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飾り程度にしか植えられていないであろう街路樹は、その輪郭が見えなくなるほど白い綿のような雪に覆われていた。
────音も何もかも呑み込んでしまいそうなそんな冬景色の中、一人の少年の声が、凛と響いている。
ユキ「ジングルベール、ジングルベール、すずがーなるー」
母「……あら、ユキったら随分と気が早いのね。クリスマスはまだ来月なのに、もうその歌うたってるの?」
ユキ「だってだって、すごく楽しみなんだもん! お父さんもその日はお仕事休みだし、みんなで美味しいケーキを食べるんだ! サンタさんが来るのも、もちろん楽しみだよ!」
母「うふふ、サンタさんは良い子のところにしか来ないのよ。悪い子でいるとね、代わりに黒いサンタさんが来て、悪い子にお仕置きしちゃうんだって」
ユキ「え……嫌だよ。ボク、お仕置きされたくない……」
母「……クスッ、お母さん意地悪なこと言っちゃったわね。ユキ君はとーっても良い子だから大丈夫。お母さんが保証するわ」
ユキ「えへへ……」
母「それに、黒いサンタさんも悪い人じゃないのよ? 悪い子にはお仕置きするけど、悪くない子にはちゃんと祝福を与えてくださるんだって」
ユキ「へぇ、お母さん物知りだねぇ……」
手はかじかみ、震えてくる。頬は自然に赤くなり、痛みさえ覚える。
厳しい寒さを堪えながらも、ユキ少年は幸せを噛み締めながら歩いていた。
それもこれも全て、隣に大好きなお母さんがいるから……。