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SS

【SS】しあわせのかたち。ぜつぼうのいろ。(ブイズほのぼのシリアス・ブースターside)【

 ▼ 1 レスからほのぼの◆iTFigG3P7M 17/01/21 23:52:07 ID:Zzw/Dlj. NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 小さな身体が震えた。その震えは、戸惑いと得体の知れない相手、自分、状況全てへの恐怖が滲んでいる。

オレは、情けなかった。目の前の震えを止めたいのに、むしろ自分はその震えの原因だ。

 遅かれ早かれこうなることは予測していた。覚悟もしていた。でも、そんなものになんの意味もないことを知る。

抗いようもない強大で理不尽な現実の前で、意志の力は恐ろしく脆弱だ。

 現実は、空想の何倍も残酷だ。

その現実に打ちのめされて初めて、自分の覚悟はひどく楽観的な、覚悟と呼ぶべきものではなかったと分かった。

 オレはその場に立ち竦む。

静寂の中に、恐怖と絶望の音が、強く、響く。
 ▼ 43 しー◆iTFigG3P7M 17/01/22 20:46:10 ID:/f9JI/dE [1/19] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「オレが?」


 そう促すと。


「す////好きって//////。そ、その後もずっと。で、私嬉しかったんだけど、恥ずかしくって。

酷い態度とって、グレちゃんにも傷ついただろうって言われて……」


 ん? ……っえ。な、あ、アレ聞かれてたのか!? って事は……ヤバい。……ん? 嬉しい?

 動揺するオレに気にせずリーフィアは続ける。
 ▼ 44 しー◆iTFigG3P7M 17/01/22 20:48:02 ID:/f9JI/dE [2/19] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

「でも、冷たい態度とっても、おにーちゃんはおにーちゃんで、やっぱり優しくて、それで、涙が止まらなくなって」


 …………


「そっか、き、聞かれてたのは恥ずかしいけど、それなら、良かった……?」


 良くない!


 リーフィアが、そう声を挙げた。
 ▼ 45 しー◆iTFigG3P7M 17/01/22 20:50:35 ID:/f9JI/dE [3/19] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「私もおにーちゃんが大好きなのに、こんなにこんなに大好きなのに! 

でも、おにーちゃんの『スキ』は、妹としての『スキ』で、私は……本当の意味でのお兄ちゃんの『スキ』になれなくて……」





 は? リーフィアはなにを言っているんだ。
 ▼ 46 しー◆iTFigG3P7M 17/01/22 20:52:17 ID:/f9JI/dE [4/19] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 突然視界がリーフィアの顔でいっぱいになった。

 口の辺りが、湿度を持った温もりに包まれた。


「んむーぅ」


 慌ててリーフィアを引き剥がす。


「私は……私のスキは………ひっく」


 再び、リーフィアが泣き始めた。ごめんなさいと何度も呟きながら。

 それを見て懐かしく思う。リーフィアがまだイーブイの頃に、悪さをして叱られたら良くこうやって泣いていた。
 ▼ 47 しー◆iTFigG3P7M 17/01/22 20:54:45 ID:/f9JI/dE [5/19] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「……リーフィア。オレも、リーフィアが好きだよ。ずっとずっと前から、大好きだった」


 今度はオレが、泣き噦るリーフィアに顔を近づける。リーフィアの口を、塞いだ。


「きゃ、え、んむっ」


 リーフィアが驚き泣き止む。


「え? え……お兄ちゃん?」


 呆然とするリーフィアに言う。


「言ったろ、大好きだって? ……後出しジャンケンみたいでズルいけどな」


 リーフィアが顔を赤らめ、そして歪ませる。


「うんん。そんなことない! ズルくなんて。……おにーちゃんだーい好き!」
 ▼ 48 しー◆iTFigG3P7M 17/01/22 20:57:14 ID:/f9JI/dE [6/19] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 リーフィアが飛びかかってきた。その顔は涙やらなんやらでぐしょぐしょだ。


「う、うわっ、リ、リーフィア!」


 慌てるオレには御構い無しに顔を埋めてくる。

 はぁ、と溜息をつく。まぁ、いいか。
 ▼ 49 しー◆iTFigG3P7M 17/01/22 20:59:05 ID:/f9JI/dE [7/19] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
>>47
文字化けは

泣きじゃくる

です。
 ▼ 50 しー◆iTFigG3P7M 17/01/22 21:01:37 ID:/f9JI/dE [8/19] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 瞬間ドアから歓声が聞こえた。



 ! まさか……。



 リーフィアを引き剥がし戸へ歩み寄る。

 開くと、やはり。

 父さんと母さん。姉さんも姉ちゃんも、グレイシアにブラッキーまで!


「あ、みんなー」


 リーフィアが間延びした声をあげる。
 ▼ 51 しー◆iTFigG3P7M 17/01/22 21:04:05 ID:/f9JI/dE [9/19] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「ちょ、ちょっとなに見てんの!」


 叫ぶオレに父さんが言った。


「何故って、そりゃあ可愛い娘の行く末は見守らにゃいかんだろう。

うん、ブースターも父さんの子だなぁ! 大事にしろよ」


 母さんがバトンを引き継ぐ。


「ぶーちゃん。幸せの形はそれぞれよ。例え周りから見て可笑しいと言われても、2匹の間に幸せが形作られていて、幸せの色に染まっていたなら、そんなの関係ないわ。

だから、しっかり幸せを作りなさい」
 ▼ 52 しー◆iTFigG3P7M 17/01/22 21:06:27 ID:/f9JI/dE [10/19] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「ブースター、大事にしなさい」


 こちらはひどく完結だ。まぁ兄妹の言葉なんてそんなものだろう。


「ぶーちゃん。がんばったねーリーフィアもよかったねー」

「兄貴もなかなかやるじゃん」

「兄さんも根性あるんだ、ずっとあのままだと思ってた。見直したよ」


 みんな異口同音に祝福する。

 後ろで笑い声が聞こえた。


「んふふ。みんな、ありがとー」


「……まぁ、いっか」


 幸せそうなその声を聞いて、そう思った。
 ▼ 53 しー◆iTFigG3P7M 17/01/22 21:10:58 ID:/f9JI/dE [11/19] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 その後すぐにみんなを追いやって、またリーフィアと一対一だ。


「沢山泣いたからお腹すいた。お兄ちゃん、木の実ちょーだい」


 2つ持ってきたオボンの実の1つを、リーフィアに渡す。そういえば、まだ食べてなかった。
 ▼ 54 しー◆iTFigG3P7M 17/01/22 21:14:08 ID:/f9JI/dE [12/19] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 シャクシャクと音を立てながら、リーフィアが言った。


「なんか夢見てるみたい。お兄ちゃんと結ばれるなんてなぁ」


 かぁー、と体温が上がる。


「恥ずかしいこと言うな。それと、食べてる時に喋るな」


 つい、叱ってしまった。成る程、リーフィアが言っていたのはこう言うことか。


「はぁーい」


 返事の後、沈黙が流れる。シャクシャクと言う音だけが響いている。やがて、それも聞こえなくなる。
 ▼ 55 しー◆iTFigG3P7M 17/01/22 21:18:27 ID:/f9JI/dE [13/19] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ガバッ、とリーフィアに抱きつかれた。


「えへへーおにーちゃん、も一回キスしよー」


 今度はちゃんとね。

 つまり、お互い不意を突かずに、と言うことだ。

 リーフィアに顔を近づける。リーフィアは目をつぶって待っている。
 ▼ 56 しー◆iTFigG3P7M 17/01/22 21:19:34 ID:/f9JI/dE [14/19] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ゆっくりゆっくり、2匹の距離がゼロに近づく。お互いの吐息が顔の毛皮を撫でる。


 …………


 長い、口付けだった。それこそ、10分や20分に感じる程。でも、実際は10程だろう。

 淫らな水音と2匹の喘ぐような呼吸が部屋の静寂を強調させ、興奮を昂らせる。
 ▼ 57 旦終わり◆iTFigG3P7M 17/01/22 21:23:14 ID:/f9JI/dE [15/19] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「ん、むわ、ん、おに、いちゃん」


 リーフィアが抱きつく。


「ぷはっ」


 口が離れる。2匹の間をを細い糸が結ぶ。


「ねぇ、お兄ちゃん」


 リーフィアが上目遣いで目あげてくる。

 オレは決心した。
 ▼ 58 スラオ@どくのジュエル 17/01/22 21:31:55 ID:y80HQdJw NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
いいスレじゃないかぁ〜
 ▼ 59 しだけ◆iTFigG3P7M 17/01/22 22:55:05 ID:/f9JI/dE [16/19] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「ダメだ」


 ぇ、とリーフィアが声を漏らす。


「オレは、ちゃんとリーフィアを大切にしたい。雰囲気に流されて、互いの気持ちを確認してすぐにって、違うと思う」

「…………うんっ。お兄ちゃんなら、そう言うよね」

「お互い、よく知った仲だけど、また1から始めよう。兄妹としてじゃなく、番として」

「うんっ!」

 そう言って、花が咲くようにリーフィアが笑った。
 オレは、それを見て少し、微笑んだ。
 ▼ 60 しー◆iTFigG3P7M 17/01/22 22:58:33 ID:/f9JI/dE [17/19] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「なぁ、リーフィア」


 まるで夢を見ているかの様な表情のリーフィアに声をかける。


「ん? なぁに。お兄ちゃん」


 もしかしたら、リーフィアは当惑するかもしれない。そう思いながら、提案した。


「その、お兄ちゃんっての、やめないか?」
 ▼ 61 しー◆iTFigG3P7M 17/01/22 22:59:55 ID:/f9JI/dE [18/19] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 案の定リーフィアが疑問符を浮かべる。


「え? なんで。……もしかして、私がお兄ちゃん以外は呼びしてにしてるから……? それを気にしたの?」


 困惑が涙に変わりかけていた。泣きすぎたせいか、随分涙もろくなっている気がする。

 慌てて付け足した。


「違う違う! 違うからそんな悲観的になるな。……これからは『兄妹』じゃなくて『番』になるんだぞ。

その、だからブースターって、呼んでくれよ」


 な? と言うと、リーフィアが安心した様に口を開く。
 ▼ 62 た明日◆iTFigG3P7M 17/01/22 23:02:22 ID:/f9JI/dE [19/19] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「うん。そうだよね。お、ブー……ス、タぁ?」


 オレは吹き出してしまった。その様子がおかしくって、か、かわいくって。


「もー笑わないでよね」

「いや、すまん。か、かわいくてな//。まぁまぁとにかく、すぐにじゃなくて良いからさ、これからよろしくな、リーフィア」


 そう言うと、リーフィアの顔が今度は赤くなる。感情表現が忙しいな、と心の中でツッコむ。


「う、うん。これからよろしく。ブー、スター」
 ▼ 63 ーブシン@おしえテレビ 17/01/22 23:08:55 ID:OpKWm1Sw NGネーム登録 NGID登録 報告
ここからどう>>1に繋がるんだ……?

支援
 ▼ 64 しー◆iTFigG3P7M 17/01/23 15:44:02 ID:S1uZnewg [1/76] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 それから、季節は二巡して更に春となった。


 サンダース一家の住む家から無邪気な声が聞こえる。
 ▼ 65 しー◆iTFigG3P7M 17/01/23 15:45:32 ID:S1uZnewg [2/76] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「グレおばさんつめたーい」


 小さな茶色い毛玉がグレイシアにまとわりついていた。

 グレイシアはその一言に怒り新党の様子だ。


「お、おば……おばさん?」
 ▼ 66 しー◆iTFigG3P7M 17/01/23 15:48:08 ID:S1uZnewg [3/76] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 グレイシアがリーフィアを大声で呼びつける。


「……ん? なぁに。グレちゃん」


 リーフィアがトタトタとやってきた。


「ちょっとこの子! 何度言ってもアタシのこと、お、おば、おばさんって。アンタからもなんか言ってよね!」


 その反応が面白いから言っているのではないだろうか?
 ▼ 67 しー◆iTFigG3P7M 17/01/23 15:50:15 ID:S1uZnewg [4/76] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 事実、姉さんは静かに、脅す様に諭し、『エー姉ちゃん』の座を手に入れてるし、姉ちゃんは何故か、最初から『シャワ姉ちゃん』だ。子供っぽいからかもしれない。


「もー、イーブイダメでしょ。気にしてるんだから」


 その一声にグレイシアの顔が固まる。悪気がないと言うのは恐ろしい。


「も、もういぃ」


 そう言ってグレイシアは逃げてしまった。

 側から見ると、コントみたいで面白い。
 ▼ 68 しー◆iTFigG3P7M 17/01/23 15:51:54 ID:S1uZnewg [5/76] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「あ、ブースター。悪いけどイーブイ見ててくれる? 私グレちゃんのとこ行ってくるから」


 そう言ってグレイシアを追いかける。


「よしっ! じゃあイーブイ。お父さんと外で遊ぶか」

「うん。いくー」


 イーブイは無邪気に笑った。
 ▼ 69 しー◆iTFigG3P7M 17/01/23 15:54:11 ID:S1uZnewg [6/76] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 外に出るとイーブイは木の実を指して尋ねた。


「おとーさん、これ何ー」


 間延びした子供特有の喋りは、少し姉ちゃんに似ている。


「それはカゴの実だ。とっても硬いから、落ちたのが頭に当たると、がーんってなるぞ」


 イーブイがふぅんと頷き、じゃあこれはー、と別の木の実を指差す。


「それはグラボの実、辛いぞー、ヒーヒーだ」
 ▼ 70 しー◆iTFigG3P7M 17/01/23 15:56:24 ID:S1uZnewg [7/76] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 しばらく歩くと草原に出た。イーブイが走り始める。草を踏む感覚が心地よいのだろう。

 こんだけ歩けたり喋れたりするのに、ご飯は授乳って違和感あるな。

 そんな事をぼやっと考えていた。


「おとーさん」


 イーブイがこっちへやってきた。いつもよりも早い。


「お家もどろー」

「ん? もう帰るのか?」

「うん」


 少し元気がない。いつもいるリーフィアが居ないからだろうか。
 ▼ 71 しー◆iTFigG3P7M 17/01/23 15:59:05 ID:S1uZnewg [8/76] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 家に戻ると、リーフィアが寝ていた。イーブイが起こさないよう、母さんと父さんに面倒を見てもらうことにする。


「ばばー」

 イーブイが母さんに駆け寄り、飛びつく。

 流石に6児の母なだけあり子供の扱いが上手く、イーブイに懐かれている。


「どーしたイーブイ。オレには来ないのか?」

「じじ、チクチク、いやー」


 そう言われて父さんが肩を落とす。
 ▼ 72 しー◆iTFigG3P7M 17/01/23 15:59:52 ID:S1uZnewg [9/76] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 そう言われて父さんが肩を落とす。

 父さんは加減を知らないから、たまにイーブイを泣かしてよくリーフィアに怒られている。


 しかし、当のイーブイは、その事はあまり気にしておらず、単純に体毛が嫌なようだ。

 イーブイはベテランの2匹に任せ、リーフィアの部屋へ向かった。


 部屋に入るとリーフィアはすぅーすぅー、と寝息をたてている。

よく眠れているようだ。ここ最近の疲れがたまっているのだろう。
 ▼ 73 しー◆iTFigG3P7M 17/01/23 16:00:47 ID:S1uZnewg [10/76] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 4時間くらいして、リーフィアは目を覚ました。


「起きたか?」


 頭に前足を当て、目を擦りながらリーフィアが言った。


「んぁ、おはよブースター。ゴメン、寝ちゃった。……イーブイは?」

「おはよって、もうご飯前だぞ。さては寝ぼけてるな。……イーブイは母さんが面倒見てるよ」


 そっか、とリーフィアが呟き立ち上がった瞬間、ふらっとして倒れかけた。慌てて支える。
 ▼ 74 しー◆iTFigG3P7M 17/01/23 16:03:09 ID:S1uZnewg [11/76] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「あ、ありがと。ゴメン。疲れてるのかな」

「本当、大丈夫か? 顔色悪いぞ、もう少し寝てたら……」


 少し、疲れすぎだ、と思った。


「うんん、ありがと。でも、イーブイお腹空くし」


 そう言ってリーフィアが体制を持ち直す。


 イーブイはまだ食事を授乳に頼っている為、イーブイの食事には必然リーフィアが必要となる。

 食事は食卓で行うと言うことと、食事の時間を覚えさせる為、授乳は全て食卓で行う、と決めているらしい。

 リーフィアをいつでも支えられるよう、横について食卓へ向かう。
 ▼ 75 しー◆iTFigG3P7M 17/01/23 16:06:12 ID:S1uZnewg [12/76] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 食事をする部屋に入ると、もうみんな席についていた。

 リーフィアが横たわる。

それを見たイーブイはトコトコと近寄りリーフィアの乳首に吸い付いた。


 以外とスッキリしてて甘いんだよなアレ。あんまり匂いは無いけど……って何考えてんだオレ!

 違うから、リーフィアのおっぱいが張った時にしょうがなく飲んだだけだから、断じて癖になったりしてない!

 1匹でツッこむ。


 オレはイーブイへの授乳が終わるのを待って、リーフィアと一緒に木の実を食べた。

他のみんなは既に食べ終わっていて、満腹になったイーブイは母さんについて部屋から出て行ってしまった。
 ▼ 76 しー◆iTFigG3P7M 17/01/23 16:10:03 ID:S1uZnewg [13/76] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 突然、リーフィアが大きく咳き込んだ。


「ゲホゲホッ……ゲホ」


 リーフィアに近寄り背中をさする。でもおさまらない。


「あり……がっゲホエホゲホッ…………っ、うぇ」


 口から茶けたクリーム色の流体が流れ出た。リーフィアが、吐いた。

 オレは反射で助けを求める。


「リーフィア!? おいっ! みんなリーフィアがっ!」
 ▼ 77 しー◆iTFigG3P7M 17/01/23 16:14:11 ID:S1uZnewg [14/76] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「大丈夫、ブースター。でも、ごめん、床汚しちゃって、少し休むね」


 リーフィアがふらっと立ち上がり部屋から出ようとした。慌てて引き止める。


「おいっ。 待てって」

「大丈夫って言ってるでしょ! …………あ、ごめん……でも、ホント大丈夫だから」
 ▼ 78 しー◆iTFigG3P7M 17/01/23 16:17:34 ID:S1uZnewg [15/76] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 初めてだった。リーフィアの怒鳴り声を聞くのは。まるで別人だ。

 少し怯むが、緊急事態にそんなの御構い無しだ。


「大丈夫なワケあるか! ほら、行くぞ」


 そう言って背負うと、リーフィアが泣き始める。そんなリーフィアからはもう、ついさっきの面影を感じない。


「ゴメン。ゴメンね」


 オレは少しでも安心させる為。ふっ、と笑う。
 ▼ 79 しー◆iTFigG3P7M 17/01/23 16:18:49 ID:S1uZnewg [16/76] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「気にしてないよ。そりゃ心も不安定になるよな」


 そうだ、きっと疲れて不安定なだけだ。そう、自分に言い聞かせる。

 ゴメンね、と泣きながら謝るリーフィアの体重は、驚く程、軽かった。


 部屋に入り、リーフィアを寝床に降ろす。

もう一度ゴメンねと呟いて、リーフィアはすぐに眠った。
 ▼ 80 しー◆iTFigG3P7M 17/01/23 16:21:53 ID:S1uZnewg [17/76] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
──ちょっと兄貴! どうしたの!?


 グレイシアの声が聞こえる。慌てて食卓へ戻った。

 食卓には母さん以外みんないた。


「母さんは今イーブイを見てくれてるよ」とブラッキーが教えてくれる。

 床には食べかけの木の実と、吐き出されたものが残っている。
 ▼ 81 しー◆iTFigG3P7M 17/01/23 16:25:14 ID:S1uZnewg [18/76] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「見ての通り、リーフィアが吐いた」


 そう伝えると、グレイシアが深刻な表情を見せる。


「あの子、昼も顔色悪かったわ。きっと疲れすぎてんのよ。初めての子供で張り切るのもわかるけど」


 エーフィが続ける。


「そうね……。取り敢えず今まで以上に私達もリーフィアの手助けをして、リーフィアを休ませましょう」
 ▼ 82 しー◆iTFigG3P7M 17/01/23 16:25:59 ID:S1uZnewg [19/76] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 父さんが口を開いた。


「……ブースター。お前がイーブイの面倒を見て、リーフィアの手助けをしている事はみんな知っている。

誰も、お前を責めてない。ただ、リーフィアに異変があったらすぐに知らせろ」


 それと、後で俺のところへ来い。と言った。



いつになく静かな声で。
 ▼ 83 しー◆iTFigG3P7M 17/01/23 16:27:42 ID:S1uZnewg [20/76] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「とりあえずーこれのしょりしよーよー。ねーちゃんグレイシアてつだってー」


 そう言い、姉ちゃんが水で床を洗い流した。それを今度はエーフィが残さず空へ浮かべる。

 空中で完全に球体となったそれをグレイシアが凍らせた。


「なつかしーねー。よくぶーちゃんがそそーをしたときこうしてたなー。そのときはーグレイシアいなかったけどー」

「な、何急に思い出してんだよ! それにオレ以外もそうだっただろ! ブラッキーとかグレイ……ボヘッ」


 言い終わる前にグレイシアに蹴られた。
 ▼ 84 しー◆iTFigG3P7M 17/01/23 16:29:31 ID:S1uZnewg [21/76] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「最低」

「そうよブースター。ダメじゃないそんなこといったら」


 姉さんが追い打ちをかける。


「なんでオレは言われていいんだよ!」


 そんな会話で少し、場の空気が和んだ。

 凍らせた球体は外に捨てられ一見落着だ。
 ▼ 85 しー◆iTFigG3P7M 17/01/23 16:30:31 ID:S1uZnewg [22/76] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 その日、父さんの所へ行った後、イーブイが夜泣きでリーフィアを起こさないよう、リーフィアの部屋でなく俺の部屋で、イーブイと一緒に寝た。
 ▼ 86 しー◆iTFigG3P7M 17/01/23 16:32:32 ID:S1uZnewg [23/76] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 朝、浅い眠りから、ノックの音で目覚める。

 昨晩もいつものように殆ど正確に2時間おきに夜泣きするイーブイをあやしていてあまり眠れなかった。

だが、いつもの事だけに慣れている。


 戸を開けてリーフィアが入ってきた。少し顔色が良くなっている。


「んぁ……リーフィア。おはよ、大丈夫か?」

「うん、ありがと。ちょっと頭痛がするだけで大丈夫。心配かけちゃったね」
 ▼ 87 しー◆iTFigG3P7M 17/01/23 16:35:25 ID:S1uZnewg [24/76] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 頭痛。昨夜の父さんの話が耳に蘇る。いや、そんなハズはない。

 いつも一緒に寝て、一緒にイーブイをあやしているのに、ここまで顕著に2匹の体調に差が出るのだろうか?

 リーフィアとオレの違いは授乳しているかいないかくらいだが、それはそこまで体力を使うのだろうか?

 別にリーフィアは特段体が弱いわけでもない。

 まぁ、メスの体はオスとは違い色々面倒だ。そのせいだろう。

 色々な考えが頭を飛び交う中、とりあえずリーフィアを労った。


「そっか。無理すんなよ」

 んぅ、とイーブイのくぐもった声が聞こえた。起きたらしい。

「おかーさん?」

 リーフィアが微笑む。

「ふふ、おはよ。イーブイ」

「おはよー」
 
 ▼ 88 しー◆iTFigG3P7M 17/01/23 16:37:30 ID:S1uZnewg [25/76] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
しばらく3匹で話していると、

(ご飯よ)と声が聞こえた。

「ご飯だー」

 イーブイはそう言って去って行く。
 ▼ 89 しー◆iTFigG3P7M 17/01/23 16:39:21 ID:S1uZnewg [26/76] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「オレ達も行くか」



 それから数日、代わり映えのない毎日が続いた。リーフィアの体調にも、変わりはない。

そろそろイーブイの授乳期間も終わる。


リーフィアを疲弊させないよう気をつけていたが、本人が「気分転換になるの」と言って、イーブイと外で遊び、あまり効果はなさそうだ。
 ▼ 90 旦終わり◆iTFigG3P7M 17/01/23 16:42:06 ID:S1uZnewg [27/76] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 イーブイが木の実を食べられるようになってからは、色々な種類の木の実を口にするようになった。

そうやって自分の好みと苦手、ひいては食べられるものと食べられないものを覚えていくのだろう。

 イーブイはどうやら苦めのものが好きで甘すぎるものは嫌いと言う子供らしからぬ味覚を持っているらしい。
 ▼ 91 ンリキー@トライパス 17/01/23 18:52:37 ID:1PzNpp5w NGネーム登録 NGID登録 報告
更新されてた
支援上げ
 ▼ 92 ニリッチ@どくけしのみ 17/01/23 19:28:25 ID:tzn6/WTw NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 93 しー◆iTFigG3P7M 17/01/23 19:47:55 ID:S1uZnewg [28/76] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 そんなある日、いつものようにリーフィアとイーブイとオレの3匹で食後の散歩に出かけた。


「今日はどこ行こうか、イーブイ」
 尋ねると


「んーとね、おいけー。およぐのー」と答えた。


 い、池か。オレ、泳げないんだよなぁ。炎タイプだからな、仕方ない。うん。


「な、なぁイーブイ。今日は原っぱにしないか? ほら、いーい天気だぞ」

「えー泳ぐぅ」

 こうなったらもうテコでも意見は動かせない。オレは観念して池へ向かった。
 ▼ 94 しー◆iTFigG3P7M 17/01/23 19:50:04 ID:S1uZnewg [29/76] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ふと、リーフィアが喋らないことに気づく。


「どうした? リーフィア。気分、悪いか?」


 リーフィアはそれには答えず、逆に尋ねてきた。


「ねぇ。確かブースターって、足型文字、書けたよね?」


 急にどうしたんだろう。そのまま疑問をぶつける。


「書けるけど、どうした急に」


 教えて欲しいんだ、とリーフィアは言った。


「うーん、いいけど、それなら姉さんに頼んだ方がいいぞ」


 リーフィアが首を振る。


「うんん。ブースターに教えて欲しいの」
 オレは以上何も言わずに、そっか、とだけ呟いた。
 ▼ 95 しー◆iTFigG3P7M 17/01/23 19:51:58 ID:S1uZnewg [30/76] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 池が見えてきた。

 きゃーっ、とはしゃぎ声をあげ、イーブイが飛び込む。


 危ない!っと思ったのも束の間、イーブイは普通に泳ぎだした。


 リーフィアは木陰に腰を下ろして、幸せそうにそれを見ている。

そこはリーフィアのお気に入りの場所だ。
 ▼ 96 しー◆iTFigG3P7M 17/01/23 19:53:06 ID:S1uZnewg [31/76] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「おとーさん、おかーさん。泳ごー」


 よし、と覚悟を決め、ゆっくりと浅瀬に入っていく。イーブイが泳げてオレが泳げない道理はない。

 チラリとリーフィアを見ると、気絶したように眠っていた。

 最近、リーフィアはそんな風に急に眠ることがある。オレはそれを痛ましく思っていた。

 そっとしておこう、と決め、1匹でイーブイの相手をする。
 ▼ 97 しー◆iTFigG3P7M 17/01/23 19:54:33 ID:S1uZnewg [32/76] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 日が傾いてきた。そろそろ夕方になる。

 帰ろう、と促すとイーブイは「まだ遊ぶー」とフラフラになりながら拒み、倒れた。

そこには最近のリーフィアのような痛々しさはない。電池が切れたのだろう。


「全く、風邪引くぞ」


 オレはイーブイの体を包み込み、熱で水気を飛ばした。
 ▼ 98 しー◆iTFigG3P7M 17/01/23 19:55:21 ID:S1uZnewg [33/76] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 体が乾くと、イーブイを背負いリーフィアを起こす。


「イーブイ、もう寝ちまった。良く電池が切れるまで動けるよな。……帰るか」

「うん」


 そう言ってリーフィアが立ち上がる。

イーブイを起こさないようにゆっくりと歩いていると、リーフィアが急に呟いた。


「幸せだなぁ」

「何だよ急に。……そうだな」


 そう言って、少し笑う。



少ししか、笑えない。
 ▼ 99 しー◆iTFigG3P7M 17/01/23 19:59:04 ID:S1uZnewg [34/76] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「ゴメンね、寝ちゃってて。イーブイの相手、1匹じゃ辛かったでしょ」


 そんなことないさ、と応える。


「うんん、ありがと。……やっぱり、幸せだ」


 噛みしめるように、もう一度ゆっくりとリーフィアは呟いた。



 ねぇ────




 家が見えた。リーフィアが念を押す。


「ブースター、さっき言ったこと」


 その顔は真剣そのものだった。
 ▼ 100 しー◆iTFigG3P7M 17/01/23 20:03:09 ID:S1uZnewg [35/76] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「あぁ…………じゃあ足型文字、勉強するか。それとも、そろそろご飯の準備してるだろうし、手伝いに行くか?」


 オレは話題を変えようとして、そう提案する。


「……うんん。文字、覚える」


 そう言うので、オレはリーフィアに文字を教えることとなった。

 オレ、実は覚えるのに3日かかったんだよな、そんなのがリーフィアに教えるなんて大丈夫か? 

 姉さんにまだべったりだった頃、姉さんが使ってるのを見て興味本位で教えてもらったものだったが、それらは案外未だに覚えていて、リーフィアにはしっかりと教えることができた。

 途中、食事を挟んでその後もリーフィアに教えると、リーフィアはあっさりとそれらを覚えて、文章まで書けるようにたなった。

でも、それは何かに取り憑かれたかのような気迫があり、オレは少し心配だった。
 ▼ 101 しー◆iTFigG3P7M 17/01/23 20:06:30 ID:S1uZnewg [36/76] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「覚えるの早いな。オレ、3日かかったぞ」

「それはかかり過ぎ。それに、そんなに難しくないもん」


 グサッと言葉が心に刺さる。

いやいやしょうがない。オレが覚え始めたのは小さい頃だったからな。



 沈黙が流れた。



 先程のことを思い出す。

さっきは話を逸らそうとしたが、しっかりと話そうと決心する。


「……なぁリーフィア」


 リーフィアはまた、気絶するように眠っていた。
 ▼ 102 しー◆iTFigG3P7M 17/01/23 20:07:49 ID:S1uZnewg [37/76] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 それを見て、居ても立ってもいられなくなり、夜だったが家族みんな……リーフィアとイーブイを除いたみんなを最も広い部屋である食卓に集めた。


 みんなが集まってから開口一番にグレイシアが尋ねてくる。


「なに? こんな時間に。……もしかしてリーフィアのこと?」

「あぁ」

「リーフィアがどーかしたのー」


 姉ちゃんが言った。父さんは渋い顔をしていた。姉さんも。


「やっぱりリー姉さん、どこか悪いの?」


 ブラッキーも気づいていたらしい。いや、気づいていない者などいないだろう。
 ▼ 103 しー◆iTFigG3P7M 17/01/23 20:08:27 ID:S1uZnewg [38/76] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「あぁ、リーフィアもそれに自分で気づいている。そして、必死になって、少しでも、と頑張っている。……父さんの言った通りだった」



 オレは、リーフィアが吐いた日の、父さんとの会話を思い出す。
 ▼ 104 しー◆iTFigG3P7M 17/01/23 20:09:51 ID:S1uZnewg [39/76] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
──
────
──────

 「父さん、話って何?」


 父さんは、さっきと同じでいつになく厳しい顔をしている。


「あぁ、リーフィアのことだ。お前は一番リーフィアの近くにいるからな、話しておこうと思って」


 リーフィアについて話すこと?


「最近、リーフィアの体調が悪いだろう?」

「ん、あぁそうだね。きっと疲れてるんだよ」


 確かにここ最近のリーフィアは少し顔色が悪い。だがそれも、イーブイの夜泣きに付き合わされて殆ど寝てないことを考えると、ある程度はしょうがない気がする。
 ▼ 105 しー◆iTFigG3P7M 17/01/23 20:11:16 ID:S1uZnewg [40/76] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「リーフィアは嘔吐以外に、何か変わったことはないか?」


 変わったこと……?


「そういえば、丁度今日、立ちくらみで転びかけてたな」

「それは、どれくらい続いた?」

「ごめん、質問の意味が」

「そのままだ。どのくらい長い立ちくらみだったか、と言うことだ」


 どのくらい……? 


オレはさっきのことをなるべく鮮明に思い出そうとする。


「うーん。1分はなかったかな」

「……そうか」


 また父さんが厳しい表情になる。
 ▼ 106 しー◆iTFigG3P7M 17/01/23 20:12:12 ID:S1uZnewg [41/76] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「ねぇ、一体何をいってるの?」


 父さんに尋ねる。


「さっきも言ったが、お前はよくリーフィアを支えてやってくれている」

「うん」

「イーブイの夜泣きの世話の時も、世話の時も、常に一緒にいる」

「だからなんだよ」


 父さんが続けた。


「なら、なんでリーフィアにだけ症状が出て、お前はなんともないんだ? 条件は同じだろう?」


 目から鱗だった。

確かに、オレは少し眠いくらいで、特にどうと言うことはない。


でもそれは
 ▼ 107 しー◆iTFigG3P7M 17/01/23 20:12:46 ID:S1uZnewg [42/76] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「リーフィアは別に体が弱い子じゃぁない」


 反論を先に封じられる。

確かに、少し涙もろい事もあるが、リーフィアは基本的に強い子だ。




 ようやく、オレの中に『疲労』以外のリーフィアの体調不良の原因が浮かぶ。
 ▼ 108 しー◆iTFigG3P7M 17/01/23 20:13:51 ID:S1uZnewg [43/76] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告



「なにか、リーフィアが病気って事……!?」




 その可能性は、大いにありうる。そう言って父さんが頷く。


「じ、じゃあ、ポケモンセンターに……」

「どこにある? 一番近いところでも、かなりの距離だぞ。ここは、人里から離れている」



 じゃ、じゃあ

「じゃあどうしたらいいんだよ!」



 落ち着け、と父さんがオレを宥めた。
 ▼ 109 しー◆iTFigG3P7M 17/01/23 20:14:52 ID:S1uZnewg [44/76] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「いいかよく聞け。吐き気を伴う立ちくらみは大きく3つの分類がある」

「ひとつはストレス。2つ目は耳の前庭、三半規管の乱れだな。最後に、これが一番最悪だが、脳の病気」



???



 聞きなれない単語がどんどん出てくる。それも、父さんの口から。


「このうち、お前も同条件のストレスは除外する。そして、耳の疾患だが……、これによる立ちくらみはかなり長い。1分未満だとすると考えにくいだろう」


 オレは殆ど思考を放棄しながら、ただ聞いていた。


「つまり、リーフィアは何か脳に異常がある可能性がある。それか、不整脈だな」

「リーフィアが頭痛を訴えたら脳に疾患があると考えていい」


 結局オレはその部分しか話を理解できなかった。
 ▼ 110 しー◆iTFigG3P7M 17/01/23 20:15:43 ID:S1uZnewg [45/76] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「そ、それより、なんで父さんはそんなに詳しいんだよ! いつもは抜けてるくせに!」

「ぬ、抜けてるだなんて失礼だなっ。オレはいつも冷静沈着なオスだぞ!」


 これはいつもの父さんだ。


「ま、まぁ色々理由があってな。お前ら6匹を母さんと育てたんだぞ、オレは。ある程度の知識はあって然るべきだろう?」
 それに、ヒトの医者なんて信用できないしな。


そんなことをボソッと呟いた気がした。
 ▼ 111 しー◆iTFigG3P7M 17/01/23 20:16:55 ID:S1uZnewg [46/76] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 た、確かにそうだ。でも
「でも、詳しすぎじゃない?」

「昔、悪友に頼んで色々医学書を盗ってきてもらってたんだよ」


 因みに、と父さんが付け加える。


「エーフィに足型文字や人間の文字の読み方を教えたのも父さんだぞ」


 え、ええええぇ!


 それも初耳だった。


「ご、ごめん。オレてっきり父さんのことおとぼけさんかと思ってた」

 どうだ。見直しただろう? そう言って父さんは笑った。
 とにかく、リーフィアが頭痛を訴えてたら、かなり厄介だと思っとけ。

父さんはご飯の木の実をこれからは効きそうな奴に変えておくよう言っておくから

 と、最後にいって、その話は終わった。

──────
────
──
 ▼ 112 しー◆iTFigG3P7M 17/01/23 20:17:45 ID:S1uZnewg [47/76] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「っとまあこんな感じのやりとりがあったんだよ」


 母さんと姉さん以外はみんな驚いたように父さんを見ていた。


「た、確かに何か怪我した時とか病気した時は必ず父さんが診てくれてたような……」


 グレイシアが呟く。

 オレは話を進めた。

「とにかくだ、リーフィアはその後もよく頭痛を起こしていたし

……あれからはみんなに心配かけないようにと、殆ど何も食べずに、食べても外で、吐いてた……」
 ▼ 113 しー◆iTFigG3P7M 17/01/23 20:18:54 ID:S1uZnewg [48/76] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 姉さんと父さんが顔をしかめる。


「ねぇ」「なぁ」


 2匹が同時に口を開いた。

 父さんの方が続ける。


「リーフィアは、突然人が変わったようにだとか、記憶が、とか、なってないよな?」

 人が変わる……?

 ひとつ、思い当たる節がある。

あの時だ。リーフィアが初めてオレに怒鳴った、あの時。

それに、リーフィアは、「自分が自分じゃなくなるように感じることがある」と言っていた。

 それを2匹に伝える。


「その時のことを、詳しく話してくれ」


「ん、ああ。コレはついさっきのことなんだけど……
──
────
──────
 ▼ 114 しー◆iTFigG3P7M 17/01/23 20:20:01 ID:S1uZnewg [49/76] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 場面は、今日の池から帰った時だ。



────ねぇ……ブースター。



 リーフィアが深刻な顔で言った。


「私、最近記憶がなくなることがあるんだ。昔の事とか、最近のことも」


 記憶が飛ぶ。昔だけでなく最近のことまで。

やはり、リーフィアは。
 ▼ 115 しー◆iTFigG3P7M 17/01/23 20:20:45 ID:S1uZnewg [50/76] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「そ、そんなの誰だって」


 違う! そんなんじゃない!



 リーフィアが噛み付くように言い返す。


「そんなんじゃないの。ついさっきだって、私、イーブイの事、一瞬誰だかわかんなかった」


 それを聞いて、ことの深刻さを理解した。

やっぱり父さんが言ってた──脳の病気
 ▼ 116 しー◆iTFigG3P7M 17/01/23 20:21:45 ID:S1uZnewg [51/76] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「私、自分で自分がわからない……。この前もお兄ちゃん怒鳴ったりして。全然、そんなことしたくなかったのに……」


 リーフィア……。


 知らなかった。ここまで酷いことになってたなんて。気づけなかった自分に嫌気がさす。

 なら、これからは先、どんどん症状が悪化したら……


「怖いの。まるで、自分が自分じゃない誰かになっていくようで、私が、私じゃないみたいで……。

大切な、大切な記憶にポッカリと虫喰いみたいな穴が開いていって、それがどんどん広がっていって」


 想像はどんどん悪い方向へ向かっていく。

でも、オレなんかよりもずっとずっと、リーフィアの方が怖いはずだ。


「リーフィア……」


 オレはなんて声をかけたらいいかわからず、ただ、情けなかった。
 ▼ 117 しー◆iTFigG3P7M 17/01/23 20:22:37 ID:S1uZnewg [52/76] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「だから、お兄ちゃん。お願いがあるの」


 お願い?


「もし、私が死んでも、お兄ちゃんは悪くない。悪いのは、私。だから、だから絶対、責任なんて感じないで。そして、私よりも良い「もういい!」

 オレは、リーフィアの言葉を遮った。



「そんなこと、言わないでくれよ。死んだら、なんて」
 ▼ 118 しー◆iTFigG3P7M 17/01/23 20:23:35 ID:S1uZnewg [53/76] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 リーフィアが笑う。


「でも、私が幸せなのは、事実よ。だって、こんなに優しいお兄ちゃんがいて、可愛いイーブイがいて、

お母さんもお父さんも、エーフィもシャワーズもグレちゃんもブラッキーも、

みんなみーんな、いるんだもん。……だがら、わだじ、…………幸ぜ。っぐず。」


 リーフィアの声に濁点が混ざっていく。
 ▼ 119 しー◆iTFigG3P7M 17/01/23 20:24:27 ID:S1uZnewg [54/76] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 オレは、歩くスピードをさらに緩め、家に着くまでにリーフィアが泣き止むよう、時間を稼いだ。


「ごめんね、ごめんね。ありがとう。お兄ちゃん」


 『お兄ちゃん』とオレを呼ぶリーフィアから、リーフィアが言っていた以上に記憶の混乱が感じ取れて、オレは
何も言えなくなった。


──────
────
──
 ▼ 120 しー◆iTFigG3P7M 17/01/23 20:25:28 ID:S1uZnewg [55/76] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 言い終えると、ただでさえ重かった空気が、更に重くなったように感じた。


すっ、ぐすっ


 グレイシアが目に涙を浮かべてる。

それを皮切りに、どんどんとその声が増えていく。


 でも、オレは泣かなかった。もう、覚悟をしていたから。


「とにかく、もうリーフィアの好きなようにさせてあげましょう。

でも、イーブイには、あの子には何も言わないであげて頂戴」


 そう言って母さんがこの場を締めくくった。
 ▼ 121 しー◆iTFigG3P7M 17/01/23 20:26:14 ID:S1uZnewg [56/76] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 みんなが自分の部屋に戻った頃、オレは誰もいない自分の部屋で1匹、作業をする。

 木の板で、足型文字の早見を作った。リーフィアが少しでも文字を忘れなくなるように。


 リーフィアが文字を覚えたい、と言い出した理由に、オレは大体の検討をつけていた。


 足型文字の早見が完成すると、オレはそれを寝床に寝かせたリーフィアの元に持っていき、置いた。
 ▼ 122 しー◆iTFigG3P7M 17/01/23 20:26:56 ID:S1uZnewg [57/76] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 リーフィアはイーブイと一緒に、幸せそうに、本当に幸せそうに眠っていた。


 それを見るともう、ダメだった。


 オレは2匹を起こさないように、静かに、声を押し殺して、泣いた。
 ▼ 123 しー◆iTFigG3P7M 17/01/23 20:27:45 ID:S1uZnewg [58/76] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 瞼の上から眩しさを感じた。どうやらあのまま寝てしまったらしい。

 時間は昼頃だ。オレとリーフィアはほぼ同時に……リーフィアの方が少し早く目が覚めたようで、リーフィアも微睡んでいる。


「ん、あぁ、起きたか、リーフィア。…………ほれ、イーブイも、起きろ〜」

 イーブイが体を丸めた。


「んぅ。もうちょっとねる」
 ▼ 124 しー◆iTFigG3P7M 17/01/23 20:30:28 ID:S1uZnewg [59/76] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 粘るイーブイに意地悪く言う。


「そんなこと言う子のご飯は無くなっちゃうぞー。

もうそろそろお昼だから、起きなかったら、イーブイの分もおとーさん食べちゃうからな」

「やだー」


 イーブイは昨日あれからずっと寝ていて、晩ご飯を食べていない。

お腹は空いているだろうし、もう一押ししたら起きるだろう。


「じゃあリーフィア、行こっか」


 リーフィアも乗ってくれた。


「うん、イーブイ。来ないと本当に無くなっちゃうよ。私達が食べなくてもシャワーズが食べちゃうから」


 そう言って2匹で外に出るとイーブイはすぐに部屋から出てきて、後ろをついてきた。
 ▼ 125 しー◆iTFigG3P7M 17/01/23 20:32:34 ID:S1uZnewg [60/76] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 しかし、どうやら少し早すぎたらしく、グレイシアと姉ちゃんが共同でご飯の準備をしている最中だった。


「じゃあオレも焼き木の実作るか」


 そう言うと。

「兄貴は座ってて!」

「んとねーぶーちゃんはねてていーよー」
 と素早く拒否された。


 落ち込むオレにイーブイが、元気出して、と言ってくれた。


 そう言えば前もこんなことあったな、と思い出す。


 今日みたいに少し早めに食卓について、まだイーブイだったリーフィアに焼き木の実を食べさそうとしたら、盛大に火加減を間違え黒コゲにした時、こうやって慰めてくれた。
 ▼ 126 しー◆iTFigG3P7M 17/01/23 20:35:02 ID:S1uZnewg [61/76] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 10分ほど待つと、準備も終わったようだ。



 リーフィアは一口だけ食べ、あまりを姉ちゃんに渡した。


「だめだぞーきちんとたべなきゃー」


 そう言いながらも、姉ちゃんはペロリとリーフィアの分も平らげた。
 ▼ 127 しー◆iTFigG3P7M 17/01/23 20:36:50 ID:S1uZnewg [62/76] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 イーブイと部屋に戻ると、リーフィアは居なかった。


「アレー? おかーさんどこだろー」

「……お腹が空いたら帰ってくるさ。お父さんと散歩行くか」

「行くー。今日はー原っぱー」


 そう言ってイーブイは外へ走っていった。
 ▼ 128 しー◆iTFigG3P7M 17/01/23 20:38:05 ID:S1uZnewg [63/76] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 それから暫く、リーフィアの不自然な外出は続いた。



 最初の日以外はイーブイに付き合って外に出ているが、見ているだけ。

 それでも母親の目があると安心するのだろう。イーブイはのびのびとして居た。


 そんな中、池に行こう、とイーブイがいった。

 最初に池でたっぷり遊んでからは、そこはイーブイのお気に入りのあそび場所となっていた。

そろそろ暑くなってきているのも関係しているだろう。
 ▼ 129 しー◆iTFigG3P7M 17/01/23 20:39:36 ID:S1uZnewg [64/76] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ただ、その日は久しぶりにリーフィアも一緒に、イーブイと遊んだ。


 オレは気が気じゃなかった。

 池の中でリーフィアが気絶したら、オレは泳げない。

かと言って姉ちゃんは姉さんを呼ぶには時間が足りない(グレイシアも実は泳げない)

 それに最近、リーフィアが寝ているところも見ていない。


 オレはさりげなくリーフィアを浅瀬に誘導しながら、その時間をやり過ごした。
 ▼ 130 しー◆iTFigG3P7M 17/01/23 20:41:43 ID:S1uZnewg [65/76] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 イーブイが疲れてきて、帰ろうとリーフィアに呼びかけた時、急にリーフィアの動きが止まった。



「ここ、どこ?」



 ? いま、なんて言った?


 リーフィアが喋る。

「分かんない、木がいっぱい。ここは、どこなの?」


 ここが、わからないはずが無い。




──大切な記憶に、ポッカリと虫喰い開いた虫喰い穴。それが、広がっていく。



 ▼ 131 しー◆iTFigG3P7M 17/01/23 20:47:24 ID:S1uZnewg [66/76] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 突如、大きな機械的な笑い声が聞こえた。


ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ

 リーフィアの声だった。

 生き物はこんな声を出せるのか。こんな、平坦で感情のない笑い声を。


「おいっ! リーフィア、しっかりしろ! しっかり、してくれ!」


 イーブイが泣き始める。

ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ


 それでも、笑い声は止まらなかった。

 そして、急に、糸が切れたようにリーフィアはその場で突っ伏した。
 ▼ 132 しー◆iTFigG3P7M 17/01/23 20:49:11 ID:S1uZnewg [67/76] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 オレはリーフィアと泣いているイーブイを背負って(イーブイは首を加えて)家へ急いだ。


 家について、リーフィアを部屋に寝かせる。イーブイも、一緒に。

 イーブイが寝たのを確認してから、オレはまた、みんなを集め、この事を伝えた。

 でも、具体的な解決策は出ず、ただ、リーフィアの好きなようにやらせてあげることしか、もうオレたちに選択肢はなかった。


 部屋に戻り、オレも寝床についた。


もう、疲れた。
 ▼ 133 しー◆iTFigG3P7M 17/01/23 20:50:04 ID:S1uZnewg [68/76] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 朝、目を覚ました。

 リーフィアは既に起きていた。


「リーフィア、起きてたのか。昨日は大丈夫だったか?」


 リーフィアが困惑の表情をする。


「き、のう? ごめん、あまり覚えてない」

「そっか」


 そう言ってオレは笑顔を作る。うまく作れているかはわからない。
 ▼ 134 しー◆iTFigG3P7M 17/01/23 20:52:41 ID:S1uZnewg [69/76] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 イーブイも目を覚ました。


「あかーさん。もう、おかしくない?」


 リーフィアが急に、涙をこぼす。

耐え切れなくなったかのように。


「うっ、ぐす、ゴメンね、イーブイ、ゴメンね、お兄ちゃん」

「あかーさん泣いてるー。変なのー」


 それを聞いて、リーフィアが笑った。

それは久しぶりの、リーフィアのしっかりとした笑顔だった気がする。


「ぅん、おかしいねー、泣くなんて、へんだよねぇ。っぐす」

「……リーフィア」


 部屋にリーフィアの啜り声だけがこだまする。
 ▼ 135 しー◆iTFigG3P7M 17/01/23 20:54:56 ID:S1uZnewg [70/76] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 リーフィアの容態はそれから急激に悪くなっていった。
「おかーさんどうしたの?」


 イーブイがオレに尋ねる。


「……気分があまり良くないんだってさ、イーブイは見守ってあげてくれ。それが、一番良い」

「うん……」


 そういってイーブイはリーフィアのいる部屋に向かった。
 ▼ 136 しー◆iTFigG3P7M 17/01/23 20:56:51 ID:S1uZnewg [71/76] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

 それから更に数日後、リーフィアのいる部屋に様子を見にいった。


 イーブイは今母さんの所で寝ている。
 ▼ 137 しー◆iTFigG3P7M 17/01/23 20:58:51 ID:S1uZnewg [72/76] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 部屋に入ると 小さな身体が震えた。

その震えは、戸惑いと得体の知れない相手、自分、状況全てへの恐怖が滲んでいる。

 オレは察した。察してしまった。


 きっと、オレのことも忘れたのだろう、と。


オレは、情けなかった。目の前の震えを止めたいのに、むしろ自分はその震えの原因だ。

 遅かれ早かれこうなることは予測していた。覚悟もしていた。でも、そんなものになんの意味もないことを知る。

抗いようもない強大で理不尽な現実の前で、意志の力は恐ろしく脆弱だ。

 現実は、空想の何倍も残酷だ。

その現実に打ちのめされて初めて、自分の覚悟はひどく楽観的な、覚悟と呼ぶべきものではなかったと分かった。

 オレはその場に立ち竦む。

静寂の中に、恐怖と絶望の音が、強く、響く。
 ▼ 138 しー◆iTFigG3P7M 17/01/23 21:01:00 ID:S1uZnewg [73/76] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「リーフィア、心配ないよ」


 リーフィアに反応はない。

 オレは近づいて、前足をリーフィアの頭に乗せた。

フワフワとさらさらとした感触が腕を伝う。
 ▼ 139 しー◆iTFigG3P7M 17/01/23 21:02:59 ID:S1uZnewg [74/76] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告



 リーフィアがオレをオレと認識した。



 理屈じゃない、ただ、分かった。
 ▼ 140 しー◆iTFigG3P7M 17/01/23 21:04:32 ID:S1uZnewg [75/76] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「…………」


 リーフィアが何かを言おうとしている。でも、声が出てない。


 リーフィアが近くにあった、足型文字の早見版を手繰り寄せた。



 そして、一字一字、前足で示していく。
 ▼ 141 イプは ゴースト だね 17/01/23 21:05:06 ID:XLm8ese6 NGネーム登録 NGID登録 報告
???「じぇるるっぷ」
 ▼ 142 しー◆iTFigG3P7M 17/01/23 21:06:06 ID:S1uZnewg [76/76] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告




 い え の う ら の も り の お く




 家の裏の森の奥。

そこは、少し前にリーフィアがよく行っていたところだ。


 ダメだ、それは秘密にしていたんじゃないのか。

オレに言わずにそこへ行っていたというのは、そういうことだろ。

なら、バラしちゃいけないじゃないか。
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