▼  |  全表示86   | << 前100 | 次  |  履歴   |   スレを履歴ページに追加  | 個人設定 |   ▼   
                  スレ一覧                  
SS

【SS】みとじの声

 ▼ 1 石の森◆Y0TXrTESFs 16/08/21 16:02:14 ID:TsPBEvPA [1/8] NGネーム登録 NGID登録 報告


──みとじの“声”には姿なき


『要石』にその身を潜めて……

 ▼ 2 石の森◆Y0TXrTESFs 16/08/21 16:03:10 ID:TsPBEvPA [2/8] NGネーム登録 NGID登録 報告
〜シダケタウン 民家〜


「「おはよー、ヒデオ。もう朝だよ。
だから、起きて。ねぇ…起きてよーっ!!」」


早朝から、妹のキンキン声が響き渡る。


ヒデオ「…あの、まだ朝だから寝てたんだよ。
…だって、今日からさ、ほら、夏休みだろ」

ハツネ「あぁ、もったいないんだ。せっかくの休みだからこそ、早起きしなきゃっ!
さっ、今からさ、カナズミまで行こっ!!」

ヒデオ「え?」

僕ら兄妹は塾帰り。
カナズミのトレーナーズスクールに通う、初等部だ。

ヒデオ「やだよ。なんで学校ないのにわざわざ。
それにお前、僕がいないとトンネル超えれないだろ?」


──妹はまだ10歳に満たないトレーナー見習い生。
そのため、僕と違いポケモンはまだ持っていない。

いつもはカナシダトンネルを渡り学校へ通うため、道中のポケモンはトレーナーの僕が撃退しているのだ。
 ▼ 3 石の森◆Y0TXrTESFs 16/08/21 16:06:29 ID:TsPBEvPA [3/8] NGネーム登録 NGID登録 報告
ハツネ「まぁ…そう“だった”ね」

ヒデオ「わかったら、お前もまた一緒に寝よう。
ほら、さぁ、わかったのなら諦めろ…」

ハツネ「…ふんだ。
だから、アタシ一人で行くもん」

ヒデオ「だから、ポケモンを持ってないくせ…。
…え?」

キノココ『キノ♪』

ハツネ「ねー、キノちゃん♪」


…妹はあろうことに、ポケモンを連れていたのだ。


ヒデオ「えっ…ポ、ポケモン!?
なんでお前が…?」

ハツネ「『かえるノいえ』って知ってるでしょ。ホウエンにできたポケモンハウス。
昨日カナズミにそこの職員のお姉ちゃんが来て、ポケモンの譲渡会があったの。で、行ったの」

ヒデオ「…お前、そういえば昨日『オナカイタイ』とか言って終業式来なかったな。
その譲渡会とやらを事前に知ってたのか…」

キノココ『キノ〜♪』

ヒデオ(…あぁ、メンドくさいことになった)
 ▼ 4 石の森◆Y0TXrTESFs 16/08/21 16:08:41 ID:TsPBEvPA [4/8] NGネーム登録 NGID登録 報告
ハツネ「じゃ、今からアタシ出掛けるから。
じゃーねー、お父さんに言っと(ガシッ

肩を掴み、引き戻した。

ハツネ「…乱暴」

ヒデオ「ダメだ!
お前は昔からそうだ。勝手にいつも先走ろうと…。
…パープリンと虚弱体質のクセして」

ハツネ「…行きたいのに、カナズミ」

ヒデオ「お前…“トウカの森”に行きたいのか?」

ハツネ「!」

ヒデオ「今まで僕が制止してきたから、そのキノココとなら行けると考えたんだろう、そうだろう?」

ハツネ「…ムゥ」

ヒデオ(ズボシか。
それに世の中にはな、タチの悪いトレーナーや怪しげな性癖持ちとか、色々いるんだぞ)

……一生モノのキズがついたら、どうするつもりだ。

ヒデオ「……わかった、僕も行く。探索程度だよ。
あと面倒臭くなるから、親には黙って行こう」

ハツネ「さすがヒデオ!
じゃ、早く行こっ、さあっ!!」
 ▼ 5 石の森◆Y0TXrTESFs 16/08/21 16:19:03 ID:TsPBEvPA [5/8] NGネーム登録 NGID登録 報告
〜トウカの森〜


ミーンwミーンwミーンwミーンw

ミーンミー…


ミ ー ン w w ミ ー ン w w ミ ー ン w w


ハツネ「うぅっるぅっさいぃぃっ!!
このっ、この虫風情のテッカニンがぁっ!!」

ヒデオ「…お前の方がうるさい気がする。
で、トウカの森だけど…どう?」

ハツネ「うるさいってのと暑いってのと帰りたいってのと」

ヒデオ(悪いところばかりじゃないか)


──その時。


ハツネ「…ん?」

ヒデオ「なんだ、なにか良いところでも見つけたのか?」

ハツネ「違う、ヒデオ。
…ほら、“これ”見て」
 ▼ 6 石の森◆Y0TXrTESFs 16/08/21 16:46:17 ID:TsPBEvPA [6/8] NGネーム登録 NGID登録 報告
アイアント『ギシャァーッ…』


ゾロゾロ。


…アイアントの群れが、とある場所に向け進んでいた。


ハツネ「ねっ、アイアントたち、なにしてるのかな」

ヒデオ「食べものを見つけたんじゃない?
森に来た子どものお菓子とか落ちてたり」

ハツネ「行ってみよーよ!
もしかしたら、ホントにそうかもしれないし!!」

ヒデオ(…まさか、食べるのか?)

…僕と妹は、アイアントと一緒に歩き出した。

ハツネ「なにがいいかなー。
アメかな、チョコレートかな、それとも今暑いし、アイスがいいなー♪」

ヒデオ「そういうのは菓子屋とかで考えるものだろ」


…だけど。

現実は、確かに、そう甘いモノではなかったようだ。
 ▼ 7 石の森◆Y0TXrTESFs 16/08/21 17:04:09 ID:TsPBEvPA [7/8] NGネーム登録 NGID登録 報告
ハツネ「あっ」


──アイアントたちが群がっていたのは、テッカニンの死骸だった。


ハツネ「…。
え…」

ヒデオ(…傷だらけ、足がもげてる。
死に際になって、あちこちにカラダをぶつけたんだろうか)

ヒデオ「ん…?」


『『キィ…
…キィ……キ…ィ………』』


ヒデオ(…)


まだ息がある。


ハツネ「ねぇ。早く…帰ろっ、ヒデオ!
…帰ろうよ。付き合わせちゃって、ホントゴメンね。
……アタシ、なんか、バカだったから……」

ヒデオ「…うん。
森、出よっか」
 ▼ 8 石の森◆Y0TXrTESFs 16/08/21 17:04:42 ID:TsPBEvPA [8/8] NGネーム登録 NGID登録 報告
──数時間後



  ク  シ  ャ  ッ  。



「おい…なんか踏んだぞ、お前」

「わっ、ホントだ」

「きったねーっ、テッカニンだ!
それにアリたかってる。グロッ!!」

「うわ…頭からなんか出てる。
あーもうっ、サイアク。こんなんだからセミはメーワクなんだよ」

「虫取りやめて帰ろーぜ。
こんなしょぼいテッカニンぐらいしかいないのかもなー」

「とりあえず、靴裏の汚れ落としたいな」

「そうだな」

「…ん?
おい、なんだ……“これ”?」

「なんだ?
…“こんな石”、前に来た時あったっけな……」
 ▼ 9 ルマユ@ヤドランナイト 16/08/21 17:55:36 ID:zn3r/LYQ NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 10 石の森◆Y0TXrTESFs 16/08/21 18:16:46 ID:7KD3G13Q [1/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告










《  2  0  …  》









 ▼ 11 石の森◆Y0TXrTESFs 16/08/21 18:27:53 ID:7KD3G13Q [2/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
〜翌日 キンセツキッチン〜

ハツネ「うん、やっぱこれがさ、うん…夏だね!
…久しぶりに食べたけど、ホントなつかしい」

ヒデオ「あぁ、ホントに…。
かき氷。あれから気分とかどう?」

ハツネ「えー…うん。
もっとイロイロ食べたいー」

ヒデオ(…ただ食べたいだけだよな)


トウカの森まで行こうと言い出したのはコイツだが、実際に行かせてしまった責任がある。

…夢見がちの女の子には、あの光景はショックが強かったのだろう。


ヒデオ(だから、せめてもの詫びとしておこづかいをフンパツして、色々と奢ってやったし。
アクセサリー、マンガ、リンス、それにかき氷…はぁ、おこづかい)

ハツネ「舌と顔色マッサオだね」

ヒデオ(シロップとお前のせいだ)

ハツネ「…うーん、ドリンクバー汲んでくる。
なんか飲みたいのある?」

ヒデオ「サイコソーダでいいよ。
…こぼさないようにな」
 ▼ 12 石の森◆Y0TXrTESFs 16/08/21 18:29:53 ID:7KD3G13Q [3/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
──しばらくして


ハツネ「もってきたよ!
ほら、サイコソーダ」フラフラ

ヒデオ「あっ、おいおい、気をつけろ。
お前グラス2個持ってるから…ホントに気をつけろ」

ハツネ「大丈夫だって…
ほら、ロメジュースとブレンドしてさ…ミックスサイコロメにしたから、多分、おいし…」ドンッ

ハツネ「さ ぺ っ」


…仕切りの壁に激突してしまった。


ヒデオ「あっ」


ドテッ

パリィン パリィン

ビチョッ


………
……
 ▼ 13 石の森◆Y0TXrTESFs 16/08/21 20:31:58 ID:7KD3G13Q [4/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
〜数時間後 シダケ診療所〜


妹が転んでしまい、骨休めもクソもなくなった。
大したことはないとは思うが、大事をとり、僕は妹を町の診療所へと連れて行ったのだ。

…ついでに割れたグラスは僕が弁償した。
あと診療費もか。…はぁ。


ヒデオ「先生…ハツネ、大丈夫でしょうか?
まぁ、別に、ただファミレスで転んだぐらいですし…」


ちなみに“先生”は、僕らが幼い頃からのかかりつけ医だ。
元はイッシュ出身であり、ヒウン大学院医学部を満期退学後このホウエンで小さな診療所を構えたそうだ。

そんなインテリでありながらも他を卑しめることはせず、僕らが慕い続けるとても優しい人なのだ。


先生「…ファミレスで転んだくらいでもね、あの年頃の女の子には打撃になりかねないのですよ。
なにせ顔や身体に傷や痣が残ってしまったりと、それだけでも、彼女たちは酷く落ち込むものですから」

ヒデオ「…そうですか。
アイツ、ジムリーダーのような『エレガントなトレーナーになりたい!』って昔からずっと言ってるし、それは嫌でしょうね。言葉の意味わかってるのか知らないけど」

先生「まぁ、私が見たところ、そういったような目立った外傷はありませんでした。安心してください!
…ただ…」

ヒデオ「…ただ?」
 ▼ 14 石の森◆Y0TXrTESFs 16/08/21 20:34:24 ID:7KD3G13Q [5/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
先生「ハツネちゃん、しきりに右腕の痛みを訴えていてね。それが気になり、先程レントラーを用い透視撮影を行ったのですが…右腕の尺骨に、少しヒビが見受けられました」

ヒデオ「ヒッ…ヒビッ!?
そんな…ハツネ、そんな……ええっ?」

僕は、真っ青になった。

先生「…あっ、そんな、大事じゃないですよ!?
…湿布薬を貼りサポーターを着ける程度で。それで一ヶ月程様子を診ましょう。恐らく、その頃には完治します」

ヒデオ「……はぁ、なら、よかった」

…ちょっと、赤面した。


──そして更に数十分後


ハツネ「…終わったよー。
ねー、このサポーターって奴、かっこ悪いんだけど。なんかおじいちゃんのハラマキみたい」

ヒデオ「…治るまで、ちゃんと着けてるんだぞ。
あぁ、買った服さっそく着てるのか」

ハツネ「こぼしたジュースで濡れたから。
…なんかヒデオ、泣いてるけど。どうしたの?」

ヒデオ「…レントラー撮影がこんなに高いだなんて…
保険適用外……だとは」

散財しまくった散々な一日だったと絵日記に書いておこう。
 ▼ 15 石の森◆Y0TXrTESFs 16/08/21 20:55:52 ID:7KD3G13Q [6/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
〜トレーナースクール 登校日〜

トモノリ「な、すごいだろ? そうだろ、ハツネ!?」

ハツネ(…なーんか、裏があるよ。ゼッタイ)ジロッ

ヒデオ(同感。
僕でさえ勝てないのに、よりによってコイツが…)ジロッ

トモノリ「なっ…なんだよ!?
その半信半疑の眼差しはよぉっ!!?」

ハツネ(疑が大多数を占めてるよ)


コイツは同級生のトモノリ。いつも116番道路で虫ポケモンを採っている。
コイツが見せびらかしているのは『ストーンバッジ』。

…そう。
ジムリーダーに、コイツが勝利したというのだ。


トモノリ「…誰も信用してくれないか、悲しい」

ヒデオ「だってお前、基本的に虫ポケモンしか捕まえないじゃん。虫取り少年のポリシーだか何だか知らないけど。
そしてツツジさんは岩タイプ使い。相性的に、あと経験的にとてもじゃないがお前じゃ勝てない」

トモノリ「むぐぐぐ」

ヒデオ(…どいつもこいつもズボシだって顔して。
じゃあ、実際に、なんでコイツはバッジを持っているのだろうか?)
 ▼ 16 石の森◆Y0TXrTESFs 16/08/21 22:16:21 ID:7KD3G13Q [7/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
トモノリ「…あ、そ、そうだ!
ハツネ…なんかさ、その、えっと、右腕のバンド?
どこで買ったんだ? 変わったバンドだなー、おい」

ハツネ「……」ムスッ

トモノリ「あっ」

ヒデオ(タブーだったのに)

トモノリ「…あ、あぁそうだ!
お前ら、トウカの森にはさ、行ったことあるか?」

ハツネ「……うぅっ」

トモノリ「えっ?
お、お前泣いてるのか!?」

ヒデオ(コイツはなんで地雷を踏んで行くんだ…?)

ハツネ「…ないて…ないもん……ヒック。
で…なに……トウカの森が、どうかしたの!?」

トモノリ「…え、えっと、ヒデオ知ってる?
そこによ、道を塞いでるジャマな木あってさ、奥地までは行けないってこと」

ヒデオ「あぁ、“いあいぎり”で斬れる木だろ?
…まさか」

トモノリ「そう!
オレ、ストーンバッジ貰ったからさ、そういう木も斬れるようになったんだよ!!」
 ▼ 17 石の森◆Y0TXrTESFs 16/08/21 22:17:55 ID:7KD3G13Q [8/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
トモノリ「で、さっ…」

ヒデオ「さっそく行ってみたんだろ?」

トモノリ「えっ」

ヒデオ「『なんでわかるの?』と思った?
長年の付き合い。なんとなくそう思ったんだ」

トモノリ「…ちぇっ、ハッタリだったのか。
うん、当たってる。それでさ、スゴいんだぜっ!?」

ハツネ「なにが、スゴイの?」

ヒデオ(泣きやんだか)

トモノリ「えっと、うん、スゴかったんだ!
それに、とてもすごく、スゴイの!!
スゴくてよー、ちょっとオレ、スゴくさ……」

ヒデオ「…実際にまた行ってみよう。
それで、言いたいことがわかるさ」

ハツネ「……はぁ……」

ヒデオ「もう、あんなことにはならないさ。
…また居たら、ゴメン」

トモノリ「?」

そして僕らは、そのスゴいところとやらに行くことになったのだ。
 ▼ 18 石の森◆Y0TXrTESFs 16/08/22 12:29:11 ID:dkD8whXc [1/4] NGネーム登録 NGID登録 報告
〜トウカの森〜

トモノリ「そらっ、ツチニン!
“いあいぎり”だっ!!」

ツチニン『ツチッ!』シュパッ

“いあいぎり”により、遮る木を斬り倒した。

トモノリ「こういう木は斬っても斬っても生えて来るからな。メンドい…。ほら、行こうか」ザッザッ

ヒデオ「…頼むぞ、アサナン。
薄暗いし、“フラッシュ”で照らしながら進もう」

アサナン『アサ…』ピカァッ

ハツネ「…ふっふっふ〜。
いつもこの三人で行動してる時、アタシってなんかさ、ほら、オニモツだったじゃん。
…で・も♪」

キノココ『キノ〜♪』

ハツネ「今のアタシにはこの子もいる!
アタシだってもうイッパシのトレーナーなんだから、そうっ、もうっ…大丈夫なのっ!!」

キノココ『ノ〜ッ♪』

トモノリ「おぉっ、その意気だ、その意気っ!!」

ヒデオ(やっぱりわかってない、大丈夫じゃない。
そういった慢心が、一番怖いのに)
 ▼ 19 石の森◆Y0TXrTESFs 16/08/22 12:29:36 ID:dkD8whXc [2/4] NGネーム登録 NGID登録 報告
──奥地

トモノリ「…ここだよ」

どうやら、目的地のようだ。

ハツネ「わっ…。えっ、スゴい…?
なにこれっ、全部…ホントに…“そう”なの?」

ヒデオ(…。
さながら、『森の霊園』……)


──そこは、開けた原っぱであった。

周りを木々がグルリと囲み、それ以外に特筆すべき点もない…。


……ただ、この景観に不釣り合いな、多数の“墓標”を除けば。


ヒデオ(盛り上げた土に木辺を刺しただけの簡易的な墓標の数々。イヤな予感がする…。
……“なに”が埋まっているんだ!?)

トモノリ「あー…ヒデオ。
お前ってさ、考え過ぎるよな、いつもいつも」

ヒデオ「…?」

トモノリ「これ全部、“ポケモン”の墓だよ。
…仏には悪いけど、ほじくり返して調べたんだ」
 ▼ 20 石の森◆Y0TXrTESFs 16/08/22 13:18:42 ID:dkD8whXc [3/4] NGネーム登録 NGID登録 報告
トモノリ「オレも最近知ったんだ。
あと、憶測も少し入ってるが聞いてくれ」


──いつからかはわからない。

でも、多分昔から。
心優しいというかモノズキというか、そんな一部のトレーナーによって。
森のポケモンの死骸は、ここに葬られるそうなんだ。


…ひょっとしたらあの木も、この『森の霊園』を守るために延々と生えてくるのかもしれない。


ヒデオ「…そうだったのか」

トモノリ「トウカやカナズミの人は皆知ってるんだってさ。
…子どもだと。知らないのは」

ヒデオ(ひょっとしたら、あのテッカニンも。
あの後誰かに埋められたのかなぁ…)

ハツネ「…タ…シ」

ヒデオ(ん、ハツネ…?)

ハツネ「……あの時。
…アタシ、アタシ……」

ヒデオ(…。
“葬ってやればよかった”と、思ってるのか?)
 ▼ 21 石の森◆Y0TXrTESFs 16/08/22 13:19:14 ID:dkD8whXc [4/4] NGネーム登録 NGID登録 報告
その時…だった。



《  2  8  …  》



ヒデオ「!!?」


──突然、その正体不明のおぞましい《声》が、僕の頭に響いたのだ。


ハツネ「どーかしたの、ヒデオ」

トモノリ「…なんだ?
いきなりあらぬ方向振り向いて」

ヒデオ「き、聞こえないのかっ!?
お前たちには、聞こえなかったんだなっ!!?」

ハツネ「え?」

トモノリ「お前、ホントに大丈夫か?」

ヒデオ(…どういうことだ……。
……んっ?)


──“アレ”は……?
 ▼ 22 石の森◆Y0TXrTESFs 16/08/22 18:17:39 ID:rhLkq0lM [1/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
それは、“石”だった。


ヒデオ(…ただの、石だ。地面に落ちてる、森の石。
だけど、前にどこかで見たような、見てないような…)


トモノリ「ゴメンな、ヒデオ」

ヒデオ「え?」

トモノリ「今、すごく暑いし、気分悪いんだろ?
幻聴も聞こえるなんて…熱中症だよな? 多分」

ハツネ「えっ、ヒデオ、熱中症なの?」

ヒデオ「あっ、嫌……」

ヒデオ(…そういうことに、しておこう)

トモノリ「だったらよー、オレの家で休もうぜ!
ハツネ、お前も行こうぜ!!」

ハツネ「…そうだね。
あ、だったらお風呂借りるね。汗かいたし」

ヒデオ(…まぁ、本当に幻聴かもな。
…でも…なにかが、あるのかも…しれない……)ソッ


僕は、その石を拾い、ポケットに入れた。
 ▼ 23 石の森◆Y0TXrTESFs 16/08/22 19:16:11 ID:rhLkq0lM [2/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
〜トモノリの家〜

トモノリ「いまよー、母ちゃんが飲み物持って来るぜ。
…ハツネは風呂場か」

ヒデオ「…もう、体調は大丈夫だよ。心配かけてゴメン」

トモノリ「……なぁ、ハツネのことだけどよー…」

ヒデオ「?」

トモノリ「右腕、どうしたんだ?
あと、前にトウカの森でなにがあったんだ?」

ヒデオ「…うん。わかった、話すよ」

----------

トモノリ「……そうだったのか…。
なんか、シンキンカン湧くなー」

ヒデオ「親近感…?」

トモノリ「……オレもさ、以前に骨をケガしてるんだ。
しかも、ハツネと同じ右腕」

ヒデオ「へぇ。初耳だ」

トモノリ「で、驚かないで聞いてくれよ?」

ヒデオ「なに?」
 ▼ 24 石の森◆Y0TXrTESFs 16/08/22 19:18:16 ID:rhLkq0lM [3/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
トモノリ「オレ、右腕の骨ないんだ」

ヒデオ「…!?」

流石に、面食らってしまった。

トモノリ「…あ、いや、さ、厳密には代わりの骨が入ってるんだ。義骨ってやつ」

ヒデオ「どういうことだ?」

トモノリ「オレは昔もやんちゃしてて、毎日虫の尻ばっかり追いかけてた。今もだけど」

…ある日、とある虫ポケモンに遭遇してさ。
捕まえようとしたわけ。

……で、ネットボールを投げようとしたその利き腕を、アゴで一刀両断されちまったんだ。

トモノリ「…すっげぇ痛かったぜ。
実際、泣き喚いた。その声で母ちゃんが駆けつけた。
そん時よー、オレは家族とな、アローラって地方にバカンスに行ってたんだ」

ヒデオ「アローラ…あぁ、南国の地方のことか。
……病院に運ばれたの?」

トモノリ「あぁ。で、腕を繋いでもらった。
骨がズタズタだったから義骨に入れ替えてもらったんだ」

ヒデオ「色々と、凄いな…」

トモノリ「あん時担当してくれた先生凄かったんだぜ!
ほら、右腕にそんな縫合痕なんて全然ないだろ?」
 ▼ 25 ライオン@ロメのみ 16/08/22 19:53:56 ID:syJPcXBs NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
見てるよ
 ▼ 26 石の森◆Y0TXrTESFs 16/08/22 20:19:47 ID:rhLkq0lM [4/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ヒデオ「…うん、もしその話を聞かなかったら、全然気づかなかったと思うよ」

トモノリ「確かその先生、敏腕を買われて地方の変な集団にスカウトされてるって聞いたな。
断り続けてるとも…確か名前は、なんだったかな?」

ヒデオ「…名前なんてどうでもいいんじゃない?
その先生は優れた医師だったってだけで」

トモノリ「あぁ、そうだな!
長い付き合いのお前の目も欺き続けられたんだから、ホントにあの人はスゴいさ」

ヒデオ「別に欺く必要はないと思うけど、まぁ、確かに凄いと思うよ」


…やがて。


ハツネ「…ただいまぁ」ガチャッ

扉を開け、妹が入って来た。

トモノリ(おい。
今の話、ハツネにはするなよ…同情心とか、こんな女の子に持たれたくないんだ、恥ずかしいから)

ヒデオ(わかったよ)

ハツネ「ん?」

トモノリ「いや、なんでもない、ハツネ」
 ▼ 27 クーン@どくどくだま 16/08/22 21:20:52 ID:ZvziRmks NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
支援
 ▼ 28 石の森◆Y0TXrTESFs 16/08/22 22:07:49 ID:rhLkq0lM [5/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
トモノリ(…あとよ、ハツネの好きなモノって、なにかな……?)

ヒデオ「?」

トモノリ(いや、なんでもいいんだ。
……できる限り、なんでも、ホントに……)

ヒデオ「…ポケナビかな」

トモノリ(!
ひぇっ……)

ヒデオ「なんなんだよ、友だちの妹を餌付しようってのか?
お前そんな趣味あったのか?」

トモノリ(いや、違うって!
…わかった、ありがとう)

ヒデオ「…?」

ハツネ「??」

トモノリ「…もう」


しばらくお暇した後、僕たちはトモノリに別れを告げ、シダケタウンに帰ることにした。


…すっかり、日が暮れてしまっていた。
 ▼ 29 石の森◆Y0TXrTESFs 16/08/22 22:12:51 ID:rhLkq0lM [6/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
〜116番道路〜

──日はすっかり沈み、空は鮮やかなオレンジ一色に染まっていた。

雲も、街景色も、なにもかも、皆この空を主体として溶け込んでしまっている。

《ミーンwww ミーンwww ミーンwww》

ヒデオ(…夏なんだなぁ、改めて。
この辺まで来ても、テッカニンの鳴き声が響く)

ヤミカラス『カァー、カァーッ!!』

ヒデオ「…コイツも、なにが面白くて鳴いてるんだか。
さっ、トンネルを潜って帰ろう」


僕は妹に、そう声をかけた。

…そしたら、妹が珍しく、物思いに更けていたようだ。


ハツネ「…アタシさ、こういうフインキ好きなの。
……皆が皆今日やるべきことをやり終えて、くたびれてさ、家に帰るの。それがこんな時間帯…こんな感じなの」

ヒデオ(…はぁ)

ハツネ「…で、そのジメッとしたフインキを、皆が共有してさ、なんとなくだけど、分かち合っている。
『今日、皆頑張ったんだね、お疲れ様』って…だからまた一日、頑張れる気がするんだ」

ヒデオ「なんか、難しいな」
 ▼ 30 石の森◆Y0TXrTESFs 16/08/23 00:08:59 ID:69HOPWNc [1/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ハツネ「べつに、難しいことじゃないよ。
…多分だけど、あの時のテッカニンだって、たった一週間ですることいっぱいあって、毎日毎日忙しかったんだと思う」

ヒデオ「…まぁ、僕ら人は、その一週間がもっと長く、置き換わっただけの存在なのかもしれないね」

ハツネ「それに、あの『森の霊園』さ。うん。
…死んだ後に自分の身体見られて、あげくに気持ち悪がられたら、傷つくよね、フツーに考えて。
そんなハイリョも、あるのかなーって……」

ヒデオ「確かに、そうだよな。
お前みたいにロコツなまでに気持ち悪がられたら、そりゃああのテッカニンも浮かばれないだろう」

ハツネ「…うぅ」

ヒデオ(…ムズカシイよな。
僕だって、わからないもん)

ヒデオ「まぁ、大人になったな、ハツネ」

ハツネ「そっ、もうアタシ、大人なの!
……なんだって、一人でできる……ハズなの」

…語尾が、ちょっとばかり聞き取れなかった。

ヒデオ「…確かに、僕は少し心配性なのかも。
いずれお前だって、大人に、そうだよな……」

ハツネ「うんっ、そうだって、ヒデオ!」


──そして、僕らはその日、帰路に着いた。
 ▼ 31 石の森◆Y0TXrTESFs 16/08/23 00:15:06 ID:69HOPWNc [2/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
──とある日 とある時刻

トモノリ(…そういえばオレ、一回もシダケタウンに行ったことないんだよなぁ…)

トモノリ「…」


アイツに、“これ”を渡したいし…。


トモノリ(よしっ、決めた。
カナシダトンネルを抜けて、シダケに行くか)

ツチニン『二〜ッ!』

トモノリ「おーおー、お前も乗り気か、そうかー。
シダケって空気が美味しいらしいからな〜…せんべい売ってたのあそこだっけ?
まぁいいや、行こっか、ツチニン」

ツチニン『ツチッ♪』

トモノリ(…でも、今お父さんもお母さんも仕事だしな。
あっ、書き置き残しておけばいいか)

《お母さん お父さんへ
友だちの家に行って来るので、少し遅くなります。
夕食頃には戻って来ます。カレーがいいかなぁ》

………
……
 ▼ 32 石の森◆Y0TXrTESFs 16/08/23 00:23:07 ID:69HOPWNc [3/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
──カナシダトンネル

トモノリ(…ん?
あれ……誰かが……)

???「…っ」


… ド ン ッ ! !


反対方面から渡って来た通行者と、ぶつかってしまった。


トモノリ「…あー、すみません!
あっ、なにか、持ち物落ちましたね…拾います!!」


トモノリ(…暗くてよく見えない…ツボかな、これ。
あっ、中身こぼれちゃってる……なんだろ、“これ”…)


???(……)


トモノリ「ホントにすみません!
今、“これ”ひろいま(ビュンッ


その通行者は、トモノリに明白な『殺意』を込め。
…そして。
 ▼ 33 石の森◆Y0TXrTESFs 16/08/23 00:25:53 ID:69HOPWNc [4/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告





──   グ   チ゛   ョ   ッ   。





………
……




“ツボ”を、彼の頭部に振り下ろした。
 ▼ 34 石の森◆Y0TXrTESFs 16/08/23 13:35:58 ID:bY6CIAVA [1/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
〜トレーナーズスクール〜

ツツジ「…“要石”ね。
間違いないわ、珍しい…」

ツツジさんはトレーナーズスクールの先輩であり、そしてバッジを与るジムリーダーだ。

ヒデオ(やっぱり、これが…)


…そう、僕が森で拾った、あのヘンテコな石のことだ。


話が前後するが。

数時間前、僕はカナズミの図書館で、ある“唄集”を借りたんだ。


------------------------

──カナズミ図書館


ヒデオ(なんとなく覚えてる。この本だ。
小さい頃に読んで、なぜかヒドく怖かった記憶がある。
…あの“声”と関係があるかもしれない)

ヒデオ「……」


あぁ、“これ”だ。
 ▼ 35 石の森◆Y0TXrTESFs 16/08/23 13:36:32 ID:bY6CIAVA [2/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
《要石わらしべ唄》


【壱】 みとじの声には姿なき
    要石にその身を潜めて


【弐】 声を聞けし者限られる
    善悪を問わず限られる


【参】 声の主は只待ち詫びる
    みとじを終えるまでは


【肆】 声は決して終わらない
    この世に生命ある限り
 ▼ 36 石の森◆Y0TXrTESFs 16/08/23 19:13:15 ID:69HOPWNc [5/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
“みとじ”とは、恐らくは“32”のことだろう。
祖父母世代での名前の読みだ。


あの“声”を訊けるか訊けないかはさしたる違い。
ただ、偶然にも僕が訊ける側だったということ。

そしてそれは善悪、つまり良い人間かそうでないかは関係がない。


ヒデオ(主は只待ち侘びる…?)


これは僕の憶測だが、要石は生物の魂を何らかの方法で吸収し、己の糧としているのだろう。


…トウカの森で初めて“声”を訊いた時、要石の近くには。
死んで間もないテッカニンの死骸が横たわっていたんだ。




……そして、あれから。

その憶測を、僕は、遂に確信することとなる。
 ▼ 37 ジャンボ@ふしぎのプレート 16/08/23 19:32:11 ID:Bq4Qslc. NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 38 石の森◆Y0TXrTESFs 16/08/23 21:18:13 ID:69HOPWNc [6/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁああっっ〜〜〜〜っ!!!?」


あれは、大体2日前の出来事だった。

夕食を終えて少しばかり経つ頃に、母が突然にも、騒然たる悲鳴を家中に鳴り響かさせたのだ。


ヒデオ「…うるさいな」

ハツネ「あっ、キモ可愛いじゃん、捕まえよーよ」

母「ほら、見たでしょ! ヒデオッ、ハツネッ!!
しかも二匹も…殺して! キャ〜ッ!! キャ〜ッ!!」


ヒードランA『ごぼぼっwwww』

ヒードランB『ごぼぼぼwwww』


僕の家に、なぜか忌み嫌われるポケモンが二匹現れた。

そして母の再三に渡る要求の下、僕は遂に折れ、逃がしてやればいいのにとも思いながら、そのポケモンたちを退治してしまったのだ。

近くに、そうだ、偶然にも、あの要石を置いていた。
他に置き場所もなかったから。



…退治した、瞬間だった。
 ▼ 39 石の森◆Y0TXrTESFs 16/08/23 22:18:54 ID:69HOPWNc [7/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


《  2  9  …  》


《  3  0  …  》


ヒデオ(っ…)


…そして、あの“声”が、やはり僕には訊こえた。
しかも、二度続けてだ。


ハツネ「?」キョトン

母「ありがと、ヒデオ。
…どーしたの、アンタ。怖い顔してさ」

家族には案の定訊こえなかったらしい。


…そして、確信した。



【要石は“己の周辺で死亡した”生物の魂を取り込む】


 ▼ 40 石の森◆Y0TXrTESFs 16/08/23 22:26:13 ID:69HOPWNc [8/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
“声”の数字は、大きくなり続けている。

そして今は《30》だ。


みとじを待ち侘びる…。
つまり後二回、コイツの近くで、なにかしらの生き物が死ぬことになれば…。



……どうなるんだ?

わからない。ただ、興味はあるが、怖い。



この石を捨てようとはしたが、なぜか捨てられずに今に至っている。

僕を持ち主として、僕本人の知らぬ中、ある程度思考を操っているのだろうか?


------------------------


ヒデオ(能力に、名前。僕は知ってしまったが……。
そもそも要石とは、発見されるのは、遠く離れたシンオウの限られた地域のみだとも聞く。
なのに、どうして…?)
 ▼ 41 石の森◆Y0TXrTESFs 16/08/23 23:02:19 ID:69HOPWNc [9/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ツツジ「…ねぇ、この石、要石なんだけど…。
……その…私に、譲って…は、くれないかしら……?」

ヒデオ(えっ!)

そうだった。この人は石マニアなのだ。

ツツジ「その要石、ホウエンじゃ凄く珍しい石なの。
それに、こんな大きい要石は、今まで見たことがないわ…」

ヒデオ「…えっと。
あの、すみません、うん、ツツジさんでも駄目です!
一瞬いいかな、とは思ったけど」

ヒデオ(“声”の件がある以上は)

ツツジ「じゃ、じゃあさ、この技マシンあげますから!
というか、在庫いっぱいあって持て余してるの!!」

ヒデオ「“がんせきふうじ”はもうアサナンが覚えてます」

アサナン『アサ』

ツツジ「えっ、…じゃ、じゃぁ……。
バッジ、内緒であげちゃう! ストーンバッジよっ!!
友だちに自慢できるわよっ!?」

ヒデオ(ジムバッジってそんな扱いでいいんだろうか)

ヒデオ(…ん?
そうか、アイツ、モノで釣ってバッジを貰ったのか……)
 ▼ 42 石の森◆Y0TXrTESFs 16/08/24 20:33:59 ID:QZ4pDyiA [1/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
………
……


金輪際こういうことはしないでくれと忠告し、トモノリに一体なにをもらったのかと問いただした。

ツツジ「…トルマリン石よ。電気石とも呼ぶらしいわ。
イッシュでしか見つからない、これも珍しい石なの。
だから、その、アタシ……つい……」

ヒデオ「イッシュで…?
アイツが、どうしてそんなモノを…」

ツツジ「なんでも昔、お医者さんにもらったみたいなの。
『傷が完治しますように』っていう気持ちだそうだわ」

ヒデオ「…医者?」

ツツジ「右腕の傷を治してくれた、恩人だそうよ?
そのお医者さんが、“イッシュ”住まいだったんですって」

ヒデオ(…!
もしかして、その、“お医者さん”って……)

ツツジ「トモノリ君に、今度謝るわ…。
トレーナーの手本となるべきジムリーダーが、こんな軽率な行為をしちゃって……本当に、ゴメンなさいって……」


世界は案外狭い。

……“あの人”だったのかもしれないな。
 ▼ 43 石の森◆Y0TXrTESFs 16/08/24 20:42:15 ID:QZ4pDyiA [2/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
〜数分後 カナシダトンネル〜

ヒデオ(さて、シダケに帰るか…)


僕はいつも通りに、トンネルを歩み始めた。
…本当に、それ自体は、普段とさして変わりもしなかったんだ。


──しかし。


ヒデオ(ん?
…なんだ?)


ヒデオ「「…!!」」



ゴニョニョの群れ『ニョ〜…』



──クチョ、ヌチャ……。



トンネル内のゴニョニョたちが、とあるポケモンの死骸へと群がり、どうにもそれを貪り合っていた様子だったのだ。
 ▼ 44 石の森◆Y0TXrTESFs 16/08/24 20:49:06 ID:QZ4pDyiA [3/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
そして、“その”ポケモンとは。


ヒデオ「あっ…。
…お、おいお前たちっ、ソイツから離れろっ、離れろ…っ!!」

ゴニョニョ『ニョ〜…』ダダッ

威圧したら、ゴニョニョたちは去っていった。



《  3  1  …  》



……要石は、僕のポケットに入っている。

つまり、“声”だ!
クソッ、死んでしまった!!


…“ソイツ”は、身体中から茶色い液体を垂れ流していた。


…貪り食われる云々に、元から“コイツ”は傷ついていた。
そして、ゴニョニョたちの捕食が致命打になったんだ…。


ヒデオ「あぁ、なんで…。
なんで……“お前”…が………」
 ▼ 45 石の森◆Y0TXrTESFs 16/08/24 22:09:41 ID:QZ4pDyiA [4/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
──その死骸は、トモノリのツチニンのものだったのだ。


ヒデオ(…何かがトモノリの身に起きたんだ!
ジャマとなるコイツは、誰かに殺されたんだっ!!)

ヒデオ「僕たちに会いに来たというのか、トモノリ…。
……んっ…?」


僕は、地面に落ちているとあるものに気づいた。


ヒデオ(…なんだこれ。犯人が、落としたのか?
誰かの名刺…のようだけど。
あと、この……ぬいぐるみ…?)


------------------------


ヒデオ(…そうだったのか!
ということは、やはりトモノリはシダケに向かっていた!
そしてハツネは…そうだ、今は“アイツ”のところだっ!!)


ヒデオ「…ハツネッ!!!」ダダッ



僕は、夢中で駆け出した。
 ▼ 46 石の森◆Y0TXrTESFs 16/08/24 22:19:16 ID:QZ4pDyiA [5/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
〜数時間前 シダケ診療所〜

先生「…一ヶ月もかからなかったね。
ヒビはほぼ、完治しています」

ハツネ「わぁ、よかった!
もうこんなおじいちゃんみたいなサポーター、やだったの。
シップだって、スゴくかぶれちゃうし……」

先生「…ん。
そういえば、今日はヒデオ君は?」

ハツネ「なんかさ、調べたいことがあるからカナズミに行くんだって。
…よくわからない、あの子」

先生「実のお兄ちゃんでしょうが」

ハツネ「じゃ、アタシ帰りますね。
116番道路でポケモンどんどん鍛えるんだー」

先生「では、診療費は私が負けときましょうか?」

ハツネ「……あ、いいの?
(…忘れてた)」

先生「良いですよ良いですよ。サービスです。
それに、今日は君が最後の患者でしょうから」

ハツネ「え。
今日はもう、お店閉めちゃうの?」
 ▼ 47 ノクラゲ@パワーウエイト 16/08/24 22:21:38 ID:lv2766Rg NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 48 石の森◆Y0TXrTESFs 16/08/24 22:30:36 ID:QZ4pDyiA [6/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
先生「…私もちょいと、“骨休め”へ行きたくてね」

ハツネ「へぇ〜、先生も夏休みなんだ!
どこ行くの?
えんとつ山? すてられぶね?」

先生「…ま、大したことはありませんよ。
しばらくしたら行ってこようかな…と、思いまして」

ハツネ「へ〜、わかった。
じゃあさ、お土産買って来てよ、先生!
男の子の友だちが大のせんべい好きだからさ、そんなのがいいかな〜っ」ウキウキ

先生「フフフ、相変わらず、素直で可愛らしい子だ。
本当に、可愛らしくて……」



…久し振りに、“覗いて”みたくなる──



先生(クククッ…)


ハツネ「じゃーね、先生!」タタタッ


そして彼女は、何事もなく自宅へと戻って行った。
 ▼ 49 石の森◆Y0TXrTESFs 16/08/24 22:40:07 ID:QZ4pDyiA [7/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
──現在 シダケタウン

ヒデオ「…ハツネッ!
大丈夫かっ? なにかされなかったか!?」ダダッ

妹の姿を発見した刹那、僕の瞳からは大粒の涙がこぼれ落ち、鼻腔からも大量の鼻水が溢れていた。

ハツネ「えっ、なに、なに?
なんなのホントに。恥ずかしいよ…」

ヒデオ「…グスッ…。
あの先生、今どこだっ!?」

ハツネ「えっ…?
いや、でも先生、骨休めやら肉休めやらで、さっきどっか行っちゃって……」

ヒデオ「(…多分、先生が)
先生……イヤ、アイツは、恐らく……」

ハツネ「?」

当然ながら妹は、大丈夫かこの人といった眼差しでこちらを見つめている。

ヒデオ「…話は後だ。
まずは…“これ”を見てくれ!」

ハツネ「……なに、これ」

………
……
 ▼ 50 石の森◆Y0TXrTESFs 16/08/24 22:50:01 ID:QZ4pDyiA [8/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
《ハツネへ》

この前は色々と悪いこと聞いてゴメンな。
ポケナビなんか高くて買えなかったから、このぬいぐるみでどうかカンベンしてほしい。

…カラカラのぬいぐるみだぞ。これだって高かったんだ。


…オレとお前はなんか似てるんだ。右腕も、性格もそう。
だからちょっかい出したくなるというか。気にかけたくなるというか。

あっ、変な意味には捉えるなよ。


ストーンバッジもな、本当はお前に自慢したくてツツジさんにもらったんだ。お前、驚くかな〜って。
あの人モノにちょろいから。


また遊ぼう、いずれシダケに行くかもしれない。
その時は、かき氷おごってやるよ。

ヒデオなんかより、もっと、豪勢にだぞ!!

                   《トモノリより》
 ▼ 51 石の森◆Y0TXrTESFs 16/08/24 22:58:43 ID:QZ4pDyiA [9/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ハツネ「…これ、トモノリの…?」

ヒデオ「ぬいぐるみにメッセージカードが付属してたんだ。きっとお前に渡そうとして持っていたのだろう。
半ばプロポーズみたいなもんだが」

ハツネ「…でも、だったら、トモノリは…?」

ヒデオ「……これは、カナシダトンネルに落ちていたんだ。
……あと、……“これ”、も」

ハツネ「…それって……」


──あろうことに、先生の名刺だった。


ヒデオ「トモノリのツチニンがトンネル内で殺されていた。そして現場には、この名刺が。
薄暗く、落としたことに気が付かなかったと考えられる」

ハツネ「えっ、えっ…?」

ヒデオ「…つまり、奴がツチニンを殺し、トモノリをどこかに連れ去ったとしか考えられない!
もう少し、僕が早く来ていれば…ッ!!」

ハツネ「…ウソ……先生が…。
えっ…あの、先生……が…?」


僕は激昂し、妹は混乱していた。

あの時互いに、少しばかり頭を冷やす必要があったのかもしれない。
 ▼ 52 石の森◆Y0TXrTESFs 16/08/24 23:01:57 ID:QZ4pDyiA [10/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
その後、僕らはまずカナズミ中をくまなく捜索した。
しかし、先生とトモノリの姿は見つからなかった。

妹には来るなと行ったが、トモノリのことを気にかけてか着いて来てしまった。

…そして、次にトウカの森を探すことになった。

ヒデオ「…ここにいないとなれば、トウカ辺りかな?」

ハツネ「うん…。
…えっ、あっ、ヒデオッ、ヒデオッ!!」

ヒデオ「なんだ…。あっ」


──『森の霊園』への道が、開かれていた。

つまり、木が生えていないということは、誰かが“いあいぎり”を使ってからそう時間は経っていない。


ヒデオ「ハツネ、お前は…」

ハツネ「……アタシも行くっ!!」

ヒデオ「…そうだよな、そう言うよな…」

ヒデオ(なにが起きるかわからない。“最悪”の展開なら。
念のために……“して”おこうか──)


…ヌプッ。
 ▼ 53 石の森◆Y0TXrTESFs 16/08/24 23:04:04 ID:QZ4pDyiA [11/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
〜森の霊園〜


墓標の中心には、誰かがいた。

僕らは悟られないように、木陰に身を隠した。


ハツネ(ねっ…だ、誰かいるよ…?)

ヒデオ(ビンゴだ!
多分先生とトモノリ…なぜあの人がトモノリを攻撃したのかはわからないけど。助けないと……)


「…君で、“何人目”だろうか…
生憎だけど、君はここで眠るが良い。良い所だよ、ここは」


ヒデオ(先生の声!
なんだ…なんのことを話してるんだ?)


先生「実はね、君も確かに捨て難いけどね、もっと良いかなって思った子を見つけたんだ。
それに僕、一度に二体作るのは、あまり好きじゃないんだ」

マルノーム『…』


ハツネ(マルノーム…。先生のポケモン…?
なんでポケモンなんかに、あの人話しかけてるの…?)
 ▼ 54 石の森◆Y0TXrTESFs 16/08/24 23:04:36 ID:QZ4pDyiA [12/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
先生「マルノーム、吐き出せ」

マルノーム『…。
ゲエェェエエ〜〜ッ!!』ボトッボトッ

ヒデオ「!!!」


…吐き出されたのは、あろうことに…“人の骨”だった。


先生「まさか、“君”だったとはねぇ…。
なんの因果か…あの時右腕を治した君を、私がこうして殺すことになるなんてね…えっと確か…。
……『トモノリ』君……だっけか…?」


ヒデオ(…トモノリッ!!?
そんなっ、ウソだっっ!!!!)

ハツネ(…え?
“あれ”って、“あれ”がトモノリ…えっ、そ、あっ…?
……な、泣かない……もんっ、でも、ト…モノリ…!!)

無理もない。ポケモンと人間ではワケが違う。
ハツネは泣き出した。


先生「んっ…!
誰だっ…?」

ヒデオ「し、しまった…!!」
 ▼ 55 石の森◆Y0TXrTESFs 16/08/24 23:17:30 ID:QZ4pDyiA [13/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
先生「…ふんっ!!」


──ブンッ。


ヒデオ(っ…!
なっ……あれは、“ふといホネ”っ!!)

先生は、太い骨を僕らに投げつけた。

ヒデオ「“ほねブーメラン”だっ、避けないとっ!!」

ハツネ「えっ、う…うんっ(シュッ


…ドボッッ!


ハツネ「がっ……」クラッ

ヒデオ「あっ!」

木陰から、僕らは姿を乗り出してしまった。

先生「…!
ククッ、君ら、だったか……」


ブーメランは、妹の腹部に命中してしまったのだ。
 ▼ 56 石の森◆Y0TXrTESFs 16/08/25 15:31:59 ID:yL4qG9Fg [1/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
ハツネ「んぅっ…。
…はぁっ、えふっ……」ドサッ

妹は倒れ込み、額から冷や汗を流し、力なく喘ぎ声を漏らした。

ヒデオ「ハツネッ、だ、大丈夫か!?」

先生「…内臓…恐らくは腸辺りを打ち付けた筈だ。今、とても気持ち悪い感覚が続いていることだろうが。
でも、君らがこんな姑息なことするから…いけないんだよ?」

ヒデオ「なにが姑息だっ! お前の方が、よっぽど…
……その人骨は、誰のものなんだっ!?」

先生「…わからないかなぁ〜…だから、トモノリ君だよ。彼の成れの果てさ。
“これ”を見ても、わからないかなぁ?」ヒョイッ

“先生”は、ゴナゴナとなっている人骨の山からなにかを拾い上げた。

ヒデオ「…これ?
…金色…の骨……あぁっ!?」


──義骨だった。


非情な現実を、僕たちはようやく実感することになった。



ヒデオ(…トモノリは…殺されたっ!
…しかも、僕らが信頼していたっ、コイツにっっ!!)
 ▼ 57 石の森◆Y0TXrTESFs 16/08/25 15:33:03 ID:yL4qG9Fg [2/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
先生「…彼がね、トンネル内ですれ違ったんだ。
そして、よりによって僕は“これ”を落としてしまった」


…“これ”とは、骨壷だ。


先生「あぁ、これはね、別の“誰か”の骨なんだ。
私が以前ちょいと殺した、誰かのね」

ヒデオ(!
コイツ、他にも…)

先生「でも、ここに運ぶ途中、彼…トモノリ君にこれを見られてしまった。壺だけならまだ良かった。
…よりによって、“中身”まで、こぼれてしまって……見られて、しまったから……」

ヒデオ「殺した…というのか!
そんな身勝手な理由で…しかも…殺人行為を繰り返して!」

先生「あぁ、実際に殺しているのはコイツだよ。
…コイツにいつも呑み込ませているんだ。トモノリ君も頭を砕いた時は、まだ“生きては”いたからね」

マルノーム『マル〜!』

先生「で、マルノームをボールに戻して、運ぶ。
そして私は、殺人を楽しんでるわけじゃあない」

ヒデオ「ポケモンにまで自身の犯罪を手伝わせているだなんてっ、お前は全然優しい人なんかじゃなかったんだ!
この…殺人鬼がっ!!」

失い、裏切られ、僕の感情は今までにないくらい高まってしまっていた。
 ▼ 58 石の森◆Y0TXrTESFs 16/08/25 18:12:52 ID:ENE2foDo [1/25] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
先生「…そうカリカリするな、しがない塾帰り君よ。
ならば私の経歴を、少しばかり君たちに聞かせてあげよう」

-----------------------

私は大学を卒業後、医局に属した。そして、アローラ地方のとあるクリニックに勤めたんだ。

というか、阿呆な教授に飛ばされたんだ。
まぁ、それに対しては特に不満はなかったね。

なぜなら、アローラは良いところだったからさ。
…アローラ程、医療費をボッタくれる地方もない。旅行客なんてのは良いカモだった。

私『…はぁ』

しかし、それでも、私の心は満たされなかった。

トモノリ『ありがとう、お医者さん!
おまけに、こんな石までくれてさっ!!』

私『ちょっとしたサービスですよ。
もう会うこともないでしょうが…お大事にね』

患者の前で、上っ面の表情を浮かべ、偽の性格を演じ。
ただ、“良い医師”であろうとした。

…今思い返せば、その行為ですら。

私(…今の子の、レントゲン写真…これか。
うっ、うぅっ…)
 ▼ 59 石の森◆Y0TXrTESFs 16/08/25 18:25:36 ID:ENE2foDo [2/25] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
患者のレントゲン写真を“オナペット”とし、自慰行為を行うことが、私の日課となっていった。

いつしか私の心に、“悪魔”が棲み着いていた。

私(見たい…見たいぃ…。
骨をっ、人のっ、骨をっっ……)

どんな人間にも、どんな生き物にも、必ず骨はあるのだと。
考えるだけで、イきり立って静まらなかった。


私『うっ、あっ、出る……。
……おぉっ、おぉおぉっっ……』ズゥプッ


私の“悪魔”は、日々進化していく。
その進化具合は、ポケモンの骨を体穴へ出し入れするまでには発展してしまった。

…が。


記者『こんにちは、アローラ・ウィークの者です!!
先生、あなた…この“写真”見られたら…?
困りますよ…ねぇ……?』

…行為に及ぶ私の写真が、盗撮されていたのだ。

私『…』


──そしてその日、私は、“一線”を超えてしまった。
 ▼ 60 石の森◆Y0TXrTESFs 16/08/25 18:42:57 ID:ENE2foDo [3/25] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
私『ハァ、ハァ…』

横たわる死体の存在感。さすがに動揺したよ。
息遣いだって、それに準じたものだった。

私『ハァ……。
…フッ、ククッ…ハァ……』

だが、その息遣いは。
段々と、意味の違うものへと変化していった。


──私は欲情していたのだ。
『この死体の骨を見てみたい』、と。


そして、マルノームに死体を呑み込ませた。
骨を吐き出させたが、てんでバラバラで、大してその時は興奮はしなかった。

…結局あの写真のネガが裏ルートへと既に流出していたようで、スキャンダルに陥る前に自主退職。
整形手術を自身に施し、海外の田舎町に移り住んだ。

シダケもとても良い所さ。そして僕も良い医者として。
これまで通り、偽の自分を演じ続けた。

…ただ、“悪魔”は、あの頃から更に成長し続け、いつしか私は、幾らかの『スキル』を会得した。

------------------------

ヒデオ「なんだ…?
その、『スキル』って……」
 ▼ 61 石の森◆Y0TXrTESFs 16/08/25 18:47:14 ID:ENE2foDo [4/25] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
先生「まず…」シュパシュパバッ

ヒデオ「うっ…?」

目にも止まらぬ施しにより、トモノリの遺骨は瞬く間に粉末状となってしまった。

先生「こうしてしまえば、鑑定はほぼ役に立たない。トイレに流すこともできるし、こういう所に埋めることも可能だ。
…これがまず一つ目の『スキル』。
そして、もう一つの『スキル』もお披露目しよう」

ヒデオ(…もう一つ、だと)

先生「…ふんっ!」ヌチョッペタタタタッ

ヒデオ(また、早い!
だが、奴がなにか手にしていることは、辛うじて…)

先生「…これは『サンド・K・ワーム』の分泌する体液を元に作られた、粉砕骨折の接合もお手の物の高性能接着剤。
医療用途のためだけに人間の手によって造られた、サンドのリージョン・フォームさ…ほら、できたよ」


──できあがったのは、トモノリの骨格標本だ。


先生「“標本”。やはり形がないとね。興奮するものにも興奮しなくなる。あぁやはり、良い…。
まずいぞ、これをまた、壊すだなんてぇ……」

ヒデオ「…うっ…。
うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあっああ゛あ゛っ!!」ダッ

僕はすっかり頭に血に上り、妹の身を省みることも忘れ、奴に突っかかっていった。
 ▼ 62 石の森◆Y0TXrTESFs 16/08/25 18:55:20 ID:ENE2foDo [5/25] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
──バギャッ!!


ヒデオ「…べふっ…?」


攻撃を被ったのは僕の方であり、殴られた僕は宙を舞い、思い切り地面に身体を打ち付けてしまった。


先生「白状しよう。私は過去アローラにおいて立派な医師でありながら、ゴロツキの集団『スカル団』に属していたことがあったのだ」

ヒデオ「…」

元スカル団員「…ちょいとばかり、スカルの名の冠するイメージとはかけ離れており、直に脱退したのだが。
その際に強制的に磨かされた戦闘技術が、こうして役に立とうとは思いもしなかったよ…」

ハツネ「お兄…ちゃん…?
大丈夫…痛く、ゲホッ! …血、とか…大丈夫…?」

ヒデオ(妹に…心配されるだなんて…!)

元スカル団員「さて、見られた以上は、君らを殺さなければならないな…。
…だがハツネちゃんよ。
私は心優しいから、殺すのは…君だけにしといてやろう」

ヒデオ「なにっ…」

元スカル団員「私はヒデオ君、君のことが気に入った!
…一生私の診療所の地下室で暮らすことになるが…しかし妹の命と引き換えに、君は死なずに済むのだよ?」

ヒデオ(クソッ…このままじゃっ……!!)
 ▼ 63 石の森◆Y0TXrTESFs 16/08/25 22:53:09 ID:ENE2foDo [6/25] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
元スカル団員「…幾多の経験で、コツは掴んだんだ。
……骨を、掴む。ククッ、ククッ…。
さぁ…拝ませるのだ、君の……骨を……ただ、見たいだけなんだ……」


──ザッ、ザッ…。


ハツネ「やだ、やだっ、来ないで…やだ…
やめてっ、そんな…マンガとかの、セカイだけだって…。
アタマ……おかしい……この人………」

妹は、女の子座りのままカタカタと震えている。

僕はというと…殴られた衝撃で全身に力が入らなく、情けないことに依然うつ伏せ状態のままだ。
辛うじて視線の先を妹の方へと追いやることしかできない。

…つまり、守れない。

ヒデオ(ダメだ。
助けなんて期待できないし、クソッ…。
僕がコイツを守らなくちゃあいけなかったのに…)


それでも、守るんだ。
まだ、なにか、残っている筈なんだ。


ヒデオ(……!
…ごめん、本当に…ごめん、ハツネ。
もう、こうするしか……“こうする”、しか………)
 ▼ 64 石の森◆Y0TXrTESFs 16/08/25 22:55:49 ID:ENE2foDo [7/25] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ヒデオ「…ま、待って…先生」

元スカル団員「…?
ほう、死にゆく妹に対し、手向けの言葉でも掛けるつもりかい?」

ヒデオ「…。
……僕が、代わりに殺される。
僕が…新しい、先生の“標本”になるよ」


ハツネ「…えっ…」


よく見えないが、妹の表情が微かに強張ったようだ。


元スカル団員「ほう……。
…まあ、私としたらだね、ただ、上物の生骨が見れたら、それでいいわけだが……」

ヒデオ「だったら、別に僕でも構わない筈だよね。
…兄として、色々と僕は不甲斐なかったし。だから最期ぐらいは…いい格好を、さ…させてもらいたい。
……ただ、それだけな…んだ……」

悔しいことに、僕の声は少し震えてしまっていた。

ヒデオ「…だから、ちょっとだけだ。
ちょっとだけ、妹と話をさせてもらいたい…。
文字通り、後生の頼みなんだ……」

ヒデオ(…片手が動かせるまでは回復してきた。
これなら、なんとか…)
 ▼ 65 石の森◆Y0TXrTESFs 16/08/25 23:01:40 ID:ENE2foDo [8/25] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
こっそりと、僕は妹に“それ”を見せた。

ハツネ(…ポケナビ?
なんか…汚れてるように見えるけど…)

ヒデオ(ここに来る直前、もしものためにと僕が体内に仕込んだんだ。大丈夫、袋に包んであるから。
その想定以上のことになったけど…。
これをお前も、同じように隠しておくんだ)

ハツネ(な、なんで…?)

ヒデオ(…お前はまずは手厚く軟禁されることだろう。
その時にトイレなりの理由を付けて電波の届く個室に行き、それでお母さんに無音で連絡を取れ)

ハツネ(ヒデオ…)

ヒデオ(…正直穴だらけの作戦だが、今の僕には、このぐらいしかしてやれない。本当に、ごめんな……)


──最期まで、こんな。
頼りない…お兄ちゃんで……。


ハツネ「やだ…」

ヒデオ(え……?)

ハツネ「…死んじゃやだっ、ヒデオッ…
ねぇ…死んじゃやだってばっ、ねぇっ…!!」

ヒデオ「ハツネ?」
 ▼ 66 石の森◆Y0TXrTESFs 16/08/25 23:03:06 ID:ENE2foDo [9/25] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ハツネ「だって、ヒデオ死んだら…アタシ、一人になる…
ヒデオがいたから、アタシ、今まで生きてこられたんだよ…!?」

元スカル団員「…ん?」

ヒデオ(大丈夫…ポケナビのことは気づかれていない)

ヒデオ「こんな兄一人ぐらい死んでもお前ならやれる。
先生の元で、やっていけるさ」

ハツネ「ちがうもんっ!
だってっ、だって…お兄ちゃん…ヒデオしかいないじゃん…
…代わりなんて……いない……じゃん……」

ヒデオ(!)

ハツネ「ねっ…お兄ちゃん…一緒にさ、家に、帰ろうよ…
……帰りたいよぉぉっ……」ポロポロ

遂に上唇を噛み締め、幼い身体全体をワナワナと震わせ、僕に突っ伏し、泣きじゃくってしまった。

ヒデオ(まずい……今の内容……)

元スカル団員「なぁっ、おい…。
君らもしかして、私に内緒でなにか画策…」


ヒデオ「「…ふざけるんじゃないぞっっ!!」」


元スカル団員「!?」
 ▼ 67 石の森◆Y0TXrTESFs 16/08/25 23:06:59 ID:ENE2foDo [10/25] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ヒデオ「お前が変なこと言うから…。
先生がっ、不信感を持ってしまったじゃないかっ!!
オマエッ、このチビナスがっ、ダボケッ!!」ポコッ

ハツネ「けほっ…」


──妹の身体を、殴りつけた。


ヒデオ「お前のせいだっ…お前のせいだっ…!!
こんなんだから、僕が死ぬハメになるんだっ!!
…これから一人で、侘びて生き続けるんだっ!!」ポコポコッ

元スカル団員「…」

ハツネ「痛いっ…。
痛いよっ、ヒデオっっ……!」

ヒデオ「うるさいっ、うるさいっ!
このっ、このっ!!」ポコココココッ

ハツネ「うぅっ……。
…うえぇぇぇええ〜〜んっ……」


──執拗に、殴り続けた。
 ▼ 68 石の森◆Y0TXrTESFs 16/08/25 23:10:14 ID:ENE2foDo [11/25] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
………
……


ハツネ「…お兄ちゃん…」

ヒデオ「あぁっ!?」

僕は、妹の身体にのしかかっていた。

ハツネ「…アタシ、わかった…。
ヒデオ、アタシ…ゼッタイ……」

ヒデオ「…ゼッタイに許さないだっ!?
…僕だって、お前が死ぬまで許してたまるもんかっ!!」

ハツネ(あ、りが…と…。
…ヒ……デ…オ……)

ヒデオ(…ハツネ)


──そして、妹は気を失った。
 ▼ 69 石の森◆Y0TXrTESFs 16/08/25 23:13:36 ID:ENE2foDo [12/25] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
元スカル団員「ヒデオ君、そこまでする必要…?」

ヒデオ「わからず屋には、こういうことでもしなきゃわからないんです。
お見苦しいところをお見せして、すみません」

ヒデオ(…これで)

身体にのしかかった際、どさくさに紛れて妹の下着内にポケナビをねじ入れた。

悪いことをした、最低だ。女の子に手を上げるだなんて。
しかも、兄が妹に対してだ。


…でも、目には目をだ。
狂気には狂気で対抗しないと、こんな奴を騙すことなんて、まるっきり不可能だったんだ。

ヒデオ「…可愛がってやってください。
僕にはできなかったから…」


この策が失敗に終わろうとも、もしかしたらこの先生が僕に免じてハツネを優しく…。

…そうじゃなかったら、ハツネ。
向こう側で謝るよ。あっちで好きなだけ罵ってくれ。


元スカル団員「それじゃ…なるべく痛くないようにするよ。
さぁ、マルノーム……」

ヒデオ(ハツネが見ていなくて、本当によかった。
できれば、“ゼッタイ”生きてくれ……)
 ▼ 70 石の森◆Y0TXrTESFs 16/08/25 23:15:12 ID:ENE2foDo [13/25] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
──その時。


テッカニン「ミ ー ンww ミ ー ンww ミ ー ンww」ブウゥンッ


元スカル団員「…ふん」


一匹のテッカニンが、この男の元へ接近した。

…そして。


テッカニン「アッ…ww」ポトッ


男に追突し、そのまま落下したのだ。


元スカル団員「…そうだ、ヒデオ君。
死ぬ前に一つ、ちょっとした私見をレクチャーしてやろう。
…私たち上級生物と“こいつら”下等生物の歴然たる違い…さぁ、何だかわかるかね?」

ヒデオ「…どういうことですか……?」

元スカル団員「それを踏まえた上で、君は上級生物としての誇りを今一度認識しながら逝けるのだ。光栄だろう?
…つまりだ……」


 ク シ ャ ッ 。
 ▼ 71 石の森◆Y0TXrTESFs 16/08/25 23:16:34 ID:ENE2foDo [14/25] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ヒデオ「!」


男はテッカニンの身体を、一気に踏み潰した。


元スカル団員「…ちょいと踏めばこの通り。脆い。
なぜか?
…単純明確だ……コイツに“骨”がないからだ!!」

ヒデオ(…)

元スカル団員「骨さえあれば、同じ踏み潰され方でももうちょいと原型は残る。
…構造? 理性? 外見? 言語?
我々人間が好き勝手に決め腐った枠組みは、幾多に渡り存在し得るが…」


元スカル団員「「要するに大切なのは、骨だっ!
骨を有す人間は即ち生命ヒエラルキーの頂点! 唯一無二の存在!! つまりぃっ、奇跡ぃっ。
我々はっ、俺はっ、そう…そうなのだ……奇跡ぃなのっだっぁあっっ!!!」」


ヒデオ(コイツ、想像以上だ)

元スカル団員「骨のあるポケモンはまだ見どころがあるだろう。だから骨があるというものなのだ。
…だがっ、それ以下のっ、コイツのようなポケモン…下衆と呼ぶのもっおこまがしいぃぃいぃっ!!!!」

ヒデオ(目の焦点がおかしい…ヨダレ垂らしながら熱弁してる、完全に、自分に酔ってる…。
そしてこれが、コイツのドス黒い本性っ!
…ヤバい…やっぱり……殺されるんじゃ………)
 ▼ 72 石の森◆Y0TXrTESFs 16/08/25 23:19:08 ID:ENE2foDo [15/25] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
元スカル団員「…さて…」シャキィッ

ヒデオ「っ…」

男は、ナイフを取り出した。

元スカル団員「初めてだよ。…これを使うのは。
気が変わってね。君…今さ、怪訝な顔しただろ?」

ヒデオ(しまった)

元スカル団員「だからね…だから、だ…ズタズタに、ぶっ殺っおぅしぅっぅてやるううっつっ!!
なぜなら、私の見解にケチをつける行為そのものが、神に反するそれとっ…、同様ぅでぇあるからだあぁぁぁっ!!」

ヒデオ(…ああ)

元スカル団員「そして、やはりそこの女餓鬼も殺す!
父母友人その他大勢…貴様と関係する者共も皆同罪っ!!
我を崇めよ! 我を賛美せよ! …我のために命を捧げよ!
ちっぽけな貴様の唯一の存在意義はそれ以外にあらず…ゴバァアァアッ!!」ダダッ

手にナイフを握りしめ、半狂乱な体たらくで僕の方へと向かって来た。

ヒデオ(お母さん、お父さん、今までありがとう……)


一足先にさようなら、ハツネ。

生まれ変わったら、またお前と兄妹になれるかなぁ。
 ▼ 73 石の森◆Y0TXrTESFs 16/08/25 23:21:37 ID:ENE2foDo [16/25] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
《  3  2  …  》


ヒデオ「…!!?」


その瞬間、“みづも(三十二)の声”が、響き渡った。


元スカル団員「どうした?」

ヒデオ(…そうか!
コイツがテッカニンを踏み潰したから…殺したから…。
そして今、“32”と…つまりはっ!!)


『『…オォオォオオォォオオ…』』


ヒデオ「あっ、要石が…反応してるぞっ!!」


『『みづもの魂、ここに集いし。
さすれば我…長年の封印から今こそ解き放たれん』』


元スカル団員「え…っ、…おっ……い、なんだこれは……?」


──要石が震えだし、やがて禍々しい色素を持つ集合体が、モワモワと亀裂内より姿を現した。
 ▼ 74 石の森◆Y0TXrTESFs 16/08/25 23:22:42 ID:ENE2foDo [17/25] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ヒデオ「…あ、あぁ……」


僕はそれ以上、その“集合体”を見ることはしなかった。

…いや、できなかった。
あまりの恐怖で、僕は無様にも失神してしまったのだから。


…………………………


『『汝、我の代わりとなるか?』』


元スカル団員「お、おいっ、お前、だから…。
なんなんだよっ!?」


『『代わりになるか、と訊いておるのに…』』


元スカル団員「な、なんか言ってるのか!?
聞こえない…お、おいっ、私をどうする(


『『承諾したとみなすぞ。
……では』』シュッ


元スカル団員「わ…わあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!?」
 ▼ 75 石の森◆Y0TXrTESFs 16/08/25 23:24:37 ID:ENE2foDo [18/25] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
………
……



『『…やっと、開放されるのだ。逝ける、のだ…』』


──最初に要石に封じ込まれた魂は、罪人のものであった。


魂は、要石にとある条件を汲まれた。

『みとじの清き魂を御身に取り込め。
さすれば貴公の汚れた魂はいくらか浄化され、あの世に旅立つことはできるであろう』、と。

ただ、それには薄汚れた“代わり”の魂も別に必要だった。


…最初の魂はとうに成仏を果たしていた。
しかし、その後も代わりとなった魂も、同様に“声”を数え続け、己の開放の瞬間をただ待ち侘びていたのだ。


…何百年、要石が創られてから、その繰り返しであった。


『『では、次は貴様が“声”の主だ。
礼を言う。では……』』


何代目からわからないが、その魂も、静かに天へと登って行った。
 ▼ 76 石の森◆Y0TXrTESFs 16/08/25 23:25:50 ID:ENE2foDo [19/25] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
──あれから、数週間が経った。


気絶していた僕たちはその後カナズミ警察に発見保護され、経緯を全て話すことになった。


先生の地下室からは20体程の“標本”が発見され、先のホウエン異常気象後、最悪の事件となった。
鑑定の結果、旅行客や浮浪者、家出中の少年少女を中心に殺害していたらしい。

当の本人の所在もわからず、先生は全地方手配の大量殺人鬼となり、その名が広がった。


トシノリの家族は彼の葬儀後、行方知れずとなった。
恐らくは別地方に引っ越した…そう信じたい。


僕たちやツツジさんはトモノリの墓を参り、供え物をした。その中にはストーンバッジも含まれていた。


恐らくは、僕ら以外に参る人はいないだろうから…。
 ▼ 77 石の森◆Y0TXrTESFs 16/08/25 23:27:20 ID:ENE2foDo [20/25] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
──さらに日は過ぎ。


そんな大事件も、いつしか世間の注目は薄れ、塞ぎ込んでいた僕ら兄妹も、段々と元気を取り戻していった。
 ▼ 78 石の森◆Y0TXrTESFs 16/08/25 23:29:31 ID:ENE2foDo [21/25] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
〜キンセツキッチン〜

ハツネ「うん、やっぱ、ミックスサイコロメ、すごくおいしいよ!」

ヒデオ「…おいしい。元がおいしいし。
でも、なんでまた、かき氷何杯も食べてるんだ。
…もう秋なのに」

ハツネ「うん、この前食べれなかったしー。
…あと、ヒデオのおごりだしっ!!」

ヒデオ(あの時のお兄ちゃん呼びは何だったんだ?)

ヒデオ「…もう夕方かぁ。
正直眠い。それに食べた後じゃ余計に」

ハツネ「…それさ!
ヒデオが『おつかれむーど』を共有したってこと!?
だから眠くなったんじゃ、すごいよ、ヒデオ!!」

ヒデオ「…名前、つけちゃったのか」

ハツネ「いっぱい疲れて、いっぱい寝てさ、また明日もがんばろっ!
生きてるってさ、そういうことだと思うの」

ヒデオ「…あ、そういえば…」

ハツネ「ん?」

ヒデオ「生きてる云々で思い出したけど。
“要石”…どこ行ったのかな…」
 ▼ 79 石の森◆Y0TXrTESFs 16/08/25 23:30:06 ID:ENE2foDo [22/25] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ハツネ「えー、あの石? どーでもいいじゃん!
ツツジさんが欲しがってたんだっけ?
なんか汚かったし、忘れようよあんな石なんて」

ヒデオ「…うん」


…確かに。

要石の経緯云々は、僕の想像を遥かに凌駕しているのかもしれない。

それに元はシンオウで発見される石。
なぜホウエンの森に落ちていたのかもよくわからないし。


ヒデオ「…そうだな。
もう、深く考えてるのは止めにしたよ」

ハツネ「そう、そう!
それにヒデオはさ、いつも考え過ぎるからよくないの!
ほら、そんなしかめっ面してないで、笑って笑って!!」

ヒデオ「えっ、あ、そう…。
こ、こう?」ニカッ

ハツネ「アハハ、気持ち悪い〜!
やっぱ、何事もさ、慣れが必要だよ」

………
……
 ▼ 80 石の森◆Y0TXrTESFs 16/08/25 23:30:41 ID:ENE2foDo [23/25] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
〜トウカの森〜

「お、おいっ、早く逃げろ!
追いつかれるぞっ!!」

「な、なんで…こんな森に、こんなデカイマルノームがいるんだよおぉっ!!
ゼッタイ野生じゃないだろ、あんなバケモノッ!!」


『『グチャガァッアァァァッ!!』』ドドドド


「ひ…ひいぃぃぃぃぃぃいっ!!!?」

「ご、ごめんなさいっ! ごめんなさいっ!
こ、この森でこの前、お仲間のポケモン踏んじゃったから…怒ってるる…るんですか!?
だとしたら、謝りますから、だから、助けて…」


『『グガァァアーッ!!!!』』ドドッドドドド


「やだ、死にたくない…
や…やあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」



──ゴクンッ。


 ▼ 81 石の森◆Y0TXrTESFs 16/08/25 23:32:24 ID:ENE2foDo [24/25] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告










《  1  …  》








 ▼ 82 石の森◆Y0TXrTESFs 16/08/25 23:33:56 ID:ENE2foDo [25/25] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


“声”は決して終わらない


…この世に『生命』ある限り──


………
……



みとじの声 ~完~


コテハン名でがんばって話作りました

一応世界観が繋がっていた前作です
お暇ならどうぞ
http://pokemonbbs.com/post/read.cgi?no=331950
 ▼ 83 ブラン@タウンマップ 16/08/25 23:36:35 ID:OcLolz.E NGネーム登録 NGID登録 報告
 ▼ 84 ッフロン@オーキドのてがみ 16/08/25 23:42:29 ID:ydMWdBYc NGネーム登録 NGID登録 報告
乙!
 ▼ 85 コン@ゆきだま 16/08/30 11:46:47 ID:3k3SygWw NGネーム登録 NGID登録 報告
乙!面白かった!
 ▼ 86 マゲタケ@きあいのタスキ 16/08/30 11:49:51 ID:Bo/AxkH. NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
  ▲  |  全表示86   | << 前100 | 次  |  履歴   |   スレを履歴ページに追加  | 個人設定 |  ▲      
                  スレ一覧                  
荒らしや削除されたレスには反応しないでください。
書込エラーが毎回起きる方はこちらからID発行申請をお願いします。(リンク先は初回訪問云々ありますがこの部分は無視して下さい)

. 書き込み前に、利用規約を確認して下さい。
レス番のリンクをクリックで返信が出来ます。
その他にも色々な機能があるので詳しくは、掲示板の機能を確認して下さい。
荒らしや煽りはスルーして下さい。荒らしに反応している人も荒らし同様対処します。




面白いスレはネタ投稿お願いします!
(消えた画像の復旧依頼は、問い合わせフォームからお願いします。)
スレ名とURLをコピー(クリックした時点でコピーされます。)
新着レス▼