて、大変そうです」

少年「しあわせてるからな、暑くないぜ」

女「なるほど。モフみは温度を越える、と」

女「ユキカブリと寄り添ってると説得力ないです」アハハ

女(……闇に目がなれてきたのに、この人の顔がよく見えない)

少年「それも、そうだな」

少年「お前も、こいつにさわるか?」

女「つめたさより風がほしいです。ムシムシするし……」

少年「そうか、ならばしかたねぇな」
 ▼ 58 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/09/01 22:13:24 ID:I8Ga4EZo [6/30] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
女(ユキカブリのモフりを再開した)

少年「お前、どこに行こうとしているんだ?」

女「森を抜けた先にある町にサーカスが来るそうなので、それを見に行こうかと」

女「ダグトリオが空中ブランコをするみたい」

少年「サーカス、か。1度くらいなら、見てもいいかもな」

女「君は?」

女「どこに行くの?」

少年「だいたい方向は、同じだろう」

女(敬語やめてもよさそうだ)ホッ

少年「お前、なぜほっとしてんだ?」

女「ん」

女「君が悪い人じゃなさそうだな、って思っただけ」ニハ

少年「ふ、む」

女「その子たちみんな、君のポケモンなんだよね?」

少年「いや、ちがう」
 ▼ 59 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/09/01 22:14:03 ID:I8Ga4EZo [7/30] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
少年「こいつらは、ついてきているだけだ」

少年「俺も、それがしあわせている」

女(しあわせるって、何のことなんだろ)


───〜し合っている、ということ?

相互補助的な?


少年「じゃあボールにポケモンを入れているお前は、そいつらを持っているのか?」

女「」

女(ニュアンス的には、ポケモンはお前にとって持ち物なのか?って感じっぽい)

女「物理的にはそうだし、"私のポケモン"って言い方もするけど……ちがう」

女「一緒に旅してる……ついてきてもらってるって感じ」

少年「そう、か」スック

女「もう行くの?まだ降ってるよ?」

少年「もう変わる」

少年「次は霧にするから、移動するなら晴れてからにするといい」
 ▼ 60 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/09/01 22:15:00 ID:I8Ga4EZo [8/30] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
少年「どうせ、のんびりと行くんだろう?」

少年「」スタスタ

女(ポケモンたちがぞろぞろとついていく……って)

女「なんか、ホントに霧が出てきた」

女「あ、さよならー!」

少年「」ノシ













───というようなことがあった、その3日後。

雨に続いてきたうっとおしい霧が明けて、街に到着。

というイベントはとっくの昔に終わらせて、旅路を進んでいた。
 ▼ 61 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/09/01 22:16:04 ID:I8Ga4EZo [9/30] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
女「サーカスをひとしきり楽しんだのち、街を後にした私はそのまま道なりに進んでいき、農村にたどり着いたのでしたーっと」

女「名産品はカイスの実。過去に、カイス・ベスト・オブ・ザ・ベストに輝いたこともあるんだそうな」

女「……まぁ」


───人はあまり多くない。

よくある、過疎化の進んでいる村といった具合である。


女「木の実の名産地なんて、人が押し寄せるほど話のタネになるもんじゃないもんね……」

女(作り手は頑張ってるのに、むくわれないよなぁ)

女「ポケモンセンターがないらしいから、今日の宿を探さないと……」テテテッ



村長「若い人が来てくれるのはありがたいことだからねぇ。じゃんじゃん泊まっていき!」

農夫「若いのが二人も来てくれて村長もはしゃいどるのう!」ケタケタ

村長「このまま居着いて、若い人どうしでどんじゃか人口増加に貢献してくれれば万々歳なんだけんどねぇ!」

女「セクハラです」

村長「すまねぇ」
 ▼ 62 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/09/01 22:17:04 ID:I8Ga4EZo [10/30] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
女(ていうか)

女(もうひとり、私と同じくらいの人がいるのか)

村長「彼は今、山の方に行っていてねぇ。そのうち戻ってくるんじゃないかなぁ」

女(んで男性、と)

村長「奥さんが夕飯作ってくれてるから、じゃんじゃん食べたって」

女「ご相伴にあずかります」

農夫「ポケモンたちも出してやるとええ」



少年「戻りました」

女「あ、君……」

村長「ごくろーさん。」

村長「疲れたっしょ?食べて食べて、てるてるくん」

女「てるてるくん?」

女(肌の色はまっくろだし、髪もミディアムくらいの長さ)
 ▼ 63 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/09/01 22:17:50 ID:I8Ga4EZo [11/30] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
少年「とてもそんな感じじゃない、ってか?」

女「う」

少年「すまない、意地が悪かった」クスッ

農夫「てるてるくんは、雨が1ヶ月降り続いてた俺たちの村に、お天道様をつれてきてくれたんよ」

農夫「おかげで、カイスの実がダメにならずにすんだわい」

女「あぁ……それで、てるてるくん」

奥さん「てるてるくんを見たあとだと、お嬢ちゃんは雪の子のように見えるわねぇ」

少年「さしずめ、俺は泥団子ですか?」

奥さん「もう!皮肉やさんなんだから」


アッハッハッハッハ


女「そういえば、君の連れはどうしたの?」

少年「?」

女「ほら、ポケモンたち」

少年「!」ギョッ
 ▼ 64 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/09/01 22:18:52 ID:I8Ga4EZo [12/30] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
女「……ひょっとして、私のこと忘れてた?」

少年「……いや、大丈夫だ」

少年「そういや、ひさしぶりだな」

女「」

女「ていっても、先週初めて会って、ちょっとお話しした程度だもんね」

女「忘れててもしかたないよ」ニハ

少年「悪いな、すぐ思い出せないたちなもんで」

女「私も、また会うとは思ってなかったし」

奥さん「なぁに?お知り合い?」

農夫「付き合っちゃえよ」ケラケラ

村長「親戚のおじさんじゃないんだから……」ケラケラ

少年「ポケモンたちなら、納屋にいる」

女「納屋?」

少年「あいつらは、野生のポケモンだからな。俺についてきてはいる、が」

少年「人の多いところは、やはり落ち着かないらしい」
 ▼ 65 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/09/01 22:20:40 ID:I8Ga4EZo [13/30] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
少年「俺もそこで、寝泊まりさせてもらっている」

少年「」チラ


コータス達「「「「「「」」」」」」メシウメー


少年「お前の、連れか」

女「今日はバトルもしなかったから、そんなに疲れてないみたいだけど」

女「なにしろごはんがおいしいです」

奥さん「あらお上手」テレテレ

村長「しっかし、旅のトレーナーさんともなると、連れてるポケモンが立派だねぇ。旅は長いのかい?」

女「1年も経ってません。まだまだです」

農夫「でもお嬢ちゃん、腕に自信があるんじゃぁないかい?」

女「ジムに挑むこともありますけど、そんなでもないです」アハハ…

女「私なんて、全然」

少年「……」
 ▼ 66 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/09/01 22:22:40 ID:I8Ga4EZo [14/30] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
───そんな、なごやかなごちそうの時間も終わり、翌日。

納屋。


女「こんにちは」

少年「よく来たな、こんなところに」

女「泊まっておいてそれを言うのか……」

女「今日中には立とうと思ってるから、あいさつに来たの」

女「ポケモンたちも元気そうだね」

少年「ぁあ、いいことだ」

女「………」

女「」スー…

女「」ハー……

女「よし」キリッ

少年「?」

女「いくつか訊きたいことがあって」
 ▼ 67 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/09/01 22:24:21 ID:I8Ga4EZo [15/30] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
女「いい?」

少年「ぁあ、いいが」

女「君がこの村に来て、雨がやんだんだよね?」

少年「!」

少年「ぁあ、そうだ」

少年「村の人たちが困っていたようだったから、ロコンに頼んで晴れにしてもらった」

少年「そういうことは、よくあるんだ」

女「そっか、やっぱり」











女「じゃあそれは嘘だね」

少年「」ピクッ
 ▼ 68 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/09/01 22:25:28 ID:I8Ga4EZo [16/30] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
女「なんか、言いとがめるみたいになっちゃってごめんなさい」ペコ

女「あともうひとつ、ごめんなさい」

少年「???」

女「前に会ったとき、別れ際に君は言った」


少年『次は霧にするから、移動するなら晴れてからにするといい』


女「あの時、君は霧になる、じゃなくて"霧にする"と言った」

女「なぜそうしたのかはわからないけど、君は天気を霧にした」

女「でも、それはおかしい」

少年「何が、おかしいんだ?」

少年「ポケモンなら、天気を霧にすることくらい……」

女「できないよ」

女「少なくとも、きりばらいをしなきゃいけないような濃い霧を出せるわざもとくせいも、存在しないの」

女「君はバトルをしなさそうだから、知らなくても無理はないと思う」

少年「」
 ▼ 69 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/09/01 22:26:43 ID:I8Ga4EZo [17/30] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
女「だから、訊きたかった」

女「ひょっとして君は、自分の思い通りに天気を変えられるんじゃないの?」

少年「!!!!!!!!」ゾワッ

女「違うの。だったらどうするつもりだとかじゃない」

女「それに、私はこの村をもう出ていくつもりだし」

女「どうしようもない」

少年「」

少年「…………………………ぁあ」

少年「そう、だよ」

少年「だったら、どうだっていうんだ?」

女「君が、これからどうするつもりでいるのか、知りたい」

少年「知りたい、だ?」

少年「別に、変わらない」

少年「旅を、続ける」
 ▼ 70 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/09/01 22:28:18 ID:I8Ga4EZo [18/30] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
少年「それだけだ」

女「もうひとつのごめんなさい」

少年「は、なんだよ?」

女「昨日は嘘をつきました」

女「君と前に会ったのは3日前です」

少年「…………は」

少年「はぁあ、あぁあああ!?」

女「やっぱり、覚えてないんだね」

女「ポケモン達のことを覚えてるし、昨日の会話も覚えてるみたいだから───2日〜3日くらい、か」

女「それ以上昔のことを、覚えていられない」

女「ちがう?」

少年「……ちが、わねぇ」ゲンナリ

少年「お前、探偵かよ」

女「いや、もっと浅ましい何かだよ」ドヨーン

少年「なんで人のこと問い詰めておいて、自分でがっかりしてんだ?」
 ▼ 71 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/09/01 22:29:54 ID:I8Ga4EZo [19/30] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
女「いや、ホントに自分の図々しさに嫌悪感が止まらない、といいますか」

少年「自己嫌悪で自己完結されたら、こっちの警戒心のの行き場がないんだが」

女「それで、その……」

女「たぶんそのポケモン達みたいに、ずっと一緒なら忘れることもないんじゃないか、って思ったの」

女「どこかに定住すれば、そんな……その、わすれんぼは……」

少年「障害と折り合いをつけていける、って言いたいのか?」

女「………そうです」ドヨーン

少年「俺のムカつきの方向性変わるんで、その自己嫌悪やめてくんないかな」

少年「……悪いが、そんなつもりはない」

女「どうして?」

女「過去の経験が無くなるのが、怖くないの?」

少年「お前みたいな奴に、とっちめられることもあったかもな」

少年「だけど、俺は旅を続ける」ガサゴソ

少年「」スッ

女(ものすごく年期の入った本だ)
 ▼ 72 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/09/01 22:32:16 ID:mS7buqj. [1/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
少年「コレは、俺の両親との日記だ」

少年「両親のことはもう覚えていないが、ここにみんなの思い出がある」

少年「両親が、俺と同じように旅をしていたことも書かれている」

少年「人々の望む天気を届けて、そして少しずつ消えていく時間を生きていた」

少年「両親もやっていたことを俺もやってる、それだけのことだ」

女「じゃあ、君は」

女「自分の子どもにもそれをさせるつもりなの?」

女「そのあとの世代にもずっと?」

少年「……痛いな、その言い方」

少年「てかお前、ずいぶんお節介じゃないか?」

少年「図々しい自分に自己嫌悪していた割には、ずけずけと来やがる」

少年「お前、なんでそこまでお節介をやきたがるんだ?」

女「それは……ッ」

女「」グッ

女「………」フゥ
 ▼ 73 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/09/01 22:33:59 ID:mS7buqj. [2/5] NGネーム登録 NGID登録 報告



女「……私、これカラーコンタクトしてるんだけど」

少年「色つき、ってことか」

女「うん、黒いの」

女「目、赤いんだよね」

女「髪も、白いのを黒染めしてるの」

女「アルビノっていうんだって」

女「コンプレックスなんだ」

女「すごく嫌だ」フルフル

女「白い髪も、赤い目も、劣悪な運動神経も」

女「忘れたいことも忘れられない、バカみたいな記憶力も」

女「気づきたくもない他人の心の痛いところに、考えたくもないのに考えが及んじゃうのも」

女「そうやって気づいたことに、興味を持ってしまう自分も」

女「全部嫌い」
 ▼ 74 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/09/01 22:35:02 ID:mS7buqj. [3/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
少年「……で、それがなんで俺にかまうのさ?」

女「ものすごく失礼な言い方になるけど」

女「君を同類だと思った」

女「肌の色、アルビノの逆でメラニズムっていうのがあるのを聞いた」

女「黒人さんよりも濃い黒の肌の人がいるって」

少年「へぇ、そういう呼び方するのか」

女「どうして、わざわざ苦しい方に行こうとしてるの?」

女「旅をやめて、力も使わないで、日々を暮らせば、それで幸せじゃない」

女「どうして、そこまでがんばって人を助ける旅を続けるの?」

少年「?」

少年「…………」ピコーン

少年「……ぁあ、わかった」

少年「なんだ、お前」

少年「俺のこと、心配してくれてるだけか」

女「」
 ▼ 75 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/09/01 22:36:02 ID:mS7buqj. [4/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
少年「お前、優しいやつなんだな」

女「いや、私なんて……」

少年「俺、別にがんばってないよ」

少年「人を助けるのは、俺が助けたいって思ったときだけだし」

少年「旅は、両親がやっていたみたいだから俺もやりたかっただけだ」

少年「ひとりぼっちじゃない、だからさびしくないしな」

ニョロトノ「にょっろほっほ」ポンポン

少年「俺は、好きでこれをやってるんだよ」

少年「誰かにやらされてることじゃ、ない」

少年「俺は、全然平気だよ」

少年「しあわせてるよ」

女「!!」

女(しあわせてる……って)
 ▼ 76 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/09/01 22:37:00 ID:mS7buqj. [5/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
───助け合いながらなんとかしてる、とかそんなことだと思っていた。

しかし、何のことはなかった。

しあわせにやってる。

それだけのことだったのだ。


女「……はは」

女「考え違い……勘違いしてた」

女「恥ずかしい」

少年「恥ずかしがんなくていいよ、お前」

少年「ちょっと警戒したけど、なんだいい奴じゃん」ケラケラ

女「なお恥ずかしいよ……」カァア

女「私なんかが勘違いしてずけずけずけずけ……馴れないことなんてするもんじゃないね」モジモジ

少年「"なんか"、か……」

少年「お前、そこまで他人に踏み込むタイプでもなさそうだよな」

少年「俺が同類だと思ったから、か……」
 ▼ 77 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/09/01 22:39:19 ID:I8Ga4EZo [20/30] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
少年「それだけ、なのか?」

少年「他に、なんかあったんじゃないのか?」

女「………」



『そんな風に、自分を諦めないで』



女「////////////////」カァァァァァァァ

少年(さっきの羞恥の比じゃないな)

女「あのっ、あのあのあの」

女「ににに日記、見せてもらっていいかな」

少年「ぁあ、テンパってるな」ドーゾ

少年(顔隠してら)

ロコン「こぉん?」

フシギソウ「ソウダネ。コイダネ」


 ▼ 78 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/09/01 22:40:55 ID:I8Ga4EZo [21/30] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
───そのあとすぐに別れて、村を出た。

いささか早足で。

それから、半日ほどして。

女(顔を隠したくて日記を借りたけど)

女(日付が軽く何十年も前だった)ゾクッ

女「……コータス」

コータス「こぉ?」

女「あの子、何歳くらい?」

コータス「」フワァ……

女「コータス!」

女「人いないんだから、すっとぼけなくていいよ!」

コータス「わかんない」

女「わかんない?」

女「前、人の年齢とかわかってたじゃん」
 ▼ 79 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/09/01 22:41:59 ID:I8Ga4EZo [22/30] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
コータス「」

コータス「わかんない」

女「今の間は何だ」


───寿命が見えるだけで、そいつがどれくらい生きてきたかわかるわけじゃない。

そうではないか、と気づいたのは、夜になってからだった。


女(でも、それなら)


───それならば、さっさとそれを言えばよかったのに。

不自然な間をはさんで、コータスが言った「わからない」という言葉は。

彼女の胸にほんの少し───黄色いかけら程度の小さなしこりを残した。

そしてそれは、彼女自身のささやかな後悔へとつながることになるのだった。
 ▼ 80 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/09/01 22:43:44 ID:I8Ga4EZo [23/30] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
お天気ポケモンとまっくろくろすけ、おわり。

次回、未定

 ▼ 81 ロボーシ@きあいのタスキ 16/09/01 22:55:53 ID:nx3audEQ NGネーム登録 NGID登録 報告
大好き(*,,°^°,,)です
 ▼ 82 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/09/01 23:54:10 ID:I8Ga4EZo [24/30] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
───とあるトレーナーはこう考える。


男「ポケモンなんて、勝つための道具だ」

男「俺は合理主義だ。愛だの絆だの友情だの」

男「そんなもんは無駄なだけだ。考える必要もない」

男「俺は無駄なことが嫌いだ」

男「俺の思い通りの手となり足となる、そんなポケモンがいれば最良だった」

男「サーナイトっつうポケモンを選んだ理由は、せいぜいそんくらいだ」



 ▼ 83 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/09/01 23:55:30 ID:I8Ga4EZo [25/30] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
───とあるサーナイトはこう考える。


サーナイト「あたしたちサーナイト族は人間を慕い、主人のためなら命を捨てることも省みない、と一般的に思われています」

サーナイト「はっきりいって、人間本位のキモい思想ですわ」

サーナイト「忠誠?情愛?くだらない」

サーナイト「トレーナーなんてのは、勝利への筋道だけを考えてればいいんですの」

サーナイト「ちゃんとプランニングができれば、あたしが勝ってあげるんですもの」

サーナイト「あとはそうね……清潔にしてるならそれでいいですわ」



 ▼ 84 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/09/01 23:56:25 ID:I8Ga4EZo [26/30] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
審判「ワルビアル戦闘不能!」

審判「サーナイトの勝ち!」

「おぉ……」

「すっげぇ、あんな戦い方するサーナイトなんて初めて見たぜ」

「トレーナーの指示も的確だったな」

「あいつら、いったい何者なんだ?」

男(今日もちゃんと指示通り動いたな、本当使える駒だぜ)

男(さて、俺は合理主義だ)

男(パーティで場の雰囲気を盛り下げるような真似をしても、ひんしゅくを買うだけで、何の意味もないことを知っているタイプの人間)

男(周囲の人間といさかいを起こさないことは、自分自身の動きやすさにつながる)

男(世界の真理を理解しているにも等しい人間だが、もちろんそんなことを周囲に吹聴したりするようなおろかな真似はしない)

男(波風を立てない。他者を自分の手足として使うには、これが基本にして最良の手である)
 ▼ 85 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/09/01 23:57:14 ID:I8Ga4EZo [27/30] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サーナイト「さーな」フゥ

サーナイト(悪くない采配だった)

サーナイト(おかげで少しは楽に戦えましたわ)

サーナイト(一応付き従ってやっているだけのことはありますわね)

サーナイト(声や態度、身だしなみもキモくない程度に気を使うタイプの人間)

サーナイト(つるみやすい人間で結構結構)
 ▼ 86 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/09/01 23:58:04 ID:I8Ga4EZo [28/30] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
男(このサーナイトに限った話じゃないが、ポケモンってのは、なんやかんや主人に愛されているという実感というものがあると、パフォーマンスもだいぶ良くなる)

男(そう、円滑な関係というのは、何も人間に限った話じゃない)

男(こいつらは所詮道具だが、扱いに注意の要る電子機器みたいなもんだ)

男(こうやって、俺のおかげで勝てたようなときでも、モチベーションを高められるような対応をしてやる必要があるのだ)

男(言うほど大した苦労じゃない、がな)

サーナイト(人間は、ちょっとした調子のよしあしで思考の鋭さや反応の良さが上下する)

サーナイト(コンディションを調節しなければならない、ナイーブな生き物)

サーナイト(指示の的確さは、あたしがどれだけ楽をできるか、ということにもつながりますわ)

サーナイト(さて、ぶっきらぼうに対応してへそを曲げられるのもシャクですし)

サーナイト(愛想よく馴れ合ってさしあげるとしましょう)
 ▼ 87 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/09/01 23:59:01 ID:I8Ga4EZo [29/30] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
男(たとえパフォーマンスが下降気味になったとして、こいつを捨ててもまた使える駒が手に入るとは限らない)

男(また手に入れ直すという手段は非合理的だ)

サーナイト(調子が悪くなってなかなか好調にならなかったとして、見切りをつけるのは簡単ですが、この優良物件を手放すのは惜しい)

サーナイト(さわるのもはばかられるようなキモいトレーナーなんて、死んでもごめんですもの)



女「すごい」

女「あのペア、100連勝だって」

女「バトルを見ても、相当の手練れって感じです。見入っちゃう」



男「サーナイト〜!よくやったな、さすがだ!」

男「お前は最高のパートナーだぜ!」ダキッ

サーナイト「さぁ〜な!さっなさな♪」ギュッ
 ▼ 88 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/09/01 23:59:47 ID:I8Ga4EZo [30/30] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
女「仲良さそ」

女「きっと、切っても切れない、かけがえのないパートナーなんだね」フフ

女「見てるこっちが幸せな気分になるなぁ」

女「ああいう人達が、もっと増えるといいのにね」

コータス「こぉー」
 ▼ 89 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/09/02 00:00:10 ID:68AtjWuA NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
短編、おわり。
 ▼ 90 ドキング@おまもりこばん 16/09/02 00:02:29 ID:6O43a6Bg NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
身につまされる……
 ▼ 91 ガフーディン@たいりょくのハネ 16/09/02 01:43:19 ID:ejOD5qns NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
短編も好きっス
 ▼ 92 メテテ@トライパス 16/09/10 08:13:58 ID:j7xGEKjM NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
あげ
 ▼ 93 ガガルーラ@ふたのカセキ 16/09/16 18:54:25 ID:zhcM3oyg NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
あげ
 ▼ 94 ーピッグ@するどいくちばし 16/09/22 10:23:44 ID:cbEe4o52 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
保守!!
 ▼ 95 ガヘラクロス@さらさらいわ 16/09/30 20:51:24 ID:IyWdYkRE NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
あげ
 ▼ 96 ガサメハダー@ダイブボール 16/10/08 08:51:01 ID:2QgwuXuc NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
保守
 ▼ 97 ルミル@カイロスナイト 16/10/08 10:43:19 ID:klPMsQKY NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
更新きたかと思ったのに…
まだかなぁー( ・ω・)
 ▼ 98 ラードン@いでんしのくさび 16/10/17 01:16:22 ID:0GBY0HrY NGネーム登録 NGID登録 報告
保守上げ
 ▼ 99 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/10/21 01:23:10 ID:yvW4PYPs NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
生存報告

保守してくださっている方々、ありがとうございます

現在、次の話を組み立てて、少しずつ肉付けしながら書いている状態です

モチベーションやここ最近の私事も絡み、なかなか手をつけられていないのが現状ですが、終わりまで書ききろうという意思は維持しています。

もう少し、どころかかなり時間がかかってしまう可能性が高いですが、気長に付き合っていただければ幸いです
 ▼ 100 クーダ@リバティチケット 16/10/21 01:33:00 ID:u.uxr/a. NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
このSSいちばん好きなんです!
最後まで応援させていただきますね(*,,°^°,,)
 ▼ 101 イロス@かえんだま 16/10/21 09:20:38 ID:HPa9WNbk NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
>>99
楽しみに待ってるよ。
 ▼ 102 ガルガン@みどりのかけら 16/10/30 14:57:48 ID:eMl2QTd. NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ほしゅー!
 ▼ 103 ネブー@レインボーパス 16/11/08 20:16:31 ID:TMIqvKN6 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
あげ
 ▼ 104 ブンネ@カメックスナイト 16/11/18 22:10:34 ID:XMEl.oRk NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
あげ
 ▼ 105 ガジュペッタ@ひみつのコハク 16/11/25 23:09:50 ID:b67HE2lg NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
たのしみー!
 ▼ 106 ガミミロップ@スピアナイト 16/11/30 18:07:26 ID:sV18W1Hc NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援あげ
 ▼ 107 イケンキ@デボンボンベ 16/12/07 20:32:51 ID:M3Q6OURg NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
保守
 ▼ 108 ードラン@トウガのみ 16/12/11 16:10:00 ID:7tgA77GA NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
保守
 ▼ 109 ッシード@ヤタピのみ 16/12/19 01:23:46 ID:IE2c.Z/s NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
保守だよっ!
 ▼ 110 ニラン@リニアパス 16/12/19 17:27:56 ID:E9r26Z5U NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
保守
 ▼ 111 ーパーパンプ人◆kIHk8l4MgY 16/12/19 17:30:25 ID:T3ysl0e6 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
この作品は楽しみにしているのだけれど……。
 ▼ 112 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/12/20 17:40:24 ID:oLRA5Cio [1/19] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
保守ありがとうございます

遅くなりましたが、更新します
 ▼ 113 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/12/20 17:41:04 ID:oLRA5Cio [2/19] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
女「ナナカマド博士の研究所に2ヶ月ほどお世話になりました」

女「一般教養だとか、ポケモンの基礎知識といった勉強をすることが、このところの日課でした」

女「研究所に来る子どもと遊んだり、博士が将棋やオセロといった盤ゲームを持ち出して、直接遊んでくれるようなこともありました」

女「なんかアニメもいっぱい見た」

女「博士の研究について話を聞いたり、議論することなんてことはしょっちゅうでした」


───10代の女の子が?研究者のおじいさんと?研究のおはなし?

議論?

はい?


女「研究所にいたポケモン達も人懐っこくて、毎日引っ付かれっぱなしでした」

女「正直、いっぱいいっぱいで幸せで」

女「このままマサゴタウンに身を置くのも良いかと思っていたのですが」

女「研究所にこもるよりも、旅に出て見識を広めた方がいいだろう、とのことで」

女「旅をするにあたっての指南を受けた上で、私は送り出されました」

女「初心者トレーナー用のポケモンはもらっていません」
 ▼ 114 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/12/20 17:42:00 ID:oLRA5Cio [3/19] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
女「一匹だけ選ぶなんてできなかったし、旅は大変なこともいっぱいあるだろうから、付き合わせるのも………なんか嫌で」


───どのみち他のトレーナーのパートナーになるのだから変わらない気もするが。

嫌なものは嫌だった。


コータス「僕はいいのかよ」ムスッ

女「何が起きても涼しい顔してるし、大丈夫かなって」

コータス「ちぇ」

女「ひとまずの目的は」



ナナカマド『ひこうタイプのポケモンを捕まえるといい』

ナナカマド『空を飛べる仲間がいるだけで、旅の大きな助けになるだろう』



女「仲間……と」

女「もらったモンスターボールは5つ」

女「このあたりで捕まえられるのは、ムックルか」パシュン
 ▼ 115 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/12/20 17:43:17 ID:oLRA5Cio [4/19] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ポケモン図鑑『ムックル。むくどりポケモン。たくさんの群れで行動する。体は小さいが、はばたく力は非常に強い』

女「ふむ」チラ

ムックル「ぴぃ」

女「あれだ」

女「コータス、捕まえよう」

コータス「こぉーあ」ノソノソ

女(かったるそう)

女「ストーンエッジして」

コータス「こっ」

がきんっ!!


───コータスのストーンエッジは、ムックルのくちばしをかすめて地面に突き刺さった。


ムックル「ヒィエエエエエエ!!!!!!」ガンメンソウハク

ムックル「ぴぴっぴぴぴぴぴっっ!!ぴぃーーーーッ!!!」バサバサバサ



 ▼ 116 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/12/20 17:45:39 ID:oLRA5Cio [5/19] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
女「近くにいたムックルまで逃げてった」

女「人間みたいな悲鳴あげてたな……どうしよう」


───地面に突き刺さったまま、直立不動のストーンエッジを眺めながら呟く。

こんなん直撃したら死んでしまう。


コータス「ほはぁ」フワァ

女「そうだ、あくびで眠らせればいいんだ」



───ムックル再発見。


女「さぁあくび!どうぞ!!」

コータス「」フワァ

ムックル「???」フワァ

女「よし、眠ったらボールだ」

女「」ジッ

コータス「」ボー
 ▼ 117 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/12/20 17:46:27 ID:oLRA5Cio [6/19] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ムックル「??」エッ、バトルセエヘンノ?

ムックル「ぴぴぴ」ジャアオレラ、オウチカエルデ

ムックル「ぴい」パタパタパタ

女「………」

女「………普通に逃げられた」

女「超ナチュラルに飛んでかれた」

コータス「こぉ……」


───もう一度同じ作戦をしてみた。

今度も逃げられそうになったので、走って追いかけた。

仲間と飛んでいくムックルが眠る前に、彼女の方がバテた。


女「しかも……ハァ……コータス、と……ゼェ…………はぐれかけ、へぇ………た……ひぃ」

コータス「僕に足の速さを期待すんなよ」



 ▼ 118 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/12/20 17:47:29 ID:oLRA5Cio [7/19] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
女「開きなおって攻撃したら、ムックルが事切れ……はしなかったけど」

女「地面に転がってるところを仲間にピックアップされて、そのままどっかに逃げてった」

女「脅せば逃げられ、あくびでねむり待ちしたら逃げられ、ノックアウトしても逃げられる」

女「ポケモンを捕まえるって難しいね……」ゲンナリ

コータス「なんでだろうねぇ」

女「………バトルして、技当てて、弱らせて、ボール投げつけて、でいいはずなのに。弱らせて捕まえるってだけのを、普通のトレーナーはどうやってるんだろう。みんな、説明もらってそのあと実践してみてるんだろうけど……指南してる動画とか探してから出た方がよかったかな。実際、逃げられを連続してるあたりやっぱり何か問題があるはずなんだ……他の初心者トレーナーと私の違う点」ブツブツブツブツ

コータス「出た〜……」ウヘェ

女「最初のパートナーがコータス、旅立ちが11歳……そういえば、研究所に来てた男の子に「お前天然なとこあるよな」って言われたことあったな」ムカッ

女「……いや、関係ない。私てんねんじゃないし」


───思い出してちょいキレするとか余裕ありますね。


女「あ」

ムックル「ぴぃ?」


 ▼ 119 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/12/20 17:48:09 ID:oLRA5Cio [8/19] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
───今日何羽目かのムックル。

しかしそのムックルは、それまでに出会った個体とは何かが違っていた。

"彼"を見た瞬間に感じたものが、いままでとは全く違っていたのだ。

ここまでピンと来ていなかった感情がピタリと、まるで詰まっていたパズルの最後の数枚がパチパチと流れるようにはまっていくかのような。

そんな快感にも似た感情を覚えたほどだった。


女「」

コータス「……どうしたの?」

女「え?いや、ううん。何でもない」

女「今はとにかく、当たっていくしかないよね」スチャ

女「……そういえばここまで、ボール投げてない」

女「そりゃ捕まるわけないじゃん!」ガーン

コータス「投げるヒマがなかったじゃん」

ムックル「」ジロッ

女「……超にらまれてる」
 ▼ 120 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/12/20 17:49:04 ID:oLRA5Cio [9/19] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ムックル「」ビキビキビキ

女&コータス「「こっわ」」

女「何何何??なんであんな敵意剥き出しなの?視線合っただけだよ?」

ムックル「ぴぃ……ッ」ザッ

コータス「はぁ?」ムカッ

女「え、なんて?」

コータス「「ケッ、またトレーナーか……潰しても潰しても出てきやがんな。シラミかっつうの。見るからに軟弱な初心者トレーナーって感じじゃねえか」」

コータス「「てかなんだお前、あんま見かけねぇ顔だが、わざわざそんなガキについて回ってンのか」」

コータス「「ひょっとして、「ボク人間大好き〜」って口か?気持ちわりぃな」」イライラ

女「君の怒るポイントが実にわかりやすい」

女「てか、ぴぃ、としか言ってないよね。どんな情報量?」

ムックル「ぴぃ(ただ者じゃねえことは見ればわかるが……やっぱり物好きとしか思えねぇ)」

コータス「こぉ(へぇ、口と頭の悪いだけのヒヨッコじゃないんだね。少しくらいは目が利くらしい)」

ムックル「ぴぴるぴ(見下してんじゃねえぞこの異常性癖ヤロー)」

コータス「こぉーたす(眼は良いけど短慮で浅慮だねぇ)」
 ▼ 121 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/12/20 17:49:41 ID:oLRA5Cio [10/19] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ムックル「」ギンッ

コータス「」ニヤァ

女「何この間」

女「こぉ、とぴぃ、で何を会話してるっていうの……?」

女「て、ハッ!」

女(今、話ができる状態なんだから、コータスに交渉してもらってゲットすればいいのでは!?)

女「……ねぇ、コータス。このムックル説得できないかな」ボソッ

コータス「はぁ?」

女「うまく交渉した上でゲットできれば、無意味にバトルしなくてすむと思うの」

コータス「こー、たすたす(……とか言ってるけど?)」

ムックル「ぴぃ(NO!だ)」

ムックル「ぴぴぴ(人間なんてのは、ろくでもない連中ばっかだからな)」

ムックル「ぴっぴっ(日和る、怖じ気づく、裏切る、口だけで本気じゃない。そんな奴らについていく理由がねえよ)」

ムックル「ぴー(おうち帰ってママと花嫁修行でもしとけ、クソガキ)」

女「どんな煽りだよ」
 ▼ 122 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/12/20 17:50:28 ID:oLRA5Cio [11/19] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
コータス「かわいいからそっちの方がいいって意味じゃない?ほめてるんだよ」

女「や、やめてよ。そういうからかいかたするの///」

ムックル「ぴぃぴぴぴるぴ!(ほめてねえよプラス思考か!)」

ムックル「ぴぃーぴ」ケッ

ムックル「」パタパタ

女「あ、ちょっと!」

コータス「「くだらねー。相手してるのがバカらしくなってきたぜ、じゃーなマヌケ」って」

女「はぁ……」シュン

コータス「罵られたくらいで何へこんでんのさ」

女「いや、そうじゃなくて」

女「なんか……仲間にするならあの子がいいな、って思ったというか」

コータス「えぇ?趣味悪ぅ」ウゲェ

女「違うよ、そうじゃなくて、初めてなんだこの感じ……うまく表現できない」

女「なんかこう……ビビビーッと来て、「この子だ」って思ったの」

コータス「………いや、何言ってんの?」
 ▼ 123 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/12/20 17:51:14 ID:oLRA5Cio [12/19] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告



───気づけば、日が暮れ始めていた。


女「こりゃ、次の町のポケセン目指してたら、真夜中になっちゃうな……」

女「かといって、戻るのももう無理だ」

女「まさか出立して初日で、この選択をすることになろうとは」

女「……野宿しよう」



女「大体のキャンプ用品は折り畳みが利く。実にコンパクト」カチャカチャカキン

女「そして安い」キラーン

コータス「貧乏性は人間性を狭めるよ」

女「」クルッ

コータス「こぉ」

女「……倹約家と言ってほしいものです」テキパキ

女(……なぜ、ナナカマド博士は私を旅立たせたんだろう)
 ▼ 124 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/12/20 17:52:07 ID:oLRA5Cio [13/19] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
女(金食い虫だからかな)

女(あんまりものを消費しないようにしていたし、お金を入れようと思ってアルバイトを探し始めたりもしていた)

女「もうちょっと早く始めればよかったか」キュルキュル

女(このランタン、推奨してる分よりも少しバルブをゆるくした方が火がもつって言ってたな)

女(おふるだと、何かと工夫がいるらしい)

女「そういえば、野良で使える道具を色々もらってたんだった。使い方を確認しとこう」

コータス「てかさぁ」

女「ん?」ナゲツケルトニゲラレルー

コータス「このペースじゃいつまで経っても進めないよ」

コータス「いつまで202番道路にいるつもりぃ?」

女「あのムックルをゲットするまで」ツカウトムシコナイー

コータス「はぁあ?」ゲンナリ

女「各地を転々としてるってわけでもなさそうだし、明日いっぱい使ってもう一度会う」

女「必ずゲットする」フンス

コータス「なんでそんな執着してるのさ……」
 ▼ 125 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/12/20 17:52:56 ID:oLRA5Cio [14/19] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
女「ビビビーッときたんだもん」

コータス「」

コータス(この子がこんなムキになってんの、初めて見たなぁ)

女「よし、把握した」

女「それじゃ、おやすみ」



















───夢を見た。
 ▼ 126 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/12/20 17:53:47 ID:oLRA5Cio [15/19] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
最近見るようになった夢。

荒野にぽつん、と枯れそうになっている雑草があった。

普段なら気にもしなかった。ひょっとしたら知らぬうちに踏んづけて、とどめを刺していたかもしれない。

だがその時、その雑草を見つけたとき、なぜだか目について、なぜだかしかたないなぁ、と思ってしまって。

気付いたら、自分の手に傷をつけて、その雑草に血を落としていた。

見る見るうちに雑草は元気になっていくが、反対に自分はどんどん力を失っていく。

やめればいいのに、やめることができるはずなのに、そうやって、気まぐれな献身を意固地に続けて。

雑草が持ち直した頃には、自分はすっかり血を出しきっていた。

あーあやっちゃったよ、と思いつつも、元気になった様子の草を見て、しかたないな、とため息をつく。

わけてやった血が要らなくなるくらいにこの草が大きくなったら、返してもらえばいいや。

そう思ったところで、目がさめる。



 ▼ 127 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/12/20 17:54:39 ID:oLRA5Cio [16/19] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ムックル「」ツイバミ

ムックル「」モッチャモッチャ


───お昼です。


ムックル「?」

ムックル2「」パタパタパタ

ムックル3「」パタパタパタ

ムックル4「」ボトッ

ムックル「」フイッ

ムックル4「オイテメー顔背けんじゃねえ笑ってるんだろ」

ムックル4「見なくてもわかるんだからな」

ムックル「んん?ん?」

ムックル「大所帯でやって来たと思ったら、なんだ?デブのままじゃねえか」プッ

ムックル「そんなだから飛ぶのヘタクソなんだろ」プヒッ

ムックル「また負けたくなかったらダイエットしてこいっつったのに」ククククッ
 ▼ 128 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/12/20 17:55:46 ID:oLRA5Cio [17/19] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ムックル「向上心ないのな」アハハハハハハ

ムックル「そのわがままボディ見てるだけで腹筋割れるわ」アッハッハッハッハー

ムックル4「」ビキビキビキ

ムックル4「わかってるようで全然わかってないみたいだから教えてやるけどなぁ」

ムックル4「お前の味方はここにはいないんだよ。な?」

ムックル2「まぁな、なんかムカつくしな」

ムックル3「だよね。くさいし」

ムックル4「いい加減、俺たちみんなお前にはうんざりしてんだよ」

ムックル「一人じゃ勝てないからってしたっぱ集めるあたり、実にみっともなくてよろしい」

ムックル「別にいいぜ。3対1なんて大したハンデにもならねえからな」

ムックル「食後の運動にのしてやる」

ムックル4「は?何言ってるんだお前」

ばさばさばさばさばさばさっ!!!



ムックル「───」
 ▼ 129 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/12/20 17:56:20 ID:oLRA5Cio [18/19] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


ムックル4「俺たち"みんな"、お前にはもううんざりしてんだよ」

 ▼ 130 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/12/20 17:58:22 ID:oLRA5Cio [19/19] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
───まんまるなムックルの背後から飛び出してきた、そのおびただしい数のムックルの群れ。

その1羽1羽が、こちらに対して明確な敵意を向けているのをピリピリと感じて、自然と彼はほくそ笑んでいた。


ムックル「少しは歯応えありそうじゃねぇか」ニヤァ

ムックル4「抜かせよバカが」


───何の合図もかけ声もなく、ムックルの群れはたった1羽に一斉に襲いかかった。

まるで、灰色の毒ガスがおおいかぶさったかのようだった。

しかし、ムックルは怯まない。

群がる同種達をつつき、はたき、蹴り飛ばしながら、少しずつその数を削っていく。

そうやって善戦しながらも、そのペースに見合わない傷を負っていく。

およそ、全員返り討ちなどほど遠い、しかし、尋常でないほどの大暴れをしながら、体力も、スタミナも敵もどんどん減らしていく。

数に任せて襲いかかったものの、反撃されてそのままノックアウトまで押し込まれてしまった個体からしたらたまったものではなかった。

この数で攻撃して、それでもまだ倒せないのかよ、と。

どこまでも気に入らない、いけすかない、にくたらしい、くさい、目障りで鬱陶しいこのはぐれものを、一刻も早く視界から消し去りたいのに、と。

そんな敗者を産み落としながら、独りぼっちのムックルは無数の同種達に牙をむく。
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