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【SS】 夢に向かうサトシへ

 ▼ 1 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/01/16 23:45:23 ID:lxSuDMO6 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アニポケXY&Z編の最終回、感動しました。
これまで描かれてきたストーリーを考えると、サトシとセレナにとっての、最高の別れ描写だったのではないでしょうか。

このSSは、そんなアニポケ最終回で描かれていなかった部分にスポットを当てた、“半”オリジナルのストーリーです。
最終回のサイドストーリー的なものとして見て頂ければと思います。



毎日更新は出来ませんが、よろしければお付き合いください。




 ▼ 236 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/17 23:09:40 ID:FDQD7Blw [1/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ニンフィア 「ふぃっ……ふぃぁぁぁぁぁっ!」


ニンフィアは、ルイナをキッと睨みつけている。

こんなに険しい表情のニンフィア、初めて見たかもしれない。さっきの雄叫びと併せて、ニンフィアの こんな姿に、私でさえ、驚いている。


 ルイナ 「なによ……なんなのよ今のワザ!? ロズレイド! 起きてロズレイド! ロズレイドぉ!?」


じりじりと迫るニンフィアに、ルイナは一種の恐怖を感じているように見える。

必死でロズレイドを――、自分を守る存在を起こそうとしてるけど、ロズレイドのダメージは相当なものだったのか、目を開けさえしなかった。


 ルイナ 「やめっ……来るな! 来ないでっ!」

 ニンフィア 「ふぃぃあっ! ふぃあぁ!」

 ルイナ 「クッ……もぉ! 戻ってロズレイド! 終わりよ!」



激しく威嚇するニンフィアに圧倒されたのか、ルイナは捨て台詞を吐いて、森の方へと走りだした。


そして その姿は すぐ、木々に同化して見えなくなってしまった。


 ▼ 237 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/17 23:10:40 ID:FDQD7Blw [2/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告






 セレナ 「ニンフィア……」

 ニンフィア 「ふぃっ……」


ニンフィアは、やっと笑顔になって、よろよろと、私の元に近付いてくる。

今のワザ……、なんだったんだろう。“星”を作り出したけど、“スピードスター”なんかじゃない。

もっともっと強力で、もっともっと美しい、正に、ニンフィアだから出せたようなワザだったように、私は感じる。


 ニンフィア 「……ふぃぃぁ」

 セレナ 「凄いよ、ニンフィア……。あなた、すっごく……格好良かった……」

 ニンフィア 「ふぃぁ」


私の頬に擦り寄ってきたニンフィア。

とびっきりの笑顔を見せ、リボンを私の腕に絡めてくれた。

いつものニンフィアだ。
 ▼ 238 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/17 23:11:20 ID:FDQD7Blw [3/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ニンフィア 「ふぃぃ……」

 セレナ 「あっ……ニンフィア……」


そんな可愛らしい笑顔のまま、ニンフィアは倒れた。

もともとボロボロだったのに……、きっとニンフィア、無理して戦ってくれたんだね。

私を守りたい一心で、頑張ってくれたんだね。


 セレナ 「ありがとうニンフィア……んっ!」


私は腕に力をこめる。

痺れて言うことを聞かない腕は、ガクガクと震えながらも、少しずつ、ほんの少しずつだけど、動いてくれた。

何分も費やして、私は やっと、ニンフィアのモンスターボールに手を掛けた。


 セレナ 「ありがとう……、ゆっくり休んでね、ニンフィア……」
 ▼ 239 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/17 23:12:00 ID:FDQD7Blw [4/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ニンフィアが、ボールに戻って行った。

あぁ……、これでもう大丈夫だ。これでもう、ニンフィアは大丈夫だ。

冷たい雨に打たれることも無いし、これ以上、体力が消耗することも無い。


 セレナ 「良かった……。これでっ……」


私は目を閉じた。


体が冷たい……。


体が痛い……。


サトシ……。



ほんの一瞬だけ、目を瞑った つもりだったけど――。


私の意識は、そこで途切れた。



 ▼ 240 チニン@リンドのみ 17/04/17 23:25:37 ID:XsFgnIuA NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
こっちも支援
 ▼ 241 ブルモ@しめったいわ 17/04/18 06:07:30 ID:2UUO2b5. NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 242 ーゴート@ウッディメール 17/04/18 12:51:19 ID:dM7knXbQ NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援ンンン
 ▼ 243 タドガス@マゴのみ 17/04/18 13:37:32 ID:.dMn.Bac NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援!!
 ▼ 244 ュナイパー@シルバースプレー 17/04/19 14:01:43 ID:ca6WDBC2 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 245 フォクシー@チャーレムナイト 17/04/20 13:52:28 ID:.71RCjNM NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
しえーん!!
 ▼ 246 ャワーズ@こううんのおこう 17/04/20 17:53:19 ID:Rk0XIfdI NGネーム登録 NGID登録 報告
支援

伸びを見るとセレナ視点のほうが人気なのかな?
 ▼ 247 ンテイ@せいしんのハネ 17/04/21 11:58:08 ID:JoeQ4svU NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援!!
 ▼ 248 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/21 23:47:20 ID:SQbGv.ms [1/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


【 1-10 】





   ―  ……なっ!





   ―  …れなっ!





   ―  セレナっ!



 ▼ 249 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/21 23:48:00 ID:SQbGv.ms [2/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


私……、呼ばれてる?

寝ちゃってたのかな?

寝ちゃった記憶は無いけど……、でもなんだろう。すっごく頼もしい声。


それに、背中と肩が、なんだか暖かい。

しっかり抱きかかえられてるような、なんだか安心できる感じ。


 セレナ 「……んっ」

 サトシ 「セレナっ……良かった!」

 セレナ 「ぁっ……サトシ……」


目を開くと、サトシの顔が飛び込んで来た。

とっても心配そうな顔……からの、安堵の顔。

憧れの人は、私の無事を喜んでくれている。


 サトシ 「大丈夫か? すげぇボロボロだけど……、どっか傷んだりしないか?」

 セレナ 「ぁのっ……ぇっ……んっ……///」
 ▼ 250 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/21 23:48:30 ID:SQbGv.ms [3/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
少し遅れて、私は現状を理解する。

私は今……、サトシに抱き上げられている……って言うのかな。

お尻から下は地面に付いたままだけど、サトシが私の肩と背中に手を回して、抱き上げてくれている。

さっきまで冷たく濡れた地面に浸ってた私の上半身は、それで幾分、楽になっていた。

……と同時に、急に恥ずかしさが込み上げてきた。

だって私、サトシに抱かれるような体勢で……///


 サトシ 「どうした?」

 セレナ 「サトシっ……、無事、なんだよね?」

 サトシ 「ん?」

 セレナ 「私っ、サトシのこと、心配でっ……。でもっ、助け、行けなくて……」

 サトシ 「なに言ってんだよ。それはオレの台詞だよ。ルイナの相手、セレナに任せっぱなしになっちゃって。それで、こんなボロボロにさせちまって……。ごめんな」

 セレナ 「んっ……そんなっ、サトシのせいじゃ、無いよ」

 サトシ 「……って言うかセレナ、具合、悪いのか!?」
 ▼ 251 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/21 23:49:00 ID:SQbGv.ms [4/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 セレナ 「えっ……なんで?」

 サトシ 「なんか息が切れ切れだし、それに、動こうとしないって言うか……」

 セレナ 「んっ……あのっ、ルイナに……“しびれごな”、受けちゃって……」

 サトシ 「“しびれごな”!? 大丈夫なのか!?」

 セレナ 「ちょっと、息苦しっ、けどっ……大丈夫っ、かな……」

 サトシ 「“痛めつける”ってそう言うことだったのか」

 セレナ 「えっ?」

 サトシ 「とにかくマヒを取らないと! ポケモンセンター……までは遠いし、木の実か何か……!?」

 ピカチュウ 「ぴか!」

 サトシ 「ピカチュウ……、探してきてくれるのか?」

 ピカチュウ 「ぴっかちゅ!」

 サトシ 「そっか、助かるぜピカチュウ。マヒに効く……クラボだっけ? 分かるか?」

 ピカチュウ 「ぴっか!」

 サトシ 「じゃあ頼んだぜ!」
 ▼ 252 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/21 23:49:30 ID:SQbGv.ms [5/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
私はサトシに抱きかかえられながら、森の奥へ走っていくピカチュウを見送った。

ピカチュウに“ごめんね、お願い”って言おうとしたけど、それを言う暇が無いほど、サトシとピカチュウはスピーディーに対応してくれた。

そして残されたのは、私とサトシだけ。


 サトシ 「ごめんな。もっと早く駆けつけたかったんだけど……」

 セレナ 「んっ……そんなことっ」


サトシは優しく、私に語り掛けてくれた。

早さ なんて関係ないよ。私は、サトシが助けに来てくれたこと自体が、とっても嬉しいんだから。


 サトシ 「雨、止まないな」

 セレナ 「あっ、うん……」

 サトシ 「濡れるから移動しようぜ。立てるか?」

 セレナ 「立つのはっ、ちょっと……ダメ、かな……」

 サトシ 「そんなに痺れるのか?」

 セレナ 「うん……。ニンフィア、ボールに戻すのも、ちょっと厳しかったし……、立てない……あっ」

 サトシ 「どうした?」
 ▼ 253 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/21 23:50:00 ID:SQbGv.ms [6/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
なんだか……、懐かしい感じ。

そうだよ。あの時に似てるんだよ。

サマーキャンプで、サトシと初めて会った時と。

サトシが私の怪我を手当てしてくれて、私を立ち上がらせてくれた、あの時と――。


 サトシ 「……そっか」

 セレナ 「サトシ……?」

 サトシ 「最後まで諦めちゃダメだ」

 セレナ 「ぁっ……///」


その台詞……、あの時の。

サトシ、貴方も あの時のこと、思いだしてくれたんだね。


 サトシ 「……って、マヒしてるのに“諦めるな”は酷か」

 セレナ 「ふふっ」


私は思わず、笑ってしまった。

体は痛いし、マヒで息苦しいけど、何故だか自然と、笑みがこぼれてしまった。
 ▼ 254 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/21 23:50:30 ID:SQbGv.ms [7/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「立って……みるか?」

 セレナ 「うん」


私が答えると、サトシは大きく頷いた。

そして、私の背中に手を あてがいながら、私の右手をギュッと掴む。

膝立ち状態のサトシが、眩しい笑顔で私の顔を覗きこむ。そんなサトシの笑顔を見上げながら、私は足に力を込める。



サトシが、私の腕を優しく引っ張った。


つられて私は、体が起き上がる。


お尻が浮いて、膝が伸びて、視線が高くなって。



 セレナ 「あっ……?」


でも、やっぱり私の体は言うことを聞いてくれない。

痺れているせいで、立った状態で制止することが出来ず、そのまま私は――。
 ▼ 255 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/21 23:51:00 ID:SQbGv.ms [8/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「へへっ。立てたじゃん」

 セレナ 「んっ、ふふっ……///」


私の体は、サトシによって、抱きとめられていた。

私の右手を握ったまま、サトシは私のことを、しっかりと抱きとめてくれた。


 セレナ 「あの時と……、同じだね」

 サトシ 「そうだな」


私が小さく呟くと、サトシは応えてくれた。

サトシの肩に、顔を埋めたまま。

普通なら恥ずかしくて こんなこと出来ないけど、これは体が痺れているせい。

だから良いんだ、今日くらい……。

 ▼ 256 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/21 23:52:00 ID:SQbGv.ms [9/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「ほら、そっちの木の影に行こうぜ。濡れすぎるのも良くないし」

 セレナ 「うん。でも私、歩くのダメかも……」

 サトシ 「分かってる。だから……ほら」 グイッ

 セレナ 「ふぁっ……えぇぇっ!?」


私の体が、ふわりと浮いた。

それは、サトシが私を抱き上げてくれたから。

サトシは私の背中と膝下に手をまわして、軽々と私を持ち上げた。……それはつまり、お姫様抱っこ。


 セレナ 「さっ……サトシっ……///」

 サトシ 「苦しくないか?」

 セレナ 「大丈夫っ……だけどっ。そっ……良いよサトシそんなっ……重いでしょ……」

 サトシ 「なに言ってんだよ。セレナくらい軽い軽い」


そう言ってサトシは移動を始める。

さっきのニンフィアの“星”の破裂で、まわりの木々は枝が落ちちゃってるから、雨を凌げる木陰まで、ほんの少し、距離がある。


 セレナ (ぁっ……ぁぅぅ……///) ドキドキ
 ▼ 257 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/21 23:52:30 ID:SQbGv.ms [10/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
私、いまサトシに、お姫様抱っこされちゃってる……。

サトシの体と密着して……、サトシの顔が近くて……。

こんなの、恋人みたいだよ……///


恥ずかしくて、ついつい私は目を逸らしてしまう。

けど、恐る恐る、私はサトシの顔を覗き込む。

見上げたサトシの顔は、とっても凛々しくて、頼もしくて……。


辛いはずなんだけど、それを喜ぶ自分が居る。

体が痺れて動けないことに、私は感謝した。

だってサトシに お姫様抱っこなんて、私っ、恥ずかしくて嬉しくて、心臓破裂しそうだよぉ……。
 ▼ 258 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/21 23:53:00 ID:SQbGv.ms [11/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「……よし。ここなら雨に当たらないな。下ろすぞ?」

 セレナ 「ぁっ、うん……///」


大きな木の下に入って、サトシは私を そっと地面に下ろしてくれた。木の幹に もたれ掛け、座った状態になるように。

サトシは私の正面に胡坐をかく。そして、私の体を、まじまじと見つめる。


 セレナ 「サトシ……ありがとう ///」

 サトシ 「あぁ。……でもセレナ、マヒの ほか、本当に大丈夫か?」

 セレナ 「えっ?」

 サトシ 「泥だらけだし……、擦り傷とか けっこうあるぞ。痛くないか?」

 セレナ 「……うん」

 サトシ 「そっか。良かった」


サトシ、私のこと心配してくれている。

とっても嬉しいけど、でも反面、こうやって落ち着いてみると、サトシに会いたくなかったって気持ちが、心の何処かで生まれてくる。
 ▼ 259 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/21 23:53:30 ID:SQbGv.ms [12/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 セレナ 「……なかったな」

 サトシ 「ん?」

 セレナ 「こんな格好……、サトシには、見られたくっ、なかったな……」


鏡を見た訳じゃないけど、ルイナが言うには、私、酷い格好みたい。

水溜りだらけの地面に倒れて、滑って、ワンピースはボロボロ、体は泥だらけ、髪も乱れてると思う。

こんな格好、大好きな人に――、サトシにだけは、見られたくなかった。


 サトシ 「なに言ってんだよ」

 セレナ 「えっ?」

 サトシ 「セレナ、ルイナに勝ったんだろ?」

 セレナ 「あっ……うん。ヤンチャムと、テールナーと、ニンフィア……。みんな、頑張ってくれて」

 サトシ 「セレナ、ルイナのポケモンから直接攻撃を受けてさ。それでも勝ったんだろ?」

 セレナ 「うん……」

 サトシ 「だったら、セレナの その格好は、勲章みたいなもんじゃん。テールナーたちと一緒に戦ったさ」
 ▼ 260 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/21 23:54:00 ID:SQbGv.ms [13/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 セレナ 「勲章……」

 サトシ 「セレナはさ、バトルが苦手なのに、ルイナに勝ったんだよ。直接攻撃を受けたのに勝ったんだよ。それってオレ、凄ぇことだと思う!」

 セレナ 「サトシ……」

 サトシ 「確かに……ワンピースとか、綺麗なピンクが台無しだけどさ。でもそれは、全力で戦った証じゃん」

 セレナ 「うん……」

 サトシ 「セレナは見られるのが嫌かもしれなけど、恥ずかしがることなんて無いよ。むしろオレ、そういう頑張った姿って好きだぜ?」

 セレナ 「ふぇっ……!?」 ドキッ


サトシ……いま私のこと“好き”って……!?


 セレナ 「ぁっ……サトシっ……///」


勿論、意味が違うってことは分かってる。

でもサトシは、ボロボロな私のこと、ちっとも変な目で見ないで、頑張った姿だって、褒めてくれて……。
 ▼ 261 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/21 23:54:30 ID:SQbGv.ms [14/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
こんな姿をサトシに見せたくないって思った私が、なんだか馬鹿らしく思えてくる。

だって、ほら。サトシは全然気にしてないじゃない。

サトシに限って、真っ直ぐで純粋で、優しいサトシに限って、私の この格好を悪く言うはずなんて、最初から無かったのに。

それどころか、こんな私の姿を、“好き”ってまで言ってくれて……。


 セレナ 「さっ……サトシっ……」

 サトシ 「どうした?」

 セレナ 「そのっ、ありがとっ……///」

 サトシ 「ん? あぁ」

 セレナ 「私っ、私もっ、そのっ……サトシのことっ……!」









 ピカチュウ 「ぴかぴ〜!」

 ▼ 262 クノシタ@でんきのジュエル 17/04/21 23:57:21 ID:6KY5JFQ. NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 263 ルヴァディ@エスパージュエル 17/04/22 00:17:04 ID:WpieEA8. NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 264 ウカザル@ふたのカセキ 17/04/22 13:56:59 ID:hHbM17Hc NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援!!
 ▼ 265 ガサーナイト@はっかのみ 17/04/23 16:51:18 ID:M2U5Xhrk NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
しえん
 ▼ 266 ウカザル@きんのおうかん 17/04/23 20:04:30 ID:zI6BjH/s NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 267 ザード@メンタルハーブ 17/04/24 17:09:13 ID:I4uDI6mY NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援です!
 ▼ 268 ポエラー@ドクZ 17/04/26 15:10:52 ID:OyfRbnlc NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
がんばれー!
 ▼ 269 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/29 00:06:20 ID:cWJBCVpo [1/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「ピカチュウ!」

 セレナ 「ぁっ……」


ピカチュウが戻って来た。こんなタイミングで。

……ううん。ピカチュウは私のためにクラボの実を探しに行ってくれたんだから、感謝しないと。

感謝しないとだけど……、うぅ……なんでこんなタイミングで……。


 サトシ 「サンキュー、ピカチュウ!」

 セレナ 「んっ、ありがとっ……ピカチュウ」

 ピカチュウ 「ぴかぴかぁ〜」


クラボの実は、真っ赤な小さな木の実だ。

ポフレの材料にしたことがあるから、私にとっては見慣れた木の実。まさかそれを直接食べる時が来るなんて、思ってもみなかったな。


 サトシ 「ほらセレナ、口、開けろよ」

 セレナ 「えっ……?」
 ▼ 270 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/29 00:07:00 ID:cWJBCVpo [2/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サトシはクラボを摘まむと、私の顔の前に持ってきた。

それって……、サトシが食べさせてくれるってこと!?

確かに私、体が痺れてるから自分で食べるのは難しいけど、でもでもっ、そんなっ、サトシに……///


 サトシ 「ほら!」

 セレナ 「んっ、あーん……///」


うわぁ〜恥ずかしいっ……。

サトシに“あ〜ん”して貰うなんてっ、こんな……、恋人みたいなことっ……///


 セレナ 「っ……辛ぃっ」

 サトシ 「ははっ。でもマトマよりマシだろ?」

 セレナ 「うん。うぅ……」

 サトシ 「これでマヒは大丈夫だな。雨宿りも兼ねて、ちょっと休もうぜ」

 セレナ 「うん、ありがとっ……サトシ」


 ▼ 271 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/29 00:07:30 ID:cWJBCVpo [3/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
雨は なかなか止まない。

でもそのお陰で、こうやってサトシと一緒に居れるって思うと、止んで欲しく無いって思っちゃう自分が居る。

だって今、私とサトシの距離、すっごく近いんだもん。

木陰の雨宿り、濡れない範囲は狭いから。


 サトシ 「……でさ、最後はピカチュウの“10万ボルト”を、氷柱に落としたんだ。避雷針みたいにな」

 ピカチュウ 「ぴっか」

 サトシ 「氷のフィールド、雨で水の幕が張ってたから、逃げ回るツンベアーにも電気が流れて、それでバトル終了さ」

 セレナ 「そうだったんだ。やっぱりサトシは凄いね。フィールドを味方にしちゃうバトル」


雨宿りの間、サトシはハルキとのバトルを語ってくれた。

けっこう苦戦したみたいだけど、サトシ持ち前の判断力と奇抜な発想で、無事に勝利を おさめたみたい。

やっぱり凄いな、サトシって。
 ▼ 272 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/29 00:08:00 ID:cWJBCVpo [4/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「……セレナ、普通に喋れるようになってきたな」

 セレナ 「うん。息苦しさも無いし、体は まだちょっとピリピリするけど、だいぶ楽になったよ」

 サトシ 「良かった。じゃあ完全回復まで もう少しだな。聞かせてくれよ、セレナのバトルも」

 セレナ 「えぇ。サトシみたいにバトル慣れしてないから、あんまり面白くないかもしれないけど……」

 サトシ 「そんなの関係ないぜ。オレ、セレナがバトルしてるところって、あんまり見てこなかったし、セレナの素のバトルが知りたいんだ」

 セレナ 「ふふっ。最初はね、ドンカラスが相手だったんだけど……」


今度は私の番。

私はサトシに、出来るだけ詳しく、ルイナとのバトルの流れを話してあげた。

ヤンチャム、テールナー、ニンフィア。

みんなバトルに慣れてないのに、ルイナのポケモンと戦ってくれて。

私の未熟さのせいで、ぎこちない、隙だらけのバトルになっちゃったけど、それでも精一杯頑張って、持てる力を振り絞って、なんとかルイナに喰い付いて……。
 ▼ 273 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/29 00:08:31 ID:cWJBCVpo [5/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 セレナ 「……そのタイミングで、私、“しびれごな”を吸っちゃったんだ」

 サトシ 「どうかしてるぜルイナの奴!」

 セレナ 「ニンフィアすっごく心配してくれたんだけど、そのせいで、“ヘドロばくだん”を受けちゃって……」

 サトシ 「あぁ……、フェアリーに毒は効果抜群だからなぁ」

 セレナ 「ニンフィアが倒れちゃってね、ホントなら私、そこで負けてたんだ」

 サトシ 「“ホントなら”?」

 セレナ 「うん。ルイナはね、サトシとハルキのバトルが有利になるように、私を人質にしようとしたの」

 サトシ 「オレもそれ、ハルキから聞かされたよ」

 セレナ 「それでね――、ルイナは私を大人しくさせようとしたのかな。私、“エナジーボール”も喰らっちゃったんだ……」

 サトシ 「“エナジーボール”って……そんなことまでされたのかよセレナ!?」

 セレナ 「うん。それに吹き飛ばされて、こんな……泥だらけになっちゃったんだ」

 サトシ 「……クソッ! そんなことまでされて……、ごめんな。ハルキとルイナに逃げられちまって」

 セレナ 「ううん! そんなの大丈夫だよ」

 サトシ 「でもオレ……やっぱり許せない。ポケモンをネットで売り捌くのも そうだけど、セレナが直接攻撃を受けて、あいつら何も咎められないってのが、どうしても許せないんだ」

 セレナ 「優しいね、サトシ」

 サトシ 「セレナは大切な仲間なんだ。当たり前だろ?」
 ▼ 274 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/29 00:09:06 ID:cWJBCVpo [6/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
仲間――か。

サトシにしてみれば、私は旅仲間の1人に過ぎないかもしれない。

でもね、私にとって、サトシは単なる旅仲間じゃないんだよ?

私にとって、貴方は特別な存在……、憧れであって、人生を変えてくれた、掛け替えのない存在、大好きな人――。

サトシ、私の気持ち、なかなか気付いてくれないな……。


 サトシ 「……どうした? 大丈夫か?」

 セレナ 「うん。……それでね、ルイナが私にトドメを刺そうって時に、ニンフィアが、立ち上がったんだ」


もう体力の限界だったはずのニンフィアは、雄叫びと共に立ち上がって、大きな“星”を打ち出した。

その一撃で、ルイナのロズレイドが戦闘不能になるくらいの、信じられないくらい力強い“星”――。


 サトシ 「“星”って……、“スピードスター”か?」

 セレナ 「ううん。絶対に違う。なんて言うんだろう……、もっと、ニンフィアの気持ちの結晶って言うか、とにかく凄かったの」

 サトシ 「そっか。オレも見てみたかったな」

 セレナ 「うん。凄かったんだから、ニンフィア。とっても格好良かった。あれ、何だったんだろうな……」

 サトシ 「調べてみるか?」
 ▼ 275 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/29 00:10:20 ID:cWJBCVpo [7/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
そう言うと、サトシはポケモン図鑑を取り出す。そして、慣れた手つきで操作すると、目当てのページが見つかったのか、私の隣に座り直した。


 セレナ 「ぁっ」 ドキッ

 サトシ 「これがニンフィアのワザ一覧のページだけど、見えるか?」

 セレナ 「うん……///」


いま、私とサトシは一緒に図鑑を見ている。

一つの図鑑を一緒に見るってことは、当然、お互いが近寄らないといけないから、私とサトシは、自然と距離が縮まった。


 サトシ 「この中で、その“星”っぽいワザは……」

 セレナ (ぁぅぅ……///) ドキドキ


肩が触れ合うくらい、私はサトシと密着している。

抱きとめられたり、お姫様抱っこされたりで、今さら恥ずかしがるようなことじゃないかもしれないけど、それでも私は、ドキドキせずには いられない。

だって……こういうシチュエーションって、恋人みたいなんだもん。

さっきの一連のことは、私の体が痺れてたから――、言ってみれば、私はサトシに気遣って貰っていたに過ぎない。

でも今は違う。

この距離の近さは、正しく、恋人みたいなシチュエーション。私が本当に望んでいたシチュエーションだった。
 ▼ 276 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/29 00:10:55 ID:cWJBCVpo [8/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「……これか?」

 セレナ 「“とっておき”?」


“とっておき”――。

大切なものを守るため、全力で相手に攻撃する、とっておきのワザ。覚えている他のワザを全て使っていないと失敗する――。

図鑑には、そう書かれていた。


 【注】 実際とは異なります。


 サトシ 「“星”がどうとは書いてないけど、これで間違いないと思うぜ」

 セレナ 「“とっておき”……」

 サトシ 「“大切なものを守るため”――、セレナとニンフィアが信頼し合ってたから、出せたワザなんじゃないかな?」

 セレナ 「ニンフィア……」


ニンフィアは、私がルイナに殴られそうになった時、立ち上がって、“とっておき”を出してくれた。

“とっておき”なんてニンフィアは覚えてなかったから、その場で習得したんだと思う。

私を助けるために……。
 ▼ 277 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/29 00:11:31 ID:cWJBCVpo [9/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 セレナ 「ありがとう、ニンフィア。私、嬉しいよ……」

 サトシ 「へへっ、やっぱり良いコンビだな、セレナとニンフィア」

 セレナ 「ありがとうサトシ。でも、テールナーとヤンチャムだって、私の大切なパートナーよ」

 サトシ 「あぁ!」

 ピカチュウ 「ぴかぴっか」




今回のことで、私は まだまだ未熟だって、思い知らされた。

パフォーマンスは それなりに自信があったけど、バトルは本当にダメ。

私が もっと ちゃんと指示を出してれば、みんなが ここまでダメージを受けること、なかったと思う。


でも……、そんな私でも、みんなは私を信頼してくれている。

テールナー、ヤンチャム、ニンフィアは、私のことを、信じてくれている。

それがどれくらい嬉しいことか。みんなとの信頼を再確認できたって意味では、ルイナとのバトルは、無駄じゃなかったんだな。


……ふふっ。

“無駄なことなんて一つもない”――、そうだよね、サトシ?
 ▼ 278 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/29 00:12:06 ID:cWJBCVpo [10/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「……ちょっと小降りになってきたな」

 セレナ 「あ、うん。この様子だと、雨、なかなか止みそうにないね」

 サトシ 「どうする? 小降りのうちに帰った方が良いか?」

 セレナ 「う〜ん……、そうだね。待ってても止む保証は無いし」

 サトシ 「じゃあ帰るか。みんなをポケモンセンターに連れて行かないとな」

 セレナ 「うん」

 サトシ 「じゃあ……ほら」

 セレナ 「ぁっ……///」


そう言うと、サトシは立ち上がって、私に手を差し出してくれた。

こんなにスマートに私の手助けしてくれるなんて……、サトシ、本当は女の子が喜ぶこと、知ってるんじゃないの?


 セレナ 「ありがとう」

 サトシ 「体、大丈夫か?」

 セレナ 「うん。ほとんど痺れは取れたし、これもピカチュウのお陰よ?」

 ピカチュウ 「ぴぃか」
 ▼ 279 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/29 00:12:40 ID:cWJBCVpo [11/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「でも無理しちゃダメだぜ?」

 セレナ 「えっ?」


サトシは私を立ち上がらせると、手は握ったまま下ろし、少しだけ、強く握りしめてくれた。


 サトシ 「このまま行こうぜ。辛くなったら、いつでもオレに体重かけて良いからな」

 セレナ 「ぁっ……うん!」


素敵だな、サトシ。嬉しいよ、サトシの そういう気遣い。

ねぇ、本当に私の気持ちに気付いてないの? ワザと鈍感なフリしてるんじゃないの?


 サトシ 「あっ……とそうだ! セレナごめん! 自転車、壊しちまったんだ」

 ピカチュウ 「ぴか……」

 セレナ 「自転車……いいのいいの。ずっと乗ってなかった古いやつだし、気にしないで」

 サトシ 「そうか?」

 セレナ 「うん。それに……」
 ▼ 280 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/29 00:13:30 ID:cWJBCVpo [12/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
自転車の2人乗りも良かったけど、こうやって、サトシと手を繋いで歩くのも良いかなって。

サトシの優しさを いっぱいに感じながら一緒に歩くのも、なかなか良いかなって。

たったそれだけのことだけど、私にとっては、とってもドキドキして、ワクワクして、暖かな気持ちになれるんだもん。


 サトシ 「それに?」

 セレナ 「ううん、なんでもない」 ギュッ


私はサトシの手を握りしめて、少しだけ、ほんの少しだけ、サトシの近くに寄り添った。

こんなデートでも、私、すっごく楽しいんだから!


 セレナ 「行こ、ポケモンセンター」

 サトシ 「あぁ!」


私とサトシは、小雨の降る しっとりとした森の中を歩き出した。

ポケモンセンターに着くまでも、私にとって、最高の思いでになるんだろうな。





 ▼ 281 ャワーズ@ピーピーエイダー 17/04/29 00:15:46 ID:/FdWYotU [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援ですわ
 ▼ 282 ニリッチ@どくけし 17/04/29 15:13:41 ID:YB5z4zjM NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
待ってました
やっぱり面白いな〜!
 ▼ 284 ガオニゴーリ@ムシZ 17/04/29 19:47:02 ID:/FdWYotU [2/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ▼ 285 ポエラー@スターのみ 17/05/01 10:13:18 ID:YrXJLL8E NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 286 チミル@つりざお 17/05/03 16:28:27 ID:BcpZskIA NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 287 ルガモス@とつげきチョッキ 17/05/06 08:34:38 ID:tD.PKQA2 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 288 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/05/08 23:46:45 ID:3Yf6NBRA [1/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


【 1-11 】


あの後――。

ポケモンセンターに着いた私たちは、みんなを回復に預けた。

それと一応、私が“しびれごな”と“エナジーボール”を受けたことを話すと、念のため検査入院するようにと、ジョーイさんに言われてしまった。

検査入院って言っても、1日泊まって様子を見るだけで、特に難しいことは無いみたい。サトシもそれを勧めてくれたから、私は1日、入院することになった。


当然、専用の病室に泊まるから、サトシとは別の部屋。

サトシもポケモンセンターに泊まることになって、その日は それっきり、サトシと離れ離れになった。

もうすぐ お別れ、一分でさえ貴重な時間なのに、一夜サトシと会えないのは、なかなか寂しかったな……。

唯一の救いは、私が病院着を着ている間に、泥だらけのワンピースを洗濯して貰ったことだった。



翌日も翌日で、面倒なことが待っていた。

私がルイナのポケモンから直接攻撃を受けたことを、ジョーイさんがジュンサーさんに通報したみたいで、その取り調べを受けることになったのだ。

それに半日以上かかって、日が傾き始めた頃、ようやく私たちは解放された。

まぁ、どのみちハルキとルイナのことはジュンサーさんに知らせなきゃいけなかったし、仕方ないと言えば仕方ないのかな。
 ▼ 289 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/05/08 23:47:16 ID:3Yf6NBRA [2/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「もう こんな時間か〜」

 セレナ 「せっかくアサメに来たのに、こんなことになっちゃうなんてなぁ……」

 サトシ 「仕方ないさ。これでハルキとルイナも指名手配されるんだし、ポケモンたちのことを考えれば無駄にはならないよ」

 セレナ 「うん……そうだよね」


こんなことになっても、サトシはポケモンのことを第一に考えている。

それってやっぱり素敵なことだと思う。サトシのポケモン想いの心に、私は ますます惹かれてしまう。


 サトシ 「サキさん、もう帰ってるよな」

 セレナ 「そうね。じゃあ早く帰ろうよ。もともとは、ママがサトシに お礼したいって話だったんだから」

 サトシ 「そうだったな。けどセレナ、体の方、ホントにもう大丈夫なんだよな?」

 セレナ 「うん。痺れも完全に取れたし、“エナジーボール”の痛みも、もう感じないし」

 サトシ 「そっか。良かった」

 セレナ 「ありがとうサトシ、心配してくれて。ピカチュウもね」

 サトシ 「あぁ」

 ピカチュウ 「ぴっか」
 ▼ 290 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/05/08 23:48:15 ID:3Yf6NBRA [3/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
そうして家に着いた時には、もう18時くらいになっていた。

なんだか一日が勿体ないような気もするけど、家に着くまでの間もサトシと色んな お話しが出来たからと、自分に言い聞かせた。



 サキ 「おかえりなさい。それに、いらっしゃい、サトシ君」

 セレナ 「ただいま、ママ」

 サトシ 「お邪魔します!」

 サキ 「あら? 珍しいわね。セレナがその服を着るの」

 セレナ 「あっ……うん、まぁね」

 サキ 「……ふふっ。お夕飯の準備できてるわよ。手を洗ってらっしゃい」

 セレナ 「はーい。サトシ、こっちよ」

 サトシ 「あぁ。オレもう腹ペコペコだよ〜」

 セレナ 「ふふっ。そう言えば、お昼ご飯ちゃんと食べなかったもんね」


家の中は、ご馳走の美味しそうな香りでいっぱいだった。

きっとママ、サトシを おもてなしするために準備してくれたんだろうな。


私たちは、旅の話で盛り上がりながら、とっても楽しい夕食のひとときを過ごした。
 ▼ 291 ェルダー@つきのいし 17/05/09 00:12:49 ID:9R6uofUM NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 292 ドグラー@シルフスコープ 17/05/09 07:32:07 ID:MvR9keAQ NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 293 ンベ@はかせのてがみ 17/05/12 19:38:01 ID:qosFe.vc NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
こっちは更新しないのかな?
 ▼ 294 ロデスナ@グラシデアのはな 17/05/14 00:09:59 ID:A47wdYds NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
甲州街道さんの私生活を知りたい
支援
 ▼ 295 イプ:ヌル@つりざお 17/05/20 07:34:50 ID:xrd9I6jE NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 296 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/05/21 19:27:40 ID:yzQ/x3.c [1/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

夕食後、ポフレを お菓子にアレンジしたものを作って、お茶うけに出した。

もともとは、サトシが美味しそうに私の作ったポフレを食べるから、ちゃんとした お菓子にしようって作り出したもの。

シトロンとユリーカにも好評だったし、ママも美味しそうに食べてくれた。


そんなティータイムが済んだ後、頃合いを見計らって、ママが お風呂を入れてくれた。


 サキ 「お風呂入ったから、セレナ、先に入って来なさい」

 セレナ 「え? そういうのは お客さんのサトシからだよ」

 サトシ 「あ、いやオレは後でも全然いいけど」

 サキ 「なに言ってるの。セレナが先に入っておかないと、サトシ君が お風呂から出た後に退屈しちゃうでしょ?」

 セレナ 「あっ……そっか。じゃあ、悪いけど先に入るわね」

 サトシ 「あぁ」

 セレナ 「……ママ、サトシに変なこと言わないでよ?」

 サキ 「なによ変なことって」


それだけ言って、私は自分の部屋に着替えを取りに行った。

ママ、普段の私の変な癖とかサトシに喋らないと良いんだけど……。
 ▼ 297 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/05/21 19:30:00 ID:yzQ/x3.c [2/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告




 セレナ 「う〜〜〜ん」


お風呂に浸かって、私は思わず背伸びした。

旅の途中は、こうやってお風呂に浸かることは滅多になかったし、何より自分の家の お風呂だから、なんとなくリラックスできる。


 セレナ (もうすぐサトシと お別れか……)


そう考えると、こうやって お風呂に入ってる時間すら惜しくなってくる。

なんにも考えないで、サトシと会いたい一心で家を飛び出して、サトシに旅に誘って貰って、色んな経験をして……。


 セレナ (本当に……、あっという間だったな)


旅に出た当初は、サトシと お別れすることなんて、全然考えてなかった。

サトシがジム戦で勝つたびに、私も すっごく嬉しかったけど……、

シトロンとのバトルの後くらいからかな。サトシがバッジをゲットする度に、お別れの時が近づいてきてるって実感し始めたのは。
 ▼ 298 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/05/21 19:32:00 ID:yzQ/x3.c [3/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 セレナ (サトシに伝えなきゃ……、あなたが好きですって、伝えないと……)


でも、本当に伝えて良いの?

こんな別れ際に告白して、どうなるの?

サトシが受け入れてくれたら、お別れが もっと辛くなると思う。

サトシが受け入れてくれなかったら、最後の最後で気まずくなっちゃうと思う。


 セレナ (どうしよう……)


私は これから、ホウエンへ旅に出る。

そんな時に、サトシのことを引きずるようなことになったら、旅に身が入らないと思う。

それこそ、せっかくのスカウトを断ってしまったヤシオさんに失礼だ。


 セレナ (思い出は……、思い出のままが良いのかな……)


もしかすると、それが一番現実的な答えなのかもしれない――。


私は自分を言い聞かせて、お風呂から上がった。

 ▼ 299 キノオー@ゴーストメモリ 17/05/21 19:34:47 ID:5rt67796 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援ネ!
 ▼ 300 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/05/21 19:36:00 ID:yzQ/x3.c [4/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


 セレナ 「お待たせサトシ。お風呂あいたわよ」


リビングに戻ると、サトシとママはソファに向き合って座っていた。

テレビが点いてないことも考えると、私が お風呂に入ってる間、ずっと話してたんだろうな。


 サキ 「サトシ君のタオル、お風呂の脇に用意してあるから使ってね」

 サトシ 「あっ、はい。ありがとうございます」

 セレナ 「ゆっくり入って来てね」

 サトシ 「あぁ、サンキュー。行くぞピカチュウ」

 ピカチュウ 「ぴかぴか」


そう言って、サトシとピカチュウは お風呂に向かった。

リビングに残ったのは、今度は私とママの2人だけだ。



 ▼ 301 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/05/21 19:38:00 ID:yzQ/x3.c [5/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


 セレナ 「ママ。本当に、ありがとう」

 サキ 「ん? なによ急に?」

 セレナ 「私が1人で旅に出ること、認めてくれて」

 サキ 「ふふっ。セレナ、変わったもんね」

 セレナ 「えっ?」

 サキ 「今までずっと飽きっぽい性格で、サイホーンレースの練習も嫌がってばっかりで。そんな貴方が自分で見つけた夢なんでしょ?」

 セレナ 「あっ……うん」

 サキ 「だったら、それを極めなさい。思いっきり打ち込んで、自分の限界までチャレンジしなさい。夢って、そういうものでしょ?」

 セレナ 「ママ……」

 サキ 「……心配だったのよ。セレナがプラターヌ博士にフォッコを貰いに行って、そのままサトシ君たちと旅に出るって言いだした時は。飽きっぽい貴方のことだから、みんなに迷惑かけちゃうんじゃないかって」

 セレナ 「そんなこと……もぉ〜」
 ▼ 302 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/05/21 19:43:00 ID:yzQ/x3.c [6/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サキ 「けど、思い過ごしだったみたいね。たまに連絡くれる時、セレナ、いつも活き活きしてたんだもん。私まで笑顔になっちゃうくらい」

 セレナ 「うん。サトシたちとの旅はね、全部が新鮮で、面白くて、ワクワクして。すっごく楽しかった」

 サキ 「えぇ」

 セレナ 「ちょっと悩んだりもしたけど、友達もたくさん出来て、パフォーマーになって、カロスクイーンになるって夢も見つけて……、本当に私、旅に出て良かったって」

 サキ 「成長したのね、セレナ」

 セレナ 「でも私ね、ちょっとだけ、ママに申し訳ないないなって……」

 サキ 「……サイホーンレーサーのことは、今は考えなくて良いのよ?」

 セレナ 「えっ……なんで分かったの!?」

 サキ 「貴方の母親だからよ」

 セレナ 「ママ……」

 サキ 「確かに私としては、セレナがサイホーンレーサーにならないのは残念だけど……、でもね、それは私の都合。セレナが自分で見つけた夢を応援するのが、母親ってものでしょ?」

 セレナ 「……うん。ありがとうママ! 私っ、絶対に夢を実現させてみせる! エルさんに勝って、絶対カロスクイーンになるね!」

 サキ 「その意気よセレナ。本当、成長したわね」

 セレナ 「ふふっ。サトシたちとの旅で、私、色んなことを学んだんだから」
 ▼ 303 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/05/21 19:46:00 ID:yzQ/x3.c [7/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サキ 「そうね。ちゃっとサトシ君に感謝しなさいよ? 貴方の人生を ここまで変えてくれたの、サトシ君の お陰なんだから」

 セレナ 「うん……」

 サキ 「どうしたの?」

 セレナ 「サトシには感謝してもしきれないのに……、もうすぐお別れで……」

 サキ 「辛いのは分かるけど、それは受け入れないとね。ちゃんとサトシ君に、自分の正直な気持ちを伝えるのよ?」

 セレナ 「うん……。え?」

 サキ 「自分の正直な気持ち。セレナ、サトシ君のこと好きなんでしょ?」

 セレナ 「ふぇっ……ええぇぇぇぇぇっ!? ななっ……なんでっ!?」

 サキ 「あら、当たったみたいね」

 セレナ 「だだだって私っ、ママの前でサトシのこと好きって感じなことなんにも……!」

 サキ 「なに言ってるのよ。男の子と遊ばない貴方が、サトシ君に旅に誘われて一緒に行くなんて、好きじゃなきゃ説明つかないでしょ?」

 セレナ 「うぅ……///」

 サキ 「それにセレナ、あのサマーキャンプの迷子で助けて貰ったの、サトシ君だったのね」

 セレナ 「えっ、なんでママが知ってるの?」

 サキ 「さっきサトシ君から聞いちゃったのよ」

 セレナ 「もぉ〜余計なこと……」
 ▼ 304 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/05/21 19:48:00 ID:yzQ/x3.c [8/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サキ 「サトシ君、とっても良い子ね。セレナが惹かれるのも無理ないかな」

 セレナ 「……うん。サトシ、いつも一生懸命で、ポケモンに夢中で、ポジティブで、優しくて。サマーキャンプの時より、ずっと格好良いんだもん」

 サキ 「ふふっ」

 セレナ 「ねぇママ……、思い切って聞いちゃうけど、サトシ、私のこと、何か言ってた……?」

 サキ 「あら? そういうことはセレナが直接 聞くべきじゃないかしら?」

 セレナ 「だって……、恥ずかしいって言うか、自分から聞くなんてそんな……」

 サキ 「そっちの方は成長できなかったみたいね?」

 セレナ 「うぅ……///」

 サキ 「サトシ君、あなたのこと褒めてたわよ。それに感謝も」

 セレナ 「ホント!?」

 サキ 「えぇ。だから後は自分で、ね?」

 セレナ 「うん」

 サキ 「頑張りなさいよ。ママ、サトシ君なら大歓迎よ?」

 セレナ 「大歓迎ってまだそんなっ……」
 ▼ 305 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/05/21 19:50:00 ID:yzQ/x3.c [9/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サキ 「想いを伝えるの、これが最後のチャンスでしょ?」

 セレナ 「そうだけど……私、迷ってるんだ」

 サキ 「あら、なんで?」

 セレナ 「サトシに気持ちを伝えて……、ダメだったら気まずくなっちゃうし、もし……、もしOK貰えたら、お別れが もっと辛くなっちゃうなって……」

 サキ 「うん」

 セレナ 「だからね。思い出は思い出のまま……」

 サキ 「セレナ!」

 セレナ 「」 ビクッ!

 サキ 「“当たって砕けろ”よ!」

 セレナ 「ぁっ……ふふっ。砕けちゃダメだよもぉ〜」

 サキ 「ふふっ。セレナ、綺麗な思い出も良いけど、後悔だけは しちゃダメよ?」

 セレナ 「うん……」

 サキ 「あとは貴方次第。私がどうこう言う問題じゃないもの」

 セレナ 「うん。ありがとうママ」

 サキ 「じゃあ……、サトシ君が出てくる前に布団を用意しておくから、セレナはアイスでも出してあげなさいね」

 セレナ 「うん……」
 ▼ 306 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/05/21 20:00:00 ID:yzQ/x3.c [10/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
そう言って、ママは2階に上がって行った。


……分かってるよ。後悔だけはダメだって。

でも、私にとって、サトシは憧れの人。それこそ、他の男の子を好きになることなんて無いくらい。

だから、もし気持ちを伝えてダメだったら……、私は……。




 サトシ 「ふぅ〜さっぱりしたな〜」

 ピカチュウ 「ぴぃ〜か〜」

 セレナ 「ひゃぐっ!? あっ……サトシ」

 サトシ 「どうした?」

 セレナ 「あっ……ううん! そのっ、お風呂上がりにアイスあるけど食べる?」

 サトシ 「おっ良いね! 食べる食べる!」

 セレナ 「ふふっ。待ってて、出してくるから」


サトシ、私の気持ちなんて全然わかってないんだから。

でも、こんな微妙な距離感も良いんだよね。本当、私、どうしよう……。
 ▼ 307 ョロモ@フレンドボール 17/05/21 20:04:21 ID:ZomdkuGE NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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 ▼ 308 ルトロス@イトケのみ 17/05/21 20:14:52 ID:L8tPnX8E NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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 ▼ 309 サイハナ@カードキー 17/05/21 21:21:37 ID:qdSB7v52 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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 ▼ 310 ュワワー@グラスシード 17/05/22 01:16:33 ID:NHQRVSE. NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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 ▼ 311 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/05/22 23:26:01 ID:p9yD8rgA [1/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


【 1-12 】



 サキ 「サトシ君もセレナも、そろそろ寝た方が良いんじゃない?」


お風呂から上がってリビングで寛いでいると、ママが言った。


 セレナ 「あっ……もう こんな時間なんだ」

 サトシ 「ホントだ。ピカチュウ寝ちまってるし、オレたちも そろそろ寝るか」

 ピカチュウ 「zzz...」

 セレナ 「うん。明日も早いもんね」

 サキ 「サトシ君の部屋、用意してあるからね。セレナ、2階の奥の部屋、案内してあげて」

 セレナ 「うん。行こうサトシ。おやすみママ」

 サトシ 「ありがとうございます。おやすみなさい」

 サキ 「おやすみなさい。ゆっくり休んでね」
 ▼ 312 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/05/22 23:26:32 ID:p9yD8rgA [2/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
階段を上がって、2階に。

階段の正面が私の部屋で、その右奥が、ママが用意してくれたサトシの部屋。


 セレナ 「向こうがサトシの部屋よ」

 サトシ 「サンキュー。じゃあセレナ、おやすみ」


眠っているピカチュウを抱いて、サトシは奥の部屋へと足を進める。

でも……。


 セレナ 「……待って」

 サトシ 「どうした?」


私は思わずサトシを呼び止めてしまった。

だって、2人きりになれるチャンスは、これが最後だもん。


 セレナ 「あっ……えっと、もし良かったらそのっ……、もう少しだけ、一緒に話さない?」

 サトシ 「あぁ良いぜ。でもピカチュウ起こすの可哀想だから寝かせて来るよ。話すのセレナの部屋で良いか?」

 セレナ 「ぁっ……うん」
 ▼ 313 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/05/22 23:27:04 ID:p9yD8rgA [3/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
良かった、まだサトシと2人きりで居られる。

それも、私の部屋で……///





 サトシ 「お邪魔するぜ」

 セレナ 「うん」


ピカチュウを寝かせたサトシが、私の部屋に足を踏み入れた。

うぅ……、大好きな人を自分の部屋に招待するのが、こんなにドキドキすることだったなんて。


 サトシ 「へぇ〜これがセレナの部屋か」


私の部屋に入ったサトシは、興味深そうに室内を見回す。

なんだか私生活が覗かれてるみたいで恥ずかしいけど、幸い部屋は綺麗に片付けられている。掃除してくれていたママに感謝しないと。
 ▼ 314 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/05/22 23:27:37 ID:p9yD8rgA [4/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「おっ、フシギダネ!」


サトシは、ベッド脇に置いてあった ぬいぐるみに興味を示した。

男の子だから ぬいぐるみなんて興味無いと思ってたけど、サトシは そんなこと無いみたい。それだけポケモンが好きってことなのかな。


 セレナ 「フシギダネって、カントー地方の初心者ポケモンよね」

 サトシ 「あぁ。オレ野生のフシギダネをゲットしててさ、オーキド博士の研究所に居るんだ。元気してるかな〜」


そっか。サトシもフシギダネを持ってたんだ。

サナのフシギダネは気難しい性格だったけど、サトシのフシギダネは、どんな子なんだろう。


 セレナ 「ふふっ。いつかサトシのポケモンみんなに会ってみたいな。……あ、座ってサトシ」

 サトシ 「おぉ」


立ち話も悪いから……って言うか立ち話する意味もないので、私たちは絨毯に腰を下ろした。


あぁ……、サトシが今、私の部屋に……。

たったそれだけでドキドキするのに、私、大丈夫かなぁ……。
 ▼ 315 ジギガス@ざいりょうぶくろ 17/05/23 07:01:41 ID:QKjXCh.6 NGネーム登録 NGID登録 報告
こっちも支援!
 ▼ 316 ルロック@タウリン 17/05/23 07:43:22 ID:gp6cfoi. NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 317 ズクモ@リゾチウム 17/05/23 10:49:15 ID:wMbvKN0M NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サトシのフシギダネは、一言でいうと「兄貴」ですかね…
 ▼ 318 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/05/24 21:34:15 ID:zieruN.Y [1/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
絨毯に腰を下ろしたサトシは、改めて私の部屋を見回している。

うぅ……、だらしない所とかないよね? 汚い所とかないよね?


 サトシ 「綺麗な部屋だな」

 セレナ 「あっ、うん、ありがとう。そのっ……、初めてなんだ、男の子、私の部屋に招待するの……///」

 サトシ 「そうだったのか。サンキューな」

 セレナ 「うん。サトシだけは特別っ」


それは、紛れもない事実。

私は今まで、男の子を自分の部屋に入れたことが無い。男の子の友達が少なかったってのもあるけど、そもそも異性を自分の部屋に入れようなんて、思ったことが無かった。

でも、サトシだけは特別。

大好きなサトシだけの特別。

けど考えてみると、自分の部屋で男の子と2人きりになるなんて、世間一般的に、恋人みたいな関係じゃないと有り得ないことだと思う。

うぅ……、恥ずかしい。

この勇気、私の気持ち、サトシに届いて……!
 ▼ 319 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/05/24 21:34:45 ID:zieruN.Y [2/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「早いよな。カロスに来たの、つい最近のことみたいに感じるのに」

 セレナ 「……うん。私も あっという間に感じたな。サトシたちとの旅」


あぁ……、やっぱりダメかぁ。

サトシ、私の“特別”に反応してくれなかった。

サトシは鈍感だから期待してなかったけど、でも、女の子の部屋で2人きりになるんだから、少しくらい意識してくれないと悲しいって言うか……。

こんなんじゃ、サトシに気持ちを伝えられないよぉ……。


 サトシ 「セレナ、ありがとな」

 セレナ 「えっ?」

 サトシ 「思い返してみるとさ、オレ、セレナに色々助けて貰ったなって」

 セレナ 「そんな。私は何にも……」

 サトシ 「いや。セレナはジム戦のヒントとかくれたし、それに、ウルップさんに負けた後、オレの目を覚ましてくれたのはセレナだよ」

 セレナ 「ぁっ……」

 サトシ 「正直、セレナが居なかったら、カロスリーグに出れてたか怪しいんじゃないかって。ホント、ありがとな、セレナ」

 セレナ 「ううん。私の方こそ そのっ……、あの時、サトシに酷いこと言っちゃって……、まだ謝ってなかったよね。ごめんなさい」

 サトシ 「いや、オレの方こそ ごめんな。せっかくセレナが心配してくれてたのに、オレそんなこと全然考えなくて、怒鳴っちまって」
 ▼ 320 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/05/24 21:35:16 ID:zieruN.Y [3/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
突然のサトシの言葉に、私は驚いた。

そして、自分の行いが とても恥ずかしく思えてしまった。

サトシと2人きりになれて、私は自分の気持ちをサトシに伝えることだけを考えていた。“当たって砕けろ”の覚悟で。

でもサトシは、エイセツシティでのことを、謝って、感謝してくれた。多分、私と2人きりになれたから。


2人きりになれたタイミングで考えることに、こんなに差が出るなんて。

言ってしまえば、私の方は下心だ。

サトシと2人になれて、勝手にドキドキして、恥ずかしがって、告白を考えて。


でもサトシは違う。

最後に2人きりになれたチャンス、最高の使い方をしてくれた。


やっぱりサトシは素敵だな。

こういう所で、サトシの純粋な心が出て来るんだと思う。

こういう所が、私がサトシに惹かれる理由。私の理想のサトシ……。
 ▼ 321 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/05/24 21:36:15 ID:zieruN.Y [4/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 セレナ 「そんな……、だってあの時は、サトシが私のりそっ……ぁっ、そのっ……」

 サトシ 「ん?」


ぁっ……、嘘っ、声に出ちゃった。

でも、もう誤魔化せない。誤魔化せないって言うより、誤魔化したくない。


 セレナ 「えっと……あのね。あの時……私、自分の理想を、サトシに押し付けちゃって……」

 サトシ 「理想?」

 セレナ 「今まで旅してきて、サトシは……、私の見てきたサトシは、いつも前向きでポジティブで優しくて……、悩んだり思い詰めたりするイメージ、全然無かったの。だから、あの時のサトシを見て、私、信じられなかったって言うか……、そのっ……」


あの時のサトシは、私の憧れの、理想のサトシじゃなかった。

これまで絶好調だったサトシが、ショータとウルップさん、立て続けに2人に負けて、思い悩んでいる姿は、ちっともサトシらしくなかった。

でもいま考えてみると、だからって あのとき私が取った行動は、決して許されるものじゃなかったと思う。

サトシの気持ちを深く考えないで、自分の理想の姿じゃないサトシのことが、勝手に頭に来ちゃって……。


 サトシ 「……そっか」

 セレナ 「だから私、つい……」

 サトシ 「ごめんな」
 ▼ 322 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/05/24 21:37:00 ID:zieruN.Y [5/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 セレナ 「サトシ……?」

 サトシ 「セレナ、そんなにオレのこと心配してくれて、オレのこと想ってくれて……、なのに、そうだよな。あんな姿を見せちまったら、雪玉投げられて当然だぜ」

 セレナ 「ぁっ……、そのことも、ごめんなさい」

 サトシ 「いやいや! 謝る必要なんて無いぜ? オレ、そのお陰で目が覚めたし、あのスランプから抜け出せたのはセレナの お陰なんだからさ!」

 セレナ 「そう……かな」

 サトシ 「断言するぜ。セレナのお陰でオレ、立ち直れたんだ」

 セレナ 「……ふふっ。うん、そう言って貰えると嬉しいな」

 サトシ 「へへっ」


もぉ……、本当にサトシ、素敵なんだから。

私の行動なんて全然 気にしないで、むしろ感謝してくれて。そう言ってくれるだけで、私の心はスッと楽になった。


私がサトシを立ち直らせた、か――。

嬉しいよ、サトシの役に立てて。サトシに貢献できて。サトシに感謝して貰えて。
 ▼ 323 ロア@りゅうのプレート 17/05/24 21:38:47 ID:GhJiDqeE NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
こっちも支援
 ▼ 324 ンドール@ぎんいろのはね 17/05/25 11:51:16 ID:Ut45Q3H2 NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 325 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/05/28 01:35:00 ID:aDpz9k2k [1/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 セレナ 「私の方こそ、サトシには感謝してもしきれないよ」

 サトシ 「そうか?」

 セレナ 「うん。旅に誘ってくれたことでしょ、色んな経験をさせて貰ったこと、それに、いつも私を励ましてくれたこと……。サトシへの感謝、いっぱいあるんだから」


いつだって思っていた。

サトシが旅に誘ってくれたお陰で、私は色んな経験が出来た。色んなことを知れた。色んな人と出会えた。


 サトシ 「頑張ってるセレナを励ますのは当然だろ? セレナだって、いつもオレのこと応援してくれたし」

 セレナ 「ふふっ。でもね、サトシが応援してくれたから、私、ここまで成長できたって思うんだ。ポカロンも、自分自身も」

 サトシ 「なに言ってんだよ。それはセレナが凄ぇ頑張ったからだろ?」


今まで何となく生きてきた私にとって、サトシたちとの旅は、本当に、本当に私の転機だった。

大切なパートナー、テールナー、ヤンチャム、ニンフィアと出会えたのも、カロスクイーンになるって言う夢を見つけたのも、サトシが旅に誘ってくれた お陰。

テールナーたちと切磋琢磨して、パフォーマンスの腕を磨いて、沢山の人に笑顔を与えられる存在になろうって決意して。

そんな気持ちになれたのは、サトシが隣に居てくれたから。
 ▼ 326 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/05/28 01:36:00 ID:aDpz9k2k [2/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 セレナ 「ううん。違うの」

 サトシ 「違う?」

 セレナ 「私が頑張れたのは、サトシの お陰。サトシには実感ないかもしれないけど、私ね、サトシが隣に居るだけで、頑張れたんだ」

 サトシ 「大袈裟だなぁ。オレは何もしてないぜ?」

 セレナ 「うん。……何もしてなくてもね、私、頑張れるんだ。サトシが居たから」


うぅ……、すっごい恥ずかしいこと、いま私、言ってる気がする。

ここまで言って、普通なら気付いてくれると思うんだけどな、私の気持ち。

でも、今まで ちっとも私の気持ちに気付いてくれなかった鈍感なサトシは、雰囲気とか、そういう伝え方じゃダメだと思う。

正々堂々、じゃないけど、直球で行かないと。


“あなたのことが好きです”


って、はっきり言わないと。しっかり伝えないと。

だって、いまを逃したら、もう後は……。
 ▼ 327 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/05/28 01:36:33 ID:aDpz9k2k [3/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「オレもさ、セレナが居てくれたから頑張れたって感じ、実は あるんだ」

 セレナ 「えっ?」

 サトシ 「最初の頃のジム戦さ、セレナの言葉が突破のヒントになったこと、けっこうあったんだぜ。コルニとのジム戦も、オレのリズムを気付かせてくれたし」

 セレナ 「ぁっ……、そんな、私は何にも」

 サトシ 「セレナは そう思うかもしれないけど、オレは凄ぇ感謝してる。それで段々さ、セレナのヒント無しでも、しっかりジム戦で勝ってやろうって。そう思って挑んでたんだ」

 セレナ 「サトシ……、そうだったんだ」

 サトシ 「それってさ、セレナが傍に居てくれた お陰だよ。エイセツジムは別だけど、今までのジム戦を割とスムーズに突破できたのは、セレナの お陰なんだ」

 セレナ 「……ふふっ。なんだか照れくさいよ」


知らなかったな。サトシが私のこと、そんな風に思ってくれてたなんて。

私が居るだけで、サトシが頑張れた……。それって、すっごく嬉しいよ。


 サトシ 「……へへっ。オレだって こんなこと言うの恥ずかしいぜ? でも、2人の時じゃなきゃ、伝えるチャンスは無いかなって」

 セレナ 「ふふっ。そうだよね、私もっ」
 ▼ 328 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/05/28 01:37:10 ID:aDpz9k2k [4/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「オレたち、知らないうちに お互いのこと助け合ってたんだな」

 セレナ 「うん、そうみたいだね。なんだか素敵だね、こういうのって」

 サトシ 「あぁ。……けどこれからは、そういう訳には行かないんだよな」

 セレナ 「……うん」

 サトシ 「でもセレナなら大丈夫さ。成長したんだろ?」

 セレナ 「うん。色んな経験をして、家に居たままじゃ知らなかった、色んなことを学べたもん。旅のノウハウもね」

 サトシ 「それなら大丈夫だな。オレ、いつだってセレナのこと応援してるからさ。ホウエンでも頑張れよ!」

 セレナ 「うん。ありがとう。……サトシは、これからどうするの?」

 サトシ 「そうだなぁ……、まだ分からないや。旅に出るかもしれないし、何か新しいことにチャレンジするかもしれない。どっちにしろ、ゼロからのスタートになるな」

 セレナ 「そっか。……でもサトシなら、どんなことがあっても絶対に大丈夫だよね。私の知ってるサトシは、どんなことがあっても諦めない、とっても強い人だもん」

 サトシ 「……へへっ。サンキューなセレナ。オレ、セレナと旅したこと、絶対に忘れないぜ」

 セレナ 「うん。私もサトシと旅したこと、ずっと忘れないよ。こんな素敵な経験、忘れるなんて無理だもん」

 サトシ 「あぁ。……じゃあそろそろ寝ようぜ。明日も早いしな」

 セレナ 「ぁっ……うん」

 サトシ 「それじゃ、おやすみセレナ」

 セレナ 「うん。おやすみなさい」
 ▼ 329 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/05/28 01:37:40 ID:aDpz9k2k [5/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サトシは立ち上がって、手を振りながら、私の部屋から出て行った。

廊下の先で、サトシの部屋の扉が閉まる音が聞こえた。


 セレナ (“お互い助け合ってた”か……)


それは、今になって初めて聞けた、サトシの本心だった。

私がサトシの存在に励まされてたように、実はサトシも、私のことを必要としてくれてた……。

とっても嬉しい。もっと早く聞きたかった。


 セレナ (はぁ……)


でも、そんな事実を聞いた途端、嬉しさと同時に、寂しさも湧き上がって来てしまった。

お別れの寂しさ。

嬉しいはずなのに、嬉しいが故に、もうすぐ やってくる お別れが、余計に辛くなってしまった。


 セレナ (言えないよ……グスッ、これだけで こんなに寂しいのにっ、好きだなんて……言えないよぉ……)
 ▼ 330 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/05/28 01:38:10 ID:aDpz9k2k [6/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サトシを部屋に誘った時の決心は、既に折れてしまっていた。

こんな気持ちでサトシに気持ちを伝えたら……、お別れ、ますます辛くなっちゃう。

サトシの返事とか関係なしに、寂しい気持ち、悲しい気持ち、たぶん私、抑えきれなくなっちゃうと思う。


 セレナ (寂しいよ……サトシっ……グスッ)


“当たって砕けろ”、覚悟を決めたのに。

これが最後のチャンスだったのに。2人だけになるチャンス、もう無いのに。


 セレナ (ぅっ……グスッ、ぅぅっ……)


私はベッドに寝ころんで。布団に潜り込んだ。

涙が溢れる。

サトシと お別れしたくないって、心の中が泣いている。


 セレナ (お互い新しいスタートなのに……。笑顔で お別れしないと、いけないのにっ……)


私は いつの間にか、眠りに落ちていた。

 ▼ 331 イノーズ@エレキブースター 17/05/28 01:38:57 ID:4s1VWprI NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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 ▼ 332 レビィ@しんかいのウロコ 17/05/28 16:26:23 ID:tudZ1oFg NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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 ▼ 333 ニドリル@ディフェンダー 17/05/29 15:44:06 ID:HUFgU0sg NGネーム登録 NGID登録 報告
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 ▼ 335 クスロー@サファイア 17/05/31 21:28:28 ID:p6CHp1Ms NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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