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SS

【SS】アンブレオン

 ▼ 1 目のワニノコ◆WaitStCgv. 16/02/22 19:05:37 ID:P9Aj6kP6 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

〜教室〜


"ガヤガヤガヤガヤ…"


「なぁ。知ってるか?今日転校生来るらしいぜ」

「うん、知ってた。噂によるとイケメンらしいよ」

「え?何?転校生来るの?話に混ぜてよ〜」


"キーンコーンカーンコーン…"

"ガラガラ〜…"


フーディン「おう、ホームルーム始めるぞ。席つけ〜」

「「は〜い」」
 ▼ 97 WaitStCgv. 16/03/17 17:38:47 ID:Ix1B5sH2 [1/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


エーフィ「…ありがとう。ブラッキー君のお陰で私、間違ってなかったって思えた。」

ブラッキー「…俺も。」


「ハハハ」と笑って、意気投合する俺達。

すると、遠くから鐘の音が聞こえた。


"キーン、コーン、カーン、コーン…"


ブラッキー「ゲッ!?」

エーフィ「いっけない!! 遅刻しちゃう!」

エーフィ「急ごう! ブラッキー君!」

ブラッキー「ああ!」


慌てて駆け出す俺達を、テレビに映っている政治家が嘲笑しているような気がした。

でも、俺には敵だけじゃなくて仲間もいるんだという事がわかっただけで、少し気が楽になった。


〜第七話 完〜
 ▼ 98 WaitStCgv. 16/03/17 20:27:40 ID:Ix1B5sH2 [2/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告





第八話 『お弁当』





 ▼ 99 WaitStCgv. 16/03/17 20:28:45 ID:Ix1B5sH2 [3/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告



"キーン、コーン、カーン、コーン…"


四時限目が終わる鐘の音。

鐘の音は、何かが終わるのを告げると同時に、何かの始まりを告げる。

この場合だと、四時限目の終わりと昼休みの始まりか。


ブラッキー「…」シュルシュル


俺は鐘の音と同時に弁当包みをほどき、弁当を開けた。

…今日はハンバーグ弁当だ。


ブラッキー「…いただきます。」
 ▼ 100 WaitStCgv. 16/03/17 20:29:21 ID:Ix1B5sH2 [4/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


一人暮らしなので、自分が作った弁当の中身に驚くことはないが、昼食の時間はささやかな楽しみだった。


エーフィ「あっ、ブラッキー君のお弁当、ハンバーグだね!」

ブラッキー「…」モグモグ


隣の席のエーフィから声を掛けられる。

しかし、食べ物で口が塞がってろくに返事が出来なかったので、俺はコクリと頷いた。


エーフィ「…一緒に食べていいかな?」

ブラッキー「…」ゴクリ


咀嚼した食べ物を呑み込んで、再び頷く。


エーフィ「…ありがと。」
 ▼ 101 WaitStCgv. 16/03/17 20:30:08 ID:Ix1B5sH2 [5/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告



ブラッキー「…他の女子達と混ざってこなくていいの?」

エーフィ「…うん。 私、お昼はいつも一匹で食べるんだ。」

ブラッキー「…俺と食べたら二匹だよね。」

エーフィ「…いいのいいの。そんなことより私、良い場所知ってるんだ」


ニコニコと笑うエーフィは「ついてきて」と言って席を立った。

正直、弁当を食べる場所なんてどこでも良かったが、俺は言われるままにエーフィについて行った。
 ▼ 102 WaitStCgv. 16/03/17 20:31:10 ID:Ix1B5sH2 [6/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


〜屋上〜


エーフィ「ここだよ…!」

ブラッキー「…へぇ。」


数分間ほど歩いて到着したのは、少し広めの屋上。

安全なように高めの柵が設置してある。

エーフィの言う『良い場所』とは屋上のことらしい。


エーフィ「高い所って、気持ちいいよね。」

ブラッキー「…そうなの?」

エーフィ「山に登ってお弁当食べるのと同じ感じだよ。ほら。」


エーフィは柵際まで行って、心地よい風に当たっている。

俺もエーフィの隣まで歩いた。

 ▼ 103 WaitStCgv. 16/03/17 20:32:29 ID:Ix1B5sH2 [7/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


ブラッキー「…!」ゾクッ


屋上から下を見ると身震いした。

どれだけバトル部で打たれ強くなっても、ここから飛び降りる度胸はつかないだろうな…と思った。


エーフィ「あんまり下を見ちゃダメだよ?」

ブラッキー「…そうだね。」


俺はエーフィの隣に座って、弁当を開けた。

エーフィも弁当を開けて食事の準備をしていた。


彼女の弁当箱は可愛らしいピンク色だった。
 ▼ 104 WaitStCgv. 16/03/17 20:33:48 ID:Ix1B5sH2 [8/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


ブラッキー「…」チラッ

エーフィ「…いただきまぁす。」


俺は既に半分以上を食べ終わっていたので、スローペースで食べた。

その際、彼女の弁当が気になって何度か覗いて見ていたら、エーフィは顔を真っ赤にして言った。


エーフィ「あ、あんまり見られると恥ずかしいな…///」

ブラッキー「…え?」


まるで俺が何か変なことをしたかの様な雰囲気が醸し出されていたが、幸い屋上には俺とエーフィしかいなかったので助かった。


ブラッキー「…恥ずかしい…って、なんで?」

エーフィ「…ああ、そっか。そういえばブラッキー君は知らなかったね。」

ブラッキー「?」
 ▼ 105 WaitStCgv. 16/03/17 20:35:05 ID:Ix1B5sH2 [9/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告




エーフィ「…私、親がいないんだ。」



ブラッキー「!」


その言葉は俺の心を抉るように傷つけ、胸を引き裂くほどに痛めつけた。

エーフィに親がいない?

そりゃまたどうして…。

俺の中でそんな疑問が渦巻いていたが、彼女に直接事情を聞きだすことはなかった。


ブラッキー「…そっか。」

エーフィ「…うん。」

ブラッキー「…俺もだよ。」

エーフィ「……えっ?」


ただ、俺にだって共感することはできた。
 ▼ 106 WaitStCgv. 16/03/17 20:38:24 ID:Ix1B5sH2 [10/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


エーフィ「それって、どういう…」


案の定、エーフィはうろたえた。

きっと、自分と同じ境遇にいる者と出会うことが初めてなのだろう。

いや、流石に境遇まで同じではないかもしれないが、『親がいない』という事実は同じだった。


ブラッキー「…俺も親がいないんだ。」

エーフィ「…」

ブラッキー「…まだチビの頃、殺されちゃってさ。」

エーフィ「…」


弁当を食べ終わったエーフィは悲しそうな顔で俺を見つめている。

俺は同情の一声をかけた。


ブラッキー「…エーフィも辛かっただろう?」
 ▼ 107 WaitStCgv. 16/03/17 20:39:00 ID:Ix1B5sH2 [11/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


ブラッキー「…頼れる親がいなくて、家ではいつも一匹で。」

エーフィ「…お弁当は全部自分で作って、寝るときも一匹。」


ブラッキー「…辛いよな。」

エーフィ「…」ウルウル


エーフィ「…わぁぁぁぁん…」ポロポロ


エーフィは目に溜まった涙をポロポロとこぼして、とうとう泣き出してしまった。

俺は何も言わず、エーフィの背中をさすった。


ブラッキー「…大丈夫だ。泣いていいんだ。」


俺も少し両親の顔を思い出して悲しくなった。
 ▼ 108 WaitStCgv. 16/03/17 20:42:43 ID:Ix1B5sH2 [12/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


エーフィ「わぁぁぁぁん…」ポロポロ

ブラッキー「…泣いていい。泣いていいんだよ。」ダキッ

エーフィ「うわぁぁぁぁぁん…」ポロポロ


俺はエーフィを抱きしめて、背中をさすり続けた。

昼休みの間、エーフィはずっと泣き続けた。

青い空の下、エーフィの声が響いていた。



…床に落とされた彼女の弁当箱は、可愛らしいピンク色をしていた。



〜第七話 完〜
 ▼ 109 ッキー@メカニカルメール 16/03/17 20:45:08 ID:.oUC2omg NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
>>108
話数間違えとるで
 ▼ 110 ルバット@ユキノオナイト 16/03/18 02:15:22 ID:KirG0MjE NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 111 WaitStCgv. 16/03/18 17:09:14 ID:l23mvVF6 [1/40] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
>>109
本当ですね。
正しくは第八話でした。
申し訳ありません。
 ▼ 112 WaitStCgv. 16/03/18 17:10:29 ID:l23mvVF6 [2/40] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告






第九話 『さようならは突然に』





 ▼ 113 WaitStCgv. 16/03/18 17:11:20 ID:l23mvVF6 [3/40] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


〜自宅〜


ブラッキー「…いってきます!」


〇月×日。

今日もいつもと同じように家を出る。


学校に通い始めてから数ヶ月。

俺は部活仲間にも恵まれ、居場所もそこそこに確保することができた。


独りが好きなのは今でも変わらないが、仲間に混ざってワイワイするのも悪くない。

そう思えるようになった。


 ▼ 114 WaitStCgv. 16/03/18 17:11:50 ID:l23mvVF6 [4/40] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告






しかし、今日はいつもと様子が違った。





 ▼ 115 WaitStCgv. 16/03/18 17:12:27 ID:l23mvVF6 [5/40] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


〜教室〜


"ガラガラガラ〜…"


いつも通りに後ろのドアから入って、すれ違う男子に「おはよう」と言う。

そして窓際の自分の席に座ってホームルームを待つのが俺のお決まりパターン。

学校生活にも慣れたもんだな、と思ってそれを実行した。


ブラッキー「…よっ、ブビィ。おはよう。」テクテク

ブビィ「お、おう…」

ブラッキー「…やぁ、リグレー。おはよう。」

リグレー「お、おは…おはよう…ございます…」


ブラッキー「…?」

 ▼ 116 WaitStCgv. 16/03/18 17:13:04 ID:l23mvVF6 [6/40] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告



…何かおかしい。

どこかよそよそしいというか、避けられているというか…


ブラッキー「…ま、いっか。」


呟いて、自分の席に座ったその時だった。


ブラッキー「…!」


俺は目を疑った。

信じられなかった。

俺の机に貼り付けられた一枚の紙を。

その紙に『外国ポケモン』と書かれていた事を。


ブラッキー「…っ!」
 ▼ 117 WaitStCgv. 16/03/18 17:13:58 ID:l23mvVF6 [7/40] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


もう一度、ブビィ達の方を見る。

ブビィはビクリと反応すると、俺から目をそらした。

ブビィだけではない。

教室のあちこちにいる生徒からの視線を感じる。


ブラッキー「…」ベリッ


俺は貼り紙を破くと、くしゃくしゃに丸めて窓から投げ捨てた。


…まずいかもしれない。


まだ根も葉もないイタズラの領域だが、もし俺が外国ポケモンだということが立証されたら、俺はここにはいられない。
 ▼ 118 WaitStCgv. 16/03/18 17:16:02 ID:l23mvVF6 [8/40] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告



そして、こんなピンポイントなイタズラをするという事は…


ブラッキー「…」ガタッ


間違いない。

俺の秘密を知っている奴がいる。


エーフィはまだ登校してきてないし、外国ポケモンだという事はバラしてないから違う。

それはクラス全員にも、教職員にも言えることだ。


…誰だ?

誰を信用して、誰に気をつければいいんだ?

犯人がわからない以上、迂闊に行動できない。
 ▼ 119 WaitStCgv. 16/03/18 17:16:43 ID:l23mvVF6 [9/40] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告





これからとても厄介な学校生活を送ることになりそうだ。


そう思っていた。


そう、思っていたんだ…



俺の前に『ソイツ』が出てくる前までは。








ゲンガー「よぉ。ルーキー」
 ▼ 120 WaitStCgv. 16/03/18 17:21:36 ID:l23mvVF6 [10/40] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


ブラッキー「!」


一瞬にして俺の前に現れたそのポケモンはゲンガーといって、バトル部のエースだ。

いや、今では俺がバトル部最強だからエース『だった』という方が正しいか。

ゲンガーはいつも不敵な笑みを浮かべていて気味が悪かった。

一体何のようか、と聞くと、ゲンガーは一言。


ゲンガー「なぁに。外国ポケモンを追放しに来ただけさ。」


わざと周りにも聞こえる声でそう言った。


ブラッキー「…外国ポケモン?」
 ▼ 121 WaitStCgv. 16/03/18 17:23:18 ID:l23mvVF6 [11/40] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


ブラッキー「何だよ、外国ポケモンって。」


俺はシラをきってその場をしのごうとした。

しかし、ゲンガーは逃がさんとばかりに追い討ちをかけてきた。


ゲンガー「…アンブレオン。」

ブラッキー「…ッ!」


ゲンガーの呟いたその一言は、俺にだけ伝わる牽制のようなものだった。

アンブレオン。

俺の故郷での名前であり、本当の名前。

この国ではブラッキーというらしいが、呼ばれ慣れるのに時間がかかったものだ。


しかしながら、ゲンガーがその名前を知っているということは、全貌を知っていると判断して間違いないだろう。
 ▼ 122 WaitStCgv. 16/03/18 17:25:54 ID:l23mvVF6 [12/40] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


ゲンガー「…ケケケ。心当たりがあるようだな。」


ニヤニヤと笑うゲンガー。

俺はもう何も隠すつもりはなかった。


ブラッキー「…何が目的だ。」


だが、ゲンガーのニヤニヤとした笑い顔は何かを企んでいる。

それを聞き出さないままには終われない。

ゲンガーは言った。


ゲンガー「…気に入らねぇんだヨ。」

ブラッキー「…?」

ゲンガー「転校生だかなんだか知らねぇが、いきなり現れてバトル部のスタメン入りなんてヨ。」


ゲンガーの企み…。

それは、単なる俺への嫌がらせだった。
 ▼ 123 WaitStCgv. 16/03/18 17:26:31 ID:l23mvVF6 [13/40] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


転校生にスタメン入りを奪われたから潰します。だと?

なんて低俗な考え方なんだ。

だが、弱みを握られている以上は迂闊に何も言えない。

ここは耐えるしか…



ブラッキー「…悪い。」

ゲンガー「…フン」


ゲンガー「…外国ポケモンのクセに生意気なんだヨ。」

ブラッキー「…」

ゲンガー「…どうせお前の身体も弄ってあるんだロ?」

ブラッキー「…そんなことはない。」

ゲンガー「…ルセェんだヨ! 土下座しろ土下座ァ!」
 ▼ 124 WaitStCgv. 16/03/18 17:30:01 ID:l23mvVF6 [14/40] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


ブラッキー「…土下座…か。」


土下座……降参と服従の証。

教室には何匹かのクラスメイトがいた。


ゲンガー「…ほら。早くしろヨ…」ニタァ


みんな目を合わせないようにと見て見ぬフリをしているが、時折こちらをチラ見している。


ゲンガー「…出来ねぇのか?」ニヤニヤ


ここで俺が土下座しても『外国ポケモン』という理由で距離を取られるのは明々白々だ。

なら…




ブラッキー「…嫌だね。」


俺は強い俺のままでありたいと思う。
 ▼ 125 WaitStCgv. 16/03/18 17:30:49 ID:l23mvVF6 [15/40] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

ゲンガー「…その言葉の意味がわかるか?」

ブラッキー「…ああ。どうにでもしろよ」

ゲンガー「…そうさせてもらうぜ…」ニヤァ


ゲンガーは大きく息を吸った。



ゲンガー「みんな聞いてくれ!!!」


ゲンガー「このブラッキー、外国ポケモンだァァァァァァァァァァァァァァ!!」

ブラッキー「…!」


ゲンガーは教室中に、いや、学校中に響き渡る程の大声で全員の視線を俺へと集めた。

静まり返る教室。

チラ見しかしなかったクラスメイトも、俺を凝視するようになった。

なるほど。俺は全校を敵に回したってことか。


ブラッキー「…つくづく卑怯な奴だな…」
 ▼ 126 WaitStCgv. 16/03/18 17:31:35 ID:l23mvVF6 [16/40] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


ゲンガー「ケケッ… なんとでも言うがいいさ。これでバトル部のエースは俺だ…」

ブラッキー「…哀れなやつ。」


ブラッキー「他人を蹴落とす事でしか上に上がる方法がない奴はクズだ。」



俺はそう吐き捨てて、教室を飛び出した。

時が止まったように静かだった教室は、再びざわざわと騒がしくなった。



ブラッキー「…みんな、今までありがとう。短い間だったけど楽しかったよ!」


廊下から教室に向かって叫ぶ。

きっと、クラスメイトの皆は真実を聞いてそれどころじゃないだろう。

でも、俺の言葉に偽りはなかった。

本当に楽しかったから。
 ▼ 127 WaitStCgv. 16/03/18 17:32:50 ID:l23mvVF6 [17/40] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

廊下を飛び出し、電光石火で駆け抜ける。

立ちふさがるポケモンもいたが、加速した俺を止めることができる者はいなかった。


エレキッド「…あっ! ブラッキー!」

ブラッキー「(…エレキッド!)」


エレキッドともすれ違った。

思えば、エーフィの次に仲良くなれたのはエレキッドだった。

俺は一瞬でエレキッドの耳元に移動すると、一言。


ブラッキー「…今までありがとう。バトル部のみんなにもよろしく。」ボソッ

エレキッド「…えっ?」

エレキッド「 あっ! 待てよ! ブラッキー!」バッ


エレキッド「…ブラッキー…」


エレキッドが俺を止めようと振り向いた時、俺はもうそこにはいなかった。

…エレキッドの寂しそうな顔が酷く印象的だった。
 ▼ 128 WaitStCgv. 16/03/18 17:33:47 ID:l23mvVF6 [18/40] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告



校舎の出入口に差し掛かったところで、また一匹のポケモンが立っていた。

フーディン先生だ。

俺は止まることなく電光石火で駆け抜けるつもりだった。

だが、フーディン先生は叫んだ。


フーディン「『トリックルーム』!」


フーディン先生の半径30mほどに異質な空間が展開された。

また、俺は既にその30m圏内に入っていた。


ブラッキー「しまっ…!」


ブレーキを掛けるも時既に遅し。

電光石火をかけた俺は極端に遅くなり、フーディン先生は俺の前に立ちはだかった。
 ▼ 129 WaitStCgv. 16/03/18 17:35:39 ID:l23mvVF6 [19/40] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


フーディン「…ブラッキー…」

ブラッキー「…すみません。」

フーディン「…いや。…薄々気づいていた。」

ブラッキー「!」


フーディン先生は申し訳なさそうに言った。


フーディン「…気づいていながら、フォローできなかった。」

フーディン「…すまない。」

ブラッキー「…」


俺は胸が痛くなった。

俺の正体に気づきながらも、陰ながら俺を支えてくれていた恩師が頭を下げている。

…申し訳なかった。

 ▼ 130 WaitStCgv. 16/03/18 17:38:01 ID:l23mvVF6 [20/40] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


ブラッキー「…先生。頭を上げてください」

フーディン「…」

ブラッキー「…俺は嬉しいです。」

ブラッキー「…外国ポケモンだと気づいていながら俺を追い出さないでくれたことだけじゃない。」

ブラッキー「…先生には沢山お世話になりました…」


ブラッキー「…あなたのクラスになれて本当に良かった。」


フーディン「…」


フーディン「…今からでも遅くはない。戻る気はないか?」

ブラッキー「…ゲンガーはきっと俺の正体の証拠も掴んでます。もう誤魔化せないでしょう。」

ブラッキー「…俺をかばえば、フーディン先生まで被害を受けることになる。」

フーディン「…それでも構わん。」

ブラッキー「…俺が許しません。」
 ▼ 131 WaitStCgv. 16/03/18 17:38:59 ID:l23mvVF6 [21/40] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


ブラッキー「…あなたほど優しい先生はいない。」

フーディン「…」

ブラッキー「だからこそ、俺はあなたに迷惑を掛けたくない。」


ブラッキー「…だから…」

フーディン「…わかったわかった。もう行け。」

ブラッキー「…。」


フーディン「…全く。何でお前みたいな良い奴が追い出されて、悪い奴が君臨するのかねぇ。」


フーディン「…頭が良い俺でもわからんわ。」ニコッ


フーディン先生はヤレヤレといった様子で手を挙げた。
 ▼ 132 WaitStCgv. 16/03/18 17:40:45 ID:l23mvVF6 [22/40] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告



フーディン「…ほら。いけ。」スッ


フーディン先生がスプーンを掲げると、シャボン玉が割れるかのように空間の壁が解けた。

その瞬間、俺は足に力を込めて一言。


ブラッキー「ありがとう。」


フーディン「…頑張れよ。」ヒラヒラ


手を振るフーディン先生は珍しく笑っていた。

 ▼ 133 WaitStCgv. 16/03/18 17:41:31 ID:l23mvVF6 [23/40] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告





電光石火の効果で高速化した身体はあっという間に校門までたどり着いた。

そして、後ろを振り向くことなく呟いた。


ブラッキー「…ありがとう。」


この学校に通えて本当に良かったと思う。

父の言葉の意味を理解できたから。


じきに俺の正体を巡って調査が始まるだろう。

そうなれば、住所も調べられて差し押さえられる。



俺は街の外を目指して走った。



〜第九話 完〜
 ▼ 134 剣リーフブレード◆i/ei.o2TGU 16/03/18 17:50:40 ID:ppZV717s NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 135 WaitStCgv. 16/03/18 17:53:20 ID:l23mvVF6 [24/40] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告






第十話 『覚悟』







 ▼ 136 WaitStCgv. 16/03/18 17:54:09 ID:l23mvVF6 [25/40] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


学校を飛び出してから数十分。


丘を超えて、坂を下り、街通りを駆け抜けて。


小洒落た喫茶店。

スポーツ用品店。

そして電気屋を通り過ぎる。


…やっと馴染んだこの街にもお別れを告げなければならない。


ブラッキー「…さようなら。」


俺は足を休めることなく、目を瞑ってそう呟いた。
 ▼ 137 WaitStCgv. 16/03/18 17:54:49 ID:l23mvVF6 [26/40] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告




…だが、目を瞑ったのは間違いだったようだ。


"ドンッ…!"


俺は電光石火の勢いで通行人にぶつかってしまった。


「いった〜い!」

ブラッキー「…ご、ごめん! 」


すぐに駆け寄り、手を差しのべる。

…が、俺は固まってしまった。


エーフィ「あいたたた…」

ブラッキー「…エ、エーフィ!?」


幸か不幸か、ぶつかったのがエーフィだったからだ。
 ▼ 138 WaitStCgv. 16/03/18 17:56:00 ID:l23mvVF6 [27/40] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告



エーフィ「あ、ブラッキー君。どうしたの。そんなに急いで…」

ブラッキー「…いや。」


何も知らないエーフィはいつも通りの調子で俺に話しかけた。

俺はどうすべきか戸惑ったが、何も告げずに立ち去るのが最善だと踏んで、もう一度足に力を込めた。

が…


エーフィ「わかった! 忘れ物したんだね!」

ブラッキー「」ズコッ


…マイペースというか、的外れというか。

そんなエーフィの雰囲気に焦りも緊張も忘れて、高速化が解けてしまった。
 ▼ 139 WaitStCgv. 16/03/18 18:02:29 ID:l23mvVF6 [28/40] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


ブラッキー「い、いや…何でもないよ。ほら、遅刻しちゃうから学校行かないと。」


その場だけしのげばいい。

そう思って発言したが…


エーフィ「…私に隠し事してるの?」

ブラッキー「!?」


何故かエーフィに勘づかれた。

多分、エスパータイプ特有の読心だろう。


エーフィ「…何か悩み事があるなら話して。」

ブラッキー「…」

エーフィ「私達、友達でしょ?」


…話してしまいたかった。

俺が外国ポケモンだということも、これからこの街を去るということも。
 ▼ 140 WaitStCgv. 16/03/18 18:03:33 ID:l23mvVF6 [29/40] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

でも…。


ブラッキー「…何でもないよ?」


彼女の事だから、真実を知ったら俺を逃がしてはくれないだろう。

そう思った俺はシラを切り通す…


エーフィ「…嘘だね。」ニコッ


…ことはできなかった。


エーフィ「…本当はどういうことなの?」

ブラッキー「え、いや、えーと…」

ブラッキー「…ごめん! エーフィ!」ダッ

エーフィ「あっ!」


嘘がバレたらしょうがない。電光石火で逃げ切るまでだ。

あくまでも真実を告げる気は無い。
 ▼ 141 WaitStCgv. 16/03/18 18:04:22 ID:l23mvVF6 [30/40] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


だって、本当の事を言ったら、エーフィに嫌われる気がしたから。

どんなにエーフィに平等心があっても、完全に対等にはなれないだろう。

少なくともこの国では。



俺はエーフィの横を通り過ぎ、街を駆け抜けた。

抜け道を通り、この街に訪れたルートを逆に走って…

とうとう街の外に出る一歩手前までたどり着いた。



 ▼ 142 WaitStCgv. 16/03/18 18:11:33 ID:l23mvVF6 [31/40] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


そこには…


エーフィ「…待ってたよ、ブラッキー君!」

ブラッキー「…なんで!?」


何故かエーフィが先回りしていた。


エーフィ「えっへん! 足には自信あるもんね!」←S110

ブラッキー「…」←S65


確かにエーフィは足だけは速かった。

でもまさか、電光石火で負けるなんて…!

こっちは鍛えてたのに…


エーフィ「…バトル部で負けたくないがために鍛えた逃げ足をナメないで欲しいね!」←努力値S全振り

ブラッキー「」ズコッ
 ▼ 143 WaitStCgv. 16/03/18 18:14:07 ID:l23mvVF6 [32/40] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告



そうか。

鍛えてたのは俺だけじゃなかったってことね。


ブラッキー「…」

エーフィ「…で、何で逃げるの?」

ブラッキー「…」プイッ


俺は自分の為だけじゃなくて、エーフィの為も思って…

いや、言い訳はよそう。


ブラッキー「…本当の事、言ったら通してくれる?」

エーフィ「それは…内容によるかな!」

ブラッキー「…」

 ▼ 144 WaitStCgv. 16/03/18 18:15:47 ID:l23mvVF6 [33/40] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

内容による…か。

彼女らしい返答だ。

でも、多分彼女はここを通してくれないだろう。

…これだけはやりたくなかったけど、他に方法はないみたいだ。


ブラッキー「…」ダッ

エーフィ「…通さないよ!」


足に力を込めて一気に加速する俺。

すると、エーフィは『おすわり』の状態から通常体制に切り替えた。

俺はその横を通り過ぎる…

と見せかけて。


ブラッキー「…」ムギュッ

エーフィ「…はうっ…///!?」


正面から彼女の身体を抱きしめた。
 ▼ 145 WaitStCgv. 16/03/18 18:17:44 ID:l23mvVF6 [34/40] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


エーフィ「…ぶ、ぶぶぶ、ブラッキー君…!?」

ブラッキー「…エーフィ。よく聞いて欲しい。」


ブラッキー「…俺、外国ポケモンなんだ。」

エーフィ「!」


ブラッキー「…そして、ついさっき学校でそれがバレた。もうここにはいられない。」

エーフィ「…そんな…」

ブラッキー「今までありがとう。」

ブラッキー「エーフィのことは一生忘れないよ。」


エーフィ「ブラッキー君、待って…!」

ブラッキー「…」



ブラッキー「…『あやしいひかり』!」
 ▼ 146 WaitStCgv. 16/03/18 18:19:15 ID:l23mvVF6 [35/40] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告



エーフィ「待っ…て…」ガクッ

ブラッキー「…ごめん。」


至近距離での『あやしいひかり』はエーフィの意識を刈り取るのに充分の威力だった。

俺はエーフィをそっと離すと、ゆっくりとその場を後にした。



後にした…つもりだった。




エーフィ「待ってって言ってるでしょ〜〜〜!!」タッタッタッ

ブラッキー「…!?」


 ▼ 147 WaitStCgv. 16/03/18 18:27:15 ID:l23mvVF6 [36/40] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


先ほど横に寝かせたはずのエーフィが当たり前のように俺を追いかけてくる!

おかしい。

あの至近距離で『あやしいひかり』を食らって倒れないなんてバケモノ以外の何者でもない。


ブラッキー「…何で倒れないのぉぉぉ!?」タッタッタッ

エーフィ「…追いついた!」タッタッタッ


あっという間に追いつかれ、街を出て少しの所でまた足止めを食らった。


エーフィ「…ブラッキー君のバカ!」


ブラッキー「……悪いとは思ってるよ。」

エーフィ「…なんで…もっと早く言ってくれなかったの…」

ブラッキー「…だって…」


エーフィ「…私…心配して…」
 ▼ 148 WaitStCgv. 16/03/18 18:28:45 ID:l23mvVF6 [37/40] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


ブラッキー「ごめん。ごめんよ。でも、俺にはもうここにいる理由も権利もなくなった。」

ブラッキー「…俺はこの街にはいられない。」

エーフィ「…ブラッキー君。」

ブラッキー「…何?」


頑なに滞在を拒む俺に、エーフィは真剣な顔で言った。


エーフィ「…好き。」

ブラッキー「…へ?」


その時の俺は素っ頓狂な声だっただろう。

何を言うのかと思ったら、彼女の口から出てきた言葉は「好き」だったんだから。


エーフィ「…ブラッキー君のことが好き。」

ブラッキー「え、あ、うん。……どういうこと?」

思わず聞き返すほど、俺の頭は追いついていなかった。

女の子に告白されることは初めてだったし、何でこのタイミングなのかもわからない。
 ▼ 149 WaitStCgv. 16/03/18 18:29:54 ID:l23mvVF6 [38/40] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


エーフィ「…恥ずかしいから何度も言わせないでよ。」

ブラッキー「…うん。」

エーフィ「…ブラッキー君のことが好き…///」

ブラッキー「…///」

エーフィ「…だから、止めないよ。」

ブラッキー「!」ホッ


エーフィはニコッと笑って言った。


エーフィ「…私もついていくから。」

ブラッキー「!?」


つくづく彼女には驚かされる。

この俺についてくるというのだから。

 ▼ 150 WaitStCgv. 16/03/18 18:30:53 ID:l23mvVF6 [39/40] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


…でも、嬉しかった。


エーフィ「…誰がなんと言おうとブラッキー君についていく。だって、ブラッキー君のことが好きだから!」

ブラッキー「…」

ブラッキー「…俺も。」


嬉しかったんだ。

だって…


ブラッキー「…俺もエーフィのこと、好きだよ。」




…薄々気づいていたのかもしれない。

彼女と一緒にいると楽しくて、辛いことも忘れられる。

俺は…彼女のことが好きなんだって。
 ▼ 151 WaitStCgv. 16/03/18 18:32:16 ID:l23mvVF6 [40/40] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


エーフィ「…えへっ」ニコッ

ブラッキー「…」ニコッ


彼女の同行を自然と許していたのも、きっとそのせいだろう。


ブラッキー「…辛い旅になるかもよ。覚悟はいい?」

エーフィ「…もちろん!」


ブラッキー「…電光石火でいくよ!」

エーフィ「…うん!」



「「『でんこうせっか』!!」」


高速化した俺達は街を飛び出した。

あっという間に街は見えなくなり、俺達のまだ見ぬ地への旅が始まった。


〜第十話 完〜
 ▼ 152 ロピウス@おしえテレビ 16/03/18 18:45:49 ID:qesbyfR. NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 153 メ◆ZSLq0Csm3g 16/03/18 21:17:34 ID:3UL/.mg6 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援です
 ▼ 154 WaitStCgv. 16/03/19 11:13:23 ID:BIgKR6Ec [1/42] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告






第十一話 『願い事』





 ▼ 155 WaitStCgv. 16/03/19 11:14:14 ID:BIgKR6Ec [2/42] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告




街を抜け出した俺達は数ヶ月間に及ぶ旅を続けた。

たくさんの野を超え、たくさんの街を渡り歩いた。

時にはケンカをしたりもしたけど、ケンカした数だけの仲直りがあった。

一緒にご飯を食べたりしたし、買い物をしたりもした。


…エーフィとの旅は楽しかった。


 ▼ 156 WaitStCgv. 16/03/19 11:15:13 ID:BIgKR6Ec [3/42] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告



〜とある森〜



"パチ…パチパチ…"

焚き火特有の木の燃えて弾ける音。

メラメラと燃える炎を囲む俺達。

その日、俺達は野宿をしていた。


ブラッキー「…それでさ。俺の父さんはこう言ったんだ。」

ブラッキー「『どんなに辛くても、世界のどこかに必ずお前の居場所がある』」

ブラッキー「…ってさ。」

エーフィ「すご〜い…!」


炎を挟んだ向かい側にいるエーフィに話をする俺。

話題は、既にこの世を去った俺の父。

エーフィは食い入るように俺の話を聞いていた。
 ▼ 157 WaitStCgv. 16/03/19 11:15:53 ID:BIgKR6Ec [4/42] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


エーフィ「…それでそれで?」

ブラッキー「…その後は…知らないんだ。俺、逃げちゃったし」

エーフィ「あっ…ごめん。」

ブラッキー「…いいよ。」


ブラッキー「…エーフィと出会えたのも父さんのお陰かな。」

エーフィ「…優しいお父さんだったんだね。」

ブラッキー「…うん。自慢の父さんだ。」


辛気臭くなりそうな所で話を切り上げて、俺は夜空を見た。

満天の星空のどこかに父さんと母さんがいる気がした。


ブラッキー「…星が綺麗だね。」

エーフィ「…本当だ。」

 ▼ 158 WaitStCgv. 16/03/19 11:16:41 ID:BIgKR6Ec [5/42] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


エーフィ「…あの星が、しし座のシシコ。あの星はふたご座のバイバニラ。」

ブラッキー「…」


星空を眺めるエーフィはとても楽しそうだった。

ずっと見つめてると、エーフィは突然叫んだ。


エーフィ「…あっ! 見てみて! 流れ星!」


遠くの空を指さして興奮する彼女はまるで子供みたいだ。


エーフィ「…いつまでもブラッキー君と一緒にいられますように!」

ブラッキー「…!」

 ▼ 159 WaitStCgv. 16/03/19 11:17:38 ID:BIgKR6Ec [6/42] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


エーフィ「…あっ、消えちゃった。」

ブラッキー「…」


明らかに三回も言えてなかったが、エーフィがそう言ってくれたのは嬉しかった。


エーフィ「…ブラッキー君は何てお願い事したの?」

ブラッキー「…俺?」

ブラッキー「…俺は…秘密。」

エーフィ「えぇ〜!? ずるい!」


とてもじゃないけど言えなかった。

『エーフィが幸せでいられますように』って願ったなんて。

 ▼ 160 WaitStCgv. 16/03/19 11:19:06 ID:BIgKR6Ec [7/42] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告



ブラッキー「…俺、もう寝るね。」ゴロン

エーフィ「あっ、ずるいよ! ブラッキー君!」ゴロン

ブラッキー「わっ…! 一匹用の布団だから狭いよ…///」

エーフィ「えへへ…。前から憧れてたんだ。一緒の布団で寝るの。」

ブラッキー「…しょうがないなぁ…」


エーフィ「…あったかい…」

ブラッキー「…エーフィ。」

エーフィ「…なぁに?」

ブラッキー「…うぅん。なんでもない。おやすみ。」

エーフィ「…ええ! 気になるよぅ…」


きっと、俺がエーフィの幸せを願ったのは、既に俺が幸せだったからだと思う。

あんまり裕福な旅ではないけど、エーフィと一緒だから幸せだった。
 ▼ 161 WaitStCgv. 16/03/19 11:19:49 ID:BIgKR6Ec [8/42] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


エーフィ「ブラッキー君、教えてよ〜!」

ブラッキー「…ぐごぉ」zzz...

エーフィ「ブラッキー君〜〜!!」



ずっと。

ずっとこんな生活が続いてくれれば良いと思っていた。



でも。




俺達の旅は終わりを告げる。



〜第十一話 完〜
 ▼ 162 ンブレオン◆ucNFALi.bo 16/03/19 12:18:13 ID:l153WngM NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
支援
 ▼ 163 WaitStCgv. 16/03/19 12:30:45 ID:BIgKR6Ec [9/42] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告






第十二話 『お別れ』





 ▼ 164 WaitStCgv. 16/03/19 12:31:53 ID:BIgKR6Ec [10/42] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告



俺達が更に旅を続けること一ヶ月。

遂にその時は来た。



『食糧不足』



…前回の街で充分な量の食糧を補充できなかった事が原因だろう。

次の街へ着くのは当分先であるのにもかかわらず、もう食糧は二匹で二日分しかない。

彼女はそんな事も知らずに鼻唄を歌って楽しそうに歩いている。
 ▼ 165 WaitStCgv. 16/03/19 12:32:50 ID:BIgKR6Ec [11/42] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告



エーフィ「〜♪」

ブラッキー「…」


当分先の街に着くには…少なくとも五日はかかる。

俺の食糧を全て彼女にあげたとしても、足りるかどうか…


エーフィ「ブラッキー君はさ、何タイプが好き?」

ブラッキー「…エスパーかな。」

エーフィ「キャッ! そんな…エスパーだなんて…」

ブラッキー「…相性有利だし」

エーフィ「そんな照れなくていいのに〜♪」


この笑顔があと三日もすれば消えてなくなる。

俺はどうすべきか悩んだ。

 ▼ 166 WaitStCgv. 16/03/19 12:33:51 ID:BIgKR6Ec [12/42] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告



電光石火で走っても、その分だけ体力を消耗するから意味は無い。

誰かに助けを求めようにも、全く他人とすれ違わない。

前の街に戻ろうにも、食糧は保証されない。


どうしようもないこの状況に、俺は半ば諦めかけていた。



ブラッキー「…エーフィ。」

エーフィ「なぁに?」

ブラッキー「…話があるんだ。」



いや、もう諦めていたと言った方が正しいのかもしれない。

俺は立ち止まって、エーフィを呼び止めた。

 ▼ 167 WaitStCgv. 16/03/19 12:34:32 ID:BIgKR6Ec [13/42] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告



エーフィ「話って…何?」


何かを感じ取ったのか、エーフィは真剣な顔つきになった。


ブラッキー「…実は…」

エーフィ「…うん。」


俺は全てを話した。

食糧がないこと。

次の街が遠いこと。

戻っても保証がないこと。


ブラッキー「…ごめん…。」

エーフィ「…」


エーフィは何も言わなかった。

 ▼ 168 WaitStCgv. 16/03/19 12:36:59 ID:BIgKR6Ec [14/42] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告



正直、「嘘でしょ〜!?」とか、「大丈夫だよ!」って、大騒ぎするかと思っていたこちらの予想を超えた反応だった。

やはり読心されていたのかな、なんて思っているとエーフィは言った。



エーフィ「…いいよ。」

ブラッキー「…えっ?」

エーフィ「…私が我慢するから、先に進もう?」

ブラッキー「エーフィ…」

エーフィ「さぁ、進もう!」


ニコッと笑ってそう告げたエーフィは再び歩き始めた。

俺は情けなかった。

彼女に窮屈な生活を強いることが申し訳なかった。

俺は残った自分の食糧を全て彼女の配分に回した。
 ▼ 169 WaitStCgv. 16/03/19 12:38:24 ID:BIgKR6Ec [15/42] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告



その後の数日間、俺は無理して歩き続けた。


「楽しいね」って笑うエーフィに疲労と空腹を気取られないように、話題を探しながら。


夜には、こっそりと布団を抜け出しては野草を食べた。

苦い。苦すぎる。

とても食べられた物じゃなかった。

それでも毎晩野草を貪り、泥水をすすった。





でも、補充のあてが無い食糧は遂に底を尽きた。

 ▼ 170 WaitStCgv. 16/03/19 12:39:08 ID:BIgKR6Ec [16/42] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告



エーフィ「…食べ物、なくなっちゃったね。」

ブラッキー「…」

エーフィ「…ブラッキー君、次の街まであとどれくらいかな。」

ブラッキー「…」


不安げに尋ねるエーフィ。

今にも倒れそうな身体に鞭を打って歩かせている俺は答える体力も気力もなかった。

エーフィは俺から目を離すと言った。


エーフィ「…ここまでかな。私達の旅も。」

ブラッキー「!」

エーフィ「…ごめんね。私がいなかったらこんな所で倒れなかったのに…」

ブラッキー「…そんなこと…ない…」

 ▼ 171 WaitStCgv. 16/03/19 12:41:15 ID:BIgKR6Ec [17/42] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


出ない声を喉から振り絞って出す。

エーフィがいなきゃここまで来れなかった。

そう伝えたいのに、もう声すらまともに出せない。


エーフィ「…ブラッキー君。」

ブラッキー「…」

エーフィ「…今までありがとう。」


エーフィ「…私、ブラッキー君のこと大好きだよ。」


ブラッキー「…」


自然と俺の目から涙が出た。

どうやら涙が出せるほど水分が残っていたらしい。

その瞬間、俺は『それ』を使うことを決めた。

 ▼ 172 WaitStCgv. 16/03/19 12:42:58 ID:BIgKR6Ec [18/42] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


ブラッキー「…」ガサッ


俺は軽いリュックサックから『それ』を取り出した。


エーフィ「そ、それは…!」


『それ』を見た瞬間、目を丸くして叫ぶエーフィ。


エーフィ「ダメ! それだけは…ダメぇ!」



ブラッキー「…エーフィ。ごめん。」



『それ』は、いざというときに使おうと思っていたもの。

使うと、皆から忌み嫌われるようになり、自分という存在を失うもの。

外国ポケモンが嫌われる原因になったもの。



…改造ツール。
 ▼ 173 WaitStCgv. 16/03/19 12:46:59 ID:BIgKR6Ec [19/42] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告



…彼女と旅をする上で、共に果てることがあるのならばと、携帯していたこのツール。

どうやら持ってきていて正解だったようだ。


ブラッキー「…俺は…キミの悲しむ顔を…もう見たくないんだ…」


本当は使いたくなかった。

最初からこんなものが存在しなければ、外国ポケモンは嫌われていなかったし…

最初からこんなものが存在しなければ、俺とエーフィはこんなに苦しむことはなかった。

でも、これでエーフィが生き延びることが出来るなら、この俺の身体なんて喜んで差し出そう。


…ディスク状のそれを天に掲げ、力を込める。

ディスクは眩しい輝きを放ち…消滅した。



刹那、俺の身体が光り始めた。



 ▼ 174 WaitStCgv. 16/03/19 12:48:00 ID:BIgKR6Ec [20/42] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告



俺の特徴である身体の黄色い模様が、徐々に青く染まっていく。


エーフィ「…嫌! やめて!」


餓死しそうだったのに、もう空腹を感じない。

疲れ果てていたのに、もう疲労を感じない。


エーフィ「…ダメ! そんな事をしたら最後にどうなるかわかってるんでしょ!?」



ああ。わかってるよ。

でも、こうすることでしか救えないんだ



エーフィ「やめてぇぇぇぇぇぇ!!」


 ▼ 175 WaitStCgv. 16/03/19 12:48:39 ID:BIgKR6Ec [21/42] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告











さようなら。


大好きだよ、エーフィ。








〜第十二話 完〜
 ▼ 176 WaitStCgv. 16/03/19 12:54:53 ID:BIgKR6Ec [22/42] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告







最終話 『居場所』





 ▼ 177 WaitStCgv. 16/03/19 12:55:55 ID:BIgKR6Ec [23/42] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告









そこに………ブラッキー君はいた。








 ▼ 178 WaitStCgv. 16/03/19 12:57:40 ID:BIgKR6Ec [24/42] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告



ブラッキー「…」




黄色かった模様は青く染まっていて、目が座っている。

まるで…別のポケモンみたいだった。


ブラッキー「…」

エーフィ「…ブラッキー…君…?」


呼びかけても返事がない。

でも、じっと私のことを見つめてる。

…怖かった。

『何かされる』ってことじゃなくて、ブラッキー君がいなくなるということが。

 ▼ 179 WaitStCgv. 16/03/19 12:58:27 ID:BIgKR6Ec [25/42] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告



エーフィ「…ブラッキー君。」

ブラッキー「…」

エーフィ「…ねぇ、返事をしてよ。ブラッキー君!」


ブラッキー君は返事をしてくれなかった。

きっと意識がないからだと思う。



改造を施したポケモンは異常な力を得る。

でも、その代わりに意識を失って、最後には死んじゃう。


…私のお父さんがそうだった。

 ▼ 180 WaitStCgv. 16/03/19 12:59:15 ID:BIgKR6Ec [26/42] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告





お父さんは改造に手を出して、すごい力を手に入れた。




でも、少しずつ意識がなくなっていって…




お母さんを殺した後、お父さんも消えた。



エーフィ「…ブラッキー君!」

ブラッキー「…」


私は生きようが死のうが構わない。

でも、このままだとブラッキー君は確実に消滅する。

それだけは絶対に嫌だった。

 ▼ 181 WaitStCgv. 16/03/19 13:00:55 ID:BIgKR6Ec [27/42] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告



エーフィ「ブラッキー君…」

ブラッキー「…」スタスタ

エーフィ「ブラッキー君…!」


ブラッキー君は私のすぐ傍まで歩いてきた。

改造ポケモンに近寄られたら逃げるのが常識だった。

だって、改造ポケモンは意識のない殺戮兵器だから。

でも私は逃げなかった。


ブラッキー「…ゴ…メン…」

エーフィ「…ブラッキー君…?」

ブラッキー「…エ…フィ…」


無表情のブラッキー君の目から涙が滴り落ちていた。
 ▼ 182 WaitStCgv. 16/03/19 13:02:50 ID:BIgKR6Ec [28/42] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


ブラッキー君は頭を私のお腹に潜らせて、私をおぶった。

そして、そのまま私ごとフワリと浮き上がった。


エーフィ「ぶ、ブラッキー君!?」

ブラッキー「…」フワフワ

エーフィ「…これって…」


それはまぎれもなく、『そらをとぶ』だった。

翼が生えているわけでもないのに、プカプカと浮かび上がる姿は、とても異質な光景だった。

改造で『なんでもあり』になっていた。

 ▼ 183 WaitStCgv. 16/03/19 13:04:04 ID:BIgKR6Ec [29/42] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告




ブラッキー君はそのまま、今まで来た道を戻る方向に飛行し始めた。

私を元の街に帰そうとしているのだろう。

…不思議だった。

何でもありならテレポートを使えば良いのに、何故わざわざ空を飛ぶのだろう。


そう思っていると、すぐに納得した。



エーフィ「…綺麗な星空…」


辺りは既に真っ暗で、空には星が浮かんでいたから。
 ▼ 184 WaitStCgv. 16/03/19 13:06:14 ID:BIgKR6Ec [30/42] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


夜空には見事に無数の星が散らばっていた。

ブラッキー君はその星たちを見ることもせず、涙を流しながら呟いた。



ブラッキー「…ホ…シ…」

エーフィ「…星…?」

ブラッキー「…ミマ…モル…」



星、見守る。

『自分は消えてなくなるけど、星になって見守るよ』

きっと、ブラッキー君はそう言いたいのだろう。


私の目からも涙があふれた。
 ▼ 185 WaitStCgv. 16/03/19 13:07:41 ID:BIgKR6Ec [31/42] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告



エーフィ「…バカ…」

ブラッキー「…」

エーフィ「…バカァ…!」ポロポロ

ブラッキー「…ゴ… メ …ン …」


意識はないはずなのに、途切れ途切れに言葉を紡ぐブラッキー君は…


なんだか嬉しそうだった。




 ▼ 186 WaitStCgv. 16/03/19 13:08:20 ID:BIgKR6Ec [32/42] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告







夜明けを迎える頃。私達はあの街に着いた。




私達が初めて出会った街。

ブラッキー君と通ったあの学校。



ブラッキー君はゆっくりと屋上に降り立ち、私を下ろした。




 ▼ 187 WaitStCgv. 16/03/19 13:12:30 ID:BIgKR6Ec [33/42] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

ブラッキー「…」


私を見つめるブラッキー君は無表情だった。


エーフィ「何で…」

ブラッキー「…」

エーフィ「…あなたは何も悪くないじゃない…」

ブラッキー「…」

エーフィ「…ねぇ、また一緒に学校に通おう?」

ブラッキー「…」

エーフィ「…きっと、みんなブラッキー君が外国ポケモンだってこと忘れてるよ…」

ブラッキー「…」

エーフィ「…またバトル部でカッコイイ所見せてよ…!」

ブラッキー「…」

エーフィ「…私、まだまだ知らないことあるよ?」

 ▼ 188 WaitStCgv. 16/03/19 13:13:30 ID:BIgKR6Ec [34/42] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告



エーフィ「…そうだ、まだ私タイプ相性全部覚えてないんだ。」

エーフィ「…良い覚え方教えてよ!」

エーフィ「…このままいなくなるなんて嫌だよ!」

エーフィ「…ブラッキー君!」


ブラッキー「…」




ブラッキー「…」ニコッ


エーフィ「…!」



意識のないはずのブラッキー君が笑った。
 ▼ 189 WaitStCgv. 16/03/19 13:14:21 ID:BIgKR6Ec [35/42] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告



そして、その顔が。身体が。

少しずつ、少しずつ朽ち始めた。

嫌だ。行かないで。

私は…私は…



ブラッキー「…」パラパラ…

エーフィ「…待って…!」


少しずつ太陽が顔を出し始め、周りが明るくなっていく。

ブラッキー君の身体がどんどん消えていく。


エーフィ「…待ってよ…!」

 ▼ 190 WaitStCgv. 16/03/19 13:15:43 ID:BIgKR6Ec [36/42] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告



ブラッキー「…エ………フィ……」



エーフィ「…!」





エーフィ「……! ………!!」




ブラッキー「………………」




エーフィ「………………!!!!」
 ▼ 191 WaitStCgv. 16/03/19 13:16:36 ID:BIgKR6Ec [37/42] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告







『…ありがとう』







口の動きしか読み取れなかったけど、確かにそう言っていた。

もう意識もなくて、ほとんど壊れかけの身体なのに。

ブラッキー君は私にそう伝えたのだ。

 ▼ 192 WaitStCgv. 16/03/19 13:17:53 ID:BIgKR6Ec [38/42] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告




…日の出。

夜明けと共に顔を出した太陽が地上を照らす。

同時に、ブラッキー君の身体が砕け散り、空に吸い込まれていった。






「ブラッキーくぅぅーーーーーーーん!!」






嘆き叫んだ私の細い声が、街中にこだましていた。



・・・
 ▼ 193 WaitStCgv. 16/03/19 13:18:39 ID:BIgKR6Ec [39/42] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告










そして、あの日から10年の時が過ぎた。







 ▼ 194 WaitStCgv. 16/03/19 13:19:48 ID:BIgKR6Ec [40/42] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


〜学校〜


"キーン、コーン、カーン、コーン…"


「起立、礼!」

「「お願いしま〜す」」


エーフィ「はい、じゃあ授業始めるよ。教科書開いて〜!」



私は学校の先生になった。

学校では人権教育をしたり同和問題について授業をした。

市町村には外国ポケモン差別の撤廃を主張し、改造の取り締まりを徹底するように呼びかけた。

その甲斐あってか、外国ポケモン差別はないに等しくなった。


…でも。

…今でもあの傷は癒えていない。

 ▼ 195 WaitStCgv. 16/03/19 13:21:32 ID:BIgKR6Ec [41/42] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告






10年前の今日。

私を助けるために自分を犠牲にした英雄を。

大嫌いな改造を涙をのんで自分に施した彼を。

誰よりも強くて、優しいブラッキー君を。

私は、きっとこれからも忘れない。


あなたの居場所はここにあるから…



早く帰ってきてください。





〜最終話 完〜
 ▼ 196 WaitStCgv. 16/03/19 13:22:12 ID:BIgKR6Ec [42/42] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告











・・・









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