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SS

【SS】おたまノチかえる

 ▼ 1 石の森◆Y0TXrTESFs 16/06/22 20:01:45 ID:7nE1DQvo [1/31] NGネーム登録 NGID登録 報告
現在は6月。




──そう、梅雨の時期だ。
 ▼ 2 石の森◆Y0TXrTESFs 16/06/22 20:02:23 ID:7nE1DQvo [2/31] NGネーム登録 NGID登録 報告
──雨は、嫌いだ。


洗濯物は乾かないし、動きにくい長靴を履かないといけないし、蒸し暑いし、なにより。



…大好きな虫採りに、行けなくなるから。



え?

…ああ、ごめん。僕はむしとりしょうねん。

かっこいい角を持つヘラクロスも、せっせと蜜を集めに飛び回るミツハニーも、せわしく命を輝せるテッカニンも、皆大好きな、むしとりしょうねん。

多分布団に付いているダニだって、僕は殺せない。
ダニは虫なのかよくわかってないんだけど。


まぁ、僕が雨を嫌っている理由はこんな感じ。


…でもってだ。
またこの季節が来たかと、そう辟易していたんだ。



──だけど。
 ▼ 3 石の森◆Y0TXrTESFs 16/06/22 20:03:27 ID:7nE1DQvo [3/31] NGネーム登録 NGID登録 報告
《気象ニュースのお時間です。
現在、太平洋高気圧が例年より早めに発達し,梅雨前線を早期に北上させております。
そのため、今回の雨季は雨量がほとんど見られない空梅雨となるでしょう。》


──ポチッ。


僕は、リビングのテレビを消した。


むしとりしょうねん「なんだかなぁ。」


ふと、そんな言葉が自分の口から漏れた。


…例年の今頃なら。
学校の放課後、シトシトと降り注ぐ雨の中を、真っ黄色の傘を刺して帰路に着いている。

雨水が口に入るとなんだか酸っぱい。

ベチャッと気づいてみれば水溜まりに嵌まっていて、靴に雨水がじわじわと染み込んでいく。

目にも雨水が入り、視界がぼやける。

──そしてガツン。
電柱に顔を思いっきりぶつけてしまう。


前述の理由も含め、色々と雨には良い印象を持たない。
 ▼ 4 石の森◆Y0TXrTESFs 16/06/22 20:04:34 ID:7nE1DQvo [4/31] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
だから、雨の降らないこの現状を素直に喜ぶべき。

それが、普通のことなのに。


むしとりしょうねん「暇だし、行こうかな…。
虫採りにでも。」


あまり素直にはなれなかった。
なんだか、調子が狂った。


…………………………


──114道路


むしとりしょうねん「やったっ、捕まえたっ!
よし、ネットボールを投げて…。」


僕はいつも、網で虫ポケモンの動きを封じてからボールを投げる。

おこづかいが少ないからボールも少ししか買えないし、安物のボロボロの網を新調することもできない。


今日はツイていた。

前言撤回。僕の調子は絶好調だ。
 ▼ 5 16/06/22 20:05:30 ID:TYiHk0Gs [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援だミィ
 ▼ 6 ジロン@ゴツゴツメット 16/06/22 20:05:48 ID:8TrmoxQo NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
>>4
番抜けてね?

後支援
 ▼ 7 石の森◆Y0TXrTESFs 16/06/22 20:08:55 ID:7nE1DQvo [5/31] NGネーム登録 NGID登録 報告
スコルピ『キシャー…。』


この辺の草むらを忍んで歩かなければ現れないスコルピ。


やっと、捕まえることができた。


むしとりしょうねん「よしっ…。」


たくさんのボールを持ち、数多の虫ポケモンを(カネの力で)従え、自分のことを小馬鹿にしてくる、いけ好かない友人。

その友人を、少し見返すことができる。


むしとりしょうねん「やった、やった…。
早くアイツに見せつけないと。」


少年は幾許かの優越感に浸り、しばらく大の字の姿勢を取り、放心状態となっていた。


むしとりしょうねん「あー、汗かいた…シャワー浴びてもう寝ようか。
でも、寝れるかな〜…アハハハ…。」



──そんな矢先。
 ▼ 8 石の森◆Y0TXrTESFs 16/06/22 20:09:49 ID:7nE1DQvo [6/31] NGネーム登録 NGID登録 報告
むしとりしょうねん「…なんだ?」


彼は、とある光景を目撃した。


ハブネーク『『ハブ〜〜ッ!!』』


ニョロモ『ニョ…。』


少年「あ…。」


一匹のハブネークが、幼いニョロモを奇声を挙げ威嚇していたのだ。

ニョロモを今にも捕食せんばかりの勢いだ。


むしとりしょうねん「お、おいっ、や、やめろお前。
ス、スコルピ…アイツに攻撃だっ!!」

スコルピ『スコーッ!!』ガゴッ


ハブネーク『『ハャロォ…。』』


思いがけない攻撃に、ハブネークはよろけてしまう。
 ▼ 9 石の森◆Y0TXrTESFs 16/06/22 20:11:13 ID:7nE1DQvo [7/31] NGネーム登録 NGID登録 報告
むしとりしょうねん「す、凄いぞスコルピッ!!」


ハブネーク『『…グルルゥ…。』』ギロッ


むしとりしょうねん「え。
あ…ご、ごめんなさいっ!!ごめんなさいっ!!」


ハブネーク『『フシュー…。』』


──シュルル。


覚えてろといわんばかりの眼差しをこちらに向け、ハブネークは去って行った。


むしとりしょうねん(こ、怖かった…。)

…。

むしとりしょうねん「あ、そ、そうだ。
お前、大丈夫か?」

ニョロモ『ニョロ?』


ニョロモは、きょとんとしていた。
 ▼ 10 石の森◆Y0TXrTESFs 16/06/22 20:12:04 ID:7nE1DQvo [8/31] NGネーム登録 NGID登録 報告
むしとりしょうねん(野生のニョロモか…。
え…あれ?このニョロモ…僅かに…。
色が薄い…?)


彼は、ポケナビのブラウザ機能で確認した。


むしとりしょうねん(やっぱりだ、このニョロモ…。
色違いか。)


ニョロモ『ニョー。』ペチャッ

むしとりしょうねん「わあぁっ!?」


彼は、ビビった。


むしとりしょうねん「お…女みたいな声出してしまったじゃないか!
僕は虫は好きだけど、お前のような両生類は嫌いなんだ!!」

ニョロモ『ニョー…。』


むしとりしょうねん(コイツ…僕に懐いたのか?
親はどこなんだ?はぐれたのか?
いないのなら…仕方ないけど…。)
 ▼ 11 オスバメ@きよめのおこう 16/06/22 20:13:08 ID:ZKuJxIUE NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
要石の森ってどこかで見たことあるんだよな…
支援
 ▼ 12 ョロトノ@リュガのみ 16/06/22 20:16:19 ID:GB9lcR6Y NGネーム登録 NGID登録 報告
>>11
森さん厨
 ▼ 13 石の森◆Y0TXrTESFs 16/06/22 20:17:46 ID:7nE1DQvo [9/31] NGネーム登録 NGID登録 報告
捕まえるのも…。


むしとりしょうねん「…。」

ニョロモ『ニョ?』


むしとりしょうねん(いや、やっぱり…。)


むしとりしょうねん「ごめんな、お前。
僕はさっきボールを使ってしまったし、虫以外には興味がないんだ。」

ニョロモ『ニョー。』ジッ


ニョロモは、彼をじっと見つめる。


むしとりしょうねん「や、ホントにごめんな。
確かにお前は色違いで珍しいけど、そんなお前だから、きっと良いトレーナーが捕まえてくれるさ。
じゃあね、僕は帰ってシャワー浴びるから。」

ニョロモ『ニョ。』


こうして、彼は自宅へと帰って行った。
 ▼ 14 石の森◆Y0TXrTESFs 16/06/22 20:19:47 ID:7nE1DQvo [10/31] NGネーム登録 NGID登録 報告
〜数日後 少年の学校〜


「「やぁ、君。
なんだかほくそ笑んでるけど、どうかしたのかい?」」


少年に、例の友人…おぼっちゃまが話しかける。


むしとりしょうねん「いや、ちょっとさ。
レアモノ捕まえたんだ。」

おぼっちゃま「え、君が?
嘘つかないでくれ、君なんかにそんなの無理だよ。
じゃあ、そのレアモノってやつ見せてくれないか?」

むしとりしょうねん「え、あ、あぁ…。」

むしとりしょうねん(くそっ。
よりによって、スコルピを置いて来るなんて…。)


今回ばかりに悔やんだ忘れ物は、今までになかった。


むしとりしょうねん「今日は金曜で土日は休みだし…。
げ、月曜持って来るから!
ぜっ、絶対だからっ、本当だからなっ!!」

おぼっちゃま「まぁ、期待しないで待ってるよ。」
 ▼ 15 石の森◆Y0TXrTESFs 16/06/22 20:55:30 ID:hOeABL1A [1/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
──帰路

むしとりしょうねん(月曜も忘れたらどーしよ。)

「「ねーねー、待ってよー。」」

むしとりしょうねん「ん?」

少年に話しかけたのは、幼馴染のミニスカートだった。

ミニスカート「驚かないでー、アタシねー。
すっごく珍しくて可愛いポケモン捕まえたの!」

むしとりしょうねん「お前の『すっごく』は基準がよくわからない。」

ミニスカート「いや、すごいの!
今回は、ホントに、見て驚くからっ!!」ポンッ

彼女は、そのすごいポケモンをボールから出した。

むしとりしょうねん「わぁ、すごいね、めずらし…。
…めずら…し…。」



ニョロモ『ニョ。』



──あの、ニョロモであった。
 ▼ 16 石の森◆Y0TXrTESFs 16/06/22 20:58:23 ID:hOeABL1A [2/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
むしとりしょうねん(コイツかよ…。)

それは、二重の意味が含まれていた。

ミニスカート「どう?どう?
驚いた?ビックリした?」

むしとりしょうねん「…うん、色々と。」

ニョロモ『ニョー。』ペタッ

むしとりしょうねん「ひゃんっ!?」

ミニスカート「女の子みたいな声出したね。」

むしとりしょうねん「…前より甲高くなったみたいだ。」

…………………………

ミニスカート「へー、君とこの子に、そんな感動的なドラマティックが…。」

むしとりしょうねん「どこにも感動要素ないし、それにお前、大丈夫か?
飽きっぽいしだらしないしズボラだし面倒臭がりなお前にポケモンの世話なんて。」

ミニスカート「…私のこと、普段どんな目で見てるの?」

むしとりしょうねん「とにかくお前じゃ無理だ。
保って4日間。断言する。」

ミニスカート「なに言ってんの!
絶対それ以上、この子が死ぬまで面倒見るからっ!!」
 ▼ 17 石の森◆Y0TXrTESFs 16/06/22 21:00:21 ID:7nE1DQvo [11/31] NGネーム登録 NGID登録 報告
〜翌日 ミニスカートからの電話〜

ミニスカート《あのさ…。
でっかくなっちゃった…。》

むしとりしょうねん「マギー○司みたいに言うなよ。」

…………………………


──ミニスカートの家


ニョロゾ『ニョゾ。』


進化していた。


ミニスカート「ね。」

むしとりしょうねん「ね、じゃない。
お前、進化も知らなかったのか?」

ミニスカート「だって、こんなに大きくなるなんて思わなかったし…。
お母さんに怒られたの。
こんな大きいの、ウチじゃ世話できないって…。」

むしとりしょうねん「案の定、4日も保たなかったな。」

ミニスカート「でね…この子、なんだけど…。」
 ▼ 18 石の森◆Y0TXrTESFs 16/06/22 21:04:09 ID:7nE1DQvo [12/31] NGネーム登録 NGID登録 報告
むしとりしょうねん「逃がすのか?」

ミニスカート「…それは、できないんだって。」

むしとりしょうねん「?」

ミニスカート「ここまで大きくなったポケモンを野生に還しちゃったら、元々の生態系を壊してしまうんだって…。」

ニョロゾ『ニョ?』

むしとりしょうねん「…もしかして。」

ミニスカート「うん。
…ポケモン保健所に引き取ってもらって、殺処分してもらおうって考えてるの…。」

むしとりしょうねん「…。」

ミニスカート「私、バカだよね…。
色違いだからって、ちっちゃくて可愛いからって…。
それだけ考えて、捕まえて…挙句、殺すなんて…。」


彼女の瞳は、潤んでいた。


むしとりしょうねん(殺す、か…。
コイツ、殺されるのか…。)


ニョロゾ『ニョゾ?
ニョゾゾ?』
 ▼ 19 石の森◆Y0TXrTESFs 16/06/22 21:06:10 ID:7nE1DQvo [13/31] NGネーム登録 NGID登録 報告
むしとりしょうねん(というか、別に…。
それでいいんじゃね?)


僕にとってコイツは、ただ危機を一回救ってやっただけっていう。
それだけの、どうなってもいいポケモンなんだから。


むしとりしょうねん(生態系を壊すぐらいだったらさ、死んだほうがためにはなるんじゃ。)

ニョロゾ『ニョー。』ペチペチ

むしとりしょうねん「?」

ニョロゾは、少年の脚をペチペチと叩いた。

ミニスカート(この子…。)

むしとりしょうねん(じゃれてるだけ、だよな…。
僕の心の中を、読んだわけがないよな…?)

ニョロゾ『ニョニョニョニョ♪』ウキウキ

ニョロゾは、甘えた目で少年を見つめている。

むしとりしょうねん「お前…。」

むしとりしょうねん(遊んでくれ、と…言ってるのか?
そんな目をするな、するんじゃない。)

お前を殺すのが、後ろめたくなる。
 ▼ 20 石の森◆Y0TXrTESFs 16/06/22 21:08:04 ID:7nE1DQvo [14/31] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ミニスカート「決めたっ…この子飼ってっ!!」

むしとりしょうねん「え。」

素っ頓狂な声を挙げた。

ミニスカート「この子さ、やっぱり君に懐いてるよ。
だって、私にはさ、こんな行動しなかったし。」

むしとりしょうねん「…僕が?」

ミニスカート「だって、ポケモンいっぱい飼ってるじゃん。ヘンテコな虫ばっかだけど。
一匹や二匹増えたところで大丈夫、大丈夫!!」

むしとりしょうねん「でも僕、虫ポケモン以外に興味なんか。」

ミニスカート「今時虫タイプオンリーなんて、キャンプファイヤーにも負けるよ!?
キャンプファイヤーにも負けちゃうよ!?
屈辱じゃない!?」

むしとりしょうねん「…お前はキャンプファイヤーをなんだと思ってるんだ。」

ニョロゾ『ニョー。』ペットリ

むしとりしょうねん「重いっ!?」

ニョロゾは、少年に抱きついた。

ニョロゾ「ニョ♪」

むしとりしょうねん(僕、さっきまでお前のことを殺そうと…。)
 ▼ 21 石の森◆Y0TXrTESFs 16/06/22 22:04:03 ID:gGXeSXpk [1/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
ニョロゾ『ニョ〜。』

むしとりしょうねん(コイツの面倒をみきれるか?
流されるまま引き受けることになってしまってるけど…おまけに僕、両生類なんか嫌いだぞ。)

ミニスカート「よかったよかった。
このニョロゾ、可愛がってあげてね。」

むしとりしょうねん「わ、わかったよ。」

言ってしまった。

ミニスカート「後さ…そのスコルピって、新しく捕まえたやつ?」

むしとりしょうねん「あ、そ、そうだけど。」


「「へぇ、ソイツだったのか。」」


むしとりしょうねん「…あ。」

いつの間にか、おぼっちゃまが上がり込んでいた。

おぼっちゃま「そうかそうか、つまり君はそういう奴だったんだな。しょぼい奴。
そんなスコルピ、僕は8体程所有してるよ。」

むしとりしょうねん「ぐぬぬ。
もっといいのを捕まえないとダメかぁ。」

ミニスカート「…私は不法侵入罪でアンタを捕まえたい。」
 ▼ 22 石の森◆Y0TXrTESFs 16/06/22 22:04:44 ID:gGXeSXpk [2/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
おぼっちゃま「ま、そのニョロゾ。
色違いもそうだけど、他にも珍しいものを持ってるね。」

むしとりしょうねん「珍しい?」

おぼっちゃま「まぁ、とりあえずさ。
ニョロゾに、コレを持たせてみるんだ。」

むしとりしょうねん「…なに?」

ミニスカート「これ…?」


少年はおぼっちゃまから、とある道具を受け取った。


おぼっちゃま「じゃあ、第二ステップだ。
そのスコルピとニョロゾを、交換し給え。」

むしとりしょうねん「あ、あぁ…?
でも、なんの意味が…?」

ミニスカート「これで、なにか起きるの?」


言われるがままに、ポケモンを交換した。


………
……
 ▼ 23 石の森◆Y0TXrTESFs 16/06/22 22:08:17 ID:7nE1DQvo [15/31] NGネーム登録 NGID登録 報告
ペ カ ー ッ 。


ミニスカート「えっ、な、なにが…。
わ…あっ、二、ニョロゾの身体がっ!?」


ニョロゾ『ニョニョーッ!?』


ニョロゾの身体が、発光し始めた。


おぼっちゃま「特定のアイテムを持たせて交換することで進化するポケモンがいるんだ。例がこのニョロゾさ。
でもって、なにに進化するかというとね。」


ニョロトノ『ニョトーッ!!』


むしとりしょうねん「…わぁ、ニョロトノに…。
…食費、ますますかかりそうだなぁ…。」

おぼっちゃま「まぁ、僕が珍しいと称した点はそこではなく、その先にあるのだが。
ニョロトノ、ほら、特性を発動してごらん。」

ニョロトノ『ニョ?』プイッ


ニョロトノは、知らんぷりした。
 ▼ 24 石の森◆Y0TXrTESFs 16/06/22 22:09:14 ID:7nE1DQvo [16/31] NGネーム登録 NGID登録 報告
おぼっちゃま「う〜ん、やっぱり僕じゃダメかぁ。
な、君。」

むしとりしょうねんだ。「ん?
あ…僕が命令するのか?」

おぼっちゃま「うん。」

ニョロトノ『ニョ。』

むしとりしょうねん(…わかったよ。)

むしとりしょうねん「えぇと…ニョロトノ。
その…特性を、発動させて!」

ニョロトノ『ニョッ!』ガッ

ミニスカート「ガッツポーズするんだね。」


…。


むしとりしょうねん「あの…。
コイツ、力強く声挙げただけでなにも起きな(ピチャッ

むしとりしょうねん「…ピチャッ?
(なんだ…なにか、冷たいのが)」


彼は、ふと空を仰いだ。
 ▼ 25 石の森◆Y0TXrTESFs 16/06/22 22:14:12 ID:7nE1DQvo [17/31] NGネーム登録 NGID登録 報告
──ポツッ。


むしとりしょうねん「あっ…。」


小雨が、ポツポツと降り注いだ。


ミニスカート「えっ、なんで!?
確か今年は空梅雨とかで、雨振らないんじゃ。」

おぼっちゃま「このニョロトノはね、『あめふらし』っていう珍しい特性なんだ。
最もこのニョロトノの力は、まだ弱いみたいだけど。」


むしとりしょうねん(よりによって、雨か。
僕の嫌いな…。)チラッ


ん?


ニョロトノ『ニョニョ?』


むしとりしょうねん(コイツ…。)


彼は、ニョロトノの片足を凝視した。
 ▼ 26 石の森◆Y0TXrTESFs 16/06/22 22:16:11 ID:7nE1DQvo [18/31] NGネーム登録 NGID登録 報告
ミニスカート「どうしたの?」

むしとりしょうねん「片足に傷を負っている。」

ミニスカート「え。」

むしとりしょうねん「コイツ、そういえばさっきから足を引きずってた。お前気づかなかったか?
見たところ、古くはない傷のようだ。」

ミニスカート「怪我、してたの…?」

ニョロトノ『ニョ。』

おぼっちゃま「…ポケモンセンターに連れて行くか?」

むしとりしょうねん「そのつもりだ。
仕方ないけど、行くしかない。」

ミニスカート「なんか、責任感じちゃう…。」

むしとりしょうねん(チッ、面倒だな。
世話が焼けるっていうか、ほっとけないっていうか。)

ニョロトノ『ニョ〜♪』

むしとりしょうねん(怪我してるってのに呑気なもんだ。)


一同はニョロトノを連れ、ポケモンセンターに向かった。
 ▼ 27 石の森◆Y0TXrTESFs 16/06/22 22:18:09 ID:7nE1DQvo [19/31] NGネーム登録 NGID登録 報告
〜ハジツゲタウン ポケモンセンター〜

ジョーイさん「あなたが、この子のトレーナー?」

むしとりしょうねん「あ、うん、そうです。」

ジョーイ「…この子は、どこで?」

むしとりしょうねん「え、えっと、114番道路で。」

ジョーイ「ちょっと、その時のことを詳しく教えてくれないかしら。」


彼はジョーイさんに、一連の経緯を話した。


ジョーイ「やっぱり。」

むしとりしょうねん「…なにかコイツに、思うところがあるんですか?」

ジョーイ「えぇ、この子は恐らく…。
…他のトレーナーに、捨てられたポケモンよ。」

むしとりしょうねん「え?」

ジョーイ「114番道路はおろかこのホウエン全土に、本来ニョロモは生息していないはず。
ましてや…色違いだなんて。」

むしとりしょうねん「じゃ、コイツ。
元から生態系を壊してたポケモンだったってことですか?」
 ▼ 28 石の森◆Y0TXrTESFs 16/06/22 22:19:56 ID:7nE1DQvo [20/31] NGネーム登録 NGID登録 報告
ジョーイさん「いえ、大丈夫。
ニョロモ程小さいポケモンだったのなら、その被害は被害と呼べない程に、小さなものに治まっているはずよ。」

むしとりしょうねん「まぁ、でも、もうここまで育ってしまったし…。」

ニョロトノ「ニョトト。」ペッタリ

ニョロトノは、彼にくっついた。

ジョーイさん「うふふ。
よほど、あなたを慕ってくれているのね。」

むしとりしょうねん「…もう慣れましたし、なんか段々可愛く思えてきた。
でも、なんでコイツは逃されたんですか?色違いなのに。」

ジョーイさん「恐らく…この子が『弱かった』から。」

むしとりしょうねん「弱かった?」

ジョーイさん「知ってる?トレーナーの中には、ただポケモンに強さだけを求める人たちもいるの。
個々の能力や、性格特性習得技と拘ってね。」

むしとりしょうねん「…へぇ。
僕はただ、強そうだなーって思った虫ポケモンを集めて自慢するのが好きなだけだけど。」

ジョーイさん「そうね、今のも君のも、皆異なる考え方。
別に私はなにそれと否定するわけでもないし、ただ…。
…ポケモンを逃がすトレーナーが、多過ぎるのよね。」

むしとりしょうねん「(良特性に加えて色違いだったけど、その他の能力がダメだったから、逃された)
…まるでソイツら、ポケモンをモノかなんかのように扱ってる気がします。」
 ▼ 29 ッチ 16/06/22 22:20:42 ID:TYiHk0Gs [2/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
エーミールかな
 ▼ 30 石の森◆Y0TXrTESFs 16/06/22 22:22:04 ID:7nE1DQvo [21/31] NGネーム登録 NGID登録 報告
ジョーイさん「確かに、モノなのかもね。彼らにとっては。だけど…。
モノは所詮はモノよ。この子たちは無機物じゃない。」


トレーナーを思いこと。

捨てられるなんて知らずに、ただ一心に慕い続けること。


ジョーイさん「それが、この子たちがモノじゃない証明。
モノには、そんなことはできないから。」

むしとりしょうねん「…。」

むしとりしょうねん「そうだ。
ジョーイさん、この傷なんだけど。」

ジョーイ「ん?
あぁ、そうね、この子を元気にしてあげないと。」

むしとりしょうねん「あ、いや。ジョーイさん。コイツ、片足に傷があったんです。
原因はなんだろうかって。引っ掻き傷っぽいんだけど。」

ジョーイ「傷…?」

ニョロトノ『ニョ。』


ジョーイさんは、ニョロトノの傷を確かめた。
 ▼ 31 石の森◆Y0TXrTESFs 16/06/22 22:25:26 ID:7nE1DQvo [22/31] NGネーム登録 NGID登録 報告
ジョーイさん「この傷は…。」

むしとりしょうねん「なにか、わかりましたか?」

ジョーイさん「他のポケモンに、傷つけられたものね。」

むしとりしょうねん「…ハブネークに?」

ジョーイさん「いえ、他のポケモンだと思うわ。
多分この子は、虐められていたの。」

むしとりしょうねん「イジメ?」

ニョロトノ『ニョトト。』

ジョーイさん「…他のポケモンは、この子を気味悪がったのだと思うわ。
見知らぬポケモン。おまけに色違いとなると。
虐められる要素は充分に揃っているしね。」

むしとりしょうねん(イジメ、か…。)

ジョーイさん「この傷、厄介だわ。
化膿し始めてる…この施設でも、恐らく治癒し切れない。」

むしとりしょうねん「そ、そんなに酷いんですか?」

ジョーイさん「傷自体は大したことはないはずだけど。
…そんな環境の中、彼自身、知らず知らずの内にストレスを抱えてしまってるの。
その積もり積もったストレスによって、傷が悪化してしまっている。」

むしとりしょうねん「…どうしたら…いいんですか?」
 ▼ 32 石の森◆Y0TXrTESFs 16/06/22 22:27:56 ID:7nE1DQvo [23/31] NGネーム登録 NGID登録 報告
ジョーイさん「この子に、ストレスを与えない。
単純な話でしょ?」

むしとりしょうねん「与えない…。
でも、僕、こんな両生類の世話をするなんて初めてだし。
その…うまくできる自身も、正直ないんです。」

ジョーイさん「…自身をもって、皆そんなものよ。
皆不安ながらに、愛情を注いでポケモンを育ててるの。
その思いに、その子はきっと応えてくれると思うわ。」

むしとりしょうねん「この傷は。」

ジョーイさん「治るか治らないかは、あなた自身よ。
一応消毒してガーゼを貼っておくけどね。」

ニョロトノ『ニョニョ。』

むしとりしょうねん「…わかりました。」


テンテンテレレン


ニョロトノの手当てを終え、少年はニョロトノを自宅へ連れて帰った。


反対するかなと思っていたお母さんは、案外すんなりとニョロトノを受け入れてくれた。
 ▼ 33 石の森◆Y0TXrTESFs 16/06/22 22:29:08 ID:7nE1DQvo [24/31] NGネーム登録 NGID登録 報告
〜むしとりしょうねんのいえ〜

ニョロトノ『ニョニョ。』ゴロゴロ

ニョロトノは、ゴロゴロしている。

むしとりしょうねん「さっそくだらけてるな、お前。
お前図体デカくてスペース取るんだから、もっとこう…遠慮してだらけろよな。あと僕の虫ポケモン食べるなよ。」

むしとりしょうねん(…カエルって、なに食べるんだろ。)

電話で尋ねることにした。


──プルルル。


ミニスカート《はい、私です。
…あのさー、掛けるんならレインで掛けてよ。
ジェラートフォン(多機能携帯電話)の通話料ってバカにならないんだよー、バカ。》

むしとりしょうねん「一つ聞いていい?」

ミニスカート《…え、あの子がなに食べてたかって?》

むしとりしょうねん「そうだ、お前はコイツになに食べさせてたんだ?」

ミニスカート《私が世話したの数日もなかったんだけどさ。
いや、フツーに、ポケモンフーズ食べさせてたよ。
長々食べてくれなくて困ったけど。》
 ▼ 34 石の森◆Y0TXrTESFs 16/06/22 22:38:47 ID:7nE1DQvo [25/31] NGネーム登録 NGID登録 報告
むしとりしょうねん「わかった、ポケモンフーズ。
それならウチにある。ありがとう。」ガチャッ

ニョロトノ『ニョ?』

むしとりしょうねん「ほら、お前。ポケモンフーズだぞ。
そうだな、バランス良くするために数種類のフーズをミックスしようか。ま○お君みたいなことしてるな。」

ニョロトノ『ニョー。』

むしとりしょうねん(…?)


ニョロトノは、あまりフーズに口を付けなかった。


なんで食べないんだ?
好みの問題か…?元々あまり食べないのか…?


むしとりしょうねん「アイツはいつもアテにならないな。
検索してみるか。(最初からこうすればよかった)
『ニョロトノ 餌』…と。」カチッ

ニョロトノ『ニョ、ニョ。』ピョ~ン

飛び跳ね、餌をぶちまけた。

………
……
 ▼ 35 石の森◆Y0TXrTESFs 16/06/22 22:40:40 ID:7nE1DQvo [26/31] NGネーム登録 NGID登録 報告
《【餌】
・コロボーシ
・ケムッソ  等の虫ポケモン》

むしとりしょうねん(よりによって、か!)

…………………………

むしとりしょうねん「お母さ〜ん、ちょっと買い物頼まれてくれる?」

お母さん「あのね、逆でしょ?
そういうセリフは普通、親が子どもに言うものよ。
まあいいわ、なに買って来てほしいの?」

むしとりしょうねん「ペットショップで、食用のコロボーシ。」

お母さん「え。」

むしとりしょうねん「ん?」

お母さん「食べるの?」

むしとりしょうねん「うん。(ニョロトノが)」

お母さん(…あぁ、アンタの虫ポケモンに対する愛情は…遂に、そこまで到達してしまったというのね…。
自ら食物連鎖の頂点に立ち、蟲の王に君臨しようと…。
いいわ、私はもう…なにも言いますまい。)

お母さんの瞳からは、涙が溢れていた。

むしとりしょうねん「なんか誤解してるよお母さんっ!?」
 ▼ 36 石の森◆Y0TXrTESFs 16/06/22 22:46:13 ID:7nE1DQvo [27/31] NGネーム登録 NGID登録 報告
〜数10分後〜

むしとりしょうねん「…あらぬ誤解を生んだ気がする。
まぁいいや、ほ〜ら、お前、コロボーシだぞ〜。」

ニョロトノ『ニョニョッ!!』ビョンッ

むしとりしょうねん「ウオォッ!?」ビクッ

ニョロトノは、勢い良く生き餌に飛び掛かった。

ニョロトノ『ニョニョ♪』ガツガツ

むしとりしょうねん「うまそうに食べるなー、お前。
食べてるものは全然うまそうじゃないけど。」

むしとりしょうねん(こっちもなんか食べたくなってきた。
ついでにお母さんがコンビニで買って来た、この水ようかんでも食べるかな。)

ニョロトノ『ニョ?』チラッ

むしとりしょうねん「いただきま」


ニョロトノ『ニ ョ 〜 ッ ! !』ガガッ


むしとりしょうねん「す゛う゛ぅ゛っ゛!?」


ニョロトノは、少年のようかんにかぶりついた。
 ▼ 37 石の森◆Y0TXrTESFs 16/06/22 22:48:30 ID:7nE1DQvo [28/31] NGネーム登録 NGID登録 報告
ニョロトノ『ニョ、ニョ、ニョ♪』ペチャペチャ

むしとりしょうねん「お前、甘いものが好きなのか。」
コロボーシよりがっついてるし。」

ニョロトノ『ニョ♪』


──そうか、お前も。


むしとりしょうねん「…僕も、甘いものが好きだ。
共通の嗜好があると、なんだか親近感ってものが湧くよな。
少しだけ、すこ〜しだけだけど、気に入ったよ、お前。」

ニョロトノ『ニョニョッ!』


ニョロトノの方も、『ますます気に入ったぞ、少年っ!!』とばかりの表情をたたえていた。


むしとりしょうねん(…そうだ。
コイツに、名前つけてやらないといけないな。
いつまでもオマエやコイツじゃ不便だし。)

ニョロトノ『ニョ。』コクッ

頷いた。

むしとりしょうねん(とは言え、僕一人じゃなんとも。
皆の協力を仰ごうか。)
 ▼ 38 石の森◆Y0TXrTESFs 16/06/22 22:58:18 ID:7nE1DQvo [29/31] NGネーム登録 NGID登録 報告
〜ミニスカートの家〜

むしとりしょうねん「君たちに集まってもらったのは他でもない。コイツの名前を考案してもらいたいんだ。」

ニョロトノ『ニョ。』

おぼっちゃま「ああ、任せてくれ。
僕ら三人集まれば文殊の知恵だ。」

ミニスカート「…女の子の家を溜まり場にするの、やめてほしいんだけど。」

…………………………

むしとりしょうねん「『グレン』は?」

ミニスカート「ゲームのカエルキャラじゃん。
あの人元々人間だったっけ。」

おぼっちゃま「雨を降らせるから、『雨』(うるる)はどうだい?」

ミニスカート「某漫画のパクリじゃん。
それにDQNネーム過ぎるよ。」

むしとりしょうねん「ニックネームって、大抵そんなものだと思うけどなぁ。」

おぼっちゃま「じゃあ、『ニョロ』…安直か。
それに某漫画じゃかませキャラだし。」

………
……
 ▼ 39 石の森◆Y0TXrTESFs 16/06/22 23:05:04 ID:7nE1DQvo [30/31] NGネーム登録 NGID登録 報告
ミニスカート「『ソーア』?」

おぼっちゃま「“創”(そう)に“蛙”(あ)で創蛙(そうあ)。
ただ単純に、しっくりする響きで考えた。
『ソーア』で構わないよ。」

むしとりしょうねん「コイツがなにを創り出すんだ?
見た限り、なんか創るようには思えないけど。」

ミニスカート「…たくさんのカエルがわらわら出てくる光景しか思いつかない。
でも、なんか…『ソーア』って、いいかも。」

おぼっちゃま「な、そうだろ?」

ニョロトノ『ニョニョ♪』

おぼっちゃま「お、ソーアも気に入ったか。」

むしとりしょうねん「『ソーア』、ね。
お前はそれでいいのか?」

ミニスカート「あ、だからダメだって!
ちゃんと名前で呼ばないと。ね、ソーア♪」

ニョロトノ『ニョッ♪』

むしとりしょうねん「…本人(?)が満足なら、いっか。」



──こうして、ニョロトノの名前は『ソーア』となった。
 ▼ 40 石の森◆Y0TXrTESFs 16/06/22 23:08:05 ID:7nE1DQvo [31/31] NGネーム登録 NGID登録 報告
〜ご飯〜

ソーア『ニョガツガツガツ。』ムシャムシャ

お母さん「よく食べるわねー、この子。」

むしとりしょうねん「ホント、よく食べる…。
あ、おい、僕のヒウンアイスッ!!」

ソーア『ニョ♪』ガツガツ

お母さん「ホント、よく食べるわねー。
アンタもお父さんも元々あまり食べないし、なんか新鮮。
…よーし、この子のために、いっぱい料理作っちゃおっかっ!!」

ソーア『ニョ、ニョ♪』

むしとりしょうねん「…息子の立場も食われそうだ。」

……………

〜お風呂〜

むしとりしょうねん「僕は風呂は熱いのが好きなんだが、ソーアはどうだ?」

ソーア『ニョッ!!』ザブッ

むしとりしょうねん「あっ、おい、先にシャワー浴びてから入れって。」

ニョロトノ『ニョ?
…ニョ〜〜ッ!?』ジャバッ
 ▼ 41 石の森◆Y0TXrTESFs 16/06/23 00:05:30 ID:30J/V516 [1/4] NGネーム登録 NGID登録 報告
…ガンッ!

ソーア『ニョ…。』クラッ

むしとりしょうねん「アハハ、やっぱ熱かったか。
ド○クエじゃないんだから、天井に頭をぶつけるなよ。」

ソーア『ニョ〜…。』

──ゴシゴシ。

むしとりしょうねん「…背中流してよ。
僕の背中。ほら、泡付いてるだろ?」

ソーア『ニョッ。』ビシャ~

むしとりしょうねん「ん?…あっついっ!
お前…50度になってるじゃないか!!」

ソーア『ニョ〜…。』

申し訳なさそうにションボリした。

むしとりしょうねん「ソーア…あぁ、もういいよ。
なんか憎めないよな、お前。
カエルがふくれっ面するのなんか初めて見たし。」

ソーア『ニョ。』プク~ッ

むしとりしょうねん「そうだ、シャンプーしてやるよ。
…お前、髪の毛ないけどさ。」
 ▼ 42 石の森◆Y0TXrTESFs 16/06/23 00:08:18 ID:30J/V516 [2/4] NGネーム登録 NGID登録 報告
──チャプン。


むしとりしょうねん「温めの風呂も、まぁいいか。
お前、どうだ?」

ソーア『…。』ポウッ

顔が、赤くなっていた。

むしとりしょうねん「…お母さんと入らなくなってから、二人…一人と一匹か…で一緒に入るのなんて久しぶりだ。」

ソーア『ニョヶ。』カアァッ

むしとりしょうねん「あ、お前…のぼせたな?
全身赤くなってる。というかこれギ○ロだ。」

ソーア『ニョ…。』

むしとりしょうねん「よし、そろそろ上がるか。
…へクションッ!あー寒い…。
風呂上がりのモーモーミルクだけど、コーヒー味とフルーツ味、どっちがいい?」

ソーア『ニョニョッ♪』

むしとりしょうねん「…飲み食いになると、お前。元気になるよな。
上がったらゲームやろうよ。マ○オカート。」

ソーア『ニョ。』
 ▼ 43 石の森◆Y0TXrTESFs 16/06/23 01:15:05 ID:30J/V516 [3/4] NGネーム登録 NGID登録 報告
〜ゲーム〜


…キキィキキキィッ。


ド ガ ッ 。


ソーア『♪』

むしとりしょうねん「いや、違う!
僕は負けてないぞっ!ダメだって、理不尽だ!
なんでお前、キラーが2連続で出るんだっ!?」

ソーア『ニョ、ニョ。
…。』フフンッ

むしとりしょうねん「『運も実力の内』、か…。
しかしお前、よくそのゲームリモコンで操作できるな。
使いにくいのに。」

ソーア『?』

『もう一回受けてやるぜ。俺は負けないけどな。』という表情を湛えている。

むしとりしょうねん「わかったよ。
もう一回っ、もう一回で僕が勝つからなっ!!
僕のドリフト捌きは、こんなものじゃないからなっ!?」

ソーア『ニョッ。』
 ▼ 44 石の森◆Y0TXrTESFs 16/06/23 01:16:05 ID:30J/V516 [4/4] NGネーム登録 NGID登録 報告
〜数日後 自宅前〜

ミニスカート「あ、なにしてるの?
水着なんか着て。」

ミニスカートが、様子を見に来た。

むしとりしょうねん「見てわからない?
ビニールプールで遊んでるんだよ。」

ソーア『ニョ。』

ミニスカート「へー、ソーアと。
…ソーア、なんか随分大きくなったね。」

ソーア『ニョトトト。』デップリ

むしとりしょうねん「お母さんがソーアのために、たくさん料理作るからさ。…ちょっと僕も太ったかも。
そうだ、お前も一緒に遊ぶ?」

ミニスカート「遠慮しときます。
…そういえば、このプールの水って、どこから?」

むしとりしょうねん「あぁ、ソーアの降らせた雨水だよ。」

ニョロトノ『ニョニョ。』

ミニスカート「雨水?
大丈夫?汚くない?」

むしとりしょうねん「大丈夫。ソーア、ちょっと頼むよ。」
 ▼ 45 石の森◆Y0TXrTESFs 16/06/23 17:12:23 ID:b7ZJ.z/w [1/14] NGネーム登録 NGID登録 報告
ソーア『ニョーッ!!』ガッツ

ミニスカート「お気に入りなのかな、ガッツポーズ。」


…ザザーッ。


ミニスカート「ん?
…わぁっ!?」ビシャッ

空から降ってきた水塊によって、水浸しになった。

むしとりしょうねん「すごいよ、ソーア。
『あめふらし』が成長して、雨水を一箇所にまとめて降らすことができるようになったんだ。」

ミニスカート「着替えたばっかなのに…。(ゴクッ
ん?…なんか、この水…おいしい?」

むしとりしょうねん「そうだろ?
い○はすや水○水なんかより、ずっとさ。」

ミニスカート「な、なんで…?」

むしとりしょうねん「アイツ(おぼっちゃま)に聞いた。
なんでもコイツは、雨水内の余計な不純物を除去する能力を備えたんだって。」

ミニスカート「すごいねー、ソーア。
『カエルの天然水』とかの名目で売れないかな。」

むしとりしょうねん「流石に衛生上の問題で無理だよ。」
 ▼ 46 石の森◆Y0TXrTESFs 16/06/23 17:13:20 ID:b7ZJ.z/w [2/14] NGネーム登録 NGID登録 報告
──雨は、嫌いだった。


…『だった』んだ。


ソーア『ニョニョ♪』バシャバシャ

ミニスカート「もう濡れちゃってるし…いいや。
ほら、ソーア、たっぷりお返ししてやるっ!!」ビシャッ

むしとりしょうねん「おいっ、僕にかけるな!
もう、アハハ…ソーア、お前のせいだぞ。」

ソーア『ニョニョニョ〜。』


ソーアに出会って、少し雨を好きになった。


思えば、雨なくして人々は生活を営めない。
まさしく恵みの雨なんだ。嫌ったら、バチが当たる。


こんな感じで僕とソーアは、生活を共にした。
大体、一週間程度だった。


…そうだ。

これも…『だった』んだ…。
 ▼ 47 石の森◆Y0TXrTESFs 16/06/23 18:25:10 ID:b7ZJ.z/w [3/14] NGネーム登録 NGID登録 報告
──数日後 帰路 114番道路


ミニスカート「ソーア、学校まで着いて来るね。」

ソーア『ニョト。』

むしとりしょうねん「僕から離れたがらないんだよ。
…親だと思ってるのかな。」

ミニスカート「かもしれないね。」



…シュルルッ。


ミニスカート「ん、なんの音?」


『『グルル。』』


むしとりしょうねん(…。
この唸り声、どこかで…。)


『『 キ シ ャ 〜 〜 ッ ! ! 』』


むしとりしょうねん「え…えっ、アイツは!?」
 ▼ 48 石の森◆Y0TXrTESFs 16/06/23 18:28:53 ID:b7ZJ.z/w [4/14] NGネーム登録 NGID登録 報告
ハブネーク『『ガアァァアァッ!!』』


ソーアを襲ったハブネーク。

なんの因果か、再び彼らと合間見た。


…最悪の形でだ。



──カプッ。



ミニスカート「あっ…。」


ハブネークは、彼女の足首に噛み付いた。


むしとりしょうねん「!」


ミニスカート「…。」ドサッ


むしとりしょうねん「…ソーア、アイツを撃退するんだっ!!」

ソーア『ニョトーッ!!』ザザザーッ
 ▼ 49 石の森◆Y0TXrTESFs 16/06/23 22:44:55 ID:b7ZJ.z/w [5/14] NGネーム登録 NGID登録 報告
ハブネーク『『グガゥ…。』』クラッ


ねっとうをまともに喰らい、ハブネークは悶絶する。


むしとりしょうねん「…今だっ!
ネットボールッ、これしか持ってないけど…捕まれっ!!」


ヒョイ。


ハブネーク『『グワァ…(シュウン、ヒョヒョヒョン


──カチッ。


むしとりしょうねん「だ、大丈夫かっ…お前…!?」

ミニスカート「うぅん…。
…熱くて、痛い…。」


彼女の足首は腫れ、膨れ上がっていた。


むしとりしょうねん(なんとかしないと、僕が、なんとか。
…誰かに、そうだ電話だ、電話…!!)
 ▼ 50 石の森◆Y0TXrTESFs 16/06/23 22:52:33 ID:b7ZJ.z/w [6/14] NGネーム登録 NGID登録 報告
おぼっちゃま《…身体を動かさずに安静な体制にしてやれ。そして噛まれた部位から毒を吸い出すんだ。
あと、水をガンガン飲ませないと。》

むしとりしょうねん「あ、あぁ。」

彼女の足首から毒を吸い出し、水を飲ませた。

ミニスカート「…もう、うっぷ、飲めない。」

むしとりしょうねん「脱水症状が怖いから、たっぷりと飲んでくれだって。大丈夫、近くの滝の水だから安全だ。
…ネットボールでも、案外捕まるもんなんだな。」



──しかし、ハブネークを捕まえたそのボールに僅かなヒビが入っていたことには、取り乱していた彼らは気付くことができなかった。



…パパパパ。


おぼっちゃま《よし、ヘリが来たようだ。
最寄りのポケモンセンターに連れて行く。あそこは病院が附属しているからな。》

むしとりしょうねん「今日ほどお前を友にもったことに感謝をした日はないよ。
…ありがとう。」


そして彼女は、病院へと運び込まれた。
 ▼ 51 腐メンタル代表◆sLd/Y3YrMA 16/06/23 22:56:08 ID:.tvjMkJo NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援!
 ▼ 52 石の森◆Y0TXrTESFs 16/06/23 23:01:57 ID:b7ZJ.z/w [7/14] NGネーム登録 NGID登録 報告
〜ポケモンセンター附属病院〜

ドクター「君の行った応急処置、見事なものでした。
血清の投与を行っています、彼女は直に回復することでしょう。」

むしとりしょうねん「…よかった。」

ドクター「そのハブネーク、なんだね?
彼女を噛んだのは。」

むしとりしょうねん「…ちょっとコイツには、色々とありまして。」

…………………………

ドクター「…なるほど。」

むしとりしょうねん「コイツ、道路の他の野生ポケモンよりも、明らかに凶暴な感じです。
コイツは…なんなんでしょうか?」


ハブネーク『『グルルル…。』』


ボールの中で、未だに声を滾らせていた。


ドクター「…確か、そのニョロトノ。
彼は、捨てられたポケモンだったってことだよね?」

むしとりしょうねん「…そうですが。」
 ▼ 53 石の森◆Y0TXrTESFs 16/06/23 23:08:44 ID:b7ZJ.z/w [8/14] NGネーム登録 NGID登録 報告
ドクター「…同じです。
そのハブネークも、トレーナーに捨てられたポケモンなのですよ。」

むしとりしょうねん「え?」

ドクター「他の野生ポケモンよりも、戦闘能力がケタ違いに優れている。
恐らく戦闘に特化されたポケモンなのだろうが、トレーナー自身にも手が負えなくなり、逃された。」

むしとりしょうねん「…コイツも?
コイツも…そうだった、同じだったのか?」

ドクター「114番道路が元々のハブネークの生息地だったってことが盲点でしたね。
気付けてよかった、さぁ、ハブネークを渡して。」

むしとりしょうねん「ワタシテ?」

ドクター「人間に危害を加えるようなポケモンは、ポケモン保健所に引き取ってもらって、殺処分するのですよ。
あなたが捕まえてくれたことが幸運でした。」

むしとりしょうねん「え、ま、待って…!
コイツを、殺すのか…?」

ドクター「じゃあなんです?
あなたが、このハブネークの世話をしようとでも?
無理ですね、あなたも噛まれる。下手すれば死にます。」

むしとりしょうねん「いや、そういうわけじゃ…。」

ドクター「…え、あなたはどうしたいんです?
何の罪もないポケモンや女の子に危害を加えようとしたポケモンを、あなたは一体…どうしたいんです?」
 ▼ 54 石の森◆Y0TXrTESFs 16/06/23 23:13:16 ID:b7ZJ.z/w [9/14] NGネーム登録 NGID登録 報告
ソーア『ニョトー。』

ミニスカート「痛い、痛いよ…。」


むしとりしょうねん(…。)


──僕はどうしたい?


しかし未熟な僕では、問に対する理想的な回答を見出すことなど到底不可能であった。



《殺した方が》



…また、あの考えが脳裏をよぎる。


むしとりしょうねん「とりあえず、一晩コイツをここで休ませてやってくれませんか…?
コイツだって疲れてると思うし…。」

ドクター「…まぁ、仮にも親トレーナーの願い。わかりました。
ただ、一晩で結論を出すことですね。
私はあくまでも、殺すことが懸命な判断であると考えていますので。」


…後伸ばしにすることしか、今の僕にはできなかった。
 ▼ 55 石の森◆Y0TXrTESFs 16/06/23 23:18:12 ID:b7ZJ.z/w [10/14] NGネーム登録 NGID登録 報告
──夜中

ソーア『…。』グゥグゥ

気持ち良さそうに、ソーアは眠りこくっていた。

むしとりしょうねん「なぁ、ソーア。
お前は…僕といて、幸せなのかな?」

ソーア『トー…トー…。』グゥグゥ

むしとりしょうねん(僕なんかより、もっといい人が。
いたのかも…こんな、女の子一人守れない僕なんかより。
もっといい人が、トレーナーが。)


ダメだな、僕。


…本当に毒、大丈夫かな。
アイツ(おぼっちゃま)にも迷惑掛けてしまったし。


むしとりしょうねん(こんな僕なんかに、ポケモンの命を永久に奪う権限なんか。あるわけがないような。
でも、殺さないと…また被害者がでるかも…?)


…………………………


…決めた。
 ▼ 56 石の森◆Y0TXrTESFs 16/06/23 23:21:58 ID:b7ZJ.z/w [11/14] NGネーム登録 NGID登録 報告
〜翌日〜

むしとりしょうねん「ソーア、お前はお留守番しててくれ。
お前とハブネークが鉢合わせちゃあなんかマズイからな。
いくぞ、スコルピ。」

ソーア『ニョ?』

むしとりしょうねん「いい子にしてるんだ。
また、甘いもの買って来てやるからさ。」

ソーア『ニョー…。』

むしとりしょうねん(アイツのお見舞い品も買わなきゃ。
奮発したいが、お小遣い、もっとほしいなぁ。)

むしとりしょうねん「ちょっと待ってろよ。悪いけど。
…すぐ、帰って来るからな。」チリリンッ


自転車に乗り、昨日の附属病院へと向かった。


ソーア『…。』



…網戸が、破れていた。
 ▼ 57 石の森◆Y0TXrTESFs 16/06/23 23:38:01 ID:b7ZJ.z/w [12/14] NGネーム登録 NGID登録 報告
〜ポケモンセンター附属病院〜

むしとりしょうねん「結論を出しました。」

ドクター「目が充血してる上に、くまが凄いね。
一睡もしてないのかい?」

むしとりしょうねん「…寝れませんでした。
思い詰め過ぎて、なんだか夢であなたとハブネークがエンドレスで回りそうな気もしたので。」

ドクター「…そこまで悩みに悩んで導き出した結論。
聞かせてもらおうか。」

むしとりしょうねん「…。
殺します。
僕が、責任をもってハブネークを殺します。」

ドクター「…わかりました。
でも、あなた…本当に殺せるのですか?」

むしとりしょうねん「殺しますよ、じゃないと…。
…なんなら、今ここで…。」


むしとりしょうねん「…え?」



──ネットボールの中は、空っぽだった。
 ▼ 58 トカゲ@リニアパス 16/06/23 23:41:16 ID:XHh2EaVI NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 59 石の森◆Y0TXrTESFs 16/06/23 23:46:13 ID:b7ZJ.z/w [13/14] NGネーム登録 NGID登録 報告
ドクター「…なにっ!?
気付かなかったっ、あなた、まさか逃しましたっ!?」

むしとりしょうねん「このヘボ医者がっ!
そんなわけないじゃないですかっ!!」


むしとりしょうねん(ん…。)


彼は、ボールの一部が割れていることに気づいた。


むしとりしょうねん「…わかった、ヒビだっ、恐らくボールにヒビが入ってたんだっ!
ハブネークはそのヒビを突き破り、脱走したんだっ!!」


ドクター「なんですってえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?」


…そう。

ハブネークは、外へと放たれたのだ。


むしとりしょうねん「アイツ…今、どこにっ…!?
お見舞い品にと八百屋でカイス買ってる場合じゃなかったんだっ!!」


彼は、馬鹿に大きいカイスの実を抱えていた。
 ▼ 60 石の森◆Y0TXrTESFs 16/06/23 23:50:49 ID:b7ZJ.z/w [14/14] NGネーム登録 NGID登録 報告
〜むしとりしょうねんのいえ〜

ソーア『…。』

ソーアは、何か少年の気を悪くしたから連れて行ってもらえないのかな、と考えていた。

ソーア(…ニョ!)

ソーアは思い出した。
少年もまた、甘いものが好きだということを。

ソーア『ニョ…。
…ニョッ!!』

網戸が破れているのを、発見した。

ソーア『ニョ…。』ソロ~リ

外でなにか甘いものを見つけて少年にあげれば、少年の機嫌も治るはすだ、と。

彼は本能的に、そう考えた。

ソーア『ニョッ!』ピョ~ン


…そして彼は、114番道路へと向かった。


………
……
 ▼ 61 石の森◆Y0TXrTESFs 16/06/24 00:05:42 ID:38IQupeA [1/20] NGネーム登録 NGID登録 報告
むしとりしょうねん(放出した毒液が道標に…。
この方向は、そうだ。)


114番道路だっ!!


むしとりしょうねん「…。」チャリン


病院を後にし、彼は自転車で駆け出した。


むしとりしょうねん「もしもし、お前(おぼっちゃま)?
至急114番道路へ来てくれ。
…ハブネークが逃げ出したんだっ!!」

むしとりしょうねん(くそっ、カイスが重い!
ていうか置いて来るんだった!!)

…………………………


──114番道路


ソーア『ニョ〜。』


このことは少年は予想だにしないであろう。
目的地へと一足先に訪れたのは、ソーアであったのだ。
 ▼ 62 石の森◆Y0TXrTESFs 16/06/24 00:08:03 ID:38IQupeA [2/20] NGネーム登録 NGID登録 報告
ソーア『ニョ…。』キョロキョロ

ソーア『!』


彼は、とあるものを発見した。

そしてそれ自体は、彼の望むべきものであった。


ソーア『ニョトー。』ピョ~ン


彼は、それへと飛び跳ねた。


…だが。


ソーア『ニョ?』



ハブネーク『『…。』』



──見つけてはならない。
──見つかってもならない。

…望まぬものまで、発見してしまった。
 ▼ 63 石の森◆Y0TXrTESFs 16/06/24 00:11:04 ID:38IQupeA [3/20] NGネーム登録 NGID登録 報告
──チリンッ。。


むしとりしょうねん「…いたっ!!
ハブネーク…えっ、ソーア?」

ソーア『ニョ♪』

ソーアは、少年が迎えに来たのだと喜んでいるようだ。

むしとりしょうねん「なんで、お前までっ!?
しかも…ソイツのそばにっ!!」


ハブネーク『『グルルル…。
…グルバハーッガァーッ!!』』ババッ


むしとりしょうねん「!」


ハブネークの怒りの矛先は、己を捕らえた張本人である少年へと向けられていた。

…毒を溜らせ、ハブネークは彼へと襲い掛かった。


むしとりしょうねん(う、うわ…。
わ…ぁ…?)


咄嗟のことで、逃げようとも思えなかった。
 ▼ 64 石の森◆Y0TXrTESFs 16/06/24 00:15:31 ID:38IQupeA [4/20] NGネーム登録 NGID登録 報告
ソーア『…ニョーーッ!!』ジャババッ

むしとりしょうねん「…ソーア!!」


ソーアは以前と同じように、ねっとうをハブネークへと放出し、動きを封じようとした。


──だが。


ハブネーク『『フシュー…。』』


ハブネークは、学習していた。


ハブネーク『『…ガバラァーッ!!』』ドドッ


ソーア『!?』


ハブネークは間一髪でねっとうを避け、ソーアへと襲いかかったのだ。



…そして。
 ▼ 65 石の森◆Y0TXrTESFs 16/06/24 00:17:46 ID:38IQupeA [5/20] NGネーム登録 NGID登録 報告















──ムシャッ。














 ▼ 66 石の森◆Y0TXrTESFs 16/06/24 00:25:06 ID:38IQupeA [6/20] NGネーム登録 NGID登録 報告
ソーア『ニョバ…。』


ハブネーク『『…ハブゥ…。』』


ハブネークが“勝ち誇った”表情を浮かべたその“意味”に。

少年は、気づいてしまった。


むしとりしょうねん「…なにが。
…ソーア。…ソー…ア…?」



…嘘だ。



ソーア『…。』



ゴフッ…。



──ソーアの左半身が、噛み千切られていた。
 ▼ 67 石の森◆Y0TXrTESFs 16/06/24 00:32:32 ID:38IQupeA [7/20] NGネーム登録 NGID登録 報告
むしとりしょうねん「ソーア…。」


そんな。


むしとりしょうねん「まさか。」


僕のせいだ。



むしとりしょうねん(う…。
…うわあぁアぁぁァぁアぁあァぁああアあァあっ!!!?)



ソーア『…ニ…。』


むしとりしょうねん「…え…?」

ソーア『…。』ガッツ

むしとりしょうねん「ソーア…?」


…しかし彼は、左半身を失おうとも。

ふてぶてしい笑みを浮かべ、少年に例のガッツポーズを示して見せたのだ。
 ▼ 68 石の森◆Y0TXrTESFs 16/06/24 00:36:18 ID:38IQupeA [8/20] NGネーム登録 NGID登録 報告
…ドロッ。


ハブネーク『『ハブ?』』

ソーア『…。』

むしとりしょうねん「ソーア、お前。
…お前がガッツポーズをする時って…雨を、降らすんだったよな…。」


『あめふらし』の真骨頂。

雨水内の不純物を除去できるというなら、その不純物を一箇所に集め、塩酸の如く強力な汚染物質と化し、一点集中させハブネークに放出することも可能。


結果…ハブネークの身体はドロドロに溶けてしまった。


ハブネーク『『ハブガァーッ!?』』


…ゴロッ。


ハブネーク『『ハブ?』』

むしとりしょうねん「あ…。」
 ▼ 69 石の森◆Y0TXrTESFs 16/06/24 00:38:18 ID:38IQupeA [9/20] NGネーム登録 NGID登録 報告
衝撃で、カイスの実が自転車のカゴから転げ落ちた。


ハブネーク『『ハ…ハブ…。』』


…プチッ。


ハブネークの脳天に落下し、そのまま…ハブネークを押しつぶした。


むしとりしょうねん「…ソーア。」

ソーア『…。』

おぼっちゃま「やぁ、お待たせ!
さぁ早く、ハブネー…。」

おぼっちゃま「…。」

ソーア『ニョ、ニョ…。』


ソーアは、なにかを握りしめていた。


むしとりしょうねん「お前、なんだ、それ…。
…!
そんなもののために…ひょっとして、僕に?」
 ▼ 70 石の森◆Y0TXrTESFs 16/06/24 00:43:26 ID:38IQupeA [10/20] NGネーム登録 NGID登録 報告
それは、『ふしぎなアメ』であった。


むしとりしょうねん「僕が、甘いもの好きだったから。
だから、落ちてたこれを、僕に、これをあげようと…?」


ソーア『…。』


応えることは、永遠になかった。


…ポツ、ポツッ。


不純物が取り除かれた雨水が、今頃になり降り注いだ。


むしとりしょうねん「…墓を、造ってやらないと。
ソーアの墓。僕のせいで、死なせたんだ。
僕のせいで、だから、そのぐらいは。」

おぼっちゃま「…あぁ。」

むしとりしょうねん「なぁ、聞いていいか?」

おぼっちゃま「なんだ?」
 ▼ 71 石の森◆Y0TXrTESFs 16/06/24 00:44:30 ID:38IQupeA [11/20] NGネーム登録 NGID登録 報告
むしとりしょうねん「死ぬって、痛いのかな。
蛇に呑まれるのと、ガス処分されるのって…どっちが、一番痛いのかな。」

おぼっちゃま「…どっちも痛いさ。
痛くて苦しいから、死ぬんだろう。」

むしとりしょうねん「でも。」


少年の言葉は、尚も続く。


むしとりしょうねん「僕と最初に出会った時。
アイツは、もしかしたらハブネークを自力で撃退できたのかもしれない。
…僕の行いは、余計なお世話だったのかもしれない。」

むしとりしょうねん(死ぬことも、なかったかも…。)


《それでいいんじゃね?》

《死んだほうがためにはなるんじゃ。》


むしとりしょうねん(僕は、ただ単に、ポケモンたちを、好き勝手に…弄んでいただけに過ぎないんだ。)


僕なんかに、いや、誰しにも…。

他の命を終わらそうとする権限なんて…あるはずないんだ。
 ▼ 72 石の森◆Y0TXrTESFs 16/06/24 00:47:09 ID:38IQupeA [12/20] NGネーム登録 NGID登録 報告
おぼっちゃま「いや…。
少なくとも、ソーアは、お前に出会えて幸せだったさ。」

むしとりしょうねん「え…?」

おぼっちゃま「ほら、あの傷のガーゼが取れてる。
…ソーアを、見てみろ。」

むしとりしょうねん(…。)


傷は、ほぼ治癒していた。


おぼっちゃま「この傷が治っていたということは、つまり、少なくともソーアはお前と出会ってから…ストレスなど感じなかったってことなんじゃないか?」

むしとりしょうねん「…わからない。」

おぼっちゃま「お前はお前なりに一生懸命やれていた。
ソーアは、そんなお前の気持ちを汲み取っていたのさ。」

むしとりしょうねん「…わからないんだ。」

おぼっちゃま「それが僕の解釈だ。
恐らくソーアは、幸せだったんだよ。」

むしとりしょうねん(…ソーア。
ごめんな。)


──本当に、ごめんな。
 ▼ 73 石の森◆Y0TXrTESFs 16/06/24 00:48:19 ID:38IQupeA [13/20] NGネーム登録 NGID登録 報告
〜数日後 ポケモン霊園〜

ミニスカート「うん、立派なお墓だねー。
ソーアも喜んでるよ。」

彼らは共同出費し、ソーアの墓を建てたのだ。

むしとりしょうねん「お前、本当に大丈夫か?」

ミニスカート「大丈夫大丈夫。
ほら、もうなんでも食べれるし、動けるし!」

むしとりしょうねん「…でも、これを食べるんじゃないぞ。ソーアのお供え物なんだからな、水ようかん。」

ミニスカート「わかってるよ。
で、そのアメも?」

むしとりしょうねん「いや、これは違うんだ。
…ちょっとね。」

ミニスカート「ん?」


彼は、墓と向かい合った。


むしとりしょうねん「ちょっとした決意表明さ。
ソーア。このアメ、今食べるよ。」ガリッ


少年は、ふしぎなアメを噛み砕いた。
 ▼ 74 石の森◆Y0TXrTESFs 16/06/24 00:50:44 ID:38IQupeA [14/20] NGネーム登録 NGID登録 報告
ミニスカート「…どんな味?」

むしとりしょうねん「…へんな味。」


このアメは、ポケモンが食べるとレベルアップするが。
人間が食べても、多分効果はないだろう。


むしとりしょうねん「…だけど、僕はなにかしら、レベルアップをしようと思う。
ソーアの代わりに、なにかをツクってみたいんだ。」

ミニスカート「…できるといいね。」

むしとりしょうねん(…。)

むしとりしょうねん「…で。
アイツ(おぼっちゃま)は?」

ミニスカート「来るのかな、そもそも。
なんかお金儲けで忙しいんじゃない?」

むしとりしょうねん「…やっぱりいけ好かない、アイツ。」

ミニスカート「じゃ、そろそろ帰ろっか。」

むしとりしょうねん「…ああ。」


…じゃあな、ソーア。
次は、ヒウンアイスでも持って来るよ。
 ▼ 75 石の森◆Y0TXrTESFs 16/06/24 00:51:10 ID:38IQupeA [15/20] NGネーム登録 NGID登録 報告
〜数年後〜


一年後の雨季は、元のように雨が降った。


その次も、そのまた次も、次も、次も。
雨は恐らく降り続くのだろう。


僕、むしとりしょうねんも、少年と名乗るには些か苦しい年齢となり。
生き甲斐だった虫ポケモン集めも、いつのまにかばったりと止めてしまった。


「あ、いたいた!
…集合場所、ここで合ってたよね?」

「合ってるよ。
あとさ、いつまでそんな短いスカートを履き続けるんだ?
校則厳しいのに、僕らの学校。」

「わかってないなー、ミニスカートは私のアイデンティティーだから!やめたら私じゃなくなるの。
わかる?ア・イ・デ・ン・ティ・ティ・ー・!!」

「…意味を履き違えてないか?」



──虫取りだったな、アイデンティティーは。
 ▼ 76 石の森◆Y0TXrTESFs 16/06/24 00:51:32 ID:38IQupeA [16/20] NGネーム登録 NGID登録 報告
──僕らは今、とある活動を続けている。


『ガウー…。』


彼らは、酷く衰弱している一匹のポケモンを発見した。


「この子もだね…私たちに、怯えてるみたい。」


それは、こんな風に捨てられたポケモンを迎え入れ、世話を行おうというもの。


活動を始めた当初、保健所や政府等の反応は冷ややかなものだったが、地元の住民の署名活動やポケモンセンターの後ろ盾のおかげで、この活動を続けられている。

更にカントーのフジ老人もこの活動に賛同してくれて、ポケモンたちのハウスをホウエンへと建ててくれた。
一連の活動費用は彼が出費してくれたのだ。


「ほら、来なよ。
なにも心配は要らないよ、お前に危害を加えようなんて…少なくとも僕らは思わないから。」


子どもたちと触れ合う機会を設けたり、高齢者や長期入院患者に対し動物療法を行ったりと、受け入れたポケモンたちは、多岐に渡って活躍してくれている。


…どんなポケモンだって、使えないなんてことはないんだ。
生きている限り、皆、役割を持てているのだから。
 ▼ 77 石の森◆Y0TXrTESFs 16/06/24 00:51:59 ID:38IQupeA [17/20] NGネーム登録 NGID登録 報告
『ガウゥウ。』ペトッ

ポケモンは、彼にくっついた。

「アハハ、もう懐いちゃったみたいだね。」

「僕って…こういう体質なのかな。
ナントカホイホイみたいな。」

「でもさ、ホントにさ、こう見てると減らないんだね。
…ポケモンを捨てるトレーナーって。」

「…ああ。」


アイツ(おぼっちゃま)がホウエンの公共団体とコネがあり、『ポケモンを逃したら厳重な処罰』という条例を(大体カネの力で)造った。
議会でも議決されたものだからちゃんとしたものだ。


──でも。


『自分だけじゃないし』

『他の人も同じように逃してるし』


「こんな言い訳ばっかだよね、皆。」


“右に倣え”の考えは、容易には拭い去れない。
 ▼ 78 石の森◆Y0TXrTESFs 16/06/24 00:52:22 ID:38IQupeA [18/20] NGネーム登録 NGID登録 報告
…ポツッ。


(あ。)


「えー、雨だよ。
せっかく髪をセットしたのに。」

「…とりあえず帰ろうか、ポケモンハウスに。
ほら、行くぞ。」

『ガウッ、ガウッ。』


…ポツ、ポツッ。


…………………………


僕らはいわば、この雨粒だ。

まだまだ小さくて、まだまだ見え難くて。
一部の人には、未だに好意的に思われない。

…それに、雨粒は酸っぱくて目に染みるものだし。



──だけど。
 ▼ 79 石の森◆Y0TXrTESFs 16/06/24 00:53:57 ID:38IQupeA [19/20] NGネーム登録 NGID登録 報告
(いつか…。)


僕らは、目指すんだ。


ポケモンを捨てるトレーナーがいなくなる世界を。
捕まえられたポケモンが、天寿を全うできる世界を。


…段々とこの活動の協力者も増えているが、それでもその数は、実に僅かなものだ。


(それでも、続けるしかない。
それが、ソーアに対しての贖罪でもある。)


「ほら、入るよ入るよ。
うわぁー、髪の毛ベチャってなってる。」

『ガゥガゥ。』

「…わかったよ。
そうだな。とりあえず、シャワー浴びようか。」

『ガウゥ♪』

ポケモンは、嬉しそうだ。


──バタンッ。
 ▼ 80 石の森◆Y0TXrTESFs 16/06/24 00:54:20 ID:38IQupeA [20/20] NGネーム登録 NGID登録 報告
ポツッ。


ポツツッ。



ポツ、ポツ…。




…ザァー、ザァー。





雨粒が交わり合い、勢いは次第に強まり。


──時間をかけ、やがて、豪雨となった。


………
……



おたまノチかえる ~完~
 ▼ 81 リンク@ズリのみ 16/06/24 08:35:45 ID:nxq3mYtg NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
終わってた
乙です
 ▼ 82 ツベイ@パークボール 16/06/24 08:45:50 ID:OcNHHktw NGネーム登録 NGID登録 報告
 ▼ 83 ブラン@カメックスナイト 16/06/24 13:17:06 ID:w4Don6Hk NGネーム登録 NGID登録 報告

面白かった
 ▼ 84 ディアン@4ごうしつのカギ 16/06/24 16:50:00 ID:QUaYhfpc NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ハブネークって牙あったっけ?
 ▼ 85 イボルト@ちからのハチマキ 16/06/24 21:11:20 ID:ujK6uaPA NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
>>84
立派なのが日本あるやん
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