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SS

【SS】ポケットモンスターデリートphase3

 ▼ 1 アーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 22/05/04 01:00:04 ID:O5GgXlL2 [1/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
phase1:

【SS】ポケットモンスターデリート【本編】

https://pokemonbbs.com/post/read.cgi?no=797825

phase2:

【SS】ポケットモンスターデリートphase2

https://pokemonbbs.com/post/read.cgi?no=1066821

多種多様なポケモンが暮らし、豊かな自然と技術とが共存する場所……タイキョク地方

この地方は今、大きな変化を迎えつつある



我が国ジポングで最も悪名高き暴力団『ギャラドス組』はタイキョク地方から手を引き

国の経済をも掌握する一大企業『ミロティックグループ』のCEOモウセンの汚職が明るみとなった

そして全世界のネットワークで暗躍する謎の組織『サイバー団』は突如としてその姿を消した

……これら全てに大学中退のニート生活を送っていた男、セガヤ・セトが関与していたと知る者は少ない



彼は旅の中で出会ったトレーナーやポケモン達と共に、多くの試練を乗り越えてきた

そしてもうすぐ、永い眠りから目を覚ますバトルの祭典が、最大級の試練となってセトに立ちはだかる



怒りと復讐、そして仲間の為に奔走したセトが彼の地で手にするは栄光か、それとも……

ド底辺男のシンデレラストーリーの始まりだ



 ▼ 7 アーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 22/05/04 01:04:59 ID:O5GgXlL2 [2/6] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
テル「じゃけぇオレから特別にヒントをくれてやる! 『磁石は熱に晒すと磁力が弱まる』 うちの工場の常識よ」

セト「磁石ね……そうか」

ふと窓を見ると、景色が一変していた

煙と鉄が機械音に包まれる工場街から、生暖かい夜風がネオンの光を運ぶ歓楽街へと

テル「着いた! ここが『陥落街』じゃ!」ギィーッ

荒いブレーキで車内が強く揺れた後、街の喧騒が耳に入り込む

セト「ンなわざわざ送ってくれてありがとうございます」

テル「いんや良いってもんよ! それより最後のジムトレーナー戦、ブチかまして来いよぉ!」
 ▼ 8 アーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 22/05/04 01:05:34 ID:O5GgXlL2 [3/6] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
〜陥落街〜

歓楽街こと『陥落街』は、これまでのフィールドとは打って変わって賑やかなフィールドだ

居酒屋やらが軒を連ねているのは勿論だが、そこにはこの街の住民の姿があった

しかし只の住民の姿ではなく、ポケモン達のホログラムがこの街を満喫しているのである

セト「なぁ、あいつらホログラムなのによく出来てるよな、あそこのサイドンなんてラッパ飲みしてやがる」

カネカズ『そうだな。 どいつもこいつも人間みたく飲み食いするし、店を切り盛りする奴もいるな』

セトの声にそうやって答えたのは、ダンバロイドで通話している元ギャラドス組員カネカズだ

セト「あそこのエルレイドとサーナイトのカップルもライキさんが作ったのか? マジでよくやるぜ…」

セトが再びダンバル型のガジェットにそう話しかけたところ、突然ダンバロイドからマップが映し出された

ギンジ『会話に水差すようで悪いんすけど、もうちょいのところにジムトレーナーがいまっせ』

セト「ん? …あ結構近いな!」

マップ上のジムトレーナーの位置を示す赤いマーカーが、自身の位置を表す青いマーカーの近くで点滅していた

ここで待ち構えるは、最後のジムトレーナー・ツキシマ。 テルが言うにはとんでもないトレーナーに聞こえるけどよ……
 ▼ 9 アーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 22/05/04 01:06:23 ID:O5GgXlL2 [4/6] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
セト「なあお前ら、ツキシマってどんなヤツか教えてくれねぇか?」

ギンジ『ツキシマさんっすか……うーん、なんか凄いストイックなイメージがありますね』

セト「ストイック?」

カネカズ『ああ。 ポケモンにはバトルの技術のみを教え込む堅物で……例えが悪いが教育ママみたいなのだな』

バトルの技術のみを教え込む教育ママね……なるほど

セト「じゃあツキシマのポケモンはバトルに関する事以外の知識があんまりないってコトか」

カネカズ『そうだろうな。 教育ママに育てられた子供が超世間知らずってのはよく……そういう事か!』

ギンジ『バトル以外の知識からアプローチをかけて…!』

セト「ヘッ、流石は元『わるだくみ』のプロ、俺の『わるだくみ』がよく分かってんじゃねぇか」ヘヘン

世間知らずの頭でっかちの知識の穴を突く! バトルだけがポケモンじゃねぇってコトを教え込んでやるぜ!
 ▼ 10 アーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 22/05/04 01:07:24 ID:O5GgXlL2 [5/6] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

ベテラントレーナー「来たか」ザッ…

セト「ああ、待たせたかい? ツキシマさんよ」ヘン

ツキシマ「ふっ、ただ一度の挑戦でここまで来れるとは流石だ」ニィ…

セトの言葉に答えるコートに身を包んだ長身の男

髪や髭は白く色褪せども、鋭い眼は光を捉えて離さぬその男こそが、スズイロジム最後のジムトレーナー、ツキシマであった

ツキシマ「私はツキシマ。 現リーダーの先代より、ジムトレーナー最後の砦であり続けた男である」

セト「やっぱ聞いてた通り堅物ってワケか……」

流石この地方最後のジムトレーナーだけあって威厳はとんでもない。 けどよ……

セト「このギャーギャーうるさくてネオンも眩しい歓楽街! お前みたいなのは苦手なんじゃねぇのかぁ!?」バッ

その重圧でペッシャンコになってるヒマはねぇんだ!
 ▼ 11 アーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 22/05/04 01:09:19 ID:O5GgXlL2 [6/6] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ツキシマ「小事に拘りて大事を忘れるべからず! 左様な小事など私のバトルには介さぬわ!」バッ!

ツキシマ「若き挑戦者よ!! 貴様はこの城塞を貫く矛となるか否かぁっ!! 全身全霊を持ってこのツキシマに証明してみせいっ!!!!」ドーン!!

セト「ヘッ、だーいぶ熱くなってるけどよ……この街の名前を忘れちゃいねぇよなぁ?」チャキッ

セト「そう『陥落街!!!』どんなに堅固な城塞だろうが要塞だろうが、落とされちまうんだよ!!!!」シュビッ!!

第一槍が厚く堅牢なる城壁へと投げ込まれた

ベテラントレーナーの ツキシマが 勝負を しかけてきた!

戦闘!トレーナー
https://soundcloud.com/q5avuwfjq2pq/vs_trainer
 ▼ 12 アーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 22/05/17 03:30:23 ID:ehpkVK1I [1/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ピクシー「ピクピィーッ!」ポォン!

ツキシマ「我々のジムにフェアリータイプで挑むとは笑止千万!! 鋼の鉄槌で容赦せず打ち砕く!!」シュッ!!

メタグロス「メタァッ!!!」ズゥゥン!!

メタグロス! コイツがテルの言ってた超強いポケモンか!

なんか有名なチャンピオンの切り札になってるぐらいには有名なヤツだよな……マジでそんなに強いのか?

セト「ヘッ! やれるモンならやってみろよ! 『かえんほうしゃ!!』」バッ!

ピクシー「クゥピ!」ボォォォォ!!!

ピクシーの右手から火焔が放たれ、眼前の敵を焼き払わんとする

ツキシマ「回転し振り払えぃ!!」ガッ

メタグロス「グロロロロ…!!」グルル…

なんだ? 腹をこっちに向けて回り出して…

セト「…そうか! 扇風機みてぇに回って起こした風で炎を押し戻そうと…!」

ツキシマ「その通り! だがそれだけではないぞ!『ころがる!!』」バッ

メタグロス「ロロロロ…!」ギュギュギュギュ…

回転運動で発生した風で炎の壁を切り開き、再びセトの視界に現れたメタグロスは回転を続けていた

しかし、扇風機の羽根としての回転ではなく、車の車輪としての回転へと変質して
 ▼ 13 アーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 22/05/17 03:31:09 ID:ehpkVK1I [2/5] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ツキシマ「行けぃっ!!」

メタグロス「グゥゥゥン!!!」ゴゴゴゴォッ!!!

速い! そして真っすぐこっちに向かってくる! ならば!

セト「『とびはねる!』 一旦距離を取るぞ!!」

ピクシー「ピィッ!」ボヨォン!

高く跳躍し、鋼鉄の車輪を回避するピクシー。 そのまま遠方の着地点へと視線を送るが

ツキシマ「変形! 追えぃ!!!」バァッ!!

メタグロス「メェット!!」ガシャシャン!!

当たりだ! メタグロスがこの距離を縮めるには、四つ腕を畳んで飛行形態になる必要がある!

この間飛行の為のサイコパワーを操る四つ腕は攻撃に参加できない、そこで懐に潜り込めば……!

メタグロス「メェタァァァァ!!」ギューン!!!

来た!!

セト「急降下!!! アイツの腹に『シャドーボール』ブチ込みなぁぁ!!!」ガッ!!!

ピクシー「ピイッ…!」シューッ!!!

空中で体勢を変え、大気を裂いて急降下を始めるピクシー

物凄い勢いで様相を変える視界に「標的」即ちメタグロスの腹部が入り込んだ瞬間、その手からは怨念の暗球が放たれた
 ▼ 14 アーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 22/05/17 03:31:49 ID:ehpkVK1I [3/5] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
メタグロス「メェッ!」カッ!

だが……

ツキシマ「甘い!!! 『メタルクロー』で薙ぎ払えい!!」

ツキシマの大音声が轟いた直後、メタグロスの後ろ前足のみが動き出し、前足の爪に鈍い光を纏った

飛行形態からの突如の形態変化によりメタグロスの重心がズレ、前足に振り回される形で回転を始め……

メタグロス「メタァァァッ!!!!」グルンッ!!!

ピクシー「ピグッ!!?」ドカァッ!!!

その勢いのまま、標的を撃ち出したばかりの『シャドーボール』ごと引き裂いた

ピクシー「グゥグ…」ザザッ…!

弱点タイプの手痛い一撃と、『シャドーボール』破裂のダブルパンチを喰らったピクシーは受け身を取り着地するが、未だにメタグロスの攻撃法に狼狽えている様子だ

セト「大丈夫かピクシー? ……ったくンなやり方で攻撃態勢に移られるなんてよ…」チッ…

さすがバトルの教育ママってだけはあるな、一筋縄ではいかねぇ……
 ▼ 15 アーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 22/05/17 03:32:28 ID:ehpkVK1I [4/5] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ツキシマ「見たかぁっ! ダンバル4体分の脳をその身に宿すメタグロスの英知を!」

ツキシマ「重ねてこの冷え切った夜の大気がメタグロスの磁力線……人体で言うなれば血行を良くし、脳の働きを最大限まで高める!」

ツキシマ「こうなったメタグロスは最早人知なぞとうに超えておる!! 故に万の策があろうがこのポケモンには全て無用なのだ!!!」

セト「なっ……ンなのアリかよ!?」グッ

ツキシマの言葉がセトの顔を一層強張らせる。 自分と相対しているのは生命ではなく本当にスパコンなのか?

異常とも言える量の計算を即座にこなし、常に最適解を導き出し、機械的にこちらの行動に全て対応してしまうのか?

いや、落ち着け。 いくらスパコンだの言っても、それが完璧に機能するにはコンピューター自体が十全でなければならない

そうなればコンピューター……脳の働きを鈍らせればいい……でもどうやって?
 ▼ 16 アーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 22/05/17 03:32:52 ID:ehpkVK1I [5/5] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ツキシマ『重ねてこの冷え切った夜の大気がメタグロスの磁力線……人体で言うなれば血行を良くし、脳の働きを最大限まで高める!』

セトの中でツキシマの言葉が反芻され、連鎖的にある記憶を手繰り寄せる

冷えた空気が磁力線を良くする?

磁力線……磁力……磁石? そうだ! メタグロスは全身磁石で出来てるポケモンだった!

だから磁力線やらどうたら言ってやがったのか……ンで磁石と来れば!!!

『磁石は熱に晒すと磁力が弱まる』 テルの言葉がピンポイントで記憶の鉱山から掘り起こされた

そうか! ツキシマのメタグロスの脳がフル回転してんのは気温が低くて磁力線がバリバリだからだ!

そこで気温を上昇させ、磁石でできたメタグロスの体温を上げる。 そうすれば磁力線は弱まり……!

ヤツの脳が鈍り、付け入る綻びが生じる!!!

セトの強張った顔は、いつの間にか消えていた
 ▼ 17 ゴビット@マグマのしるし 22/06/03 01:26:15 ID:0wdAcA56 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 18 アーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 22/06/07 02:29:13 ID:cBDorJkc [1/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ツキシマ「む? 急に生気が戻りおったな……何か策でも思い付いたかぁ!」カァッ!

セト「さぁどうかな? ピクシー! 久々に"アレ"やるぞ!」ピィッ♪

ピクシー「クッピィ!」ニッ!

そう言って俺はピクシーに数年ぶりの合図を……情けない音色の口笛を吹いた

ピクシーもちゃんと分かってくれたみたいだな……なら俺も行くぜ!

セト「ピクシー『このゆびとまれ!』 注目を集めまくれ!!」ダッ!

ピクシー「ルピピ〜♪」クルクル

『このゆびとまれ』は本来ダブルバトルでしか意味を成さない技。 だがそれはバトルの当事者にとってのこと

街のポケモンたち「オォ? ンンゥ?」ザワザワ

単純にギャラリーを、しかもポケモンのヤツらを集めるだけならば……

ツキシマ「メタグロス、ピクシーは捨て置けぃ! だが……」

ツキシマ「これほど多くの観客をたった一つの技で集めるとは…!」ンンッ

この技ほど最適な技はねぇんだよなぁ!!
 ▼ 19 アーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 22/06/07 02:29:52 ID:cBDorJkc [2/3] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
両陣営を取り囲むギャラリー──陥落街のポケモン──の壁を見回し、セトの仕掛けた罠を看破しようと試みるツキシマ

長年ジムトレーナーとして磨いたその眼は、チャレンジャーの企みをすぐさま見抜くことに成功した

ツキシマ「(注意を自身から逸らし、その間に何かする魂胆かぁっ!)」

そしてそれよりも早く、メタグロスの頭脳が最適解を導き出し、行動へと出る

メタグロス「……!」バァッ!!

セト「おっと……さすがスパコン並みの脳みそだな」ザザザッ

セトが駆け出した先、それは陥落街の一角にある居酒屋だった

だが辿り着く寸前に、メタグロスが高速移動しその入り口を塞いでしまった

ツキシマ「やはり私が睨んだ通り! 貴様は衆目を集め、我が注意が逸れた隙に策を弄するつもりだったようだな!」

ツキシマ「だがメタグロスがいる限り、そのような真似はさせぬ! 貴様を決して酒場に通さぬぞぉっ!!」ゴォッ

メタグロス「メタァッ!」ズゥン!!

メタグロスが爪を地面に杭かのように打ち込み、身体を固定した。 ツキシマのいう通り、俺を通させる気は毛頭ないらしい

セト「なるほど、俺をそんなに居酒屋に入れたくねぇみたいだな」

メタグロス「……」ズゥウンン…
 ▼ 20 アーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 22/06/07 02:30:15 ID:cBDorJkc [3/3] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
こりゃ意地でも動かねぇな……でもメタグロスがずっとここにいるってコトはよ

ギャラリーのポケモンたち「アァ? …? ブーブー!」ガヤガヤ

コイツはまともにバトルできない! そしてこのギャラリーどもはバトルを見に集まったのに一向に戦わないから不満タラタラ!

セト「おいツキシマ! ちょっとは客の気持ちも考えてやれよ? コイツらバトルが見たいんだぜ?」ヘヘン

まぁ俺もメタグロスが立ち塞がるんなら動いてやる気はねぇんだけどよ

ツキシマ「何を…! これは私と貴様のバトル! 衆目など気にする道理はないわぁっ!!」

セト「やっぱ硬ぇヤツだな……たまには息抜きしねぇと大変なコトになるぜ?」ピィ~ウィ

再びセトの口先から漏れる情けない音。 しかしその音色は相棒のスイッチを押す

セト「さぁピクシー! 俺らのフェスティバルってヤツを見せてやろうじゃねぇか!!」ニッ!

ピクシー「ピックリィー♪」パァァァ…

月のスポットライトが妖精の姿を闇夜から彫り出し、観衆は変化を読み取り、閉口す

そして今再び、「最もフェアリーらしくないパフォーマンス」が披露される
 ▼ 21 メガクチート@くっつきバリ 22/06/25 02:23:48 ID:p.9E1H/Q NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
しえん
 ▼ 22 アーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 22/07/10 03:38:24 ID:BXW.Vzrg [1/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ピクシー「ルピピピ…」ポワワワ…

『コスモパワー』で生成した小宇宙が掌上で神秘的な輝きを見せたのもつかの間、小さな星々は泡沫の中へと包み込まれる

小宇宙を閉じ込めた泡のスノードームは、『バブルこうせん』の勢いにより徐々に上昇を始めた

個々が独立し、散開し、彷徨い、衝突する。 しかし突然その悉くが異音の号令に従い、並べられる

『サイコキネシス』の発動音。 宇宙は自らを生み出した者により操られ、弧を描きながら上空へと飛び立ち……

ピクシー「ピィッ…」キララッ…

儚い煌めきの後、『マジカルシャイン』により宇宙は終わりを迎え、その残滓は花火として暗き街を照らした

ギャラリーのポケモンたちからは歓喜の声が上がる。 その熱気は言語が通じずとも分かる程だ
 ▼ 23 アーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 22/07/10 03:39:05 ID:BXW.Vzrg [2/7] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
だが、ある一匹だけは異なる反応を示した

メタグロス「タ…メェ?」ポカーン…

ツキシマのメタグロス。 現在ピクシーの対峙しているこのポケモンは、トレーナーにより戦闘技術のみを教え込まれた戦闘マシーン

全ての思考には戦闘が付きまとい、戦闘の中でこそ自身の思考が最も冴えわたる存在。それ故に、戦闘以外の事象については疎い部分がある

セトの言葉を借りるのならばまさしく「知識の穴」……彼の教え込まれた「戦闘」というものには当然コンテストで行われるパフォーマンスの知識など存在しない

だが、まさしく今、その知識の穴を突かれたのである

『この敵は何だ? 何故闘いの最中に美しさのみを求める行動をする?』

『直接的な勝利に繋がらない行為、余興とも言えるこれは何なのだ?』

『検索開始。 一致する記憶なし。 再検索開始……』

何度も何度も検索を重ねても、眼前の事象についての知識がまるで出てこない
 ▼ 24 アーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 22/07/10 03:39:57 ID:BXW.Vzrg [3/7] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
やがてメタグロスはありもしない知識を探る為に、集中のリソースを戦闘ではなく記憶へと割き始めた

その時だった

セト「ナイスパフォーマンスだなピクシー! ちょっと早いが祝い酒といくか?」ニッ

『祝い酒』…『酒』……『アルコール」……まずい!

記憶へと傾いた脳がそう導き出した時には、メタグロスの視界にはサイコパワーにより居酒屋から盗まれた酒樽が浮かんでいた

セト「けどただ飲むのはつまんねぇよな……じゃあいっちょド派手にいっとくか?」ヘッ

ピクシー「クピッ」ニッ

ポケモンとトレーナー。両者が口角を上げ、観客の期待とボルテージを最大まで引き上げる

メタグロス「メェツ……」ノロロ…

ツキシマ「メタグロス! 何を呆けている!? このままでは…!」

しかしメタグロスの磁力線はギャラリーの熱気により焼き切れ、本体の動きを大きく鈍化させてしまった

ツキシマ「(そうか! 奴らが狙っていたのはメタグロスの磁力線の機能低下!)」

ツキシマ「(このツキシマ、してやられたわ…!)」ギリリ…
 ▼ 25 アーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 22/07/10 03:40:49 ID:BXW.Vzrg [4/7] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
セト「世間知らずのメタグロスちゃんについでに教えといてやるよ、パフォーマンス中での途中退席は禁止だってなぁ!」バッ!

セト「腕の付け根に『シャドーボール!』特等席に座らせてやりな!」

ツキシマ「腕の付け根だと……そこは…ならんぞぉっ!!」グッ!

ピクシー「ピィン」ギュギュン

ピクシーの掌へと集まった影が球体を形成し、無慈悲にもメタグロスの四つの付け根へと分化しなだれ込む

メタグロス「メググウウウウウウ!!?!!???」ガガガガガガガ!!!!

ツキシマ「なっ…やはり脳震盪が狙いか…」

メタグロスはピクピクと痙攣し、苦痛の中小刻みに大小する瞳孔に敵の姿を映す

セト「そんじゃそろそろいきますか!」プシュッ!

セトは『獣託街』のアパートから失敬したカバンから缶ビールを取り出すと、それを開け、一気に口に含んだ

続けてピクシーにハンドサインを送り、ようせいポケモンの指先からは『マジカルフレイム』が放たれた

しかし、回転する妖炎の向かう先はメタグロスではなく、セトその人であった
 ▼ 26 アーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 22/07/10 03:41:29 ID:BXW.Vzrg [5/7] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
……数多のコーディネーターが集まり、幾多のパフォーマンスが披露されるポケモンコンテスト

その中身は実に多種多様。 だが唯一、禁止されているパフォーマンスの形式がある

『人間にポケモンの攻撃技を使用するパフォーマンス』 至極当然である

もしパフォーマンスが失敗し、人間側が怪我、最悪死亡するなどの事故が起こりうる可能性があるからだ

俺の知る限り、そのタブーに触れに行こうとするイカれたコーディネーターは一人もいなかった

けど、ここは仮想空間。 仮に失敗したとしてもこの身が黒焦げになることはない

だったらよ……今なら俺が最初のイカれたコーディネーターになれるんじゃねぇか?

心中の悪童はケタケタと笑いながら俺の背中を押す

眼前に煌々とした魔術の炎が迫り来る。 首を思いっきり後ろに引いて……

セト「ブゥゥゥゥッッ!!!」

口内のビールを有らん限りの力で『マジカルフレイム』に向かって吹き付ける!!
 ▼ 27 アーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 22/07/10 03:42:05 ID:BXW.Vzrg [6/7] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
勢いよく放たれたアルコールの水流は、セトの目の前で着火し、炎の蛇となって宙に浮く酒樽へと昇る

そしてその牙は樽を瞬く間に焦がし、中身の酒を火焔に変質させた

メタグロス「ロォォオォン!!!」ジュゴォォォ!!!

火達磨の中から轟く絶叫。 やがてそれも止んだが、メタグロスのトレーナー、ツキシマは唖然としていた

ツキシマ「戦いの中で曲芸を披露し、更にトレーナーが火まで吹くとは……このような私がトレーナーになって初めてである」シュゥゥゥン…

メタグロスがツキシマのボールに戻され、その主が口を開く

ツキシマ「お見事。 バトルだけがポケモンではないな、宣言通り落とされてしまった」フフ

ギャラリーのポケモンたち「ワアアアア!! オオッ!!」ガヤガヤ

セト「しゃぁっ! やったなピクシー!」ヨッシャ!

ピクシー「クッピィ!」ワァィ!

バトルの知識しか持たねぇ戦闘マシーンをコンテスト技でブッ倒した……

コレってコンテストの勝利にならね? ……いやそりゃ言い過ぎか
 ▼ 28 アーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 22/07/10 03:42:49 ID:BXW.Vzrg [7/7] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
そんな事を思っていると、ツキシマがこう告げた

ツキシマ「挑戦者よ! 貴様は最後のジムトレーナーである私に勝利し、ジムリーダーに挑む権利を得たぁっ!!」バァッ

セト「…!」

ツキシマ「聞くに貴様は我らがスズイロジムが最後のジムであるそうな」

セト「ああ」

ツキシマ「ならば貴様が目指すべき場所は唯一つ!」バッ

ツキシマ「ジムリーダー・ラークスを下し、リーグへの切符を手にし……「チャンピオンになる」

セト「だろ?」ヘヘン

そう答えると、ツキシマは満足げに口角を上げた

ツキシマ「リーダーはこの街の最南端……『艦長街』にて貴様を待っておられる。 思う存分奇想と武を示してくるがよい」フフ

セト「言われなくてもそのつもりだぜ」ヘヘッ

そう言って俺はツキシマに背を向け歩き始めた。 行き先は当然『艦長街』



『奇想』か……

先程のツキシマの言葉が脳内を行ったり来たりしている

確かに俺のバトルは世間のトレーナーが思い浮かべるそれとは違うのかもしれない

世間のトレーナーが『バトル』と聞いて思い浮かべるものは、それこそリアみたいなクールなものだろう

けどソレは俺には無理かもしれない

子供の頃からバトルに興味がなく、ポケモンバトルを『試合』としてではなく『戦闘』として戦って来た俺には

けど俺とリアの目指す場所は同じ

王道だろうが邪道だろうが、バトルはバトル

俺なりのやり方でジムバッジをゲットすりゃいいんだ、そしてその先で…!
 ▼ 29 エンテイ@うっかりやミント 22/08/07 02:00:43 ID:S98Eshpw NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
シエンネ
 ▼ 30 ポッタイシ@ボロのつりざお 22/09/03 00:40:57 ID:0gcksLFo NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 31 アーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 22/09/10 03:21:26 ID:8SMMKIlA [1/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ツキシマと別れ数分後、俺は『陥落街』の出口へと差し掛かっていた

ダンバロイドのマップに新しく表示された赤いマーカー。この位置にリーグへの最終関門が待ち構えている

俺の足が向かう先は当然その一点のみなのだが、足取りは順調とは言えない

このジムのジムトレーナーの強さは、他のジムのそれとは比較対象にもならない程に強かった

それを束ねる存在であるジムリーダー。これまでの7人とは次元の違う強さなのかもしれない

そんな想像が思考の中でじわじわと広がり、恐れへと姿を変えて、全身を染め上げられそうになる

セト「リアっ…」ピピッ

頭から広まる「それ」に全てが侵蝕されない内に、眼と指は求める。 既にこのジムを突破した男の顔を
 ▼ 32 アーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 22/09/10 03:22:36 ID:8SMMKIlA [2/4] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
〜カケコッコジャーナル ネット連載記事〜

【注目トレーナー リアのポケモンをチェック!�A】

今話題のトップモデルにしてポケモントレーナー・リアが手持ちのポケモンを紹介。 リアさんとポケモンたちの日常が見えてくるかも…?

リア「やあ! 今回紹介するのは僕の仲間はルカリオだよ!」

ルカリオ「くわっぐ!」

リア「僕のルカリオはおだやかな性格で特性はふくつのこころ。 『ねこだまし』の対策はバッチリさ」

リア「波動という不思議な力で相手の考えを読み取れるルカリオは、僕が疲れているのに気付くと『いやしのはどう』でマッサージしてくれるんだ」

リア「特に朝のジョギングの後の『いやしのはどう』は最高だね! 次のトレーニングにも万全の状態で臨めるんだよ」フフッ

リア「そうそう!最近一緒にストレッチしてた時に気付いたんだけど、ルカリオって……モガァ「くわんぬ!!」ギュム

リア「……ごめんルカリオ、わかったって!言わないから顔をどけて……(身体が硬いの、やっぱ気にしてたみたいだね……)」

ルカリオ「るぐ(鋼タイプだからって硬くても仕方ないって慰められたけど……そういうわけじゃないんです)」

リア「どけてくれてありがと、それと最近はルカリオの技の得意分野が分かってきたんだ。 トレーニング中のポケモンの仕草に注目するのもトレーナーとして大事だよ」

リア「(物理技は身体の硬いルカリオのニガテ分野。 でもその一方特殊技が得意らしい)

ルカリオ「くおっ……(なんかいい感じにまとめた……)」ポカン…

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
 ▼ 33 アーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 22/09/10 03:23:37 ID:8SMMKIlA [3/4] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
動画の中でインタビューに答える好敵手。 そして画面を飛び越し伝わる余裕

夢に王手をかけた者の余裕

……ヘッ! 何が王手をかけただ!

俺はもう『サイバー団とギャラドス組をブッ潰す』って夢を叶えちまってんだ

夢がまだ叶ってねぇヤツがこんな余裕なのに、もう叶えちまったヤツが不安に囚われるなんてありえねぇよな

気が付けば俺は『陥落街』の出口へと達していた

セト「ヘッ…じゃ行くか」カッ…

ライバルの笑みが俺を焚き付け、次なるエリアへの一歩を踏み出させる
 ▼ 34 アーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 22/09/10 03:24:20 ID:8SMMKIlA [4/4] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
〜艦長街〜

セト「なぁお前ら、なんで次のエリアの名前は『艦長街』なんだぁ? 官庁街の当て字だとしても他にまだあるだろうよ」

俺はダンバロイド越しにカネカズとギンジに尋ねる

ギンジ『ああそれはですね……あっ、そろそろ潮の香りがしやせんか?』

セト「潮の香り? ……んっ?」クンクン

大きな倉庫に挟まれた大通りで空気を嗅ぐ、するとカリヤスにて常に俺の鼻孔を満たしていたあの香りが漂ってきた

セト「ってコトは…海か!」

『海』『艦長街』この二つの言葉が頭の中でリンクし、ある予想が生まれる

カネカズ『そう。なんならちょっと走ってみな、すぐにここが『艦長街』たる所以が分かる筈だ』

セト「ああ」ダダッ

足は脳よりも早く、予想が正しいか否かを求めていた

だんだんと潮の香りが強くなり、波が防波堤に打ち付けられる音が聞こえてくる

そして倉庫の林が途切れた時、それはセトの視界に堂々と現れた

セト「デッケェ船……いや戦艦じゃねぇか!?」ギョッ

セトが予想していたものは、あくまでも船であった

しかし、実際に現れたものはあまりに巨大な戦艦であり、係留されたその青い船体はセトの予想を遥かに超えていた

カネカズ『おう、これが『艦長街』の正体よ。 リーダーの趣味全開のエリアだな』
 ▼ 35 オーロンゲ@たんけんセット 22/09/21 12:22:49 ID:ec.kBWPg [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 36 ギモー@いのちのたま 22/09/21 12:25:24 ID:ec.kBWPg [2/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 37 アーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 22/10/04 02:49:56 ID:78mEj3bc [1/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
セト「そう言やラークスって造船所の工場長だったな……だからこその戦艦ってワケか」ハァ…

そう思っていると、スピーカーからだろうか、数時間前に聞いたあの声が響いた

ラークス『おーいセト! 待ってたぜぇ!』キィィィン

ハウリングを伴ったその声に思わず顔をしかめるも、同時に再び覚悟を決める

セト「ああ! ここまで来てやったぜ最後のジムリーダー!」ヘヘッ

ラークス『っし! それならそこのワープポイントに乗って早く俺んとこ来いよ!』キィィン!!

より一層強いハウリング。 どうやら向こうはやる気十分みてぇだな

セト「おう! すぐ行って速攻勝ってやるよ!」ダッ

けどそれはこっちだって変わらねぇ。 俺は数メートル先の光柱へと駆けこんだ

〜戦艦 甲板〜

ぼやけていた視界がだんだん晴れてくると、自分の目の前に何か大きなものがあることに気付いた

デカくて…筒状のものが3つあって……なんか火薬臭く…「ドーン!!」

セト「大砲じゃねぇかぁぁ!!!……ってアレ? 撃ってない?」アレ?

ケガしてねぇのはもちろんのこと、煙一つ出てねぇし、なんならさっきの音も人の声ぽかったような……

ラークス「よぉっ!」ザッ!

そんなことを思っている内に、どこからともなくラークスが飛び降りて来た

画像…ラークス
 ▼ 38 アーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 22/10/04 02:51:02 ID:78mEj3bc [2/4] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
セト「うおっ! お前どっから……」ビクッ

ラークス「どこからって? ずっとこの大砲の上に乗っかってたんだけどな」

セト「大砲の上……ってさっきの『ドーン』はお前かよ!?」

ラークス「そんな怒んなよ〜サプライズだサプライズ!」ハハハ

セト「これはドッキリっつうんだよ!」

ラークス「あぁっそうなのか!?」オオッ!

なんつうかここのマルテロがコイツの天然ぶりに振り回されんのもよく分かるぜ……

俺がため息をついていると、ダンバロイドからカネカズの声が響いた

カネカズ『リーダー! いつものアレはやんねぇんですか?』

ラークス「ああアレな! セトとのバトルが楽しみすぎて忘れかけてたわ!」

アレ? 何する気だよ?

ラークスは困惑するセトの顔をニヤリとした笑みで見つめ返すと、口を動かし始めた

ラークス「なぁセト、今俺らが乗ってるこのバカでかい戦艦、何ていうか知ってるか?」

セト「え? いきなりンなの聞かれても……」

ダキバなら分かんのかな? でもアイツミリオタだけど戦艦のプラモとかは作ってなかったような……

ラークス「なら聞いて驚け! これが我々スズイロ造船の最高傑作、海王『雅』だぁっ!」バァーン!!

セト「あ? 何だって? カイオーガ?」キョトン

カイオーガって確かホウエンの伝承に出てくるポケモンだよな?

ラークス「何だよぉその反応の薄さ! あの海王『雅』だぜ? 旧ジポング海軍が大戦中にスズイロ造船に依頼した超巨大戦艦! けど結局は戦局の悪化に伴いペーパープランのまま…『ストップストップ!』

ギンジ『リーダー、戦艦の話もいいですけど、その勢いだとセトがぶっ倒れちまいますぜ?』

ラークス「お? あー悪いなセト、俺も気分が上がってるもんだから……つい、な?」ワリワリ

セト「お、おう…」ウウ…

声もデケェし、勢いも凄まじいからガチで圧倒されちまった……

ラークス「ゴホンっ……まぁ要はこのエリアには俺の趣味がガッツリ詰まってるってワケだ」

セト「『艦長街』だけに艦長の好き勝手できるってコトか」ヘヘン

ラークス「その通りだ! まさにジムリーダー、街のリーダーがいるにふさわしい場所!」

ラークス「あっちなみに一回『ナイス街』って名前付けようとしたらマルテロに即却下されたのは俺らだけの秘密な?」エヘヘ…
 ▼ 39 アーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 22/10/04 02:52:00 ID:78mEj3bc [3/4] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
セト「お、おう…」ププッ…

ラークスがウキウキでマルテロに例の名称案を提出する光景が脳裏に浮かび、思わず笑いが漏れてしまう

ラークス「んで、やっぱ他のエリアは街なのに、ここだけ戦艦がメインなのは変って思うだろ? 実はこれにも理由があってな」

セト「理由?」

たしかに『街』ってついてんのに、どこでも行けちまう戦艦が看板なのもおかしな話だよな

ラークス「ああ、例えばバトル中に謎のクロ船が攻めて来た! なんてなったらお前はどう戦う?」

予想だにしなかった質問に言葉が詰まってしまう

セト「あ……う…いきなりどう戦うって言われてもなぁ…」ウゥン…

ラークス「まぁ無理もないよな。 突然現れた正体不明の侵略者に対して怯まずに戦える奴なんてそうそういない」

ラークス「でもさ、100%ありえないってことはないだろ? クロ船の所を宇宙人や神サマに変えてみたらどうだ?」

セト「それだったら余計に想像しにくいだろ……でも……」

宇宙人に神……宇宙人のように異質かつ、神を称した存在。 サーシスの顔がじわりと浮かぶ

サイバー団は確かに撤退し姿を消した。 だが、もう二度とこのタイキョクに戻ってこないという保証はないのだ

セト「なんとなーく、お前がいいたいコトは分かったような気がするぜ」

ラークス「分かってくれるか! まぁクロ船やらは建前で、とにかくバトルは臨機応変にな!ってのを伝えたかったのさ」

セト「そっか、じゃ最後のジムリーダー戦、俺も臨機応変に……『ストーーーーーープッッッ!!!!!』

セト「あぁ!?」ウルセェ

ボールを取り出そうとポケットに右手を入れた途端、ダンバロイドから横槍が飛んだ

カネカズ『待て!待て!!待て!!! セト!! お前まだジムリーダー戦の追加ルール聞いてないだろが!!』キーン!

セト「あ? 追加ルール?」マジウルセッ

ラークス「あーそうだったな、そういやまだ教えてなかったな」ワリワリ

ジムリーダーは深呼吸をすると、チャレンジャーに向き直りルールの説明を始めた
 ▼ 40 アーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 22/10/04 02:53:09 ID:78mEj3bc [4/4] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ラークス「なあセト、これまでのジムトレーナーとのバトルはさ、各エリアで一人と対戦!って感じだったろ?」

セト「ああ」

獣託街のコノエ、勝点街のウィンダム、向上街のテル、そして陥落街のツキシマ……確かに一人ひとつのエリアが与えられていたな

ラークス「けど俺とのバトルは違う! この艦長街含む今までお前が巡った5つのエリア全てがフィールドだ!」ドォン

艦長が声高に宣言し、旗艦からは号砲が轟く

セト「5つのエリア全て!?」

ラークス「ああ! お前がこれまでに見て来た景色、得た知識、その全てを俺との一戦に活かせ!! なんならまだ消化不良だったエリアもあるだろ?」バァッ!

ギンジ『そこでダンバロイドのマップ機能が大活躍ってワケっすわ! それに俺らも全力でサポートしますぜ!』

確かにな……色んな建物があって、作戦もあれこれ思い付いたけど、やり切れずに終わったとこもある

それができるかもしれねぇなんてよ……派手にやらかしたくなっちまうじゃねぇか
 ▼ 41 アーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 22/10/17 02:57:20 ID:Fy5QTwoo [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ラークス「いいニヤケ顔だなぁ、だが一つだけ行動制限がある」

セト「へ…あ、制限?」

ラークス「お前がコノエとのバトルでやったように、トレーナーは相手のトレーナーを追い払ったり逃げることができる」

ラークス「でもポケモンをボールに戻したまま移動するのは、戦闘中に安全にポケモンを休ませる行為であると考え、禁止にさせてもらうぜ」

セト「全エリアを行き来できるってコトは、ひたすら移動してれば逃げ続けちまえるもんな……」

ラークス「そうだ、だから交代はチャレンジャーのみ自由。 けど一回戻したら必ず1分以内に次のポケモンを出す。忘れんなよ?」

セト「ああ、ダンバロイドのアホコンビもいるし多分忘れねぇと思う……」スチャ…

要は逃げる時には素早いヤツといっしょ!ってコトだよな、なら先鋒はコイツで決まりだ

セト「……ヘッ! 覚悟しな! 全エリア、何でもかんでもOKなら全力で楽しいバトルにしてやるぜ!!」チャキッ!

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

ホノカ『ホノカ頑張っちゃうよ! いいバトルにしようね!』

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

ヘヘッ……無意識にジムリーダーみてぇなコト言っちまった

ラークス「っしゃ! 俺も全力、フルパワーでお前とぶつかるぜっっ!!」チャッ!

ラークス「なんたってあのイケメンのリーグにへなちょこを通すわけにはいかねぇからなぁっ!!!」ブゥンッ!!

リア!!!

獣託街・勝点街・向上街・陥落街・艦長街……5つの街を包む戦渦の中心にて2つの熱き魂が今、ぶつかり合う

ジムリーダーの ラークスが 勝負を しかけてきた!

戦闘!ジムリーダー
https://soundcloud.com/q5avuwfjq2pq/vs-gym-leader
 ▼ 42 アーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 22/10/17 02:58:39 ID:Fy5QTwoo [2/2] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ラークス「いくぜボスゴドラ!」

セト「いけアブリボン! 初っ端から『かふんだんご』連射だァ!!」ブォッ!!

ボスゴドラ「ゴアァァァァ!!!」ズシィィン!!

アブリボン「りぶぶん!!」ポォン!

アブリボン「りりーっ!」ドドドドドッ!!

ボールから繰り出されるなり翅に纏わせた花粉から弾丸を生成し、出会い頭にそれを放つアブリボン

しかし……

ボスゴドラ「ゴォ……」ズゥゥゥン……

ラークス「いきなり派手にやるよなぁ! でもボスゴドラは鋼・岩タイプ! 虫技なんか痛くも痒くもないんだよっ!」バッ!

ボスゴドラ「ラァァァァ!!!」ゴォォォォン!!

咆哮が響き、巨体が前方へと傾く。 攻撃が来るなら……

セト「足元の花粉を『マジカルシャイン』で発火!」

アブリボン「あぶんっ!」カッ!

ボスゴドラに『かふんだんご』が効かねぇなんて百も承知さ、花粉はアイツの足元に撒ければいい

なんでかって? そりゃもちろんこの『マジカルシャイン』で……

カッ!!!!!

ラークス「くっ!!」ビカァァァァ…!!!

ボスゴドラ「ゴゴォッ!?」グラッ!!

粉塵爆発狙ってたからよ!

眩い光を間近で直視したボスゴドラが揺らぐ。 けどあの感じじゃ爆心地ど真ん中といってもダメージはほぼねぇな

でも視界を奪えたのなら成果は十分! 今の内にここから離れるぞ!

セト「アブリボン付いてきな! ほらこっち!」ダダッ!

アブリボン「りぶりぃ〜♪」バタタタタ

全エリアがバトルフィールド……ならまずは陥落街のあそこだ!

ラークス「あー眩しかった……ハクション! 花粉もめちゃあるし……あいつ逃げのプロだな、余計に燃えて来たぜ」ニッ

花粉と閃光に紛れて消えたチャレンジャー、それを追うエンジンが唸りをあげる
 ▼ 43 チョンチー@あまーいりんご 22/10/17 23:12:33 ID:Eok2zi72 NGネーム登録 NGID登録 報告
大ボリュームだな
支援
 ▼ 44 アーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 22/11/12 02:29:07 ID:OJJcG0ZY [1/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
〜陥落街〜

重量級のポケモンは基本的には長距離の連れ歩きには不利。 なんたってノロいからな

対して軽量級のポケモンは連れ歩きに持ってこい! ……まぁトレーナーの体力と要相談なんだけどよ

そんなこんなで俺とアブリボンはなんとかラークスを撒くのに成功した

けどダンバロイドでお互いの位置が分かる以上、どこかに隠れてもいつかは見つかっちまう

だから今俺は途中で見つけた"戦いやすい場所"に向かってるんだけどよ……ん?

陥落街の曇った夜空の中、各々が光で自己主張をする看板の一つにセトの目が留まる

アブリボン「ぶぶ? りりぃ……(どうしたのセト? いきなり立ち止まって……)」

セト「ポケモンコスプレ可能・初回指名料……」ブツブツ…

アブリボン「あぶぅ?りぶぶん…(そのお店が気になるの?どれどれ……)」しめいコスプレたちどまおたぎ撒く

セドゥーム『馬鹿者!! バトル中だぞ!! そもそも仮想空間だというのにお前は……!』クァァッ!!

セドゥームの叱責をよそに、セトは目の前のあやしい店へずかずかと入っていく

アブリボン「せぶぶ、ぶぶぅ?(ねぇセドゥーム? このお店って入っちゃダメなの?)」

セドゥーム『ああっ……いや、お前に何と説明すればよいのか……』ウグ…

ボール越しのテレパシーでセドゥームが返答に渋る中、セトが時間を置いて先の叱責に答える

セト「今の俺にンな金あるワケねぇだろ!?  つかセドゥーム俺がポケモナーだってコト忘れたんじゃねぇよな!?」ガーッ!!

セドゥーム『無論、だが何故このような場所に立ち寄ったのだ?』ハァ…

セト「そりゃな……この店のオプションが必要だったのさ」ヘッ

セトは肩に掛けた盗品のバッグをポンと叩くと、不敵な笑みを浮かべた
 ▼ 45 アーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 22/11/12 02:29:41 ID:OJJcG0ZY [2/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
セト「次は電気屋に用事があんだけどよ……カネカズ!この近くの電気屋!」

ダンバロイドにまるでナビアプリにそうするかのように尋ねるセト

カネカズ『そうだな……一番近くてここの外れのショッピングモール、でも品揃えがいいのは勝点街にある一軒だな』

だったら勝点街まで行こうかと思った途端、ダンバロイドからギンジの叫びが響いた

ギンジ『セト! 今すぐそこから離れた方がいいですぜ! リーダーのマーカーの移動速度がおかしい!』

セト「へ?……ってマジで早くね!? ボスゴドラが走ってもこんな速さ出ねぇだろ!」

ダンバロイドが映し出したマップには、青いマーカーに猛追する赤いマーカーが

カネカズ『恐らく地中でトンネルを掘りながら移動してるんだろうな、普段ならこんな事しねぇ。 リーダーも本気ってこった』

セト「じゃいきなり地面からドカーン!もありえるよな……」

そんなのこの狭い店内でされちゃひとたまりもねぇ、でも高さも広さもある"あそこ"ならイケる筈!

セト「だったらさっさと移動だ! アブリボン付いてきな!」ガチャン!ダダッ!

アブリボン「ぶぶ!? りぶぶ〜」ブブブブブ……

俺が大急ぎで向かっている先はカネカズの言ってた陥落街外れにあるショッピングモール

ツキシマと戦う前にチラッと見えたんだけど、遠くて行けなかったんだよな

けど相手が地下に潜ってる今、潜行攻撃を回避できる高さと戦いやすい広さを兼ね備えた場所は近場だとあそこしかない!

時間があれば電気屋も見れるし、それにあそこだとダンバロイドのマップの欠点を利用できるかもしんねぇ…!
 ▼ 46 アーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 22/11/12 02:30:22 ID:OJJcG0ZY [3/3] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
〜陥落街外れ ショッピングモール3階〜

セト「ハァ…ハァ…フゥ……」ゼェゼェ

これからが本番だってのに、やっちまったな……だいぶ息があがっちまった

アブリボン「ぶぶ?」キョトン

セト「フゥ、スーッ!……よし、ちょっとは落ち着いた」フゥ…

そう言いながら寝転んだ状態から起き上がり、吹き抜けから1階を見下ろす

目視の限りではラークスとボスゴドラの姿は見えない。 続いてダンバロイドを操作しマップを表示する

セト「もうちょいで着きそうだな……」

赤いマーカーは刻一刻とショッピングモールの位置にて点滅する青いマーカーへと近づいている

カネカズ『なるほどな、ダンバロイドのマップはエリアを真上から撮影したものを使用している』

カネカズ『だから高度まではマップだけだと判別がつかない……その穴を突いたってわけか』フム…

セト「最初はそれだけで良かったんだけどな……地中に潜られたら同じ地面で戦うのは危ねぇだろ?」

セト「でも地面から這い出てくるにしても律儀に入口から入ってくるにしても1階に現れるのは同じこと!」シュゥゥゥン…

ギンジ『おっと、ボールに戻したらちゃんと1分以内に次のポケモン出さないと失格ですぜ?』

セト「分かってるって! ンで1階の様子が丸わかりのこの3階から……」スチャ

セト「コイツでガツンと奇襲をかける! 出番だぜクチート!」シュッ!

クチート「らっちゃあ!」ポォン

小回りの利くコイツならもし奇襲が失敗してもノロいボスゴドラ相手に上手い事立ち回れる筈!

セト「さて、今から電気屋見ても間に合わねぇし……」

セト「ラークスを待ち構えるとすっか!!」ドン!!

クチート「ちゃっ」フン
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