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【SS】 サトシ 「ハルカを助けに行ってくる!」

 ▼ 1 クスノキ 15/01/05 20:30:00 ID:Sk905Q7Y NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
・ハルカのSSを見たいと言うご意見を複数頂いていたので、今回はハルカを登場させます。

・パラレルワールド注意。

・一部アニメ内設定に準拠。

・一部お色気描写あり。

・今後画像を掲載するかもしれませんが、全て私自身が撮影もしくは加工したものです。

・SS内に登場する「例の動画」について、下記「DVD」のSSに詳細がありますが、分からなくても特に問題はありません。
 ▼ 861 ミジュマル@かざんのおきいし 15/01/16 21:42:01 ID:yaDC1Esw NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 862 メガバシャーモ@せんせいのツメ 15/01/16 21:55:29 ID:JWB/2o2A NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
>>845
サトシ「俺はそう簡単に怪我しないさ」

あなたはやはりマサラ人ですね
 ▼ 863 フレフワン@たべのこし 15/01/16 22:03:55 ID:IHhhtek2 [1/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
>>855
名前欄凄い

やっぱサトシはマサラ人だぜ

それはそうと完全なサトハルキター!!
 ▼ 864 アーマルド@あおいバンダナ 15/01/16 22:06:39 ID:IHhhtek2 [2/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
クスノキさんは他の人のSSみたいな気違いssじゃなくて平和なのもいいな
 ▼ 865 ゴウカザル@ダートじてんしゃ 15/01/16 22:38:57 ID:j1LvPhA. NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
>>860
自分一回朝の3時集合あった
 ▼ 866 メガカメックス@りゅうのキバ 15/01/16 23:08:27 ID:KkABUL4Q NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
>>860
>>865
部活やめてよかった
 ▼ 867 ペロリーム@バトルサーチャー 15/01/16 23:12:20 ID:fVqZv4Jw NGネーム登録 NGID登録 報告
ここで馴れ合うなよ
 ▼ 868 アーケン@バクーダナイト 15/01/16 23:13:13 ID:02WviyFQ NGネーム登録 NGID登録 報告
1000までに終われるか?
 ▼ 869 ジラーチ@ゼニガメじょうろ 15/01/16 23:14:05 ID:j5ll/0Ts NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
>>868
不可能に近い
 ▼ 870 マラカッチ@こわもてプレート 15/01/16 23:34:16 ID:MA.n/dqo NGネーム登録 NGID登録 報告
次スレ立てた方が良さそうだな
 ▼ 871 ゼニガメ@ヒールボール 15/01/16 23:39:00 ID:IHhhtek2 [3/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
完結したらどっかのブログかなんかにまとめてくれたら軽く見られるな
それ希望
 ▼ 872 カメックス@おしえテレビ 15/01/17 00:59:27 ID:KU9Bl5oo [1/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
今日も更新しないの?
 ▼ 873 ケッキング@げんきのかたまり 15/01/17 01:26:21 ID:BIAfF8RE NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
>>871ここだよここぉ
 ▼ 874 クスノキ 15/01/17 02:33:00 ID:5XaG58u6 [1/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
夕食が終わり、公共シャワーブースで汗を流したサトシとハルカ。

ベッドに備え付けられている小さなテレビを点け、ようやく落ちつけたところだ。


 ハルカ 「あっ、この映画……“風立てぬ”!」

 サトシ 「風立てぬ?」

 ハルカ 「うん。スタジオズィブリのハヤオ監督の作品でね、けっこう注目されたのよ」

 サトシ 「へぇ〜。じゃあ見るか!」

 ハルカ 「うん!」

 サトシ 「……でも、ハルカのベッドからじゃ見にくくないか?」


病室のテレビと言うのは少々特殊で、ベッド脇にアームでテレビが固定されていて、そのアームの角度を調整すれば、横になりながらでも見ることが出来る。しかしそれゆえ、テレビは小さく、テレビ付きベッドからでないと見にくいと言う欠点もある。

いま、テレビ付きのベッドでは、ベッドを起こした状態――座椅子のように、背もたれを せり上げた状態で、サトシが座っている。

少し間を空けて、ハルカのベッドがあるのだが、そちらは予備のベッドだったのか、テレビは ついていない。


 サトシ 「う〜ん……このテレビ、もっと横に向かないのかな……」


この状態では、ハルカからテレビが見えないのだ。
 ▼ 875 クスノキ 15/01/17 02:33:30 ID:5XaG58u6 [2/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サトシはテレビの向きを強引に変えようとしているが、動かせる限界範囲を超えているのか、テレビは それ以上横を向かない。


 ハルカ 「あ、大丈夫だよサトシ。横に椅子を持ってくるから……」

 サトシ 「でも、その椅子固いだろ? ……あ、じゃあ、ベッド くっつけちゃおうぜ!」

 ハルカ 「えっ?」


そう言うとサトシは、ハルカのベッドを自分のベッドに ぴったりと横付けした。


 サトシ 「これで楽に見れるだろ?」

 ハルカ 「あっ……うん。ありがとう……」


サトシは特に意識していないようだが、ベッドをくっつけられ、ハルカは自然と鼓動が高まっていた。


 ハルカ 「(これ……こんな近くで……。もぉ……病院着なんて着るんじゃなかった……)」


白くて薄い病院着は、可愛さなんてあったもんじゃない。それどころか、紐で結ぶだけなので はだけやすい。


 ハルカ 「(こんな格好……恥ずかしいよ……)」


しかしハルカの心配を余所に、サトシはすっかり映画に集中しており、ハルカの衣服なんて、蚊帳の外だった。
 ▼ 876 クスノキ 15/01/17 02:34:00 ID:5XaG58u6 [3/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
映画では、試験飛行機が墜落するシーンがあった。そして、その光景を目の当たりにした主人公、ジロウはショックを受け、軽井沢のホテルへ休養に出かける。

― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ―


 サトシ 「ハルカ……飛行機が壊れるシーンとかあるけど、大丈夫か? チャンネル変えた方が……」

 ハルカ 「ううん、大丈夫。映画の中の話だもん」


この映画では、飛行機が何度も登場し、一部は墜落してしまう。……乗って来た飛行機が胴体着陸した時、ハルカはとても怯えていた。サトシは、そんなハルカを心配してくれている。ハルカにとって、そんな彼の気遣いが、たまらなく嬉しかった。


 ハルカ 「(優しいな……サトシ……)」


― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ―

ジロウはホテルで、ナオコという、昔助けてあげた少女と再開。交際を始めた2人だが、ナオコは結核を患っていて、空気が綺麗な山の病院に入院する。しかしナオコは、もう幸先長くないことを感じ、ジロウに会いたい一心で、一人病院を抜け出し、名古屋までジロウに会いに行った。

ジロウは上司のクロカワの家の離れに居候状態だったが、そこでナオコと結婚式を挙げた。

 ― クロカワ婦人 『申す。七珍万宝、投げ捨てて、身ひとつにて山を下りし見目麗しき乙女なり。いかぁーにー』

 ― クロカワ 『申す。雨露しのぐ屋根もなく、鈍感愚物のオノコなり。それでもよければお入り下さい』

 ― クロカワ 『「いざ夫婦の契りとこしなえ』

ジロウとナオコは、互いに御神酒を呑み、契りを交わした。
 ▼ 877 クスノキ 15/01/17 02:35:00 ID:5XaG58u6 [4/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ハルカ 「………」 キュン

 サトシ 「(結婚式って、こんな簡単でいいのかなぁ……)」


― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ―

式が終わり、ジロウとナオコは、晴れて夫婦となる。その夜、布団に入ったナオコは、少し服を はだけさせ、布団を広げ、ジロウを誘った。

 ― ナオコ 『来て』

 ― ジロウ 『だって、お前……』

 ― ナオコ 『来て……』

そして2人は、熱い口づけを交わし、部屋の電気が消えた――。

― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ―


 ハルカ 「(こっ……これって……///)」 カァァ


― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ―

ジロウの手がけた九試単座戦闘機は、予想を遙かに上回る大成功をおさめる。……しかしその頃、もう先が長くないと悟ったナオコは、ジロウが居ぬ間に、一人、山の病院へと戻って行った。

 ― クロカワ婦人 『美しいところだけを……、好きな人に見て貰おうとしていたのね……』

 ― カヨ 『うぅっ……』グスッ
 ▼ 878 クスノキ 15/01/17 02:35:30 ID:5XaG58u6 [5/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ハルカ 「グスッ……ナオコさん……ぅっ……」


― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― 

戦争が終わり、ジロウは夢の中の草原にいた。傍らには、飛行機の残骸が散らばっている。

 ― カプローニ 『ここは夢の王国だ』

 ― ジロウ 『……地獄かと思っていました。10年をやり遂げましたが、終わりはズタズタでした』

夢の中の大空を、たくさんの飛行機が飛んでいく。

 ― カプローニ 『君の“零”だ』

 ― ジロウ 『一機も帰ってきませんでした……』

 ― カプローニ 『行きて帰りし者なし、だな。飛行機は呪われた存在かもしれん。……君を待っていた人がいるんだ』

そこにいたのは、ナオコだった。若々しい、元気な姿で、パラソルを持って微笑んでいる。

 ― ナオコ 『あなた、生きて……』

そうしてナオコは、風とともに消えて行った。

 ― ジロウ 『ナオコ……ありがとうっ……』

 ― カプローニ 『美しい、風のような人だ。……君は生きねばならん。寄って行かないか? 良いワインがあるんだ』

 ― しろ〜い〜さか〜み〜ち〜が〜、そらまで〜、つ〜づ〜いていた〜♪♪♪
 ▼ 879 クスノキ 15/01/17 02:36:00 ID:5XaG58u6 [6/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「……あんまり動きは無かったけど、なかなか良い映画だったな」

 ハルカ 「ぅぐっ……ぅっ……グスッ……」

 サトシ 「ハルカ……どうした?」

 ハルカ 「ぅっ……ナオコさん……すっごい健気でっ……本当にっ……グスッ……」

 サトシ 「ハルカは純粋なんだな。映画で泣ける人は心が綺麗だって、どっかで聞いたことあるよ」

 ハルカ 「サトシっ……ありがとう……グスッ……」



 ― あの〜こ〜の〜、いの〜ち〜は〜、ひこう〜き〜ぐ〜も〜♪♪♪



映画が終わり、サトシはテレビを消した。


 サトシ 「……さ、そろそろ寝るか」

 ハルカ 「うん……」

 サトシ 「じゃあハルカ、ベッド戻すから、ちょっと下りてくれよ」


そう言って、サトシは横並びにしたベッドを、元の離れた位置に戻そうとした。
 ▼ 880 クスノキ 15/01/17 02:36:30 ID:5XaG58u6 [7/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ハルカ 「……待って」

 サトシ 「え?」

 ハルカ 「あのっ……このままでも……いいんじゃないかな? わざわざ移動するのも面倒だし……」

 サトシ 「そうか?」

 ハルカ 「うん……///」

 サトシ 「……じゃあ、このままにしとくよ。オレ、歯、磨いてくるぜ」


サトシは使い捨て歯ブラシを持って、外の給湯所へ歯を磨きに行った。


 ハルカ 「(私ったら、なんで“このままで良い”なんて言ったんだろう……)」


ハルカの頭の中には、映画で見た、ジロウとナオコの結婚シーン、そして、その後の2人のやりとりが、鮮明に浮かび上がる。


 ハルカ 「(あのシーンって……、所長が言ってた“夜の営み”よね……。愛し合う2人が、体を重ね合う……)」


ハルカの体が疼く。


 サトシ 「お待たせ。歯ブラシはテーブルの上にあるから、ハルカも行って来いよ!」

 ハルカ 「ひゃっ!? あっ、うん……!」
 ▼ 881 クスノキ 15/01/17 02:37:00 ID:5XaG58u6 [8/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
【 12 】


突然戻って来たサトシに驚いたハルカは、歯ブラシを手に取り、急いで病室を飛び出した。


 ハルカ 「(はぁっ……はぁっ……びっくりした……)」


給湯室の前まで来たハルカだが、体の……いや、下半身の疼きは治まらない。


 ハルカ 「(どうしちゃったんだろう私……なんでこんなに……)」


ハルカは自分の体の違和感に悩みつつも、歯を磨き、サトシの待つ病室へと戻った。


サトシは既に、ベッドに横になっていた。これからハルカが寝る場所は、彼のすぐ隣……。


 サトシ 「お帰りハルカ。さ、もう寝ようぜ。電気頼むよ」

 ハルカ 「うっ、うん……」


ハルカは部屋の照明を消し、ベッドに潜り込んだ。

サトシのベッドとは ぴったりくっついているので、同じベッドにサトシと2人で寝ているような感覚に捕われる。

ハルカの鼓動はどんどん高まっていき、とても寝れるような状況では無い……。
 ▼ 882 クスノキ 15/01/17 02:37:30 ID:5XaG58u6 [9/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
真っ暗な病室の中、ハルカのすぐ隣では、サトシが横になっている。一緒に旅していた時は、野宿ともなれば こんなこと日常茶飯事だったのに、今は何故か、正常で居られない。


 ハルカ 「(どうしよう……胸がっ……)」


 サトシ 「……それにしてもさっ」


不意に、サトシが話しかけてきた。


 サトシ 「本当、2人とも怪我無くて良かったよな。ハルカ見たか? 降りた飛行機……メチャクチャだったぜ?」

 ハルカ 「えっ……そうなんだ。私、あの時は いっぱいいっぱいで……、足元しか見えてなかったかも……」

 サトシ 「そっか」

 ハルカ 「サトシ……ありがとね」

 サトシ 「ん?」

 ハルカ 「飛行機の中で……私をずっと励ましてくれて。私、怖くて怖くて、本当に、パニックになっちゃいそうだったの。でも、サトシがずっと……手を握っててくれたから……」

 サトシ 「あぁ。気にすんなよ」

 ハルカ 「サトシは凄いね。あんなに怖い場面でも、しっかりしてて」

 サトシ 「……いや、オレだってあの時、そうとう怖かったんだぜ?」
 ▼ 883 クスノキ 15/01/17 02:38:00 ID:5XaG58u6 [10/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ハルカ 「そうなの?」

 サトシ 「あぁ。……けど、ハルカはもっと怖かっただろうから、なんとかハルカを安心させたくて、……無理して普通にしてたんだ」

 ハルカ 「そっか……。優しいね、サトシ」

 サトシ 「いやぁ……。それに、オレ自身もさ、ハルカと手を握り合って、随分落ち着けたんだ。ハルカを守らなくちゃって気持ちと、ハルカがいるから大丈夫だって気持ち……あの時は、それしか感じられなかったな。……だからオレからも、ありがとな、ハルカ」

 ハルカ 「あっ……うん、そんな……///」

 サトシ 「久しぶりに会ったから、ってのもあると思うけど、やっぱりハルカと一緒に居ると、何て言うか、安心できるんだよな。飛行機の中でも、事故になるまでは楽しかったし……」


サトシの口から語られた言葉に、ハルカは自分でも分からないほど、嬉しい気持ちが溢れかえってきた。

サトシもだったんだ、楽しいって思ったのは、自分だけじゃなかったんだ――そう、ハルカは感じていた。それが嬉しさの要因なんだろうか。


 ハルカ 「私もっ……すっごく楽しかった。ずっと飛行機に乗ってたいって、思ったくらいだもん。それに、今も……///」

 サトシ 「えっ?」

 ハルカ 「サトシ……カッコ良すぎかもっ。一緒に旅してた時よりも、ずっと……。モブミさんとのバトルだって、飛行機の中だって、それに、今だって……。サトシは私のヒーロー……なんて、ね……」

 サトシ 「そんな……ハルカを助けるのは当たり前だろ? 大切な仲間なんだからさっ」

 ハルカ 「仲間……か……」
 ▼ 884 クスノキ 15/01/17 02:38:30 ID:5XaG58u6 [11/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ハルカは一つ、深呼吸した。


 ハルカ 「サトシは……さっきの映画で、ナオコさんとジロウさん、いたわよね?」

 サトシ 「あぁ」

 ハルカ 「2人が結婚式を挙げた後、一緒に布団に入って……それっ、サトシは何だったのか……分かった? ///」

 サトシ 「えっ……」


サトシの反応は、“えっ……”だった。それは即ち、それが何なのかを知っていると言うことだ。

サトシの性格上、分からないことだったら“分からない”と言うはずだ。そうでないと言うことは……。


 ハルカ 「私っ……サトシには、本当に感謝してるの。言葉では言い表せないくらい、すっごく。私にとって、サトシはね、とっても……とっても大切な存在なの」

 サトシ 「ハルカ……」

 ハルカ 「だからっ……そのっ……サトシとならね、あの2人みたいなこと、やっても良いかな、って……///」

 サトシ 「えっと……」

 ハルカ 「私じゃ……嫌?」

 サトシ 「そんなことっ……。でもハルカは……」
 ▼ 885 クスノキ 15/01/17 02:39:30 ID:5XaG58u6 [12/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ハルカ 「うん……。事務所に所属するトップコーディネーターは、男女関係のスキャンダルに弱い……」

 サトシ 「……あぁ。せっかくツワブキ社長のお陰で解決したのに……、ハルカがまた苦しむかもしれない……。そんなこと、オレには出来ない」

 ハルカ 「……優しいね、サトシ。私……、サトシと会えて、本当に良かったって思ってるよ。トップコーディネーターになれたのも、サトシのお陰だし、私のことずっと応援してくれて……励ましてくれて……。トネリコリボン、まだ私の宝物なんだ」

 サトシ 「……オレも。シンオウの旅も、イッシュの旅も、それに今回のカロスだって、ずっと持ってるぜ」

 ハルカ 「……嬉しい」


2人で優勝した、思い出のトネリコリボン。辛い時や悲しい時に、いつも握りしめていた、トネリコリボン。

サトシもそれを、ずっと大切にしてくれていた。

……これほど嬉しいことが、他にあるだろうか。


ハルカは意を決して、体を持ち上げる。そして、サトシの横に ぴったりと密着した。


 ハルカ 「(サトシ……暖かい……)」

 サトシ 「ハルカ……」

 ハルカ 「私は……サトシとは深い関係になれない……。でもっ、もしも私が普通の女の子だったら……! サトシに……、そのっ……サトシに、こっ……告白してた……かもっ……」


目を瞑り、ハルカは思い切って、声に出した。ずっと思っていたことを、サトシの前で。
 ▼ 886 クスノキ 15/01/17 02:40:00 ID:5XaG58u6 [13/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「サンキュー、ハルカ。ハルカにそう思って貰えて、オレ、嬉しいよ」


サトシは、優しく、静かに言った。なんだか くすぐったい思いだ。


 ハルカ 「サトシ……、答えは聞かないよ。今のは……そのっ、私の独り言だからっ……」

 サトシ 「……あぁ。オレも、ハルカが普通の女の子だったら、しっかりオレの気持ちを答えてたと思う」

 ハルカ 「……うん」

 サトシ 「“夢”ってさ、すっげぇ苦労するんだな。叶えるまでも、叶えた後も」

 ハルカ 「サトシもすぐに分かるわよ。だって、今回こそリーグ優勝、するんでしょ?」

 サトシ 「あぁ、勿論さ!」

 ハルカ 「応援してるからね、サトシっ」

 サトシ 「サンキュー。絶対に優勝してみせるぜ!」

 ハルカ 「ふふっ……」
 ▼ 887 クスノキ 15/01/17 02:40:30 ID:5XaG58u6 [14/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
2人は体を触れ合いながら、ベッドに横になっている。旅していた時とは、少しだけ、距離が縮まった。

けれど、もっと距離を縮めたい……ハルカは いつしか、そう思っていた。


 ハルカ 「ねぇ、サトシ……」

 サトシ 「ん?」

 ハルカ 「私は、サトシとは深い関係になれない……。けどっ、病室が一緒になったのは事故のせいだし、誰にも見られてない……」

 サトシ 「あっ、あぁ……」

 ハルカ 「……お願い。こっち向いて」


ベッドに寝転がったまま、ハルカはサトシの方に体を向ける。

サトシもまた、ハルカの方へ体を向けた。


 ハルカ 「迷惑だったら……ごめんなさい……」



ハルカは目を瞑り、サトシの唇に、自分の唇を重ねた。


それは、ハルカにとって初めての、異性へのキスだった。
 ▼ 888 クスノキ 15/01/17 02:41:00 ID:5XaG58u6 [15/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
こんなにも積極的な行動に出るなんて、ハルカ自身が、一番驚いていた。そしてその原因は恐らく、さっきの映画の、あのシーンだ。勿論、サトシがハルカにとってカッコ良く映ったことも、一つの原因なのだろうが。


長い口づけの間、サトシは少しも拒否反応を示さなかった。それは即ち、自分の気持ちを受け入れてくれていると言うことだ。ハルカにとってそれは、涙が出るほど嬉しかった。

……が、これ以上のことは出来ないのだと言う悲しみも、同時に生まれてきた。

自分が決めた夢、仕事を続けるために、それはどうすることも出来ない。自分の気持ちが、自分の夢によって制限される もどかしさを、ハルカは恨めしくさえ思う。

けど、ハルカには本当に、どうすることも出来ないことだった。


 ハルカ 「……はぁっ、サトシっ」

 サトシ 「ハルカ……」

 ハルカ 「……グスッ」


この涙は、嬉しさと、悲しさ。サトシにだけ見せる、特別な涙――。


 ハルカ 「サトシ……」


ハルカは寝転がったまま、サトシに抱き付いた。
 ▼ 889 クスノキ 15/01/17 02:42:00 ID:5XaG58u6 [16/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「おいハルカ……」

 ハルカ 「お願い……今晩だけ……今晩だけで良いの。このままで……お願いっ……」


それは、ハルカの我儘だった。

トップコーディネーターとして今後も活躍するであろうハルカにとって、今のこの、人目に付かず、怪しまれず、安心して2人きりになれるのは、恐らくこれが最初で最後だろう。

ハルカはそれを悟っていた。自分で決めた人生だからこそ、はっきりと分かったのだ。


 サトシ 「ハルカ……。2人だけの内緒だぜ?」


そんな彼女の我儘を、彼は受け入れてくれた。

サトシは、自分の体にまわすハルカの手を取り、優しく握りしめる。


 ハルカ 「ありがとっ……サトシ。おやすみなさい……」

 サトシ 「あぁ……。おやすみ、ハルカ」


ハルカは一筋の涙を流し、目を閉じた。


そして2人は抱き合ったまま、静かに眠りについた。
 ▼ 890 クスノキ 15/01/17 02:50:00 ID:5XaG58u6 [17/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
今夜はこの辺で終了します。
本日もご支援、ご感想を頂き、ありがとうございました。ハヤオさん ごめんなさい。
また明日の夜に更新を再開します。


>>852
いつも感想ありがとうございます。やはり書き手として、より皆様にリアルに感じて頂けるよう、色々と試しています。

>>855
リアリティを出すため、色々と調査しました。航空マニアと言う程では無いですが、ILSはじめ無線内容の一部は、某航空管制ゲームを参考にしました(笑)

>>868
多分大丈夫だと思いますが……。様子見で考えます。

>>871
需要があるようでしたら、「アルトマーレ展」同様に、まとめようかと思います。

>>872
私の中では、午前3時までならセーフです(笑)
 ▼ 891 ゴルダック@ほしのすな 15/01/17 05:24:45 ID:KwtxxDGA NGネーム登録 NGID登録 報告
乙
 ▼ 892 ホーホー@くろいビードロ 15/01/17 07:48:26 ID:IbTXWsPQ NGネーム登録 NGID登録 報告
これ、次スレ立てた方がいいんじゃないのか?
 ▼ 893 カメテテ@ガブリアスナイト 15/01/17 08:01:59 ID:nxrTPlnE NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
乙
 ▼ 894 ムウマ@きいろいかけら 15/01/17 08:08:13 ID:0NmVtANU NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
乙!
出来れば纏めて欲しいな
 ▼ 895 ヤドラン@ラティアスナイト 15/01/17 09:23:12 ID:KU9Bl5oo [2/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
乙!!
 ▼ 896 トルネロス@ちからのハチマキ 15/01/17 09:28:03 ID:KU9Bl5oo [3/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
出来れば纏めてほしいです
 ▼ 897 ヨマワル@シールいれ 15/01/17 17:13:19 ID:GbqCmKSM [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
纏めたほうがいい
 ▼ 898 ズガイドス@サイコソーダ 15/01/17 18:15:07 ID:wp.31qDQ NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
できれば今までの作品もまとめてほしいです
できればでいいです
 ▼ 899 アサナン@ポロックケース 15/01/17 18:42:00 ID:78eKdIQg [1/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
纏めてほしい
 ▼ 900 メェークル@エレキブースター 15/01/17 19:59:23 ID:Yfy75gME [1/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
http://imgur.com/2ACgSCH

ここで、AGのサトシを見てみましょう
 ▼ 901 コリンク@じめじめこやし 15/01/17 20:00:40 ID:78eKdIQg [2/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
>>900
黒目じゃない…
AG時代なのに
 ▼ 902 パンプジン@ヘルガナイト 15/01/17 20:01:01 ID:Yfy75gME [2/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
>>901
BWの回想シーンだから
 ▼ 903 ムチュール@ほのおのいし 15/01/17 21:42:29 ID:xLowosqw NGネーム登録 NGID登録 報告
気になって生物基礎どころじゃない。
 ▼ 904 ミノマダム@かなめいし 15/01/17 22:27:44 ID:Yfy75gME [3/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
気になってセンター試験受けに行く気にならないってやついないの?
 ▼ 905 ジヘッド@ポイントマックス 15/01/17 23:33:40 ID:GbqCmKSM [2/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 906 ジグザグマ@ともだちてちょう 15/01/17 23:37:38 ID:Yfy75gME [4/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
眠れない
 ▼ 907 メレシー@パワーベルト 15/01/17 23:44:21 ID:eSG9bMzk NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 908 クスノキ 15/01/18 00:00:00 ID:F3.9yhL6 [1/27] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
【 13 】


翌朝、サトシは目を覚ます。病室で迎える朝は、初めてかもしれない。


 サトシ 「んんっ……」


背伸びをしたいところだったが、ハルカの手を握っていたことを思いだし、グッとこらえる。

そんなハルカは、眠っているうちに体勢が変わったせいのか、病院着が はだけ、白い下着が露出していた。


 サトシ 「あっ……」

 ハルカ 「……う〜ん、おはよぅサトシ」


このタイミングで、ハルカも目を覚ます。サトシの方を向くと、うっすら微笑んだが、自分の衣服が乱れていることに気付き、慌てはじめる。


 ハルカ 「……あっ!? きゃっ……やだっ ///」

 サトシ 「ごっ、ごめん!」
 ▼ 909 超マサラ人3 15/01/18 00:02:34 ID:nkCk59fY [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
今日で終わってしまうのかな…。
 ▼ 910 ユキノオー@シルフスコープ 15/01/18 00:02:46 ID:SP.7QbwY [1/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
>>901
もともと茶色で目がデカいだけ…
 ▼ 911 クスノキ 15/01/18 00:11:11 ID:F3.9yhL6 [2/27] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
咄嗟に布団に包まったハルカだが、サトシに見られてしまった事実は変わらない。


 ハルカ 「もぉ……/// 着替えるから あっち向いててっ」

 サトシ 「あぁ……」

 ハルカ 「(サトシに見られちゃうなんて……やっぱり病院着なんて着るんじゃなかったかもっ……)」


朝食の後、飛行機に乗っていた面子が全員集められ、もう1度、健康診断が行われる。それと同時に、精密検査の結果も報告された。


 ハルカ 「異常なし……っと」

 サトシ 「オレも。良かったなハルカ!」

 ハルカ 「うん!」


サトシもハルカも、特に異常は見つからなかった。胴体着陸の衝撃が大きかったとはいえ、安全姿勢を取っていたし、炎も上がらなかったので、特段驚くことでもない。

書類にサインし、2人はようやく、病院から解放された。
 ▼ 912 クスノキ 15/01/18 00:20:00 ID:F3.9yhL6 [3/27] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
荷物をまとめて病室を後にし、ロビーへ向かうと、そこにはセレナたちの姿があった。そして、見知らぬ女性の姿も。


 セレナ 「サトシっ!」

 ユリーカ 「ハルカ!」

 サトシ 「……みんな!」


サトシとハルカは、迎えに来てくれたメンバーの元へ駆け寄った。

胴体着陸に巻き込まれ、セレナたちには心配をかけてしまったが、3人は安心した表情を見せていた。昨夜電話で無事を伝えたからだろうか。


 セレナ 「良かった……どこも怪我とか……検査も大丈夫だったのよね?」

 サトシ 「あぁ。見ての通り、ピンピンしてるぜ!」

 セレナ 「良かった……ホントに良かった……。ハルカも大丈夫だった?」

 ハルカ 「えぇ。サトシと一緒だったから。ごめんね、心配かけちゃって」

 シトロン 「いえ。無事で なによりです。……胴体着陸の様子を見ていましたが、本当に、あれだけの事故で無傷と言うのは、奇跡に近いですね」

 ユリーカ 「きっと神様が守ってくれたんだよ! ねっ!」

 サトシ 「そうかもなっ」

 ハルカ 「ふふっ」
 ▼ 913 クスノキ 15/01/18 00:20:30 ID:F3.9yhL6 [4/27] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「……ところで、そっちの人は?」


サトシは、セレナたちと一緒に居た女性のことを尋ねる。


 キタダ 「初めまして。私はキタダよ。ホウエン支部のミナミダから、ハルカちゃんをカクウノシティへ案内するよう言われてるわ。よろしくね」

 ハルカ 「よろしくお願いします、キタダさん。……初めまして。PPPKのハルカですっ。昨日は電話だけになってしまって、すみませんでした」

 キタダ 「良いのよハルカちゃん。あんな事故に巻き込まれたんだもん。……さ、カクウノシティに向かうわよ。トライポカロンイベントには、十分間に合うわ!」


キタダは車を用意してくれていたが……5人乗り。


 キタダ 「イベントについてお話ししたいから、ハルカちゃんは助手席に座って貰うとして……」

 シトロン 「後部座席に4人は乗れませんし……。僕たち、バスで行きましょうか?」

 サトシ 「そうだな」

 キタダ 「ふふっ。お気遣いありがとう。でも、子供なら、詰めれば4人は乗れるでしょ?」

 セレナ 「良いんですか?」

 シトロン 「でも、それだと道路交通法に……」

 キタダ 「良いの良いのっ! 後ろの窓はスモークかかってるし、バレっこないわよ!」
 ▼ 914 クスノキ 15/01/18 00:21:00 ID:F3.9yhL6 [5/27] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
半ば強引に、6人は車に乗り込んだ。


 シトロン 「流石にキツイですね……」

 ユリーカ 「お兄ちゃんもう少し奥詰めてよっ」

 シトロン 「もうドアいっぱいいっぱいですよぉ」

 セレナ 「ユリーカきつくない?」

 ユリーカ 「うん、なんとか……」

 サトシ 「セレナごめん、ちょっと詰めるぞ。ドア閉められない」

 セレナ 「あっ、うん……(サトシとこんなに密着できる……///)」

 ユリーカ 「お兄ちゃんトランク行ってよ」

 シトロン 「……なかなか辛辣なこと言いますね、ユリーカは」


途中ポケモンセンターに立ち寄り、健康チェックを受けていたサトシとハルカのポケモン達を回収。勿論、みな異常は無かった。

そして、カクウノシティのイベント会場へ。13時の開園に、余裕を持って間に合うことが出来た。
 ▼ 915 クスノキ 15/01/18 00:22:00 ID:F3.9yhL6 [6/27] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
イベントでは、トライポカロンの歴史やルール、採点方式など、初心者にも分かりやすく解説していた。特にセレナは、それらに真剣な表情で聞き入っていた。


 サトシ 「セレナ、真剣だな」

 ユリーカ 「ヒヨクシティのトライポカロン、もうすぐだもんねっ」


 司会 『……それではフィナーレに、サプライズゲストとして、この方をお招きいたしました! 若くしてトップコーディネーターとして活躍されている、ホウエンの舞姫、ハルカさんです!』

 *** 「ハルカちゃん……!?」

 *** 「ハルカって……雑誌とかで見るあの!?」

 *** 「うそ!? 凄ーい! ハルカちゃーん!」


 ハルカ 『行くわよアゲハント! カメール! ステージオン!』


 *** 「本物だー! ハルカー!」

 *** 「あのカメール雑誌で見たー! 超キュート!」

 *** 「ねぇほらスマホカメラ! こっち向いてー!」


イベント側で用意された水色のドレスを纏ったハルカは、ステージ上で一礼する。その姿は、とても活き活きしていて、飛行機事故の時の怯えていた表情とは、まるで別人のようだ。
 ▼ 916 クスノキ 15/01/18 00:22:30 ID:F3.9yhL6 [7/27] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ハルカ 『みなさん初めまして、ホウエン地方から来ました、コーディネーターのハルカですっ。カロスではコンテスト、コーディネーターは馴染みが無いかもしれませんが、ポケモン達を美しく魅せるという点は、互いに共通しています。……今回私をゲストとしてお招き頂き、本当にありがとうございます。それに、こんなに大勢の皆さんに声援を送って頂いて、すっごく嬉しいです! 私のアゲハントとカメールのエキシビジョン、どうぞ楽しんで行って下さい!』


ハルカはしっかりと、観客に向けて言った。こういった対応は、さすが事務所に所属しているだけのことはある。同い年なのに立派だなと、サトシは感じていた。


 ハルカ 『カメールは“あわ”と“れいとうビーム”! アゲハントは“ぎんいろのかぜ”!』


ハルカの演技が始まった。

渦状にステージを貫く“あわ”を、“れいとうビーム”と“ぎんいろのかぜ”が包み込む。それらは高い位置で弾け飛び、客席に青い輝きを降り注がせた。


 *** 「ハルカちゃんすごーい!」

 *** 「綺麗……!」

 *** 「いいよハルカちゃーん!」


観客の評価は上々だ。


 サトシ 「(ハルカ……すげぇじゃん。もう大丈夫だよな、ハルカ……)」


ハルカのエキシビジョンは拍手・手拍子で歓迎され、大盛況のうちに、幕を閉じた。
 ▼ 917 クスノキ 15/01/18 00:23:00 ID:F3.9yhL6 [8/27] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
18時過ぎ。

イベントが終わり、サトシ達は街のレストランに腰を下ろしていた。


 キタダ 「それじゃあみんな! イベント大成功を祝して、乾杯!」

 サトシ達 「かんぱーい!」


キタダさんが、イベント終了後の打ち上げを、ささやかながら開いてくれたのだ。


 ハルカ 「ありがとうございますキタダさん。わざわざ打ち上げなんて開いて貰っちゃって」

 サトシ 「それに、関係ないオレ達も呼んで貰っちゃって……」

 セレナ 「ありがとうございます」

 キタダ 「良いのよみんな。ハルカちゃんの演技、お客さんに大盛況だったお礼よ。それに、飛行機の時間には、まだ早いしね」

 シトロン 「カントー行きの飛行機は、確か23時過ぎでしたもんね」

 ユリーカ 「そっか……もうハルカとお別れなんだ……」


イベントが終了したので、ハルカは今日中に、ホウエンに帰らなければならない。事務所の仕事なのだから、それは当然のことだった。
 ▼ 918 クスノキ 15/01/18 00:23:30 ID:F3.9yhL6 [9/27] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 キタダ 「だからみんな、短い時間だけど、思いっきり楽しんでね! あ、ノンアルコールビールおかわりー!」

 ハルカ 「キタダさんすみません……。私をミアレ空港まで送ってくれるから、ノンアルコールビールなんですよね……?」

 キタダ 「良いの良いの! ここだけの話……まだ勤務中だからね、私っ」

 セレナ 「それにしてもハルカの演技、凄かったわね! トライポカロンに出ないのが勿体ないくらい」

 ユリーカ 「うんうん! アゲハントとカメール、綺麗だったなぁ」

 ハルカ 「ふふっ。ありがとう2人とも。コンテストの1次審査みたいで、私も面白かったわ」

 シトロン 「コンテストとトライポカロン……。目的は同じですが、地方が違えば、内容もガラリと変わるんですね」

 ハルカ 「そうね。……そう言えば、サトシはトライポカロン出てみないの?」

 サトシ 「う〜ん……オレはやっぱりバトルの方が良いからな。それにトライポカロンって確か……」

 キタダ 「そう。女の子の祭典って言われてきてるから、男の子は出場できないわね。まぁ出ようと思えば出れるかもしれないけど……サトシ君、やってみれば?」

 サトシ 「いやっ……遠慮しときます」

 セレナ 「私も……ヒヨクシティのトライポカロン頑張らないとなっ!」

 シトロン 「そういう意味では、セレナも今日は良い経験でしたね」

 セレナ 「うん! もっとルールとか勉強して、絶対カロスクイーンになるんだからっ!」

 ハルカ 「頑張ってねセレナ!」

 セレナ 「うん! ありがとう!」
 ▼ 919 クスノキ 15/01/18 00:24:00 ID:F3.9yhL6 [10/27] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「……ちょっとドリンクバー行ってくるよ」

 ハルカ 「あ、待ってサトシ。私もっ」


サトシとハルカは席を立ち、少し離れた所にある、ドリンクバーコーナーへ向かった。


 サトシ 「メロンソーダ〜っと」

 ハルカ 「ねぇサトシ」

 サトシ 「どうした?」

 ハルカ 「……ありがとう。今日の演技、サトシのお陰で、すっごく楽しめたかもっ」


コップを手でいじりながら、ハルカは笑顔で言った。

その顔は、少し赤みを帯びている。


 サトシ 「なに言ってんだよ。オレは何もしてないよ。ハルカが頑張ったんだろ?」

 ハルカ 「ううん。昨日の夜……サトシが私のワガママを聞いてくれたから……。なんだか吹っ切れちゃって……すっごくリラックスして、演技できたんだ!」

 サトシ 「そうだったのか……。でもそれは、ハルカの実力があってこそじゃないのか?」

 ハルカ 「……ふふっ。サトシにそう言って貰えると嬉しいな」
 ▼ 920 ビクティニ@ラッキーパンチ 15/01/18 00:24:26 ID:yBcgoQ1g [1/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
毎日見たいわこのスレ
 ▼ 921 クスノキ 15/01/18 00:24:30 ID:F3.9yhL6 [11/27] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「ハルカは実力があるんだから、この先も大丈夫さ。トップコーディネーターとして、もっともっと活躍しろよっ、ハルカ!」

 ハルカ 「……うん。ありがとうサトシ。これから……もしも私が、もっと人気になっちゃったら、もう会うのは難しいかもしれない。こうやって、2人だけでお話しするのは難しいかもしれない……」

 サトシ 「ハルカ……」

 ハルカ 「だからねっ、昨日の夜、一緒に過ごせて、本当に嬉しかった。いつかまた……絶対、絶対に、一緒にお話ししようね!」

 サトシ 「勿論だぜ! オレもカロスリーグ挑戦頑張るから、ハルカも頑張れよ! 辛いことがあっても抱え込まないでさっ。マサトとかにも心配かけるんじゃないぞ!」

 ハルカ 「えへへっ……分かってるよ、それは」

 サトシ 「じゃあ、テーブルに戻ろうぜ」

 ハルカ 「うん。あんまり長いと、怪しまれちゃうもんねっ」


その後もサトシ達は、レストランでの打ち上げを楽しんだ。

旅の話、コンテストの話、ポカロンの話……。

別れを惜しむかのように、サトシ達の話の話題は、なかなか尽きなかった。
 ▼ 922 クスノキ 15/01/18 00:25:00 ID:F3.9yhL6 [12/27] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
時刻は20時半少し前。レストランの駐車場で、サトシ達は、ハルカとお別れの時を迎えていた。


 キタダ 「じゃあ、ハルカちゃんは責任を持って、ミアレ空港まで送るわ」

 ハルカ 「ありがとうございますキタダさん。ビールも飲まずに……」

 キタダ 「気にしない気にしないっ!」

 サトシ 「お願いします、キタダさん」

 シトロン 「それじゃあ僕たちは……ここでお別れですね」

 ユリーカ 「わたしたちの旅、また始まるんだねっ」 

 セレナ 「えぇ! 次はヒヨクシティのトライポカロンよ!」

 サトシ 「ジム戦もなっ!」

 ハルカ 「みんな、今回は本当にありがとう。わざわざみんなでホウエンに来てくれて、いろいろ励ましてくれて。……久しぶりに友達同士で遊べて、すっごく楽しかったよ!」

 ユリーカ 「ユリーカも! 温泉すっごく良かったし、ハルカの演技も最高だったしねっ!」

 シトロン 「僕らの方こそ、温泉に連れて行って貰って、それに、美味しい料理も食べさせて貰って、ありがとうございました」

 セレナ 「これからも頑張ってねハルカ。私も応援してるからっ!」

 ハルカ 「うん、ありがとうセレナっ! セレナもヒヨクシティのトライポカロン、絶対優勝してねっ!」

 セレナ 「えぇ!」
 ▼ 923 クスノキ 15/01/18 00:25:30 ID:F3.9yhL6 [13/27] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ハルカ 「それからサトシ……本当に、本当にありがとう。サトシのお陰だよっ。こんなに楽しい日々を過ごせたのは……」

 サトシ 「オレも、久々にハルカと会えて、楽しかったぜ。……頑張れよ! ホウエンの舞姫っ!」

 ハルカ 「……うんっ! サトシもカロスリーグ、頑張ってね!」

 サトシ 「あぁ!」

 キタダ 「……じゃあ行こっか、ハルカちゃん?」

 ハルカ 「はいっ。みんな、またいつか絶対に会おうねっ!」


ハルカはサトシ達全員と固く握手し、キタダの車に乗り込んだ。


 ユリーカ 「ハルカー頑張ってねー!」

 シトロン 「体に気を付けて下さいね!」

 セレナ 「ばいばい ハルカ! また会おうねっ!」

 サトシ 「元気でなー!」
 ▼ 924 クスノキ 15/01/18 00:26:00 ID:F3.9yhL6 [14/27] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サトシ達は、ハルカの車が見えなくなるまで、手を振り続けた。

カロスからホウエンへ行き、美味しい物を食べ、温泉にも行って、モブミとのコンテストバトルに挑んで、ハルカの演技を見て……。またカロスに戻って、事故に巻き込まれたけど、トライポカロンイベントで輝くハルカの姿を見れて……。

たった数日の出来事なのに、それ以上のことのようにさえ思える、充実した、刺激的な、楽しい日々だった。


 サトシ 「行っちゃったか……」


サトシは名残惜しそうに、ハルカが向かった先を見つめる。

もう会えないかもしれないとハルカは言ったが、そんなことは無いはずだ。

たとえハルカが有名人になろうとも、大切な旅仲間は、そんな簡単に縁が切れる訳がない。


ハルカとまた会える日……その時は、リーグ優勝し、ポケモンマスターになってやる。

そんな輝かしい土産話を持って、ハルカに会いに行ってやる。


サトシはそう、固く誓った。
 ▼ 925 クスノキ 15/01/18 00:26:30 ID:F3.9yhL6 [15/27] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
そんなサトシの表情を、セレナは静かに見守っていた。

飛行機の中や病院で、サトシとハルカがどんな話をしたのか、セレナには分からない。けど、サトシの表情から察するに、きっと、とても充実した時間を過ごしたのだなと、セレナは思っていた。


 セレナ 「ねぇサトシ……」

 サトシ 「ん?」

 セレナ 「サトシにとってさ、ハルカは……」


サトシは少しだけ考えて、そして、はっきりと言った。


 サトシ 「……大切な、旅仲間さっ!」

 セレナ 「……そっか!」

 シトロン 「では旅の再開です。ヒヨクシティは もうすぐですよ!」

 ユリーカ 「サトシはジム戦! セレナはトライポカロン! 楽しみだね、ヒヨクシティ!」

 サトシ 「あぁ! お互い頑張ろうな、セレナ!」

 セレナ 「うん!」


サトシ達のカロス地方の旅は、まだまだ続く――。
 ▼ 926 クスノキ 15/01/18 00:27:00 ID:F3.9yhL6 [16/27] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
【 14 】


車の中でも、ハルカはサトシ達が見えなくなるまで、手を振り続けていた。


 ハルカ 「(はぁ……。寂しいかもっ……)」

 キタダ 「なんだハルカちゃん。寂しそうな顔しちゃって?」

 ハルカ 「えっ……」

 キタダ 「分かるわよ。……仲良いのね、ハルカちゃんとサトシ君」

 ハルカ 「バレちゃいましたか……」

 キタダ 「無意識かもしれないけど、ハルカちゃん、ずっとサトシ君のこと気にしてたもんね」

 ハルカ 「えっ……そうでしたか!? ///」

 キタダ 「ふふっ。やっぱり無意識だったのねぇ。ハルカちゃん、サトシ君のこと好きなんでしょ?」

 ハルカ 「うっ……はい……///」
 ▼ 927 クスノキ 15/01/18 00:27:30 ID:F3.9yhL6 [17/27] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 キタダ 「良いなぇ若いって……。で、サトシ君には伝えたの?」

 ハルカ 「いいえ……。はっきりとは……伝えてません」

 キタダ 「……うん。偉いよハルカちゃん。この業界じゃ、どんな些細なことでも、マスコミはすぐに嗅ぎ付けるんだから。それが分かるってことは、ハルカちゃんも もうプロねっ!」

 ハルカ 「そんなぁ……。でも私……」

 キタダ 「自分の人生のために、自分を捨てる――。夢を追い求める人は、みんなそうよ。辛い事や悲しい事、大切なものを犠牲にすることだってある……。残酷な運命よね、トップコーディネーターや、カロスクイーンって……」

 ハルカ 「カロスクイーンも……?」

 キタダ 「えぇ。有名なのはエルちゃんよ。ネットアイドルからスタートして、カロスクイーンの称号を手に入れるのに、色々犠牲を払ったみたいよ。私生活の自由は無いし、ポケモンや自分自身を磨き上げなきゃいけないし、彼氏だって、作ろうものなら大ブーイングよ」

 ハルカ 「そっか……」

 キタダ 「だからハルカちゃん! ハルカちゃんが選んだ人生よ。どうせ多くの犠牲を払うんなら、思いっきり活躍しなさい! それこそ、人気の頂点を目指す勢いで! そういうハルカちゃんの頑張りとか成果が、ハルカちゃんを支えてくれる人……サトシ君たちへの、唯一の恩返しなんだからねっ」

 ハルカ 「……はいっ! ありがとうございます、キタダさん!」 グスッ……
 ▼ 928 クスノキ 15/01/18 00:28:00 ID:F3.9yhL6 [18/27] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
長い長い飛行機旅は、隣には誰もいない。寂しさは溢れるばかりだが、そういった気持ちを全て、トップコーディネーターの仕事にぶつけようと、ハルカは決心していた。

自分で選んだ道……サトシやキタダさんに励まされた、自分の人生。

それに全力で取り組むことが、ハルカが出来る、最善の恩返しだ。





カナズミのアパートに戻った翌日、ハルカは事務所に出社した。

こうやって、時間通りに家を出て事務所に向かうのは、なんだか久しぶりのような気がする。


 ハルカ 「おはようございます。所長、無事にカロスから戻りました」

 所長 「あぁ、ご苦労様。飛行機事故に巻き込まれたと聞いた時は背筋が凍ったが……本当に、無事で なによりだ」

 ハルカ 「ご心配おかけしました」

 所長 「カクウノシティでの演技、上出来だったそうじゃないか。先方からお礼の電話を貰ったよ。またハルカ君に仕事をお願いしたい、とね」

 ハルカ 「ふふっ……嬉しいですっ」

 所長 「さて、ハルカ君」


所長は椅子に座り直し、言った。
 ▼ 929 クスノキ 15/01/18 00:28:30 ID:F3.9yhL6 [19/27] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 所長 「ハルカ君の最近の仕事ぶりには、目を見張るものがあるよ。ピカチュウの写真と言い、今回の演技と言い、先方から高い評価を貰ってる」

 ハルカ 「はい……」

 所長 「……私は君に写真集を出すように言ったが、それは、うちのような小さな事務所が存続するために、必要不可欠だったんだ。写真集を出さなければ、確実にうちは傾く……先週までは、そういうビジョンで経営を進めていたからね。契約打ち切りと言ったのは、君の育成費をカバーしきれる収入が、見込めなかったからだ」

 ハルカ 「えっ……じゃあ、やっぱり写真集を出すってことですか……?」

 所長 「……実はな。日曜のエキシビジョンを見ていた会社役員の方から、ハルカ君へのCM依頼が来ているんだ」

 ハルカ 「……本当ですか!?」

 所長 「聞いて驚くなよ。依頼があったのは……“日本ポケモンフード”のカナズミ支社だ」

 ハルカ 「日本ポケモンフードって……ポケモンフーズの最大手……ですよね!?」

 所長 「そうだ。その役員から直接声がかかるなんて、こんなチャンスは滅多に無いぞ!」

 ハルカ 「受けます! 是非やらせて下さい!」

 所長 「うちとしても、そんな大仕事、断る訳がなかろう。それで、写真集の件なんだが……」

 ハルカ 「あっ……はい……」
 ▼ 930 クスノキ 15/01/18 00:29:00 ID:F3.9yhL6 [20/27] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 所長 「CMと言うのは、起用する人間のイメージも重要になってくる。日本ポケモンフードと言う大企業のCMに出る人間が、際どい写真集を出していたようでは、先方に迷惑がかかってしまう」

 ハルカ 「えっ……と……」

 所長 「……写真集のことは、忘れてくれ。ハルカ君は、大企業のCMガールとして、清く正しいトップコーディネーターでいて貰いたい」

 ハルカ 「あっ……ありがとうございます! ありがとうございます所長っ!」

 所長 「ははっ。まぁ、大口案件で、写真集を販売するだけの収益が見込まれるからな。……今後、ハルカ君の写真集を出すことは無いだろう。だからハルカ君。今後とも安心して、うちの事務所で働いてくれたまえ!」

 ハルカ 「はいっ!」


ハルカの写真集発売は、こうして免れた。

もともとは事務所の経営面から不可欠とされていた写真集の販売だが、大手企業からのCM依頼は、莫大な出演料が入ってくる。そしてそのCMで人気に火が付けば、さらに別の大型案件へと繋げることが出来る。……そう、資金面の心配が無くなったからだ。


 所長 「さて。実は今日、日本ポケモンフーズの担当者と面会する約束をしてるんだ。ハルカ君も同席しなさい」

 ハルカ 「分かりました!」

 所長 「しっかり挨拶するんだぞ。相手は大企業だからな」

 ハルカ 「はいっ。……ところで所長」

 所長 「何だ?」

 ハルカ 「あのっ……モブミさんは……?」
 ▼ 931 クスノキ 15/01/18 00:29:30 ID:F3.9yhL6 [21/27] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
モブミの姿を、事務所で見かけない。どこかへ仕事に出ているのだろうか。それとも……


 ハルカ 「もしかして、モブミさんの処分って……」

 所長 「モブミ君が勝手に行動した件は、当然、処分に値する。だが……あの後モブミ君、辞表を持ってきたよ」

 ハルカ 「えっ!? モブミさん……辞めちゃうんですか!?」

 所長 「エキシビジョンの件の責任を取ると言ってね。事務所を辞めて、しばらく1人で旅に出ると言っていた。きっと、自分に無いもの……子供の頃に置いてきてしまったものを、探しに行くんだろうね」

 ハルカ 「それで……所長、モブミさん、辞めちゃったんですか!?」

 所長 「モブミ君の辞表は、その場で破ったさ。モブミ君は ああ見えて、実力はあるからね」

 ハルカ 「良かった……」

 所長 「だからモブミ君の処分は、1年間の謹慎としたよ」

 ハルカ 「それって……」

 所長 「1年ばかし旅をして、外の世界を見て来れば、モブミ君は きっと変わるはずさ。私は そう信じてる」

 ハルカ 「所長……優しいんですね」

 所長 「これは謹慎処分だ。優しいなんてものじゃない」

 ハルカ 「ふふっ。でも……モブミさんに挨拶、したかったです……」
 ▼ 932 クスノキ 15/01/18 00:30:00 ID:F3.9yhL6 [22/27] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 所長 「それは無理だろう。モブミ君、早速今日から旅に出るらしいしな」

 ハルカ 「そうですか……」

 所長 「さて。日本ポケモンフードとのアポは、15時半だ。私は別の用事があるから、ハルカ君、悪いが現地集合で良いかね?」

 ハルカ 「はい。日本ポケモンフード、デボンコーポレーションの近くのビルですよね。場所は知ってます」

 所長 「そうか。いま10時半過ぎだから……15時に、日本ポケモンフードのエントランスで待ち合わせるとしよう。決して遅れることのないようにな!」

 ハルカ 「はいっ!」

 所長 「それまでハルカ君は……今回のカロス出張の報告書を書いておきなさい」

 ハルカ 「分かりました (でも、それだけじゃ時間余っちゃうなぁ……)」

 所長 「それじゃあ、私は出掛けて来るよ。15時に集合だからな」

 ハルカ 「はい、大丈夫ですよ!」


所長は上着を羽織り、扉を開ける。そして、思いだしたかのように、口を開いた。


 所長 「これは独り言だが……モブミ君、カナズミ空港を14時過ぎに出る飛行機で、シンオウ地方に向かうそうだ」

 ハルカ 「……えっ!?」

 所長 「いや、なんでもない。集合には くれぐれも遅れないようにな!」
 ▼ 933 クスノキ 15/01/18 00:30:30 ID:F3.9yhL6 [23/27] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
そう言って、所長は立ち去った。


 ハルカ 「(所長……そんな……普通に言ってくれればいいのにっ)」


ハルカは急いで報告書を作成し、事務所を飛び出した。

空港までバスで約30分。飛行機の時間には間に合う計算だ。


 ハルカ 「(えっと……14時過ぎにシンオウ地方へ行く飛行機は……)」


カナズミ空港に着き、ハルカは案内板で、空港の時刻表を確認する。


 ハルカ 「(……あった! 14時20分、コトブキ空港行き、スカイウィーク771便!)」


搭乗ゲートを調べ、そこへ駆けて行くハルカ。時刻は13時半少し前。まだ50分ほどあるが、搭乗ゲートを潜られてしまっては、チケットを持っていないハルカはモブミに会うことが出来ない。

なんとかまだモブミがゲートの外にいることを、ハルカは願う。日曜日のエキシビジョンでは あれだけ敵対したが、彼女の生い立ちや、トップコーディネーターにかける想いを知った今、きちんと挨拶をしたい――。そうハルカは思っていた。


 アナウンス 『スカイウィーク771便、コトブキ空港行きは、ただいまより、ご搭乗の案内を開始致します。ご搭乗のお客様は、6番ゲートへお越しください。なお、ご搭乗の最終案内は、14時10分頃となります』


空港内にアナウンスが入り、搭乗ゲート付近で人の動きが始まる。

その中に……見つけた。モブミの姿を、ハルカは捉えたのだ。
 ▼ 934 マネネ@ひのたまプレート 15/01/18 00:30:37 ID:yBcgoQ1g [2/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
モブミざまあああ!!!!
 ▼ 935 クスノキ 15/01/18 00:31:00 ID:F3.9yhL6 [24/27] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ハルカ 「モブミさんっ!」


キャリーケースを持ったモブミは立ち止まり、声の主を探す。そして、その正体がハルカだと分かると、溜め息交じりで声を上げた。


 モブミ 「なにかしら? こんなとこまで」

 ハルカ 「はぁっ……はぁっ……モブミさんっ、旅に出るのに、キャリーケースは邪魔になりますよっ……」

 モブミ 「……うるさいわねぇ。そんなこと言いに来たワケ?」

 ハルカ 「いえっ……そのっ……モブミさんが旅に出るって聞いて、最後の挨拶に来ました」

 モブミ 「……ふんっ。余計なお世話よ」

 ハルカ 「私……、モブミさんのこと、凄いなって思ってます。トップコーディネーターになるために、ずっと習い事を続けて、友達とも遊ばないで……本当に、凄いと思いますっ……」

 モブミ 「別に嬉しくないわよ。アンタに褒められたって。私はこれから、アンタに無いものを手に入れて来るの。そうなったら、アンタなんて私の足元にも及ばなくなるわ」

 ハルカ 「モブミさん……」

 モブミ 「1年後よ。見てなさい……アンタを追い抜いて、私はトップコーディネーターの頂点を目指すのよ!」
 ▼ 936 クスノキ 15/01/18 00:31:30 ID:F3.9yhL6 [25/27] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
モブミは歩き出す。


 ハルカ 「……シンオウは寒いですよ! お体に気を付けてください!」

 モブミ 「知ってる。だからこれだけ大荷物なの」

 ハルカ 「あと、そのっ……頑張ってください!」


ハルカは精一杯心を込めて叫んだ。

それを聞き、モブミは足を止める。そして、顔はハルカの方を向かないまま、言った。


 モブミ 「……来年、私が戻ってくるまで、PPPKのトップでいなさい。辞めてたり、人気が落ちてたりしたら承知しないわよ! ハルカも頑張って、もっと良いトップコーディネーターを目指しなさい!」

 ハルカ 「モブミさん……はいっ!」

 モブミ 「ま、すぐに私が追い抜いてやるんだけどね。……じゃあね」

 ハルカ 「さよならモブミさん……。また来年……会えるのを楽しみにしてますっ!」


搭乗ゲートを通ったモブミは、通路の奥の方へと消えて行く。その後ろ姿は、希望に満ちた雰囲気が漂っていた。

これから始まる一人旅で、モブミは取り戻すのだろう。英才教育に打ち込むあまり失ってしまった、“広い世界を見る心”というものを。
 ▼ 937 クスノキ 15/01/18 00:32:00 ID:F3.9yhL6 [26/27] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ハルカ 「(……さてっ)」


ハルカも歩き出す。


 ハルカ 「(日本ポケモンフードのCM……思いっきり頑張らないとなっ!)」



ハルカもまた、希望に満ち溢れた笑顔で、新たな一歩を踏み出した。


自分の定めた人生に改めて挑む、大きな大きな一歩を。



 ――― 完 ―――
 ▼ 938 クスノキ 15/01/18 00:33:00 ID:F3.9yhL6 [27/27] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
【 あとがき 】


このたびは当SSを最後までお読みいただき、ありがとうございました。
当初は多くても500レス程度と予想していましたが、皆様から数多くのご支援、コメントを頂き、900レスを超えるまでに発展しました。
改めて、これまでご支援、ご感想を書き込んで頂いた皆様に、感謝申し上げます。

こうしてサトハルのSSを書いて行くうちに、ハルカに愛着が湧いてしまったと言う事実はさておき、モブキャラである“モブミ”の人気(違)っぷりに驚きました。
嫌な奴だったかもしれませんが、私は基本的に“本当に悪い人”は書けない性格なので、特段仕返しと言う仕返しは行いません。見る方によっては不本意な結末かもしれませんが、何卒ご了承頂ければと思います。

また途中にも書きましたが、サトシとハルカが乗った飛行機が胴体着陸した描写は、実際に起こった胴体着陸事故をモチーフとしています。
その他、街の位置から予測される空港、および飛行機の時刻等は、現実のものに則っています。もしよろしければ、照らし合わせてみてください(笑)

最後に、多くの方からご要望を頂けたので、「アルトマーレ展」同様、このSSも他所に纏めたいと思います。
纏め終えたらこちらで報告させて頂きますので、よろしくお願いいたします。

それでは、ご閲覧ありがとうございました。
またネタを思いついたら、SSを執筆したいと思います。
 ▼ 939 スワンナ@オニゴーリナイト 15/01/18 00:33:03 ID:SP.7QbwY [2/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
もうすぐ1000行くけどだいじょうぶかな?
 ▼ 940 ファイアロー@ヘラクロスナイト 15/01/18 00:34:01 ID:SP.7QbwY [3/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
>>939
無事に終わったか
 ▼ 941 イーブイ@ボスゴドラナイト 15/01/18 00:35:43 ID:0v4TwZSk NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
乙
このSSを毎晩見るのが楽しみで仕方なかったw
また新作期待してますw
 ▼ 942 コアルヒー@にじいろのはね 15/01/18 00:38:34 ID:SP.7QbwY [4/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
乙です。
次回作も期待します!
 ▼ 943 エイパム@ゼニガメじょうろ 15/01/18 00:39:28 ID:ZBmwKYLI NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
お疲れ様!面白かった!
次回も期待してるぞ
 ▼ 944 ヤヤコマ@ピーピーエイド 15/01/18 00:40:04 ID:ZYRZJGtw [1/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
乙!!!!
毎晩これを見たくてしかたなかった
やっぱりハルカが一番好きだな...
普通にアニポケでも出してくれよ!この糞スタッフ!!
次回はヒカリかタケシあたり出してほしいな
 ▼ 945 フワライド@マスターボール 15/01/18 00:41:22 ID:ZYRZJGtw [2/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
やっぱりSSとはいえハルカと別れるのは悲しいな
 ▼ 946 ムクバード@タイマーボール 15/01/18 00:41:31 ID:EzP4Za4s NGネーム登録 NGID登録 報告
乙!次回作期待してるぜ!
 ▼ 947 カイリキー@スピアーナイト 15/01/18 00:43:12 ID:oLyAlbng NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
乙
新作期待しています!
 ▼ 948 サニーゴ@ポケトレ 15/01/18 00:53:48 ID:AEkOyLkA NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
最高
 ▼ 949 バニプッチ@きんのいれば 15/01/18 00:55:35 ID:aBB4NpQA NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
完結乙
次回も楽しみにしてるぜ
 ▼ 950 マーイーカ@ゲンガナイト 15/01/18 00:58:17 ID:oZb8Nx9U NGネーム登録 NGID登録 報告
乙!
次も楽しみにしてます。
 ▼ 951 超マサラ人3 15/01/18 01:04:42 ID:nkCk59fY [2/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
大長編の連載お疲れ様でした!
ラストシーンのモブミとても良かったです。

にしても…サトシ羨ましいなあぁああこん畜生めえぇえ!!こんな可愛い子二人に想われるなんて…ああ…セレナとハルカの間に三角関係の火花が見える…。
 ▼ 952 ニンフィア@ふるびたかいず 15/01/18 01:10:05 ID:54x4qgKs NGネーム登録 NGID登録 報告
お疲れ様でした。
クスノキさんのSSはどれも良いですね。
次回作も楽しみにしてます。m(。≧Д≦。)m
 ▼ 953 エンペルト@ポイントカード 15/01/18 01:11:33 ID:Xdb5cmuI [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
乙!

 ▼ 954 メガチャーレム@ひかりのねんど 15/01/18 01:11:56 ID:Xdb5cmuI [2/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
クスノキさんのHPってどこなんだろ
 ▼ 955 マッスグマ@りゅうのウロコ 15/01/18 01:13:32 ID:zkBYyQsY NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
とても面白かったです
過去キャラ他にも出してほしいです
 ▼ 956 ヒードラン@いかずちプレート 15/01/18 01:27:37 ID:WiRK0LVs NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
すごく面白かったです!
次回作待ってます!
 ▼ 957 カイリュー@リザードナイトY 15/01/18 01:36:59 ID:ZzXC9S/I NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
終わらないでえええええええ

 ▼ 958 エンブオー@かみなりのいし 15/01/18 01:58:13 ID:ZYRZJGtw [3/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
おつかれ
 ▼ 959 クマシュン@しんぴのしずく 15/01/18 02:28:34 ID:ZMFvB/OM NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
乙、毎晩見てました。
次回作も楽しみに待ってます‼︎
 ▼ 960 ケンホロウ@くっつきバリ 15/01/18 02:47:41 ID:SjP4NeNM NGネーム登録 NGID登録 報告
乙
クスノキさんの過去作漁ってみる
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