▼  |  全表示293   | << 前100 | 次  |  履歴   |   スレを履歴ページに追加  | 個人設定 |   ▼   
                  スレ一覧                  
SS

SS「アユミちゃんぱんでみっく!」

 ▼ 1 ブリー@もえぎいろのたま 25/02/22 01:17:07 ID:WtKQpXsY [1/43] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
◯月A日
今日はカントーポケモンリーグで殿堂入りした記念に、タマムシデパートでお買いものの日!
自分へのご褒美にいっぱい欲しいものを買うんだ!
ママは「あんまり遠くにいっちゃダメよ!」って言ってたけど、カントー地方を歩いて一周したんだから平気だよ!って返して家を飛び出して行っちゃった!
最初はシン君も誘おうとしたけど……チャンピオンをかけたバトルで勝ったばかりだし悪いかなと思ってわたし一人でいくことにした。
シン君は優しいから気にしないと思うけどね!次会う時のためにお土産はちゃんと忘れず買って帰ろう!

アユミはレポートに しっかり かきのこした!
アユミ「……これでよしと。」
 ▼ 2 トマル@マグマスーツ 25/02/22 01:17:41 ID:Y2uoNqWI [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 3 シレーヌ@4ごうしつのカギ 25/02/22 01:18:04 ID:WtKQpXsY [2/43] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
タマムシデパート 2F(わざマシン売場)

アユミがタマムシデパートに来るのはこれが2回目。彼女が1度ここに来た時は値札を見るなり肩を落としてトボトボと店を後にしたが……今は少し無理をすれば買えてしまう範疇だ。

アユミ「わざマシン48 はかいこうせん……。」

言わずもがな、記憶に新しいポケモンリーグ四天王のトリを務めるワタルのカイリューの代名詞的技だ。ド派手で豪快な見た目の大技には全トレーナーが一度は憧れる。

アユミ「10万円だって。買おうと思ったら買えるけど……流石にママに怒られちゃうかな?」

アユミ「ねえ相棒?はかいこうせんって打ってみたい?ほらこの前みたばー!ってやつ!」

アユミは腕に抱きかかえた相棒のイーブイに話しかける。

イーブイ「ぶい?」

相棒はきょとんとした表情をしているばかりだ。
 ▼ 4 ココ@シンクロマシン 25/02/22 01:18:38 ID:WtKQpXsY [3/43] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
アユミ「すみません店員さん!この子ってはかいこうせん覚えますか?」

デパート店員「少々お待ち下さい……。」

店員は技リストを確認している。

デパート店員「恐れ入りますが、イーブイははかいこうせんを覚えないようです……。」

アユミ「そうですか……ありがとうございます。」

アユミ「ごめんね相棒。はかいこうせん覚えられないみたい……。」

意味はよくわかっていない様子だが悲しい気持ちがイーブイに伝搬したのか、イーブイもそれとなく残念そうな顔をする。
 ▼ 5 コザル@ラティアスのおやつ 25/02/22 01:19:19 ID:WtKQpXsY [4/43] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
アユミ「この子が覚えそうな技って売られていますか?」

デパート店員「それでしたらこちらと…後は…」

結局紹介されるがままに、アユミはアイアンテール(5万)とシャドーボール(3万)とトライアタック(3万)を衝動的に購入した。結果的にはかいこうせんを購入するより高くついた……。

アユミ「いっぱい買っちゃったね相棒。これママには内緒だよ?」

イーブイ「ぶい!」

アユミ「後はお土産を選ばないとね。いや……やっぱり相棒の分も欲しいかも!」
 ▼ 6 ンドラー@きょうかポケット 25/02/22 01:19:51 ID:WtKQpXsY [5/43] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
タマムシデパート 5F(アクセサリー売場)

アユミ「うわー!このリボン可愛い!スカーフもいいな!ねえ相棒はどれが好み?」

アユミは試着室で代わる代わるイーブイにアクセサリーを合わせる。
イーブイは鏡に映る自分の姿を見てどやっといった表情を見せるが、その中でも反応が良かったのが……。

イーブイ「ぶいおー!」

アユミ「この赤の髪飾りが気に入ったの?それもすっごく可愛いね!じゃあ買っちゃおっか!」

アユミ「そうだ!シン君にはこの色違いの白の髪飾りをあげよう。きっとライチュウに似合うと思うんだよね!」

イーブイ「ふいぶい!」

アユミ「じゃあこれに決定!後は屋上の自動販売機で飲み物飲んで帰ろっか。」
 ▼ 7 バゴ@ラティアスのおやつ 25/02/22 01:21:04 ID:WtKQpXsY [6/43] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
タマムシデパート 屋上

アユミ「どう相棒?久々のミックスオレの味。懐かしいでしょ?」

イーブイ「ぶい!」

アユミ「初めてここに来て飲んだ時は本当に美味しくていっぱい買っちゃったもんね。」

ミックスオレは味もさる事ながら、回復量に対する金銭効率がよく、懐事情に優しい清涼飲料水だ。……1本ずつ自販機の前で無心で自動販売機のボタンを押し続けるのに耐えれば。

アユミ「でも今のわたしは一端のレディだからそんなことはしません!」

アユミ「……もう殆どお金使っちゃったからね。だから相棒も味わって飲むようにね!」

イーブイ「ブイッ!ブイッ!」


「キャアアアア!!」
 ▼ 8 オッキー@ラティアスのおやつ 25/02/22 01:21:46 ID:WtKQpXsY [7/43] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
平穏な日常を切り裂くような悲鳴がデパートの外から聞こえてきた。周囲はどよめきに包まれる。
ロケット団の残党による事件だろうか?それともまた別の何かか……。
タマムシデパートの屋上からはフェンス越しに辺りが一望できる。
アユミが覗いた先にはこの世のものとは思えない光景が広がっていた。

アユミ「人が人を……噛んでる……?」
 ▼ 9 ャルマー@クリティカット 25/02/22 01:23:30 ID:WtKQpXsY [8/43] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
さながらゾンビ映画。いやそのものか。一人一人の動きは緩慢だが、噛まれた人間が倒れた後ゆっくりと立ち上がり新たな獲物を探すといった様子。
周囲にいた野次馬も次々に様子がおかしくなっていることから、空気感染している可能性も考えられる。

アナウンス「デパート内のお客様にご案内いたします。只今ここタマムシシティは、ゾンビが人を襲う……としか言いようがない未曾有の危機に瀕しています。速やかに街の外に避難を……」

館内アナウンスは途中でぶつ切りになった。
我先にとデパートの出口に向かって走る来店客たち。飛び交う怒号。泣き出す子供の声。デパート内は一瞬にして大混乱に陥った。
 ▼ 10 ガラティオス@いわのジュエル 25/02/22 01:24:17 ID:WtKQpXsY [9/43] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
イーブイ「イヴ……」

アユミ「大丈夫だよ相棒!ロケット団のアジトに一人で乗り込んだ時よりはいけるいける!」

アユミは不安がる相棒をなだめるように優しく頭を撫でた。

アユミ「でも……どうしようかな。わたしそらをとぶ方法ないんだよね……。」
 ▼ 11 ッコアラ@ぼんぐりのみ 25/02/22 01:24:39 ID:WtKQpXsY [10/43] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
通常はヒジュツの一つにソラワタリという風船を取り付けた椅子に乗って行ったことのある街にひとっ飛びする技があるが、アユミはそれを取得しなかった。
見るからに指定した行き先に着くかどうか不安定そうだったからだ。……まあ無理もないか。

加えてアユミは背に乗れるような大型のそらをとぶポケモンを所持していない。名は体を表すじゃないけれど、地に足をつけて走り回るのが好きだからだ。
全然!高いところが怖いわけじゃないよ!……というのは本人の談。
 ▼ 12 タドガス@ワシボンのはね 25/02/22 01:25:45 ID:WtKQpXsY [11/43] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
アユミ「なんとか突っ切ってでもここを出よう!」

意を決したアユミはデパートの階段へと歩を進めた。

既にデパート内にもゾンビは侵攻していて、次々と人を噛み仲間を増やしていた。
気になるのが本来ゾンビと呼称されるものは肉体が朽ちていたりだとか、肌が青白く変色していたりだとか、骨格が剥き出しになっていたりだとかするものだが、見る限りでは噛んでいる側も何ら普通の人間の見た目と差異がないことだ。

ただ薄ら笑いを浮かべ譫言を言いながらふらふらと彷徨い、見つけた人間を手当たり次第襲う。
遠くからだと人間かゾンビか見分けが付きにくいという点である意味でたちが悪い。
しかしアユミにとって何より衝撃だったのは……その譫言の内容だった。
 ▼ 13 イウールー@バトルレコーダー 25/02/22 01:26:16 ID:WtKQpXsY [12/43] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
アユミ「さっきまで接客してもらってた店員さんも……同じフロアにいたお客さんも……みんなおかしくなっちゃってる……。」

デパート店員「アユミちゃん…w」

アユミ「……え?」

アユミは耳を疑った。いくら最近ポケモンリーグを制して名を挙げたといっても、殆どあったことも名前を明かしたこともない相手だ。それも殆ど自我がなさそうな状態の男が、はっきりと自分の名前を呼んだというのだ。

アユミ「聞き間違い……だよね?」
 ▼ 14 グレイブ@ジョウトのせきばん 25/02/22 01:27:10 ID:WtKQpXsY [13/43] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
客A「アユミちゃん…w」

              客B「アユミちゃん…w」


客C「アユミちゃん…w」


              警備員「アユミちゃん…w」



受付嬢「アユミちゃん…w」
 ▼ 15 ロリンガ@えいえんのこおり 25/02/22 01:27:37 ID:WtKQpXsY [14/43] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
みんながみんな、揃いも揃って間違いなく、薄ら笑いを浮かべながらはっきりとアユミの名前を呼んでいる。

アユミ「どうしてわたしの名前を呼ぶの……?わたしはみんなのことを……知らないのに……。」

イーブイ「……ブイヤァ!」

焦燥するアユミを尻目に、イーブイは独断でびりびりエレキを床に放った。
迸る稲光がゾンビを退け、デパート出口に続く退路を開ける。
 ▼ 16 ーマンダ@ファイヤーのおやつ 25/02/22 01:28:02 ID:WtKQpXsY [15/43] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
アユミ「ああ……そうだよね。ごめんね相棒。わたしがしっかりしないと……。」

アユミはポケモンボックスからウインディをくりだした!

アユミ「ウインディ!わたしをデパートの外まで乗せていって!」

ウインディ「うぉおおーん!!」

ウインディはアユミとイーブイを背に乗せ、その図鑑説明通りの軽やかな走りで、デパートの出口扉を突き破った!
 ▼ 17 ユルド@なぞのすいしょう 25/02/22 01:33:26 ID:44BEpa.g NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
とんでもないがっこうぐらしでワロタ
 ▼ 18 ロマツ@きれいなハネ 25/02/22 01:41:04 ID:vx9w42H2 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アユミちゃん…w
 ▼ 19 ャランゴ@アボカド 25/02/22 11:53:00 ID:WtKQpXsY [16/43] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
一難去ってまた一難。デパートの外もまた地獄の様相を呈していた。
無事な者は懸命に助けを求め、既にゾンビになっている者は人間を付け狙っている。

ニョロボン使いのNPC「アユミちゃん…w」

ジム前の爺さん「誰なんじゃそのアユミちゃんとは!可愛い子なら紹介してくれ!後わしは食べても美味しくないぞ………あああああっ!!」

……今のところゾンビ同士で襲い合うことはないようだが、どうやらゾンビ側は誰がアユミなのかどうかまではまるで区別がついていない様子だ。
 ▼ 20 ーイーカ@きれいなウロコ 25/02/22 11:53:34 ID:WtKQpXsY [17/43] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
アユミ「どうしよう……まだ助けられる人がいるなら助けないと……。」

アユミは不安そうに周りを見渡すと……。

「モンジャラ!ねむりごな!」
「ウツドン!しびれごな!」
「クサイハナ!ねむりごな!」


まさに死中に活。白い防護服に身を包んだ集団が、草タイプのポケモンを駆使した状態異常技でゾンビを次々に無力化させていた。
 ▼ 21 イウールー@ものまねハーブ 25/02/22 11:54:07 ID:WtKQpXsY [18/43] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
アユミ「あれってもしかして……?」

アユミは交戦している現場に駆け寄る。

アユミ「あの!何か手伝えることはありますか!」

???「何をしているのですか?民間の方は速やかに避難を……あら?」

アユミ「わたしアユミです!エリカさん達ですよね?」

エリカ「ああ。アユミさんでしたか。ごきげんよう。」

防護服に身を包んだ集団はやはりタマムシジムの面々だった。
 ▼ 22 ズマオウ@つきのふえ 25/02/22 11:55:33 ID:WtKQpXsY [19/43] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
エリカ「……今の所体調はいかがですか?」

アユミ「はい!元気いっぱい……。」

健康体をアピールしたものの、これは単なる安否の心配ではないことをアユミは幼ながらに肌で理解し、途中で口を噤んだ。

アユミ「(確かに…なんでわたしだけが無事なんだろう……?それにわたしの名前を呼ぶぐらいなら、どうしてゾンビ達はわたしだけを狙わないんだろう……?)」

そこで初めてアユミは自分の身の潔白を証明する手段がないことに気づいた。

防護服越しに皆の目線が一斉にアユミに集まる。
 ▼ 23 チンウニ@ズアのみ 25/02/22 11:57:08 ID:WtKQpXsY [20/43] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
アユミ「あの……信じてください!今日はお買い物に来ただけで……急にこんなことになって……!」

アユミは泣きそうになりながらも必死で弁明する。

イーブイ「イヴ……」

イーブイは悲しむ感情を感じ取って、アユミの背中を駆け登り寄り添った。

エリカ「……いえ。既に感染しているようでしたら、このように対処しなければならなかったので。健康なら何よりです。」

ピクニックガール アサエ「……本当に信じていいんですか?」

エリートトレーナー アヤカ「本来生身で歩けるはずが……。」
 ▼ 24 ヒドイデ@こおったきのみ 25/02/22 11:57:53 ID:WtKQpXsY [21/43] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
エリカ「アユミさんは最初に『何か手伝えることはありますか?』とこの窮地で申し出てくれました。並々ならぬ勇気が必要でしょう。」

アユミ「そ、それじゃ……!」

エリカ「さて……私達はこれからロケットゲームコーナー前の感染者を鎮圧しに向かいます。もしかしたら元に戻す方法があるかもしれないので、私達はこのようになるべくダメージのない方法で感染者を抑えています。」

エリカ「もしご協力頂けるのであれば、眠りまたは麻痺の状態異常技を持つポケモンがいると望ましいのですが……。」

アユミ「状態異常技……。ちょっと待ってくださいね……。」
 ▼ 25 ケブシッポ@マーマレード 25/02/22 11:59:09 ID:WtKQpXsY [22/43] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
アユミはポケモンボックスからフシギバナをくりだした!

アユミ「この子がねむりごなを持っています!一緒にいかせてください!」

フシギバナ「バナ!」

エリカ「ありがとうございます。それでは向かいましょうか。」
 ▼ 26 ワシ@かわらずのいし 25/02/22 11:59:26 ID:XEIAqnOA NGネーム登録 NGID登録 報告
たった30秒でなぜここまで書けるし
 ▼ 27 ティアス@ミツハニーのミツ 25/02/22 11:59:51 ID:WtKQpXsY [23/43] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ロケットゲームコーナー前には特に多くのゾンビが密集していて、まだ感染していないような人はとても残っていそうになかった。

そしてやはりゾンビはもれなく薄ら笑いを浮かべながら譫言のようにアユミの名前を呼んでいる。

アユミ「(もういや……また呼ばれてる……。そういえばエリカさんはさっき感染って言ってたけど、何か原因を知っているのかな?
それにあの服……元々こうなることがわかっていたみたいな用意……。)」

アユミ側からも疑念が尽きなかったが、今は他のことに気を回している場合ではない。

アユミ「(だめだめ集中しないと……。)フシギバナ!ねむりごな!」
 ▼ 28 ミイルカ@エレクトロメモリ 25/02/22 12:01:01 ID:WtKQpXsY [24/43] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
通常のポケモンバトルとは全く異なり、ゾンビはポケモンを狙わず、真っ直ぐトレーナーを狙いに来るので、それに対処していかなくてはならない。
相変わらず動きは緩慢だが、四方八方からやってくるため、一度死角をつくれば即接触される。

しかしながら、アユミとタマムシジムの面々は互いに背中を向け合って輪をなすことで、全方位からの襲撃に対応した。
そして時間はかかったが、ついにロケットゲームコーナー辺り一帯のゾンビを鎮圧することに成功した。
 ▼ 29 イリュー@ほしのすな 25/02/22 12:02:00 ID:WtKQpXsY [25/43] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
エリカ「……ひとまず止まりましたね。皆様のご協力重ね重ねありがとうございます。」

ピクニックガール アサエ「アユミ……さっきは疑ってごめんなさい……。」

エリートトレーナー アヤカ「貴方が一番貢献していたわ……。」

アユミ「いえ……わたしも自分がどうして無事なのかわからないので……。」

アユミはその行動で信頼を勝ち取った。一旦落ち着いた今ならエリカに質問が出来るかもしれない。
 ▼ 30 ッサム@サイキックメモリ 25/02/22 12:03:17 ID:WtKQpXsY [26/43] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
アユミ「……このゾンビについて何か分かっていることはありますか?」

エリカ「詳しいことはわかりかねますが、恐らくここタマムシシティで発生したウィルスが原因です。」

アユミ「聞きにくいことかもしれないんですけど……どうして原因を知っているんですか?その服の用意もあって対応が早かったのも気になります。」

エリカ「あら。歳不相応に鋭いですわ。少年探偵団とか所属されてましたか?」

アユミ「……多分それは別のアユミだと思います。」 
 ▼ 31 レユータン@キングリーフ 25/02/22 12:04:37 ID:WtKQpXsY [27/43] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
エリカ「冗談はさておいて、私達の対応はむしろ遅かったのです。だから未然に防ぐことが出来ませんでした。」

防護服越しで表情はよく読み取れないが、声からは無念さが伝わってきた。

エリカ「ここで未曾有の生物災害が起こる可能性があることを知ったのは、今年に入ってすぐ辺りですね。」

エリカ「アユミさんもよく知ってるはずの、ナツメさんの予言です。表沙汰になると大混乱を招くので、この事は各町を代表するジムリーダー・研究施設・行政機関といった限られた中でしか知らされていませんでした。」
 ▼ 32 ルノリ@ヨロイパス 25/02/22 12:05:40 ID:WtKQpXsY [28/43] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
エリカ「……この事を伝えられた時は流石に狼狽しました。かなりの人員がここタマムシの捜査に割かれたのですが、当時はロケット団の存在もありなかなか進展せず、ロケット団解散後ようやく捜査が本格化すると思ったら……。」

アユミ「ロケット団解散から今までだと殆ど日にちが経ってないですね……。」

エリカ「だからこうなってしまったのは知っていながら防げなかった私達の責任です。後のことは私達で何とかするので、アユミさんは今からでもなるべく遠くに逃げてください。」

アユミ「(逃げる……といってもどこまで?とにかくママのことが心配だから帰らないと……。)」
 ▼ 33 イノーズ@オトシドリのはね 25/02/22 12:08:04 ID:WtKQpXsY [29/43] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ピクニックガール アサエ「何やら難しそうな話してるわ……それにしてもよく働いた……あれ?」

アサエは自分の防護服に噛みちぎられたような穴を開けられていることに気づいた。

ピクニックガール アサエ「嘘……?いつの間に……?……!!」

『アユミちゃんを食え』

通常脳が伝達するはずのない指令が、頭の中で反響する。

ピクニックガール アサエ「そんな事出来るわけ……。」

『アユミちゃんを食え』

絶えず響く声と極度の飢餓感に見舞われ、薄れゆく自我の中でああ……こうやって今対峙しているゾンビは発生するんだということをアサエは理解した。
 ▼ 34 ンニュート@リーフのいし 25/02/22 12:08:58 ID:WtKQpXsY [30/43] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
エリカ「私達はこれから無力化した感染者の捕縛作業に移ります。まだデパート内の感染者も大量に残っているので、そちらも対処しなければなりませんね。」

エリートトレーナー アヤカ「アサエ……大丈夫?」

頭を抱えるアサエの身を、アヤカは案じた。

ピクニックガール アサエ「アユミちゃん…w」

アサエは身につけていたフェイスシールドとマスクを乱暴に取り外し、アヤカに襲いかかった。
 ▼ 35 ッチルドン@もりのヨウカン 25/02/22 12:09:48 ID:WtKQpXsY [31/43] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
エリカ「危ない!」

エリカはアヤカを突き飛ばし、間に割って入った所……比較的防御の薄い手首の辺りを噛まれてしまった。

エリカ「……!モンジャラ しめつける!」

モンジャラが放ったツルがアサエを掴んで遠くに引き離す。

アユミ「フシギバナ!ねむりごな!」

アユミのフシギバナは咄嗟にそれに合わせるようにねむりごなを当て、アサエは道に横たわる無数のゾンビと同じように昏倒した。
 ▼ 36 ローライシツブテ@こおりのいし 25/02/22 12:11:37 ID:WtKQpXsY [32/43] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
アユミ「エリカさん!」

アユミは手首を押さえるエリカに駆け寄ろうとするが、エリカはそれを制止した。

エリカ「アヤカさん……私……ジムを出る前に言いましたよね。こうなってしまった身内がいたら……他の感染者と同じように扱いなさいと……。」

エリートトレーナー アヤカ「ごめんなさい……ごめんなさい……。」

エリカ「そしてこうして庇うのも……本当は間違った対処です……。」
 ▼ 37 リル@とけないこおり 25/02/22 12:12:42 ID:WtKQpXsY [33/43] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
エリカ「アユミさん……私の意識が残ってる間に……早く逃げ……。」

アユミ「…………。」

イーブイ「ブイッ ブイーッ!」

呆然とするアユミは、イーブイの呼びかけで意識を取り戻す。

アユミ「ああああああ!!!」

名状し難い感情を抱え叫びながら、振り返らないようにアユミはその場を後にした。
 ▼ 38 テトプス@きかいのぶひん 25/02/22 12:13:23 ID:WtKQpXsY [34/43] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
エリートトレーナー アヤカ「私のせいで……ごめんなさい……」


エリカ「……アユミちゃん…w」
 ▼ 39 マスジョー@マンキーのけ 25/02/22 12:14:24 ID:WtKQpXsY [35/43] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
アユミはタマムシのポケモンセンターの中に入った。どうせ開いていないか、感染者で一杯で利用できないかのどちらかとアユミは期待はしていなかったが、運良くポケモンセンターは開けっ放しの状態で中はもぬけの殻だった。

あれだけ活気のあった都会のポケモンセンターが、今では秒針を刻む音しか聞こえない。現在時刻は18:54分。
アユミの感覚的にはもう既に何日も経っているようだった。
 ▼ 40 ブソル@ゴージャスボール 25/02/22 12:14:56 ID:WtKQpXsY [36/43] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
アユミは受付前のソファーにうなだれるように倒れ込み、すすり泣いた。
突如襲った理不尽、これからの不安、何より……結果的に誰も救えなかったことの喪失感がとめどなく押し寄せてきた。

アユミ「相棒……ポケセン前にわるわるゾーンお願い……」

イーブイ「ブイッ!」

わるわるゾーンは攻撃発生後に物理攻撃を半減させる壁を発生させる技だ。感染によって人の力を逸脱するということがなければ、この壁を壊すことはできないので暫くは立てこもれる。
 ▼ 41 メパト@メダルボックス 25/02/22 12:15:22 ID:WtKQpXsY [37/43] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
次第にアユミはねむりごなを多少なりとも吸い込んだのか、疲労からか、はたまた現実からの逃避か。ソファーの上で眠りについた。
イーブイもまたアユミの首元まで駆け寄って一緒に眠った。
 ▼ 42 ティアス@ゴクリンのねんえき 25/02/22 12:20:13 ID:wUVcSGpw NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アユミちゃん…wネタとは思えないくらいシリアスやんけ支援ネ
 ▼ 43 レユータン@ラブカスのウロコ 25/02/22 18:39:31 ID:9mMsCQ9U NGネーム登録 NGID登録 報告
BBSで見るアユミちゃん…wってロリコンじゃなくてゾンビだったんだ
 ▼ 44 ビビール@つめたいにんじん 25/02/22 19:57:43 ID:WtKQpXsY [38/43] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アユミ「シン君久しぶり!今日はね。一緒に遊びに行く前に渡したいものがあるんだー!」

アユミ「じゃじゃーん!これタマムシデパートで買った白い髪飾り!可愛いでしょ?私のは赤い髪飾りなんだよ!お揃いだね!」

アユミ「……シン君?」

シン「……アユミちゃん…w」

アユミ「……!!」
 ▼ 45 レディア@ケチャップ 25/02/22 19:58:01 ID:WtKQpXsY [39/43] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
アユミはソファーから転がり落ちて目が覚めた。同時に近くで寝ていたイーブイも飛び起き、何事かといった具合に周囲を警戒する。

アユミ「夢か……いや…今は夢も現実も変わらないね……。」

アユミは自嘲気味に乾いた笑いが出る。時計を確認すると、現在時刻は21:06。殆ど眠れていないが、外の状況を考えるのではあればあまり長居は出来ない。むしろ悪夢を見て飛び起きたのは怪我の功名だったのかもしれない。
 ▼ 46 ュバルゴ@イーブイのけ 25/02/22 19:58:14 ID:Y2uoNqWI [2/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
シンまで…
 ▼ 47 タッコ@アメタマのミツ 25/02/22 19:59:00 ID:WtKQpXsY [40/43] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
アユミ「とにかくお母さんのことが心配だから家に帰ろう。タマムシから歩いて帰るとしたら、ヤマブキ→クチバ→ディグダの穴を通って2番道路→トキワシティ→マサラタウンだね。」

アユミ「そういえば……もしまだ無事ならこの状況を予言したナツメさんに詳しい話を聞きたいな。何か他に知ってることがあるかも……。」

自分の中でこれからの指針が決まり、少しだけ元気を取り戻すアユミ。

アユミ「そうと決まれば隙を見てここを出よっか。」

イーブイ「ブイブイ!」

ぐぅぅぅぅぅ……
 ▼ 48 ランセル@こうかくレンズ 25/02/22 19:59:21 ID:WtKQpXsY [41/43] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
決意した矢先アユミのお腹から大きな音が鳴った。

アユミ「……そういえば今日ミックスオレしか飲んでなかった。お土産……食べ物も買えばよかったね……。」

イーブイ「ブイ……。」

アユミ「相棒もお腹すいた?大丈夫!もうちょっと歩いたらきっとご飯にありつけるよ。」

イーブイ「ブイブイッ!」
 ▼ 49 インディ@こうこうのしっぽ 25/02/22 20:00:10 ID:WtKQpXsY [42/43] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
タマムシシティのポケモンセンターの自動ドアを開けた先は、幸いなことにまだねむりごなの効果が持続していて、感染者は殆ど徘徊していなかった。
とはいえ、全く感染者がいないわけではないのでアユミは隙を見計らって、時には建物の裏に隠れながら7番道路方面へと駆けていった。

地下通路を通って先に行く選択肢もあるが、狭い通路で感染者と遭遇した時のリスクを鑑みると、ヤマブキシティに用がなくとも通るのは得策ではないだろう。
やはり散見される感染者を尻目に、アユミはヤマブキシティに繋がるゲートに向かって走った。
 ▼ 50 ークイン@バンギラスナイト 25/02/22 20:01:02 ID:WtKQpXsY [43/43] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
アユミ「誰も……いないね。」

ゲートには本来いるべき警備員がいなかった。ヤマブキシティには東西南北それぞれに道路へと続くゲートが設置されているが、これでは少なくとも感染源とされているタマムシとヤマブキ間の感染者の流入は防げていないことが自明だ。
つまり……タマムシと勝るとも劣らない人口を誇るヤマブキは、感染者で溢れかえっている可能性が高い。
 ▼ 51 ニーゴ@カシブのみ 25/02/23 12:11:14 ID:.LSg8wwk [1/23] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アユミ「……この先何があっても相棒たちと一緒なら大丈夫だよ。大丈夫……。」

意を決したアユミはその先へと進んだ。
 ▼ 52 ュプトル@コダックじょうろ 25/02/23 12:11:32 ID:Oz1wg7HY NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援ちゃん…w
 ▼ 53 ーシャドー@ルカリオナイト 25/02/23 12:11:42 ID:.LSg8wwk [2/23] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ヤマブキシティ

初めてアユミが訪れた時は、忙しなく通行人が横断していたビジネス街も今では閑散としている。人どころかなるべく目立たないようにしているのか、インフラ自体が機能していないのか家の灯りも一切ついていない。
しかし、身構えた割には外を徘徊する感染者の数が少ない。これは既にヤマブキシティ側が何らかの対応をした結果なのか、それとも他の街に流出してしまっているのか……。
 ▼ 54 サイドン@せんせいのツメ 25/02/23 12:12:15 ID:.LSg8wwk [3/23] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
何より目を引くのは……街中にあるはずもないワープポイントだ。
アユミはヤマブキジムやシルフカンパニー等で同じものを見たが、等間隔に街中に敷き詰められているのをみるのはこれが初めてだった。

アユミ「これ……どこに繋がってるんだろう?」

特に踏むつもりはなかったが、しげしげとワープポイントを眺めていると、頭の中で聞き覚えのある声が反響した。

???「それを踏んではダメ!」
 ▼ 55 ドロクツキ@ジガルデキューブ 25/02/23 12:12:46 ID:.LSg8wwk [4/23] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
アユミ「ひゃっ!ど、どこから!?」

アユミは飛び上がり周囲を見渡すと、赤色の防護服を着た人が3名こちらを見ていることに気がついた。

アユミ「一人は……今テレパシーを飛ばしてきたナツメさんですよね?もう二人は……?」

ナツメ「格闘道場のマスタートレーナーよ。」

からておう ツヨシ「ワシはエビワラーマスターのツヨシだ!キサマが予言の子だな?」

からておう ケンジ「ワシはサワムラーマスターのケンジだ!成程……確かにやりそうなやつだ。」
 ▼ 56 ゼリア@こうかくレンズ 25/02/23 12:13:19 ID:.LSg8wwk [5/23] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
アユミ「このワープポイントを踏んではいけないというのは?」

ナツメ「ワープポイントの淵が青い方は踏んでもまだ問題ないけど、淵が赤い方は踏んだら絶対にダメ。今私達がしていることは感染者の隔離で、赤は感染者を飛ばす側のワープポイントなのよ。」

アユミ「つまりこれをわたしが踏むと……。」

ナツメ「たちまち360度感染者に囲まれることになるわね。後勿論このワープポイントは一方通行で作られてるから、まず帰ってこれないわ。」

アユミは転げながらワープポイントから後退りした。
 ▼ 57 ルフォン@エンテイのおやつ 25/02/23 12:14:19 ID:.LSg8wwk [6/23] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
アユミ「……ちなみにこのワープポイントはどこに繋がっているんですか?」

ナツメ「ヤマブキシティで一番人を収容できる所といったらシルフカンパニーよ。元々ここで働いている人たちには、ロケット団に制圧された一件の後、他の地方の支店に移ってもらっているの。その時にこのビルは非感染者の保護か、感染者の隔離の場として使ってよいと許可を得たわ。」

シルフカンパニーといえばカントー地方。いや世界を代表するボール、わざマシン、むしよけスプレー、あなぬけのひもを開発した言わずとしれた企業だ。
それが今では感染者の収容スペースに……?
 ▼ 58 エスパトラ@ネットボール 25/02/23 12:15:42 ID:.LSg8wwk [7/23] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ナツメ「ところでアユミ。貴方がここを再び訪れるのは分かっていたことだけど、私が分かるのは結果の一部であって過程ではないわ。今日貴方の身に何が起こったか教えて頂戴。」

アユミはタマムシシティであったことを全て話した。元々は買い物でタマムシデパートにきたこと。急に人が人を噛み始めたこと。タマムシジムと面々と感染者の鎮圧に勤しんでいたこと。そして……エリカも感染者に噛まれてしまったこと。

ナツメ「そう……。私も……覚悟はしていたつもりだけど……。」

隣町の近しい存在の女ジムリーダーが既に被害に遭っていたことに、ナツメはショックを隠しきれない声色だった。
ほんの少しだけ和らいでいたアユミの精神は、また抉り取られるような感覚に陥った。
 ▼ 59 ガサーナイト@おいしいみず 25/02/23 12:16:27 ID:.LSg8wwk [8/23] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
アユミ「ごめんなさい……。わたし守りきれませんでした。」

ナツメ「貴方が謝ることではないわ。むしろ私達は巻き込んでしまった側。だから真っ直ぐ前を向いて。それに貴方は、間違いなくこの騒乱を解決する鍵になる重要人物になるわ。」

アユミは目を丸くした。こんな絶望的な状態を解決する方法があって、それも自分がそのきっかけになるというんだから。
確かにアユミは今カントーで一番腕が立つトレーナーで、この環境で防護服もなしに健康体を保っている。しかし……一度感染した者を元に戻す方法は依然見つかっていない。
 ▼ 60 ョロモ@ぎんのズリのみ 25/02/23 12:17:05 ID:.LSg8wwk [9/23] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
アユミ「それは……どうしてですか?」

ナツメ「少し背が伸びて凛とした顔つきの貴方が見えるの。それって貴方が成長する未来があるってことでしょう?」

アユミ「そう……なんですかね?」

具体的な解決方法を提示されると思っていたアユミは、正直な所少し拍子抜けした。
 ▼ 61 ャラコ@ドリのみ 25/02/23 12:17:42 ID:.LSg8wwk [10/23] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ナツメ「あら?私の予言が信じられない?一応地方一帯が動いてくれるぐらいの信憑性はあるのだけど。」

ナツメはわざと拗ねたような声を出してみせる。それを聞いてアユミは思わず吹き出した。

アユミ「ふふっ。信じてますよ。生き延びればそのうちいいことありますよね。」

ナツメ「その意気よ。私達は引き続き感染者の隔離と、まだ無事な人がいないか探すわ。」

アユミ「それわたしも手伝えますか?」

ナツメ「もしよかったらお願いしたい所だけどいいのかしら?」

アユミ「はい!」
 ▼ 62 ォクスライ@みっけポン 25/02/23 12:18:50 ID:.LSg8wwk [11/23] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ナツメ「ありがとう。感染者はシルフカンパニーに繋がる淵が赤いワープポイントに、非感染者が見つかったら格闘道場とヤマブキジムに繋がる青いワープポイントに誘導して頂戴。」

ナツメ「私は手持ちのポケモンのサイコキネシスで宙に浮かせて、そこの二人は……信じられないことにポケモンと"生身"でワープポイントに感染者を投げ込んでるわ。」

アユミ「生身で!?」
 ▼ 63 ラサリス@アグノムのきば 25/02/23 12:19:12 ID:.LSg8wwk [12/23] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ナツメ「危ないからやめるように何度も言ってるんだけど……。」

からておう ツヨシ「はっはっは!だが今の所こうしてワシは無事だろう?普段から鍛えてないやつに後れを取るはずがないわ!」

からておう ケンジ「万が一噛まれるようなことがあれば遠慮なく感染者として送って貰って構わないぞ。現に何人かは既にそうなってるからな。」

……言われてみれば確かにヤマブキジムと格闘道場が提携している割には対処している人が少ない。からておうのいうように何人かは噛まれて収容されてしまっているんだろうか。
 ▼ 64 クタン@きあいのハチマキ 25/02/23 12:20:00 ID:.LSg8wwk [13/23] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
アユミ「ワープポイントのあの感じなら投げても怪我はないんだろうけど気が引けるから……。」

アユミはポケモンボックスからスターミーをくりだした!

スターミー「…………!!」

アユミ「この子がサイコキネシスを持っています!」 

ナツメ「赤が感染者で青が非感染者。くれぐれも間違えないようにね。あの人たち1回ずつぐらい間違った方に送りかけて大事になりかけたから。」

アユミ「……はい。」
 ▼ 65 リンク@ポイントカード 25/02/23 12:20:59 ID:.LSg8wwk [14/23] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
とはいえ、もう殆ど事前にヤマブキジムと格闘道場の面々が済ませていたこともあって、感染者の隔離は殆ど行うことはなく一段落がついた。
捜索中3人程非感染者を発見することが出来、それがアユミにとって何よりの清涼剤になった。
 ▼ 66 トウモリ@カセキのクビナガ 25/02/23 12:21:18 ID:.LSg8wwk [15/23] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ナツメ「みんなご苦労様。後は他地方に要請した救援を待つだけなんだけど……。すぐに対応してもらえるかどうか……。」

アユミ「……ナツメさんはタマムシから感染が広まるって予言をしてましたよね?具体的にどの辺りかってのは見えたんですか?」

ナツメ「はっきりとは見えなかったけど……最初に被害が出た時の光景はゲームコーナー前だったわ。」

アユミ「やっぱりロケット団関係なんですかね?」

ナツメ「確証は持てないけど、そうかもしれないわね……。」
 ▼ 67 ルミル@ゴールドスプレー 25/02/23 12:22:29 ID:.LSg8wwk [16/23] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
突如シルフカンパニーから物を打ち付けるような轟音が聞こえてきた。
今のところ感染者は感染者同士を襲っていないということを考えると、感染者だけで隔離された中で暴れる理由もなく、音の主が何なのかは全く分からない。

アユミ「あの音って……シルフカンパニーから?」

ナツメ「そうね……。中で何かあったのかしら。」
 ▼ 68 レディア@ネットボール 25/02/23 12:24:02 ID:.LSg8wwk [17/23] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
1Fにいる感染者が外への出方に気づいたのだろうか?だったとしてもシルフカンパニーの堅牢な扉を人間の身で壊すことは極めて困難なはず。

しかし扉を叩く音の間隔はどんどん狭まり……突然シルフカンパニーの入口扉は決壊した。

出てきたのは無数の感染者……より先にゴーリキーやユンゲラーといったポケモンだった。脱走したポケモンのどれもが目が血走っている。感染の影響はとうとうポケモンにも及ぶようになったのか……。
 ▼ 69 イゼル@ボチのろう 25/02/23 12:25:05 ID:.LSg8wwk [18/23] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
アユミ「あ……あ……。」

アユミはあまりの絶望的な状況に言葉を失い動くこともできなくなった。
そもそも閉じ込めているシルフカンパニーに穴が空いてしまったので、もはやワープポイントは意味をなさない。
勿論凶暴化したポケモンだけではなく、収容していた感染者の対応にも当たらなければならない。
 ▼ 70 ローラゴローン@わぎりリンゴ 25/02/23 12:25:36 ID:.LSg8wwk [19/23] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
からておう ツヨシ「はっ!まさにこの世の地獄のような光景よ!」

からておう ケンジ「ワシの命を燃やす時が来たようだな!」

ナツメ「……アユミ。私さっき成長した貴方の姿が見えたって話したわよね?」

アユミ「はい……でもこんなの……どうやって……。」

アユミは完全に戦意を喪失して塞ぎ込んでいる。

ナツメ「だからどうしても貴方だけは失えないの……。」
 ▼ 71 ズマオウ@ソクノのみ 25/02/23 12:26:16 ID:.LSg8wwk [20/23] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ナツメはフーディンをくりだした!


ナツメ「フーディン!テレポート!」
 ▼ 72 ローラベトベター@デデンネのけ 25/02/23 12:26:46 ID:.LSg8wwk [21/23] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
アユミの見ていた絶望的な光景はふっと消えて、気づけばどこかで見たような建物の中にいた。
ふと何もない空間から出てきたアユミの方を、警備員が怪訝そうな目で見ている。

警備員「君はどこから?困るねぇ。今は厳戒態勢で子供と言ってもここを通すわけにはいかないんだよ。」

アユミ「……ここはどこですか?」

警備員「えぇ?迷子?こんな時に参ったなあ。ここはクチバシティに繋がる6番道路のゲートだよ。」
 ▼ 73 サイドン@げんきのかたまり 25/02/23 12:29:13 ID:.LSg8wwk [22/23] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
そう遠くない場所に飛ばされたことを知ったアユミは急いで元いた場所に戻ろうとする。
しかし……足が動かない。もし行ったとして打つ手建ては……ない。

アユミ「……今!ヤマブキシティが大変なんです!感染者が収容しきれなくなって、ポケモンも……!」

警備員「それがわかってるから他所から絶対に入れたくないわけよ。こうなった以上はヤマブキシティはもう厳しいだろうね。気の毒だけど。」
 ▼ 74 ョロトノ@こだいのおうかん 25/02/23 12:29:45 ID:.LSg8wwk [23/23] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
アユミの目には止めどなく涙が溢れ、人目を憚らずその場で大声で泣いた。

また……自分だけが生き残ってしまった。
ナツメは将来の希望としてアユミを逃がしたが、あの時足が竦んで何もできなかった自分だけが生き残る未来に何の意味があるのかと自問した。

それに……感染が及ぶ範囲は今や人間のみならずポケモンにまで伸びている。
もしも、相棒イーブイが感染して凶暴化したら……。アユミにはとても耐えられそうにない。
何かを考えれば考える程黒い感情が中に入ってきて、それが流れる涙に変換される。

果たしてこの大混乱に終わりはあるのか。
 ▼ 75 フレシア@バナナスライス 25/02/23 15:42:06 ID:uOqEGa76 NGネーム登録 NGID登録 報告
かわいそうなのはぬけない
 ▼ 76 フォクシー@フラベベのかふん 25/02/23 15:46:26 ID:xEsYPHRI NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
30秒ごとにこんな大文書けるのすげぇ
 ▼ 77 ワルン@デボンボンベ 25/02/24 13:03:04 ID:B8/kvyvA [1/72] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アユミは今ゲートの外に出れば、何が待ち受けているか当然知っている。
しかしながら警備員はこの先には絶対通せないと言うのだ。
……普通に考えれば無理もない。もしまだ感染者が入り込んでいない街の立場なら、仮に2つの街を渡り歩いてなお健康体の女児でも決して迎え入れたくはないだろう。

しかし、だからといってまだ意識のあるいたいけな少女をこの場で突っぱねてお帰り願う程警備員は非情にはなれなかった。
 ▼ 78 ローラニャース@ウイングボール 25/02/24 13:03:34 ID:B8/kvyvA [2/72] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
警備員「あー……どうすりゃいいんだろうな。」

警備員が頭をかきむしっていると、一通の電話が入ってきた。

警備員「ちょっと失礼。……はい。……ええ。赤い帽子を被ってますね。」

警備員「……えぇ!?本当にいいんですか?……わかりました。」

警備員「……帽子のお嬢ちゃん。ここ通っていいんだってさ。」
 ▼ 79 ミラミ@ふしぎなきのみ 25/02/24 13:03:43 ID:qsLcqquw [1/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援…w
 ▼ 80 ワーク@イナホよせだま 25/02/24 13:04:51 ID:B8/kvyvA [3/72] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
アユミは急に180度変わった意見に耳を疑った。

アユミ「……本当にいいんですか?」

警備員「わからないけどいいって言ってるんだからいいんじゃない?
あっ……ここ警備強化してもらわないとってお願いすりゃよかったな。」

アユミ「ありがとうございます!」

警備員「ああそうだ!クチバシティに入ってすぐの空き家の鍵を開けておくから、そこで待機しているようにってさ。」

アユミ「わかりました。」

アユミは足早にゲートを抜けて、クチバシティを目指す。
 ▼ 81 スイゾロア@おおきなキノコ 25/02/24 13:05:33 ID:B8/kvyvA [4/72] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
6番道路

6番道路をアユミが少し歩いただけでも、感染者を寄せ付けない徹底ぶりが随所に見て取れた。
5番道路に繋がる地下通路は完全遮断されている。
通行人は感染者含めて誰もいない。
これは単に他からのアクセスを遮断したからという理由だけではないことを、アユミはクチバシティ前で知ることになる。

アユミ「…………!!」
 ▼ 82 リーラ@エネコのしっぽ 25/02/24 13:05:56 ID:B8/kvyvA [5/72] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
クチバシティ前で無数の人間が、無念表情を浮かべて横たわっている。
症状としてはタマムシシティでしびれごなを食らった感染者に近いが、あれよりはかなりきつい技を食らっている様子だ。
ゲートでの連絡では迎え入れられている様子だったが、自分も感染者と見做されれば同じ目に遭うのではないかとアユミは恐怖し、なかなか入る事が出来なかった。

しかし、クチバシティの境界に立つ緑色の防護服を着た人の方から怯えるアユミに接触を取ってきた。

???「君がアユミだね?付いてきてくれ。」

アユミは促されるままに防護服の男についていく。
 ▼ 84 ンバル@カイデンのはね 25/02/24 13:06:43 ID:B8/kvyvA [6/72] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
クチバシティ

真夜中ということもあり、アユミが初めて来た時よりは人通りが少ない。
しかしながら感染者が彷徨いている様子はなく、外部から決して人を入れない徹底ぶりが今の所功を奏してる。
……たった今特例で一人入ってきたことを除けば。

そしてその"特例"は勿論奇異と怪訝の目に晒された。
 ▼ 85 バコイル@けいけんアメM 25/02/24 13:07:08 ID:B8/kvyvA [7/72] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
おばさんA「ねえ……今あの子外から入って来なかった?」

おばさんB「全く勘弁しておくれよ……。いくら小さい子だからって一人でも入れちゃ意味がないじゃないか。」

アユミは通行人とはなるべく目を合わせないように、防護服の男だけを観ながら背中についていった。
 ▼ 86 ガイアス@だいだいバッジ 25/02/24 13:09:12 ID:B8/kvyvA [8/72] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
案内されたのは1軒の空き家。空き家といってもアユミの実家程度の広さはある。
机の上にはフランスパン、具だくさんのサラダ、温かいシチュー、ローストビーフといったこの状況を考えると豪勢な夜食が置かれていた。
添えられているのはイーブイ用のナナのみとズリのみだろうか。

緑の防護服の男「風呂も沸かしてある。少しサイズが合わないかもしれないが着替えは脱衣所に。後ほど来客があるからそれには必ず出るように。」

事務的な声の調子で一通り説明した後、防護服の男は立ち去っていった。

アユミ「……どうしてわたしにここまでしてくれるんだろう。」
 ▼ 87 スイジュナイパー@パワーウエイト 25/02/24 13:10:18 ID:B8/kvyvA [9/72] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
アユミが席についてフォークを手に取ってから数分間の時が流れた。
得体の知れない人から与えられたご馳走に対する警戒心と、自分なんかがこれを食べて良いんだろうかという遠慮が入り混じった感情が、喉を通らなくさせていた。

イーブイは既に何も気にせずきのみに手を付けている。

アユミ「……ねえ相棒?それおいしい?」

イーブイ「ブイッ!ブイッ!」

イーブイはいつだって前向きだ。タマムシデパートでもたついた時も、先陣を切って退路を開けてくれた。
 ▼ 89 ンギラス@おだやかミント 25/02/24 13:11:17 ID:B8/kvyvA [10/72] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
アユミ「……いただきます。」

アユミは合掌し、パンを噛みゆっくりと咀嚼する。

アユミ「おいしい……おいしいよぉ……。」

もう二度とまともな食事に有りつけないかもしれない覚悟もあった中で、出てきたご馳走はアユミの人生の中でも格別なものだった。

アユミは用意された料理をあっという間に平らげ、すぐに浴室に向かった。
 ▼ 90 ロリーム@ヨロイこうせき 25/02/24 13:11:57 ID:B8/kvyvA [11/72] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
アユミに取って風呂もまたまともに利用できないことを覚悟していたものの一つだったが、今こうして運よく利用できている。
アユミは自分の髪や体を入念に洗った後、イーブイについた汚れを丁寧にシャワーで洗い流した。

湯船にゆっくりと浸かりながら、アユミはイーブイと向き合って話しかける。

アユミ「ねえ相棒?今更だけど……どこも悪いところない?」

イーブイ「ブイッ!」
 ▼ 92 ッカネズミ@ソルト 25/02/24 13:12:44 ID:B8/kvyvA [12/72] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
シルフカンパニーから出てきた凶暴化したポケモン……。
あれがイーブイの体にも現れるものだったとしたら……。今抱えている数ある恐れの中でも、アユミに取ってそれが一番の懸念材料だった。

アユミ「そっか……。じゃあわたしと同じだね。わたしも何故か元気だから。」

アユミ「相棒……。相棒はずっと相棒でいてくれるよね?」

イーブイ「イー ブイ!」
 ▼ 93 メックス@ちかのかぎ 25/02/24 13:13:48 ID:B8/kvyvA [13/72] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
イーブイは前足をアユミの方に差し出す。
アユミはその前足と自分の手の平を合わせた後、強くイーブイを抱きしめた。

アユミ「何があってもずっと一緒だよ……。」


アユミは風呂から出た後ちょっと大きめなTシャツとショートパンツに着替えて、身支度を済ませ来客を待っていた。

ピンポーンとインターホンの音が鳴る。

アユミ「はーい!」
 ▼ 94 ルシアン@ポテトサラダ 25/02/24 13:15:06 ID:B8/kvyvA [14/72] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
アユミは玄関まで駆け寄ってモニター越しに来客の姿を確認する。
見る分には先程と変わらない緑の防護服の男だったが、声を聞いた瞬間すぐに中身が誰かを理解した。

マチス「ウェルカムトゥークチバシティ!ハーイ ベイビー!」

声の主はクチバジムのジムリーダーマチス。
……なるほど確かに。彼はこの通り底抜けに陽気に見えるが、自分の部屋にも易々とは入れないような仕掛けを施す程用心深い性格だ。
クチバシティ前の苛烈とも言える感染者への対処も彼の意向だったのかもしれない。
 ▼ 95 ンベ@はつでんしょパス 25/02/24 13:16:03 ID:B8/kvyvA [15/72] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
アユミ「どうぞ。入ってください。あっ……わたしが招待された側なのでこの場合はえーっと……。」

マチス「ハハハ!ノープロブレム!明日もアーリーだからショートに済ませるネー!」

……年端もいかない少女と、退役したとはいえ少佐の座まで上り詰めた軍人が机を合わせて向かい合っている。
アユミは状況も相まって尋問を受けているような感覚に陥った。
 ▼ 96 ガネール@きんのたま 25/02/24 13:17:27 ID:B8/kvyvA [16/72] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
アユミ「質問いいですか?あー……あいはぶあくえすちょん。」

マチス「ハハ!ドントウォリー!カントー来て長いから大体言葉わかるネー。」

アユミ「よかった……。まず……どうしてわたしはここに呼ばれたんですか?しかもこんなサービスまで受けて……。」

マチスは少し声色を落としてこう切り出した。

マチス「ファーストオブオール。ユーをここに呼んだのはミーの判断じゃない。」
 ▼ 97 ンタロス@きのみジュース 25/02/24 13:18:49 ID:B8/kvyvA [17/72] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
マチス「オネストリー。出来ることなら、ミーはどんな場合でも外から人を入れたくないネ。」

アユミ「反対の立場ならわたしもそう思います……。」

マチス「ユーを求めているのはサイエンティスト。科学者さ。この環境でサバイブ出来る人がいるってレポートを聞いて、大層エキサイトしていたヨー。」

アユミ「つまり……わたしはこれから科学者に引き渡されるんですか?」
 ▼ 98 ルンゲル@あかしのおまもり 25/02/24 13:19:28 ID:B8/kvyvA [18/72] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
マチス「インショート。そういうことになるネ。◯月B日の早朝に、この家まで迎えに来る予定ネ。
詳しいエクスプレインは受けてないが、そんな一生をラボで過ごすみたいな話ではないヨ。少し検査があるだけネ。」

アユミは思わず複雑な心境から顔を歪めてしまった。
何の理由もなしに衣食住が保証されるはずがないとは思っていたが、最初から研究施設に渡すつもりだったのか……。
しかしアユミに他に取れる手段はそう多く残されていない。それに、何故か影響を受けない体についてアユミ自身興味がないかと言えば嘘になる。
 ▼ 99 ガヘラクロス@ボーマンダナイト 25/02/24 13:20:18 ID:B8/kvyvA [19/72] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
マチス「インショート。そういうことになるネ。◯月B日の早朝に、この家まで迎えに来る予定ネ。
詳しいエクスプレインは受けてないが、そんな一生をラボで過ごすみたいな話ではないヨ。少し検査があるだけネ。」

アユミは思わず複雑な心境から顔を歪めてしまった。
何の理由もなしに衣食住が保証されるはずがないとは思っていたが、最初から研究施設に渡すつもりだったのか……。
しかしアユミに他に取れる手段はそう多く残されていない。それに、何故か影響を受けない体についてアユミ自身興味がないかと言えば嘘になる。
 ▼ 100 ムナイト@ココガラのはね 25/02/24 13:21:36 ID:B8/kvyvA [20/72] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
99は連投ミス

アユミ「わかりました……。」

マチス「リトルガールに背負わせるにはかなりヘビーな話だが、もはやユーはカントーのラストホープだからネ。引き受けてくれて本当に感謝するヨ。」

マチス「連絡事項はこれだけネ。ミーはユーがここまで来たストーリーを聞きたいヨ。」

アユミはタマムシからここに至るまでの経緯を、詳細にマチスに話した
 ▼ 101 ャスパー@スターのみ 25/02/24 13:23:08 ID:B8/kvyvA [21/72] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
マチス「アイシー……。ポケモンにもインフェクションが及ぶようになったわけだネ……。それは初めて聞くインフォメーションだ。」

アユミ「わたしは……そこから逃げてきた臆病者です。」

マチス「ノー。ユーはチキンなんかじゃない。同じシチュエーションに立たされて、ここまで来れるトレーナーが何人いる?
それに行く先々でジムリーダーをヘルプしながら。」
 ▼ 102 ラルダルマッカ@カビゴンZ 25/02/24 13:23:37 ID:B8/kvyvA [22/72] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
マチス「ミーの軍人仲間でも同じことが出来るかどうかわからないネ。それに勝てる見込みがないのにファイトすることは勇気とは言わないヨ。」

マチスが熱っぽくアユミを諭すと、幾分アユミの心が和らいだ。
こうやって軍の中でもモチベーターとして働いていたのだろうか。
 ▼ 103 スイドレディア@ミックスオレ 25/02/24 13:24:40 ID:B8/kvyvA [23/72] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
マチス「だからプロブレムを根本的に解決するため、ユーはユー自身のことを知る必要がある。勝手に話を進めたことに関しては……Please accept my sincere apology.(深くお詫び申し上げます)」

マチスは深々とアユミに頭を下げた。
彼も彼でクチバシティを守る立場として、アユミを外から迎えるといった決断を下すのは並々ならぬことだっただろう。
 ▼ 104 タモン@モモンのみ 25/02/24 13:25:21 ID:B8/kvyvA [24/72] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
アユミ「頭を上げてください。わたしはこの問題が解決するなら……少しでも力になりたいです。」

マチス「サンクスアミリオン!明日の7時までには、サイエンティストが迎えに来るから、準備をよろしくネ。ではミーはこれで。」

アユミ「色々と良くしてくれてありがとうごさいました。」

マチス「またエネルギッシュな姿を見せてくれることを祈ってるヨ!」
 ▼ 105 クロム@メガストーン 25/02/24 13:26:11 ID:B8/kvyvA [25/72] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
マチス「…………ウップス!冷蔵庫の中にサンドウィッチあるから行く前に食べていってネー。」

アユミ「はーい!」

あのいかつい風貌でお母さんみたいなことを言うなと思って思わずアユミから笑みがこぼれる。

アユミ「じゃあ相棒。そろそろ寝よっか。今回はベッドで寝れるよ!研究所?でもベッドで寝れたらいいね。」

イーブイ「ブイッ!」

アユミ「あっそうだ。寝る前にレポート書こうかな……。」
 ▼ 106 ケンカニ@スパイスセット 25/02/24 13:28:04 ID:B8/kvyvA [26/72] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
◯月B日
昨日から突然街中のみんながおかしくなって、わたしの名前を呼びながら、次々と人を噛んで仲間を増やす事件が起きている。
何が何やらさっぱりわからないけど、色んな人たちの手助けを受けて、わたしは今なんとか生きている。これだけは確か。
もしも、この状況を解決する方法が見つかったとしても、わたしは犠牲になった人たちのことを一生忘れることは出来ない。
わたしは明日研究施設に連れて行かれることになった。
ぜいたくが許されるなら、感染を広げない方法だけじゃなくて、感染者を元に戻す方法がそこで見つかって欲しい。
後はとにかくお母さんに会いたい。心配してるだろうな……逆に元気してるかな……。

アユミはレポートに しっかり かきのこした!

アユミ「おやすみ……。相棒。」
 ▼ 107 ンヂムシ@レッドカード 25/02/24 13:56:21 ID:I9jE8jt2 [1/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
面白い
まだ2月だけど今年のSS大賞も狙えると思います!
 ▼ 108 ッサム@きりみフライ 25/02/24 14:04:33 ID:63RcynCY NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
真面目なマチスってSSの歴史で初じゃね
 ▼ 109 リリダマ@ウミディグダのすな 25/02/24 15:44:43 ID:B8/kvyvA [27/72] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
研究者の訪問時間は7時の予定だったが、悪夢を見て飛び起きたとは言えタマムシシティのポケモンセンターで仮眠を取っていたせいか、アユミは6時前には目が覚めていた。

冷蔵庫にあるサンドウィッチを温め直して、歯磨きをしてイーブイの毛づくろいをする余裕まであった。

アユミ「ずっとこうしていられたらいいのにね……。」
 ▼ 110 ルマッカ@アクセサリーいれ 25/02/24 15:45:03 ID:B8/kvyvA [28/72] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
しかし、束の間の日常すらも長くは続かなかった。
……家の外がやけに騒がしい。悲鳴、怒号、号令……様々なものが入り混じった喧騒が閉め切った家の中にも聞こえてくる。

出ない方がいいと薄々思いながらも、アユミは家を飛び出して、騒動の中心へと向かった。
 ▼ 111 ルビル@わんぱくミント 25/02/24 15:45:25 ID:B8/kvyvA [29/72] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ポケモンだいすきクラブ会長「アユミちゃん…w」

マチス「マルマイン!でんじは!」

かなり強めの電流が、感染者と化したポケモンだいすきクラブ会長に浴びせられ、一瞬にして意識を失った。
集まってきた野次馬は口々に大丈夫か……だのクチバは絶対に安全じゃなかったのか……だのとヒソヒソ話をする。
 ▼ 112 ナアーラ@カチャのみ 25/02/24 15:45:55 ID:B8/kvyvA [30/72] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
マチス「ノープロブレム。人がどれだけの電流を浴びても大丈夫かは、誰よりも知ってるつもりネ。」

……経歴を考えると非常に恐ろしい発言だ。

感染者が無力化された後、野次馬の視線を集めたのは当然のことながら、余所者のアユミだった。

「この子はどうしてここにいる?」
「どこから来たんだ?」
「こんな子を入れたからウチでも感染者が出始めたんじゃないの?」
「早く出ていきなさい!疫病神!」

民衆に投げかけられた言葉はそのどれもが悪辣で、かつ否定はしきれない内容だった。
アユミは顔を真っ青にしながら耳を塞ぐ。
 ▼ 113 クデ@ホースラディッシュ 25/02/24 15:46:11 ID:B8/kvyvA [31/72] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
イーブイ「ブイッ!ブブイ!」

イーブイは全身の毛を逆立たせて、野次馬を威嚇した。

マチス「shut the f*** up!」

マチスの一喝で野次馬は一瞬で静まり返った。
 ▼ 114 ブクロン@サイコシード 25/02/24 15:46:30 ID:B8/kvyvA [32/72] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
マチス「彼女を迎え入れる判断をしたのはミーだ。本人をブレームするのは筋じゃない。」

マチス「だが彼女は間違いなくこのナイトメアを終わらせることが出来るキーになる。アットリースト、文句しか言わないユーたちと違ってネ。」

マチス「わかったら感染する前にゲットアウト!」

マチスの気迫に押される者もいれば、未だ納得出来ないといった表情を浮かべる者もいたが、ともあれ辺りから野次馬は消え去った。
 ▼ 115 ジョット@ホイップクリーム 25/02/24 15:46:50 ID:B8/kvyvA [33/72] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
アユミ「あの……ごめんなさい。やっぱりこれってわたしが入ってきたから……。」

マチス「……そうかもしれないし、そうじゃないかも知れない。だがマターオブタイム。時間の問題だったヨ。」

マチス「それに根本的なソリューションを見つけないと限界はあるからネ。ネバーマインド。」

アユミ「…………。」

アユミが何も言葉を発せずにいると、研究施設からの迎えと思われる者が来た。
 ▼ 116 イタラン@ブロムヘキシン 25/02/24 15:47:12 ID:B8/kvyvA [34/72] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
灰色の防護服の男「そこにいたか。家の中にいなかったから些か焦った。
彼女が例の子で間違いないね?」

マチス「オーイエー。間違いないよ。」

灰色の防護服の男「……ディグダの穴を通った先にある、オーキド博士の助手がいた民家はわかるかい?一先ずそこで君の身体の検査を行う。
オーキド博士の研究所は……今は使えないんだ。マサラに感染者が出てしまってね。」

アユミ「(マサラに……感染者が……?)」
 ▼ 117 ベルタル@パイルのみ 25/02/24 16:18:29 ID:B8/kvyvA [35/72] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
追い打ちをかけるように、限りなく最悪に近い知らせが入ってきて打ちひしがれるアユミ。

灰色の防護服の男「では付いてきてくれ。」

マチス「リトルガール。人から何を言われても気にするなヨ!グッドラック!」

マチスに親指を立てるグッドサインを贈られたが、今のアユミにはとても返す余裕がなかった。
 ▼ 118 トベター@キリンリキのけ 25/02/24 16:19:05 ID:B8/kvyvA [36/72] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
アユミ「(本当に悲しい時って……泣くことも出来ないんだ……。)」

灰色の防護服の男に連れられてディグダの穴を歩いてる途中、アユミは様々な負の感情に見舞われた。

まず今日まで感染者が見つからなかったクチバシティで、感染者が発見された。
マチスは言葉を濁したが、原因は恐らくアユミ。少なくともアユミを迎えるためにクチバシティへの道を、開けてしまったことが起因しているだろう。
 ▼ 119 ルボウ@コロボーシのぬけがら 25/02/24 16:19:24 ID:B8/kvyvA [37/72] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
そして発生源のタマムシシティの様子を見てきたアユミにはわかる。一度発生してからの感染スピードは尋常ならざるものということを。
つまり……現実的な観点からすればクチバシティもまたもう長くはない。

そんな中で……マサラタウンに感染者が出たという一報が入った。
避難できていなければその中には勿論アユミの母がいる……。
 ▼ 120 ーランド@ほかくポケット 25/02/24 16:19:44 ID:B8/kvyvA [38/72] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
クチバシティを出る時にかけられた民衆の言葉が反響する。

「早く出ていきなさい!疫病神!」

アユミ「(疫病神か……そうかも。だってわたしの行く所から順に全部壊れていってるから……。)」
 ▼ 121 スネ@カットパイン 25/02/24 16:20:24 ID:B8/kvyvA [39/72] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
アユミ「……質問があります。」

灰色の防護服の男「何かね?」

アユミ「この病はなんですか?呼ばれているわたしのせいなんですか?今からでもみんなを治せないんですか?もう……わたしだけ助かるのはいや……。」

堰を切ったように質問攻めをするアユミ。
 ▼ 122 ザンドラ@みずのジュエル 25/02/24 16:20:46 ID:B8/kvyvA [40/72] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
灰色の防護服の男「……その原因に少しでも迫るための身体検査だ。今他でもタマムシの実地に感染源の調査に向かっている者もいれば、ヤマブキに残された者の救助にあたっている者もいる。」

灰色の防護服の男「一人一人が現状を少しでも良くしようと動いているんだ。この問題を解決したいのは君だけじゃない。」
 ▼ 123 ーケオス@コインケース 25/02/24 16:21:13 ID:B8/kvyvA [41/72] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
求めていた答えが返ってこないことは知っていた。アユミは今はただ優しい言葉を投げかけてほしかった。

小さな身体にのしかかった重い使命でアユミの心は既に壊れかけていた。
 ▼ 124 ンペルト@タンガのみ 25/02/24 18:08:43 ID:B8/kvyvA [42/72] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
2番道路の民家

灰色の防護服の男「この民家だね。何分かなり急ごしらえで設備を置いてるための狭いが……。一通りの必要な検査は受けられる。」

???「おや……?君はアユミさん?」

アユミ「……どなたですか?」

同じように灰色の防護服を着ているから、見た目から識別が出来ない。

オーキド博士の助手「ほらぼくだよ!オーキド博士の助手の!ヒジュツ・カガヤキを教えた!」
 ▼ 125 ルフーン@カムカメのツメ 25/02/24 18:09:08 ID:B8/kvyvA [43/72] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
アユミにとってうっすらと記憶にあるような、ないような人物だったが、全く面識のない人に診てもらうよりは幾分いいと判断して、アユミは挨拶をした。

アユミ「……その時はどうもありがとうございました。」

オーキド博士の助手「いやいや。無事で何よりだよ。ここまで生身で歩いて来られたのは奇跡的といってもいい。」
 ▼ 126 クレー@ペアチケット 25/02/24 18:09:30 ID:B8/kvyvA [44/72] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
アユミ「…………!」

無事で何よりという今アユミを一番刺激しかねない言葉で爆発しそうになったが、アユミは何とか堪えた。

オーキド博士の助手「さて、検査の内容だけど……。問診・血液・尿・心電図といった基本的なものになるかな。この辺り診てもらったことはある?」

アユミ「心電図はないです……。」

オーキド博士の助手「おじさんになったら嫌と言うほど受けなきゃならないからね。じゃあ準備するから向こうのベッドで座って待っておいてくれるかな?」

アユミ「わかりました……。」
 ▼ 127 テボース@ふるびたかいず 25/02/24 18:10:10 ID:B8/kvyvA [45/72] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
アユミ「……ねえ相棒。さっきはありがとう。」

イーブイ「ブイ?」

アユミ「クチバシティにいた時、わたしのことで怒ってくれたよね?とっても頼もしかったよ。」

イーブイ「ブイッ!」

「頼もしい」という言葉に反応したのか、イーブイの表情はどこか誇らしげなものだった。

アユミ「わたしもずっとそばに付いてるから、相棒もずっと味方でいてね?約束だよ?」

イーブイ「ブイイー!ブイブイ!」

アユミ「(ちょっと重かったかな……。)」
 ▼ 128 マクロー@ルナアーラZ 25/02/24 18:10:29 ID:B8/kvyvA [46/72] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
マサラを出てチャンピオンになるまでの旅の時よりも、今の方が相棒イーブイへの依存度が遥かに強まっているのことをアユミは自覚している。
信頼は確かに互いを強くするが、依存は少しでも互いが離れた時に脆くなってしまう。

オーキド博士の助手「準備が出来ましたよー!」

アユミ「じゃあ行ってくるね。相棒。」

イーブイ「ブイッ!」
 ▼ 129 ュワワー@プロテクター 25/02/24 18:11:07 ID:B8/kvyvA [47/72] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
検査は驚くほど普通の内容だった。
どこか悪いところはないかと聞かれても、ないとしか答えようがないし、後は本当に血液や尿を採取して、レントゲンを撮る程度だけで工程が終わった。
こんなことで未知の病に対抗が出来るんだろうかと、アユミは本当にこれだけで良いのかと何度も確認したが、取る情報はこれだけで良いが、ここから暫く時間がかかるの一点張りだった。

煮え切らない思いで、アユミは元々待機していたベッドの上に横たわり、ただ時間が経つのを待つ。
 ▼ 130 ーマーガア@フサパック 25/02/24 18:11:32 ID:B8/kvyvA [48/72] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
アユミ「……ねえ相棒。わたしたちってどれぐらいここで待たされるのかな。」

アユミ「……わからないよね。きっと今調べてもらってる人含めて誰にもわからない。」

アユミ「……相棒?」

そこで初めてイーブイがベッドの近くにいないことに気づいた。

アユミ「相棒?どこに行ったの?」

ベッドから飛び起き、周囲を探すもどこにも見当たらない。
 ▼ 131 ザンドラ@やきチョリソー 25/02/24 18:12:00 ID:B8/kvyvA [49/72] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
アユミは隣の部屋のオーキド博士の助手を訪ねた。

アユミ「すみません!イーブイみませんで……。」

アユミは言葉を失った。
イーブイに電極が付けられて、データが取られていたのだ。

オーキド博士の助手「ああごめんね。ポケモンもウィルス被害に遭ったって聞くからね。念の為調べて置こうと思ったんだ。ただ今の所特に問題は……。」
 ▼ 132 メルゴン@ヤレユータンのけ 25/02/24 18:12:30 ID:B8/kvyvA [50/72] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
アユミ「早く外してください!!」

鬼気迫る表情でアユミは助手に迫った。

確かに今や状況的にポケモンの感染被害がないかを確かめるのは重要なことだ。
それは頭では理解できる。しかし、一言も声をかけず勝手にイーブイを機器に繋いだのが、今のアユミの不安定な精神状態ではどうしても許せなかったのだ。

オーキド博士の助手「そんなに怒らなくても……。」

助手は言われるがままに電極を外すと、アユミはすぐさまイーブイを抱き抱えて遠くに離れる。
 ▼ 133 コロモリ@はつでんしょパス 25/02/24 18:13:11 ID:B8/kvyvA [51/72] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
アユミ「相棒……大丈夫だった?怖くなかった?不安だったよね……」

イーブイ「ブイ……」

イーブイはそうは思っていない様子だったが、完全に倒錯したアユミを前に答えに困っている様子だった。

アユミ「……わたしこの人のこと信用できない。もっと別の研究所を探そう。そうだ。お母さんにも会いに行こう。まだ助けることが出来るかも。」

オーキド博士の助手「何を言っているんだ!マサラタウンはもう感染被害に……。」
 ▼ 134 ノアラシ@メンバーズカード 25/02/24 18:13:38 ID:B8/kvyvA [52/72] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
アユミ「うるさい!!!!」

アユミ「もう関わってこないで……。」

アユミはそのまま荷物を纏めて、民家を走り去った。

オーキド博士の助手含む一同も、未来の命運を握る重要人物に手を出すことは出来ず、その場で手を拱いているばかりだったが、アユミが民家を出るのを見てようやく追いかけ出した。
 ▼ 135 タージャ@GBプレイヤー 25/02/24 18:20:31 ID:qsLcqquw [2/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アユミちゃん…
 ▼ 136 ルード@ミュウツナイトY 25/02/24 18:58:01 ID:jy2UEKVA NGネーム登録 NGID登録 報告
アユミちゃん…wって襲われるパニックホラー的な話かと思ったら、アユミちゃん…ってなる話だった
 ▼ 137 トベトン@なんでもなおし 25/02/24 19:37:42 ID:B8/kvyvA [53/72] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
アユミ「ヒジュツ・ケサギリ!」

2番道路を塞ぐ木を切り倒した後、アユミは手持ちのウインディも出さずに無我夢中で走った。

走っている途中でイーブイから静止するような声をかけられたが、今のアユミにはその相棒の声さえも届いていなかった。

トキワシティを駆け抜け、1番道路を越えてマサラタウンへ。
周囲にどれほどの感染者がいたか、後ろから研究施設の面々はまだ追いかけて来ているのか。アユミの視界には全く入らなかった。
 ▼ 138 ロア@みどりのプレート 25/02/24 19:38:08 ID:B8/kvyvA [54/72] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
マサラタウン

マサラタウンは人口も建物も少ない片田舎かつ、感染源のタマムシから離れた所に位置する町なので、感染するリスクは比較的低かったはずだった。
しかし謎の病原体の魔の手は、既にここまでも侵食していた。

科学デブ「アユミちゃん…w」

そして裏を返せば、一度感染者が出てしまえばジムリーダーのような指揮する立場がいないので、自浄作用がない。
そうなればオーキド博士の研究所を頼りたい所だが、灰色の防護服の男の話によれば、既に使用不可能な状態ということから状況を察するに余りある。
 ▼ 139 ャロップ@メガアンクレット 25/02/24 19:39:33 ID:B8/kvyvA [55/72] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
アユミ「お母さん!お母さん!」

少ないながらも外を歩く通行人は全て感染済みだった。見知った近所の人たち全員が自分の名前を呼びながら、ゆっくりと近づいてくるのはそれはそれで気分が良いものではなかった。

アユミ「外にはいない……。家の中かな……?」

アユミは自宅の扉に鍵がかかっているかどうか確認した。……鍵は掛かっていない。
 ▼ 140 ルズキン@ポケモンのおとしもの 25/02/24 19:39:59 ID:B8/kvyvA [56/72] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
タマムシシティで生物災害に巻き込まれた時は、半ば諦めかけていた自分の家が……母が……すぐ目の前まで来ている。

イーブイ「ブイー!!」

頭の上に乗っているイーブイは必死にアユミの髪を引っ張るも、全く意に介さない。

アユミはゆっくりと自宅の扉を開けた。
 ▼ 141 ーマルド@リピートボール 25/02/24 19:40:38 ID:B8/kvyvA [57/72] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
アユミ「…………ただいま。お母さん。」

アユミの母は流し台の前で佇んでいる。
……薄笑いを浮かべながら。

全てを察したアユミには、不思議とショックはなかった。マサラタウンに感染者が発生したと聞いた時から、どこかこうなるのではないかという覚悟していた様子があった。
或いは……既に諦観してたのか。

アユミ「……うん。わかってた。それでも会いたくなったんだ。」
 ▼ 142 ヌギダマ@とくせいガード 25/02/24 19:41:14 ID:B8/kvyvA [58/72] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
アユミ「相棒。ちょっとの間だけ大人しくしておいて。」

アユミはイーブイをモンスターボールの中に戻す。イーブイのことは殆どボールに入れず連れ歩いている中で、こんなことをするのは彼女にとってとても珍しい行動だった。

アユミ「……家を飛び出して行ってごめんなさい。帰ってきたよ。」

アユミの母「アユミちゃん…w」
 ▼ 143 キメノコ@ダイキノコ 25/02/24 19:41:56 ID:B8/kvyvA [59/72] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
アユミは自ら母に抱きついた。


アユミの母は……アユミの首元に深く噛み付いた。
 ▼ 144 ツノコウベ@バイオレットブック 25/02/24 20:03:22 ID:XIXEOnZo NGネーム登録 NGID登録 報告
幼い子供にはとても耐えられるものでもなく壊れてしまったか…😭
 ▼ 145 ーシィ@てんかいのふえ 25/02/24 21:44:22 ID:I9jE8jt2 [2/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
辛すぎる…
 ▼ 146 ママ@だいはっきんだま 25/02/24 23:00:26 ID:B8/kvyvA [60/72] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
鋭い痛みがアユミに走る。しかしすぐにその痛みも感じなくなって意識が……。

アユミ「……あれ?」

……しばらく経った後も、アユミの意識ははっきりとしたままだった。そればかりか、より驚くべき事が起こった。

アユミの母「…………アユミ?アユミなの?」

間違いなく感染していたはずのアユミの母が、アユミを噛んだ後に意識を取り戻した!
 ▼ 147 スイマルマイン@たまねぎスライス 25/02/24 23:00:54 ID:qsLcqquw [3/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
おお!
 ▼ 148 ワガノン@ふるびたかいず 25/02/24 23:00:55 ID:B8/kvyvA [61/72] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
アユミ「お母さん……!わたしのことがわかるの?わたし……お母さんの子供のアユミだよ!」

アユミの母「ああ……私はなんて恐ろしいことを……。おかえり……アユミ。」

今度こそ、親子は絶望的な状況下での再会を祝し、二度と離さない勢いで抱き合った。
 ▼ 149 スイゾロア@きんのいれば 25/02/24 23:01:32 ID:B8/kvyvA [62/72] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
アユミの母「ところでアユミ。聞きにくいことかもしれないけど……イーブイはどうしたの?」

アユミ「ううん。ちゃんと連れてるよ。あっ……ボールに閉まってたんだった。」

アユミ「出ておいで!イーブイ!」

イーブイはボールから出てくるなり、アユミの足元を何度も小突いてきた。

イーブイ「ブイッ!ブイッ!」

アユミ「いたたっ!ごめんね相棒……。わたしどうかしてた……。」
 ▼ 150 ルネロス@ビリジオンのおやつ 25/02/24 23:02:03 ID:B8/kvyvA [63/72] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
長い旅の付き合いで、アユミが相棒のイーブイにここまで悪感情をぶつけられたのは初めてのことだった。
大好きな母の再起ですっかり頭の冷えたアユミは、怒られるだけのことをした反省するだけの余裕を取り戻していた。

アユミの母「あら?喧嘩中だった?」

アユミ「喧嘩はしてないんだけど……わたしが悪い子だったから……。」

アユミは母にこれまであった全てのことを話した。
 ▼ 151 ルロック@たいりょくのもち 25/02/24 23:02:37 ID:B8/kvyvA [64/72] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
アユミの母「そう……ここまで本当に辛い思いをしたのね。」

アユミ「うん……。」

アユミの母「でもイーブイを診てもらって、怒って出ていったのはアユミが悪いわよ。それに運よく助かったからよかったものの、こんな所に戻ってくるなんて……。」

アユミ「ごめんなさい……。どうしてもお母さんに会いたくなって……。」
 ▼ 152 リンリキ@ビリリダマのでんき 25/02/24 23:02:53 ID:kXSokwTo NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
つまり、アユミの存在がワクチンだったわけか
 ▼ 153 ブライカ@カセキのリュウ 25/02/24 23:03:07 ID:B8/kvyvA [65/72] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
アユミの母「その気持ちは嬉しいけど……もうアユミの体は貴方一人のものだけじゃないの。」

アユミの母「話を聞いている限りアユミは命を託されたんでしょう?ここまで寄ってきた街の人たちに。だったら精一杯やってダメでしたならともかく、こんな勿体ないヤケを起こした命の使い方は絶対ダメよ。」

アユミはエリカ、ナツメ、マチスの顔を思い浮かべる。ジムリーダーはそれぞれのやり方で、自分の街を守るため身を砕いて働いた。
その託された命を一時の感情で捨てようとしたことに対して、アユミは自分のことが改めてたまらなく情けなく思えた。
 ▼ 154 ガガブリアス@おおきなマラサダ 25/02/24 23:04:01 ID:B8/kvyvA [66/72] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
アユミ「わたし……帰って謝ってくる。でも出来ればせっかく助かったんだから、お母さんのことも保護してほしいんだけど……。」

そうこう考えている間にピンポーンとインターホンが鳴った。感染者ならこんな文化的な入り方はしないだろうが、念の為ドアの隙間から外を確認した。

見知った灰色の防護服を着た男だ。
どういうわけだか、一回り小さい黒い防護服を持ってきている。
 ▼ 155 タドガス@きんのパイルのみ 25/02/24 23:04:50 ID:B8/kvyvA [67/72] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
灰色の防護服の男「来るなら間違いなくここだとは思っていた。この中に感染者は?」

アユミ「……いたけど今は大丈夫です。入ってください。」



灰色の防護服の男「今は大丈夫……という言い方が引っかかるが……。」

アユミの母「アユミ?この人は?」

アユミ「わたしを検診する場所まで連れてきてくれた人だよ。」

灰色の防護服の男「……君の母は無事だったのか?」
 ▼ 156 ジアイス@なんごくかいがら 25/02/24 23:05:51 ID:B8/kvyvA [68/72] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
アユミ「いえ。感染していたのですが、わたしを噛んでから意識を取り戻しました。」

平坦な調子で話す印象のあった灰色の防護服の男は、その夢物語のような話を聞いて明らかに動揺していた。

灰色の防護服の男「……信じられん。君がいくら全く病原体の影響を受けない体質といっても、感染者の治癒まで行えるとは……。」
 ▼ 157 ブラン@バンジのみ 25/02/24 23:06:15 ID:B8/kvyvA [69/72] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
アユミ「わたし今起こったこともあって少し自信が出ました。相変わらず原理は分かりませんが、わたしは確かにこの騒動を終わらせるきっかけになれるかもしれません。」

アユミ「さっきは身勝手なことをしてしまってごめんなさい。もう一度わたしに手伝わせてください。」

灰色の防護服の男「……言うまでもなくちょうどその件でここまで来たんだが、これから向かう場所はあの狭い民家ではない。」
 ▼ 158 ーブシン@ユキワラシのけ 25/02/24 23:07:17 ID:B8/kvyvA [70/72] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
灰色の防護服の男「これから向かうのは、今の所感染の影響のない離島のグレンタウンのポケモン研究所だ。今はそこにオーキド博士を始めとする研究者が集まっている。」

アユミは意外な街の名前が出て目を丸くした。グレンタウン……確かに感染の影響が出ていない研究所で言えばそこがあったか……。


灰色の防護服の男「とはいえまた現地民に白い目で見られるのも酷な話だろう。これは君が着る用の防護服だ。感染リスクを減らせるし、はたから見れば中身が誰かもわからない。」

アユミ「ありがとうございます!あの……もう一つだけお願いしていいですか。」

灰色の防護服の男「何か?」
 ▼ 159 グラージ@たいようのふえ 25/02/24 23:09:02 ID:B8/kvyvA [71/72] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
アユミ「せっかく助かったので、わたしのお母さんを保護していただけますか?」

灰色の防護服の男「……なるほど。つまり私は新たに防護服を用意し、感染者を振り切ってもう1往復する必要があると。」

アユミ「……難しいですか?」

灰色の防護服の男「カントーを救う可能性のある君の頼みでなければ突っぱねていた所だ。君の母は責任を持ってこちらで預かろう。」

アユミ「ありがとうございます!お母さん!よかったね!」

アユミの母「ありがとうございます!うちの娘が迷惑をかけたそうで……本当に何とお礼を言ってよいか……。」
 ▼ 160 メレオン@ライブスーツ 25/02/24 23:09:25 ID:B8/kvyvA [72/72] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
灰色の防護服の男「元々協力してもらっているのはこちら側だ。彼女の存在を前提として、今カントー再起の計画は成り立っているといっても過言ではない。」

灰色の防護服の男「グレンタウン……
。行き先はわかるね?マサラタウンの南の21番水道を渡った先にある。私は君の母を責任持って送り届けるから、すぐに向かってくれ。」

アユミ「わかりました。行ってきます。」

自らの体に驚くべき感染者の治癒能力が備わっていたこと。これからの指針が定まり、タマムシの騒動後初めて根拠のある自信がアユミに備わった。
 ▼ 161 プ・レヒレ@まひなおしのみ 25/02/24 23:46:16 ID:I9jE8jt2 [3/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
希望が見えたな
直接噛んでもらうのは途方もない時間がかかるから、血液採取して特効薬作る感じか…?
 ▼ 162 グレイブ@ピンプクのおとしもの 25/02/25 11:11:31 ID:7Wsgc.EM NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
可愛いタイトルで中身は絶望的な内容って感じのアニメが流行ってた時期あるよね
それに通ずるものを感じる
 ▼ 163 マルルガ@チリソース 25/02/25 19:46:47 ID:bBwwSNS2 [1/41] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アユミの母「母として危険な所に行くのを止めるべきか……思うことはあるけれど、とにかく無事を祈っているわ。」

アユミ「大丈夫!みんなが元通り暮らせる環境を作る……のは研究者さん次第なのかな?わたしも出来る限りの努力をするね。」

アユミの母「アユミ……いってらっしゃい。」 

アユミ「……行ってきます。いつかただいまって言いに帰ってくるね。」


アユミは家を後にした。次に帰って来る時は、半端に投げ出した後ではなく、全ての騒動が終わってからと心に固く誓って。
 ▼ 164 ラブルタケ@アシレーヌZ 25/02/25 19:47:22 ID:bBwwSNS2 [2/41] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
21番水道

アユミ「ヒジュツ・ミズバシリ!」

アユミは相棒イーブイといっしょにサーフィンの要領で、すいすいと21番水道を南下している。
……流石に遊泳しているトレーナーはいない。いつも誰かしらのはしゃぐ声がしていた中で、ポケモンの鳴き声が聞こえる程静かな水上の旅はアユミにとって初めての感覚だった。
これはこれで乙なものだが、アユミの使命はカントーを元通りの環境に戻すことだ。

誰かに邪魔されることもなく、順調にグレンタウンの入口が見えてきた。

アユミはいつもの癖でそのまま入りそうになったが、ここはせっかく貰った防護服を付けてから入った方が望ましいだろう。
 ▼ 165 ットレイ@ヨロギのみ 25/02/25 19:48:07 ID:oMMk.arg NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
フラグ…
 ▼ 166 レベース@こだいのきんか 25/02/25 19:48:15 ID:bBwwSNS2 [3/41] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
グレンタウン

発生源から遠いおかげか、街中はアユミが初めてここに来た時と完全に同じ形を保っていた。
あまり表に出せない内容からか、アユミは一瞬ポケモンやしきの方で研究を進めてるのではないかと考えたが、一先ず素直にポケモン研究所に足を運んだ。
 ▼ 167 オー@たまむしプレート 25/02/25 19:48:37 ID:bBwwSNS2 [4/41] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ポケモン研究所(グレン・ラボラトリー)

アユミは研究所に入り受付付近をうろうろする。 
……灰色の防護服の男からは研究所に向かえとしか指示を受けていなかったということにアユミは気がついた。まあ……そのうち声をかけられるか。

それに周りは特に防護服を来ている様子はなく、全員白衣を着用している。各地から集まっているというだけあって、前に化石を復元して貰いに来た時よりも人が多く感じた。
白衣の集団はチラチラと黒い防護服を着用したアユミに視線を送る。
……入るまでは着てきた方がよかったが、皆が事情を知っている施設内では着ている方が浮くのでは?と思い始めた矢先、受付の人に声をかけられた。
 ▼ 168 ブリム@パワーリスト 25/02/25 19:48:59 ID:bBwwSNS2 [5/41] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
受付「えーっと……もしかしてアユミさんですか?」

アユミ「……はい。どこに入ればいいかわからなくて。」

受付「一番奥の実験室にどうぞ。」

アユミ「……ありがとうございます。」
 ▼ 169 ダイナキバ@いいつりざお 25/02/25 19:49:31 ID:bBwwSNS2 [6/41] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
実験室

???「アイヤー!あなた遅かったねー!連絡あってからもうそろそろ着く頃かと思ったアル。」

アユミ「ごめんなさい……どこに入ればいいかわからなくて……。間違った所に入って邪魔するのも悪いので。」

この変な喋り方をする博士が、見かけによらずアユミの持ってきた化石を瞬時に復元した自称えらーい博士だ。
……尤もアユミはこの博士のことを変な博士と認識している。

変な博士「それにしても遅いねー!私待ってる間にもうウィルスについて大体のことがわかったアルねー。」

アユミ「…………え?」
 ▼ 170 ルマユ@たべのこし 25/02/25 19:49:52 ID:bBwwSNS2 [7/41] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
当然アユミは耳を疑った。殆ど情報なんて出ていなかったはずだ。原因がなんのウィルスかどうかすら定かじゃない。
これから改めてちゃんとした施設で体を調べて、ようやく解決方法を編み出していくぐらいに思っていた。

変な博士「だから!大体わかってるのよ!後はあなたとイーブイの協力必要!準備するよろし!」

???「こら!お前はどうしてこうも説明を省くんじゃ!せっかちすぎて全く話が理解できとらんじゃろ!」
 ▼ 171 ラルジグザグマ@ふしぎなタマゴ 25/02/25 19:50:19 ID:bBwwSNS2 [8/41] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
間違いなく聞き覚えのある声の主。ポケモンのオーソリティことオーキド博士その人だった。

オーキド「それに自分だけの手柄にしおって!殆どがタマムシのアジト跡に潜入して資料を取ってきた彼のおかげじゃ!」

変な博士「そのデータを解析したのは私の仕事アルね。だから私の手柄よ。」

オーキド「……もうそれでええわい。久しぶりじゃな。アユミ君。随分と物々しい服を着とるのう。」
 ▼ 172 ーブイ@バグメモリ 25/02/25 19:50:58 ID:bBwwSNS2 [9/41] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
アユミ「お久しぶりです!……やっぱりおかしいですか?」

オーキド「いいや。そのままがええじゃろう。それはそうと……今こいつが言ったことは本当じゃ。今カントーで猛威を振るっとる生物災害の全貌は大体掴んどる。」

アユミ「……本当ですか?」

オーキド「信じられんかもしれんが本当じゃ。まず何から話すべきかのう……。実はこんなことを仕出かすことが出来る筋金入りの大馬鹿者のことは大体見当がついていたんじゃ。」
 ▼ 173 リンリキ@あくのジュエル 25/02/25 19:51:41 ID:bBwwSNS2 [10/41] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
アユミ「……それは誰なんですか?」

オーキド「アユミ君に言ってもわからんじゃろうが……。昔はわしの研究所で助手をやっていた研究員じゃ。ヘタをしたらワシより優秀なやつじゃった。」

オーキド「ただ……あまりにも優生思想と野心が強かった。わしらと馬が合わないあいつは、喧嘩別れに近い形でわしの元を去っていった。」

オーキド「風の噂によれば、あいつはその後能力さえあれば誰でも取り立てるロケット団内で研究員をやっていたらしい。その中でも迎合できず、サカキだけを信奉してたようじゃ。まあこれは後の話で本当にそうだったと証明されるわけじゃが。」
 ▼ 174 ランテス@うつしかがみ 25/02/25 19:52:19 ID:bBwwSNS2 [11/41] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
アユミ「それが……今回の生物災害の主犯なんですか?」

オーキド「何故それがわかったかというとのう。さっきちょっと話したが、無謀にも防護服と己のポケモンのみで、ロケット団アジト跡に潜入する大仕事をやってのけたこれまた大馬鹿者がいたんじゃ。名前はなんといったかな……?」

??「あッ!オーキド博士そりゃないぜ。オレ命がけで頑張ったっていうのに……。」
 ▼ 175 ストダス@くろいヘドロ 25/02/25 19:53:17 ID:/ofA1jpM [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援ちゃん…w
 ▼ 176 チミル@メグロコのツメ 25/02/25 19:53:22 ID:bBwwSNS2 [12/41] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
アユミ「シン君!無事でよかった……。」

シン「オレもアユミが無事ですげえ嬉しいよ。発生源のタマムシにいたんだろ?」

シン「オレもアユミが頑張ってる間に、自分なりにやることやってたってわけよ。……流石に帰りに感染者に入口塞がれた時はもうダメかと思ったけどな。」

オーキド「ほっほ!冗談じゃ。まあこういったシン君の働きによって、ウィルスに関する資料を手に入れる事ができたというわけじゃ。」
 ▼ 177 イコグマ@とくせんリンゴ 25/02/25 19:54:11 ID:bBwwSNS2 [13/41] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
オーキド「資料によればこのウィルスの仮称はロケットウィルスというらしいが……アユミ君。どうしてキミにだけ都合よくウィルスの効果は効かないんだと思うかね?」

ウィルスがアユミに効かない理由。タマムシでの生物災害が起きてからずっとアユミが知りたかった事柄だった。

アユミ「……たまたまわたしがウィルスに抗体を持っていたとか?わたしさっき感染したお母さんに噛まれたんですけど、お母さんが元に戻ったので。」

オーキド「ほう……それはまた後で話を聞くとして……。」
 ▼ 178 グロコ@みずのかけじく 25/02/25 19:55:02 ID:bBwwSNS2 [14/41] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
オーキド「アユミ君の導き出した結論は合っている。キミはこのロケットウィルスに対する完全な抗体を持っている。」

オーキド「ただ順序が違う。アユミ君はその抗体を予め都合よく持っていたのではない。ウィルス側がキミに合わせて作られたものなんじゃ。」

アユミ「どういう……ことですか?」

状況が全く飲み込めないといった表情をするアユミ。
ここまでこれだけの被害が出てアユミだけが無事だったのも、奇跡ではなく全て予定調和だったというのか。
 ▼ 179 ココ@ザロクのみ 25/02/25 19:55:28 ID:bBwwSNS2 [15/41] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
オーキド「……これは旧ロケット団アジトで見つけた走り書きのメモじゃ。あまり気分の良いものではないから、見たくなければ見なくてもよい。」

アユミ「……読ませてください。」

アユミは警告されて少し狼狽えたが、真実を知りたい気持ちが上回った。
 ▼ 180 スネ@てつのかけら 25/02/25 19:56:27 ID:bBwwSNS2 [16/41] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「小娘が。サカキ様の崇高な理念も知らずにロケット団を壊滅に追い込みやがって。
断じて許すことは出来ない。復讐してやる。奴が一番幸せを感じている時に地獄の底に叩き落としてやる。
それも楽に命を奪ったりはしない。自ら死にたいと思わせるまで外から追い詰めてやる。
そのためだけに御誂向けのウィルスを私は編み出した。……願わくば奴が絶望しながら助けを求める姿が見たかった。」

アユミ「その状況が今の……酷い……。」

……もしこれがアユミを精神的に追い詰めるためだけの仕業なら、ロケットウィルスの成果は大成功と言わざるを得ない。
アユミは一度は自棄になって命を絶ちかける程に摩耗したのだから。
 ▼ 181 メール@プロテクター 25/02/25 19:56:56 ID:bBwwSNS2 [17/41] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
シン「このメモを見つけた所の近くで、研究員は亡くなってた……。その人かどうかは特定する余裕はなかったけど多分もう……。」

オーキド「……この一連の騒動は純度100%、一人の狂った研究員による逆恨みによるものじゃ。そして残した傷跡は一人の死では償い切れない程に深い。」

オーキドの語調はかつて聞いたことのないぐらい怒りを帯びていた。

アユミには理不尽からの怒り、最期まで憎悪に狂った男への哀れみ、こんな一人の復讐のためにカントーの全てが脅かされていることへの悲しみと言った様々な感情が渦巻いた。

たった一人の私怨だけで、何故これ程のことが出来るのか?狂っている。
 ▼ 182 ワガノン@のびたバネ 25/02/25 20:03:52 ID:bBwwSNS2 [18/41] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
実験室はまるで誰も中にいないかのように静まり返った。
沈黙を破ったのはやはりというべきか空気の読めなさそうな変な博士だった。

変な博士「私が解析したロケットウィルスのメカニズムはこうね。感染した者は、強烈な飢餓感に見舞われるアル。でも調理された食事等には興味を示さず、非感染者を肉体を付け狙う。みんなも知っての通りの光景アルね。」
 ▼ 183 ガガブリアス@あかいウロコ 25/02/25 20:04:23 ID:/ofA1jpM [2/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ひえっ…
 ▼ 184 ガフーディン@ウオーターメモリ 25/02/25 20:04:43 ID:bBwwSNS2 [19/41] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
変な博士「この時『アユミちゃんを食え』という、脳から異常な電気信号が送られるアル。それで出てくるのがあの『アユミちゃん…w』っていう譫言ね。はた迷惑な話よー。知らない人からしたら、感染源とあなたが関係アルと思われるね。それすら狙いだったかもしれないけどねー。」

変な博士「更に性格の悪い話がねー。さっき話にも出たけど、あなたのこと食うと本当に助かるように出来てるアルね。あなた2番道路で検査受けたでしょ?途中で逃げたらしいけど。あなたもせっかちねー。」

アユミ「うっ……その節はごめんなさい。」
 ▼ 185 ガヤドラン@クヌギダマのから 25/02/25 20:05:38 ID:bBwwSNS2 [20/41] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
変な博士「あの結果とロケットウィルスを照合したけど、話の通りあなたの体内はこのウィルスの抗体を含んでいるよ。この世で一番あなたを憎んでる男が、あなたの体を元に、あなただけが助かるように仕向けた。歪んでるねー。まあもっとも感染者も運よく抗体を引き当てた所で、他の感染者にまた噛み付かれるのが大抵のオチだろうけどねー。」
 ▼ 186 サイハナ@べにいろのたま 25/02/25 21:17:46 ID:bBwwSNS2 [21/41] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
変な博士「ここまで話理解できたか?私に言わせてみればこれはロケットウィルスなんて大層な名前いらないアルよ。アユミちゃん嫌がらせウィルスね。」

アユミ「犯人の目的はわかりました……。許せない……といってももう亡くなってるんですよね。」

変な博士「物わかりよろし。それではこれからの話に入るアル。」
 ▼ 187 ギングル@おくびょうミント 25/02/25 21:18:19 ID:bBwwSNS2 [22/41] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
変な博士「感染者は基本的に飲まず食わずの状態で彷徨ってるアル。人を噛むと言っても摂食してるわけではないからねー。だから栄養が摂れていない。」

変な博士「そんな中で体細胞の分裂と壊死が進行していくアル。ただあなたの血液からワクチンを作って投与すれば、ウィルスはたちまち死滅。以降の感染も防ぐことが出来るはずねー。」

アユミ「では早くワクチンをわたしにください。わたしなら実地に向かえ……。」
 ▼ 188 ローラサンド@かわらずのいし 25/02/25 21:18:53 ID:bBwwSNS2 [23/41] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
オーキド「……ここからが肝心な話じゃ。……感染者は感染してからどれぐらい持つんじゃ?」

変な博士「……個人差はあるけど、私の見立てだと感染した日から持って1週間程度アルね。」

アユミ「1週間!?もう既に2日経ってるんですよ!?そんなの間に合うはずが……。」

オーキド「……一度に持っていくことが出来るワクチンも数限りあるし、勿論感染者に簡単に投与できるはずはないじゃろう。感染者を鎮圧してワクチン投与するとしたら、現実的に助けることが出来る人口は……。」

オーキド「都市部一つにも満たないじゃろうな。」

アユミ「そんな……。」
 ▼ 189 ニーブ@コリンクのキバ 25/02/25 21:19:36 ID:bBwwSNS2 [24/41] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
アユミは力が抜け落ちて、実験室の床にへたり込んだ。……せっかく治療出来る方法が確立したというのに、圧倒的に時間がたりない。

シン「アユミ……。」

アユミ「それじゃ……助ける街を選ぶことになるじゃないですか。」

アユミにその判断は出来ない。生まれ故郷も、自分の命を繋いでくれた街も、絶対に見捨てることが出来ないかけがえのない存在だ。

アユミ「……何か!何か他に手はないんですか!?そのためならわたしはどんなことだってします!……だから……どうか……。」
 ▼ 190 クジキング@ベリージャム 25/02/25 22:03:31 ID:bBwwSNS2 [25/41] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
変な博士「あなたなら必ずゴネると思ったねー。確かにそれじゃあまりにも"遅すぎる"アル。私も対応が遅いのは大嫌いねー。」

変な博士「……一つだけ最後に試す価値ある方法アルよ。でもこれから話すのは裏付けのない仮説も仮説。荒唐無稽な内容アルよ。それでも聞くか?」

アユミ「……聞かせてください。」
 ▼ 191 レイシア@ダクマのおやつ 25/02/25 22:04:04 ID:bBwwSNS2 [26/41] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
変な博士「あなたのイーブイについて調べたことあったの覚えてるか?」

アユミ「……はい覚えています。そのことでわたし頭に血が上って……。」

変な博士「あなたのイーブイ微弱だけどウィルスに感染してるアルね。」

アユミ「えっ!?でもあの時は特に問題ないって……!」

アユミは急いでイーブイをボールにしまおうとするも、イーブイは不機嫌そうな表情でそれを拒む。

イーブイ「ブーイー!」
 ▼ 192 タモン@だいだいはなびら 25/02/25 22:04:25 ID:bBwwSNS2 [27/41] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
変な博士「あくまで微弱アルよ?人に感染はしないし、イーブイにも悪影響はでないレベルね。というかポケモンへの感染例も今の所はユンゲラーやゴーリキーっていう人型に近いタイプしか出てないアルね。この辺りはまだ分かってることが少ないから下手なこと言えないけど。」

変な博士「それはさておきイーブイはウィルス感染している。これだけ覚えてくれるといいね。」
 ▼ 193 ーディン@ギネマのみ 25/02/25 22:04:50 ID:bBwwSNS2 [28/41] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
変な博士「その上であなたのイーブイの覚えてる技教えてくれるか?」

アユミ「えっ……?びりびりエレキ・わるわるゾーン・すくすくボンバー・きらきらストーム……どれも固有の技でわかりにくいと思いますが……。」

変な博士「アイヤー!今の技ねー!」

アユミ「……きらきらストーム?」
 ▼ 194 レユータン@でんせつのメモ? 25/02/25 22:05:17 ID:bBwwSNS2 [29/41] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
きらきらストーム:攻撃が成功すると、自分と味方の状態異常を治す。

アユミ「これは敵の状態異常を治す技ではないですよ……あっ!」

変な博士「そう。イーブイは感染してる側だから対象は周囲の感染者全体を取る……かもしれないアル。」

変な博士は言葉を濁す。……アユミほ一瞬納得しかけたが、確かにかなり無理のある理論だ。
まずウィルス感染が状態異常に含まれるのかすらわからないし、周囲全体の感染者に効果が及ぶかもわからない。
全部うまくいったとして、味方たげでなく自分の状態異常を治すから使えるのは一度きりではないか?

それでも……アユミは藁にもすがる気持ちで信じるしかなかった。
 ▼ 195 リーン@こだわりちまき 25/02/25 22:07:06 ID:bBwwSNS2 [30/41] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
オーキド「アユミ君……。奇跡的に上手くいくことを願ってはいるが、もしそれがうまくいかなかったら、介入する街は今のうちに我々で決めておく。もし希望があるならキミの意見を尊重するぞ。」

アユミ「……わかりました。」

アユミ「シン君!ピジョット持ってたよね!?」

シン「ああ!持ってるけど……。」

アユミ「わたしをマサラまで乗せていって!ひとっ飛びで!」
 ▼ 196 ンメン@ニューラのツメ 25/02/25 22:07:35 ID:bBwwSNS2 [31/41] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
シン「いいけど……アユミって高いところ無理なんじゃなかったっけ?」

アユミ「今はそんなこと言ってられないの!早く!」

シン「あ、ああわかった。」

シンはアユミに急かされながら防護服に着替えて、2人でピジョットの背に乗り一目散にマサラタウンを目指した。
 ▼ 197 タチマル@テラピースエスパー 25/02/25 22:56:40 ID:bBwwSNS2 [32/41] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アユミ「…………。」

アユミはシンのピジョットの背中に顔を突っ伏して極力外をみないようにしている様子だ。

シン「スピード緩めようかー?」

風を切るほどの猛スピードの中、シンは後ろのアユミに聞こえるよう大声で呼びかける。

アユミ「スピードの問題じゃなーい!」

シン「じゃあ急ぐぞ!」

ピジョットは更に一段ギアをあげて急加速した。

アユミ「きゃああああああ!!!」
 ▼ 198 エルコ@ヘラクロスナイト 25/02/25 22:57:01 ID:bBwwSNS2 [33/41] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
マサラタウン

シン「よし!予定より早く着いたな。後はとにかくうまくいくことを願っ……あッ!!」

シンはバンッ!と防護服越しに強く背中を叩かれる感覚がした。

アユミ「シン君のバカ!これ以上飛ばしてなんていってないよ!」

シン「来る前にはひとっ飛びでって言ってたはずだぞ……。」

アユミ「もう……。」
 ▼ 199 グカルゴ@ハギギシリのは 25/02/25 22:57:37 ID:bBwwSNS2 [34/41] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
アユミは深く呼吸をして息を整える。
勿論頑張るのは相棒のイーブイだが、試みの結果が分かるのは一瞬だ。

幼少期から見知ったような顔が「アユミちゃん…w」「アユミちゃん…w」と2人を出迎えてくる。

アユミ「相棒!!」

イーブイ「ブイブイッ!!」

アユミ「みんなを元に戻して!きらきらストーム!」

イーブイ「イー………ブイ!!!」
 ▼ 200 ミラミ@グラシデアのはな 25/02/25 22:58:08 ID:bBwwSNS2 [35/41] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
イーブイが渾身の力で放った淡紅色の嵐は、輝きを撒き散らしながらマサラタウン全土を彩った。

その中心でアユミは両手を固く組みながら、目を閉じ祈るように懇願する。

アユミ「神様……どうか本当にいるなら……みんなに元あった日常を返してください……。お願いします……。」

激しい嵐が止んでから、アユミは恐る恐る目をゆっくりと見開いた。
 ▼ 201 ルデアウパー@りゅうのウロコ 25/02/25 22:59:05 ID:bBwwSNS2 [36/41] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
少女「あれ……私今まで何をしてたっけ?」

科学デブ「うおーっ!なんか意識がはっきりしてきた!これも科学の力なのか!?」


アユミ「………やった。……やった!やった!!うまくいったんだよね!?信じられない!!」

シン「ああ!本当に……こんなに嬉しいことはないな……!」
 ▼ 202 スカーニャ@きらめくおまもり 25/02/25 22:59:22 ID:bBwwSNS2 [37/41] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
アユミ「相棒!!相棒は世界一頼れるポケモンだよ!大好き!」

イーブイ「ブイ!ブイ!」

アユミはこれでもかというぐらい相棒イーブイの頬に顔を擦り付けると、イーブイもまた満面の笑顔をもって同じぐらいの力でアユミの頬に顔を擦り付けた。
タマムシでの生物災害後、これが初めてアユミが年相応にはしゃぐ姿となった。
 ▼ 203 ノズ@きんのおうかん 25/02/25 23:20:33 ID:bBwwSNS2 [38/41] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
しかし、アユミが背負った使命はこれで終わりではない。

アユミ「そうだ!グレンの研究所に連絡しないと……。」

アユミ「……もしもし!博士の言ってたきらきらストーム!効果抜群でした!」

オーキド「信じられん……あれが上手く行ったのか……。」

謎の博士「アイヤー!!ほら私の提唱した理論通りねー!!これで私名前教科書載るか?載るか?」
 ▼ 204 ォッコ@ノーマルジュエル 25/02/25 23:21:53 ID:bBwwSNS2 [39/41] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
オーキド「これ!調子に乗るでない!いや!今日ぐらいは好きなだけ鼻を伸ばしていいぞい!……失礼。それでどうするんじゃ?一旦こっちに帰ってくるか?」

アユミ「いえ。時間がないのでこのままカントー各地に向かいます!」

アユミ「シン君……ごめんだけど付き合ってくれる?」

シン「ああ!任せとけ!」

アユミ「あっ……そういえばきらきらストーム使ったから、もう相棒は回復して感染者側じゃないかも……。その場合でも同じ方法取れるんですかね?」
 ▼ 205 ェローチェ@おいしいみず 25/02/25 23:22:48 ID:bBwwSNS2 [40/41] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
変な博士はオーキドの電話を引ったくって勝手に解説しだした。

変な博士「それについては問題ないアル。どうせ他の街はウィルスで溢れてるからすぐイーブイは感染するし、あなたがイーブイに接触すればすぐかかるアルよ。」

アユミ「えっ?わたしは抗体を持ってるんじゃ……。」

変な博士「あなたの体内ではウィルス死滅してるだけで、体表にはウィルスびっしりねー。」
 ▼ 206 ルロック@ビビリだま 25/02/25 23:23:12 ID:bBwwSNS2 [41/41] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
アユミ「うっ……そうなんですね。ではさっき相棒とほっぺ合わせたので大丈夫?だと思います。」

オーキド「全く!……ゴホン!これから長旅になるが、自分の身を大事にして、無理のない範囲で感染者を助けるんじゃぞ!」

アユミ「はい!ありがとうございます!」


オーキド「……といってもアユミ君は無理をするんじゃろうな。」
 ▼ 207 リュウズ@くろいにんじん 25/02/26 01:20:05 ID:x8/EU5PE NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
アユミちゃん…w→アユミちゃん…→アユミちゃん;;
 ▼ 208 シガリス@エレキブースター 25/02/26 14:02:51 ID:TPmE80IA NGネーム登録 NGID登録 報告
もう気軽にアユミちゃん…wって呼べなくなった
 ▼ 209 ガヤンマ@ミミッキュZ 25/02/26 23:16:38 ID:vALgicMA [1/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
相棒イーブイによる全体治癒をマサラタウンで目の当たりにしたアユミ一行は、強行日程とも言える過密さでウィルスに侵されたカントー中を回る計画を立てた。

街だけでなく合間合間の道路にもきらきらストームを振りまかなければならないから、残り5日でカントーを横断するには休んでいる暇はない。

タイムリミットが近い順に回るべきと考えたアユミ一行は、全ての災禍の引き金たるタマムシシティに向かった。
 ▼ 210 バチャ@カゲブンシメジ 25/02/26 23:17:10 ID:vALgicMA [2/10] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
タマムシシティ

生物災害当日に撒いたねむりごなやしびれごなは、当然ながら一時的な無力化手段でしかないので、アユミ一行が戻ってきた頃には感染者で溢れかえっていた。
下手をすると街中を彷徨く感染者の数は、アユミがタマムシシティを出た時よりも多い。
しかし、今のアユミにとってはこの状況すら絶望的な状態ではなかった。
 ▼ 211 ギアル@たてのカセキ 25/02/26 23:18:12 ID:vALgicMA [3/10] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
アユミはタマムシシティの街のど真ん中で防護服を脱ぎ、感染者の注目を集めた。

アユミ「わたしはここよ!」

全方位から、この街でたった2人の非感染者を求めて手を伸ばしながら感染者が迫ってくる。
その中には……エリカを始めとしたタマムシジムの面々もいた。
 ▼ 212 ゲハント@けいけんアメL 25/02/26 23:18:52 ID:vALgicMA [4/10] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
シン「触れさせないぞ!ヤドラン!ひかりのかべ!」

ヤドラン「やぁん!」

ヤドランの生成した光陣が、感染者をギリギリの所でせき止めた。

アユミ「今よ相棒!きらきらストーム!」

イーブイ「イー………ブイ!!!」

アユミ一行がギリギリまで引きつけたおかげで、放った一度のきらきらストームでタマムシシティ全ての感染者を元の姿に返すことができた!
 ▼ 213 ノココ@ヤドンのツメ 25/02/26 23:19:15 ID:vALgicMA [5/10] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
シン「ううう……流石に……怖かったな。」

緊張の糸が解けてシンは大の字になってその場に倒れる。

アユミ「ありがとうシン君!ヤドラン!みんなのおかげだよ!」

ヤドラン「……やぁん?」

イーブイ「ブイ!ブイブイ!」

アユミ「勿論相棒も!」
 ▼ 214 ラミンゴ@ズリのみ 25/02/26 23:19:35 ID:vALgicMA [6/10] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
エリカ「……とても長い間眠っていた感覚です。それもこんなに夢見の悪い眠りは初めてでした。」

アユミ「エリカさん!」

アユミは三者三様に今まで自分は何をしていたんだろうという顔をする元感染者をかき分け、エリカの元に駆け寄る。

エリカ「やはりアユミさんのおかげでしたか……。何とお礼を言ってよいやら……。」

アユミ「お礼なんてそんな……。今はただみんなが無事ならそれでいいんです。」
 ▼ 215 ミツオロチ@ミミロップナイト 25/02/26 23:20:05 ID:vALgicMA [7/10] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ピクニックガール アサエ「エリカさん!私……私……とんでもないことを……。」

エリートトレーナー アヤカ「私も何もできなくて……。」

タマムシジムのトレーナーの面々もエリカを見つけて、次々に自省する。

エリカ「……あら?何かあったかしら?ごめんなさいね。私よくその時のことを覚えていませんわ。」

わざととぼけたような喋り方をするエリカに、アサエとアヤカは口を挟みそうになるもエリカはこう続けた。
 ▼ 216 ャルマー@おこづかいポン 25/02/26 23:21:08 ID:vALgicMA [8/10] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
エリカ「でもきっと思い出さない方がよいことなんでしょう?ならお忘れなさい。少なくとも、私は忘れました。」

アサエ・アヤカ「エリカさん……!」

二人は泣き腫らした顔でエリカの両肩に抱きついた。

エリカ「まったく。人前でみっともないですよ。」

口ではこう言いながらもエリカの表情は柔らかく緩んでいた。
 ▼ 217 シマシラ@きりのはこ 25/02/26 23:21:54 ID:vALgicMA [9/10] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
アユミ「……それじゃ、わたしたちはヤマブキシティに向かいますね。」

エリカ「こうして感染者を元に戻して回っているのですか?」

アユミ「はい。そんなところです。といってもまだマサラタウンとタマムシシティしか済んでいないですが……。」

エリカ「アユミさん。私もヤマブキシティに同行させてください。」

アユミ「えっ……いいんですか?」
 ▼ 218 イロス@ボーマンダナイト 25/02/26 23:22:25 ID:6tsM9tMA NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 219 モンガ@あんぜんおまもり 25/02/26 23:22:38 ID:vALgicMA [10/10] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
確かにヤマブキシティは感染者のみならず、感染したポケモンの凶暴化が確認された場所だ。激しい交戦が予想される。一人でも優秀なトレーナーが増えれば心強い……。

エリカ「ヤマブキが被害を被ったのは、タマムシを封鎖しきれなかった私に責任があります。それに……。ナツメさんが心配です。」

アユミ「……わかりました。ご協力ありがとうございます。」

シン「すげー!ジムリーダーと肩を並べて共闘できるぞ!オレも足引っ張ってられないな!」

シン「……アユミはチャンピオンだったわ。」

エリカ「ふふっ。賑やかになりそうですわね。それではジムに予備の防護服を取ってくるので少々お待ちを……。」
 ▼ 220 キカブリ@ストライクのツメ 25/02/28 18:33:38 ID:ByJE/uMA NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 221 エンジシ@ウルトラネクロZ 25/03/02 12:36:18 ID:Qjak8A9k [1/15] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ヤマブキシティ

ゲートを抜けた時点でわかる惨状ぶりだった。
アユミが先日ヤマブキを訪れた時は、感染者がシルフカンパニー内に収容されていたのでそれ程外を彷徨いてはいなかったが、今は街を覆い尽くす程の数の感染者と、目を赤く光らせたポケモンに溢れていた。

当時のアユミはこの絶望的な状況で足が竦んで動けなくなったが、今はむしろ闘志を沸々と燃やしていた。

アユミ「今なら……みんなを助けられる。」
 ▼ 222 ンリュウ@ヨプのみ 25/03/02 12:36:52 ID:Qjak8A9k [2/15] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
感染者の大群が異物に気付き、一斉にゲート入口方面に押し寄せる。

シン「ヤドラン!ひかりのかべ!」

シンのヤドランが壁を作って阻害し……

エリカ「モンジャラ!ねむりごな!」

エリカのモンジャラが感染者を眠らせて……

アユミ「相棒!きらきらストーム!」

アユミのイーブイが眠らせた感染者の治癒をする。急造で組んだとは思えない流れるような連携だ。
 ▼ 223 ラナクシ@サメハダナイト 25/03/02 12:37:57 ID:Qjak8A9k [3/15] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
しかし数が多く、一度のきらきらストームで街全体を鎮静化することは出来ないようだ。
アユミ達は同じことを繰り返し、正気を取り戻した人々を庇いながら少しずつラインを押し上げていった。

ゴーリキー「ぎゃお ぎゃお ぎゃお……」

ユンゲラー「ふしゅう……」

シルフカンパニー付近までいくとポケモンまで相手取る必要が出て、より攻撃は激化した。
襲ってくるのがポケモンだけなら反撃する選択肢もあるが、感染者を巻き込まずに戦うのは至難の業だ。
結局はやり方を変えず、このまま進むしかない。
 ▼ 224 クホーク@リバティチケット 25/03/02 12:38:27 ID:Qjak8A9k [4/15] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
しかしほんの一瞬、シンとエリカの防衛の綻びと、イーブイが次のきらきらストームを撃つまでの間が重なってしまった。

感染者とポケモンがその虚をついてアユミに襲いかかる。

シン「アユミ!危ない!」

アユミ「きゃっ!」

アユミは思わず目を閉じる。……痛みはない。
ゆっくり目を見開くと、アユミに襲いかかった者達が全て宙に浮いていた。
 ▼ 225 ヤップ@ねむけざまし 25/03/02 12:39:18 ID:Qjak8A9k [5/15] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
そして眼前には両の手にスプーンを携えたフーディンが立っている。

アユミ「……相棒!きらきらストーム!」

宙に浮いた感染者とポケモンは脱力し、地に足をつける頃には正気を取り戻していた。

このフーディンは……一体?
ナツメのポケモンだとしたら、ほぼまる2日交戦を続けている事になるため考えにくい。

???「やれやれ。ジムリーダーの仕事ってのは、持ち場以外もやらなきゃならねえのか?新任にやらせる内容じゃねえぜ。」
 ▼ 226 ローラライチュウ@ダークメモリ 25/03/02 12:40:03 ID:Qjak8A9k [6/15] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
深緑の防護服に身を包んだ男が、アユミ達の元に向かってくる。

???「じいさんも人使い荒いよな。おれさまじゃなきゃ勤まらなかった所だぜ。」

フーディンの主はグリーンだった。

アユミ「グリーンさん!」

グリーン「お前らすげえじゃん!一度こうなっちまった奴らを元に戻すことが出来るなんて。後でトキワもよろしく頼むな。今はみんなに眠って貰ってるけどよ。」
 ▼ 227 ビエ@アーリーレッド 25/03/02 12:40:40 ID:Qjak8A9k [7/15] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
シン「えっ!トキワは何とかなったんですか!」

グリーン「ウチの所はそんなに被害出てなかったし。そしたらじいさんにヤマブキに向かうよう指示があって、ここはすげえ忙しいのな。」

エリカ「すみませんアユミさん……。怖い思いをさせてしまって。」

シン「オレもごめんな……。」

アユミ「ううん。大丈夫。残りも頑張ろう!」

イーブイ「ブイ!ブイ!」

アユミ「どうしたの相棒?……あれ?これって……。」
 ▼ 228 ラパルト@クリームチーズ 25/03/02 12:41:54 ID:Qjak8A9k [8/15] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
イーブイが指し示す方向を見ると、シルフカンパニーの入口近くに赤色の防護服が3つ点々と打ち捨てられていた。
他のヤマブキジ厶トレーナーや、格闘道場のトレーナーかもしれないが、恐らくアユミを逃がした後も交戦していたナツメとマスタートレーナーのものだろう。

エリカ「きっと……この近くですね。」

アユミ「先を急ぎましょう!」
 ▼ 229 ロデスナ@ヒウンアイス 25/03/02 12:43:01 ID:Qjak8A9k [9/15] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
強力な助っ人が味方についたアユミ一行は、より安定した進行でシルフカンパニー内、東西南北のゲート前にいた感染者を次々と元のあるべき姿に返していった。

そして、ヤマブキジムから少し外れた所にナツメ達はいた。

からておう ツヨシ「アユミちゃん…w」

からておう ケンジ「アユミちゃん…w」

ナツメ「アユミちゃん…w」
 ▼ 230 ゲデマル@ずがいのカセキ 25/03/02 12:43:44 ID:Qjak8A9k [10/15] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
不思議とアユミはその変貌ぶりにショックは受けなかった。むしろまだ活動維持していることに安堵を覚えていた。
まだ肉体の損傷がなく動いているということは、助けられるということだからだ。

アユミ「相棒!きらきらストーム!」

イーブイ「イー………ブイ!!!」

アユミは再び両手を固く組み、目を閉じる。
命の重さに大小をつけているつもりではないが、自分を逃がしてくれた命の恩人のことは絶対に助けたいという気持ちが、自然とその所作を生んだ。
 ▼ 231 ラックキュレム@しんかいのキバ 25/03/02 12:47:05 ID:Qjak8A9k [11/15] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ナツメ達は力なく倒れた後、ゆっくりと起き上がりアユミの存在に気づいた。

ナツメ「アユミ……?」

アユミ「ナツメさん!わたしです!助けに戻ってきました!」

エリカ「ああナツメさん……よかった……本当に……。」

からておう ツヨシ「どうやらわしらは不覚を取ったようだな……。」

からておう ケンジ「まさか戻ってこようとは……この未来までも予見していたのか?」
 ▼ 232 キタンザン@ダイマックスB 25/03/02 12:47:51 ID:Qjak8A9k [12/15] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ナツメは首を横に振る。

ナツメ「いえ……。私が見たのは少し成長したアユミが生きている所までよ。そして……私自身の未来は見えなかった。」

ナツメ「だから覚悟していたの。その時が来たらアユミだけでも生かそうって。……貴方達はその予想を超えてきたわ。まさかヤマブキを救いに帰ってきてくるなんてね。本当にありがとう。」

シン「やったな!オレたち未来を変えたんだよ!」

アユミ「うん!とっても嬉しい!」
 ▼ 233 ローララッタ@ロトムのカタログ 25/03/02 12:49:19 ID:Qjak8A9k [13/15] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
グリーン「さっすが俺と同じマサラのトレーナーだな!さてこれでめでたしめでたしで終われば良いんだが、そうもいかねえんだよな。」

エリカ「そうですね。救助した人の保護、怪我人の治療。今は落ち着いている人たちでも再発する可能性があるので、注視する必要がありますね……。」

ナツメ「アユミとシンはこれから他の街にいくのかしら?」

アユミ「はい。これからすぐにクチバに向かおうと思っています。」
 ▼ 234 ガメタグロス@トルティージャ 25/03/02 12:50:14 ID:Qjak8A9k [14/15] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
クチバシティ……。アユミにとってはいい記憶も悪い記憶もある街だ。
再びその地に足を踏み入れた時、どんな感情が芽生えるかアユミ自身にもわからなかった。

ナツメ「ちょっと待ってね……。」

ナツメはジムに入ってから程なくして帰ってきた。
 ▼ 235 ルガルド@みずべのハーブ 25/03/02 12:50:42 ID:Qjak8A9k [15/15] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ナツメ「2人にテレポートを覚えたケーシィを貸し出すわ。これで少しでも移動の短縮になると思うから。」

まだ対処が終わってない街や道路にいきなり飛ぶわけにはいかないが、既に訪れた街に瞬時に戻れるだけでもかなりの短縮になる。

アユミ・シン「ありがとうございます!」

グリーン「それじゃ街の後のことは俺達に任せてくれ。」

アユミ「はい!ご協力ありがとうございました!」
 ▼ 236 ワライド@ちいさなはなたば 25/03/02 13:04:45 ID:EajYqg4g NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
しぇん
 ▼ 237 ッコアラ@ソルト 25/03/03 01:02:59 ID:6j2ATRmw NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
しっえーん
 ▼ 238 リーパー@ボーマンダナイト 25/03/05 19:25:05 ID:Xsk.NCS6 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 239 ックウザ@カイデンのはね 25/03/05 23:22:07 ID:LpsYHpwY [1/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
6番道路に続くヤマブキ南ゲート前

以前アユミがこのゲートに来た時は、自分だけヤマブキを脱することによる無力感に押し潰されそうになるような想いだった。
しかし今回は目に映る者は全て助けてからアユミはここに立っている。それもあの感染源とそれに隣接した都市部をだ。

まだまだ終わってないとはいえ、山場を越え充足感に満ちた表情をする……と思いきや、アユミの顔は浮かない。
その表情に気づいたシンが声を掛ける。
 ▼ 240 ルレイド@むしよせコロン 25/03/05 23:22:46 ID:LpsYHpwY [2/6] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
シン「アユミ大丈夫?流石に疲れた?」

アユミ「ううん。疲れ……はあるのかもしれないけど、そんなことも言ってられないよね。それより相棒の方がずっと大変だよ。」

イーブイ「ブイブイ!」

イーブイはまだまだ元気いっぱいといった具合にアユミの周りを走ってみせた。

アユミ「相棒はすごいね。あんなに技打ってるのにまだ元気!お腹すいたでしょ?ご飯だよ〜。」

アユミはリュックからきのみを取り出し、イーブイに食べさせる。
イーブイはご満悦といった表情だ。
 ▼ 241 サイドン@かたいいし 25/03/05 23:23:16 ID:LpsYHpwY [3/6] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
シン「いやその……表情が暗く見えたからさ……。」

アユミ「……そう見えた?……そうかも。」

シン「オレに出来ることなんて、アユミに比べたら少ないけどさ。何か思ってることあるなら聞くぞ?」

アユミ「……わたしって隠し事出来ないタイプなのかな。」
 ▼ 242 ングース@アルクジラのあぶら 25/03/05 23:23:50 ID:LpsYHpwY [4/6] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
アユミはクチバに来てから去るまでの話をした。

厳重な警戒態勢だったにも関わらず、特例としてクチバに入れて、宿泊までさせてくれたこと。
それはこの環境で無事なアユミを研究者に引き渡すためのことだったこと。

翌朝には自分がクチバに来たせいなのか、感染者が出てしまったこと。
その件で町の人に後ろ指をさされたこと。
マチスに庇われて励まされたこと。
研究施設の人に連れられて逃げるようにクチバを出たこと。
全てを順序立てて話した。
 ▼ 243 ギアル@ぎんのナナのみ 25/03/05 23:25:41 ID:LpsYHpwY [5/6] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
シン「……それは辛かったな。今こんなに頑張ってるのに、追い詰められるようなこと言われて……。」

シンは固く自分の拳を握った。

アユミ「何も思ってないわけじゃないけど、それが原因で行きたくないって話じゃないの。わたしは平等に感染してしまった人を助けられるだけ助けたい。」

アユミ「さっき電話で博士が『体内でウィルスが死滅しているだけで、体表にはウィルスがついてる』って言ってたでしょ?やっぱり持ち込んだのはわたしなんだなって……。」

アユミ「それに気づいて……ちょっと顔に出ちゃったのかな。」
 ▼ 244 ロリーム@バコウのみ 25/03/05 23:26:59 ID:LpsYHpwY [6/6] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
シン「……そうだったとしても、アユミが研究所のみんなと合流出来たからここまで来れたんだ。クチバの人たちはこれから対処すればいい!そうだろ?」

アユミ「うん……。」

シン「元に戻してまだ文句があるんだったら、オレが代わりに言い返してやる!……あんまり口喧嘩とかしたことないけど。」

アユミ「そこまでしなくていいよ……。でもありがとう。大丈夫。やることは変わらないから。」

シン「よし!じゃあクチバに向かうか!」
 ▼ 245 ドグラー@ガオガエンZ 25/03/07 17:32:37 ID:mIn6eoAs NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 246 ガハッサム@かまどのめん 25/03/09 09:09:19 ID:GDe2WsBw [1/36] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
6番道路に続くゲートには既に警備員の姿がなく、荒らされた痕跡があった。
既にヤマブキ方向から感染者が流入している可能性がある。
アユミ達はゲートを抜け6番道路に向かった。

以前アユミが訪れた時の6番道路は徹底的な封鎖の成果からか、通行人が誰もいなくて、クチバ前に麻痺状態で動けない状態に陥った感染者が横たわっているばかりだったが、今はその横たわっている感染者の姿すらない。

アユミは周囲を警戒し、念の為イーブイにきらきらストームを放つよう指示を出した。
 ▼ 247 ンリキー@カシブのみ 25/03/09 09:09:58 ID:GDe2WsBw [2/36] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
シン「……誰もいないな。」

アユミ「前来た時の調子なら、ここまで来た時点で声をかけられていると思う……。」

アユミ「騒動後に顔見せているわたしはともかく、知らない防護服の人をこのまま通すほどお人好しな感じじゃなかった……。」

シン「やっぱり……もう街の警備は機能してないのかな。」

アユミ「いきなり来るかも知れないし準備した方がいいかも。相棒!気をつけてね!」

イーブイ「ブイ!」

シン「よしッ!じゃあ最初から気をつけていくぞ!」
 ▼ 248 ョジオーン@フライングメモリ 25/03/09 09:10:34 ID:GDe2WsBw [3/36] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
アユミの読み通り、クチバシティは6番道路側から入る所の時点で大勢の感染者が彷徨いていた。
その中にはアユミをクチバに招き入れたことを反対していた者もいた。
そんな彼らも今ではアユミの名前を呼びながら笑みを浮かべている。
……もっともこれはアユミを歓迎しているのではなく、むしろ非感染者の生身を狙っているのだが。

シンはすぐさまアユミとイーブイを守るようにヤドランで壁を貼り、アユミはイーブイにきらきらストームを撃つように指示を出す。

相手取る数は多いが、クチバの開けた街の作りはきらきらストームを通すには絶好の地形で、そこまでの苦戦は強いられなかった。
 ▼ 249 ネコ@リバティチケット 25/03/09 09:11:07 ID:GDe2WsBw [4/36] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
次々と意識を取り戻す民衆が、この環境で防護服もなしに活動しているアユミの姿に目を奪われる。

「もしかして……あの子が俺たちを助けてくれたのか?」
「あの子はカントーの救世主だ!」
「まるで聖女みたいだわ!」

アユミ「(……この前来た時は疫病神で、今は救世主で聖女だってさ。)」

アユミは思わず苦笑いを浮かべるも、正気に戻った民衆に避難するよう声をかけた。
 ▼ 250 ルペコ@ルールブック 25/03/09 09:11:51 ID:GDe2WsBw [5/36] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
救出活動を続けているうちに、2人はクチバジム前の感染者がやけに少ないことに気づいた。
代わりにかなりの数の人が地に伏せている。

アユミ「そんな……。」

……来るのが遅すぎたんだろうか?よりにもよって世話になったマチスの近くでの惨状ぶりに、アユミは表情を曇らせた。
しかし、ざっと見た所倒れている中にクチバジムの顔ぶれはいない。

アユミは希望を捨てず横たわっている人たちに、きらきらストームを放つようイーブイに指示を出した。
 ▼ 251 クバリス@きれいなハネ 25/03/09 09:13:05 ID:GDe2WsBw [6/36] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
すると、少しずつ倒れていた人達は起き上がり、何が起こったのかという顔で周りを見渡しだした。

アユミ「よかった……。間に合わなかったのかと思った……。」

シン「ああ……本当によかったな。でもどうして元々倒れていたんだろ?」

アユミ「確かに……。」

その答えはすぐさまクチバジムの入口から飛び出してきた。
 ▼ 252 サキント@カゴのみ 25/03/09 09:13:43 ID:GDe2WsBw [7/36] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
マチス「ヘイ!ワッツハップン!?」

防護服を着込んだ大柄の男は、少女の姿を見て固まった。

アユミは正気を保っているとは思ってもみなかった人物の登場に対して、マチスはこの場にいるとは思っても見なかった人物を目の当たりにして互いに驚いた。

マチス「リトルガール!?これは……ユーが成し遂げたのか?」

アユミ「あー……相棒がやってくれました!」

アユミはイーブイを抱き抱えて、マチスに見せた。
イーブイはやってやったといったような澄ました顔を作る。
 ▼ 253 ガガルーラ@ダイゴへのてがみ 25/03/09 09:14:54 ID:GDe2WsBw [8/36] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
マチス「……グッジョブ!これは嬉しい誤算だネ!ユーがカントーを救うワイルドカードになることは期待していたが、こんなに早いとは……。」

シン「それにしてもよく無事でしたね……。」

マチス「流石にタフだったけど、戦争はもっと長く起きてなきゃならなかったネー。アー……彼はユーのボーイフレンド?」

シンもまた防護服を着ていて顔がよく見えないので、マチスにとっては正体不明の男がアユミの側にいるといった認識だった。
 ▼ 254 ップリュー@あさせのしお 25/03/09 09:15:31 ID:GDe2WsBw [9/36] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
アユミ「(男の友達ってことだよね?)えーっと……いえす?」

シン「オレ前にクチバジムに挑戦したシンです!その時はお世話になりました!」

マチス「オウ!OKOK!あの時のリトルボーイネ!ユーもまたストロングだった!それにしてもリトルガールのボーイフレンドだったんだネー!」

マチスの表情は読み取れないが、とにかく何やら嬉しそうな様子だ。
 ▼ 255 スブレロ@ラブタのみ 25/03/09 09:16:35 ID:GDe2WsBw [10/36] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
アユミ「あの……せっかく来てすぐなんですけど、わたしたち急いでいてそろそろいかないと……。」

シン「今こうしてアユミのイーブイが感染者を元に戻すことが出来てるんですけど、助けられるまでのタイムリミットがあるみたいなんです……。」

マチス「そうすると……ユーたちは殆どブレイク……休憩が取れてないんじゃないか?」

アユミ「まあ……そうも言ってられないので……。」

グゥゥゥゥ……。
アユミとシンのお腹からほぼ同時に大きな音が鳴った。

アユミ・シン「あっ……。」
 ▼ 256 イケンキ@ガンバリのすな 25/03/09 09:18:33 ID:GDe2WsBw [11/36] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
マチス「それに殆ど食べてないようだネ?トゥーバッド!ジャストアモーメント!」

マチスはジムに入ってから程なくして何やら大きな包みを持って帰ってきた。

マチス「これはレーション。こっちの言葉だと携帯口糧っていうらしいネ。インスタントに食べられるものが多いネ。」

マチス「アクチュアリー。ミー達のサバイバルのための食糧だったけど、ユー達が助けてくれたからこれはプレゼントするネ!」

マチス「ここに缶詰・クラッカー・パンが入っていて……。こっちはポケモン用のフードネ!間違えて食べたら大変よ!オウ!チョコレートやキャンディもあるけどすぐ食べちゃダメネ!」

至って真面目な説明だが、またマチスがお母さんみたいなこと言ってるなとアユミからはふと笑みがこぼれた。
 ▼ 257 ガヘラクロス@しんかのきせき 25/03/09 09:19:20 ID:GDe2WsBw [12/36] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
アユミ「ありがとうございます!これでまだまだ頑張れます!」

マチス「イフポッシブル……十分なスリープを取ってほしい所だが、ユー達は聞かないだろうネ。」

マチス「やれやれ……ミーもこれからがハードだ……。」

シン「お互い頑張りましょう!」

マチス「センキュー!ユー達はクチバのライフセーバーだ!」

マチスは親指を立てるグッドサインを送り、2人は同じサインを作って返した。
アユミにとっては、あの日返せなかったグッドサインを理想的な形で返すことが出来て、心に刺さったトゲが一つ取れたような感覚だった。
 ▼ 258 ンプジン@グラスシード 25/03/09 09:20:31 ID:GDe2WsBw [13/36] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
それからの各地に向かう救命活動は、感染者を元に戻すという点だけにおいては、都市部と比べてアユミ達に取ってそう難しくは無かった。

ただひたすらに過酷だったのは、殆ど睡眠を取らないまま活動しているということだ。
アユミとシンは、ウインディの背に乗って僅かな仮眠を取るばかりで、なまじお互いに責任感の強い性格だったがために、「もう少し休んだ方がいい」とは言い出せない状況が続いていた。
 ▼ 259 ャース@ヒラヒナのうもう 25/03/09 09:21:21 ID:GDe2WsBw [14/36] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
そんな体の限界が近い状況でも活動を続けられるのは、確かにそこに助かる命があり、意識を持った状態で大切な人との再会を分かち合う所が見れることが原動力となっているからだ。

ディグダの穴を通ってトキワへ、ニビからお月見山を通ってハナダとその近辺の除菌。イワヤマトンネルを通ってシオン。そこからぐるっと迂回してセキチク。ポケモンロードの様子を見てから、テレポートでトキワに戻り、セキエイ高原へ。
 ▼ 260 ニーブ@おおきなマラサダ 25/03/09 09:22:16 ID:GDe2WsBw [15/36] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
セキエイでのウィルスの影響は見渡す限りでは無い。念の為リーグに設立されたポケモンセンターに様子を確認することで、アユミ達のカントー中を回る活動には一区切りがつく。

疲弊しきって次第に口数も少なくなっていた2人だが、終わりが見えてきて口を先に開いたのはアユミだった。
 ▼ 261 ーダル@ドンメルのようがん 25/03/09 09:22:48 ID:GDe2WsBw [16/36] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
アユミ「ねえシン君……。ここまで付き合ってくれてありがとう……。」

シン「……オレよりアユミの方がずっと頑張ってるよ。オレがアユミの立場だったら……きっとどこかで折れてた。」

アユミ「……だってシン君は感染者にやられたら無事じゃ済まなかったんだよ?わたしは多少は大丈夫だから……。本当にすごいよ……。」

シン「……どっちが頑張ったとかじゃなくてどっちも頑張ったんだよ。」
 ▼ 262 ガルデ@HPかいふくポン 25/03/09 09:23:15 ID:GDe2WsBw [17/36] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
アユミ「うん……わたし達頑張ったよね……。でも一番感謝しないといけないのは相棒だよね。」

アユミ「ねえ相棒……?無理させてほんとごめんね。どうしてもやらなきゃいけないことだったの。」

イーブイ「ブイー!!」

アユミ「あはは……相棒は本当にいつでも元気いっぱいだね。落ち着いたらいーーーっぱい遊ぼうね!」

イーブイ「ブイッ ブイーッ!」
 ▼ 263 チュー@タウリン 25/03/09 09:23:49 ID:GDe2WsBw [18/36] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
シン「……オレがポケセンで話聞いてくるよ。何も無ければこれで一仕事終わりだな……。」

アユミ「うん……ありがと……。」

シンがポケセンに向かってアユミに背を向けた瞬間、アユミは糸がプツンと切れたようにその場に倒れた。

イーブイ「ブイ?ブイ!ブイ!」
 ▼ 264 ワイトキュレム@おくびょうミント 25/03/09 09:24:39 ID:GDe2WsBw [19/36] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
シン「特に何もなかったって……アユミ!?大丈夫か!?アユミ!?」

シンは地面に横たわるアユミを見て急いで駆け寄った。

シン「アユミ!?嘘だろ……?アユミのおかげでみんなが助かったのに……!カントーが元に戻ったらイーブイとまた遊ぶんだろ!?オレ……こんなの嫌だよ……。」
 ▼ 265 ルガルド@たべのこし 25/03/09 09:25:01 ID:GDe2WsBw [20/36] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
アユミ「…………Zzz。」

……疲れ切ったアユミからすやすやと寝息が聞こえてきた。

イーブイ「……ブイィ」

イーブイもアユミが寝静まったのを確認して、アユミの首元の近くで身を丸めて眠りだした。

シン「……全く驚かせるなよな。こんな所で寝ちゃって……でも……オレももう限界だ……。」

シンもまたその場で倒れ込み、瞬く間に深い眠りについた。
 ▼ 266 タドガス@シンクロマシン 25/03/09 09:26:35 ID:GDe2WsBw [21/36] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
△月B日
しばらくレポートを書くのをサボっちゃってたから、最近あったことのまとめも兼ねて久々に書こうと思った。
こういうのを近況報告っていうらしいよ!……博士が言ってた。

殆ど全てのカントーの人たちが死んじゃって、最悪の場合他の地方にも影響が出るって予測から、わたし達の活動によって死亡者予測数の8割半ばぐらいの人達が助かったって感謝されちゃった。

頑張り次第でもっと助けられたかもしれない……って気持ちもあるけど、これだけ多くの命を助けたことを誇りに思うように言われたから、前向きに考えたいな。
 ▼ 267 ガギャラドス@するどいキバ 25/03/09 09:27:07 ID:GDe2WsBw [22/36] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
この事でカントーを救った重要人物として取材したいとか、周りの人から変に持ち上げられたりするようになったけど……正直やめてほしい。

騒動自体がわたしのことを恨む狂った研究員の仕業で、ロケット団を解散させたことでより多くの人を巻き込んでしまった感じがするし、思い出したくないことも色々あったから……。
 ▼ 268 ッコアラ@わぎりリンゴ 25/03/09 09:29:00 ID:GDe2WsBw [23/36] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ウィルスについては、わたし達が各地を除菌して回ったつもりだったけど、まだ稀に感染者が発生することがあって、今でもたまに発生した所に向かうことがある……。

でも最近わたしが持つウィルスの抗体から、地方内外で研究が進められて、ワクチンがたくさん作れるようになったみたい。
ワクチンの製品名はわたしの名前をかけたのと、またみんなで1から頑張ろうって意味を込めて「ワンステップ」って名付けられたんだって。……なんだかくすぐったいね。

これで少しでも早く、みんなにとって安心して過ごせる時間が戻ってくるといいな!

アユミは レポートに しっかりと かきのこした!
 ▼ 269 ウカザル@ふたのカセキ 25/03/09 09:30:08 ID:GDe2WsBw [24/36] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
更に月日は流れ、ウィルスの残した深い傷跡も癒え始め、カントー地方全体が元の生活に戻りだした頃……。

タマムシデパート屋上

アユミ「シン君サイコソーダ一気に3本も飲めるの?」

シン「久々に見たら無性に飲みたくなっちゃってさ……。買いすぎちゃったかな?」

アユミ「わたし炭酸飲めないから残しても知らないよ?」

シン「大丈夫だって!じゃあタマムシデパート営業再開を記念して……。」

アユミ・シン「かんぱーい!」
 ▼ 270 カヌチャン@だっしゅつパック 25/03/09 09:31:37 ID:GDe2WsBw [25/36] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
アユミはミックスオレを、シンはサイコソーダの缶を合わせる。
カントーを救った少年少女としてはあまりにもささやか過ぎるお祝いだが、生きて喜びを分かち合うこと自体に2人は満足をしていた。

シン「色々落ち着いたけどさ……。アユミってこれから何かやりたいことあるの?」

アユミ「うーん……。わたしね。ジムリーダーになりたいなって最近ずっと思ってるんだ。」

シン「えッ?今チャンピオンなのに?」

アユミ「いつかはそうじゃなくなるでしょ?」

シン「後ろ向きだなあ……。」
 ▼ 271 ポエラー@スーパーボール 25/03/09 09:32:31 ID:GDe2WsBw [26/36] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
アユミ「ちゃんと考えはあるんだよ?こういう危機を迎えた時にマサラをちゃんと守れる人がいたらなって思ったの。」

シン「それはオレも思った!……でもマサラにジムはないよ?」

アユミ「有名な研究所があるし、わたし達の頑張りが認められたら置いて貰えないかな?」

シン「うーん……。まずポケセンとフレンドリィショップ置いて貰う所からじゃないか?」

アユミ「ふふっ。言えてるかも。」
 ▼ 272 ァイアロー@シャラサブレ 25/03/09 09:33:58 ID:GDe2WsBw [27/36] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
アユミ「……それにね?街を守っている時のジムリーダーってすっごく頼もしくてかっこよかったの!」

アユミ「わたしもエリカさんやナツメさんみたいなお姉さんに、マチスさんみたいな大人になれるかな?」

シン「…………。」

アユミ「あー!今なれないと思ったでしょ!わたしみたいなお子ちゃまにはまだ早いって……!」

シン「いや……アユミって背伸びた?顔もなんかこう……凛々しくなった気がする。」

アユミ「えっ……?ちょっと!褒めても何も出ないよ……。」

アユミはシンにまじまじと見つめられて、思わずドギマギしてしまった。
 ▼ 273 ナバァ@スピアナイト 25/03/09 09:34:52 ID:GDe2WsBw [28/36] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
アユミ「いや待って!そういえば何か出るかも……。」

アユミは何かを思い出したように、かばんの中を探し出した。

シン「えッ!なんかくれるの!?」

アユミ「あった!はいこれ!髪飾りだよ。ちょうど例の騒動が起こった当日に、このデパートでお土産として買ってたんだ!」

シン「おう!ありがとう!えーっと……オレ付けれるかな?ほらオレあんまり髪長くないからさ……。」
 ▼ 274 ルトン@テラピースくさ 25/03/09 09:35:23 ID:GDe2WsBw [29/36] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
シンは貰った髪飾りを自分に付けようと悪戦苦闘している。それを見たアユミは笑いで身を震わせながらこう指摘した。

アユミ「ちょっと……シン君……それポケモンにつける用……!」

シン「あッ!そっかぁ!」

アユミ・シン「あっはははは!」

こうして何かおかしなことがあって、人と心から笑い合うのは、アユミにとっては随分久々のことだった。
 ▼ 275 トリンダー@ズアのみ 25/03/09 09:35:57 ID:GDe2WsBw [30/36] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
シンは貰った白い髪飾りを、今度こそライチュウに付けた。

アユミ「うん!可愛い!似合ってると思うよ!」

ライチュウ「ライラーイ!」

ライチュウは身につけられた髪飾りを気に入っている様子だ。

シン「ああ!ライチュウも喜んでるみたいだし、プレゼントありがとな!」
 ▼ 276 ククラゲ@なまハム 25/03/09 09:36:32 ID:GDe2WsBw [31/36] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
アユミ「これね。相棒にも色違いで同じ髪飾り買ってるんだー!いいでしょ?」

イーブイ「ぶいおー!」

イーブイは付けられた赤い髪飾りがよく見えるような仕草をとって、えっへんといった表情を作った。

シン「おう!そりゃいいな!」

アユミ「……それだけ?」

シン「えっ?…………あッ!お腹冷えた!ごめん!ちょっとトイレ!」

シンはサイコソーダの飲み過ぎで、冷えたお腹を押さえて大急ぎで走っていった。
 ▼ 277 ガデンリュウ@カセキのクビナガ 25/03/09 09:37:31 ID:GDe2WsBw [32/36] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
アユミ「もう……。時間出来たしレポート書こうかな。」

☆月C日
今日はウィルスの影響でずっと閉まってたタマムシデパートが営業再開したから、お買いものの日!

ママはあんなことがあった後だからタマムシにいくのを心配してたけど、どんな困難も乗り越えてきたから大丈夫!って説得したら、「気をつけてね。いってらっしゃい!」って送り出してくれた!

今日はシン君とも一緒にお買いものに来てる!
あれからずっと渡せていなかった髪飾りを渡したけど、自分に付けようとした時は思わず笑っちゃった!
……それにしても、お揃い買ったって言ったのにあんなに反応薄いことある?まったくもう……。
 ▼ 278 ノクサ@はっかのみ 25/03/09 09:38:13 ID:GDe2WsBw [33/36] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
シン「ごめんごめん!今日流石に人多くて大変だった!」

アユミ「わーっ!」

アユミは書いていたレポートを背中の後ろに隠した。

アユミ「……中身見てないよね?」

シン「え? 全然見てないぞ?」

アユミ「ふう……ごめんもうちょっとだけ書かせて。」

アユミはシンに見えない角度でレポートの続きを書き始めた。
 ▼ 279 ッコウガ@たんちき 25/03/09 09:39:40 ID:GDe2WsBw [34/36] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ロケットウィルスはわたしが一番幸せを感じている時から叩き落とすために作られたみたいだけど、生憎今こうしてわたしは色んな人に支えられて生き残っている。

もうその研究員相手に出来ることはないけれど、チャンピオンになった時よりもこの先で幸せな思い出を作ることが一番の仕返しになるんじゃないかな。

この平和がいつまでも続きますように!

アユミは レポートに しっかり かきのこした!


アユミ「待たせてごめんね!それじゃ行こっか!」

「アユミちゃんぱんでみっく!」END
 ▼ 280 ヤップ@ニビあられ 25/03/09 10:06:20 ID:aN0YwKzk NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
おつ
名作だな
 ▼ 281 イナン@あおのはなびら 25/03/09 10:11:50 ID:6HPgw/2E NGネーム登録 NGID登録 報告
今年のSS大賞筆頭候補
 ▼ 282 ディアン@しんせんクリーム 25/03/09 10:32:49 ID:Jx.UANfg [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
乙乙
 ▼ 283 マシュン@わざマシンケース 25/03/09 10:37:55 ID:GDe2WsBw [35/36] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
少し後書き

着想は過去レスに全く同じようなこと書いてる人がいて驚いたんだけど、BBSでアユミちゃん…wって言ってるやつがゾンビみたいだなって思った所から。

その後アユミのSSが少ないってスレを見て、アユミがゴーストタウンから逃げ出す話とかいいんじゃない?って言ったら面白そうって反応があったから話を膨らませた。

でも長くなりそうだからこれ完結できるのかって自信がなかったけどスレ立てた頃にコロナに感染して何かまとまった時間が出来たからどうにか書けた。多分その時の憂鬱な気分が話に反映されたんだと思う。
 ▼ 284 ラナクシ@アグノムのきば 25/03/09 10:40:23 ID:GDe2WsBw [36/36] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
自分が今まで書いたSSの中では一番支援レスがついて大層励みになりました。ありがとうございます。

またの機会があったら次はもう少しバカな話か明るい話を書きたいです。
 ▼ 285 ガラグラージ@ずぶといミント 25/03/09 10:41:01 ID:Jx.UANfg [2/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

まあ確かに無限にアユミちゃん…wしてるしな
 ▼ 286 ライドン@まぼろしモモン 25/03/09 14:08:10 ID:wQ2IJvz2 NGネーム登録 NGID登録 報告
気軽にアユミちゃん…w出来なくなるかと思ったけど最後のろけからアユミちゃん…wになった
 ▼ 287 マケロ@おくびょうミント 25/03/10 12:16:12 ID:FGFUSRkg NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
途中おかしくなったけどアユミが歳の割にしっかりしすぎてる
と思ったけどマスのアユミってなんか賢そうなんだよな
 ▼ 288 ノココ@かいでんのタネ 25/03/11 18:09:42 ID:e4Nc9bY6 NGネーム登録 NGID登録 報告
自分以外の全員から自分の名前呼ばれるだけでも普通に気が狂う
 ▼ 289 ロバー@おまもりこばん 25/03/16 15:43:18 ID:HJnQI0uc NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

おもろかった
 ▼ 290 ランブル@けむりだま 25/03/16 15:52:28 ID:vwFQViKc NGネーム登録 NGID登録 報告
>>289
予想通り
 ▼ 291 インディ@たんけんセット 25/03/16 16:06:45 ID:ELQ6kRgs NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
ダブルミーニングでシンが強い女
 ▼ 292 レキブル@ポフィンケース 25/03/17 14:01:21 ID:r3VsfUY2 NGネーム登録 NGID登録 報告
アユミちゃんに曇らせは結構合うらしい
 ▼ 293 ッキング@きよめのおこう 25/03/21 12:46:49 ID:dXOkOu9w NGネーム登録 NGID登録 報告
アユミちゃん…;;
  ▲  |  全表示293   | << 前100 | 次  |  履歴   |   スレを履歴ページに追加  | 個人設定 |  ▲      
                  スレ一覧                  
荒らしや削除されたレスには反応しないでください。
書込エラーが毎回起きる方はこちらからID発行申請をお願いします。(リンク先は初回訪問云々ありますがこの部分は無視して下さい)

. 書き込み前に、利用規約を確認して下さい。
レス番のリンクをクリックで返信が出来ます。
その他にも色々な機能があるので詳しくは、掲示板の機能を確認して下さい。
荒らしや煽りはスルーして下さい。荒らしに反応している人も荒らし同様対処します。




面白いスレはネタ投稿お願いします!
(消えた画像の復旧依頼は、問い合わせフォームからお願いします。)
スレ名とURLをコピー(クリックした時点でコピーされます。)
新着レス▼