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SS

ボタン「ふふ、幸せ……」(大きくなったお腹をさすりながら)

 ▼ 1 ドッコラー@あやしいおこう 25/09/06 14:20:35 ID:1Bdo7ZOQ [1/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ハルト「!?」

ハルトママ「!?」


それはとある家庭での夕食時の出来事だった

ここはパルデア地方の小さな町、コサジタウン

ハルトはそこで母親と二人で暮らしていた

共に食事をする少女は海外から留学をしており、アカデミーの寮で一人暮らしをしている

今日はそんな寂しい暮らしをするボタンを案じて、ハルト達は夕食へと招待していたのだった

そんな折にこの爆弾発言が飛び出し、一瞬にして食卓は凍りついたのだった……!
 ▼ 2 アリアドス@たてのカセキ 25/09/06 14:28:22 ID:1Bdo7ZOQ [2/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ハルト「」

ハルトママ「」

ボタン(ん……?なにこれ)


衝撃のあまり言葉が出ない親子。その異様な空気にボタンもすぐに気付いた

しかしそうなった原因には全く心当たりがない


ボタン(それにしてもやっぱり美味しいなぁ。ハルママの手料理)


そんな空気をよそに、呑気にまた大きくなったお腹をさする

そう、彼女はただ、ご馳走になった夕食の感想を述べていただけだったのだ

彼女は小柄だが、かなりの大食いである。特に気に入った食事に対しては動けなくなるほど食べてしまうほどだと言っても過言ではない

ご馳走への感謝の言葉は思うにとどまらせるわけにはいかない。ボタンは再び口を開く


ボタン「これからも毎日食べたいくらい……」

ハルト「毎日……食べたい……!?」

ハルトママ(つまり、この家の……家族になりたい、否、なるべきだ、と……!?)


そして不用意な言葉は思わぬ追撃となった
 ▼ 3 マメパト@バグメモリ 25/09/06 14:34:59 ID:1Bdo7ZOQ [3/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ハルトママ「そう……今日はそれを報告しにきたのね」

ハルト「ち、ちがっ……!」

ボタン「……?」

ハルトママ「ハルト……男なら責任を取りなさい」

ハルト「でも……!」

ハルトママ「言い訳は無用!!」

ハルト「は、はいいいいいいい!!」


見たことのない母親の気迫に、少年はただ従うしかなかった

そもそも心当たりがないのなら否定すればいいのでは?

しかし少年にはそのような考えも浮かばない

なぜなら彼は母親のお腹に子が宿るメカニズムを知らないからだ

そんな彼の元に、お腹の大きくなった仲の良い女子が現れたのだ。これでは否定することは不可能である


ハルト「あ、あの……そういうわけで、ボタちゃん」

ボタン「ん、なぁに?」

ハルト「一生をかけて君を守ります。こんな僕で良ければお付き合いしてください!!」

ボタン「!?///」
 ▼ 4 ネンドール@こだわりちまき 25/09/06 14:47:42 ID:1Bdo7ZOQ [4/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
───翌朝


ボタン「……!」ガバッ

ニンフィア「ふぃぁぁ〜」アクビ

ボタン「ぁ……夢?……じゃない!?」


目を覚ました少女は部屋を見渡す

そこには共に添い寝する見慣れた己のポケモン達がいた

しかしその景色は、見慣れた己の寮部屋ではなかったのだ

昨日はあの後、どう返事をしたのか、どう過ごしたのか……

彼女は記憶が曖昧だった

それもそのはず。好きな男子に食事に誘われたかと思ったら、唐突な母親公認の交際を申し込まれたのだ

これで混乱しないほど気丈な精神は持ち合わせていなかった


ハルトママ「あらボタンちゃん、おはよう。よく眠れた?」

ボタン「おはようございます……あ、そか。昨日あのまま泊まったんだっけ……」


どうやらここはハルトの家の客間らしい。彼の母親が起こしに来てくれたようだ


ハルトママ「体調は大丈夫?少しでも悪くなったら言ってね。無理に学校通わなくってもいいからね。ママが支えてあげるから一緒に頑張りましょう」

ボタン「は、はぁ……だいいじょぶです」


客人に対する丁寧な対応の度を越えた、心配の言葉の数々……

もしかして自分は体が弱いタイプだと思われているんじゃ?そう思ったがせっかくの心配を無下にする理由もなく、少女はただおせっかいを受け入れる


ハルトママ「ほらハルト。あなたも手伝いなさい」

ハルト「はい……ボタちゃん、僕に出来ることがあったらなんでも言ってください……」ゲッソリ


むしろこっちを心配した方がいいのでは……そう思わずにはいられないほど疲れた顔をしたハルトがそこにいた
 ▼ 5 セゴール@ぎんいろのはね 25/09/06 14:55:36 ID:1Bdo7ZOQ [5/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ボタン「ハルト!?そ、そっちこそ大丈夫!?凄く青い顔してるけど……」

ハルト「ははは……昨日ちょっと眠れなくってさ。これからのこととか、考えすぎちゃって……」

ハルトママ「それくらいでいいのよ。それが大人になったということよ、ハルト」

ハルト「はい……」

ハルトママ「さてと!今朝ご飯作るわね。ハルトも手伝いなさい!」

ハルト「はい」

ボタン「あの、うちも何か手伝いを……」

ハルトママ「大丈夫よ!ボタンちゃんは座ってて」

ボタン「え、でも……」

ハルト「これは僕の仕事なんで」

ハルトママ「ちゃんと健康に気を遣ったメニューにしなきゃね。あっ、コラ!調味料入れすぎ!!」

ハルト「ごめんなさい……」


いつも自分を助けてくれた憧れの男子の、弱りきった姿

どう言葉をかけて良いものか迷ったボタンだが、それを遮るようにコキ使い始める母親

これがこの家の日常なのだろうか……

優しそうに見える母親が少し怖く見えたボタンであった
 ▼ 6 ガラルダルマッカ@カセキのリュウ 25/09/06 14:56:42 ID:khIwbMBk NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
ぶっちゃけボタちゃんは孕んでるよりもお腹いっぱい食べて幸せになってくれた方が嬉しいまである
 ▼ 7 アママイコ@いちごスライス 25/09/06 15:02:13 ID:1Bdo7ZOQ [6/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ハルトママ「あらもうこんな時間!早くしないと学校遅れるわよ」

ハルト「いっけね!コライドンでかっ飛ばせば間に合うかな。ボタちゃん後ろ乗って!」

ハルトママ「ダメに決まってるでしょ!!!」

ハルト「あ、はい……すみません」

コライドン「アンギャ……」


なぜか一番悲しそうにしているコライドンであった


ハルトママ「あ、ボタンちゃんは今日どうする?お休みするんだったらお部屋の用意するけど」

ボタン「全然平気だし。いこっ、ハルト」

ハルト「うん。いってきまーす!」


なぜ自分はこんなにも過保護にされるのか、いまいち状況が掴めていないボタンだったが、好きな男子と共に登校するというシチュエーションは彼女にとって楽しみでもあった


ハルトママ「いってらっしゃーい」


二人を見送る母親。しかしここで重大な事実に気が付いてしまう


ハルトママ(あれ……?ボタンちゃんのお腹、元の大きさに戻ってる……?)
 ▼ 8 ベイリーフ@むしくいぼんぐり 25/09/06 15:22:26 ID:Tv6.ilZ2 [1/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
アンジャッシュわろた
 ▼ 9 エムリット@たんけんセット 25/09/06 15:33:34 ID:1Bdo7ZOQ [7/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ハルト「あの、さ……ボタちゃん。昨日のことだけど……」

ボタン「ん、昨日?美味しかったね!」

ハルト「そ、そうそう!昨日の夕食の話ね」

ボタン「ハルママの料理上手で羨ましい。うちもあんな風になりたいなぁ、とは思っとるんよ?なかなか実行に移せてないけど……」

ハルト(それってやっぱり、僕のために!?///)


やはり往来であのような話はし辛いのか、ボタンは上手く話を逸らしてくれた

……と思っているのはハルトだけで、例によってボタンはただ夕食の感想を述べただけだ

再三になるが、ボタンにとって昨日の出来事は衝撃のあまり、記憶が曖昧である

このままならいずれ勘違いに気付くのは時間の問題かもしれない。そうなれば昨日のことなど何事もなかったかのように、二人に日常が戻ってくるだろう


ネモ「二人とも!おっはよー!!」

ハルト「おはよう、ネモ」

ボタン「うっす。はよー」

ネモ「聞いたよ!!お付き合いすることになったんだってね!!!!!!」

ハルト・ボタン「!?///」


……しかしそれを許さないのが田舎クオリティである
 ▼ 10 ワシボン@ルームキー 25/09/06 15:35:40 ID:Tv6.ilZ2 [2/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
ネモちゃん…
 ▼ 11 ヌイコグマ@ディアンシナイト 25/09/06 15:36:27 ID:f0qw4aws NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
草
 ▼ 12 アチゲータ@きんりょくのハネ 25/09/06 15:52:25 ID:1Bdo7ZOQ [8/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ネモ「いやぁ、ついに二人がねぇ!!おめでとう!!私昨日興奮して眠れなかったよ!!!」

ハルト「しっ!声が!声がデカい!!」

ボタン「……///」

ネモ「あぁごめんごめん。まだ恥ずかしかった?」

ハルト「だって……」


経緯が経緯だ。あまり言いふらさないでほしいのは、不貞男からすれば当然である


ボタン「う、うん……うちも恥ずいから、あんまり大声で言わんでおいてほしいんよ……」


ボタンもまた、純粋に初めての交際というものを恥ずかしがっていた


ネモ「そっかそっか。ごめんね!学校の近くでは言わないように気を付けるね」

ハルト「本当に気を付けてよ。ネモの声デカいから」

ボタン「大きい声じゃなかったら言ってもいいって意味じゃないからね」

ネモ「分かってるよー!でも私も嬉しくってさー!あ、そうだ!それより時間大変だよ!ハルト、コライドンに乗せてくれない?」

ハルト「そういうわけにはいかないよ!」

ネモ「どうして?」

ハルト「だってボタちゃんは……とにかくダメ!僕達優等生なんだからたまには遅刻してもいいよ。ゆっくり歩いて行こう」

ネモ「んー……よく分かんないけどハルトがそう言うなら」

コライドン「キュウス……」


……優等生は自らこんなことを言わないと思うが、とにかくこれでボタンの体は守られただろう

またしても大好きなボタちゃんを背中に乗せられなかったコライドンは少し残念そうだった

しかしこのやり取りでハルトには分かったことがあった

ネモのはまだ、どのような経緯でハルトとボタンが交際することになったのか、その理由は知られていないと言うことだ

交際の事実こそ一瞬でバレていたものの、とりあえずそこを知られていないなら……と少し安堵したハルトであった

ボタンもまた、あのネモもポケモン勝負以外で眠れなくなるほど興奮することがあるのか、彼女もまた一般的な年頃の少女なのか、そう別の理由で安堵していた
 ▼ 13 ハトーボー@ハギギシリのは 25/09/06 16:03:18 ID:1Bdo7ZOQ [9/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
小一時間、ようやく一行はオレンジアカデミー前の階段まで辿り着いた

道中には坂が多く、ハルトがやたらとボタンの足元を確認したり、安全を確保しながら進むために普段以上に時間がかかったのだ


ハルト「ふー、やっと着いたね」

ボタン「結構距離あるね……毎日だったらしんどそう」

ネモ「そんなこと言ってぇ……ボタンったらまだまだ余裕そうじゃん……」

ハルト「普段だったらそうかもしれないけど……ねぇ?」

ボタン「……?何が?」

ネモ「それにまだ地獄の階段が残ってるよー!」


長かった道のりもあと少し、最後の気合いを入れる一行だったが、階段の上層から足音が聞こえてきた


ハルト「こ、この足音は!?」

クラベル「お待ちしていました、みなさん」


まるで黒幕の登場の仕方である
 ▼ 14 シビビール@とくせいカプセル 25/09/06 16:14:57 ID:1Bdo7ZOQ [10/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ハルト「クラベル校長先生!?」

ボタン「やば、怒られる……!」

ネモ「い、一回くらいいいじゃないですか遅刻くらい!」

クラベル「遅刻?ええ、確かにそうですが、今回は事態が事態ですから不問としましょう。ハルトさんのお母様からお話は伺っています。ボタンさん、気を付けて登ってくださいね」

ボタン「は、はぁ」

ハルト「……」

ネモ「……?」


丁寧にボタンの手を引きながら階段を先導するクラベル校長

やはり知られていたかと落胆し、俯くハルト

訳も分からないままとりあえず差し出された手を取るボタン

私も補助してほしいのに、と少し文句を言いたげな体力よわよわネモ


「あれ?ハルトくんこんな時間に」
「生徒会長さんと真面目そうな眼鏡の子もいるよ。遅刻なんて珍しいね」


この光景は、体育の持久走の授業のためにテーブルシティのを走っていた何人かの生徒に目撃されていた

普段から優等生で有名な三人が揃って遅刻をし、校長に出迎えられている

これだけで珍しい光景だと、瞬く間に生徒たちの間にこの件は広まっていった

しかしやはり知る者が増えれば当然、事の真相に気付いてしまう者もまた増えていくのだ。……それが本当に真相なのかは置いておいて
 ▼ 15 ミロカロス@でんせつのメモ? 25/09/06 16:22:27 ID:fpCYd6WE NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
もう終わりやねハルト
いや始まりか
 ▼ 16 メガニウム@カセキのリュウ 25/09/06 16:23:47 ID:1Bdo7ZOQ [11/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「ねえ聞いた?ハルトくんの例の噂」
「ああ聞いた聞いた。カップル誕生の話だろ?」


学生というのは噂が好きな生き物らしく、それが色恋沙汰ともなればより大きな話題となるようだ

こうして瞬く間にハルトとボタンの交際の噂は広まっていった

……かに思えたが


「それどころじゃないよ。ここだけの話なんだけどね……」
「えっ!?ま、マジかよ……それヤバくね?」
「一見優等生に見えてもやることはやってるんだな」
「しかも一人じゃないらしくって……」


学生の噂における「ここだけの話」が本当にここだけの話になるはずもない

もう一つの噂もまた、恐ろしいほどの速さで広まっていった

その内容とは……


「ハルトくんがボタンちゃんとネモちゃんを妊娠させたらしいよ!!!」


……だ、そうだ

ボタンの手を丁寧に引くクラベル校長、何か悪いことをしたのがバレたかのように俯くハルト、その時たまたま一緒にいたネモ

この状況から、このような噂が推理されてしまったのだ
 ▼ 17 ズバット@ポイントアップ 25/09/06 18:16:03 ID:Cx4ItXUs NGネーム登録 NGID登録 報告
誰だそんなとんでもない勘違いをしたのはwww
 ▼ 18 コバルオン@レシラムのおやつ 25/09/06 19:04:13 ID:1Bdo7ZOQ [12/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
これだけではいかにも突拍子のない推察に見える。噂好き学生達の想像力にはヒガナさんもびっくりすることだろう

実際に最初は信じる生徒もいれば、信じない生徒もいた

しかし火のないところに煙が立つことなどなく、この噂を決定付けるような出来事は次々に起こっていった


キハダ「体育の授業を始めるぞ!あ、ボタンは見学の方がいいよな?」

ボタン「え?なんでっすか」

キハダ「なんでもだ!自分の体は大切にしろ!」

ボタン「は、はぁ……」

「やっぱりあの噂って本当なの……?」
「そういえばあの子、前に見かけた時凄くお腹大きかった気がする」
「今はお腹の大きさが目立たないような服着てるのかな?」

ネモ「キハダ先生、私も見学でいいですか?なんだか調子が悪くって……」

キハダ「そうか?それなら仕方ないな!ボタンと一緒に日陰に居るといいぞ!」

「ふーん……やっぱりネモちゃんもなんだ」
「こりゃ間違いなさそうだね」
「ハルトくんサイテー……」

キハダ(校長から聞いた話ではボタンだけだったと思うが……まあネモも普通に体調悪そうだ。休ませてやろう)


ちなみにネモは猛暑に耐えきれずにバテているだけなのだが、この出来事が決定打となり、ボタンとネモの二人が妊娠している……という噂はまるで事実かのように広まっていった
 ▼ 19 ウツドン@ガケガニスティック 25/09/06 19:07:21 ID:MoRorIec NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
噂って怖いなぁ…
 ▼ 20 ウルトラネクロズマ@ハガネールナイト 25/09/06 19:21:36 ID:1Bdo7ZOQ [13/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
そしてある日、ついにハルトは校長室へ呼び出しを喰らった


クラベル「ハルトさん。なぜ呼ばれたのか、その理由が分かりますね」

ハルト「はい……例の件ですよね。ボタちゃんの……」

クラベル「ボタンさんだけではないでしょうが!!」

ハルト「ひっ!?」


あの優しい校長先生が声を荒げた

最初に階段で出迎えてくれた時は怒っている気配がまるでなかったというのに……

怒られ慣れていない優等生のハルトは、今にもやっていない罪まで白状してしまいそうなほど恐れ慄いていた


クラベル「ハルトさん、私はね、最初は怒るつもりはなかったんです。確かにあなたのしたことは、学生の身としては褒められることではありません。他の先生方とこの件について話し合った時も、もっとしっかり叱って指導すべきだという意見もありました。しかし私は叱るよりもサポートをすべきだと思った。だからあのときは怒っていませんでした」

ハルト「…………」プルプル


坦々と続けているように見えるが、クラベル校長の顔は見たことのない怒りの形相のままだ

ハルトはただ黙って聞くしかなかった

……何も心当たりがなかったのに


クラベル「しかし二人目は許容できません」

ハルト「…………」


そう、二人目というワードにまるで心当たりがなかったのだ

噂好きの学生というのは器用なもので、瞬く間にアカデミー中に噂を広めた割には、噂の当人達には一切耳に入らないようにしていた

その為ハルトには今怒られている理由は分からなかったし、ボタンやネモもなぜやたらと周りが過保護にしてくるのか、その理由は分かっていなかった
 ▼ 21 ガラルマッスグマ@カルボウのすす 25/09/06 19:34:48 ID:1Bdo7ZOQ [14/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ハルトママ「失礼します」

クラベル「お待ちしていました」

ハルト「ママまで!?」

クラベル「勝手ながらお母様にもご報告させていただきました」

ハルト(だから何の話……!?)

ハルトママ「本当に……息子がご迷惑をかけております……!ほら!あなたも謝りなさい!!」

ハルト「ひぇ!ご、ごめんなさい……」


母親に無理矢理頭を下げさせられるハルト。相変わらず話は見えていないままだ


ハルトママ「謝る相手が違うでしょうが!!!!」

ハルト「…………」


無理矢理謝らせておいてこれである

あまりにも理不尽な説教に、ハルトの心は限界を迎えようとしていた


ハルトママ「ハルトが……ハルトまで“あの人”と同じだと思わなかった……!」

ハルト「……!!」


ハルトの決壊を待たずに泣き出す母親。その姿はハルトを逆に冷静にさせた

なぜなら彼女の言う“あの人”とは……ハルトの父親のことを指すからだ
 ▼ 22 ギラティナ@エスパージュエル 25/09/06 19:52:29 ID:1Bdo7ZOQ [15/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
あの人……ハルトの父親であり、ハルトママの夫。否、“元”夫

ハルト一家は元夫の不倫が原因で離婚し、たんまりと払わせた慰謝料で思い切って海外へと引っ越してきたのだった

そして今度は息子が元夫と同じことをしている

その報告を聞いた時の彼女の悲しみは計りしれないだろう……


ハルトママ「ハルト……っ!どうして……っ」

クラベル「お母様……どうか落ち着いてお話をしましょう」


先ほどまで鬼の形相だったクラベル校長も、いつもの落ち着きを取り戻す

ハルトにとってはそれが唯一の救いだった

だが母親が言ったあの人、そしてこの反応

ようやくハルトは、自分が元父親と同レベルのことをやらかしたのだと理解した


ハルト「ごめんなさい……ママ……」

ハルトママ「だから!!謝る相手が……!!」

クラベル「お、お母様落ち着いて!今ボタンさんとネモさんもお呼びします。どうか落ち着いてみなさんで今後のことを話しましょう。過ぎたことをひたすら怒鳴っても何も解決には繋がりません」

ハルト「ボタちゃんと……ネモ……」


どうやら自分はボタンだけでなく、ネモまで妊娠させてしまったらしい、ハルトはそう考えをまとめる

妊娠のメカニズムを知らないハルトにとって、自分に一番近しい関係の女子二人を妊娠させてしまったと聞いても疑問を持たずに受け入れるしかなかった

ましてや今回は泣き叫ぶ母親と怒っているのを見た事のない校長の鬼の形相に囲まれていたのだ

彼に正常な判断をすることはもう、不可能に近かった
 ▼ 23 スターミー@だいちのプレート 25/09/06 21:58:07 ID:1Bdo7ZOQ [16/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
キンコンカンコーン

校内放送『ボタンさん、ネモさん、校長室へお越しください』

ボタン「うげっ!?校長室て……うちなんかやっちゃったっけ……?最近体育サボりがちなこととか?や、でもあれは周りのみんなが何故か止めてくるだけだし……」


またしても何も知らないボタンさん

彼女はここ数日、授業の時間以外は部屋に篭りがちだった

その様子を見た周りの生徒たちは、例の件のせいであまり外に出ることが出来ないのだろうと確信していた

だが実際には恋人となったハルトのために料理の修行をしていたのだ


ボタン「はぁ……まあ考えても仕方ないし。行くかぁ……」ガチャッ

ネモ「あ、ボタン。一緒に呼び出されちゃったね。なんか心当たりある?」

ボタン「さあ……?」


ネモもまた、最近は部屋に篭りがちだった

口を開けばポケモン勝負、一歩歩けばポケモン勝負、目と目が合ったらポケモン勝負だった彼女の異変もまた、噂に真実味を持たせる一因となっていた

実際には例によって猛暑に耐えきれずバテていただけだったのだが


「二人共大丈夫?」
「校長室まで結構距離あるよね。歩ける!?」


ネモ「大丈夫だよー。じっくり休んでたもん」

ボタン「うちも平気……心配してくれてありがと」


相変わらず状況がよく分かっていない二人だったが、人が優しくするのに理由などないだろうと特に疑問に思わず、このように声を掛けられる状況は日常と化していた
 ▼ 24 ハハコモリ@ポテトサラダ 25/09/06 22:02:42 ID:MkF.B1VU NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカン(アカン)
 ▼ 25 ポリゴン2@てんかいのふえ 25/09/06 22:06:03 ID:S.e2jSCM NGネーム登録 NGID登録 報告
いい気味だべ
 ▼ 26 エムリット@グラスメモリ 25/09/06 22:14:02 ID:1Bdo7ZOQ [17/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ボタン「失礼しまっす……」

ネモ「あれ?ハルトのお母様!」

ハルトママ「……ハルト」

ハルト「……この度はッッッ!!!申し訳ありませんでしたァァァッッッ!!!!!」


ドドゲザンを思わせる華麗なるスライディング土下座が決まる

ハルトママは不謹慎にも、この様子を見て元夫のことを思い出していた。彼もまた、不倫発覚時には同様の謝罪をしていたのだ……


ボタン・ネモ「……え?」ポカーン


しかし謝罪された二人は困惑するだけだった

当然である。二人にとっては謝られる理由に全くもって心当たりがなかったのだから


ハルトママ「本当に……本当に申し訳ないわ。うちのバカ息子がとんでもないことを……」

クラベル「…………」

ボタン「は、はぁ……いえ、全然気にしてないんで……」

ネモ「す、過ぎたことは仕方ないですよー」


誠心誠意謝るハルト親子に、見たことのない厳しい表情で状況を見守るクラベル校長

全く心当たりのない二人も、とりあえずありきたりな言葉で謝罪を受け入れるしかなかった

しかしそれが全ても間違いだった

もし二人のうちどちらかだけでも状況を把握していれば、否定が出来ていたはずだった

しかし二人そろって謝罪を受け入れてしまったことにより、この場においては例の噂は“事実”として扱われる他なくなってしまったのだ
 ▼ 27 アブリー@カゴのみ 25/09/06 22:58:05 ID:1Bdo7ZOQ [18/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
クラベル「……実際に本人達の口から聞くまでは、噂は噂だったと思いたかった……しかし本当だったんですね」

ボタン・ネモ「……はい」


迫真の謝罪をしているハルトと涙を流すハルトの母親を前に、何の話ですかとは聞けなかった


クラベル「どう責任を取るおつもりですか?ハルトさん」

ハルト「それは、こう……なるべく二人に付きっきりでサポートして……」

クラベル「そんなのは当たり前のことです。私はその先の話を聞いています」

ハルト「先……?」

ハルトママ「そうよ、ハルト。このままだとあなたはあの人と同じになっちゃうの。これからもずっと二人と関係を持ち続けるなんて許されることではないの」

ハルト「う……」

ボタン・ネモ「……!?」


俯くハルトと、絶望した表情の二人

状況をまるで分かっていないボタンとネモにとっては、この三人での共通の関係といえば“友達”である

それを唐突にどちらかとしか付き合いを許さないと、彼の母親が真剣な顔で言い出したのだ

しかし口出しする勇気もなかった

それほどまでに現場は緊迫した雰囲気になっていたのだ


ハルト「それは……でも……」チラッ


ボタンの方を見るハルト。この数日、まだ短い期間ではあるがハルトはボタンと恋人として過ごした思い出が走馬灯のように蘇る

思い出だけではない。ボタンもまたハルトのために努力を重ねてくれている

そんな献身的な彼女を切り捨てることなど出来るはずもない

しかし友達よりも恋人が大事だ、そう即答することも出来なかった。ネモもまた大切な友達であることに変わりはないのだ

どちらが上か、などとハルトに決めることは出来なかった
 ▼ 28 ミニーブ@なつきポン 25/09/06 23:17:04 ID:1Bdo7ZOQ [19/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ハルトママ「……そう。やるだけやって、責任を取るつもりはないってことね」

ハルト「そ、そんなこと言ってないよ……!」

ハルトママ「黙りなさい!!ハルトなんてもううちの子じゃないわ!!あの人のところにでも帰れば!?」

ハルト「……っ」

クラベル「お、お母様……」

ネモ「……」

ボタン「……」


いよいよ佳境へと進んでいく修羅場。置いてけぼりになっている当の本人達も、まるで自分が怒られているかのように口を紡ぐしかなかった

他人の親が激怒している時に口を挟める子供などいるだろうか

相変わらず二人が状況を把握できないまま話が進んでいくしか選択肢はなかった


ハルト「ごめん……なさい……っ!僕、ちゃんと責任取ります!だから……!」

ハルトママ「……だから?」

ハルト「まだママの子供でいさせてください……っ!!」


涙ながらに再びの華麗な土下座を決めるハルト

普段泣かない気丈な息子のこの姿を何度も見た母親も、少し冷静を取り戻す


ハルトママ「……ごめんね。ママも言い過ぎた。これから一緒に、責任を取っていく方法を考えましょう」

ハルト「ママぁ……!」

ハルトママ「二人もごめんなさい、恥ずかしいところ見せちゃった……いずれちゃんとさせるから、今は……もう少しこのバカに時間をくれる?」

ボタン・ネモ「は、はい……」

クラベル「……そうですね。ハルトさんはまだ子供です。急に全てを決めるのは難しい話でした。今日のところは一旦解散としましょう」


突然充電が切れたかのように優しい母親に戻ったハルトママ。しかし少し前までの気迫が頭にこべりついてしまった二人はただただはいとしか言えなかった

ともかくこうして第一回の修羅場は収まった
 ▼ 29 マメパト@レトルトカレー 25/09/06 23:27:17 ID:1Bdo7ZOQ [20/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ハルト「……」スタスタ

「……」ヒソヒソ…
「………」ヒソヒソ…

ハルト「……」


翌日。ハルトはアカデミーの廊下を歩いていた

昨日、噂の三人とハルトの母親で校長室で話し合いをしていたという話は当然のように校内へ広がる

その出来事が最後の一撃となり、ついに噂を噂と疑うものはいなくなった

男子達は浮気した最低男と罵り、女子達は近付いたら自分もヤられる、そう言われ誰も近付かなくなるのも当然である

こうしてかつて人気者だったハルトの視界は、この学校はこんなに広かったのかと実感を得る


ペパー「いよっ!ハルト!」ガシッ

ハルト「わっ!?ペパー……」


だが離れていった者とは優等生を頼っていた有象無象の友人の話だ

親友と呼べるほど深い仲だったこの男は普段通りに接してくれていた


ハルト「……いいの?僕なんかと一緒にいて」

ペパー「いいよ。大変なんだろ?こんな時に助けるのがダチってもんだろ」

ハルト「ペパー……!」


本当はペパーも腑が煮え繰り返るほどに激怒していた

そのはずだったが、寂しく歩く親友の小さな背中を見てしまった彼は、自分だけは味方であることを決心したのだ
 ▼ 30 イルミーゼ@アゴのカセキ 25/09/06 23:39:10 ID:1Bdo7ZOQ [21/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ペパー「とりあえずオレの部屋来いよ。随分軽くなっちまって……最近まともに食ってないんじゃないか?」

ハルト「うん……いや、いいよ。食欲なんて湧かないし……」

ペパー「いいから来いって!飯は全てのエネルギーの源ちゃんだぜ!」

ハルト「う、うん……!」


ハルトもまた、親友の大切さを思い出していた

彼は人助けが趣味と言えるほどに、さまざまな人を救ってきた

しかし逆の立場はまだ経験したことがなかったのだ

今はまだ涙を流すには早いと、必死に思いを飲み込む

そうしているうちに気が付いたらペパーの部屋に着き、食事の用意も済んでいた


ペパー「そら!好きなだけ食いな!」

ハルト「うん……いただきますっ!!」

コライドン「イタダギャス!!」


勢いよく食べ始めるハルト

そしてポケモン達。こちらもあまり食べれていなかったようだ


ペパー「オマエ……そうか。自分だけじゃなくてポケモン達の飯用意する余裕もないくらいに追い込まれてたんだな……そんなんじゃあ……」


ボタンやネモを支えることは出来ているのか、と聞きそうになったが咄嗟に飲み込んだ

自分と一緒にいる時くらいは例の件を忘れてもらいたかったのだ。自分がハルトにとっての唯一のオアシスかもしれないのだから
 ▼ 31 ワッカネズミ@あおぼんぐり 25/09/07 11:49:41 ID:M73QPviQ [1/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ハルト「この世の全ての食材に感謝を込めて……ごちそうさまでした!!」

ペパー「お前はトリコ?」

ハルト「本当に……本当に美味しかったよペパー。今まで僕が食べてきた野菜は腐ってたのか!?ってくらい」


お前はトリコ?


ペパー「ったく大袈裟なやつだな。へへっ……けど良かったよ。少しでも元気になってくれたならよ」

ハルト「うん……ありがとう。僕の味方でいてくれて……」

ペパー「だから大袈裟だっての!」


今まで頼っていた親友の弱々しい姿

こうして見るとハルトはまだ子供なのだ、と実感を得るペパー

そうだ、オレは兄貴分なんだ。今までは頼りない兄貴だったが、こんな時くらい支えてやらなきゃならない

改めてそう決意を固める


ハルト「けど……逃げてばかりじゃいられないよ。ペパーだって思うところはあるでしょ?僕のあの件について……」

ペパー「……その話はいいよ。オレといる時くらい」

ハルト「……うん。ありがとう……」

ペパー「それに、きっとまだいるはずだぜ。オマエの味方はよ」

ハルト「え……?」


そう言われたハルトの脳裏には、別の親しい友人たちの姿も思い浮かんだ

だがこの数日、彼らとは会っていない

彼らは真相がハッキリするまでは傍観を決め込んでいたのだ

本当に味方をしてくれるだろうか。最も自分のことを許していない者達こそ彼らではないだろうか

そう不安もよぎったが、ペパーに手を引かれ彼らの元へ向かうことになった
 ▼ 32 ウオチルドン@ボイスチェッカー 25/09/07 12:18:17 ID:M73QPviQ [2/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
───パルデア地方某所

ここはスター団のあく組、チーム・セギンが占領している土地だ

元々は無許可で屯していた不良集団だったが、オレンジアカデミーで正式に土地を買い取り、今となってはポケモンジムのように生徒達が足繁く通う名ポケモン育成スポットとなっていた


ハルト「……や、やだよ!入らない!!」

ペパー「いいから来いって。大丈夫だ!あいつらならオマエの味方になってくれるさ」

ハルト「でも……!」


スター団を更生させたのは他でもない、ハルトとボタンの二人だ。あとネルケ

ペパーもその話を耳にオクタンが出来るほど、ボタンから聞いたことがあった

彼らもまた、自分と同様に何があってもハルトの味方になってくれるはず……

ペパーはそう考えていたが、ハルトは頑なに入場を拒否する


ハルト「というかペパーってピーちゃんと知り合いだったの?」

ペパー「ああ、マフィティフを鍛えるのに相談乗ってもらっててな。ほらあくタイプだし」

ハルト「そっかそっか」

ペパー「って話逸らすんじゃねえ!!ほら行くぞ」

ハルト「ぐふっ」


ついに力尽き、引きずられていくハルト

ハルトがスター団と会いたがらないのも当然である。彼らにとってハルトが大恩人であることに変わりないが、それ以上にボタンのことを敬愛している

そんな彼らが今の自分を許してくれるだろうか……いいや、許すはずがない

しかしもう後戻りは出来ない。ついに入場のゴングは鳴らされてしまった
 ▼ 33 ナマケロ@コオリッポのうもう 25/09/07 12:20:49 ID:.5w2yMwM NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
許すも許さないも何もしてないんだがなぁ
 ▼ 34 ジャラランガ@たわわこやし 25/09/07 12:32:53 ID:M73QPviQ [3/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ピーニャ「……待っていたよ、ハルトくん」

オルティガ「……」

シュウメイ「……」

ハルト「み、みんな……」


そこに待っていたのはピーニャだけではなかった。オルティガに、変態忍者。スター団男子が集結していた

珍しく神妙な表情をしている彼らに、ハルトは後退りしてしまう


ペパー「なあピーちゃん。オマエなら……分かってくれるよな?ハルトが今どんな状況に面しているか」

ピーニャ「そうだね。分かってる。キミは今辛い立場に置かれてるだろう」

オルティガ「オレ達がアカデミーに復帰したての時もそうだったさ」

シュウメイ「うむ。みなに避けられ、信用を取り戻すのに苦労したでござる」

ハルト「……」

ピーニャ「けど、キミ以上に辛いのは誰か……分かってるっしょ?」

ハルト「……ボタちゃんに、ネモ……」


その通りだ。自分は所詮周りから人が消えた程度の話。それよりも若い身で身籠ってしまった二人の方が辛いに決まっている


ピーニャ「だからボク達は……ハルトくん。キミと一緒にボタン達を支える。キミを妬んだって仕方ない!共に前に進もう!」

ハルト「ぴ、ピーちゃん……!!」


予想だにしていなかった返答が返ってきた。ハルトの表情が一気に和らいでいく


オルティガ「だが勘違いするなよ!オレ達はオマエを許したわけじゃないからな!!」

シュウメイ「うむ!!うらやま……じゃなくて非常にけしからん行いをしたという事実に変わりはないのだ」

ハルト「分かってるよ。けど……ありがとう!!」


それでも嬉しかった。自分にはまだこんなに味方がいたのだと
 ▼ 35 バンバドロ@ピカピカだんご 25/09/07 12:45:15 ID:M73QPviQ [4/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
───遡ること、ハルトがボタンを食事に招いた日の翌日

スター団の者達は瞬時にボタンの変化を察知していた


ボタン「ふんふふ〜ん♪」ルンルンスキップ


あまりにも分かりやすくご機嫌だったのである

元々ボタンは誰よりも仕草が女の子らしく、表情こそ無表情寄りなものの動きで感情が読み取りやすい方だった

それにしてもこれは分かりやすい。絶対に何かがあった

直接聞いても恥ずかしがってはぐらかされることだろう、そう予想したスター団のビワは、ボタンとハルトの共通の親友であるネモに問い詰めていた


ビワ「ねえ、ボタンちゃん何かあった?絶対何かあったよね!?」

ネモ「えーっとね、それは……」


質問をする前から内容は確信していたビワは目を輝かせながら尋ねる

ネモもそれを察した。本当ならボタンから口止めされていたことだが、彼女の親友であるスター団になら話していいだろうと、答えることにした


ネモ「ボタンとハルト、お付き合いすることになったんだー」

ビワ「やっぱり!!絶対そうだと思った!!もうボタンちゃんったら分かりやすい過ぎるんだもん!!」


この話は一瞬でスター団の全団員に通達され、即お祝いムードになった

もう一度言うが、ボタンは非常に分かりやすいタイプである

ハルトに対して矢印を向けていたことは誰が見ても明白だった

しかしスター団男子に限っては、即お祝いとはいかなかった

なぜなら彼らはボタンに惚れていたからである

スター団にとってボタンは自分達を救い出してくれた大恩人である。さらに多趣味な彼女は癖の強いスター団連中とも話を合わせてくれるし、誰よりも友達を大切にしてくれて、容姿端麗ときた

年頃の男子がこれに惚れるなという方が無理があるものだ。私も好きだ

だかボタンを愛しているからこそ、自分ではダメだ。やはり彼女を任せられるのはハルトしかいない、と結局男子達もすぐにお祝いムードになった
 ▼ 36 メガヤミラミ@おおきなタケノコ 25/09/07 12:50:58 ID:M73QPviQ [5/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
そこまでは良かった

しかしすぐに別の噂が校内を駆け巡っていた

そう、例のハルトがボタンとネモを妊娠させたという噂である

スター団はすぐにこれを信じなかった。信じたくなかった

あのハルトが、恋人を裏切るようなことをするだろうか

何よりボタンとハルトの交際の情報を嬉々として教えてくれたのはネモ本人である

そんなネモが、実は自分もハルトと関係を持っていたなど、あっていいはずがなかった

所詮噂など噂。真相が判明するのは時間の問題である

それまでは自分達が下手に首を突っ込む問題ではない、そう傍観を決め込んだスター団であったが……

時が経てば経つほど、噂は現実味を帯びていった
 ▼ 37 メッソン@コンペボール 25/09/07 12:54:42 ID:UAG.QuzY NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
噂って怖いッスね
 ▼ 38 ロトム@アシレーヌZ 25/09/07 13:07:57 ID:M73QPviQ [6/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
───そして今に至る

ペパーから今からハルトを連れてこちらに向かうと連絡を受けたピーニャは、他のスター団男子も呼んで彼らの到着を待っていた

これまでの数日を経て、スター団の間では何度も話し合いが起きていた

ボタンを悲しませる行動は許せないが、ハルトへ怒りを向けるよりもボタンのことを心配する方が先だ

ゆえに、ハルトを許すことは出来ないがが二人の味方ではいたい、そう結論付いたのだった

……少なくとも男子達は


ペパー「やっぱり連れてきて良かったぜ。ほらなハルト。オマエの味方はまだこんなに沢山いるんだぜ!」

ハルト「うん……うん!」

ピーニャ「あー……けどビワ姉やメロちゃんにはまだ会わない方がいいと思うよ」

シュウメイ「こういった話題はレディー達の方が過激でござるからな。彼女らはまだユーの味方をする決意は出来ていないようでござる」

ハルト「そうだよね……」

オルティガ「特にビワ姉まじ怖いから。殴られたら死ぬよオマエ」

ハルト「ひっ!き、気を付ける……」

ピーニャ「いやいや、死ぬことはないっしょ」

シュウメイ「ビワ殿は厳しさと同様に優しさを持ち合わせているでござる!その拳はきっと愛の籠った拳でござるからな!」

オルティガ「分かってるって。軽いジョーダンだよ、ジョーダン!」

ハルト「ふ、ふふっ……オルくんってこういうジョーク言うんだね」

オルティガ「なっ!?なんだよ!オレが悪態つくだけのクソガキだとでも思ってるのか!?」

ペパー「自分で言うってことは自覚あるんじゃねえか!」

ピーニャ「いやー自覚してるみたいでちょっと安心したよ」

オルティガ「お、オレをなんだと思ってるんだよー!!」

ワッハッハッハ……


仲間たちと集まり、久しく心から笑ったハルトであった

しかしそれで終わらせないのがこの男だった


シュウメイ「ところで……その、下品なんですがね、フフ……どうでござったか?」

ハルト「へ?なにが?」

シュウメイ「ボタン殿と……した時の感想でござるよ」


変態忍者である
 ▼ 39 ムウマージ@ロトムのカタログ 25/09/07 13:18:01 ID:M73QPviQ [7/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
オルティガ「はぁっ!?///」

ハルト「?」

ピーニャ「な、何を言い出すんだこの変態!!///」

シュウメイ「ありがとうございます!」

ペパー「礼言ってんじゃねーよ!?」

ハルト「何?何をした時の話?」

シュウメイ「それはもちろんナニに決まって……」

オルティガ「オマエもう口開くな!!二度と!!!」

シュウメイ「せめて!せめてボタン殿の裸体がどんな感じだったかだけでも……!」

ハルト「ら、裸体!?///」

ピーニャ「大変な時にごめんねハルトくん!はい解散!今日はもう解散!!」

オルティガ「帰るぞ変態野郎!そらっ!さっさと乗れ!!」

ブロロローム「ブロロローム」

シュウメイ「あ〜れ〜!」

ペパー「……とんでもねえ奴が紛れてたもんだな」

ハルト「ボタちゃんの……裸……」
 ▼ 40 バチンウニ@ぎんのはっぱ 25/09/07 16:56:17 ID:M73QPviQ [8/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
一方その頃……

ネモ「やっほ。入っていい?」

ボタン「ん、ネモ?どうぞー」

ネモ「わー、お部屋綺麗になったね!ボタン最近変わったよね〜。やっぱりこれの影響?」

ボタン「……茶化すなし///」


ニヤニヤしながら小指を立てるネモ

ポケモン勝負ジャンキーの彼女も、立派な年頃の少女なのだ


ボタン「って、用はそれだけ?」

ネモ「用……うんと……用とかは別にないけど……理由もなく友達の部屋来ちゃダメ?」

ボタン「そんなことないよ。いつでも大歓迎だし」


本当はネモには用があった

昨日のあれは何の話だったのか、と聞きにきたのだ

しかしやはり聞き辛い。あれだけの大ごとの後に、実は話分かってませんでしたなどと言えるものか


ネモ「……」

ボタン「……」


ボタンもまた、タイミング良く来てくれたネモに昨日のことを聞きたかったが、同様に言い出せずにいた

しばらくの間、沈黙がボタンの部屋を包む

おしゃべりなネモと、聞き上手なボタンの二人がいる空間において、この状態は非常に珍しいと言える

そんな時、また別の来客により静けさは晴れるのだった


ビワ「ボタンちゃん!遊びに来たよー!」

メロコ「よお。調子はどうだ!」

ボタン「ビワ姉、メロちゃん。いらっしゃい」


沈黙こそ破れたものの、これによって昨日のことを聞き出せない時間になることが確定してしまった
 ▼ 41 ウガツホムラ@ガケガニスティック 25/09/07 17:08:36 ID:M73QPviQ [9/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ビワ「あ……ネモちゃんもいたんだ」

メロコ「……」ギロッ

ネモ「こ、こんにちわー」


ネモは一瞬、メロコに睨まれた気がして怯んでしまう

怒らせるようなことをした覚えはない。が、気のせいとも言い難い

よく見ればビワの自分を見る目もあまりいいものではないように見える


ビワ「……ボタンちゃん。今日は具合悪くない?」

メロコ「たまには外出ようぜ」

ボタン「ん、そだね。ブイブイ達も退屈してそうだったし」


二人はネモを無視するかのようにボタンだけに話しかける

やっぱり怒らせたらしい、とネモは確信する


ボタン「ネモも行く?暑いけど」

ネモ「ぁ……う、うん!ご一緒させてもらおっかな!」


そんな二人と一緒に行動していいものかと迷いはしたが、ボタンから誘い出したんだから二人も文句は言わないはず……と申し出を受け入れようとした


メロコ「ボタン。いいのか?」

ボタン「へ?何が?」

メロコ「……いや。ボタンがいいならオレはいいけど」


明らかにいいと思っていなさそうな目で答える

睨むような目つきはネモにしか向けられておらず、ボタンは二人がネモに対して険悪な目を向けていることにまるで気付けていなかった
 ▼ 42 シルシュルー@マクノシタのあせ 25/09/07 17:23:27 ID:M73QPviQ [10/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
二人がネモに対して怒りの感情を持つのは当然である

ボタンとハルトの仲を共に祝福したはずなのに、その当人もハルトと関係を持っていたのだから

一番の原因はハルトの不貞だが、受け入れたネモも悪いのだ

……というのは無論メロコ、ビワの二人が知る情報から見た話であり、いつも通り何も知らないネモからすれば原因不明の怒りを向けられているだけの恐ろしい状況である

そんな中呑気に出かける用意をしているボタン

彼女はインドア派を自称しているが、友達と一緒ならどこへでも着いてきてくれるバリバリのアウトドア派なのだ

最近は料理の研究のために部屋に篭りがちだったため、友達からの誘いは余計に嬉しいに決まっている

そんなわけでルンルンなボタンは他三人の間に流れる不穏な空気に全く気が付く気配がなかった


ネモ「私、一旦部屋戻ろっかな……最近あんまり外出てないから私もちゃんと支度しないと」

ボタン「おけー。じゃあまた後でね」

ネモ「うん、また後で……」


本当はこの空気から逃げたかっただけだ。この二人超こわい

だが扉を開けるとちょうど、また別の来客がいた


ミモザ「おっす〜。ボタン、定期検診来たよー。お、ネモも一緒じゃん!ちょうどいいわ」


医務室の先生こと、養護教諭のミモザ先生である

流石の強面女子二人も、教員がいる前で先程までの不穏な空気は出さない

部屋から逃げることこそできなかったものの、来客の多い日に救われたネモであった
 ▼ 43 レアコイル@マメかん 25/09/07 17:39:59 ID:M73QPviQ [11/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ミモザ「ボタン着替え中だった?じゃあ先にネモね。はーい服めくってー」


なぜ急に定期検診が始まったのか、なんの検診をしているのか、他の生徒達の部屋にも来ているのか

疑問は尽きないがわざわざ先生の方から自分の部屋に出向いてくれるのに断るわけにもいかず、ネモとボタンはただ検診を受け入れる


ミモザ「ふむふむ……まだ特に変化はなさそうね。経過順調、と……」

ネモ「健康ってことですよね?なら良かった〜」


ネモは人より体力がない。特に夏は体調が不安定になることが多い

自分が検診される理由はおそらくそれだろうと思い込んでいるようだ


ミモザ「じゃあ次ボタンね」

ボタン「ん、はい」


なぜかメロコとビワをスルーしてボタンの検診を始めるミモザ先生

わざわざこの部屋に来る辺り、自分達しか検診を受けている生徒はいないのでは?だとすれば原因は一体何なんだろうか?

そういった不安がないわけではないが、前回の検診でも順調とだけ言われている

医学の知識のない自分が考えたところで仕方ない。ボタンは先生の言うことを信じてただ検診を受け入れた


ミモザ(……あれ?お腹……小さくなってない!?)


ミモザ先生はすぐに気が付いた

こんなはずはない。前はもっと大きかったはずだ……


ボタン「あ、あの……何か異常でも……?」

メロコ「う、嘘だろ!?」

ビワ「ボタンちゃん……!」

ミモザ「んー、大丈夫大丈夫!ちょっとお腹の音に聞き惚れちゃっただけ〜」

ボタン「な、何すかそれ……なんか恥ず……」


咄嗟に言い訳をし、生徒達の不安を拭う

なぜならミモザ先生はすでにある一つの可能性に辿り着いていたからだ


ミモザ(もしかしてこの子……妊娠、してない!?)


その通りである
 ▼ 44 ユキハミ@ココガラのはね 25/09/07 17:40:34 ID:oinAAg2A [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
流石保健室の先生
 ▼ 45 チェリンボ@あやしいおこう 25/09/07 17:45:21 ID:/xJAKKpM NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
やっぱ検診って大事やね
 ▼ 46 ダイケンキ@じめじめこやし 25/09/07 17:54:48 ID:M73QPviQ [12/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
おさらいをしよう。ボタンは恋人となったハルトのため、部屋に篭りきりで料理の研究をしていた

その過程で作られた試作品の料理はどうしていたか?

当然、食べるに決まっている

そしてボタンは華奢な体型である。少し大食いをしただけで、かなり目立つほどにお腹は大きく膨らむ

そう、妊婦と見間違えてしまうほどに───

ミモザ先生が前回検診に訪れた日は、まさに大量の料理を平らげた直後だったのだ

しかし今回、ボタンのお腹は普段通りの大きさだったのである


ミモザ「……ボタン、食欲はどう?今日ご飯食べた?」

ボタン「今日は軽くしか食べてないっす」

ミモザ(じゃ、じゃあもしかして……)


前回の検診の時も、軽く雑談をしていた

ボタンが最近料理に凝っていること、その過程でつい食べ過ぎてしまうこと

そんな話は聞いていた


ミモザ(この前は食べ過ぎてただけ!?)


ミモザ先生は見事正解に辿り着いていた

だとしたらこれまでの騒動は?

生徒達の間で噂が駆け巡り、もやは噂のことを知らない生徒はいないだろうと断言出来るくらい話は広まっている

ハルトの母親までもが校長室にまで呼ばれ、大騒ぎになっていたことも知っている

かつて優等生で人気者だったハルトを、生徒達が避け始めていることも把握している


ミモザ(それが全部……ただの勘違いでした、ってそんなオチあり!?)


このことに気付いているのは自分だけかもしれない

思わぬところで重圧を背負ってしまったミモザ

彼女が導き出した結論は……


ミモザ(……私、知〜らねっ☆)

ミモザ「経過順調、と……」カキカキ


現実逃避である
 ▼ 47 サイホーン@やきベーコン 25/09/07 18:16:30 ID:oinAAg2A [2/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
うーんこの教師
 ▼ 48 ビリジオン@リリバのみ 25/09/07 18:23:38 ID:lbPQ7XLI NGネーム登録 NGID登録 報告
真実わかってるのに役に立たない教師ワロタ
 ▼ 49 ホエルコ@トウガのみ 25/09/07 18:24:36 ID:uqAkUBEg NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
おいおい笑
 ▼ 50 ウネルミナモ@ポケトレ 25/09/07 18:40:42 ID:dVJ6NaQw NGネーム登録 NGID登録 報告
てっきり「勝手に産んだの!?」って勘違いするのかと
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