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SS

【クリスマスSS】小さな願い・大きな願い

 ▼ 1 しゃまん◆NKmNEeVImk 17/12/17 04:42:35 ID:KcmSURVA [1/40] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告







プロローグ 手紙






 ▼ 2 しゃまん◆NKmNEeVImk 17/12/17 04:43:02 ID:KcmSURVA [2/40] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
会いたい、って言ってるんだ。

本当の、両親に。

だから今、手紙を書いてる。

ねえ、いつなら会えるかな。会わせてあげたいんだ。

この子は紛れもなく、僕らの子どもでもあるからね。知りたいって、思っちゃうんだろうね。

おっと、話が逸れちゃった。お返事待ってます。

  愛を込めて

 12月21日            君の親友より
 ▼ 3 しゃまん◆NKmNEeVImk 17/12/17 04:43:33 ID:KcmSURVA [3/40] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
1章 大きな願い

目が覚めた。辺りは、完全に暗闇だ。

冬のひんやりとした冷気が、足元に忍び寄る。

なんでこんな時間に起きちゃったんだろう。

また眠ろう、としたところで気が付いた。

喉が、張り付かんばかりに渇いている。

何か飲みたい。あたしはぼんやりと、リビングへ向かった。

なぜか、話し声が聞こえる。こんな時間に? と思いながらリビングを覗くと、お父さんとお母さんが話していた。


「……前も、そろそろあの子に、本当のことを伝えるべきじゃないか?」


え、とあたしは思わず怯む。


「でも、あの子、それを知って、傷付かないかしら」

「だけど……やっぱり、言うべきだ」

「あなたがそう言うのなら、止めはしないけど。でも……」


そこから先は、聞いていない。

喉の渇きも、消えていた。

何、あの話。

何、あの話。

何、あの話。

頭の中を、さっきの言葉が、グルグルと渦巻いた。

そんなセリフ、聞いたことある。

本で、読んだ。

あれは……養子の話だったっけ。

そう。養子の話なはずだ。

夫婦で、そんなことを相談していた。

じゃあ、これって……。

あたし、まさか。


結局その日は、もう一睡もできなかった。
 ▼ 4 しゃまん◆NKmNEeVImk 17/12/17 04:43:51 ID:KcmSURVA [4/40] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「あら、どうしたの? 寝不足みたいな顔して」

「ううん、なんでもない」


事実、寝不足だ。あれから悶々と考え続けていたのだから。


「ミミロル、体調悪いなら言いなさいよ」

ミミロル「なんでもない」


言える訳がない。あなたは、あたしの、本当の親ですか、なんて。

寒空と同じぐらい、あたしの心も冷え切っていた。
 ▼ 5 しゃまん◆NKmNEeVImk 17/12/17 04:44:53 ID:KcmSURVA [5/40] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
やっぱり、あたしの体調不良は、傍から見ても明らかだったらしい。

学校への道中、幼馴染みのニャビーが、心配そうに声を掛けて来た。


ニャビー「大丈夫? なんか凄い、顔色悪いよ」


その気楽な物言いに、あたしの心は、知らず緩んでいたらしい。

気付けばあたしはニャビーに、全部打ち明けていた。
 ▼ 6 しゃまん◆NKmNEeVImk 17/12/17 04:45:20 ID:KcmSURVA [6/40] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ニャビー「なるほどね……。まず、ミミロルママの種族ってなんだっけ」

ミミロル「え、ミミロップだけど」

ニャビー「ならそこは大丈夫。パパは?」

ミミロル「コジョンド。それがどうし――」

ニャビー「うん、種族系の問題じゃないみたい」

ミミロル「え、何どういうこと?」

ニャビー「両親の組み合わせで、産まれる種族は決まってるじゃん。

     それがおかしかったら一発で親が違うってことわかるでしょ。

     まあ、ちゃんとおかしくないみたいだから、それは大丈夫だけど」

ミミロル「え、なんでそんな詳しいの?」

ニャビー「いや……まあそれは置いといて。調べたいよね」

ミミロル「っていうか、ほっといてよ。あたしの問題だし」

ニャビー「え、調べたくないの?」

ミミロル「そりゃ、調べたい、けど」

ニャビー「じゃ、手伝うよ」


そう言って彼は、ポケ懐っこい微笑みを浮かべた。

ああもうずるい。こんな笑顔されたら、無下にできないじゃない。

普通、こんな風に家庭の問題にずかずかと踏み込んで、いい気がするもんではない。

だけどそれを許される個性の持ち主というのは確かにいて、それがこの、ニャビーなのだ。

♂のクセにそんなのずるいって、いつも思うのだけれど。

やっぱりこいつは、ポケモンの心の内に入り込むのが上手い。
 ▼ 7 しゃまん◆NKmNEeVImk 17/12/17 04:45:48 ID:KcmSURVA [7/40] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
学校は、2匹でサボった。

その顔色じゃ絶対みんなに突っ込まれるぞという忠告に従ったのだけれど、どことなく背徳感。

だけどニャビーは気にもしていないようで、「どうせ学校の勉強ぐらいわかるしさ」と真顔で言い切る。


ニャビー「そんなことより、家族の問題の方が大事だと思う」

ミミロル「……ありがと」

ニャビー「にしてもなぁ……聞いたの、そこだけ?」

ミミロル「え?」

ニャビー「いや……もっと、前後の文脈を知りたくて」

ミミロル「ああ、ごめん。そこだけ。それ以上は、聞いてられなかった」

ニャビー「そっか……」


心底、がっかりとした表情を浮かべる。そんな表情をされるとこっちまで申し訳なくなる。


ニャビー「あ、責めてはないよ」


フォローしようとする意志は感じても、その顔じゃフォローになってない。

思わず、あたしは吹き出した。


ニャビー「なんで笑うのさ」

ミミロル「ごめん、なんか面白くって」

ニャビー「えー」


しばらく、あたしは笑い続けた。

戸惑いをそのまま表す素直なこいつ、やっぱり好きだ、友達として。
 ▼ 8 しゃまん◆NKmNEeVImk 17/12/17 04:46:20 ID:KcmSURVA [8/40] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
しばらく笑ってから、真面目な表情に戻して言う。


ミミロル「でも、どうするつもりなの?」

ニャビー「とりあえずさ、直接訊く訳にもいかないじゃん」

ミミロル「そりゃね」

ニャビー「だから、調べるにしたってまずはとっかかりがいるんだよね。

     情報を全部揃えてから考えれば、解けない謎はないってよくパパが言ってるんだけど」

ミミロル「パパ? ニャビーのお父さんのこと?」

ニャビー「ああうん。あれ、言ってないっけ?」

ミミロル「言っても何も、聞いた事ないどころかあたし、あんたんちに行ったことないし。

     あたしたちはちっちゃな頃から仲いいけど、親については何も知らないよ」


ニャビーんちは、親が厳しいのだろうか、友達を家に呼んではいけないことになっているらしい。

それで、もう10年の付き合いだけど、あたしは彼の家に行ったことがない。

だから、ニャビーの父親はおろか、母親についてもあたしは見たことがないのだ。

さすがにもう♂の家に行きたいとも思えない年齢になってしまったし、たぶんこれから、あたしがニャビーの家に行くことはないだろう。


ニャビー「そっか。まあそれはどうでもよくてさ。まずは……うん。

     ミミロルの親の知り合いを探してみよう」
 ▼ 9 しゃまん◆NKmNEeVImk 17/12/17 04:46:43 ID:KcmSURVA [9/40] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ミミロル「どうやって?」

ニャビー「え、ミミロルんちって、ずっとここらへんだよね」

ミミロル「まあ、引っ越したとか、そういう話は聞かないね」

ニャビー「おじいちゃんちとか行く時は?」

ミミロル「ちょっと遠いけど、でも校区内」

ニャビー「オッケー。それなら、この辺の大人なら、誰に訊いてもわかるんじゃないかな」

ミミロル「えっ」

ニャビー「ただ……隠されるかもしれないな。結構、重大なことだから」

ミミロル「ああ、そうか」

ニャビー「でもとりあえず、当たって損はないよ。

     調べるってのは、無駄を繰り返して少しずつ外堀を埋めるってことなんだから」

ミミロル「何、その凄いセリフ」

ニャビー「ああ、うちのパパ、探偵だから」

ミミロル「うえぇ?!」


ニャビー、あたし、それ知らない。

驚きが、あたしの口を妨げる。

ただ、口をパクパクさせるだけ。

ニャビーは屈託なく疑問を浮かべた。


ニャビー「言ってなかった……んだね、ごめん」

ミミロル「いや、いい、んだけど」


首をふるふる横に振った。

探偵。その単語の非日常感は、数十秒程衝撃を残した。
 ▼ 10 しゃまん◆NKmNEeVImk 17/12/17 04:47:04 ID:KcmSURVA [10/40] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ニャビーはその間も、考えていたようだった。

衝撃から立ち直ったあたしが彼に向き直ると、彼は頷いて、それから微笑みを浮かべた。


ニャビー「よし。じゃあさ」

ミミロル「うん」

ニャビー「まずはさ、家行っていい? そこで、何かしら情報が欲しいんだ」

ミミロル「うん、いいよ、もちろん」


当然だ。手伝ってもらうのだから、協力は惜しまない。

手伝って、ってつもりはなかったのだけれど。

でも、まあ。たぶん、手伝って欲しいのだ。


ミミロル「それじゃ、行こ」

ニャビー「ストーップ! 僕たち、サボってるんだよ? 今帰ったら怒られるに決まってるじゃん」

ミミロル「あ」


完全に忘れていた。

ニャビーが呆れ顔で、笑った。変だけど、そうとしか言えない表情だった。
 ▼ 11 しゃまん◆NKmNEeVImk 17/12/17 04:47:25 ID:KcmSURVA [11/40] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
結局、学校には行った。

大遅刻の理由は、ニャビーが適当にでっちあげた。

よくもまあ、ここまで頭が回るなあという感じで。

ただし、それが先生に通用するかと言えばまた別問題で、先生の顔はニャビーの生み出す物語をどこか楽しんでいる節があった。


先生「はいはい、わかりました。とりあえず自分の席に行きなさい」


みんながアハハと笑う。

ニャビーは飄々とかわすのだけれど、あたしはと言えば、少し赤くなっていたような気がする。

いや、ごめんなさい。

もう、サボりなんて致しません。

そう、心の中で謝っていた。
 ▼ 12 しゃまん◆NKmNEeVImk 17/12/17 04:47:46 ID:KcmSURVA [12/40] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「ねえ、ホントはなんだったの?」

ミミロル「ふえっ?!」

「だって、バレバレだもん、ミミロルは。ニャビーの方は結構上手く隠せてたけどね」


クラスメイトに問われ、あたしはうっと言葉に詰まった。


ミミロル「えっと……実はさ、ちょっと相談したいことがあったんだよね」

「え、何々?!」

ミミロル「いやーその、最近、ちょっとパパとママの仲が悪くて。つい愚痴っちゃった」

「なーんだ」


クラスメイトたちは、興味をなくしたかのように三々五々散って行った。
 ▼ 13 しゃまん◆NKmNEeVImk 17/12/17 04:48:15 ID:KcmSURVA [13/40] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
放課後、示し合わせるまでもなく、あたしはニャビーと合流した。

帰り道が同じ、時間も同じ。

合流できないはずがない。


ニャビー「んじゃ、とりあえず、ミミロルんち行きたいんだけど」

ミミロル「わかった。でもとりあえず、一旦帰ってかばんでも置いて来たら?

     どうせあれ、家すぐそこだし」

ニャビー「そうだね」

ミミロル「それにまあ、説明もしておきたいし。言い訳とか。

     別に付き合ってる訳じゃないんだって明言しておかないと」

ニャビー「うん。あ、僕は素直に言っちゃっていい? ミミロルんちの事情」

ミミロル「いいよ、探偵なんでしょ? なんか、隠すの難しそうだもん」

ニャビー「まあね。言っていい方が、ミミロルんちに行く事情説明しやすくて、めっちゃ楽」


そう言いながら、あからさまにほっとした表情を浮かべる。

あたしも釣られて、苦笑した。
 ▼ 14 しゃまん◆NKmNEeVImk 17/12/17 04:48:33 ID:KcmSURVA [14/40] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
さて、家に帰ってすぐ、あたしは問題に直面することになる。


ミミロル「ただいま」

ミミロップ「あ、お帰り」


ここまではいい。


ミミロップ「おやつのオレンは机の上よ」

ミミロル「はーい」


ここまでもいい。

というより、お母さん側に、問題はない。

あたしがそれに気付いたのは、オレンの皮を剥こうと手を突っ込んだ、その時だった。


あれ? あたし、どうやってニャビーが家に来ること言い訳すればいいんだろ?
 ▼ 15 しゃまん◆NKmNEeVImk 17/12/17 04:48:52 ID:KcmSURVA [15/40] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
オレンの、いろんな味が混ざり合った独特のフレーバーを楽しみながら、あたしはそればっかり考えていた。

結果として、出た結論がこれ。


ミミロル「お母さん」

ミミロップ「何?」

ミミロル「今日、ニャビーがうち来るんだけどさ」

ミミロップ「わかった。でもなんで? もしかして……」

ミミロル「違うよ! べ、勉強教えてって言って来たんだよね」

ミミロップ「ふうん」

ミミロル「ホントだからね?!」

ミミロップ「わかったわかった」


ああもう、「信じてないでしょ!」

ミミロップ「はいはい」


そう言いながら、お母さんはニヤニヤ笑っている。

この言い訳、マズイのかなぁ。
 ▼ 16 しゃまん◆NKmNEeVImk 17/12/17 04:49:48 ID:KcmSURVA [16/40] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ニャビー「まあ、それはマズイね。アバウト好きだよ、勉強って。

     それに、僕が勉強できないキャラになるの納得いかないんだけど」

ミミロル「それは知らないよ。じゃあ、どんな言い訳ならよかった訳?」

ニャビー「一緒にポスター作りの課題やる、その他班で協力してやるグループ課題」

ミミロル「何のポスターよ」

ニャビー「そんなの適当でいいんだよ。大事なのは♂♀が一緒に活動しておかしくないこと。

     学校って、こういうペアは基本♂♀でくっつけるじゃん。2匹以上差があったらまあそれは仕方ないってなるけど」

ミミロル「な、なるほど……」

ニャビー「まあいいんだけど。とりあえず、それじゃ、ミミロルっていう種族に関する情報知りたいんだけど。

     子育てするにあたって、だいたいの文明化ポケモンは、自分の子どもにまつわる情報を集めた本を買うって聞いたから、あると思う」


この世界には、ダンジョンの中をあてもなく彷徨う野生のポケモンもまだいるらしい。

少しずつ数は減らしているというのだけれど、まあそれは、あんまりあたしたちには関係ない。

ダンジョンでバトルの訓練というのも、親世代では多かったらしいけれど、今じゃもう下火だ。

あたしはまだ、やったことがない。バトルもほとんどしてないレベルだ。

まあ、それでもレベルは10ぐらいあるんだけど。


ニャビー「もし本物の母親じゃなかったらなおさら持ってるはず。

     まあ、母親がミミロップだし大丈夫だとは思うけどね」

ミミロル「ああ、あったと思うよ。っていうか、小2辺りでそれ読んで来る宿題あったよね」

ニャビー「サボったけど」

ミミロル「おい」

ニャビー「だってそれより前に読んだもん」

ミミロル「……しーらない。でもなんで、それが必要なの?」

ニャビー「親から子へ、受け継がれる要素ってのもあって、そういう要素もコンプリートしてるはずなんだ、その本」
 ▼ 17 しゃまん◆NKmNEeVImk 17/12/17 04:50:08 ID:KcmSURVA [17/40] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ミミロル「へー、例えば?」

ニャビー「技とか、場合によっては特性だね」

ミミロル「え、特性かぁ……にげあしなはず」

ニャビー「そうなの。まあ、それがどうなるかはわからないけど。特性が役に立つのは、結構レアだから」

ミミロル「へえ」

ニャビー「技は?」

ミミロル「えっと、やつあたり、はたく、ねこだまし、こらえるかな」

ニャビー「なるほど。ザ、ノーマルって感じだね」

ミミロル「そりゃまあね。さ、その本探すよ」

ニャビー「待った、言い訳が勉強なんだから僕は出られないよ。

     心当たり、探して来て」

ミミロル「う……わ、わかった」


もうその平坦な感情の見えない顔で、何事もなかったかのように、あたしの論理の欠陥を突くのはやめて?

妙な言い訳しやがってって波動感じちゃうからね? あたしリオルでもルカリオでもないけどさ?
 ▼ 18 しゃまん◆NKmNEeVImk 17/12/17 04:50:26 ID:KcmSURVA [18/40] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
お母さんの目を盗む、という訳にはいかない。

だって、お母さんのいるリビングに通じてる部屋の引き出しにしまってあるはずだから。

さて、どうしたものか……。

お母さんは今、晩ごはんの用意をしている。

部屋に入ると、絶対にバレる。

無理だ。

これが結論だった。
 ▼ 19 しゃまん◆NKmNEeVImk 17/12/17 04:50:51 ID:KcmSURVA [19/40] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ニャビー「そっか、それは仕方ないね……」

ミミロル「ご、ごめん……」

ニャビー「あ! 全然責めてないからね?」

ミミロル「うん。まあ、困るのはあたしだし」

ニャビー「まあ、そうだよね。だから謝る必要なんてないよ」

ミミロル「……なんかイラつくその言い方」

ニャビー「え、ごめん」

ミミロル「いやいいんだけどさ……。ま、いいや。今からどうする?

     それこそホントに勉強やってもいいけど」

ニャビー「大丈夫だよ、僕だって勉強苦手じゃないし」


そうなのだ。こいつはこんななのに、なぜか頭がいい。

こういうのを、ある意味本当の天才と言うんだろう。癪だけど。


ミミロル「じゃあ、今からの時間をどう潰せって言うのよ」

ニャビー「……帰るのも言い訳が立たないし、勉強するしかないね」

ミミロル「教科書とかないよね」

ニャビー「面倒だし見せて。やり方わかれば後は答え写すだけだし」

ミミロル「わかった」
 ▼ 20 しゃまん◆NKmNEeVImk 17/12/17 04:51:06 ID:KcmSURVA [20/40] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
そんな風にして、今日の調査は終わった。

また明日、その本の情報を探して教えてと言って、ニャビーは去って行く。

送り出して、部屋に戻ると、そこには完璧に埋まったプリントだけが残されていた。

まあ、1匹でもできるものではあるけれど。
 ▼ 21 こまで◆NKmNEeVImk 17/12/17 04:51:26 ID:KcmSURVA [21/40] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
その日の夜、お父さんが帰って来て、あたしはあたしでチラチラ伺うのだけれど、何もおかしい所はなかった。

もっとも、今まで1回も疑ったことがないぐらいには何もなかったのだ。

今になって出てくるってのも変な話だろう。

そう思ったから、何もないことに違和感は覚えなかった。

例の本を手に入れるタイミングも、ちっともつかめなかった。

はぁ……。
 ▼ 22 しゃまん◆NKmNEeVImk 17/12/17 20:24:19 ID:KcmSURVA [22/40] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
翌朝、駄目だったと登校の道で伝える。

ニャビーは、まあそうだろうと思った、と平坦に言う。


ニャビー「大丈夫、焦らなくても答えは逃げないからさ」

ミミロル「まあね」


ここで浮かんだニャビーの笑顔に、あたしは、少し彼を頼もしく思った。

口に出したりはしないけど。
 ▼ 23 しゃまん◆NKmNEeVImk 17/12/17 20:24:40 ID:KcmSURVA [23/40] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
学校に着くと、ある話題で持ち切りになっていた。

どこのクラスにも1匹はいる、元気印のガキ大将。

そのポジションに収まってるエレキッドが、「サンタなんていない」とぶち上げていたのだ。

それで、あたしは思い出した。

そういや、もうそんな季節か。


エレキッド「俺、聞いたんだよ母ちゃんから! サンタは親なんだって!」

ニャビー「ふうん」

ミミロル「え、何言ってるの?」

エレキッド「だからさ、サンタなんて、ホントはいないつってんの!」

ミミロル「そ、それホント……?」

エレキッド「大マジ! そんなの、ホントはいないんだって!」


ショックだった。

両親のことの方がよっぽど重大なのにも関わらず、こんなことでもあたしはショックを受けていた。
 ▼ 24 しゃまん◆NKmNEeVImk 17/12/17 20:25:53 ID:KcmSURVA [24/40] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ニャビー「それで?」


ふっと、ニャビーが口を開く。

ただ、疑問だという、そんな口調で。

エレキッドが困惑を浮かべる。


エレキッド「それでってお前……」

ニャビー「サンタがいないって言う、その根拠は?」


エレキッドは、奮然と言い返す。


エレキッド「母ちゃんがそう言ってたんだぞ! 間違いねぇ!」

ニャビー「それだけ? 自分で確かめてみたことはあるの?」

エレキッド「はぁ? そんなのないけど……」


そう言う彼から、急に毒気が抜けた。ニャビーは、ニッと笑う。


ニャビー「そっか。じゃあ、ちゃんと調べようよ。君のママをただ信じるだけじゃなくて」
 ▼ 25 しゃまん◆NKmNEeVImk 17/12/17 20:27:04 ID:KcmSURVA [25/40] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
エレキッド「ああん?」

ニャビー「嘘を吐いてないって確証はないよね、エレキッドママ。

     だから、ちゃんと、自分で調べて、納得しないと」

エレキッド「なんだよ、それ」

ニャビー「なんでも。だけど……普段は勉強なんて意味がないって親の言ってることを無視してるじゃん」

エレキッド「う……」

ニャビー「君を疑ってるんじゃないよ、君は心の底からそう思って言った。それは信じてる。

     だからこそ、自分はそれで納得できるのか、考えてみてよ」


凄い、と思った。

エレキッドは、黙り込んでしまう。
 ▼ 26 しゃまん◆NKmNEeVImk 17/12/17 20:27:37 ID:KcmSURVA [26/40] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ニャビーは、ニコリと笑って、続けた。


ニャビー「まあ、僕も僕で、いろいろ調べてみるし。みんなも一緒に調べない?」

「でもじゃあ、どうやって調べるって言うのよ」


そうやって声をあげたのは、あたしの友達で、よく途中まであたしたちと一緒に帰っている、シシコだった。

ニャビーはそれに、平然と返す。


ニャビー「ホントに欲しいものと、違うものを親に言ってみてよ」

ミミロル「なるほど、そういうこと。親がサンタなら、言われたものをくれるはずってこと?」

ニャビー「ホントにいるなら、ホントに欲しいものをくれるはずだもんね」

エレキッド「でもそれじゃ、ホントに欲しいものがもらえないんじゃ……」

ニャビー「調べるんだから、そのぐらいは覚悟しないと」

エレキッド「はぁ?!」

ニャビー「そろそろ先生来るよ、席に着かなきゃ」

エレキッド「なあ、もし俺が言ってることが正しかったら、俺が損するのは納得いかねぇんだけど」

ニャビー「……わかった。いいよ、僕がやる」

エレキッド「お前は信じてんのかよ」

ニャビー「ううん、ただ知りたいだけ。そういう趣味なんだ。じゃ、また休み時間に」


そう言って、ニャビーが席に着く。その瞬間に、先生が部屋に入って来た。

みんなも、もちろんあたしも、三々五々に散っていく。
 ▼ 27 しゃまん◆NKmNEeVImk 17/12/17 20:28:19 ID:KcmSURVA [27/40] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
休み時間にまで話す程には、ニャビーとあたしは仲良くない。

それこそ、幼馴染みであり、それ以上でもそれ以下でもないのだ。

登下校の時には話すけど、お互いにもっと仲のいい友達がいる、そんな関係。

で、そこの違和感を周りに感じ取られる訳にはいかなくて、あたしとニャビーは話せない。

で、あたしは1匹、サンタの件と親の件を頭の中でぐるぐると回していた。

ごっちゃになって溶け合って、なぜか、サンタがあたしのタマゴを産むみたいな謎の光景が浮かんだ。


シシコ「なんかぼーっとしてるけど、大丈夫?」


そう言って、シシコが声を掛けてくる。


ミミロル「え? ああうん、大丈夫だよ」

シシコ「サンタ?」

ミミロル「まあね。ちょっとビックリしちゃって」

シシコ「へー、ミミロルって、信じてたんだ、意外」

ミミロル「え? 信じてなかったの?」

シシコ「いや、私は信じてたんだけどさ、なんかうちのクラスで一番疑ってそうなタイプじゃん」

ミミロル「そんなことないよー、ってかあたしのことどんな風に見てんのよー」

シシコ「優等生タイプって言うかなんて言うか、そんな感じかなぁ。活発だけど、真面目じゃん」

ミミロル「え、そう?」

シシコ「うん。そういや、ニャビー凄かったよね。あいつ、あんな頭回るんだって感じ」

ミミロル「まあ……あいつの頭の回転が速いのは知ってはいたけど、凄かった」

シシコ「知ってたの?」

ミミロル「そりゃ、もう10年の付き合いだよ? 飽きるぐらいに知ってるし、あいつのキャラは」

シシコ「まあ、家近所だもんね」

ミミロル「そう。ま、悪い奴じゃないんだけどね」

シシコ「仲もいいしね」

ミミロル「ただの幼馴染みなんだけど」

シシコ「はいはい」
 ▼ 28 い糸テールナー◆r8RzcYRKik 17/12/17 20:29:25 ID:bHKZ.G8s NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援です
 ▼ 29 しゃまん◆NKmNEeVImk 17/12/17 20:29:28 ID:KcmSURVA [28/40] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
帰り道、ニャビーはあたしに言った。


ニャビー「本当に、まずは本を手に入れること。それと、サンタの件だけど協力してくれない?」

ミミロル「え? なんで?」

ニャビー「え、だって、ミミロルも、気になったんでしょ?」

ミミロル「そりゃそうだけど……」

ニャビー「信じてるんでしょ、サンタ。なら、何も問題はないよね。

     だって、ちゃんと目当てのアイテムがもらえるんだから」

ミミロル「う……」

ニャビー「とにかく、大丈夫だからさ。軽い実験だと思って。ね?」

ミミロル「わかったよ。それじゃ……どうすればいいの?」

ニャビー「本当に欲しいものと、親に言うものを教えて。

     それがないと嘘吐かれるかもしれないからどうしようもないのに、エレキッド、聞きに来なかった。

     バカだよね」

ミミロル「毒舌っ! まあ、そっか、それを聞かないんじゃ何も始まらないもんね」

ニャビー「っていうかあいつ、ホントは知る気がないんだよ。

     自分で考える気もないんなら、この謎の答えは来年まで持ち越しでいいじゃん」

ミミロル「……後でどうなっても知らないよ?」


呆れて言ったあたしに、ニャビーは小さく笑う。


ニャビー「まあ大丈夫でしょ。プレゼントに関しては今すぐじゃなくてもいいから、やっぱりまずは、本」

ミミロル「わかった、頑張る。お母さんの目を盗んで、なんとかやってみる」
 ▼ 30 しゃまん◆NKmNEeVImk 17/12/17 20:30:02 ID:KcmSURVA [29/40] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ニャビー「それか、保健の授業で使うことにでもしとけば?」

ミミロル「後からテスト見られた時の言い訳思い付かないし無理」

ニャビー「変なとこで真面目だなぁホント。それどころじゃないんでしょ?」

ミミロル「そうだけど、それから先の生活だって大事なの!」

ニャビー「ああ、まあそうだね。でもじゃあどうするのさ」

ミミロル「正攻法。ミミロルっていう種族のことをよく知っておこうと思った、普通にそう言うよ」


ニャビーが何やら呟いた。あたしはそれを聞き咎めると、彼は首を横に振る。


ニャビー「なんでも。じゃあ、やってみればいいと思う。たぶん見せてはくれると思うよ」

ミミロル「何よその釈然としない言い方」

ニャビー「だからなんでも。じゃ、また」

ミミロル「また明日」
 ▼ 31 しゃまん◆NKmNEeVImk 17/12/17 20:30:48 ID:KcmSURVA [30/40] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
で、結論から言うと、ニャビーはこうなるって気付いていたんじゃないだろうか。

ってぐらい、ウンザリする結果になった訳で。


ミミロップ「ねえ、どうして急に?」

ミミロル「なんでって、なんでもいいでしょ別に」

ミミロップ「ねえ、恋でもしてるの」


思わず吹き出して、あたしはお母さんに向き直り、叫んだ。


ミミロル「何言っちゃってんの?!」

ミミロップ「いいのいいの、好きになった子のタマゴグループと自分のが一致してるかとか、不安になっちゃう年頃よね」

ミミロル「意味わかんないんだけど?」

ミミロップ「自分の種族について見詰め直す、最初の機会だってよく言われるからね、初恋は」


そう言いながら、お母さんはニヤニヤ笑う。

は? 何それ、知らないし。よく言われてるとか、意味わかんないんですけど。


ミミロップ「まあ、頑張れ」

ミミロル「だから違うから!」


とまあ、こういうことだ。こうなるのが読めてるなら、もっと強く言ってくれればよかったのに。

ああもう、あのやろ後でやつあたりの刑だ。
 ▼ 32 しゃまん◆NKmNEeVImk 17/12/17 20:31:18 ID:KcmSURVA [31/40] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
あたしは、ミミロル、ミミロップに関するその本を開く。

重要なのは、技と特性。そんな風に言っていた。

技を見てみる。


基本やつあたり
基本はねる
基本はたく
基本まるくなる
基本みやぶる
Lv.6こらえる
Lv.13つぶらなひとみ
Lv.16でんこうせっか
Lv.23とびげり
Lv.26バトンタッチ
Lv.33こうそくいどう
Lv.36ピヨピヨパンチ
Lv.43おさきにどうぞ
Lv.46あまえる
Lv.50なかまづくり
Lv.56とびはねる
Lv.63いやしのねがい

わざマシン / ひでんマシンで覚える技
技.1ふるいたてる
技.6どくどく
技.10めざめるパワー
技.11にほんばれ
技.13れいとうビーム
技.17まもる
技.18あまごい
技.21やつあたり
技.22ソーラービーム
技.2410まんボルト
技.27おんがえし
技.30シャドーボール
技.32かげぶんしん
技.42からげんき
技.44ねむる
技.45メロメロ
技.48りんしょう
技.56なげつける
技.57チャージビーム
技.73でんじは
技.86くさむすび
技.87いばる
技.88ねごと
技.90みがわり
技.100ないしょばなし
 ▼ 33 しゃまん◆NKmNEeVImk 17/12/17 20:31:34 ID:KcmSURVA [32/40] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
タマゴ技
遺伝ほのおのパンチ
遺伝れいとうパンチ
遺伝かみなりパンチ
遺伝けたぐり
遺伝じたばた
遺伝てんしのキッス
遺伝アンコール
遺伝ねこだまし
遺伝きあいパンチ
遺伝フラフラダンス
遺伝どろあそび
遺伝うそなき
遺伝コスモパワー
遺伝スカイアッパー
遺伝まねっこ
遺伝すりかえ
遺伝ダブルアタック
遺伝ともえなげ
遺伝グロウパンチ

https://yakkun.com/sm/zukan/n427よりコピペし、不要な装飾をカットしました)
 ▼ 34 しゃまん◆NKmNEeVImk 17/12/17 20:32:02 ID:KcmSURVA [33/40] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
へ、へえ。

あたしって、こんなに技を覚えうるのか。

軽く衝撃だった。

ポケモンが一度に覚えられる技は4種類。

それをこんなよりどりみどりの中から選ぶのか。

あたしはバトル系の夢を持ってないからいいけど、バトル系で将来働こうと思ってる子は大変だな。

このたくさんの中から何がいいかを考えて、決めて行かないといけないんだから。

さて、それはそうとして、あたしの覚えてる技、やつあたり、はたく、こらえるは基本で、ねこだましは遺伝、と。

どういうことだろ、この遺伝って。

まあ、とにかく、あたしの覚えてる技に、異常はないらしい。

特性に関しては、見るまでもなく覚えていた。

にげあしと、ぶきよう。

幸いあたしはアイテムが使える。ぶきようではないはずだ。

だから、にげあし。進化したら、メロメロボディ。

これの、何が手掛かりになるんだろう。

あたしは疑問に思いながらも、「特に問題はなさそうだよ」と伝えることになるんだろうな、とも思っていた。
 ▼ 35 しゃまん◆NKmNEeVImk 17/12/17 20:32:30 ID:KcmSURVA [34/40] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
クリスマス、何欲しい。

夕食を食べていると、唐突に、お父さんがそう訊いて来た。

あたしは思わず吹き出す。

そういえば、そうだ。サンタ問題もあったんだ。

聞いたその瞬間は気にしていたが、やっぱり、親問題の前では霞んでしまうのだろう。完全に忘れていた。


ミミロル「えっと……ごめん、まだ決まってないんだ」

コジョンド「そうか。早く決めないと、サンタも間に合わないからな?」

ミミロル「うん」


ちなみに、あたしが本当に欲しいものは、ベテラン探検隊チーム:フラワーズの書いた、大ベストセラーのノンフィクション的小説。

ギルドでの生活や、探検隊としての生活を、シリアスなストーリーと軽妙な語り口で伝えていると評判を呼び、大人気となっている。

凄いのが、ダンジョン内の描写。

実際に難関ダンジョンを攻略する実力と、そしてそれを文で伝える能力をも持ち合わせた、稀有な例らしい。

そして、あたしもそれを読みたい、んだけど。

でもクリスマスに、あたしがホントに欲しいものをお母さんとお父さんには言えない。

大丈夫、サンタはくれる。くれる、はずだけど。

何にしよう、何なら嬉しいだろうか。

……後でゆっくり考えよ。
 ▼ 36 しゃまん◆NKmNEeVImk 17/12/17 20:33:19 ID:KcmSURVA [35/40] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
翌朝あたしは、ニャビーに昨日の成果を、愚痴とともに報告した。


ミミロル「なんで言ってくれなかったの? 恋を疑われるって」

ニャビー「言ったよ、だけどあんまり強く言っても逆ギレされそうだなって」

ミミロル「しないよ!」

ニャビー「そっか、ごめん。で、結果は?」

ミミロル「……特に何もないと思う」

ニャビー「技とか、遺伝技でなんかない?」

ミミロル「遺伝? ああっと、そっか、ねこだましだ、それがどうかした?」

ニャビー「ねこだまし……ねえ、ミミロル、ミミロルパパとミミロルママの、どっちかが覚えてない?」

ミミロル「へ?」

ニャビー「どっちかが、ねこだましを」

ミミロル「えっと……あ、そうだ。お父さんは覚えてるよ、ねこだまし」


あたしがそう言った途端、ニャビーの顔が綻んで、それから快哉を上げた。


ニャビー「ビンゴ! たぶん、そうだよ、ミミロルパパはミミロルパパだ!」


ミミロル「え?」
 ▼ 37 しゃまん◆NKmNEeVImk 17/12/17 20:33:40 ID:KcmSURVA [36/40] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ニャビーは笑顔のまま、説明を始める。


ニャビー「技遺伝の性質なんだ。

     両親のどっちかが覚えている技のうち、遺伝技リストに入ってる技を産まれた時に覚えてる」

ミミロル「それで?」

ニャビー「逆に、その時覚えられなかったら、その技を自力習得する手段は、だいたいない。

     たまーにあるけどね、技マシンとかルチャブルの店とか」

ミミロル「そんなこと、やったことないし」

ニャビー「だろうね。だから遺伝技の存在が、かなりの確立で、親子関係を示してる」

ミミロル「そうなんだ……」

ニャビー「生憎100%それを示すことはできないけど、たぶん大丈夫」

ミミロル「……なんで大丈夫って?」

ニャビー「だって、偶然にしちゃでき過ぎだもん。まあ、もっと確証は欲しいんだけど。

     後、ミミロルママに関してはまだ証明できてないからね」

ミミロル「ああ、うん」

ニャビー「とりあえず、もうしばらくはかかるだろうね」

ミミロル「だね」


そんな話をしている内に、学校に着いていた。
 ▼ 38 しゃまん◆NKmNEeVImk 17/12/17 20:34:16 ID:KcmSURVA [37/40] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
教室は、昨日以上にサンタの話題で盛り上がっていた。

みんながめいめいに、それぞれの親にサンタの有無を訊いて来ていたらしい。

そして、その反応は、親によってまちまちだった。

「信じてない人には来ないのよ」

そう言ってくれた母親もいるけれど、

「あら、バレたの」

と、軽く答えた母親もいるという。


ニャビー「僕、親に訊くだけじゃ駄目って言ったんだけどなぁ」


そう小さく呟いた声は、恐らくあたしにしか届いていなかった。
 ▼ 39 しゃまん◆NKmNEeVImk 17/12/17 20:34:46 ID:KcmSURVA [38/40] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
シシコ「ねえ、ミミロルのママはなんて言ってたの、サンタ」

ミミロル「あ、あたしは訊いてないんだ。ニャビーの作戦に乗っかるつもり」

シシコ「へぇ……」

ミミロル「何よ今の間は」

シシコ「なんでも?」

ミミロル「そのハテナマークは何?」

シシコ「いやだって、最近めっちゃ仲いいよね、あんたとニャビー。今まで以上に」

ミミロル「そういうんじゃないからね?!」

シシコ「まだ何も言ってませーん!」

ミミロル「あっ……いや、ホントにないからね?」

シシコ「はいはい」


あーもう。

どうしてこうなってるんだろ。

そもそも、なんであたしがサンタの件でまで協力しなきゃいけないの?

関係ないじゃん。

あたしのため息は、誰にも届かない。
 ▼ 40 しゃまん◆NKmNEeVImk 17/12/17 20:35:29 ID:KcmSURVA [39/40] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
あたしのそんな悩みは置き去りに、クラスの中ではサンタいるいない論争がヒートアップして、ある種の派閥が形成されていた。

そしてなぜか、いる派のリーダーに祭り上げられていたのが、ニャビーだった。

あいつは完全にニュートラル、そのはずなのに。


ニャビー「昨日のあれがマズかったかもね。ま、仕方ないよ、のらりくらりとかわすから心配しないで。

     のめり込んで、妙なことになることはないと思う」


まあ、ニャビーなら、ホントにのらりくらりとかわすだろう。

それは心配していない。

それこそ「ただ知りたいだけ、そういう趣味」。

っと、うつってる。この2日で、ニャビーの影響がかなり強まってしまったような気がする。


ミミロル「で、あたしは何をすればいいの?」

ニャビー「とりあえず、プレゼント。本当に欲しいのは何で、パパとママに何を言うのか」

ミミロル「ああ、本当に欲しいものは、探検隊フラワーズの本」

ニャビー「あーあれね。有名だよね、持ってないけど」

ミミロル「そうなの。で、親に言うのは……まだ決めてないけどさ」

ニャビー「早く決めないと、サンタだろうと親だろうと、準備は大変だよ?」

ミミロル「わかってる。何なら後悔しないかってのがなかなか決まらなくって。

     ねえ、ニャビーはなんなの?」
 ▼ 41 こまで◆NKmNEeVImk 17/12/17 20:35:57 ID:KcmSURVA [40/40] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ニャビー「え? 僕は虹色ポケマメを親にリクエストした。

     本当に欲しいのは……サーカスのチケットなんだよね、なぜか」

ミミロル「サーカス?」

ニャビー「うん。今年の最初の方、遠足で見に行ったじゃん、ネメシーってサーカス」

ミミロル「ああ、行った行った。凄かったよね。だけど……え、あんた、もしかしてあれもっかい見たいの?!」

ニャビー「うん。凄い、気になっちゃって。なんでか」

ミミロル「へー、意外! あんたって、そういうのに興味なさそうなのに!」

ニャビー「僕もそう思うんだけど、なんでかなぁ。ま、いいや。

     とにかく、僕がホントに欲しいのは、サーカスのチケット」

ミミロル「なるほどね。それじゃ、頑張ろ」

ニャビー「だね。とりあえず、僕も僕で、君のママが本当にママなのかを特定する手段を考えるよ」

ミミロル「お願いね」

ニャビー「うん。じゃ、また明日」

ミミロル「はーい」
 ▼ 42 ポエラー@フォトアルバム 17/12/17 21:00:18 ID:zp2PZyGs NGネーム登録 NGID登録 報告
支援!しえ
 ▼ 43 ャラドス@ノーマルジュエル 17/12/18 00:35:25 ID:uyygZ3cs NGネーム登録 NGID登録 報告
不思議ちゃんニャビーいいっすねぇ
伏線っぽいのを探しつつ支援!頑張って!
 ▼ 44 ダリン@いでんしのくさび 17/12/18 00:52:00 ID:JcMLts1c NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
本スレへの『参加SSのタイトル及びURL』の書き込みをお忘れになっていますよ

支援です
 ▼ 45 ブリー@おしえテレビ 17/12/18 06:10:09 ID:ct7UdZJk [1/20] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
>>44
ああいえ、完結してから貼ろうかなと思っています
いちいち安価して完結報告をするのも面倒ですし
 ▼ 46 しゃまん◆NKmNEeVImk 17/12/18 06:10:51 ID:ct7UdZJk [2/20] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
事件が起きたのは、翌日、終業式の日だった。

結局、何も考え付かなかったあたしたちが学校に到着すると、サンタ論争が、さらに激化していた。

エレキッド率いるいない派閥が、少しずついる派閥を説得し、いない派閥が気付かぬうちに拡大していたのだ。


ニャビー「あらら、凄いなこの謎の情熱。ちゃんと調べる気もない癖に」

ミミロル「あんた大丈夫? 祭り上げられたりしない?」

ニャビー「それはもう手遅れだよ。ま、なんとかなるなる」


そう言ってお気楽に笑うニャビーを見ていると、確かになんとかなるように思ってしまう。

けれど、ことはそう単純じゃないように思えた。


ニャビー「僕はスタンスを変えないよ。確かめるまでは、わからない」

ミミロル「まあ、頑張って。論争、あたしは絡まないからね」

ニャビー「大丈夫」


そう言ってあたしたちは、各々席に着いた。
 ▼ 47 しゃまん◆NKmNEeVImk 17/12/18 06:12:43 ID:ct7UdZJk [3/20] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
そして、放課後。放課後とは言ってもお昼前なのだけれど、とにかく放課後。

気付けばなぜか、ニャビーとエレキッドがバトルすることになっていた。

何を言ってるのかわからないと思うし、あたしもわからない。

ただ、どうしてかそうなっていた。

なんでもニャビーを生意気だとか言って、エレキッドが勝負を仕掛けたらしい。

それサンタ関係ないじゃん! そう思ったけれど、口に出すことはできなかった。

クラスはバトルで盛り上がっている。根本的に、やっぱりみんなバトルは好きなのだ。

あたしだって嫌いじゃないけど、何かが違う、そんな風に思えた。


エレキッド「どっちかがギブアップしたら終了な!」

ニャビー「はいはい。ギブアップしまーす、これでいいよね」

エレキッド「舐めてんのか? そんなんでいい訳がないだろうが」

ニャビー「あーもう。いいけどさ、早くやろ」

エレキッド「んじゃ、『でんこうせっか』!」


エレキッドが、ニャビーに急接近した。

ニャビーの口からひのこが吐き出される。

それは確実に、エレキッドに触れていた。

エレキッドのでんこうせっかを、ニャビーは軽く避ける。
 ▼ 48 しゃまん◆NKmNEeVImk 17/12/18 06:13:08 ID:ct7UdZJk [4/20] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
エレキッド「なんで避けやがる! 大人しく俺の技を食らいやがれ!」


ニャビーは黙っている。エレキッドが叫んだ。


エレキッド「『でんきショック』!」


腕をぶんぶん振り回し、それからニャビーの方へと向け、頭の突起から小さな雷を撃ち出す。

ニャビーはそれを横っ飛びで回避する。


エレキッド「ふざけんな!」

ニャビー「僕は真剣だよ?」


怒りの込められたエレキッドの叫びに、そう言うニャビーの顔はいつも通りの穏やかな笑み。

そのことが、この勝負の結果を示しているような、そんな気がした。
 ▼ 49 しゃまん◆NKmNEeVImk 17/12/18 06:13:31 ID:ct7UdZJk [5/20] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
それからしばらくは、ニャビーの独壇場だった。

エレキッドの攻撃を軽々とかわし続けるニャビー。

当然ながら、エレキッドのイライラは高まって行く。


エレキッド「ニャビーお前、やっぱり舐めてるだろ!」

ニャビー「そんなことないってばー。どうしてそうな――」

エレキッド「食らえ、『でんじは』!」


あっ、と思った。

それは、卑怯じゃない、と。

ニャビーの話している隙を突いて、でんじはって。


――けれど、ニャビーは回避した。
 ▼ 50 しゃまん◆NKmNEeVImk 17/12/18 06:13:59 ID:ct7UdZJk [6/20] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
エレキッド「なんで、なんで攻撃して来ねぇんだよ!」

ニャビー「だって……面倒だもん」

エレキッド「こんにゃろ……おい、お前!」


面倒、そう言い切ってしまうニャビーにもちょっと引いた。

だけど、ここでいきなりあたしを示して来るエレキッドは、かなりヤバい奴なんじゃないか。


ミミロル「な、何よ」

エレキッド「お前、こいつと仲いいだろ? お前戦えよ」

ミミロル「はあっ?! 何言っちゃってんのっ」


あたしの疑問と困惑と憤りが、全部詰まった言葉。それが、口から漏れていた。


エレキッド「お前もサンタ、信じてるだろ」


今頃になって思い出したように、何言ってんだか。


ニャビー「ミミロルは関係ないでしょ」

ミミロル「いいよ、受けて立つ」


あたしはそう、前に進み出た。

そして、隣のニャビーに言う。


ミミロル「エレキッド、勝つか負けるかしないと満足しないよ。あんたじゃ一生終わらせられない」

ニャビー「まあ、そうだね、うん。ごめん、巻き込んで」

エレキッド「何ごちゃごちゃ言ってんだよ! 早くやるぞ!」

ミミロル「言っとくけど、あたし弱いからね。あたしに勝っても何の自慢にもならないよ」


そう、コートの向かいに立つエレキッドに叫んだけれど、彼は気にもしないというように宣言した。


エレキッド「それじゃやるぞ! 『でんこうせっか』!」


エレキッドが、こちらへ向けて突っ込んで来る。
 ▼ 51 しゃまん◆NKmNEeVImk 17/12/18 06:15:08 ID:ct7UdZJk [7/20] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
でんこうせっかが来る、ってことが読めていたため、あたしは耳を前へ突き出し、思いっきり突き出した。

これだけは自信があった。あたしの耳にも衝撃は走るけど、耐えられない程じゃない。

どうだろ、と顔を上げると、エレキッドは構わずに突っ込んできていた。

そして、ニヤリと笑いながら、こう叫ぶ。


エレキッド「『でんじは』!」


何かを思う間もなく、あたしはその攻撃の直撃を受けていた。

受けていた、のに。

何も、ダメージがなかった。

でんじはが補助技なのは知っている。そういう意味ではなくて、ただ、マヒになった感覚も何もないというか。

何も、起こらなかった。

あたしは全力を込めて、やつあたりを繰り出した。

エレキッドが、「なんだよお前、ズルかよ……」とか言いながら、大地に倒れ伏す。


ミミロル「あっと……これ、あたしの勝ち、なの?」


歓声が上がった。

凄い、エレキッドに勝つなんて。


エレキッド「クソ……なんで、お前、マヒしないんだよ……。

      マヒ前提で動いて……油断した……」


つまり、なぜかあたしがマヒしなかったから、その隙を突けた。

そういうことか。
 ▼ 52 しゃまん◆NKmNEeVImk 17/12/18 06:15:44 ID:ct7UdZJk [8/20] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ニャビー「はいオレン」


ニャビーが持って来たオレンで、エレキッドは復活した。

それから、不意に泣き出してしまった。


ニャビー「エレキッドは強い。たぶん、ミミロル以外には勝てるよ」

エレキッド「意味わかんねえし」

ニャビー「特性じゅうなん。ミミロルは、それなんだ。マヒしない。

     君の戦い方はたぶん、でんこうせっかで接近して、相手を驚かせつつでんじはを当てて戦いを優位に進める。

     実際、かなり強いよ。ただ、相性が悪かった」

ミミロル「えっ、じゅうなんって」

ニャビー「後で。ねえエレキッド。僕は、別にサンタがいるって思ってる訳じゃないよ。

     ただ、証明したいだけ。自分の意識で、納得したいんだ。

     だから、ほっといて、僕がどうだろうと」


エレキッドはうつむいている。ニャビーは、かばんを手に取ると、帰路に就いた。
 ▼ 53 しゃまん◆NKmNEeVImk 17/12/18 06:16:11 ID:ct7UdZJk [9/20] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
帰り辛くって教室に残っていると、みんなが声を掛けて来る。

凄いとか、ヤバいとか。

いつの間にかいなくなっていたエレキッドのことを気に掛けているポケモンは、ほとんどいなかった。

で、あたしはそれに、酷い居心地の悪さを感じている。

だって、ただ、相性がよかっただけなのに。

ずっとにげあしだと思っていたら、じゅうなんだったらしくって、それがただ、見事に相性がいい特性だっただけなのに。

あたしの勝ちとか、そんな風には思えなかった。

早く、この時間が、過ぎ去って欲しかった。
 ▼ 54 しゃまん◆NKmNEeVImk 17/12/18 06:16:45 ID:ct7UdZJk [10/20] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
シシコ「にしてもまあ、一気に人気者だね」

ミミロル「まあね。あーもう、ヤなっちゃう」


途中までシシコと一緒に帰る。

と言っても、すぐに道は分かれてしまうのだけど、今は愚痴りたかった。


ミミロル「なんかさ、悪いのよ、エレキッドに。

     絶対負けるだろうし、それでいいと思ってた。

     なんで、勝てちゃうのかなぁ」

シシコ「まあ、エレキッドは災難だよね。っていうか、ニャビーがヤバくない?

    あいつ地味に、エレキッドの攻撃全部見切って避けてんだけど」

ミミロル「の割に、全然攻撃しなかったし。なんでだろうね」

シシコ「……たぶん、あいつは普通に勝てたんだろうね。だけど、今のあんたみたいになるのが嫌で、回避した」

ミミロル「あっ!」

シシコ「あいつ、何者なんだろ。地味にめちゃめちゃスペック高いよね」

ミミロル「……はぁ、じゃあ何? あたしもエレキッドも、まるっきりピエロじゃない!」

シシコ「あんたがこうなるのは嫌がってただろうけどね。っていうか、普通に勝つとは思ってなかったんじゃない?

    気付いた? あんたがバトルしてる間、あいつ保健室行ってオレン調達だよ?」

ミミロル「ええっ?!」

シシコ「笑っちゃうよね、あいつ。あ、そろそろだ。バイバイ」

ミミロル「う、うんバイバイ」
 ▼ 55 しゃまん◆NKmNEeVImk 17/12/18 06:17:12 ID:ct7UdZJk [11/20] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
シシコと別れ、1匹とぼとぼ歩いていると、突然声が聞こえた。


「ミミロル、確定したよ、君のママ」

ミミロル「ニャビー、あんたって奴は……へ?」

ニャビー「だから、ミミロルママも、90%本物のママなんだって、確定した」

ミミロル「それ、どういう……」

ニャビー「特性のとこ、ちゃんと読んだの? 夢特性に関しての話があったでしょ?」

ミミロル「夢特性……?」


聞き覚えのない単語だった。

首を傾げるあたしに、ニャビーがため息を吐く。


ニャビー「種族内でも、滅多に持ってるポケモンがいないレア特性。

     トレジャータウンのスリープに夢を見てもらうことでその特性になるってことで有名になったから夢特性って呼ばれてる。

     でもって、夢特性のポケモンは夢特性の親からしか産まれない。

     そして、これはあの本にもあるはずなんだけど、ミミロルの夢特性が『じゅうなん』なんだよ」

ミミロル「えっと、つまり」

ニャビー「気になったから、ミミロルママにも訊いてみた。ビンゴだったよ」

ミミロル「待って! バトル見てないのにいつあたしがマヒらないって気付いたの?」

ニャビー「エレキッドが言ってたの。ま、それはそうとして、だから、つまり。

     君は、極めてレアな夢特性のミミロップと、ねこだましを覚えたポケモンの間に産まれた子ども。

     こんなピンポイントな条件なんて、そうはないよ。

     十中八九、間違いない。ミミロルママとミミロルパパは、正真正銘ミミロルの両親だ」

ミミロル「……そうなんだ。よかったぁ」


思わず、ため息が零れた。安堵から来た、ため息が。


ミミロル「よかった、心配すること、なかったんだ……」
 ▼ 56 しゃまん◆NKmNEeVImk 17/12/18 06:17:32 ID:ct7UdZJk [12/20] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
瞳に、涙が溜まって行くのを感じる。

思っていたよりも、不安を感じていたことに、それで気付いた。

あたしは、うずくまって、泣いた。

ニャビーが、そっと隣にいてくれた。
 ▼ 57 しゃまん◆NKmNEeVImk 17/12/18 06:17:51 ID:ct7UdZJk [13/20] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告







翌日、枕元には、フラワーズの本が置いてあった。






 ▼ 58 しゃまん◆NKmNEeVImk 17/12/18 06:18:06 ID:ct7UdZJk [14/20] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ミミロル「……なんだ、そういうことだったんだ」


それで、あたしは理解した。

この件が、どういうことだったのか。


ミミロル「ありがとう、ニャビー」


昨日は言えなかったお礼を、すぐ近くの家にいるニャビーに向けて、そっと、呟く。
 ▼ 59 こまで◆NKmNEeVImk 17/12/18 06:18:36 ID:ct7UdZJk [15/20] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
幕章 手紙

なるほどね。

オイラたちの子どもまで知りたがり屋になっちゃうなんて、ホントに恐るべし(笑)

会いたい、ってことなんだけど……クリスマスの奇跡なのかな、たまたま近くにいるんだよね、年末年始。

チケット送るよ。4枚分。

みんなで見に来て。きっと、成長したオイラを見せられると思うから。

オイラたちの子どもでもあるんだし、興味津々になっちゃうかもね。

でも、だからこそ、ニャビーとオイラたちを、会わせないで欲しいんだ。

オイラたちのパフォーマンスを見せるだけ、にして欲しい。

きっと、会っちゃうと、いろいろ後悔しちゃうから。だから、お願い。

じゃあ、また公演で。

  愛を込めて

 12月23日            君の親友より
 ▼ 60 チャブル@リピートボール 17/12/18 19:39:04 ID:UEdxVg1I NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
>>45
そうでしたか、失礼致しました
 ▼ 61 しゃまん◆NKmNEeVImk 17/12/18 20:45:45 ID:ct7UdZJk [16/20] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
2章 小さな願い

そんなこと、言われなくてもわかってた。

僕の親が別にいる、なんてこと、見りゃわかるのだ。

あまりにも、種族が違い過ぎる。

始めて疑問に思ったのは、もう何年前だろうか。

その時に、調べた。タマゴグループやら、遺伝技、夢特性などについて。

パパは飛行。ママは植物。

子どもは、産めない。

そもそも僕のタマゴグループは陸上。あまりにも、違い過ぎる。

それをバクガメスさんに伝えると、「さすがだな」と笑った。

僕のパパは、探偵だ。このバクガメスさんも、パパの相棒として働いている。

だから、僕が調べあげたという事実に、満足気に笑ったんだろう。
 ▼ 62 しゃまん◆NKmNEeVImk 17/12/18 20:46:01 ID:ct7UdZJk [17/20] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
それで、僕の産みの両親について訊いてみたんだけど、それに関しては、パパとママに直接訊いてみろと言われて終わりだった。

だけど、それを言う気にはなれなかった。

だって、パパとママは、僕にめちゃくちゃ優しい。

本当の親だろうとなかろうと、関係ないと思わせるぐらいには、2匹とも僕のことが大好きだし、僕も2匹のことが好きだった。

バクガメスさんは基本不愛想だけど、でもいいポケモンなんだろうなって思う。

どういう経緯でここにいるのかはそれこそ秘密らしいけど。
 ▼ 63 しゃまん◆NKmNEeVImk 17/12/18 20:46:22 ID:ct7UdZJk [18/20] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
だけど。

ミミロルが、自分の親が本当の親なのかわからないって言って来て。

それで僕は、気になった。

僕の本当の親は、どこにいるんだろう、って。

さしたる願いじゃない。別に叶わなくたって構わない。

それでも、小さな願いが僕の中にやって来た。

会ってみたい、本当の親に。だけど。

ミミロルが、自分の親が本当の親なのかわからないって言って来て。

それで僕は、気になった。

僕の本当の親は、どこにいるんだろう、って。

さしたる願いじゃない。別に叶わなくたって構わない。

それでも、小さな願いが僕の中にやって来た。

会ってみたい、本当の親に。
 ▼ 64 しゃまん◆NKmNEeVImk 17/12/18 20:46:57 ID:ct7UdZJk [19/20] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
で、ママに言った。

当たり前のように切り出したんだけど、さすがに動揺していた。


「ど、どうして……」

「まあ、いろいろあってね。親が違うってのはずっと気付いてたけど、さすがに」

「そう……なの」

「まあね。で、会ってみたくなっちゃった。ごめん」

「全然大丈夫よ。お母さん、お父さんに相談してみる。たぶん、連絡は取れると思うからさ」

「いいの?!」

「でも、どうなるかはわからないよ? 連絡が取れても、会える保障はないから」

「それでもいいよ。気になっただけだしね」

「ひとつだけ。例え会えなくても、あなたを産んだ両親は、あなたのことを大好きだってことは」

「わかった。そういう理由じゃないんだよね。ちょっとホッとした」


そう言って、笑う。ママも、ニッコリ笑った。


「あのポケモンたちは、凄い尖ってるけど、めっちゃいいポケモンだった。

 今でもたまに、あなたの中にあの2匹を見ることがあるの」

「へー」

「さ、じゃあそろそろ、寝なさい。プレゼントあげないよ?」

「まだクリスマスじゃないじゃん。今更サンタなんて信じてないし。

 あ」

「何、どうかしたの?」

「ああいや、なんでもない。お休み」

「お休み、ニャビー」
 ▼ 65 ニノコ@まがったスプーン 17/12/18 20:47:04 ID:0t0Utxhk NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 66 こまで◆NKmNEeVImk 17/12/18 20:51:12 ID:ct7UdZJk [20/20] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
布団に潜りながら、考えた。

そして、ある程度、結論を出せた、気がする。

なんだ、言葉にすると超絶単純じゃないか。

別の解釈もできないことはないだろう。だろうけれど、現時点で考え得る最も妥当性の高い結論は、これだ。

で、だ。

それを知ったうえで、どう立ち回るのが正解なのだろう。

可能性を提示することすら、恐らく部外者の僕には許されない。

本当は何の話だったのか。それを勝手に晒しては、いけない。

僕はと言えば、だからその秘密を庇いつつ、ミミロルの中に芽生えた疑惑の芽を摘むことを考えないといけないのか。

うわ、結構難題だなこれ。

背理法というか、別の答えが正解だからミミロルのその疑念は間違いだ、というやり方はできない。

となると、正攻法で攻めるしかない、のか。

直接、演繹で示すしかない……。

それだと、けれど、同じ親の組み合わせからなら同じ性質を持った子どもが産まれることもあるし厳しいかな。

まあ、そうか。別に今回は、ミミロルを納得させれば充分なんだから、100%である必要はないのか。

よし、じゃあ方針は確定。

とりあえず、ミミロルが本を手に入れてくるの待ちだな。

じゃあ、寝よう。どうせ明日までに本を読むのはたぶん無理だろうけど、数日後には本から得られる情報で考えないといけないんだから。
 ▼ 67 しゃまん◆NKmNEeVImk 17/12/19 21:12:47 ID:xClsfUH2 [1/20] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
案の定、ミミロルは失敗した。

想定内だし、そんな申し訳ない顔しなくてもいいのに。


ニャビー「大丈夫、焦らなくても答えは逃げないからさ」

ミミロル「まあね」


そう言うミミロルは、少しホッとしているようだった。
 ▼ 68 しゃまん◆NKmNEeVImk 17/12/19 21:13:07 ID:xClsfUH2 [2/20] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
学校に着くと、ある話題で持ち切りになっていた。

どこのクラスにも1匹はいる、元気印のガキ大将。

そのポジションに収まってるエレキッドが、「サンタなんていない」とぶち上げていたのだ。

さて、妙な具合になって来たぞ、とその誇らしげな顔を見て、思う。

ミミロルを見ると、ショックを受けているようだった。

あんまりいい傾向じゃないな、と思い、僕は問うた。


ニャビー「それで?」

エレキッド「それでってお前……」

ニャビー「サンタがいないって言う、その根拠は?」


エレキッドは、奮然と言い返す。


エレキッド「母ちゃんがそう言ってたんだぞ! 間違いねぇ!」

ニャビー「それだけ? 自分で確かめてみたことはあるの?」

エレキッド「はぁ? そんなのないけど……」


そう言う彼から、急に毒気が抜けた。なんだ、やっぱりこの程度か。知らずニッと笑う。


ニャビー「そっか。じゃあ、ちゃんと調べようよ。君のママをただ信じるだけじゃなくて」
 ▼ 69 しゃまん◆NKmNEeVImk 17/12/19 21:14:08 ID:xClsfUH2 [3/20] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
エレキッド「ああん?」

ニャビー「嘘を吐いてないって確証はないよね、エレキッドママ。

     だから、ちゃんと、自分で調べて、納得しないと」

エレキッド「なんだよ、それ」

ニャビー「なんでも。だけど……普段は勉強なんて意味がないって親の言ってることを無視してるじゃん」

エレキッド「う……」

ニャビー「君を疑ってるんじゃないよ、君は心の底からそう思って言った。それは信じてる。

     だからこそ、自分はそれで納得できるのか、考えてみてよ」


とりあえずこれで、サンタは一旦保存される。

事実としていないのだから、気付くのはそれぞれ気付くんだろうけれど、それは今じゃない、そんな気がした。

特に、ミミロルだ。僕としても、なぜかミミロルには、それを知らないままでいて欲しかった。

それから、ふっと気付く。どうすればいいのか。どうすれば、ミミロルの中のサンタを護れるのか。

僕は、気付かぬうちに、ニコリと笑っていた。


ニャビー「まあ、僕も僕で、いろいろ調べてみるし。みんなも一緒に調べない?」
 ▼ 70 しゃまん◆NKmNEeVImk 17/12/19 21:15:55 ID:xClsfUH2 [4/20] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「でもじゃあ、どうやって調べるって言うのよ」


そうやって声をあげたのは、ミミロルの友達で、よく途中まで僕たちと一緒に帰っている、シシコだった。

その質問を、待っていた。僕は、過去に自分が取った戦法を伝える。


ニャビー「ホントに欲しいものと、違うものを親に言ってみてよ」

ミミロル「なるほど、そういうこと。親がサンタなら、言われたものをくれるはずってこと?」


さすがに、ミミロルは理解が早い。シシコも頷いていた。

まだ首を傾げているエレキッドたち数匹に向けて、僕は説明する。


ニャビー「ホントにいるなら、ホントに欲しいものをくれるはずだもんね」


ここでようやく呑み込んだと見えるエレキッドが、不平を漏らした。

ただただ、甘い、そんな不平。


エレキッド「でもそれじゃ、ホントに欲しいものがもらえないんじゃ……」


ただ、彼がそう言うのも想定の内だった。

実際、彼に実行されたら困るのだ。

だから、敢えて僕は、突き放す。


ニャビー「調べるんだから、そのぐらいは覚悟しないと」

エレキッド「はぁ?!」

ニャビー「そろそろ先生来るよ、席に着かなきゃ」

エレキッド「なあ、もし俺が言ってることが正しかったら、俺が損するのは納得いかねぇんだけど」


やっぱり、そういうことにはすぐ気付く。


ニャビー「……わかった。いいよ、僕がやる」

エレキッド「お前は信じてんのかよ」

ニャビー「ううん、ただ知りたいだけ。そういう趣味なんだ。じゃ、また休み時間に」


まあ、嘘は吐いていない。既に、知っているだけで。

そんな風に思いながら席に座ると、その瞬間に先生が入って来た。

凄いな、この偶然。
 ▼ 71 しゃまん◆NKmNEeVImk 17/12/19 21:16:56 ID:xClsfUH2 [5/20] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
休み時間。僕とミミロルの関係じゃ、休み時間にまで親しくは話せないし、話さない。

第一、今話してもたいした成果はないし。

そんな風に思いながら、自席であくびをしてると、何匹かのクラスメイトが声を掛けて来た。


「なあニャビー。サンタっているよな」

「だって、みんな自分が欲しいプレゼントがもらえるっておかしいもん」


なんだかなぁ、と思う。

みんな、僕の何を聞いてたんだろ。

それでも、そうやって訴えかけてくる瞳がどことなく純粋で、放っておけない、そう思った。


ニャビー「まあ、わかんないけどね。空飛ぶそりとか、オドシシとか、普通ありえないじゃん。

     だけど、プレゼントが届いてるのは事実だし、証明はできないもん。

     だから、調べたいんだ」

「じゃあ、俺たちで、サンタはいるって証明しようぜ!」

ニャビー「うん! だけど……そんなに何匹もは大丈夫。

     もしサンタがいなかったら、ホントに欲しいものがもらえないんだよ?」


この言葉に、大半が怯んだようだった。

実際僕には、こんなに何匹もの面倒なんて見られない。

僕ができるのは、せいぜいがミミロルの件だけだ。

だから、そう言う。今みんながその「実験」をやったら、間違いなく、サンタの正体に気付いてしまう。

信じてるなら、しばらくは保存しておけばいい。


ニャビー「だから、僕がやる。もしいないってなったら、その時は容赦できないから、ごめんね」


エレキッドに対抗する枠は、たぶん、僕、ということになる。

それがいるって主張してる訳ではないんだから、このクラスではいない派が大半になるんだろうな、なんて思う。

まあ、問題はない。僕だって、いるって言ってる訳じゃないし、そう過剰な論争に巻き込まれることはないだろう。

その、はずだ。

そう言えば、最後までエレキッドは、僕に何を頼むのか聞きに来なかった。

アホだ。どうせ嘘を吐くから結果としては一緒だけど、ポーズとしてぐらい聞きに来て欲しいんだけど。

そこまでやる気ないというか、何も考えてないのだろうか。バトルのやり方からして、バカではないんだろうけど。
 ▼ 72 しゃまん◆NKmNEeVImk 17/12/19 21:19:32 ID:xClsfUH2 [6/20] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
帰り道、シシコと別れ、ミミロルと話す。

ここでしっかりと伝えないと、計画は失敗する。


ニャビー「本当に、まずは本を手に入れること。それと、サンタの件だけど協力してくれない?」

ミミロル「え? なんで?」


あ、ミミロルは頷いてはくれないのね。

ちょっとこれは、想定外。

だから、困惑が、そのまま言葉に出る。


ニャビー「え、だって、ミミロルも、気になったんでしょ?」

ミミロル「そりゃそうだけど……」


この間に、平生を取り戻した。

そして、説得の言葉を紡ぐ。


ニャビー「信じてるんでしょ、サンタ。なら、何も問題はないよね。

     だって、ちゃんと目当てのアイテムがもらえるんだから」

ミミロル「う……」

ニャビー「とにかく、大丈夫だからさ。軽い実験だと思って。ね?」

ミミロル「わかったよ。それじゃ……どうすればいいの?」

ニャビー「本当に欲しいものと、親に言うものを教えて。

     それがないと嘘吐かれるかもしれないからどうしようもないのに、エレキッド、聞きに来なかった。

     バカだよね」

ミミロル「毒舌っ! まあ、そっか、それを聞かないんじゃ何も始まらないもんね」

ニャビー「っていうかあいつ、ホントは知る気がないんだよ。

     自分で考える気もないんなら、この謎の答えは来年まで持ち越しでいいじゃん」

ミミロル「……後でどうなっても知らないよ?」


心配はありがたいけど、たぶんあいつぐらいなら、バクガメスさんに鍛えてもらってる僕なら余裕で勝てる、はず。
 ▼ 73 しゃまん◆NKmNEeVImk 17/12/19 21:20:14 ID:xClsfUH2 [7/20] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ニャビー「まあ大丈夫でしょ。プレゼントに関しては今すぐじゃなくてもいいから、やっぱりまずは、本」

ミミロル「わかった、頑張る。お母さんの目を盗んで、なんとかやってみる」


本を手に入れる言い訳を提案してみる。

このままだと、いつまでたってもできないような気がして。


ニャビー「それか、保健の授業で使うことにでもしとけば?」

ミミロル「後からテスト見られた時の言い訳思い付かないし無理」

ニャビー「変なとこで真面目だなぁホント。それどころじゃないんでしょ?」

ミミロル「そうだけど、それから先の生活だって大事なの!」

ニャビー「ああ、まあそうだね。でもじゃあどうするのさ」

ミミロル「正攻法。ミミロルっていう種族のことをよく知っておこうと思った、普通にそう言うよ」


それは、マズイと思うよ。だって、自分のタマグルに興味示すとか、恋愛の第一歩なんだもん。

小さく呟くと、ミミロルが聞き咎めた。


ニャビー「なんでも。じゃあ、やってみればいいと思う。たぶん見せてはくれると思うよ」

ミミロル「何よその釈然としない言い方」

ニャビー「だからなんでも。じゃ、また」

ミミロル「また明日」
 ▼ 74 しゃまん◆NKmNEeVImk 17/12/19 21:20:48 ID:xClsfUH2 [8/20] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
昨日のあの親についての話は、表向き、なかったことのようにされている。

きっと、パパとママで、相談しているんだろう。

少なくとも、パパはこのままなあなあで放置して気が済むタイプじゃないので、僕はしばらく、何もできないし、それでいいと判断して、日常を過ごすことにした。

クリスマスプレゼントは、本当の両親。

それは昨日、伝えた。

代打の案を訊いて来ないってことは、それに向けて動いているってことの証明だ。

だから、不安はない。
 ▼ 75 しゃまん◆NKmNEeVImk 17/12/19 21:21:23 ID:xClsfUH2 [9/20] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
翌朝、ミミロルは開口一番僕を責めた。


ミミロル「なんで言ってくれなかったの? 恋を疑われるって」

ニャビー「言ったよ、だけどあんまり強く言っても逆ギレされそうだなって」


まあ、嘘は吐いていない。代案考えるのが面倒だからその面倒は押し付けたけど。


ミミロル「しないよ!」

ニャビー「そっか、ごめん。で、結果は?」

ミミロル「……特に何もないと思う」


そういえば、どこをどう見ろとか言ってなかったな。

重要なのは、遺伝技と夢特性。


ニャビー「技とか、遺伝技でなんかない?」

ミミロル「遺伝? ああっと、そっか、ねこだましだ、それがどうかした?」

ニャビー「ねこだまし……ねえ、ミミロル、ミミロルパパとミミロルママの、どっちかが覚えてない?」

ミミロル「へ?」

ニャビー「どっちかが、ねこだましを」

ミミロル「えっと……あ、そうだ。お父さんは覚えてるよ、ねこだまし」


マジか。来た。僕は思わず叫ぶ。


ニャビー「ビンゴ! たぶん、そうだよ、ミミロルパパはミミロルパパだ!」
 ▼ 76 しゃまん◆NKmNEeVImk 17/12/19 21:21:46 ID:xClsfUH2 [10/20] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ミミロル「え?」


微笑みを浮かべながら、僕は遺伝技について解説した。


ニャビー「技遺伝の性質なんだ。

     両親のどっちかが覚えている技のうち、遺伝技リストに入ってる技を産まれた時に覚えてる」

ミミロル「それで?」

ニャビー「逆に、その時覚えられなかったら、その技を自力習得する手段は、だいたいない。

     たまーにあるけどね、技マシンとかルチャブルの店とか」

ミミロル「そんなこと、やったことないし」

ニャビー「だろうね。だから遺伝技の存在が、かなりの確立で、親子関係を示してる」

ミミロル「そうなんだ……」

ニャビー「生憎100%それを示すことはできないけど、たぶん大丈夫」

ミミロル「……なんで大丈夫って?」

ニャビー「だって、偶然にしちゃでき過ぎだもん。まあ、もっと確証は欲しいんだけど。

     後、ミミロルママに関してはまだ証明できてないからね」

ミミロル「ああ、うん」

ニャビー「とりあえず、もうしばらくはかかるだろうね」

ミミロル「だね」


そんな話をしている内に、学校に着いていた。
 ▼ 77 しゃまん◆NKmNEeVImk 17/12/19 21:22:05 ID:xClsfUH2 [11/20] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
教室は、昨日以上にサンタの話題で盛り上がっていた。

みんながめいめいに、それぞれの親にサンタの有無を訊いて来ていたらしい。

そして、その反応は、親によってまちまちだった。

「信じてない人には来ないのよ」

そう言ってくれた母親もいるけれど、

「あら、バレたの」

と、軽く答えた母親もいるという。


ニャビー「僕、親に訊くだけじゃ駄目って言ったんだけどなぁ」


そう小さく呟いた声は、恐らくミミロルにしか届いていなかった。
 ▼ 78 しゃまん◆NKmNEeVImk 17/12/19 21:22:36 ID:xClsfUH2 [12/20] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
数匹減っていたけど、サンタがいる派閥は、案の定僕に声を掛けて来た。


「やっぱり、俺の母さんも、いるって言ってたし!」

「いない訳ないよね」


僕の周りでそう、わいわいと盛り上がるみんな。

どこか置き去りにされたような気分だった。

だって、もう何年も前に、僕は真実を知っている。

それを隠して、笑ってみる。


ニャビー「まあ、そうだね」


僕のスタンスは、恐らくは正確には理解されていない。

諦めて、僕もいる派につくのが楽かもしれない。

というより、どうせこの盛り上がりも終業式、つまり明日まで。

イブに2学期が終わるんだから、結局どうだった、って言うのは来年に持ち越し。

新年ってのはやることも多くて、この熱狂を維持する程の熱量は、保てないはずだ。

だったら、今がどうだろうと関係ないや。

めんどくさいもん、だって。
 ▼ 79 しゃまん◆NKmNEeVImk 17/12/19 21:23:29 ID:xClsfUH2 [13/20] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
帰り道、ミミロルが心配そうに声を掛けてくる。

だけどまあ、ミミロルの心配によって事態が好転するでもなし、僕は笑っていなした。


ニャビー「昨日のあれがマズかったかもね。ま、仕方ないよ、のらりくらりとかわすから心配しないで。

     のめり込んで、妙なことになることはないと思う」


ミミロルは曖昧な笑みを浮かべ、それから不意に真剣な顔に戻り、言った。


ミミロル「で、あたしは何をすればいいの?」

ニャビー「とりあえず、プレゼント。本当に欲しいのは何で、パパとママに何を言うのか」

ミミロル「ああ、本当に欲しいものは、探検隊フラワーズの本」

ニャビー「あーあれね。有名だよね、持ってないけど」

ミミロル「そうなの。で、親に言うのは……まだ決めてないけどさ」

ニャビー「早く決めないと、サンタだろうと親だろうと、準備は大変だよ?」

ミミロル「わかってる。何なら後悔しないかってのがなかなか決まらなくって。

     ねえ、ニャビーはなんなの?」


当然訊いて来る。僕は、準備していた答えを返した。


ニャビー「え? 僕は虹色ポケマメを親にリクエストした。

     本当に欲しいのは……サーカスのチケットなんだよね、なぜか」
 ▼ 80 しゃまん◆NKmNEeVImk 17/12/19 21:24:06 ID:xClsfUH2 [14/20] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
年末年始は適当に旅行に行く。それに、サーカスという意味を、嘘で持たせれば充分だった。

そして、欲しいのも、本当だった。もしそれがもらえたら、結構喜ぶ自信がある。


ミミロル「サーカス?」

ニャビー「うん。今年の最初の方、遠足で見に行ったじゃん、ネメシーってサーカス」

ミミロル「ああ、行った行った。凄かったよね。だけど……え、あんた、もしかしてあれもっかい見たいの?!」

ニャビー「うん。凄い、気になっちゃって。なんでか」

ミミロル「へー、意外! あんたって、そういうのに興味なさそうなのに!」

ニャビー「僕もそう思うんだけど、なんでかなぁ。ま、いいや。

     とにかく、僕がホントに欲しいのは、サーカスのチケット」

ミミロル「なるほどね。それじゃ、頑張ろ」

ニャビー「だね。とりあえず、僕も僕で、君のママが本当にママなのかを特定する手段を考えるよ」

ミミロル「お願いね」

ニャビー「うん。じゃ、また明日」

ミミロル「はーい」
 ▼ 81 しゃまん◆NKmNEeVImk 17/12/19 21:25:22 ID:xClsfUH2 [15/20] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
さて、と。

僕は、部屋で手紙を書いていた。

一応、母親が違う可能性を完全には排除しきれない以上、ミミロルの仮定が正しい可能性も残っているし、直接深夜の話し合いが何だったのかとは問い辛い。

けれど、まあ恐らくは、間違いない。

ミミロルは、親に本当のプレゼントはリクエストしない。

それによってサンタの正体知るのは普通にありだとは思うんだけれど、

それでもなぜか、ミミロルには、知らないでいて欲しかった。

エレキッドのあの発言に、親子問題の最中でもショックを受けてしまう程に、サンタを信じているのだから、もう少しゆっくりと、考える時間をあげたいのだ。

で、この手紙を僕は、バクガメスさんと一緒に、こっそりミミロルの家の郵便受けに入れた。

これを回収するのは、ミミロルではない。

今まで話していた中で、郵便受け確認はミミロルの仕事でないことは知っている。

見付かる確率は限りなく低い。


バクガメス「にしても、お前、どうしてここまで入れ込んでるんだ?」

ニャビー「なんでだろうね……わかんないや」

バクガメス「そうか」


バクガメスさんは、基本的に無口だ。この手紙の内容についても、ちっとも干渉していない。

それ以上の追及はして来なかったし、だから僕も、それ以上深くは考えなかった。
 ▼ 82 しゃまん◆NKmNEeVImk 17/12/19 21:25:58 ID:xClsfUH2 [16/20] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
事件が起きたのは、翌日、終業式の日だった。

学校に到着すると、サンタ論争が、さらに激化していた。

エレキッド率いるいない派閥が、少しずついる派閥を説得し、いる派閥が気付かぬうちに縮小していたのだ。

こんなことに情熱を燃やすエレキッドに、尊敬半分、呆れ半分。


ニャビー「あらら、凄いなこの謎の情熱。ちゃんと調べる気もない癖に」

ミミロル「あんた大丈夫? 祭り上げられたりしない?」

ニャビー「それはもう手遅れだよ。ま、なんとかなるなる」


どうせ、今日限りなんだから。

今日を無事に乗り切れば、どうせみんなの熱意は冷める。


ニャビー「僕はスタンスを変えないよ。確かめるまでは、わからない」

ミミロル「まあ、頑張って。論争、あたしは絡まないからね」

ニャビー「大丈夫」


そう言って僕たちは、各々席に着いた。
 ▼ 83 しゃまん◆NKmNEeVImk 17/12/19 21:26:41 ID:xClsfUH2 [17/20] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
エレキッド「なあニャビー。お前だって、本当は信じてないんだろ?」


何匹かの取り巻きとともに、エレキッドが僕に声を掛けてくる。

ああ、わかりやすいなぁ。

思わず、ニヤけてしまう。


エレキッド「何笑ってんだよ」


僕に向けて、そう叫ぶ。意味などないのに。


ニャビー「だって、信じてる信じてないじゃなくて、わからないから知りたいだけだって、言ったじゃん」

エレキッド「だーかーらー! お前は答えがどうなると思ってんのか訊いてんだよ!」

ニャビー「わかんない、先入観は邪魔だし。

     別に、いないと思うなら、いないと思えばいい。僕は戦う気なんてないの。

     説得しても、無駄だよ」

エレキッド「てめぇ、生意気だぞ!」

ニャビー「だって、戦ったら勝てないし。だから、戦わない。それでいいよね」

エレキッド「この臆病者!」


その煽りは、臆病でいい、蛮勇を見せて爆死するよりは、なんて思ってる僕には地面に電気だ。


ニャビー「とにかく、ハッキリするのは、明日。実験が終わったらだよ」
 ▼ 84 しゃまん◆NKmNEeVImk 17/12/19 21:26:58 ID:xClsfUH2 [18/20] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
僕の言葉の何を聞いていたのか、エレキッドが激昂する。


エレキッド「てめぇ、やる気あんのか?」

ニャビー「ないよ」

エレキッド「いい加減にしろよ! なんだよ! 勝つ気がないとかおかしいだろ?!

      バトルしろよ、それで決着付けようぜ」

ニャビー「嫌だ、って言ったら?」

エレキッド「ぶっ飛ばす」

ニャビー「わかったわかった。受けて立つよ」


こうやって囲まれている状態で、そんな風に言われると、もう受けざるを得ないらしい。

まあ、戦法はわかってるから負けることはないだろうし、勝たないように、適当にやろう。

それにしても、途中からもはやサンタが関係ないのなんか凄い笑えるんだけど、誰かわかってくれないかな。
 ▼ 85 しゃまん◆NKmNEeVImk 17/12/19 21:27:49 ID:xClsfUH2 [19/20] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
バトルコートに、僕とエレキッドは向かい合わせで立つ。

数少ないサンタがいる派閥は、僕を応援してくれているけれど、僕が気にしていたのは、ミミロルだけだった。

彼女は最前列で、どこか呆れと心配を混ぜたような表情を浮かべていた。


エレキッド「どっちかがギブアップしたら終了な!」

ニャビー「はいはい。ギブアップしまーす、これでいいよね」

エレキッド「舐めてんのか? そんなんでいい訳がないだろうが」


ギブアップしたら終了って言ったじゃないか。やる気なんて全くないんですけど。

こうなったら手早く始めて手早く諦めてもらうとしようか。


ニャビー「あーもう。いいけどさ、早くやろ」

エレキッド「んじゃ、『でんこうせっか』!」


エレキッドが、接近してくる。

なんで技名をいちいち宣言しちゃうかなぁ。

便宜的に、僕は軽くひのこを繰り出して、横っ飛びする。

エレキッドに軽いダメージを与えた。後は逃げるだけ。

というより、エレキッドの戦法は、初撃『でんこうせっか』→でんじは→蹂躙の流れなので、でんこうせっかを避けられる僕には勝ち目がないと思うのだ。


エレキッド「なんで避けやがる! 大人しく俺の技を食らいやがれ!」


大人しく食らうバカはいないと思う。


エレキッド「『でんきショック』!」


腕をぶんぶん振り回し、それから僕の方へ、頭の突起から小さな雷を撃ち出す。

でんこうせっかよりも、容易に回避できた。


エレキッド「ふざけんな!」

ニャビー「僕は真剣だよ?」


怒りの込められたエレキッドの叫び。けれど、怒るようじゃ三流もいいところだ。
 ▼ 86 しゃまん◆NKmNEeVImk 17/12/19 21:28:15 ID:xClsfUH2 [20/20] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
それからしばらくは、僕の独壇場だった。

だって、いちいち何の技を使うのか宣言してくれるんだもん、避けろって言ってるようなもんじゃん。

負けるのは別にいいけど、痛いのは嫌だし。

エレキッドのイライラは高まって行くのが、見て取れた。


エレキッド「ニャビーお前、やっぱり舐めてるだろ!」

ニャビー「そんなことないってばー。どうしてそうな――」

エレキッド「食らえ、『でんじは』!」


話してる隙を突いての攻撃。それは、だいたい読めていた。


エレキッド「なんで、なんで攻撃して来ねぇんだよ!」

ニャビー「だって……面倒だもん」


勝った後の、ごたごたが。


エレキッド「こんにゃろ……おい、お前!」


そう言って、エレキッドは、ミミロルを指し示した。

え、と困惑する僕をよそに、「な、何よ」と戸惑うミミロルに向けてエレキッドは言う。


エレキッド「お前、こいつと仲いいだろ? お前戦えよ」

ミミロル「はあっ?! 何言っちゃってんのっ」

エレキッド「お前もサンタ、信じてるだろ」


今頃になって思い出したように、何言ってんだか。

呆れて、僕は諫める。


ニャビー「ミミロルは関係ないでしょ」

ミミロル「いいよ、受けて立つ」


ミミロルはそう、前に進み出た。
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