▼  |  全表示82   | << 前100 | 次  |  履歴   |   スレを履歴ページに追加  | 個人設定 |   ▼   
                  スレ一覧                  
SS

【スワップSS】ヨノワール 「死神ってやつなんですよ、わたくし」

 ▼ 1 MDoGd06DxE 17/10/14 20:58:09 ID:L2RUIaN6 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
暗い。
ひっそりとした部屋には私しかいない。冷たい空気と孤独だけが私を囲んでいた。

誰も……いない。
このままずっと1人きりなのだろうか?
そうしたら私は……私はどうなってしまうのだろう?



「どうも、初めましてお嬢さん」

誰かの声で私は目を覚ました。
目を覚ました…? いや、最初から起きていたのかも知れない。ふわふわとした意識の中、周りを見る。

そこはいつもの寝室ではなかった。
ここはどこなのだろう?
どうして私はここにいるのだろう?

「あぁ、大丈夫ですよ。ここは安全な場所ですから」

再びかけられた声にびくりと肩を動かす。じわじわと背中に冷や汗を感じる。
そしてゆるりと振り返り、私に声をかけた主を見た。

「えっ……?」

思わず声が出る。だって


「その困惑、どうしてポケモンが話しているのか……そんなところでしょうか」

私の目の前のポケモンが落ち着いた様子で話している。
そう、ポケモンが話しているのである。

「やはり皆さん驚かれますからね……お約束、なんですよこのやり取り」

そうだろう。だってこんな大きくてお腹に口の付いたお化けみたいなポケモンが、さも当然のように人間の言葉を話しているんだから。


「まぁそれよりですね、貴女は残念ながら死んでしまった訳ですが……覚えてます? 生前のこと」
 ▼ 42 ◆zBLfAqPIVA 17/10/29 22:42:47 ID:9Ii0bKCo [1/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


ドゴォォォォォォォォンッッ……!!








────ブツンッ


 ▼ 43 レイハナ@きせきのみ 17/10/29 22:45:13 ID:oFBtV//s NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
悲しい…
 ▼ 44 ◆zBLfAqPIVA 17/10/29 23:00:22 ID:9Ii0bKCo [2/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
リエ「……」


白き、灰になる。

まるで廃人のように放心しきった彼女の姿が、そこにはあった。


──過去を振り返る映像は、ここで終わる。

つまりリエは、あの土石流に呑み込まれ死んでしまったということだ。



ただひたすら項垂れる彼女を見つめ、ヨノワールは低い声で呟く。

ヨノワール「そういえば……貴女に私の正体を教えていませんでしたな」






ヨノワール「死神ってやつなんですよ、わたくし」






ヨノワール「────彷徨う魂を正しき道へ導く。それが、我等死神の役目なのです」

全身を大袈裟に動かし、ミュージカル調に語りを進める。

ヨノワール「……ところで貴女、もしも生き返ることが出来るとしたら、どう思います?」


リエ「え……?」


ヨノワールの思わぬ言葉に、リエが重たい頭をもたげた。


ヨノワール「……フフ」
 ▼ 45 ◆zBLfAqPIVA 17/10/29 23:01:04 ID:9Ii0bKCo [3/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
本日はここまで。
 ▼ 46 ガラティアス@レンブのみ 17/10/29 23:32:59 ID:oyyxrrzY NGネーム登録 NGID登録 報告
好き 支援
 ▼ 47 1◆zBLfAqPIVA 17/11/01 01:14:12 ID:L5CuqnRA [1/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ヨノワール「我ら死神は魂の裁定者。貴女のような生死の境にいる中途半端な魂を、【虚無】に導くか【現世】に導くか────それを決めるのが私たちの役割なのです」


突如、饒舌に喋り始めたヨノワールの言葉に圧倒されつつも、リエは彼の話の理解に努めた。

しかし、分からないことが一つだけある。


リエ「虚無って……?」


ヨノワール「お嬢さん、この世にはね、天国も地獄もないのです。あらゆる魂は虚無に収束する。簡単に言えばそう──記憶も意識も感情何もかもが、いずれは完全消滅する運命なのです」


リエは思わず生唾を飲んでしまった。

確かに、天国や地獄というのは人間の作り出した妄想なのかもしれない。

だが、ここまで「何もない」と言われてしまうとは……。
 ▼ 48 ◆zBLfAqPIVA 17/11/01 01:15:24 ID:L5CuqnRA [2/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ヨノワール「【虚無】には行きたくないでしょう? 生き返りたいでしょう? 生きられるのなら生きておきたいと思えるのが、健全な心の証と言えますね」


ヨノワール「しかしながら、勿論のことですが無条件に生き返らせるというわけにはいきません」


ヨノワールはそう言うと、左の掌に、フワフワと浮遊する火の玉のような物体を出現させた。


──何故だろう、ドクンと心臓が跳ねる。

とても嫌な予感がする。

あの火の玉の正体を、私はもしかして知っている?



リエは不安を圧し殺しながら、ヨノワールの更なる言葉に集中した。



ヨノワール「例えば、生き返るために、あるポケモンの魂を犠牲にしなければならないと分かったら……貴女はどうしますでしょうか?」



リエ「……っ。そ、それってもしかして────」
 ▼ 49 ◆zBLfAqPIVA 17/11/01 01:18:19 ID:L5CuqnRA [3/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
────あるポケモンの魂。


その正体に関して、正直、ある予感だけは感じていた。

だが、出来ることなら間違いであってほしかった。

リエの疑念がますます濃くなるにつれ、ヨノワールは何やら愉しげそうな笑みを浮かべる。


リエ「マフォクシー……なの?」


ヨノワール「おや、勘が鋭いですね。そうです、貴女の予想通り、これはマフォクシーの魂。ある愚かな少女を救うために土砂に呑まれてしまった哀れな命です」


やっぱり、と言うべきか。

マフォクシーもまた、私と同様の理由で死んでしまった身だというのか。

信じたくなかった。受け入れたくなかった。

だが、現実はすぐ目の前にある。

いや、マフォクシーの死にショックを受けている場合ではない。

リエはヨノワールの目を見つめ、言った。



リエ「私はマフォクシーを犠牲にしてまで生き返るなんて、そんなこと絶対に────」
 ▼ 50 ◆zBLfAqPIVA 17/11/01 01:20:25 ID:L5CuqnRA [4/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ヨノワール「承服できませんか? しかし、それが貴女の本心なのでしょうか。本当は是が非でも生き返りたいんじゃないですか?」


悪意? いや、少し違う。

これは敵意だ。ヨノワールは、明らかにリエのことを敵視しているのだ。

口調は穏やかながらも、その言葉は余りにも鋭利で、リエの心を今にも微塵切りにしようとしてくる。


リエ「そ、そんなわけない……!!」


ヨノワール「私はね、人の嘘を「みやぶる」のが得意なのですよ。実はマフォクシーなんてどうでもいいのでしょう? 貴女、マフォクシーに最期酷いこと言いましたしね」




────マフォクシーが悪いんだよ! 私の指示は何も間違ってなかったのに……ちゃんと言うこと聞かないからぁ!!!!




リエ「……っ」


頭の中でリピートされる自らの失言。

リエの中にあった意思の焔は、段々と衰えを見せていく。

それに比例するように、リエの語気も徐々に沈んでいくようであった。



リエ「そ……そんなんじゃ……」
 ▼ 51 ◆zBLfAqPIVA 17/11/01 01:22:02 ID:L5CuqnRA [5/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ヨノワール「そもそも、貴女には親を助けたいという未練がある。そのために生き返るのであれば、マフォクシーを犠牲にするのも止むを得ないのでは?」


リエ「ち……違う!! 確かに私は、マフォクシーに酷いことを言ってしまった!! 本当は生き返りたいという気持ちもある!! でも……でも!!」


リエの頭を過るは、マフォクシーとの旅の思い出。

一緒に笑った、一緒に泣いた、一緒に怒った。

様々な感情が渦巻く愉快な日々。

それらを必死の思いで噛み締め、リエは叫ぶ。


リエ「私は……心の底からマフォクシーを愛してるの!! それに、マフォクシーからも愛されたという自負もある!! とにかく、その愛を裏切るなんてこと……私には出来ないのよ!!」


感情もグチャグチャで纏まらないし、顔も涙でクシャクシャだ。

ああ、今の自分ってどんなに滑稽に映ってるんだろうか。



そんなリエをよそに、ヨノワールは「フフッ」と微笑を溢してから、そっと呟いた。



ヨノワール「……なるほど、貴女は『そういう』人間でしたか」
 ▼ 52 ◆zBLfAqPIVA 17/11/01 01:25:11 ID:L5CuqnRA [6/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
リエ「え……」


ヨノワール「ではリエさん、貴女を生き返らせることにしましょう」


リエ「え? え?」


話の流れがまったく掴めない。
リエは慌てて、口を挟む。


リエ「ま、待って。マフォクシーはどうなるの」


ヨノワール「マフォクシーさんは最初から【虚無】行き決定です。実はこれ、元々決まってたことでしてね」


まるで今まで何も無かったかのようにヨノワールは平穏に語る。

対して、リエは動揺の声を上げた。


リエ「ねぇ、それってどういうことよ!? マフォクシーがもともと【虚無】行きだなんて……!!」


その時だった。

ヨノワールの左手にあった火の玉が、更なる光を放ちながら、独りでに地面へ降りたったのだ。

加えてそれは、マフォクシーの姿になり、リエに言葉をかけたのである。


マフォクシー「リエちゃん……ごめんね。私がヨノワールさんと、そういう約束をしたの」


リエ「マ、マフォクシー……!?」
 ▼ 53 ◆zBLfAqPIVA 17/11/01 01:26:59 ID:L5CuqnRA [7/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
======

それは、リエが目覚める少し前のことだった……。


ヨノワール「……マフォクシーさん、私は貴方にこう質問したはずだ。『リエさんを犠牲にすればマフォクシーさんを生き返ることが出来るが、どうしますか?』と」


マフォクシー「……」


ヨノワール「それに対して、貴方はこう即答したのです。『むしろ私を犠牲にして、リエちゃんを生き返らせてください』と。……貴方、本当にそれでよろしいのですか?」


マフォクシー「異論ありません。私はどうなってもいい。その代わりにリエちゃんを現世に返してください」


ヨノワール(嘘はついていない……本心からそう思っているのか)

ヨノワール「……何故、そこまで自分を犠牲に出来るのです。あんな人間なんかのために」



マフォクシー「リエちゃんが私にたくさんの愛をくれたからです。時には喧嘩もしたり、酷いことを言われたのも事実ですが、それ以上の愛を、あの人は与えてくれた。その愛の恩を返せるのなら……」



ヨノワール「貴方の要望は分かりましたが……まだ、リエさんが生き返るか決まったわけではありませんよ。これから私が、リエさんを裁定にかけます。彼女が現世へ戻るに値する魂かを判断するのです」



マフォクシー「きっと、大丈夫ですよ。────リエちゃんはとっても優しい人だから」
 ▼ 54 ◆zBLfAqPIVA 17/11/01 01:29:30 ID:L5CuqnRA [8/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
──
────
──────
────────

リエの腕から一条の黄ばんだ光が放たれるのを契機に、彼女の全身が一気に発光を始める。

────ああ、まずい。このままだと、私きっと、この場から消えてしまう。

リエは声の限りを尽くして叫ぶ。



リエ「ま、待って、マフォクシー。私、貴方と一緒にこれからも旅をしたい。いろんな経験をしたい。なのに、こんな、こんな別れは────」


マフォクシー「現世に帰っても……頑張ってね、リエちゃんなら、きっともっと強くなれるから……。だって、リエちゃんは天才だもの……」ニコッ



リエ「待ってよマフォク──────」


リエの声は途中で断絶され、姿は霞のようになってゆく。

こうして、リエはその場から跡形もなく消え去ってしまった……。
 ▼ 55 ◆zBLfAqPIVA 17/11/01 01:30:05 ID:L5CuqnRA [9/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ひとまずここまで。
今日か、明日には終わる予定です。
 ▼ 56 ークライ@スペシャルアップ 17/11/01 09:44:32 ID:XjHLr7Gk NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
マフォクシー・・・
支援
 ▼ 57 ェード◆MDoGd06DxE 17/11/01 11:19:32 ID:uaXqEY52 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ヨノワールのキャラが非常にツボ

支援です
 ▼ 58 ノ◆zBLfAqPIVA 17/11/01 23:20:23 ID:L5CuqnRA [10/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
リエがいなくなった後、取り残された二匹のポケモンは静かに会話を交わす。


ヨノワール「では、マフォクシーさん」


マフォクシー「……はい」


ヨノワール「この部屋を出たら、とにかく真っ直ぐ歩いてください。そうすれば、貴方の魂は【虚無】へと沈みますので」


マフォクシー「分かりました……」


マフォクシーの受け入れは早かった。

部屋を出た彼女は、先の見えない闇に向かって、ゆっくりと歩き出す。

────一歩、また一歩。

進む度に、その意識はどんどん薄れていき、やがて、プツリと切れてしまった。



────────
──────
────
──
 ▼ 59 ノ◆zBLfAqPIVA 17/11/01 23:31:09 ID:L5CuqnRA [11/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
眩いばかりの光が視界を支配する。

リエは、その光の中にマフォクシーの儚げな姿を思い浮かべながら、突然目覚めた。


リエ「マフォク、シー……」


ナース「んんっ……?! ああっ先生っ、大変です!! 先生!?」


リエが身体をゆっくり起こしたのに気付いたナースらしき女性が、慌ててその場から駆け出していった。

リエはただひたすらにポカンとした様子で、自らの両手をじっと見る。


リエ(私……生き返ったんだ)


暫く放心していると、白衣に身を包んだ男性が先程のナースを引き連れ、リエの下にやって来た。

病院特有の薬品の臭いを纏った、初老の男性であった。


医者「いやはや、こりゃたまげたな。本当に目覚めたのか!」


リエ「こ、ここは……?」


リエは呆然としたまま白衣の男に尋ねる。

男は穏やかな笑顔を浮かべ、答えた。


医者「ここはミアレ総合病院だよ。私はここの医師をしているクレゾールという者だ。────今朝、君は意識不明の状態でここに運び込まれてね。どうやら土石流に巻き込まれてたみたいだったが……体調はどうだね? 何か異変はないかい」


リエ「……身体は痛いですけど、それ以外は特に」


医者「そりゃあ良かった。身体は安静にさえしていれば、そのうち治るだろう。ひとまず、今は心を落ち着けることが最優先だね」
 ▼ 60 ノ◆zBLfAqPIVA 17/11/01 23:36:28 ID:L5CuqnRA [12/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
心を落ち着ける……?

到底無理な話だ。

私の心はざわついてばかりなのだ。

マフォクシーのことを思うと……胸が苦しい。


リエ「……」



ナース「先生、ポケモン棟304号室の方でも呼び出しがかかっています」


ナースの言葉を聞き、クレゾール氏は耳を掻きながら、気怠そうに言った。


医者「やれやれ、今日はやけに忙しいな。それでー……君、何かあったらナースさんに用件を言うといいよ。私は別の病室に行かねば」


リエはクレゾール氏の言葉に頷く他なかった。

とにかく、今は何もかもを忘れていたい。

そんな気持ちだった。



リエ「……ええ、はい」
 ▼ 61 ノ◆zBLfAqPIVA 17/11/01 23:46:41 ID:L5CuqnRA [13/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
また、茫然自失となる。

窓の外をふと見れば、ヤヤコマが日光浴をしながら羽休めをしている。

──ああ、今はポケモンを見るのですら辛い。

リエは思わず目を伏せた。


リエ「……あのぉ」


リエは近くにいたナースに声をかける。


ナース「はい、どうかいたしましたか」


リエ「その、トイレに行きたくて……」


本当はトイレになど行きたくはなかった。

とにかく、一人になりたい。

薄暗いトイレの個室にでも引き込もって、そのまま影そのものになってしまいたいたかったのだ。


ナース「ああ、そうですか。では足は骨折しているようなので、車椅子に乗らないといけませんね。私も手伝いますので」


ナースの手を借り、リエは車椅子に乗る。

そしてそのまま、彼女はトイレに向かってナースに押されていった。

その道中、扉が開きっぱなしの病室を幾つも見た。

病室内で、ポケモンと人間がお互いに笑顔を見せながらスキンシップをとっている光景が、計らずとも目に入ってしまう。


ああ、やめて。

見たくない。見たくないの。

マフォクシーのことを思い出してしまうから……。



リエ「ううっ、ひぐっ……ぐすっ」


ナース「ど、どうなされました!?」


リエ「うぇぇぇん……マフォクシィィ……」
 ▼ 62 ノ◆zBLfAqPIVA 17/11/01 23:57:41 ID:L5CuqnRA [14/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
涙よ、止まって、止まって、止まって。
泣いちゃダメなの。
私は強く生きていかないといけないから。

それが、マフォクシーの願いなのだから。


それでも溢れる思いの丈は、リエの心の器すらも壊そうとしていた。


もう、どうすればいいか分からない。
私って一体、何だというの?
本当に、生き返るべきだったの?



────そう思った、その時だった。



医者「────こらっ、そこのポケモン! 君はまだ目覚めたばかりで大怪我もしてるんだぞ!? 勝手に外に出てはいかんっちゅーに!!」


??????「マフォッ、マッフォ!!」


────え? これって。

聞き覚えのある──いや、何よりも聞きたかった声が、リエの顔を上げさせる。

リエの目の前にいたのは、他でもない──大事な、マフォクシーの姿であった。



リエ「マ、マ……マフォクシー!?」


マフォクシー「……! マフォッ……!!」


リエ「ど、どうしてここに────」


マフォクシー「マフォォォォォォッ……!!」ギュッ…


ポケモンとトレーナーは、必死になって抱き合った。

会えたという喜び。
どうしてここにいるのと不思議に思う気持ち。
言いたいことはたくさんある。
聞きたいことはたくさんある。


だが、今はこの言葉一つだけを伝えよう。


────ありがとう。
 ▼ 63 ノ◆zBLfAqPIVA 17/11/02 00:00:23 ID:riIbvBh6 [1/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
──
────
──────
────────


ユキメノコ「……ちょっと、ヨノワールくん!」


ヨノワール「おや、ユキメノコさんではないですか。それに、ヒトモシまで」


ヒトモシ「久しぶりッス、ヨノワール先輩!」


ユキメノコ「ハァ……アナタねぇ。また、むやみやたらに魂を生き返らせたでしょ。しかも今回は二つ同時に!」


ヨノワール「フフ、よくぞご存知で」
 ▼ 64 ノ◆zBLfAqPIVA 17/11/02 00:04:01 ID:riIbvBh6 [2/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ユキメノコ「なにを呑気にしてるの。私たちは死神なのよ? 特別な理由がない限りは、因果律を保つために、魂を無に帰すのがルールであって……」


ヨノワール「まぁ確かに。最近は魂を生き返らせすぎかもしれませんね。上に知られれば怒られるかもです」

ヨノワール「……誰か、私のお仕事のデータを改ざんしてくれる方がいると助かるのですが」


ユキメノコ「……何よ、その眼」


ヨノワール「……」ジッ


ユキメノコ「まったく……見返りは?」


ヨノワール「霊界特製のとけないかき氷を奢ります」


ユキメノコ「……大盛で頼むわよ」


ヨノワール「恩に着ます」

 ▼ 65 ノ◆zBLfAqPIVA 17/11/02 00:06:56 ID:riIbvBh6 [3/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ヨノワールは機嫌の良さそうな雰囲気を出しながら、その場から静かに去っていった。

少しして、ヒトモシが口を開き出す。


ヒトモシ「死神の中でも特に変わってますよね、ヨノワール先輩って」


ユキメノコ「まぁね。でも、普段はあんなんだけど……『生きてた頃』はアイツにもいろいろあったらしいわよ」


ヒトモシ「と、言いますと?」


ユキメノコ「あんまり詮索するべきではないわ」

 ▼ 66 ノ◆zBLfAqPIVA 17/11/02 00:15:28 ID:riIbvBh6 [4/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
────その昔、ヨマワルという名の一匹のポケモンがいた。

ヨマワルは、聡明で優しい心を持つある少年にとても大切にされていたそうだ。

ヨマワルは少年のことが大好きだった。

少年も、ヨマワルを愛していたはずに違いない。

しかし、そんな二人の幸せな日常は、長くは続かなかったのである。

ヨマワルはいつしか、サマヨールというポケモンに進化していた。

それに目をつけたのが、普段から少年をいじめていた一人のトレーナーだった。

トレーナーはどうしてもヨノワールというポケモンが欲しかったそうだ。

ヨノワールを手に入れるため、トレーナーは少年を脅したという。



────てめぇのサマヨールと俺のテキトーなポケモンを交換させろ。言うことを聞かなきゃ、てめぇの親も酷い目に合わせるぞ。



少年は結局、サマヨールを手放し、そのトレーナーに譲渡してしまったのだ。
 ▼ 67 ノ◆zBLfAqPIVA 17/11/02 00:20:44 ID:riIbvBh6 [5/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
れいかいのぬのという道具を持たされ、交換されたサマヨールは、ヨノワールに進化してトレーナーの手持ちとなった。

──本当の地獄はここからである。


トレーナーはヨノワールに戦うことを強要した。

しかし、ヨノワール自身は戦うことが何よりも苦手だったのである。

トレーナーは勿論、ヨノワールに悪感情を抱くことになる。

期待はずれ。役に立たない。強そうなのは見た目だけかよ。

トレーナーはヨノワールにご飯を与えなくなっていった。

お腹が減ったよといくら訴えても、トレーナーは無視するばかりであった。








そしてそのうち、ヨノワールは……死んでしまった。



 ▼ 68 ノ◆zBLfAqPIVA 17/11/02 00:22:21 ID:riIbvBh6 [6/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ヨノワールは魂となって、霊界へと向かう。

そこで彼の運命は──大きく変わることになった。



ダークライ『オヌシ、良い眼をしておるな……不信と希望の混じった眼じゃ。人間など決して信じないという思いはあるが、しかしポケモンと人の絆には期待をしておるのか。……面白いのぉ、うむ……実に面白い』



ダークライ『……お前さん、死神になってはどうじゃ?』



ヨノワール『しに……がみ?』
 ▼ 69 ノ◆zBLfAqPIVA 17/11/02 00:25:16 ID:riIbvBh6 [7/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

──
────
──────
────────

男「うぐ……ここは、どこだ。俺は一体……」


暗く、ひっそりとした部屋で、男は目を覚ました。

冷たい空気と孤独だけが彼を囲んでいる。


ヨノワール「おや、お目覚めになられましたか」


男「だっ……誰だ!?」


ヨノワール「これは失礼。我が名はヨノワール……魂を導く者。そうですね、もっと簡単に言いますと────」







ヨノワール 「死神ってやつなんですよ、わたくし」




死神の裁定は、今も尚、続いている。


 ▼ 70 ノ◆zBLfAqPIVA 17/11/02 00:26:06 ID:riIbvBh6 [8/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


お わ り

 ▼ 71 ノ◆zBLfAqPIVA 17/11/02 00:27:31 ID:riIbvBh6 [9/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ご支援のほどありがとうございました。

そして、素晴らしい1レス目を与えてくださった◆MDoGd06DxE氏にも、感謝申し上げます。

これにて、こちらのSSはおしまいです。
 ▼ 72 ロバレル@ノワキのみ 17/11/02 00:38:46 ID:9NJqx4NQ NGネーム登録 NGID登録 報告
すごく感動しました!乙です!
 ▼ 73 ガスピアー@はねのカセキ 17/11/02 00:40:17 ID:ggXT.3H2 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ▼ 74 ティオス@アロライZ 17/11/02 00:52:22 ID:S0Uw0L0Y NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
面白かった、乙!
 ▼ 75 クシーマフォクシー◆ZmNoEZzYKc 17/11/02 01:34:39 ID:wi2cktnE NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
乙です(=゚ω゚)ノ
 ▼ 76 リッパー@ダイゴへのてがみ 17/11/02 07:38:35 ID:9drwMZcc NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
乙です。
主人公が追い詰められていくところとこの心理描写がリアルで素晴らしいですね
 ▼ 77 MDoGd06DxE 17/11/02 12:50:17 ID:dxuWOFCo NGネーム登録 NGID登録 報告
乙でした
私が当初書き溜めていたものとはまた違う物語で、楽しく読ませていただきました
完結していただきありがとうございます
 ▼ 78 ブト@レベルボール 17/11/02 13:36:14 ID:BWZUJMcE NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ▼ 79 です感動した 17/11/02 16:30:38 ID:by.BcNsA NGネーム登録 NGID登録 報告

ポケモンずかんの説明文

ダイヤモンド・パール、Y、アルファサファイア
頭の アンテナで 霊界からの 電波を 受信。
指示を 受けて 人を 霊界へ 連れていくのだ。

プラチナ、ブラック・ホワイト、ブラック2・ホワイト2、X、オメガルビー
弾力のある 体の 中に 行き場のない 魂を 取り込んで あの世に 連れていくと 言われる。

ハートゴールド・ソウルシルバー
このよと あのよを いったりきたり。 さまよう たましいを すいこんで はこぶと いわれ おそれられている。


1も引き継ぎ先も設定ちゃんと踏まえててすごい
 ▼ 81 ィグダ@イアのみ 17/11/02 17:33:52 ID:b0H1S37s NGネーム登録 NGID登録 報告
素敵 おつでした
 ▼ 82 トベター@ミミロップナイト 17/11/02 17:57:02 ID:URjCWjJ2 NGネーム登録 NGID登録 報告
乙!
後日談書いても良いですよ?(乞食)
  ▲  |  全表示82   | << 前100 | 次  |  履歴   |   スレを履歴ページに追加  | 個人設定 |  ▲      
                  スレ一覧                  
荒らしや削除されたレスには反応しないでください。
書込エラーが毎回起きる方はこちらからID発行申請をお願いします。(リンク先は初回訪問云々ありますがこの部分は無視して下さい)

. 書き込み前に、利用規約を確認して下さい。
レス番のリンクをクリックで返信が出来ます。
その他にも色々な機能があるので詳しくは、掲示板の機能を確認して下さい。
荒らしや煽りはスルーして下さい。荒らしに反応している人も荒らし同様対処します。




面白いスレはネタ投稿お願いします!
(消えた画像の復旧依頼は、問い合わせフォームからお願いします。)
スレ名とURLをコピー(クリックした時点でコピーされます。)
新着レス▼