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【スワップSS】ブニャット「誰がデブじゃオラァ」

 ▼ 1 ガヤンマ◆tNBlQV57Hs 20/04/08 10:25:53 ID:OY8wAmXA NGネーム登録 NGID登録 報告
このSSは「スワップSS祭2020」に参加していますので、続きは他の方が書きます
企画本スレ→https://pokemonbbs.com/sp/poke/read.cgi?no=1189712

レパルダス「で、何の用?お・ば・さ・ん?」

ブニャット「あ? なんやと? 破壊光線すっぞオラァ」

レパルダス「まぁまぁ、落ち着いて? 何のために私を呼び出したの? “おデブなおばさま”?」

ブニャット「それはな……」

ブニャット「テメェを潰すためだァ!!」ダーン!

レパルダス(s種族値106)「下らない。 私がちょっと頑張って逃げればおデブなあなたは追い付けないっていうのに…」スタタタタッ

ブニャット(s種族値112)「ウォォォォオオ!!」ドタドタドタ!

レパルダス「ファッ!?」

このSSは…

ブニャット「のしかかりィィ!」ニブニブニブ…

レパルダス「ふがぁっ!!」ドシーン!

動けるデブなとらねこポケモン…

レパルダス「嘘……私のすばやさ…遅すぎ……?」

ブニャット「やったぜ。」

ブニャットの物語である……
 ▼ 2 1◆N8Nz6gyiSo 20/04/13 20:38:46 ID:/UKsO/GA NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
このSSを書くことになった者です。
よろしくお願いします。
 ▼ 3 ルヴァディ@きょうせいギプス 20/04/14 12:52:56 ID:MikYFU9c NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 4 1◆N8Nz6gyiSo 20/04/19 18:06:55 ID:CuHszAvQ [1/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ブニャット「よし、これで1匹目……あと99匹か」

ブニャット「絶対に成し遂げねえとだな……」

レパルダス「成し遂げる……一体何を……?」

ブニャット「まーだくたばってなかったのか。テメェには関係ないだろ。そこで大人しく寝てな!」

レパルダス「うっ……ん……」パタ

ブニャット「……フン。のこのこついて来たバカな自分を恨むんだな」

ブニャット「さて、と。次の獲物を探すとするか……」フイッ



???「おいおいおいおいィ! なんだァ、今の生ぬるい"潰し"はよォ!?」


ブニャット「あ? ……んだ、テメェか。何しに来やがった、ペルシアン?」

アローラペルシアン「質問してんなァこっちだぜェ? おめェの初めての"潰し"をよォ、わざわざ見に来てやったんだよォ!」

ブニャット「んーだそりゃ、暇なのかテメェ」

アロペル「おォ? 俺様直々に"潰し"を教えてやるってんだよ。もっとありがたく思えよなぁ?」
 ▼ 5 1◆N8Nz6gyiSo 20/04/19 18:07:15 ID:CuHszAvQ [2/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アロペル「"潰し"ってなァな、もっと残酷に、悪逆非道にやるもんなんだぜェ? 今みてーなぬるいバトルはよ、"潰し"の内に入んねーんだよォ!」

ブニャット「テメェらの言う"潰し"ってのはイマイチ意味が分かんねーんだよ。それに……」

ブニャット「この厄介なキカイが判定してくれんじゃねーのか、その"潰し"ってのはよ」

アロペル「……ふっ、くく……おォ、おめェのその短い足じゃァ届かねえからなァ。よォく似合ってんじゃねェか、俺様の作った『潰し測定器』。ハハハ」

ブニャット「チッ……」

アロペル「そいつぁ自信作だからよぉ、おめェの"潰し"の状況を事細かに追跡できんだァ。取り外すには"潰し"を100回やらなくちゃならねェ。無理に外そうとしたり、不正を働いたりしたら、分かるよなァ?」

ブニャット「……」

アロペル「くくく、おめェの可愛がってるアイツは、今うちの奴らが代わりに可愛がってやってるからよォ。安心して"潰し"回れよなァ。うちのボスはおめェを一役買ってんだぜェ?」

ブニャット「……そうかよ。なら……、テメェを潰すのも回数に入るんだろうなあ!!」バッ

アロペル「おぉっとォ」ヒョイ

アロペル「無駄だぜェ、おめェの速さは俺にゃァ届かねーんだからよォ!」

ブニャット「……くそがっ」

アロペル「おいおいおいィ……俺たちに歯向かってただじゃ済まされねェのは、おめェだけじゃねェんだかんなァ? あのニャスパーがどうなってもいいのかァ?」

ブニャット「っ……」

アロペル「おめェは俺達に従うしかねェってことだよォ!」

ブニャット「下衆野郎が……」

アロペル「ハハハ、理解したんならせいぜい頑張れよなァ! 俺様は優しいからよォ、今回のことには目を瞑っといてやる。だが今回だけだ。次からは容赦せず、ケジメってもんを教えてやらァ。じゃーな!」タタッ


ブニャット「……くそっ!」ダンッ

レパルダス「ねぇ、今のどういうことなの?」

ブニャット「!?」ビクッ
 ▼ 6 1◆N8Nz6gyiSo 20/04/19 18:08:18 ID:CuHszAvQ [3/5] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
レパルダス「どうしたの、顔が不細工よ?」

ブニャット「な、テメ、くたばってたんじゃ……」

レパルダス「あなたが『大人しく寝てな』って言うから、そうしていたのよ」

ブニャット「は?」

レパルダス「私、こう見えて結構タフなのよね。昔からこういう荒事に巻き込まれてばっかりだったから」

ブニャット「いや、だとしても流石に……。お前……。バカじゃねえのか……?」

レパルダス「なによ、あなたも私をバカにするわけ? そっちだってデブじゃない!」

ブニャット「そこで張り合われてもな……。や、そうか、やけに素直について来るんだなとは思ったが……」

レパルダス「デブって言われて嫌じゃないの……?」

ブニャット「別に……言うほど太ってねーんだよオレは。テメェなんかにオレの渾身ののしかかりを耐えられたことの方がよっぽどショックだわ」

レパルダス「そりゃあね。あんなので一々倒れていたら、命がいくつあっても足りないもの」ケロッ

ブニャット「お前……変なやつ……っていうか、不気味なやつだな」

レパルダス「あら、急に襲い掛かって来るおばさまに言われたくはないわよ」

ブニャット「おばさまだぁ? しばくぞコラ」

レパルダス「そこは気にするのね……」
 ▼ 7 1◆N8Nz6gyiSo 20/04/19 18:08:43 ID:CuHszAvQ [4/5] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
レパルダス「……で、なんだったのよ、さっきのヤバそうなやつは。あなたはどうして私を襲ってきたの?」

ブニャット「…………。テメェには関係ない」

レパルダス「いやいやいや、私、被害者よ? 関係大有りじゃない? 今ここで一人で背負い込もうとするにはちょっと無理があるわよ? それにあんな……ねぇ」

レパルダス「まるで 小さいころから面倒を見ていたニャスパーがヤバめのチンピラ組織に人質として攫われてしまい、ニャスパーを解放するための条件としてポケモンを100匹"潰す"ことを強いられ、その標的の最初一匹として私が襲われることになって、その様子を見に来たチンピラ組織の幹部的な立ち位置のやつに変な因縁をつけられた みたいな状況を見たら、説明してほしくもなるわよ」

ブニャット「……。はぁ、そりゃあんだけベラベラ喋ればそうなる……なるのか? ……まあそうだけど」

レパルダス「やっぱり? 私、勘だけは良いのよね」

ブニャット「なんかお前ワザとボケてねーか……?」

レパルダス「私、勘だけは良いのよね」

ブニャット「なんで2回言ったんだ」
 ▼ 8 1◆N8Nz6gyiSo 20/04/19 18:09:26 ID:CuHszAvQ [5/5] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
レパルダス「……でもそう。ニャスパーちゃんがね。……あなたの子なの?」

ブニャット「いいや。アイツとあったのは成り行きで……くそ、同情なんかすんじゃねーぞ。テメェなんかとはもともと住んでる世界が違うんだ」

レパルダス「……? 別の世界の方?」

ブニャット「察しは悪いんだな……」

ブニャット「オレもアイツも、お前と同じ明るい日々を暮らせてるわけじゃねえってことだよ。……何でこんなことお前に話さないとなんねーんだ」

レパルダス「え、あなたが勝手に話してるんじゃないの。別にわざわざ本当のことを言う必要なんてないのに」

ブニャット「お前……オレをコケにするのも大概にしろよ。いい加減にしないと本気で殴るぞ?」

レパルダス「あら、別にいいわよ。あのくらいの攻撃、いくら食らっても同じだもの。私はただなんとなく、あなたが何か話したいことがあるんじゃないかって思っただけよ」

ブニャット「……」

レパルダス「……」

ブニャット「ふん、まあいい。同じ奴を2回"潰し"てもカウントされないらしいからな……」

ブニャット「そうだ……最後のついでにひとつだけ教えてやるよ。おまえの『勘』だが、ちょっと足りてねえ部分がある」

レパルダス「足りてない部分?」

ブニャット「あいつらが"潰し"をしろって言ってるのはな、目についたあらゆるポケモンに対して、というわけじゃない。お前みたいな痩せこけた、……"スリム"なポケモンだけなんだよ」

レパルダス「え……」

ブニャット「話は終わりだ。これ以上のことが聞きたければ、またのこのこついて来るんだな。もっとも、ついて来れればの話だが」クルッ

レパルダス「あ、ちょっと」

ブニャット「あばよっ」シュタッ




レパルダス「……」

レパルダス「スリムなポケモン……。それって、やっぱり……」
 ▼ 9 1◆N8Nz6gyiSo 20/04/25 23:08:48 ID:g8TMYZj. [1/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――――数時間後


ブニャット「くそっ……狙えそうなポケモンが全然いねえじゃねーか」

ブニャット「痩せこけたやつか太ったやつ、たまに健康そうなのを見つけても、すぐに人間が寄ってきて邪魔をしやがる」

ブニャット「こんな街中じゃダメだな、もっと郊外に出ないと。……しかしもう日が暮れてずいぶん経つ」

ブニャット「潮時か……。アイツに顔を見せないとだしな」
 ▼ 10 1◆N8Nz6gyiSo 20/04/25 23:09:12 ID:g8TMYZj. [2/5] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
――――中心街の裏路地


ニューラA「"猫潰し組"にやべー新人が入ってきたって噂、本当なのか?」

ニューラB「シッ、バカ、ここはそいつらのアジトのすぐ近くだぞ……!」

ニューラA「すぐ近くったてよ、あいつら俺らに興味なんてないだろ」



――――人の目も、陽の光も届かない狭暗い広場


ニャヒート「東区域の厄介な野良猫ども、アネキが直接潰してきたんだって?」

ニャビー「ええ。骨のない奴らでしたよ。筋肉質なだけで、熱もパワーも今一つ」

ニャヒート「そうか。しかし恐ろしいヒトだな、あんなに華奢な体なのに、どうしてああも強いものか」



――――そこに建つ、一棟の古ぼけた民家


アローラニャースA「おい、飯だぞー」



――――その隅にある、換気の悪い狭い個室


アローラニャースB「おう、遅かったね。……まさか、また凝ったメニューで作ったのか?」

アローニャA「仕方ないだろー? 人質の分だからって、うちの上司のこだわりは変わんないんだよ」

アローニャB「ああそうかい。ま、お噂はかねがね聞いてるよ。じゃ、食わしてやんな」スッ

アローニャA「おうよ。……やいお前、待たせて悪かったな。冷めねえうちにたんと食いな」ゴト

アローニャB「しかしこの量、食べ切れるのかね……」
 ▼ 11 1◆N8Nz6gyiSo 20/04/25 23:09:37 ID:g8TMYZj. [3/5] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
――――5分後、裏路地


ニューラA「おいあいつ、……例の新人じゃねえか?」

ニューラB「でけえな……確かにやばそうだ」

ニューラA「げ……一瞬目が合っちまった。ありゃあ何匹かやってる目つきだぜ……」



――――同刻、広場


ニャビー「そう言えば、使えそうな新人が入ったんでしたっけ?」

ニャヒート「ああ。……お、ちょうど帰ってきたみたいだぞ。ほら、あれだ」

ニャビー「うわ、すごいガタイですね。羨ましい……」

ニャヒート「まったく。ボスもよくあんな奴を引き入れたよな。流石だぜ」



――――同刻、民家


アロペル「おい、ボス……」

アロペル「おい、起きろガオガエン。奴が返ってきたみてェだぞ」



――――同刻、狭い個室


アローニャB「お、お、こいつ、よく食うじゃねえか」

アローニャA「すげーな、まだ5分くらいしか経ってねえだろ。もう平らげちまいそうだ」

アローニャB「こいつは将来有望だな……。さすがボス、見えてる世界が違うぜ」
 ▼ 12 1◆N8Nz6gyiSo 20/04/25 23:10:03 ID:g8TMYZj. [4/5] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
――――数秒後、居間

――


ドスドスドスドスドス……


ドスドスドスドスドス……


ダン!


ブニャット「おいガオガエン! ニャスパーはどこだ!」


ガオガエン「……あー」

ガオガエン「んだ。お前か。騒がしいやつだな」

アロペル「おい、うちのボスは今休憩中なんだ。あんま喚くんじゃねェ」


ブニャット「いいからとっとと教えやがれ!」


ガオガエン「……あー」

ガオガエン「お前、今日で何匹潰したんだ?」

ブニャット「あんだ……? チッ……。一匹、潰してやったよ」

ガオガエン「一匹? んーだ。そんなもんかよ」

ブニャット「っせーな……。明日はもっと潰してきてやんよ」

ガオガエン「……あー」

ガオガエン「まあ、上手くやれよな。約束は守るから」

ブニャット「……」

ブニャット「で、ニャスパーはどこに居んだ」

ガオガエン「……あー。……んー」

ガオガエン「……誰か、他のやつに聞いてくれ」
 ▼ 13 1◆N8Nz6gyiSo 20/04/25 23:10:27 ID:g8TMYZj. [5/5] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
――――60秒後、狭い個室


ドスドスドスドスドス……


アローニャA「……ん? なんだ、地震か?」


ドスドスドスドスドス……


アローニャB「ああいや、たぶんアイツが来たんだろう」


ガラ!


ブニャット「ニャスパー! 無事か!?」

アローニャB「おっと、それ以上近づくなよ。……まあ、近づいても無駄なんだけどな」

ブニャット「こんな狭っ苦しい場所に閉じ込めやがって!」

アローニャB「そりゃお前の場合は、だろ。こいつにはこのくらいが丁度いいさ。この、ペルシアンさんの設計した座敷牢がな」

ブニャット「いいからどきやがれ! おい、ニャスパー! 大丈夫なのか!」


ニャスパー「……うぅ。お、お姉さん……?」


ブニャット「おいどうしたんだ!? 苦しいのか!?」

アローニャA「そりゃああれだけ勢いよく腹に詰め込んだんだ。無理もねぇよ……」

ブニャット「腹に? いったい何を!?」

アローニャA「料理長特製、カロリーたっぷりお化けカレーだ」
 ▼ 14 1◆N8Nz6gyiSo 20/04/28 00:12:19 ID:aDSMoON2 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――――同刻、居間


アロペル「なんだよガオガエン、もうちょっとアイツに興味があるもんだと思ってたぜェ?」

ガオガエン「うっせーなぁ。お前が教えてきたんだろ、あいつの身体は『ミセカケだ』って」

アロペル「初めてブニャットを見たときはお前、目ぇ輝かせてわくわくしてたのになァ」

ガオガエン「……あー。……やめろやめろ」

ガオガエン「お前がヤツをここに置いとこうっつったのは、もっと壮大な計画があるからなんだろ?」

アロペル「そう」

アロペル「……まったく、いいタイミングで現れてくれたもんだ。この計画が遂行されれば、"猫潰し組"はさらに強大になるぜ」

ガオガエン「“南の森”に赴く日も近い……か。そう上手くいくもんかね」

アロペル「俺とお前が揃えばきっとな。昔からそうだっただろ? 今回も上手くやれるはずだ」

ガオガエン「そーかい。……ま、頼りにしてるぜ、相棒」
 ▼ 15 ガヤンマ◆tNBlQV57Hs 20/04/28 17:43:39 ID:tJowAuzQ NGネーム登録 NGID登録 報告
俺の予想してたのと全く違う方向に進む………
でもそれがスワップSSの面白さだよね!
支援!
 ▼ 16 1◆N8Nz6gyiSo 20/04/30 02:45:33 ID:zNKw3Y0o [1/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――――狭い個室


ニャスパー「お姉さん……。ごめんなさい、ボクのせいでこんな……」

ブニャット「ニャスパー……」

ブニャット「……」

ブニャット「気にするな、お前のせいじゃない。悪いのは、……こんな場所に閉じ込めやがったくそ野郎と、あのときお前を守れなかったオレだ」

ニャスパー「でも、あのときはボクが勝手に……」

ブニャット「いいよ。オレも、忘れてたんだ。この世の中が、そんな優しい世界じゃないってことを……」

ニャスパー「……」

ブニャット「……」




アローニャA「な、なあ。アイツらって、どういう関係なんだ?」

アローニャB「さあ。あのニャスパーが俺らのシマに入って来たのを、ペルシアンさんが捕まえたんだと。そうしたら、あのブニャットが血相を変えて飛んできたらしい」

アローニャA「家族ってわけじゃなさそうだけどな……」




ニャスパー「お姉さんはどうして、ボクなんかを守ってくれるの?」

ブニャット「……」

ブニャット「いいんだよ……そういうことは気にしなくて」

ニャスパー「……。優しいんだね……お姉さんは」

ブニャット「オレは……っ。……いや、自分勝手なだけだよ、オレは……」


ブニャット「もう寝とけ。腹も落ち着いただろ」

ニャスパー「うん。……おやすみなさい、お姉さん」

ブニャット「ああ。おやすみ」

ニャスパー「……」

ブニャット「……」
 ▼ 17 1◆N8Nz6gyiSo 20/04/30 02:48:05 ID:zNKw3Y0o [2/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アローニャB「おい、ちょっと、……おい!」

ブニャット「……んだよ、っせーな」

アローニャB「お前の寝床はここじゃねーんだよ、組員の寝室は向こうだ!」

ブニャット「あ? オレがここで寝てなんか問題があんのかよ」

アローニャB「人質用の牢の前で寝る奴があるかよ! 仕事の邪魔だから、とっとと向こうへ行ってくれ!」

ブニャット「うるせーって! ニャスパーが起きるだろうが!」


???「なんだい騒がしいね!!」ガララ


ブニャット「あん?」

アローニャB「アネさん!」

アローニャA「マニューラのアネキ!」
 ▼ 18 1◆N8Nz6gyiSo 20/04/30 02:48:53 ID:zNKw3Y0o [3/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
マニューラ「何時だと思ってんだい! アンタら夜行性だからって夜中まで騒いでると、すぐヘロヘロになって死んじまうよ!」

アローニャB「んな、俺ら真面目に仕事してただけっすよ」

マニューラ「じゃあなんで廊下までドラ声が響き渡ってんだい」

アローニャA「こ、こいつっすよ。牢の前から離れようとしなくて……」

ブニャット「……」

マニューラ「あんた……最近入った新入りだね? こんな時間になにしてるんだい?」

ブニャット「あ……? オレのニャスパーをここに閉じ込めてんのはお前らだろ。オレがここに居て何が悪いってんだ」

マニューラ「良い悪いの話じゃないよ。ウチじゃあそれが規則だ。あんたも"猫潰し組"の一員なら、組のルールに従ってもらうよ」

ブニャット「テメェらの仲間になった憶えはねえ! こんな檻さえなけりゃあなぁ、テメェらなんざさっさと叩きのめしてここを出ていってやってんだよ!」

マニューラ「ほおん。叩きのめして、ね。……なんなら、今ここで試してみるかい?」

ブニャット「んだと……。言ったな、後悔すんなよ……?」ノソリ

マニューラ「はっ、あんたなんざ、腕一本で十分だよ」

ブニャット「ああ? 嘗めてんじゃねえぞ……」
 ▼ 19 1◆N8Nz6gyiSo 20/04/30 02:51:20 ID:zNKw3Y0o [4/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ブニャット「いくぜ……。テメェから誘ってきたんだ、テメェを殴っても、ルール違反にはならねぇよなァ!」シュバッ

マニューラ「……遅いね」スルリ

ブニャット「シッ!」ブン

マニューラ「ふん」ガシィ


アローニャA「すげぇ、あの巨体を腕一本で止めてる……」


マニューラ「軽いね。こんなもんかい?」

ブニャット「くそ、がっ!」ガンッ

マニューラ「床を壊すなよ? まあ、壊せたらの話だがね」

ブニャット「フッ、シッ、オラァ!」ブンッブンッブンッ

マニューラ「んー……?」サッサッサッ

ブニャット「避けんなコラ!」シュッ

マニューラ「ふんっ」ガシィ
 ▼ 20 1◆N8Nz6gyiSo 20/04/30 02:51:52 ID:zNKw3Y0o [5/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アローニャB「さすが姉さんだ……あの猛攻をあんな簡単に捌けるもんなのか……」


マニューラ「遅いうえに軽い。おまけに単純だ。……あんた、思ったより大したことないね?」グググ…

ブニャット「んだァ? 当たりさえすればてめえなんざ!」ブンッ

マニューラ「さっきから当たってるだろう。右腕だけだけどね」パッ

ブニャット「……食らいやがれ、のしかかり!」シュバッ

マニューラ「ったく……」シュッ

…ドゴッ


アローニャB「入った! アネさんの猫潰しパンチ!」


ブニャット「……っ!? ……!?」

ブニャット「っが……っ!」

マニューラ「床を壊すなってんだ……、よっ!」ブォン

ブニャット「うおぉ……!?」


アローニャA「投げた!?」


ブニャット「うおおおおぉぉぉ!!?」ゴォォォ


……ガッシャーン!!!


ブニャット「う……かはっ」

ブニャット「く、……っそ」バタ
 ▼ 21 1◆N8Nz6gyiSo 20/04/30 02:53:43 ID:zNKw3Y0o [6/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
マニューラ「おい、……まさか、もう終わりかい?」

ブニャット「……」

マニューラ「……そうかい。パワーもなけりゃ、体力もないんだね」



マニューラ「アンタら、コイツを運んでやんな」

――――

アローニャA「へ、へい……!」

――――

……く……そ……

――――

アローニャB「壁、壊れてないよな……?」

――――

くそ……くそ……

――――

アローニャA「よし、持ち上げるぞ。いっせーの……」

――――


ニャスパー……お前は……


――――
 ▼ 22 ガヤンマ◆tNBlQV57Hs 20/04/30 20:07:18 ID:TjcgvYPc NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 23 1◆N8Nz6gyiSo 20/05/02 03:50:38 ID:/GzA.E7k [1/36] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

――
―――
――――



「お母さぁん……! お母さぁん……!」


この町は、天気の良い日が多い。

ニャスパーと出会ったのも、ある晴れた日の昼下がりだった。

薄暗い路地裏でオレは、小さなダンボール箱に入れられてしきりに母を呼んでいるポケモンを見つけた。

不安に怯え、引きつった顔は涙に濡れ、頬にある小さな古傷がそのみすぼらしさを助長していた。

ニャスパーの呼ぶ母親が人間のことだということを、オレはそのとき直感的に理解した。

……そうか、こいつも捨てられたのか。

この町では少ないことではない。貧富の差の激しい町で、人間の理不尽に曝されたポケモンは、孤独のまま命を消費するか、醜く生き続けるかの二択を迫られる。




「おいお前、ついて来いよ。食い物くらいは分けてやる」

意図せず口から零れたその言葉は、善意でも、復讐心からでもなく、可哀そうな自分を慰めるための、ただの身勝手なエゴだった。


――――
 ▼ 24 1◆N8Nz6gyiSo 20/05/02 03:55:02 ID:/GzA.E7k [2/36] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ニャスパーは不思議な奴だった。

泣いていた顔が嘘だったのかと思うほどに、普段からその表情は硬く、使える技も「バリアー」だけだという。

しかしそれから数日ほどもすると、ニャスパーはだんだん落ち着いてきて、環境の変化にも慣れ始めたらしかった。

初めは無理やり連れまわしていた幼子が、今では自らオレの傍へ寄って来てくれる。

オレはそんなニャスパーに、心地の良い安堵の様なものを感じていた。





季節外れの長雨が降った日の翌日、寝床が浸水して使えなくなってしまったオレは、しばらく身を置ける場所を探して町を歩いていた。

天気は良好で、なんとも気持ちがいい。

後ろをついて来ていたニャスパーが、「あ」と小さな声をあげた。

「どうした?」と聞くと、ニャスパーは立ち止まり、きょろきょろと辺りを見渡してから「ううん」とだけ言ってまたオレの後をついて来た。

それから程なく歩き続けて人気の少ない空き地に着くと、地面の乾いた日向を選んで、オレはそこに座り込んだ。

「ここなら少しは休めるだろ」

雨と遠出で疲弊していたオレが、次第にぼんやりとしていく思考で今日の夕餉のことを考えていると、少し遠くの方からニャスパーの声が聞こえた。

「お姉さん、ボク、ちょっとこの辺を見てきてもいいかな」

「……あんまり遠くへは行くなよ」

そう答える自分の声すらも遠のいて聞こえてきたような気がしたが、そんなことに気づく間もなくオレは眠ってしまっていた。


――――
 ▼ 25 1◆N8Nz6gyiSo 20/05/02 04:01:47 ID:/GzA.E7k [3/36] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ハッとして頭を上げると、太陽はすでに西の空に浮かんでいた。

辺りを見渡すと、ニャスパーの姿がない。

……まだその辺をうろついているのか?

オレの背筋をヒヤリとしたものが走る。


オレはまず、空き地の中を隈なく探した。

民家を囲む塀の上。背の高い草むら。狭い排水溝の中。

大声で名前を叫んでも、返事はなかった。

それからオレは空き地を飛び出し、道の上で昼寝をしていたポケモンの首根っこを捉えてニャスパーの行方を尋ねた。

そいつは早口で「見た、見たっ」と答え、道の先を指で示す。

聞けば、その周辺に住むポケモンはあまり近寄ろうとしないエリアだという。

オレはそいつを放り出すと、そこへ向かってまた走り出した。

その重苦しい雰囲気に包まれた路地は、一見周りの市街地と景観にそこまでの差異はないように思えた。


しかし、奥へ進むにつれて道に散らかるゴミが増え、ポケモンたちの臭いが濃くなっていく。

道の先から、がやがやと野次の混じった喧騒が聞こえて始めた。

続いて、幼いポケモンの微かにうめくような声が聞こえる。

一つ先の曲がり角だ。

喧騒が大きくなってゆく。

曲がり角で顔を横に向けると、喧騒の正体を目にすることができた。

群れを成し、道をふさぐほどに集まったニャース(いろんな姿のやつがいた)たちが、口々に大声で何か叫んでいる。

「侵入者だ!」「俺たちの食糧を盗もうとしたぞ!」

その群衆の中心、ニャースたちが声を飛ばす先には、台のような足場が置かれ、その上には一匹のアローラペルシアンが立っていた。

そのペルシアンの口の中で、恐怖に怯え絶望に顔を歪ませたニャスパーが、小さな体を震わせていた。



――――
―――
――
 ▼ 26 1◆N8Nz6gyiSo 20/05/02 04:05:57 ID:/GzA.E7k [4/36] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
???「あ、目が覚めました? 心配しましたよ、急にうなされだしたから」

ブニャット「ん……、誰だ?」

???「私はエネコロロと言います」


エネコロロ「この"猫潰し組"で医療班兼雑務を務めています。初めまして、ブニャットさん」

ブニャット「……ここは?」

エネコロロ「戦闘員用の屯所です。あなたは昨晩、気絶した状態でここへ運び込まれたんですよ」

ブニャット「気絶……。そうだ、ニャスパーは……?」

エネコロロ「はい。先ほどあなたより少し先に起きたそうです、今はちょうど朝ごはんを食べている頃だと思いますよ」

ブニャット「ニャスパー……!」ガバッ

エネコロロ「あ、ちょっと、ダメですよ。そんなに急に起き上がったら、いくら軽傷でも体を痛めてしまいます」

ブニャット「うるさい! そこをどけ……!」

エネコロロ「今あの牢屋のところへ行っても、ニャスパーさんはいませんよ」

ブニャット「なんだと?」

エネコロロ「……昨夜のあなたの行動を鑑みて、彼の監視ルームは別の場所へ移すことになったんです」

ブニャット「どこへだ……?」

エネコロロ「……教えることはできません」

ブニャット「だったら探すだけだ……こんなたいして広くない建物くらい……」

エネコロロ「あなたのニャスパーさんへの面会も禁止になったんです。……組織のルールを破れば、罰則は免れません。……もちろん、ニャスパーさんへも」

ブニャット「……なんだと」

エネコロロ「……彼の安全と健康は私たちが保証します。どうか受け入れてください」

ブニャット「ぐ……」


エネコロロ「……。それだけ元気なら、多少の移動くらい問題はなさそうですね」

エネコロロ「ブニャットさん、あなたにここ、"猫潰し組"本部を案内せよとの指令を受けています。私についてきてください」
 ▼ 27 1◆N8Nz6gyiSo 20/05/02 21:14:29 ID:/GzA.E7k [5/36] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――――"猫潰し組"本部

――――地下


ガオガエン「これが"猫潰し組"戦力増強計画のテスト規格施設、ね。……ちと仰々しすぎやしねえか?」

アロペル「試験データを取得するためだ。戦力増強と言っても、正しくは新兵器の開発、その最終テスト用の施設だからな」

ガオガエン「新兵器か……。お前、まるで人間どもみたいなことを言うようになったよな」

アロペル「おいおい、俺の目的を忘れちまったんじゃねェよな?」

ガオガエン「……あー、"発明で人間を超える"だろ? 夢のデカさなら、お前がウチで一番だよ」

アロペル「ああそうだ。……そしてこれは、俺たちポケモンが使ってこそ意味を持つ武器になる発明だ」

ガオガエン「その兵器の鍵となるのが、あのニャスパーね……」

アロペル「そう。……まったく、いいタイミングで現れてくれたもんだ。出来過ぎなすぎなくらいだぜ」

ガオガエン「俺には何がどうしてあのチビが関係するのかよく分からんが、お前がそう言うんならそうだと信じるまでだよ」

アロペル「ああ。俺様に任せとけよ、ボス」


――――
 ▼ 28 1◆N8Nz6gyiSo 20/05/02 21:21:26 ID:/GzA.E7k [6/36] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――――

――

エネコロロ「はい……っ。これで、本部棟内の案内はだいたい終わりです。把握できましたか?」

ブニャット「まあ、……だいたい分かったよ」

エネコロロ「良かったです」ニコッ


エネコロロ「ブニャットさん、あなたには不本意なのかもしれませんが、"猫潰し組"に入ったからにはあなたも私たちの大切な仲間なんです。困ったことがあったら、なんでも言ってくださいね」

ブニャット「……。……あんたは」

エネコロロ「はい?」

ブニャット「あんたはどうして、こんな組織に入ったんだ……?」

エネコロロ「ああ……」

ブニャット「こんな、……短時間の付き合いじゃ、判断のしようもないが、その……」

エネコロロ「……それは、私がこんな所にいるようなポケモンには見えない、ということですか?」

ブニャット「ん、まあ……いや……」

エネコロロ「……ふふ。良いんです。よく言われるんですよ。この仕事は向いてないよ とか、もっと別の居場所はなかたのかって。自分でも時々思いますもん」

ブニャット「そ、そうなのか」

エネコロロ「はい。でも……」

ブニャット「……でも?」

エネコロロ「……ここへ来る理由。たくさんのポケモンたちがいて、理由はみんな違うんです。お金が欲しいとか、強くなりたいからとか。出世して、偉くなりたいから。不真面目でいたいから。捨てられて、居場所がないから。生きているのに辛いから」

ブニャット「……」

エネコロロ「"猫潰し組"は、この町で一番大きな裏組織です。だからその分、意味や役目もたくさんあるんです」

ブニャット「……そうか」

エネコロロ「はい」
 ▼ 29 1◆N8Nz6gyiSo 20/05/02 21:25:10 ID:/GzA.E7k [7/36] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ブニャット「ん……なあ、あんたさっきから『たくさん』だとか言ってるけど、本当にここはそんなに大きい組織なのか?」

エネコロロ「あら、知らないのですか。あなたのような方なら、てっきりよくご存じなのかと思っていましたけど」

ブニャット「……悪かったな」

エネコロロ「……? まあ、すぐに分かりますよ」


エネコロロ「さっき私は、『本部棟内の案内は終わり』とは言いましたけれど、……ほら、外の広場の方、なんだか騒がしくないですか?」

ブニャット「たしかにそう言われると……」



エネコロロ「ふふふ。さ、こっちです。ついて来てください」スタスタスタ

ブニャット「……」テクテクテク

エネコロロ「実は、本部で寝泊まりしている組員は、そんなに多くないんです。多くの組員は自分の住処を持っていて、朝のこの時間になるとみんな本部に集まってきます」スタスタスタ

ブニャット「なぜ?」テクテクテク

エネコロロ「その理由が……、この扉の先にあるんです」ピタ


エネコロロ「じゃあ、開けますね……」
 ▼ 30 1◆N8Nz6gyiSo 20/05/02 21:30:19 ID:/GzA.E7k [8/36] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

――


「おいおい、肉料理がぜんぜん減ってねぇぞ! もっと食えお前ら!」

「米、パン、麺、シリアル、スナック、ランダム、オール。お前どれにする?」

「バランスよく食べろテメーら! ただし炭水化物・脂質・タンパク質が最優先だ!」

「アンタもうちょっと落ち着いて食べなよ。料理は逃げないよ?」

「いいや、俺に盗られないよう気をつけるべきだね!」

「やっぱ今期のきのみは実りが良いな。みろよ、こんなにでけーオレンは初めてかもしれねぇ」

「春先から暖かかったからねぇ」

「目玉焼きには何が合うと思う? 塩、コショウ、醤油、ソース、ケチャップ、マヨネーズ……」

「うーん、とりあえず全部!」

「こら! 朝食への酒の持ち込みは禁止だぞ!」

「匂いだけだよォ〜」

「おいそこ! タレの二度付けも禁止だ!」

「うぇっぷ……も〜食えねぇぞぉ」

「よーし、食ったやつからさっさと働け! とっとと消化・吸収だ!」


――




ブニャット「すげぇな……なんだこりゃ……」

エネコロロ「この広場は、組の集会所兼食堂になっているんです。毎日決まった時間になると、このように料理や食材が提供され、組員ならだれでも好きなだけ食べることができます」

ブニャット「好きなだけ……」

エネコロロ「これも私たちの組織が、"食のギャング"と呼ばれる所以の一つです。組長のガオガエンさんは『食わざる者、働くべからず』を組のモットーとして、食料の安定した生産・確保・供給を目指し、それを私たち組員の尽力によって実現させているんです」

ブニャット「ニャビーにニャヒート、ニューラもいるな……こんなにたくさんいたのか」

エネコロロ「今来ているのは昼の部隊ですね。主にニャースたちで構成される夜の部隊も、彼らと同じくらいいて、"猫潰し組"の構成員の数は、優に百を超えています」

ブニャット「そりゃすげぇ……」

エネコロロ「ふふふ。では、私たちも食事にしましょう。あなたは昨日の晩御飯を食べていないと報告されていましたよ。それも厳罰ギリギリなんですからね」

ブニャット「……イマイチ訳の分からん組織だ」
 ▼ 31 1◆N8Nz6gyiSo 20/05/02 21:32:08 ID:/GzA.E7k [9/36] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

――
―――
――――


『ねえニャルマー、あんまり食べても太ってしまうわ。今日はこのくらいにしておきましょう?』

「ニャマ」

『うふふ。……あなたは本当にいい子ね、ニャルマー』

「ニャンマ」

『そうだわ、今度お父様にお願いして、服を買いに行きましょう。あなたの服も一緒に買うの。あなたは綺麗だから、きっとどんな服でも似合ってしまうわね』

「ニャル〜」

『うふふふ。楽しみね』

「ニャア!」



……うふふ。

……ふふふふふ。


――――
―――
――
 ▼ 32 1◆N8Nz6gyiSo 20/05/02 21:33:14 ID:/GzA.E7k [10/36] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ブニャット「う……っく。もう食えねえ……」

ブニャット「……」

ブニャット「確かに、こんだけの食料にありつけるなら、ニャスパーも腹を空かせる心配はないかもしれないな……」

ブニャット「あー……しかし、こってりしたもんばっかだったな。水が飲みてえ……」


エネコロロ「ブニャットさーん」

ブニャット「あー? なんだあ?」

エネコロロ「ペルシアンさんがお呼びです。リビングルームの右にある彼の部屋へ来いとのことです」

ブニャット「分かった。だがちょっと待ってくれ……腹が苦しくて、それに喉も乾く……」

エネコロロ「あら。じゃあ、今お水汲んできますよ、少し休んで、落ち着いたら向かってください」

ブニャット「すまん、恩に着る……」
 ▼ 33 1◆N8Nz6gyiSo 20/05/02 21:39:13 ID:/GzA.E7k [11/36] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――――数刻後、ペルシアンの部屋


ブニャット「きたぜコラ、何の用だ?」

アロペル「おっ……っそかったなァ! どんだけ待たせやがんだてめェ! 脚だけじゃなく行動もトロいのかァ?」

ブニャット「テメェは相変わらずバカみてぇな喋り方だな。オレは今腹が膨れて気分が良いんだ、ちったぁのんびりさせやがれ」

アロペル「気分が良いだァ? 連れの心配もしねェで、呑気なもんだなァ」

ブニャット「ニャスパーに何かしやがったのか!!!?」

アロペル「おーおー。そんなでけェ声出すなよなァ。なーんもしてねェよォ。お前も薄々分かってきてるだろうが、意味の伴わねェ暴力はうちのボスの好みじゃねェんだよ」

ブニャット「意味の伴わねぇ暴力ぅ? オレを意味もねぇクソみたいな条件で縛ってんのはテメェらだろ」

アロペル「意味ならあんだろォ。人質解放と交換できるって意味がよォ」

ブニャット「チッ……イカレてやがるぜ」


アロペル「聞いたぜ、お前、昨日マニューラとバトったんだってェ? どうだった」

ブニャット「……んだよ、その話がなんか関係あんのかよ」

アロペル「つええだろアイツ。強さだけで幹部にまで伸し上がった奴だかんなァ。

ブニャット「フン……」


アロペル「お前に課したルールなァ、あれは元々マニューラが考え出したものなんだ」

ブニャット「なに……?」

アロペル「"スリム"なポケモン100匹を潰すこと。……奴は、普段は誰にでも分け隔てなく接する姉御肌だが、自分と同等或いはそれ以上に良い体型を持つポケモンを、異常なほどに忌避する一面がある」

ブニャット「体型の良いポケモンを、……忌避だ?」

アロペル「自分以外に"スリム"なポケモンは要らねェって考えてんだ。早ェ話が、超が付くほど同族嫌悪ってところだな。うちのボスの思想とは、うまく噛み合ってるみてェだが」

ブニャット「それであんな意味不明な条件になったのか。……いや、説明されても意味分かんねぇケドよ」
 ▼ 34 1◆N8Nz6gyiSo 20/05/02 21:45:42 ID:/GzA.E7k [12/36] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アロペル「それでオメェ、今後どーやって条件を満たすポケモンを探すつもりだ?」

ブニャット「……そんなポケモンはこの町じゃそうそう見つからなかった。……だから、今日は郊外へ出て探すつもりだ」

アロペル「そうだな。組織の力は、この町の全域に及んでいる。そんな中でまだ"スリム"な野郎が生き残ってるとすりゃあ、そいつァ相当タフな野郎だ。お前が昨日見つけたレパルダスは、実はかなりのレア物だったってワケだな」

ブニャット「……」

アロペル「それでオメェ、郊外へ出るってェ言ったな。ま、俺様もそれが良いと思うが、一つだけ提案がある」

ブニャット「提案?」

アロペル「そうだ」


アロペル「この町の外には、四つの森があるだろ。それぞれ"東の森""西の森""南の森""北の森"だ」

ブニャット「ああ、それぐらいなら知ってる」

アロペル「どの森も自然豊かなエリアで、食材となるような物資も豊富。ただし、生息している野生ポケモンがどこも尋常じゃなく強い。とりわけ"南の森"は、手練れのトレーナーですら興味本位で入れば無事では帰ってこれないという。……"森の王"も不在なのに、だ」

ブニャット「……それで?」

アロペル「これまで我々"猫潰し組"は、この四つの森の内、"南の森"を除く三つには深く勢力を伸ばしてきた……だが、"南の森"だけは唯一、我々の手から未だ逃げ延び続けてている」

ブニャット「なるほどな……。つまりその森に行きゃあ、"スリム"なポケモンがたくさんいるってことか。ご丁寧にいい話を持ち掛けてくれるじゃねえか」

アロペル「そういうことだ。どうだ、挑戦してみる気はあるか?」

ブニャット「ったりめーだよ。それが一番早いってんなら、どれだけ敵が強かろうが、オレが全部ぶっ潰してきてやるぜ!」

アロペル「くくく……。オメェ、話だけは早ェんだなァ。……んなら早速行ってもらうぜェ、バケモノ犇めく"南の森"になァ」



――――
 ▼ 35 1◆N8Nz6gyiSo 20/05/02 21:53:13 ID:/GzA.E7k [13/36] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
エネコロロ「この通りをまっすぐ行くと、大きな通りに出ます。その通りを南に行った先に見えるのが"南の森"です。一応森の入り口になっている場所は、森に沿って東に行けば見つかるはずです」

ブニャット「意外と近いんだな。すぐに帰ってこれそうだ」

エネコロロ「本当に行くんですか……? あの森に身一つで踏み込んで、無事に帰ってこれる保証はありません……。せめて、もう少し準備を整えてからでも」

ブニャット「いや、どのみちオレは森に行かされてたんだろ? 提案なんて建前だ。町もその郊外の森の半分以上もダメとなったら、オレが選べる選択肢は一つしか残ってねぇよ」

エネコロロ「……」

ブニャット「それに、こんなヘンテコなキカイまで新しく付けられちまった。……無線通信による音と映像の伝授がなんたらって説明を受けたが、平たく言えば小型カメラだと。オレに森の偵察もしてこいって言ってんだろ?」

エネコロロ「そう……決意は固いんですね」

ブニャット「大丈夫だよ。こんなクソみてえな条件速攻でクリアして、オレはニャスパーを連れ戻す。少し癪だが、それまではアイツを頼む」

エネコロロ「はい。……どうかご無事で」

ブニャット「おう!」ザッ




ピピ……ピ


エネコロロ「もしもし、こちらエネコロロです。対象は問題なく"南の森"へ出発しました」

アロペル『ご苦労。こちらも映像で確認した。もう自分の持ち場へ戻っていていいぞ』

エネコロロ「はい」

アロペル『お前にはこれから更に重要な仕事をしてもらうからな。活躍を期待してるぜェ」

エネコロロ「……はい」


ピ……




エネコロロ(ブニャットさん……)

エネコロロ(まさか、こんなに早くあの森に行くことになるなんて……)

エネコロロ(後はあなたの運次第です……。がんばって……)
 ▼ 36 1◆N8Nz6gyiSo 20/05/02 21:57:03 ID:/GzA.E7k [14/36] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
――――裏路地を出た通り


ブニャット(しっかし今日はあちーな、また喉が渇いてきちまった)

ブニャット(どっかに水が飲めそうな場所はないか……)キョロキョロ

ブニャット(お、あれは……。デカい瓶だ、中に水が入ってるな)

ブニャット(人間が置いたものか……? まあ、なんでもいいか。置いてあるってことは、飲んでいいってことだよな。ありがたい)チャプ

ブニャット(うーん、あんまり冷えてないが、無いよかマシか……)チャプチャプ


???『くぉらァー!! 何しとるんじゃあー!!』


ブニャット「!?」ビクッ

ブニャット(な、なんだ……、人間!?)

初老の男『それは貴様が飲むための水じゃないわ! あ、こら! 逃げるな―!!』

ブニャット(逃げなかったら何するつもりなんだよ……!)ドタドタドタ

初老の男『くぉらァー!!』バタバタバタ

ブニャット(ひぇー)ドタドタドタ

初老の男『待たんかーい!』バタバタバタ

ブニャット(厄介そうな爺さんだなあ……。応戦するか……?)ドタドタドタ


市民『おーいじいさん! あんたんとこの品物がひっくり返されたぞ! またあのレパルダスだ!』


初老の男『ぬぁにぃ!?』キキィッ

ブニャット(レパルダス……?)ドタドタドタ

初老の男『く、くそぅ、今は水泥棒が……』

ブニャット(足が止まった。……よしっ、全速力だ!)ダダッ

初老の男『ああ!こら!』

ブニャット(へへ、いくら人間でもオレには追い付けねぇよ!)シュバババ

初老の男『くっそぅ。水巻用の水を飲みおって……卑しい猫め。覚えとれよー!』
 ▼ 37 1◆N8Nz6gyiSo 20/05/02 21:58:07 ID:/GzA.E7k [15/36] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
――――数分後、南の森入口


ブニャット「ふぅ……ったく、余計な体力使わせやがって」

ブニャット「まあ、おかげで早く着いたわけだが……」

ブニャット「ここが南の森か……なんとも威圧的な空気を感じるな」

ブニャット「外はこんなに明るいってのに、奥は暗くて見えねぇじゃねえか……」

ブニャット「だが行くしかねぇ……」

ブニャット「待ってろよ、ニャスパー!」ザッ
 ▼ 38 1◆N8Nz6gyiSo 20/05/02 22:05:34 ID:/GzA.E7k [16/36] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
――――"猫潰し組"本部


アローニャA「おーい、飯だぞー……って、あれ?」

アローニャB「おう、人質ならここじゃないぞ。なんか、監視室の場所が変わったんだって」

アローニャA「へ? 聞いてないぞ?」

アローニャB「ああ、なんかあんまり大勢に知られるのがマズいんだと。俺も今から向かうんで、一緒に連れて来るように言われてる」

アローニャA「お前について行けばいいんだな。なるほど分かった。でも何処にだ? そんな場所、他にあったか?」

アローニャB「地下室があるんだってさ。そこへの地図を渡された」

アローニャA「地下ぁ? そんなものがあったのか、知らなかった」

アローニャB「俺も知らなかったよ。他言無用って言われたから、たぶんずっと秘密にしてたんだ」

アローニャA「秘密……」

アローニャB「そう、秘密……」

アローニャA「な、なあ……なんかそれって、もしかしてちょっとスゴイことなんじゃないか?」

アローニャB「ああ。きっと他のやつらじゃ任されないような仕事だぜ……」

アローニャA「だよなだよな……」

アローニャB「俺たち……今は給仕と見張り番だけど、この仕事を通してさ……」

アローニャA「出世とか……」

アローニャB「昇給とかさ……」

アローニャA・B「「あるかもな〜」」
 ▼ 39 1◆N8Nz6gyiSo 20/05/02 22:12:12 ID:/GzA.E7k [17/36] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
――――本部地下・個室T


マニューラ「ガオガエン、今度はまた物騒なものを作るんだってね。……新兵器。本当にそんなものが必要なのかい?」

ガオガエン「あー……、必要だ。あの森を陥落させるには、少なからずな」

マニューラ「そんなもんなくたって、"南"以外の三つの森は、協力してみんな潰してきたじゃないか。……最後の一つだって、アンタとアタシなら」

ガオガエン「無理だ。あの森は、他とは違う。俺には分かるんだ」

マニューラ「どうしてさ。アタシの強さは知ってるだろう。アンタにだって引けは取らない。それに、アンタのためだったらアタシは……」

ガオガエン「全部知っているから、なおさら強い力が必要なんだ。あの森に勝つには、今のままじゃダメなんだよ」

マニューラ「……どうしてそんなに"森"にこだわるんだい。アンタにとって、あの森は一体何なんだ?」

ガオガエン「……」

マニューラ「アンタは昔のことを話したがらないからね……。ペルシアンから少し聞いたよ、……昔の女と居た場所、なんだって?」

ガオガエン「……。……違う」

マニューラ「……どんなことがあったのかは知らないけど、その過去は投げ捨てちまうことができない程のものなのかい?」

ガオガエン「違う。"南の森"を狙う理由は、もっと別にある」

マニューラ「食品流通の拡大のためかい? それとも戦力の補充のため? 今だって十分食べられているし、食べさせてやれてる。戦力だって申し分ない。何よりアタシとアンタが居れば、"猫潰し組"はどこにも負けやしないよっ」

ガオガエン「違う。それでも不十分だ。今のままじゃ、何もかも足りていない」

マニューラ「足りてないって、何がさ……! アンタには、アタシがっ……」


アローニャA「ちはー、捕虜の昼飯持ってきたんすけどー」ガチャ

アローニャA「あっ……」

アローニャB「ん……?」


マニューラ「……っ!」

ガオガエン「あー……。それなら隣の部屋だ……」


アローニャA「し、失礼しました!」ササ-ッ

アローニャB「あ……、失礼しましたぁ!」サササッ


……バタン!


ガオガエン「ほらな、いろいろ足りてねえんだ……」

ガオガエン「……ノックの常識、とかな」

マニューラ「……」
 ▼ 40 1◆N8Nz6gyiSo 20/05/02 22:12:55 ID:/GzA.E7k [18/36] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
――――本部地下・廊下


アローニャA「お、お前が開けろって言うから開けたんだぞー!(小声)」

アローニャB「それは悪かったけどよ、あんなに急いで開けることもないだろ!(小声)」

アローニャA「重いんだよこの料理! 早く降ろしたいんだ!(小声)」

アローニャB「知ってるよ! 交代で持ってやったりもしただろ!(小声)」

アローニャA「……」

アローニャB「……」

アローニャA「な、なぁ……俺ら、なんも見てねえよな……」

アローニャB「ああ……、なんも見てねえよ……」

アローニャA「……」

アローニャB「……」

アローニャA「昇給、なくなるかな……」

アローニャB「かもな……。怖ぇもんあの二匹……」
 ▼ 41 1◆N8Nz6gyiSo 20/05/02 22:15:49 ID:/GzA.E7k [19/36] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
――――数分後、本部地下・個室U


アロペル「おう、ご苦労。お前ら、よくやったな」

アローニャA・B「「へ?」」

アローニャB「な、何がですか?」

アロペル「この部屋ァ、一応隣と直接行き来できる通路があってなぁ、……デケェ声で喋ってっと、丸聞こえなんだ」

アローニャA「あ……」

アローニャB「ああー……」



エネコロロ「博士、検体への食料の提供、終わりました」

アロペル「ご苦労。様子はどうだ?」

エネコロロ「食欲はあるようです。すごい勢いで食べていました」

アロペル「そうか」

エネコロロ「……ところで博士、こんな場所へ拘留所を移動したのは、ブニャットの目から逃れること以外に何か目的があったのですか?」

アロペル「それは……、まだお前は知る必要がないことだ」

エネコロロ「そうですか、すみません」

エネコロロ(やっぱり、教えてくれるつもりはないみたいね……)
 ▼ 42 1◆N8Nz6gyiSo 20/05/02 22:16:15 ID:/GzA.E7k [20/36] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
アローニャA「なあB……、あれってなんだろ。絵が動いてる……箱?」

アローニャB「なんだろうな……。人間の家にも同じようなのが置いてあるのを見たことがあるような……」

アロペル「こいつかァ? こいつは"テレビ"っつってな、今ここに映ってんのは、あのブニャットが見てる景色だ」

アローニャA「ブニャットが見てる景色……?」

アロペル「そう、アイツの視界をここで再現してんだよ」

アローニャB「……そ、そんなことできるんすかっ?」

アローニャA「すっげぇ……、さすがペルシアンさん!」

アロペル「そうだろう!? まァ俺様は天才だからなァ!」


エネコロロ「……」
 ▼ 43 1◆N8Nz6gyiSo 20/05/02 22:18:25 ID:/GzA.E7k [21/36] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
――――個室U奥の部屋

――――隣の部屋から声が聞こえる。



ニャスパー「……」モグモグモグ

ニャスパー「……」ゴクン

ニャスパー(……カレー、もうなくなっちゃった)

ニャスパー(でも、おなか一杯だなぁ……)


――――(「じゃあこれが……ば、アイツの…………を監視できるし……」)

――――(「……の……森の……も……るんすか……!」)

――――(「そうだ……。…………。あのブニャットには、…………う!」)




ニャスパー(…………)

ニャスパー「……お姉さん」

ニャスパー「……」
 ▼ 44 1◆N8Nz6gyiSo 20/05/02 22:22:13 ID:/GzA.E7k [22/36] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
――――南の森



ブニャット「……なるほど、あっちこっちで気配はするが、向こうから出向いてくる気はないみたいだな」

ブニャット「まあ、歩いてりゃそのうち出て来るだろ……」



――――10分後


ブニャット「いねえな……。気取られてんのか」

ブニャット「もっと血気盛んな奴らがいるものだと思っていたが……。しゃらくせえ、本気で探すか……」

ブニャット(消しきれてない気配を辿れば……)

ブニャット「……」

ブニャット「……そこだっ!」ヒュッ


ガササッ


ブニャット「……!」



――エネコロロ「対象が会敵した模様です」

――アロペル「相手は?」

――エネコロロ「ラクライです。でもまだ若い……」
 ▼ 45 1◆N8Nz6gyiSo 20/05/02 22:25:55 ID:/GzA.E7k [23/36] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ラクライ「……」

ブニャット「ガキ、か……だが関係ない」ザッ

ブニャット「悪いが潰させてもらうぜ!」シュタッ



――アロペル「……奴らは仲間意識が高く、よそ者を好まない。一匹叩けば、そこからは芋づる式だぜ」



ブニャット「のしかかり! くらえ!」ゴゴゴ……

ラクライ「……っ」ササッ

ブニャット「チッ……」ドッシーン

ラクライ「アンタ誰だ、なんで攻撃する……?」

ブニャット「それはテメェを潰すためだ!」

ラクライ「答えになってねえぞ……。よそ者、だよな……?」

ブニャット「ああそうだ。大人しく潰されやがれ!」シュバッ



――エネコロロ「ラクライ、速いですね」

――アロペル「ブニャットが遅ェんだ。早くしねェと、他のやつが寄ってくるぞ」
 ▼ 46 1◆N8Nz6gyiSo 20/05/02 22:27:22 ID:/GzA.E7k [24/36] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ブニャット「オラァ!」ズガン!

ラクライ「敵意剥き出し、交戦の理由も言わない……速さはないけど、野放しにしとくわけにはいかない、か」クルッ

ブニャット「背中を向けたら、避けられねぇだろ……がっ!」ドシュッ

ラクライ「……」タタタタタタ

ブニャット「ふん!」グアッ


ガシィ!


ブニャット「……ん?」



――エネコロロ「敵、増援っ。これは、ライボルトです」

――アロペル「ふぅむ」
 ▼ 47 1◆N8Nz6gyiSo 20/05/02 22:28:49 ID:/GzA.E7k [25/36] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
――アロペル「こいつは速ぇな」

――エネコロロ「カメラの視界から消失、跳躍したようです」



ライボルト「……そうだとしたら、弱すぎる」ズンッ

ブニャット「……がっ」



――エネコロロ「アイアンテール……!」



ライボルト「仲間がいる様子もない、どういう意図があってここへ……。まさか、例の組織か……」

ラクライ「兄者! あぶない!」

ライボルト「!?」

ブニャット「おおらあァ!」ゴッ



――エネコロロ「でんこうせっかです!」

――アロペル「アイツ、そんな技も使えたのか」
 ▼ 48 1◆N8Nz6gyiSo 20/05/02 22:41:37 ID:/GzA.E7k [26/36] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ブニャット「もいっちょぉぉ!」ドンッ

ライボルト「……フン!」ズバッ

ブニャット「ぐ……っ」

ライボルト「この野郎……食らえっ!!」ズアアァッ



――エネコロロ「でんげきはです! カメラがっ!」

――アロペル「耐電仕様だ。問題ねェ」



ブニャット「ぐああっ……!」

ライボルト「……貴様が何者かはこの際もう問わん。……消えろ!」ゴォォォッ


――エネコロロ「かえんほうしゃ……! すごい威力です」

――アロペル「耐熱仕様……だが、ブニャット自身へのダメージがどうか……」


ドォォォオン……


ブニャット「ぐ……ぅ」

ライボルト「かえんほうしゃで倒れんか、なかなかタフな奴だな。しかし、それでは耐えたことにはならん!」

ライボルト「弟よ、そこから撃てるかっ?」

ラクライ「はい兄者!」

ライボルト「よし、ではやるぞ」

ラクライ「はい!」


ライボルト「はあぁぁぁ……っ」バチ バチッ

ラクライ「はあぁぁぁぁ……」バチッ



エネコロロ「パワーを溜めています……。これは、10まんボルト……っ!」

アロペル「……」
 ▼ 49 1◆N8Nz6gyiSo 20/05/02 22:43:40 ID:/GzA.E7k [27/36] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ライボルト「食らえ!」バヂッ

ラクライ「はあっ!」バチチッ


ブニャット「ぐっ……」ヨロッ


ブニャット「っ ぐああぁぁぁぁ……!!」バリバリバリッッ




ブニャット「っ……かはっ」ガクッ


ライボルト「ふん……倒れたか。二度とこの森に立ち入るなよ」

ラクライ「兄者! 大丈夫ですかっ」タタッ

ライボルト「ああ、大したことはない。お前も無事か?」

ラクライ「はい。特にどこも……」

ブニャット「……っがァ!」

ライボルト「!?」

ブニャット「はかいこうせん!!」ズドォォォォオオッ!!

ライボルト「ラクライッ あぶない!!」ドンッ

ラクライ「兄者!」


ッッドォォォォオオン!!
 ▼ 50 1◆N8Nz6gyiSo 20/05/02 22:44:12 ID:/GzA.E7k [28/36] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
――エネコロロ「はかいこうせんですっ。ライボルトが、ラクライを庇いました!」

――アロペル「ほぉ〜。すげぇ威力。だが、こりゃ"潰し"にはならねェな……」


ライボルト「……っ」ドサッ

ブニャット「ぐふっ……」ドタッ



――エネコロロ「ライボルトとブニャット、どちらも動きません……っ」



ブニャット「はぁ、くそっ。体が動かねぇ……だが……」

ラクライ「兄者! 兄者!」

ブニャット「これで一匹……、あとはアイツにトドメののしかかりをかませば……」


 
 ▼ 51 1◆N8Nz6gyiSo 20/05/02 22:45:15 ID:/GzA.E7k [29/36] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
 

「おーおー、さっきからうるせーぞぉ?」


ブニャット「!?」



「なんだなんだ! 侵入者か!?」

「バトルの練習かしら? ここは修行場じゃないのだけど」

「楽しそー! 私も混ぜてー!」

「バカッ。どう見ても遊びじゃないだろ」

「お、おい、ライボルトが倒れてるぞ!」


ブニャット「はっ……。集まってきやがったか……」



――エネコロロ「森のポケモンたちです。すでに囲まれていますね……」

――アロペル「どういうやつらだ?」

――エネコロロ「確認できるのは、ウインディ、ゴーゴート、ハブネーク、ニドリーナ、ニドキング、サンダース、……どんどん増えてるみたいです」

――アロペル「いいぞ、そのまま記録を続けろ」
 ▼ 52 1◆N8Nz6gyiSo 20/05/02 22:47:12 ID:/GzA.E7k [30/36] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ブニャット「何匹来ようが関係ねぇ……。テメェら全員、オレがぶっ潰してやる……!」


「な、なぁ! ライボルトは倒れてるし、アイツもボロボロだ! 何があったんだろう!?」

「アホ。アイツがライボルトをやったんだろ」

「あ、そうか。え、じゃ、じゃあアイツどうするんだ?」

「よそ者かな! 見ない顔だよね! よそ者なら倒しちゃっていいよね!」

「そうね。よそ者は追い出すべきよ。どうせ、ろくなことにならないんだから」

「ああ。奴ぁどうやら動けないらしい。やるんなら今だな」

「よーっし、くっらえー! ヘドロばくだん!!」ドボォッ


ブニャット「なっ!?」


ボッシュウゥゥゥッッ……

 
 ▼ 53 レセリア@きのみぶくろ 20/05/02 22:52:55 ID:7Lg.aT6s [1/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
光の速さで更新してる………びっくり
 ▼ 54 1◆N8Nz6gyiSo 20/05/02 22:55:09 ID:/GzA.E7k [31/36] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
――エネコロロ「攻撃されましたっ」

――アロペル「おい、カメラは無事か」

――エネコロロ「は、はい」



「あ、避けられた」

「バカッ。こういうのは避けられないように全員で狙うんだよ」

「あぁそっか〜。じゃあ次はみんなでやろう」

「いっせーのっ☆」


ブニャット「お、おいっ!」


ドシュドシュドシュッ

ゴアアァァァアッ!

……ズオオオォォォォッ


ブニャット「おいっ……くっそが!」


キィィィィィンッ!

ドドドドドドドドッッ!

ドゴォッ

バヂヂヂヂヂッッ
 ▼ 55 1◆N8Nz6gyiSo 20/05/02 22:55:35 ID:/GzA.E7k [32/36] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
――エネコロロ「かえんほうしゃ、エナジーボール、マッドショット、ヘドロばくだん、げんしのちから、10まんボルト……っ」

――エネコロロ「ダメですこんなのっ、避けられるはずが……っ!」



ブニャット「ああああぁぁぁ!!!」

「おら食らえ」


ボッボッボッ


ブニャット「……! ぐあっ」ドガァッ


――エネコロロ「タネばくだん……直撃です! 映像途切れました……!」

――アロペル「音声はまだ繋がっているな」


ボン! ボン! ボンッ!

ズドオオオォォォッッ

ズアアァァァッ

ジュシュウウゥゥゥゥッ

ゴゴォォッ



ツツッ…… ザッザザー ッザッ…… プツッ……ザザー……
 ▼ 56 1◆N8Nz6gyiSo 20/05/02 23:03:41 ID:/GzA.E7k [33/36] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
――――"猫潰し組"本部地下


エネコロロ「ダメです……音声も完全に途切れました……」

アロペル「そうか、ここまでだな。最後のは水音、だったな。ふむふむ……」

エネコロロ「対象の安否、確認しますか……?」

アロペル「不要だ。それに、不可能だろう」

エネコロロ「まだセンサーがあるはずです。それを使えば、あるいは……」

アロペル「センサー? ……ああ、あの腹につけてたやつか。は、あんなもん、最初から機能してねェよ」

エネコロロ「え……?」

アロペル「ハッタリだ。そんな意味のねェ機械、俺ァ作らん」

エネコロロ「そ、そんな、じゃあ最初から……」

アロペル「おお、最初から、アイツを解放するつもりなんてなかった。だが、それがどうした? 目的はアイツが連れていたニャスパーだけだったんだ、最初からなァ」


アロペル「アイツには、マニューラとボスが面白がって付けた条件をそのままふっかけただけだ。まァ、アイツはどうやら世間知らずだったみてェで、簡単にダマされてくれたけどな」

エネコロロ「"南の森"に、こんなに早くいくことになったのも……」

アロペル「ああ、"森"内部の調査のついでに、アイツの始末もできる。いい計画だろォ。……言ってなかったか?」

エネコロロ「……っ、いえ。……そうですか」

アロペル「しかし、最期にアイツも上手くやってくれたなァ。これで"確認"できたぜェ……」

エネコロロ「確認、ですか……。いったい何の……?」

アロペル「新兵器運用上、留意すべき点の……とだけ言っておこうか」


アロペル「さて、そいじゃあ早速次の仕事だ! 休んでる暇なんかねェ、これから忙しくなるぜェ!」

エネコロロ「は、はい……」




エネコロロ(そんな……)

エネコロロ(早く、早く、伝えないと……でも、まだ必要な情報が集め切れてない……)

エネコロロ(……みんな……お姉ちゃん……。……どうかブニャットさんを)
 ▼ 57 1◆N8Nz6gyiSo 20/05/02 23:04:23 ID:/GzA.E7k [34/36] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
――――南の森


「アイツ、動かなくなったな」

「どうするの? このままやれば死んじゃうかもよ?」

「これだけやって逃げる素振りを見せてねえんだ、たぶん、立ち去るつもりもねえだろう」

「じゃあどうするんだい、やっぱり息の根を止めた方が良いかい?」

「お、オレはその方が良いと思うっ。こんなヤツ初めてだけど、でも、今までそうやってこの森を守ってきたんだ……っ」

「ああ。俺もそう思う」

「満場一致……だね! じゃあ、せーのでやっちゃおう! いくよぉ……」


キュイィィィィ……


「いっせーのっ……」


???「ちょっと、ストップ! ストッープ!!」

「え……?」ドシュ……


……ズッオォォォォォオン!!!



???「ふがぁっ!!」



――――
 ▼ 58 1◆N8Nz6gyiSo 20/05/02 23:05:19 ID:/GzA.E7k [35/36] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
 

シュゥゥゥゥ……



「……ちょ、ちょっとっ、大丈夫!?」

「大丈夫……だろうな」

「おいおいぃ、……なにやってんだぁあいつ?」

「アンタ、何のつもりだい……?」

「……レパルダス!」


レパルダス「みんな……お願い、話を聞いて……!」



――――
 ▼ 59 1◆N8Nz6gyiSo 20/05/02 23:06:01 ID:/GzA.E7k [36/36] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

――
―――
――――


『ニャルマー、ニャルマー。どこにいるのー?』

「ニァー」

『……あ、こんなところで遊んでいたのね』

「ニャマ」

『あらあなた、また少し大きくなった?』

「ニャルマ?」

『うふふ。でも私、可愛いあなたも逞しいあなたも、どちらも大好きよ』

「ニャマ!」


――――
―――
――
 ▼ 60 ガヤンマ◆tNBlQV57Hs 20/05/02 23:17:07 ID:7Lg.aT6s [2/2] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
ポケ徹のブニャットのデータ見てきたんだがブニャットってあんななりで俺より軽いのな
 ▼ 61 1◆N8Nz6gyiSo 20/05/04 03:32:59 ID:ElNM4ryM [1/4] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
――――南の森

――――とある隠れ家



ブニャット「……はっ」パチ

ブニャット「う……、ってて」ズキッ

ブニャット(どこだ、ここ……。オレは、確か"南の森"に入って、……)

ブニャット(やられたんだ、森のポケモンに、一斉に攻撃されて……)

ブニャット(……ここは、誰かの家か? というより巣穴のような)

ブニャット(小さな洞穴みたいだな。どうしてこんな所に……)


ガサガサ……ッ


ブニャット「!」


「ふぅ、ただいま……。あ!」


ブニャット「あ、お、お前……」


「ああ! やっと起きたのね!」
 ▼ 62 1◆N8Nz6gyiSo 20/05/04 03:35:39 ID:ElNM4ryM [2/4] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ブニャット「お前、昨日のレパルダスか……!?」

レパルダス「昨日? ああ。ええそう……だけど、私たちが会ってたの、正確には昨日じゃなくて一昨日なのよ。あなた、丸一日も寝てたんだから」

ブニャット「丸一日……?」

レパルダス「そう。ここは"南の森"の外れにある、私が今住んでいる家」

ブニャット「お前の家……? ちょっと待て、それはまずい……オレには今カメラが」

レパルダス「あなたが付けてた機械なら、どちらも壊れて外れていたわよ」

ブニャット「えっ?」

レパルダス「大変だったんだからね、あいつらを説き伏せて、あなたをここまで運んだの」

ブニャット「説き伏せて……って、お前もあいつらの仲間なのか……?」

レパルダス「一応は、そうね。あなた、食欲はある?」

ブニャット「……。どういうことだ、一体どうして、お前はオレをここに……?」

レパルダス「食欲があるかどうか聞いてるのよ。聞きたいことは落ち着いてから話すから、口が動くのならこれを食べて」スッ

ブニャット「きのみ……?」

レパルダス「そう。体力が回復するきのみ。ある程度の痛みも抑えてくれるわ」
 ▼ 63 1◆N8Nz6gyiSo 20/05/04 03:35:55 ID:ElNM4ryM [3/4] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ブニャット「……は?」

レパルダス「だから、体力を回復させられるきのみよ。ほら、食べれば少しずつ傷が癒えるわ」

ブニャット「どうして……?」

レパルダス「知らないわよ。どうしてこれを食べれば回復するのかなんて、今考えることじゃないでしょ」

ブニャット「そうじゃない、どうしてオレにこれを……」

レパルダス「それはあなたが怪我をしているからよ」

ブニャット「ちがうちがう。……オレは、ついこの間お前をいきなり襲ったヤツだぞ。なのに、どうして」

レパルダス「別に、あれくらいで一々恨んだりしないし、あなたを助ける理由だってちゃんとあるわ」

ブニャット「だが……」

レパルダス「もう、いいから食べなさいよ」グイ

ブニャット「モガッ……ムググ……」

レパルダス「……私に、力で負けるくらいに弱り切ってるじゃないのよ。早く食べなさい」グイグイ

ブニャット「ング……ん」ゴクン

レパルダス「食べれた?」パッ

ブニャット「ぷはっ……。の、飲み込んじまった……」

レパルダス「そう、それは良かったわ。まだまだあるから、たくさん食べてね」ドン

ブニャット「か、勘弁してくれ……」

レパルダス「あらなによ、まるで私が悪いことしてるみたいに言うじゃない」

ブニャット「い、いや……」

レパルダス「まあいいわ、弱っているうちに"食べさせてあげられそう"だからね」

ブニャット「わ、分かった分かった、食べるよっ」



――――
 ▼ 64 1◆N8Nz6gyiSo 20/05/04 03:39:00 ID:ElNM4ryM [4/4] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
――――



ブニャット「……」モグモグ

レパルダス「……」

ブニャット「……食ってたら思い出したけど」

レパルダス「なに?」

ブニャット「昨日、オレがこの森に来る前に、人間の注意を引いてオレを逃がそうとしたペルシアン、あれもお前だろ……。そうまでしてオレを助ける理由、早く話せよな」

レパルダス「ああ。あれは追われてるあなたに気を取れらていたらお店の棚に躓いただけよ。それであなたを助けた理由は……」

ブニャット「は? ……いやいや、嘘だろう? そりゃいくらなんでも……」

レパルダス「本当よ? あの後人間の相手をしなくちゃいけなくなったせいで、あなたを助けるのが遅くなっちゃったんだもの」

ブニャット「お前……、天然じゃなくて、ポンコツ なんじゃないか……?」

レパルダス「そうよ。だからね、あなたにも協力してほしいの」

ブニャット「ポンコツでいいのかよ……。協力って、なにを……?」

レパルダス「……」


レパルダス「……ガオガエンと話をさせてほしい。あわよくば、"猫潰し組"を解体させたい。……その協力よ」

ブニャット「ああ……?」

レパルダス「ガオガエン……彼ね、昔私と暮らしていたことがあったのよ」

レパルダス「ちょうど今のあなたみたいに、倒れていたのを私が引き取って……ね」
 ▼ 65 1◆N8Nz6gyiSo 20/05/05 04:35:12 ID:vSw6DlrE [1/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――


昔、もう四年も前になるわ。

色んなことが起きた年だった。

彼……ガオガエンは、この家のすぐ近く、森に入って幾らも行かないような場所で、うつ伏せになって倒れていたの。

たまたま近くを歩いていた私は、倒れているガオガエンを見つけ、駆け寄って言葉をかけた……。








――――四年前
 ▼ 66 1◆N8Nz6gyiSo 20/05/05 04:35:50 ID:vSw6DlrE [2/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――――南の森の外れ


「ちょっとあなた、大丈夫っ?」

ガオガエン「……」

「気絶しているの……?」

ガオガエン「…………」

「怪我をしているのかしら……。息はあるようだけど……、安全な場所へ運んで、手当てしないとよね……」


――――
 ▼ 67 1◆N8Nz6gyiSo 20/05/05 04:36:10 ID:vSw6DlrE [3/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――――


「んっ……。はぁ、ダメだわ。一人じゃ運べない……応援を呼ばないと」

「誰かぁー! 来てちょうだーい!」


「……おーう。どうしたぁ」

「なんだよチョロネコ、こんな朝早くに?」


チョロネコ「急病人よ。お願い、私の家まで運ぶのを手伝って!」


――――
 ▼ 68 1◆N8Nz6gyiSo 20/05/05 04:37:59 ID:vSw6DlrE [4/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――――


チョロネコ「そこの、ベッドの上へっ」

「うーいしょっ……」ドサ

「ふぃ、重かった」

「こいつぁ一体誰だい? 見かけない顔だが、チョロネコちゃんのお友達?」

チョロネコ「私も知らないわ。ついさっき、そこで見つけたのよ」

「ふぅん。なら、森の外から来たのかもな」

「え、じゃあどうすんだい? ずいぶん弱っているようだけど、王様に報告するかい?」

チョロネコ「そうした方がいいかもね。誰かお願いできないかしら。その間、私が看病しておくから」

「分かった、ならオレが行こう。この中じゃ一番早いからな」

「ああ。それじゃあ、俺らは長居の必要もなさそうだし、帰らせてもらうよ」

「まぁ、また何か困ったことがあったら、遠慮なく言っとくれよな」

チョロネコ「ええ。皆どうもありがとう」


――――
 ▼ 69 1◆N8Nz6gyiSo 20/05/05 04:39:48 ID:vSw6DlrE [5/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――――


チョロネコ「熱があるわけでもないし、やっぱり体力が減っているのよね……」

チョロネコ「一応お水と、きのみを潰して飲ませてあげたけど、大丈夫かしら……」


ガオガエン「うっ……、ん……?」

チョロネコ「あっ」


ガオガエン「……こ、ここは」

チョロネコ「目が覚めた? あなた、大丈夫?」

ガオガエン「ん……」

チョロネコ「私が分かる?」

ガオガエン「誰……だ……?」

チョロネコ「私はチョロネコ。ここは私の家よ。あなたはこの家のすぐ近くに倒れていたの」

ガオガエン「倒れて……」

チョロネコ「そうよ。何か憶えていない?」

ガオガエン「……、そうだ。オレは、食べ物を探していて……、森を見つけて……。だが、その先は……」

チョロネコ「誰かにやられたの……? 怪我をしているようには見えないけど、どこか、痛むところとかは?」

ガオガエン「痛むところ……」



ガオガエン「腹が……」

チョロネコ「お腹?」

ガオガエン「腹が……空いた……」グゥゥゥ……


――――
 ▼ 70 1◆N8Nz6gyiSo 20/05/05 04:41:12 ID:vSw6DlrE [6/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――――


チョロネコ「あなた名前は?」

ガオガエン「……ガオガエンだ」ムシャムシャ

チョロネコ「そう。食欲はありそうね、良かったわ」

ガオガエン「かたじけねえ……」モグモグ

チョロネコ「この森で取れるきのみよ、食べれば体力が回復するわ。たくさんあるけど、食べ過ぎには注意ね……」

ガオガエン「すまねぇな……、なんと例を言ったらいいか……」ガツガツ

チョロネコ「いいのよ。困ったときはお互い様、この森ではそれがルールだもの」



???「失礼します! ポケモンが倒れているとの連絡を受けて参りました」



チョロネコ「あ、はーい」


チョロネコ「……あら、あなたが来たのね、ラクライ。久しぶり」

ラクライ「チョロネコさん、ご無沙汰しております」

チョロネコ「妹がいつもお世話になってるわ」

ラクライ「いえ、彼女にはいつも助けられています」


ラクライ「……それで、倒れていたポケモンというのは」

チョロネコ「こっちよ」


――――
 ▼ 71 1◆N8Nz6gyiSo 20/05/05 04:41:56 ID:vSw6DlrE [7/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――――


チョロネコ「彼よ。私が見つけて、ここへ連れてきたの。お腹が空いていたらしいから、たぶん行倒れたんだと思うけど……」


ラクライ「こんにちは。私は、森の管理者たる王の命を受け、調査に来たラクライという者です」

ガオガエン「ガオガエンだ……」

ラクライ「ガオガエンさん。事態把握にご協力いただきたいのですが、体調が優れなければ後日でも構いません。どうしますか」

ガオガエン「いや。……おかげさまで、大丈夫そうだ」

ラクライ「そうですか。では、いくつか質問をさせていただきます」


――――
 ▼ 72 1◆N8Nz6gyiSo 20/05/05 04:43:09 ID:vSw6DlrE [8/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――――


ラクライ「……なるほど、町で共に暮らしていたトレーナーの元を離れ、町を出て彷徨っていた所を、この森にたどり着いた。ということですね?」

ガオガエン「ああ……。だいたいそうだ。今の俺には住む場所もなければ、この森へ来た理由もない」

ラクライ「分かりました。では、質問は以上で終わりです。ご協力、感謝します」

ガオガエン「もう終わりなのか?」

ラクライ「ええ。"南の森"は、森の王によって統治されている区域ですが、そこに住むポケモンを制限、強制することは例外を除いてまずありません。ですので、あなたもこの"南の森"で、今後自由に過ごしていただいて結構です。我々は、あなたを歓迎しますよ」

ガオガエン「ああ……。なるほどな……。森に王はいるが、後は自分で好きに暮らせ、と。そういうことか」

ラクライ「そういうことです」


ラクライ「……では、私はこれで。今回のことを報告せねばなりませんので」

チョロネコ「どうもご苦労様」


――――
 ▼ 73 1◆N8Nz6gyiSo 20/05/05 04:44:07 ID:vSw6DlrE [9/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――――


ガオガエン「これが野生の暮らしか……。何をするのも自己責任。だが、自由でもある……」

チョロネコ「そうね。あなたはこれからどうするの……?」

ガオガエン「ああ……。そうだな……。まだもう少し休んでいていいのなら、その間に考えさせてほしいんだが……」

チョロネコ「分かったわ。ゆっくりしていって」

ガオガエン「何から何まで済まないな……。いつかお礼をさせてくれ」

チョロネコ「いいわよ、お礼なんて……」

ガオガエン「いや、そういうわけにはいかん」

チョロネコ「そう……」



チョロネコ「あの……、じゃあ、一つ提案があるのだけど……」

ガオガエン「なんだ?」

チョロネコ「その……、あなたが他に居場所を見つけるまででいい……。ここで、私と一緒に暮らしてくれないかしら?」


――――
 ▼ 74 ガヤンマ◆tNBlQV57Hs 20/05/05 11:36:11 ID:qh2cX9zM NGネーム登録 NGID登録 報告
支援ァ!
頑張れァ!!
 ▼ 75 1◆N8Nz6gyiSo 20/05/06 04:35:10 ID:KOusJDR2 [1/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――――


チョロネコ「どう、立てそうかしら?」

ガオガエン「ああ……。大丈夫……。よいしょ……」

チョロネコ「うんうん、大丈夫そうね」

ガオガエン「一晩寝ていただけでこんなに良くなるなんて、あのきのみの効力なのか……?」

チョロネコ「ええ。この森のきのみはどれも栄養豊富で、効能も他の森とは一味違うのよ」


ガオガエン「……本当に、世話になっちまったな。感謝してもし切れないくらいだ」

チョロネコ「それはもう何度も聞いたわよ。私だって、あなたが元気になってくれて嬉しいわ」

ガオガエン「あんた、良いヤツだな……。しかし、普通のポケモンなんだろう……? どうして、見ず知らずの俺なんか助けたんだ……」

チョロネコ「……。お互いに助け合うこと、外から来たあなたは知らないのかもしれないけれど、この森ではそれがルール……。でも、強いて言うなら、あなたがどこか私のお父さんに似ていたから、とか かしらね」

ガオガエン「そうか……」


ガオガエン「俺は、産まれたときから人の手で育てられてきたんだ。何度か親は変わったが、最後はこうして見離されてしまった……」

チョロネコ「……」

ガオガエン「……すまん、辛気臭い話だよな、今話すのはよしておこう。……せっかく助けてもらえたんだ、何か手伝うこととかないのか?」

チョロネコ「そうね、じゃあ……あなたが食べた分のきのみ、採りに行くのを手伝ってくれないかしら?」


――――
 ▼ 76 1◆N8Nz6gyiSo 20/05/06 04:37:17 ID:KOusJDR2 [2/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――――


チョロネコ「この森にはあちこちに色んな種類のきのみが生っていて、許可を貰えば誰でも自由に収穫できる。採り過ぎは厳禁だけどね」テクテク

ガオガエン「ふぅん、確かに自然が豊かだな」テクテク



チョロネコ「それで……昨日の質問の答え、考えてくれたかしら?」

ガオガエン「ああ……、答える前に一つ教えてほしいんだが……」

チョロネコ「ええ」

ガオガエン「チョロネコ、あんたはなんで急に、一緒に暮らさないか なんて聞いて来たんだ?」

チョロネコ「そうよね……」
 ▼ 77 1◆N8Nz6gyiSo 20/05/06 04:43:37 ID:KOusJDR2 [3/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
チョロネコ「あのね……笑わないで聞いてほしいのだけど」

チョロネコ「私、少し前まで妹と暮らしていたの。父と母が病気で突然いなくなってしまってから、二匹だけで……」

チョロネコ「彼女……妹のエネコは、丈夫なだけの私と違ってすごく優秀な子で、両親がいなくなる前から、王様の元で働くことになるのが決まっていたの」

チョロネコ「それは、この森ではとっても名誉なことでね。私も妹を応援したかったし、家のことは大丈夫だからって言って、心配する彼女を送り出したわ」

チョロネコ「それでね……私、それまで一匹で暮らすことなんてしてこなかったから、妹がいなくなって、家がとても広く感じられるようになって、だんだん……寂しくなっちゃって」


ガオガエン「……」

チョロネコ「……情けない話よね。……野生のポケモンが親元を離れて孤独になるのは、おかしな話じゃないのに」

ガオガエン「笑わねえよ……」

チョロネコ「……」


ガオガエン「俺だって、生まれたときから近くには誰かが居たんだ」

ガオガエン「急に知らない世界に放り出されて、一匹で暮らしていくなんてことになって、これからどうなるか……想像もできたもんじゃない」

ガオガエン「現に俺は、あんたの助けがなかったら、あのままあそこで野垂れ死んでたはずだ」

ガオガエン「……孤独が辛いのは、俺だって同じだ」

ガオガエン「だからな……、ああ……その、俺は、あんまり相手に好かれるような性格じゃないし、きっとあんたにも色々と迷惑をかける……」

ガオガエン「だが……、それでもあんたが良いと言ってくれるのなら、俺も……協力して暮らしてくれるような相手が必要なんじゃないかって、……そう思ったんだ」


チョロネコ「って、ことは……、これから……私と一緒に暮らしてくれる、の……?」

ガオガエン「……ああ」

チョロネコ「本当……っ?」

ガオガエン「お前が良いなら、な……」

チョロネコ「……!」


チョロネコ「……『オマエ』じゃなくて、『チョロネコ』よ。……ガオガエン、これからよろしくね……!」

ガオガエン「ああ……。よろしく、チョロネコ」



――――
 ▼ 78 1◆N8Nz6gyiSo 20/05/06 04:45:22 ID:KOusJDR2 [4/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――――


チョロネコ「はいこれも持って、ガオガエン」ドサドサドサッ

ガオガエン「おいおい、これは採り過ぎにならないのか……?」

チョロネコ「大丈夫よ。たくさん採って、貯めておかなくちゃいけないの」

ガオガエン「まさかお前、俺を荷物持ちにするためにあんなこと言ったんじゃないだろうな……?」

チョロネコ「そんなことないわよ。うちに帰ったらご馳走してあげるわ。あなたの歓迎パーティをしなくちゃだもの」

ガオガエン「……そうか……?」

チョロネコ「ああでもこの後、東の川と森の外の野原にも食料を調達しに行かなくちゃだから、手伝って頂戴ね」

ガオガエン「んな……」


――――
 ▼ 79 1◆N8Nz6gyiSo 20/05/06 04:45:43 ID:KOusJDR2 [5/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――――


ガオガエン「ふぃ……あんまり文句は言いたかないが、病み上がりに無茶をさせないでくれよな……」

チョロネコ「ふふ、お疲れ様。じゃあちょっと、しばらくくつろいでいて。食料をしまったら、ご飯の準備をするから」

ガオガエン「ああ……」

チョロネコ「ね、ここは今日からあなたのうちなのよ。気兼ねせず、存分に羽を伸ばしてね」

ガオガエン「そうだな……、お言葉に甘えさせてもらうよ」

チョロネコ「ふふ」


ガオガエン(新しい家か……)

ガオガエン(ボールの中とは、また違った安心感があるな……)


――――
 ▼ 80 1◆N8Nz6gyiSo 20/05/06 04:46:25 ID:KOusJDR2 [6/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――――


チョロネコ「おはよう、ガオガエン!」

ガオガエン「ああ……、おはよう」

チョロネコ「寝心地は大丈夫だった?」

ガオガエン「ああ……、快適だった」

チョロネコ「良かった。朝ご飯、一緒に食べましょ」

ガオガエン「ああ……」

チョロネコ「食べ終わったらお出かけしない? あなたにこの森を案内してあげたいの」

ガオガエン「ああ……。分かった」


――――
 ▼ 81 1◆N8Nz6gyiSo 20/05/06 04:47:35 ID:KOusJDR2 [7/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――――


ラクライ「おはようございます。チョロネコさん」

チョロネコ「おはよう。朝早くからご苦労様」

ラクライ「ガオガエンさんと一緒に暮らすことになったと、噂でお聞きしましたよ」

チョロネコ「ええ。それで今、森の中を案内しているの。後で、あなたたちの訓練所にもお邪魔するかもしれないわ」

ラクライ「それはいいですね。……あなたは面倒見の良い方ですから、安心してお任せできます」

チョロネコ「ふふふ」



ラクライ「ガオガエンさん」

ガオガエン「ん……?」

ラクライ「彼女は、あれで結構おっちょこちょいなところがあります。危険なことからは、あなたが守ってあげてくださいね……(小声)」

ガオガエン「……ああ」


――――
 ▼ 82 1◆N8Nz6gyiSo 20/05/06 04:48:08 ID:KOusJDR2 [8/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――――


チョロネコ「ふぅー、楽しかった……! たくさん歩いたわねっ。 どう、良い所でしょ?」

ガオガエン「そうだな。……王兵の訓練所に、神聖な洞窟。澄んだ水が流れる川も、森で一番の巨木の広場も、どれも良い場所だった。あらゆるきのみが生る果樹園なんて、本当にあるとは思わなかった」

チョロネコ「ふふふ。この森はとっても広いから、まだまだ色んな場所がある。またいつか、一緒に行きたいわね」

ガオガエン「ああ……」


――――
 ▼ 83 1◆N8Nz6gyiSo 20/05/07 04:47:17 ID:uVFksdhw [1/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――――


チョロネコ「ねえ、この森で今度お祭りがあるの、知ってた?」

ガオガエン「ああ……。近所のポケモンたちがたまに話してたな」

チョロネコ「年に四回、森のみんなが出てきて行われるお祭り、王様とお妃さまが出ていらっしゃるのよ」

ガオガエン「王様か、そういえばまだ見たことがなかったが」

チョロネコ「とってもすごい方なのよ。ついこの間、待望の第一子もお生まれになって……」

ガオガエン「王子が生まれたときも、森がざわついていたな」

チョロネコ「そう、その王子が、十四日後のお祭りで、初めてヒト前に姿をお見せになるの」

ガオガエン「ふぅん。そいつは楽しみだな」

チョロネコ「ええ。一緒に行きましょうね」

ガオガエン「ああ」


――――
 ▼ 84 1◆N8Nz6gyiSo 20/05/07 04:49:49 ID:uVFksdhw [2/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――――


ガオガエン「ああ……良く寝た」

ガオガエン「っと、今日は雨か……、少し冷えるな……」

ガオガエン「お? ……チョロネコは……まだ寝てるのか? 珍しいな」


ガオガエン「おぅい、チョロネコー?」


チョロネコ「ガ、ガオガエン……」

ガオガエン「……?」

チョロネコ「もう、朝なの……?」

ガオガエン「お、おい。どうした……大丈夫か?」

チョロネコ「ごめんなさい……。昨日から、寝付けなくて……」

ガオガエン「顔色が悪いぞ……どうしたんだ……?」

チョロネコ「だ……大丈夫よ、今……朝ご飯、準備するわね……」ヨロ

ガオガエン「お、おいおい、無理すんな……!」

チョロネコ「う……」クラッ

ガオガエン「危ないっ……!」ガシッ


ガオガエン「す、すごい熱だっ……、チョロネコ……ダメだ、じっとしてろ……!」

ガオガエン「今、誰か呼んで来るから……。待ってろよ……!」


――――
 ▼ 85 1◆N8Nz6gyiSo 20/05/07 04:52:31 ID:uVFksdhw [3/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――――


「こりゃあ……たまげたな」

「ああ、まさかあの頑丈なチョロネコが熱を出して倒れるなんて……」

ガオガエン「お、おい、チョロネコは大丈夫なのか……?」

「まあ、薬になるような植物なら、この森にはたくさんあるが……。どんな症状なんだ?」

ガオガエン「熱がかなり高い……後は、寝付けないと言っていた」

「寝付けない……? 昨日の夜はどんな様子だった?」

ガオガエン「いつもと変わりなく、元気だったぞ……?」

「急な高熱と……睡眠障害か……」

「なぁ、それってよぉ……もしかして、あの病気なんじゃ……」

「まさか、チョロネコだぞ……だってこいつの両親は……」

ガオガエン「な、なんだよ、その病気って……」

「……『眠らず熱』っていう、この森のポケモンにしか発症しない奇病だよ」

「原因は分からないが、罹ったポケモンは眠っている間に熱を出し、その熱にうなされて眠れなくなる。……それが毎日続いて、だんだんと体力が奪われて行き、最後には衰弱し切って死んでしまうんだ」

ガオガエン「死ぬ……!? 嘘だろう!?」

「本当だよ。昔からこの森では、死の病として恐れられてきたんだ……」

「今夜も症状が続くようなら、その病気の可能性が高いだろう……」

ガオガエン「んな……。なんとか助ける方法はないのか……っ?」

「ある。……だが、極めて難しい」

ガオガエン「本当か……一体どんな……」

「"マボロシのみ"と呼ばれるきのみを与える。それがこの病気を治す唯一の方法だ」

ガオガエン「な、なんだ、きのみを食べさせればいいだけなら、簡単じゃねえか……」

「ううん。……"マボロシのみ"は、この"南の森"にだけ、一年に一つ実る、とても不思議で貴重なきのみなんだ」

「そう……そして、"マボロシのみ"がどこに生るのかは、誰にも予想ができない。高い木の頂上に実ることもあれば、茂みの草の根元に隠れるように生っていることもある」

「見つかった年は、王様が保管しておくんだけどね。……もうここ数年、誰も見つけていない」

「チョロネコの両親が亡くなった原因になった病だ……。普通、これほど頻繁に現れる病気じゃないはずなんだが、どうしてチョロネコに……」

ガオガエン「そんな……」


――――
 ▼ 86 1◆N8Nz6gyiSo 20/05/07 04:53:33 ID:uVFksdhw [4/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――――


チョロネコ「ガオガエン……」

ガオガエン「無理して喋るな……、余計な体力を使うんじゃねえ」


ガオガエン「今はとにかく安静にして、きのみを食べて少しでも体力を蓄えるんだ……」

ガオガエン「大丈夫……、"マボロシのみ"は俺が必ず見つけ出す。多くはないが、応援も頼めた……」

ガオガエン「一週間……、ちょうど祭りの日の前日だ……。それまでに、きっとお前を助けるからな……!」

ガオガエン「少しだけ辛抱してくれ、チョロネコ……っ」


――――
 ▼ 87 1◆N8Nz6gyiSo 20/05/07 04:54:46 ID:uVFksdhw [5/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――――


――「なあ、祭りまであとどれくらいだ?」

――「あと五日だぞ。楽しみだなぁ」



ガオガエン「ハァ……くそ……っ」ガサガサ



――「出店や舞台も楽しみだけど、僕はやっぱり王様と王女様の姿を見るのが楽しみだなぁ」

――「私もー。なんたって今回は、王子様に会える初めての機会だものね。絶対見に行かなくっちゃ」



ガオガエン「違う……これも。これでもない……」



――「ワシらがこうして平和に暮らしていられるのも、レントラー王のお力とニャオニクス王妃の知恵のおかげじゃのう」

――「ええ。彼らが居れば、この森も安泰でしょう。王子もきっと、素晴らしいお方に成長なさるはずですよ」



ガオガエン「ハァハァ……ちくしょう。どこにあるんだ……」


――――
 ▼ 88 1◆N8Nz6gyiSo 20/05/07 04:56:23 ID:uVFksdhw [6/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――――


――「あともう四日かあ……待ちきれないなあ」

――「あんまり浮かれて羽目を外すなよ?」



ガオガエン「ない……ない……」



――「なあ、また『眠らず熱』が出たらしいぜ……」

――「まあ本当? 気の毒にね……。私たちも、どこかに"マボロシのみ"がないか、よく見ておきましょうよ」



ガオガエン「ちくしょう……いったいどこにあるんだ……っ」ガサガサ



――「『眠らず熱』……三年ぶりくらい? ……確かどこかの夫婦が二人とも罹っちゃったんだっけ」

――「そうだなぁ……不幸なこともあるもんだよ……。あのときは"マボロシのみ"は見つからなかったけど、どちらか片方を選ぶ なんて辛いことにならなくて済んだのは、或る意味幸運だったのかもな……」



ガオガエン「……、……」



――――
 ▼ 89 1◆N8Nz6gyiSo 20/05/07 04:57:11 ID:uVFksdhw [7/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――――


ラクライ「……ガオガエンさん、もう四日も休んでないでしょう……? ……少しは自分の体も労わらないと」

ガオガエン「うるさい……」

ラクライ「チョロネコさんの看病は妹さんがしてくれていますが、病状は芳しくないようです……」

ガオガエン「分かってる……、だから更早く見つけねえとなんだろ……!」

ラクライ「僕たちも、捜索の手伝いはしますから……。少しは顔を見せてあげた方が、彼女の励みにもなると思いますよ……」

ガオガエン「分かってるよ……っ」


――――
 ▼ 90 1◆N8Nz6gyiSo 20/05/07 04:57:58 ID:uVFksdhw [8/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――――


――「いよいよ明後日か。お前、準備はちゃんとできてんのか?」

――「おうよ。王女様への贈り物、ちゃあんと用意してんだぜ」



ガオガエン「…………」



――「な、なな、なぁっ……聞いたかよ……っ!?」

――「え、どうしたの……?」



ガオガエン「チョロネコ……、チョロネコ……」



――「た、大変だ! 王女様が、ニャオニクス様が高熱を出して倒れたって……! 『眠らず熱』の可能性があるって……!!」

――「ええ!!?」



ガオガエン「お前は……助ける……、俺が……必ず……」


――――
 ▼ 91 1◆N8Nz6gyiSo 20/05/07 04:58:21 ID:uVFksdhw [9/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――――


――「なんてことだ、王女様が死の病に……っ!」

――「ああ、もう……こんな悲劇があるか……!?」



ガオガエン「…………」ヨロヨロ



――「明日の祭りは、どうなってしまうの……」

――「分からない……、だが我々にはやらなくてはならないことがある」



ガオガエン「……」ガクッ



――「俺たちも、探そう……っ。"マボロシのみ"を……!」

――「ああそうだ。みんなで探せばきっと見つかる……、王女様を助けるんだ……!」



ガオガエン「……」ドサッ


――――
 ▼ 92 1◆N8Nz6gyiSo 20/05/07 04:58:46 ID:uVFksdhw [10/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――――


ガオガエン(くそ……体が、動かねえ……)


ガオガエン(……ん……?)

ガオガエン(なんだ……、雑草の根元に……白いものが……)


ガオガエン「!?」

ガオガエン「こ、これはっ……!!」


――――
 ▼ 93 ーボ@ぎんいろのはね 20/05/07 08:29:02 ID:T04AK5Ac NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 94 1◆N8Nz6gyiSo 20/05/08 04:38:29 ID:vamU9OiE [1/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――――森の外れ、チョロネコの家


エネコ「お姉ちゃん、頑張って……っ」

チョロネコ「……っ……ぅ」

エネコ「お姉ちゃんっ、きっともうすぐお薬が届くはずだから、それまで……どうか耐えて……!」



ラクライ「エネコ、いるかっ……!」

エネコ「ラクライ! どうしたの……? もしかして、"マボロシのみ"を……?!」

ラクライ「いや、……すまない。緊急の収集命令がかかった、ただちに帰投せよとのことだ」

エネコ「そ、そんな。だって……今はお姉ちゃんが……っ!」

ラクライ「王令なんだ……、頼む。チョロネコさんの看病は、誰か他のポケモンに頼んでくれないか……」

エネコ「……っ」


エネコ「分かったわ……」

エネコ「お姉ちゃん、ごめんなさい。すぐに戻るからね……っ」


――――
 ▼ 95 1◆N8Nz6gyiSo 20/05/08 04:40:43 ID:vamU9OiE [2/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――――


エネコ「……それで、どうしてこのタイミングで収集命令なんて……?」

ラクライ「走りながら話そう……。君はここ数日ずっとあの家にいたようだが、この森で今何が起きているか知っているか?」

エネコ「……いいえ。……お祭りは明日よね」

ラクライ「ニャオニクス妃がお倒れになったんだ」

エネコ「ええ……!?」

ラクライ「……それも、どうやら『眠らず熱』に罹ったらしい……」

エネコ「え……。嘘っ……そんな……」

ラクライ「ああ……。こんなことってあるかよな……っ」

エネコ「…………」

ラクライ「っ……すまない、だが……後で伝えるとなると……」

エネコ「ラクライ、いいの。伝えてくれてありがとう。……、緊急収集の理由はそれじゃないのでしょう? 私の任務に影響が出たら困るものね……」

ラクライ「……よく分かったな。それに……あまり動揺もしないんだな」

エネコ「複雑なことは後で考えることにしたの。早く指令の内容を教えて、いったい何が起こったの?」

ラクライ「……ああ、それが――」


――――
 ▼ 96 1◆N8Nz6gyiSo 20/05/08 04:43:58 ID:vamU9OiE [3/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――――数刻後


ガオガエン「チョロネコ……っ、帰ったぞ……!」フラフラ

「が、ガオガエンっ。大丈夫かよ、フラフラじゃないか!」

「お前……もしかして……」

ガオガエン「ああ……。……っへへ……"マボロシのみ"……こいつだろ?」スッ

「……!!」

「本物だ……!」

ガオガエン「おぅ……。チョロネコは、無事か……?」

「っ……ああ」

ガオガエン「よし……。なら、後はこいつをチョロネコに……」

「……」

「……」

ガオガエン「……? どうしたんだ……?」


「なぁ、ガオガエン……。そのきのみ、俺らに譲ってもらえないか……?」

「ば、バカお前……っ」

ガオガエン「ああ……? ……どういうことだ、そりゃ」

「この森の王女様が、『眠らず熱』に倒れたんだ……それで……」

ガオガエン「んだと……。いや、ダメだ……このきのみはチョロネコのために……」

「た、頼む……。王女様は、この森の誰しもにとって大切な存在なんだ……。"マボロシのみ"があれば、その命が救える……」ザッ

ガオガエン「お前……、どういうつもりだ……? どけよ……」

「お願いだ……渡してくれ」

ガオガエン「うるせえ、邪魔だ……。王女の命がなんだ……そんなもん知るか! 俺はチョロネコを救わなくちゃなんねえんだ!」

「ダメだ! 渡せ!」

ガオガエン「そこをどけって言ってんだよ!!」ガッ

「う、うわあああああ!!」シュッ

「よ、よせっ!」


ザシュッッ
 ▼ 97 1◆N8Nz6gyiSo 20/05/08 04:45:06 ID:vamU9OiE [4/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ガオガエン「ぐあっ……」…ドサッ

「お前……っ」

「っ……はぁ、はぁ……。はっ……ま、"マボロシのみ"……」スッ


ガシッ…


「!?」

ガオガエン「テメェ……」グググ…

「うあっ、うああああ……!」

ガオガエン「死ね……っ」ズッ

「あああ」


グシャッ…


ガオガエン「……」

「……」ズル…

「あ、ああ……あああ……」

ガオガエン「……」ギロ

「ひっ……。う、うわああああ!」ダダダッ


ガオガエン「……はぁ……はぁ」

ガオガエン「くそ……チョロネコ……」ズル…ズル…


――――
 ▼ 98 1◆N8Nz6gyiSo 20/05/08 04:48:47 ID:vamU9OiE [5/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――――


チョロネコ「……っ」

ガオガエン「チョロネコ……」

チョロネコ「……、ガオ……ガエン……?」

ガオガエン「ああ……。見ろ、"マボロシのみ"だ。これでお前は助かるぞ……」

チョロネコ「ほん……とう……?」

ガオガエン「ああ……。はぁ……待ってろ、今、食べさせてやる」

チョロネコ「……」

ガオガエン「ほら、食えるか……?」スッ

チョロネコ「……ん」モグ

チョロネコ「……」コリ…コリ…


ガオガエン「ど、どうだ……?」

チョロネコ「ん……」ゴクリ

ガオガエン「……」

チョロネコ「……」

ガオガエン「……」

チョロネコ「スー……」

ガオガエン「っ……」

チョロネコ「……」スヤスヤ



ガオガエン「は、はは……はぁ……」

ガオガエン「良かった……。これで……」

ガオガエン「これで……、借りは返せたよ……な……」フッ



――――
 ▼ 99 1◆N8Nz6gyiSo 20/05/08 04:51:19 ID:vamU9OiE [6/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――――現在


レパルダス「……それから私は、七日間も眠り続けた」

レパルダス「目が覚めたときには、周りの何もかもが変わっていて、……ガオガエンも、私の前から姿を消してしまっていた」

レパルダス「……彼とはそれっきりよ」


ブニャット「なんだよそれ……」

ブニャット「それじゃアイツは、森を追い出されたとでも言うのか?」

ブニャット「お前の命を助けて、王女サマを見殺しにしたから……?」


レパルダス「もちろん、彼や私に恨みを向けるポケモンも少なくなかったわ」

レパルダス「でもその憎しみは、王様や王女様自身、時には他のポケモンたちの呼び掛けてのおかげで、ある程度抑えられたの」

レパルダス「命の重さに違いはない。この事件には、誰も悪い者はいなかった……って」

レパルダス「『仲間を大切にすること』は、王女様が亡くなる直前に遺した言葉よ」


ブニャット「……ならなんで、アイツは姿を消したんだ?」

ブニャット「ポケモンを殺してしまったから……、その責任逃れ、とか……?」


レパルダス「いいえ。彼を襲ったポケモンは、重症だったけど命に別状はなかったし、彼の行動も正当防衛だったってことで理解されてる」

レパルダス「森を去った理由はたぶん、また自分に居場所がなくなると感じたから……とか、そういうことだと思うのよね」

レパルダス「そう……。だから私はガオガエンと話がしたいの」

レパルダス「まだありがとうも言えていないんだもの」


ブニャット「なるほどな……」
 ▼ 100 ツロイド@しんせんクリーム 20/05/08 10:01:58 ID:aiYE9WOM NGネーム登録 NGID登録 報告
支援ァ!
 ▼ 101 1◆N8Nz6gyiSo 20/05/09 04:33:17 ID:FTz.s2Rk [1/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
レパルダス「どうかしら。……協力、してくれる?」

レパルダス「もし協力してくれるなら……私も、あなたに力を貸すわよ」


ブニャット「まあ、お前にはデカい借りができちまったからな……」

ブニャット「これで協力しないわけにはいかない、か……」

ブニャット「んだが、……オレに力を貸すっていうのは……?」


レパルダス「そりゃあもちろんニャスパーちゃんのことよ」

レパルダス「あなただって、言われるままにあんな条件をこなすのは不本意でしょう?」

レパルダス「……ニャスパーちゃんを救出するのよ。そうすれば、あなたもあの組織に縛られる必要はなくなり、解放される」

レパルダス「その手伝いを、私がしてあげる。……どう?」


ブニャット「冗談で言っている……わけじゃなさそうだな……」

ブニャット「……ニャスパー」

ブニャット「だが、本当にそんなことができるのか……?」


レパルダス「できるわよ。私がガオガエンに話をつけられれば、きっと……!」


ブニャット「むぅ……」

ブニャット「……」


レパルダス「ね、どう……?」


ブニャット「……」

ブニャット「……分かった」

ブニャット「アイツらのことだ、真面目に約束を守るかも怪しいからな……」

ブニャット「お前に、協力しよう」


レパルダス「本当?」

ブニャット「ああ」

レパルダス「いいのね? どうもありがとう!」

ブニャット「ああ、その……。よろしく頼む……」

レパルダス「ええ。こちらこそ、どうぞよろしく!」


――――
 ▼ 102 1◆N8Nz6gyiSo 20/05/09 04:33:43 ID:FTz.s2Rk [2/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ブニャット「ところで、なんだが」

レパルダス「なに?」


ブニャット「ニャスパーの名前を聞いて思い出したんだ。その……」

ブニャット「亡くなった王女って、ニャオニクスだったんだよな……?」


レパルダス「そうね」


ブニャット「ニャオニクスって言や、ニャスパーの進化系だろう」

ブニャット「ということはもしかして、その新しく生まれた王子っていうのもニャスパーだったのか?」


レパルダス「ええそうよ」

レパルダス「と言っても、私は結局お姿を見られなかったのだけど……」


ブニャット「……?」

ブニャット「そう言や、今この森には"森の王"がいないんだっけか」

ブニャット「さっきの話からすると、四年前にはまだ"森の王"レントラーがいた……」

ブニャット「今、『結局王子の姿を見られなかった』って言ったよな」

ブニャット「死んで……亡くなってしまったのは、王女サマだけなんだろう?」

ブニャット「んなら、そのレントラーとニャスパーは、いったいどこへ消えたんだ?」


レパルダス「そうよね。それも説明するわ」

レパルダス「まあ、その間私は眠っていたから、ヒトづてに聞いた話なのだけど……」

レパルダス「掻い摘んで話をすると……」


――――
 ▼ 103 1◆N8Nz6gyiSo 20/05/09 04:34:05 ID:FTz.s2Rk [3/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――――


四年前のあのとき、この森では別の事件が起きていた。

町の人間たちが、大勢でこの森に侵入してきていたの。

貧しい暮らしをしていた人々が、食料を求めて侵攻してきた……らしいわ。

人間たちの中では、この森での採集の権利がどうとか……色々あったらしいけど、私はよく知らない。

とにかく急激で、そして壮絶な戦いになったらしいわ。

王様やその兵士たちが一丸となって戦ったのだけど、必死になった人間の勢いはすさまじく、侵攻は森の中心部にまで及んだ。

私の寝ていた家が戦火を逃れたのは、ものすごく幸運なことだったの。

結果として人間の侵攻はなんとか食い止めたものの、この森はあまりに多くのものを失うことになった。

王兵でない森のポケモンたちにも被害が及んで、仲間を守ろうとして殺されてしまったポケモンや、生きたまま捉えられ連れ去られてしまったポケモンもいたわ。

最前線で戦っていた王様も、人間たちの攻撃に倒れてしまった……。

王様たちの命と引き換えに、森は人間の手から守られることになったのだけれど、悲劇はまだ終わらなかった。

戦いが終わると、幼かったニャスパー王子が森から姿を消してしまっていたの。

護衛が襲われていた形跡があって、人間に誘拐されたのだと判断されたわ。

必死の捜索も虚しく、結局王子が返ってくることはなかった……。

このことは、危篤だったニャオニクス王女には死の直前まで伏せられていたのだけど、当然隠し通せることではなくて……。

王女様は、そのことを知ってすぐ、諦めたように息を引き取ってしまったそうよ……。


そうして、この悲惨な事件を、森の誰もが悲しみ、嘆いた。

それでもやがて、残された者たちが少しずつ悲しみから立ち直っていくと、王様や死んでいった仲間の意志を、言葉を継ごうとして、森の中に「仲間を守ること」への意識が産まれていったの……。

それから、だいたい私がレパルダスに進化するくらいの月日が流れ、この森は王が不在のまま現在に至る……というわけよ。


――――
 ▼ 104 1◆N8Nz6gyiSo 20/05/09 04:34:53 ID:FTz.s2Rk [4/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――――"猫潰し組"本部


アローニャB「――と、いうことがあったらしい」

アローニャA「へぇ〜。お前、ハクシキだなぁ」

アローニャB「まあ、アクマで噂話だけどな」

アローニャA「ふーん。でも、"南の森"には王がいないってのは、前にペルシアンさんも言ってたよな」

アローニャB「そうだなあ。だが、そいつらの置き土産のおかげであの森のポケモンたちはさらに手強くなった、なんて話もあるぞ」

アローニャA「そうなのか……」

アローニャB「ああ。……どうやら、すごい訓練場みたいなものがあって、そこで鍛えてるんだって」

アローニャA「すごい訓練場……どんな場所なんだ?」

アローニャB「そりゃあ知らないけど、すごいってことはきっとすごいんだろう」

アローニャA「そうかぁ」

アローニャB「ああ」

アローニャA「……"南の森"との開戦も近いって話、本当なのかなぁ」

アローニャB「どうだろなあ……」


――――
 ▼ 105 ムッソ@しんかのきせき 20/05/09 10:24:10 ID:HZ7YIKtE NGネーム登録 NGID登録 報告
マジかよニャスパーすげえな
 ▼ 106 1◆N8Nz6gyiSo 20/05/10 04:24:43 ID:KFzIjDjk [1/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――――本部、地下


エネコロロ「――組織の新しい力となるような兵器の開発……、いったいどんな兵器なんですか?」

アロペル「藪から棒になんだァ、なぜそんなことを聞く?」

エネコロロ「いえ……、ここまで情報を隠すのには、何か訳があるのかなと思って……」


アロペル「そりゃあるさ。ウチも昔に比べて随分デカくなったからな。弱ェ奴らだと油断してる相手の寝首を掻くなんてこたァ、もうできねェんだ」

アロペル「向こうがこっちの手の内を知っている前提で、その上から叩き潰さなきゃなんねえ」

アロペル「情報の秘匿性はそういう点で重要だ。分かんだろ?」

アロペル「開発段階の新兵器の仔細なんか、極秘中の極秘で当然だ」


エネコロロ「……でも、私としても知っていることが多い方が、開発のお手伝いをもっとできると思ったんです」


アロペル「お前はこういうことに興味を持たねェタイプだと思って、常駐の組員の中から選んだんだがなァ……」

アロペル「そんなにこの兵器が気になんのかァ……?」


エネコロロ「それは……」

エネコロロ「だって……気になるじゃないですか。あんな、まだ小さい子を檻に入れて、世話をしろなんて急に言われたら」

エネコロロ「気にするなって方が無理がありますよっ」


アロペル「意外と素直にものをいうタイプだったか……」

アロペル「お前は何も考えずにあいつの世話をしてりゃいいんだよ」

アロペル「だがくれぐれも、情を覚えたりなんかすんなよ……。“仕事”なんだからな」


エネコロロ「無理です」

アロペル「はっきり言うなよ、仕事降ろすぞ」

エネコロロ「嫌です。それに、人員不足でしょう? この組織に、部屋をきちんと掃除できるヒトなんているんですか?」

アロペル「……あー。いいから、もうこの話は終わりだ。定期観察の時間だろ、行った行った」

エネコロロ「……はい」


アロペル(チッ……。構成員の教養不足、やっぱ提言しとくか……? めんどくせぇ……)


エネコロロ(まあそう簡単に教えてはくれないか……。なんにせよ、この立場を利用しない手はないわよね……)


――――
 ▼ 107 1◆N8Nz6gyiSo 20/05/10 04:26:41 ID:KFzIjDjk [2/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――――ニャスパーの監視室


ニャスパー「……」スゥスゥ

エネコロロ(よく寝る子ね……)

ニャスパー「……」スゥスゥ


エネコロロ(ニャスパー……。王子がもし生きていたら、今頃はこのくらいの大きさになるのかしら……)

エネコロロ(……でもニャスパーなんて、森にも町にもたくさんいるもの)

エネコロロ(まさかね……)


ニャスパー「ん……」パチッ

エネコロロ「あ、おはようございます。……朝ご飯、ここに置いておきますね」

ニャスパー「……お姉さんは?」

エネコロロ「ブニャットさんは……」

エネコロロ(……)

エネコロロ「少し、遠くへお仕事に行っているんです。大丈夫、そのうち会えますよ」

ニャスパー「……」

エネコロロ「はい、今日の朝はカレーです。冷めないうちにどうぞ」


ニャスパー「……いただきます」

エネコロロ(!)

エネコロロ「あら、ちゃんといただきますが言えるんですか。偉いですね」

ニャスパー「うん……、お姉さんが教えてくれた」モグ

エネコロロ「ブニャットさんが……?」

ニャスパー「うん……」モグモグ

エネコロロ(人間に教わったのではなく、ブニャットさんに……? 彼女は、野生育ちってわけじゃないのかしら……)
 ▼ 108 1◆N8Nz6gyiSo 20/05/10 04:28:58 ID:KFzIjDjk [3/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ニャスパー「……」ムシャムシャムシャ…

エネコロロ(食欲マル、と)

ニャスパー「……おいしい」モグモグ

エネコロロ「それはよかった。……あら、ほっぺにカレーが付いてますよ」

ニャスパー「……?」

エネコロロ「ふふ。ほら、じっとして……」スッ

ニャスパー「!」ビクッ

エネコロロ「あ……だ、大丈夫、ほっぺのカレーを拭くだけです」

ニャスパー「……」ジ…

エネコロロ「脅かしてごめんね……」フキフキ

ニャスパー「……」


エネコロロ(あれ?)

エネコロロ(頬の体毛の下に、小さい傷……?)

エネコロロ(これって……)


――――
 ▼ 109 ーディ@フシギバナイト 20/05/10 08:16:37 ID:aDvk7nZ6 NGネーム登録 NGID登録 報告
支援ァ!
 ▼ 110 ソッキー@ポケモンボックス 20/05/10 13:02:55 ID:MWLEyj.Y NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
企画スレで完結報告すれば挿絵もらえるらしい
 ▼ 111 1◆N8Nz6gyiSo 20/05/11 02:56:26 ID:Uf1AWIOw [1/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――――南の森


ブニャット「……ほー」


レパルダス「どう、結構いい場所でしょ?」

レパルダス「四年前まで、王兵の詰め所兼訓練場として使われていた施設よ」

レパルダス「大昔に人間が建造して行ったものらしいのだけど、四年前の侵攻で壊されてしまって……」

レパルダス「直す手もなく、このままになっているってワケ」


ブニャット「確かに小綺麗な場所だけどよ、どうしてオレをここへ連れてきたんだ」

ブニャット「まさか観光が目的じゃねえだろう?」


レパルダス「そりゃあもちろん」

レパルダス「……この施設、詰め所の部分はかなり壊されちゃったんだけど、訓練場として使っていた場所はまだ結構使えたりするの」


ブニャット「訓練場ぉ?」

レパルダス「そう。もともと王兵だけが使うことを許されていたのだけど、今は管理もできなくなって、皆思い思いに使うようになったの」

ブニャット「じゃあなんだ、オレは今から訓練するってことか?」

レパルダス「ええそうよ」

ブニャット「バカ言え! そんなちんたらしてる暇ねえだろ!」

レパルダス「そうね。でも、このままあの組織に乗り込んでいくとして、今のあなたじゃちょっと頼りなさすぎるのよね」

ブニャット「な……っ!」
 ▼ 112 1◆N8Nz6gyiSo 20/05/11 03:00:14 ID:Uf1AWIOw [2/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
レパルダス「私は、体力には自信があるけど、瞬発力や純粋な戦闘力はこれっぽっちもないわ」

レパルダス「もしものとき、死地に居て身を任せられるような、強力な味方が欲しいの」


ブニャット「オレは今のままで十分だっ」

レパルダス「あら、本当にそうかしら……?」

ブニャット「ああ?」

レパルダス「あなた今まで、"猫潰し組"に居て何も感じなかった? 無力感や絶望感、埋まることのなさそうな圧倒的な力量差とか……」

ブニャット「……」

――マニューラ『……あんた、思ったより大したことないね?』――

ブニャット「……っ」

レパルダス「思い当たる節がある?」


ブニャット「っ……だが……」

ブニャット「訓練程度で、そんな……っ」

ブニャット「いくらなんでも、時間がかかりすぎるはずだ……」


レパルダス「ふっふっふ、短期間での劇的なパワーアップ……」

レパルダス「そんな不可能を可能にするのが、この"訓練場"なのよ!」
 ▼ 113 1◆N8Nz6gyiSo 20/05/11 03:01:29 ID:Uf1AWIOw [3/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ブニャット「短期間……、具体的には?」

レパルダス「そうね、早いポケモンなら一日くらいかしら」

ブニャット「一日っ? そんなに早いのか……!?」

レパルダス「まあもちろん、もともとの練度や最終的な結果の伸度も加味しての話だけどね」

ブニャット「……」

レパルダス「……やる気になってくれたかしら?」


ブニャット「……分かった、やろう」

ブニャット「そんなことが本当にできるってんなら……。個人的に借りを返したいヤツもいるしな……」


レパルダス「本当? よかったわ」

ブニャット「ああ。んでその訓練ってのは、一体何をするんだ?」

レパルダス「さあ。私は知らないわ」

ブニャット「んな」ガクッ

レパルダス「だって私使ったことがないんだもの」

ブニャット「じ、じゃあいったいどうするってんだよ!」

レパルダス「ふふ、そんなわけだから今回は、特別講師をお呼びしたわ!」

ブニャット「はあ……」

レパルダス「待機しててもらったのよね。 もういいわよ、出てきてー」


――ザッ


ブニャット「あれ、お前……っ」
 ▼ 114 1◆N8Nz6gyiSo 20/05/12 03:45:47 ID:Laz.BRzA [1/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ライボルト「……ふん」フイ

ブニャット「昨日のライボルト……だよな、大丈夫だったのか……?」

ライボルト「貴様……自分で攻撃しておいてよくもそんなことが言えたものだな」ジロ

ブニャット「き、昨日はその……オレも必死だったんだよ……」

ライボルト「そんな言い訳が通用すると思うか……?」

ブニャット「……」


ライボルト「言っておくが、僕はまだ貴様が弟を傷つけようとしたことを許してはいない」

ライボルト「貴様に協力することになったのは、レパルダスさんにどうしてもと頼まれたからだ……」


ブニャット「レパルダスが……?」

レパルダス「こんなお願い聞いてくれてありがとうね」

ライボルト「……いえ」


ブニャット「……」

ブニャット「その……急に襲い掛かかろうとしたのは悪かったよ……。……赦してもらえるなんて思っちゃいないが」

ブニャット「でもよ……お前……、昨日オレに負けてんじゃん」

ブニャット「『修行』って……、これでホントに大丈夫なのか、いろいろと……?」


ライボルト「昨日は……っ、……油断していただけだ」

ライボルト「お前が……弟を狙うなどという卑怯な手を使っていなければ、僕一人で貴様を拘束できていた……!」


ブニャット「だから……それはオレも必死で……」


ライボルト「だが、それだけじゃない……」

ライボルト「確かに昨日の貴様の攻撃は、相当に貧弱なものだった……」

ライボルト「だがあれだけは、あのはかいこうせんの威力だけは……恐ろしいほどに強力だったんだ……」

ライボルト「あれほどの威力の遠距離ワザを撃てるポケモンは、この森にもそうはいない程に……!」
 ▼ 115 1◆N8Nz6gyiSo 20/05/12 03:49:46 ID:Laz.BRzA [2/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ブニャット「……?」

ライボルト「恐らく貴様は、過去に非物理的な能力を重点的に強化する訓練をしていたはずだ。……違うか?」


ブニャット「んだそりゃ……」

ブニャット「オレは、昔は……」


ライボルト「違うのか……?」


ブニャット「……っ」

ブニャット「知るかよ……っ。オレは今まで、オレの好きなように生きてきただけだ……!」


ライボルト「……」

ブニャット「はかいこうせんがそこまで強力なものだとはオレも知らなかったっ……! そんなに強えんだったら、やっぱり特訓なんていらねえんじゃねえのかっ?」

ライボルト「……ダメだ。貴様にはまだ伸ばせる能力が残っている」

ブニャット「そりゃなんだ?」

ライボルト「機動力……、つまりすばやさだ」

ブニャット「すばやさ……」
 ▼ 116 1◆N8Nz6gyiSo 20/05/12 03:50:50 ID:Laz.BRzA [3/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ライボルト「貴様にはこれから"しゅんぱつの洞窟"という場所で、一週間の特訓を受けてもらう」

ブニャット「い、一週間だと!? それじゃダメだ、時間が掛かり過ぎる!」

ライボルト「限界まで力を引き出すには、それだけの時間が必要なんだ」

ブニャット「っ……、だが……」


ブニャット「いや、やっぱりダメだっ。せめて五日……いや、三日だ……っ!」

ブニャット「三日間、本気で詰め込んで……それでどうにかならないか!?」


ライボルト「……。……四日だ」

ブニャット「……!」

ライボルト「貴様が死ぬ気で修行に取り組んで、息をつく間も惜しんで鍛えて、限界まで縮めて四日……」

ブニャット「わ、分かった、四日、……それでいい。やるよ……っ!」

ライボルト「……言ったな?」

ブニャット「ああ……!」


ライボルト「……」

ブニャット「……」


ライボルト「……ついて来い」


――――
 ▼ 117 ツハニー@ねらいのまと 20/05/12 17:31:22 ID:E27QKvlk NGネーム登録 NGID登録 報告
ラティオスより素早さ種族値の高いブニャット
支援
 ▼ 118 1◆N8Nz6gyiSo 20/05/13 03:48:40 ID:1zR6gGds [1/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――――


ライボルト「ここだ」

ブニャット「ここ……洞窟じゃねぇか」

ライボルト「"しゅんぱつの洞窟"だ。そう言っただろう」


ライボルト「そこの入り口を少しを入ると、奥に扉がある。その扉の向こうが訓練場だ」

ライボルト「本来は一匹で挑むものなんだが、今回は僕もついて行こう」


ブニャット「扉の開け方くらいは分かるぜ?」

ブニャット「ここから入ればいいんだろ? さっさとやらせてくれよ」スタスタ


――


ブニャット「……こいつが扉か。ずいぶん頑丈そうな作りだな」

ライボルト「大昔に人間が取り付けていったものだ。そこの取っ手を押せば……」

ブニャット「開け方は分かるって」

ライボルト「……」


ライボルト「……扉を開けたら何も喋るな。静かに進んで、その先の階段を降りるんだ」

ブニャット「……?」

ライボルト「……降りきったら、そのまま訓練が始まるまで洞窟の奥へ歩き続けろ」

ブニャット「歩いてれば始まんのか?」

ライボルト「そうだ、その時になれば始まったことが分かるはずだ。……その後は、目の前のことに対処しろ」

ブニャット「よく分からんが、……やってやるよ」ガチャ


ギィィ……
 ▼ 119 1◆N8Nz6gyiSo 20/05/13 03:52:27 ID:1zR6gGds [2/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ブニャット(……ん?)

ブニャット(これは……洞窟の中なのに視界が明るい……)

ブニャット(壁や天井に、発光する鉱物があるのか……)

ブニャット(こんなものを見るのは、ずいぶん……)

ブニャット(……と、奥の階段を降りるんだったな)スタスタ…

ブニャット(これか……)

ブニャット(……)トストス…トストス…

ブニャット(……)トス…トストス…トス…

ブニャット(……)トストス…トス…トス……


――――


ブニャット(これで最後の段だな……)スタ

ブニャット(……ここはなんだ?)

ブニャット(急に開けた場所へ出た……、だがここは真っ暗だ……)

ブニャット(壁にも天井にも光がない、奥もよく見通せない……)

ブニャット(進めばいいのか……)ザッ…

ザ…ザ…ザ…ザ…


ブニャット(ん……?)

ブニャット(なんだ? 何か、空気が……)

ザワザワザワザワ……

ブニャット(この音は……?)

キィキィ…キィ……キィ……


「「「キイイィィィィイイイィィッ!!!!」」」
 ▼ 120 1◆N8Nz6gyiSo 20/05/13 03:56:04 ID:1zR6gGds [3/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ブニャット「!?」


ズバットA「侵入者! 侵入者だ!!」

ズバットB「侵入者!」

ズバットC「何しに来たんだ!!」

ズバットD「なんだ!」

ズバットE「気持ちよく寝ていたのに!」

ゴルバットA「違う違う、訓練者だろう! 鍛えに来たんだ!」

ズバットF「訓練者!」

ゴルバットB「入ってきたヤツにはよ! 何してもいいんだったよな!」

ゴルバットC「丁度いい! 眠れなくて困ってたところだ!」

ズバットG「遊ぼー!!」バササッ


キィキィギィギィバサバサキュイキュイキィキィバサバサ


ブニャット「なんだなんだ!?」

ズバットH「おらー!」バサササッ

ブニャット「うおおっ」サッ


ブニャット「お、おい! 訓練ってこれかよ!? 何をどうしたらいいんだ!」

ライボルト「『目の前のことに対処しろ』と言ったはずだ。 彼らはここに住むポケモン、訓練の手伝いをしてくれる」

バサバサッ

ブニャット「ど、どういうっ……ことだよっ」ササッ…サッ

ライボルト「上ばかり見ていると、足元を掬われるぞ」

ブニャット「ぅん……?」グニ


「おいおい踏むなよー!」
 ▼ 121 1◆N8Nz6gyiSo 20/05/13 03:59:48 ID:1zR6gGds [4/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ブニャット「な、なんだ!?」バッ


バチュルA「くっそー、珍しいヤツだと思って見に来たのによー!」

バチュルB「初めて見るポケモンだ!」

バチュルC「気を付けろ! 踏んづけられるとやばいぞ!」

バチュルD「そっちがその気ならこっちもやるぞー!」

バチュルE「食っらえーい! いとをはく!」バシュゥッ


ブニャット「え、お、おいちょっ」シュバッ

ライボルト(……)


ブニャット「く、くそっ……鬱陶しい!」バタバタ


ブニャット(壁や天井が真っ暗だったのは、こいつらが張り付いていやがったからか……!)

ブニャット(それにしてもなんて数だよ……っ!)

ブニャット(対処って!? 攻撃していいのか!?)

ブニャット(い、いや、避けるので精一杯だっ……!)


ライボルト(……)

ライボルト「そこだ!」ゴオォォォッッ!


ブニャット「!? 熱っ!」ヂッ

バチュルF「うわぁ! かえんほうしゃだ!」

ブニャット「なにしやがんだテメェ!」

ライボルト「死ぬ気でやると言ったのは貴様だろう! やられたくなければ避けてみせろ!


ライボルト「はぁ!」バチチチッ!!

ズバットI「うおぉ! 10まんボルトだ! 逃げろー!」

ブニャット「はぁぁっ!?」ササッ バッ

ライボルト「食らえ! 弟のカタキだ!」ズアァッ!!

ブニャット「なんなんだよおぉぉ!!」
 ▼ 122 1◆N8Nz6gyiSo 20/05/15 03:03:16 ID:JruAvlZA [1/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――――洞窟出口


ギィィ…

バタン


ライボルト「!」


ライボルト「レパルダスさん」

レパルダス「お疲れ様、ライボルト。お夕飯を持ってきたの、それから、あなたに頼まれてたきのみも」

ライボルト「……ウブのみにタポルのみ、どれも良く育ってますね。ありがとうございます」

レパルダス「いいえ、こちらこそ。……改めて、こんなお願い聞いてくれて、どうもありがとう」

ライボルト「いえ、あなたの頼みですから……」

レパルダス「忙しいのに、ごめんなさいね」

ライボルト「……。僕の仕事は、この森に留まり、この森と森のポケモンを守ることです。頼みごとがある時は、いつでも言ってください」

レパルダス「そう……。みんなのために、本当にいつもありがとう」


レパルダス「……ところで、訓練の様子はどうなの?」

ライボルト「そうですね。すばやさを鍛えるために、すばやい相手を捌きながら確実に相手へ当てていくことを目的とした訓練をしています。これをひたすら繰り返すことで、動体視力を鍛え、回避・追撃の反応速度と全体的な俊敏性を伸ばしていくんです」

レパルダス「……? それを、あと三日続けるのね」

ライボルト「ええ。上手く行くかどうかは、彼女、ブニャットの気力次第ではありますが……」



――――
 ▼ 123 1◆N8Nz6gyiSo 20/05/15 03:05:45 ID:JruAvlZA [2/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――――"猫潰し組"本部、地下


エネコロロ(まさか……)

エネコロロ(まさかまさか……!)

エネコロロ(……とんでもないことになってしまったわ)

エネコロロ(……確証はないし、本人にもその意識はないけれど。ただ私の、あの森での記憶が、そうだと言っている)

エネコロロ(なんとしても、みんなに伝えないと……)

エネコロロ(でも、今急に飛び出したんじゃ怪しまれてしまうわよね……)

エネコロロ(それに何より、あまりにも手持ちの情報が少ない……。組織が何を企て、どう動こうとしているのかを探らないとだし……)

エネコロロ(ともすれば……)

エネコロロ(機を待ちながら、情報を集めることに専念すべし、ね……)



――――本部地下、個室U


エネコロロ「博士ー……。お茶をお持ちしましたー」

エネコロロ「いらっしゃいますかー……」キョロキョロ

エネコロロ「……」

エネコロロ「いませんねー……」ソロー…



エネコロロ(さて……)

エネコロロ(私が調べなくちゃいけないのは、組織が開発中の新兵器の情報……)

エネコロロ(あるとすればこの部屋……)

エネコロロ(ペルシアンの研究を直接見れたわけではないから、資料をどこに隠しているかは分からないけど……)

エネコロロ(でも、探せばすぐに出てくるはず……)


――――
 ▼ 124 1◆N8Nz6gyiSo 20/05/15 03:08:23 ID:JruAvlZA [3/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
エネコロロ(一番怪しいのは、この研究机だけど……)スッ

エネコロロ(……)ガッ

エネコロロ「あ、あれ……」ガッ…ガッ…

エネコロロ(開かない? 壊れているのかしら……?)

エネコロロ(いえ、違う……これは……)


「鍵をかけてあるんだ、その机には」


エネコロロ「!!」ドキッ

エネコロロ「は、博士っ……!?」バッ


アロペル「俺様が開発した錠前だ、すごいだろう。……と言っても、所詮人間どもの産物の模倣品だがな」

エネコロロ(嘘……なんで、まだ戻ってくるような時間じゃ……)

アロペル「ところでオメェ、そんなとこで何してんだァ?」

エネコロロ「いえ。あの、ちょっと、ニャスパーさんの様子が気になって、お早めにお茶をお淹れしに行こうかなーって……」

アロペル「へェ。だがニャスパーの部屋の扉はあそこだぜ? なんでお前は俺の机の前にいるんだァ?」

エネコロロ「なんでですかね。私、一度気になっちゃうとついつい夢中になっちゃうんですよぅ。……あ、お茶、冷めないうちにいかがですか?」

アロペル「茶ァねェ……。これ、町で奪ってきた茶葉だろう? お前が入れたのか?」

エネコロロ「いいえ、調理場で作ってもらってきたんです。(ねむりごなは入れたけどね……)」

アロペル「ふぅん」

エネコロロ(鍵はこのペルシアンが持っているはず……それを奪って、資料さえ読めれば……)

アロペル「そうかァ……。だが、あと四つほど数が足んなかったなァ」

エネコロロ「……え?」

アロペル「おーい、入って来いよ」


ニャイキング×4「……」ゾロゾロゾロ…


エネコロロ「は、博士、この方達は?」

アロペル「護衛だよ。特別に付けようと思ったんだ」

エネコロロ「なるほど……確かに、重要な研究ですもんね」

アロペル「ああ。まあ、お前ェと入れ替わりになるんだけどな」

エネコロロ「え?」
 ▼ 125 1◆N8Nz6gyiSo 20/05/15 03:09:37 ID:JruAvlZA [4/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アロペル「捕縛しろ」

ニャイキング×4「ハ……」ガシッ

エネコロロ「あ……えっ?」

アロペル「あー。……お前ェには言ってなかったんだけどよォ、この建物な、ついこの間から、屋内に監視カメラを設置することになったんだ」

エネコロロ「は、はあ……あの、これは……?」

アロペル「素行不良な組員の監視が目的だったんだが、まさかお前ェがそのうちの一匹だったなんてなァ……」

エネコロロ「え、ええと……」

アロペル「ああ、そうだ。このお茶だが、俺らは喉が渇いてるワケでもねェからよォ、お前が代わりに飲んでくれて構わねえぜ?」スッ

エネコロロ「え……あ、あの、遠慮して……」

アロペル「遠慮なんてすんなよォ、ほら、口開けろ」

ニャイキング×4「……」グイ

エネコロロ「あぐ……」

アロペル「ほらよ」クイ

エネコロロ「ん……っ」


ゴクッ


エネコロロ「う……」カク

アロペル「……睡眠薬かァ。なァんでこんなもん飲ませようとしたんだァ?」

エネコロロ「……」zzz

アロペル「……まァいいか。後でゆっくり聞いてやるよォ」


アロペル「連れてけ」

ニャイキング×4「ハイ……」ササッ


アロペル「あーあ。割と気に入ってたヤツだったんだがなァ……」
 ▼ 126 1◆N8Nz6gyiSo 20/05/15 03:10:14 ID:JruAvlZA [5/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――――


ズルズル…

エネコロロ「……」

ズルズル…

エネコロロ(……実は飲んだふりだったりして)

ズルズル…

エネコロロ(……でも、どうにかできそうな状況じゃないわよね)

ズルズル…

エネコロロ(うぅーん……。正直、お手上げだわ……)

ズルズル…

エネコロロ(あと頼れるのは、お姉ちゃんくらい……ね)

ズルズル……


――――



――――二日後
 ▼ 127 386えん】 ひろった! 20/05/15 08:16:51 ID:sCIISw2. NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
(*^_^*)
 ▼ 128 187えん】 ひろった! 20/05/15 10:15:32 ID:eWA6enU2 NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 129 1◆N8Nz6gyiSo 20/05/18 04:17:19 ID:VRG2jwkQ [1/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――――"南の森"、"しゅんぱつの洞窟"



ズバットJ「血ぃよこせぇーい!」ババッ

ブニャット「しっ……!」バシッ

ズバットJ「ぐえっ」


バチュルG「ひぇぇっ、こっちくんなー!」ビビビッ

ブニャット「……!」サ、サッ

バチュルG「お、おわわっ、踏むな踏むなぁっ」


ライボルト「いいぞ……確実に早くなってきている」

ライボルト「目で見た情報だけに頼るな! 死角の動きも常に警戒するんだ!」

ライボルト「はぁ!」バチチチッ!!


ブニャット「!」

ブニャット「……っ」バッ

ライボルト「反応が遅れたぞ! 体力が少なくなっているときこそ集中するんだ!」

ゴルバットD「隙ありィィ!!」ガッ!

ブニャット「ぐっ……!」

ズバットK「ボクも混ぜてー!」バササッ

ズバットL「血ィ!」シャァッ

ブニャット「ぐっ……」


ブニャット「……ふうっ」ピリッ…


ライボルト「!」
 ▼ 130 1◆N8Nz6gyiSo 20/05/18 04:17:57 ID:VRG2jwkQ [2/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ブニャット「……おっらぁ!」バリバリバリッ!!

ゴルバットD「!!? ……うぎゃあああ!!」バチバチバチッ

ズバットK「うわぁ!?」ビクッ

ズバットL「で、電撃だ! 逃げろ!」

ブニャット「あぁぁぁ……!」バチチチッ!!


ライボルト「あれは、10まんボルト!」

ライボルト「使えた……? いや……まさか、覚えたのか、今この状況で!」


ブニャット「……フゥ」スッ

ブニャット「……」

ブニャット「……」スゥー…


バチュルH「な、なんだ、動きが止まったぞ?」

バチュルI「みんな! やるなら今よ!」

バチュルJ「うおおーー!!」シュバッ


ブニャット「……!」カッ

ブニャット「ニャ゙ア゙ア゙ア゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙!!!!!!」ズアァァッ!!


ライボルト「!?」

バチュルH「!!」

バチュルI「な、なにこれ! うるさっ!」

バチュルJ「ぐあああっ!!」キーンッ


ビリビリビリビリ……
 ▼ 131 1◆N8Nz6gyiSo 20/05/18 04:19:45 ID:VRG2jwkQ [3/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ブニャット「……どうだ!」

ライボルト(今のは……ハイパーボイスか?)

ズバットM「み、耳がぁっ」キーン…

ゴルバットE「怯むな! 一斉に畳みかけるんだ!」

ズバットN「や、やだよぉ……。だってあいつ、バケモノみたいに強くなってるんだもん……」


ブニャット「……」ジリ…

バチュルK「……」タジ…


ライボルト(うぅむ……)

ライボルト(そろそろいい時分か……)


ブニャット「はっ!」シュバッ

バチュルK「(/;ω;)/」


ライボルト「そこまで!!」

ブニャット「!」ピタッ

ライボルト「……今日の訓練は終わりだ。夕餉にするぞ、休息を取れ」

ブニャット「ああ? んだよ、オレはまだやれっぞ!」

ライボルト「そうだな……。だが貴様が大丈夫であっても、過度な利用をしたせいで、この訓練場そのものが悲鳴を上げ始めているんだ……」

ブニャット「……!」

ライボルト「正直、貴様の成長速度は僕が思った以上だ。よって、調整を行う最終日に向けて、今日の訓練はここで切り上げる」

ブニャット「……それで、問題は無いんだろうな……?」

ライボルト「……。成長速度が速いと言っても、成長の限界まで引き上げられているわけではない。『死ぬ気でやる』と言うが、無理をして動けなくなったら元も子もないんだ」

ブニャット「……だけどっ」

ライボルト「貴様が格段に強くなっていることは紛れもない事実だ。嘘を吐いたりはしない、……信じてほしい」

ブニャット「……」
 ▼ 132 1◆N8Nz6gyiSo 20/05/18 04:22:19 ID:VRG2jwkQ [4/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――――数刻後


ブニャット「……あのさ」ガブッ

ライボルト「なんだ」

ブニャット「お前はさ、いったい……どうして……」モグモグ…

ライボルト「行儀が悪いぞ。飲みこんでから喋れ」

ブニャット「……」ゴクン…


ブニャット「……お前はさ、どうしてオレに協力してるんだよ。だって、いくらなんでもおかしくないか……?」

ライボルト「余計なことは考えなくていい……」ガブ

ブニャット「んだよ……つれねえな」

ライボルト「……」モグモグ

ブニャット「……」シャクッ

ライボルト「……」ゴクリ

ブニャット「……」シャクシャク…


ライボルト「……ペルシアンさんにはな」

ブニャット「ん……?」ゴクン

ライボルト「妹がいるんだ。歳の2つ離れた妹が」
 ▼ 133 1◆N8Nz6gyiSo 20/05/18 04:29:30 ID:VRG2jwkQ [5/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ライボルト「彼女に似て気丈だが、いつも他者のことばかり気に掛けるような、優しいポケモンでな……」

ブニャット「ああ、エネコだろ? レパルダスから聞いたよ。確かすごく優秀だったから、王サマの下で働いてたって」

ライボルト「知っていたか……だが、彼女はもう進化してエネコロロになっている」

ブニャット「あっ、そうかもしかして、あいつの話に出てきたラクライって……」

ライボルト「ん、ああ……きっと僕のことだろう。僕とエネコロロは、人間との戦争を終えて、たった二匹だけ生き残った元王兵の一員だ……」

ブニャット「へぇ。そのエネコロロって、今は何してるんだ?」

ライボルト「……」


ライボルト「お前は、……完全に"猫潰し組"を裏切っている立場、でいいんだよな……? いや、レパルダスさんを疑うつもりはないのだが……」

ブニャット「あ? 急になんだよ、……そんなの、あんな奴ら最初から仲間だとも思ってねぇよ!」

ライボルト「そうだな、すまない……。まあ、彼女も明日には任務を解かれることになっているから、話しても大丈夫だろう……」

ブニャット「任務? 何の話だ?」

ライボルト「彼女……エネコロロはな、諜報員として、"猫潰し組"に潜入しているんだ」

ブニャット「え……あっ」

ライボルト「近年勢力を伸ばし、森の脅威となり得るような組織への調査を行うためにな」

ブニャット「お、オレ、会ったぞ、一匹、エネコロロに」

ライボルト「なに、本当か?」

ブニャット「ああ……いや、だが、妹……? 似ていたようには思えないんだが……」

ライボルト「腹違いの姉妹だからな……。それに彼女は、レパルダスさんとは他人への接し方がまるで違う」

ブニャット「なら、やっぱりアイツかもな……。なんであんなとこに居たのか、すごく不思議だったんだ。周りの血の気が多い奴らとは全然違って、なんと言うか、腰が低くて……」

ライボルト「そうだ、それがきっとエネコロロだ。 様子はどうだった? 元気そうにしていたか?」

ブニャット「え、ああ。まあ、元気そうだったけど」

ライボルト「そうか、良かった……」

ブニャット「ああ……。え……それで? 協力してくれる理由を話すわけじゃなかったのか……?」

ライボルト「ん、ああいや。……この話は、これで終わろう」

ブニャット「は?」

ライボルト「ほら、残さず食べろよ。レパルダスさんが用意してくれてる夕飯なんだ。食べたら休んで、体力を回復させろ。明日は僕が直接訓練をつけてやるからな」

ブニャット「……一体なんなんだ?」



――――
 ▼ 134 ジッチュ@きいろいかけら 20/05/18 13:49:01 ID:Pu9AntOE NGネーム登録 NGID登録 報告
支援ですぞwww
 ▼ 135 1◆N8Nz6gyiSo 20/05/19 04:38:37 ID:ioZkqSxM [1/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

――
―――
――――


『――ニャルマー。あなたはね、繧ケ繝ャ繝�ラ家に仕える身として、きちんとした立派なポケモンにならなくちゃいけないの』

「ニャ?」

『心配はいらないわ、私がいろいろ教えてあげる。あなたはいい子だから、きっとすぐにそうなれるはずよ』

「ニャア」


――――
 ▼ 136 1◆N8Nz6gyiSo 20/05/19 04:39:29 ID:ioZkqSxM [2/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――――


「ニャッ」ペッ

『あら、やっぱりダメだった……?』

「ニャー……」

『そうよね、病気でもないのにお薬なんて変だものね……』

「ニャア……」

『気にしないで、ニャルマー。こんなもの飲まなくたって、強くなる方法は他にもたくさんあるわ』

「ニャマ」

『そうね、じゃあちょっとお散歩に行きましょう。外で思いっきり体を動かすのよ!』

「ニャア!」

『パパ! ママ! ちょっと出かけて来るわね!』


――――
 ▼ 137 1◆N8Nz6gyiSo 20/05/19 04:40:17 ID:ioZkqSxM [3/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――――


『この町は、とってもいいところよね』

「ニャン」

『私、この町が好き。……決して裕福な町ではないけど、みんな優しくて、いつも賑やかで』

「ニャア」

『私も……大きくなったらパパみたいな、町の人の役に立てるお仕事がしてみたわ』

「ニャンマ」

『そのためには、あなたの力が必要不可欠なの。一緒に頑張りましょう、ニャルマー!』

「ニャマ!」

『……あ、そろそろ町の外れね。ほら見て、あの辺りに、野生のポケモンがいるのよ』

「ニャア……」

『えぇと、この本によれば……』


――――
 ▼ 138 1◆N8Nz6gyiSo 20/05/19 04:40:49 ID:ioZkqSxM [4/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――――


「ニャー……っマ!」バシュバシュッ

『す……』

「ニャマ!」スタッ

『っ……すごいわニャルマー! 今の、スピードスター? まさか、倒しちゃうなんて!」

「ニャフ!」

『やっぱり、あなたって天才ね!」


――――
 ▼ 139 1◆N8Nz6gyiSo 20/05/19 04:44:05 ID:ioZkqSxM [5/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――――


『そこよ、ニャルマー! めざめるパワー!』

「ニャマー!」シュパァァァッ

『いいわよ、続けてエコーボイス!』

「ニャニャアー!」ビリビリビリ

『いい調子! あなた、どんどん強くなってるわ!』


「ニャンマ……」…パァァァ

『あら……? ニャルマー、あなた、身体が光って……』


パァァァァァ……シュパァンッ


「ブニャアァッ!」

『あ……あ……』

「ニャ、ニャ……?」キョロキョロ

『あなた、進化したのね……!?』

「ブニャ?」

『や……やった、やったわ! ニャルマー……いいえ、……ええと、……そう、ブニャット!』

「ニャット?」

『ブニャット! おめでとう! あなたって、本当にすごいわ!』

「ブニャ……?」

『あなた、進化したのよ! 進化は強くなっている証拠なの! 身体もこんなに大きくなって、どんどん立派なポケモンに近づいているわ! 早く、パパとママに知らせなくっちゃ!』


――――
 ▼ 140 1◆N8Nz6gyiSo 20/05/19 04:47:57 ID:ioZkqSxM [6/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――――


「ニャー?」キョロキョロ

『……、ブニャット?』

「ニャー!」タタッ

『待たせてごめんなさい、迎えに来てくれたのね。……もう用事は済んだわ』

「ブニャア!」

『……そうね……ええと』

「……?」

『……はぁ』

「ブニャー?」

『……ブニャット。ごめんなさい』

「ニャア?」

『あのね……、パパのお仕事がね……上手くいってないんだって』

「ニャ……」

『この間ね、町の人々が協力して、資源を確保するために、周りの森への開拓に乗り出したの』

「ニャア」

『パパは、それを指揮する重要な役に就いていたんだけど、結果はあまり良くなかった……』

「……」

『森のポケモンたちの抵抗で、町からも多くの犠牲者を出してしまって……』

「ニャァ……」

『パパは、その責任を負わなくちゃいけないんだって……』

「……」


『ブニャット……。 私たち……これからどうなってしまうのかしら……』

「……ニャー」

『……はぁ、ごめんなさい。あなたに話しても分からないわよね』

「ニャート……」

『心配してくれてありがとう。でも私、は大丈夫よ……。さ、今日は何をして遊ぼうかしら?』


――――
 ▼ 141 1◆N8Nz6gyiSo 20/05/19 04:51:53 ID:ioZkqSxM [7/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――――


『ブニャット……ごめんなさい……』

「ブニャ……」

『私たち、もう、お金がなくて……』

「ニャー……?」

『あなたの面倒を、これ以上は見ることができないって……』

「……」

『あなたとは、もうお別れしなくちゃいけないって……』

「……ニャー」

『ごめんなさい……ブニャット、……ごめんなさい』





ごめんなさい……




――――
―――
――





ブニャット「……はっ」パチッ

レパルダス「あら、起きた?」

ブニャット「ん……」

レパルダス「何か、夢でも見ていたの? 途中まで幸せそうだったのに、急に静かになってたけど……」

ブニャット「いや……別に」

レパルダス「そう」


レパルダス「朝ご飯持ってきたわ。 食べたら洞窟に集合って、ライボルトが」

ブニャット「ああ、分かった」

レパルダス「今日も、頑張ってね……!」
 ▼ 142 ノハナ@グランドコート 20/05/19 08:35:55 ID:HpqUGJvM NGネーム登録 NGID登録 報告
毎朝見てる
 ▼ 143 ガゲンガー@はかせのふくめん 20/05/20 03:47:27 ID:SX/wQLY6 [1/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――――


ブニャット(夢……、見ていたような気がするけど……)

ブニャット(忘れちまったな)

ブニャット(嫌だったような、懐かしかったような……)


ブニャット(……)

ブニャット(ふーん……)

ブニャット(まあいいか)


ブニャット(あれから……)

ブニャット(もう四年も経つんだな……)


ブニャット(……)


ブニャット(……知ってる)

ブニャット(自分の立場くらい……)


ブニャット(知ってる……)


 
――――
 ▼ 144 ュラルドン@クリティカッター 20/05/20 03:50:46 ID:SX/wQLY6 [2/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――――"しゅんぱつの洞窟"入口


ライボルト「……来たか」

ブニャット「おう」


ブニャット「特訓、今日で終わるんだろ?」

ライボルト「ああ。……どうだ、強くなった実感はあるか」

ブニャット「まあ、少しくらいは……な」

ライボルト「なんだ、まだ修行し足りないか?」

ブニャット「バカ言えっ。急いでんだよこっちは」


ブニャット「アイツのところに、早く行ってやんねえと……!」

ライボルト「……そうだな」


ライボルト「レパルダスさんの交渉が上手くいけば……きっと」

ライボルト「だが、大切なものを守るためには、時として強さも必要になる……。いざというときは貴様が……」


ブニャット「分かってるよっ。なあ、もう早く始めてくれよな。今日はいつもと違うことをするんだろ?」

ライボルト「ああ、そうだ。じゃあ、始めるか」


ライボルト「こっちだ、付いてきてくれ……」


――――
 ▼ 145 ーフィ@エフェクトガード 20/05/20 03:55:22 ID:SX/wQLY6 [3/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ブニャット「こっちって……、いつものデカい空洞じゃんか」


ライボルト「……」ザ…ザ…ザ…

ブニャット「?」


ライボルト「……」ピタ

ライボルト「……」スゥ-

ライボルト「……おーい、出てきてくれ!」


ブニャット「!」


クロバット「……」バサッバサッ

デンチュラ「おーす、おーす。おーはよー」カサカサカサカサ


ブニャット「なんだ、……誰だ?」


ライボルト「クロバットとデンチュラ。……一応、この洞窟で最も実力があるやつらに来てもらった」

クロバット「えぇ、一応ってなに……」バサバサ

デンチュラ「やほー、ブニャットチャン。ちゃんと挨拶するのは初めてだねぇ。いつも見てたよー」


ブニャット「……実力があるやつら?」

ライボルト「ああ。今日は僕ら三匹が、貴様に最後の修行をつける」

ブニャット「あ、そうか、お前もなのか」

ライボルト「そうだ。『僕が直接』と言っただろう」


ライボルト「最後だからと甘くしてやるつもりはない。覚悟しろよ」

ブニャット「上等だ、やってやらぁ!」


――――
 ▼ 146 1◆N8Nz6gyiSo 20/05/20 03:58:14 ID:SX/wQLY6 [4/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――――"猫潰し組"本部


アローニャA「なー。アレなんだろ、あんなとこにあったっけ?」

アローニャB「え? ……あ、ホントだ。なんだアレ、なんかの機械……?」

アローニャA「やっぱお前も知らない?」

アローニャB「知らないなー」

アローニャA「そっかぁ……。機械ってことは……ペルシアンさんの発明かな……?」

アローニャB「さぁ……」


――――本部地下


アローニャB『どうだろなー……』


ペルシアン「ん……。こいつら、隠しカメラに気づいたのか……」


アローニャA『あ、そう言えばさ……こんな話は知ってるか?』

アローニャB『え、どんな?』

アローニャA『ボスとペルシアンさんの、昔の話』


ペルシアン「ああ……?」


アローニャB『うーん、特に聞いたことないな。どんな話なんだ?』

アローニャA『ボスとペルシアンさんってさ、昔おんなじトレーナーのところに居たんだって』


ペルシアン「おい、ちょっと待て。どうしてお前がそんなことを……」
 ▼ 147 1◆N8Nz6gyiSo 20/05/20 04:04:02 ID:SX/wQLY6 [5/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アローニャA『二匹とも小さい頃からそのトレーナーに鍛えられてたんだけど、二匹とも、進化した後捨てられっちゃったんだって』

アローニャB『え、なんでだ?』

アローニャA『俺が聞いた話によるとなー……なんか、そのトレーナーってのが酷い奴だったらしくて、ボスたちの進化してないままの姿をデキアイしてたんだって』

アローニャB『は?』

アローニャA『つまりな、ボスやペルシアンさんの進化した姿が嫌で、二匹を捨てたんだって』

アローニャB『ええ!? イミ分かんねー』

アローニャA『なー、ほんとイミ分かんねーよな』

アローニャB『ボスもペルシアンさんもカッコいいのに、なんでなんだろな』


アロペル「こいつ、どこから知ったんだ……俺は誰にも話してねェぞ……?」


『そりゃあその人間が、どうしようもないクズだったってことさ』


アロペル「ん?」


アローニャA『あ!』

アローニャB『アネさん……!』


アロペル「マニューラ……?」


マニューラ『アンタたち、面白そうな話してんじゃないか』

マニューラ『アタシも混ぜとくれよ』
 ▼ 148 1◆N8Nz6gyiSo 20/05/21 03:39:46 ID:e2JcALZA [1/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アローニャA『い、いいすけど、俺ら別に変なこと喋ってたわけじゃないっすよ……』

アローニャB『そうそう……ただの世間話で……』

マニューラ『なにをそんなに怯えてんだい、アタシはただお喋りを楽しみに来ただけさ。アンタの言ってたガオガエンたちの話だって、アタシが教えてやったんじゃないか』

アローニャA『あ、そういえば……』


アロペル「お前ェかよっ」

アロペル「ガオガエンがマニューラに話したのか……?」


アローニャB『でも、話すったっていったい何を……』

アローニャA『そうっすよ、俺らアネさんに話せるような、楽しい話題なんて何も持ってないっすよ』

マニューラ『いいよいいよ、アタシに話さておくれ。ガオガエンのことなら、何でも知ってるからね。アンタらも気になんだろ?』

アローニャA『ボスの話っすか』

アローニャB『それは確かに気になる……』

マニューラ『ふふふ。そうさね、じゃあ今日は何を話そうか……』
 ▼ 149 1◆N8Nz6gyiSo 20/05/21 03:44:33 ID:e2JcALZA [2/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
マニューラ『うーん。……二匹がまだ小さかった頃の話と、ガオガエンがアタシに出会うまでの話とか。どうだい?』

アローニャA『小さかった頃……?』

アローニャB『……っていうと、今の俺らみたいに進化する前で、まだニンゲンの下に居た頃……てことっすか?』

マニューラ『ああ。そうだね』

アローニャA『え、す、すげー。アネさん、何でそんなことまで知ってんすか』

マニューラ『言っただろう。ガオガエンのことなら何でも知ってるって』


アロペル「まずいぞこの心酔オンナ……、余計なことでも喋られたら……」


マニューラ『……アイツら二匹はね、確かに生まれた時から一緒で、双子のように成長してきたんだ』

マニューラ『だがそれと同時に、お互いに憧れ合ってもいたのさ』

アローニャB『憧れ合っていた……?』

マニューラ『そう。お互いに、お互いが持っていないものを持っていたってことさね』


マニューラ『ガオガエンなら、力強さとバトルの才能』

マニューラ『ペルシアンなら、器用さと賢い頭脳。……といった具合にね』

マニューラ『そうして二匹は、協力したり、時には対立したりしながら、徐々に成長していって……』


アロペル「おい……ちょっと……」


マニューラ『――で……が○○、□□××……』

アローニャA・B『へぇ〜』

マニューラ『◆◇◆の▽△▽が□■□■で、&※$▼%?¥……』

アローニャA・B『ええー!?』



アロペル「おいおいおい……やめろやめろっ」

アロペル「ダメだ、聞いてらんねェぞ……」

アロペル「おーい誰か、誰かいえねェのかっ?」

アロペル「早く、誰か、このストーカーの口を閉じてこい!」

アロペル「こいつがとんでもねェこと口走る前にだ! 急げ!」


――――
 ▼ 150 1◆N8Nz6gyiSo 20/05/21 03:45:18 ID:e2JcALZA [3/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――――数分後


アロペル(あんのヤロウ……、ヒトの過去をべらっべら喋りやがって……)

アロペル(……ったく。とんだ邪魔が入っちまった)

アロペル(だが……)


アロペル「ククク……」

アロペル「実験は順調、兵器の開発も最終段階」

アロペル「明日にでも、試験運用ができそうだ……」
 ▼ 151 ガヤンマ◆tNBlQV57Hs 20/05/21 13:03:42 ID:S9zcTFbE NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 152 1◆N8Nz6gyiSo 20/05/22 03:38:48 ID:vpN.SC8A [1/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――――夕刻


――――"南の森"、"しゅんぱつの洞窟"



――ドガァッ!


ブニャット「ぐ、ぬぬ……」ググ…

クロバット「う……」

ブニャット「ふんっ!」ブンッ

クロバット「おわわっ……」バササッ


ライボルト「いいぞ、よく止めた」

ライボルト「はかいこうせん後のクールタイム、かなり縮まったな」

デンチュラ「でもやっぱり大技だから、なるべく温存しといた方がいいかもねー」


ブニャット「……はぁ、はぁ」

クロバット「うーん、止められた……結構強めにやったんだけどな。疲れてるのにすごいや……」

ブニャット「へっ、鍛えられたのは素早さだけじゃねえってこった……!」


ライボルト「よし……」

ライボルト「そこまでだ! 訓練はこれで終了とする」


ブニャット「へ……?」

ブニャット「な、なんだ、これで終わりなのか?」

ブニャット「……確かにもうずいぶんやったかも知んないけど、オレはまだまだ動けるぞ」
 ▼ 153 1◆N8Nz6gyiSo 20/05/22 03:54:53 ID:vpN.SC8A [2/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ライボルト「……」


ライボルト「クロバット」

クロバット「うん、なに?」

ライボルト「君、門限は大丈夫か?」

クロバット「え、……あ! ……し、しまったっ、母さんに叱られる!」バサササッ!


ブニャット「あっ……」

ライボルト「今日までの修業は、これで終わりだ。残りの時間は、本番のために休息を取り、体力を回復させるために使え」

ブニャット「な……」

デンチュラ「あーねえ、あたしもさー、兄弟の面倒見てやんないとだから、そろそろ帰んないとなんだよね」


ライボルト「……、そういうことだ」

ブニャット「……っだが」

ライボルト「不安か?」

ブニャット「いや、そんなんじゃないが……」

ライボルト「……」


ライボルト「元々……」

ブニャット「……?」


ライボルト「元々、レパルダスさんの目的は、"猫潰し組"を無血解体させることだった」

ライボルト「もし、作戦が計画通りに遂行されるのだとしたら、本来はこちら側に戦力なんて必要ない……」

ライボルト「だが、相手は血気盛んなギャング集団だ。武力行使を考慮から完全に除外するのは無理があると言うもの……」

ライボルト「……貴様の力は、なにも敵を倒すために必要なわけじゃない」

ライボルト「自分を、仲間を守るために、必要になるものなんだ」


ブニャット「守るために……」


ライボルト「そう。……力がなければ、守れるものも守れない」

ライボルト「お前は……、大切なポケモンなんだろう、そのニャスパー。……必ず助け出してやれ」

ライボルト「そしてレパルダスさんは、それを手伝うと言っているんだ。……お前も、彼女に協力してやってほしい」


ブニャット「……」
 ▼ 154 1◆N8Nz6gyiSo 20/05/22 03:59:44 ID:vpN.SC8A [3/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ブニャット「……なあ、なら一つ聞いてもいいか?」

ライボルト「なんだ」


ブニャット「この森の奴らはみんな、自分の仲間を大切にするんだろ……?」

ブニャット「ここまでレパルダスに協力してるんだから、お前らがこのまま、アイツに力を貸して、"猫潰し組"まで行ってやるんじゃダメなのか?」

ブニャット「どうしてそれがオレなのか、やっぱり理由が分からねえんだ」

ブニャット「……お前らからすれば、オレは部外者みたいなもんだろう?」


デンチュラ「ブニャットチャン、……それは無理だよ」フルフル

ブニャット「なぜ……?」


ライボルト「……貴様も、レパルダスさんから聞いているだろう」

ライボルト「彼女の最終的な狙いは、他でもない……ガオガエンの救済なんだ」

ライボルト「元々ガオガエンは余所者で、その上……王妃の死の一因となってしまったポケモン」

ライボルト「それを助けようとするレパルダスさんの行為は、完全な自己都合でしかないんだ」

ライボルト「僕は……個人的な事情もあるけれど、少なくとも公の立場で、彼女を助けたいとは思う」

ライボルト「だがそれも、この森の中に限っての話だ」


デンチュラ「そうそう。それに、そのなんとかって組織も、まだ私らの中じゃ、特別先手を打たなきゃならない相手って程じゃあないんだ」

デンチュラ「残念だけど、今積極的にレパルダスを助けたいと思ってるポケモンは、この森にはほぼ居ないだろうね」


デンチュラ「……ってな調子だからブニャットチャン、この話のイチバンの適任は、やっぱりアンタなんだ」

ブニャット「……、そうなのか……」

ライボルト「そう。大事に至らない限り、我々がこの森を離れることはない。……レパルダスさんは、貴様にこの仕事を頼むのは気が引けると言っていたが……」

ブニャット「ああいや、いいんだ、もう大丈夫だから」

ライボルト「頼まれてくれるな……?」

ブニャット「おう。……ここまでやっといて、今更しっぽ巻いて逃げるわけにゃいかねえからな」


――――
 ▼ 155 1◆N8Nz6gyiSo 20/05/25 03:52:33 ID:EQH.lmUE [1/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
レパルダス「――ライボルト……、ライボルトー!」タタタタタ

ライボルト「あ、レパルダスさん。訓練ちょうど今終わったところで……って……」

レパルダス「ライボルト、大変なのっ……!」タタタタ…

ライボルト「ど、どうかしたんですか……?」

レパルダス「変なのよ……妹が、エネコロロが帰ってこないの……っ」ハァハァ…

ライボルト「え!?」

レパルダス「今日、任務を終えて、連絡のために帰ってくるはずだったのに……。仕事場で待っていたんだけど、時間になっても現れないのよ……」

ライボルト「そんな……エネコロロが……?」


ブニャット「ん、なんだ。なんかあったのか……?」

レパルダス「ブニャットさんっ、どうしよう……妹が……」

ライボルト「……レパルダスさん、心配かもしれませんが、一旦落ち着いて……。……なあ、ブニャット」

ブニャット「なんだ?」

ライボルト「お前……貴様は確か昨日、組織でエネコロロに会ったと言っていたな」

ブニャット「ああ、そうだったな」

レパルダス「本当……!? あなた、エネコロロに会ってたの?」

ブニャット「んまあ、本人かどうかは確認できないけど、たぶん……な」

レパルダス「それは、いつ?」

ブニャット「ええと……四日前、だな」

レパルダス「四日前……様子はどうだった?」

ブニャット「いやあ別に、元気そうだったぞ。……そんな、帰ってこれないような様子にも見えなかったけどな」

レパルダス「なら、少なくともこの四日のうちになにかあったに違いないわ……」

ライボルト「あのエネコロロに限って、そんなことがあるでしょうか……。だって彼女は……」

レパルダス「そう。あの子は真面目で、任務でミスをすることなんて今まで一度もなかったわ。……でもだからこそ、姿を見せないのがとても心配なのよ……」

ライボルト「……」

レパルダス「何か……何か悪いことがあったんじゃないかって……」
 ▼ 156 1◆N8Nz6gyiSo 20/05/25 03:53:31 ID:EQH.lmUE [2/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
レパルダス「本当は、明日の朝出発するつもりだったのだけど、……そんな、待っていられる余裕なんて今の私にはないわ。今すぐでも、エネコロロを助けに行きたい……」

ライボルト「それは、作戦の決行を早めるということですか」

レパルダス「ええ、そうよ」

ブニャット「ほお……」

ライボルト「危険です。せめて我々が……」

ブニャット「いや、一匹で先走らずに、ここまで知らせに来たのは正解だったな。いいじゃねえか、早まったんならさっさと行こう。オレぁ元から急いでたんだ」

ライボルト「無茶だ。お前はさっきまでずっと、休みもなしに修業していたんだぞ。体力の回復を待ってから行くべきだ……」

ブニャット「オレぁ体力にゃあ自信があんだよ。一刻を争うってときに、休みもくそもあるかってんだ」

レパルダス「ブニャットさん、いいの。大丈夫なのね……?」

ブニャット「おう」
 ▼ 157 1◆N8Nz6gyiSo 20/05/25 03:56:31 ID:EQH.lmUE [3/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ライボルト「しかし……」

ブニャット「ライボルトよぉ、これはお前の言う、『大変な事態』になるんじゃねえのか?」

ライボルト「いや、……そうだ。その通りだ。森の警備に連絡をしたら、僕達がすぐに組織に向かう……だから……レパルダスさんはここで待機して……」

レパルダス「でも、救出へ向かうための十分な要員なんて、今この森じゃすぐには集められないわ……」

ブニャット「なあ、目的が一つ増えただけだろ。戦力としちゃもともと事足りてたはずじゃねえのか」

ライボルト「そんな簡単な話じゃない……!」


レパルダス「引き止めても、私は行くわよ。ブニャットさんがダメそうだったら、私だけでも行くつもりだったの……」

ライボルト「……っ」

レパルダス「ライボルト……ごめんなさい」

ライボルト「……、分かりましたよ。……止めても無駄なら……できるだけ、早く動いたほうがいい」

ライボルト「元々は……隠密作戦だということ、忘れないでください。……我々が向かうまで、決して無茶なことはしないように……」


レパルダス「ええ」

レパルダス「大丈夫。私、こう見えて頑丈なのよ」


レパルダス「……じゃあブニャットさん、もう大丈夫かしら」

ブニャット「ああ」

レパルダス「……ありがとう。……ライボルトも、本当にありがとう」

ライボルト「いえ……」

ブニャット「礼は全部終わってから言ってくれ」

レパルダス「そうね。……じゃあ、行きましょう」タッ

ブニャット「おう」ダッ

ライボルト「……どうか、ご無事で」クルッ



――――
 ▼ 158 1◆N8Nz6gyiSo 20/05/25 03:59:42 ID:EQH.lmUE [4/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――――



レパルダス「はいこれ、体力回復のきのみ。悪いけど、進みながら食べましょう」スッ

ブニャット「ああ」


レパルダス「それと一応、元々どういう作戦だったのか、計画の内容を説明するわね」

ブニャット「おう……」シャクッ


レパルダス「私たちの最終的な目的は、ガオガエンと話をつけ、ニャスパーちゃんを救出すること」

レパルダス「私は、何度か組織を訪ねてみたけれど、まともに取り合ってもらえたことはなかったわ」

レパルダス「だから今回は、あなたの力を借りて、組織に潜入することにしたの」

レパルダス「元々が大所帯だから、あなたと一緒に行動していれば、目立たずに行動できるはず」

レパルダス「潜入するタイミングもそう。一日のうちで、最も混雑する時間帯を狙う」

レパルダス「あなたも知っているでしょう。"猫潰し組"は、一日に二度、昼と夜の構成員を総入れ替えする時間がある」


ブニャット「ああ」

ブニャット「お前は逆に、よくそんなこと知ってたな」モグモグ


レパルダス「それくらいは外から見ていても分かるわ」

レパルダス「本来は明日の朝のタイミングを狙っていたのだけれど、それまで待ってはいられないから……」

レパルダス「夕方の、昼型から夜型へシフトする時間帯を狙うわ」


ブニャット「そのタイミングが、これから来るんだな。……間に合うのか?」

レパルダス「ええ」


レパルダス「きのみはどう、食べ終わった?」

ブニャット「ああ。美味かったぞ」

レパルダス「そう。それじゃ、少し急ぐわよ」タタッ
 ▼ 159 1◆N8Nz6gyiSo 20/05/26 04:42:48 ID:CAgAVIW. [1/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――――数十分後


――――"猫潰し組"本部、裏路地


ガラルニャース「今日のカレーさ、限定仕様の特別レシピだって知ってた?」

アローラニャース「え、マジで!? やべぇ、俺もそれにしよう」



――――裏路地の大広間


ニャース「お疲れ。今日はどうだった?」

ニャビー「ん、まあボチボチかな。なんとかノルマはクリアできそうだよ。アンタも頑張んなね」



――――広間横


ニャイキング「あぁ〜。食った食った……、やべえしばらく動けねぇかも……」

ニューラ「ちょっと、こんなとこで寝てたら体に障りますよ。ほら立って……」



――――本部棟内


シーン…


 
 ▼ 160 1◆N8Nz6gyiSo 20/05/26 04:43:06 ID:CAgAVIW. [2/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――――給仕に並ぶ列


ニャビー「そう言えば、何日か前に入ってきた新人、あんまり見かけない気がしませんか」

ニャヒート「確かに姿を見ないな。あんだけデカい図体してりゃ、嫌でも目につきそうなもんだけど」

ニャビー「どっかで野垂れ死にか、脱走でもしたんですかね」

ニャヒート「うーん、珍しいことじゃないからなぁ。……ま、人事のことは上が扱っているんだ。俺らは考えなくったっていい話だよ」

ニャビー「そっすね。あ、そうだ。今日のカレーが限定仕様ってウワサ、あれデマらしいっすよ」

ニャヒート「え、マジ?」



――――広間横、植え込みの影


ブニャット「――食事中だ、な」

レパルダス「えらく賑わってるわね。まるでお祭りみたい」

ブニャット「入れ替わりのタイミングと同じなんだな。この調子じゃ、建物ん中はほとんどからっぽだぞ」

レパルダス「いいわね、こっそり入っちゃいましょう。……ガオガエンとエネコロロ、それにニャスパーちゃんがどこにいるのか、ブニャットさんは知ってるの?」

ブニャット「ガオガエンはいつものとこだろ。……ニャスパーの居場所は、教えられなかった。エネコロロは……囚われているんだとすれば、座敷牢の部屋だと思うが……」

レパルダス「なら、まずはその座敷牢へ行って、妹が居るかどうか確かめたいわ」

ブニャット「分かった。こっちだ」



――――
 ▼ 161 1◆N8Nz6gyiSo 20/05/26 04:47:33 ID:CAgAVIW. [3/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――――本部地下、ペルシアンの部屋


ペルシアン「――おいボウズ、そこから出てきな」ガシャン

ニャスパー「……」ビクッ

ペルシアン「ほら早くしろ。俺様は忙しいんだ」

ニャスパー「……」オドオド…


――――


ペルシアン「……よぅし、こいつを被れ。そう、頭につけるんだ」

ニャスパー「……? ……?」

ペルシアン「こうだよォ、トロイやつだな」ガポ

ニャスパー「あぅ……っ」

ペルシアン「いいぞ、……電子ロックは正常……まだ動作は重いか、まあいい。脳内のメディカルスキャニングを開始……」ブツブツ…

ニャスパー「これ……前が見えないよ……」

ペルシアン「オメェは何も見る必要はねェんだよ。……ええと、……ちっ、解析システムにエラー? 場所はどこだ、……脳波受信系のバグ? いや……いっちょ前に自衛してやがんのか……?」

ニャスパー「ねえ……これ、なに……? なにをするの……?」

ペルシアン「面倒くせェな……。ああー……、いいか、いったん落とそう」ピ、ポ

ブゥゥゥン…

ニャスパー「え……?」

パシュンッ

ニャスパー「あっ」クラッ

ニャスパー「……」パタ


ペルシアン「おっと、……一応貴重なサンプルだから、慎重に扱うべきか」グイ

ペルシアン「そうしたら……、サイコパワー制御野のチェックを再起動して……現実干渉と影響範囲のスペクトルを表示……」ブツブツ…


監視モニター『……』


――――
 ▼ 162 ガヤンマ◆tNBlQV57Hs 20/05/26 07:45:43 ID:1NqcIB5. NGネーム登録 NGID登録 報告
応援しとーで
 ▼ 163 1◆N8Nz6gyiSo 20/05/28 04:49:16 ID:WipAr1U6 [1/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――――座敷牢前の廊下


ブニャット「ちっ、さすがにここには見張りがいるな……」

レパルダス「エネコロロ……本当にいるかしら」

ブニャット「さぁ……。拘束されるとしたら、たぶんここだ。だがここにいなかった時は、無事でいる保証はできないな……」

レパルダス「……。ここからだと牢の中は確認できないわね、どうするの?」

ブニャット「オレが行って確認してこよう」

レパルダス「大丈夫なの……?」

ブニャット「まあ、危なくなったら力ずくでなんとかする」

レパルダス「ホントに大丈夫……?」


――――


ブニャット「……」ノソ

看守アローニャC「おや、あなたは……? こんなところに何の用です?」

ブニャット「ん、いや、ちょっと野暮用だよ」

看守アローニャD「お前、知ってるぞ……。前にここで囚人と一緒に寝ようとして、マニューラのアネキにボコボコにされてたブニャットだろ」

ブニャット「……うっせーな。オレはちょっとした確認をしに来ただけで……」チラッ
 ▼ 164 1◆N8Nz6gyiSo 20/05/28 04:53:48 ID:WipAr1U6 [2/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ブニャット「!」

エネコロロ「……!?」ハッ

ブニャット「いた、やっぱり……ここに捕まってたんだ……! おい、エネコロロ……!」ガシャ

エネコロロ「え……、嘘……」

ブニャット「ちょっと、お前に聞きたいことがあるんだよっ。いいか?」


アローニャC「囚人に質問……? なにか変ですね……」


エネコロロ「ブニャットさん……? なんで……どうしてここに……?」

ブニャット「近くに来てくれ。質問、いいか。お前さ……兄弟がいたりとかって……って」

エネコロロ「ブニャットさん……」ボロボロ

ブニャット「お、おい? ……何泣いてんだよ」

エネコロロ「ブニャットさん……、良かった……、無事だったんですね……!」グスグス

ブニャット「おい大丈夫かお前……?」

エネコロロ「私は、大丈夫です……。でも、ブニャットさん……」グシグシ

エネコロロ「ここに居たら、あなたが危険です……っ」


エネコロロ「ペルシアンがあなたを森へ差し向けたのは、あなたを始末するのが目的だったんです……」

エネコロロ「その目的が果たされて、あなたはもう亡くなってしまったものだと思われていたのに、ここへ戻ってきてしまっては元も子もないです……」

エネコロロ「早く、ここから逃げてください……!」

ブニャット「ああ……まあそうなんだろうけど、……だがそうも言ってらんないだろ。こっちはニャスパーを人質に取られてんだから」
 ▼ 165 1◆N8Nz6gyiSo 20/05/28 04:56:05 ID:WipAr1U6 [3/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アローニャC「……これ、報告した方が良いのでは……?」

アローニャD「だよな……俺、ちょっと誰か呼んでくる……」タタッ


ブニャット「……んで、たぶんお前で間違いないんだろうが、一応確認しとくぞ。……お前、レパルダスの姉がいるな?」

エネコロロ「え、どうしてそれを……!?」

ブニャット「会ったんだよ、"南の森"で。ここへ乗り込んでくるために、手を組むことになったんだ」

エネコロロ「……姉もここにいるんですか!?」


アローニャC「……姉ぇ?」

ブニャット「ばかっ……声がデケえ……」

エネコロロ「す、すみません……っ」

アローニャC「やはり怪しい……」


アローニャC「……そもそも、許可もなしに囚人との面会に来るなんて、規約違反に他なりませんよ」ジリ

ブニャット「ふ、ふん。少しくらい良いだろ別に」

アローニャC「良い訳がないでしょうが。大人しくなさい、既に規約監視官には報告を送っています」

ブニャット「げ……本当だ、一匹いねぇ……。マズいな……」

アローニャC「なにがマズいのですか? 言ってみなさい」ジリ…

ブニャット「……」
 ▼ 166 1◆N8Nz6gyiSo 20/05/28 04:57:46 ID:WipAr1U6 [4/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
レパルダス「あら、なにもマズいことなんてないわよ」ズルズル…

ブニャット「レパルダス!」

アローニャD「……」zzz

アローニャC「D!? なっ、貴様、何者だ……!?」

レパルダス「アナタも眠りなさい」パサッ

アローニャC「!? こ、これ……は……」クラクラ… パタッ


レパルダス「……ふぅ。持っててよかった、ねむりごな」

ブニャット「眠ってる……? こいつ、報告しに行こうとしてたやつか。……お前、意外とやるな」

レパルダス「ええ。まあ、このくらいはね」



レパルダス「……さてと」クル

エネコロロ「お、お……」

レパルダス「良かった、怪我はなさそうね、エネコロロ」

エネコロロ「お姉ちゃん!!」

レパルダス「待ってね、今そこから出してあげたいのだけど……」


ブニャット「おい、こいつらが持ってるこれ、牢のカギじゃねぇか?」

レパルダス「カギ……? ポケモンの組織なのに、そんなものまであるのね」

ブニャット「ペルシアンのヤロウは、変なもんをこさえるのが趣味らしい。……ああ、ダメだな。オレの手じゃ上手く扱えねえや。……頼む」

レパルダス「ええ……」スッ


ガチャンッ……
 ▼ 167 1◆N8Nz6gyiSo 20/05/28 05:00:39 ID:WipAr1U6 [5/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
レパルダス「……エネコロロ、大丈夫だった?」タタッ

エネコロロ「お姉ちゃん……。ごめんなさい、私……」

レパルダス「……」ギュ

エネコロロ「……私、失敗しちゃって」

レパルダス「いいのよ、あなたが無事なら……。身体はどこも傷まない? お腹は減っていたりしない? アイツらに、何か変なこととか……」

エネコロロ「うん、大丈夫よ……。心配かけてごめんなさい……」

レパルダス「本当に……昔から無茶ばかりするんだから……」


エネコロロ「……あのね、お姉ちゃん。一つだけどうしても、今すぐ伝えなきゃいけないことがあるの」

レパルダス「なに……?」

エネコロロ「落ち着いて聞いてほしいのだけど……」


エネコロロ「ブニャットさんのお連れさんって、分かるかしら……」

レパルダス「ニャスパーちゃん?」


エネコロロ「そう、あの子……いいえ、あのお方は……」

エネコロロ「"南の森"の故王レントラー様と、その王妃ニャオニクス様のご子息……」

エネコロロ「ニャスパー王子だったのよ……!」


――――
 ▼ 168 1◆N8Nz6gyiSo 20/05/28 05:02:56 ID:WipAr1U6 [6/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

――
―――
――――


「――あ、ふふふ。見てください、あなた。王子が笑いましたよ」

「え……」

「あら、どうしてそんなポカンとした顔をするのですか?」

「へ、いや……まさか、君が笑うなんてと思って……」

「私が? なんのことですか?」

「い、いやいや、……君が笑うのなんて本当、いつぶりだい。プロポーズした直後に、僕がきのみの皮を踏んづけて、派手に横転したとき以来じゃないか……?」

「ふふふ、思い出させないでくださいよ」

「また笑った……」

「もう。私だって普段から笑っていますよ。ただちょっと最近は、この子のこともあって、張り詰めていただけです」

「そうか……。僕はてっきり、この子も君に似て、あんまり表情を表に出さない子なのかと思っていたよ……」

「そんなことないですよ。あなたの見ていないところで、結構笑っていますよ。……ほら、また」

「本当だ……」

「ねぇ、まるでこの森の木漏れ日みたいに優しい笑顔でしょう……」

「ああ。……将来はきっと君に似て、優しい王になるんだろうな」

「あら。あなたのように、勇敢な王になるかもしれませんよ?」

「え、そうかい。なんだか照れるなぁ……」




「……あなたの持つその技は、ご先祖様によって代々受け継がれてきた特別な技」

「力を持つものが使えば、どんな攻撃からも仲間を守る強靭な盾になる」

「ニャスパー、この森に住むすべての命を護れるような、立派な王になるのですよ……」



――――
―――
――
 ▼ 169 1◆N8Nz6gyiSo 20/05/28 05:04:19 ID:WipAr1U6 [7/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「――」フッ


ニャスパー「……」パチ


ニャスパー(……ここは)

ニャスパー(暗い……)

ニャスパー(真っ黒で、何も見えない……)

ニャスパー(頭が重くて……くらくらする……)

ニャスパー(身体も、動かない……)


「〜〜」


ニャスパー(……?)

ニャスパー(なにか、聞こえる……?)


「……ブニャット……」


ニャスパー(ブニャット……お姉さん……?)


――――


アロペル「……くそっ、あのヤロウ、生きてやがったのか」

アロペル「ちょっと監視モニターから目を離した隙に、好き勝手やってくれてやがる」

アロペル「このレパルダスはなんだ? 見覚えがある気がするが……、そんなこと言ってる場合じゃねェ」

アロペル「組員とガオガエンは何をやってんだ!」

アロペル「おい誰か、はやく向かえ! 場所は……」

アロペル「あ……? こいつら、どこ向かってんだ? その先に居んのは……」
 ▼ 170 1◆N8Nz6gyiSo 20/05/28 05:05:54 ID:WipAr1U6 [8/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――――少し前


レパルダス「――さて……と」

レパルダス「エネコロロには事実を伝えるために森へ向かってもらったから、私たちはこのまま作戦を続行するわよ」


ブニャット「エネコロロの話だと、この屋敷のいたるところに監視カメラが仕掛けられてるらしいが……」

レパルダス「大丈夫。あの子なら、同じミスは絶対にしないわ」

ブニャット「いやそれだけじゃなくてさ、オレらの行動も見られてるかもしれないってことだろ?」

レパルダス「ええ。もう形振り構っていられないわね。急いでガオガエンと話をつけなくっちゃ」

ブニャット「だな。……よし、こっちだ」


――――現在


――バン!


ブニャット「ガオガエン! いるか!」


ガオガエン「……あー。んーだー……?」ムクリ

ガオガエン「んん? お前、ブニャット……死んだんじゃなかったのか……」

ブニャット「へ、お前とこいつを合わせるために、地獄から蘇ってやったんだよ」

ガオガエン「こいつぅ……? いったい誰のことだ……」


レパルダス「久しぶりね、ガオガエン……」ザッ


ガオガエン「お前は……?」

ガオガエン「……お前、いや待て、お前……」

ガオガエン「チョロネコ……?」

ガオガエン「まさか、チョロネコなのか……?!」
 ▼ 171 1◆N8Nz6gyiSo 20/05/30 03:29:52 ID:XKzMQEbM [1/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
レパルダス「……そうよ。今はレパルダスだけどね」

ガオガエン「進化……したんだな」

レパルダス「ええ。……もう四年も経っているんだもの、進化くらいするわ。でも……あなたは、変わっていないのね、四年前と……」

ガオガエン「そりゃ俺はもう進化しないから……いや、そうじゃねえ、お前……、何をしにこんなとこへ来たんだ……ここはお前なんかが来るような場所じゃない……帰るんだ」

レパルダス「ガオガエン、あなたに会いに来たのよ。あなたと話をするためにね」

ガオガエン「話……? ダメだ、帰れ……」

レパルダス「お願い、聞いて。……こんなこと、もう止めて欲しいの」

ガオガエン「こんなこと……?」

レパルダス「危ないギャングの真似事よ」

レパルダス「弱い相手を力で従わせて、貧しい者から食べ物を奪う。昔のあなたなら、そんなこと絶対にしなかったのに……! これじゃ、あのとき森へ攻めてきた人間たちと、まるで同じじゃない!」


ガオガエン「ギャングの真似事なんかじゃない……! これにはちゃんと理由があるんだ。自分勝手な人間共とは違う!」

レパルダス「どう違うって言うのよ!」

ガオガエン「……。……もうすぐ手筈が整うんだ……。そうすれば、お前にも分かる……!」

レパルダス「手筈……? 一体なんのこと……?」

ガオガエン「いいか、俺がやろうとしていることは……」


「ガオガエン!!!」バン!


ブニャット「!」ビクッ

ブニャット「げ……出た」


マニューラ「アンタ、何してんだい? ……そいつらは?」
 ▼ 172 1◆N8Nz6gyiSo 20/05/30 03:36:19 ID:XKzMQEbM [2/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――――地下


アロペル「……このペルシアン、ガオガエンの知り合いなのか?」

アロペル「だとしたら、あいつが昔暮らしてたっていう、"南の森"のポケモン……?」

アロペル「こいつがガオガエンに近づくために、あのブニャットを利用したんだとすれば……」

アロペル「ブニャットが生きているのにも納得がいくが……」


アローニャA「ペルシアンさん、マニューラのアネキが到着したみたいっすよ」

アローニャB「すげぇ……。ボスとアネさん、共闘するのかな」

アロペル「おい……何のんきに眺めてんだ。収集命令掛かってんだろ、お前らも行くんだよ」

アローニャA「えー!」

アローニャB「ま、マジっすか?」

アロペル「当たり前だろ、何言ってんだ。とっとと行け!」


――――
 ▼ 173 1◆N8Nz6gyiSo 20/05/30 03:38:37 ID:XKzMQEbM [3/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――――数分後


アローニャA「――どやどや、何が起きてるんだ……?」

アローニャB「ボスの居る部屋の前、もうみんな集まってるな……」

アローニャA「ひぇ。あんまり一度に集まるから、廊下までイッパイだぞ」

アローニャB「こんなに集まる必要なかったんじゃないか……? 相手はたったの二匹だろ?」

アローニャA「待て、……なんか聞こえないか?」

アローニャB「ん……、ホントだ。なんだこの、地響き……?」


「ニャ゙ア゙ア゙ア゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙!!!!!!」ブアァァッ!!

ズドオォオォ!!


アローニャA「うわわっ、なんだなんだ!」

アローニャB「部屋を覗いてた奴らがふっとんだ!?」


「ニャ゙ア゙ア゙ア゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙!!!!!!」ズアァァッ!!

ズバアァアァン!!


アローニャB「まただ! 部屋の中から……衝撃波!?」

アローニャA「や、やべぇ……。中にバケモンがいるぞ……っ」


「ニャ゙ア゙ア゙ア゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙!!!!!!」ゴオォォッ!!

ゴッシャアァアァ!!!!


アローニャA「か、壁が!」

アローニャB「この廊下にいたら危険だ、いったん離れよう……!」


――――
 ▼ 175 tNBlQV57Hs 20/05/30 20:20:47 ID:CMNA7XM. NGネーム登録 NGID登録 報告
続いてて嬉しいでほんま
 ▼ 176 1◆N8Nz6gyiSo 20/06/05 03:37:52 ID:IiMc4/8E [1/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アローニャA「や、止んだか……?」

アローニャB「……一体何が起きてるんだ? あの部屋にいるのは、ボスとアネさんと……あのブニャット、それに謎のレパルダスだけだったんじゃないのか……?」

アローニャA「どうする? 様子見に行くか……?」

アローニャB「い、嫌だよ……関わりたくねぇ……」

アローニャA「だよな……。じゃあ……」

アローニャB「逃げる……?」

アローニャA「逃げるか……」

アローニャB「よし、逃げよう……」

アローニャA「そうだな。二人で逃げれば……」


ガオガエン「――おい待て! 止まれお前ら!」


アローニャA「うぇ……っ」ビクッ

アローニャB「ボ、ボスの声だ……!」

アローニャA「さっきの部屋から聞こえたぞ……、ボスは無事なのか」


レパルダス「――ブニャットさんやめて! 一旦止まって!」

ブニャット「――向こうが先に攻撃してきたんだ!」


アローニャB「あ、あのブニャットの声だ……」

アローニャA「攻撃……? さっきの衝撃波は……誰かが戦闘をしていたってことなのか……?」


――――
 ▼ 177 1◆N8Nz6gyiSo 20/06/05 03:48:13 ID:IiMc4/8E [2/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――――


マニューラ「なにしてんだいアンタ達! さっさと侵入者を捕らえるんだよ!」

ガオガエン「やめろお前ら……マニューラも、落ち着いてくれ」

マニューラ「なっ……、奴らを追い出さないのかい……ガオガエン? アンタ、コイツらが何者なのか知っているの?」

ガオガエン「……」


ブニャット「何者ォ? テメェ、五日前に自分が放り投げた相手のことも覚えてねぇのか?」

マニューラ「は、アンタみたいな腰抜けの裏切り者、アタシは知らないよ」

ブニャット「んだとぉ? 今ここでこの間の借りを返してやろうか!」

マニューラ「あれだけボコボコにされておいて、よくそんなことが言えたもんだ……、威勢だけは立派だね」


レパルダス「やめて。ブニャットさん……、まだガオガエンの話の先が聞けてない」

ブニャット「……」

レパルダス「ガオガエン、あなたがやろうとしていることって何なの? 私にも分かるって、一体何が……?」


マニューラ「なんだいこの女……ガオガエン、アンタら一体どういう関係なんだい……?」

ガオガエン「マニューラ……、しばらく口を閉じていてくれないか……」

マニューラ「な……っ」
 ▼ 178 1◆N8Nz6gyiSo 20/06/05 03:48:25 ID:IiMc4/8E [3/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ガオガエン「チョロネコ……いや、レパルダス」

ガオガエン「四年前、お前に何も言わずに森から出て行ってしまったこと、悪かったと思ってる……」


レパルダス「ガオガエン……」

レパルダス「私は最初、あなたは罪悪感で森を去ったのだと思ってた……」

レパルダス「森のポケモンに怪我を負わせてしまったし……、王女様が亡くなってしまったのも、自分のせいだと思っているんじゃないかって」

レパルダス「……答えてほしい、ガオガエン。何も言わずに森を出たあなたがやりたかったことが、こんなギャングごっこなの……?」


ガオガエン「やめてくれ。これはギャングごっこなんかじゃない……」

ガオガエン「この組織も、ここにいる大勢の構成員も、……俺の目的の実現のために、必要な存在なんだ」


レパルダス「目的……?」


ガオガエン「そう……」

ガオガエン「……俺が四年前、お前に何も言わずにあの森を立ち去ったのは、お前がその目的に巻き込まれないようにするためだったんだ」


レパルダス「目的って、なんなの……?」


ガオガエン「……。四年前のあの日……、あの森で起きた惨劇を、もう二度と繰り返させないこと……」

ガオガエン「それが、俺の目的だ」
 ▼ 179 1◆N8Nz6gyiSo 20/06/05 03:48:55 ID:IiMc4/8E [4/9] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
――――廊下


アローニャA「なぁ……お前、知ってたか?」

アローニャB「なにを……?」

アローニャA「今、ボスが話してたことをだよ」

アローニャB「いや……。知らなかった」

アローニャA「だよな……森で起きた悲劇って、なんの話だろう。俺ずっと、"猫潰し組"は俺みたいな……目的もなんもない奴らが集まってるもんだと思ってた……」

アローニャB「俺も……」

アローニャA「ボスが言ってること、本当なのかな」

アローニャB「どうだろう……。でも、今までボスが俺たちに嘘を言ったことなんてあったか?」

アローニャA「……いや」


――――
 ▼ 180 1◆N8Nz6gyiSo 20/06/05 04:07:38 ID:IiMc4/8E [5/9] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
――――居間


ガオガエン「――必要なのは、"人間の知恵"と"森のポケモンが持つ資源"の二つ」

ガオガエン「それを集めるために、俺はこの組織を作ったんだ」


レパルダス「人間の知恵と、ポケモンの資源……?」


ガオガエン「……」

ガオガエン「『眠らず熱』という奇病が、"南の森"でのみ発生するのがなぜか知っているか?」


レパルダス「……?」


ガオガエン「……"南の森"以外で発生していたあの病気が、例外なく人間の手によって治療され、この地域一帯から根絶されていたからなんだ」

ガオガエン「本来は、『眠らず熱』なんて名前で呼ばれてもいない。この町と、人間の手が及んでいた"南"以外の森では、とうの昔に脅威を抑えられていた、取るに足らない病なんだ」


レパルダス「え……」


ガオガエン「"人間の知恵"……言わば、人間がより高尚な生き方をするために、物事を考え出す力……」

ガオガエン「これは、人間にしかない、あらゆる生き物にとっての脅威の力であり、同時に俺達ポケモンが、喉から手が出るほど欲している力だ……」


ガオガエン「……そして、"森のポケモンが持つ資源"」

ガオガエン「これは、『眠らず熱』のものよりもずっと単純な話だ」

ガオガエン「……お前も知っているだろう。"森"には、文字通り腐るほど多くの資源、とくに食料がある」

ガオガエン「俺は森に入るまで、あんなにも多くの食物で溢れているものだとは知らなかったが……」


ガオガエン「四年前、"南の森"に人間たちが攻め込んできたのは、そんな豊富にある森の資源を、自分たちのものにするためだった……」

ガオガエン「もし仮に、森の資源が人間側にも十分に供給されていたとしたら、あんなことは起こらなかったんじゃないか……?」


レパルダス「……」


ガオガエン「……この組織の目的というのはつまるところ、人間の能力を取り入れ、すべての人間とポケモンに十分な食料を供給し、町や森を、疫病や貧困や排他意識のない、平穏な場所に創り変えることだ」

ガオガエン「レパルダス……お前なら分かってくれるはずだ。四年前のあの苦しみを、繰り返したくはないだろう……」
 ▼ 181 1◆N8Nz6gyiSo 20/06/05 04:16:36 ID:IiMc4/8E [6/9] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
レパルダス「そんなことが、本当にできると言うの……?」


ガオガエン「この組織を見れば分かるはずだ。既に町全体だけでなく、三つの森の奥深くにまで勢力を伸ばした」

ガオガエン「町と森はあともう少しで、"猫潰し組"によって一つになる……。森のポケモンと町の人間が、互いにいがみ合う必要もなくなるんだ……」


レパルダス「まさか、そんなこと……」

ガオガエン「俺を信じてくれ、レパルダス」

レパルダス「確かにあなたは、嘘をつくようなポケモンじゃないわ……。だけど……でも……」


レパルダス「ブニャットさん、どうしよう……」

レパルダス「私、これが良いことなのか悪いことなのか、分からなくなってきちゃった……」


ブニャット「いや……、やろうとしてることは良いことなのかもしれねぇけどさ、今こいつらがやってることは、どう考えても悪いことだろ」

ブニャット「暴力に略奪に誘拐……、仲良くしたいってんならまず、話し合うべきじゃないのか?」


ガオガエン「……いいや違う」

ガオガエン「仲良くしたい訳じゃない……」

ガオガエン「勝負では勝てないはずなのに自分たちのほうが上だと思い込んでいる傲慢な人間と、仲間と自分が幸せであればそれで良いと考えている身勝手なポケモン達……」

ガオガエン「そんなやつらを引き合わせるんだ……。統一には当然、強大な力が必要になる」

ガオガエン「"猫潰し組"の支配の下で、ポケモンも人間も幸せに生きるんだ……」

ガオガエン「他に方法はない……」


レパルダス「できるはずがないわ!」

ガオガエン「いいや、できる! 俺はもう、その強大な力を手に入れたんだ!」

ガオガエン「レパルダス……お前には見ていてほしい。お前が止めても、俺はやる。もう、決めたことだ……」

レパルダス「……」
 ▼ 182 1◆N8Nz6gyiSo 20/06/05 04:20:50 ID:IiMc4/8E [7/9] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ガオガエン「……一つ、提案がある」

レパルダス「なに……?」


ガオガエン「……レパルダス、俺のところへ来ないか?」


レパルダス「へ……?」

マニューラ「なっ……」


ガオガエン「確かに、この組織が今までやってきたことは、少々……乱暴だったと思う……」

ガオガエン「結果を急いでいたし……、俺自身がそういうことしかできないせいで、血の気の多い奴らばかり集まったんだ……」

ガオガエン「だが、……お前が来てくれるのなら、多少はマシになるかもしれない……」

ガオガエン「少なくとも、お前と暮らしていたころの俺は…………その……」

ガオガエン「優しい気持ちで……居られたんだ……」


レパルダス「……っ」


ガオガエン「ダメか……?」

ガオガエン「お前が来てくれるのなら……あのニャスパーを、そこのブニャットに返してやってもいい……」


ブニャット「……そ、そうだニャスパー! アイツは無事なのか!?」

ガオガエン「ああ、無事だ。アレを俺達から奪い返すのも、お前達がここへ来た理由の一つなんだろう?」

レパルダス「……本当なの?」

ガオガエン「誓って本当だ……」

マニューラ「ちょ、ちょ……ちょいと待ちなよ!」


マニューラ「ヒトが黙って聞いていればっ……その女と暮らしていた?! 一体どういうことだい……!?」

ガオガエン「……マニューラ」

マニューラ「アンタには、アタシがいるじゃないか……ガオガエン。ここへソイツを招き入れるだって、まさか本気じゃないだろうね? そんなこと……そんなこと……」ワナワナ

ガオガエン「マニューラ、……お前は何か勘違いを……いや、酷い思い込みをしているんだ。このことについては、後でゆっくり話をするから……」

マニューラ「アタシはそんなの……そんなの認めない……」ワナワナ
 ▼ 183 1◆N8Nz6gyiSo 20/06/05 04:24:31 ID:IiMc4/8E [8/9] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ガオガエン「……どうだ、レパルダス……?」

レパルダス「私と交換で、ニャスパーちゃんを解放してくれるのね……?」

ガオガエン「ああそうだ……」

レパルダス「……分かった。その条件、飲むわ。……私はここ、"猫潰し組"に入る」


ブニャット「レパルダス……!?」

レパルダス「良いの、ブニャットさん。これであの子を助けることができるのなら……」


ガオガエン「本当か?」

レパルダス「ええ……。……早くニャスパーちゃんをここへ連れてきてちょうだい」

ガオガエン「ああ、分かった。すぐに連れてくる、待っていてくれ……」


――――


ブニャット「レパルダス、お前……」

レパルダス「ブニャットさん、良かったわね。ニャスパーちゃん、帰って来るわよ」

ブニャット「だ、だが……お前は、この組織を解体させに来たんじゃなかったのか……?」

レパルダス「それは、私個人の自分勝手な願いよ。今は……もっと重要なことがあるでしょう……」

ブニャット「……」

レパルダス「ブニャットさん、最後まであなたに頼ってしまってごめんなさいね……。あなたはいいポケモンだから……。王子をお願い。森のみんなに、よろしくね……」
 ▼ 184 1◆N8Nz6gyiSo 20/06/05 04:24:43 ID:IiMc4/8E [9/9] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
マニューラ「〜〜……んな……」ブツブツ…

マニューラ「そんな、そんな……そんなこと……」ブツブツ…

マニューラ「そんなこと、アタシは認めない!」バッ


レパルダス「!?」

ブニャット「レパルダス!」


ガンッッ!!


レパルダス「……痛っ……、嘘……っ」


マニューラ「ガオガエンの傍に居るべきなのは、アタシなんだ! アンタじゃない!」

マニューラ「アンタなんか……アンタなんか……!!」


ブニャット「おい、大丈夫かっ!?」

レパルダス「た、ただのパンチがこんなに痛いのは初めてだわ……。なんてパワーなの……」

ブニャット「お前……マジかよ」
 ▼ 185 ルレイド@キラキラメール 20/06/05 08:32:27 ID:G6zsVMtg NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
あっ、更新来てる
支援
 ▼ 186 1◆N8Nz6gyiSo 20/06/10 03:42:55 ID:tiaIStrI [1/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――――廊下


アローニャA「た、大変だ、アネキが切れた……!」

アローニャB「い、今、殴ったよな……大丈夫なのか……?」

アローニャA「大丈夫なもんか……あのレパルダス、なんで立ってらてれるんだ?」

アローニャB「いやそれもそうだけど……、ボスは待ってろって言ってたよな……殴っていいのか……?」

アローニャA「や、ダメだろ……。だけど……、あんなに切れてるアネキ、ボス以外で誰が止められるってんだ……」

アローニャB「ボスが向かったの、地下だよな……俺らで伝えに行ったほうがいいんじゃないか?」

アローニャA「ああ、行こう……。何より早くここを離れたい……」


――――
 ▼ 187 1◆N8Nz6gyiSo 20/06/10 03:44:51 ID:tiaIStrI [2/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
マニューラ「アンタは……アタシが潰す!!」ヒュッ

ブニャット「お、おい、ちょっ……くそっ」バッ


ガッッ……!


ブニャット「先にやってきたのはそっちだからな……ここであん時の借りを返してやる……」グググ…

マニューラ「邪魔だよ! また吹っ飛ばされたいのかい!」ググ…

ブニャット「はん、やれるもんならやってみやがれ!」

マニューラ「……」フッ

ブニャット「うぉっ……」グラ…

マニューラ「フン!」ブォン!!

ブニャット「うおおおっ……!!」


レパルダス「ブニャットさん!」
 ▼ 188 1◆N8Nz6gyiSo 20/06/10 03:46:46 ID:tiaIStrI [3/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 


「うわああっ!」「ア、アネさん、怒ってるぞ……」「デブが吹っ飛ばされたぁっ!」


ブニャット「ぐ……っ」ゴオオオオ

ブニャット「ンニャロめ……食らえ、"はかいこうせん"!!!」ズアアァァァアアァァッッ

マニューラ「!!!」


ズドオォォォッッ…ッ


――ガンッ


ブニャット「ぐはっ……」


「うわ、思いっきり壁に……」「あ、あいつ今、飛ばされながら技を撃ってたぞ」「と、とんでもねえ威力だ……アネさんは……?」


マニューラ「こんな攻撃を隠していたとはね……」プスプス…

ブニャット「くっ……くそ、レパルダス、逃げろ……!」

レパルダス「ブニャットさん、しっかり……!」

ブニャット「ダメだ、オレはしばらく動けない……。ア、アイツだ、っ、ガオガエンを追いかけるんだ……!」

レパルダス「でも……」

ブニャット「早く……行け……!」

レパルダス「わ、分かったわっ」タタッ

マニューラ「待ちな! 逃がさないよ!」シュッ


――――
 ▼ 189 1◆N8Nz6gyiSo 20/06/10 03:55:41 ID:tiaIStrI [4/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ブニャット「ぐ……ぅ……」ヨロヨロ


「あ、あいつも、アネキの攻撃を食らったのに立とうとしてるぞ……」

「お、おい、どうしたらいいんだ……誰か、事情を知ってる奴はいねえのか?」

「集まれって言われたから来ただけだよ、その先の支持はまだ……」

「ボスは手を出すなって言ってたけど……」


――パッ


『――あーあー……お前ら、この声が聞こえるな?」ザザッ


「ペルシアンさんの声だ!」

「ど、どこにいるんだ?」


アロペル『あー、俺はその部屋にはいねェよ。別の場所から喋ってんだ』

アロペル『いいかお前ら、今から俺が言うことをよく聞くんだ』

アロペル『今マニューラに吹っ飛ばされていたブニャット……、そいつはこの組の裏切り者だ。一斉に殴り掛かって、潰せ』

アロペル『いいな、これは上官命令だ。繰り返す……、そのブニャットを潰せ』


ブニャット「あんだとぉ……?」
 ▼ 190 1◆N8Nz6gyiSo 20/06/10 03:58:31 ID:tiaIStrI [5/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「う、裏切り者だって……ペルシアンさんが言うなら……」

「でもこいつ、さっきとんでもねえ攻撃を撃ってたよな……」

「ああ、あれを食らったら一溜りもないよ……」


アロペル『そいつの攻撃のカラクリなら割れてるぞ』

アロペル『高威力の特殊攻撃だ』

アロペル『そいつは特殊攻撃を徹底的に鍛えている。それであんな威力の高い"ハイパーボイス"や"はかいこうせんが"撃てているわけだ』

アロペル『だが、それ以外は大したことはない』

アロペル『つまりこいつは、特殊攻撃さえ抑えちまえばどうとでもなるんだ……』

アロペル『そうだな、"バークアウト"か"ゆうわく"が使える奴は、それを優先的に使って攻撃しろ。それで十分抑えられる』


「トクシュコウゲキってなんだ……?」

「いや、わからんが、ペルシアンさんが言うんなら間違いないだろう……」

「や、やるぞっ……、食らえ! "バークアウト"!」バババッ


ブニャット「んーな攻撃が聞くかよ!」バシィッ



ブニャット「ふざけやがって、おい! ……ペルシアン!」

ブニャット「テメェ、オレを攻撃するってことは、ガオガエンの意思に背くってことなんだぞ!」


『……』


ブニャット「くそ! 聞こえてんだろ! なんとか言いやがれ!」
 ▼ 191 1◆N8Nz6gyiSo 20/06/10 04:01:52 ID:tiaIStrI [6/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――――本部、地下


ブニャット『おい!』


アロペル「……」



アロペル「――お前らしくねェなァ」

アロペル「ええ? ……なんのためにここへ来たんだ?」

アロペル「ガオガエン?」


ガオガエン「ペルシアン、俺はニャスパーを引き取りに来たんだ。人質はもはや必要ない、アイツをブニャットに返してやるぞ」

アロペル「必要ないってェ……、ハナっからお前にはそうだったろう?」


アロペル「……実際、コイツを必要としてたのは俺さ。だが、お前にとっても必要なものであることは確かなんだぜ?」

ガオガエン「『コイツ』? ……ニャスパーはどこにいるんだ」

アロペル「この機械の中だ。今は眠ってる」スッ

ガオガエン「機械の中? ……一体なんの機械だ?」

アロペル「前から説明してただろォ。こいつが例の『新兵器』だよォ、もうあとほんの少しで調整が完了すんだ……」

ガオガエン「これにニャスパーが関係あるのか?」

アロペル「だから、コイツがいなけりゃこの兵器は作動しねぇんだよ」
 ▼ 192 1◆N8Nz6gyiSo 20/06/10 04:05:35 ID:tiaIStrI [7/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アロペル「いいか、この兵器は平たく言えば、"サイコパワー超増幅装置"だ」

アロペル「核となるエスパーポケモンが持つ力を強制的に増幅させ、超強力な攻撃力に変える……」

アロペル「もっとも……今できるのは、せいぜい増幅させたサイコパワーをそのまま放出して敵を制圧することくらいだろうが、ゆくゆくはそのエネルギーを様々なことに転用して……」


ガオガエン「それをして、中にいるニャスパーはどうなるんだ?」

アロペル「そりゃ本来制限されるはずの力を無理やり引き出すんだから、数回も使えばダメになるんじゃねェかな」

ガオガエン「バカな……! そんな兵器は必要ない!」

アロペル「まあまあ……実証試験もまだなんだ。実際に使ってみなきゃ、どうなるかは分かんねえよ」

ガオガエン「そういう話じゃない、いいからニャスパーを出せ。アイツは返すと、レパルダスにそう約束したんだ……」

アロペル「ああ、そのレパルダスなんだが……、今ちとまずいことになってるみてェだぜ……?」

ガオガエン「なに……?」
 ▼ 193 1◆N8Nz6gyiSo 20/06/10 04:08:32 ID:tiaIStrI [8/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アローニャA「ボスー!」タタタタタ

アローニャB「大変なんです!」タタタタタ

ガオガエン「なんだ、どうした!」

アローニャA「ア、アネキが急に、カンシャクを起こしたみたいで……」

アローニャB「あの……レパルダスに、殴り掛かったんです」

ガオガエン「な、なんだと!?」

アローニャA「俺たちじゃ抑えられそうにないんで、ボスを呼びに来たんですよぅ……」

ガオガエン「あいつ……何をやってんだ……!」



ガオガエン「くそ……っ」

ガオガエン「ペルシアン……もう一度言うが、この組織にそんな兵器は必要ない! ニャスパーはお前がブニャットに返しておくんだ!」

ガオガエン「俺はレパルダスのところへ行く、いいな!」ダッ


アロペル「……」

アロペル「……」フゥ

アロペル「……ガオガエン……お前、いつからそんなに甘くなっちまったんだ?」

アロペル「分かってねェな……。そんなんじゃあダメなんだよ……」
 ▼ 194 1◆N8Nz6gyiSo 20/06/10 04:11:58 ID:tiaIStrI [9/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――――数分前



レパルダス「はぁ……はぁ……、ガオガエン、どこにいるの……?」タタタタタッ

マニューラ「アンタ、トロイね……、それにそっちは……」シュタタッ

レパルダス「……っ」ハッ

マニューラ「残念、行き止まりだよ!」

レパルダス「くっ……」サッ

マニューラ「……やる気になったかい? いいよ、どちらがガオガエンの傍にいるのに相応しいか、白黒はっきりさせようじゃないか!」ジリ…

レパルダス「ちょ、ちょっと待って……!」

マニューラ「断るよ!」バシュッ


マニューラ「フン!」ブン!

レパルダス「や……っ」ガッ!

マニューラ「ガオガエンに必要なのはねっ、アタシみたいな、強いポケモンなんだ!」ブン! ブン!

レパルダス「やめて……、私は……アナタを攻撃するつもりなんてない……っ」ガッ ゴッ

マニューラ「だったら大人しくやられることだね! この! このっ!」ブン! ブン!

レパルダス「……っ」ガッ ガッ

マニューラ「アタシの攻撃を、ここまで耐えてるんだっ、アンタも相当やるようだが……っ」ブン! ブン! ブン!

レパルダス「……」ガッ ガッ ゴッ

マニューラ「守ってばっかで……情けないやつだ……、ねっ!」ブォン!

レパルダス「……」ガッ!


レパルダス「……」スッ…

マニューラ「ん……?」
 ▼ 195 1◆N8Nz6gyiSo 20/06/10 04:14:51 ID:tiaIStrI [10/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
マニューラ「……なんだい、こりゃ」パシッ

レパルダス「あっ」

マニューラ「……ふぅん、懐に妙なものを隠してたみたいだね」

レパルダス「か、返して!」バッ

マニューラ「おっと悪いね、アタシは"わるいてぐせ"なんだ……」サッ


マニューラ「……これ、『ねむりごな』かい? ……そういえば、最近ウチに潜入してたってスパイが、同じようなものを持っていたって聞いたような……」

レパルダス「返してよ!」シュバッ

マニューラ「ムダだよ、アンタの速さじゃアタシには追いつかない……」

レパルダス「てい!」ヒュオ

マニューラ「……!?」ヒュバッ

マニューラ(なんだ、すばやさが増した……!?)


レパルダス「……」キッ

マニューラ「ふん……。差し詰め、これでアタシを眠らせようって魂胆だったんだろう……?」

レパルダス「……ええ。私、生まれつき攻撃は得意じゃないからね……」

マニューラ「そうかい、それは残念。もう隠し玉はこっちの手に渡っちまったよ……」

レパルダス「だったら、取り返すまでよ……!」ヒュンッ

マニューラ(やっぱり、速い……!)サッ
 ▼ 196 1◆N8Nz6gyiSo 20/06/10 04:17:43 ID:tiaIStrI [11/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
レパルダス「……っ! えいっ!」シャッ シャッ

マニューラ「なんだいアンタ、アタシを攻撃するつもりはないんじゃなかったのかい……!」サッ サッ

マニューラ(あれだけ攻撃を喰らって、まだこんなに動けるのか……)


レパルダス「アナタ、それが分かってて……。卑怯ね……っ」シュッ

マニューラ「だから、何だってんだいっ」ブンッ!


バキィッ!


レパルダス「っ……。攻撃しないとは言ったけど……」ググ…

マニューラ(モ、モロに入ったのに……っ。どうなってんだいこのレパルダスっ……!)グググ…

レパルダス「……眠らせないとは言っていないわよ!」シャッ

マニューラ「はっ、どっちが卑怯なんだか……」

マニューラ(コイツ……脅威ではないけれど厄介だね……)


マニューラ(想像以上にタフで、どうやら防御がかなり高い……)

マニューラ(そして、なぜか急にすばやさが上がった……)

マニューラ(これは、とっととケリを付けちまった方が良さそうだが……)

マニューラ(……だったら)
 ▼ 197 1◆N8Nz6gyiSo 20/06/10 04:23:34 ID:tiaIStrI [12/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
レパルダス「……アナタ、動きが素早くて強いけれど、体力はそんなに無いみたいね」

レパルダス「さっき急にパンチしてきたときよりも、だんだん威力が落ちているわ」


マニューラ「言うね。だけど……アンタを今ここで潰してこそ、ガオガエンの傍に居るのに相応しいってもんだ……」


レパルダス「……」ジリ…

マニューラ「……」ジリ…


レパルダス「……」

レパルダス「たあ!」シュタッ

マニューラ「……」ニヤ

レパルダス「てい!」シュッ

マニューラ「眠るのはそっちだよ!」パサッ

レパルダス「……っ」ニッ

マニューラ「……!」

レパルダス「……」モグ…

マニューラ(な、なんだ……!?)


マニューラ「……!」ハッ

レパルダス「……えい!」パシィ

マニューラ「……っ」サッ…

レパルダス「返してもらったわ、ねむりごな!」

マニューラ(くっ、速い……でも……!)

レパルダス「眠るのはそっちよ!」バッ


マニューラ「見切ったよ、アンタの手の内!」

ペルシアン「……!?」
 ▼ 198 1◆N8Nz6gyiSo 20/06/10 04:27:04 ID:tiaIStrI [13/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
マニューラ「カラクリはこうだ、アンタはアタシがねむりごなを使うのを見越して、口にきのみを含んでいた、ねむり状態を回復するきのみをね……!」

マニューラ「アンタの策は成功して、アタシの使ったねむりごなに怯むことなく、アタシから粉を奪い返すことができた」

マニューラ「だけどアタシは……アンタがまだ懐に隠し持っていた、そのきのみの予備を奪うことができたんだ! これを口に含めば……!」ガリッ

マニューラ「アタシにも、そのねむりごなは効かなくなる!」


レパルダス「え……?」

マニューラ「く……、渋いね……。だがこれで眠らずに……」

レパルダス「それ……、ウイのみよ……?」


マニューラ「え……、は……?」

マニューラ「うっ……!?」クラッ

マニューラ(あ、頭が……視界が眩む……っ)


レパルダス「身体に合わないとこんらん状態になってしまうきのみよ。……知らなかった?」パサッ

マニューラ「あっ……」トロン…


――ドサッ……


レパルダス「悪いけどね……」

レパルダス「……アナタみたいな泥棒猫に、ガオガエンは渡せないのよ」


――――
 ▼ 199 キノオー@オッカのみ 20/06/10 07:38:36 ID:aS4QQyBQ NGネーム登録 NGID登録 報告
ええやないの(謎の上から目線)
 ▼ 200 1◆N8Nz6gyiSo 20/06/20 03:34:26 ID:w4XoEWLM [1/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――――


レパルダス(ふぅ……)

レパルダス(このマニューラ……、とんでもない馬鹿力だったわ)

レパルダス(なんとか眠らせられたけど、危ないところだった……)

レパルダス("かるわざ"、久々に使ったわね……、ちょっと疲れちゃった……)

レパルダス(少し、休もうかしら……)


――――
 ▼ 201 1◆N8Nz6gyiSo 20/06/20 03:38:28 ID:w4XoEWLM [2/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「――……レパルダス」


ガオガエン「おい、レパルダス!」

レパルダス「……っ」ハッ

ガオガエン「しっかりしろ、大丈夫か!?」

レパルダス「が、ガオガエン……。私……?」

ガオガエン「マニューラにやられたんだな……! 怪我はしてないか……!? クソ、アイツから目を離すべきじゃなかった……!」

レパルダス「マニューラに……、ええ。……でも、大丈夫。眠らせたから」

ガオガエン「眠らせた?」

レパルダス「ほら、そこに……」


マニューラ「……むにゃ……ガオガエン……」zzz


レパルダス「……すごいパワーだったけれど、なんとか凌げたわ。少し休んだし、……私は大丈夫……」ググ…

ガオガエン「お、おいっ、ダメだ動くな、じっとしてろ……! 今手当てができる奴を呼んでやるっ」

レパルダス「そう? でもたしか、ええと……、どこにしまったっけ……」ゴソゴソ

ガオガエン「……?」

レパルダス「あ、あったわ」スッ

ガオガエン「これは?」

レパルダス「体力回復のきのみよ。念のために持って来ておいたの」

ガオガエン「そうか、あの森の……」

レパルダス「ええ。これを食べればすぐに治るわ……」
 ▼ 202 1◆N8Nz6gyiSo 20/06/20 03:38:47 ID:w4XoEWLM [3/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アローニャA「なあ……あのレパルダス、今どこからきのみを取り出したんだ?」

アローニャB「……さあ」

アローニャA「何者なのかな……? ボスとは知り合いみたいだけど……」

アローニャB「ボスの……カノジョ?」

アローニャA「でもボスのカノジョって……マニューラのアネキじゃないのか?」

アローニャB「第二のカノジョ……?」

アローニャA「第二の……? そんなことができるのか」

アローニャB「知らないよ。……そんなのいたことないし」

アローニャA「そっか」
 ▼ 203 1◆N8Nz6gyiSo 20/06/20 03:39:30 ID:w4XoEWLM [4/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――――居間



ブニャット「――はぁ……はぁ……っそが」

ブニャット「ん゛……、に゛ゃ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛」ビリビリビリ…

ブニャット「……ッ……カハッ」ゴホゴホ


「あ、アイツの技、威力が弱まってるぞ……!」

「効いてる! やっぱり、ペルシアンさんの言ったことは本当だったんだ!」

「よ、よし、いけるぞ……っ。あのバケモノを倒せる……!」

「みんな、たたみかけろ!」


「「「「「「ウオオオオオ!!!!!」」」」」」ドドドドドッ


ブニャット「はっ……、対多戦闘は飽きるほどやってきてんだ!」

ブニャット「まとめて返り討ちにしてやらァ!!」バッ


ブニャット「でいっ!」ブンッ

ドグッ

「ぐはぁっ!」


ブニャット「オラァッ!」ボッ

ドガッ

「うごぁ!」


ブニャット「フン!」ブォン

ズドォッ

「のあああッ!」


ブニャット「ドオオラアァァ!!」ドドドド

ドガッ バキッ ズガッ ボグッ

「うぐぉっ」「ぶべぇっ」「に゛ゃ゛あ゛っ」「うおおっ」
 ▼ 204 1◆N8Nz6gyiSo 20/06/20 03:39:46 ID:w4XoEWLM [5/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「……うっそだろこいつ!」

「あ、アネさんみたいな威力のパンチだ……!」

「ぐ……、ええい怯むな! 数は圧倒的にこっちが有利なんだ!」

「みんなで一斉にのしかかれ!!」


「「「「「「ウオオオオオ!!!!!」」」」」」ドドドドドッ


ブニャット「羽虫が何匹集まろうと同じなんだよ! まとめて叩き潰してやらァ!」

ブニャット「」ズキッ

ブニャット「……っ!?」グラッ

ブニャット(い、痛ぇ……っ くそ、修業の疲れがまだ完全に癒えてない……!)


「隙ありぃ!」シャッ

ズサッ

ブニャット「ぐぅっ」


「い、今だ! 畳みかけろ!」


「「「「「「ウオオオオオ!!!!!」」」」」」ドドドドドッ

ブニャット「ぬ……あああああ!!」
 ▼ 205 1◆N8Nz6gyiSo 20/06/20 03:40:36 ID:w4XoEWLM [6/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――――本部、地下



アロペル「んー……、まあなんとかなりそうだ」

アロペル「コイツの出番はなかったなァ……」

アロペル「さて……、後はガオガエンをどう言いくるめるか……」


――ビーッ! ビーッ!


アロペル「……?!」

アロペル「緊急警報? なんだ……?」

アロペル「試験用に取り付けた奴じゃねえか、大した脅威でもなけりゃ鳴らねェはずだが……」

アロペル「一体何が起きてやがる……」ピッ


アロペル「……な、なんだこれは……!?」



――――
 ▼ 206 1◆N8Nz6gyiSo 20/06/20 03:40:51 ID:w4XoEWLM [7/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アローニャA「んん……? な、なぁ……なんか……」

アローニャB「ん?」

アローニャA「音が聞こえないか? ……外から」

アローニャB「音? ……あ、ホントだ」

アローニャA「なんの音だろう……、なんか、足音……?」

アローニャB「そうだ、足音だ……それも、すごく大勢の……」

アローニャA「近づいてきてるよな……」

アローニャB「うん……近づいてきてる……」



ガオガエン「なんだ……?」

レパルダス「……」



――――
 ▼ 207 1◆N8Nz6gyiSo 20/06/20 03:57:26 ID:w4XoEWLM [8/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――――居間



ブニャット「ぬ……ああああああぁ……」グググ…


「い、いいぞ、そのまま抑えるんだ!」

「くそ、とんでもない馬鹿力だ……っ」

「まだ動ける奴全員で抑えろ! その間に止めを刺すんだ!」

「全員で抑えたら誰が止めを刺すんだよー!」


アローニャD「俺がやる!!」バンッ!

アローニャC「いいえ、私が!」バンッ!


「「「「アローニャCとD!」」」」


アローニャD「脱獄者を逃した上に眠らされていたなんて、大失態もいいところだ……っ!」

アローニャC「ええ……っ、ですがこのブニャットを潰せば……」

アローニャC・D「「汚名が返上できる!」」シュバッ


アローニャC・D「「うおおおおお!!!」」ドドドドド

ブニャット「ぬああああぁ……!」ググググ……


――バキィッ!!


ブニャット「…………」


アローニャC「……っ」


アローニャD「…………がっ」


「――ど、どうなった、やったのか!?」

「い、いや……CとDが、ふ、吹き飛ばされた……」

「え!?」

「だ、誰だお前!」
 ▼ 208 1◆N8Nz6gyiSo 20/06/20 03:58:29 ID:w4XoEWLM [9/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
???「ずいぶんと前衛的な建物なのだな。……まあ、そのおかげで間に合ったようだが」

???「さ、さっきまでちゃんと壁があったのに……」

???「ブニャット……貴様、まさかそこから出られなくなっているのか? ……仕方ない、手伝ってやろう」バチッ


ブニャット「え、おまっ……ちょっ」


???「10まんボルト!!」バチバチバチッ!


「「「「「「「ぎゃああああああああ!!!!!」」」」」」」ビリビリビリビリッ

ブニャット「ぐああああ!!!」ビリビリビリッ


???「ブニャットさん!?」タッ


ブニャット「……かはっ」シュウゥゥ…

???「だ、大丈夫ですか!?」

ブニャット「……大丈夫に見えるかよ、……エネコロロ」プスプス…

エネコロロ「い、今運びます、しっかり……!」ズル…ズル…

ブニャット「てんめぇ……、ライボルトぉ……」


ライボルト「ほら、これを食べろ」ガッ

ブニャット「もがっ……」


エネコロロ「ちょっと、ライボルト! どうして急にこんなことをしたの!」

ライボルト「エネコロロ……、仕方のないことだったんだ。事態は急を要していた、コイツを巻き込まないようにのろのろと対処していれば、押し潰されていたところだったぞ」

エネコロロ「だからって、やりすぎよ……!」

ライボルト「……手加減はした。敵もかなりダメージを負っていたんだ、コイツの体力が残るような、ギリギリの調節をした。森のきのみを食べれば回復するのだから、問題はない」

エネコロロ「はぁ……、もういいわよ。今は急ぐのだから、話は後でゆっくり聞きます」


エネコロロ「ブニャットさん……ごめんなさい、大丈夫ですか?」

ブニャット「まあな……」モグモグ


ライボルト「それにだ、コイツはこれくらいの目には遭って然るべきなんだ。コイツが森で何をしでかしたのか、その非道を聞けば君だってきっと……」

エネコロロ「ライボルト、この作戦はあなたが指揮を執るんでしょう。ここからどうするか、早くみんなに指示を出して」
 ▼ 209 ッチャマ@よごれたハンカチ 20/06/20 08:15:56 ID:Q9kACRCM NGネーム登録 NGID登録 報告
支援なのだよ
 ▼ 210 1◆N8Nz6gyiSo 20/06/29 04:07:40 ID:Rwx.UZiY [1/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アローニャD「くそ……ふいうちを喰らっちまった……」

アローニャC「な、何者なのですか、このポケモンは……?」


「そ、外を見ろっ、なんだこいつら……!?」

「囲まれてるぞ……、いつの間にこんな……」

「このブニャットの仲間……なのか……?」


ライボルト「……」スゥ…

ライボルト「……よく聞け、"猫潰し組"!」

ライボルト「我々は、"南の森"の自警団だ!」

ライボルト「大人しく話に応じれば、手荒な真似をするつもりはない!」

ライボルト「貴様らの頭目、ガオガエンに話がある!」


「んな、なな、なんだなんだ……っ」

「手荒な真似はしないって……あいつ、さっきニャースを殴り飛ばしてたぞ……?」

「言ってる場合か……とにかく、ボスを呼んで来ないと……」

「で、でも、ペルシアンさんの命令は……? まだあのブニャットを倒せていないぞ……」



――――
 ▼ 211 1◆N8Nz6gyiSo 20/06/29 04:18:17 ID:Rwx.UZiY [2/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――――



レパルダス「来たのね……」

ガオガエン「来た……?」

レパルダス「"南の森"から、仲間が来たわ」

ガオガエン「仲間……? お前を助けに来たのか……?」

レパルダス「私……? 私をわざわざ助けに来てくれるのなんて、妹くらいじゃないかしら……。森の仲良しの輪の中に、私は入っていないもの」

ガオガエン「どういうことだ? "南の森"の奴らがなぜ……」

レパルダス「……」



レパルダス「ガオガエン……、あなた、本当にこのままこの組織を続けるつもり……?」

ガオガエン「……なんだ、それが今なんの関係がある?」

レパルダス「……」

ガオガエン「……?」

レパルダス「実は私ね……あなたを騙そうとしてた……」

ガオガエン「は……?」

レパルダス「本当は、もっと順調に事が進んで……、あなたなら、私の話を分かってくれるはず……なんて、思っちゃってたのよね」

ガオガエン「お前、さっきからいったい何を……」

レパルダス「あなたの話を聞いて私、何も言えなくなっちゃって……結局、あなたの言葉に頷いてしまったのよ。あなたに真意を伝えないまま……ね」

ガオガエン「真意……? お前がうちに入る理由……?」
 ▼ 212 1◆N8Nz6gyiSo 20/06/29 04:19:06 ID:Rwx.UZiY [3/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

ガオガエン「お前は、あのニャスパーを返す代わりに、この組織に入ると……」

ガオガエン「こんな要求をお前が飲むなんて、とは思ったが……」

ガオガエン「あのニャスパーに、何か関係があるのか……?」


レパルダス「そうね……。ニャスパーちゃんは、もうブニャットさんのところに連れて行ってくれた?」

ガオガエン「……いや、俺は……。ペルシアンが連れて行ったはすだ」

レパルダス「そう……早くした方がいいわ。森のポケモン達の目的は、ニャスパーちゃんにある……」

ガオガエン「……だから、どういうことなんだ。お前は、さっきから……。あのニャスパーがなんだって言うんだ……?」



アローニャA「あ、あの……ボス」

ガオガエン「ん……?」

アローニャA「行かなくていいんすか……? 侵入者、大勢来てますよ……っ」

ガオガエン「あ、ああ……」



――――
 ▼ 213 1◆N8Nz6gyiSo 20/07/15 07:47:13 ID:6VsA0sK2 [1/42] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――――居間


――プツッ


『あ゛ー……』ザザ


アロペル『……えー、悪いが、うちのボスは今取り込み中なんだ』


「ぺ、ペルシアンさん……」

「ペルシアンさんだ……!」


アロペル『話とやらは俺が聞こう。うちの組織に何の用だ?』

ライボルト「……単刀直入に言う。この組織に一匹のニャスパーが捕らわれているはずだ。その身柄を、こちらに引き渡してもらいたい」

アロペル『理由は?』

ライボルト「貴様らが知る必要はない」

アロペル『ほー。……その要求をのんだ場合、こっちにも何か見返りがあんのか?』

ライボルト「貴様らは不当にニャスパーを捕らえ、監禁したと聞いている。それを正すのに対価は不要と考える」

アロペル『はん、そいつァ虫のいい話だなァ。こっちが持ってるもんを、タダで受け取ろうってェ……』


ブニャット「おい! ちょっと待ちやがれ!!」

ライボルト「む……?」

アロペル『……』

エネコロロ「ブニャットさん……?」


ブニャット「ペルシアン……テメェ、ふざけてんじゃねえぞ!」

ブニャット「そのニャスパーの引き換えになるっつって、レパルダスはガオガエンの要求を受け入れたんだ!」


エネコロロ「……え」


ブニャット「それをテメェ、無かったことみたいに話しやがって!」

ブニャット「ここの雑魚共にオレを襲わせやがったのはどういう了見だ!」

ブニャット「テメェ本当にニャスパーを返す気あんのか!?」

ブニャット「ガオガエンが取り込み中? アイツはニャスパーを連れに行ったんじゃねぇのか!」

ブニャット「一体全体どういうことだ、説明しろペルシアン!」
 ▼ 214 ラッキー@トポのみ 20/07/15 07:48:16 ID:.VMIrffc NGネーム登録 NGID登録 報告
まだ続いとっとんかこれ

支援
 ▼ 215 1◆N8Nz6gyiSo 20/07/15 07:55:48 ID:6VsA0sK2 [2/42] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アロペル『……チッ』

アロペル『あー……、そもそも大前提として、ニャスパーを拘束してんのは不当なことじゃねェ』

アロペル『そこのブニャットとの契約のためだ。あのニャスパーは、契約成立までの担保としてウチで預かっている』

アロペル『それをタダでぶん盗ろうなんざ、契約違反に他ならねェと考えるがァ?』


ブニャット「いい加減にしろよテメェ!」

ブニャット「オレを攻撃してきた理由を答えろってんだ!」


アロペル『……っせーな』

アロペル『……ハァ』

アロペル『おう、クソデブのブニャット……テメェがどうやって森の奴らを懐柔したのか知らねえが、生憎ウチには大人しく要求を飲んでやれるような用意がねェんだ』

アロペル『テメェにはこのまま、これ以上厄介を起こさねェ内に消えてもらわねェと困る……』


ブニャット「あんだと?」


アロペル『んで、"南の森"の畜生共よォ……』

アロペル『テメェら、ここがどこか知ってて突っ込んできたのかァ?』

アロペル『町の四方を囲む森のうち、三つの森を支配した"猫潰し組"、その総本山だぜ?』

アロペル『もちろんテメェらとの抗争も、近く起こることとして準備していたんだ』

アロペル『そしてその準備は、もうほとんど完了してんだよ……』

アロペル『……どういう意味か分かるなァ?』

アロペル『テメェらの方から出向いてきてくれたのは、むしろ好都合だった……』

アロペル『今ここで、宣戦布告してやるよ!』


アロペル『"猫潰し組"、総員戦闘用意だ! 待機していた上級戦闘員も応戦に当たれ!』

アロペル『畜生共、目にもの見せてやるよ。テメェら潰して、"南の森"にもこれから攻め込む』

アロペル『ヤロウ共行くぞ! 戦闘開始だ!!』


――プツッ
 ▼ 216 1◆N8Nz6gyiSo 20/07/15 08:00:36 ID:6VsA0sK2 [3/42] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「え……嘘だろ……?」

「戦闘って……、侵入者を捕らえるんじゃなかったのか……?」


アローニャD「バカな……、こっちはもうマンシンソーイだぞ……?」

アローニャC「しかし、上級戦闘員がまだ駆り出されていないのは事実です……」

アローニャD「んなこと言ったって……、情けねえ話だけど……、俺らあのブニャット止めるので手一杯だったんだ」

アローニャC「あのペルシアンさんがこんな命令を何の考えもなく出すとは思えません……、きっと何か策があるはずです」

アローニャD「でもよ……、人質一匹解放すりゃあそれで済む話なんだろ……? なんだって急にこんなよ……」

アローニャC「それです、奴らは話し合いに来たのであって、戦闘をしに来たのではない……。その虚を突いて攻撃を仕掛ければ、少しは持ちこたえられるのかもしれません……」

アローニャD「そりゃ……また悪役じみた卑怯な作戦だな……」

アローニャC「卑怯がなんぼ、我々はもともとゴロツキの集まりでしょう。それに……私たちはミスを犯しているんです……。何もしないわけにはいかないんですよ」

アローニャD「それもそうか……くそぅ、やるしかねえか……。いや、やってやる!」


「「「「「「うおおおおお!!!」」」」」」ドドドドド



ライボルト「なんだと。こいつら……ヤケでも起こしたのか?」

ライボルト「我々が戦闘になる準備もせずに乗り込んできたとでも思っている……?」

ライボルト「……いや」


ライボルト「……皆、応戦するぞ……っ、もはや話し合いの余地はなくなった!」

ライボルト「対象が要人であるということを悟られるな……、盾に取られる前に奴らの戦力をそぎ落とし、降伏させる!」


「「「「「おおおおお!!!」」」」」
 ▼ 217 ガリザードンY@フリーズカセット 20/07/15 08:01:36 ID:cC4Y1Kb2 NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
しししえん
 ▼ 218 1◆N8Nz6gyiSo 20/07/15 08:09:27 ID:6VsA0sK2 [4/42] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
エネコロロ「ブ、ブニャットさん……」

ブニャット「エネコロロ、ニャスパーの居場所が分かっているのか?」

エネコロロ「え、あ、はい……。伝えるタイミングがなかったですが……」

ブニャット「教えてくれ、場所を言ってくれれば、オレならすぐに向かえる」

エネコロロ「あ、あのっ……」

ブニャット「なんだ、どうした?」

エネコロロ「姉はどこですか……? その……ニャスパー王子の引き換えになったって一体……」

ブニャット「そうだった……。……レパルダスは今、マニューラに追われて逃げてるんだ」

エネコロロ「えっ……」

ブニャット「……」
 ▼ 219 1◆N8Nz6gyiSo 20/07/15 08:09:39 ID:6VsA0sK2 [5/42] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ブニャット「この組織は……最初から約束を守る気なんてなかったんだろうよ……」

ブニャット「アイツが先に狙われて、その後オレはあのペルシアンの命令で襲われた……」

ブニャット「こいつらに話し合いなんか通用しない……。のこのこと飛び込んだこっちが馬鹿だった……っ」

ブニャット「レパルダスはガオガエンに助けを求めに行ったが、アイツも信用なんてできたもんじゃねぇよ……」

ブニャット「ニャスパーとレパルダス……どっちも助ける方法は……」


エネコロロ「……っ」

エネコロロ「分かりました、ブニャットさん。王子の居場所を教えますから、救出に向かってください」

ブニャット「お……おう」

エネコロロ「王子と姉を両方とも助けるように動くより、この組織を叩くことに注力したほうが早い……ですよね」

ブニャット「……そうだ。それを言いたかった」

エネコロロ「それに……、お姉ちゃんならきっと無事です。……そんなに簡単にやられるはずはないですから……あの姉が」

ブニャット「ああ。……そうだといいけど」


エネコロロ「ブニャットさん。体力が回復したのなら、あなたはこの場にいる誰よりも素早く動くことができるはずです」

エネコロロ「あなたなら、敵の守りを掻い潜って突入できる。……というか、あなたもそう考えたから、王子の居場所を聞いてきたんですよね」

ブニャット「あ、ああ。その通りだ……よく分かったな」

エネコロロ「ええ。……救出したいと思っていたニャスパーさんが実は森の王子だったなんて知ったら、もしかしてあなたは助けるのをやめてしまうかもなんて思っていましたが、ここまで協力的にいてくださるなんて……」

ブニャット「そういう話は後でいいから……っ!」

エネコロロ「は、はいっ……」



――――
 ▼ 220 1◆N8Nz6gyiSo 20/07/15 08:17:16 ID:6VsA0sK2 [6/42] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――――地下



ニャイキングA「……」

ニャイキングB「……良かったんで?」


アロペル「ん、何がだ?」

ニャイキングB「このタイミングで、森との抗争を始めちまって……。ボスの許可もなしに……」

アロペル「抗争を仕掛けるタイミング、いつも決めてんのは俺だろ」


アロペル「今回はちょっとばかり早くなった程度だ。奴らと戦うための準備は、既に整っているからなァ……」

ニャイキングB「……」

ニャイキングA「……しかし」

アロペル「子ニャスパーの一匹くらい、解放してやってもよかったんじゃないかってか?」

ニャイキングA「……」

アロペル「その必要はねぇさ……。"準備"ができたということは、俺たちは力を手に入れたってことだ。奴らを組み伏し、従わせることができるだけの力がな……」


ニャイキングB「連中は、どうしてニャスパーの開放を……?」

アロペル「んー……、今んとこ考えられんのは、兵器の開発を止めるため……だが……」


アロペル「それにしちゃおかしな点が幾つかあるな」

アロペル「例のスパイがリークしたんだろうが、行動に移るのが速すぎる……」

アロペル「兵器の具体的な内容も、そのスパイにゃ知られていなかったはずなんだ」

アロペル「もしかしたら……このニャスパー……、奴らにとって、何か重要な存在だったのかもしれんなァ……」


ニャイキングA「なるほど……」

アロペル「ていうか、お前らもさっさと地上へ向かえ。邪魔者共をなるだけ減らすんだ」


アロペル「俺もすぐに向かうからなァ……」



――――
 ▼ 221 1◆N8Nz6gyiSo 20/07/15 08:19:41 ID:6VsA0sK2 [7/42] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――――



ガオガエン「ペルシアンの奴……今の放送はいったいなんだ?」タタタタ

レパルダス「森と戦争を始める気なの……?」タタタタ

ガオガエン「いや……俺にその意志はない……、アイツが勝手を言っているだけだ」タタタタ

レパルダス「それなら、早く止めなきゃじゃない……」タタタタ

ガオガエン「ああ……」タタタタ


アローニャA「も、もうすぐ着きますよっ」タタタタ

アローニャB「なんか……ヤな予感がするなぁ……」タタタタ



――――
 ▼ 222 1◆N8Nz6gyiSo 20/07/15 08:22:12 ID:6VsA0sK2 [8/42] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 


ドドドドド……



「食らえ! シャドーボール!!」

「ミラーコート! お返しだ!」


――ドシャァッ


「オラァッ! ウッドハンマー!」

「遅い……、だいもんじ!!」


――ゴシャッ


「おらおらおら! ぶんまわぁす!」

「そいつはみがわりだぜ間抜け!」


――ズオオオォッ






ガオガエン「――こ、これは……」

レパルダス「地獄絵図じゃない……まさかこんなことになってるなんて……」


アローニャA「ここ……部屋があったはずじゃ……」

アローニャB「ボ、ボス……いったいどうすれば」

ガオガエン「っ……」バッ

アローニャB「あっ」
 ▼ 223 1◆N8Nz6gyiSo 20/07/15 08:38:04 ID:6VsA0sK2 [9/42] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ガオガエン「お前らァ、今すぐに戦闘をやめろ!!!!」ゴォッ



「え」「あ……」「ボス、……?」「ボスだ……!」「やつあたりだ! 食らえ!!」「オラぁ!」「れんぞくぎり!!」「メガトンパーンチ!!!」


「あ、あれ、レパルダス……?」「あいつ、何してんだ……?」「ふん、ねっとう!!」「だいちのちからだ!」「てりゃてりゃてりゃぁ!」「アシッドボムでも食らいな!!」


――――


エネコロロ「――お」

エネコロロ「お姉ちゃん……!?」


ライボルト「なんだと?」

エネコロロ「ほら、あそこよ!」

ライボルト「本当だ……。無事だったのか、レパルダスさん」

エネコロロ「ガオガエンもいる……、いったい何があったのかしら……」

ライボルト「あそこにいると危険だな……流れ弾に当たりかねない」

エネコロロ「私、行かないと……っ」タタッ

ライボルト「エネコロロっ……危険だと言っただろう……!」

エネコロロ「お姉ちゃーん!」タタタ

ライボルト「くっ……」タタッ


――――
 ▼ 224 1◆N8Nz6gyiSo 20/07/15 08:40:06 ID:6VsA0sK2 [10/42] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ガオガエン「何をしている! やめろ! 聞こえないのか!!」


「や、やめろって……」「でも、相手が攻撃……ぐあっ」「やりやがったな! 食らえ!!」「いわなだれでどうだ!」「あくのはどう!!」



レパルダス「……お願い! みんな、やめてー!」


「へ? なんだって……?」「ふん! ふん! ふんぬぁ!」「アイアンテール!」「エアスラッシュだ!」「とびひざげりィ!」



ガオガエン「くそっ…… おい! やめろー!!」

レパルダス「止まってー!」




「――よせよせ、止める必要はねェよォ……」


レパルダス「え……?」


――――


エネコロロ「あれは……、ペルシアン……!?」タタタタ

ライボルト「なんだあの、奴が持っている灰色の筒は……?」タタタタ


――――



アロペル「おーおー、なかなか大変なことになってんじゃねえか……」

ガオガエン「ペルシアン!? お前……」

アロペル「よォガオガエン。ま、ここは一つオレに任せてみてくれよなァ……」
 ▼ 225 1◆N8Nz6gyiSo 20/07/15 08:54:47 ID:6VsA0sK2 [11/42] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――――地下



ブニャット「――居ねえ」

ブニャット「……居ねえぞ、あのヤロウ」

ブニャット「ペルシアンのヤロウがどこにも居ねえ!」

ブニャット「アイツいったいどこへ消えた!?」

ブニャット「エネコロロの言っていた場所はここだ……それは間違いない」

ブニャット「入れ違いになったのか……? ニャスパーはどこだ……?」

ブニャット「くそ……戻るか……? だが、奴がどこかに隠れているんだとしたら……」



――――



ガオガエン「お前がこれを支持したのか……、ペルシアン……!」

アロペル「おお。そうだぜ……?」

ガオガエン「なぜだ……。俺はお前に、ニャスパーをブニャットに返しておけと言ったはずだ。それはどうなった……」

アロペル「ガオガエンよォ……、その必要はないんだぜ?」

ガオガエン「必要がないだと? 必要がないのは人質だろう。……お前は、自分が何をしているか分かっているのか?」

アロペル「この組織を立ち上げる時に言ったろォ? 二人で最強の組織を作るんだってよ……。ガオガエン、この組織はお前ひとりだけのもんじゃねェ」

ガオガエン「いったい何を考えているんだ、ペルシアン……!」

アロペル「何をって? 目の前の敵を討ち取ることを、だよ。"南の森"との抗争を開始したんだ。今攻め込んで、確実に攻略できると判断したからな」

ガオガエン「早計が過ぎる……っ。今攻め込んだところで、返り討ちに遭うぞ!」

アロペル「それを防いで攻略を可能にするために、こいつを用意してたんだよォ……」スリスリ

ガオガエン「……なんだそれは……?」

アロペル「新兵器……。もう何度も説明しただろ……」ガチャン
 ▼ 226 1◆N8Nz6gyiSo 20/07/15 08:56:00 ID:6VsA0sK2 [12/42] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ガオガエン「待て、……おい、やめろっ」

アロペル「こいつがあればよ、力で何でも支配できるんだぜ?」ガチャガチャ

ガオガエン「おい!」

アロペル「お前も昔から欲しがっていた、"圧倒的な力"……それがこの兵器で実現するんだ……」ピ…ピ…

ガオガエン「だが、それは……っ」

アロペル「ちっとばかしジャジャウマ然とした代物だが……」ガチャン



アロペル「俺が開発した、"人間を超える発明"だ……!」 ……ピッ



ブゥゥゥゥゥン……



ガオガエン「止めろ……ペルシアン!」



ピ…ピピ……  ズオオオオオオォォォ……



アロペル「もう起動しちまった。今から止めるってのは、ちと無理な話だぁなァ……」



オオオオオオオオォォォ……          ――ビー!!





――カッ!





――――


エネコロロ「あれは……何……?」

ライボルト「エネコロロ!! 危ない!!」ガバッ

エネコロロ「え……?」



――
―――
――――
 ▼ 227 1◆N8Nz6gyiSo 20/07/15 09:15:24 ID:6VsA0sK2 [13/42] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――――地下



ブニャット「くそ、ダメだ……やっぱり一度地上に戻って……」


――ッドオォォォォオオォッッ……  ……ズズズ……ン……


ブニャット「うおぉっ……」グラグラ

ブニャット「な、何だ今の爆発音……地響き……?」

ブニャット「上からしたぞ……、地上で何かあったのか……?」ダッ



――――数十秒後



ブニャット「――もうすぐ外だが」タタタタ

ブニャット「何も聞こえねぇ……さっきまであんなに騒がしかったのに……」タタタタ


ブニャット「何がどうなって……」タタタ……



ブニャット「――な」

ブニャット「なんだ、これは……!?」



――――
 ▼ 228 1◆N8Nz6gyiSo 20/07/15 09:18:21 ID:6VsA0sK2 [14/42] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――――地下



ブニャット「くそ、ダメだ……やっぱり一度地上に戻って……」


――ッドオォォォォオオォッッ……  ……ズズズ……ン……


ブニャット「うおぉっ……」グラグラ

ブニャット「な、何だ今の爆発音……地響き……?」

ブニャット「上からしたぞ……、地上で何かあったのか……?」ダッ



――――数十秒後



ブニャット「――もうすぐ外だが」タタタタ

ブニャット「何も聞こえねぇ……さっきまであんなに騒がしかったのに……」タタタタ


ブニャット「何がどうなって……」タタタ……



ブニャット「――な」

ブニャット「なんだ、これは……!?」



――――
 ▼ 229 1◆N8Nz6gyiSo 20/07/15 09:19:12 ID:6VsA0sK2 [15/42] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ブニャット「ニャスパーが装置の動力源……? 何の話だ? どういうことだ?」

ブニャット「そこのバカでかい筒がなんか関係あんのかよ……」

ブニャット「おい、ニャスパーはどこだ?」

ブニャット「ガオガエン、……どこにいんだよ! ニャスパーは!」



アロペル「取り押さえろ!」

「「「はっ」」」シュバッ


ブニャット「な、なんだテメェらっ」

ブニャット「うっ……くそ、やめろ! はなせぇ……!」ググ…

ブニャット「ふんぬぬぬぬ…………」グググ…

ブニャット「くそ……っ」キィィィン…


アロペル「おい誰か、そいつにじごくづきだ」

「はっ」シュッ

――ドスッ


ブニャット「ぐっ……げほっげほっ……、っかは……」


アロペル「ついでにバークアウトだ」

ガオガエン「よせ、やめろ!」

アロペル「やれ」
 ▼ 230 1◆N8Nz6gyiSo 20/07/15 09:32:00 ID:6VsA0sK2 [16/42] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ガオガエン「いい加減にしろっ、ペルシアン!」ブンッ

アロペル「ぐえっ……」ドシャ

ガオガエン「このブニャットになんの恨みがある!」

アロペル「……恨みなんかねえよ。ただ、コイツがいると計画に支障が出るだろ」

ガオガエン「計画だと……?」

アロペル「新兵器を使って、最後の森をぶっ潰すんだよ。再三言ってきただろっ」

ガオガエン「こんな馬鹿げた機械を計画に組み入れた憶えはない!」

アロペル「ガオガエン、……こいつがあれば戦力に困ることはねェんだ。この世は力がすべて、強い奴が正義なんだよ。お前の夢も、俺の理想も、こいつがあれば実現できるんだぞ?」

ガオガエン「オレはそうは思わん……。あまりにも犠牲が多すぎる……これを使うための犠牲が……」

アロペル「犠牲のために使いたくないって……? ガオガエン……、お前いつの間にそんな甘い奴になっちまったんだよ」

ガオガエン「……」

アロペル「この組織を作ったとき、お前はもっとギラギラとした野心に満ちていたはずだぜ。暴力を至上主義に理想の実現を目指していたのは、むしろお前の方だった」

ガオガエン「だが、今は違う……っ」

アロペル「違うって……? そりゃあなぜ……? アイツか……? あのレパルダスが原因か?」

ガオガエン「……っ。あいつは関係ない」

アロペル「はぁ。どうだかな……。あんな奴をウチに入れて、それでどうするつもりだったんだ? ガオガエン……お前がしようとしたことは、本当に組織のための行動だったか?」

ガオガエン「なんだと……」

アロペル「いいか、ガオガエン。お前はなァ、この町最大のポケモン組織、"猫潰し組"のボスなんだぜ。そんじょそこらの野良ポケモンとは背負ってる責任の重みが違うんだ」

ガオガエン「っ……」

アロペル「なぁガオガエン、よく思い出せ。お前の下に集まってんのは、どうしようもねえゴロツキ共だ。弱々しくて愛おしい、一匹だけじゃ生きていくこともできないバカ共だ」

ガオガエン「……」


アロペル「そいつら束ねんのが、お前の責務だろ」

アロペル「お前が今本当にするべきことは? 女にうつつを抜かして、目的を見失うことか?」

アロペル「兵器の性能に疑問があんなら、また話し合って考えればいい。女なんて、全部が終わった後で探しても遅くないだろ?」

アロペル「止まってる暇なんてなかったんだ。ちんたらしていたら、どんどん敵は攻めてくる。ちょうど今のこの状況みたいにな」

アロペル「この兵器を失えば、森を落とすのは難しくなるぜ? 構成員の単純な力では、いつまで経っても勝てないかもしれない」

アロペル「新しい兵器を一から用意するのも、確実な一手じゃあないんだ」

アロペル「ガオガエン……お前の行動一つで、この組織の未来が決まる。お前はいったいどうする? 決めてくれよ、なぁボス?」


ガオガエン「……っ」
 ▼ 231 1◆N8Nz6gyiSo 20/07/15 09:37:10 ID:6VsA0sK2 [17/42] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「ペルシアン様、このブニャットはどうしますか?」

アロペル「ああ……、適当に弱らせとけ。もうそいつに利用価値はねえ」



――――



アローニャB「ど、どうなってる……?」

アローニャA「ボスとペルシアンさんと、偉いヤツらが集まってなんか話してる……。あ、あのブニャットが捕まってるぞ」

アローニャB「……何が起きたんだろう。ペルシアンさんの持っていた筒が急に光り出したと思ったら……周りの物やポケモンがみんな吹き飛んでた……」

アローニャA「ああ。でも……俺達は何ともないよな……」

アローニャB「どうしてだ……? 死んだことに気づいてない、なんてことはないよな……?」

アローニャA「ほっぺたでもつねろうか……?」

アローニャB「いや、遠慮しとく……」


アローニャA「近くにいたのに、俺達含めた一部の組員、ボスやペルシアンさんとあのレパルダスはダメージを受けてないよな……」

アローニャB「あれ、レパルダスは?」

アローニャA「向こうの方で、倒れてる奴に声をかけてる。仲間なんだろう……」

アローニャB「そうか……ボスたちは何を話してるんだ?」

アローニャA「"南の森"に攻め込む会議とかかな……。ペルシアンさんもさっき言ってたし……」

アローニャB「レパルダスの言ってたことが本当なら、攻めてきたのは"南の森"のやつらなんだよな……。だとしたらやっぱり、あの筒が新兵器ってことなんかな……」

アローニャA「たぶん……そうかも……。はぁ、早く誰かこっちに気付いてくれないかな……」

アローニャB「上手いことすっぽり挟まっちゃったな……この瓦礫……」

アローニャA「……あ、ブニャットが攻撃されてる……うわうわ、あれバークアウトだ……むごいなぁ」

アローニャB「弱らせて、いたぶろうとしてるってこと……?」

アローニャA「たぶん……やっぱアイツら性格悪ぃよ……」



――――
 ▼ 232 1◆N8Nz6gyiSo 20/07/15 10:13:47 ID:6VsA0sK2 [18/42] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――――



ブニャット「うああああっ……!!」


「おいデブ、テメェ俺らの後輩をずいぶん可愛がってくれたらしいじゃんか」


ブニャット「あ、あの筒の中に……ニャスパーがいんのか……っ」


「あ? ……さーな、良く知らねーけど、そうらしいなぁ」


ブニャット「クソ……クソ……、ニャスパー……!」


「はっ、まあそう憂うなよ。今からちょっといたぶったら、すぐに楽にしてやるからよぉ」


ブニャット「クソ野郎……ぶっ殺してやる……!!」


「おお怖い怖い、ちょっと大人しくしとけやテメェ。……バークアウト!!」ズババッ


ブニャット「ぐああ……っ!」


「オラオラ! ちっとは根性見せてくれよぉ! ギャハハハハ!」ズバババッ



――――
 ▼ 233 1◆N8Nz6gyiSo 20/07/15 10:17:27 ID:6VsA0sK2 [19/42] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――――



ガオガエン「――違う」

ガオガエン「俺は……」

ガオガエン「……俺は、間違っていたんだ」


アロペル「あ? 今なんか言ったか、ガオガエン?」


ガオガエン「……」ザッ


――ザッ…ザッ…ザッ…



――――



レパルダス「エネコロロ、お願い、このきのみを食べて……っ」

エネコロロ「お姉……ちゃん。無事なの……? 良かった……」

レパルダス「ほら、口を開けて」

エネコロロ「私……。私を、ライボルトが庇ってくれたの……」

レパルダス「ライボルトもまだ息があるわ! 大丈夫よ!」

エネコロロ「……? あれ……? ……ごめんなさい。耳が……聞こえない……みたい……」

レパルダス「いいからこれ食べて!」グイッ

エネコロロ「モガっ……」



ガオガエン「――レパルダス」ザッ

レパルダス「……!」ハッ

ガオガエン「……」

レパルダス「な、なに……」

ガオガエン「……すまない……レパルダス。俺は馬鹿だった……。俺は、間違っていた……」

レパルダス「…………?」

ガオガエン「……お前と共にいる資格なんて、俺にはなかったんだ」
 ▼ 234 ーブイ@ハッサムナイト 20/07/15 10:23:16 ID:lBoY04/2 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 235 1◆N8Nz6gyiSo 20/07/15 10:27:12 ID:6VsA0sK2 [20/42] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 

ガオガエン「……」

ガオガエン「俺たちはこれから、"南の森"を攻撃する」

ガオガエン「俺が……俺のために始めたことなんだ。最後まで、俺が責任を取らなくちゃいけない」

ガオガエン「レパルダス、俺を許してくれとは言わない。……むしろ、俺を恨んでいてくれ。お前をあの森に残して行った俺を……」

ガオガエン「この組織と、俺自身の理想のために、組織の頭目であり続けるしかなかったのに、それでもお前を求めてしまった俺を……」

ガオガエン「この町に理想の地を築く。その目標は変わらない……今更変えることなんてできない」

ガオガエン「すまない……」

ガオガエン「最後にお前と話をしたかったんだが、その時間もなさそうだ……」


レパルダス「……っ」

ガオガエン「……」

レパルダス「いや……」


レパルダス「いやよ……私は……、……」

レパルダス「そんなこと……あなたは本当に望んでいるわけじゃない……」

レパルダス「無理よ……私は、あなたの優しさを知っているのに……」

レパルダス「恨めなんて言われても……」

レパルダス「できるわけ、ない……」


ガオガエン「……そうか」

ガオガエン「会えてよかったよ……レパルダス」…ザッ


――ザッ…ザッ…ザッ…



――――
 ▼ 236 1◆N8Nz6gyiSo 20/07/15 10:30:43 ID:6VsA0sK2 [21/42] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――――



アローニャA「ボス……レパルダスと話してる」

アローニャB「なんて言ってるんだ……?」

アローニャA「聞こえないな……」


アローニャA「あ、こっちに歩いてくるぞ……」

アローニャA「いやあれは……、あの兵器に向かってる……?」



――――
 ▼ 237 1◆N8Nz6gyiSo 20/07/15 10:31:30 ID:6VsA0sK2 [22/42] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――――



アロペル「ん……おいボス、ガオガエン、あのレパルダスと何を話していたんだ?」

ガオガエン「……ペルシアン、"南の森"へ行くぞ」ザッ…ザッ……

アロペル「お、やっとその気になってくれたか。いや、お前ならそう言ってくれると思ってたぜェ……」

ガオガエン「……、お前は、森の攻略にはこの兵器が必要だと言ったな」

アロペル「ん、おうよ。そいつがありゃ、いくら最後の森と言えど……」

ガオガエン「ならやはり、こいつを使うわけにはいかねぇ……」スッ

アロペル「え? おい……ガオガエン?」

ガオガエン「ふん!!」バキィッ

アロペル「おまっ、な、何してんだよォ!」

ガオガエン「フタを無理やりこじ開けただけだ」

アロペル「バカな、一体何のために……!?」

ガオガエン「……こいつを取り出すために、だ」スッ



ニャスパー「…………」



アロペル「い、いやいやいや、お前そりゃ、そりゃないぜお前……っ。そいつは俺が何年も……っ」

ガオガエン「いいかペルシアン、今回の戦い、俺はこいつを使わねぇ……。そして……」


――ピカッ


ガオガエン「……!?」

アロペル「あ……!?」



ニャスパー「…………」パアアァァァァ



――――
 ▼ 238 1◆N8Nz6gyiSo 20/07/15 10:45:12 ID:6VsA0sK2 [23/42] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――――


アローニャA「え、なんだありゃ」

アローニャB「なんだってなんだよ、見えないんだよっ」


アローニャA「ボスが兵器をこじ開けたら、中からニャスパーが出てきたんだ……」

アローニャB「はぁ?」

アローニャA「気を失ってるみたいだけど……」

アローニャB「兵器の中にニャスパーって……アイツがあの爆発を引き起こしたのか……?」

アローニャA「分かんないけど……でもボスが引っ張り出した途端に、ニャスパーの体が光り始めたんだ……」

アローニャB「光……? またあの爆発みたいなのが来るのか……?」

アローニャA「分かんない。……いったいなんの光なんだろう」


――――
 ▼ 239 1◆N8Nz6gyiSo 20/07/15 10:48:57 ID:6VsA0sK2 [24/42] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――――



ガオガエン「これは……」

アロペル「進化の光……、だと……?」


ニャスパー「…………」シュィンシュィンシュイン

ニャスパー「…………」イィィィィィン……


――パァンッ



ガオガエン「……ニャオニクスになっちまった」

アロペル「こいつぁいったい……。……兵器の内部環境が進化を促したのか……? いや、サイコパワーの強制放出に伴う能力の向上? あるいは、これが戦闘経験ってことになって、進化条件が達成されたとか……?」


アロペル「いずれにせよ、新しい発見だな。……だが、それはそれとして……」

アロペル「ガオガエン! どういうことだ……!」


ガオガエン「……」

ガオガエン「今回の攻略に、この兵器は使用しない……」

ガオガエン「こんな兵器がなくても組織は戦える。それをこれから証明する」

ガオガエン「……」フゥ

ガオガエン「……」スゥ


ガオガエン「"南の森"の兵士たち! まだ意識のあるものは聞け!」

ガオガエン「我々"猫潰し組"は、改めて貴様らに宣戦布告する!」

ガオガエン「我々目的は、貴様らの持つ物資、土地、その他価値あるもののすべてだ!」

ガオガエン「……先に結んだ契約は、今ここで破棄させてもらう。このニャオニクスはまだ我々が預からせてもらおう!」

ガオガエン「返してほしければ、全力で応戦しろ! 貴様らのすべてを賭けて、我々を止めてみせろ!」

ガオガエン「行くぞ!!」



レパルダス「……」



アロペル「ちっ……」

アロペル「今回だけ……今回だけは許してやる……。考え直してくれたことに免じてだ……。だがな、……この兵器分は高くつくからぞ、ガオガエン」
 ▼ 240 1◆N8Nz6gyiSo 20/07/15 10:53:32 ID:6VsA0sK2 [25/42] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――――



「――……待て」


ガオガエン「……」



ブニャット「待てよ……」

ブニャット「返せよ……、ニャスパーを……。返せよ……!!」


「ああ?。おいおいお前、見てなかったのかァ? ニャスパーなんてもういねーんだよ(進化したから)」


ブニャット「」ギリ

ブニャット「うがああああああ!!!」グググ……


「ん? おいどうした、ちゃんと押さえろよ」


ブニャット「……っおらぁっ!」ブンッ


「はぁ!?」


ブニャット「邪魔だ!!」シュッ


――ドゴォ


「ぐっはぁっ……!?」



――――



アロペル「なんだと!?」



――――
 ▼ 241 1◆N8Nz6gyiSo 20/07/15 10:55:09 ID:6VsA0sK2 [26/42] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――――



アローニャA「ええっ!?」

アローニャB「ど、どうしたんだよ」

アローニャA「ブ、ブニャットが、急に起き上がって……上級戦闘員を吹っ飛ばした……」

アローニャB「まじかよ、タフだな……」

アローニャA「タフとかそういうレベルじゃないぞ……」

アローニャB「じゃあどんなレベルなんだ……?」

アローニャA「ありゃいったいどういう馬鹿力なんだ……? 5、6匹はのしかかってたんだぞ……。それも、力自慢の戦闘員が……」



――――
 ▼ 242 1◆N8Nz6gyiSo 20/07/15 11:01:40 ID:6VsA0sK2 [27/42] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――――


アロペル(馬鹿な……、ヤツの武器は強力な特殊攻撃のはずだ、いったいこんな力がヤツの身体のどこに……)



ブニャット「アイツはオレが守るんだ……、こんなところでくたばるわけには、負けるわけにはいかねぇんだよ……!!」シュバッ


ガオガエン「……負けん気の強い奴だな」スッ


アロペル「負けん気……?」

アロペル「待てよ、そうか、……分かったぞガオガエン、このブニャットのとくせいは……っ」


ガオガエン「ペルシアン、避けろ!」


アロペル「あ?」

ブニャット「オォラァ!!」ズアッ


――ズゴッ
 ▼ 243 1◆N8Nz6gyiSo 20/07/15 11:02:07 ID:6VsA0sK2 [28/42] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アロペル「ごぺっ……っ」

アロペル(い、いっでぇ……っ。もろに貰っちまった……)

アロペル(だが、この俺の防御力なら……な、なんとか……)

アロペル「た……」

アロペル「耐えたぞ……っ。そして、俺の素早さなら逃げ……っ」


ブニャット「遅え……!」バチバチバチバチッ


アロペル「う……」


ブニャット「食らえ!!」バヂヂヂッ

アロペル「ぐあああっ……!」


アロペル「ぐ、ああ……しび……痺れる……」

ブニャット「くたばれ!!!」ヒュッ


――ゴシャッ


アロペル「がっ……」


アロペル「」パタ…



――――
 ▼ 244 1◆N8Nz6gyiSo 20/07/15 11:02:36 ID:6VsA0sK2 [29/42] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――――


アローニャA「うわ……、ペルシアンさんが……」

アローニャB「……どうなったんだ?」

アローニャA「一方的にボコされて……叩きつけられた……」

アローニャB「は……? ……でもあのヒト、生半可な攻撃は効かないんじゃ」

アローニャA「けど……起き上がってこないぞ……」

アローニャB「ど、どういうことなんだよ……」

アローニャA「生半可じゃない威力ってことなんだろ……アイツの攻撃が……」


――――
 ▼ 245 1◆N8Nz6gyiSo 20/07/15 11:06:45 ID:6VsA0sK2 [30/42] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――――



ガオガエン「ブニャット、ニャオニクスならここだ!」

ブニャット「……あ? ニャオニクス……?」

ガオガエン「……見ていなかったのか? ……ニャスパーは進化したぞ」

ブニャット「……ああ?」

ガオガエン「……、安心しろ、人質に取ったりなんてことはしない。こいつはこれ以上傷つけさせない。誓ってもいいぞ」

ブニャット「そうか……だったら……」ユラ…


ブニャット「そのまま死ね……!」シュバッ

ガオガエン「……」フゥ



ブニャット「オオオラァア!!!」ブンッ

ガオガエン「フン……!」ズオッ


――ガッ


ブニャット「ラァ!」ブンッ

ガオガエン「なるほど……」サッ

ブニャット「ヌンッ!」ブオッ

ガオガエン「こいつはたしかに……」ガッ

ブニャット「ガアッ!」ズアッ

ガオガエン「とんでもない威力だ……」ゴッ



――――
 ▼ 246 1◆N8Nz6gyiSo 20/07/15 11:08:21 ID:6VsA0sK2 [31/42] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――――


アローニャA「ひえ……、ボスと闘ってる……」

アローニャB「どんな感じだ……?」

アローニャA「ボス、押されてるように見えるな……」

アローニャB「ウソだろ……っ?」

アローニャA「で、でも、あのブニャットもかなり疲れてるように見えるから……。耐え凌げさえすれば……」


――――



ブニャット「ヌオラッ!」ブンッ

ガオガエン「そこだっ」ガガッ

ブニャット「ぐ、ぬうう……」グググッ

ガオガエン「……」グググ…



――――


アローニャA「うまい、両手を抑えた!」

アローニャB「体力勝負に持ち込めたってことか……?」


――――



ブニャット「はぁ、はぁ、ぬおおおお……」ググググッ

ガオガエン「……く、ものすごいパワーだな……これがお前の"とくせい"なのか……?」

ブニャット「はぁっ……はぁぁっ……、知るかよぉぉぉ……」グググッ



――――
 ▼ 247 1◆N8Nz6gyiSo 20/07/15 11:42:25 ID:6VsA0sK2 [32/42] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――――



レパルダス(王子……!)タタッ

レパルダス(ブニャットさんのお陰で、ガオガエンが王子を手放した……。王子を助けるなら今しかない……!)


ニャオニクス「…………」

レパルダス「この子が王子……」


レパルダス「たしかに……どことなく前王の面影がある……」

ニャオニクス「…………、う……ん……」

レパルダス「!?」

ニャオニクス「……あれ、……うーん」パチッ

レパルダス「お、王子……大丈夫ですか……っ」

ニャオニクス「……? ん……」

レパルダス「王子……?」

ニャオニクス「おうじ……? ……ぼくは」



――ブニャット「ぬおおおお……!!」グググ…


ニャオニクス「……え?」

ニャオニクス「お、お姉さん……!?」


――ブニャット「……ふぬぬぬぬ……!!」ググググ…


レパルダス「王子、ここは危険ですから……こちらへ……!」


ニャオニクス「……お姉さん……っ」



――――
 ▼ 248 1◆N8Nz6gyiSo 20/07/15 11:47:00 ID:6VsA0sK2 [33/42] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――――



――ザッ



「――ガオガエーン!!」



ブニャット「ああっ……!?」

ガオガエン「な……っ。ま、マニューラ……!?」


マニューラ「……はぁ……っはぁ……っ」

ブニャット「なんだ、コイツ……っ」

マニューラ「……っ!」キッ


マニューラ「ガオガエンからぁ……離れろォっ……!!」シュダッ

ブニャット「んな……っ」

マニューラ「ああああああああ!!!!」

ブニャット「くっ……!」サッ


――ズキッ


ブニャット「っ……痛」グラッ

ガオガエン「!」

ブニャット「くそっ……また……!」

マニューラ「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」ズアッ
 ▼ 249 1◆N8Nz6gyiSo 20/07/15 11:51:31 ID:6VsA0sK2 [34/42] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 


「――お姉さん……」



ニャオニクス「……!!」キィィ

レパルダス「お、王子……!?」

ニャオニクス「今、助けるよ……!」キィィ……


――ヒュッ


ニャオニクス「お姉さぁーんっ!!」キィィィィ……


――バンッ




――ガキィィィッ




マニューラ「……っ?!?」グシャッ

マニューラ「がぁっ……」ヨロッ

ガオガエン「マニューラ……!」サッ


ブニャット「ふんぬぅぅ……っ」ザシャ

ブニャット「食らえ……!! オオラアァッ!!!」ゴオッ


――ドゴォ


マニューラ「ぐはぁっ……っ」



ガオガエン「ぐっ……うおおおおお!!!」グアッ

ブニャット「があああああ!!!!」ズアッ



――――ドゴォォンッ



――――
 ▼ 250 1◆N8Nz6gyiSo 20/07/15 11:56:39 ID:6VsA0sK2 [35/42] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――――



アローニャB「な……何が起きたんだ……?」

アローニャA「アネさんが、マニューラのアネさんが急に出てきて、ブニャットに襲い掛かったんだ。ブニャットは驚いたのか体制を崩したんだけど……」

アローニャB「……?」

アローニャA「そこに、ニャスパーが進化した……ええと、ニャオニクス? も飛び込んできた、ものすごい速さで……。そしたらいきなり、アネさんとブニャットの間に壁が現れて……」

アローニャB「壁……?」

アローニャA「そう……ニャオニクスがやったんかな……? アネさんはその壁を思い切り殴りつけたから、腕がぐしゃって、曲がって……。そこをブニャットに思いっきり殴られた……」


アローニャA「それを見て、すかさずボスが攻撃したんだけど、ブニャットもそれに合わせてきて……」



――――
 ▼ 251 1◆N8Nz6gyiSo 20/07/15 12:45:04 ID:6VsA0sK2 [36/42] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――――



ガオガエン「……」


ブニャット「……」


ガオガエン「……」


ブニャット「……ぐっ」


ガオガエン「…………」グラッ



――バタンッ



ブニャット「っ……はぁ……はぁ…………」フッ


――ドサッ
 ▼ 252 1◆N8Nz6gyiSo 20/07/15 12:51:11 ID:6VsA0sK2 [37/42] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ニャオニクス「お姉さーん……!!」タタッ


ブニャット「……ニャ……スパー……?」


ブニャット「はぁ……、お前……大丈夫……か……? 無事……なんだな……?」

ニャオニクス「うん……うん……、ボクは大丈夫だよ……っ」

ブニャット「そうか……良かった……。……ごめんな、……助けに来るの、遅くなっちまって……」

ニャオニクス「ううん、お姉さん……。ボク、お姉さんがきっと助けに来てくれるって、信じてたよ……っ」

ブニャット「ああ……でも、最後は……、……こっちが守られちまった……な……」

ニャオニクス「お姉さん……っ。お姉さんは大丈夫なの……っ?」

ブニャット「……安心しろ……ここでくたばってやるつもりはねえさ、……大丈夫だ」

ニャオニクス「……本当?」

ブニャット「ああ……」

ニャオニクス「……」

ブニャット「ああでも、少しだけ……」

ニャオニクス「……?」

ブニャット「ちっとばかし……腹が……減ったかなぁ……」フッ

ニャオニクス「お姉さん……? ……お姉さんっ! お姉さん――――」




――
―――
――――
 ▼ 253 1◆N8Nz6gyiSo 20/07/15 13:30:09 ID:6VsA0sK2 [38/42] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――その日オレは、"猫潰し組"に勝利した。

ガオガエンとの最後の殴り合いは、ほとんど相打ちだった。


目が覚めた時、オレは"南の森"にいて、心配そうなエネコロロとニャスパー……進化したニャオニクスが、寝ているオレを覗き込んでいた。

オレが"猫潰し組"に乗り込んでから、もう三日も経っていた。

正直オレは腹が空っぽで、その時話した会話の内容はよく覚えていない。

"猫潰し組"は、リーダーと幹部が倒された後、"南の森"と町の人間たちが協力して、解体したらしい。

小さな町で幅を利かせていたギャングの末路は、終わってみればなんともあっけないものだった。

人間との協力。最初は驚いたが、どうやら騒ぎを聞きつけた町の住民が、勝手に事後処理を始めたらしかった。

人間にとっても、あの組織は手を焼く存在だったんだとか。

レパルダスに、ガオガエンとの話がどうなったのかを尋ねたら、あの後少しだけ話ができたと言っていた。

ある約束をした……とか。

どんな約束なのかは、ヒミツだと言って教えてくれなかった。

詮索する気も起きなかったので、それ以上は何も聞かなかったが。

ガオガエンは人間に捕らえられてしまったらしいが、レパルダスはそれを悲しいとも嬉しいとも思っていないようだった。

時折何かを思い出して顔を曇らせたかと思えば、すぐにクスっと笑って元に戻るという不可解な行動をとるようになったが、結局その真意はオレには分からず仕舞いだった。
 ▼ 254 1◆N8Nz6gyiSo 20/07/15 13:30:22 ID:6VsA0sK2 [39/42] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ニャオニクスは、オレが眠っている間に、森のポケモン達に"南の森"を案内されたらしい。

それで、なんとアイツは、自分が森にいたころの記憶を少しだけ思い出したという。

でもそれが、「この森には自分を待っているポケモンが大勢いる」ということを、アイツの中で確信に変えてしまったらしかった。

初め、ニャオニクスはそのことに酷く悩まされ、日がな一日考えふけっていた。

当然だ、あんなに小さなヤツが一匹で抱えられるような問題じゃない。

オレはそれが見ていられなくて、コイツを連れてここを出て行ってやろうかなんてことを考えて始めていた。

でも、そうしたらあの心優しい王子サマは、「お姉さんが一緒にいてくれるならやる」なんて言い出しやがったんだ。

森の奴らも、なぜかそれを織り込み済みのことだと考えていたらしく、すぐオレに「この森に住まないか」と聞いてきた。

……オレがこの森に初めて足を踏み入れた時、オレは森のポケモンたちを潰し回ってやるつもりだったんだぞ。

それが「一緒に暮らさないか」なんて、そんなこと、素直に頷けるはずがない。

正直それまでも、居心地の悪さでいっぱいだったのに……。

オレは、なんとしてでもその誘いを断りたかった。

でも、ニャオニクスは一歩も引かなかったし、ニャオニクスが引かないと、森の奴らも引かなかった。

「王」という存在が、この森にはどうしても必要らしい。

終いにはなぜかエネコロロやライボルトが責任を追及されるのではという話になって、ニャオニクスがだんだんと拗ね始めて……、オレは、この森で暮らすことを、仕方なく了承してしまった。


それからオレは、"南の森"のブニャットになった。

もちろん、そこでの暮らしは悪くなかった。

オレは――正直そんな柄じゃないけど――王子を救った英雄なんて呼ばれて、自警団の団長まで任されることになってしまった。

まるで、オレが攻撃してきたことを恨んでるポケモンなんて、最初からいないみたいだった。


"森の王"としての仕事が、ニャオニクスにちゃんとできるのか、オレは初めとても心配だった。

しかし、どうやらそれも杞憂だったらしく、アイツは驚くほど立派に"王"を勤めている。

優秀なポケモンたちがサポートしてくれるのだとか。

それでも、オレが会いに行くと、やっぱりすぐに飛んできて、まだまだべったりの甘えたな一面も見せてくる。

進化して、成長したんだか、してないんだか……。



――――
―――
――
 ▼ 255 1◆N8Nz6gyiSo 20/07/15 13:37:50 ID:6VsA0sK2 [40/42] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アローニャA「――なぁなぁ、聞いたか?」

アローニャB「なにを?」

アローニャA「"南の森"の王様の話」

アローニャB「ん、ああ、近々結婚するんだって?」

アローニャA「なんだぁ、知ってたのか」

アローニャB「最近はこの町でもよく話を聞くからなぁ」

アローニャA「まあなぁ……」


アローニャA「あの森に新しい王が現れて、もう半年くらい経つのか」

アローニャB「うんうん。ってことは、あの組織がなくなったのも、半年前ぐらいになるんだなぁ」

アローニャA「そうそう、……あの時は大変だった。行く宛ても無くなって、その日の食料はどうしようって、ずっと悩んでたもんな」

アローニャB「……でも、"南の森"のおかげで、飢えなくて済んだんだ」

アローニャA「うん。……森の食料を町の人間やポケモンに提供してくれて、みんなが食べ物に困らないようにしてくれた」

アローニャB「食べ物以外の貴重な資源だってそうだ。いろんな製品の原材料とか、薬の原料とか……」


アローニャB「一番すごいのは、それを"南"以外の森にも促して、町やそれぞれの森が、四方の森の恩恵を平等に受けられるようにしちゃったことだよ」

アローニャA「ホント、すごいことをするよなぁ……。こういうのをビンワンって言うのかな」

アローニャB「"猫潰し組"が……、ボスが実現したかったのって、もしかしたらこういう世界だったのかもしれないな」

アローニャA「人間とポケモンが協力して……なぁ。すごい時代になったもんだ」

アローニャB「だなぁ……」



アローニャA「ところでさ……王妃になるのって、いったいどんなポケモン何だと思う?」

アローニャB「そりゃあきっと、綺麗で優しくて……、強いポケモンだよ」

アローニャA「だよなぁ。いいなぁ……一回でいいから見てみたいよ」

アローニャB「そうだなぁ」



――――
 ▼ 256 1◆N8Nz6gyiSo 20/07/15 13:41:14 ID:6VsA0sK2 [41/42] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――――"南の森"



レパルダス「ブニャットさん、こんなところに居たのね。 今週の健康調査の結果が出たとか言って、妹があなたを探してたわよ?」

ブニャット「うー……。そういう小難しいことはオレに回してこないでくれよ……」

レパルダス「そうはいかないんじゃないかしらね。これからはあなたも、こういう仕事をこなしていかなきゃよ。 なんでも、だんだん町の肥満率が高くなってきてる……とかで」

ブニャット「肥満率ぅ? ……別にいいじゃねーかよ」


ブニャット「飢えてない証拠。幸せの証だろ……?」

ブニャット「実際は、多少太ってるくらいが丁度いいんだよ」


レパルダス「そうは言ってもね……」

ブニャット「じゃ、その問題はしばらく保留ってことで……っ」タタタッ

レパルダス「あ、ちょっとっ……。はや……。私じゃもうとても追いつけないわね……」




――動けるデブなどらねこポケモン、ブニャットのお話はこれでおわり。

元気溌剌なネコたちの暮らしは、これからも続いていくのだが……

それはまた別のお話……、だとさ。

……さてと、それじゃあオレは昼寝でもして、そしたらその後は、アイツのところへでも遊びに行こうかな。

それじゃ。



 
 ▼ 257 とがき 20/07/15 13:46:00 ID:6VsA0sK2 [42/42] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
本当に本当にお待たせいたしました。大遅刻のスワップSS、これにて完結です。お待たせしてしまい申し訳ありません。
一レス目を書いてくださったギガヤンマ様、企画を用意してくれた企画者様、ここまでSSを読んでいただけた読者の皆様に、この場を借りて御礼申し上げます。
ありがとうございました。
 ▼ 258 オタチ@きんのおうかん 20/07/15 14:41:57 ID:/MTQTHRw NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
長々続いた割に尻すぼみで終わったね
 ▼ 259 ガヤンマ◆tNBlQV57Hs 20/07/15 17:37:42 ID:j74YwrY. NGネーム登録 NGID登録 報告
>>257
こんなに続くとは思わなかった!
乙です!
 ▼ 260 ビヨン@ベリーアメざいく 20/07/15 17:44:24 ID:kckIuZMo NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

 ▼ 261 ディバ@コンテストパス 20/07/15 19:50:52 ID:d/Q..wI2 NGネーム登録 NGID登録 報告
3ヶ月も掛かったのか……
 ▼ 262 ジキング◆0pp51GOg6o 20/07/15 20:18:58 ID:b4M661PM NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ▼ 263 トラポット◆Pcf6Vw29GM 20/07/18 21:44:44 ID:SwX.JifU [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
3ヶ月もの執筆、お疲れ様でした!これで全作品が完結となります!
ブニャットたちのこれからが気になる終わり方でしたね。挿絵を作りましたので貼らせていただきます
スワップSS企画に参加してくれて、ありがとうございました!
 ▼ 265 1◆N8Nz6gyiSo 20/07/19 01:42:20 ID:ATrgRk.c NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
>>263
>>264
大変素敵な絵を描いていただきありがとうございます
このページは検索エンジン向けの機能制限版の旧ページです。
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