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SS

ルクシオ「気が付いたらシンオウ半周してたんだが……」

 ▼ 1 1◆J44kAZeDOM 15/11/04 19:49:55 ID:sp7TIKqo [1/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
前スレ

http://pokemonbbs.com/poke/read.cgi?no=141983

アカリたちがトバリを出発した所からです。
 ▼ 2 ォーグル@リリバのみ 15/11/04 19:50:35 ID:vaACz.1Y [1/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
建て乙
 ▼ 3 1◆J44kAZeDOM 15/11/04 19:51:29 ID:sp7TIKqo [2/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
視点 ルクシオ

さあて、と。

よくよく考えたら俺、目が覚めたのコトブキ直前のあそこなんだよな。

と考えるとだいたいシンオウ半周な訳で……

どうせボールの中でヒマだしちょっといろいろと振り返って情報を整理してみるか。

つってもほとんど何もわかってないけどな……
 ▼ 4 クシオ@オーキドのてがみ 15/11/04 19:52:42 ID:.AjQGlwQ NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 5 1◆J44kAZeDOM 15/11/04 19:54:10 ID:sp7TIKqo [3/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
まずは俺、ルクシオ。

元は人間。

ポケモンに関する記憶を除き完全に記憶喪失。

要はほぼポケダンの主人公って事だ。

まあ本編の世界に飛ばされてる時点でだいぶん違うけど。

そんでもって俺はこうなる前はいじめの被害者をかばった。それで標的が俺に移って俺は自殺を図った。

で、こんな風に転生しましたとさ、ってのが俺の失われた記憶の仮説。

根拠は薄い。また違った仮説が立つ確率もある。

こんなもんか。
 ▼ 6 1◆J44kAZeDOM 15/11/04 19:55:41 ID:sp7TIKqo [4/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
次はポッタイシ。

シンオウの最初のポケモンの1匹ポッチャマの進化形。

アニメのポッチャマとは違ってかなり冷静。

推理が好きなのかな? こいつは。

まあ複雑そうな過去もないし、こいつはこのぐらいでいいだろ。
 ▼ 7 1◆J44kAZeDOM 15/11/04 19:59:44 ID:sp7TIKqo [5/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
で、その次はイーブイ。

こいつの過去は、たぶん俺よりも複雑だ。

俺の場合その状況の特殊さが複雑に見せてるだけだけど、こいつはそう言うのも特になしでややこしい。

その1。親がブースターだったから人間に捨てられた。

もうこの時点で訳わかんない。

それが原因なのか人間に対してちょっと敵意を抱いてるのか?

いやでもこいつは割とまんべんなく気が荒いし、もともとだろ。

で、その2。こいつ自身もいじめの関係者である事。

前俺の過去だと推理しているさっきの結論を聞いて俺の事をヒーローと思ったらしいけど、俺が違うかもと否定したとたん険悪なムードになって。

まあ仲直りは出来たけど。

いじめの直接の被害者って訳でもなさそうだし、こいつはホントによくわからない。
 ▼ 8 1◆J44kAZeDOM 15/11/04 20:03:59 ID:sp7TIKqo [6/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
んで、最後の手持ちペラップ。

単純ではあるけど驚愕な事実が彼女にはある。

なんと、人間の言葉をしゃべれるのだ。

そのせいで、周囲からいじめを受けたらしく、それから逃げるため俺たちについてきた。

改めて考えても、いじめ被害者多すぎるな……前も言ったけど。

今じゃ通訳としても活躍……するには気が弱すぎるけど、それでも少しはマシになってきたかな?

こんなもんか……いや、念のために一応アカリの事も考えとこう。

アカリ。ヒカリの妹。

この度トレーナーデビューした女子。

現在コール、レリック、フェン、コボルの4つのバッジをゲットしている。

後、俺が人間だって事もペラップを通して知ってる。

こんぐらいかな。

ギンガ団もなんかまた神話について調べてるらしいけど、黒幕が恐らくプルートだと言う事しかわかってない。

だから今考えたってどうせムダだし……
 ▼ 9 1◆J44kAZeDOM 15/11/04 20:08:41 ID:sp7TIKqo [7/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
とまあ、ここまで考えたところで視線をボールの外へ移す。

降りしきる雨の中、アカリがかっぱを着て歩いていた。

アカリ「あーここも雨かあ……ああもう、なんか憂鬱」

不意にため息をつく。

アカリ「あ、こりゃ対戦避けられない奴だ……」

それを聞いて、一気に思考が現実に戻った。

アカリ「しかもダブルだよ……うん。頑張ろっと」

アカリ「対戦、よろしくお願いします!」
 ▼ 10 グロコ@リバティチケット 15/11/04 20:09:06 ID:sp7TIKqo [8/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
今日はここまでです
 ▼ 11 コルピ@ヘビーボール 15/11/04 20:55:56 ID:vaACz.1Y [2/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
 ▼ 12 ポッコ@きのみプランター 15/11/04 21:31:13 ID:feKo2E8I NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 13 ノズ@しろいビードロ 15/11/04 21:36:44 ID:VeqXoz0M NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援!
 ▼ 14 チエナ@かいのカセキ 15/11/04 22:46:30 ID:KOxThO9c NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
向こうから来ました
支援!!
 ▼ 15 1◆J44kAZeDOM 15/11/05 21:09:05 ID:UZcrhiPA [1/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
さあて、と。

ダブルって事だし、せっかくだから試してみるか!

さっき技マシンで覚えさせた、吹雪!

エリートトレーナー♀「あ、トレーナーさん! よろしくお願いしますね! ほら、あんたも」

エリトレ♂「よろしく」

こいつ不愛想だなあ。

エリトレ♀「こいつデフォルトでこうなんです。気にしないで。あ、あたしはエリナ」

エリトレ♂「カツマサだ」

エリナ「もう、もっとしっかりしなさいよ!」

アカリ「あの、大丈夫ですよ。あたしはアカリって言います。では、行きましょうか!」

アカリ「よろしく、ルクシオ、ポッタイシ!」

エリナ「ストライク、よろしく!」

カツマサ「ベロリンガ、頼む」
 ▼ 16 1◆J44kAZeDOM 15/11/05 21:14:44 ID:UZcrhiPA [2/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
とは言ったものの……

アカリ「ポッタイシ、吹雪!」

エリナ「ストライクっ! 飛んで!」

カツマサ「ベロリンガ、ルクシオにたたきつける」

アカリ「ルクシオは吹雪を弾幕にストライクにスパーク!」

とまあ、これらの指示が重なり合った結果、俺がいたところにベロリンガがその自慢の舌を叩き付けるも、俺はそこにはおらず、ベロリンガだけが吹雪を受け、飛び上がってかわしたストライクは俺の攻撃を受けあえなく地に落ちた。

要は俺たちの勝ちだ。相手に控えがいない限り。

で、結局控えがいなかったらしく、俺たちの勝ちに終わった。

俺たちもだいぶん実力をつけて来たのかなあなんてぼんやり考えながら、ボールの中に戻った。
 ▼ 17 ガネール@クラボのみ 15/11/05 21:20:33 ID:UZcrhiPA [3/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
エレナ「強いんですね」

アカリ「そうですかね?」

エレナ「強いわよ。どんなトレーニングしてるの?」

アカリ「どんなトレーニングか……実践あるのみ! みたいな? ジム戦とかしてたら割と戦い方とかわかってきますし」

エレナ「うーん、やっぱりそうなのか。あたしたちも修行はしてるんだけど、やっぱ強い相手と戦う方が参考になるのかな?」

アカリ「と、思いますよ」

カツマサ「ふん」

エレナ「だからあんた負けた相手に学ばないと成長しないって言ってるじゃんか!」

エレナ「ごめんなさい。これ、賞金です」

アカリ「ありがとうございます! 対戦ありがとうございました」

エレナ「こちらこそ! ほらカツマサ、あんたもまた修行よ!」

カツマサ「の前に回復だろ」

そんなやり取りも徐々に小さくなっていき、やがて完全に聞こえなくなった。
 ▼ 18 1◆J44kAZeDOM 15/11/05 21:26:24 ID:UZcrhiPA [4/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
雨に降られながら、アカリは歩く。

イーブイ「ねえ、ヒマなんだけど」

ルクシオ「仕方ないだろ。あ、たぶんペラップはもうそろそろ仕事があると思うけど」

ペラップ「どういう事?」

ルクシオ「霧払い」

ペラップ「ああ……なるほど」

イーブイ「あたしはしばらくヒマなままか」

ポッタイシ「バトルするかもよ?」

ルクシオ「アカリは出来るだけバトルを避けたがってる。あんまないんじゃないか?」

ポッタイシ「だからかもなんだけど」

イーブイ「あーヒマ! ヒマヒマヒマ!」

ポッタイシ「ちょっと我慢しなさい」
 ▼ 19 スラオ@エスパージュエル 15/11/05 21:27:23 ID:UZcrhiPA [5/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
今日はここまでです
 ▼ 20 ドラン@リンドのみ 15/11/05 22:45:13 ID:qkwpvZKw NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 21 オー@オーロラチケット 15/11/05 23:23:47 ID:s9thWF9k NGネーム登録 NGID登録 報告
 ▼ 22 1◆J44kAZeDOM 15/11/06 20:30:05 ID:pGe62I16 [1/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
視点 アカリ

雨の中、何回バトルして。

みんな強かった。でもそれほど苦戦する訳でもなく、結構快調に215番道路を突破した。

とは言え、何戦もバトルしてたら、確実に疲労は溜まる物。

だから、休憩ターイム!

カフェ山小屋。おいしいモーモーミルクが飲めるって事で有名スポット!

これは突撃するしかない……!
 ▼ 23 1◆J44kAZeDOM 15/11/06 20:38:55 ID:pGe62I16 [2/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
メイド「モーモーミルク、1本500円となります! いかがでしょうか?」

アカリ「5本ください」

メイド「2500円になります!」

アカリ「どうぞ」

メイド「ありがとうございました。それではこちら、商品となります!」

アカリ「ありがとうございます!」

みんなも飲みたいだろうし(モーモーミルクはポケモンも飲めるって事でも有名だもんね!)その分だけ買った。

ちょっと手痛い出費だけど、旅はこう言う所ではちゃんとお金を使わないと逆にもったいないもん!

こういう1つ1つが思い出になるのよ!

ってな訳で……

アカリ「出て来て! みんな!」
 ▼ 24 1◆J44kAZeDOM 15/11/06 20:42:27 ID:pGe62I16 [3/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
さあて、と。

飲むのはいいんだけど。

びんのまま飲むの、どう考えても無理よね。

特にルクシオとイーブイとペラップ。ポッタイシだけは……

アカリ「すいませーん! ポケモンにミルク飲ませる用のお皿3枚ありませんかー?」

ポッタイシだけはむしろお皿に入れると飲みにくそうだし。

店員「あ、こちらになります!」

アカリ「ありがとうございます!」

さて、お皿にミルクを注いだ事だし、一杯行っときますか!
 ▼ 25 1◆J44kAZeDOM 15/11/06 20:49:34 ID:pGe62I16 [4/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
腰に手を当て、びんの口に口を当て、一気にあおる。

喉を冷たい液体が通り過ぎる。

舌の上で濃厚な、それでいて優しい甘みが広がる。

後に不快な甘さを残す甘みもあるが、これはそれとは一線を画している。

後に残ったのは清々しい爽やかさだった。

アカリ「おいしい……」

店員「当店ではこの1品に絞ってこだわり抜いて販売しておりますから!」

店員「置いてないんじゃないですよ。置かないんです。こだわりですから」

隣でそんな事を言う店員の声も、右から左に流れて行く。

それほどまでに、この飲み物はおいしかった。
 ▼ 26 日はここまで◆J44kAZeDOM 15/11/06 20:53:23 ID:pGe62I16 [5/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
視点 ルクシオ

腰に手を当ててびんの飲み物を飲む……

そんな当たり前の、今までだったら気にも留めないような事がうらやましく思えた。

まあ、いまさらこの境遇を悔もうともうどうにもならないのはわかってるから、

諦めて普通に今の俺に出来るやり方でミルクを飲んだ。

それでもこの味わいなんだから、あんな風に飲めたら最高なんだろうなあ……

イーブイ「うっま!」

ペラップ「すごく……おいしい」

ポッタイシ「さすが、有名なだけあるわね」

ルクシオ「こりゃ体力が100も回復するのも納得だわ」

体が軽い。

先程までの疲れが飛ぶように消えて行ったのがわかった。
 ▼ 27 リリダマ@たべのこし 15/11/07 17:43:08 ID:XTk3KkQ2 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 28 1◆J44kAZeDOM 15/11/07 21:03:24 ID:teETniKk [1/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「ここに来てよかった……」

あまりの感嘆に、アカリはため息をもらした。

気付けば皿が空になっている。

アカリ「さあて、休憩も終わった事だし!」

アカリ「ペラップ! もうそろそろ霧のスポットらしいから、よろしくね!」

俺たち3人をボールに戻すと、アカリはそう言う。

それに対してペラップがこっくりと頷いた。
 ▼ 29 1◆J44kAZeDOM 15/11/07 21:07:41 ID:teETniKk [2/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
視点 アカリ

うわ、すごいな……

視界が真っ白!

試しに少し手を伸ばしてみる。

……見えない。

自分の手が、霧に隠れて見えない。

すごいな……

ホントに驚くと、人間ってのは単純な言葉しか出て来なくなるってのはホントみたい。

でも!

あたしにはペラップがいる!

初めての秘伝技だな……

アカリ「行くよペラップ! 霧払い!」
 ▼ 30 1◆J44kAZeDOM 15/11/07 21:12:29 ID:teETniKk [3/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ペラップがその小さな翼を広げた。

そして、勢いよく動かし始める。

少しずつ、少しずつ風が強まって行く。

その場所から霧が薄くなって行った。

それからしばらくして。

アカリ「ペラップ、お疲れ様。戻って」

いやあ……すごい。

あんな深かった霧が、今では見る影もない。

手を伸ばすどころか、向こうにいる人影ですらもぼんやり見えた。

こんな小さな体のどこにそんな力が潜んでいたのか。

改めてポケモンってすごいなあ……
 ▼ 31 1◆J44kAZeDOM 15/11/07 21:22:13 ID:teETniKk [4/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
で、霧が晴れたはいいんだけど……

何この草むら?!

背丈高いし、遠くの丘は見えるけど目先の事がほとんど見えないじゃん!

まあいっか。

まさかこんなとこに隠れてるトレーナーなんているはずがないし……


うん、そんな事考えるのってだいたいいるって事につながるのよね。

忍者ごっこ「驚いた? ねえびっくりした? びっくりしたでしょ?」

いや、だいたい気配が隠れて無かったし……

忍者ごっこ「もっと驚いてよ……」

アカリ「あのねえ、おどかしたいならもっと上手く隠れなさいよ」

アカリ「草むらをかきわける音でもろばれよ」

忍者ごっこ「そんなあ……」

アカリ「じゃ、あたしは急ぐかr」

忍者ごっこ「いや、バトルはするでござる!」

ちっ、上手くはぐらかせたと思ったのに……
 ▼ 32 ラティナ@たわわこやし 15/11/07 21:27:35 ID:teETniKk [5/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ヒロマサ「拙者はヒロマサでござる! いざ参る!」

アカリ「口調変わったね。でも忍者って名乗っていいの?」

ヒロマサ「う……」

アカリ「じゃ、そう言う事だから」

ヒロマサ「待つでござる! あ、いない……」

よおし、逃走成功。

こちとらアキラと一緒にいろんなとこ隠れてきたの。

このぐらい朝飯前よ!

音だけはたてないように……他にもいるかもしれないしね。
 ▼ 33 ラエッテ@スピアナイト 15/11/07 21:27:58 ID:teETniKk [6/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
今日はここまでです
 ▼ 34 1◆J44kAZeDOM 15/11/08 17:55:14 ID:DDd8xwAQ [1/15] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「抜けたー!」

長い長い草むらを抜けて。

やっとまともに道路が見えるよ。

アカリ「よし、行こう!」

自分で自分を奮い立たせて足を前に向ける。

とは言え何の変哲もない道路だし、何か特別に意識する事もないんだけどね。

ただここ、修行スポットとしても有名とか聞いた事あるし、それだけトレーナーも多いんだよね……

出来るだけかわしながら行こう。

っと、その前に……

みんなの強さを確認しとこっ!
 ▼ 35 1◆J44kAZeDOM 15/11/08 18:22:50 ID:DDd8xwAQ [2/15] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ポッタイシがLV26。覚えてる技は熱湯、吹雪、メタルクロー、つつく。

技マシンでいろいろ覚えたかいあって、かなり多彩な技になってるね。


ルクシオがLV27。あ、進化もうすぐじゃない!

それはともかく覚えてる技はスパーク、充電、体当たり、かみつく。

技マシンが対応してなかったのよねえ。ま、仕方ないか。


イーブイはLV30。技は体当たり、電光石火、かみつく、シャドーボール

遠距離技が欲しいってな訳でしっぽを振るを忘れてシャドーボールを覚えさせた。


ペラップはLV29。霧払い、おしゃべり、ハイパーボイス、オウム返し。

霧払いはホントすごかったなあ……
 ▼ 36 1◆J44kAZeDOM 15/11/08 18:29:50 ID:DDd8xwAQ [3/15] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
視点 ルクシオ

俺たちの強さをってか技を確認して、何がしたかったんだろう……?

まあ確かに俺の進化はもうすぐだな。

ってかバッジ4個でルクシオが進化もうすぐってレベルの上がり具合が遅くないか?

最後シロナで詰むぞ?

あ、チャンピオンはシロナじゃなくってコウキだったっけ。

いやなおさらダメじゃん!

まあいいや。そんな事はどうでもいい。

次のジムがキッサキだとすると、俺はたぶんそこまでに進化出来るな……

あ、そういや。

ルクシオ「なあイーブイ?」
 ▼ 37 1◆J44kAZeDOM 15/11/08 18:50:17 ID:DDd8xwAQ [4/15] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
イーブイ「……何?」

どこか不機嫌な声に、だいたいの事情を察する。

こいつ、昼寝してた。間違いない。

ルクシオ「いや……さ」

ルクシオ「もうすぐ……つってももうしばらく後だけど……お前が進化出来る場所に着くんだけどよ」

イーブイ「え? どういう事?」

ルクシオ「自分の進化についてどこまで知ってるのか知らないけどさ、次の町カンナギを抜けると、豪雪地帯があってな」

ルクシオ「そこでレベルアップすると、イーブイはグレイシアに進化するんだ」

イーブイ「へえ」

ポッタイシ「あーなるほど。そんな話研究所で聞いた事あるな」

ペラップ「どういう事……?」

ルクシオ「イーブイってのはいろんな進化の可能性があってだな……その内の1つ、氷タイプのグレイシアに進化出来る場所がここから割りと近いって事」

ペラップ「へえ」
 ▼ 38 ルレイド@こううんのおこう 15/11/08 19:29:08 ID:DDd8xwAQ [5/15] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
イーブイ「グレイシアねえ……別に悪くはないけど……」

思案するような声を出すイーブイに言った。

ルクシオ「まあ、何に進化するか、それともしないかはお前の自由だからな」

イーブイ「あたしのじゃなくてアカリの、でしょ」

ルクシオ「まあ普通ならそうだがな。でも俺たちにはペラップがいるだろ」

厳密に言うとアニメのサトシのピカチュウも進化拒否してたからある程度の意志は尊重されると思うけど……

ルクシオ「だから嫌なら嫌。そうちゃんと伝えられるじゃんか」

ルクシオ「アカリの事だから、たぶんちゃんと聞いてくれるよ」

イーブイ「ま、それもそっか」

ポッタイシ「あ、そろそろバトルみたいよ」
 ▼ 39 ェイミ@ジュカインナイト 15/11/08 19:38:59 ID:DDd8xwAQ [6/15] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
着々とバトルをこなしつつ――もちろんきついのに変わりはないけど――進む。

滝の流れる渓谷の道を。

アカリ「うわっ、すごい……」

下を流れ行く滝に目を奪われているアカリ。

こちらとしても感嘆のため息をつかざるを得なかった。

ゲームだとただの青い面なのに、現物はこうも迫力あふれる物なのか……

これを登って行く技「滝登り」ってすごいんだなあ……ってか大変そう。

遠い未来のポッタイシ――たぶんもうエンペルトになっているだろうが――に同情した。

そうやって渓谷美を眺めて油断してると後ろからトレーナーに声をかけられた。

アカリ「目が合ってませーん」

空手王「じゃあこっちを向け」

アカリ「えー」
 ▼ 40 チルゼル@はっきんだま 15/11/08 19:45:09 ID:DDd8xwAQ [7/15] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「仕方ないなあ。わかりましたよ。すればいいんでしょバトル!」

空手王「すまんな。これも修行の一環なんだ」

カツヤ「俺はカツヤってんだ。よろしくな」

アカリ「アカリです。こちらこそ」

そう言うアカリの表情は不機嫌そのものだった。

アカリ「よろしく、ペラップ」

カツヤ「頼むぞエルレイド!」

アカリ「エルレイド……」

カツヤ「なんだよ」

アカリ「似合ってないなあ……と」

カツヤ「う、うるさい!」
 ▼ 41 ルキモノ@エルレイドナイト 15/11/08 19:53:21 ID:DDd8xwAQ [8/15] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
三人称視点

アカリ「ペラップ! まずはおしゃべり!」
カツヤ「エルレイド、サイコカッターだ!」

双方のポケモンが指示を受けて行動を起こす。

念の力を具現化した刃はペラップに襲い掛かった。

ペラップがとっさに攻撃をかわそうとした。


そのはずだった。

しかし。


その刃は、寸分違う事なくペラップを切り裂いた。
 ▼ 42 ャスパー@しんじゅ 15/11/08 19:59:55 ID:DDd8xwAQ [9/15] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「なんで?!」

カツヤ「エルレイドは相手の行動を先読みする力があるからな」

アカリ「そうなんだ……でも気落ちしてちゃダメ! 少なくともちゃんとおしゃべりは当たってた!」

そう。

確かにエルレイドの耳にペラップの声は届いていた。

そしてそれが意味するところとは。


エルレイドは、混乱状態に陥っている、と言う事だ。


アカリ「混乱してたらそのエスパーの力も使えない! 行けるよペラップ! おしゃべりもういっちょう!」
カツヤ「エルレイド、しっかりしろ! サイコカッターだ!」

混乱の最中にあるエルレイドには、確かにその指示は届いていた。

しかし、聞き遂げても、理解し、行動に移せるかとなると、また別問題だ。

エルレイドは、その刃を、自らに向けた。

カツヤ「な、エルレイドっ!」

アカリ「とどめよ! 行っちゃって!」

耳をつんざくしゃべり声を聞いて、エルレイドは地に足を付けた。
 ▼ 43 タフリー@しんぴのチケット 15/11/08 20:04:29 ID:DDd8xwAQ [10/15] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
視点 アカリ

ふうっ。

サイコカッターもろに当てられた時は焦ったけど、まあなんとかなったかな。

カツヤ「くそっ! 俺の負けだ」

アカリ「だから嫌って言ったのに。なあんて、冗談ですけど」

ちょっと笑って言ってみた。

カツヤ「ははっ、まあ自分から勝負挑んどいて負けてるんだから世話ねえや」

カツヤ「ほい賞金」

アカリ「ありがとうございます!」

カツヤ「その満面の笑顔うざいって言われた事ないか?」

アカリ「なんでわかったんですか……?」

カツヤ「そんなの誰でも思うだろ……ま、いいや。お前、カンナギに行くのか?」
 ▼ 44 マザラシ@モモンのみ 15/11/08 20:11:47 ID:DDd8xwAQ [11/15] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「え、そうですけど」

カツヤ「ならもうすぐだな。ほら、すぐそこに看板が見える」

アカリ「あ、ホントだ! やった!」

カツヤ「俺もこいつ回復させなきゃならんしな。ポケセンまで一緒に行こうぜ」

アカリ「え、マジですか……?」

なんか彼氏と彼女みたいに思われそうでやだな……

カツヤ「大丈夫だって。俺は襲ったりはしないよ」

アカリ「当たり前です」

ま、すぐそこなんだったらそう神経質になる必要もないかな。

アカリ「別にいいですけど、1人じゃダメな理由は?」

カツヤ「いや、特に。理由はないけど……強いて言うならこの先何人かいるトレーナーをかわすため、かな?」

アカリ「ならいいですよ。行きましょう」

カツヤ「……返答早いな」
 ▼ 45 ヤシガメ@オーキドのてがみ 15/11/08 20:14:11 ID:DDd8xwAQ [12/15] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
で、実際に2人で行ってみたところ……

ダブルバトルは面倒だと思うのか、トレーナーはみんなあたしたちに声をかけなかった。

アカリ「いやあ、助かりましたよ」

カツヤ「こちらこそ」

道中も、お互いにバッジ何個集めたーだとかの当たり障りのない話ばっかで、特にこっちが何したって訳でもないと思うんだけど……

カツヤ「負けたなんて知られたら恥ずかしくてな」

アカリ「なるほど。で、それを言わずに済むようにあたしを……って事か」

ついさっき浮かんだ心中の疑問にあっさり解答を出してくれた彼に、少し拍子抜けした。

カツヤ「じゃ、俺はもう少し鍛えて来るから。じゃあな!」

アカリ「頑張ってくださいね」
 ▼ 46 コロモリ@きあいのタスキ 15/11/08 20:19:39 ID:DDd8xwAQ [13/15] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
さて、と。

これでカンナギに到着した訳だけど……

ふっと周りを見渡す。

既に太陽は沈みかけていた。

もうこんな時間かあ……

まあカンナギなんて遺跡しかないし、観光は別にしなくていいんだけどさ。

216から217番道路、それからエイチ湖のほとり。

相当距離が長い。

テンガントンネルも抜けないとダメだしね……

ま、トンネルは整備された道だから、楽っちゃ楽だけど。

取りあえずまずは部屋もとったし、中でゆっくり考えよっと。

さすがにこの時期のこの辺は寒い。

シンオウでもかなり北の方の町だからなあ、カンナギって。
 ▼ 47 コロモリ@コンテストパス 15/11/08 20:27:04 ID:DDd8xwAQ [14/15] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
視点 ルクシオ

アカリ「みんな、出て来て」

その声にぼんやりしていた意識が急にはっきりする。

ああ、もうカンナギについたのか。

アカリ「取りあえず、明日からのプランについて説明するから、みんなこっち来て」

あいよ。

アカリ「まず今あたしたちがいるのがここ、カンナギタウン」

アカリ「次に行きたいのがここ、キッサキシティ」

アカリ「東211番道路のこの辺と、216番道路のこの辺、西211番道路のこの辺にトンネルがある」

ルクシオ「え? トンネル出来たの?!」

アカリ「何をそんなに驚いてるのよ。元人間ならわかるでしょそのぐらい」

いや俺元人間とは言ってもちょっと違う……

まあ、説明してないのにわかるはずもないけど。

アカリ「まあいいや。だから、あたしたちは明日、このトンネルを抜けてキッサキに向かいます」

アカリ「うん、改めて考えるとそう特別に言うまでもなかったな」
 ▼ 48 マズン@オボンのみ 15/11/08 20:28:08 ID:DDd8xwAQ [15/15] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
今日はここまでです
 ▼ 49 コリータ@エレベータのカギ 15/11/09 05:45:57 ID:n4Q9hnX2 NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 50 ィアンシー@ルアーボール 15/11/09 07:45:54 ID:.wdakICE [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
乙!
 ▼ 51 1◆J44kAZeDOM 15/11/09 20:05:06 ID:ymS4l6ec [1/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「ってな訳でまだ少し時間あるから今日中にちょっとだけ町を見に行きたいかな」

その一言を言うと、アカリは俺たちをボールに戻した。

カンナギは遺跡の町。

今回のギンガ団の件が神話に関わるなら、あの遺跡は確実に何か関わる。

シロナも確か、アルセウスの存在に感付いてたってか、シント遺跡イベントではアルセウスと三舞台って知ってたはずだしな。

いやそれは関係ないか。

まあでも、あの遺跡には、確実に何か関わりがある。

根拠はない。ただ、なんとなくそう思った。
 ▼ 52 トデマン@2ごうしつのカギ 15/11/09 20:09:51 ID:ymS4l6ec [2/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
視点 アカリ

アカリ「さあて、と」

やっぱカンナギと言えば遺跡よね。

歴史を感じさせる町。

ただ、あたしにはそれ以上の事はわかんないけどね。

歴史に何か惹かれてる訳でもないし。

ただまあ、ギンガ団が絡んだ事もある神話だし、詳しく知っておいて損はないよね。

確か時間の神ディアルガ、空間の神パルキア、反転世界の王ギラティナが3大神で、

その下に知識の神ユクシー、意志の神アグノム、感情の神エムリットがいるって事だっけ?

うーん、そのぐらいしか知らないけど、そのぐらいしか話もないよね……
 ▼ 53 リゴン2@ダウジングマシン 15/11/09 20:16:01 ID:ymS4l6ec [3/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「ここが遺跡かあ……」

静かで、なんか雰囲気がすごい。

えっと……あったあった!

アカリ「これがウワサの絵ね」

どれどれ……

確かに、真ん中の1点に向かって3匹のポケモンかな? の絵が描いてある。

お姉ちゃんから聞いた話だとユクシーアグノムエムリットの3匹がディアルガとパルキアを呼び出すためのアイテムを創りだすって事だったけど……

これがそうなのかな? この絵がそれを象徴してる?

うーん、よくわかんないや。
 ▼ 54 ナッキー@こおりのジュエル 15/11/09 20:19:22 ID:ymS4l6ec [4/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
あ、もうこんな時間か。

ポケッチの時計を見て思う。

さあて、帰ろっと。

正直、あたしにここのすごさはよくわかんない。

見る人が見ればすごいのはわかるんだけどね……
 ▼ 55 イキング@キラキラメール 15/11/09 20:20:16 ID:ymS4l6ec [5/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
今日はここまでです

ここから重要なシーンが結構続くので、書き溜めようかと思ってます

そのため更新が少し滞る可能性があります。ご容赦ください
 ▼ 56 ダイトス@スピードパウダー 15/11/09 23:36:19 ID:.wdakICE [2/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援!
 ▼ 57 ビワラー@さざなみのおこう 15/11/10 19:13:43 ID:jDDHH1CQ NGネーム登録 NGID登録 報告
 ▼ 58 1◆J44kAZeDOM 15/11/10 23:46:23 ID:fIBnSvRg [1/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
視点 ルクシオ

へえ……あの遺跡ってあんなのだったんだ。

まあ確かにユクシーらがテンガン山の周りにいるような絵だな……

ポッタイシ「シンオウ神話の一端を見られる場所なのはわかるけど……私を含めてそのすごさ、あんまわかってないよね」

ポッタイシ「たぶんルクシオはその神話についてもっと詳しく知ってるだろうしさ」

ペラップ「え……そうなんだ……」

イーブイ「あーそゆ事? まあ確かに」

ルクシオ「うん。だから俺はいまさら見る必要性がないって言っても過言じゃない。ただ……」

ルクシオ「あれが何か今回のギンガ団の目的に関わってる気がするんだ」

ポッタイシ「……理由は?」

ルクシオ「ない。ただ……ギンガ団が神話についてまた調べてると明言してる以上、全く関係ないはずがない」

ポッタイシ「……そう言うのを理由があるって言うんだけど」

ルクシオ「……まあそうだな」

なんて事を話しているうちに、アカリはポケセンに到着した。

アカリ「もうこんな時間か……よし、直接ごはんにしよっと」

そう言うとアカリは、そのまま食事会場に向かった。
 ▼ 59 1◆J44kAZeDOM 15/11/10 23:46:58 ID:fIBnSvRg [2/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「では……いっただっきまあす!」

その声を皮切りに、一斉に食事を始める。

ペラップに気を遣って、無言で。

人間の言葉を話すペラップは、こうした公の場で会話をするのがかなり難しい。

出来ない事はないのだが、周りに気付かれるとそれだけで面倒な事になるからだ。

何も話す事がない分、思考は散り散りに散乱して行く。

例えばイーブイの過去。

改めて考えてみるとよくわからなかったりする。

まあ、ついさっきも考えた事ではあるんだが……

例えばギンガ団。

これもある程度考えて、どうにもならないって結論に行き付いたばっかり。

ある程度考えられる事は考え切ったようなきらいがあるんだよなあ……
 ▼ 60 1◆J44kAZeDOM 15/11/10 23:47:20 ID:fIBnSvRg [3/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「ごちそうさまでした。ペラップ、ちゃんと食べてよ!」

ペラップは小食だ。

食べるスピードも遅い。

ちなみに俺は早食い気味、イーブイは大食い気味だったりする。

最近そう気付いた。俺は安定してわりかし早く食べ終わっている事に。

まあ、そんな事はどうでもよくて。

ペラップが食べ終わるまでにまだしばらく時間がかかるかなあ……


イーブイ「あーもーじれったい! ペラップ! まだ?!」

ペラップは首を横に振った。

イーブイ「代わりに食べるよ! いい?」

ペラップは、今度は首を縦に振る。

イーブイ「オッケー! じゃ、行くよ!」

何をどう行くのかわかんないけど、気にしたら負けだと思う。
 ▼ 61 日はここまで◆J44kAZeDOM 15/11/10 23:48:20 ID:fIBnSvRg [4/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
で、その瞬間からあっという間に皿は空っぽになった。

ポッタイシ「だから太るって言ってるじゃんか……」

イーブイ「今日は運動したからいいの!」

ポッタイシ「あ、そう……」

アカリ「うーん、ペラップもちゃんと食べなきゃダメよ。ま、いっか。帰ろ!」

そう言うと、アカリは俺たちをボールに戻した。

平和な日常。

しかしそれは。

案外もろく、壊れやすい物なのかもしれない。
 ▼ 62 ボツボ@しんかいのウロコ 15/11/11 14:39:21 ID:ywLd3IMs NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 63 レビィ@バシャーモナイト 15/11/11 21:20:12 ID:YgKxaO9k NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 64 1◆J44kAZeDOM 15/11/12 21:02:01 ID:LCKYAbeI [1/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
部屋に戻った。

アカリ「お風呂沸かしちゃうね」

そこから、ポケモン同士の会話が始まる。

イーブイ「あー疲れた!」

ルクシオ「明日はたぶん、雪の中突っ切ってくからな。もっときついだろうな」

イーブイ「うっそ」

ポッタイシ「まあ、私たちには関係のない話ではあるわね」

ペラップ「寒いのやだな……」

ルクシオ「まあそりゃそうか。飛行タイプだもんなあ」
 ▼ 65 1◆J44kAZeDOM 15/11/12 21:02:42 ID:LCKYAbeI [2/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
とりとめのない事を話していると、アカリが3人を風呂に呼ぶ。

それで3人が向こうに行って、考える事すらなくなった俺はただただぼんやりしていた。

ヒマに任せて窓から外を覗く。

何かが見えると期待した訳じゃないけど、この姿になってやっぱり夜目が効くようになってたのか、案外よく見えた。

見えた。

どこかで見た事がある奇抜な髪型が。

って……

ルクシオ「どこかじゃねえよ! あれ完全にプルートじゃねえか!」

思わず叫び声が漏れた。
 ▼ 66 1◆J44kAZeDOM 15/11/12 21:03:27 ID:LCKYAbeI [3/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
視点 アカリ

ペラップ「え……」

湯船に浸かっていると、不意にペラップが呟く。

ペラップ「プルート……? 確か……ギンガ団? の……だよね……?」

アカリ「どしたの? ペラップ?」

ペラップ「なんかルクシオが……プルートって叫んで……」

ポッタイシが何かを言った。

ペラップ「もしかしたら何かわかったのかもしれない……らしいです。ポッタイシ曰く」

アカリ「ウソ」

またポッタイシが何かをペラップに向かって言った。

ペラップ「ルクシオなら……あり得ない話じゃない……らしいです」

アカリ「それがホントなら」

そこで言葉を切らざるを得なかった。

ルクシオが何やら外から言って来たから。
 ▼ 67 1◆J44kAZeDOM 15/11/12 21:03:47 ID:LCKYAbeI [4/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ペラップ「ポッタイシ、外れです。ルクシオは……外にプルートがいるって言ってました」

アカリ「ぶっ」

なんなの? わかったじゃなくて、本人おでまし?

アカリ「みんな、ごめんだけどもう出るよ」

もしプルートが本物なら……あたしは行かなくちゃいけない。

絶対よからぬ事企んでるんだもん。
 ▼ 68 1◆J44kAZeDOM 15/11/12 21:04:15 ID:LCKYAbeI [5/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「みんな戻って。行くよ!」

お風呂から出て、急いで部屋を出た。

プルートは今回ギンガ団が動き始めてるのの黒幕的存在なんだよね?

あたしは今、それと対峙しようとしてる。

はっきり言うと、怖い。

でも……お姉ちゃんもやったんだ。あたしに出来ないはずがない!

うん。あたしだって出来るもん……
 ▼ 69 1◆J44kAZeDOM 15/11/12 21:04:58 ID:LCKYAbeI [6/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
その人物は、遺跡の中に佇んでいた。

まあ、だいたい予想は着いたけどね。

アカリ「すいません」

プルート「なんじゃ?」

振り返った彼の服に、Gの文字が見えた。

アカリ「あなた……ギンガ団ですよね?」

プルート「そうじゃ。それがどうかしたのか?」

アカリ「プルート……ですよね?」

プルート「なぜ知っている?」

アカリ「あたし、知ってる。あんたはまたなんか企んでるんだ!」

足が震える。

それでも、ボールの中からみんなが力をくれた。
 ▼ 70 1◆J44kAZeDOM 15/11/12 21:05:19 ID:LCKYAbeI [7/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
プルート「ほう」

アカリ「実質トップのサターンを差し置いて、あんたは独断でしたっぱを動かした! これはどう言う事なんですか!」

プルート「ほう……では主がギンガ団の裏の顔を知っている……だけでなく、テンガン山であのしたっぱを退治した少女か」

アカリ「はい」

声も震えた。

大丈夫。あたし、出来る。

そうやって自分を励ました。

プルート「怖がっているな。だがそう焦る事はない。ほんの少しだけ話をしてやろうじゃないか」

そう言うと、プルートは不気味な笑みを浮かべつつ、壁画を見つめた。
 ▼ 71 1◆J44kAZeDOM 15/11/12 21:05:41 ID:LCKYAbeI [8/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
プルート「この壁画はユクシー、アグノム、エムリットの3匹が集う事でディアルガ、パルキアを呼び出す事が出来る……と言う事を意味している」

プルート「ギンガ団の内情をしっている主なら、そのくらいわかるじゃろ?」

プルート「じゃが!」

プルート「これにはそれだけではない、新たな解釈の仕方があるのじゃ」

プルート「この左下が時間の神ディアルガ。右下は空間の神パルキア。そしてこの上は反転世界の王ギラティナ」

プルート「そう考えられるじゃろう?」

プルート「そして!」

プルート「これは神話の一節なんじゃが……」
 ▼ 72 1◆J44kAZeDOM 15/11/12 21:06:07 ID:LCKYAbeI [9/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
さいしょの ものは

ふたつの ぶんしんを つくった

じかんが まわりはじめた

くうかんが ひろがりはじめた

さらに じぶんの からだから

みっつの いのちを うみだした
 ▼ 73 1◆J44kAZeDOM 15/11/12 21:06:29 ID:LCKYAbeI [10/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
プルート「これを聞いた限りじゃと、ディアルガらより前に、ある1匹のポケモンがいた……そう考えるのが自然じゃないかね?」

アカリ「……確かにそうです。でもなんであたしにそんな話を?」

プルート「わからん」

アカリ「……は?」

プルート「ワシを妨害する者は容赦せん。伝説を全て手中に収める、その邪魔をする者はな。じゃがな。何かが内に語り掛けて来るんじゃ」

プルート「主には……伝えておくべきじゃとな。いや、主である必要などない。誰かにこの事を伝えなければならない……なぜか、そう思えるのじゃ」

アカリ「はあ……」

プルート「さて、主はワシの邪魔をするのかね?」

急に話が本題に入って、びっくりした。

アカリ「……はい」

大丈夫。あたし、出来る。

プルート「そうか……」

プルートは歩き去った。

プルート「取りあえず、外に出よう。この遺跡を破壊するのは忍びない」

アカリ「は、はあ……」
 ▼ 74 日はここまで◆J44kAZeDOM 15/11/12 21:07:03 ID:LCKYAbeI [11/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
なんか、腰砕けだ。

プルート「さて。ワシの目的を邪魔する、その目的はなんじゃ?」

アカリ「あんたが悪い人だから」

プルート「そうかそうか。つまり主は、そう考えておるのじゃな?」

アカリ「はい。あんたは悪い人です。ギンガ団が再建しても、あんたは変わらなかったらしいじゃないですか」

ブラフだった。変わってるかだなんて知らない。

ただ、まるで根拠がないって訳でもない。

サターン曰く、ギンガ団の目的のためと言うより自分のために動いているってタチだったらしい。

だから、変わる事も、たぶんない。

プルート「はっはっはっ! そんな事まで知っておるのか……なら話は速い! ヤドキング!」

ヤドキング……って事は水、エスパー!

アカリ「ルクシオ、よろしく!」
 ▼ 75 カンプー@ねむけざまし 15/11/13 08:38:46 ID:0vAqdfcI NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援!
 ▼ 76 1◆J44kAZeDOM 15/11/13 20:59:23 ID:.l7Uv8SI [1/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
三人称視点

場に飛び出したルクシオは、寒風に身震いする。

ヤドキングもそのゆったりとした体を揺らした。

一瞬の沈黙。そこに、アカリの声が響いた。

アカリ「スパーク!」

プルートは落ち着き払った様子で冷静に指示を出す。

プルート「ヤドキング、水の波動じゃ!」

ヤドキングに飛びかかるルクシオは、動揺をその顔に浮かべた。

水の波動の追加効果、混乱を恐れたのだ。

現在の体勢的に、避ける事は不可能に近い。

ルクシオは歯を食いしばり、衝撃に耐えた。

アカリ「行けっ! そのまま押し切れっ!」

水に濡れた体に電気をまとい、ルクシオはそのまま突っ込んで行く。

そして、ヤドキングに直撃した。
 ▼ 77 1◆J44kAZeDOM 15/11/13 20:59:47 ID:.l7Uv8SI [2/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
プルート「ほう……なかなかの物だな」

アカリ「ありがとうございます。行くよ! ルクシオ! もっかいスパーク!」

しかし、プルートが再び技を指示する事はなかった。

その代わり、彼は懐からある機械を取り出したのだ。

アカリ「何よそれ……」

プルート「それはこれからのお楽しみじゃ」

笑みをその顔に貼り付けたまま、ヤドキングをボールに戻し、ゴチルゼルを繰り出した。

プルート「ワシの邪魔をする者は許さん」

微笑みに似つかわしくないセリフを口にすると、機械を手に取った。

それは、地獄の始まりだった。
 ▼ 78 1◆J44kAZeDOM 15/11/13 21:00:09 ID:.l7Uv8SI [3/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
異変は、ルクシオの身に起こる。

ルクシオ「ッ……?」

ルクシオ(なんだこれ……体が動かねえ)

ルクシオ(いや違う)

ルクシオ(体を……乗っ取られてる!)

アカリ「ルクシオ、かみつくよ!」

ルクシオ(そうしたいのはやまやまなんだが……)

自らの肉体が、思い通りに動かない不自由。

しかしこれは、まだ序の口だった。
 ▼ 79 1◆J44kAZeDOM 15/11/13 21:00:49 ID:.l7Uv8SI [4/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「どうしたの? ルクシオ! 相手は向こうよ!」

ルクシオ(なんでだ? 止まれ! 俺の体!)

ルクシオは、その体躯に電気をまといつつ、

アカリへと……歩みを進める。

アカリ「まさか……混乱してる? さっきの水の波動で……」

不意にアカリの頭に思い付いたアイデアは、しかしあっさり否定される。

混乱にしては、歩き方がしっかりしている事に気付いて。

プルートは、邪悪な笑みを浮かべている。

アカリ「もしかして……その機械?」

プルート「ご名答。さあて、ワシは容赦などせん。主の愛するポケモンに、傷つけられるがいい!」

高らかに笑い声をあげた。

アカリ「あんた……絶対許さない!」
 ▼ 80 1◆J44kAZeDOM 15/11/13 21:01:19 ID:.l7Uv8SI [5/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
一方ルクシオはと言うと、言う事を聞かない体をなんとか自分の制御下に戻そうと、悪戦苦闘していた。

ルクシオ(そうだ……確かにポケスペでもプルートはそんな機械を使ってた)

ルクシオ(意識はあるんだな。余計むごいんだけど)

ルクシオ(さあて、俺は一体、何が出来る?)

いくら考えても、何も思い付かなかった。

アカリ「取りあえず、戻ってルクシオ!」

ルクシオ(お、ナイス! それが一番手っ取り早い……)

プルート「……つまらん事を。ワシが何のためにゴチルゼルを出したのかわかっているのか?」

アカリ「え?」

ルクシオ(どういう事だ?)
 ▼ 81 1◆J44kAZeDOM 15/11/13 21:01:55 ID:.l7Uv8SI [6/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
プルート「ゴチルゼルには、隠れ特性がある。それはなんじゃ?」

ルクシオは困惑していた。

ゴチルゼルはわかる。けど……隠れ特性?

ああそうか。ヒヒダルマのダルマモードみたいなのか。

それに気付くと、ようやく納得する。

しかし、体は止まらない。

アカリはアカリで、小さな頃聞いた話を思い出す。

そして、それと同時に戦慄した。

アカリ(ゴチルゼルの隠れ特性って、まさか……)

プルート「感付いたようじゃな! そう。影踏みじゃよ!」

ルクシオ(ゴチルゼルの隠れ特性って影踏みなのか……えっ)

そう。影踏み。

場の相手ポケモンの、交代を封じる特性である。

プルートは小さく笑う。

プルート「言ったはずじゃ! 容赦はせんとな」
 ▼ 82 1◆J44kAZeDOM 15/11/13 21:02:48 ID:.l7Uv8SI [7/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
その事に気付いたルクシオは、完全に退路が断たれたと悟った。

その体は、少しずつ、電気を蓄えてゆく。

アカリ「どうすれば……」

その顔には、苦しみが浮かんでいた。

プルート「やれ! ルクシオ!」

ルクシオ(やめろ……やめろっ!)

必死の願いは……

奇跡のようなタイミングで他者が乱入して来ると言う事態により、一瞬だけ聞き入れられる事になる。
 ▼ 83 1◆J44kAZeDOM 15/11/13 21:04:33 ID:.l7Uv8SI [8/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
???「外が騒がしいから来てみれば……こりゃたまげたわい」

プルートが機械から手を離す。

ルクシオの行動はそのままストップした。

アカリ「あなたは……」

村長「ワシか? ここカンナギの村長じゃよ」

ルクシオ(ああ、なるほど……きついなこの体勢。アカリに攻撃する事は回避出来たから、まあいいんだが)
 ▼ 84 1◆J44kAZeDOM 15/11/13 21:04:58 ID:.l7Uv8SI [9/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
村長「見た所、その機械はポケモンごとに違う電波を飛ばしておるようじゃな」

プルート「なぜわかる」

村長「他のポケモンが操られておらん。じゃからの。ワシのカンが正しければ、進化すれば違う電波が必要になるんじゃないか?」

プルート「そうだが……それがどうした。経験値も入らないようなこの状況で、ルクシオが進化する可能性など皆無じゃ!」

村長「じゃが、見た所このルクシオ、進化までもう少しではないかね?」

アカリ「は、はい……」

ルクシオ(なんだなんだ? この展開は……)

プルート「それがどうしたと言うのじゃ! やれ! ルクシオ! まずはその村長からじゃ!」

アカリ「え……危ないっ!」

村長「ほいっ」

村長の手から放たれた物体は、暗闇に紛れて一瞬隠れたが、ルクシオの放つ光に照らされ、再びその姿をあらわにした。

そしてそれは。いや、それらは。

見事にルクシオの口の中に入り込んだ。
 ▼ 85 1◆J44kAZeDOM 15/11/13 21:05:44 ID:.l7Uv8SI [10/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ルクシオ(なんだこれ……?)

アカリ「何を……ルクシオに何したんですか!」

村長「何。レベルアップの手助けをしたまでよ!」

高らかに笑う。

ルクシオ(もしかして……不思議の飴?)

攻撃を仕掛けつつ思うルクシオ。

その体に、奇跡が起こる。

アカリ「あ……もしかして……」

プルート「進化……じゃと?」

村長「不思議な飴の効果は絶大じゃな!」

光をまとったルクシオの体を、村長は身軽にかわす。

ルクシオは着地した。
 ▼ 86 1◆J44kAZeDOM 15/11/13 21:06:06 ID:.l7Uv8SI [11/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
その姿を徐々に変じて行くルクシオに、アカリは指示をする事も忘れてただただ息を飲んだ。

プルートは、茫然としたままその光景を眺めている。

???(進化か……このタイミングで)

レントラー(レントラーだな、俺もう)

そんな不思議な感慨に包まれながら、ルクシオは……いや、レントラーはプルートへと向き直った。
 ▼ 87 1◆J44kAZeDOM 15/11/13 21:06:27 ID:.l7Uv8SI [12/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
レントラー「よし」

体が自由に動く。そんな当たり前の喜びをかみしめながら、レントラーはその身に電気を再びまとう。

プルート「まだじゃ……まだ間に合う……」

アカリ「レントラー! 今よ! 操られる前に! スパーク!」

プルート「ゴチルゼル! サイコキネシスじゃ!」

アカリ「右よ!」

しかし、レントラーはエスパーの力の前に、為す術なく捕らえられる。

プルートは笑った。レントラーに対する電波を測定して。

しかし、その顔は、笑みを貼り付けたまま凍り付く事になる。

村長「ガブリアス! ドラゴンダイブじゃ!」

不意に繰り出したその技は、プルートのすぐ側に命中した。

プルートは驚きに、ゴチルゼルはその驚きに対し、凍り付いたのだ。

そしてそれは、レントラーの解放を意味している。

アカリ「いっけええええっ! あの機械にスパーク!」

レントラーは視界に先程の機械を捉える。

硬直したプルートの手元に向かって、自慢の電気技を繰り出した。
 ▼ 88 1◆J44kAZeDOM 15/11/13 21:06:53 ID:.l7Uv8SI [13/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
機械は、電気を受け、いとも簡単に壊れる。

プルート「な……なぜじゃ! なぜ……」

村長「どうやらここまでのようじゃの! 諦める事じゃ!」

プルート「ワシは……ワシは負けん! さらばじゃ!」

煙玉のような物を地面に叩き付ける。

立ち込める霧の中、レントラーはその目に逃げ行くプルートを捉えていた。

レントラー「あいつ……許さねえ」

怒りを込めて、全力で走る。

そして、飛びかかり、かみつくを食らわせる。

プルート「なんじゃなんじゃ?!」

レントラー「てめえっ!」

プルート「ゴチルゼル! サイコキネシスじゃ!」

念の力はレントラーに襲い掛かる。

レントラー「うぐっ……」

それに動きを制限されて、レントラーは去りゆくプルートを、ただ眺めるしか出来なかった。

動揺の末、プルートが大きな過ちをおかしている事に今はまだ、誰も気付いていなかった。
 ▼ 89 1◆J44kAZeDOM 15/11/13 21:07:25 ID:.l7Uv8SI [14/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
視点 ルクシオ改めレントラー

アカリ「レントラー!」

レントラー「逃げられたよ……」

悪態をつく。だが、このぐらい許してもらってもいいと思う。

なんたって、俺は危うく人間を攻撃する所だったんだから。

アカリ「よかった……正気に戻ったんだね!」

アカリが抱き着いて来た。苦しい。

まあでも……よかったかな。

村長「ほっほっ、素晴らしき友情じゃの」

アカリ「さっきは危ない所をありがとうございました」

村長「いや、構わんよ。騒がしいから来ただけじゃったが、その片方がギンガ団じゃったのじゃからな」
 ▼ 90 1◆J44kAZeDOM 15/11/13 21:07:47 ID:.l7Uv8SI [15/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「! って事は、あなたは知ってるんですか? ギンガ団の裏の顔」

村長「ああ。なんたって、元チャンプの祖母じゃからの」

村長さんは笑い声を上げた。

村長「しかし、こんな時間に1人で歩き回り、あまつさえ1人でギンガ団に挑もうとするなんて、危険じゃぞ、ヒカリの妹よ」

アカリ「えっ、知ってるんですか?!」

村長「そりゃそうじゃ。ワシ、コウキたちからお主らの事は聞いたからの」

アカリ「コウキ兄ちゃん、そんな事……」
 ▼ 91 1◆J44kAZeDOM 15/11/13 21:08:09 ID:.l7Uv8SI [16/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
村長「それはともかく。追い払ってくれた事には感謝するぞ。ワシもギンガ団はいけすかん」

アカリ「は、はあ……」

村長「そうじゃ! ワシの家に来ないか? ちょっとしたお礼なら出来るぞ」

アカリ「それなら、お言葉に甘えさせてもらってもいいですか?」

遠慮ないな……

村長「素直でよい子じゃな」

アカリ「あ、すいません……」

ん? なんだこれ?

地面に落ちている物を見て、どこかデジャブを覚える。

これ……秘密のカギじゃん!

プルートが関わって来るんなら……絶対役立つなこれ!

カギをくわえ上げる。

それと同時にアカリは俺はボールに戻した。
 ▼ 92 タマロ@ホズのみ 15/11/13 21:08:57 ID:.l7Uv8SI [17/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
今日はここまでです
まだしばらく書き溜めが必要なゾーンが続きますので、毎日更新とは言えませんが、ご容赦ください
 ▼ 93 ジアイス@きいろいかけら 15/11/14 13:50:35 ID:JUZdUp2Q [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援!
村長有能すぎわロタ
 ▼ 94 1◆J44kAZeDOM 15/11/14 20:23:07 ID:TJx0YDds [1/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
村長「ここじゃ」

そう言って通された部屋は、昔ながらの暖炉があって、いかにもって感じ。

イーブイ「にしてもあんたも大変だったね。操られてたんでしょ?」

レントラー「ああ」

イーブイ「どんな感じだった?」

レントラー「自分の感覚と感情はあるのに……体だけは不自由。すげえ気持ち悪かった」

気持ち悪い……ってか、不快だな。まあ訂正だるいしいいか。

ポッタイシ「まあでも、結局それが進化につながったと考えるとよかったのかもね」

ポッタイシ「誰もケガはしてないし。ルクシ……レントラーとあいつを除いてね」

レントラー「いいもんかっての。もう二度とあんな思いはしたくねえよ」
 ▼ 95 1◆J44kAZeDOM 15/11/14 20:23:28 ID:TJx0YDds [2/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「あったかいなぁ」

村長「エアコンなど使わずとも、炎で人は温まれるからの!」

アカリはそわそわと辺りを見回した。

村長「まあまずはこれでも飲みなさい。あったまるぞ」

アカリ「では、お言葉に甘えて」
 ▼ 96 1◆J44kAZeDOM 15/11/14 20:23:55 ID:TJx0YDds [3/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
村長「さて、お礼じゃな……おお、あったあった! これじゃ! 秘伝マシン波乗りじゃ!」

アカリ「秘伝マシン? いいんですかそんな貴重な……」

村長「構わん構わん! 遠慮などせんでよい!」

アカリ「はあ……」

村長「まあフィールドで使うにはバッジが5個必要じゃがな!」

アカリ「じゃあ、まだ無理ですね……」

村長「そんな気にする事でもない! まだまだこれからじゃからの!」
 ▼ 97 1◆J44kAZeDOM 15/11/14 20:24:20 ID:TJx0YDds [4/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「にしてもいろんな本がありますね」

それは思った。まあシロナの祖母なんだったら当然とも言える。

村長「ああ、ここに伝わる伝承の数多をまとめた本じゃ」

村長「ワシのかわいい孫が書いた本もあるぞ」

アカリ「そうなんですか。『ウバメの森とカンナギの関連性』……」

村長「おお、それに興味を持ったのか」

アカリ「はあ。なんか前、ウバメの森には伝説とかいろいろあるって聞いて」

村長「なるほどな。読んでみるか?」

アカリ「無理です。自慢じゃないけど、あたしって頭よくないんで」

村長「そうか。まあどうせヒマじゃし、中身を教えようか?」

アカリ「いいんですか?! お願いします!」

村長「まあ、まずはここに書かれてある事ぐらい読みなさい」

アカリ「はあ……」
 ▼ 98 1◆J44kAZeDOM 15/11/14 20:24:45 ID:TJx0YDds [5/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
じかんをこえて あちこち さまよう。セレビィが すがたを あらわした もりは くさきが おいしげるという。
(金・RG・HG図鑑より)
セレビィが すがたを けした もりのおくに のこされた タマゴは みらいから もってきたもの らしい。
(銀・FR・SS図鑑より)
もりのかみさま として まつられる。きれいな もりが あるところ そこに セレビィは あらわれる。
(クリスタル図鑑より)
ときを こえ みらいから やってきた ポケモン。セレビィが すがたを あらわす かぎり あかるい みらいが まっていると かんがえられている。
(RSE・ORAS図鑑より)
じかんを こえる ちからを つかう。へいわな じだいにだけ すがたを みせると いわれている。
(DPPt・BW・BW2・XY図鑑より)
 ▼ 99 1◆J44kAZeDOM 15/11/14 20:25:06 ID:TJx0YDds [6/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
村長「各地で語られておる、伝承じゃ」

アカリ「へえ」

村長「セレビィは主にジョウトに姿を現すのじゃ。ジョウトのウバメの森のほこらにな」

アカリ「ほこら……」

村長「そして、ここカンナギにあるほこらもそのほこらと全く同じ作りをしておるのじゃ!」

アカリ「それで……どう言う事なんですか?」

村長「まだ可能性の段階でしかないが……セレビィはここ、シンオウにもやって来るのではないか? そしてその時、ここに第一に降り立つのではないか……」

村長「研究が進めばもっとさまざまな事がわかるじゃろう。じゃが、今はまだほとんど何もわかっておらん」

アカリ「そうなんですか」

村長「ああ。どうじゃ? 面白かったか?」

アカリ「なんか興味深いですね」

あ、これよくわかってない奴だ。
 ▼ 100 1◆J44kAZeDOM 15/11/14 20:25:27 ID:TJx0YDds [7/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
村長「ほっほっほっ! まあよい! ポケモンセンターに宿はとっておるのじゃろう?」

アカリ「はい」

村長「もうこんな時間じゃ。そろそろ帰ったらどうじゃ?」

アカリ「あ……確かに」

アカリが立ち上がる。

アカリ「では、今日は危ない所を助けていただき、ありがとうございました!」

村長「構わんよ」
 ▼ 101 ロストロトム@ひみつのコハク 15/11/14 20:25:59 ID:TJx0YDds [8/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
今日はここまでです
 ▼ 102 コン@こだわりメガネ 15/11/14 20:46:42 ID:V/7Kj3yE NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
シリアスになってきた…支援
 ▼ 103 ソッキー@ひかるおまもり 15/11/14 22:04:43 ID:NebNkcx2 NGネーム登録 NGID登録 報告
 ▼ 104 ンムー@けむりだま 15/11/14 23:03:18 ID:5uZAOxrw NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 105 リーパー@いんせき 15/11/14 23:55:39 ID:JUZdUp2Q [2/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 106 1◆J44kAZeDOM 15/11/15 19:23:47 ID:zKcYXcLQ [1/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ポケモンセンター

アカリ「みんな、出て来て」

ボールから外に出る。

レントラー「こえ」

会話が通じる訳でもないけど、一応声には出す。

と言っても、口にカギをくわえているのがまずかったのか、変な言い方になっちまったな。これって言いたかったのに。

アカリ「え……何これ」

アカリはカギを手に取る。

レントラー「ペラップ、通訳頼む」

ペラップ「え、わ、わかった」
 ▼ 107 1◆J44kAZeDOM 15/11/15 19:24:08 ID:zKcYXcLQ [2/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
レントラー「プルートが落として行ったんだが……何かに役立つかもしれない。一応持って行っとけ」

ペラップが言葉を人間の物に変換して行く。

アカリ「すごい! よく見付けたねレントラー! ありがとう!」

顔を背けた。

ウソをついてる訳ではないが、隠し事はしている。

このカギをどう使うのか、俺は知ってる。それでいて、隠している。

なんか、真正面から顔を見るのが恥ずかしくって。

アカリ「つれないなあ……ま、いっか。お風呂、もっかい……冷めてるか……」

アカリ「仕方ない。みんなは大丈夫でしょ。レントラーの体だけ拭いて、今日はもう寝るか」

時計を見ると、もう深夜だった。

さすがにこれは寝ないとな……疲れたし……
 ▼ 108 1◆J44kAZeDOM 15/11/15 19:24:31 ID:zKcYXcLQ [3/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
……トラー。レントラー!

レントラー「ふああ、あ、もう朝か……」

アカリ「やっと起きた。今日は遅かったね」

レントラー「は?」

アカリが起きてる? マジで?

ポッタイシ「まあ昨日はレントラー、ホントに疲れてたみたいだしね」

ペラップ「操られてたから……疲れてるんじゃ……ないかな……」

イーブイ「そうよね。あいつ、今度会ったらぼっこぼこにしてやる!」

アカリ「なるほど……操られるのも疲れるんだ。まあいいや、今はこうしてみんな無事でいる訳だし。ごはん食べよっ!」
 ▼ 109 1◆J44kAZeDOM 15/11/15 19:24:54 ID:zKcYXcLQ [4/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
なんか……食事に対して最近何の感想も抱かなくなって来たよな……

普通においしいけど、ごくごく当たり前って言うか……

人間がポケモンになる。その事自体がすでに異常なはずなのに、その現実にすら俺はもう慣れたのか。

まあ、いつまでも気にしてもどうにもならないしな。

レントラー「今日は大雪原を通って行く訳だから、しっかり飯食っとけよ」

イーブイ「言われなくても!」

ポッタイシ「いやたぶんあなたには言ってないと思うんだけど」

ペラップ「……私?」

レントラー「ああ」
 ▼ 110 1◆J44kAZeDOM 15/11/15 19:25:14 ID:zKcYXcLQ [5/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
しっかり完食して(ペラップに関してはいつもより多いってだけで全部は食ってないけど、残りはもちろんイーブイの胃袋へ)アカリは席を立つ。

アカリ「さあて、行こっか! キッサキシティに!」


アカリが上着を着こむ。

ヨスガで買っておいたあれだ。

アカリ「こっからトンネルを抜けて行くけど、すっごい寒くなるから、みんな気をつけてね」

言われなくてもわかってるっての。

まあボールの中の気温は外とは関係ないみたいだし、俺はそこまで警戒する必要もないかな?

バトルの時ぐらいか。

ってかイーブイの進化……どうするんだろ、結局。
 ▼ 111 1◆J44kAZeDOM 15/11/15 19:25:34 ID:zKcYXcLQ [6/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「テンガントンネルは211番道路の北側にあるのよね……」

地図を片手にアカリは呟いた。

俺はそれをただ眺めていた。

要はヒマでぼんやりしてたんだ。

で、完全に油断してた。

昨日、俺はとんでもないミスを犯していたってのに、今の今まで気付けなかったのは仕方ないかもしれない。

でも、もう少し落ち着いた対応なら出来たはずだ。

それが出来なかったのは、ひとえに俺のミスだった。

ペラップ「ところで……気になる事が……」

ペラップ「レントラーってなんでプルートの見た目……知って……いや、関係ないか……」
 ▼ 112 1◆J44kAZeDOM 15/11/15 19:26:08 ID:zKcYXcLQ [7/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
レントラー「えっ……」

ポッタイシ「あ」

イーブイは寝息をたてていた。

食ってすぐ寝ると牛になるぞ。まあこの世界に牛なんていないんだろうけど。

……逃げるな俺。そんなしょうもない事考えても現実は行き過ぎたりはしない。

ペラップ「でも……もしかしたらそれ……何か関係あるかもしれない……ニンゲンだった頃の記憶に……」

レントラー「いや……な、なんでだろうな?」

ペラップ「私……思うんです。もしかしたら、レントラーは……ニンゲンだった時はギンガ団だったんじゃないか! って……」

ペラップ「そんな訳……ないか……」

レントラー「もっと自信持てよ。その可能性は普通にあるんだから」

確かに傍から見るとそうも解釈出来るのか。

俺がポケモンのいない世界の住人だって知らない奴から見たら。

ペラップ「え……」

こいつに不用意にこの世界がフィクションだなんて告げたらメンタル的にやばそうだからなんとか隠さないとまずいんだよ。

だからそう思ってくれるならその方が都合がいい。
 ▼ 113 1◆J44kAZeDOM 15/11/15 19:26:30 ID:zKcYXcLQ [8/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ペラップ「でも……あり得ない……レントラーが前教えてくれた夢がホントなら……」

レントラー「あ」

しまった。うかつに助け舟に乗りかかったのはミスだ。

ペラップ「そんな大事な事……考えに入れないはずない……か」

ポッタイシ「残念だったわね。これはあなたの負けよ、レントラー」

いや勝ちも負けもペラップの言い方、別に皮肉っぽい訳じゃないんだが……

まあ文面だけ見ると皮肉でしかないのは確かだけどさ。

ペラップ「いや……でもギンガ団の中でもいじめってあったのかも……」

そう言う事にしといてくれ。

アカリ「さあて、と。行きますか!」

こいつにばれてないのは不幸中の幸いだと思う。
 ▼ 114 日はここまで◆J44kAZeDOM 15/11/15 19:27:02 ID:zKcYXcLQ [9/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
トンネルを抜けると、雪国だった。

まさしくこの言葉がぴったりな状況に、思わず息を飲む。

ペラップ「きれい……でも痛そう」

まあ正確にはこれ雪じゃなくてあられなんだよな。

アカリ「うー、寒っ」

身をかがめるアカリ。

アカリ「よし、こういう時は走ってあったまるに限る!」

謎思考だなおい。

危険もあるんだぞここ。走ったら危な「きゃ!」

アカリ「いったたた……」

さっそく転んでりゃ世話はないっての。
 ▼ 115 リトドン@ヘビーボール 15/11/16 18:48:10 ID:x1gkwWvE NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 116 レフワン@ゴーストジュエル 15/11/16 18:48:50 ID:M2PxHJsE NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 117 1◆J44kAZeDOM 15/11/16 22:35:44 ID:0XQ9LrUg [1/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
息を切らしながら、アカリは走った。

適度な揺れが、俺を心地よく眠りにいざなって行く……

おっと、ダメだ。今ここで寝る訳にはいかねえ。

レントラー「どうせヒマだし、次のジムの対策考えとこうぜ」

ポッタイシ「わかったわ」

イーブイ「ふああ、おはよ。で何? ジム対策? あたしも混ぜてよ!」

ペラップ「私も……気になる……」

レントラー「OKわかった」

レントラー「まず、次のジムは氷タイプのジムだ。まあなんとなく察しはついてると思うけどな」

レントラー「俺が知ってる範囲だとニューラ、イノムー、ユキノオー、ユキメノコ、チャーレム辺りを使ってた気がするな……その内の4匹……あれ?」

レントラー「確か氷以外の奴はチャーレム1匹で、でもイノムーとユキメノコはいない……まあユキカブリ辺り入れてたんだろ」

レントラー「で、俺たちが持ってるバッジは4個。だから使うポケモンは3匹になると思うんだわ」

レントラー(どちらかと言うとダイパよりプラチナよりだから……)

レントラー「たぶんユキメノコはいると思うんだ。切り札だし」

レントラー「正直イノムーは影薄いし、チャーレムをわざわざ入れる理由もない……と考えると、ニューラ、ユキノオーorユキカブリ、ユキメノコってとこかな」
 ▼ 118 1◆J44kAZeDOM 15/11/16 22:36:07 ID:0XQ9LrUg [2/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
レントラー「氷タイプのジムだから、ペラップは今回は出番が薄いと思う」

レントラー「メタルクローを覚えてるポッタイシが、たぶん今回のカギだと思うな」

ポッタイシ「私か」

レントラー「俺は正直捨ててもらって構わん。相性が不利って訳でもないけど有利じゃないから」

レントラー「威嚇を考えると先発は俺でニューラにダメージを負わせて、あわよくば勝つ、そんなイメージ」

レントラー「ユキノオーは特性のせいであられになるから吹雪必中。ってな訳でポッタイシを出したいんだけど……」

ペラップ「草タイプが混ざってる……だったはず……」

レントラー「そう。だからなるべく、イーブイと俺で倒しちまいたいんだよ、こいつは」

ポッタイシ「なるほどね」

レントラー「確かユキメノコは雪隠れで回避率が上がってる。それをあられ状態の必中吹雪で処理したいんだ……」

レントラー「ところで、イーブイは進化どうする? お前が進化するなら局面は完全に変わって来るけど」

イーブイ「うーん、考えてはみたけどスルーでいいかな? まだゆっくり考えたいもん」

レントラー「OK。ならそのつもりで話を続けるぞ……っても、ほぼ終わりか」

レントラー「先発は俺で、ニューラ、ユキノオーを俺とイーブイ、最悪ペラップを引っ張り出して倒す」

レントラー「攻撃をかわして来るユキカブリはポッタイシに処理してもらう……こんなとこかな」
 ▼ 119 1◆J44kAZeDOM 15/11/16 22:36:29 ID:0XQ9LrUg [3/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ふう、終了っと。

アカリは走りつかれたのか、汗をかいていた。

……ってまずくないか?

汗は体温を奪う。

こんなとこで汗かいたら、どんどん冷えて、しまいには……

……考えすぎか。
 ▼ 120 1◆J44kAZeDOM 15/11/16 22:36:51 ID:0XQ9LrUg [4/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
考えすぎ。それで済めばよかったんだけど。

アカリ「うう……寒い……」

実際に冷えて来てるらしい。

バカだなあ。

ポッタイシ「ねえ、アカリ、相当ヤバそうじゃない?」

え?

アカリ「ダメ……しっかりしないと……」

言われてみれば確かに……

って、それマズイじゃねえか!
 ▼ 121 1◆J44kAZeDOM 15/11/16 22:37:18 ID:0XQ9LrUg [5/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
視点 アカリ

寒いよ……調子に乗って走るんじゃなかった……

あれ……野生の……

アカリ「あ……ゴローン……ポッタイシ、お願い……」

アカリ「ポッタイシ……熱湯」

ポッタイシが熱湯を繰り出す。

あったかい……

効果抜群の一撃を受けて、ゴローンは逃げて行った。

ひとまずは安心かな。

アカリ「ポッタイシ、ありがとう。戻って……どうして?」

いやいやをするように首を横に振る。

なんでだろ……外は寒いはずなのに。

アカリ「ペラップ、辛いのはわかるけど、通訳お願い!」
 ▼ 122 1◆J44kAZeDOM 15/11/16 22:37:40 ID:0XQ9LrUg [6/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ペラップは出て来るやいなや寒さに体をすくめた。

ポッタイシが、ペラップに何か耳打ちする。

ペラップ「き、危険だから……アカリ1人じゃ……心配……寒い寒い寒い寒」

アカリ「ごめん、戻って」

アカリ「ポッタイシ、ホント? あたしを心配してくれてるの?」

ポッタイシは首を縦に振る。

アカリ「もしかして……ボールの外からあたしを守ろうって?」

ポッタイシは頷いた。

アカリ「あ、ありがとう……」

すっごい嬉しい。

その気持ちが、信じられないぐらいにあたしの心をうった。

アカリ「よおし! 行くぞ!」
 ▼ 123 1◆J44kAZeDOM 15/11/16 22:39:29 ID:0XQ9LrUg [7/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
って言ったはいいんだけど。

……ここ、どこ?

一面真っ白な銀世界。綺麗なのは確かだよ? でも。

変化がないと、方向感覚がなくなっちゃう。

で、あたしは今、どっちに進んでるの?

北? 東? 西はまずいし南でも最悪だよね……

アカリ「ポッタイシ、北はどっち?」

ポッタイシも首をかしげた。

わかんないよね、そりゃ。

どっちに行くべきか……

よし、コイントスでもするか!

何気にポケッチ使うの初めてね……

表が向こう裏があっちで……

ダメでもロッジ雪まみれがあるしね、大丈夫大丈夫!

コイントス、せい!

裏か。よし、あっち!
 ▼ 124 1◆J44kAZeDOM 15/11/16 22:39:51 ID:0XQ9LrUg [8/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ダメ……完全に迷った。

本格的にまずい奴だよこれ……

アカリ「ねえポッタイシ……迷ったあ」

ポッタイシ「ぽた?!」

アカリ「ごめん、私バカで。ってかなんでポケッチって方位磁石の機能ないの? 肝心なとこで無能なんだから!」

アカリ「はあ……物にあたっても仕方ないか。でもどうしよ……」

ポッタイシが何かを訴えるように口を動かす。

もしかして、何かいいアイデアでもあるのかな……よし。

アカリ「ごめん、ペラップ。よろしく!」
 ▼ 125 1◆J44kAZeDOM 15/11/16 22:40:11 ID:0XQ9LrUg [9/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ペラップ「取りあえず雪をしのげる洞窟を……」

ペラップ「洞窟ならレントラーの透視で……寒い寒いs」

アカリ「ホントごめん! 戻って!」

アカリ「で、ポッタイシ、レントラーに透視能力なんてあるの?」

洞窟うんぬんより、まずそこが気になった。

ポッタイシはまた首を縦に振った。

アカリ「なるほど……洞窟ね、一旦落ち着こうって事か。よろしく! レントラー!」
 ▼ 126 1◆J44kAZeDOM 15/11/16 22:41:12 ID:0XQ9LrUg [10/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
レントラー「がう!」

アカリ「あっちにあるって事? 洞窟が」

レントラーは頷いた。

アカリ「ありがとう! 行こう!」

寒いし……走ろっと!


ふう、洞窟についたし、ひとまずは安心っと。

でも、早いとこなんとかしないと、どうしようもなくなるのよね……

アカリ「取りあえず、みんな出て来て!」

ボールから飛び出して来たみんなの存在が、心強かった。

いてくれるだけで、なんとかなりそう、そんな気がした。

アカリ「取りあえず……どうやって助けを呼ぶか、それが問題よ」
 ▼ 127 ンパッパ@あやしいおこう 15/11/16 22:41:40 ID:0XQ9LrUg [11/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
今日はここまでです
 ▼ 128 つ葉のra+◆OnH1Awa67Y 15/11/16 22:59:47 ID:w0dvQKUs NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 129 ンドパン@もりのヨウカン 15/11/17 07:29:30 ID:MQfScKYw NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
そういやレントラー透視能力あったっけ
支援
 ▼ 130 メイル@せいなるはい 15/11/17 15:22:52 ID:j5tjJRlE NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 131 1◆J44kAZeDOM 15/11/17 23:29:01 ID:OXlz7Yd6 [1/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
視点 レントラー

まあ、こいつの事だしなんとなくこんな事になりそうな気はしてた。

けど、マジでそうなるなんておかしいだろ! いくらなんでも!

ったく……

ペラップ「ごめん……私無理、寒い……」

アカリ「……だよね、ごめん。ボールに入っとく?」

ペラップ「うん……」

アカリ「わかった。戻って!」

アカリ「みんなもきつかったら言って。いつでもボールに戻すから」

アカリ「取りあえず、集まって体温を守るってのが重要よ。おしくらまんじゅうって言うの」

懐かしっ。まあ、ここまで寒いとあんまし意味ないだろうけど。

アカリ「なんだろ……安心したら眠くなって来ちゃった……はっ! ダメダメダメ!」

こいつは本当に大丈夫なんだろうか?

不安しかない……
 ▼ 132 1◆J44kAZeDOM 15/11/17 23:29:22 ID:OXlz7Yd6 [2/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ひとところに集まりながら、ポケモンにしか聞こえない会話をかわす。

レントラー「どうしろってんだよ。俺たち、ガチで遭難してるっぽいぞ」

ポッタイシ「まあものは試しだと思って、外を透視してみてくれない? もしかしたら案外すぐそばに町とか人家とかあるかもよ?」

レントラー「その透視だけど、なんか不思議なんだよな。少し力を入れて集中すると、何もかもが透けて見えるって、なんかこう……変な感じがするんだが」

イーブイ「別にアカリとかその辺の女子のやらしいとこ覗かなかったらいい話でしょ」

レントラー「お前はバカか」

イーブイ「はは、こんな時こそ明るく明るく……ね!」

その口調に、なんか覚悟? を感じた。

レントラー「まあ、そうこうしててもしょうがない。試してはみるけど……期待はするなよ?」

透視……ちょっとした気持ちの切り替えだけすれば、何の違和感もなく物を透かして見られる。

人間の感覚だと異常なんだけど、レントラーとしての本能がそれを受け入れてしまっていると言えばいいのか……

まあ要は、そのギャップに違和感を感じる訳だ。透視そのものじゃなくて。
 ▼ 133 1◆J44kAZeDOM 15/11/17 23:29:43 ID:OXlz7Yd6 [3/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
で、試してみたはいいけど……

レントラー「やっぱ無理だ。なんもねえ」

ポッタイシ「まあ、そりゃそうよね。正直それだけで現状が打破出来るなんて思ってないもん」

イーブイ「まあ、そうよね……アカリ大丈夫?」

レントラー「ダメ、寝かけだ。2人とも離れてくれ」

ポッタイシ「わかった」

イーブイ「なんで?」

レントラー「こう……するからだよ!」

体の中で微弱な電気を作り出し、アカリにぶつけた。

アカリ「はっ……ダメね、寝ちゃってた。そうだ、ポッタイシ、熱湯お願い! 少しでも、あったかくなるなら……」

ポッタイシ「わかった」

お湯。それがこれほどありがたい物だなんて思いもしてなかった。

アカリ「ありがと……でも、ホントどうしようか……」
 ▼ 134 1◆J44kAZeDOM 15/11/17 23:30:37 ID:OXlz7Yd6 [4/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告











イーブイ「あたし、なんとか出来るかもしれない」










 ▼ 135 ュウ@いましめのツボ 15/11/17 23:30:58 ID:OXlz7Yd6 [5/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
今日はここまでです
 ▼ 136 タッコ@ウッディメール 15/11/18 00:30:31 ID:0aRYoOFs NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援!
 ▼ 137 ータス@ナモのみ 15/11/18 16:48:23 ID:g2GngBv. NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
まさかブースターに!?
 ▼ 138 1◆J44kAZeDOM 15/11/18 22:58:58 ID:f7r01YyM [1/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
レントラー「え?」

ポッタイシ「なるほど……でも、いいの?」

イーブイ「うん」

先程感じた覚悟が、またにじんでいた。

その真剣な表情に、全てを悟った。

こいつ……進化する気だ。

一度進化してしまうと、戻る事は不可能になる。

それを知っての上で、こいつは決意したんだ。

イーブイ「別にあんたたちのためじゃないよ。これは、あたし自身のため」

イーブイはふっと息を吸い込んだ。

イーブイ「あたしの過去について、話すね。ようやく決心がついた。今まで黙っててごめん」

アカリ「どうかしたの……通訳する?」

イーブイは首を横に振った。

アカリ「そう……」

そしてアカリは沈黙に沈んだ。

雪の音すら、騒がしく思えた。
 ▼ 139 1◆J44kAZeDOM 15/11/18 22:59:18 ID:f7r01YyM [2/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
あたしね……いじめたり、いじめられたりはしてなかった。

うん。本当に、何も関われなかった。

いじめられてるポケモンをかばったりとか、もっと出来る事はあったはず。

なのにあたしは見て見ぬ振りをした。

その子はね……自殺したわ。

車に突っ込んで。

あたしの目の前で。

その子とあたしは仲良かった。それなのに、あたしは何も出来なかった。

あの子はあたしに助けを求めてた。なのにあたしは、守れなかった。

だから、あの子、誰よりもあたしを憎んでたのかな。

あはは、バカだよね。レントラーからしたら、こんなちっぽけなあたしなんて。

それでもあたしはレントラーの行動に……あの子そっくりなペラップに……希望を見出した。

勝手なのはわかってる。だけど……あんたがいたからあたしは変われた。

ペラップがいたから、あたしは自分を許せた。
 ▼ 140 1◆J44kAZeDOM 15/11/18 22:59:41 ID:f7r01YyM [3/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
イーブイ「だから、もうあたしは逃げない」

イーブイの体が光に包まれ、徐々にその姿を変じて行く。

???「もうあたしは、誰も失いたくない」

少しずつその体躯は大きくなってゆき、頭からは何かが垂れ下がって来る。

???「今度こそ……」

その体は透き通るような青みを帯びて行った。

グレイシア「あたしはみんなを助けてみせる!」
 ▼ 141 1◆J44kAZeDOM 15/11/18 23:00:13 ID:f7r01YyM [4/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
グレイシア「へえ、あたしってこんな進化するんだ」

レントラー「グレイシア。氷タイプのポケモンだ」

ポッタイシ「おめでと。取りあえずレントラー、アカリを起こしてあげて」

レントラー「あっと……」

グレイシア「あたしは誰か、この近くにニンゲンがいないかを探してみる」

ポッタイシ「野生のポケモンでも町について知ってるかもしれないから、聞いてみて」

ポッタイシ「町に着いたら、誰か大人のニンゲンをここに連れて来てくれたらたぶんなんとかなる」


レントラー「アカリ起きろっ!」

アカリ「うぐっ……あ、また……ってグレイシア?!」

アカリ「イーブイ進化したの?!」

グレイシアは頷いた。

ゆっくりとした動作は、どういう感情の発露なのだろうか。

アカリ「……どうしようとしてるの?」

ポッタイシがペラップのボールを指し示した。

アカリ「通訳ね……ごめんペラップ!」
 ▼ 142 1◆J44kAZeDOM 15/11/18 23:00:38 ID:f7r01YyM [5/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「ホントごめん! ペラップありがとう!」

アカリ「なるほど……グレイシアが助けを呼びに……うん、任せた」

アカリ「あたしにはもう、どうしようもないから。だから、あなたに任せる。お願いね」

グレイシアは鷹揚に頷くと、踵を返し外へと向かった。

レントラー「俺たちはもう、あいつを信じるしかないのか」

ポッタイシ「ええ。移動するのもマズイしね。行き違ったら本格的にマズイから」

レントラー「すでにもう本格的にマズイんだが」

ポッタイシは、苦笑を漏らした。
 ▼ 143 1◆J44kAZeDOM 15/11/18 23:01:33 ID:f7r01YyM [6/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
それから先は、地獄だった。

俺の意識が飛びかけてはポッタイシが俺の頬をひっぱたき、アカリが眠りかけては俺が電撃を食らわせ、ポッタイシの意識が薄れればアカリが頬を叩く。

時たま出されるポッタイシの熱湯だけを命綱に、なんとか意識をつないでいた。

しかし、その時はまだよかったと言える。

熱湯は技だ。使い続ければいつか、PPが切れる。

ポッタイシ「熱湯! 熱湯! 熱湯! ……お願い、出てよ」

普段は冷静なポッタイシですら取り乱している。

極限状態は、確実に意識を蝕んで行くのだ。

レントラー「落ち着け」

ポッタイシ「……そうよね」

アカリ「ポッタイシ、お疲れ。もう……ボールに戻って。ずっと外にいてくれたし……水タイプの体じゃそこまであったまれないや……」

ポッタイシ「……」
 ▼ 144 1◆J44kAZeDOM 15/11/18 23:01:55 ID:f7r01YyM [7/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「ボールの中はあったかいでしょ。レントラーも、戻る?」

首を横に振る。

俺がここで戻ると、グレイシアが間違いなく間に合わなくなる。

アカリに死なれると、俺はこの姿でどうすればいいのか、見当もつかない。

そしてなぜか……

最後まで、俺たち2人ともの意識が尽きるまで……アカリの傍にいたかった。
 ▼ 145 1◆J44kAZeDOM 15/11/18 23:02:16 ID:f7r01YyM [8/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「ありがとう……」

なんでだろうか。

俺も、アカリを――アカリだけじゃないが――失いたくなかった。

絶対に、全員でキッサキに辿り着く。

それだけを目標に意識をなんとか保っている。

グレイシア……早く、助けを呼んでくれ……

アカリ「もうダメかも……」

アカリが頭を落とす。

レントラー「起きろ……」

電撃を作ろうとするも、上手くいかない。

ははっ、俺もダウンか……

こんなとこで、自分が何者かすらわからないまま……

まあ、それも仕方ないか。こうなるのを覚悟の上で最後まで外にいたんだから……
 ▼ 146 1◆J44kAZeDOM 15/11/18 23:02:40 ID:f7r01YyM [9/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
???「ねえ、起きてよ! 遊ぼうよ〜!」

この声……どっかで聞き覚えが……?

???「ほら! このローブシン、100レベになったんだよ! バトルしようよ〜、ねえってば!」

なんでだ? なんでこんなに、明るいこの声が苦しいんだ?

???「みんなもポケモンすればいいのにね。こんなに面白いのに」

やめろ。

やめてくれ。

???「怖い顔しちゃって、どうしたの?」

俺はお前に……顔向け出来ない。

俺はお前を……守れなかったんだから。

???「気にしてないって! だから一緒に遊ぼうよ!」

???「起きて! 起きてよ……」

その声に、少し現実を感じた。

こいつの声と、現実の声が少しずつ重なり合って行く。

「「起きてってば!」」
 ▼ 147 ロトーガ@にじいろのはね 15/11/18 23:03:02 ID:f7r01YyM [10/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
今日はここまでです
 ▼ 148 イタラン@トレジャーメール 15/11/18 23:08:32 ID:hPM.oz.A NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 149 グカルゴ@てんかいのふえ 15/11/19 00:35:36 ID:QV3fZU0o NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
グレイシアなら寒さに強いからってわけか
支援!
 ▼ 150 1◆J44kAZeDOM 15/11/19 22:58:00 ID:52qLvXtA [1/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
レントラー「うわあっ!」

グレイシア「きゃっ! レ、レントラー……」

グレイシア「よかった……起きなかったらどうしようって……ずっと不安で……」

ポッタイシ「まあ、無事でよかった」

ペラップ「アカリも無事よ」

レントラー「そうか……」

レントラー「で、ここはキッサキのポケセンでいいんだよな?」

ポッタイシ「うん。アカリにもたぶん話は伝わってるよ。レントラーが起きたって」
 ▼ 151 1◆J44kAZeDOM 15/11/19 22:58:26 ID:52qLvXtA [2/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
その時、扉が開いて、見慣れた姿が入って来た。

アカリ「レントラー……よかった……無事で……」

俺の姿を見て、アカリは急に泣き出した。

張りつめていた緊張感が一気にほどけた安心感。

それが、胸いっぱいに広がった。

俺にも、アカリにもだ。

俺たちは生きている!

レントラー「あれ……? なんか……限界……」

目を温かい物が伝って行く。

よかった……みんな生きてるんだ……

アカリ「よかった……怖かったよ……怖かったよお……」

アカリ「うわああああああん!」

アカリ「ポッタイシも、ひっく、グレイシアも、えぐっ、ペラップも、レントラーも、みんな、みんな、生きててくれて……生きててくれて……」

アカリが泣くのに任せ、俺たち4人もじっとしていた。

生きている、その喜びの中で、ただ、アカリの嗚咽だけが響いていた。
 ▼ 152 1◆J44kAZeDOM 15/11/19 22:59:25 ID:52qLvXtA [3/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「私たち、念のために今日1日は安静だってさ」

アカリ「元気になってるのにね」

すっかり泣き止んだアカリはそう言って笑う。

アカリ「まあ、仕方ないか。せっかくだし、ゆっくりしよっ!」

話が一区切りしたのを狙ったかのように、ドアが開いた。

ジョーイ「終わりましたか?」

アカリ「はい! ……戻らないとダメですか?」

ジョーイ「まあ……精神面の問題もありますので、こちらにいていただいても構いませんが……安静ですよ!」

アカリ「わかってますって!」

アカリ「ってな訳で、あたしもここで、みんなといるからね」
 ▼ 153 1◆J44kAZeDOM 15/11/19 23:00:53 ID:52qLvXtA [4/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ある程度時も経ち、落ち着いた俺の心は、気付けば思考を始めていた。

あの夢は……確実に俺記憶の手掛かりだ。

たぶん……イーブイ、いや、グレイシアの過去に触発されて意識の表層に出て来たんだろうな。

で、そりゃ近い所はあるけど、俺の過去は、推測している範囲だと守り切れなかったなんて事はないと思う。

俺が自殺を図るほどひどくいじめられたのなら、いじめは既にあいつ……刈谷って名前だったはず……を襲ってはいなかったはずだから。

だとすると……どこかに間違いがあるのか?

グレイシア「レントラー、どうしたの?」

レントラー「いや、今一瞬記憶の手掛かりを見付けた気がして……」

ポッタイシ「そう」

レントラー「前の推理、間違ってる可能性が出て来た」

グレイシア「そおんな事より! 今はこう、みんなが無事でいる事を喜ぼうよ!」

それもそうだ。

記憶について考えるのはいつでも出来るしな。
 ▼ 154 1◆J44kAZeDOM 15/11/19 23:01:27 ID:52qLvXtA [5/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
グレイシア「でさー、ほんっと大変だったのよ。どっちに行けば町があるとかぜんっぜんわかんなくてさあ」

グレイシア「野生ポケモンに聞いて、なんとか町の場所を探し当てて」

グレイシア「やっぱあんたって考える事が違うな、あたしと比べて。あ、ポッタイシの事ね」

ポッタイシ「そう?」

グレイシア「だって、あたしだったらそんな発想絶対なかったもん」

ペラップ「ポ、ポッタイシは賢いと思う……」

アカリ「みんな何の話してるの?」

ペラップ「グレイシアの冒険譚」

アカリ「へえ……通訳頼める? あたしも聞きたい!」

グレイシア「へへん」
 ▼ 155 1◆J44kAZeDOM 15/11/19 23:02:26 ID:52qLvXtA [6/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
得意顔なグレイシアの様子を、正確にペラップは伝えた。

ペラップ「わかった……今グレイシアは威張ってる」

グレイシア「ちょ! 何言ってんの!」

ペラップ「ちょ! 今何言ってんの!」

グレイシア「よ、余計なとこは通訳しなくていいから!」

ペラップ「よ、余計なとこは通訳しなくていいから!」

アカリ「え、何々?」

グレイシア「ふざけてんじゃない! 今のあたしは氷タイプなのよ!」

ペラップ「ごめん。ちょっとからかってみちゃった……」

レントラー「ペラップお前、そんなキャラだっけ?」

ポッタイシ「まあ、少しずつ前に進んでるって事でしょ」
 ▼ 156 1◆J44kAZeDOM 15/11/19 23:02:50 ID:52qLvXtA [7/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
グレイシア「まあいいや。その代わり、最初から最後まで通訳してもらうよ?」

レントラー「お前また話す気かよ!」

グレイシア「そうだけど、何か問題でも?」

レントラー「うげえ」

ポッタイシ「長々そんな自慢話に付き合わされたくないんだけど」

グレイシア「あたし、命の恩人なのよ? ちょっとぐらいいいじゃない!」

ポッタイシ「自分で言っちゃう辺りもうね……」

グレイシア「何よ、何か文句ある」

ちなみに、ペラップはこの会話を割と正確に通訳していた。

グレイシアは気付かなかったけど。

アカリ「こんなキャラだったんだ……グレイシアって」
 ▼ 157 1◆J44kAZeDOM 15/11/19 23:03:10 ID:52qLvXtA [8/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
延々と続く自慢話の最中、やる事もなくてまた思考を回す。

守り切れなかったのか。

俺は、守り切れなかった……って事は、一応は守ろうとしたのか?

それでもいじめはやまなかった……だから俺は、それが苦しくて自殺を……

いや、さすがに違う。それだけで人が自殺するなんて到底思えない。

レントラー「ダメだ、さっぱりわかんねえ」

グレイシア「何が?」

レントラー「なんでも」
 ▼ 158 1◆J44kAZeDOM 15/11/19 23:03:31 ID:52qLvXtA [9/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
グレイシア「まあいいや。それで、あたしが見かけたの、薄着の女の人だったんだけど……」

レントラー「はあ?!」

グレイシア「どうかした?」

レントラー「いや……そいつって、スズナ……キッサキのジムリーダーじゃねえの?」

グレイシア「そうなの? あたしにはわかんないや。で、その人あたしを捕まえようとしたんだけど、一応あたし、もう野生じゃない訳じゃん?」

グレイシア「それで捕まらなくって、で、その人が気付いたの。あたしは野生じゃないって」

グレイシア「で、トレーナーがいないってのを怪しんで、すぐに事情を聞いて来てくれたの、マジありがたかった」

グレイシア「ジムリーダーだったんだ、あのニンゲン。結構頭いいんだね」

ポッタイシ「いやすのぐらいニンゲンなら誰でも考えるよ」

グレイシア「うっそお」

レントラー「まあ、スズナがここキッサキではかなりの権力を持ってるのは確かだな。キッサキ神殿とかもスズナの許可がないと入れないし」

レントラー「そもそもある程度頭はよくないとジムリーダーなんてなれないだろ」

ポッタイシ「そういうもんかな?」

アカリ「そういうもんらしいよ。筆記試験もあるみたいだし、リーダーになるには」

レントラー「へえ、そうなんだ」

これは知らなかった。
 ▼ 159 ャオニクス@スピアナイト 15/11/19 23:04:13 ID:52qLvXtA [10/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
今日はここまでです
 ▼ 160 グカルゴ@とうめいなスズ 15/11/20 05:25:48 ID:gI8WissU NGネーム登録 NGID登録 報告
 ▼ 161 ジギガス@せいなるはい 15/11/20 10:40:26 ID:MGPaC4Ss NGネーム登録 NGID登録 報告
支援!
 ▼ 162 1◆J44kAZeDOM 15/11/20 21:45:19 ID:.rXmwNYU [1/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
>>158
10行目に誤字発見

×ポッタイシ「いやすのぐらいニンゲンなら誰でも考えるよ」

○ポッタイシ「いやそのぐらいニンゲンなら誰でも考えるよ」

すいません
 ▼ 163 1◆J44kAZeDOM 15/11/20 21:53:08 ID:.rXmwNYU [2/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ペラップ「ねえ……通訳疲れた……」

アカリ「あ! ごっめん! もういいよ、お疲れ」

アカリ「うーん、今日はもうなんも出来ないか」

ポッタイシ「もう寝ない? 夜だし」

レントラー「こんな時間だったのか」

ポッタイシ「そ。あんたはそんだけ寝てたって事よ」

アカリ「うー! まあ無事でよかった」

盛大におおあくびをかました後、そう言うと、アカリは遠くを眺めるような目になった。

アカリ「よくこんなとこを無事に辿り着けたなあ、コウキ兄ちゃんもジュン兄ちゃんも」

アカリ「ってかアキラもここ通ったって事よね。まあ、モウカザルの火であれだったのか」

アカリ「さてと。今日はもう寝るか。明日はジムだよ! しっかり力を蓄えといて!」

あれ? メシは?

グレイシア「腹減った!」

ポッタイシ「あっと……起きて!」

ペラップ「ごはん食べないと」

アカリ「え……食べてないの?! ううむ……仕方ない。呼ぼう、ジョーイさんを」
 ▼ 164 1◆J44kAZeDOM 15/11/20 22:00:36 ID:.rXmwNYU [3/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
グレイシア「いっただっきまあす!」

アカリ「ありがとうございます」

ジョーイ「いえいえ。これも仕事ですから」

それだけ言うと、ジョーイさんは立ち去った。

ペラップ「しゃべりながら食べられるのか……何年振りだろ」

アカリ「年? あたしたちと出会うまでは大丈夫だったんじゃないの?」

ペラップ「ニンゲンの言葉を話すのは……周りから嫌われる元だから……」

アカリ「そっか……大変なんだね、ポケモンも。大変と言えば、レントラーって元人間なんだよね?」

なんでそんな脈絡なく? まあウソをつく理由もないし、素直に頷いとくか。

アカリ「どうなの? やっぱり違う物? なあんて、記憶もないのに話せないか。そうだ」
 ▼ 165 1◆J44kAZeDOM 15/11/20 22:04:31 ID:.rXmwNYU [4/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「ねえレントラー……思い込んでるだけって可能性はないの?」

そう来たか。正直その可能性を否定出来るのは、夢って言う不安定な証拠だけだし。

俺自身、確実に人間だったと言い切れない。

その解釈が完全に否定されない限り、それを考えない訳にはいかないのだ。

だけど……

俺は首を横に振った。

アカリ「そっか……名推理だと思ったんだけどな……」

アカリ「ま、いっか。お休み!」
 ▼ 166 1◆J44kAZeDOM 15/11/20 22:11:08 ID:.rXmwNYU [5/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
グレイシア「ところでさ……」

レントラー・ポッタイシ「食い(べ)ながらしゃべるな(しゃべらないの)」

グレイシア「いいじゃんちょっとぐらい! で、明日のジムの事だけど、あたし進化しちゃったじゃん」

レントラー「ああ、作戦を考え直さないとって事か」

グレイシア「そゆこと」

レントラー「うーむ……まずは覚えてる技の変化を確認しようぜ」

グレイシア「別に何にも変わってないけど」

レントラー「進化と言えば俺もだけど、あんまし変わってないよな……」

ポッタイシ「まあ、確認するに越した事はないでしょ」

レントラー「それもそうだな。じゃ、行くぞ」
 ▼ 167 1◆J44kAZeDOM 15/11/20 22:16:32 ID:.rXmwNYU [6/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ポッタイシがLV29。覚えてる技は熱湯、吹雪、メタルクロー、つつく。

こいつのメタルクローは氷に効果抜群だ。

それと、どっかで吹雪は波乗りに変えられる気がする。


そして俺ことレントラーがLV31。

覚えてる技はスパーク、充電、体当たり、かみつく。

技に一切の変更なし、と。


グレイシアはLV33。技は体当たり、電光石火、かみつく、シャドーボール

早いとこ吹雪をこいつに覚えさせてやるべきだと思うんだが。

ってかさすがに明日覚えさせるか。


ペラップはLV30。霧払い、おしゃべり、ハイパーボイス、オウム返し。

こいつはキッサキではどうにもならないよな。相性の問題もあるし。

ってかいつの間にか俺、こいつのレベルを抜かしてんだな。
 ▼ 168 ガデンリュウ@スピードボール 15/11/20 22:16:52 ID:.rXmwNYU [7/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
今日はここまでです
 ▼ 169 ロストロトム@ヒメリのみ 15/11/20 22:30:11 ID:zFySZAmA NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ほんとおもしろい
支援
 ▼ 170 ガカメックス@くさのジュエル 15/11/21 10:18:38 ID:uLw5/M4Y NGネーム登録 NGID登録 報告
乙!
 ▼ 171 ボネア@おうじゃのしるし 15/11/21 13:14:25 ID:6.PVfRsY NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 172 ボミー@みどりのプレート 15/11/21 13:18:04 ID:gPshIqqM NGネーム登録 NGID登録 報告
 ▼ 173 レイハナ@がんせきおこう 15/11/21 23:29:08 ID:bGrA6yu6 [1/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
レントラー「ってな訳でだ。最初の手持ちはニューラだと思うんだが……」

レントラー「その辺の対処は俺とポッタイシで終わらせる」

レントラー「グレイシアは氷タイプ。自分と同じタイプの技は威力があがるから、あられで必中になった吹雪はグレイシアに打たせたいんだ」

レントラー「だから、グレイシアはユキノオー系列……面倒だからユキノオーって言っとくけど……にぶつける」

レントラー「たぶんユキノオーを処理した時点でポッタイシはまだ生きてると思うから……

レントラー「ラストのユキメノコはポッタイシの吹雪とメタルクローで仕留める感じかな?」

レントラー「グレイシアのシャドーボールも効果抜群だから、有効だと思う」

レントラー「だいたいわかった? これが今回の作戦」

ポッタイシ「先発はレントラーで、グレイシアを次に出して私がとどめ、の流れよね」

レントラー「そゆこと」
 ▼ 174 ックウザ@こだいのツボ 15/11/21 23:37:12 ID:bGrA6yu6 [2/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
グレイシア「なるほどねえ……ふわあ」

グレイシア「もう眠いや。お休み、明日は頑張ろ」

レントラー「おう」

ポッタイシ「わかってる」

ペラップ「お休みなさい……」

グレイシア「お休みー」

ペラップ「私も……もう寝ますね」

ポッタイシ「お休みペラップ」
 ▼ 175 1◆J44kAZeDOM 15/11/21 23:43:04 ID:bGrA6yu6 [3/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ポッタイシ「ねえレントラー、起きてる?」

レントラー「一応ね……半分寝てる」

ポッタイシ「起きてるのね。ちょっといい?」

レントラー「いいけど何?」

ポッタイシ「あなたが見た夢について教えて。私も考えるの手伝いたいし」

レントラー「ああそれね。まあいいよ」

先程の夢について細かく説明した。

守り切れなかった、そこに違和感を覚えた事も話した。

ポッタイシ「なるほどねえ。でもまあ……グレイシアに影響を受けた結果、そんな夢を見た可能性も普通にあるからさ」

ポッタイシ「夢は現実に影響を受ける物だとするなら、直前に聞いた話が色濃く出て来るのは当然の事じゃない」

レントラー「受ける物だったらって仮定で話進めてるじゃんか」

ポッタイシ「前提として、あなたの失われた記憶の中の現実が夢に影響を与えているって事があるのよ?」

レントラー「あ、そっか。その仮定がなくなったら夢が手掛かりって言う事も事実として認識出来ない訳か」

ポッタイシ「そ。だから、それを手掛かりとして採用する以上、その可能性を考慮しない訳にはいかないの」
 ▼ 176 日はここまで◆J44kAZeDOM 15/11/21 23:50:10 ID:bGrA6yu6 [4/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ポッタイシ「まあ、それでも普通にあなたの過去がグレイシアの話を引き金として蘇って来た、その可能性もある訳だしな……」

ポッタイシ「両方から考えないといけない訳で……こりゃ面倒だな」

レントラー「ダメだ。俺にはもうさっぱり」

ポッタイシ「私だって、もう少し情報が欲しい。今の話だけ聞くとレントラーの過去がグレイシアとほぼ同じで、いじめられてた友人を見捨てた、ってな解釈も出来るけど……」

ポッタイシ「そもそも今の話を証拠として使えるかどうか、まずはそこから確定しないとどうしようもない」

ポッタイシ「だから、どうせ考えても答えは出ないし、寝よっか」

レントラー「そうだな。お休み」

ポッタイシ「お休みー」

不意に睡魔が襲い来る。

もはや抗う事すら放棄して俺はそれとの戦いに敗北した。
 ▼ 177 1◆J44kAZeDOM 15/11/22 20:31:36 ID:8nUTHWx2 [1/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
視点 アカリ

アカリ「……ふわあっ」

あ、朝だ。

えっと……そっか。あたし、今入院してるんだ。

アカリ「みんな、朝だよ」

ペラップ「んー! あ、おはよう……」

アカリ「そう縮こまらないの! ほらほら、みんなも起きて!」

レントラーとポッタイシがぼんやりと目を開く。

アカリ「おはよ」

レントラー「がう」

ポッタイシ「ぽった」

アカリ「さあて、グレイシアを起こさなきゃね……おーい! おっきろー! 朝だぞー!」

グレイシア「れっしゃ……」

アカリ「起きたね。取りあえず、みんな、体調は大丈夫だよね? こんなとこで足止めとかホントただのアホだし」

みんなが頷いた。
 ▼ 178 1◆J44kAZeDOM 15/11/22 20:31:59 ID:8nUTHWx2 [2/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「OK。じゃあ、退院よ!」

ペラップ「その前に……ジム戦についての……作戦を」

アカリ「もしかして、レントラーが考えてくれたの?」

レントラーは静かに頷く。

ペラップ「だいたい……こんな感じ」

アカリ「OK。参考にする! じゃあ、今度こそ退院しよっ!」
 ▼ 179 1◆J44kAZeDOM 15/11/22 20:32:32 ID:8nUTHWx2 [3/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「お世話になりました」

ジョーイ「いえいえ、仕事ですし」

アカリ「それで……あたしたちをここまで運んで来てくれた人って誰だかわかります? お礼を言いたいんですけど」

ジョーイ「え? 自力でここまで来たんじゃないんですか? あなたがここの前に倒れていた時、周りにはあなたのグレイシアしかいませんでしたよ」

ジョーイ「もちろん、あなたとレントラーは除きますが」

アカリ「へえ……」

ジョーイ「それと! 2人同時に温まろうとしてたのかもしれませんが、あんな雪山ではポケモンはボールに戻すべきです!」

ジョーイ「どんな時でもポケモンの事を第一に考える、これがポケモントレーナーの基本ですから」

……返す言葉もない。

レントラーたちの方からそうしてくれとは言って来たけど、それでもあたしはレントラーたちの事を考えて、ボールに戻すべきだった。

これからは反省しないと。

ジョーイ「まあ、無事だったですし、よしとしましょう! お大事に」

アカリ「ありがとうございました!」
 ▼ 180 1◆J44kAZeDOM 15/11/22 20:33:07 ID:8nUTHWx2 [4/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
さあて、ここはキッサキ。

となると、する事は1つしかない!

アカリ「よーし! ジム戦にレッツゴー!」

アカリ「の前に、薬買っとこっと」


にしてもすごい雪……

あれ? なんか今寒気が……カゼかなあ。

にしては、体調もすごぶる良好なのよね。

ま、いっか。元気なんだし!

ジムは確か町の真ん中よね……あったあった!

アカリ「頑張ろうね、みんな」

アカリ「たっのもー!」
 ▼ 181 1◆J44kAZeDOM 15/11/22 20:33:28 ID:8nUTHWx2 [5/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
案内「おーっす! 未来のチャンピオン!」

アカリ「ジム戦しに来ました!」

案内「そうかそうか! じゃあ、このジムについて説明するぞ!」

案内「このジムの床は氷で出来ている。だから……試しにそっちに行ってみてくれ」

アカリ「え? なんでですk……きゃあああ!」

アカリ「いったたた……」

案内「そう! このジムの床はつるっつるに滑る!」

アカリ「どうやって戻ればいいんですかー! 立てないんですけどー!」

案内「おっと……」
 ▼ 182 1◆J44kAZeDOM 15/11/22 20:33:48 ID:8nUTHWx2 [6/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「はあっ……はあっ……」

案内「入口でこんなにばてるチャレンジャー、初めてだな……」

アカリ「うるさいなあ! それで、どうやって進むんですか?」

案内「あそこにジムリーダーがいるのが見えるだろう?」

アカリ「はい」

案内「そこに辿り着くには、この階段を行かなければならない。が!」

案内「雪玉が道を塞いでいるだろう?」

案内「それを、すべりながらぶつかる衝撃で壊すんだ」

案内「全ての雪玉を破壊すれば道は開けるぞ! まあ、一番上の段にある雪玉を壊すのは無理だがな」

アカリ「なるほど」

案内「ってな訳で、チャレンジャーには特別に防寒着を支給する! 雪玉との接触はホント寒いからな!」

アカリ「ありがとうございます!」
 ▼ 183 1◆J44kAZeDOM 15/11/22 20:34:25 ID:8nUTHWx2 [7/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
うわこの上着、あったか過ぎでしょ。

信じらんない。これならあの時も余裕で突破出来た!

アカリ「これ、売ってないんですか?」

案内「ここでは売ってないが、ポケセンでなら買えるぞ」

よし、絶対買おっと!

アカリ「OKです! 行ってきますね!」

案内「気張ってこー!」
 ▼ 184 1◆J44kAZeDOM 15/11/22 20:34:46 ID:8nUTHWx2 [8/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「うおりゃあああああ!」

ずざああああっ! って音が耳に響く。

気持ちいい!

最初はちょっと怖かったけど、慣れるとそんなでもないし。

むしろ雪玉が壊れる音がすっきりする!

アカリ「えっと……あれを壊したいから……あっち行けばいいのか……」


バトルもこなし、雪玉も壊し。

アカリ「やった……全部壊れた!」

後はジム戦だけだ……よし、やるぞ!

アカリ「着いたっ!」
 ▼ 185 ちます◆J44kAZeDOM 15/11/22 20:35:10 ID:8nUTHWx2 [9/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
スズナ「お、来た来た! あれ? あんた、あの時の……」

アカリ「あの時?」

スズナ「ほらさ、洞窟の中で死にかけてたじゃん!」

アカリ「はい……えっ、もしかして助けてくれたのあなたですか?!」

スズナ「うん。よかった、心配したんだよ?」

アカリ「おかげさまで、こうして生きてます」

スズナ「その子がスズナの前に現れたってか! 面白くなって来たよ!」

アカリ「もちろん、命の恩人だからと言ってバトルには関係しませんよ」

スズナ「わかってるって! それでこそチャレンジャーだよ!」

アカリ「あたしは、マサゴタウンのアカリです。対戦よろしくお願いします!」

スズナ「こっちこそ、たいよろ! じゃあ行くよ、ニューラ!」

アカリ「レントラー! よろしくっ!」
 ▼ 186 ニプッチ@キーのみ 15/11/22 22:24:46 ID:8nUTHWx2 [10/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
三人称視点

スズナ「先手必勝! 氷の礫!」
アカリ「レントラー! スパーク!」

気迫のこもった声が響きわたる。

それを受け、2匹のポケモンは行動を開始した。

ニューラが小さな氷の塊を創り出す。

それをレントラーめがけてぶつけた。

スズナ「ふうん、ぜんっぜん効いてない感じね」

アカリ「特性威嚇のおかげですよ」

実際、レントラーに気圧されたニューラは、本来の力を発揮出来ないでいた。

その隙を突いてレントラーは電気を生成する。

それを身にまとったまま体当たりを敢行した。

スズナ「でも、スズナも負けないよ。引きつけて……今だ! 騙し討ち!」
 ▼ 187 ガバシャーモ@がくしゅうそうち 15/11/22 22:25:06 ID:8nUTHWx2 [11/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
そもそもが騙し討ちと言うのは相手を油断させて、その隙を突いて攻撃する事により圧倒的な命中率を誇る、そんな技だ。

今のこの状況に、ぴったりと言わざるを得ない。

ニューラの攻撃とレントラーの攻撃がぶつかり合う。

レントラー「ちっ」

その表情には、苦痛が浮かんでいた。

しかしそれは、ニューラも同様だった。

スズナ「やるじゃん! 面白くなって来たよ! 気合い入れてくよ! 氷の礫!」

アカリ「もっかいスパーク!」

技と技がぶつかり合う、その単調な繰り返し。

アカリ(でもこのまま行ったらたぶん押し切れる……!)

スズナ(まっずいなあ、押し切られそう)

スズナ「ニューラ! 気合い出して! 切り裂く!」

アカリ「スパークよ!」
 ▼ 188 つばん@ずがいのカセキ 15/11/22 22:25:28 ID:8nUTHWx2 [12/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
スズナの叫びに呼応するかのようにニューラの目の色が変わって行く。

しかし、その目は、逆に冷静さを増していたのだ。

レントラーがニューラの方に迫り行く。

ニューラは動じない。

ニューラ「今だッ!」

レントラー「なっ!」

ニューラの攻撃は、的確に、レントラーの急所を切り裂いた。

レントラー「うがあっ!」
 ▼ 189 キジカ@ルカリオナイト 15/11/22 22:25:49 ID:8nUTHWx2 [13/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「レントラーっ! しっかり!」

ニューラ「いいよいいよ! そのまま気合いで押し切っちゃって! 騙し討ち!」

アカリ「行けるねレントラー! スパーク!」

2つの技がぶつかり合う。

アカリ・スズナ「いっけええええ!」

2つの声がシンクロし、ハーモニーを奏でた。

その音を聞きながら、レントラーは体をぶつける。

ニューラの攻撃をもろに受けながらも、必死で電気を相手に叩き込んだ。

スズナ「……相討ちか。お疲れニューラ」

アカリ「レントラー、お疲れ様」
 ▼ 190 ンチュラ@ドリのみ 15/11/22 22:26:11 ID:8nUTHWx2 [14/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
今日はここまでです
 ▼ 191 グリュー@ふるびたかいず 15/11/23 06:46:50 ID:B9Fzqwew NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援!
 ▼ 192 ブライカ@ドラゴンジュエル 15/11/23 14:25:34 ID:lmJFVass NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 193 ピンロトム@おおきなしんじゅ 15/11/23 14:39:13 ID:PhT6hZpE NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 194 グザグマ@モンスターボール 15/11/23 22:52:37 ID:zgTyUaUM NGネーム登録 NGID登録 報告
ポケスペのストーリーが少し入ってる?
 ▼ 195 1◆J44kAZeDOM 15/11/23 22:54:51 ID:3S5tjlTo [1/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「グレイシア! よろしく!」
スズナ「ユキノオー! ゴー!」

ユキノオーが場に現れた事により、ジムの中にたちまち立ち込める暗雲。

そこから落ちて来た物が、氷の床とぶつかってからんと乾いた音をたてた。

アカリ「……あれ?」

アカリ(なんで? なんか、体が……重い)

スズナ「吹雪!」
アカリ「ふ、吹雪!」

突如として身に起こった異変。

その正体は、すぐに知れた。

目の前を吹きすさぶ吹雪。

その中に、自分の命を奪いかけたあの体験を見て取ったのだ。
 ▼ 196 1◆J44kAZeDOM 15/11/23 22:55:14 ID:3S5tjlTo [2/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ(や、やばい。しっかりしなきゃあたし。くじけてちゃダメ……)

スズナ「遅いよ! もういっちょ吹雪!」

アカリ「あ、ああ……」

アカリの視界がぐるぐると渦を巻く。

アカリ(ダメ……怖い……)

アカリの歯が、がちがちと音をたてる。

グレイシア「ったく、早く指示を出しなさいよ!」

ユキノオー「どうしたんだ?」

グレイシア「敵に情けをかける気?」

ユキノオー「いや?」

ポケモン同士で行われる会話は、人間には届かない。
 ▼ 197 1◆J44kAZeDOM 15/11/23 22:55:35 ID:3S5tjlTo [3/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ(この吹雪が原因だから……手持ちを変えて吹雪を弱めればなんとかなるかも……よし、やってみる価値はある!)

アカリ「交代を宣言します!」

スズナ「ふーん」

アカリ「ごめんねグレイシア。ポッタイシ! よろしく!」

ポッタイシ「え、ウソ。どうかしたのかな?」

心配気にアカリの事を見つめるポッタイシ。

しかし、その瞳は、一瞬にして戦いの直前の緊張感に上塗りされた。
 ▼ 198 1◆J44kAZeDOM 15/11/23 22:56:07 ID:3S5tjlTo [4/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「行くよポッタイシ! メタルクロー!」

翼を鋼のごとく尖らせ、ユキノオーに切りかかるポッタイシ。しかし。

スズナ「草笛!」

ユキノオーが繰り出した音色は、聞く者を眠りへといざなう。

それは、ポッタイシとて例外ではない。

アカリ「ポッタイシっ!」

ポッタイシ「あれ……眠い……zzz……」

スズナ「今よ! ウッドハンマー!」

ユキノオーの渾身の一撃は、ポッタイシには効果抜群。

余りの火力に、眠りのままポッタイシの体力は尽き果てた。
 ▼ 199 1◆J44kAZeDOM 15/11/23 22:56:56 ID:3S5tjlTo [5/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「うう……仕方ない! ペラップ!」

スズナ「……」

トラウマに縛られ、グレイシアを出す事が出来ないでいるアカリ。

スズナは、ただそれをじっと見つめている。

アカリ「ペラップ! おしゃべり!」

ペラップが訳のわからない言葉を大声で発する。

その言葉の解読に気を取られたのか、ユキノオーは何も考えられなくなっていた。

スズナ「混乱か……気合いよ! 吹雪!」

どういう行動を起こすかわからない混乱の最中にあって、スズナはなお、気合いで乗り越えようとしている。

スズナ「混乱なんて……ぶっ飛ばせぇぇえええ!」

アカリ「おしゃべり!」

音の波がユキノオーに襲い掛かる。

それは反響して、様々な方向からユキノオーの耳に届いていた。

それに惑わされたのか、ユキノオーは吹雪を乱射する。

こちらから聞こえたと思えばこちらへ、あちらから聞こえればあちらへ。

姿を見て狙いを定める、その発想が、混乱状態にあるユキノオーにはなかったのだ。
 ▼ 200 1◆J44kAZeDOM 15/11/23 22:57:19 ID:3S5tjlTo [6/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
だが。

下手な鉄砲数うちゃ当たる。

どれほどでたらめな方向に攻撃しようとも、それが広範囲にわたる攻撃である以上、延々と避け続ける、なんて事は不可能なのだ。

アカリ(雪……ダメっ。しっかりしないと!)

アカリ「霧払いで雪を吹き飛ばして!」

辺りに立ち込める霧すら振り払う強力な風が、襲い来る吹雪を逸らす。

アカリ「押し切って! おしゃべり!」

その音は、ユキノオーには効果抜群。

なんども聞いている内に体力は確実に削られて行った。

そしてその蓄積が一気に噴き出したのか、どっと音をたてて倒れた。

アカリ「やった!」
 ▼ 201 レビィ@いのちのたま 15/11/23 22:57:55 ID:3S5tjlTo [7/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
今日はここまでです
 ▼ 202 ジロック@するどいキバ 15/11/24 08:36:08 ID:rLk3gYXE NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
トラウマ化怖いなこれ
 ▼ 203 1◆J44kAZeDOM 15/11/24 21:57:52 ID:efcCUuzA [1/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
スズナ「お疲れ様、ユキノオー」

スズナ「行くよ! あたしのとっておき! ユキメノコ!」

アカリ(切り札はユキメノコ……レントラーの読みは正解ね)

スズナ「吹雪!」
アカリ「霧払いっ!」

2つの指示が2つの行動を生む。

それらがぶつかり合った結果、さらなる天気の崩れが発生した。
 ▼ 204 1◆J44kAZeDOM 15/11/24 21:58:13 ID:efcCUuzA [2/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ(ダメ……)

脳裏にフラッシュバックするあの光景。

記憶の奥底に封じ込めようとしても、強引に呼び出されるのだ。

ペラップ(次の指示を出してよ)

言葉を発する訳にもいかない彼女は、心の中でそう思うにとどめた。

スズナ「なんか攻撃しないの? ならこっちから行くよ! 吹雪!」

ペラップ(速く!)

アカリ「あ、ああ……」

意識が薄まって行く。

余りの恐怖によって、感情が彼女の支配下を逃れたのだ。
 ▼ 205 1◆J44kAZeDOM 15/11/24 21:59:35 ID:efcCUuzA [3/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ペラップ「うう……」

ペラップは、自分自身の判断でオウム返しを繰り出す。

その羽から吹雪が吹き荒れ、しかしその攻撃力は、悲しいかな明らかにユキメノコの方が上だ。

徐々に徐々に、ペラップの方へと押されて行く。

それに、飛行タイプのペラップがこの冷気の長時間耐えきれるはずもなく、あえなく地に落ちた。

そしてアカリはと言えば……

縮こまって、震えていた。

指示を出す事すらせずに。

ただただ、怯えていた。
 ▼ 206 1◆J44kAZeDOM 15/11/24 21:59:57 ID:efcCUuzA [4/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
スズナは、震えているアカリをじっと見つめていた。

スズナ「なーんかおっかしいなあ」

それだけ言うとスズナは、アカリの方へと歩み寄る。

スズナ「あんた、このジム戦に勝つぞ! って気合いがなくない? なくなくなくなくなくない?」

アカリ「え……そんな事っ!」

スズナ「でも現に、あんたは怯えてる。このあられの降るフィールドにね」

アカリ「そ、それは……」

スズナは軽く息を吸い込むと、大声で叫んだ。

スズナ「あんたねっ! あられなんかにいちいちびびってたら、氷タイプのトレーナーなんて務まらないのよ!」

スズナ「あんたはグレイシアのトレーナー! それなのに、あられなんかに負けちゃダメなの!」

スズナ「トラウマなんかっ! 気合いで乗り越えろっ!」
 ▼ 207 1◆J44kAZeDOM 15/11/24 22:00:21 ID:efcCUuzA [5/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
その叱咤は、アカリの耳にうるさく届く。

いや、耳だけではない。

耳を通して、心にまで。

確かに、スズナの気合いが、吹雪に凍てついたアカリの心を溶かしていた。

アカリ(そうだ……あたしは、これからも向き合わなきゃいけない)

アカリ(例えどんなに怖くても……そうするのがトレーナーとしての義務だよ!)

そんな単純な思考に行き付き、アカリの心はすっと楽になる。

アカリ「ありがとうございます……スズナさん。グレイシア! よろしく!」

グレイシア「なんかよくわかんないけど……大丈夫なんだよね?」

心配気に声を出すグレイシアに、言葉は通じないまでもその心理を読み、頷き返すアカリ。

アカリ「あたし、もう大丈夫だから。吹雪にも……逃げない!」

スズナは、にこりと笑うと、力強く言った。

スズナ「そう来なくっちゃ」

スズナは、自らの陣地へと歩き戻って行った。
 ▼ 208 1◆J44kAZeDOM 15/11/24 22:01:02 ID:efcCUuzA [6/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「吹雪!」
スズナ「こっちも吹雪!」

あられの降りしきるバトルフィールド。

2つの指示がこだまする。

グレイシアの目が真剣味を帯びる。

ユキメノコは、余裕の表情を浮かべていた。

一瞬の沈黙。それは、2匹のポケモンが力を溜めるタイムラグ。

極限まで高まった緊張感は、ある一瞬を境に一気に解き放たれる。

飛び交う吹雪。

アカリは、

しっかりと、戦場を見つめていた。
 ▼ 209 1◆J44kAZeDOM 15/11/24 22:01:24 ID:efcCUuzA [7/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「グレイシア! 行けるよ!」

スズナ「いいよいいよ! 気合いで押し切れっ!」

グレイシア「わかってる」

ユキメノコ「もちろんですわ」

トレーナーの応援に答える2匹。

彼女たちは、天気の変化を敏感に感じ取る。

遅れて、トレーナーも気付いた。

アカリ「あられが……」

スズナ「降り止んだ!」
 ▼ 210 1◆J44kAZeDOM 15/11/24 22:02:28 ID:efcCUuzA [8/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
スズナ「よーし! シャドーボール!」
アカリ「こっちもシャドーボール!」

スズナ「……ウソ」

スズナが漏らす心配を含んだ呟き。

それもそのはず、ゴーストタイプを含むユキメノコには、ゴーストタイプの技は効果抜群なのだ。

アカリはその間にも思考を働かせる。

アカリ(相手はゴーストタイプ……押し負けるかもしれない)

アカリ(でもグレイシアには……まだ秘策がある!)

アカリ「グレイシア! 電光石火でユキメノコに近付いて!」

グレイシア「りょーかい!」

スズナ「え? ゴーストタイプにノーマル技は……でもチャンス! もういっちょシャドーボール!」

アカリ「避けて! その素早さで!」

アカリ(近付いて……そのままシャドーボールを叩き込む!)

スズナ「じゃあ趣向を変えて……吹雪!」
 ▼ 211 1◆J44kAZeDOM 15/11/24 22:02:49 ID:efcCUuzA [9/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
グレイシアは、喜びの笑みを浮かべていた。

新たに手に入れた体は、雪に隠れる。それを知っていたから。

アカリ「グレイシアっ! 気を付けて!」

グレイシア「言われなくても」

吹雪の中に身を隠す。

それがグレイシアの考えだ。

ユキメノコ(どこにいるのでしょう?)

しかし、グレイシアにも誤算はあった。

ユキメノコも特性は雪隠れ。

その姿を吹雪の中で見つけるのは難しいのだ。

グレイシア「ったく、ユキメノコもかよ」

吐き捨てるように言うと、目を閉ざした。

どうせ役に立たない感覚なら、切り捨ててしまおう。そう考えたのだ。
 ▼ 212 1◆J44kAZeDOM 15/11/24 22:03:30 ID:efcCUuzA [10/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
吹雪の中耳を澄ます。

ユキメノコも察したかのように動き回っている。それがわかったのみだ。

アカリ「グレイシア! もう少しで吹雪が止む! だから力を溜めて!」

アカリ「シャドーボールの準備よ!」

スズナ「ユキメノコ! こっちもシャドーボール待機!」

全ては吹雪が止む、その一瞬に賭けられた。

アカリの握った手には、寒いはずなのにじんわりと汗がにじむ。

息をするのも忘れて見入っていた。

吹雪が止んだ。

アカリ「今よっ!」
スズナ「シャドーボール!」

うなるように漆黒の玉が敵目がけて飛んで行く。

それは、寸分違わずお互いに命中した。
 ▼ 213 1◆J44kAZeDOM 15/11/24 22:03:50 ID:efcCUuzA [11/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
沈黙。

氷のバトルフィールドに、まさしく時が凍り付いたかのようなそれが下りる。

グレイシアも、ユキメノコも、なんとか立っていた。

アカリも、スズナも、息を潜めて、その光景を見ていた。

ユキメノコがふっと笑う。

そしてそのまま、ユキメノコは倒れた。
 ▼ 214 ュプトル@きせきのタネ 15/11/24 22:04:20 ID:efcCUuzA [12/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
今日はここまでです
そろそろテスト勉強を始めるので更新速度落ちます
ご容赦ください
 ▼ 215 ポッコ@メガストーン 15/11/24 22:45:26 ID:0FPqTytY NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
>>214
勉強頑張ってください
中間テスト?知らない子ですね(苦笑)
 ▼ 216 キカブリ@ヨプのみ 15/11/25 00:00:17 ID:VrpEypow [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
>>215
今は期末やで
>>214
支援
 ▼ 217 シデ@きいろいかけら 15/11/25 00:01:27 ID:z0a4otIc NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
テストベンキョウナンテシルモノカ…
支援!
 ▼ 218 トーボー@はつでんしょキー 15/11/25 10:41:53 ID:4M/86fBI NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
>>216
これが三学期ではなく、前期後期なんです
前期の中間テストが6月、期末が何故か7月
後期の中間テストが12月、期末が3月
今年からなったのでいろいろ面倒くさい
 ▼ 219 ーランド@こだいのぎんか 15/11/25 13:45:35 ID:nGaMabCI NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 220 ーケオス@ねばりのかぎづめ 15/11/25 15:53:10 ID:VrpEypow [2/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
>>218
せやったか、スマン。
 ▼ 221 1◆J44kAZeDOM 15/11/26 22:30:32 ID:oure9TU6 [1/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
視点 アカリ

アカリ「やった……やったぁぁあああ!」

アカリ「やったよグレイシア!」

グレイシア「らっしゃ……!」

スズナ「たっはー! 負けちゃったか!」

スズナ「あんたとポケモンの気合い、しっかり見させてもらったよ!」

アカリ「あの……あたしがトラウマを乗り越えられたのは、スズナさんのおかげです。ありがとうございました!」

スズナ「いいって事よ! 張り合いもないしね」

スズナ「取りあえずスズナに勝った証として……はいこれ! グレイシャバッジ!」

アカリ「ありがとうございます!」

スズナ「バッジは5個目か。なら、波乗りがバトル以外でも使えるようになるよ」

アカリ「波乗り! これで水の上でもすいすいと……」

スズナ「うん」
 ▼ 222 1◆J44kAZeDOM 15/11/26 22:31:29 ID:oure9TU6 [2/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
スズナ「それと……あったあった! これ。技マシン『冷凍ビーム』!」

スズナ「吹雪と違って小回りが利く代わり、威力はちょっと落ちちゃうのが難点だけど……」

アカリ「ありがとうございます!」

スズナ「にしてもあんた、大変だったでしょ。マサゴって言ったらシンオウでもまだあったかいとこだし」

アカリ「はは……もうこりごりです」

スズナ「そういやこないだもマサゴのトレーナーが来たのよね……知り合い?」

アカリ「ああ! そっか、こっちはアキラがもう先に来てるんだ」

スズナ「そそ! アキラって子! やっぱ知り合いだったんだ」

アカリ「幼馴染みです」

スズナ「幼馴染みかあ……あの2人を思い出すな」

アカリ「コウキ兄ちゃんとジュン兄ちゃん?」

あ、しまった。スズナさん、大人っぽくなくて、なんか敬語忘れちゃった……反省反省っと。

スズナ「うん! やっぱり知り合いなの?」

アカリ「あたし、ヒカリお姉ちゃんの妹なんです」

また……もういっか!
 ▼ 223 1◆J44kAZeDOM 15/11/26 22:31:58 ID:oure9TU6 [3/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
スズナ「へえ! ならその強さにも納得ね」

アカリ「お姉ちゃんってそこまで強いでした?」

スズナ「日本語変だよ」

アカリ「あっと……」

スズナ「まあそれはともかく、このシンオウでも10本の指に入るぐらいの実力はあると思うよ?」

アカリ「そうだったんだ……」

お姉ちゃんがバトル強いなんて話、初めて聞いたや。

スズナ「ともかくジム突破おめでとう! 帰りはそのまま階段を降りて行けばいいよ」

アカリ「……」


その直後、ジムの中に快感の叫び声が響き渡る事になる。
 ▼ 224 キジカ@しんじゅ 15/11/26 22:32:18 ID:oure9TU6 [4/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
今日はここまでです
 ▼ 225 ーフィア@グラシデアのはな 15/11/27 07:40:14 ID:YhSQ5vns NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ギミック残ってたかw
支援
 ▼ 226 サキント@どくけし 15/11/27 11:24:07 ID:jLyTEIwQ NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 227 1◆J44kAZeDOM 15/11/29 06:57:27 ID:U0CwUdMA [1/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「うう……寒……」

あの上着あったかかったなあ……

っと。そんな事より!

アカリ「みんなあれだし、あたしも寒いし、急いでポケセン行かなくちゃね」

あっちだったはず。

ちゃんと場所を見失わないように。

アカリ「オッケーオッケー、着いたっと!」
 ▼ 228 1◆J44kAZeDOM 15/11/29 06:57:54 ID:U0CwUdMA [2/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「ポケモン回復してください」

ジョーイ「わかりました!」

アカリ「それとジムに置いてる上着ってどこで売ってるんですか?」

ジョーイ「ああ、それならあちらになります」

アカリ「OKです。少し買って来ますね」


アカリ「あ、この上着買いたい……高っ!」

い、1万円だとぉ?

でも命には代えられないか……仕方ない。

アカリ「買います!」

お金を差し出した。

店員「それではこちら、商品になります」

うう……お財布があ……
 ▼ 229 1◆J44kAZeDOM 15/11/29 06:58:14 ID:U0CwUdMA [3/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ジョーイ「お預かりした(ry」

アカリ「ありがとうございます……」

ジョーイ「高いでしょう? それでも、キッサキの稼ぎ頭ですしね」

ジョーイ「あなたみたいに雪山で遭難してもあれさえあれば大丈夫! がコンセプトなのよ」

アカリ「ははは……」

なんかもう、笑うしかないな……

ジョーイ「今日はここに泊まるんですか?」

アカリ「あ、はい」

ジョーイ「それでは、トレーナーカードを「あ、これです」

ジョーイ「わかりました。それではこちら、部屋のカギになります!」

アカリ「ありがとうございます」
 ▼ 230 クリン@うつしかがみ 15/11/29 12:44:58 ID:PbgpGBXA NGネーム登録 NGID登録 報告
らさっと心の傷をえぐりにいくジョーイさんにワロタ
支援
 ▼ 231 1◆J44kAZeDOM 15/11/30 21:49:36 ID:cdmmdRvE [1/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「ふうっ」

なんか久々だなあ、ソファにちゃんと座るの。

昨日は入院だったし、今朝はなんだかんだ言って座ってないや。

まあ一昨日は普通に座ってたような気もするけど、気にしたら負けだよね!

アカリ「みんな、出て来て!」

さあて、と。今日はこれからどうしよ……

キッサキ神殿があるらしいけど、お姉ちゃんですら入れないような場所らしいしなあ。

スズナさんの許可がいるんだよね、確か。

コウキ兄ちゃんとジュン兄ちゃんは大丈夫だったっけ。

アカリ「他にキッサキってなんかあったっけ?」

雪祭りが有名らしいけど……あいにく時期は逃してるし。

アカリ「エイチ湖ぐらいしか思いつかない……まあ、エイチ湖でいっか!」
 ▼ 232 1◆J44kAZeDOM 15/11/30 21:49:58 ID:cdmmdRvE [2/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「1万円」を着て外に出る。

あったかいけど……懐が寒いよお……

アカリ「一番の問題はもうこっちには来ないだろうなって事なんだよね」

今こんな良い物を買っても、もう使う事は、たぶんない。

まあ、そう思うとしっかり見て回らなきゃね。

絶対元取ってやるんだから……!
 ▼ 233 1◆J44kAZeDOM 15/11/30 21:50:19 ID:cdmmdRvE [3/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
視点 レントラー

レントラー「1万円?!」

グレイシア「うん。あの上着ね」

ポッタイシ「確かヨスガで買ったのはもっと安かったよね」

レントラー「一応値札が見えたけど……明らか安かったな、うん」

って言うか1万円ってダイパ以前の技マシンより普通に高いよな?

BWになって使ってもなくならないようになってから若干、っつーかかなり高くなったけどさ。

ペラップ「質がいいし……仕方ない……と思う……」

レントラー「まあな」

さてと。

こっからはエイチ湖観光ツアーか。

知恵の神、ユクシーがいる所だったな、確か。

何かこの状況を打破出来るような知恵が下りて来ないものか……なあんて、神頼みで状況が良くなるなら苦労しないよな。
 ▼ 234 1◆J44kAZeDOM 15/11/30 21:50:43 ID:cdmmdRvE [4/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「みんな、出て来て……ペラップはやめとこ」

その声を聞きながら視界が外の物へと置き換わるのを見ていた。

レントラー「うう、寒っ」

ポッタイシが水を羽でつついている。

ポッタイシ「ひゃっ!」

レントラー「そら寒いわ」

アカリ「そういや、もう波乗り使えるんだよね……まあ、こんな寒いとこ泳がなくてもいいか」

アカリ「でも覚えさせだけはしとこっと」

ポッタイシ「でも……行ってみてもいいかも。水は空気より、温まりにくく冷めにくいだから」

ポッタイシ「少なくても、外よりかはマシなはず」

レントラー「……は?」

いやまあそうだけど。そうだったよな?

記憶が曖昧だけど、確かそうだったはず。

いやでも……

ポッタイシ「水が気化する時に温度を奪うのが冷える原因。だからすぐボールに戻ればなんともないわ」

うっそだろおい。
 ▼ 235 日はここまでです◆J44kAZeDOM 15/11/30 21:51:11 ID:cdmmdRvE [5/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「よし覚えたな……え? 乗れ? この寒い水の中を?」

ポッタイシは軽く頷く。

ポッタイシ「その前に……ペラップお願い」

アカリ「どうかした……ああ、ペラップ? わかった、ごめんペラップ!」

ぺラップ「え……寒いっ!」

ポッタイシ「波乗り終わったらすぐ戻してって伝えて」

ペラップ「波乗り終わったらすぐ戻してだって早く戻して」

アカリ「ありがとお疲れ」

アカリ「さて……いいの?」

ポッタイシ「うん」

アカリ「わかった。じゃあよろしくね! レントラーグレイシア、戻って!」
 ▼ 236 ョロモ@しらたま 15/12/01 07:30:48 ID:x4mnBV7I NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援!
一万円を着るw
 ▼ 237 1◆J44kAZeDOM 15/12/02 23:09:47 ID:Ppj.VzBk [1/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
真ん中の小島に上陸する。

そんでもって、そのままエイチ湖の空洞へ。

ユクシーがいるあの洞窟、こんなんなんだ。

ポッタイシ「あー、でも、あの冷たさはもはや、開き直って気持ちよかったかも」

ダメだこいつ。

アカリ「ここかあ……ユクシー、いたりしないかなあ、なんて、そんな簡単に見付かる訳ないよね、あはは」

そうかな? 案外出て来たリして。

なんたって少なくともシンジ湖は、爆弾が爆発するまでは小島がなかった。

リッシ湖で爆発が起きて、アグノムに引きずられてエムリット、ユクシーが出る空洞も外に現れたって考えると、ある意味封印みたいな物なんだろ?

だとすると、今は封印が解かれたままになっている。

つまり、ユクシーは外との接触を断っている訳じゃない……って事になると思うんだが。

そうだ。試しに透視でもしてみるか。あれがどのぐらい万能なのか知らねえけど、ポケスペでもパールがしようとしてたし。

物は試しだ。
 ▼ 238 1◆J44kAZeDOM 15/12/02 23:10:15 ID:Ppj.VzBk [2/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「みんな出て来て。ここなら寒さもマシだからペラップも大丈夫だと思うし」

不意に景色が切り替わる。

ペラップ「ああ……確かに」

ポッタイシ「あったかいな……」

グレイシア「あんた絶対バカでしょ」

レントラー「少なくともお前は今寒くないんだろ?」

グレイシア「もちろん。氷タイプなのよ? むしろこの気温気持ちいいぐらい」

グレイシア「でもそれとこれとは話が別。ポッタイシは氷タイプでもなんでもないじゃん」

ポッタイシ「外と比べたらって事よ。別に今この状況があったかい訳じゃないし」
 ▼ 239 1◆J44kAZeDOM 15/12/02 23:10:35 ID:Ppj.VzBk [3/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ペラップ「で……ここ、どこ?」

レントラー「シンオウの神の内の1匹、知識の神ユクシーがいる所だ」

アカリ「なんかレントラーが説明してるみたいだから……しなくていい?」

ペラップ「ユクシー……」

アカリ「大丈夫そうね」

なんて話している内に、早速透視を使ってみる。
 ▼ 240 クタン@アンノーンノート 15/12/02 23:11:04 ID:Ppj.VzBk [4/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
今日はここまでです

本格的な再開は12日ごろになります
 ▼ 241 コッチ@きのみプランター 15/12/03 22:38:02 ID:6t3SlXPU NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 242 ャラドス@はっきんだま 15/12/03 22:38:35 ID:ZnTOc38k NGネーム登録 NGID登録 報告
 ▼ 243 グラージ@ダイゴへのてがみ 15/12/04 00:55:20 ID:ZSSw5rxo NGネーム登録 NGID登録 報告
まぁ支援
 ▼ 244 ツドン@ぎんいろのはね 15/12/04 00:57:16 ID:WQVQpLfw NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 245 1◆J44kAZeDOM 15/12/05 21:34:19 ID:omguBEnY [1/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
……案外いるもんなんだな、ユクシー。

なんかはっとしたような表情をして消えちまったけど。

……?

あれ? 今なんか……っ!

ポッタイシ「どうかしたの? 顔色悪いよ?」

レントラー「うぐっ……」

グレイシア「寒すぎて体調崩した?」

レントラー「ち、違う……記憶か……?」

視界が暗転した。

全ての音が排除される。

そんな中、ユクシーって確か記憶を消す能力があったっけ、なんてぼんやり考えていた。
 ▼ 246 1◆J44kAZeDOM 15/12/05 21:34:43 ID:omguBEnY [2/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
『俺、最低だ。

あいつは俺と、あんなに仲良くしてくれたのに……

あいつとポケモンを皆に隠れてこっそりプレイした廃屋の屋上。

見下ろすと、地面が遥か遠くに見える。

俺なんかが生きてちゃダメだよな……』

あれは……俺か?

俺の失われた記憶と……姿。

訳もなく、そう直感した。

そして、記憶の中での俺の姿を、ほんの少し、思い出す。

俺は、クラスでも一目置かれているような、そんなキャラだった。

自分で言うのもなんだが、成績がよくて、運動神経もそこそこだった。

だが、肝心の情報は全くと言ってない。

いじめの標的が俺に移る、なんて事は、少なくとも蘇った記憶の範囲では、全くなかった。
 ▼ 247 1◆J44kAZeDOM 15/12/05 21:35:07 ID:omguBEnY [3/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
再び意識が、今度は明転した。

それとともに、徐々に感覚が呼び戻される。

アカリ「……ラー! レントラー!」

ポッタイシ「よかった」

グレイシア「どうしたってのよいきなり倒れて」

レントラー「すまん……記憶がちょっと戻って来たっぽい」

3人「ええっ!」

アカリ「え、何? どうしたの?」

ペラップ「レントラーの記憶、ちょっと戻ったって……」

グレイシア「それはよかったじゃん! でもなんでいきなり?」

レントラー「たぶんユクシーを見たせいだと思う。確か記憶を消せるらしいし、逆の事が出来たっておかしくない」

ポッタイシ「見たんだ」

レントラー「透視したら案外普通に見えた。まあ消えちゃったけどな」

ポッタイシ「それでいいのか知識の神……」
 ▼ 248 1◆J44kAZeDOM 15/12/05 21:35:27 ID:omguBEnY [4/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「えっと……よくわかんないんだけど……人間だった時の記憶?」

レントラー「ああ」

そう言って、言葉が通じない事を思い出し、慌てて頷いた。

アカリ「よかった……のよね?」

頷く。

アカリ「なんでこうなっちゃったんだろうね、レントラーって」

レントラー「さあ……?」

今まではある程度察しがついてた。でも、その可能性が、少しずつ失われつつあるのも自覚はしている。

レントラー「俺、たぶんいじめられてなかった……ような気がする」

ポッタイシ「ウソ」

グレイシア「なんでそれがそうなるの。いじめられてなかったら何の問題があるってのよ……あ」

レントラー「そう。先に謝っとく。すまんグレイシア」

レントラー「いじめられてなかったつまり、俺はかばわなかった……少なくとも、標的が移ったりはしてない……可能性が高い気がする」

レントラー「俺は……お前に誇れる人間じゃなかったんだ」
 ▼ 249 1◆J44kAZeDOM 15/12/05 21:35:47 ID:omguBEnY [5/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
さっきの記憶について説明する。

主にポッタイシの解釈を聞きたくて。

レントラー「自分の事を最低だからって理由で自殺したのに、いじめを苦にしてなんておかしいと思ったんだよ」

ポッタイシ「同意。いじめられて、自分の存在価値が見出せなくっても、最低って事にはならないと思う。よね? ペラップ」

ペラップ「まあ……死んじゃいたいって思った事はあったけど」

アカリ「え? い、いきなりどうしたの?! 死んじゃダメ!」

ペラップ「大丈夫。私も、もうだいぶ乗り越えられた……と思う……」

グレイシア「そこは言い切りなさいよ」

ペラップ「うん、大丈夫」

アカリ「そ、そう……何があったのか今度話してくれる?」

ペラップ「わかった」

レントラー「まああくまでも具体例だから完全採用する訳にもいかねえけど、参考にはなるよな」

ポッタイシ「うん。今までの推理が間違ってる。今までも可能性としてはあったけど、これは可能性って言うより……」

レントラー「ああ。1から組み直した方がいいと思う」
 ▼ 250 1◆J44kAZeDOM 15/12/05 21:36:17 ID:omguBEnY [6/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ポッタイシ「でもなあ……かばってなかったのか……でも、手掛かりが足りないな……」

アカリ「うーん、あたし、ちょっと席外すね。いても訳わかんないだけだし、ちょっと外の景色でも見てる」

4人とも軽く同意の声をあげた。

ポッタイシ「話を戻すよ。まずは今わかってる事を整理しよっか」

ポッタイシ「カリヤってニンゲンがいじめられてた」

ポッタイシ「レントラーは、それを見て見ぬ振りをしていた……って認識で大丈夫?」

レントラー「たぶん」
 ▼ 251 1◆J44kAZeDOM 15/12/05 21:36:51 ID:omguBEnY [7/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ポッタイシ「他になんかわかった事は?」

レントラー「今んとこはないと思う」

ポッタイシ「そっか……うーん、気持ち悪いな。答えが出ないまま宙吊りって。これがフィクションなら確実に答えが出るってわかるからいいけど、現実だもんなあ」

レントラー「だな」

あれ? これって現実なのか?

一瞬全く違和感なくてビビった。でも……なんかわかんなくなって来た。

まあいいや。これこそ答えが出ない問いだし。

グレイシア「じゃあ推理タイムはこれで終了! でいいよね? アカリ呼んで来よ!」

レントラー「OK」
 ▼ 252 イオーガ@ちからのこな 15/12/05 21:37:12 ID:omguBEnY [8/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
今日はここまでです
 ▼ 253 リン@ロメのみ 15/12/05 23:08:49 ID:5n2Fv/m2 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 254 1◆J44kAZeDOM 15/12/07 21:20:29 ID:OLtILJks [1/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
グレイシア「じゃ、呼んで来るわ」

レントラー「おう」

ペラップ「でもわかんないな……」

ポッタイシ「何が?」

ペラップ「いや、ユクシーって知識を司る神なんでしょ?」

レントラー「ああ、そうだけど」

ペラップ「なんでそれを見ただけでレントラーの記憶が戻ったのかなあって」

レントラー「ユクシーって目を合わせた奴の記憶を消し去る能力とかもあってだな……逆の事が出来たっておかしくないと思うんだけど」

ペラップ「でもさ……記憶を呼び戻す能力があるって事にもならなくない? ……って思ったんだけど……気のせいなのかなあ……」

ポッタイシ「そりゃ証明は出来てないよね。まあでも、取りあえずそう仮定しとこう。まずニンゲンがポケモンになるって時点で相当変なんだし」

ポッタイシ「そんな特殊状態の人に向かっていつも通りの事が起こるなんて考える方が無理があるよ」

ペラップ「まあ……そうよね」

確か探検隊だとユクシーが記憶消したんじゃないかって疑惑があったんだよな。

まあ結局気のせいだったけど。
 ▼ 255 1◆J44kAZeDOM 15/12/07 21:20:50 ID:OLtILJks [2/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
でも、だからと言って今の俺の現状に何も関係ないって断言出来る訳じゃないんだよな。

今回の事件にプルートが絡んでいる以上、シンオウの神と言う名の伝説ポケモンが自衛のために何かしないとも限らない訳で……

もしそうだとしたらなんで俺なのかって疑問があるし、それ以上にそもそもそんな事を考えるのも自意識過剰なんだけどさ。

アカリ「話終わったの?」

ペラップ「あ、うん……」

アカリ「じゃ、帰ろっか。みんな戻って! ポッタイシはついて来て!」

不意に視界が切り替わる。

外と比べて暖かいボールの中に、いつの間にか体が凍えていた事に気付いた。

ペラップ「あったかい……」

グレイシア「にしても改めてニンゲンって凄いよね。あたしのボール、外と比べてあんまりあったかくなってないんだもん」

レントラー「はあ? それ欠陥なんじゃ……」

グレイシア「違う違う! あたし、こんな体じゃん? 寒い方が気持ちいいの」

レントラー「ああ、なるほど。それぞれの適温を見極めてってか……」

グレイシア「よくニンゲンってそんな事出来るよね」

レントラー「まあな」
 ▼ 256 1◆J44kAZeDOM 15/12/07 21:21:12 ID:OLtILJks [3/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「ポッタイシ! 波乗り!」

ポッタイシ「了解」

レントラー「おえー、寒そっ」

ぺラップ「私……絶対ムリだ」

グレイシア「あたしそもそも泳げないし」

レントラー「金づち?」

グレイシア「悪い?」

威圧するような口調に、何も言い返せなかった。

アカリ「お疲れポッタイシ。戻って!」

ポッタイシ「ふう」

レントラー「お疲れ……寒そうだな」

ポッタイシ「さすがにね」

アカリ「じゃ、キッサキまで帰りますか!」
 ▼ 257 1◆J44kAZeDOM 15/12/07 21:21:34 ID:OLtILJks [4/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「うー寒かったあ」

顔に手を当てて、少しでも体温を移そうとでも言わんばかりに。

アカリ「でもこの上着室内だとさすがに暑いな……」

アカリ「っと。これでよし」

上着を脱ぎ、かばんに無造作に突っ込んだ。

ポッタイシ「もっと丁寧に扱いなさいよ。1万円もしたってあんなに嘆いてたのは誰よ」

そんな声は、当然アカリの耳には届かない。

アカリ「さあて、他にどこ行こうか……まあ、適当に町でも見て回る? って言うほど何かあったっけ?」

さりげなーくクッソ失礼だなおい。

グレイシア「もう今日は疲れたしこれで終わりでいいでしょ」

ペラップ「わかる。寒すぎるし」

レントラー「まあ、どうにもならねえし、待とうぜ」

ポッタイシ「だね」

アカリ「まあもういっか。みんなもさすがに寒いでしょ。グレイシア以外」

ほっ。

アカリ「じゃ、ごはんにしますか!」
 ▼ 258 1◆J44kAZeDOM 15/12/07 21:22:22 ID:OLtILJks [5/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「取りあえずこれとこれとこれを」

店員「かしこまりました!」

アカリ「じゃ、みんな出て来て!」

視界が一気に広がった。

グレイシア「うーん、暑い」

レントラー「まあ仕方ない。我慢しろとしか」

グレイシア「わかってるけどお」

アカリ「まだかな……」

会話をあんまりするのもペラップに気が引けるから、適当に切り上げて、静かに飯を待った。

アカリ「お、来たかな?」
 ▼ 259 日はここまでです◆J44kAZeDOM 15/12/07 21:22:48 ID:OLtILJks [6/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「では。いっただっきまあす!」

うん、旨い。

普通に。

まあ、特に何かある訳じゃないけど……たまには違う味も食べたいなあ、なんて。

ポケモンフーズにそんな種類がある訳じゃないのはわかんないけどさあ。

たまにはもっと別の味とかあってもいいんじゃねえの?

とは言いつつなんだかんだ言って腹減ってるし完食はするんだけど。
 ▼ 260 リーパー@いかりまんじゅう 15/12/08 07:28:03 ID:1DU6K8GY NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 261 1◆J44kAZeDOM 15/12/11 18:26:11 ID:DDU8bSmI [1/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「「ごちそうさま」」

俺とアカリの声が偶然にも重なった。

アカリ「お、レントラーと同時か食べ終わるの。今日は遅かったね」

あ単調な味に飽きたから、ってのが正解かな?

グレイシア「ペラップまだ食べる?」

ペラップが小さく頷いた。

グレイシア「ちぇ」

ポッタイシ「そうプレッシャーをかけるのはやめなさい。あんた特性プレッシャーじゃないんだから」

グレイシア「だって足りないじゃん」

ペラップ「あ、いいよ。もう満腹」

ポッタイシ「ほら」

グレイシア「いいじゃんか別に……あたし脅迫してる訳じゃないんだし」

いや、あれはどう考えても脅迫だと思うんだが……

言ったら何されるかわかったもんじゃないし、黙っとこう。

アカリ「みんな食べ終わったみたいね……グレイシアは食べ過ぎだと思うけど……まあいいや、みんな戻って!」
 ▼ 262 1◆J44kAZeDOM 15/12/11 18:26:31 ID:DDU8bSmI [2/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
そのまま部屋に戻ると、アカリは俺たちをボールの外に出す。

アカリ「んじゃ、お風呂わかしちゃうね……そういやグレイシアって大丈夫なのかな、あの熱いお風呂って」

グレイシア「たぶん無理だな」

ペラップ「通訳する?」

グレイシア「わかるでしょ、首横に振ったら」

アカリ「ああ、やっぱ無理か……どうしよ。ってかハクタイとかに行ったら気温大丈夫なのかなあ」

レントラー「いや大丈夫じゃなかったらまずいだろ」

グレイシア「まあ暖房が効き過ぎてなかったら」

ペラップ「これは通訳しなきゃ。暖房が……」

アカリ「ほっ。じゃ、沸かして来る。グレイシアは……冷たい水で体でも流す?」

グレイシアがこっくりと頷いた。

アカリ「じゃ、行こ! レントラーは待っててね」

レントラー「もちろん」
 ▼ 263 1◆J44kAZeDOM 15/12/11 18:27:36 ID:DDU8bSmI [3/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
さあて、考えてもムダだって結論は出てるけどもう少し整理してみますか。

俺は見て見ぬ振りをしたんだよな。

それが、なんで自殺してこう……コリンクになんかなったのかって言ったら……

自殺する、転生するの流れはまあありがちだけど、なんでよりにもよってポケモンなんだろ?

刈谷と一緒にプレイしたゲームがポケモンだって事を考えると、偶然が過ぎる。

まあそれは、そもそもがそんなファンタジックな話に論理的解釈が付く訳でもないんだから置いといて、自殺の直接の動機は罪悪感って事だよな。

『俺、最低だ』ってのが理由っぽいし。

そう考えると全部ぴったりと当てはまる訳で。

それはそうなんだが……どうにもしっくり来ない。

まだあと一歩、踏み込みきれてない気がする。

それが何なのか、見当も付かないけど。

でも、この事実に、拭いきれない違和感が残る。それは確かだった。

レントラー「ふうむ……」

何が足りないのか。

今出てる手掛かりを全部組み合わせると、その結論しか出ないと言うのに。

レントラー「まあ、手掛かりがないなら諦めるしかないな」
 ▼ 264 1◆J44kAZeDOM 15/12/11 18:27:56 ID:DDU8bSmI [4/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ってな訳で、少し戻った記憶を吟味してこっと。

俺は……割と優等生だったんだな。

いじめは見て見ぬ振りをする、最低な人間だったけどな。

でも、そんな風に上手く世渡りしないと優等生にはなれないって言う悲しい現実。

それでも俺は、刈谷と裏では仲良くやってたのか。

「ポケモン」と言うゲームを通して。

それが、その罪悪感が、あるきっかけがあって、一気に噴出した……か。

あるきっかけねえ……

考えたくない、最悪な結末が脳裏に浮かんで、慌てて頭を振って否定した。

そんな事さすがにないはず……そうに決まってる。

刈谷は、まだ元気に、向こうで生きているはずだ。絶対に。

レントラー「でもだとするときっかけって何なんだろ……」

少し考え込む。

でも、結局何の結論も得られないまま、無為に時間だけが過ぎ去って行った。
 ▼ 265 ロトーガ@くろいヘドロ 15/12/11 18:30:27 ID:DDU8bSmI [5/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
今日はここまでです

それと再開したばかりで恐縮ですが、12月19日以降の更新頻度が、またいろいろあって絶望的に低くなります
詳細はわかり次第随時連絡しますがまず……
19日から22日は確実に更新出来ません

ご了承ください
 ▼ 266 1◆J44kAZeDOM 15/12/12 22:24:24 ID:Wt.33KNo [1/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「レントラー、お風呂空いたよ」

レントラー「了解」

取りあえずもう考えるのはやめよう。

これ以上考えると、最悪の推論が頭から離れなくなりそうだし。

ってな訳でそのまま浴槽にダイブした。


レントラー「ふう……」

ため息とともに疲れも抜けて行く。

お湯の暖かさに、意外と自分の体が冷えていた事に気が付いた。

徐々に冷たさが体から追い出され、ほぐれていくような感覚が襲った。

レントラー「これが風呂の醍醐味だよな……冬の風呂はやっぱいいや……」

不快な思考も体が温まるにつれて影を潜めて行った。
 ▼ 267 1◆J44kAZeDOM 15/12/12 22:33:08 ID:Wt.33KNo [2/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
まあでもいつまでも浸かってる訳にもいかない。

レントラー「出るか」

身をかがめて、飛び上がる。

ルクシオ時代は超えるのに苦労した湯船のへりも、今では簡単に飛び越せるって事に妙な感慨を覚えながら、扉を開いた。

レントラー「アカリー! あがったぞー!」

何を言ってるのかは通じない。だけど。

状況から考えてだいたい言ってる事の察しは付くだろう。

アカリ「ああ、あがったのー? 今行くー!」

なんかこう、普通に体拭いてもらうの久々……ってかそれはそれで恥ずかしいんだけど……

まあ今の俺には出来る事と出来ない事があるんだし、そこは素直に諦めるしかないのはわかってる。

アカリ「オッケー。じゃ、体拭いちゃうね」

アカリが手に持つタオルが水を吸い取り、毛が一気に軽くなる。

アカリ「よし。もう大丈夫ね。行こっか」

体の水気がなくなったのを確かめてから、俺は頷いた。
 ▼ 268 1◆J44kAZeDOM 15/12/12 22:40:35 ID:Wt.33KNo [3/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ポッタイシ「あ、あがったのね。でさ、あれから私、ちょっと考えてみたんだけど……」

グレイシア「いつの間に?! あんたあたしたちとずっと話してたじゃないの!」

ポッタイシ「あんたがずっと話してたの間違いよね」

グレイシア「はあ?」

ポッタイシ「それはともかく、私考えてたんだけどさ」

レントラー「お、おうそうか……」

それはともかくなのか? ともかくで放置していい剣幕じゃないだろどっからどう見ても。

グレイシア「ちょっと! ……まあレントラーに関する事なら仕方ないか」

あ、そうなのね。よかったあ。

ポッタイシ「で、考えてみたんだけど、私の予想では、たぶん……あ、ここからちょっと覚悟して欲しいんだけど」

レントラー「なあ、もしかして……」
 ▼ 269 日はここまでです◆J44kAZeDOM 15/12/12 22:47:45 ID:Wt.33KNo [4/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
レントラー「もしかしてだけど……刈谷が死んでる可能性を言いたいのか?」

ポッタイシ「ああなんだ、気付いてたのか」

レントラー「でもそんな事……」

ポッタイシ「信じたくないだろうけど、でも可能性は全部検討しない訳にもいかないし」

レントラー「そうだけど……」

ペラップ「え、なんでそうなったの?」

口調こそ疑問形だが、その表情は、さもありなんと言った感じだ。一方グレイシアは……
 ▼ 270 度こそ今日ラスト◆J44kAZeDOM 15/12/12 22:48:11 ID:Wt.33KNo [5/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
グレイシア「全くわかんないんだけど。何がどうしてそんな考えになる訳? ねえ!」

その強い語気に、思わず怯む。それほどの迫力で、俺たちに迫った。

レントラー「それはだな……」

さっきの推論を全部話して聞かせる。

自分で打ち消した、信じられない話だが……

グレイシア「そっか……ったくなんで自殺なんか……」

そうか。こいつも俺の過去に自分を重ね合わせてるんだ。だからあんな怒った感じで……

ポッタイシ「まあ、あくまで可能性だし、もっと違う筋書きがあるかもしれないから、まだ断定はしないよ」

グレイシア「そうだけど……」

レントラー「絶対に見付ける。刈谷が生きている証拠はな……じゃないと俺、どうにかなっちまいそうで……」

せっかく忘れてたのに蒸し返されたのは不快だけど、ポッタイシに言われて目が覚めた。

逃げちゃダメだ。俺なりに整理を付けるためには、向き合って、乗り越えないと。
 ▼ 271 1◆J44kAZeDOM 15/12/13 20:11:05 ID:2bXRzcmI [1/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「もう寝るね、お休みー」

外の景色をぼんやり眺めていたアカリが不意に振り返って、言った。

グレイシア「アカリはのんきよね。まああたしたちの話がほとんど聞き取れないから仕方ないけど」

ほとんどに入らないペラップは、また違うほとんどの中に入るから、結局アカリが得られる情報はないに等しい。

ペラップがあんまりしゃべらないから。

ポッタイシ「まあ、絶対出来るとは断言出来ないけど、それを証明する、って方向に推理内容をシフトしようか」

ポッタイシ「だいたいあなたが自殺を図った理由はわかったんでしょ?」

レントラー「だな」
 ▼ 272 1◆J44kAZeDOM 15/12/13 20:13:31 ID:2bXRzcmI [2/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ポッタイシ「じゃ、明日もたぶん早いし、寒い中今度は普通にバトルもあるだろうから、しっかり寝とこう。今考えても仕方ないのはわかってるでしょ」

レントラー「そうだな」

グレイシア「あたし、向こうの窓際で寝る。涼しいし」

ペラップ「え……」

グレイシア「出来るだけ体を冷やしたいの!」

レントラー「なあ、こいつホントハクタイとか行ったらどうすんだ?」

グレイシア「我慢しなきゃいけない時は我慢出来るっての。今は我慢の必要がないんだから、いいでしょ!」

ポッタイシ「悪いなんて一言も言ってなかった」

グレイシア「わかってるよ!」

レントラー「そう怒るな。体温上がるぞ。それはそうと、お休み」

グレイシア「うん、お休み」

ペラップ「私も寝よ……」

ポッタイシ「じゃ、1人で起きてても寂しいだけだし、私も寝よう。お休み」
 ▼ 273 1◆J44kAZeDOM 15/12/13 20:18:24 ID:2bXRzcmI [3/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
視点 アカリ

う、うーん……

アカリ「ふああっ」

あ、もう朝か。みんなまだ寝てるな。

なんか目が覚めちゃった。少し早いけど、このぐらいならなんとかなるかな。

アカリ「もう少し寝かせといてあげよっと」

呟いて、窓の外を覗く。

アカリ「わあっ……」

一面の銀世界に太陽が顔を出し、キラキラと輝いている。

アカリ「きれい……」

こんな景色が見られただけでも、命を危険に晒してまでキッサキに来た甲斐があるってもんね。

って、もうこんな時間?!

アカリ「みんな起きて! 朝ごはん!」

まあ、時間を忘れるぐらいの絶景だったって事にしとこう。
 ▼ 274 1◆J44kAZeDOM 15/12/13 20:23:16 ID:2bXRzcmI [4/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「みんなおはよ。早速だけど、もう朝ごはんよ。行こ! 戻って!」


アカリ「いっただっきまあす」

うん、おいしい。

でもなあ……ちょっとポケセンの朝定食飽きて来た……

まあ飽きてもある程度はおいしいんだけどさ。

アカリ「ま、いっか。贅沢言っても始まらないし。無料で泊れるんだから」

そう言って自分を満足させつつ、完食。

みんなもう食べ終わっていた。

アカリ「グレイシアまたペラップの分食べたでしょー? ダメよ。ちゃんと食べないと健康に悪いんだから」

なんかあたし、ママみたい。

好き嫌い言ってるあたしにママは「食べないと、おっきくなれないよ〜」って言ってくれたっけ。

懐かしいなあ。

アカリ「戻ってみんな!」
 ▼ 275 1◆J44kAZeDOM 15/12/13 20:29:51 ID:2bXRzcmI [5/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「まあ、帰るのはまだ先なんだけどね」

でも、こっから家までジム1個……ミオに途中で寄っても2個しかないのか。

アカリ「そう考えると少ないな」

……取りあえず、まずはハクタイまで無事着く事を考えないといけないのが辛いんだけど。

まあでも今のあたしには、この「1万円」がある!

これで死んだら、これ作った人を地の底から呪い殺してやる……

いけないいけない! そんな怖い事考えちゃダメだって!

アカリ「まあ、トレーナーとのバトルでお小遣いはもらえるしね」

負けない限り、だけど。

アカリ「さあて、忘れ物はしてないな。行こう!」
 ▼ 276 日はここまでです◆J44kAZeDOM 15/12/13 20:36:16 ID:2bXRzcmI [6/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「うーん、さすが1万円。あったかいな」

朝の寒い中でも寒さを感じさせないどころかむしろあったかいんだもん。1万円は伊達じゃない。

ってか、この上着もうあたしの中で、完全に「1万円」って名前になってるな。

まあいいや、間違ってないんだし。

さて、ここはエイチ湖のほとり。

エイチ湖は昨日見たから完全にスルーでいいや。

野生ポケモンは絶対避けなきゃ。こっから先、道は長いし、疲れていい事ないもん。

まあこの辺しばらくはトレーナーもいなさそうだし、そこは安心かな。

アカリ「キッサキの方ってずっと雪降ってるイメージだったけど、晴れる事もあるんだなー」

太陽が出てるってのはすんごいありがたい。

行きと違って、凍死の心配はもうしなくて大丈夫そうね。
 ▼ 277 ングドラ@ブリーのみ 15/12/14 03:07:53 ID:.JuA171Y NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 278 1◆J44kAZeDOM 15/12/14 22:07:04 ID:AuniKTeQ [1/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「うわ……すごい……」

雪が積もって、体ごと埋まっちゃったんだけど。

なんかめっちゃ柔らかくって、冷たい。

柔らかいけど、それでもかきわけて行くには面倒ね……

まあでも、バトル仕掛けて来るトレーナーの目くらましになるって思えばいいか。

アカリ「にしても歩きにくいなー」

ホント、よくこんなとこに来られるよねみんな。

スキーしてる人はまだわかるよ? でもさ。

ここに純粋に修行しに来てる人も世の中にはいるらしいし……

世の中には物好きもいるんだなあ。
 ▼ 279 1◆J44kAZeDOM 15/12/14 22:16:28 ID:AuniKTeQ [2/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「キッサキにジムがなかったら、こんなとこ絶対来てないよねあたし」

いやでもあの事件がなかったらそんな事思わないか。

あたし、確かに行く前は楽しみにしてたもん。

全部あの事件が悪いのよ。

アカリ「まあ、迷ったあたしが悪いのか」

今度こそ絶対迷わない。まあ、太陽が見えてるし、方向はわかるから、だいぶ楽よね。

アカリ「太陽がこんなありがたいって思ったの初めてだなあ」

あ、そろそろ217番道路抜けるのかな。

テンガン山の岩肌……雪に覆われてるのに岩肌でいいのかな? が見えて来た。

もう太陽は、真上に来ていた。
 ▼ 280 1◆J44kAZeDOM 15/12/14 22:20:47 ID:AuniKTeQ [3/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「って事はそんな時間かあ……きゃ!」

びっくりしたあ。

急に雪から体が抜けて、盛大に転んじゃった。

全く痛くないのが不幸中の幸いかな。

テンガントンネルハクタイ側は216番道路の東側につながってる。

ってな訳で、もうすぐこの雪まみれの土地ともお別れって訳だ。

感慨は深いけど、もう2度と来ないとだけは言っておこう。

さよなら、キッサキシティ。
 ▼ 281 レイハナ@さざなみのおこう 15/12/14 22:21:10 ID:AuniKTeQ [4/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
今日はここまでです
 ▼ 282 ノハナ@ナゾのみ 15/12/15 01:03:30 ID:zypHGkAY NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 283 メルゴン@はねのカセキ 15/12/15 02:48:15 ID:n9NucFlc NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
支援
 ▼ 284 1◆J44kAZeDOM 15/12/15 18:24:24 ID:qCvuQr2o [1/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
>>280
なんで西と東を間違えたんだ俺のアホ
 ▼ 285 1◆J44kAZeDOM 15/12/15 18:27:32 ID:qCvuQr2o [2/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
さて、長いテンガントンネルも抜けて……

ちょっと暑くなって来たな、1万円は脱ごう。

気を取り直して……

アカリ「とうちゃーく! ハクタイシティ!」

うーん、やっぱり硬い足場はいいねえ。

トンネル抜けてる間にもう夕方……って言うにはまだ早いか。

時間に余裕が出来ちゃったな……どうしよう。

まあ、取りあえずポケセン行って泊まる場所を確保してからかな。
 ▼ 286 ちます◆J44kAZeDOM 15/12/15 18:30:53 ID:qCvuQr2o [3/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ポケセン

アカリ「まずはみんなを回復させてください」

ジョーイ「わかりました!」


ジョーイ「お預かりした(ry」

アカリ「ありがとうございます! それと、部屋を取りたいんですが」

ジョーイ「トレーナーカードを見せてください」

アカリ「どうぞ」

ジョーイ「了解です。ではこちら、部屋のカギとなります!」

アカリ「ありがとうございます!」
 ▼ 287 1◆J44kAZeDOM 15/12/15 20:43:46 ID:qCvuQr2o [4/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
さあて、部屋も予約した事だし……どうしよう。

時計を見ると、まだ4時。

今までジム戦にだいたい2時間ぐらいかかってたけど、それを考えても晩御飯にはたぶん間に合うし……

ってかあたし、負ける可能性も考えないと。

そうだ!

レントラー、たぶんまたハクタイジムの対策考えてくれてる!

まずはそれを聞くところからかな。

アカリ「みんな、出て来て!」
 ▼ 288 1◆J44kAZeDOM 15/12/15 20:49:37 ID:qCvuQr2o [5/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
視点 レントラー

アカリ「先生! ハクタイジムの対策を教えてください」

いやいきなりどうしたその態度。

まあ確かにトバリでもキッサキでも俺の予想は当たってたし、頼りたくなるのはわかる。

実際ヒマだったからみんなでボールの中で考えてた。

でもさあ、なぜそんなおどける。

アカリ「そんな変な目で見なくてもいいじゃん。冗談なんだし」

不満気に口をとがらせるアカリに、ボールの中で考えていた作戦を伝えた。
 ▼ 289 1◆J44kAZeDOM 15/12/15 21:07:46 ID:qCvuQr2o [6/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
いや、正確には、作戦とは呼べないのだが。

レントラー「ペラップ、通訳頼むな」

ペラップ「りょーかい」

まず第一に、俺たちの今現在のレベルと技を確認する所から始めた。


ポッタイシがLV33。覚えてる技は波乗り、冷凍ビーム、メタルクロー、つつく。

熱湯が波乗りに、吹雪が冷凍ビームになっただけ。ノーコメントで。

そして俺ことレントラーがLV35。技はスパーク、充電、雷の牙、かみつく。

いつの間に雷の牙なんて覚えてたのかわかんないけど、たぶんスパークで事足りるんだよなあ。

グレイシアはLV36。技は吹雪、電光石火、冷凍ビーム、シャドーボール。

氷タイプらしい技構成になったな。草タイプのハクタイジムではこいつがカギを握るのは間違いない。

ペラップはLV34。霧払い、おしゃべり、ハイパーボイス、オウム返し。

おしゃべりも草タイプには有効打になる。
 ▼ 290 1◆J44kAZeDOM 15/12/15 21:15:40 ID:qCvuQr2o [7/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ただ。

レントラー「普通、バッジ6個もあって最初の3匹が最終進化してないってのは遅すぎる……いや、この場合早すぎる? と思うんだよ」

現に、ポケスペだとトバリ……つまりバッジ3個で最終進化していた。

アニメだといろいろあれだけど、サトシを基準に考えたらダメな事ぐらいわかる。

まあ、そんな事は口にしないけど。

アカリ「むう……確かにコウキ兄ちゃんたちもバッジ4個の時点でドダイトスとかに進化してたみたいだしなあ」

アカリ「油断大敵だって事は、マキシさんに教わったしね。うんわかった。もう少し修行するよ」

そう、それでいい。

アカリ「となると、ハクタイの森が最適?」

自転車ないし、まさか雪の降るあそこに戻る訳にもいかないし、211番道路ハクタイ側かハクタイの森かになるのは当然の事だ。

でも、どうせ夜修行するなら、せっかくなら森の洋館に行ってみたい。

ガチなホラースポットだけど、シンオウに来たからにはスルー出来ない場所な訳で。

アカリ「そうだよね、うん。じゃあみんな! 今からハクタイの森へしゅっぱーつ!」
 ▼ 291 ェークル@シュカのみ 15/12/15 21:16:41 ID:qCvuQr2o [8/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
今日はここまでです

後、オリ解釈が出てきますので、苦手の向きはご注意ください
 ▼ 292 ルーグ@やみのいし 15/12/16 17:20:18 ID:ls8unvOk [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援

…ってあれ?
今気づいたけどこの人ってポケダンの生命の探検隊書いてた人?

ってこんなコメントしてけろたんに怒られないかなあ
 ▼ 293 1◆J44kAZeDOM 15/12/16 21:02:28 ID:V9UM7h7k NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
すいません、書き溜めしないと矛盾が生じかねないシーンに再び突入しそうなので、しばらく更新ペース落ちるかもしれません
ご容赦ください

>>292
正解です。一応前スレの最初の方にうらるを貼ってありますが
 ▼ 294 ョボマキ@ミアレガレット 15/12/16 22:14:23 ID:ls8unvOk [2/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
>>293
ずっとromってたけどあれ好きだったよ

ってこんなコメントしたら信者って言われちゃう…
 ▼ 295 1◆J44kAZeDOM 15/12/17 20:32:55 ID:5US6vRAM [1/29] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
グレイシア「何……ここ……」

夕暮れ時。要するに、太陽が沈みかけの時間。

グレイシア「いやおかしいよね?! 絶対夕方に来る場所じゃないよね?!」

ポッタイシがにやにやしながら「怖いんだ」と茶化すと、顔を真っ赤にしながら否定した。

怖いんだな、ふうん。

アカリ「なんかちょっと怖いな……いかにも出るって感じ。よし。みんな出て来て!」

グレイシア「え、ちょっと待って。あのペラップ? あたしをボールに戻してって通訳して」

ペラップ「ごめん」

笑いをこらえるその表情に、グレイシアは怒ったように言った。

グレイシア「もういいよ! 怖くなんかない、怖くなんかない……」
 ▼ 296 1◆J44kAZeDOM 15/12/17 20:33:20 ID:5US6vRAM [2/29] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「あれ? あんなとこに人?」

グレイシア「やばいってあれ絶対やばい奴だって……」

レントラー「落ち着け。あれはたぶん普通の人だ」

幽霊の正体見たり枯れ尾花だったりするし、落ち着かないと。

と言っても今の俺には対抗手段、かみつくがある訳で。その観点から行くとシャドーボールが使えるグレイシアもそこまで怖がる必要はないんだけどな。

アカリ「あの〜、すいません。こんな所に用があるんですか?」

男「ああ、うん。ちょっと小説を書く参考にしたくて」

アカリ「小説?」

男「ある事件に巻き込まれてね、仕事を辞めたんだ。それで、諦めた夢に再チャレンジ、なんて、初対面の人に言ってもしょうがないか」

アカリ「まあ、確かにそうですね」

男「厳しいなあ。ところで、そう言う君はなんで森の洋館なんかに? やっぱり、肝試しか何か?」

アカリ「ちょっと修行に来たんです」
 ▼ 297 1◆J44kAZeDOM 15/12/17 20:33:46 ID:5US6vRAM [3/29] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
男「そうか……なら悪い事は言わないから、ここ以外のどこかでした方がいいと思うよ」

アカリ「え、なんでですか?」

男「小説のテーマにしようと思ってるんだけど……旅の最中なら知らないかもしれないな。ちょっと説明するね」

アカリ「お願いします。ここ、やっぱり心霊スポットなんですか?」

男「心霊とか、そう言うレベルじゃない。実際、ここには出るんだ」

アカリ「へ? ゴーストポケモンが?」

男「それもだけど、それだけじゃない。実際、目撃例がたくさんあるんだ」

アカリ「へ、へえ……」

普段なら笑い飛ばす所だ。だけど、俺はここが実際に地雷スポットだって事は知っている。

知っての上で、それでも好奇心には勝てなかった。だから、ここに来てみたかった。

男「まあそれだけじゃどうしようもないかもね。でも、ここがなんで捨てられたかって知ってるかい?」

アカリ「いえ……」
 ▼ 298 1◆J44kAZeDOM 15/12/17 20:34:08 ID:5US6vRAM [4/29] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
男「だろうね。知らなくても不自然じゃない。現に僕も調べるまで知らなかった訳だし」

男「実はここ、前に殺人事件があったんだ」

アカリ「へえ……へえ?!」

男「1人の少年を残して、一家惨殺。その少年は、今は行方知れずらしいね」

アカリ「そ、そんな事が……」

男「それだけじゃない。現実に、最近、ある1人の少女がここに入って行ったきり、帰って来ないんだ」

男「ちょうど……君ぐらいの年齢だったな」

アカリ「ウソ? あ、敬語……」

男「ははは、僕もよく忘れるんだよ、敬語。だから、お互いさまって事で」

アカリ「そうなんですか」

男「しかも、その子を探しに行ったおじいさんも行方不明らしいね」

アカリ「そんな……まさか」

男「やめにしよう。ムダに怖がらせるだけだし」
 ▼ 299 1◆J44kAZeDOM 15/12/17 20:34:32 ID:5US6vRAM [5/29] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
男「にしても君のポケモン、強そうだね」

アカリ「ありがとうございます! あたしがここまで来られたのも、みんなのおかげですよ」

男「100点満点の解答だね。僕も一応2匹いるんだけど……たぶん君ほどは強くないからさ」

アカリ「あたしじゃなくて、あたしのポケモンがです。それで……あなたは、ここを調査するんですよね?」

男「ああ、そのつもりだけど」

アカリ「なら、一緒に行かせてください! あたしの強いポケモンと、大の大人。これで完璧じゃないですか」

男「なるほど、そう言う考え方もありか。確かに僕も正直保険は欲しい。でもね、一緒に来るのは構わないけど、自分の身の安全を一番に考えてね」

アカリ「はい。まあ大人はそう言わざるを得ないですしね」

男「ははっ、よくわかってるじゃないか」

グレイシア「マジか……行きたくないなあ……」

――タスケテ……

レントラー「ん? 今誰か何か言ったか?」

グレイシア「やめてよ怖い……怖くなんかないけど!」
 ▼ 300 1◆J44kAZeDOM 15/12/17 20:34:59 ID:5US6vRAM [6/29] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
きしんだ音をたてて、扉が開いた。

男「老朽化が激しいな……なんで残されてるんだろ?」

アカリ「さ、さあ?」

そういや確か、ここにはゴースが大量にいるはずだ。この空気をあまり長い事吸ってると、たぶん、毒に侵される。

ペラップ「通訳しようか?」

ペラップが小声で聞いた。

いつの間にか声に出ていたのか。まあいいや、どうせ頼もうと思って……あ。

レントラー「頼む……って言いたい所だけど、無関係な人がいる」

ペラップ「OK」

幸い、ささやくような声は男の耳には届かなかったらしい。
 ▼ 301 1◆J44kAZeDOM 15/12/17 20:35:34 ID:5US6vRAM [7/29] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
さて、さっき聞こえた助けてって言葉だけど、なんとなく心当たりがある。

前どっかで聞いた記憶があるんだ。

ロトムの声を逆再生すると、タスケテ、となる。

そして、森の洋館は、ロトム初登場の場所だ。関連性がないと言ったら、ウソになる。

男「ゴーストポケモンもいっぱいいるだろうからね……念のため。リオル、よろしく!」
 ▼ 302 1◆J44kAZeDOM 15/12/17 20:35:54 ID:5US6vRAM [8/29] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
リオル「はーい!」

元気いい子ども、そんな感じの声をあげながらボールから飛び出して来る。

男「リオル、見破る」

リオル「オッケー」

ずいぶん軽いノリだなあ、こんな場所なのに。

その天真爛漫さが、どことなく、記憶の奥底にある刈谷の像と一致した気がして、慌てて頭を振った。

リオル「うわあ、いっぱいいる……」

男「ゴースか……ハンカチか何か持ってる?」

アカリ「え、なんでですか?」

男「ゴースの体には毒がある。大量に吸えば命が危ない」

ナイス! さすが大人だけあって知識量が豊富だな。

アカリ「ハンカチなら……何枚かありますよ。貸しましょうか?」

男「ありがとう」
 ▼ 303 1◆J44kAZeDOM 15/12/17 20:36:28 ID:5US6vRAM [9/29] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「にしてもすごいですね。一気にゴースが出て来て、びっくりしましたよ」

男「見破るの効果は絶大だからね。実際、前僕が巻き込まれた事件も、見破るがなかったら真実に辿り着く事はなかった」

アカリ「へえ……今度教えてくださいよ」

男「わかった」

アカリ「それで……あっ、あれ……」

男「幽霊かもね。まあ、幽霊の正体見たり枯れ尾花だったりするし、一応確かめて……」

アカリ「レントラー、透視頼める?」

ああ、なるほどね。わかった。
 ▼ 304 1◆J44kAZeDOM 15/12/17 20:37:00 ID:5US6vRAM [10/29] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
じっと意識を集中する。

……何にも見えない? いや見える物はあるんだけど、人影は……

アカリ「どう?」

首を横に振った。

アカリ「……え?」

男「ああ! そういやレントラーは透視出来るんだった。なるほど……参考になるな」

アカリ「それどころじゃなくて! 人影がないってまさか……」

男「ああ、ビンゴだろうね」

アカリ「マジか……」

いつの間にか、グレイシアは意識を失っていた。

アカリ「と、その前にグレイシアだけボールに戻さないと。気絶しちゃったみたいなんで」

男「大変だね」
 ▼ 305 1◆J44kAZeDOM 15/12/17 20:37:29 ID:5US6vRAM [11/29] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
男「じゃあ、行こうか。1、2の3!」

アカリ「とりゃああああ!」

勢いよく入って行ったはいいけど、そこには……食堂には何もなかった。

――タスケテ……

まただ。俺以外の誰にも聞こえてなさそうだが……

ん? これ、もしかして……電気?

だとすると、俺にしか感知出来ないのは納得だけど……

ロトム、一体どうしたんだ?
 ▼ 306 1◆J44kAZeDOM 15/12/17 20:37:49 ID:5US6vRAM [12/29] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「何もなさそうですね……」

男「それならそれでいいんだけど……」

レントラー「ポッタイシ、俺、なんかすげえ嫌な予感がする。ちょっと、元を叩いて来る!」

ポッタイシ「え、ちょっとレントラー?」

制止の声を後ろに聞きながら、俺はこっそり食堂を抜け出し、2階へと向かった。
 ▼ 307 1◆J44kAZeDOM 15/12/17 20:38:13 ID:5US6vRAM [13/29] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
視点 アカリ

アカリ「……あの。レントラーがいません」

男「え?」

アカリ「レントラー、どっか行っちゃった……!」

男「それ、まずくないか?」

アカリ「まずいですよそりゃ!」

レントラーは元人間。だから、何かここに関しても知ってるのかもしれない。

だけど、こんなとこで単独行動って、完全に死亡フラグだもん。

やばいよレントラー……

その時、何か、寒気を感じた。

男が振り返り、こちらに背中を見せながら言う。

男「取りあえず、手分けして探そう」

???「ふう、やっと自由に動けるよ」
 ▼ 308 1◆J44kAZeDOM 15/12/17 20:38:35 ID:5US6vRAM [14/29] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
男「え?」

あれ? 今誰か何か言った?

男「どうかしたの?」

やっと自由に動けるって、どういう事?

???「私、これでまた生き返る。第二の人生を送れるの。だから、邪魔しないで」

この声に、どこか聞き覚えがあった。

いや、聞き覚えなんてもんじゃない。

でも、なんで?

なんで……








あたしは、こんな訳のわからない事を?
 ▼ 309 1◆J44kAZeDOM 15/12/17 20:39:03 ID:5US6vRAM [15/29] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
そんな疑問なんてどこ吹く風で、あたしの口は勝手に動く。

アカリ?「私ね、殺されたのよ」

男「ちょっと、何言って……まさか、憑りつかれた?」

アカリ?「正解。別の事に気を取られてる間にね」

あたしに憑りついた?

男「まさか……消えた少女? 殺されたって……」

それが、なんであたしに?

まさか……あたしと同じぐらいの歳だから……とか?

いや、それ……マズイよね。
 ▼ 310 1◆J44kAZeDOM 15/12/17 20:39:26 ID:5US6vRAM [16/29] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
視点 レントラー

ロトムのテレビは確か……左から2番目!

ここだっ!

レントラー「ロトムっ! いるんだろっ!」

???「ウン! ドウシタノ?」

レントラー「へ?」

いきなりマヌケな程に明るい声が聞こえ、拍子抜けした声を出す。

ロトム「モシカシテ、遊ビニキテクレタノ?! ワーイ!」

レントラー「いや、今助けてって声が……」

ロトム「アア! ソレナラ、悪イニンゲンガテレビノ中デ叫ンデルンダヨ!」

レントラー「悪い人間がテレビの中で?!」

明るい声からの唐突な怪談。その落差に、めまいさえ覚えた。

ロトム「ウン! 他ノニンゲンヲ殺シタカラ、僕ガ閉ジ込メタダヨ!」

レントラー「殺しって……」

ロトム「詳シイ話、聞キタイ?」

レントラー「ああ、頼む」
 ▼ 311 1◆J44kAZeDOM 15/12/17 20:39:48 ID:5US6vRAM [17/29] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
視点 アカリ

アカリ?「私はね、ポケモンを追いかけて、ここに入った。それが悪い事なのは知ってる。でもね、それでも、私は、やっぱり、死にたくなかった」

男「殺されたってどういう事だ?」

アカリ?「そのまんまの意味よ。私を襲って、そのまま殺した男がいるのよ」

アカリ?「裸にされて、それで……あー、思い出しただけで吐き気して来ちゃった」

男「……それは災難だな。成仏出来なくても仕方ない」

なんだろ……災難なんて言葉じゃ片付けられない気がする。

そんな男、最低だよ。あたしがこの子でも、たぶん幽霊にはなってた。

男「だが、なぜ憑りついた?」

アカリ?「動機? そんなの決まり切ってるでしょ?」

アカリ?「復讐、よ」
 ▼ 312 1◆J44kAZeDOM 15/12/17 20:40:08 ID:5US6vRAM [18/29] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
視点 レントラー

レントラー「そんな事って……」

ポケモンの世界にもそう言う事がある。

その事実が、訳もなくショックだった。

ロトム「デ、許セナカッタカラ、ソイツヲテレビノ中ニ閉ジ込メタンダ。スゴイデショ!」

そいつの声が助けての正体だったんだ。

それで、か。なるほど。

確かに、そんなゲスを助けようって気にはなれない。

ロトムの行為を褒められるかと言ったら話は別だけど。

レントラー「取りあえず、今ここに入って来てる人間2人に、ちょっかいかけたりするなよ」

ロトム「モチロンダヨ!」

よし、これで安心だ。

殺人事件の犯人が眠ってる、それがこの森の洋館の都市伝説の真相なんだ。

案外単純な真実に拍子抜けしながら、俺はロトムにさよならを告げた。
 ▼ 313 1◆J44kAZeDOM 15/12/17 20:40:29 ID:5US6vRAM [19/29] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
視点 アカリ

男「復讐……か」

アカリ?「うん。だから、私はこの体を借りるの」

男「そうか……その犯人の居場所、わかっているのか?」

アカリ?「ううん。だからこれから調べるの。絶対なんとかなるよ! 調べればどんな事だってわかる。大人はみんなそう言うし」

男「そうか……だが、それがこの子に迷惑になるとは思わないのか?」

どう考えても迷惑よ。自分の体を自由に動かせないなんて。

アカリ?「それは悪いって思ってる。でも、そんな事じゃ、私の決心は変わらない!」

男「そうか……君は強いな」

そんな時、レントラーが入って来るのが見えた。

アカリ?「レントラー!」
 ▼ 314 1◆J44kAZeDOM 15/12/17 20:40:50 ID:5US6vRAM [20/29] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
あ、今あたしの声が出た!

もしかしたら、取り返せるかも!

アカリ?「ごめんなさい、だけど、落ち着いて」

これが落ち着いてなんかいられるもんか! 返せ!

レントラーが不審気な声をあげた。

男「この子、憑りつかれたんだ。どうすればいいのか……」

それを聞いたレントラーは、慌てた表情を見せると、振り返って走り去る。

アカリ?「あ、ちょっと待ってよ!」

まただ、またあたしの声だ!

アカリ?「この子、レントラーの事になるとすごい必死ね。でも、お願いだから、この体を貸してよ! お願いだから!」

不意に大声が聞こえたのは、その時だった。

ペラップ「ふざけないで!」
 ▼ 315 1◆J44kAZeDOM 15/12/17 20:41:18 ID:5US6vRAM [21/29] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ペラップ「何が復讐よ! 何が自分を殺した相手を殺したいよ! そんな事、許される訳ないでしょう!」

アカリ?「……あんたに何がわかるってのよ!」

男「……しゃ、しゃべった?!」

あっちゃー、やっちゃった。でもペラップ、いつもは大人しすぎるぐらい大人しいのに、一体なんで急に?

ペラップ「そりゃ、私だって復讐したい奴はいるよ! 私、ニンゲンの言葉を話せるから、いじめられてたもの!」

アカリ?「へえ、そんな事があったんだ。じゃあ、しちゃえばいいじゃん、復讐」

ペラップ「でも! でも、復讐しちゃったら、自分も相手と同じ立場に堕ちるのよ! わかってるの?!」
 ▼ 316 1◆J44kAZeDOM 15/12/17 20:41:41 ID:5US6vRAM [22/29] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ビックリした。ペラップ、いじめられてたんだ……

だからあんな、いつも暗かったの?

アカリ?「それは、実際にやる勇気のないビビりの言い訳よ」

ペラップ「それは……」

アカリ?「わからない? あなた、いつもおどおどしてたんでしょ? どうせ」

まあ確かにそうだけど……でも、ペラップの事をバカにするな!

でも、肝心のペラップは、何も言えないでいる。

男「ちょっと待ってくれ、そのペラップ……」

ペラップ「はい、しゃべれます。ニンゲンの言葉」

アカリ?「あ、もしかしてホントに人間の言葉話してたんだ。それはすごいと思うよ」
 ▼ 317 1◆J44kAZeDOM 15/12/17 20:42:01 ID:5US6vRAM [23/29] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ?「でも、それとこれとは関係ない。私は違うの。あなたとはね」

ペラップ「でも……復讐したいって思うような相手と同じ立場に立った時、自分がどうなるか、わかる? 最低のクズなのよ!」

アカリ?「うるさい! うるさいうるさいうるさいっ!」

ペラップ、頑張れ! たぶん、この幽霊は、動揺してる。内からも少し揺さぶりをかけてみよう。

――殺人事件の犯人になるのって、つらいのよ。まあ、この場合、逮捕されるのは全く関係のないあたしなんだけど。

アカリ?「それは申し訳なく……」

――申し訳ない、じゃ済まないの。あたしの人生終わりよ?

アカリ?「ああ……」

――そんな迷惑をかけて、自分も最低になって、何がしたいの?

アカリ?「やめて……」

ペラップ「ええ、だから、やめましょう。こんな不毛な事」

ペラップ「私も、みんなと一緒に旅をして、変われた。あなたはもう死んじゃったけど、またきっと、生まれ変わったら、もっといい人生が待ってるよ」

アカリ?「うああ……」

あたしの目から、涙がこぼれた。
 ▼ 318 1◆J44kAZeDOM 15/12/17 20:42:54 ID:5US6vRAM [24/29] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
視点 レントラー

あー、なんとなーく状況は掴めた。

たぶん、今アカリに憑りついてる女子を殺した犯人こそが、今テレビの中にいるあいつなんだろう。

だとすると、あの少女の願いは、始めから意味を為していなかったって訳だ。

だけど……改心したみたいだし、今さらそれを伝えるのも野暮かな。

わざわざロトムを呼びに行ったはいいけど……

レントラー「無駄足だったっぽいな、ロトム」

ロトムは、黙ってペラップが話しかけるのを眺めていた。

にしてもペラップ、乗り越えたみたいだな。

ロトム「アノ子、アイツガ殺シタ女ノ子ソックリダナア」

レントラー「マジか」

泣き崩れるアカリの体から、何かが抜けて行くのが見えた。

ポッタイシ「事件、無事に解決したみたい。ところでレントラー、だいぶ息があがってるみたいだけど、大丈夫?」
 ▼ 319 1◆J44kAZeDOM 15/12/17 20:43:20 ID:5US6vRAM [25/29] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
レントラー「え?」

ポッタイシ「走ったみたいだけど……ここ、ゴースがいっぱいいるのよね」

あ。

必死に走り回った事で意識が散っていたから気付かなかったけど……

自覚した途端に猛威を振るうのが病気だ。

体内に蓄積している毒素も、意識に上った瞬間に体を襲う。

ポッタイシ「大丈夫……じゃなさそうね。ペラップ! レントラーの毒を治してってアカリに……そっちの人でもいいけど、伝えて」

???「その必要はない」
 ▼ 320 1◆J44kAZeDOM 15/12/17 20:43:40 ID:5US6vRAM [26/29] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ポッタイシ「え?」

男「あ、おじいさん……の幽霊、もしかしてこの子に憑りついた子の?」

おじいさん「ああ、祖父だ」

男「それで、一体どうしたんですか?」

冷静に状況に対処するその態度に、大人の余裕を感じさせた。

おじいさん「ほれ、そこのレントラー、毒に侵されておるじゃろう?」

男「え、あ、ほ、ホントだ! あ、敬語忘れた……」

おじいさん「そこで、向こうのゴミ箱の中にじゃが、毒消しが入っている」

おじいさん「それでこのレントラーの毒を治してやってくれ」

男「あ、はい!」

そういや、毒消しがダウジングで見付かるって聞いたな……ダウジングだったっけ?
 ▼ 321 1◆J44kAZeDOM 15/12/17 20:44:06 ID:5US6vRAM [27/29] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
おじいさん「ペラップや」

ペラップ「あ、なんですか?」

おじいさん「ありがとう。これでワシも孫も、旅立てる……」

ペラップ「旅?」

ポッタイシ「成仏って事よ。察してあげて」

男「レントラー、毒消しだよ」

吹きかけられる薬に、体の毒が抜けて行くのを感じた。

レントラー「ありがとうございます……」

アカリ「う、うーん……」

アカリの意識も戻って来たらしい。

孫「ごめん……ありがとう。私、あいつをバカにしながらあの世でも楽しくやって行くよ。人殺しなんて、誰かを傷付ける事なんて、サイッテーだから」

ペラップに向かって笑いかける。ペラップも笑い返した。

アカリ「あっ、みんな……」

孫「体、乗っ取っちゃって、ごめん」

アカリ「……いいよ、別に。こうして返してくれた訳だし」

孫「じゃ、行こ、おじいちゃん。じゃあね!」
 ▼ 322 1◆J44kAZeDOM 15/12/17 20:44:38 ID:5US6vRAM [28/29] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
気が付いたら、屋敷の外にいた。

心霊現象なんて、だいたいそんな、唐突な物だ。

男「ふう……全員無事か?」

アカリ「はい……レントラー、ポッタイシ、ペラップ……グレイシアは?」

ペラップ「ボールの中」

アカリ「あ、そうだった」

男「リオル、ムウマージ。うん、大丈夫だ。にしても、ここにそんな事が……」

アカリ「あれ? 見た事ないポケモン……こんな時のための図鑑よね」

アカリ「何々……ロトム、プラズマポケモン。かあ」
 ▼ 323 日はここまで◆J44kAZeDOM 15/12/17 20:45:05 ID:5US6vRAM [29/29] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ロトム「僕モ一緒ニ行キタイ!」

アカリ「え、なんか言ってるの? ペラップ、通訳よろしく」

ペラップ「一緒に行きたいんだって」

アカリ「そう。なら、行く?」

レントラー「なんで急に?」

ロトム「楽シソウダシ、探シタイニンゲンモイルシネ」

アカリ「わかった。じゃあ行くよ……モンスターボール!」

簡単に同行が決まった。

にしても、1つ気になる事がある。

ロトムは、全くここで起こった過去の方の、一家惨殺事件には関係ないのだろうか。

記憶があやふやだけど……プルートの部屋に行って、フォルムチェンジついでに確認したいな、あのノート。

たぶんだけど……生き残った少年=ノートの少年だろうから、無関係なはずがない。たぶん、=探したい人間でもあるはずだし。

でもまあ、今は。

気にしないフリで歓迎すべきかな。
 ▼ 324 ビィ@ノーマルジュエル 15/12/18 00:39:20 ID:t3/i/XSs NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
 ▼ 325 1◆J44kAZeDOM 15/12/18 20:45:30 ID:WJlybaPA [1/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「これからよろしくね、ロトム」

男「取りあえず、この洋館で起こった少女殺人事件の真相はわかった……でも、おじいさんは一体なんでここで殺されてたんだろう?」

殺されてたとは限らないな。

俺がぱっと考えて思い付く限りだと、ロトムが犯人を引きずり込む現場を目撃してその衝撃で、ってのとか。

まあ、そんなのぐらいしか思い付かないんだが、後でロトムに聞いてみるか。

アカリ「まあいいじゃないですか。あたしたち、ちゃんと無事に帰って来られたんだし」

男「まあ、それもそうだな。とすると、ここを参考にする計画は頓挫か……」

アカリ「ドンマイです」

男「そうだ、なんなら明日、旅の話聞かせてくれない? 参考になるかも」

アカリ「あ、全然OKです」

男「ありがとう。明日、君はジム戦するんだよね?」

アカリ「はい」

男「なら、昼過ぎにポケモンセンターで」

アカリ「わかりました」

男「じゃ、お礼も込めてポケセンまで送るよ」
 ▼ 326 1◆J44kAZeDOM 15/12/18 20:52:13 ID:WJlybaPA [2/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ってな訳で男と一緒にポケセンまで歩いた。

男「僕の家はすぐそこだから。それじゃあ、また明日」

アカリ「また明日!」

吊り橋効果だったっけ? 危険な状況をともに乗り越えた2人の間に、いつの間にか友情が芽生えてる。

まさしくそれなんだろうけど……まあ、あんまり深く付き合う訳でもないし、いいか。

アカリ「結局あんまり修行にはならなかったような気もするけど……ロトムも仲間になったし、いっか」

……まあ、数の暴力は偉大だしな。
 ▼ 327 1◆J44kAZeDOM 15/12/18 20:52:38 ID:WJlybaPA [3/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
グレイシア「う、うーん……」

ポッタイシ「ようやく起きた。ペラップが頑張ったってのに」

グレイシア「え?」

ポッタイシ「ペラップが、アカリに憑りついた幽霊を追い払ったのよ」

ペラップ「いや、それほどでも……」

グレイシアのあんぐりと口を開けた表情が目に浮かぶようだ。

ロトム「脅カシガイガアリソウ」

グレイシア「うわっ! だ、誰?」

ロトム「僕、ロトム! ヨロシクネ!」

グレイシア「よ、よろしく……」

まあ、これからしばらくはグレイシアにとって苦難の旅になるだろうけど、我慢してもらうしかない。
 ▼ 328 1◆J44kAZeDOM 15/12/18 20:57:51 ID:WJlybaPA [4/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「取りあえず、みんなを回復させなきゃね」

それもそうだ。短い時間とは言え、毒に侵された訳だし。

体力もそれに伴って減っているのは、自分でもわかる。


このマシン、改めてすごいよな。

あっという間に体力を回復させるって、どうなってんだろ。

ジョーイ「お預かりした(ry」

アカリ「ありがとうございます!」

それはともかく、部屋はもう取ってある訳だからそのまま部屋に戻るしかないだろ。

いや、先に飯があるのか。

アカリ「ごはんかな、やっぱり」
 ▼ 329 1◆J44kAZeDOM 15/12/18 21:03:57 ID:WJlybaPA [5/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ロトム「ウワー、オイシソウ!」

まあ、まずくはない。いや、俺が飽きただけで、全然問題ないどころか、普通に旨い。

ロトム「アレ? ナンデミンナ静カナノ?」

レントラー「ペラップが人間の言葉を話すだろ。だから、無暗に会話させないようにしてんだ」

ロトム「フウン。ツマンナイノ」

ポッタイシ「もっと気を遣いなさいよ」

ペラップ「私は大丈夫」

おお、ペラップにしては力強く言い切った!

ペラップ「みんな、好きに話してよ」

グレイシア「あんた……変わった?」

ポッタイシ「だから言ったでしょ。あんたが気絶してる間に頑張ったって」

グレイシア「ううむ、まあいい事なんだけど、ちょっと複雑……」

ロトム「ドウシタノ? ミンナ」

グレイシア「な、なんでもないよ!」
 ▼ 330 1◆J44kAZeDOM 15/12/18 21:10:40 ID:WJlybaPA [6/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
その後、自己紹介に食事の時間は充てられた。

俺は、元人間だって事も、過去にあったと今推測している事について。

グレイシアも、ペラップも、自分のトラウマについて、包み隠さず説明した。

たぶん、もう2人とも乗り越えたんだと思う。

俺は、乗り越えると言うより、まだどこか、他人事のような、そんな感覚がある。だから、気にせず口に出せるんだけど。

ポッタイシに関しては、特に秘密がある訳でもないし、普通に自己紹介しただけだった。

そしてロトムの自己紹介。なんだけど。

気になっていた、肝心の探したい人間について、何も語らなかった。

今どこで、何をしているか。そもそもどんな風に名乗っているのか。

何の情報もないらしい。

何かを隠していたとしても、天真爛漫の仮面の下に完全に隠れ切って、たぶんわからないだろうな。

そういう意味では、隠し事をする時に何か強烈な別の何かに目を向けさせるってのは有用なのかもしれない。
 ▼ 331 1◆J44kAZeDOM 15/12/18 21:16:17 ID:WJlybaPA [7/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
まあ、結局、ロトムに関してわかった事と言えば、底抜けに明るい性格をしているって事。それだけだった。

アカリ「ごちそうさま。みんな食べ終わってる……ペラップも?!」

アカリ「まあ、今日は一番頑張ったもんね。お腹もすくか。みんな、戻って!」


部屋に着いて、ボールから外に出される。

アカリ「お風呂だけど……ロトムと一緒に入ったら、感電しそう……レントラー、一緒に入ってあげて」

レントラー「まあ……いいけど」

このロトムは、精神的にはどう考えても♂だ。ロトムって確か性別不明だったけどな。

そこまで考えてから言葉が通じない事に気が付き、慌てて首を縦に振った。

アカリ「ありがとう」

ロトム「オ風呂ッテ何?」

レントラー「風呂ってのは……」

ロトムが入る意味をあんまり見出せないけど、気にしたら負けか。
 ▼ 332 1◆J44kAZeDOM 15/12/18 21:20:23 ID:WJlybaPA [8/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ロトムが加わった事によってもたらされた変化で一番大きいのは、たぶん、風呂を待つこの時間が1人じゃなくなった事だろう。

今までは、この時間に全力で考え事してた訳だが、ロトムが仲間になった事で、そんな事をしているヒマがなくなったのだ。

ロトムは、子どもみたいに好奇心旺盛で、見る物全てが物珍しいこの空間にある物全てに説明を求めて来るのだ。

レントラー「はあ……疲れた……」

アカリ「あがったよー」

レントラー「やっとだ……」


もちろん、風呂でも質問攻め攻撃は為される訳だが、そんな事今の俺には想像もついていなかった。
 ▼ 333 1◆J44kAZeDOM 15/12/18 21:25:45 ID:WJlybaPA [9/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「なんかげっそりしてない? 大丈夫?」

レントラー「ま、まあね……」

ポッタイシ「どうしたのよ」

レントラー「好奇心旺盛過ぎだろこいつ……」

ポッタイシ「ああ、なんとなく察した」

グレイシア「ぎゃああっ!」

ロトム「ビックリシタ? ワーーーーイ!」

ペラップ「あんまり驚かさないであげてよ……」

アカリ「なんか……子どもみたいね。あたしも子どもだけど……」
 ▼ 334 1◆J44kAZeDOM 15/12/18 21:30:56 ID:WJlybaPA [10/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
違う意味で疲れた体を横たえ、アカリとの会話を試みる。

レントラー「ペラップ、通訳頼む」

ペラップ「わかった」

レントラー「ロトムはフォルムチェンジ出来るんだ」

レントラー「そのカギは、ギンガハクタイビルにあって、前プルートが落として行った秘密のカギで開けられる部屋にある」

アカリ「へえ」

レントラー「オーバーヒートとか、吹雪とか、エアスラッシュとかみたいな草に有利な技も覚えられるから、ジムの前に行った方がいいと思う」

アカリ「わかった。ギンガハクタイビルね」

レントラー「ああ」

これでよし。これで、あの部屋に入れる。

にしても、あの時カギを拾った俺の行為は、ホントに僥倖だな。

ロトムのフォルムチェンジには絶対必要なアイテムだったんだけど……まさかロトムが仲間になるなんてな。
 ▼ 335 1◆J44kAZeDOM 15/12/18 21:36:11 ID:WJlybaPA [11/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
とにかく、あの部屋に入ったら、日記とか、いろいろ確認したい。

ロトムの過去に関して何か情報がつかめるかもしれないしな。

ポッタイシもさすがに気付いてないか。でも、あの日記を見れば何かわかるかも……

って言うか、ほとんど確定な気もするけどな。

1人だけ生き残った少年は、ロトムと引き裂かれて行方知れず。

家族が皆殺しにされたんだ。施設に入れられてたりしてもおかしくはない訳で。

……改めて考えると、謎ってほど謎でもないな。

まあ、詳しくわかるのは明日だろう。今日はもう寝よ。疲れた……
 ▼ 336 チャモ@きんのたま 15/12/18 21:36:42 ID:WJlybaPA [12/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
今日はここまでです
明日からしばらく更新開きます。ご容赦ください
 ▼ 337 1◆J44kAZeDOM 15/12/23 21:24:02 ID:J/Wg1Ay. [1/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
翌朝。

さんさんと降り注ぐ太陽の光に目を開いた。

レントラー「くああ……」

ポッタイシ「おはよ」

レントラー「ああ、うんおはよ」

ポッタイシ「そろそろみんなを起こしちゃわない?」

レントラー「だな」

グレイシア「あたしはもう起きてるけどね」

レントラー「うわっ! 起きてたんだ……」

全く気付かなかった。ビビった……

グレイシア「暑くって、窓際で寝てたらほら、あっかるいじゃん?」

レントラー「なるほどな」
 ▼ 338 1◆J44kAZeDOM 15/12/23 21:32:26 ID:J/Wg1Ay. [2/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
なんて事を話しながら、ペラップ、ロトム、そしてアカリを叩き起こした。

ペラップ「おはよう……」

アカリ「もうこんな時間か……」

ロトム「オハヨー!」

あれ?

ロトムの顔を見て不意に思い出す。

アカリ、あのプルートの部屋の場所わかるか?

ギンガハクタイビルはわかる。だけどその中のどこにあるのか、説明しとかないとマズイような……

レントラー「ペラップ、朝から悪いけど、通訳頼んでいいか?」

ペラップ「うん、いいけど……」

ギンガハクタイビルの中の、プルートの部屋の位置について説明する。

アカリ「わかったけど……その部屋、プルートの部屋だったの?!」

頷いて見せた。

アカリ「だとしたら、もっといろんな情報があるかもしれないじゃん! プルートの目的とか、もっといろいろ!」
 ▼ 339 1◆J44kAZeDOM 15/12/23 21:36:41 ID:J/Wg1Ay. [3/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
あ……

そうだ、確かに。

ポッタイシ「知ってて気付いてなかったの……」

レントラー「あの部屋はロトムに関してだけの部屋だって思い込みがあるんだよ、仕方ないだろ!」

ポッタイシ「まあそれはそうとして、そうなるとスルー出来るはずがないよね」

アカリ「だとすると行かない訳にはいかないじゃん!」

2人の声が重なり合う。

アカリ「取りあえず朝ごはん食べたら、そのままハクタイビルにゴーだよ!」
 ▼ 340 1◆J44kAZeDOM 15/12/23 21:43:11 ID:J/Wg1Ay. [4/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
視点 アカリ

さあて、ごはんも食べたし、行きますか!


アカリ「1階の左奥……だったよね」

ギンガハクタイビル。ギンガ団第2のアジト。

今ではここも、しっかりと整備され、世のため人のための研究を続けている……って信じたいなあ。

って言うか、なんで入口を塞ぐみたいに木が生えてたんだろ。おかげで居合切りがなくて入れなかったって聞いたけど。

少なくとも、今あたしの目の前には入口を塞ぐ木なんてない。

……やましいとこがもうないって意味だといいなあ。
 ▼ 341 1◆J44kAZeDOM 15/12/23 21:50:31 ID:J/Wg1Ay. [5/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
したっぱ「ようこそお越しくださいました。今日はどのようなご用件で?」

すっごい丁寧。

これが世界を壊そうとした組織だっただなんて、信じらんない。

アカリ「いや、用って程でもないんですけど……これ(図鑑)じゃ証明になりませんか?」

お姉ちゃんたちはどうも、このビルは顔パスらしいし、それなら図鑑で関係してるって事を証明すれば……

はたしてしたっぱさんは、「ああ、それならどうぞ、遠慮なく」と招き入れてくれた。

いやあ、図鑑ってホントすごい。


左奥……壁しかないような……

ん? これ……鍵穴?

もしかして……
 ▼ 342 1◆J44kAZeDOM 15/12/23 21:56:33 ID:J/Wg1Ay. [6/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
レントラーがカンナギで見付けたカギ……と対応してるって事よね。どう考えても。

レントラーが教えてくれた事と照らし合わせてもそうとしか考えらんないし。

よし!

アカリ「うわっ! ホントにここだったんだ……」

壁が動いて、人が1人入る分のスペースが開いた。

音は静か。それだけに、急に動きだしたドアに、ビックリしたって訳だったんだけど。

誰も気付いてないのか。

よし、行こう。
 ▼ 343 1◆J44kAZeDOM 15/12/23 22:01:29 ID:J/Wg1Ay. [7/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「すごいな……」

よくわかんない機械がたくさん置いてある。

これ、いじったら爆発したりとかしたりして……

なんか笑い話じゃ済まない気がして、身震いした。

アカリ「でもなんで家電? どういう事だろ……みんな出て来て!」

レントラーに聞くつもりだった。でも、そんな必要はなかった。

真っ先に出て来たロトムが、笑うような声をあげながら、家電……芝刈り機に体当たりを食らわしたから。

そしてそのまま、芝刈り機の見た目が変化して行ったから。

ペラップ「これがロトムのフォルムチェンジ……機械のモーターに入り込むんだって」

レントラーの通訳をしてくれたんだろうな。

アカリ「レントラー、ペラップ。ありがとう」
 ▼ 344 1◆J44kAZeDOM 15/12/23 22:07:15 ID:J/Wg1Ay. [8/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
さて、ロトムは楽しげに飛び回ってる。

芝刈り機に入ったと思ったら冷蔵庫。

かと思ったら扇風機。洗濯機に、電子レンジ。

ロトム「ろーとととw」

ペラップ「凄いでしょ、だって」

アカリ「うん、凄いよ! こんな事が出来たんだ!」

ロトムが何か言ったのをペラップがまた通訳してくれた。

ペラップ「今度はもっといろいろしてみるよ、だって」

もっかい芝刈り機に入ったと思ったら、勢いよく草の嵐を飛ばして来た。

アカリ「リーフ……ストーム!」

さっきまでそんな技覚えてなかったのに!

次は扇風機に入って、また勢いよく、風の刃を飛ばして来る。

アカリ「エアスラッシュね!」

吹雪、ハイドロポンプにオーバーヒート。

アカリ「こんなに技覚えるんだ……」

普通、ポケモンは4つまでしか技を覚えないはずなのに!
 ▼ 345 1◆J44kAZeDOM 15/12/23 22:11:35 ID:J/Wg1Ay. [9/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
視点 レントラー

意識してる訳じゃないだろうけど、アカリがロトムを引き付けてくれてる。

その間に、俺はロトムの少年の日記を読ませてもらうとするか。

ポッタイシ「私にも読ませてよ。気になるし、何か手掛かりがつかめるなら、私も聞いた方がいいでしょ」

レントラー「もちろん」

わかってる。俺だけで考えるより、こいつと考えた方が圧倒的に効率がいい事ぐらい。

レントラー「じゃあ、行くぞ」
 ▼ 346 グロコ@イトケのみ 15/12/23 22:11:57 ID:J/Wg1Ay. [10/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
今日はここまでです
 ▼ 347 1◆J44kAZeDOM 15/12/24 20:24:37 ID:iRO7kOgc [1/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
出会いは突然だったよ。

僕が無くしたおもちゃのロボットを見付けた時芝刈り機のモーターからポケモンが飛び出して来たんだ。

で、僕はロボットを持ったままそのポケモンを見つめていたんだ……

そのポケモンはなんだかふわふわと浮かんだまま不思議そうに僕に近寄って来た。


ポケモンは電気を出しているのか周りの空気がびりびり弾けるような音がして……

このままだと僕の顔も痺れる! と思ったその時ポケモンは笑ったように見えた。

その時わかったんだ。僕たちは友達になれるって。


不思議なポケモンをロトムって呼ぶ事にした。

単純なんだけどロトム(Rotom)は芝刈り機のモーター(Motor)からその姿を現したからね。

モーターとロトム。なんだかわかるでしょ?


ロトムはイかしたポケモンだよ。

姿を消す事だって出来るし何と言ったっていろんな機械の中に入り込める!

さらに入り込んだ機械を動かせるんだロトムは!
 ▼ 348 1◆J44kAZeDOM 15/12/24 20:26:39 ID:iRO7kOgc [2/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
レントラー「あーそうそう。こんな感じだった!」

ポッタイシ「だいたい半分ぐらい読んだみたいね。続きを読みましょ」

レントラー「だな。でも……この少年の正体の手掛かり、なかったような気がする……」

ポッタイシ「仮にそうだったとしても、そう言う情報を集めないと真実なんて夢のまた夢だよ」

レントラー「それもそうか。ただ、スカでも落ち込むなよ」

ポッタイシ「OK」
 ▼ 349 1◆J44kAZeDOM 15/12/24 20:27:16 ID:iRO7kOgc [3/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
僕とロトムはどんな時も一緒だった。

ロトムから出ている電気のせいでなでたり抱きしめたりは出来なかったけど全然平気だったよ!

だって僕とロトムは心と心でいつも通じ合っているから


ある日の事だった。

ふわふわ浮いているロトムを見ていつもとは逆に僕がロトムを驚かしてみたんだ。

そうしたら……ロトムは驚き過ぎたのか体からの電気がいつもより広がり僕は痺れ気絶した……
 ▼ 350 1◆J44kAZeDOM 15/12/24 20:27:37 ID:iRO7kOgc [4/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
気付いた僕は周りにロトムがいない事を知り必死になって探し回った。

(気にする事なんてないのに)

(僕は大丈夫だよ)

(いつものように遊ぼうよ)

いっぱい言葉が溢れて来るのにそれを聞いてくれる友達はどこにも見付からなくて……


それはロトムを探している時だったんだ

僕はごみ捨て場でおもちゃのロボットを見付けた。

僕と目があったロボットはなぜだか手を振ってくれた。

それはロトムだとわかった。

僕はかけより力いっぱい抱きしめたままロトムにたくさん話しかけた。


そのたびにロボットの目が嬉しそうに光って……

きっと中のロトムからたくさん電気が出てるんだろう、なんだか今までよりもロトムの事がわかる気がした。

そして僕たちはずっと一緒だと言う事も……
 ▼ 351 1◆J44kAZeDOM 15/12/24 20:30:19 ID:iRO7kOgc [5/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
レントラー「うーん、こっから先は白紙か」

ポッタイシ「念のために奥の方になんか書かれてないか確認してみて。もしかしたら名前とかあるかもしれないし」

レントラー「なんで4足歩行の俺に頼るんだよ」

ポッタイシ「透視」

レントラー「あっ」

どことなく気恥ずかしくて、無言で透視してみた。

レントラー「ちっ、何もない」

ポッタイシ「だろうね。でも、何もないなら何もないってわかるのもまた、収穫だからね」

レントラー「わかってるよそんな事……」
 ▼ 352 1◆J44kAZeDOM 15/12/24 20:36:57 ID:iRO7kOgc [6/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
レントラー「これだけじゃなくて確か……プルートの研究日記もあったはず……」

ポッタイシ「え、どこに?」

レントラー「ちょっと探してみる」

再び透視。こんな便利な能力があるのに本編でもポケダンでもほっとんど活かされてないの、なんでだろ?

レントラー「……あれかな?」

うず高く積まれた書類の山から、それっぽい物を発見した。

レントラー「ポッタイシ、取れるか?」

ポッタイシ「任せて」

ちらっとアカリの方を見る。

ロトムの能力にまだ夢中になっていた。これならまだまだ大丈夫そうだ。
 ▼ 353 1◆J44kAZeDOM 15/12/24 20:38:19 ID:iRO7kOgc [7/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
とある場所で偶然特殊なモーターに出入りするポケモンロトムの情報などを入手した。

今わかっているのはモーターに入ったロトムはユニオンルームやWi-Fiルームに入ったり育てやに預けようとするとモーターから出て来るだけでなく場合によっては技を忘れる

いずれ詳しく研究して私の手柄とするためロトムに関係する一切合切を隠しておく。
 ▼ 354 ヒダルマ@ふねのチケット 15/12/24 20:44:34 ID:iRO7kOgc [8/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ポッタイシ「うわ……こいつ最低だ……」

レントラー「あれ? 俺が知ってる範囲だとここで終わってるはずじゃ……まだあんのか」

ポッタイシ「え? どういう事?」

レントラー「そのままの意味。俺がゲームとしてこの世界を見た時には確か、これに後天才科学者プル……まで書いて終わりだったはずなんだが……」

ポッタイシ「ふうん。だとすると、そこにいろいろ情報が隠されてる訳だ」

レントラー「だと思う」

ポッタイシ「これを見ない手はないよね。確認しよ」
 ▼ 355 1◆J44kAZeDOM 15/12/24 20:53:37 ID:iRO7kOgc [9/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ポケモンを操る機械が理論的に実現可能だとわかった。

そのメカニズムについてここに記しておく。


レントラー「操るメカニズム……なんだこれ、まったくわかんねえ」

ポッタイシ「メカニズムは取りあえずいらないと思う。って言うか、そもそも読めないし」

レントラー「つ、続きを読もうぜ」

複雑過ぎる図面に、これ以上見ていると頭がパンクを起こしそうだったから、慌ててページをめくってもらった。
 ▼ 356 1◆J44kAZeDOM 15/12/24 20:55:47 ID:iRO7kOgc [10/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
世界再創生のメカニズムを特定した。

ディアルガとパルキア、そしてギラティナとは違う第四の存在。

その存在を、この世とやぶれた世界の狭間に連れ込むと、世界はつり合いを失い、崩壊する。


レントラー「?」

ポッタイシ「どうかしたの?」

レントラー「いや、プルートって今更こんな、アカギの目的を気にするような奴だっけ?」

レントラー「しかもさ……ゲームの時書かれてなかったって事は、アカギが目的を断念してからって事だろ?」

ポッタイシ「まあ確かに、そんなキャラじゃなさそうだけど……」

レントラー「でも一体、なんでだ?」

ポッタイシ「まあいいじゃない。プルートはその情報を持って……それ、まずくない?」
 ▼ 357 イナン@ふるびたかいず 15/12/24 21:04:21 ID:iRO7kOgc [11/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ポッタイシ「だって……プルートは、生殺与奪の権利を、全て持ってるって事よ」

ポッタイシ「こんな……自分の事しか考えてないような悪人が……」

レントラー「安心しろ。世界創生の神アルセウス。たぶんそいつがプルートの言う第四の存在だ。間違いない」

レントラー「だけどな、アルセウスと出会う方法は、この世界にはないはずだ」

ポッタイシ「え?」

レントラー「どうやっても、アルセウスと出会うために必要な天界の笛は手に入らないんだ」

レントラー「改造使えば別だけどな」

ポッタイシ「あなたさあ、希望的観測にすがりたいのはわかるよ。でもね」

ポッタイシ「ここはあなたが知ってるシンオウじゃないの。そのカギが、どこかに現れない保証はないわ」

ポッタイシ「だから、その天界の笛? それをプルートに奪われたら、私たち、終わりなの」

ポッタイシ「それをちゃんと認識しておかないと、万が一の時に対処出来ないわ」
 ▼ 358 1◆J44kAZeDOM 15/12/24 21:09:36 ID:iRO7kOgc [12/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
レントラー「あーもうわかった! でも、今んとこ誰もその情報を入手出来てない事には変わんねえだろ?」

ポッタイシ「続きを読んでみよ」


その第四の存在と出会うためのカギは、天界の笛と呼ばれるアイテムらしい。

だが、それがどこに隠されているのかは、全くわからない。

今後もそれを調べて行くつもりだ。


レントラー「ほら」

ポッタイシ「まあ、そう簡単に見付けられるようなとこにあるはずがないもんね」

ポッタイシ「仮にあったとすれば、いつまでもじっとしてるはずがないし」

レントラー「ひとまずは安心してて構わない、って事だよな?」

ポッタイシ「だろうね。ただ、アカリと、信頼出来る誰か別のニンゲンには伝えとくべきね」
 ▼ 359 タマロ@みかづきのはね 15/12/24 21:10:37 ID:iRO7kOgc [13/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
今日はここまでです

2つの日記は、>>353までは原文を漢字仮名混じりにして読みやすくしたもので、それ以降はオリジナルです
 ▼ 360 1◆J44kAZeDOM 15/12/25 21:50:24 ID:Tagn08KQ [1/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
レントラー「これで終わりっぽいな……でも一応、このメモは持って行っとこう」

ポッタイシ「説明しやすくなるって事ね。了解」

アカリ「ロトム、すごいや!」

ロトム「デショー!」

グレイシア「なんなのあのテンション、ついて行けない……」

ペラップ「通訳しんどい……」

レントラー「お疲れ」

アカリ「でさ、レントラー。ハクタイのジム、って言うかあたしたちのチームにはどのフォルムが合ってるの?」

あ、それは考えてなかったな。

でも取りあえず。

レントラー「これ」

前足で示したその先にあるプルートのノートにアカリも気付き、慌てて手に取った。

アカリ「何これ……プルートの研究ノート。そっか、ここプルートの研究室なんだよね」
 ▼ 361 1◆J44kAZeDOM 15/12/25 21:54:43 ID:Tagn08KQ [2/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「でも、これをどうしろと?」

ペラップ「私の出番みたい。わかった。いいよ」

レントラー「頼む」

なんだろ、急にこいつ性格変わり過ぎじゃね? 吹っ切ったのはいい事だけどさ。

まあいいや。

アカリ「なるほど……博士とかに見せたら何かわかるかも、って事かあ。よく思い付くなあ」

アカリ「わかった。持ってく。それで、ナナカマド博士にこれを渡すんだよね」

ああ、と答えつつ頷いた。
 ▼ 362 1◆J44kAZeDOM 15/12/25 22:00:47 ID:Tagn08KQ [3/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「で、だよ、レントラー。結局ロトムはどのフォルムになればいいの?」

レントラー「ちょっと待ってくれ……」

ヒートロトム。技はオーバーヒート。高火力だけど、特攻が2段階下がる大技。

ウォッシュロトム。技はハイドロポンプ。当たりにくいけど威力は高い。これも大技。

ただし、ポッタイシと被る。

カットロトム。技はリーフストーム。説明はオーバーヒートと同じ。

フロストロトム。技は吹雪。グレイシアがよく使ってるから割愛。

スピンロトム。エアスラッシュ。正直覚えてない。他と比べて威力が低いなあとしか。

そしてペラップと被る。

そもそも俺とロトムのタイプが被ってるのは気にしないとして、そうなると……

レントラー「芝刈り機のカットロトムか電子レンジのヒートロトム」

レントラー「ナタネ戦を考慮するならヒートロトム一択だと思う」
 ▼ 363 1◆J44kAZeDOM 15/12/25 22:07:15 ID:Tagn08KQ [4/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ペラップの通訳を通してそれがアカリに伝えられる。

アカリ「電子レンジ、ヒートロトムって言うんだ。よし! じゃあロトム、あの電子レンジのモーターに入って!」

ロトム「オッケー!」

ロトムがモーターに体当たりした。

と思ったら電子レンジの周りにロトムを取り囲んでいたオーラみたいな物が赤みを帯びてまとわりつく。

それがミトンのような形を取り、手となる。

電子レンジの上部に、目と口が開いた。

レントラー「これがフォルムチェンジか。すごいな……」

ロトム「デショデショ?」

アカリ「よし。じゃあ情報も掴んで、フォルムも確定した事だし、ジム戦に行こう!」

レントラー「ストップ! ロトムの強さと、ついでに俺たちについても確認した方がいいだろ」

ペラップ「ストップ! ロトムの強さと、ついでに俺たちについても確認した方がいいだろ、だって」

アカリ「それもそっか」
 ▼ 364 イキング@ゆきだま 15/12/25 22:10:19 ID:8K3RfvjU NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 365 1◆J44kAZeDOM 15/12/25 22:20:33 ID:Tagn08KQ [5/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ポッタイシがLV35。覚えてる技は波乗り、冷凍ビーム、メタルクロー、つつく。

そして俺ことレントラーがLV36。技はスパーク、充電、雷の牙、かみつく。

グレイシアはLV37。技は吹雪、電光石火、冷凍ビーム、シャドーボール。

ペラップはLV36。霧払い、おしゃべり、ハイパーボイス、オウム返し。

ロトムがLV35で、放電、怪しい風、オーバーヒートに電磁波。

相手をマヒさせて、素早さを落とす作戦が使える訳だ。
 ▼ 366 1◆J44kAZeDOM 15/12/25 22:27:00 ID:Tagn08KQ [6/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
一方相手の手持ちを予想してみる。

使って来たのはナエトル、チェリンボ、あれ、チェリムだっけ? あの2匹ややこしいんだよなあ。後はロズレイドの3匹。

確かトウガンが使って来たのも3匹だから、で、たぶんだけど全員最終進化まではしてるだろう。

(作者注 トウガンの手持ちはダイパだとドーミラー、ハガネール、トリデプス。
プラチナはレアコイル、ハガネール、トリデプスなので、最終進化してると言う確証はありません)

とすると、ドダイトス、チェリム、ロズレイドの3匹が今回の相手かな。

順番はそのままだとすると……
 ▼ 367 日はここまでです◆J44kAZeDOM 15/12/25 22:30:50 ID:Tagn08KQ [7/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
先発はグレイシアで、ドダイトスを冷凍ビームで倒す。

正直4倍だし、たぶん簡単に倒せるはず。

チェリムにはロトムをぶつける。

チェリムと言えば日本晴れ。日差しが強いと言えば炎技。炎技と言えばロトム。

たぶん、これも簡単に倒せる。

後は5匹がかりでゆっくりロズレイドを処理する……あれ? これ余裕じゃね?

油断大敵はわかってるけどな。

取りあえず……

レントラー「ペラップ、通訳頼む」
 ▼ 368 レビィ@ゴーストジュエル 15/12/26 20:54:20 ID:hhE5gklk [1/15] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「なるほど……」

ペラップを介して油断禁物とだけは伝えておいたけど、正直負けるビジョンが見えない。

たぶん、俺とポッタイシの出る幕はないだろうな。

ポッタイシ「あんまり余裕アピールしても、それがフラグになるかもしれないよ?」

レントラー「フラグ?」

ポッタイシ「ここでこういう発言したキャラがだいたい死ぬ、みたいなのを死亡フラグって言って、ここでこんな事したらだいたいこうなるみたいな意味合いの行動をフラグって言うの」

レントラー「へえ」

……まあ確かに、勝てる勝てるって言ってる奴ってだいたい負けるような気がするな。

アカリ「オッケー! じゃあ、行こう!」

俺たちの不吉な話が聞こえないアカリは、笑顔で俺たちをボールに戻した。
 ▼ 369 1◆J44kAZeDOM 15/12/26 20:58:22 ID:hhE5gklk [2/15] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
視点 アカリ

さあて、薬も買った事だし、準備は万全!

アカリ「よろしくお願いしまああああす!」

なんとなく叫んでみた。正直理由は特にない。

案内「お、威勢がいいねえ。ジム戦かい?」

アカリ「はい。マサゴタウンのアカリです」

案内「なるほど。それじゃあ、このジムの特性について説明「かわいい〜!」

アカリ「あの花時計、すっごい可愛いですね!」

案内「そ、そうだろう? 実はあの針の上を歩けるんだが……」

案内「ナタネさんはあの奥にいる」

アカリ「あれ? でも針向こう差してないのにどうやって行くんですか?」

アカリ「ってかそもそもどこから乗るんですか?」
 ▼ 370 1◆J44kAZeDOM 15/12/26 21:02:54 ID:hhE5gklk [3/15] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
案内「よくぞ聞いてくれた!」

案内「取りあえずまずは……そこのトレーナーと戦ってもらうぞ」

アカリ「え、ええっ?!」

――

アカリ「ふうっ。正直あたしのパーティー草タイプには割と強いんですよね」

リサ(ミニスカート)「悔しいっ! ペラップに2縦されたっ!」

アカリ「お疲れペラップ。戻って!」

アカリ「それでどうなんですか?」

案内「まあ見てればわかる」
 ▼ 371 1◆J44kAZeDOM 15/12/26 21:08:13 ID:hhE5gklk [4/15] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「わあっ!」

草時計が時を刻んで行く。

えっと……6時15分?

……だとすると短針が真下のこっち向いてるのはおかしい……まさかっ!

アカリ「トレーナーに勝つたびに花時計が動いて、こっから移動出来るようになるって事?」

案内「大正解!」

アカリ「なるほど、わかりました。で、恒例の回復は出来ないんですか?」

案内「そこの噴水の仕様で1回勝つごとに外に出られるようになってるぞ」

アカリ「わかりました! では、行ってきます!」
 ▼ 372 1◆J44kAZeDOM 15/12/26 21:17:13 ID:hhE5gklk [5/15] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
とは言ったものの……

うん。草タイプ相手には徹底的に強いな、あたしの手持ち。

ほっとんど無傷でナタネさんのとこまで着いちゃった。

ナタネ「へえ。あなたがアカリちゃんかあ」

ナタネ「スモモとかスズナから聞いてるよ。すごい勢いでジムをクリアしてってる、ヒカリちゃんの妹だって」

アカリ「あ、知ってたんですか?」

ナタネ「うん。楽しみにしてたんだよ。いつあたしのとこに来てくれるかってね」

アカリ「そう言ってもらえるとありがたいです……」

照れるな、なんか……

ナタネ「じゃ、始めよっか」

アカリ「よろしくお願いします!」
 ▼ 373 1◆J44kAZeDOM 15/12/26 21:23:53 ID:hhE5gklk [6/15] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
三人称視点

ナタネ「ドダイトス! よろしくっ!」

アカリ「グレイシア! お願いっ!」

2匹のポケモンが戦場に降り立った。

グレイシア「っと。すんごいでっかいな……」

その時の衝撃が、グレイシアの体を揺らす。

刹那の沈黙の後、2人のトレーナーが指示を出した。

アカリ「グレイシア! 冷凍ビーム!」
ナタネ「ドダイトス! 岩雪崩!」

上空に出現した数多の岩が、重力に引っ張られてフィールドに落ちる。

それは、2匹の間に壁を形どった。

アカリ「冷凍ビームが……弾かれた?」

そう。その壁は敵の攻撃を阻む強固な鎧となっているのだ。
 ▼ 374 1◆J44kAZeDOM 15/12/26 21:28:28 ID:hhE5gklk [7/15] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ナタネ「草タイプにとっては氷タイプはホント怖い存在。だけどね」

ナタネ「対策してないとでも思ったの?」

にやりと笑うその表情は、アカリには届かない。

しかし、アカリは焦燥にかられたまま、思考を回していた。

ナタネ「さあて、どうするの?」

グレイシアが苛立ったように鳴き声をあげた。

いや、翻訳すれば「とっとと指示出しなさいよ!」なんだからようなではないのだが。

そこで、アカリは不意に気付いた。

なぜ、ナタネはこの隙に攻撃して来ないのだろう、と。

もしかすると、相手の方も有効打がないのではないか?
 ▼ 375 1◆J44kAZeDOM 15/12/26 21:29:32 ID:hhE5gklk [8/15] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
なんて甘い思考の中、それはないと首を振る。

相手が仕掛けて来たこの状況。相手がそれに阻まれる訳がない。

アカリ「でも、どうやって攻撃するんだろ?」

ナタネ「来ないならこっちから行くよ! ドダイトス、地震!」
 ▼ 376 1◆J44kAZeDOM 15/12/26 21:33:09 ID:hhE5gklk [9/15] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
グレイシア「きゃっ!」

大地が揺れ、思うように動けない。

しかし。

今この場限りで言えば、それだけにとどまらない。


アカリ「あっ! 壁が……グレイシア危ないっ!」

グレイシア「えっ?」

アカリ「電光石火で岩を避けてっ!」

咄嗟の機転が、グレイシアを救ったのは間違いない。

結局のところ、グレイシアは全ての崩落した岩を回避する事に成功したのだから。
 ▼ 377 1◆J44kAZeDOM 15/12/26 21:39:01 ID:hhE5gklk [10/15] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ナタネ「へえ、全部避けたんだ。やるじゃん」

アカリ「ふうっ。今よグレイシア! 吹雪っ!」
ナタネ「岩雪崩!」

その岩は、再び氷の攻撃を弾く壁となる。

ナタネ「さあ、この岩の壁をどう攻略する?」

言われるまでもなく、アカリは思考を続けていた。

このまま避け続ける事も出来なくはないかもしれない。

相手のPPが枯れ果てるまでなら、なんとかはなるだろう。

だが、受け身な行動にはいつも、悪運が付きまとう。

いつかわし損ねるかわからない。最悪急所に当たってしまう可能性もある。

だからどこかで均衡を崩さねばならないのだが。

どのように攻撃を仕掛けるのか。その手段が全く見えないのだった。
 ▼ 378 1◆J44kAZeDOM 15/12/26 21:43:46 ID:hhE5gklk [11/15] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ナタネ「来ないの? 今までのペースはどうしたの?」

アカリ「うぐぐ……グレイシア! こうなりゃやけよ! 電光石火で岩の壁を登って!」

ナタネ「……なるほどね」

ナタネ「でも、それは悪手だよ。ドダイトス、地震!」

アカリ「あ、しまった!」

グレイシア「何きゃああああっ!」

岩の壁が崩れる。

その時登っていたグレイシアがどうなるのかは、少し考えれば誰でもわかる事だ。

そう。落下したのである。

アカリ「グレイシアっ!」

落下の衝撃と岩の直撃を食らって立っていられるはずもない。

悲鳴に近い叫び声は、グレイシアの耳に届く事はなかった。

ナタネ「まずは1匹っと」

アカリ「……戻って、グレイシア」
 ▼ 379 1◆J44kAZeDOM 15/12/26 21:50:34 ID:hhE5gklk [12/15] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
しかし、アカリの頭の中では、ある1つの作戦が実を結んでいた。

それは、落下の影響を受けない、浮かんでいるポケモンで岩山を超えると言う物。

単純だが、それぐらいしか突破口が見付からないのだ。

ここで問題が1つ。アカリの手持ちには今、2匹の空飛ぶポケモンがいる。

そのどちらもが、草タイプには有利だが、岩タイプの技を抜群で食らってしまう。

しかし、アカリは即断即決、次のポケモンを決定した。

アカリ「よろしく、ペラップ!」
 ▼ 380 1◆J44kAZeDOM 15/12/26 21:55:58 ID:hhE5gklk [13/15] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ナタネ「へえ、ペラップね。おしゃべりで混乱に持ち込んで、運要素の絡んだ試合になる訳だ」

アカリ「……」

アカリは無言だ。何の情報も相手に与えたくないのであろう。

ナタネ「地震も直接は無効。だけど、岩雪崩は普通に効く」

ナタネ「じゃあ、始めよっか。第2ラウンド」

両者ともに、再び指示を出す。

アカリ「おしゃべり!」
ナタネ「地震!」
 ▼ 381 1◆J44kAZeDOM 15/12/26 22:00:42 ID:hhE5gklk [14/15] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
岩の壁は崩落する。

ペラップはそれを、まずはただ、ひたすら避ける事に専念していた。

アカリ「ナイスっ! 今よっ!」

全てをかわし切り、ペラップは声をあげた。

その声は確実に、精神的な面でドダイトスにダメージを与える。

それを見たナタネは、

ナタネ「混乱になっちゃったかあ」

と残念そうに呟くと、手を大きく振った。

ナタネ「まあいっか。もっかい岩雪崩!」
アカリ「おしゃべりよっ!」

それは再び岩の壁を形どる。

ナタネ「あっちゃー、混乱発動しちゃったか」

意味深なその声は、しかしアカリには届いていなかった。
 ▼ 382 イコウオ@ルカリオナイト 15/12/26 22:01:33 ID:hhE5gklk [15/15] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
今日はここまでです
明日は更新出来ない可能性があります
ご容赦ください
 ▼ 383 1◆J44kAZeDOM 15/12/27 22:28:19 ID:pukJjcvc [1/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「今よペラップ! 飛んで!」

ペラップ「りょーかい」

アカリ「あなたなら足場を気にせず飛び越せるよね! 行くよっ!」

ナタネ「させないっ! 地震よっ!」

その巨体が大地を揺らし、岩の壁は一気に崩落する。

ペラップ「おっと」

その岩の1つ1つは無作為に、しかし集まる事で広範囲にわたってダメージを与えるのだ。

今度もまたかわしきれたが、

アカリ「結局自体は変わってない……」
 ▼ 384 1◆J44kAZeDOM 15/12/27 22:33:28 ID:pukJjcvc [2/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
そう。

足場を気にせず登る事は可能だ。

だが、上に登り切る前に足場が崩れてしまうのだから、意味などないのだ。

アカリ(どうする?)

ペラップの技はおしゃべり、ハイパーボイス、霧払い、オウム返しだ。

アカリ(ん? オウム返し?)

ナタネ「ドダイトス! 岩n」

言い終わる前にアカリが言い切った。

アカリ「急いでオウム返し!」
 ▼ 385 1◆J44kAZeDOM 15/12/27 22:36:28 ID:pukJjcvc [3/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ペラップ「っと」

見よう見まねでペラップが大地を揺らす。

そこに、岩が落ちて来る。

それは一体何を示すのか。

そう。壁は形成されず、始めから崩れ落ちるのだ。

ナタネ「なるほど……」

アカリ「今よペラップ! おしゃべり!」

ナタネも大きく手を振りかざし、言った。

ナタネ「岩雪崩!」
 ▼ 386 1◆J44kAZeDOM 15/12/27 22:40:13 ID:pukJjcvc [4/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
再び岩の壁が形成される。

アカリサイドは、誰もがそう思っていた。

取りあえず、ドダイトスには確実にダメージが与えられている。それは間違いない。

そして、それは致命傷に近い物であるのも間違いない。

しかし、ドダイトスは、岩の壁を形成するのみではなく、最後にある役目を果たした。

アカリ「え……ウソっ!」


岩雪崩は

寸分違わずペラップを襲ったのだ。
 ▼ 387 1◆J44kAZeDOM 15/12/27 22:44:40 ID:pukJjcvc [5/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ナタネ「ダブルノックダウンか。お疲れドダイトス」

アカリ「え、岩雪崩って壁を作る……」

ナタネ「思い込みって怖いでしょ? 最後の切り札としてとっておいたんだけどさ」

ナタネ「あの手を振るモーション、あれが合図になってるの」

アカリ「そうだったんだ……戻って、ペラップ。お疲れ様」

ナタネ「でもまあ、数の上ではまだあなたが有利よね」

アカリ「でも壁は残されてます。ペラップを押しつぶしながらちゃっかり作っちゃうんですね」

ナタネ「まあね」

アカリ「って事はまだそれを、たぶん最後まで使うんですよね」

ナタネ「さあね。さ! 第3ラウンド始めようよ」

アカリ「……ですね」
 ▼ 388 1◆J44kAZeDOM 15/12/27 22:47:41 ID:pukJjcvc [6/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリは焦っていた。

確かにロトムは草タイプには有利である。

数の上でも勝っているのもまた事実。

しかし。

レントラーとポッタイシは、草タイプにはあまり強気に出られないのもまた事実。

実質アカリの残りは後1匹、ロトムを残すのみ。そう言っても過言ではないのだ。

アカリ「よろしくロトム!」
ナタネ「チェリム! お願いね!」
 ▼ 389 ーベム@ナモのみ 15/12/27 22:48:03 ID:pukJjcvc [7/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
今日はここまでです

>>383
最後の行に誤字

×自体
○事態
 ▼ 390 1◆J44kAZeDOM 15/12/28 10:49:32 ID:tv68z2jA [1/17] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
アカリ(さあて、どうしよっか。ストレートに岩の壁を飛び越えるのも出来るけど……)

アカリ(どこにどんな罠を仕掛けて来るんだろ……)

アカリ(ま、気にしても始まらないよね。相性も有利だし)

アカリ「ロトム、飛び越して!」

ロトム「ワーイ!」

ナタネ「日本晴れ!」

空から明かりが降り注ぐ。

その影響は、如実に現れた。
 ▼ 391 1◆J44kAZeDOM 15/12/28 11:18:57 ID:tv68z2jA [2/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
チェリムの閉ざされた花びらが少しずつ輝き始め、生き生きとその花を開いた。

その中から笑顔が覗く。

チェリム、ポジフォルムの覚醒だ。

アカリ「でも、気にしたら負けよっ! ロトム! オーバーヒートっ!」
ナタネ「ソーラービームで迎え撃って!」

壁を飛び越したロトムは、そのまま自らの限界を超えた高火力の大技をぶつける。

そしてそれは、チェリムを襲った。

しかし、チェリムが溜めた光の力は、あっという間に巨大化し、ロトムを襲った。

爆発音が鳴り響く。

アカリは微笑んでいた。

アカリ(たぶんこれは……勝ったな)

ところが、気付かないうちにナタネが仕込んでいたある行動が、ロトムを、文字通り地に叩き付ける事となる。

ナタネ「悩みの種……効果はあったみたいね」
 ▼ 392 1◆J44kAZeDOM 15/12/28 11:26:48 ID:tv68z2jA [3/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
悩みの種。

相手の特性を『不眠』に強制的に変える技。

ロトムの飛行は特性『浮遊』の能力に依存している。

それが奪われたらどうなるか。

アカリ「ロトムっ! どうなってるの?」

ナタネ「落ちたよ。悩みの種が効いてね」

アカリ「悩みの種って……」

絶句するアカリ。

チェリムは倒れた。しかし、ロトムは高い空中にいたのだ。

それがいきなり落とされた。

転落のダメージは、決して小さくはない。

ナタネ「追い詰められちゃったなあ。取りあえず、チェリム、お疲れ様」

ナタネ「行くよ、ロズレイド!」
 ▼ 393 1◆J44kAZeDOM 15/12/28 11:32:35 ID:tv68z2jA [4/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
しかし、アカリの苦難はここからだった。

そもそも、岩の壁に阻まれて、状況を捉えられないのだ。

アカリ「ロトムっ! 指示出せないけど、適当にオーバーヒートで迎え撃って!」

そう声をかける事しか出来ないでいる。

ナタネ「日本晴れが効いてるうちに……ウェザーボール!」

トレーナーの指示が付いていないポケモンに、ジムリーダーの手持ちポケモンと戦えと言われても酷な話だ。

オーバーヒートの効果で特攻が2段階下がっているのも災いし、何も出来ないまま、あっけなく倒れた。
 ▼ 394 1◆J44kAZeDOM 15/12/28 16:53:46 ID:tv68z2jA [5/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「お疲れ様、ロトム……」

残るは後2匹。レントラーとポッタイシ。

アカリ「仕方ない……レントラーっ!」

岩の壁に阻まれて、どちらの攻撃も届かないのは目に見えている。

レントラー(ロズレイドの遠距離攻撃、心当たりがある……!)

レントラー「だけど、対策のしようが……」

アカリ「レントラー! とにかく手当たり次第に岩の壁を壊してっ!」

ナタネ「ロズレイドっ! ゴー!」

戦いの火ぶたは切って落とされた。
 ▼ 395 1◆J44kAZeDOM 15/12/28 16:59:48 ID:tv68z2jA [6/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
レントラー(とにかく……スパークで壊すか。だけど、急がないと……)

電気をその身にまとい、岩の壁に体当たりを食らわせる。

しかし。

レントラー「いってえええええ!」

アカリ「だ、大丈夫?!」

岩の硬さにあえなく撃沈した。

レントラー(これじゃ、壁が壊れるより先に俺の頭が物理的に壊れる……!)

涙目でそう思考を巡らせると、続きを考えた。

レントラー(どっか、効果的に壊せる所……)

ナタネ「そろそろ行くよっ! ロズレイド!」

レントラー(……来た)

アカリ「レントラー! 何してくるかわかんないけど気を付けて!」

レントラー(だいたいわかってる……けど、避けらんねえだろうな)

不意に嫌な気配を察知し、飛び上がった。

レントラー(やっぱり……ポケスペ仕様か。遠距離で岩の壁にも阻まれないもんな)
 ▼ 396 1◆J44kAZeDOM 15/12/28 17:11:34 ID:tv68z2jA [7/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
足元から飛び出して来たのは

毒針がびっしり付いたつたのムチ。

つるのムチこそ習得出来ないが、花の中に仕込まれた毒は、即死級の猛毒である。

レントラー(危ねえ……でもなんとかかわした)

アカリ「大丈夫?!」

アカリは必死に思考を巡らせていた。

岩の壁を崩す事。まずはそれに専念しないと、どうにもならない。

そんな最中、天啓がアカリの頭に下りて来た。

アカリ「そうだ。レントラー! 透視よっ!」
 ▼ 397 1◆J44kAZeDOM 15/12/28 18:59:35 ID:tv68z2jA [8/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
レントラー(なるほどな)

納得顔で頷くと、そのまま意識を集中させる。

その瞳は金色の輝きを帯び始めた。

レントラー(もろいのは……あそこだっ!)

アカリ「見付けたっ?! そこにスパークっ!」

レントラー「うおりゃぁぁあああっ!」

その体を全力で叩き付けた。

少しゆるくなっている所は、加わった衝撃に耐え切れず、もろくも砕け散った。

それが全体の崩壊を引き起こす。

ガラガラっと派手な音をたてて、壁は半分以上が崩れ去った。

しかし。

レントラー「なっ」

壁を突破したレントラーの眼前には、端正なマスクに覆われた笑顔があった。

ナタネ「ウェザーボール!」
 ▼ 398 1◆J44kAZeDOM 15/12/28 19:47:09 ID:tv68z2jA [9/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
瞬時にレントラーは悟った。

日本晴れ状態でのウェザーボールをこの至近距離から食らって、耐えられるはずがない、と。

アカリ「や、やばっ! 充電っ!」

特防をあげて少しでもダメージを軽減しようと言う意図の指示すら届かないまま、レントラーは直撃をくらい、あえなくダウンした。

ナタネ「お疲れ様ロズレイド。後残りは1対1だね! 最後の1匹はポッタイシだっけ?」

アカリ「……レントラー、ありがと。ポッタイシ! よろしくっ!」

覚悟を決めたように吹っ切れた表情で、アカリはポッタイシを呼び出した。
 ▼ 399 1◆J44kAZeDOM 15/12/28 19:52:33 ID:tv68z2jA [10/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ポッタイシ「……見事にフラグを回収しちゃった、って訳か」

自分が呼び出された、その事実が既に、この草タイプのジムでは大ピンチを意味している事を知っての発言だが、その言葉は誰にも届かない。

アカリ(壁はかなり崩れた。でも……)

ポッタイシ(接近するまでに時間取られたら、下からムチの連射を食らって勝ち筋はなくなる)

アカリ(接近しないで遠距離技もあるけど……)

ポッタイシ(壁に隠れて、上手く狙えない、かあ。上手いな)

ナタネ「ロズレイド! ゴー!」

アカリ「来るよっ! メタルクローではじき返して!」
 ▼ 400 1◆J44kAZeDOM 15/12/28 20:00:26 ID:tv68z2jA [11/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ロズレイドのムチがしなるようにポッタイシを襲う。

すんでの所でそれをポッタイシははじき返した。

毒タイプの技は鋼タイプには効果がない。

その原理のおかげで、鋼のように尖らせた翼は毒の影響を受けない。そう考えての指示だ。

アカリ(でもこのままじゃジリ貧だよね……)

再びポッタイシはロズレイドのムチを弾く。

ナタネ「どうしたのー? そろそろ攻撃しないと、勝てないよ!」

アカリ「わかってますよ! でも……」

ポッタイシはなおもはじき返す。

ある1つの数字を信じて。
 ▼ 401 1◆J44kAZeDOM 15/12/28 20:04:44 ID:tv68z2jA [12/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ポッタイシ(たぶんだけど……私の進化はもう少し)

そう。ポッタイシの進化レベルは36。

そして現在のポッタイシのレベルは35。

さらに、ポッタイシは進化すると、その体を鋼鉄の物へと変化させる。

そうなれば、毒のムチも、もはや怖くない。

だが、そこまで間に合うかどうか。

アカリも遅まきながら、その事実に気付いたようだ。

アカリ「そうだっ! ポッタイシ! 今は耐えて! 耐えて耐えて! 全力でっ!」

ポッタイシはにやりと笑うと、再び襲うムチをはじき返した。
 ▼ 402 1◆J44kAZeDOM 15/12/28 20:09:19 ID:tv68z2jA [13/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ナタネ「いいの? そんな受け身で!」

アカリは無言で応じた。

ナタネ「ま、いっか。それなら今度は趣向を変えて、マジカルリーフ!」

アカリ「冷凍ビームで薙ぎ払って!」

自らを正確に襲う葉だが、確実に自分の目の前に来る事さえわかっていれば、後はタイミングだけ合わせれば攻撃を当てられる。

ナタネ「さすがに食わないか。でもね」

ナタネ「真下ががら空きだよっ!」

アカリ「メタルクローっ!」

マジカルリーフに気を取られている隙を狙ったのが失敗に終わり、ナタネは意外そうな声をあげる。

ナタネ「よく気付いたね、囮だって事」
 ▼ 403 1◆J44kAZeDOM 15/12/28 20:16:15 ID:tv68z2jA [14/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリはそれにも答えない。

ロズレイドのムチの動きに全神経を集中させているからだ。

ポッタイシ「ふうっ」

アカリ「来るよっ!」

ポッタイシ「おっと」

望みは薄いのかもしれない。都合が良すぎるのかもしれない。

それでもアカリは、祈らずにはいられなかった。

速く。速くっ!

あたかもその祈りが通じたかのような、そんな瞬間の事だった。

ポッタイシの体が、白い光を帯び始めたのだ。
 ▼ 404 1◆J44kAZeDOM 15/12/28 20:20:24 ID:tv68z2jA [15/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ナタネ「なっ、し、進化?! そんな都合よく?!」

ポッタイシ「都合よくかな、むしろ狙ってたけど」

ロズレイド「狙……」

その翼は鋭さを増し、クチバシからは威厳のある角がそれを現す。

???「進化した私は鋼タイプ」

アカリ「毒の攻撃にも強気で出られる!」

エンペルト「ってな訳で続き、よろしくお願いしますね」

光の中からその姿を現したエンペルトは、岩陰に隠れたロズレイドに向かって微笑みかけた。
 ▼ 405 1◆J44kAZeDOM 15/12/28 20:24:38 ID:tv68z2jA [16/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「行けっ! エンペルトっ!」

アカリ「新しい技覚えたみたいね。行くよっ!」

アカリ「アクアジェットぉぉおおおお!」

エンペルトはその身に激流を身にまとうと、その勢いを活かして岩の壁だった物の向こうまで、一瞬で到達した。

そしてそのまま、激流を解除する。

ナタネ「マジカルリーフっ!」

ロズレイドも自慢の技で迎え打とうとする物の、いかんせん技の威力が弱い。

先程のムチ攻撃も、毒状態にする事を含めての攻撃だ。鋼タイプに効果は薄い。

アカリ「冷凍ビーム!」

それは過たずロズレイドを襲い、その体力を奪い去った。
 ▼ 406 カルゲ@たからぶくろ 15/12/28 20:25:01 ID:tv68z2jA [17/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
今日はここまでです

明日が今年最後の更新になります
 ▼ 407 ーミラー@どくバリ 15/12/29 01:55:14 ID:qyMTnlhs NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
 ▼ 408 1◆J44kAZeDOM 15/12/29 11:24:11 ID:YMyPyifQ [1/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
視点 アカリ

ナタネ「うーん、負けかぁ。お疲れ様、ロズレイド」

アカリ「やった……の?」

エンペルト「えんっぺ」

頷くエンペルトに、ようやく勝利を実感した。

アカリ「……やったぁぁぁああああ! やったよ! やったよエンペルト!」

アカリ「あ、お疲れ様。戻って」
 ▼ 409 1◆J44kAZeDOM 15/12/29 11:27:29 ID:YMyPyifQ [2/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「はあっ、疲れたぁ」

ナタネ「おめでとう。私の負けだよ」

アカリ「ホント、もう負けたかと思いました……」

ナタネ「にしても幸運ね。まさかあのタイミングで進化するなんて……」

アカリ「進化がもうすぐなのはわかってましたけど、まあ忘れてたから何とも言えませんね」

ナタネ「そっかあ。確かに始めっから進化してたらその対策考えちゃうもんなあ」

ナタネ「ま、それはともかく、いろいろと渡さないとね」
 ▼ 410 1◆J44kAZeDOM 15/12/29 11:32:31 ID:YMyPyifQ [3/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ナタネ「まずはこれ。フォレストバッジ」

ナタネ「6個目なんだよね?」

アカリ「はい」

ナタネ「それならフィールド上で怪力が使えるようになるわ」

ナタネ「それと……後これ。技マシン草結び!」

ナタネ「相手の体重が重ければ重いほど効果を増す技よ」

アカリ「ありがとうございます!」

ナタネ「後はミオとナギサだけか、ジムは」

アカリ「はい」

ナタネ「でも気を付けてね。その2人も、めっちゃ強いから。最後まで油断しちゃダメよ」

ナタネ「今回みたいなラッキーがいつも訪れる訳じゃないんだからさ」

アカリ「わかりました」

ナタネ「じゃあ、帰りはそのまま花時計の上を通って行けるよ」

アカリ「わかりました。対戦ありがとうございました!」

ナタネ「こっちこそ! 楽しかったよ!」
 ▼ 411 1◆J44kAZeDOM 15/12/29 11:36:25 ID:YMyPyifQ [4/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「さあて、ジムを出て来た訳で……」

まずは回復させなきゃ。

そしたら……そうだ! 危うく忘れるとこだった!

あの男の人と約束してたんだった!

まあでも集合ポケセンだし、忘れててもなんとかはなるけどね。

アカリ「さあて、みんなきついだろうし、急ごっと」
 ▼ 412 ーランス@シルフスコープ 15/12/29 11:36:45 ID:YMyPyifQ [5/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
今日はここまでです
よいお年を
 ▼ 413 ントラー@あかいくさり 15/12/30 22:28:43 ID:gMmM0v0o NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
よいお年を
 ▼ 414 1◆J44kAZeDOM 16/01/02 19:41:22 ID:63TOMAig [1/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ポケモンセンター

ジョーイ「お預かりした(ry」

アカリ「ありがとうございます!」

さあて、あの人は一体どこに……あ! いたいた!

アカリ「おーい!」

男「ああ! えっと……なんて名前だっけ」

アカリ「アカリです。あれ? そういやあたしもあなたの名前知らないな」

男「あ、えっと……自己紹介、そういやしてなかったな。僕はこう言う物だ」

彼は名刺を渡してくれた。

男「それで、ジム戦どうだった?」

アカリ「バッチリです!」

男「おめでとう! すごいな……ジム戦に勝つだなんて」
 ▼ 415 1◆J44kAZeDOM 16/01/02 19:46:04 ID:63TOMAig [2/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「それで……何の話でしたっけ?」

男「えっと……少し旅の話を聞かせてもらうって話。こんな所でもなんだから、喫茶店に行かない? おごるよ」

アカリ「え! いやいや、申し訳ないですよ!」

男「取材協力費って事にしといてくれない?」

アカリ「まあ、そういう事なら……わかりました」

男「じゃ、ついて来て」

アカリ「はーい」
 ▼ 416 1◆J44kAZeDOM 16/01/02 19:53:56 ID:63TOMAig [3/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
喫茶店にて

男「何にする?」

アカリ「あ、じゃあホットミルクで」

男「すいませーん。アイスコーヒーとホットミルクで!」

アカリ「この時期にアイス?! あ、すいません、また敬語……」

男「こう、冬の寒い時期に暖房の効いた室内で飲む冷たい飲み物、最高だと思わない?」

アカリ「もっとこの星の環境を考えてあげた方がいいと思うんですけど……」

男「……全く同じ事言うんだね」

アカリ「え?」

男「ああ、いやいや、なんでもないよ」
 ▼ 417 1◆J44kAZeDOM 16/01/02 19:59:57 ID:63TOMAig [4/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
男「まあ、それはともかく、質問するよ」

アカリ「あ、はい」

男「じゃあまず、この旅で一番驚いた事は?」

ぎくりとした。

一番驚いた事。

どう考えてもレントラーが元人間だって事しかないよ。だけど。

それ言う訳にもいかないしなあ。

何にしよ……

アカリ「えっと……こんな小さなポケモンでもあたしたち人間には想像もつかないような力を秘めてるって事……かな」

男「なるほど。確かにすごいよね。僕みたいに戦わない人でもそう思えるんだけど、普通の人とはこれが違う! みたいな事ってある?」

アカリ「えっと、それはどういう……」

男「おっと、質問が悪かったかな。トレーナーじゃないとわからないようなポケモンの強さ、みたいな」

アカリ「ああ! えっと……戦い、とかいろいろあるんですけど」
 ▼ 418 1◆J44kAZeDOM 16/01/02 20:03:30 ID:63TOMAig [5/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「実はあたし、216番道路辺りで遭難しかけて」

男「ええっ!」

アカリ「あ、幽霊とか、そう言うのじゃないんで、大丈夫ですよ」

男「あ、ああ……」

アカリ「その時、最後まであたしに寄り添ってくれた、あの暖かさ、かなあ」

男「そう言う物なのかあ。参考になるな。じゃ、全く質問を変えて、バトルの時心掛けてる事って何かある?」

アカリ「そうですね……相手もいろいろ仕掛けて来るんで、そこを臨機応変に対処する事、ですね」

アカリ「正直、受けて立つって言うより、挑戦するみたいな事が多いんで、対策を練ってもだいたいその上を行かれますから」

アカリ「それをどう乗り越えるか、ってのが一番重要になってきますね」
 ▼ 419 1◆J44kAZeDOM 16/01/02 20:09:44 ID:63TOMAig [6/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
男「そう言う物かあ。やっぱり僕はバトルとかの方に行かなくてよかったや」

アカリ「まあ、難しいですしね。でも、小説家なんて、もっと難しそうですけど」

男「物語を創るだけなら赤ちゃんでも出来るよ。肝心なのは、それをどう伝えるかって事だけで」

アカリ「でも、それが難しいんじゃないですか」

男「まあね。僕も正直言って、そこまで文才がある方でもないし」

アカリ「へえ。あ、そうだ。どんな本書いてるんですか?」

男「まだ出版された本はないんだけど……ミステリーが好きだな」

アカリ「へえ」
 ▼ 420 1◆J44kAZeDOM 16/01/02 20:14:55 ID:63TOMAig [7/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
男「じゃ、質問に戻るよ。なんでトレーナーになろうと思ったの?」

アカリ「ああ、それは……あたしのお姉ちゃん、ヒカリって言うんだけど知ってます?」

男「えっと……どこかで聞き覚えが……」

アカリ「じゃあ、ジュンって人は?」

男「えっと……そうだ! チャンピオンコウキのライバルであり友達の! そうだ、ヒカリって……え、妹?」

アカリ「そうですそうです! あたしの周り、バトルがすごい人ばっかりで。それで、自然とそれを目標に」

男「そうか……すごいな」

アカリ「すごいのはあたしじゃなくてコウキ兄ちゃんたちですって」

アカリ「あ、そういやなんで作家になろうなんて思ったんですか?」
 ▼ 421 1◆J44kAZeDOM 16/01/02 20:25:02 ID:63TOMAig [8/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
男「いや、ちょっと待ってくれ……まだ衝撃が……」

そんなにすごいんだ、コウキ兄ちゃんって。

ただの友達の妹ってだけなのに。

にしても、ミルク冷めちゃったな。

おいしいからいいんだけど。

男「よし、落ち着いた。大丈夫だ。うん」

男「で、えっと……僕がなんで作家になろうと思ったか、かあ」

アカリ「はい。あたし、気になります!」

男「ミステリーが好きで元々書きたかったんだけど、僕って文才がそんなにね」

アカリ「はあ……でも、結局また夢を追いかけてる」

男「追いかけてるってか、ううん、説明難しいな……」

アカリ「何がきっかけだったんですか? 何かの事件に巻き込まれたとか言ってましたけど」
 ▼ 422 1◆J44kAZeDOM 16/01/02 20:29:10 ID:63TOMAig [9/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
男「……わかった。じゃあ、まずこれを読んでくれないか?」

http://pokemonbbs.com/poke/read.cgi?no=139442

アカリ「えっと……なんですかこれ」

男「僕が巻き込まれた事件に関して書いた物だよ。とは言っても、これは僕だけの心にしまっておくつもりだったんだけど……」

アカリ「ちょっと読んでみますね……」

――

アカリ「へえ……悲惨……」

男「だよね。結局、先輩はまだ見付かってないんだ」

男「いつか先輩を見付けだして、それで、罪を償ってほしい。そう思ってる」

男「あ、最後とかはフィクションだけどね」

アカリ「はあ……」

男「ごめん。君の旅には全く持って関係ない話しちゃって」

アカリ「いいんですよ。あたしから聞いたんだし」
 ▼ 423 1◆J44kAZeDOM 16/01/02 20:33:46 ID:63TOMAig [10/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「取りあえず、そんな話聞かせてくれてありがとうございました」

男「いいんだよ。うん、最後に1つだけ、僕の質問で締めさせて」

アカリ「わかりました」

男「この旅で、一番心に残ってる事は?」

アカリ「それは……みんなと、初めて出会った時、その1回1回全部です」

男「……なるほどね。いろいろと聞きたい事はあるけど、時間も時間だし」

アカリ「えっ?! もうこんな時間?!」

男「うん。それじゃあ、付き合ってくれてありがとう」

アカリ「いえいえこちらこそ」

男「グッドラック! 頑張って!」

アカリ「そっちも頑張ってくださいね!」
 ▼ 424 けおめ◆J44kAZeDOM 16/01/02 20:35:11 ID:63TOMAig [11/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
今日はここまでです

上記のSSは当SSの内容にはこれ以上関係しないので、必読と言う訳ではありません
ご安心ください
 ▼ 425 ンテール@きいろのバンダナ 16/01/02 22:14:17 ID:6NTkm7AA NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
乙です!!
そして、あけましておめでとうございます
 ▼ 426 リープ@メガバングル 16/01/02 23:59:14 ID:FMd51bWQ NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
 ▼ 427 1◆J44kAZeDOM 16/01/03 21:12:50 ID:knX/Ygx. [1/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
視点 レントラー

グレイシア「なんか……照れるな」

ペラップ「私の時なんか、ほとんどずっと気絶してたはずなのに……」

レントラー「やめて差し上げろ」

ロトム「Zzz……」

エンペルト「ロトム、寝ちゃってるね」

グレイシア「全く、子どもなんだから……」

にしても、アカリって俺たちの事をそんな風に見てくれてるって事か。

こんな訳のわからない状況に放り出された俺の数少ない幸運は、俺を拾ったのがアカリだったって事……なんてな。

アカリ「あ、今日は先にごはんにしちゃうから、ちょっと待っててね」
 ▼ 428 1◆J44kAZeDOM 16/01/03 21:15:31 ID:knX/Ygx. [2/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
で、食堂にて。

アカリ「みんな、出て来て! あ、ロトム寝てる……」

グレイシア「起きろー、とっとと起きろー」

ロトムは1つあくびをかまして、

ロトム「ア、オハヨー!」

と寝起きとは思えない元気さで言った。

アカリ「これでよし。あ、すいませーん! これとこれとこれを……」

店員「かしこまりました」
 ▼ 429 1◆J44kAZeDOM 16/01/03 21:21:56 ID:knX/Ygx. [3/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
店員「お待たせしました」

アカリ「ありがとうございます!」

アカリ「はい、じゃあみんな、今日はお疲れ!」

なんか急に優しくなったような気がする。

こいつ飯の前こんな事今まで言ってたっけ?

ああそうか、あのインタビューで少し自覚的になってるだけか。

だとするとこれが続くのもせいぜい明日ぐらいまでかな?

アカリ「ってな訳で、いっただっきまあす」

5人全員が続いた。一応ペラップも、小声ではあるがこう言うのを言うようになっている。

もっとも、大声出したらそれはそれでまずいんだけれども。
 ▼ 430 1◆J44kAZeDOM 16/01/03 21:28:09 ID:knX/Ygx. [4/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ロトム「今日モオンナジ味ナノ?」

レントラー「諦めろ、そこまでレパートリーが多い訳じゃない」

ロトム「チェ」

グレイシア「ってかあんた、今まで何食べてたの? 想像も付かないんだけど」

ロトム「ウーン、適当ニイロイロ食ベテタヨー」

グレイシア「いやわかんないんだけど」

エンペルト「どうでもいいじゃない」

グレイシア「にしてもあんた、急にでっかくなったよね。なんか違和感しかないんだけど」

エンペルト「進化ってそう言う物でしょ」

グレイシア「いやでもいきなりでっかくなり過ぎでしょ!」

エンペルト「伸長の伸びの倍率は同じぐらいなんだけど、あなたと私じゃ」

グレイシア「倍率とかそう言う話じゃなくってさあ……」
 ▼ 431 1◆J44kAZeDOM 16/01/03 21:35:54 ID:knX/Ygx. [5/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
レントラー「なんでそうどうでもいいような事で語り合ってんだよ」

グレイシア「それ言う?! それ言っちゃうの?!」

エンペルト「議論ぐらいちゃんとさせなさいよ」

ペラップ「あんまり口挟まない方がいいと思うよ」

小声でたしなめるペラップの意見に心の底から納得して、食事に戻った。

面倒なんだよなあ……

ペラップ「でも、進化ってしてみたいなあ」

レントラー「ああそうか、ペラップって無進化だもんな」

頷いて、小声のまま尋ねた。

ペラップ「進化ってどんな感じなの?」

レントラー「そうだなあ……ってかなんで元人間が進化の感触についてポケモンに説明しないといけないんだろうな」

冗談めかして言う。ペラップも笑った。

レントラー「真面目に言うと、なんだろ……力が内から溢れ出して、抑えきれなくなって、それで……」

レントラー「……ダメだ! 上手く言えねえ! すまん、ペラップ」

ペラップ「大丈夫」
 ▼ 432 1◆J44kAZeDOM 16/01/03 21:46:27 ID:knX/Ygx. [6/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
レントラー「っと、そろそろ飯食おうぜ」

ペラップが頷いたのを見届けて、食事に集中しようと……

エンペルト「だから進化は種族それぞれだって事でOK?」

グレイシア「わかった」

今終わったのかよ。ってかまだ続いてたのかよ。

心中にその声を留めて、意識を強引に飯の方に持って行った。



「「ごちそうさま」」
 ▼ 433 1◆J44kAZeDOM 16/01/03 21:52:29 ID:knX/Ygx. [7/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「あ、みんな食べ終わったんだ。じゃ、戻って!」

そのままボールの中へと吸い込まれる。

アカリ「じゃあ、部屋取っちゃわないと」


アカリ「よし、じゃあ、みんな出て来て! あたしはお風呂洗っとくね」

了解の声を適当にあげて、すぐに会話が始まった。

エンペルト「レントラー、ちょっといい?」

レントラー「いいけど……ロトムの話?」

エンペルト「うん。だけどロトムってあのテンションだから、一緒にいてもあんまり意味なさそうなのよね」

レントラー「わかった。じゃ、ちょっと向こう行こうぜ」
 ▼ 434 1◆J44kAZeDOM 16/01/03 22:02:28 ID:knX/Ygx. [8/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
エンペルト「まずは情報を整理しよう」

エンペルト「森の洋館では昔、殺人事件が起こったのよね」

エンペルト「そのせいでホラースポットと化して、第2の犯罪が起こって、それで昨日のあの事件が起こったんだけど……それはロトムとはたぶん関係ない」

レントラー「いや、全くの無関係って訳でもないぞ。何しろ犯人をテレビの中に引きずり込むとか言う事をやってのけたんだからな」

エンペルト「え、そうだっけ?」

レントラー「言ってなかったはず。あそこでそんな事言うほど野暮じゃねえよ」

エンペルト「それもそうか。にしても中々すごいね、テレビの中に引きずり込むって……」

ちらっとロトムの方を振り返り、言う。

エンペルト「そんな事するポケモンだなんて到底思えないんだけど」

レントラー「だよな。そこの違和感も、もしかしたらなんかの手掛かりかもしれねえじゃん?」

エンペルト「なるほど、それで無関係じゃない、か」

レントラー「そう言う事」
 ▼ 435 1◆J44kAZeDOM 16/01/03 22:15:34 ID:knX/Ygx. [9/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
エンペルト「話を元に戻すよ。その元の殺人事件とロトムとあの日記の少年がたぶん関係あるんだよね」

レントラー「一家惨殺事件の唯一の生き残りが日記の少年で、ロトムと仲がよかった、か」

エンペルト「だろうね。たぶん、そこの前提は前提として使っていいと思う」

レントラー「……後、さっきの違和感なんだけど、あいつやたらと犯人に怒ってた」

レントラー「許される訳ないみたいな、そんな感じ」

エンペルト「あーっと……」

少し考え込んで、エンペルトはこう口にした。

エンペルト「もしかしてだけど、その違和感の謎、解けたかもしれない」
 ▼ 436 1◆J44kAZeDOM 16/01/03 22:21:36 ID:knX/Ygx. [10/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
レントラー「え……はあ?」

エンペルト「だから、たぶん解けた。ううん、簡単よ。少し考えればたぶん、レントラーならわかると思う」

レントラー「ちょっと待ってくれよ、考えてみる」

……

なあんだ。違和感の謎は、簡単に解けた。

レントラー「自分も殺人事件に巻き込まれたから、同じように殺人を犯した人間が許せない、ってか」

エンペルト「大正解。まあ、たぶんではあるけどね」

レントラー「許せない……か。そうやって誰かを傷つけた奴は、その被害者からは許されない……」

エンペルト「え、急にどうしたの?」

レントラー「いや、なんか急に出て来た。なんだろ? 当たり前なんだけど、すごいきつく感じるんだわ、今のセリフ」

エンペルト「もしかしたら、あなたの記憶の手掛かりだったりしてね」

レントラー「でももう、結論は出てるじゃねえか」

エンペルト「それはどうかな。まだ別の解釈が通る余地もあると思うけど」

レントラー「ああもう、ややこしい!」
 ▼ 437 日はここまで◆J44kAZeDOM 16/01/03 22:30:18 ID:knX/Ygx. [11/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
エンペルト「まあ今は、あなたじゃなくてロトムよ。たぶんだけど、殺人事件でロトムと少年は引きはがされたのよね」

レントラー「だからロトムはその人間を探したい……か」

エンペルト「うん。でも、肝心のその少年の正体は、全くと言っていいほどわからない」

エンペルト「そもそも手掛かりも全くないしね」

エンペルト「こればっかりは直接聞かないとどうしようもないと思うんだけど……」

レントラー「知らないらしいな……ホントかウソかはともかく」

エンペルト「ってな訳で、少年へつながる糸は0。考えるだけ無駄よ」

レントラー「仕方ないか」

アカリ「おーいエンペルト、そろそろお風呂沸くよ」

レントラー「行ってら」

エンペルト「うん」
 ▼ 438 テラ@ポイントカード 16/01/04 00:01:35 ID:rjz36jsM NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
乙です
 ▼ 439 1◆J44kAZeDOM 16/01/04 20:42:18 ID:YGTt.f1. [1/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
女子たちが風呂へと向かって、後に残された俺は、ロトムに問いかけた。

レントラー「なあロトム」

ロトム「何? ドウシタノ?」

レントラー「1つ聞かせてくれ。いや、1つじゃないかもしれんが……ってか1つじゃないけど」

先程の結論を全て、ロトムにぶつけた。

ロトム「スゴイ! ナンデワカッタノ? 大正解ダヨ!」

レントラー「すごいのはエンペルトなんだけど、まあいいや」

ロトム「ウン。僕ガ探シテルノハソノ男ノ子、『キショー』ッテ名前ナンダケドネ」

レントラー「キショー……聞いた事ないな」

ロトム「ソッカ、残念。マ、気ニシナイ気ニシナイ!」

レントラー「見付かるといいな、そいつが」

ロトム「ウン」
 ▼ 440 1◆J44kAZeDOM 16/01/04 20:46:55 ID:YGTt.f1. [2/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
なんて話をしてると思いのほか時間食ってたみたいで、

アカリ「お風呂空いたよー」

って声が聞こえて来た。

軽く返事の鳴き声をあげると、「行こうぜ」とロトムを誘って浴室へとゴー。


こいつが仲間に入ってから、世話を焼くのに精いっぱいで、風呂入ってもあんまゆっくり出来ない。

でもだからと言って他の奴に任せたら感電しそうだし、仕方ないのはあるけどさあ。

せっかく進化して1人で湯船に浸かれてたってのに。

まあいいか。

さっきのロトムじゃないけど、気にしない気にしないだ。
 ▼ 441 日はここまで◆J44kAZeDOM 16/01/04 20:55:21 ID:YGTt.f1. [3/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
風呂を出てアカリに体を拭いてもらい、そのまま布団へ。

アカリ「じゃ、お休みー」

アカリはさっさと寝てしまった。

エンペルト「うーん、やっぱり推理って疲れる。私も寝るね」

レントラー「おう」

グレイシア「え? いつの間に、何の推理してたの?」

レントラー「ロトムの過去」

グレイシア「ええっ、してたの?」

レントラー「あ、まだ起きてるだろうから言っとくけど、お前正解だぞ、エンペルト」

ペラップ「合ってたんだ……」

ロトム「ホント、ナンデワカッタンダロウネ?」

グレイシア「ホント、たまにこいつ怖いよ」

レントラー「まあまあ。あ、手掛かりはプルートの部屋にあったあのノートにあったんだわ」

グレイシア「へえ」
 ▼ 442 1◆J44kAZeDOM 16/01/05 20:38:29 ID:XnglU9Yk [1/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
グレイシア「で、よ。結局なんなの?」

ロトム「アー、ソレハ僕ガ説明スルネ!」

うーん。

知っていた俺ですら、本人の口から言われるとなんか辛い。

ましてそれが初見なら。

グレイシア「え……」

ペラップ「ウソ……でしょ? 別の殺人事件の……被害者?」

ロトム「チョット違ウカナ。被害者ジャナイシ」

レントラー「実質的な、みたいなとこだ。いろいろ省略したらお前は被害者になんの」

ロトム「ヤヤコシイノ」

不満気に口を尖らせる。

その口調は、語る内容に不釣り合いなほどに明るかった。
 ▼ 443 1◆J44kAZeDOM 16/01/05 20:44:50 ID:XnglU9Yk [2/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
にしてもまあ、いじめ被害者4分の3の割と重苦しいパーティーに、極め付けみたいな感じだな。

この旅の中で、こいつも目的を達成出来るのだろうか。

レントラー「なあロトム。その事件ってどんぐらい前の話なんだ?」

ロトム「サア? デモタブン、70年ハ前ナンジャナイ?」

70年は、と来ましたか。

って事はもう少し上に見積もって……あれ? 生きてるか?

グレイシア「あんたはそんな何年も生きて来てなんでそんな幼いのよ!」

ロトム「知ラナーイ」

グレイシア「はあ……」
 ▼ 444 1◆J44kAZeDOM 16/01/05 20:51:42 ID:XnglU9Yk [3/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
その少年、事件当時、日記の文章とかから見てなんとなくだけど、小学校高学年はあると思う。

だとすると……若くて85。これならまだ生きてる可能性は普通にあるか。

カンナギの長老とか絶対もっと行ってるし、この世界元の世界より厳しそうだけどそんな短命な世界観って訳でもなさそう。

ただ……寿命ってのは個人差があるからなあ。そこは祈るしかない、か。

ロトム「フアア、モウ眠イヤ。オ休ミー」

グレイシア「お休み」
 ▼ 445 1◆J44kAZeDOM 16/01/05 20:56:59 ID:XnglU9Yk [4/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
グレイシア「にしても、マジか……隠れ過ぎでしょ。ってか、もっと大人になるでしょフツー!」

レントラー「なんでそこまでキレてんだよ。まあ察しは付くけど」

ペラップ「事あるごとに驚かされてんの」

レントラー「やっぱり」

グレイシア「こら。そこヒソヒソ話しても聞こえてるっての。ああもう! あたしはお化けが苦手! 怖がりです! これで満足?!」

レントラー「べ、別に責めてる訳じゃな……」

グレイシア「はあ?」

レントラー「なんでもないです……」

ペラップ「落ち着いて……」

グレイシア「はあ……」

三者三様のため息が部屋にこだました。
 ▼ 446 1◆J44kAZeDOM 16/01/05 21:02:16 ID:XnglU9Yk [5/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
なんか久々にあいつのキレ気味口調を聞いた気がする。

一周回って吹っ切れたみたいな?

まあそんな事はどうでもいいか。あいつが過去を乗り越えられたんだったら。

グレイシア「頭冷やす。ついでに体全体冷やす」

と氷タイプらしい発言をした後、窓の方へと飛び移った。

ペラップ「私ももう……寝るね、お休み」

レントラー「俺もそうするわ。んじゃお休み」
 ▼ 447 1◆J44kAZeDOM 16/01/05 21:05:23 ID:XnglU9Yk [6/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
今日はここまでです
 ▼ 448 ムパルド@がくしゅうそうち 16/01/05 23:56:24 ID:UnScBW2M NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 449 1◆J44kAZeDOM 16/01/06 21:35:06 ID:.hdvRQMI [1/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
夢。

俺「許してもらえるなんて思ってないけどさ、刈谷」

俺「ホント、マジですまん」

必死で謝る「俺」。

そんな「俺」を、どこか冷めた目でレントラー、つまり俺が見ていた。

謝っても帰って来ないんじゃないのか?

そう問い詰めたかった。だが、この口からこぼれる言葉は、仮に届いたとしても人間の俺に理解する事は出来ないだろうし、

そもそも、俺の声は、聞こえてすらいないらしい。

「俺」は、ただひたすら謝り続けていた。
 ▼ 450 1◆J44kAZeDOM 16/01/06 21:42:26 ID:.hdvRQMI [2/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
寝覚めは最悪だった。

寝ぼけてぼんやりした頭でどうもあれは俺の記憶の手掛かりだろうななんて思う。

俺はやっぱり、刈谷に対して許されない事をしたんだ。

それがなんなのかって、かばいきれなかった事に対する罪悪感なんだろうけど。

……考えても仕方ない。そもそも戻れるかすらまだわからないってのに。

結論は、もう出てる。

さて、そろそろ起きる……か。

ロトム「オッハヨー!」

速攻で布団の中へ戻った。

ロトム「エッ?! 今起キタヨネ?!」

お前といると疲れるんだよ!

……まあ気分転換ぐらいにはなるか。

そう判断を付けて、やっぱり起きる事にした。
 ▼ 451 1◆J44kAZeDOM 16/01/06 21:47:16 ID:.hdvRQMI [3/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ロトム「オハヨー! ヒマダシ話ソウヨー!」

レントラー「何をだよ」

ロトム「ウーント……」

考え込んでしまった。

ってかこいつ、早起きし過ぎじゃね? まあ昨日あんなに寝てたらそりゃそうか。

グレイシア「うーん、うるさい」

冷たく言い放つと、窓の方から飛び降りて来た。

グレイシア「ロトムあんたさあ。朝みんなが寝てる時ぐらいもう少し静かにしなさいよ」

グレイシア「あんたのムダにうるさいおはようで目が覚めたじゃないの!」

レントラー「グレイシア、お前がうるさい」

グレイシア「あ……」
 ▼ 452 1◆J44kAZeDOM 16/01/06 21:51:58 ID:.hdvRQMI [4/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
グレイシア「はあっ、調子狂うなあ……」

レントラー「しゃーない。あれ? ロトムは……」

言葉を不意に飲み込んだ。

電気の気配が背後から……

ロトム「ワッ!」

レントラー「……これか」

グレイシア「あんたビビらないの?!」

レントラー「だからうるさい。俺電気タイプだから、こいつの電気がなんとなくわかったんだよ」

グレイシア「うらやましい。あたしも電気タイプになりたかった……」

レントラー「これ以上電気タイプ増えたら俺が困る」

エンペルト「おはよ。何の話してんの?」

ペラップ「おはよう。ロトムに関する話だよね」

レントラー「大正解。どっから聞いてた?」

ペラップ「レントラーがふて寝しだしたとこから」

レントラー「最初じゃねえかっ!」
 ▼ 453 日はここまで◆J44kAZeDOM 16/01/06 21:57:59 ID:.hdvRQMI [5/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
とまあ、こんな風にいつもと変わらない日常の中で、さっきの夢は忘却の彼方……とまでは行かなくても、少なくとも思考の片隅には追いやられていた。

エンペルト「取りあえずアカリ起こす」

レントラー「任せた。で、ペラップ? なんで出て来なかった?」

ペラップ「……正直面倒……だし」

レントラー「急にキャラを戻すなキャラを。変われたならそれでいいだろ」

ペラップ「……ごめんね」

ロトム「ミンナドウシタノー?」

この発言には、全員完全無視を決め込んだ。

アカリ「うん、おはよ、みんな。戻って! 朝ごはん食べに行くよ!」

いつの間にか起きだしたアカリは俺たちをボールに戻した。
 ▼ 454 1◆J44kAZeDOM 16/01/07 22:14:04 ID:5D1rT9cI [1/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
にしてもなあ。

あの深刻な過去と今目の前にいるこいつの性格が、どうにも食い違う。

そんな事を考えながらの食事で、味なんかわかるはずもなかった。

レントラー「ごちそうさま」

グレイシア「はやっ。いつにもましてはやっ」

レントラー「考え事集中してっから」

ま、変に落ち込まれるよかマシか?

……あんなテンション高いならむしろ落ち込んでくれた方が楽か。

なんて考え込んでたら、不意に背後から大声が聞こえて、情けない声が口から漏れた。

レントラー「なあ、もうやめろっての」

ロトム「ビックリシタヨネ! ワーーーーイ!」
 ▼ 455 1◆J44kAZeDOM 16/01/07 22:18:35 ID:5D1rT9cI [2/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
視点 アカリ

ロトム、何やってんだろ……

ま、いっか。

うん、おいしい。

やっぱり、ちゃんとご飯を食べられてる、この幸せをしっかり噛みしめないとね。

命を無理矢理奪われた人だっているんだし、そう考えるとあたしは、

こうやってみんなに囲まれて、世界一の幸せ者だよ!

……世界一はさすがに言い過ぎ……かな?

アカリ「ごちそうさま。みんな食べ終わったみたいだし、戻って」
 ▼ 456 1◆J44kAZeDOM 16/01/07 22:23:30 ID:5D1rT9cI [3/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
さあて、と。

部屋は片付け終わったし、忘れ物も……あ、あっぶな。

鞄忘れるとこだった。何アホな事してんだろ、あたし。

じゃ、行きますか!

――

今日のルートはハクタイの森経由でソノオまで行きたい……けどなあ。

ハクタイの森は迷路みたいに入り組んでるらしい。

あたし、あの雪山で迷うぐらいなんだからそんなの絶対迷子になるに決まってる。

最悪野宿も覚悟しなきゃな。

アカリ「っと。考え込んでるうちに先に進めるよね」
 ▼ 457 1◆J44kAZeDOM 16/01/07 22:27:15 ID:5D1rT9cI [4/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「方角的にはあっちに行けばいいんだよね」

にしてもうっそうとしてるなあ。

でもまあ、木漏れ日が気持ちいいとも言えるけど!

でも日光があんま当んなくて、ちょっと肌寒いな……

とまあ、そんな風にプラス思考で考えながら歩いてたら、少し懐かしく思える建物を見付けた。

アカリ「……森の洋館」

あの子が、安らかに眠れますように。

そう祈りを込めて、静かに手を合わせた。

アカリ「……行ってきます」
 ▼ 458 1◆J44kAZeDOM 16/01/07 22:30:53 ID:5D1rT9cI [5/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
なんて決意を新たに歩き出して、なんかご加護でもないかなあなんて適当に考えてたけど、

そんな利己的な思考の罰が当たったのか、

アカリ「あれ? どっちだっけ……」

方角を見失った。

要するに、

アカリ「迷った……」

さあて、どうしよう。

あ、あっちに誰かいる。ちょっと聞いてみようっと! バトルでもなんでも、ドンと来い!

迷って死ぬよか全然マシだよ!
 ▼ 459 1◆J44kAZeDOM 16/01/07 22:36:19 ID:5D1rT9cI [6/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「すいませーん!」

サイキッカー♂「……トレーナーさんですか。 ……!」

アカリ「どうかしました?」

サイキッカー「あなたから……強い霊力を感じる」

アカリ「あーそれたぶん、森の洋館の幽霊に憑りつかれたからです。まあ、成仏はしたと思いますけど」

サイキッカー「なん……だと?」

アカリ「あの子の行く末はあたしにはわかんないですけど……まずあたしの行くべき道すらわかんないのに」

サイキッカー「とにかく、その幽霊が無事成仏出来るよう祈っておくよ」

アカリ「ありがとうございます。で、あたし、ソノオの方面に行きたいんですけど、迷ってるんです」

アカリ「どっちに行けばいいでしょうか?」

サイキッカー「少し待ってくれ……」
 ▼ 460 1◆J44kAZeDOM 16/01/07 22:40:55 ID:5D1rT9cI [7/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
え、ちょっと待って。

なんか念じだしたんですけど。

道知らないの?! 知ってるならいちいちそう言う演出はいらないよ?

サイキッカー「占いによると、あっちだと出ている」

そう言って指さしたのは、今来た方。

アカリ「……知らないんですか」

サイキッカー「……ああ。だが占いによると……」

アカリ「知ってる人誰かいないんですか?」

サイキッカー「つい最近までは森の洋館の方角がわかり過ぎるほどわかったんだが、それが薄れ、方角感覚が狂ってしまって……」

アカリ「……まさか、あなたも迷g……」

サイキッカー「みなまで言うな」
 ▼ 461 1◆J44kAZeDOM 16/01/07 22:44:23 ID:5D1rT9cI [8/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「はあ……あ、そうだ。一緒に来ます? 旅は道連れ世は情けって言いますし」

この場合の道連れって、技としての道連れと同じ効果になりそうだけど。

サイキッカー「そうか。それはありがたいな」

アカリ「あ、あたしはアカリです」

サイキッカー「俺はマキヤ、よろしく」

さあて、道連れが出来た所で、何かが進展するのかなあ?

あ、そうだ。
 ▼ 462 1◆J44kAZeDOM 16/01/07 22:48:38 ID:5D1rT9cI [9/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「レントラー! よろしく!」

レントラーがボールの外へ。

アカリ「あのさ、迷ったんだけど……透視でだいたいの方角の見当を付けてくれない?」

マキヤ「なるほど。確かに透視の能力があるな」

レントラーはこっくりと頷いて、その目を金色に光らせた。

レントラー「……がう」

右の前足を前方に向けて、一声鳴き声をあげた。

アカリ「あっちね」

レントラーは頷く。

アカリ「よし。ありがと! 戻って」

アカリ「マキヤさん。あっちらしいです。大ハズレですね」

マキヤ「うるさい」
 ▼ 463 1◆J44kAZeDOM 16/01/07 22:53:34 ID:5D1rT9cI [10/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
その方向に従って進んで行って……

アカリ「あれ? 行き止まり?」

マキヤ「方向あってたのか?」

アカリ「うーん、あ、ちょっとそこで待ってください! 絶対こっち来ないでくださいね! 振りじゃないですから!」

マキヤ「しつこい」

――

アカリ「レントラーとペラップ、よろしく」

アカリ「レントラー、方向は合ってたの? 行き止まりだったんだけど」

レントラー「がうあう」

ペラップ「その先も見通してるから、袋小路はわかんねえ、だって」

アカリ「ありがと。聞かれてないよね。うん。戻って!」
 ▼ 464 1◆J44kAZeDOM 16/01/07 22:56:51 ID:5D1rT9cI [11/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「……ってな訳みたいです」

マキヤ「どうやってそれを知ったの?」

アカリ「聞いて来たんです。なんとなく気恥ずかしかったから待っててもらっただけで」

マキヤ「ふうん」

アカリ「方角は合ってます。だから、それを意識しつつ、戻りましょう!」

――

マキヤさんに回復してもらいながら先に進んだ。

アカリ「あれ? こっちじゃない……」

マキヤ「袋小路か……」


――

そしてついに……

アカリ「あ! あっちから明かりが!」

マキヤ「もうすぐ抜けられそうだな」
 ▼ 465 1◆J44kAZeDOM 16/01/07 23:00:19 ID:5D1rT9cI [12/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「やった……出られた……やったああああ!」

マキヤ「やったな」

高い位置で2人の手が軽やかな音を鳴らした。

マキヤ「ここまで来れば後はソノオまでもうすぐだ。だが俺は、ハクタイの方まで戻るがな」

アカリ「え?」

マキヤ「実はそこに、抜け道があるんだ」

アカリ「……」

アカリ「もっと早k」

マキヤ「俺と出会った時はもう手遅れだった」

アカリ「」
 ▼ 466 日はここまで◆J44kAZeDOM 16/01/07 23:03:27 ID:5D1rT9cI [13/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
マキヤ「と、言う訳だ。ここまで付き合ってくれてありがとう」

アカリ「いいんですよ。回復楽でしたし」

マキヤ「正直に言うな」

感嘆とも呆れとも付かないその言い草に、なんとなく言い返してやった。

アカリ「よく言われます」

マキヤ「そ、そうなのか。じゃあ、またどこかで会えれば」

アカリ「まあ可能性は低いでしょうけどね。さよなら!」

笑顔。この言い方でそれを忘れたらただのヤな奴だもんね。

マキヤ「だからもう少し空気を読もうよ……」

その呟きを無視して歩き出した。
 ▼ 467 ンベアー@げんきのかけら 16/01/08 21:54:06 ID:dUu2xwlI NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 468 1◆J44kAZeDOM 16/01/08 23:17:55 ID:ddO1Svt6 [1/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
視点 レントラー

グレイシア「はあ? なんか視線を感じる?」

レントラー「ああ。ペラップも気付いただろ?」

ペラップ「うん」

エンペルト「どの辺から?」

レントラー「透視しに外に出た時に気付いた。1回目も2回目も感じた」

グレイシア「偶然? にしちゃ2回は変か……」

エンペルト「つけられてるのかもね」

グレイシア「なんで尾行されなきゃいけないってのよ」

エンペルト「ギンガ団……ならありえそうだけど」

レントラー「え?」
 ▼ 469 1◆J44kAZeDOM 16/01/08 23:21:35 ID:ddO1Svt6 [2/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
エンペルト「ギンガ団以外の選択肢が、私には思い付かない」

レントラー「でもだって尾行だなんてそんな……」

エンペルト「そこまでする? って言いたいのかもだけどされてもおかしくはないよ」

エンペルト「だってビルに潜入して恐らく団員たちすら知らない秘密の部屋に入ってるんだし」

エンペルト「テンガン山のあいつを見ても、サターンが正しいとするならプルートの指示に従うしたっぱはいるでしょ?」

エンペルト「サターンがウソをついてるとしたらなおさら。どっかでアカリを排除しないと不都合が起きそうなのは明白じゃない」

レントラー「そこまで言われると何も言い返せない……」

エンペルト「まあどっかで警戒してって伝えないとね。ってか伝えといてよさっき」

レントラー「そこまで急を要する問題とは思ってなかったんだよ!」

エンペルト「なるほどね」
 ▼ 470 日はここまで◆J44kAZeDOM 16/01/08 23:27:50 ID:ddO1Svt6 [3/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
そんな時、さっきまで寝ていたロトムが急に声をあげた。

ロトム「フアア……ア、ナンカスゴイ電気!」

レントラー「うわっ! きゅ、急にどうした」

ロトム「ダッテアッチノ方カラナンカスゴイ電気ガ!」

レントラー「ああ……谷間の発電所か」

グレイシア「何それ」

レントラー「人間に電気を供給してる建物」

グレイシア「ふうん」

ロトム「アッチ行キタイナア……」

レントラー「そんなもん?」

俺も電気タイプだけど、そこまでの衝動はないな。

エンペルト「まあ我慢しなさい」

ロトム「チェ」

あれ? そういやギンガ団のイベントが起きたんだよな谷間の発電所って……

さっきの会話との妙な符号を感じ取り、少し震えた。
 ▼ 471 1◆J44kAZeDOM 16/01/09 23:37:18 ID:7/ccWCaM [1/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
視点 アカリ

やっば、もう夜じゃん。

急がないと、部屋取れなくなっちゃう。

あ、あっちから明かりが。ソノオももうすぐかな?

よっしゃ、走るか!

――

アカリ「ふうっ……疲れた……」

でも着いたっぽいな。

花畑の町、ソノオタウン!

アカリ「ポケセンは……あっちか」
 ▼ 472 1◆J44kAZeDOM 16/01/09 23:42:47 ID:7/ccWCaM [2/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「花畑は……さすがに見えないか」

暗いし、仕方ない。まあ、明日見よう。

ってな訳で……

――

アカリ「すいませーん、ポケモンの回復と部屋をお願いします」

ジョーイ「わかりました!」

回復マシンにモンスターボールを乗っけて、すぐに

ジョーイ「お預かり(ry」

アカリ「ありがとうございます」

ジョーイ「そしてトレーナーカードを見せてください」

アカリ「これで」

ジョーイ「わかりました。こちら、部屋のカギになります」

アカリ「ありがとうございます!」
 ▼ 473 1◆J44kAZeDOM 16/01/09 23:50:50 ID:7/ccWCaM [3/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
視点 レントラー

アカリ「ふうっ」

ソファに体を投げ出すと、アカリは俺たちをボールの外に出した。

アカリ「みんな、出て来て! お風呂とごはんはちょっと待って、休みたい」

……それ、絶対今日は風呂抜きだよな。

確実にこのまま寝て、気付けば朝って展開だろこれは。

まあ森ってどう行けばいいのかわかんないから不安も大きいしな。

ゲームの外からでもそうだったんだからリアルで体験してたアカリの負担は相当なもんだろう。

エンペルト「今日はもうお風呂は諦めるとして、アカリが寝る前にペラップ、ちょっとお願いしたいんだけど……」

そんな時、アカリの方からぐうっと音がなった。

アカリ「……っと! ダメダメ! まだ寝ちゃダメ! お腹空いてるし!」

エンペルト「あ、そういやそうだっけ。ごはんの事、完全に忘れてた」

レントラー「えっと……お前マジか」
 ▼ 474 日はここまで◆J44kAZeDOM 16/01/09 23:57:10 ID:7/ccWCaM [4/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「ってな訳で食堂閉まってたからなんか適当に買って来た訳だけど……」

こいつ誰に向かって話してんだ?

アカリ「さあて、どうしよ。あたし、料理出来ないんだよね……」

いや、ポケモンフーズは盛り付けるだけ、お前のはお湯入れて3分だけだろ?

料理出来ようが出来まいが関係ないっての。

アカリ「ま、いっか。なんとかなるなる!」

だからむしろなんとかならない方が重症だってば。

――

……まあさすがにこれでクッソまずいとか、逆にめっちゃ旨いとか、そんな事はないか。

盛り付けるだけ。その他特別な手順は一切なし。

だもんな。

アカリ「うん。普通においしい」

だろうな。

グレイシア「ふああ……これ食べたらもうそのまま寝ちゃうか」

エンペルト「あ、そうそう。ペラップ、通訳お願い」

ペラップ「もぐぐ……うん、いいよ」
 ▼ 475 1◆J44kAZeDOM 16/01/10 18:33:23 ID:/KmE2Gao [1/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリが食べ終わったそのタイミングで、エンペルトとペラップが説明を始めた。

アカリ「ええっ!? ギンガ団につけられてる?!」

エンペルト「しっ。声が大きい」

ペラップ「声が大きい」

エンペルト「ギンガ団が悪人だって知らない人もいるんだから」

ペラップ「ギンガ団が悪人だって知らない人もいるし」

アカリ「あ、ごめん。でも、なんで?」

エンペルト「ギンガ団ってのはあくまで予想でしかないけど。でも心当たりがそのぐらいしかない」

ペラップ「あくまでギンガ団ってのはエンペルトの予想だけど、でもつけられてるのはホント」

アカリ「な、なんで……?」

エンペルト「目、付けられてるんだろうね」

ペラップ「目を付けられてるのかな、だって」

アカリ「まあ、わからないでもないけど……」
 ▼ 476 1◆J44kAZeDOM 16/01/10 18:41:55 ID:/KmE2Gao [2/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「で、でも……」

エンペルト「人目があるとこを選んで行けば大丈夫でしょ。いざとなれば私たちが戦えるし」

グレイシア「だね。こりゃ今日はしっかり寝とかないと」

ペラップ「人目があるとこを選んで歩く。いざとなれば私たちみんなが戦える。だから安心して」

アカリ「……そっか、そうだよね。みんながいる訳だし、もし襲われてもなんとかなるなる!」

そりゃちょっと楽天的が過ぎると思うのは俺だけだろうか。

まあ少し警戒してるぐらいでちょうどいいか。こいつあんまり警戒させると視界が狭まってむしろ被害被りそうだし。

アカリ「うーん、でもビックリしたなあ。ちょっと頭冷ましがてらお風呂やっぱ沸かすよ」

やっぱ。うん。沸かすつもりはなかったんだな。
 ▼ 477 1◆J44kAZeDOM 16/01/10 18:45:55 ID:/KmE2Gao [3/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ロトム「何ノ話シテンノ? ギンガ団ハ知ッテルケド」

レントラー「お前知ってんの?! ……まあギンガ団に研究されてた訳だし、そりゃそうか……ん?」

エンペルト「どうしたの?」

レントラー「いや、プルートはどう考えてもこいつについてあの部屋で研究してた。それがなんであの洋館に?」

ロトム「エ? 僕別ニアノ部屋ニズットイタ訳ジャナイケド」

レントラー「……は?」

ロトム「チョット手伝イミタイニアノ部屋行ッテ、イロイロサレテタダケダケド」

エンペルト「つまりあなたは、あの洋館に住みながらプルートに研究されてた、と」

ロトム「ウン。デモ最近見ナカッタナア」

レントラー「はあ……」
 ▼ 478 1◆J44kAZeDOM 16/01/10 20:00:12 ID:/KmE2Gao [4/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
いやまあ確かに研究対象が怖がって逃げたら元も子もないか。

うーん、でも強引に押し込める事も出来たはずだし……

エンペルト「まあ、それはいいや。問題なのは今尾行されてるって事。ロトムの事については今は気にしなくていいでしょ」

レントラー「ま、それもそうか」

エンペルト「それにプルートがどうロトムを研究してたって事が何かに関係してくるとも思えないしね」

アカリ「お風呂沸いたよー。みんな来て」

エンペルト「じゃ、私行くね」

レントラー「おう」

ロトム「プルートッテ言ウンダ、アノ研究者。ダケド、ソンナ怖クナカッタシ、ムシロ優シカッタヨ?」

レントラー「それは何より」
 ▼ 479 1◆J44kAZeDOM 16/01/10 20:06:14 ID:/KmE2Gao [5/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
その後の会話はロトムのプルートに対する思い出話に終始した。

その結果得られた事として、割と優しい一面を持っている、って言う事、それだけだった。

正直、意外だった。

研究対象には冷徹なまでに感情を挟まない! みたいなイメージがあったもんだから。

ただし、欲望は常人より明らかに多い、って言うイメージもあった。

だから、そう言う人間的な面を聞くたびに、俺の口からは驚愕の言葉がこぼれて行った。

アカリ「レントラー、お風呂空いたよ〜」

その声に会話を中断し、ロトムと共に浴槽へと向かった。
 ▼ 480 1◆J44kAZeDOM 16/01/10 20:16:31 ID:/KmE2Gao [6/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
エンペルト「へえ、意外」

今の話を風呂から出た後みんなにしてみたところ、全員驚いていた。

ロトム「ッテ言ウカナンデミンナ知ッテルノ?」

レントラー「あれ? 説明してなかったか。じゃ、ちょっと聞いてくれ」

今までのギンガ団絡みの話を全て説明した。

ロトム「ウソ。信ジランナイヨ!」

グレイシア「残念ながら、全部事実よ。どこかにウソがあるかもしれないけど」

ロトム「ホラ、レントラーウソツイテル!」

グレイシア「だからそれ、レントラーじゃなくてギンガ団サイドがって事!」

ロトム「アア、ナルホド」

レントラー「だからお前が知ってるプルート像を聞いてみんな驚いたって訳」

ロトム「ソウ……ナンダ」

ペラップ「そんな残念がらなくていいよ別に」

アカリ「ん? 何を?」
 ▼ 481 1◆J44kAZeDOM 16/01/10 20:20:07 ID:/KmE2Gao [7/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
こいつまだ起きてたのか。

布団に潜り込んでるから完全に寝たと思ってた。

ペラップ「こっちの話だから気にしないで」

アカリ「そんな事言ったら余計気になるじゃん!」

エンペルト「うーん、ロトム、話していい?」

ロトム「何ヲ?」

エンペルト「あなたの過去の話。プルートに研究されてた時のね」

ロトム「ア、イイヨ〜」
 ▼ 482 1◆J44kAZeDOM 16/01/10 20:28:38 ID:/KmE2Gao [8/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「ええっ?! プルートがいい奴?!」

ペラップ「な部分もあったみたい」

アカリ「信じらんない……人のポケモンを操るような奴なのに……」

そう。

ポケモンに愛情を持って接する事が出来るなら、なんであんな事出来るんだろう。

手持ちポケモンに殺される。これほど残酷な事がこの世界にあるだろうか。

アカリ「……あーもうわかんないよ! 完全な悪じゃないって事? それどこのアブソルよ!」

アブソルは完全‘に’悪じゃないと思うんだが……ポケモン世界だとまだ悪の部分があるって思われてるのか?

アカリ「……もう寝よう。お休み」
 ▼ 483 1◆J44kAZeDOM 16/01/10 20:34:46 ID:/KmE2Gao [9/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
グレイシア「でもまあどうでもよくない? あいつが悪い奴ってのには変わらないでしょ?」

レントラー「ああ」

グレイシア「なら全力で倒す。それだけでいいじゃん」

グレイシアの思考は単純明快。

正義と悪ですっぱりだ。

それもこれも、あの過去から来てるんだろうな。

グレイシア「そいつのせいで傷つく奴がいるなら、こらしめないと」

ペラップ「同感。1回何かしたら、もう取返しは付かないし」

自分も危うく取返しの付かない事をしそうだったからわかるけど、と付け加えた。

ロトム「信ジランナイケド、悪イ奴ナンダッタラ倒サナイトネ」

ロトムも自分の記憶の影響を受けてる、と思う。

レントラー「満場一致、だな。まあ、とにかくプルートを止めないといけないのは俺もわかってる」

エンペルト「じゃあまあ、みんな寝て、明日に備えよ。ギンガ団が襲って来るかもしれないし」
 ▼ 484 1◆J44kAZeDOM 16/01/10 20:38:26 ID:/KmE2Gao [10/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
レントラー「そうだな。んじゃ、お休み」

口ぐちにみんなもお休みと言って眠りに就いた。

――

何だろう……

やっぱりああ言う大きな事件はその人……ポケモンだけど……のその後に影響するんだな……

ああ言うって言っても実際に見た訳じゃないけど……

俺にもし記憶があったらどうしたんだろう……どう……思った……


そこで意識が途切れた。
 ▼ 485 ワライド@げんきのかたまり 16/01/10 20:38:46 ID:/KmE2Gao [11/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
今日はここまでです
 ▼ 486 1◆J44kAZeDOM 16/01/11 20:24:11 ID:KjW0hmOY [1/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
視点 アカリ

むう……

アカリ「ふああ……うーん、おはよ」

って、みんなまだ寝てんのか。

あれ? でも今日あたしが早起きするような理由も……理由も……

もしかして!

アカリ「やばっ!」

みんなが遅起きなだけで、もうすぐ朝ごはんの時間じゃないの!

アカリ「みんな起きて! 今すぐに!」
 ▼ 487 1◆J44kAZeDOM 16/01/11 20:29:02 ID:KjW0hmOY [2/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
レントラー「くああ……」

エンペルトも目をこすりながら起きだした。

アカリ「ほら、グレイシアもとっとと起きる! ペラップは……」

ペラップ「おはよう」

アカリ「おはよ。で、あれ? ロトムがどこにも……きゃっ!」

ロトム「ろーとととw」

アカリ「ちょっと! 脅かさないでよ!」

グレイシア「ぐらっしゃ……」

アカリ「ほらグレイシア、さっさとしなさい。ってか戻って、ボールに」
 ▼ 488 1◆J44kAZeDOM 16/01/11 20:34:15 ID:KjW0hmOY [3/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ふうっ、朝から疲れた。

ロトム、悪戯好きはいいんだけど、もうちょっと場面を考えて欲しいよね……

アカリ「みんな出て来て。ごはんよ」

アカリ「あ、すいませーん。これとこれとこれを」

店員「かしこまりました」

アカリ「さあて、ごはんが来るまで、今日の予定についてちょっと整理するね、みんな」
 ▼ 489 1◆J44kAZeDOM 16/01/11 20:43:17 ID:KjW0hmOY [4/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「ソノオの南の204番道路を通ってコトブキまで行く」

アカリ「正直204番道路って短いから、今日はソノオでゆっくりしてから出発するつもりなの」

アカリ「コトブキからは取りあえず、一旦家に戻るつもり」

アカリ「ほら、あのノートも博士に渡さなきゃだし」

アカリ「だから、今日は割といろいろするから、覚悟してね」

ペラップ「うん」

みんなの声を代弁してくれたのかな。

アカリ「あ、来た来た」

店員「お待たせしました」

アカリ「ありがとうございます」

アカリ「では、いっただっきまあす!」
 ▼ 490 1◆J44kAZeDOM 16/01/11 20:48:28 ID:KjW0hmOY [5/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
うーん、でも不安な事もあるのよね……

あたしたちを尾行してるって言うギンガ団。

人目があるとこにいればたぶん大丈夫だろうけどさあ。

にしてもなんで、こうなっちゃったんだろ……

あたしからケンカ吹っ掛けといて何だって話だけどね。

お姉ちゃんたちもちゃんと戦ってた訳だし、あたしも戦えるはず。

うん。

あ、そうだ。お姉ちゃんと言えば。

帰るんなら連絡入れとかなきゃ。サプライズでもいいけどやっぱちょっと迷惑だろうし。
 ▼ 491 日はここまで◆J44kAZeDOM 16/01/11 20:51:32 ID:KjW0hmOY [6/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「ごちそうさま」

よし、みんな食べ終わってるな。

アカリ「ペラップちゃんと食べた?」

ペラップ「う……」

アカリ「まあ仕方ないか。小食なら小食で」

ペラップ「ほっ」

アカリ「じゃ、みんな戻って。行くよ!」
 ▼ 492 1◆J44kAZeDOM 16/01/12 22:06:52 ID:X/xtmAEs [1/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「忘れ物はない……よね? あれ? またなんか不安……」

アカリ「えっと……よし、大丈夫ね」

アカリ「よし。じゃあ、出発!」

――

さあて、と。

花畑は町の北側だったっけ。

……ギンガ団、ホントにつけて来てるのかなあ?

まあいいや、見付からないし。

アカリ「みんな、出て来て!」

せっかくだし、みんなもこの花畑を見たいだろうからね。
 ▼ 493 1◆J44kAZeDOM 16/01/12 22:12:40 ID:X/xtmAEs [2/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「どう? ソノオの花畑! ……えっ?」

アカリ「ちょ、ちょっとロトム、どこ行くの?!」

ロトム「ろーとととw」

アカリ「え……」

いやビックリしてる場合じゃなくて、追いかけなきゃ!

アカリ「みんな行くよっ!」

ロトム、急にどうしたの?

アカリ「待ってよ!」

まあ、待ってって言われて待つぐらいなら勝手にどっかには行かないか……
 ▼ 494 1◆J44kAZeDOM 16/01/12 22:17:47 ID:X/xtmAEs [3/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ええ? でも……どこ行こうとしてんの?

もう205番道路に……あ、まさか。

やっぱりだ。

ここの電気に惹かれてやって来た、ってとこかな。

アカリ「谷間の……発電所!」

シンオウの電気は全部、ここで作られてるんだっけ。確かだけど。

アカリ「ロトム、電気が好きだからここに来た、んだよね?」

ロトム「ろっと」

ほら、やっぱり。
 ▼ 495 1◆J44kAZeDOM 16/01/12 22:23:52 ID:X/xtmAEs [4/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
視点 レントラー

……ロトムのバカヤロー。

谷間の発電所。

一応有人ではあるけどさ……

どう考えても、ここは人気が少ない。

尾行されてる時にそんなとこ行ったらどうなるかなんて、わかりきってるってのに。

???「ちょっと君」

アカリ「きゃっ?! ……きゃっ!」

急に声をかけられて、しかもその正体に二重にビックリ、ってか。

そりゃビビるわ。

ギンガ団が目の前にいて、しかもいきなり自分に声をかけて来たってんだから。

アカリ「……ギンガ団!」

したっぱ「ああそうだ。と言っても別に手荒な事をするつもりはないぞ!」

アカリ「……尾行して来たクセによく言えますね」

したっぱ「……気付いていたのか」
 ▼ 496 1◆J44kAZeDOM 16/01/12 22:27:43 ID:X/xtmAEs [5/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「ええ、まあ」

緊迫した雰囲気。

をぶち壊す事に定評があるポケモンがここに1匹。

ロトム「わっ!」

したっぱ「うわっ!」

アカリ「ナイス! 今よ逃げてっ!」

エンペルト「何がナイスなのかしらね」

そう呟くと、アカリに背中を示した。

アカリ「……乗って、って事ね」

エンペルトが頷いた。

エンペルト「アクアジェットっ!」

したっぱ「あっ、おいっ!」
 ▼ 497 1◆J44kAZeDOM 16/01/12 22:32:03 ID:X/xtmAEs [6/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
先生技の勢いで素早く逃げる、か。なるほどな。

レントラー「エンペルト、俺たちに構うなっ!」

したっぱ「待t」

レントラー「おい」

うわ、なんか久々に使った気がする。

俺の特性、威嚇。

したっぱ「う……」

グレイシア「アカリに何かする気なら、あたしたち、許さないから」

ロトム「ココノ電気スゴイナア!」

レントラー「お前はちょっと黙れ。いや、聞こえないからいいのか……」

したっぱ「ほう、トレーナーをかばう、か。だが、俺じゃないぞ、尾行してたのは」

ペラップ「……え?」

グレイシア「どう言う事よっ!」

レントラー「えっと……まさかっ!」
 ▼ 498 1◆J44kAZeDOM 16/01/12 22:37:45 ID:X/xtmAEs [7/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
視点 アカリ

ふうっ、ここまで逃げれば大丈夫かな。

でも……みんな大丈夫かな。

逃げて来ちゃったけど……あたしだけが逃げるなんて、やっぱりよくないよね。

……そうだよ! 相手の狙いがあたしだったとしても、盾にするみたいな、こんな事やっぱよくない!

アカリ「エンペルト、戻るよ」

エンペルト「えんぺ?!」

アカリ「大丈夫。あたしも戦わなk……」

???「いたっ! 行けっ! エテボースっ!」
 ▼ 499 1◆J44kAZeDOM 16/01/12 22:42:59 ID:X/xtmAEs [8/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「え……」

???「ねこだましっ!」

アカリ「きゃっ!」

アカリ「いきなり何を……って、ギンガ団?! まさか、みんなを……」

いや、それはないか。性別が違う。

したっぱ「みんな? 何の事だ?」

って事は……しまった。

敵が1人、そう思い込んだのがあたしの敗因、か……

アカリ「……あんたたちの目的は何なの?」

したっぱ「お前が持っているカギだ。プルート様の大事な物らしいからな」

え、カギ?
 ▼ 500 1◆J44kAZeDOM 16/01/12 22:49:29 ID:X/xtmAEs [9/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
まさか……あたしがカギを取ったから、プルートはあの部屋に入れない……って事?

だとしたらそれ、絶対渡す訳にはいかないよ!

プルートが今回の黒幕なんだもん。

だけど……

今、あたしには、エンペルトしかいない。

ねえ、エンペルト。どうする?

なんて、言葉にしないとわかんないか。

でも……怖いよ……

したっぱ「震えているのか。思ったより弱気なのな」

アカリ「そ、そんな事ないもん!」

したっぱ「へえ。震えついでにカギを渡してもらえるとありがたいんだけど」

アカリ「無理よ! そんなの!」

したっぱ「ふう、お前がカギを持っているのは間違いないんだな」

アカリ「あ……」
 ▼ 501 日はここまで◆J44kAZeDOM 16/01/12 22:54:57 ID:X/xtmAEs [10/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
したっぱ「かわいい子だな」

アカリ「うるさい! 男みたいな口調すんな!」

したっぱ「……は?」

よっしゃ。挑発成功!

したっぱ「黙ってればいい気になりやがって」

アカリ「さっきから全く黙ってない」

したっぱ「ぐぬぬ……わかった。ならこれでどうだ?」

したっぱ「このカギをかけて、あたしと戦え!」

アカリ「受けて立つ!」

ホントは怖い。だけど……

あたしたちなら出来る! よね? エンペルト!

アカリ「行くよっ!」
 ▼ 502 1◆J44kAZeDOM 16/01/13 20:34:48 ID:7v6XESRU [1/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
相手の目的はこのカギ。

だから、このカバンを守り通せばそれで勝ち。

相手の敵は、今の所エテボースだけ。

周りの制約は……何もない。

アカリ「とりま先手必勝! アクアジェット!」

したっぱ「しっぽで掴んで飛び上がって!」

アカリ「技を解除して冷凍ビームっ!」

したっぱ「なっ!」

ジムバッジ6個の実力を舐めないで。

先手必勝を受け流す対策の対策ぐらい出来てる!

アカリ「行っけえええ!」

したっぱ「大丈夫かっ?!」

アカリ「さあ、どうします? 逃げ出すなら今の内」

したっぱ「逃げる訳ない! エテボース、行くよっ!」
 ▼ 503 1◆J44kAZeDOM 16/01/13 20:42:44 ID:7v6XESRU [2/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「波乗りっ!」

したっぱ「さあて、本気出す」

したっぱ「とっておき!」

とっておき? 確か他の技を全部出さないと発動されないんじゃなかったっけ?

まだねこだまししかしてな……えっ?

アカリ「ウソ。効いてる?!」

したっぱ「いつから技を4つ全部覚えさせていると錯覚していた?」

アカリ「2つしか覚えてなかった、って事……卑怯なっ!」

したっぱ「技は4つまで。4つ全部覚えさせないといけないなんてルールはありません!」

アカリ「ぐぬぬ……」

したっぱ「だけどエンペルトか。鋼タイプにはあんまり効かないのよね……」

そっか。

だとすると、勝機はそこにある。

アカリ「相手はノーマル技しか持ってない! 有利だよ! エンペルト、しっかり行こう!」
 ▼ 504 1◆J44kAZeDOM 16/01/13 20:48:12 ID:7v6XESRU [3/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
視点 レントラー

ちっ、だとすると……アカリが危ない。

レントラー「行くぞっ! 向こうだっ!」

グレイシア「え、ちょっと待ってよ! 説明してよ!」

レントラー「んなもん走りながら出来る!」

グレイシア「わかったわよ! でも、なんで?」

したっぱ「え、あ! おい!」

ペラップ「おしゃべり!」

したっぱ「え……あれ? ここはどこ? 私は……」

レントラー「ナイス」

グレイシア「はあ……ロトムのバカはまだあっちにいるみたいね」

ペラップ「あ、私呼んで来る」

レントラー「頼むっ!」
 ▼ 505 1◆J44kAZeDOM 16/01/13 20:53:09 ID:7v6XESRU [4/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
グレイシア「で? どう言う事?」

レントラー「アカリをつけてたギンガ団と、それを気にして監視してたあいつの2人のしたっぱが今この辺にいる」

グレイシア「あっ……」

レントラー「気にして監視ってのは想像だけど、間違っちゃいないと思う。ギンガ団はプルート派とサターン派で二分されてるっぽいし」

グレイシア「なるほどねえ……」

レントラー「……アカリはどっちだ?」

グレイシア「そんなんにおいで……においで……」

レントラー「花畑。まさかこんなとこで詰むとは……」

花の匂い。いい匂いなんだが、きつ過ぎる。

アカリのにおいもかき消される。

レントラー「クソッ!」

その時、衝撃音が聞こえた。

レントラー「北……マジな方の花畑!」
 ▼ 506 1◆J44kAZeDOM 16/01/13 20:57:53 ID:7v6XESRU [5/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ソノオ北部は町中でもすでに花が咲き誇っている。

だが、ソノオの花畑と名付けられたマップも存在する。

マジな方ってのは、その名付けられた方のマップなのだが……

レントラー「グレイシア! ついて来てくれ!」

グレイシア「わかった!」

ちっ、こっからだとだいぶ時間がかかる。

エンペルトの奴、どこまで逃げてんだよ……

頼む、しのいでくれ……
 ▼ 507 1◆J44kAZeDOM 16/01/13 21:03:49 ID:7v6XESRU [6/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
視点 アカリ

ふう……なんとかエテボースは倒せた……けど。

アカリ「エンペルト、大丈夫?」

エンペルト「えんっぺ……」

ダメ。こっちも倒れそう。

でも、あたしの勝ち……

したっぱ「お疲れ様エテボース。行けっ! ブニャット!」

ブニャット「ぶーにゃー!」

な……ウソだ!

まだ控えが……

アカリ「エンペルト……はもう無理か……」

アカリ「どうしよ……」

したっぱ「どうした? 降参か?」
 ▼ 508 1◆J44kAZeDOM 16/01/13 21:10:13 ID:7v6XESRU [7/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「……今は、エンペルトしかいない」

したっぱ「そうか! ならあたしの勝ちだn」

アカリ「ううん……最後まで、諦めないっ!」

したっぱ「そんな瀕死寸前のポケモンを戦わせるのか? ひどいとは思わないのか?」

アカリ「ひどくても……やるっきゃないよ! エンペルト! 最後まで頑張ろっ!」

アカリ「激流アクアジェット!」

したっぱ「ねこだましっ!」

アカリ「うっ……」

ホントに最後の最後まで嫌らしい……

でも……ノーマルの低火力技ならまだ耐えるっ!

アカリ「もっかいアクアジェット!」

したっぱ「ちっ……なんてな。引きつけて……騙し討ちっ!」

アカリ「上!」

したっぱ「ムダ。騙し討ちは避けられない」

アカリ「エンペルト……」

エンペルトが倒れた……あたしの……あたしの……
 ▼ 509 1◆J44kAZeDOM 16/01/13 21:11:11 ID:7v6XESRU [8/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告











レントラー「がう」

グレイシア「らっしゃ!」









 ▼ 510 1◆J44kAZeDOM 16/01/13 21:15:28 ID:7v6XESRU [9/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「グレイシア……レントラー!」

したっぱ「何? あんたの手持ち?」

アカリ「……行くよっ! グレイシアはちょっと待って。エンペルトは戻って」

アカリ「レントラー!」

したっぱ「ふうん。なら、遠慮なくっ! 切り裂く!」

アカリ「スパークっ!」

アカリ「行っけええええっ!」

ぶつかり合う2匹。

地面に降り立った時、まだ2匹とも余力がある感じだった。
 ▼ 511 1◆J44kAZeDOM 16/01/13 21:19:54 ID:7v6XESRU [10/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
したっぱ「なるほどねえ」

アカリ「まだ行けるよねっ! スパークっ!」

したっぱ「こっちも切り裂くっ!」

アカリ「レントラーっ!」

したっぱ「ブニャット大丈夫?!」

技と技。

力と力のぶつかり合い。

うん! 行ける!

レントラー「ぐおおおおお!」

吼え声をあげながらレントラーが大地を蹴った。

ブニャットもその太い体を揺らしながら飛び上がる。

アカリ「行っけええええっ!」

したっぱ「行っけええええっ!」
 ▼ 512 1◆J44kAZeDOM 16/01/13 21:22:16 ID:7v6XESRU [11/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
レントラー「がう……」
ブニャット「にゃ……」

2匹は、同時に倒れた。
 ▼ 513 タチマル@おまもりこばん 16/01/13 21:22:54 ID:7v6XESRU [12/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
今日はここまでです
 ▼ 514 イーガ@まんぷくおこう 16/01/13 23:42:38 ID:4dVOHdGw NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
乙です!
>>497先生技になってましたよ
 ▼ 515 1◆J44kAZeDOM 16/01/14 20:06:19 ID:f/h.RSWY [1/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
>>514
指摘ありがとうございます
 ▼ 516 1◆J44kAZeDOM 16/01/14 20:23:07 ID:f/h.RSWY [2/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「お疲れ様レントラー」

したっぱ「ちっ、ブニャットお疲れ。あたしの負け」

アカリ「やった! これでカギを諦めてくれますよね?」

したっぱ「……1つだけ言わせてもらうと、あたし、ウソはついてない」

アカリ「……え?」

したっぱ「これ、賞金。じゃ」

アカリ「え、ちょっと、どう言う事?!」

したっぱ「これ以上言う事なんてない。あたしはウソはついてない」

それだけ言うと、走り去ってしまった。

追いかけようとしても、相手に段差を登られちゃって、無理だった。

ペラップ「アカリっ! 大丈夫?!」

ロトム「ろーととと!」

アカリ「うん……」

何だったんだろ、今のしたっぱのセリフ……

したっぱ♂「え?! 今しゃべった?!」
 ▼ 517 1◆J44kAZeDOM 16/01/14 20:26:11 ID:f/h.RSWY [3/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「え……」

したっぱ「え……」

アカリ「ギンガ団?! また?!」

したっぱ「ああ! 俺は違うっ! それよりもペラップが……」

アカリ「適当に言葉覚えさせただけです! 気にしないで! それよりあんた……」

したっぱ「だから俺は違う! あいつを監視してただけなんだ!」

アカリ「……え?」

したっぱ「俺はサターン派だよ。でもあいつはプルート派だ」

ああ、なるほどそう言う事か。

あれ? でもなんで?

アカリ「なんであたしに話しかけて?」

したっぱ「心配だったからだよ、君の事が」

アカリ「は、はあ……」
 ▼ 518 1◆J44kAZeDOM 16/01/14 20:36:42 ID:f/h.RSWY [4/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
したっぱ「でも君のギンガ団嫌いも相当な物だね」

アカリ「尾行自体には気付いてましたから」

うん。あたしウソはついてない。

したっぱ「気付いてたのか! すごいな!」

したっぱ「それはそうと、あいつはなんで君を?」

アカリ「えっと……」

話していい物なのかな?

まあでも、もうプルート派にバレてるならこれ以上隠す必要も無い訳だしね。

うん、話そう。

アカリ「プルートの部屋のカギを、今あたし持ってるんですけど、それを狙いに」

したっぱ「プルートの部屋のカギ?」

アカリ「隠し部屋です。もしかすると隠されてたのかも。あ、取りあえずエンペルトとレントラーを回復させたいんで、ポケセン行ってきます」

したっぱ「それなら俺もついてく」

アカリ「わかりました」
 ▼ 519 1◆J44kAZeDOM 16/01/14 20:45:49 ID:f/h.RSWY [5/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「そういや、あれどう言う事だったんだろ?」

したっぱ「あれ?」

アカリ「あたしが勝って、カギを諦めた。そんな状況でいきなり、『あたし、ウソはついてない』って」

したっぱ「え?」

アカリ「だから、ウソはついてないって」

したっぱ「はあ……まさかっ!」

アカリ「え?」

したっぱ「確認してくれ! 今すぐに!」

アカリ「は、はあ……」

なんで? カギを取るチャンスなんて、チャンスなんて……

アカリ「な、ない?!」

したっぱ「あっちゃー」
 ▼ 520 1◆J44kAZeDOM 16/01/14 21:09:25 ID:f/h.RSWY [6/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
したっぱ「たぶん、そいつエテボース使ってるだろ……着いたな。回復させてあげたら」

アカリ「はい。あ、ジョーイさん、回復よろしくお願いします」

ジョーイ「それではお預かりしますね!」

アカリ「よろしくお願いします」

アカリ「で、したっぱさん。エテボースが一体?」

したっぱ「あいつの技、何個だった?」

アカリ「2個です」

したっぱ「やっぱり……気付かれずにすり替えを使ったんだ」

アカリ「……え? す、すり替え?!」

したっぱ「ああ。効果は知ってるな?」

アカリ「はい……確かにウソはついてない……」
 ▼ 521 1◆J44kAZeDOM 16/01/14 21:26:39 ID:f/h.RSWY [7/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「技を4つ覚えてないとは言ってたけど、2つとは言ってないし……」

アカリ「カギを賭けてバトルと言っても、勝った方がカギを手にするなんて一言も……」

アカリ「あーやられた!」

したっぱ「ところで、それほど重要な物があの部屋にはあるのか?」

アカリ「ええ、まあ。研究ノートとか……あれ?」

したっぱ「どうした?」

アカリ「ノートは、あたしが持ってる……研究成果を確認は出来ない……」

したっぱ「な!」

アカリ「って事は……結局あたしの勝ち? って事?」

したっぱ「そうか! それはよかった! まあ他に何かないとも言い切れないがな」

アカリ「それはそうですけど、でもだいぶ大きいですよ!」

ジョーイ「あ、お預かりした(ry」

アカリ「ありがとうございます!」
 ▼ 522 シズマイ@リュガのみ 16/01/14 21:30:46 ID:f/h.RSWY [8/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
今日はここまでです
 ▼ 523 1◆J44kAZeDOM 16/01/15 23:47:22 ID:QSZUUYvU [1/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
したっぱ「あいつ……なんでプルートに固執する必要があるんだ? あいつは、ギンガ団の当初の目的から外れてるってのに……」

アカリ「え?」

したっぱ「あ、聞かれたか? 俺の大声の独り言」

アカリ「あ、はい。プルートはやっぱり……ってかあんた!」

したっぱ「あ、いや、俺はもういいんだ。コウキたちを見て、この世も捨てたもんじゃないなって思えるようになったし」

したっぱ「今のギンガ団に満足してるんだ。でも、そうは考えない奴もいる」

したっぱ「再結成したプラズマ団に入りに行ったりした奴」

したっぱ「アカギ様の目的を達成しようとしているグループも、もしかしたらいるのかもしれない」

したっぱ「少なくとも、あいつはそう考えている」

アカリ「あいつ?」

したっぱ「さっきのしたっぱだよ」

アカリ「はあ……」
 ▼ 524 1◆J44kAZeDOM 16/01/15 23:50:17 ID:QSZUUYvU [2/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
したっぱ「とにかく、俺はあいつを説得する。この世界は、まだ捨てたもんじゃない、ってな」

アカリ「よろしくお願いします!」

したっぱ「だから、君は、旅を続けてくれ。いずれ戦う事になるかもしれないけど、それまでに強くなっとくに越した事はない」

アカリ「わかりました」

したっぱ「それじゃ!」

アカリ「頑張ってください!」

アカリ「……行っちゃった」
 ▼ 525 1◆J44kAZeDOM 16/01/15 23:56:10 ID:QSZUUYvU [3/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ギンガ団……正確に言うとプルートって、何が目的なんだろ?

ロトムを研究してたはいいけどそのロトムに対しては優しかった。

今更世界を創り直すなんて言うバカげたアカギの目的に固執してる?

いや、でもプルートの目的は違うとこにある……

アカリ「あーもう、わかんない! あ、あはは……」

ダメだ。急に大声出して、これじゃただの変な人だ。

でも、それはいいんだけど、なんなのよ、まったくもう……

……ま、気にしてもわかんない物はわかんないか。

コトブキまで行かないといけない訳だし、行こう!
 ▼ 526 日はここまで◆J44kAZeDOM 16/01/16 00:02:41 ID:500JcLCg [1/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
だけどさあ?

そんな簡単に切り替えられたら人間もっと楽だよ?

アカリ「ううむ……きゃっ! いっててて……」

段差か……気付かなかった。

……いて。

アカリ「まあでも、ショートカットは出来たみたいね」

あ、あった。荒れた抜け道!

さあて、行きますか! とは言っても、通り抜けるだけなんだけどね。
 ▼ 527 1◆J44kAZeDOM 16/01/16 20:15:57 ID:500JcLCg [2/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
……あれ?

通り抜けるだけ……

アカリ「どこを通り抜けろ……と?」

岩壁って言うか、岩が邪魔。

これを壊さないと通れない……

アカリ「何よこれっ! ただの欠陥道路じゃないのっ!」

……落ち着け、あたし。

何のための秘伝技なのよ。

そう。始め過ぎて忘れてたけど、

アカリ「秘伝技、岩砕き、か」

アカリ「って、それがないと通れない時点で欠陥だよね?! バッジないと通れないとか意味ないよね?!」
 ▼ 528 1◆J44kAZeDOM 16/01/16 20:22:16 ID:500JcLCg [3/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
冷静に考えて、どっかに抜け道があるはず。

ここ自体が抜け道だけど、そんなのは気にしちゃダメ。

だとすると……

アカリ「よし、レントラー、よろしく!」

レントラー「……」

アカリ「レントラー、透視で抜け道がないか探して」

レントラーがなんかいろいろ言ってるけど、さっぱりわかんない。

アカリ「どうしたの?」

レントラー「がう……」

ん? 何今の。ため息? あたしに対して?

あ、でも結局透視してくれてるのね。ならよし。
 ▼ 529 1◆J44kAZeDOM 16/01/16 20:26:20 ID:500JcLCg [4/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
視点 レントラー

ったく、横着にもほどがあるだろ。

いやまあ確かに岩砕きって弱いけどさ。

素直に使っとけよ……

アカリが言ってるのにも筋が通ってるけどさ……

そんな意味を込めたため息と共に透視してみた。

レントラー「……ない」

首を横に振りながら答える。

アカリ「え、ダメ?! どう言う事よ……」

いや普通に岩砕き使えよ、としか……ん?

ここって確か、荒れた「抜け道」だよな。

抜け道って事は、どっかに本筋がある……って事になる。

もしかしたら、試す価値ぐらいはあるかもしれない。
 ▼ 530 1◆J44kAZeDOM 16/01/16 20:31:11 ID:500JcLCg [5/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「レントラーどうしたの?!」

どうせ答えても通じないから返事なんてせず、俺は外に駆け出した。

アカリ「ちょっと待ってよ!」

レントラー「よし。どっか太い道は……」

透視! これ、異常に使い勝手がいいよな。

遠くまで見通すのも楽々だし。

……あった。あの木立の向こうに階段が。

ゲームだと主人公が入れないような木立だけど、ここは現実……だ。

現実なのかは知らないけど、とにかく「現実」だ。

レントラー「こっちだ」

アカリ「え、もしかして見付けた?」

頷いて同意を示した。

アカリ「さっすがレントラー! じゃ、案内よろしく!」
 ▼ 531 ッシード@ピーピーエイド 16/01/16 20:36:36 ID:500JcLCg [6/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
にしても、こんなのありかよ。

だとするとなんで行けなかったのか。

いや、5年の月日の間に作られたのかもしれない。

うん。きっとそうだ。

荒れた抜け道ってネーミングが不可解だけど、気にしたら負けだ。うん。

アカリ「なんだ、普通に道あるじゃん。遠回りだけど、それは仕方ないし」

アカリ「あ、お疲れ様レントラー。戻っていいよ」

――

グレイシア「なんで気付いたの? 別の道があるって」

エンペルト「抜け道だから、でしょ?」

レントラー「なんでそう速攻で気付くんだよお前は」

ペラップ「すごい」

レントラー「ホントだよ……」

ロトム「ドユコト?」

グレイシア「ロトムはちょっと黙ってて」

もう俺はロトムを擁護しないぞ。
 ▼ 532 1◆J44kAZeDOM 16/01/16 20:40:26 ID:500JcLCg [7/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
グレイシア「でも、ホントにどう言う事よ。抜け道だから何?」

エンペルト「抜け道って事は抜け道じゃない普通の道を用意するはず」

グレイシア「あ」

エンペルト「ここまで言えばもうわかるわよね」

グレイシア「……あんたらって何物? なんでそんな一瞬で閃くの?」

レントラー「なんとなく。それだけ」

エンペルト「だってそう言うの好きだし」

グレイシア「はあ……あんたらにはついてけない」

ペラップ「そう?」

グレイシア「ペラップはついて行きは出来るのか。あーもう! あたしだけ!」

ロトム「僕モイルヨ〜」

グレイシア「同列にしないで」

ロトム「」

……苦労させられてるもんな。
 ▼ 533 1◆J44kAZeDOM 16/01/16 20:43:49 ID:500JcLCg [8/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
まあヒマだから寝てる所に寝起きドッキリをかけられて、しかもそれが何回もとなればウザったく感じるのも仕方ないだろう。

ロトムとしては毎度毎度見事なリアクションを見せてくれるグレイシアの事が好きなんだろうが……

グレイシアからしたら迷惑千万だよな。

同情するわ。
 ▼ 534 日はここまで◆J44kAZeDOM 16/01/16 20:46:37 ID:500JcLCg [9/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
にしてももうすぐシンオウ一周か。

俺の旅はコトブキの南の202番道路でコリンクになってるってとこから始まった。

そこでアカリとエンペルトに出会って……最悪な出会いだったな。

わけのわからないままに捕まって、それで今はこうして……

エンペルト「懐かしいね、コトブキシティ」

レントラー「だな」

グレイシア「あ、ズルい! 2人だけで思い出に浸って!」

エンペルト「知らない」

グレイシア「ちっ」

レントラー「ほら、ケンカすんなよ。もうそろそろだぞ」

アカリ「あ、明かりが見えて来た!」
 ▼ 535 1◆J44kAZeDOM 16/01/17 20:24:51 ID:vmWPZb8Q [1/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
視点 アカリ

んー! なっつかしい!

ってかそうか、もうシンオウも一周かあ。

ここまでいろいろあったなあ。

さて、今日は家まで帰る。

だから今ここで懐かしむ訳にも……あれ?

アカリ「お、お姉ちゃん?!」

ヒカリ「お帰り、アカリ!」

アカリ「なんで? なんでコトブキに?」

ヒカリ「ちょっと諸事情あってね。って言うか、アカリにも関係ある事なんだけど、アキラに連絡取れる?」

アカリ「え、なんでアキラにも? 出来ないけど」

ヒカリ「そう……まあ、アカリが来たって事はもうそろそろ行っててもおかしくないか……」

アカリ「お姉ちゃん、何の話してるの?」

ヒカリ「ついて来て。すぐにわかる」
 ▼ 536 1◆J44kAZeDOM 16/01/17 20:31:29 ID:vmWPZb8Q [2/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「え、どこ行くの? あたし、ママとかパパとかおじいちゃんにも……」

ヒカリ「割と急ぎなの。急ぎって言うか、シロナさんとかあんまり待たせる訳にもいかないし」

アカリ「え?! シ、シロナさん?!」

シロナさんと言えば、コウキ兄ちゃんの前のチャンピオンだよね?

今は考古学者をしてるって言う。

ヒカリ「うん。コウキ君にジュン君、博士もいらっしゃる。だから後はあなたとアキラをね」

アカリ「……何の話を?」

ヒカリ「アカリ、言ってくれてたじゃない。プルートのノート……正確には、アルセウスについてよ」

アカリ「ああ! え、それがなんで?」

ヒカリ「その事をシロナさんに話してみたら、マズイかもしれないって、それであたしたちを呼び寄せたの」

アカリ「え、そんなにマズイ事なの? ヤバいのはわかるけど」
 ▼ 537 1◆J44kAZeDOM 16/01/17 20:36:20 ID:vmWPZb8Q [3/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ヒカリ「あたしもそこまで差し迫った危険はないと思うんだけど、まあ早いに越した事はないでしょ?」

アカリ「まあね」

ヒカリ「よし。アカリ、誰かポケモンに波乗りは覚えさせてる?」

アカリ「うん。あ、218番道路って……」

ヒカリ「そ。待ち合わせはミオ図書館よ」

アカリ「なるほど。まあ、急いだ方がいいなら仕方ないか。エンペルト、よろしく!」

ヒカリ「あたしも、エンペルト、よろしくね」

アカリ・ヒカリ「波乗り!」
 ▼ 538 1◆J44kAZeDOM 16/01/17 20:43:40 ID:vmWPZb8Q [4/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ヒカリ「にしても、しばらく見ない内にたくましくなったね」

アカリ「まあね。なんたって、もうバッジ6個だし、手持ちも5匹!」

アカリ「みんなすっごく強いんだよ!」

ヒカリ「5匹? 6匹じゃなくて?」

アカリ「なんか捕まえるチャンスがなくって。どっかで6匹目も捕まえたいなって」

ヒカリ「それなら、鋼鉄島なんかお勧めだよ。アカリの趣味とは違うかもしれないけど、いろんなポケモンがいるし、図鑑を埋める上でもかなりいいと思う」

アカリ「それ、どっから行けるの? まったくわかんないんだけど」

ヒカリ「ミオから船が出てる。話が終わったら修行しに行ってもいいかもね」

アカリ「あ、それいい! まあ、明日になるけどね」

ヒカリ「そういや今、アカリってどんなポケモン捕まえてるの? あ、もう海終わるね。後で教えて」

アカリ「うんわかった。お疲れ様、エンペルト」

ヒカリ「エンペルト、戻って!」
 ▼ 539 1◆J44kAZeDOM 16/01/17 20:52:09 ID:vmWPZb8Q [5/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ヒカリ「参ったな、もうこんな時間か……アカリ、急ごう……ってええ?! アキラ?」

アキラ「あ、ヒカリ姉ちゃん! お久しぶりです」

アカリ「あんたっ、いつの間に?!」

アキラ「いや、あの後いろいろあって秘伝マシン空を飛ぶを手に入れて、それでヨスガからコトブキまで一っ跳び。そっから先はトリトドンに乗ってミオまで」

アキラ「そのショートカットのおかげでほら!」

ヒカリ「あ、マインバッジ」

アカリ「えっ! ミオジムクリアしたの?」

アキラ「おうよ!」

ヒカリ「すごい……で、唐突だけど、ちょうどいいわ。ついて来て。博士やシロナさんがいらっしゃるし、コウキ君とジュン君もいるから」

アキラ「え? 何? 何かあったんですか?」

ヒカリ「取りあえず、図書館に来て。話はまた後で」

アキラ「まあ……いいですけど」
 ▼ 540 日はここまで◆J44kAZeDOM 16/01/17 20:58:25 ID:vmWPZb8Q [6/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アキラ「なんなんだ? アカリ」

アカリ「あの後さ、旅先でいろいろギンガ団と出くわして……」

アキラ「え、お前もか? いや俺はいろいろってほどでもないけど」

アカリ「え、アキラも?」

アキラ「ああ……やっぱあいつら、また活動しだしてるよな」

ヒカリ「……大丈夫だった?」

アカリ「大丈夫だったから今ここにいるの」

ヒカリ「あ、それもそっか。よかった」

ヒカリ「旅に送り出す立場って、こんなに心配なんだなって、なんか今更」

アカリ「ああ……わかんないけど」

アキラ「おい! そこはわかっとけよ」

アカリ「ウソはよくないし」

ヒカリ「うふふ。よし、着いたよ」
 ▼ 541 ノプス@きかいのぶひん 16/01/17 23:21:30 ID:XP8aMJsI NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ワクワクする支援
 ▼ 542 1◆J44kAZeDOM 16/01/18 20:16:18 ID:b4Hknr3E [1/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アキラ「ってか結局何の話かは聞けずじまいか」

アカリ「あたしだってイマイチよくわかってないもん! アルセウスってポケモンの話なのはわかるけど……」

アキラ「アルセウス?」

アカリ「プルートのノートに載ってた、世界創生の神だって。あたしもそのノートについてお姉ちゃんに連絡した時に初めて聞いたんだけどね」

アキラ「え? プルートのノート?」

ヒカリ「その辺は、みんなの前で説明してよ、アカリ」

アカリ「うん。ってな訳で、ちょっと待ってね」

アキラ「……まあいいけど」

コウキ「あ、おーい!」

ヒカリ「コウキ君、図書館の中では静かに。……まあ閉館時間過ぎて、特例で入れてもらってるんだから気にしなくてもいいのか」

ジュン「遅いぞ!」

ヒカリ「そんな事言わないであげてよ!」
 ▼ 543 1◆J44kAZeDOM 16/01/18 20:20:03 ID:b4Hknr3E [2/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「取りあえず、来ましたよ」

アキラ「話って何ですか?」

ナナカマド「うむ。では、さっそく本題に入るとするか」

シロナ「そうですね。単刀直入に言うわ」

シロナ「ギンガ団を、速く止めないと危険よ」

アカリ・アキラ「え?」

シロナ「取りあえずアカリちゃん、そのノートを貰えないかしら?」

アカリ「あ、はい、これです」

シロナ「入手した経緯についても教えてくれない?」

アカリ「いいです……けど」

えっと、どっから話そう……

まあ、カンナギからでいっか。
 ▼ 544 1◆J44kAZeDOM 16/01/18 20:25:54 ID:b4Hknr3E [3/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
まず、レントラーが窓からプルートがカンナギの遺跡にいるのを発見したんです。

あ、レントラー。あたしの手持ちです。

それで、不審に思って近付いて、少し話をしました。

その時、プルートは、ディアルガとパルキアより前に1匹のポケモンがいるんじゃないかって。

シロナ「やっぱりね。プルートは気付いてる。アルセウスの存在に」

アカリ「あの……あたしも今日お姉ちゃんから聞いて知ったんですけど、アルセウス、って名前なんですか?」

シロナ「ええ。あたしも、ギンガ団事件以来プルートと同じ思考を辿ってその存在に行き付いた」

シロナ「そして、各地を巡っていろいろ情報を得て来たわ」
 ▼ 545 1◆J44kAZeDOM 16/01/18 20:26:44 ID:b4Hknr3E [4/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ダイヤモンド
1000ぼんの うでで うちゅうを つくった ポケモンとして しんわに えがかれている。

パール、Y、アルファサファイア
うちゅうが まだ ない ころに さいしょに うまれた ポケモンと しんわの なかで かたられている。

プラチナ、ブラック・ホワイト、ブラック2・ホワイト2
なにも ない ばしょに あった タマゴのなかから すがたを あらわし せかいを うみだしたと されている。

ハートゴールド・ソウルシルバー、X、オメガルビー
タマゴから すがたを あらわして せかいの すべてを うみだしたと シンオウしんわに かたられている。
 ▼ 546 1◆J44kAZeDOM 16/01/18 20:30:29 ID:b4Hknr3E [5/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
シロナ「……だけど結局、シンオウ神話以上の事は、ほとんど掴めなかった」

シロナ「1つだけ、シント遺跡とアルセウスに関わりがあるらしいって事ぐらいね」

シロナ「それだって、まだ確証は得られてない」

アキラ「……なあ、それ、すごいポケモンなんじゃ……」

シロナ「ええ、すごいわ。まあそれはいいの。取りあえず、アカリちゃん、話の続きを聞かせて」

アカリ「わかりました」

その後、ワシの野望を邪魔する奴は容赦せん! って勝負仕掛けられて、結局カンナギの長老の手助けで勝てたんですけどね。

その時、レントラーが気付いたんです。

カギが落ちてるって。

なんとなくそれを拾って、持って行く事にしました。

結局それが大正解だったんですけどね。
 ▼ 547 1◆J44kAZeDOM 16/01/18 20:34:38 ID:b4Hknr3E [6/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「その後キッサキの方に行って、ハクタイまで戻って、ギンガハクタイビルに行ったんです」

ヒカリ「なんでそんな危ない事!」

アカリ「あ、えっと……ロトム、あ、これもあたしの手持ちなんだけど、が行きたいって」

アカリ「フォルムチェンジするためのアイテムがあったからかな?」

危な。

レントラーがいろいろ知ってるんだけど、それを言う訳にもいかないし……

ヒカリ「なるほど。で? そのカギが合う所を見付けたのね」

アカリ「うん。それで手に入れたのがこのノートって訳」

アカリ「あ、そのカギは今朝、ギンガ団に盗られた」

ジュン「はあ?! 何してんだよ!」

アカリ「すり替え使われて、あれは上手かった」

ジュン「関心してんじゃねえ! 罰金100万円だ!」
 ▼ 548 1◆J44kAZeDOM 16/01/18 20:45:55 ID:b4Hknr3E [7/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ヒカリ「取りあえずジュン君、黙って」

ジュン「」

アカリ「とまあ、そう言う訳。後はそのノートの中身ぐらい?」

アキラ「お前……いろいろ巻き込まれてんな」

アカリ「まあね。カンナギの遺跡でプルートにケンカ売ったのが全ての始まりな気がする」

シロナ「ありがとう。それでこのノートだけど……現実世界とやぶれた世界の狭間、ねえ」

ナナカマド「うむ。そして、シロナ君、君から話すべき事があるのだろう?」

シロナ「はい。天界の笛、ってアイテムがアルセウスを呼び出すのには必要なんだけど……」

シロナ「あたしが気にしてるのは、ギンガ団がすでに、その存在に、そして隠し場所に気付いていないか、って事なの」

シロナ「この日記には隠し場所はわからない、ってある。でも、この文章が書かれた時期によっては、あるいは」

シロナ「だから、もしかしたらリアルタイムで旅して来た2人ならわかるんじゃないか、そう思ったんだけど、心当たりある?」
 ▼ 549 1◆J44kAZeDOM 16/01/18 20:51:07 ID:b4Hknr3E [8/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ヒカリ「あ、アキラギンガ団と戦ったんだよね? もしかしたら関係あるかも。場所はどこ?」

アキラ「え、ヨスガの教会だけど」

シロナ「教会か……少し話を聞いてみる必要がありそうね。他には?」

アキラ「いや、俺はそこだけですけど」

アカリ「あたしもカンナギとカギを盗られた今朝のソノオだけ。いや、テンガン山もあるな」

アキラ「後、わかってるだろうけどトバリでサターンの話を聞いた」

シロナ「ええ。なるほど……テンガン山、カンナギ、教会。この3択ね。取りあえずその辺の警備を固めるよう、シンオウ地方全体に要請しておくわ」

シロナ「話はこれで終わり! 巻き込んじゃって、ごめんね。君たちは君たちの冒険を楽しんで」

アキラ「えっ?!」

アカリ「ここまで聞いといて、放置?!」

ヒカリ「ごめんだけど、あなたたちを危険な目に遭わせたくない。それは博士も、コウキ君もジュン君も言ってる」

コウキ「僕たちに任せてよ。大丈夫。ギンガ団ぐらいね」

ジュン「シンオウトップの実力舐めんなよ?」

アカリ「はあ……」
 ▼ 550 1◆J44kAZeDOM 16/01/18 20:55:34 ID:b4Hknr3E [9/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ヒカリ「まあ、もしかしたらまた何か起こって、巻き込むかもしれないけどね」

ヒカリ「だからさ、万一に備えて、アカリもアキラも、もっと強くなっておいて」

アキラ「……わかりました」

アカリ「ちょっとアキラ?!」

アキラ「仕方ない。でもな、俺たちは戦力外じゃない」

アキラ「ギンガ団が気付いてるかは知らねえ。だけど、向こうが行動するまでに、もっと強くなろうぜ」

アキラ「それこそ、ギンガ団と互角以上に戦えるぐらい、な」

アカリ「むう……」

コウキ「アカリちゃんはまだジムクリアしてないんだよね? ミオの」

アカリ「あ、はい」

コウキ「なら、そこに行くのもいいかも」

ヒカリ「さっきも言ったけど、鋼鉄島とかね」

アカリ「……わかった。強くなって、お姉ちゃんたちを見返す! それで、あたしも戦う! シンオウのために!」

アキラ「じゃあ、俺たちはこれで」

シロナ「ええ。あたしたちはもうしばらく話し合いを続けるわ」
 ▼ 551 1◆J44kAZeDOM 16/01/18 21:00:53 ID:b4Hknr3E [10/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
……なんか、悔しい。

アキラ「なあアカリ、せっかくだし、バトルしね?」

アカリ「こんな夜中に? もうポケセン行って、寝ようよ。やるなら明日」

アキラ「……まあそれもそうか」

アカリ「アキラ悔しくないの?! 子ども扱いだよあれほとんど!」

アキラ「そりゃ悔しいよ。だけどあの3人に比べたらまだまだ弱い事ぐらいわかってる」

アカリ「そうだけど……いるに越した事ないでしょ」

アキラ「ヒカリ姉ちゃんは、お前の事が大事なんだよ。なんてったって、家族だし」

アカリ「うん……」

アキラ「だから俺は、もっと強くなる。って、さっきも言ったけどな」

アキラ「明日はお前、ジム戦だろ? 俺見とくよ。そんで、午後から一緒に鋼鉄島で鍛えようぜ!」

アカリ「うん。そうする」

まあ、そうなのよね。

戦わないのが、やっぱり、一番安全。

そんな事ぐらいわかってるよ……
 ▼ 552 1◆J44kAZeDOM 16/01/18 21:08:41 ID:b4Hknr3E [11/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
視点 レントラー

マジか。

あそこまで行って、これ以上絡むな、と。

割とマジでビビった。

現実にあんな事あるんだ、って。

少しでも戦力を、って思うのが普通なんだがな。

エンペルト「まあ、あたししか知らないけど、あの3人の中で一番弱いヒカリでさえチャンピオンクラスの実力はあるし」

エンペルト「ギンガ団相手でも、たぶん1人で壊滅させるぐらいお手の物だと思うわ」

グレイシア「でも、そんなの納得しろと? あたしは無理よ」
 ▼ 553 1◆J44kAZeDOM 16/01/18 21:09:05 ID:b4Hknr3E [12/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
レントラー「……ヤバい」

エンペルト「え?」

レントラー「そんなポケモンが相手側に寝返ったら……」

グレイシア「は?」

エンペルト「あ……」

ペラップ「あの機械!」

レントラー「ああ。だけど……俺たちからは何も言えない……」

エンペルト「アカリが伝えるってのはありかも。だけど、今はたぶん、アカリが言いたくないと思う」

グレイシア「どっちみち、あたしたちも対策は出来ないし」

レントラー「言っても仕方ないってのは確かにあるな」
 ▼ 554 日はここまで◆J44kAZeDOM 16/01/18 21:13:39 ID:b4Hknr3E [13/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
レントラー「とにかく、なんとかしてあの機械の対策を見付けないと、勝ち目はない」

レントラー「……けど、俺たちじゃホントにどうしようもない」

エンペルト「あれ、使われたらどんな感じになるの?」

レントラー「あれはきつい。とにかく、体の自由が完全に奪われる」

グレイシア「うへえ、きつそう……」

……

レントラー「まあ、考えても仕方ない。明日はジム戦だろ? 取りあえずはそっちの対策建てようぜ」
 ▼ 555 ルット@ボロのつりざお 16/01/18 22:52:10 ID:cuFvcuvM NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 556 1◆J44kAZeDOM 16/01/19 20:33:39 ID:LJl/DdRQ [1/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
グレイシア「まあ、それはそうね。で? どんな作戦?」

レントラー「ちょっと待ってくれ……ミオは鋼タイプのジムで、メンツは……」

レントラー「ドーミラー、ハガネール、トリデプスあるいはドーミラーがレアコイルになってるかだった」

レントラー「シンオウは7つ目のジムから手持ちは4匹だったはず」

レントラー「だから、この系列全部使って来るんじゃね?」

キッサキのゲームでの手持ちを鑑みるに……

レントラー「ドーミラー、レアコイル、ハガネール、トリデプス、のままかな」

エンペルト「となると、ロトムのオーバーヒートが効果抜群で、あたしとレントラーが普通」

エンペルト「グレイシアとペラップにとってはめっちゃきついジムね」

レントラー「ああ。だけど、俺もお前もレアコイル相手はかなり厳しい。俺から有効打ないし」

エンペルト「え? まあいいや、技確認しよ」
 ▼ 557 1◆J44kAZeDOM 16/01/19 20:47:01 ID:LJl/DdRQ [2/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
エンペルトがLV38。覚えてる技は波乗り、冷凍ビーム、メタルクロー、アクアジェット。

そして俺ことレントラーがLV39。技はスパーク、充電、雷の牙、かみつく。

グレイシアはLV40。技は吹雪、電光石火、冷凍ビーム、シャドーボール。

ペラップはLV38。霧払い、おしゃべり、ハイパーボイス、オウム返し。

ロトムがLV37で、放電、怪しい風、オーバーヒートに電磁波。


鋼タイプって弱点少ないし今一つ多いけど、ここまでないとはもはや致命的だよな……

頼みの綱のロトムのオーバーヒートは、切り札のトリデプスには抜群取れないし、連打してたら特攻下がってダメージ減るし……

レントラー「っつーか俺やっぱりレアコイルに有効打ないぞ」

エンペルト「え? かみつくって普通じゃないの? 鋼タイプに」

レントラー「あれ? 記憶違いだったかな……」
 ▼ 558 1◆J44kAZeDOM 16/01/19 20:54:37 ID:LJl/DdRQ [3/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
まあ、確かにドータクン辺り悪技効きそうな気もするしな。

……だとするとドダイトスかみ砕くあるからゴヨウであそこまで詰まなかった気もすんだけど。

レントラー「まあ、鋼タイプのエンペルトが言うんだから間違いないだろ。わかった。かみつくは普通に効く。でもこっちからの有効打も薄いのは事実だしなあ……」

エンペルト「まあ、レアコイルはロトムに倒してもらえるでしょ。鋼技も電気技もあんまり効かない訳だし。まあそれはレントラーもだけど」

レントラー「だな。で、しょっぱなのドーミラー。こいつは……硬いんだよな」

グレイシア「ああ、アキラのチートドーミラー? あれはホント頭おかしいよね、絶対」

ペラップ「うん」

ロトム「何ノ話シテンノ〜?」

エンペルト「そういやロトム、アキラとも初対面よね。グレイシアとペラップもヒカリたちは初対面だろうけど」

グレイシア「まあ、アカリと仲いいって事はわかったし、危ない奴じゃなさそうだったから気にしてはなかったけどね」

エンペルト「ちょっと説明しといた方がいいかな」
 ▼ 559 1◆J44kAZeDOM 16/01/19 20:59:45 ID:LJl/DdRQ [4/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
エンペルト「ヒカリはアカリのお姉ちゃん。ポケモン図鑑……この旅ではほとんど使ってないけどアカリも持ってる奴ね、あれの完成を目指して、あの男子2人と一緒にシンオウを旅してた」

エンペルト「あの男子2人、バトルが異常に強くって。あのせっかちな黄色っぽい方がジュン」

エンペルト「ゆったりした感じの帽子被ったのがコウキって名前」

エンペルト「ジュンも強いのになぜかコウキには全然勝てないの」

グレイシア「ふ、不遇ね……」

エンペルト「で、あのおじいさんがナナカマド博士。私の育ての親でもあるわ」

レントラー「ああそうか。お前研究所出身だもんな」

ってかどんな教育したらこんな切れ者が出て来るんだろう。

エンペルト「あの女性1人いたでしょ? あれはシロナさん。元チャンピオンよ。今は考古学者って言ってたかな」

エンペルト「神話に詳しいから、今日あそこにいたんだと思う」
 ▼ 560 1◆J44kAZeDOM 16/01/19 21:04:20 ID:LJl/DdRQ [5/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
エンペルト「ロトムのために説明しとくと、あの男子、アキラって言うんだけど、アカリの幼馴染みで、ライバルでもあるわ」

ロトム「ヘエ」

エンペルト「まあそれはいいとして、話を戻そう」

レントラー「だな。でもどうしよ。今回ばっかはマジで思い付かねえ……」

悪技が効くとしても、有効打が少ない事に変わりはない訳で。

ドーミラーが浮遊か耐熱かわかんねえし……あれ?

レントラー「なあエンペルト。悪技は鋼に普通なんだよな?」

エンペルト「うん。それが?」

レントラー「だったら……ドーミラーはかみつくで対処出来る!」

エンペルト「はあ? まあ、勘違いしてたなら仕方ないけど、そりゃそうでしょ」

エンペルト「ついでに言うと、グレイシアのシャドーボールでも行ける」

レントラー「え、マジか……」

鋼タイプの相性、こんな覚えられてなかったのか。なんか悔しい……
 ▼ 561 日はここまで◆J44kAZeDOM 16/01/19 21:12:07 ID:LJl/DdRQ [6/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
エンペルト「……なんか今回レントラーが頼りないから」

レントラー「悪かったな!」

エンペルト「私が作戦まとめるね」

エンペルト「初手はグレイシアのシャドーボールで出来るだけドーミラーの体力を削る」

エンペルト「もちろん、倒せるならそれが一番いいけど、倒し損ねたらそれこそロトムの怪しい風辺りで仕留める」

エンペルト「次出て来るレアコイルはロトムのオーバーヒートで一気に持って行って、倒せたらよし、倒せなくてもレントラーに入れ替えてかみつくで仕留める」

エンペルト「ハガネールは私ね。波乗りで出来るだけ持ってって、たぶん地面技食らわされて死ぬからとどめはペラップのオウム返しで地面技を跳ね返して」

エンペルト「トリデプスの耐久力はすごい。だけどペラップで混乱させて、ロトムが電磁波でかく乱しつつ放電で削る。たぶん大丈夫だけどそれでももし無理ならレントラーでとどめ」

エンペルト「威嚇で攻撃も下がるから、たぶんトリデプスの攻撃力じゃレントラーにとどめ差したりは出来ないと思う」

エンペルト「以上!」

レントラー「なるほど……了解」
 ▼ 562 1◆J44kAZeDOM 16/01/20 20:10:58 ID:NGWRIz06 [1/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
グレイシア「なんか、いつになく厳しいバトルになりそうね」

エンペルト「まあね。レントラーも作戦を思い付けなかった訳だし」

レントラー「悪かったな」

エンペルト「責めてない。実際難しいんだもの」

ペラップ「まあ、それはいいんだけど」

アカリ「ん? どうしたの?」

ペラップ「ごはん、食べなくていいの?」

アカリ「あ! さっきの話のせいで、完全に忘れてた。タハハ」

アカリ「うーん、まだ行けるかな……ま、行ってみよ! みんな、戻って!」
 ▼ 563 1◆J44kAZeDOM 16/01/20 20:16:50 ID:NGWRIz06 [2/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
視点 アカリ

アカリ「おーい、アキラ、いる?」

アキラ「あんだよ」

アカリ「ごはん食べた?」

アキラ「……お前食ってねえのかよ」

アカリ「ちょっと忘れてて……」

アキラ「らしくねえっつーか、まあ理由はわかるけどな。だいたいあの話をずっと気にしてんだろ?」

アカリ「あ、バレた?」

アキラ「何年お前の幼馴染みやってると思ってんだよ」

アカリ「10年?」

アキラ「マジレスは求めてない」

アカリ「あ、そう?」
 ▼ 564 1◆J44kAZeDOM 16/01/20 20:24:03 ID:NGWRIz06 [3/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アキラ「まあいいや、俺は食ったけど、付き合うぞ?」

アカリ「サンキュー!」

アキラ「なんつーか、らしいな。さ、行こうぜ」

アカリ「うん」

アキラ「にしてもさ……今頃みんなどうしてんだろうな? ギンガ団がまた動いてる……だもんな」

アカリ「ね。狙いは、プルート本人が幻の入手、って言ってたんだけど、それでも調べてたって事は……」

アキラ「少なくとも、もともとのアカギの目的に興味を示してる、ってか」

アカリ「そうなのよね……幻の入手ってのは、もしかしたらカモフラージュなのかもしれないし」

アキラ「……まあ、任せようぜ。俺たちが考えてどうにかなるとも思えないし」

アカリ「そうよね……」

アキラ「よし、着いたぜ」
 ▼ 565 1◆J44kAZeDOM 16/01/20 20:28:21 ID:NGWRIz06 [4/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「みんな、出て来て!」

アカリ「あ、すいませーん」

店員「はい」

アカリ「これとこれとこれを……」

店員「かしこまりました」

アキラ「手慣れた感じだな」

アカリ「ずっとポケセンだもん。この旅の間中」

アキラ「……お前野宿してねえの?」

アカリ「え、うん」

まあ、正確に言うと野宿なんかよりもっとヒドイ所で寝た事ならあるけどね。

アキラ「っつー事はお前、ハクタイの森1日で抜けたのか。すげえな」

アカリ「まあ、レントラーの透視能力のおかげだよ」

アキラ「ああ、あのルクシオ、進化してたんだな。そういやお前の今の手持ちは? ……っても、見えてんな」
 ▼ 566 1◆J44kAZeDOM 16/01/20 20:34:32 ID:NGWRIz06 [5/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「ああ、まあね。そう言うアキラは?」

アキラ「俺? トバリで5匹揃ってたろ? あれからみんな、最終進化まで行ったけど、5匹のままだ」

アカリ「あんたも?」

アキラ「ああ。なんか見付からなくってな」

アカリ「わかる。あたしも、ロトムは成り行きで仲間になったんだけど」

ロトム「ろと?」

アカリ「まあ、いろいろ苦労はさせられてるよ」

アキラ「え?」

アカリ「イタズラが好きでさ、特にグレイシアが困らされてるのか、よく怒ってる」

アキラ「……なんか楽しそうだな、お前の手持ち」

アカリ「あんたもボールから出したら? 大勢いた方がいいでしょ、みんなも」

アキラ「……それもそうだな。みんな、出て来い!」
 ▼ 567 1◆J44kAZeDOM 16/01/20 20:39:41 ID:NGWRIz06 [6/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
視点 レントラー

おいおい。

メシの直前にメシをもう食った奴大量に出すのってどうなんだよ。


ゴウカザル「よっと。久しぶりだな! エンペルト!」

エンペルト「ええ。調子はどう?」


グレイシア「言っとくけどね、あたし、もうあられ、痛くも痒くもないから」

ユキノオー「お前、まだそれ気にしてたのかよ。マジ笑える」

グレイシア「はあ?!」


ドンカラス「久しぶりっす!」

ペラップ「え、あ、うん……」


ドータクン「初メマシテ」

ロトム「コチラコソヨロシク!」
 ▼ 568 1◆J44kAZeDOM 16/01/20 20:44:22 ID:NGWRIz06 [7/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
レントラー「久しぶり、トリトドン」

トリトドン「あ、うん、久しぶり。なんか、それぞれいい感じにペアが出来てるね」

レントラー「ああ。ロトムとドータクンもなんか気が合いそうだしな。あっちの氷タイプ2匹は除くけど」

トリトドン「にしてもよかったね。あのロトム、♂でしょ?」

レントラー「無性別だけど、もしあったらそうだな」

トリトドン「ハーレム、解消されたじゃん」

レントラー「あ」

トリトドン「気付いてなかったんだ……」

レントラー「あいつ子どもっぽいから、それどころじゃないってか、あいつが仲間になってからそんな事考える時間なかったってか……」

トリトドン「別にいいじゃん。にしても、そんな大変だったの?」

レントラー「まあな」

ジム戦して、インタビュー受けてる間とか、森抜けてる間はロトムの過去について考え続けた訳だし、今日はギンガ団倒して、そのままコトブキ経由して今に至る。

あり得ないほど、密度が濃い。
 ▼ 569 日はここまで◆J44kAZeDOM 16/01/20 20:58:54 ID:NGWRIz06 [8/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
トリトドン「大変だったね」

レントラー「そっちはどうだったんだ?」

トリトドン「まあ、そんな難しい事もなかったよ」

トリトドン「雨のとこでちょっとテンションあがったと思ったら、いきなりヨスガの静かなとこでギンガ団とバトルした……そのぐらいね」

レントラー「ふうん」

まあ、アカリの巻き込まれ方は普通の図鑑貰って旅する奴と比べても尋常じゃないってか。

レントラー「お、来た来た」

トリトドン「じゃ、ごはんの邪魔しちゃ悪いから、私はしばらく向こう行ってるね」
 ▼ 570 1◆J44kAZeDOM 16/01/21 20:02:11 ID:LfzFvf2g [1/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
と、まあ、トリトドンはいいんだよ。

ドンカラス「あ、メシの邪魔しちゃ悪いっすね」

ドータクン「ソウデスネ」

ここら辺もいい。

エンペルト「あのさ、私今からごはん食べるの。ちょっと離れてくれない?」

ゴウカザル「」

ここもOKだ。

問題は……

グレイシア「はあ?! 頭沸いてんの?」

……ダイレクトに威張るの効果を受けてキレてるグレイシア。こいつだ。

まあ、ケンカ売ってるユキノオーもユキノオーだけどさあ……
 ▼ 571 1◆J44kAZeDOM 16/01/21 20:04:48 ID:LfzFvf2g [2/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
レントラー「落ち着け、グレイシア。何にキレてるのか知らねえけどよ」

グレイシア「別にあたしはレントラーの事好きなんかじゃないわよっ!」

……

俺は何も聞いてない。聞いてなんかない。

グレイシア「あ……あ、あくまでも、恋愛対象じゃないって意味で……」

ユキノオー「ほおら、そうやってすぐ縮こまる。チキンかよ」

鼻で笑うような語調に、嘲りが見え隠れ。

グレイシア「……死ね。シャドーボ」

レントラー「やめろっ!」

グレイシア「あっ……ご、ごめん」

レントラー「……気にすんな。ユキノオーもユキノオーだ。なんでいちいちこいつに突っかかるんだ?」

エンペルト「ほっといてあげなよ。レントラーも♂なんだったら。行こ、グレイシア」

グレイシア「う、うん……」
 ▼ 572 1◆J44kAZeDOM 16/01/21 20:11:29 ID:LfzFvf2g [3/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
にしても気まずい。

なんなんだ? いきなり。

あのセリフからして、ユキノオーは、「グレイシアってレントラーの事が好きなんだろ?」みたいに言って、「でもお前じゃ無理だな」みたいに煽ったんだ。

んで、グレイシアがガチギレして、と。

そこはいい。だけど。

そう言うって事は、どこかにそう思わせる理由があったんだろ?

それも、この短時間で。

……いや、まさかねえ。

あのグレイシアに限って、俺をそう言う目で見る訳ねえし。

ロトム「ドウシタノ?」

グレイシア「……あんたの考えられる全身全霊の限りを尽くしてあのユキノオーを驚かせて来て」

ロトム「イイノ?」

グレイシア「全然大丈夫」

ささやかな復讐。だけど、大事にならないレベルでは最良かもしれない。

直接こいつがやり返したら、たぶん血を見る。
 ▼ 573 1◆J44kAZeDOM 16/01/21 20:16:06 ID:LfzFvf2g [4/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
……取りあえず、メシ食おう。

気まずいけど、食わない訳にはいかねえし。

レントラー「……」

にしても静かだな。

まあ確かに、俺とグレイシアはとてもじゃないけど話せる雰囲気じゃないし、もともとペラップは話せない。

エンペルトは普段からわりかし静かだし、賑やかし要員ロトムは今……

ユキノオー「ぎゃああああっ!」

アキラ「? どうしたんだ?」

アキラ手持ち一同「……?」

とまあ、与えられた使命を忠実に果たしている。

グレイシアが、小声で「よしっ」と呟いた。
 ▼ 574 日はここまで◆J44kAZeDOM 16/01/21 20:19:52 ID:LfzFvf2g [5/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
レントラー「ごちそうさま」

静かに食ったもんだから、いつにも増して、食うスピードが速かった。

グレイシア「……あのさレントラー。誤解しないでね。別になんでもないから」

レントラー「わかってる」

グレイシア「……じゃ、気にしちゃ負けって事で! あいつにも復讐出来たしね!」

ユキノオー「お前の仕業か?」

グレイシア「ううん。あたしずっとここで食べてたし。ってか濡れ衣着せんのやめて。あたし何もしてないから」

ユキノオー「……ちっ」

歩き去るユキノオーの姿を見送るグレイシアの顔は、スッキリした笑顔に満ちていた。
 ▼ 575 リゴン2@りゅうのキバ 16/01/22 19:00:02 ID:XV/l6x06 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 576 1◆J44kAZeDOM 16/01/22 21:02:43 ID:VSHMJE5M [1/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
視点 アカリ

アカリ「ごちそうさま」

アカリ「……ロトム、全然食べてないじゃないの?」

ロトム「ろと?」

アカリ「ちゃんと食べなさいよね」

アキラ「で、だ。ジムの対策とか、ちゃんと考えてんのか?」

アカリ「まだ。でも鋼タイプのジムで、自慢の防御力で耐えながら戦うスタイルだって聞いたよ」

アキラ「それ、俺も一緒に聞いてた。コウキ兄ちゃんたちの冒険の話だろ?」

アカリ「うん。で、鋼タイプってか圧倒的な防御力なら、あんたのドーミラー……もうドータクンか、で慣れてはいるつもりなんだけど」

アキラ「それが1匹ならな。でも、4匹だ」

アカリ「うん」

アキラ「俺はゴウカザルが相性良くて、それで割と楽に突破した。でも、お前のパーティーだと……きついか」

アカリ「え?」
 ▼ 577 1◆J44kAZeDOM 16/01/22 21:07:56 ID:VSHMJE5M [2/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
>>576
誤字

×アカリ「……ロトム、全然食べてないじゃないの?」
○アカリ「……ロトム、全然食べてないじゃないの!」
 ▼ 578 1◆J44kAZeDOM 16/01/22 21:13:33 ID:VSHMJE5M [3/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アキラ「いや、さ。お前のパーティーじゃ……相性がお世辞にもいいとは言えねえんだよ」

アキラ「悪くはない。んだけどさ……」

アカリ「うーん、エンペルトとレントラーがそこそこ有利で、ロトムがめっちゃ有利なんじゃないの?」

アキラ「ああ。だけど……2倍弱点ぐらいであいつを倒せる気がしねえぜ……」

アカリ「あいつ?」

アキラ「トリデプス。だってよ? ゴウカザルの格闘技と、トリトドンの地面技。4倍なのに2匹がかりでなんとかだぜ?」

アキラ「水技は抜群だけど、それだけじゃどうにもならねえ。そんぐらい硬い」

アカリ「そう……なんだ」

そりゃすごい。

って他人事みたいに関心してる場合じゃなくて。

どうしよ……

それを突破しないと、勝ちはないのに。
 ▼ 579 1◆J44kAZeDOM 16/01/22 21:18:35 ID:VSHMJE5M [4/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
よし。

後でみんなと相談しよ。

アカリ「ってええ?! もうロトム食べ終わったの?!」

アキラ「え? さっきあの量だったら、今ぐらいに食い終わんねえの?」

アカリ「いや、速すぎでしょ。さっきまで全然食べてなかったんだよ!」

アキラ「あ、そうか」

アカリ「じゃ、今日はもうお別れかな。あたしたち。明日は早起きして、特訓でもしようよ」

アキラ「お、いいなそれ。じゃあな」

アカリ「お休み! みんな戻って!」

アキラ「お前たちもだ!」
 ▼ 580 1◆J44kAZeDOM 16/01/22 21:24:43 ID:VSHMJE5M [5/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
さあて、と。

まずはお風呂のセッティングかな。

それで、終わったらレントラーたちと相談して、と。

うーん、どうなるんだろ……

それと、お姉ちゃんたち、今どうしてんのかな……?

まあ、心配する事はないだろうけどね。

でも、気になる……

ダメダメ! 今はそれどころじゃないよ!

お姉ちゃんたちに引けを取らないぐらい強くならないとダメなんだから、今は自分の心配しなきゃ!

まずはお風呂沸かさなきゃ!
 ▼ 581 1◆J44kAZeDOM 16/01/22 21:35:03 ID:VSHMJE5M [6/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
視点 レントラー

さっきのあの会話は、完全になかった事になってる。

いや、なかった。そんな会話。

俺は知らない。

……そうやって記憶の上塗りをすると、一気に楽になった。

グレイシア「にしてもやっぱりあのユキノオーいらつくよね。ロトム、今日に関してはありがとね」

ロトム「ジャア、脅カシテモイイ?!」

グレイシア「ちょっと待ちなさい」

エンペルトは、さっきからずっと黙ってる。

ペラップ「うーん、今日はホントいろいろあったね……」

レントラー「だな。密度濃過ぎだ、いくらなんでも」
 ▼ 582 1◆J44kAZeDOM 16/01/22 21:37:06 ID:VSHMJE5M [7/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ペラップ「……明日は、私はあんまりバトルしなくても大丈夫なんだよね?」

レントラー「ああ。ここもだけど、最後のジムも電気タイプだからお前はあんまり活躍出来ないな」

ペラップ「そっか。まあ、それならそれでありがたいな」

レントラー「お前が一番活躍出来るのは……四天王のリョウかな。虫タイプの」

そう言って愕然とした。

この旅も、もう終わりに近付いている。

四天王戦がもう視野に入る時期なのだ。

それなのに、俺が元の世界へ帰る方法の、手掛かりすら掴めてない。

記憶の謎は解けたけど、そこに手掛かりが見付からないんじゃ、どうしようもない。

……そもそも俺は、帰りたいって思ってるんだろうか。

……いや、そんな事、その時にならねえとわかんないよな。今は目の前の事に集中しねえと。

アカリ「お風呂沸いたよー」

ペラップ「あ。じゃあ行って来るね」

レントラー「おうよ」
 ▼ 583 ッコラー@リュガのみ 16/01/22 21:38:35 ID:VSHMJE5M [8/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
今日はここまでです
 ▼ 584 ークイン@きいろいバンダナ 16/01/22 21:51:22 ID:8aRxG8Ag NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
おもしろい
支援
 ▼ 585 1◆J44kAZeDOM 16/01/23 22:26:47 ID:NahXFsGY [1/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ロトム「ドウシタノ? 暗イ顔シチャッテ」

レントラー「なんでも。……明日は、頑張ろうな」

これぐらいしか言う事がねえ。

さっきこそ区切り付けたけど……やっぱ気になる。

……少し、考えさせてくれ。

別に旅が終わるまでに答えが見付かる、なんて保障はなかった。

どうして俺が自殺しようとしてたのか、っつーか自殺したのか、その理由がわかっただけでも、充分な収穫だ。

充分すぎる、と言っても差し支えはない。
 ▼ 586 1◆J44kAZeDOM 16/01/23 22:29:28 ID:NahXFsGY [2/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
だけど……

あーもう。考えれば考えるほど泥沼だよ。

だけど、それでも考えちまう。

レントラー「ロトム! 俺を、今から思いっきり驚かしてくれ! 悩みも吹っ飛ばすぐらいの奴頼む!」

ロトム「エ? イイノ? ワーーーーーイ!」

こうなりゃ強引に荒治療だ。

頼んだぞロトム。俺を全力でビビらせてくれ。

ロトム「ジャ、チョット待ッテネ!」
 ▼ 587 1◆J44kAZeDOM 16/01/23 22:32:43 ID:NahXFsGY [3/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
いつ来るか、そう身構えていた。

だけど。

アカリ「レントラーにロトム! お風呂空いたよ……あれ? ロトムは?」

ペラップ越しに事情を説明する。

考え事の深みにハマったから、驚かしてもらおうと思ったら、いなくなっちまった、と。

レントラー「あいつ、驚かせるの大好きだから、消えっぱなしはあり得ない。今も俺を狙ってるはず」

アカリ「なるほど……わかった。じゃあ、取りあえずお風呂入って来なよ!」

こくりと頷き、浴槽へと足を向けた。


その時俺は、油断していた。
 ▼ 588 1◆J44kAZeDOM 16/01/23 22:37:40 ID:NahXFsGY [4/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
風呂のドアを開けた、まさにその瞬間。

ロトム「バアッ!」

レントラー「うわあっ!」

情けない悲鳴が口から洩れた。

ロトム「ビックリシタ? ワーーーーーイ!」

レントラー「ああ、サンキュ……お前、あいつらを抱き込んで……」

アカリ、ペラップ、お前ら、なんて役者だ。

エンペルトは無口、グレイシアも湯疲れでぐったりしてたから無口で、作戦に影響はなかったし。

うーん、なんか悔しい。だけど。

レントラー「スッキリしたよ。ありがと」
 ▼ 589 1◆J44kAZeDOM 16/01/23 22:40:16 ID:NahXFsGY [5/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
こいつのおかげで、思考の泥沼で溺れる事は免れた。

さて、明日のジム戦だ。

いや、それはもういいか。

……となると、考える事もない。まあいいか。

今日ぐらい、ゆっくり疲れを取ろう。
 ▼ 590 ュシュプ@リュガのみ 16/01/23 22:46:53 ID:NahXFsGY [6/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
レントラー「おーい、アカリ! あがったぞ!」

アカリ「はーい! ちょっと待ってて!」

レントラー「おうよ」


アカリ「これでよし、と。じゃ、行こ!」

頷いて、歩き出した。

その時。

グレイシア「わっ!」

レントラー「うわっ!」

ロトム「ウワアッ!」

アカリ「きゃっ! ……知ってたけど、ビックリしたあ……?! ろ、ロトム?」
 ▼ 591 1◆J44kAZeDOM 16/01/23 22:51:00 ID:NahXFsGY [7/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ロトムの体から、電気が広がって……

アカリ「……っ!」

グレイシア「な、何これ……」

ロトム「ビ……ビックリした……」

しかも、その電気……なんだ? ロトムの感情が、流れ込んで来る……

グレイシア「レントラー! 逃げよう!」

アカリ「うわあっ!」

飛び交う電気の中、俺は射すくめられたように立ちすくんでいた。
 ▼ 592 1◆J44kAZeDOM 16/01/23 22:57:31 ID:NahXFsGY [8/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――

???「逃げてっ! ロトムだけでも!」

嫌ダ! キショウト一緒ジャナイト!

キショウ「でも……やっぱりムリだよ」

ソンナ!

キショウ「だから、ロトムだけでも。大丈夫。僕も、なんとかして逃げるから!」

――

アカリ「……トラー! レントラーしっかりして!」

ロトム「ゴメン! 僕、マタヤッチャッタ……」

グレイシア「あ、起きた!」

エンペルト「大丈夫?」

レントラー「……俺、どうしてた?」

ペラップ「電撃で気絶して……」
 ▼ 593 日はここまで◆J44kAZeDOM 16/01/23 23:05:10 ID:NahXFsGY [9/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
エンペルト「はあ……今にして思えば、ロトムを驚かせるのはダメって、日記見てればわかったのに。私のバカ」

レントラー「……なあロトム。お前の探したい人間って、キショウって名前なんだな?」

ロトム「ウン……ナンデ?」

レントラー「お前の電撃に、感情っつーかなんつーか、そんなのが感じ取れたんだ」

レントラー「同じ電気タイプだからかな」

ロトム「ソウナンダ」

レントラー「ああ。だからなんだって訳でもないんだが、どっかで見た事あるような気がしたんだ。そのキショウ。だけど、見た事はない」

グレイシア「はあ? はっきりしなさいよ!」

レントラー「いや、そのキショウって少年の面影をどっかで見た事がある気が……ダメだ、わかんね」

エンペルト「……でも、レントラーが見た事あるニンゲンなんて、限られてるよね。せいぜいがトレーナー、ジムリーダー、ギンガ団、ジョーイさんにアキラたち、それとハクタイの作家、カンナギの長老ぐらいよ」

レントラー「ああ……だけど、トレーナーの顔なんざいちいち覚えてねえ。それに、年齢的にジムリーダー、アキラたちを除くと、あり得るのが……」

レントラー「カンナギの長老、ナナカマド博士、そして……」

エンペルト「ギンガ団の中でも年齢的にあり得る、プルート、か。なるほどね。まあ、例によってそれが証拠能力のある証拠なのかは怪しいけどね……」
 ▼ 594 1◆J44kAZeDOM 16/01/24 21:07:43 ID:Mhv8cazU [1/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ロトム「エ?! ッテ事ハ、キショウヲ知ッテルノ?!」

レントラー「保障はないけど、可能性はある。そのぐらいだ」

ロトム「ワーーーーーイ! アリガトウミンナ!」

グレイシア「……まさか驚かしてみただけで、こんなにいろいろわかるなんてね」

アカリ「どうしたのみんな」

ペラップ「ロトムの旅の目的に、一歩近付いた、って事かな」

アカリ「ええっ! よかったじゃんロトム! おめでとう! ……で、それって?」

ペラップ「ほら、洋館でも言ってた、探したいニンゲン」

アカリ「ああなるほどー。で、誰なの?」

ペラップ「この旅で出会った、お年寄りの人のうちの誰か」

アカリ「えっと……意外にざっくりしてるね。まあいいや、みんな、大丈夫ね?」

全員が頷く。

アカリ「じゃあ、もう寝ちゃおう」
 ▼ 595 1◆J44kAZeDOM 16/01/24 21:16:04 ID:Mhv8cazU [2/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
それからも、いろいろとロトムが探してる人物についての議論は続いた。

まず前提として、男なんだからカンナギの長老は論外であると言う事。

ナナカマド博士だとすると、会って気付かないとも思えないし、そんな過去があるならどこかでわかってるはずだ。

だとすると……

エンペルト「残るのは……プルート? いや、まさかね……」

そう。

そんな事、信じられる訳がない。

見覚えってのは、気のせいだったんだ、どうせ。

他の地方にだって年寄りはいるし、それより何より……

レントラー「研究されてる時に、お互い気付くだろ」

グレイシア「ああ! ……だとすると、振りだしじゃないの」

レントラー「まあな。だから、たぶん気のせいだったんだ。もう寝ようぜ」

エンペルト「……手掛かりだと思ったんだけど……仕方ない、か。うん、お休み」

みんなも口ぐちにお休みを言い、自分の寝場所へと向かった。
 ▼ 596 1◆J44kAZeDOM 16/01/24 21:20:06 ID:Mhv8cazU [3/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
……にしても、見た事あるってのは気のせいじゃなかった。

だけど、キショウなんて名前の奴見た事ないし……

だから、偽名を名乗る必要性がある奴、って言うのは特定していいと思う。

でもな……わからない。

あの洋館、ナタネ犯人説とかあるらしいけど、結局違ったし。

だから……ゲームとかで出て来たキャラな確証も、はっきり言って、ない。

アニメ限定キャラがこの世界にいたとしても、おかしくはない。

……だとすると、全然わかんない。

もう無理だ。寝よう。

……
 ▼ 597 1◆J44kAZeDOM 16/01/24 21:27:27 ID:Mhv8cazU [4/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
視点 アカリ

アキラ「おーいアカリ、起きろ!」

アカリ「……んあ?」

アキラ「んあ、じゃない。早起きして、特訓するっつったの誰だ?」

アカリ「……あたし。待って今起きるから……」

アカリ「って、なんであんた部屋に入って来てんの?!」

アキラ「こいつらが開けてくれたんだ」

レントラー「がう」

あ、レントラーに、エンペルト、グレイシア、ペラップロトムも。

みんな起きてるんじゃん……

ペラップ「ロトムが、カードキーのシステムに侵入していじったんだって」

アカリ「いやダメでしょそれ!」
 ▼ 598 1◆J44kAZeDOM 16/01/24 21:34:01 ID:Mhv8cazU [5/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アキラ「ってな訳でだ。俺のドータクンを、いかに突破するか、だな」

アキラ「トウガンさん、先発はドーミラーなんだけど、ドータクンを突破出来ればなんとかなる」

アカリ「わかった。グレイシア! シャドーボール!」

アキラ「先手なんかくれてやる! ジャイロボール!」

グレイシア「らっしゃ!」

ドータクン、避けようともしないし、傷すらついてない……効果抜群なんだよね?

アキラ「さすがに効いたか……だけど、いけるな?! ぶちかませっ!」

効いてるの?! そうは見えない……いや、

アカリ「避けて! ジャンプ!」

アキラ「ちっ、避けられたか……トリックルームだ!」

アカリ「なっ!」
 ▼ 599 1◆J44kAZeDOM 16/01/24 21:56:44 ID:Mhv8cazU [6/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
トリックルーム。

効果は知ってる。

素早さが遅いポケモンから行動出来るようになるって言う、その名の通りトリッキーな技。

さっきのジャイロボール……遅ければ遅いほど威力があがる技と相性抜群なんだよね。

グレイシアには、鋼タイプは効果抜群……

さあて、どうしよう……

アカリ「ねえアキラ」

アキラ「なんだよ」

アカリ「ホントにトウガンさん、こんな技使うの?」

アキラ「いや? でも、やるからにはガチでやりたいからな」

まったくもう……まあ、いいか。

アカリ「取りあえずグレイシア交代! ロトム、よろしくね!」
 ▼ 600 ンフィア@かえんだま 16/01/24 21:58:09 ID:Mhv8cazU [7/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
今日はここまでです
 ▼ 601 イリキー@ふねのチケット 16/01/24 22:16:47 ID:IMOqEcuk NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
支援
 ▼ 602 1◆J44kAZeDOM 16/01/25 20:26:48 ID:doxcGlz6 [1/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ロトムなら、ジャイロボールも相性の関係でほとんど効果ないし。

返しのオーバーヒートで一気に持っていける!

アキラ「なるほど……よし、神通力!」

アカリ「あっ」

そっか。エスパータイプでもあるんだ。

でも、やる事は変わらない!

アカリ「オーバーヒートっ!」
 ▼ 603 1◆J44kAZeDOM 16/01/25 20:31:29 ID:doxcGlz6 [2/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
うーん、にしてもやりにくい……

速さを比べて、ドータクンのが遅いのはわかってんだけど……

どういう仕組みなんだろ? さっぱりわかんないや。

素早さの順序が逆転しても、単純な行動スピードは変わらないし。

技を出す時だけ、か。

まあ、ドータクンは、トリックルームの時でも技以外の時は遅い。

だから、そう簡単に避けられないでしょ。

前のチート耐久は、あくまで技、鉄壁のおかげだし、たぶん行ける……!

アキラ「ちっ、今のはだいぶ痛いな……ストップ! こんなもんでいいだろ!」

アカリ「えっ?!」

アキラ「ドーミラーだぜ? こいつにここまで効いてるんだから、突破出来るだろ」

アカリ「効いて……るの?」

アキラ「そうは見えないかもな。俺もなっかなかわかんなかったし」
 ▼ 604 1◆J44kAZeDOM 16/01/25 20:38:38 ID:doxcGlz6 [3/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「そんなもん?」

アキラ「こいつこんな顔してっから、表情がねえんだよな。感情がないって訳ではないんだけど」

アカリ「ふうん」

アキラ「まあ、問題はトリデプスだよな。でも、まあ今のお前ならトリデプスまでに何匹か残せるだろうし、数匹がかりで行ったら勝てない事もねえだろ」

アキラ「ってな訳で、メシでも行こうぜ!」

アカリ「うん。いや、その前に回復させてあげないと」

アキラ「当たり前だろ! わかってて飛ばしてんだよ!」
 ▼ 605 1◆J44kAZeDOM 16/01/25 20:43:18 ID:doxcGlz6 [4/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「いただきまあす」

アキラ「いただきます」

アカリ「にしてもさ……お姉ちゃんたち、どこにいるんだろ。いてもおかしくないと思うけど」

アキラ「うーん、一旦帰ったとか? いや、それならわざわざ俺たちをミオの図書館に呼んだりしないか」

アカリ「いや、もしかしたら何か図書館の本を参考にしたかったのかもよ?」

アキラ「いや、まあ普通にそうだろ。でも、だとしたら、いるはずじゃね? ミオに」

アカリ「あんたはお姉ちゃんたちを舐めてる。こんなとこ、一瞬で行けるでしょ。お姉ちゃんたちなら」

アキラ「……それもそうか」
 ▼ 606 1◆J44kAZeDOM 16/01/25 20:49:44 ID:doxcGlz6 [5/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
だって、マサゴからミオまで、コトブキを経由して歩いて行っても1時間かからないでしょ。

それに、お姉ちゃんはフワライド、コウキ兄ちゃんはクロバット、ジュン兄ちゃんはムクホークで、それぞれ空を飛べる。

だから、10分もかからないんじゃない?

アキラ「まあ、そう言う事か。そういや、ギンガ団の幹部って確か4人だったんだよな? サターンとプルート以外って……」

アカリ「確か、ギンガ団やめて、普通の女の子やってるんじゃないの? そんな事言ってたって聞いたよ?」

アキラ「ああ、そういやそうだったわ。だったらまあ、関係はないかな」

アカリ「にしてもプルートよ。どこに目的があるんだろうね」

アキラ「……さあな。お前の話聞いてる限りだと、行動が一貫してないっつーかなんつーか……」

アキラ「そもそも、教会の人に話を聞いてはみたけど、狙われるような幻ポケモンとか伝説ポケモンを守ったりなんかしてないらしいし」

アカリ「アキラ、あんたそれ、いくらでもウソは吐けるよ」

アキラ「そうなんだけど……ウソって感じじゃなかった。現に、ポケモンを隠してるなら、その気配ぐらいあってもいいもんだろ?」

アカリ「確かに……」
 ▼ 607 1◆J44kAZeDOM 16/01/25 20:59:09 ID:doxcGlz6 [6/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アキラ「手掛かりがある、っつーか、天界の笛があるなら話は別だけど……それならあそこまで簡単に引き下がるのかね」

アカリ「でも、一旦引いて、確信出来てから本気で、とかはあり得ない話じゃなくない?」

アキラ「お前……急に賢くなってね?」

アカリ「なんだかんだ言って、あたしも変わってんだよ? この旅で」

アキラ「そりゃそうか……まあ、どうでもいいんだ」

アカリ「何よー」

アキラ「ただ、もっと他の、アルセウス以外の幻ポケモンを狙ってるような活動があるはずなのに、それが全くないんだ」

アキラ「どっかからその情報ぐらい入って来そうなもんだろ? 普通」

アカリ「博士たち、あたしたちからわざわざ確認してたけど」

アキラ「ウワサレベルの物にいちいちかかずらってらんないだろ」

アカリ「それもそっか。でも、それなら無視して伝えなかったって可能性もあるよ」

アキラ「いや、でも、具体的な野望についてお前、あん時説明しただろ?」

アカリ「一応ね。まあ、ホント、書き起こすにしても無視されるぐらいの一応だけど」

アキラ「それでも、全く反応なし。だからそんぐらい空気な扱いなんだけどな」

アキラ「にしても、アルセウス以外の幻も狙われてるんだったら、そのウワサも気になるもんじゃね?」

アカリ「はあー」
 ▼ 608 ガリザードンX@フーディナイト 16/01/25 20:59:43 ID:doxcGlz6 [7/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
今日はここまでです
 ▼ 609 1◆J44kAZeDOM 16/01/26 20:32:42 ID:oMYuceAc [1/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「でも、だとすると、ギンガ団、ってかプルートは、このロトムを除くと、アルセウス以外は始めっから狙ってない?」

アキラ「と、俺は思うね。でも、それだけだ。確証なんてどこにもないし」

アカリ「うーん……」

アキラ「ごちそうさま。まあ、考えても仕方ないってか」

アカリ「えっ、もう食べ終わったの?!」

アキラ「ほら、みんなももう食い終わってんぞ」

アカリ「う、早い……」

でも、アキラだって話してたはずだよね?

そんな事より、とにかく急ごう。

ちゃんと食べて、体力を付けないとね。
 ▼ 610 1◆J44kAZeDOM 16/01/26 20:38:44 ID:oMYuceAc [2/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「ごちそうさま! じゃ、行きますか、ジム戦!」

アキラ「おう、頑張れよ。応援しとくよ」

アカリ「サンキュ。えっと、ジムは……」

アキラ「橋を渡って南側。あ、そうそう。あのジム、結構仕掛け面白いぜ?」

アカリ「へえ。どんなのだろ?」

アキラ「それ言っちまったら楽しみが減るだろ」

アカリ「それもそっか。へえ、にしても、昨日は全く見えなかったけど、こんなきれいな街だったんだ」

アキラ「港町らしい、みたいな?」

アカリ「そうそう。なんかオシャレよね?」

アキラ「わからん事もないな……よし、着いたぞ」
 ▼ 611 1◆J44kAZeDOM 16/01/26 20:42:23 ID:oMYuceAc [3/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
案内「お、チャレンジャーか」

アカリ「はい」

アキラ「あ、俺こいつの幼馴染みで、今日は観戦です」

案内「助言行為は厳禁だからね」

アキラ「はい」

アカリ「にしてもたっかいなぁ」

案内「ああ。このジムでは、リフトに乗って上下左右に移動するんだ」

案内「トウガンさんは最上階にいるぞ。じゃあ、気張ってこー!」

アカリ「あの一番上にトウガンさん……よし。じゃあアキラ、行って来る」

アキラ「おう。頑張れよ」

アカリ「当たり前よ!」
 ▼ 612 1◆J44kAZeDOM 16/01/26 20:48:46 ID:oMYuceAc [4/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
えっと……いきなり4つの選択肢があるのか。

空手王「オーバーヒートでワンキルとか、そりゃないぜ……」

さてと。こんな時やる事は1つ。

アカリ「ど、れ、に、し、よ、う、か、な、て、ん、の、か、み、さ、ま、の、い、う、と、お、り!」

アカリ「1つ目ね。よし。じゃあ、レッツゴー!」

確か、乗るだけで作動するんだよね。

アカリ「うわっと! あ、すごい!」

上にあがってってる……!

おお! 楽しい!

――

……あれ? 行き止まり?

仕方ない、下りるか。
 ▼ 613 1◆J44kAZeDOM 16/01/26 20:53:24 ID:oMYuceAc [5/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
じゃあ、残った3つでどれにしようかなっと。

一番右ね。OK。

まずはあのトレーナーを避けてっと……

よし。じゃあ行きますか!

――

お、またリフトだ。

これは正解引いたかな……?

取りあえず乗ってみよっと!

……あれ? なんで降りてっちゃうの?

え、もしかしてトラップ?

でも、あれしか道は……いや、違う。

下は下でも、さっきの場所じゃない!

これは正解かな?
 ▼ 614 1◆J44kAZeDOM 16/01/26 20:58:21 ID:oMYuceAc [6/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
取りあえず、この目の前のリフトに乗って、たぶん今度は上だよね。

さすがに地下があるとは思えないし。

えいっ!

――

アカリ「きゃっ!」

あ、危な……

柵がないってどう言う事よ……

危うく落ちる所だったじゃないの!

えっと、まあそれはいいや。

で、次は……ホントに目の前にあるのね、リフト。

取りあえず、乗れって事よね。
 ▼ 615 1◆J44kAZeDOM 16/01/26 21:02:30 ID:oMYuceAc [7/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「今度は上か下か……きゃっ!」

いや、今のはアウト!

普通落ちるよ! こんな急に……

アカリ「横移動なんてされたら!」

……我ながら、良く落ちなかったと思う。

だけど、こんなリアルに危ないジム、作っちゃってもいいの?

あー、怖かった……

だけど、なんとなくわかった。

コード? みたいなのが伸びてたら、それが横移動の合図ね。

縦移動は、地面に埋まってる事が多い、と。

さあて、行きますか!

リフトもあるしね。これは上か、下か……
 ▼ 616 1◆J44kAZeDOM 16/01/26 21:07:57 ID:oMYuceAc [8/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
よし、3階に到着!

で、今あたしの目の前に、2つの横移動リフトに、1つの縦移動リフトがある。

もちろん、縦移動は乗って来た奴だけどね。

さて、どっちに行くべきか……だけど、見通しがいいからなんとなく察しが付く。

東側のリフトは行き止まりっぽい。

だとすると……北!

――

アカリ「……慣れないなあ、横移動」

落ちそうで、怖い。

まあ、そこら辺は考えてんだろうけどさ。

ま、それはともかく、次のリフトは……この手前のは、向こうの仕様的にダメ、行き止まり。

だから、奥まで行ってみて……

あっ、トレーナー。リフトの妨害でもする気? あんなピンポで立つとか、ずるい。反則だ!

……仕方ない。
 ▼ 617 1◆J44kAZeDOM 16/01/26 21:12:21 ID:oMYuceAc [9/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「ふうっ」

でも、道中のトレーナーとのバトルはだいぶ楽になって来たな。

作業員「……とにかく、今のこのルートで正解だから、自信持って進んでけ!」

アカリ「ありがとうございます!」

――

あれ? なんだろあの穴。

えっと……うわ、ダメ。覗き込むのはさすがに怖いな……

気にせず行こう。

先に進むためのリフトは1つしかない。
 ▼ 618 1◆J44kAZeDOM 16/01/26 21:16:30 ID:oMYuceAc [10/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
……と。

まさかこのリフト降りた直後に待ち伏せとか。

無いわ。

アカリ「いやいくらなんでもひどいでしょ! 強制2連戦? 何がしたいのよ! 避けられるはずないじゃない!」

空手王「いついかなる時も準備を怠るな、って事だ。が、助言はどうやら無用だったらしいな」

アカリ「まあ、はい」

いや、勝てたけどさ?

だいぶ楽ではあるけどさ?

少しずつダメージってのは溜まるんだよ?

空手王「1つ……トウガンさんの所からは、直接1階まで降りられる。そこから、一旦ポケセンまで行くのも、1つの手かもしれない」

アカリ「あ、そうですか。ありがとうございます。じゃ、行きますか!」
 ▼ 619 1◆J44kAZeDOM 16/01/26 21:21:46 ID:oMYuceAc [11/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
さて、後は横リフトを乗り継いで……

アカリ「……たぶん、これだよね。4階へのリフト」

さあて! えいっ!

……えっ、下?

――

なんで?

いや、でも正解なのか……これしか道はなさそうだけど。

取りあえず、あそこの女エリートトレーナーさんを上手く避けてっと。

さすがに、このリフトは上だよね。

――

見事にフラグ回収、と。

1階まで下ろされたよ?

トウガンさん最上階なんだよね?

……取りあえず、あのリフト……なんか赤い?

まあいいや、えいっと!
 ▼ 620 日はここまで◆J44kAZeDOM 16/01/26 21:30:15 ID:oMYuceAc [12/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「えっ、な、何これ……」

すごい!

2階どころか、3階まで飛ばして……

一気に4階まで!

そっか、これがさっきの穴の正体……

なるほどね。

アカリ「到着っと!」
 ▼ 621 度今日はここまで◆J44kAZeDOM 16/01/26 21:30:38 ID:oMYuceAc [13/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
あ、あれがトウガンさんかな?

トウガン「おお、よく来たなチャレンジャー! ウワサは聞いている。もう7つ目のジム戦だって?」

アカリ「はい。あの、でもその前に、回復させたい……」

トウガン「グハハハハ! 心配するな! そのぐらいわかっている!」

トウガン「それだけの実力を持つチャレンジャーとなら、全力で戦いたいからな。ほら、これを使うといい」

アカリ「え、回復の薬?!」

トウガン「ああ。これで傷を癒すといい」

アカリ「ありがとうございます!」

トウガン「さて……では、始めようか」

アカリ「よろしくお願いしますっ!」
 ▼ 622 クバード@ひきかえけん 16/01/26 21:31:04 ID:oMYuceAc [14/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
>>621
名前欄間違えました
今度こそのつもりだったんですが……
 ▼ 623 チゴラス@リザードナイトX 16/01/26 22:40:08 ID:fsKPr/r. NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 624 1◆J44kAZeDOM 16/01/27 20:19:20 ID:OFsreu.o [1/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
三人称視点

アカリ「行くよっ! グレイシア!」
トウガン「ドーミラー!」

2匹のポケモンが舞台に降り立つ。

一瞬の沈黙の後、2人のトレーナーの指示が飛んだ。

アカリ「シャドーボール!」
トウガン「未来予知だ!」

グレイシアが放つ黒い塊。それは、過たずドーミラーを襲う。

しかし、

トウガン「どうした? そんな物か?」

ドーミラーは、まるで何事もなかったかのように、念を込めていた。
 ▼ 625 1◆J44kAZeDOM 16/01/27 20:23:41 ID:OFsreu.o [2/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ(まあ……そうだよね。ドーミラーの耐久力のバカさ加減は、よく知ってる)

このぐらいは想定の範囲内だ。

何しろ、幼馴染みも使って来たポケモンなのだ。

それを、鋼タイプのプロフェッショナルに育てさせたら、どう考えても普通より強くなる。

この場合、強さ=耐久力であるのだが。

アカリ「まだまだですよ! ドーミラーは、硬い代わりに遅い!」

トウガン「グハハハハ! そのぐらいわかっているさ!」

まあ、そうよね。

心の中で舌打ちを1つして、再び指示を飛ばした。

アカリ「シャドーボールよ! 何度でも、何度でもっ!」
 ▼ 626 1◆J44kAZeDOM 16/01/27 20:34:23 ID:OFsreu.o [3/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
トウガン「その遅さを力に変えろ! ジャイロボール!」

アカリ(やっぱりあるのか……でも、トリックルームがない分、避けられる!)

アカリ「右よっ! 電光石火で!」

トウガン「ほう……回避に技を使うのか……グハハハハ! 面白い!」

アカリ(……余裕ね。もしかして、)

トウガン「もしかして、まだ策が残っているのではないか、とか考えているのではないか?」

驚嘆の表情を浮かべるアカリ。

その口からは、「な、なんでわかったんですか……?」と言う呟きが漏れるばかり。

トウガン「なあに! みんなそうだからな! とは言っても、ワシの性格がそう見えるってだけなんだがな! グハハハハ!」

アカリ「は、はあ……」

驚きは、一瞬で呆れへと変換された。
 ▼ 627 1◆J44kAZeDOM 16/01/27 20:41:21 ID:OFsreu.o [4/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
トウガン「とにかく! ワシの作戦は、ひたすら耐えて、ひたすら勝ちに行く、それだけだ」

アカリ「……なるほど」

だが、アカリは呆れると同時に、これからの困難を予期もしていた。

アカリ(そこまで防御に自信あり……か)

アカリ(こりゃ早めに突破しないと、疲れて来るな)

アカリ「それでも! あたしの指示は変わらない! グレイシア! ひたすらシャドーボール!」

トウガン「力と力のぶつかり合いか、面白い! ジャイロボール!」

アカリは、ほとんど本能的に、受けに回るより攻撃を仕掛け続ける方がいいと感じていた。

同じ疲れるのなら、少しでも相手の体力を削っておきたい、そう判断しての事だった。
 ▼ 629 1◆J44kAZeDOM 16/01/27 20:49:44 ID:OFsreu.o [5/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ(だけど……いくら攻撃力が低いと言っても、抜群だし、素早さの差はかなり大きいし……)

ジャイロボールを受けると、致命傷になりうる。

それは不安の種だったが、

アカリ(考えても仕方ない)

アカリ「グレイシア! 頑張れっ!」

グレイシア「らっしゃ!」

黒い塊がドーミラーにぶつかる。

しかし、それを、回転でもってかき消すとドーミラーは、グレイシアに急接近した。

アカリ「電光石火で避けて!」

しかし、アカリは忘れていた。
 ▼ 630 1◆J44kAZeDOM 16/01/27 20:53:27 ID:OFsreu.o [6/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
トウガン「そろそろだな」

その呟きとともに、何かがグレイシアに襲い掛かる。

グレイシア「ぐ……らっしゃ……」

アカリ「どうしたのグレイシア! あっ、み、未来予知!」

トウガン「決めろっ!」

アカリがうろたえている内にも、ドーミラーは攻撃を続けていた。

アカリ「グレイシアっ!」

トウガン「ふうっ。火力不足も補う一撃だったかな」

アカリ「……まだ行けそう。だけど、一旦……交代を宣言します!」

トウガン「ほう。大事を取ったか。構わんよ」

アカリ「お疲れ様グレイシア。まだたぶん出番はあるからね」
 ▼ 631 1◆J44kAZeDOM 16/01/27 20:58:32 ID:OFsreu.o [7/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ(相手のメインの攻撃が鋼タイプなら……)

アカリ「レントラー、よろしくっ!」

レントラーは一声鳴き声をあげると、ドーミラーの方を向き直る。

その瞳には、殺気がこもっていた。

ドーミラーが怯んだ素振りを見せると、レントラーは満足気な笑みを浮かべた。

トウガン「威嚇か……ただでさえ低い攻撃が、さらに弱くなる、と」

トウガン「鋼タイプの技は電気タイプに効果は今一つ……グハハハハ! 面白い!」

その笑い声を引き裂くように、アカリの指示が飛ぶ。

アカリ「レントラー、かみつく!」

トウガン「受けてたとう! 鉄壁だ!」
 ▼ 632 1◆J44kAZeDOM 16/01/27 21:08:40 ID:OFsreu.o [8/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ(出たよ。チート耐久)

うんざりしながら、アカリは観客席の方を見る。

鉄壁により得た防御力は、簡単に突破出来ないと言う事を、アカリは嫌と言う程知っている。

アカリ(他でもない、あんたのおかげでね!)

レントラー「はがっ……!」

かみついた方がダメージを受ける程の耐久力なのだから、うんざりするのも無理はない。

トウガン「どうした? 来ないのか? なら……未来予知!」
アカリ「充電よ! 未来予知に備えてっ!」

うんざりしながらも、アカリは対処法を見付けていた。

攻撃力が低いなら、こちらも耐え凌ぎ、隙を突いて攻撃する、と言う物だ。

それは、特防をあげつつ電気技の威力をもあげる、充電と言う技があればこその作戦だった。
 ▼ 633 1◆J44kAZeDOM 16/01/27 21:12:37 ID:OFsreu.o [9/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
トウガン「なるほど」

アカリ「未来予知のダメージも、ほぼ無視出来るレベルまで落とせれば……」

その先に待っているのは、ジリ貧。

だが、そこまで行き付いた先では、攻撃力が明暗を分ける。

アカリ「とにかく今は、スパーク!」
トウガン「ジャイロボールだ!」

レントラーはその身に電気をまとい、ドーミラーはその体を回転させ、ぶつかり合う。

結果は、レントラーが押し勝った。

充電で電気技の火力を底上げしていたのが大きかったのだろう。
 ▼ 634 1◆J44kAZeDOM 16/01/27 21:19:50 ID:OFsreu.o [10/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
そこからは、作戦も何もあった物ではなかった。

ただただ、単調な繰り返し。

時折未来予知のダメージが入ったりはした物の、充電により特防が上昇しているレントラーにそのダメージは微々たる物。

少しずつ、少しずつ、双方は疲弊していく。

アキラ(だけど、見ててこれほど退屈な試合もないよな……作戦がある訳でもなく、派手さもないし……)

だが、勝負をしている当人たちは、極めて真剣だった。

いかに相手の攻撃をかわし、そして耐え、自分の攻撃を当て、効率よくダメージを与えるか。

その読み合いが、当人たちのみにわかる緊迫した空気を創りあげていた。

アカリ(エンペルトに交代してもいいけど……せっかく特防ここまであげたのに、もったいないな……)
 ▼ 635 1◆J44kAZeDOM 16/01/27 21:25:00 ID:OFsreu.o [11/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
だが、淡々と技をうち続けるレントラーは、ダメージとは別種の疲労で限界だった。

アカリ(仕方ない……か。どっちみちエンペルトに未来予知は今一つだしね)

アカリ「交代を宣言します!」

手の内をムダに見せるのが最良とは言えない。

が、今のまま続けても、どうにもならない事は目に見えていたのだ。

アカリ「レントラー、しばらく休んで」

トウガン「グハハハハ! お互いが防御に走ると、こうなるのか! いいぞ! 面白い!」

アカリ「……あれが面白い、かあ……ううん、気にしちゃダメ!」

アカリ「エンペルト! よろしく!」
 ▼ 636 日はここまで◆J44kAZeDOM 16/01/27 21:32:38 ID:OFsreu.o [12/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
トウガン「エンペルト……鋼タイプ!」

アカリ「ええ。トウガンさんのポケモンほど防御特化って訳じゃないですけどね!」

トウガン「ドーミラー! 最後のあがきだ! 未来予知!」
アカリ「波乗りっ!」

エンペルトは、激しい水流を辺りに巻き起こし、それをドーミラーに叩き付けた。

波乗りは、特殊技だ。

どれほど鉄壁を重ね防御力をあげようと、関係はない。

グレイシア、レントラーと戦い積み重なっていた疲労も相まって、ドーミラーは地に落ちた。
 ▼ 637 リーセン@ヘラクロスナイト 16/01/27 23:24:28 ID:in3fhnh2 NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
最近これが楽しみ支援
 ▼ 638 1◆J44kAZeDOM 16/01/28 15:28:39 ID:ZBPEv07U NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
左肩骨折しましたので、更新がしばらく遅くなる可能性があります
ご容赦ください
 ▼ 639 レイハナ@さらさらいわ 16/01/28 15:37:08 ID:cfq98LLw NGネーム登録 NGID登録 報告
大丈夫なのか…
 ▼ 640 デンネ@モーモーミルク 16/01/28 16:57:22 ID:orp4gJwM NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
>>638
!?大丈夫?
 ▼ 641 ルノズク@しんぴのチケット 16/01/28 23:19:49 ID:OEcZNLnk NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
>>638
え!お大事に
 ▼ 642 1◆J44kAZeDOM 16/01/30 21:59:17 ID:mZkYQI32 [1/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
トウガン「お疲れ、ドーミラー」

トウガン「さすがだな! まずは1匹、確実に倒して来たか!」

アカリ「はい! 長丁場に持ち込まれるとまずいんで!」

トウガン「グハハハハ! よくわかってるじゃないか! だが、次はどうかな?」

トウガン「行けっ、レアコイルっ!」

アカリ(レアコイル……鋼タイプだけじゃなくて……電気タイプも!)

エンペルトは水タイプ。

電気技は、効果抜群である。

そこに不利を感じ取ったアカリは、ある行動に出る」

アカリ「……交代を宣言します!」

トウガン「さあて、交代出来るかな?」

アカリ「え? チャレンジャーには、交代の権利は認められてるはずじゃないんですか?」

アキラ「アカリ! 違うんだ! 試しに戻してみろ!」

アカリ「うん……あれ?! な、なんで?」

アキラ「ドータクンもこいつにハメ殺された……こいつの特性は磁力、鋼タイプは交代出来ないんだ!」

トウガン「そう言う事だ。さあて、どう出る?」
 ▼ 643 1◆J44kAZeDOM 16/01/30 21:59:42 ID:mZkYQI32 [2/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
特性磁力。

鋼タイプが場に出ている時、交代出来なくなると言う特性だ。

アカリ「……やるっきゃない、か。仕方ない、行くよっ! エンペルト!」

トウガン「グハハハハ! 全力でかかって来い!」

交代を諦め、吹っ切れた表情のアカリに、そう声をかけるトウガン。

アカリは指示を飛ばした。

アカリ「一旦相手の出方を窺うよっ! 攻撃に備えてアクアジェットの準備!」

エンペルトは頷き返した。

トウガン「電磁波だ!」

アカリ「今よっ! 左に!」

エンペルトは、その身に蒼をまとうと、勢いよく飛び出す。

レアコイルから放たれる微弱な電流が後を追った。
 ▼ 644 1◆J44kAZeDOM 16/01/30 22:00:02 ID:mZkYQI32 [3/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「アクアジェットを解除して波乗り!」

トウガン「迎え撃て! 電気ショック!」

エンペルトはレアコイルに急接近して、水流を巻き起こした。

それに打ちこむように、電気を流すレアコイル。

それは、水を伝わり、エンペルトまで届く。

しかし、レアコイルも激しい波をかぶり、ダメージを受けた。

アキラ(さっきとは打って変わって……スピード感のあるバトルだな。見てて楽しいのはやっぱこういうのだな)

アカリ「エンペルト! まだ行けるよね!」

トウガン「レアコイル! 頼むぞ!」

2人の指示が飛んだ。

アカリ「アクアジェット!」
トウガン「電磁波だ!」
 ▼ 645 1◆J44kAZeDOM 16/01/30 22:00:40 ID:mZkYQI32 [4/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
繰り返される先程の光景。

しかし、そこには、1つの違いがあった。

エンペルト(……あんまり狙って来てない?)

アカリは気付かない。

その程度の差異だが、実際に追われるエンペルトにとっては、その微かな差異は大きな違和感となった。

エンペルト(何が狙い?)

アカリ「今よ! 波乗り!」

違和感を拭えないまま、再びアクアジェットを解除し、波を起こそうと……
 ▼ 646 1◆J44kAZeDOM 16/01/30 22:01:03 ID:mZkYQI32 [5/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
エンペルト(あっ!)

エンペルトの目に映ったのは、電気をまとうレアコイル。そして、その目に現れる喜びだった。

電磁波を囮に使い、その間に電気を蓄えていたのだ。

だから、電磁波の追尾に集中出来なかった、という訳である。

トウガン「スパーク!」

波を起こそうとしている最中のエンペルトに、それを回避する行動が取れるはずもなく、為す術なくその攻撃を受けた。

アカリ「エンペルトっ!」

驚きを隠せないアカリに、トウガンの無慈悲な声が響いた。

トウガン「そのまま電磁波!」
 ▼ 647 1◆J44kAZeDOM 16/01/30 22:01:25 ID:mZkYQI32 [6/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
電磁波。

その微弱な電流は、しかし、相手を確実にマヒ状態に陥らせる。

マヒ状態に陥ったポケモンは、素早さが遅くなる上に、たまに行動を縛られてしまう。

エンペルト(わかってるけど……)

アカリ「どうしよう……」

トウガン「どうした? 来ないならこっちから行くぞ!」

トウガン「電気ショック!」

アカリ「ア、アクアジェット!」
 ▼ 648 1◆J44kAZeDOM 16/01/30 22:01:46 ID:mZkYQI32 [7/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
素早さが下がろうと、先制技アクアジェットには関係がない。

しかし、それはあくまで、「技を出せたら」、の話だ。

エンペルト(うぐっ……)

アカリ「痺れて動けない……」

トウガン「決めろっ!」

アカリ「波乗りで迎え撃って!」

最後の悪あがき。しかし、それを行動に移す前に、レアコイルはエンペルトに攻撃を当てていた。

アカリ「エンペルトっ!」

トウガン「戦闘不能だな」

アカリ「……お疲れ様、戻ってエンペルト」
 ▼ 649 1◆J44kAZeDOM 16/01/30 22:02:08 ID:mZkYQI32 [8/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「ふう……」

アカリ「よろしく、ロトム!」

トウガン「ロトム……! また珍しいポケモンだな。グハハハハ! いいぞ!」

アカリ「まあ、はい。ロトム、行くよ」

こっくりと頷くように体を揺らした。

トウガン「ヒートロトム……レアコイルからは有効打がない、か」

呟くと、フィールドに目を移す。

アカリ「オーバーヒート!」
トウガン「ラスターカノンだ!」

レアコイルの攻撃は、ほとんど意味を為さない。交代を禁じられているジムリーダーにとって、これはかなり痛手になる。

しかし、レアコイルがオーバーヒートを受ける、もっと言うならロトムがオーバーヒートを繰り出す。その事実が重要なのだ。

アカリ(特攻ががくっと下がっちゃうんだよね……)
 ▼ 650 1◆J44kAZeDOM 16/01/30 22:02:50 ID:mZkYQI32 [9/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
レアコイルは効果抜群の一撃を受けて地に落ちる。

アカリ「よしっ。でも……うん」

アカリ「とりあえず……交代します!」

アカリ「お疲れ様、ロトム。よろしくグレイシア!」

トウガン「レアコイル、お疲れ様。ハガネール! 頼んだぞ!」

ロトムの特攻の減少はこれで帳消しになる。
 ▼ 651 1◆J44kAZeDOM 16/01/30 22:03:10 ID:mZkYQI32 [10/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
しかし、グレイシアに交換したはしたで、また別の不安が残るのだ。

アカリ(ドーミラー戦でかなり消耗してる。しかも、鋼に相性悪いし……たぶん、勝てない)

アカリは、その不安を振り払うように叫んだ。

アカリ「とにかくグレイシア! 冷凍ビーム!」

それに被せるように、トウガンも指示を飛ばした。

トウガン「アイアンテール!」

アカリ「電光石火でかわして飛び乗って!」

ハガネールの巨体の動きは、まさに圧巻。

しかし、それだけに小回りが利かないのだ。

そこをアカリは利用した。

トウガン「ほう。振り落とせ! 岩雪崩!」
 ▼ 652 1◆J44kAZeDOM 16/01/30 22:03:35 ID:mZkYQI32 [11/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ハガネールは、自らの体の上に、大量の岩を落とす。

自分の体に当たるのも気にせず。

それを見たアカリは、瞬時に作戦を組み立てる。

グレイシア頼みの危険な賭けではあるが、それでもアカリは、グレイシアを信じていた。

アカリ「岩を足場にして飛び上がって! 電光石火で!」

トウガン「グハハハハ! なるほど、そう来たか。面白い……!」

トウガンはそのグレイシアを見て、笑みを浮かべた。

アカリ「よしっ! 飛んで!」

岩の頂上まで飛んだグレイシアに、そう叫んで指示を出す。

トウガンは、まだそのグレイシアを見詰めていた。

グレイシアは、ハガネールの顔と同じ高さまで上昇していた。

アカリ「今よっ! ハガネールの口に向かって冷凍ビーム!」
 ▼ 653 1◆J44kAZeDOM 16/01/30 22:03:56 ID:mZkYQI32 [12/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
しかし、ただでやられるトウガン、そしてハガネールではない。

トウガン「かみ砕くだっ!」

アカリ「なっ……」

ハガネールが冷凍ビームの手前で口を堅く閉ざすと、その光はあっさり遮られる。

トウガン「そのまま岩雪崩だっ!」

空中にいるグレイシアは、それをかわす手段を持たない。

結局アカリに出来た事は、

アカリ「グレイシアっ!」

と叫ぶ事のみだった。

グレイシアは、岩の塊とともに地面に叩き付けられた。

アカリ「……お疲れ様、グレイシア」
 ▼ 654 1◆J44kAZeDOM 16/01/30 22:04:16 ID:mZkYQI32 [13/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
トウガン「いい攻撃だった。ハガネールも結構ダメージを受けたしな」

アカリ「ウソ。全然効いてないじゃん」

トウガン「グハハハハ! そうかもしれんな!」

アカリ「はあ……ロトム、よろしく!」

再びロトムが場に現れる。

アカリ(レントラーじゃハガネール相手には何も出来ない……ロトムで倒しきらないとまずい。でも、オーバーヒートで倒しきれなかったら……)

こう思考を辿って、アカリは指示を出す。

アカリ「まずは怪しい風!」

トウガン「岩雪崩だ!」
 ▼ 655 1◆J44kAZeDOM 16/01/30 22:04:39 ID:mZkYQI32 [14/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
怪しい風は、アカリにも予想出来なかった効果を引き出した。

岩を風に巻き込んで、遠くに飛ばしてしまったのだ。

しかしそれは、同時に岩がバリアの役目を果たしたと言いかえる事も出来る。

アカリ「……仕方ない、か。こっちにも当たってないし……」

不満気に呟くアカリは、しかし、ある事に気付いていない。

トウガン「もう一回岩雪崩だ!」

アカリ「岩の切れ間を狙って飛び上がって!」

先程グレイシアと行った作戦。しかし、自在に飛べるロトムがそれを行うのだ。安全度は一気に増す。

トウガン「またその作戦か?」

挑発するような質問に、アカリは無言を貫いた。

アキラ(またか……でも、ロトムなら相性もいいし、だいぶ違うかな)

アキラ(っつーかアカリ、気付いてねえのか。ハガネール、意外とさっきの冷凍ビームが堪えてるってのに)

アキラ(たぶんオーバーヒート当てたら、勝てる)
 ▼ 656 1◆J44kAZeDOM 16/01/30 22:06:17 ID:mZkYQI32 [15/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「今よっ!」

トウガン「かみ砕くだっ!」

アカリ「飛び込んで! 歯より奥に!」

アキラ「なっ!」

ロトム(エッ、ト、飛ビ込ム……ノ?)

アカリ「大丈夫よ!」

トウガン「ほう……ハガネール! 押し切れ!」

アカリ「ロトムっ! 飛び込んでオーバーヒート!」

ロトムも覚悟を決めたように頷くと、口の中に飛び込んだ。

トウガン「なっ、は、速い……」
 ▼ 657 1◆J44kAZeDOM 16/01/30 22:06:54 ID:mZkYQI32 [16/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
そのスピードは、本来のロトムではあり得ないほど。

怪しい風で、全ての能力が引き上げられていたからこそ出せる速度だ。

アカリ「いっけえええええ!」

口が閉ざされた。

その隙間から、黒煙が漏れ出る。

ハガネールの表情が苦悶に歪み、その口を開いた。

ロトムがそこから出て来る。

それを見届けたアカリは、叫んだ。

アカリ「とどめよ! もういっちょオーバーヒートっ!」
 ▼ 658 日はここまで◆J44kAZeDOM 16/01/30 22:07:17 ID:mZkYQI32 [17/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
いくら特攻が下がっていると言えど、さすがに耐えきれなかったようで、ハガネールは崩れ落ちた。

トウガン「お疲れ様、ハガネール」

トウガン「グハハハハ! さすがだな! 次が最後の1匹だ! まさかここまで追い詰められるとはな……だが、ここからが本番だ。こいつを突破出来るかな?」

アカリ「やります。やってみせます!」

アカリ「でも、一旦戻って、ロトム」

再びロトムを戻すアカリ。

そのいたわるような口調を切り替えて、アカリは次のポケモンを場に出した。

アカリ「ペラップ! よろしく!」

トウガン「飛行タイプ……トリデプス! 頼んだぞ!」
 ▼ 659 1◆J44kAZeDOM 16/01/31 19:58:09 ID:OPhYegqg [1/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
2匹のポケモンが場に降り立った。

それを見るやいなやすぐにアカリは指示を出す。

アカリ「おしゃべり!」

間髪入れずにトウガンも「とおせんぼう」を命じた。

ペラップが何かをわめきたてると、その音の波がトリデプスに届き、混乱状態に陥れる。

しかし、ペラップを交代する事も出来なくなってしまっていた。

アカリ(交代して、そっからとどめ刺すつもりだったんだけど……)

アカリ(有効打はないしな……)

アカリ「仕方ない。ハイパーボイスっ!」

トウガン「トリデプス! 原子の力だ!」

アカリ「霧払いではじき返して!」

トリデプスは混乱を振り切り、しっかり技を出した。

だが、辺り一帯の霧を振り払うほどに羽ばたきに、その技は勢いを削がれ、ペラップに与えたダメージは元の特攻の低さも相まって微々たる物だった。
 ▼ 660 1◆J44kAZeDOM 16/01/31 19:58:31 ID:OPhYegqg [2/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「もういっちょ! ハイパーボイス!」
トウガン「原子の力だ!」

ペラップががなり立てる音に、トリデプスは何を思ったのか、耳を傾けた。

音技に耳を傾ける、即ち……

アカリ「急所……ね」

これも混乱の為せる業なのだろうが……しかし、効果は今一つ。そもそもが4分の1だ。

加えて、トリデプスの耐久力の高さもあり、急所に当たろうがほとんどダメージ量は変わらなかった。

アカリ「取りあえず、もう1回……えっ!」

相手が混乱して訳のわからない行動に走った安心感。

その一瞬の隙を見事に突いて、トリデプスは原子の力をペラップに打ち出していた。

混乱しているとは思えないほど、正確に。

アカリ「混乱が解けた……」
 ▼ 661 1◆J44kAZeDOM 16/01/31 19:58:54 ID:OPhYegqg [3/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ペラップには、原子の力は効果抜群。

勢いも本来のままだった事もあり、ペラップは先程の攻撃よりもかなりダメージを受けていた。

アカリ「ペラップ!」

ペラップ「いてて……」
 ▼ 662 1◆J44kAZeDOM 16/01/31 19:59:49 ID:OPhYegqg [4/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
トウガン「決めるぞ! ラスターカノン!」
アカリ「飛んで回避! そのままおしゃべり!」

再び音の波を起こそうとするが、トリデプスが放つ眩い光に思わず目をそむけてしまう。

アカリ「しっかり!」

トウガン「決めろ! ラスターカノン!」
アカリ「今度こそおしゃべり!」

2つの指示がぶつかり合った。

音の速度。光の速度。

どちらも、速い物の代名詞だ。

だが、そこには歴然とした差がある。

圧倒的に光の方が速いのだ。

その差は、そのまま攻撃速度の差となって表れた。

アカリ「ペラップ!」

トウガン「戦闘不能だ」
 ▼ 663 1◆J44kAZeDOM 16/01/31 20:00:09 ID:OPhYegqg [5/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「……ペラップ、お疲れ様」

トウガン「グハハハハ! どうだ? この耐久力は。ほれぼれするだろ!」

アカリ「相手してたら面倒なだけなんですけど……」

アカリ「まあいいや、次は……ロトム!」

アカリ(一番戦ってる時間が長いのはレントラーだし、最後まで休ませてから……)

そう判断しての行動だった。

トウガン「さて、行くぞ!」
 ▼ 664 1◆J44kAZeDOM 16/01/31 20:00:31 ID:OPhYegqg [6/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「ロトム! 電磁波!」
トウガン「原子の力だ!」

アカリ「上に飛んで回避っ!」

トウガン「追いかけろっ!」

原子の力は、ロトムを追いかけるように動き回る。

アカリ「そんなのありっ?! 仕方ない、怪しい風で吹き飛ばして!」

ロトムから放たれる突風は、しかし原子の力の勢いを微かに軽減させるにとどまった。

ロトム(イタイ……)

アカリ「大丈夫っ?!」
 ▼ 665 1◆J44kAZeDOM 16/01/31 20:00:54 ID:OPhYegqg [7/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アキラ(トリデプス……全然ダメージ受けてないけど、たぶん……)

アキラ(もう、原子の力のPP、2しか残ってないんじゃ……)

アキラ(ラスターカノンはロトムにもレントラー効果薄だし、他はとおせんぼうに……)

アキラ「耐えろアカリ! 絶対勝てる!」

アカリ「わかってる! ロトム、放電!」

トウガン「グハハハハ! 仲睦まじくて結構結構!」

アカリ「今よっ! 卑怯だけど!」

ロトムは笑顔で声をあげ、電気を体から迸らせた。
 ▼ 666 1◆J44kAZeDOM 16/01/31 20:01:18 ID:OPhYegqg [8/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
そんな時、不意にトウガンは呟いた。

トウガン「攻撃した直後ってのは、常に一定の隙が出来る」

アカリ「……へ?」

トウガン「今だ! 原子の力!」

アカリ「あっ! よ、避けて!」

その指示までのタイムラグが、命取りとなった。

対策行動を取れないままに、効果抜群の一撃を受けてしまっては、例えそれが攻撃力の低いポケモンの攻撃であってもかなりのダメージにつながるのだ。


しかしロトムは耐えた。

不意を打たれて驚きこそ大きかったが、すでに電気を放出していたのが幸いして、暴発はせずに済んだ。
 ▼ 667 1◆J44kAZeDOM 16/01/31 20:01:39 ID:OPhYegqg [9/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
トウガン「どうだ? そろそろ疲れて来たんじゃないか?」

アカリ「そりゃそうですよ。だけど……それでも!」

アキラ(ここまでの長丁場になるか……)

ポケッチに表示された時間を見て、アキラは思う。

だが、この時は、誰も予想などしていなかっただろう。

この戦いは、まだ、もっと続くのだ。それこそ、「力の限り、永遠に」。
 ▼ 668 1◆J44kAZeDOM 16/01/31 20:02:07 ID:OPhYegqg [10/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
それほどのバトルだ。

疲れるな、と言う方が無理な話である。

トウガン「原子の力!」
アカリ「……オーバーヒートよっ!」

アカリが指示するスピード。それが、疲労の影響を受けて、少しずつ遅くなっていた。

本来なら、オーバーヒートを当てて、怯んだ隙を狙って電磁波をうつ、はずだった。

しかし、トウガンが先に指示を行ったせいで、順序が変わってしまったのだ。

ロトムは、確かにオーバーヒートを繰り出した。

だがそれは、それを放った直後、襲い来る岩技から身をかわせない、と言う事を意味する。

アカリ「ロトムっ! ……お疲れ様」
 ▼ 669 1◆J44kAZeDOM 16/01/31 20:02:27 ID:OPhYegqg [11/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
トウガン「お互い最後の1匹、って訳だな」

アカリ「はい」

アキラ(俺の見立てだと……アカリの勝ちだ)

アキラ(だけど、ひどい泥仕合になる。こうなったら、もう、ホントに最後までって感じだな)

アカリ「行けっ! レントラー!」
 ▼ 670 1◆J44kAZeDOM 16/01/31 20:02:47 ID:OPhYegqg [12/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
レントラー(……俺が最後か。……あの頭硬そう……)

ぶつかった時のダメージを予感して、震えた。

アカリ「最後まで、全力で行こうレントラー! 充電!」

アカリは、勢い気持ちを切り替え、晴れた表情で言った。

トウガン「その心意気! 見届けるぞ! 鉄壁だ!」

応じるトウガンの顔も、晴れ渡っていた。

充電で電気技の火力、そして特防を底上げするレントラー。

一方、トリデプスも、来たるべき物理技に備えて、防御力の強化を行った。

場は、静かなままである。
 ▼ 671 1◆J44kAZeDOM 16/01/31 20:03:09 ID:OPhYegqg [13/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「レントラー! スパーク!」
トウガン「鉄壁で受け止めろ!」

レントラーがぶつかる。が、それはトリデプスにとっては微々たるダメージでしかなく。

アカリ「レントラー、充電!」
トウガン「ラスターカノン!」

トリデプスが放つ光も、レントラーには今一つな上に特防まで強化されているためほとんどダメージを与えられない。

ここに、アキラも予言していた泥仕合が始まった。
 ▼ 672 1◆J44kAZeDOM 16/01/31 20:03:34 ID:OPhYegqg [14/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「スパーク!」
トウガン「鉄壁!」

アカリ「充電!」
トウガン「ラスターカノン!」

アカリ「スパーク!」
トウガン「鉄壁!」

アキラ(もはや……飽きたを通り越して尊敬レベルだなこれ)

代り映えしない、一切の進展がない場。

しかし、どんな物にも、必ず終わりは訪れる。
 ▼ 673 1◆J44kAZeDOM 16/01/31 20:04:01 ID:OPhYegqg [15/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「スパーク! ……あれ? レントラー! スパーク!」

トウガン「PPが切れたようだな」

アカリ「ウソ」

アカリ「仕方ない……雷の牙!」

トウガン「鉄壁で受け止めるんだ!」

レントラー(いくらなんでも酷いだろこれ……にしても疲れた……)

あまりの長丁場に、戦っているレントラーですら嫌気が差して来ている。

レントラー(しかもあの硬いのにかみつくとかもう無理だろ)

しかし、レントラーのそんな思いとは裏腹に、それからも、充電→雷の牙VS鉄壁→ラスターカノンの勝負は続いた。












ラスターカノンのPPが切れるまで、の話であったが。
 ▼ 674 ェルダー@あいいろのたま 16/01/31 20:05:08 ID:OPhYegqg [16/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
今日はここまでです
 ▼ 675 ガミミロップ@ゴスのみ 16/01/31 22:43:25 ID:P//n3R96 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
これはひどい・・・ 歯折れる・・・
 ▼ 676 アル@かみなりのいし 16/01/31 22:50:00 ID:y7N6yuCs NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ラスターカノンのPP...10
 ▼ 677 ガヘラクロス@マスターボール 16/02/01 12:20:30 ID:RZhuPTSM [1/2] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
支援
 ▼ 678 1◆J44kAZeDOM 16/02/01 19:31:13 ID:xO3NueUo [1/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
視点 アカリ

トウガン「ラスターカノン、PP切れか……」

アキラ(これでアカリの勝ちは確定だ。もうトウガンさんのトリデプスは、攻撃出来ない!)

アカリ「レントラー! 行くよ!」

トウガン「いや、その必要はない!」

アカリ「え?」

トウガン「降参だ。もうトリデプスはダメージを与える事が出来ない!」

アカリ「ウソ……鉄壁、ラスターカノン、原子の力、とおせんぼ、ホントだ!」

って事は……あたしの勝ち?!

アキラ「おめでとう! アカリ、お前の勝ちだ!」

アカリ「いや、でもまだトリデプス……」

トウガン「このままみすみす悪あがきで瀕死になる所なぞ見たくない物でな! グハハハハ! ここまでお互いに耐え合った勝負は初めてだ! まさかここまで行くとはな!」

トウガン「面白かった! この勝負!」

アカリ「でも、まだあたし勝った訳じゃ……」

トウガン「ジムの規定は、ジムリーダーがチャレンジャーの実力を認めれば、それでバッジを渡してもいい事になっている」

トウガン「ワシはそれを認めた。だからこのマインバッジを渡す。それだけだ。気にするな!」
 ▼ 679 1◆J44kAZeDOM 16/02/01 19:35:25 ID:xO3NueUo [2/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
レントラー「はぐ……」

アカリ「あ、レ、レントラー、お疲れ、戻って!」

トウガン「取りあえず、これがマインバッジ。そして、技マシンラスターカノンだ」

トウガン「エンペルトに覚えさせるといい」

アカリ「ありがとうございます!」

アキラ「お疲れ」

アカリ「あ、アキラ。応援ありがと」

トウガン「で、2人とも7個目のバッジなんだな?」

2人「はい」

トウガン「最後のジムはナギサか。グハハハハ! あいつは手強いぞ!」
 ▼ 680 1◆J44kAZeDOM 16/02/01 19:40:49 ID:xO3NueUo [3/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
シンオウ最強のジムリーダー、デンジ。

街一帯を停電に陥れた事もあるバカな一面もあるらしいけど、実力は折り紙付き、らしい。

あのコウキ兄ちゃんにも、

コウキ「四天王でもおかしくないぐらい強いもん。なんでジムリーダーやってるんだろ?」

って言わしめるほど。

アキラ「大丈夫です! 俺たち、これからももっと強くなるんで。な、アカリ」

アカリ「うん!」

例えそうだとしても、今のあたしたちは、もっと強くならないといけない。

ギンガ団と戦うために、あたしたちの戦いは、もう始まってるんだ。
 ▼ 681 1◆J44kAZeDOM 16/02/01 19:43:54 ID:xO3NueUo [4/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アキラ「ってな訳で、俺たち今から昼飯食って、鋼鉄島に行こうと思ってるんです」

トウガン「そうか! それならあいつに連絡しておくか」

アカリ「あいつ?」

トウガン「お前たちがもっと強くなりたいのなら、稽古を付けてくれる奴に1人心当たりがあってな」

アキラ「え、ホントですか?!」

トウガン「ああ。何と言うか、楽しみなんだ」

トウガン「また同じぐらいの実力者が2人現れて、お互いに競い合っている」

トウガン「この状況、5年前にもそうだったな、ってな」

アカリ「コウキ兄ちゃんとジュン兄ちゃん!」

トウガン「ん? 知り合いか?」

アキラ「こいつの姉ちゃんが、あの2人の友達のヒカリだから」

トウガン「そうか。グハハハハ! そりゃあいい! ならなおさら、その2人には負けてられんな!」
 ▼ 682 1◆J44kAZeDOM 16/02/01 19:47:19 ID:xO3NueUo [5/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
トウガン「強いトレーナーが現れ、それに憧れたトレーナーがまた力を付けて行く。結構結構! 大いに修行して来い!」

2人「ありがとうございます!」

――

アキラ「と、言われて出て来たけど、腹減ったな……お前の試合、長すぎだよ……」

アカリ「仕方ないでしょ! ロクに有効打もないあの状況で短期決戦なんて出来る訳ないじゃん!」

アカリ「取りあえず、早く回復させてあげたいから、走るね!」

アキラ「後からおっかけるわ」

アカリ「了解!」
 ▼ 683 1◆J44kAZeDOM 16/02/01 19:51:11 ID:xO3NueUo [6/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「回復お願いします」

ジョーイ「では、ポケモンをお預かりします!」

アカリ「お願いしまーす」

アキラ「はあっ……追いついた」

アカリ「どう? あんたは回復させなくていいの?」

アキラ「俺は何もバトルしてねえし」

アカリ「まあそうよね。ふああ……」

アキラ「ん? どうしたため息なんかついて」

アカリ「いや、急に疲れが……しばらく休ませて」

アキラ「え、まあいいけど、さっさと飯食おうぜ」

アカリ「疲れ過ぎて、食欲なくなっちゃった。先食べといて」

アキラ「え、まあいいけど……」
 ▼ 684 1◆J44kAZeDOM 16/02/01 19:55:03 ID:xO3NueUo [7/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
視点 レントラー

あークソ、いってえ。

体力完全に回復してもまだ歯が痛いっておかしいだろいくらなんでも。

マシン万能じゃねえのかよ!

グレイシア「う、うーん……」

レントラー「ほはほー、へ?! ほへはへはひ……」

グレイシア「……ねえレントラー、ふざけてんの?」

レントラー「」

エンペルト「うーん、おはよ」

グレイシア「ねえエンペルト、レントラーの頭がおかしくなった」

レントラー「」
 ▼ 685 1◆J44kAZeDOM 16/02/01 19:58:54 ID:xO3NueUo [8/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
エンペルト「あ、なるほど、察しが付いた」

グレイシア「は?!」

エンペルト「今の言い草からして、レントラーがグレイシアより先に起きてた、あるいは倒れなかった。でしょ?」

グレイシア「まあ、そうだけど。それがどうしたの?」

エンペルト「たぶん、後者の方だと思う。アカリ、負けてたらあんな感じで休んでないでしょ」

グレイシア「そうよね。だから、それがどうしたの?!」

口調がどんどん威圧的になってってる。怖い。

エンペルト「トウガンの切り札はトリデプス。これは確認したよね?」

エンペルト「レントラーの技は、スパーク、充電に……雷の牙、かみつく」

エンペルト「トリデプスは尋常じゃないぐらい硬い。後はいいよね?」

グレイシア「あっ! つまり……あれにかみついて、それで……」

グレイシア「ごめんレントラー! 早まった!」

いや、わかればいいんだけどさ……謝られた所でどうにかなる問題じゃないんだけど……
 ▼ 686 1◆J44kAZeDOM 16/02/01 20:04:22 ID:xO3NueUo [9/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ペラップも起きだして来たが、ロトムは起きない。

グレイシア「まあ、ロトムってガキだから、まだ眠いんでしょ」

この意見に、何も言えない俺を含めて一切反論がないってどうよ。

俺もする気ないけど。

エンペルト「レントラーのそれ、やっぱりほっとけば治ると思うよ」

レントラー「ふほお?(うそお?)」

エンペルト「あなたはわかんないかもしれないけど、ポケモンの自然治癒力を舐めないで」

エンペルト「ニンゲンとは比べ物にならないのよ」

グレイシア「それをあんたが言う? ずっと研究所暮らしのあんたが!」

エンペルト「私だってポケモンだし。それにニンゲンと比べてってのは私が一番よくわかってる。当然でしょ?」

グレイシア「うぐぐ……」
 ▼ 687 1◆J44kAZeDOM 16/02/01 20:07:47 ID:xO3NueUo [10/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
視点 アカリ

アキラ「おーい、食わねえのかよ」

アカリ「あ、うんまあ。おにぎり1個ぐらい買って行く」

アキラ「ふーん。まあいいか、行こうぜ!」

アカリ「うん!」

――

アキラ「ここか、船着き場」

アカリ「みたいね」

アキラ「あの、すいませーん」

アカリ「鋼鉄島に行きたいんですけど」

船長「お、乗客か? わかった。出発までまだしばらくあるが、まあゆっくりしてってくれ」

アキラ「わかりました」
 ▼ 688 日はここまで◆J44kAZeDOM 16/02/01 20:11:50 ID:xO3NueUo [11/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アキラ「にしてもよかったな。タイミング割とピッタリっぽいぞ」

アカリ「そうね。これが出発した直後とかだったら……」

アキラ「やめろ、考えたくもない」

アナウンス「それでは、ミオ鋼鉄島往復便、出港いたします……」

アカリ「お、そろそろね!」

アキラ「今から修行すんだぞ。無理矢理でもいいから船の中でおにぎり食っとけ」

アカリ「オッケー」

――

アカリ「速いね! もぐもぐ」

アキラ「食いながらしゃべるな。同意だけど」

アカリ「だって食えって言ったのアキラじゃん、もぐもぐ」

アキラ「はあ……」
 ▼ 689 オタチ@ぎんいろのはね 16/02/01 23:08:54 ID:RZhuPTSM [2/2] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
レントラーご飯食べられるのかしら
 ▼ 690 1◆J44kAZeDOM 16/02/02 20:10:35 ID:.ag0Gf5U [1/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「ごちそうさま。ってええっ?! もう着いちゃった?!」

アキラ「今さらかよ……」

――

アカリ「ありがとうございました」

船長「おうよ、こちらこそ! 帰りもまた定期便が出てるからよろしくな!」

アキラ「はい」


アカリ「行っちゃった。大変だろうなー」

アキラ「よし。俺たちも頑張ろうぜ!」

アカリ「で、トウガンさんが言ってた稽古を付けてくれる人って、一体誰なんだろ?」

???「君たちかい? トウガンが言っていた子どもたちと言うのは」
 ▼ 691 1◆J44kAZeDOM 16/02/02 20:15:03 ID:.ag0Gf5U [2/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「え、あ! はいそうです!」

えっと……

まず第一印象。イケメン。クールでかっこいい。そんな所かな。

青い帽子がこれでもかってぐらい似合ってる。

アキラ「ルカリオとリオルですか」

???「ああ。これでも私は波導使いな物でね」

???「おっと! 自己紹介がまだだったね」

ゲン「私はゲン。君たちに稽古を付けてやってくれとトウガンに頼まれた者だ。よろしく」

アキラ「あ、よろしくお願いします!」

アカリ「よろしくお願いします!」
 ▼ 692 1◆J44kAZeDOM 16/02/02 20:21:19 ID:.ag0Gf5U [3/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
視点 レントラー

ああやっぱり?

トウガンの知り合いで、鋼鉄島で稽古付けてくれる人なんて1人ぐらいしか心当たりがなかったんだけど。

ゲン「まずは君たちのポケモンを見せてもらえるかな」

その声に応じるようにして、アカリは俺たちをボールから出した。

ふう、やっとこれで伝えられる……いやダメだ。アカリ以外の人がいる。

ゲン「なるほど……いいポケモンたちだ」

何をもってそう判断したのかはイマイチわからないんだけど……

リオル「みんなよろしく!」

グレイシア「うん、よろしく」

ドンカラス「よろしくっす!」

ルカリオ「……」
 ▼ 693 1◆J44kAZeDOM 16/02/02 20:27:11 ID:.ag0Gf5U [4/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
めいめいに自己紹介を済ませ……

レントラー「ほほひふ……(よろしく……)」

エンペルト「バトルの時あご酷使し過ぎて、今レントラー、まともに話せないの」

ユキノオー「ぎゃはは! 軟弱野郎!」

グレイシア「はあっ?! あんた何ふざけた事言ってんの?!」

いや、やめてくれ。妙なケンカに巻き込まれたくないんだ。

グレイシア「だいたいあんt」

リオル「ストップ! レントラーもこれ以上は望んでいない」

な……見りゃわかるのかもしれねえけど、なんでわかった?

リオル「僕は、波導だけじゃなくて、他人が考えてる事までわかってしまうんだ」

ルカリオ「……本人にそれを制御する力はないがな」

リオル「気にしてるの。言わないでくれない?」

ペラップ「すg……」

頭を振る。危うい所だった。初対面の人の前で、こいつが話したらまずい。
 ▼ 694 1◆J44kAZeDOM 16/02/02 20:33:29 ID:.ag0Gf5U [5/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アキラ「ん? 今なんかこいつ話さなかったか?」

アカリ「え?! な、何の事かな?」

アキラ「……まあいいんだけどさ」

ゲン「……では、取りあえず、この島を周回しよう。それだけでもかなり実力は付く」

2人「はい!」


リオル「にしても大変だね。トリデプスにかみつくか……」

レントラー「ふぁふぁ(ああ)」

トリトドン「あれ、そんな硬いの? 正直私、地面技で割と楽に突破したからわかんないんだけど」

もう面倒になって、頷くだけに留めた。

リオル「まあ、面倒なのも仕方ない……か。ろくに話せないんだから」


アカリ「みんな戻って!」

アキラ「お前らもだ!」
 ▼ 695 1◆J44kAZeDOM 16/02/02 20:45:20 ID:.ag0Gf5U [6/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
それから、ゲンに付き従って鋼鉄島の内部を一周。

そういやこんなリフトあったなぁ、なんて思いながら外へ出て来た。

正直、そこまで敵が強いとは感じなかった。

もっとも、それは、自分たちだけじゃないって安心感があるのも大きいんだろうけど。

アカリ「ふうっ、疲れたぁ」

アキラ「やっぱ外の空気って気持ちいいな」

ゲン「取りあえず、1回休むといい。ポケモンの回復は私がしよう」

アカリ「え、いいんですか? お願いします!」

ゲン「ボールからポケモンを全員出してくれ」

アキラ「はい。みんな! 出て来い!」

アカリ「出て来て! みんな!」
 ▼ 696 日はここまで◆J44kAZeDOM 16/02/02 20:50:36 ID:.ag0Gf5U [7/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ゲン「行くぞ! ルカリオ!」

ルカリオ「……ああ」

2人とも、目を閉じて集中しだした。

ゲン・ルカリオ「癒しの波導!」

2人の手から、暖かい何かが流れ込んで来る。

それは、自分の中で、力となって行った。

レントラー「すげえ……あ! しゃべれた!」

リオル「そうか。それはよかった!」

レントラー「癒しの波導のおかげか。ありがとう」

ルカリオ「……礼には及ばない」

グレイシア「よかった……」

エンペルト「よかったね、まともに話せるようになって」

レントラー「ああ」
 ▼ 697 ッツー@ノメルのみ 16/02/03 01:31:29 ID:WVPb/3pM NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
支援
 ▼ 698 1◆J44kAZeDOM 16/02/03 20:21:59 ID:Qw5/x1qE [1/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
レントラー「あえいうえおあお、うん!」

話せる喜び。

それを噛みしめながら、発声練習。

リオル「すごいでしょ。僕もいつかはこうなりたいと思ってるんだけど」

ルカリオ「……修行が足りない」

リオル「もールカリオ! それは言っちゃダメ!」

ロトム「ナンカサ、リオルッテスグ口調変ワルヨネ」

リオル「え?! いや、そんな事はないと思うんだけど、まずいかな」

ルカリオ「……背伸びしているだけだ。気にするな」

リオル「ちょっと!」

グレイシア「大人びたい、ねえ」
 ▼ 699 1◆J44kAZeDOM 16/02/03 20:28:28 ID:Qw5/x1qE [2/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
リオル「〜〜っ」

レントラー「ドンマイ。無理して変わろうとしても、そんな急に変われるもんじゃないんだよな」

エンペルト「まあ、レントラーも、グレイシアも、ペラップもゆっくり変わって来た訳だしね」

ドータクン「エ? 何カアッタンデスカ?」

グレイシア「何もないよ。気にしないで」

ドータクン「ワカリマシタ」

リオル「……ウs」

ルカリオ「リオル」

そう言って、黙って首を横に振った。

リオルは心が読める、だから俺たちのウソにも気が付いた。

それをいさめたってとこかな。
 ▼ 700 1◆J44kAZeDOM 16/02/03 20:33:34 ID:Qw5/x1qE [3/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ゲン「さあ、次は君たち2人でこの島を探索……する前に、1回本気でバトルしてみてくれないか?」

ゲン「強さを計る、と言う以上に、単純に興味があるんだ」

アキラ「アカリとですか? なら大歓迎です」

アカリ「あたしも! アキラとはまたバトルしないとって思ってましたし!」

ゲン「……頼もしいな」

うおっ、いきなり急展開。

手持ちはわかってる。だけど……

トリトドン「バトルみたいね、よろしく」

俺たちは、勝てるだろうか。

だけど、取りあえずは、こう返した。

レントラー「こちらこそ」

リオル「バトル?! いいなあうらやましいなあ」

ルカリオ「……なら私とするか?」

リオル「え〜! まだまだそれは無理だよ!」
 ▼ 701 1◆J44kAZeDOM 16/02/03 20:36:10 ID:Qw5/x1qE [4/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「じゃあ、行こうアキラ」

アキラ「おうよ。今度こそ絶対勝つ!」

アカリ「負けないよ!」

ゲン「こっちがバトルには適している」

アカリ「わかりました」

アキラ「はい」

ゲン「私はここから観戦している。2人は、何も気にせず、全力で戦ってくれ」

2人「はい!」
 ▼ 702 1◆J44kAZeDOM 16/02/03 20:39:42 ID:Qw5/x1qE [5/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
三人称視点

2人がゲンの誘導に従ってバトルフィールドに降り立った。

アカリ「よし、決めた」

アキラ「俺の最初は、こいつかな」

アカリ「じゃあ行くよアキラ!」

アキラ「おうよ!」

アカリ「ペラップ! よろしく!」

アキラ「ドンカラス! 頼んだぞ!」
 ▼ 703 1◆J44kAZeDOM 16/02/03 20:47:02 ID:Qw5/x1qE [6/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
2匹のポケモンが、空を舞う。

アカリ「空中戦ね!」

アキラ「そんな当たり前の事いちいち言わなくていいだろ!」

アカリ「もう! 行くよ!」

アカリ「おしゃべり!」
アキラ「辻斬り!」

アカリのペラップに対する指示は、いつも通り、小手調べの意味も込めて、おしゃべりだ。

確実に相手を混乱状態に陥れるこの攻撃は、そのためにピッタリなのである。

アキラ「ドンカラス! しっかりするんだ!」

音の波に呑まれて、苦しげに顔を歪めるドンカラスだが、それでも頭を振り、思考をはっきりさせた。

そして、その翼をはためかせ、ペラップに急接近する。

アカリ「ペラップ右!」

アキラ「追えっ!」

2つの指示が交錯し、ここに先程アカリも言った、空中戦が始まった。
 ▼ 704 ッチール@げんきのかたまり 16/02/03 20:49:27 ID:Qw5/x1qE [7/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
今日はここまでです
 ▼ 705 ッチャマ@かざんのおきいし 16/02/03 20:50:53 ID:Qyni313A NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
支援です!!
 ▼ 706 1◆J44kAZeDOM 16/02/04 20:21:59 ID:QzJ584R6 [1/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「そのままハイパーボイスっ!」
アキラ「不意打ちっ!」

口を開くペラップ、その行動の間に、ドンカラスは急接近した。

アカリ「ペラップっ!」

うるさい声をあげながら、ペラップは大地に叩き付けられる。

アカリ「ペラップ大丈夫?!」

ペラップ「なんとかね……」

アカリ「行くよっ!」

アキラ「とどめの辻斬りっ!」

アカリ「霧払いっ!」

ドンカラスは急下降しようとする……が、激しい風にあおられ、上手く飛べずにいた。

アカリ(今は体勢を立て直して、ペラップ。落ち着こう)
 ▼ 707 1◆J44kAZeDOM 16/02/04 20:28:38 ID:QzJ584R6 [2/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アキラ「ぶちかませっ!」

アカリ「ハイパーボイスで迎え撃って!」

ドンカラスが、風の中を突っ切って、今度こそ急下降する。

音の波がドンカラスを揺らし、ペラップは叫び続ける。

しかしその叫びは、あっさりと途絶える事となる。

アキラ「ドンカラス、お疲れ様」

アカリ「ペラップ、戻って。お疲れ様」

アカリ「うーん、気流を変えれば飛びづらくなると踏んだんだけどなあ」

アキラ「いや、効いてた。実際ちょっときつそうだったし。な、ドンカラス」

ドンカラス「はいっす」

アカリ「うーん、着眼点自体は悪くないか。まあいいや。行くよっ、レントラー!」
 ▼ 708 1◆J44kAZeDOM 16/02/04 20:37:17 ID:QzJ584R6 [3/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
レントラーが場に降り立つ。

その眼光に、思わず怯むドンカラス。

特性威嚇が発動した。

アカリ「行くよレントラー、スパーク!」
アキラ「不意打ちだっ!」

スパークの直前の隙。それは、電気を溜めている瞬間である。

その隙を突いて、ドンカラスはレントラーに攻撃を食らわせた。

レントラー「うぐっ」

アカリ「大丈夫よレントラー! ゴー!」

その叱咤の声に顔をあげ、レントラーはその身に電気をまとい、突進する。

攻撃後の一瞬の事、ドンカラスは対応出来ないまま、その直撃を受けた。

レントラー(ふうっ、威嚇がなかったらヤバかった)

アキラ「ドンカラスっ!」

アカリ「決めるよレントラー! 雷の牙!」

レントラーは、先程の苦痛を思い出して顔を歪めつつ、それでもその牙に電気を蓄える。

アキラ「辻斬りで迎え撃て!」
 ▼ 709 1◆J44kAZeDOM 16/02/04 20:42:23 ID:QzJ584R6 [4/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
レントラーの攻撃をなんとか耐え凌いだドンカラスが、その翼に力を蓄える。

そしてそれを横に振り払う。

レントラーは、跳躍し、それを回避した。

その落下の勢いで、口を大きく開いたレントラーは、ドンカラスの自慢のトサカにかみついた。

牙に蓄えられた電気がドンカラスの体を流れる。

レントラー(勝ったな、これは)

確信とともに牙を離す。

ドンカラスは、戦闘不能になっていた。

アキラ「ちっ、やっぱ相性悪いときついか……」

アカリ「まあ、交代なしだときついよね」

アキラ「よし。行くぞトリトドン!」
 ▼ 710 1◆J44kAZeDOM 16/02/04 20:50:59 ID:QzJ584R6 [5/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
この勝負では、お互いにこう決めていた。

アキラ「前は俺は交代しなかったのにお前はした。はっきり言って、ずるい」

アカリ「あたしとあんたの勝手でしょ」

アキラ「ああ。だけどさ、それじゃ面白くないじゃん。だけど、両方交代OKにしたらそれはそれで交代合戦になってつまらねえ。だからさ」

アカリ「交代禁止ルールにしようぜ」

アカリ「まあ、いいけど……」


アカリ「よくないよっ!」

アキラ「どうしたアカリ?」

アカリがこう叫ぶのも無理はない。

レントラーのほとんどの攻撃は、トリトドンには一切通じない。

かみつくで与えるダメージもそれほど多いとは思えなかった。
 ▼ 711 1◆J44kAZeDOM 16/02/04 20:58:14 ID:QzJ584R6 [6/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「レントラー、ごめん。勝てないと思う」

レントラー(そんぐらいわかってるって。交代禁止なのも仕方ない。そもそもこっちだけが出来るってのが現実的におかしいんだ)

アカリ「でも、あがけるだけあがくよ! かみつく!」
アキラ「泥爆弾!」

レントラーが全力で疾走する。

その速度は、トリトドンが泥爆弾を生成するよりも速く、トリトドンに接触を果たした。

大口を開け、牙を突き立てる。

ぐにょっと言う感触に、不快感を覚えつつ、それでも攻撃を続けた。

泥爆弾の直撃を受けるまで。

レントラー「ぐああっ!」

アキラ「効果抜群っと!」

アカリ「……まあ、どうしようもない、か」
 ▼ 712 1◆J44kAZeDOM 16/02/04 21:04:49 ID:QzJ584R6 [7/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
その後も、トリトドンの蹂躙は続く。

レントラーのかみつくも、ロクなダメージを与えられない。

ただ、効果抜群の一撃を受けて、やられるのみ。

その繰り返しの中で、レントラーはついに力尽きた。

アカリ「お疲れ様、レントラー」

アキラ「やったなトリトドン!」

アカリ「やっぱり交代禁止は辛過ぎだよ」

アカリ「それより何より、あたし草タイプのポケモン持ってないのがなあ……まあいいや」

アカリ「グレイシア! よろしく!」
 ▼ 713 アームド@キズぐすり 16/02/04 21:05:29 ID:QzJ584R6 [8/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
今日はここまでです
 ▼ 714 ラエナ@タラプのみ 16/02/04 23:46:30 ID:vjcQ9GvY NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
支援
 ▼ 715 1◆J44kAZeDOM 16/02/05 20:13:15 ID:IwPPGxrY [1/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
グレイシアなら、少なくとも不利な展開は回避出来る。

水、地面ともに普通で、氷技も普通に効く。

アカリ「行くよっ! 冷凍ビーム!」

アキラ「濁流だっ!」

2つの指示が飛び交った。

トリトドンから濁った水が放たれ、それがグレイシアの放つ光を受けて凍り付いて行く。

アカリ「壁……出来ちゃった」

壁が、グレイシアの方を覆うように上部が展開しているせいで、グレイシアに打つ手はない。

だが、トリトドンとて、それは同じだった。

乗る事は出来ても、その氷の彫像の上から落ちれば、そのダメージを小さく済ませるなど不可能だった。
 ▼ 716 1◆J44kAZeDOM 16/02/05 20:20:40 ID:IwPPGxrY [2/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
しかし、トリトドンは、この状況を覆す技を持っていた。

アキラ「熱湯!」

アカリ「なるほど」

思わず呟くアカリ。

その目に映っていた氷の壁は、みるみるうちに融かされた。

アキラ「グレイシアに狙いを付けろ!」

アカリ「融けたらそのまま電光石火で回避よ!」

少しずつ、少しずつ。

氷が消えて行き……

アキラ「今だっ!」

アカリ「今よっ!」
 ▼ 717 1◆J44kAZeDOM 16/02/05 20:26:37 ID:IwPPGxrY [3/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
グレイシアがいた場所を、熱湯が襲った。

グレイシア(ふしゅー、危ない危ない)

安堵のため息を吐くグレイシアにアカリの指示が飛ぶ。

アカリ「そのまま接近して冷凍ビーム!」

アキラ「受けて立て! 熱湯だっ!」

グレイシアは、華麗に熱湯をかわしてみせると、口から白い光を放った。

それは、まっすぐトリトドンを襲う。

かみつくのダメージもいくらか蓄積していたトリトドンはしかし、息も絶え絶えながら、なんとか耐え凌いだ。
 ▼ 718 1◆J44kAZeDOM 16/02/05 20:33:19 ID:IwPPGxrY [4/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ(次決めたら、行ける!)

アキラ(せめて、一矢報いてから……!)

2つの思惑が交錯し、それが指示となる。

アカリ「冷凍ビーム!」

アキラ「濁流だ!」

同じ技の繰り返しだが、先程とは少し変わった部分がある。

トリトドンの体力だ。

体力がゼロに近いトリトドンは、指示を聞いてから実行に移すまでに、かなりの時間が開く。

それが、先程の光景とは違った物を生み出した。

アカリ「凍った濁流が……盾に!」

アキラ「上から濁流っ!」

アカリ「なっ!」

一瞬の動揺の後、すぐさま指示を出した。

アカリ「シャドーボールで振り払って!」
 ▼ 719 1◆J44kAZeDOM 16/02/05 20:40:13 ID:IwPPGxrY [5/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
濁った水がグレイシアを襲う。

漆黒の塊が波を振り払う事に成功していた。

グレイシア(完全に、とはいかなかったけど。いてて……)

アカリ「大丈夫よねグレイシア! 行くよ! 飛び上がって上空から冷凍ビーム!」

トリトドンは、元の能力、技を出した直後と言うのにさらに疲労も重なり、機敏な反応が出来なかった。

それがわかっていたから、アキラも、静かにトリトドンを見詰めた。

アキラ「トリトドン、お疲れ様」
 ▼ 720 1◆J44kAZeDOM 16/02/05 20:49:06 ID:IwPPGxrY [6/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アキラ「さあて。行くぞユキノオー!」

吼え声をあげて飛び出すユキノオー。

それを見て露骨に顔をしかめるグレイシア。

そんな2匹の上に、あられが降り始める。

それがからんと音をたてて地面に転がったその瞬間、氷の火ぶたが切って落とされた。

アカリ・アキラ「吹雪!」
 ▼ 721 日はここまで◆J44kAZeDOM 16/02/05 20:56:15 ID:IwPPGxrY [7/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ(あられの効果で吹雪は必中。だけど……)

アキラ(それは相手も同じ、ってか。だとすると、またこっちが不利だな……)

ユキノオーは草タイプも持っている。

そして、草タイプに氷技は効果抜群だ。

アキラ「まあ、わかってはいたんだけどな!」

アキラは、なんとなくだがユキノオーとグレイシアの関係性に気付いていた。

だからこそ、この対面を望んだのだ。

アキラ「負けんなよ! グレイシアに!」

アカリ「グレイシア! 頑張れっ!」

一方、ほとんど気付いていないアカリは、それでも力の限り応援する。

同じ技同士、完全に力と力のぶつかり合いだ。

少しでも気力を繋げられた方が勝つ。

アカリ「いっけぇぇええええ!」

アキラ「負けるなユキノオーぉぉおおおおお!」

2つの叫び声が響き渡った。
 ▼ 722 1◆J44kAZeDOM 16/02/06 22:00:04 ID:asmJAKtQ [1/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
この戦いは、先程までの戦いで疲労していたグレイシアに比べて、元気なユキノオーに軍配があがった。

アカリ「グレイシアっ!」

アキラ「やったぞユキノオー!」

アカリ「大丈夫、まだ行けるね?」

グレイシア(あったりまえよ!)

アカリ「電光石火で急接近!」

アキラ「ウッドハンマーで迎え撃て!」

アカリ「避けてグレイシアっ! そのまま吹雪!」

ユキノオーは腕を振るい、それを軽やかに飛び越えるグレイシア。

アキラ「しまっ……」

アカリ「今度こそ!」
 ▼ 723 1◆J44kAZeDOM 16/02/06 22:06:35 ID:asmJAKtQ [2/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アキラ「こっちも吹雪で迎え撃て!」

アカリ「押し切れっ!」

グレイシア(さんっざんバカにしてくれやがって……許さん!)

疲労を、怒りでもって制圧し、迅速に行動を起こしたグレイシア。

ユキノオーは、その気迫に一瞬たじろぎ、その時間に、吹雪の直撃を受けた。

グレイシア(ふんっ)

アキラ「大丈夫かユキノオー!」

アカリ「ガンガン行くよ! 吹雪吹雪吹雪!」

実際に3回も撃たない。PPの都合もあるし、ムダでしかないのはアカリもグレイシアもわかっている。

それだけ気合いが入っている、と言う事だ。

アキラ「こっちも吹雪で応戦だっ!」
 ▼ 724 1◆J44kAZeDOM 16/02/06 22:12:14 ID:asmJAKtQ [3/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
再びぶつかり合う技と技。

そして、今回は両者の体力も同じような物。

均衡は、完全に保たれている。

アカリ(どっかで突破口を見付けないと……)

アキラ(PPの問題か……行けるな)

アカリ(向こうのが残ってるPP多いんだよな……)

PPは、回数もそうであるが、このように連続して撃つ場合、その持続時間を示しもする。

グレイシアの方がこの戦いで吹雪を撃った回数が多い。即ち、消費したPPが多い。

それは、残りPPが少ない事とイコールで結ばれる。

アカリ「一旦抜いて! 電光石火で吹雪を突っ切って!」

アキラ「なっ?!」

アカリ「グレイシアなら行ける! よね?」

グレイシア(あたしをなめんな!)
 ▼ 725 1◆J44kAZeDOM 16/02/06 22:17:35 ID:asmJAKtQ [4/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
と、無茶ぶり根性論のようであるし、実際そうなのだが、しっかり計算はされている。

アカリ(どうせ押し負けるなら、技の撃ち疲れが少ない時の方がいい)

アカリ(グレイシアなら、相性的にもう1発ぐらいは吹雪を耐えるだろうし)

アカリ「ゴー!」

アキラ「ユキノオー! 吹雪を続けろ!」

されに、まだ勝算はある。

アカリ(雪隠れ扱いになって!)

吹雪の中、グレイシアの体は、ユキノオーからは見えにくくなっている。

もしユキノオーがウッドハンマーなどの物理攻撃に転じても、その命中率は、低い。

アカリ「頑張れっ!」

アキラ「吹雪だっ! 押し切れ!」

アカリ「突っ切って!」
 ▼ 726 1◆J44kAZeDOM 16/02/06 22:24:49 ID:asmJAKtQ [5/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「そのまま吹雪っ!」

アキラ「ウッドハンマー!」

グレイシア(さあて、あたしはどこでしょう?)

ユキノオーは、狙いを付けようと視線を巡らせる。

しかし、グレイシアの姿は見当たらない。

グレイシア『ざんね〜ん! あたしはここでした!』

そう言ってグレイシアは、吹雪を生み出す。

その風向きからグレイシアの場所を特定し、腕を振るうユキノオー。

しかし。

グレイシア(ちょっとリーチ短過ぎだよ。重量級の近接物理技って悲しいね)

ユキノオーのそのフルスイングは、グレイシアの鼻先をかすめる。

それに伴い、ユキノオーが体勢を崩した。

アカリ「とどめよっ! 冷凍ビーム!」

アキラ「ユキノオーっ!」
 ▼ 727 1◆J44kAZeDOM 16/02/06 22:27:32 ID:asmJAKtQ [6/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アキラ「……お疲れ様、ユキノオー」

アカリ「やったよグレイシア!」

グレイシア(まあね)

アカリ「次はドータクンなんでしょ?」

アキラ「ああ。先に言っておく。トリックルームからにジャイロボールのコンボ、グレイシアには効果抜群だからな!」

アカリ「わかってるよそのぐらい。ってな訳でグレイシア。出来るだけドータクンの体力削るよ!」

グレイシアは鷹揚に頷いた。

アキラ「ドータクン! 頼んだぞ!」
 ▼ 728 ノズ@アブソルナイト 16/02/06 22:27:53 ID:asmJAKtQ [7/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
今日はここまでです
 ▼ 729 1◆J44kAZeDOM 16/02/07 21:39:54 ID:JH/KIVOk [1/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「シャドーボール!」
アキラ「トリックルーム!」

ドータクンは、時空を歪める程の力を溜めるため、じっと耐える。

効果抜群の一撃だろうと、ドータクンは、ただ耐える。

アカリ「あいっかわらず硬いなぁ! なんなのそのドータクン」

不満気にぼやくアカリは、それでも対抗策を考えていた。

アカリ(正直、グレイシアはもう限界に近い。それでなくても不利なのに、もう3連戦目だもん)

アカリ(だから、次のロトムで、放電と怪しい風で確実に削って、オーバーヒートで一気に、かな)

アキラ「行けっ!」

ドータクンは、時空を歪めた。

トリックルームの完成だ。
 ▼ 730 1◆J44kAZeDOM 16/02/07 21:45:30 ID:JH/KIVOk [2/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
素早い者が遅くなり、遅い者が速くなる、摩訶不思議な空間。

その空間の中で、時の流れは、それでも普通に前を向いて流れて行く。

アキラ「ジャイロボール!」

アカリ「あがきよっ! 電光石火でかわしてシャドーボールっ!」

アキラ「押し切れドータクン!」

ドータクンは、その巨体を回転させながら、グレイシアへと向かって行く。

電光石火は、例えこの空間内であっても確実に先制出来る。

それを活かして、攻撃をかわすのだが……

アキラ「ムダだ! 追いかけろっ!」

アカリ「なっ、シャドーボールを突っ切って?!」

放たれたシャドーボールは、しかし圧倒的な素早さで襲い掛かるドータクンの前に、あえなく砕け散る。

アカリ「グレイシアっ!」
 ▼ 731 1◆J44kAZeDOM 16/02/07 21:50:14 ID:JH/KIVOk [3/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
そのままグレイシアに襲い掛かったジャイロボールは、グレイシアの体力を完全に奪い去った。

アカリ「お疲れ、グレイシア」

アキラ「やったなドータクン!」

アカリ「ふう……。行くよロトム!」

ロトム『ワーーーーイ!』

ロトム(アレ? ナンカ変ナ感ジ……)

アカリ「ロトム! 放電!」
アキラ「神通力だ!」
 ▼ 732 1◆J44kAZeDOM 16/02/07 21:57:24 ID:JH/KIVOk [4/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
先程は自らの体でもって技を出していたドータクンだが、今回はそうではない。

従って、ドータクンの行動速度は、遅いままだ。

アカリは、そこを狙う。

アカリ(出来るだけ削って、一気に決める!)

アカリ「まだまだ! 神通力ぐらい耐えられるよね? 今度は怪しい風!」

アキラ「ちっ……行くぞドータクン! 何度でも神通力だ!」

怪しい風の効果は抜群。

少しずつ、少しずつ、ドータクンにダメージが蓄積して行く。

しかし、それはロトムも同様で。

神通力で溜まった疲労が表に出てくるまでに、さほど長い時間はかからなかった。

しかし、いくら短いと言っても、トリックルームが解除されるには充分過ぎる程だったのだが。
 ▼ 733 1◆J44kAZeDOM 16/02/07 22:03:16 ID:JH/KIVOk [5/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アキラ「ちっ、トリックルーム切れた……」

アカリ「今よロトム! 行ける!」

アカリ「オーバーヒートっ!」

アキラ「ドータクン! 神通力っ!」

2つの叫びが交差し、2匹のポケモンが行動を開始する。

ロトムは、自らの体を限界まで熱し、それを放出する。

一方ドータクンも、念の力をロトム目がけて打ち出す。

2つの行動は、ほぼ同時に発動し、ほぼ同時に相手に影響を与える。

そして、それが引き金となり、2匹とも、大地に落ちた。

アカリ「ロトムっ!」
 ▼ 734 1◆J44kAZeDOM 16/02/07 22:10:42 ID:JH/KIVOk [6/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「でも、さすがにこっちの方が勝てると思ったのに……」

アキラ「神通力の怯み効果……少しこっちが受けるダメージを軽減出来たみたいだな、今まで」

アカリ「なるほど……運も実力の内、ってか」

アカリが、オーバーヒートで確実に倒せると確信出来る、その体力にドータクンがなるまでに、本来よりも時間がかかったのだ。

そしてその分、神通力を使う回数が増えた。

結果、相討ちとなったのだ。


アカリ「まあ……仕方ない。なんか前も、お互いこいつらでラスト1匹だった気もするけど……」

アキラ「細かい事はいいんだよ。っつーか、俺もお前も、若干狙ってんだろ?」

アカリ「まあ……」

アキラ「さあ、やろうぜ、ラスト1匹」


アカリ「エンペルトっ! 頼むよっ!」
アキラ「ゴウカザル! 行くぞっ!」
 ▼ 735 ツドン@ヘビーボール 16/02/07 22:11:35 ID:JH/KIVOk [7/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
今日はここまでです
 ▼ 736 イホーン@こうらのカセキ 16/02/07 23:53:47 ID:bgWOWC2g NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
乙です支援
 ▼ 737 1◆J44kAZeDOM 16/02/08 22:41:33 ID:sIZd8H9Q [1/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
その時、勝負を観戦していたゲンが、何かに気付く。

波導でもってその正体を確かめようと意識を向けた。

――

アカリ「まずは波乗り!」

アキラ「火炎車で打ち消せっ!」

エンペルトが叩き付ける水は、ゴウカザルがまとう炎で蒸発させられる。

それは、もっとも確実な防御であると言える。もっとも、

アカリ(でも、これじゃジリ貧にしかならない……)

そこで、アカリは作戦を変える事にした。

アカリ「アクアジェット!」

アキラ「それならマッハパンチで迎え撃てっ!」

2つの指示が錯綜する。

しかし。

その指示は、実行に移されないままに終わってしまうのだが。
 ▼ 738 1◆J44kAZeDOM 16/02/08 22:43:52 ID:sIZd8H9Q [2/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「エンペルトっ! どうしたの?!」

アキラ「ゴウカザル! マッハパンチだ!」

エンペルト(そうしたいのはやまやまだけど……)

ゴウカザル(体が……動かねえ)


ゲン「2人とも! 試合は中止だ! 嫌な気配がするっ!」

アカリ「えっ?」

ゲン「……正体を現せっ! ルカリオ、波導弾!」
 ▼ 739 1◆J44kAZeDOM 16/02/08 22:47:34 ID:sIZd8H9Q [3/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
???「サイコキネシスではじき返せ!」

老人のようにしわがれて、しかしどこか、若々しさも感じさせる声。

今まで聞いた事がない、そのはずなのに。

その声に、アカリは気付いた。

アカリ「プ、プルート?!」

アキラ「ええっ?!」

アカリ「なんであんたがここにいんのよ!」

ゲン「プルート……悪意の波導は、お前から放たれている。何が狙いだっ!」

プルートは、それには答えず、笑う。

プルート「いいのかな? はじき返された波導弾は、どこに消えたと思う?」

アカリ(あれ? なんか声が違う気が……)
 ▼ 740 1◆J44kAZeDOM 16/02/08 22:51:53 ID:sIZd8H9Q [4/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ゲン「なっ」

はじき返された波導弾は……ルカリオの方を襲っていた。

ルカリオは、波導の力を自らの手中に戻そうと悪戦苦闘している。

アカリ「アキラ! ゴウカザルをボールに戻してっ! 速くっ!」

アキラ「なんでだよっ! こいつがいないと戦えn」

アカリ「あいつ、ポケモンを操れるの! 機械でっ!」

アキラ「なっ……」

アカリ「エンペルト、今のうちに」

アキラ「ゴ、ゴウカザルも戻れっ!」

ルカリオは、まだ踏み止まっている。

ゲン「……ポケモンを、操るだと?」
 ▼ 741 1◆J44kAZeDOM 16/02/08 23:03:12 ID:sIZd8H9Q [5/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「はい……」

プルート「さあて、どう対応する?」

アカリ(明らかに、キャラがおかしい……! 絶対あんな感じじゃなかった!)

強烈な違和感を感じながら、それでもアカリは対応策を考えるべく思考を巡らせる。

ルカリオは、今はサイコキネシスとの力比べ中。今は頼れない。

ゲンも、波導が使えた所で攻撃が出来ないのだから意味がない。

エンペルトとゴウカザルは、機械で操られていて、出したらもうどうにもならない。

そんな中、アカリははっと気付く。

いるべき者の存在が、1つ、ぽっかりと抜け落ちている。

アカリ(リオルは……どこ?)

そして、リオルの存在に気付いた事で、アカリの頭には、作戦が1つ、結ばれた。
 ▼ 742 1◆J44kAZeDOM 16/02/08 23:07:22 ID:sIZd8H9Q [6/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
気付かれないように、そっと視線を巡らせる。

リオルの存在を相手に気取られないままに、見付けださなければならない。


リオルも、そんなアカリの感情に気が付いていた。

プルートから隠れようとしていたリオルは、そこに秘められた純粋な善意にほだされて、顔を出した。

アカリ(あ、いた!)

アカリ(あそこなら指示も届く)

アカリ(サイコキネシスより後に、何の技も出されていない。だとすれば……)

アカリ「リオル! プルートに向けてまねっこ!」


リオルが飛び出し、その技を繰り出す。

それは、サイコキネシスの形を取り、発現する。

そして、それは、プルートの体の自由を奪う結果となった。
 ▼ 743 1◆J44kAZeDOM 16/02/08 23:10:39 ID:sIZd8H9Q [7/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ゲン「……なるほど」

アキラ「……やった、のか?」

アカリ「よかったぁ、まねっこ覚えてて……」

ハクタイで、件の男に見せられたあの物語。

それのおかげで、リオルのまねっこの存在に気が付いたのだ。

プルート「うぐぐ……」

アカリ「リオルっ! 機械に向かってはっけい!」

リオルが飛びかかる。

サイコキネシスが解除された事で体の自由を取り戻したプルートは、慌ててリオルを操ろうと機械を動かす。が。

リオル(遅い! 遅いよ!)

機械に手を触れる前に、それは見るも無残な姿を晒す事となる。
 ▼ 744 1◆J44kAZeDOM 16/02/08 23:15:21 ID:sIZd8H9Q [8/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「やった!」

プルート「……まあ、仕方ないか。機械の成功率は、まだ怪しいけど……やるしかない、か」

アカリ「プルート! 観念しなさい! なんでそんな子どもみたいな口調してんのか知らないけど!」

いきなり現れて、戦いを妨げた、事件の黒幕に詰め寄るアカリ。

波導弾との力比べに打ち勝ったルカリオとゲンは、取り囲むように立ち、アキラはアカリと同様プルートに接近する。

追い詰められたプルートはしかし、不敵な笑みを浮かべて、言った。

プルート「この世界に、果たして守るだけの価値はあるのか……」

アカリ「何言ってんのよ! おとなしく捕まr……」

プルート「さよならっ!」

不意に、辺りに煙が立ち込める。

煙玉を使用したのだ。
 ▼ 745 1◆J44kAZeDOM 16/02/08 23:20:38 ID:sIZd8H9Q [9/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
もうもうと立ち込める煙の中、プルートは、アカリにこうささやいた。

プルート「ロトムの新しいトレーナーさん。槍の柱で待ってるよ」

アカリ「え……って、待ちなさいっ!」

アカリの声とは裏腹に、プルートの気配は、どんどん遠ざかる。

しかし、煙の中で、平然と行動する者がいた。

ゲン「……視界を遮ったぐらいで、私たちから逃げられると思うな」

ゲン「目が見えないのなら、心の目で見るのみ!」

ゲン「あそこだ! ルカリオ、波導弾!」

必死に逃げるプルートを、波導のエネルギーが襲う。

プルート「ヤドキング! 受け止めて!」

しかし、格闘技は、ヤドキングには効果薄。

あえなく逃亡を逃がす結果となった。
 ▼ 746 レキッド@シールいれ 16/02/08 23:20:58 ID:sIZd8H9Q [10/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
今日はここまでです
 ▼ 747 ッシー@ひかりのいし 16/02/09 08:03:50 ID:9ivzlgTU NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
ワクワク支援
 ▼ 748 ガイドス@ポケじゃらし 16/02/09 18:11:42 ID:V1Fagqp6 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
プルート二世?話し方かわいい
 ▼ 749 1◆J44kAZeDOM 16/02/09 20:33:39 ID:6IUp.gks [1/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
視点 アカリ

……な、なんだったの今の?

あたしが、ロトムのトレーナーさん、だよね?

でも、いやちょっと待ってよ。

まず、口調がおかしい。今までのプルートって、完全におじいさんだった。なのに……

何で、こんな子どもみたいな口調になってるの?

アキラ「くそっ、逃げられた……」

ゲン「……なるほど。彼が、シンオウを襲おうとしている惨劇の首謀者か」

ゲン「トウガンから聞いた。コウキ君たちの依頼だとね」

アカリ「えっ、コ、コウキ兄ちゃん?!」

アキラ「……俺たちを、鍛えようと……」
 ▼ 750 1◆J44kAZeDOM 16/02/09 20:36:04 ID:6IUp.gks [2/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ゲン「ああ。だが……事態は緊急を要するようだ」

ゲン「急ぎ私もナナカマド博士たちに連絡を取る。だが、君たちも、急いでプルートの後を追ってくれ」

ゲン「……と、その前に、手持ちポケモンを回復させる。全員をボールから出してくれ」

2人「はい」

ゲン「……行くぞルカリオ」

ルカリオ「……くわんぬ」

ゲン「癒しの波導!」
 ▼ 751 1◆J44kAZeDOM 16/02/09 20:39:05 ID:6IUp.gks [3/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「え、瀕死のポケモンも回復するの?!」

ゲン「ああ……この島で、ケガをした野生ポケモンを治療していたら、いつの間にか、力が強まっていた」

アキラ「すげえ……」

アカリ「よし。取りあえず、ペラップ以外はみんな戻って!」

アキラ「ドンカラス! 頼むぞ。みんなは戻れ!」

アカリ「アキラ、空を飛ぶの秘伝マシン、ちょうだいよ」

アキラ「え、あ、おう。ちょっと待ってくれ……あった」

アカリ「サンキュ。ペラップ、行くよ」
 ▼ 752 1◆J44kAZeDOM 16/02/09 20:43:14 ID:6IUp.gks [4/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「よし、OK」

アキラ「……でも、どこ行くんだ? 行くべき場所は3つある。でも俺たちは2人だ」

アカリ「あたしは、テンガン山に行く。プルートが、あたしに……ロトムのトレーナーであるあたしに宣戦布告して来たから」

アキラ「……は?」

アカリ「言った通りの意味。なんでかはわかんない。でも、ロトムが絡んでるんだし、あたしが行かない訳にはいかない」

アキラ「……そうか」

アカリ「あんたは……たぶんこっからだとカンナギの方が近いから、そっち行ったら?」

アカリ「出来るだけ急いで、って事だから」

アキラ「……そうだな。わかった。じゃあアカリ、テンガン山は任せたぞ!」

アカリ「当たり前よ! そっちこそ!」
 ▼ 753 1◆J44kAZeDOM 16/02/09 20:47:59 ID:6IUp.gks [5/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アキラ「ゲンさん! ありがとうございました!」

アカリ「あっ、あたしも! ありがとうございました!」

リオル「……くわんぬ!」

リオルが、こっちを見上げて、急に鳴き声をあげる。

どうしたんだろ?

ゲン「……彼女と行きたい、と言うのか?」

リオル「くわんぬ!」

アカリ「え、あ、あたし?!」

ゲン「ああ。恐らく、さっきの戦いで、心が通ったのだろう」

アカリ「はあ……」

ゲン「それなら構わない。リオル、君の意志を尊重するよ」

アカリ「えっと……いいんですか?」

ゲン「ああ。……これがリオルのモンスターボールだ」

アカリ「あ、ありがとうございます!」

アキラ「おっと、マジかよ。でも、よかったじゃん。これで、名実ともに完成だな、アカリのパーティ」
 ▼ 754 1◆J44kAZeDOM 16/02/09 20:49:39 ID:6IUp.gks [6/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「じゃあ、ホントにお世話になりました!」

アカリ「リオル、戻って!」

アキラ「じゃあ、頼みましたよゲンさん。コウキ兄ちゃんたちに……出来るだけ速く」

ゲン「ああ」

アカリ「じゃあ、行こ! ペラップ」

アキラ「ドンカラス!」

2人「空を飛ぶ!」
 ▼ 755 1◆J44kAZeDOM 16/02/09 20:54:16 ID:6IUp.gks [7/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「うわっ、凄いな」

風を突っ切って飛ぶ。

そのスピードは、今はもうない、自転車に乗った時よりも、さらに速く、さらに気持ちいい。

だけど、今は、その快楽に身を委ねている場合じゃない。

アカリ「行くよペラップ。テンガン山のふもとまで!」

ペラップ「わかった」

この小さな体の、どこにあたしを運んで空を飛ぶ、こんな力が込められているのか。

ホントに、ポケモンは凄い。

ペラップ「あ、見えて来たよ」

アカリ「よし、着陸!」
 ▼ 756 1◆J44kAZeDOM 16/02/09 21:01:41 ID:6IUp.gks [8/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「……お疲れ様、ペラップ。戻って!」

さて、ペラップもボールに戻した所で、行きますか!

ほんっと懐かしいなあ、ここ。

アカリ「なんて、感慨にふけってる場合じゃないよ。さて、出発!」

槍の柱。

テンガン山の山頂にあると言う遺跡。

アカギは、そこでディアルガ、パルキアを呼び出した。

そこにまた現れて、プルートは何をしようと言うのだろう。

アカリ「えっと確か……まずは波乗り、それから……あ!」

アカリ「ロ、ロッククライムがない!」

アカリ「どうしよう……まあ、ペラップに頼めばいっか」

ロッククライムは岩壁を登る技。だとすれば、空を飛ぶで代用が効くはず。

アカリ「よし。怪力岩もそれで飛び越せばいいや!」
 ▼ 757 1◆J44kAZeDOM 16/02/09 21:05:15 ID:6IUp.gks [9/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
エンペルトの波乗り、ペラップの空を飛ぶ、そして今リオルに覚えさせた岩砕き。

この3つを駆使して、あたしはどんどん先へ進む。

アカリ「この壁……壊されてる」

アカリ「……たぶん、この先だよね。よし、行こう」


???「そうはさせない!」

アカリ「えっ……あっ! したっぱ!」

えっと、どうしよ……

いくらなんでも、この数の差は、マズイよ……

そりゃそうだよね。幹部が動くんだから、したっぱも大勢動かせる。

アンチサターン派閥がいるみたいだし、だとすると……

アカリ「と、とにかく一気よ! グレイシア! よろしく!」

グレイシア「らっしゃ!」

アカリ「吹雪っ!」
 ▼ 758 1◆J44kAZeDOM 16/02/09 21:09:42 ID:6IUp.gks [10/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
したっぱA「ヘルガー! 火炎放射だ!」

アカリ「なっ! グレイシア、電光石火でかわしてっ!」

したっぱB「スカタンク! 辻斬り!」

したっぱC「ブニャット! (ry」

したっぱD「(ry」

した(ry


アカリ「多すぎるよっ! いくらなんでも不公平っ!」

したっぱA「悪いね、なんとしても通すな、そう言われているんだ」

アカリ「くっ……」

だけど、そんだけ厳重警戒って事は……ここは、正解だ。

天界の笛がここにあるのか、それとも何か別なのか。

それはわからないけど、ここは重要なんだ。
 ▼ 759 1◆J44kAZeDOM 16/02/09 21:14:39 ID:6IUp.gks [11/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ(でも……だけど……)

アカリ「今ここを切り抜けないと、正解でも意味なんてない」

アカリ(どうしよう……)

???「パチリス! 放電!」

アカリ「あっ……お姉ちゃん!」

ヒカリ「アカリ! なんでここに1人で来たの……って説教は後。今は急いで!」

アカリ「ありがとう!」

ヒカリ「ホント、間に合ってよかった。ギャロップ! 日本晴れ! チェリムはソーラービーム!」

ヒカリ「フワライドは怪しい風よっ!」

うん、お姉ちゃんは大丈夫。

あたしも、お姉ちゃんの期待に応えなくっちゃ!

アカリ「グレイシア戻って! 行くよっ!」

したっぱB「あっ、待ちなさい!」

ヒカリ「させないっ! エンペルト、波乗り!」
 ▼ 760 ガジュペッタ@サンのみ 16/02/09 21:15:30 ID:6IUp.gks [12/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
今日はここまでです
 ▼ 761 ルキモノ@オニゴーリナイト 16/02/10 01:37:05 ID:JEO66hIg NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
緊迫してきた支援
 ▼ 762 1◆J44kAZeDOM 16/02/10 20:43:19 ID:srF.3iv. [1/15] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「はあっ、はあっ」

アカリ「ゆ、雪……」

なんだろう、息がちょっと苦しい……

もうそんな登って来たって事よね。

アカリ「さて、後一息! いっちょ頑張りますか!」

野生のポケモンを避けながら草むらを歩く。

……雪。完全にトラウマみたい。

寒い……あ、そうだ。

アカリ「1万円があるじゃん」

かさばるのを、無理して持って来てよかった。
 ▼ 763 1◆J44kAZeDOM 16/02/10 20:48:11 ID:srF.3iv. [2/15] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「んーあったかい!」

さて、あったかくなって来た所で、行きますか!

この先にもたぶん、ギンガ団はいるだろうけど、出来るだけ平和的に。

アカリ「レッツゴー!」

――

へえ、すごい。滝かなあ、あの音。

だけど、今は関係ないよね。

アカリ「ペラップ! 向こうの方に見えてる出口までよろしく!」

ロッククライムをショートカット。

なんかあそこに、ギンガ団が見えるけど……

アカリ「おしゃべりでかく乱してっ!」

ペラップなら大丈夫!
 ▼ 764 1◆J44kAZeDOM 16/02/10 20:52:27 ID:srF.3iv. [3/15] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「ありがとペラップ」

ペラップ「どういたしまして」

アカリ「戻って。たぶんまたすぐに雪の中だから」


……やっぱりそうだ。

でも、先に進むしかない。

アカリ「……頑張れ、あたし!」


こっちになんかすごい下まで行く階段あるな……でも、あたしが目指してるのは山頂。下じゃない。

草むらあるからうっとうしいけど……

アカリ「うおおおおおおおっ!」

気合い、気合い!

スズナさんだって、気合いで薄着してたし!
 ▼ 765 チャブル@ヒウンアイス 16/02/10 20:56:37 ID:KGhVLqj2 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 766 1◆J44kAZeDOM 16/02/10 20:59:28 ID:srF.3iv. [4/15] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
えっと……よし、こっちだ。

ヒョウタさんのジムみたいに、しっかり周りを見渡して。


アカリ「ねえレントラー、こっちで合ってる?」

レントラー「がう」

ペラップ「たぶん、だって」

メリッサさんのジムみたいに、ポケモンを信頼して。


したっぱ「万が一でってここで張り込んでて、よかった……」

ナタネさんとこみたいに避けられない戦いもあるけど……
 ▼ 767 1◆J44kAZeDOM 16/02/10 21:01:35 ID:srF.3iv. [5/15] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「ロトム、放電!」

したっぱ「な、ま、負けた……」

トウガンさんやゲンさんのとこで鍛えた実力を発揮して。


アカリ「痛いでしょ。ほらこれ。すごい傷薬だよ」

スモモさんのとこでしたみたいに、ちゃんと道具は惜しまないで。


……大丈夫。あたし、行ける。

マキシさんの所で学んだ、自分の実力を過信しないと言う事。

今のあたしなら、プルートとだって、怖がらずに戦える!
 ▼ 768 1◆J44kAZeDOM 16/02/10 21:05:24 ID:srF.3iv. [6/15] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「……着いた、のかな?」

プルート「やっと来たね。待ちくたびれたよ」

アカリ「待ちくたびれたとか言ってる割には来させない気満々だったよね、あんた」

プルート「でも、どうせ来ると思っての事だし。それに」

プルート「ここに来られるぐらいじゃないと、どうせ世界を変えられない、でしょ?」

アカリ「何が狙い? それと、何があったの?」

プルート「さあね。ただ、もうすぐだ」

アカリ「いくらなんでも口調変わり過ぎ。性格も全然違う」

プルート「……まあ、それは、少し考えればわかるんじゃない? ヒント。僕、ロトムとは仲いいんだ」

アカリ「……どう言う事よ」
 ▼ 769 1◆J44kAZeDOM 16/02/10 21:08:10 ID:srF.3iv. [7/15] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
プルート「今はここまで。さあて、君がここに来るまでの間に、天界の笛は、僕の手元に到着しました」

アカリ「えっ……ウソでしょ?!」

プルート「ウソじゃないよ。ほら、現物はここ」

プルート「僕が鋼鉄島にいる間には、もう奪っちゃってたんだよね。チャンピオンたちに連絡した時にはもう時すでに遅し」

プルート「この天界の笛は、もう僕の手元にありました〜、って訳」

アカリ「そんな……」

プルート「じゃあ、今から、召喚の儀式を始めまーす」
 ▼ 770 1◆J44kAZeDOM 16/02/10 21:13:42 ID:srF.3iv. [8/15] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「……って、ボーっとしてる場合じゃない!」

アカリ「グレイシア! 冷凍ビームっ!」

グレイシア「らっしゃ!」

プルート「ヤドキング、少しこいつらの相手してくれないかな」

ヤドキング「やーど」

アカリ「……それなら、交代よっ! レントラー!」

急がなきゃ……笛を使って何するのか知らないけど、このままじゃ、アルセウスを呼び出されちゃう!

アカリ「スパーク! 急いでヤドキングを倒さなきゃ!」

でも、効いてない事はないけど、間に合わないよ、このペースじゃ……


そんな時。

絶望的なまでに美しい、笛の音色が響き渡った。
 ▼ 771 1◆J44kAZeDOM 16/02/10 21:18:33 ID:srF.3iv. [9/15] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「何これ……綺麗な音……」

レントラー「がうっ!」

アカリ「あっ、そうよね! もうこうなったら悠長にシングルなんてやってらんない!」

アカリ「総力戦よ、みんな出て来てっ!」

今プルートは、笛にかまけてボールにも、例のあの機械にも触れない。

だったら……

アカリ「ロトム、放電! グレイシアは冷凍ビーム! リオルはまねっこ! エンペルトは波乗り! レントラーはスパークっ!」

アカリ「その隙に……」

アカリ「ペラップ! ハイパーボイスで妨害してっ!」
 ▼ 772 1◆J44kAZeDOM 16/02/10 21:22:16 ID:srF.3iv. [10/15] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
音には、音。

単純だけど、でも。

あたしには、そのぐらいしか思い付かない……

ロトム「ろと……」

ペラップ「ダメ、全然効いてないよ」

アカリ「……笛の音の方が強いみたいね。……こうなりゃ物理! ペラップ! ヤドキングを飛び越してっ!」

ヤドキング「やぁどぉ!」

アカリ「危ないペラップ避けて! 右っ!」

ヤドキング、まだ耐えてるの?!

耐久高すぎでしょ……
 ▼ 773 1◆J44kAZeDOM 16/02/10 21:26:18 ID:srF.3iv. [11/15] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
プルート「……終わりっと。さあて、そろそろかな」

アカリ「えっ、ウソ……」

プルート「ヤドキング、お疲れ様」

プルート「さあ、やっとだよ……アルセウス! もうずっと……ずっと探してた」

地響きが起こりだす。

アカリ「なっ……どうなっちゃうの?」

プルートは答えない。

たぶん、答える必要がないって思ったんだろうけど。

だって、事はすぐ起きたんだもん。


アカリ「三角印から……階段?」
 ▼ 774 1◆J44kAZeDOM 16/02/10 21:29:14 ID:srF.3iv. [12/15] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
光が三角印に降り注ぎ、それが階段になって行く。

その神秘的な光景に、思わず見とれてしまう。

プルート「さあ、行こう」

アカリ「まっ、待ちなさいっ!」

プルート「ゴチルゼル、影踏みで足止めするんだ」

ゴチルゼル「ごぉおっち」

アカリ「……動かない……」

プルート「……先にヒント。謎の場所、って知ってる?」

レントラー「……がう?」

アカリ「……知らない。何それ」

プルート「さあ、それはどうだろうね。じゃあ、バイバイ。僕は、この残酷な世界を、終わらせるんだ」

アカリ「……ダメっ! 待って! 止まれぇぇぇえええええっ!」
 ▼ 775 1◆J44kAZeDOM 16/02/10 21:37:51 ID:srF.3iv. [13/15] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
プルートの姿は、もう見えないぐらい。

アカリ「……グレイシア、シャドーボールっ! ロトムは怪しい風!」

ゴチルゼルを倒して、そうすれば行けるっ!

ゴチルゼル「ごっち……」

アカリ「でも……もうプルートが見えないぐらい……」

アカリ「……いや、諦めちゃダメ」

アカリ「ゴチルゼルを全力で倒してっ!」

アルセウス……出来るだけ抵抗して。

あたし、すぐ行くから。

だから、それまで……っ!
 ▼ 776 1◆J44kAZeDOM 16/02/10 21:54:56 ID:srF.3iv. [14/15] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「きゃっ!」

解放された……影踏みから。

アカリ「いっててて……」

走り出そうとした体勢で止まってたから、転んじゃった。はいいんだけど。

アカリ「って、そんな場合じゃないよ! 行こうみんなっ!」

立ち上がって、1歩踏み出す。

そして、そのまま走り出した。

光の階段を、ただひたすら駆け上る。

アカリ「はあっ、はあっ……」

お願い。間に合って!
 ▼ 777 日はここまで◆J44kAZeDOM 16/02/10 21:59:11 ID:srF.3iv. [15/15] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「……プルートっ!」

プルート「残念。ちゃんと、この機械は、正常に働いてくれました」

アカリ「鋼鉄島で壊したはずじゃ……」

プルート「予備。あの部屋の中にあったから、カギがないと困ったって訳」

アカリ「……そんな」

プルート「じゃあ、僕行くね。あ、1つだけアドバイス」

プルート「君は、普通に旅を続けるのが一番だよ」

アカリ「待ちなさいっ! ペラップ! おしゃべりっ!」

プルート「アルセウスっ! 裁きの礫っ!」

アカリ「えっ……」

ペラップ「きゃあっ!」

プルート「それじゃあね」
 ▼ 778 ろかおす◆xpMBYslGAo 16/02/11 02:11:05 ID:xD/KYhYQ NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援

超おもしろい!

見習いたい
 ▼ 779 ガカイロス@ハッサムナイト 16/02/11 08:11:09 ID://K2pQ7I NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ついにここまで来たか…
支援


謎の場所も出るんだ…
 ▼ 780 1◆J44kAZeDOM 16/02/11 20:29:05 ID:T098DCac [1/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
視点 レントラー

うぐうっ!

なんだよあれ……反則だろ、強過ぎだ。

狙いはペラップただ1人。それなのに、俺たちにまでダメージが……

アルセウス「……ごめんね」

レントラー「待tいぎっ」

痛みが襲い、俺は声をあげる事すら出来ない。

アカリ「そんな……あたし、ダメだったの?」

アカリ「ウソでしょ……そんなの……」

傷ついた俺たちにアルセウスを追う能力なんて残されていなくて。

ただ、そこで黙って眺めている事しか出来なかった。
 ▼ 781 1◆J44kAZeDOM 16/02/11 20:32:34 ID:T098DCac [2/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ヒカリ「アカリっ! 大丈夫?!」

アカリ「……お姉ちゃん! ……ごめん」

ヒカリ「無事? ポケモンたちも、アカリも」

アカリ「うん……ダメージは受けてるけど」

ヒカリ「……とにかく、無事でよかった。回復してあげるね」

アカリ「……あたし、守れなかった……ひっく、あたし、プルートを、止められなかった……」

アカリ「う……うあああああ……」

ヒカリ「落ち着いて、アカリ。ほら、泣かないの」

アカリ「お姉ちゃん……」

ヒカリ「……しっかりしないと。アカリの不安は、ポケモンたちにもうつるのよ?」

アカリ「……わかってるけど……」
 ▼ 782 1◆J44kAZeDOM 16/02/11 20:36:30 ID:T098DCac [3/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
そうやって泣くアカリは、1人の妹だった。

ヒカリ「じゃあ、回復しとくから。ほら。トレーナーなんだから、しっかりする!」

アカリ「うん……」


レントラー「つっ」

沁みる……だけど、これが意外に効くんだよな。

ヒカリ「OKね。……ペラップが重症ね。瀕死じゃないの」

ヒカリ「ちょっと苦いかもしれないけど、我慢してね」

復活草か。漢方薬の。

ってか、え、まずくない?

ペラップ「……うげえ」

ヒカリ「……しゃ、しゃべった? ってかアカリ、何覚えさせてんのよ。って、説教出来る感じじゃないな」

ほっ、セーフ。

なんとかしゃべれる事バレずに済んだ。
 ▼ 783 1◆J44kAZeDOM 16/02/11 20:40:41 ID:T098DCac [4/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
エンペルト「……あのさ」

レントラー「ん? なんだ?」

エンペルト「……もう少しだけ考えまとめさせて。プルートについて。後ちょっとで全部わかる気がする」

レントラー「え、マジかよ」

エンペルトはそれには答えず、難しい顔をして思考を続ける。

グレイシア「……しっかし、負けたねえ。リオル、大丈夫?」

リオル「うん……じゃなくて、はい」

ロトム「……」

エンペルト「あっ、そうだ。ロトム、プルートと仲いいって、どう言う事?」

ロトム「ワカンナイ。デモ、シャベリカタガ、ナンカ似テタ……キショウニ」

エンペルト「キショウって、あの?!」

ロトム「ウン」

エンペルト「……わかりそうな気がして来た。後少し、何かが……」
 ▼ 784 1◆J44kAZeDOM 16/02/11 20:45:20 ID:T098DCac [5/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
しかし、その思考は、中断される事になる。

アカリ「……みんな、戻って」

ボールに戻る、その不意の衝撃で。

ヒカリ「あのさアカリ。もしかしてだけど、次にどこ行けばいいとか、聞いてない?」

アカリ「謎の場所、とか言ってたけど、あたしには、普通に旅を続けろだって。出来る訳ないじゃん」

ヒカリ「謎の場所……聞いた事ないな。ちょっと博士に聞いてみる」

ヒカリ「普通に旅を続けろ……邪魔するなって事よね」

アカリ「いや……ホントにそれがいい、って感じの言い方だった」

レントラー「にしても、謎の場所……か」

グレイシア「知ってるの?」

レントラー「ああ。だけど……」

この世界に、本当にあるのか?

だってあれ、バグだろ?

そんなのが許されるのか……
 ▼ 785 1◆J44kAZeDOM 16/02/11 20:50:34 ID:T098DCac [6/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
レントラー「取りあえず、プルートが言ってる事は間違ってない」

レントラー「この世界に謎の場所があるとしたら、それは……」

レントラー「ポケモンリーグ、四天王の最初の部屋だ」

エンペルト「え?」

レントラー「その部屋の入口のドアに向かって……波乗りするんだ」

グレイシア「はあ? 頭おかしくなったの?」

レントラー「俺は真面目だ。おかしいのは、俺じゃなくて謎の場所」

ホント、何度泣かされた事か。

修正のために親で車でゲーム置いてる古本屋に連れてってもらって。

レントラー「……ゲームで言う、バグみたいなもんだ」

リオル「えっと……なんでそんな事知ってるの?」

レントラー「あ、言ってないっけ。俺が元人間だって。後、これはペラップとロトムにも言ってないんだけど……」

もうペラップも、この現実に向き合うぐらいの強さはあるだろう。

そう判断して、言った。

レントラー「この世界は、ゲームの世界なんだ」
 ▼ 786 1◆J44kAZeDOM 16/02/11 20:55:44 ID:T098DCac [7/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ペラップ「……え?」

ロトム「フーン」

リオル「えっと……どう言う事?!」

ロトムの反応が薄すぎると思うんだけど……まあそれはいいとして。

俺は、全てを、包み隠さずに説明した。

元は人間で、ほとんど記憶がないって事、そして、エンペルトとの推理で明らかになった、俺の過去。

ペラップ「そんな……」

リオル「……そう言う事だったんだ……君の心の中の暗い影」

リオル「……あれ? でも、微妙に違う気がする……」

レントラー「……え?」

リオル「だって、レントラー、守り切れなかった、それもそうなんだけど、それだけじゃなくて、こう思ってるんだもん」
 ▼ 787 1◆J44kAZeDOM 16/02/11 20:56:16 ID:T098DCac [8/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告















守り切れなくて……俺は、お前を傷つけて。

明らかな悪意で、俺は、お前を……












 ▼ 788 1◆J44kAZeDOM 16/02/11 20:59:16 ID:T098DCac [9/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
なっ……

頭に、衝撃が走る。

記憶が、舞い戻ろうとする。

……嫌だ。

思い出したくない。

俺は……嫌だ。

嫌だ。

いやだ。

イヤダ……

レントラー「……うがあっ!」

グレイシア「……ど、どうしたの急に?!」

嫌だ嫌だいやだイヤダ……
 ▼ 789 1◆J44kAZeDOM 16/02/11 21:03:47 ID:T098DCac [10/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
だが、そこに、エンペルトの無情な声が響く。


エンペルト「……そっか。そう言う事だったんだ……」

エンペルト「全部……全部わかった」

エンペルト「レントラーの過去も、プルートの過去も、キショウの正体も……」

グレイシア「ウソ……って言うか、なんで今?!」


エンペルト「……まずはレントラー。あなたは、過去を、怖がってるんだ」

エンペルト「だから、私、手伝う。あなたが、ちゃんと過去を見られるように」

エンペルト「まあ、私に出来るのは、推理だけ。向き合った後、どうするのかは自分次第だけど」

レントラー「あ、ああ……」


そうだ。俺は、俺が怖い。

自分の過去を知るのが、怖くてたまらない。
 ▼ 790 1◆J44kAZeDOM 16/02/11 21:08:42 ID:T098DCac [11/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
エンペルト「私の推理があってれば……あなたは、過去と、向き合う義務がある」


エンペルト「あなたは、ニンゲン時代、優等生だったのよね?」

エンペルト「そして、あなたの話を聞いてる限り、カリヤってニンゲンは、いじめられてる」

エンペルト「あなたは、そのカリヤと仲良くなろうとした」

エンペルト「だけど……あなたは、やっぱり自分が大事だった」

エンペルト「肝心な時に、庇いきれないどころか、いじめてる集団から自分もいじめられるのが怖くて、そちら側に行く事を選んだ」


たぶん、それが正解だ。

さっきから、俺の頭は、そうやって自己主張している。


エンペルト「でも、あんたはそんな自分も許せなかった。だから、自殺なんて、バカな事したんだよ」

エンペルト「ねえ、レントラー。あなたは、本当に、カリヤを守ろうとしてたの?」
 ▼ 791 1◆J44kAZeDOM 16/02/11 21:12:50 ID:T098DCac [12/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
エンペルトの言葉は、俺の記憶の扉を、ガンガンと破壊しようとする。

今や頭痛は、耐え切れない程になっていた。

グレイシア「……ねえエンペルト、何勝手な事言ってんだよ」

グレイシア「レントラーが、いじめてた? そんな事、信じられる訳ない!」

エンペルト「だけど、リオルの言葉を信じるなら……そう解釈しないと辻褄が合わない」

グレイシア「……レントラー、ウソって言ってよ」

グレイシア「お願いだから、ウソって言ってよっ!」

ペラップ「グレイシア……」


……!

俺の記憶が、溢れ出すように頭を過ぎ去る。


グレイシアの今の言葉が、全ての引き金となって、俺は、記憶の奔流に突き落とされた。
 ▼ 792 1◆J44kAZeDOM 16/02/11 21:16:48 ID:T098DCac [13/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――

いじめっ子A「はあ? こいつがポケモンとか、そんなガキの遊びする訳ねえじゃん。なあ?」

俺「……」

刈谷「ねえ、ポケモンは、子どもの遊びなんかじゃないよね!」

俺「……する訳ねえだろ、そんな事」

刈谷「え……」

いじめっ子B「ほおら! こいつウソ吐きだ! ウソ吐きは許さない! とりゃあっ!」


刈谷は、いつもへらへら笑っていた刈谷は、それでもこの時だけは、必死で声をあげた。

いじめっ子ではなく、俺に。


刈谷「お願いだから、ウソって言ってよっ! 今のがウソだって、わかってるんだよ?」


俺「……」
 ▼ 793 1◆J44kAZeDOM 16/02/11 21:19:24 ID:T098DCac [14/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
俺は、何も言えないまま、ただ、黙って、それを眺めていた。

その光景は、俺の心を深く突き刺す。

だから……俺は、2人の思い出の場所に、足を運んだ。

そして。


俺、最低だ。

あいつは俺と、あんなに仲良くしてくれたのに……

あいつとポケモンを皆に隠れてこっそりプレイした廃屋の屋上。

見下ろすと、地面が遥か遠くに見える。

俺なんかが生きてちゃダメだよな……
 ▼ 794 1◆J44kAZeDOM 16/02/11 21:21:41 ID:T098DCac [15/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
そして、俺は、屋上から、足を踏み出した。

そして……


目が覚めたら、ポケモンに……コリンクになっていた。

――


レントラー「はあっ……はあっ……」

レントラー「そう……言う事だったんだ……」

レントラー「グレイシア、ごめん。俺、お前に誇れないどころか……」

レントラー「最低のゴミクズだった……」

グレイシア「そんな……」
 ▼ 795 1◆J44kAZeDOM 16/02/11 21:24:49 ID:T098DCac [16/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
レントラー「さすがエンペルト、全部……合ってた」

エンペルト「思い出したのね、全部」

レントラー「ああ」

グレイシア「……」

ペラップ「……そう。よかったね」

リオル「え、グレイシア……そんな事が……そりゃ怒るよね」

グレイシア「……」

レントラー「本当にごめん。俺……」

グレイシア「……バーカ」

グレイシア「何が……何が自殺よ、バカ」
 ▼ 796 1◆J44kAZeDOM 16/02/11 21:31:09 ID:T098DCac [17/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
グレイシア「あんたはっ! 生きてっ! 罪を償うべきだった!」

グレイシア「謝ったの? カリヤに、ちゃんと謝ったの?!」

グレイシア「……ふざけないで。あたし、これでも、あんたの事、好きだった」

グレイシア「だけど……もう知らない」

グレイシア「あんたの事なんか、だいっきらい!」

レントラー「……」

ペラップ「……やめてよ」

ペラップ「何が謝ったよ! 何が反省してるよっ! そんなの、周りの身勝手だよっ!」

ペラップ「ねえレントラー」

ペラップ「あなたは、カリヤといて、どうだったの? 本当に楽しかった?」

レントラー「ああ」

ペラップ「そう。それなら、カリヤもずいぶん救われたでしょうね。まあ、裏切られたショックはその分大きいだろうけど」

ペラップ「でも、それでも……カリヤには、あなたがいた。いたから、笑えてたんだよ」

ペラップ「カリヤだってわかってるよ。あの場では、ああ言わないといけないって事ぐらい」

ペラップ「ね。だからさ、しっかり向き合ってみてよ」

レントラー「……ありがとう」
 ▼ 797 ちます◆J44kAZeDOM 16/02/11 21:35:09 ID:T098DCac [18/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
リオル「……とにかく、みんな、いろんな過去があるみたいだけど……今は、それよりも、もっと重要な問題があるんじゃない?」

エンペルト「重要さに差はないと思うけど……でも、それも、説明しない訳にはいかないよね」

エンペルト「だから、グレイシアも、一旦落ち着いて、ね?」

グレイシア「わかったよ……」

エンペルト「では、次はロトムとキショウについて。そして、プルートの目的についても」

エンペルト「2つ同時に、説明しちゃう」
 ▼ 798 ルガルド@くろいてっきゅう 16/02/11 21:35:57 ID:T098DCac [19/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
>>797
最後の行のセリフを

しちゃうよ

に訂正します。すいません
 ▼ 799 1◆J44kAZeDOM 16/02/11 22:35:42 ID:T098DCac [20/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
エンペルト「レントラーが、記憶を無意識に封じ込めてる」

エンペルト「それに気付いて、いきなりわかったの」

エンペルト「たぶん……」


エンペルト「プルートとキショウは、二重人格なんだと思う」


レントラー「……なるほど」

エンペルト「辛い事があった時に、脳が無意識に逃げる、その方法として、記憶喪失も、人格障害もある」

エンペルト「そのアイデアは、だから、レントラーのおかげで思い付いたの」


エンペルト「それで、プルートがなんでアルセウスを奪ったのか」

エンペルト「これも、さっきの発言で、わかると思うの」
 ▼ 800 日はここまで◆J44kAZeDOM 16/02/11 22:41:43 ID:T098DCac [21/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


プルート「この世界に、果たして守るだけの価値はあるのか……」


エンペルト「これが、キショウの……森の洋館で殺人事件に巻き込まれた男の言葉だとしたら?」

エンペルト「事件に絶望して、この世界を壊そうとしだした……って事じゃないかな」

ロトム「……ッテ事ハ、プルートガ、キショウ……ッテ事?」

エンペルト「たぶん……ね。少なくとも、そう考えると辻褄は合う」

エンペルト「ロトムに優しく接してたのとか、そもそもプルートがロトムに興味を持ったのだって」

エンペルト「……って訳で、私の推理は終わり。たぶん……これが、今起こってる事の全貌だよ」
 ▼ 801 ガサメハダー@デボンボンベ 16/02/11 22:50:26 ID:RCzfmoBg NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
やばいドキドキする支援
 ▼ 802 1◆J44kAZeDOM 16/02/12 21:03:37 ID:ZxoS0gxI [1/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
何も言えなかった。

自分の過去、ロトムの過去。

そして、ボールの壁越しに俺を見詰めている、グレイシアの視線。

ペラップまでも、固く口を閉ざし、ロトムですら状況を受け止める事に必死だ。

ただ1人、情報が足りないまま右往左往しているリオルだけが、エンペルトに話しかける。

リオル「すごいね。僕には何の事だかさっぱりだったけど」

エンペルト「あなたが手にしてる情報じゃそりゃね」

それだけ言って、エンペルトも黙りこくった。

話し相手を失ったリオルも、すぐに沈黙の中に降りて来た。

ここまで気まずいの、本当、いつ以来だろう。

たぶん……グレイシアがまだイーブイだった時、捕まえてすぐだ。

だけど……それでも。

今のこの状況と比べたら、あれすらも可愛く思えてしまう。
 ▼ 803 1◆J44kAZeDOM 16/02/12 21:11:51 ID:ZxoS0gxI [2/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
わかってる。

責任は俺にある。

グレイシアの目に、いじめから1人の人間を守った俺は、ヒーローのように見えた事だろう。

それを、裏切ったんだ。

俺は、また……

刈谷も、グレイシアも……

エンペルト「とにかく! 今は落ち込んでる場合じゃない。プルートは、ううん、キショウは、今も世界を崩壊に導こうとしてる」

エンペルト「私たちが、ケンカしてる場合じゃない」

返事は出来ない。

それでも、俺はグレイシアの方を振り返る。

グレイシア「……まあ、完全にその通りよ。あたしだって、ペラップだって、あんたのおかげで変われた。それは事実」

グレイシア「あんただって、この旅で、何か変わってるかもしんないしね。終わった事をいつまでも責めてもどうにもならない」

グレイシア「……はあ。わかってるよそんな事。だけど、だけど……あいつはもう、帰って来ないのよぉ……」
 ▼ 804 1◆J44kAZeDOM 16/02/12 21:15:42 ID:ZxoS0gxI [3/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
俺は……俺は、どうしたいんだろう。

どうすればいいんだろう。

どうすれば……

アカリ「おーいみんな。取りあえず、着いたよ、ノモセ」

ヒカリ「フワライド、お疲れ様」

そののんきな声が、無性に苛立たせる。

それを責めても、それこそ仕方ないんだけど。

グレイシアは、声をあげて泣いている。

ペラップとリオルが、必死になだめようとしている。

俺は、それを見詰める事しか出来なかった。
 ▼ 805 1◆J44kAZeDOM 16/02/12 21:21:32 ID:ZxoS0gxI [4/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
視点 アカリ

どう言う事よ、普通に旅を続けろって。

……普通に旅を続けるなら、次はナギサで、それからポケモンリーグ。

そのために、あたしたちはノモセに降り立った。

ヒカリ「普通に旅を続けろ。アドバイスなのか、それともただ単に、邪魔ってだけなのか」

ジュン「おーいヒカリ!」

アキラ「アカリ! 大丈夫か?!」

ヒカリ「おーいジュン君!」

アカリ「アキラ! あたしは大丈夫だよ!」

ジュン「ムクホーク、お疲れ」

アキラ「ドンカラスも、お疲れ様」
 ▼ 806 1◆J44kAZeDOM 16/02/12 21:27:20 ID:ZxoS0gxI [5/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
コウキ「おーい。みんな大丈夫だった?」

ジュン「遅いぞコウキ! 罰金100万円だ!」

コウキ「ごめんごめん。でも……ダメだったね」

アカリ「……あたしが、もっとしっかりしてれば……」

アキラ「アカリ……お前が弱いんじゃない。あいつが……あのポケモンを操る機械が強いんだ。ろ?」

アカリ「だけど……」

ジュン「あーもう! くよくよすんな! そんな時間があったら、次の対策を練るぞ!」

ヒカリ「あれ? シロナさんは?」

コウキ「謎の場所ってのに関して、調べに行ったよ」

ヒカリ「なるほど……」

ジュン「……謎の場所、普通に旅を続けろ……。真面目に答える気ねえよな」

コウキ「さあ。でも、わからないよ」
 ▼ 807 1◆J44kAZeDOM 16/02/12 21:33:02 ID:ZxoS0gxI [6/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
コウキ「わからないと言えば、プルート自体がよくわからないよね」

コウキ「アカギがいた頃は、世界を創り直すなんて目的に興味ないみたいな感じだったのに」

コウキ「それが、今じゃ、アルセウスで世界を壊す方法を見付けて、しかも実際にアルセウスを捕まえたんだもん」

ヒカリ「……それは、わからないよね。だから、今は、わからないまま普通に旅を続けさせるのが一番だと思う」

ヒカリ「もしかしたら、本気でアドバイスしてるかもしれないし、少なくとも旅してる間に、アカリたち、少しは強くなる」

ヒカリ「敵はアルセウスも味方に引き入れた。あたしたち3人がかりでも、勝てるかわからない」

ヒカリ「だから、さ。アカリ、今は、一旦休んで。疲れちゃ何にも出来ないから」

アカリ「……わかった。そうする」

ヒカリ「ほら、アキラも」

アキラ「わかりました」

ヒカリ「次はナギサジム。リッシ湖のほとりから西に行けば、すぐだよ」

アカリ「……うん」
 ▼ 808 1◆J44kAZeDOM 16/02/12 21:37:00 ID:ZxoS0gxI [7/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アキラ「そんな暗い顔すんなって。な?」

アカリ「わかってるよ……。だけど、あたし、目の前で、アルセウスが……」

アキラ「あーもう! しっかりしろ! らしくねえぞ!」

アカリ「……ごめん! ちょっと頭冷やさせて!」

アキラ「あっ、おい! どこ行くんだよ!」

――

アカリ「行き過ぎたかな……。もうリッシ湖のほとりじゃん」

アカリ「……せっかくだし、リッシ湖まで行ってみるか……」
 ▼ 809 1◆J44kAZeDOM 16/02/12 21:41:41 ID:ZxoS0gxI [8/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
理由はよくわからない。

だけど、なんとなく、それがいいような気がして。

アカリ「みんな、せっかくだし出て来て」

みんなと夜の散歩でもしよう。

なんて考えてたんだけど……

アカリ「……えっと、どうしたの? なんか雰囲気悪いよ?」

ペラップ「あ……いや、なんでもないよ」

アカリ「ウソ。絶対なんか隠してるよ」

ペラップ「……黙っててあげて。私、言いたくないし、たぶん、みんなも黙ってて欲しいと思う」

アカリ「は、はあ……」

どうしたんだろ、みんな。

レントラーとグレイシア、いつもはこんな離れて歩いたりしないのに……

いや、ずっと一緒にいるかと言われるとそうでもないけど、でも、なんか違う。

アカリ「リオル、そういや自己紹介もほとんど出来てないよね。あたしアカリ。シンオウを旅してるの。よろしくね」

逃げるように、あたしはリオルに話しかけた。
 ▼ 810 1◆J44kAZeDOM 16/02/12 21:48:01 ID:ZxoS0gxI [9/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
なんかもう、何もかもが上手くいかない。

何かが違う。

あたしは、どうすればいいの?

あたしは、どうしたいの? 目の前のレントラーたち? それとも、消えて行ったプルートたち?

あたしは……

アカリ「あーもう! あああああああ!」

湖に向かって、思いっきり叫ぶ。

コイキングが1匹、驚いたようにはねた。
 ▼ 811 1◆J44kAZeDOM 16/02/12 21:53:46 ID:ZxoS0gxI [10/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
座り込んで、ぼーっとしている。

足元が冷えて行くのがむしろ、心地よかった。

アカリ「みんな、好きにしていいよ。だけど、あんまりここから離れすぎないように。湖の周りだけね」

アカリ「ペラップはこの辺の地理にも詳しいだろうけど、でもあたしが後で見付けるのに面倒だから」

アカリ「だから、今は、みんな、あたしを1人にさせて」

みんな、めいめいに鳴き声をあげて、歩き去った。

全員が散らばって。

いや、エンペルトとリオルだけは一緒にいたか。

って言うか、ロトムがやけに素直。普通、こんな感じにはならないと思うのに……

まあ、ありがたい事なんだけど。

アカリ「はあ……」
 ▼ 812 1◆J44kAZeDOM 16/02/12 21:58:19 ID:ZxoS0gxI [11/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
水に手を浸す。

思いのほか冷たくて、思わず手を引く。

アカリ「……」

ギンガ団を止めないといけない。

それはわかってる。

だけど、今のあたしじゃ、実力不足だった。

それに、みんなの仲が、あんまりいいとは言えない感じ。

そんなので、どうしろと……

あたしは、どうすれば……

アカリ「……ん? 光……眩しっ」
 ▼ 813 1◆J44kAZeDOM 16/02/12 22:03:09 ID:ZxoS0gxI [12/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
……なんだったんだろ、今の。

でもなんでだろ。なんか、勇気が湧いて来た……気がする。

もしかして……アグノム?

……そう、だよね。あたしの不安は、トレーナーの、あたしの不安は、みんなに伝染する。

あたしが、あたしがしっかりしないと。

まずは、みんなを励まして、それから……

だとすると、一緒にバトルするのが一番、か。

……シンオウ最強のジムリーダー、デンジさん、か。

アカリ「うん。やるぞ!」

アカリ「まずはみんなを探さなきゃ」

立ち上がって、歩き始めた。

我ながら、その1歩は、結構しっかりした奴だったと思う。
 ▼ 814 1◆J44kAZeDOM 16/02/12 22:08:37 ID:ZxoS0gxI [13/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
視点 レントラー

あ、グレイシア……。

グレイシア「レントラー、いるんでしょ」

レントラー「あ、うん……」

グレイシア「あたし、いろいろ言ったけど、冷静になって考えてみたら、あんたの話、ちっとも聞いてないなって」

エンペルト「確かにね」

グレイシア「わっ! い、いたんだ……」

エンペルト「ごめん。どうしてもあんたの事が気になって、グレイシア」

グレイシア「え、あたし? レントラーじゃなく?」

エンペルト「うん。レントラーは、自分で区切りを付けるしかない。だって、悪かったのは自分なんだし」

レントラー「……」

エンペルト「だから、それだけ」

グレイシア「ふうん。でも、あたしは大丈夫。で? レントラー、なんか言い分ある?」
 ▼ 815 日はここまで◆J44kAZeDOM 16/02/12 22:17:04 ID:ZxoS0gxI [14/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
レントラー「悪かったt「言っとくけど」

グレイシア「言っとくけど、あたしに謝る必要なんてない。あんたが謝るべきは、カリヤだもん」

レントラー「だとすれば、俺に弁明の余地はねえよ。悪いのは全面的に俺。だから、謝る事しか出来ない」

レントラー「……俺だって、悪かったと思ってる。だけど、今さら、今さらあいつに顔向け出来ねえよ……」

グレイシア「……ここで、今すぐ元の世界に戻れ、って言えたらいいんだけど、戻り方もわからないし、それに……」

エンペルト「一緒にいたい、だよね。そんなの、私もそう」

レントラー「……こんな俺でも?」

グレイシア「そんなあんただからこそ。あんたみたいな奴、あたしは大嫌い。だけど、それでも」

グレイシア「……これじゃ、さっき言った事の繰り返しになっちゃう。だけど、それでも言わせて」

グレイシア「あたしたちを変えてくれて、ホントありがとう」

レントラー「……」
 ▼ 816 トデマン@スペシャルガード 16/02/13 00:41:56 ID:UhVNSuaI NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
支援
 ▼ 817 1◆J44kAZeDOM 16/02/13 22:02:57 ID:fJa309/w [1/15] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
その時、小島が、光を放つ。

眩いそれに照らされて、思わず顔を背けた。

エンペルト「……アグノム、か」

エンペルト「レントラー、あなたも、落ち込んでばっかじゃダメ」

エンペルト「ほら、前向きに考えて行こうよ」

レントラー「……そう、だな」

グレイシア「じゃ、あたし先戻ってる。レントラーも、しっかりしてよ」

レントラー「ああ。ごめん……後、さ」

レントラー「ありがとう」

グレイシア「いいって事よ!」
 ▼ 818 1◆J44kAZeDOM 16/02/13 22:07:35 ID:fJa309/w [2/15] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
後に残された俺とエンペルトは、横に並んで、座った。

そして、頭を振り、強引に気分を切り替えて、言う。

レントラー「なあ……お前の推理なんだけど、完璧だと思う」

レントラー「だけど、まだ1つ、解かれてない謎がある」

エンペルト「え?」

レントラー「俺がこの世界にいる理由。フィクションなんだとしても、それにはそれなりの理由があるだろ」

レントラー「この世界が、全て俺の幻想」

レントラー「その可能性は否定出来ない。だけど……」

レントラー「それでも、こんな事が起こるなんて、俺には、予想も付かなかった」

レントラー「だとしたら、なんで俺はこんな幻想を見ているのか」

レントラー「それとも、幻想ではないのか。それならそれで、またなんで俺がここにいるのかって謎は残るけど」

エンペルト「ああ、それか……」
 ▼ 819 1◆J44kAZeDOM 16/02/13 22:15:24 ID:fJa309/w [3/15] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
レントラー「なあ……すげえ自意識過剰な推理っつーか推測なんだが、聞いてくれないか?」

エンペルト「わかった」

ふうっと息を吸い込む。

冷たい夜風が肺に満たされて行くのがわかった。

レントラー「俺、アルセウスに呼ばれた……とかなんじゃないかなって」

レントラー「アルセウスは世界を創った神。だから、せっかく創った世界が壊れるのって、やっぱり嫌だろうと思うんだよな」

レントラー「で、そんな時に、俺が自殺しようとしていた。だから、呼び出した」

レントラー「この世界が俺の幻想だったとしても、なんか前、1人1人の意識がそう言う異世界に影響を与えるみたいな本を読んだ事がある気がするんだよ……」

レントラー「幻想じゃないとしたら、それこそだ。俺を呼ぼうとしても、何らおかしい所はない」

レントラー「俺が選ばれた、ってのが偶然要素だけど、まあ、それは起こっちまったんだからもうどうしようもないし」

エンペルト「なるほどね」
 ▼ 820 1◆J44kAZeDOM 16/02/13 22:20:10 ID:fJa309/w [4/15] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
エンペルト「だとしたら、いろいろ巻き込まれてるのも、何か干渉されてるのかもね」

エンペルト「ユクシーとアグノムが、私たちの前に姿を現し……てはないけど、でも出て来たんでしょ」

エンペルト「アグノムなんかまさに今だけど……」

エンペルト「だとしたら、確かに納得は行くな」

レントラー「そうか……」

でも、だとしたら、だ。

もし俺が、プルートを食い止めて、アルセウスを無事救出したら。

俺は、向こうの世界に帰る事になるだろう。

本当にそれでいいのか。

グレイシアはああ言っている。それは、圧倒的に、もうどうしようもなく正しい。

だけど、正しさは、いつも苦しい。

ポケダンの主人公は、最後はポケモン世界に残る事を決心している。

俺は……正直に言う。帰りたくない。

まだ、もっと、みんなといたい。

これが、俺の包み隠さない本心だ。
 ▼ 821 1◆J44kAZeDOM 16/02/13 22:24:24 ID:fJa309/w [5/15] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
エンペルト「あ、そういや、レントラーって元はなんて名前だったの? ニンゲンには、名前あるんでしょ」

レントラー「レントラーでいいよ、今まで通り」

これも、そんな気持ちの発露なんだろう。

ポケモンでいたい、と言う気持ちの。

エンペルト「……じゃあ、戻ろう。みんなのとこ。たぶん、待ってるよ」

レントラー「そう……だな」

アカリ「おーい! レントラーにエンペルト、いるー?」

エンペルト「あ、アカリだ。こっち!」

アカリ「あ、いたいた。ごめん、あたし、もう大丈夫だから。戻って、2人とも」
 ▼ 822 1◆J44kAZeDOM 16/02/13 22:29:23 ID:fJa309/w [6/15] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
視点 アカリ

アキラ「……どこ行ってたんだ」

アカリ「あ、ごめん、つい」

アキラ「いやわかるけどよ。辛いのは。でもまあ、吹っ切れたっぽいな」

アカリ「まあね。アグノムの光を見てさ」

アキラ「え? お前マジかよ」

アカリ「うん。えっと、今ポケセン開いてるかな……」

アキラ「開いてはいるだろ。もうメシはねえだろうけど」

アカリ「そうだよね。あーお腹空いた」

アキラ「そういやお前、昼メシろくに食ってねえもんな」

アカリ「ほんっとそうだよ。だって、今朝だよ? トウガンさんとのジム戦」

アカリ「いくらなんでも急展開過ぎでしょ」

アキラ「まあな。だから、今日はしっかり休め」

アカリ「わかった。そうする」
 ▼ 823 1◆J44kAZeDOM 16/02/13 22:40:14 ID:fJa309/w [7/15] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「深夜にすいませーん」

アカリ「夜間用緊急……緊急って訳じゃないんだけど、泊まれるのかなぁ」

アキラ「あ、いや、そう言うコマンド発見。今2部屋空きがあるか……よしっ」

アキラ「アカリ、トレーナーカード」

アカリ「OK。よかったぁ、泊まれるんだ」

アキラ「ああ。お、カギだ」

アカリ「じゃ、あたしはこっちでアキラがそっちね。適当よ」

アキラ「おうよ。また明日な。もう今日かもしんないけど」

アカリ「そうね。お休み」
 ▼ 824 1◆J44kAZeDOM 16/02/13 22:47:01 ID:fJa309/w [8/15] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「ふうっ、疲れた。もう今日はごはんもお風呂もパスね。もうどこも開いてない」

アカリ「……そうだ、レントラー、何か心当たりない? 謎の場所について」

レントラー「がう」

ペラップ「うんわかった。えっと……謎の場所は、ポケモンリーグから通じてる、だよね?」

ペラップ「四天王? の部屋の入口のドアに向かって波乗り、なんだっけ」

レントラーが頷いた。

へえ、四天王の部屋の入口に向かって波乗り……波乗……り?

アカリ「ええっ?! ど、どう言う事?! 波乗りって、水上を進む技で、そんなドアを突っ切ったり出来ないはずだよ?!」

ペラップ「仕方ないだろ、そう言うもんなんだから。俺も訳わかんねえよ、だって」

アカリ「いや、そう言うもんで納得出来る訳ないじゃん!」

ペラップ「いや俺だって納得はしてない、だって」

アカリ「はあ……」

なんか、一気に目が覚めた気がする。

……どう言う事よ。訳わかんない。

……まあ、確かにそうだとすると、普通に旅を続けるのが最良なのはわかるけどさ。

いや、いくらなんでも……。
 ▼ 825 1◆J44kAZeDOM 16/02/13 22:53:00 ID:fJa309/w [9/15] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「もし、もしだよ? 100歩譲ってそうだったとして、それじゃプルートはどうするつもりなの? 謎の場所に行って」

レントラーが、少し考え込むような素振りを見せる。

そして、ペラップに向かって、何かを話した。

ペラップ「もしかすると……この世界と、やぶれた世界の狭間ってのが、謎の場所なのかもしれない、だって」

アカリ「……え?」

ペラップ「だから」

アカリ「ストップ。ちょっと待って、その根拠は? もしそうだとしたら、相当まずいよ」

アカリ「だって……世界は釣り合いを失い、崩壊する……んでしょ」

アカリ「そこに……アルセウスを……連れて行ったら」

レントラーとエンペルトが同時に頷いた。

グレイシアとペラップ、リオルは驚いた顔を見せている。

ロトムだけは、表情に変化なしだったけど。
 ▼ 826 1◆J44kAZeDOM 16/02/13 22:58:41 ID:fJa309/w [10/15] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「……だとしたら、普通に旅してるヒマなんてないじゃない」

レントラー「がうがうがう!」

ペラップ「残念だけど!」

レントラー「がうがうがうがうがう」

ペラップ「デンジを倒さないと、謎の場所には入れない」

ペラップ「……ジムバッジがないと、四天王の部屋に入れないのはわかってんだろ? だって」

アカリ「あ……」

ペラップ「だから、絶対にデンジを倒さないといけない。それも、出来るだけ急いで、だって」

ペラップ「……対策を考える、だって」

アカリ「……わかった」
 ▼ 827 1◆J44kAZeDOM 16/02/13 23:07:59 ID:fJa309/w [11/15] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
視点 レントラー

エンペルトがLV43。覚えてる技は波乗り、冷凍ビーム、メタルクロー、アクアジェット。

そして俺ことレントラーがLV46。技はスパーク、充電、雷の牙、かみつく。

グレイシアはLV47。技は吹雪、電光石火、冷凍ビーム、シャドーボール。

ペラップはLV42。霧払い、おしゃべり、ハイパーボイス、オウム返し。

ロトムがLV44で、放電、怪しい風、オーバーヒートに電磁波。

最後にリオルだけど……

アカリ「リオルはLV45、技ははっけい、まねっこ、電光石火に嫌な音ね」

了解。
 ▼ 828 1◆J44kAZeDOM 16/02/13 23:08:21 ID:fJa309/w [12/15] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
手持ちは、さすがにオクタンとエテボースを使って来るような欠陥パーティーじゃないだろうから……

サンダース、ライチュウ、レントラー、エレキブルで確定していいだろ。

ってか、同族対決か。初めてだな。

まあ、それはどうでもいいんだが……

カギを握るのは、相性が有利なロトムか。俺は、はっきり言って、打点が薄い。

エンペルトは不利、ペラップも不利、グレイシアは普通で、リオルも普通。

……さて、どう攻略しようか。

先発はグレイシアだとして、リオルと俺とロトムで出来る限り削り切りたい。それこそ、アクアジェットで倒しきれるぐらいまで。

でもなあ……
 ▼ 829 1◆J44kAZeDOM 16/02/13 23:15:13 ID:fJa309/w [13/15] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
レントラー「あんな事言っといてなんだが、勝てる気がしねえ」

レントラー「だって、戦闘狂だぞ? 面白いバトルがないからって街全体停電に追い込むほどの」

レントラー(アニメだって、ポケスペだって……)

レントラー「俺が知ってる限り、デンジはすっげえ強い」

レントラー(俺はナエトル選んだから正直地震で余裕だったけど……)

グレイシア「……そんなに?」

レントラー「ああ。……少し考えさせてくれ。今回ばかりは俺も全く思い付かねえ」

エンペルト「……うーん、致命的なのは、誰も弱点を付けないって事よね」

ペラップ「電気タイプ、だっけ?」

エンペルト「うん。それどころか、私たちは相性不利だし」

エンペルト「相手は4匹でしょ。誰と誰と誰と誰?」

レントラー「サンダースとライチュウとエレキブルとレントラー」

リオル「うーん、確かに。でも、ロトムなら行けるんじゃないの?」

レントラー「ロトムは確かにそうだが、難点は、連射が出来ないんだよ、オーバーヒート」

リオル「ああ、そうか……」
 ▼ 830 1◆J44kAZeDOM 16/02/13 23:22:18 ID:fJa309/w [14/15] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
グレイシア「でも、攻撃が全部効かないのってレントラーぐらいじゃん」

グレイシア「もうさ、面倒な事考えずに、ガンガン攻める、でいいんじゃない?」

レントラー「それで勝てれば話は楽だよな」

グレイシア「あっ、見下してるでしょあたしの事ー」

なんか懐かしい、この雰囲気。

何もなかったような、そんな雰囲気。

ずっとそれに浸っていたい。そう思った。

だけど、取りあえずデンジには、勝たないといけないんだから、考えるしかない。
 ▼ 831 日はここまで◆J44kAZeDOM 16/02/13 23:22:39 ID:fJa309/w [15/15] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
エンペルト「まあでも、疲れてたら勝てる勝負も勝てないし、もう寝よ?」

レントラー「……そうだな」

アカリ「ん? 結論出た?」

ペラップ「もう寝ようって結論なら出たよ」

アカリ「……どう言う事よそれ」

レントラー「今まで対策考えて、その通り事が運んだ事があったか?」

ペラップ「今まで……あったか? だって」

アカリ「う……それを言われると……わかった。お休み」

ペラップ「お休み」

そのまま、数分もしないうちに、全員が眠りの世界に落ちて行った。
 ▼ 832 ッシー@おいしいみず 16/02/14 00:54:43 ID:eJhv12x2 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 833 ジャンボ@ちからのこな 16/02/14 01:04:29 ID:bW.NwkcM [1/2] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
わくわくする支援
 ▼ 834 1◆J44kAZeDOM 16/02/14 20:52:37 ID:eIYwk03g [1/15] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
視点 アカリ

ん……くああ……

えっと、今何時だろ……

アカリ「えっ?! ウソ」

も、もうこんな時間?

いや、確かに昨日あんなに遅寝してたからそりゃそうだけどさ。

ってか、誰も起きてない……。

まあ、これも、昨日はホントに激しいバトルばっかだったから仕方ないか。

アカリ「おーい! みんな起k……」

お腹が鳴った。

……よかった、誰にも聞かれてないな。

じゃあ今度こそ!

アカリ「みんな起きてっ……」

盛大に鳴った。

その音で、リオルの目が覚めた。
 ▼ 835 1◆J44kAZeDOM 16/02/14 20:54:43 ID:eIYwk03g [2/15] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
リオル「く……くわんぬ……」

必死に笑いをこらえるその姿がうっとうしくて、そのままボールに戻した。

アカリ「ほら、みんな起きて!」

今度こそ叫び声をあげて、全員を叩き起こす。

眠たげな顔をしているみんなをボールに戻して、あたしは立ち上がった。

取りあえず……お腹空いた!

すぐ朝ごはん食べないと、死んじゃう!
 ▼ 836 1◆J44kAZeDOM 16/02/14 20:58:22 ID:eIYwk03g [3/15] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アキラ「よう、遅かったな」

アカリ「でもあんたも起こしに来なかったじゃない。寝坊したんでしょ、あんたも」

アキラ「ちっ、やっぱバレるかぁ」

アカリ「当たり前よ。何年一緒にいると思ってんの」

アカリ「さ、とにかく早くごはん食べに行こ!」

アキラに聞かれたら……穴を掘ってその中に隠れたいぐらいだよ、想像しただけで!

アキラ「腹減ってんだよな、わかるよ」

アカリ「そりゃ昨日晩抜きだしね」

アキラ「よし、走るか」

アカリ「あっ、待ってよ!」
 ▼ 837 1◆J44kAZeDOM 16/02/14 21:06:59 ID:eIYwk03g [4/15] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「じゃあ、これにしよっかな」

アキラ「んじゃ、俺はこれで。すいませーん!」

店員「はい!」

店員「ご注文は……」

アカリ「これとこれとこれとこれで!」

アキラ「俺のもそれに入ってますんで」

店員「かしこまりました」

アカリ「ふふふ、にしても、平和だよね。まさか今、ギンガ団がまた暗躍して、世界を危機に陥れようとしてるなんて、誰も考えてない」

アキラ「だな。にしても、謎の場所って何なんだろ、マジで。謎なのはわかるけど、それでも謎の場所って名前があるんだろ?」

アカリ「ねえ、それだけど、普通に旅を続けてれば、辿り着けない事もないみたいだよ」

アキラ「……え?」
 ▼ 838 1◆J44kAZeDOM 16/02/14 21:12:02 ID:eIYwk03g [5/15] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
なんとなく、口が勝手に動いた。

アキラ「ど、どう言う事だよ……」

アカリ「レントラーが、そう言うの詳しくって」

お腹空き過ぎて、おかしくなってるんだろう。うん。きっとそうだ。

アキラ「えっと……ってか、なんでそんなのがわかったんだ?」

アカリ「ペラップ、実は人間の言葉、マネじゃなくて普通に喋れるの。それで」

アキラ「……はあ?!」

どうしてだろう。ずっと隠して来たはずなのに。

アカリ「実は、レントラーは元人間だったんだって」

アキラ「なあ……あんま落ち込むなとは言ったけど、壊れちまったのか?」

言葉が、次々溢れ出て来る。

アカリ「ううん。あたしは、ホントの事言ってる。少なくとも、レントラーたちから聞いた話を、そのまま」

アキラ「なっ……」

レントラーの止める声が聞こえて来たけど、それでも、止まらなかった。
 ▼ 839 1◆J44kAZeDOM 16/02/14 21:18:39 ID:eIYwk03g [6/15] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アキラ「えっと……」

アカリ「謎の場所、四天王の最初の部屋……つまりリョウさんの部屋の入口に向かって波乗りだって」

アキラ「……はあ?」

アカリ「あたしもよくわかんないし、レントラーもわかってなかった。だけど、そうなんだって」

アキラ「おま……なんか憑りついてね? 変だぞ?」

アカリ「だよね、あたしもそう思う」

憑りつかれた事はあるんだけどね、と心の中で付け足した。

アカリ「なんかわかんないけど、気付いたら話しちゃってた。なんでだろうね?」

アキラ「……」

店員「お待たせしました」

アカリ「あ、ごはん来た! いっただっきまあす!」

アキラ「どうしたんだよ、急に」

アカリ「さあ、だからさっきからあたしにもわかんないって言ってるじゃん」

アキラ「はあ……とにかく、後でちょっと、部屋で2人で話そうぜ」

アカリ「うん」
 ▼ 840 1◆J44kAZeDOM 16/02/14 21:21:28 ID:eIYwk03g [7/15] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
あっという間に朝ごはんは消えた。

アキラも、ポケモンたちも、もちろんあたしも、みんなお腹空いてたもん、仕方ないよ。

アカリ「じゃあ、みんな戻って」

アキラ「お前らも、戻れ!」

アキラ「んじゃ、一旦お前の部屋行こうぜ」

アカリ「うん」

アキラ「……やっぱ変だ。どうしたんだ?」

アカリ「だーかーらー、わかんないって言ってるじゃん」

アキラ「うーん……」
 ▼ 841 1◆J44kAZeDOM 16/02/14 21:29:22 ID:eIYwk03g [8/15] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
視点 レントラー

なんで言っちまったんだよ。

いや、まあ確かに謎の場所に関しては説明しないとまずいんだけどさ。

いやでも……やっぱそこは、隠しとくだろ普通。

アカリ「これは、今まで誰にも言ってない。アキラ、あんただから言うんだよ」

アキラ「おう」

アカリは口を開く。

俺との出会い、ペラップとの出会い、トバリでのあの一幕。

アキラは、黙って耳を傾けていた。
 ▼ 842 1◆J44kAZeDOM 16/02/14 21:29:43 ID:eIYwk03g [9/15] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「……おしまい。時間の都合もあるから、ダイジェストだけど、だいたいこんなもん」

アキラ「……なるほど」

アカリ「……信じてくれる?」

アキラ「ペラップの方は、確かめればすぐわかる。な、ペラップ」

ペラップ「え、あ、うん……」

アカリ「あっ、確かにそうだ。実演すれば速かった……」

アキラ「問題はレントラーなんだけど、ジムの手持ちとか言い当ててんだろ? それなら、信じるっきゃねえじゃん」

アキラ「野生ポケがそんな事知ってるはずねえし」

アカリ「……ありがとう!」
 ▼ 843 1◆J44kAZeDOM 16/02/14 21:34:16 ID:eIYwk03g [10/15] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
マジか。

案外あっさり信じるんだな。

しかも、感覚じゃなく論理的に。

アキラ「……まあ、それはいいんだ。問題は……」

アキラ「全面的に信じたとすると……」

アカリ「謎の場所に行くためには、ナギサジムを突破しないといけない」

アキラ「ああ。ただの特訓のはずが、いつの間にか義務になっちまった、って訳だ」

アキラ「はっきり言う。こうして話してる時間もったいない。行こうぜ」

アカリ「うん。よし、じゃあ、行きますか!」

アキラ「おうよ!」
 ▼ 844 1◆J44kAZeDOM 16/02/14 21:43:12 ID:eIYwk03g [11/15] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
グレイシア「……案外簡単に信じるもんなんだね」

リオル「まあ、ああやって証拠を自分の中に見付けられたら納得出来るでしょ」

グレイシア「そう言うもん? 信じたくないー、とかならない?」

レントラー「まあ、言いたい事はわかるぞ。俺だって、現に今、信じたくないの真っ最中だ」

グレイシア「あっと……」

レントラー「っつーか、それが極まり過ぎて、記憶まで消えちまった訳だ」

ペラップ「はいストップ! これ以上ケンカのタネを増やさない!」

レントラー「おっとすまん」

エンペルト「うーん、私は、理性が勝っちゃうタイプだからなぁ」

グレイシア「まず、あんたに感情あんの?」

エンペルト「うるさい」

ロトム「ソンナ事ヨリサ。ジムノ対策、考エナクテイイノ?」

レントラー「……それなんだけど、まだ思い付かねえ」

エンペルト「どうしようもなく不利なのよね……」
 ▼ 845 1◆J44kAZeDOM 16/02/14 21:48:46 ID:eIYwk03g [12/15] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
エンペルト「私なりに考えてみたんだけど」

エンペルト「ペラップは、どうにもならない。最後まで出来るだけ出番なしで済ませたいって感じ」

ペラップ「うん。電気は苦手だしね」

エンペルト「で、それは私も同じ。なるべくなら、そっち4匹で決着を付けるのが理想」

エンペルト「ただ、初手がサンダース……素早いポケモンの筆頭で、たぶん誰も素早さで勝てない」

エンペルト「そのスピードでかく乱されたら、グレイシア、持つかな……」

グレイシア「ちょ、なんであたしが先発な前提な訳?」

エンペルト「まあ、適当。リオルも怪しいし。レントラーなら大丈夫だろうけど、レントラーからも有効打ないからね……」

エンペルト「ロトムの電磁波も、電気相手には効かないし……」

レントラー「あれ、そうだっけ?」

エンペルト「また、なんか覚え間違い?」

レントラー「ううむ……」
 ▼ 846 コルピ@ダイブボール 16/02/14 21:51:53 ID:eIYwk03g [13/15] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
>>827
ペラップの技盛大に間違えです
オウム返しを空を飛ぶに変更でお願いします
 ▼ 847 1◆J44kAZeDOM 16/02/14 21:59:04 ID:eIYwk03g [14/15] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
エンペルト「まあ、誰でもいいけど、例えばグレイシアがサンダース倒すとするよ」

エンペルト「で、次出て来るライチュウには、たぶん負ける」

エンペルト「レントラーを出して、それでライチュウには勝てるだろうけど、次のレントラー同士の対決で勝てると思えないの」

エンペルト「次に出て来るロトムでレントラーを倒して、それでエレキブルに負けるとすると」

エンペルト「リオルVSエレキブルになるんだけど、不安なのがリオルの耐久力」

リオル「進化してない分、弱い、って事だよね」

エンペルト「そう。だから、勝てない気がする。嫌な音で防御下げてからの電光石火コンボもあるけど、それでもなぁ……」

グレイシア「あーもう! とにかく、リオルの分まであんたたち2人、頑張ってよ!」

エンペルト「まあ、そうなるね。わかった。やるだけやろう」

レントラー「だな」
 ▼ 848 イパム@デボンスコープ 16/02/14 21:59:24 ID:eIYwk03g [15/15] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
今日はここまでです
 ▼ 849 ルタンク@ゆきだま 16/02/14 22:51:35 ID:bW.NwkcM [2/2] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
乙支援
 ▼ 850 カブ@こだいのせきぞう 16/02/15 02:24:27 ID:/1K.ov3U NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 851 1◆J44kAZeDOM 16/02/15 20:34:01 ID:Euxbja2. [1/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
視点 アカリ

あ、お姉ちゃんだ。

ヒカリ「おーい! アカリにアキラ! こっち来て!」

アカリ「うん、わかった!」

アキラ「なんだろ?」

アカリ「さあ。でも、悪いニュースじゃなさそうだよ」

アキラ「まあいいか。行こうぜ」
 ▼ 852 1◆J44kAZeDOM 16/02/15 20:38:51 ID:Euxbja2. [2/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ヒカリ「あ、アカリ、アキラ。あの機械だけど、もしかしたら対策が出来る……かもしれないの!」

アカリ「え……」

アキラ「ホントですか?!」

ヒカリ「うん。ナギサのポケセンでみんな待ってるから、急ぐよ!」

アカリ「わかった」

アキラ「はい!」

にしても、あの機械の対策か……一体なんなんだろ。

あたしじゃ、全く思い付かないんだけど、あの機械の構造上弱点が何かあるのかな?

うーん、まあ、これは考えても仕方ないか。

アキラ「おーい! 急げアカリ!」

アカリ「あっ、待って!」
 ▼ 853 1◆J44kAZeDOM 16/02/15 20:53:57 ID:Euxbja2. [3/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
にしても懐かしいな、213番道路。

ペラップと出会ったのもここだっけ。あ、そうだ!

アカリ「ペラップ! 出て来て!」

アキラ「? どうしたんだ?」

アカリ「せっかく元の住処に戻って来たんだし、懐かしいかなって」

ヒカリ「ふふふ……あれ? でも、なんか嫌がってない?」

ペラップ「……」

え……?

あっ、そっか。

いじめられて……

アカリ「ごめんペラップ、戻って」

ヒカリ「何かあったの?」

アカリ「わかんないけど、それでも、ポケモンにだっていろいろあるんだよ」

アキラ「ふうん」
 ▼ 854 1◆J44kAZeDOM 16/02/15 20:58:18 ID:Euxbja2. [4/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
あ、アキラ信じてないでしょ。

そう言いたかったけど、でも、ここはぐっと我慢。

変な事言ってお姉ちゃんに疑われたら元も子もないし。

ヒカリ「さあて、222番道路に入ったよ。もうちょっとでナギサシティね」

アカリ「あ、砂浜だ! ……マサゴ、懐かしいなあ」

アキラ「だな。そうだ、ナギサまで競走しようぜ。どうせ急ぐんだし」

アカリ「あ、それいい! じゃあ、よーい、ドン!」

アキラ「あっ、おま、反則だぞ!」

ヒカリ「……やっぱ、まだまだ子どもね」

ヒカリ「おーい、待ってよ!」
 ▼ 855 1◆J44kAZeDOM 16/02/15 21:03:24 ID:Euxbja2. [5/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「とうちゃーく!」

アキラ「……引き分けだな」

ゲートの中、荒く息を吐く。

なんか、久々にはっちゃけた気がする。

さて、気を引き締めて……。

アカリ「まあね。じゃ、行こう。シンオウ最後の町、ナギサシティ!」

アキラ「それじゃ意味が違う気が……」

アカリ「こまっかいなぁもう。最後のジムがある町、ナギサシティ!」

アキラ「じゃあ、行こうぜ」

ヒカリ「ふう、やっと追い付いた……」

アカリ「じゃあ、せえのっ!」

2人揃って、足を踏み出した。
 ▼ 856 1◆J44kAZeDOM 16/02/15 21:06:49 ID:Euxbja2. [6/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「わぁ……ウワサには聞いてたけど、太陽まぶっしいな」

アキラ「あ、コウキ兄ちゃんだ」

ヒカリ「おーいコウキ君! 2人、連れて来たよ」

コウキ「うん! じゃあ、さっそくだけど、ポケセンに来てね」

アカリ「あ、はい」

アキラ「じゃあ、行くかアカリ」

アカリ「もうこの件よくない? 一緒に行くの当たり前だし」

アキラ「」

ヒカリ「ぷっ」
 ▼ 857 1◆J44kAZeDOM 16/02/15 21:11:50 ID:Euxbja2. [7/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ポケモンセンター

ジュン「遅いぞ、罰金100万円d」

ヒカリ「それはともかく、シロナさん」

あ、シロナさんもいるのか。ってか、最後まで言わせてあげなよ……。

シロナ「わかってる。あの機械の対処法、よね」

あ、そうだ。本題はそれだ。

アカリ「見付かった……んですか?」

シロナ「ええ。実は、おばあちゃんから聞いてね。あ、カンナギの長老なんだけど」

アカリ「ああ、あの! あ、って事はもしかして、進化?」

アキラ「え、どう言う事だ?」

アカリ「進化すると、ポケモンを操るのに必要な電波? が変わるらしくって」

アカリ「それをあっさり見破った長老が、ルクシオを不思議な飴でレントラーに進化させて、あたしたちは危機を切り抜けたの」

シロナ「その通り」
 ▼ 858 1◆J44kAZeDOM 16/02/15 21:16:43 ID:Euxbja2. [8/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アキラ「なるほど……でも、俺たちのポケモン、アカリのリオルを除いて、全員最終進化してるんですけど……」

アキラ「コウキ兄ちゃんたちの手持ちも、ってか、ここにいる全員」

シロナ「ええ。だけど……進化を超える進化があるとしたら?」

アカリ・アキラ「え?」

シロナ「メガシンカ……は知ってるわよね?」

アキラ「あっ!」

アカリ「え……ああ、なるほど!」

シロナ「わかったみたいね」
 ▼ 859 1◆J44kAZeDOM 16/02/15 21:21:59 ID:Euxbja2. [9/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
視点 レントラー

……?

メガ……進化?

なんだそれ、初めて聞いた……。

ナナカマド「カロス地方で確認された、進化を超える進化」

……カロス?

どっかで聞いた気がしないでもないけど、でも知らない地方……。

ナナカマド「プラターヌ君がそれに関する論文を発表して、有名になったな」

ナナカマド「メガストーンとキーストーン、2つの石を介してトレーナーとポケモンの絆を力に変える物だ」

ナナカマド「ポケモンの……割は進化に関係している、と言うのは私の学説だが、それを支持してくれる物として、大変ありがたい物だ」

少し数字が聞き取れなかったけど、それはいいんだ。

カロス、メガシンカ。

……ポケモンに関して、俺の知らない世界、ってか地方が存在している?
 ▼ 860 1◆J44kAZeDOM 16/02/15 21:30:28 ID:Euxbja2. [10/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
その後の話……ナナカマド博士のメガシンカ講釈は、全く頭に入って来なかった。

自分の中で、思考をまとめるのに必死だったから。

進化を超える進化、メガシンカ。

俺が知ってる範囲……BW2までには、そんなのなかった。

だとしたら、ポケモン次回作辺りで、そんな要素が追加されるのかもしれない。しれないけど……

これで、1つ確実に言えるようになった事がある。

この世界は、幻想なんかじゃない。俺が、生きるの苦しさに創り出した、幻覚なんかじゃない。

確実に存在する……この、ポケモン世界は。
 ▼ 861 1◆J44kAZeDOM 16/02/15 21:39:10 ID:Euxbja2. [11/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
視点 アカリ

アカリ「なるほど……じゃあ、あたしたち2人にも、キーストーンを!」

シロナ「ええ。ここにあるわ、確かに5個」

シロナ「コウキ君、ジュン君に、ヒカリちゃん。アカリちゃんに、アキラ君」

シロナ「はい、どうぞ」

アキラ「すげえ……よくそんなのひょいっと出せるな」

シロナ「ちょっとした、チャンピオン同士のコネがあってね。まあ、あたしも彼も、元だけど」

シロナ「それと、メガストーンに関しては、まだほとんど見付けてないのが現状なの。シンオウで新しく確認されたメガシンカとかもあるらしいんだけど……」

シロナ「あたしが持ってるのは、このガブリアスナイトだけ」

シロナ「それだって、その彼が、あたしのガブリアスの事を知ってたから、彼を倒した子から『あ、俺使わないんで』ってもらった物を譲り受けただけなの」

シロナ「……シンオウは、石に関してはあんまり恵まれた土地じゃないらしいからね。トバリの隕石ぐらいよ」

アカリ「へえ」
 ▼ 862 1◆J44kAZeDOM 16/02/15 21:44:41 ID:Euxbja2. [12/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
シロナ「……だから、あたしは、もっとメガストーンを探してみる。ノウハウは彼から聞いたし」

シロナ「あ、今の所、あなたたちの手持ちで確認されてるのは、コウキ君がオニゴーリ、ジュン君がへラクロス、ヒカリちゃんがミミロップ」

シロナ「アキラ君のユキノオー……以上ね」

アカリ「えっ、あたしは?!」

シロナ「リオルがルカリオに進化したら、ね」

アカリ「……そう、なんですか」

なんか悔しい。あたし、誰1人としてメガシンカさせられないんだ。

シロナ「とにかく、2人はジム戦なのよね。頑張ってね」

コウキ「うーん、そろそろおいらも、スタンバッとかないとダメかなぁ」

アカリ「え、あ」

アキラ「確かに、最後のジムクリアって事は……コウキ兄ちゃんへの挑戦権を手に入れる事になる、だな」
 ▼ 863 1◆J44kAZeDOM 16/02/15 21:53:18 ID:Euxbja2. [13/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ジュン「参ったな……お前ら速過ぎだぜ」

ヒカリ「あんたにだけは言われたくないと思うよ、ジュン君」

ジュン「なあヒカリ、俺にだけやけに当たりきつくね?」

ヒカリ「気のせいよ」

ジュン「そうかなぁ」

シロナ「じゃあ、行きましょう、博士」

ナナカマド「うむ、そうだな」

アカリ「え、博士も?」

ナナカマド「プラターヌ君のメガストーン探しに協力した事があってな」

ジュン「もう歳なんだから、無理しないでくださいよ」

ヒカリ「ちょっとジュン君!」

ナナカマド「気にしておらんよヒカリ君。歳なのは事実だ」

ナナカマド「では、行こうじゃないか」

シロナ「はい。トゲキッス!」
 ▼ 864 日はここまで◆J44kAZeDOM 16/02/15 21:59:20 ID:Euxbja2. [14/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ヒカリ「もう……ジュン君ってば!」

ジュン「しゃーねーだろ! 博士もああ言ってんだし」

コウキ「まあ、でも博士なら大丈夫でしょ。全然元気そうだし。たぶん100まで生きると思うよ」

アカリ「えっと……これは腕輪型か」

アキラ「普通にはめて使うんですよね?」

ヒカリ「らしいよ。後は、キーストーンを見付けてからの話だって、あたしたちも教えてもらってない」

アキラ「なるほど……んじゃ、ナギサジムでは、これを使って有利になったりは……」

ヒカリ「しない。あなたたちが自分の実力で頑張るしかない」

アキラ「ですよね。さあて、アカリ、行くか、ジム戦! シンオウ最強? 上等じゃねえの!」

アカリ「うん! 頑張ろうね!」

コウキ「あ、1つアドバイス! 地面タイプのポケモンや技で挑むといいよー。アカリちゃんは持ってないみたいだけど」

アカリ「……まあ、頑張ります」
 ▼ 865 ンナ@パワーリスト 16/02/16 01:46:14 ID:Co2cbOrc NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
しえん
 ▼ 866 1◆J44kAZeDOM 16/02/16 20:08:59 ID:N5aGIvpE [1/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
コウキ「後……2人なら大丈夫だと思うけど、一応おいらもついて行くよ」

アカリ「え、なんで?」

コウキ「だってナギサジム……デンジさんが認めたトレーナーしか戦ってくれないんだもん」

コウキ「強いトレーナーとの心躍るバトル、デンジさんが求めてるのはそれだけだから、パッと見で決めちゃうんだよねー」

アキラ「……いいのかそれで」

コウキ「まあ、デンジさん、見る目はあるし、2人なら大丈夫だと思うけどねー」

ヒカリ「あんたたちならいけるよ」

ジュン「絶対勝てよ! 勝てなきゃ罰金100万円だー!」

アカリ「ありがとう! 行ってきます!」

アキラ「じゃ、行きますか」

コウキ「うん」
 ▼ 867 1◆J44kAZeDOM 16/02/16 20:13:51 ID:N5aGIvpE [2/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
薬も多めに買った。

ちゃんとみんなの回復もした。

今回はプランも何もわかんないけど、それでも、行けるよね、みんな。

コウキ「とうちゃーく!」

扉をくぐった。

アカリ「……何これ。なんかバチバチ言ってる」

アキラ「……危なそう」

デンジ「……チャレンジャーか?」

アカリ「あ、はい!」

アキラ「俺とこいつの2人で!」

デンジ「……コウキか。知り合いか?」

コウキ「うん。ヒカリちゃんの妹とその幼馴染み!」

デンジ「ほう……」
 ▼ 868 1◆J44kAZeDOM 16/02/16 20:17:51 ID:N5aGIvpE [3/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
そういや、案内さんどこにいるんだろ……。

なんて考えてる間、デンジさんはあたしたちの事を舐めまわすように見ていた。

デンジ「……バッジは7個。他のジムリーダーたちが強いと言っていた2人って、こいつらか」

デンジ「……そうだな。よし」

コウキ「ジム戦してくれる?」

そこでデンジさんは、驚きの言葉を口にした。

デンジ「2対1なら受けてもいいけど」


アカリ・アキラ「……え?」
 ▼ 869 1◆J44kAZeDOM 16/02/16 20:23:50 ID:N5aGIvpE [4/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
案内「なっ……」

アカリ「あ、案内さん! これ、どうなってるんですか?!」

案内「お、俺にもわからない……。普段、挑戦を認めたら現れるようにしてるんだが……」

コウキ「えっと……」

デンジ「俺がお前たち2人と同時に戦い、お前らが勝ったら俺は2人にバッジを渡す。それだけだ。どうだ?」

そう言ってデンジさんは、にやりと笑う。

アキラ「納得行きませんよ! 俺1人じゃ実力不足だって言うんですか?!」

デンジ「いや、そうは言わない。お前たち2人見てたら、久々に全力を出したくなって来てな……」

デンジ「だが、さすがにお前たち2人の相手に、俺じゃ役不足だろう」

アカリ「え、普通に勝ってるんじゃ……」

デンジ「役不足の意味も知らないのか……」

1 俳優などが割り当てられた役に不満を抱くこと。
2 力量に比べて、役目が不相応に軽いこと。また、そのさま。「そのポストでは―な(の)感がある」

goo辞書より
 ▼ 870 1◆J44kAZeDOM 16/02/16 20:29:17 ID:N5aGIvpE [5/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「し、知らなかった……」

デンジ「まあ、だから、まとめてかかって来い。ってな訳だ」

コウキ「……まあ、定義的には、ジムリーダーが実力を認めればバッジを渡してもOK、だし、いいんじゃない?」

案内「ちょ、チャンピオン!」

デンジ「さすが、話が速い。じゃあ、2人で仕掛けを突破するのも面倒だろうし、そのままジム戦だ」

案内「なっ……」

デンジ「こっちに来い」

アキラ「……なんかイラつく」

アカリ「でも、あたしたち急いでる訳だし、この展開は願ったり叶ったりじゃん」

アキラ「……まあな」

アカリ「予想外の展開だけど、頑張ろっ!」

アキラ「……だな」
 ▼ 871 1◆J44kAZeDOM 16/02/16 20:37:21 ID:N5aGIvpE [6/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
コウキ「2人とも、頑張ってねー! おいらはヒカリちゃんたちと合流して、いろいろ調べないとだし、そろそろバトルの準備もしなきゃだし」

アキラ「あ、そうですか……」

アカリ「全然大丈夫、気にしないでください!」

コウキ「うん。じゃあ、頑張ってねー」

デンジ「どうした? 早く来いよ」

アカリ「はーい! すぐ行きまーす!」

アキラ「んじゃ、よろしくお願いします!」

デンジ「よろしく」

アキラ「アカリ、先発はグレイシアで頼む。俺はユキノオーで、吹雪コンボで行くぞ」

アカリ「OK」

デンジ「……始めよう。頼んだぞ、ライチュウ!」

アカリ「グレイシア、よろしくっ!」

アキラ「行けっ、ユキノオー!」
 ▼ 872 1◆J44kAZeDOM 16/02/16 20:43:29 ID:N5aGIvpE [7/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
三人称視点

3匹のポケモンが場に降り立った。

ライチュウのしっぽは、ピンと張り詰めたようにまっすぐ伸びている。

2対1と言うこの状況を楽しむかのようにニヤリと笑った。

アカリ・アキラ「吹雪っ!」
デンジ「ライチュウ、ユキノオーに猫騙し、その勢いでアイアンテール」

3つの指示が飛んだ。

どこか困惑気味のグレイシアは、それでも指示を実行に移そうと構えた。

しかし、ライチュウは素早かった。

まずその短い手が、勢いに乗ってユキノオーの目の前で叩かれる。

ユキノオーが怯んだ、その隙に、取り残されたしっぽが勢いを利用してグレイシアに襲い掛かる。

技の準備をしていたグレイシアは、その一撃を受けて、吹っ飛んだ。
 ▼ 873 1◆J44kAZeDOM 16/02/16 20:50:26 ID:N5aGIvpE [8/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
その一瞬の出来事に、アカリは驚きを隠せず、口をあんぐりと開けたまま棒立ちになってしまった。

グレイシア(くっ……きっつい……)

グレイシアの体力は、ほぼ底を尽きかけている。

それでも、やる気の声を一つあげ、なんとか立ち上がった。

その姿を見てアカリも、はっと我に帰った。

アキラ「ユキノオーしっかり! 行くぞ! 吹雪!」

アカリ「グレイシアもっ! 吹雪よっ!」

デンジ「放電だ」

ライチュウは、その体から電気を迸らせる。

それは、フィールド中を覆い尽くし、グレイシアとユキノオー、どちらもを襲う。

ユキノオーが降らせるあられに賭けて、アカリは叫んだ。

アカリ「グレイシアっ! 避けてっ!」

アキラ「ユキノオー! お前は耐えられる! 吹雪を続けろっ!」
 ▼ 874 1◆J44kAZeDOM 16/02/16 20:57:50 ID:N5aGIvpE [9/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリの叫びに、しかしグレイシアは答えられない。

グレイシア(悪いけど……全体覆い尽くす系のは無理……特にこんなじゃ……)

もはや体力の尽きつつあるグレイシアに、それだけの気力は、残っていない。

そのまま、グレイシアは力尽きた。

ただし、最後に、全身全霊を賭けた吹雪を撃ちだして。

デンジ(……ダブル吹雪か。厳しいな……)

デンジ「よしライチュウ! アイアンテールだっ!」

アカリは、未だ状況を見極めきれない。

グレイシアが撃ちだした吹雪が、アカリの視界を閉ざしていた。

アカリ(グレイシア……大丈夫なの?)

アキラ「ウッドハンマーで迎え撃て!」

2つの指示が飛び交い、ポケモンたちがぶつかり合う。

しかし。

その細い尾に、ユキノオーの攻撃が当たるはずもなく。

そのままアイアンテールが決められる。

そして、ユキノオーの巨体すら、後ろにずらした。それほどの威力で、ライチュウの攻撃は決まった。
 ▼ 875 1◆J44kAZeDOM 16/02/16 21:02:11 ID:N5aGIvpE [10/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アキラ「ユキノオー! 大丈夫か?!」

ユキノオー『……まあな』

一方、吹雪が収まり、アカリは、グレイシアを視界に捉えた。

アカリ「……あ、グレイシア……」

なんとなく予想はしていた。

だから、その姿を見ても、さほどの動揺はなかった。

グレイシアは、戦闘不能だった。

アカリ「お疲れ様、戻って」

バトル場に視界を戻すと、ライチュウとユキノオーが、苦しげに立っている。

アカリ(あられなんだから、それを活かさない手はないよ)

アカリ「……公式戦初戦闘だけど、リオル、よろしくっ!」
 ▼ 876 1◆J44kAZeDOM 16/02/16 21:08:09 ID:N5aGIvpE [11/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ(ライチュウは疲れてる。って事は、たぶんライチュウより先に動ける)

アカリ(だとすると……)

アカリ「まねっこ!」

アカリ(まねっこで発動するのは、吹雪!)

アカリ「リオル! 吹雪だよ!」

アキラ「……なるほど!」

デンジ「……そう来たか、厄介だな」

デンジ「最後だっ! 放電!」

リオルは、見よう見まねで、ユキノオーの動作を真似る。

その手から、氷の塊が生み出され、それは、少しずつ分かたれて、ライチュウを襲う。

アキラは、ただその光景を眺めていた。

勝利を確信して。
 ▼ 877 1◆J44kAZeDOM 16/02/16 21:11:38 ID:N5aGIvpE [12/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
デンジ「……」

リオルの行動は素早かった。

普段素早さでうなる、ライチュウやサンダースよりも。

それが、デンジの不信感を誘う。

デンジ「とにかく、ライチュウ、お疲れ」

デンジ「……そのリオル、何か特別な事でもあるのか?」

アカリ「え、いや、あたしもまだよくは知らないんですよ。仲間になったの昨日だし」

デンジ「……そうか」

デンジ「まあ、それはいい。行けっ、オクタン!」
 ▼ 878 1◆J44kAZeDOM 16/02/16 21:22:11 ID:N5aGIvpE [13/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アキラ「オクタンか……ユキノオー、ウッドハンマー!」

アカリ「まねっこで放電をコピー!」

デンジ「ユキノオーにシグナルビーム、リオルの攻撃は耐えろ」

三者三様指示を飛ばす。

リオルは、ここでも素早かった。

その腕を一閃、電気が発生し、フィールドを覆い尽くす。

しかし、悲しいかな、火力不足だ。

その攻撃は、確かにオクタンにはダメージを与えた。しかし、戦局が大きく変わるほどではなく。

ユキノオーは攻撃しようとその巨体を揺らすが、オクタンの攻撃がその体を射て、あっけなく地面に崩れ落ちた。

アキラ「ユキノオー! ……お疲れ様」
 ▼ 879 1◆J44kAZeDOM 16/02/16 21:27:54 ID:N5aGIvpE [14/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アキラ「……仕方ない、ドンカラス! 今なら行ける!」

アキラ(電気タイプジムだ。ドンカラスは全体的に不利。だったら、せめて相性ぐらいは普通に!)

アカリ「……何か作戦は?」

アキラ「ない。大したコンボは決められそうに」

アカリ「そ。なら、仕方ない。ゴリ押しで行くよ! リオル、嫌な音!」

アキラ「何がゴリ押しだ……辻斬り!」

デンジ「ドンカラスにチャージビームだ!」
 ▼ 880 1◆J44kAZeDOM 16/02/16 21:33:05 ID:N5aGIvpE [15/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アキラ(……やっぱあるよなぁ、電気技)

デンジ(……ドンカラスより素早いリオル、か。レベルはそこまで差が付いてるようにも見えないんだが……まさか)

リオルの行動は、ここでも速い。

がなりたてる音に、オクタンの意識が逸らされ、そこにドンカラスの攻撃がぶつかる。

不意を突いた一撃は、いつも以上にダメージを与え、オクタンは痛みに顔を歪ませた。

アカリ「やった! 効いてる!」

デンジ「……特性悪戯心」

アカリ「……え?」

デンジ「変化技を先制で出せる、か。これは厄介だ。だが、勝負はこうでなくっちゃな」

デンジは、不敵な笑みを浮かべると、オクタンに指示を飛ばした。

デンジ「リオルにオクタン砲!」
 ▼ 881 1◆J44kAZeDOM 16/02/16 21:42:02 ID:N5aGIvpE [16/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「なっ、リオル避けてっ! 電光石火で!」

デンジ(……なるほど。回避に先制技か)

デンジ「……面白い! オクタン! シグナルビームを狙いを定めず撃ちまくれ!」

アキラ「……させるかっ! ドンカラス! 不意打ち!」

デンジ「……待ってたよ、それを。チャージビームだ!」

アキラ「なっ!」

デンジの作戦。

それは、リオルを狙うように見せかけてドンカラスとアキラの油断を誘う、それだった。

効果抜群の一撃を、予想外のタイミングで撃たれて、ドンカラスのダメージは相当な物となる。
 ▼ 882 ワーク@ゴーゴーゴーグル 16/02/16 21:44:47 ID:N5aGIvpE [17/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
今日はここまでです

デンジ戦終わってジムを出る所でこのスレでの更新を終わらせ、次スレに行く予定です
 ▼ 883 ナトーン@べにいろのたま 16/02/16 23:38:11 ID:kZXNkFn6 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
まさかの3スレ目か……
超絶支援
 ▼ 884 ポエラー@マックスアップ 16/02/16 23:42:38 ID:YHnchaTI NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
3スレ目・・・だと・・・!?
相変わらず先が気になる支援
 ▼ 885 ボミー@こころのしずく 16/02/17 00:03:39 ID:f7VmwOXo NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
オラわくわくすっぞ支援
 ▼ 886 ビシラス@いいつりざお 16/02/17 03:07:16 ID:7OrMz3Kc NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 887 ガエルレイド@マスターボール 16/02/17 19:23:29 ID:LKhv8nX6 NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
「デンジ戦終わってジムを出る」って、勝つとも負けるともわからない表現でよかった
これが「ポケモンリーグへ出発」とか書かれたら、100レス程度しかないしデンジにはこのまま勝てるんだなーとしか思えないところだった
そんな支援
 ▼ 888 1◆J44kAZeDOM 16/02/17 20:19:55 ID:Y79CLPjU [1/19] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アキラ「ドンカラスっ!」

アカリ「リオル! 電光石火!」

デンジ「オクタン砲で迎え撃て」

アカリ「ドンカラスを、少し休ませたげて。あたしたちでかく乱するから」

アキラ「頼んだ」

アカリ「上よっ!」

リオルは飛び上がり、襲い来る水の塊をかわす。

そして、重力の勢いを乗せて、攻撃の体勢に転じた。

デンジ「このタイミングで、そう身軽には動けない」

デンジ「チャージビーム」

アカリ「突っ込んで! はっけい!」
 ▼ 889 1◆J44kAZeDOM 16/02/17 20:24:14 ID:Y79CLPjU [2/19] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
オクタンのその長い口から、電気がうなる。

アカリ「リオル、頑張れっ!」

その叫び声に、リオルは、にっ、と笑って応えた。

炸裂音が響く。

アカリは、状況を見極めようと、目をこらした。

リオルの手が、オクタンの体を捉えている。

その体は、電撃を浴びて傷だらけになってはいる。しかし、その攻撃は、確実にオクタンに当たっていた。

そして、オクタンは……


デンジ「オクタン砲だ」

まだ、その体力を残していた。

最後の力を振り絞り、リオルに向けて、それを撃ちだした。
 ▼ 890 1◆J44kAZeDOM 16/02/17 20:30:00 ID:Y79CLPjU [3/19] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリの目には、その光景はスローに映った。

リオルに、黒い物がぶつかる。

それを受け、リオルの顔が苦悶に歪む。

そしてそのまま、吹き飛んで行く。

宙を舞うリオルをボーゼンと眺めるアカリに、アキラの声が聞こえた。

アキラ「ドンカラス! 辻斬りだっ!」

その声を聞き、はっと我に返ると、アカリは叫んだ。

アカリ「リオルっ!」

そして、デンジは、油断なく状況を把握し、指示を飛ばす。

デンジ「チャージビーム」

攻撃しようと迫るドンカラスに、オクタンはボロボロの体を素早く翻し、狙いを定めた。
 ▼ 891 1◆J44kAZeDOM 16/02/17 20:34:22 ID:Y79CLPjU [4/19] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
互いに死力を尽くした最後の攻撃だと言う事を自覚している。

しかし、いや、だからこそ、その攻撃は、全力を賭けた物になる。

アキラ「決めろっ!」

必死の叫びは、ドンカラスにしっかり届く。

電気の直撃を受けて、しかし限界を超えて行動を続けるドンカラス。

その翼を一閃させ、オクタンに斬りつけた。

その攻撃を受け、オクタンは、倒れた。

しかし、それと同時に、ドンカラスも力尽きた。
 ▼ 892 1◆J44kAZeDOM 16/02/17 20:39:52 ID:Y79CLPjU [5/19] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「……みんな戦闘不能」

リオルをボールに戻しながら、アカリは呟く。

アカリ「お疲れ様、リオル」

アキラ「だな。ドンカラス、お疲れ」

デンジ「戻れ、オクタン。ゆっくり休め」

アキラ「なあ、アカリ。次はペラップ出してくれ。俺はトリトドンの地震を使う」

アキラ「ジュン兄ちゃんがカンナギで技マシンくれてな」

アカリ「OK。ペラップ、よろしく!」

アキラ「トリトドン、頼んだ!」

デンジ「サンダース、任せたぞ」
 ▼ 893 1◆J44kAZeDOM 16/02/17 20:54:33 ID:Y79CLPjU [6/19] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ(出来るだけかく乱したい……)

アカリ「おしゃべりよ!」

デンジ「放電」

アキラ「地震だ!」

また3つの指示が飛び交い、3つの行動が発生……はしない。

ペラップが口を開く、それより早く、電撃はフィールド中を覆い尽くしたからだ。

アカリ「ペラップ! 大丈夫?!」

アキラ「速い……。トリトドン! 行け!」

トリトドンは、ゆっくりと、行動を起こした。

アカリ「ペラップ! 飛び上がって!」

デンジ「サンダース、トリトドンにシャドーボール」
 ▼ 894 1◆J44kAZeDOM 16/02/17 21:01:52 ID:Y79CLPjU [7/19] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
トリトドンが1度行動を起こす間に、2回サンダースが行動する。

それほどまでに、素早さの差が開いている。

アキラ「ちっ……。いくらなんでも速過ぎだぜ」

しかし、トリトドンも、並の耐久ではない。

シャドーボールを軽く耐え、ようやっと地震を巻き起こした。

アカリ「今度こそおしゃべりっ!」

地震に足を取られている隙に、ペラップに攻撃の指示を出す。

デンジ「ジャンプ」

その指示に合わせ、サンダースが、揺れる足場の中飛び上がった。

しかし、そこを、ペラップの音の攻撃が直撃した。

デンジ「……耐えていたのか」

ペラップは心の中で、なんとかね、と呟きながら、音を奏で続ける。
 ▼ 895 1◆J44kAZeDOM 16/02/17 21:08:47 ID:Y79CLPjU [8/19] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
デンジ「……混乱を必ず引き起こす……か。面倒だな」

デンジ「サンダース、放電だ」

混乱の最中にいるサンダースに、その指示が正しく伝わるかはまさしく運。

デンジは、自身の運に頼みを賭けて、指示を出す。

アカリ「チャンスよ!」

アキラ「サンキュ。トリトドン、地震!」

アカリ「ペラップ、ハイパーボイスっ!」
 ▼ 896 1◆J44kAZeDOM 16/02/17 21:15:39 ID:Y79CLPjU [9/19] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サンダース(俺は一体……。あの音、敵かっ!)

サンダースは、音に過剰反応していた。

おしゃべりによって混乱させられたのだから、当然とも言えるが。

うるさい音をたてる物を敵として認識する、そんな混乱だった。

だから、至極当然のように、ペラップを狙い撃ち、そして、トリトドンが起こした揺れによる音を攻撃する。

アカリ「ぺ、ペラップ!」

アキラ「……どこ攻撃してんだ?」

ペラップは、耐え切れず、地に落ちる。

サンダースも、揺れを追ううちに、その揺れによってどんどん体力を削られてゆく。

アカリ「と、とにかく戻って!」

地震の揺れ、所構わず襲う電撃。

少しでも早くそれらからペラップを引き離したくて、アカリは慌てて戦闘不能のペラップをボールに戻した。
 ▼ 897 1◆J44kAZeDOM 16/02/17 21:22:17 ID:Y79CLPjU [10/19] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ(一旦待機……。この危険な状況で、バトルに出す訳にもいかないし)

アキラ「トリトドン! そのまま押し切れ!」

デンジ「……そろそろ正気に戻っただろ。シャドーボール」

アキラ「お前なら耐えきれるトリトドン! 行けっ!」

サンダース(はっ、お、俺は何を……)

突如として我に返ったサンダースは、デンジの指示を脳内で素早く変換し、シャドーボールを撃ちだした。

しかし、それは、トリトドンにとって致命傷になどならないどころか、その行動を止める力すら持たなかった。

そのままトリトドンが起こした地震に呑まれ、サンダースは力尽きた。
 ▼ 898 1◆J44kAZeDOM 16/02/17 21:27:41 ID:Y79CLPjU [11/19] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
デンジ「サンダース、お疲れ」

アカリ「……トリトドンの特性は?」

アキラ「呼び水。だけど、波乗りとかなら普通に相手にもダメージ与えられる」

アカリ「わかった。じゃ、エンペルト、よろしく!」

デンジ「エテボース、任せたぞ」

アカリ「……あの、電気タイプのジムリーダーなんじゃ」

デンジ「気にするな。気にしている」

アカリ「あ、すいません……」

デンジ「……仕切り直しだ。エテボース、トリトドンにタネ爆弾」

アキラ「なっ……そんな技!」

アカリ「エンペルト、冷凍ビームで打ち落として!」

素早く指示を飛ばすアカリ。

エンペルトは、狙いを定め、タネ爆弾の軌道を見極める。
 ▼ 899 1◆J44kAZeDOM 16/02/17 21:34:02 ID:Y79CLPjU [12/19] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アキラ「トリトドン! 濁流だ!」

トリトドンも、水流を巻き起こす。

その濁った水を見て、アカリは不意に思い出す。

アカリ「エンペルトっ! 今よっ!」

撃ちだされる冷凍ビームに、濁流は見る間に凍り付く。

それは、タネ爆弾からトリトドンを守る盾となり、そびえ立った。

デンジ「……ほう」

アカリ「エンペルト! そのまま波乗りよっ!」

デンジ「穴を掘る」
 ▼ 900 1◆J44kAZeDOM 16/02/17 21:38:56 ID:Y79CLPjU [13/19] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
エテボースは、その両のしっぽを器用に動かし、地面に潜る。

アカリ「なっ……」

エンペルトが繰り出した波乗りは、エテボースに当たる事なく、ただ、トリトドンにぶつかるのみ。

しかし、それは決してマイナスではない。

トリトドンは、水を浴びて、強化される。これが、特性呼び水の効果だ。

強化されるのは特攻、よって地震は強まらないのだが。

しかし、差し当たっては、アカリの方に悩みの種が付きまとう。

穴を掘るは地面タイプの技。エンペルトには効果抜群。

それが、どこから、いつくるかもわからないのだ。

アキラ「……でも、今のは失策だろ。地震!」

デンジ「そのぐらいわかっている。今だ!」

地中のエテボースにも聞こえるようにか、大声で叫んだ。
 ▼ 901 ちます◆J44kAZeDOM 16/02/17 21:45:31 ID:Y79CLPjU [14/19] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
地震の揺れが襲う、その直前、エテボースは地上に脱出した。

それは、エンペルトを狙った物ではなかった。

トリトドンのすぐ後ろだ。

地震を指示したアキラの口は、その口のまま、停止した。

デンジ「タネ爆弾」

トリトドンは行動を起こそうとしている。

アキラは、驚きのあまり、対応策を指示出来ない。

そして、それはアカリも同様だった。

エテボースがトリトドンに効果抜群の一撃を加える。

4倍弱点を突かれ、トリトドンは、地震を起こす前に、崩れ落ちた。

事ここに至って、ようやくアキラは気付く。

アキラ「トリトドンっ!」

しかし、遅かった。

どこからどう見ても、トリトドンは戦闘不能だった。

アキラ「くっ……お疲れ様」
 ▼ 902 1◆J44kAZeDOM 16/02/17 23:08:46 ID:Y79CLPjU [15/19] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アキラ「ふう、参ったなぁ。地面タイプ……有利だったってのに」

デンジ「有利だからこそ、対策ぐらいしている」

アキラ「ま、そうだよな。……行けっ、ゴウカザル!」

ゴウカザルが、一声鳴き声をあげて降り立った。

アキラ「アカリ、行くぞ」

アカリ「うん」

アカリ「アクアジェット!」

アキラ「マッハパンチ!」

デンジ「雷パンチで受け止めろ」
 ▼ 903 1◆J44kAZeDOM 16/02/17 23:14:58 ID:Y79CLPjU [16/19] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
2本のしっぽ。

2匹のポケモン。

ぶつかり合って、衝撃音が鳴り響く。

普通にすれば単体攻撃の雷パンチ、しかし、エテボースが行う事で、それは2匹同時に攻撃する事を可能にしていた。

アカリ「エンペルトっ!」

アキラ「ちっ、火炎車!」

電気の攻撃が苦手なエンペルトは、たたらを踏む。

しかし、ゴウカザルは耐え凌ぎ、その身に炎をまとった。

アキラ「ぶちかませっ!」

デンジ「とっておきで迎え撃て!」
 ▼ 904 1◆J44kAZeDOM 16/02/17 23:25:53 ID:Y79CLPjU [17/19] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
とっておき。

全ての技を出して、初めて出せる技。

アカリ「雷パンチ、タネ爆弾、穴を掘る……か」

アカリ「エンペルト、今は休んでっ! 体力を蓄えるの!」

アキラ「……ゴウカザル、行くぞ! インファイト!」

デンジ「押し切れっ!」

アキラ「行けっ!」

技と技がぶつかり合う。

その力が、激しく交錯する。

エンペルト(……私、今は入れそうにないな)

その2匹の鬼気迫る表情を見ながら、エンペルトは、束の間の休息を取っていた。

アカリ「タイミングを見計らって、冷凍ビーム行くよ」

アキラ「任せた」
 ▼ 905 1◆J44kAZeDOM 16/02/17 23:33:15 ID:Y79CLPjU [18/19] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ポケモンの技、特に物理技は、永続的に続く物は少ない。

疲労が表層化し、いづれその動きを止めざるを得ないのだ。

アキラ(……かと言って今引いたらやられる……。向こうが止まるのを待つしかない)

アカリ「ゴウカザルが身を引いたら行くよ、エンペルト」

エンペルト『了解』

ゴウカザルとエテボースは、まだ打ち合いを続けている。

アキラは、その素早い動きを必死に目で追う。

アキラ(クソッ、あのエテボース、体力底なしかよ)

アキラ(体力よりPPのが先に尽きそうってか……インファイトの耐久力ダウンで、向こうが疲れるより先にこっちが負けるんじゃ……)

アキラ「アカリ、このままじゃ持たない。そのまま冷凍ビーム突っ込んでくれ」

アカリ「え、でも……ゴウカザルに当たるかも……」

アキラ「しーんぱいすんな。俺に考えがある」
 ▼ 906 日はここまで◆J44kAZeDOM 16/02/17 23:38:46 ID:Y79CLPjU [19/19] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アキラ「ゴウカザル! そのまま炎をまとえ! 氷に耐え切るぞ!」

アカリ「あっ、なるほど。エンペルト、冷凍ビーム!」

デンジ「なっ」

アキラ「そのままぶちかませっ! 火炎車っ!」

まとった炎は、エテボースを怯ませるには充分だった。

そして、そこに生まれた隙を狙って、エンペルトが冷凍ビームを叩き込む。

エテボースは、その直後に受けた火炎車のダメージも相まって、崩れ落ちた。
 ▼ 907 カンプー@ヤミラミナイト 16/02/18 00:37:50 ID:TjeqA56E NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 908 1◆J44kAZeDOM 16/02/18 20:13:58 ID:9GLh7Nck [1/20] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
デンジ「戻れ、エテボース」

デンジ「……なかなか追い詰められてきたな」

デンジ「……面白くなって来た」

デンジ「頼んだぞ、エレキブルっ!」

アカリ「……エレキブルか。きついな」

アキラ「なるべく俺が削る。アカリ、またかく乱頼む」

アカリ「うん!」

アカリ「アクアジェット!」

アキラ「エレキブルの動きを見極めろ!」

デンジ「地震!」
 ▼ 909 1◆J44kAZeDOM 16/02/18 20:18:17 ID:9GLh7Nck [2/20] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アキラ「なっ」

アカリ「ウソでしょ?!」

地震は地面タイプの技。

鋼タイプを含むエンペルトにも、炎タイプを含むゴウカザルにも、効果は抜群。

アカリ「電気タイプなのに……地震」

アキラ「ゴウカザルっ! 飛び上がれ!」

アカリ「エンペルトも上よっ!」

咄嗟に回避の指示を出す2人。

しかし、それすらも、デンジの予想通り。

そして、その直後、落下の勢いを利用して攻撃する所まで読み切っていた。

デンジ「ダブル雷パンチ!」
 ▼ 910 1◆J44kAZeDOM 16/02/18 20:23:51 ID:9GLh7Nck [3/20] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
落下の勢いは、重力加速度に従ってどんどん速くなって行く。

そこを、全力を込めた拳で撃ち抜かれたらどうなるか。

その素早さは、そのまま、自らを襲う刃となる。

もちろん、並大抵の力で出来る所為ではない。

エレキブルの力は、その衝撃に耐えうる物だった。

アカリ「エンペルトっ!」

アキラ「ゴウカザル大丈夫かっ!」

悲鳴にも似た叫びがあがる。

デンジは、思わず立ち上がって、指示を出した。

デンジ「地震だっ!」
 ▼ 911 1◆J44kAZeDOM 16/02/18 20:29:58 ID:9GLh7Nck [4/20] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
エンペルトとゴウカザルが地に落ちる。

そこを、猛烈な揺れが襲う。

無抵抗なままその揺れに巻き込まれ、あっという間に力尽きた。

アカリ「つ、強い……」

アキラ「エレキブル……デンジさんの本懐、か」

デンジ「さて、戦闘不能だな。どうした? もっと俺を楽しませてくれ!」

そう言ったデンジの目は、2人の腕に注がれている。

しかし、2人は、その事には気付かない。

アカリ「地震対策は余裕だよね。あんたのドータクン、浮遊だし」

アキラ「まあな。って事は、アカリは……」

アカリ「もちろん。ロトム、任せたよ!」

アキラ「じゃあ、頼んだドータクン!」
 ▼ 912 1◆J44kAZeDOM 16/02/18 20:45:14 ID:9GLh7Nck [5/20] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
デンジ「ヒートロトムに、ドータクンか」

デンジ「エレキブル、ロトムに岩石封じ!」

アキラ「ドータクン! 鉄壁で攻撃に備えろ!」

アカリ「ロトム、怪しい風!」

エレキブルが、岩の塊を生み出し、ロトムめがけて投げつける。

その岩は、ロトムの体の自由を奪う。

が、それをロトムは暴風で吹き飛ばし、笑って見せる。

アカリ「ナイスロトム! 今度こそ決めちゃって! 怪しい風!」

アキラ「神通力でサポートだっ!」

デンジ「ドータクンに炎のパンチ!」

エレキブルは、その体を俊敏に動かし、ドータクンに殴りかかる。

その拳に、炎をまとって。

ロトムの攻撃、そして、ドータクンの攻撃を物ともせずに。
 ▼ 913 1◆J44kAZeDOM 16/02/18 20:53:20 ID:9GLh7Nck [6/20] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
その拳は、ドータクンを吹き飛ばした。

だが。

アキラ「ドータクン、まだ大丈夫だな?」

ドータクンも頷くように体を上下に揺する。

アカリ「やっぱ、あんたのドータクンおかしいって。耐久力の鬼!」

アキラ「鉄壁ってすげえよな」

デンジ「さすがの耐久力だな。それでこそ突破のしがいがあるって物だ!」

アカリ「ロトム! 決めに行こう! オーバー……」

デンジ「させるか! 岩石封じだっ!」

石の塊。

ヒートの姿のロトムには、効果抜群だ。

その攻撃は、致命的な物になる。

アカリ「ロトム避けてっ!」
 ▼ 914 1◆J44kAZeDOM 16/02/18 21:02:29 ID:9GLh7Nck [7/20] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ロトムは、攻撃をすんでの所でかわす。

いや、かわしきれず、攻撃はロトムをかすった。

アカリ「ロトムっ!」

デンジ「ドータクンに炎のパンチ!」

アキラ「鉄壁で受け止めろっ!」

エレキブルは、炎をまとった拳をドータクンに叩き込む。

ドータクンは、その身の硬さを増して、攻撃に備えた。

衝撃がアカリの髪を揺らす。

アキラ「なんつー威力……」

デンジ「何度でも! ドータクンに炎のパンチをぶちかませっ!」

アキラ「神通力で動きを止めろっ!」

アカリ「ロトムも怪しい風でエレキブルを止めてっ!」
 ▼ 915 1◆J44kAZeDOM 16/02/18 21:12:28 ID:9GLh7Nck [8/20] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ドータクンは、それでも効果抜群の一撃を耐えきる。

ロトムの攻撃も相まって、エレキブルは、その攻撃の手を止めた。

その頃には、しかし、さしものドータクンの体も、傷付き、しかも、火傷状態になっていた。

アキラ「ドータクン大丈夫かっ!」

アカリ「どう見ても大丈夫じゃないよ! アキラ、あんた最後の1匹なんだよね?」

アキラ「……」

アキラは、かばんに視線を落とす。

その視線に浮かぶ惑いに、アカリには気付くヒマもない。

アカリ「あーもう! ロトム、さすがに倒しきれるでしょ! オーバーヒートっ!」

デンジ「岩石封じっ!」
 ▼ 916 1◆J44kAZeDOM 16/02/18 21:19:57 ID:9GLh7Nck [9/20] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「ロトムっ! そのままゴー!」

その炎は、

岩石封じの岩に阻まれ、しかしその熱気をエレキブルに伝えた。

その岩石は、

ロトムの体を見事に封じ込めた。

アキラ「ドータクン! 神通力だっ! 岩をどかせっ!」

アカリ「ロトムっ!」

デンジ「エレキブルっ!」

ロトムは、その岩に体力のほぼ全てを奪われ、エレキブルも蓄積した疲労により、立っているのがやっとと言う程だった。

アカリ「ロトムっ! 大丈夫っ?!」

ロトムは、力なく頷く。

アカリ「……最後の悪あがきっ! 怪しい風よっ!」

デンジ「エレキブル! 岩石封じっ!」

お互いの技は、お互いに相手に届き、お互いにその体力を奪い、そして。

お互いに力尽きた。再び相討ちだった。
 ▼ 917 1◆J44kAZeDOM 16/02/18 21:24:24 ID:9GLh7Nck [10/20] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「……お疲れ様、ロトム」

アカリ「たぶん……向こうも最後の1匹、レントラーなんだよね」

アキラ「だろうな」

アカリ「あんたのドータクン、もう、ほとんど何も出来ないよね」

アキラ「ああ。もう持たない」

アカリ「あんた、最後の1匹よね」

アキラ「……ああ」

アカリ「あたしの最後の手持ちもレントラー。レベルはたぶん、負けてる」

アキラ「……」

アカリ「やるっきゃないよね。アキラ、まずはトリックルームでお願い。素早さだけでも、勝たないと」

アキラ「わかった」
 ▼ 918 1◆J44kAZeDOM 16/02/18 21:29:53 ID:9GLh7Nck [11/20] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「よろしく頼んだよっ、レントラー!」

デンジ「……こっちも最後の1匹、か。ここまで追い詰められたの、久々だな」

デンジ「そう。これを待っていた! この、血沸き肉躍る、この感覚をっ!」

デンジ「こいつが俺の切り札っ! 行けっ、レントラー!」

アカリ(案の定っ……。でも、やるしかない)

アカリ「レントラー、最後の1匹だよ! こっちも向こうも!」

アカリのレントラー(以下アレン)『わかってる』

アレン(まさか6匹フルで使って来るとはな……)

アカリのレントラーの特性は威嚇。

それに思わず身じろぎしたデンジのレントラーの特性は闘争心。

結果として、双方の特性は互いに打ち消し合う結果となる。
 ▼ 919 1◆J44kAZeDOM 16/02/18 21:48:10 ID:9GLh7Nck [12/20] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アキラ「トリックルーム!」

デンジ「させるかっ! ドータクンにかみくだくっ!」

アカリ「レントラー、かばって! スパークよっ!」

ドータクンは、死力を振り絞り、空間を捻じ曲げるだけの力を蓄える。

そこに襲い掛かるデンジのレントラー(以下デレン)をなんとかして食い止めようと走るアレン。

アカリ「行けっ!」

アキラ「ドータクン、踏ん張れっ!」

デンジ「決めろっ!」

3つの激励の声が飛ぶ。

アレン『ドータクン、頼んだぞ!』

ドータクン『ウン……ウグッ』

アレン(ドータクンって、こんな苦しむんだ……)
 ▼ 920 1◆J44kAZeDOM 16/02/18 21:51:28 ID:9GLh7Nck [13/20] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
いつも澄ました表情のドータクンの顔が、苦悶に歪む。

それが、物珍しかった。

だが、そんな事を考えている場合じゃないと頭を振り、電気をまとう。

そのままデレンにぶつかり、その牙の痛みを感じながら、アレンは振り向いた。

ドータクンが、ニヤリと笑った、ような気がした。

アキラ「行けっ!」

アカリ「ナイスっ!」

アキラ「トリックルーム!」

空間が爆発した。

ここに、トリックルームが完成する。
 ▼ 921 1◆J44kAZeDOM 16/02/18 21:56:54 ID:9GLh7Nck [14/20] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アキラ「ドータクン、お疲れ様」

全ての力を使い果たしたのか、はたまた火傷のダメージか、ドータクンは地に落ちた。

それを、ボールの中に戻すアキラ。

アキラ「……俺が使える、ってか俺と戦ってくれるポケモンは、もういない。アカリ、任せた」

アカリ「任されたっ! レントラー、頑張ろうね!」

デンジ「……メガシンカは使わないのか?」

アカリ「え?」

デンジ「その腕、キーストーンを付けているが」

アカリ「あ、これ? まだメガストーンを1つも持ってないんです」

デンジ「なっ……」

その驚愕の表情を見て、アレンは察した。

アレン(もしかして……キーストーン持ってたから、全力で?)

アレン『まあ、何にせよ、俺に全部かかってると。責任重大だな』

デンジ「そうか、それなら仕方ない。レントラー、一気に決めるぞっ!」

デレン『おうよ!』
 ▼ 922 1◆J44kAZeDOM 16/02/18 22:00:54 ID:9GLh7Nck [15/20] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「素早さでは今、勝ってる! レントラー、スパークっ!」

デンジ「まあ、もう言葉はいらないな。レントラー、ワイルドボルトっ!」

2匹のレントラーは、その身に電気をまとう。

そして、そのまま相手に向けて走り出す。

ぶつかり合う、その衝撃に、アカリは思わず目を背けた。

トリックルームは、残り3ターン。

アカリ(短期決戦に持ち込みたいけど……無理がある。それなら、今この間に、出来るだけ削り切らなきゃ!)

デンジ「ワイルドボルトっ!」

アカリ「スパークっ!」
 ▼ 923 1◆J44kAZeDOM 16/02/18 22:07:54 ID:9GLh7Nck [16/20] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
トリックルームの効果で、アレンの方が行動は速い。

それだけでなく、ワイルドボルトには反動がある。それがスパークにはない。

しかし、その分威力も低く収まってしまう。

結局は、同族同士、意地と意地の、力と力のぶつかり合いだ。

アカリ「何度でもっ!」

デンジ「応戦だっ!」

派手なぶつかり合いは、攻撃回数のアレン、一撃のデレンと、均衡を保ったまま、淡々と続く。

アカリ「まずいな……」

デンジ「トリックルームがもうすぐ解除されるからな」

作戦を超えた所で、2匹のレントラーは、互いの持てる力の全てをぶつけ合っていた。

アレン(だが……このままじゃ負ける。クソッ、スパークじゃ火力が……)

デレン『そんな物か? 俺たちを、もっと楽しませてくれ』

アレン『クソッ!』
 ▼ 924 1◆J44kAZeDOM 16/02/18 22:11:36 ID:9GLh7Nck [17/20] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「レントラーっ! 頑張って!」

デンジ「最後まで気を抜くなっ!」

アレン(クソッ、打開策は……)

アレン(……いや、思い出せ、この旅を)

アレン(俺が、スパークを覚えた時を!)

――

アカリ「コリンク、体当たり!」

お互いがお互いめがけて走り寄る。

しかしコリンクは、自分自身の考えで、ある行動をとった。

走りながら、技「充電」を使用したのだ。

少しでも相手にダメージを与えようとした結果である。

コリンク「うおおお! スパーク!」

体に電気をまとった体当たりは、そのままスパークへと昇華する。

――
 ▼ 925 1◆J44kAZeDOM 16/02/18 22:16:13 ID:9GLh7Nck [18/20] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アレン(そうだ。体当たりに、充電を乗せて、俺はスパークを習得した)

アレン『……充電!』

デレン『そんなヒマあるのかな?』

デンジ「止まった! 今だ! ワイルドボルトっ!」

アカリ「レントラぁぁぁあああああ!」

アカリの叫び声が、アレンの耳に響く。

それに応えて、レントラーの力が、目に見えて増して行くようだった。

アレン『うぉぉおおおおおおお! ワイルド……ボルトぉぉおおおおっ!』

スパークが、さらなる電撃の力を受けて、ワイルドボルトへと昇華する。

2匹のレントラーがぶつかり合い、爆発が発生する。

その衝撃を聞きながら、レントラーの意識は、遠ざかって行った……。
 ▼ 926 1◆J44kAZeDOM 16/02/18 22:18:42 ID:9GLh7Nck [19/20] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
立ち込める煙の中、アカリは必死に目を凝らす。

アカリ(どうだ……)

煙が徐々に晴れて行き、アカリは、その状況を捉えた。

レントラーが倒れているのが見える。

それを見下ろすレントラーが、ニヤリと笑ったように見えた。

そのレントラーは、



デンジのレントラーだ。



そして。



そのレントラーも。




ふっと糸が切れたように、崩れ落ちた。
 ▼ 927 ルバット@くさのジュエル 16/02/18 22:19:04 ID:9GLh7Nck [20/20] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
今日はここまでです
 ▼ 928 ルガモス@しんかいのウロコ 16/02/19 01:12:15 ID:vu74oEdM NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 929 1◆J44kAZeDOM 16/02/19 21:34:05 ID:2dmTD7Vs [1/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
視点 アカリ

アカリ「……えっと」

アキラ「引き分け……。この場合、どうなるんだ?」

デンジ「お疲れ様、レントラー」

デンジさんが立ち上がって、あたしたちの方に歩いて来る。

デンジ「ありがとう。久々に楽しい勝負だった」

アキラ「それで……こう言う場合、どうなるんですか?」

デンジ「それよりまず、レントラーをボールに戻してやったらどうだ?」

アカリ「あ、そうだ! 戻ってレントラー! ……お疲れ様」

デンジ「……引き分けだ。俺は全力で戦って、お前たちと引き分けた」

デンジ「1つだけ言える事がある。この勝負……」

デンジ「心躍った。俺はずっと待っていたんだ。コウキたち以来の、とてつもない強者との戦いをな」

アキラ「でも……アカリがいなかったら、俺は負けてました。アカリだって、たぶん。2人がかりじゃないとダメだったんです」

デンジ「だが、俺は、ジムリーダーとして規定されているレベル以上のポケモンを、しかも6匹フルで使った」

デンジ「この結果になるとは、正直思わなかった」
 ▼ 930 1◆J44kAZeDOM 16/02/19 21:34:55 ID:2dmTD7Vs [2/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
デンジ「だから、迷ったら、ジムの規定に定められてる通りでいいんだ」

デンジ「ジムリーダーがその強さを認めたら、ジムバッジを渡していい、と」

アカリ「えっ、じゃあ!」

デンジ「ああ。ビーコンバッジ、受け取ってくれ」

アキラ「いや、でもダメです。俺たちは、まだバッジに足りる実力が……」

アカリ「アキラ! 正論を言うのは構わない。だけど、今はビーコンバッジが必要なの。シンオウを……世界を救うために」

デンジさんに聞こえないように、小声で話す。

アキラも、はっとしたような顔をして、あたしを見詰めた。

その顔が、納得に上書きされていく。

アキラ「わかりました。今は、バッジを受け取ります」

アキラ「だけど……だけど、もっと強くなって、デンジさん、まずはあなたに勝ちます!」

アカリ「あ……気を悪くしないでくださいね? アキラ、コウキ兄ちゃんを目標にしてるから……」

デンジ「ふふっ、そうか。それなら、次戦うのを楽しみにしている。それと、アカリ……だったかな」
 ▼ 931 1◆J44kAZeDOM 16/02/19 21:35:19 ID:2dmTD7Vs [3/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「あ、はいそうですけど、どうかしました?」

デンジ「これを技マシン代わりにやる。俺のレントラーも気に入ってる物なんだ。もしかしたら、お前のレントラーも気に入るかもな」

そう言って渡されたのは、丸っこい石ころ。

腕の辺りが、ほんのり暖かくなったような気がした。

デンジ「俺が渡すマシンはワイルドボルト。だが、レントラーが、自力で習得してしまった以上、これは必要ないだろうし」

アカリ「ありがとうございます! ……なんだろこれ。あったかい……」

デンジ「あ、そっちのアキラ? には、普通に技マシンをやる。ワイルドボルトだ。と言っても、お前のポケモンでは、誰も覚えられないが……」

アキラ「ありがとうございます」
 ▼ 932 1◆J44kAZeDOM 16/02/19 21:35:54 ID:2dmTD7Vs [4/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
デンジ「それにしても……メガシンカ、使って欲しかった物だな。まあいい。これで最後のジムバッジだな?」

アキラ「あ、はい」

デンジ「この街を北上して、223番水道を抜けたら、ポケモンリーグはすぐそこだ。今のお前たちなら、満足に戦えるだろうな」

デンジ「ま、頑張れよ」

アキラ「ありがとうございます」

アカリ「頑張ります! それじゃ、行こ、アキラ」

アキラ「ああ。対戦ありがとうございました!」

デンジ「こちらこそ」
 ▼ 933 1◆J44kAZeDOM 16/02/19 21:39:33 ID:2dmTD7Vs [5/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「ふう……つっかれたぁ」

アキラ「にしても、レントラーが好きな石……ねぇ」

アカリ「なんだろうね、これ。ま、いっか。取りあえず、回復したげなきゃ!」

アキラ「だな」


ポケモンセンター


ヒカリ「お疲れ、どうだった?」

アカリ「お姉ちゃん?! 行ったんじゃなかったの?!」

ヒカリ「いや、さ。2人がまだ持ってない秘伝マシン、あるかもしれないじゃん」

ヒカリ「チャンピオンロードとこの水道で、波乗り、滝登り、岩砕き、ロッククライム、怪力がいるんだけど」
 ▼ 934 1◆J44kAZeDOM 16/02/19 21:48:15 ID:2dmTD7Vs [6/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「え、そんなに?! アキラ、何持ってる?」

アキラ「えっと……岩砕き、居合切り、霧払い、空を飛ぶ……か」

アカリ「あたしは岩砕き、居合切り、霧払い、波乗り……」

ヒカリ「まあ、そんな事だろうとは思った。足りないのは怪力、ロッククライム、滝登りの3つね」

ヒカリ「はいこれ、秘伝マシン。2人で攻略するのかもしれないけど、それでも、滝登りだけは絶対2人とも自分の手持ちに教えさせた方がいいよ。後、波乗りも」

アキラ「はあ……トリトドンだな、波乗りと滝登りは。それと……」

アカリ「岩砕きはリオルでいいよね。忘れるのは嫌な音で。怪力は……レントラーの雷の牙がいらないかな」

アキラ「ロッククライムはゴウカザルに教えるか」

アカリ「んじゃ、リオルにまねっこしてもらうとしますか!」

アキラ「おい……」

ヒカリ「OK。じゃ、覚えさせて」

アカリ「と、その前に、まだ回復させてないんだよ! 行こ、アキラ!」

アキラ「お前がいきなり話しだすからだよ……」
 ▼ 935 1◆J44kAZeDOM 16/02/19 21:53:46 ID:2dmTD7Vs [7/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
さあて、もろもろ完了!

ヒカリ「じゃあ、あたしは、サターンと話し合って、プルートがいる場所を割り出して来るね。2人は……一旦ポケモンリーグまで行く?」

あ、そうか。

お姉ちゃんたちは知らないんだ。

だけど……。

レントラー、さすがに言っちゃダメだよね?

お姉ちゃん、リアリストだから、信じてくれるとも思えないし。

アカリ「そのつもり」

ヒカリ「頑張ってね。たぶん、今コウキ君とバトル出来ないだろうけど」

ヒカリ「事件が解決するまでは、だよね? わかってるよ。でも、1回行ったとこなら空を飛ぶで行けるしね」

ヒカリ「うん。頑張ってね。じゃあ、行って来る。フワライド! 空を飛ぶ!」
 ▼ 936 1◆J44kAZeDOM 16/02/19 21:58:27 ID:2dmTD7Vs [8/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
視点 レントラー

目が覚めたら、アカリたちが話していた。

アキラ「……言わないでよかったのか?」

アカリ「大丈夫。お姉ちゃんも、きっと、気付いてくれるよ。謎の場所の存在に」

アキラ「……今は、その大丈夫にはツッコまない。信じるっきゃないもんな」

アカリ「うん。よし、まずはデンジさんからもらったあの石、レントラーに持たせてみよっと。おいで! レントラー!」

不意にボールから出され、驚く。

なんだ? どうした? ここには、何もないぞ?

って言うか、俺たちは勝てたのか? いや、負けたな。ああそうだ。あいつ、俺にこう言った。

デレン「俺の勝ちだ」

じゃあ、再挑戦なのか。

で、特訓、と。
 ▼ 937 1◆J44kAZeDOM 16/02/19 22:02:56 ID:2dmTD7Vs [9/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「そういや言ってないな。あたしたち、引き分けだけど、バッジは無事ゲットしたよ!」

な!

引き分け……か。

向こうもワイルドボルトで、あれは反動きついからな。

アカリ「でね。デンジさんから、技マシンの代わりにこんなのもらったんだけど……レントラー、何かわかる?」

見せられた石ころに、俺は、思わず魅入った。

その石に、並々ならぬ力がこもっていて、それが流れ込んで来る。そんな感じだった。

アカリ「あ、気に入ってる。やっぱ間違いなかったんだ。デンジさん。はいこれ、レントラーに……」

アカリは、ヘアゴムを取り、それをちゃちゃっと組み替えて、ネックレスのような物を創りあげた。

アキラ「相変わらずそう言う事には器用だな」

アカリ「これでもあたし、女子だもーん!」
 ▼ 938 1◆J44kAZeDOM 16/02/19 22:06:00 ID:2dmTD7Vs [10/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アカリ「ま、それはともかく、この石付きのネックレスだよ、レントラー」

ほどいた髪をなびかせながら、アカリは、それを俺の首に巻き付けた。

アカリ「うん、似合ってる! じゃあ、戻って、レントラー」

アカリ「よし、これで準備完了。行こう!」

アキラ「だな」
 ▼ 939 1◆J44kAZeDOM 16/02/19 22:10:08 ID:2dmTD7Vs [11/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
視点 アカリ

アカリ「さて、行きますか、223番水道!」

アカリ「エンペルト! よろしくっ! 波乗りよっ!」

アキラ「トリトドン! お前も頼んだ!」

きっと、この先には、プルートがあたしを……と言うよりは、たぶんだけどロトムを待っていて、

あたしたちは、それと……アルセウスと、戦わなくちゃいけなくなる。

だけど。

アキラの横顔を見詰めて、思う。

アキラとなら……みんなとなら、絶対大丈夫!

アカリ「アキラ、よろしくね、最後まで」

アキラ「……ああ」
 ▼ 940 ニーゴ@ヘルガナイト 16/02/19 22:11:41 ID:2dmTD7Vs [12/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
当スレでの更新は本日で最後となります。

ここまでお読みくださりありがとうございます

続きは次スレ

レントラー「気が付いたらシンオウ1週してたんだが……」

になります

もう少しだけ、お付き合いお願いします
 ▼ 941 コリータ@しろいビードロ 16/02/19 22:13:37 ID:2dmTD7Vs [13/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
また、学生が避けては通れない例のあれが少しずつ迫りつつあるので、更新頻度が少し落ちるかもしれません

ご容赦ください
 ▼ 942 カマル@ギャラドスナイト 16/02/19 23:35:11 ID:2dmTD7Vs [14/14] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
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