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「ブイズのパーティー」 【SS】

 ▼ 1 ッキング@かがやくいし 18/02/02 22:43:57 ID:RXwlpi1o NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「この度、カロス地方はアサメシティにてイーブイ族のための婚活パーティーを催すことになりました

是非ともご参加下さいますよう宜しく申し上げます」

ある日そんな手紙が各地方に届いた

主催者はとある大財閥で、パーティーは数日に渡って盛大にやるようだ

しかし奇妙な注意事項がいくつかあり、どうやらただのお見合いとはいかないらしい

それでも、招待された者たちは続々と参加を表明していった

“イーブイ族のための”というフレーズがとても魅力的だったのである

雌雄比が非常に偏ったイーブイ族の♂にとって、イーブイ族を伴侶とすることは憧れであり、同時に競争率の激しい夢である

そのような経緯から、大事にされるので♀の方もイーブイ族と結ばれることを望む傾向にある

怪しくもまたとないチャンスを求め、招待された十名が集まった

 ▼ 200 ルトロス@はっきんだま 18/03/17 22:57:54 ID:tDh.ga/A [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
貴族紳士「さて、先程は失礼したね お恥ずかしい」

応接間と覚わしき豪華な部屋で落ち着けたところで、話に入る

キノココ「ブーピッグ様 貴方はエネコさんの婚約者、でしたよね?」

貴族紳士「…… その通り 婚約者なのだよ それが?」

キノココ「僕はエネコさんとブーピッグ様の、婚約を解消して頂きたいのです」

貴族紳士「ふむ? それは一体、どういった理由があってかな?」

キノココ「そもそも、エネコさんには婚姻の意思はなかったらしいのです ですから……」

出来る限り、嘘を吐かない範囲で話が進められればいいと思う
気分の問題もあるが、単純に収拾が付かなくなる危険を避けるために

貴族紳士「……それは本当かい、エネコ? 俺のことは好きじゃない、と?」

エネコ「……ええ あなたのことは嫌いではないわ でも、『そういう』相手には、
    見れない 婚約したのは回りが大きく動き過ぎた所為で、あたしの意思じゃない」

その発言に、彼はその顔に衝撃を浮かべた

貴族紳士「そんな…… …………
     ……こんな言い方は狡いかも知れないが 婚約のことは周知されている
     今更間違いでしたと言って取り消せるものでもない 考え直す気は……?」

エネコ「……! ブーピッグ……?」

貴族紳士「体面というものがある 取り分け俺みたいな立場だとね ……それに
     俺はやっぱり、君を諦められない 既成事実に頼ってでも、繋ぎ留めたい
     この気持ちを偽るのは、難しい」

駄目か…… 単純な交渉ではどうにもならないらしい

はてさて、彼の気持ちは本物か、作り物か これは、見極めるのは難しいかもしれない

もし本物だとしたら…… いや、どちらにせよ諦めて貰わないと、か

第一に考えるのは、貴族でなくエネコにすると決めたのだから

キノココ「……実は、僕とエネコさんは恋仲にあるんです 黙っていて申し訳ありません」

貴族紳士「……そうきたか いや、成程 それで二匹並んできたわけだ」

キノココ「婚約中に不躾で申し訳ない しかしながら、狡い言い方ですが
     彼女に婚約の意思はなく、ならば無効であると言える
     ただ、体面上は婚約中に別の異性と浮名を流すのはよろしくないでしょう
     それで、この度は不躾なりに筋を通そうと思い参上した次第
     どうか、エネコさんのために婚約を解消して頂けませんか」
 ▼ 201 援感謝 頑張る 18/03/17 22:59:24 ID:tDh.ga/A [2/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
貴族紳士「筋の話を持ってくるか…… こちらの良心に期待してるつもりかな?
     でも俺の方の体面は気にかけてくれてないんだよね 一方的だ
     先程も言ったように、既成事実も利用するような男に良心の呵責は屁でもない」

エネコ「つまり、……認めないってこと? そんな……」

キノココ「……判りました そっちの方向は諦めましょう
     では、『メロメロ依存』について話しましょうか」

貴族紳士「依存? これまた穏やかでない話だね 俺がそうだって?」

キノココ「違うのですか 彼女はその可能性があると怯えているのですが……」

貴族紳士「君はどうなんだい? 君も♂だろう?」

エネコ「な!? あたしは、キノココをこの体質でなんか――」

まるでキノココを操っているかのように言われて激昂する彼女
しかしキノココは手を翳し抑える

貴族紳士「済まない 意地悪なことを言ったね ただ少し気になっただけだ
     ふむ、質問に答えるとするなら、判らない だね
     確かに、メロメロになった時の幸福感は忘れられない
     でも、エネコに対する気持ちは嘘ではない 本気で好きだと言える」

キノココ「好きなのに、彼女の意向は無視して結婚する、と?」

貴族紳士「好きだからこそ、俺の手で幸せにできる可能性を模索したいのだよ」

キノココ「依存心で作られた虚構の愛でないという証明は?」

貴族紳士「どう証明しろと? 形のないものを取り出して示せとはまた難解な
     何をもって本物とするかなど、他者に決められる謂れはないぞ」

それもそうだ 心の奥底なんて分かりっこない でも

キノココ「……エネコさんに本気で拒絶されたら、どうしますか?」

貴族紳士「悲しいことだが、離れるしかあるまいな」

不意の質問に即返される言葉

こうして言葉を交わすことで、なんとなく、彼のことは判った気がした

しかしそうなってくると、やれることは一つになってくる


キノココ「よろしい ならば戦争だ!」

結局、バトルするのがポケモン、なのかもしれない
 ▼ 202 援感謝 頑張る 18/03/18 04:50:39 ID:ROcTOOwg [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
エネコ「え、ちょ……!? な、何でそうなったの……!?」

余りにも脈絡なく発せられたキノココの言にキノココの言に彼女は慌てだす

貴族紳士「……もう話す必要はないってことかな?」

キノココ「はい ブーピッグ 貴方にエネコを懸けての決闘を申し込みます」

貴族紳士「ふむ、受けて立とうじゃないか 英雄の手腕、拝見させていただく」

しかし、それでもやはり彼は乗って来た

エネコ「……全然、ついていけない 何でそんなに血気盛んに……?」

キノココ「お互い譲れないものがあるというなら、ポケモンバトルしかないでしょう?
     『敗者は勝者に』って奴ですよ これほど解り易い理屈もない」

貴族紳士「一匹の♀を巡って二匹の♂がぶつかったら、当然の話だ」

エネコ「あたしには判んないわ、その理論 ♂じゃないし
    っていうかキノココ、勝てる前提で話してない? やけに自信あり気だけど……」

貴族紳士「ほう……? 俺もそこそこ鍛えている方だと自負しているが?」

キノココ「……さあ? こればかりはやってみないと解りませんね」

エネコ「ちょっと! 負けたらどうすんのよ! あたしはあんたと…… そ、その……
    こ、恋仲……なのに/// け、結婚だって考えてるんだからね!」

うん 照れないで欲しいな 『設定』だって判っていても照れちゃうから

エネコ「(あんた、バトル苦手だったんじゃないの!?)」

それはそうなんだけど、このバトルはやらなきゃならないのだと思う エネコのためにも

貴族紳士「話は終わった? あんまり俺の前で仲良くしないで欲しいな 妬けちゃうよ?」

キノココ「すみません それで、バトルのことなんですが、ここでじゃなくて……」

貴族紳士「ああ、今すぐは止めておこう 君にも準備があるだろうし
     折角だからギャラリーもいた方が盛り上がる 明日ならいいかな?」

キノココ「急ですね 僕は何時でもいいですけど、集まりますか?」

貴族紳士「明日は休日だ 来て欲しい面々は多分予定開いてるだろうし
     『有力貴族VS話題の英雄』という企画だ しかも♀を巡っての争い
     集まらない方が不思議なくらいだね」

キノココ「そっちのことは任せますよ ……戦闘形式について詰めましょうか」

貴族紳士「と、いっても、公式戦の通りではあるのだけどね」

キノココ「真剣勝負なんですから、少しの勘違いもなくしておきたいですね」
 ▼ 203 ゲハント@ていこうのハネ 18/03/18 08:56:08 ID:EHydCa9w NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 204 ンターン@ライトストーン 18/03/18 16:16:06 ID:ROcTOOwg [2/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
貴族紳士「バトルは、決闘の名の元に1VS1のシングルバトルで、参加者は二匹だけだよ
     このとき、道具の持ち込みは一つに限り有りとしよう
     うん、後は技の数だね 規定通り先に申請した4つに固定」

………… 確認は大事だ 齟齬があってはいけない

彼の話を聞く限り、大体公式ルールそのままらしい 違うのは本当に1VS1であるくらいか

貴族紳士「――といったところかな 判ったかい?」

時折区切りながらも、明日について打ち合わせていく

さて、どう切り出して、どう話せばいいのやら…… こう、かな

キノココ「本当ならシングルは3VS3ですが、決闘ですしね……
     嘘偽りなく、当事者同士の一騎打ちですから……
     しかし、折角集まって頂くのに盛り上がりに欠けるかも知れない……」

エネコ「心配するとこそこぉ!? 何でキノココが企画倒れを気にするの!?」

彼女はもはや理解不能な生物を見るような眼をしている……

キノココの発言はやはりおかしいと思えたのか貴族も意外そうに笑った

貴族紳士「まあ、そうなんだろうけど、別に気にする必要は……
     実際、俺と君で彼女を掛けて決闘ことが最優先事項となる
     この際、回りの反応はあくまで二次的な要素だね」

……バトルが最重要項目となるか これは、技選択も吟味しないといけなさそうだ

エネコ「……あたしの人生の分岐点を、そんなことに……?」

彼女は納得いかないというように俯いてしまった

気持ちは判らなくもない こんな茶番めいた形で見世物にされるのはキノココなら嫌だ

しかし、ここまで話が大きくなっている以上、仕方ないと諦めて欲しいところだ


――――そして、翌日 宣言通り大勢のギャラリーが集まっていた

キノココも貴族紳士も準備を済ませてフィールドに向かう

負けた方はエネコから手を引くことになるのだ 彼女のためにも負けられない
 ▼ 205 ガレックウザ@ブロムヘキシン 18/03/19 16:34:52 ID:DsJA0h0E [1/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
司会「レディーース!! エーーン!! ジェントルメーーン!!
   急な開催にも関わらずこんなにも集まってくれて本当にありがとう!
   さてさて、これから始まるのは一匹の♀を懸けた雄と雄のぶつかり合いだー!!」

マイクを持ち客を煽るような台詞を叫ぶ男に回りから沢山の声が返る

一試合しかないというのに、大変盛況なようだ ……申し訳なく思ってしまう

やはり、対戦カードの特殊さが客寄せに繋がったのか

司会「ではまず、当のレディたる彼女から紹介しましょう!
   彼女こそ、彼らがぶつかり合う定めとなった原因! 罪深き♀! エネコ!!
   エネコは元々貴族邸宅で働いていて、そこで主の貴族たるブーピッグに見初められ
   婚約を結ぶことになったが、逃亡 長いこと行方知れずになっていて――」

長口上が続く 観客の反応は上々なようだが、こちらとしては複雑だ

あまり色々明かすのはよろしくないのではないだろうか

24時間もなかったと思うのに、3匹分も口上作って来たのだろうか

早く試合を終わらせてしまって立ち去りたいというのが本音であり
名が知られ過ぎたり上がったりするのは望まないのだけど……

司会「では、そろそろ参加者にも登場して貰いましょう! 言わずと知れた有力貴族!
   財も才も持っている羨ましいあんちくしょう!! ブーピッグだー!!」

歓声はより大きくなる 彼の関係者も多く呼んであるといったけど、それ以上だと思う

やはり彼は民衆にも人気があるだろうなと感じた

主催者であり貴族である彼の紹介は短く、代わりにこの試合することになった経緯などを

司会の口上は告げていく そしてそれが終わり、やっとキノココが呼ばれる

司会「そしてもう一匹、貴族と彼女を取り合う存在! キノココだ―!」

上がる歓声 しかし今度は疑問の声も多く飛んでくる

何でこんな弱そうで小さなポケモンが、と 苦笑してしまう

しかし、司会の口上がキノココの功績を語っていくうちに完成はどんどん強くなってくる

それを聞き流しながら客席を見渡す 特に盛り上がってる席に泉の面々やゴクリンがいる

貴族側の方たちは少し詰まらなそうだ キノココに期待してるものは誰もいない

らしくもなく緊張してしまいそうになり、深呼吸した 大丈夫だ


貴族紳士「力量差があるのに逃げずに来てくれてありがとう」

キノココ「……判ってるなら、お手柔らかにしてくれると助かりますね」

貴族紳士「くく 謙遜しないでいいよ さあ、堂々と戦って見せようじゃないか」

キノココ「……上手く勝って見せますよ」


司会「心の準備も終わったかな!? さあ、真剣なる勝負!! 正々堂々と!! ――開始だ!!」
 ▼ 206 マコブシ@こだわりハチマキ 18/03/19 23:02:51 ID:DsJA0h0E [2/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
目論見は成功 相手の“飛び跳ねる”はキノココから外れた位置に当たった

先程言われたように、キノココと彼では力量が違う

キノココは一先ず相手の隙を見つけようとじっと動かずに見極める

緊張感からか、回りの声が遠くなった気がした

貴族紳士「来ないのか? ならばこちらから攻めさせてもらうぞ “サイコウェーブ”」

キノココ「――!!」

迫ってくる波のような攻撃を辛くも回避する しかし相手は手を休めない

貴族紳士「“サイコウェーブ” そら、もう一発!」

二発目、三発目と続けざまに撃ってきて、そのうちの一発はキノココを捕らえた

キノココ「――ぐ、う…… まだまだ!」

貴族紳士「ほう、耐えるか 運がいいな あまり強くない波に当たったようだ」

“サイコウェーブ”は威力が変動する不思議な技 動きも変則的で避けるのも難しそうだ

そう何度も幸運は続かない こちらからも攻めなくては

麻痺効果で相手の動きを制限することを狙い粉を出す

キノココ「“痺れ粉“!! ――え!? わ!!」

が、相手に掛かった粉は何故か弾かれてキノココに降り注ぐ

貴族紳士「“マジックコート” 君みたいに攪乱する技を多く覚える相手には覿面の技だ
     君と戦うにあたって一応と思い申請したが 正解だったようだね
     これを警戒して変化技は撃って来ないものと思っていたが、浅はかだな」

キノココ「申請してない可能性に賭けたのですが…… 失敗ですね
     だったら、そちらにかけるのを止めるだけです “成長”!!」

粉が戻ってきたのには少々驚かされたが、キノココは草タイプだ 粉は効かない

すぐに立ち直り、技を出す 今度は自分に掛ける変化技だ

貴族紳士「ほう それなら“マジックコート”は関係がないな
     どんどん行くぞ “サイコウェーブ” “サイコウェーブ”」

キノココ「……くぅ、はっ! 当たって、堪るか!」

二連続で飛んでくる攻撃を後ろに飛んだり逆に前に走ったりして何とか避けてみせる

キノココ「ちょっと掠った…… けど、まだいける! “成長”!」

そして間隙を見て技を使い、力を積む 力量差を埋めることが重要だ

貴族紳士「ちょこまかと…… 的が小さくて“サイコウェーブ”が当たり辛いな
     力量の差は有れどあまり積まれるのはよろしくない これで終わらせよう
     弱点の攻撃が、君に耐えられるかな? “飛び跳ねる”」

相手の ブーピッグ は 空高く 飛び上がった
 ▼ 207 ルジーナ@エドマのみ 18/03/19 23:04:12 ID:DsJA0h0E [3/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
キノココ「“飛び跳ね”てる間に積ませてもらいますよ “成長”!」

彼の使った技は攻撃するまでに大きな間がある 更には大振りだ

ちゃんと見ていれば避けるのは容易だろうと考えた

貴族紳士「――そんな余裕があると思ったかね?」

キノココ「――っ!! な! うあああっ!!」

いつの間にか空高く飛び上がった筈の相手の攻撃が、キノココを打ち抜いていた

予想より速かったとかそんなレベルじゃない これは、短縮された?

貴族紳士「気が付いていなかったようだね 持ち物は一つ有りだといったじゃないか
     俺が持っていた道具はパワフルハーブ “飛び跳ねる”などの技を短縮する
     ……これは、やり過ぎてしまったかな?」

効果抜群の技を受けたキノココは大分突き飛ばされてしまった ダメージが大きい だが

貴族紳士「何!? まだ動けるのか!! 効果は抜群だったはずだぞ!」

キノココ「痛かったですよ でも、持ち物は一つ有りですよね 使っちゃいました
     抜群な飛行技を半減する、バコウの実をね それと、良かったんですか?
     僕に対して直接攻撃なんかして……」

貴族紳士「バコウか やられた…… く…… あ……れ……? Zzz……」

悔しそうに歯噛みした相手は、しかし何の脈絡もなく眠りだしてしまった

いや、その言い方は正しくない キノココの特性が発動したのだった

“胞子”は接触攻撃してきた相手を襲う “マジックコート”があったとて関係なく

キノココ「さて、眠っている間に攻撃させて貰いますよ これも戦術の内です
     卑怯とか言わないでくださいね “ギガドレイン”!」

安全なうちに確実なダメージを与えつつ回復を狙う

だが、倒しきることも回復しきることもないままに相手は目を覚ましてしまった

貴族紳士「ぐ…… 特性の効果か 見落としていたよ……
     だがそれも倒しきってしまえば関係ない バコウの実ももうないのだから!!」

相手はそう言い、飛びあがる ハーブももう使ってしまっているため普通のモーションだ

貴族紳士「さあ、とどめの一撃だ! “飛び跳ねる”!!」

回復したとはいえこの攻撃を当てられたら、立っている自身はない よく見極めて

そして下りてきたところを見計らい、技で迎える

キノココ「“飛び跳ねる”中に“マジックコート”はないでしょう! “痺れ粉”」

少し多めに粉を吹き出す 麻痺させる目的もあるが、視界を晦ませて避けるためでもある
 ▼ 208 ロア@たんけんこころえ 18/03/19 23:05:09 ID:DsJA0h0E [4/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
目論見は成功 相手の“飛び跳ねる”はキノココから外れた位置に当たった

更には相手は麻痺して動き辛そうにしている

キノココ「さあ、次で本当に終わらせましょう 僕の勝ちで」

貴族紳士「なめ、るな 最後の一撃は本気で行く! 俺が勝つ!!」

キノココ「――“頭突き”!!」 貴族紳士「――“思念の頭突き”」

両名渾身の一撃を打ち合う 相手は麻痺しているというのに気迫が凄い 押し負けそうだ

両者「「――――うぅぅおおおおぉぉぉぉ!!!」」

裂帛の気合を込めて叫ぶ 叫ぶ 力負けなんてしてない あとは――――

お互いの力は緊迫して、故にどちらも大きく弾き飛ばされた

両者倒れたまま暫しの間があって もぞり と立ち上がったのは


司会「――ブーピッグ、戦闘不能! よって勝者、キノココ!!!」


歓声が、爆発した

そう表現してもいいような熱狂だった

まさか、こんなにも白熱した戦いになるとは誰も予想していなかったに違いない

ましてや、キノココのような弱いポケモンが勝つなどと

キノココ自身、こんな死闘を演じることになるなんて思ってもいなかった


エネコ「キノココ!! あんた、凄い!! 勝った! 勝っちゃった!! あのブーピッグに!!」

勝利の余韻に浸っていた、というより単純に呆けていたら

特別席に座っていた筈のエネコに飛び着かれてしまった

キノココ「――うっ! 痛たたた!!」

エネコ「あ! ご、ごめん 傷だらけだもんね…… なにやってんだろ、あたし……」


そんな様子を冷やかされたり、勝利者インタビューなどを受けたり

バトルの後観客たちの盛り上がりが冷めず、そのまま祭りになったり 色々あった

中々なかなか大変だったけど、無事、約束通り勝って見せることが出来たのだ

めでたしめでたし、かな
 ▼ 209 ジアイス@ヒウンアイス 18/03/20 18:53:25 ID:Uiu7CvzY [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
祭りは大盛り上がりで、夕を過ぎるまで続いた

キノココやエネコといった主役たちは引っ切り無しにポケモン達に囲まれ

宴も酣になる頃にはもうへとへと ただ、悪いことばかりではなかった

皆、キノココ達のバトルを興奮した面持ちで褒め称えてくれた

それに エネコと貴族の婚約が解消されたのは公然の事実となった

その影響か、或いはその前の行方不明騒動があったからか、

エネコに、意地悪を働いた使用人仲間たちが謝りに来たりして

エネコ「今は許せるかどうか判らないけど、いつかまた仲良くできるといいと思うわ」

そう彼女が呟いていた言葉が印象に残った

辺りが暗くなったころ、ようやく解放されて一息つく

気を使ってくれたのか、ルリリやゴクリンたちは先に帰っていて二匹きりになる

エネコ「本当、よく勝てたわね 彼奴、結構実力あって強いのに……
    例えあんただとしても、キノココが勝つなんて思わなかった
    きっと皆そうだったでしょうね 痛快だったわ」

キノココ「そりゃそうだよ 力量的に勝てないのは事実だったんだから」

あっさり言ってしまうキノココに、彼女は不思議そうな顔をする

エネコ「……? でも勝ったじゃないの 何でそんな弱気なの?」

純粋な目で疑問を口にする彼女に、寧ろキノココの方が疑問になる

キノココ「弱気とかそんなんじゃなくて、事実だよ 僕は彼より弱い 圧倒的にね
     少なくとも、試合形式で真正面からぶつかったところで敵わないのは明白
     まあ、色々やりようがある場合はその限りじゃないけどね」

キノココの言葉に、彼女はまるで謎掛けされたように首をひねる

エネコ「? ? ? 真正面から正々堂々と戦ってたよね……? なのに勝った……?」

……気付いて、いなかったのか それでは今回のバトル、勝率の薄い博打に見えただろう

だからあんなに不安そうな顔をしていたのか 反省

全て終わった後だけど、いや、終わった後だからこそ種明かしと行こう


キノココ「――初めからブーピッグは、勝つ気なんてなかったんだよ」
 ▼ 210 マルス@あかいビードロ 18/03/20 19:12:08 ID:JtgInDa2 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 211 ャランゴ@アンノーンノート 18/03/20 23:42:55 ID:Uiu7CvzY [2/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
エネコ「えぇぇ!? 何それ!? 聞いてない! ていうか! え!? 何それぇ!!?」

エネコ は 混乱 している

エネコ「……えぇと、どういうことなのか、解り易く説明してくれない?
    あたしでもついていけるように、簡潔に、宜しく」

……そんなに自分を卑下して皮肉されると怖いのですが

キノココ「……真正面から正々堂々と戦ったら勝ち目がないというのはさっき言ったね
     なのに僕は勝った 試合形式で、真正面から
     それは何故かといえば、単純な話、正々堂々なんてやってないからだ」

エネコ「それが解んないわ あれだけの戦いの中で、どこら辺に細工があったのか」

キノココ「バトル中の細工なんて大したことないよ ただゼンリョクに見せるだけ」

エネコ「見せる? 演技だったって言うの!? あれが!?」

キノココ「……途中から僕は本気でゼンリョクになってたけどね 容赦ないな、あの方」

エネコ「……まあ、いいわ 良くないけど ゼンリョクに見せて戦ったのは解った」

彼女は頭が痛そうに顔を顰め、しかし先を促す

キノココ「バトルが始まってからは細工なんてそんな出来ない 回りには沢山
     ポケモンが囲んでるからね じゃあどうするかといえば、戦闘前しかない」

エネコ「戦闘、前……? ど、どういうこと?」

キノココ「僕等はバトルが始まるよりも前に、お互いの手札を晒しあった
     そしてある程度ゼンリョクに見えるよう戦いながら僕が勝つ筋書きを組んだ」

エネコ「八百長? でも、あんたと彼が二匹きりになったところなんてなかったわよね?
    何か企てる暇なんてなかったように思うのだけど?」

キノココ「昨日の打合せだよ 今日の企画のことを話しながら手の内を打ち明けてくれた
     『飛行技を打つからバコウを用意しろ』とか
     『“マジックコート”張るけどいいよね』とかね」

エネコ「い、いつの間に!? どうやって!?」

キノココ「暗号のような形で 僕もちょっと真似したけど、話しながら作るのは難しいね
     『特性“胞子”狙います 突っ込んで下さい』って あの時の、態とだよ」

エネコ「…………あの、“サイコウェーブ”なんかも?」

キノココ「出力抑えても、余り違和感のない技だよね 威力の変動の範囲だろうって
     しかも命中精度も甘くしてくれたし それでも結構きつかったんだよ」

キノココは自身の弱さを痛感する

エネコはもう、開いた口が塞がらないといった表情だ
 ▼ 212 イバニラ@ぼうごパッド 18/03/21 16:47:37 ID:Md3cnbY6 [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
エネコ「なんというか感心して損したって言おうとしたけど 別の意味で感心したわ……」

褒められた、というより呆れられてしまったようだ

エネコ「あれ? でも何で暗号なんて使ってたの? 別に普通に打ち合わせても良くない?
    あの場所にはあたしたちの他には誰もいなかった 使用人も下がっていたでしょ?」

キノココ「『壁のミミロル障子のメラルバ』を警戒してたって言うのもあるだろうけど、
     僕を試したっていうのが一番なのかな」

エネコ「試した?」

キノココ「エネコの相手役として、及第点に達しなかったら叩きのめされてたかもね
     それぐらいの気持ちだったんだと思う」

解読して、かつ即興で暗号を返して見せたことで認められたらしいのだけど

エネコ「何故? 勝つ気がなかったんでしょ? それってつまり、あたしのことなんて
    どうでもよかったんじゃないの? そもそも、何でこんな大事にしたの?」

疑問符が並ぶ 全部話すよ 君は知っておくべきだろうしね

キノココ「それは違う 彼が負けようとしたのは、君のためだよ エネコ」

エネコ「………… それって、どういう?」

キノココ「君が婚約の解消を望んだから、彼もそうしようとした
     でも、沢山の人に婚約をたたえられて、今更解消なんてできなくなった
     無理に強行しようものなら体面が立たなくなると考えたのだろうね

     この世界には、バトルの結果なら従う風習がある 何故かは知らないけども

     僕等にとっては幸いだった これで彼が立派に戦って、もし負けたら
     体面を潰すことなく円満に君との婚約は解消できる だから僕は勝負を挑んだ

     当然、彼は受ける そして『負ける』という既成事実を広めるため、
     ポケモンを集めようと企画を催した 堂々たる姿で負けて見せたんだ」

エネコ「そこまで考えて……? なんで、そこまでするの……?
    『負ける』っていいことじゃないでしょう? しかもキノココになんて
    そっちの方が面子が潰れるんじゃないの?」

キノココ「僕は『話題の英雄』らしいからね それに負けても恥ずべきじゃない
     って観客達には解釈されるんじゃないかな それも僕と戦った理由かな」

そうでなければこんな企画立てなかっただろう

キノココ「それに、彼の面子が潰れるのは、彼自身気にしてなかった」

エネコ「……? 体面とか気にしてたのに? どういう、こと?」

いつもの彼女らしくなく察しが悪い 誰しもそうなのかもしれないけど

キノココ「さっきも言ったろう? 全ては君のためだよ エネコ」

割に、自分のことは判らないものなのかもね
 ▼ 213 ルトロス@デボンのにもつ 18/03/21 16:48:09 ID:Md3cnbY6 [2/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
エネコ「? ? ? な、何で?」

本当に、訳が分からないという顔をする 貴族の紳士がちょっと哀れになる

キノココ「一時的にメロメロ中毒になってた可能性は捨てきれないけど
     それ以上に、彼は、エネコのこと、本気で好きだったんだと思うよ
     だからこそ、君の意に添うようにしたいと願った 婚約の解消でさえも」

エネコ「ふぇ? な……何を言って――///」

キノココ「君が行方を晦ませた後、偶然小間使いに会うまで消息を捉えられなかったのは
     本気で捜索隊を組まなかったから
     というのも、彼は彼が原因で君が居なくなったのに気づいていたから
     無理に探さず、君を追い込まないようにしていたんだと思う
     でなければ、そこまで遠くもない距離で、彼の力で、見つからない筈もない」

エネコ「……そう、かも」

キノココ「エネコが拒絶したなら、離れるしかないと答えた
     つまりそういうことじゃないかな 彼は君のために行動する紳士だった」

それは彼がエネコのことを想っていたから そう思う

キノココ「まあ、彼の印象を総合して考えた結果であって、言質取った訳じゃないけど」

エネコ「何それ でも、筋は通ってるのよね ……そっか そうだったんだ」

暫く沈黙が落ちた しかし色々考えていることは判ったからキノココは口を開かずにいた

エネコ「……そうね 色々あったお蔭でぐちゃぐちゃしてたのが何となくすっきりしたわ
    肩の荷が下りた感じ? って言うのも変だけど、平気って言えるわ
    だからといってもう一度ブーピッグと、っていうのはないけどね」

キノココ「それは、ご愁傷様なことで いいポケモンなんだけどなあ……」

エネコ「判ってるわよ あたしも彼には感謝してる でも……
    さ! もう暗いし、帰りましょ! エスコートして下さる?」

キノココ「エネコお嬢様の仰せのままに ……泉に泊まるの?」

軽口を叩き合って笑い合い、帰り道を進む

一朝一夕で割り切れる問題じゃないんだろうけれど 確かに彼女は平気そうだった

もう大丈夫 そう言えそうだ
 ▼ 214 シャーナ@きれいなハネ 18/03/23 14:39:35 ID:hFdO5CU. NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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 ▼ 215 編になるお でも詰まってる 18/03/23 23:54:17 ID:fJ7gTVYM NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
キノココ「ふあ〜 疲れた、疲れた 今日もまた濃い一日だったな」

エネコを泉まで送り届け、キノココは自らの棲処まで歩く

視界はすっかり真っ暗闇に覆われてしまっている

大立回りをしたのもそうだが大勢に囲まれたせいで疲労感が蓄積していた

さっさと戻って寝てしまいたい そう思っていた

「お兄ちゃん、お兄ちゃん ねえお兄ちゃん ちょっといいかな、お兄ちゃん?」

そこへ、あどけない感じの声が掛かった 誰だろう? こんな夜なのに

声の聞こえた方へと振り向く しかし誰もいない

キノココ「……?」

聞き間違いだった? いや、はっきり聞こえたと思ったのだが……

「どっち向いてるの〜? こっちだよ お兄ちゃん」

また、子どもの声 先程よりも近い距離から聞こえたその声に振り向くと

キノココ「――!!? うああっ!!?」

不気味な火に照らされた謎のポケモンの影が目と鼻の先に現れていて

闇に包まれた現状も相まって非常に慄いてしまう 怖すぎる

「きゃはは いい反応だよ、お兄ちゃん」

謎のポケモンは笑って逆立ちしていた状態から元に戻った そして鬼火も消していく

謎だと思っていたのは、見慣れない姿勢の所為だったらしい 最近聞いた種類だ

カゲボウズ「こんばんは お兄ちゃん」

あんなに全力で怖がらせに来たかと思えば、普通に好意的に話しかけてきた

……ゴーストポケモンの性、というのは本当らしい 挨拶感覚なのだろう

キノココ「ええと…… 何かな?」

キノココに何の用があって話しかけてきたのだろう 面識はなかったと思うが

カゲボウズ「うんと、あのね ……あ、ちょっと隠れて」

キノココ「わ! な、何!? どういう――」

訳も分からないまま木の陰へ押し込まれた

と、遠くに赤い瞳を灯す黒いポケモンの影が通るのが見えた あれは、ヨマワル?

カゲボウズ「何日か前から、あの顔の怖いおじちゃんに追われてるの
      口の悪いお兄ちゃんにも追っかけられてて、なんでかな?」

キノココに訊かれても困る どういうことなんだろう?
 ▼ 216 メルゴン@カムラのみ 18/03/24 08:42:07 ID:SCPIL2CQ NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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 ▼ 217 ラマネロ@まんまるいし 18/03/25 00:16:38 ID:m3C3bl.2 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
キノココ「ええと、僕は数日前ヨマワルにあった時君のことを知らないかと
     そう訊かれたのだけど 知り合いではないの?」

カゲボウズ「よまーる……って?」

キノココ「さっき通り過ぎて行った…… 顔の怖いおじちゃんだけど……」

カゲボウズ「うーん…… わかんない…… 何だろ…… わかんないや……」

目の前のポケモンは本当に見当を付けられず困っているようだ

ただ、この子に分からなければキノココにだって何も解りやしない

キノココ「……それで、何で僕に声を掛けてきたの?」

カゲボウズ「怖くなかったから!」

キノココ「いや、何で……?」

カゲボウズ「……?」

キノココ「ええと、何か僕に用があったとかではなく?」

カゲボウズ「わかんないや なんか、なんとなく?」

特に理由はないということだろうか 追われているというのに悪戯を優先するとは
能天気なことだ…… 目の前のことに夢中になってしまうやんちゃ盛りという奴だろうか

口調にも見た目にも幼い印象を受ける

キノココ「どうしてこんな森の中に一匹で? お父さんか、お母さんは?」

カゲボウズ「ううん? ……わかんない!」

キノココ「え…… じゃあ、何処から来たの?」

カゲボウズ「わかんない!」

キノココ「……名前は?」

カゲボウズ「わかんない!」

本気で困ってしまう 子どもってこんなに自分のこと解ってないものなのだろうか? 

キノココ「いつから、一匹でいるの?」

カゲボウズ「うーんと、えっと、7日くらい前かなぁ……」

キノココ「そっかぁ…… え?」

あまり期待はしていなかっただけに、答えが返ってきて驚く

思ったよりも長い時間を告げられたことも驚きに拍車をかけた
 ▼ 218 援ありがとー 18/03/27 01:07:54 ID:hqHSF3H. NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
キノココ「ええ? 君みたいな小さな子どもが? 一週間も?」

普通はまだ親元に居てもおかしくないだろうに、大丈夫だったのだろうか?

キノココ「君、棲み処は?」

カゲボウズ「わかんない!」

キノココ「それも? じゃあ、ずっとふらふらとその日暮らしみたいな感じ?」

カゲボウズ「ゴーストだからねー 割と生きて(?)いけるんだ」

あっけらかんと答える 心配になる子だな……

キノココ「いや、それにしてもだよ ……宛てはあるの?」

カゲボウズ「……わかんない」

キノココ「……?」

言葉は同じだが、少し言い淀んだのが気になってすこし見つめてしまった

カゲボウズ「ずっとね、森の中にいるの でも、ここに居ちゃいけない気もする
      お兄ちゃんはどう思う? わたしはどこに行くべきかな?」

そんなことを聞かれても、キノココにも見当は付けられない

キノココ「……なんで、僕に訊くの?」

カゲボウズ「なんとなく?」

疑問形か ふわふわしてるなあ

キノココ「いや、僕には解んないけど…… つまり宛てがないというか
     宛てがあるかどうかも判らないっていうこと?」

カゲボウズ「そうなる、のかな でも――」

「よう こんな夜中に何やってんだ?」

突然、横合いから声が飛び込んでくる 驚いたカゲボウズはキノココの陰に隠れる

キノココはその声に、反射的に固まってしまった 全身が震える

虐めっ子A「こんな時間に会うなんて奇遇だな 弱虫 あん? そこに居んのは……
      おお! 探してたんだよ! カゲボウズ!」

彼は出会い頭に予想外なことを言った 知り合い、なのだろうか?

背後のカゲボウズに目を向けて尋ねてみると、首を振って縮こまってしまった

本当に、状況が読めなくなってきた 物事を把握しきれない

キノココ「ど、どういうことだい、ヤルキモノ?」

虐めっ子A「聞いて驚け! ここらには願いの叶う“ひみつきち”とやらあるという!!
      そんで、そこのカゲボウズはその手掛かりらしい!
      そんなこと聞いちまったら探さない手はねえよなあ!? だからそいつよこせ!」
 ▼ 219 ンダース@メタルコート 18/03/27 05:28:27 ID:tGe7zKGE [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
きずいたら一気見してた
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 ▼ 221 々絵まで ほんまにありがと 18/03/28 00:25:35 ID:2JXhIe7g [1/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
『願いの叶う“ひみつきち”』? 最近聞いたフレーズだ それを探しているのか

しかしそもそもその噂が正しいわけじゃないということを聞いた

それに、カゲボウズが手掛かりだということも初耳だ 疑問を顔に浮かべると

彼奴は自分の考えを自慢気にひけらかし始めた

虐めっ子A「“ひみつきち”は普通に探すだけじゃどうやら辿り着けねえらしい
      しばらく探したが見つからねえ そこで俺は考えたよ
      俺に“ひみつきち”の存在を教えてくれた奴はカゲボウズも探してた
      だったらそこに関連性がないと考える方が変だろ? 手掛かりに違いねえ!」

彼が言っているのはヨマワルだろう 多分、キノココと同じように尋ねられたのだ

そしてヨマワルの発言から噂を信じ、そういう考えに至ったのか

虐めっ子A「案内しやがれ! “ひみつきち”って奴によ! 俺の願い叶えてもらおう!」

カゲボウズ「……わかんない 口の悪いお兄ちゃんが何を言ってるのか
      わたし ぜんぜんわかんないよ!」

虐めっ子A「嘘を吐け!! ……まあいい じっくり訊いてやろうじゃないか
      痛めつけながら、じっくりとな!」

どうやら彼奴が数日追いかけてきたという「口の悪いお兄ちゃん」らしい

酷く怯えた様子でいる こんな子どもに対して強引な手段に及んだのだろう

『真偽も不確かな噂に惑わされて』 そう考えると遣る瀬無い

キノココ「………………」

虐めっ子A「? おい、どけよ それとも何か? 庇うってのか? 無関係だろうによぉ!!」

確かに、会ったばかりの他人だ 余計なことに首を突っ込むべきではないのかも知れない

それに、睡魔にも襲われている 夜も遅いし、見なかったことにして帰るのが賢いのかも

更には、心的外傷の原因と対峙するなんて怖くてしょうがない

だけど、怯えている小さな迷子を放り出すのは、やっぱりできなくて

キノココ「“痺れ粉”! “眠り粉”! “毒の粉”! ――行くよ!」

沢山の粉を煙幕のように広げ、カゲボウズを押しやりながら、闇に紛れるように逃げ出す

虐めっ子「くそっ! 待て!! てめえ! 覚悟はできてやがんだろうな!!」

後ろから怒声が響く 足が震えて、ともすれば止まってしまいそうになる

覚悟なんてできるわけもない それでも、走る
 ▼ 222 ョロボン@きのみ 18/03/28 00:26:46 ID:2JXhIe7g [2/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
カゲボウズ「で、でも、逃げるって、どこに?」

キノココ「判らない! でも、捕まったら、只じゃ、済まなそうだし、一先ず、撒く!!」

虐めっ子A「待てこら! お前ら! くそ! ぶっ潰す!!」

先程仕掛けた状態異常煙幕のお蔭で、相手とはうまく距離が取れたらしい

麻痺や毒が効いてくれていたなら普通に逃げられるだろうけれど、それは望み過ぎか

後ろの相手を確認している余裕はない 一直線に全力で逃げ――

――危機感知でもないのに嫌な予感に身を押され思い切り横に飛ぶ

寸前までキノココがいた位置を何かが凄い速さで飛んで行った

虐めっ子A「ヤルキモノには接触技しかねえとか油断してねえだろうなぁ? おい!」

背後から嗜虐的な声が響く ……“投げ付ける”か 普通は使い切りの筈の技

しかし先程飛んできた物は、森にならいくらでもある木の枝

つまり相手の弾は無尽蔵だということ ただ逃げるだけではいずれ追い詰められてしまう

虐めっ子A「逃げ切れると思うなよ? まず瀕死にさせてから捕まえてやるからな?
      “投げ付け”て“投げ付け”て“投げ付け”まくる!!」

いくつも飛んでくる枝を辛くも躱す いくつか掠った枝もあるが何とか駆ける

キノココ「カゲボウズ! 大丈夫!?」

カゲボウズ「だ、大丈夫! まだ当たってないよ! でも、どうするの!? お兄ちゃん!?」

逃げるだけじゃ駄目だ かといってまともに戦おうとしても分が悪いだろう

どう戦えばよいのか…… 走りながら頭を巡らせる ――そうだ、この先には

キノココ「……ねえ、カゲボウズ 君、“――――――”って使えるかい?」

カゲボウズ「え? う、うん! 使えるよ! でも、どうするの?」

キノココ「良かった なら、合図を出したら使って! ――てぇい!!」

キノココは思い切ってカゲボウズを引っ張る

虐めっ子A「……は? 消えた!? くそ、どこ行った!!」

相手の視界から上手く外れることが出来たようだ

やがて走って来た相手の姿が“上”に見えて

虐めっ子A「おいおい、弱虫のくせにやってくれんじゃねえか……」

離れていく相手の声は、良く聞こえなかった
 ▼ 223 ロリーム@さざなみのおこう 18/03/28 00:27:48 ID:2JXhIe7g [3/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
どうやって一瞬でそこまでの距離を離すことが出来たのか、といえば

単純な話 この間復活草を採りに来た断崖の下へと飛び込んだだけだ

勿論、何の準備もなくそんなことをしては致命傷を受けてしまうけれど

キノココ「今だ!! お願い、カゲボウズ!」

カゲボウズ「テ、“テレキネシス”!!」

先程指示していた技を使ってもらうことで崖底の茂みにふわりと着地した

カゲボウズ「……無茶するね、お兄ちゃん わたしは大丈夫だけど、
      お兄ちゃんが失敗したらぐちゃってなっちゃうよ?」

……ぞっとすること言わないで欲しい 失敗したときのことは考えないようにしたい

キノココ「……上手くいったから結果オーライってことにしておいて」

お互いに声を掛け合ってほっとしたのもつかの間

カゲボウズ「ね、ねえ! 上見て! あのお兄ちゃん、崖伝いに降りてきてるよ!?」

彼にとってはこの程度の崖は造作もないらしい 諦めてくれることは期待できなかった

カゲボウズ「ど、どうするの!? わたし達、逃げられないよ!? 袋小路だよ!?」

崖に囲まれたこの場所には、隠れられる茂みがあるくらいで逃げられる脇道などない

近づいてくる背中を見上げて慌てたように叫ぶカゲボウズに、そっと諭した

キノココ「僕が何とかする 君はそこの茂みの中に隠れてるんだ」

カゲボウズ「ええ!? でも、あのお兄ちゃん、強そうだよ!?」

キノココ「大丈夫だよ 僕もこう見えて結構修羅場乗り越えてるんだ」

カゲボウズ「どういうこと?」

キノココ「うーんと…… 強くなくても、いくらでもやり方があるってこと
     ちょっと卑怯かもしれないけどね でもなりふり構ってたら、酷い目に遭う
     それが嫌なら、どんな手段で在れ、抵抗するのは当然のことなんだ」

キノココのやり方は余り褒められるような方法じゃない

でも、綺麗なやり方ができるほど強くはないから、やるしかないのだ

子どもに見せるには泥臭い だからせめて反面教師であることを先に伝えておこう

カゲボウズに作戦を伝え、二匹とも茂みに隠れて相手を待った
 ▼ 224 ネブー@ふねのチケット 18/03/28 01:34:05 ID:2JXhIe7g [4/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
相手は軽々と崖を降りてきて、意気揚々とファイティングポーズをとった

虐めっ子A「さて、態々壁に囲まれた袋小路に逃げてくれてありがとうな くく……
      これで思う存分ストレス発散できるぜ お前、Mだったのか?」

相手はキノココに対し嘲るように笑って言葉を紡ぐ その気持ちも判らないでもない 

何故ならば、彼が降りてくるなり茂みの中からキノココの姿が飛び出して来たのだから

相手からすれば、格下のポケモンが態々殴られに来たようなものだ

虐めっ子A「おっと、また変なことされたら堪ったもんじゃねえからな “挑発”!」

キノココ「…………」

やはり、まず“挑発”を撃ってくるか 積めないのは辛いな

虐めっ子A「こうなるのは解ってただろうにあっさりと出てくるなんてよ?
      馬鹿じゃねえの? それとも本当にMか? 黙ってないでなんか言えよ」

キノココ「………………」

虐めっ子A「どうした? 声も出せない程怯えてんのかよ?」

キノココ「………………」

虐めっ子A「まあ、いいか ところで、カゲボウズは? 飛んでったとこは見てねえから
      その茂みン中か? 出てきやがれ!! 早く出てこないとコイツ甚振んぞ!?」

どっちにしろ甚振るつもりだろうに 理不尽なことだ

それに、下手な脅しである こちらの関係性について詳しくなってから出直すべきだ

カゲボウズにとっては無関係のそれが甚振られようと痛くも痒くもないのだから

虐めっ子A「3…… 2…… 1…… 時間切れだ お前の所為だぞ? ――“燕返し”」

相手は草タイプに通りの良い属性を纏わせた爪をキノココ目掛けて振るう

その攻撃で一気に体力を尽きさせられた“それ”は掻き消えた

虐めっ子A「“身代わり”……だと!? くそ! 騙された!! 本物は!?」

相手は慌てて周りを見渡す 今がチャンスだ

“身代わり”に誘われて茂みに近づいてきた相手に、キノココは茂みの中から狙いを定め

キノココ「僕はここだ!! 喰らえ!! “気合……パンチ”!!!!」

裂帛の気合を持って、効果抜群の攻撃を打ち出した

虐めっ子A「か―――― ふ…………!!」

泡を吹いて横たわった相手を暫し呆然と見つめて、動き出す気配がないことを確認して

キノココ「勝った……? 勝てた……? あのヤルキモノに? 本当に?」

実感もないままだったが、やっと肩の力が抜けた
 ▼ 225 ルガレオ@じゅうでんち 18/03/28 16:47:33 ID:oej8j3Xc NGネーム登録 NGID登録 報告
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 ▼ 226 ブライカ@ブレイズカセット 18/03/28 23:53:38 ID:2JXhIe7g [5/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
カゲボウズ「お兄ちゃんすごーい!! 一発だ! 一発! かっこいい!!」

座り込んでしまったキノココの隣で喝采が上がる しかし

キノココ「格好良くなんか、ないよ……」

斃れている相手を、一応の意味を込めて“宿り木”で軽く縛りながらキノココは自嘲する

キノココ「相手が構えるよりも前に“身代わり”を使っていたこと
     “身代わり”だけを出して本体は隠れたままだったこと
     そして相手の隙を狙って不意打ちに大技を打ち込んだこと
     全部狡だ 褒められるようなことじゃない」

気分は複雑だ 本当なら真っ向から勝負するべきなのだろうけれど

キノココは臆病者で、強くなどないから こうした手段に頼るよりない

キノココ「まあ、形振りなんて構ってられなかったのはそうなのだけどね……」

カゲボウズ「……ええと、つまり、お兄ちゃんが作戦考えて、お兄ちゃんが戦って、
      お兄ちゃんが勝ったんでしょ? じゃあ、やっぱりすごいことだよ!」

キノココ「いや、だからね…… 僕は狡をしたんだ 凄くなんか――」

カゲボウズ「ずるなんかじゃないよ! ちゃんとポケモンバトルだもん!
      わたし達『ゴーストタイプ』だって、あざむいたり不意をうったり、
      そういう“技”が多いけど、ずるなんかじゃぜったいないもん!!
      “威嚇”みたいなものもある お兄ちゃんはぜんぶずるだって言うつもり?」

キノココ「……それは」

カゲボウズ「それに、一方的に“技”を使ってきたのは向こうも同じでしょ?
      あと、崖の上でバトルが始まってたんだからいったん離れたといっても
      それは戦略? っていうやつで、お兄ちゃんがずるなんてことはないんだよ!」

……狡をしたという自覚、罪悪感を否定されるとは思わなかった

そして不覚にも、返す言葉を見失ってしまう 筋の通った理屈だと思えてしまった

カゲボウズ「ねえ、お兄ちゃん そんなに自分を卑下しないで お兄ちゃんはわたしを
      守ってくれたんだよ! お兄ちゃんの力で彼奴も斃せたんだよ!!」

子どもの純粋な言葉って、こういう時強いんだなって思う

キノココ「斃した? 僕が……、ヤルキモノを……?」

口から出るのは、疑問ではなく確認

ようやっと、実感が湧いてくる

今度はすんなりと、自分で自分を認めることが出来そうな気がした


 ▼ 227 ゴラス@いしょうトランク 18/03/29 23:50:18 ID:JmYojVz6 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
カゲボウズ「ところで、どうやって登るの? わたしは飛べるけど、流石にお兄ちゃんを
      背負って飛ぶのは無理だと思うんだけど……」

この場所から上へ登るための道などないし、崖もとっかかりが少ないのが見て取れる

確かに、このままでは登れなさそうだ

キノココ「ん、と…… “テレキネシス”の助けを借りたいかな」

カゲボウズ「いいけど、それじゃちょっとうかすていどで、上まではとんでいけないよ?」

キノココ「浮いてられるならそれで十分 補助があれば、こうして……」

言いながらキノココは、崖に向かっていくつか“宿り木の種”を飛ばし、蔓を伸ばさせる

キノココ「僕でも登ることはできなくもない “テレキネシス”、お願い」


カゲボウズ「ほんとに登り切っちゃった…… お兄ちゃん、凄いね!」

キノココ「……“テレキネシス”があっても、中々キツイもんだな、崖登り
     ルリリはこれを補助なしでやったんだから凄い……」

カゲボウズ「え? なんて?」

キノココ「や、こっちの話」

思わず独り言を呟いてしまった

それはそうと、これからどうするべきだろうか カゲボウズには宛てが無いようである


「やあっと見つけましたよ ひょひょ おや、いつぞやのキノココじゃないですか
 カゲボウズを見つけて下さったんですね ありがとうございます
 さあ、こっちに来てください、カゲボウズ」

不気味な声が唐突に聞こえて、背筋が凍る 赤い瞳を揺らしてこちらに近づいて来た

こんな夜中に会う彼は、恐怖の権化のように思えてしまう

同じ『ゴーストタイプ』であるカゲボウズでさえ固まってしまっている

カゲボウズ「う……! お、お兄ちゃん! 走って! 逃げなきゃ! 怖い!!」

だが、固まっていたのは一瞬で キノココを引っ張りながら彼とは反対方向に飛び退る

カゲボウズにつられて、キノココも駆け出した 一体どこへなのかは本人たちも判らない

    「ちょ、な、何故逃げるのです!? 待ちなさい!!」

暗闇の追いかけっこが始まってしまった
 ▼ 228 クレオン@ポロックケース 18/03/30 11:50:17 ID:nuhqOOds NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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 ▼ 229 ャタピー@トポのみ 18/03/30 16:59:01 ID:koDPGnI6 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
視界が黒く塗りつぶされている中、二匹一緒になって赤く揺れる光から逃げ惑う

というよりも主にカゲボウズが我武者羅に逃げるのを

キノココが近く、ヨマワルが遠く追いかけているというのが実情だ

キノココ「……ねえ、カゲボウズ 本当に、彼と、面識、ないの?」

走りながら質問を投げかける

何故追われて、何故逃げているのか 判らなくてモヤモヤする しかし

カゲボウズ「わかんない! わかんないよ! でも、追いかけてくるんだもん! 怖い!!」

明確な答えは帰って来ない そこに何か違和感を覚えた気はしたが……

今の状況が考え事に没頭することを許さない

暗闇の中の森というのは走ることに適してはいないのだ 足場は凸凹 乱立する木々は

一寸先に近づくまで気付けなくて、何度もぶつかりそうになる

かといって減速したら置いて行かれそうで、また、追いつかれそうで

更に言えば、背後から迫る幽霊に恐怖を覚えているのはキノココだって同じだ

何処か、身を隠せる場所はないだろうか…… 少し落ち着きたい……

キノココ「カゲボウズ! 待って! こっちに行こう!」

カゲボウズ「え? お兄ちゃん、何か思いついたの!?」

キノココ「いや、思いついたって訳じゃないんだけど……」

休める場所、と考えたときに真っ先に考え付いた場所は一ヶ所だった それに結構近い

何度も出てきたキーワード そこに行けば何か判る気がした

キノココ「と、その前に一先ず後ろの彼を撒かないといけないかな
     ――“痺れ粉” “眠り粉” “毒の粉”」

先程のように数種類の粉を思い切り撒き散らして状態異常を狙いつつ見当を晦ませる

    「は!? な、なんです、これ!? ちょ! どこに行きました!? 待って!!」

後ろから聞こえた声を確認して駆けていく 上手くいった、かな?

さて、こんな時間にお邪魔するのはさすがに無礼かな 彼女には悪いことをする

それに約束も破るみたいになる ……こんな状況なのだから許してほしいものだ

キノココ「ここだよ! 茂みの“ひみつきち”! ちょっと非難させてもらおう!」
 ▼ 230 ギルダー@こうらのカセキ 18/03/31 23:15:55 ID:5cQ8Nh4w NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
『夕暮れ以降は私の時間』と彼女は何度も言っていて

そしてそれ以降に誰かが“ひみつきち”に居ることは嫌がっていた

忘れていたわけではないのだけど 深い意味なんて全然、考えていなくて

だから、彼女の言に反することも深い考えもなく行ってしまった



キノココ「……これは、どういうことなのだろう?」

いつものように入った“ひみつきち”は日中の様相とは全く異なっていた

屋内であるにもかかわらず霧が立ち込めていて空気は冷えている

肌寒いというのではなく、心胆から凍り付くような感じのする、嫌な寒気だ

チリーンの鳴らす音は聞こえてくるが、反響して何処から聞こえてくるのか判然としない

……反響? ここはそんなに広かっただろうか

部屋の中を見回してみると、どうやら床に穴が開いているらしい

覗いてみるも、暗くて中の様子はよく分からず

ただ、奥まで続いているのが反響具合から解るのみ

カゲボウズ「……? なんかここ、懐かしい感じがする ……なんで?」

キノココ「……そうなの? 僕には、なんというか、底冷えする感じしかしない……」

キノココとカゲボウズには感じ方に差があるらしい

その差異は何を意味しているのだろうかと考える

……考えても仕方ないのかもしれない 可能性は思いつけど確信が持てるわけもない


カゲボウズ「ねえ、お兄ちゃん この先に行くのって、駄目かな……?」

キノココの様子を見て、遠慮がちに尋ねてくる

子どもに心配掛けさせるのは我ながら情けない

キノココ「……なにか、宛てになるのかもしれない、ね」

この先に踏み込むのは正直、キノココにとっては足が重い

帰り道が用意されていないのではないかというそこはかとない恐ろしさを感じる

キノココ「『乗りかかったラプラス』だ 付き合うよ」

それでも、迷子を放っておくという選択肢はキノココからはなくなっていた
 ▼ 231 ツベイ@ぎんのおうかん 18/04/01 05:52:47 ID:mtWH.Xok NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 232 ソクムシャ@ラブタのみ 18/04/01 17:58:45 ID:tChjw0Dg [1/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
カゲボウズ「……やっぱり、何か懐かしい感じがするよ、ここ」

キノココ「どこから来たかは判らないって言ってたね もしかしたら手掛かりがあるかも」

洞穴の中は霧の所為か足場の確かさがなく、不安定で躓きそうになる

気温は下がっていくし、相変わらず先が見通せないほど暗くて不安になる

キノココ「とにかく、チリーンがいることは確かだと思うし…… 彼女を探そう
     ……反響してて位置が掴み辛いけど」

鈴の音は聞こえてくる 彼女はカゲボウズについて知っているだろうか?

……少なくとも、この場所については詳しい筈だ

暗順応を待って、奥へと進もうとしていると

    「ひょひょ、追いつきましたよ 自らここに来られるとは有り難いことです」

洞穴の入り口の方からヨマワルが顔を出し、声を掛けてきた

先程引き離したと思ったのは早計で、気配を消してつけていたのかもしれない

カゲボウズ「こんなとこまで追ってくるの!? お兄ちゃん、急いで!!」

    「おっとと、“黒い眼差し”を使わせてもらいます 何故逃げるのですかな?」

ヨマワルとは反対方向へ慌てて逃げようとするが、相手の“技”の効果で動けなくなる

せめてと、怯えるカゲボウズを背後に庇い相手と向き合う

     「ひょひょ さっきは気付きませんでしたが、貴方はいつぞやのキノココ
      ちゃんとカゲボウズを見つけて、ここまで連れてきて下さったのですね
      本当に感謝してもしきれませんが、生憎と貴方はここには相応しくない
      お帰りになられた方がよいと進言させていただきますよ?」

彼はそう言うと、キノココだけ“黒い眼差し”を解いて、道を開けるように端へ寄った


    「お礼は後日ちゃんとさせて頂きますよ 今は手持ちが少ないのでね
     カゲボウズのことは私に任せて どうぞお帰りなさい」

……このまま帰ってしまえば面倒ごとには巻き込まれずに済む?

そうすると、カゲボウズはどうなるのだろうか 彼は何故カゲボウズを追っていたのか

キノココには判断つかない されど選択は迫られているわけで

迷子を見捨てるという選択は既に捨てた なら――

    「ひょ!? 何故臨戦態勢を取るのです!? な、何か勘違いしていますか!?
     ええと、ええと、 義姉さん、ちょっと来てください!!」

相手の ヨマワル は 仲間を 呼んだ !
 ▼ 233 ーシャドー@イアのみ 18/04/01 17:59:09 ID:tChjw0Dg [2/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
新手が洞穴の奥から近づいてくる気配に、背中を嫌な汗が流れる

カゲボウズを背後に庇いながら戦うなんてキノココには難しい 敵が強かったら猶更だ
さて、オニゴーリが出るかハブネークが出るか……

「ヨーマーワールー!! やっと帰って来た!! それで!? 見つかったかい!!?」

奥から出てきたのは、縫いぐるみのような姿をしたポケモンだった

心配の色を多分に含んだ大声を出して慌ただしい

    「ひょひょ ええ ええ 一週間も経ってしまいましたが、無事なようです
     こちらのキノココが見つけて下さったのですよ」

ヨマワルはキノココとその背後にいるカゲボウズを彼女に示す

彼女はこちらを見ると涙ぐみ、キノココの横を素通り カゲボウズに抱き着いた

縫いぐるみ「――――心配したよ…… 姿が見えなくなってからずっと……
      此岸にいたんだねえ 念のためヨマワルに探させて良かった
      怪我はないかい? 身体は大丈夫? 何か怖い目には遭わなかったかい?」

語りかける言葉は温かく、柔らかい

カゲボウズ「………… マ、マ……? ……ママ! ママぁ!!」

抱き着かれた当初驚きに固まったカゲボウズは、温もりに触れ次第に表情を崩してく

不意に訪れた感動的なシーンに、少々呆気に取られてしまう

拍子抜けしてしまった 変に構えてしまったのが恥ずかしい

    「義姉さんに言われて探しに出たのは良いものの、逃げられてしまって
     本当に困ってしまいましたよ 私のこと、まさか覚えてなかったのです?」

カゲボウズ「思い、出した ついさっきまで何もわかんなかったけど……
      えっと…… 叔父ちゃん、だよね パパの弟の……」

    「ほ、本当に忘れていたとは…… ショックですよ!?」

どうやら本当の所は血縁で、ただ心配から迷子を捜していた、というのが落ちらしい

始めからそれが解っていれば逃げずに済んだのかもしれない

しかし責めるわけにもいかないのだろう さっきの反応や言葉の端々を鑑みるに
どうやらこの子、軽い健忘状態に陥っていたようだ

縫いぐるみ「およよ!? それで帰ってくるのに時間かかってたのかい? 苦労掛けたね……
      君がここまで連れてきてくれたんだってね! 本当に、本当にありがとう!!」

迷子の母親は、キノココに向かって頭を下げる
 ▼ 234 リープ@おいしいみず 18/04/01 22:29:44 ID:tChjw0Dg [3/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
迷子を無事送り届けることが出来て、問題解決だ

そう思ったらどっと疲れてきて、瞼が落ちそうになってくる

今日は本当に色々あってもう限界だった 睡魔に導かれるまま、倒れ――


チリーン「ここで寝ないでください!! “騒ぐ”!!」


キノココ「――うあ! な、何!? 何!?」

奥から現れた彼女が出した騒音で、強制的に覚醒させられる

チリーン「『引っ張られないように』気を強く持って下さい!」

引っ張られる? どういうことなのやら……

チリーン「眠ってはいけませんよ 帰りましょう さあ」

何をそんなに慌てているのかは判らない でも、彼女の言葉に抗う気は起きなかった

説明して欲しいところではあるが、“技”を使ってまで眠らないようにしてきたのだ

意味は何かあるのだろう キノココはカゲボウズ達に振り返る

キノココ「うん 帰らなくちゃいけないみたいだ バイバイ カゲボウズ 二匹も」

カゲボウズ「お兄ちゃん、今日はありがとうね いっぱい助けてくれて、
      いっぱい付き合わせちゃって 嬉しかったよ 本当に」

別れを惜しみながらも笑顔でサヨナラできる彼女はいい子だなと思った

キノココも明るく返しながら、先を行くチリーンを追った



“ひみつきち”まで辿り着き、息を吐く

出てみて改めて、洞穴の中を流れる異質な空気に震える

チリーン「いえ、まだ落ち着かないでください 一旦“ひみつきち”も出ましょう」

不思議な指示をされた が、言われた通り外に出る

空は白み始めていた 涼しい風が心地いい

もうじき日が昇りそうだ この場所からならばさぞかし景色がいいのだろうな

そんな期待と共に大きく息をして眠気を追いやった
 ▼ 235 ウワウ@ギネマのみ 18/04/02 13:14:45 ID:7ajGv6b6 NGネーム登録 NGID登録 報告
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 ▼ 236 モリ@ボロのつりざお 18/04/03 00:05:31 ID:398Yafps [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
そして 二匹並んで遠くに見える地平線を眺めて日の出を待つ

丘の上にあるここから一望する森は、闇夜の漆黒から暁の赤に染まっていき

まるで秋真っ盛りであるかのような絶景が広がった

紅葉したような森と朝焼けに染まる空とのグラデーションが綺麗で、言葉を奪われる

時間と共に空は青く、森は蒼くなっていく様子も引き込まれそうな美しさがあって


チリーン「……そろそろ“ひみつきち”に戻りましょうか もう大丈夫なはずです」

どれくらい見惚れていただろうか 日も十分昇った頃、隣から声を掛けられて我に返る

そうだ、聞きたいことは沢山ある 彼女に次いで“ひみつきち”へ戻った


キノココ「本当に、どうなってるの? ここ……」

先程のような霧は既になく、“ひみつきち”はいつも通りの
温かくふわふわした雰囲気を取り戻していた 心胆から冷えるような空気もない

そして最も驚くべきなのはあんなに存在感のあった床の洞穴が跡形もなく消えていたこと

まるで初めからそこには何もなかったように まるで悪い夢を見ていたように

チリーン「……『送りの泉』という場所はご存知でしょうか?」

キノココ「……聞いたことないや」

チリーン「彼岸と此岸の境目、とでも言いましょうか 特殊な場所なのです」

キノココ「あの世に近い場所、ってこと?」

チリーン「はい そう捉えて貰って構いません
     そこは、いつも霧が煙っていて、空気もひんやりとした静かな場所なのです」

……霧 ……ひんやりした空気 ……そしてこの話しようからして

キノココ「さっきまでいた、あの場所、みたいな……?」

チリーン「そうです あそこは『黄泉の道』 本来生者が居てはいけない場所です
     ……本当に危ないところだったのですよ? あそこで意識を手放せば
     『引っ張られ』て此岸に戻って来られなくなるところですよ」

眠ってはいけないとは、そういうことだったらしい

知らぬ間に忍び寄っていた危機を知らされて、今更ぞっとしてしまう
 ▼ 237 ミッキュ@いいキズぐすり 18/04/03 23:58:15 ID:398Yafps [2/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
キノココ「……何でここに『黄泉の道』なんてものが? 何で消えてるの?
     彼岸と此岸の境目で、生者は『引っ張られる』? そうだけど、じゃあ君は?
     何で大丈夫なの? カゲボウズはちゃんと帰れたってことでいいんだよね?」

あの穴の正体は解った でも、まだまだ判らないことはある

最後の質問には笑んで頷くことで肯定を返してくれた ほっと息を吐く

チリーン「何から説明しましょうか…… そうですね、私たちチリーン族のことから
     本来私たちは、ある役目を持って『送り火山』か『送りの泉』に棲んでいます」

キノココ「さっき言ってたところだね? ……役目って?」

チリーン「『タワーオブヘブン』という場所はご存知でしょうか?」

キノココ「……いいや」

また、新しい場所の名前が出てきた 今度はどんな場所なのか

チリーン「その場所もまた彼岸と此岸の境目なのです 頂上に、彼岸に辿り着けぬ魂を
     導くための鎮魂の鐘が据えられているのです」

キノココ「鎮魂の鐘、か…… あれ? 他の二ヶ所には無いの?」

『タワーオブヘブン』だけ特筆するということはそういうことじゃないだろうか

キノココ「そうなると、迷っちゃわない? その、死者の魂って奴が……」

チリーン「その通りです それがチリーン族が棲むことや役目に繋がってくるのです
     チリーン族は鐘と同じく鎮魂の音を持っています
     魂の水先案内人といったところでしょうか」

キノココ「『黄泉の道』でも平気なのは、そういう関係だったのか」


チリーン「あの穴があったから私が引き寄せられたのか、私が来たから開いたのか
     それは実ははっきりとは判っていないのですが……
     あの場所がここに繋がるのは、日の入りから日の出までの時間だけ
     その影響からか、日中には傷付いた生者がここに辿り着くようになりました」

キノココ「『行き場を亡くした傷付いた魂が辿り着く場所』…… 
     やっぱりここは、『願いの叶う“ひみつきち”』なの?」

チリーン「『願いの叶う』? 何ですかそれ?」

彼女の言葉からヨマワルの言葉を思い出して、そう聞いてみるが彼女の方は怪訝そうだ

チリーン「確かにここは普通とは違いますが、『願いの叶う』なんてことはありません
     ここで治療したポケモンの誰かが流した噂に尾鰭がついたのでしょう」

噂は噂でしかなかったということか ちょっと残念な気もする
 ▼ 238 マシュン@きちょうなホネ 18/04/04 01:04:29 ID:xlOlkRZ6 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 239 ンメン@タブンネナイト 18/04/04 06:09:06 ID:br2nAjBk NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
チリーン「それにしても、貴方は本当に不思議なポケモンですね
     “ひみつきち”に辿り着いてしまうくらいに傷付いていたのに
     ここに夜中に来ても、あそこまで『黄泉の道』に入り込んでも
     『引っ張られず』に居られたのですから
     流石に眠ってしまってはどうなるかは判りませんでしたけれど」

褒められている、のだろうか それとも責められているのだろうか

キノココ「引っ張られたら、戻ってこれない…… 死んじゃうってこと?」

チリーン「端的に言えば、そうなります あなたのような傷付いて弱った者は、
     引っ張られ易いようです 現に、“ひみつきち”には引き寄せられてますしね」

ここに来たのも、傷ついていたから?

キノココ「あの、『早く強くなって、もうここに来ないことを』って言ってたのは
     そういうことだったの? 強くなれば引っ張られることも無くなるから?」

チリーン「はい」

やはり、嫌っているからではなく、善意から出た言葉だったらしい 良かった 本当に

チリーン「強くなっていたんですね ちゃんと」

キノココ「そうなのかな 自分ではよく判らないや 弱いままな気もする」

チリーン「だったら、心的外傷を乗り越えられたのではありません? 心当たりは?」

心的外傷……? そういわれて思い浮かぶのはずっと虐めてきた彼奴のことだ

昨夜、自分たちの身を守るため必死だったとはいえ、斃すことが出来たのだった

それが、心的外傷を乗り越える切っ掛けとなっていた、ということか

チリーン「ふふ 心当たりがあるみたいですね」

キノココ「実感はそんなにないけどね 確かになんというか うん 平気って感じがする」

チリーン「そうですか なら きっと大丈夫なのだと思います」

彼女に太鼓判を押されて、不思議と自信と安心感が湧いてくる

キノココ「――く ふあぁ…… 流石に、もうフラフラだ……」

チリーン「徹夜明け、ですもんね 棲家に戻って眠ることを勧めますよ?」

キノココ「え…… ここで寝かしてはくれないの?」

チリーン「“ひみつきち”で寝るのは危ないって言ったばかりじゃないですか」

キノココ「えぇ? それは夜中の話じゃ? 今日中……」

チリーン「駄目です さあ、お帰りなさい?」

彼女の悪戯っこい笑みに押されてキノココは棲み処へ戻る

そして、疲れと睡魔に身を任せ、惰眠を貪ることになったのであった
 ▼ 240 ンガー@まるいおまもり 18/04/04 14:28:04 ID:B0KXwAoY NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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 ▼ 241 編いっくよー 18/04/05 21:22:50 ID:dygckmZk [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「――――ノコ! …………て! ……、起きて! キノココ!!」

キノココ「――へ? な、何? あ、おはようございます?」

身体を揺すられながら大声で名前を呼ばれて眠りの淵から一気に浮上した

エネコ「おはようじゃないわよ 今お八つ時よ? 呼びに来てみれば死んだように眠ってて
    心配したわよ もう」

キノココ「え? もうそんな時間なの? ……って、いやいや、何でエネコがここに?」

寝起きで状況がつかめない エネコってここの場所知ってたっけ?

ゴクリン「ぼくもいるよ ついでに言うと、プラマイ兄妹とルリリも
     そしてなぜか警察の方も なんか、キノココ達に渡すものがあるんだって」

刑事「勝手にお邪魔して申し訳ない 感謝状が出来たので持ってきたのだよ」

キノココ「お久しぶりです…… 態々どうも……」

成程、ゴクリンに訊いて来たらしい 態々呼びに来てくれた理由は、刑事さんの関係か

ルリリ「なんでまたこんな時間まで寝てたの?」

プラスル「なにかご体調が優れないとかですか?」

キノココ「いや、ただ昨夜寝れなかったってだけだよ」

マイナン「へえ、何か悪い夢を見たとか?」

キノココ「いや、そういうんじゃなくて――」

刑事「……そろそろよろしいですかな? いや、急かして申し訳ないのだが」

キノココ「あ、ごめんなさい」

刑事「うむ、では改めて キノココ殿 貴殿のこの度の功績に対して我々警察団体から
   感謝状を進呈する どうか受け取ってくれたまえ」

キノココ「ありがとうございます あれ? エネコ達には?」

マイナン「ボクたちはもう貰ったよ キノココが最後」

刑事「無事全員に渡し終えたことだし、本館はこれにて失礼させてもらう」

エネコ「せっかちなのね」

刑事「まあ、非合法なならず者や組織というのはまだまだいるからな 忙しいのだよ
   あのシンジケートを捕まえられたのは大きかった 本当に感謝している では」

そう言って彼は去っていく 本当に忙しそうだ 頑張って欲しい
 ▼ 242 ルキモノ@いかずちプレート 18/04/05 23:13:55 ID:dygckmZk [2/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
キノココ「……それで、皆はどうしたの? 八つ時ってことはまだ日中だよね
     態々全員で来る必要とかないと思うけど…… “ひみつきち”には行かないの?」

エネコ「……あんたも知らないの? そうなると、お手上げね」

ゴクリン「キノココなら何か知ってるかと思ったけど、見当違いだったか」

キノココ「……知らないって、何が?」

話しについていけない 何だというのだろうか

マイナン「“ひみつきち”に入れなくなってるんだよ」

キノココ「――へ?」

ルリリ「いつもの茂みの所に行っても、穴もないし“ひみつきち”の空間もなかったの」

エネコ「なんでいきなりそうなっているのか訊こうにもチリーンもいなくなってるのよ」

ゴクリン「それで、何か知ってるかと思ってキノココのとこに来た訳」

キノココ「“ひみつきち”が、ない……? 朝まではあったのに?」

エネコ「朝まで……? 日中がどうとか言ってたし、やっぱり何か知ってるの?」

キノココ「いや、僕も“ひみつきち”がなくなっている理由までは知らないけども――」

――それから キノココは周りの面々に昨夜の騒動とあの“ひみつきち”の秘密を話した


ルリリ「彼岸と此岸の境目…… なんというか、突拍子もない話だね」

そう思うのは無理もない あの空気を実際に体感しないと信じ難い話だと思う

エネコ「でも、筋は通ってるわね チリーンの発言とか雰囲気とかとも矛盾してない」

プラスル「キノココさんが嘘を言っているようには見えません 私は信じます」

ゴクリン「それに、ここで嘘を言う理由もない訳だしね」

ルリリ「あ! わたしも信じてるよ!! ただ不思議な話だなって思っただけで!!」

だというのに、その話を信じてくれるという 有難いことだ

マイナン「キノココの話から考えると…… うん? どういうことだろう?」

エネコ「そうね みんな心的外傷を乗り越えたから辿り着けなくなった可能性が一つ
    でも全員同時に、なんておかしな話だわ だからこれは無しね」

そしてキノココの話を基にして推理が始まるのだ 信頼されてるようで嬉しくなる

 ▼ 243 イタラン@エレベータのカギ 18/04/06 22:48:41 ID:TbL4CBLM NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
推論を重ねると、彼女が居なくなった意図の可能性が見えてくる

魂を呼び込む『黄泉の道』はやはり危ない だからそこに通じる“ひみつきち”も
閉ざしてしまったのではないか

なぜ今になって、というのは、キノココがそこのことを知ってしまったからか
此岸に迷い込んだカゲボウズが彼岸に帰ったからか 後者の方がそれっぽいかな

キノココ「――と色々考えてはみるけれど、結局答えはチリーンにしか判らないんだよね」

エネコ「そうね それに、“ひみつきち”に行けなくなったことには変わりないわ」

ルリリ「納得するためにはこうやって考えたのもよかったんじゃないかな?」

エネコ「納得いくわけないでしょ せっかく仲良くなったのに、別れの挨拶も無しなんて」

マイナン「かといって文句を言う相手もここには無し、か」

皆複雑な表情をして黙り込んでしまう 各々思うところがあるようだ


ゴクリン「チリーンがいなくなったのもそうだけど、“ひみつきち”がないのも残念だね」

プラスル「……と、言いますと?」

ゴクリン「ほら、あそこって丁度各々が棲んでいる場所の真ん中あたりにあったじゃん?
     溜まり場としては大分ありがたい地理だったなあって」

確かに、毎回お邪魔して申し訳なくはあるが、立地的に丁度いい場所だった

ルリリ「あそこがなくなったとなると、集まれる場所って誰かに負担になりそうかも」

マイナン「次からはどこに集まろうか……?」

皆で地図を書いて、それを囲み頭を捻る

考えに詰まっていると、エネコが思いついた、というように口を開いた

エネコ「ないなら作ればいいんじゃない? 誰かマスターしてないの? “秘密の力”」

プラスル「それが使えれば誰でも“ひみつきち”が作れるんでしたね……
     生憎と、私はまだ覚えきれてません お兄ちゃんも……」

マイナン「うん…… 珍紛漢紛だよ……」

しかし全員顔を曇らせる どうやら全滅らしい

キノココ「先生はいないけど、基礎は学んだ訳だし、頑張ってみようか
     自主練するしかないけど、きっとマスターしてみせよう!」

ゴクリン「なるはやでお願い ぼくは身体構造的に移動が得意ではないから」

キノココ「いや、君も頑張ろうよ 何で諦めてるのさ」

寧ろそういう理由ならあの場所の一番近くに棲むゴクリンこそ頑張るべきでは……

ゴクリン「だってさ…… わかんないもんさ……」

エネコ「そんな奴放っといてやる気ある者だけで練習しましょうよ
    どうせ、誰かが覚えればいいって話でしょ? 勿論覚えられるなら覚えたいけど」
 ▼ 244 イリキー@ポケトレ 18/04/06 23:08:13 ID:qWZqaIk2 NGネーム登録 NGID登録 報告
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 ▼ 245 援本当にありがと 18/04/07 22:40:58 ID:KQIDIDzI NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
キノココ「それもそうかもね 覚えとくに越したことはないけど、難しい訳だし」

独学に近い形で今まで知らなかった感覚を掴むのは、それをものにするのは難しい

それに皆で覚える必要もないというのも彼女の言う通り

“ひみつきち”を誰かが一つ作って、そこに集まればいい

折角なら皆で一緒に頑張りたいところだったのだが…… まあ、いいか

プラスル「わ、私も一緒に練習します 頑張って覚えましょう!」

ルリリ「負けないよ! 私も頑張る!! む、難しいけど……」

彼女たちはやる気満々な様子

マイナン「ボクは…… うん 向いてない気がするから任せた」

対して彼らは既に匙を投げている

エネコ「♂共は情けないわね あれ? っていうことは、キノココって実は♀?」

キノココ「何でそうなるの…… ♂だよ、ちゃんと」

まあ、キノココ以外は雌雄でやる気が大きく違うようだけど

エネコ「“秘密の力”を使えるようになるにはイメージが大事だって話だったわよね」

ルリリ「なんだっけ、自然自体が持っている“秘密の力”を借りる? うーん……」

キノココ「チリーンが何でかやってみせてくれたのをイメージすればいいのかな?」

プラスル「と、言われましても…… 中々……」

兎に角、身に着けるために見様見真似から始めないと、か

そうして暫く試行錯誤を繰り返していたら、横から呟きが聞こえてくる

ゴクリン「あ〜、キノココなんかハーレムみたい? 羨まし〜」

マイナン「何だと!! 妹は渡さん!!!」

プラスル「ちょっと!? お兄ちゃん!?」

キノココ「いや、そんなつもりはない――っていうかそう言うなら君等も練習しなよ」

エネコ「……いきなりなによ そのシスコンキャラ ……元々か」

マイナン「おいなんだその認識!? くそ、ボクが真っ先に覚えてぎゃふんと言わしてやる!!」

エネコ「ぎゃふん」

ルリリ「あはは 誰が一番早く覚えられるか競争だね」

ゴクリン「マイナンもやるならぼくもやろうかな ……難しそうだなあ」

こうして全員で“秘密の力”習得の特訓をすることになり、数日

結局最初に習得したのはエネコで、得意げな彼女と悔しそうなマイナンが対照的だった
 ▼ 246 ママ@デルダマ 18/04/11 16:16:20 ID:MpGIY5kA NGネーム登録 NGID登録 報告
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 ▼ 247 IpYfymK.Tw 18/04/12 00:23:12 ID:OWvZpYl. NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ごめんなさい 詰まってるのです(そこそこ煮詰まってはいるのです)


自分で読み返してて今更修正 その1 >>125台詞抜け

ゴクリン「……ぼくのために怒ってくれるなんて、君は良いポケモンだね」
キノココ「ええ!? 良いポケモンだなんてそんな!」
ゴクリン「ううん 本当にそう思うんだよ ねえ、ぼくと友達になってくれないかな?」 ←
褒められて悪い気はしない その提案も嬉しい でも
キノココ「え、えーと…… 実は僕も外れ者、なんだけど……」

その2 >>206
一行目余計な一文アリ 無視してください

稚拙さが目立つけど赦して欲しいのです


そして>>211で言った暗号について

>>204の会話より 頭と尻の縦読みでした
バ   バトルは――――だけだよ   ヨ
コ   このとき――――としよう   ウ
ウ   うん、後――――つに固定   イ


ホ   本当なら――――ですしね…… ネ
ウ   嘘偽りな――――ですから…… ラ
シ   しかし、――――知れない…… イ


マ   まあ、そ――――る必要は…… ハ
ジ   実際、俺――――項となる   ル
コ   この際、――――要素だね   ネ

思い付きでこの三文のみです
それ以上書く気は起きませんでした


とりあえず投げるつもりはないという宣誓としてトリップを
 ▼ 248 IpYfymK.Tw 18/04/13 22:28:06 ID:6h605/.6 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
先に覚えたエネコの指導もあって、キノココも“秘密の力”の習得が出来た

マイナン「凄いなあ…… 全然解らない…… 覚えられる気がしない」

しかしながら、容量を掴むのが難しい技であるため、他の皆は覚えきれていないらしい

ルリリ「難しいよねぇ ま、最初に言ってたように貴方たちが覚えられたならそれでもね」

ゴクリン「そうだね 一匹が“ひみつきち”を作れるのならいいんだもんね」

エネコ「じゃあ、早速作りましょうか “ひみつきち”」

キノココ「……どこに作るのがいいのかな?」

エネコ「へ? あの茂みの所じゃないの? そのつもりだったけど」

エネコの言葉に皆も頷く

彼女らからしてみればキノココが違う意見だったほうが想定外だったらしく怪訝そうだ

キノココ「チリーンがいなくなった理由が僕等の思ったとおりだったとしたら、
     あそこを再び開くのはどうなのかな……って」

プラスル「『黄泉の道』、でしたっけ…… 魂を引っ張る危険性のあるという……」

キノココ「そうそれ」

エネコ「……私達はあんたから聞いただけだからよく想像できてないのかもしれないけど
    そんな危険なものなの? 少なくとも、昼中は大丈夫なんじゃないの?」

キノココ「判らない 怖気の走る空気だったけど、実際僕は危険な目には遭ってないしね
     でも判らないからこそ誰も近寄れない現状を保っておくべきなんじゃないかな」

ルリリ「『障らぬアルセウスに裁き無し』っていうもんね」

ゴクリン「でも、皆が集まるのに最適だっていう高台付近にはあの茂みくらいしか
     “ひみつきち”に繋がりそうな場所はないよ?」

キノココ「ないこともなさそうだけど…… 高台の下とか……」

ゴクリン「それにさ、“秘密の力”って割と誰でも覚えられるっていうじゃん?
     あそこの危険性を知らないで開けてしまう奴が現れるかもしれないじゃん
     それだったら先に“ひみつきち”作って領有していた方が良いと思う」

キノココ「ん…… そういう考えもあるか すでに他者が作ってるとこに
     上書きはできないって話だったもんね」

ゴクリン「でしょ? 昼中は安全だと知っているわけだし、仮に夜中でも
     キノココは大丈夫みたいじゃないか 何とかなるって」

エネコ「あんた、思ってたより考えてるのね…… なんか意外」

ゴクリン「それに、あそこの茂みが一番近いし 移動したくないでござる」

エネコ「それが一番の理由じゃない 感心して損したわ」

キノココ「ゴクリンらしいと言えるけどね うん じゃあ、茂みに作ろうか
     本当に安全かどうかもちゃんと調べないとだけどね」
 ▼ 249 IpYfymK.Tw 18/04/14 00:52:03 ID:8jHD/1UY [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
そんな話の後、茂みの元へ行き実際に“ひみつきち”を開いてみることに

キノココ「さて、と じゃあ行くよ “秘密の力”!!」

自然に宿る力を使うことをイメージしてやると茂みの一部が動き出し、

ポケモンが通るための穴が開いてくれた 成功、みたいだ

キノココ「……………………」

ルリリ「? 入らないの?」

あの時の底冷えのするような空気を思い出して足を竦ませていると、後ろから声がかかる

……今は日中だ 大丈夫 そう自分に言い聞かせてやっと“ひみつきち”へ足を踏み出す

中に入り、軽く見まわし、深呼吸 空気に不穏なものは混ざっていない

杞憂であったことを確認して皆を招く

エネコ「もう入っていいの? ……やっぱりここが危険な場所だとは思えないけれど」

ルリリ「そうだよね 暖かい雰囲気で いいとこだよね」

ゴクリン「“ひみつきち”は閉ざされてたのに、綺麗な机と棚は残ってるんだね」

マイナン「空っぽになってる訳じゃないんだな 元の持ち主はいないのに」

キノココ「“秘密の力”で作成するのは入口だけらしいからね
     チリーンが片付けなかったら残ったままだよ 使っていいってことなのかな」

エネコ「ベッドがなくなっているのは使われたくなかったからだろうし
    逆説的に言えば 他は使っていいと解釈してもいいんじゃないかしら」

ゴクリン「あれ? 棚の上に何かあるよ ……ほら」

“ひみつきち”の奥に置いてある棚の上には紙のようなものがあった

プラスル「便箋…… 置手紙ですね チリーンさんからでしょうか」

ルリリ「裏には……【キノココ達へ】って書いてあるね」

エネコ「読んでみれば判るわよ 貸して」

エネコ は ドリームメール を 受け取った !
 ▼ 250 IpYfymK.Tw 18/04/14 23:00:04 ID:8jHD/1UY [2/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

拝啓、皆様如何お過ごしでしょうか

この度は碌に挨拶もせず慌ただしくいなくなってしまい申し訳ございません

魂を引き込み命を奪うあの場所はやはり危険であると判断しました故

此岸に迷い出たカゲボウズが無事彼岸へ辿り着いたのを機に、

『黄泉の道』を内側から封じさせて頂きました

この“ひみつきち”に『黄泉の道』が繋がることはもうない筈です

彼岸の方から道を閉ざすので戻ることは難しいですので私は暫し離れます

茂みの“ひみつきち”と残してある家具類はご自由にお使い下さって構いません


私がここ、茂みの“ひみつきち”を離れる決心が出来たのは、

あんなにも傷付いて弱っていたあなた方がちゃんと強くなっていたことを確認できたから

ということもあります

皆で支え合うことによって得られる強さというのもきっとあるのだと思います

その繋がりをどうか大事にしてくださいね そして無理はなさいませんよう


彼岸に行くと書きましたが、今生の別れを示したわけではありません

魂の水先案内人たるチリーン族は『黄泉の道』でも平気なのです

『送りの泉』等からいずれ此岸に戻ることもきっとあるでしょう

その時にまたお会いできることを楽しみにしております


決して会いにこようなどとは思わないでくださいね では

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

エネコ「……だってさ」

ゴクリン「最後の一行、何? どういう意味?」

キノココ「『早死にしないでくださいね』ってことじゃない? ほら、向こうは彼岸だし」

ゴクリン「解りづらいし、ジョークにしちゃ黒くない?」

エネコ「でもチリーンらしいわね お茶らけるのに慣れてない感じっていうか」

ルリリ「えっと つまりここの“ひみつきち”はこの後も安全に使えるし
    チリーンにもいつかまた会えるってことだよね? 良かった!」

ここ を キノココたち の ひみつきち に しますか ?

→ はい
  いいえ
 ▼ 251 ングドラ@インドメタシン 18/04/16 22:38:23 ID:iqfxgAl2 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 252 IpYfymK.Tw 18/04/17 17:04:56 ID:r.yWmzvg [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
茂みの“ひみつきち”を譲り受けて数日経ち、皆好きな時に集まるようになった

キノココ「やあやあ、お邪魔するよ」

エネコ「今日も来たのね ていうかその挨拶する必要があるの?」

マイナン「いらっしゃいキノココ ……ってボクらが返すのも変だよね?」

キノココ「『お邪魔する』っていう挨拶は変か ……でもなんか習慣着いちゃったんだよね
     この場所に来るときはいつもそう言ってたから」

エネコ「……まあいいわ 気にするほどでもないものね」

プラスル「挨拶はあった方がいいですしね いっそそれに統一しますか?」

キノココ「『お邪魔する』 『いらっしゃい』って? それもいいね」

プラスル「いらっしゃい、キノココさん えへへ」

エネコ「こうして何気なく過ごしていると、ここが危険な場所だったって言われても
    どうも実感湧かないわよね や、信じてないわけじゃないんだけど……」

キノココ「まあ、ちょっと突拍子のない話ではあるよね 傷付いた魂を引き込むなんてさ
     でも、僕は素敵な場所だと思うよ ここのお陰で僕等はここに集まったわけで
     皆と知り合えたから色んな経験を得られた 少しは強くなった実感もある
     チリーンは否定したけど、『願いの叶う“ひみつきち”』っていうのも
     僕にとっては強ち間違ってもなかったんじゃないかなって思うよ」

エネコ「へえ 言うじゃない ……私もあんたに会えたのは幸運だったわ」

キノココ「……『傷ついていたから集まった』 なら、皆心的外傷があったんだよね
     チリーンが言うに、僕はもう乗り越えられてるらしいけど、皆は大丈夫?」

マイナン「んー、ボクはここに来た原因が『妹を助けられない無力感』だったから
     ここに来たお蔭でそれも解決してるし大丈夫じゃない?
     そういえば僕にとっても『願いの叶う』って言うのは当てはまるのか」

エネコ「それなら私もね ここに来て、キノココにあったお蔭で『平気』になったもの」

キノココ「あれから貴族様とも折り合いついた? っていうか会った?」

エネコ「まあね 一応挨拶はしたわよ 迷惑かけたのは事実だしね
    といっても『正式に仕事を辞めてきた』っていうのが正しいところなんだけど」

キノココ「あー、やっぱり戻る気とかはないんだ?」

エネコ「まあね」

プラスル「私は兄に連れられてきただけで傷がどうこうではなかったので
     こう言っては何ですが、皆さんが少し羨ましいです」

キノココ「羨ましい?」

プラスル「はい その、傷つくというのは良いことではないのでしょうけど
     それを乗り越えられたなら大きく成長すことと同義だと思うので
     私は…… 皆さんのように強くなれないのかなって……」

エネコ「……ああ そういう見方もあるのね 大丈夫よ 早いか遅いかの違いだけだもの
    それに、傷付かないと強くなれない訳で無し 経験値はどこでだって得られるわ」
 ▼ 253 IpYfymK.Tw 18/04/17 23:46:44 ID:r.yWmzvg [2/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
プラスル「そう、ですね そうなんでしょうけど…… 難しいです」

キノココ「……僕も前はバトルに勝つことだけが経験値を得る手段だと勘違いしてた
     それで、それが達成できなくて、諦めて、腐っていたんだよ」

エネコ「そういえばゴクリンに聞いたけど、あんた虐められてたんだっけ」

マイナン「え? キノココが? ……想像つかない だって凄いでしょ? キノココって」

キノココ「その凄いって言うのが何を指しているのかは判らないけど、そうだったんだよ
     ほら、僕、対面でのバトルとか全然だから いつも痛めつけられてさ」

プラスル「そうだったんですか…… その…… 今は大丈夫何ですか……?」

キノココ「どうなんだろね? 絡まれることはなくなったかな 会わないし」

エネコ「……その割には口調が軽いわよね 平気ってことでしょ」

キノココ「僕もちゃんと成長してるってこと 彼らに対する恐れは乗り越えてる気がする
     これはさっき言ったように皆のお蔭 僕は僕のやり方でいいんだって判った」

マイナン「…………その心は」

キノココ「『強くなる方法は、なにもバトルに勝つだけではない』ってことかな」

マイナン「うん? 実際バトルで得られる経験値って目に視えて顕著じゃない?」

キノココ「それもそうだけど 勝つことだけじゃなくて、観ることも経験になるんだ
     また、戦い方を考えることも、長所を生かす手段を講じるのも大事でさ
     寧ろ強くなるためには、よく考えることの方が重要らしいね」

プラスル「なるほど…… 考えること、ですか」

キノココ「まあ、受け売りなんだけどね」

エネコ「何よそれ」


ゴクリン「やっ、と お邪魔するよー キノココ居る?」

キノココ「いらっしゃい どうしたの?」

キノココを名指ししながらゴクリンが“ひみつきち”に入って来る 何の用だろう?

ゴクリン「うん なんかキノココにお客さんだよ」

「し、失礼します キノココという方にお頼み申したく存じる次第で、あの……」

ゴクリンの後ろから現れたのは何やら慌てた様子の♀ポケモンの方だった

キノココに頼み事? どういうことなのだろう……
 ▼ 254 ロンダ@れいかいのぬの 18/04/18 02:47:23 ID:fBNzc2aU NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 255 IpYfymK.Tw 18/04/19 00:11:05 ID:nfrMVyl6 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
エネコ「いらっしゃい 一先ず落ち着いてもらいましょうか 話はそれからね
    エネココアとロゼリティーどっちがいいかしら?」

お客さんに椅子代わりのクッションを差し出し、飲み物を用意しながら彼女は言う

このクッションはエネコ達が用意した女子陣の私物である ……余談だが

「あ、いえ お構いなく …………」

客として訪れた彼女は、そわそわと落ち着かない様子でいる

綺麗な方なのだがポケモンに慣れていないのか ……頼み事というのが性急なものなのか

キノココ「いらっしゃい どういうご用件なのかな? あ、キノココは僕だよ 貴女は?」

グラエナ「こ、これは失礼した 名乗ってなかったな あたしはグラエナ じ、実は……」

そこで彼女は一旦言い淀んだ 何か苦悩しているようにも見えるが……

グラエナ「…………実は、弟があるポケモンに誘拐されてしまったのだ」

マイナン「ゆ、誘拐だって!?」

プラスル「た、大変じゃないですか!! ええと ええと……」

打ち明けられた内容は想定以上に深刻なもので、少したじろいでしまう

エネコ「……警察には言ったかしら? そういうのって彼らの仕事だと思うけど」

グラエナ「――それが、警察に言ったら弟の命はないと脅されていてな……」

エネコ「ふうん ありがちね…… それで、犯人側の要求は?」

グラエナ「金だ あたしなどにはとても用意できないような額のな……」

キノココ「人質を取られていて警察にも相談できず、要求された物の用意もできない……」

ゴクリン「そのポケモンってお姉さんより強かったの? 戦った?」

マイナン「ちょ、ゴクリン、自分で何とかしなかったのかみたいな言い方……」

グラエナ「いや、あたしだって黙ってたわけじゃない 弟を取り返そうと必死に戦ったさ
     ……だが、彼奴は強かった 敵わなかったんだ 悔しいがな
     ここには警察も手を出せないシンジケートを壊滅に追い込んだ市民ポケモンが
     いると聞いた 更にはあの実力のある貴族も打ち破ったとも聞く
     それで、あたしはその力を是非とも借りたいと思い 馳せ参じたのだ」

……事実ではあるのだけど、過大評価されてるようで弱ってしまう

実際キノココはそこまで凄腕というような実力はない 運が良かっただけのところもある

キノココ「……それで、あるポケモンって? どういう相手だったの?」

でも、聞いてしまった以上は 頼られてしまった以上は
見捨てるという寝覚めの悪い選択肢を取るつもりなんて更々なくて

キノココ「……作戦会議と行こうじゃないか どうやらまた負けられなさそうだしね」
 ▼ 256 ルマユ@ウッディメール 18/04/20 23:32:52 ID:zTJ8XluE NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
グラエナ「それって…… ひ、引き受けてくれるってことか!? ありがとう!」

キノココ「できることなら助けたいね 無論僕等の手に負えないと判断したなら別だけど」

グラエナ「……え? ひ、引き受けてくれないのか?」

キノココ「いや、そうじゃなくて……」

エネコ「誰かの命も掛かってるっていうのに、手に負えないことまで引き受けるような
    無責任なことはしたくないっていう話でしょ
    私達はシンジケートの時だって最終的に警察に頼ったもの
    というかそれ前提で動いたわ それでもキノココは大分無茶してたけどね」

話に入り込んできたエネコはキノココの言いたいことを言ってくれる

が、呆れたような半眼でキノココを睨んでくるのは止めて欲しい……

グラエナ「む…… 済まない そうだな 考えが浅はかだった」

エネコ「はい どうぞ 分けるの面倒だったからみんなエネココアだけど」

グラエナ「ありがとう 頂くよ こうして弟を助ける方法を考えてくれるのは凄い助か
る」

ゴクリン「『サント・アンヌに乗ったつもりで』いい なんたってキノココだもん」

キノココ「……それは何の保証なのかな?」

そして何で君が偉そうなんだい? ゴクリン……

キノココ「まあ、それは置いておいて 君が戦ったという誘拐犯について教えて欲しい」

グラエナ「…………それが、あまり解らなかったんだ」

エネコ「え? 戦ったのよね?」

グラエナ「……ああ 弟の臭いを追って彼奴の元まで追跡したんだ
     だが、あたしが金を持ってきたわけじゃないことを見て取ると彼奴は
     不意打ち気味に“砂掛け”を繰り出しあたしの視界を奪った
     あたしは鼻が利くからまだ戦うことはできたが、目をやられたのはでかい
     ……完敗だったよ いきなり陰から襲われたから姿も拝めていないんだ
     倒れ伏したあたしを彼奴は嘲笑い 今度は金を持ってこいと言った」

エネコ「……情報が少ないわね 会話はそれだけ?」

グラエナ「そういえば、キノココ達のことを聞いたのは嘲笑われてる時だったんだ
     比較してあたしを揶揄するようにね ……だからここに来たんだけど」

キノココ「何の技を受けたの? 何でやられた?」

グラエナ「あ、ああ “ミサイル針”だったと思う 弱点を突かれたんだ」

キノココ「『虫タイプ』か…… いや…… ――ごめん、グラエナ」

……相手はキノココのことを知っている 多分、この問題はグラエナだけのものじゃない

キノココ「弟君のこと 僕が何とかしなくちゃみたいだ」

キノココにも責任の一端があるのかもしれない
 ▼ 257 IpYfymK.Tw 18/04/22 15:24:11 ID:YBFtkUDk NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
誘拐犯が身代金の受け渡し場所として指定した森の一角

グラエナから聞いた時間通り、キノココはそこへと足を延ばす 一匹で

不意打ちでやられてしまわないように回りの様子を確認しながらゆっくりと

誘拐犯「お、来たな あの雌が馬鹿正直に来るのかと思ってたが……
    どうやら招待状はちゃんと届いたらしい 待っていたぜ」

どうやら待ち合わせ相手は既に来ていたらしく声を掛けてくる

陰に隠れて相手の姿は確認できないが、親切にも不意打ちはしないでくれるらしい

キノココ「僕に用があるんだったら直接呼んでくれればいいじゃないか
     あの姉弟を巻き込む必要なんてなかっただろう?」

誘拐犯「馬鹿言うな 直接呼ぶ伝手もなきゃそれで来る保障も必然性もねえ
    一芝居打つ必要があったんじゃないか 現にそれで来たのだから成功だ」

キノココ「芝居する必要がなくなったなら彼女の弟を放してくれてもいいと思うけどね」

誘拐犯「馬鹿言うな お前を呼んだのはこれはこれで俺の趣味
    金をたんまり頂くのそれはそれで俺の仕事だ なんだかんだ仕事のが大事だろ
    もし伝わって無くて雌が来たら金だけもらってさよならするつもりだったよ
    ……そんな詰まらないことにはならなくてよかったぜ」

キノココ「何でこんな判り辛いことするのかと思ったらそういうことか
     僕が来なくても何ら問題はなかった 来ない可能性の方が高かっただろう?」

誘拐犯「実際来たからいいんだよ それにそこそこ確信してたぜ?
    『あの時』と似たような状況、絶対お前が来るってな」

弟君を攫ったのもそのため…… ますますグラエナに申し訳ない

キノココ「そこまでして僕を求めるなんて、厄介な奴に好かれたもんだ いい迷惑だよ」

誘拐犯「俺は負けっぱなしが気に食わねえだけだ 一回圧したらそれで済む
    大人しくしてボコられやがれ」

キノココ「それが嫌だからここに来たんだよ 返り討ちにしてやる お金を払う気もない
     弟君も返してもらう ……そして今度こそお縄に付け! ノクタス!!」

木の影から姿を現した誘拐犯はこちらの言葉にうすら笑いを浮かべてい返してくる

誘拐犯「ほざけ! てめえみたいな雑魚に負けたのは裏社会に生きる者としての俺の汚点だ!
    ここですっきり雪ぎ落させてもらう!!」


元牢屋番 の ノクタス が 勝負 を 仕掛けて きた !
 ▼ 258 r.TpafL6X6 18/04/26 23:07:14 ID:.Z/yW5aQ [1/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
誘拐犯「“ニードルアーム”! おらっ!!」

相手は鋭い棘を備えた腕を振りかぶり、キノココに向かって突き出してくる

キノココ「――“まもる” ……ぐぅ」

鋭い一撃 “技”の影響でダメージはないが、実際に受けてみて悟る

力量差の所為か、一発でも致命傷になりかねないな ……これは拙い

誘拐犯「まだまだ “ニードルアーム” “毒突き”」

キノココ「……うあっ! 危なっ!! ふう…… 何とか……」

相手の動きをよく見て、バックステップで避ける 躱す

“まもる”ばかりに頼っていては直ぐに精度が落ちる そうしたらやられるだけだ

キノココ「……そもそもお前、何で、捕まっていない? 
     シンジケートは、軒並み捕まった、って聞いたけど……?」

相手を戦闘ばかりに集中させまいとトラッシュトークめいたことも試す

実際疑問に思っていることでもある 彼らは壊滅したと思っていたが……?

誘拐犯「あん? バトル中に無粋な奴だな…… まあいい
    単純な話だ『シンジケートの構成員は軒並み捕まった』が
    俺は『構成員じゃなくフリーランスの何でも屋』だった それだけだ」

攻撃を緩めることはなかったが、律義に返答してくれる

誘拐犯「中々に金払いの良い客だったが、お前の所為で全部おじゃんだよ
    毒にやられて職務は失敗、毒を治すために持ち場を離れて捕まるのは免れたが
    損失は馬鹿にならん キノココ程度に嘗められちゃ腹の虫が治まらねえんだよ!」

聞いた話と辻褄が合わないと思ったらそういうことか 警察も見落としがあるらしい

キノココ「元々はお前らが悪いんじゃないか 僕等は友達を返してもらいに行っただけだ」

相手の攻撃を右に左にと避けながら、淡々と答える

勝手な理屈に呆れてしまう 逆恨みも甚だしいではないか

誘拐犯「知るか! てめえだけは生かしておかねえ!! 朽ち果てろ!!」

相手はキノココに対する怒りに任せるように大きく振りかぶって渾身の一撃を放ってきた

キノココはバックステップで避ける動きをしながら

キノココ「――“毒々”!!」

技を使い、毒液を相手に打ち込む

これで相手は猛毒状態になり、時間さえ稼げばキノココの勝ちとなる

更に言えば相手は毒の回りと共に動きが鈍くなる

動けば動くほど毒の回りも早くなるから、少しは牽制になる筈
 ▼ 259 r.TpafL6X6 18/04/26 23:08:54 ID:.Z/yW5aQ [2/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
誘拐犯「……馬鹿にしてんのか? 前回の焼き増しがそのまま効くとでも?」

……流石に、そうは問屋が卸してはくれないか

攻撃の間隙を見て“毒々”を当てたというのに相手は素知らぬ顔

猛毒状態になっていない いや、一瞬で治したというのが正しいか

誘拐犯「俺はお前が来るのを待っていたんだぜ? 一度負けた相手をだ
    その対策ぐらいしていて当然だろ? 同じ戦法じゃやられねえよ」

相手は先程何かを口に放り込んだ 恐らくモモンの実 解毒効果のある木の実だ

勿論、木の実は使い切りで一個につき一回しか使えない

しかしここは森の中だ モモンの木などいくらでも生えている

どれだけ毒を与えようと解毒薬の補充はいくらでもできてしまう

……受け渡し場所を森の中に指定したのはその為らしい 用意周到なことだ

しかしそうなってくると、キノココにできることは大分なくなってしまう

相手は『草タイプ』だ 粉も胞子も、種さえも効かない

キノココの得意とする“草技”も効きづらく、多少覚えている“格闘技”は抜群だが
“気合パンチ”は集中する時間が必須となる

そんな暇を与えてくれるような相手ではないため、自然、その選択肢は却下される

決定打に欠ける此方に対して彼方の攻撃は一発でも致命傷になりかねないと来た

……これは本当にどう動くべきか 分が悪いにも程がある

あの姉弟が狙われた理由がキノココに会ったのが判ってしまったからと
たった一匹で来たのは失敗だったのかもしれないが……

しかし今更悔やんだところで状況は好転したりしない

結局、キノココはできることをやるしかないのだ

キノココ「“毒の粉”! “痺れ粉”! “眠り粉”! “茸の胞子”!」

誘拐犯「今度は何のつもりだ 悪足掻きは止めろよ 効かねえっつってんだろ」

攻撃を右に左にと避け、逃げ回りながら粉系の攻撃を出しまくる

効かないことは重々承知 “技”の狙いは別に相手を状態異常にすることではない

誘拐犯「ぐ…… どこ行った!? 粉が多すぎて…… くそ!!」

相手の視界を遮り隠れるためだ どうやらうまくいったらしい

キノココ「……“身代わり”」ボソッ

そして身代わりだけ置き土産にして急いで森の中を駆ける

さて、どの程度時間稼ぎができるだろうね……
 ▼ 260 r.TpafL6X6 18/04/26 23:10:04 ID:.Z/yW5aQ [3/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
誘拐犯「てめえ!! 待ちやがれ!! あんま嘗めた真似してんじゃねえ!! “毒針”!!」

幸い、この森のことはキノココには馴染み深い 何せ元々棲み処とする場所である

地の利を活かして木々の隙間や段差などの凸凹を縦横無尽に逃げ回る

誘拐犯「さっきの言葉は何だったんだよ腰抜け! 守って逃げてじゃ勝てねえだろが!?」

返り討ちにすると大言吐いておきながらキノココは逃げるしかない

相手からしてみれば非常に苛立たしく見えるだろう

誘拐犯「だ・か・ら! 逃げんな!! 隠れんな!! うざってえわ!! “ミサイル針”!!」

後ろから言葉と共にいくつもの攻撃が飛んでくる

それらはキノココにとっては弱点のもので 一発でも受けるわけにはいかない

キノココ「――! く、“まもる”」

当然、“技”にも頼るわけだが、そのたびに足を止めてしまって

誘拐犯「はあ、はあ…… やっと追いついたぞ そろそろ観念しやがれ!!」

遂に、すぐ背後まで迫られてしまった とっさに横に飛び攻撃を躱す

キノココ「随分追いつくまで掛かったじゃないか それに息も切れてる
     実はお前、全然大したことないんじゃないの?」

虚勢を張って相手を煽る 出来ることはすべてやる意気で“威張る”

しかし 上手く 決まらなかった !

誘拐犯「ハ! だから焼き増しは効かねえって言ってんだろうが
    空威張りは虚しいだけだぜ 追い込まれた雑魚が何言おうと締まらねえよ」

駄目か…… “威張る”は相手の頭に血を上らせてこそ効果を出す技

こんな状況では戯言として流されるだけ…… 効かないらしい

誘拐犯「さあ、もう悪足掻きはしないでくれよ “毒突き”」

キノココ「“まも――”う、ぐあっ!!」

もうあまり精度が良くないらしい 逃げることももはやできそうもない

キノココ「……ここで僕が『お金はあげるので降参します』って言ったら?」

誘拐犯「……見苦しいな どっちにしろお前は生かしてはおかねえよ」

キノココ「……だよね」

それはそうだ 判ってた

……どうせ受け入れられないなら 足掻くしかないじゃないか

キノココ「……“秘密の力”!! 『引け』ぇ!!!」

“ひみつきち”を作るためではない 攻撃としての自然の力を引き出してやる
 ▼ 261 IpYfymK.Tw 18/04/26 23:56:24 ID:.Z/yW5aQ [4/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
誘拐犯「無駄な足掻きは寄せって…… んあ……? 何だ、これ……? ――Zzz……」

“秘密の力”程度はさしてダメージがないと油断したのか、こちらの攻撃をまともに受け

相手は唐突に糸が切れたように眠りこけてしまった

キノココ「『引い、た』……? 上手く、行ったのか?」

悪足掻きにしかならないと半ば諦めながら打った一撃が、こうも成功してしまうと

自分でやっておきながら信じられない気持ちで呆然としてしまう


――“秘密の力”には場所によって違う追加効果が存在する

――こういった森や草むらでは、相手を深い眠りへ誘うことがあるという

――その効果を引く可能性は1/3の満たないものなのだが……

――とにもかくにもキノココは相手を眠らせ無力化することに成功したのだ


キノココ「……ふう こっちはなんとかなった、のかな? 後は、縛っておくか……」

眠ってしまった相手を、態々放置しておく道理もない

キノココは相手を行動不能にしておこうと思い 用意してきたロープを持ち近づく


誘拐犯「……Zzz ……ぐぅ ……グガー ……グオオオォォォ!!!」

突然、相手のいびきが強くなる こちらの体力もガリガリ削ってくる程に

キノココ「……な!? く、酷い“いびき”だ…… 眠らせても厄介だなんて……」

眠っていても出せる“技”というものも確かに存在するが、まさかこんなところで……

眠らせることが出来たのも想定外だが、“いびき”も想定外

このままではこちらの体力が尽きてしまう

キノココ「くぅ…… 不本意だけど仕方ない 起きてもらうよ “目覚ましビンタ”!!」

誘拐犯「がはっ……! 痛ぇな!」

……この一撃で斃しきれたらと一瞬期待してしまったが、そう何度も奇跡は続かない

相手はまだまだ戦闘不能には陥っていなくて こちらは正直体力がギリギリ

今度こそまさに万事休すと言えるのかもしれない
 ▼ 262 イチュウ@こだいのツボ 18/04/28 20:57:54 ID:ULgu5caQ NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 263 ルガー@うしおのおこう 18/04/29 22:35:07 ID:1Di9p1jI [1/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
守る、躱す、逃げる、隙を見ては“ドレイン”を使い体力回復を図る

そして“身代わり”でまた削り、躱し、逃げる

ギリギリの体力を尽きてしまわないようにギリギリで立ち回る

相手はまだ倒れない ならばキノココだって斃れるわけにはいかない

此方が先に力尽きてしまったら ……最悪の未来は想像に難くない

どれぐらいの時間だっただろうか ほんの数秒だった気もするし何時間も経った気もして

脚が棒になりそうなほど走って、とうとう足がもつれてしまい

『下手なミサイル針』の一発が、キノココの背中に直撃した


誘拐犯「はあ…… はあ…… やっと…… 止まったか……」

後ろから、疲労に息が切れながらも怖気の走る声が飛んでくる

生存本能が脳から必死に命令を送るけれど、もはや身体は言うことを聞かず

誘拐犯「くく…… くはは……! 全く……! キノココ程度の雑魚助が……!!
    この俺様に、こんな苦労させやがって!! さあ、もう『俎上のコイキング』だ
    どっから料理してくれようか!? 精々苦しんで果てて見せろ!!」

今日は何度も同じような台詞を聞いた気がする

その度にキノココは足掻き、何とか今まで引き延ばしたけれど

疲労困憊で、身体が動きそうもない 悪足掻きも、もう品切れ状態だ

……キノココには、もう



エネコ「“猫騙し”!!!!!」

誘拐犯「――――!! なん、だと!?」


何処からか駆け込んできたエネコが、出会い頭に怯み効果のある“技”を打ち込んだ

それで相手は一瞬の硬直を余儀なくされ その隙にと

巡査「“ねばねばネット” 警察です ノクタス、貴方を誘拐と恐喝の現行犯で逮捕します」

新たな顔が現れ、あっという間に拘束してしまった

誘拐犯「アメモース!? 警察だと!? ぐ…… く……! うおぉっ!!」

誘拐犯は縛られた状態から何とか抜け出そうともがく

巡査「無駄です! 大人しくしなさい!」

警察の方は倒れた誘拐犯に“飛びかか”って抑え込んだ
 ▼ 264 ザンドラ@チーゴのみ 18/04/29 22:35:32 ID:1Di9p1jI [2/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
誘拐犯「……あんのアマァ 結局警察にチクりやがったのかよ……
    クソ…… 散々警告してやったのによ」

巡査「警告? 聞き捨てなりませんね 彼女に何を言ったと?」

誘拐犯「あのガキ…… 人質の命は俺の掌の上ってことだよ……!
    こうなっちゃ俺はもう御終いだ……
    だが折角終わるならてめえらに後悔を植え付けるのも一興だよなぁ!!」

不気味に笑ったそいつは、何とか動かせる手先だけで懐から何かの機械を取り出す

誘拐犯「お前ら!! これを見やがれ!!
    これはな…… あのガキを閉じ込めた場所に仕掛けた爆弾のリモコンだ!!
    商品に疵をつける気はなかったが、約束が破られたならしょうがないよなぁ!!」

巡査「な!! そんな危険物……!! 渡しなさい!!」

警察の言葉を無視して相手はその機会のボタンに指をかける――

誘拐犯「くッははは! 全部全部ぶっ壊れちまえば――」


エネコ「哀れね もはや何の意味もないことに気付きなさい」

誘拐犯「――あん?」

――寸前、エネコの声がかかり動きが止まる

エネコ「何で警察に頼れたと思ってんの? その問題が解決したからよ?」

誘拐犯「何言って…… そんな、馬鹿なことが……」

グラエナ「ありえてしまうみたいですね 乗せられたと知った時は焦りましたが
     キノココ氏に頼って本当によかった 紹介下さったことだけは感謝致します」

ゴクリン「だから言ったじゃない『サント・アンヌに乗ったつもりで』いいってさ」

いつの間にか、人質にされていた筈の弟君を連れて皆がそろっていた

それを見た相手は口が塞がらず、声も出せないでいるらしい

エネコ「……もう、また無茶して こっちは大した人数いなかったから楽だったけど
    その所為で余計心配だったわよ 一匹で主犯格を留め置くとか言い出しちゃって
    ……馬鹿」

プラスル「本当に、間に合ってよかったですよ ボロボロじゃないですか キノココさん」

責められてしまう…… しかし今回は本当に危なかったため何も言い返せない

誘拐犯「なんだ、これ……? なんだ、それ……?」

最後の手札も封じられた誘拐犯は呆然と呟くだけだ
 ▼ 265 IpYfymK.Tw 18/04/29 23:16:37 ID:1Di9p1jI [3/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
さて、誘拐犯が爆破スイッチから力なく手を放し項垂れたところで種明かしと行こう

といっても、難しいことは特に何もしていない

キノココが元牢屋番に雪辱を果たすため指名されていることに気付いたから

それを一匹で相手した ……まあ、一匹で行くことは当然反対されたけど

そしてその間に別動隊を組んで人質解放のため動くことにした

人質の問題さえ解決すれば公的機関に遠慮なく頼れるといった意味もあったが

やはり捕まって怖い思いしているだろう弟君が心配だったから

人質の居場所については誘拐犯は当然何も言ってはいなかったが、

此方には超嗅覚を備えるグラエナがいたため容易に知ることが出来た

……この姉弟で誘拐騒動など起こしたのは奴らの最大の失敗と言えるかもしれない

しかし主犯が解っているからといって仲間の有無も数や力量は全くの未知数である

その為念を入れてほぼ全員で助けに行くことになった

……キノココが一匹になることを押し切れた理由でもある

兎に角、人質を救出して、警察も呼び、全員で誘拐犯を抑えるつもりでいた訳だ

つまり初めから、時間稼ぎ=勝利条件という話だったわけだ

まあ、キノココの方で無力化できるならそれに越したことはなかったというのも事実だが

誘拐犯「……するとなんだ? また俺は独り相撲させられてたって訳かよ!!
    ちゃんと戦えよ!! この! 臆病者の雑魚助がぁ!!!」

相手は倒れているというのに、勇ましく叫ぶ

エネコ「……負け惜しみとか うわ」

エネコはついには憐れむような声を出し始める 回りの皆も似たような表情だ

ただ、キノココは思う それは違う

キノココ「いいや、その通り 僕は臆病だ そして弱い でもそれがなんだ?
     弱くたって勝てる やり方はいくらでもある」

そしてお前は負けた それだけだよ

それは言葉にはしなかったが、十分伝わっていることは憎々しげな眼から判った



会話はそこで終わり、奴は巡査さんに警察署に連行されていった

キノココは“ひみつきち”に連行され、暫くの絶対安静を命じられたのは、余談だ
 ▼ 266 IpYfymK.Tw 18/05/02 11:53:41 ID:cPnTWQ9A NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
あれから数日が経ち、キノココの安静命令も解除された

といってもキノココは草タイプだから治癒力が高く、傷はもっと前に完治していたのだが

皆の心配性は嬉しいけれど、少し辟易する

エネコ「だったらもうちょっと自嘲してくれると助かるんだけど?」

頭が痛そうに呻くエネコ キノココとしては言いたいこともあるのだが

この数日、キノココに付きっきりで看病してくれたのは彼女であるから

あまり強くは言えない いや、もう大丈夫なのに安静にさせられたのは不満だが

キノココ「警察の方はなんて言ってたんだっけ?」

キノココが安静にしている間、警察機関がまた現れて謝礼やらなにやら色々あったらしい

面会謝絶みたいな形にされていたため、キノココは詳しいことを知らないんだけど

エネコは少しの間言い辛そうに口籠っていたけれど、やがて決心したかのように話し出す

エネコ「あんたの活躍を認めたお偉いさんが、自警団として公的権限を与えたいんだって
    あ、言っとくけど、あたしは反対だかんね! また無茶が増えるじゃない!」

本当に心配してくれていると解るエネコの様子に、自然と口元が緩んでしまう

エネコ「ちょっと、何笑ってんのよ……!」

キノココ「ごめん、ごめん なんか嬉しくなっちゃって
     認められるって嬉しいことだよね なんか、報われたなあって感じがして」

エネコ「まあ、公に手柄を立てたことは判ってもらえたからね。
    ……自警団の話、受けるの?」

キノココ「いいや」

評価されて嬉しくはある でも、それとこれとはやっぱり別の話で

キノココ「僕は強くない そんな重たい肩書、背負えないよ
     それに、僕は友達だから助けたいと思えたんだ 赤の他人のためとなると
     どうだろうってなっちゃう だからそういうの、向いてないんだよね」

エネコ「……あんたの友達の定義が知りたいわ ルリリは会ったその日に助けたじゃない
    マイナン達もそうよね」

キノココ「あはは…… それを言われると…… うん でもやっぱり公は性に合わない」

責任を与えられてしまったら、きっと重たくて潰れてしまう

今のままで、丁度良いのだと思う
 ▼ 267 IpYfymK.Tw 18/05/03 23:19:00 ID:GCyB2Wts NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
その後、自警団や公的権限の話は正式に断りを入れて

偉い人には残念がられてしまったけれど、こちらの意思を超えて無理強いはされなかった

でも、民間としての範囲内での協力は要請されることになるのかな、と思ったり

そのくらいのことだったら、協力するのも吝かではないかなと思いもするけど


そしてキノココはいつものように“ひみつきち”へと足を向ける

なんだかんだと、あそこは居心地が良いのだ 皆もいる

今日は誰が来ているかな 何をしようかな

楽しみに思って、つい早足になりかける “胞子”なんだけどね


「アノ、すみません アナタ、ここら辺に棲んでいるポケモンですか……?」

道中、どこか異邦の雰囲気を持ったポケモンに声を掛けられる

キノココ「うん、そうだけど…… どうしたの?」

「えと、ワタシ、ある場所を探しているのですが……
 『願いの叶う“ひみつきち”』ってご存知ではアリませんか……?
 ここらにあると聞いて、目指しているのですが……」

どうやらこのポケモンは噂に惑わされてきてしまったようだ

キノココ「“ひみつきち”を探してるの? つまり、何か叶えたい願いがあるということ?」

相手に何と答えるべきかとキノココは悩み、質問に逃げる

「エエ、実はワタシ―――――」

何気なく質問をして返って来た答えに、キノココは何と言っていいか判らなくなった

相手の願いは、確かに叶ったら喜ばしい類のもので

しかし残念ながら『願いの叶う』なんて、都合のいい夢物語は存在しない

キノココ「ごめん そんな神様みたいな場所は知らない
     ……でも、いいところを知っているんだ きっと力になれると思う」


『願いの叶う』場所ではなく、『願いを叶える』力が集まる場所

困った時の『メタグロスの知恵』 さあ、作戦会議と行こうじゃないか

いつものようにまた皆で



『“ひみつきち”に集まって』

                                  ――Fin
 ▼ 268 r.TpafL6X6 18/05/06 22:48:15 ID:JBKc2CMA [1/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
昔々 ある森の奥深くに 弱虫な『ぽけもん』が 棲んでいました

『ぽけもん』は 森に棲んではいましたが 回りのポケモンには馴染めず

いつも 独りぼっちでした



弱虫で 力のなかった『ぽけもん』は 森に棲むポケモンからいじめられていました

こづかれたり インネンを付けられたり 散々に

『ぽけもん』はろくに抵抗できずに いつも逃げ回っていたのでした



しかし そんなある日 『ぽけもん』はいじめっ子に 大けがをさせられてしまいます

『ぽけもん』は 傷の痛みに 泣きそうになりながらも 自分のすみかへと歩きました



しかし けがの所為で 道を間違ってしまったのか

『ぽけもん』は 気付くと 知らない場所に 辿り着いていました

森の外れの 高台の上 そこにある茂みには 入り口と思わしい穴が開いていました

中からは 涼し気で 綺麗な音が 鳴り響いています

不思議と その音色が 『ぽけもん』を ここに呼んでいるような気がしました



けがの所為もあり 疲れていた『ぽけもん』は

そこで休ませてもらいたいと 茂みの中へ入りました



「あら けがをしていらっしゃるのですね どうぞ みせてください」


茂みの中で『ぽけもん』を出迎えたのは 一匹の チリーンでした

チリーンは 『ぽけもん』の けがの具合を みてとると

鈴の音を 鳴らしながら いくつかの 木の実を 混ぜ始めました



チリーンは 『ぽけもん』に 薬を 作ってくれました

チリーンの薬を 『ぽけもん』の 傷に塗ると 魔法のように 痛みが引いていきました

『ぽけもん』は びっくりして 沢山 お礼を 言いました
 ▼ 269 r.TpafL6X6 18/05/06 22:49:05 ID:JBKc2CMA [2/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「ここは 私の場所です

 太陽のあるうちなら どうぞ ごゆっくり していってください」

チリーンは 『ぽけもん』に そう言ってくれました

『ぽけもん』は その言葉に甘えて ゆっくり休ませてもらいました



そして日が傾き始め 『ぽけもん』の 疲れも和らいだころ

「さあ もうすぐ 日暮れです 良い子は お帰りなさいな」

チリーンが そう言って 『ぽけもん』を 茂みの外へ 追いやります

『ぽけもん』は 暖かい時間が 惜しくありましたが

確かに 夜に居座るのも良くないと 別れを告げ 帰り道を急ぎます



それから 『ぽけもん』は よく チリーンの場所へ 遊びに行きました

森にいると いじめられてしまう というのもありましたが

何よりも 茂みの中は 居心地の良い場所だったからでした



チリーンは 『ぽけもん』が訪れると 嫌な顔一つせず もてなしてくれます

しかしやはり 日が沈むまで ということは 何度も言いました

「夜は 私の時間なので そのときここに 来てはなりませんよ」

チリーンは どうやら 夜にお仕事を しているようです

「ただ 太陽のあるうちは 好きにしていて かまいません」

チリーンは 居心地の良い場所に 『ぽけもん』が 居ることを 許してくれます
 ▼ 270 ロマツ@はつでんしょパス 18/05/06 23:14:38 ID:FSj6Qu5k NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 271 IpYfymK.Tw 18/05/06 23:28:38 ID:JBKc2CMA [3/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ある日 『ぽけもん』が チリーンの場所を訪れると

いつもと 少し 様子が違っていました

何匹か ポケモンがいたのです

ルリリと エネコと ゴクリンの三匹でした

気になって 様子をうかがうと そのポケモン達は けがをしている様子でした



チリーンは ポケモン達に 薬を作っていました

『ぽけもん』は 苦しんでいる ポケモンたちをみて 自分にも何か出来ないかと

チリーンを 手伝いました



チリーンの薬のおかげで ポケモン達は 元気になりました

でも いったいどうして そんなけがをしていたのか 『ぽけもん』は皆に尋ねました

「じつは 私たちは 泉にすんでいる ポケモンなんです」

ルリリが 言います

「そこに 悪いポケモンが やってきて あたしたちを こうげき してきたのよ」

エネコはそう続けました

「ぼくたちは バトルが 得意ではないから やられてきちゃったんだ」

ゴクリンが 最後に ため息をつきながら 諦めたように 言いました



悪いポケモンに やられた だって?

『ぽけもん』は 悪いポケモンの 姿を 想像して 身ぶるい しました

怖いと思う気持ちと 許せないと思う気持ちとが 『ぽけもん』の中にうまれました
 ▼ 272 IpYfymK.Tw 18/05/07 21:08:46 ID:Ru/00aMs [1/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「あの 悪党 なんとか しないと あたしたち 泉に 帰れないわ」

エネコが 言いました

「なんとかって どうやって ?」

ゴクリンが 不安そうに 尋ねます

「それは わかんないけど」

エネコも 不安そうに 答えます

「戦っても 勝てなさそうだもんね」

ルリリは 気弱に 続けました



悪党を どうにかする方法を みんなで 考えました

しかし なかなか いい考えは 浮かびません

「戦って 勝てないなら 戦わないで 追い出せば いいんじゃない ?」

『ぽけもん』は ふと 思い付きで そう 言いました



「戦わないで って どうやってだい ?」

ゴクリンが 興味深そうに 聞きました

「君たちは おばけと 戦おうと 思うかい ?」

『ぽけもん』は みんなに そう 聞きました

「いやだ」

ゴクリンも

「戦いたくない」

ルリリも

「そんなのが 相手なら 迷わず 逃げるわ」

エネコも 否定的な 答えを 返します



「そうだろう ? 戦いたくない きっと 悪党も いっしょだ」

『ぽけもん』は 自分の考えを 言いました

「僕たちで おばけを つくってやろう」

みんなに そう 提案するのでした
 ▼ 273 変えます◆TOg35azcXc 18/05/07 21:11:27 ID:Ru/00aMs [2/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「面白そう !」

ルリリは すぐに 『ぽけもん』の 考えに 乗ってくれました

「どうやって つくれば いいのかな ?」

ゴクリンも 考えてくれます

「みんなで 影を作れば 大きい おばけに 見えるんじゃない ?」

エネコは より具体的な 案を 出してくれました



それから 『ぽけもん』たちは

「泉には 大きな おばけが すんでいる」

という うわさを あちこちで 広めました

泉の 悪党にも 届くようにと 色んなポケモンに 話しました



『ぽけもん』たちは うわさを広げた後の夕方 悪党に 見つからないように

こっそり 悪党の 居る場所へ 向かいました

「この泉に おばけが いるなんて うわさが 流れているが 俺様は 信じない」

悪党は ぶつぶつと 独りごとを 呟いていました

どうやら ねらい通り 悪党の元へと うわさは 届いたようです



「やい 悪党 ! お前 なんで 泉のポケモンを 追いやって

 泉を 独りじめになんか するんだ !」

『ぽけもん』が まず 悪党の前に立って 問いただします

「ここが 気に入った そして 邪魔な奴らを 追い出した それだけだ」

悪党は 悪気もなさそうに そう答えます

「ところで お前は何だ ? 俺様に意見するとは いいどきょうだ

 ワザワザ やられにきたのか ?」

悪党は 『ぽけもん』なんかには やられないと 自信満々です
 ▼ 274 TOg35azcXc 18/05/07 21:16:15 ID:Ru/00aMs [3/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「いいや 戦うのは 僕じゃない

 じつは お前の所為で 泉のおばけが おこってるんだ」

『ぽけもん』は 悪党に 言いました

「おばけ ? そんなもの 信じないぞ いるなら 出てきやがれ」

悪党は 強気に そう 言い放ちます

それを聞いた ゴクリンたちは みんなで協力して 大きな影を 作りました



たくさん たくわえて 大きく 膨れた ゴクリンに

ルリリと エネコが 乗っかって しっぽを 左右に 思い切り 伸ばします

夕日に照らされて のびる影は まるで 食いしん坊の 王様

とても 大きくて 恐ろしいものに 見えました

悪党は それを見て うわさは本当だったんだ と思い ふるえ出しました



「「「ネー ! ゴー ! ルー !」」」

突然 おばけが この世のものとは思えぬ声で どなりだすので

悪党は たまったものではありません

「うひゃー ! 出たー ! 助けて― !」

悪党は 泉から 逃げ出しました



おばけを信じた 悪党は 二度と 泉に 近づこうとしないでしょう

『ぽけもん』たちの力で 泉には 平和が 戻ったのです

泉から 悪党が いなくなったことを みんなで 喜び合いました
 ▼ 275 ガラティオス@ほしのかけら 18/05/12 23:13:18 ID:YNwGfojU NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 276 TOg35azcXc 18/05/12 23:37:10 ID:8.umdRFw [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
泉に 平和が 戻った後も 『ぽけもん』たちは チリーンの場所に 集まります

居心地の良い場所で 遊んだり くつろいだり 勉強したりと 思い思いに過ごしました

いつしか みんな 誰が言いだすでもなく お昼ごろに集まって

夕方 日が暮れる前に お開き という決まりを守って 帰るようになりました



ある日 いつものように 『ぽけもん』が チリーンの場所に 行こうとしたとき

森の いじめっ子に 見つかってしまいました



「おい お前 最近 見かけないが どこに 行っているんだ ?」

いじめっ子は 『ぽけもん』に そう尋ねました

「俺は 今 宝探し しているんだが お前 なにか知らないか ?」

『ぽけもん』が 何か答える前に いじめっ子は 別の質問を してきました



「宝探し ?」

『ぽけもん』が 聞き返します

「聞いて驚け なんと 何でも願いを叶えてくれる まほうのひみつきちが あるんだ」

いじめっ子は じまんげに そう言いました



「まほうのひみつきち ? 知らない 聞いたことも ないよ」

『ぽけもん』は 本当に 初めて聞いたものですから そう答えます

「本当か ? 嘘だったら 承知しないぞ」

いじめっ子は 『ぽけもん』に すごみますが 答えは 変わりません

 ▼ 277 TOg35azcXc 18/05/12 23:37:25 ID:8.umdRFw [2/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「そうだ お前も 宝探しの 仲間に 入れてやろう」

いじめっ子は いいこと思いついた というように 提案してきます

「俺の願いを 叶えるために お前も ひみつきちを 探すんだ」

いじめっ子は 『ぽけもん』を 無理やり したがえるつもりのようです

「いやだ ! 勝手な命令なんて 聞きたくない !」

『ぽけもん』が そう答えると いじめっ子は 目を吊り上げて 怒りだしました

「何 ? 俺に 逆らうっていうのか ? 生意気だな 承知しないぞ !」

いじめっ子は 攻撃の かまえを取りました

もちろん 『ぽけもん』は すぐに逃げ出します

遊びじゃない 追いかけっこが 始まってしまいました



結局その後 『ぽけもん』は 上手く逃げおおせることが できませんでした

いじめっ子に 捕まって 攻撃された後 強い口調で 命令されます

「ひみつきちは 岩壁や 木の上 茂みの中なんかに あるらしい

 まほうのひみつきちを 俺のために ちゃんと探せよ !」

それだけ言って いじめっ子は 去って行きました

けがをした 『ぽけもん』には 目もくれません



『ぽけもん』は 痛みに耐えて また チリーンの場所へ 歩きました

「あら けがをしていらっしゃるのですか どうぞ こちらへ みせてください」

チリーンは 以前と同じように 『ぽけもん』のけがをみて 木の実を混ぜ始めました

「ありがとう チリーン」

『ぽけもん』は 一つお礼を言って 静かに座りました
 ▼ 278 TOg35azcXc 18/05/13 00:26:05 ID:U982686I [1/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「え ちょっと あんた そのけが どうしたのよ ?」

エネコは 心配そうに そう尋ねてきます

「何が あったの ? 私で良かったら 話ぐらい 聞くよ ?」

ルリリも 優しく 続けてくれます

「君が困っているなら 僕も 力になるよ !」

ゴクリンも 力強く 意気込みます



「あはは ただ転んだだけだよ」

しかし 『ぽけもん』は 誤魔化します

あまり いじめられていることは 言いたくありませんでした

特に ここにいるみんなには 知られたくないと そう思ってしまいます

『ぽけもん』の様子に みんな 何か言いたそうでしたが

あまり 追及したりは しないでくれました



「はい お薬 できましたよ どうぞ おつかいください」

チリーンが 作った薬を 『ぽけもん』が 自分の傷に塗ると

また 魔法のように 痛みが引いていきます

「本当にありがとうね だいぶ良くなったよ まるで魔法みたいだ」

痛みが和らいだ『ぽけもん』は もう一度お礼を言い 思ったままを口に出します

「魔法なんかじゃ ありませんよ でも 良くなったなら よかったです」

チリーンは 何でもないことのように 返します



『ぽけもん』は 体力の回復のため またこの場所で ゆっくりさせてもらいました

回りの皆も 気をつかって 静かに過ごしてくれたようです

ゆっくりしている間 『ぽけもん』は いじめっ子の言っていたことについて考えました

まほうのひみつきち というのが どういうものなのか よく分かりません

なのに それを探せとは なかなか 難しいことのように思います
 ▼ 279 TOg35azcXc 18/05/13 23:01:20 ID:U982686I [2/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
まほうのひみつきちについて 考えている内に いつの間にか時間が過ぎ

何かしら 思いつきそうになった頃 夕方になってしまいました

「そろそろ 日も暮れます みなさん もう お帰りなさいな」

チリーンの合図で この場所は お開きになります



「じゃあ 気を付けて帰んなさいよ」

エネコが 別れの挨拶を言いました

「また明日ね」

ルリリも

「バイバイ」

ゴクリンも挨拶をしてくれます

「うん さよなら 君たちも 気を付けてね」

『ぽけもん』も挨拶して 泉に帰る三匹と別れました



自分のすみかに向かって 『ぽけもん』が歩いていると

「よう 弱虫 あの後 ちゃんと 探しただろうな ?」

突然 『ぽけもん』の前に いじめっ子が 現れました

「な なんで こんな時間に こんなところに ?」

『ぽけもん』は いじめっ子に 尋ねます

「そりゃ まほうのひみつきちを 早く見つけたいからだよ

 自分でも探すが お前が見つけたなら 早く知りたいからな」



しかし 『ぽけもん』は困ってしまいます

けがをさせられたせいで 探せていませんし そもそも 見つかる気もしていません

ただ それを正直に言ったら また 一方的に攻撃されそうです

「ええと ひみつきちって どんなところに あるんだっけ ?」

『ぽけもん』は 苦し紛れに 話を長引かせようとします
 ▼ 280 TOg35azcXc 18/05/13 23:01:35 ID:U982686I [3/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「なんだ 聞いてなかったのか ? ダメダメだな まあ許してやろう

 ひみつきちは 岩壁や 木の上 茂みの中なんかにあるんだ

 まほうの とつくからには きっと なんかすごくて 違うんだろうけどな」

いじめっ子の説明を受け 『ぽけもん』は もしかして と思ってしまいます



茂みの中の 魔法のような場所

そこに 『ぽけもん』は心当たりがありました

しかし これをいじめっ子に教えていいのか 悩んでしまいます

だって あそこは チリーンの場所

『ぽけもん』たちにとっての 居心地のいい場所 なのですから



「なんだ その顔 ? もしかして 心当たりが あるんじゃないだろうな ?」

『ぽけもん』が そうやって悩んでいるのを いじめっ子に見とがめられてしまいました

『ぽけもん』は とっさにはうそが言えず 黙ってしまいました

「まじかよ ! どこだ ? 教えろ ! うそついたら 承知しないぞ !」

いじめっ子は 攻撃の構えをとりながら 『ぽけもん』に尋ねました



いつでも攻撃できるという 相手の様子を見て

『ぽけもん』は 黙っていることも うそをつくこともできず

いじめっ子に チリーンの場所のことを 話してしまいました

 ▼ 281 TOg35azcXc 18/05/14 23:13:39 ID:FXQytZoU NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「よく見つけたな お手柄だ ! さっそく 行くぞ ! 案内しろ !」

いじめっ子は 『ぽけもん』の話を聞くと 喜んで 言います

『ぽけもん』は 攻撃されずに済んで ほっと 息を吐きます

「でも もう夜になるよ 夜には 来ないで欲しいって 言われてるよ」

『ぽけもん』は チリーンが言っていたことを思い出し 一応 言ってみます

「そんなの 知ったことかよ」

しかし いじめっ子は 聞く耳を持ちません



「それに よく考えてみろ そいつは 夜に何をしてるってんだ ?」

いじめっ子は 何かを思いついたように 『ぽけもん』に尋ねます

「ええ ? それは 仕事って聞いたけど ?」

『ぽけもん』は 戸惑いながら 答えます

「そう 仕事だ 仕事ってなんだ ?

 ひみつきちに来たポケモンの 願いを叶える魔法を使うことだ ! そうに違いない !」

『ぽけもん』の答えを聞いたいじめっ子は そう言いました



「そ そうなの ?」

『ぽけもん』は いじめっ子の言葉に 面食らってしまいました

「きっと そうだ もう夜になるのは 丁度いい ほら 急ぐぞ」

いじめっ子は 自分の考えを 疑いません

『ぽけもん』に 道案内を 迫ってきました

『ぽけもん』は その考えに 違和感を抱きながらも ちゃんと 道案内をしました

攻撃されるのは いやでしたし なにより 『ぽけもん』も

願いが叶えられるなら 叶えて欲しいと 思ってしまったのかも しれません
 ▼ 282 スボー@クチートナイト 18/05/15 22:23:39 ID:siVau2PY NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 283 援感謝◆TOg35azcXc 18/05/15 22:56:43 ID:ZJX1HG6A [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「おい 本当に ここなのか なんか 暗いぞ」

いじめっ子を案内して いつもの茂みまで たどり着きました

中に入ってみると その様子は 日中のそれとは 全く異なっていました

「空気も重々しいし なんつーか イメージと全然違う だましたんじゃ ないだろうな」

いじめっ子は すごみますが 『ぽけもん』も 訳が分からず 怯えるばかり



夜中のこの場所には 暗くて 肌寒い空気が 満ちています

そして 日中には見たことがない 長細く 不思議な通路が あるのです

『ぽけもん』は なぜか それを とても恐ろしく 感じるのです



「おやおや こんな時間に いったい誰だい ?」

通路の奥から 突然 声が聞こえてきました

『ぽけもん』は それを聞き 更に不安になります

チリーンの声ではありません もっと 不気味な声でした



「お 誰かいる たのもー 早速 俺の願いを 叶えてくれ !」

チリーンを知らない いじめっ子は 喜び勇んで 声のもとへ 走りました

『ぽけもん』には とめる間も ありませんでした

「はあ ここに 夜に来てはいけないって 誰かに 言われなかったかい ?」

通路の奥の声は 『ぽけもん』たちに 確認するように 尋ねました



「ああ そういえばこいつが言ってたな チリーンがどうとかって でもそれは」

いじめっ子がそう答えて 何か続けようとしますが その前に声が話し出します

「なんだ 知ってたのか 知らなかったなら 許してあげなくもなかったんだけど

 じゃあ 君たちは 『悪い子』 だよね うん」

そういって 声は 暗がりから 姿を現しました

「ひいっ ! うわあああ !」

その姿を見て いじめっ子は 腰を抜かしてしまいました

『ぽけもん』も 足がすくんで 動けません

姿を現したのは サマヨールでした 世にも恐ろしい 幽霊のポケモンです

 ▼ 284 TOg35azcXc 18/05/15 23:24:47 ID:ZJX1HG6A [2/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「ねえ 君たちは 知ってたって言ったよね なのに 約束をやぶった

 約束を破るのは いいことなんだっけ ? どうなのかな ?」

サマヨールは まるで先生のように そう言いながら いじめっ子に迫っていきます

「し 知らない ! 俺は こんなことになるなんて 知らなかった !

 許してくれ ! 助けてくれ !」

いじめっ子は 叫びながら ふるえる足で それでも 逃げ出します



しかし 逃げ出すいじめっ子の前に もう一匹 幽霊が現れます

「きゃはは 逃がさないよ 夜に出歩く 『悪い子』も

 約束をやぶる『悪い子』も お仕置きに合うんだよ ? 知ってるでしょ ?」

ジュペッタでした こちらもまた 恐ろしい見た目をしています

どうやら 囲まれてしまって 逃げ出すことはできないようです



「なんだよ ここは 願いの叶う まほうのひみつきちじゃ ないのかよ ?

 なんで こんな目に あわなきゃ いけないんだよ ?」

いじめっ子は 力なく そうつぶやきます

「泉に おばけが 本当にはいないように そんな夢のような場所も

 本当にはないんだよ 残念だったね」

サマヨールは 聞き分けのない子供に言い聞かせるように 話します

「じゃあ 先に連れていかれたいのは どっち ?

 それとも ここでおねんねしてからにする ? そっちの方が 怖くないかも」

ジュペッタは 攻撃の準備をしながら 笑ってそう言いました

『ぽけもん』は これからのことを考えると 震えが止まらなくなってしまいました
 ▼ 285 TOg35azcXc 18/05/16 23:00:20 ID:Ti4ye5Qg NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「や やだ こっちくんな ! これからは いい子にするから !

 だから 許して ! た 助けて ママぁ !」

幽霊たちに せまって来られたいじめっ子は あまりの恐怖に 混乱してしまいました

「おやおや あまりうるさくしないで貰いたい まずおねんねさせた方が良いかな」

サマヨールは 呆れた顔をしながら いじめっ子に近づいていきます

何をする気なのかは まだよく分かりません

それでも 何か良くない気がした『ぽけもん』は

いじめっ子を背中に庇うように サマヨールの前に 立ちました



「おや ? 君が先に おねんねしたいのかな ?」

相変わらず サマヨールは 恐ろしい声を出して 言います

そして 攻撃の準備を 始めるのでした

『ぽけもん』は 反撃なんて考えられませんでした

足が震えて 逃げることすらも ままなりません

だけど 後ろにいるポケモンは 守りたいと 必死に サマヨールと向き合い続けます



「きゃはは じゃあ 二匹とも おねんね しちゃおうか 大丈夫 怖くないよ ?」

サマヨールの 隣に立ったジュペッタが 言いました

『ぽけもん』は 観念したように 目をつむります

そして そのまま 深い眠りへと おちていくのでした

眠る寸前 涼し気で 綺麗な音を 聞いた気がしました
 ▼ 286 TOg35azcXc 18/05/17 23:37:30 ID:nfbqIK3I [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
『ぽけもん』が 強い光に 目を覚ますと 青い空が 目に入りました

「あれ 僕は どうなったの ? 幽霊たちは ?」

急いで 回りを確認すると どうやら 見知った場所のようです

高台の上の 茂みの前に放り出されているようです

近くには いじめっ子も 倒れていました

けがは見受けられませんが 心配になって

『ぽけもん』は いじめっ子を 揺り起こしました

「ううん はっ ! ここは 外 ? 俺は 生きているのか ?」

いじめっ子は すぐに 起きてくれました どうやら 平気な様子です



「茂みの中に入って 幽霊に襲われて 何で 外にいる ? 夢だったのか ?」

いじめっ子は 混乱するまま 言葉を並べました

「夢じゃ ないと思う 僕らは 昨日 確かに 茂みの中に入っていったもの」

『ぽけもん』に対して言った言葉じゃなさそうでしたが 一応 答えました

「ああ 確かに そんな覚えはあるが だが どうやって ?」

いじめっ子は 確かめるように 言いました

「今 その茂みには 入れそうなところがないぞ ?」



『ぽけもん』は いじめっ子の言葉に驚き 茂みの方をよく見てみました

確かに 昨日まであった 入口のような穴は どこにも 見当たりません

「そんな なんで ? 入れなくなってる」

あったはずのものがなくなって 『ぽけもん』は うろたえてしまいました

「やっぱり 夢だったんだろ くそ 怖い夢見せられて ろくでもねえぜ

 お前のせいだ ! もう お前と関わるのはやめた じゃあな !」

そう言って いじめっ子は 『ぽけもん』の前から 去って行きました
 ▼ 287 TOg35azcXc 18/05/17 23:56:18 ID:nfbqIK3I [2/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
『ぽけもん』は その後 どうにかして 茂みの中に入れやしないかと

いろいろ 試してみました

しかし やはり 茂みの中には何もなく あの場所には続いていないようでした

『ぽけもん』は なんで 入れなくなったのか いろいろ 考えてみました

思い当たるのは やはり 約束を破ってしまったこと でしょうか

これは つまり 『ぽけもん』のせい ということなのでしょうか



「あら あんた 一番乗りなんて めずらしいじゃない」

日も高く昇ってきた頃 エネコがやってきました

「何で 外にいるの ? 待っててくれたの ?」

ルリリもやってきて 不思議そうに言いました

「それなら もう入ろうよ あれれ ? 入り口がないぞ ?」

ゴクリンは 『ぽけもん』の横を抜けて 頭をひねりました



「みんな 覚えてるよね ? やっぱり 夢なんかじゃないよね ?」

『ぽけもん』は 確認するように みんなに尋ねました

「何言ってるの ? チリーンの場所に 入れなくなったことと 関係あるの ?」

エネコは よく分からないと 問い返しました

しかし その言葉の中に チリーンの場所が 確かにあったことを感じ取れて

『ぽけもん』は 安心しました



そして おそらく 『ぽけもん』のせいで チリーンの場所に

入れなくなった ということを みんなに 話しました

『ぽけもん』は 申し訳ない気持ちで いっぱいでした
 ▼ 288 TOg35azcXc 18/05/18 23:14:22 ID:4GixYIhk [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
みんなは 『ぽけもん』の話を 黙って聞いてくれました

「大変な目に あったんだね 大丈夫なの ?」

ルリリは 心配そうに 『ぽけもん』の身を 気づかってくれます

「約束やぶったのは まあ 良くないけど でも

 悪いのは いじめっ子の方で 君じゃないじゃないか」

ゴクリンは 『ぽけもん』を せめないで いてくれます

「これから どうする ? 集まれる場所 なくなっちゃったけど ?」

エネコも 『ぽけもん』については 何も言いません

代わりに これからのことを 話し始めました



「ありがとう みんな」

『ぽけもん』は 感謝の気持ちを 言葉にしました

みんな 笑って返してくれます



『ぽけもん』たちは 色々話しあいました

いろいろな意見を みんなでまとめます

「そういえば 茂みのしたや 木の上に 特別な場所をつくれる 力があるらしい」

ゴクリンが 思い出したように 言いました

「それって チリーンの場所も 同じ力で できていたって ことかしら ?」

エネコは それを聞いて 疑問を 口に出します

「じゃあ その力があれば また 茂みのしたに 入れるように なるのかな」

ルリリは 期待のこもった目をして 言いました

「その力は どこにあるんだろう ?」

この疑問には 答える声が ありません

どうやら 誰も わからないようです
 ▼ 289 TOg35azcXc 18/05/18 23:48:55 ID:4GixYIhk [2/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
みんなで話し合いをしているところに 一匹のポケモンが 近づいてきました

「大変 大変なんだ ! 君たち ちょうどいいところに ! 助けてくれないか ?」

そのポケモンは マイナンでした

どうやら ひどく慌てているようです

「一体ぜんたい どうしたの ? なにか 困っているの ?」

『ぽけもん』は かけよって来たマイナンに 尋ねました

「実は 妹のプラスルが あの山に行ったきり 帰って来ないんだ !」

マイナンが 困っている理由を みんなに言いました



「朝からいなくて もう おやつの時間なのに 戻ってこない 心配だ !」

マイナンは 早口に そう言いました

しかし 『ぽけもん』たちには なんとなく 危機感が伝わりません

そのくらいなら 大丈夫じゃないか ?

そう思ってしまいます

「あの山には 怪物がすんでいるらしい 早くしないと プラスルが 食べられちゃう !」

マイナンは そんな『ぽけもん』たちの表情に じれったくなったのか

どうしてそんなに心配するのか 訴えました



それを聞いて 『ぽけもん』たちも 黙ってかまえてはいられません

「それなら 早く 行かなきゃね 場所を 教えてくれる ?」

『ぽけもん』は どうにかして プラスルを助けたいと おもいました

そのためには 早くプラスルの所まで行って 状況を知ろうと 考えたのです

マイナンの案内に 『ぽけもん』だけでなく エネコ達もついてきました

みんな 助けたい気持ちは 一緒のようでした
 ▼ 290 TOg35azcXc 18/05/19 23:13:01 ID:bDtGd23A NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
そうして意気込んで 『ぽけもん』たちは 山へ向かいました

マイナンの指示に従って 山を進むと 開けた場所に 出ました

そこでは プラスルと 不気味なポケモンが 向かい合っていました



「プラスル ! 大丈夫か ! お兄ちゃんが 助けに来たぞ !」

マイナンは そう叫ぶと 不気味なポケモン ヌケニンの前に 飛び出しました

余りの勢いに 『ぽけもん』たちは 出遅れてしまいました

「ええと お兄ちゃん ?  そんなにあわてて どうしたの ?」

勢い込んでやってきたマイナンに プラスルが 不思議そうに尋ねました

そののんびりとした口調は マイナンが思っていたものと 違っていました

「え あれ 大丈夫 なの ? だって 今 プラスル 怪物に 襲われそうに」

マイナンは とたんに勢いをなくして しどろもどろに なってしまいました

「怪物 ? なんのこと ? ヌケニンは お友達よ ?」

プラスルは なんとなしに 答えました

「『お弁当持って 友達の所に遊びに行きます 夕方には帰ります』 って

 メモに残したよね ? お兄ちゃん 気づかなかった ?」

どうやら 怪物がどうとか 妹が危ないとかは マイナンの早とちりだったようです



「オ客サン イッパイダナ マア ユックリシテイクト イイ」

ヌケニンが 木の実を用意しながら どこか嬉しそうに言いました
 ▼ 291 TOg35azcXc 18/05/21 23:40:10 ID:EvLDg9kA NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「みなさん お兄ちゃんの早とちりで ご迷惑 おかけしました」

プラスルが マイナンに代わって 謝ってきました

「みんな ごめん ボクの勘違いだったみたいだ つき合わせちゃって 悪かった」

マイナンも 続いて 頭を下げました

「迷惑なんかじゃないよ 大丈夫なら良かったよ

 それに 山に来て 君たちと仲良くなれたのも 結果的には良かったなって」

『ぽけもん』は 思ったままを口に出します

エネコ達も うなずいていて 気持ちは同じなようでした



「そうね 折角だから聞きたいのだけど 茂みの下などに

 特別な場所を作れる力について 何か知っていることは あるかしら ?」

エネコは 思いついたように プラスルたちに 尋ねました

「場所を 作る ? それって ひみつの力の ことかしら ?」

プラスルは 少し考えて 思い当たることがあったらしく 言いました

「うん 多分 それだ ぼくたち また集まれる場所を 作りたくてね」

ゴクリンは 今までの いきさつを 話しました



「そういうことなら 私 みなさんのために 場所を つくりましょうか」

プラスルが なんとなしに そう言いました

「え ? できるの ? というか やってもらっちゃって いいの ?」

ルリリが 確認を取るように 尋ねました

「はい 力を使うのは それほど 難しいことじゃないですし

 今回の件のおわび といいますか 単純に 心配して貰えたのも 嬉しかったので」

プラスルは ほほえんで 力を使うことを うけおってくれました

「もちろん ボクも 頑張るよ どこに つくるのかな ?」

マイナンも うけおってくれるようです

それならと 『ぽけもん』たちは 高台の茂みについて 話しました
 ▼ 292 TOg35azcXc 18/05/22 00:01:40 ID:aT0BUVhQ [1/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ヌケニンに 再開の約束をして 『ぽけもん』たちは 山を下りました

そして いつもの茂みの場所へ プラスルたちと共に向かいます



「ここだよ この場所に みんなで集まれる場所を つくりたいんだ

 お願いして いいかな ?」

『ぽけもん』は プラスルたちに 目的の場所についたことを 教えました

「はい お任せください 頑張ります」

プラスルが 明るく答えました

「ちょっと 時間かかるかもしれないけど 任せてよ」

マイナンもまた 力強く 答えました

そして 二匹で 力を使ってくれました



「よし できた どうお ? こんなものかな ?」

しばらくして マイナンが 『ぽけもん』たちに 声を掛けてくれました

茂みを見ると 前のように 入り口のような 穴が開いています

中に入ってみると こちらも前と同じく 暖かくて 広々とした空間がありました

「すごい ! ありがとう ! 完璧だよ !」

『ぽけもん』たちは 二匹に 感謝の気持ちを いっぱい 伝えました



「感謝とか いいですよ おわびで お礼なので」

プラスルは 恥ずかしそうに ほほえみました

「そうそう そういうのなしにしようよ

 ここは良い場所だね ねえ ボクたちもここに来ちゃ だめかな ?」

マイナンも 似たようなことを言って その後に お願いのようなことも言いました



「それこそ 言うまでもないよ もちろん 歓迎する ねえ ? みんな ?」

『ぽけもん』がそういうと みんなも 同意の声を 発します
 ▼ 293 TOg35azcXc 18/05/22 00:05:47 ID:aT0BUVhQ [2/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
『ぽけもん』たちは 今日もまた 集まります


いつものように 暖かくて 居心地の良い場所へ みんなで



                           おしまい






                     ホウエン童話『ひみつきちにあつまって』
 ▼ 294 TOg35azcXc 18/05/22 00:11:21 ID:aT0BUVhQ [3/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
―――――――――――――――――――――――――――――――
と言う訳で 童話調で 再編?

小説版 思ったより延びたね(文字数的に 期間的に)

上手に書けてるかな……

書いてる方はたのしいけど



質問 感想などあったら書いてくれると嬉しい
 ▼ 295 レディア@トポのみ 18/05/22 02:03:52 ID:hyTA/jFI [1/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
支援、
 ▼ 296 チャブル@ポケモンのふえ 18/05/22 03:36:25 ID:u5qbXGB2 NGネーム登録 NGID登録 報告
ひみつきちのSS好き、キノココが好きになった、
みんながいつかチリーンと再会できるといいなぁ…
 ▼ 297 ンナ@パークボール 18/05/22 21:13:23 ID:B9T7lH5. NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
お疲れ様でした〜
バトルの戦術とか思い付きもしない所があったりしてとても面白かったです
 ▼ 298 イタラン@フォトアルバム 18/05/22 21:26:09 ID:hyTA/jFI [2/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 299 バゴ@ガルーラナイト 18/05/23 01:12:54 ID:U11/fkOI NGネーム登録 NGID登録 報告
登場させるポケモンはある程度決めから書いてるの?
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