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【SS】ホウアロ物語

 ▼ 1 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/02 18:44:07 ID:GM3IjIp6 NGネーム登録 NGID登録 報告
涼やかな死臭が風に乗る

連続するのは、雨、声、物語


聞こえてくるのは、蟲群の唄──


------------------------


以下のSSの続編です(読まなくても大丈夫です)

http://pokemonbbs.com/post/read.cgi?no=331950
http://pokemonbbs.com/post/read.cgi?no=377305
 ▼ 17 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/03 21:45:40 ID:EXgnSHXk [1/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
クワガノン『ガガガガッ♪』

アセロラ「あ、そのポケモンが、あなたの?」

少女「はい、クワちゃんって言うんですけど。
…さすがにこの子の食べ物には、手はつけてません」

…少女のカバンの中には、虫ポケモン用のゼリーがどっさりと入っていた。

アセロラ(あれ、この子……?)

ツナ「…かっこいいクワガノンだな。
ほら、イワンコ、新しいお友だちだぞ」

イワンコ『ワン、ワン♪』

少女「わー、かわいい犬さんですねー。
イワンコって言うんだ」

ツナ「…アンタも、可愛いよ」

少女「!?」

ツナ「声が」

少女(……顔はっ!!?)

ナッシー(テレカクシカナ)
 ▼ 18 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/03 21:51:13 ID:EXgnSHXk [2/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
アセロラ「…もしよかったら、えっと。
アタシたちのハウスに、住まない?」

少女「えっ…?」

アセロラ「あっ、ずっとってわけじゃないよ!
…汚い話だけど…私たちもお金が…ね。お父さんがその、見つかるまでってことで!!」

クワガノン『…ガガガッ♪』

イワンコ『ワンッ、ワン♪』

アセロラ「ほら、この子たちも意気投合してる訳だし!」

少女「…あ、ありがとうございます……」

ツナ(…。
アセロラ姉ちゃん以外の、女の子が)

ナッシー『モジモジシテルゾ』

ツナ(…でもなんだろう?
…この……懐かしい感じは──)

------------------------

こうして、少女はエーテルハウスに住み込みで働くことになった。

最初はぎこちなかったツナとの仲も、徐々に縮まってはいったが、それでも依然、お父さんの足取りは掴めない。

……そして、数日後。
 ▼ 19 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/03 22:01:21 ID:EXgnSHXk [3/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
少女「夏祭り?」

ツナ「うん、今年はいつもより遅れてだけど、ウラウラ裏海岸ってところで、夏祭りをするんだ。
……行きたきゃ、行けばいいさ」

少女「あれ?
ツナ君は、行かないの?」

ツナ「……うん」

少女「?」

少女(だったら一緒にと、思ったのに)


──更に翌日


少女「ここでの活動も、私のハウスと似てるな。
ポケモンの保護とか。でも子どもたちの養護ってのは、したことはなかったけど」

ツナ「…ポケモンの保護をするようになったのは、つい最近だよ。それまでは今以上にお金のない、劣悪な施設だった」

少女「そう…だったんだ。
…あ、そうだ……一つ、気になってたんだけど」

ツナ「なに?」

少女「…このホコリを被っている絵本たち。
誰も…読んでないの?」
 ▼ 20 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/03 22:12:22 ID:EXgnSHXk [4/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
ツナ「……」

少女(あ…)


聞いたら、いけなかったことなのかな。


ツナ「…昔、好きだった絵本なんだ。
単に今は……読まなくなったってだけ」

少女「そ、そうだったんだ。
ごめんね、変なこと、聞いちゃったりして」

ツナ「…捨てるのも、なんか、思い出まで捨ててしまいそうな気がしてさ。
……嫌な思い出まで思い出すのに…ふんぎりがつかない」

少女(…嫌な?)

少女「……そうだよね、思い出って、大事だよ。
私も、お父さんと……」

…いや、やめよう…こんな話。


少女は出しかけた言葉を途中で呑み込み、そして、話題をやや強引に変える。


少女「ね、この前言ってた夏祭りって、いつから?」

ツナ「…えっと、明日のはずだよ」
 ▼ 21 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/03 22:46:45 ID:EXgnSHXk [5/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
少女「だったらさ、私と一緒に、行かない?」

ツナ「えっ…」

少女(えっ…)

二人は、それぞれの理由により戸惑った。

ツナは、いきなり夏祭りに誘われたこと。
少女は、話題を変えたかったためとはいえ、年頃の男の子をまるでデートかなにかのように、誘ってしまったこと。

…互いに少しばかり、気まずくなった。

が。

ツナ「…まぁ、いいよ。別に。
もう、気にしてない……し」

気にしてないとは、どういうことだろうか?
しかしこれ以上聞くことは、野暮だと少女は判断した。

少女「う、うん…ありがとう!
へぇ、明日かぁ…なんだか楽しみだよ」

ツナ「お金、大丈夫?
ヤシとかもいっぱい出るし、まぁ、僕も少しは持ってる。
…ナマコブシ投げのバイト、案外、時給がいいんだ」

少女「あ、考えてなかった…」

ツナ「アンタ、別の意味でも可愛く思えてきたよ」
 ▼ 22 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/03 22:49:04 ID:EXgnSHXk [6/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
ツナ「…久しぶりだ、夏祭りだなんて」


…あの日以来。

……閉じた扉を開く日が、遂に来たのだろうか。


──ギイィィ。


少女「あ。風で戸、開いちゃったよ」

ツナ「…。
建付け悪いんだ。ビッケさんにお願いしとく」

少女「ビッケさん?」

ツナ「エーテル財団の偉い女の人。
このエーテルハウスに援助をしてくれている恩人だ」

少女「へぇ。今度会ってみたいなぁ」

少女(…お父さん、ビッケさんに会いたかったのかな)


お父さん、今。どこにいるんだろう?
私だって、会いたいよ。

…お父さん──
 ▼ 23 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/03 22:50:00 ID:EXgnSHXk [7/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
〜エーテルパラダイス〜

アセロラ「ビッケさん、久しぶりーっ!!」

ビッケ「…お久しぶりです、アセロラちゃん。
その後、お変わりは?」

アセロラ「えっとねー、ホウエンからお父さんを探しに来たって言う女の子が来てるのー。
…で、こういうわけで──」

アセロラはビッケに、少女の事情を説明した。

ビッケ「…財団を良く思わない者の仕業でしょうか。可哀想に…。
わかりました、その少女のお父様を探すことに、全力──」


……その時、だった。


《臨時ニュースです。
先ほど──》

ーーー

アセロラ「!」

ビッケ「そん…な……」


そのニュースの内容は、衝撃的なものであったのだ。
 ▼ 24 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/03 23:53:08 ID:EXgnSHXk [8/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
〜翌日 ウラウラ裏海岸〜

少女「…わぁっ!!」


いつもはうらぶれた海岸に、多くの露店が立ち並んでいた。

夕暮れ時の空模様。
賑やかな曲と共に、人々が雑談に花を咲かせている。

露店の主人が、慣れた手つきでタコ焼きを転がす。

子どもはヒメリアメやチョコバナナに夢中。射撃やピンボールではしゃいでいる中には、大人も含まれていた。


…夏祭り。
今年も、大いに栄えていた。


少女「わー!
なにしよ、なに食べよっ!!」

ツナ「…一応、僕のお金だよ」

ツナ(…この風景、変わらないな。あれから)


…姉ちゃん。

姉ちゃんも、祭りを見て、楽しんでるか?
 ▼ 25 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/03 23:55:18 ID:EXgnSHXk [9/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
少女「ねー、チョコバナナじゃんけんに買ったからもう一本貰えたよ。
はい、あげる!!」

ツナ「…ありがと」

ーー

少女「おじさんッ、どうなってるのこの景品!!
当たっても倒れないじゃん、このチキステッ!!」

ツナ「あんまり言い過ぎると、撃たれるよ」

ーーー

少女「このトロピカルジュース、ヒック…なんだか。
気分いいね…よくなってきたぁ……」

ツナ「あっ、これチューハイだっ!!」

ーーーー


こんな調子で、祭りの時間は更けていった。
 ▼ 26 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/04 00:25:50 ID:JA08/Mf6 [1/3] NGネーム登録 NGID登録 報告
──祭りが終わり、その夜

少女「…」ヒック

ツナ「あのおっちゃん、アルコールを未成年に…。
なにしようとしてたんだ、ふざけてる」

少女「…んぶ」

ツナ「え?」


少女「……しょ…がない……な…。
おんぶ……ま…た……?」


ツナ(…完璧に酔っぱらってる。
おんぶ、してくれってのか?)

ヨイショ。

ツナ「っ…おっとっと」ヨロヨロ

ツナ(…おんぶをされたことはあるけど、することなんて、そういえばなかったな)

…それも、懐かしいな。
なんだろう。コイツといると、懐かしいことばかり思い出す。


…姉ちゃんの、ことばかり──
 ▼ 27 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/04 00:37:31 ID:JA08/Mf6 [2/3] NGネーム登録 NGID登録 報告
──その時、だった。


…ブウゥゥゥン…。


ツナ「んっ…?」


祭りの後の、閑散とした空気を突き抜く羽音がいくつも。
そして、出現したのは。


『『…ギジャアァァァァッ!!!』』


ツナ「!!?」


何匹もの、蟲ポケモンであったのだ──


少女「……。
えっ…?」


少女の酔いが、一気に覚める。


ツナ、そして少女の脳裏には、とある過去が…フラッシュバックしたのである。
 ▼ 28 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/04 09:02:50 ID:JA08/Mf6 [3/3] NGネーム登録 NGID登録 報告
〜10年前 夏祭り〜


蟲ポケモン『『ぐわがぁぁぁぁぁぁぁっ!!!』』


観光客「キャーッ!
…なんなのこのポケモンッ!!?」

観光客「に…逃げろっ!
手や足を噛みちぎられるぞっ!!」

正に、あの殺人蟲群事件の真っ最中であったのだ。

ヒナ「や…やだ……。
こ、来ないでっ!!」

ツナ「ねーちゃん、逃げろっ!
僕におぶされ、一緒に……」


……ザシュッ!!


ツナ「…っう……」

ヒナ「ツナッ!!」


蟲ポケモンが、ツナの背中を切り裂いた。
 ▼ 29 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/04 10:00:44 ID:fOTFDvRs [1/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
ヒナ「ツナ…!
…ツナァァァッ!!」

…ドガッ!!

ヒナ「ぁぅ……」ドジャッ

泣き叫ぶヒナに対し、蟲群は容赦をしない。
彼女を遥か遠法へと吹き飛ばし、彼女は無残にも、顔面から地面へと落下してしまう。


… … グ ジ ャ ッ 。


彼女の顔の砕ける音が、響きわたった…。


------------------------


エーテル「皆さん、こちらはエーテル財団の特殊部隊です!
ただいま緊急警報が、この海岸一体に発令されました!!
大変危ないですので、この海岸から大至急、避難してくださいっ!!!」


…その後例の爆発が起き、一次被害を合わせ、死傷者、怪我人共に、多数の被害を出すこととなる。
 ▼ 30 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/04 12:32:17 ID:fOTFDvRs [2/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
──やがて

青年(…なんて、残状だ)

エーテル財団の活動を参考にするため、アローラに訪れていたこの青年こそが、後のかえるノはうすの施設長である。

青年(……!)

青年は、傷ついていた少女を発見した。

青年「おい、君!
聞こえるか…返事をしろ!!」

ヒナ「う…うぅ……」


…少女は衝撃により、記憶を失っていた。
顔は潰れ、孤児故に身元はわからず仕舞い。

青年はアローラの病院にてありったけの金を叩き、少女の顔を再生したが、以前とは別の顔つきとなった。


…青年は少女を養子として迎え入れた。

だが少女が唯一、覚えていたことがある。


……それは、“ヒナ”という自分の名前だ──
 ▼ 31 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/04 14:53:23 ID:grqW1.Hs NGネーム登録 NGID登録 報告
一方のツナは、無事にエーテルハウスへと保護され、治療を受けることとなる。

だが身体の傷は癒えても、心の傷までは癒えなかった。


ツナ(僕が、弱かったから。
姉ちゃんを真っ先に、助けられなかったから…)


姉は行方不明扱い。
もう、本を読んでくれる人はいない。

…孤児という身分の中で、数少ない知人を。
いや、真に愛していた実姉を失った。


……少年の物語には、ホコリが薄らと被っていた。

やがて積りに積り、少年の目の前は真っ暗に閉ざされた。


------------------------


少女(思い出した…アタシは。
この子を……ツナを、守らなきゃっ!!)
 ▼ 32 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/04 15:40:49 ID:8VUfYMOM [1/23] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
クワガノン『クワッ!』ガシッガシッ

蟲ポケモン『ガォァーッ!!』ドゴォッ

互いに、激しい攻防を繰り広げる。

…しかし。


クワガノン『…クワァ…』ヨロッ


ヒナ「!」

クワガノンが、押され始めた。

ヒナ(守らなきゃ、いけないのに…!
私のせいでこの子は傷ついた。私が…守らなきゃ……)

ツナ「…アンタ、もしかして…?」

ヒナ「この蟲ポケモンの事情はよくわからないけど、昔によく似た事件が起きている…。私はヒナよ、ツナッ!!
私が……アナタをま……も……」クラッ

ツナ「!」


──ドサァッ。
 ▼ 33 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/04 15:43:05 ID:8VUfYMOM [2/23] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ツナ「姉ちゃんっ!」

蟲ポケモンたち『『フシュルゥー…』』

蟲ポケモンは、どくばりをヒナに放ったのだ。

ツナ(…もう、繰り返すもんかっ!
違うんだ、姉ちゃん……)


姉ちゃんは、僕が守るんだっ!!


ツナ「行けっ、イワンコ…」


ビッケ「ドデカバシッ、その子たちをお願い!」

ドデカバシ『デカーイッ!!』

ツナ「え、ビッケさん!?」

ツナたちの前に、ビッケが現れたのだ。

アセロラ「アセロラちゃんもいるからねー。
…やっぱり、ヒナちゃんだったんだ…」

ビッケ「事情はパラダイスにて説明します!
今は、ここから逃げることが先決ですっ!!」
 ▼ 34 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/04 16:59:59 ID:8VUfYMOM [3/23] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
………
……


ビッケ「着きました。パラダイスには“彼”の息のかかっている者がまだいるかもしれませんが。
……しかしここは秘密の地下ラボ。安心して下さい」

ヒナ「う…ぅ……」

ヒナは、ビッケの信頼できる職員に治療を受けている。

ツナ「ビッケさん…どういう……」

ビッケ「単刀直入に申しますと、彼女のお父さんはエーテルの元幹部に拉致されました。
…“生物実験”の件で逮捕されましたが、先日…脱獄を果たしたのです」

ツナ「!!」

アセロラ「今から語ること…よーく聞いてね。
ツナ君にも、無関係じゃないことだから……」

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 ▼ 35 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/04 19:00:31 ID:8VUfYMOM [4/23] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
エーテル財団の負の遺産。
およそ10年前から続けられて来た、生物実験。

元幹部の男は自身の私利私欲、また楽しむためだけに、それらを行っていたのだ。

一度勝手にある職員が実験の副産物を金のために売りさばいた案件があったのだが、その職員も戒めとして生物実験の材料とされた。

ヒナのイワンコも、材料とされるところをビッケに助けられ、その後ヒナの手に渡る。

副産物の例は、マルノームのような暴走ポケモン。
また、生命吸収石等といったおぞましい人口道具。

それらのポケモンや道具が他地方に渡り、伝承や怪談へと繋がった。


…そして、生物実験の真の目的は。

あの『殺人蟲群』だ。
 ▼ 36 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/04 19:01:14 ID:8VUfYMOM [5/23] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ツナ「…蟲群……」

ビッケ「より多くの命を奪うため、男はさなぎポケモンに改造を施し、自在に操ることができる蟲を造り上げたのです。
一度目の実験では、まだ不完全なところがありましたが」

アセロラ「それが…10年前のあの惨劇だね……」

ビッケ「しかし男は脱獄後、この蟲群を足がかりに、再び人々を苦しめようと目論んでいます。
本当に、狂った男です…」

ツナ「…」

アセロラ「財団の調査で、その男はポータウンのとある屋敷に潜んでいることがわかったの。
ツナ君には、ここまでは伝えておきたかった」

ツナ(僕が……すべきこと)

ビッケ「私たち特殊部隊が屋敷に突入します。
また被害が出ることになるかもしれませんが…これが、私たち財団の使命──」


ツナ「…いや、僕が、屋敷に行きます!」


アセロラ&ビッケ「「!?」」
 ▼ 37 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/04 19:01:53 ID:8VUfYMOM [6/23] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ツナ「何人も行くより、僕一人が行った方が、被害は少なくて済むはずです」

アセロラ「ち、ちょっと待ってよ!
何人も行くからこそ、やっつけられるんだよ!?
ツナ君一人が行ったところで……」

ツナ「…それでも、行きたいんだ。
お願いします、だってもう…」

ヒナ(…ツナ……)


二回も、僕は助けられなかった。

今度こそ、この人のために、僕は頑張りたいっ!!
 ▼ 38 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/04 19:03:23 ID:8VUfYMOM [7/23] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ビッケ「…わかりました」

アセロラ「ビッケさんっ!?」

ビッケ「あなたの心意気、受け止めました。ただし財団のせめてもの責任と責務として、私も付き添います。
…ツナ君、でも、ここまで言った以上は」

ツナ「…はい」

ビッケ「……二人で、アイツをこらしめましょうっ!
それが、私たちの役割ですからっ!!」

ツナ「……ありがとうございますっ!!」

クワガノン『クワクワ♪』

アセロラ「ツナ君、この子も連れて行ってあげて。あとイワンコもね。
正直怖いけど、私たちも…応援してるから……」

ツナ「うん、アセロラ姉ちゃんもありがとう!
じゃあ、行こうビッケさんっ!!」


こうしてツナとビッケは、ポータウンの屋敷へと向かう。

果たして二人は、元幹部を撃退することができるのか。
 ▼ 39 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/04 19:04:30 ID:8VUfYMOM [8/23] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
〜ポータウン とある屋敷〜

暗く、日が差し込まない屋敷内。
何年も掃除などされていないであろう、それを表すかのように、アリアドスの巣が天井に引き詰められている。

一歩踏み出すことに、ギシギシと床がきしむ。
…ここに、悪の親玉が潜んでいるのだ。

ツナ「!
ビッケさん…ここに、部屋があるよ」

ビッケ「恐らく…拷問に使われていた部屋ね。
…え、まさか…あそこにいる人は…?」


施設長「うぅ……」


痛々しい拷問の傷が身体に残る、かえるノはうすの施設長がそこにはいたのだ。
 ▼ 40 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/04 19:05:21 ID:8VUfYMOM [9/23] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ビッケ「…大丈夫ですかっ!?
ヒナちゃんも、心配してアローラに来ていますっ!!」


ツナ(この人が、姉ちゃんの世話を)


施設長「…ありがとう…助けに……来てくれて。
…あの男は狂っている」

ビッケ「……」

施設長「俺の相棒も、あの男に殺されたようなものだ……」

ツナ「…どういうことです?」
 ▼ 41 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/04 19:07:00 ID:8VUfYMOM [10/23] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「おっとぉ…ムダ話はそこまでです」


一同「!!」


小柄で、怪しげな眼鏡をかけた中年男性が、いつの間にやら一同の前に佇んでいたのだ。


ビッケ「…あなたっ!!」

元幹部「ビッケ現支部長…ことごとく、私の邪魔をしてくれますね。
…おや、そのクワガノンは…?」

クワガノン『…グルルゥ…』

------------------------

このクワガノンは、一度目の蟲群の襲来の際に産まれ落ちたポケモンであった。
…蟲群の一匹が、タマゴを持っていたのだ。

ヒナと共に、施設長に保護されたのだ。
 ▼ 42 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/04 19:07:47 ID:8VUfYMOM [11/23] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ーーー

イワンコ『……』

元幹部「親の復讐に、改造を施されそうになった恨み。姉を助けたい。そして財団のケジメ。…どれも、くだらない」


「「いでよっ、我が蟲コレクションッ!!」」



蟲ポケモンたち『『グワァァァァァァッ!!!』』



そして、蟲の群れが…姿を現した。
 ▼ 43 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/04 19:09:03 ID:8VUfYMOM [12/23] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ツナ「…行けっ、イワンコッ!」

イワンコ『…ワンッ!!』ガンッ

ビッケ「クワガノン、“むしのさざめき”っ!!」

クワガノン『ガーッ!!』ドシュッ


二匹は、矢継ぎ早に攻撃を仕掛けにかかる。


元幹部「迎え撃て、我が蟲ポケモンッ!!」


蟲ポケモン『グガァァァァーッ!!!』シュバッ


------------------------

二人の戦いは、一見して、やや互角のように見えた。


…しかし。
そこに、少しばかり誤算があったのだ。
 ▼ 44 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/04 19:09:41 ID:8VUfYMOM [13/23] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ビッケ(…ここまで、とは!
……不味い、このままではっ!!)


敵は少々、数が多過ぎたのだ。


ツナ「ビッケさん、まだまだ行きましょう!」

ビッケ「…やはり無茶だったのよ、ツナ君っ!
ここは私が引き受けるから、ツナ君だけでも……」

ツナ「それじゃ来た意味がないんですッ、僕はあくまでも立ち向かいますからッ!!
行くぞっ、イワンコッ、クワガノンッッ!!」

ビッケ「ツナくんッ!?」

元幹部「フハハ、負けるとわかって挑みますか!
ポケモントレーナーの性ですな、いいでしょう!!
ハラワタを食い千切ってやります、ではっ!!!」


──その時、だった。
 ▼ 45 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/04 19:10:12 ID:8VUfYMOM [14/23] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
イワンコ『……グワンッ!!』ピカァーッ

ツナ「!」

元幹部「な、なんですか…!?」

イワンコの身体が、ツナの想いに応えるかのように光り輝いたのだ。

…それにイワンコにも、この男には因縁がある。


いずれの想いかは計り知れないが、イワンコは、今ありったりの力を発揮しているのだ。


ツナ「イ…ワンコ……」


──そして。
 ▼ 46 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/04 19:10:54 ID:8VUfYMOM [15/23] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ルガルガン『…ガルルゥッッ!!!』

施設長「おぉ、この姿は…。
ルガルガンッ、凄いぞツナ君ッ!!」

ツナ「…わぁ…イワンコ、いやルガルガンッ!
お前、成長したんだなっ!!」

元幹部「えい、雑犬が一匹進化したところで、なにが…!」

ツナ「…攻撃だっ、ルガルガンッ!!」

ルガルガン『ワン、ワァンッ!!』


…ドドドッ。


元幹部「!!?」


ルガルガンは、“アクセルロック”にて疾風の速度で蟲群を蹴散らしたのだ。


ルガルガン「ガァン…」

元幹部「クソッ、逃げ……はワッ!!?」ビビビビ

クワガノン『クワワッ♪』

逃げさせまいと、クワガノンが“でんじは”を放ったのだ。
 ▼ 47 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/04 19:12:00 ID:8VUfYMOM [16/23] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ビッケ「諦めなさい。ポケモン保健所への手回し、暴走ポケモンの作成、生物兵器の実験、そしてあの殺人蟲群…。
貴方の罪は、もう死で償ってもらう他にないわっ!!」

元幹部「…。
……ふぅ、これが年貢の納時ですかねぇ」

ツナ「なに?」

元幹部「…殺人蟲群の名は伊達ではない。
死骸となっても、爆発…殺傷能力はまだ残っている……」

ビッケ「まさか、あなた!!」

元幹部「さぁ二人共!
私の実験に、“あっち”の世界でも付き合ってくださいっ!!」

そう言い、元幹部は、大量の蟲ポケモンを爆破させる準備を整えにかかった。

ツナ(狂って…る……)

ビッケ「ツナ君、早く逃げましょう!
この男、私たちを道連れにするつもりよ!?」

ツナ「そんなこと言っても、ルガルガンとクワガノンじゃ、人二人を乗せて逃げるなんて無茶だよっ!!」

元幹部「さぁっ、あと10秒で爆発しますっ!
フハ…ハーーハハッハーーーッ!!」


…だが。
 ▼ 48 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/04 19:12:47 ID:8VUfYMOM [17/23] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ナッシー『タスケニキタゾー』ビョーン


元幹部「!?」

ツナ「うぉっ、お前っ!!」


ナシジルが入り口から首を伸ばし、助けに来たのだ。


ナッシー『クビツカマレーヒッコヌクゾー』

ツナ「お前、どこまで言葉わかってるんだ…?」

ビッケ「あ、ありがとう、ナシジルちゃん!!」

そして二人と二匹を載せたナッシーは、入り口から首を引っこ抜いた。



元幹部「チ…チクショォォォォォォォォォォォォッ!!!」



… ボ ガ ァ ァ ァ ァ ン ッ … ! !



…ポータウンの屋敷が、完全に吹き飛んだ。
 ▼ 49 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/04 19:13:34 ID:8VUfYMOM [18/23] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ーーー

ツナ「これで、完全に終わったんですね。
…おじさん、それにしても…相棒が殺されたとは……?」

施設長「…いや。俺の相棒は、暴走したポケモンに殺されているんだ。
相棒は、カエルポケモンの、ソーアという名前だった」

ビッケ「…戻りましょう。そして、報告です。
ようやく、全ての事件が終わったのだと──」

ナッシー『ダト』

------------------------

………
……
 ▼ 50 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/04 19:14:08 ID:8VUfYMOM [19/23] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
──やがて

ヒナの体調も、回復を遂げた。

施設長「ヒナ、ツナ君と一緒にアローラに残るかい?
思えば二人を引き離したのはこの俺だったんだ。俺に、止める権利などないよ」

ヒナ「…私は」


…どうすればいいんだろう──


ツナ「…。
姉ちゃんは、ホウエンに戻った方がいいよ」

ヒナ「……ツナ?」
 ▼ 51 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/04 19:14:48 ID:8VUfYMOM [20/23] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ツナ「姉ちゃんとまた一緒にいられて、僕の物語も、また紡いでいけることがわかった。
だから、無謀にも、ビッケさんと二人で立ち向かっていけたんだ」

ビッケ「…ツナ君」

ツナ「ホコリを払って、僕は前に進むよ。
ルガルガンたちと一緒に僕はアローラを守る。姉ちゃんもホウエンで、ホウエンのポケモンを守ってやってくれ」

アセロラ「…ホントにいいの? ツナ君。
ヒナちゃんがいなくて、さみしくない?」

ヒナ(ツナ……)

ツナ「さみしくないよ。それにもう──
僕は、“子ども”じゃないんだ」

ヒナ「…」
 ▼ 52 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/04 19:15:21 ID:8VUfYMOM [21/23] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

ーーー

ヒナ「…うん!
わかった、私…ホウエンに戻るよっ!!」

施設長「!
ヒナ……」

ヒナ「その代わり、ちょくちょくアンタの様子を、見に来るからね!
アンタが子どもじゃないってこと、見にさっ!」

ツナ「…うん!
また遊びに来てくれ、姉ちゃんっ!!」

アセロラ(…ウフフ。
やっぱり二人とも、互いのこと、好きなんだね)


ナッシー『メデタシ、メデタシ──?』
 ▼ 53 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/04 19:16:16 ID:8VUfYMOM [22/23] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
あの時分かれた二人の物語。
姉弟思いの、ホウエンとアローラの、二つの物語。

『ホウアロ物語』は、これからも続いて行く。


…もう、死臭の風は吹かない──


------------------------

………
……
 ▼ 54 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/04 19:16:46 ID:8VUfYMOM [23/23] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ホウアロ物語 ~完~


(ここまで見てくださった皆さん、ありがとうございます)
 ▼ 55 ノノクス@マスターボール 17/03/04 20:01:24 ID:dAcRWbKU NGネーム登録 NGID登録 報告
 ▼ 56 リゴンZ@でんきだま 17/03/05 07:01:20 ID:WMaLnjWk NGネーム登録 NGID登録 報告
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