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SS

理想と真実の激突〜追憶の欠片〜

 ▼ 1 RIVER 16/09/03 20:26:45 ID:nc.8Zptk [1/37] NGネーム登録 NGID登録 報告
時系列的にはBWとBW2の間。
対戦環境は第6世代のものを使う。

もう一作書きだめあるので投下。

http://pokemonbbs.com/post/read.cgi?no=387041
↑これを踏むと私が喜びます。

では、参ります!
 ▼ 31 RIVER 16/09/03 21:15:17 ID:nc.8Zptk [2/37] NGネーム登録 NGID登録 報告
彼女がジャローダに代えて繰り出したのはヒヒダルマ。

なるほど、ヒヒダルマに対する有効打がないと踏んだようだね。

バイバニラのミラーコートは反射技なので、相手がダメージを与えてこなければ意味がない。

ヒヒダルマの無償降臨を許した。


「よし、ならこっちはーーー」

トウコ「行くわよヒヒダルマーーー」

「交代! 頼んだよアバゴーラ!」

トウコ「交代読みで気合パンチ!」
 ▼ 32 RIVER 16/09/03 21:16:37 ID:nc.8Zptk [3/37] NGネーム登録 NGID登録 報告
僕の繰り出したアバゴーラは繰り出した直後に超火力の気合パンチを食らったけど、さすがアバゴーラ。

頑丈で一撃耐えてくれた。しかも……

トウコ「弱点保険……」

弱点保険で攻撃と特攻が一気に2倍にまで上昇。

このチャンスを逃す手はない。

「アクアジェット!」

トウコ「炎のパンチで迎撃して!」

しかしヒヒダルマはパンチを繰り出す時に若干大ぶりになる悪癖を持つ。

その隙を突いたアバゴーラは素早く、
そして超火力と化したアクアジェットで
ヒヒダルマを遥か上空に突き上げる。

ヒヒダルマがフィールドに落下した時、
既にヒヒダルマのHPは残っていなかった。

ヒヒダルマ、戦闘不能。
 ▼ 33 RIVER 16/09/03 21:17:52 ID:nc.8Zptk [4/37] NGネーム登録 NGID登録 報告
トウコ「……ヒヒダルマ!」

「大した度胸だよ、交代読み気合パンチとはね」

トウコ「でも私たちは負けられないの!
お願い、ジャローダ!!」


うーん。ここで下げてももう仕事はできないだろう。

だったら少しでも削ってもらうか。

「アクアジェット」

トウコ「リーフストーム!!」

アバゴーラが捨て身の覚悟で放ったアクアジェットによる突き上げでジャローダは少しぐらついたが、
すぐに立て直し、リーフストームでアバゴーラを下した。

アバゴーラ、戦闘不能。
ジャローダの残りHP、75%。
 ▼ 34 RIVER 16/09/03 21:19:08 ID:nc.8Zptk [5/37] NGネーム登録 NGID登録 報告
一度くらいなら積まれても問題ない。

「ここは君に任せたよ、バイバニラ」

さっきと同じ対面。
先ほどは彼女が引いたことでミラーコートをすかされた。

さあ、今度はどうでてくる?

強引にくるか? それとも引くか?

トウコ「ジャローダーーー」

「よし、バイバニラーーー」

トウコ「ーーーめざめるパワー!」

「ーーー来ると見た! ミラーコート!」
 ▼ 35 RIVER 16/09/03 21:20:49 ID:nc.8Zptk [6/37] NGネーム登録 NGID登録 報告
僕の読みは的中。

ジャローダの放ったパワーをバイバニラのミラーコートが返す。

鏡にヒビは入ったが、
それでもキッチリとダメージは跳ね返した。

バイバニラはめざめるパワー炎を受けたとはいえ、
HDに特化しておまけに突撃チョッキまで
持たせていたことが幸いし、
27%しかダメージを受けていない。

対するジャローダは思わぬ反撃で64%HPを削られた。

トウコ「うーん、いけると思ったんだけど、
案外硬いのね」

「僕のバイバニラは簡単には倒せない」

トウコ「ジャローダ、ここはーーー」

「決めに行くよ、バイバニラーーー」

トウコ「ーーーへびにらみ!」

「ーーー氷の息吹!」
 ▼ 36 RIVER 16/09/03 21:22:13 ID:nc.8Zptk [7/37] NGネーム登録 NGID登録 報告
バイバニラが周囲の水分を凍結させ、
放とうとした時ジャローダが凛とした居ずまいでバイバニラを睨む。

その視線に射すくめられたバイバニラは
体が痺れて動けなかった。

「くっ、25%を引いてしまったか……」

トウコ「今よ! リーフストーム!」

「耐えられるはずだ、ミラーコート!」


ジャローダのリーフストームが容赦なくバイバニラを切り裂く。
だけど僕の計算通りバイバニラはここを
完璧に耐えきった。

ただ、唯一の計算違いはーーー

トウコ「耐えられた?! あ、でも」

「くっ……世界は君に味方するというのか?!」

ーーーバイバニラはまたも体が痺れて動けず。
最悪の6.25%を引いてしまった。
 ▼ 37 RIVER 16/09/03 21:23:30 ID:nc.8Zptk [8/37] NGネーム登録 NGID登録 報告
トウコ「とどめのめざめるパワー!」

麻痺して動きが鈍くなったバイバニラは
めざめるパワー炎を受け流せず。
耐えられなかった。

バイバニラ、戦闘不能。
ジャローダの残りHP、11%。

「ここで止めるよ、ギギギアル!」

トウコ「まだいけるわね?ジャローダ」

「ギギギアルーーー」

トウコ「ジャローダーーー」

ここまで積まれた以上、
僕らが真っ向から止めるのは難しい。

最後の逆転にかけてここからはしばらく
サポートに徹するしか勝ち筋はないか。

「ーーー電磁波!」

トウコ「リーフ、ストームッ!!」
 ▼ 38 RIVER 16/09/03 21:24:49 ID:nc.8Zptk [9/37] NGネーム登録 NGID登録 報告
特性あまのじゃくによって破壊力が普段の3倍にまで膨れ上がったリーフストーム。
すさまじい暴風と葉の刃がギギギアルを襲うーーー

「……頼む、ギギギアル!」

ーーーギギギアルは辛うじて直撃を避けたおかげで耐えきり、電磁波を仕掛ける。

ギギギアルの残りHP、4%。
ジャローダの残りHP、11%かつ麻痺状態。


しかしとてつもないパワーだ。
半減で直撃を避けたにもかかわらず、
受けたダメージは96%。

しかし電磁波は入れられた。
これで仕掛けられる。

「ギアソーサー!」

「めざめるパワー!」
 ▼ 39 RIVER 16/09/03 21:26:36 ID:nc.8Zptk [10/37] NGネーム登録 NGID登録 報告
ギギギアルが少しでも削らんとジャローダに接近。
しかし……

「なっ……ここで?!」

……ギアソーサーは外れ、ギギギアルは至近距離から最大火力と化しためざめるパワーの直撃を喰らい、力なく転がされた。

ギギギアル、戦闘不能。

「世界は僕ではなく君を選ぶというのか!?」

初手の気合玉外し。
二度連続の麻痺による行動不能。
そしてギアソーサー外し。

なぜだ、真の英雄は僕ではないのか?!

「頼む、アーケオス!」

これしかもう勝ち筋がない!

「ステルスロック!」

トウコ「リーフストームでぶっ飛ばして!」
 ▼ 40 RIVER 16/09/03 21:28:02 ID:nc.8Zptk [11/37] NGネーム登録 NGID登録 報告
今日五度目のリーフストームが今度はアーケオスを狙って容赦なく放たれる。

しかしアーケオスは最後まで僕の指示通り、
ステロ撒きに徹してくれた。

そしてリーフストームはアーケオスを城壁に叩きつけるだけで収まらず、城壁を半分抉りとった。

アーケオス、戦闘不能。

これで1ー4。 追い詰められた。
……だけど、勝ち筋はある!
 ▼ 41 RIVER 16/09/03 21:30:13 ID:nc.8Zptk [12/37] NGネーム登録 NGID登録 報告
「最後のトモダチ……僕に勇気を分けてくれ!
行くよ、レシラム!」

トウコ「これで終わり! 龍の波動!」

ジャローダが口を大きく開け、龍の波動を発射しようとするが、ここでギギギアルの麻痺が効いて、発射が遅れる。

チャンスだ!

「ニトロチャージ!」

レシラム「…………シュボ」

レシラムは炎を纏いジャローダに突撃を喰らわせ、
ジャローダの足元から崩しに行く。

ジャローダは龍の波動を発射できず、
レシラムの突撃に屈した。

ジャローダ、戦闘不能。

レシラムは命の珠を使った代償でダメージを受けた。
残りHP、90%。
 ▼ 42 RIVER 16/09/03 21:32:17 ID:nc.8Zptk [13/37] NGネーム登録 NGID登録 報告
トウコ「止めてみせる! 行くわよヒヤッキー!」

「気合玉」

ニトロチャージの残滓を吸収して加速し無双体制に入ったレシラムはもう止まらない。

レシラムはステルスロックを踏んで出足が遅れたヒヤッキーの隙を逃さなかった。

トウコに指示を出させる暇さえ与えず、
気合玉がヒヤッキーを謁見の間の扉付近まで吹き飛ばす。

ヒヤッキー、戦闘不能。
 ▼ 43 RIVER 16/09/03 21:33:33 ID:nc.8Zptk [14/37] NGネーム登録 NGID登録 報告
トウコ「空からの奇襲で仕掛ける!
行くわよ、ウォーグル!」

ウォーグル。
高い火力が持ち味のアタッカー。

悪いけど、そんなんじゃーーー

トウコ「ブレイブバード!」

「龍の波動で止めるよ」

龍の波動がブレイブバードの勢いを削ぎ
反対に押し返し、ウォーグルを吞み込む。

龍の波動から解放された時、
ウォーグルのHPは既に残っていなかった。

ウォーグル、戦闘不能。

ーーーレシラムは止められないよ。

レシラムの残りHPは命の珠による反動で70%。
 ▼ 44 RIVER 16/09/03 21:41:32 ID:nc.8Zptk [15/37] NGネーム登録 NGID登録 報告
「さあ……これで一対一だ。

決着をつけよう……

始まった時と同じように、……二人だけで!!!」

トウコ「私たちの理想の未来のためにも!
私たちは負けるわけにはいかないの!

お願い……ゼクロム! 私に力を貸して!」


彼女の呼びかけに応え……ゼクロムが姿を現した。

ステルスロックが容赦なくゼクロムに食い込むが、
ゼクロムは意に介さないと言わんばかりに表情を崩さないままだ。


両者の放つ炎と雷のオーラが混じり合い、
広間中にプラズマが飛び交う。

伝説のポケモンたちが激突するのに最高のシチュエーションが、これ以上ない形で実現した。


彼女と僕はそのオーラに臆することなく、圧倒されるでもなく……ただ沈黙を保つ。
 ▼ 45 RIVER 16/09/03 21:47:09 ID:nc.8Zptk [16/37] NGネーム登録 NGID登録 報告

そして、彼女と僕はーーーなぜあんなにタイミングが合ったのかは未だに謎だーーー同時に声を張り上げた。

「雷撃!」 「青い炎!」


両者の指示を聞くや否や両者は同時に
かたや雷を、かたや蒼炎を打ち出す。

元々先ほど両者が放っていたオーラがあったことも影響し、一瞬の後に雷と蒼炎は交差し、互いに互いの攻撃の直撃を受けた。

互いに効果今ひとつにも関わらず、
どちらもかなりのダメージを負った。

ゼクロムの残りHP、30%と少し。
レシラムの残りHP、30%。


今の速さから判断するに、向こうは準速スカーフ。
対するこちらは準速で一度積んだ状態。

従って両者の素早さはまったくの互角。

………次に先手を取ったほうが勝つ!

だが僕の見た未来は揺るがない!

絶対に、勝つ!!
 ▼ 46 RIVER 16/09/03 21:49:38 ID:nc.8Zptk [17/37] NGネーム登録 NGID登録 報告
「レシラムーーー」

「ゼクロムーーー」

「ーーー青い、炎!!」

「ーーー雷撃っ!!」


両者は同時に動き出し、それぞれの必殺技をぶつけあう。

雷と炎の相乗効果が爆発を巻き起こし、
勝敗の行方は光の中に包み隠された。

トウコ「やれるだけのことはした。
あとは、ゼクロムを信じる!」

信じる……僕が久しく忘れていた感情。

彼女の言葉は光となり、
僕という闇を真っ直ぐに照らし出した。

そして、ゆっくり、ゆっくりと光は収束した。
 ▼ 47 RIVER 16/09/03 21:54:17 ID:nc.8Zptk [18/37] NGネーム登録 NGID登録 報告
毅然と向き合う白と黒の龍。

彼と彼女は、元はその命を共にしていた存在を見て、何を思うのだろうか。


レシラム「…………」

ゼクロム「…………」


レシラム「…もえるー、わっ…」

ゼクロム「ババリバリッシュ!!」

レシラムがゆっくりとその体を広間に横たえる。
倒れる寸前に彼女が微笑んでいたように見えたのは
僕の見間違いだったか……?


そして勝鬨をあげたのはゼクロム。

レシラム、戦闘不能。

…………ああ、僕は、負けた。

「これで、僕の真実……
ポケモンの……夢は霧散する…」
 ▼ 48 RIVER 16/09/03 21:55:39 ID:nc.8Zptk [19/37] NGネーム登録 NGID登録 報告
僕とレシラムが敗れた…

君の思い、理想……

それが僕たちを上回ったか……

レシラムとゼクロム、
2匹がそれぞれ異なる英雄を選んだ。

こんなこともあるのか…
同じ時代に2人の英雄、
真実を求めるもの、理想を求めるもの、
ともに正しいというのか?

……わからない

異なる考えを否定するのではなく
異なる考えを受け入れることで
世界は化学反応をおこす……

これこそが、世界を変えるための数式」

それだけ言い終え、僕は口を閉ざした。

彼女はまたしても、僕の見た未来を覆してしまった。

一体、なぜ……
 ▼ 49 RIVER 16/09/03 21:57:29 ID:nc.8Zptk [20/37] NGネーム登録 NGID登録 報告
その時。 背後から迫る怒りと侮蔑に満ちた気配。

ゲーチス「それでもワタクシと同じハルモニアの名前をもつ人間なのか? ふがいない息子め。

もともとワタクシがNに真実を追い求めさせ、
伝説のポケモンを現代によみがえらせたのは、

『ワタクシの』プラズマ団に権威をつけるため!
恐れおののいた民衆を操るため!
その点はよくやってくれました。

だが、伝説のポケモンを従えたもの同士が信念を懸けて闘い、自分が本物の英雄なのか確かめたいとのたまったあげく、ただのトレーナーに敗れるとは愚かにもほどがある!

詰まるところポケモンと育った
いびつな不完全な人間か……

トウコ!まさかアナタのようなトレーナーが伝説のポケモンに選ばれるとは完全に計算外でしたよ!

ですがワタクシの目的はなにも変わらない!
揺るがない!

ワタクシが世界を完全に支配するため!
なにも知らない人間の心を操るため!

Nにはプラズマ団の王様でいてもらいます。
だがそのために事実を知るアナタ……
ジャマなものは排除しましょう」
 ▼ 50 RIVER 16/09/03 21:59:16 ID:nc.8Zptk [21/37] NGネーム登録 NGID登録 報告
さらに後ろから迫る人影が二つ。

チェレン「支配だって?
プラズマ団の目的はポケモンを解放することじゃ」

チェレン。 確かトウコの幼馴染だったか。

チェレンの問いを遮るようにしてゲーチスが畳み掛ける。

ゲーチス「あれはプラズマ団をつくりあげるための方便。

ポケモンなんて便利なモノを解き放ってどうするというのです?

確かにポケモンを操ることで人間の可能性は広がる、それは認めましょう。

だからこそ!
ワタクシだけがポケモンを使えればいいんです」

アデク「貴様そんなくだらぬ考えで!」

チャンピオン……いや元、か……
アデクが怒りで体を震わせて反駁する。

ゲーチス「なんとでも。
さて、神と呼ばれようと所詮ポケモン。

そいつが認めたところでトウコ!
アナタなどおそるるにたらん。

さあ かかってきなさい!
ワタクシはアナタの絶望する瞬間の顔がみたいのだ!」
 ▼ 51 RIVER 16/09/03 22:00:19 ID:nc.8Zptk [22/37] NGネーム登録 NGID登録 報告
N「トウコ!!」

あれから少し時間が経った今でも、
何故あんなことをしたのかわからない。

僕は無我夢中でトウコの元に駆け寄り、
彼女のポケモンを回復させていた。

ただ、後悔は今でもしていない。

それは、確かだ。

ゲーチス「だれがなにをしようと!

ワタクシをとめることはできない!」

すぐ目の前で繰り広げられている戦いなのにとても遠くから見ているような気がしていた。
 ▼ 52 RIVER 16/09/03 22:02:58 ID:nc.8Zptk [23/37] NGネーム登録 NGID登録 報告
僕は、間違っていたのか?ーーー

ゼクロムがデスカーンをねじ伏せる。
「それくらい、計算済みですとも!」

ーーーわからない。だけどーーー

バッフロンの地震をすかしたウォーグルが鉢巻ブレイブバードでバッフロンを制する。

ーーー僕は余りにも世界を知らなすぎたーーー

シビルドンの火炎放射をドリュウズの岩雪崩が挫き、型破り地震で沈める。

ーーーこれから、どうすべきかーーー

ガマゲロゲの冷凍ビームをジャローダのリーフストームが掻き消し、勢いそのままにガマゲロゲを弾き飛ばす。

ーーー或いは、どうしたいのかーーー

キリキザンの辻斬りとヒヒダルマの炎のパンチの激突はヒヒダルマに軍配が上がった。

ーーー僕の罪は償えるのかーーー

「……ブツブツどういうことなのだ」

サザンドラの流星群をかいくぐったゼクロムが逆鱗でサザンドラを地に叩きつけた。

ーーー信じて疑わなかったものが完全に崩壊した今、何を信じればいい?

「ワタクシの目論見が! 世界の完全支配がっ!!」
 ▼ 53 RIVER 16/09/03 22:04:52 ID:nc.8Zptk [24/37] NGネーム登録 NGID登録 報告
そして戦いは終わった。

それと同時に現実へと引き戻された。

ゲーチス「……どういうことだ?

このワタクシはプラズマ団をつくりあげた、
完全な男なんだぞ!

世界を変える完全な支配者だぞッ!?」

慟哭する父を無視し、アデクが僕に向けて静かに言葉を紡ぎはじめた。

アデク「さて、Nよ。
いまもポケモンと人は別れるべきだと考えるか?」

しかしそれを父が乾いた笑いで遮った。

ゲーチス「……ふはは!
英雄になれぬワタクシが伝説のポケモンを手にする……
そのためだけに用意したのがそのN!!

いってみれば人の心を持たぬバケモノです。
そんないびつで不完全な人間に話が通じると思うのですか」

……僕は、人間ではなかったのか?

だめだ。全てが揺らぎ、
何を信じ疑うべきなのかわからない。
 ▼ 54 RIVER 16/09/03 22:17:49 ID:nc.8Zptk [25/37] NGネーム登録 NGID登録 報告
チェレン「アデクさん、こいつの話を聞いてもメンドーなだけです。
こいつにこそ心がないよ!」

父の言葉はまたもはねのけられた。

アデク「そうだな、本当に哀れなものよ
Nよ。いろいろ思うことがあるだろう。

だがおまえさんは決してゲーチスに操られ理想を追い求めたのではなく
自分の考えで動いたのだ!

だからこそ 伝説のポケモンと出会うことができたではないか!」

「だがーーー」

しかし、英雄とは勝者の称号。

つまり……

「ーーーボクに英雄の資格は

ない!」

もうやめてくれ。

もう全てお終いだ……
 ▼ 55 RIVER 16/09/03 22:20:07 ID:nc.8Zptk [26/37] NGネーム登録 NGID登録 報告
しかし、構わずアデクさんは続ける。

アデク「そうかあ?
伝説のポケモンとこれからどうするか。
それが大事だろうよ!」

頭ではわかっていた。
だけど、あの時の僕にはアデクの言葉を受け入れる余裕がなかった。

「わかったようなことを。
いままでお互い信じるもののため争っていた、
だのに!なぜ!」

思わず感情的になってしまう。
それでもなお、アデクの優しい言葉は紡がれ続けていた。

アデク「Nよ、お互い理解しあえなくとも否定する理由にはならん!

そもそも争った人間のどちらかだけが正しいのではない。それを考えてくれ」

話は終わりだ。

そう言わんばかりの微笑を浮かべた後、
アデクとチェレンはもがく父を引きずって謁見の間から出て行った。

そして僕とトウコだけが残された。
 ▼ 56 RIVER 16/09/03 22:21:07 ID:nc.8Zptk [27/37] NGネーム登録 NGID登録 報告
「……君に話したいことがある」

トウコ「?」

彼女困惑したようにきょとんとしたが、
僕の目に敵意がないのを見て取り、
僕の後ろをついてきた。

「君と初めて出会ったカラクサタウンでのことだ……

君のポケモンから聞こえてきた声が
僕には衝撃だった。

なぜなら、あのポケモンは
キミのことを スキ といっていた……

一緒にいたい、といっていたから」


トウコは少し照れたように顔を伏せた。
 ▼ 57 RIVER 16/09/03 22:22:34 ID:nc.8Zptk [28/37] NGネーム登録 NGID登録 報告
「……僕には理解できなかった。

世界に人のことを好きなポケモンがいるだなんて、
それまでそんなポケモンを僕は知らなかったからね……

それからも旅を続けるほどに気持ちは揺らいでいった……

心を通いあわせ、
助けあうポケモンと人ばかりだったから。

だからこそ、
自分が信じていたものがなにか確かめるため、
君と闘いたい、
おなじ英雄として向き合いたい!

そう願ったが……
ポケモンのことしか…いや
そのポケモンのことすら理解していなかった僕が……

多くのポケモンと出会い 、
仲間に囲まれていた君にかなうはずがなかった……」
 ▼ 58 RIVER 16/09/03 22:24:54 ID:nc.8Zptk [29/37] NGネーム登録 NGID登録 報告
いつの間にかトウコは顔を上げ、
悲しそうな目で僕を見た。

何故だ、なぜ君が悲しそうな目をしなくてはならない?

僕は虚空を睨み、続けた。

「……さて、チャンピオンは
こんな僕を許してくれたが…
僕がどうすべきかは僕自身が決めることさ」

いつの間にか玉座のところまで歩いてきていた。
僕はモンスターボールからレシラムを出し、再びトウコに向き合った。

「トウコ!!

君は夢があるといった……
その夢、かなえろ!

すばらしい夢を実現し、君の理想とするんだ!
トウコ! 君ならできる!!」

それじゃ……………サヨナラ……………!」


そして僕はレシラムの背に乗り、
果てなき大空へと飛び立った。

トウコが何か叫んだように見えたが、
彼女の声はもう僕には届かなかった。
 ▼ 59 RIVER 16/09/03 22:27:52 ID:nc.8Zptk [30/37] NGネーム登録 NGID登録 報告
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
そして今、名も無き森で


………ンバーニガガッ!!

「え? ああ……すまないレシラム、
少し眠ってしまっていた」

結局、僕はレシラムに見放されることなくここまで来た。

つまり、レシラムはまだ僕のことを英雄として認めてくれているってことだ。

………あの時アデクとチェレンに連れて行かれたが、
おそらく、父は脱出するだろう。

父の人脈は途方もなく広く、多岐にわたる。

確か国際警察の関係者にも父の知り合いがいたはずだ。

だからまたどこかで力を蓄え次第、また
父は世界の支配に向けて動き出すはずだ。
 ▼ 60 RIVER 16/09/03 22:28:32 ID:nc.8Zptk [31/37] NGネーム登録 NGID登録 報告
それをなんとかして止めなくては。

それこそが、僕にできること、せめてもの罪滅ぼしだ。

あの時は勢いのまま出てきてしまったが、僕には謝罪しなくてはならない相手がたくさんいる。

再興を狙う父を倒し、そして僕の罪を償うこと。それが僕のすべきことだ。

「僕に力を貸してくれるかい、
レシラム?」

「………もえるーわっ!」

白龍は僕の問いに微笑んで頷いた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー 完
 ▼ 61 RIVER 16/09/03 22:31:08 ID:nc.8Zptk [32/37] NGネーム登録 NGID登録 報告
ここまで見てくださった方々に、
心からお礼申し上げます。

私の人生二作目、楽しんでいただけたでしょうか?

ご意見、感想、質問等お待ちしております。

私は「ライバル」「悪の組織のボス」といった主人公に一番近い脇役が好きで、それで筆をとりました。

これからもそんなネタで書いてくつもりです。
 ▼ 62 RIVER 16/09/03 22:32:08 ID:nc.8Zptk [33/37] NGネーム登録 NGID登録 報告
では、最後にこのSSを書くに当たって使用したポケモンの型をご紹介して終わりにします。
 ▼ 64 ルマイン@れいかいのぬの 16/09/03 22:34:35 ID:rPvENxMU NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
タイトルからのこの内容には驚いた

あとトリップつけた方がいいよ
 ▼ 65 RIVER 16/09/03 22:38:55 ID:nc.8Zptk [35/37] NGネーム登録 NGID登録 報告
>>64
トリップとは何でしょうか?

無知で申し訳ございません。

・トリップとは何か
・トリップを付ける利点

この二点についてご教授願えないでしょうか?
 ▼ 66 ッチ◆UHOTpkeewQ 16/09/03 22:40:53 ID:xpMzDN.Y [1/2] NGネーム登録 NGID登録 報告


出来れば続編も頼む
 ▼ 67 ッチ◆UHOTpkeewQ 16/09/03 22:41:55 ID:xpMzDN.Y [2/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
#と英文字2つで酉出来るよ
 ▼ 68 RIVER 16/09/03 22:44:17 ID:nc.8Zptk [36/37] NGネーム登録 NGID登録 報告
>>66
私は緑VC、プラチナ、ブラックしかプレイしていない
ので……その辺の設定、登場人物しか拾い上げてやれない
というのが実情です。

仮に書いてもエアプ満載、キャラ崩壊も甚だしいそんな代物になりそうなので、N編はこれで締めます。
 ▼ 69 RIVER◆zFLCCAWaiw 16/09/03 22:44:54 ID:nc.8Zptk [37/37] NGネーム登録 NGID登録 報告
>>67
ありがとうございます
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