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SS

【SS】青い約束

 ▼ 1 まちっど◆.jJQDDIcAM 23/08/18 19:12:07 ID:PkX240MI NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ジラーチ「うぇっ……」


買い物から帰ってきたら家の前に何かが落ちていた。

おまけにあちこち水びたし。だけど雨が降ったようにも見えない。


とりあえず買い物袋を濡らさないように水たまりを避けつつ、落ちてるものを観察してみる。

その「何か」は青色で、しわしわで、触角らしきものがあって……


ジラーチ「うっ!?」ズキッ

ジラーチ(なんだ……?何か思い出しかけたような……)

ジラーチ(ボクは多分、どこかでこの青色を見たことがあるはずだ……)


しかしそれ以上考えても答えは出そうになかった。


ひとまず「何か」は特徴から見ておそらくポケモンだ。


ジラーチ(マナフィだったかフィオネだったか……どっちにしてもみずポケモンがこの状態なのはまずいよね。)

ジラーチ「……生きててくれよ。じゃないと後味悪いから。」


軽くはないもののどうにか持ち上げられそうだ。


しわしわでカサカサのポケモンはジラーチに抱えられて家に運ばれることになった。
 ▼ 65 まちっど◆.jJQDDIcAM 23/08/27 19:52:14 ID:edZcMoUc [1/24] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告






波の音が聞こえる。




どこか懐かしいにおいがする。





キミの声がする。



「ジラーチ、あそこの岩までかけっこしよう!」

ジラーチ「いいけど……ボクは飛べるから勝負にならないんじゃない?」

「あたしだって走るの速いもん!よーいドン!」

ジラーチ「あ、ずるい!」




……楽しい。

そうだ、ボクは砂浜で……



キミと……



ジラーチ「行くよパt


マナフィ「起きてーっ!!!」ズドーン!

ジラーチ「ぐぎゃぁぁぁぁぁっ!?」




マナフィ「ふぅ。おはよう。」

ジラーチ「お゛、お゛は゛よ゛う゛……ぐぇっ」

マナフィ「いくら呼んでも揺すっても起きないからダイブしてみちゃった。ごめんね手荒な起こし方になって。」

ジラーチ「」チーン
 ▼ 66 まちっど◆.jJQDDIcAM 23/08/27 19:52:41 ID:edZcMoUc [2/24] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
軽めの朝ごはんを済ませ、6時の電車に乗り込む。

予算の都合上特急ではないが、マナフィにとってはやはり地上の電車は面白いもののようで、ずっと窓からの景色を見つめている。


マナフィ「はぁ……いいなぁ、海の中の電車もこれぐらい景色が変わったらいいのに。」

ジラーチ「海の中のは変わらないのか。」

マナフィ「うん。地上で言う地下鉄っていうのかな?あんな感じ。」


ぐきゅるるぅぅぅ〜………


ジラーチ(やっぱり朝ごはんはマナフィには足りてなかったか……)

マナフィ「ねぇジラーチ、車内販売ってまだ来ないのかな?」

ジラーチ「車内販売?この電車にはないけど……」

マナフィ「えぇっ!?地上の電車って車内販売ないの?」

ジラーチ「ある方が基本的には珍しいんじゃなかったかな。……え、海の電車は全部あるの?」

マナフィ「あたしが乗ったのは全部あったと思う……」

ジラーチ「なんだそりゃすごいな……」


ぐきゅるるぅぅぅ〜………


ジラーチ(それはそれとして空腹はどうにかしないといけないんだよね……どうしよ)
 ▼ 67 まちっど◆.jJQDDIcAM 23/08/27 19:53:28 ID:edZcMoUc [3/24] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ジラーチ「……結構電車が混んできたね。」

マナフィ「ウン……ソウダネ……」

ジラーチ「おいおい、大丈夫かい?」

マナフィ「ダイジョウブ……ダイジョウブ……」

ジラーチ(どこからどう見ても大丈夫じゃないなこれ……)


ジラーチ(ここで一旦降りたりしたら混み具合の関係でマナフィがまた座るのは難しくなる……けどこれ以上そもそも持たない……一体どうしたら……?)


マナフィ「ア……ソコノオバアサン、コノセキ、ドウゾ……」

ゾロアーク「おやいいのかい?ありがとうねえ。荷物が重くてきつかったんだよ。」

ジラーチ「ってちょっとマナフィ!倒れそうなのに何して……早くボクの席に座って!ほら!」

マナフィ「アリガト……」

ジラーチ(いや……今のはボクが気づけばよかっただけだ。けど、そうまでして優しくしなくても……)

ゾロアーク「いや〜あ今日は混んでるねえ。お嬢さんもお兄さんもお出かけ?」

ジラーチ「あ、はい。海のところまで。」

ゾロアーク「へ〜え。ところでお嬢さんは大丈夫?」

ジラーチ「2時間半ぐらい電車に乗ってるのでお腹が空いちゃったみたいで。……けど食べ物持ってきてなかったんです。」

ゾロアーク「それは大変な長旅だこと。わたしのお弁当のおにぎりでよかったら食べるかい?」

ジラーチ「え、そ、それは…流石に悪いですよ。」

ゾロアーク「いいのいいの。座れなかったら食べる前にくたばってたかもしれないし、もう1つあるから。」

ジラーチ「でも……」

ゾロアーク「いつも食べ切れなくてうちで残りを食べるんだけどねえ。きっとこういうときのためにあるのよ。さ、食べさせてあげて。」

ジラーチ「……すみません、ありがとうございます。ほら、マナフィ。ゾロアークさんがおにぎりくれたよ。」

マナフィ「イタ……ダキマス……」


ムシャムシャモグモグ……


マナフィ「ごちそうさまでした!」


……よくわからないけどどうにかなった。
 ▼ 68 まちっど◆.jJQDDIcAM 23/08/27 19:56:20 ID:edZcMoUc [4/24] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
マナフィ「とっても美味しかったです!ありがとうおば……ちゃなくてゾロアークさん。」

ゾロアーク「美味しそうに食べてくれてよかった。呼び方なんてばばあでいいよ。」

マナフィ「ふふっ……でもそれは流石に。」

ジラーチ「どう?もう少し持ちそう?」

マナフィ「うん。あと少し、だもんね。」

ジラーチ「あの、本当にありがとうございました。」

ゾロアーク「ふふ、その優しさでガールフレンドを守ってあげなさいよ。わたしはここで降りるからね、それじゃあ♪」


ジラーチ「……よかったねマナフィ。」

マナフィ「……///」

ジラーチ「マナフィ?」

マナフィ「あ、あたしたちってカップルに見えるのかなぁ……?///」

ジラーチ「あれはお年寄りが言いがちなジョークだよ。真に受けなくていい。」

マナフィ「うん……」





なんとなく、微妙な空気。



しかし……



それは嬉しい形ですぐに終わった。





マナフィ「……!ねぇ見てジラーチ!反対側の窓!」

ジラーチ「……!海だ……!海が見える……!」
 ▼ 69 まちっど◆.jJQDDIcAM 23/08/27 19:56:52 ID:edZcMoUc [5/24] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ジラーチ「海に……海に来たぞーっ!」


こうしてボクたちは長い電車旅の末海のある駅に到着した!


マナフィ「……まだ海の近くってわけじゃないけどね。それよりお腹がぺこぺこで……」

ジラーチ「あ、そうか。ん……?あれは……コロッケ屋さんか。あれにしよう。」



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


ゴウカザル「いらっしゃい!ジャンボコロッケはいかがかな?」

ジラーチ(ジャンボ……?よくわからないけどそれならマナフィも足りるかな。)

ジラーチ「じゃあ……それ2つ。」

ゴウカザル「丁度お預かりしやす!はい、熱いのでお気をつけて!ありがとうございやした!」


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


ぐきゅるるぅぅぅ〜………

マナフィ「……。」

ジラーチ「ぉーぃ……」

マナフィ「あ、ジラーチ。お帰r…」

ジラーチ「マ、マナフィ……これずっと持ってるとバランス崩しそうだから早くとって……」

マナフィ「わかった!……ねぇ、このコロッケあたしたちの顔ぐらいない?」

ジラーチ「だ、だと思う……それじゃあ」


「「いただきまーす!」」


到着して早々、観光地ってすごいなと思った。

かき氷も大きいみたいだし、もしかしてここの食べ物って全部すごく大きいのかな…?
 ▼ 70 まちっど◆.jJQDDIcAM 23/08/27 19:57:18 ID:edZcMoUc [6/24] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
それからボクたちは面白そうなものを見つけたらひたすらそれに向かっていった!

だっていつもの街とは風景が全然違うんだ!

おしゃれなお店がたくさん並んでいるのに空が広くて……

不思議な置物があっちこっちに置いてある!


ジラーチ「すごい……すごいね海の近くの街って。」

マナフィ「ふふ……ジラーチったらさっきからはしゃぎすぎ。」

ジラーチ「そ、それを言うなら街に初めて行ったときの君だってそうだっただろ?」

マナフィ「そ、そっかぁ……あれ、何か大事なことを忘れてるような。」

ジラーチ「大事なこと……?あっ」

マナフィ「あっ」


「「かき氷のこと忘れてた〜っ!」」
 ▼ 71 まちっど◆.jJQDDIcAM 23/08/27 19:57:41 ID:edZcMoUc [7/24] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
そう。そもそもなぜ朝早くの電車でここに来たかと言えば特大かき氷を食べるため。

しかし限定50食のため開店からすぐ行かないと食べられないという話だった。

それで開店時間に間に合うように設定したのだが……


マナフィ「あちゃあ……」

ジラーチ「しまった……」


文字通り飛んでいったものの、既に店には行列ができてしまっていた。

とはいえ限定50食。これぐらいならまだ間に合うと思いたい……



ジラーチ「……ごめんマナフィ、ボクのせいで……」

マナフィ「大丈夫。きっと食べられるよ。」

ジラーチ「……。」

マナフィ「ほらほら落ち込まないの!これぐらいの行列ならまだまだ大丈夫じゃない?」

ジラーチ「うん……そうだね……」
さ
 ▼ 72 まちっど◆.jJQDDIcAM 23/08/27 19:58:29 ID:edZcMoUc [8/24] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
>>71
最後に変な「さ」が入ってしまいましたがミスなので気にしないでください……
 ▼ 73 まちっど◆.jJQDDIcAM 23/08/27 21:10:57 ID:edZcMoUc [9/24] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
マナフィ「まーだっかなー♪まーだっかなー♪」

ジラーチ「……何その歌?」

マナフィ「まだかなの歌。兄様が教えてくれたけどあんまりお世話係の前では歌うなって。わかるけどなんか歌いたくなっちゃうんだよねぇ。」

ジラーチ「へー。」

ジラーチ「……。」


ジラーチ(また出たな兄様……もう少し詳しく聞きたいけどここは我慢だ。)

店員「お待ちのお客様、こちらのお席にどうぞー!」

ジラーチ「お、空いたみたいだ。行くよマナフィ。」

マナフィ「うん!」


ボクたちはテーブルの席に案内された。ついたてを挟んだ反対側にもきょうだいらしきロコンたちが案内されている。

周りのお客さんはみんなかき氷を美味しそうに食べていて……これはなかなか期待できそうだ。

ジラーチ「すみません、早速注文を……特大かき氷ってまだありますか?」

店員「丁度最後の1つですよ!」

ジラーチ「よかった。じゃあマナフィ、それでいいかい?」

マナフィ「うーん……あたしはこの大かき氷のいちごで。」

ジラーチ「……特大じゃなくて?」

マナフィ「うん。大丈夫だよ。」

ジラーチ「じゃ、じゃあボクは抹茶ミルクの普通サイズで……以上でお願いします。」



ど、どうして……?

特大かき氷を食べるのが目的だったはずなのに…!?
 ▼ 74 まちっど◆.jJQDDIcAM 23/08/27 21:14:24 ID:edZcMoUc [10/24] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
店員「お待たせしましたー♪いちごの大と抹茶ミルクでーす。伝票失礼しますね!」

ジラーチ「はい、ありがとうございます……」

マナフィ「いっただっきまーす!」

ジラーチ「いただきます……」


ここのかき氷はシロップをかけるだけでなく果物なんかのトッピングも乗ったなかなかにスペシャルな代物だ。

勿論、とても美味しい。が、それだけにわからない。


ジラーチ「……マナフィ、特大を頼まなかったのはどうして?」

マナフィ「んー?あー……こ、コロッケでお腹いっぱいになっちゃったかも……?」

ジラーチ「……?キミにもそんなことがあるのかい?」


店員「失礼しまーす!特大かき氷でーす!」


……隣のきょうだいだ。特大を注文したのか。


ロコン弟「ありがとうおねーちゃん!」

ロコン兄「本当にありがとうございます……助かりました。」

マナフィ「え、あ、あたし?き、気にしないで。」

ロコン兄「そんな……だってあなたは直前まで特大かき氷を楽しみにしていたじゃないですか。なのに弟が楽しみにしているのを聞いたから……」

マナフィ「……と、とにかく!あたしはだいじょーぶだから!気にしないで!///」


ジラーチ「……マナフィ」

マナフィ「は、はい?」

ジラーチ「ボクのかき氷もどうぞ。」

マナフィ「え……?そ、そんな丸ごとなんて!あたしは大丈夫だから……」

ジラーチ「いいのいいの。ボクもうお腹いっぱいだから。」

マナフィ「ジラーチ……」

マナフィ「……溶けるよ。早く食べないと。」

ジラーチ「え?で、でも……」

マナフィ「バレバレだよ。でもせっかくだから一口貰うね。」パクッ

マナフィ「はい!ジラーチも一口どうぞ!」


……元はと言えばボクのせいなのに。どうしてキミはまた……
 ▼ 75 まちっど◆.jJQDDIcAM 23/08/27 21:14:53 ID:edZcMoUc [11/24] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
店員「ありがとうございましたー!」



ジラーチ「……お待たせ、マナフィ。」

マナフィ「ごちそうさまでした!次はどこに行く?」

ジラーチ「……。」

マナフィ「どうしたのジラーチ?お腹痛いとか?」

ジラーチ「……ごめん。ボクのせいで特大かき氷が食べられなくなっちゃって……」

マナフィ「そんなこと気にしなくていいの!あたしが自分でそうしたんだし!そもそも忘れてたから仕方ないよ。」

ジラーチ「……ボクがちゃんと覚えていればよかったんだ。」

マナフィ「あたしはジラーチが楽しそうなのを見てたかったからあちこちついてったんだよ!」

ジラーチ「……。」

マナフィ「もういいわかった!それなら……あたしに乗って!」

ジラーチ「へ……?」

マナフィ「いいから!」


言われるがままにマナフィの背中に乗る。

マナフィ「う゛っ゛」

ジラーチ「ね、ねぇ大丈夫?」

マナフィ「ふんっ……ぐぐっ……!」

ジラーチ「わ、わかったわかったからボクに乗って!どこに行けばいいの?」

マナフィ「……海。見たかったんでしょ?」
 ▼ 76 まちっど◆.jJQDDIcAM 23/08/27 22:32:03 ID:edZcMoUc [12/24] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
地図を見ながら飛ぶこと約5分。


たくさんのポケモンで賑わうビーチに到着した。


マナフィ「よーし海に入ろー!」

ジラーチ「ちょ、ちょっと待った。先に荷物をロッカーに入れないと。」

マナフィ「そうだったそうだった。ね、早く早く。」

ジラーチ「め、珍しく急かすなあ。あ、浮き輪出さないと……」

マナフィ「浮き輪はいいから!早く行こう!」

ジラーチ「えぇ!?でもボク泳げないし……」

マナフィ「あたしがなんとかするから大丈夫!」


……たぶんなんとかならない。

ボクがいきなり泳げるようになる魔法でも使うなら話は別だけど……
 ▼ 77 まちっど◆.jJQDDIcAM 23/08/27 22:33:32 ID:edZcMoUc [13/24] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
荷物を入れ終わると引っ張られるように波打ち際まで連れてこられた。

飛んだほうが速いのに。


ジラーチ「ちょ、ちょっとマナフィ……どうしたんだい、なんだか珍しく強引だけど……」

マナフィ「だってジラーチ……さっきからいいち落ち込みすぎ!せっかく来たんだから楽しもう!」

ジラーチ「そ、それはそうだけど。」

マナフィ「今から面白いことするから。絶対手を離しちゃだめだよ?」

ジラーチ「う、うん。」

マナフィ「あ、できれば両手がいいかも。とにかくあたしの体にジラーチが触れてれば大丈夫だから。」

ジラーチ「はぁ……」

マナフィ「それじゃ行こう!」


そう言うとマナフィは手を繋いだまま海の中に入っていった。

ボクの方も当然引っ張られていく。


ジラーチ「えっちょ、いきなり水に入るの?こ、怖いんだけど……」

マナフィ「あたしがいるよ!信じて!浮かないで!」

ジラーチ「で、でも……でも……」


会話をしているうちにだんだん水の高さが顔に迫ってくる。

ボクは息を止め、マナフィを信じて目を瞑って進み続けた……
 ▼ 78 まちっど◆.jJQDDIcAM 23/08/27 22:34:38 ID:edZcMoUc [14/24] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
……ーぃ


「おーい!ジラーチ!」

ジラーチ(全身が水に包まれている感覚がする……だけど息を止めるのも限界だ……!)

「息はできるし目も開けて大丈夫だよ!」

ジラーチ(そんなわけないだろ!そんなことしたら結局息が……)

ジラーチ(……いや、だめだったらテレポートすればいいはず。ええい、一か八かだ……!)


口と目を同時に開け……

深呼吸をし、目の前のトモダチを見つめた。


マナフィ「やっほージラーチ!水の中はどう?」

ジラーチ「……!」

マナフィ「ジラーチもお喋りできるよ。やってみて!」

ジラーチ「え……あ、ほんとだ。これは一体どうなってるの……!?」

マナフィ「う、うまく説明はできないんだけど、ジラーチにあたしの力を分けてる……っていうことになるのかな?」

ジラーチ「……すごい。海の中を見れるなんて……しかもこんな形で……」

マナフィ「まだまだ驚くのは早いよ!絶対手は離さないでね!」

ジラーチ「うん……」

マナフィ「いっくよー!」ビュンッ!

ジラーチ「ちょぉぉぉぉっ!?は、はやぁぁぁっ!?」



マナフィはものすごい速さで海の中を泳いで、ボクは振り回されることになって……

最初は確かに怖かったけど、慣れてきたら少しは周りがわかるようになってきて。

気がつくと不思議で幻想的な海の中をボクも声を上げながら楽しんでいた。
 ▼ 79 まちっど◆.jJQDDIcAM 23/08/27 22:35:06 ID:edZcMoUc [15/24] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
─────────────
──────────
───────



「「いっただっきまーす!」」



あの後遊び疲れたボクたちはビーチに戻り、海の家で昼食を取ることになった。

マナフィは相変わらず山盛りだけど、ボクもいつもよりは大盛りだ。


ジラーチ「いやぁ……すごかったよマナフィ。キミってあんな力を持ってたんだね。」

マナフィ「えへへ、楽しかったならよかった♪どうしてもお礼がしたくって。」

ジラーチ「お礼?」

マナフィ「……ほら、ジラーチ、飛びたいときに一緒に飛ぼうって約束してくれたじゃない?」

ジラーチ「したね。」

マナフィ「だからあたしも……同じぐらいかはわからないけど、ジラーチに楽しいって思ってほしくて。どうしてもやりたかったの。」

ジラーチ「……ありがとう。本当に楽しかった。またいつかお願いしようかな。」

マナフィ「え!?ごはん食べたらまたする!?」

ジラーチ「それは……ボクの体力が持たないな。」

マナフィ「あはは!それじゃあ他のところを見てまわろっか!」

ジラーチ「はは……そうしよう。」
 ▼ 80 まちっど◆.jJQDDIcAM 23/08/27 22:37:03 ID:edZcMoUc [16/24] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
昼ごはんの後はまた駅前の置物たちを見てみたり、買い食いしてみたり。

キャンドルを作ってみたりもした。

お陰でおサイフは致命傷を食らってしまったけど……これぐらい、貯金を崩せばどうにかなる……うん。



そもそもそういう問題じゃないんだ。









すごく……すごく楽しかった。

今までのどんな日々よりも楽しかったんだ……


 ▼ 81 まちっど◆.jJQDDIcAM 23/08/27 22:38:01 ID:edZcMoUc [17/24] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
マナフィ「あー楽しかった!もうすっかり暗いね。」

ジラーチ「そうだね……電車のことも考えるとそろそろ帰らないと。」

マナフィ「……また電車かぁ。最初は面白かったけど……」

ジラーチ「ははは、乗る前に何か買っていこう。駅弁なんてどう?」

マナフィ「あ、いいね駅弁!海の中の駅にもあるんだよ、駅弁!」

ジラーチ「へぇ。意外なところが同じなんだねぇ。」

マナフィ「うん。すごい違うように見えて、結構同じなのかも……なんてね。」


そんな話をしながら小道を駅に向かっていたときだった。


「ひ、姫様!?姫様……ですよね!?」


後ろから声がした。けど、ボクたちに向けたものではなさそうだ。

そのまま駅に向かおうとしたとき、マナフィが歩みを止めていることに気がついた。


ジラーチ「……マナフィ?どうしたのさマナフィ?」

マナフィ「……。」

「姫様!ご無事だったのですね!」


……違う。これはボクたちへのものだ。

ジラーチ「あ、あの……姫様って一体何のことで……」

フタチマル「な……そ、それはもちろんあなたの隣の方のことですが。」


声の主のポケモンがそう答えると、マナフィが突然触角を当ててきた。

伝わってきたのは今までのイメージと違う鋭いもの……





ジラーチ「マナフィ!?」

マナフィ「ジラーチ……あたしと一緒に飛んでっ!」



わけのわからないままボクはマナフィを乗せて飛び立ち……


そして何かに当たって気を失った。
 ▼ 82 まちっど◆.jJQDDIcAM 23/08/27 22:41:53 ID:edZcMoUc [18/24] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告





……ここはどこだろう。




くらくて、ふかい……




けど、あたたかい……




 ▼ 83 まちっど◆.jJQDDIcAM 23/08/27 23:20:48 ID:edZcMoUc [19/24] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「おっきろー!」ズドーン!!


ジラーチ「ぐぇぇぇぇぇぇっ!?」


「あ、おはよう。起きないからついやっちゃった。ごめんねっ☆」

ジラーチ「」チーン


聞き覚えのある声だ。

いつもの……あの声……


そうだ、ボクは……




誰と……?


パチリス「はい、また寝ないの!もう朝なんだからね!」



ああ、そうだ……ボクはパチリスと一緒に暮らしていたんだ……
 ▼ 84 まちっど◆.jJQDDIcAM 23/08/27 23:21:29 ID:edZcMoUc [20/24] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ジラーチ「ごめんね。朝ごはんにしよう。さあ、ねがいごとをして。」


パチリス「オッケー!きのみがいーっぱい食べたい!」


たんざくが少しあつくなって、しばらくしたところできのみが空からふってくる。

ボクたちのごはんはいつもこれだ。



「「いっただっきまーす!」」


パチリス「うん!どのきのみもおいしー!あ、ジラーチまた好き嫌いしてる!」

ジラーチ「だ、だって……おいしくない……」

パチリス「あたしはラムもマトマもおいしいとおもうけど……」

ジラーチ「でも……」

パチリス「もう……ジラーチはこっちのモモンとかオレンとか食べて。あたしがそっちを食べるよ。」

ジラーチ「あ、ありがとうパチリス!」

パチリス「えへへ。お礼を言われるほどのことじゃ……ゴホッゴホッ」

ジラーチ「だ、だいじょーぶ?」

パチリス「へいき……きのみがむせただけ……ゲホッゴホッゴホッ」

ジラーチ(また赤い……血をはいてるんだ……)


ボクはとっくにわかってる。

パチリスはびょうきだ。もうなおらない。

だけどパチリスはボクといっしょにあそびたいみたいだ。
 ▼ 85 まちっど◆.jJQDDIcAM 23/08/27 23:22:02 ID:edZcMoUc [21/24] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
パチリス「今日は何して遊ぶ?鬼ごっこ?かくれんぼ?それとも別の?」

ジラーチ「……うごかないのがいい」

パチリス「だけど○✕ゲームはつまらないし……トランプもないからやっぱり体を動かさない?」

ジラーチ「でも……そんなことしたらパチリスが!」

パチリス「……いいの。母様も父様も兄様も……みんな病気で死んじゃったもん。病院でも治らないしあたしもそろそろ死んじゃうと思う。」

パチリス「だったら……最後にできたトモダチのあなたと遊んで死にたいの、あたし。だから遊ぼう!」

ジラーチ「わ、わかったよぅ……」
 ▼ 86 まちっど◆.jJQDDIcAM 23/08/27 23:22:30 ID:edZcMoUc [22/24] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
その日はずっとあそんで、おなかがすいたらごはんをたべて……

パチリスはゴホゴホ血を吐きながら、たのしそうにわらってた。



パチリス「はー!今日も楽しかった!」

ジラーチ「うん……たのしかった。」


ボクとパチリスは夜ごはんのまえ、よく海のちかくにすわる。


ここが1ばん、空と海がきれいにみえるから。


パチリス「……ジラーチ……あなたってあとどれぐらい起きてるの?」

ジラーチ「うーん……いち、にぃ、さん、しぃ、ごぉ、ろく……あしたでまでかな。」

パチリス「……そっか。なら、大丈夫かな……」



そういってパチリスはねころんで……


いままでよりももっとたくさん、血をはいた。


すごくくるしそうだった。




 ▼ 87 まちっど◆.jJQDDIcAM 23/08/27 23:23:48 ID:edZcMoUc [23/24] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ジラーチ「パチリス!しっかりしてパチリス!」

パチリス「カハッ……あたしは……だいじょーぶ……だよ」

ジラーチ「ぜったい!だいじょうぶじゃないよ!」

パチリス「あははは……そっか、そうだね、もう……ここにはいられないんだね。」

パチリス「……最後にさ、お喋りしよっか。」

ジラーチ「……うん」

パチリス「ジラーチ、あなたは頑張って元いた場所に戻って。あたしはもう、一緒に行ってあげられないから……」

ジラーチ「……うん」


パチリス「それとジラーチ、眠るときの歌も歌ってあげられない……この波の音が、あたしからの子守歌になる……よ……」

ジラーチ「………………うん」



パチリス「ジラーチ……あたし、生まれ変わったらまたあなたに会いに行くよ……空と海とあなたに約束する。」

ジラーチ「……………………。」

パチリス「どれもすてきな……あおいろ……ねがいごとをかなえる……あなたのたんざく……きれいな……あお」




























……おやすみ。



またね。
 ▼ 88 まちっど◆.jJQDDIcAM 23/08/27 23:27:47 ID:edZcMoUc [24/24] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
……あたたかい。



このあたたかさはなつかしい。



だけど……どうしてだろう……?





ジラーチ「うぅん…………?」


目を覚ましたのは見たことのない場所だった。

だけど、見覚えのあるものが1つだけ。


今もじんわりとしたあたたかさを触角から伝えたくれている。



ジラーチ「……おはよう、マナフィ。」
 ▼ 89 まちっど◆.jJQDDIcAM 23/08/28 00:21:11 ID:cIToUcyo [1/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
マナフィ「……うぅーん……?あれ、ジラーチ……」

ジラーチ「うん、ボクだ。」

マナフィ「ジラーチ!よかった!」ギューッ

ジラーチ「!?///」


今まで背中から抱きつかれたりすることは飛ぶときなんかにあったけど……

なんか……正面からのこれは……


ジラーチ「ちょ、ちょっと待ったマナフィ!これはなんかまずい気がする!///」

マナフィ「あっ!?そっ、そうだね!ごっごごごめんなさい……///」

ジラーチ「……///」

マナフィ「……///」










フタチマル「……は、入ってよろしいでしょうか……」


ジラーチ「……どうぞ」
 ▼ 90 まちっど◆.jJQDDIcAM 23/08/28 00:22:13 ID:cIToUcyo [2/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
フタチマルさんは入るなり土下座をし、お見舞いとして花束をくれた。

どうやらボクはフタチマルさんのホタチ投げで撃墜され、おまけに当たりどころが悪かったとかでしばらく眠っていたらしい。


フタチマル「……ジラーチ樣、急なことで混乱しているとは思いますが、色々とお伝えすることがあるのです。」

ジラーチ「まあ確かに……全然わかんないです。撃墜されたことぐらいしか今のところ知らないですね。」

フタチマル「その役目も兼ねて私はここに来たのですが……王子様からは姫様が伝えてもよいと言われているのです。その場合はこの手紙を姫様に渡せと。」

フタチマル「……いかがなさいますか?」


……正直マナフィと一緒の方が安心はする。

けど、フタチマルさんもそんな悪い感じは……


ジラーチ「……間を取るのってできないですか?」

フタチマル「……や、やってみますか、姫様?」

マナフィ「や、やってみましょうか……」
 ▼ 91 まちっど◆.jJQDDIcAM 23/08/28 00:23:01 ID:cIToUcyo [3/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
マナフィ「じゃあまずあたしから……えっとジラーチ、あたし色々嘘ついてて……本当のこと、言います。」

ジラーチ「……。」

マナフィ「あたしは東の海の……お姫様にあたる立場のポケモンなの。」


ジラーチ「……ほ、本当にお姫様なの……ですか?」

マナフィ「うん。ひとり立ちも嘘。お世話してもらいながら学校に行ってる。」

ジラーチ「まじですか……」


フタチマル「では次は私から。ホタチ投げの件についてですね。」

フタチマル「姫様は3週間ほど前に嵐で行方不明となり、必死に捜索されていたのです。といってもあまり大っぴらではアリませんでしたが……」

ジラーチ「それはどうしてですか?」

フタチマル「王子様は姫様に……自分の妹に王族としてではなく普通の女の子として生きてほしかったのです。かなりの激務ですから。」

フタチマル「それで見つかったあとの姫様の立場を心配して……そうなると我々の手が届きにくい地上での捜索などそう進むはずがありません。」

ジラーチ「……色々と複雑なんですね。」
 ▼ 92 まちっど◆.jJQDDIcAM 23/08/28 00:24:20 ID:cIToUcyo [4/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
マナフィ「今日はたまたまフタチマルさんが近くに来ていたから発見されたの。でも、急なことだったから……」

フタチマル「はい。飛ぼうとしたので牽制に投げたつもりが運悪く……」

ジラーチ「ああ……」

マナフィ「そういうわけなの。ごめんねジラーチ、飛んでなんて言っちゃって……」

フタチマル「いえいえ私があんなことをしなければ……」

ジラーチ「ボクのことはいいから。他には?」

フタチマル「そ、そうですね。他の重要なことですと、ジラーチ様は姫様のお友達なのですよね?」

ジラーチ「はい。」

フタチマル「一応それに関して王子様からの手紙があるのですが……死ぬほど長いので要約させていただきます。」

ジラーチ「死ぬほど……」

フタチマル「妹を助けてくれてありがとう。対応が手荒になってしまって申し訳ない。これからも妹と仲良くしてほしい。」

フタチマル「……だそうです。置いておくので後でお読みください。」

ジラーチ「ど、どうも……」

フタチマル「それでは私はこれで失礼します。夕食には遅いですが夜食を用意しますのでお待ち下さい。」
 ▼ 93 まちっど◆.jJQDDIcAM 23/08/28 00:24:55 ID:cIToUcyo [5/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ジラーチ「っはー……」

マナフィ「お、お疲れ様……」

ジラーチ「なんか……色々信じられない…マナフィがお姫様かぁ……」

マナフィ「あ、あんまりお姫様っぽくないよね……あはは……」

ジラーチ「いや、そうでもないかも。来てすぐは丁寧な言葉遣いだったし。そういえばトーストを手づかみしようとしなかったのもそうかい?」

マナフィ「う、うん。普段はナイフとフォークで……」

ジラーチ「……というかボクとキミだけでいいのかな、これ。偉いポケモンって普通護衛とかと一緒じゃ……」

マナフィ「それは大丈夫。兄様がそうしてくれたの。」

ジラーチ「お兄さんが?」

マナフィ「うん。兄様のハートスワップは相手がどんな心の持ち主かわかるすごい技で……あたしもジラーチのこと兄様に話して、そしたらそばにいさせてくれたの。」

ジラーチ「そっか。ボク寝てたんだったね。」


ぐきゅるるぅぅぅ〜………


マナフィ「ご、ごめん……あたし夜ごはん食べてなくって……///」

ジラーチ「はは、そりゃ大変だ。夜食が楽しみだね。」



しばらくして運ばれてきた2匹分のディナープレート(片方山盛り)に目を輝かせる2匹なのだった。


「「いただきます!」」
 ▼ 94 まちっど◆.jJQDDIcAM 23/08/28 00:25:55 ID:cIToUcyo [6/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ジラーチ「……どの料理もすごくおいしい……初めて食べるよこんなの。」

マナフィ「よかった。キッチンのみんなもきっと喜ぶよ。」

ジラーチ「じゃあ後で伝えておいておくれ。……あ、そういえば」

マナフィ「?」

ジラーチ「さっき寝てるとき夢を見てさ。」

マナフィ「あ、あたしも夢見たよ!あたしがパチリスになってジラーチと遊ぶ……なんだかカンペキに幸せって感じじゃない夢。」

ジラーチ「たぶん同じだね。ボクが起きたとき触角が当たってたからそこから伝わったのかも……」

マナフィ「そ、そんな力もあるんだ……」

ジラーチ「で、ここからが重要なんだけど。あれはたぶんボクの過去の記憶で……キミはパチリスの生まれ変わり、だと思う。」

マナフィ「……ジ、ジラーチの…過去の記憶……?」

ジラーチ「うん。ずっと忘れてたけど今回のことで思い出したみたい。きっかけはトモダチのピンチだと思う。」

マナフィ「そんな不思議なことが……」

ジラーチ「だからどう、ってわけじゃないけど。そもそも本当にボクの記憶かどうかはわからないからね。」

ジラーチ「でも1つ思うんだ。キミは嵐で飛ばされてきたって言ったけど……それでボクのところに来たのは案外、そういう運命だったりするのかな、ってさ。」

マナフィ「運命……うふふ、そうかも。だってあたしたちもうこんなに仲良しだもんね。」

ジラーチ「うん。ボクたちはナカヨシだ。きっと、ずっと。前からも、これからも。」

マナフィ「うん……約束だよ、えへへ……」














約束その3:『青い海の中での約束』
ボクとキミは永遠のナカヨシだ。それが今より前の時代でも、これから先の未来でも。
 ▼ 95 まちっど◆.jJQDDIcAM 23/08/28 00:57:11 ID:cIToUcyo [7/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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───────


ジラーチ「お疲れ様でしたー」

ジュナイパー「お疲れ様ですジラーチくん。気をつけて帰ってくださいね。」



あの後ボクはペリッパー便とかいうので超速帰宅し、次の日からいつも通り仕事に戻った。

マナフィと仲良くしてくれと言われたものの、流石に今まで通りの同居はできないということでマナフィは海に戻った。

またね、と笑顔で別れの挨拶をして。



でも……ボクはその、慣れなかったというか。

二度と会えないわけでもないけど、いつもマナフィがいた場所に誰もいなくて。

……寂しいってこういうことなんだろう。



そんな感じでややブルーに過ごしていたボクだけど、つい一昨日マナフィから手紙が届いたんだ。

あまりにも嬉しくてずっと読み返してる。
 ▼ 96 まちっど◆.jJQDDIcAM 23/08/28 00:58:27 ID:cIToUcyo [8/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ジラーチ「ただいまー……」


返事は来ない。当たり前だ。


ジラーチ「それなら先にごはんを作って待つとしようかな……今日のメニューは」




ピンポーン

ガチャ……


ジラーチ「!」


その音を聞いたとたん、初めていた料理の準備を放棄して玄関にすっ飛ぶ。

今ここに来るポケモンなんて決まりきってる。



ジラーチ「……おかえり。」

マナフィ「ただいま。ペリッパー便ってやっぱり速いね!」

ジラーチ「だよねぇ、ははは。とりあえず入ってよ、今夜はカレーだ。」

マナフィ「あ、ちゃんとお手紙読んでくれたんだね!」

マナフィ「……ね、ねぇ……お手紙読んだってことは……その、お返事は?最後の方の文章の……///」ドキドキ

ジラーチ「最後の方?あ、ちょうどよかった。ボク学校行ってないから手紙のその辺りの意味がわからなくって……教えてほしかったんだ。」

マナフィ「意味が……わからない?」

ジラーチ「うん。」

マナフィ「……ばか。ジラーチのばか。」

ジラーチ「えっ!?あ、ご、ごめん!なんかごめん!」

マナフィ「……カレー山盛りにしてくれたら許してあげる。」

ジラーチ「も、もちろん……」
 ▼ 97 まちっど◆.jJQDDIcAM 23/08/28 01:00:02 ID:cIToUcyo [9/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ジラーチへ



 まだまだ地上は暑いようですがお元気ですか?私は夏休みの宿題に追われています。毎日自分なりに頑張っているので、期限までには終わりそうです。

 それと突然なのですが、明後日ジラーチのお家にお邪魔したいです。食費は持っていきます。兄様が今までの分の生活費を返したいとの言っているのでその手続きの案内も持っていきます。できれば夜ごはんはカレーでお願いします。

 もう1つ、聞きたいことがあります。私とあなたは永遠に仲良しなわけですが、その関係性が限定されていないということはそれ以上の関係に踏み込んでもいいという解釈ができると思っています。

 完璧で大好きだけれどどうしても兄へのコンプレックスを捨てられず、新しい居場所を求めていた私に望むものを与えてくれたことあなたはとても大切な仲良しさんなのです。ご一考のほど、よろしくお願いします。

 そしてお返事は会ったときにしてください。約束です。





あなたの永遠の仲良し、マナフィより






【SS】青い約束
完
 ▼ 98 ブロロローム@レンブのみ 23/08/28 01:01:04 ID:8d/UVaZ2 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
乙 まちっどさんのssでポケモン同士のCPは珍しい
 ▼ 99 まちっど◆.jJQDDIcAM 23/08/28 01:03:03 ID:cIToUcyo [10/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
これにて完結です 書きだめしてるのに誤字るのは…やめようね!
最後の最後の手紙でやらかして気が狂う。ので修正版を一応載せます……

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


ジラーチへ



 まだまだ地上は暑いようですがお元気ですか?私は夏休みの宿題に追われています。毎日自分なりに頑張っているので、期限までには終わりそうです。

 それと突然なのですが、明後日ジラーチのお家にお邪魔したいです。食費は持っていきます。兄様が今までの分の生活費を返したいとの言っているのでその手続きの案内も持っていきます。できれば夜ごはんはカレーでお願いします。

 もう1つ、聞きたいことがあります。私とあなたは永遠に仲良しなわけですが、その関係性が限定されていないということはそれ以上の関係に踏み込んでもいいという解釈ができると思っています。

 完璧で大好きだけれどどうしても兄へのコンプレックスを捨てられず、新しい居場所を求めていた私に望むものを与えてくれたあなたはとても大切な仲良しさんなのです。ご一考のほど、よろしくお願いします。

 そしてお返事は会ったときにしてください。約束です。





あなたの永遠の仲良し、マナフィより






【SS】青い約束
完
 ▼ 100 まちっど◆.jJQDDIcAM 23/09/11 22:35:48 ID:eouYGaJU [1/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
おまけ的なもの




「「いただきま〜す!」」



マナフィ「う〜んおいしい!やっぱりこのカレーが一番好きかも!」

ジラーチ「ははは……機嫌、直してくれた?」

マナフィ「あっ!ん、え、えっと……ごめんなさい!言い過ぎたっていうか、そもそもあたしが悪いっていうか……」

マナフィ「……つい、難しくしようとしちゃって。」

ジラーチ「ボクの方こそ大事な手紙なのにきちんと読みこめてなくてごめん。ボクだけでわからないなら誰かの手を借りるべきだった。」

マナフィ「えっ他の誰かに見せたの!?///」

ジラーチ「いや、手紙が嬉しくてずっと読み返してたものだからそんなこと思いつかなかった。」

マナフィ「ほっ……よ、よかった……」

ジラーチ「となると機密情報級の何かだったのか……」

マナフィ「そ、そんなことない!ないない!それよりほら、食べないとだよね!いただきまーす!」




マナフィが美味しそうに食べているのを見るとやっぱり落ち着く。

いつもの食卓が帰ってきたって感じだ。
 ▼ 101 まちっど◆.jJQDDIcAM 23/09/11 22:36:16 ID:eouYGaJU [2/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ジラーチ「マナフィ、海に戻ってからどうだい?居場所がどうとかコンプレックスがどうとか書いてあったけど。」

マナフィ「あ、そこはちゃんと読めたんだ。大丈夫。元気に過ごしてるよ。」

ジラーチ「それならよかった。」

マナフィ「うん……あたし、兄様はなんでも完璧にできるのに自分がそうじゃないことがどこか受け入れられなくって。兄様のことは大好きなのに一緒にいるのが苦しくなっちゃったの。」

マナフィ「だけどこの前海に戻ったとき、兄様すごく喜んでくれて……たくさんお話して。あたしはあたしでいいんじゃないかな、って思えるようになったの。」

ジラーチ「……かなり深刻な悩みだったんだね。それで逃げようとしたのか。」

マナフィ「え、えっと……それもあるんだけど。」

ジラーチ「?」

マナフィ「……まだジラーチと一緒にいたかったから。あなたと一緒に過ごして、あたしすっごく元気になれたんだよ。えへへ。」

ジラーチ「はは……なんか照れるね……///」

マナフィ「えへへ……///」


ぐきゅるるぅぅぅ〜………


マナフィ「……///」

ジラーチ「ま、結構話してたから仕方ない。おかわりも山盛りにしてくるからちょっと待ってなよ。」
 ▼ 102 まちっど◆.jJQDDIcAM 23/09/11 22:37:19 ID:eouYGaJU [3/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
マナフィは2杯目もなかなかの速度で平らげていく。

流石だ。かなり多めに作ってよかった。


マナフィ「はー……家のごはんも美味しいけどやっぱりジラーチのごはんももっと食べたいなぁ……」

ジラーチ「キミの家はここから結構離れてるもんね。ボクに願いの力があればテレポートで送りつけたりできたかもしれないけどさ。」

マナフィ「確かに。なんでないんだっけ?」

ジラーチ「んーと……過去の記憶からしてキミがパチリスだった頃はまだ使えてたからその後なんだけど……」

ジラーチ「えーっと……あ、そうだ。願い事したからだ。」

マナフィ「な、なんか無茶なことしちゃったの?」

ジラーチ「いいや?パチリスが完全に死んじゃった後やっぱり寂しくってね……生まれ変わったパチリスともっとたくさん一緒に遊びたいって願ったんだ。」

マナフィ「もっとたくさん一緒に……」

ジラーチ「うん。ボクとしても1週間に届かなかったのは物足りないってのもあったんだろうね。願いが叶った結果普通のポケモンと同じ生命活動をするようになったんだと思うよ。」

マナフィ「なるほどね。」

ジラーチ「まあ……そのお陰でちゃんとキミと仲良くなれたんだし、過去のボクに感謝しないとだね。」
 ▼ 103 まちっど◆.jJQDDIcAM 23/09/11 22:37:54 ID:eouYGaJU [4/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ジラーチ「あ、そうそう。食べ終わった後でいいんだけどさ。」

マナフィ「?うん。」

ジラーチ「あの手紙の内容……関係性が限定されてないからどうこうって……」

マナフィ「あ、あれは……///」

ジラーチ「もっと仲良くなるってことなのはなんとなくわかるんだけど……それがなんだかわからないんだ。ボクが知らないだけで本当はみんな知ってるトモダチの次の関係があるのかなって。」

マナフィ「そこまでわかってるなら……ほ、ほら、何か思いつかない?///」

ジラーチ「うーん……でもそうなるとつがいとかしか思いつかないんだよね。つがいはつがい、トモダチはトモダチで別の関係じゃない?」

マナフィ「……へ?」

ジラーチ「だからできれば教えてほしいんだ。トモダチの次のステージ。」



マナフィ「は……あは……は……」

ジラーチ「?」

マナフィ「……え?本読んでるならわからない?仲良しな男女はつがいになるでしょ!?」

ジラーチ「うーん……でもそういうのってつがいになる運命があるじゃない?ボクたち運命のトモダチだから……」

マナフィ「」



まさかの一言に崩れ落ちるマナフィ。

しかし運命に抗うことを誓い、鍋のカレーを空にするまでやけ食いをするのだった……



おまけ的なもの
完
 ▼ 104 まちっど◆.jJQDDIcAM 23/09/11 22:41:30 ID:eouYGaJU [5/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
おまけといいつつ焦って入れ損ねた設定たちを出したやつです
本来はもちろん別の形でいれるつもりでしたが入れて今から書き直すのもあれなので……

完結させてから入れ忘れたことに気づいて割と絶望してたので一応書いておきたかったんです()
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