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【SS】 夢に向かうセレナへ

 ▼ 1 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/01/17 00:52:52 ID:f7kwrx9E [1/23] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

アニポケXY&Z編の最終回、感動しました。
これまで描かれてきたストーリーを考えると、サトシとセレナにとっての、最高の別れ描写だったのではないでしょうか。

このSSは、そんなアニポケ最終回で描かれていなかった部分にスポットを当てた、“半”オリジナルのストーリーです。
最終回のサイドストーリー的なものとして見て頂ければと思います。



毎日更新は出来ませんが、よろしければお付き合いください。




 ▼ 2 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/01/17 00:53:31 ID:f7kwrx9E [2/23] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


【 2-1 】


オレは最後、ゲッコウガと固く抱き合った。

こいつはこれから、カロスの負の根っことやらを消滅させるために、プニちゃんと一緒に旅立つ。

カロスの平和を守るために、ゲッコウガの力が必要なんだ。


ケロマツの頃から、こいつは正義感があって、強くなるために一生懸命で、誰にでも優しくて。

こいつはパートナーに、オレを選んでくれた。そしてそれは、運命だってゴジカさんは言っていた。

オレと出会って、カロスを守ることが、こいつの運命。

そう考えると、オレはこいつと旅が出来て、本当に幸せだったと思う。


辛いけど、泣いちゃダメだ。こいつの旅立ちに、涙は似合わない。


じゃあな、ゲッコウガ。

また会おうぜ、ゲッコウガ。

お前のこと、お前と旅したこと、絶対に忘れないからな、ゲッコウガ。

 ▼ 3 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/01/17 00:54:30 ID:f7kwrx9E [3/23] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ユリーカ 「ただいまー」

 シトロン 「ただいま。パパは まだお店みたいですね」

 セレナ 「お邪魔します」

 サトシ 「お邪魔します……ふぅ」


ゲッコウガと別れて、オレたちはシトロンの家に戻ってきた。

何日も申し訳ないけど、街の復興関連でポケモンセンターは混んでるからって、リモーネさんがオレたちを泊めてくれているのだ。


 シトロン 「さて。これで一通り……、こちらでやることは終わってしまいましたね」

 サトシ 「そうだな」

 シトロン 「では……、カントーへの航空券、ネットで手配しますね」

 サトシ 「サンキュー、シトロン」

 シトロン 「セレナのホウエン行きのチケットも一緒に」

 セレナ 「うん。ありがとう」

 ユリーカ 「そっか……、もう終わりなんだよね……」
 ▼ 4 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/01/17 00:55:00 ID:f7kwrx9E [4/23] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「あっという間だったなぁ」

 シトロン 「そうですね」

 セレナ 「楽しかったな、みんなとの旅……」


カロスリーグが終わって。

フラダリの野望に打ち勝って。

ヌメルゴンと別れて。

クセロシキも逮捕して。

カロスに残るあの根っこも、ジカルデとゲッコウガに託すことが出来て。

あとは帰るだけ、か……。


 シトロン 「う〜ん……」

 サトシ 「どうしたシトロン?」

 シトロン 「やはり……、空港が再開したばかりとあって、どの飛行機も満席ですね」

 サトシ 「えっ……そうなのか!?」
 ▼ 5 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/01/17 00:55:30 ID:f7kwrx9E [5/23] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
やっぱり飛行機ずっと飛んでなかったから、乗りたい人が いっぱい居るんだろうな。

カントー行きがダメとなると、多分セレナの方も……。


 シトロン 「……ホウエン行きも埋まってますね」

 セレナ 「やっぱり……」

 サトシ 「いつなら空いてるんだ?」

 シトロン 「待ってくださいね……。えっと、カントー行きは、5日後の夕方の便になりますね」

 サトシ 「5日後か……」

 シトロン 「ホウエン行きは……、こちらも5日後で空きが出てます。午後一の便ですね」

 ユリーカ 「じゃあ、もう少しみんなと一緒に居られるんだねっ!」


5日後……。あと5日で、みんなとお別れか。

本当に、あっという間だったな。
 ▼ 6 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/01/17 00:56:00 ID:f7kwrx9E [6/23] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 セレナ 「……あっ」

 サトシ 「どうした?」

 セレナ 「私……、旅の準備しなくちゃ」


そっか。

ホウエンへ旅立つセレナ、流石に このまま行く訳にはいかないか。

セレナにとって初めての1人旅になるし、知らない土地を旅するんだから、ちゃんと準備しないとな。


 シトロン 「ではセレナ、一旦家に帰らないといけませんね」

 セレナ 「うん。シトロン、ちょっと電話借りてもいい?」

 シトロン 「えぇ。向こうの部屋にありますから、自由に使ってください」

 セレナ 「ありがとう」


セレナは電話がある部屋へと向かった。

そう言えばセレナ、ホウエンに旅立つこと、まだサキさんに伝えてなかったはずだ。
 ▼ 7 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/01/17 00:56:30 ID:f7kwrx9E [7/23] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「サキさん、驚くだろうな」

 ユリーカ 「驚く?」

 サトシ 「いきなりホウエンに旅立つなんて聞いたら驚くだろ?」

 シトロン 「そうですね。特にセレナは、今まで これと言った夢を持っていなかったようですし、サキさんにしてみたら、セレナの変化は驚きでしょうね」

 ユリーカ 「セレナ、パフォーマンスする時すっごく活き活きしてるもんねっ」

 サトシ 「あぁ。成長したんだよ、この旅で。セレナは」

 シトロン 「それは僕たちも一緒ですよ。ユリーカだってそうだよ。フラベベやチゴラスとの出会いと別れは、ユリーカを成長させてくれたはずさ」

 ユリーカ 「うん! みんな頑張ったもんね、旅に出て、色んなことをして!」

 サトシ 「あぁ。だからこれからは、もう一歩先に行かなきゃいけないんだ」

 ユリーカ 「一歩先?」

 サトシ 「オレは、次こそリーグ優勝できるように、もっとバトルの特訓する。どんな相手にも負けないように、オレなりのバトルを作り出すのさ」

 シトロン 「サトシらしいですね。僕は更に発明に力を入れたいです。ポケモンを幸せにする、ナイスなマシンを作り出すために」

 サトシ 「おう! 科学の力ってすげーからな! 頑張れよシトロン!」

 シトロン 「えぇ。サトシも、奇想天外なバトルに磨きをかけて下さいね!」
 ▼ 8 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/01/17 00:57:00 ID:f7kwrx9E [8/23] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ユリーカ 「えっと……私は……、えっと……」

 サトシ 「焦ること無いぞユリーカ」

 シトロン 「そうだよ。まずはポケモンのお世話だけでも良い。そうやって少しずつ、ユリーカが やりたい将来を、考えて行けばいいのさ」

 ユリーカ 「私の将来か……」

 サトシ 「トレーナーになっても良いし、パフォーマーになっても良い。ユリーカの やりたいことに、全力で進めばいいんだぜ?」

 ユリーカ 「私のやりたいこと……、私も早くトレーナーになりたいなぁ」

 シトロン 「10歳なんて あっという間ですよ」

 ユリーカ 「うん! トレーナーになったら、まずは お兄ちゃんからバッジを貰わないとね」

 サトシ 「ははっ。その意気だぜユリーカ」

 シトロン 「ユリーカの挑戦、楽しみにしてますよ。……それはそうと、もう少し、ジムを何とかしないといけませんね」

 サトシ 「そっか。まだ完全に元の状態じゃないもんなぁ」


ジム戦自体は、この前の あのトレーナーの挑戦で再開してるけど、まだ万全じゃない。 

それはジムの設備的にも、シトロンの気持ち的にも、シトロイドの経験的にも。
 ▼ 9 チニン@じてんしゃ 17/01/17 00:57:21 ID:mOhhUbyA NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援C
 ▼ 10 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/01/17 00:57:30 ID:f7kwrx9E [9/23] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 シトロン 「いくらジムを再開出来たと言え、まだ細かな片付けがありますし、シトロイドの調整も不十分ですからね」

 ユリーカ 「私も手伝う!」

 サトシ 「やっぱジムリーダーって大変だな。オレも手伝うぜ?」

 シトロン 「いえ。片付け自体は少ないですし、ほとんどはシトロイドの調整なので大丈夫ですよ。サトシには最後までカロスを満喫して貰いたいですしね」

 サトシ 「そうか?」


まぁ、確かにオレがシトロイドの調整とかは無理だしな。

そんなことを考えていると、セレナが電話から戻ってきた。


 ユリーカ 「……あ、セレナおかえり」

 シトロン 「どうなりましたか?」

 セレナ 「うん。家に帰るのは明日にするけど、あのね、ママが、みんなを家に招待したいって」

 サトシ 「セレナの家に?」

 ユリーカ 「わぁ!」

 セレナ 「うん。皆には、旅で色々お世話になったから、そのお礼ってことで。どうかな?」

 サトシ 「オレ行きたい! サキさんにも挨拶しなきゃって思ってたし」
 ▼ 11 ララッパ@つららのプレート 17/01/17 00:57:51 ID:.W0bAC8o NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
久しぶりですね

支援
 ▼ 12 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/01/17 00:58:00 ID:f7kwrx9E [10/23] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
なんだかんだで、この前サキさんと会った時、さよならを伝えていなかった。

今回の旅は、バトルのことやゲッコウガのことで、セレナが色々と力になってくれた。その辺のことも、サキさんに伝えたいしな。


 シトロン 「すみません。僕はジムを再開させてしまった手前、遠慮しておきます。シトロイドの調整も ありますしね」

 セレナ 「そっか。シトロン大変ね」

 シトロン 「いえ。ジムリーダーとして当然ですよ。ミアレジム再開が、ミアレシティの復興に繋がればとも思いますし」

 サトシ 「流石だなシトロン」

 セレナ 「それじゃあ、サトシとユリーカで……」

 ユリーカ 「ううん。私も お兄ちゃんを手伝う!」

 セレナ 「えっ?」

 シトロン 「僕のことは気にしなくていいよユリーカ。せっかくだしセレナの家に……」

 ユリーカ 「ううん。私だって、いま出来ることをやりたい! プニちゃんを迎えに行けるようなポケモントレーナーになるために、お兄ちゃんのジム戦を いっぱい見ておきたい! だから私、今回はジムに残る」

 シトロン 「そっか。偉いよユリーカ。兄として嬉しいよ」

 ユリーカ 「えへへっ」

 サトシ 「やっぱユリーカはシトロンに似て しっかりしてるな。じゃあ、セレナの家に行くのはオレ1人か」

 セレナ 「あっ……」
 ▼ 13 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/01/17 00:58:31 ID:f7kwrx9E [11/23] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
2人だけってのも寂しいけど、シトロンはジムリーダーだし、そんなに休んでも いられないか。

ユリーカも偉いな。シトロンを手伝って。流石ジムリーダーの妹だ。

そのユリーカは、セレナと何やら話している。

なんだかセレナが焦ってるように見えるけど、女の子同士の会話に口を挟むのはアレだし、気にしないでおくか。


 サトシ 「セレナの家って確かアサメタウンだったよな?」

 セレナ 「うん。田舎の町だけど、自然は綺麗だし、すっごく景色が良い所もあるの」

 サトシ 「へぇ〜。楽しみだなピカチュウ」

 ピカチュウ 「ぴっか!」

 セレナ 「ふふっ」


アサメタウンに行くのは初めてだ。

と言うより、この旅で、ハクダンシティから南には まだ行っていない。

ある意味ちょうど良かったのか。これでカロスの街を全部巡ることになるんだからな!



 ▼ 14 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/01/17 00:59:30 ID:f7kwrx9E [12/23] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
それからオレたちは、シトロンの作った夕飯を食べた。

シトロンの料理が食べられるのも、これが最後になるかもしれないのか。

タケシにもデントにも負けないくらい美味かったシトロンの料理……、もう食べられないって考えると、なかなか寂しいな。



順番にシャワーを浴びて、オレたちは寝室に入った。

シトロンの部屋は、工具や部品、設計図なんかでゴチャゴチャしてるけど、それが逆に、秘密基地みたいな雰囲気でオレは好きだ。


 シトロン 「……サトシと2人きりになるのも、これが最後かもしれませんね」

 サトシ 「そうだな。旅してる時はテントで一緒だったけど、旅が終わることとか、全然考えてなかったからな」

 シトロン 「サトシは前向きですからね」

 サトシ 「そりゃあ、終わりとか不安とか、ネガティブなことばっか考えてるのは つまらないからな。オレは いつだって、前を向くようにしてるぜ」

 シトロン 「流石ですね」

 サトシ 「……けど、ウルップさんに負けた時。あの時だけはダメだったなぁ。悪かったな、心配かけちまって」

 シトロン 「いえ。ポケモンのことで悩んでこそトレーナーですよ。それがあってこそ、サトシはゲッコウガとの絆を深められたんじゃないですか?」

 サトシ 「あぁ、そうだな」


 シトロン 「……サトシ、僕は君に、伝えたいことがあります」
 ▼ 15 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/01/17 01:00:00 ID:f7kwrx9E [13/23] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
布団の中、シトロンがオレの方に体を向けて、改まって切り出した。


 サトシ 「なんだ?」

 シトロン 「……いつも僕の背中を押してくれて、ありがとうございました」

 サトシ 「ん? あぁ、どうしたんだよ急に」

 シトロン 「僕はサトシと出会わなかったら、シトロイドに乗っ取られたジムを再開出来なかったと思います。それに、自分を見つめ直すことも」

 サトシ 「そんな……大袈裟だぜ? オレは何もしてないよ。シトロンの決意が固かったからこその行動だろ?」

 シトロン 「いえ。サトシと一緒に旅して、僕はサトシに色んな影響を受けました。諦めないサトシの想いは、僕にとって輝いて見えましたし、サトシの挑み続ける姿に、僕は勇気を貰いました」

 サトシ 「シトロン……」

 シトロン 「発明や仕事でジムに籠りっぱなしだった僕にとって、サトシの行動は、とても……とっても輝いて見えたんです。僕もサトシのように、前を向いて歩かなくては、と思えるようになったんです。サトシのお陰で、僕は変われました」

 サトシ 「そっか。なんだか照れくさいな」

 シトロン 「サトシたちは大切の仲間です。それに、この旅は……僕にとって最高の時間でした」

 サトシ 「オレもだぜ。特にシトロンとのジム戦、あれは最高だった。よく知ってるシトロンだからこそ、どう攻め込むか考えたり、すっげぇ楽しかったぜ!」

 シトロン 「サトシ……ありがとうございます。ジムリーダーとして、こんな名誉なことありませんよ」

 サトシ 「へへっ」
 ▼ 16 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/01/17 01:00:30 ID:f7kwrx9E [14/23] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 シトロン 「サトシ。これから先、離れ離れになっても、サトシはサトシのままで居て下さい。サトシらしく……、サトシの思うままに、夢に向かって進んでくださいね!」

 サトシ 「あぁ!」

 シトロン 「僕もサトシを見習って……いえ、サトシの精神に近付けるように、前へ歩き続けます」

 サトシ 「頑張れよシトロン! シトロンなら大丈夫さ。なんたって、シトロンは“決断”が出来るんだからさ」


シトロンの強さを、オレは知っている。

プリズムタワーがフレア団に占拠された時。シトロンはカロスを守るため、シトロイドを犠牲にする“決断”をした。

それはシトロンとシトロイドの絆の表れでもあると同時に、絆がなければ、その“決断”は出来なかったと思う。

シトロンは、シトロンの思っている以上の勇気を持っているのだ。


 シトロン 「決断……、はいっ!」

 サトシ 「それじゃあ寝ようぜ。まだ今日が お別れって訳じゃないしな」

 シトロン 「そうですね。おやすみなさい、サトシ」

 サトシ 「あぁ、おやすみ」


サンキューな、シトロン。オレのこと、そんな風に思っててくれて。

まだまだ語りたいことはあるけど、シトロンは明日から忙しくなると思うし、オレたちは眠りに着いた。
 ▼ 17 ガバシャーモ@はいぶくろ 17/01/17 06:54:14 ID:kLKeYDEk NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 18 イティ@ハンサムチケット 17/01/17 19:13:34 ID:DNEhXpdA NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
セレナのと繋がってるのか!
こっちはサトシ視点だね
支援
 ▼ 19 バメ@アイテムコール 17/01/17 21:33:41 ID:2MKVGQDM NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
こっちも支援
 ▼ 20 レビィ@バクーダナイト 17/01/17 21:37:13 ID:TFDmojac NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
また懐かしい人だな
 ▼ 21 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/01/17 23:20:00 ID:f7kwrx9E [15/23] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


【 2-2 】


翌日。


 サトシ 「それじゃあ行ってくるよ。シトロン、ユリーカ、ジムの調整がんばれよ」

 シトロン 「はい。サキさんによろしくお伝えください」

 セレナ 「なんだか悪いわね、私たちだけで」

 ユリーカ 「そんなこと無いって! セレナ、頑張ってね〜」 ニヤニヤ

 セレナ 「ユリーカ……もぉ」

 サトシ 「ん? 何を頑張るんだ?」

 セレナ 「なっ、なんでもないの!」

 サトシ 「そうか?」

 ピカチュウ 「ぴかぴ……」

 ユリーカ 「」 ニヤニヤ
 ▼ 22 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/01/17 23:20:40 ID:f7kwrx9E [16/23] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
セレナ、何を頑張るんだろう。旅の準備……は頑張ることでもないしなぁ。

セレナとユリーカ、時々よく分からない会話をしてるけど、女の子にとっては普通なのかな。


それをいちいち確認するのもアレだし、時間も限られてるので、オレとセレナはアサメタウンに向けて出発した。


 サトシ 「アサメタウンまでどれくらいかかるんだ?」

 セレナ 「えっと、バスで3時間くらいだったような……」

 サトシ 「うお……けっこう距離あるんだな」

 セレナ 「うん。ハクダンシティとメイスイタウンを挟むからね」

 サトシ 「飛行機は5日後だし……あ、今日入れると4日後か。ちょっとギリギリだなぁ」

 セレナ 「それじゃあ、ハクダンシティまではバスで行かない?」

 サトシ 「そっか。ミアレからハクダンは1回通ってるもんな」

 セレナ 「うん。ハクダンからアサメなら、メイスイタウンで1泊しても午前中には着くと思うし、やっぱり最後も、旅っぽくしたいもんね」

 サトシ 「そうだな。じゃあ、まずはハクダン行きのバスだな」

 セレナ 「うん!」
 ▼ 23 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/01/17 23:21:20 ID:f7kwrx9E [17/23] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
旅っぽくしたい、か。

そう言えばセレナは、この旅が人生で初めての旅で、最初は野宿も嫌がってたっけ。すぐ慣れたけど。

ホウエンの修行も一人旅になるだろうし、セレナって本当に成長したんだな。

オレも見習わないと。






12時少し前に、バスはハクダンに到着した。


 セレナ 「じゃあ……、ここから旅の始まりだね」

 サトシ 「あぁ。セレナと2人きりってのは、レンタルマンムー以来だよな」

 セレナ 「うん」


バスが混んでたせいで、あんまり会話できなかったけど、ここからは賑やかになりそうだ。

考えてみると、セレナと2人で行動するのは、レンタルマンムーで雪山を越えた時くらいだった気がする。

シトロンとユリーカも一緒の4人旅が当たり前だったから、2人だけってのは何となく新鮮だ。
 ▼ 24 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/01/17 23:22:00 ID:f7kwrx9E [18/23] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「……あ、そうだ。ハクダンジムに寄って行こうぜ」


けど、ハクダンに来たんなら、ジムに寄って行くべきだろう。


 セレナ 「ジムに?」

 サトシ 「あぁ。せっかくハクダンに来たんだから、ビオラさんに挨拶して行かないとな」

 セレナ 「そっか、うん、そうしよ」


ビオラさんとは、フレア団の事件で顔を合わせてるけど、特段、話は していない。

勿論、カントーに帰ることだって話してない。

ビオラさんにとってオレは1人の挑戦者に過ぎないかもしれないけど、やっぱりきちんと挨拶は しておきたいな。


ハクダンジムと言えば、カロスでオレが最初にジム戦したところだ。

ビビヨンの“ねばねばネット”に苦戦して、1回負けちまったんだよな。


そんな懐かしいバトルを思いだしていれば、ハクダンジムが見えてきた。

 ▼ 25 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/01/17 23:22:41 ID:f7kwrx9E [19/23] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「お、見えてきた。ハクダンジム」

 セレナ 「私がサトシに追いついた所……、懐かしいな」

 サトシ 「そっか。セレナ、オレのジム戦 見ててくれたんだっけ」

 セレナ 「うん」

 サトシ 「あの時は負けちゃって、恥ずかしいとこ見せちゃったな」


その時は全く気付かなかったけど、セレナはオレのジム戦を見てたらしい。

負け試合を見られたのは恥ずかしかったけど、その後の特訓に、みんなが付き合ってくれたからこそ、オレはリベンジを果たせたのだ。


 セレナ 「そんなことないよ。私、サトシがポケモンのこと大事にしてるんだって、その時のサトシを見て思ったもん」

 サトシ 「そうか? サンキューな」


特にセレナはバトル中、オレに特訓のことを思いださせてくれた。オレがリベンジ出来たのは、セレナの力が大きかったんだよな。

それがキッカケでオレは、セレナを旅に誘ってみた。そして今までの旅路があって、沢山の思い出を作れた。


ビオラさんに負けたお陰で、このメンバーでの旅が出来たって訳だ。

 ▼ 26 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/01/17 23:23:20 ID:f7kwrx9E [20/23] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「……あ、ビオラさん!」


ジムに近付くと、ビオラさんの姿があった。

……けど、何故かジムの屋根の方を見上げている。


 ビオラ 「サトシ君? セレナちゃんも?」

 サトシ 「こんにちは!」

 セレナ 「近くまで来たので」

 ビオラ 「あっ、うん! ようこそハクダンジムへ……」

 サトシ 「ビオラさん、何してたんですか?」

 セレナ 「屋根に何か……」

 ビオラ 「あっ、大したことじゃないって言うかその……」


ビオラさんは、何故かアタフタし始める。

ひょっとして屋根に何か……ポケモンでも居るのか?
 ▼ 27 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/01/17 23:24:00 ID:f7kwrx9E [21/23] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ザクロ 「……おっ。やぁサトシ君! セレナちゃん!」

 ビオラ 「あっ……ダメだよザクロ君そこで手を振っちゃ!」

 ザクロ 「あ……」


  ― ドスン!


 サトシ 「ザクロさん?」


ザクロさんが落ちてきた。

なんか……、このパターン、前にも何処かで見たような。

それはさておき、ザクロさんもハクダンジムに来てたのは意外だ。


 ザクロ 「はははっ、またやってしまった。サトシ君、フレア団の時は お疲れ様」

 サトシ 「はい。ところで、どうしてザクロさんがハクダンジムに?」

 ビオラ 「あっ、それは……」

 ザクロ 「いやぁ、ビオラが食事に誘ってくれてね。そこでちょっと、ハクダンジムの壁を登っていたんだ」

 サトシ 「そうだったんですか」
 ▼ 28 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/01/17 23:25:00 ID:f7kwrx9E [22/23] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ビオラ 「あの……ほら! ザクロ君には、あのフレア団の巨石の塊と戦った時に助けて貰ったし……、そのお礼よ!」

 セレナ 「あ、そっか。私たちも見てました。ザクロさん、ビオラさんを抱きとめてましたもんね!」

 ザクロ 「あぁ。ビオラとは長い付き合いだからね。体が勝手に動いてしまったんだ」

 ビオラ 「そっそれより! 今日はサトシ君とセレナちゃん2人だけなの?」

 サトシ 「はい。実はオレ、カントーに帰ることになって」

 ザクロ 「カントーに……そうか。ジム戦も終わったし、カロスの平和も守られたからね」

 セレナ 「私は、パフォーマンスの修行をするために、ホウエンに旅立つことにしたんです」

 ビオラ 「ホウエン……確かポケモンコンテストがある地方よね」

 セレナ 「はい」

 サトシ 「それで、サキさん……あ、セレナのママに挨拶することになって、いまアサメタウンに向かってるところなんです」

 セレナ 「ちょうどハクダンシティを通るので、ビオラさんにも ご挨拶をって思ったんですけど」

 サトシ 「まさかザクロさんにも会えるとは思ってませんでした」

 ザクロ 「ははっ。僕を呼んでくれたビオラに感謝だね」

 ビオラ 「あはは……」
 ▼ 29 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/01/17 23:26:00 ID:f7kwrx9E [23/23] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
思わぬ形でザクロさんにも挨拶出来てラッキーだった。

けど、これから2人は食事らしいし、早めに切り上げた方がいいよな。


 セレナ 「じゃあ私たち、長居しちゃ お邪魔なので、そろそろ失礼します」

 サトシ 「そうだな」

 ビオラ 「お邪魔って……そんなこと無いってば!」

 ザクロ 「ははっ、お気遣いありがとうセレナちゃん。でもそれは、僕らからも言えることだよね?」

 セレナ 「えっ?」

 ザクロ 「サトシ君とセレナちゃん、2人きりでセレナちゃんの お母さんに挨拶だなんて、“そう言う意味”で捉えられても おかしく無いんじゃないかな?」 ニヤッ

 セレナ 「ぁっ……ちちち違います! サトシには旅の中でお世話になったから! 私のママの方からお礼したいってことになって……!」

 ビオラ 「ふ〜ん。セレナちゃんも隅に置けないわね〜」 ニヤニヤ

 セレナ 「そんなんじゃ……」

 サトシ 「なぁ、なんのことだ?」

 セレナ 「なんでもない! なんでもないから!」

 ザクロ 「これはこれは。なかなか苦労してるようだね」

 ビオラ 「ふふっ、セレナちゃんも頑張れ!」
 ▼ 30 マサラ人3◆etyxjFp636 17/01/18 01:03:19 ID:vGtBqHI. NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
今日はこっちを支援
 ▼ 31 シレーヌ@みどりのかけら 17/01/18 06:10:09 ID:xEKMJWqs NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 32 ンノーン@ふねのチケット 17/01/19 01:13:31 ID:yPcPc1ag NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 33 ユルド@ドリのみ 17/01/19 07:44:23 ID:6qLWFC1U NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
待ってました 支援
 ▼ 34 ルレイド@たわわこやし 17/01/21 16:47:30 ID:pUIGluOk NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 35 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/01/22 03:44:00 ID:O0f//4VQ [1/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
【 2-3 】


ビオラさんとザクロさんに挨拶して、オレたちはハクダンジムを後にした。

ビオラさんもユリーカみたいに、セレナと よく分からない話をしていた。やっぱり女の子同士の話って謎だよな。……あ、でもザクロさんも微妙に加わってたな。

気には なるけど、セレナが“なんでもない”って言ってる以上、詳しく聞く訳にもいかないか。


 サトシ 「さて。それじゃあまずはメイスイタウンだな」

 セレナ 「うん」


ハクダンシティから先は、いつもの旅のスタイルになる。

メイスイへと続く道は、森の中を通っている。けれど、深い森って訳じゃない。空も見えるし、風通しも良いし、気持ちの良い道だ。

こんなに居心地の良さそうな場所なら、珍しい野生ポケモンとか見れるかも……、そう思った時だった。


   *** 「あれ? もしかしてサトシさん?」


 サトシ 「ん?」


突然、後ろから声をかけられた。

振り返ってみると、どうやら声を上げたのは、オレと同い年くらいの男の子。その隣には女の子も居る。普通に考えればオレたちみたいな旅のトレーナーだけど、その2人が居た場所は、何故か道の脇の茂みの中だった。
 ▼ 36 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/01/22 03:45:00 ID:O0f//4VQ [2/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ※※※(女) 「サトシって……カロスリーグ準優勝の?」

 ***(男) 「そうそう。いやー、まさかこんなところで会えるなんて! あ、僕はハルキ」

 ※※※(女) 「私はルイナよ。よろしく」


茂みから出てきた2人は、そう名乗った。

ハルキとルイナか。オレのこと知ってるってことは、カロスリーグの決勝戦、見ててくれたってことだよな。

……ってことは、この2人もトレーナーかな。


 サトシ 「オレはサトシ……って、知ってるんだよな」

 セレナ 「ふふっ。凄いバトルだったもんね。私はセレナです」

 ハルキ 「こちらこそよろしく。サトシさんは……」

 サトシ 「“サトシ”でいいよ」

 ハルキ 「そうかい? サトシの決勝戦、あれは凄かった! カロスリーグ史上でも一、二を争うレベルのバトルだったよ!」

 サトシ 「サンキュー。まぁ、結局アランに負けちまったけどな」

 ハルキ 「なに言ってるんだい。勝ち負けなんか関係ない。あのバトル、熱いワザのぶつかり合い、その迫力が良かったんじゃないか」

 ルイナ 「それに、不思議な姿のゲッコウガ! あれ格好良かったなぁ」
 ▼ 37 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/01/22 03:47:00 ID:O0f//4VQ [3/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ハルキ 「そうそう! そのゲッコウガのこと詳しく聞きたいんだ! サトシとセレナは、これから何処へ行くんだい?」

 サトシ 「えっと、メイスイを通って、アサメまで行くんだ」

 ハルキ 「なるほど。じゃあ僕たちも、メイスイまで同行してもいいかい?」

 サトシ 「あぁ、構わないぜ」

 ハルキ 「おぉありがとう! 色々聞きたいことがあるから助かるよ!」


そう言ってハルキはメモを取り出した。

メモを取り出したってことは、本当に色々と聞いてくるらしい。ショータみたいだな。

ちらりとセレナの方に目をやると、ルイナと話し始めている。この流れだと、メイスイまで男女別になりそうだ。


 ハルキ 「早速だけど、あのゲッコウガ! いったいどんな仕組みで姿を変えてるんだい?」

 サトシ 「詳しいことは分からないんだけど、オレとゲッコウガの絆がカギになってるみたいなんだ」

 ハルキ 「絆?」

 サトシ 「あぁ。俺とゲッコウガの想いが一つになって……って言うのかな」

 ハルキ 「なるほど……。そんな前例は聞いたこと無いし、あれだけパワーアップを遂げるとなると、かなり稀な現象だね。メガシンカに匹敵するエネルギーが生まれる背景が気になるな」

 サトシ 「その辺は、プラターヌ博士が研究するみたいだぜ」

 ハルキ 「そうか。だとすると、博士の研究を待った方が懸命か」
 ▼ 38 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/01/22 03:49:00 ID:O0f//4VQ [4/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「ん?」

 ハルキ 「いや、こっちのことさ。あの“みずしゅりけん”の凄さを見ると、研究の進捗が楽しみだね」

 サトシ 「研究結果も楽しみだけど、あいつの強さは、オレを信頼してくれてたのが、大きなカギなんだ」

 ハルキ 「信頼?」

 サトシ 「オレもゲッコウガのこと信じてた。オレたちは2人で高みに行くって。オレとゲッコウガが お互い信じ合えてたから、あの強さが生まれたんだ。研究しなきゃ分からないかもしれないけど、オレは そう思ってる」

 ハルキ 「信頼関係か。もし事実なら興味深いね。あと、サトシのポケモンで凄いと思ったのはピカチュウだね」

 ピカチュウ 「ぴか?」

 ハルキ 「ピカチュウがバンギラスとメタグロスを倒すなんて普通じゃないよ。相当な鍛え方だと思うけど」

 サトシ 「ピカチュウは、オレの最初のパートナーなんだ。色んな地方を旅して、色んな相手とバトルしてさ。ここぞって時に頑張ってくれるんだよ。ピカチュウは」

 ピカチュウ 「ぴぃっか」

 ハルキ 「なるほど、長年の経験値がピカチュウを強くしてるって訳か。ワザ構成は確か、“でんこうせっか”、“アイアンテール”、“10万ボルト”、“エレキボール”だったよね?」

 サトシ 「あぁ。そんなに詳しく見てくれてたのか」

 ハルキ 「まぁね。なにせ、ピカチュウでリーグ決勝戦まで進むなんて普通じゃないからね。これは特別なピカチュウだって思った訳さ」

 サトシ 「ははは……(ロケット団にもそんなこと言われてたっけ)」
 ▼ 39 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/01/22 03:51:00 ID:O0f//4VQ [5/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ハルキ 「ピカチュウは可愛さで人気があるけど、サトシのピカチュウは実戦でも使える――、なかなかのものだよ」

 サトシ 「サンキュー。ハルキってさ、けっこうバトル見てくれてるみたいだけど、バトルしないのか?」

 ハルキ 「バトルか。進んでバトルしたりは しないね」

 サトシ 「そうなのか。でも、ルイナと旅してるんだろ?」

 ハルキ 「そうさ。旅と言えばジム巡りって思われがちだけど、僕たちは違う。僕は、ポケモンを捕まえることに力を注いでるんだ」

 サトシ 「お、ゲットか!」

 ハルキ 「あぁ。綿密な計画を立ててポケモンを捕まえる――、それがスリリングで刺激的で、最高に楽しいのさ」

 サトシ 「計画?」

 ハルキ 「う〜ん、まぁ、詳しくは言わないけど、何処で捕まえるか、その……ポケモンがどこに出没するのかをリサーチして、その場に合った作戦を立てて捕まえる。美しくポケモンを捕まえるのが、僕のモットーだからね」

 サトシ 「ふ〜ん」

 ハルキ 「だからボールにも拘りがあってね。美しく捕まえたポケモンには、その衣も美しく。そうやって色んなポケモンを捕まえてきたのさ」

 サトシ 「じゃあ、今までゲットした中で、一番珍しいポケモンって何なんだ!?」

 ハルキ 「そうだねぇ……。あ、最初に言っておくけど、多分サトシの思ってる珍しいと、僕の思ってる珍しいは別物だよ」

 サトシ 「えっ?」

 ハルキ 「僕の珍しいは、所謂“レアポケモン”じゃなくて、個々のポケモンの特徴的な部分を指すのさ」
 ▼ 40 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/01/22 03:53:00 ID:O0f//4VQ [6/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「……ん?」

 ハルキ 「良い例が色違いポケモンだよ。そこまで行かなくても、例えば……、通常より体長が大きいポケモンとか、違ったワザを覚えているポケモンとか。最近捕まえたやつだと、葉っぱみたいなのが片方に3枚ついてるボクレーかな。普通は2枚なんだよ」

 サトシ 「へ〜」

 ハルキ 「ちょっと特殊な個体ってのに僕は惹かれるんだ。なかなか理解しがたいとは思うけど、そういうマニアは一定数居るんだよ」


ハルキは力を込めて言った。

ちょっと特殊な個体、か。そう言えばトロバも、そういう珍しいポケモンの写真を撮りたいって言ってたっけ。

旅の目的は人それぞれってことか。

確かに珍しいポケモンを見れるとテンション上がるけど、そういう細かい所までは、今まで見てこなかったし、そういう違いがあることさえ気付かなかったと思う。

ハルキとルイナは、そんな細かい違いを見つけてゲットする――。

それって、ポケモンのこと よく見てないと出来ないことだし、この2人なら、ゲットした後も、よく 面倒見るんだろうな。


 サトシ 「良いな、そういう旅も」

 ハルキ 「ある意味で生き甲斐だね。それはそうと、もっとサトシのポケモンのこと聞かせてくれよ」
 ▼ 41 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/01/22 03:53:40 ID:O0f//4VQ [7/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「あぁ。どこまで話したっけ?」

 ハルキ 「ピカチュウのことも もう少し詳しく聞きたいけど、時間は限られてるからね。じゃあ……ヌメルゴンとか」

 サトシ 「ヌメルゴンか。あいつはヌメラの時にゲットしたんだけど、強くなりたいって ずっと思っててさ」

 ハルキ 「キリキザンの攻撃を“がまん”で耐えるなんてリスキーなこと、決勝戦では普通やらないよ。耐え切る自信があったのかい?」

 サトシ 「あぁ。オレはヌメルゴンのこと信じてたからな」

 ハルキ 「信じること――か。“ハサミギロチン”さえ無ければ、キリキザンに勝ててただろうね」

 サトシ 「そうだなぁ。そこはオレも警戒するべきだったよ。ヌメルゴンには悪いことしちまったな」

 ハルキ 「その辺もサトシとポケモンの信頼関係が見て取れるね。じゃあオンバーンは………」


そんな感じで、オレはハルキの質問に答え続けた。

ハルキはオレのポケモンのこと、よほど興味があったのか、ワザ構成とか、ゲットした時のこととかを、根掘り葉掘り聞いてくる。

そこまでオレのポケモンたちに興味持ってくれるのは有難いけど、その勢いが凄まじいと言うか……。

ハルキってポケモンウォッチャーなのか?



そうこうしているうちに、ハクダンの森を抜けて、あっという間にメイスイタウンに到着した。
 ▼ 42 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/01/22 03:54:20 ID:O0f//4VQ [8/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


 ハルキ 「それじゃあ、僕たちは この辺で。色々聞けて楽しかったよ」

 サトシ 「あぁ!」

 ルイナ 「じゃあねセレナ。パフォーマンス頑張ってね」

 セレナ 「うん、ありがとう。ルイナもゲットの旅、頑張ってね」

 ルイナ 「えぇ」


メイスイタウンに入ってすぐ、オレたちはハルキとルイナと別れた。

2人はメイスイに泊まる訳じゃないらしく、別の道へと進んで行った。もう夕方なんだから、ポケモンセンターで休んだ方がいいと思うけどな。


 サトシ 「なんか ずっとハルキと話してて、ルイナと話せなかったな。セレナ、なに話してたんだ?」

 セレナ 「旅のこと。私はポカロンの話題で、ルイナはポケモンをゲットする話。私の知らないこと、いろいろ聞けたんだ」

 サトシ 「そうだったのか」


どうやらセレナの方も、ルイナと盛り上がっていたらしい。

セレナの反応を見るに、ルイナの性格は、なんとなく想像できた。
 ▼ 43 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/01/22 03:55:00 ID:O0f//4VQ [9/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 セレナ 「ハルキもポケモンをゲットすることが好きだって聞いたけど、サトシは どんな話してたの?」

 サトシ 「オレは……、考えてみると、ずっとオレが話してたな」

 セレナ 「そうなの?」

 サトシ 「あぁ。ゲッコウガのことを詳しく聞かれたけど、ピカチュウたちの育て方とか、どんなワザを覚えてるか〜とか。な?」

 ピカチュウ 「ぴか」


だからオレは、ハルキの素性と言うかキャラを、そこまで詳しく理解していない。

自分のことは語らないでオレのポケモンのこと聞きまくるなんて、たとえポケモンウォッチャー的な趣味があったとしても、いま考えると不自然だった。


 セレナ 「ふ〜ん。やっぱりサトシ、注目されてるんだね」

 サトシ 「そんな大したこと してないのになぁ」

 セレナ 「ううん。カロスリーグ準優勝って、とっても凄いことだと思うよ」


それとも考え過ぎなのか?

カロスリーグ準優勝……、オレにとってリーグ戦で最高の成績だけど、そこまで行くとやっぱり注目されるものなのかな。


 サトシ 「へへっ、サンキュー、セレナ。……じゃあ、ポケモンセンター行くか?」

 セレナ 「うん」
 ▼ 44 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/01/22 03:56:00 ID:O0f//4VQ [10/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
オレたちは、ポケモンセンターへと向かった。

今日はここで1泊して、明日の朝に出発すれば、そう遅くない時間にアサメタウンに着けるらしい。

メイスイタウンを見て回ることだ出来ないけど、時間的に仕方ないか。


 サトシ 「2人だけでポケモンセンターに泊まるの、初めてだよな」

 セレナ 「あっ……うん」


そう言えば、セレナと2人きりでポケモンセンターに泊まるのは、今回が初めて。

まぁ2人で旅することが初めてなんだから、当然と言えば当然だけど。


今まではシトロンとユリーカを含めた4人でポケモンセンターに泊まっていた。それが2人となると、部屋を広く使えそうだ。


なんだかんだで、今日はセレナと ゆっくり話す時間は無かった。

セレナとも、もうすぐ お別れすることになる。セレナと話したいこと、まだ色々あるんだよな。


そんなセレナは、少しだけ顔を赤くしてモジモジしている。

セレナは時々、こうやって赤くなることがある。一緒に旅してる仲なんだから、恥ずかしがることないのになぁ。

 ▼ 45 エルコ@ラティオスナイト 17/01/22 04:00:53 ID:YWS4vqeM NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
あんまり関係ないけど>>24
ねばねばネットはビビヨンではなくアメタマでは?
 ▼ 46 イコウ@コイン 17/01/22 04:42:03 ID:/lrmdNB. NGネーム登録 NGID登録 報告
夜遅くにお疲れ様です。
支援
 ▼ 47 ッカニン@ガブリアスナイト 17/01/22 17:38:14 ID:Ghg0E9OE NGネーム登録 NGID登録 報告
支援!
 ▼ 48 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/01/24 00:15:00 ID:Hc2ARRJ6 [1/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


【 2-4 】


ポケモンセンターに着いた。

入口の自動ドアが開くと、目の前に居たのはサナだった。


 サナ 「あれ? セレナ!?」

 セレナ 「えっ……サナ!?」

 サナ 「こんなところで偶然! また会っちゃったね。サトシも」

 サトシ 「あぁ」


別にオレたちのことを待ってた訳じゃなくて、本当に偶然みたいだ。

ミアレで別れた時が最後かと思ったけど、また会えたのはラッキーだな。サナが居るってことは……。


 サナ 「おーい! ティエルノー! トロバー!」

 ティエルノ 「ん? サトシじゃないか。それに……セレナぁ!!!」

 トロバ 「わぁ。ホント偶然ですね」

 サトシ 「ティエルノにトロバも。どうしたんだ?」
 ▼ 49 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/01/24 00:15:40 ID:Hc2ARRJ6 [2/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サナ 「私たち、プラターヌ博士から調査を頼まれたって話したよね?」

 サトシ 「あぁ」

 トロバ 「早速明日から始めるんです。まずは2番道路からと言うことで、今日はメイスイに泊まることにしたんです」

 サトシ 「そうだったのか」

 セレナ 「皆も動き出すのよね。頑張って!」
 
 ティエルノ 「もっちろん頑張るよ! セレナの応援があれば常に全力さ!」

 セレナ 「あはは……」

 トロバ 「ところで、シトロンとユリーカの姿がありませんが……」

 サトシ 「あぁ、2人ならジムの調整があるから、ミアレに残ってるんだ」

 ティエルノ 「えっ!? ってことは、サトシとセレナ、2人で旅してるって言うのかい!?」

 サトシ 「そうさ。でも、旅って訳じゃないぜ。オレもうすぐカントーに帰るから、セレナのママに挨拶して行こうと思って」

 トロバ 「そうですか……。リーグも終わりましたし、フレア団の事件も一段落しましたし、サトシの旅も終わったんですね」

 ティエルノ 「そうか……寂しくなるね。でもセレナと2人旅ってことに変わりは無いよね?」

 サトシ 「ん? まぁな」

 サナ 「ふ〜ん」 ニヤッ
 ▼ 50 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/01/24 00:16:22 ID:Hc2ARRJ6 [3/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サナが意味深な笑みを浮かべたと思ったら、セレナの耳元で何かを囁いている。

セレナの方は少し赤くなってそれにヒソヒソと答えてるけど、何を話してるんだろう。女の子の会話は分からないな。


そしてすぐに、サナはオレたちの方を向き直して言った。


 サナ 「ねぇティエルノ、トロバ! 明日からの調査の確認もあるし、そろそろ私たちは部屋に戻ろうよー」

 セレナ 「さっ、サナ……」

 サナ 「ほら2人とも! 調査場所の再確認とか……」


 ティエルノ 「そうだサトシぃ! これからバトルと行こうじゃないか!」

 サトシ 「バトルか!」

 サナ 「ちょっ……ティエルノ聞いてるの!?」

 ティエルノ 「最後にサトシとバトルしておきたいしね! それにサトシの旅の話とかも聞きたいし、そうだ! 今夜は一緒に寝ようYO!」

 サナ 「え゙っ……」

 サトシ 「そうだな。オレもティエルノのジム戦の話とか聞きたい! 勿論トロバもな!」

 トロバ 「はい! それでは男3人、最後の交流と行きましょう」

 サナ 「ちょっとみんな……」
 ▼ 51 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/01/24 00:17:00 ID:Hc2ARRJ6 [4/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ティエルノ 「オーライ! トロバのメガストーンの話は感動的だよ〜!」

 サトシ 「そうなのか!」

 ティエルノ 「って訳でサナ! 僕たちが3人部屋を使うから、サナとセレナは2人部屋を取るといいよ。女の子同士パフォーマー同士、積もる話とかあるよね?」

 サナ 「うっ……(そう言われると否定しづらい)」

 セレナ 「あはは……。いいよサナ。サトシたちはサトシたちで、バトルの話で盛り上がりたいんだよ」


セレナと2人きりになるのは また お預けか。

でも、セレナだって最後にサナと一緒に居たいだろうし、オレもティエルノとトロバと話したいことは沢山ある。

ある意味、自然の組み合わせだ。


 ティエルノ 「オーケーありがとうセレナ! それじゃあ僕たちは陽が沈む前にバトルしてくるよ! 行くよサトシ、トロバ!」

 サトシ 「あぁ!」

 トロバ 「あ、待ってくださいカメラカメラ!」


オレたちはポケモンセンター外のフィールドへと向かった。

ティエルノとバトル出来るのも、これが最後かもしれないからな。
 ▼ 52 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/01/24 00:17:30 ID:Hc2ARRJ6 [5/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


 ティエルノ 「それじゃあサトシ! 最後のバトルと行こうか!」

 サトシ 「あぁ、臨むところだ!」

 トロバ 「審判は僕が務めます。時間も時間ですし、使用ポケモンは1体で良いですね?」

 サトシ 「よし……じゃあピカチュウ! 君に決めた!」

 ピカチュウ 「ぴっか!」

 ティエルノ 「それじゃあ僕は……ライチュウ、ゴー!」

 ライチュウ 「らいらーい」

 トロバ 「進化系とのバトル……これは見応えがありそうですね!」 カシャッ! カシャッ!

 ティエルノ 「手加減無しの真剣勝負で行くよ!」

 サトシ 「あぁ! 負けないぜ!」


相手はライチュウ。ピカチュウの進化系。クチバジムが懐かしいぜ。

単純に考えて、電撃の威力は進化系のライチュウの方が上と考えるべき。だとするとスピードや戦略が重要になるバトルだな。


 トロバ 「それでは、バトル開始!」 カシャッ! カシャッ!
 ▼ 53 ゴジムシ@いしょうトランク 17/01/24 07:03:21 ID:3FCzMeAY NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 54 ビヨン@キラキラメール 17/01/24 13:17:04 ID:XDJa.lwc NGネーム登録 NGID登録 報告
しえん
 ▼ 55 クロー@オッカのみ 17/01/26 10:38:27 ID:Y2.b2LXc NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 56 ルビート@ブロムヘキシン 17/01/29 00:15:46 ID:eY9c/kac NGネーム登録 NGID登録 報告
まだかなー
 ▼ 57 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/01/30 01:16:20 ID:kllQLrAI [1/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ティエルノ 「こっちから行くよ! “チャージビーム”!」

 サトシ 「“エレキボール”で向かい打て!」

 ピカチュウ 「ちゅぴっか!」


ライチュウの“チャージビーム”とピカチュウの“エレキボール”が ぶつかり合って、相殺。

威力が同じなら、いよいよスピードが勝負のカギになってくる。


 サトシ 「“でんこうせっか”で接近だ!」

 ピカチュウ 「ぴっか!」

 ティエルノ 「させないよ! もう1回、“チャージビーム”!」

 ライチュウ 「らーい!」

 サトシ 「来るぞピカチュウ! こっちも“エレキボール”で向かい打つぞ!」


やっぱり簡単には接近させてくれないか。

再びピカチュウとライチュウのワザが ぶつかり合って相殺……しない!?
 ▼ 58 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/01/30 01:17:00 ID:kllQLrAI [2/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「あっ……ピカチュウ!?」


“チャージビーム”が“エレキボール”を蹴散らして、ピカチュウに直撃したのだ。


 ティエルノ 「いいぞライチュウ! 見たかいサトシ、僕たちのリズム!」

 トロバ 「“チャージビーム”は特攻が上がる追加効果のあるワザ……。始めからそれを引き当てたんですねライチュウは」 パシャッ! パシャッ!

 ティエルノ 「このチャンス無駄には しないよ! “きあいだま”だ!」


ライチュウのワザの威力が上がったのは追加効果の せいか。

だとすると迂闊に相殺狙いは危ない。


 サトシ 「かわせピカチュウ!」

 ピカチュウ 「ぴかぁ!」


ピカチュウは起き上がる。そして大きくジャンプする。

低空を滑空するように迫る“きあいだま”を、ギリギリのところで回避した。

今度は こっちの番だ。
 ▼ 59 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/01/30 01:17:40 ID:kllQLrAI [3/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「流れを作るぞ! “10万ボルト”!」

 ピカチュウ 「ぴぃぃぃかぁぁぁ……」

 ティエルノ 「させないよ! “あなをほる”!」

 ライチュウ 「らいらいらぁい!」


ティエルノはピカチュウの“10万ボルト”を見るなり、ライチュウに“あなをほる”を指示した。

地中に逃げられたら攻撃は当たらないし、そもそも電気ワザが通用しなくなる。考えたなティエルノ。


 ティエルノ 「さぁ、どこから攻撃が来るか分かるかなぁ?」


自信たっぷりのティエルノがオレに問いかける。

確かに地中に潜られたら、攻撃が来る方向は簡単には分からない。

けどオレたちは、この旅で、その対処法を編み出している。それを実践するまでだ。


 サトシ 「ピカチュウ、地面に“アイアンテール”だ! 思いっきり叩きつけろ!」

 ピカチュウ 「ちゅぴか!」

 ティエルノ 「なにを……!?」
 ▼ 60 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/01/30 01:18:21 ID:kllQLrAI [4/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ピカチュウの鋼の尻尾が、地面に激突する。

それは衝撃波を生んで、地中を揺らして、地割れのように地面を砕いて、地中のライチュウを地上に引きずり出した。成功だ。


 ティエルノ 「ライチュウ!?」

 トロバ 「凄い……こんなことが!?」 パシャッ! パシャッ!

 サトシ 「今だピカチュウ! “10万ボルト”!」

 ピカチュウ 「ぴぃぃかぁぁぁぁぁちゅううぅぅぅぅぅ!」

 ティエルノ 「ライチュウ“かみなり”で……」

 サトシ 「遅いぜ!」


ライチュウに反撃する隙を与えない。

地上に引きずり出されたライチュウは隙だらけ。当然だ。穴の中はある意味 安全なんだから。

まさか こんな形で隙が生まれるなんて、ティエルノもライチュウも思ってなかったはずだ。だから反応が遅れた――。

そしてその一瞬の隙が、バトルの流れを大きく変えることになる。


 ティエルノ 「あぁっ……ライチュウ!」
 ▼ 61 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/01/30 01:32:20 ID:kllQLrAI [5/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
“10万ボルト”がライチュウを直撃。

効果は今一つかもしれないけど、流れを作る意味では、決して無駄じゃ無い。


 サトシ 「良いぞピカチュウ! そのまま“アイアンテール”!」


ピカチュウは素早くライチュウに接近して、“アイアンテール”を打ち付けた。

ライチュウの腹に、クリーンヒットだ。


 ティエルノ 「クッ!」

 トロバ 「サトシが上手でしたね。一瞬の隙をついて一気に攻め込む……、流石です」 パシャッ! パシャッ!


後方に弾き飛ばされたライチュウだけど、まだ倒れない。

立ち上がって、キッとピカチュウを睨みつけている。


 サトシ 「ピカチュウ! “10万ボルト”!」

 ピカチュウ 「ぴか!」
 ▼ 62 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/01/30 01:33:20 ID:kllQLrAI [6/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
攻め込める時は攻め込まないと。

ピカチュウの“10万ボルト”は、再びライチュウに直撃した。効果は今一つだけど、ダメージを蓄積させれば、確実に こっちが有利になる。


 ティエルノ 「頑張れライチュウ! “10万ボルト”なんて振り払うんだ!」

 ライチュウ 「らぃっ……ちゅう!」


ティエルノの声を聞いて、ライチュウは“10万ボルト”を振りほどく。

やっぱり一筋縄じゃ行かないか。流石ティエルノだぜ。


 ティエルノ 「距離を取って“きあいだま”!」

 サトシ 「かわせ!」


ライチュウは“きあいだま”を撃ち出した。さっきと同じように、低空滑空するように。

ピカチュウは大きくジャンプしてそれを回避――、したのがマズかった。


 ティエルノ 「飛ぶ方向に“チャージビーム”!」

 サトシ 「なにっ!?」
 ▼ 63 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/01/30 01:34:20 ID:kllQLrAI [7/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ティエルノは、あえてさっきと同じコース取りで“きあいだま”を撃たせたのか。ピカチュウがジャンプして回避することを予測して。

ライチュウが繰り出した“チャージビーム”は、まさしくピカチュウが回避する方向、タイミング。

これだけジャストで攻撃を出されたら、いくらピカチュウでも連続回避は無理だった。


 ピカチュウ 「ぴかっ……」

 サトシ 「大丈夫かピカチュウ!?」

 ティエルノ 「良いよ良いよライチュウ! 一気に反撃だ! “かみなり”!」

 ライチュウ 「らぁぁぁぁい!」


ライチュウは大きくジャンプして、電気を作り出し、それを放出した。

“かみなり”。効果は今一つだけど、“チャージビーム”で特攻が上がってるし、何より攻撃を受けたばかりのピカチュウは隙だらけ、このまま直撃はマズい!

かと言って避ける先は……。


 サトシ 「……そうだ! ピカチュウ、ライチュウの穴に隠れるんだ!」

 ピカチュウ 「ぴっ!」

 ティエルノ 「えっ……なんだって!?」
 ▼ 64 タフリー@ドラゴンZ 17/01/30 01:36:50 ID:9/CvZWP. NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ライチュウの穴…
 ▼ 65 ゴラス@ヤチェのみ 17/01/30 06:51:28 ID:n4lAOgtc NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
>>64
おいw
 ▼ 66 カリオ@だっしゅつボタン 17/01/30 07:20:09 ID:XicopLTw NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 67 ックウザ@ミクルのみ 17/02/02 07:57:26 ID:wIl2lVgY NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 68 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/02/02 23:40:00 ID:AMR1hxnI [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ピカチュウは すぐに動く。

まるで、オレがその指示を出すことを予想してたかのように。

ピカチュウは、さっきライチュウが掘った穴に入って、身を潜めた。


 ティエルノ 「クッ……! まさか僕とライチュウの攻撃を利用されるなんて」

 サトシ 「へへっ」


“かみなり”は電気ワザ。地面の中に逃げ込めば、当然、効果を受けることは無い。

さっきティエルノが“10万ボルト”を回避した方法を、そのまま お返しした訳だ。


 ティエルノ 「だったらサトシ! こっちだってサトシの戦法そのままお返しするよ! ライチュウ、地面に向かって“きあいだま”だ!」

 サトシ 「ピカチュウ穴から出ろ! “アイアンテール”で打ち返せ!」


ピカチュウは すぐさま穴から出る。

そして、直前まで迫っていた“きあいだま”に、“アイアンテール”を ぶつけて、思いきり打ち返した。

ピカチュウへのダメージは実質ゼロだ。
 ▼ 69 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/02/02 23:40:30 ID:AMR1hxnI [2/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ティエルノ 「やるねぇサトシ!」

 サトシ 「ティエルノもな!」

 トロバ 「2人とも凄いです! ここまで熱いバトルは撮影のし甲斐がありますよ!」 パシャッ! パシャッ!


リーグでティエルノと当たらなかった分、今ここで全力でバトル出来て、本当に良かったと思う。

やっぱり相手を知ってると、バトルは一層 楽しくなるからな。



   サナ 「わはっ、やってるやってる!」

   セレナ 「サトシもティエルノも頑張れー!」


ここで、セレナとサナがポケモンセンターから出てきて、観戦を始めた。

こりゃあますます負けられなくなってきたぜ。


 ティエルノ 「セレナも応援してくれてる……。さぁサトシ、ここからが本番だYO!」

 サトシ 「あぁ!」




 ▼ 70 ビワラー@あかいかけら 17/02/03 00:02:45 ID:n0KWJRc6 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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 ▼ 71 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/02/04 00:35:00 ID:vfM4SM4s [1/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


【 2-5 】


夕飯を終えたオレたちは、セレナたちと別れて、ティエルノとトロバの男部屋に戻った。

各々シャワーを浴びて、明日の準備をして、ベッドに潜り込む。

ティエルノたちは明日は朝早くから調査を始めるみたいだから、夜更かし厳禁だ。


 トロバ 「ふぅ。それにしても、さっきのバトル凄かったですね。お陰で良い写真がたくさん撮れましたよ」

 ティエルノ 「絶対に勝つつもりでいたんだけど……、やっぱりサトシのピカチュウは手強いね」

 サトシ 「へへっ。でもライチュウも強かったぜ? オレが勝てたのも、けっこうギリギリだったからな」


ティエルノとのバトルは、オレが なんとか勝利した。

ライチュウ相手に不利なバトルだったけど、ピカチュウが頑張ってくれたお陰だ。

そんなピカチュウは、今はポケモンセンター側で ゆっくり休んでいる。今日ばっかりは一緒に寝れないか。
 ▼ 72 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/02/04 00:37:00 ID:vfM4SM4s [2/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ティエルノ 「それにしても悔しいなぁ。サトシとの最後のバトル、負け試合になっちゃって」

 サトシ 「なに言ってんだよ。またバトル出来るさ」

 ティエルノ 「そうだけどさ……、やっぱりセレナが見てる前だから、ビシッと勝っておきたかったんだよ」

 サトシ 「ん?」

 トロバ 「ふふっ。ティエルノはセレナに夢中ですからね」

 ティエルノ 「そうさ。セレナみたいな可愛い女の子、滅多に会えないよ」

 トロバ 「確かに。セレナって、髪切ってから すっごく可愛くなりましたよね」

 ティエルノ 「サトシが羨ましいよ。そんなセレナと一緒に旅が出来て」

 サトシ 「羨ましい……のか?」

 ティエルノ 「サトシは……、どうしてセレナと一緒に旅することになったんだい?」

 サトシ 「あぁ、セレナとの旅は、オレから誘ったんだけど……」

 ティエルノ 「サトシから!?」

 トロバ 「わぁ、サトシやりますね!」

 サトシ 「セレナ、オレのジム戦のアドバイスとかくれてさ。目的が無いみたいだったから、思い切って一緒に行かないか誘ってみたんだ。そしたらセレナ、すぐOKくれたんだ」

 トロバ 「ふむふむ。セレナもサトシとの旅に乗り気だったんですね」

 ティエルノ 「そうか……」
 ▼ 73 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/02/04 00:38:00 ID:vfM4SM4s [3/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「でさ。その後に思いだしたんだけど、オレとセレナって、前に会ってたんだよ」

 ティエルノ 「そうなのかい?」

 サトシ 「オーキド博士のサマーキャンプでさ。セレナの方がオレのこと覚えててくれたみたいで、話を聞いた感じ、セレナ、オレに会いに来てくれたらしいんだ」


あの時セレナは、サマーキャンプでオレが貸したハンカチを返しに来てくれた。

でもそのキッカケは、プラターヌ博士のガブリアスが暴れた事件が、テレビ中継されたこと。それを見てセレナは、“懐かしくて、会いたくなった”って言ってくれたっけ。


 トロバ 「セレナの方から……なるほどなるほど」

 ティエルノ 「じゃあ実質、セレナからサトシの旅に同行したいと……」

 サトシ 「う〜ん……、誘ったのはオレからだけど」

 ティエルノ 「話の流れで行くと、セレナの方からってことになるよ。そっか……、サトシとセレナは……」

 サトシ 「ん?」

 ティエルノ 「サトシ……、一つ聞いていいかい?」

 サトシ 「なんだ?」



 ティエルノ 「サトシはセレナのこと……、好きなのかい?」
 ▼ 74 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/02/04 00:39:00 ID:vfM4SM4s [4/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


 サトシ 「あぁ、好きだぜ」

 ティエルノ 「……そっか」


なに言ってんだよティエルノ。当たり前じゃんか。

オレはセレナのこと好きだし、一緒に旅したシトロンもユリーカも好きだ。勿論、ティエルノやトロバ、サナだって。


 ティエルノ 「………」

 トロバ 「ティエルノ……」

 ティエルノ 「……きっと、セレナもサトシのこと、好きなんだろうね」

 サトシ 「えっ……いや、好きじゃないって言われたら悲しいけど」

 ティエルノ 「いや、分かってたさ」


分かってた……?

どうしたんだよティエルノ?
 ▼ 75 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/02/04 00:40:00 ID:vfM4SM4s [5/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ティエルノ 「だから僕は……、最後の望みをかけたんだ。さっきのサトシとのバトルで僕が勝ったら、セレナに告ろうと思ってたんだ」

 トロバ 「そうだったんですか」


コクロウ……?

新しいポケモンか?


 ティエルノ 「けど、そう言う訳にはいかないよね。サトシとセレナは互いに好きで……、大切な友達の仲を乱すようなこと、僕には出来ないよ」

 トロバ 「ティエルノ……、その心意気、尊敬します」

 ティエルノ 「考えてみると、セレナの家に招待されるような相手に、敵いっこなかったのさ、初めから」


敵いっこないって……、確かにオレ、ティエルノとのバトルには絶対負けたくないって思ってたけど、ティエルノだって凄ぇ良いバトルしたじゃん。

ライチュウの動きとか前より良くなってたし、リズム戦法も磨きがかかってたし。そんな最初から諦めるようなこと無かったのに。


 ティエルノ 「だからサトシ! この先も、セレナのこと……、よろしく頼んだよ!」

 トロバ 「ティエルノ……」
 ▼ 76 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/02/04 00:40:30 ID:vfM4SM4s [6/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
この先もセレナのこと……か。

確かに、セレナの家に招待された以上、家に着くまで、オレがセレナのこと守らなくちゃいけないよな。

アサメまで近いって言っても、何が起きるか分からない。野生ポケモンに襲われるかもしれないし、ロケット団が仕掛けてくるかもしれない。

最後まで気を抜くな、ってことだよな。


 サトシ 「任せとけティエルノ。セレナのことは、ちゃんとオレが守るからさ」

 ティエルノ 「あぁ。約束だよ、サトシ」 スッ


ティエルノはオレに手を差し出した。

オレも手を差し出す。そして、しっかりと握手する。


 ティエルノ 「サトシは僕が認めたトレーナー、僕が認めた男だ」

 サトシ 「サンキュー、ティエルノ。ティエルノも、オレの最高のライバルだぜ」

 ティエルノ 「……オーライ。嬉しいよ、サトシ」
 ▼ 77 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/02/04 00:41:00 ID:vfM4SM4s [7/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 トロバ 「さぁ、夜も更けてきましたし、こういう話題は終わりにしましょう。最後に、ポケモンについて語り合いませんか?」

 サトシ 「おっ、良いな!」

 ティエルノ 「そうだね。それじゃあボクのカメックスのスポーティーな生い立ちを……」

 トロバ 「ティエルノの話は いつでも聞けるので、サトシのポケモンのこと、聞いてみたいです。サトシもリザードン、ゲットしてたんですよね?」

 サトシ 「あぁ。ヒトカゲの時にゲットしてさ」

 ティエルノ 「トロバと同じだね」

 トロバ 「はい! それでそれで、進化に至った経緯とか教えて下さい! 同じリザードン使いとして、前から気になってたんです!」

 サトシ 「あぁ良いぜ。実はヒトカゲ、リザードに進化してからオレの言うこと聞かなくなっちまってさ………」



それからオレたちは、各自のポケモンについて語り合った。

寝る時間も考えずに、いつまでも、笑いながら。


ティエルノとトロバとの最後の時は、こうして楽しく、あっという間に過ぎて行った。





 ▼ 78 ンタロス@きょうせいギプス 17/02/04 06:16:52 ID:f07xv2oo [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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 ▼ 79 エルコ@そうこのかぎ 17/02/04 08:04:27 ID:2XH1uOt. NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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 ▼ 80 クーン@くろおび 17/02/04 11:28:51 ID:VPsX67QI NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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 ▼ 81 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/02/04 23:05:00 ID:vfM4SM4s [8/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


【 2-6 】


翌朝、7時。

オレたちは朝食を済ませて、ポケモンセンターのエントランスに集まった。

ティエルノたちとは、ここで お別れだ。


 サナ 「それじゃあセレナ、ホウエンの旅、頑張ってね!」

 トロバ 「応援してますよ」

 セレナ 「うん。ありがとう!」

 ティエルノ 「セレナぁぁぁ寂しくなるけど……、僕のハートに火を点けた君のこと、一生忘れないよ!」

 セレナ 「あはは……、私もティエルノのこと、忘れないわね」

 ティエルノ 「セレナみたいなキュートな女の子に出会えて、友達になれて、僕は本当に幸せさ!」

 サナ 「またティエルノったら!」

 ティエルノ 「……だからサトシ! セレナのこと、よろしく頼むよ」

 サナ 「えっ?」

 セレナ 「ティエルノ……?」
 ▼ 82 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/02/04 23:05:30 ID:vfM4SM4s [9/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ティエルノは珍しく真剣な眼差しで、オレに告げた。

分かってるさティエルノ。セレナの家に着くまで、オレがちゃんとセレナを守るから心配するなって。


 サトシ 「あぁ! ティエルノたちも、調査の仕事、頑張れよ!」

 ティエルノ 「オーライ! またバトルしようぜサトシ!」

 トロバ 「その時は、是非リザードン同士で!」

 サトシ 「臨むところだぜ!」

 サナ 「ふふっ。サトシとは、これでお別れね。気を付けてカントーに帰ってね」

 サトシ 「サンキュー、サナ」

 サナ 「それと……、私からも、セレナのこと、よろしくねっ」

 セレナ 「ちょっとサナ……」

 サトシ 「任せとけって!」

 サナ 「ふふっ」

 セレナ 「もぉ〜」
 ▼ 83 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/02/04 23:06:00 ID:vfM4SM4s [10/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サナ 「それじゃあね。セレナ。サトシ」

 ティエルノ 「また会う日まで!」

 トロバ 「お元気で」

 セレナ 「みんなも元気でね」

 サトシ 「カントーにも遊びに来てくれよな!」


オレたちは、調査地へと向かうティエルノたちを見送った。

プラターヌ博士の研究の手伝いを任されるなんて、誇れることだと思う。

ティエルノたちは、フレア団の事件の時、裏方で頑張ったって聞いている。そういう所が ちゃんと評価されたんだろうな。



 サトシ 「それじゃあオレたちも行くか」

 セレナ 「うん」


3人の背中を見送って、オレたちはアサメタウンへと歩き出す。

天気は良いし、風も気持ち良い。絶好の旅日和。セレナの家までもう少しだ。

 ▼ 84 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/02/04 23:06:30 ID:vfM4SM4s [11/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


 サトシ 「……あれ何だ?」

 セレナ 「えっ?」


メイスイタウンを出ようとしたところで、思わずオレは声を上げた。

アサメタウンへと続く道に、パトカーが停まっていたからだ。事件じゃなければいいけど……。


 サトシ 「何かあったのか?」

 セレナ 「事件、なのかな。あんまり騒がしくは無いけど……」


確かに、事件特有のざわざわ感は無いから、おおごとでは なさそうだ。

じゃあ何かの警戒かな。野生ポケモンが暴れてる――とか、ポケモンハンターが出た――とか。

そこを通らないとアサメタウンには行けないし、ひとまず近付いて、様子を見ることにした。



 ジュンサー 「……あ、君たち、ちょっと待って」


すると、パトカーからジュンサーさんが下りて来て、オレたちを呼び止めた。
 ▼ 85 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/02/04 23:07:00 ID:vfM4SM4s [12/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 セレナ 「あっ、はい」

 サトシ 「ジュンサーさん、何かあったんですか?」

 ジュンサー 「実はね、この辺で、ポケモンハンターが活動してるって情報を受けたのよ」

 サトシ 「ポケモンハンターが!?」


予感が的中してしまった。

ポケモンハンター、ポケモンを無理矢理捕まえる悪い奴等だ。

捕まえたポケモンはコレクターに売られたり、変な実験の材料にされるって聞いたこともある。

オレは今まで何人ものポケモンハンターと戦ってるけど、ポケモンの気持ちを考えない あいつらは、絶対に許せない。


 ジュンサー 「それで、ここを通る人たちに注意喚起してたのよ」

 セレナ 「そうだったんですか」

 ジュンサー 「……けど、あなた達なら心配いらないかしら? カロスリーグ準優勝のサトシ君?」

 サトシ 「えっ……オレのこと知ってるんですか?」

 ジュンサー 「勿論よ。カロスリーグは一大イベントだもん。ほとんどの人が中継を見てたでしょうし、あのゲッコウガは注目の的だったからね」
 ▼ 86 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/02/04 23:07:30 ID:vfM4SM4s [13/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「へへっ。なんか照れるよな、ピカチュウ」

 ピカチュウ 「ぴぃっかぁ」

 セレナ 「ふふっ。流石サトシね」


ジュンサーさんにオレの名前を憶えて貰えたってのは、嬉しい反面、なんとなく照れくさい。

昨日のハルキたちもオレの名前を知ってたし、やっぱりカロスリーグってみんな見てたんだな。

準優勝のオレで これだけ有名になっちまったんだから、優勝したアランは凄いことになってそうだな……。


 ジュンサー 「でも、もし何かあったら、迷わず連絡してね」

 サトシ 「はい。 ちなみに、そのポケモンハンターって……」

 ジュンサー 「30代くらいの男1人って情報よ。年齢からすると、恐らくベテランのハンターね」

 サトシ 「30代くらいの男……、分かりました」

 セレナ 「気を付けます」

 ジュンサー 「えぇ。 それじゃあ、良い旅を!」

 ▼ 87 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/02/04 23:08:00 ID:vfM4SM4s [14/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ジュンサーさんに別れを告げて、オレたちはアサメに続く道へと進んだ。

こんなに気持ちの良い陽気なのに、ポケモンハンターが出るって聞いて、どうも気持ちが晴れない。


 サトシ 「まったく。ポケモンハンターって 何処にでも居るんだな」

 ピカチュウ 「ぴぃか!」

 セレナ 「うん。ポケモンを無理矢理 捕まえるなんて最低よ」

 サトシ 「出来ればオレたちで捕まえたいけど……」

 セレナ 「ジュンサーさんがチェックしてるから大丈夫じゃないかな?」

 サトシ 「そうなんだよな。……オレ、ポケモンはさ、絶対に無理矢理ゲットしちゃダメだと思うんだ」

 セレナ 「うん」

 サトシ 「心が通じ合って……って言うか、同じ目標に向かって一緒に頑張れてこそ、ポケモンと信頼し合えると思うんだ」


オレたちトレーナーは、ポケモンのことを第一に考えて行動しなくちゃいけない。そのためには、ポケモンとの信頼関係を築くのが絶対だ。

ポケモンハンターは、そんなオレの信念、モットーを、全否定する存在。

無理矢理ゲットして、酷いことして、そんな奴等、許される訳が無いんだ!


もしポケモンハンターと対峙したら戦うつもりだけど、ジュンサーさんが警戒してるんじゃ、確かにオレたちの出る幕は無いか。
 ▼ 88 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/02/04 23:08:30 ID:vfM4SM4s [15/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 セレナ 「ふふっ。サトシのポケモンたちを見れば、よ〜く分かるよ。みんなサトシのために一生懸命だもんねっ」

 サトシ 「あぁ! けどセレナだってそうだろ。テールナーも、ヤンチャムも、ニンフィアも。セレナの夢に共感して、セレナのために頑張ってくれてるじゃん」

 セレナ 「うん。みんな心強いパートナーだもん」


セレナは眩しいくらいの笑顔をオレに見せてくれた。

夢について悩んでた あの頃が嘘みたいに、今のセレナは輝いて見えた。


 サトシ 「へへっ。その意気だぜセレナ。……って言ってみたけどさ、実はピカチュウ、最初はオレに懐いてくれなかったんだ」

 ピカチュウ 「ぴ〜か〜」

 セレナ 「えっ……そうなの!?」

 サトシ 「あぁ。旅だった日なんて、何回も電撃浴びたもんな〜」

 ピカチュウ 「ちゃぁ」


懐かしいな、旅立ちの日。

ピカチュウを貰ったのはいいけど、全然オレのこと認めてくれなくて。

けど、オニスズメに襲われたあの時をキッカケに、ピカチュウはオレに心を開いてくれた。ピカチュウとの信頼関係は、そこから始まったんだと思う。

だからオレは、ポケモンとの信頼を大切にする――。絶対に譲れないオレの信念だ。
 ▼ 89 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/02/04 23:09:00 ID:vfM4SM4s [16/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 セレナ 「ねぇサトシ、私、サトシとピカチュウが初めて会った時のこと、もっと知りたいな」


改まって、セレナが言った。

そう言えばオレ、みんなにピカチュウとの出会いとか話してなかったっけ。

進化したくないって話は どっかでした記憶があるけど……、そっか、ピカチュウのこと、そんなに詳しく話す機会なかったもんな。


 サトシ 「良いぜ。あの時はオレ、旅立ちの日に寝坊しちゃってさ〜」

 セレナ 「えっ……寝坊しちゃったの?」

 サトシ 「あぁ。そのせいで初心者用ポケモンが全部 貰われちゃっててさ。それで特別に、オーキド博士がコイツを紹介してくれたんだよ」

 ピカチュウ 「ぴかっちゅ」


オーキド博士は“問題あり”とか何とか言ってたような気がするけど、そんなの最初だけだった。

今となっては、長い間 苦楽を共にした、オレの最高のパートナーだ。


 セレナ 「そうだったんだ」

 サトシ 「でさ、コイツいきなりオレに電撃だぜ。旅立ってからも電撃電撃で、仕方なくビニール手袋はめてたんだよ」

 セレナ 「ふ〜ん。信じられないなぁ。今のピカチュウ、こんなに大人っぽいのに」

 ピカチュウ 「ぴか」
 ▼ 90 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/02/04 23:09:30 ID:vfM4SM4s [17/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「それでさ、転機があったのは、オニスズメに襲われた時なんだ」

 セレナ 「オニスズメに……?」


オレはセレナに、例のオニスズメの事件を話した。

……まぁ、発端はオレがオニスズメに石を ぶつけたせいだから、あんまり格好良く言えたもんじゃないし、少し恥ずかしさもある。

けど、オレの話を相槌打ちながら真剣に聞いてくれているのを見ると、全部ありのままに話したくなってくる。

今までもそうだ。セレナと話してると、なんとなく落ち着けるんだよな。


アサメまでの道中、オレはセレナに、今までのピカチュウとの出来事を たくさん話した。

オニスズメのことの他にも、進化を拒否する理由、ケチャップ好きなこと、カメラが嫌いなこと、別れようとした時のこと――。


セレナは ずっと、オレの話に耳を傾けてくれた。時々質問や感想を挟みながら。時々ピカチュウにも話しかけながら。

オレたちの話ばっかで退屈だったかもしれないけど、そんなセレナの素振りを見ると、無用な心配のようだ。




そうしているうちに、オレたちは、セレナの故郷、アサメタウンに到着した。



 ▼ 91 シレーヌ@どくのジュエル 17/02/04 23:12:14 ID:f07xv2oo [2/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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 ▼ 92 ンギラス@むげんのチケット 17/02/04 23:18:27 ID:lNE4/FS2 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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 ▼ 93 ーピッグ@ライブドレス 17/02/05 12:31:06 ID:tzzZcPV. NGネーム登録 NGID登録 報告
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セレナのとつながってるのか
 ▼ 94 ルケニオン@スピーダー 17/02/05 18:14:08 ID:UT9niyDE NGネーム登録 NGID登録 報告
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 ▼ 95 ルシアン@ダークメモリ 17/02/05 19:55:14 ID:61Z9.v7Y NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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 ▼ 96 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/02/09 00:35:00 ID:wgcGefrM [1/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
【 2-7 】


 セレナ 「到着〜。ここが私の家よ」


セレナの家に着いたのは、12時少し前。

どことなくマサラタウンに似ている街並みに、セレナの家は溶け込んでいた。


 サトシ 「おぉ〜。デカい家じゃん!」

 セレナ 「そんなこと無いよ」

 サトシ 「いや、オレん家より全然デカいよ。……お、サイホーンだ!」

 セレナ 「ママのサイホーンよ。ただいまサイホーン」

 サイホーン 「さぁい!」

 サトシ 「そっか。サイホーンレーサーだから」

 セレナ 「えぇ。こう見えて この子、すっごく早いんだから」

 サトシ 「へぇ〜。よろしくなサイホーン」

 サイホーン 「さい!」

 セレナ 「ふふっ」
 ▼ 97 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/02/09 00:35:30 ID:wgcGefrM [2/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
流石サイホーンレーサーの家。セレナは旅に出る前、このサイホーンに乗って特訓してたのか。

サイホーンを撫でていると、セレナの家のドアが開いた。


 サキ 「あらセレナ、帰って来たのね」

 セレナ 「ママ!」

 サキ 「いらっしゃいサトシ君」


出てきたのはサキさん……、なんだけど、何故か大きなバッグを持っている。


 サトシ 「こんにちは! 招待して貰っちゃって、ありがとうございます」

 サキ 「えぇ、そのことなんだけど……」


サキさんが申し訳なさそうに口ごもる。これ……、急用が入ったパターンかな?

 
 セレナ 「ママ、教室に行くの?」

 サキ 「実はね……、セレナ覚えてる? サイホーンレーサー教室の、合宿授業」

 セレナ 「あっ、うん。泊りがけでサイホーンの乗り方とかをマスターする授業だよね?」

 サキ 「えぇ。それでね、その合宿を担当する先生が風邪でダウンしちゃって……、私が代わりに行くことになっちゃったのよ」
 ▼ 98 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/02/09 00:36:00 ID:wgcGefrM [3/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 セレナ 「えっ……そうなの!?」

 サキ 「ごめんなさいねサトシ君。おもてなしの準備は してたんだけど、ほんの1時間くらい前に その連絡が来ちゃって……」

 サトシ 「いえ。その先生が風邪なら仕方ないですよ」

 サキ 「明日の午前中には帰って来るから、遠慮しないで寛いでてね。帰ってきたら、おいしいご馳走、振る舞っちゃうから」

 サトシ 「はい。ありがとうございます!」

 サキ 「それじゃあセレナ、悪いんだけど、サトシ君を おもてなししてね。冷蔵庫の中の食材、自由に使っていいから」

 セレナ 「うん、分かったわ。ママ、気を付けてね」

 サキ 「えぇ。それじゃあ行くわよサイホーン」

 サイホーン 「ささぁい!」


サキさんはサイホーンに跨ると、電光石火のようなスピードで家から飛び出して行った。

そんなに急いでたのか。大変なんだな、サイホーンレーサー教室って。


 サトシ 「サキさん忙しそうだな。じゃあ今夜は、オレとセレナだけか」

 セレナ 「ぁっ……」
 ▼ 99 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/02/09 00:36:30 ID:wgcGefrM [4/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「なんか悪いなぁ。サキさんが留守なのに、セレナの家に泊まっちゃって」

 セレナ 「あっ……そっ、ううん大丈夫! ママも良いって言ってたし!」

 サトシ 「そうか?」

 セレナ 「大丈夫大丈夫! とっ、とにかく上がってよサトシ」

 サトシ 「それじゃあ、お邪魔しまーす」

 セレナ 「はい、どうぞ……」


セレナに言われて、オレはセレナの家に上がった。

サキさんが居ないのに上がり込むのは申し訳ないけど、事情が事情だし仕方ないか。


リビングに通されて、オレたちは荷物を下ろす。

家の中は綺麗に掃除されていて、パッと見て棚の上とかには、埃一つない。サキさんの性格が何となく分かる。


ソファに向かい合って腰掛けたけど、セレナは何となく落ち着かない様子だ。


 サトシ 「そう言えば……」
 ▼ 100 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/02/09 00:37:00 ID:wgcGefrM [5/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
今まで ずっと歩いてきたこともあるし、時間も時間だ。

オレの腹の虫が密かに音を上げている。


 サトシ 「そろそろ腹減ったな」

 セレナ 「……ふふっ。そうね。もう お昼だもんね」


セレナは立ち上がると、台所へと向かった。


 セレナ 「待ってて。何か作るから」


そう言って、冷蔵庫の中や、棚の中などを確認している。

そして、作るものを決めたのか、手を洗って、食器を準備し始めた。

その時間は僅か。手際よく料理の準備を進められる当たり、やっぱりセレナは女の子だ。オレには出来ない芸当だから、感心してしまう。


けど、最後まで ご飯を任せっぱなしってのも申し訳ない。
 ▼ 101 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/02/09 00:37:30 ID:wgcGefrM [6/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「なぁセレナ。オレも手伝うぜ?」

 セレナ 「えっ? 大丈夫だよ。サトシは お客さんなんだから」

 サトシ 「いや、それじゃ悪いって。泊めて貰うんだし、これくらい手伝わせてくれよ。な?」

 セレナ 「じゃあ……、お願い。そこの棚からボウルを出して、牛乳を入れて貰える?」

 サトシ 「分かった」


オレは言われた通り、ボウルを取り出して、そこに牛乳を注いだ。

するとセレナが隣に来て、卵と何かの粉を入れると、手際よく、なめらかに かき混ぜ始めた。


 セレナ 「サトシ、バターの封を切って」

 サトシ 「分かった。 それにしてもセレナ、料理上手いな」

 セレナ 「そうかな?」

 サトシ 「あぁ。その泡立てるやつ、見てて、すげぇ手際いいもん」


オレはセレナの手元を覗き込む。

やっぱり手際が良い。粉を こぼすことも無ければ、変に泡立ち過ぎることも無い。しゃわしゃわと一定のリズム。セレナの手つきは、実に繊細だった。


 セレナ 「あっ……/// ふふっ。ありがとサトシ」
 ▼ 102 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/02/09 00:38:01 ID:wgcGefrM [7/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告





 サトシ 「ごちそうさまでした」

 セレナ 「お粗末さま」

 サトシ 「美味いホットケーキだったよ。さすがセレナだなっ」

 セレナ 「ふふっ、ありがとう。シトロンのを見てたおかげかな」


セレナのホットケーキは、本当に美味しかった。

しっとりふんわりで、フライパンで生地を ひっくり返すアレも、セレナは見事に決めていた。


やっぱりセレナは凄いな。

料理も、身だしなみも、性格も、本当に女の子らしい。

ある意味オレとは正反対。でも、だからこそオレは、セレナに興味が湧いてくる。

セレナはオレに無いものを沢山持っているし、だからこそセレナは、今までの旅で、何度もオレに助言をくれたんだと思う。

本当に、セレナは最高の仲間だ。
 ▼ 103 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/02/09 00:38:40 ID:wgcGefrM [8/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「13時か……。これからどうする?」

 セレナ 「うん……」


サキさんが帰って来るのは、明日の午前中。

セレナと2人の時間は、まだ余るほどある。


 セレナ 「じゃあ、出かけようよ。すっごく景色の良い場所があるの」

 サトシ 「昨日言ってた所か?」

 セレナ 「うん。ちょっと歩くけど、ポケモンもいっぱい居るし、サトシも気に入ると思うな」

 サトシ 「へぇ〜。じゃあ行こうぜ!」

 セレナ 「うん。けど……ちょっと着替えて来ても良い?」

 サトシ 「着替える?」

 セレナ 「うん。あの……えっと、ホットケーキ作る時に、ちょっと粉が飛んじゃって……」

 サトシ 「そっか。じゃあオレここで待ってるから着替えて来いよ」

 セレナ 「うん。じゃあ、すぐ来るね」
 ▼ 104 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/02/09 00:39:20 ID:wgcGefrM [9/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
そう言うと、セレナは2階へと駆けて行った。セレナの部屋は2階なのか。

オレは改めて、リビングを見回してみる。やっぱり綺麗に整理されている。


 サトシ (……お、写真だ)


ふと、棚の上に飾られてる写真を見つけた。

そこに写ってたのは、小さい頃のセレナ。ツナギを着て、サイホーンに乗って笑っている。


 サトシ (そう言えばセレナ、小さい頃からサイホーンレーサーの特訓してたって言ってたな)


でも、こんなに小さい頃からとは思っていなかった。

だってこの写真のセレナ、3歳くらいじゃないかな。


 サトシ (けどセレナは、練習が嫌だって言ってたっけ……)


セレナが自分の夢に焦ってた理由が、なんとなく分かった気がする。

早く夢を見つけないと、サイホーンレーサーに ならざるを得ない――、セレナは、そう思ったんだ。
 ▼ 105 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/02/09 00:40:00 ID:wgcGefrM [10/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ (でもサキさんとしては、セレナをサイホーンレーサーにしたかったんだろうな)


それは当然の話だ。

自分の職業(?)を、娘に継がせたいって気持ちは、オレから見ても分かる。


 サトシ (なんだか複雑だよな……)


そんなサキさんの希望に反して、セレナはポケモンパフォーマーになった。

勿論、あのメェークルレースの時、サキさんは それを認めているし、その後のことを見ても、サキさんはセレナを応援している。

でも内心、どこか残念だったのかもしれないな……。


 サトシ 「……やめたやめた。こんなこと、オレが考えることじゃない」

 ピカチュウ 「ぴか?」

 サトシ 「セレナとの最後の時間、ちゃんと楽しまないと。……セレナ、どんな服に着替えるんだろうな」

 ピカチュウ 「ぴぃかちゅ」


セレナの家の事情に、オレが首を突っ込むのは野暮だ。それより今は、セレナとの時間を大切にしないと。

オレはソファに座り直して、セレナが戻ってくるのを待った。
 ▼ 106 ラス@こおったきのみ 17/02/09 05:33:32 ID:jn1hcgXQ NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 107 ンテール@こだいのせきぞう 17/02/13 07:29:59 ID:dEsapA.k NGネーム登録 NGID登録 報告
支部
 ▼ 108 レキブル@ファイトメモリ 17/02/14 08:56:11 ID:Su26QPpk NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
しえん
 ▼ 109 レイシア@タラプのみ 17/02/16 20:12:29 ID:IuF8FmsA NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 110 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/02/19 03:24:20 ID:rFO387P2 [1/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


 セレナ 「お待たせ、サトシ」


しばらくしてオレの前に現れたセレナは、普段とは だいぶ雰囲気が変わっていた。

桜の花びらの模様が入ったピンク色のワンピース。それは、女の子らしいセレナを より一層 女の子らしく仕立てていた。

けれど、胸元の青いリボンは変わらず付けてくれている。オレには それが嬉しかった。


 サトシ 「おぉ」

 セレナ 「どうかな、サトシ?」

 サトシ 「似合ってるよ。それに……リボン、付けてくれてるんだな」

 セレナ 「あっ、うん。サトシからの大切なプレゼントだもん」

 サトシ 「そっか。サンキューな」

 ピカチュウ 「ぴかちゅ」

 セレナ 「ふふっ。じゃあ行こうよサトシっ」
 ▼ 111 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/02/19 03:24:55 ID:rFO387P2 [2/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
セレナに連れられ、オレは外に出る。

良い天気だ。吹き抜ける風が、セレナのワンピースを揺らす。


 セレナ 「これから行くところね、すっごく景色の良い所なの。私のお気に入りの場所」

 サトシ 「ポケモンも いっぱいいるんだろ? 楽しみだな」

 ピカチュウ 「ぴっか」

 セレナ 「ふふっ。ちょっと歩くけど、サトシ、絶対 気に入ると思うな」


ポケモンが いっぱいいる所は、やっぱりワクワクする。

しかも初めて行く所となれば、期待感も自然と大きくなるってものだ。


 サトシ 「……お、自転車あるじゃん」

 セレナ 「えっ?」


ふと庭の隅を見ると、古そうな自転車が無造作に置かれていた。

そう言えば、カロスに来てから自転車に乗ってなかったっけ。ちょうど良いや。
 ▼ 112 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/02/19 03:25:30 ID:rFO387P2 [3/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「距離あるんなら、自転車で行こうぜ!」

 セレナ 「でも、もう ずっと乗ってないし、空気も抜けちゃってるし……」

 サトシ 「空気入れあるか?」

 セレナ 「うん」

 サトシ 「チェーンもそこまで錆びてないし、まだ乗れるって。貸してくれよ」

 セレナ 「ちょっと待ってて」


セレナが空気入れを持って来てくれた。

チューブを調べた感じ、怪しい穴や傷は無い。これで順調に空気が入れば、パンクは していないはずだ。


しゅこんしゅこんと空気を入れながら、オレは思いだす。

今までの旅で、何台の自転車をダメにしちまったか。セレナの自転車だけは無事で返そうと誓ったところで、空気入れは完了した。


 サトシ 「……よし。パンクしてないし、これで乗れるぜ」


スタンドを畳んで自転車に跨ってみる。

変にガタは来てないし、ペダルも しっかり踏み込める。それに、荷台にグラつきも無い。

これなら大丈夫そうだな。
 ▼ 113 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/02/19 03:26:00 ID:rFO387P2 [4/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「ほらセレナ。乗れよ」

 セレナ 「えっ?」

 サトシ 「後ろ」

 セレナ 「あっ……うん!」


セレナはキョトンとしてたけど、すぐに荷台に乗った。

ワンピースを気遣ってか、荷台に“跨る”のではなく、横向きで“腰掛ける”形で。


 サトシ 「よし。じゃあセレナ、道案内頼む。しっかり掴まってろよ」

 セレナ 「うん。じゃあ、右に出て、しばらく真っ直ぐね」

 サトシ 「よっしゃ行くぜ!」

 セレナ 「きゃっ」


勢いよく漕ぎだすのと同時に、セレナがオレの体に しがみつく。

フワッと感じた良い香りは、セレナのシャンプーか、はたまた服の洗剤か。どっちにしても心地良い。
 ▼ 114 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/02/19 03:26:30 ID:rFO387P2 [5/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 セレナ 「あ、サトシそこ左よ」

 サトシ 「左だな。曲がるから掴まってろよ〜」 グイッ

 セレナ 「うん」 ギュッ


大通りから、森へと続く林道に入った。

路面が少し悪くなり、自転車は揺れるようになる。

後ろのセレナは、オレに しがみつく力を少し強めた。考えてみると、こうやって意図的にセレナと くっつき合ったのは、今日が初めてかもしれない。

セレナの鼓動を感じられるくらい、オレとセレナは密着している。

あぁ……、ピカチュウが頭の上で窮屈そうだ。



 セレナ 「ここからちょっと登るけど……、そろそろ下りよっか?」

 サトシ 「平気平気。セレナ軽いし、一気に登るぜー!」

 セレナ 「軽い……かな。ふふっ、うん!」
 ▼ 115 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/02/19 03:27:00 ID:rFO387P2 [6/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

林道は傾斜が付くようになる。

登ってる……けど、そこまでキツイ訳では無い。セレナが乗っていることを考えても、普通に漕ぎ続けられるレベルの坂道だ。


 サトシ 「おっ……チェリムだ!」

 セレナ 「ホントだ。……あ、あっちにムックルがいるよ!」

 サトシ 「向こうにはトランセルだ!」

 セレナ 「ってことはバタフリーもいるのかな?」

 サトシ 「そうだなっ。ホント、ポケモンいっぱい いるな!」

 セレナ 「ふふっ」


林道から見られる野生ポケモンの数が増えてきた。

市街地から離れてきた証拠だし、森の奥に来ている証拠でもある。

こうやって活き活きと生息しているポケモンを間近で見られるのは、やっぱり楽しい。昔から、オレの中で それは変わらない。

セレナも楽しそうで何よりだ。



ポケモンたちの姿を楽しみながら林道を突き進み、やがて、視界が開ける草原に到達した。
 ▼ 116 ルホッグ@みどりのプレート 17/02/19 12:19:06 ID:s/M27AoA NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 117 ラカラ@レンズケース 17/02/19 17:52:17 ID:3LODVOZ6 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 118 ガルカリオ@くろおび 17/02/20 01:51:30 ID:bUHy9D7c NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
来た!支援!
 ▼ 119 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/02/21 23:07:20 ID:S9oWmZag [1/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


【 2-8 】


自転車を止めると、セレナは草原に下り立った。

緑色の絨毯に、セレナのピンクのワンピースが映える。


 サトシ 「ここが……」

 セレナ 「うん」


目の前に広がる草原と、その先には、広い空と、遠くの山々、曲がりくねる川、飛び交うポケモンたち――。

そんな絶景が、遮るもの無く広がっていた。草原の奥は崖になっているようだ。


 サトシ 「気持ち良い所だな。それに、すげぇ景色じゃん!」

 セレナ 「ふふっ。私の秘密の場所」

 サトシ 「秘密の?」
 ▼ 120 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/02/21 23:08:00 ID:S9oWmZag [2/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 セレナ 「そうだ。みんな出て来て!」

 テールナー 「てな」

 ヤンチャム 「ちゃむ」

 ニンフィア 「ふぃぃあ」


セレナは細く笑みを浮かべたまま、オレの問いかけには答えなかった。

代わりにテールナーたちを繰り出す。それじゃあオレも みんなを出してあげるか。


 サトシ 「お。じゃあオレも。出てこいみんな!」

 ファイアロー 「ふぁぁい」

 ルチャブル 「ちゃぶ!」

 オンバーン 「おぁぁい」

 ピカチュウ 「ぴっか」

 サトシ 「みんな自由に遊んで良いぞ。あ、くれぐれも崖から落ちんなよ」

 セレナ 「ふふっ。みんな、今日は のんびり楽しもうね」
 ▼ 121 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/02/21 23:08:30 ID:S9oWmZag [3/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「ふー。あー気持ち良いー」 ドサッ


吹き抜ける風と暖かな太陽が気持ち良くて、オレは草の上に寝ころんだ。

ピカチュウたちは、ワザを出し合ったり、追いかけっこしたり、いくつかのグループに分かれて遊んでいる。ポケモンたちにとっても気持ちの良い場所のようだ。


 セレナ 「平和ね」


オレの隣に腰を下ろしたセレナが言った。

本当に平和だ。あのフレア団の事件が嘘かって思うくらい、この場所は平和だった。


 サトシ 「あぁ。風の音と、ピカチュウたちの声と、あとなんだろう……野生ポケモンの声か?」

 セレナ 「うん。草木が揺れる音に……あとほら、川の流れる音も。聞こえる?」

 サトシ 「……あぁ、聞こえる聞こえる。崖の下に川あるんだな」

 セレナ 「そうなの。こうやって耳を澄ますだけで、なんとなく落ち着けるんだ、ここって」


オレは目を瞑ってみる。

自然の音が、より鮮明に聞こえてくる。

本当だ。落ち着ける。耳を澄ますと、こんなに違ってくるんだな。
 ▼ 122 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/02/21 23:09:00 ID:S9oWmZag [4/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 セレナ 「……実はね、ここ、私が“家出”したときの居場所なんだ」


不意にセレナが口を開いた。

セレナの方を向くと、彼女は無表情で、遠くを見つめていた。


 サトシ 「家出……?」

 セレナ 「うん」

 サトシ 「そっか。セレナも家出なんてするんだな〜」

 セレナ 「驚かない?」

 サトシ 「驚くもなにも、小さい頃って家出するもんだろ? ……まぁ、すぐママに連れ戻されちゃうけどさ。反抗する意思表示って言うのかな?」

 セレナ 「そうそう、私も そんな感じ」

 サトシ 「オレなんかは、遅くまでポケモン探しに行ってて、ママによく怒られてさ。だったらポケモンとずっと一緒に居る〜って、よく家を飛び出してたんだ」

 セレナ 「ふふっ。サトシらしいね」


ここでセレナは笑ってくれた。

やっぱりセレナには笑顔が似合う。改めて、そう感じた。
 ▼ 123 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/02/21 23:09:30 ID:S9oWmZag [5/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「セレナは、なんで家出なんてしたんだ?」

 セレナ 「私ね……、逃げ出したかったの」

 サトシ 「逃げる?」

 セレナ 「うん。私、小さい頃からサイホーンレーサーの練習しててね……、嫌だったんだ。怖いし、痛いし、汚れちゃうし」

 サトシ 「そっか」


そう言えばセレナ、サイホーンレースの練習が嫌だって言ってたっけ。

きっとセレナ、当時からサキさんに嫌だって伝えてなかったんだろうな。だからセレナ、メェークルレースの時、あんなに……。


 セレナ 「勿論、ママを恨んでなんて いないよ? でも、ママが決めた道を強制されるのが嫌で……、だってサイホーンレーサーって、飾り気とか無いし、女の子として ちょっと、って思っちゃんたんだ」

 サトシ 「そっか。セレナお洒落だもんな」

 セレナ 「あっ、そうかなっ……」

 サトシ 「だからセレナ、ツナギにハートマーク入れてたんだな」

 セレナ 「えっ……見ててくれてたの?」

 サトシ 「あぁ」
 ▼ 124 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/02/21 23:10:00 ID:S9oWmZag [6/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
セレナは“意外”というような顔をしている。そしてすぐ、少しだけ赤くなった。

まぁあれも けっこう前のことだし、オレが覚えてたこと、意外だったのかな。


 サトシ 「でもセレナさ。逃げ出したって言っても、オレにサイホーンの乗り方、教えてくれたじゃん。それってセレナが、サイホーンレーサーと ちゃんと向き合ってるってことだろ
?」

 セレナ 「えっ?」

 サトシ 「だって、そうじゃなかったら、1日でオレにサイホーンの乗り方をマスターさせるなんて無理だろ?」


オレは正直な感想を言った。

いくら練習から逃げ出したって言っても、セレナはサイホーンレースのことをマスターしている。ちゃんと向き合っている。

だからセレナは、オレにサイホーンの乗り方を的確に教えることが出来たんだ。


 セレナ 「それは……、そうなのかなぁ?」

 サトシ 「オレはそう思うぜ」


確かサキさんは、セレナを“飽きっぽい性格”と言っていた。

けど、旅する中でセレナに そんなイメージは無いし、サイホーンレースのことを理解している所を見ても、飽きっぽいとは思わない。

だからセレナ、セレナが特訓から逃げ出したこと、そんなに気にすること無いんじゃないのかな。
 ▼ 125 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/02/21 23:10:31 ID:S9oWmZag [7/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 セレナ 「ありがとうサトシ。でもね、サイホーンレーサーの特訓から逃げちゃったことには変わりないの。今回の旅だって、半分くらい、“逃げ”だったんだ」

 サトシ 「そうなのか?」

 セレナ 「テレビでサトシのこと思いだして、そのっ、サトシに会いたいって気持ちが大きかったけど……、家に居なければ、特訓する必要も無いかなって」

 サトシ 「そっか」

 セレナ 「だからね、私、嬉しかった。サトシに旅に誘って貰えて。本当に、嬉しかったの」

 サトシ 「まぁ確かに、サイホーンが居ない環境になれば、特訓できないもんな」

 セレナ 「あっ……、そのっ……」


理由は“逃げ”かもしれないけど、だから今のセレナがあるんだと、オレは思う。

夢が無かったセレナが、ポケモンパフォーマーって道を知って、カロスクイーンって夢を見つけて。

この旅を通じて、オレはセレナの強さを知った。それに、何度もセレナに助けて貰った。

そういうのを全部見てきたからこそ言える。オレの方こそ、セレナを旅に誘って良かった、と。


 セレナ 「……私ね、サトシと旅 出来て、本当に良かった」
 ▼ 126 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/02/21 23:11:01 ID:S9oWmZag [8/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
セレナはオレの方を向き直して、改めてと言った感じて口を開いた。。


 セレナ 「色んな出会いがあって、色んな経験が出来て、それに、私の夢を見つけられて。サトシには、諦めない大切さも教わったしね」

 サトシ 「あぁ」

 セレナ 「私、サトシと一緒に旅して、もう逃げないって決めたんだ。カロスクイーンになるって言う夢に向かって、絶対に諦めないって。ずっとずっと、それを心の中で誓ってたの」

 サトシ 「良い心がけじゃん。そうさ、諦めなければ、いつか努力は実を結ぶ。マスタークラスでエルさんと戦うまで勝ち進めたのも、セレナの努力の結晶だぜ?」 ニカッ

 セレナ 「サトシ……」


諦めない大切さ――か。

確かにそれはオレのポリシーだったけど、エイセツジムの時、オレはそれを見失ってた。それを思いださせてくれたのは、他でもない、セレナだった。

セレナは成長してるんだ。だからセレナ、マスタークラスで勝ち進んで、エルさんと戦うことが出来たんだぜ?


 セレナ 「サトシ……、今まで本当に、ありがとう」

 サトシ 「ん? あぁ。どうしたんだよ急に?」

 セレナ 「サトシ、あのね……、私、貴方のこと……」



その時だった――。
 ▼ 127 ダック@セシナのみ 17/02/21 23:20:02 ID:xOdbnz6E NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 128 マサラ人3◆etyxjFp636 17/02/21 23:26:40 ID:Ydzd1cFs NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
相変わらずいいとこで切りますねぇ〜

支援
 ▼ 129 ギアル@シュカのみ 17/02/24 07:57:49 ID:mc.hmPtU NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 130 ランテス@あまいミツ 17/02/24 08:02:41 ID:QM6.f5Ag NGネーム登録 NGID登録 報告
続きをください
支援
 ▼ 131 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/02/26 03:45:00 ID:EBXZmsiM [1/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


 「「「 こふぃいいいぃぃぃぃぃぃぃぃ!!! 」」」





 セレナ 「えっ!?」

 サトシ 「なんだ今の鳴き声!?」


突然、ポケモンの鳴き声が響き渡った。

鳴き声と言うより、悲鳴……。しかも、相当 危機的な感じだ。


 セレナ 「林道の方から……」

 サトシ 「行ってみよう。みんな いったん戻れ!」

 セレナ 「あ、待ってサトシ! テールナーたちも戻って!」


オレはピカチュウ以外をボールに戻して、悲鳴の上がった方に向けて走った。遅れてセレナも ついてくる。

嫌な予感がする。こんなポケモンの悲鳴、嫌な予感しかしない。
 ▼ 132 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/02/26 03:46:00 ID:EBXZmsiM [2/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 セレナ 「ねぇサトシ……今のって」

 サトシ 「あんな鳴き声、何かあったとしか思えない」

 セレナ 「何かって もしかして……」

 サトシ 「……ポケモンハンターが出たかもしれない」

 セレナ 「やっぱり……」


どうやらセレナもオレと同じことを考えてたらしい。

さっきジュンサーさんから、ポケモンハンターの目撃情報があったと聞いた。そんな状態でポケモンの悲鳴が上がったら、それはもう、ポケモンがハンターが出たに決まってる。

まさか こんなに早くハンターと遭遇することになるなんて。

なんとかしないと。ポケモンハンターの悪事は、絶対に許したくない!


 セレナ 「あっ……でもサトシ! 本当にポケモンハンターだったら、勝手なことしちゃダメだって」

 サトシ 「分かってる。今は様子を見るだけだ」

 セレナ 「うん」
 ▼ 133 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/02/26 03:47:00 ID:EBXZmsiM [3/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
悲鳴の上がったと思われる場所に近付いたオレたちは、物音を立てないように慎重になる。

そして、辺りを注意深く見渡す。


 サトシ (この辺だよな……)

 セレナ (うん。こんな森の奥ってことは、やっぱり……)


そこは、林道から外れた、木々が生い茂る場所。当然、林道から見ることのできない場所だ。

ポケモンを不法に捕まえるなら、人目に付かない場所の方が良いに決まってる。

これは もう、ポケモンハンターの仕業だって確定したようなものだ。



 サトシ (……あれだ)

 セレナ (あっ)


そしてそれは、すぐに証明された。

オレたちの視線の先に居る、1人の男。その側らに居るブーバーン。そして、檻に入れられたコフーライが沢山……。
 ▼ 134 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/02/26 03:48:00 ID:EBXZmsiM [4/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

 サトシ (やっぱりポケモンハンターの奴が……!)

 セレナ (酷い……。コフーライばっかりあんなに)


確か前にも、コフーライばっかり捕まえているポケモンハンターだかポケモンバイヤーに、オレたちは会っている。

その時は、オレたちで なんとか撃退できたけど、今回はどうする……?

ジュンサーさんには勝手な行動するなって言われてるし、シトロンの戦力が欠けた状態ってのも無視できない。


 サトシ (なんとかしないと!)

 セレナ (でもダメよサトシ。ジュンサーさんに言われてるでしょ?)

 サトシ (けど! このまま逃げられたらマズいだろ!)

 セレナ (そうだけど……)

 サトシ (……ん? あの2人!)

 セレナ (えっ?)


ふと視線をハンターから ずらすと、脇の茂みに、見覚えのある姿が飛び込んできた。

オレたちと同じように、ハンターから隠れるようにして様子を伺っている男女の姿――。
 ▼ 135 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/02/26 03:49:00 ID:EBXZmsiM [5/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ (ハルキ……!)

 セレナ (それにルイナも?)



 ルイナ (あ、サトシとセレナ)

 ハルキ (えっ……どうして君たちがここに?)

 サトシ (オレたち、近くの草原に居たんだ。そしたらコフーライの悲鳴が聞こえて、急いで来てみたんだ)

 セレナ (そしたらポケモンハンターが居て……、なんとかしないとって)

 ルイナ (あら、デート中だったの?)

 セレナ (でっ……そういうんじゃ……///)

 ハルキ (そういう女子トークは他で やってくれ)

 セレナ (そっ、それより、何でハルキとルイナも ここに?)

 ルイナ (あぁ、えっと……)

 サトシ (2人もハンターを許せないんだよな?)

 ハルキ (……あぁそうさ。だから こうして隠れて、チャンスを伺ってたんだ。ハンターを捕まえて、コフーライを解放しようと思ってね)

 ルイナ (そうそう)

 サトシ (流石だぜ)
 ▼ 136 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/02/26 03:49:40 ID:EBXZmsiM [6/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ハルキとルイナも、オレたちと同じ思いで行動していたらしい。

ポケモンハンターの悪事を許せない……、コフーライたちを助けたいって気持ちで。

目的が同じなら、協力するしかない。2人だったら危なっかしいけど、4人居れば力は倍だ!


 セレナ (でも、私たちだけで勝手にハンターを捕まえるのは……)

 サトシ (確かにそうだけど、でもモタモタしてたら逃げられちまう)

 ハルキ (そうだね。ここは4人で協力して、ハンターの悪事を止めようじゃないか)

 ルイナ (そうね。2人じゃアレだけど、4人なら行けるんじゃないかしら。ハンターは1人だし)

 サトシ (決まりだな。けど、オレたちだけで勝手にってのは、流石にマズい)

 ルイナ (どっちよ)

 サトシ (だから、セレナとルイナは、ジュンサーさんに知らせて来てくれないか?)

 ハルキ (なるほど。ハンターと戦うのは僕とサトシで、女子には安全な任務を任せる。紳士じゃないかサトシ)


本当は4人でハンターを囲んだ方が有利だけど、万が一ってことがある。

ここはセレナとルイナを危険な目に逢せないことを優先するべきだし、ジュンサーさんにも知らせることが出来て一石二鳥だろう。
 ▼ 137 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/02/26 03:50:30 ID:EBXZmsiM [7/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ (勿論、ハルキがオッケーしてくれたら、だけど)

 ハルキ (僕は賛成だね。ルイナ、セレナと一緒に行ってくれ。分かってるね?)

 ルイナ (……オッケー。じゃあ行くわよセレナ)

 セレナ (うん。サトシ、ハルキ。すぐジュンサーさん呼んでくるから、くれぐれも気を付けてね)

 サトシ (任せとけって)

 ハルキ (じゃあ、頼んだよ)



セレナとルイナは、足音を立てないように この場から去って行った。

ジュンサーさんの話だと、ハンターは男の単独行動らしいから、これでひとまず、2人の安全は確保できた訳だ。


 ハルキ (とりあえず これで女子は安全だね)

 サトシ (あぁ。よろしく頼むぜハルキ。オレたちで あのハンターを倒して、コフーライを助け出すんだ)

 ハルキ (了解。予定外だけど、やるっきゃないね!)


そしてオレたちは、ハンターの前に立ちはだかった。


 ▼ 138 レフワン@ポケじゃらし 17/02/26 04:01:14 ID:rbY.EO5. NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ハルキとルイナってググっても出てこないんだがどこ出?
無知ですまん
 ▼ 139 ビシラス@きりのはこ 17/02/26 08:36:22 ID:leAnnJLU NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
>>138
このssのオリキャラだと思う

支援
 ▼ 140 ソクムシャ@ていきけん 17/02/27 08:01:20 ID:UY/WSR.I NGネーム登録 NGID登録 報告
支援!
 ▼ 141 ガユキノオー@ひかりのねんど 17/02/28 02:09:27 ID:kSxuApkA NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援!
 ▼ 142 ンボラー@かなめいし 17/03/03 23:55:54 ID:bDNIr1qI NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 143 ッキー@こおりのジュエル 17/03/06 23:19:05 ID:1gtSK8Hc NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 144 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/03/10 23:59:59 ID:YUk4cA3w NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


【 2-9 】


 サトシ 「おい! そのコフーライ達を放せ!」

 ハンター 「……あ? なんだテメェら?」


ハンターはオレたちを見るなり、ドスの利いた声で言った。

明らかにオレたちを威圧、牽制しようとしてるんだろうけど、そんなことでオレは怯まない。


 サトシ 「お前ポケモンハンターだろ!?」

 ハンター 「だったらどうする?」

 サトシ 「オレたちがコフーライを助け出す!」

 ハンター 「ふんっ。ガキのくせに生意気な。怪我したくないんなら とっとと失せな!」

 サトシ 「出てこいオンバーン!」

 ハルキ 「出番だミロカロス!」

 ハンター 「やるってのか。相手してやれブーバーン」
 ▼ 145 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/03/11 00:00:42 ID:uRI4j0nQ [1/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
オレのポケモンはオンバーン。ハルキはミロカロス。

ハンターのポケモンは、隣にいたブーバーンで間違いないようだ。


 ハンター 「……ふん。生意気にも よく育てられてんな。売れば高値になるぜ?」

 サトシ 「ふざけんな! ポケモンを商売の道具としか見てないお前に褒められても嬉しくない!」

 ハンター 「チッ。黙ってればいいものを。ブーバーン“かえんほうしゃ”!」


バトル開始だ。

ブーバーンは大きくジャンプして、“かえんほうしゃ”を発射する。進化系なだけあって、かなりの威力だ。


 サトシ 「かわすぞ! 飛べオンバーン!」

 ハルキ 「ミロカロス! “なみのり”で相殺だ!」


“かえんほうしゃ”と“なみのり”が衝突し合って、それぞれが立ち消えた。

そこで一瞬生まれる隙を、オレたちは逃さない。
 ▼ 146 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/03/11 00:01:19 ID:uRI4j0nQ [2/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「“アクロバット”!」


オンバーンは雄叫びを上げてブーバーンに突進する。

持ち前のスピードで、青い軌跡を描きながら。


 ハンター 「チッ! 早いな」


オンバーンの攻撃が直撃。よろけるブーバーン。


 ハルキ 「続けミロカロス! “なみのり”!」


間髪入れずにハルキが続く。

ミロカロスは大きな波を作り出すと、それをブーバーンに向けて放つ。

その波は木々よりも高く そびえ立って、ハルキのミロカロスが どれだけ良く育てられてるか、一目瞭然だった。



 ハンター 「調子乗んじゃねーぜ? ブーバーン“じしん”だ!」

 サトシ 「なっ……うわっ!?」

 ハルキ 「クッ……!」
 ▼ 147 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/03/11 00:01:59 ID:uRI4j0nQ [3/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
突如、地面が揺れ始める。

地響きのような音と共に、オレたちの足元が すくわれる。

そしてそれは、“なみのり”を発射したミロカロスに直撃してしまった。オンバーンは飛んでたから無事だったものの、この切り返しは痛い。


 ハンター 「へへっ。これで“なみのり”はパーだな」


ハンターの言う通り、今の“じしん”で、“なみのり”は掻き消されてしまった。

掻き消す……と言うより、地面の揺れによって波を振動させ、水を破裂させたような感覚だ。

辺り一面に水飛沫が飛び散っているのが その理由。オンバーンも ずぶ濡れになっている。


 ハンター 「続けるぜブーバーン! “10万ボルト”!」

 ハルキ 「なにっ!?」

 サトシ 「マズい……避けろオンバーン!」

 ハンター 「遅い!」
 ▼ 148 バイト@ウッディメール 17/03/11 00:02:06 ID:P5KcRQXM NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 149 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/03/11 00:02:29 ID:uRI4j0nQ [4/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ブーバーンから電気ワザが放たれるなんて予想外だった。

そんな予想外なことが起きたから、オレは反応が遅れてしまった。

“10万ボルト”はミロカロスに直撃、そして……たぶん濡れてたせいで、空中のオンバーンにも直撃してしまった。

ハンターの奴、これを狙って“なみのり”を利用したって言うのか!?


 ハンター 「まだだ! オンバーンに“めざめるパワー”!」

 サトシ 「負けるな! “ドラゴンクロー”で向かい打て!」


2匹の攻撃が衝突。

電撃を受けた直後というハンデがあっても、オンバーンの方が優勢か、最悪互角で ぶつかり合えると思っていた――が。


 サトシ 「あっ……オンバーン!?」


オンバーンが当たり負けする。

持ち前のスピードで、相当な勢いで“ドラゴンクロー”を繰り出したにも関わらずだ。
 ▼ 150 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/03/11 00:02:59 ID:uRI4j0nQ [5/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ハンター 「もう1発“めざめるパワー”打ち込んでやれ!」


それで終わらない。

隙だらけのオンバーンに、さらに もう1発、“めざめるパワー”が直撃してしまった。


 ハンター 「オイどうした? 威勢良い割りに もう終わりか?」

 サトシ 「クソッ……!」


大ダメージを受けたと見られるオンバーンは、耐え切れず、地面に墜落してしまう。

あの“めざめるパワー”、岩かフェアリー、いや、オンバーンへのダメージの大きさを考えると、氷タイプと見るべきか。


 ハルキ 「“アクアテール”!」


その時、ハルキのミロカロスの“アクアテール”が、ブーバーンに直撃した。

長い尾に水を纏わせたミロカロスの攻撃で、弾き飛ばされたブーバーンは木に激突、さらに その木が折れると言う高威力だ。


 ハルキ 「サトシ、今のうちに!」

 サトシ 「あぁ」
 ▼ 151 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/03/11 00:03:59 ID:uRI4j0nQ [6/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ハルキの助けを受けて、オレはオンバーンをボールに戻す。

ダウン寸前は目に見えてるし、これ以上オンバーンに負担をかける訳にはいかない。


 ハンター 「やるじゃねぇかガキのくせに」


ハルキの助けを受けたのは事実だし、ありがたい。

これだけの攻撃を出せるハルキのポケモンは、かなり育てられてるってことだ。

けど、その割には、攻撃を出すタイミングが悪い気がする。

2対1なんだから、もっと、集中攻撃的にブーバーンを追い詰めた方が良いに決まってるのに、ハルキは それをしようとしない。

ハルキ、ポケモンをゲットするのは好きだって言ってたけど、バトルの経験が少ないのか?


 サトシ 「ファイアロー、君に決めた!」

 ファイアロー 「ふぁぁい!」


まぁ、今は そんなこと考えてる場合じゃない。

目の前のハンターを捕まえることに神経を使わないと。

ジュンサーさんを呼びに行ってくれてるセレナたちのためにも。
 ▼ 152 チゴラス@ガオガエンZ 17/03/11 08:19:31 ID:1.657EGw NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
きてた
支援
 ▼ 153 メハダー@やけどなおし 17/03/12 07:59:08 ID:OpySOkX2 NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 154 メイル@ひかるおまもり 17/03/14 22:43:29 ID:7KYbEPtQ NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 155 ロンダ@こだいのぎんか 17/03/18 07:43:00 ID:nst7q56I NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 156 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/03/19 00:53:50 ID:RFvZGp/6 [1/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ハンター 「ファイアローとはナメられたもんだな。“10万ボルト”!」

 サトシ 「“ニトロチャージ”で かわせ!」


ブーバーンが放つ電撃を、ファイアローは“ニトロチャージ”の勢いで素早く回避。

そうさ。確かにファイアローは電撃に弱いけど、当たりさえしなければ問題ない。

そうすればブーバーンの他の攻撃、“かえんほうしゃ”も“じしん”も、それに“めざめるパワー”も怖くない。


 サトシ 「そのまま突っ込め!」

 ハルキ 「続けミロカロス! “アクアテール”!」


ファイアローとミロカロスの攻撃が、連続してブーバーンに直撃。

特に“アクアテール”は効果抜群、そしてやっぱり威力が高い。

ハルキのミロカロス、かなり育てられている。オレは確信した。


 ハンター 「オイしっかりしろブーバーン! 立て!」
 ▼ 157 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/03/19 00:54:49 ID:RFvZGp/6 [2/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ハンターが叫ぶ。

けどブーバーンは、かなり体力を削られた様子だ。息も切れ切れだし、なかなか膝が上がらない。


 ハンター 「ブーバーン!」

 サトシ 「よし……今だファイアロー! “ブレイブバード”!」

 ハンター 「させるか! “10万ボルトぉ”!」


ハンターの怒鳴り声に、ブーバーンは反応する。

ヨロヨロと立ち上がると、無理矢理パワーを解放するかのように、“10万ボルト”の構えを作った。


 サトシ 「気を付けろファイアロー! ここは“ニトロチャージ”で……」

 ハルキ 「行くぞミロカロス! “なみのり”で押し流せ!」


オレの指示を差し置いて、ハルキが叫んだ。

するとミロカロスは、さっきとは比べ物にならないような大量の水を発生させて、やっぱり さっきとは比べ物にならないような大波を発生させた。

木々の高さは優に越して、濁流のごとく、ブーバーンに押しせまる。


 ハンター 「なっ……なにっ!? ぐわぁっ!?」
 ▼ 158 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/03/19 00:56:19 ID:RFvZGp/6 [3/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
そして いとも簡単に、ブーバーンを押し流した。

それだけに留まらず、大波はハンターも呑みこんだ。


 サトシ 「すげぇ……」


容赦ない攻撃……と言うべきか。

やり過ぎな気もするけど、ハンター相手に手加減することもないし……、かと言って、これだけの大波を生身の人間に当てるのは……。

複雑だ。



 ハルキ 「大したことないね」


波が引くと、背後の木に叩きつけられたと思われるハンターとブーバーンは、気絶していた。

これ以上 痛めつける必要は無さそうだ。


 サトシ 「すげぇぜハルキ。ミロカロス、よく育てられてるんだな!」

 ハルキ 「まぁね」

 サトシ 「あとはコフーライたちだな」
 ▼ 159 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/03/19 00:56:58 ID:RFvZGp/6 [4/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
オレはコフーライが捕えられている檻に近付いた。

コフーライたちは怯えている様子だけど、大きな怪我は無さそうだ。


 サトシ 「もう大丈夫だぜ。えっと……檻を開けるには……」


檻を調べながら、オレは思う。

今の“なみのり”の威力、明らかに さっきより強かった。まるで、最初の攻撃は手加減していたかのように。

けど、ハンター相手に手加減する理由が無い。ミロカロスの体調だって、変化があったようには見えなかった。

じゃあ、なんで……?


 サトシ 「クソッ……、この檻どうやって開けるんだ? ピカチュウ何か気付いたことないか?」

 ピカチュウ 「ぴぃか……」


けどまぁ、今はコフーライを助けることに集中しよう。

この檻、ハンターが用意したものなだけあって、どこを見ても開く気配が無い。


 サトシ (これ力ずくで壊すしかないか……)


そう思った、その時だった。
 ▼ 160 ッポ@ダイゴへのてがみ 17/03/19 01:01:36 ID:PM0YPpFI NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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 ▼ 161 ノクラゲ@メンタルハーブ 17/03/23 00:20:03 ID:Q8l.CFqA NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 162 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/03/23 02:08:18 ID:f4LHMC7g [1/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


  ― ドスッ!



 サトシ 「なんだ!?」


鈍い音が背後から聞こえた。

振り返ると、その光景に、オレは目を疑ってしまった。


 サトシ 「ファイアロー……? どうしたファイアロー!?」


ファイアローが倒れている。

けど、ハンターとブーバーンは気絶したまま。

そうなると、ファイアローが倒れた理由は、一つしかなかった。

 ▼ 163 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/03/23 02:08:59 ID:f4LHMC7g [2/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「ハルキ……なのか?」


ハルキのミロカロスに、攻撃された――。

いまこの場で、ファイアローを攻撃できるポケモンはミロカロスしかいない。

それにハルキのミロカロスは良く育てられている。水タイプのワザはファイアローに効果抜群。

ハルキに隙を付かれてファイアローを倒された――、それしか考えられないのだ。


オレはハルキの目を見つめる。

そしてハルキは一呼吸置いて、口を開いた。


 ハルキ 「そうさ」

 サトシ 「なんで……」

 ハルキ 「僕の計画に支障が出そうだったからさ」


ハルキは、すんなりと認めた。

さっきまで一緒に戦ってたハルキが、いったいなんで……?
 ▼ 164 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/03/23 02:09:29 ID:f4LHMC7g [3/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「計画?」

 ハルキ 「この際だから教えるよ。僕は昨日サトシに、“ポケモンを捕まえることに力を注いでいる”って言ったね?」

 サトシ 「あぁ。ポケモンをゲットする旅をしてるって」

 ハルキ 「そう。綿密な計画を立ててポケモンを捕まえる――、スリリングで、最高に楽しい旅の目的さ」

 サトシ 「それが何だって言うんだよ。それでなんでファイアローを攻撃したんだよ!?」

 ハルキ 「察しが悪いね。誰が“ゲット”と言った?」

 サトシ 「え?」

 ハルキ 「僕は“捕まえる”と言ったんだ」

 サトシ 「それって……、まさか、ハルキもハンターってことなのか!?」

 ハルキ 「少し違うね」

 サトシ 「じゃあ何なんだよ!?」

 ハルキ 「僕がポケモンを捕まえるのは、一緒に旅する〜とか、一緒に強くなる〜とかじゃない。美学の追及さ」

 サトシ 「美学だと?」

 ハルキ 「綿密な計画を立てて、珍しいポケモンを、価値のあるボールで捕まえる。そしてそれを、ネットオークションに出品するんだ」
 ▼ 165 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/03/23 02:10:02 ID:f4LHMC7g [4/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「ポケモンをネットオークションって……、ポケモンバイヤーってことか!?」

 ハルキ 「厳密には違うね。僕は別に、高値で売り捌いてる訳じゃない。出品価格は低く抑えて、あとはオークションだから、本当に欲しいコレクターが、勝手に価格を上げてくれるんだよ」

 サトシ 「そんなの関係ない! 捕まえたポケモンをネットで売り捌くなんてダメに決まってるだろ!」

 ハルキ 「売買の良し悪しは今は置いておこう。僕が真に力を入れてるのは、ゲットに至る綿密な計画の方さ」

 サトシ 「計画?」

 ハルキ 「珍しいポケモンなんて、そう簡単には手に入らない。ならどうするか――、奪えば良いんだよ」

 サトシ 「奪う?」

 ハルキ 「そうさ。しかも、被害届が出されない方法でね」


ハルキは、恐ろしく淡々と話を続ける。

昨日ハルキが言ってたのは、そういう、悪い意味でのことだったのか。

ネットで売り捌くなんて許せないし、ポケモンを奪うことだって許せない。

けど、被害届が出されない方法って……。
 ▼ 166 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/03/23 02:10:58 ID:f4LHMC7g [5/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「……まさか、ハルキとルイナがハンターから隠れてた理由って!」

 ハルキ 「ご名答。“ハンターが捕まえたポケモン”を奪うためさ!」

 サトシ 「ハルキ……おまえ!」

 ハルキ 「ポケモンハンターは皆、相当の実力を持ってるプロ。そんなプロからポケモンを奪うなんて、これほどスリリングなことは無いと思わないか?」

 サトシ 「スリリングってそう言う意味だったのか」

 ハルキ 「そうさ。ハンターは基本的に珍しいポケモンを狙ってるからね。自分で珍しいポケモンを探すより効率が良い。しかもハンターから奪った所で、ハンターは違法は捕獲をしてる訳だから、通報されることも無い。スリルを味わえて、珍しいポケモンを手に入れられて、そして高値で売れる。最高だろ?」


そうか。

ハルキは最初から、このハンターが捕まえたポケモンを奪うために、茂みに隠れてたんだ。

捕まってるコフーライを助ける為じゃなくて、その逆の目的で。

でも、オレとセレナに見つかって、仕方なくハンターと戦うフリをしたってところか。

だからハルキ、わざと手加減してハンターとバトルしてたのか。

オレを騙すために……。
 ▼ 167 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/03/23 02:11:31 ID:f4LHMC7g [6/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「ふざけるな! ポケモンを お金儲けのために捕まえることが、許されると思ってるのかよ!?」

 ハルキ 「だから僕は別に、金が欲しい訳じゃない。あくまで付加価値として金が手に入るだけで、目的はハンターのポケモンを奪うスリルを味わうためさ」

 サトシ 「だったら よっぽど質が悪いだろ! 捕まったポケモンからしてみたら、ハルキが助けてくれたって思うはずだろ!? それなのにネットで売り捌くなんんて……、ポケモンが可哀想だと思わないのかよ!?」

 ハルキ 「それは価値観の違いだろう。僕がネットオークションに出すのは、その珍しいポケモンを、本当に欲しい人物に渡すためさ。そういう人物なら、きっとそのポケモンを大切にしてくれると思うけどね」

 サトシ 「そんなの言い訳だ! ポケモンをネットで売り捌くなんて発想が間違ってる! ハンターからポケモンを奪うって行動も間違ってる! 自分で おかしいって思わないのかよ!?」

 ハルキ 「思わないね」

 サトシ 「ハルキ……!」

 ハルキ 「言いたいことは済んだかい?」

 サトシ 「なんだと?」

 ハルキ 「僕はねサトシ、君のポケモンに、とても興味があるんだ。特にそのピカチュウ。カロスリーグでバンギラスとメタグロスを倒す その実力……、高い価値がある」

 サトシ 「オレのポケモンも奪うってことか」

 ハルキ 「そうさ」

 サトシ 「そんなことさせない! 行くぞピカチュウ!」

 ピカチュウ 「ぴっか!」
 ▼ 168 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/03/23 02:12:03 ID:f4LHMC7g [7/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ハルキ 「バトル、するのか。数々の実力あるハンターを倒してきた僕に、勝てると思ってるのかい?」

 サトシ 「なら言ってやる。色んなの地方を旅してポケモンリーグに出場してきたオレに、勝てると思ってるのか?」

 ハルキ 「ふん。まぁ結果は すぐに分かるさ。ルイナの方も、今ごろセレナのポケモンを奪ってるだろうしね」

 サトシ 「そうだセレナっ!?」

 ハルキ 「サトシの方から、ルイナとセレナを別行動にする提案をしてくれて助かったよ。4人のままだと色々と厄介だからね」

 サトシ 「……クソッ!」


オレとしたことが……。ハルキとルイナを少しも疑わなかったせいで、セレナが……。

ハルキの実力を見れば、ルイナのポケモンだって、相当な実力があるに決まってる。

対してセレナは、ほとんどポカロンに力を注いでいる。バトルの経験だって、ロケット団相手が ほとんどだ。

そんなバトル慣れしてないセレナが、ルイナと2人きりだなんて、とんでもなくマズい。

オレのせいで、セレナが危険な目に……。


 ハルキ 「紳士的なサトシのことだから、きっとセレナを助けに行きたいんだろうけど、そうはさせないよ。僕の計画を邪魔した お礼、受け取って貰わないとねぇ!」

 サトシ 「やるしか……ないのか」

 ピカチュウ 「ぴかちゅぅ!」
 ▼ 169 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/03/23 02:13:00 ID:f4LHMC7g [8/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
本当なら今すぐセレナを助けに行きたいけど、どうやら そうはさせてくれないらしい。

こうなったら、少しでも早くハルキを倒して、セレナの元に行くしかない。


 ハルキ 「スタンバイだ、ミロカロス!」

 サトシ 「行ってくれるかピカチュウ」

 ピカチュウ 「ちゅぴっか!」

 ハルキ 「……うん。やっぱりそのピカチュウは良いね。毛並みも良いし、顔つきも凛々しい。数々の死闘を乗り越えてきたかのような貫禄さえある」

 サトシ 「お前に褒められたって嬉しくない!」

 ピカチュウ 「びかちゅぅ!」

 ハルキ 「それに……、ピカチュウは1体1体、頬の面積が違う。その絶妙な頬の赤の色艶、面積の比率、実に美しい」

 サトシ (……それどっかで聞いたことあるような気がする)

 ハルキ 「そのピカチュウだけでも、通には相当な価値で売れるだろうね。覚悟して貰うよ!」


ハルキのバトルの実力は相当高いと読み取れる。

一筋縄じゃ行かないだろうけど、オレはコイツに、勝つしかない!
 ▼ 170 リリ@ちからのハチマキ 17/03/23 02:13:14 ID:Bwbw4zlM NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
スピード高いから飽きなくていいわ。支援
 ▼ 171 ンシカイオーガ@コインケース 17/03/28 23:11:33 ID:f8si/dnQ NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 172 ンタイン@ハスボーじょうろ 17/03/29 00:20:02 ID:MjVJqpzg NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 173 ルフーン@ディアンシナイト 17/04/02 08:32:58 ID:odszKE86 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 174 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/04 23:41:40 ID:SeRmY1T. [1/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ハルキ 「ミロカロス、まずは“アクアテール”だ!」

 サトシ 「“でんこうせっか”で避けろ!」

 ピカチュウ 「ぴか!」


ミロカロスが、大きく振りかざした尻尾に水を纏わせて、ピカチュウに突っ込んでくる。

けど、ピカチュウの素早さに比べたら まだまだ遅い。“でんこうせっか”の勢いで、難なく回避する。


 ハルキ 「やっぱりピカチュウの素早さは相当だね。ますます魅力的だよ」

 サトシ 「黙れ!」

 ハルキ 「……雲、広がって来たね」

 サトシ 「雲?」


空を見ると、確かに、さっきまで晴れてたのに、分厚い雲が湧き出ていた。

けど、それが何だって言うんだ?
 ▼ 175 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/04 23:42:41 ID:SeRmY1T. [2/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ハルキ 「対策させて貰うよ。ミロカロス、“あまごい”!」

 サトシ 「“あまごい”?」


“あまごい”は、雨を降らすワザ。水タイプのワザの威力が上がる。

ヌメルゴンも好きだったよな。


 ハルキ 「君のピカチュウが“かみなり”を覚えてないことは確認済みさ。ノーリスクで有利に立たせて貰うよ」

 サトシ 「それがどうした!?」

 ハルキ 「しかも、元から雨が降りそうな天気だったからね。雨、このまま続くんじゃないかな」


その辺の仕組みは分からないけど、確かにあの空模様なら、遅からず雨は降りだしていたはずだ。

そんなことを考えていると、水滴が落ちてくる。そしてそれはすぐに、激しさを増す。


 サトシ 「うわ……」

 ハルキ 「これが僕のミロカロスの“あまごい”の威力さ。さぁ行くよ! “アクアテール”!」

 サトシ 「かわせ!」
 ▼ 176 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/04 23:43:39 ID:SeRmY1T. [3/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ピカチュウはミロカロスの“アクアテール”を回避……したけど、目に見えて、“アクアテール”の威力が増していた。

叩きつけられた地面は抉られて、その周囲がヒビ割れる。


 サトシ 「……確かにお前のミロカロスは強いな」

 ハルキ 「ん?」


今まで数えきれないくらいバトルをしてきたオレだから分かる。

ハルキは、自分のポケモンを強く育てている。強く育てるには、ポケモンとの信頼関係も大事だから、きっとミロカロスもハルキに懐いてると思う。


 サトシ 「けど!」


その行く先が、ポケモンハンターからポケモンを奪って、それをネットで売り捌くなんて、絶対に間違ってる。

オレには全く理解できない。

たとえ自分のポケモンと信頼関係が築けてても、それ以外のポケモンから信頼されないようじゃ、トレーナーとしては二流、三流、いや、それ以下だ。


 サトシ 「お前なんかに、負ける訳にはいかない!」

 ピカチュウ 「ぴっか!」
 ▼ 177 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/04 23:44:28 ID:SeRmY1T. [4/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ハルキ 「……何を言い出すかと思ったら。感情論で どうにかなるほど、ポケモン世界は甘くないんだよ! ミロカロス“なみのり”だ! 押し流してやれ!」

 サトシ 「オレたちは お前を許さない! ピカチュウ! “10万ボルト”!」

 ピカチュウ 「ぴかぴかぁ!」


ミロカロスは、瞬時に大波を作り出す。

“あまごい”によって強化された大波が、木々より高く そびえ立つ。

それはまるで、決壊寸前のダムのように、莫大なエネルギーを持ってピカチュウに押しせまろうとする。


けど、オレたちだって本気だ。

ハルキ、お前を本気で許さない。


大きく飛び跳ねたピカチュウが、電撃を解放する。


 ハルキ 「なっ……!?」

 サトシ 「行けぇぇぇぇぇ!」
 ▼ 178 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/04 23:45:29 ID:SeRmY1T. [5/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
眩しいくらいに光り輝くピカチュウが繰り出す、“10万ボルト”。

ワザとしては、オレたちが今まで何度も使ってきたものだけど、今は違う。

ハルキの信じられない行いに対するオレとピカチュウの怒りが詰まった、渾身の“10万ボルト”。


それは、ミロカロスの大波を切り裂いて、ミロカロスの脳天に、撃ち落とされた。

地鳴りのような音と共に爆風が巻き起こる。

切り裂かれた波が行き場を失って、その場で滝のように流れ落ちる。

たちまち辺り一面に水が拡散し、大きな水たまりのごとく、湿地のごとく、地面を濡らす。


 ハルキ 「ミロカロス……!?」


バチバチと、まだ電撃の余情が残っている。

そこに居たのは、逞しい表情のピカチュウと、地に伏しているミロカロス。


 ハルキ 「こいつ……一撃で!」

 サトシ 「よし! 良いぞピカチュウ!」

 ピカチュウ 「ぴっか!」
 ▼ 179 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/04 23:46:30 ID:SeRmY1T. [6/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
この一撃で、ミロカロスはダウンしていた。

当たり前だよな、ピカチュウ。オレたちの本気の想いを ぶつけたんだ。

ポケモンをネットで売り捌くようなハルキに、負けるはずがないんだ。


 ハルキ 「戻れミロカロス。……流石、カロスリーグ準優勝なだけあるね」


ハルキは何故か笑みを浮かべながら、ミロカロスをボールに戻す。


 ハルキ 「ミロカロスはタイプ相性が悪かったから、最悪、一撃で倒されるんじゃないかとは思ってたよ」

 サトシ 「残念だったな、“あまごい”無駄になって」

 ハルキ 「けどね、そうやって有利に立たせておいてから大逆転する方が、最高にクールじゃないかい?」

 サトシ 「なに?」

 ハルキ 「僕には僕の美学がある。ハンターからポケモンを奪うのも、綿密な計画に基づいた僕の美学。それなら! 余裕綽々の君に大逆転することで、僕の強さが証明されるとは思わないかい? カロスリーグ準優勝のサトシ君?」

 サトシ 「ふざけたこと言うな! オレは絶対に負けない!」

 ハルキ 「負ける負けないは、最終的に決まるんだよ」

 サトシ 「最終的?」
 ▼ 180 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/04 23:47:50 ID:SeRmY1T. [7/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ハルキ 「サトシ。仮に君が僕にバトルで勝ったとして、それで終わりだと思うかい?」

 サトシ 「……どういうことだ」

 ハルキ 「君の相方――、セレナは今、ルイナとバトルしてるんだ」

 サトシ 「だからお前を さっさと倒して、オレはセレナを助けに行くんだ!」

 ハルキ 「でも考えてご覧よ。バトル時間を。バトルに長けてる僕とサトシ、トライポカロンばっかりでバトルが苦手なセレナ」

 サトシ 「それが……」

 ハルキ 「要するに、僕とサトシの決着が付く頃には、セレナはルイナの手の内にあるってことさ」

 サトシ 「なっ……!?」

 ハルキ 「このバトルは時間稼ぎでしかないのさ。真の目的は、セレナをこっちの人質にすること。そうすれば、勝敗 関係無しに、君は僕たちに従うしかないからね」

 サトシ 「お前……! 卑怯だぞ! そんなことして……恥ずかしくないのかよ!?」

 ハルキ 「言っただろ? 綿密な計画に基づいて行動してるって。こっちが有利になるのに、卑怯なんて関係ないね」

 サトシ 「ハルキ……!」

 ハルキ 「さぁバトルの続きだ! 出てこいツンベアー!」
 ▼ 181 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/04 23:49:10 ID:SeRmY1T. [8/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ハルキはツンベアーを繰り出した。

真っ白な巨体から吐き出される息吹は、相当な冷気を帯びているのか、風に乗って ひんやりとした空気が漂ってくる。


 サトシ 「ピカチュウ、一旦戻れ」

 ピカチュウ 「ぴか」

 サトシ 「ルチャブル、君に決めた!」

 ルチャブル 「ちゃぶぅぅぅ!」


氷タイプのツンベアー相手なら、格闘タイプのルチャブルが適任だ。

ルチャブルに対して氷ワザは効果抜群だけど、ルチャブルの素早さならツンベアーを翻弄できるし、何よりルチャブルの熱いハートは、氷に対して有効だ。多分。


 ハルキ 「わざわざ氷に弱いルチャブルとは、ナメなれたものだね」


もうハルキの言葉に いちいち返事する必要性を感じない。

バトルでオレに挑む以上、ハルキには まだ改心の予知はあると思ったけど、それが はじめから時間稼ぎで、目的はセレナを捕えて有利に立とうだなんて、正直ガッカリだ。

ハルキは、トレーナーの風上にも置けない、最低の人間だ。

こんな奴とバトルすることさえ、躊躇われる。
 ▼ 182 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/04 23:51:00 ID:SeRmY1T. [9/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
けど、そんなこと言ってられない。

セレナが……、セレナもバトルしてる。

オレと同じように、セレナもバトルしてるんだ。

きっと今ごろセレナも、ハルキとルイナの真相を知って、オレと同じように怒ってると思う。


けど……、セレナは強いけど、バトルに関しては素人だ。

ロケット団相手を除けば、バトル経験なんて数回しか無いはず。しかも勝ちのバトルって、ダンスパーティの時くらいじゃないか?


ハルキの自信たっぷりな言い方を見るに、ルイナだって、きっとバトルの腕があるはずだ。

そんな相手にセレナは、どこまで持ち堪えられるんだろう。

とにかく、オレが早くハルキを倒して、セレナの勝負が付く前に助けに入らないと、セレナを人質に取られてしまう。

そうなったら、勝敗関係なしに、オレたちが不利になっちまう。


 サトシ (なんとか……、なんとか持ち堪えてくれよ、セレナ!)


それは、セレナにとって大きな重圧になるかもしれないけど、今はセレナを信じるしかない。

ポケモンのことに一生懸命で、自分で夢を掴んだセレナ――。オレは いつだって、セレナを信じてるからな!
 ▼ 183 ロリンガ@スターのみ 17/04/05 06:12:48 ID:JZRXJCkM NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 184 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/10 18:00:00 ID:2q.gZqxc [1/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「行くぞルチャブル! “からてチョップ”!」

 ルチャブル 「ちゃぶぅぅぅ!」

 ハルキ 「“つららおとし”でルチャブルを止めろ!」


ツンベアーに突っ込んでいくルチャブル。

そんなルチャブルの行く手を阻むかのように、ツンベアーの“つららおとし”が炸裂する。

何本もの大きな氷柱(つらら)が地面に突き刺さり、さながらツンベアーの防護壁のようだ。


 サトシ 「そんな氷柱の負けるな! “からてチョップ”で押し進め!」

 ルチャブル 「ちゃぶ!」


けど、氷に格闘ワザは効果抜群。

ルチャブルの“からてチョップ”で、そんな氷柱を崩しながらツンベアーとの距離を縮めていく。

そして、直撃させる。
 ▼ 185 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/10 18:10:30 ID:2q.gZqxc [2/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「良いぞルチャブル!」

 ハルキ 「流石に やるねぇ」


よろめくツンベアー。

もともとツンベアーの素早さは高くなかったはず。一気に攻め込むチャンスだ。


 サトシ 「続けて“とびひざげり”だ!」

 ルチャブル 「ちゃぶ!」


ルチャブルは助走を付けて走り出す。

そして大きくジャンプ、膝を付きだしてツンベアーに迫り、まさに直撃、……という瞬間だった。


 ハルキ 「かわせ!」

 サトシ 「えっ!?」
 ▼ 186 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/10 18:20:00 ID:2q.gZqxc [3/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ツンベアーが、信じられないような機敏な動きで、ルチャブルの攻撃を回避したのだ。

“とびひざげり”の直撃間近という、絶対に避けられないようなタイミングにも関わらず。

そして、地面に激突したルチャブルはダメージを受ける。


 サトシ 「大丈夫かルチャブル!?」

 ルチャブル 「ちゃぶっ……!」


立ち上がったルチャブルは、いつものポーズを決めてくれた。

けど、今のツンベアーの動きは何なんだ? “からてチョップ”は避ける素振りも見せなかったのに……、それはワザと避けなかったってことなのか?


 ハルキ 「チャンスだツンベアー! “アクアジェット”!」


ハルキが言うが早く、ツンベアーは動き出す。

水を全身に纏ってルチャブルに一直線。……早い!


 サトシ 「クッ! ジャンプして かわせ!」

 ルチャブル 「ちゃぁぶ!」
 ▼ 187 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/10 18:30:30 ID:2q.gZqxc [4/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
そんな“アクアジェット”を、ルチャブルはギリギリのところで回避。

氷タイプのツンベアーが“アクアジェット”を使うこと自体が予想外だったけど、一番気になるのは、やっぱり この素早さだ。


 サトシ 「“フライングプレス”!」


けど、ジャンプして回避したことで、ツンベアーの背後を取ることが出来た。

この状況、“フライングプレス”が最適だ。ジャンプしている分、構えてから攻撃に至るまでの時間を短縮できるし、ここで一気に流れを作りたい!


 サトシ 「行けぇぇぇぇぇ!」

 ルチャブル 「ちゃぶぅぅぅぅ!」


 ハルキ 「“れいとうビーム”!」

 サトシ 「あっ……!」


またしても、ルチャブルの攻撃がツンベアーに直撃する寸前だった。

ツンベアーが素早く体勢を整えて空中のルチャブルに向き合うと、その瞬間、“れいとうビーム”を発射した。

上空からの“フライングプレス”の勢いを完全に押し負かす程の高威力の“れいとうビーム”。

それに直撃したルチャブルは、上空へ押しやられた。
 ▼ 188 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/10 18:31:00 ID:2q.gZqxc [5/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「ルチャブル!?」

 ハルキ 「トドメだ! ”つららおとし”!」


無防備なルチャブルを、“つららおとし”が襲った。

何本もの氷柱が、空中のルチャブルに直撃し、そして、墜落。

地面に叩きつけられたルチャブルに、さらに何本もの氷柱が襲い掛かる。……効果は抜群だ。



 サトシ 「……戻れルチャブル。よく戦ってくれたな」

 ハルキ 「どうだい? 僕のツンベアー。なかなかだろ?」

 サトシ 「行けるか? ピカチュウ?」

 ピカチュウ 「ぴか!」

 ハルキ 「君のピカチュウの素早さが高いことは研究済み。僕のツンベアーと良い勝負が出来そうだねぇ」

 サトシ 「よし。頼んだぞピカチュウ!」

 ピカチュウ 「ぴかちゅぅ!」
 ▼ 189 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/10 20:13:30 ID:2q.gZqxc [6/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
雨は止まない。

多分ハルキの言った通り、“あまごい”が元々の雨を誘発したんだと思う。

雨――、ツンベアーの“アクアジェット”の威力が上がるって訳か。


……もしかして、ツンベアーの素早さが高いのって、この雨が原因なのか?

雨で素早さが上がる特性、“すいすい”。

けど、氷タイプのツンベアーに“すいすい”って有り得るのか?


 ハルキ 「ツンベアー“つららおとし”!」

 サトシ 「かわすぞ! “でんこうせっか”!」

 ピカチュウ 「ぴっか!」


今は考えてる暇はない。

けど、それ前提でバトルした方が良さそうだ。

この雨が降っている以上、ツンベアーの素早さは高い状態が続く。スピードでは そこまで有利に立てないってことだ。
 ▼ 190 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/10 20:14:00 ID:2q.gZqxc [7/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「そのまま“アイアンテール”!」


落ちてくる氷柱を、ピカチュウは“でんこうせっか”で かわしていく。

そして一気にツンベアーとの距離を詰めて、“アイアンテール”を繰り出した。

鈍く固く光る尻尾がツンベアーに直撃、効果は抜群。


 ハルキ 「“アクアジェット”!」


その直後、ツンベアーの“アクアジェット”がピカチュウに返された。

“アイアンテール”を受けてすぐに動ける当たり、やっぱりツンベアーも、相当に鍛えられてると見れる。


 サトシ 「大丈夫かピカチュウ!?」

 ピカチュウ 「ぴか!」

 サトシ 「よし!」

 ハルキ 「良いねそのピカチュウの表情! このバトル、絶対に勝たせて貰うよ」
 ▼ 191 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/10 20:14:30 ID:2q.gZqxc [8/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ハルキの奴、“バトルに勝たせて貰う”って、要するにオレに勝ってピカチュウを奪うってことだろ。

そんなこと絶対にさせない!


 サトシ 「ピカチュウ! “でんこうせっか”でツンベアーを翻弄だ!」

 ピカチュウ 「ちゅぴっか!」


ハルキはツンベアーの素早さに相当自信を持っている。

ならこっちは、それを上回るまでだ。ピカチュウ持ち前の素早さと“でんこうせっか”で……。


 ハルキ 「地面に向かって“れいとうビーム”!」

 サトシ 「地面……!?」


オレはハッとした。

地面は濡れている。

雨の影響じゃない。さっきミロカロスが不発に終わった“なみのり”の水が、大量に地面に染み込んでいるのだ。

そんな状態で“れいとうビーム”なんて放たれたら……!
 ▼ 192 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/10 20:15:00 ID:2q.gZqxc [9/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「クッ……! ピカチュウ氷柱の上に避難だ!」

 ピカチュウ 「ぴか!?」


“れいとうビーム”によって、濡れた地面は簡単に凍って行く。

オレは すかさず、ピカチュウを“つららおとし”の氷柱の上に退避させた。あのまま地面に居たら、足が凍りついて動けなくなっていたところだった。


 ハルキ 「氷柱の上に逃げるとは……良い判断だね。でも、これで戦況は一気に僕が有利になったよ!」


地面――、フィールドは氷のリンク。

ツンベアーには問題ないだろうけど、ピカチュウは滑って足を取られてしまう。


 ハルキ 「いつまでも氷柱に捕まってられると思うなよ! “アクアジェット”!」

 サトシ 「マズい……! “10万ボルト”で向かい打て!」


ツンベアーは再び水を纏って、ピカチュウに向けて突っ込んできた。

氷柱の上から地面に降ろされたら、一気に動きが鈍ってしまう。それだけは避けたい……!
 ▼ 193 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/10 20:15:30 ID:2q.gZqxc [10/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ハルキ 「無駄だ! ツンベアーの素早さと氷のフィールドを甘く見られちゃ困るね!」


ハルキは力強く言った。

その言葉の通り、ツンベアーは氷の上を滑るように、軽やかにピカチュウの攻撃を回避する。

そして、“アクアジェット”はピカチュウに直撃した。氷柱もろとも。


 サトシ 「ピカチュウ!?」

 ハルキ 「まだ行くよ! “つららおとし”!」


凍った地面に倒れ込んだピカチュウの上に、無数の氷柱が作り出される。

そしてそれらが一斉射撃のごとく、ピカチュウに降り注がれる。


 サトシ 「マズい……ピカチュウ! 上に向かって“エレキボール”!」

 ピカチュウ 「ぴっか……ちゅぴっか!」

 ハルキ 「ほぉ〜」
 ▼ 194 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/10 20:16:00 ID:2q.gZqxc [11/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
頭上に打ち出した“エレキボール”が、降ってくる氷柱の1つと ぶつかった。

氷柱も“エレキボール”も、特殊ワザのエネルギーの塊のようなもの。そんな2つが衝突したことで、小規模な爆発が起こった。

本当に小規模なものだけど、その爆風で他の氷柱を吹き飛ばすのは簡単だった。


 サトシ 「よし!」

 ハルキ 「その奇想天外な発想は素直に感心するよ」

 サトシ 「黙れ! ピカチュウ“10万ボルト”だ!」

 ピカチュウ 「ぴか!」


“でんこうせっか”や“アイアンテール”と言った物理ワザは、足元が定まらない氷の上ではリスクがあるけど、“10万ボルト”と“エレキボール”なら、足元は そこまで関係ない。

これでなんとかツンベアーに反撃したいところ。


 ハルキ 「無駄だよ。避けろツンベアー!」

 サトシ 「また……!」
 ▼ 195 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/10 20:17:00 ID:2q.gZqxc [12/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
けど、ツンベアーは機敏な動きを見せる。

さすが氷タイプ……、凍ったフィールドを滑るように移動して“10万ボルト”は回避された。


 サトシ 「まだだ! 連続で“10万ボルト”!」

 ハルキ 「回避して接近!」

 サトシ 「あっ……!」


そしてツンベアーは、一気にピカチュウの目の前まで距離を詰めてきた。

ピカチュウが繰り出す“10万ボルト”を上手いこと避けながら、ほとんど一瞬で。


 ハルキ 「“ばかじから”!」

 サトシ 「ダメだ避けろピカチュウ!」

 ハルキ 「遅い遅い!」
 ▼ 196 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/10 20:17:31 ID:2q.gZqxc [13/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
直後、鈍い音が響いた。

ツンベアーの“ばかじから”が、抵抗されること無く、ピカチュウに直撃したのだ。


 サトシ 「ピカチュウ!?」

 ハルキ 「トドメの“つららおとし”!」


そして間髪入れずに、“つららおとし”がピカチュウを襲った。

当然、“エレキボール”で防ぐ余裕なんて無かった。


 ハルキ 「どうした? もう終わりかい?」

 サトシ 「大丈夫かピカチュウ!?」


氷柱の隙間から這い出てきたピカチュウは、もうボロボロだった。

“ばかじから”という高威力ワザと、“つららおとし”というタイプ一致ワザ。この2つの連続ダメージは計り知れない。

ピカチュウは辛うじて立っていられるような状態で、出来れば これ以上バトルは続けさせたくないと言うのが、正直なところだ。


 ハルキ 「おやおや。カロスリーグ準優勝者の実力って、これっぽっちだったんだねぇ」

 サトシ 「クッ……!」
 ▼ 197 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/10 20:18:20 ID:2q.gZqxc [14/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ハルキ 「まぁ、攻撃力を鍛えに鍛え抜いた僕のツンベアーの“ばかじから”と“つららおとし”を喰らって、まだ立ってることは褒めてあげるよ」

 サトシ 「……その素早さは、“すいすい”だよな」

 ハルキ 「ご名答。とっても珍しい特性なんだ。ミロカロスの“あまごい”は、ツンベアーを強化するためのものさ。無駄になった訳じゃないんだよ?」

 サトシ (さっきのオレの言葉を……!)

 ハルキ 「さて。そのピカチュウ、まだバトル続けられるかねぇ? 続けられたとしても、雨は止まないだろうから、そもそも攻撃を当てられるのかねぇ?」


悔しいけど、ハルキの言う通りだ。

例えバトルを継続しても、雨と氷のフィールドで、ツンベアーは相当 機敏に動けるし、機動力も半端ない。

オレたちにとって、あまりにも分が悪すぎる。


 ハルキ 「……なんだ? 反論も無しか。笑わせるね、その程度でカロスリーグ準優勝なんて」

 サトシ 「ハルキ……!」

 ハルキ 「これ時間稼ぎなんて必要無かったかもね。君の女……、セレナの方も、とっくにルイナに片付けられてると思うし」

 サトシ (セレナ……)
 ▼ 198 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/10 20:19:20 ID:2q.gZqxc [15/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ハルキ 「だいたいセレナの方もアレだね。おめでたいよ。ポケモンパフォーマー、カロスクイーンを目指してるなんて、実に生産性の無いことだ」

 サトシ 「なに!?」

 ハルキ 「ポケモンの価値の見出し方を言ってるんだ。僕は珍しいポケモンに興味がある。そしてそれを欲しがる人が居るから、僕の計画、ビジネスが成り立つんだ」

 サトシ 「………」

 ハルキ 「サトシのようなトレーナーのことも、僕は理解してるつもりさ。バトルして強さを極める――、悪くないことだ。ポケモンには闘争本能があるし、戦うポケモンは美しい」

 サトシ 「………」

 ハルキ 「けど、トライポカロンは意味が分からないね。野生で生きてきたポケモンを美しく着飾ってどうするって言うんだよ」

 サトシ 「それこそ価値観の違いなんじゃないのかよ?」

 ハルキ 「コンテストと違って、バトルの無いイベント。ポケモンの本能をまるで無視してる、お遊戯会だよ、アレは」

 サトシ 「お遊戯会って……!」

 ハルキ 「そんなことしてるから、君のセレナは弱いんだよ。つけ込まれるんだよ。今回の作戦だって、セレナが弱いからこそ成り立ったんだ。ある意味、セレナに感謝だね」

 サトシ 「ハルキ……お前っ……!」

 ハルキ 「サトシ、本当のこと言いなよ。トライポカロン何て言うレベルの低い芸当をする女より、もっと熱い……、バトルに力を入れている女の方が好みなんだろ? 少なくとも僕は そうだね」

 サトシ 「ふざけるなぁぁぁ!!!」
 ▼ 199 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/10 20:20:20 ID:2q.gZqxc [16/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ハルキ 「は?」

 サトシ 「お前にセレナの何が分かるんだよ!? セレナの努力を知らないお前に! セレナの頑張りを……セレナの強さを知らないお前に! セレナの悪口を言うのはオレが許さないぞ!!!」


なかなか夢を見つけられないで焦っていたセレナ。

夢を見つけて、初めてのポカロンのステージで失敗したセレナ。

それでも努力と練習を重ねて、フウジョ大会でミルフィを破って優勝して、嬉し涙を流したセレナ。

人見知りのイーブイと一緒に成長して、怒涛の追い上げで3本のプリンセスキーを手にしたセレナ。

ライバルたちに勝ち抜いて、憧れのエルさんと真剣勝負を繰り広げて、全力を出し切ったセレナ。

もっと成長したいと、ホウエンへの旅立ちを決意したセレナ。


 サトシ 「……そんなセレナの、どこが弱いって言うんだよ!? セレナのこと何も知らないお前が! セレナを弱いなんて言う資格なんて無い! そんなことオレが認めないっ!!!」

 ハルキ 「なにムキになってるんだよ」

 サトシ 「お前がセレナを悪く言うのが許せないって言ってるんだ!」

 ハルキ 「けどね。今この状況。カロスリーグ準優勝者だって言うのに、リーグに出たこと無い僕に完敗してる状況で、君の言葉に説得力は皆無じゃないか?」

 サトシ 「まだだ! まだバトルは終わってない!」

 ハルキ 「ほぉ〜。これだけ不利な状況なのに まだ言うのか。……もう勝負は付いてるんだよ! トドメ刺すぞツンベアー!」

 サトシ 「クソッ……!」
 ▼ 200 タドガス@ロックメモリ 17/04/10 21:03:30 ID:rKyUgjVQ NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 201 ルタンク@きんのいれば 17/04/11 06:35:26 ID:scM93zpw NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 202 コザル@リピートボール 17/04/12 16:20:10 ID:e9hIetGM NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 203 リジオン@ぼうごパット 17/04/16 14:09:40 ID:UHnlpqlM NGネーム登録 NGID登録 報告
支援なり
 ▼ 204 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/17 23:13:30 ID:FDQD7Blw [1/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
考えろ。考えろ、この状況。

ツンベアーは、ルチャブルの“からてチョップ”と“アイアンテール”を受けている。平気そうな顔してるけど、効果抜群のワザを受けてるんだ。ダメージは溜まってるはず。

フィールドは氷。ミロカロスの置き土産で水浸しのフィールドが凍らされた形。

雨。“あまごい”が発端だけど、元から天気は悪かったし、さっきから何だかゴロゴロ言ってるから、多分これは自然の雨。

“つららおとし”の氷柱は、ルチャブル戦からのものを含めて、まだ何本も地面に突き刺さっている。


 ハルキ 「もう1発“ばかじから”だ! 2回目だけど まだまだ高威力で行けるぜ!」


地面に突き刺さる氷柱。

氷のフィールド。

雨。

ゴロゴロ言ってる空模様。



 サトシ 「……これだ! ピカチュウ行くぞ! 地面に向かって“アイアンテール”! 飛び跳ねろ!」

 ピカチュウ 「ぴかぴ……ちゅぴっかぁ!」
 ▼ 205 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/17 23:14:00 ID:FDQD7Blw [2/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ピカチュウは大きく頷いた。

オレのこと、オレの作戦を信じてくれた証拠だ。

オレだってお前のこと信じてる。だからこんな作戦、思いついたんだぜ?


 ハルキ 「外したか……!」


ピカチュウは地面に叩きつけた“アイアンテール”の衝撃を利用して、大きくジャンプした。

こうしないと、滑ってジャンプの高さを得られないからな。


 サトシ 「電気を帯びろ! “10万ボルト”用意!」

 ピカチュウ 「ぴぃぃぃかぁぁぁぁ……!」


来い!

来い、来い、来い、来い、来い!



 ― ピカッ!

 ▼ 206 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/17 23:14:40 ID:FDQD7Blw [3/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
来た!


 サトシ 「その雷、貰ったぁ!」

 ハルキ 「なっ……!?」


暗雲から落とされた雷が、ピカチュウに直撃する。

このタイミングで雷が落ちるかどうかは賭けだったけど、落ちればピカチュウに向かうように、電気を纏わせたんだ。

雷でピカチュウの電撃がパワーアップするのを、オレは知っている。

初めて会った日。それに、メロエッタをロケット団や霊獣から守った時、ピカチュウは大きな電気を繰り出した。それと同じことだ。


 ハルキ 「ッ……! ツンベアー動け! とにかく動け! あんなの受けたらマズいぞ!」


平静を装っているように見えるハルキだけど、あれは内心、焦っている。

ってことは、実はツンベアーの防御は、それほど高くないんだろう。

攻撃を鍛えたって言ってたし、“すいすい”で素早さを強化してるなら、防御は捨ててるって考えてもおかしくない。
 ▼ 207 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/17 23:15:21 ID:FDQD7Blw [4/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「行くぜピカチュウ! 最大パワーの……“10万ボルト”!!!」

 ピカチュウ 「ぴぃぃぃぃぃかぁぁぁぁぁちゅううううぅぅぅぅぅぅぅ!!!」


青白い輝きを見せるピカチュウから放たれる、“10万ボルト”。

雷のエネルギーを貰って最大限に強化した“10万ボルト”。

それは多分、“10万ボルト”の域を超えていると思う。

言うならばそう……“1000万ボルト”!


 ハルキ 「臆するなツンベアー! そんなの当たらなければ意味ない!」


ハルキが叫ぶ通り、確かに当たらなければ意味は無い。

ツンベアーは“すいすい”の素早さと、氷上の身軽さ駆使して、氷のフィールドの上を縦横無尽に駆け回る。

正直、この状態のツンベアーにワザを当てるのは相当厳しい。


普通なら、な。
 ▼ 208 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/17 23:16:01 ID:FDQD7Blw [5/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
飛び跳ねた状態のピカチュウから、“10万ボルト”が撃ち落とされる。

けどオレは、攻撃方向を指示していない。


撃ち落とされた“10万ボルト”の電撃が、何方向にも分裂する。

そして、フィールドに注がれる。


 ハルキ 「なっ……これっ……はぁ!?」


爆音。

雷が落ちるような爆音とともに、青白い閃光がフィールドを支配する。


 ハルキ 「ダメだ出ろツンベアー! 凍った部分から外に出ろ!」

 サトシ 「遅いぜ!」


尖った氷柱と、凍ったフィールド、そして雨。

激しく降る雨は、氷柱に水分を含ませる。凍ったフィールドの表面に水の膜を作る。
 ▼ 209 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/17 23:16:40 ID:FDQD7Blw [6/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ピカチュウの電撃は、まずは氷柱に落ちた。避雷針だ。

そして、氷を伝って、水の膜を伝って、凍ったフィールド全体に、電流が行き渡る。

何本もの氷柱避雷針へと分散した電撃が、凍ったフィールド上で、たちまち一つになる。



フィールドが、悲鳴を上げた。



フィールドが青白く光る。黄色く光る。

雷を受けてパワーアップした、ピカチュウの渾身の“10万ボルト”が、フィールドを襲ったのだ。

一瞬の閃光の後、フィールドは地割れを起こした。砂煙を上げながら。

ゴォォォォ、という、地の底から湧き出るような鈍い鈍い音を発しながら。


そんなフィールドに足を付いていたツンベアー、無事な訳が無い。

ピカチュウの“10万ボルト”が伝わって、痺れ、割れた地面に呑み込まれたのだ。
 ▼ 210 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/17 23:17:40 ID:FDQD7Blw [7/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ハルキ 「ぁっ……お前っ……、嘘、だろ……!?」


視界が晴れる。

そこには、変わり果てたフィールドと、割れた地面に嵌って気絶しているツンベアーの姿があった。

ピカチュウはと言えば、ボロボロになりながらも、氷柱の上に堂々と立っていた。


 サトシ 「いぃぃぃよっしゃぁぁぁぁ! 良いぞピカチュウ! 良くやった!」

 ピカチュウ 「ぴかぴぃか!」

 ハルキ 「おいツンベアーしっかりしろ! ツンベアー!?」

 サトシ 「ハルキ。お前、ピカチュウの攻撃を“当たらなければ意味ない”って言ったよな」

 ハルキ 「……クッ!」

 サトシ 「確かにお前のツンベアーは素早くて、攻撃は当てられなかったよ。けど、氷のフィールドを過信してた お陰で、この作戦を思いついたんだ」

 ハルキ 「僕の戦略を……逆手に取ったって訳か」

 サトシ 「そうだ。これがオレたちの力だ! お前がバカにした、カロスリーグ準優勝者の実力だ!」

 ハルキ 「……それがどうした!? こっちは まだ負けた訳じゃねぇ! これからが……!」



 ルイナ 「ハルキ!」
 ▼ 211 ブルモ@さざなみのおこう 17/04/17 23:24:53 ID:XsFgnIuA NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 212 ラクロス@ぼうけんノート 17/04/17 23:24:54 ID:VPGwOtEE NGネーム登録 NGID登録 報告
セレナが気になって仕方がない
 ▼ 213 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/17 23:25:01 ID:FDQD7Blw [8/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
その時、森の中から、ルイナがハルキの元に駆け寄って来た。

セレナと戦ってた はずのルイナが戻って来たってことは……、どっちの意味だ!?


 ハルキ 「ルイナか。残念だったなサトシ! せっかく有利に立ったみたいだけど、セレナは僕たちの手に……」

 ルイナ 「ゴメン! セレナ無理だった」

 ハルキ 「……は?」

 ルイナ 「あいつのポケモン強いじゃない! 何か分からないワザ撃ち込まれて……、私まで巻き込まれるところだったんだから!」

 ハルキ 「強いって……、作戦は どうしたんだよ!? 万が一不利になったら! セレナに直接 攻撃してでも勝てって言っただろ!?」

 ルイナ 「やったわよ! セレナを直接痛めつけて……、そしたらセレナのポケモンがキレて」

 サトシ 「なっ!? セレナを痛めつけるって……ルイナ! お前……、セレナに何したんだ!? セレナは無事なんだろうなぁ!?」

 ルイナ 「知らないわよそんなの! こっちは逃げるのに手いっぱいよ!」

 サトシ 「知らないって……ふざけるな! セレナは何処に……」

 ハルキ 「……畜生! この作戦は終わりだ! 撤収だ!」

 ルイナ 「……そうね」


 サトシ 「あっ……おい待て!」
 ▼ 214 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/17 23:25:40 ID:FDQD7Blw [9/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ハルキとルイナは、オレのことは もう無関係と言わんばかりに、オレに背を向けて走り出した。


当然オレは追いかける。

あの2人は許せない。

ポケモンハンターのポケモンを横取りしてネットで売り捌くなんてこと、オレは絶対に許したくない。


それに何より、セレナに手を出したようなニュアンスが聞き捨てならない。

セレナ……無事なんだろうな!?


 サトシ 「待てっ! 止まれハルキ! ルイナ!」





走っているうちに森を抜けて、視界が開けた。


景色が良い草原、小高い崖の上――。

ここは……、さっきまでセレナと一緒に居た所だ。雨が降っているせいで印象は大分違うけど。


ハルキとルイナは、その草原の一番奥、崖の手前で足を止めた。
 ▼ 215 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/17 23:28:00 ID:FDQD7Blw [10/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ハルキ 「僕たちはね、無駄なことは嫌いなんだ。この時点で僕の計画は失敗した。よって これ以上、君と顔を合わせてる必要はない」

 サトシ 「ふざけるな! オレには負けたから逃げてるようにしか見えないぞ! 仮に負けを認めたんなら罪を償うのが筋だろ!?」

 ハルキ 「一応言っておくけど、僕は負けを認めた訳じゃない。ただ、これ以上のバトルは無駄だって言ってるんだ」

 サトシ 「なに!?」

 ハルキ 「セレナを こっち側に落とせなかった時点で、この計画は終わりだ。勘違いして貰っちゃ困るけど、僕にはまだ、戦えるポケモンが居る」

 サトシ 「だったら最後まで……」

 ハルキ 「断る。ピカチュウと君の実力を見るに、セレナを奪えなかった以上、もうバトルに価値は無い。不思議なゲッコウガをお目にかかりたかったけど、深追いは身を亡ぼすからね」

 サトシ (こいつ……、オレがゲッコウガをプニちゃんに託したことは知らなかったのか)

 ハルキ 「もう君たちの前に現れることは無いよ。僕たちは引き際を弁えてるんでね。出てこいフライゴン!」


それだけ言うと、ハルキはフライゴンを繰り出した。

オレを欺いて奇襲を掛けられると思ったけど、フライゴンはハルキとルイナを背中に乗せただけで、特に攻撃の意思は見られない。


 ハルキ 「じゃあねサトシ」

 ルイナ 「バイバーイ」

 サトシ 「おい待て! せめてセレナの居場所だけでも教えろ! ピカチュウ、“10万ボルト”だ!」

 ピカチュウ 「ぴか!」
 ▼ 216 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/17 23:28:40 ID:FDQD7Blw [11/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
飛び立つフライゴン目がけて、ピカチュウに“10万ボルト”を指示。

このまま逃がしてたまるか。

こいつらを逃がしたら、これからもポケモンがネットで売り捌かれちまう。

こいつらを逃がしたら、セレナの居場所が分からなくなっちまう。




 ハルキ 「フライゴン“まもる”!」

 サトシ 「クッ……クソッ!」


ピカチュウの“10万ボルト”は、“まもる”によって防がれてしまった。

行き場を失った電撃が拡散され、虚しく草原に落ちてくる。


そのうちの一つが、さっきここに来るのに乗って来たセレナの自転車に直撃した。


 サトシ 「あ……」

 ピカチュウ 「ぴっ……!?」


黒焦げになった自転車に気を取られて、再び上空を見上げると、そこにはもう、ハルキとルイナの姿は無かった。
 ▼ 217 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/17 23:29:20 ID:FDQD7Blw [12/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
逃げられたか。

あのフライゴン、恐らく逃走用だろう。

空を飛べて、スピードがあって、“まもる”を覚えてるとなれば、それくらい容易に想像が付く。


 サトシ 「……逃げられちまったな」

 ピカチュウ 「ぴか……」

 サトシ 「絶対逃がしたくなかったのに……。あいつらのせいで、不幸な想いをする野生ポケモンが居るって言うのに……!」


ハンターが捕まえたポケモンを奪い取って、それをネットで売り捌くなんて。

捕まえられたポケモンにとって、二重のショックになってしまう。

そんな酷い事、絶対に許したくなかったのに……。


 サトシ 「……そんなこと考えてる場合じゃない。セレナ!」

 ピカチュウ 「ぴかぴか!」
 ▼ 218 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/17 23:30:00 ID:FDQD7Blw [13/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
そう、今はセレナのことを考えないといけない。

ルイナの言葉通りなら、セレナは怪我をしてる可能性が高い。バトルではルイナに勝てたらしいけど……。


 サトシ 「自転車……は仕方ないか。セレナを探すぞピカチュウ!」

 ピカチュウ 「ぴっか!」


もしファイアローかオンバーンが戦闘不能じゃなければ、ハルキたちを追わせていた。

けど それはもう仕方ない。諦めるしかない。

セレナの方が大事だ。

セレナを助けることが、今のオレにとっての最優先事項だ。


 サトシ 「セレナの居場所……、ジュンサーさんを呼びに行くんだから、方向的には町の方だけど……」


ルイナとバトルしてるってことは、人目に付かない、森の中に入ってるかもしれない。

とにかく、出来るだけ早くセレナを見つけないと!




 ▼ 219 マサラ人3◆etyxjFp636 17/04/17 23:41:29 ID:OUT9DicI NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
同時連載お疲れ様です。

いつも楽しみにしてます。

支援
 ▼ 220 ンダー@サメハダナイト 17/04/18 15:52:17 ID:.dMn.Bac NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 221 ガサメハダー@エレキブースター 17/04/19 14:02:23 ID:ca6WDBC2 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 222 マルス@かみなりのいし 17/04/20 13:53:16 ID:.71RCjNM NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
こっちもしえーん!!
 ▼ 223 ルガモス@つきのいし 17/04/21 11:58:42 ID:JoeQ4svU NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 224 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/22 00:17:31 ID:gJPN3aOk [1/15] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


【 2-10 】



 サトシ 「はぁっ……はぁっ……はぁっ……セレナっ! どこだセレナぁ!?」

 ピカチュウ 「ぴかぴかぁー!?」


オレとピカチュウは、セレナとルイナが向かったと思われる方向を、全力で探している。

林道を入口まで戻って見つからなかったから、そこから逸れた、森の中を。


 サトシ 「セレナ! 返事してくれセレナっ! セレナぁ!?」

 ピカチュウ 「ぴかぁー!? ぴかぴかぁー!?」

 サトシ 「くそっ! どこだよセレナぁー!?」


この雨でセレナの匂いも消えちまったから、ピカチュウの鼻に頼るのも無理だった。

しらみつぶしで探すしかない。でも、この広い森で、そんな気が遠くなるようなこと……。


 サトシ 「……ん?」
 ▼ 225 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/22 00:18:20 ID:gJPN3aOk [2/15] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ふと、視界に目に入った光景に、オレは違和感を覚えた。

森の中の一部分だけ、妙に視界が開けている。そこだけ木々が無いような感じ。


 サトシ 「……あそこだ!」

 ピカチュウ 「ぴか!」


オレの直感が、そう言った。

森の中でピンポイントで木々が無い……、それは、そこで“何か”があったってこと。

木々を薙ぎ倒すほどの“何か”なんて、ポケモンバトルしかない。

セレナとルイナのバトルは、あそこで行われたに違いない!


 サトシ 「セレナっ……セレナっ!」


あんなに木々が薙ぎ倒されるほど、セレナは激しいバトルを繰り広げたってことなのか。

それに、ルイナが言ってた“セレナを痛めつける”って言葉も気になる。

まさかセレナ、そんな激しいバトルに巻き込まれたんじゃ……!?
 ▼ 226 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/22 00:19:00 ID:gJPN3aOk [3/15] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「セレナっ!?」


森の中の空間。

一点を中心に何かが破裂したかのように、まわりの木々は薙ぎ倒され、枝が落ちている。

かと言って、地面は黒ずんだりしてないし、焦げ臭い匂いも無いから、爆発では無いと分かる。


その、まさしく中心に、セレナは倒れていた。


 サトシ 「おいセレナしっかりしろ! セレナっ!」


慌ててオレは、セレナに駆け寄った。

体中 泥だらけのセレナ。綺麗なピンク色のワンピースもボロボロになっていた。


 サトシ 「セレナ! セレナっ!」


セレナの上半身を抱き上げて、オレは必死で呼びかける。

呼吸は……ある。気を失ってるだけか。


 サトシ 「セレナ! セレナ起きろっ! セレナっ!」
 ▼ 227 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/22 00:19:30 ID:gJPN3aOk [4/15] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 セレナ 「……んっ」


何度か呼びかけると、セレナから反応が返って来た。


 サトシ 「セレナっ……良かった!」

 セレナ 「ぁっ……サトシ……」

 サトシ 「大丈夫か? すげぇボロボロだけど……、どっか傷んだりしないか?」

 セレナ 「ぁのっ……ぇっ……んっ……///」


ゆっくり目を見開いたセレナは、辺りをゆっくり見回すような仕草を取る。

仕草を取る――って言うのは、実際に体は動かしていないから。セレナ、体が痛むのか?

そしてセレナは、黙りこくってしまった。


 サトシ 「どうした?」

 セレナ 「サトシっ……、無事、なんだよね?」

 サトシ 「ん?」

 セレナ 「私っ、サトシのこと、心配でっ……。でもっ、助け、行けなくて……」
 ▼ 228 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/22 00:20:00 ID:gJPN3aOk [5/15] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
セレナは必死に訴えているようだった。

逆だよセレナ。

オレもセレナのこと心配で、でもハルキとバトルが終わるまで、助けに行けなくて……。


 サトシ 「なに言ってんだよ。それはオレの台詞だよ。ルイナの相手、セレナに任せっぱなしになっちゃって。それで、こんなボロボロにさせちまって……。ごめんな」

 セレナ 「んっ……そんなっ、サトシのせいじゃ、無いよ」

 サトシ 「……って言うかセレナ、具合、悪いのか!?」

 セレナ 「えっ……なんで?」

 サトシ 「なんか息が切れ切れだし、それに、動こうとしないって言うか……」


オレの腕の中で、セレナは相変わらず動こうとしない。

それに、さっきから会話が ぎこちないって言うか、途切れ途切れで息苦しそうにしている。


 セレナ 「んっ……あのっ、ルイナに……“しびれごな”、受けちゃって……」

 サトシ 「“しびれごな”!? 大丈夫なのか!?」

 セレナ 「ちょっと、息苦しっ、けどっ……大丈夫っ、かな……」
 ▼ 229 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/22 00:20:30 ID:gJPN3aOk [6/15] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
“しびれごな”を直接浴びせるなんて、ルイナの奴、いったいどんな神経してるんだよ!?

“しびれごな”を浴びたことがあるオレだから分かる。この辛さ、息苦しさを。

……まぁ、あの時はラフレシアの花の中に顔から突っ込んでゼロ距離で浴びたから、今のセレナの状況とは違うか。


 サトシ 「“痛めつける”ってそう言うことだったのか」

 セレナ 「えっ?」

 サトシ 「とにかくマヒを取らないと! ポケモンセンター……までは遠いし、木の実か何か……!?」

 ピカチュウ 「ぴか!」

 サトシ 「ピカチュウ……、探してきてくれるのか?」

 ピカチュウ 「ぴっかちゅ!」

 サトシ 「そっか、助かるぜピカチュウ。マヒに効く……クラボだっけ? 分かるか?」

 ピカチュウ 「ぴっか!」

 サトシ 「じゃあ頼んだぜ!」


ありがとなピカチュウ。

さっきのバトルで疲れてるはずなのに……、本当、ピカチュウは頼りになるぜ。

 ▼ 230 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/22 00:21:00 ID:gJPN3aOk [7/15] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
さて。

オレは少しでも、セレナを楽な状態に してあげないと。


 サトシ 「ごめんな。もっと早く駆けつけたかったんだけど……」

 セレナ 「んっ……そんなことっ」


セレナは そう言ってくれるけど、ハルキとのバトルで苦戦しちまったのは事実だ。

オレ、もっと強くならないとな。大切な仲間を守れるように、もっと、強く……。


 サトシ 「雨、止まないな」

 セレナ 「あっ、うん……」

 サトシ 「濡れるから移動しようぜ。立てるか?」

 セレナ 「立つのはっ、ちょっと……ダメ、かな……」

 サトシ 「そんなに痺れるのか?」

 セレナ 「うん……。ニンフィア、ボールに戻すのも、ちょっと厳しかったし……、立てない……あっ」

 サトシ 「どうした?」
 ▼ 231 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/22 00:21:30 ID:gJPN3aOk [8/15] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
あっ……。

尋ねたと同時に、オレはセレナの言いたいことが、分かってしまった。


 サトシ 「……そっか」


懐かしい感じ。

そう、あの時と同じだ。

サマーキャンプで、セレナと初めて会った時と。

オレがセレナの足にハンカチを巻いて、立てないセレナを立ち上がらせた、あの時と――。


 セレナ 「サトシ……?」

 サトシ 「最後まで諦めちゃダメだ」

 セレナ 「ぁっ……///」

 サトシ 「……って、マヒしてるのに“諦めるな”は酷か」

 セレナ 「ふふっ」


セレナは笑ってくれた。

なら大丈夫だ。笑えるだけの力があるんなら、きっとセレナは大丈夫だ。
 ▼ 232 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/22 00:22:00 ID:gJPN3aOk [9/15] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「立って……みるか?」

 セレナ 「うん」


セレナは即答した。良かった、大丈夫なんだな。


オレは大きく頷いて応えて、セレナが立ち上がりやすい体制を作る。

セレナの右手を握って、背中を支えて……、あの時と同じように。



オレは、セレナの腕を そっと引っ張った。


つられてセレナの体が起き上がる。


ゆっくりとセレナの膝が伸びきって、セレナの顔が、オレの目線の位置まで来て――。



 セレナ 「あっ……?」


けど、麻痺してるセレナの体は、そこで制止できなかったみたいだ。
 ▼ 233 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/22 00:22:31 ID:gJPN3aOk [10/15] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「へへっ。立てたじゃん」

 セレナ 「んっ、ふふっ……///」


オレは しっかりと、セレナの体を抱きとめてあげた。

右手を握ったまま。背中に手をまわしたまま。


 セレナ 「あの時と……、同じだね」

 サトシ 「そうだな」


オレの肩に顔を埋めたまま、セレナは小さく呟いた。

本当に、あの時と同じだ。

けど違うのは、セレナがオレに抱きとめられたままだってこと。

あの時のセレナは、ちょっと驚いた感じで すぐにオレの体から離れちゃったから……、今のオレは、セレナに信頼されてるってことだよな?
 ▼ 234 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/22 00:23:20 ID:gJPN3aOk [11/15] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「ほら、そっちの木の影に行こうぜ。濡れすぎるのも良くないし」


けど、いつまでも この状態で居る訳にはいかない。

オレはセレナを促す。雨に濡れない場所に、セレナを運んであげないと。


 セレナ 「うん。でも私、歩くのダメかも……」

 サトシ 「分かってる。だから……ほら」 グイッ

 セレナ 「ふぁっ……えぇぇっ!?」


オレはセレナの背中に手をまわしたまま、もう片方は膝の下に入れで、ひょいとセレナを持ち上げた。

普通なら“おんぶ”するんだろうけど、息苦しそうなセレナの胸を圧迫しかねないし、こっちの体勢の方が正解だろう。


 セレナ 「さっ……サトシっ……///」

 サトシ 「苦しくないか?」

 セレナ 「大丈夫っ……だけどっ。そっ……良いよサトシそんなっ……重いでしょ……」

 サトシ 「なに言ってんだよ。セレナくらい軽い軽い」
 ▼ 235 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/22 00:25:00 ID:gJPN3aOk [12/15] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


 サトシ 「……よし。ここなら雨に当たらないな。下ろすぞ?」

 セレナ 「ぁっ、うん……///」


大きな木の下に入って、オレはセレナを地面に下ろす。

そして、苦しくないように、木の幹に もたれ掛かるように座らせた。

オレはセレナの正面に腰を下ろす。改めて見ると、セレナ、さっきからずっと顔が赤い。もしかして、何か辛いのを我慢してるんじゃ……。


 セレナ 「サトシ……ありがとう ///」

 サトシ 「あぁ。……でもセレナ、マヒの ほか、本当に大丈夫か?」

 セレナ 「えっ?」

 サトシ 「泥だらけだし……、擦り傷とか けっこうあるぞ。痛くないか?」

 セレナ 「……うん」

 サトシ 「そっか。良かった」


それを聞いて安心した。

……けどその直後、なんとなく、セレナの表情が曇った気がした。
 ▼ 236 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/22 00:25:30 ID:gJPN3aOk [13/15] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 セレナ 「……なかったな」

 サトシ 「ん?」

 セレナ 「こんな格好……、サトシには、見られたくっ、なかったな……」


セレナは弱々しく言った。

こんな格好って……、泥だらけなことか? 服がボロボロなことか?


 サトシ 「なに言ってんだよ」

 セレナ 「えっ?」

 サトシ 「セレナ、ルイナに勝ったんだろ?」

 セレナ 「あっ……うん。ヤンチャムと、テールナーと、ニンフィア……。みんな、頑張ってくれて」

 サトシ 「セレナ、ルイナのポケモンから直接攻撃を受けてさ。それでも勝ったんだろ?」

 セレナ 「うん……」

 サトシ 「だったら、セレナの その格好は、勲章みたいなもんじゃん。テールナーたちと一緒に戦ったさ」
 ▼ 237 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/22 00:26:00 ID:gJPN3aOk [14/15] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 セレナ 「勲章……」

 サトシ 「セレナはさ、バトルが苦手なのに、ルイナに勝ったんだよ。直接攻撃を受けたのに勝ったんだよ。それってオレ、凄ぇことだと思う!」

 セレナ 「サトシ……」

 サトシ 「確かに……ワンピースとか、綺麗なピンクが台無しだけどさ。でもそれは、全力で戦った証じゃん」

 セレナ 「うん……」

 サトシ 「セレナは見られるのが嫌かもしれなけど、恥ずかしがることなんて無いよ。むしろオレ、そういう頑張った姿って好きだぜ?」

 セレナ 「ふぇっ……!?」


オレにとって、ボロボロな容姿ってのは、関係ない。

むしろ、女の子なのに、そういうこと気にしないで、ポケモンのために動けるのって、本当に凄いと思う。

初めてポケビジョンを撮った時、セレナ、泥だらけになりながらフォッコを助けたっけ。

あの時と一緒だ。セレナはポケモンのために一生懸命になれる、本当に良い女の子だ。


 セレナ 「ぁっ……サトシっ……///」
 ▼ 238 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/22 00:26:30 ID:gJPN3aOk [15/15] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
セレナは また、顔を赤くした。

恥ずかしがることないのに。

確かに泥だらけな格好は女の子にとって恥ずかしいかもしれないけど、オレは全然気にしないんだから。

だからセレナ、安心して良いんだぜ?


 セレナ 「さっ……サトシっ……」

 サトシ 「どうした?」

 セレナ 「そのっ、ありがとっ……///」

 サトシ 「ん? あぁ」

 セレナ 「私っ、私もっ、そのっ……サトシのことっ……!」









 ピカチュウ 「ぴかぴ〜!」

 ▼ 239 ルビル@きんのおうかん 17/04/22 00:28:19 ID:E1haKWNA NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
こっちも支援だZ!
 ▼ 240 ラカラ@ベリブのみ 17/04/22 14:05:08 ID:hHbM17Hc NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援!!
 ▼ 241 ュウ@つららのプレート 17/04/23 02:38:17 ID:A5XB.QEM NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
シエンネ
 ▼ 242 ュリネ@ミュウツナイトY 17/04/23 16:52:02 ID:M2U5Xhrk NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
しえん
 ▼ 243 ラエッテ@ありふれたいし 17/04/23 20:56:33 ID:zI6BjH/s NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 244 ミラミ@トライパス 17/04/24 17:09:58 ID:I4uDI6mY NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
シ〜エ〜ン
 ▼ 245 ガニウム@エルレイドナイト 17/04/26 15:11:50 ID:OyfRbnlc NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援センター
 ▼ 246 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/29 00:15:00 ID:cWJBCVpo [1/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「ピカチュウ!」

 セレナ 「ぁっ……」


ピカチュウが戻って来た。随分早かったな。

それだけピカチュウも必死にクラボを探してくれたってことか。ピカチュウも心配だもんな、セレナの体。


 サトシ 「サンキュー、ピカチュウ!」

 セレナ 「んっ、ありがとっ……ピカチュウ」

 ピカチュウ 「ぴかぴかぁ〜」


オレはピカチュウが咥えていたクラボを受け取って、一応、服の裾で拭う。

これで……。


 サトシ 「ほらセレナ、口、開けろよ」

 セレナ 「えっ……?」
 ▼ 247 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/29 00:16:40 ID:cWJBCVpo [2/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
セレナ、体が痺れてるってことは、自分で食べるのは難しいはずだ。

オレはクラボを摘まんで、セレナの口元に差し出した。


 サトシ 「ほら!」

 セレナ 「んっ、あーん……///」


セレナは少し赤くなって、口を開けた。

他人から食べさせて貰うのは恥ずかしいかもしれないけど、今は そんなこと考えてる場合じゃない。

オレはセレナの口に、赤い小さな実を そっと入れた。


 セレナ 「っ……辛ぃっ」

 サトシ 「ははっ。でもマトマよりマシだろ?」

 セレナ 「うん。うぅ……」

 サトシ 「これでマヒは大丈夫だな。雨宿りも兼ねて、ちょっと休もうぜ」

 セレナ 「うん、ありがとっ……サトシ」

 ▼ 248 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/29 00:17:40 ID:cWJBCVpo [3/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


それから少しずつ、セレナの顔色が良くなって来た。

苦しそうな仕草も見せなくなったから、オレはセレナに、さっきのハルキとのバトルを話してあげた。


ミロカロスとツンベアーが織り成すハルキの作戦に、ちょっと苦戦しちまったこと。

ツンベアーの予想外の素早さに翻弄されたこと。

それでも自分の作戦を過信していたハルキに、オレとピカチュウは打ち勝ったこと。


自慢話に聞こえちまうかもしれないけど、それでもセレナは、オレのバトルの話を楽しそうに聞いてくれた。


 セレナ 「やっぱりサトシは凄いね。フィールドを味方にしちゃうバトル」


そしてセレナは、いつもオレを褒めてくれる。

思いついた戦略が成功するかは賭け、勝てたのは結果論のはずなのに、セレナは いつも、オレのバトルを“凄い”と言ってくれる。

慢心は いけないことだけど、セレナの言葉はオレの自信にも繋がる。あぁ、オレの戦略、間違ってないんだなって。


セレナと話してると、なんだか すげぇ楽しいんだよな、オレ。
 ▼ 249 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/29 00:18:00 ID:cWJBCVpo [4/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「……セレナ、普通に喋れるようになってきたな」


そしてオレは、セレナの顔色が完全に普段通りに戻ったのと同時に、会話の違和感も無くなったことに気付いた。

クラボが効いてきたってことか。

普通に喋れるんなら、オレは聞いてみたい。セレナが どんなバトルを繰り広げて、ルイナに勝利したかを。


 セレナ 「うん。息苦しさも無いし、体は まだちょっとピリピリするけど、だいぶ楽になったよ」

 サトシ 「良かった。じゃあ完全回復まで もう少しだな。聞かせてくれよ、セレナのバトルも」

 セレナ 「えぇ。サトシみたいにバトル慣れしてないから、あんまり面白くないかもしれないけど……」

 サトシ 「そんなの関係ないぜ。オレ、セレナがバトルしてるところって、あんまり見てこなかったし、セレナの素のバトルが知りたいんだ」

 セレナ 「ふふっ。最初はね、ドンカラスが相手だったんだけど……」


セレナは、とっても活き活きと、自分のバトルを語ってくれた。

バトル的な説明は所々ぎこちなかったけど、テールナー、ヤンチャム、ニンフィアが、どれだけ頑張ったかは、十分に伝わって来た。

きっとセレナも、結果は どうあれ、バトルに勝てて嬉しいんだろうな。



……そして話は、佳境に突入する。
 ▼ 250 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/29 00:19:30 ID:cWJBCVpo [5/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 セレナ 「……そのタイミングで、私、“しびれごな”を吸っちゃったんだ」

 サトシ 「どうかしてるぜルイナの奴!」

 セレナ 「ニンフィアすっごく心配してくれたんだけど、そのせいで、“ヘドロばくだん”を受けちゃって……」

 サトシ 「あぁ……、フェアリーに毒は効果抜群だからなぁ」

 セレナ 「ニンフィアが倒れちゃってね、ホントなら私、そこで負けてたんだ」

 サトシ 「“ホントなら”?」

 セレナ 「うん。ルイナはね、サトシとハルキのバトルが有利になるように、私を人質にしようとしたの」

 サトシ 「オレもそれ、ハルキから聞かされたよ」

 セレナ 「それでね――、ルイナは私を大人しくさせようとしたのかな。私、“エナジーボール”も喰らっちゃったんだ……」

 サトシ 「“エナジーボール”って……そんなことまでされたのかよセレナ!?」

 セレナ 「うん。それに吹き飛ばされて、こんな……泥だらけになっちゃったんだ」

 サトシ 「……クソッ! そんなことまでされて……、ごめんな。ハルキとルイナに逃げられちまって」

 セレナ 「ううん! そんなの大丈夫だよ」

 サトシ 「でもオレ……やっぱり許せない。ポケモンをネットで売り捌くのも そうだけど、セレナが直接攻撃を受けて、あいつら何も咎められないってのが、どうしても許せないんだ」

 セレナ 「優しいね、サトシ」

 サトシ 「セレナは大切な仲間なんだ。当たり前だろ?」
 ▼ 251 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/29 00:20:20 ID:cWJBCVpo [6/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
セレナは“しびれごな”だけじゃなく、“エナジーボール”まで喰らっていた……。

本当に、ルイナの行動が信じられない。ハルキの計画が信じられない。

人間に直接攻撃するなんて、まったくその神経が理解できない。しかも、女の子であるセレナに向かって……。


オレはハルキとルイナを逃がしちまったことが、悔しくて仕方ない。

セレナに きちんと謝らせて、罪を償わせたかったのに。


攻撃が よほど辛かったのか、セレナは少しだけ、黙り込んでしまった。


 サトシ 「……どうした? 大丈夫か?」

 セレナ 「うん。……それでね、ルイナが私にトドメを刺そうって時に、ニンフィアが、立ち上がったんだ」


セレナは その時のことを、力を込めてと語ってくれた。

もう体力の限界だったはずのニンフィアが、雄叫びと共に立ち上がって、大きな“星”を打ち出す。

その一撃で、ルイナのロズレイドは戦闘不能になったらしい。それだけ強力な“星”……。
 ▼ 252 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/29 00:21:00 ID:cWJBCVpo [7/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「“星”って……、“スピードスター”か?」

 セレナ 「ううん。絶対に違う。なんて言うんだろう……、もっと、ニンフィアの気持ちの結晶って言うか、とにかく凄かったの」

 サトシ 「そっか。オレも見てみたかったな」

 セレナ 「うん。凄かったんだから、ニンフィア。とっても格好良かった。あれ、何だったんだろうな……」

 サトシ 「調べてみるか?」


オレも、ニンフィアが繰り出した“星”に興味がある。

それが強化された“スピードスター”なのか、はたまた別の違ったワザなのか。


ポケモン図鑑を取り出して、ニンフィアを検索する。

そして、ニンフィアのワザ一覧画面を呼び出して、セレナの隣に移動した。


 セレナ 「ぁっ」

 サトシ 「これがニンフィアのワザ一覧のページだけど、見えるか?」

 セレナ 「うん……///」

 サトシ 「この中で、その“星”っぽいワザは……」
 ▼ 253 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/29 00:21:40 ID:cWJBCVpo [8/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「……これか?」

 セレナ 「“とっておき”?」


らしきワザは、これしか考えられなかった。


“とっておき”――。

大切なものを守るため、全力で相手に攻撃する、とっておきのワザ。覚えている他のワザを全て使っていないと失敗する――。

図鑑には、そう書かれていた。


 【注】 実際とは異なります。


 サトシ 「“星”がどうとは書いてないけど、これで間違いないと思うぜ」

 セレナ 「“とっておき”……」

 サトシ 「“大切なものを守るため”――、セレナとニンフィアが信頼し合ってたから、出せたワザなんじゃないかな?」

 セレナ 「ニンフィア……」
 ▼ 254 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/29 00:22:23 ID:cWJBCVpo [9/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
セレナとニンフィアの信頼関係なら、超強力な“とっておき”を繰り出せたことも頷ける。

お互いを守ろうって想いが、お互いを強くしたってことなのかな。


 セレナ 「ありがとう、ニンフィア。私、嬉しいよ……」


ニンフィアのボールを撫でながら、セレナは優しく呟いた。

きっとその想い、ニンフィアに届いてると思う。セレナの優しさ、きっとみんな、噛みしめてると思う。


 サトシ 「へへっ、やっぱり良いコンビだな、セレナとニンフィア」

 セレナ 「ありがとうサトシ。でも、テールナーとヤンチャムだって、私の大切なパートナーよ」

 サトシ 「あぁ!」

 ピカチュウ 「ぴかぴっか」



やっぱりセレナは強い。

それはバトルじゃなくて、精神面での強さ。

オレも見習わないと。オレもセレナみたいに、もっともっと、強くならないとな!

 ▼ 255 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/29 00:23:00 ID:cWJBCVpo [10/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「……ちょっと小降りになってきたな」

 セレナ 「あ、うん。この様子だと、雨、なかなか止みそうにないね」

 サトシ 「どうする? 小降りのうちに帰った方が良いか?」

 セレナ 「う〜ん……、そうだね。待ってても止む保証は無いし」

 サトシ 「じゃあ帰るか。みんなをポケモンセンターに連れて行かないとな」

 セレナ 「うん」

 サトシ 「じゃあ……ほら」

 セレナ 「ぁっ……///」


帰るにしても、セレナは完全に回復した訳じゃない。まだ痺れが抜け切れてないかもしれないし、オレがサポートしてあげないと。

オレは手を差し出して、セレナの手を握る。

そして、優しく引き起こした。今度は無事に立ち上がれた。


 セレナ 「ありがとう」

 サトシ 「体、大丈夫か?」

 セレナ 「うん。ほとんど痺れは取れたし、これもピカチュウのお陰よ?」

 ピカチュウ 「ぴぃか」
 ▼ 256 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/29 00:24:01 ID:cWJBCVpo [11/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「でも無理しちゃダメだぜ?」

 セレナ 「えっ?」


オレは、セレナの手を放さない。放しちゃ いけない気がしたから。


 サトシ 「このまま行こうぜ。辛くなったら、いつでもオレに体重かけて良いからな」

 セレナ 「ぁっ……うん!」


こうしてれば、万が一 ふらついても、セレナを支えてあげることが出来る。

本人は大丈夫って言ってるけど、オレがセレナを、最後まで守ってあげないとな!




 サトシ 「あっ……とそうだ! セレナごめん! 自転車、壊しちまったんだ」

 ピカチュウ 「ぴか……」

 セレナ 「自転車……いいのいいの。ずっと乗ってなかった古いやつだし、気にしないで」

 サトシ 「そうか?」

 セレナ 「うん。それに……」
 ▼ 257 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/29 00:24:28 ID:cWJBCVpo [12/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「それに?」

 セレナ 「ううん、なんでもない」 ギュッ


セレナは そう言うと、オレの手を握り返してくれた。

そして、ほんの少しだけ、オレの傍に寄り添ってくれた。


 セレナ 「行こ、ポケモンセンター」

 サトシ 「あぁ!」



果たしてセレナが何を言いかけたのか、オレには分からないし、“なんでもない”って言ってる以上、聞きだすことでもない。

でもセレナの反応を見るに、決して悪いことじゃないと思う。むしろ、何故か喜んでるような……?


まぁ、喜んでるんなら結果オーライだよなっ。


オレとセレナは、小雨の降る しっとりとした森の中を、ポケモンセンターに向けて歩き出した。





 ▼ 258 ルケニオン@きれいなハネ 17/04/29 00:25:00 ID:/FdWYotU NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 259 ンタロス@ゴッドストーン 17/04/29 00:26:13 ID:ZLo2fMvU NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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 ▼ 260 ノプス@アイスメモリ 17/04/29 15:14:15 ID:YB5z4zjM NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
こっちも支援!
 ▼ 261 ォッコ@ファイヤーメモリ 17/04/29 17:44:01 ID:gl6QwbEQ NGネーム登録 NGID登録 報告
へへっ、勃てたじゃん!
支援
 ▼ 262 ルーラ@ポケモンのふえ 17/05/01 10:12:23 ID:YrXJLL8E NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 263 エンジシ@ドラゴンメモリ 17/05/03 16:24:03 ID:BcpZskIA NGネーム登録 NGID登録 報告
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 ▼ 264 ンリュウ@とつげきチョッキ 17/05/06 08:34:05 ID:tD.PKQA2 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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 ▼ 265 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/05/08 23:48:45 ID:3Yf6NBRA [1/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


【 2-11 】


あの後――。

ポケモンセンターに着いたオレたちは、ピカチュウたちを回復に預けた。

そして、セレナが“しびれごな”と“エナジーボール”を受けたことをジョーイさんに伝えると、念のため検査入院することになった。

オレとしては その方が安心だし、検査入院と言っても1日泊まって様子を見るだけらしいから、特に心配するようなことじゃ無いらしい。


セレナは すぐに病室に移動してしまったので、オレは普通にポケモンセンターに泊まることにした。

流石に誰も居ないセレナの家に泊まる訳にはいかないし、翌日すぐにセレナと合流するには、これが一番だった。



翌日、オレたちは、ジュンサーさんの取り調べに付き合うことになる。

セレナがルイナのポケモンから直接攻撃を受けたことを、ジョーイさんがジュンサーさんに通報したからだ。

捜査への協力は惜しまないけど……、もうすぐセレナと お別れになる貴重な時間を割くのは、正直あんまり良い気は しなかった。


その取り調べに半日以上かかって、日が傾き始めた頃、ようやくオレたちは解放された。

まぁ、どのみちハルキとルイナのことはジュンサーさんに知らせなきゃいけなかったから、仕方ないと言えば仕方ないか。
 ▼ 266 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/05/08 23:49:16 ID:3Yf6NBRA [2/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「もう こんな時間か〜」

 セレナ 「せっかくアサメに来たのに、こんなことになっちゃうなんてなぁ……」

 サトシ 「仕方ないさ。これでハルキとルイナも指名手配されるんだし、ポケモンたちのことを考えれば無駄にはならないよ」

 セレナ 「うん……そうだよね」


1日経ったけど、やっぱりハルキとルイナのことは許せない。

きっとこれからも、ハンターが捕まえたポケモンを横取りするって言う最低な行為を繰り返すと思う。

指名手配されることで、少しでも そんな被害が減ってくれれば良いけどな。


 サトシ 「サキさん、もう帰ってるよな」

 セレナ 「そうね。じゃあ早く帰ろうよ。もともとは、ママがサトシに お礼したいって話だったんだから」

 サトシ 「そうだったな。けどセレナ、体の方、ホントにもう大丈夫なんだよな?」

 セレナ 「うん。痺れも完全に取れたし、“エナジーボール”の痛みも、もう感じないし」

 サトシ 「そっか。良かった」

 セレナ 「ありがとうサトシ、心配してくれて。ピカチュウもね」

 サトシ 「あぁ」

 ピカチュウ 「ぴっか」
 ▼ 267 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/05/08 23:50:01 ID:3Yf6NBRA [3/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
セレナの家に着いた時には、もう18時をまわっていた。

玄関を入ってすぐに感じる、美味そうな匂い。サキさん、夕飯 作ってくれてたみたいだ。


 サキ 「おかえりなさい。それに、いらっしゃい、サトシ君」

 セレナ 「ただいま、ママ」

 サトシ 「お邪魔します!」

 サキ 「あら? 珍しいわね。セレナがその服を着るの」

 セレナ 「あっ……うん、まぁね」

 サキ 「……ふふっ。お夕飯の準備できてるわよ。手を洗ってらっしゃい」

 セレナ 「はーい。サトシ、こっちよ」

 サトシ 「あぁ。オレもう腹ペコペコだよ〜」

 セレナ 「ふふっ。そう言えば、お昼ご飯ちゃんと食べなかったもんね」



そしてすぐに始まった夕食。サキさんの料理は どれも美味しくて、会話が弾む。

これまでの旅の話で盛り上がりながら、夕食の ひとときは、あっという間に過ぎ去った。
 ▼ 268 ータクン@パークボール 17/05/09 00:12:06 ID:9R6uofUM NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 269 ヌギダマ@GBプレイヤー 17/05/09 07:36:00 ID:MvR9keAQ NGネーム登録 NGID登録 報告
こっちも支援!
 ▼ 270 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/05/12 00:29:40 ID:fZ7XG6U2 [1/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


夕食後、セレナのポフレ(人間用)を食べながらの お茶が済んだところで、サキさんが風呂を入れてくれた。


 サキ 「お風呂入ったから、セレナ、先に入って来なさい」

 セレナ 「え? そういうのは お客さんのサトシからだよ」

 サトシ 「あ、いやオレは後でも全然いいけど」

 サキ 「なに言ってるの。セレナが先に入っておかないと、サトシ君が お風呂から出た後に退屈しちゃうでしょ?」

 セレナ 「あっ……そっか。じゃあ、悪いけど先に入るわね」

 サトシ 「あぁ」

 セレナ 「……ママ、サトシに変なこと言わないでよ?」

 サキ 「なによ変なことって」


セレナは2階に上がって行った。

多分、自分の部屋から着替えを持ってきて風呂に入るんだろう。


リビングに残ったのは、オレとサキさん、それにピカチュウだけ。
 ▼ 271 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/05/12 00:30:20 ID:fZ7XG6U2 [2/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


 サキ 「改めてサトシ君。今までセレナと一緒に旅してくれて、本当にありがとう」

 サトシ 「いえ。元はと言えば、オレの方からセレナを旅に誘ったんですし」

 サキ 「そうみたいね。あの子、普段は男の子と遊んだりしなかったから驚いちゃったわ」

 サトシ 「そうだったんですか。あ、でもオレ、昔セレナと会ってたので、一応、知り合いみたいなものだったんです」

 サキ 「あらそうなの?」

 サトシ 「はい。オーキド博士のサマーキャンプの時に……」

 サキ 「サマーキャンプ……」

 サトシ 「その時に、怪我したセレナをオレが助けたみたいで。セレナに言われるまで、ずっと忘れてたんですけどね」

 サキ 「そう言えばセレナ、帰りの飛行機の中で“カッコいい男の子に助けて貰った”って言ってたの。サトシ君のことだったのね」

 サトシ 「多分そうです。あの後オレ、すぐ森に戻っちゃったから、セレナと話したのは それっきりで」

 サキ 「そうだったんだ〜。あの時のセレナ、ずっと泣いてたから、飛行機で聞くまで、何があったのか知らなかったの。サトシ君には、なんだか色々とお世話になったったみたいね」

 サトシ 「いやぁ、でもセレナと また会えるなんて、思ってもいませんでした」
 ▼ 272 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/05/12 00:31:00 ID:fZ7XG6U2 [3/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サキ 「ふふっ。きっとセレナも思ってるでしょうね。どう? 旅の途中、セレナが迷惑かけたりしなかった?」

 サトシ 「そんな全然! セレナすっごい気が利くし、ポフレや料理は上手いし、バトルのヒントとか、色々教えて貰ったし。な、ピカチュウ?」

 ピカチュウ 「ぴかぴっか」

 サキ 「良かった。セレナって飽きっぽい性格だから心配してたの。旅の経験だって無いのに、いきなりサトシ君たちと一緒に行くって言いだすんだから……」

 サトシ 「でも、少なくともオレ、セレナが“飽きっぽい”って感じたこと、一度もありませんでしたよ?」

 サキ 「そう?」

 サトシ 「はい。最初の頃は、これから行く街の面白い情報を調べてくれたりで、本当に旅を楽しんでる感じで。でも途中の……、サマーキャンプくらいから、自分に夢が無いことを焦ってたみたいで」

 サキ 「そっか……。そんなに早くから、セレナ、自分の夢のこと考えてたのね」

 サトシ 「でもセレナ、ちゃんと夢を見つけられたんです。サキさんも見てましたよね、セレナの晴れ姿」

 サキ 「えぇ。メェール牧場で“ポケモンパフォーマーになりたい”って聞いた時は、ここまで立派になるとは思ってなかったわ。あんな失敗もしたのに……」

 サトシ 「……ヒヨクシティのポカロンのことですか?」

 サキ 「えぇ。初めてのステージで、あんな大失敗しちゃって……、立ち直れないんじゃないかって心配したもの」

 サトシ 「セレナは強いですよ」
 ▼ 273 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/05/12 00:31:30 ID:fZ7XG6U2 [4/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サキ 「えっ?」

 サトシ 「セレナは強いです。だってセレナあの時、オレたちに辛そうな顔、全然 見せなかったんです。それって凄いことだなって」

 サキ 「サトシ君……」

 サトシ 「オレ、ウルップさんに負けて悩んでた時、セレナに当たっちゃったんです。でもセレナは全然そんなこと無くて、負けをバネにして、もっともっと頑張ろうって。……オレ、セレナの強さは見習わなくちゃって思ってるんです」

 サキ 「そうだったの……」

 サトシ 「オレがこんなこと言うのもアレですけど、セレナはサキさんが思ってる以上に頑張ってます。セレナ、この旅で すげぇ成長したんですよ」

 ピカチュウ 「ぴぃっかちゅぅ」

 サキ 「……ふふっ」

 サトシ 「サキさん?」

 サキ 「セレナの一番近くに居てくれたサトシ君が言うんだもの。間違いないわよね」

 サトシ 「あっ……はい!」

 サキ 「分かってるわ。セレナが成長したってこと。マスタークラスの“やり切った感”もそうだし、復興のステージも、すっごく活き活きしてたし」

 サトシ 「あのステージ、セレナが提案したんです。自分も誰かの役に立ちたいって」

 サキ 「そうみたいね。……セレナがこんなに成長できたの、きっとサトシ君の お陰よ」
 ▼ 274 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/05/12 00:32:00 ID:fZ7XG6U2 [5/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「いえ、オレは何にも」

 サキ 「ううん。セレナが旅に出たの、きっとサトシ君に会いたかったからよ。セレナが旅に出るキッカケ……、セレナが成長するキッカケを作ってくれたのは、サトシ君に他ないわ」

 サトシ 「オレに会いたかったから……?」

 サキ 「だってセレナ、あのサマーキャンプの後ね、ことあるごとに、サトシ君のハンカチを眺めてたの。サトシ君に助けて貰ったこと、よっぽど嬉しかったみたいね」

 サトシ 「そっか……。なのにオレ、セレナに言われるまで そのこと忘れてて……。セレナに悪いことしちゃいましたね」

 サキ 「いいのよ。こうしてサトシ君たちと旅できて、色んなことを学べて、それに、自分の夢も見つけて。全部サトシ君の お陰だわ。本当にありがとう。セレナを旅に誘ってくれて」

 サトシ 「へへっ。オレの方こそ、セレナと旅できて良かったです。オレだってセレナから、色んなことを学びました」

 サキ 「そう言って貰えると私も鼻が高いわ」

 サトシ 「正直オレ、名残惜しいんです。一緒に旅してきたみんな――、セレナ、シトロン、ユリーカと別れるの。前向きな気持ちにならなくちゃいけないのに」

 サキ 「それはきっと、みんな同じよ。そのこと、是非セレナにも言ってあげて。きっと喜ぶわ」

 サトシ 「……はい!」

 ピカチュウ 「ぴっか!」

 サキ 「ふふっ。幸せね、セレナは」

 ▼ 275 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/05/12 00:32:30 ID:fZ7XG6U2 [6/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


 セレナ 「お待たせサトシ。お風呂あいたわよ」


セレナが風呂から出てきた。

いつものピンク色のパジャマに、バスタオルを首から下げている。


 サキ 「サトシ君のタオル、お風呂の脇に用意してあるから使ってね」

 サトシ 「あっ、はい。ありがとうございます」

 セレナ 「ゆっくり入って来てね」

 サトシ 「あぁ、サンキュー。行くぞピカチュウ」

 ピカチュウ 「ぴかぴか」


オレはセレナと入れ替わりで、風呂に向かった。


廊下を挟んだ扉の向こうにある風呂の入口の脇には、青いタオルが綺麗に畳んで置かれていた。

オレは着替えを確認して、風呂の扉を開けた。
 ▼ 276 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/05/12 00:33:00 ID:fZ7XG6U2 [7/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


 サトシ 「ふぅ……」

 ピカチュウ 「ぴかぁ〜」


セレナの家の風呂は、そこそこ広かった。

体をシャワーで流してから、ゆっくりと湯に浸かる。

ポケモンセンターのユニットバスとは比べ物にならない――、足を伸ばして浸かれる広さがあると、体も気持ちもゆったりできる。


 サトシ (オレに会うために旅に出た――、か)


サキさんは、そう言った。

セレナは あのサマーキャンプの後も、ずっとオレのことを覚えててくれていた。

なのにオレ、セレナを助けたことなんて すっかり忘れてて……、そう言えば、セレナのこと覚えてないって謝った時、セレナ、けっこうガッカリしてたっけ。

それでもって、セレナのこと思いだした時は、すげぇ嬉しそうな顔してたっけ。
 ▼ 277 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/05/12 00:33:33 ID:fZ7XG6U2 [8/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「考えてみると、奇跡的な再会だよなぁ」

 ピカチュウ 「ぴか?」

 サトシ 「ん? オレとセレナって、お前と会う前に知り合ってたんだぜ。特別 仲が良い奴で そういう関係って、他にシゲルくらいしか居ないよな〜」

 ピカチュウ 「ぴぃっか」

 サトシ 「なんだろう。オレ、そんな深く考えないでセレナを旅に誘ったけど、頭の中のどっかで、セレナの記憶があったのかもなぁ」


そんなことを考えると、何故だか もうすぐ訪れる別れが辛くなってくる。

お互い夢に向かって歩き出すんだから、前向きに、明るい別れにしなくちゃいけないのに。


 サトシ (気持ちの整理、付けないとな……)


オレはバシャッと顔を洗う。

こんなこと考えるの、オレらしくない。今までの旅だって、いつも前向きに終わってたじゃんか。


 サトシ (最後の最後まで、この時間を大切にしないとな……)


 ▼ 278 レザード@じめんのジュエル 17/05/12 07:52:12 ID:V2pCi.WE NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 279 ース@フラットコール 17/05/12 19:37:22 ID:ZEUgE/D6 NGネーム登録 NGID登録 報告
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 ▼ 280 ッコウガ@ガブリアスナイト 17/05/14 00:11:39 ID:A47wdYds NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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 ▼ 281 エルオー@きあいのハチマキ 17/05/20 07:35:25 ID:xrd9I6jE NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 282 ドキング@ミストシード 17/05/20 23:59:26 ID:1lg41DoY NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
(°∀° シエン)
 ▼ 283 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/05/22 23:30:10 ID:p9yD8rgA [1/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


【 2-12 】



 サキ 「サトシ君もセレナも、そろそろ寝た方が良いんじゃない?」


風呂から上がってリビングで寛いでいると、サキさんが言った。


 セレナ 「あっ……もう こんな時間なんだ」

 サトシ 「ホントだ。ピカチュウ寝ちまってるし、オレたちも そろそろ寝るか」

 ピカチュウ 「zzz...」

 セレナ 「うん。明日も早いもんね」

 サキ 「サトシ君の部屋、用意してあるからね。セレナ、2階の奥の部屋、案内してあげて」

 セレナ 「うん。行こうサトシ。おやすみママ」

 サトシ 「ありがとうございます。おやすみなさい」

 サキ 「おやすみなさい。ゆっくり休んでね」
 ▼ 284 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/05/22 23:30:40 ID:p9yD8rgA [2/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
セレナに案内されて、2階に上がる。

廊下には3つの扉があって、うち1つがセレナの部屋だろう。


 セレナ 「向こうがサトシの部屋よ」

 サトシ 「サンキュー。じゃあセレナ、おやすみ」


オレの部屋は右奥の扉らしい。

眠っているピカチュウを起こさないように、静かに部屋に向かおうとすると、セレナがオレを呼び止めた。


 セレナ 「……待って」

 サトシ 「どうした?」


セレナは自分の部屋の前で立ち止まったまま、なんだかモジモジしている。


 セレナ 「あっ……えっと、もし良かったらそのっ……、もう少しだけ、一緒に話さない?」


そして、意を決したかのように口にした。

なんだ、一緒に話すくらい、全然オッケーなのに。
 ▼ 285 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/05/22 23:31:20 ID:p9yD8rgA [3/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「あぁ良いぜ。でもピカチュウ起こすの可哀想だから寝かせて来るよ。話すのセレナの部屋で良いか?」

 セレナ 「ぁっ……うん」



オレは用意された部屋に入る。

客間なのか、家具は ほとんど置かれていない。

ベッドにはシーツと掛布団が綺麗に敷かれていて、オレはピカチュウを、その中央より少し隅に寝かせた。


 サトシ 「ゆっくり休んでろよ、ピカチュウ」

 ピカチュウ 「zzz...」 (サトシも ゆっくりね ☆)






部屋の電気を消して廊下に出ると、セレナが自分の部屋の戸を開けて待っていた。

少し恥ずかしそうな表情を見せるセレナは、笑顔で手招きしてくれている。


 サトシ 「お邪魔するぜ」

 セレナ 「うん」
 ▼ 286 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/05/22 23:32:00 ID:p9yD8rgA [4/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


 サトシ 「へぇ〜これがセレナの部屋か」


セレナの部屋は、とても女の子らしい部屋だった。

今までの旅でもセレナの“女の子らしさ”は実感してたから、ある意味、想像通りの部屋ってことになる。

ピンク色の絨毯とカーテン、壁紙もピンク系。モンスターボール型のミニテーブルと勉強机。大きな鏡もまた、お洒落好きなセレナらしいアイテムだ。


 サトシ 「おっ、フシギダネ!」


そしてベッドには、バチュルとフシギダネの ぬいぐるみが置かれていた。


 セレナ 「フシギダネって、カントー地方の初心者ポケモンよね」

 サトシ 「あぁ。オレ野生のフシギダネをゲットしててさ、オーキド博士の研究所に居るんだ。元気してるかな〜」

 セレナ 「ふふっ。いつかサトシのポケモンみんなに会ってみたいな。……あ、座ってサトシ」

 サトシ 「おぉ」
 ▼ 287 タドガス@しろいハーブ 17/05/23 07:00:51 ID:QKjXCh.6 NGネーム登録 NGID登録 報告
支援!
 ▼ 288 マゲタケ@こだわりスカーフ 17/05/23 07:44:27 ID:gp6cfoi. NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 289 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/05/24 21:32:10 ID:zieruN.Y [1/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
絨毯に腰を下ろして、改めてセレナの部屋を見回してみる。

綺麗に整理整頓されてるけど、セレナは今までオレたちと旅してたんだから、サキさんが ちゃんと掃除してくれてた証拠だ。

ドア横の大きめの扉はクローゼットかな。きっとセレナ、色んな洋服を持ってるんだろうな。


 サトシ 「綺麗な部屋だな」

 セレナ 「あっ、うん、ありがとう。そのっ……、初めてなんだ、男の子、私の部屋に招待するの……///」

 サトシ 「そうだったのか。サンキューな」

 セレナ 「うん。サトシだけは特別っ」


オレだけ特別……、確かに、あんまり親しくない相手は自分の部屋に入れたくないもんな。

オレ、ちゃんとセレナから信頼されてるってことだよな。それを実感できて何だか嬉しい。


 サトシ 「早いよな。カロスに来たの、つい最近のことみたいに感じるのに」

 セレナ 「……うん。私も あっという間に感じたな。サトシたちとの旅」
 ▼ 290 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/05/24 21:32:41 ID:zieruN.Y [2/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「セレナ、ありがとな」

 セレナ 「えっ?」

 サトシ 「思い返してみるとさ、オレ、セレナに色々助けて貰ったなって」

 セレナ 「そんな。私は何にも……」

 サトシ 「いや。セレナはジム戦のヒントとかくれたし、それに、ウルップさんに負けた後、オレの目を覚ましてくれたのはセレナだよ」

 セレナ 「ぁっ……」

 サトシ 「正直、セレナが居なかったら、カロスリーグに出れてたか怪しいんじゃないかって。ホント、ありがとな、セレナ」

 セレナ 「ううん。私の方こそ そのっ……、あの時、サトシに酷いこと言っちゃって……、まだ謝ってなかったよね。ごめんなさい」

 サトシ 「いや、オレの方こそ ごめんな。せっかくセレナが心配してくれてたのに、オレそんなこと全然考えなくて、怒鳴っちまって」


思い返すと、オレは あのとき初めて、セレナと言い争ってしまった。

ショータに負けて、ウルップさんに負けて、ゲッコウガの絆現象を出せなくて……。

焦ってたとは言え、セレナを怒鳴っちまったことの理由になんてならない。

わざわざ雪の中を追って来て、オレの力になりたいって言ってくれたセレナに対して、最低なことをしてしまった。
 ▼ 291 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/05/24 21:33:12 ID:zieruN.Y [3/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 セレナ 「そんな……、だってあの時は、サトシが私のりそっ……ぁっ、そのっ……」

 サトシ 「ん?」

 セレナ 「えっと……あのね。あの時……私、自分の理想を、サトシに押し付けちゃって……」

 サトシ 「理想?」

 セレナ 「今まで旅してきて、サトシは……、私の見てきたサトシは、いつも前向きでポジティブで優しくて……、悩んだり思い詰めたりするイメージ、全然無かったの。だから、あの時のサトシを見て、私、信じられなかったって言うか……、そのっ……」

 サトシ 「……そっか」


だからセレナあの時、“今のオレはオレらしくない”って。

涙を見せてまで言った理由、そういうことだったのか。

単にオレらしさが どうこうじゃなくて、セレナの理想のオレの姿が、あまりにも情けなかったから……。


 セレナ 「だから私、つい……」

 サトシ 「ごめんな」
 ▼ 292 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/05/24 21:33:43 ID:zieruN.Y [4/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 セレナ 「サトシ……?」

 サトシ 「セレナ、そんなにオレのこと心配してくれて、オレのこと想ってくれて……、なのに、そうだよな。あんな姿を見せちまったら、雪玉投げられて当然だぜ」

 セレナ 「ぁっ……、そのことも、ごめんなさい」

 サトシ 「いやいや! 謝る必要なんて無いぜ? オレ、そのお陰で目が覚めたし、あのスランプから抜け出せたのはセレナの お陰なんだからさ!」

 セレナ 「そう……かな」

 サトシ 「断言するぜ。セレナのお陰でオレ、立ち直れたんだ」

 セレナ 「……ふふっ。うん、そう言って貰えると嬉しいな」

 サトシ 「へへっ」


セレナの前で恥ずかしいとこ見せるのは、ビオラさんとのジム戦が最後だって、オレは いつの間にか思っていた。

けど、結局オレは、まだまだ未熟だったってことだ。

それこそ、ポカロンで失敗しても弱みを全く見せなかったセレナの方が、オレなんかより ずっと立派で、ずっと強い。

そのことを気付かせてくれたことも、セレナには感謝しなくちゃいけないな。
 ▼ 293 チャブル@メトロノーム 17/05/24 21:37:59 ID:GhJiDqeE NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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 ▼ 294 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/05/28 01:31:50 ID:aDpz9k2k [1/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 セレナ 「私の方こそ、サトシには感謝してもしきれないよ」

 サトシ 「そうか?」

 セレナ 「うん。旅に誘ってくれたことでしょ、色んな経験をさせて貰ったこと、それに、いつも私を励ましてくれたこと……。サトシへの感謝、いっぱいあるんだから」


セレナは笑顔で言った。

その真っ直ぐな笑顔に、なんだかオレは嬉しくなった。


 サトシ 「頑張ってるセレナを励ますのは当然だろ? セレナだって、いつもオレのこと応援してくれたし」

 セレナ 「ふふっ。でもね、サトシが応援してくれたから、私、ここまで成長できたって思うんだ。ポカロンも、自分自身も」

 サトシ 「なに言ってんだよ。それはセレナが凄ぇ頑張ったからだろ?」

 セレナ 「ううん。違うの」

 サトシ 「違う?」

 セレナ 「私が頑張れたのは、サトシの お陰。サトシには実感ないかもしれないけど、私ね、サトシが隣に居るだけで、頑張れたんだ」

 サトシ 「大袈裟だなぁ。オレは何もしてないぜ?」

 セレナ 「うん。……何もしてなくてもね、私、頑張れるんだ。サトシが居たから」
 ▼ 295 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/05/28 01:32:20 ID:aDpz9k2k [2/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
オレが居たから、か。

思い返してみると、夢とかの相談、よくセレナから聞いてたっけ。パフォーマンスの練習とか、ポフレの味見とか、傍に居てあげたっけ。

でもそれは、セレナの やる気と向上心が大きかったんじゃないかな。

セレナは、カロスクイーンになるって夢を見つけてから、目に見えて変わった。

“飽きっぽい”って言うサキさんの言葉が嘘に思えるくらい、セレナは一生懸命、特訓に励んでいた。

夢を目指すセレナの大きな気持ちが、セレナの頑張り、成長に繋がったんだと、オレは思っている。


オレが居たから頑張れたってのは、単に、いつもオレがセレナの傍に居たってだけの話さ。

そんなこと言ったら、むしろオレの方だって……。


 サトシ 「オレもさ、セレナが居てくれたから頑張れたって感じ、実は あるんだ」

 セレナ 「えっ?」


最初はハクダンジム攻略の時。

みんなとの特訓を思いださせてくれたのは、他でもない、観戦してたセレナの必死の叫びだった。
 ▼ 296 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/05/28 01:32:50 ID:aDpz9k2k [3/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「最初の頃のジム戦さ、セレナの言葉が突破のヒントになったこと、けっこうあったんだぜ。コルニとのジム戦も、オレのリズムを気付かせてくれたし」

 セレナ 「ぁっ……、そんな、私は何にも」

 サトシ 「セレナは そう思うかもしれないけど、オレは凄ぇ感謝してる。それで段々さ、セレナのヒント無しでも、しっかりジム戦で勝ってやろうって。そう思って挑んでたんだ」

 セレナ 「サトシ……、そうだったんだ」


セレナを旅に誘ったのも、ハクダンジムでの助言があったから。

そんなセレナと一緒に居れば、ジム戦で心強い――、そんな単純な理由だったけど、だんだんオレは、セレナ任せじゃダメだって思えてきて。

応援してくれてるセレナに誇れるようなジム戦にしなきゃって、考えを改めるようになって。


 サトシ 「それってさ、セレナが傍に居てくれた お陰だよ。エイセツジムは別だけど、今までのジム戦を割とスムーズに突破できたのは、セレナの お陰なんだ」

 セレナ 「……ふふっ。なんだか照れくさいよ」

 サトシ 「……へへっ。オレだって こんなこと言うの恥ずかしいぜ? でも、2人の時じゃなきゃ、伝えるチャンスは無いかなって」

 セレナ 「ふふっ。そうだよね、私もっ」


隠して来た訳じゃないけど、こうやって2人きりで、面と向かって伝えるのは、恥ずかしさがある。

これまで ずっと一緒だったセレナなら、もう何も包み隠さないで話せるけど、いざ本心を話すとなると、やっぱり照れ臭かった。
 ▼ 297 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/05/28 01:33:20 ID:aDpz9k2k [4/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「オレたち、知らないうちに お互いのこと助け合ってたんだな」

 セレナ 「うん、そうみたいだね。なんだか素敵だね、こういうのって」

 サトシ 「あぁ。……けどこれからは、そういう訳には行かないんだよな」

 セレナ 「……うん」


セレナとの お別れは、もうすぐそこに迫っている。

勿論、離れ離れになってもオレたちは仲間だ。

けど、隣で支えてくれるような状況は、もう終わってしまう。

これからは、お互い頼ってばかりじゃ居られない。新しいステージに踏み出さなくちゃいけないんだ。


 サトシ 「でもセレナなら大丈夫さ。成長したんだろ?」

 セレナ 「うん。色んな経験をして、家に居たままじゃ知らなかった、色んなことを学べたもん。旅のノウハウもね」

 サトシ 「それなら大丈夫だな。オレ、いつだってセレナのこと応援してるからさ。ホウエンでも頑張れよ!」

 セレナ 「うん。ありがとう。……サトシは、これからどうするの?」
 ▼ 298 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/05/28 01:33:50 ID:aDpz9k2k [5/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「そうだなぁ……、まだ分からないや。旅に出るかもしれないし、何か新しいことにチャレンジするかもしれない。どっちにしろ、ゼロからのスタートになるな」

 セレナ 「そっか。……でもサトシなら、どんなことがあっても絶対に大丈夫だよね。私の知ってるサトシは、どんなことがあっても諦めない、とっても強い人だもん」

 サトシ 「……へへっ。サンキューなセレナ。オレ、セレナと旅したこと、絶対に忘れないぜ」

 セレナ 「うん。私もサトシと旅したこと、ずっと忘れないよ。こんな素敵な経験、忘れるなんて無理だもん」

 サトシ 「あぁ」


そうさ。

セレナは一人でも大丈夫。

セレナの傍に居たオレだから言える、セレナは強いし、大きく成長したし、心強いパートナーも居る。

だから大丈夫。ホウエンの旅、上手く行くに決まってるさ!


 サトシ 「……じゃあそろそろ寝ようぜ。明日も早いしな」

 セレナ 「ぁっ……うん」

 サトシ 「それじゃ、おやすみセレナ」

 セレナ 「うん。おやすみなさい」

 ▼ 299 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/05/28 01:34:20 ID:aDpz9k2k [6/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
本当は もっとセレナと話したかったけど、明日は早いし、これからホウエンに旅立つセレナには、ゆっくり休んで貰いたい。

名残惜しさもあって、オレは柄でもなく、手を振りながら、セレナの部屋を後にした。


部屋に戻ると、ピカチュウは静かに寝息を立てていた。

オレはピカチュウを起こさないように、そっと布団に潜り込む。


 サトシ (“お互い助け合ってた”か……)


オレがセレナの存在に助けられてたように、セレナもオレに助けられてたと、セレナは言ってくれた。

思うに、それはセレナの強さ、一生懸命さによるところが大きいんだろうけど、少なくともセレナがオレを そういう風に見てくれてたんなら、素直に喜ばしいことだ。

それに、何だか誇らしい。オレの方から旅に誘ったセレナから、こんなに感謝されてるんだ。

誇らしいし、嬉しいし、セレナの人生を良い意味で変えることが出来たって言うんなら、それだけで、オレのカロスの旅は無駄じゃなかったって思えてくる。


 サトシ (良かった。最後にセレナと2人で話せて……)


セレナに感謝の気持ちを伝えることが出来た。そして、セレナの本心を聞けた。

本当に、良かった――。


オレは どこか安心して、眠りに着くことが出来た。
 ▼ 300 リマロン@みどりのプレート 17/05/28 01:39:12 ID:4s1VWprI NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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 ▼ 301 ガカイロス@きのみジュース 17/05/28 14:46:50 ID:5QCszxyY NGネーム登録 NGID登録 報告
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 ▼ 302 ルマユ@むげんのふえ 17/05/28 16:23:22 ID:tudZ1oFg NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ついに佳境か…
支援
 ▼ 303 タドガス@なんでもなおし 17/05/29 15:43:18 ID:HUFgU0sg NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 304 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/06/02 23:06:41 ID:YIZNhLys [1/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

翌朝。


 セレナ 「それじゃあママ、行ってくるね」

 サキ 「気を付けるのよ。今度は1人旅なんだから」

 セレナ 「分かってるわよ。それに、テールナーとヤンチャム、ニンフィアがついてるもん」

 サキ 「そうだったわね。たまには連絡するのよ」

 セレナ 「うん」

 サキ 「サトシ君も、マサラタウンまで気を付けてね」

 サトシ 「はい。お邪魔しました」

 サキ 「それと、今までセレナと一緒に旅してくれて、本当にありがとう」

 サトシ 「いえ、オレの方こそ、セレナと旅できて楽しかったです」

 セレナ 「ふふっ」

 サキ 「いつでも遊びに来てね。サトシ君なら大歓迎だから」

 サトシ 「はい!」

 セレナ 「じゃあサトシ、行こ」

 サトシ 「あぁ」
 ▼ 305 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/06/02 23:07:20 ID:YIZNhLys [2/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サキさんに別れを告げて、オレたちはミアレ行きのバス乗り場へと向かった。


オレならいつでも大歓迎――、か。

次にカロスに来るのは いつになるか分からないけど、またセレナと一緒に、あの草原で のんびり過ごしたいな。


そんなセレナは、新たな旅立ちに相応しいような、凛々しい表情をしていた。

きっとセレナ、ホウエンの旅を楽しみにしてるんだろうな。修行の旅だけど、自分の夢に近付くための旅でもあるんだから当然か。その気持ち、オレにもよく分かる。


 サトシ 「さて。シトロンとユリーカとも、今日明日で お別れだな」

 セレナ 「うん。寂しいけど、最後は楽しく、だよね」

 サトシ 「あぁ」






ミアレシティに着いたオレたちは、すぐシトロンとユリーカと合流して、最後の一時を過ごした。


夜はピカチュウたちも一緒に、豪華な夕飯で盛り上がった。

最後の晩餐、じゃないけど、こんな時に寂しい雰囲気は相応しくない。いつも通り笑顔を絶やさないで、オレたちは旅の思い出に花を咲かせた。
 ▼ 306 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/06/02 23:08:00 ID:YIZNhLys [3/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告










 そして、別れの時――。









 ▼ 307 プラス@きんのおうかん 17/06/02 23:09:42 ID:aNsDphmI NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 308 ュカイン@ゴーストメモリ 17/06/03 06:30:00 ID:vEz9p/5Q NGネーム登録 NGID登録 報告
こっちも支援
 ▼ 309 ジーロン@ミミロップナイト 17/06/04 09:40:56 ID:aHzjIfN. NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 310 ビビール@スペシャルアップ 17/06/05 17:09:49 ID:VeHmO2YA NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 311 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/06/05 23:21:00 ID:QLvR3v5c [1/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


【 2-13 】


 アナウンス 『ラティアス航空H71便、登場まもなく終了します。まだご搭乗されていないお客様は、お急ぎ下さいませ』


セレナの乗る、ホウエン行きの飛行機の時間が迫っている。

デデンネが逃げ出した時は どうなるかと思ったけど、成長したユリーカが、しっかりと自分の気持ちを伝えて、デデンネに伝わって、無事に解決できた。

ユリーカ、オレから見たらユリーカは、もう立派なデデンネのトレーナーだぜ?

とにもかくにも、最後は笑顔で お別れできそうだ。



 セレナ 「じゃあ行くわね」


搭乗口へは、エスカレーターを下りた先にある。

セレナの見送りは、このフロアまで。セレナと顔を合わせることが出来るのは、もう、ここまでなんだ。
 ▼ 312 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/06/05 23:21:30 ID:QLvR3v5c [2/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 セレナ 「サトシ、シトロン、ユリーカ。みんなから いっぱい貰ったわ。数えきれないくらい」


セレナは活き活きと、そう言った。

そのことが紛れない本心だと証明するかのように、気持ちの こもった言葉だった。


 ピカチュウ 「ぴぃかぴか!」

 シトロン 「たまには連絡くださいね」

 ユリーカ 「セレナ、必ず会いに行くから、待ってて!」

 セレナ 「うん」


オレだって、セレナから色んなモノを貰っている。

そのことを伝えようと口を開きかけた時、セレナは言葉を続けた。


 セレナ 「サトシ、私、旅に出て本当に良かった。貴方は私の目標よ」

 サトシ 「ぁっ……」
 ▼ 313 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/06/05 23:22:00 ID:QLvR3v5c [3/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
そんなセレナの言葉に、オレは思わず言いかけたことを呑みこんだ。

オレがセレナの目標――、目標。

この旅で初めて聞いた彼女の言葉が、何故だかオレの心に響く。

セレナはオレを目標にしてくれる――。

オレの方がセレナの強さを見習いたいくらいなのに、そんなセレナが、オレを目標にしてくれる。


なんだか たまらなく嬉しい気持ちが湧きあがって来た。


 セレナ 「次に会うまでに、もっともっと魅力的な女性になるから」

 サトシ 「あぁ!」


オレはセレナに、ガッツポーズを返した。

セレナは今でも魅力的なパフォーマンスをしている。それに もっともっと磨きをかけるって言うんだから、相当な覚悟が、セレナには あるんだろうな。

オレを目標にして、そんなパフォーマンスの高みを目指してくれるって言うんなら、オレ、すげぇ嬉しいよ、セレナ。


 セレナ 「それじゃあ」
 ▼ 314 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/06/05 23:22:30 ID:QLvR3v5c [4/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
そしてセレナは、搭乗口へと続く下りエスカレーターに進んだ。


セレナとは昨日いろいろ話せたとは言え、いざ お別れってなると、やっぱり寂しい。

今まで何度も旅に出て、沢山の仲間との出会いと別れを繰り返して来たけど……、なんだろう、セレナとの別れは、なんだか特別な気がする。

サマーキャンプからの付き合いだったからなのか、オレの目を覚まさせてくれた存在だからなのか、とにかく、何かが違うんだ。


そんな気持ちからか、オレは思わず一歩前に出て、下って行くセレナの背中を見送った。


また会えるさ。


今回だって、こうやって再会できたんだ。いつかまた、きっと会える。

その時までにオレだって、バトルの腕を磨いて、夢に近付いてるからな。

楽しみにしてるぜ、セレナ。



   セレナ 「サトシ、最後に一つ良い?」


 ▼ 315 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/06/05 23:23:00 ID:QLvR3v5c [5/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


 サトシ 「ん?」


……と、セレナは振り返って、オレを呼んだ。

突然だったから素の反応になっちまったけど、セレナが何を言うのか予想する間もなく、セレナはエスカレーターを駆け上がって来た。


眩しいくらいの笑顔で。

そして、何かを決心したかのような、真っ直ぐの瞳で。

少しだけ、顔を赤く染めて。


 ▼ 316 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/06/05 23:23:30 ID:QLvR3v5c [6/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告



登り詰めたセレナは、オレの両肩に、手を添えた。



とても恥ずかしそうなセレナの表情が目に映る。



綺麗な髪を揺らしながら、セレナの顔が、オレの顔に近付いてくる。



セレナは少しだけ顔を傾けて、目を瞑る。



とっても女の子らしい動き。そんなセレナの全てを、オレは受け入れる。頭が、体が、そう決意していた。





そしてそのまま――。




 ▼ 317 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/06/05 23:24:00 ID:QLvR3v5c [7/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告





セレナの唇が、オレの唇と重なった。





そっと、静かに、ゆるやかに。



その瞬間オレは、空港の雑踏が掻き消されるような感覚に囚われる。



たった一瞬のことで、驚いたと同時に、なんだか心がスーッと晴れ渡るような気がした。




 ▼ 318 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/06/05 23:24:30 ID:QLvR3v5c [8/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


エスカレーターの流れで、セレナは下って行く。


まるで いたずらしたかのような表情のセレナは、顔を染めて、しばらくオレを見つめていた。

オレは そんなセレナを、ただ呆然と見送ることしか出来なかった。

なにせ、心の準備が全く無い中での、女の子からのキスだったんだから。



 セレナ 「ありがとうっ!」



そしてセレナは、半分くらい下ったところで、大きな声で言った。

顔は赤く染めたままだけど、とても眩しい笑顔、とても明るい声で、オレに言った。


オレは我に返る。

セレナの不意打ちから、そんなセレナの仕草によって、解放されたんだ。
 ▼ 319 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/06/05 23:25:00 ID:QLvR3v5c [9/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


 サトシ 「じゃあなーセレナー! 頑張れよー!」



すかさずオレは、セレナに負けないくらいの笑顔、負けないくらいの声で、セレナにエールを送った。

大きく手を振って、セレナに別れを告げた。



別れ?

いや、これはセレナの旅立ちだ。

別れなんて寂しいモノじゃない。旅立ちって言う、最高の瞬間なんだ。


セレナの旅立ちを見送れて、オレ、本当に良かったな。






 ▼ 320 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/06/05 23:26:01 ID:QLvR3v5c [10/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告





 ユリーカ 「セレナーーーーーー!」

 ピカチュウ 「ぴかぴかーーーーーー!」



セレナの乗った飛行機が飛び立つのを、オレたちは空港の展望デッキから見送った。

飛行機が見えなくなるまで、見送った。


 シトロン 「行っちゃいましたね」

 サトシ 「セレナは強いから、心配いらないさ。ホウエンで いっぱいパワーアップしてくる」

 シトロン 「そうですね」


セレナの強さを、オレは知っている。

自分では謙遜してたけど、でも確かにセレナは強いんだ。一緒に旅してきて、ずっとそばに居たオレだから、自信を持って言える。

そんな強いセレナなら、ホウエンでも大丈夫さ、絶対に。
 ▼ 321 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/06/05 23:27:00 ID:QLvR3v5c [11/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 シトロン 「僕も必ず なってみせます。ポケモンたちを幸せにする発明家に」

 サトシ 「あぁ」


シトロンの強さもまた、オレは知っている。

ジムリーダーとしてだけじゃない、心の中の強さ。

ミアレの平和のために、親友を犠牲にする選択を下せたシトロンなんだ、強くないはずがないのさ。

そんな強さがあれば、きっとシトロンの夢、叶うと思うぜ。



 シトロン 「出発まで、まだ時間がありますけど……」

 サトシ 「あぁ、どうすっかな」

 シトロン 「では最後に僕も、一つワガママ良いですか? どうしてもやりたいことがあるんです」


シトロンは、展望デッキの背後に視線を移す。

そこにあったのは、立派なバトルフィールドだった。
 ▼ 322 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/06/05 23:28:00 ID:QLvR3v5c [12/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 シトロン 「最後に もう一度、サトシと思う存分バトルが したかったんです!」

 サトシ 「臨むところだぜシトロン! 行くぞピカチュウ!」

 ピカチュウ 「ぴぃっかちゅう!」

 シトロン 「ホルビー、お願いします!」

 ホルビー 「ほぉっびぃ!」

 ユリーカ 「それじゃあバトルスタート!」


へへっ、そうこなくっちゃな、シトロン。

初めて会った時。ジム戦の時。オレたち、大切な場面でバトルしてきたもんな、ピカチュウと、ホルビーと。

最後を飾るに相応しい、良いバトルにしようぜ!









 ▼ 323 コドラ@シャラサブレ 17/06/06 05:58:50 ID:5QVhJd7o NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 324 ロマツ@やみのいし 17/06/06 08:57:01 ID:3g4VS9DM NGネーム登録 NGID登録 報告
こっちも支援!
 ▼ 325 オキシス@グラシデアのはな 17/06/07 19:27:13 ID:vhg4R.rk NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 326 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/06/08 19:47:00 ID:PcQ5Kouo [1/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告




【 3-14 】


最後の白熱のバトルを終えて、サトシはカントー行きの飛行機に乗り込んだ。

彼の乗る飛行機が夕焼けに溶け込んでいくのを、シトロンとユリーカは、いつまでも見送っていた。


 ユリーカ 「行っちゃったね、サトシも」

 シトロン 「うん」

 ユリーカ 「でもなんでだろう。私ね、心の中、すっごく暖かい感じなんだ」

 シトロン 「僕もだよ、ユリーカ」

 ユリーカ 「お兄ちゃんも?」

 シトロン 「あぁ。お別れは辛かったけど、サトシもセレナも、夢に向かって新しいスタートを切ったんだ。僕たちの心の中では、それを祝福する気持ちの方が大きいんだろうね」

 ユリーカ 「うん……そうだよね!」

 デデンネ 「でねねぇ」
 ▼ 327 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/06/08 19:47:30 ID:PcQ5Kouo [2/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
シトロンとユリーカ、それにデデンネは、笑いあった。

それは、これまでの旅が最高のカタチで終わりを迎えたことを、輝かしく証明していた。


 ユリーカ 「ねぇお兄ちゃん」

 シトロン 「なんだい?」

 ユリーカ 「セレナ、頑張ったって思わない?」

 シトロン 「それは……、ははっ。驚いたけど、確かにあれは、セレナの頑張りだったね」

 ユリーカ 「お兄ちゃんは、セレナがサトシのこと好きだって気付いてた?」

 シトロン 「いや、さっきのキスで初めて知ったな」

 ユリーカ 「鈍いんだから〜」

 シトロン 「まぁ、確かにセレナ、サトシの傍に居ると活き活きしてたし、相談事とか、サトシに することが多かったもんね。でも別れ際にキスとは……」

 ユリーカ 「ロマンチックだよね。セレナ、今まで あんなに恥ずかしがってたのに、どうしちゃったんだろう」

 シトロン 「そう言う意味でも、セレナは成長してたんじゃないかな」

 ユリーカ 「……ふふっ。良かったね、セレナ。最後にサトシに気持ち、伝えられて」

 シトロン 「そうだね」
 ▼ 328 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/06/08 19:48:00 ID:PcQ5Kouo [3/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ユリーカ 「お兄ちゃんも頑張らないと! お兄ちゃんのお嫁さん、絶対にユリーカがシルブプレしてあげるからね!」

 シトロン 「だからそれはダメ! 小さな親切大きなお世話です!」

 ユリーカ 「えへへっ」

 シトロン 「……じゃあ、帰ろうか。ジムの片付けも あと少しだし、シトロイドの調整もしないとね」

 ユリーカ 「うん!」


2人は とても軽やかな足取りで、ミアレジムへと帰って行った。


シトロンとシトロイドのミアレジム完全復活。

ユリーカの成長と兄の嫁探し。


ミアレ兄妹もまた、夢に向かって歩き出す。






 ▼ 329 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/06/08 19:51:00 ID:PcQ5Kouo [4/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告




【 2-14 】


オレを乗せた飛行機は、ミアレ空港を飛び立った。


シトロンとの最後のバトルは、お互いに一歩も引かない接戦だった。

ピカチュウ対ホルビーのバトルは、これで3回目。

戦法やスピード、行動パターンを お互い把握してる状況下のバトルは、一筋縄では行かない。だからこそ面白い。だからこそ楽しい。


カロスの最後を飾ったバトル相手がシトロンで、本当に良かったって思ってる。

またいつか、絶対バトルしようぜ、シトロン。


 サトシ 「ふぅ……」

 ピカチュウ 「ぴぃか?」

 サトシ 「あぁ。あっという間だったな、カロスの旅」
 ▼ 330 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/06/08 19:56:00 ID:PcQ5Kouo [5/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
今回の旅、ゲットした仲間の数は少なかったけど、その分みんなとの思い出は格別だ。

出会いがあって、別れが合って。


ゲッコウガとヌメルゴンは、それぞれ自分の役目を果たすために、カロスに残ったんだ。

寂しさはあるけど、2匹との別れは誇れるものだとオレは思ってる。


 サトシ 「さて。カントーまで長旅だぞ」

 ピカチュウ 「ぴっか」


窓の外を眺めると、綺麗な夕日が、水平線に広がっていた。

カロスで見る夕日も、これが最後。本当にこれで、カロスの旅は終わりなんだ。


オレは座席に座り直して、目を瞑る。


色んなことがあったけど、やっぱり思い返すのは、セレナのことだった。

 ▼ 331 クタス@ヒウンアイス 17/06/08 19:57:38 ID:gLot5h2s [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
萌えるぜ!
 ▼ 332 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/06/08 20:01:00 ID:PcQ5Kouo [6/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
まだ、さっきの感触が残っている。

セレナの唇が触れた時の、あの柔らかな、温かな感触が。


セレナはエスカレーターの流れに逆らってたから、当然、キスしたのは ほんの一瞬のこと。

それでも鮮明に、あの感触は記憶に残っている。


そして、その一瞬のことで、心がスーッと晴れ渡るような気がしたのも、事実だった。

別に それまでモヤモヤしていた訳じゃないけど、でも、セレナにキスされたことで、オレは安心感を得られたのだ。


 サトシ 「良かった……」

 ピカチュウ 「ぴか?」

 サトシ 「ん? あぁ、こっちのことだよ」

 ピカチュウ 「ぴぃか〜」
 ▼ 333 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/06/08 20:02:00 ID:PcQ5Kouo [7/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
昨日、一昨日、セレナと2人きりの時間を過ごして、オレは分かったことがある。


セレナから感謝されていたこと。

セレナと話してると楽しいってこと。

セレナとの別れが、何故だか無性に名残惜しいってこと。


セレナはオレのジム戦をサポートしてくれたし、何より、スランプから脱出させてくれた。

そんな、こっちこそ感謝してもしきれないセレナに対して、オレはエイセツシティで、酷いことを言ってしまった。

いくら焦ってたとは言え、自分でも、あれは最低な行為だったと痛感してる。


それに対して、謝ることは出来た。セレナも許してくれた。


けど、“本当に”許してくれたのか、実は不安だった。

旅の最後だから、気まずくならないように、形だけ、許してくれただけかもしれない。

優しいセレナに限って そんなことは無いとは思うけど、それだけオレは、セレナに最低なことをしたんだから、自信が無かった。
 ▼ 334 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/06/08 20:06:00 ID:PcQ5Kouo [8/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ (心が晴れた理由――、それなんだよな)


少なくともキスは、好きな相手にしかしない。

感謝や歓迎の気持ちを伝える、女の子なりの感情表現であると、オレは理解している。


セレナはオレに、キスしてくれた。


それは、セレナがオレのこと怒ってないって言う、確かな証明だった。

セレナはオレのことを許してくれて、その上で、オレに感謝してくれていた。


それは嬉しく、誇らしく、セレナに嫌われたんじゃないかって心配してた自分がバカに思えるくらい、安心できた瞬間だった。

もっと早く気付きたかったと思っても、今さら どうすることも出来ない。


ならオレは、次にセレナと会うまでに、もっとバトルの腕を磨かないと。

ホウエンで成長するであろうセレナに恥じないくらいに成長することが、オレの使命のようなものだ。


 サトシ 「オレたちも、もっともっと頑張ろうぜ! セレナに負けないくらいさ!」

 ピカチュウ 「ぴか! ぴっかぁ!」

 ▼ 335 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/06/08 20:11:00 ID:PcQ5Kouo [9/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告





【 夢に向かうセレナへ 】



旅に出てからしばらく、セレナ、自分に夢が無いって焦ってたよな。

そのことオレに相談してくれて、“焦ることない”ってアドバイスしか出来なかったけど、もしかして逆にプレッシャーになっちまってたか?

それでもセレナ、“ポケモンと一緒に見つける夢”、目を輝かせてくれてたっけ。


オレのこと頼りにしてくれるセレナの前で恥ずかしいところを見せないようにって、オレ、無意識のうちに思ってた節がある。

エイセツシティで、ショータとウルップさんに相次いで負けちまった時は、セレナに格好悪いとこ見せちまったな。

ゲッコウガとのシンクロが上手く行かなかったのもあるけど、焦ってた自分が情けなかったよ。


そんなオレをスランプから脱出させてくれたのは、他でもない、セレナだ。

“オレらしくない”ってセレナの言葉で目が覚めたよ。

セレナに酷いこと言っちまったのに、逆にオレはセレナに助けられて、有難いって言うか、申し訳なかった。


だからセレナからキスされて、セレナがオレのこと許してくれてるって分かって、すげぇ安心したんだぜ?
 ▼ 336 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/06/08 20:11:30 ID:PcQ5Kouo [10/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
これからセレナは、自分の見つけた夢を叶えるために、ホウエンに行くんだよな。

知らない土地での一人旅は、簡単なことじゃ無いと思う。

でも、それを決断する勇気がセレナには あったんだ。その勇気があれば、絶対に大丈夫さ。


オレもセレナの勇気と行動力を見習って、今後のことを考えようと思う。

また旅に出て、ジムを巡って、リーグ戦に出ることになると思うけど、オレも一人旅してみようかなって、少し思ってる。

どうなるかは まだ分からないけど、憧れのポケモンマスターになるために、オレもセレナみたいに、努力を積み重ねていくぜ。


次に会えるのは いつになるか分からないけど、それまで お互い頑張ろうな。

セレナなら大丈夫。セレナの強さはオレが よく知ってる。

辛いことがあっても、セレナなら乗り越えられる、強いセレナなら負けっこないよな?


セレナの夢、カロスクイーン、絶対掴み取れよ。

セレナは今、エルさんに一番近い位置に居るんだ。ホウエンの修行の旅の成果、エルさんやサナ、観客たちに、見せつけてやろうぜ。


頑張れよ、セレナ。

オレは いつだって、セレナのこと、応援してるからな!

 ▼ 337 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/06/08 20:19:00 ID:PcQ5Kouo [11/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告




【 2-15 】



マサラタウンに帰って来た。


久しぶりの場所、久しぶりの薫り、久しぶりの感覚。


これからのことを考えるのも大事だけど、まずはママに、元気な姿を見せないと。


カロス地方の土産話、数えきれないくらいあるからな。



 サトシ 「ただいまー!」

 ピカチュウ 「ぴかぴかー!」


 

   ― 完結 ―

 ▼ 338 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/06/08 20:19:30 ID:PcQ5Kouo [12/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告





これにて完結です。

XY編は視聴対象年齢が20代まで想定されていただけあって、とても見応えがありましたよね。

これまでのご支援、ご感想、ありがとうございました。


また、多忙のため定期的な更新が出来ず、申し訳ありませんでした。

クスノキ時代からサトセレSSを書いてきましたが、これにて一段落。
アニポケXY、XY&Zを舞台にした、カロスを旅するサトシとセレナのSSは、これでラストです。



それでは、またどこかで。

次のSSは、5年後くらいでしょうかね?

 ▼ 339 ラベベ@さらさらいわ 17/06/08 20:22:43 ID:3P87mt5Y NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
乙です!!
最終回本当に良かってですよね

またいつかサトセレss書いてくれることを願ってます!
本当にお疲れ様でした!
 ▼ 340 マサラ人3◆etyxjFp636 17/06/08 20:24:33 ID:fJKCHPec NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
長い間お疲れ様でした!

また甲州街道さんのSSが読める日を楽しみにしています。
 ▼ 341 ギア@フィラのみ 17/06/08 20:41:30 ID:gLot5h2s [2/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
読んでいてとても面白かったです!

こんな素敵なssを書いていただきありがとうございます!
 ▼ 342 プ・コケコ@ピーピーリカバー 17/06/08 23:47:49 ID:NnAdrcfE NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
乙!こっちも読んだ!
いつか再会してほしいなぁこの二人には
 ▼ 343 ズマオウ@ふしぎなタマゴ 17/06/09 10:14:29 ID:DZMKKFYo NGネーム登録 NGID登録 報告
乙!
貴重なサトセレSSをありがとうございました🙇
 ▼ 344 ルチャイ@こだわりスカーフ 17/06/09 11:37:20 ID:BoC46b8Y NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
おもしろかったです。お疲れ様でした!
半年間ありがとうございました!
 ▼ 345 ックラー@ピーピーマックス 17/06/09 12:35:57 ID:4.J2L3EQ NGネーム登録 NGID登録 報告
乙!!!
半年も経ってたんだなぁ
なんか感激
 ▼ 346 ニプッチ@インドメタシン 17/06/09 17:30:50 ID:kCW5vWU6 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
お疲れ様でした!
 ▼ 347 ンナ@ちからのハチマキ 17/06/11 06:32:09 ID:.xdVqbtg NGネーム登録 NGID登録 報告
終わってた
おつかれ!
 ▼ 348 ボツボ@アシレーヌZ 17/06/11 17:48:07 ID:Fi79EoFs NGネーム登録 NGID登録 報告
目の保養、心の保養。ありがどうございました。
 ▼ 349 ルビル@ラッカのみ 17/06/21 18:17:06 ID:N7eeTk9Y NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
お疲れ様でした!
あなたのssはリアリティーがあって読んでてとても新鮮でドキドキして楽しかったです。
とーえつのほうも楽しみにしています。
今まで本当にありがとうございました!!
 ▼ 350 ブネーク@きれいなウロコ 17/07/15 04:13:40 ID:j5ZLDBvo NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
お疲れ様
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