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【SS】アシレーヌ「ポケモンサーカス団エクリプス!」

 ▼ 1 1◆J44kAZeDOM 17/03/28 06:26:17 ID:cWAt11WY [1/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告







――太陽と月が交わる時、新たな光が産み落とされると言う。






 ▼ 2 1◆J44kAZeDOM 17/03/28 06:26:36 ID:cWAt11WY [2/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告







プロローグ






 ▼ 3 1◆J44kAZeDOM 17/03/28 06:27:10 ID:cWAt11WY [3/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
高くバルーンを跳ね上げる。

そう簡単には割れない奴だ。これを、いかにして声で割るか。

最終形態まで進化したオイラは、以前までの軽やかなジャンプは失われてしまった物の、代わりに美しい音を得た。

もちろん、跳ぶ事自体は可能であり、それを活かしたパフォーマンスだって、当然練習している。

けれど、そちらの感覚は、水による浮力のお陰か、感覚だけで言うならそこまで酷くは変わっておらず、そのリズムを取り戻すために、ニャビーが進化した時程厳しい練習は不要だった。

そして、その分を、新たに手に入れた、この声の練習に費やしているのだ。

小さくオイラは息を吸い込み、そして高らかに歌い上げる。

意味なんて何もない、ただ、綺麗な音を。

しかし、それはバルーンを震わせるだけで終わる。


アシレーヌ「あっちゃー、失敗かー……」


オイラは空を見上げて、そう呟いた。

まだまだ、声とバルーンの融合には程遠い。もっとしっかり練習しなければ。
 ▼ 4 1◆J44kAZeDOM 17/03/28 06:27:42 ID:cWAt11WY [4/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
と、思った時の事。

バルーンが、突如として弾けた。

それは雨となり、屋外で練習していたオイラの体を濡らした。

え、と声が漏れる。

そう簡単に、それこそ、オシャマリとニャヒートが中に入っても割れない強度のバルーンを、いとも簡単に破壊した、何かがいる?


アシレーヌ「な、何……?」


問い掛けに、スッと横切る白と赤を基調とした5つの刃が答えた。


「綺麗な声だったね、カグヤちゃん」
 ▼ 5 ウワウ@ずがいのカセキ 17/03/28 06:30:25 ID:cWAt11WY [5/5] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
このSSは
【SS】ポケモン不思議のダンジョン 花の盗賊団(http://pokemonbbs.com/poke/read.cgi?no=563163
と相互補完しながら進行していきます
単体でも読めなくはないと思いますが、こちらも合わせて読む事を推奨します

基本的に盗賊2章→サーカス1章の順に読む事を想定しています
 ▼ 6 リリダマ@れいかいのぬの 17/03/28 14:33:27 ID:TpkDBWug NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
リオルとイーブイとチョロネコのSSとレントラーのシンオウ1周のSS書いてた人か
支援
 ▼ 7 1◆J44kAZeDOM 17/03/29 20:43:15 ID:WmToOqec [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
盗賊団編 プロローグ・1章・2章

http://pokemonbbs.com/poke/read.cgi?no=563163&l=1-37
 ▼ 9 1◆J44kAZeDOM 17/03/30 20:54:25 ID:o.RG/8e6 [1/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告







1章 エクリプスの再来






 ▼ 10 1◆J44kAZeDOM 17/03/30 20:55:00 ID:o.RG/8e6 [2/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「ウルトラビースト、というのを知っておるかの、ジュナイパー」


……知っている。僕は、確かにそう呼ばれる生命体と一度接触した事がある。

けれど、どうしてその単語が、急にこの顔なじみのジジーロンの口から飛び出して来たのだろう。


ジュナイパー「知ってますけど……」


僕とウルトラビーストとの接触は、数年前、僕がまだ、サーカス団エクリプスの団員として勤め始めたばかりの頃だった。

入団してすぐの公演で、照明係のエーフィとブラッキーのツインズを追いかけて、ミリスの街からヤレユータンと後1匹、あれ誰だっけ、まあいいや、の2匹でやって来て、それからいろいろあって、事情を説明してもらう直前に、2匹はそのビーストにやられた。

ヤレユータンはやられてこそいないけど動きを止めるため異世界へ2匹でワープしたのか、そのビーストと。

そこに、僕とアシマリは居合わせた。だから、会った事さえあると言ってもいい。


ジュナイパー「でもなんで、なんで急に?」

ジジーロン「ワシからの依頼みたいなもんじゃよ。そのウルトラビーストとやらに関する情報を、あるポケモンに聞かせてやって欲しいんじゃ」
 ▼ 11 1◆J44kAZeDOM 17/03/30 20:56:03 ID:o.RG/8e6 [3/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
あの事件以来、僕はアママイコと共に探偵事務所を開いた。

考えるのが好き、という特性を活かしてそうしたら、とアママイコからアドバイスをもらったのだ。

で、その事務所兼住居を構えた場所のすぐ近くに、このジジーロンの家があり、それから顔なじみとしてヒマな時は話に付き合ったりする仲にはなっている。

その彼から、依頼。これは、初めての事だった。

意外な展開に僕は彼の顔を見詰める。穏やかなその顔からは何を内に秘めているのかさっぱりだ。

僕はため息を吐くと、今となってはもう進化前のようにぐるぐるとは回らない首を傾げ、しばし思考を巡らせた。

ジジーロンはいいポケモンだ。それは断言できる。

けれど、騙されているのではないか。お年寄りは、詐欺に引っかかりやすいともいうし、まして今回の目的はウルトラビースト。

世界を破壊しかねない話題だ。そうやすやすと広めたくはない。


アママイコ「すいませんねジジーロンさん。うちのこれ、考え込むと潜り込んで止まらないから」

ジジーロン「構わんよ。年寄りからしたら、少し待つ事ぐらい気にもならんわい」

ジュナイパー「いえ、もう大丈夫です」
 ▼ 12 1◆J44kAZeDOM 17/03/30 20:57:03 ID:o.RG/8e6 [4/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ジュナイパー「その前に、ひとつだけ。そのポケモン、いいポケモンですか?

       ウルトラビーストを利用しようとする悪いポケモンだったら世界がとんでもない事になる」

ジジーロン「そこは心配せんでよい。間違いなくいいポケモンじゃよ」

ジュナイパー「どうしてそう言えるんですか?」

ジジーロン「ワシの孫を助けてくれたからの」

ジュナイパー「……そうですか。まあ、その辺はジジーロンさんを信じます。いつですか?」

ジジーロン「1週間後じゃよ。場所はワシの家じゃ」

ジュナイパー「わかりました。受けますよ。ただし、依頼になりますし、料金は発生しますけど」

ジジーロン「構わんよ」

ジュナイパー「まあ、内容も内容だし、依頼主があなたなので、格安でいいですよ」

アママイコ「ちょっとジュナイパー?!」

ジュナイパー「ごめんごめん。でも、時間はそう取られない。元とは言えエクリプス団員の務めも果たしたいし。

        貯金はあるでしょ?」

アママイコ「あるっちゃあるけど……わかった。仕方ない。あなたの好奇心はもう、止まらないんでしょ?」

ジュナイパー「うん」
 ▼ 13 1◆J44kAZeDOM 17/03/30 20:57:41 ID:o.RG/8e6 [5/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
なぜ今、ウルトラビーストに関して調べたいポケモンがいるのか。

悪いポケモンでないとすれば、その狙いは何なのか。

隠していたのだが、やっぱりアママイコは欺けない。

今の所あり得ないけど将来別の♀に言い寄られたら死にそうだな、と思う。


ジュナイパー「ありがとね、わかってくれて」

アママイコ「仕方ないよ。じゃあジジーロンさん、料金は……」
 ▼ 14 1◆J44kAZeDOM 17/03/30 20:58:22 ID:o.RG/8e6 [6/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ジジーロンが自宅へ帰って行き、僕はまず、天文台の街イスカーを目指す。

次の日食……エクリプスはいつかを確かめるために。ウルトラホールの奥の世界とこの世界が最もつながりやすい日、それ即ちエクリプス。

ウルトラビースト。異世界からの侵略者がやって来る日だ。

懐かしい響きに、思わず僕は俯く。

今日は、数日の旅の準備に追われていた。

明日の朝出発し、情報を集め、帰って来た辺りで、ちょうど1週間ぐらいになるだろう。

そう遠くはないのだ。けれど、決して近くはない。


アママイコ「この保存用リンゴと、ピーピーエイダー、後保存用オレンと……」

ジュナイパー「こんなもんかな。よし、ありがとう」

アママイコ「どういたしまして!」


彼女はニコリと微笑んで見せる。
 ▼ 15 1◆J44kAZeDOM 17/03/30 20:59:14 ID:o.RG/8e6 [7/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ああ、この顔が、アママイコだ。数年の間一緒にいるが、この顔だけはいくら見ても飽きる事がない。

ふと空を見ると、辺りには星が煌めいている。もう夜だ。

月はない。新月のようだ。


アママイコ「もう、寝なくちゃね」

ジュナイパー「だね……でも、ちょっとだけ……」
 ▼ 16 1◆J44kAZeDOM 17/03/30 20:59:57 ID:o.RG/8e6 [8/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
翌朝、少しのつもりが大幅に伸びてしまったせいでまだ眠い目をこすりつつ僕は翼をはためかせた。

アママイコはまだ眠っている。だいたい責任は僕のお誘いだから仕方ない。寂しく出発するとしよう。

かばんを背負い、そして飛んだり歩いたり。

微妙な所なのだ。進化して以来、純粋な飛行は苦手になった。

滑空ならできるのだけれど、移動にはあまり有利にもならない。

過去を割り切ったつもりで、結局過去に縋る。まあ、縋る過去は別種なのだけれど。

でも、なんだかこの訳のない空想が、何かの暗示なような気がして、僕の背筋は思わず震えた。

はあ、とため息を吐く。

エクリプス時代を彷彿とさせるような単語に、思わず辟易した。

まだ、少し眠たいらしい。

そしてしばらく後、寝ぼけ眼では危険な箇所に差し掛かる。

不思議のダンジョンと呼ばれるものだ。もっともここは、そう危険度の高いダンジョンではないが。

それでも自我をなくして狂暴化した敵が襲い来る、探偵業務でもなければあまり近寄りたくはない箇所。

アシマリと、リンゴを回収しに行ったっけ。そんな風に、僕の胸を懐かしさが襲う。

頭を振り、僕はかばんの感触を感じながら、ダンジョンへ突っ込んだ。
 ▼ 17 1◆J44kAZeDOM 17/03/30 21:00:42 ID:o.RG/8e6 [9/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
羽を1本、敵の影を縫い付ける役割で弓のように放つと、彼らは動けなくなる。いわゆる「かげぬい」だ。

後は遠距離攻撃にだけ警戒しつつ、それをゆうゆうとかわして階段を捜すだけでいい。

バトルもできない事はないのだけれど、気付けばそれを避けるようになっていた。

もちろん避けられるものは避けるに越した事ないが、大人になったと言う事か、とも感じる。


ジュナイパー「さ、行くか」


簡単にダンジョンを抜けると、もう夜。細い細い月が出ていた。

今夜はここで野宿だな。

そう決めると、僕はその辺に寝転がる。

羽毛やフードが保護してくれるから、藁を敷く必要もない。あればそれはもちろんいいのだけれど、なくても支障はないのだ。

草タイプに加えて、ゴーストタイプ。もはやたき火をする必要すらない。

野宿と言うのはだから、僕にとって、荷物を取られないように気を付けながら屋外でただ眠るだけ、特別な準備は不要なのだ。
このページは検索エンジン向けの機能制限版の旧ページです。
下URLから閲覧下さい。
https://pokemonbbs.com/post/read.cgi?no=563304
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