【SS】 白いスカーフ:ポケモンBBS(掲示板) 【SS】 白いスカーフ:ポケモンBBS

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【SS】 白いスカーフ

 ▼ 1 ワーク@ヨプのみ 15/03/02 22:43:31 ID:7z6k21mA NGネーム登録 NGID登録 報告
※お読みください※

・公式設定の改変

・人間は出てきません

・通常覚えない技の使用

・一部オリジナル技があるかも?

・話により語り手が変わることがあります。

・誤字、脱字、足りない表現はそれぞれ妄想力でカバーしてね!

・始めた限りは完走したいです。


ではよろしくどうぞ!!
 ▼ 62 1 15/03/10 22:34:57 ID:xGhvOa3k [1/4] NGネーム登録 NGID登録 報告
〜第15話〜


エーフィ[あなたと おはなし できたら いいのに]

気づけば、私はそう綴っていた。

簡単な会話ではあるが、彼と話した。
ただ、全ての文字が伝わるわけではない。

「理解(わか)ること」、「理解(わか)らないこと」
それらが増えていくたび、私はアブソルともっと話をしてみたいと思っていった。


――ここで彼はこんな質問をぶつけてきた。

アブソル「君は、なぜ言葉を?」

気にしていたのは分かっていた。
私と対面した者は、まずその疑問をもつのだから。
 ▼ 63 1 15/03/10 22:36:10 ID:xGhvOa3k [2/4] NGネーム登録 NGID登録 報告
不躾にすぐ聞いてくるものもいれば、私を気遣い最後まで何も聞かないものもいた。
恐らく彼は後者だったのだろう。

しかし、私の綴った文字が彼の疑問を言葉にした。

私は、少し迷ったがスカーフを解く。
この傷を見せたものは少ない。やはり、醜いものだから。

それでも、彼になら見せても良いと思った。
……なぜだろう?

彼の表情が固まる。


そして、


アブソル「辛かったね。」


そう聞くと、不思議と涙が溢れてきた。
 ▼ 64 1 15/03/10 22:39:19 ID:xGhvOa3k [3/4] NGネーム登録 NGID登録 報告
〜第16話〜


アブソル「君は、なぜ言葉を?」


しまった!


俺はそう思った。エーフィの文字を見てつい言葉が出てしまった。

彼女は目を伏せる。

アブソル(やってしまった。)

アブソル(嫌われたかもしれない。)

激しい後悔の念に苛まれる。

エーフィ「……。」

アブソル(俺って最低な奴だな……。)

そして、

彼女はそっとスカーフを解いた。


アブソル「!!!」
 ▼ 65 1 15/03/10 22:40:21 ID:xGhvOa3k [4/4] NGネーム登録 NGID登録 報告
思わず目を逸らす。
彼女の首には大きな傷があった、大きな牙の痕だ。

アブソル(よくこの傷で……!!)

生きているのが不思議なくらいの傷。
傷の古さから見て、幼い頃に負ったものだろう。
恐らく、襲われたのだ。

そして彼女は生き残った。声を失って。

エーフィの表情からは何を思っているのか読み取れない。
だが、相当苦労してきたはずだ。

アブソル「辛かったね。」

今の俺に思いつくのはこれくらい。
こんなとき、気の利いた言葉が出てこない自分が情けない。


エーフィの頬を涙が伝う。

アブソル「……。」

俺は迷ったが、そっと彼女を抱きしめた。
 ▼ 66 1 15/03/11 23:12:14 ID:jfVwHaSQ [1/4] NGネーム登録 NGID登録 報告
〜第17話〜


「強くあれ」「弱さを見せるな」

そう師匠から訓えられてきた。

彼女の弟子になり10年。他人の前では涙を見せなかった。
辛いことを思い出すたび、唇を噛みしめ耐える。
そして夜、寝床でひとり泣いた。

今は彼の腕の中にいる。初めて他人に見せた弱さ。
涙は止まらないが、不思議と気持ちは楽になる。


「そちにも、いずれその傷を癒す者が現れよう。」


師匠の言葉が頭を過ぎる。
 ▼ 67 1 15/03/11 23:13:38 ID:jfVwHaSQ [2/4] NGネーム登録 NGID登録 報告
初めは見た目の傷が消えるだとか、声が出るようになるだとか、
そういうことを思っていたけれど、今理解した。


「こころ」の傷を癒す者。


師匠の言っていたことは、こういうことだったんだ。


――ひとしきり泣き。落ち着く。

彼の胸は私の涙で濡れていた。
私はそっと離れる。

……なんだか申し訳ない。
気まずさと、恥ずかしさから彼を見れないでいると。

アブソル「少しは落ち着いたかい?」

そうやさしく声をかけてきた。
 ▼ 68 1 15/03/11 23:19:18 ID:jfVwHaSQ [3/4] NGネーム登録 NGID登録 報告
〜第18話〜


彼女は泣く、俺の腕の中で。
妹をなだめる時の様にそっと抱くが、今回はその時とはまるで違う。

アブソル(ど、どうしよう。)

女子を泣かしてしまった。頭の中がぐるぐると廻る。
彼女は泣き続けるし、俺もどうしていいのか分からない。
今は、じっと成り行きに任せるしかなかった。



――彼女は泣き止む。


静かに俺を離れ、目を伏せている。

気まずい。

こんなとき、どう行動すれば正解なのかは分からないが、
ひとまず声を掛けてみる。
 ▼ 69 1 15/03/11 23:19:51 ID:jfVwHaSQ [4/4] NGネーム登録 NGID登録 報告
アブソル「少しは落ち着いたかい?」

エーフィはちらりとこちらを見て。

エーフィ[ありがとう]

エーフィ[らく に なった]

そう書きこちらに微笑んだ。

どうやら、俺の一連の行動は、間違いではなかったらしい。
そう理解すると、どっと疲れがでてきた。

アブソル(ああ、父さん、あなたの言っていたことがようやく分かりました。)

アブソル(女性の相手は大変です。)


こうして、俺とエーフィの距離は少し近づいた。
 ▼ 70 1 15/03/13 00:40:12 ID:0nj5ms82 [1/12] NGネーム登録 NGID登録 報告
〜第19話〜


それから俺は、しばらくの時をおくりび山で過ごした。

エーフィはバトルの相手として申し分なかったので、何度もバトルを申し込んだ。
俺は進化せずに戦い、多く負け、少し勝った。

彼女もよい経験と捉えているようで、バトルは快諾してくれたし
最後のほうは彼女からもバトルの申し出があったりした。

「文字」での会話も充実していった。
やはり不完全な部分もあるが、会話を重ねることにより、
お互いの絆が深まるのを感じる。

誰かとの会話にこれほど夢中になったことは、今までになかったかもしれない。
 ▼ 71 ちごちゃん^_−!◆hN6neyyGE. 15/03/13 00:41:11 ID:V/AO70rI NGネーム登録 NGID登録 m 報告
支援
 ▼ 72 1 15/03/13 00:41:36 ID:0nj5ms82 [2/12] NGネーム登録 NGID登録 報告


――半月が過ぎた頃、キュウコンが帰ってきた。

彼女は俺を見るなり、

キュウコン「なんじゃ、おぬしまだおったのか。」

開口一番にそう言った。

アブソル「お礼が言いたくて、バトルありがとうございました。」

キュウコン「なに、我もなかなか楽しめたぞ。」

彼女はエーフィを連れ山を登る。何も言われないので俺も後についていく。

キュウコン「ところで、おぬしの進化のことじゃが……。」

ふいに彼女は俺に尋ねる。
 ▼ 73 1 15/03/13 00:43:17 ID:0nj5ms82 [3/12] NGネーム登録 NGID登録 報告
>>71
支援感謝です。



質問の意図を察し、俺は答えた。

アブソル「あの力は、正直俺にもよく分からないんです。」

嘘ではない。

分かっていることは進化すると攻撃力を始め、能力が大きく強化されること。
進化できるのは、バトル中の気持ちが高ぶるときだけに限ること。

そう説明すると

キュウコン「まあ、そんなところじゃろうな。」

返答は予想していた通りだったらしい。

そして、山の頂付近に着いた。そこには大きな岩の壁がそびえ立つ。
壁には文字が書かれていた。

キュウコン「おぬしの力、この者らに尋ねてきた。」

彼女はそう言い、壁を見上げた。
 ▼ 74 1 15/03/13 00:52:39 ID:0nj5ms82 [4/12] NGネーム登録 NGID登録 報告
〜第20話〜


キュウコン「おぬしの力、この者らに尋ねてきた。」

そう言い師匠は壁を見上げる。
そこには師匠の『喧嘩』の相手の名が刻まれている。……全てあだ名だが。

亀   234戦92勝130敗12分け

土偶  127戦87勝38敗2分け

不死鳥 304戦46勝258敗

・・・ 97戦80勝17敗

・・  264戦99勝98敗67分け

10と少しの名が刻まれ、その後に対戦成績が続いている。
少し気になるのは1番上の名前が削られたところ。


−−− 1戦0勝1敗


恐らく最初に戦った相手だろうが、1戦しただけで終わっている。
何となく理由を聞き辛く、ずっとそのままになっている。
 ▼ 75 1 15/03/13 00:54:16 ID:0nj5ms82 [5/12] NGネーム登録 NGID登録 報告
キュウコン「まずは戦績じゃ。」

師匠はそう言うと念力で古い文字を削り、新しい文字を彫る。


亀   235戦92勝131敗12分け

土偶  128戦88勝38敗2分け

不死鳥 305戦46勝259敗

・・・ 98戦81勝17敗

・・  265戦99勝98敗68分け


そして新しく

×   5戦1勝4敗

と追加した。


どうやらドタイトスには負けたらしい。
 ▼ 76 1 15/03/13 00:56:26 ID:0nj5ms82 [6/12] NGネーム登録 NGID登録 報告
キュウコン「さて……。」

キュウコン「アブソル。おぬしのことじゃ。」

師匠は説明する。

バトル中の特別な進化の根源は、過去ニンゲンと呼ばれた生き物がいた時代まで遡る。
ポケモンとニンゲンは互いを尊重し、手を取り合い戦った。
特に強い絆で結ばれた者たちは、バトル中その特別な力を発揮し他を圧倒していたという。

キュウコン「他の地方でも、ごく稀にそのような力を持つ者がおるようじゃ。」

キュウコン「我らの結論としては、おぬしらはその『絆の者』たちの末裔なのじゃろう。」

キュウコン「過去の力が何かしらの形で発現する。つまりはそういうことじゃ。」

キュウコン「おぬしの家に、伝承なり何なり伝わってはおらぬのか?」

アブソル「いいえ、初めて聞きました。」

キュウコン「まあ、そうじゃろう。」

キュウコン「ニンゲンが滅んでより数万年。その伝承も代を重ねるごとに風化したのであろうな。」
 ▼ 77 1 15/03/13 20:20:54 ID:0nj5ms82 [7/12] NGネーム登録 NGID登録 報告
〜第21話〜


キュウコン「次はエーフィ。そちのことじゃ。」

師匠は私を見る。

キュウコン「アブソルとはどこまでいった?」

エーフィ『なっ!?』
アブソル「えっ!?」

アブソルからも驚愕の声。

私たちの反応を確認し、師匠は肩を落とす。

キュウコン「やはりのう……。」

キュウコン「若い男女がふたり。半月もあれば、」

キュウコン「間違いのひとつでも起きるじゃろうと期待しておったが。」

キュウコン「つまらぬ。」

師匠はそう言うとアブソルに近づき何かを囁いた。

アブソル「///」

アブソルは顔を真っ赤にし動揺している。

エーフィ『お師匠様!!』
 ▼ 78 1 15/03/13 20:21:52 ID:0nj5ms82 [8/12] NGネーム登録 NGID登録 報告
キュウコン「ふふふっ。冗談じゃ。」

キュウコン「エーフィ。そちは良い顔をするようになったのう。」

エーフィ『え?』

キュウコン「やはりこの者が『傷を癒す者』だったようじゃな。」

そうして、師匠は優しく微笑んだ。
どうやら、不意の問い掛けは私を試すものだったらしい。

キュウコン「そちらの雰囲気でわかる。」

キュウコン「ずいぶんと良い関係になっておるな。」

キュウコン「じゃが、その先へ進むにはやはり『言葉』の壁が問題じゃ。」

と、師匠は二つの装飾品を取り出した。

エーフィ『これは?』
 ▼ 79 1 15/03/13 20:48:55 ID:0nj5ms82 [9/12] NGネーム登録 NGID登録 報告
〜第22話〜


キュウコン「アブソルとはどこまでいった?」

アブソル「え!?」

そう言われたときドキリとした。
キュウコンの言っていることは、いくら俺でも理解できた。
ちらっとエーフィを覗くと彼女もまた赤くなっている。

俺も男だ、そういう欲求はもちろんあるがエーフィには手を出せない。
まあ、他の女性でも手は出せなかったと思うが……。

もんもんと考えを巡らせていると、
キュウコンがスッと近づき俺の耳元で囁く、


キュウコン「ならば、我が相手をしてやってもよいぞ?」


アブソル「〜〜〜!!」

顔から火が出るとはこのことだ。
 ▼ 80 1 15/03/13 20:49:29 ID:0nj5ms82 [10/12] NGネーム登録 NGID登録 報告
キュウコン「ふふふっ、冗談じゃ。」

キュウコンがそう言っているのが辛うじて聞こえたが、
その後の話が耳に入らない。


――小突かれて気が付けば、冷たい目をしたエーフィと、
その後ろでニヤつくキュウコンがこちらを見ていた。

アブソル「えっと……。」

キュウコン「どうやら、効果は抜群のようじゃの?」

キュウコン「どうじゃ?そなたがその気なら我はいでもy」

エーフィがキッとキュウコンを睨む。

キュウコン「ふふふっ、恐いの。」

キュウコンはとても楽しそうだった。
 ▼ 81 1 15/03/13 20:52:56 ID:0nj5ms82 [11/12] NGネーム登録 NGID登録 報告
〜第23話〜


このピンク色の装飾品は感受性を高め、エスパー技を強くする作用があるらしい。

そう私とアブソルに説明しているが、どうやら彼は何も聞こえていないらしい。
師匠が耳元で囁いた言葉のせいだろう。
何を言ったのか察しは付く。もう10年の付き合いになるのだから。

そんな彼を師匠は楽しそうに見ていたが、
大事な話なので、私は彼を小突いて意識をこちらに戻す。

師匠に誘われれば、酔わない男はいないだろう。
だからといって、あなたまでそんなになることないじゃない!!
 ▼ 82 1 15/03/13 20:54:03 ID:0nj5ms82 [12/12] NGネーム登録 NGID登録 報告
我に返るアブソルに、師匠はまたちょっかいをだす。

キュウコン「どうやら、効果は抜群のようじゃの?」

キュウコン「どうじゃ?そなたがその気なら我はいでもy」

エーフィ『やめてください!!』

キュウコン「ふふふっ、恐いの。」

そろそろこの流れを切らないと話が進まない。
何より、彼が師匠に本気になってしまうのが恐かった。

キュウコン「……先にも説明したとおり、これは感受性を高める装飾品じゃ。」

キュウコン「それぞれ、これを身に着けてみよ。」

そう言い、私には耳飾り、彼には首飾りを渡した。

キュウコン「さて、」

キュウコン『聴こえるかのう。アブソル?』

アブソル「!!」
 ▼ 83 1 15/03/14 20:02:00 ID:9ab07kKE [1/8] NGネーム登録 NGID登録 報告
〜第24話〜


キュウコン『聴こえるかのう。アブソル?』

アブソル「!!」

突然キュウコンの言葉が頭の中に響く。

キュウコン『これは「テレパシー」というものじゃ。』

キュウコン『エーフィを初めとするエスパータイプの大半がこれを使えての。』

キュウコン『まあ、おぬしら悪タイプには届かぬから、驚くのは当然じゃな。』

キュウコン『今までエーフィは、おぬしにこれを試みたようじゃが「種族の壁」に阻まれていたのじゃ。』

キュウコン『じゃが、この宝飾でおぬしの感受性は上がり、エーフィは力を増した。』

キュウコン『エーフィの声。我は届くと信じておる。』

信じられなかった。
こういう力があるとは知らなかった。というのはもちろんだが、
何よりエーフィの声が聞こえるかもしれない。

期待と不安で心臓が高鳴る。
 ▼ 84 1 15/03/14 20:04:06 ID:9ab07kKE [2/8] NGネーム登録 NGID登録 報告
キュウコン「さあ、エーフィ。伝えてみよ。」

アブソル(聴こえてほしい。)

俺は心からそう願った。


エーフィ『…………。』


エーフィ『…ブ……。』


エーフィ『ア……ル。』

アブソル「!?」


エーフィ『アブソル。』

アブソル「!!」

アブソル「聴こえた!!」

エーフィ『アブソル!!』

アブソル「エーフィ!!」

キュウコン「ふふふっ、どうやら成功のようじゃな。」
 ▼ 85 1 15/03/14 20:06:42 ID:9ab07kKE [3/8] NGネーム登録 NGID登録 報告
〜第25話〜


キュウコン「さあ、エーフィ。伝えてみよ。」

彼に届くかもしれない。少しの期待と大きな不安。
意識を乱してはいけないと集中し彼に伝える。

一番伝えたかった言葉を。

エーフィ『アブソル。』

アブソル「……。」

聴こえていない。

あきらめずもう一度。

エーフィ『アブソル。』

アブソル「……。」

まだだ、

エーフィ『アブソル。』

アブソル「……!?」

彼の表情が変わる。
 ▼ 86 1 15/03/14 20:08:25 ID:9ab07kKE [4/8] NGネーム登録 NGID登録 報告
さらに想いを込める。

エーフィ『アブソル。』

アブソル「!!」

アブソル「聴こえた!!」

エーフィ『アブソル!!』

アブソル「エーフィ!!」

通じた!!

一度通じてしまえば、あとは流れるように想いが伝わる。

エーフィ『ずっとあなたの名を呼びたかった。』

エーフィ『アブソル。』

エーフィ『聴こえてる?』

アブソル「ああ、聴こえてる。」

アブソル「君は俺の名を呼んだ。」

アブソル「エーフィ、君は……綺麗な声をしているね。」

エーフィ『///』
 ▼ 87 1 15/03/14 20:09:38 ID:9ab07kKE [5/8] NGネーム登録 NGID登録 報告
キュウコン「……我は退散したほうがよいかの?」

突然聞こえる師匠の声。

エーフィ『ひゃ!?』
アブソル「はっ!?」

完全に忘れていた。
この奇跡に舞い上がり、自分たちの世界に浸ってしまっていた。
師匠とはいえ、見られるのはとても恥ずかしい。

キュウコン「すまぬな、……じゃが少しは周りの目を気にせい。」

キュウコン「見ているこちらが恥ずかしくなる。」

エーフィ『///』
アブソル「///」
 ▼ 88 1 15/03/14 20:16:42 ID:9ab07kKE [6/8] NGネーム登録 NGID登録 報告
〜第26話〜


少し落ち着き、状況を整理する。
キュウコンに貰った首飾りを着けたらエーフィの声を聴くことができた。

この奇跡は疑いようがない、事実だ。
現に彼女の声は、それ以降普通に聴こえている。

それにしても、こういう道具が存在していて、キュウコンがそれを持っていたとは。
そう尋ねると彼女は、壁の文字を見て答えた。

キュウコン「以前から皆に相談しておっての。」

キュウコン「そして今回、不死鳥が新たな情報を手に入れた。」

不死鳥?伝説のポケモン、ホウオウのことだろうか。

キュウコン「この地方のトクサネという島に我らと同じ存在がいるとな。」

キュウコン「何でも永い眠りについていたが、最近目覚めたという。」

そう言って、壁面の

×  5戦1勝4敗

を示す。
 ▼ 89 1 15/03/14 20:20:26 ID:9ab07kKE [7/8] NGネーム登録 NGID登録 報告
キュウコン「そやつは昔『ダイゴ』というニンゲンと共に過ごし、この地方を支配していたようじゃ。」

キュウコン「ニンゲン『ダイゴ』は狂っておっての、石を集める変人だったらしい。」

アブソル「石!?石なんか集めて何を?」

キュウコン「分からぬ。我らには理解できぬものなのじゃろう。」

キュウコン「……話は反れたが、その石の中には不思議な力を持つものもあってのう。」

キュウコン「おぬしらが身に着けておる桃色の石版もそのひとつじゃ。」

アブソル「石版?」

キュウコン「身に着けやすいよう、ある者に加工してもらったのじゃ。」
 ▼ 90 1 15/03/14 20:22:14 ID:9ab07kKE [8/8] NGネーム登録 NGID登録 報告
キュウコン「加工はともかく、石版を手に入れるのには苦労したぞ?」

キュウコン「×(バツ)……メタグロスは、自分に勝てたら譲ってやるとぬかしおっての。」

キュウコン「我は嬉々としてこれを受け入れたが、あやつもまた『絆の者』だったのじゃ。」

キュウコン「結果5回挑み、ようやく勝てた。あやつは不死鳥並みに手強いのう。」

エーフィ『お身体は大丈夫なのですか?』

エーフィの気遣う声、

キュウコン「なに、我もまた『妖狐』と呼ばれるものよ。傷などすぐに癒える。」

キュウコン「それより、そちが不憫でならなかったのじゃ。」


そして、


キュウコン「……時間は掛かったが、これでようやくそなたを送り出せる。」

エーフィ『え!?』
 ▼ 91 1 15/03/15 20:54:54 ID:SzJOWHRE [1/8] NGネーム登録 NGID登録 報告
〜第27話〜


キュウコン「……時間は掛かったが、これでようやくそなたを送り出せる。」

突然のことで意味が分からなかった。

エーフィ(送り出す?何処に?)

キュウコン「そなたは、もう……我の手を離れるべきじゃ。」

エーフィ『お師匠様……?』

キュウコン「生きるに必要な力、精神、そして『言葉』。」

キュウコン「完璧とはいかなんだが、全てを揃えてやることができた。」

キュウコン「……我の役目はこれで終いじゃ。」

そう言い師匠は私に背を向ける。
 ▼ 92 1 15/03/15 20:55:57 ID:SzJOWHRE [2/8] NGネーム登録 NGID登録 報告

エーフィ『!』

私は理解する。

エーフィ『お師匠様!!』

キュウコン「ふふふっ、何も今生の別れというわけではあるまい?」

キュウコン「そなたは、まだ外の世界を知らぬ。」

キュウコン「そやつが現れたのも、きっと何かの縁じゃろう。」

そやつ――アブソルのことだ。

キュウコン「その男に着いてゆけ。そして、世界を見て来るのじゃ。」

エーフィ『……。』

涙が頬を伝う。
 ▼ 93 1 15/03/15 20:58:03 ID:SzJOWHRE [3/8] NGネーム登録 NGID登録 報告

キュウコン「アブソルよ!」

アブソル「!」

アブソル「はい。」


キュウコン「我が娘、……預けたぞ?」


アブソル「はい!」




――私は、アブソルに連れられ山を降りる。

涙が止まらない。

何度も振り返る私に対し、師匠はあの文字の彫られた岸壁を見たまま
一度も振り返らなかった。
 ▼ 94 1 15/03/15 21:03:51 ID:SzJOWHRE [4/8] NGネーム登録 NGID登録 報告
〜第28話〜


エーフィは涙ながらに我を呼ぶが、我は振り返らなかった。
最後に見た彼女の不安げな顔と、
首に巻かれた「白いスカーフ」が目に焼きついている。

こうなることは「視えて」いた。

アブソルが我に挑戦しに来ることも。
エーフィのテレパシーがアブソルに届くことも。

……そして、最愛の弟子が離れていくことも。


「未来予知」


その名の通り、未来を視る力。
先を見通すその力は、世界の理を破壊するとして禁忌とされている。

――始めは断片的だった。
外れることも多かったし、ただの気のせいかとも思っていたのだが、
最近はより正確に、よりはっきりと視えるようになっていた。

キュウコン「いよいよもって化け物じゃな……。」
 ▼ 95 1 15/03/15 21:10:49 ID:SzJOWHRE [5/8] NGネーム登録 NGID登録 報告
壁の文字を見る。


−−− 1戦0勝1敗


キュウコン「……全ては、そなたと出逢ってからじゃ。」

そなたと出逢い、契りを交わしたその時から我の存在はこの世から切り離された。
時の流れは遅くなり、身体の色素は抜け、不思議な力を持つようになる。


ここで、未来を視る。

エーフィ。アブソル。
若いふたりの恋は、間違いなく成就するだろう。
なぜなら数年後、赤子を連れて我を訪ねて来るのだから。
そして、この子に名を付けて欲しいと言う。

キュウコン「時間はある。ゆっくり考えるとしよう。」


――エーフィ。

弟子として10年育ててきた。不器用なところはあるが、それもまた愛嬌。
どこへ出しても恥ずかしくない我が娘。
それが……、今日旅立つ。
 ▼ 96 1 15/03/15 21:13:15 ID:SzJOWHRE [6/8] NGネーム登録 NGID登録 報告
涙で壁の文字が歪む。


キュウコン「10年。」

キュウコン「短いようで、情が移るには十分な時間だったようじゃ……。」

先が視えてはいても、いざ別れとなると辛いものだ。


――どうか、ふたりに祝福を。


キュウコン「そなたの遺したスカーフは、遂に我の手元を離れる。」

キュウコン「これからは、あの娘らを見守ってやってくれ。」











キュウコン「……アルセウス。」
 ▼ 97 1 15/03/15 21:14:58 ID:SzJOWHRE [7/8] NGネーム登録 NGID登録 報告
〜最終話〜


――昔々、おくりび山に、ひとりのキュウコンがいました。

ある日、キュウコンはアルセウスという神様と出逢いました。

キュウコンとアルセウス。ふたりは恋に堕ちました。

ふたりは深く愛し合っていましたが、神々は、ふたりの仲を許しませんでした。

アルセウスは空間の神により、どこか遠い遠い所へ飛ばされてしまいました。

キュウコンは時間の神により、不死の呪いを受けました。

こうして仲を裂かれたふたりでしたが、キュウコンは今でもアルセウスを想い、

おくりび山の頂上で、彼を待ち続けていると言われています。





――おわり――
 ▼ 98 1 15/03/15 21:20:16 ID:SzJOWHRE [8/8] NGネーム登録 NGID登録 報告
終わった……。
疲れたけど、楽しかったー。

支援くださった方感謝です。
また、スレも特に荒れることなく進んでよかったです。

ありがとうございました!!
 ▼ 99 メール@タラブのみ 15/03/15 21:44:45 ID:.WSjCRr2 NGネーム登録 NGID登録 報告
乙です
 ▼ 100 ンタイン@モモンのみ 15/03/16 08:19:04 ID:3Xt1KBNo [1/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
乙。
 ▼ 101 エルコ@いかりまんじゅう 15/03/16 10:58:56 ID:3Xt1KBNo [2/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
続編期待します。
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