▼  |  全表示353   | << 前100 | 次100 >> |  履歴   |   スレを履歴ページに追加  | 個人設定 |   ▼   
                  スレ一覧                  
SS

【SS】フライゴン「……死にたい」

 ▼ 1 1◆v1GnTfaqxg 17/05/19 12:32:47 ID:wWCfD3C2 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

あるアパートの一室に、一匹の若いフライゴンが住んでいた。

そのフライゴンはゴミだらけの部屋の中、ただ布団にくるまって何をするでもなく、酷く怯えた様な顔をしていた……


その時……


ピンポーン……ピンポーン……ピピピピピンポーン……


呼び鈴の音が鳴った瞬間、反射的にフライゴンは布団を頭から被ってガタガタと震えだす……
 ▼ 214 1◆v1GnTfaqxg 17/05/21 22:04:34 ID:XAvVcG5s [1/16] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

ジュナイパーは急いで小説を開き、そちらに目を落とした……


アシレーヌ「あれ? そう言えばジュナイパーってフライゴン君の前では喋った事なかったっけ?」

フライゴン「うん……」


ジュナイパーは小説を読んでいる様に見えるが、明らかに目が泳いでいるし、ページをめくる指先がプルプルと震えている……


二匹はそんなジュナイパーを見て微笑んだ……

フライゴン「ぷぷ……」

アシレーヌ「うふふ! ジュナイパーったら!」

ジュナイパー「……」




 ▼ 215 ガボーマンダ@しろいビードロ 17/05/21 22:07:17 ID:fv6nQVVY NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 216 1◆v1GnTfaqxg 17/05/21 22:07:42 ID:XAvVcG5s [2/16] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

その時、外から風が吹き込んで来た……


アシレーヌ「……!」


フライゴン「この風は……ガオガエン……かな」


ジュナイパー「……」


アシレーヌは目をつむり、胸に手を当てると……小さな声で囁いた……


アシレーヌ「いってらっしゃい……ガオガエン……」



夕日が照らす部屋の中……三匹はその風の中に微かに含まれたガオガエンの温もりをいつまでも感じていた……
 ▼ 217 1◆v1GnTfaqxg 17/05/21 22:10:45 ID:XAvVcG5s [3/16] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

その日の夜、玄関にて……



アシレーヌ「それじゃ、あたし達は帰るわね」


ジュナイパー「……」

ジュナイパーは静かに頷いた。


フライゴン「俺も、この家を引き継ぐって言ったって……まずは引っ越しの手続きをしなきゃいけないし……とりあえず帰るよ」

ジュナイパー「……」


アシレーヌとフライゴンは玄関を出た。


アシレーヌ「じゃあ、またね! ジュナイパー!」


ジュナイパー「……」


 ▼ 218 ーニー 17/05/21 22:15:05 ID:FfBOwJkc NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援〜し
 ▼ 219 1◆v1GnTfaqxg 17/05/21 22:15:20 ID:XAvVcG5s [4/16] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


フライゴンとアシレーヌは夜道を並んで歩いていく……


フライゴン「そう言えば……あれからずっとあの家で寝泊まりしてたから、家に帰るのは久しぶりだな……」


アシレーヌ「そうね、あれから忙しかったからね」


フライゴン「……実は……ガオガエンが死ぬ前に俺に言ったんだけどさ……夢を叶えて欲しいって……」


アシレーヌ「ガオガエン、そんな事言ってたんだ……」


フライゴン「うん……俺さ、昔諦めた夢を叶えてみようかなって思ったんだ」
 ▼ 220 1◆v1GnTfaqxg 17/05/21 22:22:04 ID:XAvVcG5s [5/16] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
アシレーヌ「……どんな夢?」


フライゴンは少し恥ずかしそうに目をそらした……


フライゴン「ずっと……学校の先生になってみたかったんだ」


アシレーヌ「先生? いいじゃない! でも、なんで先生になりたいの?」


フライゴン「小学一年生の時……俺の担任の先生がすごく面白くて……勉強を教えるのも上手くて……頼りになる先生だったんだ……」


アシレーヌ「ふーん……じゃあ、その先生に憧れて?」


フライゴン「うん、でもその先生は、俺のクラスの担任をした後になぜか先生を辞めちゃって……それで、次に俺の担任になった先生は最悪だった……虐められてる俺の事を無視したり……口だけだったり……俺はそんな先生を見て、なんだか先生になるのが急に嫌になって……」
 ▼ 221 1◆v1GnTfaqxg 17/05/21 22:26:55 ID:XAvVcG5s [6/16] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

アシレーヌ「そっか……でも、だからこそフライゴンならいい先生になれるんじゃないかな……」


フライゴン「?」


アシレーヌ「だって……手本になるいい先生も、悪い先生も知ってるんでしょ? なら、簡単な話! そのいい先生を目指して、悪い先生にならないように頑張ればいいだけよ! 大丈夫、フライゴン君ならきっといい先生になれるわ!」


アシレーヌのその言葉は、フライゴンの心の奥底に眠っていた夢を閉ざしていた氷を少し溶かした……


フライゴン「アシレーヌさん……ありがとう。俺、頑張ってみるよ」


アシレーヌ「そのいきよ!」


 ▼ 222 1◆v1GnTfaqxg 17/05/21 22:31:02 ID:XAvVcG5s [7/16] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

そんな話をしていると……二匹はいつの間にか、あのアパートの前に来ていた……


フライゴン「あれ? もう着いちゃった……」

アシレーヌ「お話してると時間が流れるのも早く感じるわね!」


フライゴン「……うん」


フライゴンは少し顔を赤くした……


アシレーヌ「どうしたの? フライゴン君……」

フライゴン「えっと……なんて言うか……」

アシレーヌ「なぁに?」


フライゴン「今日は……その……俺の変なグチって言うか……話を聞いてくれてありがとう」


アシレーヌ「そんな改まらなくてもいいじゃない! だってあたし達、夫婦でしょ?」


 ▼ 223 1◆v1GnTfaqxg 17/05/21 22:32:16 ID:XAvVcG5s [8/16] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告















フライゴン「……え? ちょっと待って……今、なんて?」


アシレーヌ「あれ? フライゴン君、本当に覚えてないの? あなたあの日……」


 ▼ 224 1◆v1GnTfaqxg 17/05/21 22:36:44 ID:XAvVcG5s [9/16] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

あの日の深夜……


フライゴンは缶ビールを飲み干すと空き缶を握りつぶした……


フライゴン「うぅ……こんな世の中不公平だぁ……もう嫌だぁ……」


フライゴンの顔は真っ赤……舌はうまく回っておらず、完全に酔っぱらっている……


アシレーヌ「フライゴン君も大変よねぇ……」


フライゴン「これから仕事も探さなきゃなんないのに……独身ってのも寂しいし……嫌になっちまうよぉ……」


アシレーヌ「あたしなんてこの年でまだ独身なのよ? フライゴン君はまだ若いんだから……心配しなくても大丈夫!」


フライゴン「!」

 ▼ 225 1◆v1GnTfaqxg 17/05/21 22:40:48 ID:XAvVcG5s [10/16] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

突然、フライゴンがアシレーヌを抱きしめた。


アシレーヌ「!?」


アシレーヌは突然の出来事に酔いが吹き飛び、唖然としている……


フライゴン「俺、アシレーヌさんの事がずっと気になってたんだ……だからさ……」


アシレーヌはしばらく驚いていたが……やがて……


アシレーヌ「……あたしなんかで良かったら……よろしくお願いします……」


フライゴンはアシレーヌを抱きしめたまま、くちゃくちゃの布団に寝転がった。



フライゴン「すぅ……すぅ……」


アシレーヌ「もう……フライゴン君ったら……///」


アシレーヌは眠ってしまったフライゴンを優しく抱きしめた……
 ▼ 226 1◆v1GnTfaqxg 17/05/21 22:42:07 ID:XAvVcG5s [11/16] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告






アシレーヌ「本当の本当に覚えてないの?」


フライゴン「え!? え、えっと……えっと……」








フライゴン「えええええええええええええーーーーーーーーっ!??!!!!?」



暗い夜空にフライゴンの叫びが響き渡った……
 ▼ 227 1◆v1GnTfaqxg 17/05/21 22:44:06 ID:XAvVcG5s [12/16] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

その頃、近所の墓場にて……



ジュナイパー「……」


ジュナイパーの目の前には墓石が一つ……


ジュナイパー「ガオガエン……」


ジュナイパーは線香に火をつけると、線香立てに刺した……

 ▼ 228 1◆v1GnTfaqxg 17/05/21 22:46:07 ID:XAvVcG5s [13/16] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


その時、突然強い風が吹き……ろうそくの火を消した……


ジュナイパー「……」


真っ暗になった墓場の真ん中……ジュナイパーは溜め息を一つついた……


ジュナイパー「わかっている……その時が来たら話す……」


ジュナイパーは暗闇の中、墓場を後にした……
 ▼ 229 1◆v1GnTfaqxg 17/05/21 22:50:48 ID:XAvVcG5s [14/16] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

誰もいなくなったと思われたが……


ガオガエンの墓石の後ろからザングースが現れた。


ザングース「火が消えてもうとるやないか……しゃあない、わいがつけたる……」


ザングースはライターでろうそくに火を灯し……ついで、口に咥えていたタバコに火をつけた……


ザングース「あのじいさん、どっかで見た事あるような……それに、何を隠しとるんや? ってまたわいは盗み聞きを……やっぱりクズやな……」


ザングースはそっと墓石を撫でた……


ザングース「また来るわ、じじい……今度は酒を持ってな……」


真っ暗な墓場の闇にザングースは消えた……



続く
 ▼ 230 1◆v1GnTfaqxg 17/05/21 22:57:12 ID:XAvVcG5s [15/16] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
第五話おしまい


前のSSも読んでくれた方々、まずはありがとうございます。
今回のこのSS、>>196さんが言うとおり、そのSSの数年後を書きました。
このSSは一応、そのSSの没になった物をベースに再編成した物になっております。
登場人物が似ているとか、雰囲気、展開が似ているのはそのせいです。

あと、ザングースと山崎は全くもって関係はございません。
自分の中であのキャラのイメージがこびりついて取れないせいです。


長文失礼いたしました。

では
 ▼ 231 ウカザル@かみなりのいし 17/05/21 23:01:54 ID:qQ8TL1E2 [1/2] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
関係ないけどげsageてる意味は?
 ▼ 232 1◆v1GnTfaqxg 17/05/21 23:11:45 ID:XAvVcG5s [16/16] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
>>231
自分はいつも下書きを最後まで書いてから、だいたい1日一話を目安に書いてるので、あげると何度も何度も上に上がってくる事になり、SS嫌いの方や、自分のSSに興味がない方々に多大な迷惑がかかってしまうと考えていますので、sageで進めてます。
 ▼ 233 ガボーマンダ@ポケモンのふえ 17/05/21 23:16:33 ID:qQ8TL1E2 [2/2] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
>>232
なるほど
 ▼ 234 チニン@いましめのツボ 17/05/22 00:40:16 ID:dkoylCDs NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
支援
明日も楽しみ
 ▼ 235 ャーレム@ネットボール 17/05/22 06:28:18 ID:2S8bKAUw NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
何で毎回こう面白いんだか
支援
 ▼ 236 ーブイ@クラボのみ 17/05/22 08:25:27 ID:HnOnPmDY NGネーム登録 NGID登録 報告
面白い。
支援
 ▼ 237 ノムー@こだいのせきぞう 17/05/22 09:10:42 ID:PtzshTmU [1/2] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
こういうしっかりしたSSは久しぶりに見る
完結まで持ってってほしい
 ▼ 238 ドラン♀@ミクルのみ 17/05/22 10:08:51 ID:PtzshTmU [2/2] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
今前作のSS読んできたら





















泣いたわ
上手すぎる
 ▼ 239 1◆v1GnTfaqxg 17/05/22 20:47:28 ID:S1WBk25M [1/28] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

……ぇ…………て!



ねぇ! フライゴン君!!




フライゴン「うぅ……」



アシレーヌに揺すられて、フライゴンは目を覚ました……



アシレーヌ「おはよ、フライゴン君!」

 ▼ 240 1◆v1GnTfaqxg 17/05/22 20:51:30 ID:S1WBk25M [2/28] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

フライゴン「お、おはよう……ございます……」


アシレーヌ「ございますって……もっと夫婦らしくしない?」


フライゴン「……」

フライゴンは頬をつねった。

フライゴン「(や、やっぱり夢じゃない……)」


アシレーヌ「夢じゃないのよ? フライゴン君!」

アシレーヌはクスクスと笑っている……


フライゴン「いや……まだ、実感が沸いてないって言うか……」


アシレーヌ「そんな事より、ほら! トースト焼けてるよ? あったかいうちにどうぞ!」


机の上のお皿には、こんがりと焼けたトーストがのっていた……



フライゴン「じゃあ、いただきます」
 ▼ 241 1◆v1GnTfaqxg 17/05/22 20:55:17 ID:S1WBk25M [3/28] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告




フライゴン「ごちそうさまでした」


アシレーヌ「はーい!」


フライゴンは膨れた腹をさすった。


フライゴン「なんだか久しぶりにいい朝食だったな……お金もないから朝食は抜く事が多かったんだ」


アシレーヌ「ありがと! まぁ、食パンを焼いただけなんだけどね!」


アシレーヌは皿をキッチンへ運び、鼻歌を歌いながら皿を洗い始めた……


フライゴン「……」


フライゴンはまた、くしゃくしゃの布団の上に寝転がった……


フライゴン「(こういう事を……世間では幸せって言うのかな……)」
 ▼ 242 1◆v1GnTfaqxg 17/05/22 21:00:42 ID:S1WBk25M [4/28] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


洗い物を終えたアシレーヌがフライゴンに近寄ると、寝転がるフライゴンを布団から転がして落とした。


アシレーヌ「いつまで寝てるの? 早く起きなさい!!……なんてね!」


アシレーヌは布団をたたんで部屋の隅に置いた。


フライゴンは冷たいフローリングの上に寝転がりながら、アシレーヌを見つめて微笑んだ……


フライゴン「(きっとそうだ……これが幸せなんだ……)」


その時、アシレーヌがポンと手をたたいた。


アシレーヌ「そうだ!」

フライゴン「?」


アシレーヌ「今日は二匹でデートしない?」


フライゴン「へ? デート?」
 ▼ 243 1◆v1GnTfaqxg 17/05/22 21:01:34 ID:S1WBk25M [5/28] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告










第六話  デートと夢、彼女の真実








 ▼ 244 1◆v1GnTfaqxg 17/05/22 21:04:44 ID:S1WBk25M [6/28] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

フライゴン「で、デートなんて……何をすれば……」


アシレーヌは早々と支度を済ませて玄関へ向かう……


アシレーヌ「別にそんなに深く考えなくても大丈夫! ほら、早く行こ!」


アシレーヌが玄関の外からフライゴンを呼んでいる……


フライゴン「あ……はい」


フライゴンはとりあえずカバンを持って部屋を出た。
 ▼ 245 1◆v1GnTfaqxg 17/05/22 21:10:25 ID:S1WBk25M [7/28] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告



晴れ空の下、フライゴンとアシレーヌは並んで歩いていく……



フライゴン「どこに行こう……」


アシレーヌ「あたしは……フライゴン君がいるならどこだっていいわよ?」

フライゴン「っ///」


顔を赤くしたフライゴンを見て、アシレーヌはクスクスと笑った。


アシレーヌ「フライゴン君かわいー!」

フライゴン「……」


その時、二匹の歩く先に公園が見えた。


アシレーヌ「あっ、あそこに公園があるわよ? 少し休んでかない?」


フライゴン「え、あ……はい」
 ▼ 246 1◆v1GnTfaqxg 17/05/22 21:27:21 ID:S1WBk25M [8/28] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

平日の公園……

たとえ平日でも、子ども連れの親や、子ども達……他にも休憩中のサラリーマンなどが見られた……

そんな中、二匹は公園の隅にあったベンチに座っていた。


アシレーヌ「遠くに旅行に行くのもいいけど、こう言うちょっとした散歩もいいわよね」


フライゴン「///」


フライゴンは先程からずっとアシレーヌから目をそらし続けている……


アシレーヌ「ちょっと、フライゴン君? 聞いてるの?」


アシレーヌがフライゴンの顔を掴んで、無理矢理自分の方を向かせた。


フライゴン「っ!!」


フライゴンの顔が赤を通り越して紅蓮に染まった……


アシレーヌ「うふふ! かわいいんだから!」
 ▼ 247 1◆v1GnTfaqxg 17/05/22 21:36:53 ID:S1WBk25M [9/28] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


その時、二匹の前を走り回っていた子どもが石につまずきこけてしまった……


ピチュー「うわぁぁん!! いだいよぉ!!」


フライゴンは立ち上がり、ピチューに駆け寄った。


フライゴン「おいおい、大丈夫か?」

ピチュー「うわぁぁん!」

フライゴン「……」


フライゴンはピチューを抱き上げ、近くの蛇口でピチューの足の擦り傷を洗い……そして、カバンから取り出した絆創膏を張り付けた。


フライゴン「よし、これで大丈夫!」

ピチュー「ひっぐ……お兄ちゃん、ありがと!」


ピチューはまた、走り出した……


フライゴン「もうこけるなよー!」
 ▼ 248 1◆v1GnTfaqxg 17/05/22 21:43:47 ID:S1WBk25M [10/28] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

アシレーヌはそんなやり取りを見て微笑んだ……


アシレーヌ「やっぱりフライゴン君って優しいわね!」

フライゴン「っ! そ、そんな事ないよ……」


アシレーヌは公園で遊ぶ子ども達を眺めながら呟いた……


アシレーヌ「ねぇ、フライゴン君って子どもは欲しいの?」

フライゴン「!!?!?!!?」


フライゴンは突然の質問に激しく動揺した……


アシレーヌ「……もし、子どもが欲しいのなら、沢山お金を貯めなきゃダメよ? 子どもを育てるのって沢山お金がかかるらしいから……」

アシレーヌは遠くを見つめながらそう呟いた。


フライゴン「え? は、はい……」

 ▼ 249 1◆v1GnTfaqxg 17/05/22 21:47:24 ID:S1WBk25M [11/28] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

アシレーヌ「だから、まずはフライゴン君は先生にならなきゃね!」


フライゴン「……うん」


アシレーヌ「じゃあ、そろそろ行こっか!」


フライゴン「はい」



二匹はベンチを後にして歩き出した……

 ▼ 250 1◆v1GnTfaqxg 17/05/22 21:50:26 ID:S1WBk25M [12/28] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


太陽は空高く昇っている……

昼空の下、二匹は街を歩いていた……


アシレーヌ「お昼、何にする?」


フライゴン「べ、別に俺は何でも……」


二匹は街を見渡した……

街中と言う事もあり、沢山のポケモンが行き交っている……



アシレーヌ「この時間じゃどこも混んでるのよね……」


フライゴン「うん……」


 ▼ 251 1◆v1GnTfaqxg 17/05/22 21:54:45 ID:S1WBk25M [13/28] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


アシレーヌ「……ねぇ、もう少しポケモンの少ない所まで行かない?」


フライゴン「え?」


アシレーヌ「あたし、海に行きたい……」


フライゴン「海……? ここからなら少し遠いけど……」


アシレーヌ「一緒に来てくれる?」

フライゴン「は、はい……」


アシレーヌはフライゴンの手を握った。


フライゴン「っ!!」


アシレーヌ「じゃあ、行こっか……」



二匹は近くの海目指して歩き出した……
 ▼ 252 1◆v1GnTfaqxg 17/05/22 21:59:40 ID:S1WBk25M [14/28] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告



街からどんどん離れて行く……



どんどんポケモンの通りも少なくなって行く……



お昼も食べていないはずなのに、フライゴンは空腹がそれ程気になってはいなかった……



フライゴン「(や、ヤバい……なんか緊張してきた……)」



気が付けば、先程まで空のてっぺんに輝いていた太陽は、もうオレンジ色に染まり……ゆっくりと地平線に沈みつつあった……


 ▼ 253 1◆v1GnTfaqxg 17/05/22 22:05:30 ID:S1WBk25M [15/28] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


フライゴンがアシレーヌを見ると……アシレーヌの白い肌がオレンジ色の夕日に照らされ、とても美しく見えた……


アシレーヌ「フライゴン君、顔赤いよ?」

フライゴン「っ!! ゆ、夕日のせいですよ!!」

アシレーヌ「本当かしら?……あ! あれ見て!」


フライゴン「え?」


アシレーヌの指差す先には、オレンジの夕日が照らす海が見えた……


フライゴン「海だ……よくよく考えたら俺って本物の海、初めて見たかも……」


アシレーヌ「ほら、早く行きましょ?」


フライゴン「うん!」



二匹は輝く海目指して歩き出した……
 ▼ 254 1◆v1GnTfaqxg 17/05/22 22:12:48 ID:S1WBk25M [16/28] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


フライゴン「綺麗だな……これが海……」


二匹の前には……どこまでもどこまでも続く海……

オレンジ色の夕日が海に反射してキラキラと輝いている……


アシレーヌ「はぁ……はぁ…………着いた……わね」

アシレーヌは少し苦しそうな顔をしている……


フライゴン「アシレーヌさん、大丈夫ですか?」


アシレーヌ「大丈夫……それより……」


アシレーヌは砂浜を這い……波に触れた……

アシレーヌの髪を潮風が撫でる……


アシレーヌ「フライゴン君、こっちきて?」


自分の名を呼ぶアシレーヌの横顔に少し緊張しながらも、フライゴンはアシレーヌの元へ歩き出した……
 ▼ 255 1◆v1GnTfaqxg 17/05/22 22:19:48 ID:S1WBk25M [17/28] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

フライゴン「ど、どうしたんですか? アシレーヌさん」


アシレーヌはしばらく髪をいじっていたが……やがて、髪を離すとフライゴンに顔を向けた……


アシレーヌ「ごめんね、フライゴン君……」


フライゴン「? 何を謝って……」


アシレーヌ「あたし、フライゴン君に嘘をついていたの」


フライゴン「嘘?」


アシレーヌ「フライゴン君は……あたしに結婚しよう、なんて言って無い……あの日、フライゴン君は酔ってすぐに寝ちゃったのよ?」


フライゴン「え?」


 ▼ 256 1◆v1GnTfaqxg 17/05/22 22:22:34 ID:S1WBk25M [18/28] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

アシレーヌ「あたしは夢を叶える為に、フライゴン君を騙していたの……ごめんね……」


アシレーヌの目から涙がこぼれ落ちた……


フライゴン「アシレーヌさんの……夢?」


アシレーヌは海を見つめながら語り出した……


アシレーヌ「……あたしの夢……それはね、かっこいい理想のポケモンと結婚する事だったの……」




 ▼ 257 1◆v1GnTfaqxg 17/05/22 22:26:15 ID:S1WBk25M [19/28] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


あたしは若い頃、プロの歌手だったの……これでも結構人気はあったのよ?



あの頃のあたしはプライドが高くて……自分が大好きで……沢山のポケモンにプロポーズされても断り続けていたの……



断る理由は……自分と釣り合わないって考えてたのもあるけど……一番は、他に好きなポケモンがいたから……




 ▼ 258 1◆v1GnTfaqxg 17/05/22 22:31:31 ID:S1WBk25M [20/28] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

アシレーヌ「そのポケモンは、フライゴン君そっくりなポケモンだった……あたしは歌手として儲けたお金をつぎ込んで、そのポケモンに好かれたい一心で、何度も何度も……数え切れない程の整形手術をしたわ……」


アシレーヌ「そして、そのポケモンに告白した……でもね? ふられちゃったの」


フライゴン「……どうして?」
 

アシレーヌ「外見だけの美しさには興味は無いって……そう言われちゃった……」


フライゴン「……」


 ▼ 259 1◆v1GnTfaqxg 17/05/22 22:37:10 ID:S1WBk25M [21/28] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

アシレーヌ「あたしは沢山泣いた……自分がこれまでにして来た事は一体何だったのかって……そして、すごく後悔した……取り返しのつかない事をしてしまったって……」


アシレーヌ「その後、あたしは歌手を引退して……そして、一匹で暮らしていた時に、ひょんな事から出会ったガオガエン達と暮らす事になったの」


フライゴン「そうだったんだ……」


アシレーヌは再びフライゴンに目を合わせた……


アシレーヌ「ねぇ、フライゴン君……あたし、何歳に見える?」


フライゴン「え? えっと……」


アシレーヌ「整形手術のせいで凄く若く見えるだろうけど……あたし、今年でもう80なのよ?」


フライゴン「!」
 ▼ 260 1◆v1GnTfaqxg 17/05/22 22:42:25 ID:S1WBk25M [22/28] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

アシレーヌ「ごめんね、ありがと……こんなおばあちゃんの相手をしてくれて…… 」


フライゴン「……」



その時、ふいにフライゴンがアシレーヌにキスをした……



アシレーヌ「っ!」



フライゴン「謝らなくても……俺はアシレーヌさんの……多少は外見もあったけど……その優しさに惚れてたんだ……」


アシレーヌの目から次々と流れる涙が海水に落ちて溶け込んでいく……



フライゴン「年齢なんて別に気にしない……あの日、言えてなかったのなら、今から言うよ……」
 ▼ 261 1◆v1GnTfaqxg 17/05/22 22:43:01 ID:S1WBk25M [23/28] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告










俺と、結婚してください。







 ▼ 262 1◆v1GnTfaqxg 17/05/22 22:46:16 ID:S1WBk25M [24/28] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

アシレーヌ「ありがと……フライゴン君……」


アシレーヌはフライゴンを抱きしめた……


アシレーヌ「でもね、もうあたしには時間が無いの……」


フライゴン「!」


アシレーヌ「自分の体の事は……自分が一番よくわかるわ……手術の影響で長生き出来ない事も知ってる……」


フライゴン「アシレーヌさん……」


 ▼ 263 1◆v1GnTfaqxg 17/05/22 22:51:29 ID:S1WBk25M [25/28] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

アシレーヌ「あたしもガオガエンの所に行ってくるね……あと、ガオガエンとジュナイパーには謝らないとね……夢を諦めた者の会の一員なのに夢を叶えちゃったから……」


夕日が照らす中、アシレーヌはゆっくりと目を閉じた……


アシレーヌ「本当にありがと……フライゴン君……最後に大好きな海に来れて良かった……あと、ジュナイパーによろしくね……」


フライゴンを抱きしめていたアシレーヌの身体からどんどんぬくもりが失われ……足元の波のように冷たくなっていく……


フライゴン「さよなら……ありがとう……」



フライゴンはアシレーヌを背負うと、来た道を戻り始めた……



フライゴン「アシレーヌさん、帰ろうか……」


 ▼ 264 1◆v1GnTfaqxg 17/05/22 22:54:32 ID:S1WBk25M [26/28] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


その頃、あの家では……  



ジュナイパーが夕日の照らす縁側で、一匹小説を読んでいた……


ジュナイパー「……っ」


ジュナイパーはふいに空を見上げた……


ジュナイパー「アシレーヌ……お前も……」


ジュナイパーは小説を閉じると立ち上がった……



ジュナイパー「覚悟を決めんとな……フライゴンに伝えなくては……」


 ▼ 265 1◆v1GnTfaqxg 17/05/22 22:57:51 ID:S1WBk25M [27/28] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

ジュナイパーが呟いた……その時、そこにザングースがやってきた……


ザングース「よう、じいさん」

ジュナイパー「!」


ザングースはジュナイパーの隣に座った……


ザングース「やっと思い出したんや……じいさんが何者かをな……」


ジュナイパー「っ!」


ザングース「舐めんなや? 借金取りってのは……借金しとるポケモンの周りのポケモンの事まで知り尽くしとかなあかんねや……」


ジュナイパー「……」


ザングース「そう、じいさん……あんたの正体は……」



続く
 ▼ 266 1◆v1GnTfaqxg 17/05/22 23:00:41 ID:S1WBk25M [28/28] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
第六話おしまい

皆様感想とか色々ありがとうございます。

正直かなり感情を抑えていますがめちゃ嬉しいです。

では
 ▼ 267 イパーボール 17/05/23 00:01:32 ID:XC/r8nKc NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 268 イル@ほしのすな 17/05/23 00:13:32 ID:Hu3tg9m6 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
涙出るほどの傑作
 ▼ 269 ノンド@ファイヤーメモリ 17/05/23 04:12:20 ID:PAWwiom2 NGネーム登録 NGID登録 報告
面白いし悲しいしびっくりするし感動するし謎のジュナイパー
支援
最初は泣いた
 ▼ 270 ガピジョット@まひなおし 17/05/23 06:40:23 ID:A2n7yLzc NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
いいSSだ…
支援
 ▼ 271 リーザー@レベルボール 17/05/23 08:17:39 ID:PUOBzYEk NGネーム登録 NGID登録 報告
もう泣きそう。
支援です。
 ▼ 272 1◆v1GnTfaqxg 17/05/23 13:50:57 ID:RADtKDHM [1/35] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


アシレーヌの葬式、火葬が終わり……更に数日後……

あの家にはフライゴンとジュナイパーだけが残された……


ジュナイパー「……」


ジュナイパーはコタツで黙々と小説を読んでいる……


フライゴン「……」


フライゴンは縁側に腰掛け、書類に目を通していた……


フライゴン「えっと……先生の免許をとるには……なる程、
一筋縄ではいかなそうだな……」



あれからフライゴンは教師の免許をとるために、少しずつ勉強を始めていた……

 ▼ 273 1◆v1GnTfaqxg 17/05/23 13:54:38 ID:RADtKDHM [2/35] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

フライゴン「はぁ……読んでばかりで目が疲れた……」


フライゴンは縁側に寝転がった……

吹き抜ける風が気持ちいい……



ふと、目を開くと……知らぬ間にジュナイパーがフライゴンの隣に座っていた。


フライゴン「うわっ!? お、脅かさないでくれよ……びっくりしたな……」

 ▼ 274 1◆v1GnTfaqxg 17/05/23 13:57:49 ID:RADtKDHM [3/35] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


ジュナイパーは小説を閉じた……


ジュナイパー「……フライゴン、お前は先生になりたいのか?」


フライゴン「うん、昔俺の担任だった先生に憧れてさ……」


ジュナイパー「……そうか……」


二匹の間を風が吹き抜けた……
 ▼ 275 1◆v1GnTfaqxg 17/05/23 14:03:35 ID:RADtKDHM [4/35] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


ジュナイパー「フライゴン……その、先生の名前は……なんていうんだ?」


フライゴン「名前?……先生の名前はフクスロー……フクスロー先生だ」


ジュナイパーはその言葉に悲しげな目を向けた……


ジュナイパー「まさか、こんな所で会う事になるとはな……フライゴン……いや、ナックラー……」


フライゴン「?」


ジュナイパー「姿は変わってしまったが……私がお前の担任だったフクスローだよ……」


フライゴン「ええっ!?」


 ▼ 276 1◆v1GnTfaqxg 17/05/23 14:04:22 ID:RADtKDHM [5/35] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告










第七話  先生と教え子、それぞれの道









 ▼ 277 1◆v1GnTfaqxg 17/05/23 14:10:04 ID:RADtKDHM [6/35] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


ジュナイパー「お前には謝らなくてはならない……そして、私は憧れられる様な先生ではない……」


感情の失われたジュナイパーの瞳がフライゴンを捕らえた……



フライゴン「……」


ジュナイパーは深く息を吸うと……静かに語り出した……





ジュナイパー「あの日、私が先生を辞めたのには理由があったんだ……」


 ▼ 278 1◆v1GnTfaqxg 17/05/23 14:13:49 ID:RADtKDHM [7/35] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告



私は……自分で言うのもなんだが、ベテランで人気のある先生だった。


勉強を教えるのも上手……


運動もできた……


あの頃は、ユーモアがあるとも言われていたな……




学校の子ども達は皆、私のもつクラスに入りたいと言っていたくらいだった……

 ▼ 279 1◆v1GnTfaqxg 17/05/23 14:18:27 ID:RADtKDHM [8/35] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

私が担当していた六年生が卒業して……次は、一年生の担任になることが決まった……


そして、フライゴン……いや、ナックラー……お前が新一年生として私の学校へと入学して来た……


別に、お前はこれと言った問題児ではなく、ごくごく普通の子どもだった……



しかし、二年生進級前にそれは起こった……



そう、お前の両親が多額の借金を残して蒸発した……

 ▼ 280 1◆v1GnTfaqxg 17/05/23 14:22:14 ID:RADtKDHM [9/35] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


私は他の先生達と相談したが……他の先生は皆、自分が持つクラスの対応で精一杯である事、そして、私がベテラン教師であった事から「あなたなら大丈夫」と、言うばかりで相談にもまともにのってくれやしなかった……



そして、対応が遅れた結果……ついに、私のクラスではいじめが始まってしまった……



ナックラー……お前を対象とした……




 ▼ 281 1◆v1GnTfaqxg 17/05/23 14:27:06 ID:RADtKDHM [10/35] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


私は毎日の様に悩み、そして苦しんだ……


どうすれば、全てが丸く収まるか……


しかし、そんな考えには裏があったんだ……


表向きにはお前を助けたいと言っていたが……本当は……




本当は、どうすれば自分のベテラン教師と言う看板に傷がつかないか……そればかり考えていた……



そして、私は一つの答えにたどり着いた……




ここで先生を辞めてしまえば……私は評判を下げることがなくて済む……
 ▼ 282 1◆v1GnTfaqxg 17/05/23 14:29:42 ID:RADtKDHM [11/35] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


ジュナイパー「だから私は……お前が進級すると同時に先生を辞めたんだ」


フライゴン「……」


ジュナイパーは立ち上がった……


ジュナイパー「許してもらえない事くらいわかっている……ただ、最後に謝る事が……伝える事が出来て良かった……」


ジュナイパーはそう言い残すと走り出した……


フライゴン「せ、先生っ!!」


フライゴンもすぐさま後を追った……
 ▼ 283 1◆v1GnTfaqxg 17/05/23 14:36:04 ID:RADtKDHM [12/35] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


平日の昼間の町中……


フライゴンは走るジュナイパーを追いかける……


フライゴン「はぁ……はぁ……」



ジュナイパーは老いたポケモンとは思えない程の速さでフライゴンの前を走っていた……



フライゴン「先生……どこへ……」


フライゴンはジュナイパーの走る先を見た……


フライゴン「! も、もしかして……学校……!?」




フライゴンは息を切らせながらもなんとかジュナイパーを追った……
 ▼ 284 1◆v1GnTfaqxg 17/05/23 14:39:53 ID:RADtKDHM [13/35] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

学校前……


ジュナイパーは開きっぱなしになっていた校門を駆け抜けた……


フライゴン「待ってくれ! 先生!」


フライゴンもジュナイパーを追いかけ、校門を駆け抜ける……


校門をくぐったジュナイパーは校舎の階段を駆け上がって行く……


一階……二階……三階……


そして、ジュナイパーは錆び付いた扉を開けて、屋上へと飛び出した……






 ▼ 285 1◆v1GnTfaqxg 17/05/23 14:44:59 ID:RADtKDHM [14/35] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

ジュナイパーは息を切らせながら……ゆっくり……ゆっくりと屋上の端へと歩いていく……


同じく息を切らせたフライゴンがジュナイパーを呼び止めた。


フライゴン「先生!! 待ってくれよ!!」


ジュナイパー「私の罪は深い……なら、この命で償うのみだ……」


ジュナイパーはそう呟くと、どんどん歩いていく……


フライゴンはその背中に……あの日の自分の面影を感じた……


フライゴン「(この背中は……あの日の俺と同じだ……! 今度は……今度は俺が助ける番だ!!)」

 

 ▼ 286 1◆v1GnTfaqxg 17/05/23 14:49:28 ID:RADtKDHM [15/35] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


フライゴンは力を振り絞って走り、ジュナイパーの腕を掴んだ。


ジュナイパー「っ! 離せ!!」


フライゴン「離すもんか!! ここで……ここであなたが死んだら、俺は誰を目標に先生になればいいんだよ!!」


ジュナイパー「!!」



昼間の学校の屋上に風が吹き抜ける……




 ▼ 287 1◆v1GnTfaqxg 17/05/23 14:56:28 ID:RADtKDHM [16/35] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


?「わいと違ってええ教え子やないか……」


フライゴン「!?」


フライゴンが振り返ると……そこにはザングースが立っていた……


ザングース「先公……今度は教え子に教えられたらみたいやな……」


フライゴン「せ、先公!? って事は……」


ザングース「せや、フライゴン……わいはジュナイパーが先公始めて一番最初の教え子のうちの一匹……学校一の問題児と呼ばれたザンちゃんや」


ジュナイパーはザングースを見つめた……


ジュナイパー「久しぶり過ぎて気がつかなかったが……あの日、縁側でお前に言われて全てを思い出した……ザングース、私の初めての教え子……お前はよく教室から出て行ったり暴れたり喧嘩したり……懐かしいな……」

 ▼ 288 1◆v1GnTfaqxg 17/05/23 15:00:31 ID:RADtKDHM [17/35] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

ザングース「けっ……問題児のわいかて少しは先公の事を信頼してたんやで?」


ジュナイパー「……」


ザングース「それやのにお前は教え子の前で命を捨てようとしとるなんて……アホちゃうか? 先公のやる事とちゃうで……」


ジュナイパーはザングースから目をそらした……


ジュナイパー「私は……もう、お前達の知っている様な先生じゃない……」

 ▼ 289 1◆v1GnTfaqxg 17/05/23 15:05:23 ID:RADtKDHM [18/35] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

ザングース「じゃあ、やり直してみればええやないか」


ジュナイパー「やり……直す……?」


ザングース「せや、わいらの知っとる先公は今日死んだ。だから、今日から先公は新しい自分として……やり直せばええだけやろ?」


ジュナイパー「……」


ザングースがジュナイパーに歩み寄った……


ザングース「わいもな……さっき辞めてきたんや……」


フライゴン「辞めた? 一体何を……」



その時、息を切らせてズルズキンが走ってきた。


ズルズキン「はぁ、はぁ……あ、兄貴ぃ! 組を抜けるってマジですか!?」


 ▼ 290 1◆v1GnTfaqxg 17/05/23 15:12:47 ID:RADtKDHM [19/35] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

フライゴン「!」


ザングース「マジやで、大マジや……」


ズルズキン「そ、そんな! これから兄貴はどうするんすかぁ!!」


ザングースは屋上の手摺りに顎をのせ、町を眺めた……


ザングース「わいは……ガキの頃の夢でも追いかけてみようと思うとるんや」


フライゴン「夢……?」


ザングース「わいはヤクザの息子……生まれた時からそっちの道を進むしかなかった……そんなわいに声をかけてくれたのは誰でもない……先公、あんたや」


ジュナイパー「!」


ザングース「あの日、先公が言った言葉……まだわいは覚えとるで? 『将来を決めるのはお父さんや周りのポケモンなんかじゃない。自分自身だ』ってな……だから、先公のこれからを決めるのも先公自身や……どうするんや? 先公……」


 ▼ 291 ャノビー@たわわこやし 17/05/23 15:16:44 ID:O0aGdDlg [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ▼ 292 1◆v1GnTfaqxg 17/05/23 15:17:35 ID:RADtKDHM [20/35] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


ジュナイパー「……」


ジュナイパーはその言葉に静かに涙していた……


ジュナイパー「ありがとう……教え子達……」


ジュナイパーはゆっくりと階段に向かって歩き出した……


ジュナイパー「もし、今からでも遅くないなら……また、新しい夢でも追いかけてみることにするよ……本当にありがとう……ザングース、フライゴン……」


ザングースはニヤリと笑った。


ザングース「それでこそ、わいらの先公や……」

 ▼ 293 カルゲ@あかいウロコ 17/05/23 15:17:39 ID:O0aGdDlg [2/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
>>291
途中送信スマソ
支援
 ▼ 294 1◆v1GnTfaqxg 17/05/23 15:21:07 ID:RADtKDHM [21/35] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

フライゴン「ジュナイパーも夢を追いかけるなら……夢を諦めた者の会も解散だな……」


ザングースはその言葉にニヤリとした……


ザングース「そんなら、今日からわいらは『夢を追いかける者の会』の仲間やな!」


フライゴン「……うん!」


ジュナイパーは背を向けたまま手を振ると……階段を降りていき、見えなくなった……



 ▼ 295 1◆v1GnTfaqxg 17/05/23 15:25:26 ID:RADtKDHM [22/35] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

ザングース「ほんま、世話の焼ける先公や……ところでフライゴン、お前の夢って先公になる事なんか?」


フライゴン「うん……これから勉強を始めるところだけど……」


ザングース「そうか……」


ザングースはフライゴンに歩み寄った……


ザングース「わいは毎日お前から借金取り立てようとしとったけど……そんな中でもお前は自殺もせずにここまで頑張ってきた……わいはそんな強いお前に影響受けたんかもしれん……」


ザングースがフライゴンの手を握った……


ザングース「ありがとさん……それと、頑張れよ……わいはお前を応援しとるからな……」



 ▼ 296 1◆v1GnTfaqxg 17/05/23 15:30:10 ID:RADtKDHM [23/35] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

フライゴン「ありがとう……それより、ザングースさんの夢って……?」


ザングースは少し照れ臭そうに笑った……


ザングース「恥ずかしくて言われんわ……ただ、夢を叶える事が出来た時、またお前に会いたいとは思うとる……それまで達者でな……フライゴン……」


フライゴン「うん」


ズルズキン「あ、兄貴ぃ!」


ザングース「なんやな?」


ズルズキン「おいらも組を抜けます! どこまでも兄貴について行くっす!!」


ザングースは背を向けた……


ザングース「けっ……アホやな……ま、好きにしろや」

 ▼ 297 1◆v1GnTfaqxg 17/05/23 15:33:13 ID:RADtKDHM [24/35] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

ザングースは階段に向かって歩き出した……


ザングース「ほな、お互い夢に向かって頑張ろうや……じゃあな、フライゴン……」


フライゴン「ありがとう、ザングースさん……」


フライゴンは階段を降りていくザングースとズルズキンの背を見送ると……どこまでも続く大空の下、一つ深呼吸をした……


フライゴン「さぁ、夢に向かって頑張るか……」


 ▼ 298 1◆v1GnTfaqxg 17/05/23 15:34:41 ID:RADtKDHM [25/35] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告





その日、俺達は皆、新しいスタートラインに立った……






それぞれの描いた夢に向かって……一歩ずつ、歩き出したんだ……




続く
 ▼ 299 1◆v1GnTfaqxg 17/05/23 15:35:54 ID:RADtKDHM [26/35] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
第七話おしまい


次、最終話になります。

ここまで呼んでくださった方々、ありがとうございました!

とりあえず今日の夜にでも書くつもりです。

では
 ▼ 300 イバニラ@ゴーストZ 17/05/23 15:36:58 ID:D3vHHnjU NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 301 ッギョ@ひきかえけん 17/05/23 16:40:19 ID:RdcO.Z6c NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
次が終わりか
どこで終わるか読めない
 ▼ 302 ニリッチ@まんまるいし 17/05/23 19:56:13 ID:Og6on7b2 NGネーム登録 NGID登録 報告
泣いた
支援
 ▼ 303 1◆v1GnTfaqxg 17/05/23 21:00:54 ID:RADtKDHM [27/35] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


あれから更に数日たった……


俺は、荷物を纏めてアパートを引っ越す準備を済ませていた……





フライゴン「……」


フライゴンの目の前には、何も残っていない空っぽの部屋が広がっている……


フライゴン「……つい最近までゴミ屋敷だったんだよな、ここ……嘘みたいだ……」


フライゴンは目をつむり、この部屋で過ごした日々を思い出した……


フライゴン「じゃあ、いってくるよ……今までありがとう」



フライゴンはカバンを肩に掛け、部屋を後にした……
 ▼ 304 1◆v1GnTfaqxg 17/05/23 21:05:07 ID:RADtKDHM [28/35] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


あの家……



あの木造の家に着くと、既に引っ越し業者のポケモン達が荷物の運び込みを済ませていた。


カイリキー「荷物は全て部屋の中に運んでおきましたよ」


フライゴン「はい、ありがとうございます」


カイリキー「では、私達はこれで……またよろしくお願いします! では!」



業者のポケモン達はトラックに乗って行ってしまった……


フライゴンはそれを見送ると部屋にあがり、荷物の整理を始めた……
 ▼ 305 1◆v1GnTfaqxg 17/05/23 21:06:03 ID:RADtKDHM [29/35] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告










最終話  俺の夢、みんなの夢








 ▼ 306 1◆v1GnTfaqxg 17/05/23 21:11:17 ID:RADtKDHM [30/35] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


あの日、家に帰ると……ジュナイパーはどこにもいなかったんだ……


ジュナイパーの私物がいくつか無くなっていたから……多分、この家を出て行ったんだと思う。


そして、もうきっとこの家には帰ってこないだろう……




でも、これだけはわかる……




ジュナイパーは今、夢に向かって頑張ってるって!

 ▼ 307 1◆v1GnTfaqxg 17/05/23 21:14:53 ID:RADtKDHM [31/35] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


荷物の整理を終えたフライゴンは、コタツの上に資料や冊子、ファイルを沢山並べた……


フライゴン「さて、勉強するか……」


フライゴンはペンを取り、資料になにやら書き込み始めた……


フライゴン「……」
 ▼ 308 1◆v1GnTfaqxg 17/05/23 21:17:51 ID:RADtKDHM [32/35] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

その時、部屋に風が吹き込み……縁側に吊してあった風鈴が鳴った……


チリリ……チリリ…………


フライゴン「いい風だな……」



ほーんと、いい風ね!


それより勉強してるんだろ? 集中しろ!!



フライゴン「わかってるって! うるさいなぁ……って……」


フライゴンは辺りを見渡したが……部屋には誰もいない……


フライゴン「……もう少し頑張るか」


フライゴンは微笑むと、またペンを握りなおした……

 ▼ 309 1◆v1GnTfaqxg 17/05/23 21:23:24 ID:RADtKDHM [33/35] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


あれから俺は努力を続けた……



昔は全然出来なかった勉強も、今ならよくわかる気がした……



なにより、くじけそうになっても……ザングースさんやジュナイパーも頑張ってるって思ったら、俺も負けてられないって気持ちが沸いてきて、俺の背中を強く押してくれたんだ……



それから……何年かかったかな……



今、俺の目の前には、三十匹の子ども達がいる……


入学したての子ども達は皆、初めて見る顔のポケモン達に緊張しているみたいだ……


それは、俺も同じだ……




今日から、俺の教室生活が始まろうとしている……
 ▼ 310 1◆v1GnTfaqxg 17/05/23 21:24:57 ID:RADtKDHM [34/35] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

フライゴン「(よし、いくぞ……)」




フライゴンはネクタイを締め直し、大きく深呼吸をした……










フライゴン「皆さんこんにちは!! 今日からみんなの担任をするフライゴンって言います!!」






 ▼ 311 ギア@ノーマルZ 17/05/23 21:26:23 ID:kzSuG9bw NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
支援
 ▼ 312 1◆v1GnTfaqxg 17/05/23 21:27:14 ID:RADtKDHM [35/35] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


その日の夜……




フライゴン「はぁ……初日から色々とドジしちゃったな……」


校門を出たフライゴンは溜め息をついた……


空には既に、小さな星々が輝き始めている……


フライゴン「……」



その時、フライゴンのケータイが鳴った……


フライゴン「こんな時間に連絡……? 誰からだろう……」
 ▼ 313 イパーボール 17/05/23 21:28:35 ID:o/UKxhts NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
いい!スゴくいいSSだ!!
  ▲  |  全表示353   | << 前100 | 次100 >> |  履歴   |   スレを履歴ページに追加  | 個人設定 |  ▲      
                  スレ一覧                  
荒らしや削除されたレスには反応しないでください。
書込エラーが毎回起きる方はこちらからID発行申請をお願いします。(リンク先は初回訪問云々ありますがこの部分は無視して下さい)

. 書き込み前に、利用規約を確認して下さい。
レス番のリンクをクリックで返信が出来ます。
その他にも色々な機能があるので詳しくは、掲示板の機能を確認して下さい。
荒らしや煽りはスルーして下さい。荒らしに反応している人も荒らし同様対処します。




面白いスレはネタ投稿お願いします!
(消えた画像の復旧依頼は、問い合わせフォームからお願いします。)
スレ名とURLをコピー(クリックした時点でコピーされます。)
新着レス▼