▼  |  全表示631   | << 前100 | 次100 >> |  履歴   |   スレを履歴ページに追加  | 個人設定 |   ▼   
                  スレ一覧                  
SS

ポケモンSMのストーリーをゼンリョクで書く 第4章 リーリエの物語

 ▼ 1 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 20/10/11 18:19:06 ID:pePArFdE NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アローラ、皆さま。ガルーラJrと申します。
「ポケモンSMのストーリーをゼンリョクで書く」の第4章となります。この章ではリーリエのトレーナー修行のストーリーが描かれます。
また、以下の点を予めご了承ください。

1:登場人物
ゲーム編では例えば男主人公を選ぶと女主人公は出てきませんが、このSSでは両方のキャラクターをヨウ、ミヅキとして登場させます。

2:登場人物の手持ち
登場人物の手持ちは基本的にゲーム本編に準拠しますが、中には1匹か2匹入れ替えを行ったり、また、ゲーム本編で例えば最大5匹しか手持ちを持っていない人物には1匹追加をしたりしています。

3:形式
地の文を用いた形式で書かせていただきます。


第1章(SMゲーム本編に準拠したストーリー)はこちらです。

Part 1(プロローグ〜エーテルパラダイス突入)
https://pokemonbbs.com/post/read.cgi?no=1011593

Part 2(ポニ島〜エンディング)
https://pokemonbbs.com/post/read.cgi?no=1196044

第2章(UB捕獲作戦)はこちらです。
https://pokemonbbs.com/post/read.cgi?no=1227914

第3章(戦乱のアローラ)はこちらです。
https://pokemonbbs.com/post/read.cgi?no=1270113

それでは、第4章もよろしくお願いいたします。
 ▼ 491 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/01/25 21:47:02 ID:w9g2Hyk6 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
第51話はここまでです。
カリンVSライチは王道スポーツもののようなバトルを描きたいと思います。
それではまた。
 ▼ 493 バコイル@はっかのみ 21/01/28 22:21:16 ID:gQ/kuO0w NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
>>492
通報した

>>1楽しく読ませてもらってますよー
 ▼ 494 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/01/30 09:50:47 ID:JaU.HG7o [1/8] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
読んでくださっている皆様、いつもありがとうございます。
52話ができましたので投稿します。
 ▼ 495 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/01/30 09:51:11 ID:JaU.HG7o [2/8] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
Episode 52 遠い地からのエール


「さすがはカリン!相手にやすやすと場作りを許しません!さあ、アローラ四天王、ライチはここからどう戦うのか!?」

実況はカリンがライチのステルスロックを封じたことでヒートアップしている。テレビで観戦していたヨウとヒョウタは互いにふーむと唸っていた。

「…さすがはカリンさん…、と言ったところかな。ヨウくん、君はこの試合をどう見る?」

「…まだライチさんが決定的に不利になったわけじゃない。カリンさんが補助技を絡めてじわじわと攻めてくるタイプなら、ライチさんの猛攻をどう捌いていくのか…」


ライチは攻撃体勢を取ったメレシーをそのまま打って出させることにする。

「メレシー、ムーンフォース!

「キュイ!!」

メレシーがムーンフォースを放つ。だが、ここでヤミカラスはそれに先んじて技を使った。

「ヤミカラス、日本晴れ!」

「クァー!」

ヤミカラスが空へ向かって鳴くと、日差しが強くなった。ヤミカラスはその後メレシーの一撃を受けたが、メレシーの攻撃力ではとどめを刺すまでには至らなかった。

「メレシー、次こそとどめよ!ムーンフォース!」

ライチは再びムーンフォースでヤミカラスを攻撃しようとする。しかし、カリンはある技を指示し、ヤミカラスは今度は攻撃を逃れた。

「ヤミカラス、とんぼ返り!」

「クァ!」

ここでヤミカラスはとんぼ返りでボールへと戻る。そして、カリンは入れ替わりにヘルガーを繰り出してきた。
 ▼ 496 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/01/30 09:52:15 ID:JaU.HG7o [3/8] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「バウッ!…ッ!」

ヘルガーはムーンフォースを受けるが、悪、炎の複合タイプなので効果抜群とはならなかった。しかし、ヘルガーなら自分のポケモンたちの得意とする岩技で仕留めることができる。ライチはそう考え、戦闘を続行した。

「メレシー、ヘルガーは決して打たれ強くはないわ!パワージェムよ!」

ライチの指示でメレシーはパワージェムを放とうとエネルギーを溜める。そこに、カリンとヘルガーの強烈な反撃を見舞われた。

「なめられたものね。ヘルガー、メガシンカ!!」

カリンは虹色に輝く宝石を取り出し、ヘルガーをメガシンカさせる。ヘルガーの姿がより禍禍しいものへと変化し、そこから凄まじい威力の反撃が放たれた。

「ヘルガー、ソーラービーム!!」

「バウァ!!」

ヤミカラスがもたらした日差しの下、ヘルガーの口に強烈な光が集まる。ヘルガーは極太の光線を放ち、観客もあまりの光量に目を覆った。

「くっ…!メレシー…?」

ライチが視界を取り戻したときにはメレシーは力なくバトル場に横たわっていた。

「さすがはメガヘルガー!圧倒的な攻撃力でメレシーを撃破だぁぁ!!」

「おおお!」

「すげえ!さすがカリンだ!」


クロガネシティのポケモンセンターでテレビを見ていたヨウたちも、先程テレビの画面が一瞬真っ白になったことに驚いていた。

「メガヘルガーか…。すごいな…。カリンさんは出し惜しみ無しでライチさんを倒そうとしてきてる…」

ヒョウタがそう言うと、ヨウはまだ大丈夫だと気持ちを落ち着かせる。

「大丈夫…。ライチさんはそう簡単にはやられませんよ」

島巡りの途中で一緒に酒を飲み、さらには肉体関係を持ったと疑われたのにリーグではなぜか一番馬が合い、仲の良かったライチ。カリンが強敵であることは事実だが、ライチだってカリンに決してひけをとらないトレーナーである。ヨウはライチの勝利を願い、興奮した様子で拳を握っていた。
 ▼ 497 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/01/30 09:54:47 ID:JaU.HG7o [4/8] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ライチはメガヘルガーを前に唇をきゅっと結び、次のボールを構えた。カリンはここで一気にリードを広げ、逃げきりを図るつもりだろう。ここはメガヘルガーを確実に仕留めなければ。ライチはカリンの思惑通りに行かせるものかと次のボールを投げた。

「ガガッ!」

ライチの2番手として出てきたのはダイノーズだった。メガヘルガーの特性はサンパワー。このヘルガーは恐らくヤミカラスとの連携を前提にしており、圧倒的な特殊攻撃力を発揮するものと思われた。それならば挑発のような補助技は覚えていないはずだ。

「ダイノーズ…。ヘルガー、大文字!」

ライチの思った通り、ヘルガーは打って出てきた。ダイノーズが炎に飲まれるが、ダイノーズはギリギリのところで耐えた。

「頑丈…」

「よし!ダイノーズ、電磁波!」

「ガガ!」

ダイノーズは電磁波を放つ。これでヘルガーの動きを制限しようという算段だったが、ここで思わぬアクシデントに見舞われた。

「ヘルガー、かわしなさい!」

ヘルガーはその場からさっと離れ、ダイノーズの電磁波を攻撃をかわしのだ。ライチもこれには焦りを見せる。

「やばっ…」

「ヘルガー、悪の波動!」

「バウァ!」

ヘルガーからの反撃を受け、ダイノーズが倒れる。特性、サンパワーの反動でヘルガーにもダメージが蓄積していたが、立て続けに2体倒されたのはさすがに痛かった。

「メガヘルガー、2体抜き!ライチ、じわじわと追い込まれているが次こそ反撃なるか!」

実況の声にライチは思わず焦りを見せる。倒れたダイノーズを回収するが、なかなか次のポケモンを決めきれずにいた。
 ▼ 498 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/01/30 09:55:36 ID:JaU.HG7o [5/8] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「…ライチさん…」

ヨウは先程ダイノーズの電磁波がかわされたとき、あからさまな舌打ちをした。ヒョウタはその様子を見ており、かつ彼がこのカリン・ライチ戦を他の四天王戦よりものめり込んで観戦しているように見えた。ヨウはこのライチと特別仲がよかったのだろうか。

「ヨウくん、ライチさんのバトルは一層のめり込んで見ているね」

ヒョウタがそう言うと、ヨウははっとして背もたれに背中を預け直した。

「…ライチさんはアローラ四天王の仲でもなんか気が合うっていうか、とにかく僕にすごくよくしてくれた人なんです…。だからライチさんにはいいバトルをしてほしいし…、カリンさんは強敵だけど、やっぱり勝ってほしい…」

ヒョウタはそれを聞くと、冗談を交えながら言った。

「へえ、あんな綺麗な人と仲良しだったのか。なんだか羨ましいな」

ヒョウタがそう言うと、ヨウは少し照れたような顔を見せる。しかし、ヒョウタはすぐに一人のトレーナーとしての顔に戻った。

「僕も岩タイプ使いだから、同じ岩タイプ使いのライチさんを応援したい気持ちもあるけど、さすがに今のは痛すぎるな…。ヘルガーは特性の反動で結構なダメージを受けてるけど、次のポケモンでヘルガーを倒せたとしても、手痛いダメージを負わされそう」

ヒョウタの言葉にはヨウも同感だった。気持ちだけで勝てるほどカリンは甘い相手ではない。

「…ライチさん…。ライチさんならきっとやれる…」

ヨウは思わずそう呟く。そして、画面の中のライチは次のボールを投げた。


「ギガッ!」

ライチの3番手はギガイアスだった。そして、ギガイアスが場に出ると砂嵐が吹き荒れ始めた。特性、砂起こしが発動したのだ。

「ライチの3番手はギガイアス!特性、砂起こしにより日差しが遮られます!」

カリンは吹き荒れる砂嵐の中でも動じない。確かにサンパワーはこれで発動しなくなったが、メガヘルガーはここまで十分戦ってくれていた。岩タイプは砂嵐の中では特殊防御力がアップする。ギガイアスを一撃で仕留めるのは難しいだろう。ライチはここでメガヘルガーを仕留めんと攻撃を仕掛けた。
 ▼ 499 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/01/30 09:56:50 ID:JaU.HG7o [6/8] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「ギガイアス、地震!」

「ギガ!」

ギガイアスは地震を起こそうと前足を振り上げる。そのとき、カリンはある技を指示した。

「ヘルガー、道連れ」

「バウッ!!」

ヘルガーが不気味な咆哮を上げると、ギガイアスに黒いオーラが乗り移る。ライチは驚いていた。まさか道連れなど覚えているとは思っていなかったからだ。

「しまっ…」

ヘルガーがギガイアスの一撃により倒れる。だが、その直後、ギガイアスも道連れの効果で共倒れとなった。

「…憎らしいくらいうまいね、カリンは」

セキエイリーグのベンチでイツキが感心したように言った。メガヘルガーのサンパワーを活かした猛攻を仕掛けたと思いきや、不利な相手には道連れを使い、ただではポイントをやらない。セキエイ四天王の4番手、チャンピオンの間へ続く扉の門番。彼女はその座になぜ自分が着いているのかを見せつけるようなバトルを繰り広げていた。
ライチはこの相手に勝てるのかと不安に襲われていた。自分の仕掛けることの全てを彼女に読まれていて、彼女には届かないのではないか。アローラリーグのベンチではアセロラたちがライチへの声援を送っている。ライチは思わずベンチの方を振り返ってしまった。

「………!?」

ライチは思わず目をこすった。そこにはいないはずの人物の姿が一瞬見えたような気がしたからだ。

「……ヨウ……」

ライチの目にはミヅキが映っている。ライチはハッとしてカリンに視線を戻した。

自分は何を見ていたのだろう?彼はポケモンリーグを去り、そしてアローラからも去ったというのに。でも…

あの子なら、最後まで戦おうとするだろうな…

ライチはヨウとの大試練、そしてリーグで初めてバトルしたときのことを思い出す。ポケモンが信じてくれる限り、最後まで戦い抜く。

ヨウもどこかで見てるのかしら…。このバトルを…。アローラ四天王の一人として、このままいいようにやられるわけにはいかない。
 ▼ 500 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/01/30 09:59:04 ID:JaU.HG7o [7/8] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「ディアンシー、頼むわよ!」

「ディア!!」

「ブラッキー、行きなさい」

「ブラッ!」

カリンはブラッキーを繰り出し、対するライチはディアンシーを繰り出した。観客もディアンシーなど知りもしない人が大半であるため、ざわついた声が聞こえる。

「なんだあのポケモン…?」

「綺麗…だけど見たこともないわ…」

観戦していたルザミーネもこんなレアなポケモンを見ることができようとはと目を丸くしていた。

「うわあ…。ピンクのダイヤモンドみたいな…。綺麗やなあ…」

アカネがそう言うと、ルザミーネがディアンシーについて解説する。

「ディアンシー…、メレシーの変異体。でも、とっても珍しいポケモン…。私も資料以外で見るのは初めてよ」

「こらおもろいな。カリンがリードしとるけど、ここからどうなるかわからんで」

マサキもここからバトルがどう動くのか楽しみだった。

バトル場ではブラッキーとディアンシーが対峙している。カリンはどうやらブラッキーを交代させるつもりはなさそうだった。ならば打って出ようとライチはぎゅっと拳を握った。

「…カリンさん、あなたは強いわ。でも、私たちも負けない!ディアンシー、行くわよ!」

「ディア!」

ディアンシーの目が鋭くなり、攻撃体勢を取る。そのとき、ライチはネックレスを掴み、彼女の豊かな胸の谷間から虹色に輝く宝石が現れた。

「…!まさか…!」

カリンはまさかと思った。ディアンシーを見るのは彼女自身も初めてだったが、まさかメガストーンまで用意しているとは。

「ディアンシー、メガシンカ!!」

ライチが叫ぶと、ディアンシーの姿が変化する。灰色の岩石に埋もれていた下半身は磨き上げられたピンクダイヤに変化し、それが裾の広いスカートのように広がっている。額に飾られたダイヤも一回り大きくなり、かつ形もハートを型どったようなものに変化していた。


「…メガディアンシー…」

ヨウはテレビ画面に釘付けになりながら呟いた。あまりのことに、そしてテレビ画面からも伝わるその美しさに、ヨウのいるポケモンセンター内で観戦していた者たちは皆静まり返っていた。
 ▼ 501 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/01/30 09:59:44 ID:JaU.HG7o [8/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
第52話はここまでです。
次回決着まで持っていきたいと思います。
それではまた。
 ▼ 502 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/01/31 10:14:01 ID:IrcoIBxs [1/19] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
読んでくださっている皆様、いつもありがとうございます。
53話ができましたので投稿します。
 ▼ 503 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/01/31 10:14:47 ID:IrcoIBxs [2/19] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
Episode 53 メガディアンシー


「うわお、こりゃいくらカリンでもヤバいんじゃないの?」

イツキがシバに話しかけると、シバは口を開いた。

「まだわからないさ。カリンの立ち回りの上手さは俺たちが一番身に染みてるだろう。なあ、キョウ?」

シバに話を振られたキョウはカヒリからサインをもらった帽子を少年のような目で見つめていた。

「おいキョウ、聞いてるのか?」

シバの声にキョウはいつもの調子で話し始めた。

「…聞いている。確かにメガシンカのパワーは凄まじいが、それだけが勝敗を決めるものではない」

「…あんた、最もらしいこと言ってるけど帽子を手放してからにしたら?」

イツキは嫌みを交えながら言うが、確かにカリンはヘルガーを倒されただけだ。対するライチは既に3体の手持ちを失っている。ライチはまずブラッキーを倒さんと攻撃を仕掛けた。

「ディアンシー、ムーンフォース!」

ディアンシーがムーンフォースでブラッキーを攻撃しようとする。だが、ブラッキーはその攻撃を防御した。

「ブラッキー、守る!」

ブラッキーはシールドを発生させてムーンフォースを防御する。ライチはこのまま押し切ろうと攻撃を続けた。

「ディアンシー、もう一度ムーンフォースよ!!」

だが、ここでカリンはディアンシーに対して搦め手を使った。

「ブラッキー、毒々!!」

「ブラッ!」

ブラッキーから放たれた毒液がディアンシーを侵す。ディアンシーの攻撃はブラッキーに命中したが、ブラッキーはなんとかふみとどまっていた。

「さすがにタフね…。それなら…」

カリンは毒々から守るを使って相手に毒ダメージを蓄積させる戦術をとっている。カリンは悪タイプ使いなので、この後の追い込みのためにもフェアリータイプのディアンシーにダメージを蓄積させたくなかった。
 ▼ 504 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/01/31 10:15:52 ID:IrcoIBxs [3/19] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「ディアンシー、一旦戻って。ルガルガン、頼むわよ!」

「ルガッ!」

ライチは一旦ディアンシーを下げ、ルガルガンを繰り出した。ブラッキーは再び防御体勢を取ったが、ここでライチはブラッキーを一気に仕留めることにする。

「ブラッキー、ここで倒させてもらうわよ!」

ライチは自身のZリングにカクトウZをはめる。そして、拳を突き出し、ルガルガンへZパワーを送った。

「ルガルガン、全力無双激烈拳!!」

「ルガゥッ!!」

ルガルガンは咆哮を上げると、ブラッキーめがけて突撃する。そして、ブラッキーの張ったシールドを破り、怒濤のラッシュを仕掛けた。

「とどめよ!」

ライチのその声にルガルガンはオーラをまとった拳の一撃をブラッキーに浴びせる。ブラッキーはその一撃にたまらず倒れた。

「…ブラッ…」

「…よくやったわ、ブラッキー。戻りなさい」

カリンはブラッキーをボールに戻し、次のボールを投げる。カリンの投げたそのボールからはミカルゲが姿を現した。

「ミカルゲとは、また珍しいポケモンね…」

ルザミーネがそう言うと、マサキも唸る。

「うーん。そうやなあ。こんなに珍しいポケモンのバトルが見られるんやから、来てよかったで」

カリンはここでルガルガンの攻撃力を削ごうと考えた。

「ミカルゲ、鬼火!」

「ルガルガン、ストーンエッジ!」

ルガルガンのストーンエッジがミカルゲに命中したが、ルガルガンも鬼火を浴びて攻撃力がダウンする。ミカルゲを仕留めるには至らず、ライチにとってはもどかしい展開が続いていた。
 ▼ 505 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/01/31 10:16:34 ID:IrcoIBxs [4/19] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「ミカルゲ、鬼火!」

「ルガルガン、ストーンエッジ!」

ルガルガンのストーンエッジがミカルゲに命中したが、ルガルガンも鬼火を浴びて攻撃力がダウンする。ミカルゲを仕留めるには至らず、ライチにとってはもどかしい展開が続いていた。

「搦め手も上手い…。ルガルガン、もう一度ストーンエッジ!」

「ルガ!!」

ルガルガンはもう一度ストーンエッジを放つが、ミカルゲはまだ倒れない。さらにカリンはペースを握ろうとある技を指示した。

「ミカルゲ、痛み分け!!」

「ミオーン!!」

ミカルゲは不気味な鳴き声を上げたかと思うと、灰色のオーラでルガルガンを包んだ。ミカルゲの体力は回復し、ルガルガンはミカルゲが負ったダメージの一部を押し付けられる。ルガルガンはたまらず地面に前足をついた。

「ルガルガン…!お願い、頑張って!ストーンエッジ!」

「…ッ…ルガゥッ!!」

ルガルガン渾身のストーンエッジがミカルゲを襲った。その一撃はミカルゲの急所を捉え、ミカルゲはたまらず崩れ落ちる。そのとき、砂嵐が止んだ。

「…ミカルゲ…」

「ルガァァァゥ!!」

ルガルガンはミカルゲを倒し、大きな咆哮を上げた。カリンはミカルゲをボールに戻し、次のボールを構える。ルガルガンの体力は残り少ない上に火傷を負っているが、ルガルガンは鬼気迫る表情でカリンをにらみつけていた。

「…素晴らしいわ…。こんなに楽しいバトル、なかなか味わえないもの…。ライチさん、あなたと戦えたことに感謝します。ヤミカラス、もう一度頼むわよ!」

「クァ!!」

カリンは再びヤミカラスを戦場へ送る。ルガルガンはおそらく次の攻撃は耐えられない。ライチはここはルガルガンの攻撃で一気にヤミカラスに大ダメージを与えようと考えた。

「ルガルガン、ストーンエッジ!」

ルガルガンはライチの指示に攻撃体勢を取る。しかし、そのときヤミカラスの先制攻撃を浴びることになった。
 ▼ 506 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/01/31 10:17:14 ID:IrcoIBxs [5/19] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「ヤミカラス、不意打ち!」

「クァ!!」

ヤミカラスは不意打ちでルガルガンへ襲いかかり、ルガルガンの顔を蹴り飛ばす。ルガルガンは仰向けにばたりと倒れ、ライチはルガルガンを労いながらボールに戻した。

「…ルガルガン、ありがとう…。ジーランス、お願い!」

「ジーラ!」

ライチはジーランスを繰り出した。これでライチの残りの手持ちはジーランスとディアンシーのみ。対するカリンはヤミカラスと残り2体、合計3体のポケモンがいる。カリンはここから補助技でかき乱されぬよう予防線を張っておくことにした。

「ヤミカラス、挑発よ!」

「クァ!!」

「ジーランス、諸刃の頭突き!」

「ジーラ!」

ジーランスは弾丸のような勢いでヤミカラスに突っ込む。ヤミカラスはそれを受けてたまらずダウンした。

「ここからはガンガン攻めさせてもらうわよ…」

「ジーラ!」

カリンはジーランスの様子を見る。どうやら反動ダメージを受けてはいないようだ。特性、石頭によるものだろう。

「なるほど…。それなら、私もここからは攻めさせてもらいますよ!」

「マニュッ!!」

カリンはヤミカラスをボールに戻し、マニューラを繰り出した。
 ▼ 507 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/01/31 10:17:49 ID:IrcoIBxs [6/19] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「さあ、カリンも残り2体!ライチは強力なポケモン、メガディアンシーを温存しています!ここからどう戦うのか!?」

実況がそう言ったところで、カリンとマニューラは攻め込んできた。

「マニューラ、あなたに勝負がかかってるわよ!瓦割り!」

「マニュ!!」

カリンとマニューラはジーランスの弱点をついてきた。ジーランスは大ダメージを負ったが、まだ倒れない。ライチは一気にマニューラを仕留めようと再び諸刃の頭突きを指示する。

「ジーランス、諸刃の頭突き!」

しかし、その直線的な攻撃はマニューラに読まれており、マニューラはさっと身を翻して攻撃をかわした。

「くっ…」

「よくかわしたわ、マニューラ!もう一度瓦割り!」

カリンはマニューラに再び攻撃を指示する。マニューラの瓦割りがジーランスに命中し、ジーランスは倒れた。

「ジーランス…。もう腹を括っていくしかないわね…。ディアンシー、あなたに託すわ!」

「ディア!」

ライチはジーランスを戻し、再びメガディアンシーを戦場へ送る。マニューラはディアンシーを仕留めようと攻撃を仕掛けてきた。

「マニューラ、氷柱落とし!」

「マニュ!」

マニューラは空中に氷柱を発生させ、それをディアンシーめがけて落とした。ディアンシーはそれにも怯まず反撃に出る。

「ディアンシー、ダイヤストーム!!」

「ディア!」

ディアンシーは掌をマニューラへと向ける。そして、そこからダイヤモンドの嵐をマニューラにぶつけた。派手なピンク色に輝くその攻撃は観客の目を釘付けにした。
 ▼ 508 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/01/31 10:18:33 ID:IrcoIBxs [7/19] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「うわあ…。一瞬で大金持ちになれそうやわぁ…」

アカネが思わずため息を漏らす。
ディアンシーはマニューラを倒し、カリンも最後のポケモンとなった。ディアンシーはまだ戦える。カリンは最後のポケモン、アブソルを繰り出した。

「アブソル…。よし…」

カリンは既にヘルガーにメガシンカを使っている。よって、このアブソルがメガシンカしてくることはない。アブソルは打たれ強いポケモンではないため、ディアンシーの一撃で倒すことが可能だろう。ライチは自身の勝利を信じて疑わなかった。

「ディアンシー、ムーンフォース!アブソルを一気に倒すわよ!」

「ディア!!」

ディアンシーは毒に侵されながらも、この攻撃を当てれば自分の勝利だと信じて疑わなかった。ディアンシーの放った光がアブソルを飲み込む。これで勝負あったはずだ。ライチとディアンシーは安堵の息を漏らした。

「…まだ安心してはいけませんよ?」

ライチはカリンの表情に目を丸くする。そして、アブソルはまだ倒れておらず、ディアンシーめがけて襲いかかってきたのだ。

「アブソル、アイアンテール!」

「アブッ!!」

アブソルの尾が鋼のように硬くなり、安堵していたディアンシーは虚を突かれてその一撃をもろに浴びてしまう。ディアンシーは倒れたが、なんとか身を起こした。

「なんで…?」

ライチはなぜアブソルを倒せなかったのか驚きを隠せなかった。
 ▼ 509 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/01/31 10:19:25 ID:IrcoIBxs [8/19] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「気合いの襷ですよ。打たれ強くないポケモンの定番アイテムじゃないですか」

「くっ…」

カリンはアブソルに気合いの襷を持たせていたのだ。だが、なんとかディアンシーは倒れずに済んでいる。次の攻撃は耐えられまい。

「ディアンシー、相手は次の攻撃は耐えられない!ダイヤストーム!」

「ディアッ!」

ディアンシーは最後の攻撃、ダイヤストームを放とうとアブソルへ掌を向ける。しかし、カリンは笑みを崩さなかった。

「もう勝負はついていますよ。アブソル、不意打ち」

「!!」

アブソルの不意打ちがダイヤストームよりも先にディアンシーに命中する。ディアンシーは崩れ落ち、ライチのポケモンは全て倒れた。

「……私の負け……」

ライチは全力を尽くしたが、カリンはさらにその上を行った。ライチはカリンの戦いの上手さに呆然としていた。

「…マニューラでジーランスを倒せるかが鍵でした。アブソルをノーダメージでディアンシーに対峙させられなければ、私の負けだったでしょう」

カリンはアブソルをボールに戻し、ライチの方へと歩を進める。

「…そっか…。あと一歩だったのか…」

カリンはライチに右手を差し出す。

「アローラリーグ、素晴らしいリーグですね。他の四天王の皆さんとも機会があれば戦ってみたいです。ライチさん、あなたと戦えたことを誇りに思います」

しばらく呆然とカリンの右手を見ていたライチだったが、観客の歓声にハッと我に返った。
 ▼ 510 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/01/31 10:20:14 ID:IrcoIBxs [9/19] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「凄かったよー!」

「アローラリーグ、これからも応援してるぜ!!」

「…エキシビジョンとはいえ、勝者は必ず敗者を作る。でも、見ている人にとっては素晴らしいバトルが見られればそれでいいんでしょうね。ライチさん、皆が私たちを祝福してくれています。顔を上げてください」

カリンはにこっと笑う。ライチもそれを見て、深呼吸を一つして笑顔になった。

「…そうね。カリンさん、私もあなたと戦えたこと、誇りに思うわ」

ライチはカリンの右手を取る。そして、実況が試合終了の宣言をする。

「試合終了ー!!勝者はセキエイ四天王、カリン!!アローラ四天王、ライチの猛追を振り切りました!!」

二人の素晴らしいポケモントレーナーは時が止まったように動かなかった。ライチとカリンは鳴り止まぬ歓声の下、互いの健闘を称え合っていた。
 ▼ 511 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/01/31 10:22:21 ID:IrcoIBxs [10/19] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
第53話はここまでです。
次回からワタルVSミヅキの試合のお話になります。
それではまた。
 ▼ 512 ーゴヨン@ふといながねぎ 21/01/31 10:22:27 ID:yIAEwnPc NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
>>504>>505が重なってますよ

支援
 ▼ 513 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/01/31 10:27:06 ID:IrcoIBxs [11/19] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
すみません、コピペミスしてました。

>>504の一番下、以下の部分は読み飛ばしてください。

「ミカルゲ、鬼火!」

「ルガルガン、ストーンエッジ!」

ルガルガンのストーンエッジがミカルゲに命中したが、ルガルガンも鬼火を浴びて攻撃力がダウンする。ミカルゲを仕留めるには至らず、ライチにとってはもどかしい展開が続いていた。
 ▼ 514 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/01/31 16:32:39 ID:IrcoIBxs [12/19] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
読んでくださっている皆様、いつもありがとうございます。
54話ができましたので投稿します。
 ▼ 515 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/01/31 16:33:25 ID:IrcoIBxs [13/19] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
Episode 54 憧れたあなたへ


「ライチはん、惜しかったなあ」

マサキは試合終了のコールの中、バトル場で握手を交わしているライチとカリンへ拍手を送っていた。リーリエも昼一番に比べれば少し落ち着いたようで、ライチの敗北は残念ではあったが素晴らしいバトルが見られたことを喜んでいた。

「ライチさん、もう少しでしたけど、カリンさんが上手かったですね」

リーリエもマサキと同様にライチとカリンへ拍手を送っている。その様子を見たアカネとマサキはほっと一安心した。そして、リーリエに聞こえないようにひそひそと話した。

「リーリエちゃん、昼一はなんか機嫌悪そうやったけど、大丈夫そうやな」

「うん…。でも、ウチなんか心配やわ。アセロラちゃんやライチはんの応援もあんまりせえへんかったし…」

アカネは少し心配そうにリーリエに視線を送った。リーリエはその視線に気づくことなくライチとカリンを見つめていた。


「ライチさん、もう少しだったのにな…」

クロガネシティのポケモンセンターでヨウは紅茶を飲みながらため息をついていた。

「でも、すごいバトルだったね。次はいよいよ両リーグのチャンピオンの戦いだ。アローラリーグのミヅキさんってほとんど情報がないけど、あの四天王を突破してチャンピオンになったんだから、相当な腕なんだろうな」

ヒョウタはコーヒーのおかわりを持ってきて飲み進めていた。ヨウはミヅキのことを褒められるのはいとことして少し鼻が高いような気がしていた。

「…ミヅキ…」

ヨウはミヅキがどのようなバトルを見せてくれるのか楽しみにしながら彼女の名をつぶやいた。ヨウはテレビの画面が切り替わり、セキエイリーグのベンチが映されたことに気づく。画面には若い女性レポーターが映っており、これから両リーグのチャンピオンに試合前のインタビューをするようだった。
 ▼ 516 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/01/31 16:35:24 ID:IrcoIBxs [14/19] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「ふう…。強い相手だったわ…」

ベンチに戻ってきたカリンをセキエイ四天王の面々が迎えた。

「お疲れ様、カリン。しかし、アローラリーグのメンバーは強いね。ワタルも油断できないんじゃない?」

イツキはワタルに声をかける。ワタルはベンチに座ったまま腕組みをし、集中していた。

「油断などないさ。ここまでの試合を見て、あの四天王を突破しなければアローラのチャンピオンにはなれない…。つまり、俺はあの四天王たちよりも強いトレーナーを相手にしなければならないということだ」

「少しインターバルを置いて試合開始でしょ?今からそんなに集中してたら…ん?」

イツキはここでテレビカメラを持ったカメラマンとレポーターが近づいてくることに気づいた。どうやら試合前にチャンピオンに意気込みを聞きに来たらしい。

「ワタル、カメラが来たよ。試合前の意気込みでも聞きたいんじゃない?」

「ん?ああ、まあ、こういうイベントごとにはつきものだな」

ワタルはそう言うと、マントを整えてテレビカメラの前に出ていった。

「ワタルさん、試合前に少しインタビューしてもよろしいでしょうか?」

「ええ、どうぞ」

ワタルがこくりと頷くと、レポーターは質問をし始めた。

「ワタルさん、これからアローラリーグのチャンピオンと戦うわけですが、これまでの四天王の試合を振り返ってアローラリーグの力をどのようにご覧になっていますか?」

「新興のリーグですが、その実力は既存の各リーグに何ら劣るものではないと感じますね。これまで四天王の試合を見ていましたが、結果も2勝2敗。試合前の予想では我々の圧勝だと思っていた方が多かったようですが、私自身はそうは思っていませんでした」

ワタルがそう言うと、レポーターは質問を続けた。

「ワタルさんから見てもアローラリーグの方々は強いと感じる、と?」

「ええ。それはこのイベントをご覧になっている皆さんもそう感じているでしょう。私の相手はチャンピオン、ミヅキさんですが、彼女はあの四天王を突破して玉座についた身。私も一瞬たりとも気が抜けないと思っています」

ワタルがそう言うと、レポーターはワタルに礼を述べてアローラリーグのベンチへと向かっていった。
 ▼ 517 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/01/31 16:37:12 ID:IrcoIBxs [15/19] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「ごめん、負けちゃった」

ライチはそう言ったが、その顔はむしろ清々しかった。

「いやいや、いいバトルでしたぞ、ライチ殿」

「うんうん!メガディアンシー、めちゃめちゃ綺麗だったし強かった!」

ハラとアセロラは笑顔でライチを迎える。続いてカヒリがライチに声をかけた。

「ライチさん、最後はものすごい追い込みを見せましたね」

「…なんだか、ヨウのことを思い出しちゃってね…。初めはカリンさんの上手さに翻弄されかけてたけど、あの子の大試練のときのことを思い出して最後まで食らいついてやろうって思っちゃった」

ミヅキはヨウの名を聞いて不機嫌そうに顔を背けた。確かにこのイベントはテレビで中継されているし、インターネットでも配信されている。どこかであいつも見ているのだろうか。ミヅキがそんなことを思っていたところに、ワタルへのインタビューを終えたレポーターが今度はミヅキの方へとやってきた。

「チャンピオン、あなたに御用みたいですよ」

カヒリがそう言うと、ミヅキはレポーターとカメラマンの方を見つめた。

「突然失礼します。アローラチャンピオン、ミヅキさんに試合前の意気込みをインタビューしに参りました。少しお時間よろしいでしょうか?」

ミヅキはそう言われ、カメラの前に出て行った。


「…ミヅキ…」

ヨウはテレビ画面に映し出されたミヅキの姿に注目する。そして、ミヅキへのインタビューが始まった。


「これまでの四天王のバトル、ミヅキさんから見ていかがだったでしょうか?」

「…このリーグは新興のリーグですが、決してセキエイ本部に引けを取らないと最初か思っていました。実際にイベントの前の下馬評では私たちの評価があまりよくなかったことは知っていますし、いい意味で予想を裏切ることができて嬉しく思っています」

ミヅキは淡々とレポーターの質問に答えていく。ヨウはテレビ画面に映るミヅキの顔がどこか暗いことに気づいていた。レポーターはミヅキにさらに質問した。
 ▼ 518 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/01/31 16:39:50 ID:IrcoIBxs [16/19] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「イベントが始まる前から、やはり気合がかなり入っていたということでしょうか?」

「そうですね…。それと…、私はある一人の人物のことを考えていました。もしかしたら、その人はこのイベントをテレビかネットの配信で見ているかもしれません」

ミヅキの言葉にヨウは耳を傾ける。ある一人の人物とは誰だろうか?

「その人は、今はアローラを去り、一人でトレーナー修行をしているそうです。その人はかつて私が一番憧れた人」

ミヅキがそう言うと、レポーターはミヅキの恋愛に関する話かと勘違いして嬉しそうに質問を続ける。

「もしかして、ミヅキさんの恋の相手…ということでしょうか?」

レポーターはそう尋ねたが、ミヅキはきっぱりと否定した。

「いいえ。その人は私が最も憧れた人であるとともに、私が最も失望した人…。その人はアローラチャンピオンの座に返り咲こうとしているそうですが、私はこの座を明け渡すつもりはありません。その人がもしこのイベントを見ているのなら、これから今その座を守っている私の力を知ることになるでしょう」

レポーターももちろんだが、テレビに映るミヅキを見ている者のほとんどはミヅキが誰のことを言っているのかよくわかっていなかった。だが、一部の人間はそれが誰のことなのかわかっている。

「…ミヅキさん…」

リーリエはミヅキの言葉を聞き、拳を握って体を震わせる。彼女の最も憧れた人、そして最も失望した人。それはたった一人しかいない。


「…ヨウくん…?」

ヒョウタは拳を握って体を震わせるヨウの姿を見つめていた。怒り、後悔、悲しみ、様々な負の感情が入り混じったその顔から目を離せなかった。

「…ミヅキ…」

ヨウはミヅキの名を苦々しい様子で口にする。彼女が自分を許すことは決してない。わかりきっていたことじゃないかとヨウはため息をつく。そして、気持ちの揺れを隠すようにゆっくりと紅茶に口をつけた。
 ▼ 519 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/01/31 16:41:27 ID:IrcoIBxs [17/19] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
そして、ついにチャンピオン戦の火ぶたが切って落とされようとしていた。ワタルとミヅキはバトル場の真ん中で対峙している。

「アローラリーグ、いいリーグだな。俺たちも苦戦するだろうとは思っていたが、予想以上だったよ」

「お世辞でも嬉しいです。ワタルさん、胸を借りるつもりで全力で戦います。よろしくお願いします」

ミヅキはにこやかにそう言うが、ワタルはここでミヅキに少し意地悪な質問をした。

「ふふ。君の憧れの人に俺たちの力が届いているといいが。…あの口ぶりからすると、君の前のチャンピオンのことを言っているのかな?」

ワタルがそう言うと、ミヅキは思わず顔を伏せた。

「…すみません。私たちの個人的な事情なのに、あんなことを言ってしまって…」

「構わないさ。強くなるための理由なんて人それぞれだ。それが誰かとの確執であることももちろんあるだろう。だが、バトルが始まればそんなことは関係ない。ただ互いに今持てる全力を尽くして戦うだけだ。それは君もわかっているだろう?」

「…はい…」

ミヅキはワタルに感謝した。彼がミヅキがつい感情的になってしまったことを諌めたり、追究しなかったことに。

気持ちを切り替えよう。今のアローラリーグのチャンピオンは私。私のバトルで、ワタルさんに勝ってみせる。

ワタルとミヅキはそれぞれ位置につくと、一つ目のボールを手に取った。

「試合開始です!!」

「ギャラドス、行くぞ!」

「ギャオオッ!!」

「デンジュモク、出番だよ!!」

「デンショック!!」

ワタルのギャラドスに対し、ミヅキはデンジュモクを繰り出す。いきなりのウルトラビーストの登場に客席は大盛り上がりを見せた。

「おお?なんだありゃ!?」

「ウルトラビースト…」

ルザミーネとリーリエは目を丸くしていた。ワタルはバチバチと電光を放つデンジュモクを見て、一番手としてギャラドスを繰り出したことに軽く舌打ちをした。
 ▼ 520 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/01/31 16:42:02 ID:IrcoIBxs [18/19] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「くッ…。相性の悪い相手と当たったか…」

ギャラドスはデンジュモクを威嚇したが、特殊攻撃主体のデンジュモクにとっては大した問題ではなかった。ワタルは仕方なくギャラドスを一旦下げることにした。

「ギャラドス、交代だ!ガブリアス、頼むぞ!」

「ガァブッ!!」

ギャラドスと交代でガブリアスが出てくる。ミヅキは待ってましたと言わんばかりにZクリスタルをZリングにはめた。

「デンジュモク、最初から全開でいくよ!」

ミヅキはそのまま左手で両手の人差し指で頭を挟むようなポーズをとり、その後左手を広げて前に突き出した。

「デンジュモク、催眠術!」

「デンショック!」

デンジュモクはZリングからのパワーを受け、催眠術を放つ。ガブリアスは睡魔に襲われ、行動不能に陥った。

「なんと!」

ワタルが驚いているのも束の間、デンジュモクはさらにその特殊攻撃力に磨きをかけるべくある技を使う。

「デンジュモク、蛍火!」

「デンショック!!」

蛍火。特殊攻撃力を一気に跳ね上げる強力な積み技である。これでデンジュモクの高い特殊攻撃力を存分に活かすことができる。

「なるほど…。これがアローラ流の戦い方というわけか…」

「胸を借りるとは言いましたが、やるからには勝つつもりでいきます。デンジュモク、さあ、行くよ!」

攻撃態勢は整った。デンジュモクは電気コードを束ねたような体をくねらせ、ガブリアス目掛けて攻撃を開始した。
 ▼ 521 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/01/31 16:42:48 ID:IrcoIBxs [19/19] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
第54話はここまでです。
やっぱりこの章は70話くらいで終わりそうですね。
それではまた。
 ▼ 522 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/02/04 07:06:18 ID:gWko9aao [1/9] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
読んでくださっている皆様、いつもありがとうございます。
55話ができましたので投稿します。
 ▼ 523 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/02/04 07:07:05 ID:gWko9aao [2/9] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
Episode 55 世界一の称号


「おおーっと!アローラチャンピオン、ミヅキ!一番手で相性有利なポケモンを繰り出した運を最大限に味方につけました!これは大番狂わせもありうるか!」

実況が興奮して叫ぶ。ギャラドスとデンジュモクの対面を最大限に活かしたミヅキの立ち回りに会場はどよめいていた。

「…うわ…!なんちゅー光や…!」

バチバチと電光を帯びるデンジュモクにマサキは思わず目を手で覆った。

「…ミヅキさん…」

リーリエも指の隙間から目を出して試合の様子を見ている。ミヅキはいきなりZ技を使った。Z催眠術は使用したポケモンの素早さを上げる効果がある。ミヅキは交代際に合わせてZ催眠術を使い、相手の行動を制限してさらに蛍火をデンジュモクに使わせた。有利な対面となったことで相手の交代を読み、一気に相手を押し切るための体勢を整えたのだ。ミヅキは一気に主導権を握り、ワタルのポケモンたちを叩くつもりだ。

「デンジュモク、エナジーボールッ!」

「デンショック!」

デンジュモクは睡魔と格闘中のガブリアスに襲いかかる。デンジュモクのエナジーボールが直撃し、ガブリアスはばたりと倒れた。

「…!!ガブリアス…!」

ワタルもこれには驚いていた。いくら蛍火を積んでいるとはいえ、まさかガブリアスを一撃で沈めるとは。観客もデンジュモクの力に驚くばかりだった。

「よし!このまま押し切るよ!」

「デンショック!」

デンジュモクはガブリアスを倒し、体にオーラをまとう。特性、ビーストブーストが発動したのだ。
 ▼ 524 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/02/04 07:08:02 ID:gWko9aao [3/9] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「…ミヅキ…。本気でワタルさんに勝つつもりだ…」

ヨウはミヅキの戦い方を見て拳を握る。ハウに敗れたとき、またリーグに挑戦してほしいと言われたが、もし今アローラチャンピオンになろうと思うならミヅキを倒さねばならない。ミヅキはこのバトルは今のアローラチャンピオンの力を自分に見せるいい機会になると話していた。もしこのバトルでミヅキが勝てば、それは彼女にとって大変な栄誉となるだろう。
ヨウはなんだか自分の置かれている状況が惨めに思えた。いとこである彼女はセキエイ本部のチャンピオンに肉薄しようとしているというのに、自分は逃げるようにアローラを去り、ここで彼女の活躍を見ていることしかできない。正義のために、そしてリーリエのために戦った彼女と自分が比べられるわけもない。

アローラには既に立派なチャンピオンがいる…。…今さら僕が戻ったところで…

ヨウは虚ろな目で画面の中のミヅキとデンジュモクを見つめていた。


「…これは凄まじいな…。あの男に並ぶかもしれん…」

ワタルは次のボールを構えながら少し客席を見回す。ワタルのいうその男は彼の幼馴染とともに試合を観戦していた。

「…最初に出し負けしたとはいえ、ここまでワタルが何もさせてもらえないとは…。アローラチャンピオン、ミヅキ…か…」

「こりゃすげえな。あのポケモン…ウルトラビーストっつったか…。それもすっかり手懐けてやがる」

レッドとグリーンはミヅキの戦いぶりを素直に称賛していた。対するワタルはこのままデンジュモクを放っておいてはパーティーに大損害を受ける。もう一体持っていかれるのは確実だろうが、ここはデンジュモクを食い止めることが最優先だった。

「チルタリス、頼むぞ!」

「チルッ!」

ワタルはチルタリスを繰り出してきた。ミヅキとデンジュモクは大きくアップした特殊攻撃力に任せてチルタリスに襲いかかる。

「デンジュモク!放電!!」

「デンショック!!」

デンジュモクは強烈な電撃を放ち、その電工は花が咲くように客席近くまで広がった。すぐ近くまで迫った青白い電光に観客は思わず目を臥せたり、その身をよじって電光から逃れようとする。

「…チ…ッ…チル…」

チルタリスは放電を受けて身体が麻痺していた。高い特殊防御力によりなんとか一撃は耐えたようだが、次の攻撃は耐えられないのは明らかだった。だが、ワタルはチルタリスがなんとか耐えてくれたことに喜びを見せた。
 ▼ 525 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/02/04 07:08:38 ID:gWko9aao [4/9] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「よし!…すまない、チルタリス。おまえの頑張り、決して無駄にはしない!チルタリス、吠える!」

「チルァ!!」

チルタリスは咆哮を上げ、デンジュモクは強制的にボールに戻される。ワタルは能力の上がったデンジュモクをこれ以上相手にできないため、チルタリスに賭けたのだった。

「くっ…。でも、これでチルタリスも倒したも同然…!ドククラゲ、行きなさい!」

ミヅキは2番手としてドククラゲを繰り出した。

「ヘドロ爆弾!」

ドククラゲはミヅキの指示でヘドロ爆弾を放つ。チルタリスはそれを受けて倒れ、ミヅキは自身の手持ちが無傷のままワタルのポケモンを2体抜きした。

「なんと!これはすごい展開になりました!一体目を出したとき、ワタルに運がなかったのは事実でありましょうが、それでもこの展開を誰が予想したでしょう!?アローラチャンピオン、ミヅキ、手持ちを6体残したままワタルの手持ちを早くも2体倒しました!」

実況はワタルが防戦一方となっていることに驚きを隠せなかった。ミヅキ早くもZ技を使ったとはいえ、早くもワタルの手持ちを2体倒したことで勢いに乗っていた。

「よし!いける!!」

だが、そんな彼女をリーリエは神妙な面持ちで見ていた。リーリエはそれまでアローラリーグを応援していたのに、なぜかミヅキを応援しようという気になれなかった。


『その人は私が最も憧れた人であるとともに、私が最も失望した人…。その人はアローラチャンピオンの座に返り咲こうとしているそうですが、私はこの座を明け渡すつもりはありません。その人がもしこのイベントを見ているのなら、これから今その座を守っている私の力を知ることになるでしょう』


リーリエは心の中でミヅキがヨウに向けて言った言葉を反芻していた。あれはヨウに向かって、もしアローラリーグに再び挑戦したとしても、自分がいる以上決してその玉座に着かせはしない、かつこれからのワタルとのバトルで今の自分の力を知らしめてやろうという宣言である。
 ▼ 526 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/02/04 07:09:59 ID:gWko9aao [5/9] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ヨウさんは負けません…。たとえウルトラビーストを従えたミヅキさんが相手になっても…

そして、リーリエは感情が昂り、思わず叫んでしまった。

「ワタルさん!!ミヅキさんに負けないでください!!」

突如、見ず知らずの少女からの声援にワタルは面食らった。自分のファンなのだろうか?それにしてはなんだか声の様子がおかしいような気がしていた。そして、リーリエの側でその声を聞いていたルザミーネ、アカネ、マサキ、ナツメも驚いて目を丸くしていた。つい先程までリーリエはアローラリーグを応援していたはずなのに、と。

「…リーリエ…」

ミヅキは苦い顔でちらりとリーリエの方を見た。リーリエがなぜあんなことを言ったのかミヅキにはなんとなくわかっていた。

リーリエにとってはやはりヨウが一番の憧れであり、一番のトレーナーなのだ。試合前につい感情的になり、ヨウを挑発、または罵倒するようなことを口にしてしまったため、リーリエからの心象が悪くなったことは想像に難くなかった。

リーリエはわかってない…。あいつはもはやリーリエや私が憧れていた頃のあいつではない。そして、リーリエと共に掴んだはずの玉座に泥を塗ったあいつに代わり、自分が玉座を守るのだ。

ミヅキはワタルの次のポケモンを待つ。デンジュモクはボールに戻されたが、一気に2体抜きできたことは大きかった。

「ギャラドス、もう一度頼むぞ!」

「ギャオオッ!」

ワタルはもう一度ギャラドスを戦場に送る。ミヅキはこのままドククラゲで戦闘を続行した。

「ドククラゲ、ヘドロ爆弾!」

ドククラゲは再びヘドロ爆弾を放ち、ギャラドスに直撃する。しかし、ギャラドスはそれに怯むことなく反撃の体勢を整えようとした。
 ▼ 527 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/02/04 07:10:52 ID:gWko9aao [6/9] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「ギャラドス、竜の舞だ!」

「ギャオオ!!」

ギャラドスは咆哮を上げると体をうねらせて竜の舞を踊る。そして、そのままギャラドスは反撃に出た。

「ギャラドス、地震!!」

強烈な衝撃波がドククラゲを襲い、ドククラゲはその一撃によってノックアウトされてしまう。ワタルが反撃の狼煙を上げたと思った観客は一斉に沸き立った。

「すげえパワーだ!!」

「さすがワタル!」

ギャラドスはドククラゲを退け、天に向かって咆哮を轟かせた。これがドラゴン使いのワタルとそのポケモンのパワー。確かに一撃で流れを変える可能性もありうるだろう。

…もしヨウなら、こんな相手とどう戦うのだろう?

ミヅキはハッとした。なぜ蔑んでいるはずのあいつの顔が浮かぶのだろう?ミヅキは初代チャンピオンの幻影を振り払うように首を横に振った。そして、ちらりとリーリエに視線を送った。
リーリエと再会したことで思い出したくもない人物の顔が嫌でも頭から離れない。

「…ウソッキー、頼むよ!」

「ウッソ!」

ミヅキはここでウソッキーを繰り出した。ワタルはギャラドスを交代させずに攻撃を仕掛けてきた。

「ギャラドス、アクアテール!!」

ギャラドスの尾鰭が水をまとい、強烈な一撃がウソッキーに見舞われる。しかし、ウソッキーは倒れなかった。

「特性は頑丈か!」

「ウソッキー、ストーンエッジ!!」

「ウッソ!!」

ウソッキーは反撃にストーンエッジを叩き込み、ギャラドスをノックアウトする。ウソッキーはかなり消耗したが、これでワタルの手持ちを残り3体に追い込んだ。
 ▼ 528 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/02/04 07:12:36 ID:gWko9aao [7/9] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
よし!このまま行けばワタルさんに勝てる…!そうすれば…!

ふとミヅキは考えた。もし自分がワタルに勝ったら、その後はどうなるのだろうか?
多くの人が自分の力、そしてアローラリーグの力を認め、称賛するだろう。ヨウはもはやリーグ挑戦を諦めるかもしれない。だが、それでいいのだろうか?リーリエはどう思うのだろうか?

もし今ワタルに挑んできるのがヨウで、ヨウがワタルに敗れたとしても、リーリエはきっとヨウへ「世界一のトレーナー」だと言い続けるだろう。リーリエのいう世界一のトレーナーとは単純な勝敗によって定義されるものではない。リーリエのいう世界一のトレーナーは世界最強のトレーナーではない。その意味をミヅキはよくわかっていたからこそ、ある時まで自分にとっても世界一のトレーナーだと思っていた彼のことを許せなかったのだ。

「…ミヅキ、君は本当に強いな…。…少し意地悪な質問をしてもいいかい?君の憧れた人と俺、ここまで戦った印象だとどちらが強いと思う?」

ワタルは突然そんな質問を投げ掛けてきた。ミヅキにはわからなかった。ヨウとは戦ったことがないのでワタルとの比較はできない。

「…それは…わかりません…」

ミヅキの答えを聞き、ワタルはくすっと穏やかな笑みを浮かべた。

「それなら、質問を変えよう。その人と俺、もし君がどちらかを世界一と呼ぶなら、君はどちらをそう呼ぶかな?」

「…それは…」

ミヅキは答えに詰まった。世界一のトレーナー。それは世界最強のトレーナーではないとわかっていたから。単純な強さならワタルの方が強いのではないかと思う。そして、ここまでの言動からワタルは面倒見のよい性格で、人格にも優れていることもわかっていた。
なのに、どうして綺麗なお姉さんに目がなく、スケベで、かつ恋人を励まして送り出したと思いきや寂しさに負けたあの弱い男を今も心のどこかで世界一のトレーナーだと思っているのだろう?

「…ヨウ…」

思わず口からこぼれたその名はワタルには聞こえていなかった。だが、ワタルにはなんとなくわかっていた。あの質問の答えはおそらく自分ではないことを。
 ▼ 529 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/02/04 07:12:58 ID:gWko9aao [8/9] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「…すまない、おしゃべりが過ぎてしまったな。ボーマンダ、行くぞ!」

「グオオッ!」

ワタルはボーマンダを繰り出してきた。ウソッキーの体力はあとわずか。ここはボーマンダに一撃を浴びせておこう。
ミヅキはそう考え、ボーマンダの攻撃を待つ。

「ボーマンダ!」

ワタルが技を指示しようとしたそのとき、ミヅキが叫んだ。

「ウソッキー、不意打ち!!」

「ウッソ!!」

ウソッキーはボーマンダに一撃を浴びせようと飛びかかる。が、その攻撃が当たることはなかった。

「ウッソ!?」

「…竜の舞だ!」

ワタルは竜の舞を指示し、ボーマンダは攻撃力と素早さをアップさせる。そして、ボーマンダはそこから反撃に出た。

「ボーマンダ!ドラゴンダイブ!」

「くっ…!ウソッキー、不意打ち!」

ウソッキーはボーマンダに今度こそ不意打ちを浴びせるが、ボーマンダは構わずにウソッキーを押し潰す。

「グオオッ!!」

ウソッキーを倒したボーマンダはその力を誇示するように咆哮を上げる。ミヅキはウソッキーをボールに戻しながらふと考えた。このボーマンダが出てきたとき、ウソッキーを威嚇しただろうか?

「…そのボーマンダ…。特性は威嚇じゃないですよね?」

「…ああ。このボーマンダの特性は自信過剰。相手を倒すほどに攻撃力を上げる。ここからどう戦うか見せてくれ、アローラチャンピオン」

ワタルはミヅキの質問にニヤリと笑って答えた。やはりワタルは油断できない相手だ。ミヅキはここから始まるワタルの反撃を予想し、首筋に汗を浮かべた。
 ▼ 530 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/02/04 07:13:43 ID:gWko9aao [9/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
第55話はここまでです。
次回をワタルVSミヅキの決着としたいと思います。
それではまた。
 ▼ 531 イコウ@スピードボール 21/02/04 07:37:33 ID:fkxktfVY NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 532 ガレックウザ@かがやくいし 21/02/04 14:21:15 ID:n6pYVQxM NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
リーリエの叫び声をヨウは聞こえたのかな?
あんな大声で叫んだらテレビ越しに聞こえてもおかしくないかも。
支援
 ▼ 533 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/02/05 22:10:57 ID:9fVgTtfk [1/10] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
読んでくださっている皆様、いつもありがとうございます。
56話ができましたので投稿します。
 ▼ 534 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/02/05 22:12:01 ID:9fVgTtfk [2/10] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
Episode 56 決着!セキエイリーグVSアローラリーグ


「ここからどう戦うか見せてくれ、アローラチャンピオン」

ワタルはニヤリと口角をつり上げた。特性、自信過剰のボーマンダ。相手を倒すほどに攻撃力を上げる。ミヅキはこのボーマンダをなんとか倒せないかと思案する。そして、このピンチを旅立ちの相棒に任せることにした。

「ジュナイパー、頼むよ!」

「ジュナッ!」

ミヅキはボーマンダへジュナイパーを差し向ける。草タイプのジュナイパーでドラゴン、飛行タイプのボーマンダを相手にするのは一見無謀に見えた。

「ボーマンダ、炎の牙だ!」

「グオオッ!!」

ボーマンダは炎をまとった牙でジュナイパーに襲いかかる。ジュナイパーはすんでのところで攻撃をかわし、ボーマンダはそのまま空へと舞い上がった。

「ふむ、いい回避だ。だが、次はどうかな?ドラゴンダイブ!」

ボーマンダは旋回すると、ジュナイパーめがけて力任せに飛び込んできた。ジュナイパーはその攻撃も身を翻してかわした。

「おおっと!アローラチャンピオン、ミヅキ!さすがにボーマンダの猛攻に防戦一方となるか!?」

「…ミヅキちゃんにとってはこれ以上ボーマンダの攻撃力を上げられたらヤバいやろ…。そら下手に攻撃して隙を晒せんわな…」

アカネが呟く中、ボーマンダの攻撃が続く。ミヅキとジュナイパーは回避に専念していた。そのうちボーマンダの息が少し上がってきたようで、ボーマンダのスピードがわずかに落ちる。ミヅキとジュナイパーはここぞとばかりに攻撃を仕掛けた。

「ジュナイパー、ローキック!」

「ジュナッ!!」

ジュナイパーはローキックでボーマンダを攻撃する。ボーマンダの素早さが下がるが、効果はいまひとつのため大したダメージにはならなかった。
 ▼ 535 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/02/05 22:13:39 ID:9fVgTtfk [3/10] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「それくらいじゃ俺のボーマンダは倒せないぞ!ボーマンダ、炎の牙!」

今度こそボーマンダの牙がジュナイパーを捉える。ジュナイパーは大ダメージを負い、ボーマンダはジュナイパーを乱暴に地面に投げ捨てた。

「ジュナイパー…!」

「…ジュナ…ッ…」

ジュナイパーはその一撃により倒れてしまう。ボーマンダは再び自身の力を誇示するような咆哮を上げた。

「ボーマンダ2体抜き!もはや打つ手なしか!?アローラチャンピオン、ミヅキ!」

実況がそう言うと、ミヅキは次のボールを手に取った。ジュナイパーには申し訳なかったが、いい働きをしてくれた。

「ペルシアン、ジュナイパーの頑張りを無駄にはできないよ!」

「ニャーゴ!」

ミヅキの次のポケモンはペルシアンだった。

「こっちのペルシアンとは別の姿やな…。あれもリージョンフォームってやつ?」

アカネがそう言うと、ルザミーネがアローラのペルシアンについて説明した。

「そうね。アローラのペルシアンは悪タイプなの。使える技もノーマルタイプのペルシアンとは異なるわ」

ミヅキはここでボーマンダを一気に仕留めにかかる。ボーマンダの上昇した攻撃力を利用する技を指示したのだ。

「ペルシアン、イカサマ!」

「ニャゴ!!」

「何!?」

ペルシアンは素早くボーマンダに駆け寄り、黒いオーラをまとった前足でボーマンダを叩く。その瞬間、ボーマンダはがくっと崩れ落ち、バトル場の地面に落下した。特性、自信過剰によって上がった攻撃力が仇になったのだ。
 ▼ 536 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/02/05 22:15:19 ID:9fVgTtfk [4/10] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「よし!ペルシアン、よくやったよ!」

これでワタルの手持ちは残り2体、ミヅキは残り3体となった。まだ油断はできないが、自分が有利なのは間違いない。

「ボーマンダ…。さすがはチャンピオン…。思い通りにことは運ばないな…。リザードン、頼むぞ!」

「グオオ!」

ワタルの5体目はリザードンだった。リザードンは翼を広げ、ペルシアンへと咆哮を上げる。

「…リザードン…。ペルシアン、ここは攻撃あるのみだよ!イカサマ!」

「ニャゴ!」

ペルシアンはリザードンへ飛びかかるが、リザードンはペルシアンを寄せ付けなかった。

「リザードン、エアスラッシュでペルシアンを近寄らせるな!」

「グオオ!」

リザードンはペルシアンへエアスラッシュを放ち、ペルシアンの接近を阻む。ミヅキは直線的な攻めになりすぎたと一旦隙をうかがうことにした。

「くっ…」

ペルシアンが一旦攻撃をやめたそのとき、リザードンはペルシアンを追い込むため攻撃を仕掛けてきた。

「リザードン、炎の渦!」

リザードンは炎の渦の中にペルシアンを閉じ込める。これでペルシアンは交代できなくなり、リザードンに削りきられるかと思われた。

「リザードン、炎の渦にペルシアンを捕える!これで直接の交代はできなくなりました!ミヅキ、まだ手持ちの数では勝っていますが、ワタルがジリジリと詰め寄ります!!」

実況がミヅキのピンチを煽るが、ミヅキにはこの状況を抜け出す手段があった。
 ▼ 537 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/02/05 22:17:03 ID:9fVgTtfk [5/10] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「ペルシアン、捨て台詞!!」

「フニャーゴ!!」

ペルシアンは捨て台詞で撤退し、リザードンの攻撃力と特殊攻撃力が下がる。そして、ミヅキは再びデンジュモクを繰り出した。

「デンジュモク!あと一息だからね!頑張って!」

「デンショック!」

デンジュモクはバチバチと電光を走らせリザードンと対峙する。ワタルはリザードンを交代させずに戦闘を続行した。

「リザードン、大文字!!」

「グオオッ!!」

リザードンから放たれる大の字の炎がデンジュモクに直撃する。しかし、デンジュモクはものともせずに反撃に出た。

「放電!」

「デンショック!」

デンジュモクは放電を使い、リザードンはその直撃を受ける。リザードンが倒れ、ワタルの残りの手持ちはあと一体となってしまった。

「ついに!ついにワタルが追い詰められました!アローラチャンピオン、ミヅキ!その実力は疑いようがありません!残り3体の手持ちを残してワタルを崖っぷちまで追い込む!こんな展開を誰が予想したでしょうか!?」

実況はワタルが追い込まれたことで興奮して叫んだ。ミヅキも勝利は目の前だと拳に力が入る。


「…ミヅキ…。ワタルさんに勝てるぞ…」

ヨウは試合前にミヅキから挑発のような言葉を受けていたのに、なぜか今は素直にミヅキを応援できた。世界一のトレーナーが強い心を持つトレーナーであるなら、それは自分達の友情を最後まで守ろうとしたミヅキにこそその称号がふさわしいように思えた。

「………」

なんとなく、ヒョウタは試合前にミヅキが言った、自分がかつて最も憧れ、そして最も失望した人物とはヨウなのではないかと気づいていた。そして、単純に彼は防衛戦に敗れただけではないことにも確信を持てた。そうでなければあれほど愛憎の混じった言葉を向けられるはずがない。
 ▼ 538 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/02/05 22:18:18 ID:9fVgTtfk [6/10] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「…強い…」

ワタルは崖っぷちに追い込まれ、ごくりと唾を飲む。だが、このままただやられるわけにはいかない。ワタルは最後のポケモンの入ったボールを投げる。

「クォォーッ!!」

「…カイリュー…!」

中から現れたのはカイリューだった。そして、カイリューが現れると実況もヒートアップした。

「出たぁぁ!ワタルの切り札、カイリュー!あと3体を残すアローラチャンピオンに逆転なるか!?」

ミヅキはワタルの切り札と聞いて警戒するが、ここは数の利を生かして攻め抜くだけだと考えた。

このカイリューを倒せば私の勝ち…!必ず倒して見せる!

「デンジュモク、放電!」

「デンショック!!」

デンジュモクは先程よりも強力な電撃を放つ。リザードンを倒したことで特性、ビーストブーストが発動したのだ。だが、ミヅキが思っていたよりもカイリューにダメージが入らなかった。

「…!?」


ルザミーネとマサキはカイリューの様子を見てピンと来ていた。そして、今ミヅキは致命的なミスを犯したことを。

「…マルチスケイル…」

「…無傷の状態やと受けるダメージが少なくなる特性やな…。今のは催眠術から行くべきやった」

そして、ワタルはこのチャンスを逃さず反撃の体勢を整えた。
 ▼ 539 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/02/05 22:19:35 ID:9fVgTtfk [7/10] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「カイリュー、竜の舞!」

「クォォー!」

カイリューはマルチスケイルによって体力に余裕を残したまま能力アップを成功させる。これでまだ勝負はわからなくなった。そして、カイリューの姿が突如消えた。

「…!?」

「ドラゴンダイブ!!」

デンジュモクが気づいたときにはカイリューはデンジュモク目掛けて突撃していた。デンジュモクは上空からの一撃に大ダメージを負い、さらにカイリューのあまりの攻撃力に怯んでしまう。

「さすがカイリュー!その飛行速度を活かした一撃は強烈です!デンジュモク、これはかなりのダメージだ!!」

「くっ…!催眠術!」

ミヅキは慌てて搦め手に切り替えるが、もう遅かった。カイリューの飛行速度が速すぎるため、カイリューを捉えられない。

「カイリュー、神速!」

「クオォー!!」

カイリューの一撃がデンジュモクを再び捉える。デンジュモクはたまらずダウンした。

「デンジュモク!」

ミヅキは倒れたデンジュモクに声をかけるが、デンジュモクは立ち上がれなかった。ミヅキはデンジュモクをボールに戻し、ペルシアンを繰り出した。

「…!ペルシアン、相手は強いけど、頼むよ!」

「ニャゴ!」

ペルシアンはカイリューを鋭い目で見据え、地面に半分伏せるような構えを取る。

「イカサマ!」

「ドラゴンダイブ!!」

カイリューは上空から襲いかかり、ジャンプして迎撃しようとしてきたペルシアンと真っ向から激突する。重力を味方につけたカイリューがペルシアンを押しきり、ペルシアンはバトル場の地面に叩きつけられる。その凄まじいパワーの前には特性、ファーコートも意味をなさなかった。ミヅキはあっという間に手持ちをあと1体とされてしまった。
 ▼ 540 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/02/05 22:21:02 ID:9fVgTtfk [8/10] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「…強い…!これがセキエイチャンピオン、ワタルさん…」

ミヅキは最後のボールを構える。自分の手持ちの中では比較的バトルの経験は浅いが、そのパワーには目を見張るものがある。

「最後はあなたに託すよ!ルナアーラ!!」

「マヒナペーア!!」

これにはルザミーネもリーリエも、そして観戦していたヨウも目を丸くした。まさかアローラの伝説のポケモンの片割れを繰り出すとは想像もしていなかった。

「…おおっと!アローラチャンピオン、ミヅキ!まさかの隠し玉!!アローラの伝説のポケモンの片割れ、ルナアーラを繰り出してきました!!」

どうやら実況者もルナアーラの情報は持っていなかったようで、誰かがカンニングペーパーでも渡したかのような実況をしてしまう。ミヅキはカイリューの弱点を突いて一気に仕留めようと試みる。

「ルナアーラ、ムーンフォース!!」

「マヒナ!」

だが、カイリューはその攻撃をかわした。

「カイリュー、神速で相手に突っ込め!」

「クオォ!」

だが、カイリューの攻撃はルナアーラの身体をすり抜けた。ムーンフォースの着弾点からは逃れたが、カウンターを狙った一撃は失敗に終わる。

「ゴーストタイプ…!ならば炎のパンチ!」

カイリューは神速で接近したことを利して近距離戦を挑んでくる。格闘能力のあまり高くないルナアーラにとっては苦しい展開になった。

「ルナアーラ、カイリューから距離を取って!」

「マ…マヒナ!」

ルナアーラは炎のパンチを受けながらもカイリューから距離を取ろうと羽ばたくが、カイリューは食らいついてくる。ミヅキはそれならばと賭けに出ることにした。

「引き離せない…!ルナアーラ、シャドーレイ!!」

「マヒナペーア!!」

ルナアーラの全身が青白い光を放ち、カイリューはフルムーンフェイズのルナアーラが放つ光に思わず目が眩む。ミヅキはその隙を逃さなかった。この一撃で大ダメージを与えてやる。
 ▼ 541 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/02/05 22:22:09 ID:9fVgTtfk [9/10] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「発射!!」

だが、ワタルもそう簡単にはやられなかった。

「神速でルナアーラに突っ込め!」

「クォォ!!」

ワタルは効果がないのにカイリューに神速を指示した。ルナアーラがシャドーレイを発射し、バトル場の地面は強烈な光線にさらされた。

「…カイリューは…」

ミヅキはカイリューの姿がないことに気づく。シャドーレイの射線上にはいたはずだ。なのになぜ…

「危なかった…。紙一重だったな…」

カイリューはルナアーラの背後にいた。神速でルナアーラの身体をすり抜けることを逆手に取り、一気にルナアーラの背後に回り込んだのだ。

「ルナアーラ、後ろ!」

「ドラゴンダイブ!」

ルナアーラは慌てて振り向いたが、カイリューのドラゴンダイブをもろに受けてしまう。

「ルナアーラ!」

ルナアーラはカイリューのドラゴンダイブを受けて背中から地面に叩きつけられる。だが、ルナアーラのフルムーンフェイズはまだ解かれていなかった。

「やったか…。!?」

「シャドーレイ!!」

「マヒナペーア!!」

今度こそ、そしてゼロ距離でカイリューはシャドーレイに飲まれる。天空へ向かって形成された光の柱が消えると、カイリューはルナアーラの体の上でぐったりとして動かなかった。

「試合終了ー!!勝者はアローラチャンピオン、ミヅキ!!この結果を誰が予想したでしょうか!?これは金星でしょうか!?いや!これはアローラ地方とアローラリーグが育んだ強さの結果と言えましょう!」

実況が試合終了の宣言をすると、観客席からワタルとミヅキへの大歓声が上がった。

「…勝った…」

ミヅキはその歓声の中、緊張が解けてぺたんとその場に尻餅をついた。
 ▼ 542 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/02/05 22:25:31 ID:9fVgTtfk [10/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
第56話はここまでです。
初めはワタルの勝利で話を勧めようと思っていたのですが、急遽その後の展開を変えようと考え付いてミヅキの勝利で話を進めることにしました。
それではまた。
 ▼ 543 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/02/06 14:37:30 ID:Glv2r2Ow [1/6] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
読んでくださっている皆様、いつもありがとうございます。
57話ができましたので投稿します。
 ▼ 544 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/02/06 14:38:10 ID:Glv2r2Ow [2/6] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
Episode 57 割に合わぬ勝利


「…勝った…」

ミヅキは緊張が解けてその場に尻餅をついてしまう。そこに、アローラリーグのベンチから四天王たちが飛び出してきた。

「やったね!ミヅキ!」

アセロラがミヅキを立たせ、背中をぽんぽんと叩く。ハラ、ライチ、カヒリも嬉しそうな、そして自分を称賛するような表情を浮かべていた。

「ミヅキ殿、お見事でしたぞ」

「うんうん!エキシビションとはいえ、ワタルさんを倒しちゃうなんて!」

「…チャンピオン、おめでとうございます。この勝利はアローラリーグにとっても大きな意味を持つでしょう。もちろんあなた自身にとっても」

四天王の面々が自分の勝利を祝福している。それはそうだ。セキエイリーグのチャンピオン、世界一と言っても過言ではないトレーナーを倒したのだから。
ワタルはカイリューのボールを腰のベルトに戻すと、マントを整えて大きく深呼吸した。

「…まさかおまえが負けるとは思わなかったぞ」

セキエイ四天王たちがワタルのそばに寄ってくる。そして、シバがワタルに声をかけた。ワタルは全力を出しきったことで晴れやかな表情だった。

「そうか?俺は初めからこのバトルの勝敗は半々、よくて俺が6、彼女が4くらいの確率だと思っていた。別に不思議なことじゃないさ。…レッドやグリーンにやられたときのことを少し思い出したよ」

ワタルは本当に悔しい思いをしたレッド、そしてグリーンへの敗戦を思い出していた。あれから今一度自分を鍛え直し、彼らにリベンジしてやろうと研鑽を重ねてきたのだ。だが、なぜかワタルはそれもいい思い出のように感じていた。
ワタルとセキエイ四天王はそのままミヅキとアローラ四天王のそばへ近づいていく。

「今回はやられたよ。アローラリーグ、本当に強いリーグだ。機会があれば今度は俺たちをアローラへ招待してくれるかい?」

「…はい、必ず」

ミヅキはワタルと握手を交わす。四天王たちも互いにバトルした相手と握手を交わした。そのとき、観客席から盛大な拍手が鳴り響いた。セキエイリーグとアローラリーグの戦いはこうして幕を閉じた。両リーグのメンバーが退場しようとしたとき、アセロラは客席へ向かって駆け出した。
 ▼ 545 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/02/06 14:38:46 ID:Glv2r2Ow [3/6] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「アセロラちゃん?」

ミヅキはアセロラの駆け出した方を見る。その先にいたのは金髪の少女、リーリエだった。

「おーい!リーリエちゃん!!」

アセロラは元気よくリーリエに声をかける。リーリエはアセロラの声に気づき、客席の最前列まで出ていった。

「…アセロラさん…」

アセロラの後に他のアローラ四天王とミヅキもついてくる。ミヅキはリーリエと目を合わせたが、リーリエはすぐに目を逸らした。

「久しぶりですな、リーリエ殿!アローラにいた頃よりたくましくなられたように見えますな!」

ハラはにかっと笑う。リーリエも咄嗟に笑顔を作り、ハラに心の内を悟られまいとする。

「本当…。私たちのこと応援してくれてたんだよね?ハラさんの試合のときからリーリエに気づいてたけど、来てくれてありがとうね」

ライチも再会の喜びを顔中に浮かべていた。そして、アセロラはリーリエにある提案をした。

「ねえ、アセロラたちこれから打ち上げに行くんだけど、リーリエちゃんも来ない?」

アセロラはアローラにいたときと同様、屈託のない笑顔でリーリエを誘った。ミヅキは思わずドキッとした。リーリエはアローラリーグがセキエイリーグにひけを取らないと証明できたことについては喜んでくれるだろうが、自分の勝利を喜んではくれないだろうと思ったからだ。以前の彼女なら自分がワタルに勝利したと知ったら、ましてやその瞬間を目撃していれば小躍りしそうなくらいに喜んでくれただろうに。

「…すみません…。次のジム戦に備えてポケモンたちのコンディションを整えたいんです。誘っていただいたのに申し訳ないのですが、皆さんだけでお楽しみください」

リーリエはそう理由付けをしてアセロラの誘いを断った。四天王たちはリーリエが誘いを断るとは思っていなかったので、一様に目を丸くしていた。
 ▼ 546 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/02/06 14:39:20 ID:Glv2r2Ow [4/6] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「…皆さん、すごいバトルを見せていただき、ありがとうございます。私も皆さんに近づけるよう努力しますので、これからも応援してくださると嬉しいです。…失礼します」

リーリエはそう言ってスタンドの出口へと向かおうとする。そのとき、ミヅキは思わず尋ねてしまった。

「リーリエ!…リーリエはバッジを8個集めたら、そのあとはどこかのリーグに挑もうと思ってるの?」

リーリエはミヅキに尋ねられると、ミヅキに冷ややかな視線を向けた。

「…私が挑もうと思っているのはただ一つです。私のトレーナーとしての原点がある場所…」

ミヅキはリーリエがバッジを8個集めたらどうするのかすぐにわかった。リーリエのトレーナーとしての原点。それがあるのはアローラをおいて他にない。

「…リーリエ…。私、待ってるから…」

ミヅキは震える声を押さえながらそう言ったが、リーリエはまるでミヅキの声を無視するように背を向けた。去り行くリーリエを見送りながらミヅキは拳を震わせていた。

2日後、アローラへと凱旋したミヅキたちをハウやククイ、バーネット、そしてキャプテンやリーグの関係者が迎えた。特にワタルを破ったミヅキには大きな注目が集まり、中には彼女を世界一のトレーナーだと称賛する者もいた。ミヅキはワタルを破ったことは嬉しかったが、リーリエのことを思うと素直に喜べなかった。

リーリエはヨウに心酔と言っていいほどの感情を抱いている。ミヅキはワタルを破った勢いでヨウを叩きのめしてやりたい気分だった。リーリエの目の前で無様な姿を晒させ、彼女の抱く幻想を打ち砕いてやりたい。ヨウの行動の全てがリーリエや自分を弄んでいるようにすら思えた。だが、ミヅキがリーグに挑んだとき、既に彼はハウにチャンピオンの座を交代していた。
自分の歪んだ願いが叶えられることはもうないのだろう。ミヅキは心の内に燃える怒りを抑えながら、必死に自分達を迎えてくれる人達へ愛想を振りまいていた。
 ▼ 547 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/02/06 14:39:40 ID:Glv2r2Ow [5/6] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
そして、ミヅキたちがアローラを去ったさらに翌日、とある人物がアローラへと向かおうとしていた。

「…それじゃ、引き続きトレーナー修行、頑張ってね」

「…はい、母様もあまり無理をなさらず」

ここはカントー地方の空港。リハビリを一段落させたルザミーネはアローラへ帰ろうとしていた。

「…リーリエ…。あなたのトレーナーとしての原点がアローラに…、いえ、ヨウくんたちとの島巡りにあることはよくわかっているつもりよ。…その島巡りの証が何よりの証拠だものね」

ルザミーネはリーリエのリュックについている島巡りの証を見つめる。

「それ、ヨウくんからもらったの?」

「…はい…」

ルザミーネはそれを聞き、小さくため息をついた。

「…素敵ね。…リーリエ、ヨウくんにはきっと会わせてあげる。彼は危険を冒して私たちを救ってくれた。もし彼に助けが必要なら、今度は私たちの番だもの。…それじゃあね、リーリエ」

ルザミーネは小さく手を振り、飛行機に乗り込んでいく。リーリエは空港のターミナルからルザミーネの乗った飛行機が飛び立つのを見送った。ヨウのことは気になるが、今はポケモンリーグへの挑戦権を得るためにバッジを8個集めることだ。残るバッジは2つ。残るバッジを手に入れたら自分もアローラへ帰ろう。

リーリエは青空を見上げた後、ターミナルから見える水平線の向こうへと思いを馳せた。
 ▼ 548 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/02/06 14:41:04 ID:Glv2r2Ow [6/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
少し短いですが第57話はここまでです。
次回からリーリエのジム戦も終盤戦、まずはニビジムの戦いに向けてお話を進めていきます。それではまた。
 ▼ 549 ンシカイオーガ@ライブドレス 21/02/06 15:32:35 ID:KQeoRmTU NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
しえ!ん
 ▼ 550 クホーク@ひかるおまもり 21/02/06 17:08:50 ID:BtDoo9oI NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 551 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/02/11 19:29:07 ID:wPAc7OE. [1/10] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
読んでくださっている皆様、いつもありがとうございます。
58話ができましたので投稿します。
 ▼ 552 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/02/11 19:29:51 ID:wPAc7OE. [2/10] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
Episode 58 ニビジムリーダー タケシ


ミヅキが勝った。あのセキエイリーグのチャンピオン、ワタルに。テレビでその瞬間を見ていたヨウはミヅキへの祝福の思いももちろん抱いた。だが、それと同時にアローラには自分なんかよりもよほど立派なチャンピオンがおり、自分の戻る場所などないと突きつけられた思いがした。

「…終わった…」

ヨウがポツリと呟くと、それを聞いていたヒョウタが口を開いた。

「…すごいな。まさかアローラリーグの勝ち越しで、しかもチャンピオン戦を競り勝った」

ヒョウタは残っていたコーヒーを飲み干した。ヨウはそれを見て大きなため息を漏らした。

「…アローラには立派なチャンピオンがいる…。…あの座は僕がいるべき場所じゃない…」

ヨウはミヅキを応援していたはずなのに、いざミヅキが勝ってみると意気消沈した。ヒョウタはその様子を見てヨウに尋ねた。

「…君もいずれ、あの座に戻ろうと彼女に挑むんじゃないのかい?」

ヨウはヒョウタの質問に力なく首を横に振った。

「…僕は彼女に敵いませんよ。実力も、精神的にも」

「でも、彼女は君のことを自分が最も憧れた人だと言った」

ヒョウタはミヅキの言ったあの言葉が指しているのがヨウであると見抜いている。それを知ったヨウは余計に気分が落ち込んだ。

「…その後、最も失望した人だとも言ってたでしょ?」

ヒョウタは今のヨウを放っておけなかった。そして、彼に興味を持った。彼に一体何があったのか。そして、ワタルを破った現チャンピオン、ミヅキが憧れた彼の姿とはどういうものだったのか。

「…ヨウくん、シンオウに来たはいいが、行く宛はあるのかい?」

ヨウはヒョウタの質問に答えることができなかった。ヒョウタはそんなヨウに言った。

「もし行く宛がないなら、うちのジムに来ないか?ジムトレーナーとして仕事をするといい。何もやることがないよりはいいと思うし、少しは気が晴れるかもしれない」

「…ヒョウタさん…。どうしてそんな…」

ヨウはヒョウタがなぜそんな厚意を示してくれるのかと疑問に思っていた。ヒョウタはヨウに優しく声をかけた。
 ▼ 553 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/02/11 19:30:23 ID:wPAc7OE. [3/10] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「今の君が心配でね。それに、あのワタルさんを倒したチャンピオンに最も憧れたと言わしめた君の姿を、僕も見てみたい」

「………」

ヨウは考える。チャンピオンをしていたときの貯金はまだあるので、何もしなくても生活にはしばらくは困らない。だが、ヒョウタの言うとおり、何もしないよりは彼の厚意を受け入れた方がよいのではないかという気がしていさせるた。

「…ヒョウタさん…。すみません、お世話になります…」

ヨウはしばらく考えた結果、ヒョウタにぺこりと頭を下げた。


ルザミーネがアローラへと帰った後、リーリエはさっそく次のジム戦のことを考えていた。リーリエは次のジム戦をニビジムにしようと考えていた。

「…ハナダシティからなら、お月見山を越えて行くルートがよさそうですね。そうすればそのままトキワシティにも行けますし…」

リーリエはグリーンが言っていたことを思い出していた。トキワジムには最後に挑戦してほしい。彼の後任のジムリーダーと本気のバトルをしてみてほしい、と。
リーリエはこれまでのジム戦から、8番目のジム戦はリーグでの戦いを想定したものになるであろうことは想像できていた。残る2つのバッジを手に入れるための戦いは厳しいものとなるだろう。リーリエはタウンマップからルートを確認すると、ニビシティを目指して歩き出した。


「…ふう…。少し休憩しましょう…」

お月見山の山道を歩いていたリーリエは木陰になっている岩の上に腰を下ろした。そよそよと吹く風が体温を奪い、とても気持ちいい。リーリエはヨウがメレメレ島の大試練に挑んだ前日のことを思い出していた。あのとき、ヨウと木陰で休憩しているときに自分とほしぐもちゃんのことを話そうとして、言葉が詰まったこと。彼らとの島巡りを通じて意気地のない自分を変えられたと思っていたが、結局自分はヨウにカントーへの旅立ちのことを言い出せなかった。

「…たとえバトルが強くなっても、私は結局何も変わっていないのでしょうか…」

リーリエはふとそんな考えに囚われる。バトルが強くなっても、今の自分をヨウが見たらどう思うのだろうか。まだそんなに歩いていないはずなのに、リーリエはひどく疲れたような気がした。そんなとき、リーリエの目に10人のほどの人が山の岩肌に向かって何か作業をしている様子が見えた。

「…何をしているのでしょうか…?」

リーリエは気になり、彼らが作業している所へ行ってみることにした。
 ▼ 554 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/02/11 19:31:19 ID:wPAc7OE. [4/10] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「おや?あんたは…」

作業員の一人である中年の女性がリーリエに気づいた。その女性は少し変わった形のハンマーとマイナスドライバーに似た金物を持っていた。

「すみません、何をしているのかと少し気になって…。作業のお邪魔だったでしょうか?」

「いや、いいよ。化石の発掘なんて地味な作業、見てても面白くないかもしれないけどね。あんた、トレーナーかい?」

中年女性に尋ねられ、リーリエはこくりと頷いた。

「はい。リーグ挑戦のため、ジムバッジを集めているんです」

「へえ…。ニビシティのジムにはもう行ったのかい?」

中年女性の質問にリーリエは首を横に振る。

「いいえ。次のジム戦をニビジムにしようと思っていて…」

「へえ、そうかい。おーい、タケシくん!」

中年女性が誰かの名を呼ぶと、一人の青年がリーリエの方へ近づいてきた。

「どうしました?」

「あんたに挑戦者だよ」

近づいてきた青年はツンツンの茶髪に細い目をしていた。しかし、雰囲気は柔らかく、爽やかな好青年であった。

「この人がニビジムのリーダー、タケシくんだ。あんたがこれから挑戦しようとしている人だよ」

「よろしくな、タケシだ」

タケシはリーリエに笑いかける。リーリエもぺこりと頭を下げ、自己紹介した。

「リーリエと申します。アローラから来て、トレーナー修行をしています」

タケシはアローラと聞き、リーリエに興味を抱いた。

「おお!そんな遠くから来たのか!アローラには観光で一度だけ行ったことがあるよ」

タケシはアローラに行ったことがあるらしい。リーリエはカントーに来てからアローラに行ったことがある人物とはなかなか会えていなかったため、ついタケシにそのときのことを聞いてしまった。
 ▼ 555 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/02/11 19:32:13 ID:wPAc7OE. [5/10] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「そうなんですか?アローラのどちらに?」

「ああ、えーと、アーカラ島っていったかな。大きな火山のある…。あそこで過ごしてたんだ」

リーリエはアローラという共通の話題が嬉しくてタケシにその旅行のことを根掘り葉掘り聞いてしまった。タケシは嫌な顔ひとつせずにリーリエに旅行の思い出を話し続けた。タケシはヴェラ火山公園、せせらぎの丘、シェードジャングル等の試練の地を巡ってみたり、ホテル潮騒横のビーチでのんびり過ごしたりと非常に有意義な時間を過ごしたらしい。

「アローラの試練って風習、面白いよな。この前のセキエイリーグVSアローラリーグのイベントを俺も見てたけど、今のチャンピオンも試練をくぐり抜けたトレーナーなんだよな?」

「はい。アローラでは各島の試練をくぐり抜け、そして全ての試練、大試練を達成したトレーナーはアローラリーグに挑むんです」

「壮大だな。俺はアーカラ島にしか行ったことがないんだけど、あんな大自然の中で戦うのはジム戦だとなかなかないからな」

タケシはそう言って笑っていた。アーカラ島、リーリエがはっきりとヨウへの恋心を意識させられた場所。自分がバーネットと会ったことをヨウたちに恋人がいると勘違いされ、そしてヨウはキャプテンの一人、マオにデレデレとしていて暗い感情を抱いたこともある。

…リラさん…って言ってましたっけ…

リーリエはふと、ミヅキがヨウの浮気相手と言った女性の名を思い出す。もし本当に彼の心がリラという女性に移ってしまっていたら、自分はどうすればよいのだろう?

リーリエの目から突然涙がこぼれた。

「…お…おい、リーリエちゃん?どうしたんだ?」

タケシが心配そうに自分を見ている。

「え…?あれ…?なんで私……」

リーリエは涙が止まらなかった。タケシは化石発掘の作業員たちに少しはずすと声をかけ、リーリエをお月見山を流れる川の近くへ連れていった。

「…ここにいるのは俺だけだ。泣きたいことがあるなら、今のうちに思い切り泣いておけばいい」

タケシはリーリエに優しく声をかける。どこまでも優しいタケシにリーリエは感謝した。
 ▼ 556 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/02/11 19:33:08 ID:wPAc7OE. [6/10] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「ふえ…えぐっ…」

しばらくして落ち着いたリーリエにタケシは泣いている理由を尋ねた。

「…一体どうしたんだ?…言いたくないならもちろん無理強いはしないが…」

「………」

リーリエは考えた。彼女自身、恋愛絡みの相談を男性にしたことはない。タケシに自分がミヅキから聞いた話をしたらどんな答えを返してくれるのだろうか。
リーリエは思いきってタケシにヨウとのこと、そしてその後、セキエイリーグVSアローラリーグでミヅキから聞いたことを話した。

「………」

タケシは言葉を失っていた。つい先ほど会ったばかりの人間からいきなり恋愛相談、ましてやミヅキに自分の恋人が浮気をしていると聞かされたなどと聞いたら当然だろう。リーリエはタケシに言った。

「…すみません…。突然こんな話をして…。その…、男性って遠距離恋愛になると、やっぱり浮気をしてしまうものなんでしょうか…?その…、コガネシティのジムリーダー、アカネさんからも遠距離恋愛はなかなかうまくいかないとは言われていたんですけど…」

タケシは少し考え、リーリエに答えた。

「…残念ながら、心を強く保ち続けることは難しいのは事実だ…。彼が君のことを本気で愛していたとしても、やはり離ればなれになった状況が続くのは辛いだろう」

「…そう…ですよね…」

リーリエにもわかる。心を強く保ち続けることは本当に難しい。自分だってヨウたちとの島巡りで強くなったつもりだったが、旅立ちの前夜、ヨウに自分がカントーへ旅立つことを結局言えなかったのだから。

「実は、私の恋人って、アローラリーグの初代チャンピオンだった方なんです。現チャンピオンのいとこさんなんですけど、私たちは私とその二人、そして友人の方と四人で島巡りというものをしていたんです」

「ああ…。あの帽子をかぶった少年か」

タケシもどうやらククイが配信した動画を見ているらしい。

「…もしかして、現チャンピオンのミヅキさんが最も憧れ、そして最も失望した人というのが…」

「…それが初代チャンピオン、ヨウさんです…」

「………」

タケシは思った通りだと肩をすくめた。
 ▼ 557 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/02/11 19:33:37 ID:wPAc7OE. [7/10] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「…今、彼はアローラを出てシンオウ地方にいるそうです。…私、彼とどんな顔をして会えばいいのかわかりません…。もし彼から別れてほしいって言われたら私…」

再びリーリエが泣き出すと、タケシはぽんぽんとリーリエの頭を優しく叩いた。

「…君の気持ちは決まっているんだな…。彼のことが好きで、一緒にいたい…。それなら、まずはその気持ちを正直に彼に伝えることだ。その後のことはその後考えればいいと思う。もし彼が君に会えない寂しさからそんな行動に出たのなら、今度は君が彼のそばにいて支えてやるといい。恋愛ごとだから俺が直接君たちの間に入ることはできないが、困ったときは遠慮なく話をしてくれ」

「…はい…」

リーリエは泣き止み、深呼吸をした。タケシはその様子を見て、リーリエがなぜヨウにそこまで入れ込んでいるのか気になった。

「しかし、君はヨウくんのことを心の奥底から愛しているんだな…。そこまでの気持ちを抱くからには、大きな理由があるんだろう?」

「…はい…」

リーリエはタケシにヨウたちとの島巡りのことを話した。ヨウはまさにリーリエにとって英雄以外の何者でもなかった。エーテルパラダイスに乗り込んできて事件の黒幕であった自分の母と戦い、そしてウルトラホールの向こうでも戦い抜き、勝って帰ってきたのだから。タケシは饒舌にヨウのことを語るリーリエを見て不安を抱いていた。恋…というよりは依存に近い、そんな状態だと考えたからだ。

「…彼は私にとって太陽のような人…。臆病者だった私に光を見せ、その場所へ連れ出してくれた人…。忘れることなんてできません…。きっと一生…」

リーリエはそう言ってタケシに向き直る。

「…すみません、タケシさん…。明日にでもジム戦を申し込みたいのですが、よろしいでしょうか?」

「ああ、それは構わない。10時から夕方の5時までの間ならいつでもジムに来てくれ。待ってるよ」

リーリエはぺこりと頭を下げ、タケシのととを離れていった。
 ▼ 558 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/02/11 19:34:03 ID:wPAc7OE. [8/10] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
その夜、タケシに電話がかかってきた。表示されていたのは彼からすればずいぶんと珍しい名前だった。

「はい、タケシです」

「もしもし?タケシ?私よ」

「…君がかけてくるとは珍しいな」

タケシは電話の向こうの女性の声に耳を傾ける。本当にこの女性と話すのは久しぶりだった。

「…ごめんなさい。…ちょっと気になることがあって…。あなた、今日アローラから来たっていう金髪の女の子に会わなかった?」

この女性は本当に他人の行動を見通しているようなことを時々言うことがある。本当に超能力とはすごいものだと思う。

「…超能力で見えたのか?ナツメ…」

タケシがそう言うと、電話の向こうの女性、ナツメは小さくため息をつく。そして、タケシに切り出した。

「…私も少し相談事があって…」

「…やれやれ…。わかった。聞こうじゃないか」

タケシの優しい声にナツメは電話口でもわかるほどの安堵の息を漏らした。
 ▼ 559 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/02/11 19:35:05 ID:wPAc7OE. [9/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
第58話はここまでです。
次回はナツメの電話相談からタケシ戦の前半までを書く予定でいます。
それではまた。
 ▼ 560 ンクルス@ていきけん 21/02/11 21:14:46 ID:tYPk3Af6 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
リーリエがヨウに依存しているというか、この2人の場合共依存に近いものですな。
ヨウも第1章でリーリエとうまくいかないとすぐ島巡りを続ける意欲を無くすわ、トレーナーを辞めたくなるわで、心が幼過ぎますな。
てかこの時点でこの2人何歳なんでしょう。肉体関係もあるし、ゲーム内よりは若干上だと思いますけど。
トレーナーとして歪なこの2人が最終的にどう大人に成長していくか楽しみです。
支援
 ▼ 561 ホミル@アメボトル 21/02/11 21:37:33 ID:w6SUr8bk NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ほんと、ここまで人間ドラマを描けるのすげえわ
一生支援します
 ▼ 562 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/02/11 21:59:59 ID:wPAc7OE. [10/10] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
>>560
>>561
支援いただきありがとうございます。
この二人の年齢は一応ゲームに準拠しているつもりです(リーリエの年齢はゲーム本編でもわかりませんが)。
まあ肉体関係のシーンなどがあるのでアレですけど、一応精通、初潮などはしていてもおかしくない年齢ですのでいいかなと思った次第です。

ハーレムエンドにすると決めた以上、それに関わる全ての登場人物に何らかの救い、または前向きな考え方のできる何かがあるような展開にはしていくつもりです。
救いのないエンディングにするつもりは決してありませんので、その点だけはご安心いただければと思います。
 ▼ 563 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/02/13 14:55:24 ID:mg9AR9Ug [1/7] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
読んでくださっている皆様、いつもありがとうございます。
59話ができましたので投稿します。
 ▼ 564 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/02/13 14:56:14 ID:mg9AR9Ug [2/7] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
Episode 59 残酷な力


「…わかった。聞こうじゃないか」

「…ありがとう、タケシ…」

タケシの声にナツメは安堵の息を漏らした。そして、タケシにリーリエのことを話し始める。概ねはリーリエ本人から聞いていた通りだが、ナツメの話にはさらに先があった。

「…彼女が最も助けたいと思っていた人が、後に彼女を裏切る…。予知能力で見えてしまったの…。信じたくはなかったけど…」

「…予知能力…か…。難儀な能力だな。制御できず、突然未来のビジョンが見える…。しかも、おぼろげであったり嫌に具体的であったりもする…」

タケシはナツメに心の底から同情していた。自分に関わることだけならまだしも、他人の、しかも不幸な未来まで見えることがあるとあっては、自分にもしナツメと同じ力があれば他人に会いたくなくなるだろう。

「…彼女に伝えられなかったの…。あまりに残酷すぎて…。今からでも伝えるべきなのかしら…」

ナツメはリーリエに自身の見たビジョンを伝えるべきかどうか悩んでいるらしい。タケシはナツメに言った。

「…彼女、初代アローラチャンピオンに恋をしているというより、依存していると言った方が近いような印象だった。彼女の精神状態を考えると、今すぐには伝えない方がいいんじゃないかと思う…。待てナツメ。今、彼女が助けたいと思っていた人が彼女を裏切ると言ったよな?まさか…」

「…彼女のお母さん…。一度だけ会ったことがあるの…。すごく若々しくて、絶世の美女よ。同性の私でも思わず見とれてしまうくらいの」

タケシはナツメが予知したという未来を聞いて唖然とする。娘の恋人に、しかも歳もかなり離れているはずなのに手を出すというのはいささか信じられなかった。

「…まさか…。だって彼女のお母さんっていったら何歳だと…。本当に絶世の美女だとしても…」

「…タケシ、初代アローラチャンピオンは彼女のお母さんにとっても英雄よ。歳の差なんて関係ないわ…。私だってこんな未来信じたくはない…。でも…」

ナツメは言葉に詰まった。リーリエが母のためにカントーへ来たことはタケシもお月見山で聞かされた。だが、その母親が裏切り者になるとは彼女は夢にも思っていないだろう。
 ▼ 565 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/02/13 14:56:53 ID:mg9AR9Ug [3/7] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「…彼は拒まないのか…?だって、彼と彼女のお母さんはかつて敵対していたんだろう?」

タケシは一縷の望み、ヨウがルザミーネを拒むという未来に希望を託すが、ナツメは小さいため息をつくだけだった。

「…彼の心は弱りきってる…。リーリエちゃんのお母さん…ルザミーネさんは心の弱ったヨウくんを救いたいという思いで彼を追う…。そして彼と最終的には…」

「…善意から始まったはずのことがそうなるっていうのか…」

「英雄とはときに厄介なものよ…。救った者を心酔させ、判断を迷わす…」

英雄。その言葉は嫌な響きでタケシの耳に残った。確かにそうだろう。辛い思いをしていたときに颯爽と現れ、自分に救いをもたらす。その者に好意を抱くのは自然であるし、ときに心酔と言っていい感情を抱いても不思議ではない。そして、英雄といえどやはり人間なのだ。人間である以上常に心を強く持てるわけでもないし、悩み、迷い、そして誤った行動に出てしまうこともあるだろう。その者を英雄と称える者の心を惹きつけたまま。
タケシも悩んだ。リーリエが助けたいと願ったルザミーネがヨウと恋に落ちる。まさか自分の母親が自分の想いを裏切るなどと想像もできないだろう。ナツメの予知した未来はリーリエにとってあまりに残酷であった。

「…明日、彼女が俺のジムに挑戦しに来る」

「…そう…。彼女強いわよ。…タケシ、相談に乗ってくれてありがとう」

ナツメはそう言って電話を切った。タケシはリーリエのことが心配になる。今でさえリーリエの精神状態はかなり不安定だ。そこに追い打ちをかけるようなことは言えないと思った。少なくとも、彼女がバッジを集め終えるまでは。

「…俺の判断は果たして正しいのか…」

タケシは悶々とした気持ちを抱えたままベッドの上に寝転がった。


そして翌日、朝10時にリーリエはニビジムにやって来た。

「おはようございます、タケシさん」

「おお、来たか。リーリエちゃん」

タケシはにこやかにリーリエを迎える。彼女の様子を見ると、一晩休んで心も落ち着いているようだった。タケシは今のうちにリーリエとバトルをしておこうと考える。

「さっそくジム戦といこうか。リーリエちゃん、今持ってるバッジの数は?」

「6個です」

タケシはそれを聞き、ジム戦のルールを伝えた。
 ▼ 566 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/02/13 14:58:46 ID:mg9AR9Ug [4/7] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「そうか…。俺に勝てば7個になるのか…。それなら、バトルは4対4の互いに交代自由とするか。俺もそれなりに強いポケモンを使わせてもらうよ」

「…はい…」

リーリエの目に静かに闘志が宿る。タケシはそれを見て、確かにこの少女は強そうだと感じた。タケシはそのままリーリエをジム内のバトル場へと案内する。そして、互いに位置についてバトルの準備が整った。

「さあ、始めるとしよう。いくぞ、イワーク!」

「グオオ!」

「頼みますよ、ファイアロー!」

タケシとリーリエは同時にボールを投げる。タケシの一番手はイワーク、対するリーリエの一番手はファイアローだった。

「アロ!」

「ファイアロー…?」

タケシは意外な顔をする。最近のチャレンジャーはジム戦の前に、ジムリーダーの専門とするタイプを調べた上で挑戦してくるのが当たり前だからだ。炎、飛行タイプのファイアローが出てくることがタケシには信じられなかった。

「…リーリエちゃん、ジム戦の前に俺が専門とするタイプは調べなかったのかい?」

タケシが尋ねると、リーリエはにやりと笑った。

「調べていますよ。調べた上でファイアローを連れてきたんです」

タケシは自信満々のリーリエを訝しむが、今は自分のバトルに徹することだ。

「イワーク、ステルスロック!」

「グオ!」

イワークはステルスロックを撒いて自軍に有利な場を整えようとする。リーリエはさっそくファイアローを連れてきた理由を披露した。
 ▼ 567 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/02/13 14:59:52 ID:mg9AR9Ug [5/7] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「させません!ファイアロー、挑発!」

「アロ!」

ファイアローはイワークを挑発し、ステルスロックを使わせない。タケシは出鼻を挫かれる形となり、ナツメの言っていたことが事実だったと認識した。

「読んでいたか…」

「イワークは私も捕まえていますから」

リーリエはしてやったりという表情だった。タケシは場作りに失敗したことで一旦イワークを交代させることにする。

「イワーク、交代だ!オムスター!」

タケシはイワークを下げ、オムスターを繰り出す。しかし、リーリエはここもそれを読んでいたかのような技を指示した。

「ファイアロー、とんぼ返り!」

ファイアローはとんぼ返りで オムスターにダメージを与えつつ撤退する。そして、リーリエは2番手としてキュワワーを繰り出した。

「キュワッ!」

タケシはリーリエが繰り出したアローラのポケモンを見て警戒心を強める。タケシのオムスターの特性は砕ける鎧。ファイアローのとんぼ返りを受けたことで素早さがアップした状態となっている。タケシはここはオムスターで打って出ることにした。

「オムスター、ハイドロポンプ!」

オムスターは素早く発射体勢をとり、強烈な水流でキュワワーを吹き飛ばそうとした。だが、それよりも早くキュワワーはオムスターへの攻撃を決めた。

「キュワワー、ギガドレイン!」

「キュワ!!」

キュワワーはものすごいスピードでオムスターへ襲いかかる。オムスターは大ダメージを負って崩れ落ち、先取点はリーリエのものとなった。
 ▼ 568 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/02/13 15:00:45 ID:mg9AR9Ug [6/7] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「よし!やりましたね、キュワワー!」

「キュワッ!」

キュワワーは得意げな声を上げる。タケシはリーリエの戦い方の上手さに舌を巻いていた。

「…キュワワー…。特性はヒーリングシフトか…」

「ご存じだったんですか?」

「ああ、アローラを観光したときに現地のポケモンも気になっていろいろ調べてね。キュワワーもその中の一匹だった」

タケシはそう言うと次のボールを構えた。タケシは今度こそ場作りのためにイワークを繰り出す。しかし、リーリエはここは一気に攻め込むべきだと考え、攻撃を続けることにした。

「キュワワー、ギガドレイン!」

キュワワーのギガドレインがイワークに命中する。しかし、タケシとイワークは今度こそ自分達のバトルに徹しようとした。

「イワーク、ステルスロック!」

「グオオ!」

イワークは今度こそステルスロックをまいた。これでリーリエの手持ちは交代の度にダメージを受けることになる。しかし、リーリエは怯むことなくキュワワーに攻撃を指示し、イワークも倒した。

「…強いな…。実は昨日の夜、ナツメから電話があってね。君のことを強いトレーナーだとほめていたよ」

リーリエはナツメが自分のことをほめていたと聞き、笑顔になる。しかし、タケシもこのままやられるわけにはいかなかった。

「…リーリエちゃん、俺も君のバトルは上手いと思う。だが、俺もこのままやられるわけにはいかない」

タケシはここで3体目のポケモンを繰り出す。タケシの3体目はプテラだった。

「…プテラ…!」

「さあ、リーリエちゃん、ジム戦はここからが本番だ。プテラ、いくぞ!」

タケシはそう言うと、虹色に輝く宝石を取り出した。

「メガシンカ!!」
 ▼ 569 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/02/13 15:01:17 ID:mg9AR9Ug [7/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
第59話はここまでです。
次回はニビジムの決着となります。
それではまた。
 ▼ 570 ガフーディン@ポケじゃらし 21/02/13 21:10:33 ID:pXSI/EeQ NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
自分の母親に恋人を寝取られるのか…リーリエが精神崩壊しそう…
支援
 ▼ 571 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/02/14 10:41:02 ID:K10UNWQA [1/9] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
読んでくださっている皆様、いつもありがとうございます。
60話ができましたので投稿します。
 ▼ 572 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/02/14 10:41:51 ID:K10UNWQA [2/9] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
Episode 60 英雄への心酔


「メガプテラ…!」

リーリエは初めてメガシンカポケモンと戦うことになった。メガプテラ。素早さと攻撃力に優れるポケモンである。

「キュワワー、ドレインキッス!」

「キュワッ!」

キュワワーはドレインキッスでメガプテラから体力を奪うが、メガプテラの反撃に屈することになる。

「プテラ、アイアンヘッド!」

「ギギィッ!!」

プテラは空気をつんざくような声を上げると、キュワワーめがけて強烈な頭突きをかました。

「キュワワー!」

「キュワッ…」

キュワワーはメガプテラのアイアンヘッドにより一撃で倒されてしまった。メガプテラの特性は硬い爪。直接攻撃のダメージを底上げする特性である。

「キュワワー、よく戦いました。かっこよかったですよ」

リーリエはキュワワーをボールに戻す。そして、小さく息を吸って吐き、メガプテラに対峙した。残る手持ちの中ではヌオーが一番タケシのポケモンと相性よく戦える。しかし、ここはメガプテラを少しでも消耗させてからにした方がよいような気がしていた。

「…すみません、ファイアロー!行ってください!」

「アロッ!!」

ファイアローはその瞬間ステルスロックに襲われる。しかし、ファイアローは翼を広げて火の粉を散らしメガプテラへの闘志を剥き出しにした。
 ▼ 573 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/02/14 10:42:55 ID:K10UNWQA [3/9] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「プテラ、岩雪崩!!」

「ファイアロー、あなたなら避けられる!」

ファイアローは力強く羽ばたき、岩雪崩を回避する。そして、全身に炎をまとってメガプテラへ突撃した。

「フレアドライブ!」

「アロッ!!」

ファイアローはフレアドライブでメガプテラに突っ込む。しかし、メガプテラはフレアドライブをくらいながらも反撃してきた。

「プテラ!ファイアローを捕まえろ!」

「ギギィ!」

メガプテラは足でファイアローを掴む。そして、そのままファイアローを投げ飛ばした。

「ファイアロー!プテラが来ますよ!!」

地面に転がったファイアローにメガプテラが襲いかかった。メガプテラは翼を広げてファイアローへ攻撃をしかける。

「プテラ!燕返し!!」

ファイアローはプテラの翼による一撃を受けて倒れる。メガプテラにもそこそこのダメージは与えられたが、そろそろメガプテラにとどめを刺さなければまずい。リーリエは次のポケモンをどうしたものかと考える。残る手持ちはキュウコン、ヌオー、サナギラス、チルタリス。ヌオーならば有利に戦えるが、タケシの最後のポケモンを見るまでは温存しておきたいというのがリーリエの本音だった。

「リーリエちゃん、これ以前にメガシンカポケモンと戦ったことはあるかい?」

「…いいえ」

タケシに尋ねられ、リーリエは首を横に振った。タケシは初めてメガシンカポケモンと戦ったというのに臆する様子の全くないリーリエを見て感心していた。
 ▼ 574 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/02/14 10:43:58 ID:K10UNWQA [4/9] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「…臆する様子は全くないな…。初めてメガシンカポケモンを相手にしたときは大抵はそのパワーに驚くものなんだが」

タケシがそう言うと、リーリエは答える。

「…アローラの島巡りでは、試練の最後にぬしポケモンという強力なポケモンが待ち受けているんです。でも、アローラのトレーナーたちは臆することなくぬしポケモンに挑む…。私も怖じ気づいてなんかいられません」

「…君の英雄である彼もそうだったのかい?」

「…はい…」

タケシはそれを聞いて考える。今リーリエに言えるギリギリのラインとはどこなのだろうか、と。リーリエはタケシの思いなど知る由もなく、メガプテラをどう倒すか頭を悩ませていた。

メガプテラはアイアンヘッドを覚えている…。キュウコンが受ければ耐えられないでしょう…。ここは…

「…サナギラス、頼みますよ!!」

「ギラッ!!」

リーリエはサナギラスを戦場へ送る。ステルスロックのダメージも地面タイプのサナギラスならさほど大きくはない。タケシのメガプテラは強力だが、だからといって引き下がるわけにはいかない。

「サナギラスか…。プテラ、アイアンヘッド!!」

「サナギラス、かわして!」

メガプテラの攻撃をサナギラスはガスを吹き出してジャンプし、かわす。それを見たタケシは遠距離攻撃に切り替える。
 ▼ 575 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/02/14 10:44:31 ID:K10UNWQA [5/9] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「プテラ、岩雪崩!」

サナギラスに岩雪崩が命中する。地面タイプのサナギラスにはさほど大きなダメージとはならず、サナギラスは攻撃を受けながらも反撃に出る。

「サナギラス、ストーンエッジ!」

「ギラッ!!」

サナギラスはメガプテラへ向けてストーンエッジを放つ。メガプテラはサッと攻撃をかわした。

「削るのは骨が折れそうだな…。プテラ、サナギラスを捕まえて地面に叩きつけろ!」

タケシはサナギラスを捕まえ、地面に叩きつけて弱らせようと考える。しかし、リーリエはこれをチャンスと考えた。プテラがサナギラスを捕まえるとリーリエは反撃に出る。

「サナギラス、ガスを噴射して!」

「ギラッ!」

メガプテラの足に捕まった状態でサナギラスは高圧のガスを思い切り噴射する。メガプテラは体勢を崩され、地面に落下した。

「プテラ!」

「ギ…」

メガプテラが体勢を立て直そうとしているところにサナギラスは追撃をしかける。

「サナギラス、ストーンエッジ!!」

「ギラッ!!」

サナギラスのストーンエッジがメガプテラに直撃する。ついにメガプテラが倒れ、タケシはあと一体にまで追い込まれた。そのときだった。

「…サナギラス…?」

サナギラスの殻がひび割れ、中から進化の光が漏れ出す。そして、サナギラスの殻が崩れ落ち、中から太い手足と尾をもつ怪獣のようなポケモンが姿を現した。

「ギラァァッ!!」

進化の光が消え、そのポケモンが咆哮を上げるとジム内に砂嵐が吹き荒れる。リーリエはサナギラスの進化に思わず口角をつり上げた。
 ▼ 576 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/02/14 10:45:58 ID:K10UNWQA [6/9] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「…バンギラス…」

リーリエはたくましいバンギラスの背中をとても頼もしく思った。バンギラスもリーリエをちらりと見てうなずくような仕草を見せると、タケシへ向かって闘志を燃やす。

「…バンギラス…。奇遇だな」

タケシはそう言うと、最後のボールを投げた。タケシの最後のポケモンもバンギラスだったのだ。

「タケシさんも…」

タケシのバンギラスは咆哮を上げることなく静かにリーリエのバンギラスを見据える。しかし、その視線は鋭く、厳しいバトルを何度もくぐり抜けてきたのがすぐにわかった。

「バンギラス、この相手は強敵ですよ。でも、あなたならきっと大丈夫…!バンギラス、行きなさい!」

「バンギラス、こちらも真っ向からいくぞ!」

リーリエのバンギラスが前進すると、タケシのバンギラスも前進して真っ向から取っ組み合う。リーリエのバンギラスがタケシのバンギラスをその腕で殴りつけるが、タケシのバンギラスの装甲は強固であり、びくともしなかった。

「さすがに硬い…!」

「バンギラス、瓦割り!」

リーリエが驚いているところにタケシはバンギラスが最も苦手とする格闘タイプの技で攻撃を仕掛ける。リーリエのバンギラスはそれを受けて思わず後ずさった。

「今だバンギラス!竜の舞!!」

タケシはリーリエのバンギラスが後ずさった隙に最後の追い込みの準備を整える。リーリエも負けじと反撃を指示した。

「くっ!バンギラス、地震です!!」

「…ギラッ!!」

リーリエのバンギラスは地震を起こし、タケシのバンギラスは弱点を突かれる。しかし、タケシのバンギラスを倒すには至らず、タケシのバンギラスは猛スピードでリーリエのバンギラスへ接近してきた。
 ▼ 577 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/02/14 10:46:40 ID:K10UNWQA [7/9] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「バンギラス、瓦割りだ!!」

「ギラァッ!!」

竜の舞で攻撃力が上がった状態からの瓦割り。リーリエのバンギラスが耐えられるはずはなかった。リーリエのバンギラスは崩れ落ち、リーリエも最後のポケモンとなる。

「リーリエちゃん、君も最後のポケモンだな」

「…はい。でも、あなたならバンギラスが相手でも大丈夫…!ヌオー、頼みますよ!」

「ヌオ!」

リーリエの最後のポケモンはヌオー。水、地面タイプであることからステルスロックのダメージを抑えられ、バンギラスの弱点も突ける。タケシは相性不利なヌオーが出てきても動じることはなかった。腹をくくって勝負に出るだけだ。

「ヌオーか…。バンギラス、噛み砕く!」

「ギラッ!!」

バンギラスが大口を開けてヌオーへその牙を突き立てる。しかし、竜の舞で攻撃力が上がっているはずなのにヌオーはさほど大きなダメージを受けていなかった。

「…!!特性は天然か…!」

「ヌオー、このまま反撃に出ますよ!滝登り!」

ヌオーはバンギラスに噛みつかれたまま全身に水をまとう。そして、そのままバンギラスへ渾身の一撃を見舞った。

「バンギラス!」

「ギラ…!」

バンギラスがよろめいたところにヌオーはさらなる追撃を仕掛けた。

「ヌオー、地震!!」

「ヌオ!」

ヌオーは地面を踏みしめ、地震を起こす。そのまま衝撃波がバンギラスを襲い、ついにバンギラスはバトル場の床に倒れ伏した。
 ▼ 578 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/02/14 10:48:52 ID:K10UNWQA [8/9] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「…やった…!」

「…おめでとう。7つめのバッジは君のものだ」

タケシはバンギラスをボールに戻すと、リーリエに近づいていく。そして、灰色のバッジをリーリエに手渡した。

「グレーバッジだ。次が最後のバッジだな」

「ありがとうございます、タケシさん!最後まで頑張ります!」

リーリエは嬉しそうにグレーバッジを受け取り、うっとりとした様子で見つめていた。

「…リーリエちゃん、初代アローラチャンピオンが君にとっての英雄であることは俺もわかっているつもりだ。…実は、ナツメから昨日電話があったんだ。超能力で察知したんだろう。彼女は、初代アローラチャンピオンは心が弱っていると話してくれた…」

「…!ヨウさんが…?」

「リーリエちゃん、これだけは知っておいてほしい。英雄と言えども人間であることに変わりはない。心を強く持てないときもあるし、悩み苦しみ、ときには誤った行動に出ることもあるかもしれない」

タケシがそう言うと、リーリエは深く頷いた。

「…そのときは私が彼を支えます。一時的に弱っていても、きっと彼なら元に戻ってくれるはず…。次のバッジをゲットしたら、私はアローラへ帰るつもりです」

タケシはまっすぐなリーリエの目を見て不安になった。やはりリーリエは彼女にとって英雄そのものであったヨウの姿に心酔している。しかし、今はこれが彼が彼女に言えるギリギリのラインだった。

「…そうか…。君の想いが成就することを願っているよ」

タケシはジムを去っていくリーリエの背中を見つめていた。リーリエを待ち受ける残酷な運命を知りながら彼女を送り出してしまった自分を悔やみながら。
 ▼ 579 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/02/14 10:51:21 ID:K10UNWQA [9/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
第60話はここまでです。
次のトキワシティでのジム戦がこの章のラストバトルとなります。
リーグ戦を想定してのフルバトルです。
それではまた。
 ▼ 580 メルゴン@ラティアスナイト 21/02/14 22:16:01 ID:BF5.W94Q NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
トキワのジムリーダーは誰だろう、ひょっとしたらブルー?
支援
 ▼ 581 ガピジョット@ピジョットナイト 21/02/14 22:27:37 ID:iWZEyYGY NGネーム登録 NGID登録 報告
グリーンの言動からしてシルバーかと
 ▼ 582 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/02/15 08:15:53 ID:Cf.g7rzE [1/9] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
読んでくださっている皆様、いつもありがとうございます。
61話ができましたので投稿します。
 ▼ 583 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/02/15 08:16:40 ID:Cf.g7rzE [2/9] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
Episode 61 最後のバッジ


「ついに7個めのバッジを手に入れた…」

リーリエはニビシティのポケモンセンターのカフェスペースでテーブルの上にバッジを広げていた。残るバッジはあと一つ。グリーンが言っていたトキワシティのジムのバッジだ。
グリーンは言っていた。トキワシティのジムリーダーと本気のバトルをしてほしい、と。自分のパーティーも強くなった。キュウコン、キュワワー、ヌオー、ファイアロー、チルタリス、バンギラス。最後のジムリーダーはかなりの強敵のようだが、自分達も強くなったのだ。必ず最後のバッジを手にして見せる。と、そこに久しぶりに聞く声がした。

「お?おーす!未来のチャンピオン!」

「あなたは…」

リーリエを未来のチャンピオンと呼ぶ不思議な男性。ここしばらくは姿を見ていなかった彼だが、ここで出くわすとは。

「お久しぶりですね。ニビジムのジム戦は無事勝つことができました。残るバッジはあと一つです」

リーリエがそう言うと、眼鏡の男性はリーリエがテーブルに広げているバッジを見た。

「おお!ついにあと一つか!最後のジムはどこに行くつもりなんだ?」

「トキワシティです」

リーリエの答えを聞き、眼鏡の男性はうんうんと頷いた。

「なるほど!未来のチャンピオン、君は自身を追い込んでいくタイプなんだな。トキワジムのリーダーは手強いぞ。しかも、使用するポケモンのタイプもバラバラだ」

「そうなんですか?」

「ああ。君もバランスよく戦えるパーティーにしておくべきだろう。最後のジム戦はリーグでの予行演習みたいな感じで、互いに交代自由のフルバトルになることが多い。読みや咄嗟の判断も今まで以上に試されるだろう。頑張れよ」

眼鏡の男性はそう言ってにかっと笑った。だが、男性の話はここで終わりかと思いきやまだ続きがあった。
 ▼ 584 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/02/15 08:17:26 ID:Cf.g7rzE [3/9] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「ところでな。トキワシティのジムリーダーはなかなか面白い経歴の持ち主だ」

「…?」

リーリエは男性の話に興味を示す。

「トキワシティのジムリーダーはトキワシティの出身ではあるんだが、ジョウト地方をメインに修行していた身なんだ。ジョウト地方ではある同期のトレーナーとライバルとしてぶつかり合いながらバッジ集めをしていたらしい。そして、その同期のトレーナーはある男に勝ったことがあるんだ」

「…ある男…?」

「君はレッドという名前を聞いたことはあるかい?」

「!!」

リーリエはハッとする。レッド。忘れられるはずもない名前だ。彼はカントーへ来たばかりの自分をマサキに引き合わせてくれ、さらにチャンピオンのワタルをも超えるとされるトレーナーだ。

「どうやら知ってるみたいだな。トキワシティのジムリーダーはそのレッドに勝利したトレーナーのライバルだった男だ。そして、今もそのトレーナーを超えようと研鑽を続けている。ポケモンリーグでの優勝経験はないが、ワタルにもかなりいいところまで迫った実力者だぞ。君ならそう簡単にやられないとは思うが、それでも心してかかれよ」

眼鏡の男性はそう言ってリーリエのもとを去った。ポケモンリーグでチャンピオンを相手にいい勝負をしたトレーナー。そんなトレーナーが相手とあっては厳しい戦いを強いられるだろう。だが、ヨウに近づくために勝ってみせる。リーリエは飲んでいたモーモーミルクを飲み干し、気を引き締め直した。


トキワシティ。ここはカントー地方からセキエイリーグに向かう際、アクセスポイントとなる街である。リーリエはトキワシティへの道中、トレーニングがてら挑んでくるトレーナーを皆蹴散らし、まさに順風満帆でこの街に乗り込んできていた。

「…少しバトルをしすぎたかもしれませんね。明日はポケモンたちを1日休ませて、それからジムへ向かいましょうか」

リーリエはしっかりとポケモンたちのコンディションを整えることにする。アローラへ早く帰りたいという思いはあったが、もし負けたら余計にカントーへ滞在する時間が延びてしまう。ここは慌てず、確実に勝利を手にすることが重要だった。
とりあえず今日はジムの下見をして自身もゆっくりと過ごそう。
リーリエは今日は自身の心を落ち着けるべくのんびりと過ごすことにした。
 ▼ 585 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/02/15 08:18:06 ID:Cf.g7rzE [4/9] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
リーリエはトキワジムの前に来ていた。ジムの場所とジム戦の受付時間を確認し、今日のところは立ち去ろうと考えていた。

「よし…。今日のところは帰りましょう…」

リーリエが踵を返すと、見たことのある人物がトキワジムに向かって歩いてくるのが見えた。

「あれ…?あの人は…」

現れたのは黄色いキャミソールに白いパンツ姿の美女、そして先日のイベントでしまクイーンのライチと激闘を繰り広げた者。セキエイ四天王の一人、カリンだった。

「…カリンさん…?」

リーリエがカリンを見つめていると、カリンはリーリエに気づいて挨拶してきた。

「こんにちは。もしかして、ジムへの挑戦者さん?」

「はい。リーリエと申します。明後日挑もうと考えていて…」

「ふふ、そうなの。かわいらしい挑戦者さんね」

カリンはくすりと笑い、リーリエに尋ねた。

「リーリエさん、あなた、今バッジはいくつ?」

「7個です」

「そう…。じゃあ、ここが最後のジム戦なんだ?ここのジムリーダーは強いわよ」

カリンがそう言うと、リーリエはグリーンの名を出した。

「グリーンさんから聞きました。ここのジムリーダーは手強い相手だ、と」

カリンはグリーンの名を聞き、少し表情を変えた。
 ▼ 586 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/02/15 08:19:00 ID:Cf.g7rzE [5/9] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「あら…。あなた、先代のジムリーダーと知り合いなの?」

「はい…。旅の途中で出会ったんです。私がバッジ集めをしていると話したら、彼がここのジムに最後に挑戦してみてほしい。本気のジムリーダーとぶつかってほしい…と」

カリンはそれを聞き、リーリエをじっと見つめた。グリーンがそんなことを言うとは、この少女に何か見出だすものがあったのだろうか。

「ふーん…。あの人がそんなことを言うなんて、あなた、なかなか筋のいいトレーナーなのね」

カリンはここでトキワジムに来た当初の目的を思い出す。

「…っと、いけない。当初の目的を忘れるところだったわ」

カリンはそう言うと、ジムの中へと入っていく。リーリエは四天王であるカリンがなぜここに来たのか気になったのと、この際ジム内の様子も少し見ておこうと考え、彼女についていってみることにした。

「あら、カリンさん。リーダーに御用ですか?えーと、そちらの方は…」

ジムの受付のスタッフがリーリエに視線を向ける。カリンは自分についてきたリーリエを見てきょとんとしていた。

「リーリエさん?あなた、どうして…」

「すみません。カリンさんがどうしてここにいらっしゃったのかと気になったのと、明後日挑戦するつもりなので少しジム内の様子を見せていただこうと思って…」

リーリエがそう言うと、受付のスタッフはリーリエににこやかに声をかけた。

「あら?あなた、挑戦者さん?ジム戦の予約をするならどうぞ」

受付のスタッフにそう言われ、リーリエはジムのフロントで受付を済ませた。

「明後日の11時ね…。予約完了よ」

「ありがとうございます。明後日はよろしくお願いします」

「ええ。でも、戦うのは私じゃないけれどね。あ、リーダー!」

受付スタッフはある男性に声をかける。彼がどうやらこのジムのリーダーらしい。声をかけられた男性はカリンとリーリエの方へ近づいてくる。グリーンよりも少し年下と思われ、赤い長髪が特徴的であった。
 ▼ 587 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/02/15 08:20:05 ID:Cf.g7rzE [6/9] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「カリンさん…。ああ…、今日は定期訪問の日だったか。そんなに心配しなくても大丈夫だよ。あいつらは俺たちがちゃんと面倒を見てるから」

「ええ。それはわかってるけど、元は自分が始めたことだからやっぱり気になってね」

「…そちらの彼女は?」

赤い長髪の男性はリーリエに視線を向ける。

「リーリエと申します。あなたがジムリーダー…。明後日挑戦させていただこうと思っています。よろしくお願いします」

リーリエは男性にぺこりと頭を下げる。男性はにこやかにリーリエに笑いかけた。

「そうか…。俺はシルバー。明後日はよろしくな」

赤髪の男性、シルバーと名乗った。この男性がグリーンの後任のジムリーダーで、チャンピオンのワタルと戦ってあと一歩まで追い詰めたトレーナー。この男性に勝てば自分もリーグへの挑戦権を得ることができる。

ついにここまで来た…。明後日この人に勝てば、その先にいるのは…

このシルバーを倒した先にいるのはアローラの四天王とチャンピオンである。現在のチャンピオンはヨウではないが、それでもカントーのバッジを手土産にアローラへ戻れば彼も喜んでくれるはずだ。リーリエは胸の奥で静かに闘志を燃やしていた。シルバーもリーリエの内に秘めた闘志をなんとなく感じ取っていた。
 ▼ 588 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/02/15 08:22:13 ID:Cf.g7rzE [7/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
第61話はここまでです。
そして後任のジムリーダーがシルバーだと感づいていた方、おめでとうございます。

最後のジム戦はリーリエVSシルバーの戦いとなりますが、その前に前日談的なものを挟みたいと思います。
それではまた。
 ▼ 589 ガピジョット@まがったスプーン 21/02/15 13:59:37 ID:o4o2ESjw NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
シルバーはどんなジョウトポケモンを使ってくるんだろう、やはりオーダイルとかかな
支援
 ▼ 590 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/02/15 21:04:33 ID:Cf.g7rzE [8/9] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
読んでくださっている皆様、いつもありがとうございます。
62話ができましたので投稿します。
 ▼ 591 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/02/15 21:05:01 ID:Cf.g7rzE [9/9] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
Episode 62 悪の血


リーリエは赤髪のジムリーダー、シルバーと挨拶を交わした。この人物に勝てば自分はリーグへの挑戦権を得ることができる。リーリエは胸の内に闘志を燃やし、必勝を誓った。

「カリンさん、あいつらの様子を見に来たんだろ?バトルも大分できるようになってるぜ」

シルバーはそう言うと、カリンをジムの奥へ案内する。リーリエも気になり、後についていってみることにした。


リーリエがついていった先にはグラエナやゴルバットといったポケモンがいた。このジムのジムトレーナーが指示を出し、バトルの練習をしているところだった。カリンはその様子を見てホッと安堵の息を漏らす。

「…本当ね…。ありがとう、シルバー。あなたが協力してくれて助かってるわ」

「……気にするなよ」

シルバーはなぜかその一言をためらうように言った。リーリエはカリンとシルバーのやり取りからこのポケモンたちは何らかの事情があるポケモンだと察した。

「あの…、カリンさん、ここにいるポケモンたちは…」

リーリエはカリンにここにいるポケモンについて尋ねる。すると、カリンはこのポケモンたちの経歴について話し始めた。

「…リーリエさん、ロケット団って聞いたことはあるかしら?」

「…ロケット団…?」

リーリエはきょとんとしてその名を口にする。カリンはリーリエがロケット団に関する知識は持ち合わせていないと悟り、話を続けた。

「…ロケット団…。カントー地方を中心にポケモンの密売や違法な賭けバトルを開いたり、とにかくポケモンを道具として徹底的に利用して金儲けをしていた闇の組織…。もう解散したんだけど、あの子たちはそのロケット団の構成員の手持ちだったポケモンよ」

リーリエは唖然とした。そんな組織の手持ちがなぜここにいるのだろうか。
  ▲  |  全表示631   | << 前100 | 次100 >> |  履歴   |   スレを履歴ページに追加  | 個人設定 |  ▲      
                  スレ一覧                  
荒らしや削除されたレスには反応しないでください。
書込エラーが毎回起きる方はこちらからID発行申請をお願いします。(リンク先は初回訪問云々ありますがこの部分は無視して下さい)

. 書き込み前に、利用規約を確認して下さい。
レス番のリンクをクリックで返信が出来ます。
その他にも色々な機能があるので詳しくは、掲示板の機能を確認して下さい。
荒らしや煽りはスルーして下さい。荒らしに反応している人も荒らし同様対処します。




面白いスレはネタ投稿お願いします!
(消えた画像の復旧依頼は、問い合わせフォームからお願いします。)
スレ名とURLをコピー(クリックした時点でコピーされます。)
新着レス▼