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SS

【SS】アンブレオン

 ▼ 1 目のワニノコ◆WaitStCgv. 16/02/22 19:05:37 ID:P9Aj6kP6 [1/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

〜教室〜


"ガヤガヤガヤガヤ…"


「なぁ。知ってるか?今日転校生来るらしいぜ」

「うん、知ってた。噂によるとイケメンらしいよ」

「え?何?転校生来るの?話に混ぜてよ〜」


"キーンコーンカーンコーン…"

"ガラガラ〜…"


フーディン「おう、ホームルーム始めるぞ。席つけ〜」

「「は〜い」」
 ▼ 2 チュール@ポイントカード 16/02/22 19:06:45 ID:g2DyX5x2 [1/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
コテハンのことかと思った
 ▼ 3 目のワニノコ◆WaitStCgv. 16/02/22 19:07:03 ID:P9Aj6kP6 [2/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


フーディン「…え〜と、今日の連絡一つ目。持ち物検査があります。」

「え〜?聞いてないよ先生〜!」

フーディン「先生は聞いてないよ先生という名前ではありません〜。問答無用で放課後にやるからな〜?」

「何ガキみたいなこと言ってんだよ、先生…」


フーディン「二つ目。今日は職員会議があるので掃除ナシ。」

「やりぃ!遊べる時間が増えたぞ!」

フーディン「勉強もしろよ?」

「わかってるって!次の連絡は?」


フーディン「…三つ目。もう知っている人もいるかと思うが、転校生が来ます。」

「「おおおおおおお!」」


"ガヤガヤ…ザワザワ…"
 ▼ 4 目のワニノコ◆WaitStCgv. 16/02/22 19:07:44 ID:P9Aj6kP6 [3/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


フーディン「はい、静かに。」


「先生!転校生ってどんな奴ですか?」

「イケメン?イケメン?」

「はぁ?何言ってんだ。転校生って言ったら美少女に決まってんだろ」


フーディン「ハハハ。色んな予想が飛び交う最中に悪いが、実はその転校生…もう来てるんだ。」

「「!!!」」


フーディン「お〜い、入ってくれ。」


 ▼ 5 目のワニノコ◆WaitStCgv. 16/02/22 19:10:03 ID:P9Aj6kP6 [4/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
"ガラガラガラ…"


ブラッキー「…」スタスタ

「おおお…!!」

「なんだ、男かよ…」

「「きゃああああ!!」」

「めっちゃイケメンじゃん…!」

フーディン「…自己紹介を。」

ブラッキー「…ブラッキーって言います。最近この町に引っ越して来ました。知らない事がたくさんあると思いますが、よろしくお願いします」ペコリ


"パチパチパチパチ…"


「…素敵…」

「…クソ…カッケェ…」
「どうせもうリア充だろ?」

フーディン「…というわけで、今日からお前達はクラスメイト仲間だ。仲良くするんだぞ。」

フーディン「…じゃあブラッキー。あそこの席に座ってくれ。」

ブラッキー「はい。ありがとうございます」
 ▼ 6 目のワニノコ◆WaitStCgv. 16/02/22 19:11:12 ID:P9Aj6kP6 [5/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


ブラッキー「…」スタスタ


"ガタッ…ゴト。"


エーフィー「…よろしくね。」

ブラッキー「…うん。よろしく…。」


「エーフィーちゃんの隣かぁ。羨ましいなぁ…」

「別に良くねぇ?俺と付き合えばさぁ」

「それは絶対イヤ。」

「ショック…!」


フーディン「…じゃあ、今日のホームルーム終わり。一時間目は『バトル基礎』か。お前達、座学だからって寝るなよ?」

「「はーい」」


"ガラガラ…ピシャリ。"
 ▼ 7 リジオンの人◆QhqpxfPSAI 16/02/22 19:22:58 ID:S04vrbi. NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
真面目にコテハンSSかと思ってびっくりしたw
 ▼ 8 目のワニノコ◆WaitStCgv. 16/02/22 19:41:17 ID:P9Aj6kP6 [6/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告




第一話『お隣さん』




 ▼ 9 目のワニノコ◆WaitStCgv. 16/02/22 19:43:24 ID:P9Aj6kP6 [7/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

「起立、礼。」

「「お願いします」」

ルカリオ「…よし、授業を始めるぞ。」

ルカリオ「…バトルの基本であるタイプ相性についてはもう抑えてると思うから応用に行こう。教科書15ページを〜…」

ブラッキー「…」ヨソミー


…一時間目。朝っぱらから初対面の先生の授業が退屈だなんて思わなかった。

『バトル基礎』なんて熟知しているから聞いてなくても別にいいんだけどな…

そうだ。暇つぶしに自己紹介の脳内練習でもしておくか。


俺はブラッキー。先日この町に引っ越して来た。

一人暮らしをしてて、自立もしてるんだけど、引っ越し先の大家さんに「学生は学校に行くもんだ!」なんて言われちゃって学校に通い始めた。


…ざっくりこんな感じか。
 ▼ 10 目のワニノコ◆WaitStCgv. 16/02/22 19:45:28 ID:P9Aj6kP6 [8/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


エーフィー「…ねぇ、ブラッキー君」ボソッ

ブラッキー「!」


ん…?あ、さっきの…

えっと…名前なんて言うんだっけ。

いや、そもそも一度も聞いてないか。


ブラッキー「えっと…誰?」

エーフィー「あ、ゴメンね。自己紹介まだだったね。私はエーフィー。」

ブラッキー「…エーフィー。憶えておくよ。」

ルカリオ「ほらそこ、お喋りすんな。」
 ▼ 11 目のワニノコ◆WaitStCgv. 16/02/22 19:47:26 ID:P9Aj6kP6 [9/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

ブラッキー「あっ、すみません。」

ルカリオ「…ん?見ない顔だな。転校生か?」

ブラッキー「はい。これからお世話になります」

ルカリオ「おう、頑張れよ」


どうやら俺の『転校生』という立場のお陰で叱られるのは免れたみたいだ。

でも次はなさそうだから、大人しくつまらない授業でも聞いていようか…ん?


エーフィー「…」ポイッ

ブラッキー「…?」ヒョイッ


何か飛んできたぞ?これは…ノートの切れ端か。

なになに…

《ごめんなさい!私が話しかけたばっかりに…!》

ふぅん。意外と謙虚なんだな…。


ブラッキー「…」カキカキ
 ▼ 12 ーリキー@プテラナイト 16/02/22 19:49:19 ID:g2DyX5x2 [2/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
エーフィーじゃなくてエーフィ、だよ
細いけど
 ▼ 13 目のワニノコ◆WaitStCgv. 16/02/22 19:50:02 ID:P9Aj6kP6 [10/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


ブラッキー「…」ポイッ

エーフィー「…!」ヒョイッ


《気にしてないよ。これからもよろしくね。エーフィー。》


エーフィー「…!」ニコニコ

ブラッキー「…」


彼女は嬉しそうだ。どうやら喜んでもらえたらしい。

隣の席は何かとお世話になるだろうから早いとこ距離感を掴まないとな。

それに、俺の席は窓際の端っこだから隣の席はエーフィーだけだし。


…そういえば、エーフィーはなんで俺に話しかけてきたんだろう。
 ▼ 14 目のワニノコ◆WaitStCgv. 16/02/22 19:51:03 ID:P9Aj6kP6 [11/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


…ん?


エーフィ「…」ポイッ

ブラッキー「…」ヒョイッ


《こちらこそ!これからよろしく!(^-^)》


う〜ん。話しかけてきた用件がイマイチわからなかったけど、仲良くなるキッカケにはなったからいいか。

さて、今度こそ授業に集中…


エーフィ「…!」ポイッ


おいおい、新しいノートの切れ端が飛んできたよ。

そろそろ怒られそうだから打ち切らないと…
 ▼ 15 目のワニノコ◆WaitStCgv. 16/02/22 19:52:24 ID:P9Aj6kP6 [12/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

《この授業、苦手なんだけどブラッキー君はわかる?》


ブラッキー「…」チラッ

エーフィ「…」


なるほど。要は『勉強教えて』ってことか。

でもここだと怒られるから…


ブラッキー「…」カキカキポイッ


《放課後に時間が空いてるなら、いくらでも教えるよ》


エーフィ「…!」ニコッ


さて、授業に集中しよう。


〜第一話 完〜

 ▼ 16 目のワニノコ◆WaitStCgv. 16/02/22 19:52:59 ID:P9Aj6kP6 [13/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
>>13
指摘ありがとうございます。
 ▼ 17 ョンチー@かみなりのいし 16/02/22 21:39:19 ID:6W2Xwdc2 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 18 TAR◆odCPKnRr.6 16/02/22 22:54:22 ID:daqLDaYc NGネーム登録 NGID登録 報告
コテハンのSSだと思った
支援
 ▼ 19 古鳥◆godg9/SZ96 16/02/23 17:24:21 ID:bo9zspc6 NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 20 ナフィ@カードキー 16/02/23 18:09:35 ID:kl3CnRN2 NGネーム登録 NGID登録 報告
アンブレオンとブラッキーってどういう関係なん?

あ、支援
 ▼ 21 ローゼル@たまむしプレート 16/02/23 23:02:45 ID:dMa0sENE NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ブラッキーの英名がアンブレオン
 ▼ 22 リキザン@くろおび 16/02/24 17:09:12 ID:IBbO3SRc NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
支援
 ▼ 23 目のワニノコ◆WaitStCgv. 16/02/28 16:00:53 ID:Wb72G64Q [1/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告





第二話『バカと天才』





 ▼ 24 目のワニノコ◆WaitStCgv. 16/02/28 16:01:54 ID:Wb72G64Q [2/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
〜放課後の教室〜

"キーンコーンカーンコーン…"


フーディン「…はい、ホームルーム終わり。気をつけて帰るんだぞ」

「起立、礼。」

「「ありがとうございました〜」」


「よし。部活行こうぜ」

「あ、わり。俺今日デート入ってて「リア充大爆発しろ」

"ガヤガヤガヤガヤ…"


ブラッキー「…」


…うるさいなぁ。

最後のホームルームが終わった途端にこれだよ。

俺は騒がしすぎるのは嫌いなんだ。


エーフィ「…ブラッキー君♪」
 ▼ 25 目のワニノコ◆WaitStCgv. 16/02/28 16:02:29 ID:Wb72G64Q [3/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


ブラッキー「…ん、どうしたのエーフィさん」

エーフィ「エーフィでいいよ。それよりも…」キョロキョロ

ブラッキー「…?」


どうしたんだろう。


エーフィ「…勉強、教えてもらっていいかな?」ボソッ

ブラッキー「ああ。そうだったね。」


そういえば放課後に時間があれば勉強を見るって約束をしたっけ。

帰ったら引っ越し手続きの仕上げとかその他諸々やらないといけない事があるから、うっかり忘れてた。
 ▼ 26 目のワニノコ◆WaitStCgv. 16/02/28 16:02:58 ID:Wb72G64Q [4/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

エーフィ「…」ジーッ

ブラッキー「ど、どうしたの?エーフィ。」

エーフィ「…まさか、約束を忘れてたなんてことはないよね?」

ブラッキー「!」ギクッ

ブラッキー「そんなことないよ!ないない!絶対…!」

エーフィ「…良かった!色々聞こうと思ってたから…」ニコッ

ブラッキー「…」ホッ


あ、危なかった。

意外と鋭いんだな……気をつけないと。


ブラッキー「…えっと、バトル基礎だったよね?なんでも聞いてよ。」

エーフィ「ありがと〜…!」
 ▼ 27 目のワニノコ◆WaitStCgv. 16/02/28 16:03:54 ID:Wb72G64Q [5/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

エーフィ「じゃあ聞くけど、タイプってなに?」

ブラッキー「」ズコーッ


そ、そこからか…!

バトル基礎ってそんなに難しくないんだけど…

まさかタイプ相性からとは…


ブラッキー「え、えっと…」

エーフィ「あっ、ゴメンね…!私、こう見えても頭の悪さは筋金入りなんだ…」

ブラッキー「いや、大丈夫だよ。でもまず、どこまで理解出来てるかを知らないといけないからテストをしよう」

エーフィ「て、テスト…?テストって…あのテストだよね…」


…そんな恐ろしげな顔をしないでくれ。

テストに親でも殺されたわけじゃあるまいし…。


ブラッキー「大丈夫だよ。先生みたいに厳しくしないから」

エーフィ「う、うん。私頑張るね…」
 ▼ 28 目のワニノコ◆WaitStCgv. 16/02/28 16:04:49 ID:Wb72G64Q [6/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


ブラッキー「…じゃあ、まずエスパータイプについてだけど…」

エーフィ「ちょっと待って、エスパータイプって何?」

ブラッキー「…えっ?」


まさか…


ブラッキー「…エーフィ、君って何タイプ?」

エーフィ「???」

ブラッキー「…嘘でしょ?」

エーフィ「…えっ?何が?」


もしかして、自分のタイプさえもわかってないのか。
 ▼ 29 目のワニノコ◆WaitStCgv. 16/02/28 16:06:08 ID:Wb72G64Q [7/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

ハァ…、仕方が無いか。


ブラッキー「…エーフィ」

エーフィ「な、なに?」

ブラッキー「…はい」スッ

エーフィ「…? これはなに?」

ブラッキー「…タイプ相性表。少しずつでいいから憶えてきてね。」

エーフィ「うぅ…ゴメンね…基本的なことさえわかってなくて…」


こればっかりは本当に仕方が無い。

タイプ相性を憶えない限りは次のステップに進むことすらできないからね。

頑張ってくれ。


エーフィ「…」ジーッ

ブラッキー「…ん?」

エーフィ「ブラッキー君はこの表にあるの全部言えるの?」

ブラッキー「言えるよ」
 ▼ 30 目のワニノコ◆WaitStCgv. 16/02/28 16:06:58 ID:Wb72G64Q [8/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


エーフィ「じゃあ、…ノーマルタイプが弱点を突けるのは何タイプ?」

ブラッキー「ないよ」

エーフィ「えっと…正解!」


おいおい。いきなりクイズを出してきたと思ったらひっかけ問題かよ。

まあタイプ相性は把握済みだから構わないけど…


エーフィ「第二問!」


なんか楽しんでるような気が…

まあいいか。エーフィの勉強にもなりそうだし。


エーフィ「お互いに効果が無いタイプは?」

ブラッキー「ノーマルタイプとゴーストタイプ」

エーフィ「せ、正解…!」


うん、簡単だ。
 ▼ 31 目のワニノコ◆WaitStCgv. 16/02/28 16:07:44 ID:Wb72G64Q [9/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


エーフィ「すごいね〜!」

ブラッキー「まあね。タイプ相性って大切だし」

エーフィ「そっかぁ…」


タイプ相性がわからないと絶対にバトルで不利になる。

…もしかして何とかなるとでも思っていたのかな。


エーフィ「じゃあ、最終問題。」

ブラッキー「うん。」

エーフィ「…私の好きな男の子のタイプは…?」


ブラッキー「…えっ?」


好きな…男の子のタイプ……?
 ▼ 32 目のワニノコ◆WaitStCgv. 16/02/28 16:08:34 ID:Wb72G64Q [10/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


ブラッキー「あ、え?…っ……」


どういう事?俺はタイプ表に書いてある問題しか答えるつもりはなかったんだけど…

答えがわからない…!


ブラッキー「…えっと……」

エーフィ「…えへへ」

ブラッキー「ごめん。わかんないや。」

エーフィ「ええ〜」

ブラッキー「ええ〜って…わからないものはわからないよ」


エーフィ「少しくらい答えてくれてもいいじゃない。…ブラッキー君のバカ…」ボソッ

ブラッキー「…」


ごめん、聞こえてる。
 ▼ 33 目のワニノコ◆WaitStCgv. 16/02/28 16:09:15 ID:Wb72G64Q [11/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告



結局、その日はエーフィにタイプ相性表を渡して帰った。



そして、学校からの帰り道。

田舎ならではの連なる山々に沈んでいく橙色の夕日が綺麗だった。

反対の方向には、ぷっかりと三日月が浮かんでいる。


その三日月が自分で、あの夕日がエーフィ。

そんな事を考えていたら、何だか恥ずかしくなったので、走って帰った。


登校日初日は、なかなか良いスタートを切れたんじゃないか。

そんな風に思った。


〜第二話 完〜
 ▼ 34 ルガルド@アクアカセット 16/02/28 16:11:01 ID:qwTedJcI NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
(ポケモンでする必要)
 ▼ 35 オタチ@ひかりのこな 16/02/28 16:17:11 ID:ZyQboQ3g NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
>>34
(そんなこと言ったらポケダンも必要ナッシング)
 ▼ 36 ラナクシ@イナズマカセット 16/02/29 08:20:41 ID:lUbYAD/c NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
>>34
タイプ相性ェ・・・

支援
 ▼ 37 目のワニノコ◆WaitStCgv. 16/03/07 17:32:49 ID:DBnDz4M2 [1/15] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告





『第三話 過去話』





 ▼ 38 目のワニノコ◆WaitStCgv. 16/03/07 17:34:59 ID:DBnDz4M2 [2/15] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

〜自宅〜


"ガチャ…"


無事、家に到着してドアを開ける。

家に入ると、冷えた空気が頬に伝わってきて肌寒かった。


ブラッキー「…ただいま。」


誰もいない家で独り呟く。

もちろん、返事などあるはずもない。


ブラッキー「…寒い。暖房でも付けるか。」
 ▼ 39 目のワニノコ◆WaitStCgv. 16/03/07 17:35:50 ID:DBnDz4M2 [3/15] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

"カチッ……ボッ…"


間もなくストーブは点火し、冷えきった部屋を温めていく。


ブラッキー「…ふぅ…暖かい…」


シンプルで飾りっ気のない部屋で一息つくと、俺はカバンから書類を取り出した。

引っ越し手続き書って奴だ。


ブラッキー「さて、さっさと終わらせてしまおう。」


肩掛けカバンから筆箱を取り出して、ペンを握る。

だが、ペンを握る手がやっぱり冷たいので、しばらくはストーブに手をかざしていた。
 ▼ 40 目のワニノコ◆WaitStCgv. 16/03/07 17:38:23 ID:DBnDz4M2 [4/15] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

ようやく部屋も身体も温まってきたところで作業を再開する。


ブラッキー「…男、17歳…」カキカキ

ブラッキー「…仮入居を本入居に…っと。」カキカキ


一応これでも自立してる身だから、書類を書く事くらい朝飯前だ。


ブラッキー「…」ピタッ


だが、サラサラと書いていた手が『家族』の記入欄で止まった。


ブラッキー「…家族…か。」



俺には、家族がいなかった。


 ▼ 41 目のワニノコ◆WaitStCgv. 16/03/07 17:39:04 ID:DBnDz4M2 [5/15] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


そう、あれは数年前…──






俺がまだイーブイの頃の話。







そして、俺がまだ海の外にいる時の話だ。


 ▼ 42 目のワニノコ◆WaitStCgv. 16/03/07 17:41:14 ID:DBnDz4M2 [6/15] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


俺は海の外の大陸。

つまり、外国で生まれたポケモンだ。


父のリーフィア、母のグレイシアとの間に生まれたイーブイだった。


リーフィア「こっちだよ、イーブイ〜」

グレイシア「お母さんの方へおいで〜」

イーブイ「…♪」ヨチヨチ

リーフィア「ああ〜。やっぱりお母さんが良いか。」

グレイシア「よしよし。いい子ね。」ナデナデ

イーブイ「♪」


父も母も、俺の事をとても可愛がってくれた。

少しも育児を怠らない立派な親だった。


俺はとても幸せだった。
 ▼ 43 目のワニノコ◆WaitStCgv. 16/03/07 17:48:28 ID:DBnDz4M2 [7/15] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

でも、幸せは突然に消え去った。

何でかって?

…殺されてしまったんだ。父も、母も。

俺の住んでいた街は治安が悪く、時には他人を不幸に陥れてまで富を得ようとする者さえいた。

俺の両親もその犠牲者だった。

決して父は弱かった訳では無い。

父は『ロクブイ』と呼ばれるトップエリートな存在で、地元ではかなりの実力者だった。

そんな父と母が、ならず者に殺されてしまった原因。それは…


ならず者「ククク…」

リーフィア「卑怯者め…」

イーブイ「…」ガクガク

グレイシア「お願い…その子だけは…」


俺の存在だった。
 ▼ 44 目のワニノコ◆WaitStCgv. 16/03/07 17:49:51 ID:DBnDz4M2 [8/15] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

外で遊んでいた俺は、両親の目の届かぬ場所でならず者に捕まってしまい、人質にされてしまった。


ならず者「生きるのに卑怯も何もあるものか。」

イーブイ「…」ガクガク

リーフィア「…貴様…!」

グレイシア「お願いします…その子だけは…」

俺がいなければこんな雑魚、父なら簡単にコテンパンにできただろう。

だが、俺という存在が両親の足かせとなり、抵抗する事はできなかった。

ああ、思い出すだけで腹が立つ。

あのクソ野郎と不甲斐ない自分に…。


ならず者「いいだろう。俺はこんなガキに用はねぇ」

グレイシア「本当ですか!?ありがとうござ「ただし。」


ならず者「…お前達の命を頂こう」

リーフィア「なっ…!」

グレイシア「…!」
 ▼ 45 目のワニノコ◆WaitStCgv. 16/03/07 17:51:29 ID:DBnDz4M2 [9/15] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


リーフィア「何故だ!どうしてそんなこと…!」

ならず者「黙れ。コイツが殺されてもいいのか?」

イーブイ「うっ…」ガクガク

リーフィア「ぐっ…」


ならず者「…いいか?お前達の強さはこの街の奴ら全員が認めている。そんなお前達を討ち取ったとなれば俺の強さが証明されるというわけだ。」


グレイシア「でもっ!そしたらこの子は…」

ならず者「知るか。ガキ一匹の為に考えを変えるつもりはねぇ。」

イーブイ「…」ガクガク

グレイシア「そんな…」

ならず者「ククク…」


ソイツは、絶望する母の顔をニタニタと笑って見ていた。
 ▼ 46 目のワニノコ◆WaitStCgv. 16/03/07 17:52:39 ID:DBnDz4M2 [10/15] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


そして、両親は己の命と引き換えに俺を生かす事を決めた。

俺は拘束を解かれ、両親は動けないように麻痺状態にされた。

…最期に父が言ったあの言葉を今でも憶えている。


イーブイ「…ぉ…父…さん…」ガクガク

リーフィア「…イーブイ。」

イーブイ「…ぼく…」ガクガク

リーフィア「…イーブイ。よく聞きなさい。」


リーフィア「これからお前は独りぼっちになって居場所がなくなるかもしれない。」

リーフィア「とても辛く、苦しいかもしれない。」

リーフィア「でも、どんなに辛くても苦しくても。」

リーフィア「必ず世界のどこかにお前の居場所がある。」

リーフィア「…優しいお前ならきっと見つけられる。」

イーブイ「…ううぁう…」ポロポロ
 ▼ 47 目のワニノコ◆WaitStCgv. 16/03/07 17:53:23 ID:DBnDz4M2 [11/15] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


グレイシア「イーブイ。」

イーブイ「…ぉがぁざん…」ポロポロ

グレイシア「ほら。涙拭いて。」


グレイシア「…イーブイ。お父さんは好き?」

イーブイ「……う゛ん」グスッ

グレイシア「…お母さんは?」

イーブイ「…大好き。」

グレイシア「…良かった。」


グレイシア「…私も大好きよ。」

イーブイ「…ぅ…」

グレイシア「…ほら、泣かないで。」

グレイシア「お父さんのように強く生きなさい。誰にも負けないくらいに強く。」

イーブイ「…うん」
 ▼ 48 目のワニノコ◆WaitStCgv. 16/03/07 17:54:29 ID:DBnDz4M2 [12/15] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告



リーフィア「…優しいお前なら」

グレイシア「…きっと、どこでも生きていける」


リーフィア「…大好きだぞ。イーブイ」
グレイシア「…大好きだよ。イーブイ」


イーブイ「…お父さん…お母さん……」

リーフィア「さあ行け!走るんだ!」


イーブイ「…!」ダッ


"タッタッタッタッ…"


リーフィア「…頑張れよ。」



・・・
 ▼ 49 目のワニノコ◆WaitStCgv. 16/03/07 17:55:05 ID:DBnDz4M2 [13/15] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


家族を失ったあの夜、俺は進化した。

だが、その姿を見せる両親はもういない。

怒りと悲しみでどうにかなってしまいそうだった。

泣いて、泣いて、涙を枯らして。


それからは故郷を出て、旅をした。

亡き母の言った約束を守るために。


誰にも負けないくらい強くなるために身体を鍛えた。

誰にも負けないくらい強くなるために精神を鍛えた。


そして、俺は負けなくなった。
 ▼ 50 目のワニノコ◆WaitStCgv. 16/03/07 17:56:08 ID:DBnDz4M2 [14/15] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告



だが、父の言っていた事は果たせなかった。


『居場所を見つけろ』


その言葉が胸に深く刻まれている。

なのに、俺は自分の居場所を探す気になれなかった。

独りに慣れてしまったんだ。


ブラッキー「…家族なし…と。」カキカキ


これからはこの街で一人暮らしをするつもりだ。

普通の、一般的な、他人と違わないような一生を、ここで。
 ▼ 51 目のワニノコ◆WaitStCgv. 16/03/07 17:57:16 ID:DBnDz4M2 [15/15] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


ブラッキー「…はぁ。やっと書き終わった…」ゴロン


くたびれた俺は横になった。

色々と思い出しすぎて疲れてしまった。


ブラッキー「…家族…か。」


天井を見ると、部屋がやけに狭く感じた。

これからはこの街に住み続けるのだから、贅沢なんてしていられない。

旅をしている時は野生の果実を食べてれば良かったけど、これからはそうもいかない。

バイトをして、お金を稼いで、家賃3万円のこの家で生活する。


ブラッキー「…」zzz...


そんな小難しいことを考えていたら、いつの間にか寝てしまっていた。


〜第三話 完〜
 ▼ 52 ドラン♂@フエンせんべい 16/03/07 18:51:10 ID:RW3TGdBo NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
「!」とか「?」の後はひとつ空けておいた方が読みやすいかと
 ▼ 53 ビット@きあいのタスキ 16/03/07 19:13:39 ID:y4QdrlN2 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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 ▼ 54 リュウズ@ちかのカギ 16/03/07 20:25:00 ID:HzdLxLXE NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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 ▼ 55 ティオス@リザードナイトX 16/03/07 21:52:32 ID:cp/kG.RE NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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 ▼ 56 ロバット@むげんのふえ 16/03/09 14:51:16 ID:hUQkcusU NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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 ▼ 57 目のワニノコ◆WaitStCgv. 16/03/09 14:53:14 ID:c3mDKES. [1/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告




第四話 『部活』



 ▼ 58 目のワニノコ◆WaitStCgv. 16/03/09 14:54:12 ID:c3mDKES. [2/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

〜放課後の教室〜

"キーン、コーン、カーン、コーン…"


フーディン「はい、ホームルーム終わり。」

「起立、礼」

「「 ありがとうございました〜 」」


"ガヤガヤガヤ…"


ブラッキー「(…さてと。帰るかな)」ガタッ

フーディン「あ、ブラッキー。ちょっと…」チョイチョイ

ブラッキー「?」


登校二日目が終わって、帰ろうとした俺。

そこに、担任のフーディン先生が俺を呼び止めた。


ブラッキー「なんですか?」

フーディン「ああ、ブラッキー…あのな…」
 ▼ 59 目のワニノコ◆WaitStCgv. 16/03/09 14:54:46 ID:c3mDKES. [3/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


フーディン「お前、部活はもう決まったか?」

ブラッキー「部活?」


フーディン先生の口からでたその言葉は聞いたことがなく、俺はそのまんま聞き返した。


フーディン「ああ。正式には『部活動』といって、スポーツをしたり、歌を歌ったりといった事を仲間で集まってする活動なんだが…」

ブラッキー「はぁ…」


何となくだが、大勢で集まってワイワイするのがイメージできた。

そして、ある事に気がつく。


ブラッキー「(…あれ?それって『居場所』が作れるの確定してるような…)」

フーディン「それで、うちの学校は部活必須でな。お前は何の部活に入るのかと思って…」

ブラッキー「いや、初耳ですよ、それ。」
 ▼ 60 目のワニノコ◆WaitStCgv. 16/03/09 14:56:05 ID:c3mDKES. [4/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


部活必須とか重要なことを、こんなにサラッと言われちゃあ たまったもんじゃないよ。

心の底でそんな愚痴をこぼしながら俺はその場は「考えておく」とだけ伝えて、学校を後にした。



〜帰り道〜


ブラッキー「部活…か。」テクテク

ブラッキー「部活するとバイトの時間減るんだよなぁ…」テクテク

ブラッキー「でも部活必須だし…」テクテク

ブラッキー「うーん…」テクテク

エーフィ「バトル部はどうかな?」

ブラッキー「バトル部…バトル部か…確かに腕っぷしじゃあ負ける気はしないけど…」





ブラッキー「…なんでエーフィがここにいるの?」

エーフィ「今日は部活がお休みだったから早く帰れるの!」ニコッ
 ▼ 61 目のワニノコ◆WaitStCgv. 16/03/09 14:57:36 ID:c3mDKES. [5/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


ブラッキー「へぇ…それで、家こっちなの?」テクテク

エーフィ「うん、そうだよ。 ところで、何の部活に入るか悩んでたんでしょ?」テクテク

ブラッキー「え? あ、うん」

エーフィ「だったら、バトル部がいいんじゃない?」

ブラッキー「バトル部か…」


ブラッキー「(確かに、時間を割いて練習しなくてもいいから楽かも)」


ブラッキー「うん、とりあえず入部してみようかな。」

エーフィ「そっかそっか…!」ピタッ


ふいに、一緒に歩いていたエーフィが立ち止まった。

それに気づいた俺は少し先で立ち止まって、後ろを振り向いた。
 ▼ 62 目のワニノコ◆WaitStCgv. 16/03/09 15:01:06 ID:c3mDKES. [6/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


ブラッキー「…エーフィ?」クルッ

エーフィ「…」


エーフィは俺の瞳の奥を見ているかのように、ジッと見つめていた。

そして、ニコッと微笑んで一言。


エーフィ「…ようこそ。バトル部へ!」ニコッ

ブラッキー「…えっ?」


「ようこそ」と俺に言ったのだった。



〜第四話 完〜
 ▼ 63 ロトーガ@いかりまんじゅう 16/03/09 15:04:09 ID:zbZjxtbQ NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
エフィブラいいね(。・∀・)b
 ▼ 64 目のワニノコ◆WaitStCgv. 16/03/10 22:40:04 ID:jg4TtRSk [1/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告




第五話 『スーパールーキー』



 ▼ 65 目のワニノコ◆WaitStCgv. 16/03/10 22:44:00 ID:jg4TtRSk [2/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


〜放課後の学校(バトルグラウンド)〜



フーディン「今日は新入りを紹介する。」

フーディン「転校生のブラッキーだ。仲良くしろよ。」

ブラッキー「よろしく」

「よろしく〜」

「なんかヒョロヒョロで弱そう」

「あくタイプか…」


エーフィ「…」ニコニコ

ブラッキー「…」


昨日の今日でバトル部に入部して初日。

フーディン先生が顧問だったのは意外だな。と思う傍ら、自己紹介をする俺を見て微笑んでいる彼女もまた、意外だった。

 ▼ 66 目のワニノコ◆WaitStCgv. 16/03/10 22:46:34 ID:jg4TtRSk [3/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


…昨日はいささか驚かされた。

まさかタイプ相性もわからない彼女がバトル部の部員だったなんて。

今まで相性を無視して勝ててたんだろうか?

そんな事を考えていると、実力テストという事で早速バトルをすることになった。



フーディン「あくまでも練習試合だから手加減してやれよ?」


そう言ったフーディン先生に続いて、一匹のポケモンが返事をした。


エレキッド「はいはい! 俺! 俺とバトルしよう!」


いかにも熱血バカって感じのソイツはエレキッドという男子で、いかにも電気タイプって見た目で、いかにも強くない奴だと一目でわかった。
 ▼ 67 目のワニノコ◆WaitStCgv. 16/03/10 22:47:32 ID:jg4TtRSk [4/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


フーディン「じゃあ、まずはエレキッド対ブラッキーな。」

エレキッド「よっしゃ!頑張るぞー!」

フーディン「…両者、開始地点へ。」


ブラッキー「…」スタスタ

エレキッド「…」テクテク


試合開始の白いラインが引いてあるところまで歩く。

グラウンドのザラザラとした砂を踏みしめる。

目の前には始めての部活の相手が。

少し離れたところでは他の部員が俺を見ている。

もちろん、エーフィもだ。

 ▼ 68 目のワニノコ◆WaitStCgv. 16/03/10 22:48:51 ID:jg4TtRSk [5/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


エレキッド「…へへへ。初勝利はいただきだ…!」

ブラッキー「…」


エレキッドが呟いた。

俺はもう一度部員達のいる方を見た。


ブラッキー「…」チラッ

部員「…」ゴクリ


…ああ、こういうの嫌だな。

きっと、エレキッドは他の部員に「初心者相手なら勝てる」とでも吹き込まれたのだろう。

大方、他の部員はエレキッドで俺の様子でも見るつもりなのだろう。


そんなくだらない勝手な妄想が、俺の脳裏をよぎった。
 ▼ 69 目のワニノコ◆WaitStCgv. 16/03/10 22:50:41 ID:jg4TtRSk [6/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


フーディン「…よし、始めるぞ。ルールは持ち物なしの1vs1だ。二匹とも準備はいいか?」

エレキッド「おう! バトルに準備なんていらないさ!」

ブラッキー「…」


…ここでの準備っていうのは物理的な物じゃなくて心の準備を指して言ってるんだろ。

密かに自分の中でツッコミを入れて、俺も言った。


ブラッキー「…問題ないです。」

エーフィ「…」


ふと、傍目から見学しているエーフィが目に入った。

エーフィに「よく見てろ」と口パクで伝えてみたが、首を傾げていた辺り、伝わっていないだろう。
 ▼ 70 目のワニノコ◆WaitStCgv. 16/03/10 22:51:10 ID:jg4TtRSk [7/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告







フーディン「……バトル、はじめっ!!!」





 ▼ 71 目のワニノコ◆WaitStCgv. 16/03/10 22:52:28 ID:jg4TtRSk [8/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


ブラッキー「…『スピードスター』!」

エレキッド「…うわっ!?」


俺は開始の声と同時に『スピードスター』を撃った。

エレキッドは怯んで、両手で防御の構えをとる。


"ブワァッ…!"


…が、俺が狙ったのはグラウンド。

『スピードスター』は地面に触れた瞬間、軽い爆発を起こしてグラウンドの砂を舞い上がらせた。


エレキッド「うっ…! 前が見えない…!」

 ▼ 72 目のワニノコ◆WaitStCgv. 16/03/10 22:53:25 ID:jg4TtRSk [9/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告



エレキッドは目を瞑ったまま、ただ両手をブンブンと振って砂埃を払っていた。

しばらくして砂埃が晴れてくると、エレキッドは叫んだ。


エレキッド「…あれ? ブラッキー!? どこ行った!?」キョロキョロ


キョロキョロと辺りを見回し、俺を探すエレキッド。

エレキッド「!」

刹那、思い出したように後ろを振り向く。


エレキッド「う、後ろかっ!?」クルッ





 ▼ 73 目のワニノコ◆WaitStCgv. 16/03/10 22:53:48 ID:jg4TtRSk [10/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告










残念。下だよ





 ▼ 74 目のワニノコ◆WaitStCgv. 16/03/10 22:54:24 ID:jg4TtRSk [11/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告



ブラッキー「…『あなをほる』! っていうか掘った!」ボコォ

ブラッキー「くらえ!」シュッ


" バキィッ! "


エレキッド「うわああああっ!?」


俺は地中から勢いよく飛び出し、エレキッドにアッパーを食らわせた。

警戒されてなかった事もあって、俺の拳はモロにエレキッドのみぞおちにヒットした。

エレキッドはその勢いで軽く吹っ飛び、そのまま倒れた。


部員「…」ポカーン

フーディン「…」ポカーン


俺の攻撃方法に、他の部員はおろか、フーディン先生までもが唖然としていた。


ブラッキー「…ねぇ、判定は?」
 ▼ 75 目のワニノコ◆WaitStCgv. 16/03/10 22:56:19 ID:jg4TtRSk [12/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

フーディン「…!」ハッ


その後、すぐさま我に帰ったフーディン先生が、少ししゃがれた声で言った。


フーディン「え、エレキッド戦闘不能! よって、勝者ブラッキー!」

ブラッキー「…」パッパッ


俺は身体についた砂を払い落として、一礼した。


ブラッキー「…悪いね。初勝利をあげられなくて。」

エレキッド「う、ううう…?」キゼツー


エーフィ「…」ポカーン


その時のエーフィの驚いた顔が印象的で少し笑えた。

〜第五話 完〜
 ▼ 76 ゲキッス@ペアチケット 16/03/11 02:01:43 ID:fKFvFa6o NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 77 マンボウ@じめじめこやし 16/03/12 17:27:30 ID:4dQtInv. NGネーム登録 NGID登録 報告
支援です
 ▼ 78 ンブレオン◆ucNFALi.bo 16/03/12 21:11:55 ID:1hPtBWS2 NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
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wktk
 ▼ 79 目のワニノコ◆WaitStCgv. 16/03/13 16:57:21 ID:2iuzmeAY [1/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告





第六話『また明日』




 ▼ 80 ゲピー@ウッディメール 16/03/13 16:58:24 ID:2iuzmeAY [2/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


学校からの帰り道。

俺はエーフィと一緒に田舎道を歩いていた。


エーフィ「今日のブラッキー君、すごかったよ!」


そう言って俺を褒めるエーフィはニコニコと笑っている。

俺は照れてしまいそうなのを隠すために、話題を変えた。


ブラッキー「…もうタイプ相性は覚えたの?」

エーフィ「ギクッ…そ、それは…」

ブラッキー「…バトル部に入ってるならなおさら覚えなくちゃね。」


少し意地悪な口調でからかうように言うと、エーフィは「えへへ…」と苦笑いしていた。
 ▼ 81 目のワニノコ◆WaitStCgv. 16/03/13 16:59:33 ID:2iuzmeAY [3/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


エーフィ「それにしても、すごいよ! エレキッド君を一撃で倒しちゃうなんて!」

ブラッキー「…あぁ。」

エーフィ「私もブラッキー君くらい強くなりたいな〜!」

ブラッキー「…」


興奮するエーフィを見ていると少し不安になるけど、微笑ましい。

何でだろうか。知り合ってまだ間もないのに、彼女と一緒にいると暇な感じがしない。


エーフィ「ねぇ! 私もブラッキー君みたいになれるかな?」

ブラッキー「…うん。」


ブラッキー「…なれるさ。」
 ▼ 82 目のワニノコ◆WaitStCgv. 16/03/13 17:00:03 ID:2iuzmeAY [4/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告



エーフィ「本当に!? 私、頑張る!」

ブラッキー「…」


なんとなく。

なんとなくだけど気になった。

もしかして、俺が今日のバトルで『あなをほる』を使った理由がわかってないんじゃないか? って。


ブラッキー「…エーフィ、電気タイプに効果抜群のタイプは?」

エーフィ「…えっ?」


エーフィ「…あっ!?」
 ▼ 83 目のワニノコ◆WaitStCgv. 16/03/13 17:00:56 ID:2iuzmeAY [5/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


…やっぱり気づいてなかった。


ブラッキー「…言っただろ? 『タイプ相性は大切だ』 ってさ。」

エーフィ「あああ…だから一撃で倒せたんだ…」


いや、タイプ相性を考えないにしても一撃だったと思うけどね。

あのエレキッド、上手に鍛えられてなかったし。


ブラッキー「ま、強くなりたかったら基礎からだね。」

エーフィ「頑張りますぅ…」

ブラッキー「うん、……うん。」


そんな話をしながら歩いていると、それぞれの家へと続く分かれ道に差し掛かった。

 ▼ 84 目のワニノコ◆WaitStCgv. 16/03/13 17:01:29 ID:2iuzmeAY [6/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


ブラッキー「…」ピタッ

エーフィ「…あっ、着いちゃったね。」

エーフィ「じゃあ、ブラッキー君。 また明日!」

ブラッキー「!」


『また明日』

エーフィが言ったその一言が俺の心を揺さぶった。

こんな平凡な日常が、明日も明後日も続いていく。

そう思えるだけで明日を楽しみにできた。

 ▼ 85 目のワニノコ◆WaitStCgv. 16/03/13 17:02:10 ID:2iuzmeAY [7/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告



ブラッキー「…うん。また明日。」


俺は小さな声で呟いた。

きっと聞こえていないだろう。

それでも、その言葉を口に出すと安心した。


多分、小さい頃の記憶がまだ割り切れていなかったのだろう。

突然に両親をなくしたあの日から、『いつ失うかわからない』という不安が俺の中で無意識に働いている。


エーフィが遠ざかり、姿が小さくなっていく。

その後ろ姿を見て、もう一度俺は呟いた。



ブラッキー「…また明日。」


〜第六話 完〜
 ▼ 86 日ゴロゴロンダ◆XTk1MeLTks 16/03/13 18:28:47 ID:bm/TEiKk NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 87 ンジャラ@サーナイトナイト 16/03/14 12:38:52 ID:arLcOsYI NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 88 レイシア@ふるびたかいず 16/03/16 16:07:30 ID:PAgrPOos NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
待ってるからゆっくり休めよ
 ▼ 89 WaitStCgv. 16/03/17 17:32:42 ID:Ix1B5sH2 [1/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告





第七話『嫌われ者』




 ▼ 90 WaitStCgv. 16/03/17 17:33:14 ID:Ix1B5sH2 [2/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


〜自宅〜


"チュンチュン…"


鳥のさえずりが心地よい朝。

俺は食パンとコーヒーを腹に収めて、学校へ行く準備をしていた。


ブラッキー「…ごちそうさま。」


朝食を食べ終わると、リュックサックを背負う。

最近ではエナメルバッグが流行しているらしいが、四足歩行である俺には使えない。


ブラッキー「…行ってきます。」


俺は誰もいない家にそう告げると、一軒家を後にした。
 ▼ 91 WaitStCgv. 16/03/17 17:34:03 ID:Ix1B5sH2 [3/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


〜通学路〜


ブラッキー「…」テクテク


太陽の晴れ渡る爽やかな朝。

まだ人通りも少ない頃は、騒がしくなくて好きだ。

こういう所がきっと、俺に住まわせる決め手になったのだろう。


ブラッキー「…」チラッ


ふと、電気屋の横を通りかかった時、テレビが気になって立ち止まった。


「え〜。私が当選致しました暁には、外国ポケモンの一切を追い出し、より住みやすい環境を作り上げて見せます!」


テレビは政治家の演説が映し出されていた。
 ▼ 92 WaitStCgv. 16/03/17 17:34:36 ID:Ix1B5sH2 [4/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


「この私に、どうか清き一票を!」


ブラッキー「…くだらない」


この国には外国ポケモンを嫌う習慣がある。

とある外国ポケモンが改造されていたのがキッカケで、それ以来差別されるようになった。

…本当にくだらないと思う。


ブラッキー「…全ての外国ポケモンが改造してる訳じゃないのに…。」


テレビを見るのを止めて、再び歩きだそうとした次の瞬間。


「ブラッキー君!」


ブラッキー「!」


後ろからエーフィの声がした。

…数日にして声で誰だか判別できるくらいになるのは、なかなかだと思う。
 ▼ 93 WaitStCgv. 16/03/17 17:36:28 ID:Ix1B5sH2 [5/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


ブラッキー「エーフィ。 どうしたの?」

エーフィ「どうした…って言われてもねぇ。 ブラッキー君がそこで止まってたら、いつかは会うことになるでしょ。」

ブラッキー「えっ? …ああ。確かに。」


電気屋の位置的に、エーフィが通学する道に俺が留まっているから、すれ違うのも無理はない。

納得した俺にエーフィは言った。


エーフィ「…テレビ見てたの?」

ブラッキー「…うん。」

エーフィ「…ブラッキー君はどう思う?」

ブラッキー「?」


エーフィはテレビを見て俺に問いた。

 ▼ 94 WaitStCgv. 16/03/17 17:37:16 ID:Ix1B5sH2 [6/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


ブラッキー「…外国ポケモンのこと?」

エーフィ「…うん。」


それはつまり、俺自身の立場について聞かれているようなものだ。

俺は自分が外国ポケモンだという事を隠している以上、それを否定するしかなかった。

しかし、そうすると何かを失ってしまう気がして、曖昧に答えた。


ブラッキー「…わからない。」

エーフィ「…そっか。」


エーフィ「…私はね。いいと思うんだ。」

ブラッキー「…何が?」

エーフィ「…外国ポケモン。」
 ▼ 95 WaitStCgv. 16/03/17 17:37:52 ID:Ix1B5sH2 [7/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


ブラッキー「…何で? もしかしたら改造されているかもよ?」


俺はエーフィの言ったことが意外で、少し探り気味に言ってみた。

エーフィはためらうことなく言った。


エーフィ「…確かにさ、外国ポケモンは改造されていたり、違法な事をしてるかもしれない。」

エーフィ「…でも、だからといって全部の外国ポケモンを締め出すのは違うと思う。」

ブラッキー「エーフィ…。」

エーフィ「…私がこんな意見を持っていること、みんなには内緒だよ?」


しっかりと俺の目を見てそう言ったエーフィは、悲しそうな表情をしていた。
 ▼ 96 WaitStCgv. 16/03/17 17:38:23 ID:Ix1B5sH2 [8/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


ブラッキー「…良いと思うよ。」

エーフィ「えっ?」

ブラッキー「…俺もそう思う。」


…俺は悲しそうなエーフィを見て、言わずにはいられなかった。


ブラッキー「…一部が悪いからって、みんな悪いわけじゃない。」

ブラッキー「…例えば、ブドウの一粒が腐っていると、他の粒が腐っていなくても全部捨てられちゃったりするけど…」

ブラッキー「…それって、腐っていない粒が可哀想だもんね。」


エーフィ「…ブラッキー君…」


エーフィは少し嬉しそうに俺を見ていた。
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