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SS

「ブイズのパーティー」 【SS】

 ▼ 1 ッキング@かがやくいし 18/02/02 22:43:57 ID:RXwlpi1o NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「この度、カロス地方はアサメシティにてイーブイ族のための婚活パーティーを催すことになりました

是非ともご参加下さいますよう宜しく申し上げます」

ある日そんな手紙が各地方に届いた

主催者はとある大財閥で、パーティーは数日に渡って盛大にやるようだ

しかし奇妙な注意事項がいくつかあり、どうやらただのお見合いとはいかないらしい

それでも、招待された者たちは続々と参加を表明していった

“イーブイ族のための”というフレーズがとても魅力的だったのである

雌雄比が非常に偏ったイーブイ族の♂にとって、イーブイ族を伴侶とすることは憧れであり、同時に競争率の激しい夢である

そのような経緯から、大事にされるので♀の方もイーブイ族と結ばれることを望む傾向にある

怪しくもまたとないチャンスを求め、招待された十名が集まった

 ▼ 100 リーラ@ながながこやし 18/02/13 23:33:18 ID:VMfr9pvY NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――――――――――――――――――――――――――――――
この物語の主役は誰かと言ったら、「みんな」なのだろうと思ふ
ブースターパート終了

ピカチュウさんェ……

支援ありがとー

あとあれ、最初エーフィ”マジックガード”って書いてたね すまんち
 ▼ 101 メテテ@カイロスナイト 18/02/14 06:38:22 ID:VC7HCCJo NGネーム登録 NGID登録 報告
更新 楽しみです!
こちらこそ、描いてくださって ありがとう
 ▼ 102 ノノクス@ふっかつそう 18/02/14 14:31:59 ID:obueobYA [1/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

イーブイ(『しょうきょほう』てきに わたしのしょうたいもわかったろうけども)

イーブイ「さあさあ みなさま おたちあい! いまからこの “むじゃき”ないーぶいを
     たちどころにけしてごらんにいれましょう 3…… 2…… 1……」

メタモン(イーブイ)「――――はい っと大仰な言い方してみましたけど、
          単純に“変身”を解くだけの話でありまして 
          御覧の通り私が『偽者』です どうも」

サンダース「お前だったのか…… 結局最後まで判らなかったぜ」

グレイシア「イーブイが2りいる時点でちょっと疑うべきではありましたけど」

ニンフィア「皆さんそれぞれ隠し事をしていらっしゃったので、確信はありませんでした」

メタモン「おやおや、お気づきではなかったと? だとすれば僥倖
     誰の選択肢からも『弾いて落と』されていて、良かったと思います
     私、誰にも選ばれないで済んで心底ほっとしておるのです」

ブースター「『結婚』する気はなかったと? じゃあなんでパーティーに参加を?」

メタモン「私、奥様に雇われてここにいるのです 所謂サクラ、『主催者側』ですね
     万が一選ばれたとするならば、『結婚』を拒否することになりましたでしょう
     このような催しで、それは余りにも悲しい 故に安心したのです
     私、奥様と同じようにポケ模様の観察を至上の喜びとする者です故
     こんなに近くで色々なドラマを観させて頂き、恐悦至極でございます」

エーフィ「素になったらすっごい喋り出した! なんかウザい!」

リーフィア「『結婚』する気ないの? それはそれで悲しくない?」

メタモン「いやはや、いやはや、心配して下さるのですか? それは嬉しい
     しかし残念ながら見当外れでございます
     皆様『メタモン族』の通称は知っておいででしょう?
     『仔作り器』 ……それが揶揄であることなど重々承知ですが
     それは同時に、我々の誇りでもあるのですよ お分かりですか?」

シャワーズ「……判らない どういう意味?」

メタモン「誰とでも繁殖可能な我々は、様々なひとの手助けができるのです
     相手のいない♂、不妊に悩む♀、仔どもの欲しい性別不明、と
     そのためには『結婚』などに縛られるわけにはいかない
     そういう意味で『メタモン族』は結婚にはそもそも不向きなのでございます
     私を選ばせずに済んだこと、皆様の御多幸を願えることが本当に嬉しいのです」

イーブイ★「10人目、イレギュラー 面白いひとだね ……ありがとう」

メタモン「いえいえ、感謝など ――こちらから述べさせて頂きたいものです
     今回のパーティー、お楽しみ頂けましたでしょうか?」

ブラッキー「………………うん」

メタモン「ならば重畳 これにてパーティーはお開きとなります」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 ▼ 103 ピンロトム@メガリング 18/02/14 14:46:26 ID:/5VIrQsM [1/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 104 ンリキー@ナゾのみ 18/02/14 15:15:36 ID:obueobYA [2/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
リーフィア「終わり? なんかちょっと寂しい気がしない?」

ブースター「そうだね まだ解散したいとは思えない」

エーフィ「……折角聖堂もあるし、司教さんもいるんだよね? ――なら」

ニンフィア「式を挙げませんか? 披露宴はそれぞれでやるとしても、式は皆で」

サンダース「いいな それ」

イーブイ★「賛成 じゃあ頭首さんを呼ばないと」

義母「頭首さんを呼ばないと――の声を聴き、光の速さでやって来た……」

メタモン「風よ! 大地よ! 大空よ!」

ニンフィア「……何をやってるんですか?」

義母「ん……敵役ごっこ? ――おめでとう ニンフィアちゃん、皆」

グレイシア「ニンフィアさんのお義母様って、ニンフィアなんですね」

ブラッキー「……ありがとう、ございます」

ニンフィア「――もう! 普通にして下さい! こんな時くらい!」

義母「すまんちー それで、式ってどういうのにする? 神様の前で誓うだけの簡単な奴?」

エーフィ「準備とか何もないだろうし、あたしは直ぐできるのでいいよ」

サンダース「なんでそんな適当なんだよ もっと考えるとこじゃねえの?」

エーフィ「いいのよ、なんでも 相手があんたで、式を挙げるという事実さえあれば」

サンダース「それを言われると……」

イーブイ★「ぼくたちもそれでいい、よね?」

ブラッキー「…………勿論」

ブースター「依存なし」

パチリス「そう、ですね」

リーフィア「言われちゃったねえ ボクも同じ気持ち ニンフィアとだったら、なんでも」

ニンフィア「…………私も、です」

義母「ではでは皆様、聖堂へご案内」
 ▼ 105 オル@ヒコウZ 18/02/14 15:16:32 ID:obueobYA [3/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「――――病める時も、健やかなるときも 喜びの時も、悲しみの時も 
――――富める時も、貧しき時も これを愛し、これを敬い、これを慰め
――――いつ如何なる時も、お互いに真心を尽くすことを誓いますか」

ニンフィア・リーフィア・エーフィ 『『『『
サンダース・ブースター・パチリス       はい、誓います
  イーブイ★・ブラッキー                   』』』』

「――――宜しい これをもって誓いとし、あなた方の結婚を認めましょう
 ――――主の御名の下に その命続く限り 心と心を結ばんが故に」



                           ――――fin.
 ▼ 106 メモース@シャラサブレ 18/02/14 15:18:21 ID:obueobYA [4/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
―――――――――――――――――――――――

これにて終了

SSは初めてだ 至らないところあったかもしれないがゆるしてくれ
 ▼ 107 ンド@マトマのみ 18/02/14 15:21:18 ID:/5VIrQsM [2/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
よかった
 ▼ 108 ノハナ@あかぼんぐり 18/02/14 15:32:30 ID:/HZu4aYM NGネーム登録 NGID登録 報告
乙!
面白かった
 ▼ 109 ンデツンデ@けいけんポン 18/02/14 17:03:31 ID:RyItsuwI NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 110 ットロトム@エルレイドナイト 18/02/15 14:05:25 ID:gpTswWXU NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――――――――――――――――――――――――――――――――

終わったスレってどうすればいいんですかね?
教えてもらえると助かります
あと感想貰えたりするとありがたいです

毎日更新を目標として頑張りましたが、いかがでしたでしょうかtha

答え合わせの3日目、予想通りではなかったというなら推理物書きとして嬉しいです
各々の選んだ結末に、どこか温かくなって頂けたら恋愛物書きとして恐悦です
LGBTや犯罪歴、貧富や余命宣告など考えさせられたというなら風刺物書きとして至福です
ただ単純に読んでもらえたというだけでも、1人の物書きとして幸せなことです

書いている方は楽しかったけど、読んでいる方はどうだったのかなと

THANK YOU FOR READING !
 ▼ 111 バメ@あおぞらプレート 18/02/15 19:39:53 ID:MQpWDxA2 NGネーム登録 NGID登録 報告
個人的な我儘になるが後日談みたいなの気になる
 ▼ 112 ードラン@かいがらのすず 18/02/16 10:03:02 ID:boK7s4Ac NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
>>111
ごめん しばらく考えてみたけど後日談とか思いつかなかった

そもそも『ブイズがわいわいするだけ』というコンセプトで始めただけのアドリブ劇
こうして無事クランクアップまで持って行けたのが奇跡みたいなもので
作者も役者も限界だよぅ すまん
いずれ 書き足し書き増し書き直しするかもしれんが またの機会ということで
 ▼ 113 ボツボ@ジメンZ 18/02/16 10:15:45 ID:PnbMWkeE NGネーム登録 NGID登録 報告
お疲れさまでした
 ▼ 114 ケニン@カチャのみ 18/02/18 10:18:50 ID:y4uTwPqY [1/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――――――――――――――――――――――――――――
駄目だ 完結させてから投稿するより 投稿しながら完結に向かう方が筆が乗る

このスレをこのまま放置しておくのも忍びない
作者が立てたスレなのだから作者が好きに使っていいよね?

と言う訳で適当に始めます 「ひみつきちにあつまって」
なおタイトルくらいしか決まって無くて今後どう展開して終結するかは作者も知らんので
悪しからず
 ▼ 115 イル@サイコソーダ 18/02/18 10:19:47 ID:y4uTwPqY [2/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
(――おーい、弱虫 守ってばっかじゃ勝てないぞー)

(――攻撃してきたら本気でやっちまうけどな ハハッ)

(――あ、逃げやがった おい待てサンドバック)

キノココ「いてて…… 何とか今日も逃げ出すことが出来た」

キノココ(……僕より強いからって、いつもいつも虐めてきてさ やってらんないよ)

この森で一番弱いキノココは、他のポケモンにとっては格好の経験値の元

毎回毎回バトルに付き合わされて、痛い目を見るのはこちらばかり

しかし反撃しようにも、力を持たないキノココが使う技は梨の礫のようで

最近はもう、逃げるが勝ちというように誰にも見つからない場所へ隠れ潜むようになっていた

キノココ「ちょっとお邪魔するよ」

チリーン「また来たのですか? ここは私の場所だといったはずですが……」

キノココ「そんなこと言わないで お願い ここ位しか隠れられる場所を知らないんだ」

森の外れの泉の傍の、ある纏まった草の陰

どういう訳かそこには広い空間が存在していた チリーンが作ったらしい

理屈は解らないが、森の中でこの場所を知っているのはキノココくらいで

これ幸いと、キノココはよく匿って貰っていた

チリーン「仕方ないですね ……あら? 毒も受けているのですか? 診せて下さい」

いつも怪我して逃げてくるキノココを、チリーンは優しく癒してくれる

チリーン「さあ 怪我が治ったならお行きなさい 皆飽きて帰ったようですよ」

ここからなら森の様子が一望できる どうやらチリーンの言うとおりらしい

チリーン「あなたが早く強くなって、ここにはもう来ないことを祈っています」

キノココがいなくなる時に、チリーンは毎回そういう

しかし次に訪れたときは温かくもてなしてくれるのだから不思議だ

ある種の激励なのだろうか? 虐められなくなるように頑張れって?

そんな日がくるとはキノココ自身にも思えなかったけれど

キノココ「ありがとう 頑張ってみるよ でも、駄目だったときはまたよろしく」

いつものやり取りだ 次もきっと駄目だろう

臆病な性根はそうそう変わらない キノココ自身が一番判っている
 ▼ 116 ノガッサ@まんたんのくすり 18/02/18 11:27:09 ID:y4uTwPqY [3/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
翌日キノココは、森のポケモンに見つかった後、少しだけ勇気を振り絞っていつもより強く反撃に臨んだ

しかし待っていたのは遠慮容赦のない――昨日までは容赦をしてくれていたらしい
それでも辛かったのだが……――袋叩きだった

限界まで痛めつけられ、ボロボロの瀕死になって、なんとかチリーンの元まで歩いた

チリーン「また来たの―― まあ! 酷い怪我! すぐ治療しますね!」

こちらの様子に気付いたチリーンは、いつもの台詞を言う間もなく慌てだす

彼女が木の実で作った薬を処方してくれる間、キノココはずっと苦しそうに笑っていた

キノココ「やっぱり駄目だったよ 彼らにとって僕はサンドバックだった
     一方的に叩くための存在が、反撃なんて考えちゃいけなかったんだ」

笑みの理由は諦観だった 一番弱いキノココは、戦っても勝った経験などなく

どんどん強くなる回りに比して、どんどん弱くなっていくような自分が、惨めで仕方なかった

チリーン「そんなことありません あなただって一匹のポケモンなのです
     強いとか弱いとか、バトルすること自体に関係ないじゃないですか」

キノココ「要するに一杯バトルして一杯ボコられて来いって? 酷いな」

先程のバトルで進化したポケモンもいたことが決定打となったのだろうか
いっそこのまま死んでしまおうかなんて、キノココは自暴自棄な考えに囚われていた

チリーン「……怪我が治るまでは、ここにいて下さっても構いません
     ささくれ立った気持ちも落ち着かせていくとよいでしょう
     幸い、ここには他のポケモンは近づきませんので」

彼女は今日も癒しの鈴を鳴らしてくれる キノココは少しの間聞き惚れていた

いつの間にか、身体の痛みも和らいでいた

それと同時に、心の奥に溜まった毒気も抜けていることに気付く

キノココ(ああ、いい音色だ 気分も軽くなっていく やっぱりこの音が好きだな)

とどのつまり、キノココがここにやってくる理由は、チリーンだった

どれだけ虐げられても、この場所で彼女と過ごせれば、明日も頑張れる気がした

チリーン「もう大丈夫でしょう さあ、お行きなさい
     あなたがここに来ないことを祈っています」

いつものやり取り それは彼女の本心なのだろうか いつか聞いてみたい

チリーン「……強くなる方法は、なにもバトルに勝つだけではありませんよ」

彼女が最後につぶやいた言葉が耳に残った アドバイスらしきことを言われたのは初めてだった
 ▼ 117 ュプトル@ロメのみ 18/02/21 22:37:29 ID:bsZK6WC6 [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
キノココ「よっと、お邪魔するよ」

チリーン「また来たのですか? ここは私の場所ですよ?」

キノココはまた、チリーンの元を訪れる しかし今日はどこか様子が違っていて

チリーン「今日は怪我、してないんですね」

そう キノココは今日は怪我をする前にこの場所を訪れた というのも

キノココ「昨日の今日で皆に会うのは怖かったから、見つかる前に逃げてきちゃった」

昨日のバトルを思い出し、身が竦んでいたからだ

チリーン「……そうなのですか 怪我もないのにここにいるなんて、ちょっと不思議ですね」

キノココ「いつもここに来るときは怪我してたもんね やっぱり迷惑だった?」

チリーン「怪我人に対して迷惑だなんて言えませんよ」

キノココ「怪我してないなら迷惑ってこと? ……ごめん」

勝手にお邪魔してるのはこっちだ なのに彼女はキノココに対して優しい

申し訳なくなってしまい項垂れると、チリーンは鈴のようにコロコロと笑った

チリーン「いえいえ、大丈夫です こう何度も訪れる方は初めてなだけですよ」

厚かましい、と言われているような気分だ 少し恥ずかしくなる でも

チリーン「あら、森の方たちはあなたを探すことを諦めたようですよ
     各々好きなように修行を始めていますね 帰っても大丈夫なのでは?」

キノココ「もうちょっとだけ、ここに居させて もし見つかったらボコられそうだ」

逃げているのは本音だけど、建て前みたいなもので

そばに居たかった 心地いい音色に癒されたかった

それを彼女は判っているのかいないのか

チリーン「了解しました 日が暮れるまでならごゆっくりどうぞ」

そう答えてくれた
 ▼ 118 グロコ@バグメモリ 18/02/21 23:06:25 ID:bsZK6WC6 [2/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
チリーン「そこに座っていてください 何か淹れますね?」

キノココ「あ、ありがとう」

勧められた場所は、やわらかくて暖かそうな絨毯の上この場所に椅子はないらしい

透き通っていて綺麗な机にふわふわの布団のベッド、収納と思わしき棚の上にはなぜか
身代わり人形が置いてあったりして 中々いい感じの部屋に見える

しかしながら やはり奇妙な違和感を覚えるものだ

チリーンがコップを持って戻って来た

チリーン「お待たせしました エネココアとロゼリティーどちらが良いですか?」

キノココ「じゃあ、エネココアで ……あのさ、ちょっと聞きたいんだけど」

チリーン「なんでしょうか?」

キノココ「ここって、いったいどういう仕組みなの?」

先程覚えた違和感について少し聞いてみようと思った

キノココ「あの茂みの下にこんな広い空間があるとは思えないんだけど
     明らかに広いし、以前からこうだったわけじゃなかったはずだけど」

記憶はあいまいだが、昔ここらに立ち寄った時はこんな場所なかった気がした

チリーン「はい ここは“ひみつのちから”によって形作られた、所謂普通でない場所です」

キノココ「秘密の、力? じゃあやっぱり昔からあったわけじゃないのか」

チリーン「いいえ?」

キノココ「え?」

チリーン「空間自体はずっとあります ただ、入れるかどうかは別の話です」

キノココ「? ? ?」

チリーン「不思議そうな顔してますね でもあなたの言うことも間違いではありません
     私が入り口を開いてここを模様替えしたのは最近ですから」

ここ(空間)は昔からあったが、今の形で入れるようになったのが最近ということか

キノココ「道理で 隠れ家に最適な割に誰も見つけたことがなかった訳だ」

チリーン「“ひみつきち”ですからね 寧ろあなたに見つけられてしまったのが驚きです」

キノココ「う…… ごめん やっぱり出てった方が良い?」

チリーン「いえ、“ひみつきち”は入って来られた方を持て成すのも楽しみの内ですから」

その割には『もう来ないことを』云々と言っているけれど、どうなのだろう

喜ばれているのか煙たがられているのか、判断つきづらい
 ▼ 119 クフーン@ラブタのみ 18/02/22 00:05:57 ID:r09bTgds [1/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
キノココ「昨日の話、だけどさ ちょっと考えてみたけど、全然解らなかった」

出してもらったココアをちびちびと飲みながら、彼女に尋ねてみる

チリーン「どこが解らなかった、ですか?」

キノココ「バトル以外の、『強くなる方法』って?」

今日ここを訪れたのは、それを訊きたかったからでもある

キノココは今まで、自分の弱さに甘んじていたところもあった

しかし、酷い目に遭って現状を打破したいと思い始めていた

その為には、強くなることが一番で しかしただバトルしたのでは勝てなくて
力量を上げる手段がバトル以外にあるのならぜひ知りたかった

チリーン「………… では、ちょっと外に出てみましょうか」

彼女は少し何か考えて、そう言った キノココは指示に従い、外に出る

チリーン「先に言っておきますと、私はあなたの望む答えを教えられません」

キノココ「――――え?」

チリーン「私は、『キノココ』について詳しく知りませんから
     あなたの方が詳しいでしょう? 自分で見つけるしかないのです」

キノココ「ちょ、そんな それって……」

丸投げという奴ではなかろうか チリーンらしくもない
いや、らしいとからしくないとか語れるほどに彼女に詳しいわけではないのだが

チリーン「あとは、考えることですね ほら、森をご覧なさい」

彼女が指した方向を見てみると、誰かがバトルしているようだ

遠くて見るのに苦労するが、あれはキノココをよく虐めてくる奴らだろうか

激しい技の応酬が繰り広げられているらしい

あれがもしこちらを襲ってきたらと思うと、足が竦み震えてくる

チリーン「目を逸らさないで あそこに立つことをイメージしてみて下さい」

言われた通りにしてみるが、するとキノココの震えはさらに激しくなってしまう

チリーン「……バトルが終わったようですね 大丈夫ですか?」

キノココ「…………あんまり、大丈夫じゃないかも」

観てるだけで怖くて震えてしまう自分の弱さに、ほとほと呆れてしまった

こんな様で本当に強くなることなんてできるのだろうか
 ▼ 120 クノシタ@メガリング 18/02/22 01:30:23 ID:pc0e84C6 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
さっき全部読みました
面白かったです!
新しい方も支援
 ▼ 121 ースト@グラスメモリ 18/02/22 21:26:45 ID:r09bTgds [2/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
結局何も答えが出せないまま日が暮れる時間になり帰ることになった次の日も

キノココは森のポケモンに見つかる前にチリーンの元へと訪れた

キノココ(あれ? 誰かいる…… 誰?)

どうやらチリーンは一匹でいるわけではないらしい

一瞬森のポケモンに場所を突き止められたかと思って身が竦むが、すぐに勘違いに気付く

キノココ(あれは…… ゴクリン? 森にはいなかったポケモンだったはず)

チリーンはゴクリンの傍で何やら作業をしているようだ しかし様子がおかしい

キノココ「やあやあ、お邪魔するよ」

気になったキノココは声を掛けて姿を見せることにした

チリーン「また来たのですか? あら、今日も怪我はないようですね」

突然現れたキノココにゴクリンは少々驚いたようだったが、あまり大きな動きは見せない

どうやら怪我をしているらしい 見る限りでは辛そうだ

チリーン「怪我がないのなら、丁度良かったです あの、お願いを聞いてもらっても?」

キノココ「いいよ 何かな?」

チリーン「力の根っこ、白いハーブ、モモンの実が必要なのですが今手元にないのです」

薬の材料が足りないということらしい しかし懸念することもある

キノココ「……全部森で取れそうだね」

それらの材料を取ってくるには、森へ行くしかない訳で

キノココとしては正直、今森に行くのは不安である

チリーン「はい 私はゴクリンの介抱をしなくてはいけません 採って来て頂けますか?」

キノココ「……………………」

頼んできたチリーンを見て、傷ついたゴクリンを見て、決心する

キノココ「……分かった 行ってくるよ すぐ戻ってくるから待ってて」

辛そうなゴクリンを放っては置けない そう思い、“ひみつきち”から外に出る
 ▼ 122 ードル@ヒメリのみ 18/02/22 21:46:31 ID:r09bTgds [3/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
キノココ「さてさて、すぐ戻るって言ってしまったけれど……」

虐めっこ達に見つかってしまうことを怖れて歩みが自然、慎重になって遅くなる

一応のこと、森に入る前には彼等がいる場所を確認してきたものの

当然ながらずっとそこにいるわけもなく、鉢合わせる危険はずっと付きまとっていて

キノココ「怖いなぁ…… 会いたくないよぉ……」

急ぐべきだ それは判っているが、身体は強張ってしまう

キノココ「……でも、白いハーブと力の根っこはもう手に入れられたんだ あと少し」

モモンの実のある場所は分かっていた あとはそこで採って森を出るだけ

キノココ「よし、行こう ゴクリンが心配だ」

モモンの木がある場所へ足を速める しかしそこにいたのは

虐めっこA「――ん? よぉ 弱虫君じゃないか」

キノココ「ヤル…… キモノ…… な、なんで……?」

今一番会いたくないと思っていた相手だった

虐めっこA「ドクケイルにちょっと毒貰っちまってな 今回復してるとこ
      ……そういや彼奴、お前が進化させたんだったな なんか苛々してきた」

先日、バトルという名目でキノココを攻撃していたとき、マユルドが進化していた

しかし今の状態はキノココの所為ではない筈だ
いきなりの八つ当たりにキノココは青くなる

キノココ「ちょ、ごめん、今僕急いでて……」

虐めっこA「知らねえよ 弱虫のくせに生意気だぞ ちょっとバトルに付き合
      ――――あ! 待て! 逃げんな!」

キノココは木から落ちていたモモンの実を拾うと、一目散に逃げだす

虐めっこA「ドクケイル!! 聞こえるか!! キノココだ!! 挟み撃ちにして逃がすな!!」

虐めっこB「合点! おいキノココ! 逃げられると思うなよ!」

片方の叫びに反応してもう一匹がキノココの前に躍り出てくる
挟み撃ちにあったキノココは、足を止め怯えて震えながら

キノココ「えい! “痺れ粉”!!」

麻痺効果のある粉をまき散らし、視界を奪ってしまう そしてそのまま駆けだした

虐めっこA「グ…… 身体が…… くそ……!」

虐めっこB「弱虫のくせに……!」

虐めっこ達「「覚えてやがれ!! 次は許さねーぞ!!」」
 ▼ 123 モネギ@アイテムコール 18/02/22 22:22:44 ID:r09bTgds [4/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
キノココ「く…… はあ…… はあ…… ごめん、遅くなった!!」

三種類の材料を集めることができ、痺れて動けなくなった彼らを撒くことも成功

急ぎ足で“ひみつきち”まで戻る

チリーン「お帰りなさい お疲れさまでした 材料は採って来れましたか?」

キノココ「うん! 集めてきたよ! ゴクリンは!?」

“ひみつきち”の中のゴクリンは倒れたままだ 瀕死か、それともまさか――

チリーン「寝ているだけですよ では材料を下さい すぐ薬を作ります」

最悪の想像は、しかしチリーンの言葉によって杞憂だと解った

キノココ「はあ…… 良かった…… はい、材料」

それからチリーンは、材料を煎じたり擦り潰したりして薬を作っていた

そして完成した薬をゴクリンに飲ませると

ゴクリン「――――う、ううん………… あれ? ここは……」

どうやらちゃんと効いてくれたらしい まだ傷はあったが、意識を取り戻した

チリーン「ここは私の“ひみつきち”です あなたは偶然ここまで来たのですよ」

ゴクリン「え? あ、そ、そうなんだ 助けてくれてありがとう」

チリーン「お礼なら、そちらのキノココに 彼がいなければ、薬が作れませんでした」

キノココ「いやいやそんな 薬を作ったのはチリーンだから」

ゴクリン「それじゃあ 二匹ともにお礼を言わないとね ――本当にありがとう」

面と向かってお礼を言われると照れてしまう それに、本当にチリーンこそ功労者なのだ

少々の気拙さを感じながら、話題を逸らそうと質問してみる

キノココ「ところで、君はどうしてそんな怪我を?」

ゴクリン「――あ…… えっと…………」

質問が拙かったのか、ゴクリンは固まって口を噤んでしまった

どうやら何か事情があるらしい
 ▼ 124 ドグラー@ずがいのカセキ 18/02/22 22:31:59 ID:r09bTgds [5/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
―――――――――――――――――――――――――――
うん 今日は多分ここまで

>>120
そういうこと言ってもらえるのは嬉しい 頑張る

でもまあ正直に言ってもらっても構わん
「ブイズの」前半ペラいぞー みたいな

うん 裏話として言うと、『煮詰まった』っていうまで本当に何も考えず書いてたんだ
誰と誰がくっ付くか、或いは結婚しないかも考えず キャラ設定もブレブレ
これはアドリブ劇の弊害だね

でもアドリブのお陰で適当に投げた線もあとで絵の味になったし
10の比喩とか名言っぽい何かとか色々面白くなった よね?

そのうち改稿する(多分)のでもし見かけたら宜しく
 ▼ 125 チャブル@こだいのおまもり 18/02/23 22:20:16 ID:c9anxkM6 [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ゴクリン「……ぼくはね、最近、この近くに引っ越して来たんだよ」

少し待っていると、ゴクリンが話し出す

ゴクリン「新しい場所での生活に、不安はあったけど期待もしていたんだ
     回りのポケモンにも挨拶回りしたりしてね 頑張っていこうと思った
     でも、彼らは僕のことを受け入れてはくれなかった」

キノココ「そんな怪我をさせられる程なんて ……理由は?」

ゴクリン「さあね 彼らが言うには『毒タイプ』だから、らしいのだけど」

キノココ「――え? どういう……」

ゴクリン「『醜悪で汚らしい毒タイプは近くにいることすら耐えられない』……そうだよ」

余りにも酷い理由に、絶句した

だってそんなの、偏見だ 彼自身のことなんて一顧だにしない、横暴なのだ

ゴクリン「ぼくだってそんなの、すぐ受け入れられるわけじゃない 反論もした
     でも、彼らはそんなの聞いてくれなかった 続いて来たのは攻撃の雨あられ
     ……力のないぼくはそうなったら逃げるしかなかった」

チリーン「成る程…… それでそんなに傷だらけだったのですか」

ゴクリン「ぼくは足も遅いから 攻撃全部はよけきれなかったよ ……はは」

なんで、笑えるんだろう…… いや、笑うしかないのかもしれない
キノココにはとても笑えなくて 流せなくて つい怒声を上げてしまう

キノココ「……なんだよ、それ どっちが醜悪だよ……!
     勝手な差別をして、排斥するために、逃げても後ろから攻撃する?
     そっちの方がよっぽど汚らしいじゃないか!!」

チリーン「……気持ちはわかりますが、少し落ち着いて下さい」

彼女が鳴らす鈴の音を聞いて、少し冷静さを取り戻す

腸はまだ煮えていたが、加害者がいないのにぶちまけてもしょうがなかった

ゴクリン「……ぼくのために怒ってくれるなんて、君は良いポケモンだね」

キノココ「ええ!? 良いポケモンだなんてそんな!」

褒められて悪い気はしない その提案も嬉しい でも

キノココ「え、えーと…… 実は僕も外れ者、なんだけど……」

キノココとしては、自分などと友達になっていいのかと悩むところだ

ゴクリン「そんなの…… こんなこと言うのも何だけど、寧ろ親近感を覚えるくらいだ
     気になんてしないよ ぼくは君と友達になりたい 駄目かな?」

キノココ「そう言ってくれるなら、嬉しい ――じゃあ、これから宜しくね」

キノココとゴクリンは握手をして、二匹で笑った
 ▼ 126 レイシア@シュカのみ 18/02/23 23:15:13 ID:c9anxkM6 [2/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
チリーン「仲の良いところ恐縮ですが、そろそろ夕刻です お帰り頂いても?」

二匹の世界を作っていたところで、横からチリーンが声を掛けてくる

ゴクリン「ご、ごめん もうそんな時間なのか ――か、帰らなきゃ、なのか……」

彼は申し訳なさそうに言いながらも、動き出そうとはしない
帰るとなると、また怪我を負わせた奴らに会うことになるということだろうか ……

キノココ「僕も今日戻るのは怖いなあ ねえ、チリーン、泊っていくのは――」

チリーン「駄目です」

キノココ「――!?」

なんとなく駄目な気はしたが、思ったよりも強い拒絶を受けてしまい怯む

チリーン「……何度か言いましたが、ここは私の場所なのです
     夕暮れ以降は私の時間とさせて頂きたいので、長居は禁物でお願いします」

ゴクリン「う、うん しょうがないよね 助けてくれてありがとう 失礼するよ」

キノココ「――待って」

ゴクリンの背中が辛そうに見えて、キノココはつい声を掛けてしまう

キノココ「え、ええと、その、あの、そうだ 僕は一匹暮らしで寂しいんだ
     今日は、ちょっと泊って行かないか?」

ゴクリン「い、いいの? その、確かにあそこに戻ったらまたやられそうで怖いけども……」

キノココ「勿論 遠慮することなんてないよ というか僕の方が来てくれると助かる
     その、今日色々あって、一匹でいるのが怖いっていうか……」

虐めっ子達に少し反撃してやれたことを誇らしく思いながらも、今更後が怖くなってくる

ゴクリン「じゃ、じゃあお邪魔させてもらうね」

チリーン「さあ、お行きなさい もうここに来なくなることをお祈りします」

いつもの台詞を聞き、“ひみつきち”を後にする

ゴクリン「最後、変なこと言ってたけど、嫌われちゃったのかな……?」

キノココ「いいや、いつもああいうんだ 多分挨拶みたいなものじゃないかな」

キノココも始めて言われたときは、何か失態を犯したのではないかとひやっとしたものだ

キノココ「でも大丈夫 また会ったときはちゃんと歓迎もしてくれるから」

ゴクリン「そ、そうなんだ ちょっと安心した」

キノココ「うん あ、着いたよ 僕の棲家 彼奴等に会わずに済んでよかった」

ゴクリン「お、お邪魔します」

それから夜が更ける頃まで、キノココ達は他愛のないおしゃべりで楽しく過ごした
 ▼ 127 ートロトム@フェアリーZ 18/02/24 21:29:39 ID:tpPI4jYU [1/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
キノココ「ん…… お、はようゴクリン」

翌日キノココが目を覚ますと、既にゴクリンは起きていた

ゴクリン「お、おはようキノココ 勝手に朝ごはん用意しちゃったけど……」

キノココ「ありがとう 頂きます ……昨日は眠れたかい?」

ゴクリン「……実は、悪夢を観ちゃってね あんまり眠れなかった」

それは、昨日あんな目に遭って、熟睡なんてできないだろう

キノココ「……ん 朝食まで用意させちゃって悪かったね」

ゴクリン「大丈夫 寧ろ何かしていた方がいいから じゃあ、頂きます」

キノココ「(ぱく) 美味しい! 酸味も味のスパイスになるんだね!」

ゴクリン「あ、ごめん ぼくの好みで作ってたよ でも、美味しいならよかった」

キノココ「実は日中、あんまりここに居たくないんだ “ひみつきち”に行こうよ」

ゴクリン「……? う、うん、分かった」

食事の後片付けをして、外に出る――と、

虐めっ子B「よう おはよう この間は随分と嘗めたことしてくれたじゃあないか」

キノココ「ドク、ケイル? な、何で……?」

先日の虐めっ子が待ち伏せていた 突然の出来事に身体が固まる

虐めっ子B「お前の棲家ぐらいとっくに把握してたよ まあ、進化してからだがな」

その答えを聞き血の気が引いた

確かドクケイルの触角には周囲を探る能力が備わっていたはず

つまり彼には近づかれただけで場所を把握されてしまうのだ

虐めっ子B「態々ヤルキモノには声を掛けずにきてやったんだ 感謝しろ?
      まあその分俺が痛めつけてやるけどな」

彼の顔は嗜虐的に歪む 身体が震えるが、気付かれないようにするそっと息を吐く

もう一匹の虐めっ子、ヤルキモノはいないようだ ……そっちよりは怖くない

虐めっ子B「ところでそいつは何だ? お前のお友達か? だったら――」

キノココ「いいや 無関係さ ちょっと宿を貸しただけ」

虐めっ子B「そっかそっか お前に友達なんかできる訳ねえもんな
      こりゃ失礼した――な!」

彼は笑い、そして急に風を起こしてキノココを攻撃してきた

キノココ「――!! “まもる”!! ゴクリン! 巻き込まれないよう隠れてて!!」
 ▼ 128 ガピジョット@シルフスコープ 18/02/24 21:30:40 ID:tpPI4jYU [2/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
キノココ「――く もう一回、“まもる”!」

虐めっ子B「だから守ってばっかじゃバトルにならねえよ 弱虫!」

何とか攻撃を凌ぐ ダメージはない 少し後ろに下がる

虐めっ子B「おっと、逃げようとしたって無駄だぜ? オレには触角がある」

そのアドバンテージは正直痛いところだ 鬼ごっこや隠れんぼは明らかに不利

虐めっ子B「解ってるだろうけど、“まもる”は連発すると失敗するぜ? “毒針”連弾!」

キノココ「――やっ! ほっ! ……当たらなければ、どうということも!」

虐めっ子B「この! ちょこまかと! 待て!」

キノココ「こっちまでおいでー ほらほらー」

余裕のあるふりをしているがキノココは必死である ダメージを受けては意味がないのだ

虐めっ子B「なら、これでどうだ!“サイケ光線”!!」

キノココ「“複眼”じゃない君の攻撃なんて当たらないってば」

虐めっ子B「てめえ、他人が気にしてることを!! もう容赦しねえ!!」

なにやら逆鱗に触れてしまったのかもしれない 攻撃がより激しくなる でもそれは

キノココ「“まもる”」

防いで見せる そろそろフラストレーションも溜まったころだろうか

キノココ「……ふん 効かないよ 僕は未だノーダメージだ ねえ今どんな気持ち?」

虚勢だ 怖くて仕方がない でも“威張る” 威張ってみせる

どうか、効いてくれ そう祈って相手の様子を伺う

虐めっ子B「この!!! きhぉ!! くぁwせdrftgyふじこlp!!」

――成功 攻撃力を上げてしまったが、混乱して相手は正常な判断が出来なくなった

あとは自ら傷付いて退散してくれればいうことがないのだけど

虐めっ子B「オマエ……! ユルサン! “タいあタり”!!」

キノココ「そううまくはいかないよね……」

相手は我武者羅に突っ込んでくる 今の威力で技を受けたら堪ったものじゃない

しかし“まもる”はもう頼れそうにない キノココは急速に近づいてくる相手を見据え

キノココ「――今なら当たる!! “眠り粉”!!」

睡眠効果のある粉を撒き散らし、急いで回避行動をとった

キノココの横をすり抜けた虐めっ子Bが地面に落ち、動かなくなって辺りが静かになった
 ▼ 129 ャンデラ@オボンのみ 18/02/24 21:31:31 ID:tpPI4jYU [3/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
キノココ「――やっ……た…………?」

倒れた相手を見て、実感もないまま呟く まだキノココの体は震えていた

ゴクリン「す、すごいよキノココ! あんな怖いポケモンを一匹で倒しちゃうなんて!」

先刻指示して隠れさせていたゴクリンが興奮した様子で駆け寄ってくる

キノココ「静かに……! 寝かせただけだ 下手に起こしたら不味い」

ゴクリン「あ…… ごめん…… でもすごいよ、キノココ……!」

キノココ「……ありがとう ……さあ、今のうちに“ひみつきち”へ行ってしまおう」

彼奴が目覚める前にできれば触角の探索範囲から逃れたい

暫し慎重に移動して、追ってくる気配がないことを確認すると、安堵の息を吐いた

そしてゴクリンに向き直る

キノココ「……さっきは『無関係』だなんて言ってごめんよ」

ゴクリン「ううん、大丈夫 あのポケモンに狙わせないために行ってくれたのは判るから
     すごいな、キノココは ぼくなんて彼奴を前にして、怖くて動けなかったのに
     回りにちゃんと気を配って作戦立てて実行して ぼくまで心配してくれて」

キノココ「買いかぶらないでよ…… 僕は僕の身を守るのに必死だっただけだ」

実際、勝てそうになかったから、眠らせて逃げるという選択をしたわけで

褒められるようなことじゃないと思う それに、怯えて震えていたのはキノココも同じだ

ゴクリン「……でも、結果としてぼくも助かったんだ やっぱりすごいことだよ
     それに、君が守ったのはぼくだけじゃないじゃないか!」

キノココ「自分の身を守ることが第一だった 無傷で済んで本当によか――」

ゴクリン「ぼくを先に逃がさなかったのも、倒せないまでも眠らせて意識を奪ったのも
     逃げるのに選んだ方向が南方面だったのさえも
     あのポケモンに “ひみつきち”の場所を悟らせないためだろう?」

……気付かれてる 偶然ってことにしておきたかったのに

ゴクリン「君はチリーンも守ったじゃないか もっと誇るべきだよ!」

キノココ「…………///」

キノココは赤くなる顔に気付かれないように足を速めていく
 ▼ 130 スマス@モンスターボール 18/02/25 23:56:57 ID:TlJeYsUs [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
キノココ「またまたお邪魔するよ」

チリーン「また来たのですか? 私の場所と――あら? あなたもですか」

ゴクリン「し、失礼します……」

チリーン「やれやれ、今日は千客万来ですね あまりお構いできませんよ?」

キノココ「…………?」

千客万来? キノココ達以外にも来たということだろうか?

そう思い奥を覗いてみると、成程、二体のポケモンの影がある

ゴクリン「エネコ、と、ルリリ、みたいだけど……?」

チリーン「今朝早くに訪れたのです まだ詳しいことは聞けていません」

キノココ「……何が、あったの?」

どちらも毛並みが乱れている ルリリに至っては大怪我だ

エネコ「……聞いてどうするっていうの? ……ふん」

キノココ「……ごめん」

出会ったばかりなのだから仕方ないのかもしれないが、彼女は心開いてはくれないらしい

彼女の言うとおり、気になるからというだけで訊くのは失礼だろう

そうするとみな口籠ってしまい、沈黙が場を制す なんか気不味い……

ルリリ「――う、んん…… ――え? ここ、は…… 何処? ……あ、痛っ」

と、ルリリが目を覚ました 声を聴く限り大事には至らなそうだ

チリーン「おはようございます 薬が効くまでもう少し時間がかかると思いますので、
     安静にしていてくださいね」

ルリリ「あ、えと、ありがとう? 貴女が助けてくれたの?」

チリーン「いいえ 私はここに来たあなたに薬を使っただけですよ」

ルリリ「……? それは、貴女が助けてくれたということじゃないの?」

不思議そうな顔をしているルリリ だが、キノココにはなんとなくわかった

『来なければ関わらなかった』とでも言いたいのだろう 偽悪的でチリーンらしい

彼女も、褒められたり感謝されたりというのが苦手なのかもしれない

エネコ「……あんた、何でそんな大怪我をしてたの? ちょっと普通じゃなかったわ」

ゴクリン「えぇ!? 君は訊くの!? だってさっき――」

エネコ「黙れ」

理不尽だ…… ゴクリンは呆気に取られている

しかしルリリの事情を知りたいのはキノココだって同じで つい見つめてしまった
 ▼ 131 ベルタル@きんりょくのハネ 18/02/25 23:59:08 ID:TlJeYsUs [2/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ルリリ「…………私、森を出た辺りにある泉に棲んでるの 水が綺麗に澄んでいて
    静かでよいところだったんだけど、最近、荒くれ者が棲みついてしまって」

キノココ「喧嘩に巻き込まれた、とか?」

荒くれ…… 怖い奴らなのだろう キノココは相手を想像して震える

ルリリ「そうじゃなくて 私、彼らが許せなくて」

エネコ「……喧嘩売ったの? あんたバカ? 勇敢と無謀は別よ?」

ルリリ「そう、だよね 敵うはずなかった ……でも」

エネコ「……許せなかった? そりゃまた何で」

ルリリ「彼ら、自分たちの棲み易いようにってあの泉を汚し始めたの
    態々『毒タイプ』のポケモンにヘドロを作らせて 泉に流し込んで」

キノココ「…………酷い」

ルリリ「でしょ?  余所者が増えたことで治安も酷くなって
    綺麗な水を好んであそこに棲んでいたポケモン達は体調を崩してて
    ……姉のマリルリもずっと臥せったままで」

家族にも被害が出ているのか 彼女が怒る理由も判る

ルリリ「なのに彼らは少しも気にせず我が物顔で連日騒いでいて
    流石の私も、堪忍袋の緒が切れたんです 文句を言うことにした」

皆のために怒り、怖い奴らにも怖じ気付かず意見を言いに行く

確かに無謀とも謗られそうだが、彼女は勇敢なのだとキノココは思う

ルリリ「聞き入れられる訳、なかったんだけどね……
    『俺様に命令するなら、俺様にバトルで勝ってからにしろ』なんて言われまして」

エネコ「コテンパンの返り討ちに会ったのが今朝、ね」

ルリリ「うん…… 恥ずかしいことに……」

あの大怪我はそういうことだったらしい 無理をするものだ

チリーン「大変だったのですね いえ、過去形にはできないでしょうか」

その言葉に緊張が走る そうだ、ルリリは助かったが、問題は現在進行形である

泉の汚れも、荒くれ者もなくなったわけではないのだ

ルリリ「……やっぱり、何とかしないといけないよね」

キノココ「ど、どうやって?」

ルリリ「それは…… 解らない、けど…… やらない訳には……!」

『命に変えても』 ……などと言い出しそうな危なっかしさが彼女に目に宿っていた
 ▼ 132 ーフィア@きのみジュース 18/02/26 00:00:25 ID:.dEYZ1wA [1/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
キノココ「でも、本当にどうすればいいんだろうね……?」

ゴクリン「『四匹寄ればメタグロスの知恵』ってよく言うじゃない
     ここには五匹もいる 皆で考えればきっといい考えも浮かぶはず」

チリーン「私も頭数に入ってます? まあいいですけど、ではゴクリンの意見から」

ゴクリン「え!? ええっと…… うーん…… ん…… ……パスで」

チリーン「パスありルールなんですか?」

エネコはゴクリンたちのやり取りを剣呑な目で見つめ、少し考え口を開く

エネコ「泉を汚したヘドロ、『毒タイプ』…… ――まさか……」

少し後退りながら彼女はゴクリンを睨む どうやら彼を疑っているらしい

ゴクリン「ち、違うよ!! ぼくじゃない!! そんな酷いことやらない!!」

エネコの視線に耐えきれないように、慌てて言葉を紡ぐ

ゴクリン「それに、ぼくだって最近越して来たばかりなんだ 神に誓って無実だ!」

エネコ「……何の証拠になるっていうの? ヘドロのために来たのかもしれないじゃな
い?」

ゴクリン「――えぇ!? 邪推だ! そんなの何とでも言えるじゃないか!! 水掛け論だ!!」

エネコ「……つまり証拠能力がないことは認めるんでしょう ――近づかないで」

彼女は自分の身を守るように尾を前に出しながら下がっていく ルリリも同様に下がった

ゴクリン「ぼくが犯人みたいな扱いやめて!! ど、どうすればいいかな、キノココ」

ゴクリンは困ったようにこっちを見てくる どうすればいいか、と言われても……

彼が悪い奴じゃないのは、キノココだって判っている しかし昨日より前の彼の行動は
把握していないし、証言のしようがない もしかしたら本当に――いや、やめよう

友達を疑うなんてことはしたくない 何か彼の無実につながるような証拠は――

チリーン「確かに証拠はないですよね でも、疑わしきは罰せずと言いますし
     少し落ち着いてはいかが? 私も彼がそんなことをするとは思えません
     昨日も傷だらけになってここに来たのですよ?」

エネコ「昨日? ……何それ、知らなかったわ ――でも悪い奴じゃない証拠じゃない」

ルリリ「仲間割れでも傷は付きますものね…… まさか――」

ルリリも疑いの目を向けだす始末 ゴクリンはひどく狼狽えている

ゴクリン「ぼ、暴論だ! みんな酷いよ! ぼくがやったって証拠もない!!」

エネコ「……犯人は皆そういうのよ」

ゴクリン「いや、ぼくは犯人じゃないって……! 助けてキノココ!」
 ▼ 133 ディアン@たべのこし 18/02/26 00:04:05 ID:.dEYZ1wA [2/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
皆の話を聞きながら暫し考えていたキノココは、言った

キノココ「――うん、やっぱりゴクリンは、泉のことには関係ない」

徐に口を開いたキノココに、回りは驚いた顔をする

エネコ「……いきなり何? 証拠がないっていうのにお友達を庇おうとしても無駄よ」

ルリリ「彼が無関係って、どういう、こと? なんで解るの?」

目に見える証拠は出せない それにもしかしたら証拠にもならないかもしれない

でも、多分これで合っている筈だ さあ、答え合わせをしようじゃないか

キノココ「何が引っ掛かっているのかちょっと考えていたんだけどね 解ったよ
     『最近』って、いつ? そこに答えがある」

ゴクリン「へ? 引っ越してきたのは、“5日前”だけど……」

ルリリ「泉が汚されたのは、”2週間”は、前…… え、ええと」

二匹ともが使ってた言葉 問題はそれが示す範囲が広いこと

その所為で決定的な勘違いが中々解けなかった

ルリリ「――ご、ごめんなさい! 無実の貴方を疑ったりなんかして……!」

ゴクリン「い、いや いいんだよ、濡れ衣だって判れば」

エネコ「……私も、謝るわ ごめん ……でも何で解ったの? 明言してなかったのに」

キノココ「昨日ゴクリンが怪我を負ったって話はしたね? 僕はその理由も聞いていた
     『引っ越し後の挨拶回りで受け入れられず迫害された』って」

エネコ「それが何よ こいつが悪かったんじゃないの?」

辛辣なこと言うな 流石に理由もなく新しい隣人を傷つけるような輩はそういないと思う

逆に言えば、理由があればそういう輩も増える いいことじゃないんだけど

キノココ「――つまり、ゴクリンが引っ越して来た時には既に、『毒ポケモンは悪し』
     という風潮があったように思う そんな風潮になったのは事件の所為だろう
     確証はなかったけど 君たちの答えを聞いて、間違ってないことが解った」

ゴクリン「キノココ…… 信じてくれて、ありがとう」

ルリリ「本当に、済みませんでした」

彼の疑いが晴れてよかった ……答え合わせ、合っていて本当によかった
 ▼ 134 レザード@するどいツメ 18/02/26 17:25:57 ID:.dEYZ1wA [3/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
エネコ「こいつが関係ないのは解ったけど、根本はそこじゃないわよね
    どうすんのよ、泉の件……?」

キノココ「ううん…… そこだよね……」

正直、全然思いつかない いくつかの問題が一偏に重なっているのだ

キノココ「せめて一つずつなら、いや、それでも手に余りそうなのに……」

エネコ「……頼りならないわね」

ルリリ「でもそうだよね いろいろ問題で、どれも一筋縄じゃなさそう」

まず、泉に棲みついたという荒くれ 彼らがいる限り問題は終わらないだろう

きっと強くて怖いのだろう 足を震わせるしかないキノココはルリリの勇敢さに舌を巻く

そして泉に流し込まれたヘドロ 誰が作ったか、は大した問題ではない

問題は流し込まれたという事実とどうやって除去するか

……環境を元に戻すのは難しい 少なくとも時間がかかってしまうだろう

更にはヘドロの毒素にやられて体調を崩したというポケモン達も心配だ

彼女らの治療には泉を元に戻すのが有効だと思われるが、先程言ったようにそれは難しい

だからと言って別に綺麗な水のある移住先なんてすぐ見つけられるとは思えない

エネコ「そう、ね 難しいわ…… 発端は一つだと思うのに問題は一つじゃないのね」

問題を纏めて考えてみるが、解決策は出てこない

チリーン「そういえば、荒くれ者とはどういう方達なのですか?」

悩むキノココ達に横からそんな質問が飛んでくる

ルリリ「……あ、うん 言ってなかったっけ? シザリガー、ナマズンとヘイガ二だよ」

ゴクリン「ああ、なんだ それなら簡単じゃない」

彼は呑気な声を出して、キノココを見る …………え?

ゴクリン「バトルに勝てばいうことを聞かせられるんでしょ? こっちにはキノココがいる」

キノココ「え ちょ! 無理無理! 何で僕? バトルなんて無理だって!!」

ゴクリン「またまた、そんな謙遜しちゃって」

そんな、ぼくは判ってるよ、みたいな顔されても…… なんでこうなるの!?

エネコ「……え? キノココって強いの? 弱そうに見えるのに……」

ルリリ「相性は最高、だよね? なら……」

やめて そんな期待に満ちた目で見ないで 見た目通りに弱いんだよ本当に

ルリリ「私が代表なんて烏滸がましいけど……
    お願い!! 私達のために、泉を彼らから取り返して!!」
 ▼ 135 ズマオウ@かえんだま 18/02/26 17:29:51 ID:.dEYZ1wA [4/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
エネコ「荒くれを追い出せたとして その後も問題ね」

ルリリ「どうすれば、いいのかな?」

真っ青になるキノココを尻目に、話は進んでいく

ゴクリン「汚れた水を清めてくれるポケモンは伝承の中で確認されてるっていうけど」

エネコ「伝説でしょ? そんなのに頼れるの?」

ゴクリン「探し出せばいい そしてお願いするんだ」

エネコ「……馬鹿らしい 会えるわけないじゃない だから伝説なんでしょう?」

ルリリ「それに、そのポケモンは凄く脚が速いそうだよ 私達じゃ追いつけない」

ゴクリン「罠を張って、待ち伏せすれば……」

エネコ「伝説がどこにいてどんなルート通るか誰も解らないんだから無意味ね」

ゴクリン「うーん…… 無理か」

キノココ「いや…… いやいや、ちょっと待ってよ!」

なんで荒くれたちを斃せてる前提なのか

方針決めるうえで一つの問題にとらわれないのは悪いことではないのだが、それでも

ルリリ「え……? キノココ、助けて、くれないの……?」

彼女はショックを受けたような顔で目を潤ませる

キノココ「え、いや、そういうことじゃなく…… 僕じゃ役者不足だと思うから……」

『痛いのは嫌だし、勝てない勝負はしたくない』

そんな心の隅にあった気持ちを読み取られた気がしてドキリとする

ゴクリン「そんなことないって、大丈夫 キノココなら勝てる」

何の根拠もないじゃないか そんな澄み切った眼で言われても困る

キノココは臆病で そして弱いのだ 勝てる保証なんてない

エネコ「こいつもこう言ってることだし、ルリリも期待してるし
    相性的にもこの中ではあんたが一番期待持てるでしょ ♂なら肚決めろ!」

それは関係ないのではないかな 男女差別と言われかねないでしょ?

ゴクリン「武者震いなんてしちゃって、頼もしいなぁ じゃあ泉に行ってみようか
     あとのことは荒くれを斃してから考えよう!」

チリーン「応援しています 頑張ってくださいね はい、これ」

そう言ってチリーンが何かを渡して来た お守りのつもりだろうか

うん、でもこれは効果ありそうだ ありがたく受け取る
 ▼ 136 ッパ@かざんのおきいし 18/02/26 17:31:18 ID:.dEYZ1wA [5/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
結局、皆に連れられる形になって泉に来てしまった

ゴクリン「た〜〜〜の〜〜〜も〜〜〜!!」

荒くれA「ああん? 何もんだ?」

ゴクリン「やいやい、お前ら!! 綺麗な泉を自分の勝手で汚しやがって!
     皆が困ってるだろう! 絶対許さん!! 覚悟しろ!」

荒くれB「あんまり大口叩くもんじゃね〜ぞ〜? 弱そうなのが集まって〜よ〜?」

ゴクリン「弱くなんかないさ! ここにおわすキノココ様が貴様らを成敗してくれるわ!!」

そしてキノココが戦うことで話が進んでいる なんでゴクリンが強気なんだろう……?

荒くれA「キノココぉ?  ……ハハ! コイツはお笑い草だ 雑魚連れてきてどうすんだ!
     タイプ相性だけで勝ったつもりかよ! それとも馬鹿にしてんのか?」

荒くれC「兄貴の言う通りだぜ しっしっ 帰れ帰れ」

エネコ「……カチーン ムカつくやつね キノココ! やっておしまい!」

ルリリ「帰らないよ 泉は、返してもらう」

荒くれB「ん〜? な〜んだ〜 誰かと思ったら今朝のお嬢ちゃんじゃな〜いか〜」

荒くれC「散々叩いてやったのに、懲りずに助っ人読んで再挑戦ってか?
     ぷぷっ…… 随分頼りなさそうな助っ人だな!」

ルリリ「そんなことない! キノココは凄いんだ! お前らなんかに負けない!」

何を知っていっているのやら なんでそこまで信じてくれるんだろう

荒くれA「嘗めやがって…… さっさとかかってきやがれ! ぶちのめしてやる!」

荒くれは怖い顔で凄んでくる ……正直帰りたい 戦うのは怖い

でも、ここで帰るのも怖いな ここで逃げたら格好悪いじゃないか

事実でも、臆病と謗られるのは良い気分じゃない ええい、ままよ!

キノココ「……一つ確認させて バトルに勝った相手の言うことは聞くって話だったよね
     そこに嘘はないかい? 僕が勝ったらここを出て行って貰いたいのだけど」

荒くれA「ハッ まるで勝てるみたいな発言じゃねえか ……だがそこは約束する
     『敗者は勝者に従う』 これバトルの鉄則だ お前も覚悟しろよ?」

キノココ「……容赦はして欲しいけど うん、文句は言わないよ」

シザリガー「……ふん、じゃあ、バトルスタートだ 先手ぐらいは譲ってやるよ」

普通に戦っても分が悪い これは嬉しい提案だ
 ▼ 137 ハコモリ@ポイントマックス 18/02/26 17:33:25 ID:.dEYZ1wA [6/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
キノココ「じゃあ、先に撃たせてもらうよ “宿り木の種”!」

荒くれA「なん…… いきなり“宿り木”かよ! くそ! ちょっと絡まった!」

少し外れてしまったが、上々の成果だ これで相手の体力は少しずつ奪える

荒くれC「ズルいぞ、コノヤロー!!」

エネコ「別にズルじゃないわよ ちゃんと“技”なんだから」

ルリリ「そうだよ! これも戦略のうち!!」

外野は盛り上がっているようだ 弁護してくれてありがたい

キノココ「続けて、“成長”――」

荒くれA「しゃらくせえ! これでも喰らえ! “噛砕く”!」

キノココ「ぐあっ」

荒くれA「“スピードスター”!!」

キノココ「う、うわあっ!」

荒くれA「おいおい、どうした? その程度かよ? 張り合いなさすぎるぞ?」

キノココ「く―― まだだ “毒のこ――――!?」

粉が、出ない しまった 先刻の発言は、技効果のある“挑発”だったか……

荒くれA「あん? やっぱり変化技に頼るしかなかったのか? そんなんで勝てるとでも?」

にやにやと下卑た笑みを浮かべて相手はこちらの様子を伺っているようだ

確かに、挑発されてしまうとキノココはほとんど技が使えなくなる

ダメージも蓄積してるし、“成長”も積めない これは万事休す――

キノココ「――“メガ、ドレイン”」

――でも、ない こちらのアドバンテージは、潰せるようなものじゃないんだ

タイプ相性は、そうそう覆せない 更には技効果で体力も奪ってしまえる

先に体力が尽きた方の負けというバトルのルール上、これは大分有利な要素になる

……先刻渡された『大きな根っこ』を“叩き落とす”か“泥棒”されてたら辛かったけど

それは言わぬが花だろう

荒くれA「くそ!! “スピードスター”!!」

避けきれない けれど

キノココ「“メガドレイン”」

それ以上に回復してしまえばいい 相手の体力は後少しで尽きる 一気に決めてしまおう
 ▼ 138 ィアンシー@かがやくいし 18/02/26 17:34:35 ID:.dEYZ1wA [7/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
キノココ「“メガ――――」

荒くれA「くっそ! ――おい、ナマズン!!」

荒くれB「承知した〜! とりゃ〜! “暴れる”〜!!」

突然ナマズンが飛び込んでくる 高威力の攻撃の前にキノココはなす術もなく吹き飛んだ

エネコ「な―― 何よそれ! 酷すぎる!」

ゴクリン「ズルいっ!! それこそルール違反だ!!」

ルリリ「いきなり横からなんて、あんまりだよっ!!」

皆の抗議の声が殺到した しかし荒くれはどこ吹く風

荒くれA「ズルはねえよ 最初から俺らはダブルバトルのつもりだった
     ただ相方が動かなかっただけだ ルールはちゃんと確認しような?」

荒くれC「流石兄貴! 負けない方法、考えていたっすね!」

詭弁を並べ立ててせせら笑い、

荒くれA「おっと、2対2の勝負の最中だった そっちの相方は誰だ?
     まあ、今出てきたらこいつの“暴れる”の餌食だがな ハハハ!」

全く悪びれた様子もなくそう続けた

ゴクリン「う…… それは……」

ルリリ「私、今朝、あれにやられたの…… 足が竦んで、前に出れない……」

エネコ「えげつないわね……」

荒くれB「な〜に〜? 降参なの〜?」

荒くれC「そうそう 早くしろよ! ほら、10…… 9……」

いつでも攻撃が始められるようキープしながら、急かしてくる

それに対して三匹は完全に怖じ気付いていて声を発せず……

チリーン「いいえ! 相方は私です! ――“癒しの波動”」

――ただ一匹、チリーンだけが動いた 動けた

荒くれB「へ〜…… 態々斃れに来るとは関心、関心 喰らえ〜 “暴れる”〜!」

そんな彼女に向かって、荒くれが突っ込む ――寸前に



キノココ「――“メガドレイン”!!!」



キノココはチリーンの前に立ち、全力で技を放っていた
 ▼ 139 ワルン@でかいきんのたま 18/02/26 17:35:44 ID:.dEYZ1wA [8/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
荒くれB「くあ…… な、にが?」

彼はキノココの、能力上昇中かつ4倍威力の攻撃には耐えられなかったようで

一気に戦闘不能に追い込まれていた そして、キノココの方はといえば体力満タン

キノココ「さあ、決着を付けよう といってももう一発で終わるけど 降参するかい?」

出来るだけ不遜に見えるように、キノココは降伏を勧告する

荒くれは、先刻とは逆の立場になって脂汗を流している

荒くれA「なんだ? ど、どうなってやがる!? 何でお前は斃れてねえ!?」

キノココ「簡単な話だよ 僕はナマズンの攻撃をギリギリで耐えた
     そして彼女の技に助けられて、バトル場に戻って来た それだけ」

危ないところだった 本当にギリギリだったんだ

最初に“宿り木”を植え付けておかなかったら耐えられなかったかもしれない

そのぐらいの重傷で、耐えたといってもすぐには動くことが出来なかった

“癒しの波動”味方の体力を回復させる技だ あれのお蔭で体が動かせるようになった

そう考えると、『ダブルバトルだ』という詭弁は、彼らにとって墓穴だったのかもしれない

荒くれA「……仕方ねえ 認めるよ 俺らの負けだ」

思ったよりあっさりと降参してくれてほっと息を吐く

もっと粘るかと思ったが杞憂のようだ

キノココは強張っていた体を解しながら仲間の元へ

荒くれA「なんて――言うと思ったか!! “騙し打――――」

油断したキノココの無防備な背中を狙ってくる 気付いた時には鋏がもう目前に……



チリーン「――“マジカルシャイン”!!!」



荒くれA「ぐあっ く……そ……」

そして予断なくそれを見ていたチリーンに助けられる 

キノココ「うあ! た、助かった…… ありがとう、チリーン」

チリーン「いえ、怪我がなくてよかったです 悪足掻きは怖いですよね まったく」

エネコ「あんたたち、すごいわね…… 本当に勝っちゃった……」

ルリリ「二匹とも、すごかったよ! 本当にありがとう!!」
 ▼ 140 イーガ@ウタンのみ 18/02/27 21:53:27 ID:WlUBQJeo [1/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
荒くれC「そ、そんな…… 兄貴たちが……」

ゴクリン「さて、これでぼくらは勝者ということになるのかな?
     『敗者は勝者に従う』って言ってたの、忘れてないよね?」

何でお前が偉そうなんだ、と言いたげな表情の荒くれは、しかし

荒くれA「……約束は、約束だからな 解った、出ていく
     この泉にはもう関わらねえ ……それでいいのか?」

ルリリ「待ってよ このヘドロはどうしたらいいの?」

エネコ「汚すだけ汚してさよならなんて許せないわ」

荒くれB「そうはいってもさ〜 汚れた水を元に戻すなんてできな〜いよ〜?」

荒くれA「俺らがやったことではあるが、これはどうしようも……」

荒くれC「そのうち自然に浄化するのを待つしかないっす」

強気なこちらの面々に対したじたじになっているが、出てくる答えは否定的だ

かの伝説ポケモンでなければ水の浄化なんてできないのだから、仕方ないのかもしれない

チリーン「……では、できる範囲のことをお願いできますか?
     シザリガーさん達は陸を行けるので、薬の材料集めを
     ナマズンさんは、その間に泉の底のヘドロをできるだけ纏めて下さい」

荒くれC「く、薬? いいすけど、一体何に?」

チリーン「あなた方が水を汚した所為で病に臥せった方がいらっしゃるそうです
     奇跡の種と、モモン、クラボ、ラム、それから復活草が要ります」

荒くれA「俺らの所為で、か…… 了解した ちょっと行ってくる」

キノココ「ぼ、僕もいくよ」

荒くれA「んあ? 勝者はどっしり構えてていいんだぞ?」

意外にも彼は、義理堅いらしい でも、そういうのじゃなくて

キノココ「森に材料採りに行くなら僕の方が詳しい それに僕も何かしていたいんだ」

荒くれC「そっすか じゃあ、案内して貰っちゃいましょうか ねえ、兄貴?」

荒くれA「お、おう、宜しく頼む ……さっきは、悪かったな 頭に血が上ってた」

キノココ「う、うん 大丈夫 怪我もないし……」

思ったよりもいいポケモンなのかもしれない、なんて思ってしまうのは単純過ぎだろうか

ゴクリン「行ってらっしゃ〜い」

荒くれA「(イラッ) ……お前も来い 荷物持ちくらいにゃなるだろ」

ゴクリン「え…… えぇ!? な、何でさ〜?」

うん、短気ではあるのかもしれないけれど ……気を付けよう
 ▼ 141 チャモ@いいつりざお 18/02/27 21:54:20 ID:WlUBQJeo [2/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ルリリ「あ、じゃあ、私も行くよ! 少しでも多く薬作らないとだもんね!」

彼女も荷物持ちに来てくれるようだ

家族が臥せっている彼女からすると、もし足りなかったらと思うと切実なのかもしれない

エネコ「……あたしはどうすれば?」

チリーン「“癒しの鈴”使えましたよね? こっちを手伝ってください」

エネコ「……応急処置? 病人の介抱? 判ったわ じゃあ、待ってるから」

キノココ「うん ……行ってきます」

チリーン「宜しくお願いしますね」


ルリリ「あ、あったよ! ラムの実!」

荒くれA「森、嘗めてた…… こいつがいなかったら材料探しどころじゃなかった……」

キノココ「結構入り組んでるからね それぞれの材料が取れる場所もバラバラだし」

木の実は順調に集まった 奇跡の種も採集済み

確かに、キノココがいなかったら彼らも迷っていたのかもしれない

そう思うと地の利があるだけなのだが、誇らしい気持ちになる

少し心配していた森のポケモンとの遭遇もないようで一安心

ゴクリン「最後、復活草だけだよね どこにあるのかな?」

キノココ「復活草は、確か、あっちの崖の下辺りにあった筈……」

ルリリ「崖? やっぱり採り辛いとこに生えてるんだ……」

復活草は効果も覿面だが、厳しい環境でないと生えてこず入手が困難な材料である

しかし今の時期なら多分生えているだろう

荒くれC「お、遠目に見えるは、聞いた通りの草っぱ! あれすね!?」

ちゃんと生えていてくれたことに安堵を覚える しかしそうなってくると、問題は

荒くれA「どうやって採りゃいいんだ、あれ?」

ゴクリン「見えてるのに、遠い……」

復活草が生えているのは、垂直に近い崖の下 一筋縄じゃ行かない
 ▼ 142 ルミーゼ@じしゃく 18/02/27 21:55:14 ID:WlUBQJeo [3/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
荒くれA「下にいったら最後、戻ってこれないんじゃないか? 他のとこにはねえのか?」

キノココ「残念ながら、他に生えているところは知らないんだ 多分この森ではここだけ」

ルリリ「珍しい品種だもんね 寧ろあってよかった」

ゴクリン「この丈夫そうな蔦を命綱にすれば下りられるんじゃない?」

近くの木に巻き付いた蔦を剥がしながら、ゴクリンがいう

確かに長さは申し分ないのかもしれないが……

荒くれC「本当に丈夫なんすか? それ」

ゴクリン「丈夫そうだよ?」

キノココ「ぎ、疑問形……?」

荒くれA「しかし、下に降りられそうな道もねえし、こりゃどうしたもんか……」

皆顔を見合わせ、しばし何も言えずいると

ルリリ「わ、私が行くよ!!」

手を挙げて立候補を表明する

キノココ「えぇ!! あ、危ないよ!! もっと安全な方法を探して――」

ルリリ「だって! ……あれはお姉ちゃんたちのために必要なんでしょう?」

今も苦しんでいる人がいる 余り悠長なことを言える余裕がないのかもしれない

キノココ「……そう、だね 薬のためには復活草が必要だって言ってた」

それに危険だって決まったわけでもないのだ 見守るべきかもしれない

ルリリ「大丈夫 私は軽いから きっと蔦だってもってくれるよ」

荒くれA「解った しっかり縛るから、きつかったら言えよ」

ルリリ「お願い」

準備が整うと、彼女は復活草を入れるための籠を持ち崖際に立った

荒くれA「ゆっくり下すぞ 無理はすんな」
 ▼ 143 ンクルス@くろいメガネ 18/02/27 21:56:13 ID:WlUBQJeo [4/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
時間をかけて、足場を確認しながら下りていき

ルリリ「やった!! 下りれたよ!! 復活草、一杯取らなきゃ!!」

下から彼女のはしゃいだ声が聞こえてきたことで、こちらの空気も緩む

荒くれA「なんだ、杞憂だったか……」

ゴクリン「言ったじゃない 『丈夫そう』だって」

荒くれC「そりゃ言ってたっすけど、本当に丈夫かどうかなんて解んないすし」

荒くれA「……復活草って、結構高級品だよな ちょっとちょろまかしても……」

キノココ「だ、駄目だよ! 薬にするとき足りなかったらどうするのさ!」

軽口をたたいて時間を潰していると ルリリの声が聞こえてくる

ルリリ「集め終わったよ! 引き上げて!!」

荒くれA「OK 引っ張るぞー!」

復活草の入った籠を抱えたルリリを引き上げる 途中

――――ブチリ……

ルリリ「え!? う――あああっ!!」

不吉な音が聞こえたと思ったら、彼女は落ちてしまった

キノココ「ルリリ!? 大丈夫!?」

ルリリ「――ビックリしたー! でも怪我はないよー! 大丈夫ー!」

崖下からは元気そうな声が響く ……良かった

荒くれC「……切れっちまいましたよ どうするんすか?」

ゴクリン「あ、あれー? じょ、丈夫そうだったのになー?」

キノココ「呑気なこと言ってないで! ど、どうしよう?」

荒くれA「長くて丈夫そうな蔦を探すか? さっきのみたいなのは中々ねえか……」

ダメもとでも探しに行こうか? いや、そうだ 崖下のルリリに聞こえるよう声を張る

キノココ「ねー ルリリって確か、結構ジャンプ力あったよねー?」

ルリリ「えー? あるけどー、流石に上までは届かないよー!?」

うん、ルリリ自身は届かないだろう でも

キノココ「ジャンプして投げたら、その復活草ここまで届くかなー?」

材料だけなら 話は違ってくるのではないだろうか
 ▼ 144 ンリュウ@フェスチケット 18/02/27 21:56:57 ID:WlUBQJeo [5/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ルリリ「うんー 多分大丈夫ー! 私、こう見えて“力持ち”だからー!」

ゴクリン「ちょ、キノココ、彼女のことは諦めるの? 復活草だけって……」

キノココ「そんな訳ないよ でも、ルリリと復活草、同時に引き上げるのは難しいから」

荒くれA「バラバラに、まずは復活草からってか」

ルリリ「じゃあ、投げるよー? 6株くらいあるから、ちゃんと受け止めてねー?」

キノココ「じゃあ、皆宜しくね? 僕は飛んでくるものを取るのとか苦手だから」

荒くれA「あ? 言い出しっぺが何言って…… いや、『勝者様』の仰せのままに
     キリキリやるか そっち頼んだぞ、ヘイガニ」

荒くれC「へいっ!」


ルリリの言う通り復活草は危なげなくここまで届いた

彼女のコントロールは中々よかったらしく取りやすい位置に投げてくれたようだ

ルリリ「全部投げ終わったよー! 次はどうすればー?」

キノココ「お疲れさまー!! じゃあ、崖を登って来てくれないかなー!!」

荒くれA「な、何無茶言ってやがる? こんな崖を登れ!?」

ルリリ「そ、そうだよー! 無理だって! 登れそうなとこなんか……あれ?」

彼女は何かに気付いたように崖に近づいていく

ルリリ「なんか、崖からひげ根? みたいなの出てる…… 登れそうかも」

ゴクリン「キノココ、なにしたの?」

キノココ「崖の側面に飛び出るように根を張っただけだよ」

ひげ根を使えばルリリも登って来れるだろうと踏んで“根を張る”を使った

荷物を持ったままでは登るのは大変だろうと思い、先に投げることを指示した

投げ終わる頃に登れるまでの量を張り巡らし終わったのは嬉しい誤算だろう

ルリリ「よい、しょっと! ただいま 助けてくれてありがとうキノココ
    本当に感謝してもしきれない ありがとう!」

キノココ「え? いやいやそんな、感謝するのはまだ早いって」

全ては泉の問題を片付けてからにするべきだ

まあその時も照れくさくて感謝なんていらないというんだろうけど
 ▼ 145 ンベ@トウガのみ 18/02/27 21:58:06 ID:WlUBQJeo [6/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ルリリ「さあ、ほら、泉に行こうよ」

材料も五種類全部集まった ここにいる理由はもうない、と彼女が急かす

キノココ「えと、皆、先に行っててくれるかな……?」

ゴクリン「えー? 何言ってるの? 早く行こうよー」

キノココだってここにいる心情的な理由はない それでもここは離れられない

泉に急ぐべきであることは判っている でも足は重い “物理的”に

荒くれA「根を張ったって言ってたな…… つまり動けねえのか?」

ルリリ「あ―― わ、私の所為で? ごめんなさい!」

キノココ「いや、大丈夫大丈夫 すぐ動けるようになるし」

荒くれC「動けるようになるまで待ってやしょうか?」

キノココ「いいや、先行って 薬を待ってる人がいるのだし 僕は大丈夫だから」

本当は、動けないでいるのは不安なのだけど強がって見せた

彼女はキノココを見て暫し逡巡していたようだったが、やがて

ルリリ「――じゃあ、先行くね すぐ来てよ?」

薬を必要とする身内のためにキノココを置いていくことを決心した

荒くれA「五匹で運ぶ予定だった材料運ぶのに、誰も残ってやれねえみたいだ」

キノココ「気にしなくていいってば すぐ追いつくよ」


足が地面にくっついて動けないキノココは 久しぶりの一匹の空間でぼんやりとしていた

ここ数日、なんだかんだで一匹になる機会はなかった気がする

チリーン、ゴクリン、ルリリにエネコ、そして荒くれ達

想えば随分知り合いが増えたものだ しかもこの数日で

キノココ「ほんの少し前は想像してなかったな」

濃い日々、いろいろ大変だったけど、思い返せば楽しかった

つい頬が緩みそうになって


「こんなとこにいい感じのサンドバックが転がってやがる 技の練習さしてもらおうかな」


凍り付く ――この声、この台詞は

キノココ「キミ、たちは…………」

虐めっ子達「「よう 久しぶり」」

虐めっ子A と 虐めっ子B が 現れた !!
 ▼ 146 ンプラー@ふたのカセキ 18/02/28 23:18:41 ID:qpCwRNU. [1/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
虐めっ子A「ここ数日見掛けなかったけど、どこ行ってたのかなあ?」

虐めっ子B「この間みたいに卑怯なこと出来ないように再教育してやらんといけないな」

キノココ「えう………… あ……」

膝が、笑う まともに喋れもしない 怖い 怖い

動け 集中しろ どうにかして助かる方法を……

キノココ「“眠り――」

虐めっ子A「とりあえず“挑発”しとくわ あんま抵抗すんなよ? 弱虫」

封じられてしまった これでキノココにはほとんどなす術がない

虐めっ子B「じゃあ、オレから行くわ ちょっと試したかったんだよね
      本当にこれで積めるのか 喰らえ! “銀色の風”」

キノココ「うあ…… わ……」

虐めっ子B「能力上昇の気配は無し…… まあ一発じゃこんなもんか」

虐めっ子A「おいおい、いきなり弱点攻撃はねえだろ? すぐ斃れっちまうぜ?」

虐めっ子B「大丈夫だって 加減してやってるし ヤルキモノも遊べば?」

虐めっ子A「おう “切り裂く”の練習 と行きたいとこだが斃れられちゃ困る
      加減に加減して、“引っ掻く”」

キノココ「痛っ…… やめ……」

虐めっ子B「よーし、もう一回“銀色の風”」


――どれだけの攻撃を受けたことだろう もう体はボロボロだ

嫌味のように執拗に弱い攻撃ばかり使ってきて、終わりが見えない

その所為で精神的にも疲弊していた

虐めっ子A「……思ったよりタフだな おかげで思う存分技を試せたが」

虐めっ子B「そうだな 飽きてきちゃったしな ……“銀色の風”、積めるって詐欺だ
ろ」

虐めっ子A「そんなにショックだったのかよ 確率低いのは判ってたろうに
      じゃあ、最後にこれだけやって終わりにするわ 中々使えないんだよね」

そう言って集中するモーションを取る やめてくれ もうボロボロなのに

虐めっ子A「――“気合パンチ”!!」

キノココ「か―――― ふ…………」

キノココ は たおれた !!
 ▼ 147 ガルカリオ@しろいハーブ 18/02/28 23:19:24 ID:qpCwRNU. [2/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
虐めっ子A「……はー、疲れた疲れた、いい汗流した じゃあ帰るか」

虐めっ子B「そうだなー お、いいもの持ってんじゃん オレにもよこせよ」

虐めっ子A「ばっか このクラボは俺のだ お前はカゴでも食ってろ」

虐めっ子達はおやつを食べながらキノココのもとを去っていく

その場に残されたキノココは もぞりと動いて

キノココ「……これ、動けるようになるのにあとどれくらいかかるかな……」

嘆息する 散々嬲られた割に体力はもう余裕ができている

キノココ「“挑発”かかる前に根を張り直したのは、良かったのか悪かったのか……」

お蔭でこうしてすぐに回復できているわけだが、このせいで戦闘が長引いた感は否めない

戦闘中も回復していたから、タフになって、受ける技数も増えてしまった

キノココ「でも、一度斃れるポーズを取った方がいいよね」

今回、抵抗らしい抵抗を見せなかったのは、何も“挑発”されたからだけじゃなかった

先に封じられてしまったが最初に“眠り粉”を使おうとしたのだってそう

『抵抗する意思はある』と見せかけるための虚仮威しだ

そもそも“やるき”は眠らないのだし、片方寝かせても起こされるだけ でもそれでいい

二匹でキノココを成敗したなら彼らの怒りも収まるだろうと考え

後々を考えるとそれがいいと思った

爆弾は、大きくなる前に爆発させてしまった方が安全なのだ

と、いっても

キノココ「……怖かった ……怖かったよ」

覚悟していたとして、攻撃を受けるのはやはり苦しいし、何より怖い

先の出来事を思うと 今更震えが止まらなくなる

皆に見られたら笑われるだろうか 心配させてしまうかもしれない

キノココ「……大丈夫 どうせすぐには動けない」

張った根がなくなるまで深呼吸して落ち着こう きっとその頃には怪我も無くなっている
 ▼ 148 ローニャ@イアのみ 18/02/28 23:20:18 ID:qpCwRNU. [3/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
さらに時間が経って 根の切り離しも進み、体力もほぼ満タンになる

気持ちも十分落ち着いて来た これなら皆の前に顔を出しても大丈夫だろう

キノココ「……でも もうちょっとは動けないかなあ もどかしい」

まだ根は残っている この技は使いどころが難しいと再認識する

    「そこの方、少し聞きたいことがあるのですが、よろしいですかな?」

キノココ「――? え? 誰?」

突然、声が降ってくる しかし見渡せど相手の姿はない

回りをきょろきょろと見回してしまう

    「ひょひょ、申し訳ない 日があるうちは見え辛いのかもしれませんが
     私は今ちゃんと目の前にいますよ ほら、よく見てごらんなさい」

キノココ「え……? う――うわあっ!!」

吃驚した こちらに話しかけてくる相手が幽霊だったこともそうだが

言葉の通り目と鼻の先、至近距離に相手が立っていたためである

キノココ「ヨ、ヨマワル!? な、何でそんなとこにいるのさあ!!」

    「ひょひょひょ ゴーストポケモンの性というもの いい反応です」

キノココ「ま、まあいいけど それで、聞きたいことって?」

    「それが、二つ程 まず聞きたいのは、カゲボウズをお知りでないか」

カゲボウズ? 彼と同じ幽霊のポケモンだ キノココは見かけたこともないと思う

    「ひょひょ まあ、日のあるうちに見え辛いのはあの子も同じ
     ダメもとで訊いてみましたが やはり見てませんか」

彼は特に落胆した様子もなく、軽い調子で言う それにしても不気味な笑い方だ

    「ではもう一つの質問を ここらに“ひみつきち”の入り口はありませんかね」

キノココ「え……? “ひみつ、きち”?」

    「そうです 最近巷では『願いの叶う“ひみつきち”』とかいう噂があるそうで
     少々気になったもので調べてみますと、普通ではない場所があるそうで」

チリーンがいたところ? でもそんな呼び名は聞いたことがない

キノココ「あなたはその噂、信じてるんですか?」

何者なのだろう、と少し警戒を強める
 ▼ 149 マルルガ@しんかのきせき 18/02/28 23:21:39 ID:qpCwRNU. [4/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
    「ひょひょひょ いいえ 噂の真実を知っているだけです」

キノココ「真実?」

    「あそこは、『願いの叶う』などという夢のような場所ではないのです
     ただ、“行き場を亡くした傷付いた魂”が集まる場所なのです」

傷付いた、魂? どういうこと、なのだろう 彼は何を、何故知っているのか

あの“ひみつきち”のことなのか 教えて、いいのだろうか

キノココ「どういう意味なの? そこに何をしに?」

    「言葉通りの意味ですよ ひょひょ いえ、知らないのならよいのです」

慇懃な物腰だが、笑い方も相まって奇怪な印象を受ける

    「失礼 傷付いた魂を持っているので、もしかしたらと思ったまで
     あなたは不思議なポケモンですね そんなにも傷付いた魂を持っているのに
     しかし決して脆くなく強固な様子 あなたはもしかしたら
     “ひみつきち”に辿り着けないのかもしれませんね」

キノココ「? 僕は弱いのだけど? どういう意味?」

    「いえいえ、こっちの話です では、カゲボウズを見かけたらご一報ください」

そう言って彼はその場を去っていく 何か胸騒ぎがした 気の所為かな?


ルリリ「キノココ! 遅いよ! もー!」

泉に行くと、いきなりお叱りを貰ってしまった

キノココ「ごめんごめん 思ったより“根を張る”の効果が長引いちゃってさ」

荒くれA「いや、割とジャストタイミングだぜ? 薬が完成したのがついさっきで
     俺ら材料調達組は何ができるでもなく待ちぼうけだったからな」

荒くれC「あっし等はナマズン兄貴の手伝いしてたっすけど ルリリの姐さんは無理すから
     手持無沙汰でずっと気を揉んでやしたからね 『キノココが来ない!』って」

ルリリ「ちょ…… い、言わないでよ!」

赤くなって怒る彼女 どうやら心配かけてしまったらしい

キノココ「遅くなって、本当にごめん」

ルリリ「ん、大丈夫だよ シザリガーの言う通り、早く来てもやることなかった訳だし」

キノココ「それで…… どうなったの? 薬、効きそう?」

ルリリ「今飲ませてるとこ 効くかどうかはまだ…… ううん、絶対効く!
    みんなで頑張ったし、私はチリーンを信じる!」

後は信じるしかない、か どうか効いてくれますように……
 ▼ 150 シボン@こだいのおうかん 18/02/28 23:22:59 ID:qpCwRNU. [5/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ルリリ姉「う…… ううん…… あれ? 私……」

ルリリ「お姉ちゃん! 大丈夫? 調子は? 何か食べられそう?」

ルリリ姉「ルリリ おはよう そうね、大分調子よくなってきた気がする? どうして?」

ルリリ「えっとね あのね こっちのキノココ達が薬の材料を集めてくれてね
    それからチリーンとエネコが薬作ってくれたの あと“癒しの鈴”も」

ルリリ姉「あらあら、荒くれさん達まで? どうもお世話になりました」

どうやら無事に効いてくれたらしく、顔色の良くなってきたルリリのお姉さんは腰を曲げ
礼を示す 荒くれ達は少々気不味そうだ


荒くれB「よいしょ〜 こっちも大分纏め終わったよ〜」

泉の中から荒くれの一匹が顔を出して報告する

水底にはヘドロが溜まっているのだろう さて、どうやって除去するか

ゴクリン「お疲れ様 ついにぼくの出番だね よーし
     『毒タイプ』の名誉挽回! いや、面目躍如といったところかな!」

荒くれA「あん? お前にどうにかできるってのか?」

エネコ「水の浄化は伝説にしかできないって言ってなかったっけ?」

皆して疑問を顔に浮かべる しかしゴクリンは自信ありげだ

ゴクリン「ふふん まあ見てなって 時にマリルリさん、病み上がりで悪いけど」

ルリリ姉「はい、なんでしょう?」

ゴクリン「あなたは、水の中で呼吸ができるように空気の泡が作れるそうだけど
     それをぼくに作ってくれないかい?」

ルリリ姉「? はい かしこまりました ではこちらへ来て下さい せーの (ぷくー)」

ゴクリン「おー、ほんとに空気の泡が出来た じゃあ、ちょっと行ってくるね」

チリーン「はい 行ってらっしゃい」

そして彼は水底へと移動して、大きな口を開けると

ゴクリン「溜まったヘドロを、“蓄える” そして、“飲み込む”」

見る見るうちに底にあったヘドロはその量を減らしていき 最後には無くなった

一連の作業を終えると、ゴクリンは水面へと上がってくる

ゴクリン「ただいま これでヘドロはなくなって、浄化も進んだよね?」

そしてあっけらかんと言うのだ ……呆気に取られてしまうのも無理ないだろう
 ▼ 151 ラブ@プレミアボール 18/02/28 23:58:06 ID:qpCwRNU. [6/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
エネコ「あ、あんた…… それ、大丈夫なの?」

ゴクリン「ヘドロを飲み込んだこと? 平気、平気 胃袋ポケモンの名は伊達じゃない
     それにぼく、『毒タイプ』だからね 寧ろ新しい技のヒントになったくらい」

キノココ「技? 何か覚えたの?」

ゴクリン「うん、“毒々”と、“ダストシュート”を覚えた気がする 要練習だけど」

ルリリ「ちょ、それ、今やらないでよ!?」

ゴクリン「やらないよ!? 折角綺麗にしたのに そこまで常識はずれじゃないよ!?」

荒くれA「……おい、それ、俺等をディスってんのか?」

ゴクリン「いやいや、そんなつもりはないって そんなにカッカしないで」

エネコ「事実でしょうが いまさら何言ってんの?」

荒くれC「なんだって? このアマぁ 口を慎みやがれ」

喧嘩が始まってしまいそうな雰囲気になり、キノココは慌てふためいてしまう

チリーン「“癒しの鈴” 皆さん落ち着きましょう? 問題自体は解決したみたいですし」

彼女が鳴らす鈴の音はやはりいい音で、それを聞いた皆は心和ませていく

荒くれA「……悪かった 色々好き勝手やってよ」

荒くれB「僕も〜 迷惑かけて、ごめんね〜?」

荒くれ達は素直に謝りだし

エネコ「反省した? ……こっちも、棘のある言い方して悪かったわ」

ルリリ「全部問題解決した今となっては、いいんだけどね でも、次はないよ?」

ルリリ達もなんだか和やかで、仲直りできそうだ


荒くれA「今まで勝手気ままに生きてきたが、今日お前らと出会って一緒に過ごしてみて
     こういうのも悪くねえなって思った なあ、最初の約束を違えることになるが
     これからもここに遊びに来るのって、やっぱり駄目か?」

荒くれB「僕も〜 また来たいな〜 お願い〜」

荒くれC「あっしからもお願いするっす! 今日、楽しかったすもん!」

荒くれ達は頭を下げて頼んできた

朝の時点からは考えられない態度にこちらは顔を見合わせ

ルリリ「ふふ いいよ 勿論、また悪いことしたら出禁にするけどね」

泉のルリリが代表して答える みんな笑っていてこれが総意であることは明白だ

荒くれA「本当か!? ありがてえ!! そっちの約束は絶対守る!!」

皆が笑顔になれるなら それはとてもいいことだろう
 ▼ 152 タチマル@ネコブのみ 18/03/01 01:24:53 ID:QYy065sI NGネーム登録 NGID登録 報告
まじかよチリーン育ててくる
 ▼ 153 ビルドン@ライブスーツ 18/03/01 01:48:54 ID:mxWB84Tw NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 154 ロスター@ガルーラナイト 18/03/01 15:09:21 ID:/l9UQdew [1/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ヘドロがなくなったとて一朝一夕で水質が戻るわけではなかったが、

ゴクリンの活躍によりそれが早まったのも事実で

森とその周辺に蔓延していた、『毒ポケモン』への偏見は収まっていくだろうと思えた

また、泉に現れた荒くれ達の改心も伝わっていって、キノココ達は大変褒め殺され

照れくさくも温かい気持ちに包まれたのだった


チリーン「……もう、大丈夫なのですか?」

彼女がキノココに声を掛けてくる まだ鈴の音が鳴り響いていた

キノココ「え? 何の話かな ……うーん、今日はちょっと疲れちゃったかなあ
     シザリガー達と戦ったり、材料集めに奔走したりでね」

チリーン「……いえ、大丈夫ならよいのです でも、少し休んでいてはいかが?」

鈴の音が止む 彼女はまだ心配そうな顔だったが、納得してくれたようだ

キノココ「そうだね もうちょっとのんびりしていこうかと思う チリーンは?」

チリーン「私は、そろそろ夕刻ですし、先に帰ろうと思います」

ルリリ「……二匹して、何の話してるの?」

先程まで姉と話していた彼女が、こちらの様子をみて近寄ってくる

チリーン「いえ、私はもうじき帰りますよって話してただけです」

ゴクリン「そっか、もう日も落ちそうな時間だもんね」

エネコ「……ねえ、チリーン あたしを“ひみつきち”に泊めてくれない?
    家具とか広さとか気に入っちゃった ねえ、いいでしょ?」

チリーン「……すみません 無理です いえ、あなたが駄目と言う訳ではなく
     あの場所には誰も泊める気がないのです 諦めて下さい」

ゴクリン「この間ぼくらも断られちゃったんだよね」

エネコ「……そう、なら仕方ないわ じゃあ、ルリリ、泉はどう?」

ルリリ「へ? 泊ってもいいけど…… ねえ? お姉ちゃん」

ルリリ姉「ええ、大丈夫だけど 帰らなくていいの? エネコちゃん?」

一瞬彼女の顔に影が差した、気がした

ルリリ「じゃ、じゃあ、お泊り会? やった!」

エネコ「ありがたく泊まらせてもらうわね ふふ、夜更かししちゃおっか?」

しかし次の瞬間には彼女は気取った笑顔でいて 見間違いだったのかな?


チリーンが帰っていったのを契機として、キノココ達もまた各々解散していった
 ▼ 155 ラミドロ@ポロックキット 18/03/01 15:22:03 ID:/l9UQdew [2/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
―――――――――――――――――――――――――
正直、泉編を書き終えて気が抜けてる しばらく筆進まないかも 頑張るけども

支援ありがとう

>>152 頑張って
チリーン(♀) 浮遊 穏やか まで揃えてくれると作者が喜ぶ
技構成は自由

キノココを見て分かる通り、そのポケモンが覚えるなら何でも使う
ただ、シザリガー戦のように正式な(つもりの)バトルは技4つ固定という
現実的にポンポン忘れるのはないだろってことで そういう設定

種族名じゃない奴らはモブ 出番はそんなない、つもりだった
そもそもポケモンの選出基準も適当なんだ 色々赦せ

ここまで付き合ってくれてる読者の皆様に感謝を もうしばらく宜しく
 ▼ 156 ルビル@あおいビードロ 18/03/01 15:25:24 ID:WcaMFfkQ NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 157 詞抜け 訂正 18/03/01 17:37:34 ID:/l9UQdew [3/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ヘドロがなくなったとて一朝一夕で水質が戻るわけではなかったが、

ゴクリンの活躍によりそれが早まったのも事実で

森とその周辺に蔓延していた、『毒ポケモン』への偏見は収まっていくだろうと思えた

また、泉に現れた荒くれ達の改心も伝わっていって、キノココ達は大変褒め殺され
照れくさくも温かい気持ちに包まれたのだった


チリーン「……もう、大丈夫なのですか?」

彼女がキノココに声を掛けてくる まだ鈴の音が鳴り響いていた

キノココ「え? 何の話かな ……うーん、今日はちょっと疲れちゃったかなあ
     シザリガー達と戦ったり、材料集めに奔走したりでね」

チリーン「……いえ、大丈夫ならよいのです でも、少し休んでいてはいかが?」

鈴の音が止む 彼女はまだ心配そうな顔だったが、納得してくれたようだ

キノココ「そうだね もうちょっとのんびりしていこうかと思う チリーンは?」

チリーン「私は、そろそろ夕刻ですし、先に帰ろうと思います」

ルリリ「……二匹して、何の話してるの?」

先程まで姉と話していた彼女が、こちらの様子をみて近寄ってくる

チリーン「いえ、私はもうじき帰りますよって話してただけです」

ルリリ「そっか、もう日も落ちそうな時間だもんね」

エネコ「……ねえ、チリーン あたしを“ひみつきち”に泊めてくれない?

    家具とか広さとか気に入っちゃった ねえ、いいでしょ?」

チリーン「……すみません 無理です いえ、あなたが駄目と言う訳ではなく
     あの場所には誰も泊める気がないのです 諦めて下さい」

ゴクリン「この間ぼくらも断られちゃったんだよね」

エネコ「……そう、なら仕方ないわ じゃあ、ルリリ、泉はどう?」

ルリリ「へ? 泊ってもいいけど…… ねえ? お姉ちゃん」

ルリリ姉「ええ、大丈夫だけど 帰らなくていいの? エネコちゃん?」

エネコ「……ええ、気にしなくて良いわ 大丈夫」

一瞬彼女の顔に影が差した、気がした

ルリリ「じゃ、じゃあ、お泊り会? やった!」

エネコ「ありがたく泊まらせてもらうわね ふふ、夜更かししちゃおっか?」

しかし次の瞬間には彼女は気取った笑顔でいて 見間違いだったのかな?

チリーンが帰っていったのを契機として、キノココ達もまた各々解散していった
 ▼ 158 ーボック@ウオーターメモリ 18/03/02 22:39:06 ID:b66epq6s [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
キノココ「今日も、お邪魔するよ」

チリーン「あなたもよく来ますね ここは私の場所だと言っていますのに」

あの泉の騒動から数日たった今も、キノココは“ひみつきち”に顔を出す

キノココ「森にとどまっていると、ヤルキモノとドクケイルがよく絡んできてね……」

虐めっ子達はまた前のようにキノココを練習台として技を繰り返すようになった

下手に抵抗したのが拙かったらしく、あれ以来彼らは木の実の準備を怠らなくなり
こちらの反撃はあまり効果を示さなくなってしまった

チリーン「あらあら、それは大変ですね でも、それなら何もここじゃなくとも
     例えば、泉などでもよいのでは?」

キノココ「それも、そうなんだけどね…… いや、居づらくてさ」

泉のポケモン達はキノココにも温かく接してくれるのだが、行き過ぎというか
キノココを「大恩人」と呼んで非常に持て囃してくるのだ

キノココがやったことなど、結局、相性に頼っただけの最初のバトルだけで

皆がいたからこそここまでうまくいったのだと思うのだけど

一体ルリリ達がどう話したのか、「キノココこそ立役者!」みたいになっている

“ひみつきち”に来るのは、勿論チリーンに会うためでもあったが
そう言った事情も大きかった 非常に居心地が悪い それに

エネコ「まあ、しょうがないんじゃない? 実際あんたが担った役割は大きかったのよ?」

キノココ「そうでもないでしょ? ゴクリンがいなかったらヘドロも無くならなかったし
     チリーンがいなかったら臥せっていたポケモン達を救えなかった」

エネコ「ま、そういうことにしておきましょ ……自己評価が低いって問題よね」

ここは、ここに来た者たちだけの秘密で 少人数で集まれるので居心地がよかった

キノココ「ええと 今日はルリリは?」

あの日から、エネコはずっと泉にいるらしい ルリリとも仲良くしていた

エネコ「用事があるって言ってたわ そっちこそ、ゴクリンはどうしたの?」

キノココ「また泉の底の様子を見に行ってくれてると思う」

一度底のヘドロは片づけたけれど、時を経てまた不純物が溜まっていたらしい
ゴクリンは定期的にそれを“飲み込む”ために泉に行く

エネコ「ああ、ルリリの用ってそれ…… それであんたは一匹でこっち来たと」

ルリリのお姉さんのお蔭で水中作業ができると言っても、ゴクリンは水ポケモンではなく
効率的に作業は出来ない それで誰かが彼のサポートのために一緒に潜るという

今回はルリリがその役目を買って出たと言う訳か

最近キノココはゴクリンと技の練習をよくしている だから訊いて来たのだろうけど

生憎今日は一緒じゃない 前述の通り、泉に行くのは遠慮したかったためだ
 ▼ 159 ベルタル@つきのふえ 18/03/02 22:39:52 ID:b66epq6s [2/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
キノココ「泉は、大分綺麗になったのかな 見に行きたくもあるんだけど……」

エネコ「足が重い? そうよね 大丈夫よ 思ったよりも早く透明度を取り戻してるから」

キノココ「そっか、良かった……」

エネコ「みんな凄いわよね あたしなんて泉の一件ではほとんど何もできなかった……」

チリーン「そんなことありませんよ いい“癒しの鈴”だったじゃありませんか」

彼女はチリーンと共に臥せった者たちを看てくれていた

出来ることをやってくれたのだから、何も負い目に思う必要なんてないと思う

エネコ「そう言ってくれるとありがたいわ でもやっぱり…… ね」

チリーン「キノココもゴクリンも大活躍でしたもんね 気持ちはわかります」

エネコ「……あんただって活躍してたくせに 嫌味?」

チリーン「いえいえ そんなつもりは毛頭ございません 飲み物でもいかが?」

エネコ「ちょ! そんなんじゃ誤魔化されな――いい香り エネココア?」

チリーン「二匹とも甘いので良かったですよね?」

キノココ「うん、ありがとう」

エネコ「い、頂くわ」

彼女も大分打ち解けてくれたようで何より


チリーン「……あら? 誰かいらしたようですね ――!!」

“ひみつきち”の入り口付近から音がして、顔を上げたチリーンの様子が変わる

キノココ達もつられてそっちに顔を向けると

エネコ「え!!? 酷い怪我!! どうしたの!? 大丈夫!?」

明らかに瀕死の重傷を負った何者かが斃れていて あれは、マイナンだろうか

急いで担ぎ上げ、柔らかい場所に運ぶ すぐにチリーンは薬の調合を始めた

エネコも鈴を鳴らし、介抱を開始する

キノココには何も手伝えることはなさそうでもどかしかった

マイナン「…………て、ろ …………ル に……ちゃん、が……」

何事か譫言を呟いているようだった
 ▼ 160 クリン@ピカチュウZ 18/03/03 23:10:29 ID:j4vFtW7s [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
マイナン「……く ……あ ……い、いかなく、ちゃ ――あだっ!!」

治療も一段落してほっと息を吐いていると、意識を取り戻した彼が急に身を起こし、
激痛に身を捩った

チリーン「安静にしていてください 治るまで時間がかかります」

マイナン「そんな、こと…… 言ってられな、い! 早くしないと!」

チリーンが優しく抑える しかし彼は気にせず立ち上がった

そしてふらつきながら数歩進んで 倒れてしまう

マイナン「――あっ ……かぅ く、そ……」

エネコ「……事情があるのは見れば判るけど、落ち着きなさい
    そんな怪我で、何を為せるつもりなの? 急がば回れというでしょう?」

マイナン「何を……? 知ら、ない でも行か、なきゃ…… 妹が!!」

エネコ「妹? どういうことよ 事情が掴めないわ」

マイナン「そんなこと、言ってる場合じゃ……」

チリーン「“癒しの波動”、“癒しの鈴” 落ち着きましょう ね?」

チリーンが出す波動によって、彼の傷は大方塞がる
同時に、傷の痛みによる錯乱も解けていったようだ


マイナン「……そ、その 助けてくれて、ありがとう」

彼は姿勢を正し、こちらに向き直った

エネコ「妹がどうとか言ってたけど 何があったの?」

マイナン「……突然、変な奴らに襲われて 抵抗しても敵わなくて、
     最初は二匹で逃げてたんだけど 攻撃されて、追い詰められて……
     もう駄目だって時に 妹はボクだけ逃がして、捕まってしまった……
     ……何も! できなかった! 奴らは強く、一匹で逃げるだけで精一杯だった!!」

彼は自分のふがいなさに歯噛みする ……何やら話の雲行きが怪しくなってきた

キノココ「襲われた、ってどういうこと?」

マイナン「知らない奴らだった 闇シンジケートとか名乗ってて ボクらを見ると
     『海の向こうでは高値がつくらしい』『丁度セットで居る』とか言い出して
     無理やり捕まえようとしてきたんだ……」

エネコ「それって……! 人攫いじゃない! ポケモン売買だなんて!」

キノココ「警察とかに連絡した方が……」

マイナン「駄目だ! 組織が動けば、奴らは妹を連れたまま雲隠れしてしまうかもしれない!
     それに! 奴らはあの子を海外に売ろうとしてる! 急がないと!」
 ▼ 161 ロトック@いいつりざお 18/03/03 23:14:43 ID:j4vFtW7s [2/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
確かに、彼の心配も判る 彼の妹は人質としても使われてしまうかもしれない

エネコ「気が急くのは判るけど、でも、敵わなかったんでしょ?」

マイナン「う…… それは、そうだけど……」

エネコ「無理に焦ったって状況は好転しないわ さっきも言ったでしょ?
    急がば回れって 私達で良かったら、力になるから ね?」

マイナンはしばらくそわそわと落ち着き無さ気にしていたが、エネコの説得が功を
奏したらしく、勢いに任せて飛び出していこうとするのは止めてくれた

エネコ「さて、とすると何から始めるべきでしょうかね どう思う?」

キノココ「情報収集、からかな まず確認 マイナン、君の妹って?」

エネコ「へ――? マイナンの妹なんだから、マイナンじゃないの?」

マイナン「いや、異母兄妹でさ プラスルなんだ」

エネコ「へー、珍しい でもそれが?」

キノココ「ただの確認だよ でもやっぱり、今すぐどうにかされることはないと思う」

マイナン「ど、どういうこと? 妹は安全なの? 何で解るの?」

彼は目を白黒させて尋ねてくる なんか最近こういう展開多い気がする……

キノココ「相手は『セットで』って言ってたんでしょ
     なら片方だけ先に移送するというのは考え難い
     更には彼らにとってプラスルは商品なわけだから必要以上には手を出さない筈」

エネコ「なるほど、ね 少しは準備する猶予はあると思っていいのね」

キノココ「まあ、この予想が当たっているなら、相手方は君を探すのに躍起になってる
     ということでもあるのだけどね つまり、下手に動くのは危険ということ」

マイナン「う…… もう飛び出したりしないよ、ごめん」

責めているように聞こえただろうか? そんなつもりじゃなかったんだけどな

キノココ「……あとは、プラスルがどこにいるのか 相手方はどんな布陣でいるのか」


……キノココ等の手に負えるのか 本当に他に頼らないでやるのか

本当に聞きたいのはそちらだったかもしれないが それは口に出さないでおく

全て聞いてから判断することにしよう キノココだって彼らを助けたいのだ

でも、どうしても足が震えてしまって 武者震いなんかじゃなくて

……義憤は燃えている でも、それ以上に臆病風があってキノココは揺らいでいた
 ▼ 162 ッタイシ@モモンのみ 18/03/04 01:50:43 ID:8r5esUNg NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 163 ワパレス@うしおのおこう 18/03/04 02:32:35 ID:dzxnHdSI NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 164 ゴラス@ヘルガナイト 18/03/04 17:28:35 ID:3is3J.1w [1/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
マイナン「プラスルは多分、迷路山にいる 奴らが根城にしているらしい」

山中に洞窟がいくつかあり、また、入り口が複数に分かれている場所だ

隘路も多く、そういう組織が秘密裏に活動するには向いているのかもしれない

キノココ「迷路山…… とても包囲なんてできないし、大勢で動けば、上からバレバレ
     その間に逃げられてしまうか ……確かに、警察は頼れなさそう」

もしかしたら少数精鋭で動いてくれるかもしれないから頭には残しておくけれど

エネコ「でも、よくそんなとこ棲んでられるわね 迷わないのかしら?」

キノココ「マップがあればきっと大丈夫だとは思う 多分配られてるんじゃないかな」

エネコ「マップね…… あたし、マップあっても迷いそう……」

マイナン「どちらにせよ、ボクらの手元には無いのだけどね」

中の様子が解らないのは痛い 警察の方だって知っているとは限らない

どうにかマップを手に入れる手段はないものだろうか

チリーン「山のどこに目的の人物が居るのかも、事前には解らないですよね」

……広い山の中をむやみに駈けずり回るのも無理がある それも問題か

マイナン「それは行ってみれば解ると思う ボクとあの子は特別な繋がりがあって
     ある程度の距離ならお互いが居る方向が解るんだ」

エネコ「は? まさか兄妹愛の力とでもいうつもりじゃないでしょうね?」

マイナン「流石にそれはないよ でも判るんだ 信じて欲しい」

彼は迷路でも迷わずプラスルと合流できる自信があるという

しかしそれを作戦に組み込むかどうかは賛否が分かれそうだ

エネコ「俄かには信じ難いけど、信じたとして、『行きはよいよい、帰りは怖い』
    って奴じゃないの? それ 息の目標はあっても帰りの迷路もあるのよ?
    道を覚えてられる自信、ある?」

マイナン「メモ、しておけば……」

エネコ「そんな余裕、あったらいいわね」

無事に帰るまでが救出作戦 さてどうしたものか
 ▼ 165 ゲハント@ライブキャスター 18/03/04 17:29:26 ID:3is3J.1w [2/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
マイナン「相手の布陣、って どんなポケモンがいるかってことでいいんだよね?
     ええと、コータスとハブネーク、オニゴーリはいたと思うけど
     あとテッカニンがリーダーって呼ばれてたかな 総数はちょっと解らない」

リーダーはテッカニンか キノココにとっては相性最悪だ

他のメンバーも相性が悪い この間みたいな戦いはできそうにない

エネコ「闇シンジケートとか言うだけあって、強そうな面々ね ……やっぱり、無茶よ」

相手の戦力とこちらの戦力、改めて見なくても大きな隔たりがある

マイナン「そんな…… 何とか…… ならないの……?」

エネコ「無理ね あたしらは戦闘向きじゃない 強力な助っ人の心当たりもないわ
    探してみる? このヤマに手を貸そうという物好きはどのくらいいるかしら」

冷たく聞こえるが、彼女の言うことももっともである

相手は強者で、しかも組織立って動いている犯罪者

下手につつけば『藪の中からハブネークが出る』ことになりかねない

……こんな悪足掻きに近い救出作戦に乗ってくれる手合いなどそうそういない

となるとやはり、ここにいる『物好き』だけで何とかしなくてはいけないのか

駄目だ、どれだけ頭を悩ませても、勝つ手段なんて思いつかない

エネコ「ここで息を詰まらせてるのも時間の無駄ね 実際迷路山を見てみましょ?
    何か思いつくかも 或いは助っ人が見つかるかも」


彼女の言葉に従い、迷路山の近くまで慎重に近づく

洞窟の入り口には見張りと思われるポケモンがいて、何か独り言を喋っている

見張りA「遅いな、アイツ…… もう交代の時間だろ……」

此方には気付かれていないようだが、かといって洞窟の中の様子を調べるのも難しい

マイナン「……アーマルド やっぱりボクが見てない奴もいるのか」

チリーン「プラスルはどこにいるのか、解りますか?」

マイナン「え? うん、やっぱりここみたいだ 山頂の方向だね」

エネコ「……本当? どうやって助けたものかしら?」

ひそひそと作戦会議していると、洞窟からもう一匹のポケモンが出てきた

見張りたちの会話が漏れ聞こえてくる
 ▼ 166 チュル@パークボール 18/03/04 17:30:54 ID:3is3J.1w [3/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
見張りA「おいコータス、遅刻だぞ」

見張りB「すまん、すまん ちょっと道に迷ってた」

見張りA「はあ? マップ貰ってねえの?」

見張りB「いや、貰ったは貰ったけど、俺こういうの苦手でね」

見張りA「おいおい、大丈夫かよ」

見張りA「あー、疲れた いつもは見張りなんてないのに何考えてんだ?」

見張りB「ああ、なんか商品が届くらしいぞ 上にいる奴のセット商品が」

見張りA「相手、届け先解ってんのかよ 一応この場所は機密だろ?」

見張りB「ちゃんと『迷路山にいる』とは言ったぜ? 来るかどうかは知らんが」

見張りA「来ないかもしれないのかよ そりゃ気の長い話で」

見張りB「一応今日までは待つつもりだって言ってたな 来なかったらその時はその時
     値段は落ちるが片方だけ売っちまうってよ」

見張りA「じゃ、頑張れよ 俺は上に戻る」


エネコ「今の…… あんたのことよね?」

会話の内容から類推してエネコは確認を取る

どうやら、マイナンに居所を教えたのはわざとだったようだ

マイナン「そんな…… プラスル…… ああ、どうしよう……」

ショックな内容だったからか、マイナンはその言葉も聞こえないくらいに動揺していた

エネコ「落ち着きなさい! あんたがそんなんでどうするの! 助けたいんでしょ!?」

マイナン「ん…… うん ごめん……」

チリーン「しかし、時間がないのも確かなようですし、
     かといってこの牙城を崩すのも容易なことでもなさそうです
     他人に頼っても見張りがいる以上大っぴらに動かせません やはり……」

エネコ「何かないの!? 何か…… 何か……?」

色々考えて、頭を悩ませて、結局諦観が皆を包む

此方の手札、彼方の布陣、地の利、情報、どれを取ってみても、結局


――穴凹の空いた作戦しか、思いつけない
 ▼ 167 ートロトム@めざめいし 18/03/04 17:31:51 ID:3is3J.1w [4/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
キノココ「これは賭けだ 絶対上手くいくとは言えない それでも乗るかい?」

この件は100%の自信がなければ取り組むべきではないのかもしれない

そのぐらいに危険なヤマだ 上手くいかなかったらと思うと怖くて仕方がない

それでも 出来るかもしれないと思ってしまった

マイナン「あの子を助けられるなら何でもする! どうすればいいの!?」

エネコ「私も乗るわ 信頼してるわよ?」

チリーン「……聞いてみましょうか あなたの作戦を」

仲間たちもこう言ってくれる やるしかない

チリーンは最初不安そうだったが、話を進めるうちに納得してくれたみたいだ


――10分後 キノココ達はマップを片手に、洞窟の中にいた

ゆっくり、慎重に 先の状況を判断しながら進んでいく

エネコ「……通路を曲がった先、さっきのアーマルドがいるわ こっちに来てる」

マイナン「またしばらく身を潜めてないといけない、か ……うう、ドキドキする」

見張りを交代して気持ちが緩んでいるらしい彼が角から顔を出す

――そして、此方に気付く前に

キノココ「えい! “眠り粉”!」

見張りA「……な! 何……が…… Zzz……」

キノココ「更に、“宿り木の種” ……ふう これで彼もしばらく動けない」

寝かせた彼を“宿り木”の蔦で縛り、近くにあったロッカーのような箱に閉じ込める

洞窟の前にいた見張りも、同じ方法で無力化した マップはその時に拝借したものだ

今頃はチリーンの手によって警察に連れていかれているだろう

一時間後、キノココ達がどうあれ突入してもらう手筈になっている

その時までできるだけ騒ぎを起こさず、かつ複数人を無力化させるのが目標だ

キノココ「次はどっち?」

マイナン「ええと、あの子がいるのはあっちで、そこに行くためには…… こっち!」

更にはプラスルを安全な状態に保護できているのが望ましい

マップをもとにしたマイナンの案内で今のところ迷ってはいないようだ

このまま順調に進めばよいのだが
 ▼ 168 ノハナ@ムシZ 18/03/04 17:32:54 ID:3is3J.1w [5/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
キノココが思いついたのは、単純なハイド&シーク作戦

相手方のポケモンと正面からやり合っても敵わないのは想像に難くない

しかし、こちらの目的はバトルに勝つこと、ではないのだ

プラスルの救助が第一目標で、次に身の安全の保障

犯罪集団の逮捕まで行けば御の字だが、別に逃がしてしまっても構わないつもりだ

後は警察機関の仕事 キノココ達の出る幕ではないと思っていた


更に2,3体無力化し、拍子抜けするほど順調に進むと、広まったスペースに出た

壁にはいくつかの檻があり、その一つの中にはプラスルがいて

マイナン「!! プラスル! 今助けるからな!!」

飛び出していく彼を止めることが出来なかった

プラスル「う…… お兄、ちゃん……? だ、だめ……!!」

マイナン「え……? ――――がっ!!」

牢屋番「“ニードルアーム”! まさかリーダーの言う通り本当に来るとはねえ!」

マイナン「ノク…… タス……? くそっ 居て欲しくなかった奴が出た!」

牢屋番「んん? 俺が居て何が悪い? ああ、成程、どうやってここまで来れたかと思えば
    “粉”か“胞子”でも持ってきたかな? 残念、俺には効かないんだ
    鍵を渡す気はない さあ、大人しく牢屋に入りな、坊や」

もし『草タイプ』がいたなら、即座に無力化は出来ないため仲間を呼ばれる危険がある

道の途中にいた場合、進路をふさがれてしまう危険があった

最初に言った上手くいかない可能性とはそれだ

油断はしてないつもりだったが、マイナンが見たというポケモンの中には
『草タイプ』がいなかったため、楽観視していた部分もある

しかも鍵守の役目を担っているという 無視するわけにもいかない

――考え事をしている場合じゃない マイナンを助けなければ

キノココ「――当たれ! “毒々”!」

牢屋番「な――! くそ! お前が“胞子”か!! 苦しまず逝けると思うんじゃないよ!!」

不意を打って上手く命中させることに成功 しかし強そうな相手を怒らせてしまった

怖い、怖い でも今は、こっちを目標にしてくれるのはありがたい じわじわいこう
 ▼ 169 ゴジムシ@ソクノのみ 18/03/04 17:34:01 ID:3is3J.1w [6/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
牢屋番「“騙し討ち”」

キノココ「“まもる”」

牢屋番「く…… “毒針”!!」

キノココ「“まもる”!!」

牢屋番「逃げんな! 隠れんな!! この、臆病者があ!! “毒突き”!!」

キノココ「“まもる”!!! ――――くぅ……!」

相手の攻撃が頬を掠った “まもる”の制度が落ちている

相手の身体は毒が回ってきている筈だが、こちらの様子を見て嘲笑う

牢屋番「じっくり嬲ってやろうと思ったが、予定変更だ 一発で斃す
    そんでもってマイナン共々閉じ込めてやんよ さあ、行くよ “毒突き”」

もう少しの辛抱で相手は猛毒で動けなくなるだろう

しかし“まもる”には頼れない あの迫力の“毒突き”は一発でも耐えられそうにない

迫りくる腕に戦々恐々としながら、キノココは自らの体力を削って

キノココ「――“身代わり”!」

素早く人形と入れ替わった

キノココの代わりに攻撃を受けた人形は掻き消えるがキノココは無事

キノココ「もう止めないか? 君はもう斃れる 僕だけやったって無駄だ
     それに、ここにはもうじき警察が来る 君たちはお縄にかかるだろうね
     もう一度言う 無駄な抵抗は終わりにするんだ」

保険のつもりで降伏を勧告した きいてくれるとありがたい

牢屋番「キノココ風情が、嘗めるな!! これなら避けられまい! “ミサイル針”」

渾身の一撃、いや、連撃を放ってきた “身代わり”では受けきれない

此方に向かってきているなら、の話だが

牢屋番「む…… ぎゃ……! ――ふ」

相手は自身の攻撃を自身で受け、訳も分からずという様子で地に伏した

懐から鍵束が転がり落ちた
 ▼ 170 ダンギル@ぎんいろのはね 18/03/05 16:24:07 ID:CVNdIeeQ [1/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
キノココ「ふう…… 焦った…… ノクタスが出るとは……」

瀕死になった牢屋番を縛りながら安堵の息を吐く 背中を嫌な汗が流れた

やはり行き当たりばったりの博打はするべきじゃない

エネコ「や―― やった! 凄い、凄い!! でも何で!?」

キノココ「“威張る”さ 混乱させただけ 確率的にこっちがやられててもおかしくない」

物事を行う前にはやはり入念に準備した方が良い

想定外の事態が重なると、やはり危険度は格段に上がってしまう

卑怯と言われようと、臆病と言われようと、安全に物事を進めるに越したことはないのだ

今回は時間がなかったからしょうがないのだが、ほとんど準備できず心許ない

マイナン「あ、あれ? おかしいよ! この錠に合う鍵がない!!」

突然、マイナンが叫んだ 鍵がない? そんなバカな……

マイナン「プラスルの牢だけ開かない…… 折角、ここまで来たのに!!」

牢屋はとても強固で、鍵も無しには開けられそうもない

成す術のない遣る瀬無さに打ちひしがれそうになっていると


「ようこそ諸君 お探しのものはこれかね?」

この場所に続く唯一の通路から声が聞こえた

キノココ「テッカニン…… オニゴーリと、ハブネークまで……」

シンジケートのリーダーと呼ばれていた者が部下を連れてそこに立っていた

その手にあるのは、――恐らくプラスルを閉じ込めている檻の――鍵

リーダー「何やら音がすると思ったら、いやはやステキなお客さんじゃないか
     カモ君とネギちゃん そしてネズミ君だね」

複眼でこちらを値踏みするように見てくる 奇妙な呼ばれ方に怖気が走る

エネコ「あんたがこの組織の頭ね!? 大人しく鍵を渡してプラスルを返しなさい!!」

彼女は義憤に燃え、奮い立っているらしい キノココは手をかざして彼女を抑える

……奴は危険だ 直感的にそう感じる

リーダー「元気があってよろしい いいネギちゃんだ しかし跳ねっ返りは頂けない
     しっかり教育しないといけないかな」

エネコ「何なの、その呼び方…… 気持ち悪いわ」

リーダー「ふふ エネコは愛玩用として人気があってね 高く売れるのだよ
     餌を置いてカモを待っていたら、まさかネギを背負ってきてくれるだなんて
     今日はなんてラッキーデーなのだろうか この気持ち、分かるかい?」

……こいつ、ポケモンを商品としてしか見ていないのか?
 ▼ 171 ャヒート@ポロックキット 18/03/05 16:25:05 ID:CVNdIeeQ [2/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
マイナン「この…… 鍵を渡せえええ!!」

部下A「おっと、行き止まりだ カモ君は餌の傍で大人しくしてナァ」

マイナン「……うあっ ……く、そ」

エネコ「マイナン!! 大丈夫!?」

突き飛ばされ、檻の方へ飛ぶマイナン しかしキノココは動けない

圧倒的な強者の貫禄に気圧されて 足が震える

餌、カモ、ネギ…… 成程、解り易く反吐が出るセンスだ じゃあ、ネズミは?

リーダー「ノクタスがやられるとは思わなかったな どんな手品を仕込んでいたんだい?
     でも、君等のラッキーもここまでだよ キノココには価値がない
     要らないものは嫌いなんだ ネズミは牙蛇に食べられてしまいなさい」

部下B「あいよ ……てめえは目障りなだけらしい 弱っちいのによく頑張ったな
    大人しく去ね “毒々の牙”!!」

キノココ「“身代わり”! くあ…… 危なっ……」

相手の力量が如何ほどなのか、挙動が早く、もう半テンポ遅かったら今頃瀕死だった

心胆に冷たい棒を差し込まれたような悪寒が走る 一回の攻防だけで悟ってしまう

勝てるわけがない 最初から分かっていたことではあるけれど、痛烈に感じる

部下B「“身代わり” 自分の体力を削って緊急回避する技だろ? あと何回避けれるかな?
    くくっ “噛み付く” “噛み砕く” “毒々の牙”」

キノココ「“身代わり” “身代わり”! ……くっ ――“まもる”!!」

それに対して相手は余裕の表情で、嘲笑うように連撃で追い詰めてくる

壁際まで来て下がれなくなり そこで更に相手は

部下B「“蛇睨み”」

麻痺、させてきた やばい これは、もはや『奥の手』も間に合わな――

部下B「チェックメイト、だ お休み、ネズミ君 “ポイズンテール”」

エネコ「“堪える”! ――キャアッ!!」

終わりだ そう思った瞬間目の前にエネコが飛び出してきてキノココを庇う

キノココ「な……! 何をしてるんだ! 僕を庇って大怪我なんて!! ――うぐ……」

エネコ「大、丈夫よ  “猫の手” ……“光合成”、借りるわ ほら“癒しの鈴”も」

彼女はキノココの技を使い、自己治癒してみせる 更に麻痺も解いてくれた

エネコ「ほら、貴方も回復して まだ戦えるでしょ? ……行くわよ」

そして気丈に笑って言うのだ
 ▼ 172 ァイヤー@カゴのみ 18/03/05 16:25:59 ID:CVNdIeeQ [3/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
キノココ「……“光合成” エネコ、君 ――本当に大丈夫?」

回復したとはいえ、致命的な一撃を態と受けてみせたのだ

並の恐怖じゃない キノココはそれをよく知っている なのに

エネコ「心配してくれるの? ありがと でも大丈夫 まだまだ“奮い立てる”わ」

冗談交じりに技を使いながら返してくる 別の意味で敵わないなと思った

キノココ「そっか 僕も怯えてばっかじゃ駄目だな ちゃんと“成長”しないと」

予断なく構えながら、真似して技を使ってみる しかし、相手は動かない

部下A「どうしタァ、ハブネーク? アイツら色々やってるみたいだが、何で攻撃しネェ?」

部下B「…… ん、そうだよな 攻撃、しなきゃだよな ……なんで攻撃しなきゃなんだ?
    俺は何で彼女に牙を向ける? あんなに可愛いのに あれ?」

部下A「本気でどうしタァ!?」

相手の様子がおかしい それを見てエネコは苦虫を噛み潰したような表情を作る

エネコ「……この体質、嫌いなんだけどね 今だけは感謝するわ」

体質? ……メロメロボディか だからさっき態と攻撃を受けて……

エネコ「気付くのが遅れてくれたおかげで色々できたわ さあ、反撃よ」

部下A「ハッ その程度でどうにかなるとデモ? 力量が違ェんだヨ
    そっちが二匹なら、こっちは俺が混ざってもいいだロ? リーダー」

リーダー「いいよ ネズミ掃除とネギちゃんの教育 宜しく」

部下A「だ、そうダァ 片方がお荷物状態でも安心すんなヨ?」

言われないでも分かっている

強烈な冷気を発する彼からはもう一人の部下に勝るとも劣らない気迫を感じる

喩え最大に積んだとて分が悪いと思われる

更に言えば隣の彼も完全に行動不能になったわけではない

攻撃してくる可能性は十分残っていて、片時も注意は外せない

部下A「小手調べダ いくゼェ? “吹雪”!」

エネコ「いきなり!? “まもる”!!」

キノココ「“まもる”」

二匹同時攻撃だ 相手が一匹だからと油断はできない
 ▼ 173 ーピッグ@ぎんのこな 18/03/05 16:27:06 ID:CVNdIeeQ [4/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
部下A「そうだよなァ これで斃れたら面白くねェ もっと長引かせロ! “冷凍ビーム”」

エネコ「ギリギリ、当たらないわ! この! “アイアンテール”!! ――え!?」

――ガキン

エネコのしっぽは鈍い音を出して弾かれる 彼女の能力は上がっている筈

更には鋼の一撃は奴には抜群だというのに ……何故?

部下A「オレはムラッケがあってヨォ 調子が上がったり下がったり忙しいんダ
    不幸にも今は凄く硬ェ お前らの攻撃は効かネェんダ」

エネコ「な…… そんなの、アリ? むちゃくちゃじゃない……」

部下A「そしてドンドン早くなル “冷凍ビーム”! “氷の礫”!」

エネコ「ひあっ! そんな!? ……まだまだ、“まもる”」

相手が怒涛の攻撃を仕掛けてくるのを、必死に回避して見極めようとする

相手の調子がどう変わったのか どう戦えばいいのか

部下A「オ、攻撃の調子が上がって来た気がするゼ! 上手く避けろよ?
    今度は先刻の比じゃないゼ “吹雪”!!」

先程打ったそれと比べて、明らかに威力の高い“吹雪”が吹き荒れた

確かに調子の変動は恐ろしい しかし、だからこそキノココは

キノココ「――こっちだ! エネコ!! 走って!!」

抜け道を、見つけた

エネコ「え――? これ、どういうこと?」

あれだけの技の後だというのに、二匹ともが無傷でいる 彼女は不思議そうにしている

先刻エネコに“冷凍ビーム”を打った時も照準がぶれていたように見えたが
間違ってはいなかったようだ 彼の能力は

キノココ「『上がったり下がったり忙しい』ってことでしょ
     技の威力は上がっても、命中精度が下がってれば意味がない
     更には“吹雪”なんて大ぶりな技、当たんないよ」

部下A「なんダ ばれてたのカ まあいい 命中が上がるまで時間稼げバ……」

キノココ「ごめん そんなに待ってられないよ これで終わらせる」

時間を置けば、奴はどんどん強くなる 穴も塞がってしまうかもしれない
 ▼ 174 ジャンボ@ライブキャスター 18/03/05 16:28:26 ID:CVNdIeeQ [5/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
部下A「アん? はったりもいい加減にしロ? どうやって終わらせるっテんダ?
    力量! 相性! 能力! 全部俺のが圧倒的だっつうのに、どう覆すっテ!?」

更に速度を上げて飛び回りながら、幾度も攻撃を打つ相手

一撃でもその身に受けたら瀕死になってしまいそうなそれらを必死にかいくぐる

キノココ「命中精度が下がっているのに、遠距離攻撃なんて当たらない 近づいてこい!」

……準備してきた『奥の手』は使い切り 確実性が必要だ 

あの素早い相手にも当てられる距離が そのためには

キノココ「そんなに近づくのが怖いのか! それでも♂か!? いや、♂だからこそか
     ……エネコ! ハブネークを抑えて、僕から離れてて!」

エネコ「え!? ……う、うん 判った! 絶対、勝ちなさいよ!!
    “捨て身タックル”! 」

技でメロメロ状態の敵を押しやりながら、彼女はキノココと距離を取る

これでさっきの手は警戒から外れたとみていいだろう

部下A「てっきりメロメロを狙ってくる作戦かと警戒しちまってたガ、思い過ごしカ
    いいのカ? ここまで挑発された以上、俺も本気出すゼ?」

キノココ「当然だ 真っ向勝負と行こう さあ来い!!」

身の竦みを懸命に押し殺して叫ぶ ……今しかないのだ

相手の能力は随時変わる 時間を掛ければ手に負えなく成る

部下A「ハハッ! 良く言ったァ!! 叩き潰してやる!! “氷の牙”!!」

今度は外さない、とばかりに接触系の物理技を繰り出してくる

お互い避けようのない距離まで迫りくる恐ろしい大口に

キノココ「“自然の恵み”!!!」

懐にしまっていた木の実を豪炎に変え、打ち込んだ

弱点を突く不意打ちに、相手は後ろへ飛び 地面に落ちて動かなくなった


――速度、攻撃力、物理防御など、時間が経つごとに調子が上がっていくのは脅威だ

――だが、何事にもデメリットが存在するらしく、彼の場合、特に顕著だった

――技の命中精度のように下がる能力もあるということ

――物理に強くなったとして、特殊までカバーできているということではないのだ

――その穴も時間とともに埋められてしまう危険性がある

――相手を煽って短期決戦に持ち込んだのはこのためだった
 ▼ 175 ルキー@ホノオZ 18/03/05 16:33:39 ID:YeD5OPFM NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 176 ラセクト@ロメのみ 18/03/05 18:38:31 ID:PFIbM9B. NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
あげ
 ▼ 177 ラルバ@ピジョットナイト 18/03/06 00:03:08 ID:LksC66eY [1/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――パチ パチ パチ……

通路の方向から拍手が聞こえてくる 余裕の表情をした複眼に、改めて戦慄する

リーダー「いやはや、いやはや 生きのいいネズミ君だ 頭も切れるらしい
     キノココから炎が飛び出すとは、実に見事な手品だった 面白かったよ
     君の評価も上方修正することにしよう 君には価値がありそうだ
     どうだい? ピエロとしてサーカスに斡旋される気はないかい?」

部下が一匹やられて、もう一匹もまともに行動できないというのに 奴は動じない

まるで一匹でもこの場の制圧は容易である、とでもいうようだ 底が見えない

リーダー「オニゴーリまで落とすとは見どころがあると思うよ
     ノクタスが敵わなかったのも頷ける ……報酬もはずもうじゃないか
     普通、9:1の所を8:2でいい しかも歩合制だ 悪い話じゃないだろう?」

楽し気な口調で交渉のようなことをしてくる どういうつもりなのか

キノココ「……それ、少ない方が僕ってことだろ 悪い話でしかない」

リーダー「欲張りだねえ 7.5:2.5ならどうだい? 流石にそれ以上は負けられない」

エネコ「ちょちょ……! キノココ! 何の話を……!?」

キノココが気の乗ったような発言をすると、相手も話を進めてくる

彼女が慌てたような声を出す しかし、折角交渉してくれようというのだ

なら、話に付き合って好条件を引き出していった方が キノココにとっては良い

何せ、リーダーが誰かを聞いて、その対策にと持ってきた「奥の手」も使ってしまった

部下たちでさえ相手が油断していて、それでも紙一重で打ち破れたのだ

戦ったって勝負になることは愚か、時間稼ぎさえも怪しい そんな迫力がある だから

キノココ「いや、額の話をしたいんじゃない 9:1でも上等だよ

それより、僕の目的は知っているだろう? プラスルを開放しろ」

リーダー「ふうん 自己犠牲か 素晴らしいね で? 仲間にも手を出すな、と?」

キノココ「……そうだ」

キノココはキノココにできることをやるしかない


リーダー「――話にならないよ “シザークロス”」


キノココ「――え……?」

斬られた それは判る でも、いつの間に? 奴は一瞬前まで数mは離れた場所にいた筈

……ああ、痛い 致命傷だ  意識が、飛びそ――
 ▼ 178 レイハナ@しんかのきせき 18/03/06 21:51:22 ID:LksC66eY [2/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
リーダー「折角善意で雇ってやろうかと思ったのだが、やめだ 余り調子に乗るでないよ
     高々ネズミ一匹のために大事な商品を三つ手放せと? 馬鹿を言っちゃいけない
     こっちは慈善事業をしているわけじゃないのさ 等価交換を覚えたまえよ
     といっても、君に三匹の中の一匹分の価値もないのだがね」

嘲りに満ちた声が聞こえる 意味までは…… 今のキノココには解らない

意識が朦朧としていた このまま目を瞑ってしまえば楽になるだろうか

エネコ「キノココっ!! この…… よくも―― “捨て身タックル”!!」

彼女の叫ぶ声が聞こえる まだ戦えるくらいには奮い立っているらしい でも

リーダー「おお、怖い、怖い 能力の上がった一撃は下手すれば痛い目に遭いそうだ
     だが、どれだけ能力が上がっていても、命中精度がなければ話にならない
     ワタシに当てることが出来ないならば、無駄に終わる」

一瞬で移動してしまう奴に攻撃を当てるのは至難

エネコ「“猫の手”―“眠り粉”! “猫の手”―“痺れ粉”!」

リーダー「ふむ、見張りを突破できたのはそれのお蔭かね 状態異常を狙うとは芸達者な
     最初にワタシが現れたときに奇襲をかけていれば、或いは成功したかもね」

エネコ「この! 余裕綽々って口調で! なら、これでどう!? “チャームボイス”!」

回避不能の一撃を部屋中に響き渡らせる その成果を確認するため相手を見るも

エネコ「ノー、ダメージ…… “見切”られた……?」

リーダー「うーん お転婆過ぎるのは問題かな 従順な方が受けがいい
     さて、邪魔者は気絶してくれてるようだし ――教育の時間だ “峰打ち”」

エネコ「きゃ…… ああっ!!」

リーダー「“峰打ち” “峰打ち”」

エネコ「――ひぁっ! や…… やめ……」

リーダー「“峰打ち”」

エネコ「…………く ……あ!」

“峰打ち”では瀕死にならない どれだけの痛みがあろうとも気絶できないのだ

それを利用して、彼女の心を砕こうというのだろう ……下衆が

――こんな状況で、目を閉じて休むなんて、できるはずがない


キノココ「――“光、合成”!」


キノココ は エネコ を 悲しませまい と 立ち上がった !
 ▼ 179 ーランド@サイキックメモリ 18/03/06 21:52:26 ID:LksC66eY [3/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
どうすればいいか 必死に考える このままではじり貧 一発逆転の一手は……

キノココ「“身代わり”!!」

回復した体力を即座に削って、攻撃を避けるための土台を先に作る

相手の動きをしっかり見ながら、慎重に移動する

それと同時にエネコの様子も確認した 彼女も辛そうだが、瀕死じゃない ならば

キノココ「エネコ!! ちょっと無理するよ! 付き合って!!」

アイコンタクトで指示を出す 軽く身振りも加えるが、敵の手前、余り詳しくはやれない

これで、伝わっただろうか ……いや、信じよう

リーダー「しぶといな 先刻の一撃はちゃんと狙って急所に当てたつもりだったのだが
     まだ受け足りないのか? もう君に興味はないというのに
     まあいい、どうせ逃がすつもりもない さっさと処分してしまおうじゃないか
     何を企んでいるのやら知らないが、これで終われ ――“虫のさざめき”」

キノココ「な…… ぐぅっ……!」

“身代わり”を無視して届く技に、キノココは大ダメージを受け、吹き飛ぶ

でも、それでいいのだ “さざめき”を使うと見越したうえでの“身代わり”

奴は予想通りその場ですぐに技を使う 技の前後、一瞬は硬直するものだ そこで

エネコ「……! “欲しがる”! 鍵よこしなさいっ!」

リーダー「ほう、取られるとは思わなかった 油断したな だが、取り返せばいいだけ
     鍵だけ取ったところでどうしようもない 牢に近づく隙なんて与えるとでも?」

エネコ「……そうでしょうね あたしは近づけない でもよく見なさいな
    ――牢の近くに、あたしの仲間がいるわ “猫の手”―“摩り替え”!」

彼女の手の中の鍵が、木の実の燃えカスに変わった

先程態と牢屋の方へと吹き飛ばされたキノココは、最後の力を振り絞り、鍵を開ける

キノココ「……選手交代、だ ……プラスル ……(ぼそっ)」

そして意識を手放す 瀕死状態に陥った
 ▼ 180 ンキー@ちりょくのハネ 18/03/06 21:53:28 ID:LksC66eY [4/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
プラスル「……あ あう その ええと……」

足が竦んだ 今見せられた戦いは、プラスルなんかが逆立ちしても届かなさそうだ

だというのに自分を檻から出したキノココは、プラスルを戦闘に出すという

当のキノココは瀕死になってしまって、逃げようにも逃げられない

そしてさっきの指示 “まも”っているだけで良いとは、どういう意味なのだろうか

リーダー「ああ、檻から出てしまうなんて、悪い子だ すぐまた閉じ込めてあげよう
     ――それ “峰打ち”」

プラスル「……ひっ “まもる”!」

ギリギリで攻撃から身を守った ダメージは受けずに済んだが、身体は瘧のようだ

やはりプラスル程度がどうにかする何て無理だ 泣きそう…… 助けて……

エネコ「ふ、うん? “峰打ち”とは随分優しいじゃない それで十分? 馬鹿にしないで
    それ、傲りって言うのよ? あたしを戦闘不能にしなかったこと、後悔なさい
    いつまでも気絶してんな!! 起きなさい! “バトンタッチ”!!」

彼女が叫んだ声に反応して、兄が目を覚ました 大丈夫、なのだろうか

マイナン「うぅ…… く、何が ――今、どういう状況?」

エネコ「……部下は何とかなったわ 後は頭を斃せば終わりよ」

こんな状況なのに彼女は楽観的に言う 斃す? そんなこと、できるの?

リーダー「おやおや、ワタシの苦手な『電気タイプ』に能力移譲ときましたか
     しかし当たらなければどうということもないと言っているでしょうに
     “影分身” “影分身“ さあ、大人しく檻に帰りなさい」

何処までも余裕そうに笑う 力量が違い過ぎる プラスルたちでは――

マイナン「関係ないよ キノココとエネコが繋いでくれた襷だ 無駄になんてしない」

リーダー「ほざけ!! 貴様ごとき低レベルのポケモンに何ができる! “シザークロス”」

プラスル「ま、“まもる” うあ!」

兄の前に立ち、指示通りに、“まもる” 怖いけれど、言われたことはやらないと

マイナン「うおおおお!! “電撃波”!!!」

上手く攻撃から逃れた兄は、見たこともないほどに強大な電撃を放つ

縦横無尽に飛ぶ電撃は相手の分身を悉く掻き消し、ついには本体も貫いた

リーダー「が…… そんな、馬鹿な…… ワタシ、が……」

電撃に焼け焦がれたリーダーは、体力を尽きさせ、倒れ伏した
 ▼ 181 ルンゲル@すごそうないし 18/03/06 21:54:26 ID:LksC66eY [5/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――力量が低いとはいっても 能力が移譲されてる上に弱点属性

――さらに言えば“プラス”と“マイナス”がこの場に揃っている

――どれだけ力量に差があろうと、耐えきれるはずもない

――当たらなければ、などと考えていたようだが“電撃波”は実質回避不能

――エネコかマイナンが先に戦闘不能になっていれば、避けられたかもしれない結末

――まさに傲り、慢心が奴の敗因となったのである


プラスル「凄い! 凄いよ、お兄ちゃん! 勝っちゃった! 彼奴に! テッカニンに!」

マイナン「あ――ああ…… ちょっと自分でも信じられない……
     ……よく頑張ったな、プラスル」

エネコ「キノココ! 大丈夫!?」

彼女の声が耳に届き、キノココは目を覚ます

どうやら敵のリーダーを討ち取ることに成功したらしい

エネコ「バカ!! 自分を犠牲になんて、考えんじゃないわよ!! こんなボロボロになって!!」

怒られてしまった 涙の滲んだ目をする彼女の様子に罪悪感と反省の気持ちが込み上がる

キノココ「……賭けではあったけど、ちゃんと助かる算段はあったのだけどね
     君が僕の意図を理解してくれて本当によかった
     あの焼け焦げたテッカニンは、マイナンの力だろう?」

マイナン「う、うん 皆のお蔭 ……ボク一匹じゃ何もできなかった
     プラスルを助けるのに協力してくれてありがとう キノココ、エネコ」

まるですべて終わったような会話 だが、気を抜くのはまだ早かった


部下B「“ぶん回す”」

マイナン「――なっ!」

プラスル「――うああっ!」

エネコ「――きゃあっ!」

キノココ「……! “まもる”」

部下B「おいおい、こりゃどういうことだ? 俺はさっきまで何してた?
    リーダーもオニゴーリも倒れてやがる 手前らの仕業か? 答えろ」

敵は、まだ残っている 先程の攻防の影響でメロメロも解けているようだ

回りの惨状を見て、酷く冷静な声を発する相手にはもはや油断も隙も見えない

今度こそ、万事休す もう、戦う気力など残っていない
 ▼ 182 タフリー@タブンネナイト 18/03/06 21:55:15 ID:LksC66eY [6/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
キノココ「君は、彼女の体質に触れてメロメロ状態になっていた
     オニゴーリもテッカニンも、僕たちが斃した 他に訊きたいことは?」

皆、気を失ってしまった 逃げることは出来ない しかし戦っても勝てないだろう

なら、どうするか 言葉を弄するしかない 少しでも長く、動いていられるように

部下B「どう見ても弱っちい様にしか見えんが、目の前の現実を否定してもしょうがない
    見事、見事だよ 知恵と小手先でここまでのことがやれるとはな
    見誤ってた それは謝る もう、容赦はしねえ 仲間も全部潰してやった
    リーダーじゃねえがこれ以上のラッキーがあるんなら見せてみろ! “毒々の牙”!!」

“身代わり”を出す体力は残っていない “まもる”は打ち過ぎている

迫る大顎 回避行動にも移れない でも、やるべきことは十分やった 悔いはない

ただ、あれを受けたら痛いのだろうな 怖いな そう思って――


チリーン「“金縛り”! 皆さん、大丈夫ですか!?」

これ以上ないというタイミングで、彼女は現れた


刑事「全員動くな!! 国際警察だ!! 誘拐、監禁の現行犯で逮捕する!!
   貴様らには違法売買の容疑も掛かっている! 大人しくして貰おう!!」

部下B「インターポールだと!? くっ…… 動けねえ くそ、くそおぉぉぉ!!」

彼は金縛りで動けない一匹と、倒れ伏した二匹を素早い手際で縛り上げていく

キノココ「助……かっ、た?」

もう一度瀕死になることも覚悟していたが、その前に事が済みそうだ

時間を稼いだ甲斐はあった、ということか いや、皆は――

刑事「彼らは復活草による応急手当の後、すぐに搬送させてもらう 心配することはない
   君もこのオボンの実を使いたまえ 指名手配中の彼ら相手によくやってくれた
   民間の協力、本当に本当に感謝する」

敬礼して話す彼の言葉はまっすぐで嘘は感じられない 良かった、皆助かるんだ

チリーン「無茶はしないと、言ったじゃないですか 嘘を言わないでください
     あなたが居なくなってしまったら、悲しむ者も居るのですよ
     あなたが思っているよりもずっとずっと、多く 私だって……」

キノココ「ごめ、ん…… 色々、気を付ける、よ……」

彼女に抱えられていると、安心感があって、気が抜けたことで疲労感も襲ってきて

――良い音色だな そう思いながら、キノココは眠りに落ちて言った
 ▼ 183 リン@カビゴンZ 18/03/06 22:03:29 ID:LksC66eY [7/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――――――――――――――――――――――――
迷路山編 終了 今日はここまで

あんまり流れのまま書いてるとまた失敗しそうだから
今回は伏線盛ってみたらどうなるかっていう実験だった
でもあれだ、先に伏線考えると筆が進まなくて困る
そのくせ木の実を準備する下りとか書き忘れてたり

伏線は仕込むものじゃない 適当に投げて後から拾うものだ by作者

しかし塩梅が難しい 流れのまま書くとどうしても薄くなったり辻褄が合わなくなったり
書いときゃよかったなあと思うネタも多々あったり

そもそもなんで小説書いてんだろ? 最初童話って書いてなかったっけ?
まあとりあえず完結まで頑張るので
 ▼ 184 タモン@こわもてプレート 18/03/07 22:04:04 ID:cbFyZLvA NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
キノココ「……う、ん ……ここは?」

目を覚ますと、知らない天井が目に入り戸惑う 壁も天井も岩肌だ

何をしていたんだっけ? 何で知らない場所で寝ているんだろう ――そうだ

キノココ「皆は!? 彼奴等は、どうなったんだ!?」

寝起き特有の記憶混濁から覚め、慌てて飛び起きる と

エネコ「あ、起きた 体調は大丈夫?」

心配そうな表情のエネコが傍にいて、また驚く

エネコ「あんた、三日も寝てたのよ? 無茶のしすぎよ、もう」

キノココ「三日……? そうなのか…… えと、あれからどうなったの? ここは?」

エネコ「ここは、警察の人が用意した岩場の“ひみつきち”らしいわ
    あの後、気絶した私たちをこの場で手当てしてくれたのよ
    プラスル、マイナンはそこまで酷い怪我じゃなかったし、すぐ治ったわ
    私も、一応一日掛かったけどこうして元気よ 後はあんただけだったけど
    こうして目が覚めたなら大丈夫ね」

皆は無事、か お粗末な作戦だったけど、最悪の事態になったひとがいないなら良かった

エネコ「シンジケートの連中は踏み込んだ警察隊が軒並み逮捕したようよ
    迷路山もしばらくは封鎖でしょうね 今も警察の方が出入りしてるわ
    大手柄だって言うことで、感謝状みたいなものの授与もあるそうよ」

キノココ「感謝状……? そんな話になってるんだ なんか実感わかないな
     僕らはただ友達を助けに行っただけで 必死だっただけなのに」

エネコ「貰えるものは貰っときましょうよ それだけのことはしたと思うわ
    ああ、いけない あんたが起きたこと、皆に伝えないとね 行ってくるわ」

事件の顛末をある程度語ったところで、彼女は席を立つ

暫くして、彼女と一緒にあの時の刑事と医者らしき人物が入って来た

刑事「おお、気が付いたか この度は誠によくやってくれた 君たちのお蔭で……」

キノココ「いえいえ、そういうのいいです 僕達は友達を助けたかっただけです
     寧ろこっちが助けて貰ったことをお礼言いたいくらいで」
刑事「む…… 謙虚なのだな しかし本当に感謝している ありがとう」

医者「起きられたなら、一応念のため、検査しますよ 見た感じ、大丈夫そうですが一応」

キノココ「あ、はい お願いします」

簡単な検査や問診があったが 異常は特にないらしく 即日の帰宅も許可が出た
 ▼ 185 ルネロス@ヒコウZ 18/03/08 22:05:28 ID:.fY3oAm2 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
キノココ「助けて頂いて、ありがとうございました 失礼します」

刑事「こちらこそ 後日感謝状を進呈するので また連絡させてもらう」

エネコ「さあ、目が覚めたならあっち行くわよ」

キノココ「あっち……って?」

エネコ「茂みの“ひみつきち”よ 心配してたのはあたしだけじゃないんだから」

そう言われて気付く チリーンにも助けられたんだっけ

感謝の言葉も言わなきゃだし、元気な顔見せに行かなきゃ、か

キノココ「判った 行こうか」


キノココ「お邪魔します」

チリーン「あら、もう起きても大丈夫なのですか? キノココ」

キノココ「うん、大丈夫、だと思う お医者様からも太鼓判貰ったし
     ただ、そんなに長く寝てたとか実感なくてさ 戸惑いも大きい」

チリーン「ふふ、つまり異常は感じられないってことですね 元気なら良いのです
     お帰りなさい いらっしゃいませ」

穏やかに笑むチリーン 歓待の台詞を聞いたのはもしかしたら初めてじゃないだろうか

チリーン「先程エネコから連絡を貰いましたので、皆さんも集まってくると思います
     あ、ほら、早速」

マイナン「失礼するっ! ……あ! キノココ! 平気!? 元気!?
     ボクの所為で君が斃れて、起きないでいる間、ボクは、本当に、ボクは……」

入り口から、矢継ぎ早に言葉が飛んでくる マイナンだ 少し涙ぐんでいる

彼も無事だったとエネコが先程言っていたが、やはり聞くと見るとでは安心感が違う

キノココ「うん、ごめん 寝過ぎたよ 君も無事でよかった」

マイナン「この度は、妹を助けてくれて、ボクに助力してくれて、本当にありがとう!」

そう言って頭を下げる彼 しかしすぐに姿勢を戻し、声を出す

マイナン「ほら、お前もちゃんと前に出て 彼が助けてくれたんだぞ」

気付かなかったが、彼の背後に隠れているもう一匹のポケモンがいたらしい

礼は要らないが、顔は見せてもらいたいと、キノココは彼の背中をのぞき込む

プラスル「……/// あう/// あの、えっと……あの/// あ、ありがとう、ございました///」

キノココの視線に気づいた彼女は、真っ赤になってしまい、それでも何とかという感じで

感謝の言葉を口に出した 相当な恥ずかしがり屋さん、なのかな?
 ▼ 186 スモウム@バコウのみ 18/03/09 04:15:56 ID:4h8M5WLI [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 187 ュウ@がくしゅうそうち 18/03/09 07:27:28 ID:4h8M5WLI [2/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
早く見たい
 ▼ 188 ワムラー@たべのこし 18/03/09 23:55:39 ID:l8kklZm2 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
プラスル「キノココさんって、お強いんですね…… そ、尊敬します///
     本当に、本当にありがとうございました 私、怖くて怖くて……」

キノココ「いやいや、そんな尊敬されるような者じゃない 無茶をし過ぎてしまった
     結果的にはみんな無事だったけど、そうじゃない可能性も大きくて
     反省しないと…… それに、僕も怖くて仕方なかったよ 平気にはなれない」

何であんな怖い奴らに立ち向かえたのか、キノココ自身判らなくなる

勇者なんて程遠い、ちっぽけな存在だ 尊敬される部分なんて見当たらない

キノココ「僕一匹じゃ何もできなかったよ、寧ろ君たちに助けて貰ってた
     だからありがとうは要らない 皆が無事ならそれでいいんだ」

感謝しなきゃいけないのはキノココの方だと素直にそう思う

プラスル「…………はい///」

そう告げると、彼女は真っ赤になって

しかし先程のようにマイナンに隠れるでもなく何か言いた気にもじもじとしていたが

ルリリ「お邪魔しまーす! キノココが起きたって本当!? あ、起きてる!! キノココ―!
    心配したんだよ! 今度は盗賊も退治しちゃったんだって!? すごいすごーい!」

キノココが彼女に声を掛ける前に、新たな闖入者が現れた

ゴクリン「やあ、キノココ、おはよう お疲れ様」

ルリリ「あ、その子が話題のプラスル? こんにちは 宜しくね あれ?」

プラスルはすぐにマイナンの背後に隠れてしまう

ルリリ「あらら、嫌われちゃった?」

マイナン「大丈夫だと思うよ “控え目”でちょっと人見知りの気があるだけ」

プラスル「………… 宜しく、お願いします」

ゴクリン「まあ、仲良くやろうよ 折角集まって、知り合えたんだからさ」

エネコ「そうね 最近は知り合いがどんどん増えて、ちょっと楽しいわ」

ゴクリン「そーだねー キノココには感謝しないと」

不思議と、この集まりはキノココが中心なのだ 恐縮である


チリーン「ここも、大分賑やかになってしまいましたね…… ……」

キノココ「僕の所為、かな ごめん ここは君の場所なのにね」

チリーン「ふふ、大丈夫ですよ 夕刻までなら、自由にどうぞ」
 ▼ 189 イティ@ピンクのバンダナ 18/03/10 06:37:24 ID:uXsQZ4A6 NGネーム登録 NGID登録 報告
支援

おもしろいです
 ▼ 190 直、どう書くか、悩んでる 18/03/10 22:58:02 ID:Sf8jeNBA NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
キノココ「そういえば、“ひみつきち”ってここだけじゃないんだね」

チリーン「そうですね 色々なところにこの空間はありますよ」

キノココ「へえ、そうなんだ 刑事さんの所とこっちでは大分違った気がしたから
     ちょっと不思議に思っちゃって」

エネコ「そうね なんかこっちは、ふわふわ? してる」

マイナン「材質の違いなのかな? あっちは岩で、こっちは植物だし」

二匹も話に混ざってくる キノココとしても少し気になっていたことだ

チリーン「それはまあ、木の上、岩壁の奥、土塊の中、茂みの下、と
     空間によって違いはあります 間取りも違いますしね
     更には家具など配置物によって“ひみつきち”の様子は千差万別でしょうね」

エネコ「“秘密の力”とやらがあれば、誰でも開けるって言ったかしら?」

チリーン「ええ、既に他者が開いた場所でなければ、大体どこででもできますよ」

エネコ「あたしにも教えてくれない? “秘密の力”って奴を」

チリーン「ええ、まあ、構いませんが」

ルリリ「え? “秘密の力”ってそんな簡単に教えていいものなの? 秘伝とかじゃなくて?」

技名からしてシークレットなものかと思いきや

チリーン「結構誰でも覚えられるみたいですよ? 何が“秘密”なのやら判りませんが」

とのことで

ルリリ「それなら、私も覚えたいな いいでしょ?」

ゴクリン「ずるい ぼくも覚えたい」

チリーン「それでは、皆さんに教えるとしましょうか  技の使い方は――」


彼女の講義は夕暮れ前で終わり、誰も技を覚えきれないまま解散した

エネコ「中々難しいものね すぐに覚えて自分の“ひみつきち”を作るつもりだったのに」

ルリリ「回りの自然を利用するだとか、珍紛漢紛だよね まだ覚えるの先になりそう」

泉の組は反省会をしながら帰るらしい 女の子同士仲良さそうだ でも、あれ?

キノココ「エネコってずっとルリリのとこにいるの? 元々は別の場所に棲んでたんだよね?」

エネコ「んー その話はあまりしたくないわ 勘弁して?」

キノココ「え? あ、うん ……ごめん」

エネコ「気にしなくて良いわよ 私は大丈夫 暗くなる前に帰りましょ?」
 ▼ 191 りま、書いてみる 18/03/11 23:09:19 ID:1XRf2DNU NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
そういえば、彼女はあの時、傷ついて“ひみつきち”に辿り着いたんだっけ

ルリリと泉の話題に囚われてしまって、プラスルと迷路山の話題が続いて

未だに彼女の話は聞きそびれていた こちらから聞くべきなのだろうか?

それとも、お節介などせず自分から話してくれるのを待つべきだろうか

どちらにせよ キノココ等に解決できる話とは限らないのだけれど……


モヤモヤと考え事をしながら、彼女たちを泉まで送っていく道中

なにやら此方を向いて驚いた顔をしたポケモンが居て

「……エネコ、様? エネコ様じゃないですか!! 今までどこに!?
 いえ、良いです ご無事でいらしたのですね!! ああ、良かった 良かった……」

何やら感極まったように泣き出してしまった それなのに

エネコ「……知らないわ 人違いじゃないの? さあ、行きましょう」

彼女はそっけなく立ち去ろうとする 苦虫を嚙み潰したような表情は、
明らかに無関係なんかではありえないだろうに

ルリリ「へ? ええと、これどういう状況? 貴方は誰? エネコとどういう関係?」

小間使い「すみません、申し遅れました 私、小間使いをしているヤジロンと申します」

ルリリ「小間使い? エネコの? もしかして、エネコって実はお嬢様?」

小間使い「いえ、私はエネコ様の婚約者で在らせられるブーピッグ様の下で働いています」

ルリリ「ブーピッグって…… 貴族様じゃない!? 大金持ちの!! 婚約者だったの!?」

初めて明かされた話に、仰天を隠しきれないルリリ それに対してエネコは

エネコ「……そっちが勝手に決めただけじゃないの あたしの意思なんて関係なく」

やはり暗い顔をしたまま、顔を逸らして苦しそうに呟く

小間使い「お屋敷を出てから行方不明になられたと聞いて、心配しておりました
     我が主様もずっと、食事も喉を通らない程でして
     エネコ様、どうかお戻りください 主様が待っておられます」

彼の懇願に対し、彼女は拒絶を繰り返す 一体、何があったのだろう 一先ずは

キノココ「……すみません お引き取り願えますか 貴族様が心配してるのは判りますが
     彼女の気持ちを無視するのは違うと思うんです」

状況が解らない以上、下手なことは言えないがこれくらいなら許されるだろうか

小間使い「ですが! ……すみません 焦り過ぎは良くありませんね 判りました
     後日、またお話させて頂こうと思います 今度はブーピッグ様も」

どうやら、引き下がってくれるらしい

先延ばしでしかないのかもしれないけど これでいい、のかな?
 ▼ 192 ブンネ@めざめいし 18/03/13 23:56:59 ID:erhhgk7s [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
エネコ「…………さっきはありがと、キノココ」

泉まで行ってようやく腰を落ち着けた辺りで、彼女が口を開く

いや、それはいいのだけれど 礼などより

キノココ「ええと…… 説明してくれると嬉しいのだけど……?」

ルリリ「そうだよ! 全然ついていけなかったよ! どういうことなの?
    さっきの、どこまで本当のことなの?」

飲み込めない状況にモヤモヤは強くなる一方

色々、聞きたい 訊いていいものかどうか迷っていたけれど……

エネコ「……彼の言っていたことは、事実よ あたしは、貴族に見初められた婚約者
    すごいでしょ? 玉の輿よ? 財産を約束されたようなもんよ 羨ましい?」

ルリリ「羨ましい、けど…… なんていうか、その言い方だと……」

凄いこと、なのだろう しかし彼女に嬉しそうな様子はない

キノココ「逃げ出した、ってことでいいのかな 君はその待遇から ……どうして?」

小間使いは行方不明だと言っていた ずっと探していたと

しかし彼女は寧ろ意図的に雲隠れしていた様に見える 状況と言葉が擦れ違っているのだ

エネコ「誰も彼も、勝手なのよ だからあたしも勝手させてもらうことにしただけ」

彼女はそう答えるが

ルリリ「どういう意味? 難しくて、何言ってるか判んないよ?」

エネコ「……何から話したものかしら――」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

あたしは孤児院の出身で、余り裕福とは言えない環境の中育ってきたの

お嬢様なんかじゃないのよ 残念ながらね

ああ、別に不幸だったって意味ではなくてよ? そこそこ幸せだったわ

といっても勿論、孤児院というからには、ずっとはいられないのよ

いつか、里親になってくれるという大人が現れた

悪いポケモンではなかったわ 血の繋がらないあたしも大事にしてくれた

優しくて、ありがたかった

あたしは、そんな彼らの負担にならないようにって、親の仕事を手伝うことにしたのよ
 ▼ 193 オッキー@トポのみ 18/03/13 23:58:07 ID:erhhgk7s [2/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
うちの親は、貴族様の家に奉公していて、あたしが手伝いたいって言ったら喜んでくれた

それで、あたしも見習いとしてそこに奉公させてもらった

仕事をする上では特段問題らしい問題はなかったの ある程度は何でもこなせたのよ

仕事仲間にも恵まれた 親にも褒められたし、親の負担も減らしてやれた

何より、他者のためにできることがあるって言うのが結構嬉しかったりもしたんだ

貴族様も悪いポケモンじゃなくて 使用人たちもちゃんと気に懸けてくれる方で

順風満帆って感じだった でも、ある日を境にそれがちょっと変わっちゃったの

その日もいつものようにご奉公に出ていたのよ 仕事も慣れてきたし、楽しくやってた

貴族様は単純に労ってくださろうとしたんでしょうね 何の気なくあたしに触れて

メロメロ状態になった まさかそれで発動してしまうなんて油断していたわ

油断してなかったら避けられたかは判らないのだけれど……

兎に角、一介の使用人に過ぎないあたしが貴族様に求婚されてしまった

あたしは怖くなって一度彼の前から逃げ出したわ 『メロメロ』はそれで解けた筈だった

なのに、次に会った時も彼はあたしに執着を示した 「初恋」だった そう言って

勘違いだってことを必死に説明するのに、彼は聞き入れず

あたしに何度も声を掛けてきて、あたしに何度も触れようとしてきて

……触れようと、してくるのよ 何かおかしいと思うでしょう?

それで悟った 彼はあたしが好きなんじゃなくて この体質に魅せられているんだって

知ってる? メロメロ状態になると脳内快楽物質の分泌が促進されるらしいわ

要は天然の麻薬ね 彼はそれに取りつかれた

なのに、恋愛なら良いものと捉えられるから不思議よね 周りの大人たちは祝福ムード

あたしの親も、例外ではなかった 貴族様が良い方だっていうのはそうなのだし

経済的にも何不自由なく過ごせる未来が約束されているのだから 当然
それが幸せだって考えも判るわ 彼や親たちの意向で婚約が結ばれたわ

素敵よね 孤児院出身の普通の娘が由緒正しき貴族様に見初められるの

絵本になってもおかしくないロマンス 本当にあたしを愛してくれるのだったら、だけど
 ▼ 194 ガボスゴドラ@ラティオスナイト 18/03/14 00:04:43 ID:IcGyP5SU NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
それに、貴族様は高貴でありながら誰に対しても紳士的で、多くの方から人気があって

勿論、異性からもよ 彼のお嫁さんになることを夢見ていた少女は多くいたらしいわ

なのに当の貴族様がぽっと出の使用人風情にお熱になって

彼女らからすればこんなに面白くない事態はないわ あたしは目の敵にされることになる

始めは、ただの蔭口だった 気にしないでいると、直接文句を付けられて

そのうち、仕事場にも影響が及んできた あたしの仕事だけやけに面倒なものにされたり
量を増やされたり、悪意的な邪魔が入ったり

身に覚えのない失敗を押し付けられたこともあったわ

どんどんと嫌がらせは苛烈になり、あとの方になると直接的な私刑とそう変わらない物に

ただ、目立つようなことは一切なく陰湿にやられたせいで貴族様は気付いてなったみたい

そりゃそうよね 彼や大人たちに気付かれるようでは彼女らも本末転倒だもの

……助けを求められないくせに、助けがないことに絶望していたわ

何でこんな目に遭わなくちゃいけないのか 直接訊いたこともあったわ

色々誹謗中傷も交じってたけど、返ってきた答えを要約すると

「地位が低いくせに彼の婚約者に収まったから」らしいわ

あたしが選んだことじゃないのに、勝手に好かれて、勝手に嫌われて 追い立てられて

もう何もかも厭になって 逃げだして

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

エネコ「それで、あの日“ひみつきち”に辿り着いたって訳
    結局、だれも『あたし』を見てくれる奴なんていなかったのよ
    詰まらない話を 態々ご清聴ありがとうございました なんてね?」

重い話をしたという自覚があるらしく、彼女は態と軽くおどけて言う

でも、こっちは圧倒されて、言葉を失ってしまう

ルリリ「泉に留まる時、元の棲み処のことを話さなかったのってそういうことだったんだ」

エネコ「まあね 辛いこともあったし、勝手に逃げた負い目もあるわ」

彼女は気丈に振舞う しかし平気なわけではないのだろう 震えていた

彼女は苦しんでいるのだ キノココには何ができるだろうと考え、悩み、

エネコ「なんか難しい顔してるわね やっぱり話すべきじゃなかったかしら?」

逆に心配させてしまった ……申し訳ない

けど、後日と彼は言っていた いずれ彼女にはその問題が突きつけられるらしい

キノココは、仲間の重荷を背負ってやりたいと思うのだ
 ▼ 195 コッチ@するどいキバ 18/03/14 00:09:15 ID:WNLOQ/Sc NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 196 ノンド@インドメタシン 18/03/16 00:07:59 ID:LxIUiYvg [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
結局、その日は辺りも暗くなっているということもあって帰された

一夜悩んでみても、答えらしい答えを見いだせず、翌日を迎える

心配はしていたが、一日ですぐに貴族の使者が現れることはなかった

時間は、ある 考えを纏める時間は 十分だ

キノココ「と、言う訳で 『メタグロスの知恵』を借りようか」

チリーンの“ひみつきち”にまたみんなで集まって来た

エネコの了承の元状況も説明済み 少数で考えていい案が浮かばないならどうするか

複数で考えればいい 単純だが合理的な話だ

ルリリ「エネコ自身はどう思ってるの? って聞きそびれていた気がする」

エネコ「え? あたし?」

ルリリ「エネコの気持ちが解らないと行動方針も決まらないでしょ?」

エネコ「……ええ、そうね あたしは正直、関わりたくないわ 傷つくだけだもの」

マイナン「誰も『エネコ』を見ない、だっけ 当の婚約者は体質に目が行って
     他の者は貴族の婚約者とだけ見てるのか…… 確かに、辛いね」

プラスル「でも、会いに来ちゃうんですよね? その、貴族の方……」

エネコ「……勘弁してほしいわ あたしはただ平和に生きたいだけなのに……」

キノココ「ブーピッグについては? 想いを寄せられて、どうなのかな?」

エネコ「……迷惑よ 雇い主だから、感謝はしてるけれど、それ以上はないわ」

キノココ「エネコの方からは恋愛感情はないんだ 良かった」

プラスル「……え!? そ、それどういう意味ですか!?」

キノココ「いや、単純に、そういう気持ちがあったなら、問題が複雑化するなあ、と」

プラスル「あ、そ、そうですよね…… ちゃんと問題を確認して、
     一つ一つ解いていかないとですもんね…… すみません 話の腰を折って」

キノココ「まあ、いいんだけど となると問題は基本的に『婚約してること』になるかな?」

エネコ「関わらなければそれで解決と思っていたけど、婚約破棄ってのも一つの手段ね」

チリーン「……あなたが“秘密の力”を覚えたがったのは、逃避のためですか?」

エネコ「“ひみつきち”があれば彼らに見つからずにいられるかしら、と考えたのは事実よ
    その前に見つかっちゃったけどね」

自嘲気味に笑う彼女 それに対し、チリーンは穏やかに笑う

チリーン「それはそれで一つの解決法ですよ」

エネコ「ありがと でも逃げるのも諦めるけどね 皆もいるし きっと何とかできるわ」
 ▼ 197 リミアン@あおいかけら 18/03/16 23:33:18 ID:LxIUiYvg [2/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
キノココ「けど、どうしたものなんだろうね」

チリーン「婚約って、つまり契約ですから、一方的に破棄ってできませんからね」

プラスル「エネコさんの方は結婚する意思がなかったのに、
     婚約が結ばれたのって不当じゃないですか? そこを突けばよいのでは」

エネコ「そうかもしれないけどね 回りが盛り上がってしまっていて
    あたしの一存では覆せるかどうか……」

色々考えてはみるものの、やはりいい考えはすぐには出てこない

ゴクリン「婚約者、婚約破棄…… 逃避? うむむ、難しい言葉ばっかり……」

マイナン「簡単な解決方法ってないかな…… こう、ぱあっとやれそうな」

ルリリ「そんな簡単に行けたらいいんだけどね 難しい問題だから……」

エネコ「一筋縄じゃ行かないわよね 変なことに巻き込んじゃってごめんね」

ルリリ「友達のために一肌脱ぐのは当たり前でしょ そんなかしこまらないで」

プラスル「私達はエネコさんに助けて貰いました 御恩返しをさせて下さい」

マイナン「勿論、ボクも といってもなんか力になれてない感…… 無念」

暫し沈黙が落ちる 考えは巡る 巡る そして不意に彼が匙を投げたように呟いた

ゴクリン「もう、エネコには他の連れ添いがいるってことにしない?」

ルリリ「……え? それってどういう? ってか、アリなの?」

マイナン「嘘も方便とは言うけど…… そんなやり方で婚約者が納得するかな?」

ゴクリン「相手次第でしょ そりゃそんじょそこらのポニータの骨じゃ納得しないかもね
     でも泉の荒くれを退けて、闇のシンジケートの逮捕にも貢献した英雄なら?」

え、ちょ? ゴクリン? どっかで聞いたようなフレーズ並べ始めたけど…… まさか?

エネコ「……諦めてくれるかも そうね 元々あたしに好意はなかった訳だし
    その嘘を押し通したうえでそこを突けば、婚約破棄ぐらいは……
    ねえ! キノココ! あたしの我が儘だけど、付き合って!」

キノココ「………… はあ、やるしかない、か」

正直、騙すようなやり方はしたくないんだけど 代案があるわけでもない

それに、第一に考えるべきは見知らぬ貴族ではなく仲間の彼女だ

覚悟、決めようか
 ▼ 198 ジョフー@ひみつのカギ 18/03/16 23:33:58 ID:6WH2Y1oc NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
根気よく生きよ
支援
 ▼ 199 ジアイス@れいかいのぬの 18/03/17 22:56:40 ID:tDh.ga/A NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
翌日、善は急げとばかりに、使者を待つまでもなく

キノココとエネコは二匹だけで貴族の邸宅へ向かった 

下手に外野を増やさない方が、真摯な感じがして良いだろうと思ったのだ

ただ、気にかかるのは隣に立つエネコの顔色が悪いことだ

キノココ「……やっぱり、無理してるんじゃない? 日を改めようか?」

エネコ「いえ、だ、大丈夫よ ここが正念場、逃げないって決めたもの」

口では強がっているが、やはり、心的外傷に向き合うのはすごく辛いことだ

逃げたとして責めるつもりはないのだけど……

キノココが決断を見守っていると、彼女は一つ深呼吸を置いた後、来客用の鐘を鳴らし

エネコ「お邪魔するわ 挨拶に来たのだけど、ブーピッグはいらっしゃる?」

震えを押し隠しながらも気丈に言い放った

その声を聴き、邸宅の大きな門から飛び出して来たのは

貴族紳士「エネコ!! 今までどこに!?  心配したぞ!!」

エネコ「ブー、ピッグ…… ごめんな、さい でも…… あたし……」

執事や使用人ではなく、誰あろう主本人だった

貴族紳士「――心配、したんだ……!! エネコ…… 俺は……」

エネコ「――――ひぅ……!」

キノココの背に隠れて縮込まった彼女を前に固まった

貴族紳士「済まない…… …………だな」

何かしら小さな声で呟き複雑そうな顔をして、こちらに目を向けた

貴族紳士「ところで、そちらの彼は?」

エネコ「え、えっと、こっちはキノココ、よ 最近色々事件を解決してる……」

貴族紳士「ああ! 噂は予々、お会いできて光栄だ」

キノココ「お初にお目にかかります、ブーピッグ様 少々折り入った話がありまして……」

キノココが話し出そうとすると、貴族は手をかざして苦笑する

貴族紳士「あまり客人を立たせておくわけにはいきません こちらへどうぞ」

案内に従い キノココ等も邸宅の中へ入った
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