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【SS】ザングース「俺の恩返し」

 ▼ 1 1◆v1GnTfaqxg 18/08/03 18:09:55 ID:2g66pWM. NGネーム登録 NGID登録 wf 報告



小さな町の片隅にある、草がぼうぼうと生え散らかる空き地……


その空き地の隅に積み上げられた土管の中、一匹のザングースが寝転がっていた……



ザングース「……」



季節は夏……例年以上の猛暑と言える今年は、彼のような野良ポケモンをジリジリと追い詰めていた……


コンクリートで出来た土管は、日光を浴びてどんどん熱くなっていく……


ザングース「あ、あっちぃな……」

 ▼ 112 1◆v1GnTfaqxg 18/08/04 10:29:21 ID:Tfw6EdAU [1/13] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告



その時、カーテンを開けて、ぞろぞろと人が入ってきた。



男「あっ、目を覚ましたんですね」


おばあさん「あ、あんた達は……」


女「あー、よかった……いきなりあんな所で倒れたんだから心配したんだから……この子がいなかったら危なかったわよ?」


女の子「ねーっ!」


ザングース「(近所の人が助けてくれたのか……)」


 ▼ 113 1◆v1GnTfaqxg 18/08/04 10:30:22 ID:Tfw6EdAU [2/13] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告



おばあさん「……」



おばあさんはしばらく黙っていたが……やがて、その表情は優しいものに変わった。



おばあさん「まぁ……ありがとうね」



目をそらしてはいるが、おばあさんのその変わりように、皆は驚いているようだ。



女の子「どういたしまして!」



自慢げな女の子を見て、またおばあさんは笑った。


そんなおばあさんを見て、2人もつられて笑った。



ザングース「(じいさん……あんたのおかげでババアもうまくやってけそうだぜ……)」



ザングースは目を細めてその光景を見ていた……


 ▼ 114 1◆v1GnTfaqxg 18/08/04 10:30:59 ID:Tfw6EdAU [3/13] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告










最終話 俺の恩返し







 ▼ 115 1◆v1GnTfaqxg 18/08/04 10:31:48 ID:Tfw6EdAU [4/13] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告



あれからもう一週間……


まだ、猛暑は続く……


あの家の前では、朝からおばあさんがあまり効果のない打ち水をしていた……



おばあさん「本当に……嫌になる天気だ……」



おばあさんが呟いたその時、そこにいつかの女学生がやってきた。



女学生1「おばあちゃんおはよー!」


おばあさん「おはよう、今日も学校かい?」


女学生1「うん、朝から部活あるから……」


女学生2「にしても、今日も暑いねー……おばあちゃんも倒れないようにね?」


おばあさん「わかってるよ。あんた達もね」


女学生達「はーい!」



女学生達は走って行った……


 ▼ 116 1◆v1GnTfaqxg 18/08/04 10:32:20 ID:Tfw6EdAU [5/13] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告




あれから、おばあさんは変わった……




あまり積極的とは言えないが、近所の人々に声を掛けるようになった……




近所の人々も、最初こそ困惑していたが……一週間もしないうちに、そんなおばあさんを受け入れてくれた……


 ▼ 117 1◆v1GnTfaqxg 18/08/04 10:32:47 ID:Tfw6EdAU [6/13] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告



その時、家の引き戸が開いて、中からザングースが大あくびをしながら出てきた。



ザングース「ふぁぁあ……よく寝た」


おばあさん「やっと起きたのかい? 穀潰し」


ザングース「だから、俺の名前は穀潰しじゃねぇ!」



 ▼ 118 1◆v1GnTfaqxg 18/08/04 10:33:25 ID:Tfw6EdAU [7/13] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告




結局俺は、まだこの家に世話になってる……




穀潰しとはよく言われるが、それなりに家事の手伝いをしているつもりだ。




……それでも言うなら……まぁ、好きにしやがれ。



 ▼ 119 1◆v1GnTfaqxg 18/08/04 10:34:07 ID:Tfw6EdAU [8/13] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告




ザングースとおばあさんはいつものように睨み合う……



おばあさん「その目はなんだい!?」


ザングース「うっせー!! このクソババア!!」


おばあさん「この恩知らずのろくでなしの木偶の坊!!」



そんな1人と一匹を見て、近所の人々は笑っている……


二匹はそんな人々を見て……




ザングース&おばあさん「見世物じゃないっ!!」




 ▼ 120 1◆v1GnTfaqxg 18/08/04 10:34:42 ID:Tfw6EdAU [9/13] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告




ま、あれから毎日平和な日が続いてる……



このクソババアと共に生活する日々が……



正直、野良の俺にはこの家に残る必要なんて無い……



それでも、残り続けてるのは……まだ、恩返しをやり遂げてないからだ。




 ▼ 121 1◆v1GnTfaqxg 18/08/04 10:35:15 ID:Tfw6EdAU [10/13] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告




おばあさん「ほんっとに可愛くないポケモンだ! さっさとくたばっちまいな!」



ザングース「うっせー! くたばるのはてめぇだ! クソババア!」




また、ギリギリと睨み合う……





 ▼ 122 1◆v1GnTfaqxg 18/08/04 10:35:54 ID:Tfw6EdAU [11/13] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告




俺は、自分がくたばるまで……このばあさんのそばにいてやるって決めたんだ……



だから、あのじいさんには安心してほしい……




俺がついてるから大丈夫だってよ……




ばあさんに沢山思い出話を持たせてそっちに送ってやるから……




その日まで、首を伸ばして待ってな!





それが、何にもできねぇ俺ができる、唯一の恩返しだ……




 ▼ 123 1◆v1GnTfaqxg 18/08/04 10:36:35 ID:Tfw6EdAU [12/13] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告




怒鳴りあう声が響く家の畳敷きの部屋……




あのタンスの上には、大きな写真立て……




笑顔のおじいさんとおばあさんが並んで写る写真が入っている……





その隣には、大きなひまわりの花……






おしまい。




 ▼ 124 1◆v1GnTfaqxg 18/08/04 10:38:34 ID:Tfw6EdAU [13/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ちょいと訳あって急ぎ足になりましたがおしまい。


もう少し時間かけてじっくり話を作りたかったな……


って訳で、読んでくれた方々、ほんとありがとうございました!


マジで熱中症とか気をつけてね。


ではでは。
 ▼ 125 フレフワン@でかいきんのたま 18/08/06 14:26:32 ID:7vKsQhm6 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
最高だったよ
番外編とかを見たいな
乙
 ▼ 126 ハピナス@ゴスのみ 18/08/06 14:32:21 ID:nb8.xw12 NGネーム登録 NGID登録 報告
次回作楽しみにしてます
 ▼ 127 1◆v1GnTfaqxg 18/08/06 19:12:30 ID:sB4cjyp6 NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
>>125
喜んで下さって嬉しいです。

番外編……ですか? 駆け足でパッとノートに書いた奴なので、そこまで深く世界観を設定してなくてですね……あんまり思いつかないんですわ……すみません。

>>126
あっちのシリーズ待ちの方ですかね……? 夏休みの間に書けたらいいんですけど……気長に待ってて下さいな。
 ▼ 128 1◆v1GnTfaqxg 18/08/07 11:58:35 ID:jRtQhpXk [1/22] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
>>125
ちょいと無理して番外編書き上げましたので、今から書かせていただきます。

ご要望に添えた内容かはわかりませんが、よかったら読んでって下さいな。



じゃ、番外編スタート。
 ▼ 129 1◆v1GnTfaqxg 18/08/07 11:59:35 ID:jRtQhpXk [2/22] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告



いわゆる、熱中症で倒れたおばあさんとザングース……



近所の人々の協力の末、病院に運ばれるも、特に身体の異常は見られなかったので、その日のうちに家に帰る事が出来た……



そうして、いつもの生活の中に帰って行く彼ら……



その日の夜……ザングースの知らない夜、もう一つの約束が結ばれていた……



 ▼ 130 1◆v1GnTfaqxg 18/08/07 12:00:09 ID:jRtQhpXk [3/22] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告









番外編 もう一つの約束








 ▼ 131 1◆v1GnTfaqxg 18/08/07 12:00:53 ID:jRtQhpXk [4/22] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告




夜……



扇風機の風が当たり、チリリ……と涼しげな風鈴の音が響く縁側……


ザングースは、縁側のいつもの場所に丸くなって眠っている……


テレビを見ていたおばあさんは、そんなザングースを見てため息をついた。



おばあさん「本当に……世話がやけるポケモンだよ……」



おばあさんはタオルケットを持ってくると、ザングースが起きないようにそっとかけてあげた。



 ▼ 132 1◆v1GnTfaqxg 18/08/07 12:01:32 ID:jRtQhpXk [5/22] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告




そして、またテレビの前に戻る……



おばあさん「あんまり面白くないねぇ……」



テレビの向こうに届きもしない悪態をつくと、電源を落とした。



おばあさん「……」



ため息をつく……それと同時に腹が鳴る……


ぐぅぅぅ……



おばあさん「……煎餅でも食べるかね……」



おばあさんは、机の上のカゴに入っている袋入りの煎餅を手に取り……思い立った。



おばあさん「煎餅にはお茶が欲しいね……面倒だけど、沸かすとしようか……」



そう呟くと、おばあさんはキッチンへと向かった……


 ▼ 133 1◆v1GnTfaqxg 18/08/07 12:02:07 ID:jRtQhpXk [6/22] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告




薄暗いキッチン……



ボロボロのやかんを火にかけると、部屋の温度がジリジリと上がる……



おばあさん「本当に……湯を沸かすだけでも嫌になっちまうよ……」



キッチンにある丸椅子に腰掛けて待つも、そんなすぐには湯は沸かない……



おばあさん「……」



特に他にする事も無く、ボーッとしていると……何処からか音が聞こえた……


バリ……バリ……



 ▼ 134 1◆v1GnTfaqxg 18/08/07 12:02:37 ID:jRtQhpXk [7/22] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告



おばあさん「!」



他に誰もいない筈のこの家……しんと静かなる家に、謎の音が響く……


バリ……バリ……


少しの間、その音に不気味さを感じていたが……すぐにそれは怒りへと変わった。



おばあさん「あの恩知らず! 私の煎餅を勝手に食べるなんて! 許さないよ!」



おばあさんは怒りに打ち震えながら、あの畳敷きの部屋へ向かった……





 ▼ 135 1◆v1GnTfaqxg 18/08/07 12:03:13 ID:jRtQhpXk [8/22] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


あの部屋へと近づけば近づくほど、だんだんとその音は大きくなる……


やはり、それは煎餅を食べる音の様だ。



おばあさん「あの木偶の坊!! 寝てるふりして私がいない隙に勝手に……許さないよ!」



おばあさんは襖に手をかけて、勢いよく開けた。



おばあさん「おい! 穀潰し! 私の煎餅を勝手に食べ……」



言いながら、おばあさんはその部屋の異変に気付いた……


机の前で煎餅を食べているのは、確かにザングースだった……


しかし、いつもの定位置にもザングースが眠っている……



おばあさん「え?」


 ▼ 136 1◆v1GnTfaqxg 18/08/07 12:03:52 ID:jRtQhpXk [9/22] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


驚いているおばあさんを見て、煎餅を食べていたザングースが立ち上がった。



兄ザングース「お! お邪魔してるぜ! いつもうちの弟が迷惑かけてごめんな!」


おばあさん「ぽ、ポケモンが……しゃ、しゃべった?」



あまりの事に、おばあさんは腰が抜け、その場にへなへなと座り込んでしまった。



兄ザングース「おうおう、そんな驚いちまうとは……ま、もっと驚く事があると言えば、俺はもう死んでるって事くらいか?」


おばあさん「え?」


兄ザングース「おう、俺はいわゆる幽霊だ」



 ▼ 137 1◆v1GnTfaqxg 18/08/07 12:04:34 ID:jRtQhpXk [10/22] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告



おばあさん「な、何を言ってんだい! この穀潰し!」



おばあさんは立ち上がり、ザングースの頭を叩こうとしたが、その手はすり抜けた。



おばあさん「!」


兄ザングース「幽霊だから、俺には触れないぜ? 驚いて叫びたいかもしれねーけど、我慢してくれ。あいつが起きちまうからな……」



縁側のザングースはのんきに眠っている……



おばあさん「じいさんの幽霊の次は、ポケモンの幽霊まで出てくるなんて……」



おばあさんは、あまりの事に笑うしかなかった。



おばあさん「本当に、この世界のってのは面白いねぇ……長生きするもんだ……」


 ▼ 138 1◆v1GnTfaqxg 18/08/07 12:05:12 ID:jRtQhpXk [11/22] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告



おばあさん「それで? あんたは誰だい?」



ザングースは座りなおすと、食べかけの煎餅を口に放り投げた。



兄ザングース「俺は、そこで寝てる弟の兄だ」


おばあさん「ほう、そのろくでなしの……で? 何をしに来たってんだい?」


兄ザングース「ま、ちょいと挨拶でもしようと思ってな……」


おばあさん「そうかい……ま、ゆっくりしてきな」



おばあさんは兄の向かいに座った。



兄ザングース「……じゃ、お言葉に甘える事にするぜ」



ザングースの兄はまた、煎餅を口に放り込んだ。


 ▼ 139 1◆v1GnTfaqxg 18/08/07 12:06:14 ID:jRtQhpXk [12/22] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告



沈黙が続く畳敷きの部屋……


ザングースのいびきが響く……



おばあさん「本当に……少しは静かにできないのかねぇ……」


兄ザングース「あいつのいびきがうるさいのは生まれつきなんだ。まぁ、許してやってくれ」


おばあさん「ふんっ……」


兄ザングース「にしても……」



兄のザングースは弟の寝顔を覗き込んだ……



兄ザングース「こいつは幸せだな……」


 ▼ 140 1◆v1GnTfaqxg 18/08/07 12:06:49 ID:jRtQhpXk [13/22] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告



おばあさん「何が幸せだって言うんだい?」


兄ザングース「あんたみたいなばあさんに拾われた事だよ……」


おばあさん「べっ、別に私は……」



兄のザングースはしばらく黙っていたが……やがて、小さく呟いた。



兄ザングース「こいつには……俺たちには、両親がいないんだ」


おばあさん「……」


兄ザングース「正確には、俺たちが生まれた頃には……二匹とも死んでたって訳だよ」


おばあさん「……そうかい」



兄は縁側の向こう……遠い夜空を見つめた……


 ▼ 141 1◆v1GnTfaqxg 18/08/07 12:07:21 ID:jRtQhpXk [14/22] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告




こいつは、昔っからわがままで……少し自分勝手な所もある奴だった……



でも、俺は唯一の家族として、こいつの分も食料を集め……養った……



食べるものが見つからなかった日は、俺の溜め込んでいた食料を分け与え……



寒さに凍える夜は、俺が温めてやった……



どうしてそこまで……って言われたら、そりゃただ一匹の家族だからだ……



あいつが俺の唯一の家族だったと同時に、あいつにとって俺も唯一の家族だったんだ……



これから先も……俺があいつのそばにいてやるつもりだったんだ……




 ▼ 142 1◆v1GnTfaqxg 18/08/07 12:07:50 ID:jRtQhpXk [15/22] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告



けどよ、それは叶わなかった……



俺とした事が……今年の暑さにやられちまってな……



へへっ、情けねぇ……



俺が不甲斐ないために、唯一の家族を泣かせ、孤独に突き落としちまって……



兄貴失格だぜ……俺は……




 ▼ 143 1◆v1GnTfaqxg 18/08/07 12:08:31 ID:jRtQhpXk [16/22] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告




償いになると思っちゃいなかったが、俺はあいつが一匹で生きるのをそばで見守っていた……



そんなある日、あいつもとうとう暑さに倒れちまった……



助けようにも、幽霊の俺には何もできない……



そんな時にやって来たのがばあさん……あんただ……



あんたは散々文句を垂れながらも、弟の介抱をしてくれた……



素直じゃないこいつは、面と向かって言えねぇかもしれねぇ……だから、俺が代わりに言っておくよ。




ばあさん、弟を助けてくれて本当にありがとう。





 ▼ 144 1◆v1GnTfaqxg 18/08/07 12:09:10 ID:jRtQhpXk [17/22] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告



兄ザングース「これを言いに来た……これだけはあんたに伝えたかった……」


おばあさん「……そうかい」


兄ザングース「こんな事をあんたに頼むのは、迷惑だとわかってるけど……よかったらこれからも、俺の弟の事を頼んでいいか?」


おばあさん「……」


兄ザングース「こいつは素直じゃないけど、言われた事はちゃんとこなせる……根は真面目な奴なんだ……だから」


おばあさん「ふん……幽霊に頼まれたのなら仕方ないね……」


兄ザングース「!」


おばあさん「散々こき使ってやるよ……洗濯から掃除まで……私がくたばるまでこき使ってやるからね」



縁側に寝転がるザングースを見つめるおばあさんを見て……ザングースの兄は安心したように微笑んだ。



兄ザングース「……頼んだぜ」



 ▼ 145 1◆v1GnTfaqxg 18/08/07 12:10:22 ID:jRtQhpXk [18/22] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告



その言葉が吐き出されたとともに、ザングースの兄の体は眩しい光を放った……



おばあさん「っ!」


兄ザングース「よかった……あんたみたいな人間に弟を頼めて……」



更に強い光を放ち……おばあさんは目を瞑った……





あんたも、そう先は長くねぇだろうが……できるだけ長く、あいつのそばにいてやってくれ……





再び瞼を開けたその時には、もうその姿は無くなっていた……


もしかすると……全ては幻だったのかもしれない……



おばあさん「……」



その時、キッチンからお湯が沸いた事を知らせる甲高い音が響いて、おばあさんは我に返った。



おばあさん「ふん……先にくたばるのはきっとあいつさ……だから、あんたは安心するんだよ……」



そう呟いて、やかんの火を止めにキッチンへ向かった……



 ▼ 146 1◆v1GnTfaqxg 18/08/07 12:10:54 ID:jRtQhpXk [19/22] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告




薄暗いキッチン……




やかんのお湯を急須に入れながら、あの幽霊の顔を思い出す……



おばあさん「あいつとそっくりで、ぶっさいくな顔だったね……でも」



急須と湯呑みを持ち、廊下へと足を進める……



おばあさん「弟想いのいい兄貴だね……」



そう呟いたその時……再びあの不気味な音が聞こえた……




バリ……バリ……




 ▼ 147 1◆v1GnTfaqxg 18/08/07 12:11:30 ID:jRtQhpXk [20/22] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告



おばあさん「っ……」



おばあさんは眉間に皺を寄せると、廊下を早足で歩き……そして、ふすまを勢いよく開けた。


畳敷きの部屋には……煎餅を食べるザングースの姿が……



ザングース「げぇっ!? 見つかった!!」



煎餅はもう、一枚も残っていない……

おばあさんの怒りは限界を超えた。



おばあさん「こんの穀潰しぃ!!」



おばあさんのその言葉にザングースが立ち上がり、ギリギリと睨みつける……



ザングース「なんだと!? このクソババア!!」


おばあさん「なんだい!! その顔は!!」


 ▼ 148 1◆v1GnTfaqxg 18/08/07 12:12:08 ID:jRtQhpXk [21/22] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告




夜の町の片隅……



小さな家から怒鳴り声が響く……



少し前までは物静かだったその家も……今では毎日騒がしくなった……



生きる意味を見失っていたおばあさんも、これからは一つの目標を胸に長生きするだろう……



その家からは、これからもずっと……毎日のように怒鳴り声が響くのだ……






おしまい。



 ▼ 149 1◆v1GnTfaqxg 18/08/07 12:14:32 ID:jRtQhpXk [22/22] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
番外編おしまい。


リクエストとか普段貰えないからね……できないって言った癖に、やっぱり書く事にしました。
リクエストしてくださった>>125さん、ありがとうございました。


じゃ、また何処かで会いましょう。
 ▼ 150 ワンリキー@はっかのみ 18/08/07 17:48:47 ID:tM4k9JSc NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
乙
外伝さんホント好き
 ▼ 151 エモンガ@ノーマルジュエル 18/08/09 16:12:26 ID:8rScBy6o NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
>>125だけど最高でした
ありがとうございました。
これからも何か書くようでしたら頑張ってください
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