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SS

【長編SS】 超 絶 炊 飯 器

 ▼ 1 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/09 01:08:15 ID:X9EcE1Do NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
メレメレ島・アーカラ島・ウラウラ島・ポニ島


4つの島からなる自然豊かな場所・アローラ地方は人とポケモンが仲良く暮らしている。


近頃、そんなアローラ地方に何やら妙な余所者が迷い込んできたと住民達の間で噂になっているようだ。


余所者の正体は未知の空間・ウルトラスペースからやってきた生命体「ウルトラビースト」。


アローラに突如として姿を現したウルトラビーストはその圧倒的な力と不思議な能力でアローラの生態系を蹂躙する。


しかし、彼らにとってはアローラもまた未知の空間。この世界で見るもの全てを、彼らもきっと恐れているのだろう。


そこで、エーテル財団代表ルザミーネは自らの趣味嗜好とウルトラビーストを救わんとする想いを込めて、対ウルトラビースト特殊部隊を結成した。その名も……



                   「ウルトラガーディアンズよ!合言葉は、せーの……」




              「「「「「「 ウ ル ト ラ ジ ャ ー ! ! ! 」」」」」」
 ▼ 57 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/15 20:30:39 ID:YuRUcQsw [1/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サトシとウルトラジャーの戦いも一区切り。しかし未知のウルトラビースト・ウルトラジャーを捕獲せんとするウルトラガーディアンズの活動は人々の目を忍び今も続いている。

一方、昨日サトシが訪れた浜辺では、炊飯器屋の娘がトロピウスと共に相も変わらずトレーナー達を相手に暴れまくっていた。


ヌカ「『ソーラービーム』!!」

トロピウス「キ ュ ラ ァ ァ ァ ァ ァ ! !」ボォォォォ

男A「うわらば」

男B「何てこった……二人がかりでかかってもこのザマかよ。強ぇなぁ姉ちゃんは。持ってきな、一人1000円でよかったよな?」

ヌカ「まいどありーっす!あ、よかったらウチの炊飯器も買ってくださいね?」

男A「ハハハ、炊飯器なんてそう滅多に買うもんじゃないっしょ姉ちゃん!」

男B「ソイツはまた今度な。親父さんのサポート、しっかりやんなよ?」


ヌカ「……ふぅ。何か今日は調子いいね。浜辺、昨日よりも人が多いからかな?」

トロピウス「クルルルルル……」

ヌカ「おぉ!それにしても今日はやたら気合入ってるよね!……やっぱり昨日、マサラタウンのサトシとニャヒートに刺激されたからかな?」

ヌカ「こんなところで会うとは思わなかったし……バトルの最中もずっとドキドキしてた。炊き立てのご飯を頬張って、飲み込んだ時みたいに、ずっと胸が熱かったの……」

トロピウス「(´∀`) ククルルルル……」

ヌカ「あっ!?/// いやいや!だからそういうのじゃないってば!!/// あたしはマサラタウンのサトシを男の子としてじゃなくて、ちゃんとトレーナーとして尊敬してる!……だからこそ、ちゃんとお礼、言っておきたかったかなぁ……って思っただけ」

ヌカ「トロピウスもそうでしょ?マサラタウンのサトシのポケモン達にお礼を言いたいでしょうよ」

トロピウス「カルルルル……」

ヌカ「な、何さその顔」

ヌカ「……そ、そうだ!今日ね、父ちゃんの新しい炊飯器でホットケーキ焼いてきたの!コーンフレークとナナのみを混ぜてみたんだけど……ほら、ナナのみ好きだったでしょ?」

トロピウス「\(*>▽<*)/」

ヌカ「フフ、しっかり食べて、首の稲穂をもっと立派にしようね」


ピシッ


ヌカ「……? トロピウス、何か言った?」

トロピウス「??」

ヌカ「違うか……どこかで、何かが割れるような不思議な音がした気がするんだけど……」


それは人知れず、波打ち際の岩場に挟まっていた「何か」にヒビが入る音だった。

真昼の日差しに照らされ、浜辺の表舞台で宝石のように煌びやかに光る波とは対照的に、直径20cm・ラグビーボール状の「何か」は影で独りでに、不気味な銀の光を放っていた。


……ピシッ
 ▼ 58 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/15 20:52:49 ID:YuRUcQsw [2/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ピピピピピピ……

サトシ「通信だ。 ……もしもし、こちらマサラタ……

ザオボー『サトシ君!!貴方一体どういうおつもりですかっ!?』

サトシ「えっ?」

ビッケ『違うのよザオボー。サトシ君は自分のGPS発信機をウルトラジャーに取り付けただけなの。だから今このシステム管……じゃなかった、司令室のモニターに映し出されている位置情報はウルトラジャーの現在地を指してるのであってサトシ君が勝手に動いてるワケじゃないわ』

ザオボー『何だそうですか。焦りましたよぉ。リーリエお嬢ちゃんといい、隊員の安全第一を掲げるウルトラガーディアンズの方針に背く行為をされては困るのですよ。これだから私は子供が嫌いなのです』イライラ

ビッケ『でもこれでウルトラジャーをこちらで追跡できるようになったのよ?サトシ君の行動は正しいと思うけど』

サトシ「オレじゃないですよ。GTS……だっけ?それをウルトラジャーに取り付ける作戦を考えたのはスイレンなんです」

ビッケ『あらそうだったの?これから任務はまだまだ続くと思うけど、くれぐれも気を付けてね』

スイレン「……///」

マーマネ「何とか立てるまで回復したね。とりあえず一安心だ」

トゲデマル「まっでゅい!」

ザオボー『確かに貴方達はよく頑張りましたがウルトラジャー捕獲が今回の任務の最大目的であり達成条件なのです。最後まで気を引き締めてお願いしますよ。あと今後、ウルトラジャーによる被害が出た場合は我々エーテル財団だけでなく貴方達にも責任が及ぶことをお忘れなく』

ビッケ『ちょっと、あんまりプレッシャーをかけないであげて』


ルザミーネ『その通りよザオボー。これからウルトラガーディアンズには、一度メレメレの花園に全員集まってもらうわ。そこで各々作戦を決めて、それからはしばしの解散。隊員達を好きな場所で待機させるわ』

サトシ「えっ、待機?」

ザオボー『ちょいちょい!代表!!私達も彼らも皆休んでいる暇などないのですよ!?一刻も早くウルトラジャーを捕獲しないと!またいつどこで被害を出すのかわかったもんじゃない!』

ルザミーネ『リーリエもサトシ君達も、それにポケモン達も、ウルトラジャーの捜索や戦闘、相次ぐトラブルで疲れてるわ。ほら、モニターでウルトラジャーの現在地を確認してみなさい』

ビッケ『あっ、ウルトラジャーがカーラエ湾中心の小島で停止しています!』

ルザミーネ『じゃあ停止している場所の現状を確認するから小島のリアルタイム映像をモニターに映して』

ビッケ『は、はい!財団の観測員が小島に設置しているカメラに映像を切り替えます!』


ビッケ『……って、あれ!? ……ウルトラジャー……寝てますね。さっきあれだけ暴れていたというのにいつの間に……』

ルザミーネ『そう。ウルトラジャーは今、活動を停止してる。被害を出す可能性が低いこのタイミングで休まなくて、いつ休むの?』

ザオボー『活動を停止しているならば尚の事彼らをウルトラジャーのもとへ行かせないと!一気に叩くチャンスです!』

ルザミーネ『じゃあ聞くけど、今戦いを終えてボロボロの皆が全員で殴り掛かったところで、100%勝てると保証できるのかしら?隊員達の無事は100%保証できるのかしら?』

ザオボー『え゛……?』

ルザミーネ『隊員の安全第一がウルトラガーディアンズの方針……じゃなかったかしら?』ギロッ

ザオボー『う゛っ……』
 ▼ 59 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/15 20:57:21 ID:YuRUcQsw [3/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ルザミーネ『もしもの時は私がすべて責任を取るわ。それがエーテル財団の代表……いや、ウルトラガーディアンズの司令官としての役目だもの。ほんの出来心で作った特殊部隊だけども、だからこそそのくらいの覚悟は初めからしてる!』


サトシ「リーリエのママ……」

スイレン「カッコイイ……」

マーマネ(今ほんの出来心って言ったよなこのオバハン)

ザオボー『ぬぬぬ……代表がそう仰るのなら私が何か言えば言うほど都合が悪くなる気がしてなりませんね。仕方ない!』

ビッケ『……と、いうわけで皆を集めるから、貴方達はメレメレの花園で待っててくれる?』

サトシ「はい!」

ルザミーネ『あ、そういう時は“ウルトラジャー”でお願いね?』

サトシ/スイレン/マーマネ「「「ウルトラジャー!!」」」

ザオボー『ついさっきボコられた敵の名前を言うのを強要するなんて鬼ですねぇ代表……』

♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪

ウルトラジャーはカーラエ湾の小島にて、人知れず活動を停止した。次に動き出す時までしばしの休戦である。

エーテル財団からの通信から15分後、同じく通信を受けたカキ達が花園へやってきた。

心身ともに回復したリーリエと対照的に、カキは着地したライドポケモンから転げ落ちるように降りたところを見ると襲ってきた野生ポケモンとの戦いで相当疲労が溜まっているに違いない。


カキ「ガハッ」ゴロゴロ

マーマネ「ちょっとちょっと!大丈夫なの!?」

カキ「ハァ……ハァ……少し無理をしてな。ルザミーネさんから待機命令が出たんだろ?丁度よかったぜ……」

マオ「それよりもスイレンは大丈夫なの?ウルトラジャーの攻撃を受けたって……」

スイレン「軽い胸焼けだよ。大丈夫」

マーマネ「胸焼けってそういう意味で使うんじゃないでしょ」


リーリエ「あぁ……ピカチュウ!大丈夫ですか!?」

ピカチュウ「ピカ……」

リーリエ「サトシ!早く『かいふくのくすり』を持ってきてください!」

サトシ「あぁ、それが……」

ロトム「『かいふくのくすり』は瀕死状態のポケモンには効かないロト」

リーリエ「で、では早くポケモンセンターに……」

マオ「まぁまぁ、こうしてあたし達が集まったのはこれからの事を考えるためでもあるんだよ。どこでどのように待機するか、次はちゃんと考えて行動しないと」

カキ「……じゃ、まずは中間報告といこうか。お互いのチームでどのような事があったか話しておこう」
 ▼ 60 マルス@すいせいのかけら 18/07/15 21:17:23 ID:lm02ylgE NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 61 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/15 22:26:30 ID:YuRUcQsw [4/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サトシ達は話した。ウルトラジャーの脅威を。結果はどうあれ、ポケモン達が頑張ってくれたことを。


カキ「成程……ウルトラジャーについてはよくわかった。ピカチュウを倒すとは、ウルトラビーストの名に恥じぬ戦闘力の持ち主だというのは確かだな」

マオ「その、ウルトラジャーがした変身って、やっぱり普通のポケモンみたいな『進化』なのかな?それとも『メガシンカ』みたいな一時的なものだったり?」

マーマネ「どちらにせよこれからどうしよう……僕らのチームにピカチュウより強いポケモンなんていないよね……?」

スイレン「でも敵は一匹。やり方次第できっと倒せる相手」

カキ「あぁ、その事なんだが……こちらからも報告がある。森の中でリーリエを休ませてる間、とんでもないものを見ちまったんだ」

サトシ「とんでもないもの?」

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リーリエ「わ、私達は行かないのですか?」

マオ「リーリエはまだ休んでた方がいいからね。……気絶していただけとはいえ、今の状態で活動を続けるのはよくないよ。カキはこれからどうする?」

カキ「オレは……仕事だ」ギロッ

マオ「えっ?」

リーリエ「な、何ですか貴方達は!?」


グルルルルルルル……         ガラララララララ……


--------------------------------------------------------------

カキ「あの時オレ達は獰猛な野生ポケモン達に囲まれていた。あの森の野生ポケモンは血気盛んな連中が多いことは知ってたが、戦ってるうちに妙な違和感に気付いたんだ」

マーマネ「違和感?」

リーリエ「ポケモン達は確かに私達を敵とみなして襲ってきました。ですが彼らの動きはどこかぎこちない感じでした……まるで、何かに憑りつかれたような」

スイレン「何それ怖い」

カキ「そして奴らを大方倒した後、奥からのしのしと大元が出てきやがった。……犯人はカラマネロだったんだ」

サトシ「!?」

ロトム「カラマネロ ぎゃくてんポケモン 悪/エスパータイプ。強力な催眠術を使う。それを利用し悪事を働く者は後を絶たない」

マーマネ「おそらく催眠術でただでさえ凶暴な野生ポケモンを操ってカキ達に仕向けたんだね。狡賢いヤツ」

サトシ「大変だったなカキ……ウルトラジャー以外にも、まだそんな危ないヤツがメレメレ島にいるなんて」

カキ「それが……ここからが大事な話なんだ。野生ポケモン達を操っていたカラマネロは強かった。バクガメスとガラガラの二匹が本気を出してようやく勝てる相手だった」

カキ「だがあのカラマネロは普通じゃなかった。強さだけじゃない、その姿もだ」


カキ「全身が銀色に光ってた。銀と言っても決して綺麗なモンじゃない、不気味な雰囲気を醸し出す銀色だ」


カキ「サトシ、ウルトラジャーは銀色の怪物に変身したと言ってたな。オレは……嫌な予感がするんだ」
 ▼ 62 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/15 22:29:58 ID:YuRUcQsw [5/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サトシ「嫌な予感って……」

マオ「ひょっとしたら、ウルトラジャーと何かしら関係があるのかもしれないってことだよ。例えばさ……あのカラマネロが、ウルトラジャーの子分的な存在だったとか」

マーマネ「まさか!ウルトラジャーはポケモンを操る力も持ってるってこと?」

カキ「いや、その線は薄い。何故ならカラマネロはオレ達が倒した後、姿を消したからだ。逃げたとかそういう意味じゃない。そのままの意味で、跡形も無くな」

カキ「思えばアレは……ポケモンじゃなく、ポケモンの形をした何かだったんだろうか。ウルトラジャーと関連づけるとすれば、ウルトラジャーはポケモンを操っていたのではなく、ポケモンのような何かを『自分』で生み出したと考えるのがベストだろうな」

マーマネ「な……何それ。そんなポケモン聞いたことないよ……」

リーリエ「そのような常識が通用しないのがウルトラビーストの怖いところですね。……まだあの奇妙なカラマネロがウルトラジャーと関係していると断定するのは早計ですが」

スイレン「でももしカキの言う通りだとしたら……ウルトラジャー、メレメレの色々なところに姿を見せてる。その度にウルトラジャーがポケモンみたいな何かを生み出しているとすれば……」

マーマネ「……」ゾクッ

サトシ「まだメレメレ島のどこかに銀色のカラマネロがいるってことなのか!?」

カキ「……そういうことだ。とはいえ、銀色のカラマネロとウルトラジャーの関係性も、他に奴らの仲間がいるという可能性も、全てがオレ達の推測だ」

カキ「事実といえばウルトラジャーも銀色のカラマネロも確かに存在し、オレ達に勝負を挑んできたってことだけだ。勝手な判断で行動するとルザミーネさんに悪いし、この事は頭の片隅にでも入れておいて、オレ達はこれからの事を考えよう」

マーマネ「そ……そうだね。皆の待機場所を決めないと」


サトシ「オレはこれからポケモンセンターに行く!ピカチュウとモクローを早く休ませてあげないと……コイツらはもうウルトラジャーとは戦えないと思うけど……ホントに頑張ってくれたんだ。早く何とかしてあげたい」

ピカチュウ「ピカ……」


カキ「オレも……カラマネロとの戦いでバクガメスとガラガラが力尽きてしまった。正直、これ以上の活動を続けるのにライドポケモンだけでは心許ないが……」

マオ「カキはその事でさっきまで落ち込んでたの。今後のことについてはまずは話し合おうってことであたしが説得して無理矢理連れてきたんだけど」

カキ「おい!/// それを言うな」

マーマネ「ピカチュウ、モクロー、バクガメス、ガラガラ……参ったな、いつもは頼りになる仲間がどんどん減ってきてるよ」

スイレン「でも私達のポケモンはまだ戦える……ウルトラジャーに勝てるの、サトシとカキのポケモンだけじゃないハズ」

アシマリ「あぉ……」

マオ「だね!あたしもアママイコもまだまだ頑張れるよ!」

アママイコ「まぁーい!」

カキ「……皆、ありがとう。 だがオレもウルトラガーディアンズの一員として、最後まで任務をやり遂げたい……」

サトシ「……じゃあさ」


サトシは手元に残っていたモンスターボールの最後の一個をカキに差し出す。今現在残っている唯一の「いつもは頼りになる」仲間、ルガルガンのボールだ。
 ▼ 63 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/15 22:49:24 ID:YuRUcQsw [6/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
カキ「……いいのか?そんなことをしたらお前が……」

サトシ「知ってるよ。カキは自分のポケモンと一緒に高みを目指してること。……でも今はそんなこと言ってる場合じゃないと思うんだ。でもカキはまだ頑張りたい。それならこれ以上バクガメス達に無茶をさせるよりも、こうした方がいいと思って」

カキ「別にオレは状況を選ばずプライドを優先するほど冷静さを失っちゃいないさ。仮にアイツらが未だにやる気だったって度を越した無茶をするのを止めさせるのもトレーナーの仕事だと思ってる。オレが聞いてるのはお前が……」

サトシ「オレはまだいるよ。ポケモン。……ポケモンセンターに行くのはそのためでもあるんだ。これからの戦いはソイツらに頼ることになるからピカチュウ達には悪いけど……長い付き合いなんだ。それくらい許してくれるよな?」

ピカチュウ「( ̄д ̄)」ブーッ

マーマネ「おもっくそ納得してない顔なんだけど」

サトシ「とにかくオレはポケモンセンターに行くよ。待機場所には持って来いだろ?」

マオ「そうだね……でも、サトシは今GPSを付けてないから単独行動は危ないよ」

リーリエ「では私も一緒に行きます!しっかり休んだのでもう大丈夫です!」ガンバリーリエ

マオ「えぇ……何か危なげな組み合わせだけど大丈夫かな……」

サトシ/リーリエ「「大丈夫!」」

マオ「アンタらの大丈夫はアローラ一信用できないんだけど……」


カキ「オレは別の場所だ。もう少しウルトラジャーに近い場所で待機したい」

スイレン「だったらウチに来るといい。ポケモンセンターよりは近い」

カキ「いいのか?迷惑にならないといいが……」

スイレン「ウチはその辺全然大丈夫。ホウとスイも喜んで迎え入れてくれる」

マーマネ「今以上に疲れませんかねその環境」


マオ「さて、最後にあたしだけど……消去法でマーマネ、一緒について来てくれる?」

マーマネ「消去法て。……で、マオとどこに行けばいいの?」

マオ「決まってるでしょ。『メレメレジャーショップ』!店長とヌカちゃんの家だよ」

マーマネ「どう決まってるのかわからん」

マオ「店長は炊飯器の心がわかる人、つまり、炊飯器のような姿をしていたウルトラジャーの心も読み取れるかもしれないと思ったの」


マオ「ウルトラビーストは意思疎通が難しい生き物だけど、その心さえ読むことができれば、ウルトラジャーの目的や求めているものが分かるかもしれないでしょ!?この任務の成功のカギは、店長が握ってる!」ババーン!!


アママイコ「!!」

サトシ「おぉそうか!その手があったか!」

リーリエ「さすがですマオ!」

スイレン「マオちゃんがそういうのなら、きっとそれが正解」

カキ「アホしかおらんのか」

マーマネ「あんな胡散臭いだけのオッサンにウルトラビーストの心が読めたら苦労はせんわ」
 ▼ 64 タッコ@じしゃく 18/07/16 16:48:15 ID:MDoEW2zg NGネーム登録 NGID登録 報告
追い付いた
メシが食べたくなる支援
 ▼ 65 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/16 21:47:13 ID:n5Pg9R4Q NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サトシとリーリエはポケモンセンターへ、マオとマーマネはメレメレジャーショップへ、カキはスイレンに連れられて彼女の家へと、対ウルトラジャーの本格的な勝負へ向けて態勢を立て直すことになった。

その頃、メレメレ島の長であるしまキング・ハラの住む町、リリィタウンでは……町の隅っこで小さな子供達が数人集まっていた。彼らは物珍しそうに何かを見つめている。

銀色でラグビーボール状のソレは、やはり浜辺で不気味な光を放っていた物体と同じものだった。

子供の好奇心は漠然としていて止めどない。銀色のソレがこの物語を大きく動かすカギとは知る由もなく、ただ珍しいということだけに注目し、皆して目を輝かせている。


子供A「スゴい!ねぇ、コレどこで拾ってきたって言ってたっけ?」

子供B「遺跡の橋の近くだよ。ポケモンを探そうと思ってウロウロしてたらコレを見つけたんだ。何かはわからないけど……何かさ、神秘を感じない?」

子供C「感じる感じる!」

子供D「でもこれどっかで見たことあるような……そうだ思い出した!似たようなのを昨日動画で見たよ!」

子供A「動画? あっ、あれか!アルミホイルを叩いてピッカピカのボールにするヤツ!これもそうなのかな?」

子供B「それにしてはデカすぎない?形も変だし……アルミホイルじゃないと思うよ。それにもし仮にこれが動画に使えるようなものなら、道に落ちてたりなんかしないよね」

子供C「確かに……こんなのを捨てるなんてもったいなすぎる」


ハラ「しーまキングーはー♪ やーるキーングー♪」


子供A「あっ、ハラさんだ!アローラ!」

ハラ「アローラですな。どうしました子供達、こんな隅っこで座り込んでいないで、君達のような育ち盛りは広場で遊ぶのが一番ですぞ」

子供B「これ見てこれ!遺跡の橋の近くで拾ったの!」

子供C「アルミホイルじゃないと思うんだけど……ハラさんならこれが何かわかる?」

ハラ「むむ……初めて見ますな。それだけの大きさだと、誰かの落とし物というわけでもないようですし……とにかく様子を見てみましょうぞ」

子供D「えっ、ってことはまさか……ハラさんが持ってっちゃうの?」

ハラ「もしかしたら危険なものかもしれませんからな。しばらくは私の家で預からせていただきますぞ」

子供A「何それずるいー!」

子供B「それはボクが見つけてきたんだよ!危なくてもいいからウチに飾らせてよ!」

ハラ「なりません! ……よいですかな?私はしまキングです。しまキングたるもの、アローラの事なら何でも知っていなければならないのです」

ハラ「遺跡の近くに落ちていたということは、守り神であるカプ・コケコと何か関係がある可能性もあるし、もしかするとZリングの原石やZクリスタルのように不思議な力を秘めた代物かもしれませぬ」

ハラ「その場合は万が一ではありますが、貴方達のような子供だと危険が及ぶことも考えられます。例えばそう……守り神の怒りに触れるなど、ですな。納得いかんのでしたら、ウチにいつでも遊びに来ることを許可しましょうぞ。それならこの銀色のものは実質貴方達のものでもありましょう」

子供A「わ、わかりましたー……」

子供B「じゃ、じゃあさ、今から遊びに行ってもいい?」

ハラ「構いませんぞ」
 ▼ 66 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/17 00:22:25 ID:kyGAOnfo [1/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
-------サトシ・リーリエ組-------


ポケモンとトレーナー達の心の拠り所、ポケモンセンターへ向かった二人。

自動ドアを抜けるとショップにカフェにジョーイさんと、見慣れた景色が二人の視界に次々飛び込んでくる……が、


男性「……」ザワザワ

女性「……」ヒソヒソ


リーリエ「……///」

サトシ「何だろう……何か変だ。リーリエ、ここの人達の様子がおかしいよ。ひょっとしてウルトラジャーの事が島中に広がって、皆不安で仕方ないのかな?」

リーリエ「た、多分違うと……

サトシ「皆のためにも早く解決したいけど……次は確実に勝つためにしっかり備えようぜ」

リーリエ「げ、原因多分それじゃないと思うんです。公で話題になっているのはせいぜい今朝の事件くらいでウルトラジャーの存在はまだ知られていないかと……」

サトシ「えっ、じゃあリーリエは何だと思ってるの?」

リーリエ「サトシ、私をじっと見てください!頭の天辺から足の先まで隅々と!です!」

サトシ「えぇ〜っ?」

リーリエ「…………」

サトシ「…………」ジーッ

リーリエ「…………」ドキドキ

サトシ「……プハッ、改めて見たら変な恰好www」

リーリエ「そうだよそれですよテメェこの野郎!!日常からかけ離れたこの恰好のせいで避けられてるんです私達!!」


ジョーイ「あ、あの、サトシ君とリーリエちゃんだよね?聞かない方がいいこともあるけど、やっぱり気になるから事情を聞かせてもらえるかしら?」

サトシ「あぁ!オレ達ウルトラガーディアンズやってるんです!ウルトラビーストを元の世界に送り返す活動を……何だっけ、つまり、特殊部隊なんです!はい!」

リーリエ「サトシ、ちょっと一緒に外出てもらっていいですか?」

サトシ「うん……?」



リーリエ「一発殴らせてください」

ボコッ

サトシ「らりおっ」

リーリエ「見ましたか!?見たでしょ今のジョーイさんの何が何やらみたいな顔!お母様が出来心で作った半妄想設定なんて安易に公の場で口にするもんじゃありません!」

サトシ「妄想だなんて!ウルトラガーディアンズがリーリエのママの妄想だって言いたいのか?」

リーリエ「時!場所!場合!TPOを弁えろと言いたいのです!……ウルトラガーディアンズの秘密は、一般の人にとってはチンプンカンプンな事ばかりです。たまにはうまく誤魔化すことも大事なのですよ?」
 ▼ 67 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/17 00:29:05 ID:kyGAOnfo [2/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サトシ「誤魔化すのは得意じゃないんだけどな……」

リーリエ「努力さえ感じられれば私は文句は言いません」

ロトム「リーリエはお母さんが絡むと途端に周りに厳しくなるロト」

ピカチュウ「ピカー……」チョイチョイ

サトシ「あぁそうだ!ピカチュウ達を早く休ませてあげないと!」

リーリエ「もう……」

♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪

ジョーイ「じゃ、じゃあピカチュウ達はしっかり預からせてもらうわね」

サトシ「ピカチュウホントにゴメン……休みの日の散歩は絶対楽しいとこに連れてくから!ね?」

ピカチュウ「ピィ……」


サトシ「さてと……まずは折角ポケモンセンターに来たし、バーネット博士のところにでも行くか」

リーリエ「こちらに来ているのですか?」

サトシ「ニャヒートが昨日から風邪をひいてたみたいでさ……夕飯も殆ど食べなかったし、ここでお部屋を借りて面倒を見てもらってたんだ」

リーリエ「では、先にニャヒートの様子を見にいきましょうか」

シロン「こんっ」


バーネット博士がいた部屋は壁も床も真っ白でベッドが一つ。部屋ではニャヒートは既にくつろいでいた。ベッドよりも博士の膝の上がお気に入りの様子。

バーネット博士はウルトラホールの研究をしており、エーテル財団の活動にも協力している。つまりウルトラガーディアンズの秘密も知っているため、変な恰好の少年少女がいきなり部屋に押し掛けてきても特に驚きもせずに出迎えてくれた。


サトシ「博士、ニャヒートの調子はどう?」

バーネット「お薬のお陰で大分良くはなったけど……明後日くらいまでは安静にした方がいいって言われました。原因は無理な運動みたいね」

サトシ「はっ?ニャヒートは風邪じゃなかったの?」

バーネット「風邪よ。原因は普通なら軽く目眩がする程度の症状しかない微弱なウイルスなんだけど……悪化しちゃったわけ。どうやら昨日サトシが言ってた、炊飯器屋の女の子とのバトルの時には既に感染してたみたいね」

サトシ「えぇ……バトルしたせいで風邪ひいたってこと?」

バーネット「大変申し上げにくいですけども」

ニャヒート「ZZZ……にゃふ」

リーリエ「もう!スカル団のこと言えませんよサトシ!トレーナーたるもの体調の管理はしっかり行わないと」

バーネット「気付かないのも無理ないわ。それにサトシは体調よりもポケモンの『気持ち』を見るタイプのトレーナーだと思うわ。ねぇ?」

サトシ「えへへ、わかってるね博士」

リーリエ「もう……」

ニャヒート「ZZZ……にゅふ」
 ▼ 68 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/17 00:41:17 ID:kyGAOnfo [3/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サトシ「さてと……それじゃ、後はポケモンだな。ピカチュウ達の代わりに任務を手伝ってくれるポケモンを選ばないと」

リーリエ「でも、ルガルガンはカキに渡してしまいましたよ?ベベノムもククイ博士と一緒にスクールに残っていますし、サトシのポケモンなんて他に……」

ロトム「分かったロト!カントー地方のオーキド博士の研究所なら、サトシのポケモンが沢山いるロト!」

サトシ「うん!……誰を選んでもウルトラガーディアンズの仕事は初めての経験になるけど、やる気になってるヤツがいたら連れていく!」

リーリエ「成程……サトシのポケモンであればきっと、心置きなく私達の力になってくれますよね」


時代の数十年先を行く技術を誇るポケモンセンターの設備のうちの一つ、「ポケモン預かりシステム」は、同じ「預かりシステム」をもつコンピューターとの通信を行うことでポケモンを転送することができる。

サトシはこの手段を使ってオーキド博士の研究所に自分のポケモンを多数預けており、任意にポケモンを呼び出すことができるのだ。

「ポケモン預かりシステム」は通常、ポケモンをデータ化し、年齢や体調をそのままに半永久的に保存することができる「預かりボックス」を使ってトレーナーのポケモンを管理するのだが、オーキド博士はポケモン達を研究所に野放しにしている。

つまり、サトシのポケモン達は「預かりボックス」のポケモン達と違い、サトシと離れている場所でも青い空の下で和気藹々と日常を送っているのだ。


サトシ「博士!今話できる?」

オーキド『構わんがサトシお前、何じゃその恰好は?アローラでの生活を満喫するのはいいが少々弛んどるんじゃないのか?お前さんがここに連絡を入れておるということはポケモンセンター、つまり公の場にいるってことじゃろ?スクールを通して少しは道徳的にまともな子になったと思っ

サトシ「そんな説教を聞きにいちいち連絡なんか入れるか!開口一番お小言を言う博士も少々ボケたんじゃないの!?」

オーキド『な、何じゃその口の聞き方は!マサラタウンの南の川に突き落としてやろうか!!……と、このやりとりもなんか懐かしい気がするのぅ。旅立つ前のあの頃のお前は大した悪餓鬼じゃった』

サトシ「ハァ……言ってくれる」

リーリエ「…………」

オーキド『おや、そこにおるのはこの前研究所に来ていたサトシの友達ではないのか?』

サトシ「リーリエだよ博士!ちゃんと名前覚えてあげてよ!本格的にボケたんじゃないの?」

オーキド『じゃかあしい!!お前はちょっとどいとらんか!』

リーリエ「リ、リーリエです……オーキド博士、ご無沙汰しております」

オーキド『うむ。お前さんはポケモンに触れないながらもカントーのポケモンの生態に興味をもち、目を輝かせている熱心な姿を私は覚えておるぞ』

リーリエ「ありがとうございます!……あっ、私!全てのポケモンに触れるようになったのです!それからというものポケモンと過ごす生活が楽しくて楽しくて……!」

オーキド『何と!それはめでたいことじゃ!またいつでも研究所に来るといい。今度はポケモン達に沢山触れる機会を設けてやろうぞ!』

リーリエ「……は、はい!ありがとうございます!」

シロン「こぉんっ!」


サトシ(何かめっちゃ盛り上がってる……)
 ▼ 69 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/17 21:44:27 ID:kyGAOnfo [4/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
-------カキ・スイレン組-------


ウルトラジャーにできるだけ近い場所を拠点にしたいというカキの提案から、スイレンは彼を連れて自宅へ帰っていた。

相変わらず父親は外出中。玄関では母親と二人の妹がカキを出迎える。


ホウ「( ゚Д゚)」

スイレン「何その顔。帰って来た姉を出迎えるのに相応しい顔じゃない。お客を家に上がらせるのに相応しい顔でもない」

スイ「( Д )゚ ゚」

スイレン「とりあえず今は私達疲れてる。ホウ、スイ、リビングに通してちょうだい」

スイレン母「理解が追いついてないのよ二人とも。大好きなお姉ちゃんが変な恰好で帰ってきて、その上ペアルックのボーイフレンドを連れてくるもんだから」

スイレン「ペアル……!?///」

ホウ「うむ。ビックリしないワケがない」

スイ「なんかへんなかっこうだとおもったら、なるほどペアルック。でもしょーじきダサいよふたりとも」

カキ「そ、そうか……?あと、これはペアルックなんかじゃなくユニフォームのようなものなんだが……」

スイレン「今になって恥ずかしくなってきた……着替えたい……///」

スイレン母「とりあえず上がってちょうだいな。カキ君も。丁度おやつにしようと思ってたところだしよかったら召し上がっていきなさいな♪」

カキ「あっ……すみません」

♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪

スイレン母「今日のおやつはもずくのゼリーよ」

スイレン「こらホウその手を離して。食べづらい」

ホウ「オラやるんだよぉ。『あーん』をやるんだよオラァ」グイグイ

カキ「…………」

スイ「おいしい?ねぇねぇ、よかったらごはんもあるよ。おふろもあるよ。おねえちゃんもあるよ」

スイレン「あぁもう!二人とも、食べないんだったらお姉ちゃんが貰っちゃうよ」

ホウ「おねえちゃんだって、モタモタしてるとここのおにいさんはわたしがもらっちゃうよ」

スイ「なにを。わたしだよ」

カキ「ハハハ……まいったな」

スイレン「〜〜〜〜〜〜っ/// ええい!もう知らん!」バクバクッ

ホウ「あ゛あ゛!わたしたちふたりのぶんをいっぺんに!!」

アシマリ「あおっ!あおっ!」キャッキャッ

ルガルガン「わん!」
 ▼ 70 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/17 21:53:30 ID:kyGAOnfo [5/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
カキ「ふぅ……いいものを食べさせてもらった。ごちそうさまです」

スイレン母「フフ、よろしお上がり」

ホウ「ゴチになります!」

スイ「おねえちゃん、じばらけっていです!」

スイレン「あのさ……さぁカキ、ルザミーネさんの指令が来るまでベッドで休んでるといい。起きた後にファブリーズを使ってくれたら問題ないから」

カキ「何言ってんだ、お前の家だぞ?それにお前、今も呼吸が苦しくて仕方ないだろ。体力が回復すれば少しはマシになるかもしれない」

スイレン母「!? ちょ、ちょっと待って、スイレン!あなたひょっとして風邪ひいてたの?」

スイレン「もうカキってば余計な事!」

カキ「しまった……あ、あの、おばさん、スイレンは風邪じゃないです!ただちょっと肺が焦げてるみたいで……」

スイレン母「 肺 が ! ?  焦 げ て る ! ? ! ? 」

カキ「あ゛っ」

スイレン「もうアホ……」

♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪

スイレン母「そう、そんなことが……小さい頃から海の中でチョンチーやランターンの電撃を何遍浴びても平気だったウチの子がね……」

カキ「アハハ……彼女らしいッス」

スイレン「お母さん、私はこのくらい何ともない。私よりも、メレメレ島の人達はもっと苦しいハズ」

スイレン母「それはあなた得意のウソね。島の人達は今も皆平和に暮らしてるわ。いつもは放任主義の私達だけど、今回ばかりは親として自分の子供のワガママくらい止めさせてもらおうかしら」

スイレン「確かにまだウルトラジャーの事は誰も知らないと思う。だけど……このまま放っておくといずれ島の人達もウルトラジャーに襲われるかもしれないって考えると、じっと見てられない。私はまだウルトラガーディアンズとして頑張りたい!」

カキ「オレからもお願いします。……スイレンの事は任せてください。        ……オレが守ります」

スイレン「っ!?」

ホウ「ヒュゥ……」

スイ「おちたな」


スイレン母「……私もまだまだね。過保護なのはあまり性に合わないし……それじゃあしばらくの間、娘は貴方に任せていいかしら?カキ君」

カキ「勿論です!」

スイレン母「……でも!スイレンがこの家にいる間、責任は私にあるわ。二人とも、その指令とやらに備えて早く休んでらっしゃいな」

カキ「ウルト

スイレン「わかったお母さん。……カキ、行くよ」


ホウ「ウルト……?」

スイ「しょくぎょーびょーってヤツだね」
 ▼ 71 ンノーン@リザードナイトY 18/07/17 22:12:38 ID:qZdIDZow NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ギャグと思いきやシリアス…
支援
 ▼ 72 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/17 22:56:20 ID:kyGAOnfo [6/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
-------マオ・マーマネ組-------


サトシをも下したウルトラビースト・ウルトラジャーは炊飯器の姿をしていた……ということで、炊飯器の心が分かるというムラシ店長のもとへと向かう二人。

ポケモンセンターに自宅待機と自分達以外のグループが有意義な時間を過ごしている中、炊飯器屋で時間を潰すことにマーマネは何度も異を唱えたが、マオは聞く耳持たず。一体何がいつもまともな彼女をそうさせているのか、道中マーマネはずっと首を傾げていた。


フライゴン「フォォォォォ……」スタッ

マオ「到着……『メレメレジャーショップ』。ここに今回の件のキーマンがいるんだ。……どうして今まで気づかなかったんだろう。事が大きくなる前に、ウルトラジャーの姿がわかった時点でここに来るべきだった」

メタング「メター」プシュー

マーマネ「疲れた……眠たい……」

トゲデマル「ZZZ……」


マオ「アローラーー!店長ーーー!!マオです!またお邪魔しまーーす!今からお話できますかーー!?おーーーーーい!!」

アママイコ「あまーーーーい!!」

マーマネ「今日もやっぱりお客が入ってないなこの店は」


ムラシ「おや、また来たのかいマオちゃん。……お友達も。ひょっとして炊飯器が故障でもしたかな?ウチは修理もやってるけど……気に入らなければ差額で新しいのと交換もできるよ」

マオ「いえいえ!実は折り入って相談がありまして……」

♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪

ムラシ「えぇ……マジか」

マーマネ(そりゃリアクションの仕方もわからなくなるわな)

ムラシ「今朝ニュースでやってた事件の犯人が炊飯器……一体何の為にそんなことを」

マオ「それを知る為に貴方が必要なのです!店長!ぜひ現場までご同行願います!願えますか!?願えますよね!?」

ムラシ「うぅん……でも仮にそうすると今日は店を閉めなきゃならなくなるし、ヌカは今日鍵を持って出て行ってないんだよ。それにあまり言いたくないが僕は、本当に炊飯器の心が読めるわけじゃないからね」

マーマネ「あっ」

マオ「そうかヌカちゃんが……よろしければ連れ戻してきましょうか?」

ムラシ「そうしてもらえると嬉しいが……わざわざすまないね。炊飯器の心が読めるわけでもない僕の為に……ヌカはお米とバトルが本当に大好きな子だから……」

マーマネ「ねぇちょっと」

マオ「いえいえ!ヌカちゃんにはうまく誤魔化しておきますので……今回の件、お父さんが危険な目に遭うという可能性も十二分にあるので心配させるといけないですしね」

ムラシ「あぁ頑張るよマオちゃん。僕は炊飯器の心が読めるわけでもないが、こんな僕でも力になれるのなら喜んで協力しよう!」

マオ「あざっす!」

マーマネ「デンヂムシ、やれ」

デンヂムシ「`´」
 ▼ 73 プ・テテフ@ドラゴンZ 18/07/17 23:02:41 ID:8KjYd90Y NGネーム登録 NGID登録 報告
カキイケメン支援
 ▼ 74 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/17 23:02:45 ID:kyGAOnfo [7/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
マオ「あばぼばぶぶべびびびばば」ビリビリ

マーマネ「おら、次はあんたの番だ」

ムラシ「ま、待ってくれ!……一応言っておくが本当に……」

マーマネ「読めないんでしょ?知ってますよそんくらい」


ムラシ「本当に……炊飯器の心を読む力が必要なのか?今」


マーマネ「……まぁ、そんなものが本当にあったら苦労はないですけど」

ムラシ「ならちょっと奥の部屋に来なさい。急ぎの用でなければ、その事についてゆっくり話してあげよう」

マーマネ「いや、あの……」

マオ「行くよマーマネ。……諦めるのはまだ早い。目的が何であれウルトラジャーの心は、絶対にあたし達が読み取ってみせる」

マーマネ(もう休みたい……)

デンヂムシ「ZZZ……」

♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪

ムラシ「マオちゃんはともかく、そこのお友達。マー……まぁいいや。君はどうやら僕のいう『炊飯器の心が読める能力』をただのインチキだと考えているようだが、それは違う」

マーマネ「いいえ、インチキ以外の何物でもないです」

マオ「黙って聞く!」ペシッ

マーマネ「かばどりゅっ」


ムラシ「僕の実家はシンオウ地方で稲作農家をやってるんだけどね。僕は稲作よりも、炊飯器を作るのが好きな機械っ子だった。家中のガラクタを集めては炊飯器を作りまくって……そしたら次第に、炊飯器を作る中でとある感情が芽生えてしまってた」

マオ「炊飯器に対する愛着、ですか?」

ムラシ「そうだね。まるで子供を育てるように……炊飯器一つ一つに命を吹き込むように気持ちを込めることがいつの間にか当たり前になっていた。もはや炊飯器はただの作品じゃなくなってたのさ」

マオ「うんうん、名のある職人さんって皆そういうよねぇ〜。店長もその一人だったんだ!マーマネだってわかるでしょ?たまにパソコンを自分で作ったりしてるじゃん」

マーマネ「ま、まぁねぇ……でも正直、一つ一つに命を宿すって発想は無かったなぁ。僕の作品は作品の域を出ることはなかった」

マーマネ「僕の知ってるカロスの発明家は、本物の命を自分の作品に宿したっていう伝説を残しているけど。ホントは人工知能をロボットに搭載しただけで、伝説自体は単なる例え話だしね」

ムラシ「そう、物に宿る『命』なんてのは、人の思い込みの域を出ないモンなのさ。だけど思い込みも極めると、自然と物を大切にしようって気持ちになるじゃないかな」

ムラシ「昨日僕が見せたような儀式……確かに胡散臭いし、物が人を選ぶなんてことは普通の人が考える世界ではあり得ないんだろうけど」

ムラシ「……僕は、僕が大好きな炊飯器が色んな人の手に渡った時、その炊飯器が人々にとって特別なものであってほしい。僕が自分で作った炊飯器にしているように、炊飯器を買った人達にとって、まるで自分にとって大事な人やポケモンと同じように大切にしてほしいと思ってる。だからあのスタイルはやめられないんだ」
 ▼ 75 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/17 23:09:54 ID:kyGAOnfo [8/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
マオ「店長……」ジーン

マーマネ「何かわからんけど急に申し訳なくなってきた……」

トゲデマル「までゅ……」ウルウル

ムラシ「だからさ!決してただのインチキじゃないってことは理解してほしいんだ!……僕はお金がほしくて炊飯器を売ってるのではなく、人と炊飯器との関係を紡ぐ役を担っていると自負してる。だから炊飯器屋をやってるんだ」

マオ(だから9割引もしてくれたんだ……)

♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪

ムラシ「僕のことは分かってくれたかな?」

マオ「炊飯器の心……それは店長の想いを込めて、わかりやすい形に表現した言葉だったんですね」


ムラシ「……さて、それじゃあ本題に入るけど……僕は本当に炊飯器の心が読めるわけじゃないってことは話したね」

マーマネ「はい」


ムラシ「       じゃあ今度は……本当に炊飯器の心が読める人について教えておこうか       」


マオ「え゛ぇぇ!?!? やっぱりいるの!?」

マーマネ「感動と時間と労力を今すぐ利子つけて返せ」

トゲデマル「ZZZ……」





ヌカ「ぺやんぐ!」

トロピウス「!?」

ヌカ「あ……ゴメンゴメン、ちょっとクシャミしただけ……トロピウスどうする?もう結構お金溜まったし……続きは明日にしようか?それともまだやる?」

トロピウス「クルルルルル……」

ヌカ「ハハ、頑張りすぎ?……まぁ父ちゃんはサービス精神旺盛だから。でも安易に値引きする分こっちの苦労も増えることは頭に入れてほしいよね。今度はどんなこじつけで割引サービスをやるのやら……」

ヌカ「とはいえ、トロピウスに無理させるのもよくないよね。……よし!じゃあ今日はノメルのみを混ぜてご飯炊いてみようかな。……いや、そんな顔しないで。美味しいよ?ホントだよ?」


……ピシッ


ヌカ「! ……まただ。ヒビが入る音。浜にいる他の人達は気付いてないみたいだし……やっぱり気の所為かな。そんなハズないと思うけども」

トロピウス「カルルルルル」

ヌカ「いや、行かないよトロピウス。……嫌な予感がするもん」
 ▼ 76 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/17 23:44:40 ID:kyGAOnfo [9/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
次のおはなし



第5話(全13話)「ウルトラジャー・チルドレン」
 ▼ 77 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/19 21:58:11 ID:eOGYsVss [1/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ウルトラジャーの活動停止から1時間が経過した。ウルトラジャーは今もカーラエ湾から動かず、人々も彼らの存在には気付いていない。

さらに今朝の事件からも丸半日が経過しようとしていた。最初に被害に遭った民家の周りは現在も警察によって厳重に監視されており、部外者は近づけない状態になっている。

二つ目の事件の現場となったハウオリ霊園も事件が公になった後、事件跡見たさに多くの野次馬が現れたが警察によって追い払われ、現在も監視下にある。

それ以外の場所では……二つの事件には恐怖感を抱きつつも、島民達が皆いつも通りの生活を変わらず送っている。しかしそこに平穏はなく、どこか焦りが感じられる。まるで、世界の終わりを予言され、残された時間を思い残すことなく過ごすように。


-------ポケモンセンター-------


ジョーイ「お待たせ致しました!お預かりしたポケモンはみんな元気になりましたよ!またの御利用をお待ちしております」ペコリ

男「なぁジョーイさん……今朝みたいな奇妙な事件、同一犯の仕業だって噂もあるけどよ、一体誰だと思う?後……次はどこで起こると思う?」

ジョーイ「フフ、気にしていては負けだと思いますよ?私は。島中に緊張が走る今こそ、一秒でも多く平和な時間を噛み締めてはいかがでしょうか?」

男「そう……だな。ありがとう、少しカフェに寄ってくとするよ」


サトシ「やっぱ皆気にしてるんだな……ウルトラジャーの事を知らないらしいから、尚更怖いんだろうなぁ」

リーリエ「〜♪」

ロトム「それに比べてリーリエは呑気なホクホク顔ロト。サトシのポケモンを使えることがそんなに嬉しいロト?」

リーリエ「はっ!……わ、私だってこう見えても緊張してるんです!この子をバトルに出すのはサトシを除いて私が初めてなんですよね?……そんな子を私はうまく扱えるのか不安で……」

サトシ「大丈夫だよ!ソイツは人懐っこい方だしリーリエにもすぐに懐いてくれるって。それに……」

シロン「こんっ!」

サトシ「シロンだってついてる。緊張はしても、不安になる必要なんてないと思うぜ」

リーリエ「えへへ……そう言ってもらえると助かります」



-------スイレン家-------


カキ「ZZZ……」

スイレン「ZZZ……」

ホウ「ヤーれ、ヤーれ(手拍子)」

スイ「しーっ。ほうっといてもそのきになるよ」

スイレン母「ゴメンね二人とも。でも他に落ち着いて休めそうなベッドが無くて……」

スイ「わたしたちのベッドがボーイフレンドのおやくにたてるのなら」

ホウ「いっこうにかまわぬ」


ルガルガン「ZZZ……」ゲシゲシ

アシマリ「(=_=#)」
 ▼ 78 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/19 22:05:44 ID:eOGYsVss [2/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
               「炊飯器の心が読める人がいる」


ムラシ店長からそう教わったマオとマーマネは、片や期待を、片や不安を抱きながら浜辺へと駆け出す。

走る二人の足取りも対照的で、希望に満ちた軽さで浜辺の砂粒を蹴り上げる音と、これ以上付き合ってられるかという落胆の念を連想させる溜め息が互いの耳に聞こえてくる。


マオ「……あのさ、事件解決に向かってるってのに何さその浮かない表情は。もうちょっとテンション上げてこうよ」

マーマネ「やめておくれよ。マオがボケ側に回った時の絶望感はハンパないんだから」

マオ「ボケ……!? いい?マーマネ!今度こそ、今度こそ本当にこの一件に決着をつけられる人物が見つかるんだよ!」

マーマネ「もう何も信じたくない」

-------------------------------------------------------

マオ「えぇっ!? ……ヌカちゃんが……炊飯器の心が読める人……?」

マーマネ「ここまでで予想してた人も多いと思うよ」

ムラシ「まだヌカが小さかった頃炊飯器に突然語りかけ始めた時は、初めは僕も適当な事を言ってるだけだと思ってた……だけど、あの子が炊飯器と話している時の眼はいつも真剣で、僕が炊飯器を作っている時以上に込める心の強さを感じたんだ」

ムラシ「ある日疑問に思って訊ねてみたら……案の定、自分は炊飯器の心がわかると言いだしたんだ」

マーマネ「スイレンと気が合いそう」

ムラシ「彼女はずっと僕の作った炊飯器に囲まれて過ごしてきた……同じ僕の『子供達』という意味では、彼女の方が炊飯器に近い存在だったのかもしれないね」

マオ「まるで兄弟なんですね!ヌカちゃんと炊飯器は」

マーマネ「褒めてるんだか貶してるんだか」

ムラシ「あまり我が子を危険な目に遭わせたくはないが……ヌカは優しい子だ。その任務とやらがヌカにしかできない事だとしたら、遠慮なく力を貸すだろう。その時は僕は止めないよ」

マーマネ「えぇ……それでいいのお父さん」

マオ「わかりました!……絶対にヌカちゃんを説得して、そしてウルトラジャーの事件を解決してきます!」

-------------------------------------------------------

マオ「あっ、いたよ!あそこ!やっぱりトロピウスと一緒に特訓してたんだね!ほらほらあの首の稲穂!珍しいでしょ?」

マーマネ「今日はいい天気だからか、気持ちよさそうにくつろいでるね。……ホントこれから巻き込むのが申し訳なくて仕方がない」


マオ「おーーーーい!ヌカちゃーーーん!!来たよーーー!!」


ヌカ「あっ、マオちゃんの声だ。また市場に夕ご飯買いに来たのかな?」

トロピウス「クルルルルル……」

ヌカ「そういえばマオちゃんもマサラタウンのサトシの友達なんだっけ。よし、せっかくだ。彼の事についてゆっくり話でもし……


マオ「突然でゴメン!手伝ってほしいことがあるの!」

ヌカ「え……何ですかその恰好」ドンビキ
 ▼ 79 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/19 22:10:16 ID:eOGYsVss [3/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
マオ「実は今朝の事件に関することで……知ってる?民家の屋根に穴が空いたっていう……」

ヌカ「何ですかその恰好」ドンビキ

マオ「迷惑なのは知ってる。だけどヌカちゃんにしか頼めないことなんだ!」

ヌカ「何ですかその恰好」ドンビキ

マオ「お礼ならいくらでもするよ!……ほら、ウチ食堂やってるって話したよね?何でも好きな料理一つタダにしてあげるからさ!」

ヌカ「何ですかその恰好」ドンビキ

マオ「ちょ、ちょっと待って!ホントに!値段とか関係ないから!お父さんにお願いしたらすぐに納得してくれるハズだし」

ヌカ「嫌です近づかないでください」アトズサリ

マオ「待ってヌカちゃん!待ってーーー!!」


ただでさえ日常の風景とはかけ離れたオーラを放つウルトラガーディアンズのユニフォーム。アローラの人々でさえ身を引くその奇抜さに、遠くの地方から引っ越してきたばかりのニューカマーには耐えられるわけがなかったのだ。

ここで逃せば他の隊員や財団の面々に申し訳が立たないと、何とか必死に説得をするマオ。交渉に飽きて水遊びを始めたトゲデマルを眺めるマーマネ。怯えるヌカ。アローラは今日も平和である。


ヌカ「…………」

マオ「それでカクカクシキジカ……ということ。ねぇ、わかった?」

ヌカ「う……うん。わかったって事にしないと永遠に迫られる気がするからそれでいいや」

マオ「やった♪」

アママイコ「あっまい!」

マーマネ「お、終わった?」


ヌカ「『ウルトラビースト』ねぇ……アローラは何かと陽気で平穏なイメージがあったから、そんな物騒な生き物がやってくるなんてちょっと驚きだな」

マオ「以外と付き合ってみたらそうでもないよね?マーマネ」

マーマネ「ま、まぁねぇ。言葉や意思がわからなくたって、ウルトラビーストもやっぱりポケモンなんだなって思うよ」

マオ「だけどウルトラジャーはその限りじゃない……今でこそ休んでるけど、また動きだしたら人々に攻撃的な意思を示すのは目に見えてる。こんな時だからこそ一番の方法は戦うことじゃなくて、彼の気持ちを理解してあげようって思うんだけど……」

マーマネ「そこでマオが僕達に提案したのがヌカちゃん、君に協力してもらうことだったんだ。……迷惑なら断っても構わないけど」

マオ「ダメに決まってんでしょうが!!」ゴンッ

マーマネ「ばしゃなっと」

ヌカ「ふぅん……どうしよう……い、今してくれた話ってアローラの人達も殆ど知らない話なんだよね?」

マーマネ「そうだね。ウルトラジャーについて知ってるのは、まだウルトラガーディアンズと財団の人達だけだね。あと君のお父さん」

ヌカ「そんな大事な事をあたしに……まだ出会って間もないあたしをここまで信用してくれるなんて……フフッ」

マオ「あたしは本気だよ! ……これで最後だよ?   ……あたし達と……行く?  」


ヌカ「……うん!」
 ▼ 80 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/19 22:17:38 ID:eOGYsVss [4/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
マオ「やった!これで交渉成立だね!アローラの未来は明るいよ!」

ヌカ「う、うん!」

アママイコ「あっまい!あっまい!」

トロピウス「カラララララ……!」

マーマネ「まとまってもうた」

マオ「そんじゃ、ヌカちゃんがメンバーに加わったところであたし達もルザミーネさんの指令待ちになったワケだ。他の皆もうまくやれてるかな?」

ヌカ「ほ、他の皆ってまさか、マサラタウンのサトシも?」

マオ「そうだけど?」

ヌカ(彼もこの二人みたいな恰好してるのか……)

マーマネ「何か疲れちゃった。よいせ」ドテッ

マオ「わっ!マーマネ、そんなとこで寝たら波に攫われるよ!」

マーマネ「波の音を聞きながらゆるりとお昼寝……動かなきゃいけない時になるまでここらで休ませてもらうね」

マオ「もうしばらくしたら夕方なんだけど……」


……パキャッ


ヌカ「!!」

マオ「ん?今何か言った?」

マーマネ「何も。ヌカちゃんは? ……って、どうしたの?深刻そうな顔して」

ヌカ「まただ……しかも今度はさっきより大きい音」


ウルトラガーディアンズの活動中、バトルの特訓に励んでいたヌカ。謎の音に誰よりも敏感なのは、この浜辺で大きな音を立てているのが自分達の他には波だけだったからだ。

波の音と特訓中の音に紛れて姿を隠していた「何か」を包むベールが人知れず、徐々に剥がれていく。


……パキパキ  ……パラパラ      ペチャッ


マオ「ホントだ聞こえる!これは……卵の音!?」


その時、今まで影の溜まり場だった岸辺の岩の辺りが、太陽が落ちてきたかのような眩さで光る。眩しさと、その光の色の無機質さ。

強さと妖しさの両方を併せ持った光は生き物の形を成していくにつれ輝きを失い、光輝いていた場所には……禍々しく黒みがかった銀色の怪物が姿を現した。


マーマネ「な……!何だあれ!!?」

マオ「まさか……!」


その怪物もまた、ポケモンの姿をしていた。
 ▼ 81 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/20 22:56:26 ID:Pt.YhzDU [1/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ド ガ ガ ァ ァ ァ ァ ァ ン ! !


男「おい見ろ!野生のポケモンが暴れてるぞ!……でもアレ、海から出てくるようなポケモンか?」

女「いずれにしても様子がおかしくない?襲われる前に逃げよ!」


岩陰に挟まっていた、銀色をした「何か」は怪物の卵だった。それまで目立たなかった小さな物体が大きな生物の形になり暴れ始めたことで、浜辺はパニックに陥る。

ポケモンの形をした怪物は大口を開け、大蛇のように太く長い舌を砂浜に叩きつけて威嚇する。荒い呼吸に血走った眼をもち、その獰猛さは人やポケモンを寄せ付けない。


マーマネ「あの姿……間違いない。『ベロベルト』だ!……間違いないんだけど……何か違う?ただ珍しいってだけの個体ではなさそうだね」

マオ「……コイツだ。あたし達が見たカラマネロもこんな色だった!」

ヌカ「えっ? マオちゃん、じゃああのポケモンはどうしてあんな色をしてるの?」

マオ「わからない。わからないけど……ほらマーマネ、カキの言ってたことを思い出して!あくまで推測だけど、もしカキの言うことが本当だとしたら……」

マーマネ「うん……コイツもウルトラジャーの仲間だね」

ヌカ「えっ……あれが!?」

マオ「ヌカちゃん下がってて、アイツがウルトラビースト・『ウルトラジャー』の仲間だとしたら、ここはウルトラガーディアンズの出番だよ!ね、マーマネ」

マーマネ「でも勝てるの!?カラマネロはカキのポケモンが二匹がかりでやっと勝てる相手だったんでしょ?」

トゲデマル「までゅ……」

デンヂムシ「むし……」

マーマネ「トゲデマル達の力を信用してないワケじゃないけど……何かあったら危険だよ?姿形はポケモンでも本当はもっと危険な生物なんでしょ?アイツも!」

マオ「でもさ……やるしかないじゃん」

マーマネ「……だよね」


ベロベルト「う゛ ぇ ぇ ぇ゛ え ぇ え え゛ ぇ ぇ」デロデロデロ


アママイコ「あっまい!」

トゲデマル「までゅい!」

デンヂムシ「…………」


マオ「二匹がかりでやっとなら三匹がかりで余裕でしょ!魅せるよ!あたし達のバトル!」

マーマネ「こうなったらやれるだけのことはやってやるぞ!」


ハウオリシティ・ビーチサイドエリアにて始まったバトルは3対1。

3匹のアリが恐竜に勝てるのかなんて誰かが言っていたけれども、こちらの世界のどこかのアリは自分より遥かに大きな牛や馬を食い散らかすこともあるらしい。だから何だ。

とにかく、この戦いは始まる前から勝負が決まるような戦いではないということだ。
 ▼ 82 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/20 22:58:39 ID:Pt.YhzDU [2/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
マオ「アママイコ!『マジカルリーフ』!」

マーマネ「トゲデマル、『でんきショック』! デンヂムシ、『いとをはく』!」


草・電気・虫、三種三様の遠距離攻撃がベロベルトをロックオン。矢のように迫る三つの攻撃にも怯まずベロベルトは鈍器のような舌で応戦する。


ベロベルト「ベエエエエエエ!!!」バチン!


マオ「……っ!」チッ

マーマネ「まだだ!まだ残ってるぞ!!」


ベロベルト「……ベェ!?」


ズドォ!!    ズドォ!!


『マジカルリーフ』を防いだ直後に残りの二つがヒット。タイミングを僅かにズラした攻撃はベロベルトの反応では追いつかず、マオ達は先制攻撃に成功した。


マオ「でも……これで後には退けないよ。ベロベルトはあたし達だけを狙ってくるようになる。ヌカちゃんは気をつけて」

ヌカ「えっ、あの……」

マーマネ「下がってて!ヌカちゃんはウルトラジャーの目的を読み取るのが一番の目的なんだから!」

ヌカ「……ううん      トロピウス!『エアスラッシュ』!!」


トロピウス「 ピ ラ ァ ァ ァ ァ ァ ! ! 」


ヌカの背後で前足を振りかざしたトロピウス。生みだされた空気の刃がマオ達とアママイコら三匹の背後を抜けると、ベロベルトの腹部を切り裂くように押し上げ、弾き飛ばした。

砂浜には、やはり空気でできたレールがくっきり残った。


ベロベルト「べぇぇ゛ぇぇ……」パンパン

ヌカ「ダメージ無いみたい……」

マオ「そうか!ヌカちゃんはサトシといい勝負したんだもんね。戦力にならないワケがないよ!」

マーマネ「でも……ホントに大丈夫かな?」

ヌカ「せっかくあなた達が信用してくれてるんだもん!やるからには力の限りやる!それに……ウルトラジャーって生き物の心を読み取ること……それがマサラタウンのサトシの恩返しになるのなら、あたしは最後までやり遂げたい」

マオ「えっ?恩返し?」

マーマネ「詳しいことは後で聞こう!それよりも今度は向こうから攻撃が来るよ!」

トロピウス「カラララララ……!」ゴクリ


ベロベルト「ベヘヘヘヘヘヘ……!」
 ▼ 83 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/20 23:02:15 ID:Pt.YhzDU [3/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ズッ……!    ズッ……!


足や舌を引き摺り、マオ達と間合いを詰めるベロベルト。その鬼気迫る体格で威嚇し、隙の無さを見せつける。


マオ「どうしよう……何か良い手無いかな……」

マーマネ「態勢は崩せても今のところダメージを受けてる様子がないし、もっと大きな攻撃をぶつけた方がいいのかな?」

ヌカ「なら……トロピウス!『にほんばれ』!!」

トロピウス「カ ァ ァ ァ ァ … … !」


トロピウスの咆哮と共に真夏日の日差しが呼び寄せられる。サトシとニャヒートを苦戦させた『にほんばれ』だ。トロピウスの攻撃も回復も、この光によって強化される。

眩さに眼を覆うベロベルト。味方のポケモン達はこれから起こる良い予感に喜び跳ねまわる。


ヌカ「だけどトロピウスは『サンパワー』。体力を消費するからすぐにケリをつけないと」

マオ「……だね。この希望の光が消えないウチにとっとと倒してしまおう!」

マーマネ「いける……!トゲデマル、デンヂムシ!まだ勝負は始まったばっかりだよ!」

トゲデマル「までゅまでゅ!」

デンヂムシ「むぃ……     ……!?」


ス ゥ ゥ ゥ ゥ ゥ … …


マオ「……な、何この音」

ヌカ「あっ!? マオちゃん、あれ!」


ベロベルト「 ス ゥ ゥ ゥ ゥ ゥ ゥ ゥ … … 」


マーマネ「どうなってるんだ?光が……!」

マオ「そうか!あのベロベルト、特性が『ノーてんき』なんだ!」


『にほんばれ』の光が川のように流されていく。光の行きつく場所では、舌を垂らして大口を限界まで広げたベロベルトが、トロピウスの光をブラックホールの如く吸い寄せていた。

『ノーてんき』は、バトルの状況を大きく変える天候の力を無力化させる強力な特性。雨も霰も砂嵐も、ベロベルトにとっては餌にしかならないのだ。


ベロベルト「」ゴクリ

ヌカ「そんな……『にほんばれ』が使えないなんて……」

マオ「こうなったらもう一度総攻撃するしかない!まずはベロベルトに何としても膝をつかせないと!」

ヌカ「膝をつかせる……それなら足元を狙うのが一番だよね。やるよトロピウス!」

トロピウス「クルルルルル……!」
 ▼ 84 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/20 23:10:31 ID:Pt.YhzDU [4/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
マーマネ「うー……ん」

マオ「マーマネ!?どうしたの!隙を見せたらベロベルトに攻撃されちゃうよ!」

トゲデマル「まっでゅ!まっでゅ!」

マーマネ「わかってる。わかってるけど考えてるんだ。もっと効率良くバトルを有利にする方法……」

マオ「もう!しゃあないなぁ……時間稼ぎしてろって事だね。 アママイコ、『マジカルリーフ』!」

ヌカ「トロピウス、『エアスラッシュ』!」


ズ ダ ダ ダ ダ ダ ダ … … ! !


風の刃と葉の刃、入り交じった二つの刃はベロベルトの体を削り取らんばかりに襲い掛かる。

強靭な舌で足元をガードするベロベルトだが衝撃を吸収しにくい技でダメージを吸いきれず、柔らかい体に切り傷が増えていく。


ヌカ「どうやらこの手の技に弱いみたいだね。あのゴムみたいな舌を攻略するには力を一点集中させるといいみたい」

マオ「ヌカちゃん!あたし達勝てるよね……?」キラキラ

ヌカ「もちろん!」


ベロベルト「う゛ぇぇぇ゛えぇおお゛おぉぉ゛ぉ!!!」


ヌカ「……来る!」

マオ「割とここまでやりたい放題だったから結構怒ってるよ……身構えないと」ササッ

アママイコ「あま……!」ササッ


ベロベルト「ベルルル……」ザリザリ


マオ「な、何をしてるのかな、アレ」

ヌカ「地面に舌を擦り付けてる……あんなことをしたら砂が刺さってキズがもっと深くなると思うんだけど……はっ、マオちゃん!」

マオ「! は、はい!?」

ヌカ「次のベロベルトの攻撃は絶対に避けて!」


ベロベルト「 べ え゛ え゛ え゛ え゛ っ ! ! 」ビシュッ


砂粒をたっぷりと付着させたベロベルトの舌がアママイコを襲う。ヌカの指示通りに難なく一発目を躱したアママイコだが、舌を引っ込める間もなくベロベルトは二度目の舌パンチを突き出してくる。


ビシュッ!        バシュッ!         ビュアッ!       ゴッォ!!

アママイコ「あま〜!」

マオ「アママイコ!ひたすら避けて!……ねぇヌカちゃん!いつ反撃したらいい?」
 ▼ 85 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/20 23:16:03 ID:Pt.YhzDU [5/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ヌカ「そう!何があっても抵抗しないで!今のベロベルトの舌には絶対に触れちゃダメ!」

マオ「ねぇ、どうして?」

ヌカ「今のベロベルトの舌はただ技を防いだり重い一撃を与えたりするものじゃないってコト。砂粒をつけた今のベロベルトの舌に触れたら、アママイコの体にも砂が刺さってより大きいダメージを受けてしまうの」

マオ「あっ、それ……似たようなのをこの間見たことがある!」

--------------------------------------------------------------

-------三日前 ポケモンスクール-------

ククイ「アローラ!今日の体育は予告通り、隣のクラスと合同でポケベースのクラス対抗戦をしようと思う」

マオ「うぉぁっ!?スイレン、何そのバット!?」

スイレン「釘バットだよ。近頃物騒だから持ち歩いてる。今朝も通学路でポイ捨てした不良を2、3人シメてきた」

アシマリ「アォォ……」ガタガタ

サトシ「よく見たらちょっと赤くないそのバット……?」

スイレン「ウフフ」

--------------------------------------------------------------

マオ「あの舌は釘バットと同じだ!砂粒をたくさん付けて殺傷力を高めてるんだ!」

ヌカ「いや、何なの今の回想!?」


次々と突き出される舌を必死に避けるアママイコ。善戦しているように見えても、持久力に乏しいアママイコでは長くは持たない。


アママイコ「ハァ……ハァ……」

マオ「でもどうしよう。わかったところであたし達は逃げ回るしかないし反撃できなきゃいずれは敗けちゃうよ!」

ヌカ「大丈夫……あと10秒、耐えて」

マオ「10秒? ……アママイコ!あと10秒だって!10秒逃げ切って!」

アママイコ「……っ!」


ベロベルト「     う゛ ぇ ぇ ぇ ぇ ぇ あ゛ ! ! !     」


ド ス ゥ ゥ ゥ ゥ ン ! !


アママイコ「あまぁぁぁ!!」スッ

マオ「よしナイス!」

ヌカ「……あと6秒」
 ▼ 86 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/20 23:22:41 ID:Pt.YhzDU [6/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ド ス ゥ ゥ ゥ ゥ ン ! !


アママイコ「あまぁぁぁぁ!!」ゴロゴロ

マオ「よしよしよし!!危ないけどセーフだよアママイコ!」

ヌカ「……あと2秒」


ベロベルト「う゛ ぇ ぇ ぇ ぇ ぇ ! !」ビュッ!!


アママイコ「……ゼェ……ゼェ」ドテッ

マオ「! アママイコ!立って!また攻撃が来るよ!お願い!!」


アママイコの体力は尽きてしまった。戦闘能力が大きくかけ離れたベロベルトを相手に、攻撃を避けるだけで限界以上のスタミナを消費していたのだ。砂浜にへたり込んだアママイコ目掛けて砂と血混じりのグロテスクな肉の鞭が襲い掛かる。


アママイコ「まぃ……!」

マオ「アママイコォォォーーーッ!!」


ヌカ「          トロピウス!    『ソーラービーム』!!         」



                              ズ


                                 オ

                                オ


                                 オ

                              オ

                               ッ

                            !  !  !


マオ「……ヌカちゃん」

ヌカ「吹き飛ばせ!!」

トロピウス「ヴァアアアアアアアアアアアアア!!!」


アママイコが稼いだ時間、トロピウスは光を蓄えていた。黄緑色をした光線はベロベルトの砂付き舌よりも太く、速く、強かった。

光はベロベルトの腹に直撃すると、ベロベルトの重い体を難なく持ち上げ、浅瀬より少し奥の海に突き落とすと水平線の彼方まで突き抜けていった。



ド ボ ォ ォ ォ ォ ォ ォ ォ ォ ン  ! !
 ▼ 87 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/21 19:32:49 ID:pkQclqQ6 [1/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
トロピウス「カラララララ……!」ドヤッ

マオ「すっ…… S U G E E E E E ! !」

ヌカ「えへへ、黙っててごめんね。相手に気付かれるといけないと思ったから……」

マオ「そんなのいいよ!今のほど強い『ソーラービーム』見たことないよ!草ポケモン好きとして尊敬するね!」

ヌカ「そ、そんな……/// そんなこと……///」

マオ「うわぁいいリアクションだね。褒められ上手♪」スリスリ

ヌカ「ひゃうっ……!/// マオちゃんくすぐったいよぉ///」


マーマネ(勝負の途中でイチャつきやがって……でもさっきの攻撃は確かにスゴかった。不意打ちとはいえベロベルトの巨体を海に突き落とすなんて。 この勝負、やっぱり勝てるぞ!……僕の作戦も込みでね)


アママイコ「あま……」プルプル

マオ「アママイコよく頑張ったよ。ホントによく頑張った……あとはヌカちゃん達に任せてゆっくり休んでね」

アママイコ「まぁー……い」

マオ「おーーい!マーマネーー!もうシンキングタイムは終わりでいいーー!?」


マーマネ「あ、あぁうん!もうまとまったよ!これから説明をするからしっかり聞い……


                    ザ バ ァ ァ ッ ! !


マーマネ「!?」

マオ「ベロベルト……!」


海面に浮上してきたベロベルトの怒りは頂点に達していた。その眼からは紅い雫が垂れ、『ソーラービーム』でやっとのことでダメージ受けた弾力のある腹がベロベルトの呼吸に合わせて大小している。

ベロベルトは自分より弱い連中に弄ばれた屈辱を取り払うように自分の眼の周りを大きく舌なめずりすると、その舌先をマオ達の方へ向ける。


ベロベルト「コォォォォォ…………」


ヌカ「こ、今度は何? まさか『はかいこうせん』!?浜辺に上がらずにあの位置から撃ってくるつもり?」

マオ「そんな!?この方向に撃たれたら沢山の人達が助からないよ!」

ヌカ「それだけ勝負を急いでるんだ……でもやるしかない! 行って、トロピウス!!」

マオ「ヌカちゃん!?」


トロピウス「ガラララララララララ……!」ギュオオオオオオ


マーマネ「嘘っ!?速っ!!」

マオ「あっという間に沖まで飛んでっちゃった……」
 ▼ 88 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/21 19:38:18 ID:pkQclqQ6 [2/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ヌカの指示と共に、地を蹴って海の……いや、ベロベルトの方向へ急行するトロピウス。

体が重い故飛び立ちにくい弱点をもつトロピウスだが、ムラシ店長の実家から送られてくる米を食べ続けたヌカのトロピウスは脚の力が強くなっていた。矢のように突き進むシャープな飛行フォームの美しさはファイアローに匹敵する。


ベロベルト「……!?」


ベロベルトの一番の狙いは自分を最後に突き落としたトロピウスだった。『はかいこうせん』の射程範囲から高速で抜け出し、自分の眼前に迫るトロピウスにベロベルトは一瞬動揺する。


ヌカ「今だ!『エアスラッシュ』!!」

トロピウス「ク ル ル ォ ォ オ ォ ォ ォ ! !」


                        ザ ク ッ … … ! 


ベロベルト「べ……べぇぇ゛ぇ゛……」コォォォォ……


態勢が崩れながらも光線を放つベロベルト……だが、不意をついたトロピウスの一撃で転倒し、光線は空へと突き抜けていく。

再び海へ落ちるベロベルト。しかしまた浮かんでくるに違いないと、トロピウスはベロベルトの沈んだ場所の真下で待ち構える。


マーマネ「や、やった!」

マオ「ちょっとちょっとマーマネ、結局作戦って一体何さ?せっかくあたし達が時間稼ぎしてあげたんだからちゃんといいもの考えてあるんでしょうね?」

マーマネ「も、もちろんだよ!そりゃむとびっきりの作戦を……


                    ザ バ ァ ァ ァ ァ ! !


ヌカ「トロピウス!危ない!!」

トロピウス「!」


何かが海面を貫き、突然トロピウスの眼の前から飛び出した。現れた物体は瞬時にトロピウスの体を絡めとる。ベロベルトの舌だ。

ベロベルトの怒りはまだ収まっていなかった。むしろ溺れながらも重い体を引き摺り再び浮かび上がってきた執念深さは、ベロベルトの災難に次ぐ災難で更に高まった怒りそのものだった。


ベロベルト「う゛ぇ ぇぇ……う゛ ぇ え゛えぇ ゛ぇ…… ! !」デロデロ

トロピウス「ギギ……!」


マーマネ「なんて奴だ……あんな血だらけの舌にトロピウスを縛れるほどの力が残ってたなんて!」

マオ「さぁ出番だよマーマネ!早く作戦でトロピウスを助けてやって!」

マーマネ「えぇ今!?無理だよ!」

マオ「はぁ!?何でよ!?」

マーマネ「だってこの作戦は……その……」
 ▼ 89 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/21 19:46:51 ID:pkQclqQ6 [3/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
                   ……ガブッ!!

ベロベルト「!?」ザブッ


マオ「まずい!ベロベルトがトロピウスを海に引きずり込もうとしてる!」

ヌカ「粘ってトロピウス!もう一度『エアスラッシュ』だよ!」

マーマネ「でも何か……様子がおかしくない?」


ベロベルトは確かに舌で絡め捕ったトロピウスを海の中へ引きずり込むつもりだった。だがそうする前に、ベロベルトのいる海面で異常事態が起こっていた。

ベロベルトの周りが騒がしい。浜辺からは状況が見えないが、体が大きなベロベルトといえど、手足をバタつかせるだけではあれほどの水しぶきは起こらないのはマーマネもわかっていた。


マオ「様子がおかしいって……どういうこと?」

マーマネ「あっ、ちょっと見てほら!あれ!ベロベルトの周りにいっぱいいるのってもしかして!」

ヌカ「あれは……サメハダー!?」


サメハダーA「シャアアアアアク!!」

サメハダーB「スキィィィイン!!」

サメハダーC「…………!!」


興奮で紅く染まった眼から、トロピウスとアママイコの攻撃でついた舌の傷口から、ベロベルトの血は海に滴り落ちていた。その僅かな血の匂いを嗅ぎつけたサメハダーの群れが沖からエサを求めてやってきたのだ。


マオ「思わぬ救世主が来ちゃったね……」

マーマネ「うぷっ……でもダメだ僕こういうの」オェェェ

ヌカ「ト、トロピウス早く逃げて!あなたまで食べられちゃう!」

トロピウス「トロロロ……!」バサッ


ガツガツガツガツガツ……             バクバクバクバクバクバク……
         バリバリバリバリ……          グチャグチャグチャグチャ……


締め付ける力を失った舌を振りほどき脱出したトロピウス。海面に残されたベロベルトはサメハダーの餌食となる。

我先にと貪欲に獲物に食らいつくサメハダーの群れに水中戦で、それも体力を消耗した今敵うハズもなく、ベロベルトは海を紅く染めながらサメハダー達によって沖へと運ばれていった。


ヌカ「行っちゃった。サメハダー……ベロベルトも」

マオ「一応勝った……よね?あたし達……ねぇ!ヌカちゃん!」

マーマネ「あぁぁスッゴイ疲れた」ドテッ

マオ「あんたはほぼ何もしとらんやろうがっ」ガプッ

マーマネ「ギャアアアアア今の見た後に腕噛まないでよ!!」
 ▼ 90 ジョッチ@ホズのみ 18/07/21 19:46:56 ID:PQtgHRSI NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援!
銀色のやつらにも特性があるってことは、やっぱり元のポケモンの能力とかも引き継いでるのかな
 ▼ 91 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/21 20:06:42 ID:pkQclqQ6 [4/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
結末はどうあれ、結果は勝利。マオとマーマネはウルトラガーディアンズとして、ハウオリシティ・ビーチサイドエリアの防衛に成功したのだった。

いつの間にか辺りは人気が無くなっていたが、じきに戻ることだろう。戦いの最中身を潜めていた浅瀬のポケモン達は顔を出しはじめていた。


ピピピピピピピ……

マオ「おっ、バトルが終わった途端にルザミーネさんから通信が来たね。やっぱりあたし達の頑張りを見てくれてたんだ……感激☆」

マーマネ「まさか次の指令とかじゃないよね」

マオ「あたしはまだ体力あるよ。ウルトラジャーをこの眼で見るまで止められますかってんだ」

マーマネ「ようやるわ……」

アママイコ「あま……」

マオ「そうだ!アママイコを休ませないといけないね……」

ヌカ「マオちゃんのアママイコは今日のMVPだね」

マーマネ「マオ、ルザミーネさんからの通信に出ないと」

マオ「ほいほい」


ザオボー『はいはいこんにちはお二方。貴方がたへの通信は私、ザオボーがお繋ぎしていますよ』

マオ「アンタかよ」

ザオボー『どうせ私はハズレですよーだ。代表は只今リーリエお嬢ちゃんのチームへの通信やモニタ監視で忙しいのです』

マーマネ「いいなぁサトシとリーリエ……カキとスイレンには多分ビッケさんだろうね……ハァ」

ザオボー『何を溜め息をついているのです!お伝えする内容は一緒なのでそんな落胆することないでしょうに!』

マオ「だって話してても楽しくないし」

ザオボー『お、おのれ……コホン、まぁとにかくこの度は、謎の銀色の怪物の討伐ご苦労様でした。未知の生物にも屈することなく立ち向かう姿、立派でしたよぅ』

マーマネ「まぁね」

ザオボー『さて、一応礼儀として貴方がたへの労いはこれで済んだとして……早速こちらからの情報を提供しましょうか』

ザオボー『謎のウルトラビースト“ウルトラジャー”と、カラマネロやベロベルトの姿をして貴方がたの前に突如現れた銀色の怪物……何かしら関係があるように見えて、エーテル財団の力を以てしても未だ明確な関係はわからぬまま』

ザオボー『共通点といえば体が銀色であること!それ以外に共通点なんて見当たらない……しかし!よく考えてみなさい。貴方がたが見た銀色の怪物はいつ現れましたか?』

マーマネ「いつって、ついさっき……」

マオ「わかった!二匹ともウルトラジャーがメレメレに現れてからだ!」

ザオボー『ご名答!依然として両者の関係は分かりません、しかし!研究も謎解きも仮説が大事。ウルトラジャーを止めることさえできれば、銀色の怪物の発生も止まる可能性が決して無いわけではありません』

ザオボー『我々エーテル財団は暫定的に銀色の怪物達をウルトラジャーの生み出した特殊生命体とみなし、彼らを“ウルトラジャー・チルドレン”と名付けました』

マオ「えっ、もっかい言って?」

ザオボー『ウルトラジャー・チルドレンです。文句なら代表に言ってくださいな』

マーマネ「またリーリエがキレてるんだろうなぁ……」
 ▼ 92 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/21 20:12:02 ID:pkQclqQ6 [5/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ザオボー『時にそこの貴方!貴方ですよ。そこの見慣れない顔の貴方です』

ヌカ「わ、私ですか?」

ザオボー『先程の戦い見ておりましたよ……一般島民の分際でまぁ何ともウルトラガーディアンズの手柄を大方持っていくような真似をしてくれたではありませんか』

マオ「ちょっとソラマメガネ!ヌカちゃんはそんなつもりで協力してくれたんじゃないの!あたしがヌカちゃんの力が今回の任務に必要だと思ったから助けを求めただけ!」

ザオボー『ソラマメ……!?あのねぇ貴方がた、ウルトラガーディアンズが何の為に存在するのか知っているのですか?ウルトラビーストを元の世界に返す……そんな難しい任務をこなす勇気ある子供達をエーテル財団の監視下に置くためにあるのです!』

ザオボー『言ったでしょう?ウルトラガーディアンズのモットーは安全第一。貴方がたの勝手な判断でいちいち一般島民を巻き込んでいてはそれだけ私達の仕事が増えますし、万が一のことがあればエーテル財団の信用は落ちてしまうのですよ』

マオ「うっ……でも……」

ヌカ「ゴメンマオちゃん、やっぱり無理みたいだね……」


ルザミーネ『また子供達の興味を邪魔するつもりなのザオボー。責任はすべて私が取ると言ったハズよ』


マーマネ「うわっ!急に話に入ってきた」

ルザミーネ『ついさっきリーリエに怒られて通信を切られた所よ』

ザオボー『だ、代表!しかし、いくら責任を取るといっても一般島民ましてや子供に協力してもらうわけには……』

ルザミーネ『貴方、名前は何ていうんだっけ?お家はどこ?』

ヌカ「ぬ、ヌカって言います。最近アローラに引っ越してきたばかりで……えっと、家は炊飯器屋をやってます」

ルザミーネ『あら、ウチのリーリエが昨日お邪魔したお店の子?新しいお友達ね。これからウチの子がお世話になります♪』

ヌカ「え、えへへ……」

ルザミーネ『さて……本題に入るけども、マオちゃんが貴方の協力を得ようとしているのはなぜ?』

マオ「ヌカちゃんは炊飯器の心が読めるんです!ウルトラジャーがもし炊飯器と同じ生態をした生物だとしたら……ウルトラジャーの心だって読めるかもしれないからです」

ザオボー(炊飯器の生態ってなんやねん)


ルザミーネ『成程ね……わかったわ!ヌカちゃんをこの任務の最重要人物とし、一時的なウルトラガーディアンズの入隊を許可します!』ビシッ

ザオボー『ゑゑゑゑゑゑゑゑ!?』

マオ「やったね!これでヌカちゃんもウルトラガーディアンズだよ!」

ヌカ「あ、ありがとう……その恰好は勘弁だけど」

ルザミーネ『後はライドギアだけど……丁度飛行タイプのトロピウスを持ってることだし、トロピウスでのポケモンライドも許可するわ』

トロピウス「♪」


未知のウルトラビースト「ウルトラジャー」と銀の怪物「ウルトラジャー・チルドレン」。

マオが信じてやまないヌカの神秘の能力は、強大な力に立ち向かう為の切り札となる……


マーマネ「……といいんだけどね」
 ▼ 93 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/21 20:13:11 ID:pkQclqQ6 [6/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
次のおはなし



第6話(全13話)「アホ二人」
 ▼ 94 ンバス@ドリームボール 18/07/21 20:26:05 ID:JI1cv0vQ NGネーム登録 NGID登録 報告
ホウスイのおませさん感好き
支援
 ▼ 95 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/22 22:43:01 ID:kiLQCTF. [1/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
炊飯器の心が読める。そんなピンポイントすぎる超能力少女・ヌカをウルトラガーディアンズに引き入れることに成功したマオとマーマネ。

一方で、傷ついたポケモンの回復とピカチュウ達に変わるメンバーをオーキド研究所から呼び出すためにポケモンセンターにやってきたサトシとリーリエは、ニャヒートの風邪見舞いに来ていたバーネット博士と合流する。


ニャヒート「うにゃ〜」

バーネット「39度3分ね。中々調子はよくなってきたんじゃないかしら」

サトシ「いやダメでしょ。それだけあったら」

リーリエ「ニャヒートやペルシアンなどの猫型ポケモンは人間よりも平熱が少し高いのですよ」

サトシ「ふーん……それにしてもゴメンなニャヒートぉ。昨日も言えばすぐに止めてあげたのに」ナデナデ

ニャヒート「んにゃぅ〜」

バーネット「その気持ちがあれば良し!ニャヒートもサトシが来てくれて喜んでるみたいだし」


リーリエ「ハウオリに現れたという銀色の怪物の件……マオ達はうまくやったみたいですね」

サトシ「『ウルトラジャー・チルドレン』だろ?リーリエ!」

リーリエ「イヤです恥ずかしい。……怪物はベロベルトの姿をしてるって言ってました。次に現れるとしたら、一体どんな姿で私達の前に現れるのでしょうか……」

サトシ「どんなヤツが来ても、オレと『コイツ』で倒してやるさ。……リーリエだって信用してもいいんだぜ?オレのポケモンはみんないい奴だから、リーリエの期待にも応えてくれると思うぜ」

リーリエ「……私の期待にも、ですか」


サトシだけでなく、リーリエもサトシのポケモンが入ったモンスターボールを受け取っていた。「リーリエと相性の良いポケモンを」、そう言ってサトシが選んでくれたポケモンは、サトシと旅をしたあの時と変わらず元気な姿を見せてくれた。


サトシ「後さ、ヌカも仲間になってくれたことだし、今ならもうウルトラジャーにだって簡単に敗ける気しないよ!」

ロトム「そうだ!その子に会ってトロピウスのデータを記録しないとロト!」

リーリエ「サトシは色んな方を頼りにしているのですね。人もポケモンも……」

サトシ「そりゃそうさ。……オレ一人じゃ何もできなかったもの。今までだってずっとそうだ。色んな人に、ポケモンに助けられて今の自分ができてるから」

リーリエ「フフ、サトシにも意外と謙虚なトコロあるんですね♪」

サトシ「い、意外と?」

ロトム「サトシは持ち上げるとすぐ調子に乗るタイプロト。少なくとも表面上は謙虚とは程遠いロト〜」

バーネット「だはははははwww言えてるwww」

ニャヒート「にゅぅ〜」

サトシ「え゛ぇ!?」
 ▼ 96 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/22 22:46:34 ID:kiLQCTF. [2/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ピピピピピピピピ……


リーリエ「あっ?これってひょっとして……」

バーネット「あら、緊急指令のようね。『ウルトラジャー』に動きがあったか、どこかで『ウルトラジャー・チルドレン』が発生したかのどちらかが起こったみたい」

サトシ「どっちだ!?『ウルトラジャー』ならオレとコイツで……

リーリエ「サトシ、その事で相談があります! この緊急指令、もし『ウルトラジャー』のものでなければ、私に任せてくれませんか?」

サトシ「えっ?大丈夫かよ?」

リーリエ「論理的結論として……今の『ウルトラジャー』と太刀打ちできるのは、おそらくサトシ達だけかと。なので私達はなるべくサトシ達の負担を減らすべくサポートに回りたいのです。これはシロンとの合意です」

シロン「こんっ!」

サトシ「でも……

バーネット「二人とも、早く通信に出てあげて」

サトシ「あぁっと!も、もしもし?」

ルザミーネ『あぁ二人とも通信にヤットデタマン……じゃなくてサトシ君、リーリエ!メレメレを観測してる職員からの情報よ!ハウオリ霊園付近に“ウルトラジャー・チルドレン”が出たわ!目標に一番近いグループは貴方達だから出動指令を二人に出すわ!準備はいい!?』

サトシ「ウルトラジャー・チルドレン!?……ってことは」チラッ

リーリエ「……」コクリ

サトシ「ウ、ウルトラジャー!すぐに向かいます!」

バーネット(今のは本来の「了解」の意味のウルトラジャーね。相変わらずややこしいわ)


サトシ「バーネット博士!それじゃあ行ってきます!」

バーネット「サトシ君のかつての仲間が加わって……新生ウルトラガーディアンズの活躍、期待してるわよ。ただルザミーネからも言われてるように無茶はしないこと。いい?」

サトシ「大丈夫だよ博士!」

バーネット「特にアンタねリーリエ。リーリエの事だから、ちゃんと言った言葉相応の責任は感じてるだろうけど」

リーリエ「必ずやり遂げてみせます!私にはこの子達がいるんですもの」

シロン「こんっ!」

モンスターボール「…………」



チルタリス「チュルルルルル……」

ガブリアス「お゛↓え゛↑お゛↓」


リーリエ「ハウオリ霊園といえば……ほら、サトシ。今朝も『ウルトラジャー』に関する事件があったところではありませんか。やっぱり今現れた怪物も……」

サトシ「……行こう!」

シロン「こんっ!」
 ▼ 97 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/22 22:50:57 ID:kiLQCTF. [3/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
-------2番道路-------


事件のほとぼりも、未だ冷めやらぬ。警官達の野次馬狩りも一段落したと思えば、今度の敵は銀の怪物「ウルトラジャー・チルドレン」。

三匹目となるこの個体も例に漏れず、その強さで警官達を薙ぎ払う。


警官C「ガーディ、『かみつく』!」

警官D「ヤングース、『たいあたり』!」

???「…………」


                    ザ ン ッ ! !              ズ ド ッ ! !


警官C「ごぼっ……」

警官D「参ったな……無線機もアイツに壊されて応援も呼べないし……ハハ、こりゃ死ぬぜオレ達」

警官C「この近くは霊園だ……骨ならすぐ墓に埋めてくれるだろうし、葬儀代が浮くかもな」

警官D「バカな冗談はやめろよ……ぐっ!」



サトシ「いたぞ!あそこだ!」

リーリエ「……!」

サトシ「遅かったか……もうケガ人がいるぞ。リーリエ!やっぱりここはオレに任せてくれ!リーリエは警察の人達と一緒に病院に……

リーリエ「何を言うのです!今のサトシのライドウェアにはお母様達がサトシの安全を確認するためのGPS発信機がないからサトシ一人の単独行動は危険です!病院に行って戻って来るだけなら発信機が無くてもギリギリ安全でしょうし、バトルは私がやります!」

サトシ「危ないのはどっちだよ……」

ロトム「危険ロト!あんな凶暴なポケモンと真正面でやり合うなんてリーリエには無理ロト!」

リーリエ「危険だからやるんです!サトシの役目はウルトラジャーを止めることですから。ここで体力を使うわけにはいきませんよ」

サトシ「うーーーん……」

リーリエ「サトシ……」バッ


リーリエはモンスターボールをサトシの眼の前に突きつけた。サトシのポケモンのボールだ。


リーリエ「私が信じられないのなら『この子』を信じてください!『この子』が私と一緒に戦ってくれるんです。『この子』が頑張る度に期待を抱いていた貴方ならこんな時、私を信用しますか?しませんか!?」

サトシ「ぐっ……   わかった」

ロトム「ゑゑ!?」

サトシ「でもウルトラガーディアンズは『安全第一』、だぜ?」

リーリエ「わかリーリエです!」ビシッ
 ▼ 98 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/22 22:54:03 ID:kiLQCTF. [4/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サトシ「さぁついて来てください!ウルトラガーディアンズです!」

警官C「えぇ……何その恰好」ドンビキ

警官D「誰かが助けに来たと思ったら子供がこんなところで……な、何してやがる。アイツは危険すぎる。お前らの命だって危ないぞ……」


ノクタス「ボコボコボコ……」


ロトム「ノクタス カカシぐさポケモン 草/悪タイプ。砂漠の日差しで水分を失わないように昼間はじっと立ち尽くしている。気温の下がる夜に活動を始める」

サトシ「今度の『ウルトラジャー・チルドレン』はノクタスか。『ニードルアーム』を使う草タイプのポケモンだっけか……じゃあリーリエ!後は頼んだぞ!」

リーリエ「サトシもがんばリーリエ!ですよ!」

警官C「お、おい!あんな女の子一人残して大丈夫なのか!?」

サトシ「大丈夫です!リーリエにはオレの仲間がついてるんで!」

警官D「チッ……これじゃメレメレ警察のメンツが立たんぜ……お嬢ちゃん、せいぜい刺し殺されんように気をつけることだな」


サトシが警官達を病院へ送り出し、一人になったリーリエ。……いや、彼女は一人ではなかった。


リーリエ「ありがとう、サトシのポケモンちゃん……貴方のお陰でサトシのお仕事が少し減りそうです」

シロン「こんっ!」

リーリエ「貴方もねシロン。サトシってば、ポケモンの言う事なら素直に聞くんだから……」


ノクタス「ポコポコポコポコ……」


リーリエ「あの銀の体、相変わらず不気味……いや、冷静に考えましょう。カキと戦ったカラマネロは大勢の野生ポケモンを従えて襲ってきました。でも今の相手はたった一体。私なんかでもサトシのポケモンとシロンがいれば勝てない相手じゃないです!」

リーリエ「さぁ出てきてくださいオニゴーリ!私でよければ、どうか力を貸してください!」


オニゴーリ「      ゴ ォ ォ ォ ォ ォ ォ ォ ォ ォ … … ! !     」


--------------------------オニゴーリ。ホウエン地方・イザベ島にてサトシが出会った氷タイプのポケモン。サトシとの特訓の末完成させた『れいとうビーム』で、サトシのホウエンでのバトル修行を支えてきた。

厳つい顔つきながら人懐っこい性格でサトシの友達と知るや否や、リーリエにもすぐに懐いた。この人見知りの無さがサトシがリーリエのために彼を選んだ理由だ。


リーリエ「……」ギュッ

オニゴーリ「ごご?」

リーリエ「フフ、ひんやりしてていい抱き心地です♪ サトシは貴方を頼りにしていると言っていました。……短い間だけど一緒にがんばリーリエ、しましょうね」

オニゴーリ「ゴォォォッ!!」

リーリエ「そうですGOですよ!行ってらっしゃい! まずは素早い動きでノクタスを惑わせて!」


ノクタス「……!!」
 ▼ 99 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/24 19:57:59 ID:qoDA1b/w [1/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
オニゴーリの闘志に炎が灯る時、大きな頭からは冷気が吹き出す。外は冷たく内は熱く、未知のポケモンにも怯まないオニゴーリの特性は『せいしんりょく』。

宙に浮いていることを生かした機動力と、鉄をもすり潰す頑丈な顎から成る威圧感でノクタスを翻弄する。反撃を試みるノクタスだが、凶暴な性格故にか正確さを欠いた力任せの攻撃を繰り返す。


ノクタス「ヴォォォォォォ!!」ブォォォン! ブォォォン!

オニゴーリ「ゴォォッ」ヒョイヒョイ


リーリエ「いいよ!いいですよオニゴーリ!ノクタスを攪乱させたら次は『かげぶんしん』!」


ババババババババ……


リーリエとオニゴーリの初手攪乱作戦は『かげぶんしん』で更にノクタスに追い討ちをかける。逃げ回っていた敵がいきなり大勢現れ、一瞬たじろぐノクタス。


ノクタス「ウ゛ォォォォ……」ズドドドドド


リーリエ「むっ、『ミサイルばり』ですか。分身に紛れてうまく避けてくださいね」


機動力と『かげぶんしん』でノクタスの動きを完全に止めたかと思いきや、的が増えたとばかりに飛び道具を使うノクタス。

しかし正しい的はただ一つ。針を撃ちまくるノクタスを尻目に、下手な鉄砲数撃っても当たるまいとばかりにオニゴーリは分身を盾にしながら『ミサイルばり』の射程から離れていく。


ノクタス「……!」ズドドド

リーリエ「いけない!ノクタスに気付かれました!オニゴーリ、『れいとうビーム』!」

オニゴーリ「コォォォォオ……!!」


ノクタスは荒くれながらも、オニゴーリの本体の不自然な動きに気付く。本体目掛けて放った『ミサイルばり』は『れいとうビーム』と相討ちになった。

互いの力はほぼ互角だが、速さではオニゴーリが少し有利。しかし相手は今まで仲間達を苦しめてきた「ウルトラジャー・チルドレン」の一匹。多少の優勢ではリーリエは気を抜かない。


リーリエ「当然です。私を含むクラス6人の中で行った『調子に乗りにくそうな人ランキング』トップの実力、舐めてもらっては困ります」

リーリエ「『かげぶんしん』は全てやられてしまいましたが……この勝機、絶対に無くすわけにはいきません! オニゴーリ、『れいとうビーム』!」


飛び道具以外では到底届かないであろう高さまで浮き上がるオニゴーリ。空から地へ、稲妻のように冷気を噴き出す。

対して降り注ぐ『れいとうビーム』を避けるノクタス。もはやまともに技も当てられなくなった今、銀の体に刻まれた妖しく光る赤黒い瞳は、オニゴーリとは別の方向をじっと睨んでいた。


リーリエ「サトシのポケモンと一緒なんです。絶対に敗けるわけには……

ノクタス「……ニッ」


                       プ ス ッ


リーリエ「……は?」
 ▼ 100 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/24 20:03:04 ID:qoDA1b/w [2/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
シロン「こ、こんっ!こんっ!」

リーリエ「う゛っ……!?」ガクッ


オニゴーリ「!!」

ノクタス「ファファファファ……」


リーリエ「ま、まさか、ノクタスはこれが狙いで……?」


音もなく、串のように太い銀の針がリーリエの左肩に突き刺さる。ふと体に違和感を覚えた後、自分の肩の針を見た途端に強烈な痛みを感じたリーリエは座り込む。

血はほとんど出ていないが、無理に引っこ抜きでもすれば大量出血を起こしかねないくらいには深く刺さっている。

最初からノクタスの狙いはリーリエだった。乱暴な攻撃をする振りをして自分からオニゴーリを遠ざけるように誘導し、リーリエに密かに狙いを定めていたのだ。

相手のポケモンの弱点はトレーナー……ノクタスはそれを理解していた。


オニゴーリ「!? ご、ごぉっ!」

リーリエ「こ、来ないでください!今間合いを詰めればノクタスの攻撃が当たりやすくなってしまいます!」 

リーリエ「油断していました……ノクタスは攻撃の当たらない貴方を狙うのを諦めてこちらを攻撃してきたのです。ノクタスは見破ったのです。今の貴方の弱点は私だってこと……きっとこれは貴方への挑発です!この手には乗らないで!」

ノクタス「クククク……」


ノクタスの腕の棘に反射した陽の光がリーリエの恐怖を煽る。平たい足が一歩一歩とリーリエとシロンとの距離を詰めていく。

リーリエの前に出て、少々頼りない小さな体で彼女を庇おうとするシロン。真正面からの勝負では敗北は避けられないが……


ノクタス「コォォォォォ……!」ゴゴゴゴ

リーリエ(腕を振り上げた!あれは『ニードルアーム』!)


リーリエ「今ですオニゴーリ!上から『れいとうビーム』!!」


ノクタス「!?」


                        ビ シ ャ ア ア ア ア  ア ア … … ン ! !


ノクタス「ノ゛ッ……ノ゛ッ……」カチーン


オニゴーリ「ゴォ……」ホッ

リーリエ「フフ、随分と早い反応でしたね。そんなに私を助けたかったのですか?」
 ▼ 101 リルリ@おこづかいポン 18/07/24 20:32:39 ID:uOtwIA7s NGネーム登録 NGID登録 報告
調子に乗りにくそうな人ランキング気になるwww
支援
 ▼ 102 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/24 21:00:04 ID:qoDA1b/w [3/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
気合を込めた腕「だけ」を既のところで凍らせたオニゴーリ。ノクタスは巨大な氷柱に腕を突っ込んだような恰好でもがいている。

オニゴーリは冷静でなかった。そのためリーリエの制止がなければノクタスに体当たりで突っ込み、彼の策の前に敗北していたことだろう。


オニゴーリ「ゴォ!ゴォ!」

リーリエ「ひょっとしてサトシの期待がプレッシャーになって……? フフ、そうですね。だとしたらサトシには後で文句を言わないと。こんなに優しくて頼もしい貴方を焦らせてしまっているのですから」

オニゴーリ「(; ・`д・´)」

リーリエ「冗談ですよ♪ ……勝ちますよ。絶対」


ノクタス「 ダ ァ ア ア ァ ア ァ ァ ! ! 」


バキバキバキバキバキ……!!


リーリエ「……! なんて力!」


『ニードルアーム』の力を利用し、自分の腕が埋まったまま氷柱をへし折るノクタス。リーリエから目を離し、巨大な槍を構えたような出で立ちで残った氷柱の残骸を見る。先端を失った後の断面は平らで、何か乗れそうだ。


リーリエ(まさかあの柱の断面を使って……きっとそうだ。ノクタスはオニゴーリのいる高さまで飛ぶつもりです!)

リーリエ「オニゴーリ!ノクタスから離れて!」

オニゴーリ「!」

ノクタス「……ククッ」


ズババババババッ!!


オニゴーリ「がっ……」

ノクタス「フォッフォッフォッフォッ」


リーリエ「オニゴーリ!!」


リーリエ達はまたしてもノクタスの策に嵌められた。ノクタスが視線を氷柱の断面に移したことで対策を練ろうと指示を急いだリーリエ。次の狙いはリーリエの指示で氷柱から距離を取るであろうオニゴーリだった。

ノクタスの予想通りに動いてしまったオニゴーリは『ミサイルばり』を受け、ふらつきながらゆっくりと地面に落ちてくる。


オニゴーリ「ゴォォ……!」キュイイイイイ

リーリエ「オニゴーリ!危ない!!」


攻撃を受けて反応が鈍りながらもノクタスに狙いを定め『れいとうビーム』の態勢に入るオニゴーリ。しかしその執念深さに怯まず、ノクタスは腕に装着した氷の槍を容赦なくオニゴーリに叩きつけた。


ガ シ ャ ア ア ア ア ア ア  ア ア ア … … … … ン ! !
 ▼ 103 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/24 21:02:55 ID:qoDA1b/w [4/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
オニゴーリ「」ドサッ

ノクタス「コォォォ……」

リーリエ「嘘……」


オニゴーリを殴った衝撃で砕けた槍の中から、再び棘を生やした腕が現れた。

地面に落ちたオニゴーリを見下ろすノクタスは勝利を確信していた。残るは手負いの少女と弱そうな子狐一匹。いずれも一撃で仕留める自信があったからだ。


ノクタス「フォフォフォフォ……」ゴゴゴゴ


リーリエ「あの構えは『ニードルアーム』……ならこっちにだって考えがあります。シロン! 『あられ』!」

シロン「 コ ォ ォ ォ ン ! ! 」


窮地のリーリエを救うべく、シロンの叫びが呼び起こすは季節外れの雪霰。パラパラと地面を叩く氷の粒が微力ながらとばかりにノクタスを襲う。


ノクタス「グォッ……ゴォォォ!」

リーリエ「来ますよ!シロン!」

シロン「!!」


スカッ……


氷の封印から解かれ、力を取り戻した腕をありったけの力で振るうノクタス。渾身の『ニードルアーム』は確かにシロンを捉えていた。『ニードルアーム』を放ったのは『あられ』を呼び起こすためにシロンが吠えていた場所なのは間違いなかった。だが……


ノクタス「……!?」キョロキョロ


シロン「こんっ!」

リーリエ「よし……何とかうまくいきましたね!『ゆきがくれ』!」

プチュッ

リーリエ「あぐ!! ……いたた、ちょっと興奮しすぎて傷口を開けてしまいました……大丈夫です!針は抜けてないです」


ノクタス「ググググ……!」ピキピキ


リーリエ「何ということ……オニゴーリがやられてしまいました。彼は私達を守ってくださったのに……ですが私とシロンがまだ残っています!」


リーリエ「ノクタス、今降り注いでいるこの霰は、私達が貴方との真正面からの勝負を突きつけたことを意味しています。私達の希望だったオニゴーリを倒すほど強い貴方であれば、この戦いに乗ってくれますよね?」

ノクタス「……?」

シロン「???」

リーリエ「シロン! ……しーっ、今はね」
 ▼ 104 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/24 21:08:12 ID:qoDA1b/w [5/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
霰の粒に紛れてノクタスの渾身の一撃を回避したシロン。降り続ける氷の粒。この二つに苛立つあまり弱くても一匹でも多く潰したくなったノクタスにとって、自分より格下の相手が正面から突っ込んでくるなど願ったり叶ったりの事だった。

ノクタスはもちろん勝負を選んだ。


ノクタス「ゴォォオォッォォオオオ!!」ダッ


リーリエ「来る! シロン!受け止めて!」

シロン「…………」ガタガタガタ

リーリエ「……受け止めなくていいよ。そのままじっとしてて」ボソッ

シロン「……?」


ノクタス「カ ァ ァ ァ ァ ァ ァ ァ ! !」


リーリエのいる場所へ突進しながらも霰でダメージを受けるノクタス。だが気温の低下したこのフィールドはノクタスにとっても少々都合がよかった。ノクタスは本来、夜の砂漠のような寒い場所で行動するポケモンだからだ。

痛みと恵み、不利と有利の狭間で、ノクタスは今度こそ『ニードルアーム』をヒットさせようとする。


リーリエ「          今よ! オニゴーリ!!          」


……背後からせまる、強大な冷気に気付くことさえなく。


                        ビ

                         シ

                          ャ

                          ア
                         ア
                          ア
                         ア

                       ! ! !


ノクタス「ゴッ……オ゛ォ゛……!?」


パキパキパキパキパキ……


オニゴーリが氷柱を使ったノクタスの攻撃を受ける前からチャージしていた『れいとうビーム』が背後からノクタスの全身を凍らせる。オニゴーリの『せいしんりょく』は、自分と同じ氷の一撃で途切れるほど軟弱ではなかったのだ。


シロン「こぉん……」

リーリエ「敵を欺くには味方からって言うしね、ごめんなさいシロン。……シロンの『あられ』で冷気をフィールド中に分散させなければ、強力な冷気を纏った『れいとうビーム』だと背後からでもノクタスに気付かれてしまうかもしれなかったから……」

リーリエ「オニゴーリをサトシに呼んでもらった時から、どうにかしてオニゴーリと貴方の力を組み合わせることができたらと考えていたのです。ごめんね」

シロン「こんっ♪」
 ▼ 105 ルマユ@まんぷくおこう 18/07/24 21:08:26 ID:.oZsGFvM NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 超 絶 支 援

リーリエがケガを負いながらも冷静に戦おうとするとか最高
 ▼ 106 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/24 21:11:49 ID:qoDA1b/w [6/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
オニゴーリ「ごぉぉー」

リーリエ「フフ…… それにしても……」


持ち前の『せいしんりょく』で放たれた『れいとうビーム』の冷気はノクタスを包み込み、巨大な氷柱を築き上げていた。4mはあろう透明な三角柱の天辺を、リーリエは見上げる。

氷漬けになった銀のボディの美しさに一瞬息をつきそうになったが、我に返って自分の頬を何度か軽く叩く。


リーリエ「……まだ終わってないようですね」


ピシッ


シロン「!?」

リーリエ「シロン!……オニゴーリも!もう少しの辛抱です。私もここまでサトシの戦い方を見様見真似でやってきましたが……そろそろ頭の引き出しが限界です。もう少しだけ、あと少しだけ……頑張ってくれますか?」

オニゴーリ「ごぉ!」

リーリエ「ウフフ、無茶はもう慣れっ子……ということでしょうか。サトシのポケモンですものね。 ……さぁ最後の作戦です。急ぎましょう!ノクタスが出てきます!」




                         ピキピキピキ……


                         ピキピキピキ……



                 ガ  シ  ャ  ア  ア  ア  ア  ア  …  …  ッ  !  !



ノクタス「ゼェ……ゼェ……」


固い固い氷を力づくで破り脱出したノクタス。体力は残り僅かだが相手も同じ筈、とっとと手負いの小娘を刺し殺して動揺した冷気使いを2匹一遍に捻り潰そう

……と、辺りを見回すと、その光景に彼は青ざめた。


ノクタス「……!?!?」


リーリエ「これが私達のチームの最後の砦です!どれが本物か見破ってごらんなさい!」


辺り一面、見渡す限りのオニゴーリの『かげぶんしん』。さらに分身の一つ一つにリーリエとシロンが乗っかっている。オニゴーリはリーリエ達もろとも自分の姿を至る場所に投影したのだ。

焦るノクタス。しかし実体には実体の性質がある。オニゴーリ特有の大きな冷気を感じた場所に本体はいると冷静さを取り戻すが……


ザ ク ッ ! !


最初に攻撃が飛んできたのは、実体も『かげぶんしん』もない、ただの地面からだった。
 ▼ 107 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/24 21:15:28 ID:qoDA1b/w [7/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ノクタス「ゴォッ……!?」


リーリエ「本で読んだことがあります。オニゴーリは氷を自由に操ることのできるポケモンだと。ノクタス、貴方が食らったのは、貴方が砕いて地面に散らばった氷柱の欠片です!」


ガラスのように鋭く尖った氷の片は、次々にノクタスに突き刺さる。一刻も早く本体を叩いて宙に舞う氷片を止めなければと、ノクタスは無数のオニゴーリの分身に向かって『ミサイルばり』で反撃する。


ノクタス「ダァァァァァァァ!!」ズダダダダ


リーリエ(もう少し……あと少し体力を削れば……)


次々に消えていくリーリエ達の虚像。本物のリーリエはそれをただ眺めるのみ。その間にオニゴーリはひたすらに念じながら氷の片を散らし、ノクタスにダメージを蓄積させていく。



ノクタス「フーッ……フーッ……」

リーリエ「くっ……!」


全ての分身を消し去ってもなおノクタスは立っていた。ノクタスはついに、自分の高さよりも少し上にいるリーリエとシロン、オニゴーリの本体を見つけた。

ノクタスの拳が震えあがる。ノクタスの『リベンジ』だ。度重なる攻撃に耐え、復讐に燃えるその右拳は、今までの攻撃の何よりも速い速度で空を切り、オニゴーリの顔面で爆音を立てた。


ノクタス「……フォフォフォフォ」

オニゴーリ「ガッ……ォ゛……」

リーリエ「オニゴーリ……これで……」


オニゴーリが戦闘不能になれば、氷の刃は舞をピタリと止める。あまりの攻撃力に気を失えば、それで止まる。

ノクタスの今の一撃で、オニゴーリを仕留めることができたのなら。


オニゴーリ「……」ニヤリ

リーリエ「……シロン、ナイス『オーロラベール』、です!」

シロン「こぉんっ!」


ノクタスの最後の『リベンジ』を受けるも、シロンの『オーロラベール』でオニゴーリは瀕死を免れた。

リーリエ達の戦いは、一番大きな氷柱の欠片がノクタスの背に突き刺さる音で幕を下りた。



                         ド

                         ス

                         ッ

                      !  !  ! 
 ▼ 108 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/24 21:37:29 ID:qoDA1b/w [8/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
※訂正
>>107
幕を下りた→幕を下ろした 


\めんご☆/
 ▼ 109 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/25 20:36:28 ID:ywkgzdlI [1/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
-------30分後-------


リーリエ「……んむ」

サトシ「あっ、おはよう! ……じゃなくて、ゴメン、だよね。こういう時」

リーリエ「ここは……?」

バーネット「ポケモンセンターだよ。『ウルトラジャー・チルドレン』との戦いで倒れたあなたをエーテル財団の救護班が見つけて運んでくれたの。たった一人で倒しちゃうなんてスゴイじゃないのよ」

リーリエ「そうだったのですか……サトシもお疲れ様です。病院でのお仕事」

バーネット「それがね、サトシったらリーリエが戦ってる最中に病院から戻ってきてたんだって」

リーリエ「えっ!?じゃあ私のバトル、途中からずっと近くで見てたってコトですか?」

サトシ「うん……/// ダメだと思ったらすぐ助けに行こうとは思ってたけど……オニゴーリは期待してた通りだったし、リーリエ達も思いの外頑張ってたからオレが出るタイミングが無くて」

バーネット「タイミングなんていくらでもあったやろがい!」バシッ

サトシ「おごっ」

サトシ「……バトルが終わって倒れたリーリエのところに駆け寄ろうとした時、バッタリエーテル財団の人に出くわしちゃって……物凄い怒られた後、通信機越しにリーリエのママにも怒られちゃった」

バーネット「本当ならそこで謹慎処分になるところだけど……ルザミーネの器の大きさにサトシは助けられたわけ」

リーリエ「ハハ、災難でしたね……」

バーネット「一番災難なのはあんたやろがい」

リーリエ「……でも、ちょっと嬉しかったかな。サトシは結局、私を信用してくれていたわけですから。 ホラ!ここを出る前に博士が言ってたじゃないですか」

----------------------------------------------------

リーリエ「もう!スカル団のこと言えませんよサトシ!トレーナーたるもの体調の管理はしっかり行わないと」

バーネット「サトシは体調よりもポケモンの『気持ち』を見るタイプのトレーナーだと思うわ。ねぇ?」

サトシ「えへへ、わかってるね博士」

リーリエ「もう……」

-----------------------------------------------------

リーリエ「昨日サトシは風邪の心配よりも、バトルに対してのやる気を買ってニャヒートをバトルに出して……それが正しいのかどうかわかりませんが、それがサトシという人なのだとしたら、貴方は私にもニャヒートと同じ事をしたに過ぎない、と考えています」

サトシ「う゛ぅ……褒められてるのか責められてるのか……」

バーネット「両方ね。……でもさリーリエ、あなたはそれでよかったの?」

リーリエ「はい!だって私は戦いたかったんですもの。サトシはその気持ちを汲んでくれただけです。戦う理由はともかくとして、オニゴーリとバトルができてとても楽しかったです!」

サトシ「ハハハ、頼れるヤツだったろ? あと、シロンも頑張ってたよな」

リーリエ「えへへ……///」
 ▼ 110 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/25 20:45:38 ID:ywkgzdlI [2/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
リーリエ「サトシ、私は……オニゴーリになれたでしょうか?」

サトシ「(; ・`д・´)???」

リーリエ「貴方に頼りにされるような仲間になれたかということです。貴方の眼の届かない場所に私がいても、お互いにいつでも心置きなくがんばリーリエできるような関係になれましたか?」

サトシ「……リーリエはどう思う?」

リーリエ「え?聞き返します?えーと……

バーネット「ハイハイハイハイ不毛な話はよしましょう。答えはお互いが知ってるハズだから無理に言葉にする必要無し!それよりも……今回の件はキッチリ反省することね。二人とも」

バーネット「リーリエ、『ウルトラガーディアンズ』は隊員の安全第一!これからは無理のない範囲で自分の役目を果たすこと。サトシは……もうルザミーネから散々聞かされてるわね」

リーリエ「あ、あの……私の今後の活動は……」

バーネット「ダメに決まってんでしょうが!今日一日……いや、数日は安静にしてもらわないと。キズを残しておいたら日常生活に支障が出るわ」

リーリエ「そんな……」

バーネット「『そんな……』はこっちじゃ。エーテル財団の御令嬢に財団職員がこれ以上無茶させられますかってんだ」

バーネット「後、サトシはまだやらなきゃいけない仕事もあるし、その時までしっかり休んどくように。私からは以上ね。ちょっとニャヒートの様子を見てくるから、大声で騒いだりして迷惑をかけないように、以上!」

♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪

リーリエ「……はぁ。ボロボロになって頑張ったのに怒られちゃいました。ねぇサトシ」

サトシ「ん?」


リーリエ「アホですね。私達♪」

サトシ「ハハ、いい意味でね♪」



バーネット「ダメダコリャ」



-------同じ頃 ポケモンスクール-------


ベベノム「〜♪」

ククイ「もしもし……うん、あぁ、そうか。まだ皆頑張ってるんだな。こっちはもう職員会議も済んだというのに……大人よりも子供が働いてるとは恐れ入ったぜ」


ククイ「ハァ……」

ベベノム「ピピピピ?」

ククイ「あぁ、さっきバーネットから電話があってな。……『ウルトラジャー』の時といい『ウルトラジャー・チルドレン』の時といい、随分やってくれるぜ。さすがはオレの生徒と言ったところか」

ククイ「だが今日だけでスイレンとリーリエと、それにピカチュウ達と……この件で財団やバーネットから悪い報せを聞く度に胸が痛くなる。お前もそうだろ?」

ベベノム「ウ゛ェビビビビ……」


ククイ「もう一仕事……するか」
 ▼ 111 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/25 21:49:53 ID:ywkgzdlI [3/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
時刻は夕方5時を回ろうとしていた。サトシがヌカと出会ってからもう丸一日だ。

マサラタウンのサトシとの出会いは……いや、自分にとっては彼との『再会』になる昨日の出来事は偶然か必然か。

そんなことを考えている間に、最初で最後のウルトラガーディアンズの活動を、それも重要な役を担うことになったあたり、やっぱり必然なんじゃないかと今更ながら思い始めたヌカ。

ウルトラジャーが何者なのか、自分はうまく役目を果たす事ができるのかと悩み事が絶えない現状を、彼女はとりあえず眼の前の仲間に明るく振る舞って誤魔化していた。


ヌカ(それにしても……ルザミーネさんって人、すごく簡単にあたしの事を受け入れてくれたよな……アローラの人って、何かすごく寛容)


マーマネ「ヌカちゃん、おかわり!」

マオ「ちったぁ自重せぇ!」バシッ

マーマネ「なまはむっ」

マオ「ゴメンね……こんな時間に夕飯までいただいちゃって。昨日の残り物らしいけど、あのオメガマユゲは遠慮なく全部食べるつもりだよ?」

ヌカ「あはは……いいよいいよ!マトマとブーピッグの混ぜ込みご飯はあたしの自信作なんだ。色んな人に食べてもらって『おいしい!』って言ってくれたら寧ろ嬉しいよ!」

マーマネ「マトマの果汁の恵みを受けて綺麗なピンク色とクセになる辛みを手に入れた白米!脂身たっぷりで柔らかい、のにまるでグミような弾力のある噛みごたえのブーピッグの肉……デザートのオレンのみもくー、たまらん!」

アママイコ「からい……」

トゲデマル「までゅ?」

マオ「……まぁ、ウチも食堂やってるからね。自分の作った料理を美味しそうに食べてくれる人を見るのは嬉しいかな」

マオ「……にしても、ブーピッグの肉を混ぜご飯に使うなんてね。ブーピッグを使うならパイルのみと煮込んで酢豚にするのがベストだと信じて疑わなかったのに。それにマトマのみだって調味料以外の使い方は中々しないんだよ?」

ヌカ「へへ、どうしてもマトマを具材として使いたかったから……あの爆弾みたいに口の中で弾けるような辛味だけがマトマの取柄だと思われがちだけど、果肉の食感は水を含ませて加熱させればカボジャの煮つけみたいにトロトロになるんだよ」

ヌカ「あたしね。そうやって普段誰も思いつかないことにチャレンジするのが好きなんだ」

マオ「いやぁ盲点だよ。正直マトマはそのままでは使えないと思ってたよ」

ヌカ「フフ……『使えない』なんてこと、絶対にないんだよ。  食材も……ポケモンも」

トロピウス「クルルルル♪」

マオ「……?」

♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪

マーマネ「ごちそうさま!」

ヌカ「よろしお上がり♪ こんなに食べてくれた人は初めてだよ!」

マオ「ほんと申し訳ない」

ヌカ「ううん!あ、そうだ!ケーキもあるけど食べる?……フフ、炊飯器ってホント何でも作れるからやめられないんだよねぇ♪」

マーマネ「マオ!マオの言った通りだよ!この子さえいればウルトラジャーの一件もすぐ解決できる気がするよ!ね?」モグモグ

マオ「現金なやっちゃ」
 ▼ 112 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/25 21:56:25 ID:ywkgzdlI [4/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
マオ「さて……状況を整理しよう。ウルトラジャーは未だ活動を停止中。ウルトラジャー・チルドレンはあたし達が倒したベロベルトを含め3体を撃破……と」

ヌカ「リーリエちゃん、だっけ?あの銀色の怪物を一人で倒しちゃうなんてスゴイなぁ」

マオ「うん、リーリエはやれば出来る子だから……にしても今回はやりすぎだったけどね」

マーマネ「リーリエやシロンと一緒にノクタスを倒したオニゴーリはサトシのポケモンなんだよね。僕知ってるよ」モグモグ

ヌカ「えっ?そうなの?……成程、強いわけだよ。マサラタウンのサトシのポケモンなら……」

マーマネ「ねぇ、ちょっと話を聞いていい?」

マオ「マーマネ、多分あたしも同じ事聞こうとしてる。  ヌカちゃん、あなたにとってサトシって……一体どういう人なの?」

マーマネ「『マサラタウンのサトシ』なんて回りくどい言い回し……何か彼について思う所が無ければ使わないでしょ。そういえばさっきも恩返しがどうのって言ってたけど……ねぇ、差支えなければ話してよ」

マオ「そうそう教えてよ!あたしはサトシの事を世界で18番目くらいに知ってる自信があるけど、まだまだ知らないことも沢山あるし、ヌカちゃんにしか知らないこと教えてよ!」

マーマネ「謙虚なのかそうでないのか判断に困る順位だね」

ヌカ「そう言われても……寧ろ、マサラタウンのサトシについては、あたしは殆ど知らないよ。顔を合わせて話したのも昨日が初めてだし……」

マオ「えっ、初めて?じゃあどうしてまた……」

マーマネ「あれか。ひょっとしてファンとかそういうのじゃないの?色んな地方でトレーナーとして名をあげてるサトシなら贔屓のファンがいてもおかしくないよ」

マオ「ハハハ、サトシに限ってそんな……」


ヌカ「うん……そんなところ///」

マオ/マーマネ「「え゛ぇ!?」」

ヌカ「ううん。もっと大きな存在かな。あたしとトロピウスにとって」

トロピウス「カルルルルル」

マーマネ「おいおい……」


ヌカ「マサラタウンのサトシ……彼はあたしを救ってくれたの。ポケモントレーナーとして。……本人は勿論知らないけどね。あたしのことなんか」

マオ「救ってくれた、って……サトシは一体ヌカちゃんに何をしたの?」

ヌカ「……聞く?」

♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪

ヌカ「……というわけで、それ以来あたしの心の中には刻まれているの。マサラタウンのサトシという名が。まぁ、そんなの彼が知る由も無いし、あたしだってマサラタウンがどんなところかは知らないけどね」


マオ「ヌカちゃんっ!」ギュッ

ヌカ「っ!?/// ま、マオちゃん!?」

マオ「その話、絶対にサトシにもした方がいい!ヌカちゃんはサトシの事をよく知らないし、サトシもヌカちゃんを知らない……でもこれはチャンスだよヌカちゃん!ウルトラジャーの一件が終わってからでもサトシに会いに行こう!」

マオ「そこで『ありがとう』って言おう?ついでにサトシと友達になったらいいよ!ヌカちゃんの心の中にずっとサトシがいるっていうのなら、友達になってサトシの心の中にもあなたを刻もう?じゃないと勿体ないよ!!……大丈夫。サトシは、ヌカちゃんが思ってるほど遠いところにいる人じゃないから」


ヌカ「マオ……ちゃん……」
 ▼ 113 ガサメハダー@ギャラドスナイト 18/07/25 21:56:25 ID:63EgSRWw NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
肉…
 ▼ 114 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/25 22:00:52 ID:ywkgzdlI [5/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
次のおはなし



第7話(全13話)「できる事なら最後まで」
 ▼ 115 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/26 22:34:21 ID:vpyAd162 [1/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
カキ「ルガルガン、『アクセルロック』!!」

ルガルガン「ラアアア゛ァァァォ!!」


時刻は夕方6時。場所は1番道路。

カキとスイレンは既にエーテル財団から指令を受けて、突如出現した4体目の「ウルトラジャー・チルドレン」と戦いを始めていた。

次の相手はきゅうあいポケモン・ココロモリ。空からの急降下攻撃とエスパータイプ特有の念力で、2対1の戦いにも怯まずカキ達と拮抗した戦いを繰り広げている。


ココロモリ「ブヒヒヒヒヒ……」


スイレン「アシマリ、『バブルこうせん』!」

アシマリ「あおぉぉぉ!!」ババババ


泡の弾丸を避けながらアシマリに迫るココロモリ。不規則な軌道を描き、当たりの弱さを補うスピードでタックルをかます。


アシマリ「あぉぉぉー!」ゴロゴロ

スイレン「しまった!『ハートスタンプ』……アシマリ、大丈夫!?」

ズキッ

スイレン「う゛……!?」ガクッ

カキ「ルガルガン、『かみつく』!」

ルガルガン「グルァァァァァ!!」


ココロモリ「ヒヒヒヒ……」


カキ「避けられたか……だがアイツの戦い方は大体つかめてきた。物理攻撃はもちろんのこと、エスパータイプならではの念力も、アイツの力では余程距離を詰めないとこちらに届かんらしい。接近戦が得意なルガルガンでも勝ち目はある……!」

アシマリ「あぉぉ……?」

スイレン「ハァ……ハァ……ううん、大丈夫。ちょっと息を吸い込みすぎただけ……」

カキ「スイレン、何もバトルだけがオレ達の仕事じゃない。ヤツとの戦い方は概ね分かってきたし、無理はしなくていいんだぞ?」

スイレン「大丈夫……まだやれる」

カキ「そうかい……ホラ、次の攻撃が来るぞ」


ココロモリ「ブヒャヒャヒャヒャ!!」


ズ バ バ バ バ バ バ バ バ バ … … ! !


カキ「! 『エアカッター』が来るぞ!耐えろルガルガン!!」

スイレン「アシマリ!『バルーン』でガード!」
 ▼ 116 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/26 22:37:56 ID:vpyAd162 [2/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
今のカキは誰よりも熱く、かつ冷静にバトルに臨んでいた。一度は相討った「ウルトラジャー・チルドレン」に脅威を感じなくなっていたのだ。

姿形や強さは違えど同じ「ウルトラジャー・チルドレン」を倒したマオ達の活躍が、再び彼の心に火を灯す燃料になっていたからだ。


ルガルガン「グルルルルル……」ギロッ

ココロモリ「」ビクッ

カキ「ほう。ビビるのか……怪物も。 ルガルガン、そろそろ決めるぞ!」


サトシにいきなり任され、最初は不安だったルガルガンとのコンビネーションも思いの外良好のようだ。

カキは倒れたバクガメスとガラガラのプライドを心の奥で壊さないように抱えていて、ルガルガンも自分を他のトレーナーに託したサトシの期待を背負っている。しかし、そんな窮屈そうにしている二人が一緒にいることで無自覚に、お互いの心苦しさを少し和らげているのだ。


カキ「何を抱えようが、どんなに背負おうが二人なら怖くない!オレ達は皆のために!ルガルガン、『ストーンエッジ』!!」

ルガルガン「ガルアアアアアア!!」


ズ ド ォ ォ ォ ォ ォ ! !


ココロモリ「ゴホッ……!?」


スイレン「強い……あのコンビ、本当に初めてなの?」

アシマリ「あお!あお!」

スイレン「はっ、 ……そうだねアシマリ。私達も負けてられないよ」


ココロモリ「ヴ ィ ィ ィ ィ ィ ! !」ズォォォ


ルガルガン「!」

カキ「『ねんりき』か……体の自由を奪ったつもりだろうが、動けなくても集中力を途切れさせることはできるんだぜ。……ルガルガン!」


ルガルガン「ア゛ォォ゛ォォォォ゛……」


ココロモリ「ヒッ……」

カキ「『ねんりき』が解けた!いいぞルガルガン!」

ルガルガン「がうっ!」


ココロモリ「ヒィーーーー」バサバサ


カキ「あっ、逃げるぞ!」

スイレン「……届け、水平線の彼方まで」

カキ「スイレン!」
 ▼ 117 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/26 22:41:10 ID:vpyAd162 [3/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
                                  ス

                                  |

                                   パ

                                  |

                                ア

                                  ク

                                    ア

                                  ト

                                ル

                                  ネ

                                   ェ

                                    ェ

                                    ェ

                                   ェ

                                  ド

                              !  !  !  ! 




ココロモリ「ギャァァァァァ……」



カキ「……消えた。これで4体目の『ウルトラジャー・チルドレン』も撃破、か」

スイレン「ごほっ!ごぼっっ!!」

カキ「まったく、呼吸も満足にできんというのにZワザなんか撃ちやがって!肺を痛めるから息を切らすような事はするなと言っただろう」

スイレン「絶対決める自信があったから問題ない」キリッ

カキ「お前なぁ……まぁいい。ひとまずの仕事は済んだ。ルガルガンもアシマリもまだまだやる気があることだし、『ウルトラジャー』行動開始に備えてまた家に戻って休……



                         ド ォ ォ ォ ォ ォ … …



スイレン「!? ば、爆発!?どこから……」

カキ「! ……見ろ。爆発音はあそこからだ」


カキ「          町が……   リリィタウンが……   燃えている          」
 ▼ 118 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/26 22:49:24 ID:vpyAd162 [4/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
カキ達が戦っていた場所は1番道路の南側。

段差の激しい1番道路の下側に位置するこの場所からはリリィタウンの全貌を見るどころか家一軒すら見ることはできないが、爆音と町から立ち上る煙からリリィタウンに何かが起こった事を察することはできた。


カキ「一体何が起こったっていうんだ……?」

スイレン「わ、私見てくる!消火活動がてら」

カキ「おいおい、ウルトラガーディアンズはレスキュー隊じゃないんだぞ。それに肺を焦がしてるお前が火事の煙なんか少しでも吸ったら大変なことになる」

スイレン「それに関しては大丈夫。 アシマリ、『バルーン』!」

アシマリ「あおぉぉ!」

スイレン「完成、シズクモ式水ヘルメット。これで煙を吸うことはない」バァーン

カキ「……わかった。だがオレも行く。オレだってリリィタウンで何が起きたのか気になるからな」


                        フ ォ ォ ォ ……


カキ「……!? 何だ今のは?」

スイレン「私も感じた。何か、変な空気に触れた感じ」


「予感」というのは大半が思い込み。だけど不思議な生き物・ポケモンの住むこの世界での「予感」は結構よく当たるもの。背筋が凍れば、辺りがざわつけば、近くにポケモンがいるのだ。

二人が肌で感じた気配もただの勘違いなんかじゃない、中は心臓から外は毛先まで、体中の何もかもが眼の前からやってくる何かに怯えている……そして奮い立っている。


ルガルガン「グルルルル……」

カキ「町の方から何かが来るぞ。スイレン」

スイレン「うん。それも凄い勢いで道路を駆け下りてくる」


             オ゛ ォ゛ ォ゛ … …


カキ/スイレン「「!!」」


そよ風程度の不自然な感覚はその雄叫びで嵐になった。と同時に、カキとスイレンは複雑な気持ちになった。緊張や恐怖、様々な感情が入り乱れて心臓は躍り、鳥肌は立ち、眼は見開き、手は震えながら雄叫びの主を無意識に待ち構える。

雄叫びに草むらをかき分ける足音が加わり、呼吸音が加わり、二人の耳に入る音は次々に重なっていく。そしてついに音の主は眼の前に現れた。


ウインディ「 ヴ ォ オ オ オ オ オ オ オ ! ! ! 」


スイレン「……ウ、ウインディ!? ……銀色の」

カキ「どうやらまた『ウルトラジャー・チルドレン』のお出ましのようだな。 リリィタウンの方角から走ってきやがった。そしてコイツ自身が炎タイプ……十中八九、リリィタウンで何かしたのはコイツだ!」

スイレン「立て続けに戦わなきゃいけないなんて……」

アシマリ「あぉ……」
 ▼ 119 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/26 22:54:36 ID:vpyAd162 [5/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ウインディ「ヴルルルル……」

ルガルガン「ヴヴゥゥ……」


スイレン「ねぇ、あの気迫からしてさっきのより強そうだよ。やれそう?」

カキ「そりゃな……もっぺんやるしか無いだろうよ」

スイレン「私も今煙対策してるから炎タイプ相手でも戦える。後ろからのサポートは任せて」

カキ「へっ、頼もしいな」


ウインディ「ゴォォォ……!」


カキ「! 炎を蓄え始めた!『かえんほうしゃ』が来るぞ!」

スイレン「アシマリ、ウインディの口に『バブルこうせん』!」


「ウルトラジャー・チルドレン」とのまさかの二連戦にも怯まず立ち向かうカキ達。頭に『バルーン』を覆ってパワーアップ……したつもりのスイレンもアシマリと戦う。


ボボボボボボ……


ウインディ「フフフフ」

アシマリ「あぉ!?」

スイレン「嘘……?炎が消えない! アシマリ、頑張って!」

カキ「ルガルガン、『アクセルロック』!!」


ズ ド ド ド ド ド ド ド … … ! !


ウインディ「う゛ぉっ……!?」


アシマリと眼を合わせていたウインディの真横から、岩の弾丸が隙だらけの胴体に次々と突き刺さる。

バランスを崩したウインディは岩が飛び出た方向へ威力が不十分な『かえんほうしゃ』を咄嗟に打ち込むが、ルガルガンは持ち前の素早さで難なく避けた。


カキ「続いて『ストーンエッジ』だ!」

ルガルガン「ガルルルァァァ……!!」


ズドォォォォォォ……!!


スイレン「あ、ありがとう……」

カキ「ありがとうはこちらの方だ。今の戦法も、一対一では絶対にできんからな ……しかしさすが『ウルトラジャー・チルドレン』、獰猛だな。いきなり威力の高い技で勝負を仕掛けてくるとは」

スイレン「……カキ、町の様子を見に行くためにも早く勝負を決めよう」
 ▼ 120 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/26 22:59:40 ID:vpyAd162 [6/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
岩タイプのルガルガンと水タイプのアシマリ。数でもタイプ相性でも有利で且つ、トレーナーがポケモン達のバックにいる状況を以てしてもウインディを倒すことは難しかった。


スイレン「アシマリ、『アクアジェット』!」

ウインディ「ゴォォォ……!」

カキ「ダメだ!ウインディがまた炎を溜め始めた!」

スイレン「大丈夫。突っ切って!アシマリ!!」

アシマリ「うおおおおおお!!」


ルガルガンもアシマリも気迫は今日一番だった。スイレンの予測通り、ウインディの強さはココロモリより上だった。やはりこの世界の「予感」は結構当たるらしい。


ウインディ「ガァァァッ!!」バッ

スイレン「! 飛びかかってきた!接近戦じゃ勝てない……」

カキ「『ほのおのキバ』か……ならこっちも『かみつく』で応戦するぜ。ルガルガン!」

ルガルガン「グルルルァァ!!」バッ


誰も戦いを止めようとしないまま時間は流れ、体の傷は重なり続ける。


スイレン「やばっ、ヘルメット割れちゃったよ!アシマリー!」

アシマリ「あおぉ!」プワー

カキ「くっ……そ、そろそろオレにも頼む。煙を吸ったみたいだ……」

スイレン「お、使用料1回3100円だけど使う?」

カキ「高ぇ!後でアルフォート買ってやるから今すぐ作らせろ!!」

スイレン「アルフォート……?プレミアムの宇治抹茶ならその条件乗った!アシマリ、カキにも『バルーン』!」


少しずつではあるがウインディには確かに攻撃が効いている。大丈夫、いつかは終わる。勝てない戦いじゃない……そう思いながらもカキ達はチラチラと未だ煙の上がるリリィタウンに眼をやっていた。


カキ「もう火は……消えただろうか。気になって仕方がない」

スイレン「カキ!前!!」

カキ「うおっ!?危ねぇ……くそっ、集中だ集中」


「ほほう、そこのご両人……この状況にも関わらず随分とバトルをエンジョイしているようだな。実に健全なことだ」


カキ「……誰だ!?」

スイレン「ロイヤルマスクだ!(即答)」


「えぇ……自分で名乗らせてほしかった」
 ▼ 121 ララッパ@カードキー 18/07/26 23:51:20 ID:mv5MwQmA NGネーム登録 NGID登録 報告
ロイヤルアルフォート支援
 ▼ 122 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/28 00:34:38 ID:KMisYcyw [1/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ウォーグル「わしゃーー!」

ロイヤルマスク「よし、この辺でいいぞ。降ろしてくれ ……とうっ!」

カキ「降ろしてくれとか言って自分で降りたぞあの人」


白いマットのジャングルに 今日も嵐が吹き荒れる

ルール無用の悪党に 正義のパンチをぶちかませ


ロイヤルマスク「エーーーーーーンジョイ!! ……久しぶりだね諸君。ククイ博士から話は聞いてるよ。どうやら大変な事に巻き込まれているようだね」

カキ「ククイ博士が貴方を……?でも一体どうして?」

スイレン「きっと私達を鼓舞するために博士が呼んでくれた」

カキ「だとしたらオレは博士を恨むぞ。これは遊びやスポーツじゃないんだからな」

スイレン「何を!ロイヤルマスクのウルトラスーパーエンジョイオーラがあれば、彼がいるだけでウルトラガーディアンズの士気は何倍にも膨れ上がるってもの!エーーーーー……ゲホゲホ」

ロイヤルマスク「こらこら、ククイ情報だと君は肺をケガしてるそうじゃないか。変にテンションを上げて呼吸を荒げるような真似は良くない」

ロイヤルマスク「ククイ博士は君達の応援の為に私を呼んだのだ。応援と言ってもパフォーマンスで場を盛り上げるのではない、君達に力を貸すということだ」

ロイヤルマスク「ちなみにここに至るまでの交渉で私とククイ博士は大いに揉めた。頑張って私を呼んでくれたククイ博士にはぜひお礼として新しい白衣10着と缶コーヒー……そうだな、エメマンを一箱贈呈してほしい」

ルガルガン「…………(=_=)」


ベベノム「ピピピピピピ」

スイレン「ベベノム!ついて来ちゃったの?」

ロイヤルマスク「悪いがその子は君達と一緒に連れていってくれないか?選手じゃない者をリングに上げるとまずい」

カキ「連れていけって……まだあのウインディを倒さないと!」


ウインディ「グルルルルル……」


ロイヤルマスク「心配には及ばん! いけっ、ガオガエン!!」


ガオガエン「ごあ゛ああああ゛ああ゛!!」


ロイヤルマスク「『ウルトラジャー・チルドレン』と言ったか……ガオガエンのトレーニングには持ってこいの相手だ。さぁここから先は一対一の真剣勝負。君達は休んでいてくれ」

カキ「! ……オレ達もそのつもりでした!行くぞスイレン」

スイレン「エンジョイ万歳!」

カキ「……行くぞ」ボソッ
 ▼ 123 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/28 00:36:19 ID:KMisYcyw [2/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ウインディ「ガルルルルルル……」

ロイヤルマスク「……さて、ここからはオレ達と勝負してもらおうか。これはパフォーマンスじゃないからな、お前との勝負は素早くつけさせてもらう」


ウインディ「ガルルルァァァ!!」

ロイヤルマスク「来るぞ!受け止めろガオガエン!!」

ガオガエン「ごぉぉぉっ!!」


飛びかかりながら牙を見せつけて威嚇するウインディ。ガオガエンはウインディの突進をかわし、切り返される前にウインディの頭を引っ掴む。


ロイヤルマスク「ブン投げろ!ガオガエン!!」

ガオガエン「う゛ ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ ! !」


ド シ ャ ア ア ア ア ア ア ッ


ウインディ「グッ……」

ロイヤルマスク「さぁいくぞ。Zワザだ!!」

ウインディ「!?」

ロイヤルマスク「勝負は素早くつけさせてもらうと言ったハズだ。どうだ?ここで避けるか技で対抗する意思を見せなければすぐに決着がついてしまうぞ?」

ウインディ「!」ゾクッ

ロイヤルマスク「最も、そんな事をしたところでこのZワザからは逃れられんがな。 ……ガオガエン、勝利の炎でリングを焼き尽くせ!」


                       ハ

                       イ

                       パ

                       |

                       ダ

                       |

                       ク





          ッ                 ア

        シ                ア          ! ! !

   ラ                   ア

                   ャ                  ア
 ▼ 124 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/28 00:46:17 ID:KMisYcyw [3/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
-------リリィタウン-------


カキ達が駆けつけたころには、消防隊による消火活動が始まっていた。ウルトラガーディアンズはあくまで対ウルトラビースト特殊部隊ということで、離れた場所から状況を確認することにした。


カキ「結局ロイヤルマスクの忠告を無視して来てしまったな……おい、ヘルメットを割らないように注意しろよ。本当は……こんな場所に近づくだけでもオレ達のモットー『安全第一』に反するんだ」

スイレン「ダイジョウブ、アシマリノバルーンハガンジョウダカラ」

カキ「バルーンがブ厚すぎて声がこもってるぞ。……しかしイヤな予感はしていたが、とんでもないことをしてくれたモンだな。『ウルトラジャー・チルドレン』め……」


住民達の避難が一通り済んだ今も燃え続けている大きな家は、しまキング・ハラの家だった。近隣住民の話によれば、突然起きた大きな爆発で窓ガラスが吹き飛び、炎が外壁に燃え広がっていったという。

あまりの出来事に呆気に取られていると炎を纏った銀色の怪物が家の中から現れて、風のような速さで浜辺に続く道路まで駆け下りていったことも話していた。島キング・ハラが子供達から預かった銀色の物体も、「ウルトラジャー・チルドレン」を野に放ったのだった。>>65

火事による負傷者はしまキング・ハラと、不運にもしまキングの家へ遊びに来ていた子供達4人。皆病院での治療を受けるべく救急車で運ばれたが、子供達のうちの何人かはかなりの重症だと住民達にも見て取れたそうだ。


カキ「さぁ、状況は確認したしもう帰ろう。『ウルトラジャー・チルドレン』もロイヤルマスクが倒してくれるだろうし、オレ達の役目はしばらく無い」

スイレン「そうだね。ウルトラジャーとの戦いに備えて調整をしないといけないし」

カキ「あぁ……その事だがスイレン、お前はもう家に帰ったらそのまま戦線を離脱した方がいい。……理由は聞くなよ?お前の体が一番知ってるハズだ。いくら『バルーン』で煙を防げても肺を痛めているのには変わりないんだからな」

カキ「これ以上の活動は避けた方がいい。お前にもプライドがあるだろうが、今は体の方が大事だ」

スイレン「と、こんな場合を想定して、私は数時間前のカキのとある台詞を引用して反論します」

カキ「は?」

スイレン「レス番号>>70番をご覧ください」

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スイレン「確かにまだウルトラジャーの事は誰も知らないと思う。だけど……このまま放っておくといずれ島の人達もウルトラジャーに襲われるかもしれないって考えると、じっと見てられない。私はまだウルトラガーディアンズとして頑張りたい!」

カキ「オレからもお願いします。……スイレンの事は任せてください。        ……オレが守ります」

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スイレン「オレが守ります」

カキ「うっ……いや、あれは後のことは

スイレン「 オ レ が 守 り ま す 」

カキ「あのな、さすがに二度目ともなれば状況が違

スイレン「  オ  レ  が  守  り  ま  す  」

カキ「……ハイ、マモリマス」


アシマリ「…………」
 ▼ 125 ンメン@こだいのおうかん 18/07/28 21:38:15 ID:y1vMSalo NGネーム登録 NGID登録 報告
がんばれカキ
支援
 ▼ 126 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/29 00:22:31 ID:O5ugplOg [1/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
カーラエ湾の小島にて眠りについたウルトラジャーが目覚めることもないまま、まもなく陽が落ちる。最終決戦は夜に持ち越しだ。

その頃、『メレメレジャーショップ』ことヌカの家では、何やら艶めかしい雰囲気が漂っているようで……


ヌカ「……じゃあ、いくね」

マオ「……何か、緊張するね」ドキドキ

ヌカ「大丈夫だよマオちゃん、優しく触るだけでわかるもの。何もかも、どんな事を考えてるのか……ってね」

マオ「うん……」

ヌカ「……マオちゃん?」

マオ「あぁやっぱり初めてだからドキドキしてしょうがないよっ……/// ヌカちゃんの……見るの初めてだもの」

ヌカ「フフ、頼んできたのはマオちゃんの方だよ?でも正直嬉しいな……マオちゃんがこういう事に興味あるなんて」

マオ「だってヌカちゃんとはもっと仲良くなりたいもの。……もっと教えて?/// あなたのコト……」

ヌカ「いいよ……しっかり見てよ。マオちゃん」スッ

マオ「ハァ……ハァ…… お、お願い……ね?///」


マーマネ「いいからさっさと始めておくれよ!!僕の炊飯器の心を読むんだろ!?」

マオ/ヌカ「「はい」」


炊飯器の心が読めるというヌカは、いかなる炊飯器も自身の手で触れることにより、心を読み取ることができるという。そんな能力に興味津々のマオはマーマネの持っていた携帯用炊飯器を実験台に、ヌカの力を見せてほしいと提案したのだ。


ヌカ「 ん ぬ ぬ ぬ ぬ … … 」

マオ「おぉぉ……スゴイオーラだ。まるでマーマネの炊飯器がヌカちゃんの手に吸い込まれていきそうだよ……」

マーマネ(やっぱ胡散臭いな)

マオ「ちょっと、何さその顔。信用したんじゃなかったの?」

マーマネ「い、いやいや、もちろん頼りにしてるよ!頼りにしてるけどその……見ていて不安になる絵面だなって」

マオ「確かに不安な面もあるかもしれないけど……それがロマンだよ?もしも……もしも炊飯器の心がわかれば、料理界に前衛的な革命を巻き起こすことだってできるかもよ!?」

マーマネ「前衛的通り越して超次元だわ」

トゲデマル「までゅまでゅ」


ヌカ「 見 え た ! ! 」


トロピウス「クルルルルル……」

マオ「見えたって何が!?寿命!?」

マーマネ「炊飯器の心だろうがよ」
 ▼ 127 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/29 00:25:58 ID:O5ugplOg [2/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ヌカ「マーマネ君、父ちゃんは君にこの炊飯器を勧めた時、何と言ってたか覚えてる?」

マーマネ「んーと、『この子は君に似て食いしん坊。毎回タップリのご飯を入れて満たしてあげるように』って」

ヌカ「ありゃー、そりゃ完全に父ちゃんがマーマネ君の体型を見て咄嗟に考えただけだね」

マオ「デタラメってこと?」

ヌカ「うん。父ちゃんは炊飯器の心ってのをちょーっと勘違いしてるみたいでさ。大体ご飯を炊くだけの炊飯器がどうして食いしん坊なのさ。いずれ炊飯器から取り出されるであろうご飯を入れてやるだけじゃ満たすもクソもあれへんがな」

マーマネ「あ、その辺はリアルに忠実なんだ」

マオ「リアルに忠実とか言うな」ベシッ

マーマネ「あぶうぇろ」


ヌカ「マーマネ君の炊飯器の本音は、『月の雫と星の片』……つまり、ツヤツヤでキラキラな見栄えの良いご飯をマーマネ君に炊いてあげたいって思ってるんだ」

マオ「月と星……といえば天文!星が好きなマーマネにピッタリだね!」

マーマネ「ま、まぁねぇ」

ヌカ「父ちゃんの判断は結果オーライってとこかな。そうそう、ツヤツヤキラキラなご飯を炊くにはお米をしっかり研いで、かつ質の良い水を使ってあげること。……そうだね、できることならミネラルウォーターを使うといいんじゃないかな」

マーマネ「な、なるほど、コスパ悪そうだけどお母さんに相談してみようかな……」

トゲデマル「までゅ!までゅ!」


ヌカ「……と、まぁこんな感じだよ。正直まだ役に立てるかどうか不安だけど……」モジモジ

マオ「心配ご無用!あたし達がついてる。こう見えてもウルトラビーストとはもう何回も触れ合ってきてるから自信あるし、大体の事は任せてくれても構わないよ!」

マオ「ヌカちゃんは言わば『切り札』……その類稀なる能力を使うに適した状況をつくってあげるのがあたし達の役目だと思ってる。ヌカちゃんの役目は確かに大事な役目だけど、気に負うことはないよ。『ウルトラガーディアンズ』はヌカちゃんの味方だよ!ね、マーマネ?」

マーマネ「えぇ急すぎる振り……ま、まぁね、こんな僕でも頼りになるならどんどん頼ってよ!」

ヌカ「マオちゃん……マーマネ君……」

トロピウス「カラララララ」

ヌカ「フフ、引っ越してそうそうこんな友達に会えるなんて。アローラに来てよかったね、トロピウス」


ザワザワ……ザワザワ……    ウゥゥゥゥゥ……


ヌカ「何か外が騒がしいね。一体どうしたんだろう」

マオ「パトカーの音もするね。どこかの家に泥棒でも入ったのかな?」

マーマネ「どうしよう。僕達も行かないとマズイかな?」

マオ「いや、ルザミーネさんの指示を待とう。勝手に動けば、またソラマメガネに文句を言われかねないしね」

ヌカ「ソ、ソラマメガネ……」

マーマネ「もう陽も落ちちゃったし、暗い所でウルトラジャーと戦わざるを得なくなったね……あぁヤダヤダ」

トゲデマル「までゅ」
 ▼ 128 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/29 00:35:21 ID:O5ugplOg [3/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
-------ポケモンセンター-------


サトシはこの時間、リーリエと共にノクタスとの激闘を制したオニゴーリとシロンの様子を見にメディカルルームまで足を運んでいた。

大小様々なサイズのベッドにチンプンカンプンな構造の機材がズラリと並ぶ。ポケモンセンターの奥部にあるメディカルルームは施設全体の半分以上を占めるスペースが確保されているから、ポケモンセンター全体は、真正面から見る建物の大きさからは考えられないほど奥行きが広いのだ。


サトシ「だからアイツらを探すのも一苦労なんだよなーっと……あっ、いた!」

オニゴーリ「ゴォォオ!」

シロン「こん!こん!」

サトシ「おぉーし、大分調子も良くなったみたいだな。明日になればまた元通り元気になるだろうし、よかったよかった」


ピカチュウ「ピカピ!ピカピーーー!!」

モクロー「もふ……」

サトシ「ピカチュウ!モクローも!……もう大分良くなったみたいで何よりだ」

ピカチュウ「ピカー、ピカピ」

サトシ「……そうだな。もうバトルからそれなりに時間も経ったし、二人が活動を再開できるかどうかジョーイさんに相談してみるよ」

♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪

サトシ「ダメでした。一度『瀕死』状態になったポケモンは最低丸半日以上安静にしないとダメなんだってさ」

ピカチュウ「」ガクッ

サトシ「そう落ち込むなって!休みの日に散歩に連れてってやるから」

ピカチュウ「ピカーーー!ピィカチュウ!」

サトシ「『何でもかんでもそれを言われれば納得するとでも思ってんのか』だって?……それならお前が今納得しても後悔しないくらい、オレがいい散歩に連れていければいいだけのことさ」

ピカチュウ「ピッ……!?///」ドキッ

サトシ「早く良くなれよ〜ピカチュウ〜」ナデナデ

ピカチュウ「チャア〜♡」


ロトム(様子を見に来てみたら案の定……サトシはポケモンを口説くのがうまいロト)


サトシ「それにしても……ここに来る途中に窓から警察の人達が大勢通っていくのが見えたけど、何だったんだろ?」

ピカチュウ「ペカ?」

サトシ「あぁゴメンピカチュウ、ちょっと気になることがあるからまた後でな」

ピカチュウ「ペカペカ〜」
 ▼ 129 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/29 00:38:54 ID:O5ugplOg [4/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ジュンサー「……とまぁそういうワケだから、深夜にポケモンセンターの仕事が増えるのは覚悟してくれる?」

ジョーイ「合点!ちゃんと警官用のスペースを確保してお待ちしてますよぃ」

ジュンサー「ちょ、予約制のレストランじゃないんだからさ……あの化け物がまた出てくるってことは一般の人達も多く利用するだろうから、せいぜい過労死しないよう気をつけてよ?」

ジョーイ「そうね……一体何者なのかしら。そのポケモンのような『何か』って……」


サトシ「あっ、やっぱりいたぞ」

ロトム「サトシ、ジュンサーさんに何か用ロト?」

サトシ「ロトム! ロトムはさ、今ポケモンセンターの外が騒がしくなってるのは知ってる?」

ロトム「そういやパトカーがガンガン走ってたロト。暴走族の取り締まりでもやってるロト?」

サトシ「いや、多分……とにかく聞いてくる!」


サトシ「アローラ!ジュンサーさん!」

ジュンサー「サトシ君!……その変な恰好について突っ込むのは大人として自重しておくわね。貴方のお友達のお陰で化け物を一先ず撃破することには成功したんだから」

サトシ「変な恰好……やっぱそうなんだな…… ってそれよりも!やっぱり警察の人達がいっぱいいるのって『ウルトラジャー・チルドレン』が関係あるの!?」

ジュンサー「チルドレン……?私達は今、貴方達が倒した怪物がまた現れることに備えて厳戒態勢を整えているの」

ジュンサー「怪物はメレメレの各地で発生してるらしいし、次はいつ、どこに現れるかわからないからたくさんの場所に警官を配置して怪物と戦う準備をしているのよ……本当は貴方達の方が頼りになるけど、大人が手柄で子供に負けるワケにはいかないしね」

サトシ「い、いえいえ……!」

ジュンサー「今朝の事件といい、今日は物騒な事ばかり起こる一日だったわねぇ……明日は気持ちよく日の出を見られるように、もうひと頑張りしたいところね」

サトシ「はい!お互い頑張りましょう!」

ジュンサー「? まだ頑張るつもりなの?」

サトシ「負けられないんです。 『ウルトラジャー』の心を分かってあげるまでは」

ジュンサー「そ、そう。……じゃあ私は行くから。子供なんだから無理はしないようにね」

ジョーイ「気をつけてねジュンちゃん!」

ジュンサー「おジョー!終わったらウチの部署全員分のミスド奢ってよ?」

ジョーイ「そっちだって、ウチの全員分のサーティワンよろしくね?」

ジュンサー/ジョーイ「「合点!!」」

サトシ(仲良いなぁ……)


ピピピピピピ……

サトシ「あっ、ルザミーネさんだ。 ……もしもし ……はい。さっき警察の人が  ……えっ? ……えぇ!?」


サトシ「呼び出し!?今から!?……ククイ博士ん家に? あの、一応聞くけどリーリエは……  ……ですよね」

サトシ「……まいったな」
 ▼ 130 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/29 00:50:41 ID:O5ugplOg [5/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
スイレン「……そうか。だからさっきも外で警官達が……」

カキ「フッ……いよいよ、この一件もクライマックスってところか」




マオ「さっきのルザミーネさんからの連絡、ウルトラガーディアンズ全員に行き届いてるみたい」

ヌカ「今の話の通りなら……」

マーマネ「そうだね。いよいよ対ウルトラジャーに向けて本格的に動き出さなきゃいけないってことだ」




午後7時55分。ウルトラガーディアンズ最高司令官・ルザミーネから隊員達へとある重要事項が言い渡された。

今現在、活動が可能なメンバー全員に向けての緊急招集指令だ。

今、「ウルトラジャー・チルドレン」の対策部隊としてメレメレ島の各地に警官達が次々配置され始めている。それを知ったルザミーネは今後「ウルトラジャー・チルドレン」の討伐を警察に任せ、ウルトラガーディアンズ全員に対ウルトラジャーに向け最終調整を行わせようと計画したのだ。

3箇所の待機場所に分かれた隊員達を集める場所は……ククイ家。連絡を受け取った隊員達は集合するべく、各々の待機場所を離れてライドポケモンに乗り込み、一目散にククイ博士の待つ研究所を目指す。



ルザミーネ『サトシ君にだけは職員に護送を任せたわ!いい?もう勝手なマネはしないこと!』

サトシ「別にオレにとっては家に帰るだけだしそこまでしてもらわなくても……」

ルザミーネ『ダメ!職員が来るまで貴方は待機してて!単独行動は厳禁だからね!』


♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪

バーネット「……サトシ、行っちゃったよ」

リーリエ「そうですか……私も最後まで頑張リーリエしたかったですけど、仕方ありませんよね」ズキズキ

バーネット「トゲ、かなり深いトコまで刺さってたみたいだしねぇ……それに今日だけで貴方は2回も気を失ってる。リーリエもバトルには慣れてないこともないけど、ここ一番の勝負に臨むためにはもう少しメンタルを鍛えた方がいいかもね」

リーリエ「まだまだ修行が足りない、ということでしょうか……」

バーネット「ルザミーネの許しが出るなら、私が秘密の特訓とかしてあげてもいいけど?」

リーリエ「ホ、ホントですか!?」

プチッ

リーリエ「あ゛だあ゛あ゛っ?! ……キ、キズグチガ……」

バーネット「まぁ……当分はお預けだわな……」

ゴンベ「ごんっ」


バーネット「ねぇリーリエ、ウルトラジャーの正体については財団でも色々な人が予想してる。ウルトラジャーが本当に『ウルトラジャー・チルドレン』との関わりがあったとしたら……アイツはもう、アローラの人達にとってすっかり悪者になってるわけだけども」

バーネット「貴方はどう思ってる?ウルトラジャーの本心。……ウルトラガーディアンズとして……ウルトラビーストの心を誰よりも理解せんとする者として、貴方はどう考える?」

リーリエ「そ、それは……」
 ▼ 131 from comet◆O4/zV1DaK6 18/07/29 01:01:27 ID:O5ugplOg [6/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ウルトラビーストは何を思う?               ウルトラビーストの心はどこにある?


ウルトラジャーは何を考えている?             ウルトラジャーは、何を求めている?


わからないことだらけに立ち向かう、それがウルトラビーストと分かり合うための最良の手段。

ウルトラジャーと分かり合うためにも、わからないことだらけとの戦いを制しなければならない……かもしれない。

わからないことだらけの世界を彷徨い歩いて、答えという名の終着点を目指す。いつか、どこかにあるハズの。


ニャース「にゃにゃ〜……ここは、ここはどこなのニャ……?ニャーは何時間もどこを歩いてるのニャ……?」トボトボ

ニャース「暗いような明るいような、単純なような複雑なような、眼に見える何もかもがメチャクチャでわからないことだらけ。ただ一つだけ分かることは、ここがニャー達の住んでる世界じゃニャいということニャ」

ニャース「ムサシもコジロウもどこに行ったのニャ……?思い出そうにもあの後の記憶が全く無いのニャ……」

----------------------------------------------

ムサシ「おっしゃあ!んじゃ早速さっき釣り上げた炊飯器をこじ開けて!金銀財宝とのご対面といこうじゃないのぉ!!」チュイイイイン

コジロウ「ほ、ホントにやるのか……?」

ムサシ「何、ちゃんと手に入れた財産はロケット団の資金としても有効に使わせてもらうわよ。全てはサカキ様の為に!そうでしょ?」

コジロウ「全てはっていうなら全額ボスに渡そうや……って、そうじゃなくて!前々から思ってるけどポジティブすぎるんだよお前は!そうやって何度酷い目に遭ってきた!?オレ達!」

ヒドイデ「ひどいめ!ひどいめ!」

ムサシ「そうやって過去の事でいつまでも失敗を引き摺ってるとロクなこと無いわよ。失敗無くして成長なし!クヨクヨタイムなんて5秒で十分!それがロケット団よ!それっ!」

ガ リ ッ ! !

コジロウ「どぅおっ!?今変な音したぞ!?」

ムサシ「蓋が開きかけてるのよ!そぅらもう一踏ん張り!!」チュイイイイ

キテルグマ「くー……」

----------------------------------------------

ニャース「あの後炊飯器は開いたけど……それからの事が思い出せないのニャ。……ひょっとしてここは黄泉の国に続く道なのかニャ?やっぱりあの炊飯器にはどっかの大魔王が入っててニャー達はそれにやられちゃったのかニャ?あんな形でニャー達は死んでしまったの



                      コ メ ェ ェ ェ ェ ェ ェ ェ ! !



ニャース「……ニャ?何の声ニャ?近くから聞こえたニャ!……いや、遠くから聞こえた?……わからない。わからないことだらけなのニャ……」

ニャース「ここはどこなのニャ……」
 ▼ 132 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/29 01:05:08 ID:O5ugplOg [7/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
次のおはなし



第8話(全13話)「GOOD GOOD SMILE」
 ▼ 133 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/29 23:44:49 ID:O5ugplOg [8/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ククイ「来たな。全員 ……いや、動けるヤツは全員、だな」


「ウルトラジャー」に「ウルトラジャー・チルドレン」。安全第一のもと、立ちはだかる未知の壁を乗り越え、ここまで残った隊員はトレーナー5人とポケモン6匹。「動けるヤツ」全員がククイ博士の待つ研究所へ集結した。

サトシも先の戦いで敗れたピカチュウをポケモンセンターに預け、ウルトラジャーとの決着をつけるべく新たなポケモンと共に最後のバトルに挑む。


ククイ「ここに集まってもらった理由は他でもない。……警官達がメレメレの各地で『ウルトラジャー・チルドレン』発生に備えて警備を固めているのは知ってるな?」

カキ「はい。……つまりオレ達に残された仕事はただ一つ」

スイレン「ウルトラジャーと、戦うこと……」

ククイ「そうだ。……と言っても、各々に役割があるから作戦を入念に練っておく必要がある。効率よく話を進めるのにも、こうして皆で顔を合わせて話し合うのが一番だろう?」


マオ「……」キョロキョロ

マオ「うん。皆いい顔してるね。修羅場を潜り抜けた感があってチーム全体自信に満ちて引き締まった雰囲気が漂ってるよ!……ちょっと緊張するけど」

カキ「フッ、ならお前のためにオレが一発ギャグでもして場を和ませてやろうか?お前は堅苦しい空気に耐性がないから仕方ないさ」

マオ「へへ……言うじゃん」


それは、サトシ以外のメンバーが到着した直後の話。カキとマオはスイレンを巡って少しばかり口論になっていた。スイレンの安全を考えるマオと、スイレンの頑張る意思を汲んだカキの喧嘩はククイ博士の仲裁が無ければ止められないほどヒートアップしていた。

結局、最後はスイレン自身の意思に委ねられた。つまりスイレンは活動を続行することになったが、マオの提案で最前線での戦いは避けることも決まった。

カキはスイレンを守るという約束もあり、結果的に自分も最前線を降りることになった。メインのバトルをサトシに任せることになってしまい少し悔しがるカキだったが、スイレンとの約束、彼女の安全を考えるマオと、喧嘩を仲裁したククイ博士の立場を汲むことを優先したのだった。


アシマリ「あぉぉ」

スイレン「フフ、アシマリも私のワガママについてきてくれてありがとうね」

アシマリ「あううん」

スイレン「気にしてないの? ……でも、こういうことは最初で最後にしようか。マオちゃんにもカキにも、皆にも迷惑かけちゃったし」

スイレン「リーリエは……結局来なかったね。深い傷だっていうし、リーリエは傷を治すことを選んだんだ。でもそれも立派な戦いだよね。リーリエのキズが早く治るの、帰ったら応援しなくちゃ」


トゲデマル「までゅまでゅ」チョイチョイ

ヌカ「ん?どうしたの?」

マーマネ「ほらヌカちゃん、サトシにありがとうを言わないと」

マオ「アホか」ボコッ

マーマネ「えすぷりっ」

マオ「段取りってモンを考えなよ。まずは皆にヌカちゃんの事を知ってもらわないと。ヌカちゃんのチームメイトになるのは、サトシだけじゃないんだよ?」

スイレン「あの子がヌカちゃん……」

カキ「サトシ、お前は昨日アイツらとバトルしたんだったな。……どうだった?」

サトシ「へへ、強いよ」
 ▼ 134 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/29 23:55:05 ID:O5ugplOg [9/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ヌカ「え、えっと……」

マオ「ほいほい皆さんご注目!このお方こそ、炊飯器の心が読めるという夢のような力をもったスーパー少女・ヌカちゃんでーす!」

カキ「別に夢というほど羨ましいとは思わんけどな。そんなピンポイント能力」

マオ「オラそこ静粛に!……彼女はこの『ウルトラジャー』の一件におけるキーマン。最重要人物なの。『ウルトラジャー』が炊飯器の姿をしているのなら、炊飯器と意思疎通できるヌカちゃんのこの力を使って、『ウルトラジャー』の本心を探ることができるかもしれないの!」

サトシ「すげぇ!それができたらヌカ様様じゃん!」

スイレン「マオちゃんが言うなら間違いない。私はヌカちゃんを信じる」

ヌカ「! マサラタウンのサトシ……と、えぇっと……」

スイレン「初めまして。呼び方はスイレンでいいよ。マオちゃんの一番の友達。 一 番 の 友 達  ……大事だから二回言ったよ」

サトシ「バトルも強いし……オレは期待してるよ!ヌカのこと」

ヌカ「えへへ……///」


カキ「ちょっと待て、どうしてそう簡単に信用ができる? マオ、オレは騙されないぞ。お前の話は内容が異次元すぎて信用どころか理解すら叶わんのだ」

カキ「後、少しは頭を使え。仮にそこの女が炊飯器の心が読めたとして『ウルトラジャー』と意思疎通できるという証拠がどこにある?」

カキ「『ウルトラジャー』がウルトラビーストだということはエーテル財団が暫定的に定義づけているし、今の時点ではそれが最も有力な仮説だ。その推測の下で対ウルトラビースト特殊部隊であるオレ達が呼び出されたということを忘れているだろう」

マオ「んなこと知ってるよ。アイツはほぼウルトラビーストなんでしょ?でも姿は炊飯器に似てるから、ヌカちゃんの力が使えるかもしれないから連れてきたんじゃん」

カキ「ハァ……あのな、そんないい加減な推測で一般人を巻き込んでいいと思ってるのか?」

マオ「一般人じゃないよ!ヌカちゃんは炊飯器の心が読めるって言ってんじゃん!さっきまで何聞いてたのアンタ」

カキ「オレは立場の話をしてるんだ。体質の話じゃない!まぁ、お前やその女の親父のような胡散臭い冗談も信じがたいがな」

マオ「何さ!もっぺん喧嘩したいの!?」

カキ「お望みなら?」

マーマネ「ストップストップ!もう二人ともいい加減にしなよ!そんなことするくらいなら推測だろうが冗談だろうがお互い割り切ってスムーズに話を進めた方がマシだよ!」

スイレン「ケンカばっかりするマオちゃん、嫌い」

サトシ「カキもさ、ちょっと頑固なのもお前のいい所だと思うけど、ここは一つヌカを信じてみようぜ!」

マオ/カキ「「むぅ……」」

ククイ「まぁ何だ。信憑性の良し悪しはあれど、エーテル財団の仮説も、マオがヌカを誘った理由も、全部ただの推測にすぎない。この件は、わからないことだらけのまま話が進んでることを忘れちゃいけない」

ククイ「だったら、わからないなりに信じてみてもいいんじゃないか?……万が一ダメだったら、また考え直せばいいじゃないか。お前達はまだ子供なんだ。子供ってのは、考え直すことができる時間をいっぱい持ってる」

ククイ「冗談だとか信じられないとかいう前に、今眼の前にある一筋の光、迷わず手に取ってみてはどうだろう?」

カキ「光……」チラッ

ヌカ「え、えぇっと……」
 ▼ 135 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/30 00:06:33 ID:b13EZpOY [1/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
カキ「……フッ。いいだろう。どうやら一番頭を使っていなかったのはオレだったらしい。理解できなかったんじゃなくて、内心理解したくなかったんだろうな」

マオ「へぇ、わかってんじゃん」

サトシ「やったなヌカ!頼りにしてるぜ!」

ヌカ「!?!? たたった、頼りに!? ……マサラタウンのサトシが、あたしを……?」

サトシ「サトシでいいって。オレの『コイツ』とヌカのトロピウスがいれば、ウルトラジャーにだってきっと敗けないしさ」

トロピウス「クルルルルルルル……!」

ヌカ「そのモンスターボールは?」

サトシ「へへ、やる気マンマンだったから連れてきた!優しいヤツだから、トロピウスともいいコンビネーションを作れると思うぜ」

ヌカ「優しい子?」

サトシ「うん。優しい子」


トロピウス「カラララララ!」

ヌカ「ん?どしたの?」

トロピウス「クルルルルル」

ヌカ「ひょっとして……今言えって!?ここで?」

トロピウス「カルルル」コクリ

マーマネ「あっ! ……そうだよそうだよ。ヌカちゃんはサトシに言いたいことがあるんだよ」

マオ「もうマーマネったら……ヌカちゃん、もう話していいかな?さっきの事」

ヌカ「……うん。いいよ。自分で話す」




-------同じ頃 「メレメレジャーショップ」-------


オニドリル「ピョピョピョピョ」

ムラシ「オニドリル、済まないねぇ呼び出して。さっき警察の人が来ててね。警備を固めるからしばらく外に出ないようにって言われて……お客も来ないだろうし、ちょっと一人で退屈だから話し相手にでもなってくれないかな?いいだろう?」

オニドリル「ピャペピ」

ムラシ「銀色の怪物、か……ヌカが言ってたウルトラビーストといい、僕らはひょっとしたらとんでもない場所に引っ越してきたんじゃないのかな……?」

ムラシ「いや、そんなことないか。僕達が住んでたシンオウ地方も十分ブッ飛んだ場所だったよなぁ。『神』と呼ばれるポケモンと、湖に棲む伝説のポケモン達……神殿に佇む大いなる巨人、満月と新月の化身、火山の化け物……フフ、キリがないな」

ムラシ「ウルトラビーストに会いに行ったヌカの事は心配だが、いいお友達もできたことだし、何より信頼できる。……こんな胡散臭いオッサンよりかはよっぽどね。ハハハ……」

ムラシ「それにしても……昨日ウチに来てくれたあの子がマサラタウンのサトシ君だったとは……明日にでも、いや、事件が解決したらすぐにでもお礼に行かないとね。ヌカを助けてくれてありがとうって」

オニドリル「ピピピャヘ」

ムラシ「『あの日』から、サトシ君に救われるまでの間……あの時のヌカは、親の僕だって見ていられなかったから」
 ▼ 136 スブレロ@ウッディメール 18/07/30 02:10:02 ID:usqQ3mcA NGネーム登録 NGID登録 報告
しえーん
 ▼ 137 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/30 22:37:43 ID:b13EZpOY [2/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
それは昔のようで、つい最近のお話。

ヌカの故郷は、シンオウ地方にある何てことの無い普通の田舎町。

テレビもある、ラジオもある、車もそれなりに走ってはいるが、ポケモンセンターやポケモンジムはない。そんな微妙に小さな田舎町に、ヌカ達の住んでいた一軒屋がある。

この頃からヌカとトロピウスはいつも一緒。バトルの特訓はほどほどに、父親と、祖父母と、ポケモン達と、稲作農家を営みながらのどかな毎日を送っていた。


ムラシ「そら出来たぞ。自慢の炊飯器185号!5日間保温状態でもご飯がカピカピにならない優れモノだぞ」

ヌカ「おぉ!じゃあ明日から早速それを使って晩御飯作ってみるね!」


ヌカ祖父「なぁ婆さんや。また最近ムラシのヤツはイキイキしてきたと思わんかね?」

ヌカ祖母「お嫁さんを亡くした一昨年を最後に、一度は辞めた炊飯器作りに再び精を出し始めたからでしょう。……今やもうすっかり立ち直って、親としては一安心ですわ。ただあの子ったら、近々お嫁さんの故郷の遠い島へ引っ越してお店を立てるとか。実家の米作りはどうするおつもりでしょうかね」

ヌカ祖父「まぁムラシの選んだ道だ。ワシも止めはせん。……それに何より、ヌカも一緒なんだ。しっかり者のヌカが一緒なら心配することはあるまいて」

ヌカ祖母「ホホホ、それは言えてますわ」


ヌカ「いこっ、トロピウス!今日も広場に行って近所の子達とバトルの合同練習だよ!」

トロピウス「カルルルルル!」


ピーーーーーーーポピポッ、ピーーーーーーーポゥ


ヌカ祖父「な、何の音じゃ!?」

ヌカ祖母「お客様ですよ。いい加減インターホンの電池変えましょうよお爺さん」

ヌカ祖父「おぉそうか。ヌカ!出かけるなら先にお客様を通してくれないか?」

ヌカ「はーーい! ……ウチにお客さん? こんな時期に業者の人じゃないだろうし……一体誰だろう?」

トロピウス「カルルルルル」

♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪

ヌカ「すみませんインターホンの調子が悪くて……あの、ウチに何かご用でしょうか?」

???「すまないな。オレは色々あってポケモンと一緒に旅をしてる。道に迷ってしまったんで、少しばかり教えてほしいことがあるんだが。……ここらに、『ブギーマン』という店があるそうなんだが、知らないか?」

ヌカ「『ブギーマン』……あっ!それなら知ってます!ただちょっと大分複雑な道を通ることになりますけど……あの、よかったら案内しましょうか?」

???「済まないな」

ヌカ「『ブギーマン』といえば、ポケモンフーズの有名ブランドなんですよねぇ。通販もやってるのにわざわざお店まで来るってことは、お兄さんは相当なポケモン想いなんですね」

???「オレのポケモンを効率良く鍛えるためには、エサにも気を遣わないといけないからな」

ヌカ「さぁさ行きましょ行きましょ♪」ギュッ

???「触るな馴れ馴れしい」
 ▼ 138 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/30 22:40:47 ID:b13EZpOY [3/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ヌカ「ほら♪ ここがお店ですよ」

???「本当に済まない。お前にも用事があったろうに」

ヌカ「気にしないでください!バトルの特訓をしようと思ってただけなので……あたし、ポケモントレーナーやってるんです!家族のトロピウスと一緒に、いつかはポケモンリーグにも出ようと考えてて」

トロピウス「カルルルルル……」

???「いつか?」

ヌカ「まだまだそんな大きな大会で結果を残せるほど実力はついてないけど、少しずつ頑張って、いつか出るつもりなんです。ね?トロピウス」

トロピウス「コロロロロロロ♪」

???「……ぬるいな」

ヌカ「えっ?」

???「何でもない」

ヌカ「今言ったでしょ?ぬるいって」

???「……お前が本当にそれだけの実力をもつポケモントレーナーを目指すなら、せめて特訓くらいはお前自身の満足しているだけの段階の、さらにもう一段上のレベルでやってみろ」

ヌカ「はぁ……」

???「今まで以上に経験を積めば、お前のポケモンと真に向き合うことができる……かもしれない」

ヌカ「もっと特訓して……トロピウスと……真に向き合う……」

トロピウス「ウルルルル……」

???「案内してくれたことは感謝するよ。これでまたオレは一段上のレベルに上がることができる」

ヌカ「あ、あの……アドバイスありがとうございます! えっと、あなたもポケモントレーナーですよね?差支えないようなら、名前を教えてもらっていいですか?」

???「そんな義理はない」

ヌカ「あ、あなたが有名になった時に、友達に知り合いだって自慢できたらいいなぁー……なんて、ハハハ」

???「……チッ」


シンジ「     シンジ。 ……トバリシティのシンジだ。覚えにくいようなら忘れてもらって構わない。名前を忘れられたくらいで怒鳴るほど、オレは度量の狭いヤツじゃない     」


ヌカ「ど、怒鳴るって……ト、トバリシティですか?都会ですよねぇ〜!お、お買い物楽しんでいってくださいねー!」

シンジ「…………」



ヌカ「……なんか、雰囲気怖い人だったね」

トロピウス「クルルルルル」

ヌカ「さっ、広場に行こうか。今日こそ『エアスラッシュ』が完成するといいね。完成したらさ、あたしが炊飯器で焼いたケーキにモモンのみを一杯乗せてお祝いしたげる!」

トロピウス「カルルルルル♪」
 ▼ 139 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/30 22:45:08 ID:b13EZpOY [4/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
トロピウス「ウルルルルル……」スカッ スカッ

ヌカ「むぅ……まだ少し経験が足りないのかな。今日中に完成させるのはちょっと厳しいね」

友達A「でもさ、昨日よりも前足の振りが速くなってるよね?まだまだ完成とはいえないけど、着実に成長してる感はあるよ」

友達B「そうそう。ヌカちゃんのトロピウス、だんだんとバトルが似合う顔になってきてると思うよ?」

ヌカ「フフ、何ソレ」

トロピウス「クルルッ」キリッ

友達A「どうする?今日はもう夕方だし帰ろうか?」

友達B「そうだね。じゃあヌカちゃん、また明日!」

ヌカ「うん!また明日ー」

♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪

トロピウス「クーン」

ヌカ「まぁまぁ……よしわかった!約束とは違うけどケーキは作ってあげる!あぁ、モモンの量は予定の半分だけどね。それでいい?」

トロピウス「カルルルッ!」

ヌカ「フフ、ちょっとずつ、これからも無理しないように頑張っていこうね!トロピウス」ナデナデ

トロピウス「(*´▽`*)」


ヌカ「さて、あたし達も帰ろう!晩御飯作んなきゃだからね」


ヌカとトロピウスの特訓は極めてマイペースだった。二人の住むのどかな風景が広がるこの町のように、ゆったり、ゆっくりと経験を積み重ねていく。そうして今まで二人は暮らしてきた。

……この時までは。


シンジ「…………」


ヌカ「あれ、あそこ歩いてる人って……ほらトロピウス、あの人。昼間に道案内をした人だよね?名前は確か……トバリシティのシンジ」

ヌカ「あっヤバ、行っちゃう!追いかけよう!」


ヌカ「シンジさん!……よかった。間に合った」

シンジ「……昼間のヤツか。礼ならもうしたハズだぞ」

ヌカ「あぁいえ、そうじゃなくて……偶然通りかかった所を見たので」

シンジ「お前はいちいちただの通行人に声を掛けて回っているのか?変なヤツだ」

ヌカ「なっ……!別にそんなんじゃないです!今日せっかく知り合ったんですし……ここで会ったのも何かの縁、ちょっとお話しませんか?」

シンジ「……さっき行った店の店主といい、馴れ馴れしいのがこの町の住民性らしいな。店の帰り道も、お前を含めて8人に声を掛けられた。何なんだこの町は」
 ▼ 140 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/30 22:49:42 ID:b13EZpOY [5/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ヌカ「でしょ?この町は町全体が家族みたいなもので、とても暖かくてあたしは好きなんです。シンジさんも、よかったらまた立ち寄ってくださいね?」

シンジ「……オレは意味のない馴れ合いはしない。オレの知り合いを名乗るなら町の連中に伝えてくれるか?用が無いなら余所者に気安く話し掛けるなとオレが言ってたとな」

ヌカ「むっ……」

トロピウス「グルルルルル……」

シンジ「じゃあな」

ヌカ「よ……用ならありますよ!あたしの場合!……お、同じポケモントレーナーとして……!あな、あなたに!バトルを申し込みます!」

トロピウス「カラララァ!!」

シンジ「…………」

ヌカ「……え、えと……」

シンジ「1対1だ。それ以上の時間を割いてやる余裕はない」

ヌカ「!」


ヌカは強いポケモントレーナーが憧れだった。ポケモンバトルが好きな彼女だが、自分で戦うよりも、レベルの高いポケモンバトルを見て楽しむのが何より好きだった。ポケモンリーグの観戦チケットを毎回のように買ってはハイレベルなバトルに胸躍らせていた。

今の自分では手の届かないほどの高みで繰り広げられるバトルに圧倒され、気持ちを高ぶらせること……その快感を人一倍重んじては、いつかは自分もそこに立っていられるようなトレーナーになることが目標なのだ。……いつかは。

その場所に近いところに立っているであろうシンジとまだ別れたくない。もっと関わりたい。そう思ったヌカは興味本位で勝負の見えているバトルに臨む。


ヌカ「トロピウス!『はっぱカッ

シンジ「『かみなりパンチ』!」

エレブー「ヴァアアアァアアァ!!」


                 ズ ド ッ


トロピウス「」

ヌカ「トロピウス! ……やっぱりかー……強いんですね。って、当たり前か。ハハハ」

トロピウス「クルゥ……」

ヌカ「よしよし、帰ったらモモンケーキね。忘れてないよ♪」

シンジ「…………」

ヌカ「バトルありがとうございました!これからもっともっと経験を積んで、トロピウスと真に向き合えるようになるまで頑張ります!」

シンジ「何のことだ?」

ヌカ「えっ? やだもう、シンジさんがアドバイスしてくれたんじゃないですか!……あたしはもっと強くなって、そしてトロピウスと向き合い、思いたいんです。あなたと一緒でよかった……って」

トロピウス「クルルルルル……」

シンジ「……そうか。ならもっと強くなるといい。だがお前が近い将来その領域に踏み込んだ時、お前達は今のままでいられるという保証はないがな」

ヌカ「? ……どういうことですか?」
 ▼ 141 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/30 23:02:10 ID:b13EZpOY [6/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
シンジ「見た所、お前は随分そのトロピウスに執着しているようだが、ソイツの中にある力がどの程度あるのか分かった上で一緒に戦っているんだろうな」

ヌカ「執着って……あたしとトロピウスは家族です!あたしの家族、そして、一緒に強くなろって約束したパートナーなんです!」

シンジ「その割には大した強さじゃなかったがな……よく聞け。 まさかこのオレが一日に二度も同じヤツに説教を垂れるとはな」

シンジ「お前はいつか強いポケモントレーナーになる。その為にはたくさんのポケモンと出会い、彼らの実力を見極め、己が高みを目指す為の糧となる最高のメンバーを決めなければならない」

ヌカ「……そうでしょうね。トロピウスだけではそれは難しい。だからあたしに合ったメンバーを……


シンジ「ハッキリ言おう。そのメンバーの中にお前のトロピウスがいる可能性は限りなく低い」


ヌカ「……え」

シンジ「レベルの高いポケモンバトルとは、強いトレーナーと強いポケモンのみが立てる領域。さっきのバトルを通して、お前のトロピウスはその領域に立つにふさわしくないとオレは思う」

ヌカ「そうですか……じゃあ、あたしもトロピウスもその領域に立てるように頑張らないと、ですね」

シンジ「いい加減解れ!ソイツより強いポケモンは……いや、ソイツより強いトロピウスなんか山程いる!お前が本当に強いトレーナーを目指すなら、そんな使えないヤツなんかよりももっと時間を割いてやるべきポケモンがいるハズだ」

ヌカ「使えないって……」

シンジ「他人にどうこう言うのは気に食わんが、トレーナーとして成長するお前がこれまでも、そしてこれからも理想と真逆の虚像と向き合うことになると思うと居たたまれなくてな」

トロピウス「クルルル……?」

ヌカ「虚像……?トロピウスが……?」

シンジ「ポケモンバトルを甘く見るな。お前が憧れている世界は、今のお前のやり方では到底足を踏み入れることができるとは思えん」

ヌカ「で……でも、トロピウスとの約束が

シンジ「とにかく現実を見ろ。……お前が高みに立った時、お前と真に向き合っているであろうポケモンはきっとそのトロピウスではない。オレから言えるのはそれだけだ」


お前のトロピウスでは高みを目指せない……それだけ言うとシンジは去っていった。自分と向き合うべきポケモンと向き合う旅を続けるために。

残されたヌカはトロピウスの方を見る。今までに見たことがないほどひどく項垂れていた。シンジに言われるまでもなく、自分が一番解っていたらしい。


トロピウス「ルルルルルル……」

ヌカ「そんな顔しないでトロピウス。……あんなこと言われちゃったけど、あたしはあなたを離さないよ。ずっと一緒。だってイヤだもん。あなたのいないポケモンバトルの世界なんて。あたしの世界には、いつもトロピウスがいる。だから……」



ヌカ「          あたしもう……   や め る          」



トロピウス「……!?」

ヌカ「トロピウス……」ギュッ

トロピウス「!!」

ヌカ「あたしはあなたと離れたくないの……あたしはあなたとずっと一緒だよ。ずっと一緒……家族だもの」
 ▼ 142 イノーズ@わすれもの 18/07/31 07:06:44 ID:iUaE1OBE NGネーム登録 NGID登録 報告
超 絶 支 援
 ▼ 143 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/31 18:35:21 ID:jcZQtOVI [1/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ヌカ「トロピウス♪今日も父ちゃんの炊飯器で、おいしいご飯作ってあげるね♪」

トロピウス「…………」


次の日から、ヌカはバトルをしなくなった。自分の目指していた場所に自分よりも遥かに近い領域にいるシンジの言葉が、何よりも重いものに感じたのだ。

勿論トロピウスを特訓に誘うこともなくなってしまったが、家の中では今まで通りいつも一緒。寧ろ、二人はより距離を縮めていたが、その光景には家族の誰もが余り良い気分がしなかった。

勿論それはトロピウスも同じだった。シンジとの一件以来、ヌカが自分に向けてくれる笑顔が彼女の心からの笑顔ではなく奈落の底のように深い闇を見ているようで怖くなり、時折眼を背けては願った。昔に戻りたい、と。

ヌカと一緒にポケモンバトルの高みへ辿り着けないかもしれない不安はあった。だが自分と一緒にいたいが為に好きなことを諦めた彼女は何よりも怖かった。

そんな地獄が数十日続いたある日の事……


ムラシ「……ヌカ。ちょっといいか?」

ヌカ「うん!いいよ。 おいで、トロピウス」

トロピウス「…………」


ムラシ「ほらヌカ、今回も買ってきてやったぞ。ポケモンリーグの観戦チケット。……何故か知らんが予約が多くてな。準々決勝のしか取れなかった。これでも良ければ受け取ってくれ」

ヌカ「……行こう、トロピウス」

ムラシ「待て! ……別に父ちゃんは、お前が何に興味を持とうが構わない……ポケモントレーナーを辞めたいのならそれでもいい」

ムラシ「でもな……ここ最近のお前は見てられないんだよ。ヌカ!お前はうまく周りに振る舞っている気でいるが、みんな気付いてるんだよ。僕もお爺さんもお婆さんも……何より今も、一番近くに……いつも一緒にお前といるトロピウスも」

ムラシ「みんな気付いてるんだ!……それが家族ってモンだ。 ヌカ、お前の未来はお前で決めたらいい。父ちゃんはな、お前がどんな未来を歩もうが決して止めないさ。だが親として、一つだけは守ってほしいことがある」

ヌカ「……?」


ムラシ「何年先も、何十年先も、何百年先も……ヌカがヌカのままでいることだ」

ムラシ「いつまでもお前の思うように生きて、お前が興味を持ったことをして、お前が好きなものを愛してやれるのなら、何だっていいさ。……そうだろ?トロピウス」

トロピウス「クルルルルル……」

ムラシ「トロピウスの眼を見ろ。……正面から見るんだ。そうすればお前の顔がトロピウスの瞳に映る。……どうだ?……そこにいるお前は誰だ?……僕達の大好きな家族の形をした、お前は一体誰なんだ?」

ヌカ「誰って……それはあたし……」


トロピウス「 ガ ラ ラ ラ ラ ラ ラ ラ ラ ! ! ! 」


ヌカ「!? ……ど、どうしたの?」

ムラシ「どうやらトロピウスには見えないらしい。大好きなあの子が…… とにかくチケットを握りしめて、いつものようにリーグを観に行ってこい。僕の言葉に納得できなくても、そこにはきっといるハズなんだ。自分の好きなお前の姿が」

ヌカ「…………」
 ▼ 144 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/31 18:47:14 ID:jcZQtOVI [2/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
-------シンオウ地方 スズラン島-------


ヌカ「来ちゃったね。結局」

トロピウス「コルルルルル」

ヌカ「フフ、どうしたの?大丈夫。どこにいってもあたしはトロピウスと一緒だよ♪」

トロピウス「ウルルル……」


「いつも一緒」……ここ最近、その言葉がヌカの口癖になっていた。ヌカは強いトレーナーに憧れていたからか、シンジの言葉が冗談だと思いたくてもできないのだろうとトロピウスは考えていた。

だけどトロピウスは元気なヌカが好きだった。この場所で彼女が戻ってこなければ、もう救いはないのだろう……

♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪

ヌカ「わお!……いいねやっぱり。これぞポケモンリーグって感じ」


会場エントランスのポケモンセンターに集うのは、シンオウ地方に限らず、全国の津々浦々から最高のポケモンバトルを己の眼に焼きつけるために訪れたポケモントレーナー達。彼らは係員の案内で、次々の客席に続くゲートへ吸い込まれていく。

ゲートの奥でヌカとトロピウスを待っていたのは、憧れのポケモンリーグのフィールドだった。……が、トロピウスの予想通り、フィールドを見つめるヌカの瞳はややくすんでいた。彼女はその領域に手を伸ばすことを諦めているのだから。


トロピウス「…………」

ヌカ「どうしたのトロピウス。具合でも悪い?」


歓声に包まれ、シンオウリーグ・スズラン大会の準々決勝が幕を下ろした。ここまで勝ち残っただけあって、ポケモントレーナーもポケモンも、気迫と戦略を兼ね備えたバトルで会場を沸かす。

♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪

実況「決着-----------!!シンオウリーグ・スズラン大会、準決勝に駒を進めたトレ−ナー1人目は……!」


ワ ァ ァ ァ ァ ァ ァ ァ … … ! !


ヌカ「そうだ。……ねぇ、これ見て。エントランスで配ってた準々決勝のトーナメント表。この顔……見覚えあると思わない?」

トロピウス「……!」

ヌカ「やっぱりね……トバリシティのシンジ。あの人はやっぱり強い人だったよ」

ヌカ「え……?いやいや、恨んでなんかないよ。あの人から教わった事はきっと間違いじゃない……でも、示してもらった先の景色をあたしは見たくなかったから……あたしは、あなたとずっと一緒にいたいもの、ね?」

トロピウス(トバリシティのシンジ……!)ギリッ

ヌカ「トロピウス……怒ってるの? ダメだよ。彼を悪く思ったら」


実況「決着-------------!!第2試合もこれにて終了だ!準決勝第1試合のカードがこれで決定したぞ!」


ウ ォ ォ ォ ォ ォ ォ … … ! !
 ▼ 145 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/31 18:56:58 ID:jcZQtOVI [3/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
                        ズ


                        ド


                        ン


                     !  !  ! 


実況「な……何ということでしょう!シンオウリーグ始まって以来の大事件が起きてしまいました!タクト選手、6対6のフルバトルで行われるこの準々決勝においてもワンサイドゲームを展開し、ダークライだけで相手選手の全てのポケモンを倒してしまったーーーッ!!」


ザワ……ザワ……        スゲェマジカヨ……       ミテラレナイワ……


ヌカ「……すごいね」

トロピウス「…………」


圧倒的大差で終わった第3試合。その途中からすでに、ヌカの意識はシンジのバトルへ向いていた。勝負の相手は、マサラタウンのサトシ。

準々決勝第4試合。シンジとサトシ、両者がフィールドへ入場すると、オーロラビジョンに二人の顔が映し出される。トロピウスはシンジの顔を見るや否や低いうなり声を上げる。ヌカは表情一つ変えずに、シンジの言葉を思い出しながら、


ヌカ「トロピウス、あたしはあなたといつも一緒にいるよ」


大事な家族に笑顔でそう語りかけた。トロピウスはいよいよそっぽを向き、その言葉に無視を決め込むことにした。

モニターに映る二人は何を話しているのか、口を動かしているがヌカの耳には言葉が入ってこない。聞こえるのは歓声と、そして……


ピカチュウ「 ピッ カ ァ ァ ァ ァ ァ ! ! 」

ボスゴドラ「 ド ラ ァ ァ ァ ア ァ ! ! 」


激しいバトルで吹き抜ける突風に乗ってやってくる、雷鳴のような轟音とポケモンの叫び声。


ムクホーク「 ホ ォ ォ ォ ォ ォ ォ ォ ! ! 」

トリトドン「 ぽ ぇ ぇ ぇ 〜 〜 〜 … …  ! 」


シンジとサトシのバトルに特別な意味がある事などヌカが知る由もなく、バトルは続く。ただ、ヌカは薄っすらではあるが意識を自ずとシンジ以外の別の方向へ向け始めていた。

ヌカは、シンジが自分の憧れていた領域に限りなく近い人だと思っていた。だからこそ、彼の言葉通りになるであろう自分の未来を恐れ、強くなることをやめた。

しかし相手のポケモントレーナーは、トバリシティのシンジと互角の勝負を繰り広げている。


ヌカ「マサラタウンのサトシ……か」
 ▼ 146 ャーレム@やけどなおし 18/08/01 16:10:33 ID:AoskSRsU NGネーム登録 NGID登録 報告
トバリシティのシンジの語呂の良さ
支援
 ▼ 147 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/01 21:25:08 ID:i3sYubLg [1/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ドラピオン「 ら゛ あ゛ ぁ゛ ぁ゛ っ ! ! 」

ブイゼル「 ブ ィ ーーーーー ッ ! ! 」


ヌカ「…………」ムズムズ

ヌカ「……はっ、いけないいけない」

トロピウス「?」

ヌカ「えへへ、ちょっとイケナイ期待をしちゃってて……大したことじゃないから気にしなくていいよ」

トロピウス「カルルルルル……!」 

ヌカ「……わかった。  ねぇ、このバトル……トロピウスはどっちが勝つと思う?」


ドラピオン「 が ら あ゛ あ゛ っ ! ! 」

ドダイトス「 ど ほ っ … … ! ? 」


ヌカ「わからないよね。……でもさっきあたし、一瞬だけトバリシティのシンジに敗けてほしいって思っちゃった。……イケナイよね。せっかくあたしに大事な事を教えてくれた人なのに」

トロピウス「クルルル……?」

ヌカ「あの人は強い。あたしの憧れ。どれだけ頑張ってもあたしじゃ絶対に超えられないと思う……だから彼の言葉は誰よりも重いと思っていたし、あたしもそれを信じてこの数十日暮らしてきた」

ヌカ「けど今、彼は相手と互角の勝負をしてる。ひょっとしたら敗けるかもしれない……でも、あたしはその状況に何故か少しだけ嬉しくなって……フフ、最低だよね。あたしって。恩知らずにも程があるよ」


テッカニン「 ビ ィ ィ ィ ィ … … 」

グライオン「 ら お お お お お っ ! ! 」


トロピウス「ウルルルルル……」

ヌカ「トロピウス……あたし……あたし……」

ヌカ「本当は、自分が一番よくわかってたのかもしれないの!ここ最近自分がおかしいコトも……心の奥にいる本当のあたしが、そんなあたしを全然好きじゃないってコトも!」

ヌカ「それで、トバリシティのシンジがここで敗ければ……彼の言葉の重みが少し軽くなるような気がして……そしたらあたしももう、無理して自分に嘘をつかなくていい気がして……トロピウス、最低だよあたしは」

ヌカ「初めから、自分を信じていればよかったんだ……あたしにはあたしの、あの人にはあの人のやり方があるハズなのに……あたしはトバリシティのシンジという人に憧れてたけど、知らない間に彼を使って自分の嘘を正当化してた」

トロピウス「ウルルル……」

ヌカ「トロピウス……やっぱりあたし、まだ諦めきれない!」


ユキメノコ「 ホ ホ ホ ホ ホ ホ … … 」

ピカチュウ「 ピ ィ ィ … … カ ァ ァ ァ ァ ァ ! ! 」



ヌカ「       あなたと一緒に、強くなること        」
 ▼ 148 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/01 21:32:48 ID:i3sYubLg [2/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
実況「息詰まる戦いも、両者最後のバトルとなりました!ゴウカザルVSエレキブル!!」

実況「エレキブルはピカチュウ戦でのダメージのみですが、ゴウカザルはここまでのバトルと『どくびし』のダメージで、体力の消耗はかなり激しくなっています!最後にフィールドに立っているのは、果たしてどちらか……!?」



ヌカ「すみません、通してください!」

観客A「な、何だあの子」

トロピウス「カロロロロロ!」

観客B「うおっ!?こんな狭い客席にトロピウスが!」


自分達の席を飛び出し、ヌカ達は観客席の最前列を目指す。このバトルは、どちらが勝っても自分を変えてくれる……いや、元に戻してくれる。そう確信したヌカはもっと近くで二人のバトルを見届けようとしていたのだ。


ヌカ「ここからならよく見れるね。ここからは立ち見になるけど、全然問題ないよね」

トロピウス「ルルルルルル……」

ヌカ「トロピウス、散々迷惑かけたあなたにこんなこと言うのは心苦しいけど、あなたに謝るの……もう少し後でいい?」

トロピウス「トロロル」

ヌカ「……ありがとう。……やっぱりあたし、ポケモンバトルが大好きなんだ」

トロピウス「トルルルルル……」

ヌカ「……始まるよ」



シンジ「いくぞエレキブル!『かみなりパンチ』だ!!」


エレキブル「 ギ ィ ィ ィ イ イ ィ ィ イ ! ! 」



サトシ「ゴウカザル、『マッハパンチ』!!」


ゴウカザル「 キ ェ ェ エ エ ェ エ ェ ア ! ! 」



             ズ ッ ッ … … … … ! !


       ヴ ァ ア ア ア ア ア ァ ア ア ァ … … ! ! !



その炎と雷は、心を覆う真っ暗な闇を跳ね飛ばし、その闇に変わって心を覆っては、未来を照らして、温めて。

撃ち合う度、ぶつかり合う度に、熱さと明るさをもった強い光になって。

バトルが激化する中トロピウスはふとヌカの方を見る。そこにいたのは、口に手を当ててありったけの声で叫ぶ、トロピウスが大好きなトレーナーの姿だった。
 ▼ 149 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/01 21:45:20 ID:i3sYubLg [3/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サトシ「『かえんほうしゃ』!!」


                                     シンジ「『まもる』!!」



サトシ「チッ……」


                                     シンジ「『かみなり』!!」



サトシ「……『あなをほる』!!」


                                     シンジ「『かわらわり』!!」



サトシ「畳みかけるぞ!『マッハパンチ』!!」


                                     シンジ「今だ、捕まえろ!!」



サトシ「何……!?」


                                     シンジ「   『かみなり』!!   」


― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ―


ヌカ「……フゥ、スゴイバトルだったね」

トロピウス「クルルルルル……」

ヌカ「あたし……叫んでた。いつも以上に、バカみたいに……でもいつもみたいに楽しかった!父ちゃんの言ってた通り、あたしの好きなあたしがここにいた……」

ヌカ「でもそれに気付くまで沢山迷惑をかけた。ゴメンね父ちゃん。ゴメンねお爺さん、お婆さん。……ゴメンなさい、トバリシティのシンジ」

ヌカ「          ゴメンね……トロピウス          」

トロピウス「ルル……」

ヌカ「もう一度やり直そうトロピウス!あたし、大好きなポケモンバトルをずっとあなたとやりたい!……あたしがバトルの高みで向き合うべきポケモンが例えあなたじゃなくたって……あたしは自分で願うよ!最初から最後まで、向き合いたいポケモンはあなただよ!トロピウス!」

ヌカ「これからもずっと、あたしとあなたはずっと一緒だよ♪」

トロピウス「カルルルルル……!」


次の日から、ヌカはポケモントレーナーを再開した。彼女の心には今も、自分の好きな自分の存在を気付かせてくれたポケモントレーナーの名が刻まれている。

「マサラタウンのサトシ」と、「トバリシティのシンジ」の名が。
 ▼ 150 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/01 22:00:38 ID:i3sYubLg [4/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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サトシ「…………」

マオ「(;Д;) ウッウッ……ヌカチャン……トロピウス……」

マーマネ「何で話聞くの二回目のマオが泣いてんのさ」

ヌカ「あたしね、思ったんだ。あたしはポケモンバトルが大好き。だけどトロピウスも大好き……それでいいんだ、って」

ヌカ「そう思ったらね、あたし達にはあたし達のやり方があるように、トバリシティのシンジにも彼なりのやり方があって、それに従って自分の道を歩いてるんだってことに気が付いた……だからもうやめたの!自分が好きな自分らしくない事をするのは」

サトシ「シンジか……今何してるのかな?アイツがいなきゃ、今のオレはいないと思ってる。やっぱりポケモンバトルに正解なんてないんだよ、ね?」

カキ「……なるほどな。あくまでサトシには自分を見直すチャンスを与えてくれたことに対して感謝してるのであって、サトシがヌカの憧れのトレーナーというわけではないということか」

スイレン「カキ……何かちょっと嬉しそう」

ヌカ「じゃあ改めて……」


ヌカ「ありがとう!マサラタウンのサトシ。あたし達はあなたと……トバリシティのシンジに救われました。本当にありがとう!」

トロピウス「カルルルルル……」


サトシ「うん。どういたしまして」

ヌカ「マサラタウンのサトシに、やっと『ありがとう』を言えた……次はトバリシティのシンジだね。いつか必ず会ってお礼を言おう?トロピウス」

トロピウス「カラララララ♪」

ヌカ「マオちゃんもありがとう♪マサラタウンのサトシ、あなたの言う通りフレンドリーだったよ」

マオ「グス……えへへ、お役に立てたようで光栄でありますっ♪」

スイレン「ぬぅ……」

サトシ「じゃあさ、呼び方もサトシでいいよ!ヌカとはこれからももっともっとバトルして仲良くなりたいから、名前が呼びにくいと邪魔くさいでしょ?」

ヌカ「それも考えたんだけど……やっぱりいいの!これからもよろしく!マサラタウンのサトシ!」

サトシ「え゛え゛ぇ!?」

マーマネ「頻繁に舌噛みそう」

カキ「フフ……いいじゃないか。誰と仲良くするにしろ、印象に残るキャラ付けは大事だぜ」

ククイ「その通り。……ポケモンバトルに正解がないように、サトシの呼び方にも正解はないということだ!」

ベベノム「ピヒヒヒヒヒヒヒ」

サトシ「……しょうがないな」


                      あなたは誰ですか?今のあなたは、あなたの好きなあなたですか?

                        何をしようと、誰に憧れようと、あなたはあなたらしく。

                 あなたの好きなものと、好きな人と、好きなポケモンと一緒に、どこまでも。いつまでも。
 ▼ 151 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/01 22:01:47 ID:i3sYubLg [5/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
次のおはなし



第9話(全13話)「サトシの願い」
 ▼ 152 ンヂムシ@おおきなキノコ 18/08/02 17:57:57 ID:A3Hwo4yo NGネーム登録 NGID登録 報告
やっぱりサトシってスゴいんだなて
支援
 ▼ 153 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/04 00:04:15 ID:f2XEJK2o [1/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ニャース「確かにさっき何かの声がしたハズなのニャ。一体どこから聞こえたのかニャ……?」


未だ、「わからないことだらけ」の世界を彷徨うニャース。どれだけ歩いても、どれだけ見渡しても、彼の周りには不鮮明で混沌とした「わからないもの」ばかり。

時々聞こえてくる声だけを頼りに、ニャースは仲間を探しがてら、道なき道を進む……が、ニャースは薄々気付いていた。この「わからないことだらけ」の世界の正体に。


ニャース「もしかしたらここは……誰かの『心』の中じゃないのかニャ? 『心』は何よりも複雑なもので、単純なもの。明るくも、暗くもなる……このメチャクチャな世界を一言で言い表すのなら、誰かの『心』の中という他はないのニャ」

ニャース「困ったニャ……さすがのニャーだって『心』を読むことはできないのニャ……『心』といえば、ムサシもコジロウも勘違いしてるけども、ニャーが分かるのはポケモンの『言葉』であって『心』なんかじゃないのニャ」

ニャース「とにかく早いトコ、この『わからないことだらけ』の世界から脱出したいのニャ。どこの誰かは知らないけれども、もう一度、もう一度だけ声を聞かせてほしいのニャ。欲を言うならニャーが分かるまで声を出し続けてほしいのニャ……」


                      コ メ ェ ェ ェ ェ ェ ェ ェ ! !


ニャース「! ……き、聞こえたのニャ!お、おミャーは今、どこにいるのかニャ!?ムサシとコジロウは!? ここがおミャーの『心』の中だとしたら、おミャーはニャー達をこんなところに閉じ込めて何をするつもりなのニャ!?」


                      コ メ ェ ェ ェ ェ ェ … … … …


ニャース「ニャー達が昨日の昼間開けた炊飯器と何か関係があるのかニャ!?」


                          コ … … メ … …


ニャース「…………」

ニャース「ニャーでよければ相談に乗るニャ。おミャーの『心』は理解できなくても、ニャーにはおミャーを理解しようとする『心意気』はあるつもりなのニャ」

ニャース「まずはオミャーの名前を教えてほしいのニャ。どこから来たのニャ?お前はポケモンかニャ?それとも人間かニャ?それとも……いや、そんなことよりもおミャーの居場所を聞くのが先ニャ」

ニャース「わからニャいなら好きな食べ物でも答えるのニャ。おミャーが答えた食べ物のによっておミャーがいる方角が分かる。これ、ムサシがやってた心理テストの一題だニャ。最も、あの問題で分かるのは将来の旦那が住んでいる方角だけどニャー」

ニャース「でもきっと大丈夫、居場所を特定するという点では一緒ニャ。さぁ、答えるのニャ!」


                 … … … … … … … … … … … … … … … …


ニャース「あっ、そうか。この世界は『わからないこと』だらけの世界。そもそも方角の概念なんてあるかもわからないのニャ」ガクッ

ニャース「こうなったらもうそっちに来てもらうしか方法がないのニャ。ここがおミャーの『心』だとしたら、おミャーがこの世界の仕組みを一番わかってるハズニャ。早く来るのニャ!」

ニャース「今のおミャーの気持ちをニャーの前で聞かせるのニャ!見えない所で叫んでたって、ニャーはどうすることもできないのニャ!」
 ▼ 154 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/04 00:15:18 ID:f2XEJK2o [2/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ニャース「ニャーでよければ相談に乗るニャ。……その為に、おミャーはニャーをここに連れてきたんじゃないのかニャ?」

???「!!」


ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ … … … …


ニャース「ニャッ!?スゴイ勢いで揺れてるのニャ! ……今揺れているのはお前の『心』なのかニャ!?  もしそうなら取り乱す前に今すぐこっちへ来るのニャ!!おミャーはどこにいるのニャ!?

ニャース「相談に乗るって言ってるのニャ!一人で抱え込むのはよくないのニャ!ニャーはおミャーのみか……



                              コ


                               メ


                              エ

                             エ

                              ェ

                            ェ

                             ェ

                           !  !  ! 



― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ―



ニャース「……揺れが収まったのニャ。 ……今のは、おミャーの仕業かニャ?」

???「…………」

ニャース「……ようやく見つけたのニャ。おミャーが……この世界の主……おミャーは、ニャー達をどうしてここに連れてきたのニャ?」

???「…………」

ニャース「わかったニャ。質問を変えるニャ。今おミャーは、何をしたのニャ?きっとさっきの揺れはおミャーの『心』が起こしたものニャ。……心当たりはあるかニャ?」


???「ーーーーーーーーーーー」


ニャース「ニャニャ!?」


ニャースは全てを知った。いきなり眼の前現れた「おミャー」こそが、自分達をこの場所へ連れてきた者であるという事を。

自分の予想通り、ここは「おミャー」の心の中だという事を。


そして「おミャー」の正体は炊飯器で、そして銀色の怪物で……たった今、眠りから覚めて動きだしたという事を。
 ▼ 155 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/04 00:24:56 ID:f2XEJK2o [3/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
時は来た。カーラエ湾の中心にある小島で身を潜めていた「ウルトラジャー」が再び行動を開始した。

サトシのライドウェアから移したGPS発信機を通してウルトラジャーの行動を監視していたウルトラガーディアンズ総司令官・ルザミーネから隊員達へ、最後の指令が下される。


ルザミーネ『ウルトラジャーが動き始めたわ!予め小島の各地に配置しておいた職員が麻酔やトラップで応戦してはいるけど、長くは持たないから急いで向かってちょうだい!』

カキ「遂にか……対ウルトラビースト対策部隊として、今度こそ敗けるわけにはいかんな」

ヌカ「……? あの、さっき職員の人達が小島にいるって言ってたけど、ウルトラジャーが休んでいる間に捕獲することはできなかったのですか?」

マーマネ「ウルトラビーストの捕獲は思った以上に難しいんだよヌカちゃん。今回もUB専用のハズのウルトラボールが効かないらしいし、かと言ってそのままエーテルパラダイスに輸送しても輸送先で暴れられたらたまったもんじゃないし」

カキ「ウルトラジャーと『戦う』か『和解する』か……この一件の解決への道はそれしかない。いずれにしろオレ達の出番が必要というワケだ」

ククイ「喋っている時間はないぞ。一秒でも早く職員と合流してウルトラジャーとの戦闘に入るんだ!作戦はさっき話し合った通りだ。……今までで一番危険なミッションになるだろうが、その分多くの人達が協力してくれてる。お前達はお前達にできることに専念しろ」

サトシ「はいっ!」

ククイ「ウルトラガーディアンズの合言葉を忘れてはいないか!?合言葉は、せーの……」


                 「「「「「 ウ ル ト ラ ジ ャ ー ! ! 」」」」」




カキ「よし、ライドポケモンに乗り込むぞ!」

スイレン「胸熱展開。肺なんか気にしてる場合じゃねぇ」

マーマネ「マオ、どうしたの?早く行くよ!」


ヌカ「…………」

マオ「……緊張してる?……そりゃそうだよね。ヌカちゃんを呼んだあたしがこんなこと言うのも何だけど、ヌカちゃんの担ってる役はとてつもないプレッシャーがかかるもの。でもね、そんなことは考えなくていいよ」

ヌカ「……わかってる。マオちゃん達がついてくれてるから……怖いものなんてない……って、思いたいけど……」

マオ「じゃあこうしよう!いっそのこと、誰かの期待を背負ってるとかそういう無駄なことは全部取っ払って」

ヌカ「む、無駄って」

マオ「いやいや、正直無駄だと思う事だってあるよ!いくら他人が期待してくれてたって、それが自分の心にへばりついて自分の頑張りに支し障るくらいなら、頑張る最中くらいは取っ払って忘れちゃえばいいんだ」

ヌカ「だ、大胆だね……」

マオ「……今のうちは、ただ純粋に自分にできる事をしたい……その気持ちだけを持って頑張ることに集中できれば完璧なんじゃないかな?難しいと思うけど試してみて。『がんばリーリエ』!だよ!」

ヌカ「……うん。頑張る」ニコッ

マオ「上出来♪」

アママイコ「あっまい!」

トロピウス「コロロロロロ……」
 ▼ 156 チャモ@グラスメモリ 18/08/04 00:26:34 ID:1rHsRLlw NGネーム登録 NGID登録 報告
メガシエンネ
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