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【ss】「マノンにフラれたんだって?」

 ▼ 1 オガエン@ソクノのみ 25/12/24 15:44:59 ID:.cZYN/.2 [1/18] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「あぁ、まあ」

俺とのバトルで勝利を収めた後、彼はそう問いかけてきた。



◆◇◆
 ▼ 2 ◆mLJ5dMN69s 25/12/24 15:47:35 ID:.cZYN/.2 [2/18] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
やっべ……流石に直球すぎたか……

俺から質問を受けたアランは、曖昧に頷いた。しかし、これでもかというほど彼から負のオーラを感じる。

だけど今更この質問をなかったことに出来ない。

「バトルしてる時から、おかしいなとは思ってたんだ」


俺はサトシ、今年で十五歳だ。

知ってる人は知っているかもしれないけれど、俺はポケモンマスターを目指して修行中なんだ。ポケモンマスターっていうのは、全てのポケモンと友達になることを表す――少なくとも俺の中では、このような定義になっている。

そして俺の隣に座っているのは、アランだ。俺より年上だけどタメ口をきいている。勿論許可はもらってるさ。

彼も旅をしているんだけど、俺はその旅の目的を知らない――いや、少し語弊があるな。実を言えば知っている。アランはプラターヌという博士の助手で、その博士の研究の手伝いのために旅をしているんだ。

だけど、それは表面的なものに過ぎない。俺が知らないのは、アランの気持ちの面での理由なんだ。モチベーション、ってヤツか。

全く見当がつかない訳でもない。なんとなくだけど、それはマノンに関係している気がする。
 ▼ 3 ◆mLJ5dMN69s 25/12/24 15:49:42 ID:.cZYN/.2 [3/18] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


「おかしかったか?」

彼は顔を顰めた。俺はアランのことを誰よりも知っているなんて言える立場ではないけれど、彼自身にも心当たりがあるから顔を顰めたんだということは分かる。

「ああ、例えば……指示を出す時、ちょっと反応が遅れてた気がする。バトル中でもふと右側の方を見たりするし、リザードンもなんとなく吹っ切れてないような………」

「ぴかっ」

俺の相棒、ピカチュウも俺の肩で頷いた。

「はあ……そんなに分かりやすかったか」

「りざ…」

アランは《キズぐすり》という名のスプレーをリザードンに吹きかけた――ん、あの色は《すごいキズぐすり》かな? まあ良いか。

「観察眼が鋭いんだな、サトシは」

「ありがとう」

「ぴぃ♪」

「……マノンのことが、気になってるんだよな」

「………否定したら?」

「だったら、アランの悩みがそれ以外のなんなのか聞かせてくれ。言うまで帰さない」

「…………あくまで可能性の話だ。…その通りだ」

「だよな……」

自分でも、辛い話をさせているとは思う。

だってフラれたのが、えっと……一週間前……くらいだもんな。立ち直れていた方が凄い。

そして二人は、その日から別々に旅をしている――気まずかったのだろう。

「というか、なんでその話を知っているんだ」

「あっ、悪い。言ってなかったな」

勿論俺がそのことを知っているのには理由がある。
 ▼ 4 シアン@202ごうしつのカギ 25/12/24 15:55:33 ID:jrcwkZcQ [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ほう
支援
 ▼ 5 ◆mLJ5dMN69s 25/12/24 18:13:19 ID:.cZYN/.2 [4/18] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


三日前だ。

三日前、俺はセレナと会った。セレナというのは、俺がカロス地方で旅を共にした女性のことだ。他にはシトロン、ユリーカ、ポケモン達が一緒だった。……って、アランはこのこと知ってるよな。

え、なんで会ったか? 会うのに理由なんているか、いらないだろ?

嘘ウソ。そんな恋人同士みたいなこと言わないぜ。

セレナから誘いがあったんだ。今日の昼に、メイスイタウンの川沿いで会えませんか――ってな。そりゃかつての旅仲間だし、連絡先くらい交換してるさ。

だけど、会ったのは随分と久しぶりだったなぁ……綺麗だったよ。

い、いやっ、川……川の話だって!


「もしかして、そのセレナから聞いたのか……?」

「ああ、実はそうなんだよ」


セレナは俺の姿を見て、パッと顔を輝かせた。

それから少しは、自分の近況をお互いに話してた。でも、不意にセレナは真剣な表情をして――かくかくメブキジカ。

まあ……要するに、マノンから聞いたらしいんだよ……アランに告白されたんだって。


「その結果が失敗だったこともか?」

「……うん」

「………セレナから聞いたということも話すなんて、正直なんだな」

「…セレナは悪くない」

「……彼女は、その話がしたくてサトシを呼んだのか」

「………いや、違う。セレナが一番言いたかったことは別にあった」

「じゃあ雑談の一部ってことか」

「りざ」

「…………」

「ぴか…」
 ▼ 6 ◆mLJ5dMN69s 25/12/24 18:15:08 ID:.cZYN/.2 [5/18] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「アラン。笑うつもりはないんだ。信じてくれ」

「言われなくても、分かっている」

「なら良いんだ。……俺、アランのことを、慰めたくって………」

「…りざ?」

リザードンがアランに目を向ける。

彼には本心を見せたらどうだ、そう問いかけるように。

「ごめん、迷惑かもしれない。でも俺っ、いても立っても居られなくて…………全く気持ちが分からない訳じゃないから」

途端にアランは俯く。

「……ありがとう。俺は…………」

「りざ…」

「よかったら、俺に話し相手を務めさせてくれませんか……?」

「…ああ」

アランは、そのポーカーフェイスを少しだけ和らげながら俺に視線を戻した。

「…でも、何を話せば良いんだ?」

「そうだなあ、うーん……あっ、そうだ。マノンのどんなところが好きなのか教えてくれ」

「え」

「りざ〜」

「……いや……こういうのは尋ねた人から言うものだろう」
 ▼ 7 ◆mLJ5dMN69s 25/12/24 18:16:24 ID:.cZYN/.2 [6/18] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「俺? 俺は……セレナの可愛いとことか、手先が器用なとことか、料理とお菓子作りが上手なとことか………」

「……え?」

「え?」

「ぴぃか〜」

途端に俺はハッとする。

待て! 今俺……!

「…サトシは、セレナが好き……なんだな」

「……//」

「ぴっかぁ♪」

「良いじゃないか」

「くぅ……だ、誰にも言ってなかったのに!///」

悔しさと恥ずかしさが四対六で混ざったような感情に俺はなる。

もぉう何してんだよ……

「あーでもホラ、次はアランの番だぜ!」

「……ん?」

「ん?」

「りぃざ〜」

「ぁっ……そう、だな」

「うんうん」

「えぇと…………マノンの、」

「マノンの?」

「笑顔が………好き……だ」

「へぇ……」

俯いて照れながらボソボソと呟くアランを見て、ギャップとはこのことだなぁと俺は思った。
 ▼ 8 ◆mLJ5dMN69s 25/12/24 18:17:31 ID:.cZYN/.2 [7/18] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「………それだけ、って言わないのか」

「え?」

「ぴぃ?」

「そりゃ言うわけないだろ。ホラ、何かの歌詞にもあったじゃん………“愛しぬけるポイントが一つありゃ”……良いんだよ。なっ」

「ぴか!」

「りざぁ!」

「愛しっ…………」

「ん? アラン? アラ〜ン」

俺とピカチュウはキョトンとして顔を見合わせる。アラン、どうしたんだ?

リザードンはといえば、困り顔をしながらアランの体を揺さぶった――
 ▼ 9 ◆mLJ5dMN69s 25/12/24 18:19:09 ID:.cZYN/.2 [8/18] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「ぁ……」

「おはようアラン」

「あれ、俺、どうして……」

「なんか急に返事しなくなったからビックリしたよ。大丈夫か?」

「…………大丈夫だ」

良かった、目を覚まして。

具合でも悪いのかな? でも顔色は特に悪くないし……そもそも具合悪くて失神するなんてザラにないもんな。

「……」

あ、でもやっぱり顔色悪いな。

「ホントに大丈夫か、アラン。元気がないみたいだけど」

「……さっきの夢が、な」

「不吉な夢でも見たのか?」

「ああ…」

そりゃ大変だ。うーん、元気付けるために呼んだ筈なのに、見てみろ。明らかにマイナスになってるぞ。

ど、どうしよう……。

ベンチに座りながら俺がアタフタしていると、アランが真剣な目をして話しかけてきた。

「明日、マノンに会おうと思う」

その眼は、静かで、だけどギラギラと野生ポケモンのような輝きを放っていた。

俺は返答に詰まる。しかし――アランに強い思いがあるのなら――

「頑張れよ」

止める訳、無いだろ。
 ▼ 10 ◆mLJ5dMN69s 25/12/24 21:14:53 ID:.cZYN/.2 [9/18] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告



◆◇◆



「…アラン」

「なんだ」

「…………」

さっきからずっと、マノンが話したそうにしている。

「…………」

「…どこ行くの?」

「……森だ」

「………?」


俺はアラン。年齢は、ご想像にお任せするとしよう。

隣で歩いている女子はマノン。彼女は、あの時から五年経った今でも可愛らしい緑の帽子を被っている。かくいう俺も、青いマフラーとフィンガーレスグローブを未だに身につけているのだが。

そしてマノンの危なっかしいところも健在である。足元への注意がおそろかなのか、いつでもどんなところでも転ぶ。それは言い過ぎか。言い換えると、一日に一回は転んでいる。


「ねぇアラン、こっちって確かヤグルマの森だよね?」

「知っているのか」

「うん。さっき看板に書いてあった」

「…………」

「…………」
 ▼ 11 ◆mLJ5dMN69s 25/12/24 21:15:24 ID:.cZYN/.2 [10/18] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
前より会話が弾まなくなっているのは、きっと気のせいではない。

だから、俺は言うしかない。



「……暗いね」

「ああ」

「………」

そのまま真っ直ぐ進んで着いた大樹の前に立ち、俺は足を止める。

「…アラン?」

訝しげにマノンが問う。

「…マノン」

浅く空気を吸い込む。


「あの告白は、無かったことにしてくれ」


「…………」



◆◇◆
 ▼ 12 ◆mLJ5dMN69s 25/12/24 21:17:24 ID:.cZYN/.2 [11/18] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
私が頷くと、アランは満足した風に――いや、それは違うね。どこか悲しげにしながら、必死に納得している風に――森を出ようと促した。


あっ、私はマノン。十五歳だよ。

私がこんなにアラン――あ、隣を歩いてる人のことね――の思いが手に取るように分かるのには、理由があるんだ。

まあ、簡単なことだよ。長くならないって。

それはね……、私とアランで五年一緒に旅をしてきたから。

私がずっとアランについていく形だったんだけどね。だってアラン、ものすっごくポケモンバトルが強いんだよ! 私のトレーナーとしての理想型だから、そうしたんだ。

でも、少し前に彼に告白をされた。

イヤじゃなかったよ。でもね…………昔アランが、


「マノン、危ない」

「えっ」

気づけば、私の進む先に小さな石があった。

「やだなあ、こんなので転ばないって!」

「そうか……?」

いくら私が転びやすいからって、私のこと舐めすぎだよ!

そんな思いを込めながら、左隣を歩くハリマロン、ハリさんに「ねー」と言う私。

だけど、賛同して欲しかったのに対してハリさんはジト目で私を見返した。

「りまぁ?」

「酷いよー、ハリさ…」

「マノンッ」

「わっ!?」

ずてーんっ。

擬音語で表したらそんな風になるくらいに、私は派手に転んでしまった。

「まったく……大丈夫か」

そう言ってアランは私に手を差し伸べてくれる。

「あ、ありがと」

アランが表向きは呆れている感じでも、本当はそんなことないのが私には分かる。

最初に会った時より、ずっとずっと優しさが感じられるもん。
 ▼ 13 ◆mLJ5dMN69s 25/12/24 21:18:41 ID:.cZYN/.2 [12/18] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「…そろそろスカイアローブリッジだ。高いところは平気だよな?」

「大丈夫だって! えっと……その橋を抜けたら、なにタウンに着くんだっけ……?」

「タウンではない、シティだ」

フッとアランが苦笑する。

「ヒウンシティ。アイスが有名な場所だ」

「あっ、そっか」

「ああ。アイスは好きか?」

「うん! 美味しいもん」

「……そうか」

「アランは?」

「ん……俺?」

「うん」

「そうだな……………」

「ふふ」

「…何を笑ってるんだ」

「アランが真面目に考えてるのが、面白かったから」

「りま!」

「あのなあ」

「それで? 好きなの?」

「……強いて言うならバニラだ」

「えっ?」

「それ以外はあまり……。甘いものは、少し食べる分には良いんだが、一人分も要らない」

「へえ……」

確かに、アランがチョコ味だとかイチゴ味だとかのアイスを食べているのは見たことないな。

また一つアランに詳しくなれた気がして、私は嬉しくなった。

「あっ、ここがスカイアローブリッジかぁ」

「そうみたいだな。……渡るか」
 ▼ 14 ◆mLJ5dMN69s 25/12/24 21:19:52 ID:.cZYN/.2 [13/18] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告




それから私たちは、ヒウンシティを回った。

モードストリートでヒウンアイスも食べたし、ロイヤルイッシュ号も見た。トリオのダンサーに会ったり、外からヒウンジムを眺めたりもした。


「なんか、濃い街だったね」

「だな」

「…もう夜だね」

「ああ。……明日ももう少し観光して、明後日から博士に頼まれたことを調査し始めるか」

「……」


…そうか。

アランは、本当に元の関係に戻るつもりなんだ。

元に戻るというか……あれを無かったことにする、って言った方が正しいのかな。

でも、本当にそれで良かったの?

告白を断ったのは私なのに、何故かそんな疑問が頭の中で渦を巻く。


「どうした、マノン?」

「っああ、大丈夫だよ。そうしよう」

「なら今日はここのポケモンセンターに泊まろう」

「うん」
 ▼ 15 ◆mLJ5dMN69s 25/12/24 21:21:58 ID:.cZYN/.2 [14/18] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「っはぁ、お風呂さっぱりしたぁ〜」

私はルンルンしながら部屋に戻る。そこではアランが胡座をかいて座っていた。

「あれ? アラン、もう戻ってたの?」

「ああ……いや、そんなことより」

アランは自身の濡れた髪など露ほども気にせず、不意に体育座りに姿勢を変えた。

「本当に俺と同じ部屋で良かったのか?」

「へ?」

ああ、まあ確かにアランがそう聞く理由は分かる。

ずっと一緒に旅をしてきた私たちだけど、泊まる部屋まで一緒だった訳じゃない。十歳とか十二歳くらいまでは気にならなかったけど、流石に思春期に入り始めると意識しちゃって……だから、私が十二歳になって少ししたあたりから別々の部屋で泊まるようになっていた。

じゃあ何で今日は一緒の部屋なのかというと、答えは単純明快――部屋が足りなかったから。

野宿する心の準備も無かったし、アランに無理言って同じ部屋で泊まることにしたんだよね。


「私は全然良いよ。寧ろアランは……」

「…………俺も平気だ」

まっ、そうか。ずっと一緒に旅してたもんね。

「…うん」

「………だけどな、マノン」

「…なに?」

「………………ベッドが一つしか無いんだよ」

「…………」

「…りま」

「俺……今日は床で寝る」

「えぇ!? そんなの悪いよ!」

ていうかアランの方が年上なのに、私が優先される側なの!? 女性だから!?

「それ以外に何の選択肢があるというんだ」

「え…………一緒に、寝」

「そんなことしたら親御さんから叱られるだろっ」

「うへぇ」

「俺はもう成人しているんだからな」

そう言ってアランはそっぽを向いてしまった。
 ▼ 16 ◆mLJ5dMN69s 25/12/24 21:22:59 ID:.cZYN/.2 [15/18] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
そんなに怒ることあるかな? そりゃ、私だって男女が同じ布団で寝るのは不味いって分かってるけど……男性の方が年上だと尚更ね。

「でも、アランは変なことしないって知ってるもん」

「変なこと……?」

「私の身体に悪戯するとか」

「ばっ……」

「大丈夫、疑ってないから」

「……それでもダメだ」

「アランが床で寝るなら私も床で寝るから!」

「えっ」

「りま!?」

「だがマノン、」

「はいはい異論は認めません! ハリさんもね! アランは私と一緒にベッドで寝るの、オーケー?」

「………//」

「りま〜…」
 ▼ 17 ◆mLJ5dMN69s 25/12/24 21:23:52 ID:.cZYN/.2 [16/18] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告



という訳で迎えた夜。

「じゃあアラン、お隣失礼…」

「……言い始めたのはお前だからな……俺が変なことしても知らないぞ……//」

「アラン………信じてるよ?」

「ああ……」

「ハリさん、モンスターボールに戻って」

「りまぁ!?」

激しくショックを受けた様子のハリさんに、私は「ごめんね」と謝る。

「布団に入ってると落ちるかもしれないし、かと言って外にいると寒いでしょ? だから……」

「……りま」

ハリさんは大人しくボールに戻ってくれた。

「……おやすみ、アラン」

「…………ああ」

アランはクルッと私に背を向ける。

私も、同じくアランに背を向けた。

お互いの背中が触れ合う。

心地よい暖かさ――そんな中で、私の意識は徐々に薄れていった――
 ▼ 18 ◆mLJ5dMN69s 25/12/24 21:25:18 ID:.cZYN/.2 [17/18] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告



「………ん?」

目を覚ますと、何故か私はアランに抱きつく格好になっていた。

「ぅわあああ!? 何これ! アランの仕業!?」

「俺じゃない!!」

「ゎあ起きてたの!? 気づいてたなら早く言ってよ!?」

「いや……起こせなかった」

「なんでー!?」

「……静かに寝ていたから……」

「………//」

その一言で、私は今朝見ていた夢を思い出す――なかなか良い夢だった。

アランの胸の中で素敵な夢が見られたなんて……嬉しいような辛いような複雑な気分である。

「っていうか、ごめんね……」

「……気にしなくて良い」

「うん……」
 ▼ 19 ◆mLJ5dMN69s 25/12/24 21:26:07 ID:.cZYN/.2 [18/18] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告



気を取り直して朝食を頂いた私たちは、八時頃にはすっかり出発の準備が整っていた。

「アラン、今日はどこに行くの?」

「……お楽しみだ」

「りぃま!」



◆◇◆
 ▼ 20 ヲハウハネ@ポケモンずかん 25/12/24 22:24:33 ID:jrcwkZcQ [2/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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 ▼ 21 マゲロゲ@メガグローブ 25/12/24 22:40:01 ID:MdyE6Big NGネーム登録 NGID登録 報告
ウヒョ〜〜〜支援
 ▼ 22 ◆mLJ5dMN69s 25/12/25 17:11:33 ID:RC1olYP2 [1/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告



「アラン、今頃上手くやってるかなぁ」

マノンと仲直り出来ていると良いけど。

「不器用なところもあるみたいだし……ちょっと心配だ……」

「ぴぃか」

――その時、俺のスマホロトムに着信が入った――



◆◇◆
 ▼ 23 ◆mLJ5dMN69s 25/12/25 17:12:55 ID:RC1olYP2 [2/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告



「ここどこ? なんかキラキラしてる」

「特にどこも輝いてはいないが」

「見た目じゃなくて……雰囲気がね」

「りまっ」

私たちは、四番道路を越えて………えと……

「っていうかアラン、ここどこ? って質問に答えてくれてないじゃん」

「ああ、そうだな。ここはライモンシティだ」

「らいもん……?」

「遊園地がある」

「遊園地かあ。いいね」

「りま」

「……取り敢えずポケモンセンターに行くか」

「うん」



という訳でポケモンセンターに入り、私たちはジョーイさんにポケモンを預けた。

「ふう……疲れたね、アラン」

「…………」

私とアランは、疲れを癒すためソファに腰掛ける。

わぁ、ふかふか〜〜。

「……歩くペース、早かったか」

「…え?」

「早かったかと聞いているんだ」

「あぁ……ううん。大丈夫だよ」

「そうか……」

そう言ってアランはどこか別の方を向いた。

…ホント、最初に会った時と全然違うなぁ。

前は、ここまで私たちのことを気にしてくれなかったのに。いつの間にか、彼は隣を歩いてくれるようになった。
 ▼ 24 ◆mLJ5dMN69s 25/12/25 17:13:49 ID:RC1olYP2 [3/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


アランにとっての私の存在価値が変わったのだろう。

私にも同じことが言える。

最初は、今思えばアランに対しての憧れとか、メガシンカしてみたいという気持ちだけで旅をしていた。

でも今は違う。更にプラスされたものがあるの。

それは――アランのことをもっと知りたい、という気持ち。

なんでなのかは自分でも分からないけど、自然といつもそう思ってるんだ。それに、心なしか前よりアランを大切に思ってる気もする――。
 ▼ 25 リゴン2@まぼろしモモン 25/12/25 18:15:33 ID:cAhw6yAw NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
シエンネ
 ▼ 26 ◆mLJ5dMN69s 25/12/25 21:23:27 ID:RC1olYP2 [4/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


「ん、アンタのことどっかで見たことあるなぁ」

突然、アランに、私と同じ十五歳くらいの男の子が話しかけた。

なんか訛ってるなと私が思っていると、彼はパンと手を叩いた。

「せや、カロスリーグや!」

やっぱ訛ってると確信する私の横で、アランはクールにこう返す。

「それがどうした」

「アンタのメガリザードンX、凄かったよなぁ」

「……ありがとう」

リザードンを褒められて嬉しかったのか、彼は口元を綻ばせた。

「そういやマスターズエイトにも君臨してたよな」

「っ……」

「ん、黒歴史だったんか?」

ふっと表情を翳らせるアランを見て、関西弁の彼は申し訳なさそうに頬を掻いた。

そういえば確か、アランがダンデさんと戦ったあと私が泣いてたのを博士から聞いて、すぐにマスターズエイトの称号を捨てちゃったんだっけ。理由を聞いても教えてくれないから、謎のままで終わってたな。

なんか悪いことでもあったのかな?

「あぁそうや、名前言うの忘れとったな。俺はゴールドや」

「……知っていると思うが、俺はアランだ」

「お察しの通り知っとる。で、そっちの彼女はガールフレンドなんか? 名前は?」

「ガールフレンドではないっ」

「わっ、私はマノンです」

わーわーわー、まだ一週間とちょっとしか経ってないのにそんなこと言っちゃダメだってゴールドさん……。
 ▼ 27 ◆mLJ5dMN69s 25/12/25 21:24:55 ID:RC1olYP2 [5/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「マノン……やな。タメ口でええよ、年近いやろうし」

「うん、分かった」

「マノンの相棒って誰なんや? あ、俺はチャオブーやで」

「チャオブー……?」

「あぁー、知らんか。今ジョーイさんに預けとるし見せられへんな」

「うーん、残念」

「それでパートナーは?」

「えっとね、ハリマロンのハリさん! カロスで一番しっかり者なの」

「おぉ、それは凄いな。ハリマロンなら俺も知っとるで」

「そうなんだ!」

「マノンなかなか良い服着とるやん」

「あっ、この服お気に入りなんだー。分かってくれる?」

「おう。なんとなく、ハリマロンと似とるよなぁ」

「うん。気に入ってる理由はそれもあるんだ」

「俺の服もええやろ? 赤と黄色――」

「それしか用がないのか」

「…え?」

不意に私たちの会話をアランが遮った。

「なんやなんや、ガールフレンドやないのにそんな気になるんか?」

「それしか用がないのかと聞いているんだ」

「まーまー、そんな怒らんといて。心配せんでも、俺はマノンを取るつもりあらへんよ」

「………………」

「……マノン。アランって、怒ると怖いやろ」

「うん」

「あのな」
 ▼ 28 ◆mLJ5dMN69s 25/12/25 21:25:56 ID:RC1olYP2 [6/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「分かった分かった、邪魔して悪かったな。また会うたらポケモンバトルしようぜ」

「考えておく」

「……あ、そうや」

不意にゴールドは何かを思い出した様子で、アランに近づいた。そして先ほどまでのヘラヘラした笑顔が一ミリも残っていない真剣な表情で、アランに何かを囁いた。

それから顔を離し、パッと笑顔になって手を振った。

「ほな!」

「ぁっ……またね!」

「…………」
 ▼ 29 ◆mLJ5dMN69s 25/12/25 21:26:38 ID:RC1olYP2 [7/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告




それから私とアランは預けたポケモンを受け取り、外に出た。

私はふとアランに問いかけてみる。

「なんでゴールドに怒ってたの?」

ゴールドが最後にアランに言った言葉も気になるけれど、なんとなく干渉してはいけない気がしたので聞かないことにする。

「怒ってない」

「だとしても、会話遮ったよね。なんで?」

「お前には関係ない」

「……」

はぐらかされたけど、いくら鈍感な私でもこれは分かった。

嫉妬だよね……アラン。
 ▼ 30 ◆mLJ5dMN69s 25/12/25 21:27:53 ID:RC1olYP2 [8/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告




「……こっちには何があるんだろ」

「りま?」

「待て、マノン。そっちにはポケモンバトル施設しかない。遊園地はこっちだ」

「えっ? アラン、行かなくて良いの」

「俺は良い」

「でもアラン、最強のメガシンカ使いになるって夢持ってなかったっけ……」

「今日は観光だ、こんな日までバトルをしていたらマノンに悪い」

「……うん」

そっか……なんとなくポケモンバトルしてるアランも見たかったけど、まぁいっか。明日にでも見れるだろうし。



「わー、すごーい!」

私は思わず笑顔になった。

私の目の前には、ポケモンのバルーン! 観覧車! ジェットコースターにコーヒーカップ、ちょっとホラーなお化け屋敷も見える。

アランの方を見てみると、彼も私を見て笑っていた。

「ふふ……まずはお化け屋敷、行ってみよー!」

「りぃまぁ!」

「ほら、アランも!」

「…えっ、うわっ」

私がアランの手を引っ張ると、アランは眉を上げて驚いたようだった。普段冷静なアランだから、彼のそんな表情を見れて少し嬉しい自分がいる。――してやったり!

「おい、大丈夫――」

「どんくらい怖いのかなー!」
 ▼ 31 ◆mLJ5dMN69s 25/12/25 21:29:00 ID:RC1olYP2 [9/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告




「ぅわああ!!」

「ちょ……っ」

「りま…」

怖くてアランの腕に掴まる私を見て、ハリさんはため息をついた。呆れてるみたい。

……あ、確か前もこうだったっけ……。

威勢というか強がりだけは良いんだけど、私怖いものが苦手なんだよねー……。前にアランとハリさんと、とある怖〜い家に行った時も、ポルターガイストとかお爺さんの話とかにビビり倒してたような。

だけど、多分怖いもの見たさみたいな気持ちがあるから来ちゃったんだろうな。そんなことを再確認して、私もハァとため息をつく。それから前に視線を戻すと――

なんと私の目と鼻の先にオニゴーリの顔が、って「うわぁぁぁぁ!!?」

「おいマノン、くっつきすぎだ」

「うぅ……べっ別に怖くないもん」

「誰もそんなこと聞いていない。兎に角ここから早く出るんだ」

「りまぁ」

「そ、そうだね……。ごめんね、アラン」

「? なんで俺に…」

「だって、お金払ってもらったのに…………」

「だが、来たかったんだろう? 俺のことは気にするな。今日はマノンの行きたいところに行こう」

「……! うん、ありがとう」
 ▼ 32 ◆mLJ5dMN69s 25/12/25 21:30:03 ID:RC1olYP2 [10/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


なんだか久々にアランの優しさを見たかも。

前までも優しかったのかもしれないけど、ツンツンすぎて伝わってなかったよ、少なくとも私には。

……いつもポケモンバトルばっかしてるから、申し訳ないと思ったのかな。

でもね、アラン。

私、バトルしてるアランも好きだよ。


「ってうわぁぁぁ! ……ボスゴドラのお面だ」

「……早く行くぞ」

「ま、待ってぇぇ」



そんな訳で私は終始アランにしがみつきながらも、なんとかゴールに辿り着いた。やった!

「はぁ〜、ありがとう、アラン。助かったよ〜」

「俺は何もしていないが」

「りまろ」
 ▼ 33 ◆mLJ5dMN69s 25/12/25 21:30:44 ID:RC1olYP2 [11/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告



「次はあっち行こうっ」

そう言ってはしゃぐ私だけど、あれっ体のバランスが――

「え”っ」

「マノン!」

「りま!」

ギュッと目を瞑る。だけど、想定していたような痛みは襲ってこない……不思議に思って目を開けると、右隣にアランがいた。

そこで私は気づく。彼の左手は私の右手を握り、彼の右手は私の前を抱くような格好で左の腰まで回されていた。そしてお腹の辺りが ツル で持ち上げられているような感覚もする。

「あっ……ありがとう、アラン、ハリさん」

「ふぅ……」

「りま!」

あー私、どうしてこんな転ぶんだろう。誰か教えてくれないかなぁ。

でも、そんな私を助けてくれる仲間がいる。

それって凄く嬉しいことだな。
 ▼ 34 ◆mLJ5dMN69s 25/12/25 21:31:34 ID:RC1olYP2 [12/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


「…コーヒーカップか」

「うん! 三半規管の強さには自信あるから」

私は胸を張った。それを見てアランは微笑んだ。

「よし、じゃあ行くか」

すると受付の人にストップをかけられる。

「すみません、ポケモンさんは危ないのでボールに戻して頂くようにお願いしているんです」

「あ、はーい。ハリさん、あとでまた出すね」

「りま!」

暫しの別れを告げて、私たちはついにそのカップに乗り込んだ。



◆◇◆
 ▼ 35 ◆mLJ5dMN69s 25/12/25 21:34:11 ID:RC1olYP2 [13/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
……

支援thanks カメックス!
また明日マクノシタ

……
 ▼ 36 イネイヌ@ウタンのみ 25/12/26 17:22:14 ID:yWBkhHTI NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
しえん
 ▼ 37 ◆mLJ5dMN69s 25/12/26 21:30:35 ID:eCSAlLTg [1/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告



「この辺りか……?」

「ぴか」

俺は、お祭り真っ最中のヒヨクシティに来ていた。

お祭りといってもただのお祭りではない。それは、ヒヨクシティの大木兼誓いの樹に関係する、ポケモンと人の絆が深まる祭りだ。

俺たちは前にもその祭りに参加したことがある。シトロンとユリーカ、そしてセレナと一緒に。

それで今日俺はどうしてここに来たかというと、セレナに呼ばれたからである。確か、あれはアランと別れた少しあとだった。
 ▼ 38 ◆mLJ5dMN69s 25/12/26 21:31:50 ID:eCSAlLTg [2/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


……とその時、突然背後から声がした。

「サトシ、来てくれてありがとう」

言うまでもない、セレナの声だ。

「セレナ……」

「アランにはもう会った?」

「ああ、勿論」


――実は、アランに会ってほしいと言い出したのはセレナなんだ。

前にアランに言ったけど、マノンが告白を断った――つまりアランがフラれたというのはセレナから聞いた。

だけど、その話は単なる雑談の一端という訳で口にされたんじゃないんだ。

では何だったのかというと、単純に前説。実は本題は、「このまま放っておけないから、アランに会ってくれないかな」という内容だったのだ。
 ▼ 39 ◆mLJ5dMN69s 25/12/26 21:32:43 ID:eCSAlLTg [3/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


サトシ、貴方なら、アランに良い影響を与えられると思うから――そんな信頼に満ちた言葉が、俺の脳内で再生された。

「マノンに会いに行くって言ってたぜ。今頃はもう会ってるんじゃないかな」

「そうなんだ! サトシに頼んで良かったぁ」

そう言いながら、セレナは ふふっ と笑う。俺の顔も思わず綻んだ。

「………あのね、サトシ。今日は別に言いたいことがあってきたんだ」

「ん? なんだ?」

セレナの表情が一気に真剣味を帯びる。ピカチュウは何かを察したらしく、俺の右肩から飛び降りた。

「この前久しぶりに会って、やっぱり思ったの。私、貴方のことが――」

俺は続く言葉に目を見開いた。

必死に言葉を紡ぐセレナの後ろで、それはそれは大きな樹に、光が灯った――



◆◇◆
 ▼ 40 ◆mLJ5dMN69s 25/12/26 21:34:12 ID:eCSAlLTg [4/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告



そして日が大きく傾いてきた頃。

「マノン、他に行きたいところは無いか」

「あと一つだけ……あるよ」

「ん? どこだ?」

「あれ!」

「りろ?」

俺とハリマロンがマノンの指差す方を見ると、そこには大きな観覧車がそびえていた。

「ああ、確かに行ってないな」

「うん、行こう! 早く早く」

「わっ」

俺はマノンに手を引かれる。


今日だけで、何度引かれただろう。

数が分からないほど手を握られた。

まあ前から兄妹のような関係だったし、今更恥ずかしくなったりする訳でもない。

ただ、普通に旅をしているとマノンに急かされることが少ない。俺が前に立つか、隣で歩くことが多いからだ。

だから今日は、マノンが歩いていて楽しいところに来れたということだろう。素直に良かったなと思う。
 ▼ 41 ◆mLJ5dMN69s 25/12/26 21:35:08 ID:eCSAlLTg [5/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


そんなことをぼんやりと考えていると、いつの間にか観覧車乗り場まで来ていた。

「わー、ちょっと並んでるね。でも待ってれば、すぐ順番は来そう」

「りま」


そうして順番待ちをしている間も、俺の思考は別のところへ飛んでいく。

『頑張れよ』

――サトシのあの言葉。

ずっとなにかが引っかかっていたけれど、俺の解釈違いが原因だったんだ。あれって、「仲直りすることを」頑張れよって。そういう意味だったんだと、ようやく気づいた。

それなのにあの時の俺はどうだ。

告白を無かったことにした。

それって、逃げなんじゃないのか。仲直りしたつもりでも、本当は出来ていないんじゃないのか。

マノンだって、ずっと気になっているだろう。こんな中途半端な終わらせ方をして、本当に仲直りしたと言えるのか?

『素直になれよ』

ふとプラターヌ博士のそんな言葉も思い出す。

――砕けるくらいなら本気で砕けた方が良いに決まっている――
 ▼ 42 ◆mLJ5dMN69s 25/12/26 21:37:58 ID:eCSAlLTg [6/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


「あっアラン、次だよ。ほらほらっ」

「ああ。行くか……ん? ハリマロンはどうした」

「あぁ、それはね、この観覧車にポケモンを直に乗せちゃいけないって決まりがあるからだよ。
なんでも、大きいポケモンはサイズ的にボールから出して乗せちゃいけないのに、小さいポケモンは出して乗せていいっていうのが、理不尽じゃないかって昔お客さんに言われたらしいの」

「……そうなのか」

「二人っきりだね」

「ああ」


俺たちの目の前に、ゴンドラがゆっくりと降りてくる。

「……はい、どうぞ」

従業員にそう言われ、マノンがゴンドラにヒョイと乗った。俺も続いてそれに乗る。

マノンが入り口から左手側に座っていたので、俺は右手側に腰掛けた。

「そういえばさー、ゴンドラって文字をちょっと弄るとドラゴンになるよね。なんか関係あるのかな?」

「そうだな……確かに」

「……てっぺんからどんな景色が見えるのかな」

「…………」

「楽しみだね!」

「…ああ」


去り際に、ゴールドに囁かれたあの言葉――『このままでええんか。いついなくなるか分からへんのやで』

今、言うしか、ないのか。
 ▼ 43 エルオー@くろいろたまいし 25/12/27 18:11:15 ID:2vKsSxDs NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
シエンネ
 ▼ 44 ニータ@ローラースケート 25/12/28 13:03:06 ID:K3/M86Zo NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 45 ャモメ@オーキドのてがみ 25/12/29 16:29:11 ID:Yy5oIQCI NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 46 ギアル@なぞのかけらS 25/12/29 17:47:27 ID:Hkw.kvdI NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 47 ◆mLJ5dMN69s 25/12/29 21:37:48 ID:mf8Y7BEM [1/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


「こっちって、ホドモエシティじゃない? わぁ、すご〜い」

「………………マノン」

「ん、なに?」

自分の名前を呼ばれて、窓に向かっていた彼女は俺の方に振り向いた。キョトンとするマノンに、俺は、本音を伝えるべく すぅっ と息を吸い込む。

「今日一日を通して、改めて思った。俺はマノンの笑顔が好きだって」

「……え、」

「友達以上になれなくてもいい。俺は、マノンの……できる限り側に居たい。そしてその笑顔を守らせてほしい」

「…………うそ……」

「……なんだ」

「いや、こんなチャンスが、来るとは思わなくて」

「チャンス?」

マノンはどうしてか悲しそうにしながら続けた。

「告白を断った理由、ちゃんと伝えておかなきゃと思ってたの」

「ああ………」
 ▼ 48 ◆mLJ5dMN69s 25/12/29 21:40:11 ID:mf8Y7BEM [2/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
耳の痛い話になるかもしれないが、聞かなければ前に進めないだろう。そう思って、俺は握り拳に一層力を込めた。

「……あのね、前にさ、アランに言われたじゃん」

「…………?」

「結構昔だから覚えてないかもしれないんだけど……。『お前がいると強くなれないんだ』って」

「…………」

ああ、それか。自分自身もそれを言ったことをかなり後悔していたので、鮮明に覚えている。

「だからさ、私、アランのこと好きだし、ずっとその……一緒にいたいと思ってるけど、そんな私が側に居て良いのかなぁって思って………」

「………言い訳になるが」

「なに?」

「その言葉は、本心で言った訳ではないんだ。俺の近くにいると、お前を危険な目に遭わせてしまうから…………近くにいない方がいいと忠告したつもりで言ったんだ。だけど今は違う。俺はお前を守れるくらいには強くなったと自負している。だから……」

「……そうだったんだ。私、危険な目に遭ってもいいよ。それよりアランと一緒にいたい」

「本当か………」

「勿論。ウソで言うわけないでしょ!」


なんでか俺は泣きそうだった。

無意識のうちに、俺はそんなにマノンのことを想っていたのか。自分のことなのに、全く知らなかった。
 ▼ 49 ◆mLJ5dMN69s 25/12/29 21:42:02 ID:mf8Y7BEM [3/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


「ていうことは、私たち付き合ってるってことだよね。ねぇアラン、抱きしめていい?」

「ダメだ」

「えぇ……あっ分かった。泣きそうなんでしょ」

「違う」

「声が震えてるもん」

「……………」

「じゃーなんでダメなの? ……もういいよ、一生アランには抱きつかないから」

「ぅ……………それは」

「あはは、冗談ジョーダン」

「はぁ」

俺は安堵と呆れとでため息をついた。まったく、いっつも嘘なのか本気なのか分からないんだからな。
 ▼ 50 ◆mLJ5dMN69s 25/12/29 21:43:21 ID:mf8Y7BEM [4/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「あっ、見て見て。夕日だ」

「……綺麗だな」

「うん。丁度てっぺんの辺りだね、ラッキー♪」

「ああ……」

その夕日は、誰かを守れるほど強く、けれど今にも深い海に沈んでしまいそうな儚い光を放っていた。儚い、一瞬で握り潰されてしまうような強さは持ちたくないとふと思う。


「……そういえばさ、ホドモエシティってとあるヒーローがいるの、知ってる?」

「ん? 知らないが…」

「だよね……バカにしてるとかじゃなくてね。だってローカルヒーローだもん。
それで、その人は怪傑ア⭐︎ギルダーって言って――」


それからはマノンといろいろな世間話をした。

俺は相槌を打つことしか出来なかったが、マノンが活き活きと喋っていたのでこっちまで楽しくなった。ポケモンバトルとは違う感情だった。

別に甘々なカップルじゃなくたっていい。

俺たちには俺たちなりの付き合い方があるんだ。
 ▼ 51 ◆mLJ5dMN69s 25/12/29 21:44:04 ID:mf8Y7BEM [5/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告



「あー、楽しかった!」

マノンは、観覧車を振り返りながらそう言った。それから、ふと何かに気づく。

「そうだ、ハリさん! 出てきて」

「りろ!」

「…………」

「…じゃあ、ポケモンセンター行こっか」

「ああ」



そして、部屋が足りないなどのトラブルもなく、俺たちは一夜を過ごした――
 ▼ 52 ◆mLJ5dMN69s 25/12/29 21:45:02 ID:mf8Y7BEM [6/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告



「よーし、じゃあ行こっか」

「ああ。次はホドモエシティだな」

「……ふふっ」

「どうした」

「なんか、嬉しくて。……アランが私の彼氏だってことが!」

「っ………俺も……//」

「…………………………りろーーーー!!?」

え、ハリマロンに言ってなかったのか……?



◆◇◆
 ▼ 53 ルビアル@カットパイン 25/12/31 12:41:33 ID:YLTMTmJk [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 54 ◆mLJ5dMN69s 25/12/31 21:39:23 ID:SoOIN2BI [1/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告



「今日も疲れたー」

あぁ、ふかふかのソファ癒される〜。

「……あれ? カロスリーグのアランとその友達マノンやん。また会うたな」

「は?」

「あーっ、ゴールド!」

「よお、ゴールドやで〜」

……お分かりの通り、私たちは一日越しにゴールドと再会した。

そして私は、重大かつ細かい部分を訂正するべく立ち上がる。

「あのね、ゴールド。私、アランの《友達》じゃないよ」

「……えっ?」

「…………マノン」

アランに軽く制止されるけれど、私は怪訝そうな顔のゴールドに、堂々と言い放った。

「アランの《ガールフレンド》なの!」

「…………!」

「……//」

「あぁ、そうか……、やったやんアランっ」

「ま、まあ」
 ▼ 55 ◆mLJ5dMN69s 25/12/31 21:40:16 ID:SoOIN2BI [2/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「…………お幸せにな! ほな、また」

「えっ? もう行っちゃうの?」

「せや」

「……また会ったら、次はバトルだ。絶対な」

「…分かっとるって。じゃ」

「うん。またね」

「りまろー!」

疑問を抱きながらも、私はゴールドに別れを告げた。

彼の姿が見えなくなると、早速隣のアランに聞いてみる。

「どうしたんだろ? ゴールド」

「……アイツにもいろいろあるんだろう」

「………?」

結局、ますます疑問が深まるばかりだった。



◆◇◆
 ▼ 56 ◆mLJ5dMN69s 25/12/31 21:42:01 ID:SoOIN2BI [3/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告



ー 『えっ、ていうことは結局上手くいったんだな!』

「ああ」

ー 『良かったなー、アラン。……だけど、そう言う俺も実はそうなんだよな』

「…………え、まさかセレナと」

ー 『……ああ。へへっ』

「そうか。お幸せに………って、違うか」

ー 『え、違う?』

「俺がいるここはイッシュ地方だ。なら――


――ベストウィッシュ」









To Be Continued …
 ▼ 57 ◆mLJ5dMN69s 25/12/31 21:44:49 ID:SoOIN2BI [4/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
……

いいえ続きません

そんなことより、みなさん本当に支援ありがとうございました!感謝です
まだアラマノ好きな方いたんだなぁと思って嬉しかったです

ではまたどこかで
 ▼ 58 トカゲ@オドリドリのはね 25/12/31 22:11:16 ID:YLTMTmJk [2/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
良かったよ

 ▼ 59 オタチ@ルカリオナイトZ 25/12/31 23:08:02 ID:WWTMW5IM NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
今になって素敵なアラマノSSが読めるとは思わなかった
乙です
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