▼  |  全表示296   | <<    前    | 次100 >> |  履歴   |   スレを履歴ページに追加  | 個人設定 |   ▼   
                  スレ一覧                  
SS

【長編SS】 超 絶 炊 飯 器

 ▼ 1 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/09 01:08:15 ID:X9EcE1Do [1/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
メレメレ島・アーカラ島・ウラウラ島・ポニ島


4つの島からなる自然豊かな場所・アローラ地方は人とポケモンが仲良く暮らしている。


近頃、そんなアローラ地方に何やら妙な余所者が迷い込んできたと住民達の間で噂になっているようだ。


余所者の正体は未知の空間・ウルトラスペースからやってきた生命体「ウルトラビースト」。


アローラに突如として姿を現したウルトラビーストはその圧倒的な力と不思議な能力でアローラの生態系を蹂躙する。


しかし、彼らにとってはアローラもまた未知の空間。この世界で見るもの全てを、彼らもきっと恐れているのだろう。


そこで、エーテル財団代表ルザミーネは自らの趣味嗜好とウルトラビーストを救わんとする想いを込めて、対ウルトラビースト特殊部隊を結成した。その名も……



                   「ウルトラガーディアンズよ!合言葉は、せーの……」




              「「「「「「 ウ ル ト ラ ジ ャ ー ! ! ! 」」」」」」
 ▼ 2 ロリンガ@ぼうごパット 18/07/09 01:09:11 ID:dCIsNzbo NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 3 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/09 01:09:31 ID:X9EcE1Do [2/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
第1話(全13話) 「炊飯器屋のトンデモ娘」
 ▼ 4 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/09 01:12:47 ID:X9EcE1Do [3/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
テンテテンテテンテテンテテン テテテテン♪


今日も今日とて、ポケモンスクール。いつものようにトレーナーとポケモン達が仲睦まじく過ごしている姿は、アローラの縮図そのものである。

そんなスクールの中でも特に個性的なメンバーが揃った教室から、今回もまた新しい物語が始まるのだ。



-------ランチタイム-------


サトシ「うっ……! うっっま あ あ あ あ あ あ あ あ あ 

カキ「うるせぇ」ボコッ

サトシ「い゛っ」

カキ「食事中だぞ。無意味に騒いでエネルギーを浪費するんじゃない」

マーマネ「いや、でも騒ぐ気持ちもわかるよ。マオが持ってきたおにぎりは今まで食べたおにぎりの中でも一番に入るレベルだもの」

マオ「えへへ……///」

スイレン「マオちゃんにはいつも美味しいオカズを分けてもらってるけど、何か今日のは別格。何も入ってないおにぎりなのに……謎」

リーリエ「明らかに普通のおにぎりではありませんよね……普通じゃない……うーん……」

リーリエ「わかりました!論理的結論として、何か良い品質のお米を使っているのではないでしょうか?」

マオ「だと思うじゃん?でもこれは何ということのない普通のお米を使ってるんだ」

スイレン「ま、まさか……腋で握ってるとか……」

マオ「あはは、よくあるけど今回はしてないよそういうの」

マーマネ「本当に握ってたら毛の一本や二本混じってるはずだよ」

マオ「おいそこのオメガマユゲ、食後に屋上」

カキ「スクールにはねぇよ屋上」

マオ「じゃあ地下室」

サトシ「はいはい!わかった!足で握ってるんだ!」

スイレン「マオちゃんのことだから太腿とか……」

リーリエ「体の部位から離れてください」

マオ「何か答えが出そうにないんで言っちゃいましょうかね。答え」


マオ「正解は……   家で使っているジャーを買い替えた   でしたー!」


サトシ「(´・ω・) ジャー?」

リーリエ「炊飯器のことですよ。……成程、いつもと違うのはお米ではなくジャーだったのですね!マオのお父様はいいお買い物をされましたね!」

マオ「いや、買ったのはあたしの意思だよ」
 ▼ 5 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/09 01:17:46 ID:X9EcE1Do [4/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
スイレン「えっ?」

マオ「この間さ、ハウオリの市場に夕飯の買い物に行ったのよ。買い物を済ませた後、市場の近くにあったお店で店員さんに勧められて買ったんだよ。ねぇアママイコ」

アママイコ「あっまい!」

カキ「夕飯のオカズを買うついでに炊飯器を買ったのか……」

マーマネ「でもさ、ハウオリの商店街に電気屋さんなんてあったっけ?」

マオ「電気屋さんじゃないよ。ジャーを買ったの」

マーマネ「え?そんじゃどこで買ったの?」

マオ「『メレメレジャーショップ』っていう新しいお店だよ。お店の中は色んな種類の炊飯器があってちょっと楽しかったな」

スイレン「何それ!?炊飯器の専門店ってこと!?」

サトシ「すげぇ!例えばどんなのがあったんだ!?」

カキ「料理にスーパー疎いお前が炊飯器に興味を持った!? ……いや、それよりもマオ!その炊飯器をどういう経緯で買ったのか教えてくれ」

マオ「おっ、まいどありーっす」

カキ「いやオレは買わないぞ!? その炊飯器の店とやらがどれだけみょうちきりんな店なんだと聞いてるんだ!」

マーマネ「確かに話だけ聞いてるともの凄く胡散臭い感じがするよね。 炊飯器に用があるワケでもなかったマオに炊飯器を勧めるなんて。よほどお店の稼ぎがよくないから押し売りされたんじゃないの?」

トゲデマル「までゅ……」


マオ「じゃあわかった。わかりましたよ。そこまで疑うなら放課後にそのお店に行こうじゃんよ。そこに行ったらあたしが真っ当な買い物をしたって証明できるから。実際そこで買った炊飯器のおかげでこんなに美味いおにぎりができてるワケだし」

サトシ「マオ!おにぎりもう一個!」

ピカチュウ「ピカピカ!ピカピカ!」

マオ「ほいほい我が家の最新ジャーで作ったおにぎり二つね。はい、あーん♪」

サトシ/ピカチュウ「「(´▽`*) アーン」」

サトシ/ピカチュウ「「“(´〜`)” モグモグ」」

サトシ/ピカチュウ「「(*´▽`*) マンゾク!」」

マオ「きゃっ、うれぴ☆」

スイレン「マオちゃん!私にもプリーズ (´▽`*)」

カキ「アホしかおらんのか」


ククイ「ランチタイムに随分盛り上がってるな。おっ、マオ!随分な量のおにぎりだな」

マオ「新しいジャーでご飯炊くのが楽しくて作りすぎちゃいました☆」

サトシ「あっ、ねぇねぇ博士!放課後にみんなで炊飯器見にいくんだ!博士も行こうよ!もし気に入ったのがあったら博士んちもほしいよね?ね?」

ピカチュウ「ペカチュー!」

ククイ「炊飯器、ねぇ……」
 ▼ 6 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/09 01:19:59 ID:X9EcE1Do [5/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
-------放課後-------


ククイ「……というワケなんだ。オレは今日中に終わらせたい仕事もあるから断ったがな」

バーネット『炊飯器ねぇ……ウチは間に合ってるから別にいらないかな。ウチにあるヤツはこの先10年は使えそうな代物だし』

ククイ「だよな……しかし炊飯器とは、サトシはまた以外な所に食いつく子だな。マオの持ってきたおにぎりが余程美味かったのかな」

バーネット『フフ、ホント好奇心旺盛な子だこと』

ククイ「旺盛にも程があるぞ。考えてもみろ。10歳の子供が休み時間の話題で炊飯器スゲー炊飯器おもしれーとか言ってんだぞ。一教師としてちっとは考えらぁ」

バーネット『見るもの全てがすごい。見るもの全てが面白い。……それって、子供の好奇心の理想系だと思わない?』

ククイ「どうだか。それにこの先の事を考えると良くも悪くも妙な予感がするんだよ」

バーネット『……というと?』

ククイ「サトシの好奇心センサーが働きはじめたら、何かしらおかしな事が身の回りで起こるのがアイツが来てからの日常になってる気がするんだ。日常のようで、そうでないような、そうでもないような、ね」

バーネット『そんなことが起こるかもしれないのにどうして放っておいたのよ』

ククイ「…………」

--------------------------------------------------------

サトシ「じゃあ行ってくるね博士!博士が来れないのは寂しいけど面白い炊飯器があったら博士に教えたげる!」

ピカチュウ「ピカピカー」

サトシ「どんな面白いのがあるかなー……せっかくならオレん家にもカッコイイのがほしいよな?ピカチュウ!」

ピカチュウ「ペカ!」

サトシ「あぁもう行きたくてしょうがないよ!早く連れてってくれよマオ!」

マオ「ほいほい」

サトシ「じゃ博士!行ってきまーーす!!」

--------------------------------------------------------

ククイ「……あんなウッキウキで出て行かれておいそれと止められるか」

バーネット『プハッ 親バカwwwサトシ大好きかよwww』

ククイ「バカなこと言うな。お前も好きだよ」

バーネット『えっ?///』

ククイ「切るぞ。定時まで仕事頑張ってな」ガチャ



ビッケ「また旦那様ですか?」

バーネット「彼っぽく言うならまさに『ふいうち』ね……心臓割れるかと思った」ドキドキ
 ▼ 7 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/09 01:24:52 ID:X9EcE1Do [6/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
つい先週のこと。近頃アローラに現れた迷えるウルトラビーストの如く、見慣れない風貌の四十路らしい男と10歳少しくらいの少女がハウオリの商店街に姿を現し、店を開いた。

「メレメレジャーショップ」と名乗るその店は、ありとあらゆる個性豊かな炊飯器を店先に連ね、商店街の中で異彩を放っている。

お米はもちろん、パンにケーキ、更には煮込み料理まで、近年様々な場面で活躍する炊飯器に可能性を感じた二人は今こそ我らの時代が来たとばかりに炊飯器片手にアローラへ繰り出したのだ。

マオはそんなお店の記念すべき10人目のお客様。10人目のサービスということで定価20000円の最新型の炊飯器を9割引で勧められ、購入したのだった。


マオ「はいはーい!皆さんお待たせ!ここが炊飯器のお店だよ」

サトシ「おぉぉ!もう既に面白そうな雰囲気の店だ!見たことない炊飯器がたくさん並んでる!」

マーマネ「適当言うな。見たことある炊飯器と見たことない炊飯器の違いを口頭で説明してもらいたいね」

スイレン「20000円の9割引、つまり2000円で炊飯器が買えたなんて……マオちゃん、運が良い」

リーリエ「炊飯器の相場はよく知りませんが、2000円はきっとお安いのでしょうね」

マオ「安いなんてもんじゃないよ。クソ安だよクソ安」

カキ「たった10人目で記念サービス、か。この店、相当経営で焦ってるな」

マオ「もう!いくら牧場の息子でも牛乳やらお肉みたいに炊飯器をそんなにホイホイ買うものじゃないことくらい知ってるでしょ!」

カキ「だからって10人目で9割引って……」

マオ「あぁもう!とにかく入るよ!そんで少しでも気に入ったらここのお店にちゃんと貢献すること」

カキ「だから買わんて」

♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪

マオ「アローラー!先日はどーもです!お友達連れてきましたー!今日は一日で5個売れますよーー!おーーーい!」

カキ「…………」

スイレン「いないみたい」

マーマネ「お店は開いてるからこの中のどこかにはいると思うんだけど」


サトシ「ほへー……」シミジミ

リーリエ「何かお気に召すものはありますか?サトシ」

サトシ「いやさ、炊飯器って高いんだなーって。カッコ良くて使ってみたいものはいっぱいあるけど、とても簡単に買える値段じゃあないよ」

リーリエ「ですねー……あっ、コレなんてどうですか?携帯用で定価4000円ですよ」

サトシ「アハハ、水筒みたいだな!」

ピカチュウ「ピカカピー……」

サトシ「んー……この中のどれでも美味しいご飯が炊けそうだと思ったらまたお腹減ってきたな。早くお店の人来てくんないかな……」
 ▼ 8 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/09 01:38:19 ID:X9EcE1Do [7/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
???「おやおや、ウチの炊飯器たちをそんな風に言ってくれるとはお目が高いねお客さん」

サトシ「うおっ!?誰あんた」

リーリエ「ひょっとしてこのお店の方ですか?」

???「まぁそういうことになるけど……どうかな?何でも買ってくれればきっと炊飯器たちも喜ぶと思うよ。あぁ、今お金が無くても後で持ってきてくれたらいいから……」


サトシ達の背後からいきなり現れたこの男性こそ、「メレメレジャーショップ」の店長・ムラシさんである。

稲作農家の子として生まれた彼はその家系に合わぬ機械っ子であり、田植え稲刈りに勤しむ両親をよそに自作の炊飯器を量産しては自分の創作意欲を満たす少年時代を過ごしていたという。


マオ「あっ、店長!アローラーー!」

ムラシ「ん? ……あれ!マオちゃんじゃないか!この前はどうも。何だ?今日はお友達も連れてきて」

マオ「あんがとーござーますっ!」ペコッ

ムラシ「な、何だいきなり?」

マオ「あの、昨日初めてここのお店の炊飯器でご飯炊いたんですけど、すっっっごく感動しました!お米のハリもツヤもいい意味でエライ事になってて味も食感もプァーフェクトな仕上がりでもう最高でした!!」

ムラシ「ほ、ホントかい?そりゃよかった」

マオ「学校に持って行ったおにぎりも大好評!ので!今日はそんな炊飯器で炊いたお米の虜になったお友達を引き連れてぜひこのお店の商品を勧めたいと思い参上致しましたっ!」

サトシ「うぇーーーいwww」

ピカチュウ「ピカピカ!」

リーリエ「ど、どうも……」

ムラシ「はは、気に入ってもらえたのは嬉しいけどそんな勢いで感謝されても僕らはただ炊飯器を売ってるだけに過ぎないよ。……君らを虜にしたのは僕じゃない。炊飯器さ」

ムラシ「帰ったらちゃんと炊飯器にも感謝の言葉を伝えておくといい。美味しいご飯を炊いてくれてありがとう。また明日もお願いね、ってね」

マオ「えへへ……///」

スイレン「あのマオちゃんが言葉で落ちかけてる……あのおじさん、やり手」バチバチ

マーマネ「少々胡散臭い感は否めないけど……悪い人ではなさそうだね。ねぇカキ?」

カキ「……ハァ。 面白くない。もう帰っていいか?」

マオ「待った待ったお客さん!まだお買い物が済んでいませんよ!」ガシッ

カキ「だれがお客さんだ。買わないと言ってるだろう。炊飯器はもう間に合ってるんでいらないと言ってるんだ」

マオ「別に何個もあっても困りもしないでしょうに!ホラホラ、携帯用でもいいから買っていきなって!」

カキ「どうしてそこまで買わせたいんだよ。いらんっての!」

マオ「むぅ〜、かくなる上は……店長!この男の子にオススメの炊飯器を選んであげてください!」

カキ「……は?」
 ▼ 9 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/09 01:42:19 ID:X9EcE1Do [8/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ムラシ「よしきた。……君、名前は?」

カキ「カキです」

スイレン「答えるんだ」

ムラシ「カキ君ね。……ではカキ君。オススメの炊飯器を言ってあげたいが、それにはカキ君がどのような炊飯器を欲しているのか……いや、どのような炊飯器がカキ君を求めているのか僕が知らなければならない」

マオ「うんうん」

カキ「意味がわからん」

ムラシ「今、店中の多くの炊飯器が君の視界に入っているだろう?だがそれは向こうも同じ……炊飯器達が君の顔を見ている。 君の顔を見た時、果たしてどの炊飯器が君とうまくやっていける可能性を感じているのか僕が見定めてあげよう」

サトシ「何だ?何が始まるんだ?」

ピカチュウ「ペカペカー……」


ムラシ「§ ¶ Δ £ ÷ φ 仝 ; ・ ・ ・ 」


胡散臭さ、ここに極まれり。不思議な呪文を呟きながらムラシ店長が店棚に並ぶ炊飯器を次々に手に取っては置き、店中をうろつく。

人が物を選ぶのか、物が人を選ぶのか、それは誰にもわからない。だからこそ、人の心と物の心をつなぐ存在が必要と考えた彼は自分がその架け橋になろうと考えた。心をつなぐ……そんな誰にでも務まるわけではないこの役割を彼は担っている……つもりになっているのだ。


リーリエ「どうやら儀式のようですね。アーカラ島でライチさんがやっていた事と似ています」

マオ「ムラシ店長はね、炊飯器の心が読めるんだよ。他の何でもない、炊飯器の心」

マーマネ「なんじゃそのピンポイントすぎる能力!?」

スイレン「限られすぎたロマン……でもそれがいい」

サトシ「オカルトの力ってすげー!」

カキ「やっぱアホしかおらんのか」


ムラシ「はい。わかったよ。カキ君にオススメの炊飯器」

マオ「おー!!よかったねカキ!これでご飯いっぱい炊けるよ!」

アママイコ「はくまぁーい!はくまぁーい!」

カキ「……もう後には退けんか」

ムラシ「さぁ受け取ってくれたまえ」


サトシ「どうしよう……本気で博士に相談してみようかな」ワクワク

リーリエ「今度のお母様のプレゼントはココにしましょうか……迷うところです」

マオ「思い立ったが吉日!さぁさぁ皆に合った炊飯器をどうぞ!」

マーマネ「何かもうこの店の人みたいになってないかね」

カキ「やられた……本当に。まぁ、折角勧められたんだ。コレ(↓)は大事に使わせてもらおう」
 ▼ 10 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/09 01:44:59 ID:X9EcE1Do [9/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
マオ「あっそうだ。店長!今日はヌカちゃんはいないんですか?」

スイレン「ヌカちゃん?」

マオ「店長の娘さんでね。あたしがこのお店に来た時は店長と一緒にいたんだけど……」

ムラシ「あぁ、ヌカなら今はお店にいないよ。トロピウスと一緒に近くの海岸でバトルの特訓をしてる」

サトシ「えっ?バトル!?」

マーマネ「あっ、サトシのバトルセンサーが反応した」

サトシ「ち、近くの海岸ってここからどのくらい行ったところですか?」

ムラシ「徒歩20分くらいかな。……ひょっとして迎えに行ってくれるのか?悪いよそんなの!お礼をしようにもオススメの炊飯器を教えることくらいしか……」

サトシ「いいんです!トロピウスと一緒にいるんですよね?すぐに見つけて連れてきます!ヒャッホゥ!!」


ムラシ「……行っちゃった」

マオ「しょうがないなもう。……店長、この分だとサトシの『すぐ』は一時間以上はかかりそうですよ。サトシはバトルが強い人には誰だって絡むんで……」

ムラシ「いいさ。あの子もバトルが好きなんだろ?僕達はアローラに来てからまだ間もない。ヌカだって、友達は多く作ったほうがいいに決まってるさ」

マーマネ「バトルが好きなもの同士かぁ。そのままいい感じになっちゃったりしてね」

スイレン「何故こっちを見る」ドゴッ

マーマネ「まひなぺっ」

リーリエ「どうしましょう、私達はサトシを待つべきでしょうか……」

カキ「オレは帰るぞ。用も済んだことだし、これ以上ここにいると息が詰まりそうだ」

マオ「何さ、炊飯器の心も知らないで」

カキ「オレはこの炊飯器の機能性は信用するが、この炊飯器が自分でオレを選んだなんてこれっぽっちも思っちゃいないさ。オレはそういうのは信じない」

マオ「うわぁ〜!日頃からヴェラ火山がどうとか言ってる人がそれを言っちゃいますか。アローラの炎が聞いて呆れますな」

カキ「何だと!」

マーマネ「こらこら!人ん家だよ!」

スイレン「マオちゃんも今のは言い過ぎ。はい、お互いにごめんなさい」

カキ/マオ「「…………」」

ムラシ「ま、まぁ、ここはお店にしては人が来ることはそうないからね。気が済むまでゆっくりしていきなよ」


ムラシ「話は変わるが……あのサトシ君って子、強いのか?」

リーリエ「えぇ!とても。彼はアローラの大試練を3つも突破しているのです」

ムラシ「成程……大試練というのは、シンオウやホウエンでいうポケモンジムみたいなものだろ?まぁ3つくらいなら、まだヌカには勝てないかもしれないな」

リーリエ「そ、そんなにお強いのですか?そのヌカさんという方」

ムラシ「あぁ。何せあの子のトロピウスは、『普通』じゃないからね……」
 ▼ 11 ネズミ@ユキノオナイト 18/07/09 11:13:21 ID:U52Mf5XA NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 12 スゴドラ@ピッピにんぎょう 18/07/09 13:11:04 ID:q4Mcz3gI NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 13 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/09 22:18:02 ID:X9EcE1Do [10/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サトシ「あーおいうーみがよんでるっ♪しーろいなーみもうたってる♪まっかなまっかなたいーよぉおいっかけって♪はしーっておいでよ♪」

ピカチュウ「ピーーカチューーーー!!」

サトシ「いやー楽しみ!ヌカちゃんって子がどんなバトルをするか楽しみだと思わないか?ピカチュウ」

ピカチュウ「ピカピカ!」

サトシ「だけど今回はお前じゃありませーん!残念だったなフハハ」

ピカチュウ「えっ」

サトシ「店長さんが言ってたろ?ヌカちゃんはトロピウスを持ってる。トロピウスは草タイプだっていう事前情報があるんだからちゃんと対策をとらないと」

ピカチュウ「(´・ω・`)」

サトシ「そんな顔するなって!また休みの日にでも一緒に散歩に行こうぜ!二人っきりで!」

ピカチュウ「(//♡▽♡//)」


                  ズ ド ォ ォ ォ ォ ォ ォ …… ! !


サトシ「な、何だ!?  ……ビーチの方からだ。間違いない!行こうぜピカチュウ!」

ピカチュウ「ピカ……?」

♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪

潮風をかき分け、鳴り響く轟音。砂をかき分け、吹き飛ぶ勝負相手。

圧倒的な強さの前にざわつく人々を他所に、少女はポケモンを撫でまわす。


女「えっザコ……こんな弱い人と付き合ってた自分が恥ずかしいわ。じゃあね、今日のデートは楽しかったです。でも思い出にはしたくないからせめて今日の割り勘した分チャラにしてくれる?」

男「えっ、それってどういう……」

女「今日アタシが出した分アンタがアタシに払えって言ってんの!それでもうアタシ達の縁はおしまい!」

男「こ、このアマ〜ッ! おいそこのガキ!お前のせいだかんな!ちくしょう!」


ヌカ「……ありゃりゃ、カップル一組引き裂いちゃったよ。ただバトルしただけなのに」

トロピウス「クルルルル……」

ヌカ「あ、よーしよし♪やったねトロピウス、今日だけで5連勝だよ!エライエライ」ナデナデ

ヌカ「さてと……今日はこの辺にする?そろそろ帰ってご飯炊かなくちゃだからね。今日はマトマとブーピッグの混ぜ込みご飯にしようね」


サトシ「あっ、あの子だ。間違いない……    お − − − − い ! !」


ヌカ「はにゃ?誰かな?」
 ▼ 14 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/09 22:20:23 ID:X9EcE1Do [11/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
トロピウス「クララララ……」

サトシ「トロピウスが一緒ってことは君だろ?ヌカちゃんって」

ヌカ「そうだけど……あたしに何か用かな?」

サトシ「君さ、ここでバトルの特訓してるんだろ?近くにトレーナーもいるし……ひょっとして実戦で鍛えるのが好きなの?」

ヌカ「ふぇっ!?どうしてあたしがここで特訓してること知ってるの?」

サトシ「炊飯器屋さんの店長さんが君のパパでさ、自分にバトルが強い子がいるって君の居場所を教えてくれたんだ」

ヌカ「あ、そう父ちゃんが……ていうかウチの店に来てくれたんだね。ありがとう」

ヌカ「どこの家もさ、炊飯器ってそんな頻繁に買う機会ないじゃん?そんで父ちゃんのお店の稼ぎだけじゃ生活も安定しないから、こうしてあたしがバトルしてせめて自分のお小遣いだけでも稼いでるんだ」

サトシ「へぇ〜お金のためにやってるのか。ねぇ、よかったら今度はオレとバトルしない?お金は用意できないけど……ヌカちゃんもバトルが好きでこんなことしてるんだろ?」

ヌカ「まぁ……好き、かな。あたしもトロピウスもそれで強くなったものね」

トロピウス「ギルルルルル……」

ヌカ「いいよ!バトルしてあげる!お金を貰えないからって手は抜かないからね、本気でいくよ。……あ、そういえば君さ、名前は?」

サトシ「あぁ、オレはマサラタウンのサトシ!こっちは相棒のピカチュウ」

ピカチュウ「ピカピカー」


ヌカ「……えっ」


ヌカ「ウソ……?君が……?」

サトシ「あっ、聞こえなかった?じゃあもう一回言うよ。オレはマサラタ

ヌカ「あぁあぁいいいい!結構です!何となくそんな気はしてたから!」

サトシ「( ・ω・) ?」


その名を聞いた瞬間、ヌカの心は大きく揺れた。驚きのあまり大きく見開いた目でサトシを見つめる。


サトシ「ど……どしたん?」


……間違いない。この人だ。この人がいたから今のあたし達がいる。そう心で呟いたヌカはサトシの眼の前で一息つくと、大きな瞳をトロピウスに向けた。


ヌカ「へへ……やるよトロピウス!準備はいい?」

トロピウス「カルルルルル……!」

サトシ「何か盛り上がってるみたいだけどこっちは準備できてるぞ!……そっちが草タイプのトロピウスなら炎タイプのニャヒートが相手だ!」

ニャヒート「ニャオォオォオ!!」

ヌカ「うん! ……んじゃ、バトルスタート!」
 ▼ 15 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/09 22:23:39 ID:X9EcE1Do [12/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サトシ「ニャヒート、『ニトロチャージ』!」

ニャヒート「ヴァァァァッ!!」


緊張がこみ上げるヌカに構わず、サトシはいつも通りの先手必勝プレイを仕掛ける。

進化を経てパワーが増したニャヒートの牙が燃え上がる。先程サトシ自身が聞いたものに負けず劣らずの轟音を立てながら、砂浜を駆け抜ける炎の弾丸はトロピウスの首元に狙いを定めた。


ヌカ「来るよトロピウス!首を反らして回避!」

トロピウス「ガルルルッ!」

サトシ「あぁ……惜しかった、先手必勝ならずか。でも!」


ズ ゴ ォ ォ ォ ッ ! !


トロピウス「ガフォッ……!?」

ヌカ「トロピウス!!」

サトシ「『ニトロチャージ』はスピードを上げる技。一度避けられてもすぐ切り返せるぜ!」

ヌカ「やるね……マサラタウンのサトシ、タダモノじゃないよ!でもここからはあたしのターン!あたしのトロピウスはただのトロピウスじゃないの。あたしがあたしの育て方で一から鍛えたポケモン……」

ヌカ「トロピウス!『にほんばれ』!!」

サトシ「うおっ!?」


夕方5時の傾きかけの太陽が、まるで逆戻り。昼間の日差しのような激しい光が砂浜に突き刺さる。

太陽の恵みを受けたトロピウスはより一層奮い立ち、椰子の葉のような翼を広げてサトシとニャヒートを威嚇する。


ニャヒート「っ!」ピタッ

サトシ「気をつけろ!何か来るぞ!」

ヌカ「トロピウス!『エアスラッシュ』!!」

トロピウス「ガァァァァァ!!」

サトシ「ニャヒート、飛び上がってかわせ!避けたらトロピウスの上から『ほのおの……



                       バ シ ュ ッ … … ! !


ニャヒート「がっ……」


サトシ「い゛っ!?」

ヌカ「あたしのトロピウスの特性は『サンパワー』!真夏日の太陽の光を浴びたトロピウスに力勝負で勝つのは難しいよ!」

ニャヒート「ニ゛ャルルル゛ル……」
 ▼ 16 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/09 22:26:47 ID:X9EcE1Do [13/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サトシ「パワーがダメならスピードを上げてやる!ニャヒート、もう一回『ニトロチャージ』!」

ヌカ「ニャヒートが動く……!トロピウス、連続で『エアスラッシュ』!!」

ニャヒート「!?」


      ズドォォォォ!!             ズドォォォ!!


トロピウスの威嚇に怯む間もなく、超速の空気の刃が次々とニャヒートにブチ当たる。今にも体が切り刻まれそうな風圧に耐えるニャヒート。牙に蓄えた炎も消え、動くことすらままならない。

砂浜にはレールが敷かれたようにくっきりとした刃の跡が増え続ける。波の音もかき消さんばかりの風の雄叫びはこの勝負を確実なものにしようとした手前で収まった。


ニャヒート「う……にゃ……」プルプル

サトシ「ニャ、ニャヒート!大丈夫か!」

ピカチュウ「ペカペカー!」


トロピウス「ゼェ……ゼェ……」

ヌカ「トロピウスは平気!?……ダメそう? そうだね。『サンパワー』は技の威力を上げてくれるけど技を出す度に体力も消費するもんね……じゃ、もう決めちゃおっか」


サトシ「トロピウスも疲れてる……もう一度『ニトロチャージ』……いけるか?」

ニャヒート「に゛ゃうっ!」

サトシ「無理はするなよ……よしいけ!」


今度こそニャヒートのスタートダッシュが決まる。再び炎が体を包み、『サンパワー』の副作用に悶えるトロピウス目掛けて弾丸が襲い掛かる。

ニャヒートのスピードは衰えていなかった。体力を大幅に削られてもなお、その突進の気迫はヌカ達の警戒心を煽るのに十分なものだった。

しかし……ヌカとトロピウスは奥の手を隠し持っていた。ニャヒートが限界の距離まで迫った時、力を振り絞ったトロピウスの一撃が一直線上に突き抜けた。


ヌカ「トロピウス……『  ソ ー ラ ー ビ ー ム  』  ! ! 」



                              ゴ


                                 ォ

                                ォ

                              ォ

                                ォ

                             ォ

                               ッ

                            !  !  !
 ▼ 17 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/10 00:03:31 ID:AQMQfieE [1/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
閃光が駆け抜けた後、えぐれた砂浜からは小さな川のような潮溜まりが顔を出していた。

全身全霊をかけた一撃を放ったトロピウスは横たわり、椰子の葉のような翼もしおれてしまっている。


ヌカ「よし……」

ヌカ「! 待って、ニャヒートは!?ニャヒートはどこに行ったの!?」

サトシ「へへ……」


ボ ォ ォ ォ ! !


何かが爆発したかのような音がした。

トロピウスが燃えている。『サンパワー』で闘志を燃やしているのではなく、体から炎を上げて燃えているのだ。

ニャヒートだ。「無理をするな」というサトシの指示のもと、『ソーラービーム』を寸前で避けたニャヒートがトロピウスの首元に牙を立てていた。


サトシ「オレ知ってるぜ。『にほんばれ』はトロピウスの力を上げるだけじゃなくて炎タイプの技の威力も上げるってこと!」

ヌカ「そんな!真正面から突っ込んでたのに避けられたの!?……うぅ、やっぱこんなもんじゃなかったよね!マサラタウンのサトシ……」

ヌカ「でもこっちだって負けてらんない!トロピウスの体力は確かにもう底をついた。でも……」


ヌカ「          『こうごうせい』!!          」


サトシ「え゛ぇっ!?」


炎に包まれ、くたびれたトロピウスの体が徐々に持ち上がっていく。ヌカとトロピウスの奥の手その二はありったけの日差しを吸収する回復術だ。


ヌカ「振り落とせぇ!」

トロピウス「トロォォォォォ!!」ブォォォン!!

ニャヒート「に゛ゃっ!!」

サトシ「くそっ、トドメを刺し損ねた!」


ヌカ「さぁトロピウス!ニャヒートはもう限界だよ。今度こそ決めよう!」

トロピウス「コォォォォォ……」

ヌカ「いくらスピードが上がっても反射神経は衰えてるハズだよ。一度あれだけギリギリの距離で『ソーラービーム』を避けた時、ニャヒートはもう気力を使い果たしてる」

ニャヒート「に゛ぃぃ……」

サトシ「やばい……!」

ヌカ「『ソーラービーム』!!」


                       ボ  ッ  …  …  !  !
 ▼ 18 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/10 00:05:31 ID:AQMQfieE [2/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
トロピウス「お゛っ……」ドサ

ヌカ「えっ、どうしたのトロピウス!?」


時間切れだ。このバトルで砂浜を突き刺していた真夏日の日差しがたった今その効力を失い、光の支配権をもとの傾きかけの太陽に譲ったのだ。

これでは「サンパワー」を発動することはできない。トロピウスが溜めた光も水平線に沈む夕日のように徐々に眩しさを失っていった。


ヌカ「そんな!あとちょっとのところで!」

サトシ「た、助かった……いや、ここからだ。トロピウスの体力はまだまだ残ってる。強い攻撃を当てて次は確実に倒す!」

ニャヒート「にゃぁあぁあぁ……」


サトシ「          いくぜ!! ニャヒートォォォ!!!          」


              ニ゛  ャ  ア  ア  ア  ア  ア  ア  ア  !  !  !


ヌカ「ど、どういうこと!?『にほんばれ』は止んだ。なのにニャヒートは今までで一番の炎を……まさか!」

ヌカ(そうだ。そうに違いない……)


サトシ「『もうか』だ!いいぜニャヒート!お前ならやってくれると思ってたぜ!」

ピカチュウ「ピカピカッチュウ!!」


ニャヒート「に゛ァァァァ……」ボボボボボ

サトシ「チャンスは今しかないぞ!『ほのおのキバ』!!」

ヌカ「!!」


バ  ク  ン  ッ  …  …   !   !


トロピウス「ガッ……!?」

ヌカ「トロピウス!……まだ敗けちゃダメ。次の攻撃さえ当てれば勝てるんだから!」

トロピウス「クルルル……」


ヌカ「『にほんばれ』!!」


サトシ「なっ……!?」

ヌカ「そうだよ……そうだよマサラタウンのサトシ!今のニャヒート、いい炎を出してる!これはその炎をもっと熱くさせるための起爆剤だよ!」

サトシ「……? よくわかんないけどまだやる気なんだな?」

ヌカ「うん!勝つのはあたし!」
 ▼ 19 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/10 00:12:44 ID:AQMQfieE [3/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ヌカ「後は攻めるだけ……『サンパワー』全開だよトロピウス!真正面に『エアスラッシュ』!」

トロピウス「 カ ァ ァ ァ ァ ァ ! ! 」


サトシ「くるぞ!『リベンジ』で撃ち落とせ!!」

ニャヒート「にゃう゛ぁっ!!」


                 ボ  ォ  ォ  ォ  …  …  !  !


ヌカ「もう一度!『エアスラッシュ』!!」


サトシ「『リベンジ』!!」


                 ボ  ォ  ォ  ォ  …  …  …  !  !


ヌカ「『エアスラッシュ』!!」


サトシ「『リベンジ』!!」


                 ボ  ォ  ォ  ォ  …  …  …  …  !  !



この熱さ、この炎……サトシはまだ、このバトルの重大さに気付くことはなかった。

それもそのはず、今までの冒険の中でサトシが「あること」を成し遂げたことで、ヌカに大きな影響を与えたことなど知る由もないのだから。



サトシ/ヌカ 「 「 次 で 決 め る ! ! 」 」



サトシ「ニャヒート!『ニトロチャージ』の炎をまとえ!!」


ニャヒート「にゃあ゛っ!!」ボボボボ


サトシ「これがオレ達の…… ゼ ン リ ョ ク だ ア ア ア ア ア ア ア ア ア  !  !  !」



ヌカ「トロピウス!」

 
トロピウス「コォォォォォ……!!」


ヌカ「          『ソ  ー  ラ  ー  ビ  ー  ム  』     !  !  !   」
 ▼ 20 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/10 00:13:39 ID:AQMQfieE [4/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

                                 ウ

                                 ル

                                 ト

                                 ラ

                                 ダ

                                 ッ

                                 シ

                                 ュ

                                 ア

                                   タ

                                     ァ

                                 ァ

                              ァ

                                   ァ

                                ァ

                                  ッ

                                ク

                             !  !  ! 








サトシが「それ」を知るのは、もう少し後のお話……













ムラシ「えっ、大試練って4つしかないのかい!?それじゃあ3つ突破してるサトシ君って……」

リーリエ「ウフフ……」
 ▼ 21 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/10 00:15:46 ID:AQMQfieE [5/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
次のおはなし



第2話(全13話) 「空飛ぶ炊飯器」
 ▼ 22 ーマルド@こだいのツボ 18/07/10 02:08:10 ID:sAkAwt4U NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 23 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/10 23:15:13 ID:TMDEc.62 [1/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
少し時間を戻して、再びランチタイム。サトシ達が炊飯器の魅力に取り憑かれ始めたのと同じ頃、メレメレ島のとある海岸では「彼ら」の何てことのない日常が続いていた。


ムサシ「うーみーはーひろいーなーおおきーいなー♪」

コジロウ「うちゅうーにーくらべればーしれてーるぜー♪」

ムサシ「やぼなツッコミはーおよしーよー♪」

コジロウ「ごめんーなーさーい♪」


愛と真実の悪を貫くLovery Charmyな敵役・ロケット団は今日はお休み。

最近彼らの間でブームになっている海釣りを楽しみながら、休みの日くらいは何てことのない日常を送れますように、と、この時の彼らは心の片隅で思っていた。この時は。


ニャース「ニャにも釣れないのニャ。ロケット団の新戦力候補でも食料でも何でもいいから釣果がほしいところニャ」

ソーナンス「ソーーーナンス……」

ヒドイデ「どいでっ」

ミミッキュ「むゅ」

ムサシ「どうする?こうなったら誰か行って獲ってくる?素潜りで」

ニャース「何でこっち見るのニャ」

コジロウ「まぁ、今日くらいは妙なことせずに無難にいこうぜ。悪役でも定期的に平穏な時間をしっかり噛み締める事は大事だぞ……」


ググググ……

ムサシ「!? ちょっとニャース、アンタんとこ引いてるんじゃない?」

ニャース「んニャ!?ホントニャ!よし、妙なことはせずに無難に持ち上げるのニャ!」ググググ

ムサシ「コジロウ!アンタ網用意して網!」

コジロウ「了解!」

ニャース「ニュアラァァァァ!!渾身のぉ……無難の一本釣りニャアアアアアアアアアア!!!」


                 ズァバッ!

♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪

コジロウ「えー……なんで」

ニャース「ニャんでって言われても……」


ムサシ「          どうして海から炊飯器が出てくるんですかっ!?          」


ロケット団の今回の釣果・ボロボロに錆びた炊飯器一台。

ボロボロで使えない、何てことのない炊飯器一台が釣れたのでした☆
 ▼ 24 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/10 23:17:35 ID:TMDEc.62 [2/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ムサシ「ジャーってなんやねん!ジャーってなんやねん!」ダンダン

ソーナンス「ソーーーーーナンス!!」

コジロウ「きっと誰かが捨てたんだろうな。粗大ゴミは捨てる日も限られてるからやむを得ず海に捨てたんだろうぜ」

ニャース「まったく勝手なヤツニャ」

ヒドイデ「ひどいで!」プンプン

ムサシ「あっ……でも待った。こういうのってさ、ちょっとしたサプライズがあってもいいんじゃない?」

コジロウ「い、一応聞くがそれはどういうことだ?」

ムサシ「考えてみなさい。この炊飯器は海に落ちてたのよ?海といえば神秘の宝庫。つまりこの炊飯器だってきっとお宝かもしれないワケよ。この蓋を開けるとそこにはなんと……ババァァァァンと古代文明の遺産が!」

ニャース「ガバガバすぎて突っ込む気にもなれんニャ」

コジロウ「なんでそんなもんが炊飯器から出てくるんだよ」

ニャース「炊飯器といえば電子ジャー。電子ジャーといえばどこかの大魔王でも出てくるんじゃないかニャ……」

コジロウ「やだな。そのパターンならオレ達完全にソイツのパシリルートまっしぐらじゃないか」

ムサシ「とにかく開けるわよ!せーの……って固っ!何この蓋!見た目はボロっちぃクセにメチャクチャ固い!ねぇ誰か!トンカチとかチェーンソーとか持ってない?」

ニャース「ニャー達はそんなの海釣りに持ってくるほど世紀末じゃないニャ」

ムサシ「んじゃもう持って帰って開けるしかないわね!はい!今日の海釣りは終わり!」

コジロウ「おいおい、まだロクなもん釣れてないぞ?」

ムサシ「コレの中身がお宝だったら儲けもんでしょうが!おら、基地に急ぐわよ!」

コジロウ(無難な休日、終了)

ヒドイデ「せちがらいで……」


ムサシ「何か最近王冠が釣れるとか話題になってんじゃん?コジロウアンタ王冠好きだったでしょ。アンタはコレクションが増えるわアタシは売って小遣い稼ぎできるわでWIN-WINよ!」

ニャース「取らぬ狸の皮算用とはこのことだニャ」

コジロウ「なぁ、せめてカフェにでも寄って帰ろうぜ……」

ムサシ「何さ!まだ平穏求めてんのこのお坊ちゃまは!ロケット団たるもの常に刺激を追い求めなさい!」

ミミッキュ「キキキキ……」

ニャース「仕方ないのニャ。色々な方向に真っ直ぐなのがムサシの性格なのニャ」

コジロウ「まともな休日はいつになることやら……」


諦めなさい。今こうして物語が始まっているということはつまりそういうことです。

ポケモン、それはこの世界に生きる不思議な生き物。ポケモン達がいる限り、この世界にまともな平穏なんて何一つないのだから……
 ▼ 25 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/10 23:19:09 ID:TMDEc.62 [3/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
-------その夜 ククイ家-------


サトシ「うっ……! うっっま あ あ あ あ あ あ あ あ あ 

ククイ「うるせぇ」ボコッ

サトシ「い゛っ」

バーネット「フフ、おかわりならいくらでもあるからね。どうよ?ウチの炊飯器も大したもんでしょ」

サトシ「むぅ……そうだね。まだ無理に買う必要もないか……」

ピカチュウ「ペカペカァ」

ククイ「それにしても一番消極的だったカキが炊飯器を買うとはな。炊飯器屋さんももちろんだが、マオも中々良いセールス力を持ってやがる」

バーネット「食堂の看板娘は伊達じゃないってことね」

サトシ「マーマネはカキと同じくらいの小っさいヤツを買ってて、スイレンはお金を用意して明日出直すだって、リーリエは今度ママの誕生日プレゼントに買うってさ」

バーネット「ふぅん小型ねぇ。……ククイ君もそういうのなら買ってもいいんじゃない?」

ククイ「えっ、いいのか?」

サトシ「あぁ白米うまい」モグモグ


ニャヒート「うにゃ……」グデー

ベベノム「ピピピ?」


ククイ「ガオガエンに善戦したニャヒートを晩飯が喉を通らないほど追い詰めるとは……そのトロピウスと炊飯器屋さんの娘ってのは大したもんだな。ニャヒートの炎……オレだって少し脅威を感じた程なのにな」

バーネット「えっ?オレ?ククイ君?」

ククイ「あ゛っ!!」


ニャヒート「うにー……」

ベベノム「ピピピピ」オツカレサマ


サトシ「そうそうそれそれ!最近引っ越してきたらしいんだけどメチャクチャバトルが強くてすぐ仲良くなっちゃった!」

バーネット「また女の子を落としちゃったの?ダメな子♪」

サトシ「(;´・ω・) ??」

ピカチュウ「( ̄д ̄)」

サトシ「とにかく強かったんだ!どうしてそんなに強いのか聞いたらさ……」

-------------------------------------------------------------

ヌカ「えっ?強い理由?」

サトシ「君もトロピウスもメチャクチャ強かった!特にあの『ソーラービーム』はまともに食らえば一発で敗けてたかもしれないし……ねぇ、やっぱりこれだけバトルが強いのにはワケがあるんだろ?」
 ▼ 26 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/10 23:50:16 ID:TMDEc.62 [4/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ヌカ「そりゃもちろん!トロピウスとはいっぱい特訓したもん!それにあたしのトロピウスは普通じゃないからね」

サトシ「普通じゃない?どういうこと?」

ヌカ「ふふん。あたしのトロピウスをよーく見てごらんなさい」

サトシ「どれどれ……」


どこか可愛げのある前足、どっしりと構えた後ろ足、4枚の翼でXを形作る背中、カバーのないフルフェイスのような頭、

どこをどう見ても普通のトロピウスと変わらないじゃないか、と内心落胆しかけたサトシの眼の前に、「普通じゃないもの」が飛び込んできた。


サトシ「ヌ、ヌカ、このさ、トロピウスの首にあるフサフサって……」

ヌカ「フフフ……そう。あたしのトロピウスはね、バトルの特訓だけじゃなくて食事も普通じゃないの!」

ヌカ「知ってる?トロピウスの首に生えている果物は、野生のトロピウスが大好物の果物を食べ続けて生えてきたものと言われているの」

サトシ「でもコレってさ……」

ヌカ「そう!コレこそがあたしのトロピウスの強さの証!稲作農家の父ちゃんの実家から送られてくる採れたてのお米を食べ続けてきた結果!あたしのトロピウスの首元にはなんと!」


ヌカ「フッサフサの   『 稲 穂 』   が生えてきたのよ!」


サトシ「な、なんだってーーーーーーーー!?!?」

トロピウス「クルルルルル……」ドヤァ

サトシ「すげーー!!珍しいじゃん!こんなトロピウス世界中探してもいないよ!?」

ヌカ「でしょ!?あたしもトロピウスのそこが自慢なんだ! ……誰が何と言おうと、あたしはこのトロピウスと強くなるって決めたの。ね?トロピウス」

トロピウス「カララララ……」

-------------------------------------------------------------

サトシ「……て言ってたよ。ヌカのパパの実家のお米は栄養満点だから、それでトロピウスも立派に育ったんだってさ」

ククイ「うっそだろオイ」

ロトム「稲穂の生えたトロピウス……サトシ!今度ヌカちゃんに会う時はボクも連れてってほしいロト!何としてもデータを記録するロト!!」

サトシ「わ、わかったわかった」

ククイ「よし、じゃあ明日の放課後はオレも炊飯器屋に行こうじゃないか。今度はサトシがそこに案内してくれるか?」

サトシ「うん!面白そうなのがいっぱいあるからゆっくり見て決めようよ!」

ピカチュウ「ペカペカァ!」


ニャヒート「ゲホゲホ……」

ベベノム「!」
 ▼ 27 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/10 23:52:40 ID:TMDEc.62 [5/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
夜も更け、そろそろおやすみの時間。百合の香りが心地良いソファベットに飛び込み、今日も一日が終わろうとしている。

ON-OFFの差が激しいサトシの体は毛布をかぶった途端に静まり返って首から下が動かなくなった。


ピカチュウ「ぺかちゅぅ〜……」

サトシ「どした?まだニャヒートの事が心配?」

ピカチュウ「ピカチュ。ピカピカ……」

サトシ「違うの? ……あぁそうか!休みの日の散歩が楽しみなんだな。どこに行きたい?」

ピカチュウ「ペカペカー……」

サトシ「ハハ、まぁどこでもいいか。……今日は面白いものも見れたし、友達もできたし、どこに行ってもまた楽しいことがあったらいいな……」

ピカチュウ「ピカチュ〜♪」ハムハム

サトシ「ん……じゃあそろそろ寝よっか。ピカチュウ。おやすみ……」


ククイ「…………」ジーッ

バーネット「はい可愛い。言ったでしょ?あれが理想系。子供は色々なことに興味をもって大きくなるの」

ククイ「ハナコさんはとんでもない子供を寄越してくれたモンだぜ……」

バーネット「フフ、だね。私からもちゃんとお礼を言っておかないと」

ククイ「『謝ってもらわないと』の間違いだろ?」

バーネット「でも本心は?」

ククイ「まんざらでもなし!」

バーネット「That's right!」

ゴンベ「ごぉん!」

ウォーグル「ワシ……」


サトシ/ピカチュウ「「ZZZ……」」







同じ頃……とある森の大きな樹洞にて。一匹のポケモンは静かに佇んでいた。もう何分も何時間も、そこにただただ立ち尽くしている。まるで物語の一部始終を見届けているように。

辺りには木の実の食べ粕、使った痕跡のあるトンカチやチェーンソーが放り出されていて、何てことのなくないことが起こったことを物語っている。

彼らの姿が見当たらない……やはり彼らの持ち帰った「アレ」はお宝などではなかったのだろうか。


キテルグマ「くー……」
 ▼ 28 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/11 00:50:55 ID:.8boZw0o [1/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
-------翌日-------


夜が明け、空が赤紫色から水色に変わる間くらいの時間帯。とある一軒屋の門前にたくさんの人が集まっていた。

家の屋根には大きな穴が二つ、小さな隕石が落ちたようなくっきりとしたものが空いている。その家では何やら大変なことが起こった様子。ということはこの人達は物見高い野次馬のようだ。

集団の前列から家の中へ入ろうとしている出たがりを警官達が取り抑えている。どうやら中は警察による調査の真っ最中のようだ。


男A「ダメか!?ホントにダメかよ姉ちゃん!」

警官A「ダメです!この家は民家ですので居住者の方と警察以外は入ることを許されてません!」

男B「せめて何が起こったのかくらい教えてくれてもいいじゃんよ!DVか!?DVなのか!?」

警官A「ですから今それを調査中なのです!関係のない方はどうかお引き取りください!」


男C「もう我慢ならねぇ!スキあり!」ピョン

警官A「! ハーデリア、『ほのおのキバ』!」

ハーデリア「わんっ」ガブゥ

男C「痛ァ!! おけつ!おけつもえる!」

警官A「今入れば住居侵入罪でとっ捕まえますよ!?他人を心配している暇があったらご自分のお勤めの準備でもしてください!」

男C「おけつ……」

警官A「ジュンサーさんですか?……近隣の方々の野次馬が増えてきてます。署へ応援要請をお願いできますか?どうぞ」



ジュンサー「わかった。外も大変なことになってるのね……お疲れ様」


家の中ではジュンサーさん含む調査チームが家の主から聞き取りを行っていた。

どの部屋もゴミや壊れた家具で散乱し、生臭く事件の匂いを漂わせている。


警官B「屋根の方から大きな音がしたのは今から約2時間前……その後得体の知れない『何か』が暗闇の中で暴れるように動き回っているのを見た、と」

主「えぇ。寝ボケていたもので鮮明な姿はわかりませんでしたが……生き物なのは間違いないと思います。色んな場所を荒らし回って3分くらいでもう一度大きな音がした後、物音もしなくなりました……おそらくその時出て行ったかと」

警官B「屋根に空いた二つの穴はその生物が出入りしたものか……家から出て行くところは見ていなかったということですか?」

主「はい。あまりに呆気に取られて……」

ジュンサー「穴のサイズはどちらも直径約25センチ。この穴が生物の入って来た穴と断定するならそこそこ小型の生物のようね」

警官B「屋根に穴を開けて出て行ったということは……空を飛べるポケモンかもしれません」

主「何とかしてくれよジュンサーさん!これ以上家の周りを荒らされるのは勘弁だよ!」

ジュンサー「えぇわかってます。全力で捜査を続けますので引き続きご用心を」

デカグース「がおーぉ」
 ▼ 29 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/11 01:05:40 ID:.8boZw0o [2/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ジュンサー「……あら?」

警官B「どうされました?」

ジュンサー「ねぇ、あれ……」

主「い゛っ!? ま、まさか、ヤツが帰ってきたんですか!?」

ジュンサー「主さん、部屋の隅に転がっている『アレ』……私達に預からせてもらえないでしょうか?」

主「??」

ジュンサー「警察の勘なのですが……『アレ』からは何か、事件の香りが漂ってくるのです」

主「な、何だありゃ。あんなのウチでは買ってねぇぞ。気味悪い」

警官B「ジュンサーさん……事件なら今現在起きてますよ?これ以上悩みの種を増やすべきでないのでは……」

ジュンサー「いえ、預かりましょう。どうも『アレ』からは眼を逸らしてはいけない気がするの」





その頃、ポケモンの魂が眠る場所・ハウオリ霊園では……


オッサン「§¶Δ£÷φ仝;……… ふぅ。今日の墓参りはこんなもんかの」

オッサン「ほら、みんな。今日もお菓子をたんまり持ってきたぞ。心配せんでも、お前達の食べ物をブン取るようなヤツはみんなワシが追っ払ってやるでな」

墓「…………」


ムウマ「むぅ!むぅ!」

オッサン「あ゛っ、言ってる傍から!厄介者のお前にやるお供え物なんかあるか!さっさと成仏しちまえ!この!この!」バシバシ

ムウマ「むぅ〜……」


オッサン「まったく……人とポケモンが共存するアローラの掟を破りおってからに……ん?」


ふと、何かに気付いた拍子に空を見上げると、灯火のような小さく、且つ強い光が一つだけ浮かんでいるのが見えた。


オッサン「何だ?もう夜明けから結構経つってのにあんな明るい星がありやがる。ハハ、こりゃ運がいいや。今日は何かいいことが起こりそうだ。流れ星かな?よし、いっちょ願ぇ事でも」


オッサン「お供え物を勝手に盗ってくような厄介者をみんなこの島から出て行



   ド  カ  ー  ー  ー  ー  ー  ー  ン  !  !  !
 ▼ 30 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/11 23:57:12 ID:.8boZw0o [3/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
-------ポケモンスクール-------


マオ「ふふ……♪」ニコニコ

カキ「な、何だよ」

マオ「いいじゃんいいじゃん!似合ってるよその小型炊飯器!軽いから持ってくるのにも苦労しなかったでしょ?」

カキ「炊飯器に似合うもクソもあるか。……まぁ、実用的ではあるから今後も使うが」

マオ「店長もきっと喜ぶよ!これからもご贔屓に♪」

カキ「もうあの店に用はねぇよ……」


スイレン「お、マーマネも持ってきてる」

マーマネ「使ってみて改めて驚いたよ!炊き立てのご飯が食べられないというお弁当の弱点を克服したスーパーテクノロジー……店長は世紀の発明をしたすごい人だね!」

トゲデマル「まっでゅ!まっでゅ!」

マオ「店長が発明したワケじゃないんだけどね……」


サトシ「リーリエ!どうしたの?」

リーリエ「えへへ……自分も携帯用の炊飯器を買っておけばよかったとちょっと後悔してます。スイレンと一緒に今日行ってみましょうか……」

シロン「こぉん!」

サトシ「よし、オレも行くよ!またヌカとバトルしたいし」

リーリエ「もう呼び捨てできるほどの仲になったのですか!?」

ロトム「サトシはバトルしたトレーナーとはすぐ親しくなれるロト」


ククイ「アローラ! ……皆いるな。今日は授業の前に大事な話があるからよく聞くように」

マオ「大事な話?」

サトシ「ひょっとして今朝テレビでやってたヤツ?」

ククイ「そうだ。……皆の反応を見る限り、今朝のニュースのことは知らないようだから説明しておこう。まず初めにニュースの内容だが……」

♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪

ククイ「……ということだ。原因はまだわからないし、民家の件とハウオリ霊園の件、どちらも同一犯であるという確信もない」

マーマネ「でもその二つの事件には、得体の知れない『何か』が空から降ってきた……って共通点があるんですよね?」

ククイ「さぁな。霊園にいた男性の証言からして後者はともかく、前者はまだ何の証拠も得られてないからな……」

カキ「屋根に穴が空いてたんだろ?落ちてきたかどうかはともかく、『何か』が屋根より高いどこかからやってきたのは確実だろう」

サトシ「飛行タイプのポケモンかな……?」

リーリエ「民家に空いた穴は直径約25cm。鳥ポケモンにしたって随分小さいですね」

ククイ「この事は今現在も警察が調査中だ。 さぁさ、授業を始めるぞ」
 ▼ 31 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/12 00:01:12 ID:gGHgrAwI [1/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
早朝からメレメレ島を騒がせた2つの事件。真新しい情報もなく、3度目の事件の気配を忍ばせながらポケモンスクールはランチタイムを迎えた。


ナリヤ「アローラ各島の知り合いに連絡は取ってみたものの……このメレメレ島以外の島には原因不明の事件は起こっていない。不幸中の幸いというところかのぉ」

ククイ「事件の正体がメレメレ島と関係があるとすれば……一体何でしょうか?」

ナリヤ「わからん。ユニラン。ダブラン。ランクルス。とにかくポケモンスクールとしては子供達の安全な帰り道だけでも確保しなければならなイーブイ。ブイゼル。ゼルネ

ククイ「ですね。……何度も妙な目に遭ってるとはいえ、ウチのクラスの連中だって子供だ。例外じゃない」



カキ「さて、やっと炊けたみたいだな」パカッ

マーマネ「うはぁ☆いい匂い……これだよ!この香りの素晴らしさを皆で分かち合いたかったんだ!」

マオ「まいどどーも!」

リーリエ「ズ ビ ビ ビ ビ ビ ビ ビ ビ」

スイレン「……リーリエ、ダイナミックな鼻息ふかしてどうしたの?」

リーリエ「今朝のククイ博士のお話を聞いてからというものずっと不安で授業も手が付かなくて……何とかしなくてはと思い、せめてランチタイムだけでも炊き立てのご飯の香りを思いっきり吸収して気を紛らわせるのです!」ズビビビビビ

カキ「食いづらいな……」

リーリエ「お気になさらず召し上がってください!欲しいのは香りだけですので!」ズビビビビビ

サトシ「面白そう!オレもやろーっと!」ズビビビビビ

マオ「みっともないからやめんかアホ二人!」ゴン! ゴン!

サトシ「うべっ」

リーリエ「えへっ」

カキ「もういいから食えよ二人共。こんなこともあろうと今日は多めに入れてきた」

          ♪    ♪   ♪   ♪
サトシ/リーリエ「「ヤターーーーーー\(≧▽≦(≧▽≦☆)/ーーーーーー!!」」

マーマネ「まぁでも気持ちはわかるよ。みんな炊き立てが一番いいもの」

スイレン「もはや麻薬……」


マオ「それにしても……今朝の二つの事件、一体誰の仕業なんだろう?」

カキ「思ったんだが……正体不明・原因不明の事件なら……『不明』、というワードに心当たりはあるんじゃないのか?少なくともオレ達にはな」

マーマネ「まさか……!?」

ベベノム「ピピピピ」



ネッコアラ「ふぉ〜」
 ▼ 32 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/12 00:10:49 ID:gGHgrAwI [2/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……


サトシ「な、何だ!?」

スイレン「ネッコアラ荒ぶってる……ひょっとして、緊急出動の合図?」

カキ「……やっぱりな。どうやらこの事件を解決するには一筋縄ではいかんらしい」


ククイ「さぁ皆!エーテルパラダイスから通信が入った!地下基地に行ってくれ!」

サトシ「博士!緊急出動って……」

ククイ「そうだ。……後、今朝の事件についてルザミーネ代表から言いたいことがあるそうだ」

マオ「ということは……いよいよ分かったのかな?事件の正体が!」

リーリエ「緊急出動要請も同時にあるということは……やはり今朝の事件はウルトラビーストが関わっているとみて間違いないのでしょうか。でも、仮に分かったとしてもまたどこかで被害が出たのだと思います!事態が悪化する前に何とかしないと……」

サトシ「一体今度のウルトラビーストはどんなヤツなんだろう?早く原因を突き止めなくちゃ!」ウズウズ

マーマネ「サトシ、何でちょっと嬉しそうなんだよ」

ベベノム「ヒヒヒヒ♪」


フレー フレー 飛び込めジャリボーイ まだ見ぬ世界へ

ここはポケモンスクール。トレーナーとポケモンが共に学べる学校。誰が何と言おうと学校である。学校には教室と体育館とプールと運動場と……秘密基地がある。そんなの基本だろ?

エーテル財団のオーバーテクノロジーを以てすれば特殊部隊の一つや二つ、お手の物。

対ウルトラビースト特殊部隊・『ウルトラガーディアンズ』は今日も使命を果たすべく出動する。

迷えるウルトラビーストを救うために。まともな平穏なんてないこの世界に、平穏に限りなく近い何かを守るために。


ウィィィィィィン


サトシ「〜♪」

カキ「サトシ、浮かれるのはいいが相手はウルトラビーストだぞ。得体の知れない姿と圧倒的な力を持ってる。……それに、マッシブーン達のようにオレ達と友好的な関係を築けるとも限らないことは頭に入ってるか?」

サトシ「え?聞いてなかった」

カキ「(´゚д゚`)」

サトシ「……でもさ、仲良くなれなかった時のことなんて考えるよりも、どうしたらソイツと仲良くなれるかを考えた方がいいと思うんだ!今回の犯人もウルトラビーストだっていうのなら、オレはソイツと仲良くなりたい!」

カキ「何だ、しっかり聞いてるじゃないか……だが、お前はそういうヤツだったよな。サトシ」

ピカチュウ「ピカピカーッ!」

ガラガラ「ガラーラ!」

サトシ「へへっ、まぁね」
 ▼ 33 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/12 00:22:37 ID:gGHgrAwI [3/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
『ウルトラガーディアンズ』のメンバーが秘密基地に入ると、既に映し出されていたモニター越しにルザミーネを中心としたエーテル財団の面々と目が合った。


サトシ「あっ、リーリエのママ!」

ピカチュウ「ピカチュウ!」

リーリエ「別にこちらからの通信を待っててくれても……」

ルザミーネ『アローラ!……皆、ククイ博士から大体の話は聞いてるわね。今朝起きた2つの謎の事件について、色々とわかったことがあるから話しておくわね』

サトシ「リーリエのママ!やっぱりその事件の犯人ってウルトラビーストなんですか!?」

ルザミーネ『難しいけど……一応、そういうことになるわね。観測された謎の生物の姿は、現在発見されているどのポケモンとも姿がかけ離れているから』

カキ「…………」ゴクリ

スイレン「やっぱり今朝の事件、その生き物のせいなのかな」

マーマネ「で、でもその生物が今回の事件と関係があるとは限らないよね?ただ単にウルトラホールを通じてアローラに迷い込んできただけかもしれないし」

マオ「それでも問題でしょ!あたし達がウルトラガーディアンズである以上は!」

リーリエ「そ、それで、事件の原因がウルトラビーストの仕業だと考える根拠は何なのですか?」

ルザミーネ『今朝の事件の内容を覚えているかしら?一つ目は、何者かが民家の屋根を突き破って、家の中で大暴れした後、再び屋根に穴を開けてそのまま気配を消した』

ルザミーネ『二つ目はハウオリ霊園の上空にて謎の光が突然現れ、光は流れ星のように地面目掛けて高速で突っ込み、男性1名が重症を負った、と』


ルザミーネ『そして30分前!三度目の目撃情報がメレメレの西部を観測していた職員から送られてきたわ。そこには事件の犯人と思われる生物の鮮明な姿が映し出されていたのよ!』


サトシ「……!」

カキ「野郎、いつの間に出てきやがったんだ……!」

リーリエ「そ、それで結局その生物と事件はどういうつながりが!?」

ルザミーネ『三度目の目撃情報をもとに、生物を事件と関連づける証拠は二つよ!』


ルザミーネ『一つ目は、観測されたUBの大きさは推定約25cm。つまり、被害に遭った民家の屋根に空いた穴の大きさとほぼ一致しているということ。そして二つ目は……被害者の男性の証言通り、眩しい光を放ちながら空を飛んでいたということ!』


マーマネ「な……!?」

カキ「これで……そのウルトラビーストが二つの事件を起こした犯人だってわかったな。朝っぱらから暴れるとは、随分と迷惑なことしてくれるぜ」

マオ「でも……きっと怖いんだよ。ウルトラビーストも。周りのものが全部怖くて、だから暴れ回って……」

アママイコ「まぁぃ……」

サトシ「それで! そのウルトラビーストってどんな姿をしてるんですか!?」

ルザミーネ『そうね……正直、生物とも分からないような容姿をしているけど……きっと向こうの世界ではこれが普通。 それじゃあ、今からモニターに職員が撮影した写真を出すから、その姿をしっかり眼に焼き付けておくように!』


写真 ↓
 ▼ 34 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/12 00:31:37 ID:gGHgrAwI [4/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
カキ「!?!?」

マオ「ブハッ」

マーマネ「ブヘッ」

リーリエ「 デ デ ー ン !  マオ、マーマネ、アウト!!」

リーリエ「……じゃないです!お母様!この写真は一体どういうコトですか!?」


モニターにいきなり映し出された写真の奇妙な風景には皆、自分達の目を疑わざるを得なかった。

得体の知れない姿、圧倒的な力、今まで目にしてきたウルトラビーストのイメージを頭に浮かべながら、どんな光景が映し出されようとも驚くまいと心の準備をしていたのにも関わらず、だ。

ウルトラビーストにしろそうでないにしろ、奇妙であることに代わりはないのだが、その奇妙のベクトルはサトシ達の想像の全く違った領域へ勢いよく伸びていた。エーテル財団代表・ルザミーネがウルトラビーストの鮮明な姿を捉えたものだと言い張るその写真の光景は……


                           どう見ても、炊飯器が空を飛んでいるようにしか見えないからだ。


サトシ「だっはっはっはっは!!」

スイレン「フフ……」プルプル

リーリエ「デデーン! サトシ、スイレン、アウト!! お母様!答えてください!こんな時にどうして年末特番のような悪ふざけをするのですか!?」

ルザミーネ『フフフ……おかしいと思うけどやっぱり笑っちゃうわよね!私も最初に見た時は貴方と同じ反応をしていたわリーリエ。でも悪ふざけは言い過ぎよ?』

リーリエ「ですから!本当のことを早く教えてください!事態は一刻を争うのですよ!?お母様ったら!!」

ルザミーネ『何度も何度も確認したわよホントに。コレは合成じゃなくて本物。でもネタに使えるなと思ってとっておいたらみんな、予想通りの反応をしてくれたわねフフフ』

サトシ「だはは!最高です!」

リーリエ「」ブチッ


リーリエ「          おい オカン!!          」


ルザミーネ『あっ……コホン、失礼。だけど、炊飯器が空を飛んでいたのは本当よ。写真を隅々まで解析した結果、炊飯器も、発していた光もすべて本物であることがわかったの』

マオ「ど、どうして炊飯器なんでしょうか……っていうか、これはホントにウルトラビーストなんでしょうか……?」

ビッケ『それが何というか……今まで通りのケースであれば、この炊飯器にもウルトラホールと同一のエネルギーが観測されるハズなんだけど、そんなことはなかったのでまだ炊飯器がウルトラビーストであると断言するのは早計という意見も職員の間では出ていて……』

リーリエ「じゃあもう違うでいいじゃないですか。こんなのをポケモンだと認めたくありませんよ……私の本能がそう言ってるのです」

サトシ「リーリエ!ポケモンは『慣れ』だよ『慣れ』!」カタポン

リーリエ「慣れ以前の問題でしょうがアホですか!?」


カキ「何だよ……エネルギー反応がないのなら、ウルトラビーストじゃないってことでいいんじゃないのか?」

ビッケ『ううん、ずっと前からこのアローラに潜んでいたものとも考えられるわ。ウルトラホールから出るエネルギーを浴びずに長い間息を潜めていたものが、何らかのきっかけで活動を開始したかもしれないわね』

サトシ「とにかくオレ、早くこの眼で見たいです!その炊飯器!写真は本物なんでしょ?だったら早くソイツを探すっきゃないですよ!」

ピカチュウ「ピカピカ!」
 ▼ 35 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/12 00:41:54 ID:gGHgrAwI [5/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ロトム「稲穂の生えたトロピウスも珍しいけど、炊飯器に似たポケモンなんてボクも初めてみるロト!必ずデータを記録するロト!」

カキ「似てるというかどう見ても炊飯器そのものだろうがよ」

マーマネ「まぁ……事件の犯人はきっとその炊飯器で間違いないだろうからね。これ以上被害が出ないようにするためには嫌でも行くしかないじゃんね」

スイレン「あの炊飯器……お米炊けるかな」

マオ「こんな時に何を呑気な……っていつもならツッコミを入れたいところだけど、実はあたしも気になってたり……」エヘヘ

リーリエ「皆さんはもう……」


ルザミーネ『警察はまだ炊飯器の事を何も知らないようだわ。事件の犯人が炊飯器だとして、その存在が知れたら炊飯器の身に危険が及ぶかもしれない。まだウルトラビーストともポケモンともわからない段階ではあるけど……』

ルザミーネ『あれがウルトラビーストだというのなら、最終的な役目は貴方達にあるの!“ウルトラガーディアンズ”の目的は、ウルトラビーストを元の世界に戻すことなのだから!』

ルザミーネ『健闘を祈るわ!ウルトラガーディアンズ・出動!』


「「「「「 ウ ル ト ラ ジ ャ ー ! ! 」」」」」


ルザミーネ『あっ……ウルトラジャーで思い出した。件の炊飯器、一応ウルトラビーストと定義づけてはいるから名前を考えておいたんだった』

マオ「名前?」


ビッケ『他のウルトラビーストをも凌駕する特徴的な容姿、そして圧倒的な存在感……私達はこの生物を“ウルトラジャー”と呼ぶことにしました』


カキ「……は」

ルザミーネ『炊飯器の中の炊飯器…… 超 絶 炊 飯 器 その名も“ウルトラジャー”! みんな、どうか“ウルトラジャー”との戦いを通じて、彼を救ってやってちょうだい!』

リーリエ「おい大概にしろよババァ!!」

サトシ「まぁまぁ……『ウルトラジャー』、いい名前じゃん!」

スイレン「何だか『ウルトラガーディアンズ』の原点に立ち返ったような響き……この胸熱展開、すき」

リーリエ「あぁもう!過去最低の出動ですよ!私は先にチルタリスで飛びます!もう!」

チルタリス「チュルルル……」


マーマネ「……行っちゃった」

マオ「じゃないよ!早く追いかけるよ!」

フライゴン「ふらぉぉぉぉぉ!!」

カキ「やれやれ……世話の焼ける」

リザードン「ドォォォォォ!」

サトシ「来たぜ、ガブリアス!今回もしくよろだぜ!」

ガブリアス「お゛↓え゛↑お゛↓」
 ▼ 36 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/12 00:45:32 ID:gGHgrAwI [6/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
レッツゴー 羽ばたけ ジャリガール 独りじゃないぜ

ウルトラガーディアンズの5人はライドポケモンに乗り込み、先に飛び出したリーリエを追う。だが……


サトシ「いない……」

カキ「野郎、ドコ行きやがった……」


真っ先に基地から飛び出したサトシが辺りを見渡しても、もうそこにリーリエの姿は影も形もなかった。……探しものが一つ増えてしまった。


マーマネ「何!?リーリエいないの!?」

マオ「大方ルザミーネさんのペースに相当ムカついたんだろうなぁ……ハァ」

スイレン「親子喧嘩の後の飛ばし運転、危険ってスクールで習った」

ピピピピピピ……

カキ「おい皆聞け!通信機が鳴ってる。多分ルザミーネさんからの指示だ!」

ルザミーネ『もしもし、マズイことになったわ。リーリエが私の予想よりずっと早いスピードで基地から遠ざかってて、このままじゃUB捕獲以前の問題になってしまいそうなの!』

マーマネ「知ってます」

スイレン「スピード違反、事故のもと」

ルザミーネ『……あぁ、どうやってそれがわかるかっていうと、皆のライドウェアにはGPS発信機が仕込まれていてね、そこから発信される位置情報で皆の現在地を把握してるんだけど

サトシ「あっ、コレか!」プチッ

ルザミーネ『取るな!……いい?よく聞いて!今から貴方達に緊急追加ミッションを言い渡します!今からリーリエが飛んでいった方向を指示するから、何人かリーリエの捕獲に当たってくれる?』

マーマネ「捕獲て」

カキ「……やれやれ。じゃあ、オレが行きますよ」

マオ「あ、あたしも行く!リーリエに何かあったら大変だからね。……下手すりゃUBに出くわす可能性もあるし急がないと!」

スイレン「どっちが母親なのやら」

ルザミーネ『健闘を祈るわ!……じゃあ二人は私の指示に従ってちょうだい!』

― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ―

サトシ「カキとマオはリーリエを追っかけに行ったけど……オレ達はどうすれば?」

ビッケ『貴方達には予定通りウルトラジャー捕獲にあたってもらおうかな。今朝の2回と職員が観測した1回、合わせて3回の出現場所から次にウルトラジャーが出てくる場所を予測するから、貴方達三人は私の指示に従ってね』

サトシ「ウルトラジャー!」

マーマネ「紛らわしいな」

スイレン「任務が終わるまでに何回ウルトラジャーが聞けるか数えてみよう」

アシマリ「あぉ……」
 ▼ 37 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/12 00:50:08 ID:gGHgrAwI [7/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ゴォォォォォォ……


リーリエ「みらーいのー!!わーたーしーにーはー!!どんーないーろーがーにーーあーーうーー!!!(ヤケクソ鼻歌)」

シロン「こぉーん?」

リーリエ「いいのです!私の気が済むまでガンガン飛ばすのです!今の私は大きな翼の自由な鳥。トリーリエです!」

シロン「(;´・ω・)」

リーリエ「……そ、そんな顔しないでください。ちょっと調子に乗りすぎてしまいました。……こうやって風に乗るのが楽しくて」

ピピピピピピ……

リーリエ「おや? ……もしもし」

職員A『リーリエお嬢様ですか!?今、代表のご指示でお友達がそちらに向かわれています。お気に障られたのでしょうが一旦落ち着いて、お友達が到着されるまでその場で待機していただけませんか!?』

リーリエ「あっ……すみません……ご迷惑をおかけしました。  にしても、こんな時にお母様は直接私に掛けてくださらないのですね。当分私に避けられるのが怖いからって」プンプン

職員A『お嬢様もご存知の通り代表は繊細な方ですから……どうか許して差し上げてください』

リーリエ「それもそうですね……ご連絡ありがとうございます」ピッ


リーリエ「……ふぅ」


見渡せば、上には青、下には緑でベタ塗りされたような景色が広がっていた。ノーマルに普通にシンプルイズベストな美しさの風景は、ここ最近のリーリエのお気に入り。

青と緑の間にいる今の自分は空を飛んでいるのか、空でも地面でもない場所にいるのかわからなくなって、少し可笑しくなってシロンと一緒に笑ってみる。


リーリエ「このまま行けばメレメレ島の……ううん、アローラの外側に行くことだってできるんだ。本でしか見たことがなかったものをたくさん見ることができるんだね」

シロン「こん?」

リーリエ「いやいやいや!別に今すぐ行きたいとかそんなんじゃないよ!行きたいけど今すぐじゃなくて、でもできることならって……」


ェ ェ ェ … … … …


リーリエ「? シロン、何か言った?」

シロン「??」

リーリエ「違う、か……なら一体……」


ェ ェ ェ ェ … … … …


リーリエ「ぬぬ……動いちゃダメなのに声の主が気になって仕方がありません!論理的結論として、声のする方角は……」チラッ

リーリエ「……っ!?」



コ    メ    エ    エ    エ    エ    エ    エ    エ    エ    エ    エ    エ    !    !    !
 ▼ 38 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/12 00:51:39 ID:gGHgrAwI [8/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
次のおはなし



第3話(全13話) 「探しもの」
 ▼ 39 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/12 23:26:40 ID:gGHgrAwI [9/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
出動から約半時間。ここはメレメレ島の中心にある何てことのない森の中。

透き通った青の空の真下に生い茂る涼し気な緑の森には、今日も小さな野生ポケモン達が和気藹々と暮らしている。

そんな中、辺りに比べて人気の……いや、ポケ気の少ないスペースが一つ。太陽の光が全く差さないほどに木々が影を地面につくっている場所。

そこではチルタリス、フライゴン、リザードンと、ライドポケモンが3匹、神妙な面持ちで一か所を眺めながら羽を休めていた。


シロン「こーん……」

カキ「ダメだ。起きないな……。やっぱりスピードを出して飛び過ぎたのが原因なのか?」


リーリエが動かない。息はするし、心臓も動いているが、時間が止まったように彼女の体はピクリとも動かない。一足早く基地を飛び出たリーリエを追ってカキ達が駆けつけた頃には、リーリエはすでにこの状態だった。

隊員の無事が確認できないうちは任務を中断せざるを得ないとしたルザミーネの判断で、カキとマオは森の中でリーリエの目覚めを待っていた。


マオ「ルザミーネさんもしばらく休むって。何か疲れたみたい」

カキ「司令官としての態勢を立て直すなんて言っていたが……自分の子供がこうなってるんだ。通信機越しにも冷静じゃないのが伝わってきたぜ」

ガラガラ「ガララ……」

マオ「まぁ、リーリエはこれからもあたし達が守っていけばいいよ。この子はホントに成長したけど……まだまだ放っておけないところがいっぱいあるし」

カキ「フッ……本当にな」

♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪

しばらくすると、リーリエの表情も和らぎ、寝息を立てるようになった。つまり普通に寝始めた。こうして二人の心配は杞憂に終わったのだった。


リーリエ「ZZZ……味噌煮込みそば……」

シロン「こぉん?」

マオ「フフッ、大分落ち着いたみたい。ゆっくり休ませて、そしたら今度こそ任務再開だよ!」

カキ「落ち着いたのなら早いトコ起こしたほうがいいんじゃないのか?ウルトラジャーとやらが今どこにいるのかわからんが、こんな森の中にいるよりもさっきルザミーネさんに指示された場所に移動した方がいいだろう」

マオ「ちょっとちょっと!またリーリエが倒れたらどうすんのさ!飛ばし過ぎが原因ならこれ以上の無理な移動はよくないって!」

カキ「移動してから引き続きリーリエを休ませればいいさ。なるべく風の流れに逆らわないルートを選んで移動しよう」

マオ「ちょっとの油断が命にかかわるの!疲れてるかもしれないのに無理させちゃダメ!」

アママイコ「つめがあまーい!」

カキ「……わかったよ。ったく、誰が母親なんだか」


リーリエ「むにゃ……ん? あれ?ここにあった味噌煮込みそば(いも天付き)は?」

マオ「あっ、リーリエおはよう!」

カキ「夢の中とはいえお嬢様らしくないモン食いやがって」
 ▼ 40 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/12 23:33:12 ID:gGHgrAwI [10/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
シロン「こーーんっ!!」

リーリエ「あっ、シロン!……あの、皆さん、私はどうしてこんなところに?」

マオ「あたし達がリーリエに追いついた時はね、この森の真上でチルタリスが気を失ったあなたを乗せたまま待っててくれてたの。ルザミーネさんにこのことを話したら二人とも休んでもいいってお許しが出たもんで、ここで目が覚めるのを待ってたんだ」

リーリエ「そうなのですか……何から何までご迷惑を……」

チルタリス「チュルルル♪」

カキ「気にするな。それよりもお前、本当に何も覚えてないのか?オレ達からの通信を切った後のところから話してみろ」

リーリエ「……は、はい。私はシロンとチルタリスと一緒にマオ達が来るまでの間待機しようと、ずっと森の上空で辺りを見渡していました。そしたら……」

リーリエ「何かの声が聞こえて……あぁ、でも、聞いたこともない音でした。でもその音は確かに『声』だとわかるようなもので……動こうにも動けず、気になって仕方が無かった私は声のする方に眼を合わせました。すると……」


リーリエ「まるで星のような、真昼には似つかわしくないほどの眩しい光を発していた物体が私のところへ向かってものすごい速さで飛んできたのです」


マオ「……え!?それってまさか……」

リーリエ「光は私の頬を掠めたかと思えば、だんだん意識が遠のいて……気がついたら私はメレメレに新しく開店した和食店で味噌煮込みそばを頂いてました」

マオ「味噌煮込みそばはもういいよ。 そっか。ビックリしすぎて気絶しちゃったわけだ。……で、リーリエ、その光がどの方向から来たか覚えてる?」

リーリエ「……確か森の向こうに、小さな町があったような……」

カキ「……町?ここから一番近いのはハウオリの市場だな。……となると、メレメレの花園の辺りに行った可能性が高いな。『ソイツ』は」

マオ「ルザミーネさんの読みは当たってたのか……」

リーリエ「やはりそうなのでしょうか……くっ、すぐに捕獲を開始すればよかったものを……本当に申し訳ありません」

カキ「……気を失うのも無理はない。お前が見たその光こそ、ウルトラビースト・『ウルトラジャー』なんだからな。マオ、ルザミーネさんにはリーリエが話していたことを伝えておいてくれ。サトシ達にウルトラジャー捕獲の指示を入れてもらうんだ」

リーリエ「わ、私達は行かないのですか?」

マオ「リーリエはまだ休んでた方がいいからね。……気絶していただけとはいえ、今の状態で活動を続けるのはよくないよ。カキはこれからどうする?」


カキ「オレは……仕事だ」ギロッ

マオ「えっ?」

リーリエ「な、何ですか貴方達は!?」


いつの間にか、ライドポケモンで囲んでいたスペースは、野生ポケモンの群れによってさらに大きな輪で囲まれてしまっていた。森の日向で暮らしているポケモン達とは違い、ここらの連中は比較的獰猛な種が多いのだそう。


カキ「……まいったな。そういうわけだマオ、連絡を頼むぞ」

マオ「う、うん!」

カキ「絶対にここを離れるな。……さぁお前ら、運はどうやら本番前だというのにデカイ仕事を寄越してきたようだぜ。請け負ってくれるか?」

バクガメス「ガメェ!!」

ガラガラ「ガラララ!!」
 ▼ 41 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/12 23:39:36 ID:gGHgrAwI [11/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
マオの報告から10分後、サトシ達のグループは東の方角へメレメレの空を飛んでいた。

エーテル財団のビッケがルザミーネとは別に指定した、ウルトラジャーの出現予測地点は2番道路。

その北側、つまり、ぬしポケモン・デカグースらが生息する「茂みの洞窟」が背後に構える湿り気の多い場所にサトシ達は一足早く到着していた……が、マオの報告を受けたルザミーネの指示のもと、すぐさまメレメレの花園へ急行することになった。


-------2番道路→メレメレの花園-------


ハクリュー「リュオォォォォ……!」

メタング「…………」

ガブリアス「お゛↓え゛↑お゛↓」


ビッケ『……というわけで、リーリエお嬢様は代表の指示で休息を取られているわ。……ちょっと面倒なことに巻き込まれてはいるみたいだけど、ね』

サトシ「大丈夫ですよ!カキが簡単に敗けるわけありません!」

マーマネ「とは信じたいけどね……一対多の勝負、隙を突かれてやられなきゃいいけど」

スイレン「ううん、マオちゃんもいる。マオちゃんも絶対敗けないしリーリエにキズ一つ付けさせることなく帰ってくる。ずっといつもそばにいた私が保証する」

マーマネ「謎理論」

サトシ「そんなことないさ。オレとピカチュウみたいなもんだろ?信用するのに難しい理屈なんかいらないよ、な?ピカチュウ」

ピカチュウ「ピカピカー♪」

ロトム「隙あらばお惚気ロト……」

スイレン「……フフ、そんなところだね。サトシ」

ビッケ『うんうん。お嬢様のことは二人に任せて、サトシ君達はウルトラジャーの捕獲に当たってちょうだいね』

サトシ/スイレン「「ウルトラジャー!」」

マーマネ「……やっぱ慣れないな。この紛らわしさ」


サトシ「もうすぐ着くぞ。……へへ、ちょっとだけ緊張してきたかも」

スイレン「今更水を差すようなことを言うけどいい?水タイプだけに」

マーマネ「おぅ、水に電気は相性が良いからね。言ってごらんよ」

ロトム「謎理論」

スイレン「今、私達はメレメレの花園に向かってるけど、私達が到着する頃にはもうウルトラジャーの姿がない……ってことも考えられることは頭に入れておいた方がいいのかな」

ビッケ『そうね……ウルトラジャーからウルトラホールのエネルギーが観測できない以上、こちらで居場所を特定することは難しいの。ゴメンね。テッカグヤの時のように一つの場所に留まっているのなら見つけられないことはないんだけど……』

スイレン「俗にいう徘徊系……難易度MAX。でもそれが燃える。オラワクワクすっぞ」

マーマネ「呑気にそんなこと言ってる場合か!また誰かがケガする前にウルトラビーストを止めないと!」
 ▼ 42 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/12 23:49:20 ID:gGHgrAwI [12/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
メレメレ島の北部には、どんな荒くれ者や獰猛なポケモンの心をも落ち着かせてしまう幻想的な風景が辺り一面広がる「この世の天国」があるといわれている。それがメレメレの花園。

花園の中心部に立てば自分の四方八方全てが黄色の花で埋め尽くされ、巨大なブーケの上に立ったような心地よさに感極まること間違いなしなのだとか。

そんな美しい花園は足を踏み入れる者全てを虜にし、ポケモンの棲み処となっている他、デートスポット、さらにはテレビ番組のロケ地などとしても人気である。


アブリー「ぶぶ〜♪」

モンメン「ほわほわ〜♪」

チュリネ「……なの」


花園には可愛らしい妖精たちが付きもの。……でも、肝心の花園の中心部には、花園に似つかわしくない何かが居座っているようだ。一見、何かの機械のように見えるが……


チュリネ「なの?」


近づいてみると、古びた炊飯器のようだ。日向ぼっことばかりに暖かい日差しに照らされているその姿は、まるで息を吹き込まれたかのよう……え?炊飯器?


ウルトラジャー「ZZZ……」


そう。これこそがサトシ達の追っているウルトラビースト(?)・「ウルトラジャー」だ。どうやらリーリエとすれ違った後、メレメレの花園へ休息を取りにきたらしい。

シャワー口のような蒸気口から、まるで寝息のように湯気を噴き出している。「ウルトラジャー」の目的は一体何なのだろうか。


ウルトラジャー「ZZZ……コメ?」


ウルトラジャーが何かを聞き取った。人間の声と風の音だ。何かを察知したウルトラジャーはこそこそと、なるべく背の高い花の下に場所を変えて様子を伺うことにした。

風の音と共に花園に降り立ったのは、もちろんサトシ、スイレン、マーマネとライドポケモン達であった。


サトシ「この辺か。やっぱり綺麗な場所だなー!今度の散歩はここにしようか?」

ピカチュウ「ピカピカー♡」

ロトム「コイツらはもう……さてと、ウルトラジャーはいるかなロト?早くデータを記録したいロト!」

スイレン「やっぱりもういなくなった後なのかな……」

マーマネ「ここにいるって情報もあくまでカキ達の推測にすぎないからね。激しい光を放つのならすぐわかりそうなものだけど、強力なウルトラビーストのことだ。きっとうまく息を潜めて気配を消す能力も兼ね備えているかもしれない。徹底的に探そう!」

トゲデマル「までゅ!」

サトシ「よし! ……出てこーい!!バトルしようぜー!!」

マーマネ「 あ の な 」


スイレン「私、花園の中心を探してくる。サトシとマーマネは岩場の周りをね」

マーマネ「うぃ」

サトシ「そうか。こんな広い場所全部探さなきゃいけないんだ……」
 ▼ 43 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/13 21:46:06 ID:Bx2Y0j1k [1/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
-------10分後-------


アブリー「ぶぶ〜♪」

トゲデマル「までゅ!までゅ!」

マーマネ「こらこら、飽きてきたからって遊ばないの。岩場の影とか、探すべき場所は色々あるんだから」

マーマネ「それにしても見つからないな……ポケモンじゃなくて落とし物を探してるような気分だ。形が似ているだけとはいえ、炊飯器を探すなんて一生の内で今しかないよね。多分」

マーマネ「野生ポケモン達は何事も無かったかのように生活しているように見えるし……やっぱりこの場所にはウルトラジャーは来てないのかな?」



ピカチュウ「ペカ〜……」グデー

サトシ「おらへん、全然おらへん」

ロトム「しっかりするロト!まだ全体の22%しか探索できてないロト」

サトシ「嘘つけ!この辺りはもう大方探し尽くしたよ。やっぱりここにはいないのかな?」

モクロー「もふぅー、もふぅー」

サトシ「そっちはどうだ?見つかりそうか?」

モクロー「もふぅー……」

サトシ「だよなー……見渡す限り黄色一色!普段なら綺麗だと思えるけど探し物をするとなると鬱陶しいことこの上ないなぁ」

ロトム「そういえばスイレンはポケモンが一番よく集まる中心部を探しにいったロト。ウルトラジャーは現時点では財団によってウルトラビーストに分類されていて、そのウルトラビーストはポケモンと定義づけられてる」

ロトム「つまり、ウルトラジャーは中心部にいる可能性も捨てきれない……と言ってたロト」

サトシ「でもさ。そんなところに隠れててもすぐにバレそうじゃないか?」

ロトム「中心部の花は背が高いロト。ウルトラジャーくらいの大きさなら十分隠れることができるロト。それなら今の野生ポケモン達の様子も説明がつくロト」

サトシ「とにかくオレちょっとスイレンの方見てくるよ」

ロトム「岩場を探すのが飽きたからって」



アシマリ「あう♪あう♪」

スイレン「ふぅ……真ん中なら少しは楽できると思ったけど思いの外探しづらいね。よく考えたら花を傷付けないように注意して探さないといけないから探索のテンポも悪くなるし」

アシマリ「〜♪」チューチュー

スイレン「フフ、今の時期は『やまぶきのミツ』がよく採れる。あれだけ苦労してマオちゃんとサトシが採りに行ってたのが懐かしいね……ん?ねぇアシマリ、あの花の下にあるヤツ……」


ウルトラジャー「…………」ドキドキ
 ▼ 44 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/13 21:52:30 ID:Bx2Y0j1k [2/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
スイレン「まさか……」


確信一歩手前のスイレン。足音を立てぬようにじりじりと落ちている炊飯器との距離を詰めていく。

顔から滴り落ちる冷や汗の音すらも耳に聞こえるほどに全身全霊を集中させながら小刻みに震える手を伸ばし、ウルトラジャーを拾い上げた。


スイレン「じーーーっ」

ウルトラジャー「…………」

スイレン「……やっぱ違うかな」


ウルトラビースト捕獲がこれほどまでにあっけないハズがない……とスイレンは手にとったウルトラジャーをただの炊飯器と錯覚してしまう。

だが、これこそウルトラジャーの策略であった。捨てられたタダの炊飯器に擬態し、休息の邪魔をする敵の眼を欺きその場をやり過ごそうとしているのだ。


スイレン「空をもの凄いスピードで飛ぶハズのウルトラジャーがこんなに大人しいワケもないし……ただのゴミみたいだね」

アシマリ「おぅ」

ウルトラジャー「…………」ホッ


スイレン「まったく、こんな綺麗な花園の真ん中に堂々とゴミを捨てるヤツの気が知れない。これは持って帰ってウチで処分しよう」


ウルトラジャー「!?!?」


ウルトラジャーの策は甘かった。スイレンはポイ捨てを絶対に許さない綺麗好きだったのだ。数日前にもポケモンスクールの通学路にて、眼の前でポイ捨てをした不良を2、3人シメたばかりだった。

焼却炉送りはゴメンだ。そう言わんばかりのウルトラジャーはやむをえず、ついにその本性を現す。


アシマリ「! あおっ!あおっ!」

スイレン「どしたの? ……え゛っ!?何コレ!?」ギギギギ

スイレン「う゛っ……!? この炊飯器、何か変! ……ア、アシマリ、サトシかマーマネ呼んできて!」


途端に息苦しさを覚えたスイレン。見ると自分の胸の周りに赤茶けた色をした、細長い線が巻き付いている。焦りながらも謎の線の出処を眼で追ってみると、それはウルトラジャーの背部から伸びていた。

尻尾のように伸びたそれは、炊飯器の電線コードだった。


スイレン「やばっ……

バ バ バ バ バ バ バ … … … … ! !

スイレン「ぃぎ……ぃ!? んお゛ぉお゛ぉぉぉお゛ぉぉお゛おお゛ぉぉぉお!!」


ウルトラジャーは電線コードを通して大量の電流を一気にスイレンの体に流し込む。

見た目はボロい炊飯器といえど、圧倒的な力に偽りなし。ウルトラビースト・「ウルトラジャー」はついに戦うことを選んだのだ。
 ▼ 45 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/13 21:54:18 ID:Bx2Y0j1k [3/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
スイレン「あへ……へひ……」ヒクヒク

ウルトラジャー「…………」シュルルル


スイレンの腰元から巻き付けたコードを引き戻し、次の敵に備えて警戒態勢をとるウルトラジャー。

ウルトラジャーは既にこの花園へやってきた全ての気配を感じ取っていた。そのうちの一人と一匹は自分と対等に戦える力を持っていることも知っていた。

スイレンへの攻撃はそんな彼らへの宣戦布告だった。これからサトシ達とウルトラジャーとの、長い戦いが始まる--------------------------------


サトシ「ピカチュウ! 『 ア イ ア ン テ ー ル 』 ! !」

ピカチュウ「チュゥゥ……! ピ ッ カ ァ ! !」


ウルトラジャー「!」


           ギ ィ ィ ィ ィ ィ ィ ィ ィ ィ ィ ィ ン ! ! !


鋼のように固めたピカチュウの尻尾はウルトラジャーを捕らえると、トンカチを振り下ろしたような甲高い金属音を響かせる。

想像以上の威力だったのか、ウルトラジャーは態勢を整えていたにも関わらず吹き飛ばされ、花園の黄色い花を何本か折りながら地面に転げ落ちた。


アシマリ「あぉ!あお〜!」オロオロ

スイレン「」

ロトム「白目を剥いて痙攣してるロト……薬はたしかマーマネが持ってたハズ。呼んでくるロト!」

サトシ「サンキュー。……オレはアイツとバトルする。よくわかんないけどオレ達のことを敵だと思ってるのは確かだよな!」

アシマリ「あお……」

サトシ「ありがとうなアシマリ。後は大丈夫!いざという時はスイレンの考えてくれた作戦があるからね」

ピカチュウ「ピカピカー」

サトシ「やるぞピカチュウ。スイレンの作戦も頼りにしてるけど、なるべくオレ達だけで終わらせるように頑張ろうぜ!あくまでいざという時の作戦だからな!」

ピカチュウ「ピカッ!」

モクロー「もふぅ!もふぅ!」

サトシ「お前もやるのか?気持ちは嬉しいけど相手はウルトラビーストだ。……それでもやるか?」


ウルトラジャー「 コ メ エ エ エ エ エ エ エ エ ! ! ! 」


サトシ「……考えてる時間はないか。やるぞ!」

モクロー「もふぅ!」
 ▼ 46 ドグラー@リンドのみ 18/07/13 22:18:49 ID:zfoo8eoU NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
俺はオカマだが
 ▼ 47 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/14 00:09:40 ID:9HJkOxSQ [1/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ウルトラジャー「コメェェッ!」シュッ

サトシ「来るぞ!二人とも!」


ウルトラジャーが再びコードを伸ばす。勢いよく飛び出した攻撃にピカチュウとモクローは数々のバトルで培われた反射神経でかわすも、槍のように地面に突き刺さるコードに少したじろく。


サトシ「ウルトラジャーめ、本気になったわけだな。あのコードが相当厄介だな……。 ピカチュウ、次にアイツがコードで襲い掛かってきたら飛び乗るんだ。いいな?」

ピカチュウ「ピカチュ!」


ウルトラジャー「コメエエエエエ!!」シュバッ

サトシ「来たぞ!しがみつけ!」

ピカチュウ「ピッカァ!」


コードに捕まるピカチュウ。ウルトラジャーの抵抗も物ともせずに綱渡りのように本体の炊飯器へ駆けあがっていく。焦り始めたウルトラジャーは今度は電流で応戦するがジャンプで躱され、本体へ飛び乗られてしまった。


ウルトラジャー「コメェェ……コメェエェ!!」ブォォォォン

サトシ「食らわせ!『10まんボルト』!!」

ピカチュウ「ピーカー……ア ア ア ア ア ア ア ア ! ! !」

サトシ「いいぞ!体力を削りつくせ!」


ウルトラジャー「コ、コメェェェェ……!!」フシュー… フシュー…

サトシ「えっ、何だあの煙……ピカチュウ気をつけろ!何か来るぞ!」


ピカチュウの渾身の一撃を受けるウルトラジャー。予想以上の苦戦を強いられた彼は次の手段に出た。

ウルトラジャーが本体に力を込めると、頭の穴から湯気が噴き出した。湯気はピカチュウごと本体を包み込むと、雲のように体積を増していく。


サトシ「何だあの雲……あれじゃ中でどうなってるのか見えないじゃないか。ピカチュウー!大丈夫かー!?」



                      ボ ガ ァ ァ ァ ァ ァ ! !



サトシ「……っ!? 爆発!?」


ピカチュウ「ビ……ガ……」ドサッ


爆発した雲の下から体が軽く焦げたピカチュウが落ちてきた。

雲は水の塊。どうやら雲の中で『10まんボルト』を放ち続けていたピカチュウの電気がショートし、暴発したらしい。雲の中は爆炎で未だ燃え続けている。

雲の中で、次の攻撃に出るべく身を潜めるウルトラジャー。得体が知れないのは、やはりその姿だけではなかったらしい。
 ▼ 48 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/14 00:15:14 ID:9HJkOxSQ [2/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
マーマネ「ひぃ……あの場所に僕がいなくてよかった……正直言ってウルトラビーストとまともに太刀打ちできるのはサトシかカキぐらいのもんだよね」

マーマネ「だからこそ……僕は自分にできることを徹底しないと。トゲデマルとデンヂムシ、『クラボのみ』をいくらか採ってきてくれる?僕が持ってる『かいふくのくすり』は人には使えないからね」

トゲデマル「までゅ!」

デンヂムシ「むちぃ」

マーマネ「後は……どうしよう。スイレン……感電したってことは症状は体の麻痺と……そうだ!内臓が焼けて肺も機能しづらくなってるはずだ。こういう時は……えぇっと」

マーマネ「そうだ!人工呼吸だ!そうと決まれば僕が……ってえ゛ぇ!?人工呼吸!?」

マーマネ「はわわ……/// まさかこんな時にこのシチュエーションが来るなんて……!」


狼狽えながらもスイレンの顔を覗き込むマーマネ。……できない。できるわけがない。したら助かった時にぶっ殺される。

しかし助けなくてもきっとずっと恨まれる。スイレンは勿論、皆からも。それも嫌だ。神経質なマーマネは必死に考える。

当然マーマネはわかっていた。スイレンに限らず、自分の傍にいる仲間はみんな自分を想ってくれていること。だからこのくらい何とでもない……と信じたかった。

-----------------------------------------------------------

マーマネ「みんなごめん!引っ越しなんて嘘だったんだ!ホントはすぐ近くの家で1週間だけ……」グシャグシャ

サトシ「なんだ、よかったじゃん!」

カキ「転校はしないってことだろ?」

リーリエ「これからも一緒にいられるんですよね?」

マーマネ「……!?」

-----------------------------------------------------------

マーマネ「何を迷ってるんだ……助けなきゃ!こうなりゃもうやるっきゃねぇ!!」ガバッ

アシマリ「あぅ?」

マーマネ「あっ……そうだ。そうだよね。ハハハ、く、口はさすがにアシマリに任せるよ。僕が肺の辺りを押すからしっかりお願いね」

アシマリ「おぅ!」ビシッ

マーマネ「よっしゃ!やるぞー……」グッグッ


マーマネにはマーマネの戦いがある。一方のサトシは、眼の前の燃え上がる雲に眼を向け、ウルトラジャーが現れるのを待つ。無暗に攻撃をしてはまた爆発を起こしかねないからだ。


サトシ「……あれ?何か小っちゃくなってないか?雲」


ウルトラジャー「コメェェェェェ……」グビグビ


サトシ「!  いた!!」


雲から噴き出る炎の勢いが弱まったかと思えば、雲も徐々に縮みはじめた。ウルトラジャーの姿は雲の中心部にあった。ウルトラジャーは燃え上がる雲を湯気を発していた穴から吸い込んでいたのだ。

雲を跡形もなく吸い込んだウルトラジャー。またしても炊飯器に宿る力でサトシ達を翻弄するのだろうか。
 ▼ 49 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/14 00:26:03 ID:9HJkOxSQ [3/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ゴゴゴゴゴゴゴゴ…………


サトシ「……」ゴクリ

ウルトラジャー「コー……メー……」ゴゴゴゴ

サトシ「……やられっぱなしで終われるかよ」


サトシ「       今だモクロー!! 『つつく』!!       」

ウルトラジャー「!?」


モクロー「もぉぉぉぉっふぉぉぉぉ!!!」


ピカチュウがウルトラジャーの注意を引きつけている間、モクローはウルトラジャーの真上へ移動していた。両者の戦いを空から監視していたモクローはウルトラジャーが無防備の今こそ最大の好機と、口に備えた小さく鋭い槍を標的に向ける。

ウルトラジャーは注意をモクローに向けるも、急降下してくるモクローに反応が間に合わず、弱点であろう蒸気穴を曝してしまう。


サトシ「覚悟しろ!ウルトラジャー!!」


                         ズ ブ ッ … … ! !


メキメキメキメキ……

ウルトラジャー「コメエエエエエエエ!!!」

モクロー「もふ!もふ!」アタフタ


泣き叫ぶように奇声を上げるウルトラジャー。蒸気穴の高温に耐えられずすぐさま嘴を抜いたモクロー。抜けた先にはクモの巣のような亀裂がしっかりと刻まれていた。


ウルトラジャー「コ゛……コ゛メ゛ェェェェ……」

サトシ「よくやったぞモクロー!いい一撃だ!」

モクロー「もふぅ♪」


ウルトラジャー「 コ メ メ メ メ ェ エ ェ エ ェ ェ エ エ ! ! !」


                      バ バ バ バ バ バ バ … … ! !


ピカチュウ「 ヂ ャ ア ア ア ア ア ア ア ア ! ! ! 」


怒りで我を忘れたウルトラジャー。そこに、極めつけにとばかりに真下から雷が襲う。ピカチュウの『10まんボルト』だ。

地面から空へと昇る雷に巻き込まれ、ウルトラジャーは天高くへと突き上げられる。いくらウルトラビーストといえど、多くの戦いの経験を積んできたピカチュウを本気にさせてしまえば、苦戦を強いられざるを得なくなるのである。


サトシ「……へへっ」
 ▼ 50 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/14 00:27:40 ID:9HJkOxSQ [4/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サトシ「ハァ……ハァ……」

ピカチュウ「ピィ……カァ……」

サトシ「気を付けろ……また戻ってくるぞ」


キィィィィィ……ン


サトシ達が空を見上げると星が、いや、太陽の眩しさにかき消されないほどの眩い光が音を立てながらこちらに近づいてくる。

ウルトラジャーが光で己の身を燃やしながらサトシ達に狙いを定めて隕石のごとく突っ込んできた。満身創痍なのか、炊飯器のボディが気圧に耐え切れず所々凹んできている。


マーマネ「あっ、あの光はまさに星!今朝ハウオリ霊園を襲った犯人はやっぱりアイツだったんだ!」


サトシ「最後の抵抗ってワケか……ピカチュウ、モクロー、迎え撃つぞ!」

モクロー「もふぅぅぅ!!」


アローラのトレーナー達の切り札にして、ポケモンの秘めたる力を解放する能力・「Zワザ」。サトシの腕の「Zリング」が光る時、彼の中に眠る「Zパワー」が解き放たれ、迫りくる敵を薙ぎ払う。



                         ブ

                         ル

                         |

                         ム

                         シ
                         ャ

                         イ

                         ン



                           エ

                        ク

                         ス

                            ト

                           ラ

                          ァ
                            ァ
                         ァ
                          ァ
                           ァ

                        !  !  !  
 ▼ 51 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/14 21:44:37 ID:9HJkOxSQ [5/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ウルトラジャー「……!」

モクロー「ふぉおお゛ぉぉおおぉ!!」


「Zパワー」を受け取ったモクローの放つ緑の嵐がウルトラジャーを一度は押し返すも、優勢を保てるのはわずか数秒。すぐにモクローが押されていく。

ハウオリ霊園での一件とは比べ物にならないほどの勢いでウルトラジャーが迫ってくる。気を緩めてウルトラジャーを落としでもすれば花園の大部分は焼け野原と化すだろう。


モクロー「も゛……ふ……」プルプル


ウルトラジャーが近づいてくる。もう少し持ち堪えればウルトラジャーの体は崩壊して動きを止める……が、「Zワザ」だけでこれ以上の時間は稼げない。そう判断したサトシはモクローの後ろで構えていたピカチュウに合図を出す。


サトシ「ピカチュウ!     『 ア イ ア ン テ ー ル 』 ! !     」


ピカチュウ「 チ ャ ア ア ア ア ア ア ア ア ア ! ! ! 」


                      ズ

                        ッ

                      ! ! 


ウルトラジャー「 ご ぉ ……」

ピカチュウ「…………」ギギギギ


サトシ「吹き飛ばせーーーっ!!」


「どこに……いるの?」


ピカチュウ「?」

モクロー「もふ?」



「どこにいるの? どこにいったの?」



フシュウウウウ……!!


ピカチュウ「ピカッ……!?」

サトシ「ピカチュウ!?」


崩壊寸前のウルトラジャーの体から大量の蒸気が噴き出る。前に出た湯気よりももっと黒く濁った、まるで煙のような気体がウルトラジャー自身をピカチュウ共々包み込む。

黒く濁った……まるで、荒んだ心のように。
 ▼ 52 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/14 21:52:54 ID:9HJkOxSQ [6/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
マーマネ「な、何だろう……決着ついたのかな?」

アシマリ「あぉ……」


モクロー「もふ!」バサッ

サトシ「やめろモクロー!動くな! ……オレが行く」

サトシ「オレがいいって言うまで絶対に動くな!いいな?  さて……届かない高さじゃないな……」


サトシが地面を踏み込んだその時だった。サトシとモクローの頭上で黒い湯気が何者かに取り払われたかのように一瞬で晴れる。

……が、湯気の中身を見たサトシ達は眼を疑った。湯気が晴れた先にいたのはピカチュウと……


ウルトラジャー(?)「コメェェェ……」


人の形をした、銀色の怪物だった。怪物はピカチュウの頭を鷲掴みにしながら浮遊している。


サトシ「ピカ……チュウ?」

ロトム「ピピピピーーーーーッ!? あ、あれは何ロト!?とにかく見た目だけでもわかる!あれは危険度200%の怪物ロトーーー!!」

マーマネ「ウ、ウルトラジャーは?ウルトラジャーはどこに行ったの?……ま、まさかと思うけど……」


サトシ「進化した……のか?」


突如現れた銀の怪物。その姿は炊飯器とは……いや、この世のものとも思えぬその姿はまさに未知の生物・「ウルトラビースト」そのものだった。

生まれ変わったウルトラジャーはピカチュウの頭を掴んでいた手を振り上げ、一瞬だけサトシの方を見ると手に持っていたピカチュウを黄色の花で埋め尽くされた地面に叩きつけた。


ズ ド ォ ォ ォ ォ ン ! !


ピカチュウ「ピ……カ……」フラフラ

モクロー「も゛ふ……」


叩きつけた先には「Zパワー」を使い力を使い果たしたモクローが座りこんでいた。サトシの反応も間に合わず、ぶつかった二匹は瀕死寸前。サトシの勝機は完全に潰された。


サトシ「まだだ……まだやれる!出てこい!ルガ……

ウルトラジャー「コ メ エ エ エ エ エ エ エ エ ! ! !」


突然、爆音とともに一気に蒸気が地面から噴き出し、ピカチュウ達に駆け寄るサトシの視界を奪った。

やがて煙が晴れ、今度こそ力尽きたピカチュウ達の姿にとうとうサトシは地面に膝をついて呟いた。


サトシ「……敗けた」
 ▼ 53 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/14 23:07:24 ID:9HJkOxSQ [7/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
マーマネ「……えっ、敗けたの?サトシが?  ひぃぃぃ!!」

ウルトラジャー「…………」


「どこ? どこだ? どこ?   ………りたい。 今すぐに」


アシマリ「?」


ゴゴゴゴゴゴ……


ロトム「あっ、サトシ!ウルトラジャーが逃げるロト!」

サトシ「……はっ、そうだ!作戦!」

--------------------------------------------------------

マーマネ「ん〜……」

サトシ「どうしたんだ?」

マーマネ「やっぱり、ウルトラジャーはウルトラビーストじゃないのかな。ウルトラジャーは確かにこのアローラにいるのにウルトラオーラが感知されないっておかしいじゃん」

サトシ「じゃあアローラのポケモンなのかな?だとしたら新発見ってことだよねオレ達!」

マーマネ「あんなのがアローラにゴロゴロ居られてたまるか!とにかく現時点ではわからないことだらけだよ……むむ」

サトシ「とにかくメレメレの花園にソイツがいるといいけど……」

マーマネ「それね。せめて現在地が分かれば追いかけやすくなるけど……ウルトラジャーはウルトラオーラをもたないから探しにくいのが今回の一番厄介なところだよね」

スイレン「あっ、ウルトラジャーを追いかけやすくするいい考えをたった今思いついた。これはホントだよ」

サトシ「スイレン?」

スイレン「サトシ、エーテル財団の人達は私達の位置をどうやって把握してる?」

サトシ「えっと……GTSとかいうやつだっけ、ほらこれ」プチッ

マーマネ「そうか!それをウルトラジャーに取り付ければいいんだ!……でもその為にはウルトラジャーに一度遭遇しないと」

スイレン「あ゛っ、そうか」

マーマネ「これで振り出しに戻ったね……」

サトシ「でもさ、今から行くトコにウルトラジャーがいたらその作戦が使えるじゃんか!オレはスイレンを信じるよ」

スイレン「おぉサトシ、わかってるぅ」

--------------------------------------------------------

サトシ「う お お お お お お お お お ! !」


サトシは去りゆくウルトラジャーの背中目掛けて自分のGPS発信機を投げつけた。発信機はウルトラジャーの背中に貼り付くと、ウルトラジャーと共にどこかへと消えていった……


マーマネ「さも当たり前のように取り付けやがって超人め」
 ▼ 54 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/14 23:22:56 ID:9HJkOxSQ [8/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
トゲデマル「まっでゅ!まっでゅ!」

マーマネ「おぉクラボのみ!採ってきてくれたんだね!えらいえらい」

アシマリ「あぉ?あぉぉ?」

マーマネ「大丈夫。とりあえず体の痺れは取れるハズだからすぐ立てるようにはなるよ。ただ……今後の活動に支障をきたすかも。スイレンの事はルザミーネさん達に相談してみようか」

アシマリ「あぅ……」

マーマネ「落ち込むことはないよ。ここまでスイレンが持ち直したのもアシマリが手伝ってくれたおかげだよ。それに君が落ち込めば一緒に頑張った僕のメンツが立たないじゃないか」ハハハ

トゲデマル「までゅ!までゅ!」

アシマリ「…………」コクリ


サトシ「ハァ……ハァ…… ……ロトム、オレさ……ダメだったよ」

ロトム「追い詰めたかと思いきやまだあんな戦闘能力を隠しもっていたなんて……『ウルトラジャー』、やっぱりタダモノジャないロト……」

サトシ「アイツ、進化したよね。小っちゃい炊飯器から人型の怪物に」

ロトム「怪物の姿、ウルトラジャー自体の強さも相まってちょっとトラウマになりそうだったロト……」

ピカチュウ「ビ……ガ……」

モクロー「」

サトシ「よし……こうしちゃいられない!早くアイツを追いかけて今度こそ勝たないと!……まだポケモンはいるんだ。必ずオレが何とかしないと……」

ロトム「無理しちゃダメロト!あれだけの力をもった強敵、ルガルガンだけでは勝ち目がないロト!」

サトシ「! ……わかってるけど……ウルトラジャーの居場所がせっかくわかるようになったんだ。だから追いかけないと……」

ロトム「居場所がわかるという事は作戦を立てやすくなったともいえるロト。あまり無茶はせずに、他のメンバーときっちり話し合ってから行動するのが効率的ロト!」

サトシ「そっか……それもそうだ」

ピカチュウ「ピカピ……」

サトシ「そうだなピカチュウ、まずは皆が集まったら真っ先にお前をポケモンセンターに連れていかないとな。向こうにはバーネット博士とニャヒートも一緒にいる。ゆっくり休んで、休日の散歩に備えてような!ピカチュウ」

ピカチュウ「ピカピー……!」ポロポロ

サトシ「あぁあぁ!泣かなくたっていいじゃんか!ほら、よしよし」ナデナデ

ピカチュウ「チャァ〜♪」スリスリ

ロトム「またお惚気ロト……」

マーマネ「でも憧れるなぁ。いつもは不器用だけどポケモンと接してる時のサトシの行動は尊敬するよ」

トゲデマル「むむむ……」


姿を変え、より強力になったウルトラジャーに完膚無きまでに叩きのめされたサトシ。しかし、サトシの不屈の心はもう第2ラウンドのゴングが鳴るのを待っている。

静けさの戻ったメレメレの花園の真ん中で、サトシはウルトラジャーが去った空を見上げる。見上げたその顔は、今もまだ眼の前の敵と戦っているかのようだった。
 ▼ 55 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/14 23:41:39 ID:9HJkOxSQ [9/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
次のおはなし



第4話(全13話)「銀色の怪物」
 ▼ 56 ントル@たんけんセット 18/07/15 11:14:25 ID:4yW2tDjQ NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
スレタイで超越人力車のパロかと思った

支援
  ▲  |  全表示296   | <<    前    | 次100 >> |  履歴   |   スレを履歴ページに追加  | 個人設定 |  ▲      
                  スレ一覧                  
荒らしや削除されたレスには反応しないでください。
書込エラーが毎回起きる方はこちらからID発行申請をお願いします。(リンク先は初回訪問云々ありますがこの部分は無視して下さい)

. 書き込み前に、利用規約を確認して下さい。
レス番のリンクをクリックで返信が出来ます。
その他にも色々な機能があるので詳しくは、掲示板の機能を確認して下さい。
荒らしや煽りはスルーして下さい。荒らしに反応している人も荒らし同様対処します。




面白いスレはネタ投稿お願いします!
(消えた画像の復旧依頼は、問い合わせフォームからお願いします。)
スレ名とURLをコピー(クリックした時点でコピーされます。)
新着レス▼