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【SS】フライゴン「……死にたい」

 ▼ 1 1◆v1GnTfaqxg 17/05/19 12:32:47 ID:wWCfD3C2 [1/36] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

あるアパートの一室に、一匹の若いフライゴンが住んでいた。

そのフライゴンはゴミだらけの部屋の中、ただ布団にくるまって何をするでもなく、酷く怯えた様な顔をしていた……


その時……


ピンポーン……ピンポーン……ピピピピピンポーン……


呼び鈴の音が鳴った瞬間、反射的にフライゴンは布団を頭から被ってガタガタと震えだす……
 ▼ 2 ガオニゴーリ@クオのみ 17/05/19 12:34:23 ID:okvSzIjY NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 3 fishing 17/05/19 12:34:47 ID:0.SpkV8Q NGネーム登録 NGID登録 報告
批判というわけじゃないけど、なんでフライゴンってそういう位置なの?
 ▼ 4 1◆v1GnTfaqxg 17/05/19 12:35:27 ID:wWCfD3C2 [2/36] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

扉の向こう側から怒鳴り声が聞こえる……


おらぁ!!フライゴン出て来いやぁ!!

出て来いやー


はよぁ払うもん払えやぁ!!

払えやー


ガンガン!! ガン!!


どうやら外にいるポケモンがドアを強く蹴っているらしい……


フライゴンはガタガタと震えながら布団にくるまって、時間がたつのを待ち続けた……
 ▼ 5 1◆v1GnTfaqxg 17/05/19 12:41:37 ID:wWCfD3C2 [3/36] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

三十分ほどたつと……怒鳴り声も聞こえなくなり、先程の騒音も嘘みたいに静かになった……


フライゴンは布団をどけると窓の外を眺めた……


今日の空は……なんだかいつもよりも澄んだ、とても綺麗な青空に見えた。

しかし、フライゴンにはそんな事はどうでも良かった……


フライゴンは小さく溜め息をつくと、消えてしまいそうな程に小さな声で呟いた……



……死にたい



この一室には、他に誰も住んでいないので、返事は勿論返ってこない……


フライゴンが部屋を見渡すと……机の上にはカッターナイフとロープ……ゴミ箱の隣に練炭コンロがある……


フライゴンはそれらを見るとまた、溜め息を一つついた……


フライゴン「はぁ……なんで俺って生まれてきたんだろう……」
 ▼ 6 1◆v1GnTfaqxg 17/05/19 12:43:01 ID:wWCfD3C2 [4/36] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告










第一話  思い出とお別れ、そしてじじい








 ▼ 7 1◆v1GnTfaqxg 17/05/19 12:47:32 ID:wWCfD3C2 [5/36] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

フライゴンは布団の上に転がっていたリモコンを手に取ると、テレビの電源をつける……


テレビにお昼のニュースが映った……


ニュースキャスター「……先程、ビルの三階から飛び降りたポケモンは搬送先の病院で死亡が確認されました。」

フライゴン「……」

ニュースキャスター「では、お昼のニュースを終わります」


フライゴンは羨む様な目でテレビの画面を見つめていたが……やがて、リモコンでテレビの電源を切ると立ち上がった。


フライゴン「……はぁ……」


フライゴンはゴミの山の中に手を突っ込むと、ボロボロの財布を掴んで部屋を出た……

 ▼ 8 1◆v1GnTfaqxg 17/05/19 12:56:05 ID:wWCfD3C2 [6/36] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告



晴れ空の下、フライゴンは家を後にしてコンビニへと向かう……


平日と言う事もあり、近所のポケモンに会う事も無くコンビニまでやって来た……


フライゴンはふと、コンビニに入る前に財布を覗いた……



財布の中には数十円程の小銭しか入っていなかった……



フライゴンはまた、小さく溜め息をついた。


フライゴン「はぁ……なんで中を確認してこなかったんだよ……」


フライゴンは遠くに見える小学校の方角へ歩き出した……


フライゴン「最後の最後くらい、いい物を食べようと思ったんだけどな……」

 ▼ 9 1◆v1GnTfaqxg 17/05/19 13:00:39 ID:wWCfD3C2 [7/36] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

フライゴンは小学校の前にたどり着いた。


平日なので、きっと子ども達が授業を受けている頃だ……


フライゴンは辺りを見渡し、誰もいない事を確認すると……鉄で出来た門をよじ登って門の向こう側に飛び降りた。


フライゴン「懐かしい……な……」


フライゴンは遠い昔を思い出すと、静かに微笑み……そして、校舎の一つに向かってゆっくりと歩きだした……

 ▼ 10 1◆v1GnTfaqxg 17/05/19 13:16:48 ID:wWCfD3C2 [8/36] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

校舎の中……


フライゴンは校舎の階段を登る……

十年ほど昔、毎日自分が登っていた階段だ……

その階段を一つ……また一つと登っていく度に、フライゴンが小学生だった頃の記憶が蘇った……


フライゴン「あの頃は……楽しかったのに……」


二階を越えて……三階に着く……

だんだんとフライゴンの足取りが重くなる……


フライゴンは三階から伸びる階段をゆっくり……ゆっくりと一段ずつ登る……



フライゴン「あいつらがいなけりゃ……こんな事には……」



いつかの記憶がフライゴンの脳裏に蘇る……
 ▼ 11 1◆v1GnTfaqxg 17/05/19 13:19:45 ID:wWCfD3C2 [9/36] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

あの日……



父「ごめんな、ナックラー……」


ナックラー「お父さん! お母さん! どこに行くの?」


母「ナックラー、強く生きるのよ。私達の代わりに頑張ってね」


ナックラー「ねぇ! 訳がわからないよ! どこに行くのって聞いてるのに!!」


父「じゃあな、ナックラー……これは手切れ金だ……」


母「それじゃ、後はよろしくね」


ナックラー「なんなの!? 一体なんなのさ!!」


 ▼ 12 1◆v1GnTfaqxg 17/05/19 13:21:40 ID:wWCfD3C2 [10/36] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告





フライゴン「……なんで俺が……俺だけがこんな目にあったんだよ……」



フライゴンはそう呟きながら、薄暗い階段を一歩……また一歩と登っていく……



フライゴン「それからは……嫌な事だらけだったな……」




 ▼ 13 1◆v1GnTfaqxg 17/05/19 13:25:53 ID:wWCfD3C2 [11/36] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告



ナックラーは沢山の同級生に囲まれていた……


ヨーギラス「貧乏の癖に学校に来るなよ!」

ナックラー「そ、そんな事言われても……」

ナゾノクサ「帰れよ!くせーんだよ!!」


ナゾノクサがナックラーを蹴りつけた。

ガスっ!


ナックラー「う、うぅ……あ! せ、先生! 助けて!!」

サイドン「……」


担任のサイドンはナックラーと一瞬目があったが……すぐに目をそらした。


ナックラー「そ、そんな! 先生!!」

 ▼ 14 1◆v1GnTfaqxg 17/05/19 13:29:30 ID:wWCfD3C2 [12/36] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告








フライゴン「あれからここまで……頑張ったよな、俺」


気がつくと、フライゴンは階段を登り切っていた……


フライゴンの目の前には塗装が剥げ、少し錆び付いた扉がある……


フライゴン「……」


フライゴンは冷たいドアノブをゆっくりと回した……


 ▼ 15 1◆v1GnTfaqxg 17/05/19 13:35:42 ID:wWCfD3C2 [13/36] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


ドアを開けるとそこには、どこまでも続く……美しい青空が広がっていた……


フライゴンは学校の屋上を歩き出す……


一歩踏み出す度に、これまでの苦しみや悲しみが頭をかすめ、フライゴンの背を押した……


フライゴン「今日、俺は楽になるんだ……」


暖かく、優しい春の風がフライゴンを包む……

しかし、そんな風も……今のフライゴンには冷たく恐ろしい物に感じた。


 ▼ 16 1◆v1GnTfaqxg 17/05/19 13:44:22 ID:wWCfD3C2 [14/36] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


ついに、フライゴンは屋上の一番端に着いた。



フライゴン「……」


フライゴンは屋上のフェンスを越えて、フェンスを掴んだまま、屋上の角に立った……



風の吹き抜ける音……どこかの教室から聞こえるピアノの音……グラウンドから聞こえる体育教師の怒鳴り声……



フライゴン「……楽になれるんだ……何も怖くない……生きてる方が怖いんだから……」


フライゴンはそう自分に言い聞かせたが……足の震えが止まらない……

 ▼ 17 1◆v1GnTfaqxg 17/05/19 13:48:03 ID:wWCfD3C2 [15/36] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


額から流れる汗を風が吹き飛ばした……



フライゴン「……覚悟を……決めるんだ!」




タッ……




フライゴンはフェンスを掴んでいた手を離すと、屋上の角を蹴った……







 ▼ 18 1◆v1GnTfaqxg 17/05/19 13:54:07 ID:wWCfD3C2 [16/36] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告




キラキラと輝く太陽が落ちていくフライゴンを照らす……



フライゴン「これでいいんだ……」



落ちていくのは一瞬のはずなのに……フライゴンにはその時間がとてつもなく長く感じた……



フライゴン「やっと……楽になれるんだ……」


フライゴンは落ちていく先を見た……


コンクリートで舗装された地面が見える……このままぶつかったらまず助からないだろう……


 ▼ 19 1◆v1GnTfaqxg 17/05/19 13:59:13 ID:wWCfD3C2 [17/36] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

どんどん近づいてくる地表……


どんどん……どんどん目の前に迫ってくる……


その恐怖にフライゴンの覚悟が揺らいだ。



フライゴン「……い、嫌だ! やっぱり嫌だ!!」


フライゴンの本能が背中の翼を刺激した……



フライゴンは地面にぶつかる直前で羽ばたくと……ゆっくりと地面に降り立った……


 ▼ 20 1◆v1GnTfaqxg 17/05/19 14:04:21 ID:wWCfD3C2 [18/36] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

フライゴン「はぁ……はぁ……」


体からボタボタと汗が落ちる……

心臓はまだ、バクバクと激しい音をたてている……


フライゴン「……くそぉ!!」


ガッ!!


フライゴンはコンクリート製の校舎の壁面を殴りつけた。


拳から流れた血が壁を汚した……


フライゴン「なんでだよ……俺は……俺は一体どうしたいんだよ……」


あまりの情けなさに涙がこぼれ落ちた……



フライゴンはヨロヨロと歩き出すと、沢山の思い出とトラウマが詰まった母校を後にした……
 ▼ 21 ルジーナ@トライパス 17/05/19 14:21:51 ID:DVby/lBU NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 22 マズン@ポケモンのふえ 17/05/19 14:23:40 ID:t4Ljg87I NGネーム登録 NGID登録 報告
地の文はうまいことやらないと一気に臭くなるからな
お手並み拝見
 ▼ 23 1◆v1GnTfaqxg 17/05/19 18:54:30 ID:wWCfD3C2 [19/36] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


小学校を出たフライゴンは来た道を戻り始める……


フライゴン「なんでだ……覚悟は決まっていた筈なのに……」


フライゴンの苛立ちは収まりがつきそうにない……


他の誰の通りもない、平日の昼間、午後の道……

 ▼ 24 1◆v1GnTfaqxg 17/05/19 19:02:44 ID:wWCfD3C2 [20/36] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

俯いて歩き続けるフライゴンを太陽が暖かく照らす……


その時、フライゴンは目の前に石ころが転がっているのを見つけた。


フライゴン「……」


何の変哲もない……ただの石ころだ……


フライゴン「俺は……こんなどこにでもある石ころにですらなれなかったのかよ……くそっ!!」


フライゴンは石ころを蹴り飛ばした……

石ころは放物線を描いて飛んでいって……


近くの家の塀を越えた。


?「あいたっ!!」

フライゴン「!!」


どうやら、塀の向こう側にいた誰かに当たってしまったらしい……
 ▼ 25 1◆v1GnTfaqxg 17/05/19 19:10:42 ID:wWCfD3C2 [21/36] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

フライゴン「なんてついてないんだ……」


年老いたがたいのよいポケモンが塀をよじ登って顔を覗かせた。


?「お前か!! 石ころを投げ込んだのは!!」


フライゴンは溜め息をついて目をそらした……


フライゴン「はい……すいません」


そのポケモンは塀を越えるとフライゴンの腕を掴んだ。


?「なんだ! その態度は!! ちょっとこっちに来い!!」

フライゴン「えぇ……(なんだか面倒な事になったぞ……)」


フライゴンは引っ張られるがままにそのポケモンについて行った……

 ▼ 26 1◆v1GnTfaqxg 17/05/19 19:15:08 ID:wWCfD3C2 [22/36] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


二匹の目の前には少しボロい木造の家がある……


?「こっちだ」

フライゴン「……」


玄関を上がり、ふすまを開けた先には畳敷きの部屋……

部屋の真ん中には季節はずれのコタツがあり、隅にはブラウン管のテレビが埃をかぶっている……


そんな部屋に、さらに二匹のポケモンがいた……


一匹は年老いた根暗そうなポケモン……

そして、もう一匹は美しいメスのポケモンだった……
 ▼ 27 1◆v1GnTfaqxg 17/05/19 19:20:08 ID:wWCfD3C2 [23/36] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

メスのポケモンががたいのよいポケモンに心配そうに語りかけた。


??「ガオガエン、大丈夫だった? 怪我してない?」


ガオガエン「別にあの程度で怪我なんかしねぇよ……本当、アシレーヌは心配性だな……」


アシレーヌ「ジュナイパーも心配してたわよね?」


ジュナイパー「……」


ジュナイパーと呼ばれた根暗そうなポケモンは……特に気にする様子も無く、何やら小説を読んでいる様だ……
 ▼ 28 1◆v1GnTfaqxg 17/05/19 19:26:24 ID:wWCfD3C2 [24/36] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

ガオガエン「そんな事より……こいつだ、犯人は……」


ガオガエンはフライゴンの腕を引っ張り、部屋に押し込んだ。


アシレーヌ「あら、この子なのね? ダメよ、そんなイタズラしたら……」

フライゴン「……」


フライゴンは二匹から目をそらした……


ガオガエン「だぁーっ!! その態度が気にいらねぇんだよ!!」


苛立つガオガエンをアシレーヌが止めた。


アシレーヌ「そんなに怒らなくてもいいじゃない!」

ガオガエン「アシレーヌは甘いんだよ!!」


ジュナイパー「……」


ジュナイパーは少し迷惑そうな顔をしながら小説を読んでいる……
 ▼ 29 1◆v1GnTfaqxg 17/05/19 19:49:25 ID:wWCfD3C2 [25/36] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

ガオガエン「もう我慢の限界だ! こいつを警察に突き出してやる!!」

アシレーヌ「ちょっとガオガエン!」


二匹は電話の前で受話器の取り合いを始めた……


アシレーヌ「あ、あなたも手伝って! このままじゃ警察呼ばれちゃうわよ!」


フライゴンはそんな二匹を見て溜め息をついた……


フライゴン「警察に突き出すなりなんなり好きにしろよ。どうせ捨てようと思ってた命だから……別にどうなろうと構わないよ……」


二匹「!!」


ジュナイパー「……」

 ▼ 30 1◆v1GnTfaqxg 17/05/19 19:54:39 ID:wWCfD3C2 [26/36] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

ガオガエン「どう言う事だよ……捨てようと思ってた命って……」


フライゴン「……言葉通りの意味だよ」


アシレーヌ「あなた……」


ガオガエンはしばらく腕を組んでフライゴンを睨みつけていたが……やがて受話器を置くと、フライゴンを無理やり押してコタツに入らせた。


フライゴン「な、なにすんだよ!」

ガオガエン「さっきお前言っただろ? 別にどうなろうと構わないって」

フライゴン「だ、だからって……」


ガオガエンはフライゴンの向かいに座った。


ガオガエン「まぁ……なんだ、話でも聞かせてくれないか?」


ガオガエンはコタツの上に置いてあったカゴからオレンの実を一つ、フライゴンの前に置いた。


フライゴン「……」
 ▼ 31 1◆v1GnTfaqxg 17/05/19 19:59:22 ID:wWCfD3C2 [27/36] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

アシレーヌがフライゴンの隣に座った。


アシレーヌ「ゆっくりでいいから……誰かに話すだけできっと楽になるわ」


その言葉にフライゴンの心が揺れた……


フライゴンが顔を上げると……アシレーヌは優しい笑顔を向けてくれた。


フライゴンは何故か、初めて会ったこのポケモン達には全てを話してもいい気がした……


そして……


フライゴン「俺は……」


フライゴンは、消えてしまいそうな程に小さな小さな声で語り出した……


 ▼ 32 1◆v1GnTfaqxg 17/05/19 20:01:59 ID:wWCfD3C2 [28/36] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告



俺は……普通の家に生まれて……普通の生活をしていた筈だった……



でも、そんな日常はたった1日で崩れ去ったんだ……



小学生の頃の話だ……


 ▼ 33 1◆v1GnTfaqxg 17/05/19 20:08:02 ID:wWCfD3C2 [29/36] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


カーテンの隙間から差し込んだ朝日がナックラーの顔を照らした……


ナックラー「ん……ぁぁ……もう朝……?」


ナックラーは体を起こし、寝ぼけ眼で部屋を見渡したが……同じ寝室で寝ていた筈の両親の姿が無いことにすぐ気づいた。


ナックラー「あれ? お父さん? お母さん?」


ナックラーは不思議に思い、掛け時計を見た……


時計はまだ、朝の7時を指している……


ナックラー「いつもよりも早く仕事に言ったのかな……?」


ガタッ……


玄関の方から何やら物音がした。


ナックラーはベッドを飛び降り、玄関に向かった。
 ▼ 34 1◆v1GnTfaqxg 17/05/19 20:13:19 ID:wWCfD3C2 [30/36] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


玄関に近づくにつれ、だんだん両親の声が聞こえてきた……


あの子には悪いけど……仕方ないよね……

ま、あいつには代わりに頑張って貰うか……



ナックラーは玄関に走り込んだ。


ナックラー「お父さんお母さん、おはよう! 今日は早いね!」


ナックラーの両親は……帽子を深くかぶり……サングラスを掛け……まるで、ナックラーの知らない別の誰かの様な姿をしていた……


両親はナックラーを見ると、何やら非常に慌てた様子を見せた。


母「起きちゃったじゃない! 早く行くわよ!」

父「そ、そうだな!」


 ▼ 35 1◆v1GnTfaqxg 17/05/19 20:18:07 ID:wWCfD3C2 [31/36] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

ナックラー「え? お父さんお母さん、どこに行くの?」


父「ど、どこだっていいだろ?」

母「そ、そうよ!」


ナックラーは普段と違う両親の姿に不安を覚えた……


ナックラー「ぼ、僕も連れてって!!」

ナックラーは母の腕に飛びついた。


母「離れてよ!ナックラー!!」

ナックラー「嫌だ! 僕も連れてって!!」


母の腕にしがみつくナックラーを父が無理やり引き剥がし、廊下に投げ飛ばした。


ドスッ!


ナックラー「いてっ!!」
 ▼ 36 1◆v1GnTfaqxg 17/05/19 20:23:36 ID:wWCfD3C2 [32/36] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

父「ごめんな、ナックラー……」

ナックラー「お父さん! お母さん! どこに行くの!?」

母「ナックラー、強く生きるのよ……私達の代わりに頑張ってね……」

ナックラー「ねぇ! 訳がわからないよ!! どこに行くのって聞いてるのに!!」


父「じゃあな、ナックラー……これは手切れ金だ……」


父は財布からお札を何枚か取り出して乱暴に投げた……



宙を舞うお札の向こう側に見えた両親の顔は……もはや、ナックラーの知っているポケモンではなかった……



母「それじゃ、後はよろしくね」


ナックラー「なんなの!? 一体なんなのさ!!」


ナックラーの知らない両親はドアの向こう側に消えた……
 ▼ 37 1◆v1GnTfaqxg 17/05/19 20:30:18 ID:wWCfD3C2 [33/36] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

フライゴン「その後、すぐにわかった……両親はとんでもない借金を作っていたんだ……そして、その返済を全部俺に押し付けて逃げたんだ……」


アシレーヌ「……」


フライゴン「それから俺は……中学生になると同時に年をごまかしてアルバイトをして、必死に借金を返済しようとした……」

フライゴン「でも、どれだけがんばっても……どんどん借金は膨れていくばかり……」


フライゴン「学校にもまともに行けなかったせいで、今年で二十歳なのに就職も出来なくて……嫌になって……」

フライゴン「何度も何度も死のうと思った……様々な方法を試そうとしたんだけど……どれも、ギリギリのところで怖くなって踏みとどまって……さっきもその帰りだったんだ……」


ガオガエン「……自殺帰りだったのか」
 ▼ 38 1◆v1GnTfaqxg 17/05/19 20:36:09 ID:wWCfD3C2 [34/36] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


フライゴンの目から涙がこぼれ落ちた……


フライゴン「俺は悔しくて……死ねたら楽になるってわかってるのに……意気地がないばっかりに……俺は……俺は……」


アシレーヌ「意気地なしなんかじゃないわ……」


アシレーヌがフライゴンを優しく抱きしめた……


アシレーヌ「それは、まだあなたが生きたいって思ってるから踏みとどまれるの。そう思えるならあなたは大丈夫……」


フライゴンは必死に涙を止めようとしたが……その涙は止めようとすると、更に溢れ出した……


ガオガエン「辛かったんだな……泣きたいだけ泣けばいい……でも、夜には泣き止んでくれよ? 近所迷惑だからな」


ジュナイパー「……」

ジュナイパーは読み終えた小説を本棚に突っ込むと、その隣の小説を取り出した。

 ▼ 39 1◆v1GnTfaqxg 17/05/19 20:37:48 ID:wWCfD3C2 [35/36] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告





平日の昼間、町の片隅の一軒の家からフライゴンの泣き声が響く……



それは、これからのフライゴンと三匹との生活の始まりを告げる泣き声である……




続く
 ▼ 40 1◆v1GnTfaqxg 17/05/19 20:39:28 ID:wWCfD3C2 [36/36] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
第一話おしまい

久しぶりなので指が動きませんが、いつも通り、1日一話を目標に更新していけたら……と、考えております。


では
 ▼ 41 ガニウム@ローラースケート 17/05/19 21:00:36 ID:ZtSor1lc NGネーム登録 NGID登録 報告
支援!
 ▼ 42 ャロップ@すくすくこやし 17/05/19 21:49:34 ID:S41Xh9Y. NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ふりゃ頑張れ
支援
 ▼ 43 リミアン@ゴーストジュエル 17/05/19 22:38:27 ID:LLOb7iC. NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
あんただったか
支援
 ▼ 44 ムパルド@パワーバンド 17/05/19 23:18:24 ID:E7lyvtJs NGネーム登録 NGID登録 報告
泣いた
支援
 ▼ 45 ナバァ@ピカチュウZ 17/05/20 02:19:13 ID:Cbw7aqKc NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 46 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 06:03:31 ID:KC8x1P8c [1/93] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


次の日の朝……



フライゴンは一匹町中を歩いていた……


フライゴン「俺は……まだ生きたいのか……」



フライゴンは昨日の事を思い出していた……


 ▼ 47 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 06:07:02 ID:KC8x1P8c [2/93] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告



昨日の夜……

三匹の家の玄関にて……


ガオガエン「帰るのか?」


フライゴン「うん、あまり迷惑かける訳にはいかないから」


アシレーヌ「また、遊びに来てね」


フライゴンはその言葉に少し戸惑った……


フライゴン「また来ても……いいのか?」


アシレーヌ「もちろんよ!」


アシレーヌは優しく笑った。


ジュナイパー「……」
 ▼ 48 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 06:11:19 ID:KC8x1P8c [3/93] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

ガオガエン「……おい」


フライゴン「?」


ガオガエン「お前……もし良かったら明日、話がある」


フライゴン「話?」


ガオガエン「いや、提案と言うか……ともかく、良かったら明日また、ここに来てくれ……」


フライゴン「……」


ガオガエン「来たくなけりゃ来なくてもいい……ただ、ちょっと提案があるだけだからな」


フライゴン「……わかった」

 ▼ 49 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 06:13:43 ID:KC8x1P8c [4/93] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


ガオガエン「それじゃ、気をつけて帰れよ」


フライゴン「……うん」


フライゴンはガラス戸を開けて、薄暗い夜道へと踏み出した。


アシレーヌ「じゃあね! また来てね!」


ジュナイパー「……」




 ▼ 50 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 06:17:26 ID:KC8x1P8c [5/93] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告







気が付くと……フライゴンの目の前にはあの木造の家……


フライゴン「……なんだかんだで来てしまった……」


フライゴンは呼び鈴の前に立ち、呼び鈴を押そうとした……


しかし、呼び鈴に指を当てた所でフライゴンの指が止まった……



フライゴン「……いいのか? そんなに甘えてばかりで……」

 ▼ 51 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 06:21:45 ID:KC8x1P8c [6/93] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告






だって、あのポケモン達とは昨日会ったばかりだし……


また来てね……とは言っていたけど、やっぱり迷惑だろうな……


そもそも俺は……少し優しくしてもらったからって調子にのってるんじゃないのか?



わかってる……俺の住む世界とあの三匹が住む世界は……違うんだ……






 ▼ 52 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 06:29:03 ID:KC8x1P8c [7/93] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

フライゴンは俯き、しばらく考えていたが……やがて、その場を後にしようと歩き出した……


その時、背後から声がした。


ガオガエン「おっ! 来たか!」


フライゴン「あ……えと……」


ガオガエン「まぁあがってけ!」


フライゴン「え……」


ガオガエンがフライゴンの腕を引っ張り、家の中へと強引に連れて行った……




そんなフライゴンとガオガエンを遠くの電信柱の後ろから二匹のポケモンがみていた……


ザングース「あいつ、こんなぼろっちい家に何の用や?」

ズルズキン「さぁ……」
 ▼ 53 シギソウ@グラスメモリ 17/05/20 06:30:43 ID:RX17OUj. NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
面白い
 ▼ 54 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 06:32:13 ID:KC8x1P8c [8/93] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


あの畳敷きの部屋にはやはり、美しいアシレーヌと呼ばれたポケモンと、老いた根暗そうなジュナイパーと呼ばれたポケモンがいた。


アシレーヌ「あっ! 来てくれたのね!」


フライゴン「えっと……はい……」


ジュナイパー「……」


ジュナイパーは一瞬フライゴンをチラッと見たが……すぐに小説に目を戻した。


 ▼ 55 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 06:36:45 ID:KC8x1P8c [9/93] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


ガオガエン「まぁ、コタツにでも入れよ」


フライゴンがアシレーヌの隣に座ると、ガオガエンがフライゴンの向かいに座った。


ガオガエン「今日はお前に話があるって言ったな……」


フライゴン「あ……うん」


ガオガエン「お前……俺達の仲間にならないか?」


フライゴン「な、仲間? 何の話だ?」


ガオガエン「何だっていいだろ? それよりさっさと入会テストするぞ! 黙って俺の質問に答えろ!」


フライゴン「え、あ……はい……」


ガオガエンはフライゴンに顔をぬっと近づけた。


ガオガエン「お前には……夢ってあるか?」
 ▼ 56 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 06:38:04 ID:KC8x1P8c [10/93] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告









第二話  俺と三匹、謎のサークル









 ▼ 57 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 06:41:37 ID:KC8x1P8c [11/93] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

フライゴン「夢……?」


ガオガエン「そうだ」


フライゴン「夢……昔はあったけど、今はそんな事考えてる余裕も無いし……」


ガオガエン「昔はあった?」


フライゴン「うん……」


ガオガエン「諦めたのか?」


フライゴン「まぁ……子どもの頃の夢だから……」


ガオガエンはその言葉を聞くとニヤっと笑った。


ガオガエン「入会テスト、合格だ」

 ▼ 58 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 06:47:15 ID:KC8x1P8c [12/93] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

フライゴン「は?」


アシレーヌ「おめでとう!」


ジュナイパー「……」


フライゴン「ちょ、ちょっと待ってくれよ……そもそも何に入会するんだよ……」


ガオガエン「ああ、まだ話してなかったか……俺達三匹はな、『夢を諦めた者の会』の仲間なんだ」


フライゴン「夢を……諦めた?」


ガオガエン「俺達はお前と同じなんだ。絶望したり……後悔したり……そうして生きるのが嫌になって夢を捨てた……そんな奴らの集まりなんだよ」


ジュナイパー「……」

 ▼ 59 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 06:50:29 ID:KC8x1P8c [13/93] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

フライゴン「何か活動とかしてるのか?」


ガオガエン「活動? みんなで集まってここで暮らしてるだけだ」


アシレーヌ「それだけでなんだか楽しくてね!」


ジュナイパー「……」


フライゴン「なんだよ……それ……」


ガオガエンは呆れた顔をしたフライゴンの肩をやや強めに叩いた。


ガオガエン「昨日のお前の話を聞いて思ったんだよ。お前に今、一番必要なのは居場所だって」


フライゴン「居場所……?」
 ▼ 60 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 06:55:27 ID:KC8x1P8c [14/93] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

ガオガエン「そうだ。今、お前には……借金を返すための金とか色々必要なんだろうが、その中でも一番必要なのが居場所だ」


フライゴン「……」


ガオガエン「居場所があれば誰だって頑張れるんだ。例え死にたいって思ったとしても……仲間がいるなら……だから、俺達がお前の居場所を作ってやりたいって思ってな!」



そう言って豪快に笑うガオガエンのその笑顔は……なんだか懐かしく、そして頼もしかった。



アシレーヌ「今日からここがあなたの居場所よ! いつでも来ていいし……泊まっていってもいいわよ!」


ジュナイパー「……」

 ▼ 61 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 06:58:00 ID:KC8x1P8c [15/93] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告





なぜ、このポケモン達は昨日会ったばかりの……しかも、石をぶつけた自分に優しくしてくれるのだろう……



なんで……こんなに胸が苦しいんだろう……



どうして……涙が止まらないんだろう……






 ▼ 62 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 07:00:43 ID:KC8x1P8c [16/93] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

ガオガエン「おいおい……泣くなよ」


アシレーヌはハンカチでフライゴンの涙を拭いてくれた。


アシレーヌ「ほらほら泣かないの! オスなんだから!」


ジュナイパー「……」


フライゴンは顔を上げ、震える声で尋ねた……


フライゴン「俺は……本当にここにいていいのか?」


ガオガエンは溜め息をひとつつくと、笑って返した。


ガオガエン「いいんだよ」
 ▼ 63 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 07:03:02 ID:KC8x1P8c [17/93] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


フライゴン「迷惑じゃないのか……?」


アシレーヌ「別に迷惑なんかじゃないわよ」


ガオガエン「ま、とりあえず今はもう少し俺達と生きてみろ。死ぬのはそれからでも遅くないからな……」


フライゴンは涙を拭った。


フライゴン「……わかった。もう少し頑張ってみるよ」


アシレーヌ「そのいきよ!」


ジュナイパー「……」

 ▼ 64 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 07:08:20 ID:KC8x1P8c [18/93] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


その頃、家の外では……


塀の向こうからザングースとズルズキンが背伸びをしてフライゴン達のやり取りを覗き見していた……


ザングース「何を話しとんのか……よく聞こえんな……」


ズルズキン「もう少し様子を見た方がいいっすかね、兄貴ぃ」


ザングース「せやな」


その時、ザングースの腹が鳴った……


ぐうううううう……


ザングース「っと、その前に……少し腹が減ったからわいは腹ごしらえしてくるわ。お前は引き続きフライゴンを見といてくれ」


ズルズキン「へい、兄貴ぃ!」


ザングースは腹をさすりながらふらふらとどこかへ歩いて行った……
 ▼ 65 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 07:10:56 ID:KC8x1P8c [19/93] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


再び家の中……


ガオガエン「そう言えばお前、名前は何て言うんだ?」


フライゴン「俺はフライゴンって言うんだ」


ガオガエン「そうか! 俺はガオガエンだ! よろしくな!」


アシレーヌ「私はアシレーヌ! そこで本を読んでるのがジュナイパーよ!」


ジュナイパーはフライゴンをチラッと見たが……すぐに目をそらした。


ジュナイパー「……」

 ▼ 66 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 07:17:25 ID:KC8x1P8c [20/93] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

ガオガエン「それより暇だな……せっかく四匹もいるんだから何かしないか?」


アシレーヌ「いいけど……何するの?」


ガオガエン「えーっと……あれだ、トランプはどうだ?」


アシレーヌ「トランプはこの間ガオガエンがババ抜きで負けた時に怒って燃やしちゃったじゃない」


フライゴン「っ!?(も、燃やした!?)」


ジュナイパー「……」

 ▼ 67 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 07:20:39 ID:KC8x1P8c [21/93] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

ガオガエン「あー……そうだったっけ……じゃあ……あれだ! 麻雀!」


フライゴン「あ、あの……俺、麻雀やり方わからないんだけど……」


アシレーヌ「わからないんじゃ仕方ないわね……あっ! そう言えば……」


アシレーヌは隣の部屋に這っていくと……箱を持ってきた。


アシレーヌ「これはどう? 人生ゲーム!」


ガオガエン「お! 久しぶりにやるか!」


ジュナイパー「……」


フライゴン「それならなんとか……」


アシレーヌ「じゃあ決まりね! 準備するわよ!」

 ▼ 68 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 07:24:20 ID:KC8x1P8c [22/93] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


アシレーヌは箱を開けると手際よく準備を始めた……


大きなボードをコタツの上に広げ、お金をジュナイパーに渡した。


アシレーヌ「はい、あなた銀行役お願いね!」


ジュナイパー「……」


ジュナイパーはお金を受け取ると静かに頷いた……


ジュナイパーはお札をそれぞれに数枚ずつ渡した。


フライゴン「(おもちゃにしちゃ良くできてるんだな……これ)」
 ▼ 69 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 07:29:46 ID:KC8x1P8c [23/93] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

ガオガエン「がぁーっ! 遅いぞ! さっさと準備しろ!」


ガオガエンは先程から待ちきれずにルーレットをギュルギュル回している……


アシレーヌ「ほんと、あなたはせっかちね……はい、お待たせ! 準備完了よ!」


ガオガエン「よし! 俺からでいいか?」


アシレーヌ「はいはい、お好きにどうぞ」


フライゴン「(って言うか……なんで俺、こんな事してるんだろう……)」

 ▼ 70 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 07:35:02 ID:KC8x1P8c [24/93] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

ガオガエン「よしっ! それじゃあ行くぞ!」


ガオガエンは勢い良くルーレットを回した……

ルーレットは激しい音をたてて回転し……やがて、勢いが落ちるとゆっくりと止まった……


ガオガエン「はぁ!? いきなり1だとぉ!?」


アシレーヌ「文句言わないの! それで? 何のマスだった?」


ガオガエン「えっと……エンジントラブル、二千円払うだと!?」


フライゴン「ぷふっ」


フライゴンは思わず吹き出した。
 ▼ 71 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 07:38:38 ID:KC8x1P8c [25/93] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

ガオガエン「おい! 何笑ってんだよ!」


アシレーヌ「あっ……もしかしてあなた、初めて私達の前で笑ったんじゃない?」


フライゴン「あ……」


フライゴンは少し恥ずかしそうに目をそらした……


ガオガエン「いいじゃねぇか。笑えるって事は、まだお前には希望があるって事だからな!」


フライゴン「希望……?」


ガオガエン「お前はまだ大丈夫って事だよ」


フライゴン「……」

 ▼ 72 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 07:43:47 ID:KC8x1P8c [26/93] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

そんな話をしているうちにもゲームは進んでいく……



アシレーヌ「えっと……1、2、3……趣味で書いていた小説が大ヒット、二万円貰うですって、 やった!」


ジュナイパー「……」


ジュナイパーはアシレーヌにお札を渡した。


ガオガエン「……ちっ」


ガオガエンがアシレーヌを睨みつけた……


アシレーヌ「今回も私が勝たせて貰っからね!」





 ▼ 73 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 07:46:06 ID:KC8x1P8c [27/93] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告





ガオガエン「えっと……また子どもが産まれただと!? しかも双子!? これで十三匹目だぞ!?」


アシレーヌ「ほんと、お盛んねぇ……ガオガエン」


ガオガエン「う、うるさいぞ! アシレーヌ!」


ジュナイパー「……」


 ▼ 74 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 07:48:10 ID:KC8x1P8c [28/93] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告





フライゴン「えっと……たまたま買った宝くじが大当たり……二十万円貰う!?」


アシレーヌ「よかったわね! 一気にお金持ちじゃない!」


ガオガエン「ちっ……」


ガオガエンがフライゴンを横目で睨みつけた……


フライゴン「(ひ、ひぇっ!?)」


ジュナイパー「……」




 ▼ 75 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 07:50:17 ID:KC8x1P8c [29/93] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告





アシレーヌ「そう言えばジュナイパー、あなた結婚しないの?」


ジュナイパー「……」


ガオガエン「お前の車、一匹しか乗ってねぇのか……俺のなんかもう乗り込めないから分けてやりたい位だな……」


ジュナイパー「……」




 ▼ 76 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 07:55:28 ID:KC8x1P8c [30/93] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


そうして二時間後……



フライゴン「か、勝った……」


アシレーヌ「あと少しだったのに……まぁいいわ! おめでとう!」


ジュナイパー「……」


ガオガエン「ぐ……また最下位だと……」


ガオガエンは歯を食いしばり、怒りに打ち震えている……


フライゴン「(うっ……ど、どうしよう……勝たなきゃよかった……)」


 ▼ 77 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 07:58:50 ID:KC8x1P8c [31/93] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

ガオガエンの口がゆっくりと開いた……


口からは炎が漏れている!


フライゴン「げっ!?」


アシレーヌ「あっ!!」


ジュナイパー「……」


ガオガエン「があぁ! もう我慢ならねぇ!! 全部燃やしてやる!!」


アシレーヌはガオガエンを後ろから羽交い締めにした。

アシレーヌ「ふ、フライゴン君! ガオガエンを止めて!!」

フライゴン「と、止めろって言ったって……」



ジュナイパー「……」

ジュナイパーは小説を読み始めた……
 ▼ 78 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 08:03:38 ID:KC8x1P8c [32/93] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


そんなやりとりを塀の向こうからズルズキンが覗いていた……


ズルズキン「……フライゴン、一体何をやってるんすかねぇ……」


そこにザングースが大きく膨れた腹をさすりながら帰ってきた。


ザングース「はぁー食った食った! ところでフライゴンはどうなった?」


ズルズキン「それが……人生ゲームをやっていたみたいっす」

ザングース「はぁ!?」


ザングースが塀の向こうを覗くと……コタツの上に人生ゲームのボードが見えた。


ザングース「なぁっ!? あ、あいつ……金の相談しとるかと思えば……よし、突撃や!!」


ズルズキン「へ、へい!!」

 ▼ 79 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 08:08:13 ID:KC8x1P8c [33/93] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

ガオガエン「イカサマだ!! 絶対イカサマだ!!」


アシレーヌ「だから違うってば!!」


ジュナイパー「……」


彼らがもめていた……その時、呼び鈴が鳴った……



ピンポーン……ピンポーン……ピピピピピピピンポーン



フライゴンの顔から血の気が引いた……


フライゴン「!?(この呼び鈴の鳴らし方……まさか!?)」


フライゴンはコタツの中に頭を突っ込んで震えだした……


アシレーヌ「? 何してるの?」

 ▼ 80 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 08:12:52 ID:KC8x1P8c [34/93] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


ガオガエン「あぁ? 誰だぁ? うるさいな……」


ガオガエンはイライラしながらも玄関まで歩き、ガラス戸を開けた……


ガラス戸が開いた瞬間、ザングースとズルズキンが家にズカズカと入ってきて、コタツに隠れているフライゴンの尻を蹴飛ばした。


ガスッ!


ザングース「おいごらぁ!! いつまで逃げ続けとんじゃあ!!」

ズルズキン「逃げ続けとんじゃー」


フライゴン「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!」


アシレーヌ「何なの!? あなた達は!」


ガオガエン「呼び鈴は一回だけで聞こえてるから連打するな!」


ジュナイパー「……」
 ▼ 81 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 08:17:08 ID:KC8x1P8c [35/93] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


フライゴン「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!」


ザングース「はよぉ払うもん払えやぁ!!」


再びフライゴンを蹴り飛ばそうとしたザングースの肩をガオガエンが掴んだ。


ザングース「っ! なんやお前は!!」


ガオガエン「聞いてたか? 呼び鈴は一回だけで聞こえてるから連打するな」


ザングース「聞いとるわ! ボケじじい!! わいはお前じゃのうてフライゴンに話があるんじゃ!!」

ズルズキン「あるんじゃー」
 ▼ 82 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 08:20:01 ID:KC8x1P8c [36/93] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

ガオガエン「もしかして……借金の話か?」


ザングース「わかっとるやないか! こいつはわいらに三百万の借金しとんのじゃ!!」

ズルズキン「しとんのじゃー」


ガオガエン「ほぉ……思ったよりは……てっきりもっとすごい借金かと……」


ガオガエンは隣の部屋まで歩いて行って……すぐに帰ってきた。


ガオガエン「もってけ」


ガオガエンの手には札束が握られていた。

 ▼ 83 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 08:23:52 ID:KC8x1P8c [37/93] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

ザングース「は?……じ、じじいお前……肩代わりすんのか?」


ガオガエン「ああ、こいつは俺達の仲間だからな」


フライゴンはまだ、コタツに頭を突っ込んでガタガタと震えている……


ザングースは札束を受け取るとズルズキンに手渡した。


ザングース「一応数えろ」


ズルズキン「へ、へい! 兄貴ぃ!」


ズルズキンは慣れた手付きでお札を数え始めた……
 ▼ 84 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 08:28:57 ID:KC8x1P8c [38/93] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

ザングース「後悔せぇへんのやな? じいさん……こいつは借金を返さずに逃げ出したクズの息子やで?」


ガオガエンがザングースを睨んだ……


ガオガエン「クズはお前らだろうが!! 何年も何年も! しかも子どもから搾取しやがって!!」


ザングース「ああ? こいつはもうええ年したおっさんやろがぁ!?」


ガオガエン「今の話してねぇよ!! お前らのせいでこいつの青春はメチャクチャになったんだよ!!」


ザングース「そんなもん知るか!!」


ガオガエン「知るかだとぉ!?」

 ▼ 85 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 08:32:10 ID:KC8x1P8c [39/93] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

アシレーヌ「はいはい! 喧嘩はそこまで! ほら、お茶入れたから飲んで飲んで!」


アシレーヌが湯飲みを二匹に渡した。


ガオガエン「ん……」

ザングース「おう、ねぇちゃん気が利くやないか……」


二匹はお茶を飲もうとしたが……


ガオガエン&ザングース「あっつ!!!!!」


アシレーヌ「あら? まだ熱かったかしら……」


ガオガエン「熱いって言うか……」

ザングース「猫舌なだけや!!」


アシレーヌ「あら、そうなの? ごめんなさい……」
 ▼ 86 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 08:37:15 ID:KC8x1P8c [40/93] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

ズルズキン「あ、兄貴ぃ!」


ザングース「なんやな……あちち……」


ズルズキン「全部で二百五十万しかないっす!!」


ザングース「ああん!? 五十万もたらへんがな! じじい!!」


ガオガエン「バレたか……」


ザングース「バレたかとちゃうわ! はよ残りの五十万もってこいやぁ!!」

ズルズキン「もってこいやー」


ガオガエンは溜め息をつくと、人生ゲームで使っていたお札をまとめてザングースに差し出した。


ガオガエン「ほら、これで多分五十万はある。釣りはいらねぇからさっさと出てけ」



 ▼ 87 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 08:41:26 ID:KC8x1P8c [41/93] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

ザングース「はぁ!? なんでおもちゃの札束貰わなあかんねや!!」

ズルズキン「で、でも兄貴ぃ……これ、本物っぽいっすよ?」


ザングース「ん?」


ザングースは札束を受け取りよく観察したが……見れば見るほど本物そっくりだ……


ガオガエン「そいつは本物だ。安心しろ」


アシレーヌ「この前ガオガエンが負けた時におもちゃのお札を全部燃やしちゃってね……仕方ないから本物で代用してたの!」


ザングース「そ、そんなアホな……」
 ▼ 88 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 08:46:31 ID:KC8x1P8c [42/93] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

ズルズキン「燃やすって……どんだけ短気なんすか……」


ガオガエン「そうだ……俺は短気だ……だから今、俺がどれだけイライラしているか……わかるよなぁ?」


ザングース「は?」

ズルズキン「へ?」


ガオガエンはザングースとズルズキンの首を掴んで縁側から塀の向こうへぶん投げた!


ザングース&ズルズキン「ぎゃああああ!?」


ガオガエン「二度と来るなよー!……ふぅ、頭が痛い……」

 ▼ 89 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 08:49:26 ID:KC8x1P8c [43/93] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

アシレーヌ「ほら、フライゴン君! もう大丈夫よ!」


アシレーヌがコタツからフライゴンを引っ張り出した。


フライゴン「だ、大丈夫って言うより……借金を肩代わりしてくれたのか?」


ガオガエン「気にするな! 貯金はそこそこあるからな!」


アシレーヌ「ガオガエンは若い頃にラーメン屋で一発当ててるからお金の心配はないわよ!」


ジュナイパー「……」
 ▼ 90 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 08:56:45 ID:KC8x1P8c [44/93] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

フライゴン「だ、だからってそんな……お金まで払って貰うなんて……」


申し訳無さそうにしょげるフライゴンの頭にガオガエンが大きな手を乗せた。


ガオガエン「俺達の一生ってのは……ゲームみたいなもんなんだよ」


フライゴン「へ? げ、ゲーム?」


ガオガエン「そうだ、さっきの人生ゲームと同じだ。お前は今日、たまたまラッキーマスに止まった。だから借金がチャラになった。ただ、それだけの話じゃねぇか」


フライゴン「……」


ガオガエン「今日みたいな日があれば……悪い事が起こる日もある。明日がどんな日になるかなんて誰も知らねぇけど、とりあえず今日はラッキーマスに止まったと思っておけ」


フライゴン「で、でも……」


ガオガエン「あー! もう!! 貰える物は黙って貰っとけ!! さっき勝った賞金って事で!! はい! この話はもう終わりな!! じゃあ次、何する?」


アシレーヌ「何しよっか……」
 ▼ 91 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 08:59:46 ID:KC8x1P8c [45/93] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


ガオガエンとアシレーヌは腕を組んで考え始めた……


フライゴン「(この三匹は……なんでたまたま出会った俺にこんなに優しく……)」



ガオガエン「あ、ファミコンやるか?」


アシレーヌ「ファミコンはこの間あなたがコントローラー握りつぶしちゃったじゃない!」


ガオガエン「あれ? そうだったか?」


ジュナイパー「……」


フライゴン「(いや、優しいけど、それ以前にすごく怖い……)」

 ▼ 92 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 09:02:55 ID:KC8x1P8c [46/93] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告




こうして、なんだかんだで俺の借金はあっさり返済されてしまった……



ずっとずっと俺を苦しめていたはずのその枷は……そんな一言二言のやり取りで綺麗さっぱり消えてしまった。



そして、俺は……少しずつだけど、このポケモン達と一緒にいる事が楽しくなってきていた……




 ▼ 93 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 09:07:03 ID:KC8x1P8c [47/93] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


その頃、家の外では……


ザングースが腰をさすりながら立ち上がった。


ザングース「いてて……なんや? あの怪力じいさんは……」


ズルズキン「でも兄貴ぃ、お金もキッチリ返ってきてよかったっすね! これでボスに怒られずにすむっす!」


ザングースは大きく伸びをした……


ザングース「んー……ま、そやな……それはそうと……」


ザングースは塀をよじ登って家の中を覗いた……


ザングース「……」


フライゴンは三匹と一緒に何かボードゲームの様な物で遊んでいる……
 ▼ 94 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 09:11:11 ID:KC8x1P8c [48/93] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


ズルズキン「フライゴンが気になるんすか? 兄貴ぃ」


ザングースはしばらくフライゴンを見つめていたが……


ザングース「……いや、別に」

ザングースは塀から飛び降りた。


ズルズキン「それはそうと兄貴、この札束全部合わせ手四百万はあるっすよ!」

ザングース「釣りはいらんって言ってたからもろとこか! そんじゃ、その金で今からええ飯食べにいくで!!」


ズルズキン「マジっすか!」


ザングース「おう、ほないくで!!」


ズルズキン「へい! 兄貴ぃ!」

 ▼ 95 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 09:14:55 ID:KC8x1P8c [49/93] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


二匹が歩き出そうとしたその時、二匹の背後から近づく二つの影が……


ザングース「っ!……なんや、懐かしいな……今更何の用や?」


?「お久しぶりですね……ザングースさん……」

??「本当、何年ぶりかしら?」


ズルズキン「兄貴ぃ……知り合いっすか?」


ザングースはその二匹を睨んだ……



ザングース「まぁな」



続く
 ▼ 96 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 09:15:59 ID:KC8x1P8c [50/93] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
第二話おしまい

早起きして先に更新しましたが……余裕があったら夜に続き書きます。

では
 ▼ 97 トベター@ふしぎなきのみ 17/05/20 13:14:54 ID:s9NdOt6k NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 98 ッサム@フライングメモリ 17/05/20 13:28:33 ID:2rSkmAuQ NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 99 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 20:41:49 ID:KC8x1P8c [51/93] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


ふぁぁ……


朝の日差しがフライゴンの顔を照らす……


フライゴン「……ん」


フライゴンはくしゃくしゃの布団の上で目覚めた。


フライゴン「……もう朝か……」


その時、強い風が吹いて、玄関のドアが大きな音をたてた……


ガタッ! ガタガタッ!!


フライゴン「!!」


反射的にフライゴンは布団をかぶった……
 ▼ 100 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 20:48:21 ID:KC8x1P8c [52/93] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

しばらくフライゴンは震えていたが……やがて、その震えも収まっていった……


フライゴン「あ……そうだ……もう借金は……」


フライゴンは布団をどけると立ち上がり、窓を開けた……


窓から顔を出すと、眩しい朝の日差しがフライゴンの顔を照らし……そして、爽やかな風が部屋に吹き込んだ。


フライゴン「(そう言えば、窓を開けて外を眺めたのは一体何年ぶりだろう……)」
 ▼ 101 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 20:53:00 ID:KC8x1P8c [53/93] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告



これまでずっと見ていたのは、窓越しに眺める四角く切り取られた世界……



それはまるで、昨日までの自分……



区切られた場所に閉じ込められて……その中をさまよう事しか出来なかった……



しかし今、自分は……その窓から身を乗り出して、その窓の向こう側の世界を眺めている……



普通のポケモンには当たり前の事でも……そんな事がフライゴンに安らぎと開放感を与えていた……



 ▼ 102 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 20:57:47 ID:KC8x1P8c [54/93] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

そして、目の前に広がる町々は、まるでフライゴンのこれからの未来を応援しているかの様に、キラキラと輝いて見えた……


フライゴン「これから俺……やり直せるかな……」


フライゴンはそう呟くと、ふと部屋を眺めた。



くしゃくしゃの布団の周りには空き缶やら雑誌やら……ゴミが山の様に溢れている……



フライゴンは大きく溜め息をついた。


フライゴン「やり直す前に……掃除でもするかな……」
 ▼ 103 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 21:03:38 ID:KC8x1P8c [55/93] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

その時、呼び鈴が鳴った。


ピンポーン……


フライゴン「?」


フライゴンは床のゴミを避けながら玄関まで歩いて……ドアを開けた……


ドアの向こう側にいたのは……


ガオガエン「よっ!」

アシレーヌ「おはよ、フライゴン君!」

ジュナイパー「……」



フライゴンは無言で勢いよくドアを閉めた。

 ▼ 104 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 21:04:14 ID:KC8x1P8c [56/93] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告










第三話  ありがた迷惑、あの三匹








 ▼ 105 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 21:14:35 ID:KC8x1P8c [57/93] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ガン! ガンガン!!


ガオガエンがドアを蹴り飛ばしているようだ……

続いてドアの向こう側から怒鳴り声が聞こえる……


ガオガエン「おい! 開けろ!! 遊びに来てやったんだぞ!!」

アシレーヌ「やめて! ガオガエン!! ドアが壊れちゃう!!」


フライゴンはドアチェーンを掛けてからドアを少し開けた。


フライゴン「な、なんで俺の家がわかったんだよぉ……」


ガオガエン「昨日、お前が帰った時にジュナイパーにお前の追跡を頼んだんだよ」

アシレーヌ「そしたらこのアパートに住んでるって聞いたから……たまにはフライゴン君の家に遊びに行こうって話になってね」

ジュナイパー「……」


ジュナイパーは立ったまま小説を読んでいる……


フライゴン「(……このじいさんに後をつけられてたのか……全然気づかなかった……)」
 ▼ 106 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 21:19:57 ID:KC8x1P8c [58/93] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

ガオガエンが力強くドアノブを引っ張った。


ガオガエン「とりあえず開けろ!! 話はそれからだ!!」

フライゴン「うぐぐ……」


フライゴンもドアを閉めようとドアノブを引っ張りながら、部屋をチラッと見た……


やっぱり部屋はゴミだらけ……客をあげる場所などどこにも無い……


フライゴン「ちょっと部屋が汚いから……」

ガオガエン「構わねぇよ!!」

フライゴン「ご、ごめんなさいっ!!」


バタン!!


フライゴンは勢い良くドアを閉めた。


 ▼ 107 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 21:23:36 ID:KC8x1P8c [59/93] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

フライゴン「はぁ……はぁ……さ、さすがにこんな部屋、見せられないな……」


フライゴンはそのまま床に座り込んだ……


その時、どこからか地響きの様な音が……


ゴオオオオオオオオオオオ……


フライゴン「ん? 何の音だ?」


ドアの向こうからアシレーヌの叫び声が聞こえた。 

アシレーヌ「フライゴン君! 開けて!! このままじゃアパートが灰になっちゃう!!」

ガオガエン「だぁーっ!! 我慢ならねぇ!! 全部燃やしてやる!!」


フライゴン「もーっ! なんだってんだよぉ!!」


フライゴンは渋々ドアを開けた……
 ▼ 108 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 21:27:33 ID:KC8x1P8c [60/93] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

フライゴンの家に上がった三匹の前に広がっていたのは……足の踏み場の無いほどにゴミの溢れた部屋……


ガオガエン「うわっ! きったねぇな!!」

アシレーヌ「あらあら……」

ジュナイパー「……」


フライゴン「部屋が汚いからって言っただろ……」


ガオガエンは首を鳴らした。


ガオガエン「仕方ない、俺達が掃除を手伝ってやるよ」

 ▼ 109 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 21:31:14 ID:KC8x1P8c [61/93] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

フライゴン「え? い、いや……別に一匹で……」


アシレーヌ「遠慮しないでよ!」


ジュナイパー「……」


フライゴン「え、遠慮なんて……」


ガオガエン「おいジュナイパー、ゴミ袋とか買ってきてくれ」


ガオガエンは財布をジュナイパーに渡した。


ジュナイパー「……」


ジュナイパーは頷くと部屋から出て行った……


フライゴン「(うぅ……もう逃げられない……)」

 ▼ 110 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 21:36:35 ID:KC8x1P8c [62/93] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告



ガオガエン「なんか面白い物ねぇかな……」


ガオガエンとアシレーヌはゴミの山を漁り始めた……


フライゴン「や、やめてくれ……あまりその辺を触らないでくれよ……」


ガオガエン「ん? これは漢字テスト……20点じゃねぇか!」

アシレーヌ「あら、本当?」


フライゴン「だ、だからやめてくれよぉ……うぅ……」
 ▼ 111 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 21:40:14 ID:KC8x1P8c [63/93] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告



アシレーヌがゴミの山からトランプを見つけ出した。


アシレーヌ「あっ! トランプあるじゃない! ジュナイパーが帰ってくるまでババ抜きでもしない?」


ガオガエン「お、いいじゃねぇか!」


フライゴン「……(あまりやりたくないな……)」


三匹はゴミだらけの部屋の真ん中に輪になって座った。
 ▼ 112 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 21:43:48 ID:KC8x1P8c [64/93] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


アシレーヌがトランプをシャッフルしてそれぞれに配る。


ガオガエン「にしても、本当に汚いな……よくこんな部屋で暮らせるよな」


ガオガエンは揃ったカードをまとめて真ん中に捨てた。


フライゴン「別に気にしてないからさ……この部屋にも慣れてたし……」


フライゴンはガオガエンからカードを引くと、揃ったカードを真ん中に捨てる……


アシレーヌ「だけど、こんな部屋じゃお友達や彼女さんとか連れてこれないじゃない」


アシレーヌがフライゴンからカードを引いて……揃ったカードを捨てた。
 ▼ 113 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 21:50:24 ID:KC8x1P8c [65/93] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

フライゴン「友達も彼女もいないから……」


ガオガエン「俺はお前の友達のつもりだったんだけど」


フライゴン「!」


ガオガエンがアシレーヌからカードを引いて……シャッフルした。


フライゴンはガオガエンからカードを引くと……揃ったカードを捨て、フライゴンの手持ちのカードは無くなった。


アシレーヌ「じゃあ、私はフライゴン君の彼女になっちゃおうかしら……」


フライゴン「!?」


ガオガエン「おいおい……何言ってるんだよアシレーヌ……お前は……」


ガオガエンはアシレーヌからカードを引いて……揃ったカードを捨てた。


アシレーヌ「冗談よ! 冗談!」
 ▼ 114 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 21:58:16 ID:KC8x1P8c [66/93] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
  
アシレーヌはガオガエンからカードを引いて……揃ったカードを捨てると、手持ちのカードが無くなった。


アシレーヌ「はい! 私もあがり! ガオガエンの負け!」

ガオガエン「くっ……」

フライゴン「(おいおい……なんでまた負けるんだよ……)」


フライゴンの思った通り、ガオガエンの顔はだんだんと引きつっていき……立ち上がると、口から炎を漏らしながら叫んだ。


ガオガエン「だぁーっ!! 全部燃やしてやる!! そうすりゃこの部屋が綺麗になるっ!!」


すかさずアシレーヌがガオガエンを羽交い締めにした。


アシレーヌ「だからダメよ! そんな事したらこのアパートが灰になっちゃう!」


フライゴン「(だから嫌だったんだよ……)」

 ▼ 115 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 22:01:08 ID:KC8x1P8c [67/93] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告



その時……


ガチャ!


ドアが開き、ジュナイパーが帰ってきた。


ジュナイパー「……」


ガオガエン「お! 帰ってきたか!」


ガオガエンはジュナイパーの方へ歩いていった……


フライゴン「た、助かった……」

 ▼ 116 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 22:04:58 ID:KC8x1P8c [68/93] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


ガオガエンはマスクを付けると首を鳴らした。


ガオガエン「よし、始めるぞ」

アシレーヌ「おーっ!」

ジュナイパー「……」

フライゴン「一匹でやるって言ってるのに……」


ガオガエンはゴミ袋を広げ、次々とゴミを袋に詰め込んでいく……


ガオガエン「これもいらん、あれもいらん……ほんと、ゴミだらけだな……ゴミ屋敷か? ここは……」

フライゴン「あーっ! ちょっとストップ!!」


フライゴンがガオガエンの腕を掴んだ。

 ▼ 117 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 22:11:00 ID:KC8x1P8c [69/93] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

ガオガエン「あ? 何だ?」

フライゴン「それは捨てないでくれ!」


ガオガエンの手にはインクの切れたボールペンが握られていた……


ガオガエン「どっからどう見てもゴミだろ……これ」


フライゴンはガオガエンからボールペンを受け取った。


フライゴン「これは……昔、父さんが使っていたボールペンなんだ……なんとなく捨てられなくて……」


ガオガエン「でも、お前は両親の事を恨んでいるんじゃ……」


フライゴンはボールペンを横によけた……


フライゴン「どうしてだろう……いざ言われてみると……まだ、覚悟が決まらないって言うか……」

 ▼ 118 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 22:15:51 ID:KC8x1P8c [70/93] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

ガオガエン「……ま、そこまで言うなら……でも、時には吹っ切る事も大事だぜ?」


ガオガエンはまた、ゴミをゴミ袋に詰めていく……


ガオガエン「吹っ切った事で見えてくる世界ってのもまた、面白いもんだ」

フライゴン「あーっ!! ちょっと! それも捨てないでくれ!!!」


ガオガエン「もーっ! なんだよ!!」


 ▼ 119 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 22:19:18 ID:KC8x1P8c [71/93] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

フライゴンとガオガエンは揉めている……


アシレーヌ「これじゃあ夜までかかりそうね!」


二匹を見て笑っているアシレーヌの隣に座るジュナイパーは、ゴミの山に何かを見つけた。


ジュナイパー「……?」


ジュナイパーは近くに落ちていた本を手に取った……

それは、フライゴンが小学生の頃の卒業アルバムだった……


ジュナイパー「……」


ジュナイパーはパラパラとページをめくった……


ジュナイパー「!!」

 ▼ 120 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 22:21:11 ID:KC8x1P8c [72/93] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


アシレーヌ「ん? どうかした? ジュナイパー」


ジュナイパーはそっとアルバムを閉じて、元の場所に戻した……



ジュナイパー「……いや、何でもない……」



アシレーヌ「そう? 顔色悪いけど……」




 ▼ 121 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 22:26:48 ID:KC8x1P8c [73/93] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


その時……


ピンポーン……


ガオガエン「ん? 客だぞ? フライゴン」

フライゴン「誰だよ……こんな時に……」


フライゴンが玄関を開けると……そこにいたのは……



フライゴン♀「久しぶりね……ナックラー……いや、フライゴン……」

ドラピオン「大きくなったな……母さんにそっくりだ……」



フライゴンは目を見開き、その場に尻餅をついた。


フライゴン「か、母さん!? 父さん!?」


 ▼ 122 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 22:30:43 ID:KC8x1P8c [74/93] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

ガオガエン「へ? 母さんに父さんだと?」

アシレーヌ「あの二匹が?」

ジュナイパー「……」


ドラピオン「とりあえず上がらせて貰えないか?」

フライゴン「え、あ……今は……」


フライゴンの両親はフライゴンを押しのけて勝手に部屋に上がった。


フライゴン♀「とりあえずお邪魔するわよ……って何これ」


フライゴンの両親の目の前にはゴミだらけの部屋が……

 ▼ 123 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 22:33:33 ID:KC8x1P8c [75/93] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

ドラピオン「おいおいフライゴン……どう言う事だ? それに……」


部屋の中には両親の知らない三匹のポケモン……


ドラピオン「誰なんだ? この老いぼれ軍団は……」


ガオガエン「なっ!? 老いぼれだとぉ!?」

アシレーヌ「まぁまぁ……」

ジュナイパー「……」


フライゴン「三匹は知り合いで、部屋の掃除を手伝って貰ってたんだ」


ドラピオン「ほー……そうだったのか」

 ▼ 124 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 22:36:41 ID:KC8x1P8c [76/93] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

フライゴン♀「ま、その話は置いといて……今日はちょっと話があってね……」


フライゴン「話?」


フライゴン♀「聞いたわよ? 借金全額返済したんだって?」


フライゴン「え!? あ……ま、まぁ……」


ガオガエン「どっからその話を……?」

アシレーヌ「さぁ?」

ジュナイパー「……」

 ▼ 125 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 22:42:57 ID:KC8x1P8c [77/93] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

フライゴン♀「それで、提案があるんだけど……」

ドラピオン「また、三匹で生活しないか? ってな」


フライゴン「!!」

ガオガエン「なっ!?」

アシレーヌ「まぁ……」

ジュナイパー「……」


ドラピオン「どうなんだ? フライゴン」


ガオガエンがフライゴンの両親に歩み寄り、怒鳴りつけた。

ガオガエン「何を今更!! こいつがどれだけ苦労したかも知らずに!!」

ドラピオン「あんたには聞いてないんだよ! 老いぼれは引っ込んでろ!!」

ガオガエン「なんだとぉ!?」


ガオガエンと両親が揉めているが、その声はフライゴンには届いていなかった……

フライゴン「(……俺は……俺はどうすれば……)」
 ▼ 126 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 22:45:28 ID:KC8x1P8c [78/93] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告





俺の目の前にいるのは……確かに父さんに母さん…… 



でも、昔の父さんや母さんとは……似ているけれど、やっぱり違う……



何が違うのかはよくわからないけど……でも、違うんだ……






 ▼ 127 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 22:48:47 ID:KC8x1P8c [79/93] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
気がつくと、フライゴンの母親とガオガエンが取っ組み合いをしている……


フライゴン♀「ねぇ! フライゴン! あんたはどうなのよ!!」

フライゴン「え……」

ガオガエン「お前も言ってやれ!!」

フライゴン「お、俺は……えっと……俺は……」


その時、フライゴンの母親が床に転がっていたあのボールペンを踏んづけた……


バキッ!


フライゴン「!」

フライゴン「あ! あれは……」
 ▼ 128 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 22:51:01 ID:KC8x1P8c [80/93] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

フライゴン♀「痛っ! ちょっと! 何か踏んづけたんだけど!?」


ドラピオン「なんだ? ボールペン? しかも空っぽだし……こんな物捨てろよ……」


ドラピオンは近くにあったゴミ袋に割れたボールペンを乱暴に突っ込んだ……



フライゴン「……」



フライゴンの脳裏にいつかの記憶が蘇った……



 ▼ 129 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 22:54:36 ID:KC8x1P8c [81/93] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告





ドラピオン「ほら、前にナックラーが欲しがってた仕事用のボールペン。空っぽだけど……本当にこんなのが欲しいのか?」


ナックラー「うん! このボールペンかっこいいし……それに……」


ナックラーはボールペンを自分の筆箱に入れた。


ナックラー「こうすればいつでも父さんがそばにいるみたいだよ!」


ドラピオン「そっか! それじゃ、そのボールペンを大切にしてくれよ!」


ナックラー「うん!」


フライゴン♀「良かったわね! ナックラー!」



 ▼ 130 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 22:58:42 ID:KC8x1P8c [82/93] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告



フライゴンの目に涙が浮かんだ……


フライゴン「わかってた……」


二匹は取っ組み合いをやめた。


ガオガエン「フライゴン……」

フライゴン♀「?」

ドラピオン「どうした?」


フライゴン「わかってたのに……もう、俺には父さんも母さんもいないって……わかってたのに……」


フライゴンはゴミ袋に入ったあのボールペンを見つめた……


フライゴン「それでもそのペンを持ち続けていたのは……いつかまた、笑って三匹で暮らせるって信じてたから……」

 ▼ 131 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 23:01:43 ID:KC8x1P8c [83/93] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


ドラピオン「! じゃあ、また俺達と……」


フライゴン「いや、もうあなた達は家族なんかじゃない!! 俺の大切な父さんや母さんはもういないんだ!!」


フライゴン♀「!!」


フライゴンはポロポロと涙をこぼしながら……その場に崩れ落ちた……


フライゴン「俺は……あなた達がいなくても生きていくって決めたんだ……だから……出てって下さい……」
 ▼ 132 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 23:05:33 ID:KC8x1P8c [84/93] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


フライゴンの口からその言葉が出た途端……両親はまた、あの日と同じ、一瞬で知らないポケモンに変わってしまった……


フライゴン♀「ちっ……」

ドラピオン「なら、こんな場所に用はないな……あばよ、糞ガキ」




二匹は玄関から出て行った……





 ▼ 133 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 23:09:38 ID:KC8x1P8c [85/93] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

フライゴン「さよなら……父さん……母さん……」


アシレーヌ「フライゴン君……」

ガオガエン「……これが、お前の答えか……」

ジュナイパー「……」


フライゴンは涙を拭うと伸びをした……


フライゴン「ああ、吹っ切れた……すごくすっきりした……」


フライゴンは立ち上がると、近くにあったゴミ袋を拾い上げた。


フライゴン「さぁ、続きをやろう……今なら沢山捨てれそうだ」



そのフライゴンの顔には……ただの一つの曇りも無かった……

 ▼ 134 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 23:11:18 ID:KC8x1P8c [86/93] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


ガオガエンとアシレーヌは顔を見合わせ笑った。


ガオガエン「俺的に言わせると……最高の答えだな!!」


アシレーヌ「ほら、ジュナイパーも掃除を手伝って!」


ジュナイパー「……」


四匹は掃除を再開した……



 ▼ 135 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 23:26:07 ID:KC8x1P8c [87/93] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


その頃、フライゴンの両親はアパートを後にしようとしていた……
 

フライゴン♀「ちっ……突然全額返済したって聞いたから、宝くじの一つでも当てたのかと思ってたけど……見当違いだったのかしら?」


ドラピオン「けっ……あんな奴と一緒に暮らすなんて、こっちからごめんだぜ」


歩いていく二匹の背後から声がした……



?「……どないやったんや?」



ドラピオン「!……その声は……」



二匹が振り返ると……アパートの塀にザングースがもたれかかっていた。

 ▼ 136 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 23:29:38 ID:KC8x1P8c [88/93] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

フライゴン♀「断られたよ……せっかく金でもせびろうかと思ってたんだけどね……」


ザングース「そりゃそうやろうな……今のあいつなら断るやろ」


ドラピオン「あいつに一体何があったんだ?」


ザングースはタバコを咥えると、ライターで火をつけた……


ザングース「お前らに教える気はないで? 住所教えただけでも感謝しーや?」


ドラピオン「……うるせーな」
 ▼ 137 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 23:33:16 ID:KC8x1P8c [89/93] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

ザングースは二匹を馬鹿にした様な目で見つめた……


ザングース「昔っから変わらんな、お前ら二匹は……何も変わらんクズ夫婦や……」


フライゴン♀「っ!」

ドラピオン「言わせておけば!!」


ドラピオンがザングースの胸元を掴み上げた。


ザングース「お前ら二匹はクズのわいもびっくりするくらいのどクズや……」


ドラピオン「てめぇ!!」

 ▼ 138 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 23:39:25 ID:KC8x1P8c [90/93] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


ドラピオンに胸元を掴まれて宙ぶらりんのザングースはニヤニヤしている……


ザングース「ま、最後に一つだけ言わせてくれや……」


ドラピオン「……?」


ザングース「あいつに……フライゴンにこれ以上手ぇ出すな……次手ぇ出したらそん時はわいの仲間がお前ら二匹を……」


ザングースの鋭い目が二匹を睨みつけた……


ドラピオン「っ!……ちっ!」


ドラピオンの手が緩み、ザングースは自由になった。


フライゴン♀「言われなくても二度と会うもんか!!」


二匹は早足でその場を去った……

 ▼ 139 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 23:44:21 ID:KC8x1P8c [91/93] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


ザングースは二匹の背を眺めながら煙を吐き出した……


ザングース「けっ……ザコが……」


近くの車の影からひょこひょことズルズキンが現れた。


ズルズキン「兄貴ぃ……なんでフライゴンの奴を庇うんすか?」


ザングースはタバコを咥えて歩き出した……


ザングース「さぁな、わいもわからへん……」


ザングースはまた、煙を吐き出しながら空を見上げた……

美しい青空に眩しい太陽が輝いている……


ザングース「……ただ、何となく……あいつがどこまで立て直せるかを見てみたくなったんや……」

 ▼ 140 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 23:48:38 ID:KC8x1P8c [92/93] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

ザングースはカバンからポケット灰皿を取り出し、その中に吸い殻を突っ込んだ……


ザングース「今日は……やり直すのにぴったりな天気やな……」


ズルズキン「……兄貴も……やり直してみますか?」


ザングース「……いや、やり直すには遅すぎるわ……」


ザングースは一瞬思い詰めた様な顔をしたが……



ザングース「……こんなの柄にもないな! よっしゃ! 今からどっかに飯食いに行こか!」

ズルズキン「はい兄貴ぃ!」


晴れ空の下、二匹は仲良く街に向かって歩き出した……
 ▼ 141 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 23:53:39 ID:KC8x1P8c [93/93] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


そんなこんなでもう夜……

フライゴンの部屋……


四匹の目の前には……ゴミ一つ無い部屋が広がっていた……


ガオガエン「ふぅ……じじぃにやらせる仕事じゃねぇぞ? これ」

アシレーヌ「疲れたけど……達成感がすごいわ!」

ジュナイパー「……」


フライゴン「こんなに広かったなんて……びっくりした……」


彼らの前に広がる部屋にはもう、数時間前のゴミ屋敷の面影は無い。


 ▼ 142 1◆v1GnTfaqxg 17/05/21 00:00:50 ID:XAvVcG5s [1/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


ガオガエン「おーっし! 掃除祝いだ! 酒持って来い! 酒!」

アシレーヌ「だめよ! あなた飲んだら暴れるじゃない!!」

ジュナイパー「……」


フライゴン「でも、せっかく今日は色々手伝って貰ったんだ。近くのコンビニに買い出しに行ってくるよ」


アシレーヌ「いいわよ! そんなに気にしなくても!」

ガオガエン「いや、ここは買ってきて貰おうぜ!」


ガオガエンは財布から一万円札を取り出してフライゴンに握らせた。


フライゴン「それじゃ、適当に買ってくるから」

フライゴンは玄関を開け、夜の闇に消えた……
 ▼ 143 1◆v1GnTfaqxg 17/05/21 00:05:50 ID:XAvVcG5s [2/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

部屋には三匹が残された……


ガオガエンは頭を抑えながらその場に座り込んだ……


ガオガエン「……はぁ……頭がクラクラする……」


アシレーヌ「無理しすぎなんじゃない? ガオガエン……」


ジュナイパー「……」


ガオガエンは息を切らせ、その大きな手のひらを見つめた……
 ▼ 144 1◆v1GnTfaqxg 17/05/21 00:08:15 ID:XAvVcG5s [3/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

ガオガエン「せっかくこんな面白い奴に会えたってのに……体が悲鳴をあげてやがる……」


アシレーヌ「そりゃそうよ……だってあなたは……」


ガオガエン「うるせぇ……けど、今日はこれ以上は無理かもな……」


アシレーヌ「じゃあ私が残るから……ジュナイパー、ガオガエンを送ってあげて?」


ジュナイパー「……行こう、ガオガエン」


ジュナイパーがガオガエンを支えながら歩き出した。


ガオガエン「すまねぇな……ジュナイパー」


 ▼ 145 1◆v1GnTfaqxg 17/05/21 00:10:02 ID:XAvVcG5s [4/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

ガオガエンは数歩歩いて……立ち止まった……


ガオガエン「アシレーヌ」


アシレーヌ「……なぁに?」


ガオガエン「明日はお前……用事があるんだってな」


アシレーヌ「うん、少しね」


ガオガエン「そうか……じゃあ、先に言っておく……」





ありがとな




 ▼ 146 1◆v1GnTfaqxg 17/05/21 00:12:15 ID:XAvVcG5s [5/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


アシレーヌはその言葉に驚いた表情を見せたが……すぐに笑って返した。



アシレーヌ「どういたしまして……」



ガオガエンとジュナイパーも玄関を開けて、その先の闇に消えた……



残されたアシレーヌは窓の外に広がる夜空を眺めて呟いた……



アシレーヌ「ガオガエン、こちらこそありがとね」


 ▼ 147 1◆v1GnTfaqxg 17/05/21 00:16:43 ID:XAvVcG5s [6/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


数分後、二匹と入れ違いにフライゴンが帰ってきた……



フライゴン「おまたせ……ってあれ? アシレーヌさんだけ?」


フライゴンがアシレーヌの隣に座った。


アシレーヌ「二匹はちょっと用事があって先に帰ったの」


フライゴン「そっか……せっかく色々買ってきたのに……」


アシレーヌ「まぁ、あたしでよければ相手してあげるから! ほら、準備しよ!」


フライゴン「うん」


二匹は買ってきた食べ物を机に並べだした……
 ▼ 148 1◆v1GnTfaqxg 17/05/21 00:20:00 ID:XAvVcG5s [7/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


その頃、ガオガエンとジュナイパーは二匹でフラフラと夜の道を歩いていた……



ガオガエンは月を見つめながら呟いた……


ガオガエン「……今日は月が綺麗だな、ジュナイパー」


ジュナイパー「……そうだな」


ガオガエン「それにしても、ここまでよく頑張ってくれたぜ……この体もよぉ……」


ガオガエンは右腕をさすった……


ジュナイパー「……」
 ▼ 149 1◆v1GnTfaqxg 17/05/21 00:24:04 ID:XAvVcG5s [8/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ガオガエン「ただ、あと1日だけもってくれよ……あいつと……あと少しだけ……もう少しだけ……」


ジュナイパー「……」


ガオガエン「ジュナイパー、お前もありがとな……」


ジュナイパー「……」


ガオガエン「それじゃ、早く帰ろうぜ……」


ジュナイパー「……あぁ」




月明かりと小さな街灯が照らす、薄暗い道を歩く二匹……


その会話を自販機の裏に隠れて聞いていた白い影が聞いていた……


ザングース「じじぃ……」


続く
 ▼ 150 1◆v1GnTfaqxg 17/05/21 00:25:33 ID:XAvVcG5s [9/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
第三話おしまい

二話更新はやっぱり疲れるので、明日は一話更新の予定です


では
 ▼ 151 ィグダ@アクロママシーン 17/05/21 00:41:08 ID:FjTbMjrM NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援です
 ▼ 152 ナギラス@レンブのみ 17/05/21 00:51:52 ID:GIH5oTgU [1/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 153 ョロネコ@ディフェンダー 17/05/21 01:04:42 ID:Nj0nqRCc NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
気になる支援
 ▼ 154 1◆v1GnTfaqxg 17/05/21 07:06:42 ID:XAvVcG5s [10/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告




……うぅ…………頭が痛い……




昨日、飲み過ぎたせいかな……?




とりあえず起きなきゃ……



 ▼ 155 1◆v1GnTfaqxg 17/05/21 07:10:10 ID:XAvVcG5s [11/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

フライゴンがくしゃくしゃの布団の上で目を覚ますと……目の前でアシレーヌが静かに寝息をたてていた……


アシレーヌ「すぅ……すぅ……」


フライゴン「……え?」


フライゴンは自分の頬をつねってみたが……これは夢ではないらしい……


アシレーヌの腕はがっちりとフライゴンを抱きしめていて離そうとしない……


フライゴン「え? え?」









フライゴン「えええええええええーーーーー!!!??!?!?」
 ▼ 156 1◆v1GnTfaqxg 17/05/21 07:11:27 ID:XAvVcG5s [12/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告










第四話  じじぃの夢、じじぃの願い








 ▼ 157 1◆v1GnTfaqxg 17/05/21 07:14:53 ID:XAvVcG5s [13/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

アシレーヌ「ふぁぁ……あ、おはよ、フライゴン君」


アシレーヌは伸びをすると微笑んだ。


フライゴン「な、ななななんで!? なんで俺がアシレーヌさんと!?」


アシレーヌ「あら? 何も覚えてないの? まぁ、あれだけ飲んだら仕方ないわね……」


アシレーヌは少し顔を赤くした……


フライゴン「う……えっと……なんかすみません……」


アシレーヌ「謝らなくてもいいわよ! 昨日は楽しかったし!」


フライゴン「(お、俺は一体何を……)」


 ▼ 158 1◆v1GnTfaqxg 17/05/21 07:19:55 ID:XAvVcG5s [14/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


アシレーヌは体を起こすと玄関へ向かった……


フライゴン「 アシレーヌさん……どこに」


アシレーヌ「今日は近所のお友達とお茶会なの!」


フライゴン「そうなんだ……」


アシレーヌ「じゃあ、いってきまーす!」


フライゴン「い、いってらっしゃい……」


 ▼ 159 1◆v1GnTfaqxg 17/05/21 07:22:49 ID:XAvVcG5s [15/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


玄関が閉まったと思ったら……すぐに開いた。


フライゴン「あれ? 忘れ物ですか?」


アシレーヌ「いえ……一つだけあなたに伝えなきゃいけない事が……」


フライゴン「え?」


アシレーヌはフライゴンに背を向けた……



アシレーヌ「いつもの家で……ガオガエンがあなたの事を待ってると思うの……」



フライゴン「え?……わ、わかりました」




 ▼ 160 1◆v1GnTfaqxg 17/05/21 07:26:40 ID:XAvVcG5s [16/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

アシレーヌ「それじゃあ今度こそ、いってきまーす!」


アシレーヌは振り返ると、いつもの笑顔を見せた……


フライゴン「いってらっしゃい……」


アシレーヌは玄関の向こうに消えた。



フライゴン「……まだ頭が痛いけど……行くか」


フライゴンは立ち上がると、カバンを肩に掛けて玄関を出た……


 ▼ 161 1◆v1GnTfaqxg 17/05/21 07:29:50 ID:XAvVcG5s [17/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


外へ出ると、フライゴンはいつもの道を歩いていく……



フライゴン「今日もいい天気だな……」



青空の下、フライゴンは大きく伸びした。



フライゴン「(あの三匹に会ってから俺、結構変わったよな……)」



風が吹き、フライゴンの頬を撫でる……



フライゴン「なんだかあの日、自殺しようとしていたのも嘘みたいだ……」



 ▼ 162 1◆v1GnTfaqxg 17/05/21 07:35:04 ID:XAvVcG5s [18/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


気がつくと、目の前にはいつもの家……



フライゴン「着いた……」


フライゴンは呼び鈴を鳴らした……


ピンポーン……


すぐにガラス戸が開き、ガオガエンが出てきた。


ガオガエン「誰だ? ってお前か!」


フライゴン「どうも」


ガオガエン「ま、あがってけ!」



ガオガエンはフライゴンの背を無理矢理押して家に上げた……
 ▼ 163 1◆v1GnTfaqxg 17/05/21 07:40:12 ID:XAvVcG5s [19/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


ガオガエン「昼になっても来ないから……今日は来ないのかと思ったぞ?」


フライゴン「ごめん、昨日飲み過ぎて……」


ガオガエン「ま、そう言う経験も大切だもんな! 仕方ねぇな!」



いつもの畳敷きの部屋に入ると、フライゴンは部屋を見渡したが……ジュナイパーの姿が無かった。


フライゴン「あれ? あのジュナイパーってポケモンは?」


ガオガエン「今日はジュナイパーは来ねぇよ。アシレーヌはお茶会だっけか?」


フライゴン「そう聞いたけど……」


ガオガエン「じゃ、今日は二匹きりって訳だな!」


フライゴン「あ……うん……(機嫌を損ねないようにしないと……この家が灰になるかも……)」

 ▼ 164 1◆v1GnTfaqxg 17/05/21 07:48:42 ID:XAvVcG5s [20/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


ガオガエン「そうだ! お前とやろうと思って新しいゲーム買ってきたんだよ!」


フライゴン「?」


ガオガエンは隣の部屋から大きな箱を持ってきた。


ガオガエン「ほら、これ! 今話題のニンテンドーなんたらかんたらって言う新しいゲーム機だぞ! 一つあれば二匹でできるらしいからやろうぜ!」


フライゴン(なんたらかんたらって……スイッチの方が短くて言いやすいだろ……)

 ▼ 165 1◆v1GnTfaqxg 17/05/21 07:53:27 ID:XAvVcG5s [21/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

ガオガエンは箱から本体を取り出すと、ブラウン管テレビにケーブルを接続しようとした……


ガオガエン「あれ? 刺さる穴がないぞ?」

フライゴン「テレビが古すぎてHDMIの端子がないみたいだな……」


ガオガエン「……仕方ない! ちっちゃい画面でやるか!」


ガオガエンはタブレットに取り付けられたら小さなコントローラーを外そうとした……


バキッ!


ガオガエン「あ」

フライゴン「あ」


ガオガエンはゲーム機を箱ごと隣の部屋にぶん投げた。


ガオガエン「ふ、不良品だったみたいだな! がは、がはは!!」


フライゴン「(もったいない……)」
 ▼ 166 1◆v1GnTfaqxg 17/05/21 07:58:57 ID:XAvVcG5s [22/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

その時、フライゴンの腹が鳴った……

ぐうぅぅぅぅ……


ガオガエン「お! お前、腹が減ったのか?」


フライゴン「まぁ……朝ご飯も食べてないし……」

ガオガエン「そうか! じゃあラーメン作ってやるよ!」


フライゴン「え? ラーメン?」


ガオガエン「そうだ! 俺は昔、ラーメン屋だったんだ!」


フライゴン「(あ、そう言えば……)」


 ▼ 167 1◆v1GnTfaqxg 17/05/21 08:01:07 ID:XAvVcG5s [23/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告




二日前……


フライゴン「だ、大丈夫って言うより……借金を肩代わりしてくれたのか?」


ガオガエン「気にするな! 貯金はそこそこあるからな!」


アシレーヌ「ガオガエンは若い頃にラーメン屋で一発当ててるからお金の心配はいらないわよ!」


ジュナイパー「……」





 ▼ 168 1◆v1GnTfaqxg 17/05/21 08:03:59 ID:XAvVcG5s [24/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告



フライゴン「(そう言えば……そんな事言ってたっけ……)」


ガオガエン「ま、そこで待っててくれ」


フライゴン「うん」



ガオガエンは腕をブンブン振り回しながらキッチンへ向かった……





 ▼ 169 1◆v1GnTfaqxg 17/05/21 08:13:31 ID:XAvVcG5s [25/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告



ガオガエンがキッチンに向かって数分後……



何やらおいしそうな匂いがしてきた……


ぐうぅぅぅぅ……


フライゴンは先程から鳴り続けている腹をさすった……


フライゴン「まだかな……」



 ▼ 170 1◆v1GnTfaqxg 17/05/21 08:17:01 ID:XAvVcG5s [26/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


そして、さらに数分たって……ついに、ガオガエンがどんぶり片手に部屋に入ってきた。


ガオガエン「醤油ラーメンおまち……ってな!」


フライゴン「やっとか……長かった……」


ガオガエンがフライゴンの前にどんぶりを置いた。


どんぶりからあがる湯気がフライゴンの鼻に入り、食欲を誘う……


ガオガエン「ほら、のびる前に食え!」


フライゴン「うん、いただきます!」
 ▼ 171 1◆v1GnTfaqxg 17/05/21 08:22:28 ID:XAvVcG5s [27/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告



フライゴンは勢い良く麺を啜った……


すると、なんとも言えない味が口の中いっぱいに広がった……


油の味しかしないスープ……


こしのないべちゃべちゃの麺……


まずい、まずすぎる……!









 ▼ 172 1◆v1GnTfaqxg 17/05/21 08:25:04 ID:XAvVcG5s [28/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

フライゴン「ぶふぉあ!!」


突然フライゴンはむせて、鼻から麺を垂らしながらその痛みに悶え出した……


ガオガエン「どうだ? まずいだろ?」


フライゴン「な!? ま、まずいってわかっててたべさせたのかよ!! げほっ!!」


フライゴンはむせ続けている……




 ▼ 173 1◆v1GnTfaqxg 17/05/21 08:30:45 ID:XAvVcG5s [29/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

ガオガエン「まぁな!」


フライゴン「まぁな! じゃねぇよ!! ラーメン屋で一発当てたんじゃねぇのかよ!!」


ガオガエンはその言葉に少し、悲しそうな顔をした……


ガオガエン「……なぁ……少しじじぃの昔話に付き合ってくれないか?」


フライゴン「……?」


 ▼ 174 1◆v1GnTfaqxg 17/05/21 08:41:42 ID:XAvVcG5s [30/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

ガオガエンは寝転がると……天井を見上げながら語り出した……


ガオガエン「若い頃の俺の夢……それは、世界一のラーメン屋になる事だった……」


フライゴン「世界一のラーメン屋?」


ガオガエン「ああ……だから青春の全てを犠牲にして、若いころからずっと、近所で評判のラーメン屋でバイトをしながら修行を重ねてきたんだ……」


フライゴン「どれくらいバイトを?」


ガオガエン「どれくらいだろうな……やっと店を建てる金が貯まった頃にはもう、おっさんになっていたよ……」

 ▼ 175 1◆v1GnTfaqxg 17/05/21 08:48:06 ID:XAvVcG5s [31/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

ガオガエン「そして、ついに自分のラーメン屋を建てたって訳だが……最初は新しい店って事もあってそこそこ盛り上がってたってのに、すぐに客が全く来ない日が続くようになったんだ……」


フライゴン「それって……ラーメンがまずいからじゃ……」


ガオガエン「そうなんだよ……当時の俺はそれに気がついていなかった……でも、突然その波はやってきた……」


フライゴン「波?」


ガオガエン「ある日、ふらりとやってきた学生が、激マズラーメン屋ってネットに投稿したらしくてな……そこから急激に話題になって、テレビや雑誌まで取材に来る始末……それからは、怖いもの見たさに客が毎日行列を作った……」


フライゴン「こんなラーメンに行列!?」


ガオガエン「ああ……しかも、中にはこのまずさが癖になったリピーターまでいた……」

 ▼ 176 1◆v1GnTfaqxg 17/05/21 08:52:23 ID:XAvVcG5s [32/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


フライゴン「とんでもない話だな……」


ガオガエンは体を起こして座り直した。


ガオガエン「と、言う訳で……俺はある意味世界一のラーメン屋になった……ある意味夢を叶えたんだ……」


フライゴン「あれ? でも……ガオガエンは夢を諦めたって……」






 ▼ 177 1◆v1GnTfaqxg 17/05/21 08:53:46 ID:XAvVcG5s [33/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告






あの日……



ガオガエン「ああ、まだ話してなかったか……俺達三匹はな、『夢を諦めた者の会』の仲間なんだ」


フライゴン「夢を……諦めた?」






 ▼ 178 1◆v1GnTfaqxg 17/05/21 09:01:09 ID:XAvVcG5s [34/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ガオガエン「そうだ。俺は、世界一の(まずい)ラーメン屋になった。中途半端な結果に俺自身が認めてないだけで、ある意味俺は夢を叶えている……あいつらにはずっと嘘をついてたようなもんだ……」

フライゴン「……」


ガオガエン「なぁ、フライゴン」

フライゴン「?」


ガオガエン「世界ってのは何が起こるかわからねぇ……こんなにまずいラーメンが他のうまいラーメンよりも流行っちまう様な世の中だ……だからよぉ……お前も諦めないで、夢に向かって突っ走って欲しいんだよ」

フライゴン「夢……」

ガオガエン「俺は……お前なら、俺と違って中途半端じゃなくて、思い描いた夢を100%実現できる様な気がするんだ……いや、出来る!」

フライゴン「俺には……そんな事……」

ガオガエン「出来るって言ってるだろ? 信じろ!……そして……」


ガオガエンがフライゴンの両肩を掴んだ。



ガオガエン「信じさせてくれ」



 ▼ 179 1◆v1GnTfaqxg 17/05/21 09:04:46 ID:XAvVcG5s [35/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

フライゴン「……」


ガオガエン「へっ……言いたい事はそれだけだ……これをお前に伝える事が出来て良かった……」


その時、呼び鈴が鳴った……


ピンポーン……


ガオガエン「お、来たみたいだな」


ガオガエンが玄関の方へ歩いて行き……ピザの箱持って帰ってきた。


ガオガエン「ほら、昼飯にピザ頼んでたんだ! 口直しに一緒に食おうぜ!」


フライゴン「……うん」



 ▼ 180 1◆v1GnTfaqxg 17/05/21 09:07:55 ID:XAvVcG5s [36/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告






なんだか、今日のガオガエンの様子は……いつもと違った気がした……




なんて言うか……まるで、俺の事を送り出してくれてるかの様な……




でも、その笑顔だけはいつも通り、豪快で……頼もしかった……




そんなこんなで……気がつくと、夜になっていた……




 ▼ 181 1◆v1GnTfaqxg 17/05/21 09:09:34 ID:XAvVcG5s [37/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


フライゴン「もう夜か……」


ガオガエン「今日は俺の遊び相手をしてくれてありがとな」


フライゴン「なんでそんなに改まって……?」


ガオガエンは照れくさそうに笑った。


ガオガエン「いや、なんでもねーよ」


フライゴン「……?」
 ▼ 182 1◆v1GnTfaqxg 17/05/21 09:12:27 ID:XAvVcG5s [38/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


ガオガエンは縁側に広がる暗闇を眺めた……


ガオガエン「そろそろ……帰らないのか?」


フライゴン「今日はどうしようかな……」


ガオガエン「帰らないのか?」


フライゴン「……帰ってほしいのか?」


ガオガエンは少し寂しそうな顔をした……


フライゴン「寂しいならもう少しだけ……」


ガオガエン「寂しくなんかねぇよ! ほら! 帰れ帰れ!」


フライゴン「え?」


ガオガエンは玄関までフライゴンを押していった……
 ▼ 183 1◆v1GnTfaqxg 17/05/21 09:16:05 ID:XAvVcG5s [39/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


玄関……


フライゴン「今日はピザとまずいラーメンごちそうさまでした」


ガオガエン「まずいラーメンは余計だ!」


フライゴン「ふふ……」

ガオガエン「へへっ!」

二匹は顔を見合わせて笑った。


ガオガエン「じゃ、気をつけて帰れよ」


フライゴン「わかってる……じゃあ、また明日……」


ガオガエン「また明日……」


フライゴンはしばらくフライゴンの消えた暗闇を見つめて立ち尽くしていた……

 ▼ 184 1◆v1GnTfaqxg 17/05/21 09:18:57 ID:XAvVcG5s [40/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


ガオガエン「また明日……か……」


そう呟いたガオガエンが玄関のガラス戸を閉めようとしたその時……


?「全部伝える事はできたんか?」

ガオガエン「誰だ……?」


 ▼ 185 1◆v1GnTfaqxg 17/05/21 09:21:36 ID:XAvVcG5s [41/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


暗い庭の茂みからザングースが現れた……


ガオガエン「っ!……お前は……」


ザングース「じいさん、酒は好きか?」


ガオガエン「……好きだ」


ザングースはニヤリとすると、背負ったカバンから大きな一升瓶を取り出した……


ザングース「いい酒があるんや……一杯やろうや……」


ガオガエン「けっ……気が利くじゃねぇか……」


 ▼ 186 1◆v1GnTfaqxg 17/05/21 09:26:11 ID:XAvVcG5s [42/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

空に上った大きな満月だけが照らす、薄暗い縁側……

二匹は並んで座り、酒を呑んでいた……



ザングース「じいさん……」

ガオガエン「……なんだ?」


ザングース「昨日隠れてじいさんの話を聞いとったんやが……じいさん、先が長くないらしいな……」

ガオガエン「盗み聞きしてたのか……やっぱりお前はクズだな……」


ザングース「うっさいわ……んで、じいさん……フライゴンとこんな別れでええんか?」


ガオガエンは空高く昇った大きな満月を見つめた……


ガオガエン「……いいんだ……あいつには全てを伝えたつもりだ……」


ザングース「……」
 ▼ 187 1◆v1GnTfaqxg 17/05/21 09:31:45 ID:XAvVcG5s [43/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

ガオガエンは酒を啜った……


ガオガエン「別に……長生きしたかった訳じゃなかった……だからあの日、手術を断った……」



静かな夜の風が二匹の間を吹き抜けた……



ガオガエン「あの時は満足していた……長生きなんてしたくもないし、病院のベッドで寝転がってる位なら、アシレーヌやジュナイパーと一緒にいた方が楽しいって思ってたからな……」


ガオガエン「でも、今の俺は違う……」


ザングース「あいつの事が気になるんやろ?」



ガオガエン「ああ……俺はあいつが……フライゴンがしっかりやれるか心配なんだよ……俺が支えてやらねぇと……俺がいねぇとあいつは……」

 ▼ 188 1◆v1GnTfaqxg 17/05/21 09:34:12 ID:XAvVcG5s [44/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


ザングース「心配性だな、じいさん……」


ザングースはガオガエンの肩に手を置いた……


ザングース「そんなに心配せんでも、あいつはやってける。それに、じいさんがおらんくなってもわいがあいつの事を見といたるから……」


ガオガエンはまた、月を見つけながら呟いた……



ガオガエン「……頼んだぞ」

ザングース「おう、任しとき」

 ▼ 189 1◆v1GnTfaqxg 17/05/21 09:37:37 ID:XAvVcG5s [45/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

その時、ガオガエンの手から酒の入った杯が落ちた……


パリン……


杯は庭に転がり落ちて割れた……



ガオガエン「……どうしてだ? 今日の月は……丸くないな……グニャグニャしてやがる……」


ザングース「……そうか……じいさんにはそう見えるか……」


ザングースはガオガエンに酒の入った瓶を持たせた。


ザングース「残りは向こうに行ってから呑むとええわ……」


ザングースは立ち上がると、黙って歩き出し……暗闇に消えた。



 ▼ 190 ソクムシャ@ぎんのおうかん 17/05/21 09:38:22 ID:N8TsuwZ6 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 191 1◆v1GnTfaqxg 17/05/21 09:40:20 ID:XAvVcG5s [46/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


その頃、アシレーヌは小さな明かりが照らす夜の小道で一匹たたずんでいた……


アシレーヌ「……」


アシレーヌは空を見上げた……


大きな月と……その周りに小さな星々がきらめいている……


アシレーヌ「ガオガエン……またね……」


アシレーヌは目に浮かんだ涙を拭った……

 ▼ 192 1◆v1GnTfaqxg 17/05/21 09:43:53 ID:XAvVcG5s [47/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

同じ頃、とある公園のベンチ……一匹のポケモンが月明かりの下、小説を読んでいた……



ジュナイパー「……」


ジュナイパーは読み終えた小説を閉じると空を見上げた……


大きな満月がジュナイパーの瞳に映りこむ……


ジュナイパー「……もう、行ってしまったのか?」



他に誰もいない公園……ジュナイパーは立ち上がるとゆっくりと、暗い夜道を歩き出した……
 ▼ 193 1◆v1GnTfaqxg 17/05/21 09:45:55 ID:XAvVcG5s [48/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告



その頃、フライゴンはアパートの階段を登っていた……


フライゴン「……ん?」


フライゴンはふと、空を見上げた……


フライゴン「……」


フライゴンは視線を前に戻し、また一方ずつ、階段を登っていった……
 ▼ 194 1◆v1GnTfaqxg 17/05/21 09:49:34 ID:XAvVcG5s [49/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


月明かりが照らす縁側……


ガオガエン「……」


ガオガエンは近くの柱にふらりともたれかかった……


ガオガエン「……アシレーヌ……ジュナイパー……それに、フライゴン……」


ガオガエンはふっと笑うと……力無く腕を下ろし、まぶたを閉じた……


ガオガエン「……」




いつも通りの夜の町の片隅で……一つの命が……



続く
 ▼ 195 1◆v1GnTfaqxg 17/05/21 09:51:39 ID:XAvVcG5s [50/76] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
第四話 おしまい

やっぱりいけそうなんで多分夜にもう一話書きます。


では
 ▼ 196 シマリ@ノーマルZ 17/05/21 09:54:11 ID:.68QatAk NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援

ガオガエンのラーメン屋ってこれか
http://pokemonbbs.com/post/read.cgi?no=538560
 ▼ 197 ャローダ@くろいヘドロ 17/05/21 10:04:47 ID:qQ8TL1E2 [1/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 198 ョロゾ@トライパス 17/05/21 10:05:36 ID:zy7L64U. NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
この人工作もできてSSも書けるなんて……
支援です
 ▼ 199 ゲツケサル@かたいいし 17/05/21 10:09:48 ID:LRaxZYZc NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
冒頭が東京テディベアっぽいな
支援
 ▼ 200 バメ@しんぴのしずく 17/05/21 11:05:07 ID:DfMfcudA NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
(・大・)<泣いた
支援
 ▼ 201 ニューラ@くろいヘドロ 17/05/21 11:49:08 ID:xGqSHkcE NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
なんかザングースしかり過去作キャラを彷彿とさせるな
支援
 ▼ 202 タフリー@エレキシード 17/05/21 12:24:50 ID:ke7eN.EI NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
やはりあのスレの作者だったか
ガオガエンが大山当てて色々だから前作のアイツが結婚した頃かな?
 ▼ 203 ザリガー@だっしゅつボタン 17/05/21 14:02:17 ID:GIH5oTgU [2/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 204 1◆v1GnTfaqxg 17/05/21 21:33:04 ID:XAvVcG5s [51/76] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


あれから数日たった日の夕方……


夕日の照らすあの部屋……三匹はコタツを囲んでいた……


フライゴン「……」


フライゴンはあれからずっと元気がない……


ジュナイパー「……」


ジュナイパーも先ほどから何度も小説を開くが……すぐに閉じて、読むことをやめてしまう……


アシレーヌ「……寂しくなっちゃったね」

フライゴン「……うん」

ジュナイパー「……」


あれから数日間、三匹はガオガエンの葬式や火葬などを済ませてクタクタになっていた……
 ▼ 205 1◆v1GnTfaqxg 17/05/21 21:34:16 ID:XAvVcG5s [52/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告










第五話  残された者、それぞれの思い








 ▼ 206 1◆v1GnTfaqxg 17/05/21 21:36:32 ID:XAvVcG5s [53/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


アシレーヌ「お葬式も火葬も終わって……これで、やる事は全部終わったのよね」


ジュナイパー「……」

ジュナイパーが頷いた。


部屋の中にあったガオガエンの私物は、殆どダンボール箱に詰め込まれている……

 ▼ 207 1◆v1GnTfaqxg 17/05/21 21:39:42 ID:XAvVcG5s [54/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

フライゴン「……俺が早く気づいていれば……もっと一緒にいれたのに……」


フライゴンの目から涙が溢れた……


アシレーヌ「フライゴン君……」

ジュナイパー「……」


その時、ジュナイパーが立ち上がり、隣の部屋に入っていった……


アシレーヌ「?」


すぐに帰ってきたジュナイパーの手には……白い封筒が掴まれていた。



 ▼ 208 1◆v1GnTfaqxg 17/05/21 21:43:17 ID:XAvVcG5s [55/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


アシレーヌ「ジュナイパー、それは?」


ジュナイパーはフライゴンの隣に座ると、その封筒をフライゴンに差し出した……


フライゴン「……?」


フライゴンが涙を拭い、その封筒を見ると……そこには『遺書』と書かれていた。


フライゴン「遺書……」



フライゴンはジュナイパーからその封筒を受け取ると、中に入った遺書を取り出した……



 ▼ 209 1◆v1GnTfaqxg 17/05/21 21:47:02 ID:XAvVcG5s [56/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


遺書


先は長くないってわかっているから、今のうちに遺書って物を書いておこうと思う。

その方が色々と楽だって言うもんな!


フライゴンはともかく……アシレーヌとジュナイパーには伝える事は先に全部伝えてある……つもりだ。

俺が死ぬ時は……なんか恥ずかしいから一匹にしてくれ……とか、まぁ色々……


だから、この遺書にはフライゴンに伝えるべき事を書いておく。
 ▼ 210 1◆v1GnTfaqxg 17/05/21 21:52:10 ID:XAvVcG5s [57/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

まずはあの家の事。

お前達がいつも集まってるあの家なんだけど……あれ、実は俺の家なんだ。


アシレーヌもジュナイパーも、俺と同じで先は長くねぇんだよなぁ……


どうせ俺には家族なんていねぇしよ……良かったら、お前が貰ってくれ。


ボロい家だけど、今のアパートよりは広いだろ?


あと、金も欲しい物も好きなだけ貰ってくれ。


金は隣の部屋の金庫にしまってある……

あと少しは貯金してあったはずだから……お前の夢の実現にでも役立ててくれ。



あ、鍵はさしっぱなしにしておくからな!  
 ▼ 211 1◆v1GnTfaqxg 17/05/21 21:55:01 ID:XAvVcG5s [58/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

……まぁ、これくらいでいいだろ。久しぶりに字を沢山書いて疲れてきたし……


あ、それと最後に一つだけ……


フライゴン、お前まさか泣いてないよな?


出会いがあるから別れがあるんだぜ?


お前は俺と出会った時点でこうなるって決まってたんだよ。



だから、泣くんじゃねぇよ……





 ▼ 212 1◆v1GnTfaqxg 17/05/21 21:57:46 ID:XAvVcG5s [59/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

おい! アシレーヌ! ジュナイパーも! お前らもだぞ! 泣いてないだろうな?


俺はしんみりとしたのがあんまり好きじゃねぇんだよ! 付き合い長いからその位わかるだろ!



だから……最後の最後くらい、笑って送ってくれ……

そしたら俺も、笑って向こうに行けるから……



じゃあな、フライゴン、アシレーヌ、ジュナイパー……

お前達と会えて本当に楽しかったぜ!   


ガオガエン
 ▼ 213 1◆v1GnTfaqxg 17/05/21 22:00:46 ID:XAvVcG5s [60/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


フライゴンは涙を腕で拭った。


フライゴン「別に……泣いてなんかないし……」

アシレーヌ「本当、ガオガエンったら……」

ジュナイパー「……あいつらしいな」





フライゴン「えっ!? 今、ジュナイパーが喋った!?」

ジュナイパー「!?」

 ▼ 214 1◆v1GnTfaqxg 17/05/21 22:04:34 ID:XAvVcG5s [61/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

ジュナイパーは急いで小説を開き、そちらに目を落とした……


アシレーヌ「あれ? そう言えばジュナイパーってフライゴン君の前では喋った事なかったっけ?」

フライゴン「うん……」


ジュナイパーは小説を読んでいる様に見えるが、明らかに目が泳いでいるし、ページをめくる指先がプルプルと震えている……


二匹はそんなジュナイパーを見て微笑んだ……

フライゴン「ぷぷ……」

アシレーヌ「うふふ! ジュナイパーったら!」

ジュナイパー「……」




 ▼ 215 ガボーマンダ@しろいビードロ 17/05/21 22:07:17 ID:fv6nQVVY NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 216 1◆v1GnTfaqxg 17/05/21 22:07:42 ID:XAvVcG5s [62/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

その時、外から風が吹き込んで来た……


アシレーヌ「……!」


フライゴン「この風は……ガオガエン……かな」


ジュナイパー「……」


アシレーヌは目をつむり、胸に手を当てると……小さな声で囁いた……


アシレーヌ「いってらっしゃい……ガオガエン……」



夕日が照らす部屋の中……三匹はその風の中に微かに含まれたガオガエンの温もりをいつまでも感じていた……
 ▼ 217 1◆v1GnTfaqxg 17/05/21 22:10:45 ID:XAvVcG5s [63/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

その日の夜、玄関にて……



アシレーヌ「それじゃ、あたし達は帰るわね」


ジュナイパー「……」

ジュナイパーは静かに頷いた。


フライゴン「俺も、この家を引き継ぐって言ったって……まずは引っ越しの手続きをしなきゃいけないし……とりあえず帰るよ」

ジュナイパー「……」


アシレーヌとフライゴンは玄関を出た。


アシレーヌ「じゃあ、またね! ジュナイパー!」


ジュナイパー「……」


 ▼ 218 ーニー 17/05/21 22:15:05 ID:FfBOwJkc NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援〜し
 ▼ 219 1◆v1GnTfaqxg 17/05/21 22:15:20 ID:XAvVcG5s [64/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


フライゴンとアシレーヌは夜道を並んで歩いていく……


フライゴン「そう言えば……あれからずっとあの家で寝泊まりしてたから、家に帰るのは久しぶりだな……」


アシレーヌ「そうね、あれから忙しかったからね」


フライゴン「……実は……ガオガエンが死ぬ前に俺に言ったんだけどさ……夢を叶えて欲しいって……」


アシレーヌ「ガオガエン、そんな事言ってたんだ……」


フライゴン「うん……俺さ、昔諦めた夢を叶えてみようかなって思ったんだ」
 ▼ 220 1◆v1GnTfaqxg 17/05/21 22:22:04 ID:XAvVcG5s [65/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
アシレーヌ「……どんな夢?」


フライゴンは少し恥ずかしそうに目をそらした……


フライゴン「ずっと……学校の先生になってみたかったんだ」


アシレーヌ「先生? いいじゃない! でも、なんで先生になりたいの?」


フライゴン「小学一年生の時……俺の担任の先生がすごく面白くて……勉強を教えるのも上手くて……頼りになる先生だったんだ……」


アシレーヌ「ふーん……じゃあ、その先生に憧れて?」


フライゴン「うん、でもその先生は、俺のクラスの担任をした後になぜか先生を辞めちゃって……それで、次に俺の担任になった先生は最悪だった……虐められてる俺の事を無視したり……口だけだったり……俺はそんな先生を見て、なんだか先生になるのが急に嫌になって……」
 ▼ 221 1◆v1GnTfaqxg 17/05/21 22:26:55 ID:XAvVcG5s [66/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

アシレーヌ「そっか……でも、だからこそフライゴンならいい先生になれるんじゃないかな……」


フライゴン「?」


アシレーヌ「だって……手本になるいい先生も、悪い先生も知ってるんでしょ? なら、簡単な話! そのいい先生を目指して、悪い先生にならないように頑張ればいいだけよ! 大丈夫、フライゴン君ならきっといい先生になれるわ!」


アシレーヌのその言葉は、フライゴンの心の奥底に眠っていた夢を閉ざしていた氷を少し溶かした……


フライゴン「アシレーヌさん……ありがとう。俺、頑張ってみるよ」


アシレーヌ「そのいきよ!」


 ▼ 222 1◆v1GnTfaqxg 17/05/21 22:31:02 ID:XAvVcG5s [67/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

そんな話をしていると……二匹はいつの間にか、あのアパートの前に来ていた……


フライゴン「あれ? もう着いちゃった……」

アシレーヌ「お話してると時間が流れるのも早く感じるわね!」


フライゴン「……うん」


フライゴンは少し顔を赤くした……


アシレーヌ「どうしたの? フライゴン君……」

フライゴン「えっと……なんて言うか……」

アシレーヌ「なぁに?」


フライゴン「今日は……その……俺の変なグチって言うか……話を聞いてくれてありがとう」


アシレーヌ「そんな改まらなくてもいいじゃない! だってあたし達、夫婦でしょ?」


 ▼ 223 1◆v1GnTfaqxg 17/05/21 22:32:16 ID:XAvVcG5s [68/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告















フライゴン「……え? ちょっと待って……今、なんて?」


アシレーヌ「あれ? フライゴン君、本当に覚えてないの? あなたあの日……」


 ▼ 224 1◆v1GnTfaqxg 17/05/21 22:36:44 ID:XAvVcG5s [69/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

あの日の深夜……


フライゴンは缶ビールを飲み干すと空き缶を握りつぶした……


フライゴン「うぅ……こんな世の中不公平だぁ……もう嫌だぁ……」


フライゴンの顔は真っ赤……舌はうまく回っておらず、完全に酔っぱらっている……


アシレーヌ「フライゴン君も大変よねぇ……」


フライゴン「これから仕事も探さなきゃなんないのに……独身ってのも寂しいし……嫌になっちまうよぉ……」


アシレーヌ「あたしなんてこの年でまだ独身なのよ? フライゴン君はまだ若いんだから……心配しなくても大丈夫!」


フライゴン「!」

 ▼ 225 1◆v1GnTfaqxg 17/05/21 22:40:48 ID:XAvVcG5s [70/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

突然、フライゴンがアシレーヌを抱きしめた。


アシレーヌ「!?」


アシレーヌは突然の出来事に酔いが吹き飛び、唖然としている……


フライゴン「俺、アシレーヌさんの事がずっと気になってたんだ……だからさ……」


アシレーヌはしばらく驚いていたが……やがて……


アシレーヌ「……あたしなんかで良かったら……よろしくお願いします……」


フライゴンはアシレーヌを抱きしめたまま、くちゃくちゃの布団に寝転がった。



フライゴン「すぅ……すぅ……」


アシレーヌ「もう……フライゴン君ったら……///」


アシレーヌは眠ってしまったフライゴンを優しく抱きしめた……
 ▼ 226 1◆v1GnTfaqxg 17/05/21 22:42:07 ID:XAvVcG5s [71/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告






アシレーヌ「本当の本当に覚えてないの?」


フライゴン「え!? え、えっと……えっと……」








フライゴン「えええええええええええええーーーーーーーーっ!??!!!!?」



暗い夜空にフライゴンの叫びが響き渡った……
 ▼ 227 1◆v1GnTfaqxg 17/05/21 22:44:06 ID:XAvVcG5s [72/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

その頃、近所の墓場にて……



ジュナイパー「……」


ジュナイパーの目の前には墓石が一つ……


ジュナイパー「ガオガエン……」


ジュナイパーは線香に火をつけると、線香立てに刺した……

 ▼ 228 1◆v1GnTfaqxg 17/05/21 22:46:07 ID:XAvVcG5s [73/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


その時、突然強い風が吹き……ろうそくの火を消した……


ジュナイパー「……」


真っ暗になった墓場の真ん中……ジュナイパーは溜め息を一つついた……


ジュナイパー「わかっている……その時が来たら話す……」


ジュナイパーは暗闇の中、墓場を後にした……
 ▼ 229 1◆v1GnTfaqxg 17/05/21 22:50:48 ID:XAvVcG5s [74/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

誰もいなくなったと思われたが……


ガオガエンの墓石の後ろからザングースが現れた。


ザングース「火が消えてもうとるやないか……しゃあない、わいがつけたる……」


ザングースはライターでろうそくに火を灯し……ついで、口に咥えていたタバコに火をつけた……


ザングース「あのじいさん、どっかで見た事あるような……それに、何を隠しとるんや? ってまたわいは盗み聞きを……やっぱりクズやな……」


ザングースはそっと墓石を撫でた……


ザングース「また来るわ、じじい……今度は酒を持ってな……」


真っ暗な墓場の闇にザングースは消えた……



続く
 ▼ 230 1◆v1GnTfaqxg 17/05/21 22:57:12 ID:XAvVcG5s [75/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
第五話おしまい


前のSSも読んでくれた方々、まずはありがとうございます。
今回のこのSS、>>196さんが言うとおり、そのSSの数年後を書きました。
このSSは一応、そのSSの没になった物をベースに再編成した物になっております。
登場人物が似ているとか、雰囲気、展開が似ているのはそのせいです。

あと、ザングースと山崎は全くもって関係はございません。
自分の中であのキャラのイメージがこびりついて取れないせいです。


長文失礼いたしました。

では
 ▼ 231 ウカザル@かみなりのいし 17/05/21 23:01:54 ID:qQ8TL1E2 [2/3] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
関係ないけどげsageてる意味は?
 ▼ 232 1◆v1GnTfaqxg 17/05/21 23:11:45 ID:XAvVcG5s [76/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
>>231
自分はいつも下書きを最後まで書いてから、だいたい1日一話を目安に書いてるので、あげると何度も何度も上に上がってくる事になり、SS嫌いの方や、自分のSSに興味がない方々に多大な迷惑がかかってしまうと考えていますので、sageで進めてます。
 ▼ 233 ガボーマンダ@ポケモンのふえ 17/05/21 23:16:33 ID:qQ8TL1E2 [3/3] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
>>232
なるほど
 ▼ 234 チニン@いましめのツボ 17/05/22 00:40:16 ID:dkoylCDs NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
支援
明日も楽しみ
 ▼ 235 ャーレム@ネットボール 17/05/22 06:28:18 ID:2S8bKAUw NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
何で毎回こう面白いんだか
支援
 ▼ 236 ーブイ@クラボのみ 17/05/22 08:25:27 ID:HnOnPmDY NGネーム登録 NGID登録 報告
面白い。
支援
 ▼ 237 ノムー@こだいのせきぞう 17/05/22 09:10:42 ID:PtzshTmU [1/2] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
こういうしっかりしたSSは久しぶりに見る
完結まで持ってってほしい
 ▼ 238 ドラン♀@ミクルのみ 17/05/22 10:08:51 ID:PtzshTmU [2/2] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
今前作のSS読んできたら





















泣いたわ
上手すぎる
 ▼ 239 1◆v1GnTfaqxg 17/05/22 20:47:28 ID:S1WBk25M [1/28] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

……ぇ…………て!



ねぇ! フライゴン君!!




フライゴン「うぅ……」



アシレーヌに揺すられて、フライゴンは目を覚ました……



アシレーヌ「おはよ、フライゴン君!」

 ▼ 240 1◆v1GnTfaqxg 17/05/22 20:51:30 ID:S1WBk25M [2/28] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

フライゴン「お、おはよう……ございます……」


アシレーヌ「ございますって……もっと夫婦らしくしない?」


フライゴン「……」

フライゴンは頬をつねった。

フライゴン「(や、やっぱり夢じゃない……)」


アシレーヌ「夢じゃないのよ? フライゴン君!」

アシレーヌはクスクスと笑っている……


フライゴン「いや……まだ、実感が沸いてないって言うか……」


アシレーヌ「そんな事より、ほら! トースト焼けてるよ? あったかいうちにどうぞ!」


机の上のお皿には、こんがりと焼けたトーストがのっていた……



フライゴン「じゃあ、いただきます」
 ▼ 241 1◆v1GnTfaqxg 17/05/22 20:55:17 ID:S1WBk25M [3/28] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告




フライゴン「ごちそうさまでした」


アシレーヌ「はーい!」


フライゴンは膨れた腹をさすった。


フライゴン「なんだか久しぶりにいい朝食だったな……お金もないから朝食は抜く事が多かったんだ」


アシレーヌ「ありがと! まぁ、食パンを焼いただけなんだけどね!」


アシレーヌは皿をキッチンへ運び、鼻歌を歌いながら皿を洗い始めた……


フライゴン「……」


フライゴンはまた、くしゃくしゃの布団の上に寝転がった……


フライゴン「(こういう事を……世間では幸せって言うのかな……)」
 ▼ 242 1◆v1GnTfaqxg 17/05/22 21:00:42 ID:S1WBk25M [4/28] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


洗い物を終えたアシレーヌがフライゴンに近寄ると、寝転がるフライゴンを布団から転がして落とした。


アシレーヌ「いつまで寝てるの? 早く起きなさい!!……なんてね!」


アシレーヌは布団をたたんで部屋の隅に置いた。


フライゴンは冷たいフローリングの上に寝転がりながら、アシレーヌを見つめて微笑んだ……


フライゴン「(きっとそうだ……これが幸せなんだ……)」


その時、アシレーヌがポンと手をたたいた。


アシレーヌ「そうだ!」

フライゴン「?」


アシレーヌ「今日は二匹でデートしない?」


フライゴン「へ? デート?」
 ▼ 243 1◆v1GnTfaqxg 17/05/22 21:01:34 ID:S1WBk25M [5/28] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告










第六話  デートと夢、彼女の真実








 ▼ 244 1◆v1GnTfaqxg 17/05/22 21:04:44 ID:S1WBk25M [6/28] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

フライゴン「で、デートなんて……何をすれば……」


アシレーヌは早々と支度を済ませて玄関へ向かう……


アシレーヌ「別にそんなに深く考えなくても大丈夫! ほら、早く行こ!」


アシレーヌが玄関の外からフライゴンを呼んでいる……


フライゴン「あ……はい」


フライゴンはとりあえずカバンを持って部屋を出た。
 ▼ 245 1◆v1GnTfaqxg 17/05/22 21:10:25 ID:S1WBk25M [7/28] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告



晴れ空の下、フライゴンとアシレーヌは並んで歩いていく……



フライゴン「どこに行こう……」


アシレーヌ「あたしは……フライゴン君がいるならどこだっていいわよ?」

フライゴン「っ///」


顔を赤くしたフライゴンを見て、アシレーヌはクスクスと笑った。


アシレーヌ「フライゴン君かわいー!」

フライゴン「……」


その時、二匹の歩く先に公園が見えた。


アシレーヌ「あっ、あそこに公園があるわよ? 少し休んでかない?」


フライゴン「え、あ……はい」
 ▼ 246 1◆v1GnTfaqxg 17/05/22 21:27:21 ID:S1WBk25M [8/28] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

平日の公園……

たとえ平日でも、子ども連れの親や、子ども達……他にも休憩中のサラリーマンなどが見られた……

そんな中、二匹は公園の隅にあったベンチに座っていた。


アシレーヌ「遠くに旅行に行くのもいいけど、こう言うちょっとした散歩もいいわよね」


フライゴン「///」


フライゴンは先程からずっとアシレーヌから目をそらし続けている……


アシレーヌ「ちょっと、フライゴン君? 聞いてるの?」


アシレーヌがフライゴンの顔を掴んで、無理矢理自分の方を向かせた。


フライゴン「っ!!」


フライゴンの顔が赤を通り越して紅蓮に染まった……


アシレーヌ「うふふ! かわいいんだから!」
 ▼ 247 1◆v1GnTfaqxg 17/05/22 21:36:53 ID:S1WBk25M [9/28] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


その時、二匹の前を走り回っていた子どもが石につまずきこけてしまった……


ピチュー「うわぁぁん!! いだいよぉ!!」


フライゴンは立ち上がり、ピチューに駆け寄った。


フライゴン「おいおい、大丈夫か?」

ピチュー「うわぁぁん!」

フライゴン「……」


フライゴンはピチューを抱き上げ、近くの蛇口でピチューの足の擦り傷を洗い……そして、カバンから取り出した絆創膏を張り付けた。


フライゴン「よし、これで大丈夫!」

ピチュー「ひっぐ……お兄ちゃん、ありがと!」


ピチューはまた、走り出した……


フライゴン「もうこけるなよー!」
 ▼ 248 1◆v1GnTfaqxg 17/05/22 21:43:47 ID:S1WBk25M [10/28] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

アシレーヌはそんなやり取りを見て微笑んだ……


アシレーヌ「やっぱりフライゴン君って優しいわね!」

フライゴン「っ! そ、そんな事ないよ……」


アシレーヌは公園で遊ぶ子ども達を眺めながら呟いた……


アシレーヌ「ねぇ、フライゴン君って子どもは欲しいの?」

フライゴン「!!?!?!!?」


フライゴンは突然の質問に激しく動揺した……


アシレーヌ「……もし、子どもが欲しいのなら、沢山お金を貯めなきゃダメよ? 子どもを育てるのって沢山お金がかかるらしいから……」

アシレーヌは遠くを見つめながらそう呟いた。


フライゴン「え? は、はい……」

 ▼ 249 1◆v1GnTfaqxg 17/05/22 21:47:24 ID:S1WBk25M [11/28] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

アシレーヌ「だから、まずはフライゴン君は先生にならなきゃね!」


フライゴン「……うん」


アシレーヌ「じゃあ、そろそろ行こっか!」


フライゴン「はい」



二匹はベンチを後にして歩き出した……

 ▼ 250 1◆v1GnTfaqxg 17/05/22 21:50:26 ID:S1WBk25M [12/28] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


太陽は空高く昇っている……

昼空の下、二匹は街を歩いていた……


アシレーヌ「お昼、何にする?」


フライゴン「べ、別に俺は何でも……」


二匹は街を見渡した……

街中と言う事もあり、沢山のポケモンが行き交っている……



アシレーヌ「この時間じゃどこも混んでるのよね……」


フライゴン「うん……」


 ▼ 251 1◆v1GnTfaqxg 17/05/22 21:54:45 ID:S1WBk25M [13/28] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


アシレーヌ「……ねぇ、もう少しポケモンの少ない所まで行かない?」


フライゴン「え?」


アシレーヌ「あたし、海に行きたい……」


フライゴン「海……? ここからなら少し遠いけど……」


アシレーヌ「一緒に来てくれる?」

フライゴン「は、はい……」


アシレーヌはフライゴンの手を握った。


フライゴン「っ!!」


アシレーヌ「じゃあ、行こっか……」



二匹は近くの海目指して歩き出した……
 ▼ 252 1◆v1GnTfaqxg 17/05/22 21:59:40 ID:S1WBk25M [14/28] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告



街からどんどん離れて行く……



どんどんポケモンの通りも少なくなって行く……



お昼も食べていないはずなのに、フライゴンは空腹がそれ程気になってはいなかった……



フライゴン「(や、ヤバい……なんか緊張してきた……)」



気が付けば、先程まで空のてっぺんに輝いていた太陽は、もうオレンジ色に染まり……ゆっくりと地平線に沈みつつあった……


 ▼ 253 1◆v1GnTfaqxg 17/05/22 22:05:30 ID:S1WBk25M [15/28] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


フライゴンがアシレーヌを見ると……アシレーヌの白い肌がオレンジ色の夕日に照らされ、とても美しく見えた……


アシレーヌ「フライゴン君、顔赤いよ?」

フライゴン「っ!! ゆ、夕日のせいですよ!!」

アシレーヌ「本当かしら?……あ! あれ見て!」


フライゴン「え?」


アシレーヌの指差す先には、オレンジの夕日が照らす海が見えた……


フライゴン「海だ……よくよく考えたら俺って本物の海、初めて見たかも……」


アシレーヌ「ほら、早く行きましょ?」


フライゴン「うん!」



二匹は輝く海目指して歩き出した……
 ▼ 254 1◆v1GnTfaqxg 17/05/22 22:12:48 ID:S1WBk25M [16/28] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


フライゴン「綺麗だな……これが海……」


二匹の前には……どこまでもどこまでも続く海……

オレンジ色の夕日が海に反射してキラキラと輝いている……


アシレーヌ「はぁ……はぁ…………着いた……わね」

アシレーヌは少し苦しそうな顔をしている……


フライゴン「アシレーヌさん、大丈夫ですか?」


アシレーヌ「大丈夫……それより……」


アシレーヌは砂浜を這い……波に触れた……

アシレーヌの髪を潮風が撫でる……


アシレーヌ「フライゴン君、こっちきて?」


自分の名を呼ぶアシレーヌの横顔に少し緊張しながらも、フライゴンはアシレーヌの元へ歩き出した……
 ▼ 255 1◆v1GnTfaqxg 17/05/22 22:19:48 ID:S1WBk25M [17/28] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

フライゴン「ど、どうしたんですか? アシレーヌさん」


アシレーヌはしばらく髪をいじっていたが……やがて、髪を離すとフライゴンに顔を向けた……


アシレーヌ「ごめんね、フライゴン君……」


フライゴン「? 何を謝って……」


アシレーヌ「あたし、フライゴン君に嘘をついていたの」


フライゴン「嘘?」


アシレーヌ「フライゴン君は……あたしに結婚しよう、なんて言って無い……あの日、フライゴン君は酔ってすぐに寝ちゃったのよ?」


フライゴン「え?」


 ▼ 256 1◆v1GnTfaqxg 17/05/22 22:22:34 ID:S1WBk25M [18/28] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

アシレーヌ「あたしは夢を叶える為に、フライゴン君を騙していたの……ごめんね……」


アシレーヌの目から涙がこぼれ落ちた……


フライゴン「アシレーヌさんの……夢?」


アシレーヌは海を見つめながら語り出した……


アシレーヌ「……あたしの夢……それはね、かっこいい理想のポケモンと結婚する事だったの……」




 ▼ 257 1◆v1GnTfaqxg 17/05/22 22:26:15 ID:S1WBk25M [19/28] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


あたしは若い頃、プロの歌手だったの……これでも結構人気はあったのよ?



あの頃のあたしはプライドが高くて……自分が大好きで……沢山のポケモンにプロポーズされても断り続けていたの……



断る理由は……自分と釣り合わないって考えてたのもあるけど……一番は、他に好きなポケモンがいたから……




 ▼ 258 1◆v1GnTfaqxg 17/05/22 22:31:31 ID:S1WBk25M [20/28] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

アシレーヌ「そのポケモンは、フライゴン君そっくりなポケモンだった……あたしは歌手として儲けたお金をつぎ込んで、そのポケモンに好かれたい一心で、何度も何度も……数え切れない程の整形手術をしたわ……」


アシレーヌ「そして、そのポケモンに告白した……でもね? ふられちゃったの」


フライゴン「……どうして?」
 

アシレーヌ「外見だけの美しさには興味は無いって……そう言われちゃった……」


フライゴン「……」


 ▼ 259 1◆v1GnTfaqxg 17/05/22 22:37:10 ID:S1WBk25M [21/28] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

アシレーヌ「あたしは沢山泣いた……自分がこれまでにして来た事は一体何だったのかって……そして、すごく後悔した……取り返しのつかない事をしてしまったって……」


アシレーヌ「その後、あたしは歌手を引退して……そして、一匹で暮らしていた時に、ひょんな事から出会ったガオガエン達と暮らす事になったの」


フライゴン「そうだったんだ……」


アシレーヌは再びフライゴンに目を合わせた……


アシレーヌ「ねぇ、フライゴン君……あたし、何歳に見える?」


フライゴン「え? えっと……」


アシレーヌ「整形手術のせいで凄く若く見えるだろうけど……あたし、今年でもう80なのよ?」


フライゴン「!」
 ▼ 260 1◆v1GnTfaqxg 17/05/22 22:42:25 ID:S1WBk25M [22/28] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

アシレーヌ「ごめんね、ありがと……こんなおばあちゃんの相手をしてくれて…… 」


フライゴン「……」



その時、ふいにフライゴンがアシレーヌにキスをした……



アシレーヌ「っ!」



フライゴン「謝らなくても……俺はアシレーヌさんの……多少は外見もあったけど……その優しさに惚れてたんだ……」


アシレーヌの目から次々と流れる涙が海水に落ちて溶け込んでいく……



フライゴン「年齢なんて別に気にしない……あの日、言えてなかったのなら、今から言うよ……」
 ▼ 261 1◆v1GnTfaqxg 17/05/22 22:43:01 ID:S1WBk25M [23/28] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告










俺と、結婚してください。







 ▼ 262 1◆v1GnTfaqxg 17/05/22 22:46:16 ID:S1WBk25M [24/28] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

アシレーヌ「ありがと……フライゴン君……」


アシレーヌはフライゴンを抱きしめた……


アシレーヌ「でもね、もうあたしには時間が無いの……」


フライゴン「!」


アシレーヌ「自分の体の事は……自分が一番よくわかるわ……手術の影響で長生き出来ない事も知ってる……」


フライゴン「アシレーヌさん……」


 ▼ 263 1◆v1GnTfaqxg 17/05/22 22:51:29 ID:S1WBk25M [25/28] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

アシレーヌ「あたしもガオガエンの所に行ってくるね……あと、ガオガエンとジュナイパーには謝らないとね……夢を諦めた者の会の一員なのに夢を叶えちゃったから……」


夕日が照らす中、アシレーヌはゆっくりと目を閉じた……


アシレーヌ「本当にありがと……フライゴン君……最後に大好きな海に来れて良かった……あと、ジュナイパーによろしくね……」


フライゴンを抱きしめていたアシレーヌの身体からどんどんぬくもりが失われ……足元の波のように冷たくなっていく……


フライゴン「さよなら……ありがとう……」



フライゴンはアシレーヌを背負うと、来た道を戻り始めた……



フライゴン「アシレーヌさん、帰ろうか……」


 ▼ 264 1◆v1GnTfaqxg 17/05/22 22:54:32 ID:S1WBk25M [26/28] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


その頃、あの家では……  



ジュナイパーが夕日の照らす縁側で、一匹小説を読んでいた……


ジュナイパー「……っ」


ジュナイパーはふいに空を見上げた……


ジュナイパー「アシレーヌ……お前も……」


ジュナイパーは小説を閉じると立ち上がった……



ジュナイパー「覚悟を決めんとな……フライゴンに伝えなくては……」


 ▼ 265 1◆v1GnTfaqxg 17/05/22 22:57:51 ID:S1WBk25M [27/28] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

ジュナイパーが呟いた……その時、そこにザングースがやってきた……


ザングース「よう、じいさん」

ジュナイパー「!」


ザングースはジュナイパーの隣に座った……


ザングース「やっと思い出したんや……じいさんが何者かをな……」


ジュナイパー「っ!」


ザングース「舐めんなや? 借金取りってのは……借金しとるポケモンの周りのポケモンの事まで知り尽くしとかなあかんねや……」


ジュナイパー「……」


ザングース「そう、じいさん……あんたの正体は……」



続く
 ▼ 266 1◆v1GnTfaqxg 17/05/22 23:00:41 ID:S1WBk25M [28/28] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
第六話おしまい

皆様感想とか色々ありがとうございます。

正直かなり感情を抑えていますがめちゃ嬉しいです。

では
 ▼ 267 イパーボール 17/05/23 00:01:32 ID:XC/r8nKc NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 268 イル@ほしのすな 17/05/23 00:13:32 ID:Hu3tg9m6 [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
涙出るほどの傑作
 ▼ 269 ノンド@ファイヤーメモリ 17/05/23 04:12:20 ID:PAWwiom2 NGネーム登録 NGID登録 報告
面白いし悲しいしびっくりするし感動するし謎のジュナイパー
支援
最初は泣いた
 ▼ 270 ガピジョット@まひなおし 17/05/23 06:40:23 ID:A2n7yLzc NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
いいSSだ…
支援
 ▼ 271 リーザー@レベルボール 17/05/23 08:17:39 ID:PUOBzYEk NGネーム登録 NGID登録 報告
もう泣きそう。
支援です。
 ▼ 272 1◆v1GnTfaqxg 17/05/23 13:50:57 ID:RADtKDHM [1/58] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


アシレーヌの葬式、火葬が終わり……更に数日後……

あの家にはフライゴンとジュナイパーだけが残された……


ジュナイパー「……」


ジュナイパーはコタツで黙々と小説を読んでいる……


フライゴン「……」


フライゴンは縁側に腰掛け、書類に目を通していた……


フライゴン「えっと……先生の免許をとるには……なる程、
一筋縄ではいかなそうだな……」



あれからフライゴンは教師の免許をとるために、少しずつ勉強を始めていた……

 ▼ 273 1◆v1GnTfaqxg 17/05/23 13:54:38 ID:RADtKDHM [2/58] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

フライゴン「はぁ……読んでばかりで目が疲れた……」


フライゴンは縁側に寝転がった……

吹き抜ける風が気持ちいい……



ふと、目を開くと……知らぬ間にジュナイパーがフライゴンの隣に座っていた。


フライゴン「うわっ!? お、脅かさないでくれよ……びっくりしたな……」

 ▼ 274 1◆v1GnTfaqxg 17/05/23 13:57:49 ID:RADtKDHM [3/58] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


ジュナイパーは小説を閉じた……


ジュナイパー「……フライゴン、お前は先生になりたいのか?」


フライゴン「うん、昔俺の担任だった先生に憧れてさ……」


ジュナイパー「……そうか……」


二匹の間を風が吹き抜けた……
 ▼ 275 1◆v1GnTfaqxg 17/05/23 14:03:35 ID:RADtKDHM [4/58] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


ジュナイパー「フライゴン……その、先生の名前は……なんていうんだ?」


フライゴン「名前?……先生の名前はフクスロー……フクスロー先生だ」


ジュナイパーはその言葉に悲しげな目を向けた……


ジュナイパー「まさか、こんな所で会う事になるとはな……フライゴン……いや、ナックラー……」


フライゴン「?」


ジュナイパー「姿は変わってしまったが……私がお前の担任だったフクスローだよ……」


フライゴン「ええっ!?」


 ▼ 276 1◆v1GnTfaqxg 17/05/23 14:04:22 ID:RADtKDHM [5/58] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告










第七話  先生と教え子、それぞれの道









 ▼ 277 1◆v1GnTfaqxg 17/05/23 14:10:04 ID:RADtKDHM [6/58] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


ジュナイパー「お前には謝らなくてはならない……そして、私は憧れられる様な先生ではない……」


感情の失われたジュナイパーの瞳がフライゴンを捕らえた……



フライゴン「……」


ジュナイパーは深く息を吸うと……静かに語り出した……





ジュナイパー「あの日、私が先生を辞めたのには理由があったんだ……」


 ▼ 278 1◆v1GnTfaqxg 17/05/23 14:13:49 ID:RADtKDHM [7/58] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告



私は……自分で言うのもなんだが、ベテランで人気のある先生だった。


勉強を教えるのも上手……


運動もできた……


あの頃は、ユーモアがあるとも言われていたな……




学校の子ども達は皆、私のもつクラスに入りたいと言っていたくらいだった……

 ▼ 279 1◆v1GnTfaqxg 17/05/23 14:18:27 ID:RADtKDHM [8/58] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

私が担当していた六年生が卒業して……次は、一年生の担任になることが決まった……


そして、フライゴン……いや、ナックラー……お前が新一年生として私の学校へと入学して来た……


別に、お前はこれと言った問題児ではなく、ごくごく普通の子どもだった……



しかし、二年生進級前にそれは起こった……



そう、お前の両親が多額の借金を残して蒸発した……

 ▼ 280 1◆v1GnTfaqxg 17/05/23 14:22:14 ID:RADtKDHM [9/58] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


私は他の先生達と相談したが……他の先生は皆、自分が持つクラスの対応で精一杯である事、そして、私がベテラン教師であった事から「あなたなら大丈夫」と、言うばかりで相談にもまともにのってくれやしなかった……



そして、対応が遅れた結果……ついに、私のクラスではいじめが始まってしまった……



ナックラー……お前を対象とした……




 ▼ 281 1◆v1GnTfaqxg 17/05/23 14:27:06 ID:RADtKDHM [10/58] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


私は毎日の様に悩み、そして苦しんだ……


どうすれば、全てが丸く収まるか……


しかし、そんな考えには裏があったんだ……


表向きにはお前を助けたいと言っていたが……本当は……




本当は、どうすれば自分のベテラン教師と言う看板に傷がつかないか……そればかり考えていた……



そして、私は一つの答えにたどり着いた……




ここで先生を辞めてしまえば……私は評判を下げることがなくて済む……
 ▼ 282 1◆v1GnTfaqxg 17/05/23 14:29:42 ID:RADtKDHM [11/58] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


ジュナイパー「だから私は……お前が進級すると同時に先生を辞めたんだ」


フライゴン「……」


ジュナイパーは立ち上がった……


ジュナイパー「許してもらえない事くらいわかっている……ただ、最後に謝る事が……伝える事が出来て良かった……」


ジュナイパーはそう言い残すと走り出した……


フライゴン「せ、先生っ!!」


フライゴンもすぐさま後を追った……
 ▼ 283 1◆v1GnTfaqxg 17/05/23 14:36:04 ID:RADtKDHM [12/58] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


平日の昼間の町中……


フライゴンは走るジュナイパーを追いかける……


フライゴン「はぁ……はぁ……」



ジュナイパーは老いたポケモンとは思えない程の速さでフライゴンの前を走っていた……



フライゴン「先生……どこへ……」


フライゴンはジュナイパーの走る先を見た……


フライゴン「! も、もしかして……学校……!?」




フライゴンは息を切らせながらもなんとかジュナイパーを追った……
 ▼ 284 1◆v1GnTfaqxg 17/05/23 14:39:53 ID:RADtKDHM [13/58] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

学校前……


ジュナイパーは開きっぱなしになっていた校門を駆け抜けた……


フライゴン「待ってくれ! 先生!」


フライゴンもジュナイパーを追いかけ、校門を駆け抜ける……


校門をくぐったジュナイパーは校舎の階段を駆け上がって行く……


一階……二階……三階……


そして、ジュナイパーは錆び付いた扉を開けて、屋上へと飛び出した……






 ▼ 285 1◆v1GnTfaqxg 17/05/23 14:44:59 ID:RADtKDHM [14/58] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

ジュナイパーは息を切らせながら……ゆっくり……ゆっくりと屋上の端へと歩いていく……


同じく息を切らせたフライゴンがジュナイパーを呼び止めた。


フライゴン「先生!! 待ってくれよ!!」


ジュナイパー「私の罪は深い……なら、この命で償うのみだ……」


ジュナイパーはそう呟くと、どんどん歩いていく……


フライゴンはその背中に……あの日の自分の面影を感じた……


フライゴン「(この背中は……あの日の俺と同じだ……! 今度は……今度は俺が助ける番だ!!)」

 

 ▼ 286 1◆v1GnTfaqxg 17/05/23 14:49:28 ID:RADtKDHM [15/58] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


フライゴンは力を振り絞って走り、ジュナイパーの腕を掴んだ。


ジュナイパー「っ! 離せ!!」


フライゴン「離すもんか!! ここで……ここであなたが死んだら、俺は誰を目標に先生になればいいんだよ!!」


ジュナイパー「!!」



昼間の学校の屋上に風が吹き抜ける……




 ▼ 287 1◆v1GnTfaqxg 17/05/23 14:56:28 ID:RADtKDHM [16/58] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


?「わいと違ってええ教え子やないか……」


フライゴン「!?」


フライゴンが振り返ると……そこにはザングースが立っていた……


ザングース「先公……今度は教え子に教えられたらみたいやな……」


フライゴン「せ、先公!? って事は……」


ザングース「せや、フライゴン……わいはジュナイパーが先公始めて一番最初の教え子のうちの一匹……学校一の問題児と呼ばれたザンちゃんや」


ジュナイパーはザングースを見つめた……


ジュナイパー「久しぶり過ぎて気がつかなかったが……あの日、縁側でお前に言われて全てを思い出した……ザングース、私の初めての教え子……お前はよく教室から出て行ったり暴れたり喧嘩したり……懐かしいな……」

 ▼ 288 1◆v1GnTfaqxg 17/05/23 15:00:31 ID:RADtKDHM [17/58] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

ザングース「けっ……問題児のわいかて少しは先公の事を信頼してたんやで?」


ジュナイパー「……」


ザングース「それやのにお前は教え子の前で命を捨てようとしとるなんて……アホちゃうか? 先公のやる事とちゃうで……」


ジュナイパーはザングースから目をそらした……


ジュナイパー「私は……もう、お前達の知っている様な先生じゃない……」

 ▼ 289 1◆v1GnTfaqxg 17/05/23 15:05:23 ID:RADtKDHM [18/58] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

ザングース「じゃあ、やり直してみればええやないか」


ジュナイパー「やり……直す……?」


ザングース「せや、わいらの知っとる先公は今日死んだ。だから、今日から先公は新しい自分として……やり直せばええだけやろ?」


ジュナイパー「……」


ザングースがジュナイパーに歩み寄った……


ザングース「わいもな……さっき辞めてきたんや……」


フライゴン「辞めた? 一体何を……」



その時、息を切らせてズルズキンが走ってきた。


ズルズキン「はぁ、はぁ……あ、兄貴ぃ! 組を抜けるってマジですか!?」


 ▼ 290 1◆v1GnTfaqxg 17/05/23 15:12:47 ID:RADtKDHM [19/58] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

フライゴン「!」


ザングース「マジやで、大マジや……」


ズルズキン「そ、そんな! これから兄貴はどうするんすかぁ!!」


ザングースは屋上の手摺りに顎をのせ、町を眺めた……


ザングース「わいは……ガキの頃の夢でも追いかけてみようと思うとるんや」


フライゴン「夢……?」


ザングース「わいはヤクザの息子……生まれた時からそっちの道を進むしかなかった……そんなわいに声をかけてくれたのは誰でもない……先公、あんたや」


ジュナイパー「!」


ザングース「あの日、先公が言った言葉……まだわいは覚えとるで? 『将来を決めるのはお父さんや周りのポケモンなんかじゃない。自分自身だ』ってな……だから、先公のこれからを決めるのも先公自身や……どうするんや? 先公……」


 ▼ 291 ャノビー@たわわこやし 17/05/23 15:16:44 ID:O0aGdDlg [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ▼ 292 1◆v1GnTfaqxg 17/05/23 15:17:35 ID:RADtKDHM [20/58] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


ジュナイパー「……」


ジュナイパーはその言葉に静かに涙していた……


ジュナイパー「ありがとう……教え子達……」


ジュナイパーはゆっくりと階段に向かって歩き出した……


ジュナイパー「もし、今からでも遅くないなら……また、新しい夢でも追いかけてみることにするよ……本当にありがとう……ザングース、フライゴン……」


ザングースはニヤリと笑った。


ザングース「それでこそ、わいらの先公や……」

 ▼ 293 カルゲ@あかいウロコ 17/05/23 15:17:39 ID:O0aGdDlg [2/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
>>291
途中送信スマソ
支援
 ▼ 294 1◆v1GnTfaqxg 17/05/23 15:21:07 ID:RADtKDHM [21/58] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

フライゴン「ジュナイパーも夢を追いかけるなら……夢を諦めた者の会も解散だな……」


ザングースはその言葉にニヤリとした……


ザングース「そんなら、今日からわいらは『夢を追いかける者の会』の仲間やな!」


フライゴン「……うん!」


ジュナイパーは背を向けたまま手を振ると……階段を降りていき、見えなくなった……



 ▼ 295 1◆v1GnTfaqxg 17/05/23 15:25:26 ID:RADtKDHM [22/58] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

ザングース「ほんま、世話の焼ける先公や……ところでフライゴン、お前の夢って先公になる事なんか?」


フライゴン「うん……これから勉強を始めるところだけど……」


ザングース「そうか……」


ザングースはフライゴンに歩み寄った……


ザングース「わいは毎日お前から借金取り立てようとしとったけど……そんな中でもお前は自殺もせずにここまで頑張ってきた……わいはそんな強いお前に影響受けたんかもしれん……」


ザングースがフライゴンの手を握った……


ザングース「ありがとさん……それと、頑張れよ……わいはお前を応援しとるからな……」



 ▼ 296 1◆v1GnTfaqxg 17/05/23 15:30:10 ID:RADtKDHM [23/58] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

フライゴン「ありがとう……それより、ザングースさんの夢って……?」


ザングースは少し照れ臭そうに笑った……


ザングース「恥ずかしくて言われんわ……ただ、夢を叶える事が出来た時、またお前に会いたいとは思うとる……それまで達者でな……フライゴン……」


フライゴン「うん」


ズルズキン「あ、兄貴ぃ!」


ザングース「なんやな?」


ズルズキン「おいらも組を抜けます! どこまでも兄貴について行くっす!!」


ザングースは背を向けた……


ザングース「けっ……アホやな……ま、好きにしろや」

 ▼ 297 1◆v1GnTfaqxg 17/05/23 15:33:13 ID:RADtKDHM [24/58] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

ザングースは階段に向かって歩き出した……


ザングース「ほな、お互い夢に向かって頑張ろうや……じゃあな、フライゴン……」


フライゴン「ありがとう、ザングースさん……」


フライゴンは階段を降りていくザングースとズルズキンの背を見送ると……どこまでも続く大空の下、一つ深呼吸をした……


フライゴン「さぁ、夢に向かって頑張るか……」


 ▼ 298 1◆v1GnTfaqxg 17/05/23 15:34:41 ID:RADtKDHM [25/58] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告





その日、俺達は皆、新しいスタートラインに立った……






それぞれの描いた夢に向かって……一歩ずつ、歩き出したんだ……




続く
 ▼ 299 1◆v1GnTfaqxg 17/05/23 15:35:54 ID:RADtKDHM [26/58] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
第七話おしまい


次、最終話になります。

ここまで呼んでくださった方々、ありがとうございました!

とりあえず今日の夜にでも書くつもりです。

では
 ▼ 300 イバニラ@ゴーストZ 17/05/23 15:36:58 ID:D3vHHnjU NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 301 ッギョ@ひきかえけん 17/05/23 16:40:19 ID:RdcO.Z6c NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
次が終わりか
どこで終わるか読めない
 ▼ 302 ニリッチ@まんまるいし 17/05/23 19:56:13 ID:Og6on7b2 NGネーム登録 NGID登録 報告
泣いた
支援
 ▼ 303 1◆v1GnTfaqxg 17/05/23 21:00:54 ID:RADtKDHM [27/58] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


あれから更に数日たった……


俺は、荷物を纏めてアパートを引っ越す準備を済ませていた……





フライゴン「……」


フライゴンの目の前には、何も残っていない空っぽの部屋が広がっている……


フライゴン「……つい最近までゴミ屋敷だったんだよな、ここ……嘘みたいだ……」


フライゴンは目をつむり、この部屋で過ごした日々を思い出した……


フライゴン「じゃあ、いってくるよ……今までありがとう」



フライゴンはカバンを肩に掛け、部屋を後にした……
 ▼ 304 1◆v1GnTfaqxg 17/05/23 21:05:07 ID:RADtKDHM [28/58] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


あの家……



あの木造の家に着くと、既に引っ越し業者のポケモン達が荷物の運び込みを済ませていた。


カイリキー「荷物は全て部屋の中に運んでおきましたよ」


フライゴン「はい、ありがとうございます」


カイリキー「では、私達はこれで……またよろしくお願いします! では!」



業者のポケモン達はトラックに乗って行ってしまった……


フライゴンはそれを見送ると部屋にあがり、荷物の整理を始めた……
 ▼ 305 1◆v1GnTfaqxg 17/05/23 21:06:03 ID:RADtKDHM [29/58] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告










最終話  俺の夢、みんなの夢








 ▼ 306 1◆v1GnTfaqxg 17/05/23 21:11:17 ID:RADtKDHM [30/58] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


あの日、家に帰ると……ジュナイパーはどこにもいなかったんだ……


ジュナイパーの私物がいくつか無くなっていたから……多分、この家を出て行ったんだと思う。


そして、もうきっとこの家には帰ってこないだろう……




でも、これだけはわかる……




ジュナイパーは今、夢に向かって頑張ってるって!

 ▼ 307 1◆v1GnTfaqxg 17/05/23 21:14:53 ID:RADtKDHM [31/58] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


荷物の整理を終えたフライゴンは、コタツの上に資料や冊子、ファイルを沢山並べた……


フライゴン「さて、勉強するか……」


フライゴンはペンを取り、資料になにやら書き込み始めた……


フライゴン「……」
 ▼ 308 1◆v1GnTfaqxg 17/05/23 21:17:51 ID:RADtKDHM [32/58] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

その時、部屋に風が吹き込み……縁側に吊してあった風鈴が鳴った……


チリリ……チリリ…………


フライゴン「いい風だな……」



ほーんと、いい風ね!


それより勉強してるんだろ? 集中しろ!!



フライゴン「わかってるって! うるさいなぁ……って……」


フライゴンは辺りを見渡したが……部屋には誰もいない……


フライゴン「……もう少し頑張るか」


フライゴンは微笑むと、またペンを握りなおした……

 ▼ 309 1◆v1GnTfaqxg 17/05/23 21:23:24 ID:RADtKDHM [33/58] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


あれから俺は努力を続けた……



昔は全然出来なかった勉強も、今ならよくわかる気がした……



なにより、くじけそうになっても……ザングースさんやジュナイパーも頑張ってるって思ったら、俺も負けてられないって気持ちが沸いてきて、俺の背中を強く押してくれたんだ……



それから……何年かかったかな……



今、俺の目の前には、三十匹の子ども達がいる……


入学したての子ども達は皆、初めて見る顔のポケモン達に緊張しているみたいだ……


それは、俺も同じだ……




今日から、俺の教室生活が始まろうとしている……
 ▼ 310 1◆v1GnTfaqxg 17/05/23 21:24:57 ID:RADtKDHM [34/58] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

フライゴン「(よし、いくぞ……)」




フライゴンはネクタイを締め直し、大きく深呼吸をした……










フライゴン「皆さんこんにちは!! 今日からみんなの担任をするフライゴンって言います!!」






 ▼ 311 ギア@ノーマルZ 17/05/23 21:26:23 ID:kzSuG9bw [1/2] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
支援
 ▼ 312 1◆v1GnTfaqxg 17/05/23 21:27:14 ID:RADtKDHM [35/58] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


その日の夜……




フライゴン「はぁ……初日から色々とドジしちゃったな……」


校門を出たフライゴンは溜め息をついた……


空には既に、小さな星々が輝き始めている……


フライゴン「……」



その時、フライゴンのケータイが鳴った……


フライゴン「こんな時間に連絡……? 誰からだろう……」
 ▼ 313 イパーボール 17/05/23 21:28:35 ID:o/UKxhts NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
いい!スゴくいいSSだ!!
 ▼ 314 1◆v1GnTfaqxg 17/05/23 21:31:10 ID:RADtKDHM [36/58] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


フライゴン「はい、もしもし……」


?「おい、フライゴンか? わいや、わいわい! わいわい詐欺ちゃうわ! アホ!!」


フライゴン「ぷふっ……ザングースさん……お久しぶりですね」


ザングース「お前、今日から先公始めたんやろ?」


フライゴン「え? なんでそれを……」


ザングース「元借金取りを舐めたらあかんでぇ? 借金取りってのは借金しとるポケモンの事をしっかり知っとかなあかんからな……」


フライゴン「本当、ザングースさんはすごいな……」

 ▼ 315 1◆v1GnTfaqxg 17/05/23 21:34:50 ID:RADtKDHM [37/58] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

ザングース「そんな事より、今日はうちの店に寄ってってーな! ちょっとしたパーティーやったるから! 」


フライゴン「ありがとう、じゃあ今から行くよ」


ザングース「場所はわかるよな! ほな、待っとるからなー!」


ブチっ


フライゴン「えっと……ザングースさんのお店は……」



フライゴンはケータイをカバンに詰め込むと、暗い夜道を歩き出した……



 ▼ 316 1◆v1GnTfaqxg 17/05/23 21:38:55 ID:RADtKDHM [38/58] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


学校から少し歩くと……暗い商店街の中、一軒だけ明かりのついたお店があった……



店の名前はネコイタチカフェ……



フライゴンはその店の戸を開けた……


フライゴン「こんばんは……」


すると突然、物陰から現れたザングースとズルズキンが両手に持った大きなクラッカーを鳴らした!



パンっ!! パンっ!!




ザングース&ズルズキン「フライゴンおめでとぉぉぉおお!!」
 ▼ 317 1◆v1GnTfaqxg 17/05/23 21:42:15 ID:RADtKDHM [39/58] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

ザングースがフライゴンの肩をバンバンと叩いた。


ザングース「ほんま良かったなぁ!! あの借金まみれのガキがここまでこれるなんて思わんかったで!!」


ズルズキン「ほんとすげーっす! フライゴンの兄貴ぃ!!」


フライゴン「いや……そんな……」


ザングースは奥の厨房から大きなケーキを持ってきた……


ザングース「ほら、まぁそこに座り! ケーキ焼いたったんやから! 遠慮せんと沢山食べや!」


 ▼ 318 1◆v1GnTfaqxg 17/05/23 21:46:32 ID:RADtKDHM [40/58] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

フライゴンは近くの椅子に腰掛けた……


ザングース「ズルズキン! ケーキ切り分けたって!」


ズルズキン「はい! 兄貴ぃ!」


ズルズキンは慣れた手付きでケーキを切り分け始めた……



ザングース「フライゴン、今日はお疲れさん」


ザングースがフライゴンの向かいに座った……


ザングース「にしても、ほんまええ顔しとるな……お前」


フライゴン「え?」


ザングース「あの時のお前とは違って今のお前は……輝いとるって言うか……なんと言うか……」

 
 ▼ 319 1◆v1GnTfaqxg 17/05/23 21:50:16 ID:RADtKDHM [41/58] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

ズルズキンがテーブルに切り分けたケーキを運んできた。


ズルズキン「兄貴ぃ! お待たせしましたぁ!」


ザングース「おう、サンキュー」


フライゴン「ありがとう、ズルズキンさん」


ズルズキン「礼には及ばないっす!」


ズルズキンもザングースの隣に腰掛け、ケーキを頬張っている……


ザングース「ま、今から思えばあの時、あのじいさんらに会わんかったら……きっとお前はこの年になっても借金に苦しまされとったんやろなぁって」


フライゴン「本当に……あの三匹には感謝してもしきれないよ……」

 ▼ 320 1◆v1GnTfaqxg 17/05/23 21:52:49 ID:RADtKDHM [42/58] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

フライゴンはケーキを口に運んだ。


フライゴン「うん、やっぱりザングースさんの焼いたケーキは美味しいや」


ザングース「そりゃどうも」


フライゴン「それにしても……ザングースさんの夢がケーキ屋だったなんて……」


ザングース「ああん? 悪いかぁ?」


ザングースの鋭い目つきがフライゴンを捕らえた……


フライゴン「いや、別にいいんだけど……ただ、意外だなって……」



 ▼ 321 1◆v1GnTfaqxg 17/05/23 21:57:12 ID:RADtKDHM [43/58] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

ザングース「わいは昔っから甘いもんが好きやったんや……だから、こう言う仕事を昔からずっとしてみたくてな……お得意さんもおるし、毎日甘いもんに囲まれて……今のわいは幸せやで」


ズルズキン「でも兄貴、最近お腹が出てきましたよね」


ザングース「やかましいわ! どアホ!!」


ザングースがズルズキンを叩いた。


ポカっ! 


ズルズキン「す、すみません……でも、本当の事なんですよぉ……」


ザングース「ほんまの事でも別に言わんでええやろ!! わいも少しは気にしとるんや!」



フライゴンはそんな二匹のやり取りを見て微笑んだ……
 ▼ 322 1◆v1GnTfaqxg 17/05/23 22:01:43 ID:RADtKDHM [44/58] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

そんなこんなで……



フライゴン「じゃあ、そろそろ帰るよ」


ザングース「もう帰るんか?」


ズルズキン「もっとゆっくりしてって下さいよぉ」


フライゴン「まだ家でやる事が沢山あるから……子ども達の名前も覚えなきゃだし……」


ズルズキン「ひえーっ! そりゃ大変っすね!」 


ザングース「そうか……まぁ、お互い頑張ろうや! わいもそろそろ明日の仕込みをしなあかんしな!」


フライゴン「うん、また来るよ。今日はありがとう」


ザングース「ほな、またな!」


フライゴンは店の外に出た……
 ▼ 323 1◆v1GnTfaqxg 17/05/23 22:05:56 ID:RADtKDHM [45/58] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

静かになった店内……


ザングースは伸びをすると、エプロンを外した……


ザングース「わいもフライゴンに会わんかったら……今も借金取りやっとったんやろうか……」


ズルズキン「そうかもっすね」


ザングースはまた椅子に腰掛けると、フライゴンの消えた暗闇を見つめた……


ザングース「そう考えると、わいはあいつに会えて本当に良かったって思えるわ……」






フライゴン、ありがとさん




 ▼ 324 1◆v1GnTfaqxg 17/05/23 22:18:59 ID:RADtKDHM [46/58] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

その頃、フライゴンはまた、暗い商店街を一匹歩いていた……



フライゴン「(そう言えば、ジュナイパーは今頃どうしてるかな……)」


殆どの店が閉まっている商店街をフライゴンはどんどん歩いていく……



その時、フライゴンはふと、ある本屋の前で立ち止まった……



フライゴン「ん?」


フライゴンの視線の先には……




今、話題の小説!

ジュナイパー作 「蜻蛉教室」

 ▼ 325 1◆v1GnTfaqxg 17/05/23 22:22:00 ID:RADtKDHM [47/58] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

フライゴン「ジュナイパーの夢は作家だったのか……なかなか似合ってるかも……」


その時、店の奥から店員のポケモンが出てきた……


カイリュー「お客さん、この作家さんの知り合いだべ?」


フライゴン「うん、ジュナイパーは小学校だった頃の俺の担任の先生なんだ」


カイリュー「あんれぇ! この作家さん、学校の先生だったんだべ!? 知らなかっただぁ……」

 ▼ 326 ンギラス@フォーカスレンズ 17/05/23 22:27:21 ID:ehm6eNWA [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 327 1◆v1GnTfaqxg 17/05/23 22:27:50 ID:RADtKDHM [48/58] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

そんな話をしていると、更にもう一匹、店の奥から店員のポケモンが出てきた……


ジャラランガ「あなた、どうしたの?」


カイリュー「このお客さん、ジュナイパーさんが学校の先生だった頃の教え子さんだってよ」

ジャラランガ「嘘!? ジュナイパーさんって先生だったの!? それよりお客さん! この蜻蛉教室って小説面白いわよ! 若い学校の先生が主人公で……」


カイリュー「ジャラ美ちゃん、ネタバレはダメだよ……」


フライゴン「面白そうだからこれ、買ってくよ」


フライゴンはジュナイパーの書いた小説を一冊、手に取った……


ジャラランガ「ありがとうございまーす!」
 
   
フライゴンは店員の後を追い、レジに向かった……
 ▼ 328 ュシュプ@ゴスのみ 17/05/23 22:29:16 ID:kzSuG9bw [2/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ジャラランガとカイリューも前のSSのやつか
 ▼ 329 1◆v1GnTfaqxg 17/05/23 22:30:23 ID:RADtKDHM [49/58] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告





みんな……みんなが頑張ってるんだ。



きっと嫌な事、辛い事も沢山あったと思う……



でも、俺の目に映るみんなは……そんな小さな事も霞んで見える位に輝いていた……



いつか俺も、みんなみたいに輝けるポケモンになりたいな……



 ▼ 330 1◆v1GnTfaqxg 17/05/23 22:32:37 ID:RADtKDHM [50/58] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告





フライゴンの目の前には、あの木造のボロい家がある……



フライゴンは家を見つめ……そして、少しきしむガラス戸を開けた……





ただいま!





 ▼ 331 1◆v1GnTfaqxg 17/05/23 22:33:14 ID:RADtKDHM [51/58] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告










おまけ 夢の続き、夢の伝承








 ▼ 332 1◆v1GnTfaqxg 17/05/23 22:36:02 ID:RADtKDHM [52/58] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告



あれから何年……いや、何十年もたった……


世間は……色々と変わったとは思うけど、正直俺の周りはあの頃とそれ程変わってないと思う。



俺はまだ、あのボロい家に住んでいるよ。




ただ、一つだけ変わった事と言えば……



 ▼ 333 1◆v1GnTfaqxg 17/05/23 22:38:56 ID:RADtKDHM [53/58] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

年老いたフライゴンは、暖かい日差しが照らす縁側で、のんびりお茶を飲んでいた……



フライゴン「今日もいい天気だな……」


優しい日差しがフライゴンを包む……


ザングース「なぁフライゴン! トランプやろうや!」


コタツからザングースが呼んでいる……



そう、もう皆年をとり……それぞれの仕事を引退して、みんなでこの家で暮らしてるんだ。


 ▼ 334 1◆v1GnTfaqxg 17/05/23 22:42:54 ID:RADtKDHM [54/58] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

フライゴン「あんまりトランプって気分じゃないかな……」


ザングース「仕方ないな……トランプ以外で暇を潰せるの、なんかないか?」


ズルズキン「そんな突然言われても……」


ザングースは財布から一万円札を取り出した……


ザングース「なら適当に買ってきてくれや! お釣りはやるから!」


ズルズキン「んー……腰が痛いから遠慮しとくっす……」


ザングース「そうか……ほんま、退屈やなぁ……」




そう、みんな退屈してるんだ……こんな刺激のない毎日に……




俺は最近、ずっとある事を期待して、この縁側に座って待っている……
 ▼ 335 1◆v1GnTfaqxg 17/05/23 22:45:55 ID:RADtKDHM [55/58] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


その時、家を囲む塀の向こうから石が飛んできた……


フライゴン「(きた!)」


放物線を描いて飛んできた石は、見事にフライゴンの額に直撃した。


フライゴン「いたっ!!」


縁側に転げるフライゴンのもとに二匹が駆け寄った……


ザングース「おいおい、フライゴン大丈夫か?」


ズルズキン「石が飛んできたんすか?」


フライゴン「いってー……」


フライゴンは額を抑えながら立ち上がった……
 ▼ 336 1◆v1GnTfaqxg 17/05/23 22:47:02 ID:RADtKDHM [56/58] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告




俺は、あの三匹に沢山教わった……



沢山助けて貰った……支えて貰った……




だから、今度は俺達が教えるばんだ……






 ▼ 337 1◆v1GnTfaqxg 17/05/23 22:48:17 ID:RADtKDHM [57/58] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


フライゴンはニヤリとすると、塀をよじ登って……塀の向こう側のポケモン目掛けて叫んだ……




フライゴン「お前か!! 石ころを投げ込んだのは!!」






おしまい


 ▼ 338 グレー@きりのはこ 17/05/23 22:49:42 ID:sI0HdL/E NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
またなイッチ
 ▼ 339 ブラン@ヘビーボール 17/05/23 22:50:22 ID:X5EQZOoI NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


完走おめでとうございますやで、ほんま
 ▼ 340 1◆v1GnTfaqxg 17/05/23 22:54:48 ID:RADtKDHM [58/58] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
これにて完結です。

テーマは言わずもがな「夢」です。

10年位追いかけてきた夢に不安とか現実みて凹んだり……そんな事があったので、前作の没ストーリーと、現実で起こった事件とかを少し混ぜて書きました。

とりあえず、このSSを読んでくれた方の中に将来の夢がある方がいるのなら……その方が夢を叶えられる事を私は願ってます。

あと、自殺しようとしてる方……いるならもう少し頑張ってみて下さい。

案外人間って生きてればどうにかなります。ソースは私


とりあえず、呼んでくださった方々、ありがとうございました!


おまけ↓(SS書き始める前に書いたキャラクターイメージ)
 ▼ 341 ーニー 17/05/23 23:05:07 ID:bwxs7fQE NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
超感動!!!!!
最高のスレでした!!!!!
これからも支援してま〜す!
 ▼ 342 ンゲラー@イーブイZ 17/05/23 23:05:51 ID:KEhULsUQ NGネーム登録 NGID登録 報告

相変わらず面白かったよ
 ▼ 343 ーケン@きんのはっぱ 17/05/23 23:06:22 ID:Hu3tg9m6 [2/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
乙!
とても感動させてもらった
次回作あるならめっちゃ期待
 ▼ 344 シギソウ@ロゼルのみ 17/05/23 23:11:58 ID:ehm6eNWA [2/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
それぞれみんな夢を叶えてるのが良いね
乙です。感動しました
 ▼ 345 リーラ@ほしのかけら 17/05/23 23:52:50 ID:NLRU76wQ NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
完結してるやんけ!

おもろかったわ、おつ!
 ▼ 346 オル@おいしいシッポ 17/05/24 01:40:43 ID:Ys4dmwEM NGネーム登録 NGID登録 報告
感動した、
これが世代にわたってどんどんいれかわるのか
ガオガエンが死んだときはショックだったな…
乙です、ありがとうございました
 ▼ 347 シツブテ@びっくりこやし 17/05/24 06:08:27 ID:ZyAiloEY NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ▼ 348 ラッタ@ネットボール 17/05/24 08:03:21 ID:8TBVt82Q NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

いいSSをありがとな
 ▼ 349 ットロトム@オボンのみ 17/05/24 08:36:41 ID:wS3rOvlY NGネーム登録 NGID登録 報告
乙!!
自殺しようとしてたけど頑張るよ!
本当神SSだった!
 ▼ 350 ロバット@エネコのシッポ 17/05/24 09:05:53 ID:Gb7IjUbo NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
乙!!希望みたいな何かをもらえたよ!!
 ▼ 351 ガネール@サファリボール 17/05/24 12:13:30 ID:7g0xLVq. NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
>>349
ヒェェ…
乙でした。ソースはイッチなのか…
くじけそうになっても頑張りたいと思いました。
これからもイッチはSS書くつもり?
書いて欲しい
 ▼ 352 1◆v1GnTfaqxg 17/05/24 13:00:02 ID:0NCymXi. NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
みんな乙コメありがとね。みんなも頑張って夢叶えてね。

>>351
ありがと
腐ってもこの間の4月で名無しの頃の初SSから一年たちましたので……まぁ、そんな簡単には辞めないとは思いますけど……
某シリーズは一応完結したし……(没案引っ張り出したらまだ三本位書けそうだけど)
この話も続編(関連作)はあまり考えてないし……(考えてない訳ではない)
実は他の人のSSって物を読んだことがないので、とりあえずお休みを兼ねて、他の方のSS読んで勉強でもしようかな……と、思ってるよ。

長文すみません

ではではー
 ▼ 353 タチ@おうじゃのしるし 17/05/24 21:50:24 ID:VMRQMUao NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
めっちゃ面白かった
本当に乙!
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