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SS

【SS】アイアントとコロトック

 ▼ 1 イックサレンダー◆ZSQq537Gzc 16/09/17 03:47:06 ID:1uCgwxhI [1/38] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
あるところに、一匹のアイアントが存在した。あるアイアント達のコロニーに属する彼女に、名前は特に無かった。……強いて言うなら114514、という番号が名前だった。
巣に無数にいる働きアイアントの一匹である彼女には、名前など不必要だった。


114514「ふー……ふー……」

454545「はー……ふー……」

810721「ぜー……ぜー……」
 ▼ 26 イックサレンダー◆ZSQq537Gzc 16/09/17 04:18:50 ID:1uCgwxhI [2/38] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


段々秋も深まってきた。木々は赤に、黄色に染まり、そして葉は落ちていく。
コロトックが枯れかけの葉を齧っていると、今日も114514がやって来た。


114514「こんにちはー……」

コロトック「おう」

114514「……あれ、何食べてるんです?」

コロトック「葉っぱ。枯れかけだけど」


コロトックはそう言った。思えば、彼は何時もこの木の葉を食べていたような気もしてきた。……冬になればどうするのだろう。
114514は、心配そうな目でコロトックを見た。聞きたくても聞けなかった質問を、意を決して口にする。
 ▼ 27 イックサレンダー◆ZSQq537Gzc 16/09/17 04:19:37 ID:1uCgwxhI [3/38] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
114514「……働かなくて、大丈夫なの?」

コロトック「?」

114514「貴方も働かないと……餌が無いと冬が越せないでしょうし、寝床も無い。ほら、貴方のいるその木ももう紅いわ……」

コロトック「……」

114514「これじゃいけない、働いて、お願いだから……」


114514はそう言った。このままだと冬が越せずに死ぬ。だから貴方も働け、と。それは忠告の筈なのに、どこか懇願の様にも思えた。


コロトック「成程ねぇ」


コロトックは相変わらず木の上で寛ぎながら、114514を見下ろした。彼女は意図せず不愉快な顔つきになる。
 ▼ 28 イックサレンダー◆ZSQq537Gzc 16/09/17 04:22:30 ID:1uCgwxhI [4/38] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
114514「何よ……、こっちは貴方を心配してるのに」

コロトック「うん、忠告は有り難いさ。だが俺はこう思う……何故俺は働かなければならないんだ?」

114514「え?」

コロトック「毎日ここから見下ろしてるとさ、嫌でも君らは見えるんだよ。毎日毎日飽きること無く働いてさ、もう何のために生きてるか分かったもんじゃない、君らの姿がね……」


ますます深まって行く秋の中、コロトックは一つ伸びをし、続けた。
落ち葉が一つ散る。
 ▼ 29 イックサレンダー◆ZSQq537Gzc 16/09/17 04:22:59 ID:1uCgwxhI [5/38] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
コロトック「君は何のために生きている?働くため? ……自分の気持ちに蓋をして、やりたいことも出来ず、ただ生き延びるだけの人生に、価値は有るのかい?」

114514「……」


114514は、答えられなかった。彼女の頭を、これまでの生涯が駆け巡る。
何も知らずに生まれてきて、初めて働いた。
機械の様に働いて、それを当然と思い込んだ。
暑い中、倒れそうになって、コロトックに出会った。


114514「……」ダッ


114514は駆け出した。彼女は答えられなかった。だから逃げた。理想に背を向けた。


コロトック「……言いすぎたかな……でも、働くと人も物もダメになるんだよ……」


敗走するアイアントの後ろ姿に、コロトックはそう声をかけた。
 ▼ 30 ングラー@いでんしのくさび 16/09/17 04:24:46 ID:qeMCNL3c NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 31 イックサレンダー◆ZSQq537Gzc 16/09/17 07:51:41 ID:1uCgwxhI [6/38] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


114514「ふー……ふー……」

454545「遅かったわね……さっき人事のあいつらが呼んでたわよ」

810721「結構怒ってたわよ……」

114514「……分かった」


肩で息をする彼女には、重く現実がのし掛かる。
 ▼ 32 イックサレンダー◆ZSQq537Gzc 16/09/17 07:52:10 ID:1uCgwxhI [7/38] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

753315「おう、来たか114514」

375648「けっ……遅かったな」

114514「……すいません」


巣の中の一際整った涼しい空間、そこに114514は呼び出された。
彼女がその部屋に入ったとたん、数多のアイアント達を管理するオスアイアントの753315と375648が、114514を詰り出した。
 ▼ 33 イックサレンダー◆ZSQq537Gzc 16/09/17 07:54:41 ID:1uCgwxhI [8/38] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
753315「さて、114514……最近仕事の量が少ないが、どういう事だ? 言ってみなさい」

375648「こっちはタダ飯食わせれやれるほど豊かや無いんだよ、働かないなら食うな!!」

114514「っ……!!」


そう叫ぶ二匹。ちなみに、753315も375648も、114514のような労働はしたことが無い。
114514は縮み上がって、何も言い返せずに一通り起こられた後、その場をすごすごと立ち去った。


114514「……」
 ▼ 34 イックサレンダー◆ZSQq537Gzc 16/09/17 07:55:23 ID:1uCgwxhI [9/38] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
彼女は、また考えていた。自分のこれまでの生き方について、自分の存在の意義について……
勿論いくら考えても答えが出ない事は分かっていた。だが彼女は知ってしまったのだ。自由に生きる者の存在を、生きることを心から楽しむ者の存在を。
彼女は、もう元には戻れない。きっと元に戻ろうとも思えない。

 ▼ 35 イックサレンダー◆ZSQq537Gzc 16/09/17 07:56:19 ID:1uCgwxhI [10/38] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


それから暫く、114514はコロトックに会いに行かなかった。怖かったのだ……もし会ったら、自分のこれまでの生涯が苦しみでしか無かったと、自分で断定せざるを得なくなりそうだったのだ。
114514が会いに行かずとも、あの音だけは毎日響いていた。


コロトック「ふぅ……。……来ない、な……」


コロトックは今日もまた、木の上で楽器を鳴らしていた。何処か明るかった音は、今は調子が外れていた。
コロトックはため息をついた。


コロトック「俺もダメだねー……観客なんて居ないのがデフォなのにさ……」


コロトックは軽く目を閉じた。
 ▼ 36 イックサレンダー◆ZSQq537Gzc 16/09/17 07:57:01 ID:1uCgwxhI [11/38] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


そしてそのまま二月は経っただろうか。
114514は、悪い夢を見ていた。自分が何故かあのコロトックの目の前に居て、そしてそのコロトックが何者かに切り刻まれているという、吐き気のするような夢だった。
彼女は悲鳴を上げて逃げた。逃げた。そして逃れた。


114514「!! ……んっ……」


114514は起床した。彼女の部屋の壁から、氷の柱が突き出ていた。
彼女はそれに少し驚いた後、察した。


114514「もう、冬か……」
 ▼ 37 イックサレンダー◆ZSQq537Gzc 16/09/17 07:57:46 ID:1uCgwxhI [12/38] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

454545「今日は今年の最後の仕事だね」

810721「やっと終わる……長かった……」


同僚達はそう雑談していた。
114514は巣穴から外へと出た。もう空気は冷えきっていて、草木には白い霜が降りていた。今年の冬は冷えそうだ。


114514「……よし」
 ▼ 38 イックサレンダー◆ZSQq537Gzc 16/09/17 07:58:17 ID:1uCgwxhI [13/38] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
114514は、コロトックの生き方に……自分の理想に向き合う事を決意した。今日を逃してしまえば、もうコロトックには会えない気がした。今日を逃してしまえば、自分はもう生きたままに死んでしまうような、そんな気がした。
そして114514は素早く粗方の仕事を済ませ、働いている同僚の目を盗んで、コロトックの元へと向かった。


   ガサガサッ

コロトック「お、久しぶり」

114514「久しぶり……あのさ、今日で私、仕事終わりなんだ」

コロトック「ふーん、良かったじゃん。ゆっくり休めよ」
 ▼ 39 オキシス@チャーレムナイト 16/09/17 07:58:55 ID:huEBlvnc NGネーム登録 NGID登録 報告
蟻とキリギリスじゃないんか
 ▼ 40 イックサレンダー◆ZSQq537Gzc 16/09/17 07:59:22 ID:1uCgwxhI [14/38] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
もう会えないというのに、意外とあっさり返されてしまい、どこか拍子抜けする114514。彼女はその勢いのまま、一つ質問した。


114514「……ねえ、貴方はこれから、どうするの?」


彼女はコロトックに聞いた。彼が常食していた木の葉は無くなり、もう雪も降るだろうし、その前に移動するのももう遅い。もし今雪に濡れてしまえば、コロトックは生きていけない可能性もある。


コロトック「そうだねぇ……もうこの世界は楽しんだし、なるようになれ、だなぁ……」


コロトックは上を見上げた。葉の落ちきった木からは、空がよく見える。清々しいほど、空は青く澄んでいた。
114514は空から視線を戻した。コロトックが死んでも良いと思っている事を、何だかとても心苦しく思っていた。
 ▼ 41 イックサレンダー◆ZSQq537Gzc 16/09/17 07:59:49 ID:1uCgwxhI [15/38] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
>>39
一部じゃキリギリスじゃなくてコオロギらしいよ
 ▼ 42 イックサレンダー◆ZSQq537Gzc 16/09/17 08:01:54 ID:1uCgwxhI [16/38] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
114514「……お願いだから、お願いだから死なないで!! 貴方が死んだら……もう貴方の曲を聞けないじゃない!!」

コロトック「……」


自分でも知らぬ間に、114514は酷く感情的になっていた。それ即ち、それだけコロトックの存在は大きいという事だった。
もう枯れ果てた落ち葉が積もって行く。葉を落とし、枝のみになった木は、二匹のポケモンを物憂げに支えているようにも見える。
 ▼ 43 イックサレンダー◆ZSQq537Gzc 16/09/17 08:02:22 ID:1uCgwxhI [17/38] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
114514「私は、貴方の曲が好きだから、だから……!!」

コロトック「……まさか、ファンが出来るとはね、やっぱりここにいて正解だったよ……でもね、イーちゃん。俺は根無しのコロトックだ。君らの巣に入っちまったら、君らに迷惑になるぞ?」

114514「私が何とかする。餌も寝床も用意する。だから……」


コロトックは困ったように114514を見た。半泣きの114514を眺め、一つため息をついた後、彼はヤレヤレといった感じで首を竦めた。


コロトック「……分かったよ。行くよ」
 ▼ 44 イックサレンダー◆ZSQq537Gzc 16/09/17 08:03:25 ID:1uCgwxhI [18/38] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


コロトックは114514に連れられて、アイアント達のコロニーに入った。周囲のアイアント達が訝しげな目で114514を見つめる。
114514は、顔を伏せながら道を急いだ。


114514「……こっち」

コロトック「おう」


114514は、自分の部屋にたどり着いた。部屋の扉を閉め、自分の布団を軽く整える。
コロトックは、物珍しそうに周囲を見回していた。
 ▼ 45 イックサレンダー◆ZSQq537Gzc 16/09/17 08:04:07 ID:1uCgwxhI [19/38] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
114514「狭いかもだけど、ゆっくりしてて……そこで寝てていいから」

コロトック「何から何までどうも……何しに行くの?」

114514「餌の配給貰ってくる。量はかなり少ないけど我慢して」

コロトック「分かったよイーちゃん」

114514「……うん」


彼女は扉を開けて、部屋の外へと出ていった。残されてコロトックは一つ息をついて、そして横になった。


コロトック「悪いこと、しちゃったなぁ……」
 ▼ 46 イックサレンダー◆ZSQq537Gzc 16/09/17 08:04:47 ID:1uCgwxhI [20/38] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


114514「さて、配給何処だったかな……」ウロウロ

454545「あ、114514!!」

114514「……どうしたの?」

454545「……さっきまた人事の連中から連絡来たよ……貴方呼ばれてよ、急いだ方が良いわ」

114514「……!!」


114514は、急いで人事部の元へと向かった。きっとコロトックを勝手に連れ込んだことへの小言を言われるのだろうと思って、114514は必死に逃れる為の言い訳を考えた。
 ▼ 47 イックサレンダー◆ZSQq537Gzc 16/09/17 08:05:11 ID:1uCgwxhI [21/38] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


114514「今、来ました……」

753315「おっ、来たね? いやー、良くやった。さすがだ」

375648「全てはこの為だったのか……いや、一本取られた」

114514「……?」


114514は分からなかった。てっきり説教を食らうかと思っていたのに、浴びせられたのは思いもよらぬ称賛、それも見に覚えの無いものだったからだ。
 ▼ 48 イックサレンダー◆ZSQq537Gzc 16/09/17 08:07:53 ID:1uCgwxhI [22/38] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
114514「あのー……一体何の話を……」

753315「ハハッ、謙虚だな君は。君が用意してくれたコロトックの話さ。……あれだけの大きさのコロトックなら、この冬は誰も飢えずに済むだろう」

114514「……えっ?」

375648「えっ、て……その為に連れてきたんだろ?」

114514「いや……その……あの……」


つまり、だ。彼らは、114514は餌にするためにコロトックを連れてきたんだと思い込んでいたのだ。
 ▼ 49 イックサレンダー◆ZSQq537Gzc 16/09/17 08:08:28 ID:1uCgwxhI [23/38] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
彼女は暫く言い淀んでいたが、このままではいけないと思って駆け出した。コロトックを早く連れ出さなければ、彼は殺される。それが彼女を駆り立てた。
自分の部屋へと駆け戻る。しかし、そこには既に先客がいた。……コロトックを連れ出しに来た兵隊アイアント二匹だ。
114514は、二匹目掛けて体当たりした。


114514「止めて!!」ガンッ

919919「っ、無理だ、諦めろ!!」

596033「仕事の邪魔をするな!!」

114514「止めて!! 退いてよ!!」モゴモゴ
 ▼ 50 イックサレンダー◆ZSQq537Gzc 16/09/17 08:09:10 ID:1uCgwxhI [24/38] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
二匹の兵隊アイアントである919919と596033を押し退けて、コロトックを連れ出そうと、彼女は足掻いた。これまでひたすらに従順だった彼女が、己の在り方に抗った。
押して、押されて、未来を掴まんと暴れる彼女は、確実に眼前に希望を見ていた。
その、瞬間だった。


   ガラガラガラガラッ

919919「何だ!?」

596033「地震か!?」
 ▼ 51 イックサレンダー◆ZSQq537Gzc 16/09/17 08:09:33 ID:1uCgwxhI [25/38] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
突然、アイアント達のコロニーが激しく揺れた。地震でも無いし、勿論ここでの騒動でも無い。
戸惑うアイアント達は、その目を疑った。


114514「光……?」

919919「ここ、巣だよな? 何で、光が……」


彼らは一時の逡巡の後に、自分達の巣に何が起きたのかを理解した。
 ▼ 52 イックサレンダー◆ZSQq537Gzc 16/09/17 08:10:41 ID:1uCgwxhI [26/38] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
クイタラン「ぐおおおおおおっ!!」

919919「クイタラン……クイタランだあっ!!」

114514「キャーーッ!?」

596033「に、逃げろっ!!」


クイタランの襲撃だ。
その場にいた919919と、596033は、クイタランの余りの恐ろしさに逃げ出した。しかし、114514はそれすらも叶わなかった。大きすぎる恐怖で腰が抜けてしまっていたのである。先程までの取っ組み合いの影響でもあった。
クイタランの爪が、彼女目掛けて降り下ろされた。
彼女は、目を強く瞑った。
 ▼ 53 イックサレンダー◆ZSQq537Gzc 16/09/17 08:11:04 ID:1uCgwxhI [27/38] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
クイタラン「ぐおおおおっ!!」ブンッ

クイタラン の きりさく!!

114514「っ……」

   ガキンッ

114514「…………!?」


来るべき衝撃は来なかった。彼女が恐る恐るその目を開くと、眼前にあるクイタランの爪が、そしてそれを受け止めるコロトックが目に入ってきた。
 ▼ 54 ガース@むげんのチケット 16/09/17 08:12:31 ID:Gk39l.gs NGネーム登録 NGID登録 報告
クイタランならアイアントの
ストーンエッジで余裕の確定一発www

というのは野暮だなうん。支援
 ▼ 55 イックサレンダー◆ZSQq537Gzc 16/09/17 08:13:56 ID:1uCgwxhI [28/38] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
114514「コロトックさん!! どうして!!」

コロトック「悪い、寝坊した!!」


そう言いながらクイタランの爪を受け止め続けるコロトック。114514は叫んだ。


114514「駄目、逃げて!!」

コロトック「出来ればそうしたいけどっ」


コロトックは汗を垂らしつつ、114514に返答する。
辺りには火花が散っている。
 ▼ 56 イックサレンダー◆ZSQq537Gzc 16/09/17 08:14:42 ID:1uCgwxhI [29/38] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
コロトック「ここは俺が食い止める。軽い恩返しだ……俺は借りっぱなしは嫌だからな」

114514「そんな!!」


借りているのは寧ろ自分の方なのに、と114514は言いかけた。自由も、理想も、全て貴方に教えてもらったのに、と。
それを遮るかのように、コロトックは続けた。


コロトック「……なあイーちゃん……俺はもう十分、この世界を楽しんださ。後は、一宿一飯の恩を返して、すっと去る……悪くない幕引きだろ?」

114514「いや!! 全然良くない!!」

コロトック「そうかい、……でももうルート変更は出来そうに無いぞ」
 ▼ 57 イックサレンダー◆ZSQq537Gzc 16/09/17 08:15:13 ID:1uCgwxhI [30/38] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
コロトックは前を向いた。クイタランは一旦コロトックから離れて、他の部分を壊し始めた。
コロニーから見える地上は夜の闇に呑まれて真っ暗だ。


コロトック「もう一度言う。俺はあのクイタランを食い止める。お前は逃げろ」

114514「嫌!! そんなの嫌だよ!!」

コロトック「逃げろ!!」


そう怒鳴り、コロトックは114514を突き飛ばした。そして、再び迫ってくるクイタランに対して身構えた。
姿勢を低くするコロトックを、114514は見つめていた。
 ▼ 58 イックサレンダー◆ZSQq537Gzc 16/09/17 08:15:47 ID:1uCgwxhI [31/38] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
114514「……」

コロトック「 ……知らないのか? 俺は死なない」

114514「……!!」

コロトック「……じゃあな」

イー「……分かった。さようなら……生きて」タッ

アイアント は にげだした!!

コロトック「生きて、か……それは無理そうだな。……強く生きろよ、イーちゃん」ボソッ
 ▼ 59 イックサレンダー◆ZSQq537Gzc 16/09/17 08:16:40 ID:1uCgwxhI [32/38] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
コロトックは、114514……いや、イーがその場から駆け出し、距離を取るのを見届けた。さらに叩き込まれるクイタランの一撃を必死に凌ぎ、体制を建て直す。
つい先程までアイアント達が住んでいたコロニーの、その跡地の所々からは煙が立ち上っていた。


コロトック「……だああっ!!」

コロトック の シザークロス!!

クイタラン の きりさく!!

   ガギンッ ガギンッ

コロトック「ふーっ、ふーっ……」

クイタラン「ぐがああっ……」

コロトック「くっ……落ち着けよ……っと」

   ガギンッ ガギンッ
 ▼ 60 イックサレンダー◆ZSQq537Gzc 16/09/17 08:17:06 ID:1uCgwxhI [33/38] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
自暴自棄なのか正気を失っているのかは分からないが、クイタランはとにかくコロトックに遅いかかった。
コロトックはその攻撃をまた己の腕で何とか凌ぐが、それももう長くは持たないだろう。現に彼の腕はミシミシと悲鳴を上げている。


コロトック「ぐっ……」


彼はもう限界が近かった。クイタランは火を吹き、火を纏いながら突進してきた。
コロトックはまた一つ、ため息を吐いた。
 ▼ 61 イックサレンダー◆ZSQq537Gzc 16/09/17 08:17:35 ID:1uCgwxhI [34/38] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
コロトック「お前が何を思っているかは分からねえが、俺は負けない……絶対な」

クイタラン「ぐがぁぁぁああああ!!」

クイタラン の フレアドライブ!!

コロトック「……今だ!!」

   ズシャッ


コロトックは、突進してきたクイタランの足を己の足で押さえつけ、そこを自分の足諸とも右腕で貫いた。
 ▼ 62 イックサレンダー◆ZSQq537Gzc 16/09/17 08:18:02 ID:1uCgwxhI [35/38] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
クイタラン「カアッ……!?」

コロトック「……お前も眠れっ!!」


そしてコロトックは、左腕で、己の弦を掻き鳴らした。


コロトック の ほろびのうた!!



 ▼ 63 イックサレンダー◆ZSQq537Gzc 16/09/17 08:18:28 ID:1uCgwxhI [36/38] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告




イー「……」

イーがコロニーの跡地に戻ってきたのは、クイタランの襲撃の一週間後だった。
彼女が辺りを探しても、コロトックもクイタランも、体の一部すら見つかる事は無かった。


イー「コロトック、さん……」
 ▼ 64 イックサレンダー◆ZSQq537Gzc 16/09/17 08:20:37 ID:1uCgwxhI [37/38] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
彼女はもう決めていた。もう同僚達や、知った顔達には別れを告げている。
彼女は前を向いた。大地は、果てしなく広がっていた。もう、持つべきものは全て持っている。


イー「行ってきます」

   〜♪  〜♪


明日へと歩き去る彼女と共に、明るげなメロディーが空に消えた。

【SS】アイアントとコロトック  fin
 ▼ 65 イックサレンダー◆ZSQq537Gzc 16/09/17 08:22:00 ID:1uCgwxhI [38/38] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


はい、終わりです
名前については気にしないで下さい
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