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SS

【SS】キョウヘイ「俺、一人暮らし止めるってよ」【キョウヘイ×トウコ】

 ▼ 1 黒羽真◆Ju6JKuHffQ 16/07/26 18:19:20 ID:XEfeAmrE NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
http://pokemonbbs.com/post/read.cgi?no=282107
↑の建て直しです
長い間時間を空けて申し訳ないです
コテ、酉が微妙に違いますが本人です
あと、もう一つ同じ題名のがありますが、そちらはssタグをつけ忘れてしまったやつです
計3つもスレ建ててしまって紛らわしくて済みません
短いので一応初めからコピペはします
 ▼ 661 黒羽真◆Ju6JKuHffQ 16/11/14 16:52:56 ID:Qq4z5DNM NGネーム登録 NGID登録 報告
教室に入ると、メイとルリが楽しげに談笑していた。

トウコ「おはよ〜!」

すると2人は勢いよく振り返る。

ルリ「おはよー」

メイ「おはよ! あ、ヒュウも!」

2人はトウコ、ヒュウと視線を移動させ、こちらを向く。

途端、2人が固くなったのが俺にはわかった。

メイ「えと、おはよう」

ルリ「お、おはよう……?」

キョウヘイ「…………おはよう」

とりあえずそう返したが、俺は上の空だった。
 ▼ 662 ドラピオナー◆SPABkH4kvM 16/11/15 13:25:35 ID:WepGFRs2 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 663 黒羽真◆Ju6JKuHffQ 16/11/15 19:08:44 ID:yebNQm2Y NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
今はショートホームルームということで、先生がグダグダと興味のそそられない話を続けている。

いつももそうだが、今日は一段と先生の話が入ってこなかった。

思考は、メイとルリの挙動のことに占められている。

朝、わざわざ先に行ったこと。

俺を見た瞬間、固くなったこと。

どちらも、様子がおかしい。

ーーもしかすると、俺は避けられていたりするのだろうか。

多分被害妄想でしかないのだろうが……いや、そう信じたい。

とりあえず、おかしかったのはたった2回だ。

決めつけるにはまだ早い。

経過観察の判断を下して、改めて意識を周りに向けた。

そして、場の空気が俺にとってあまりよろしくないことを察する。
 ▼ 664 FM-K◆wJF47Kv34o 16/11/16 21:49:47 ID:d/8dp2pM NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 665 黒羽真◆Ju6JKuHffQ 16/11/16 22:08:05 ID:L03zKIuw NGネーム登録 NGID登録 報告
キョウヘイ「……ん?」

周りの視線が全てこちらに向いていた。

前を向くと、当然教壇の先生もこちらを向いている。

先生「夏休みボケかー? こんな話なら流していても構わんが、授業は参加しろよ?」

キョウヘイ「あ……すいません」

先生「ーーまあ、いい。長くなったから、続きは帰りだ。終わりっ!」

その声とともに、大半の生徒は机から立った。

はぁー、と脱力し、俺は机に突っ伏す。

べち、と背中が叩かれた。

ヒュウ「大丈夫かー? 目が朝から死んでるぞー」

キョウヘイ「だから痛えって……死んでるメガなんていないから大丈夫だ……」
 ▼ 666 ガメノデス@カシブのみ 16/11/16 23:22:30 ID:Rut.Rlj2 NGネーム登録 NGID登録 報告
小学生に戻りたい
支援
 ▼ 667 バンギラス@ナモのみ 16/11/16 23:39:14 ID:vDOckv9w NGネーム登録 NGID登録 報告
ポ○書bwて見ると素直に読めなくなってしまったンゴ
支援
 ▼ 668 ルカリオ@ひかりのいし 16/11/16 23:40:22 ID:d/IgNyOQ NGネーム登録 NGID登録 報告
>>667
訂正
誤:て
正:2
 ▼ 669 黒羽真◆Ju6JKuHffQ 16/11/17 19:28:21 ID:M4HYgC7k NGネーム登録 NGID登録 報告
ヒュウ「お、おう……? でもメガタブンネとかキツくね?」

キョウヘイ「そうか? 耐久あるし瞑想してれば大丈夫じゃね?」

ヒュウ「そんなもんかねぇ」

キョウヘイ「そうでしょ。瞑想の強さはリーグのスイクンとかニンフィアが証明してるし、何より意表が(ry」

ヒュウ「いやそうだけどさ」

ぬぅー……、と腕を組んで考え始めるヒュウ。

脱線どころか隣の線路に乗っかってしまった話題を俺は修正する。

キョウヘイ「で、何の用? まさかこんな話しに来たわけじゃないだろ?」

ヒュウ「いや、用ってほどでもねえよ? ただどうしたのかと思っただけ」

どうやらこのヒュウ、ふざけているようで気配りできるらしい。

改めてそんな友人に心の奥で感謝しつつ、俺は答える。

キョウヘイ「別に、ただぼーっとしてただけ」

ヒュウは、ゆっくりかぶりを振った。
 ▼ 670 黒羽真◆Ju6JKuHffQ 16/11/18 21:20:31 ID:26Bv4dv. NGネーム登録 NGID登録 報告
ヒュウ「違う違う。メイとルリとお前」

思いもよらない言葉に、俺の口から間の抜けた声が出る。

キョウヘイ「え……?」

ヒュウ「様子、おかしくなかったか? 夏休みになんかあったのかと思って。別に話したくなけりゃいいけどよ」

キョウヘイ「…………ああ。俺も、多分なかったと思ってんだけど……」

本当は言い切ってしまいたかったが、口に出すと自信がなくなってくる。

自分の中だけならまだ被害妄想だと言い聞かせることもできた。

しかし、自分以外にも同じことを考えている人がいるとなると、現実味が増してしまう。

ヒュウ「そうか。ま、1人で抱え込むなよ? キョウヘイは自分で全部できるとか思っちゃってるところあるから。そんなわけねーだろっつーの」

ヒュウの口ぶりは一見俺を責めているようにも聞こえるが、心配しているというのがわからないほど俺の馬鹿ではない。

キョウヘイ「……ありがとな」

ヒュウ「おう!」

感傷気味な俺に、ヒュウは軽く拳を上げてみせた。
 ▼ 671 黒羽真◆Ju6JKuHffQ 16/11/19 17:32:31 ID:Hz2ENLag NGネーム登録 NGID登録 報告
結局、今日1日メイとルリの動向はおかしいままだった。

あまりいい気分ではなかったが、なんどかちょっかいをかけてみたりもした。

しかし、メイもルリもなにかと理由らしきものを言って俺から離れていくのだ。

やはり、俺は避けられているのだろうか。

ちゃぽ、と手を湯船から出す。

そして、その手で目の前にいるクロバットを撫でた。

クロバット「……ばばと?」

クロバットは俺に問いかけるように心配そうな声を出す。

もしかしたら、俺の不安が伝わってしまったのかもしれない。

キョウヘイ「…………」

黙ったままクロバットの耳あたりを撫でていると、頭の上にふわっとした感覚が乗っかった。

クロバット「くーろろっ!」

クロバットが羽を俺の頭に乗せたのだ。
 ▼ 672 ドラピオナー◆SPABkH4kvM 16/11/19 21:07:52 ID:0oAcy4Ks [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
テスト終わったーーー

イッチガンバ
 ▼ 673 シロデスナ@あかいビードロ 16/11/19 21:14:51 ID:8p2ZjOm2 [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
>>672
早過ぎる……
もうすぐテストなんだが
もうちょっと更新遅いままですすいません!
 ▼ 674 黒羽真◆Ju6JKuHffQ 16/11/19 21:15:34 ID:8p2ZjOm2 [2/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
コテ忘れてた
 ▼ 675 ジャラコ@バシャーモナイト 16/11/19 21:17:38 ID:3oaiWJ62 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援ぬ
 ▼ 676 ドラピオナー◆SPABkH4kvM 16/11/19 21:22:42 ID:0oAcy4Ks [2/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
>>674
3年の成績を出さなきゃらしい
 ▼ 677 黒羽真◆Ju6JKuHffQ 16/11/20 12:52:34 ID:Vhei6Tkg [1/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
キョウヘイ「ん? どうした?」

クロバットは羽でわしわしと俺の頭を撫で返した。

それは、元気づけるような荒っぽい撫で方だった。

バトルで負けてしまった時に俺がクロバットにするような。

キョウヘイ「ーーありがとな」

俺は止まっていた手を再び動かしてクロバットを撫でた。

ぴしゃ、とクロバットが水をかけて来た。

驚く俺を見て、けらけらとクロバットは笑う。

キョウヘイ「やったなー?」

重ね合わせた手を水に沈め、中の水を押し出す。

飛び出した水は寸分たがわずクロバットの眉間に命中した。

クロバット「ばばっ!?」

驚いたクロバットは再びこちらに水をかけてくる。

しばらく、俺とクロバットはそれまでのことを忘れて戯れていた。
 ▼ 678 黒羽真◆Ju6JKuHffQ 16/11/20 23:01:22 ID:Vhei6Tkg [2/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
当然長い間風呂に入っていればのぼせてしまうわけで。

俺はひんやりとした床に寝転ぶ羽目になっていた。

目眩は治ってきたが、まだ強い痛みが頭の芯に居座っている。

トウコ「大丈夫……?」

トウコは床に膝をついて俺を覗き込んでくる。

ぴと、と頬にに冷たい感触がした。

トウコ「私、結構冷え性でさ。どう? 気持ちいい?」

前髪をかきあげ、額にも冷たい感触がした。

トウコが顔を俺の顔の上に持ってくる。

キョウヘイ「あ、え、えっと……う、うん」

トウコの手は確かに冷たかった。

しかし、俺の顔はなぜか熱が発散されるどころか、どんどん熱くなっていく。

トウコ「あ、あれ? 顔、赤くなってくけど……?」

俺の頭痛は収まるまで、20分ほども要した。
 ▼ 679 ワニノコ@チャーレムナイト 16/11/21 17:25:17 ID:Ua8xz48Q NGネーム登録 NGID登録 報告
つかぬことをお聞きしますが、黒羽真さんとドラピオナーさんはどのような関係でございますか?
 ▼ 680 メラルバ@ハバンのみ 16/11/21 17:33:47 ID:TVO9puK2 [1/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
>>679
やめたれ 他人のプライバシーや
 ▼ 681 マタドガス@ふしぎなおきもの 16/11/21 17:34:08 ID:TVO9puK2 [2/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
>>679
お前大丈夫?
 ▼ 682 黒羽真◆Ju6JKuHffQ 16/11/21 18:14:29 ID:WLBfn6Kg [1/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
>>679
関係?
作者と読者でしかないと思ってましたが……?

あるか知りませんが呼ぶときは「クロサナ」にしてくださいな
TNですし呼びやすいんで
堅いのは嫌いなので
 ▼ 683 ドラピオナー◆SPABkH4kvM 16/11/21 18:16:10 ID:lxN5k0.E NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
右に同じ
 ▼ 684 黒羽真◆Ju6JKuHffQ 16/11/21 22:30:47 ID:WLBfn6Kg [2/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
キョウヘイ「はぁー……」

布団の中で俺はため息をつく。

トウコ「どうしたの?」

背中越しに声が飛んできた。

キョウヘイ「いや? なんでもないよ」

俺ははぐらかそうとしたが。トウコはそういえば、と話を続行する。

トウコ「ルリもメイも今日おかしかったよねー。なんかあったのかなぁ」

突然出てきたその話題に、俺はぴくっ、と体を硬くする。

トウコ「ん? どしたの?」

キョウヘイ「いや……そんなことより、トウコに対してもおかしかったの?」

トウコ「ううん、私には普通。でもキョウヘイに対してはおかしかったでしょ? あれが気になって」
 ▼ 685 黒羽真◆Ju6JKuHffQ 16/11/22 15:06:48 ID:6CHUvjXo NGネーム登録 NGID登録 報告
キョウヘイ「え……?」

それは、俺の被害妄想と見事に合致するものだった。

ヒュウに続いて、トウコにまで。

俺は知らず知らずのうちに何をしたのだろうか。

キョウヘイ「俺、なんかしちゃったのかな……」

悲観的な声が勝手に出てくる。

トウコ「うーん……少なくとも私が見てる中ではしてないと思うよ」

キョウヘイ「…………じゃあ、なんで」

トウコ「わかんないけど……もう少し様子見しよ?」

キョウヘイ「……そうだな。ありがとう」

トウコ「わ、私、何もしてないよー?」

トウコは俺の背中にぴたっと背中をくっつける。

とりあえずは納得したものの、それで不安が晴れるわけもなかった。

結果、俺の睡眠時間はいつもの3分の1ほどしかなかった。
 ▼ 686 黒羽真◆Ju6JKuHffQ 16/11/23 14:54:21 ID:1JwarpFk NGネーム登録 NGID登録 報告
それから、一週間が経った。

様子を見よう、といって無対策で過ごしていたわけだが、収穫はといえば0だった。

メイも、ルリも、俺以外とは変わらないのに、俺にだけどこかよそよそしい。

ここまでおかしいといい加減心配だ。

キョウヘイ「はぁ……」

トウコ「どしたの? ……まあ、大体分かるけど」

キョウヘイ「……多分それのことで合ってる」

トウコはん〜〜、と眉を寄せて考える素振りを見せてから言った。

トウコ「……ね、今日、私が聞こうか」

キョウヘイ「ん? 何が?」

トウコ「だって、何か理由があるなら本人に聞いた方が早いじゃん」
 ▼ 687 ドラピオナー◆SPABkH4kvM 16/11/23 18:13:36 ID:DzG/XBFA NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 688 ポポッコ@いのちのたま 16/11/24 13:13:25 ID:K8W4WkPo NGネーム登録 NGID登録 報告
しえん
 ▼ 689 黒羽真◆Ju6JKuHffQ 16/11/24 18:59:14 ID:J7cyGLLQ [1/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
テスト終了!
今日から更新ペースは戻ります
 ▼ 690 黒羽真◆Ju6JKuHffQ 16/11/24 18:59:45 ID:J7cyGLLQ [2/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
直接本人に行く、というのは俺も思いつかなかった。

しかし、聞きにくくないのだろうか。

俺を避けてる理由を教えろ、なんて。

キョウヘイ「聞いてきてくれるの?」

トウコはこくこくと首肯する。

トウコ「うん、いいよ。キョウヘイが困ってるんだから私も助けてあげる」

迷惑をかけるのも、と思って断ることを考えた俺が馬鹿だった。

困っているのだから素直にお願いすればいいだけの話だ。

キョウヘイ「……ありがとう。お願いな」

トウコは大きくポニテを揺らして、もう一度頷いた。

トウコ「うん!」
 ▼ 691 黒羽真◆Ju6JKuHffQ 16/11/24 19:00:10 ID:J7cyGLLQ [3/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
6つの授業が終わり、時間は放課後に突入する。

私は、教室に他の人がいなくなるのを待った。

メイとルリはここ最近、放課後にずっと教室に残っているのでここで待っていれば3人だけになるはずなのだ。

もちろん、キョウヘイにはさっさと部活に行ってもらった。

さて、どう話しかけようか……、と迷っていると、

メイ「あ、トウコ今日残ってるじゃん」

ルリ「どうしたの?」

あちら側から話しかけてきてくれた。

トウコ「あ、えっと……2人に聞こうと思って」

すると、2人は一斉に首をかしげた。

トウコ「その、なんか2人がキョウヘイを避けてるように見えたから、どうしたのかなーって」

そして、2人は一斉に硬直した。
 ▼ 692 黒羽真◆Ju6JKuHffQ 16/11/24 19:00:32 ID:J7cyGLLQ [4/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
先に動いたのは、メイ。

ちょいちょい、とこちらに手招きしてきた。

それに従って私は席を移動する。

3人で机を囲み、内緒話でもするように顔を中央に出した。

メイはこんなことを言い出す。

メイ「……ねえ、トウコは、キョウヘイのこと、好き?」

トウコ「え……? …………う、うん……?」

突然のことに困惑しながら、私が頷くと、今度は追い討ちをかけるようにルリが口を開いた。

ルリ「……likeじゃなくて、love、だよ?」

今度は、私が硬直する番だった。

顔がみるみる熱くなっていくのが自分でもわかる。

声は出なかった。

なので、私はゆっくりと頷く。
 ▼ 693 黒羽真◆Ju6JKuHffQ 16/11/24 19:00:59 ID:J7cyGLLQ [5/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
メイは納得したようにそっか、と言った。

そして、こちらを睨みつけるような気迫で見つめてきた。

メイ「ーーなら、私たちはみんな、敵同士だよ」

その声に含まれる冷たさが、メイの言葉の裏付けていた。

それきり、メイは黙ってしまう。

助けを求めるようにルリを見ても、同じ視線が待っているだけだった。

私は、しばらく俯いてキョウヘイを想った。

結局、キョウヘイの悩みは解決できなかった。

それどころか、更に負担をかけてしまうかもしれない。

ーーでも。

それでも、私は、キョウヘイが…………

トウコ「………………わかった」

2人はそれぞれ右拳を突き出した。

私は同じく右拳をちょっと強めに2人の拳に当てた。
 ▼ 694 オノンド@スペシャルガード 16/11/25 19:23:13 ID:d0W.q2z6 NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 695 粉の申し子◆G3ulo7Adbw 16/11/25 21:10:52 ID://PYMEKM NGネーム登録 NGID登録 報告
テスト終わった支援
 ▼ 696 FM-K◆wJF47Kv34o 16/11/25 21:11:37 ID:tsmd8/DA NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
yeahhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhh
支援んんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんん

>>1「SSやるで〜」

ワイ「ポーニャル。支援!」
 ▼ 697 黒羽真◆Ju6JKuHffQ 16/11/25 22:54:01 ID:xvdm0xjk [1/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
それから、メイとルリは教室を出ていった。

帰ったのか、キョウヘイに会いに行ったのか、それはわからない。

私はというと、どれくらいそうしていただろうか、何をする気も起きずにずっと机に突っ伏していた。

心に居座るのは1つの感情のみ。

自分でもなんとなく意識してたとはいえ、外に出すと改めて認識してしまった。

初めてが三角関係ならぬ四角関係なのも、悩みを増幅させている。

トウコ「はぁ……」

脳にもやもやとかかって思考を邪魔する霧を、何度目ともしれないため息とともに吐き出した。

すると、背中が何者かに叩かれた。

とともに、後ろから声がする。

その声の主が誰かなんて、考えるよりも先に理解できた。

キョウヘイ「どうしたんだ? ため息ついて」
 ▼ 698 黒羽真◆Ju6JKuHffQ 16/11/25 22:54:29 ID:xvdm0xjk [2/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
部活が終わった俺は、トウコと待ち合わせている教室に戻った。

トウコは机に突っ伏していた。

なんとなくそろり、と後ろから近づく。

すると、ため息が聞こえてきた。

俺は元気付ける意図でトウコの背中を軽く叩いた。

キョウヘイ「どうしたんだ? ため息ついて」

トウコ「ひゃっ!?」

トウコは肩をびくっと振るわせつつ飛び起きた。

トウコ「キョ、キョウヘイ? もう部活終わったの?」

キョウヘイ「もうって……普通に終わる時間だぞ?」

トウコ「え? もう!?」

慌てて時計を確認するトウコ。
 ▼ 699 黒羽真◆Ju6JKuHffQ 16/11/25 22:54:49 ID:xvdm0xjk [3/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
メイやルリと話し終わったのがさっきなのだろうか。

それとも、話し終わってからずっとこうしていたのだろうか。

どちらにせよ、ため息なんてついていていつものトウコらしくないのは事実だ。

キョウヘイ「……っと、で、どうだった?」

トウコ「え? ……あ、ああー。えっと……あ、あんまり聞けなかったや……」

トウコは少し肩を落として申し訳なさそうに言った。

キョウヘイ「いや、別に大丈夫だよ。ありがとう」

内心で少し落胆しつつ、俺はお礼を言う。

そのことが悟られてしまったのか、トウコは慌てて手を振った。

トウコ「で、でも、2人とも別にキョウヘイが嫌いなわけじゃないって」

キョウヘイ「……それは本当?」
 ▼ 700 黒羽真◆Ju6JKuHffQ 16/11/25 22:55:09 ID:xvdm0xjk [4/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
トウコ「う、うん! 本人たちからちゃんと聞いたから」

キョウヘイ「なら、よかった」

避けられてはいても、嫌われていないとわかっているだけでだいぶマシだ。

ほっ、と安心していると、トウコは早口に言った。

トウコ「……じゃあ、帰ろ」

その声は、何故か少し不機嫌だ。

キョウヘイ「? おう」

たたたっ、と駆け足気味に出て行くトウコを急いで追いかける。

キョウヘイ「ありがとな」

その細い肩に並んで、俺は声をかけた。

トウコ「……別に、私も気になっただけだもん。いいよ」

少しだけ赤く染まった耳を見て首を傾げつつ、俺はトウコの半歩後ろについて学校を出た。
 ▼ 701 黒羽真◆Ju6JKuHffQ 16/11/25 22:55:40 ID:xvdm0xjk [5/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
夕食中、トウコは一枚の紙を俺に差し出してきた。

トウコ「ね、ねぇ? あのさ、これ……」

キョウヘイ「んー? なんだこれ。祭り?」

その紙にはデカデカ「サンギ誓いの岩祭り」と書かれていた。

日付は、次の土曜日だ。

隣の町、サンギタウンで毎年行われる小さな祭りの広告だ。

誓いの岩というのは確か、幻のポケモンケルディオが修行に使ったという伝承が残っている岩だったか。

トウコ「そ、そう。アデクさんがチャンピオン引退して今年からそこで隠居してるって話あるでしょ? それで、バトルできるかもしれないんだって」

キョウヘイ「へぇ! アデクさん来るのか。そりゃ行きたいな」

すると、トウコは大袈裟に安堵する。
 ▼ 702 黒羽真◆Ju6JKuHffQ 16/11/25 22:56:10 ID:xvdm0xjk [6/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
トウコ「よかった……じゃあ、行こうね!」

キョウヘイ「……なんかあっちであるの?」

その不自然さが少し気にかかって、俺は聞いてみた。

トウコ「んぐっ!? ……げほげほっ!」

トウコは水を食道に入れてしまったようでむせ始める。

キョウヘイ「おーい? 大丈夫か?」

トウコ「な、なにもないよ! うん!」

キョウヘイ「? まあなんでもいいや」

まだ苦しいのか、トウコは喋らずにこくこくと頷いた。
 ▼ 703 ドラピオナー◆SPABkH4kvM 16/11/26 15:05:00 ID:dRJtv9sw NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 704 黒羽真◆Ju6JKuHffQ 16/11/26 21:58:20 ID:9wfS7l9c [1/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
メイ「着いたー!」

駅を出る階段を飛び降りたメイが両手を上げて宣言する。

キョウヘイ「そんなに騒ぐなって」

メイ「ごめんごめんー!」

たしなめると、全く心のこもっていない謝罪が帰ってきた。

ルリ「だいぶ早く来ちゃったけど、これからどこ行くの?」

そういえば、祭りの始まりは正午からだったか。

だいぶとかいうレベルじゃないだろ、と心でツッコミを入れつつ、俺は提案する。

キョウヘイ「じゃあ、アデクさん探さない? バトルしたいんだけど」

トウコ「あー! 私も私も!」

ルリ「じゃあ……決まり!」

メイ「アデクさん探すぞー!」

女子三人はおー! と右手を突き上げた。
 ▼ 705 黒羽真◆Ju6JKuHffQ 16/11/26 21:58:44 ID:9wfS7l9c [2/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
その時だった。

「おん? そこの四人。アデクのおっちゃんがどうした」

背後から声をかけられた。

振り向くと、そこには赤い髪をミカルゲのように逆立てた青年が立っていた。

キョウヘイ「はい?」

思わず聞き返すと、赤ミカルゲの青年は呆れたような顔をした。

「はい? じゃないだろ。人のじーちゃんの名前叫んでるから声かけたまで」

その言葉を聞いて俺は愕然とした。

「じ、じーちゃん……!?」

俺は改めて青年を見返す。

頭の毛の色は、確かにアデクのそれと似通っていた。

「そうだけど? 俺、バンジロウ。改めて聞くけど、じーちゃんになんか用?」
 ▼ 706 黒羽真◆Ju6JKuHffQ 16/11/26 21:59:07 ID:9wfS7l9c [3/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
トウコ「い、いや、なんでもないですよ。ただ、バトルできたらいいな、と」

すると、バンジロウは再び呆れたような顔をする。

バンジロウ「とりあえずその固い口調取れよ。…………で、バトルだったっけ」

キョウヘイ「できるなんて期待はしてないけどね」

流石に俺も、一一般人がチャンピオンと今から闘えるなんて思っちゃいない。

バンジロウは不敵に笑った。

バンジロウ「できるぜ。じーちゃん、引退して暇しちゃってるからな」

トウコ「……え?」

キョウヘイ「いいの?」

バンジロウ「もちろん。家、案内してやるからついてこいよ」

こうして、俺たちはあっさりアデクと会えることになったのだった。
 ▼ 707 黒羽真◆Ju6JKuHffQ 16/11/26 21:59:28 ID:9wfS7l9c [4/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
目的地まではそう遠くはなかった。

バンジロウ「ただいまァー!」

バンジロウが荒っぽく家の玄関を開ける。

アデク「おお、おかえり」

奥の方から声がした。

バンジロウ「客連れてきたから来てくれー!」

バンジロウは続けて叫ぶ。

アデク「お客さんかい?」

奥から人影が姿を現す。

そのがっしりとした体と、赤い髪は紛れもなくアデクだった。

アデク「おーおー、友達かい? バンジロウ」
 ▼ 708 黒羽真◆Ju6JKuHffQ 16/11/26 21:59:52 ID:9wfS7l9c [5/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
バンジロウ「ちげーよ。こいつらは今さっき会ったばっかだ」

アデク「ふむ? じゃあどうしたんだい?」

バンジロウ「挑戦者だ……ッ!」

アデク「……挑戦者、だって?」

バンジロウの一言で、アデクの目が変わった。

バンジロウ「そうだよ! 元チャンピオンって知ってながら、だそうだけど?」

途端、アデクは大きな声で笑い始める。

アデク「はっはっはっは! よし! その挑戦、受けたぞ! フィールドに行くから、全員わしについてこい!」

キョウヘイ&トウコ「「はいっ!」」

メイ「えっ? えっ?」

ルリ「私たちも……?」

バンジロウ「さて、仕事はこなしたし、次は何するかねーっと」

アデク「バンジロウ、お前も来い!」

バンジロウ「えー?」

俺たちはアデクに連れられて、バトルフィールドへ向かった。
 ▼ 709 黒羽真◆Ju6JKuHffQ 16/11/26 22:00:17 ID:9wfS7l9c [6/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
アデク「そういえば、まだ名前を聞いてなかったなぁ」

フィールドについてすぐ、俺たちは名前を聞かれた。

キョウヘイ「キョウヘイです」

トウコ「私はトウコです!」

ルリ「えと……ルリです」

メイ「め、メイです……?」

それぞれ名乗ると、アデクは口元に手を当てて何やら考える。

アデク「どこかで聞いたことのある名前…………おお、そうだ。君たち、ヒオウギスクールに通ってたりするかね?」

キョウヘイ「はい!」

トウコ「どうして、私たちのことを?」

俺が答え、トウコが質問する。

確かに初対面である人の名前を知っている、というのは普通ありえない話だ。

アデクはにやり、と得意げに笑う。
 ▼ 710 黒羽真◆Ju6JKuHffQ 16/11/26 22:00:39 ID:9wfS7l9c [7/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
アデク「なぁに、チャンピオンは将来有望なトレーナーを探しているのだよ」

特に君! とアデクは俺を指差す。

アデク「君の強さはチェレンからもよく聞くぞ」

キョウヘイ「え? あ、ありがとうございます!」

俺って結構有名人だなー! なんて心の中で鼻を伸ばしつつ、俺は頭を下げた。

アデク「さて、バトルを始めよう。挑戦者は誰だい?」

アデクの問いに、俺とトウコが手をあげる。

アデク「ほう、ヒオウギの1位2位コンビかい。バンジロウ!!」

バンジロウ「おう、じーちゃん! 俺も準備はできてるぜ!」

アデク「マルチバトルをしよう。1人1匹だ」

キョウヘイ&トウコ「「……はいっ!」」

俺たちはそれぞれ位置についた。
 ▼ 711 黒羽真◆Ju6JKuHffQ 16/11/26 22:01:05 ID:9wfS7l9c [8/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
アデク「行こう、ウルガモス!」

ウルガモス「ぷひぃぃぃぃっぷぅぅッッ!!」

出て来たのは、ウルガモス。

太陽の化身とされるだけあって、そのオーラは圧倒的だった。

あるいは、そのオーラはいくつもの戦闘に勝利した、歴戦の証なのかもしれない。

あれと今からバトルをする、と考えると武者震いがする。

しかし、この後更なる驚きを俺たちは味わうことになる。

バンジロウ「俺のはこいつだ!」

「しゅあああああああんッッ!!!」

高い鳴き声とともに、光り輝く青い羽が現れた。

残像のように青い影だけを残して空中を飛び回るそのポケモンはーー

4人「「「「ラティオス…………っ!?」」」」
 ▼ 712 黒羽真◆Ju6JKuHffQ 16/11/26 22:01:28 ID:9wfS7l9c [9/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
バンジロウ「どうした? 1位さんと2位さんよう? さっさと始めようぜ!」

けらけらと笑いながら、バンジロウが言ってくる。

キョウヘイ「ああ! 始めよう!」

バトルの準備は万端だ。

俺は正面を向いたまま、小声でトウコに話しかけた。

キョウヘイ(トウコ、3秒。)

トウコ(何が?)

キョウヘイ(3秒、クロバットを守ってくれ。追い風発動して、一気に片付けよう)

トウコ(了解)

アデク「準備は整ったようだな? それでは、バトル、開始だっ!」

場の隅々まで届くような大声とともに、火蓋が切られる。
 ▼ 713 黒羽真◆Ju6JKuHffQ 16/11/27 23:51:14 ID:C.hGMVwQ [1/7] NGネーム登録 NGID登録 報告
バンジロウ「速攻だ! 龍の波動!」

キョウヘイ「追い風っ!」

俺とバンジロウの声が重なった。

クロバットが力を溜め始める。

と同時に、ラティオスが一瞬で技を発動した。

比喩ではなく目にも留まらなかった。

サーナイト「さななっ!」

サーナイトがテレポートをした。

トウコ「おっ……?」

トウコも驚いているところを見ると、サーナイトが自分の意思で動いたのだろうか。

クロバットに向けて、空気を切り裂いて走る光の龍を遮るような場所にサーナイトは出現した。
 ▼ 714 黒羽真◆Ju6JKuHffQ 16/11/27 23:51:48 ID:C.hGMVwQ [2/7] NGネーム登録 NGID登録 報告
龍は大口を開けてサーナイトを食らうーー

ーーかと思えば、牙がサーナイトに触れた瞬間、龍は霧散してしまった。

バンジロウ「チッ、フェアリーか……ッ!」

そう、サーナイトはフェアリータイプなので、ドラゴン技は全く効かないのだ。

サーナイトもそれを理解したからこそわざわざ軌道上に割り込んだのだろう。

そうこうしている間に、クロバットが技を溜め終わった。

背後からひゅごごご、と風が吹き付ける。

キョウヘイ「っしゃ、速攻行くぜ!」

トウコ「おうよ!」

高ぶって来て思わず出た俺の独り言に、サングラス着用のトウコが男らしい返事を返す。

キョウヘイ「ウルガモスにアクロバット!」

もはや神速といっても過言ではない速度で、残像を置いてクロバットはウルガモスに接近する。
 ▼ 715 黒羽真◆Ju6JKuHffQ 16/11/27 23:52:10 ID:C.hGMVwQ [3/7] NGネーム登録 NGID登録 報告
そして、翼での一打。

ーーが、空を切った。

キョウヘイ「なっ……!?」

続けて、もう一発。

しかし、これもかわされた。

ウルガモスは、上回ってこそいないもののしっかりクロバットの動きについてきていた。

アデク「はっはっは、ラティオスに夢中で気づかなかったろう?」

アデクが猛風の中で声を張る。

アデク「ウルガモスは追い風の間、踊ってたんだよ! 『蝶の舞』!」

その声を聞いて、俺の脳を衝撃が駆け巡った。

蝶の舞は、特攻、特防、そして素早さをあげる技だ。

つまり、追い風でこちらが速くなった分は蝶の舞によって±0、となる。

キョウヘイ(くっ……どうすればいい……!!)
 ▼ 716 黒羽真◆Ju6JKuHffQ 16/11/27 23:53:01 ID:C.hGMVwQ [4/7] NGネーム登録 NGID登録 報告
一方のトウコとサーナイトは、伝説のポケモンであるラティオスと正面から打ち合っていた。

トウコ(サイコショック! もっと出せないか?)

サーナイト(……む、無理です。これ以上増やせば、一個一個の威力が低くなって突破されます!)

トウコ(ダメかっ……!)

サーナイトが最大火力で応戦しているというのに、ラティオスの方はと言うといたって涼しい顔である。

やはり、伝説の名は伊達ではない、と言うことだろうか。

タイプ面では、ドラゴンとフェアリーでこちらの方が有利だ。それを利用するしかないだろう。

トウコ(一瞬でいい、今以上出せないか?)

サーナイト(……わかりました。隙を作る、ということですね?)

トウコ(そうだ。その隙にムンフォをぶち込む!)

サーナイト(分かりました。では!)

エメラルド色の念波塊の量が、一瞬だけ空を埋め尽くすほどになった。

バンジロウ「チッ、面倒だな……というか、お前もテレパシー使いかよ」
 ▼ 717 黒羽真◆Ju6JKuHffQ 16/11/27 23:55:50 ID:C.hGMVwQ [5/7] NGネーム登録 NGID登録 報告
お前『も』ということは、バンジロウもまたラティオスとテレパシーで会話しているのだろう。

確かに、バンジロウはまだ一言も口で指示を飛ばしていなかった。

サーナイトの攻撃に対応するために、サファイアのようなラティオスの念波も倍増した。

トウコ(今だ! ムーンフォースっ!)

一瞬、太陽の輝きが薄れた。

代わって勢力を増してきたのは、月光。

バンジロウの顔が驚きに包まれた。

月の光を集めたサーナイトの一撃は一直線にラティオスへ向かっていく。

一発で倒せるとまでは流石に思わないが、それでもかなりのダメージは負わせられるはず。

と、そんな胸算用をしていた私だったが。

ラティオス「しゅわわぁぁんッ!」

バンジロウ「あっぶねーなァ! やられるとこじゃねえかッ!」
 ▼ 718 黒羽真◆Ju6JKuHffQ 16/11/27 23:56:26 ID:C.hGMVwQ [6/7] NGネーム登録 NGID登録 報告
トウコ「なっ……!!?」

技の弾けた後に溢れていた光は、ラティオスの咆哮によって霧散する。

サーナイト「さ、さななっ……!」

サーナイトもかなり落胆気味だ。

ラティオスの手には夜空の色を吸ったような紺色の宝玉が握られていた。

バンジロウ「知ってるか? 『心の雫』」

心の雫。ラティオスとラティアスに力を与えると言われる道具だ。

その効果で、攻撃を凌いだのだろう。

トウコ(チッ……面倒な……!)

サーナイト(……毎度言ってはいますが、なぜサングラスをかけるとそう悪くなるのですか……?)

トウコ(今はそんなこと言ってる場合じゃねえぞ! どうする……!?)

サーナイト(どうもこうも……おそらく、単体ではどうにかならないでしょう。なんのためのマルチですか)

トウコ(……そうか。そうだな)
 ▼ 719 黒羽真◆Ju6JKuHffQ 16/11/27 23:57:12 ID:C.hGMVwQ [7/7] NGネーム登録 NGID登録 報告
キョウヘイの方も、詰まっていた。

とりあえずクロバットに攻撃はさせるものの、この状況はいつまで続けてもこちらが削れるだけだ。

キョウヘイ(遅い……遅いのか。どうにかして速くすれば………………っ!)

雷光のように一つのアイデアが俺の脳内を駆け巡る。

俺はトウコに小声で指示をした。

キョウヘイ(トウコ。挑発打ってくれ)

トウコ(誰に!)

キョウヘイ(クロバットに、だよ)

トウコ(……はぁ?)

さっきまで男らしく即答していたトウコだったが、返答に詰まった。

キョウヘイ(いいから、早く!)

トウコ(お、おう……?)

サーナイトがラティオスと一旦距離を取って、クロバットに向き直った。
 ▼ 720 RIVER◆zFLCCAWaiw 16/11/28 00:23:38 ID:gEMkz9IM NGネーム登録 NGID登録 報告
挑発………あっ


支援
 ▼ 721 黒羽真◆Ju6JKuHffQ 16/11/28 21:31:06 ID:K9dRoaGY [1/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
サーナイト「さなっ! さなな〜い? さななぁ!」

クロバット「ばばばっ!? ばばっ! くろろろっ!!」

何かを言いながら手をクロバットに動かすサーナイト。

クロバットはそれを見て激怒し始める。

アデク「な、なんだと……?」

バンジロウ「あ゛? なんだなんだ……!?」

相手は2人も、そのパートナーも予想外の出来事に困惑している様子だった。

クロバットは怒号をあげかけて、何かを思い出したように翼をバタつかせた。

漂う、ハーブの香り。

トウコが何かに気づいたようにあっ! と声を上げる。

その香りはもちろん相手にも届いたようで、一瞬の思考ののち理解した様子のバンジロウが叫んだ。

バンジロウ「メンタルハーブ……!? …………アクロバット……そ、そういうことかッッ!!!」

どうやら、バンジロウに作戦はバレてしまったようだった。
 ▼ 722 黒羽真◆Ju6JKuHffQ 16/11/28 21:31:33 ID:K9dRoaGY [2/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
俺の作戦は、持ち物を無くすことでアクロバットの火力、及びスピードを上げることだった。

幸い、俺がクロバットに持たせていたのはメンタルハーブ。

そして、それは元々サーナイトを対策したものだ。

それが今回は、味方にいる。

ならば、味方に手伝って貰えばいいのだ。

キョウヘイ「ああ、多分だけど、合ってるよ。でも、もう遅いっ! ウルガモスにアクロバットっ!」

クロバットが、消えた。

シャシャッ、と鋭く切り裂く音だけがウルガモスの辺りから連続して響く。

クロバットが再び見えるようになった時には、ウルガモスは力尽きて地面に墜落していた。

アデク「はっはっはぁぁ! 見事だ! さて、あとは頼んだぞ、バンジロウ!」

アデクは、負けたにもかかわらずとても嬉しそうだった。
 ▼ 723 黒羽真◆Ju6JKuHffQ 16/11/28 21:32:01 ID:K9dRoaGY [3/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
バンジロウ「じーちゃん……負けて喜ぶのやめろっていっつも言ってんだろ。迷惑だぜ」

バンジロウも口ではこう言いながらも楽しそうだ。

ラティオス「しゅぅぅわん!」

ラティオスが返事を返した。

誰も指示を出していないのに、である。

キョウヘイ(うわ、これ絶対テレパシーで会話してますってやつだろ! ラティってエスパーあるし)

上空へ昇っていくラティオス。

キョウヘイ「追いかけるぞ!」

トウコ「了解だ!」

クロバットも、サーナイトを背中に乗っけて後を追った。
 ▼ 724 黒羽真◆Ju6JKuHffQ 16/11/28 21:32:24 ID:K9dRoaGY [4/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
ラティオスは攻撃もせずに、クロバットたちから逃げ続ける。

恐らく、追い風の時間を凌いでから攻撃するつもりなのだろう。

キョウヘイ「っ、追いつかねえと……!」

焦りを感じて俺が声を出すと、トウコが小声で話しかけて来る。

トウコ(大丈夫だ。追い風が止んだ後にできることがあるから。追い風が止めばサーナイトが有利になれる)

キョウヘイ(……分かった)

トウコが何を考えているかは分からないが、多分圧倒的に不利になることはないのだろう。

トウコ(バンジロウにバレないように、とりあえず追ってくれ)

キョウヘイ(了解)

キョウヘイ「クロバット、もう少しスピードを上げられるか!?」

俺の指示で、クロバットはほんの少しだけスピードを上げた。

バンジロウ「ラティオス! もう少し頑張ってくれ」

ラティオスもまた、バンジロウの指示でスピードを上げる。
 ▼ 725 黒羽真◆Ju6JKuHffQ 16/11/28 21:32:57 ID:K9dRoaGY [5/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
そんなに長くない時間、カーチェイスならぬフライングチェイスを繰り返すと、バンジロウが呟いた。

バンジロウ「5、4、3、2、1ーー」

キョウヘイ「追い風が切れる……!」

バンジロウ「ーーーー0!」

バンジロウのカウントダウンとともに、クロバットのスピードが鈍った。

追い風の効果時間を最初から数えていたとは、驚きだ。

バンジロウ「ラティオス! 振り返って突っ込め!」

前にいるラティオスが突然後ろを向き、青の念力を纏ってこちらに飛翔してくる。

と、サーナイトが手を前に突き出した。

ラティオスの周りに、念波塊がいくつも出現した。

それはラティオスには突っ込まずにどんどん揺れを強くしていった。

そして、ラティオスの突進が止まった。

バンジロウ&キョウヘイ「……はっ?」

バンジロウも、味方の俺でさえ何をしたか分からなかった。
 ▼ 726 黒羽真◆Ju6JKuHffQ 16/11/28 21:33:32 ID:K9dRoaGY [6/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
ラティオスはふらふらと混乱したようにゆっくり飛ぶ。

隙だらけもいいところだ。

サーナイトは更に念波塊を揺らし続ける。

すると、遂にラティオスは飛ぶ事すら出来なくなって地面に墜落した。

ラティオス「しゅ、しゅわん……!」

しかし、まだラティオスは動いた。

トウコ「……まだかっ!」

どういう手段か知らないが勝ちは決したかと思いきや、まだ戦闘不能ではなかったのだ。

トウコ「追撃!」

サーナイトが両手を広げて少し大きめに念波を形成する。

それをまっすぐ真下、ラティオスに向かって打ち出す。

ラティオスの上空で、サーナイトは念波塊をサイコキネシスで爆ぜさせた。

散り散りになった念波は雨のようにラティオスに降り注ぐ。

エメラルド色の雨が止むと、そこにはラティオスが目を回して倒れていた。
 ▼ 727 黒羽真◆Ju6JKuHffQ 16/11/30 05:56:00 ID:0yzhAj2A [1/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
バンジロウ「……負け、か」

バンジロウがラティオスをボールに戻した。

キョウヘイ「トウコ、ラティオスがふらついたのは、あれなんだったんだ?」

俺が聞くと、トウコはサングラスを外しながら柔らかい声で答える。

トウコ「ラティオスを酔わせたんだよ。車酔いみたいなやつ」

アデク「お嬢さん、それは、どういう事だね?」

どうやら、元チャンピオンですら分からなかったらしい。

トウコは少し得意げに話を続けた。

トウコ「念波っていうのは、簡単に言えば波ですよね?」

アデク「ああ、そうだな。でも、揺れを強くしたところでラティオスが混乱するレベルの揺れは出せないだろう?」
 ▼ 728 黒羽真◆Ju6JKuHffQ 16/11/30 05:56:35 ID:0yzhAj2A [2/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
トウコ「はい、念波塊が一個なら、ですけど」

アデクが首を傾げていると、バンジロウが何かを思いついたらしかった。

バンジロウ「あっ!? そうか、いくつか出したのって、波を合成したのか?」

トウコ「そう。それで強い波ができて、ラティオスが酔ったの」

俗にいう、三角波、というやつだろう。

海で波同士が重なって大きな波になるのをイメージすれば分かりやすいだろうか。

あれを、水の波ではなく、念波でやったのだ。

キョウヘイ「だから、追い風が邪魔だったのか」

トウコ「そうなの。これ、結構サーナイトが消耗するからあんまり使いたくはないんだけどね」

よしよし、とサーナイトの頭を撫でながらトウコはにっこり笑った。
 ▼ 729 黒羽真◆Ju6JKuHffQ 16/11/30 05:56:58 ID:0yzhAj2A [3/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
それから少しアデクやバンジロウと話して、お昼ご飯も頂いてから俺たちはアデクの家を出た。

メイ「そろそろお祭り始まるよねー?」

キョウヘイ「そうっぽいな。なんか出店出てるし」

ルリ「何しようかなー? キョウヘイ、何する?」

キョウヘイ「あー、腹は膨れてるしなー……どうする?」

トウコ「あ、ねえねえ、じゃあデザート系は? キョウヘイ、どっか探そうよ」

キョウヘイ「デザートか。いいかもな」

ーーさっきから、違和感が満載だ。

というのも、3人とも俺にしか話しかけないのだ。

俺を通して会話は成立しているので一見問題はないのだが、やはりおかしい。

しかし、俺の勘違いの可能性もあるので今はどうすることも出来ない。

俺は違和感だけを抱えてそれぞれ動き出した3人を追った。
 ▼ 730 黒羽真◆Ju6JKuHffQ 16/11/30 05:57:23 ID:0yzhAj2A [4/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
出店を回ったり、サンギタウンを一周したりしていると、いつの間にか夜になっていた。

空は満月に近い、丸っこい月が輝いている。

ルリ「そろそろ花火だよ? 高台に行かない?」

キョウヘイ「もうそんな時間かー。早めに行っといたほうがいいかな」

トウコ「そだね。早くいこいこ」

メイ「席取れるかなー?」

やはり俺以外には話しかけなかった。

今日は一回も3人がお互いに喋っているところを見ていない。

流石におかしいだろう、とは思うのだが、結局聞き出せずにいる。

ルリ「どうしたの? 早く行こうよ」

キョウヘイ「あ……うん」

先行していた3人を俺も追った。



ーーこの違和感が膨れて、後に俺を窮地に追い込むことになる。
 ▼ 731 黒羽真◆Ju6JKuHffQ 16/11/30 05:57:52 ID:0yzhAj2A [5/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
みんな打ち上げ地点近くで見たいのか、高台はまだ空いていていた。

メイ「空いてたねー!」

ルリ「こっちの方が高くて見やすいと思うんだけどな」

キョウヘイ「そうだな。まあ、空いててよかったじゃん」

10分ほど話しながら待っていると、第一弾が夜空に上がった。

トウコ「わぁ、綺麗!」

ヒュルルルル、ドーン。

お馴染みの音とともに、目の前にTHE夏、といった光景が広がる。

それらはどんどん激しさを増していって、夜空が色とりどりに埋め尽くされる。

そんな空に見入っていると、3人が一斉に立った。

キョウヘイ「どうした?」

軽い気持ちで振り返ったが、三人の顔はとても真剣なものだった。
 ▼ 732 黒羽真◆Ju6JKuHffQ 16/11/30 05:58:18 ID:0yzhAj2A [6/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
トウコ「ねえ、ちょっと、行きたいところ、あるんだ。行かない?」

トウコが途切れ途切れに言った。

キョウヘイ「別にいいけど、花火の真っ最中だぞ?」

俺が言うと、メイがすかさず反論してくる。

メイ「キョウヘイがどうしても見たいって言うなら後にしてもいいけど、なるべく早くしてほしいな」

ルリ「……大事な用事だよ?」

ルリもそう畳み掛けてきた。

その必死さに、なんだか、嫌な予感がした。

正直断りたかったがしかし、雰囲気が俺に断ることを許してくれない。

キョウヘイ「…………分かった」

俺はゆっくり歩く3人についていった。
 ▼ 733 粉の申し子◆G3ulo7Adbw 16/11/30 06:30:41 ID:Tpy4M.bk NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 734 FM-K◆wJF47Kv34o 16/11/30 13:19:02 ID:YuUCVClI [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 735 黒羽真◆Ju6JKuHffQ 16/11/30 22:28:33 ID:ZLWFGGsI [1/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
賑やかな中心街を出て、町外れの森を、三人は更に奥へ進む。

キョウヘイ「…………どこに、いくんだ?」

聞いてはみるものの、誰も答えてはくれなかった。

歩き続けると、洞窟についた。

中には、深めの水溜まりが三つ。

上が空いているのか、中には月明かりが差し込んでいて、その水たまりで光が踊っていた。

なんとも幻想的な雰囲気の場所だが今はそれに見とれている余裕などない。

キョウヘイ「ここは、どこなんだ?」

トウコ「……ここは、心の空洞、ってところだよ」

心の空洞。

聞いたことのない名前だ。

俺を置き去りにして、月明かりの下に、三人は並んだ。

花火の音はもう遠くにしか聞こえない。
 ▼ 736 黒羽真◆Ju6JKuHffQ 16/11/30 22:28:56 ID:ZLWFGGsI [2/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
キョウヘイ「……なんで、こんなところに来たんだ?」

俺の質問に、3人は代わる代わる説明していった。

ルリ「ここはね、パワースポットなんだよ」

メイ「なんのパワースポットか、わかる?」

キョウヘイ「いや……分からない」

そして、決定的な言葉をルリが放つ。

ルリ「ここは……恋愛成就のパワースポットだよ」

トウコ「……差し込む月明かりの下で告白すれば、その縁は切れないっていう、伝承があるんだよ」

メイ「昔、ここには知恵、感情、意思をそれぞれ司る神のポケモンがいたんだって。その3体の加護を受けられる、っていうのがここ」

俺は何も言うことができなかった。

絶句、と言うのはこう言う状況を指すのだろう。

説明が終わると、洞窟の中は静寂に満たされる。
 ▼ 737 黒羽真◆Ju6JKuHffQ 16/11/30 22:29:20 ID:ZLWFGGsI [3/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
俺は、頭の中が真っ白になっていた。

考えることは山積みなのに、脳が麻痺して動かない。

ぴちょん、ぴちょん、と水滴が水溜りに落ちる音が反響する。

水溜りに行っては返す波紋を20回ほど数えた時。

トウコ「何回も、何回も助けてもらって、そんなの、好きにならないわけないじゃん……!」

トウコが絞り出すような声で呟いた。

ルリとメイも、それに続く。

ルリ「知ってる? 私がタレント辞めたの、キョウヘイに告白するためなんだよ……?」

メイ「私だって、あんなカッコいいところ見せられたら、もう我慢できないよ……!」

3人の声は、震えていた。
 ▼ 738 黒羽真◆Ju6JKuHffQ 16/11/30 22:29:40 ID:ZLWFGGsI [4/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
メイ「みんな、キョウヘイのこと、好きなんだよ」

ルリ「でも、みんな、なんて無理でしょ?」

トウコ「だから、キョウヘイが、選んで……?」

ルリ「キョウヘイが選ぶなら、私たちはどんな結果も、納得するよ」

そして、3人は黙ってしまった。

ーーどうすれば、いいのだろうか。

考えても考えても、一向に答えどころか思考の糸口さえ見えてこない。

何かないかと周りを見ても、目が泳ぐばかりでヒントは出なかった。

3人ともすがるような目をこちらに向けて、離さない。

そんな状況に困惑して、更に頭の中はぐちゃぐちゃになっていく。

キョウヘイ「……………………少し、考えさせてくれないか……?」

結局、俺が選んだのは問題の先送りでしかなかった。

メイ「わかったよ。じゃあ、明日の10時、ヒオウギの高台で集まろ」

そして3人は、その場を後にした。

少し放心してから、俺もその背中を追った。
 ▼ 739 黒羽真◆Ju6JKuHffQ 16/11/30 22:30:03 ID:ZLWFGGsI [5/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
家に帰った俺は、二階で布団に寝転がっていた。

静かな暗いところで考えていたかった。

あるいは、トウコと同じ空間にいるのが気まずかったのかもしれない。

天井を凝視して、ひたすら頭だけを動かす。

しかし、周りの闇のように光明は見えてこない。

全員を選ぶことは、当然ながらできない。

誰かを選べば、選ばれなかった2人が傷つく上に、誰を選ぶのか、と言う問題が浮上する。

なら誰も選ばなければ、とも考えたが、それでは全員が傷つくだけだ。

どう考えても、手詰まりだ。

寝返りを一つ、体勢を変えようとしたその時。

扉が空いて、暗めの光が差し込んでくる。

トウコが来たのか、と身構えるが、その必要はなかった。

なぜなら、来たのはサーナイトだったからである。
 ▼ 740 黒羽真◆Ju6JKuHffQ 16/11/30 22:30:36 ID:ZLWFGGsI [6/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
キョウヘイ「ん? サーナイト、どうしたんだ?」

俺が問いかけると、予想外の返答が返ってきた。

もちろん、返答が返ってくること自体が予想外、と言う意味である。

サーナイト『たった今キョウヘイさんと脳波のリンクが完了しましたので、お知らせに来ました』

脳内に直接響くようなその声を聞いて、例のテレパシーだと気付いた。

キョウヘイ「脳波?」

俺が聞くと、サーナイトは首肯して答えた。

サーナイト『はい。覚えていますか? シダケタウンで、弱っていたラルトスを助けてくれたこと』

聞かれて俺は目を閉じて思い出す。

引っ越す前の、ホウエン地方でそんなことをした記憶が朧げながらあった。

キョウヘイ「ああ、覚えてるけど……って、もしかして……!」

サーナイト『そうですよ。私はあの時のラルトスです。普通、脳波のリンクは接する時間的に見てトレーナーとしか出来ないのですが、キョウヘイさんとは過去に接触があって、その記憶を私も持っていたので繋げられたんです』

キョウヘイ「そっか。あの時の……」
 ▼ 741 黒羽真◆Ju6JKuHffQ 16/11/30 22:30:56 ID:ZLWFGGsI [7/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サーナイトは、寝ている俺の隣に膝をついて、俺の頭に手を当てる。

サーナイト『それより、キョウヘイさんの脳波が、かなり乱れています。ポケモンの私でよろしければ、相談に乗りましょうか?』

キョウヘイ「え?」

サーナイト『1人で悩んでいても解決する可能性は低いですから』

脳に響く優しい声に、俺は救われたような気分だった。

キョウヘイ「……そうだね。じゃあ、お願いしようか』

サーナイトはにこり、と微笑んだ。

サーナイト『はい! あの時の、恩返しです』

俺は、今の状況を話し始めた。
 ▼ 742 FM-K◆wJF47Kv34o 16/11/30 23:02:04 ID:YuUCVClI [2/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
面白いなやっぱり
支援
 ▼ 743 黒羽真◆Ju6JKuHffQ 16/12/01 18:16:10 ID:2J.vaBcM [1/11] NGネーム登録 NGID登録 報告
話し終えると、サーナイトは小さく頷いた。

サーナイト『確かに、難題でしょう。今のあなたの考えだけでは、解決できないと思います』

キョウヘイ「それは、分かってる。でも、他の方法が見つからなくて」

サーナイト『一つ見落としていることがありますよ』

サーナイトは諭すような口ぶりで言う。

キョウヘイ「? それは、なに?」

サーナイト『それは、本人たちの目的です。私がボールの中から見ていた限りでは、みなさんは決着をつけることを重要視しているように見えました。つまり、目的は自分が選ばれることではなく、キョウヘイさんに白黒つけてもらうことだと思うんです』

キョウヘイ「…………」

サーナイト『ですから、キョウヘイさんの、自分の気持ちで、誰かを選ぶのが正解ではないでしょうか? 無理に今の関係を維持しようと嘘をついたり、逃げたりすれば、逆にその関係は壊れてしまいます』

キョウヘイ「……………………」

俺は、今の関係が壊れるのが怖かったのだろうか。

確かに、その通りかもしれない。
 ▼ 744 黒羽真◆Ju6JKuHffQ 16/12/01 18:16:31 ID:2J.vaBcM [2/11] NGネーム登録 NGID登録 報告
キョウヘイ「でも、急にそんなこと言われても、誰が好きかなんて決められない……」

すると、サーナイトは腕を広げてみせた。

サーナイト『私の、腕の中に来てみてくれますか?』

キョウヘイ「え?」

突然のサーナイトの提案に、俺は戸惑う。

サーナイト『……言い方が悪かったですね。私は胸の突起から、潜在意識も含めた人の心を読み取ることができます。そこに、貴方の額を当てて見てください』

キョウヘイ「あ、ああ。そういうことか」

俺は、サーナイトの細い体に腕を回して、ラルトスには頭にあった、胸の赤い突起に額を当てた。

サーナイトも、俺の頭に腕を回して抱き寄せるようにした。

なんというか、不思議な気分だった。

さっきまで焦燥に駆られていた心が、とても落ち着く。

親に抱かれているような、そんな安心感があるのだ。
 ▼ 745 黒羽真◆Ju6JKuHffQ 16/12/01 18:16:51 ID:2J.vaBcM [3/11] NGネーム登録 NGID登録 報告
サーナイトが腕を離した。

サーナイト『……不思議な気分です。ラルトスの時は、抱いてもらっていたのに……』

顔を離してサーナイトを見ると、サーナイトの頬は微かに赤らんでいる。

サーナイトが感情豊かなポケモンだ、と言われる理由がよく分かった。

サーナイト『それはそうと、トウコ、メイさん、ルリさんの誰を選ぶか、でしたね』

キョウヘイ「そ、そうだよ」

俺はごくり、と唾を飲み込んでサーナイトの返答を待った。

サーナイト『……キョウヘイさんも、実は自覚しているのではないですか?』

キョウヘイ「……え?」

予想の遥かに上をいく返答だった。

サーナイト『でも、自分の気持ちだけで選んで本当にいいのか。悩んでいたのはそこだったんじゃないですか?』

俺は自分でもう一度考えた。

そして、それが図星であったことに気づいた。
 ▼ 746 黒羽真◆Ju6JKuHffQ 16/12/01 18:17:12 ID:2J.vaBcM [4/11] NGネーム登録 NGID登録 報告
キョウヘイ「……そうかも、しれないな」

サーナイト『それならば、キョウヘイさんが間違っていないことは私が保証します。ポケモンの私でよければ、ですが』

キョウヘイ「ポケモンも人間も、一緒にいてくれて頼もしくないことなんてないよ」

俺の考えを認めてくれたことが、とても心強かった。

キョウヘイ「ありがとな、サーナイト」

感謝の意味を込めて、サーナイトの頭を撫でた。

サーナイト「……懐かしい手です」

サーナイトは嬉しそうにはにかんで笑った。
 ▼ 747 黒羽真◆Ju6JKuHffQ 16/12/01 18:17:33 ID:2J.vaBcM [5/11] NGネーム登録 NGID登録 報告
そして、翌日の10時ぴったり。

4人は時間通りにヒオウギの高台に集まっていた。

目の前には、3人がこの上なく緊張した顔で並んでいる。

メイ「ちゃんと、考えてきた?」

キョウヘイ「…………ああ」

ルリ「…………じゃあ、」

6つの瞳が俺の顔を捉える。

トウコ・ルリ・メイ「………………キョウヘイは、誰を選ぶの?」

3人は同時に俺に答えを求めた。

キョウヘイ「……………………お、俺は……」

喉から出る俺の声は、驚くほど震えていた。

気力だけを振り絞って言葉を続ける。

キョウヘイ「俺はーー」

3人の顔を見ていられなくて、俺は目を瞑った。

そして、俺は人生の中でも最大の選択を口にする。
 ▼ 748 黒羽真◆Ju6JKuHffQ 16/12/01 18:18:27 ID:2J.vaBcM [6/11] NGネーム登録 NGID登録 報告















キョウヘイ「ーーーートウコが好きだ」














 ▼ 749 黒羽真◆Ju6JKuHffQ 16/12/01 18:18:48 ID:2J.vaBcM [7/11] NGネーム登録 NGID登録 報告
しばらく、時間が止まった。

少なくとも、俺はそう感じた。

恐る恐る目を開けると、そこには2種類の表情があった。

まず、驚いたように目を見開いて固まっている表情。

もちろん、トウコだ。

そして、ルリとメイは、何故か笑っていた。

少しの間にこにこと俺を見てから、ルリはその笑顔を崩さずに言った。

ルリ「……実はね、キョウヘイがトウコ好きなの、知ってたんだ」

キョウヘイ・トウコ「…………え?」

見事に俺とトウコの声が重なった。

メイ「……私も。だから、トウコ以外の答え言ったら、怒るつもりだったの」

まさか、こんなことを言われるとは思ってもみなかった。
 ▼ 750 黒羽真◆Ju6JKuHffQ 16/12/01 18:19:15 ID:2J.vaBcM [8/11] NGネーム登録 NGID登録 報告
メイ「キョウヘイ、なんでバレたんだ、って思ってるでしょ?」

ルリ「わかるよ……だって」

メイ・ルリ「キョウヘイの考えてることなら、全部わかるもん」

メイとルリはそう言って、ハモったのがおかしかったのか顔を見合わせてくすくすと笑う。

その笑い声も次第に止み、場は静まり返った。

真剣な眼差しで、2人は言う。

ルリ「ねえ、もう少し、近くに来てくれない?」

俺が一歩前に進んだ。

メイ「…………もっと近く」

そんなやりとりを繰り返し、俺は2人と密着する距離まで近づいた。

ルリ「…………」

メイ「…………」
 ▼ 751 黒羽真◆Ju6JKuHffQ 16/12/01 18:19:37 ID:2J.vaBcM [9/11] NGネーム登録 NGID登録 報告
くしゃっ、と2人の表情が崩れる。

2人は腕に抱きついてきた。

メイ「…………うぅ……うぐっ…………!」

ルリ「……っ…………っ…………ぅぇぇ……っ!」

掴んでいた腕を除け、脇腹に抱きついて、声をあげて2人は泣き始めた。

キョウヘイ「…………えっと、ごめん」

ルリ「ううん、キョウヘイ、は……悪く、ない、よ」

メイ「でも、やっぱり、フラれ、たら、悲し、いや……」

泣きじゃくりながらも2人は話し続ける。

これ以上、何も言えなかった。

代わりに、俺は2人が泣き止むまで2人の頭を撫で続けた。
 ▼ 752 黒羽真◆Ju6JKuHffQ 16/12/01 18:21:08 ID:2J.vaBcM [10/11] NGネーム登録 NGID登録 報告
やっと書くことができたこのシーン
ここが書きたくてこのssは始まったんです!
さて、このssももうすぐ終わりです
もう少し、お付き合いください

ーー今回は2スレ目になんか行かせねえぞ
ーーついでに、1年もかからせねえぞ
 ▼ 753 キリキザン@メタグロスナイト 16/12/01 19:30:49 ID:KfiO9hP2 NGネーム登録 NGID登録 報告
スレタイ詐欺したら怒るとこやったで

支援
 ▼ 754 黒羽真◆Ju6JKuHffQ 16/12/01 19:36:54 ID:2J.vaBcM [11/11] NGネーム登録 NGID登録 報告
>>753
自分の書きたい事しか書いてなくてすいません!
 ▼ 755 黒羽真◆Ju6JKuHffQ 16/12/02 18:48:30 ID:VE/tOJRo [1/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
泣き止んだルリとメイは、さっきまでが嘘のように笑顔で言った。

ルリ「じゃあ、私たち帰るから!」

メイ「あと2人でお幸せにー!」

メイなんて、ニヤッと笑っている。

2人は手を振って、風のように去っていった。

俺とトウコはその場に残されて困惑するばかりだった。

トウコ「えっと……じゃあ、一つだけ聞いても、いい?」

俯いて、はにかみながらトウコは聞いてくる。

その仕草に、思わず数秒見惚れていた。
 ▼ 756 黒羽真◆Ju6JKuHffQ 16/12/02 18:48:57 ID:VE/tOJRo [2/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
トウコ「………………キョウヘイ?」

キョウヘイ「……あ、ごめん、質問だっけ?」

トウコ「うん……あの、なんで私、なの?」

その質問には、即答できた。

キョウヘイ「そんなの、俺だって知らねえよ。でも……俺は好きだよ。トウコのこと」

少し、いや、かなり恥ずかしかったが、それでも言っておいたほうがいいと思った。

トウコ「…………あ、ありがと……」

そこからは、お互い無言だった。

どちらからともなく、俺たちは歩み寄る。

そして、お互いに腕を回す。

無意識のうちに、顔が近づいていってーー
 ▼ 757 黒羽真◆Ju6JKuHffQ 16/12/02 18:49:28 ID:VE/tOJRo [3/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
キョウヘイの前を去ったメイとルリは、草陰に隠れて2人の様子を伺っていた。

メイ「くぅー! 熱いぃ!」

ルリ「羨ましい……」

メイ「というか、キョウヘイってあんな一直線だったの?」

ルリ「うんうん、典型的な女誑しだよ」

メイ「あーあ、私たち誑されちゃった」

ルリ「別にいいよ? だって距離感はこれからも変わらないし?」

メイ「るるる〜♪ 2番は私〜♪♪」

ルリ「全く、キョウヘイを浮気させるのは私だよ?」

メイ「まず浮気させちゃダメだよ!?」

ルリ「ツッコむところはツッコむんだね……」

そんな風にふざけて話をしていた2人の目に、ある光景が飛び込んでくる。
 ▼ 758 黒羽真◆Ju6JKuHffQ 16/12/02 18:50:24 ID:VE/tOJRo [4/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
メイ「ーーって、ええぇむぐうっ!?」

ルリ「声出しちゃダメッ! ……でもええぇぇぐむっ!?」

メイ「むぐぐ、ぐむ! (ルリもだよ!)」

抱き合うところくらいまでは、羨ましくはあったがまだ想定内だった。

逆光で細部は見えないが、何が起こっているのかはすぐにわかった。

今2人の目の前には、お互いに顔を近づけ始める2人の姿。

ゆっくりゆっくり近づいていって、2人の影は遂に1つになる。

唖然として、声を出さないようにお互いの口を塞いでいた手もだらんと下がる。

メイ「…………念のため聞くけど、告白したの、さっきだよね?」

ルリ「う、うん……。ちょっと、行動力ありすぎじゃない……!?」

2人は、衝撃でしばらくその場から動けなかった。
 ▼ 759 黒羽真◆Ju6JKuHffQ 16/12/02 18:50:52 ID:VE/tOJRo [5/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
キョウヘイ「…………」

トウコ「…………」

どれくらいその状態でいただろうか。

離れる時も、やはりどちらからともなく自然に、だった。

トウコ「んと……ふふっ」

何か言う言葉を探したのだろうか、結局何も言わずにトウコは小さく首を傾げて微笑む。

感想は文章にすれば最初に会った時と同じく「可愛らしい」だったが、俺の胸に宿る感情は全く違った。

キョウヘイ「……帰るか」

俺が言うと、トウコはポニテを大きく跳ねさせて頷く。

トウコ「うん……!」

告白した人と同じ家に帰る、というのはなんとも不思議な感覚だ。

新婚だとこんな感じになるんだろうか、なんて思わず考えてしまったことは、俺の中だけの秘密だ。
 ▼ 760 黒羽真◆Ju6JKuHffQ 16/12/02 18:51:27 ID:VE/tOJRo [6/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
家に帰ると、トウコは紙袋を持ち出してきた。

どこかで見覚えがある、と思えば、それは夏休みにショッピングに行った時の袋の1つだ。

キョウヘイ「……? それは?」

トウコ「プレゼントだよ」

トウコははにかみつつ嬉しそうに紙袋を抱きかかえて答える。

キョウヘイ「プレゼント?」

トウコ「そう。ほんとは誕生日のプレゼントに、って思ってたんだけど、今の方がいいかなって。あ、誕生日のはまた別に」

キョウヘイ「そっか。ありがとう。開けてもいい?」

トウコ「もちろんだよ!」

袋を覗き込んでみると、中には小さな箱。

その中には、大小2つの紫の宝石が入っていた。

とても綺麗だが、こんなものは見たこともない。
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