▼  |  全表示457   | << 前100 | 次100 >> |  履歴   |   スレを履歴ページに追加  | 個人設定 |   ▼   
                  スレ一覧                  
SS

【SS】 ヒカリ 「トライポカロン?」

 ▼ 1 クスノキ 15/03/12 02:30:00 ID:Zzzra/vk NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
全てのポケモントレーナーへ。

出会ったポケモンを大切に育て上げ、共に生き、共に強くなる――。

自分を選んでくれた相手と、真剣に向き合って。そしてそれは、大切な人へも――。


・このSSに登場するキャラの一部はオリジナルです。“サクラ”、“ミズホ”と言うキャラがヒカリの友人として登場しますが、同名の原作キャラとは一切関係ありません。

・時系列は、アニポケXY第60話前後を想定し、この後登場するサトシたち一行は、まだヒヨクシティから出ていないものとします。

・このSSは、下記SSの形式上の続編となっています。

 【 エル「サトシ君、か……」 シェイミ「大問題でしゅ!」 】
 (http://pokemonbbs.com/poke/read.cgi?no=69213)

 同SSをお読みいただけた方が内容が分かりやすいと思うので、よろしければご参照ください。なお、同SSから直接続く部分は、小見出し【 10 】からです。

・このSSを最後の執筆とし、全てを完結させる予定です。
 ▼ 318 オンバーン@バコウのみ 15/04/04 19:20:57 ID:73GFMWeo NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 319 クスノキ 15/04/04 19:22:00 ID:gm2Ylb82 [1/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ドスドスと勢いに乗って接近してくるバンギラスに、コダマは“みずのはどう”を避ける指示は出さなかった。

その巨体で、“みずのはどう”に無理矢理突っ込んで、蹴散らして、ゲコガシラに最接近する。


 セレナ 「あぁっ……」

 ヒカリ 「そんな……効果抜群のワザなのに!」

 D・Y 「バンギラス……岩タイプのポケモンは、砂嵐の時に特防が上がるんだ。コダマ君は、それを見越してあえて突っ込んで行ったんだろうね。確実に攻撃するために」


 サトシ 「クッ! “かげぶんしん”だ!」


サトシはすぐさま“かげぶんしん”を指示して、バンギラスを翻弄させようとする。


 コダマ 「甘いぜ! “いわなだれ”で分身を蹴散らせ!」


再び“いわなだれ”が撃ち落とされて、ゲコガシラの分身が消えていく。

砂嵐に加え、広い範囲を攻撃できる“いわなだれ”を前に、分身の効果は薄かったみたいだ。
 ▼ 320 シシコ@パワーレンズ 15/04/04 19:24:35 ID:EizBJ4/A NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 321 クスノキ 15/04/04 19:30:00 ID:gm2Ylb82 [2/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 コダマ 「決めるぞ! “ドラゴンテール”!」

 サトシ 「避けろゲコガシラ!」

 コダマ 「させるか! 横向きだ!」


ゲコガシラが避けようと動いたその瞬間、バンギラスの“ドラゴンテール”が、ゲコガシラの脇腹に直撃した。

上から振り下ろすのではなく、横方向から“ドラゴンテール”を出したことで、ゲコガシラが避ける時間的余裕を与えなかったのだ。


 サトシ 「ゲコガシラ!?」

 コダマ 「トドメだバンギラス! “いわなだれ”!」


弾き飛ばされたゲコガシラは、痛そうに顔をしかめている。

そんな隙を狙って、バンギラスの“いわなだれ”が降り注がれた。


 ヒカリ 「ダメッ……避けてゲコガシラ!」

 セレナ 「ゲコガシラっ……!」


ここでゲコガシラがダウンしちゃったら、サトシは圧倒的に不利になってしまう。

けど、あのバンギラスの“ドラゴンテール”は強力だ。あんな巨体から打ち出されたワザを喰らって、すぐに回避なんて……。
 ▼ 322 クスノキ 15/04/04 19:40:00 ID:gm2Ylb82 [3/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「負けるなゲコガシラ! ショウヨウジムを思いだせ! “いわなだれ”を使って上を取るんだ!」

 ゲコガシラ 「げこ……げごぉぉぉぉっ!」

 コダマ 「……んだと!?」


ゲコガシラの動きに、私は目を疑った。

“いわなだれ”で降り注がれる岩を足場にして、まるでアスレチックのようにそれらを飛び移り、ゲコガシラがバンギラスの上を取ったのだ。


 セレナ 「あれ……“がんせきふうじ封じ”の!」

 ヒカリ 「がっ……がんせきふうじ封じ!?」

 セレナ 「うん。サトシがショウヨウジムで使った戦法なの。ああやって、岩を足場にして相手の上を取るって言う……」


そんな戦法を編み出してたなんて……。やっぱりサトシって凄い!


 サトシ 「行くぜゲコガシラ! “みずのはどう”打ち込んでやれぇ!」

 ゲコガシラ 「げごげごぉぉぉぉ!」


完全に隙を突いて、ゲコガシラの“みずのはどう”がバンギラスの頭に直撃した。
 ▼ 323 ゴース@きせきのタネ 15/04/04 19:48:00 ID:I4BTrK.c [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
>>192くらいまで読んだんだが
予想してたことあたってワロタ
予想は18禁なこと
 ▼ 324 クスノキ 15/04/04 19:50:00 ID:gm2Ylb82 [4/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「良いぞ! 着地したらもう1発“みずのはどう”だ!」

 コダマ 「調子乗るんじゃねぇ! バンギラス“ドラゴンテール”だ! 着地した瞬間を狙え!」


上手く攻撃が直撃したと思ったけど、着地する瞬間まで、ゲコガシラは隙だらけだ。

飛行タイプじゃない限り、落下中に大きく方向転換することは出来ない。いまのゲコガシラは、格好の攻撃のマトだった。


 サトシ 「(“みずのはどう”じゃ蹴散らされるのがオチか……) ゲコガシラ! “いあいぎり”で“ドラゴンテール”を止めるぞ!」

 ゲコガシラ 「げごぉぉぉ!」


ゲコガシラは両腕をクロスさせて“いあいぎり”の構えを作り、バンギラスの“ドラゴンテール”と向かい合った。

……けど、体の大きさから見ても、パワーから見ても、バンギラスの方が圧倒的に有利だった。


ゲコガシラは押し潰されるような形で、“ドラゴンテール”に打ち負けてしまう。
 ▼ 325 クスノキ 15/04/04 20:00:00 ID:gm2Ylb82 [5/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「あっ……ゲコガシラぁ!」

 コダマ 「プッ……“いあいぎり”で立ち向かうとかナメんじゃねーぞ! 連続で“ドラゴンテール”!」

 サトシ 「くそっ……立てゲコガシラ! 避けるんだ!」

 コダマ 「させえぇよ!」


バンギラスは、連続で“ドラゴンテール”を繰り出して、何度も何度も、ゲコガシラを痛めつける。

その攻撃スタイルは、ローブシン対ルチャブルの時と変わらなかった。


 ヒカリ 「酷い……そこまでやる必要ないじゃない!」

 セレナ 「もうやめてよ! 可哀想だと思わないの!?」


 コダマ 「外野は黙ってろ! 奇襲をかけられないためにも、完璧にダウンさせる必要があるんだよ!」

 サトシ 「戻れゲコガシラ。よく頑張ったな」


やっぱりコダマのバトルスタイルはおかしいよ。普通だったら、ある程度のところで攻撃を中断させるのに。


これでサトシの残りはピカチュウとヒノヤコマ。ただでさえ数で負けちゃったって言うのに、2匹ともバンギラスと相性が悪い。

大丈夫だよねサトシ……。絶対に勝ってくれるよね!?
 ▼ 326 ドクケイル@ねばねばこやし 15/04/04 20:04:22 ID:z2zXHpCU NGネーム登録 NGID登録 報告
レジアイスやラティオスをダウンさせたピカ様なら平気
 ▼ 327 カブルモ@ボーマンダナイト 15/04/04 20:30:32 ID:I4BTrK.c [2/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
猿よべば良かったのに
 ▼ 328 ハハコモリ@ヤチェのみ 15/04/04 22:01:25 ID:XYzz2Vtk NGネーム登録 NGID登録 報告
砂利は3値をまず知ろうか
 ▼ 329 クスノキ 15/04/04 22:53:20 ID:gm2Ylb82 [6/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「頼んだぞヒノヤコマ!」

 ヒノヤコマ 「やっこぉー!」

 コダマ 「プッ……バンギラス相手に飛行とかお前バカだろ?」

 サトシ 「何とでも言え! オレ達は相性を引っくり返す!」

 ヒノヤコマ 「やこぉ!」


サトシの3体目はヒノヤコマ。相性は悪いけど……、サトシらしいな、相性を考えないバトル。

本当にサトシらしいよ。


 セレナ 「サトシ……」

 ヒカリ 「大丈夫よセレナ。サトシなら絶対にダイジョーブ!」

 セレナ 「うん……。ヒカリって、サトシのことすっごく信頼してるんだね」

 ヒカリ 「えっ? もちろん。一緒に旅した仲だし、サトシのバトルスタイルだって理解してる

つもりよ」

 セレナ 「そっか。……サトシもヒカリのこと、信頼してるみたいだね」

 ヒカリ 「えっ?」

 セレナ 「羨ましいよ。私もそんな風に……、サトシに信頼される存在になりたかった……」
 ▼ 330 クスノキ 15/04/04 22:55:00 ID:gm2Ylb82 [7/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ヒカリ 「えっと……どうしたのセレナ? セレナはサトシに……」

 セレナ 「……ううん。なんでもない。それより、サトシをしっかり応援しないとね」

 ヒカリ 「うん……」

 D・Y 「さぁ、サトシ君はこの不利な状況を、どうやって打開していくかね」

 ヒカリ 「そう言えばイエローさん。バトル前に言ってた、“コダマに用が出来る可能性”って、何のことだったんですか?」

 D・Y 「あぁ。君たちから聞いたコダマ君の印象が不安だったから、念のため自分の目で確認したかったんだよ。コダマ君がポケモンに対して適切な接し方をしてるかね」

 ヒカリ 「だったら……さっきのは適切って言えるんですか? 必要以上にサトシのポケモンを攻撃して……あんまりですよ!」

 D・Y 「まぁ、良くはないことだけど、バトルの戦略の一つとして、極端なまで不適切とは言えないね」

 ヒカリ 「そうですか……」

 D・Y 「オレっちが見たいのは、コダマのポケモン自体なんだ」

 ヒカリ 「コダマの……ですか?」

 D・Y 「……まぁ、オレっちの思い過ごしならいいんだけどね」


なんだろう。なんとなく はぐらかされてしまった感がある。

イエローさん、本当は何のために、サトシとコダマのバトルを観戦してるんだろう……?
 ▼ 331 カブト@ふうせん 15/04/04 23:04:27 ID:TxW8g4GQ NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
まさか…イエローがコタマの兄…?










んな訳無いか
 ▼ 332 マンキー@アブソルナイト 15/04/04 23:05:36 ID:RnAdZtbg NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
まだまだこのssを読んでたい
 ▼ 333 バイバニラ@こうらのカセキ 15/04/05 00:37:25 ID:cmoBK7Ik [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
>>331
あり得る
 ▼ 334 クスノキ 15/04/05 01:38:20 ID:zkidFy3I [1/27] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 コダマ 「さっさと終わらせてやんよ。“いわなだれ”!」

 サトシ 「行くぜヒノヤコマ! “ニトロチャージ”!」

 ヒノヤコマ 「やこぉ!」


バトルが始まった。

ヒノヤコマに迫りくる“いわなだれ”だけど、“ニトロチャージ”の加速を活かしてうまく回避している。

ワザとしてではなく、回避する手段として、サトシは“ニトロチャージ”を選んだみたいだ。


 コダマ 「ちょこまかとウザってぇな……連続で“いわなだれ”!」

 サトシ 「さらに加速だヒノヤコマ!」

 ヒノヤコマ 「やぁこぉぉぉ!」


ヒノヤコマの“ニトロチャージ”は止まらない。ヒノヤコマの纏う炎が、より一層赤く輝き、さらにスピードが上がっていく。


 サトシ 「今だヒノヤコマ! “はがねのつばさ”!」

 ヒノヤコマ 「やぁぁぁこぉぉぉぉぉ!」
 ▼ 335 クスノキ 15/04/05 01:39:00 ID:zkidFy3I [2/27] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ヒノヤコマは“いわなだれ”の間をうまくすり抜けて、全開のスピードのまま、バンギラスに“はがねのつばさ”を直撃させた。


 サトシ 「いいぞヒノヤコマ!」

 コダマ 「チッ……よく狙えバンギラス!」


“はがねのつばさ”はバンギラスに効果抜群。体長の差も、小回りが効く分ヒノヤコマの方が有利だ。

しかも、このタイミングで砂嵐がおさまった。戦況はサトシに向いている!


 サトシ 「視界も完全に晴れたな! ヒノヤコマ! もう1発“はがねのつばさ”だ!」

 ヒノヤコマ 「やっこぉ!」


勢いを付けたまま、ヒノヤコマは大きく上空で転回して、再度バンギラスに突撃していく。


 バンギラス 「させるか! バンギラス“まもる”!」

 サトシ 「また“まもる”かよっ……! 避けろヒノヤコマ!」
 ▼ 336 クスノキ 15/04/05 01:39:40 ID:zkidFy3I [3/27] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
けど、バンギラスはヒノヤコマがぶつかる直前で“まもる”を発動したので、ヒノヤコマが軌道を変える余裕は無かった。

結果、ヒノヤコマの“はがねのつばさ”は、守っているバンギラスに激突、弾き返されてしまう。


 サトシ 「クッ!」

 コダマ 「チャンスだバンギラス! ヒノヤコマを捕まえろ!」

 サトシ 「なにっ……逃げろヒノヤコマ!」

 ヒノヤコマ 「やこぉ!?」


逃げようとしたヒノヤコマだけど、“まもる”で弾かれた時に出来た隙は大きい。

バンギラスの太い腕がヒノヤコマの翼を鷲掴みにし、完全に捕えられてしまった。


 コダマ 「喰らいな! “ドラゴンテール”!」

 サトシ 「逃げろヒノヤコマ! “ニトロチャージ”で振り切れ!」

 ヒノヤコマ 「やこっ……やこぉぉぉ!」
 ▼ 337 クスノキ 15/04/05 01:40:20 ID:zkidFy3I [4/27] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
体に炎を纏ってもがくヒノヤコマだけど、バンギラスの掴む力は想像以上に強いらしい。

バンギラスはヒノヤコマを地面に押さえつけると、尻尾を大きく振り上げて、“ドラゴンテール”で叩きつけた。


 サトシ 「ヒノヤコマぁ!?」

 コダマ 「これでトドメだ! “いわなだれ”!」


全体重をかけた、まるで“のしかかり”のような“ドラゴンテール”を受けたヒノヤコマは、すぐには動けない。

結果、“いわなだれ”の直撃を受けてしまった。効果抜群のワザを、抵抗する間もなく……。


 サトシ 「戻れヒノヤコマ。……サンキューな」


とうとうサトシのポケモンはラスト1体、ピカチュウだけになってしまった。

コダマはまだ3体も残ってるって言うのに……。


 ヒカリ 「サトシ……」

 セレナ 「サトシのピカチュウは強いけど……、コダマはまだ3体も残ってる……」

 D・Y 「これは……気の毒だけど、勝負ついちゃったかなぁ」
 ▼ 338 クスノキ 15/04/05 01:41:20 ID:zkidFy3I [5/27] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「……頼んだぜ、ピカチュウ!」

 ピカチュウ 「ぴっかちゅう!」

 コダマ 「プッ……結局最後はそのピカチュウかよ! 僕のガッサにも勝てなかったってのに、バンギラスに挑もうってのか? 降参しても良いんだぜ? バッジを捨てる約束は守って貰うけどなぁ!」

 サトシ 「誰が降参するか! オレは最後まで絶対に諦めない!」

 コダマ 「諦めないって……プッ! まだ僕に勝とうと思ってるのか!? 無駄だって分かんねーのか? そのピカチュウ1匹で、僕のバンギラス達に勝てるって本気で思ってんのか?」

 サトシ 「確かにお前のポケモンは強いさ。それは認めてやる! でも、最初っからムリだって決めつけたら何の成長も無いだろ! どんな場面だって、全力で向かい打ってやるぜ!」


サトシ……。


なんだろう……サトシの言葉が、心にすっごく響いた。


最後まで諦めない?

最初からムリだって決めつけたら何の成長も無い?

どんな場面だって全力で向かい打つ?
 ▼ 339 クスノキ 15/04/05 01:42:20 ID:zkidFy3I [6/27] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
……そっか。

私、自分がスランプだってずっと悩んでたけど、本当は、これ以上コンテストで失敗するのが怖かっただけなんだ。

無意識のうちに、私は最初からムリだって諦めてたんだ……。

ポッチャマたちは頑張って演技してくれてるのに、トレーナーの私がこんな気持ちじゃ……演技にも影響出ちゃうよね。


 サトシ 「行くぜピカチュウ!」

 ピカチュウ 「ちゅぴっかぁ!」


どんな時でも絶対に諦めないサトシは、私と旅した時と全然変わってない。それがサトシのスタンスだもんね。

私も……、そんなサトシを見習わなくちゃいけないな。

たとえ調子が悪くたって、それをスランプだ〜なんて現実逃避しないで、真っ直ぐ前を見つめて……。


 ヒカリ 「頑張ってサトシ! ピカチュウ! 私も頑張るから! サトシも頑張ってぇ!」

 セレナ 「ヒカリ……」
 ▼ 340 クスノキ 15/04/05 01:43:00 ID:zkidFy3I [7/27] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「“でんこうせっか”で間合いを詰めろ!」

 ピカチュウ 「ぴっかぁ!」

 コダマ 「砂嵐は無いけど、僕のバンギラスのパワーの舐めて貰っちゃ困るな! “いわなだれ”!」

 サトシ 「避けて避けて突っ込め!」

 ピカチュウ 「ぴっか!」


ピカチュウは降り注ぐ“いわなだれ”を、“でんこうせっか”のスピードで器用に回避していく。

そしてそのまま、バンギラスに突撃した。


 サトシ 「……やっぱバンギラスに“でんこうせっか”は効果薄いか!」

 コダマ 「ったりまえだ! バンギラス“ドラゴンテール”!」

 サトシ 「かわして“アイアンテール”だ!」

 ピカチュウ 「ちゅぴっかぁ!」


“ドラゴンテール”を回避したピカチュウは、尻尾に力を込めて“アイアンテール”でバンギラスに迫る。


 コダマ 「何度やっても同じだ! “まもる”!」
 ▼ 341 クスノキ 15/04/05 01:44:20 ID:zkidFy3I [8/27] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
けど、結果は同じだった。バンギラスの“まもる”で、ピカチュウは弾き返されてしまった。


 サトシ 「(あの“まもる”を何とかしないと……!)」

 コダマ 「“ドラゴンテール”!」

 サトシ 「させるか! “10万ボルト”!」

 コダマ 「効かねぇ! HD252振りのバンギラスを甘く見るな!」

 サトシ 「あっ……ピカチュウ!?」


ピカチュウの“10万ボルト”は確かにバンギラスに直撃した。

けど、それでバンギラスは怯まなかった。若干顔をしかめたものの、“ドラゴンテール”を振り下ろすスピードは変わらない。

ピカチュウの真上から叩きつけられた“ドラゴンテール”が直撃し、ピカチュウは体勢を崩してしまう。


 コダマ 「ヒノヤコマと同じだ! “いわなだれ”でトドメ刺せ!」

 サトシ 「負けるなピカチュウ! 立つんだ!」

 ピカチュウ 「びかっ……」
 ▼ 342 クスノキ 15/04/05 01:45:00 ID:zkidFy3I [9/27] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ヨロヨロと立ち上がったピカチュウだけど、頭上には“いわなだれ”が迫っている。


 セレナ 「危ないピカチュウ!」

 ヒカリ 「ピカチュウ……逃げてピカチュウ!」


 コダマ 「無駄だぁ!」

 サトシ 「諦めるなピカチュウ! “アイアンテール”で行くぞ! “いわなだれ封じ”!」

 ピカチュウ 「びかぁぁぁぁ!」


サトシとピカチュウは、まだ諦めていなかった。

サトシが言った“いわなだれ封じ”とは、降り注ぐ“いわなだれ”の岩を“アイアンテール”で弾きつつバンギラスの上を取る、ゲコガシラの時と同じ戦法だった。


 セレナ 「サトシ……サトシ頑張ってぇ!」

 ヒカリ 「さっきの応用……なの? 凄いよサトシっ!」
 ▼ 343 クスノキ 15/04/05 01:46:00 ID:zkidFy3I [10/27] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
岩を弾きながら、どんどん上昇するピカチュウは、遂にバンギラスの真上に到達した。


 コダマ 「また訳の分からないワザを……!」

 サトシ 「行くぜピカチュウ! 最大パワーで“アイアンテール”!」

 ピカチュウ 「びかびかびかびかぁぁぁぁちゅぴっかぁ!」


そして、尻尾に鋼を纏わせて、それを力一杯振り下ろす。

尻尾が太陽に反射して鈍く光る、ピカチュウの本気の“アイアンテール”だ。


 コダマ 「同じだ! バンギラス“まもる”!」


けど、コダマはまた“まもる”を指示した。

これじゃあさっきと同じだ。“まもる”で弾かれた隙を突かれて、一気に攻め込まれてしまう。


 サトシ 「“まもる”使うならこっちだって考えがあるぜ! ピカチュウ! そのまま“10万ボルト”だ!」

 ピカチュウ 「ぴぃぃぃかぁぁぁぢゅぅぅぅぅぅ!」

 コダマ 「なにっ……マズいバンギラス避けろ!」

 サトシ 「遅いっ!」
 ▼ 344 クスノキ 15/04/05 01:48:00 ID:zkidFy3I [11/27] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
いま、サトシとピカチュウが何をしたのか。

それは、“アイアンテール”の構えを崩さないまま、バンギラスに“10万ボルト”を放ったのだ。“アイアンテール”が直撃する前に。

それがどんな意味かと言うと、“まもる”の対象が“10万ボルト”になると言うことだ。


 ヒカリ 「そんな手があったなんて……」

 セレナ 「サトシ……やっぱり凄い!」

 D・Y 「これはサトシ君の戦略勝ちだね。にしても、あのピカチュウの“10万ボルト”は美しい。見ただけで健康さが伝わってくる」


短い“10万ボルト”が終わるとともに、“まもる”の効力も切れる。もう守るものは何もない。

そのタイミングで、ピカチュウの強力な“アイアンテール”が、バンギラスの頭上に炸裂した!


 コダマ 「ぁぐっ……しっかりしろバンギラス!」

 サトシ 「良いぞピカチュウ! もう1発“アイアンテール”だ!」
 ▼ 345 クスノキ 15/04/05 01:49:00 ID:zkidFy3I [12/27] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
間髪入れずに、ピカチュウは再度“アイアンテール”をバンギラスにぶつけた。着地してすぐ、体勢を横向きにして。

これによって、バンギラスは足をすくわれたような格好になる。“アイアンテール”を受けたその巨体は、轟音と共に地面に倒れ込んだ。


 サトシ 「HDとか252とか何だか知らないけど、オレのピカチュウを甘く見るな! 最大パワーで“10万ボルト”だ!」

 ピカチュウ 「びがぁぁぁぁぁぁぢゅうううぅぅぅぅぅぅぅ!」

 コダマ 「うわっ……くっ……! 耐えろバンギラス! そんなピカチュウに負けるんじゃねぇぞ!」


ピカチュウの雄叫びと共に、バチバチと爆音を立てながら“10万ボルト”の電撃が炸裂した。

直視するのが難しいくらい強力な発光とともに、四方八方に火花が散り、砂埃が舞い上がる。


 D・Y 「すげぇ……あんな“10万ボルト”見たことねぇぞ!」

 ヒカリ 「ピカチュウ……!」
 ▼ 346 クスノキ 15/04/05 01:50:00 ID:zkidFy3I [13/27] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
砂埃が晴れると、そこには横たわったままのバンギラスの姿が。

……とうとうバンギラスは戦闘不能になったのだ。


 サトシ 「ぃよっしゃぁぁぁ! やったぜピカチュウ!」

 ピカチュウ 「ぴかぴ! ぴぃかちゅう!」


サトシとピカチュウは、あのバンギラスに打ち勝ったんだ。

強大な巨体、ドーピングによる育成、“まもる”を取り入れたワザ構成。そんな強敵に、2人は打ち勝ったんだ。


 ヒカリ 「あははっ……凄いよサトシ! ピカチュウ!」


 サトシ 「オレは最後まで諦めない! たとえ不利な状況でも、諦めなければ、こうやって勝利を掴めるんだ!」

 ピカチュウ 「ぴっかっちゅう!」


本当に凄いよ、サトシ。

最後まで諦めないで、自分自身とポケモンを信じて、堂々と立ち向かう……。


それはきっと、私に足りない気持ちなんだろうな。コンテストで何回も失敗して落ち込んじゃった私が、忘れてしまった気持ち……。

サトシは、そんな“大切なモノ”を、私に思いださせてくれたのだ。
 ▼ 347 クスノキ 15/04/05 01:51:00 ID:zkidFy3I [14/27] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「あと2匹……このまま頑張るぞピカチュウ!」

 ピカチュウ 「ぴっかぁ!」


 サトシ 「(ヒカリのためにも。カゲボウズを仲間に迎えるためにも! それに、セレナに謝るためにも。ここでビシッと勝って、セレナにきちんと謝るんだ!)」


 コダマ 「チッ! 戻れバンギラス!」

 サトシ 「どうだ! まだ勝負は分からないぜ!」

 コダマ 「ラスト1匹でよく言うぜ。こっちはまだ2匹残ってんだぜ?」

 サトシ 「だからどうじた!? オレとピカチュウは絶対に諦めない!」

 コダマ 「その威勢……いつまで続くかな。次はお前だ! 行って来い!」


コダマが3体目のボールを投げる。

出てきたそのポケモンを見た瞬間、イエローさんの表情が変わった。


いったい……、イエローさんはコダマの何に注目してるんだろう。


とにかく、コダマのポケモンは残り2匹。

サトシは残りピカチュウだけだけど、私は信じてる。最後まで諦めないサトシが、勝利を掴むことを。
 ▼ 348 クスノキ 15/04/05 01:52:00 ID:zkidFy3I [15/27] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
今夜はこの辺で終了します。ご支援、ご感想、ありがとうございました。

また明日の夜に更新再開します。
 ▼ 349 オムスター@すごいキズぐすり 15/04/05 01:53:48 ID:/tlXrCsE NGネーム登録 NGID登録 報告
おぉ〜またいいとこで切るぅ……

支援!毎日支援!
 ▼ 350 ヒヒダルマ@ねっこのカセキ 15/04/05 09:56:58 ID:am1vyv6k NGネーム登録 NGID登録 報告
コダマ側のフェアリーの一貫性ヤバイな
次はガルドかな?
 ▼ 351 ムウマ@カメックスナイト 15/04/05 10:15:37 ID:cmoBK7Ik [2/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援×10000
 ▼ 352 フーディン@ラティアスナイト 15/04/05 11:01:31 ID:RN99Bm0Y [1/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
このSSの雰囲気っぽい画像を作ってしまった…
 ▼ 353 ヤブクロン@ディフェンダー 15/04/05 12:16:42 ID:TltSV.c. NGネーム登録 NGID登録 報告
支援

>>352
みてみたい
 ▼ 354 スボミー@するどいツメ 15/04/05 13:12:59 ID:RN99Bm0Y [2/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
>>353
まあ雰囲気っていうか応援してる感じっていうか
なんかこんな感じっぽい
本当はがんばれも付けたそうかと思ったけど…
 ▼ 355 マルマイン@スターのみ 15/04/05 14:41:52 ID:WJpLeZrc [1/3] NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 356 カゲボウズ@おおきなキノコ 15/04/05 19:35:22 ID:R5qJgZgk NGネーム登録 NGID登録 報告
>>354
おぉ!
でも今の状況セレナってハートかな?
 ▼ 358 ドゴーム@こうてつプレート 15/04/05 20:29:20 ID:RN99Bm0Y [3/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
>>356
3DSのプリソフトで編集したからねw
とりあえずこんな感じかなと
支援
 ▼ 359 メガジュペッタ@きんりょくのハネ 15/04/05 20:48:14 ID:KFPCfujE NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 360 クスノキ 15/04/05 21:00:00 ID:zkidFy3I [16/27] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 コダマ 「行って来いシビルドン!」

 サトシ 「シビルドンか。クダリさんとのバトル以来だっけ。……頼むぜピカチュウ!」

 ピカチュウ 「ぴぃっかぁ!」


サトシはピカチュウしか残ってないけど、コダマはシビルドンと、それに、昨日のキノガッサもいる。

流れはサトシに来てるかもしれないけど、数でみれば不利なことに変わりはない。


 ヒカリ 「頑張ってサトシー! ピカチュウー!」


セレナは無言でサトシを見守っている。

それに対してイエローさんは……表情が固い。


 ヒカリ 「あの……どうしたんですかイエローさん」

 D・Y 「どうやら……恐れていたことが的中しちまったよ」

 ヒカリ 「えっ?」

 D・Y 「確認は必要だけどな」
 ▼ 361 クスノキ 15/04/05 21:10:01 ID:zkidFy3I [17/27] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
電気ワザ同士のぶつかり合い。

ドーピングアイテムで育成したコダマのシビルドンと、長い旅と気合いで強くなってきたサトシのピカチュウ。

どっちの電撃が勝るのか、私は息を呑んだ。


……が。


 D・Y 「今だ行くぜ!」


まるでこのタイミングを待っていたかのように、イエローさんは走り出した。


 ヒカリ 「……ってイエローさん!?」

 セレナ 「えっ!?」


向かった先は、シビルドンの攻撃方向。


 D・Y 「ぐおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」


 サトシ 「イエローさん!?」

 コダマ 「なにやってんだテメェ馬鹿か!?」
 ▼ 362 クスノキ 15/04/05 21:20:00 ID:zkidFy3I [18/27] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
イエローさんは、シビルドンの“ワイルドボルト”を生身で受けに行ったのだ。

突然の行動に驚いたけど、それよりも、真剣なバトルの最中に水を差すような行動に出たイエローさんが、ちょっぴり信じられなかった。


 D・Y 「ぐっ……はぁっ……はぁっ……はぁっ……」

 サトシ 「大丈夫ですかイエローさん!? なんで……」

 コダマ 「おい! いまバトル中なんだよ! バトルの邪魔するとかどんだけ素人なんだよテメェよぉ!?」

 D・Y 「このバトル、中止だ」

 コダマ 「ふざけんな! バトルの邪魔して中止だぁ!? お前になんの権限があるんだよ!? 僕はサトシを ぶっ潰して……」

 D・Y 「分からねーのか!? お前のポケモンは危ない状態なんだよ!」

 コダマ 「は?」

 サトシ 「危ないって……!?」


イエローさんは、疑問の表情を浮かべるサトシとコダマを余所目に、シビルドンの体を看はじめた。


イエローさんが“ワイルドボルト”を受けたのって、シビルドンの体調を確認するためだったのね。

それで、シビルドンに何か異常を見つけたから、いまこうやって診察しているんだ。


……凄いな、ポケモンドクターって。もしかして、やっぱりタケシも、イエローさんみたいなスキルを身に付けなきゃいけないのかな?
 ▼ 363 クスノキ 15/04/05 21:30:01 ID:zkidFy3I [19/27] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
診察を終えたイエローさんは……、何故か悲しそうな表情で、首を横に振った。

それってもしかして……、何か深刻な病気が見つかったってこと!?


 D・Y 「やっぱり……」

 サトシ 「どういうことですか?」

 D・Y 「コダマ君のポケモンは、これ以上……いや、今後一切、バトルをさせる訳にはいかない」

 コダマ 「今後一切って……どういうことだよ!? 今までピンピンしてたってのに、バトルが出来ない訳ねーだろ!?」


そうだ。コダマのポケモンに、異変なんて見られなかった。もちろんそれは、私たち素人目に見た感じだけど。

今後一切バトルが出来ないなんて……、このシビルドン、そんなに深刻な状態なの?


 D・Y 「……ニシノモリ教授の研究を知ってるか?」


イエローさんは、静かに口を開いた。


 コダマ 「ニシノモリ? 誰だそれ?」

 サトシ 「オレも聞いたことないです」

 D・Y 「まぁ、君たちくらいの世代なら知らなくて当然か。 ニシノモリ教授は、モンスターボール開発のキッカケになった人物だよ」
 ▼ 364 クスノキ 15/04/05 21:40:00 ID:zkidFy3I [20/27] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 コダマ 「モンスターボールの?」

 サトシ 「生みの親ってことですか?」

 D・Y 「まぁ、そういう言い方もできるね」

 サトシ 「ってことは、GSボールの謎も解いてくれるんじゃ……」

 D・Y 「言っておくけど、とっくに亡くなってるよ。ニシノモリ教授は」

 サトシ 「あっ……そうなんですか」


私はセレナと一緒に、イエローさんの傍へ駆け寄った。


 ヒカリ 「それで、コダマのポケモンとニシノモリ教授が、何か関係あるんですか?」

 コダマ 「そうだよ。それを早く説明しろよ」

 D・Y 「あぁ。……1925年のことだ。ニシノモリ教授の“とある研究”によって、モンスターボールの開発が始まったんだけど、それは、研究の失敗が発端なんだ」

 サトシ 「失敗が?」

 ヒカリ 「でも、失敗は成功のモトって……」

 D・Y 「単なる失敗なら良かったんだけど、それ、生体実験だったんだ」
 ▼ 365 タマザラシ@いわのジュエル 15/04/05 21:41:47 ID:WJpLeZrc [2/3] NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 366 クスノキ 15/04/05 21:50:00 ID:zkidFy3I [21/27] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 セレナ 「生体実験って……実際にポケモンを使った実験に失敗したんですか?」

 D・Y 「そうだ」

 サトシ 「えっ……!?」

 D・Y 「当時、現役引退間近だったニシノモリ教授は、試薬の投与量を誤って、実験に使っていたオコリザルを衰弱させてしまったんだ」

 サトシ 「(そう言えばオコリザルの奴、元気にしてるかなぁ)」

 ヒカリ 「それって……、薬の量を間違ったってことですよね」

 D・Y 「あぁ。そうしたらそのオコリザル、生存本能で体を縮小させて、教授の老眼鏡ケースの中に入ったんだよ」

 セレナ 「えっと……、ポケモンが自ら小さくなったってことすか?」

 D・Y 「そゆこと。このことから“衰弱時に縮小して狭いところに隠れる”って言うポケモンの本能が発見されて、モンスターボールの開発に至ったって訳さ」

 サトシ 「ポケモンにそんな能力があったのか……」

 ヒカリ 「知らなかったなぁ」

 セレナ 「うん。私も……」

 D・Y 「もっとも、ポケモンの体も常に変化してる。モンスターボールが流通し始めたせいで、そんな能力も、とっくに退化しちゃったけどね」

 サトシ 「そっか。道理でポケモンが小さくなるところを見たこと無い訳だ」

 ヒカリ 「そうね」
 ▼ 367 クスノキ 15/04/05 21:59:00 ID:zkidFy3I [22/27] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 D・Y 「まぁ、これは第一次ポケモン世代――、ポケモン赤緑版を現役でプレイしてた人間じゃないと知らないことだろうね。……でだ。その衰弱したオコリザルだけど、その後、回復することは無かったんだ」

 サトシ 「えっ!?」

 ヒカリ 「回復しなかったって……まさか……」

 D・Y 「寿命近くまでは生きたらしいけど、ほとんど寝たきりさ。ずっと介護が必要な状態だったらしいね」

 セレナ 「そんな……可哀想……」

 ヒカリ 「ポケモンが寝たきりなんて……」

 D・Y 「ニシノモリ教授も、生涯それを悔やんでたって言われてるよ。もっとも、そのニシノモリ教授の研究のお陰で、タウリンやインドメタシンと言った医療用薬品が開発されたのも事実さ」

 サトシ 「そっか。ドーピングアイテムって奴も、ニシノモリ教授の研究がモトになってたんですね」

 ヒカリ 「凄い人だったんですね。ニシノモリ教授って」

 セレナ 「……ちょっと待って」

 サトシ 「え? どうしたセレナ?」

 セレナ 「あの……、ニシノモリ教授、薬品の投与量を間違えて、オコリザルを寝たきりにしてしまったんですよね?」

 D・Y 「そうだ」

 セレナ 「それで、ニシノモリ教授がドーピングアイテムの研究をしてたってことは、その投与した薬品って……」

 ヒカリ 「……あぁっ!」
 ▼ 368 クスノキ 15/04/05 22:00:00 ID:zkidFy3I [23/27] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
セレナの発言で、全てが繋がった。


ニシノモリ教授の研究で、ドーピングアイテムが誕生した。

けどその過程で、オコリザルが寝たきりになってしまった。

その原因は、薬品の投与ミス。

だとするとその薬品って……。


 D・Y 「……そう。ニシノモリ教授は、ドーピングアイテムの試作品を過剰投与して、オコリザルを衰弱させてしまったんだ。言うなれば……“ドーピング中毒”」

 サトシ 「ドーピング中毒……」


その言葉を、イエローさんは重みを込めて口にした。

ドーピングと冠しているけど、中毒症状と言う、大変なことに変わりはない。


 D・Y 「コダマ君。君のシビルドンに、ドーピング中毒の症状が出ている。この様子じゃ、手持ちポケモン全部を検査した方が良いだろうね」

 コダマ 「ドーピング中毒……だと!? バカ言うなよ! 今まで何回もポケモンセンター使ってんだ! そんなこと言われた記憶ねーぞ!?」

 D・Y 「通常の健康チェックじゃ、ドーピング中毒の症状は分からないんだよ。電気タイプ専門のオレっちだから、このシビルドンの症状を見つけられたんだ」

 コダマ 「マジかよ……」
 ▼ 369 ケーシィ@べにいろのたま 15/04/05 22:05:40 ID:SqmHE.YU NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 370 アマルス@パワーレンズ 15/04/05 22:16:49 ID:WJpLeZrc [3/3] NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 371 クスノキ 15/04/05 23:00:00 ID:zkidFy3I [24/27] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ドーピング中毒……、ポケモンを衰弱させて、寝たきりにさせてしまう症状……。

そんなの、ポケモンがポケモンらしく生きる道を奪うようなものだ。


 コダマ 「けど! こいつらドーピングアイテムを嫌がるようなこと無かったぞ! なんかの間違いじゃないのかよ!?」

 D・Y 「……君は、ポケモンをゲットすることの重要さを、理解していないようだね」

 コダマ 「……は?」

 サトシ 「コダマ。ポケモンは……ポケモンってのは! トレーナーの言うことは何だって聞くものなんだよ! それがどんなに辛い命令でも! 酷い命令でも!」

 ヒカリ 「サトシ……」

 サトシ 「昔……、ヒトカゲを捨てたトレーナーが居たんだ。そいつ、その気もないのに“迎えに来るから待ってろ”って言って……。そしたらそのヒトカゲ、雨の中ずっと待ってたんだ。苦手な雨の中、どんどん弱ってくのに、トレーナーの言葉を信じて!」

 ヒカリ 「そのヒトカゲってもしかして……」

 サトシ 「あぁ。オレのリザードンだ。……とにかく、ポケモンってのは、ゲットしたトレーナーの言うことには絶対に従うんだ! お前がドーピングアイテムを飲めって言ったら、ポケモンはお前の言葉を信じて飲むに決まってるじゃないか!」

 D・Y 「君は、自分のポケモンを強くしたいあまり、多量のドーピングアイテムを飲ませたんじゃないのか? ……いや、そうでなければ、ドーピング中毒の症状は出ない」

 コダマ 「……なんなんだよ。なんだってんだよ!? 僕がどんだけ金かけてこいつらを育ててきたと思ってんだよ!? 最強になるため! リーグ優勝して僕の力! 作戦! 育成論を知らしめようってのに! これ以上バトル出来ないなんて認めねーぞ!」

 サトシ 「コダマ……お前ポケモンをなんだと思ってんだ!? ポケモンは、お前の力を示す道具じゃないんだぞ!?」

 コダマ 「うるせぇ! オレはお前と違って向上心があるんだよ! とりあえず捕まえたポケモンと仲良しこよしな お前とは、根本的に違うんだよ!」

 サトシ 「なにをっ!?」
 ▼ 372 クスノキ 15/04/05 23:30:00 ID:zkidFy3I [25/27] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ヒカリ 「やめてサトシ! コダマもいい加減にしてっ!」


これ以上は、サトシとコダマが喧嘩になってしまう。

私は慌てて、2人を制止した。


 サトシ 「……悪ぃ、ヒカリ」

 ヒカリ 「うん」


 D・Y 「さてと……」


イエローさんは突然、コダマの腕を背に回して押さえつけた。


 コダマ 「痛っ……いだだだだちょっ待ていてぇってオイ!」

 セレナ 「えっ!?」

 ヒカリ 「イエローさん……!?」

 D・Y 「サトシ君。コダマ君のモンスタボールを外してくれ」
 ▼ 373 クスノキ 15/04/05 23:40:20 ID:zkidFy3I [26/27] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「モンスターボールを? ……分かりました」

 コダマ 「おい待ててめぇ! 僕のポケモンをどうする気だ!? 触ってんじゃねぇ!」

 D・Y 「故意にドーピングアイテムを多量に飲まして、ポケモンをドーピング中毒状態にした。……これはポケモン虐待に当たる。れっきとしたポケモン取扱法違反だ」

 サトシ 「それって……」

 D・Y 「あぁ。コダマ君は、今後ポケモンを持つことが許されなくなる」

 コダマ 「……は? 冗談やめろよ。僕は虐待したつもりなんてねーよ! 濡れ衣だ!」

 D・Y 「たとえそうだとしても! オレっちはポケモンドクターとして、ドーピング中毒を見逃すことは出来ない。……悪く思わないでくれ」

 サトシ 「イエローさん。コダマのポケモン、4体です」

 D・Y 「ありがとう。あとは……ボックスに預けているポケモンの使用制限をかけないとな。まずはポケモンセンターに報告して、それからポケモン保護協会に連絡だ」

 コダマ 「おい勝手に進めんなよ! 僕は虐待なんかしてない! ただ強くなろうとしただけだ! 僕の育成論で! 僕の手腕で!」

 ヒカリ 「コダマ……」

 D・Y 「気持ちは分かるけど、見逃せない。絶対にだ!」

 コダマ 「っ……くそっ! くそぉ! 綿密な計算に基づいた努力値配分が! 個体値厳選が! ドーピングアイテムに費やした金が! 全部パーじゃねぇかよ! おかしいだろこんなの!」
 ▼ 374 クスノキ 15/04/05 23:50:00 ID:zkidFy3I [27/27] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「コダマ!」

 コダマ 「んだよ!?」

 サトシ 「オレ、お前がもうポケモンバトル出来ないって聞いて、ちょっとは同情したんだ。……けど、聞けばお前! 自分の労力を悔やんでるだけじゃないか! ポケモン達と別れる悲しさは感じないのかよ!?」

 コダマ 「悲しい? 悔しいの間違いだろ! 僕がどんだけ厳選したと思ってんだ!? 希望の個体値だけ31のポケモンを見つけるのが、どんだけ手間かかるかお前には分かんねーのか!?」

 サトシ 「……もういい。コダマ、お前はトレーナー失格だ!」


サトシは怒りを露わにして怒鳴った。私だって同じ気持ちだ。


ドーピング中毒なんて症状は初めて聞いたし、ドーピングでポケモンが強くなるのなら、金銭面は別として、私だって手を出していたかもしれない。

もし自分のポケモンが、知らずにドーピング中毒に陥ったとしたら、私だったら悔やんでも悔やみきれない。

ずっと一緒に頑張って来たポッチャマたちが寝たきり状態になって、もう会えなくなるなんて、考えただけでも涙が出て来てしまう。


なのにコダマは、ポケモンを強く育てるための自分の労力だけを悔やんでいる。

コダマには、ポケモンへの愛情や愛着は無いの? 一緒に頑張って来たポケモン達を労わる気持ちが、これっぽっちも無いって言うの!?
 ▼ 375 クスノキ 15/04/06 00:00:00 ID:5N8dYfew [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 D・Y 「……さぁ行こう。まずはポケモンセンターだ」

 コダマ 「離せよ! 僕はまだ強くなる男なんだ! こんなとこで終わってらんねーんだよ! 離せよくそがっ!」


コダマは暴れながら、イエローさんに引っ張られて行く。

さっきまでの余裕そうな表情は、コダマにはもう無い。荒れ果てた、酷い表情だ。


 サトシ 「ご苦労さんピカチュウ。バトルは終わりだ」

 ピカチュウ 「ぴか……」

 サトシ 「……コダマのポケモンが心配なのか?」

 ピカチュウ 「ぴぃかちゅぅ……」

 サトシ 「オレもだよ。……コダマがドーピングアイテムなんて使わなければ、こんなことには ならなかったのにな」

 ピカチュウ 「ちゃぁ……」

 サトシ 「シビルドン、それに、ローブシンとバンギラスと、あとキノガッサ。症状が軽ければ良いけどな……」

 ピカチュウ 「ちゅぅ……」


私たちは、イエローさんとコダマの後に続いて、ポケモンセンターへと向かった。
 ▼ 376 クスノキ 15/04/06 00:07:00 ID:5N8dYfew [2/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
今夜はこの辺で終了します。ご支援、ご感想、ありがとうございました。

次の更新は火曜日以降の予定です。
 ▼ 377 メガフシギバナ@グラシデアのはな 15/04/06 00:33:25 ID:RqVfF5CE NGネーム登録 NGID登録 報告
まさか、ニシノモリ教授が出てくるとは。意外。

D・Yはマサラ人かよ!

支援!毎日支援!
 ▼ 378 ケロマツ@リザードナイトX 15/04/06 02:57:09 ID:/.K8wozo NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 379 パラセクト@GBプレイヤー 15/04/06 11:09:05 ID:OOczkQfg NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援

ストーリーが本当に面白い!映画レベル!!!
 ▼ 380 マーイーカ@むしよけスプレー 15/04/06 12:32:01 ID:bLUgFDjo NGネーム登録 NGID登録 報告
バトルスタイルが取扱法違反かと思ったら思いのほかドーピングだった。
 ▼ 381 クリムガン@こだいのぎんか 15/04/06 14:42:34 ID:cGpNxrjQ NGネーム登録 NGID登録 報告
だからドーピングアイテムって10個しか使えなかったのか
 ▼ 382 ヒポポタス@ブリーのみ 15/04/07 12:43:29 ID:M9KxlZrg NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 383 メガバンギラス@あかいバンダナ 15/04/07 12:49:16 ID:bB85rKtw [1/3] NGネーム登録 NGID登録 報告
>>381
なるほど
 ▼ 384 サンドパン@ピーピーリカバー 15/04/07 12:55:44 ID:b0sX7YV2 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
お、俺はスパトレだから・・・ジムリーダーが開発したやつだし・・・?(震え声)
 ▼ 385 ノコッチ@きよめのおふだ 15/04/07 12:57:53 ID:bB85rKtw [2/3] NGネーム登録 NGID登録 報告
たった2BPで手に入るドーピングアイテム・・・・・
 ▼ 386 メガカメックス@かおるキノコ 15/04/07 22:14:50 ID:yjne.ynM NGネーム登録 NGID登録 報告
でも最大で51個使えるよな(与えるやつを変えれば)
俺はドーピング使わずにスパトレか
群れバトルで敵を倒すぞ
 ▼ 387 クスノキ 15/04/07 23:05:21 ID:0y1v6CTs [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
【 20 】


 ユリーカ 「あっ! みんな!」

 シトロン 「みなさん……いったい何があったんですか!?」


 コダマ 「離せっ! 離しやがれっ!」

 サトシ 「いい加減落ち着けよコダマ!」

 D・Y 「ったく! ちょっとジョーイさん呼んできて!」

 セレナ 「はいっ!」


ポケモンセンターに着いた。

シトロンとユリーカが出迎えてくれたけど、2人とも、サトシとイエローさんに押さえつけられたコダマが暴れる光景に驚いている。


 ジョーイ 「……どうしたんですか!?」


セレナが連れてきたジョーイさんも、まさしくシトロンとユリーカと同じ反応を見せた。
 ▼ 388 クスノキ 15/04/07 23:06:00 ID:0y1v6CTs [2/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 D・Y 「ジョーイさん。“エビワラーが泣きました”」

 ジョーイ 「……分かりました。皆さん、こちらの部屋へ」

 コダマ 「離せっつってんだよ! 僕のポケモンを返せっ!」


私たちは、ジョーイさんに案内された部屋――、応接室のような部屋に入った。

そしてすぐ、ジョーイさんは室内の電話でどこかへ連絡している。


 ヒカリ 「イエローさん、“エビワラーが泣いた”って……?」

 D・Y 「いわゆる隠語だよ。多くの人が利用するポケモンセンターのフロントで、ポケモン虐待なんて口にできないからね」

 サトシ 「ってことは、“エビワラーが泣いた”って言うのは、ポケモン虐待って言う暗号だったんですか?」

 D・Y 「そうだね。今ジョーイさんは、ポケモン保護協会に連絡しているよ」


そっか。確かにポケモン虐待だーなんて、フロントで言う訳にはいかない。

でも、これだけコダマが騒いでる訳だし、少なくとも、一般の人からは既に不審がられちゃってるだろうな。
 ▼ 389 ベロベルト@エレキブースター 15/04/07 23:11:55 ID:bB85rKtw [3/3] NGネーム登録 NGID登録 報告
まさかのエビワラー
 ▼ 390 超マサラ人3 15/04/08 00:05:32 ID:pMHg.Two NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
漸く追いつきました!

超支援です!!!
 ▼ 391 マナフィ@イアのみ 15/04/08 00:14:42 ID:OBpRqkRY NGネーム登録 NGID登録 報告
エビワラー→ボクシング→サンドバック→虐待
っていう連想?
 ▼ 392 メガジュペッタ@イアのみ 15/04/08 02:28:12 ID:tdYUPiVY NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
超支援!!
楽しみにしてまっす!
 ▼ 393 クスノキ 15/04/08 03:39:40 ID:9Bldq1ss [1/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 シトロン 「虐待って……いったい何があったんですか?」

 サトシ 「こいつ……コダマの奴、自分のポケモンにドーピングアイテムを使いすぎたせいで、ドーピング中毒になっちまったんだ」

 シトロン 「ドーピング中毒!?」

 ユリーカ 「なぁにそれ?」

 シトロン 「ポケモンに、必要以上に薬品を飲ませたせいで起こる、病気みたいなものだよ。確か……、かのニシノモリ教授の研究の失敗が、ドーピング中毒の始まりと聞いていますが……」

 D・Y 「詳しいねシトロン君」


ジョーイさんが電話を終えた。


 ジョーイ 「ポケモン保護協会へ連絡を取りました。カロス支部ヒヨク派出所の方が、これから来るそうです」

 D・Y 「そうですか。ありがとう」

 ジョーイ 「あの、ドクター・イエローさんですよね? 噂は聞いています」

 D・Y 「それは嬉しいですね。……サトシ君、モンスターボールを」

 サトシ 「あっ……はい!」


サトシはジョーイさんに、コダマの4つのモンスターボールを渡した。
 ▼ 394 クスノキ 15/04/08 03:40:20 ID:9Bldq1ss [2/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 コダマ 「やめろてめぇ! 僕のポケモンを返せ! 苦労して調整した僕のポケモンを!」

 D・Y 「ホントお前いい加減に大人しくしろ! あと……ここか!?」

 コダマ 「あっ……おい返せコラ!」


イエローさんは、コダマのポケットから財布を抜き取ると、その中を確認する。


 D・Y 「……ビンゴ。ジョーイさん、この子のトレーナーカードです。ID照合して、預かりシステムの使用停止措置を」

 ジョーイ 「分かりました」

 コダマ 「使用停止って……僕がどんだけ苦労して理想個体作り上げたと思ってんだよ!? メタグロス! ゲンガー! ギルガルド! 僕の労力を奪おうって言うのかよ!?」

 D・Y 「残念だけど、医者として、ドーピング中毒を出したトレーナーに同情するつもりはない。粛々と所定の手続きを踏ませて貰うよ」

 コダマ 「なんだよ……なんだってんだよ! 僕のポケモンが! 僕の作り上げた最強のポケモンが……!」

 サトシ 「コダマ! ポケモンを自分の力としか見てないお前に、ポケモンを語る資格なんて無い!」

 コダマ 「うっせぇよ! 元はと言えばサトシ! お前のせいだ! 絶対許さねぇからな! 絶対復讐してやっからな! くそっ……くそぉ!」
 ▼ 395 クスノキ 15/04/08 03:41:00 ID:9Bldq1ss [3/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ひとしきり叫んだコダマは、ようやく大人しくなった。

コダマはいろいろ苦労して強いポケモンを作り上げたみたいだけど、それが全部没収されてしまって、現実を受け入れたくないのだろうか。


 ジョーイ 「すみませんイエローさん。私が健康チェックをしておきながら、ドーピング中毒の症状を発見できなくて……」

 D・Y 「いえ。ドーピング中毒は、本当に発見が困難な症状ですからね」

 ジョーイ 「このポケモン達は、専用の設備があるミアレのポケモンセンターに転送します」

 D・Y 「えぇ。ボックスのポケモン達も、きちんと確認してくださいね」

 ジョーイ 「分かりました。……では、急いでミアレへの転送を行いますので、一旦失礼します。もし先に保護協会の方々がいらっしゃったら教えてください」

 D・Y 「了解です」



ジョーイさんが部屋から出ていくと、イエローさんは一息ついて、そして言った。


 D・Y 「……この際だから、みんなに“ドーピング中毒”のこと、ちゃんと知って貰おうかな」


イエローさんはソファに座り直すと、ゆっくりと口を開いた。
 ▼ 396 クスノキ 15/04/08 03:41:42 ID:9Bldq1ss [4/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 D・Y 「ドーピングアイテムが、本来医療用だってことは、昨日話した通りだ。生まれつき体の弱いポケモンや、育児放棄されたポケモン、成長が遅れているポケモンに、野生として生きていくための、最小限の能力を持たせるためにね」

 ヒカリ 「でもそれが、いつの間にか普通の人でも買えるようになったんですよね」

 D・Y 「あぁ。あくまで医薬品として、用法用量を守ることは、トレーナーに委ねられてたんだ」

 サトシ 「でもコダマは、それを守らなかった……」

 コダマ 「………」

 D・Y 「一定数は存在するんだよ。注意書きを無視して、ドーピングアイテムを大量に与えるトレーナーって。医療業界で定められてる限界投与量は、ニシノモリ教授の研究結果とかから、各能力に10個ずつ、全体合計51個って考えられてるんだ」

 シトロン 「51個ですか。けっこうな個数にも思えますが……」

 D・Y 「勿論、成熟したポケモンで、日を置いて投与する、っていう条件はあるよ。けど、正直それも、正しいかは分からない」

 セレナ 「えっ……?」

 D・Y 「ポケモンに個性や個体値があるように、体質だって、1体1体違うんだ。51個以上投与しても平気な個体もいれば、それこそ、10個与えただけで拒否反応を示す個体だっている。コダマ君のシビルドンは、たまたまそういう“ドーピングに弱い体質”だったんだよ」

 ヒカリ 「そんな……」

 D・Y 「医療の現場でドーピングアイテムを使う時も、そのポケモンの体質をチェックしてから投与してるよ。……ある意味、最終手段なんだ。ドーピングアイテムを使った、ポケモンの野生復帰って」

 シトロン 「しかし……、医療の現場でそれほど厳格に扱われている物が、なぜ一般に流通しているのでしょうか。それこそ、ドーピングアイテムの乱用に繋がってしまうんじゃ……」
 ▼ 397 クスノキ 15/04/08 03:42:20 ID:9Bldq1ss [5/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 D・Y 「それもまた厄介な背景があってねぇ……」

 セレナ 「厄介な?」

 サトシ 「どういうことですか?」

 D・Y 「簡単に言うと、利権がらみの規制緩和さ」

 ヒカリ 「利権がらみの……」

 サトシ 「規制緩和……?」

 D・Y 「そう。政界の人間が、ドーピングアイテムを製造する会社に天下りしてるんだ。天下った人間は、その会社の役員や最高顧問……。より多くの利益を生み出すために、ドーピングアイテムの販売に関する規制緩和を、現職の政治家たちに迫ったんだよ」

 サトシ 「ん? えっと……」

 D・Y 「ドーピングアイテムの売価は約1万円だ。実際、タウリンとかの原価……1本作る金額って、いくらだと思う?」

 シトロン 「1万円で販売ですから……、8,000円くらいでしょうか?

 セレナ 「でも、多くの利益を生み出せるってことは、7,000円くらいかも?」

 ▼ 398 クスノキ 15/04/08 03:43:00 ID:9Bldq1ss [6/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


 D・Y 「800円から900円だよ」

 サトシ 「えっ!?」

 シトロン 「えぇぇぇっ!? ボロ儲けじゃないですかぁ!?」

 D・Y 「そう。まぁ、元は医療用の薬品だから、大量生産でコストを抑えられるんだ」

 ヒカリ 「って言うことは、9,000円も利益があるってことですか?」

 D・Y 「あぁ。政界から天下った人間は、ドーピングアイテム販売の規制緩和をさせて、売値は9,800円に統一させたんだ。大量の利益が出れば、自分たちの報酬も上がるからね」

 シトロン 「そんな政界の裏があったなんて……」

 サトシ 「政治に関わってる人間って、ロクな奴いないのかよ!? フラージュデパートの汚職事件だって、確か政治絡みが原因だったし」

 セレナ 「………」

 シトロン 「ブシン党でしたね。まったくです!」

 ユリーカ 「ユリーカ、難しくて全然わかんない。デデンネ寝ちゃってるし……」

 デデンネ 「zzz……」

 シトロン 「簡単に言うと、沢山お金を貰うために、自分たちのことだけを考えて、ドーピングアイテムを売って良い仕組みを作らせたんです」

 D・Y 「そう言うこと。それが1995年のことだったかな。まぁ、販売場所は、デパートとか、特定の場所に限られてるけどね」
 ▼ 399 クスノキ 15/04/08 03:43:40 ID:9Bldq1ss [7/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ヒカリ 「でも……、900円で作ったものを、9,800円で売るなんて……」

 サトシ 「ぼったくりだよな」

 D・Y 「それでも売れるんだよ、欲しい人には。カイナシティの市場とかで、たまにドーピングアイテムの半額セールやってるけど、あれも ちゃんと利益が出る仕組みなんだ」

 シトロン 「……確かに。4,900円で売っても、儲けは4,000円ありますしね」

 D・Y 「まぁ、そのせいで広くドーピングアイテムが知れ渡っちゃったんだよ。金がある人間は、迷わずそれを使うだろうね」

 セレナ 「それで……、ドーピング中毒になるポケモンが出てきちゃったんですね」

 D・Y 「そう。一応パッケージに注意書きはあるんだよ。“用法用量を守り、使う前には必ずポケモンセンターで体質チェックを受けるように”って。コダマ君は、体質チェックを受けさせたか?」

 コダマ 「………」

 D・Y 「……だろうね。こういう後先考えないトレーナーが、ドーピング中毒を引き起こしちまうんだ」


イエローさんは、半分呆れたような、諦めたような表情で吐き捨てた。


 シトロン 「なんだか……、防ごうと思えば、防げそうなことですね。しかも発端は、自分たちの利益しか考えていない、天下りした政界の人間だなんて……」

 D・Y 「あぁ。あんな規制緩和が無ければ、ドーピング中毒なんて、二度と起こることは無かったんだ。ホント、残念なことだよ」
 ▼ 400 クスノキ 15/04/08 03:44:20 ID:9Bldq1ss [8/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
そっか。

ドーピング中毒を引き起こしたのは、注意書きを守らなかったトレーナーの責任だけど……、そもそもドーピングアイテムを一般人が買えなければ、ドーピング中毒なんて起こらなかったんだ。


元々は、体が弱いポケモンの野生復帰のために開発されたものなのに。普通の使い方をしていれば、素晴らしい効果を発揮する薬品だったのに。

自分たちの利益しか考えない一部の人間のせいで、それが崩されてしまったんだ。


お金があって、ポケモンを強くしたいって思う人だったら、ドーピングアイテムは絶対に使ってしまう。ポケモンにどんな影響を与えるのか、考えるのは二の次で。

そんな人が、注意書きをしっかり読むはずがない。読んだとしても、面倒くさがって、体質チェックをしない人だって少なからずいるはずだ。コダマみたいに。


でもそれって、トレーナーとして……人間としてどうなんだろう。

自分の大切なパートナーに、少しでも悪影響が出るかもしれないことを、面倒くさがるなんて。


楽してポケモンを強くするには、それ相応の覚悟、代償が付き物だってことかな。

そんな危険な行為……、パンドラの箱のようなもの、私は絶対に手を出さない。


だって、ポッチャマたちとは、健康で、ずっと、ずーっと一緒に居たいもん。

強さのために健康を犠牲にするなんて、私には出来ない……!
 ▼ 401 クスノキ 15/04/08 03:45:00 ID:9Bldq1ss [9/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ジョーイ 「失礼します」


ジョーイさんが、部屋に戻って来た。


 ジョーイ 「イエローさん。ひとまずお預かりした4匹……、ローブシン、バンギラス、シビルドン、キノガッサは、ミアレのポケモンセンターに転送しました」

 D・Y 「ご苦労様ですジョーイさん」

 ジョーイ 「それで、コダマ君のパソコンボックスに入っているポケモンは、保護協会と預かりシステム管理者の立会いのもと、確認することになりました」

 D・Y 「そうですか。時間はかかるかもしれませんが、よろしくお願いします」

 ジョーイ 「えぇ。責任を持って対処させて貰います。……それと、ちょうど、ポケモン保護協会の方がお見えになりました。どうぞ」


ジョーイさんに続いて、ポケモン保護協会の職員の人が2人、部屋に入って来た。スーツを着た2人の女性だ。
 ▼ 402 クスノキ 15/04/08 03:46:00 ID:9Bldq1ss [10/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 職員A 「初めまして。ポケモン保護協会カロス支部ヒヨク派出所のAと申します」

 職員B 「同じくBです。貴方は……、電気タイプのスペシャリストとして有名な、ドクター・イエローさんですよね!? お会いできて光栄ですっ!」

 D・Y 「ありゃ、それはどうも」


職員の人とイエローさんは、社会人らしく、スマートに名刺交換した。

若いBさんが なんだか心躍ってるけど、イエローさんって、そんなに有名な人だったんだね。


 職員B 「あのっ、イエローさんってゴニョッターとかビーダルブックとかやってますか? もしよかったら……」

 職員A 「コラBちゃん仕事中! すみません……この子まだ新人で……」

 D・Y 「いえいえ。残念ながらオレっちはゴニョッターもビーダルブックもやってないよ」

 職員B 「そうですか……」

 職員A 「それで……、対象の子は?」

 D・Y 「そこに座ってる男の子、コダマ君です」

 職員B 「あのっ、じゃあピクシィは……」

 職員A 「Bちゃん!」



……その時、事件は起こった。
 ▼ 403 クスノキ 15/04/08 03:54:00 ID:9Bldq1ss [11/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
今夜はこの辺で終了します。これまでのご支援、ご感想、ありがとうございました。
早ければ明日の夜に更新再開します。


なお、この先、時系列や場面が多々変わり、読みづらくなってしまう恐れがあるので、一部を分割し、新たなスレを立てる予定です。
クスノキとしてのスレ立て、SSは、それが完全にラストと致します。


【 補 足 】

誤解を与えてはいけないので補足しますが、
1925年のニシノモリ教授の研究の失敗、モンスターボールの開発のキッカケになったことは、公式設定です。

しかし、その薬品が「ドーピングアイテムの開発に繋がった」こと、また「ドーピングアイテムの原価が800〜900円」であること、販売の規制緩和云々は、私のオリジナル設定となっています。
 ▼ 404 シビルドン@クラボのみ 15/04/08 06:48:04 ID:.Y5P4gXs NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
乙
 ▼ 405 エリキテル@バンギラスナイト 15/04/08 07:48:28 ID:JHsuGtlE NGネーム登録 NGID登録 報告
もう終わるのか……

乙&支援!毎日支援!
 ▼ 406 メロエッタ@ハッサムナイト 15/04/08 12:55:06 ID:U4ph9mLE NGネーム登録 NGID登録 報告
ガブやマリルリはいないのか。
そんなところに目がいってしまう。
支援
 ▼ 407 ケイコウオ@マグマブースター 15/04/08 16:48:18 ID:KkuHNvjA NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
事件って.....まさかコダマのポケモンに異常が.......?!

支援!毎日の趣味はクスノキさんのssを見ることです。
 ▼ 408 森本ボンボン()Nemui 15/04/08 16:48:53 ID:enFHEx4U NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
シェーンベルク
 ▼ 409 ユキカブリ@マトマのみ 15/04/08 17:02:46 ID:6e6sbOm. NGネーム登録 NGID登録 報告
ピクシー?


支援
 ▼ 410 マグマラシ@ヒールボール 15/04/08 17:11:31 ID:ezlA4o96 NGネーム登録 NGID登録 報告
>>409
ミクシィを文字ったんじゃね?
ゴニョッターは分かるけど、なんでフェイスブックがビーダルなんだろか?
 ▼ 411 クスノキ 15/04/08 20:56:20 ID:9Bldq1ss [12/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


― バン!


 サトシ 「あっ……おい!?」

 ヒカリ 「ちょっと……!?」

 D・Y 「おい待て! コダマ君っ!」


職員の人とイエローさんが話している隙をついて、コダマが部屋から走り去ったのだ。

これから職員の人からの事情聴取や、ポケモン保護法違反の処分を受けることを恐れて、コダマは逃げ出したんだ。


 D・Y 「クソッ! オレっちとしたことが!」

 サトシ 「コダマの奴……、預かりシステムが止まる前に、どっかでポケモンを転送する気じゃ……!?」

 D・Y 「ジョーイさん! コダマ君のボックスの使用停止、急がせて下さい!」

 ジョーイ 「分かりました。預かりシステムの運営に連絡します!」
 ▼ 412 クスノキ 15/04/08 21:00:00 ID:9Bldq1ss [13/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 職員B 「あわわ……これって私のせいで……」

 職員A 「そうよBちゃん! ポケモン保護法違反のトレーナーを逃がしちゃうなんて!」

 職員B 「すみませんっ……」

 D・Y 「お説教は後だ! ポケモンを転送できる場所は限られてるから、手続きを急げば問題は無いと思うけど……」

 サトシ 「……オレ達、コダマを探してきます!」

 ヒカリ 「サトシ……」

 サトシ 「コダマは、自分のポケモンを大切に想う気持ちが足りてない! だからドーピング中毒が起こったんだ! そんな奴が処分を受けないで逃げ回るなんて、絶対に許さない!」

 セレナ 「……そうよ! 手分けして探しましょう!」

 シトロン 「えぇ! コダマのあの様子だと、何をしでかすか分かりませんからね」

 D・Y 「みんな……サンキュー。じゃあ頼むぜ。オレっちはジョーイさんと一緒に、預かりシステムの手続きを急ぐ!」

 サトシ 「分かりました!」

 職員A 「Bちゃん派出所に連絡よ! 空いてる職員総動員して、コダマ君を探すわよ!」

 職員B 「あわわっ……はいっ!」


確かにシトロンの言う通り、あの様子だと、コダマが何をするか分からない。

私たちは部屋から飛び出し、急いでコダマの後を追った。
 ▼ 413 ギギアル@リーフのいし 15/04/08 21:04:38 ID:1Mdjt8fU NGネーム登録 NGID登録 報告
サトシが女囲んでるDQNにしか見えない件
 ▼ 414 ケイコウオ@みかづきのはね 15/04/08 21:25:51 ID:DlfTLMbU NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
フラージュデパートの奴うらーる張った方がいいとおもいますピアー
 ▼ 415 バニリッチ@ダークボール 15/04/08 21:54:53 ID:bBxo0rkg NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
>>413
今に始まった事じゃない
 ▼ 416 ヤミカラス@いかりまんじゅう 15/04/09 16:05:42 ID:QCgTKNKU NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 417 メガジュカイン@ミミロップナイト 15/04/09 21:03:08 ID:ZykXJWKw NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
このページは検索エンジン向けの機能制限版の旧ページです。
下URLから閲覧下さい。
https://pokemonbbs.com/post/read.cgi?no=73705
  ▲  |  全表示457   | << 前100 | 次100 >> |  履歴   |   スレを履歴ページに追加  | 個人設定 |  ▲      
                  スレ一覧                  
荒らしや削除されたレスには反応しないでください。
書込エラーが毎回起きる方はこちらからID発行申請をお願いします。(リンク先は初回訪問云々ありますがこの部分は無視して下さい)

. 書き込み前に、利用規約を確認して下さい。
レス番のリンクをクリックで返信が出来ます。
その他にも色々な機能があるので詳しくは、掲示板の機能を確認して下さい。
荒らしや煽りはスルーして下さい。荒らしに反応している人も荒らし同様対処します。




面白いスレはネタ投稿お願いします!

(消えた画像の復旧依頼は、お問い合わせからお願いします。)
スレ名とURLをコピー(クリックした時点でコピーされます。)
新着レス▼