▼  |  全表示85   | << 前100 | 次  |  履歴   |   スレを履歴ページに追加  | 個人設定 |   ▼   
                  スレ一覧                  
SS

【ss】超ポケダン×銀河鉄道の夜【小説風】

 ▼ 1 トゲピー@こだいのおまもり 16/01/22 17:52:18 ID:RioyTmt. NGネーム登録 NGID登録 報告
・初投稿
・未クリアの方はネタバレ注意
・主人公はフォッコ♂、パートナーはフシギダネ♂
・ポケダン本編で登場しないキャラ、架空の舞台が出てきます、ご了承ください
・地の文が多い
・あくまでポケモン世界をベースにした銀河鉄道「っぽい」話ですので、銀河鉄道の本編とは大きく違った内容、展開、解釈が含まれます。すみません!
・もしかしたらポケダンでやる必要なかったかもしれない
 ▼ 46 イトマル@こころのしずく 16/02/06 20:53:38 ID:BraCZKEE NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 47 ラブカス@ピジョットナイト 16/02/07 05:31:17 ID:7MKWXV/Y [1/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
考えを上手くまとめられないままフォッコは出し抜けに「あなた達が本当にほしいものは一体何ですか」と尋ねようとして振り返ってみたら、そこにはもう鳥捕り達はいませんでした。また河原に行って鳥ポケモンを捕まえようとしているのかと思って急いで外を見ましたが、外は一面の美しい水晶の砂と白いすすきの波ばかりで、鳥捕り達の姿はどこにもありませんでした。

「トリミアン達、どこに行ったんだろう…」

フシギダネはぼんやりと呟きました。

(本当にどこに行ったんだろう。どこでまた会えるんだろう…色々なことを訊きたかったんだけどな)

「…きっと、この広い銀河のどこかで元気に鳥ポケモンを捕まえているさ。大丈夫、私達が忘れなければ、いつかまた会える」

メレシーは二匹にそう言いました。ヤツシロは窓の外の空を見ていて、まるで先ほどのように空から鳥ポケモンが降ってくるのを待っているように見えました。トリミアン達のいなくなった車内は、すっかり静かになってしまったようでした。何となく続く沈黙の中で、フシギダネがぽつりと呟きます。

「…そういえばボク、トリミアンにどこから来たのか訊かれて、答えられなかった。ボク達はどうやってこの列車に乗ったんだろう」

「銀河ステーションを通らなかったのかい? この星座の地図も、切符も、そこでもらったものなんだけど…」

(銀河…ステーション? 何だか聞き覚えはあるけど…どこで聞いたのか、それが何なのかは分からないな…)

「うーん、通ってないと思うよ。だって気がついたらもうここに居たんだもの。メレシー達はどこから乗ってきたか覚えてるの?」

「…はっきりとは覚えてないけど、大きな船に乗っていた気がするんだ。何だか急にバッと暗くなって、次に目を開けたときには銀河ステーションにいた。そこからこの列車に乗ったんだよ」

「そうなんだ。やっぱりこの列車は、色んな世界の色んな場所に繋がってる不思議な列車なんだね」

川底の水晶が大気を青白く染める中を、列車はどこまでも走っていきます。そんな中フォッコの頭の中には小さな疑問が過るのでした。

(大きな船…ということは、海か川を渡っていたのかな。でもさっきメレシーは深い水があるところは怖いって言ってたけど、どうしてそんなところにいたんだろう…)
 ▼ 48 シビルドン@エレベータのカギ 16/02/07 19:38:59 ID:7MKWXV/Y [2/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
窓の外を見てみると、野原には大小さまざまな無数の三角の塔が集まっていて、野原全体がぼおっとした青白い霧のように見えました。
そこからときどきぼんやりとした狼煙のようなものが代わる代わる空へと打ち上げられていて、その透き通った綺麗な風は甘い花の匂いでいっぱいでした。

「…う〜ん、さっき食べたものでお腹が一杯になったからかな、眠くなってきちゃった…」

綺麗な匂いは列車の中まで届き、それに鼻を擽られたフシギダネはうとうとと眠そうに目を細めていました。フォッコもこくこくと首を動かしています。

「私も…、列車の揺れが心地良いものだから眠くなってきたよ。ヤツシロも眠そうにしてる。みんなでちょっと眠ろうか」

フォッコ達の座る席には、いつの間にか上質なブランケットが畳んで置いてありました。めいめいそれで身体を包み、ゆっくりと瞳を閉じました。
 ▼ 49 ジュプトル@フリーズカセット 16/02/08 02:14:09 ID:Z4mOQEh6 [1/3] NGネーム登録 NGID登録 報告
それからどれくらい経った頃でしょうか。眠いのに寝付けない不思議な気持ちになったフォッコが薄く目を開けてみると、目を閉じているヤツシロの隣で、メレシーは眠らずにただじっと窓の外を見ているのでした。

「…ヤツシロは、私を許してくれるだろうか」

ヤツシロに感じ取られないようにしているのかなるべく表情を変えずに、しかし震えるような声でメレシーは小さく呟きました。

(メレシー…?)

顔は窓の外に向けられているのでどんな表情をしているのかは分かりにくいのですが、フォッコには何故かとても寂しげに見えたのです。

「…私はヤツシロが、本当に幸せになるなら、どんなことでもする。けれども、一体どんなことが、ヤツシロの一番の幸せなんだろう」

堪えるような小さな声で呟くメレシーに、フォッコは驚きました。少なくともフォッコの目にはメレシーとヤツシロは確かな絆で結ばれているように見えるし、本当の幸せなどということを考えなければいけないくらい悲壮なものを背負っている風には思われなかったのです。
ましてや、ヤツシロがメレシーを許さないなど、考えられもしませんでした。

「…だけどもう、怖いことや悲しいことなんて何もないんだ。私達はこんなに良いところを旅して、じきに幸せに溢れた場所に行ける」

俯いていたメレシーは顔をぱっと上げました。川の光が顔に当たるようになったからか、メレシーの表情が明るくなったように感じられました。

「…そうだ。誰だって本当に良いことをすれば、一番幸せなんだ。だからきっと、ヤツシロも私のことを許してくれると思う」

メレシーは何かを決心したかのように頷いて、正面に向き直りました。するとメレシーの方を見ていたフォッコと目が合って、少し驚いたあと気まずそうな笑顔を浮かべました。

「なんでもないよ。眠れないの?」

フォッコもぎこちない笑みを返して首を横に振り、身体を丸めてブランケットに身を包みました。メレシーもブランケットに潜り込み、ほどなくして安らかな寝息をたて始めたようでした。

間も無くフォッコにも眠気が訪れました。列車の揺れる音と静かな川のせせらぎを聞きながら少しずつ眠りにおちていきました。
綺麗な風が吹き注ぐ車内では、もう誰もみんな優しい夢を見ているのでした。
 ▼ 50 ミミロップ@メンバーズカード 16/02/08 19:54:19 ID:Z4mOQEh6 [2/3] NGネーム登録 NGID登録 報告
川下の向こう岸には青く茂った大きな林があり、その枝には熟して真っ赤に光る丸い実がたくさん生えていました。その林の中からは鐘や木琴の鳴る音のような、何ともいえない美しい音色が風に溶けるようにして流れてくるのでした。

(……綺麗な音がするな。そうか、自分は列車に乗って、寝ていたんだっけ…)

林からの音色を聞いて、フォッコとメレシーは目を覚ましました。すると先に起きていたらしいヤツシロが膝に四つのリンゴを抱えていて、それを一つずつメレシーとフォッコ、まだ眠っているフシギダネの前に置いてあげました。

(大きなリンゴだなあ。それに金色と赤色が混ざったような、とても綺麗な色をしてる。どこでこんなリンゴを見つけたんだろう)

フォッコがお礼を言うように笑いかけるとヤツシロは頷いて、少し離れたところにある座席を五本の指で丁寧に差しました。そこには赤い上着を羽織った人間のお婆さんが座っていて、フォッコ達と目が合うと優しく微笑むのでした。

「どうやらあのお婆さんがくれたリンゴみたいだね。ありがとう!」

フォッコとメレシーは声を揃えてお礼を言いました。言葉は分からなくても気持ちは伝わったようで、お婆さんは大きく腰を屈めて深く笑いました。ちょうどその頃、皆より少し遅れてフシギダネが目を覚ましました。

「うーん、おはようフォッコ! ねえねえ、ボク今おじいの夢を見てたんだ! 調査を頑張ってるご褒美にって、たくさん料理を作ってくれてね! 夢の中だったけど、すっごく美味しかった! そのあと、とっておきのリンゴがあるから待ってろって言われて、そこで目が覚めちゃったんだけど…」

嬉しそうに話すフシギダネが目の前を見てみると、とても大きな美しいリンゴが置いてあったのでびっくりしてしまいました。

「ひゃあ! でっかいリンゴだあ!」

「ふふふ。もしかしたら、そのおじいさんが夢の中でくれようとしたリンゴかもしれないね」

「うわーい! いただきまーす!」

フシギダネは嬉しそうにリンゴに噛り付き、口一杯に頬張りました。フォッコ達もそれぞれリンゴを食べ始めました。一口食べる度に甘い香りが広がり、幸せで胸が満たされるような味がするのでした。
 ▼ 51 ニドリーノ@ねっこのカセキ 16/02/08 22:47:54 ID:Z4mOQEh6 [3/3] NGネーム登録 NGID登録 報告
「あー美味しかった!」

フォッコ達はリンゴを芯だけ残して綺麗に食べ終わりました。役目を終えたリンゴの芯は、すうっと灰色に光ったかと思うと、バタフリーの鱗粉のように細かい粒子になって空気中に消えていきました。

(…不思議なリンゴだな。今まで食べたどんなリンゴよりも美味しかったけど、こんなものはどこで獲れるんだろう)

「そういえば、夢の中でおじいが何か言ってたな。とっても大事なことだった気がするんだけど…」

銀の粉になって消えたリンゴを見送っていたフシギダネはそう言うと、はっとした表情で続けました。

「そうだ、思い出した。『どんなに辛いことでも、それが正しい道を進む中での出来事なら、みんなほんとうの幸せに近づく一歩になる。自分の夢を、幸せに続く道を、諦めるな』って言ってた」

「………!」

メレシーはふっと小さく息を呑みました。

「おじいって、たまにこういう難しいことを言うからボクよく分かんなくって、途中で寝ちゃったりするんだけどね。何だかとっても真剣な顔をして言ってたから、今回だけはちゃんと聞いてたんだ」

フシギダネがそう言ったあと、メレシーは何かを深く考えるようにしてから、ゆっくりと話し始めました。

「…君のおじいさんは、とても良い事を言うんだね。…うん、いつか幸せに辿り着けると信じていれば、どんな悲しいことだって乗り越えていける。一匹では挫けてしまうかもしれないけど、君にはフォッコが、私にはヤツシロがいてくれる」

「うん、そんなようなことも言ってたなあ。と言っても夢の中で言ってただけだから、本当に言ってるわけじゃないけどね」

「…なんだか救われた気がしたよ。そのおじいさんにお礼を言いたいな」

「だから夢の中で言ってただけだって! 大袈裟だよメレシー!」

フシギダネは笑ってメレシーを茶化しましたが、フォッコは窓の外を見つめていたメレシーのあの寂しげな顔が頭に焼き付いて離れないのでした。
青く茂った林はさめざめと光りながらだんだんうしろの方へ行ってしまい、そこから流れて来る美しい音色ももう列車の響く音や風の音に磨り減らされて微かなものになっていきました。
 ▼ 52 メガハッサム@ボスゴドラナイト 16/02/09 19:41:32 ID:AEMrNnss [1/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
列車はだんだん川からはなれて崖の上を通るようになり、むこう岸もまた黒色の崖が高くなっていくのでした。そしてちらっと小さな実をつけた木が畑のように並んでいるのが見え、フシギダネが声を上げました。

「あの赤い実、クラボの実かな? 昔学校の裏であんな木を見たことがあるんだ!」

「きっとそうだよ。私達の世界にもあるけど、こんな空の野原にも生えているんだね」

クラボの木の葉は美しい緑色に彩られていて、風に吹かれる度に光の加減でその色を薄くしたり濃くしたりするのがシグナルのように見えました。その葉の下には小さな丸いクラボの実が赤い真珠のようにちらちらと姿を見せるのでした。
それはだんだん数を増し、列のように崖と線路との間にたくさん並ぶようになりました。思わずフシギダネが窓から顔を引っ込めてむこう側の窓を見ると、美しい空の野原の地平線のはてまでクラボの木が一面に植えられてさらさら風に揺らぎ、たくさん日光を吸った宝石のような露がついて赤や緑にきらきら燃えて光っているのでした。

「綺麗だなあ! まるで電気の玉で飾り付けされてるみたいだよ!」

列車はだんだん静かになって、いくつかの電灯の側を通ったあと小さな停車場に止まりました。ちょうどその時、フシギダネが思い出したように叫びました。

「ケンタロス、露を降らせ!」

フォッコやメレシー、それにヤツシロもびっくりしてフシギダネを見ました。

「えへへ! あのきらきらしたクラボの木を見てたら、星祭りのことを思い出したんだ! あんな風な綺麗に飾り付けされた木がたくさんあったんだよ!」

「もしかしてケンタロス祭のことかな? 驚いた、実は私達の世界でも、今日は星のお祭りがあったんだよ。街を電灯や草の葉で飾り付けて、人もポケモンもみんなで豊穣を祝うんだ」

「うんうん、ボク達のところもそんな感じ! すっごいなあ、違う世界なのに同じお祭りがあるなんて!」

「…もしかしたら、どんな世界からも、同じ空が見えているのかもしれないね。きっと同じ星が見えるから、どちらの世界にも同じような祭りがあるんだよ」

「じゃあこの空の列車に色んな人やポケモンが乗ってるのも、同じ空が見えるから…色んな世界が一つの空で繋がってるから、なのかな…?」

「どうだろうね。でももしそうだとしたら、本当に世界って広いんだなあって思うし、こうして君達と出会えたことが尊いものだと感じるね」

窓の外の青白い時計が、静かな野原にカチッカチッとその針の音を響かせます。短い針が2の文字を、長い針が12の文字を少し過ぎたところを指したところで、列車は静かに動き始めました。
 ▼ 53 アバゴーラ@ヤミラミナイト 16/02/09 22:17:36 ID:AEMrNnss [2/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
列車はほんとうに高い高い崖の上を走っていて、その谷の底には川が幅ひろく明るく流れています。窓から顔を出したフシギダネは川の流れていく方を見ながら言いました。

「わあ、ここからは急な下り坂だよ! この崖の上から川の水面まで、いっぺんに降りていくんだ!」

列車はどんどん速度を増していきました。乗客はみんな半分うしろの方へ倒れるようになりながら座席にしっかりしがみついています。車体は風を切るようにビュウビュウと音を立てました。

「わーっ! まるで大きなポケモンの背中に乗って走ってるみたいだあ!」

今までに感じたことのない、身体がふわっと宙に浮くような感覚に包まれたフォッコは、はしゃぐフシギダネと目を合わせて笑い合いました。いつしか列車は水面にその姿を映すほどに川に近づき、その頃にはようやく落ち着いた速さに戻りました。河原には薄赤色の花があちこちに咲いています。

「あはは、面白かった! 大きい箱に乗って走って、綺麗なものをたくさん見て、ボクこんな面白い旅は初めてだよ!」

(本当に、こんな不思議で楽しい旅は自分も初めてだ。ここであったこと、ずっとずっと覚えていたいな)

その時、川のむこう岸がにわかに赤くなりました。林の木やすすきも何かも逆光で真っ黒に見え、星の輝きのような川の波も赤く照らされています。
むこう岸の野原には、とても大きな真っ赤な炎が燃やされていたのです。炎は真夏の夕陽に照らされた宝石のように透き通った赤色をしていて、その黒い煙は紺碧の冷たい空をも焦がしそうに見えました。

(なんて綺麗な炎だろう。あんなに赤い炎は、どんなものを燃やせば出来るんだろう)

「あれは、ドラピオンの火だよ」

地図と炎を見比べたメレシーが言いました。

「ドラピオンの火? ドラピオンって炎ポケモンじゃないけど…あの赤い炎と関係があるの?」

「うん。昔、ヤツシロと一緒に本で読んだことがあるんだ。永遠に命を燃やすドラピオン、ドラピオン座の神話をね。昔々…」
 ▼ 54 エネコ@どくどくだま 16/02/10 20:21:27 ID:zCp3B0gM NGネーム登録 NGID登録 報告
───昔々、荒れ果てた野原に一匹のドラピオンがいました。

そのドラピオンは尻尾の鉤針に付いた鋭い毒で、小さなポケモンを殺して食べて生きていました。野原に生きるポケモンはみな、ドラピオンを恐れました。

しかしある日、ドラピオンは大きな怪我を負いました。こんな荒れ果てた野原では怪我を治す術もなく、力尽きそうなドラピオンの周りを、死肉を狙うグラエナの群れが囲んでいました。

ドラピオンは力を振り絞りながらグラエナから逃げました。すると目の前に井戸が現れたので思わず飛び込みましたが、どうしても這い上がることができずに、ついには溺れてしまいました。

そのときドラピオンはこう言ってお祈りをしました。

「ああ、わたしは今までいくつの命を奪ってきたか分からない、そしてそのわたしが今度はあのグラエナ達に命を奪われようとしたときはあんなに一生懸命にげた。それでもとうとうこんなになってしまった」

「もうどうしようもない。どうしてわたしはわたしの身体を黙ってグラエナにくれてやらなかったのだろう。そうすればグラエナ達も一日生き延びたろうに」

「どうか神様、わたしの心をごらん下さい。こんなにむなしく命を捨てず、どうかこの次にはまことのみんなの幸せのためにわたしの身体をお使い下さい」

するとドラピオンはいつしか自分の身体が真っ赤な美しい火になって燃え、夜の闇を照らしているのを見たのでした。

神様によって天に上げられたドラピオンの心臓の炎は今でも赤く燃え、夏の夜空に輝いているのです───
 ▼ 55 ゲンシカイオーガ@ぎんのこな 16/02/11 20:22:26 ID:uz0YAL0. NGネーム登録 NGID登録 報告
「……きっと、あの炎がそのドラピオンの火なんだ。太陽よりも遠いところから私達に光を届ける、ドラピオン座の真っ赤な星だよ」

メレシーが話し終えた頃、ドラピオンの火はちょうど窓から正面に見える場所に来ました。不思議な列車を赤く染めるその様は、まるで朝焼けのようでした。

(赤い炎を中心に、三角の塔がドラピオンの形に並んでる。本当にあの星座なんだな…)

フォッコはその大きな炎のむこう側に三つの三角の塔がちょうどドラピオンの腕のように、こちら側に五つの三角の塔が尾や鉤針のように並んでいるのを見ました。そしてその真っ赤な美しいドラピオンの火は音もなく本当に明るく明るく燃えたのです。

「このお話を本で見た時から、私はこのドラピオンのようになりたいと思ってたんだ」

「ど、どうして? だってドラピオン、死んじゃって可哀想じゃない?」

「死んでしまうのは誰だって一緒さ。みんなの幸せのために自らが炎になって、周りを照らすってところに憧れてたんだ。私も、みんなの幸せを願い叶える存在でありたい。そのためなら、あのドラピオンのように身体を灼かれたって構わない」

「メレシー…」

メレシーの青い瞳から、とても強い思いが感じ取れるのでした。その瞳は自分達が世界を守るために戦ったあの日のものにとてもよく似ていて、フォッコとフシギダネはハッとして顔を見合わせました。あの時の決意を思い出したフシギダネは、窓から見える透き通った赤い炎をその瞳に映しながら言いました。

「ボクもそうだよ! みんなが幸せに暮らせるなら、あんな炎に焼かれるのだって怖くない。炎だけじゃないよ、真っ暗闇の中だって、冷たい宇宙の彼方だって、オバケだって! ……ちょっぴり怖いけど、怖くない!」

(自分だってそうだ。フシギダネと一緒に命を賭けて戦ったあの日から、その思いは変わらない。どんなに辛いことだって、きっと乗り越えてみせる)

凛とした表情で頷き合ったフォッコとフシギダネを見たメレシーは少し驚いた顔をして、それから優しい笑顔を浮かべて言いました。

「…君達も、あの炎を見て私と同じことを思うんだね。…この列車に乗れて良かった。こんなに素敵な友達ができたのだから」

そう言われてフシギダネは少し照れ臭そうに笑いました。ヤツシロはそんな三匹の様子を嬉しそうに眺めていましたが、ときどき膝の上で組まれた両手に、何かを決意するようにキュッと軽く力を込めるのでした。
 ▼ 56 ゴチミル@さざなみのおこう 16/02/12 18:34:26 ID:pYeHlMpE NGネーム登録 NGID登録 報告
ドラピオンの火はだんだん遠退いていきました。その明るい赤色はいつまでも燃え続け、背の高い草花の列に遮られるまでの間ずっと視界に残っていました。列車の中は静かになり、川のせせらぎと草の匂いが空間を満たしているのでした。

「…ドラピオンの火を過ぎたということは、もうすぐ南十字の停車場だね」

「南十字? それって、さっき通った北十字と何か関係があるの?」

「うん。北十字と南十字は、対になる存在なんだ。この長い長い星の川の、始まりと終わりを繋ぐ星座だよ」

ヤツシロが広げた地図に三匹が顔を近づけました。黒い大きな星座の地図の左端と右端に、星で結ばれた十字架が記されています。ヤツシロは左の方の十字架を指差し、これから向かう南十字がこちらであることを示しました。

「メレシー達は星のことを本当によく知ってるんだね! 君達が色々教えてくれるおかげで、ボクこの列車の旅がすっごく楽しいんだ!」

「私も憧れていた星の世界に来れて、君達と出会えて、とても嬉しい。できることなら、ずっとこの列車に乗って星を見ていたい」

メレシーのその言葉を聞いて、フォッコは自分が何か大切なことを忘れているのではないかと思い始めました。

(そうだ…当たり前のように列車に乗っていたけど、自分にもフシギダネにも、それからメレシー達にも帰る場所がある。いつかはここから降りることになるんだ。だけど、どこで降りるんだろう。自分達はどこに行けば良いんだろう……)

フォッコはちらりと横目でフシギダネを見ました。フシギダネは心からこの銀河の旅を楽しんでいるようで、心配事を言うのが何となく野暮な気がしてフォッコは言いたいことを胸の奥にしまい込みました。

「…ほら、ごらん。南十字が見えてきたよ」

窓の外を見ると、大きな川のずっと川下の方に青やオレンジや、もうあらゆる色の光で散りばめられた十字架がまるで一本の木のように川の中に立っていました。その上には青白い雲が輪になって後光のようにかかっているのでした。

「あれが南十字かあ…! すごい、今まで見たどんな物よりもキラキラしてて、とっても眩しくて綺麗だ!」
 ▼ 57 ヒコザル@がんせきおこう 16/02/13 01:32:37 ID:WPAZtvP6 NGネーム登録 NGID登録 報告
そしてついに列車は南十字の正面に来て、止まりました。大きな十字架は水晶やダイヤモンドよりも美しく透き通り、星粒のような輝きを無数に放っていました。その輝きは紺碧の空や川の水を明るく染め上げ、そこだけが晴れ渡った青空の下であるかのようでした。
十字架から湧き出る七色の光の粒は川面にも映り込み、それらはまるで無限に溢れ出す虹色の泡のようになって川を彩ります。大小様々な輝きの粒子は煌めく霰になって降り注ぎ、不思議な列車をあっと言う間に包み込みました。この世の全ての宝石を集めたかと思わせる輝きの粒たちは、その一つ一つに生命が宿っているかのように暖かく瞬き、それが確かな星の息吹であるということを感じさせました。
後光のように十字架にかかる青白い雲は柔らかい絹のようで、周りの星達を包み込んでゆっくりと輪を描いて巡っていました。フォッコ達は、まさに銀河の果ての、星屑の泉に来ているのです。

「なんて綺麗なんだろう。……ああ、ヤツシロと初めて出会った、鏡の洞窟を思い出すよ。あの時も、洞窟の壁がこんな風に七色に輝いていたんだ。ああまるで、この光の一つ一つが、今までの思い出を映し出しているみたいだ」

そう言ったメレシーの身体は、十字架から放たれる光に照らされてきめ細やかに輝いていました。身体に刻まれた青い宝石は窓の外からの光を受けて満天の星空のように煌めき、青く丸い瞳には無数の光の粒が映り込んでいて、まるで涙をいっぱいに溜めているように見えました。
そんなメレシーの様子を、ヤツシロもまた潤んだように照らされた瞳で、愛おしそうに見つめているのでした。

「…フォッコ、見てる? こんなに綺麗な景色が、世界にはあったんだね。ボク、どんなに時が経ってもこの景色をずっとずっと忘れないよ」

美しい南十字を見つめたままそう言ったフシギダネの横顔をフォッコは横目で見ました。高揚した気持ちが頬をリンゴのように赤く染め、感激に満開の笑みを浮かべるその顔を無数の光がオーロラ色に照らしていました。

(うん。見てるよ。本当に、本当に綺麗だ。透き通った南十字も、フシギダネの楽しそうな笑顔も。身体の宝石をキラキラ光らせるメレシーも、それを見つめるヤツシロの優しい顔も……)

(本当に綺麗だ。……本当に、綺麗なのに……)

(…どうして、こんなにも悲しい気持ちになるんだろう。何かが終わってしまうような、寂しい気持ちが、どうして沸き起こるんだろう……)

列車の中はまるで時が止まったようになり、乗客が浮かべる思い思いの表情をいつまでも照らし続けているのでした。
 ▼ 58 ニドリーナ@アクアスーツ 16/02/14 20:09:27 ID:fJOrZ2Zo NGネーム登録 NGID登録 報告
「………さあ、私とヤツシロの旅もここまでだ。私達は、この南十字の停車場で降りなければならない」

「えっ? 降りるって…」

「私達の切符は、この南十字までしか来れないものなんだ。もうこの列車に乗ることもないだろうね」

「そ…そんなあっ!?」

メレシーの言葉に驚いたフシギダネは、思わず叫びました。

「そんなのイヤだ! せっかく友達になれたのに! ボク達とずっと一緒に行こうよ!」

必死に引き止めようとするフシギダネに、メレシーは悲しそうな笑顔を浮かべて首を横に振りました。フォッコも懇願するように、メレシー達を見つめます。

「そうだ! ボク達の切符で一緒に行こう! トリミアンが言ってたんだ、ボク達の切符はどこまででも行ける切符だって! 君達の分だってあるよ! だからこれを持って一緒に行こう!」

そう言ってフシギダネはラプラス大陸便の風の大陸行きと草の大陸行きのパスポートを見せました。そのあと霧の大陸行きと砂の大陸行きのパスポートを取り出し、メレシー達に差し出しました。

「…気持ちはとても嬉しいよ。でも、それは君達の切符だ。私達は銀河ステーションで自分達の分の切符を買ってる。誰かから貰った切符では、列車に乗ることはできないんだよ」

「ううっ…!」

言葉に詰まったフシギダネは、なんとかして引き止めようとしました。ここで彼らと別れてしまうと、二度と会えないような気がして仕方がなかったのです。

「…ごめん! ボク嘘吐いてたんだ! ボク達の持ってるこれ、本当は切符でも何でもないんだ! ボク達の世界で買った、海を渡るためのパスポートだったんだよ! だから切符なんか無くたってこの列車に居ても良いんだよ! ボク達とどこまでも一緒に行こう!」

それを聞いたメレシーは驚いた様子で二匹を見つめ、しばらく何かを考えたあと静かに言いました。

「……それなら…なおのこと、私達は行かなければならないし、君達はここに残るべきだよ」
 ▼ 59 ゲンガー@ブリーのみ 16/02/15 22:12:30 ID:dTaaaLmU NGネーム登録 NGID登録 報告
「どうして!?」

「君達と私達は、別々のところから来てる。当然、かえる場所も別々になるんだ。私はこの南十字が、私達がかえるのに一番相応しいところだと信じているんだよ。そして切符を持ってない君達は、本当にどこにだってかえれる。それこそ、君達の望む場所ならどこにでも。そんな気がするんだ」

「うう…メレシー…」

すると、ヤツシロが立ち上がりました。やはりメレシーと同じように寂しそうな笑顔を浮かべて、フォッコとフシギダネの頭をゆっくりと撫でてあげるのでした。

(ヤツシロ…)

ヤツシロは名残惜しそうにフォッコ達から手を離し、それからメレシーと視線を合わせて頷き合いました。メレシーもふわりと浮かんで席から離れて、振り返って言いました。

「フォッコ、フシギダネ。一緒にここまで来てくれて、本当にありがとう。君達のおかげで楽しい旅ができて、本当に幸せだよ」

「うん…! ボク達もだよ!」

「それでね、良ければお願いがあるんだ。もし……いや、きっと君達はまた地上に降り立ち、そこから星を見上げるだろう。その時に、私達のことを思い出してくれると嬉しいな」

「もちろんだよ! 忘れるわけないじゃないか!」

「ありがとう。そうすれば、たとえ会えなくても、君達の思い出の中で生きることができるから」

「め…メレシー!」

その時、静かに停まっていた列車がガタン! と一度大きく揺れ、それから小刻みに振動を始めました。どうやら列車が動き出す準備ができたようです。

「もう行かないと。さようなら、フォッコ、フシギダネ」

メレシーとヤツシロは通路を歩いて行きました。彼らがちょうど降りたところで、列車はゆっくりと動き出しました。悲しみに俯いているフシギダネを気遣わしげに見ていたフォッコは、突然弾かれるように顔を上げ、窓の外を見ました。外からメレシーの声が聞こえたのです。
 ▼ 60 モルフォン@まんぷくおこう 16/02/16 23:39:56 ID:Jp/gdzog NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 61 ヤドラン@ネコブのみ 16/02/17 21:47:28 ID:vy/Ha9IY NGネーム登録 NGID登録 報告
フシギダネも窓から勢い良く身を乗り出しました。そこには、大きな十字架から降り注ぐ光の雨の中で、真っ直ぐに影を伸ばして立っているヤツシロとメレシーの姿があったのです。

「フォッコ! フシギダネ! どうか元気で! そして、いつか本当の幸せを見つけてね!」

メレシーは力いっぱいにそう叫びました。その隣でヤツシロは大きく大きく手を振っているのでした。

「メレシー! ヤツシロ! さようなら、ボク達ずっと忘れないよお! 君達も元気でねえ!!」

フシギダネ達も、声の限りに叫びました。そして列車の動きが速くなるのと同時に、川下から銀色の霧が立ち込めました。メレシー達の姿は霧にすっかり隠れてしまい、青白い光だけがぼんやりと漏れ出すだけでした。
列車の中の乗客はみんな降りてしまったようで、車内には静かに冷たい風が吹き抜けていました。

「メレシー…どうして、『思い出の中で生きる』なんて言い方をしたんだろう。そんなの、世界のどこからもいなくなっちゃうみたいじゃないか…」

その時すうっと霧が晴れました。そこにはもうあの十字架はなく、小さな電燈が一列に点いた道がありました。列車がその明かりの前を通って行く時、その小さな火はちょうど挨拶でもするようにパッと消え列車が過ぎて行くとまた点くのでした。

「…メレシーは、ボク達にはボク達の帰る場所があるって言ってた。だけど、じゃあどこで降りれば良いんだろう。おじいや調査団のみんなのところに行くには、どうすれば良いんだろう……」

もう誰もいない列車の中はとても寂しく感じて、心細くなったフシギダネは小さな声で呟きました。

(…切符を持たない自分達は、望んだ場所ならどこへでも行けるんじゃないかって言ってたけれど…それはメレシーの推測に過ぎない)

(でも、今信じられるものはそれしかない。もしかしたら、強く願えば、元いた世界に帰れるのかもしれない)

「ぐすんっ…みんなに…会いたいよう…」

(そうだ、きっと帰ろう。フシギダネと一緒に。帰って、夢を叶えるんだ。世界地図を完成させるって、あの日誓い合ったのだから)

フォッコはフシギダネに向き直り、しっかりと目を見て強く頷きました。フシギダネはその姿を見て、少しだけ勇気付けられたようでした。

「うん…分かってる。ボク達一緒に、ずっと一緒に行こうね」
 ▼ 62 ユンゲラー@ふといホネ 16/02/18 20:40:52 ID:HSi7z2Ek NGネーム登録 NGID登録 報告
その時でした。穏やかに走っていた列車が、急に速度を上げ始めたのです。今までにないほどのスピードで河原を走り抜ける列車は物凄い音を立てて風を切り、大きな川の果てを目指しました。
そして長い長い銀河の終わり、川の水が途切れているところまで来ると、列車はその車輪を少しずつ浮かし、ついには完全に陸から離れて空中を走り出したのです。

「ああっ! 見てよフォッコ、この列車…飛んでるっ!!」

今までずっと隣に見てきた星の川や銀色のすすきの原を見下ろし、列車は陸と空の間を走りました。それからもぐんぐん速さを増していき、窓から見える様々な色の光の粒達は光線のようになって瞬く間に視界を通り過ぎて行きます。

(ど、どうなっているんだろう。まるでどこかに吸い込まれてるみたいだ…!)

列車が速度を増すごとに窓の外を流れる光線の数も増えていき、いつしか幾千もの光の筋からなるトンネルを形作っていたのです。空飛ぶ列車はその中を矢のように走り抜けました。余りの速さに二匹は座席に押さえ付けられそうな圧力を感じましたが、必死にしがみついて堪えます。

「ううっ…! 眩しいよう…!」

光に包まれた列車の中は、真昼の太陽の日射しを全てかき集めたかのように真っ白に照らされました。明るさに眩む目をこすりながらも窓の外を見ようとしたフォッコは、不思議な光景を目の当たりにしました。
視界を埋める光のあちらこちらに滲むような穴が開き、そこにはフォッコが今まで見てきた景色、知り合ったポケモン、立ち向かった敵、手にした宝物…あらゆる思い出が映し出されていたのです。

(こ、これは…一体…)

思い出の欠片たちは波のように現れたり消えたりを繰り返し、まるで記憶の海を泳いでいるような感覚に陥りました。

(どうして、こんな風にして今までの記憶が頭の中を巡るんだ……これじゃあ、まるで……)

脳裏にある考えが浮かんだフォッコは、背筋をゾクリと震わせました。そして先ほどまで一緒にいたメレシーの別れ際の言葉と、その瞳が涙で潤んだように見えたのを思い出したのです。

(…さっきのメレシーの表情と、あの時の言葉…)

『たとえ会えなくても、君達の思い出の中で生きることができるから』

(…もしかして、この列車は…そして、ここに乗っていた乗客達は…!)
 ▼ 63 キングラー@スピアナイト 16/02/20 18:18:59 ID:gaQ3VyJ6 NGネーム登録 NGID登録 報告
すると突然、列車の後ろの方からガラスの粒を真っ平らな氷にたくさん落としたような、透き通った高い破裂音がいくつも聞こえてきました。
驚いたフォッコが急いで窓から顔を出して音のする方を見てみると、列車の後ろから茶色い破片がいくつも、まるで琥珀のように鈍い輝きを放ちながら飛び散っていたのです。

(あれは何だろう…列車から何かが出てるように見えるけど………まさか!)

その破片の正体は列車そのものでした。亀裂が入った車体は瞬く間に後ろの車両から砕けていき、光る欠片となり長い尾のような軌道を描きながら連なって闇の彼方へと消えていきました。

(列車が…消えていく!)

列車の砕ける音は次第に大きくなっていき、長く連なっていた車両はもう半分以上も砕け散っていました。フォッコ達のいる車両も、もう間も無く亀裂に飲み込まれようとしています。

(どうしよう…! このまま列車が砕けてしまったら、自分達は銀河の果てに投げ出されてしまう!)

フォッコは思わずフシギダネの方を振り返りました。するとフシギダネは青ざめた表情をしながらも、窓の外の景色から目を離せないでいるのでした。

(フシギダネ…?)

「…うん、今、凄く大変なことになってるのは分かってる…。だけど、身体が上手く動かないんだ。窓の外を見てると色んな記憶が頭の中をぐるぐる巡って、嬉しいこと、悲しいこととかたくさん思い出しちゃって、まるで今自分がその記憶の中にいるみたいで……思うように動けない…」

それを聞いて焦ったフォッコは必死にフシギダネを窓から引き離そうとしましたが、列車の砕ける音はどんどん近づいてきているようでした。そしてついに、フォッコ達のいる部屋にも稲妻のような形の亀裂が走り、そこから眩しい光の筋が漏れ出しました。

(駄目だ、もう砕けてしまう!)

亀裂は迷路のような模様を描きながら増え続け、その度にピシッと鈍い音が響きます。フォッコはギュッと目をつむりました。
そしてとうとう、列車は一際大きな音を響かせながら、まるで高いところから落とされた宝石が割れて飛び散るように、砕けました。フォッコ達を乗せていた椅子だったものも瑪瑙のように輝きながらどこかへ消えていき、フォッコ達の身体はふわりと宙に浮いてしまいました。

(うう…とうとう投げ出されてしまったのか……もう、帰れないのかな…)

風も音もない冷たいところに浮かんだフォッコは、強く閉じていた目蓋を恐る恐る開けました。そこには、無限に続くような真っ暗な空間が広がり、その至るところに河原に咲いていたリンドウや三角の塔のような様々な色の光の粒が散りばめられていて、銀や薄桃色や青白い色に煙る雲がそこかしこに浮かび上がっていました。
 ▼ 64 テッポウオ@アクアスーツ 16/02/21 20:34:54 ID:cXtK2QjI [1/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
(やっぱり、ここは…宇宙なのか………)

真っ暗な宇宙の闇と星々の光のコントラストに目を眩ませるフォッコは、眼前に青く光る大きな球体があるのをを見つけました。

(あれは…何だろう……何故だか、見覚えがあるような気がする……)

周りを青くぼんやりと輝く薄い層で包まれたその球体は、暗い空間に浮かぶどんな色の星よりも一際美しく優しく輝いてそこにあるのでした。表面は粉砂糖でこさえたような眩しくて綺麗な雲に気紛れに覆われていて、その下には緑や茶色や様々な色をした大陸が、ちょうど水溜りに浮かぶ木の葉のように見えました。
一秒ごとに雲でできた模様の形を変えながらゆっくりゆっくりと回るその姿はまるで生きているようで、冷たい水のような色をしている星なのに、とても温かい息遣いを感じました。
じっと見ていると、何故か懐かしいような不思議な気持ちで満たされて自然と涙が溢れてくるのでした。

(…どうしてだろう。あれを見てると、身体の底から温かいものが込み上げてきて、息が詰まるような、切ない気持ちになる。長い旅から故郷へ帰ってきた時みたいな、不思議な気持ちに)

(…そうだ…きっと、自分達が帰る場所は、あそこなんだ…!)

(フシギダネ、一緒に帰ろう! あの星へ!)

フォッコはフシギダネの方を振り返りました。しかし後ろにいたフシギダネは青い星の方には見向きもせず、どこか虚空を見ているようでした。

「ああ…あの光、あそこにおじいがいる! 調査団のみんなも、おだやか村のみんなも! 帰っておいでって、ボクに話しかけてるんだ…!」

フシギダネはフォッコとは全く違う方向、列車の破片が消えていった方を見ながらそう言いました。

(もしかして、フシギダネにはまだあの記憶の海が見えてるのか…!)
 ▼ 65 コドラ@じゃくてんほけん 16/02/21 23:11:58 ID:cXtK2QjI [2/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
フォッコは懸命に腕を伸ばしてフシギダネを引き寄せようとし、叫びました。

フシギダネ! 行っちゃ駄目だ! そっちに行ってしまったら…もう二度とみんなに会えなくなる!!

「…! フォッコ…!」

フシギダネはフォッコの方を振り返り、その後ろの青い星を見てハッとした表情を浮かべました。フシギダネの赤い瞳は青い星の光を映して紫色に照らされ、うっすらと涙を滲ませているのでした。

そう…! こっちに来るんだ…!

フォッコの腕を掴もうとフシギダネも腕を伸ばした、その時でした。フォッコの身体はまるで何かに押さえつけられたかのように重くなり、急速に青い星の方へと引き寄せられたのです。フシギダネとの距離はみるみるうちに遠くなっていき、余りの速さと衝撃に視界がいっぺんに真っ暗になったように感じられました。
徐々に身体の感覚がなくなって意識が遠退いていきます。朦朧とする中で、フォッコは喉いっぱいに激しく胸をうって叫びました。



フシギダネ──────ッ!!
 ▼ 66 メガジュペッタ@ユキノオナイト 16/02/23 20:40:11 ID:84XoQ46k NGネーム登録 NGID登録 報告
…………

……

(…どこからか…声が、聞こえる…)

「…ォッコ! フシギダネ!」

「起きるんだど!」

「早く目を開けるんじゃ!」

フォッコは重なり合うようにして響く声に気づいて、目をゆっくりと開きました。するとそこはおだやか村の大きな木のある丘の上で、コノハナやアバゴーラ、それに学校のみんなが自分を取り囲むようにして集まっていたのです。
フォッコの胸はどきどきとして火照り、頬には冷たい涙が流れているのでした。

「ああっ! フォッコが目を覚ましたわ!」

「本当じゃ! 大丈夫かフォッコ!?」

「ぐすっ、心配させやがって、このヤロー!」

涙ぐみながら自分を見るシキジカやヤンチャム達のことをぼんやりと眺めながら、フォッコは何が起きているのかを整理しようとしました。するとコノハナが辛そうな顔をしながら言いました。

「ジバコイル保安官から聞いたんだど! スリーパーに攻撃されて逃げていたことと、その理由も…! オラのせいで、二匹を危険な目に遭わせて…本当に済まなかったど…!」

(…そうだ、思い出してきた。今日は星祭りがあって、コノハナ達を迎えにおだやか村に向かう途中で、スリーパー達に襲われたんだ。それでこの丘まで逃げてきて……)

フォッコは空を見上げました。すると星でできた大きな川は、目を覚ます前と変わらずに白くぼんやりと、真っ黒な南の地平線の上で煙ったようになっていました。その右にはドラピオン座の赤い星が美しく煌き、空全体の位置はそんなに変わってもいないようでした。
 ▼ 67 クリムガン@サファリボール 16/02/24 21:18:32 ID:9ZkCCxI. NGネーム登録 NGID登録 報告
(…あの川…そうだ、自分達は列車に乗って、あの川の端から端まで旅をしたんだ。…ここからは見えないけど、あの地平線の下には南十字があって、銀の川はそこで途切れていたんだ)

フォッコは銀河の線路から見た景色を思い出していました。大きな二つの十字架、雪のようなスワンナの群れ、赤い赤いドラピオンの火、そして数えきれないほどの三角の塔とリンドウの輝き…美しい星々が脳裏をかけめぐるのがまるで眩暈のように感じられました。

(…そこからは、どうなったろう…)

(…そうだ、急に列車が速くなって、空に浮かんだんだ。それで列車は砕けてしまって、宇宙から青い星を見て…でもフシギダネと離れ離れになってしまって…)

(そうだ! フシギダネは!?)

フォッコはハッとして青褪めた顔になり、周りを見回しました。すると自分のすぐ隣に、フシギダネがうつ伏せになって倒れていることに気付きました。その閉じられた瞳の端からは、うっすらと涙の筋が流れているのでした。

(フシギダネ! 起きて! 帰ってくるんだ…!)

フォッコは必死になってフシギダネの身体を揺さぶりました。フシギダネの魂が、まだあの冷たい空の彼方に置いてけぼりにされているような気がして仕方がないのでした。

「ワシらも起こそうとしとるんじゃが、フシギダネはまだ目覚めんのじゃ…」

(そんな…フシギダネ…! どこまでも一緒にいこうって、あの列車の中で約束したじゃないか…!)

フォッコは胸のあたりがさあっと冷たくなったように思いました。いつかこの丘の上で、フシギダネが淡い光に包まれて消えてしまったことを思い出したのです。

(せっかく…! せっかくまた会えたのに…! また二匹で一緒にいられると思ったのに! もう誰かを失うのなんて、いやだよ……!)

フォッコはぐっと顔を上げ、祈るように星空を見上げました。その様子は夜空の果てに取り残されてしまったフシギダネの魂を探しているかのように見えました。そしていつかと同じように、フォッコは高い空に向かって叫んだのでした。


フシギダネ…フシギダネ!!
 ▼ 68 デオキシス@ボイスチェッカー 16/02/25 20:32:40 ID:2xlpodE. NGネーム登録 NGID登録 報告
「…フォッコ、ちゃんと聞こえてるよ…」

すると掠れた声が小さく、しかし確かに響いたのでフォッコは驚いて声の方を見てみると、フシギダネがゆっくりと瞳を開けている姿がありました。

(フシギダネ…!)

「おお、フシギダネ! やっと起きたんじゃな! 心配させおって!」

「…おじい? それにみんなも…どうしたの…?」

「二匹とも、この丘の上で倒れてたのよ。私が見つけたんだけど、起こそうとしても全然起きる気配がないし、しかも凄く弱ってるみたいだったし…心配になって村のみんなを呼んできたの」

ニャスパーはそう言って安心した笑みを浮かべました。その隣からヌメラが、涙声で続けます。

「それでも二匹が全然起きないから、みんなで途方に暮れてたんだ……ぐすっ、けど、あの空の大きな白い川に沿って、ゆっくりゆっくり進む流れ星を見つけたんだ! ここにいるみんなで、その星にお願いをしたの! そしたら二匹が目を覚ましてくれたんだ! きっとあの星が、お願いごとを叶えてくれたんだよ!」

そう言われてフシギダネは空を見上げました。そこを流れる大きな星の川はこの星から途轍もなく遠い場所のはずなのに、何故かとても懐かしいものを感じたのです。川を彩る星の光の一つ一つが思い出となって頭の中に蘇り、フシギダネの瞳からは一筋の涙が零れました。その雫は星明かりに照らされて、まるで尾を引いて流れる彗星のように見えました。

「二匹が無事で本当に良かったど!」

(…自分達は、確かにあの空の川を旅していたはずだ。見てきた景色や風の心地良さ、それにメレシーやヤツシロのこと。全部憶えてる。でも、あの川はあんなに遠い。……夢、だったのかな………)

「…きっと夢じゃないよ。ほら、見て」

フシギダネはそう言って、小さな袋を取り出しました。その中を見てみると、ガラスのように透き通ったたくさんの粒があり、その一つずつに小さな光の揺らめきが宿っているのでした。

(これは…スワンナの停車場で拾った、水晶の砂だ…!)

砂粒の中の光は夜空に輝いている星達に呼応するように瞬き、それが確かな星の息遣いであること、列車の旅の記憶が本物であることを静かに証明しているのでした。
 ▼ 69 エイパム@ふるびたかいず 16/02/26 18:54:40 ID:WXTwjiO. NGネーム登録 NGID登録 報告
………

翌日、調査団基地にてフォッコ達は目を覚ましました。
二匹は昨夜のうちにおだやか村からワイワイタウンの基地まで無事に戻り、心配していた団員のみんなに迎えられました。色々なことがあって疲れ果てた二匹は基地に着いた途端に眠気に襲われ、昼過ぎまでぐっすりと眠っていたのでした。

「おはようございます、フォッコ、フシギダネ。体調の方は大丈夫ですか?」

二匹が目を覚ましたことに気付いたデンリュウが部屋まで様子を見に来ました。

「おはよう、デンリュウ。うん、ボク達とっても元気だよ!」

「それは良かった。先ほど、ジバコイル保安官から連絡がありました。昨夜君たちを襲ったというスリーパーとその仲間は逮捕されたそうです。取り押さえられたりした訳ではなく、自ら罪を告白してきたと聞いています」

(…!)

「『遣りきれない思いがあったとはいえ、罪のない二匹に対して腹いせのようなことをしてしまった。本当に申し訳なく思っている』と伝えてほしい、とのことでした。何か思い当たる節があるのではないでしょうか」

(…スリーパー…)

「私から深く追及はしませんがね。ところで、今日は君たちにお休みを与えます。調査の仕事は明日から頑張って下さい」

「えっ、ボク達もう元気だし、今から調査に行くつもりでいたんだけど…」

「やれやれ、そう何度も危険な目に遭わせるわけにはいきませんでしょう、このアンポンタン。今日君たちを休ませるのは療養のためだけでなく反省してもらうのも兼ねて、です」

「うっ…」

「君たちはまだ警戒心が足りなすぎる。何が起こるか分からないようなダンジョンに、たとえ急いでいたとしても手薄な装備で入っていくのは無謀でしかありません。いついかなる時も準備を怠らないこと、自分の実力を過信しないこと、みっちり反省してもらいますよ」

「はーい…」
 ▼ 70 ブルー@とくせいカプセル 16/02/27 15:09:58 ID:c0S/3I/s NGネーム登録 NGID登録 報告
保守
 ▼ 71 ケンホロウ@シルバースプレー 16/02/27 20:23:52 ID:sSRjGGNE NGネーム登録 NGID登録 報告
「それでは、私は仕事に戻ります。自分達の行いをしっかり省みること、それから、明日に備えてゆっくり休むこと。お願いしますよ」

そう言ってデンリュウは部屋から出ていきました。暫くのあいだ沈黙が続き、ぽつりとフシギダネが話し始めました。

「…昨日は色々あったよね。夢じゃないとは思うんだけど…あの列車は一体なんだったんだろうね」

(…多分だけど、命を終えた魂が天上へ向かうためのものだったんじゃないかと思う。きっとあの星の道を通って、魂の眠る場所へと還っていくんじゃないかな。何故自分達がそこに居合わせたのかは分からないけど…)

「…やっぱり、そうか。…じゃあ、メレシーとヤツシロは…」

(…本当に残念だけど、そういうことなんだろう。今になって思うと、彼らはあの列車がどういうものなのかを分かっていたように見えた。…メレシー達のお願いごと、覚えてる?)

「…うん。空の星を見上げる時に、思い出してほしいって」

(…そう。きっと、消えてしまう前に誰かの記憶の中に残りたいと願ったんだ)

「…ずっとずっと、覚えていようね。メレシー達がずっと、ボク達の思い出の中で幸せでいられるように。…そういえば、メレシーが最後に言ってたよね。『いつか本当の幸せを見つけてね』って」

(…うん。それも覚えてる)

「実はボク、あの時はどういうことなのかいまいち分からなかったんだ。何でそんなことを言ったのか、本当の幸せって何なのか」

(………)

「…メレシーからドラピオン座の昔話を聞いたとき、みんなが幸せに暮らせるようになるならドラピオンのように炎に燃やされたって構わないって、本当にそう思ったんだ。……けど、実際のボクは、守られてばかりだ。おだやか村のみんなにも、調査団のみんなにも。それから、フォッコにも」

(えっ? 自分も……?)

「…もしかしたら気付いていないかもしれないけど、昨日、ボクがあの大きな木の丘の上で目を覚ますことができたのはフォッコのおかげだったんだよ」
 ▼ 72 ロゼリア@りゅうのウロコ 16/02/28 13:29:52 ID:nW8UdmZY [1/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
(じ、自分が…?)

「列車が砕けてしまって、宇宙に投げ出されてしまった時…自由に身体が動かないし、もう元の場所に戻れないんじゃないかって、諦めかけてたんだよ。その時、フォッコの声がボクを呼んでるのが聞こえたんだ。綺麗な青い星の方から、ボクを何度も呼ぶ君の声が。力を振り絞って君の声のする方を目指していたら、何だか凄い力で引っ張られるような感じがして、それからあの丘の上で目が覚めたんだ」

(…! フシギダネも、自分と同じようにして星の方に引き寄せられていたのか…)

「きっと、君がボクをこの星に呼び戻してくれたんだと思うんだ。本当にありがとうね、フォッコ」

(…フシギダネ……)

「それでね、目が覚めて、フォッコやおだやか村のみんなの顔を見た時、それから調査団のみんなに迎えられた時……みんなにはとっても心配かけちゃったけど、ああ本当に幸せだなって、そう思ったんだ」

(…!)

「これがメレシーの言うような、本当の幸せっていうものなのかは、まだ分からないけど…ボクなりに、その答えに近づけたと思う」

(…自分達がいて、みんながいる。当たり前のように思えて、本当はとても幸せなことなんだね)

「そう。だから今回みたいに守られてばっかりじゃなくて、みんなを守ってあげられるくらい、強くなりたい。そうやって助け合って、ずっとずっとみんなで幸せに暮らしていけたらいいなって思うよ」

(…うん。そして、いつか最期のときが来たら、それまでの記憶を思い出しながら、幸せな一生だったと笑っていたい。そのために、今を懸命に生きていたい)

「そうだね。…ボク達、どこまでもずっと一緒に行こうね」

二匹は前足についた小さな指で、硬く指切りをして約束をしました。その傍らでは、昨日拾ってきた水晶の砂が二匹を見守るようにして暖かい星の瞬きを放っているのでした。
 ▼ 73 オーベム@デボンのにもつ 16/02/28 18:21:59 ID:nW8UdmZY [2/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
その日の夜、フォッコ達はワイワイタウンを流れる川の近くに来ていました。二匹はそれぞれの背に、シャンデラの青い炎を灯したオボンの実を一つずつ乗せています。

「デンリュウから外出の許可もらえて良かったね。ワイワイタウンから出ないっていう条件付きだけど…」

(それで十分だよ。どうしても今日のうちに、ここに来たかったからね)

二匹は川の水面の間近に来ました。緩やかな流れの川は銀色の小さな波をいくつか立てながら、わずかに音を立てて夜空の紺色に染まった水を静かに流していました。

「…メレシー、ヤツシロ。ボク達、ずっと覚えてるからね。たとえ君達の住んでた世界が君達のことを忘れたとしても、ボク達は忘れないよ」

そう言いながら二匹はオボンの実を川へと放ちました。青い燐光を灯した二つの実は流れに乗ってゆっくりと川を下っていきました。水面に浮かんだ二つの実は離れることなく、まるで仲良く寄り添うようにして、優しい宵闇の中をどこまでもどこまでも流れていくのでした。
下流の方は川幅いっぱいに銀河が大きく映って、水のないそのままの夜空のように見えました。フォッコ達は、メレシーとヤツシロがあの銀河のはずれにいるような気がして、思わず視界を潤ませました。

「……さ、行こうか。調査団のみんなが待ってる」

青い二つの灯火が見えなくなるまで見送った二匹は、調査団基地の方へと歩き始めました。色々な思いを抱えた二匹が黙ったまま帰り道を歩いていると、前方から見慣れたポケモンの影が現れました。

(…あの頭の葉っぱは……コノハナ?)

「あれ? コノハナさん! 街に来るのは珍しいね! どうしたの?」
 ▼ 74 ヤドキング@パワーアンクル 16/02/28 19:31:41 ID:nW8UdmZY [3/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
「おお、フォッコにフシギダネ! 今日は畑仕事に行ってて、今はその帰りなんだど!」

「畑仕事? コノハナさんって畑持ってたっけ?」

「いいや、オラの畑じゃねえ。昨日逮捕された、スリーパーの畑の方に行ってたんだど」

(…!)

「だいぶ荒れ果ててたんで、今日は土を耕して種を蒔いてきた。ちゃんと芽が出るかは分からんし、これしきのことが償いになるとは思わねえけど……オラはオラにできることをするって決めたんだど。一生をかけて、罪を償うと誓ったからな」

「コノハナさん……頑張ってね! でも無理はしちゃ駄目だよ? たまには息抜きもしてね! そうだ! また今度ボク達と一緒に調査にも行こう!」

「フシギダネ…ありがとな! それじゃあ気をつけて帰るんだど!」

そうしてコノハナはおだやか村の方へと帰っていきました。フォッコ達も再び歩き始めました。すると突然フシギダネが吹き出すように笑うので、フォッコは驚いてそちらを見ました。

「えへへっ、ボクねえ、さっきもちょっぴり幸せだなって思ったんだ」

(え…?)

「コノハナさんがスリーパーの畑を耕しに行ったこと。それでスリーパーが許してくれるかはまだ分からないけど、きっと何か少しは心に響くんじゃないかと思うんだ。そうやって少しずつ仲直りして、絆が生まれて、その絆がたくさんのポケモンに広がっていったら…すっごく幸せなんだろうなと思って」

(……フシギダネ……)
 ▼ 75 ユレイドル@するどいくちばし 16/02/28 19:56:57 ID:nW8UdmZY [4/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
「…ねえフォッコ。これからも一緒に調査の仕事、頑張ろうね。色々な場所に行って、たくさんのポケモンに出会って…世界地図を完成させるんだ。これからの長い一生の中で、メレシーの言ってた、本当の幸せを見つけよう」

(…うん。そして、いつかそれを見つけてこの世界から旅立つ時、またあの列車に一緒に乗ろう。今度は、本物の切符を持って)

「うん。その時は、世界地図も忘れずに持っていこうね!」

(……! うん、そうだね)

そして列車の中から見えるあの綺麗な星の景色を、世界地図に記すんだ。

自分達の歩んできた、最後の旅路として───






──おわり──
 ▼ 76 コモルー@パワーリスト 16/02/28 20:09:02 ID:nW8UdmZY [5/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
以上で当SSは終わりになります。
このような更新の遅さにも関わらず、ここまで読んで下さった皆様に最大限の感謝を。
また、支援や保守をして下さった方々もありがとうございます。あなた方が下さったレス、一生忘れません。
このSSを書く機会に恵まれたこと、とても幸福に感じております。
本当にありがとうございました。
 ▼ 77 ヌケニン@ナナシのみ 16/02/28 20:45:14 ID:JVdcvoC6 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
乙
 ▼ 78 メガニウム@こだいのおまもり 16/02/29 19:08:36 ID:u3d.QGgU NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
乙
 ▼ 79 ミズゴロウ@そうこのかぎ 16/03/02 23:28:21 ID:Ogvni4b. NGネーム登録 NGID登録 報告
乙あげ
 ▼ 80 ドーブル@いましめのツボ 16/03/02 23:39:58 ID:n2dUVKAU NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
終わってた
乙
 ▼ 81 アルセウス@あさせのかいがら 16/03/03 00:17:31 ID:qjCPy0fs NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
世界がぜんたい幸福にならないうちは
個人の幸福はあり得ないーー宮沢賢治

お疲れ様でした
 ▼ 82 ワルビアル@ちいさなキノコ 16/03/04 17:55:57 ID:MuLrcnhU [1/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
遅くなりましたが、以下は『銀河鉄道の夜』を読んだことのある方向けの後書きです。

ご覧の通り、ポケダン要素を取り入れるに当たってこのSSは原作の小説とは大きく違った展開を含む結果となりました。(特に終盤辺り)
もし皆様の期待に沿えるような結末になっていなければ、大変申し訳なく思います。

登場キャラクターの大まかなモデルとしましては、
フォッコ(主人公):ジョバンニ
フシギダネ(パートナー):カムパネルラ
メレシーとヤツシロ:鷲の停車場の辺りから乗ってきた姉弟と青年
というイメージでした。
しかし原作でのカムパネルラは銀河鉄道の乗客となり帰らぬ人となってしまいますので、原作通りの展開を描こうとするとフシギダネを消失させる必要がありました。
実はフシギダネの生存と消失についてはどちらにするか最後まで悩んでいたのですが、ポケダン本編でのあの別れを乗り越えて再会したのにまた別れてしまうことになるのは余りにも救いがなさすぎると考え、このような結末にしました。
 ▼ 83 ニドキング@インドメタシン 16/03/04 17:58:31 ID:3R3MWBa2 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
乙です
 ▼ 84 ダルマッカ@しんかいのキバ 16/03/04 18:29:10 ID:MuLrcnhU [2/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
またフォッコとフシギダネはほぼ同じ立場で列車に乗っていたということもあり、最終的なイメージとしては
フォッコ:ジョバンニ
フシギダネ:ジョバンニとカムパネルラの要素を掛け合わせたもの
メレシー達:カムパネルラと姉弟と青年の要素を掛け合わせたもの
というものになりました。カムパネルラのイメージを、ジョバンニの親友としてのカムパネルラ(フシギダネ)と、正式な列車の乗客として銀河鉄道の本質を知っているカムパネルラ(メレシー達)の二つに分けて表現しました。
結果として読者の方にとって分かりにくい描写や展開が含まれていたかもしれません。申し訳ないです。



因みに人間のヤツシロの名前の由来は、リンドウ咲きカンパニュラの別名、ヤツシロソウから。

カンパニュラとカムパネルラって似てるよね!



それではここまで読んでいただき、ありがとうございました。
また機会があれば、今度は原作に頼らないオリジナルのSSも書いてみたいと思います。
 ▼ 85 メガミュウツーY@みかづきのはね 16/03/04 18:31:00 ID:guYNP... NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
乙

面白かった
  ▲  |  全表示85   | << 前100 | 次  |  履歴   |   スレを履歴ページに追加  | 個人設定 |  ▲      
                  スレ一覧                  
荒らしや削除されたレスには反応しないでください。
書込エラーが毎回起きる方はこちらからID発行申請をお願いします。(リンク先は初回訪問云々ありますがこの部分は無視して下さい)

. 書き込み前に、利用規約を確認して下さい。
レス番のリンクをクリックで返信が出来ます。
その他にも色々な機能があるので詳しくは、掲示板の機能を確認して下さい。
荒らしや煽りはスルーして下さい。荒らしに反応している人も荒らし同様対処します。




面白いスレはネタ投稿お願いします!
(消えた画像の復旧依頼は、問い合わせフォームからお願いします。)
スレ名とURLをコピー(クリックした時点でコピーされます。)
新着レス▼