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【SS】フライゴン「……死にたい」

 ▼ 1 1◆v1GnTfaqxg 17/05/19 12:32:47 ID:wWCfD3C2 [1/26] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

あるアパートの一室に、一匹の若いフライゴンが住んでいた。

そのフライゴンはゴミだらけの部屋の中、ただ布団にくるまって何をするでもなく、酷く怯えた様な顔をしていた……


その時……


ピンポーン……ピンポーン……ピピピピピンポーン……


呼び鈴の音が鳴った瞬間、反射的にフライゴンは布団を頭から被ってガタガタと震えだす……
 ▼ 14 1◆v1GnTfaqxg 17/05/19 13:29:30 ID:wWCfD3C2 [2/26] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告








フライゴン「あれからここまで……頑張ったよな、俺」


気がつくと、フライゴンは階段を登り切っていた……


フライゴンの目の前には塗装が剥げ、少し錆び付いた扉がある……


フライゴン「……」


フライゴンは冷たいドアノブをゆっくりと回した……


 ▼ 15 1◆v1GnTfaqxg 17/05/19 13:35:42 ID:wWCfD3C2 [3/26] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


ドアを開けるとそこには、どこまでも続く……美しい青空が広がっていた……


フライゴンは学校の屋上を歩き出す……


一歩踏み出す度に、これまでの苦しみや悲しみが頭をかすめ、フライゴンの背を押した……


フライゴン「今日、俺は楽になるんだ……」


暖かく、優しい春の風がフライゴンを包む……

しかし、そんな風も……今のフライゴンには冷たく恐ろしい物に感じた。


 ▼ 16 1◆v1GnTfaqxg 17/05/19 13:44:22 ID:wWCfD3C2 [4/26] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


ついに、フライゴンは屋上の一番端に着いた。



フライゴン「……」


フライゴンは屋上のフェンスを越えて、フェンスを掴んだまま、屋上の角に立った……



風の吹き抜ける音……どこかの教室から聞こえるピアノの音……グラウンドから聞こえる体育教師の怒鳴り声……



フライゴン「……楽になれるんだ……何も怖くない……生きてる方が怖いんだから……」


フライゴンはそう自分に言い聞かせたが……足の震えが止まらない……

 ▼ 17 1◆v1GnTfaqxg 17/05/19 13:48:03 ID:wWCfD3C2 [5/26] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


額から流れる汗を風が吹き飛ばした……



フライゴン「……覚悟を……決めるんだ!」




タッ……




フライゴンはフェンスを掴んでいた手を離すと、屋上の角を蹴った……







 ▼ 18 1◆v1GnTfaqxg 17/05/19 13:54:07 ID:wWCfD3C2 [6/26] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告




キラキラと輝く太陽が落ちていくフライゴンを照らす……



フライゴン「これでいいんだ……」



落ちていくのは一瞬のはずなのに……フライゴンにはその時間がとてつもなく長く感じた……



フライゴン「やっと……楽になれるんだ……」


フライゴンは落ちていく先を見た……


コンクリートで舗装された地面が見える……このままぶつかったらまず助からないだろう……


 ▼ 19 1◆v1GnTfaqxg 17/05/19 13:59:13 ID:wWCfD3C2 [7/26] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

どんどん近づいてくる地表……


どんどん……どんどん目の前に迫ってくる……


その恐怖にフライゴンの覚悟が揺らいだ。



フライゴン「……い、嫌だ! やっぱり嫌だ!!」


フライゴンの本能が背中の翼を刺激した……



フライゴンは地面にぶつかる直前で羽ばたくと……ゆっくりと地面に降り立った……


 ▼ 20 1◆v1GnTfaqxg 17/05/19 14:04:21 ID:wWCfD3C2 [8/26] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

フライゴン「はぁ……はぁ……」


体からボタボタと汗が落ちる……

心臓はまだ、バクバクと激しい音をたてている……


フライゴン「……くそぉ!!」


ガッ!!


フライゴンはコンクリート製の校舎の壁面を殴りつけた。


拳から流れた血が壁を汚した……


フライゴン「なんでだよ……俺は……俺は一体どうしたいんだよ……」


あまりの情けなさに涙がこぼれ落ちた……



フライゴンはヨロヨロと歩き出すと、沢山の思い出とトラウマが詰まった母校を後にした……
 ▼ 21 ルジーナ@トライパス 17/05/19 14:21:51 ID:DVby/lBU NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 22 マズン@ポケモンのふえ 17/05/19 14:23:40 ID:t4Ljg87I NGネーム登録 NGID登録 報告
地の文はうまいことやらないと一気に臭くなるからな
お手並み拝見
 ▼ 23 1◆v1GnTfaqxg 17/05/19 18:54:30 ID:wWCfD3C2 [9/26] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


小学校を出たフライゴンは来た道を戻り始める……


フライゴン「なんでだ……覚悟は決まっていた筈なのに……」


フライゴンの苛立ちは収まりがつきそうにない……


他の誰の通りもない、平日の昼間、午後の道……

 ▼ 24 1◆v1GnTfaqxg 17/05/19 19:02:44 ID:wWCfD3C2 [10/26] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

俯いて歩き続けるフライゴンを太陽が暖かく照らす……


その時、フライゴンは目の前に石ころが転がっているのを見つけた。


フライゴン「……」


何の変哲もない……ただの石ころだ……


フライゴン「俺は……こんなどこにでもある石ころにですらなれなかったのかよ……くそっ!!」


フライゴンは石ころを蹴り飛ばした……

石ころは放物線を描いて飛んでいって……


近くの家の塀を越えた。


?「あいたっ!!」

フライゴン「!!」


どうやら、塀の向こう側にいた誰かに当たってしまったらしい……
 ▼ 25 1◆v1GnTfaqxg 17/05/19 19:10:42 ID:wWCfD3C2 [11/26] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

フライゴン「なんてついてないんだ……」


年老いたがたいのよいポケモンが塀をよじ登って顔を覗かせた。


?「お前か!! 石ころを投げ込んだのは!!」


フライゴンは溜め息をついて目をそらした……


フライゴン「はい……すいません」


そのポケモンは塀を越えるとフライゴンの腕を掴んだ。


?「なんだ! その態度は!! ちょっとこっちに来い!!」

フライゴン「えぇ……(なんだか面倒な事になったぞ……)」


フライゴンは引っ張られるがままにそのポケモンについて行った……

 ▼ 26 1◆v1GnTfaqxg 17/05/19 19:15:08 ID:wWCfD3C2 [12/26] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


二匹の目の前には少しボロい木造の家がある……


?「こっちだ」

フライゴン「……」


玄関を上がり、ふすまを開けた先には畳敷きの部屋……

部屋の真ん中には季節はずれのコタツがあり、隅にはブラウン管のテレビが埃をかぶっている……


そんな部屋に、さらに二匹のポケモンがいた……


一匹は年老いた根暗そうなポケモン……

そして、もう一匹は美しいメスのポケモンだった……
 ▼ 27 1◆v1GnTfaqxg 17/05/19 19:20:08 ID:wWCfD3C2 [13/26] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

メスのポケモンががたいのよいポケモンに心配そうに語りかけた。


??「ガオガエン、大丈夫だった? 怪我してない?」


ガオガエン「別にあの程度で怪我なんかしねぇよ……本当、アシレーヌは心配性だな……」


アシレーヌ「ジュナイパーも心配してたわよね?」


ジュナイパー「……」


ジュナイパーと呼ばれた根暗そうなポケモンは……特に気にする様子も無く、何やら小説を読んでいる様だ……
 ▼ 28 1◆v1GnTfaqxg 17/05/19 19:26:24 ID:wWCfD3C2 [14/26] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

ガオガエン「そんな事より……こいつだ、犯人は……」


ガオガエンはフライゴンの腕を引っ張り、部屋に押し込んだ。


アシレーヌ「あら、この子なのね? ダメよ、そんなイタズラしたら……」

フライゴン「……」


フライゴンは二匹から目をそらした……


ガオガエン「だぁーっ!! その態度が気にいらねぇんだよ!!」


苛立つガオガエンをアシレーヌが止めた。


アシレーヌ「そんなに怒らなくてもいいじゃない!」

ガオガエン「アシレーヌは甘いんだよ!!」


ジュナイパー「……」


ジュナイパーは少し迷惑そうな顔をしながら小説を読んでいる……
 ▼ 29 1◆v1GnTfaqxg 17/05/19 19:49:25 ID:wWCfD3C2 [15/26] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

ガオガエン「もう我慢の限界だ! こいつを警察に突き出してやる!!」

アシレーヌ「ちょっとガオガエン!」


二匹は電話の前で受話器の取り合いを始めた……


アシレーヌ「あ、あなたも手伝って! このままじゃ警察呼ばれちゃうわよ!」


フライゴンはそんな二匹を見て溜め息をついた……


フライゴン「警察に突き出すなりなんなり好きにしろよ。どうせ捨てようと思ってた命だから……別にどうなろうと構わないよ……」


二匹「!!」


ジュナイパー「……」

 ▼ 30 1◆v1GnTfaqxg 17/05/19 19:54:39 ID:wWCfD3C2 [16/26] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

ガオガエン「どう言う事だよ……捨てようと思ってた命って……」


フライゴン「……言葉通りの意味だよ」


アシレーヌ「あなた……」


ガオガエンはしばらく腕を組んでフライゴンを睨みつけていたが……やがて受話器を置くと、フライゴンを無理やり押してコタツに入らせた。


フライゴン「な、なにすんだよ!」

ガオガエン「さっきお前言っただろ? 別にどうなろうと構わないって」

フライゴン「だ、だからって……」


ガオガエンはフライゴンの向かいに座った。


ガオガエン「まぁ……なんだ、話でも聞かせてくれないか?」


ガオガエンはコタツの上に置いてあったカゴからオレンの実を一つ、フライゴンの前に置いた。


フライゴン「……」
 ▼ 31 1◆v1GnTfaqxg 17/05/19 19:59:22 ID:wWCfD3C2 [17/26] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

アシレーヌがフライゴンの隣に座った。


アシレーヌ「ゆっくりでいいから……誰かに話すだけできっと楽になるわ」


その言葉にフライゴンの心が揺れた……


フライゴンが顔を上げると……アシレーヌは優しい笑顔を向けてくれた。


フライゴンは何故か、初めて会ったこのポケモン達には全てを話してもいい気がした……


そして……


フライゴン「俺は……」


フライゴンは、消えてしまいそうな程に小さな小さな声で語り出した……


 ▼ 32 1◆v1GnTfaqxg 17/05/19 20:01:59 ID:wWCfD3C2 [18/26] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告



俺は……普通の家に生まれて……普通の生活をしていた筈だった……



でも、そんな日常はたった1日で崩れ去ったんだ……



小学生の頃の話だ……


 ▼ 33 1◆v1GnTfaqxg 17/05/19 20:08:02 ID:wWCfD3C2 [19/26] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


カーテンの隙間から差し込んだ朝日がナックラーの顔を照らした……


ナックラー「ん……ぁぁ……もう朝……?」


ナックラーは体を起こし、寝ぼけ眼で部屋を見渡したが……同じ寝室で寝ていた筈の両親の姿が無いことにすぐ気づいた。


ナックラー「あれ? お父さん? お母さん?」


ナックラーは不思議に思い、掛け時計を見た……


時計はまだ、朝の7時を指している……


ナックラー「いつもよりも早く仕事に言ったのかな……?」


ガタッ……


玄関の方から何やら物音がした。


ナックラーはベッドを飛び降り、玄関に向かった。
 ▼ 34 1◆v1GnTfaqxg 17/05/19 20:13:19 ID:wWCfD3C2 [20/26] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


玄関に近づくにつれ、だんだん両親の声が聞こえてきた……


あの子には悪いけど……仕方ないよね……

ま、あいつには代わりに頑張って貰うか……



ナックラーは玄関に走り込んだ。


ナックラー「お父さんお母さん、おはよう! 今日は早いね!」


ナックラーの両親は……帽子を深くかぶり……サングラスを掛け……まるで、ナックラーの知らない別の誰かの様な姿をしていた……


両親はナックラーを見ると、何やら非常に慌てた様子を見せた。


母「起きちゃったじゃない! 早く行くわよ!」

父「そ、そうだな!」


 ▼ 35 1◆v1GnTfaqxg 17/05/19 20:18:07 ID:wWCfD3C2 [21/26] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

ナックラー「え? お父さんお母さん、どこに行くの?」


父「ど、どこだっていいだろ?」

母「そ、そうよ!」


ナックラーは普段と違う両親の姿に不安を覚えた……


ナックラー「ぼ、僕も連れてって!!」

ナックラーは母の腕に飛びついた。


母「離れてよ!ナックラー!!」

ナックラー「嫌だ! 僕も連れてって!!」


母の腕にしがみつくナックラーを父が無理やり引き剥がし、廊下に投げ飛ばした。


ドスッ!


ナックラー「いてっ!!」
 ▼ 36 1◆v1GnTfaqxg 17/05/19 20:23:36 ID:wWCfD3C2 [22/26] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

父「ごめんな、ナックラー……」

ナックラー「お父さん! お母さん! どこに行くの!?」

母「ナックラー、強く生きるのよ……私達の代わりに頑張ってね……」

ナックラー「ねぇ! 訳がわからないよ!! どこに行くのって聞いてるのに!!」


父「じゃあな、ナックラー……これは手切れ金だ……」


父は財布からお札を何枚か取り出して乱暴に投げた……



宙を舞うお札の向こう側に見えた両親の顔は……もはや、ナックラーの知っているポケモンではなかった……



母「それじゃ、後はよろしくね」


ナックラー「なんなの!? 一体なんなのさ!!」


ナックラーの知らない両親はドアの向こう側に消えた……
 ▼ 37 1◆v1GnTfaqxg 17/05/19 20:30:18 ID:wWCfD3C2 [23/26] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

フライゴン「その後、すぐにわかった……両親はとんでもない借金を作っていたんだ……そして、その返済を全部俺に押し付けて逃げたんだ……」


アシレーヌ「……」


フライゴン「それから俺は……中学生になると同時に年をごまかしてアルバイトをして、必死に借金を返済しようとした……」

フライゴン「でも、どれだけがんばっても……どんどん借金は膨れていくばかり……」


フライゴン「学校にもまともに行けなかったせいで、今年で二十歳なのに就職も出来なくて……嫌になって……」

フライゴン「何度も何度も死のうと思った……様々な方法を試そうとしたんだけど……どれも、ギリギリのところで怖くなって踏みとどまって……さっきもその帰りだったんだ……」


ガオガエン「……自殺帰りだったのか」
 ▼ 38 1◆v1GnTfaqxg 17/05/19 20:36:09 ID:wWCfD3C2 [24/26] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


フライゴンの目から涙がこぼれ落ちた……


フライゴン「俺は悔しくて……死ねたら楽になるってわかってるのに……意気地がないばっかりに……俺は……俺は……」


アシレーヌ「意気地なしなんかじゃないわ……」


アシレーヌがフライゴンを優しく抱きしめた……


アシレーヌ「それは、まだあなたが生きたいって思ってるから踏みとどまれるの。そう思えるならあなたは大丈夫……」


フライゴンは必死に涙を止めようとしたが……その涙は止めようとすると、更に溢れ出した……


ガオガエン「辛かったんだな……泣きたいだけ泣けばいい……でも、夜には泣き止んでくれよ? 近所迷惑だからな」


ジュナイパー「……」

ジュナイパーは読み終えた小説を本棚に突っ込むと、その隣の小説を取り出した。

 ▼ 39 1◆v1GnTfaqxg 17/05/19 20:37:48 ID:wWCfD3C2 [25/26] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告





平日の昼間、町の片隅の一軒の家からフライゴンの泣き声が響く……



それは、これからのフライゴンと三匹との生活の始まりを告げる泣き声である……




続く
 ▼ 40 1◆v1GnTfaqxg 17/05/19 20:39:28 ID:wWCfD3C2 [26/26] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
第一話おしまい

久しぶりなので指が動きませんが、いつも通り、1日一話を目標に更新していけたら……と、考えております。


では
 ▼ 41 ガニウム@ローラースケート 17/05/19 21:00:36 ID:ZtSor1lc NGネーム登録 NGID登録 報告
支援!
 ▼ 42 ャロップ@すくすくこやし 17/05/19 21:49:34 ID:S41Xh9Y. NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ふりゃ頑張れ
支援
 ▼ 43 リミアン@ゴーストジュエル 17/05/19 22:38:27 ID:LLOb7iC. NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
あんただったか
支援
 ▼ 44 ムパルド@パワーバンド 17/05/19 23:18:24 ID:E7lyvtJs NGネーム登録 NGID登録 報告
泣いた
支援
 ▼ 45 ナバァ@ピカチュウZ 17/05/20 02:19:13 ID:Cbw7aqKc NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 46 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 06:03:31 ID:KC8x1P8c [1/65] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


次の日の朝……



フライゴンは一匹町中を歩いていた……


フライゴン「俺は……まだ生きたいのか……」



フライゴンは昨日の事を思い出していた……


 ▼ 47 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 06:07:02 ID:KC8x1P8c [2/65] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告



昨日の夜……

三匹の家の玄関にて……


ガオガエン「帰るのか?」


フライゴン「うん、あまり迷惑かける訳にはいかないから」


アシレーヌ「また、遊びに来てね」


フライゴンはその言葉に少し戸惑った……


フライゴン「また来ても……いいのか?」


アシレーヌ「もちろんよ!」


アシレーヌは優しく笑った。


ジュナイパー「……」
 ▼ 48 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 06:11:19 ID:KC8x1P8c [3/65] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

ガオガエン「……おい」


フライゴン「?」


ガオガエン「お前……もし良かったら明日、話がある」


フライゴン「話?」


ガオガエン「いや、提案と言うか……ともかく、良かったら明日また、ここに来てくれ……」


フライゴン「……」


ガオガエン「来たくなけりゃ来なくてもいい……ただ、ちょっと提案があるだけだからな」


フライゴン「……わかった」

 ▼ 49 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 06:13:43 ID:KC8x1P8c [4/65] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


ガオガエン「それじゃ、気をつけて帰れよ」


フライゴン「……うん」


フライゴンはガラス戸を開けて、薄暗い夜道へと踏み出した。


アシレーヌ「じゃあね! また来てね!」


ジュナイパー「……」




 ▼ 50 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 06:17:26 ID:KC8x1P8c [5/65] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告







気が付くと……フライゴンの目の前にはあの木造の家……


フライゴン「……なんだかんだで来てしまった……」


フライゴンは呼び鈴の前に立ち、呼び鈴を押そうとした……


しかし、呼び鈴に指を当てた所でフライゴンの指が止まった……



フライゴン「……いいのか? そんなに甘えてばかりで……」

 ▼ 51 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 06:21:45 ID:KC8x1P8c [6/65] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告






だって、あのポケモン達とは昨日会ったばかりだし……


また来てね……とは言っていたけど、やっぱり迷惑だろうな……


そもそも俺は……少し優しくしてもらったからって調子にのってるんじゃないのか?



わかってる……俺の住む世界とあの三匹が住む世界は……違うんだ……






 ▼ 52 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 06:29:03 ID:KC8x1P8c [7/65] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

フライゴンは俯き、しばらく考えていたが……やがて、その場を後にしようと歩き出した……


その時、背後から声がした。


ガオガエン「おっ! 来たか!」


フライゴン「あ……えと……」


ガオガエン「まぁあがってけ!」


フライゴン「え……」


ガオガエンがフライゴンの腕を引っ張り、家の中へと強引に連れて行った……




そんなフライゴンとガオガエンを遠くの電信柱の後ろから二匹のポケモンがみていた……


ザングース「あいつ、こんなぼろっちい家に何の用や?」

ズルズキン「さぁ……」
 ▼ 53 シギソウ@グラスメモリ 17/05/20 06:30:43 ID:RX17OUj. NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
面白い
 ▼ 54 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 06:32:13 ID:KC8x1P8c [8/65] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


あの畳敷きの部屋にはやはり、美しいアシレーヌと呼ばれたポケモンと、老いた根暗そうなジュナイパーと呼ばれたポケモンがいた。


アシレーヌ「あっ! 来てくれたのね!」


フライゴン「えっと……はい……」


ジュナイパー「……」


ジュナイパーは一瞬フライゴンをチラッと見たが……すぐに小説に目を戻した。


 ▼ 55 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 06:36:45 ID:KC8x1P8c [9/65] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


ガオガエン「まぁ、コタツにでも入れよ」


フライゴンがアシレーヌの隣に座ると、ガオガエンがフライゴンの向かいに座った。


ガオガエン「今日はお前に話があるって言ったな……」


フライゴン「あ……うん」


ガオガエン「お前……俺達の仲間にならないか?」


フライゴン「な、仲間? 何の話だ?」


ガオガエン「何だっていいだろ? それよりさっさと入会テストするぞ! 黙って俺の質問に答えろ!」


フライゴン「え、あ……はい……」


ガオガエンはフライゴンに顔をぬっと近づけた。


ガオガエン「お前には……夢ってあるか?」
 ▼ 56 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 06:38:04 ID:KC8x1P8c [10/65] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告









第二話  俺と三匹、謎のサークル









 ▼ 57 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 06:41:37 ID:KC8x1P8c [11/65] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

フライゴン「夢……?」


ガオガエン「そうだ」


フライゴン「夢……昔はあったけど、今はそんな事考えてる余裕も無いし……」


ガオガエン「昔はあった?」


フライゴン「うん……」


ガオガエン「諦めたのか?」


フライゴン「まぁ……子どもの頃の夢だから……」


ガオガエンはその言葉を聞くとニヤっと笑った。


ガオガエン「入会テスト、合格だ」

 ▼ 58 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 06:47:15 ID:KC8x1P8c [12/65] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

フライゴン「は?」


アシレーヌ「おめでとう!」


ジュナイパー「……」


フライゴン「ちょ、ちょっと待ってくれよ……そもそも何に入会するんだよ……」


ガオガエン「ああ、まだ話してなかったか……俺達三匹はな、『夢を諦めた者の会』の仲間なんだ」


フライゴン「夢を……諦めた?」


ガオガエン「俺達はお前と同じなんだ。絶望したり……後悔したり……そうして生きるのが嫌になって夢を捨てた……そんな奴らの集まりなんだよ」


ジュナイパー「……」

 ▼ 59 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 06:50:29 ID:KC8x1P8c [13/65] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

フライゴン「何か活動とかしてるのか?」


ガオガエン「活動? みんなで集まってここで暮らしてるだけだ」


アシレーヌ「それだけでなんだか楽しくてね!」


ジュナイパー「……」


フライゴン「なんだよ……それ……」


ガオガエンは呆れた顔をしたフライゴンの肩をやや強めに叩いた。


ガオガエン「昨日のお前の話を聞いて思ったんだよ。お前に今、一番必要なのは居場所だって」


フライゴン「居場所……?」
 ▼ 60 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 06:55:27 ID:KC8x1P8c [14/65] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

ガオガエン「そうだ。今、お前には……借金を返すための金とか色々必要なんだろうが、その中でも一番必要なのが居場所だ」


フライゴン「……」


ガオガエン「居場所があれば誰だって頑張れるんだ。例え死にたいって思ったとしても……仲間がいるなら……だから、俺達がお前の居場所を作ってやりたいって思ってな!」



そう言って豪快に笑うガオガエンのその笑顔は……なんだか懐かしく、そして頼もしかった。



アシレーヌ「今日からここがあなたの居場所よ! いつでも来ていいし……泊まっていってもいいわよ!」


ジュナイパー「……」

 ▼ 61 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 06:58:00 ID:KC8x1P8c [15/65] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告





なぜ、このポケモン達は昨日会ったばかりの……しかも、石をぶつけた自分に優しくしてくれるのだろう……



なんで……こんなに胸が苦しいんだろう……



どうして……涙が止まらないんだろう……






 ▼ 62 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 07:00:43 ID:KC8x1P8c [16/65] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

ガオガエン「おいおい……泣くなよ」


アシレーヌはハンカチでフライゴンの涙を拭いてくれた。


アシレーヌ「ほらほら泣かないの! オスなんだから!」


ジュナイパー「……」


フライゴンは顔を上げ、震える声で尋ねた……


フライゴン「俺は……本当にここにいていいのか?」


ガオガエンは溜め息をひとつつくと、笑って返した。


ガオガエン「いいんだよ」
 ▼ 63 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 07:03:02 ID:KC8x1P8c [17/65] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


フライゴン「迷惑じゃないのか……?」


アシレーヌ「別に迷惑なんかじゃないわよ」


ガオガエン「ま、とりあえず今はもう少し俺達と生きてみろ。死ぬのはそれからでも遅くないからな……」


フライゴンは涙を拭った。


フライゴン「……わかった。もう少し頑張ってみるよ」


アシレーヌ「そのいきよ!」


ジュナイパー「……」

 ▼ 64 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 07:08:20 ID:KC8x1P8c [18/65] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


その頃、家の外では……


塀の向こうからザングースとズルズキンが背伸びをしてフライゴン達のやり取りを覗き見していた……


ザングース「何を話しとんのか……よく聞こえんな……」


ズルズキン「もう少し様子を見た方がいいっすかね、兄貴ぃ」


ザングース「せやな」


その時、ザングースの腹が鳴った……


ぐうううううう……


ザングース「っと、その前に……少し腹が減ったからわいは腹ごしらえしてくるわ。お前は引き続きフライゴンを見といてくれ」


ズルズキン「へい、兄貴ぃ!」


ザングースは腹をさすりながらふらふらとどこかへ歩いて行った……
 ▼ 65 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 07:10:56 ID:KC8x1P8c [19/65] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


再び家の中……


ガオガエン「そう言えばお前、名前は何て言うんだ?」


フライゴン「俺はフライゴンって言うんだ」


ガオガエン「そうか! 俺はガオガエンだ! よろしくな!」


アシレーヌ「私はアシレーヌ! そこで本を読んでるのがジュナイパーよ!」


ジュナイパーはフライゴンをチラッと見たが……すぐに目をそらした。


ジュナイパー「……」

 ▼ 66 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 07:17:25 ID:KC8x1P8c [20/65] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

ガオガエン「それより暇だな……せっかく四匹もいるんだから何かしないか?」


アシレーヌ「いいけど……何するの?」


ガオガエン「えーっと……あれだ、トランプはどうだ?」


アシレーヌ「トランプはこの間ガオガエンがババ抜きで負けた時に怒って燃やしちゃったじゃない」


フライゴン「っ!?(も、燃やした!?)」


ジュナイパー「……」

 ▼ 67 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 07:20:39 ID:KC8x1P8c [21/65] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

ガオガエン「あー……そうだったっけ……じゃあ……あれだ! 麻雀!」


フライゴン「あ、あの……俺、麻雀やり方わからないんだけど……」


アシレーヌ「わからないんじゃ仕方ないわね……あっ! そう言えば……」


アシレーヌは隣の部屋に這っていくと……箱を持ってきた。


アシレーヌ「これはどう? 人生ゲーム!」


ガオガエン「お! 久しぶりにやるか!」


ジュナイパー「……」


フライゴン「それならなんとか……」


アシレーヌ「じゃあ決まりね! 準備するわよ!」

 ▼ 68 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 07:24:20 ID:KC8x1P8c [22/65] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


アシレーヌは箱を開けると手際よく準備を始めた……


大きなボードをコタツの上に広げ、お金をジュナイパーに渡した。


アシレーヌ「はい、あなた銀行役お願いね!」


ジュナイパー「……」


ジュナイパーはお金を受け取ると静かに頷いた……


ジュナイパーはお札をそれぞれに数枚ずつ渡した。


フライゴン「(おもちゃにしちゃ良くできてるんだな……これ)」
 ▼ 69 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 07:29:46 ID:KC8x1P8c [23/65] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

ガオガエン「がぁーっ! 遅いぞ! さっさと準備しろ!」


ガオガエンは先程から待ちきれずにルーレットをギュルギュル回している……


アシレーヌ「ほんと、あなたはせっかちね……はい、お待たせ! 準備完了よ!」


ガオガエン「よし! 俺からでいいか?」


アシレーヌ「はいはい、お好きにどうぞ」


フライゴン「(って言うか……なんで俺、こんな事してるんだろう……)」

 ▼ 70 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 07:35:02 ID:KC8x1P8c [24/65] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

ガオガエン「よしっ! それじゃあ行くぞ!」


ガオガエンは勢い良くルーレットを回した……

ルーレットは激しい音をたてて回転し……やがて、勢いが落ちるとゆっくりと止まった……


ガオガエン「はぁ!? いきなり1だとぉ!?」


アシレーヌ「文句言わないの! それで? 何のマスだった?」


ガオガエン「えっと……エンジントラブル、二千円払うだと!?」


フライゴン「ぷふっ」


フライゴンは思わず吹き出した。
 ▼ 71 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 07:38:38 ID:KC8x1P8c [25/65] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

ガオガエン「おい! 何笑ってんだよ!」


アシレーヌ「あっ……もしかしてあなた、初めて私達の前で笑ったんじゃない?」


フライゴン「あ……」


フライゴンは少し恥ずかしそうに目をそらした……


ガオガエン「いいじゃねぇか。笑えるって事は、まだお前には希望があるって事だからな!」


フライゴン「希望……?」


ガオガエン「お前はまだ大丈夫って事だよ」


フライゴン「……」

 ▼ 72 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 07:43:47 ID:KC8x1P8c [26/65] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

そんな話をしているうちにもゲームは進んでいく……



アシレーヌ「えっと……1、2、3……趣味で書いていた小説が大ヒット、二万円貰うですって、 やった!」


ジュナイパー「……」


ジュナイパーはアシレーヌにお札を渡した。


ガオガエン「……ちっ」


ガオガエンがアシレーヌを睨みつけた……


アシレーヌ「今回も私が勝たせて貰っからね!」





 ▼ 73 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 07:46:06 ID:KC8x1P8c [27/65] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告





ガオガエン「えっと……また子どもが産まれただと!? しかも双子!? これで十三匹目だぞ!?」


アシレーヌ「ほんと、お盛んねぇ……ガオガエン」


ガオガエン「う、うるさいぞ! アシレーヌ!」


ジュナイパー「……」


 ▼ 74 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 07:48:10 ID:KC8x1P8c [28/65] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告





フライゴン「えっと……たまたま買った宝くじが大当たり……二十万円貰う!?」


アシレーヌ「よかったわね! 一気にお金持ちじゃない!」


ガオガエン「ちっ……」


ガオガエンがフライゴンを横目で睨みつけた……


フライゴン「(ひ、ひぇっ!?)」


ジュナイパー「……」




 ▼ 75 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 07:50:17 ID:KC8x1P8c [29/65] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告





アシレーヌ「そう言えばジュナイパー、あなた結婚しないの?」


ジュナイパー「……」


ガオガエン「お前の車、一匹しか乗ってねぇのか……俺のなんかもう乗り込めないから分けてやりたい位だな……」


ジュナイパー「……」




 ▼ 76 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 07:55:28 ID:KC8x1P8c [30/65] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


そうして二時間後……



フライゴン「か、勝った……」


アシレーヌ「あと少しだったのに……まぁいいわ! おめでとう!」


ジュナイパー「……」


ガオガエン「ぐ……また最下位だと……」


ガオガエンは歯を食いしばり、怒りに打ち震えている……


フライゴン「(うっ……ど、どうしよう……勝たなきゃよかった……)」


 ▼ 77 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 07:58:50 ID:KC8x1P8c [31/65] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

ガオガエンの口がゆっくりと開いた……


口からは炎が漏れている!


フライゴン「げっ!?」


アシレーヌ「あっ!!」


ジュナイパー「……」


ガオガエン「があぁ! もう我慢ならねぇ!! 全部燃やしてやる!!」


アシレーヌはガオガエンを後ろから羽交い締めにした。

アシレーヌ「ふ、フライゴン君! ガオガエンを止めて!!」

フライゴン「と、止めろって言ったって……」



ジュナイパー「……」

ジュナイパーは小説を読み始めた……
 ▼ 78 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 08:03:38 ID:KC8x1P8c [32/65] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


そんなやりとりを塀の向こうからズルズキンが覗いていた……


ズルズキン「……フライゴン、一体何をやってるんすかねぇ……」


そこにザングースが大きく膨れた腹をさすりながら帰ってきた。


ザングース「はぁー食った食った! ところでフライゴンはどうなった?」


ズルズキン「それが……人生ゲームをやっていたみたいっす」

ザングース「はぁ!?」


ザングースが塀の向こうを覗くと……コタツの上に人生ゲームのボードが見えた。


ザングース「なぁっ!? あ、あいつ……金の相談しとるかと思えば……よし、突撃や!!」


ズルズキン「へ、へい!!」

 ▼ 79 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 08:08:13 ID:KC8x1P8c [33/65] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

ガオガエン「イカサマだ!! 絶対イカサマだ!!」


アシレーヌ「だから違うってば!!」


ジュナイパー「……」


彼らがもめていた……その時、呼び鈴が鳴った……



ピンポーン……ピンポーン……ピピピピピピピンポーン



フライゴンの顔から血の気が引いた……


フライゴン「!?(この呼び鈴の鳴らし方……まさか!?)」


フライゴンはコタツの中に頭を突っ込んで震えだした……


アシレーヌ「? 何してるの?」

 ▼ 80 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 08:12:52 ID:KC8x1P8c [34/65] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


ガオガエン「あぁ? 誰だぁ? うるさいな……」


ガオガエンはイライラしながらも玄関まで歩き、ガラス戸を開けた……


ガラス戸が開いた瞬間、ザングースとズルズキンが家にズカズカと入ってきて、コタツに隠れているフライゴンの尻を蹴飛ばした。


ガスッ!


ザングース「おいごらぁ!! いつまで逃げ続けとんじゃあ!!」

ズルズキン「逃げ続けとんじゃー」


フライゴン「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!」


アシレーヌ「何なの!? あなた達は!」


ガオガエン「呼び鈴は一回だけで聞こえてるから連打するな!」


ジュナイパー「……」
 ▼ 81 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 08:17:08 ID:KC8x1P8c [35/65] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


フライゴン「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!」


ザングース「はよぉ払うもん払えやぁ!!」


再びフライゴンを蹴り飛ばそうとしたザングースの肩をガオガエンが掴んだ。


ザングース「っ! なんやお前は!!」


ガオガエン「聞いてたか? 呼び鈴は一回だけで聞こえてるから連打するな」


ザングース「聞いとるわ! ボケじじい!! わいはお前じゃのうてフライゴンに話があるんじゃ!!」

ズルズキン「あるんじゃー」
 ▼ 82 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 08:20:01 ID:KC8x1P8c [36/65] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

ガオガエン「もしかして……借金の話か?」


ザングース「わかっとるやないか! こいつはわいらに三百万の借金しとんのじゃ!!」

ズルズキン「しとんのじゃー」


ガオガエン「ほぉ……思ったよりは……てっきりもっとすごい借金かと……」


ガオガエンは隣の部屋まで歩いて行って……すぐに帰ってきた。


ガオガエン「もってけ」


ガオガエンの手には札束が握られていた。

 ▼ 83 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 08:23:52 ID:KC8x1P8c [37/65] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

ザングース「は?……じ、じじいお前……肩代わりすんのか?」


ガオガエン「ああ、こいつは俺達の仲間だからな」


フライゴンはまだ、コタツに頭を突っ込んでガタガタと震えている……


ザングースは札束を受け取るとズルズキンに手渡した。


ザングース「一応数えろ」


ズルズキン「へ、へい! 兄貴ぃ!」


ズルズキンは慣れた手付きでお札を数え始めた……
 ▼ 84 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 08:28:57 ID:KC8x1P8c [38/65] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

ザングース「後悔せぇへんのやな? じいさん……こいつは借金を返さずに逃げ出したクズの息子やで?」


ガオガエンがザングースを睨んだ……


ガオガエン「クズはお前らだろうが!! 何年も何年も! しかも子どもから搾取しやがって!!」


ザングース「ああ? こいつはもうええ年したおっさんやろがぁ!?」


ガオガエン「今の話してねぇよ!! お前らのせいでこいつの青春はメチャクチャになったんだよ!!」


ザングース「そんなもん知るか!!」


ガオガエン「知るかだとぉ!?」

 ▼ 85 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 08:32:10 ID:KC8x1P8c [39/65] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

アシレーヌ「はいはい! 喧嘩はそこまで! ほら、お茶入れたから飲んで飲んで!」


アシレーヌが湯飲みを二匹に渡した。


ガオガエン「ん……」

ザングース「おう、ねぇちゃん気が利くやないか……」


二匹はお茶を飲もうとしたが……


ガオガエン&ザングース「あっつ!!!!!」


アシレーヌ「あら? まだ熱かったかしら……」


ガオガエン「熱いって言うか……」

ザングース「猫舌なだけや!!」


アシレーヌ「あら、そうなの? ごめんなさい……」
 ▼ 86 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 08:37:15 ID:KC8x1P8c [40/65] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

ズルズキン「あ、兄貴ぃ!」


ザングース「なんやな……あちち……」


ズルズキン「全部で二百五十万しかないっす!!」


ザングース「ああん!? 五十万もたらへんがな! じじい!!」


ガオガエン「バレたか……」


ザングース「バレたかとちゃうわ! はよ残りの五十万もってこいやぁ!!」

ズルズキン「もってこいやー」


ガオガエンは溜め息をつくと、人生ゲームで使っていたお札をまとめてザングースに差し出した。


ガオガエン「ほら、これで多分五十万はある。釣りはいらねぇからさっさと出てけ」



 ▼ 87 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 08:41:26 ID:KC8x1P8c [41/65] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

ザングース「はぁ!? なんでおもちゃの札束貰わなあかんねや!!」

ズルズキン「で、でも兄貴ぃ……これ、本物っぽいっすよ?」


ザングース「ん?」


ザングースは札束を受け取りよく観察したが……見れば見るほど本物そっくりだ……


ガオガエン「そいつは本物だ。安心しろ」


アシレーヌ「この前ガオガエンが負けた時におもちゃのお札を全部燃やしちゃってね……仕方ないから本物で代用してたの!」


ザングース「そ、そんなアホな……」
 ▼ 88 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 08:46:31 ID:KC8x1P8c [42/65] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

ズルズキン「燃やすって……どんだけ短気なんすか……」


ガオガエン「そうだ……俺は短気だ……だから今、俺がどれだけイライラしているか……わかるよなぁ?」


ザングース「は?」

ズルズキン「へ?」


ガオガエンはザングースとズルズキンの首を掴んで縁側から塀の向こうへぶん投げた!


ザングース&ズルズキン「ぎゃああああ!?」


ガオガエン「二度と来るなよー!……ふぅ、頭が痛い……」

 ▼ 89 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 08:49:26 ID:KC8x1P8c [43/65] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

アシレーヌ「ほら、フライゴン君! もう大丈夫よ!」


アシレーヌがコタツからフライゴンを引っ張り出した。


フライゴン「だ、大丈夫って言うより……借金を肩代わりしてくれたのか?」


ガオガエン「気にするな! 貯金はそこそこあるからな!」


アシレーヌ「ガオガエンは若い頃にラーメン屋で一発当ててるからお金の心配はないわよ!」


ジュナイパー「……」
 ▼ 90 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 08:56:45 ID:KC8x1P8c [44/65] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

フライゴン「だ、だからってそんな……お金まで払って貰うなんて……」


申し訳無さそうにしょげるフライゴンの頭にガオガエンが大きな手を乗せた。


ガオガエン「俺達の一生ってのは……ゲームみたいなもんなんだよ」


フライゴン「へ? げ、ゲーム?」


ガオガエン「そうだ、さっきの人生ゲームと同じだ。お前は今日、たまたまラッキーマスに止まった。だから借金がチャラになった。ただ、それだけの話じゃねぇか」


フライゴン「……」


ガオガエン「今日みたいな日があれば……悪い事が起こる日もある。明日がどんな日になるかなんて誰も知らねぇけど、とりあえず今日はラッキーマスに止まったと思っておけ」


フライゴン「で、でも……」


ガオガエン「あー! もう!! 貰える物は黙って貰っとけ!! さっき勝った賞金って事で!! はい! この話はもう終わりな!! じゃあ次、何する?」


アシレーヌ「何しよっか……」
 ▼ 91 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 08:59:46 ID:KC8x1P8c [45/65] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


ガオガエンとアシレーヌは腕を組んで考え始めた……


フライゴン「(この三匹は……なんでたまたま出会った俺にこんなに優しく……)」



ガオガエン「あ、ファミコンやるか?」


アシレーヌ「ファミコンはこの間あなたがコントローラー握りつぶしちゃったじゃない!」


ガオガエン「あれ? そうだったか?」


ジュナイパー「……」


フライゴン「(いや、優しいけど、それ以前にすごく怖い……)」

 ▼ 92 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 09:02:55 ID:KC8x1P8c [46/65] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告




こうして、なんだかんだで俺の借金はあっさり返済されてしまった……



ずっとずっと俺を苦しめていたはずのその枷は……そんな一言二言のやり取りで綺麗さっぱり消えてしまった。



そして、俺は……少しずつだけど、このポケモン達と一緒にいる事が楽しくなってきていた……




 ▼ 93 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 09:07:03 ID:KC8x1P8c [47/65] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


その頃、家の外では……


ザングースが腰をさすりながら立ち上がった。


ザングース「いてて……なんや? あの怪力じいさんは……」


ズルズキン「でも兄貴ぃ、お金もキッチリ返ってきてよかったっすね! これでボスに怒られずにすむっす!」


ザングースは大きく伸びをした……


ザングース「んー……ま、そやな……それはそうと……」


ザングースは塀をよじ登って家の中を覗いた……


ザングース「……」


フライゴンは三匹と一緒に何かボードゲームの様な物で遊んでいる……
 ▼ 94 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 09:11:11 ID:KC8x1P8c [48/65] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


ズルズキン「フライゴンが気になるんすか? 兄貴ぃ」


ザングースはしばらくフライゴンを見つめていたが……


ザングース「……いや、別に」

ザングースは塀から飛び降りた。


ズルズキン「それはそうと兄貴、この札束全部合わせ手四百万はあるっすよ!」

ザングース「釣りはいらんって言ってたからもろとこか! そんじゃ、その金で今からええ飯食べにいくで!!」


ズルズキン「マジっすか!」


ザングース「おう、ほないくで!!」


ズルズキン「へい! 兄貴ぃ!」

 ▼ 95 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 09:14:55 ID:KC8x1P8c [49/65] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


二匹が歩き出そうとしたその時、二匹の背後から近づく二つの影が……


ザングース「っ!……なんや、懐かしいな……今更何の用や?」


?「お久しぶりですね……ザングースさん……」

??「本当、何年ぶりかしら?」


ズルズキン「兄貴ぃ……知り合いっすか?」


ザングースはその二匹を睨んだ……



ザングース「まぁな」



続く
 ▼ 96 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 09:15:59 ID:KC8x1P8c [50/65] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
第二話おしまい

早起きして先に更新しましたが……余裕があったら夜に続き書きます。

では
 ▼ 97 トベター@ふしぎなきのみ 17/05/20 13:14:54 ID:s9NdOt6k NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 98 ッサム@フライングメモリ 17/05/20 13:28:33 ID:2rSkmAuQ NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 99 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 20:41:49 ID:KC8x1P8c [51/65] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


ふぁぁ……


朝の日差しがフライゴンの顔を照らす……


フライゴン「……ん」


フライゴンはくしゃくしゃの布団の上で目覚めた。


フライゴン「……もう朝か……」


その時、強い風が吹いて、玄関のドアが大きな音をたてた……


ガタッ! ガタガタッ!!


フライゴン「!!」


反射的にフライゴンは布団をかぶった……
 ▼ 100 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 20:48:21 ID:KC8x1P8c [52/65] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

しばらくフライゴンは震えていたが……やがて、その震えも収まっていった……


フライゴン「あ……そうだ……もう借金は……」


フライゴンは布団をどけると立ち上がり、窓を開けた……


窓から顔を出すと、眩しい朝の日差しがフライゴンの顔を照らし……そして、爽やかな風が部屋に吹き込んだ。


フライゴン「(そう言えば、窓を開けて外を眺めたのは一体何年ぶりだろう……)」
 ▼ 101 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 20:53:00 ID:KC8x1P8c [53/65] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告



これまでずっと見ていたのは、窓越しに眺める四角く切り取られた世界……



それはまるで、昨日までの自分……



区切られた場所に閉じ込められて……その中をさまよう事しか出来なかった……



しかし今、自分は……その窓から身を乗り出して、その窓の向こう側の世界を眺めている……



普通のポケモンには当たり前の事でも……そんな事がフライゴンに安らぎと開放感を与えていた……



 ▼ 102 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 20:57:47 ID:KC8x1P8c [54/65] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

そして、目の前に広がる町々は、まるでフライゴンのこれからの未来を応援しているかの様に、キラキラと輝いて見えた……


フライゴン「これから俺……やり直せるかな……」


フライゴンはそう呟くと、ふと部屋を眺めた。



くしゃくしゃの布団の周りには空き缶やら雑誌やら……ゴミが山の様に溢れている……



フライゴンは大きく溜め息をついた。


フライゴン「やり直す前に……掃除でもするかな……」
 ▼ 103 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 21:03:38 ID:KC8x1P8c [55/65] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

その時、呼び鈴が鳴った。


ピンポーン……


フライゴン「?」


フライゴンは床のゴミを避けながら玄関まで歩いて……ドアを開けた……


ドアの向こう側にいたのは……


ガオガエン「よっ!」

アシレーヌ「おはよ、フライゴン君!」

ジュナイパー「……」



フライゴンは無言で勢いよくドアを閉めた。

 ▼ 104 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 21:04:14 ID:KC8x1P8c [56/65] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告










第三話  ありがた迷惑、あの三匹








 ▼ 105 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 21:14:35 ID:KC8x1P8c [57/65] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ガン! ガンガン!!


ガオガエンがドアを蹴り飛ばしているようだ……

続いてドアの向こう側から怒鳴り声が聞こえる……


ガオガエン「おい! 開けろ!! 遊びに来てやったんだぞ!!」

アシレーヌ「やめて! ガオガエン!! ドアが壊れちゃう!!」


フライゴンはドアチェーンを掛けてからドアを少し開けた。


フライゴン「な、なんで俺の家がわかったんだよぉ……」


ガオガエン「昨日、お前が帰った時にジュナイパーにお前の追跡を頼んだんだよ」

アシレーヌ「そしたらこのアパートに住んでるって聞いたから……たまにはフライゴン君の家に遊びに行こうって話になってね」

ジュナイパー「……」


ジュナイパーは立ったまま小説を読んでいる……


フライゴン「(……このじいさんに後をつけられてたのか……全然気づかなかった……)」
 ▼ 106 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 21:19:57 ID:KC8x1P8c [58/65] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

ガオガエンが力強くドアノブを引っ張った。


ガオガエン「とりあえず開けろ!! 話はそれからだ!!」

フライゴン「うぐぐ……」


フライゴンもドアを閉めようとドアノブを引っ張りながら、部屋をチラッと見た……


やっぱり部屋はゴミだらけ……客をあげる場所などどこにも無い……


フライゴン「ちょっと部屋が汚いから……」

ガオガエン「構わねぇよ!!」

フライゴン「ご、ごめんなさいっ!!」


バタン!!


フライゴンは勢い良くドアを閉めた。


 ▼ 107 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 21:23:36 ID:KC8x1P8c [59/65] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

フライゴン「はぁ……はぁ……さ、さすがにこんな部屋、見せられないな……」


フライゴンはそのまま床に座り込んだ……


その時、どこからか地響きの様な音が……


ゴオオオオオオオオオオオ……


フライゴン「ん? 何の音だ?」


ドアの向こうからアシレーヌの叫び声が聞こえた。 

アシレーヌ「フライゴン君! 開けて!! このままじゃアパートが灰になっちゃう!!」

ガオガエン「だぁーっ!! 我慢ならねぇ!! 全部燃やしてやる!!」


フライゴン「もーっ! なんだってんだよぉ!!」


フライゴンは渋々ドアを開けた……
 ▼ 108 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 21:27:33 ID:KC8x1P8c [60/65] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

フライゴンの家に上がった三匹の前に広がっていたのは……足の踏み場の無いほどにゴミの溢れた部屋……


ガオガエン「うわっ! きったねぇな!!」

アシレーヌ「あらあら……」

ジュナイパー「……」


フライゴン「部屋が汚いからって言っただろ……」


ガオガエンは首を鳴らした。


ガオガエン「仕方ない、俺達が掃除を手伝ってやるよ」

 ▼ 109 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 21:31:14 ID:KC8x1P8c [61/65] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

フライゴン「え? い、いや……別に一匹で……」


アシレーヌ「遠慮しないでよ!」


ジュナイパー「……」


フライゴン「え、遠慮なんて……」


ガオガエン「おいジュナイパー、ゴミ袋とか買ってきてくれ」


ガオガエンは財布をジュナイパーに渡した。


ジュナイパー「……」


ジュナイパーは頷くと部屋から出て行った……


フライゴン「(うぅ……もう逃げられない……)」

 ▼ 110 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 21:36:35 ID:KC8x1P8c [62/65] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告



ガオガエン「なんか面白い物ねぇかな……」


ガオガエンとアシレーヌはゴミの山を漁り始めた……


フライゴン「や、やめてくれ……あまりその辺を触らないでくれよ……」


ガオガエン「ん? これは漢字テスト……20点じゃねぇか!」

アシレーヌ「あら、本当?」


フライゴン「だ、だからやめてくれよぉ……うぅ……」
 ▼ 111 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 21:40:14 ID:KC8x1P8c [63/65] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告



アシレーヌがゴミの山からトランプを見つけ出した。


アシレーヌ「あっ! トランプあるじゃない! ジュナイパーが帰ってくるまでババ抜きでもしない?」


ガオガエン「お、いいじゃねぇか!」


フライゴン「……(あまりやりたくないな……)」


三匹はゴミだらけの部屋の真ん中に輪になって座った。
 ▼ 112 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 21:43:48 ID:KC8x1P8c [64/65] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


アシレーヌがトランプをシャッフルしてそれぞれに配る。


ガオガエン「にしても、本当に汚いな……よくこんな部屋で暮らせるよな」


ガオガエンは揃ったカードをまとめて真ん中に捨てた。


フライゴン「別に気にしてないからさ……この部屋にも慣れてたし……」


フライゴンはガオガエンからカードを引くと、揃ったカードを真ん中に捨てる……


アシレーヌ「だけど、こんな部屋じゃお友達や彼女さんとか連れてこれないじゃない」


アシレーヌがフライゴンからカードを引いて……揃ったカードを捨てた。
 ▼ 113 1◆v1GnTfaqxg 17/05/20 21:50:24 ID:KC8x1P8c [65/65] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

フライゴン「友達も彼女もいないから……」


ガオガエン「俺はお前の友達のつもりだったんだけど」


フライゴン「!」


ガオガエンがアシレーヌからカードを引いて……シャッフルした。


フライゴンはガオガエンからカードを引くと……揃ったカードを捨て、フライゴンの手持ちのカードは無くなった。


アシレーヌ「じゃあ、私はフライゴン君の彼女になっちゃおうかしら……」


フライゴン「!?」


ガオガエン「おいおい……何言ってるんだよアシレーヌ……お前は……」


ガオガエンはアシレーヌからカードを引いて……揃ったカードを捨てた。


アシレーヌ「冗談よ! 冗談!」
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